口語訳聖書 日本聖書協会 [#改ページ] 創世記[#「創世記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]はじめに|神《かみ》は|天《てん》と|地《ち》とを|創造《そうぞう》された。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|形《かたち》なく、むなしく、やみが|淵《ふち》のおもてにあり、|神《かみ》の|霊《れい》が|水《みず》のおもてをおおっていた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は「|光《ひかり》あれ」と|言《い》われた。すると|光《ひかり》があった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|光《ひかり》を|見《み》て、|良《よ》しとされた。|神《かみ》はその|光《ひかり》とやみとを|分《わ》けられた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|光《ひかり》を|昼《ひる》と|名《な》づけ、やみを|夜《よる》と|名《な》づけられた。|夕《ゆう》となり、また|朝《あさ》となった。|第《だい》一|日《にち》である。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「|水《みず》の|間《あいだ》におおぞらがあって、|水《みず》と|水《みず》とを|分《わ》けよ」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのようになった。|神《かみ》はおおぞらを|造《つく》って、おおぞらの|下《した》の|水《みず》とおおぞらの|上《うえ》の|水《みず》とを|分《わ》けられた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はそのおおぞらを|天《てん》と|名《な》づけられた。|夕《ゆう》となり、また|朝《あさ》となった。|第《だい》二|日《にち》である。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「|天《てん》の|下《した》の|水《みず》は|一《ひと》つ|所《ところ》に|集《あつ》まり、かわいた|地《ち》が|現《あらわ》れよ」。そのようになった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はそのかわいた|地《ち》を|陸《りく》と|名《な》づけ、|水《みず》の|集《あつ》まった|所《ところ》を|海《うみ》と|名《な》づけられた。|神《かみ》は|見《み》て、|良《よ》しとされた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「|地《ち》は|青草《あおくさ》と、|種《たね》をもつ|草《くさ》と、|種類《しゅるい》にしたがって|種《たね》のある|実《み》を|結《むす》ぶ|果樹《かじゅ》とを|地《ち》の|上《うえ》にはえさせよ」。そのようになった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|青草《あおくさ》と、|種類《しゅるい》にしたがって|種《たね》をもつ|草《くさ》と、|種類《しゅるい》にしたがって|種《たね》のある|実《み》を|結《むす》ぶ|木《き》とをはえさせた。|神《かみ》は|見《み》て、|良《よ》しとされた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》となり、また|朝《あさ》となった。|第《だい》三|日《にち》である。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「|天《てん》のおおぞらに|光《ひかり》があって|昼《ひる》と|夜《よる》とを|分《わ》け、しるしのため、|季節《きせつ》のため、|日《ひ》のため、|年《とし》のためになり、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》のおおぞらにあって|地《ち》を|照《て》らす|光《ひかり》となれ」。そのようになった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は二つの|大《おお》きな|光《ひかり》を|造《つく》り、|大《おお》きい|光《ひかり》に|昼《ひる》をつかさどらせ、|小《ちい》さい|光《ひかり》に|夜《よる》をつかさどらせ、また|星《ほし》を|造《つく》られた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はこれらを|天《てん》のおおぞらに|置《お》いて|地《ち》を|照《て》らさせ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》と|夜《よる》とをつかさどらせ、|光《ひかり》とやみとを|分《わ》けさせられた。|神《かみ》は|見《み》て、|良《よ》しとされた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》となり、また|朝《あさ》となった。|第《だい》四|日《にち》である。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「|水《みず》は|生《い》き|物《もの》の|群《む》れで|満《み》ち、|鳥《とり》は|地《ち》の|上《うえ》、|天《てん》のおおぞらを|飛《と》べ」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|海《うみ》の|大《おお》いなる|獣《けもの》と、|水《みず》に|群《むら》がるすべての|動《うご》く|生《い》き|物《もの》とを、|種類《しゅるい》にしたがって|創造《そうぞう》し、また|翼《つばさ》のあるすべての|鳥《とり》を、|種類《しゅるい》にしたがって|創造《そうぞう》された。|神《かみ》は|見《み》て、|良《よ》しとされた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はこれらを|祝福《しゅくふく》して|言《い》われた、「|生《う》めよ、ふえよ、|海《うみ》の|水《みず》に|満《み》ちよ、また|鳥《とり》は|地《ち》にふえよ」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》となり、また|朝《あさ》となった。|第《だい》五|日《にち》である。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「|地《ち》は|生《い》き|物《もの》を|種類《しゅるい》にしたがっていだせ。|家畜《かちく》と、|這《は》うものと、|地《ち》の|獣《けもの》とを|種類《しゅるい》にしたがっていだせ」。そのようになった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|地《ち》の|獣《けもの》を|種類《しゅるい》にしたがい、|家畜《かちく》を|種類《しゅるい》にしたがい、また|地《ち》に|這《は》うすべての|物《もの》を|種類《しゅるい》にしたがって|造《つく》られた。|神《かみ》は|見《み》て、|良《よ》しとされた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって|人《ひと》を|造《つく》り、これに|海《うみ》の|魚《うお》と、|空《そら》の|鳥《とり》と、|家畜《かちく》と、|地《ち》のすべての|獣《けもの》と、|地《ち》のすべての|這《は》うものとを|治《おさ》めさせよう」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|自分《じぶん》のかたちに|人《ひと》を|創造《そうぞう》された。すなわち、|神《かみ》のかたちに|創造《そうぞう》し、|男《おとこ》と|女《おんな》とに|創造《そうぞう》された。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》して|言《い》われた、「|生《う》めよ、ふえよ、|地《ち》に|満《み》ちよ、|地《ち》を|従《したが》わせよ。また|海《うみ》の|魚《うお》と、|空《そら》の|鳥《とり》と、|地《ち》に|動《うご》くすべての|生《い》き|物《もの》とを|治《おさ》めよ」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|言《い》われた、「わたしは|全《ぜん》|地《ち》のおもてにある|種《たね》をもつすべての|草《くさ》と、|種《たね》のある|実《み》を|結《むす》ぶすべての|木《き》とをあなたがたに|与《あた》える。これはあなたがたの|食物《しょくもつ》となるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]また|地《ち》のすべての|獣《けもの》、|空《そら》のすべての|鳥《とり》、|地《ち》を|這《は》うすべてのもの、すなわち|命《いのち》あるものには、|食物《しょくもつ》としてすべての|青草《あおくさ》を|与《あた》える」。そのようになった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|造《つく》ったすべての|物《もの》を|見《み》られたところ、それは、はなはだ|良《よ》かった。|夕《ゆう》となり、また|朝《あさ》となった。|第《だい》六|日《にち》である。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|天《てん》と|地《ち》と、その|万象《ばんしょう》とが|完成《かんせい》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|第《だい》七|日《にち》にその|作業《さぎょう》を|終《お》えられた。すなわち、そのすべての|作業《さぎょう》を|終《おわ》って|第《だい》七|日《にち》に|休《やす》まれた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|第《だい》七|日《にち》を|祝福《しゅくふく》して、これを|聖別《せいべつ》された。|神《かみ》がこの|日《ひ》に、そのすべての|創造《そうぞう》のわざを|終《おわ》って|休《やす》まれたからである。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これが|天地《てんち》|創造《そうぞう》の|由来《ゆらい》である。  |主《しゅ》なる|神《かみ》が|地《ち》と|天《てん》とを|造《つく》られた|時《とき》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》にはまだ|野《の》の|木《き》もなく、また|野《の》の|草《くさ》もはえていなかった。|主《しゅ》なる|神《かみ》が|地《ち》に|雨《あめ》を|降《ふ》らせず、また|土《つち》を|耕《たがや》す|人《ひと》もなかったからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|地《ち》から|泉《いずみ》がわきあがって|土《つち》の|全面《ぜんめん》を|潤《うるお》していた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|土《つち》のちりで|人《ひと》を|造《つく》り、|命《いのち》の|息《いき》をその|鼻《はな》に|吹《ふ》きいれられた。そこで|人《ひと》は|生《い》きた|者《もの》となった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|東《ひがし》のかた、エデンに一つの|園《その》を|設《もう》けて、その|造《つく》った|人《ひと》をそこに|置《お》かれた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》なる|神《かみ》は、|見《み》て|美《うつく》しく、|食《た》べるに|良《よ》いすべての|木《き》を|土《つち》からはえさせ、|更《さら》に|園《その》の|中央《ちゅうおう》に|命《いのち》の|木《き》と、|善悪《ぜんあく》を|知《し》る|木《き》とをはえさせられた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また一つの|川《かわ》がエデンから|流《なが》れ|出《で》て|園《その》を|潤《うるお》し、そこから|分《わか》れて四つの|川《かわ》となった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|第《だい》一の|名《な》はピソンといい、|金《きん》のあるハビラの|全《ぜん》|地《ち》をめぐるもので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|金《きん》は|良《よ》く、またそこはブドラクと、しまめのうとを|産《さん》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二の|川《かわ》の|名《な》はギホンといい、クシの|全《ぜん》|地《ち》をめぐるもの。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三の|川《かわ》の|名《な》はヒデケルといい、アッスリヤの|東《ひがし》を|流《なが》れるもの。|第《だい》四の|川《かわ》はユフラテである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|人《ひと》を|連《つ》れて|行《い》ってエデンの|園《その》に|置《お》き、これを|耕《たがや》させ、これを|守《まも》らせられた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はその|人《ひと》に|命《めい》じて|言《い》われた、「あなたは|園《その》のどの|木《き》からでも|心《こころ》のままに|取《と》って|食《た》べてよろしい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|善悪《ぜんあく》を|知《し》る|木《き》からは|取《と》って|食《た》べてはならない。それを|取《と》って|食《た》べると、きっと|死《し》ぬであろう」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われた、「|人《ひと》がひとりでいるのは|良《よ》くない。|彼《かれ》のために、ふさわしい|助《たす》け|手《て》を|造《つく》ろう」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》なる|神《かみ》は|野《の》のすべての|獣《けもの》と、|空《そら》のすべての|鳥《とり》とを|土《つち》で|造《つく》り、|人《ひと》のところへ|連《つ》れてきて、|彼《かれ》がそれにどんな|名《な》をつけるかを|見《み》られた。|人《ひと》がすべて|生《い》き|物《もの》に|与《あた》える|名《な》は、その|名《な》となるのであった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それで|人《ひと》は、すべての|家畜《かちく》と、|空《そら》の|鳥《とり》と、|野《の》のすべての|獣《けもの》とに|名《な》をつけたが、|人《ひと》にはふさわしい|助《たす》け|手《て》が|見《み》つからなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》なる|神《かみ》は|人《ひと》を|深《ふか》く|眠《ねむ》らせ、|眠《ねむ》った|時《とき》に、そのあばら|骨《ぼね》の一つを|取《と》って、その|所《ところ》を|肉《にく》でふさがれた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|人《ひと》から|取《と》ったあばら|骨《ぼね》でひとりの|女《おんな》を|造《つく》り、|人《ひと》のところへ|連《つ》れてこられた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|人《ひと》は|言《い》った。 [#ここから2字下げ] 「これこそ、ついにわたしの|骨《ほね》の|骨《ほね》、 わたしの|肉《にく》の|肉《にく》。 |男《おとこ》から|取《と》ったものだから、 これを|女《おんな》と|名《な》づけよう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それで|人《ひと》はその|父《ちち》と|母《はは》を|離《はな》れて、|妻《つま》と|結《むす》び|合《あ》い、|一体《いったい》となるのである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》とその|妻《つま》とは、ふたりとも|裸《はだか》であったが、|恥《は》ずかしいとは|思《おも》わなかった。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて|主《しゅ》なる|神《かみ》が|造《つく》られた|野《の》の|生《い》き|物《もの》のうちで、へびが|最《もっと》も|狡猾《こうかつ》であった。へびは|女《おんな》に|言《い》った、「|園《その》にあるどの|木《き》からも|取《と》って|食《た》べるなと、ほんとうに|神《かみ》が|言《い》われたのですか」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はへびに|言《い》った、「わたしたちは|園《その》の|木《き》の|実《み》を|食《た》べることは|許《ゆる》されていますが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ただ|園《その》の|中央《ちゅうおう》にある|木《き》の|実《み》については、これを|取《と》って|食《た》べるな、これに|触《ふ》れるな、|死《し》んではいけないからと、|神《かみ》は|言《い》われました」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]へびは|女《おんな》に|言《い》った、「あなたがたは|決《けっ》して|死《し》ぬことはないでしょう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それを|食《た》べると、あなたがたの|目《め》が|開《ひら》け、|神《かみ》のように|善悪《ぜんあく》を|知《し》る|者《もの》となることを、|神《かみ》は|知《し》っておられるのです」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》がその|木《き》を|見《み》ると、それは|食《た》べるに|良《よ》く、|目《め》には|美《うつく》しく、|賢《かしこ》くなるには|好《この》ましいと|思《おも》われたから、その|実《み》を|取《と》って|食《た》べ、また|共《とも》にいた|夫《おっと》にも|与《あた》えたので、|彼《かれ》も|食《た》べた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すると、ふたりの|目《め》が|開《ひら》け、|自分《じぶん》たちの|裸《はだか》であることがわかったので、いちじくの|葉《は》をつづり|合《あ》わせて、|腰《こし》に|巻《ま》いた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、|日《ひ》の|涼《すず》しい|風《かぜ》の|吹《ふ》くころ、|園《その》の|中《なか》に|主《しゅ》なる|神《かみ》の|歩《あゆ》まれる|音《おと》を|聞《き》いた。そこで、|人《ひと》とその|妻《つま》とは|主《しゅ》なる|神《かみ》の|顔《かお》を|避《さ》けて、|園《その》の|木《き》の|間《あいだ》に|身《み》を|隠《かく》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|人《ひと》に|呼《よ》びかけて|言《い》われた、「あなたはどこにいるのか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|答《こた》えた、「|園《その》の|中《なか》であなたの|歩《あゆ》まれる|音《おと》を|聞《き》き、わたしは|裸《はだか》だったので、|恐《おそ》れて|身《み》を|隠《かく》したのです」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|言《い》われた、「あなたが|裸《はだか》であるのを、だれが|知《し》らせたのか。|食《た》べるなと、|命《めい》じておいた|木《き》から、あなたは|取《と》って|食《た》べたのか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|答《こた》えた、「わたしと|一緒《いっしょ》にしてくださったあの|女《おんな》が、|木《き》から|取《と》ってくれたので、わたしは|食《た》べたのです」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》なる|神《かみ》は|女《おんな》に|言《い》われた、「あなたは、なんということをしたのです」。|女《おんな》は|答《こた》えた、「へびがわたしをだましたのです。それでわたしは|食《た》べました」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はへびに|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「おまえは、この|事《こと》を、したので、 すべての|家畜《かちく》、|野《の》のすべての|獣《けもの》のうち、 |最《もっと》ものろわれる。 おまえは|腹《はら》で、|這《は》いあるき、 |一生《いっしょう》、ちりを|食《た》べるであろう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|恨《うら》みをおく、 おまえと|女《おんな》とのあいだに、 おまえのすえと|女《おんな》のすえとの|間《あいだ》に。 |彼《かれ》はおまえのかしらを|砕《くだ》き、 おまえは|彼《かれ》のかかとを|砕《くだ》くであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]つぎに|女《おんな》に|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「わたしはあなたの|産《う》みの|苦《くる》しみを|大《おお》いに|増《ま》す。 あなたは|苦《くる》しんで|子《こ》を|産《う》む。 それでもなお、あなたは|夫《おっと》を|慕《した》い、 |彼《かれ》はあなたを|治《おさ》めるであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|更《さら》に|人《ひと》に|言《い》われた、「あなたが|妻《つま》の|言葉《ことば》を|聞《き》いて、|食《た》べるなと、わたしが|命《めい》じた|木《き》から|取《と》って|食《た》べたので、 [#ここから2字下げ] |地《ち》はあなたのためにのろわれ、 あなたは|一生《いっしょう》、|苦《くる》しんで|地《ち》から|食物《しょくもつ》を|取《と》る。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》はあなたのために、いばらとあざみとを|生《しょう》じ、 あなたは|野《の》の|草《くさ》を|食《た》べるであろう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|顔《かお》に|汗《あせ》してパンを|食《た》べ、ついに|土《つち》に|帰《かえ》る、 あなたは|土《つち》から|取《と》られたのだから。 あなたは、ちりだから、ちりに|帰《かえ》る」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]さて、|人《ひと》はその|妻《つま》の|名《な》をエバと|名《な》づけた。|彼女《かのじょ》がすべて|生《い》きた|者《もの》の|母《はは》だからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|人《ひと》とその|妻《つま》とのために|皮《かわ》の|着物《きもの》を|造《つく》って、|彼《かれ》らに|着《き》せられた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われた、「|見《み》よ、|人《ひと》はわれわれのひとりのようになり、|善悪《ぜんあく》を|知《し》るものとなった。|彼《かれ》は|手《て》を|伸《の》べ、|命《いのち》の|木《き》からも|取《と》って|食《た》べ、|永久《えいきゅう》に|生《い》きるかも|知《し》れない」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》なる|神《かみ》は|彼《かれ》をエデンの|園《その》から|追《お》い|出《だ》して、|人《ひと》が|造《つく》られたその|土《つち》を|耕《たがや》させられた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|人《ひと》を|追《お》い|出《だ》し、エデンの|園《その》の|東《ひがし》に、ケルビムと、|回《まわ》る|炎《ほのお》のつるぎとを|置《お》いて、|命《いのち》の|木《き》の|道《みち》を|守《まも》らせられた。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はその|妻《つま》エバを|知《し》った。|彼女《かのじょ》はみごもり、カインを|産《う》んで|言《い》った、「わたしは|主《しゅ》によって、ひとりの|人《ひと》を|得《え》た」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はまた、その|弟《おとうと》アベルを|産《う》んだ。アベルは|羊《ひつじ》を|飼《か》う|者《もの》となり、カインは|土《つち》を|耕《たがや》す|者《もの》となった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》がたって、カインは|地《ち》の|産物《さんぶつ》を|持《も》ってきて、|主《しゅ》に|供《そな》え|物《もの》とした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アベルもまた、その|群《む》れのういごと|肥《こ》えたものとを|持《も》ってきた。|主《しゅ》はアベルとその|供《そな》え|物《もの》とを|顧《かえり》みられた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしカインとその|供《そな》え|物《もの》とは|顧《かえり》みられなかったので、カインは|大《おお》いに|憤《いきどお》って、|顔《かお》を|伏《ふ》せた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はカインに|言《い》われた、「なぜあなたは|憤《いきどお》るのですか、なぜ|顔《かお》を|伏《ふ》せるのですか。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|事《こと》をしているのでしたら、|顔《かお》をあげたらよいでしょう。もし|正《ただ》しい|事《こと》をしていないのでしたら、|罪《つみ》が|門口《かどぐち》に|待《ま》ち|伏《ぶ》せています。それはあなたを|慕《した》い|求《もと》めますが、あなたはそれを|治《おさ》めなければなりません」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]カインは|弟《おとうと》アベルに|言《い》った、「さあ、|野原《のはら》へ|行《い》こう」。|彼《かれ》らが|野《の》にいたとき、カインは|弟《おとうと》アベルに|立《た》ちかかって、これを|殺《ころ》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はカインに|言《い》われた、「|弟《おとうと》アベルは、どこにいますか」。カインは|答《こた》えた、「|知《し》りません。わたしが|弟《おとうと》の|番人《ばんにん》でしょうか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「あなたは|何《なに》をしたのです。あなたの|弟《おとうと》の|血《ち》の|声《こえ》が|土《つち》の|中《なか》からわたしに|叫《さけ》んでいます。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたはのろわれてこの|土地《とち》を|離《はな》れなければなりません。この|土地《とち》が|口《くち》をあけて、あなたの|手《て》から|弟《おとうと》の|血《ち》を|受《う》けたからです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|土地《とち》を|耕《たがや》しても、|土地《とち》は、もはやあなたのために|実《み》を|結《むす》びません。あなたは|地上《ちじょう》の|放浪者《ほうろうしゃ》となるでしょう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]カインは|主《しゅ》に|言《い》った、「わたしの|罰《ばつ》は|重《おも》くて|負《お》いきれません。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、きょう、わたしを|地《ち》のおもてから|追放《ついほう》されました。わたしはあなたを|離《はな》れて、|地上《ちじょう》の|放浪者《ほうろうしゃ》とならねばなりません。わたしを|見付《みつ》ける|人《ひと》はだれでもわたしを|殺《ころ》すでしょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はカインに|言《い》われた、「いや、そうではない。だれでもカインを|殺《ころ》す|者《もの》は七|倍《ばい》の|復讐《ふくしゅう》を|受《う》けるでしょう」。そして|主《しゅ》はカインを|見付《みつ》ける|者《もの》が、だれも|彼《かれ》を|打《う》ち|殺《ころ》すことのないように、|彼《かれ》に一つのしるしをつけられた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]カインは|主《しゅ》の|前《まえ》を|去《さ》って、エデンの|東《ひがし》、ノドの|地《ち》に|住《す》んだ。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]カインはその|妻《つま》を|知《し》った。|彼女《かのじょ》はみごもってエノクを|産《う》んだ。カインは|町《まち》を|建《た》て、その|町《まち》の|名《な》をその|子《こ》の|名《な》にしたがって、エノクと|名《な》づけた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エノクにはイラデが|生《うま》れた。イラデの|子《こ》はメホヤエル、メホヤエルの|子《こ》はメトサエル、メトサエルの|子《こ》はレメクである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]レメクはふたりの|妻《つま》をめとった。ひとりの|名《な》はアダといい、ひとりの|名《な》はチラといった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アダはヤバルを|産《う》んだ。|彼《かれ》は|天幕《てんまく》に|住《す》んで、|家畜《かちく》を|飼《か》う|者《もの》の|先祖《せんぞ》となった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|弟《おとうと》の|名《な》はユバルといった。|彼《かれ》は|琴《こと》や|笛《ふえ》を|執《と》るすべての|者《もの》の|先祖《せんぞ》となった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]チラもまたトバルカインを|産《う》んだ。|彼《かれ》は|青銅《せいどう》や|鉄《てつ》のすべての|刃物《はもの》を|鍛《きた》える|者《もの》となった。トバルカインの|妹《いもうと》をナアマといった。 [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]レメクはその|妻《つま》たちに|言《い》った、 「アダとチラよ、わたしの|声《こえ》を|聞《き》け、 レメクの|妻《つま》たちよ、わたしの|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 わたしは|受《う》ける|傷《きず》のために、|人《ひと》を|殺《ころ》し、 |受《う》ける|打《う》ち|傷《きず》のために、わたしは|若者《わかもの》を|殺《ころ》す。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]カインのための|復讐《ふくしゅう》が七|倍《ばい》ならば、 レメクのための|復讐《ふくしゅう》は七十七|倍《ばい》」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アダムはまたその|妻《つま》を|知《し》った。|彼女《かのじょ》は|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》み、その|名《な》をセツと|名《な》づけて|言《い》った、「カインがアベルを|殺《ころ》したので、|神《かみ》はアベルの|代《かわ》りに、ひとりの|子《こ》をわたしに|授《さづ》けられました」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]セツにもまた|男《おとこ》の|子《こ》が|生《うま》れた。|彼《かれ》はその|名《な》をエノスと|名《な》づけた。この|時《とき》、|人々《ひとびと》は|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》び|始《はじ》めた。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アダムの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。|神《かみ》が|人《ひと》を|創造《そうぞう》された|時《とき》、|神《かみ》をかたどって|造《つく》り、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|男《おとこ》と|女《おんな》とに|創造《そうぞう》された。|彼《かれ》らが|創造《そうぞう》された|時《とき》、|神《かみ》は|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》して、その|名《な》をアダムと|名《な》づけられた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アダムは百三十|歳《さい》になって、|自分《じぶん》にかたどり、|自分《じぶん》のかたちのような|男《おとこ》の|子《こ》を|生《う》み、その|名《な》をセツと|名《な》づけた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アダムがセツを|生《う》んで|後《のち》、|生《い》きた|年《とし》は八百|年《ねん》であって、ほかに|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アダムの|生《い》きた|年《とし》は|合《あ》わせて九百三十|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]セツは百五|歳《さい》になって、エノスを|生《う》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]セツはエノスを|生《う》んだ|後《のち》、八百七|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]セツの|年《とし》は|合《あ》わせて九百十二|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エノスは九十|歳《さい》になって、カイナンを|生《う》んだ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エノスはカイナンを|生《う》んだ|後《のち》、八百十五|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エノスの|年《とし》は|合《あ》わせて九百五|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]カイナンは七十|歳《さい》になって、マハラレルを|生《う》んだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]カイナンはマハラレルを|生《う》んだ|後《のち》、八百四十|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]カイナンの|年《とし》は|合《あ》わせて九百十|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]マハラレルは六十五|歳《さい》になって、ヤレドを|生《う》んだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]マハラレルはヤレドを|生《う》んだ|後《のち》、八百三十|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]マハラレルの|年《とし》は|合《あ》わせて八百九十五|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヤレドは百六十二|歳《さい》になって、エノクを|生《う》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヤレドはエノクを|生《う》んだ|後《のち》、八百|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤレドの|年《とし》は|合《あ》わせて九百六十二|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エノクは六十五|歳《さい》になって、メトセラを|生《う》んだ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エノクはメトセラを|生《う》んだ|後《のち》、三百|年《ねん》、|神《かみ》とともに|歩《あゆ》み、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]エノクの|年《とし》は|合《あ》わせて三百六十五|歳《さい》であった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エノクは|神《かみ》とともに|歩《あゆ》み、|神《かみ》が|彼《かれ》を|取《と》られたので、いなくなった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]メトセラは百八十七|歳《さい》になって、レメクを|生《う》んだ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]メトセラはレメクを|生《う》んだ|後《のち》、七百八十二|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]メトセラの|年《とし》は|合《あ》わせて九百六十九|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]レメクは百八十二|歳《さい》になって、|男《おとこ》の|子《こ》を|生《う》み、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]「この|子《こ》こそ、|主《しゅ》が|地《ち》をのろわれたため、|骨折《ほねお》り|働《はたら》くわれわれを|慰《なぐさ》めるもの」と|言《い》って、その|名《な》をノアと|名《な》づけた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]レメクはノアを|生《う》んだ|後《のち》、五百九十五|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]レメクの|年《とし》は|合《あ》わせて七百七十七|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ノアは五百|歳《さい》になって、セム、ハム、ヤペテを|生《う》んだ。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|地《ち》のおもてにふえ|始《はじ》めて、|娘《むすめ》たちが|彼《かれ》らに|生《うま》れた|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|子《こ》たちは|人《ひと》の|娘《むすめ》たちの|美《うつく》しいのを|見《み》て、|自分《じぶん》の|好《この》む|者《もの》を|妻《つま》にめとった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしの|霊《れい》はながく|人《ひと》の|中《なか》にとどまらない。|彼《かれ》は|肉《にく》にすぎないのだ。しかし、|彼《かれ》の|年《とし》は百二十|年《ねん》であろう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、またその|後《のち》にも、|地《ち》にネピリムがいた。これは|神《かみ》の|子《こ》たちが|人《ひと》の|娘《むすめ》たちのところにはいって、|娘《むすめ》たちに|産《う》ませたものである。|彼《かれ》らは|昔《むかし》の|勇士《ゆうし》であり、|有名《ゆうめい》な|人々《ひとびと》であった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人《ひと》の|悪《あく》が|地《ち》にはびこり、すべてその|心《こころ》に|思《おも》いはかることが、いつも|悪《わる》い|事《こと》ばかりであるのを|見《み》られた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|地《ち》の|上《うえ》に|人《ひと》を|造《つく》ったのを|悔《く》いて、|心《こころ》を|痛《いた》め、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「わたしが|創造《そうぞう》した|人《ひと》を|地《ち》のおもてからぬぐい|去《さ》ろう。|人《ひと》も|獣《けもの》も、|這《は》うものも、|空《そら》の|鳥《とり》までも。わたしは、これらを|造《つく》ったことを|悔《く》いる」と|言《い》われた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ノアは|主《しゅ》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》た。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ノアの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。ノアはその|時代《じだい》の|人々《ひとびと》の|中《なか》で|正《ただ》しく、かつ|全《まった》き|人《ひと》であった。ノアは|神《かみ》とともに|歩《あゆ》んだ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ノアはセム、ハム、ヤペテの三|人《にん》の|子《こ》を|生《う》んだ。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|世《よ》は|神《かみ》の|前《まえ》に|乱《みだ》れて、|暴虐《ぼうぎゃく》が|地《ち》に|満《み》ちた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|地《ち》を|見《み》られると、それは|乱《みだ》れていた。すべての|人《ひと》が|地《ち》の|上《うえ》でその|道《みち》を|乱《みだ》したからである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|神《かみ》はノアに|言《い》われた、「わたしは、すべての|人《ひと》を|絶《た》やそうと|決心《けっしん》した。|彼《かれ》らは|地《ち》を|暴虐《ぼうぎゃく》で|満《み》たしたから、わたしは|彼《かれ》らを|地《ち》とともに|滅《ほろ》ぼそう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、いとすぎの|木《き》で|箱舟《はこぶね》を|造《つく》り、|箱舟《はこぶね》の|中《なか》にへやを|設《もう》け、アスファルトでそのうちそとを|塗《ぬ》りなさい。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|造《つく》り|方《かた》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|箱舟《はこぶね》の|長《なが》さは三百キュビト、|幅《はば》は五十キュビト、|高《たか》さは三十キュビトとし、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|箱舟《はこぶね》に|屋根《やね》を|造《つく》り、|上《うえ》へ一キュビトにそれを|仕上《しあ》げ、また|箱舟《はこぶね》の|戸口《とぐち》をその|横《よこ》に|設《もう》けて、一|階《かい》と二|階《かい》と三|階《かい》のある|箱舟《はこぶね》を|造《つく》りなさい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|地《ち》の|上《うえ》に|洪水《こうずい》を|送《おく》って、|命《いのち》の|息《いき》のある|肉《にく》なるものを、みな|天《てん》の|下《した》から|滅《ほろ》ぼし|去《さ》る。|地《ち》にあるものは、みな|死《し》に|絶《た》えるであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ただし、わたしはあなたと|契約《けいやく》を|結ぼ《むすぼ》う。あなたは|子《こ》らと、|妻《つま》と、|子《こ》らの|妻《つま》たちと|共《とも》に|箱舟《はこぶね》にはいりなさい。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|生《い》き|物《もの》、すべての|肉《にく》なるものの|中《なか》から、それぞれ二つずつを|箱舟《はこぶね》に|入《い》れて、あなたと|共《とも》にその|命《いのち》を|保《たも》たせなさい。それらは|雄《おす》と|雌《めす》とでなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|鳥《とり》はその|種類《しゅるい》にしたがい|獣《けもの》はその|種類《しゅるい》にしたがい、また|地《ち》のすべての|這《は》うものも、その|種類《しゅるい》にしたがって、それぞれ二つずつ、あなたのところに|入《い》れて、|命《いのち》を|保《たも》たせなさい。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また、すべての|食物《しょくもつ》となるものをとって、あなたのところにたくわえ、あなたとこれらのものとの|食物《しょくもつ》としなさい」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ノアはすべて|神《かみ》の|命《めい》じられたようにした。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はノアに|言《い》われた、「あなたと|家族《かぞく》とはみな|箱舟《はこぶね》にはいりなさい。あなたがこの|時代《じだい》の|人々《ひとびと》の|中《なか》で、わたしの|前《まえ》に|正《ただ》しい|人《ひと》であるとわたしは|認《みと》めたからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはすべての|清《きよ》い|獣《けもの》の|中《なか》から|雄《おす》と|雌《めす》とを七つずつ|取《と》り、|清《きよ》くない|獣《けもの》の|中《なか》から|雄《おす》と|雌《めす》とを二つずつ|取《と》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|空《そら》の|鳥《とり》の|中《なか》から|雄《おす》と|雌《めす》とを七つずつ|取《と》って、その|種類《しゅるい》が|全《ぜん》|地《ち》のおもてに|生《い》き|残《のこ》るようにしなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》の|後《のち》、わたしは四十|日《にち》四十|夜《や》、|地《ち》に|雨《あめ》を|降《ふ》らせて、わたしの|造《つく》ったすべての|生《い》き|物《もの》を、|地《ち》のおもてからぬぐい|去《さ》ります」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ノアはすべて|主《しゅ》が|命《めい》じられたようにした。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]さて|洪水《こうずい》が|地《ち》に|起《た》った|時《とき》、ノアは六百|歳《さい》であった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ノアは|子《こ》らと、|妻《つま》と、|子《こ》らの|妻《つま》たちと|共《とも》に|洪水《こうずい》を|避《さ》けて|箱舟《はこぶね》にはいった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|清《きよ》い|獣《けもの》と、|清《きよ》くない|獣《けもの》と、|鳥《とり》と、|地《ち》に|這《は》うすべてのものとの、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|雄《おす》と|雌《めす》とが、二つずつノアのもとにきて、|神《かみ》がノアに|命《めい》じられたように|箱舟《はこぶね》にはいった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|七日《なぬか》の|後《のち》、|洪水《こうずい》が|地《ち》に|起《た》った。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それはノアの六百|歳《さい》の二|月《がつ》十七|日《にち》であって、その|日《ひ》に|大《おお》いなる|淵《ふち》の|源《みなもと》は、ことごとく|破《やぶ》れ、|天《てん》の|窓《まど》が|開《ひら》けて、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|雨《あめ》は四十|日《にち》四十|夜《や》、|地《ち》に|降《ふ》り|注《そそ》いだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|同《おな》じ|日《ひ》に、ノアと、ノアの|子《こ》セム、ハム、ヤペテと、ノアの|妻《つま》と、その|子《こ》らの三|人《にん》の|妻《つま》とは|共《とも》に|箱舟《はこぶね》にはいった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|種類《しゅるい》の|獣《けもの》も、すべての|種類《しゅるい》の|家畜《かちく》も、|地《ち》のすべての|種類《しゅるい》の|這《は》うものも、すべての|種類《しゅるい》の|鳥《とり》も、すべての|翼《つばさ》あるものも、|皆《みな》はいった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|命《いのち》の|息《いき》のあるすべての|肉《にく》なるものが、二つずつノアのもとにきて、|箱舟《はこぶね》にはいった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そのはいったものは、すべて|肉《にく》なるものの|雄《おす》と|雌《めす》とであって、|神《かみ》が|彼《かれ》に|命《めい》じられたようにはいった。そこで|主《しゅ》は|彼《かれ》のうしろの|戸《と》を|閉《と》ざされた。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|洪水《こうずい》は四十|日《にち》のあいだ|地上《ちじょう》にあった。|水《みず》が|増《ま》して|箱舟《はこぶね》を|浮《うか》べたので、|箱舟《はこぶね》は|地《ち》から|高《たか》く|上《あ》がった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|水《みず》がみなぎり、|地《ち》に|増《ま》したので、|箱舟《はこぶね》は|水《みず》のおもてに|漂《ただよ》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》はまた、ますます|地《ち》にみなぎり、|天《てん》の|下《した》の|高《たか》い|山々《やまやま》は|皆《みな》おおわれた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》はその|上《うえ》、さらに十五キュビトみなぎって、|山々《やまやま》は|全《まった》くおおわれた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|上《うえ》に|動《うご》くすべて|肉《にく》なるものは、|鳥《とり》も|家畜《かちく》も|獣《けもの》も、|地《ち》に|群《むら》がるすべての|這《は》うものも、すべての|人《ひと》もみな|滅《ほろ》びた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|鼻《はな》に|命《いのち》の|息《いき》のあるすべてのもの、|陸《りく》にいたすべてのものは|死《し》んだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のおもてにいたすべての|生《い》き|物《もの》は、|人《ひと》も|家畜《かちく》も、|這《は》うものも、|空《そら》の|鳥《とり》もみな|地《ち》からぬぐい|去《さ》られて、ただノアと、|彼《かれ》と|共《とも》に|箱舟《はこぶね》にいたものだけが|残《のこ》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》は百五十|日《にち》のあいだ|地上《ちじょう》にみなぎった。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はノアと、|箱舟《はこぶね》の|中《なか》にいたすべての|生《い》き|物《もの》と、すべての|家畜《かちく》とを|心《こころ》にとめられた。|神《かみ》が|風《かぜ》を|地《ち》の|上《うえ》に|吹《ふ》かせられたので、|水《みず》は|退《しりぞ》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|淵《ふち》の|源《みなもと》と、|天《てん》の|窓《まど》とは|閉《と》ざされて、|天《てん》から|雨《あめ》が|降《ふ》らなくなった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それで|水《みず》はしだいに|地《ち》の|上《うえ》から|引《ひ》いて、百五十|日《にち》の|後《のち》には|水《みず》が|減《へ》り、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|箱舟《はこぶね》は七|月《がつ》十七|日《にち》にアララテの|山《やま》にとどまった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》はしだいに|減《へ》って、十|月《がつ》になり、十|月《がつ》一|日《にち》に|山々《やまやま》の|頂《いただき》が|現《あらわ》れた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]四十|日《にち》たって、ノアはその|造《つく》った|箱舟《はこぶね》の|窓《まど》を|開《ひら》いて、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]からすを|放《はな》ったところ、からすは|地《ち》の|上《うえ》から|水《みず》がかわききるまで、あちらこちらへ|飛《と》びまわった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ノアはまた|地《ち》のおもてから、|水《みず》がひいたかどうかを|見《み》ようと、|彼《かれ》の|所《ところ》から、はとを|放《はな》ったが、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]はとは|足《あし》の|裏《うら》をとどめる|所《ところ》が|見《み》つからなかったので、|箱舟《はこぶね》のノアのもとに|帰《かえ》ってきた。|水《みず》がまだ|全《ぜん》|地《ち》のおもてにあったからである。|彼《かれ》は|手《て》を|伸《の》べて、これを|捕《とら》え、|箱舟《はこぶね》の|中《なか》の|彼《かれ》のもとに|引《ひ》き|入《い》れた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それから|七日《なぬか》|待《ま》って|再《ふたた》びはとを|箱舟《はこぶね》から|放《はな》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]はとは|夕方《ゆうがた》になって|彼《かれ》のもとに|帰《かえ》ってきた。|見《み》ると、そのくちばしには、オリブの|若葉《わかば》があった。ノアは|地《ち》から|水《みず》がひいたのを|知《し》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さらに|七日《なぬか》|待《ま》ってまた、はとを|放《はな》ったところ、もはや|彼《かれ》のもとには|帰《かえ》ってこなかった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]六百一|歳《さい》の一|月《がつ》一|日《にち》になって、|地《ち》の|上《うえ》の|水《みず》はかれた。ノアが|箱舟《はこぶね》のおおいを|取《と》り|除《のぞ》いて|見《み》ると、|土《つち》のおもては、かわいていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]二|月《がつ》二十七|日《にち》になって、|地《ち》は|全《まった》くかわいた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|神《かみ》はノアに|言《い》われた、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|妻《つま》と、|子《こ》らと、|子《こ》らの|妻《つま》たちと|共《とも》に|箱舟《はこぶね》を|出《で》なさい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|共《とも》にいる|肉《にく》なるすべての|生《い》き|物《もの》、すなわち|鳥《とり》と|家畜《かちく》と、|地《ち》のすべての|這《は》うものとを|連《つ》れて|出《で》て、これらのものが|地《ち》に|群《むら》がり、|地《ち》の|上《うえ》にふえ|広《ひろ》がるようにしなさい」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ノアは|共《とも》にいた|子《こ》らと、|妻《つま》と、|子《こ》らの|妻《つま》たちとを|連《つ》れて|出《で》た。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|獣《けもの》、すべての|這《は》うもの、すべての|鳥《とり》、すべて|地《ち》の|上《うえ》に|動《うご》くものは|皆《みな》、|種類《しゅるい》にしたがって|箱舟《はこぶね》を|出《で》た。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ノアは|主《しゅ》に|祭壇《さいだん》を|築《きず》いて、すべての|清《きよ》い|獣《けもの》と、すべての|清《きよ》い|鳥《とり》とのうちから|取《と》って、|燔祭《はんさい》を|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|香《こう》ばしいかおりをかいで、|心《こころ》に|言《い》われた、「わたしはもはや二|度《ど》と|人《ひと》のゆえに|地《ち》をのろわない。|人《ひと》が|心《こころ》に|思《おも》い|図《はか》ることは、|幼《おさな》い|時《とき》から|悪《わる》いからである。わたしは、このたびしたように、もう二|度《ど》と、すべての|生《い》きたものを|滅《ほろ》ぼさない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のある|限《かぎ》り、|種《たね》まきの|時《とき》も、|刈入《かりい》れの|時《とき》も、|暑《あつ》さ|寒《さむ》さも、|夏《なつ》|冬《ふゆ》も、|昼《ひる》も|夜《よる》もやむことはないであろう」。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はノアとその|子《こ》らとを|祝福《しゅくふく》して|彼《かれ》らに|言《い》われた、「|生《う》めよ、ふえよ、|地《ち》に|満《み》ちよ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のすべての|獣《けもの》、|空《そら》のすべての|鳥《とり》、|地《ち》に|這《は》うすべてのもの、|海《うみ》のすべての|魚《うお》は|恐《おそ》れおののいて、あなたがたの|支配《しはい》に|服《ふく》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|生《い》きて|動《うご》くものはあなたがたの|食物《しょくもつ》となるであろう。さきに|青草《あおくさ》をあなたがたに|与《あた》えたように、わたしはこれらのものを|皆《みな》あなたがたに|与《あた》える。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|肉《にく》を、その|命《いのち》である|血《ち》のままで、|食《た》べてはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|命《いのち》の|血《ち》を|流《なが》すものには、わたしは|必《かなら》ず|報復《ほうふく》するであろう。いかなる|獣《けもの》にも|報復《ほうふく》する。|兄弟《きょうだい》である|人《ひと》にも、わたしは|人《ひと》の|命《いのち》のために、|報復《ほうふく》するであろう。 [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》すものは、|人《ひと》に|血《ち》を|流《なが》される、 |神《かみ》が|自分《じぶん》のかたちに|人《ひと》を|造《つく》られたゆえに。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、|生《う》めよ、ふえよ、 |地《ち》に|群《むら》がり、|地《ち》の|上《うえ》にふえよ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はノアおよび|共《とも》にいる|子《こ》らに|言《い》われた、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたがた|及《およ》びあなたがたの|後《のち》の|子孫《しそん》と|契約《けいやく》を|立《た》てる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたと|共《とも》にいるすべての|生《い》き|物《もの》、あなたがたと|共《とも》にいる|鳥《とり》、|家畜《かちく》、|地《ち》のすべての|獣《けもの》、すなわち、すべて|箱舟《はこぶね》から|出《で》たものは、|地《ち》のすべての|獣《けもの》にいたるまで、わたしはそれと|契約《けいやく》を|立《た》てよう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたと|立《た》てるこの|契約《けいやく》により、すべて|肉《にく》なる|者《もの》は、もはや|洪水《こうずい》によって|滅《ほろ》ぼされることはなく、また|地《ち》を|滅《ほろ》ぼす|洪水《こうずい》は、|再《ふたた》び|起《おこ》らないであろう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さらに|神《かみ》は|言《い》われた、「これはわたしと、あなたがた|及《およ》びあなたがたと|共《とも》にいるすべての|生《い》き|物《もの》との|間《あいだ》に|代々《よよ》かぎりなく、わたしが|立《た》てる|契約《けいやく》のしるしである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、わたしは|雲《くも》の|中《なか》に、にじを|置《お》く。これがわたしと|地《ち》との|間《あいだ》の|契約《けいやく》のしるしとなる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|雲《くも》を|地《ち》の|上《うえ》に|起《おこ》すとき、にじは|雲《くも》の|中《なか》に|現《あらわ》れる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうして、わたしは、わたしとあなたがた、|及《およ》びすべて|肉《にく》なるあらゆる|生《い》き|物《もの》との|間《あいだ》に|立《た》てた|契約《けいやく》を|思《おも》いおこすゆえ、|水《みず》はふたたび、すべて|肉《にく》なる|者《もの》を|滅《ほろ》ぼす|洪水《こうずい》とはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]にじが|雲《くも》の|中《なか》に|現《あらわ》れるとき、わたしはこれを|見《み》て、|神《かみ》が|地上《ちじょう》にあるすべて|肉《にく》なるあらゆる|生《い》き|物《もの》との|間《あいだ》に|立《た》てた|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》を|思《おも》いおこすであろう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そして|神《かみ》はノアに|言《い》われた、「これがわたしと|地《ち》にあるすべて|肉《にく》なるものとの|間《あいだ》に、わたしが|立《た》てた|契約《けいやく》のしるしである」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|箱舟《はこぶね》から|出《で》たノアの|子《こ》らはセム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンの|父《ちち》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]この三|人《にん》はノアの|子《こ》らで、|全《ぜん》|地《ち》の|民《たみ》は|彼《かれ》らから|出《で》て、|広《ひろ》がったのである。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]さてノアは|農夫《のうふ》となり、ぶどう|畑《はたけ》をつくり|始《はじ》めたが、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はぶどう|酒《しゅ》を|飲《の》んで|酔《よ》い、|天幕《てんまく》の|中《なか》で|裸《はだか》になっていた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]カナンの|父《ちち》ハムは|父《ちち》の|裸《はだか》を|見《み》て、|外《そと》にいるふたりの|兄弟《きょうだい》に|告《つ》げた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]セムとヤペテとは|着物《きもの》を|取《と》って、|肩《かた》にかけ、うしろ|向《む》きに|歩《あゆ》み|寄《よ》って、|父《ちち》の|裸《はだか》をおおい、|顔《かお》をそむけて|父《ちち》の|裸《はだか》を|見《み》なかった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]やがてノアは|酔《よ》いがさめて、|末《すえ》の|子《こ》が|彼《かれ》にした|事《こと》を|知《し》ったとき、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「カナンはのろわれよ。 |彼《かれ》はしもべのしもべとなって、 その|兄弟《きょうだい》たちに|仕《つか》える」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「セムの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな、 カナンはそのしもべとなれ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はヤペテを|大《おお》いならしめ、 セムの|天幕《てんまく》に|彼《かれ》を|住《す》まわせられるように。 カナンはそのしもべとなれ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ノアは|洪水《こうずい》の|後《のち》、なお三百五十|年《ねん》|生《い》きた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ノアの|年《とし》は|合《あ》わせて九百五十|歳《さい》であった。そして|彼《かれ》は|死《し》んだ。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ノアの|子《こ》セム、ハム、ヤペテの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。|洪水《こうずい》の|後《のち》、|彼《かれ》らに|子《こ》が|生《うま》れた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヤペテの|子孫《しそん》はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラスであった。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ゴメルの|子孫《しそん》はアシケナズ、リパテ、トガルマ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヤワンの|子孫《しそん》はエリシャ、タルシシ、キッテム、ドダニムであった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これらから|海沿《うみぞ》いの|地《ち》の|国民《こくみん》が|分《わか》れて、おのおのその|土地《とち》におり、その|言語《げんご》にしたがい、その|氏族《しぞく》にしたがって、その|国々《くにぐに》に|住《す》んだ。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ハムの|子孫《しそん》はクシ、ミツライム、プテ、カナンであった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]クシの|子孫《しそん》はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカであり、ラアマの|子孫《しそん》はシバとデダンであった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]クシの|子《こ》はニムロデであって、このニムロデは|世《よ》の|権力者《けんりょくしゃ》となった|最初《さいしょ》の|人《ひと》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|力《ちから》ある|狩猟者《しゅりょうしゃ》であった。これから「|主《しゅ》の|前《まえ》に|力《ちから》ある|狩猟者《しゅりょうしゃ》ニムロデのごとし」ということわざが|起《た》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|国《くに》は|最初《さいしょ》シナルの|地《ち》にあるバベル、エレク、アカデ、カルネであった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|地《ち》からアッスリヤに|出《で》て、ニネベ、レホボテイリ、カラ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]およびニネベとカラとの|間《あいだ》にある|大《おお》いなる|町《まち》レセンを|建《た》てた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ミツライムからルデ|族《ぞく》、アナミ|族《ぞく》、レハビ|族《ぞく》、ナフト|族《ぞく》、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]パテロス|族《ぞく》、カスル|族《ぞく》、カフトリ|族《ぞく》が|出《で》た。カフトリ|族《ぞく》からペリシテ|族《ぞく》が|出《で》た。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]カナンからその|長子《ちょうし》シドンが|出《で》て、またヘテが|出《で》た。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》エブスびと、アモリびと、ギルガシびと、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヒビびと、アルキびと、セニびと、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとが|出《で》た。|後《のち》になってカナンびとの|氏族《しぞく》がひろがった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]カナンびとの|境《さかい》はシドンからゲラルを|経《へ》てガザに|至《いた》り、ソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムを|経《へ》て、レシャに|及《およ》んだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これらはハムの|子孫《しそん》であって、その|氏族《しぞく》とその|言語《げんご》とにしたがって、その|土地《とち》と、その|国々《くにぐに》にいた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]セムにも|子《こ》が|生《うま》れた。セムはエベルのすべての|子孫《しそん》の|先祖《せんぞ》であって、ヤペテの|兄《あに》であった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]セムの|子孫《しそん》はエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラムであった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アラムの|子孫《しそん》はウヅ、ホル、ゲテル、マシであった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アルパクサデの|子《こ》はシラ、シラの|子《こ》はエベルである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]エベルにふたりの|子《こ》が|生《うま》れた。そのひとりの|名《な》をペレグといった。これは|彼《かれ》の|代《よ》に|地《ち》の|民《たみ》が|分《わか》れたからである。その|弟《おとうと》の|名《な》をヨクタンといった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヨクタンにアルモダデ、シャレフ、ハザルマウテ、エラ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ハドラム、ウザル、デクラ、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]オバル、アビマエル、シバ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]オフル、ハビラ、ヨバブが|生《うま》れた。これらは|皆《みな》ヨクタンの|子《こ》であった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|住《す》んだ|所《ところ》はメシャから|東《ひがし》の|山地《さんち》セパルに|及《およ》んだ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これらはセムの|子孫《しそん》であって、その|氏族《しぞく》とその|言語《げんご》とにしたがって、その|土地《とち》と、その|国々《くにぐに》にいた。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これらはノアの|子《こ》らの|氏族《しぞく》であって、|血統《けっとう》にしたがって|国々《くにぐに》に|住《す》んでいたが、|洪水《こうずい》の|後《のち》、これらから|地上《ちじょう》の|諸《しょ》|国民《こくみん》が|分《わか》れたのである。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》は|同《おな》じ|発音《はつおん》、|同《おな》じ|言葉《ことば》であった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|人々《ひとびと》は|東《ひがし》に|移《うつ》り、シナルの|地《ち》に|平野《へいや》を|得《え》て、そこに|住《す》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|互《たがい》に|言《い》った、「さあ、れんがを|造《つく》って、よく|焼《や》こう」。こうして|彼《かれ》らは|石《いし》の|代《かわ》りに、れんがを|得《え》、しっくいの|代《かわ》りに、アスファルトを|得《え》た。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|言《い》った、「さあ、|町《まち》と|塔《とう》とを|建《た》てて、その|頂《いただき》を|天《てん》に|届《とど》かせよう。そしてわれわれは|名《な》を|上《あ》げて、|全《ぜん》|地《ち》のおもてに|散《ち》るのを|免《まぬか》れよう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》は|下《くだ》って、|人《ひと》の|子《こ》たちの|建《た》てる|町《まち》と|塔《とう》とを|見《み》て、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》われた、「|民《たみ》は一つで、みな|同《おな》じ|言葉《ことば》である。|彼《かれ》らはすでにこの|事《こと》をしはじめた。|彼《かれ》らがしようとする|事《こと》は、もはや|何事《なにごと》もとどめ|得《え》ないであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さあ、われわれは|下《くだ》って|行《い》って、そこで|彼《かれ》らの|言葉《ことば》を|乱《みだ》し、|互《たがい》に|言葉《ことば》が|通《つう》じないようにしよう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》が|彼《かれ》らをそこから|全《ぜん》|地《ち》のおもてに|散《ち》らされたので、|彼《かれ》らは|町《まち》を|建《た》てるのをやめた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これによってその|町《まち》の|名《な》はバベルと|呼《よ》ばれた。|主《しゅ》がそこで|全《ぜん》|地《ち》の|言葉《ことば》を|乱《みだ》されたからである。|主《しゅ》はそこから|彼《かれ》らを|全《ぜん》|地《ち》のおもてに|散《ち》らされた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]セムの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。セムは百|歳《さい》になって|洪水《こうずい》の二|年《ねん》の|後《のち》にアルパクサデを|生《う》んだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]セムはアルパクサデを|生《う》んで|後《のち》、五百|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アルパクサデは三十五|歳《さい》になってシラを|生《う》んだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アルパクサデはシラを|生《う》んで|後《のち》、四百三|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]シラは三十|歳《さい》になってエベルを|生《う》んだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]シラはエベルを|生《う》んで|後《のち》、四百三|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エベルは三十四|歳《さい》になってペレグを|生《う》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エベルはペレグを|生《う》んで|後《のち》、四百三十|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ペレグは三十|歳《さい》になってリウを|生《う》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ペレグはリウを|生《う》んで|後《のち》、二百九|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]リウは三十二|歳《さい》になってセルグを|生《う》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]リウはセルグを|生《う》んで|後《のち》、二百七|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]セルグは三十|歳《さい》になってナホルを|生《う》んだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]セルグはナホルを|生《う》んで|後《のち》、二百|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ナホルは二十九|歳《さい》になってテラを|生《う》んだ。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ナホルはテラを|生《う》んで|後《のち》、百十九|年《ねん》|生《い》きて、|男子《だんし》と|女子《じょし》を|生《う》んだ。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]テラは七十|歳《さい》になってアブラム、ナホルおよびハランを|生《う》んだ。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]テラの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。テラはアブラム、ナホルおよびハランを|生《う》み、ハランはロトを|生《う》んだ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ハランは|父《ちち》テラにさきだって、その|生《うま》れた|地《ち》、カルデヤのウルで|死《し》んだ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アブラムとナホルは|妻《つま》をめとった。アブラムの|妻《つま》の|名《な》はサライといい、ナホルの|妻《つま》の|名《な》はミルカといってハランの|娘《むすめ》である。ハランはミルカの|父《ちち》、またイスカの|父《ちち》である。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]サライはうまずめで、|子《こ》がなかった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]テラはその|子《こ》アブラムと、ハランの|子《こ》である|孫《まご》ロトと、|子《こ》アブラムの|妻《つま》である|嫁《よめ》サライとを|連《つ》れて、カナンの|地《ち》へ|行《い》こうとカルデヤのウルを|出《で》たが、ハランに|着《つ》いてそこに|住《す》んだ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]テラの|年《とし》は二百五|歳《さい》であった。テラはハランで|死《し》んだ。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》はアブラムに|言《い》われた、「あなたは|国《くに》を|出《で》て、|親族《しんぞく》に|別《わか》れ、|父《ちち》の|家《いえ》を|離《はな》れ、わたしが|示《しめ》す|地《ち》に|行《い》きなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|大《おお》いなる|国民《こくみん》とし、あなたを|祝福《しゅくふく》し、あなたの|名《な》を|大《おお》きくしよう。あなたは|祝福《しゅくふく》の|基《もとい》となるであろう。 [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|祝福《しゅくふく》する|者《もの》をわたしは|祝福《しゅくふく》し、 あなたをのろう|者《もの》をわたしはのろう。 |地《ち》のすべてのやからは、 あなたによって|祝福《しゅくふく》される」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|主《しゅ》が|言《い》われたようにいで|立《た》った。ロトも|彼《かれ》と|共《とも》に|行《い》った。アブラムはハランを|出《で》たとき七十五|歳《さい》であった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|妻《つま》サライと、|弟《おとうと》の|子《こ》ロトと、|集《あつ》めたすべての|財産《ざいさん》と、ハランで|獲《え》た|人々《ひとびと》とを|携《たずさ》えてカナンに|行《い》こうとしていで|立《た》ち、カナンの|地《ち》にきた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アブラムはその|地《ち》を|通《とお》ってシケムの|所《ところ》、モレのテレビンの|木《き》のもとに|着《つ》いた。そのころカナンびとがその|地《ち》にいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》はアブラムに|現《あらわ》れて|言《い》われた、「わたしはあなたの|子孫《しそん》にこの|地《ち》を|与《あた》えます」。アブラムは|彼《かれ》に|現《あらわ》れた|主《しゅ》のために、そこに|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそこからベテルの|東《ひがし》の|山《やま》に|移《うつ》って|天幕《てんまく》を|張《は》った。|西《にし》にはベテル、|東《ひがし》にはアイがあった。そこに|彼《かれ》は|主《しゅ》のために|祭壇《さいだん》を|築《きず》いて、|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アブラムはなお|進《すす》んでネゲブに|移《うつ》った。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さて、その|地《ち》にききんがあったのでアブラムはエジプトに|寄留《きりゅう》しようと、そこに|下《くだ》った。ききんがその|地《ち》に|激《はげ》しかったからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エジプトにはいろうとして、そこに|近《ちか》づいたとき、|彼《かれ》は|妻《つま》サライに|言《い》った、「わたしはあなたが|美《うつく》しい|女《おんな》であるのを|知《し》っています。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それでエジプトびとがあなたを|見《み》る|時《とき》、これは|彼《かれ》の|妻《つま》であると|言《い》ってわたしを|殺《ころ》し、あなたを|生《い》かしておくでしょう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]どうかあなたは、わたしの|妹《いもうと》だと|言《い》ってください。そうすればわたしはあなたのおかげで|無事《ぶじ》であり、わたしの|命《いのち》はあなたによって|助《たす》かるでしょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アブラムがエジプトにはいった|時《とき》エジプトびとはこの|女《おんな》を|見《み》て、たいそう|美《うつく》しい|人《ひと》であるとし、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またパロの|高官《こうかん》たちも|彼女《かのじょ》を|見《み》てパロの|前《まえ》でほめたので、|女《おんな》はパロの|家《いえ》に|召《め》し|入《い》れられた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]パロは|彼女《かのじょ》のゆえにアブラムを|厚《あつ》くもてなしたので、アブラムは|多《おお》くの|羊《ひつじ》、|牛《うし》、|雌雄《しゆう》のろば、|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》および、らくだを|得《え》た。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ところで|主《しゅ》はアブラムの|妻《つま》サライのゆえに、|激《はげ》しい|疫病《えきびょう》をパロとその|家《いえ》に|下《くだ》された。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]パロはアブラムを|召《め》し|寄《よ》せて|言《い》った、「あなたはわたしになんという|事《こと》をしたのですか。なぜ|彼女《かのじょ》が|妻《つま》であるのをわたしに|告《つ》げなかったのですか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはなぜ、|彼女《かのじょ》はわたしの|妹《いもうと》ですと|言《い》ったのですか。わたしは|彼女《かのじょ》を|妻《つま》にしようとしていました。さあ、あなたの|妻《つま》はここにいます。|連《つ》れて|行《い》ってください」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]パロは|彼《かれ》の|事《こと》について|人々《ひとびと》に|命《めい》じ、|彼《かれ》とその|妻《つま》およびそのすべての|持《も》ち|物《もの》を|送《おく》り|去《さ》らせた。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|妻《つま》とすべての|持《も》ち|物《もの》を|携《たずさ》え、エジプトを|出《で》て、ネゲブに|上《のぼ》った。ロトも|彼《かれ》と|共《とも》に|上《のぼ》った。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|家畜《かちく》と|金銀《きんぎん》に|非常《ひじょう》に|富《と》んでいた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はネゲブから|旅路《たびじ》を|進《すす》めてベテルに|向《む》かい、ベテルとアイの|間《あいだ》の、さきに|天幕《てんまく》を|張《は》った|所《ところ》に|行《い》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》が|初《はじ》めに|築《きず》いた|祭壇《さいだん》の|所《ところ》に|行《い》き、その|所《ところ》でアブラムは|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》んだ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アブラムと|共《とも》に|行《い》ったロトも|羊《ひつじ》、|牛《うし》および|天幕《てんまく》を|持《も》っていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》は|彼《かれ》らをささえて|共《とも》に|住《す》ませることができなかった。|彼《かれ》らの|財産《ざいさん》が|多《おお》かったため、|共《とも》に|住《す》めなかったのである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アブラムの|家畜《かちく》の|牧者《ぼくしゃ》たちとロトの|家畜《かちく》の|牧者《ぼくしゃ》たちの|間《あいだ》に|争《あらそ》いがあった。そのころカナンびととペリジびとがその|地《ち》に|住《す》んでいた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アブラムはロトに|言《い》った、「わたしたちは|身内《みうち》の|者《もの》です。わたしとあなたの|間《あいだ》にも、わたしの|牧者《ぼくしゃ》たちとあなたの|牧者《ぼくしゃ》たちの|間《あいだ》にも|争《あらそ》いがないようにしましょう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》はあなたの|前《まえ》にあるではありませんか。どうかわたしと|別《わか》れてください。あなたが|左《ひだり》に|行《い》けばわたしは|右《みぎ》に|行《い》きます。あなたが|右《みぎ》に|行《い》けばわたしは|左《ひだり》に|行《い》きましょう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ロトが|目《め》を|上《あ》げてヨルダンの|低地《ていち》をあまねく|見《み》わたすと、|主《しゅ》がソドムとゴモラを|滅《ほろ》ぼされる|前《まえ》であったから、ゾアルまで|主《しゅ》の|園《その》のように、またエジプトの|地《ち》のように、すみずみまでよく|潤《うるお》っていた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでロトはヨルダンの|低地《ていち》をことごとく|選《えら》びとって|東《ひがし》に|移《うつ》った。こうして|彼《かれ》らは|互《たがい》に|別《わか》れた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アブラムはカナンの|地《ち》に|住《す》んだが、ロトは|低地《ていち》の|町々《まちまち》に|住《す》み、|天幕《てんまく》をソドムに|移《うつ》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ソドムの|人々《ひとびと》はわるく、|主《しゅ》に|対《たい》して、はなはだしい|罪《つみ》びとであった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ロトがアブラムに|別《わか》れた|後《のち》に、|主《しゅ》はアブラムに|言《い》われた、「|目《め》をあげてあなたのいる|所《ところ》から|北《きた》、|南《みなみ》、|東《ひがし》、|西《にし》を|見《み》わたしなさい。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたが|見《み》わたす|地《ち》は、|永久《えいきゅう》にあなたとあなたの|子孫《しそん》に|与《あた》えます。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|子孫《しそん》を|地《ち》のちりのように|多《おお》くします。もし|人《ひと》が|地《ち》のちりを|数《かぞ》えることができるなら、あなたの|子孫《しそん》も|数《かぞ》えられることができましょう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|立《た》って、その|地《ち》をたてよこに|行《い》き|巡《めぐ》りなさい。わたしはそれをあなたに|与《あた》えます」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|天幕《てんまく》を|移《うつ》してヘブロンにあるマムレのテレビンの|木《き》のかたわらに|住《す》み、その|所《ところ》で|主《しゅ》に|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]シナルの|王《おう》アムラペル、エラサルの|王《おう》アリオク、エラムの|王《おう》ケダラオメルおよびゴイムの|王《おう》テダルの|世《よ》に、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これらの|王《おう》はソドムの|王《おう》ベラ、ゴモラの|王《おう》ビルシャ、アデマの|王《おう》シナブ、ゼボイムの|王《おう》セメベル、およびベラすなわちゾアルの|王《おう》と|戦《たたか》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これら五|人《にん》の|王《おう》はみな|同盟《どうめい》してシデムの|谷《たに》、すなわち|塩《しお》の|海《うみ》に|向《む》かって|行《い》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らは十二|年《ねん》の|間《あいだ》ケダラオメルに|仕《つか》えたが、十三|年《ねん》|目《め》にそむいたので、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]十四|年《ねん》|目《め》にケダラオメルは|彼《かれ》と|連合《れんごう》した|王《おう》たちと|共《とも》にきて、アシタロテ・カルナイムでレパイムびとを、ハムでズジびとを、シャベ・キリアタイムでエミびとを|撃《う》ち、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]セイルの|山地《さんち》でホリびとを|撃《う》って、|荒野《あらの》のほとりにあるエル・パランに|及《およ》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|引《ひ》き|返《かえ》してエン・ミシパテすなわちカデシへ|行《い》って、アマレクびとの|国《くに》をことごとく|撃《う》ち、またハザゾン・タマルに|住《す》むアモリびとをも|撃《う》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでソドムの|王《おう》、ゴモラの|王《おう》、アデマの|王《おう》、ゼボイムの|王《おう》およびベラすなわちゾアルの|王《おう》は|出《で》てシデムの|谷《たに》で|彼《かれ》らに|向《む》かい、|戦《たたか》いの|陣《じん》をしいた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すなわちエラムの|王《おう》ケダラオメル、ゴイムの|王《おう》テダル、シナルの|王《おう》アムラペル、エラサルの|王《おう》アリオクの四|人《にん》の|王《おう》に|対《たい》する五|人《にん》の|王《おう》であった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]シデムの|谷《たに》にはアスファルトの|穴《あな》が|多《おお》かったので、ソドムの|王《おう》とゴモラの|王《おう》は|逃《に》げてそこに|落《お》ちたが、|残《のこ》りの|者《もの》は|山《やま》にのがれた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはソドムとゴモラの|財産《ざいさん》と|食料《しょくりょう》とをことごとく|奪《うば》って|去《さ》り、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またソドムに|住《す》んでいたアブラムの|弟《おとうと》の|子《こ》ロトとその|財産《ざいさん》を|奪《うば》って|去《さ》った。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ひとりの|人《ひと》がのがれてきて、ヘブルびとアブラムに|告《つ》げた。この|時《とき》アブラムはエシコルの|兄弟《きょうだい》、またアネルの|兄弟《きょうだい》であるアモリびとマムレのテレビンの|木《き》のかたわらに|住《す》んでいた。|彼《かれ》らはアブラムと|同盟《どうめい》していた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|身内《みうち》の|者《もの》が|捕虜《ほりょ》になったのを|聞《き》き、|訓練《くんれん》した|家《いえ》の|子《こ》三百十八|人《にん》を|引《ひ》き|連《つ》れてダンまで|追《お》って|行《い》き、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そのしもべたちを|分《わ》けて、|夜《よる》かれらを|攻《せ》め、これを|撃《う》ってダマスコの|北《きた》、ホバまで|彼《かれ》らを|追《お》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はすべての|財産《ざいさん》を|取《と》り|返《かえ》し、また|身内《みうち》の|者《もの》ロトとその|財産《ざいさん》および|女《おんな》たちと|民《たみ》とを|取《と》り|返《かえ》した。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アブラムがケダラオメルとその|連合《れんごう》の|王《おう》たちを|撃《う》ち|破《やぶ》って|帰《かえ》った|時《とき》、ソドムの|王《おう》はシャベの|谷《たに》、すなわち|王《おう》の|谷《たに》に|出《で》て|彼《かれ》を|迎《むか》えた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、サレムの|王《おう》メルキゼデクはパンとぶどう|酒《しゅ》とを|持《も》ってきた。|彼《かれ》はいと|高《たか》き|神《かみ》の|祭司《さいし》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はアブラムを|祝福《しゅくふく》して|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|願《ねが》わくは|天地《てんち》の|主《しゅ》なるいと|高《たか》き|神《かみ》が、 アブラムを|祝福《しゅくふく》されるように。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|願《ねが》わくはあなたの|敵《てき》をあなたの|手《て》に|渡《わた》された いと|高《たか》き|神《かみ》があがめられるように」。 [#ここで字下げ終わり] アブラムは|彼《かれ》にすべての|物《もの》の十|分《ぶん》の一を|贈《おく》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にソドムの|王《おう》はアブラムに|言《い》った、「わたしには|人《ひと》をください。|財産《ざいさん》はあなたが|取《と》りなさい」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アブラムはソドムの|王《おう》に|言《い》った、「|天地《てんち》の|主《しゅ》なるいと|高《たか》き|神《かみ》、|主《しゅ》に|手《て》をあげて、わたしは|誓《ちか》います。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|糸《いと》一|本《ぽん》でも、くつひも一|本《ぽん》でも、あなたのものは|何《なに》にも|受《う》けません。アブラムを|富《と》ませたのはわたしだと、あなたが|言《い》わないように。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ただし|若者《わかもの》たちがすでに|食《た》べた|物《もの》は|別《べつ》です。そしてわたしと|共《とも》に|行《い》った|人々《ひとびと》アネルとエシコルとマムレとにはその|分《ぶん》を|取《と》らせなさい」。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|幻《まぼろし》のうちにアブラムに|臨《のぞ》んだ、 [#ここから2字下げ] 「アブラムよ|恐《おそ》れてはならない、 わたしはあなたの|盾《たて》である。 あなたの|受《う》ける|報《むく》いは、 はなはだ|大《おお》きいであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|言《い》った、「|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、わたしには|子《こ》がなく、わたしの|家《いえ》を|継《つ》ぐ|者《もの》はダマスコのエリエゼルであるのに、あなたはわたしに|何《なに》をくださろうとするのですか」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アブラムはまた|言《い》った、「あなたはわたしに|子《こ》を|賜《たま》わらないので、わたしの|家《いえ》に|生《うま》れたしもべが、あとつぎとなるでしょう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだ、「この|者《もの》はあなたのあとつぎとなるべきではありません。あなたの|身《み》から|出《で》る|者《もの》があとつぎとなるべきです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|彼《かれ》を|外《そと》に|連《つ》れ|出《だ》して|言《い》われた、「|天《てん》を|仰《あお》いで、|星《ほし》を|数《かぞ》えることができるなら、|数《かぞ》えてみなさい」。また|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたの|子孫《しそん》はあのようになるでしょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは|主《しゅ》を|信《しん》じた。|主《しゅ》はこれを|彼《かれ》の|義《ぎ》と|認《みと》められた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「わたしはこの|地《ち》をあなたに|与《あた》えて、これを|継《つ》がせようと、あなたをカルデヤのウルから|導《みちび》き|出《だ》した|主《しゅ》です」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、わたしがこれを|継《つ》ぐのをどうして|知《し》ることができますか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「三|歳《さい》の|雌牛《めうし》と、三|歳《さい》の|雌《め》やぎと、三|歳《さい》の|雄羊《おひつじ》と、|山《やま》ばとと、|家《いえ》ばとのひなとをわたしの|所《ところ》に|連《つ》れてきなさい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれらをみな|連《つ》れてきて、二つに|裂《さ》き、|裂《さ》いたものを|互《たがい》に|向《む》かい|合《あ》わせて|置《お》いた。ただし、|鳥《とり》は|裂《さ》かなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|荒《あら》い|鳥《とり》が|死体《したい》の|上《うえ》に|降《お》りるとき、アブラムはこれを|追《お》い|払《はら》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》の|入《い》るころ、アブラムが|深《ふか》い|眠《ねむ》りにおそわれた|時《とき》、|大《おお》きな|恐《おそ》ろしい|暗《くら》やみが|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》はアブラムに|言《い》われた、「あなたはよく|心《こころ》にとめておきなさい。あなたの|子孫《しそん》は|他《た》の|国《くに》に|旅《たび》びととなって、その|人々《ひとびと》に|仕《つか》え、その|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らを四百|年《ねん》の|間《あいだ》、|悩《なや》ますでしょう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|彼《かれ》らが|仕《つか》えたその|国民《こくみん》をさばきます。その|後《のち》かれらは|多《おお》くの|財産《ざいさん》を|携《たずさ》えて|出《で》て|来《く》るでしょう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|安《やす》らかに|先祖《せんぞ》のもとに|行《い》きます。そして|高齢《こうれい》に|達《たっ》して|葬《ほうむ》られるでしょう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]四|代《だい》|目《め》になって|彼《かれ》らはここに|帰《かえ》って|来《く》るでしょう。アモリびとの|悪《あく》がまだ|満《み》ちないからです」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]やがて|日《ひ》は|入《い》り、|暗《くら》やみになった|時《とき》、|煙《けむり》の|立《た》つかまど、|炎《ほのお》の|出《で》るたいまつが、|裂《さ》いたものの|間《あいだ》を|通《とお》り|過《す》ぎた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》はアブラムと|契約《けいやく》を|結《むす》んで|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「わたしはこの|地《ち》をあなたの|子孫《しそん》に|与《あた》える。 エジプトの|川《かわ》から、かの|大川《おおかわ》ユフラテまで。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すなわちケニびと、ケニジびと、カドモニびと、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヘテびと、ペリジびと、レパイムびと、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アモリびと、カナンびと、ギルガシびと、エブスびとの|地《ち》を|与《あた》える」。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アブラムの|妻《つま》サライは|子《こ》を|産《う》まなかった。|彼女《かのじょ》にひとりのつかえめがあった。エジプトの|女《おんな》で|名《な》をハガルといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サライはアブラムに|言《い》った、「|主《しゅ》はわたしに|子《こ》をお|授《さづ》けになりません。どうぞ、わたしのつかえめの|所《ところ》におはいりください。|彼女《かのじょ》によってわたしは|子《こ》をもつことになるでしょう」。アブラムはサライの|言葉《ことば》を|聞《き》きいれた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アブラムの|妻《つま》サライはそのつかえめエジプトの|女《おんな》ハガルをとって、|夫《おっと》アブラムに|妻《つま》として|与《あた》えた。これはアブラムがカナンの|地《ち》に十|年《ねん》|住《す》んだ|後《のち》であった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はハガルの|所《ところ》にはいり、ハガルは|子《こ》をはらんだ。|彼女《かのじょ》は|自分《じぶん》のはらんだのを|見《み》て、|女《おんな》|主人《しゅじん》を|見下《みさ》げるようになった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでサライはアブラムに|言《い》った、「わたしが|受《う》けた|害《がい》はあなたの|責任《せきにん》です。わたしのつかえめをあなたのふところに|与《あた》えたのに、|彼女《かのじょ》は|自分《じぶん》のはらんだのを|見《み》て、わたしを|見下《み》さげます。どうか、|主《しゅ》があなたとわたしの|間《あいだ》をおさばきになるように」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アブラムはサライに|言《い》った、「あなたのつかえめはあなたの|手《て》のうちにある。あなたの|好《す》きなように|彼女《かのじょ》にしなさい」。そしてサライが|彼女《かのじょ》を|苦《くる》しめたので、|彼女《かのじょ》はサライの|顔《かお》を|避《さ》けて|逃《に》げた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|荒野《あらの》にある|泉《いずみ》のほとり、すなわちシュルの|道《みち》にある|泉《いずみ》のほとりで、|彼女《かのじょ》に|会《あ》い、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》った、「サライのつかえめハガルよ、あなたはどこからきたのですか、またどこへ|行《い》くのですか」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「わたしは|女《おんな》|主人《しゅじん》サライの|顔《かお》を|避《さ》けて|逃《に》げているのです」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたは|女《おんな》|主人《しゅじん》のもとに|帰《かえ》って、その|手《て》に|身《み》を|任《まか》せなさい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》はまた|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「わたしは|大《おお》いにあなたの|子孫《しそん》を|増《ま》して、|数《かぞ》えきれないほどに|多《おお》くしましょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》はまた|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたは、みごもっています。あなたは|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》むでしょう。|名《な》をイシマエルと|名《な》づけなさい。|主《しゅ》があなたの|苦《くる》しみを|聞《き》かれたのです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|野《の》ろばのような|人《ひと》となり、その|手《て》はすべての|人《ひと》に|逆《さか》らい、すべての|人《ひと》の|手《て》は|彼《かれ》に|逆《さか》らい、|彼《かれ》はすべての|兄弟《きょうだい》に|敵《てき》して|住《す》むでしょう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ハガルは|自分《じぶん》に|語《かた》られた|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》んで、「あなたはエル・ロイです」と|言《い》った。|彼女《かのじょ》が「ここでも、わたしを|見《み》ていられるかたのうしろを|拝《おが》めたのか」と|言《い》ったことによる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それでその|井戸《いど》は「ベエル・ラハイ・ロイ」と|呼《よ》ばれた。これはカデシとベレデの|間《あいだ》にある。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ハガルはアブラムに|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。アブラムはハガルが|産《う》んだ|子《こ》の|名《な》をイシマエルと|名《な》づけた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ハガルがイシマエルをアブラムに|産《う》んだ|時《とき》、アブラムは八十六|歳《さい》であった。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アブラムの九十九|歳《さい》の|時《とき》、|主《しゅ》はアブラムに|現《あらわ》れて|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「わたしは|全能《ぜんのう》の|神《かみ》である。 あなたはわたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》み、|全《まった》き|者《もの》であれ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたと|契約《けいやく》を|結《むす》び、 |大《おお》いにあなたの|子孫《しそん》を|増《ま》すであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アブラムは、ひれ|伏《ふ》した。|神《かみ》はまた|彼《かれ》に|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたと|契約《けいやく》を|結《むす》ぶ。 あなたは|多《おお》くの|国民《こくみん》の|父《ちち》となるであろう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|名《な》は、もはやアブラムとは|言《い》われず、 あなたの|名《な》はアブラハムと|呼《よ》ばれるであろう。 わたしはあなたを|多《おお》くの|国民《こくみん》の |父《ちち》とするからである。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|多《おお》くの|子孫《しそん》を|得《え》させ、|国々《くにぐに》の|民《たみ》をあなたから|起《おこ》そう。また、|王《おう》たちもあなたから|出《で》るであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなた|及《およ》び|後《のち》の|代々《よよ》の|子孫《しそん》と|契約《けいやく》を|立《た》てて、|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》とし、あなたと|後《のち》の|子孫《しそん》との|神《かみ》となるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたと|後《のち》の|子孫《しそん》とにあなたの|宿《やど》っているこの|地《ち》、すなわちカナンの|全《ぜん》|地《ち》を|永久《えいきゅう》の|所有《しょゆう》として|与《あた》える。そしてわたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となるであろう」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまたアブラハムに|言《い》われた、「あなたと|後《のち》の|子孫《しそん》とは|共《とも》に|代々《よよ》わたしの|契約《けいやく》を|守《まも》らなければならない。あなたがたのうち[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|男子《だんし》はみな|割礼《かつれい》をうけなければならない。これはわたしとあなたがた|及《およ》び|後《のち》の|子孫《しそん》との|間《あいだ》のわたしの|契約《けいやく》であって、あなたがたの|守《まも》るべきものである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|前《まえ》の|皮《かわ》に|割礼《かつれい》を|受《う》けなければならない。それがわたしとあなたがたとの|間《あいだ》の|契約《けいやく》のしるしとなるであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちの|男子《だんし》はみな|代々《よよ》、|家《いえ》に|生《うま》れた|者《もの》も、また|異邦人《いほうじん》から|銀《ぎん》で|買《か》い|取《と》った、あなたの|子孫《しそん》でない|者《もの》も、|生《うま》れて八|日《か》|目《め》に|割礼《かつれい》を|受《う》けなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家《いえ》に|生《うま》れた|者《もの》も、あなたが|銀《ぎん》で|買《か》い|取《と》った|者《もの》も|必《かなら》ず|割礼《かつれい》を|受《う》けなければならない。こうしてわたしの|契約《けいやく》はあなたがたの|身《み》にあって|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》となるであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|割礼《かつれい》を|受《う》けない|男子《だんし》、すなわち|前《まえ》の|皮《かわ》を|切《き》らない|者《もの》はわたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》るゆえ、その|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまたアブラハムに|言《い》われた、「あなたの|妻《つま》サライは、もはや|名《な》をサライといわず、|名《な》をサラと|言《い》いなさい。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼女《かのじょ》を|祝福《しゅくふく》し、また|彼女《かのじょ》によって、あなたにひとりの|男《おとこ》の|子《こ》を|授《さづ》けよう。わたしは|彼女《かのじょ》を|祝福《しゅくふく》し、|彼女《かのじょ》を|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|母《はは》としよう。|彼女《かのじょ》から、もろもろの|民《たみ》の|王《おう》たちが|出《で》るであろう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはひれ|伏《ふ》して|笑《わら》い、|心《こころ》の|中《なか》で|言《い》った、「百|歳《さい》の|者《もの》にどうして|子《こ》が|生《うま》れよう。サラはまた九十|歳《さい》にもなって、どうして|産《う》むことができようか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そしてアブラハムは|神《かみ》に|言《い》った、「どうかイシマエルがあなたの|前《まえ》に|生《い》きながらえますように」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|言《い》われた、「いや、あなたの|妻《つま》サラはあなたに|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》むでしょう。|名《な》をイサクと|名《な》づけなさい。わたしは|彼《かれ》と|契約《けいやく》を|立《た》てて、|後《のち》の|子孫《しそん》のために|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》としよう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またイシマエルについてはあなたの|願《ねが》いを|聞《き》いた。わたしは|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》して|多《おお》くの|子孫《しそん》を|得《え》させ、|大《おお》いにそれを|増《ま》すであろう。|彼《かれ》は十二|人《にん》の|君《きみ》たちを|生《う》むであろう。わたしは|彼《かれ》を|大《おお》いなる|国民《こくみん》としよう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|来年《らいねん》の|今《いま》ごろサラがあなたに|産《う》むイサクと、わたしの|契約《けいやく》を|立《た》てるであろう」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はアブラハムと|語《かた》り|終《お》え、|彼《かれ》を|離《はな》れて、のぼられた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|神《かみ》が|自分《じぶん》に|言《い》われたように、この|日《ひ》その|子《こ》イシマエルと、すべて|家《いえ》に|生《うま》れた|者《もの》およびすべて|銀《ぎん》で|買《か》い|取《と》った|者《もの》、すなわちアブラハムの|家《いえ》の|人々《ひとびと》のうち、すべての|男子《だんし》を|連《つ》れてきて、|前《まえ》の|皮《かわ》に|割礼《かつれい》を|施《ほどこ》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムが|前《まえ》の|皮《かわ》に|割礼《かつれい》を|受《う》けた|時《とき》は九十九|歳《さい》、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》イシマエルが|前《まえ》の|皮《かわ》に|割礼《かつれい》を|受《う》けた|時《とき》は十三|歳《さい》であった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》アブラハムとその|子《こ》イシマエルは|割礼《かつれい》を|受《う》けた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]またその|家《いえ》の|人々《ひとびと》は|家《いえ》に|生《うま》れた|者《もの》も、|銀《ぎん》で|異邦人《いほうじん》から|買《か》い|取《と》った|者《もの》も|皆《みな》、|彼《かれ》と|共《とも》に|割礼《かつれい》を|受《う》けた。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はマムレのテレビンの|木《き》のかたわらでアブラハムに|現《あらわ》れられた。それは|昼《ひる》の|暑《あつ》いころで、|彼《かれ》は|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》にすわっていたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》を|上《あ》げて|見《み》ると、三|人《にん》の|人《ひと》が|彼《かれ》に|向《む》かって|立《た》っていた。|彼《かれ》はこれを|見《み》て、|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》から|走《はし》って|行《い》って|彼《かれ》らを|迎《むか》え、|地《ち》に|身《み》をかがめて、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、もしわたしがあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ているなら、どうぞしもべを|通《とお》り|過《す》ごさないでください。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》をすこし|取《と》ってこさせますから、あなたがたは|足《あし》を|洗《あら》って、この|木《き》の|下《した》でお|休《やす》みください。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|一口《ひとくち》のパンを|取《と》ってきます。|元気《げんき》をつけて、それからお|出《で》かけください。せっかくしもべの|所《ところ》においでになったのですから」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「お|言葉《ことば》どおりにしてください」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブラハムは|急《いそ》いで|天幕《てんまく》に|入《い》り、サラの|所《ところ》に|行《い》って|言《い》った、「|急《いそ》いで|細《こま》かい|麦粉《むぎこ》三セヤをとり、こねてパンを|造《つく》りなさい」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|牛《うし》の|群《む》れに|走《はし》って|行《い》き、|柔《やわ》らかな|良《よ》い|子《こ》|牛《うし》を|取《と》って|若者《わかもの》に|渡《わた》したので、|急《いそ》いで|調理《ちょうり》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてアブラハムは|凝乳《ぎょうにゅう》と|牛乳《ぎゅうにゅう》および|子《こ》|牛《うし》の|調理《ちょうり》したものを|取《と》って、|彼《かれ》らの|前《まえ》に|供《そな》え、|木《き》の|下《した》で|彼《かれ》らのかたわらに|立《た》って|給仕《きゅうじ》し、|彼《かれ》らは|食事《しょくじ》した。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはアブラハムに|言《い》った、「あなたの|妻《つま》サラはどこにおられますか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「|天幕《てんまく》の|中《なか》です」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そのひとりが|言《い》った、「|来年《らいねん》の|春《はる》、わたしはかならずあなたの|所《ところ》に|帰《かえ》ってきましょう。その|時《とき》、あなたの|妻《つま》サラには|男《おとこ》の|子《こ》が|生《うま》れているでしょう」。サラはうしろの|方《ほう》の|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》で|聞《き》いていた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]さてアブラハムとサラとは|年《とし》がすすみ、|老人《ろうじん》となり、サラは|女《おんな》の|月《つき》のものが、すでに|止《と》まっていた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それでサラは|心《こころ》の|中《なか》で|笑《わら》って|言《い》った、「わたしは|衰《おとろ》え、|主人《しゅじん》もまた|老人《ろうじん》であるのに、わたしに|楽《たの》しみなどありえようか」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はアブラハムに|言《い》われた、「なぜサラは、わたしは|老人《ろうじん》であるのに、どうして|子《こ》を|産《う》むことができようかと|言《い》って|笑《わら》ったのか。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にとって|不可能《ふかのう》なことがありましょうか。|来年《らいねん》の|春《はる》、|定《さだ》めの|時《とき》に、わたしはあなたの|所《ところ》に|帰《かえ》ってきます。そのときサラには|男《おとこ》の|子《こ》が|生《うま》れているでしょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サラは|恐《おそ》れたので、これを|打《う》ち|消《け》して|言《い》った、「わたしは|笑《わら》いません」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「いや、あなたは|笑《わら》いました」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|人々《ひとびと》はそこを|立《た》ってソドムの|方《ほう》に|向《む》かったので、アブラハムは|彼《かれ》らを|見送《みおく》って|共《とも》に|行《い》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしのしようとする|事《こと》をアブラハムに|隠《かく》してよいであろうか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|必《かなら》ず|大《おお》きな|強《つよ》い|国民《こくみん》となって、|地《ち》のすべての|民《たみ》がみな、|彼《かれ》によって|祝福《しゅくふく》を|受《う》けるのではないか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》が|後《のち》の|子《こ》らと|家族《かぞく》とに|命《めい》じて|主《しゅ》の|道《みち》を|守《まも》らせ、|正義《せいぎ》と|公道《こうどう》とを|行《おこな》わせるために|彼《かれ》を|知《し》ったのである。これは|主《しゅ》がかつてアブラハムについて|言《い》った|事《こと》を|彼《かれ》の|上《うえ》に|臨《のぞ》ませるためである」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|言《い》われた、「ソドムとゴモラの|叫《さけ》びは|大《おお》きく、またその|罪《つみ》は|非常《ひじょう》に|重《おも》いので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはいま|下《くだ》って、わたしに|届《とど》いた|叫《さけ》びのとおりに、すべて|彼《かれ》らがおこなっているかどうかを|見《み》て、それを|知《し》ろう」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|人々《ひとびと》はそこから|身《み》を|巡《めぐ》らしてソドムの|方《ほう》に|行《い》ったが、アブラハムはなお、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》っていた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|近寄《ちかよ》って|言《い》った、「まことにあなたは|正《ただ》しい|者《もの》を、|悪《わる》い|者《もの》と|一緒《いっしょ》に|滅《ほろ》ぼされるのですか。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]たとい、あの|町《まち》に五十|人《にん》の|正《ただ》しい|者《もの》があっても、あなたはなお、その|所《ところ》を|滅《ほろ》ぼし、その|中《なか》にいる五十|人《にん》の|正《ただ》しい|者《もの》のためにこれをゆるされないのですか。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》と|悪《わる》い|者《もの》とを|一緒《いっしょ》に|殺《ころ》すようなことを、あなたは|決《けっ》してなさらないでしょう。|正《ただ》しい|者《もの》と|悪《わる》い|者《もの》とを|同《おな》じようにすることも、あなたは|決《けっ》してなさらないでしょう。|全《ぜん》|地《ち》をさばく|者《もの》は|公義《こうぎ》を|行《おこな》うべきではありませんか」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「もしソドムで|町《まち》の|中《なか》に五十|人《にん》の|正《ただ》しい|者《もの》があったら、その|人々《ひとびと》のためにその|所《ところ》をすべてゆるそう」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|答《こた》えて|言《い》った、「わたしはちり|灰《はい》に|過《す》ぎませんが、あえてわが|主《しゅ》に|申《もう》します。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]もし五十|人《にん》の|正《ただ》しい|者《もの》のうち五|人《にん》|欠《か》けたなら、その五|人《にん》|欠《か》けたために|町《まち》を|全《まった》く|滅《ほろ》ぼされますか」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「もしそこに四十五|人《にん》いたら、|滅《ほろ》ぼさないであろう」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはまた|重《かさ》ねて|主《しゅ》に|言《い》った、「もしそこに四十|人《にん》いたら」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「その四十|人《にん》のために、これをしないであろう」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、どうかお|怒《いか》りにならぬよう。わたしは|申《もう》します。もしそこに三十|人《にん》いたら」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「そこに三十|人《にん》いたら、これをしないであろう」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|言《い》った、「いまわたしはあえてわが|主《しゅ》に|申《もう》します。もしそこに二十|人《にん》いたら」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしはその二十|人《にん》のために|滅《ほろ》ぼさないであろう」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、どうかお|怒《いか》りにならぬよう。わたしはいま一|度《ど》|申《もう》します、もしそこに十|人《にん》いたら」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしはその十|人《にん》のために|滅《ほろ》ぼさないであろう」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はアブラハムと|語《かた》り|終《おわ》り、|去《さ》って|行《い》かれた。アブラハムは|自分《じぶん》の|所《ところ》に|帰《かえ》った。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのふたりのみ|使《つかい》は|夕暮《ゆうぐれ》にソドムに|着《つ》いた。そのときロトはソドムの|門《もん》にすわっていた。ロトは|彼《かれ》らを|見《み》て、|立《た》って|迎《むか》え、|地《ち》に|伏《ふ》して、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、どうぞしもべの|家《いえ》に|立寄《たちよ》って|足《あし》を|洗《あら》い、お|泊《と》まりください。そして|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きてお|立《た》ちください」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「いや、われわれは|広場《ひろば》で|夜《よ》を|過《す》ごします」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしロトがしいて|勧《すす》めたので、|彼《かれ》らはついに|彼《かれ》の|所《ところ》に|寄《よ》り、|家《いえ》にはいった。ロトは|彼《かれ》らのためにふるまいを|設《もう》け、|種《たね》|入《い》れぬパンを|焼《や》いて|食《た》べさせた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》らの|寝《ね》ないうちに、ソドムの|町《まち》の|人々《ひとびと》は、|若《わか》い|者《もの》も|老人《ろうじん》も、|民《たみ》がみな|四方《しほう》からきて、その|家《いえ》を|囲《かこ》み、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ロトに|叫《さけ》んで|言《い》った、「|今夜《こんや》おまえの|所《ところ》にきた|人々《ひとびと》はどこにいるか。それをここに|出《だ》しなさい。われわれは|彼《かれ》らを|知《し》るであろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ロトは|入口《いりぐち》におる|彼《かれ》らの|所《ところ》に|出《で》て|行《い》き、うしろの|戸《と》を|閉《と》じて、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|兄弟《きょうだい》たちよ、どうか|悪《わる》い|事《こと》はしないでください。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしにまだ|男《おとこ》を|知《し》らない|娘《むすめ》がふたりあります。わたしはこれをあなたがたに、さし|出《だ》しますから、|好《す》きなようにしてください。ただ、わたしの|屋根《やね》の|下《した》にはいったこの|人《ひと》たちには、|何《なに》もしないでください」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「|退《しりぞ》け」。また|言《い》った、「この|男《おとこ》は|渡《わた》ってきたよそ|者《もの》であるのに、いつも、さばきびとになろうとする。それで、われわれは|彼《かれ》らに|加《くわ》えるよりも、おまえに|多《おお》くの|害《がい》を|加《くわ》えよう」。|彼《かれ》らはロトの|身《み》に|激《はげ》しく|迫《せま》り、|進《すす》み|寄《よ》って|戸《と》を|破《やぶ》ろうとした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、かのふたりは|手《て》を|伸《の》べてロトを|家《いえ》の|内《うち》に|引《ひ》き|入《い》れ、|戸《と》を|閉《と》じた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|家《いえ》の|入口《いりぐち》におる|人々《ひとびと》を、|老若《ろうにゃく》の|別《べつ》なく|打《う》って|目《め》をくらましたので、|彼《かれ》らは|入口《いりぐち》を|捜《さが》すのに|疲《つか》れた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ふたりはロトに|言《い》った、「ほかにあなたの|身内《みうち》の|者《もの》がここにおりますか。あなたのむこ、むすこ、|娘《むすめ》およびこの|町《まち》におるあなたの|身内《みうち》の|者《もの》を、|皆《みな》ここから|連《つ》れ|出《だ》しなさい。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われわれがこの|所《ところ》を|滅《ほろ》ぼそうとしているからです。|人々《ひとびと》の|叫《さけ》びが|主《しゅ》の|前《まえ》に|大《おお》きくなり、|主《しゅ》はこの|所《ところ》を|滅《ほろ》ぼすために、われわれをつかわされたのです」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでロトは|出《で》て|行《い》って、その|娘《むすめ》たちをめとるむこたちに|告《つ》げて|言《い》った、「|立《た》ってこの|所《ところ》から|出《で》なさい。|主《しゅ》がこの|町《まち》を|滅《ほろ》ぼされます」。しかしそれはむこたちには|戯《たわむ》むれごとに|思《おも》えた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よ》が|明《あ》けて、み|使《つかい》たちはロトを|促《うなが》して|言《い》った  「|立《た》って、ここにいるあなたの|妻《つま》とふたりの|娘《むすめ》とを|連《つ》れ|出《だ》しなさい。そうしなければ、あなたもこの|町《まち》の|不義《ふぎ》のために|滅《ほろ》ぼされるでしょう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はためらっていたが、|主《しゅ》は|彼《かれ》にあわれみを|施《ほどこ》されたので、かのふたりは|彼《かれ》の|手《て》と、その|妻《つま》の|手《て》と、ふたりの|娘《むすめ》の|手《て》を|取《と》って|連《つ》れ|出《だ》し、|町《まち》の|外《そと》に|置《お》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|外《そと》に|連《つ》れ|出《だ》した|時《とき》そのひとりは|言《い》った、「のがれて、|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》いなさい。うしろをふりかえって|見《み》てはならない。|低地《ていち》にはどこにも|立《た》ち|止《ど》まってはならない。|山《やま》にのがれなさい。そうしなければ、あなたは|滅《ほろ》びます」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ロトは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、どうか、そうさせないでください。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しもべはすでにあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ました。あなたはわたしの|命《いのち》を|救《すく》って、|大《おお》いなるいつくしみを|施《ほどこ》されました。しかしわたしは|山《やま》まではのがれる|事《こと》ができません。|災《わざわい》が|身《み》に|追《お》い|迫《せま》ってわたしは|死《し》ぬでしょう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あの|町《まち》をごらんなさい。|逃《に》げていくのに|近《ちか》く、また|小《ちい》さい|町《まち》です。どうかわたしをそこにのがれさせてください。それは|小《ちい》さいではありませんか。そうすればわたしの|命《いのち》は|助《たす》かるでしょう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]み|使《つかい》は|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしはこの|事《こと》でもあなたの|願《ねが》いをいれて、あなたの|言《い》うその|町《まち》は|滅《ほろ》ぼしません。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|急《いそ》いでそこへのがれなさい。あなたがそこに|着《つ》くまでは、わたしは|何事《なにごと》もすることができません」。これによって、その|町《まち》の|名《な》はゾアルと|呼《よ》ばれた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ロトがゾアルに|着《つ》いた|時《とき》、|日《ひ》は|地《ち》の|上《うえ》にのぼった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|硫黄《いおう》と|火《ひ》とを|主《しゅ》の|所《ところ》すなわち|天《てん》からソドムとゴモラの|上《うえ》に|降《ふ》らせて、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]これらの|町《まち》と、すべての|低地《ていち》と、その|町々《まちまち》のすべての|住民《じゅうみん》と、その|地《ち》にはえている|物《もの》を、ことごとく|滅《ほろ》ぼされた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかしロトの|妻《つま》はうしろを|顧《かえり》みたので|塩《しお》の|柱《はしら》になった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き、さきに|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》った|所《ところ》に|行《い》って、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ソドムとゴモラの|方《ほう》、および|低地《ていち》の|全面《ぜんめん》をながめると、その|地《ち》の|煙《けむり》が、かまどの|煙《けむり》のように|立《た》ちのぼっていた。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|神《かみ》が|低地《ていち》の|町々《まちまち》をこぼたれた|時《とき》、すなわちロトの|住《す》んでいた|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼされた|時《とき》、|神《かみ》はアブラハムを|覚《おぼ》えて、その|滅《ほろ》びの|中《なか》からロトを|救《すく》い|出《だ》された。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ロトはゾアルを|出《で》て|上《のぼ》り、ふたりの|娘《むすめ》と|共《とも》に|山《やま》に|住《す》んだ。ゾアルに|住《す》むのを|恐《おそ》れたからである。|彼《かれ》はふたりの|娘《むすめ》と|共《とも》に、ほら|穴《あな》の|中《なか》に|住《す》んだ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|姉《あね》が|妹《いもうと》に|言《い》った、「わたしたちの|父《ちち》は|老《お》い、またこの|地《ち》には|世《よ》のならわしのように、わたしたちの|所《ところ》に|来《く》る|男《おとこ》はいません。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]さあ、|父《ちち》に|酒《さけ》を|飲《の》ませ、|共《とも》に|寝《ね》て、|父《ちち》によって|子《こ》を|残《のこ》しましょう」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》たちはその|夜《よ》、|父《ちち》に|酒《さけ》を|飲《の》ませ、|姉《あね》がはいって|父《ちち》と|共《とも》に|寝《ね》た。ロトは|娘《むすめ》が|寝《ね》たのも、|起《お》きたのも|知《し》らなかった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あくる|日《ひ》、|姉《あね》は|妹《いもうと》に|言《い》った、「わたしは|昨夜《さくや》、|父《ちち》と|寝《ね》ました。わたしたちは|今夜《こんや》もまた|父《ちち》に|酒《さけ》を|飲《の》ませましょう。そしてあなたがはいって|共《とも》に|寝《ね》なさい。わたしたちは|父《ちち》によって|子《こ》を|残《のこ》しましょう」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|夜《よ》もまた|父《ちち》に|酒《さけ》を|飲《の》ませ、|妹《いもうと》が|行《い》って|父《ちち》と|共《とも》に|寝《ね》た。ロトは|娘《むすめ》の|寝《ね》たのも、|起《お》きたのも|知《し》らなかった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてロトのふたりの|娘《むすめ》たちは|父《ちち》によってはらんだ。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|姉《あね》|娘《むすめ》は|子《こ》を|産《う》み、その|名《な》をモアブと|名《な》づけた。これは|今《いま》のモアブびとの|先祖《せんぞ》である。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|妹《いもうと》もまた|子《こ》を|産《う》んで、その|名《な》をベニアンミと|名《な》づけた。これは|今《いま》のアンモンびとの|先祖《せんぞ》である。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはそこからネゲブの|地《ち》に|移《うつ》って、カデシとシュルの|間《あいだ》に|住《す》んだ。|彼《かれ》がゲラルにとどまっていた|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|妻《つま》サラのことを、「これはわたしの|妹《いもうと》です」と|言《い》ったので、ゲラルの|王《おう》アビメレクは、|人《ひと》をつかわしてサラを|召《め》し|入《い》れた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ところが|神《かみ》は|夜《よ》の|夢《ゆめ》にアビメレクに|臨《のぞ》んで|言《い》われた、「あなたは|召《め》し|入《い》れたあの|女《おんな》のゆえに|死《し》なねばならない。|彼女《かのじょ》は|夫《おっと》のある|身《み》である」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクはまだ|彼女《かのじょ》に|近《ちか》づいていなかったので|言《い》った、「|主《しゅ》よ、あなたは|正《ただ》しい|民《たみ》でも|殺《ころ》されるのですか。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに、これはわたしの|妹《いもうと》ですと|言《い》ったではありませんか。また|彼女《かのじょ》も|自分《じぶん》で、|彼《かれ》はわたしの|兄《あに》ですと|言《い》いました。わたしは|心《こころ》も|清《きよ》く、|手《て》もいさぎよく、このことをしました」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|夢《ゆめ》で|彼《かれ》に|言《い》われた、「そうです、あなたが|清《きよ》い|心《こころ》をもってこのことをしたのを|知《し》っていたから、わたしもあなたを|守《まも》って、わたしに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》させず、|彼女《かのじょ》にふれることを|許《ゆる》さなかったのです。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]いま|彼《かれ》の|妻《つま》を|返《かえ》しなさい。|彼《かれ》は|預言者《よげんしゃ》ですから、あなたのために|祈《いの》って、|命《いのち》を|保《たも》たせるでしょう。もし|返《かえ》さないなら、あなたも|身内《みうち》の|者《もの》もみな|必《かなら》ず|死《し》ぬと|知《し》らなければなりません」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでアビメレクは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き、しもべたちをことごとく|召《め》し|集《あつ》めて、これらの|事《こと》をみな|語《かた》り|聞《き》かせたので、|人々《ひとびと》は|非常《ひじょう》に|恐《おそ》れた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてアビメレクはアブラハムを|召《め》して|言《い》った、「あなたはわれわれに|何《なに》をするのですか。あなたに|対《たい》してわたしがどんな|罪《つみ》を|犯《おか》したために、あなたはわたしとわたしの|国《くに》とに、|大《おお》きな|罪《つみ》を|負《お》わせるのですか。あなたはしてはならぬことをわたしにしたのです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクはまたアブラハムに|言《い》った、「あなたはなんと|思《おも》って、この|事《こと》をしたのですか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|言《い》った、「この|所《ところ》には|神《かみ》を|恐《おそ》れるということが、まったくないので、わたしの|妻《つま》のゆえに|人々《ひとびと》がわたしを|殺《ころ》すと|思《おも》ったからです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|彼女《かのじょ》はほんとうにわたしの|妹《いもうと》なのです。わたしの|父《ちち》の|娘《むすめ》ですが、|母《はは》の|娘《むすめ》ではありません。そして、わたしの|妻《つま》になったのです。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がわたしに|父《ちち》の|家《いえ》を|離《はな》れて、|行《い》き|巡《めぐ》らせた|時《とき》、わたしは|彼女《かのじょ》に、あなたはわたしたちの|行《い》くさきざきでわたしを|兄《あに》であると|言《い》ってください。これはあなたがわたしに|施《ほどこ》す|恵《めぐ》みであると|言《い》いました」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでアビメレクは|羊《ひつじ》、|牛《うし》および|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》を|取《と》ってアブラハムに|与《あた》え、その|妻《つま》サラを|彼《かれ》に|返《かえ》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてアビメレクは|言《い》った、「わたしの|地《ち》はあなたの|前《まえ》にあります。あなたの|好《す》きな|所《ところ》に|住《す》みなさい」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またサラに|言《い》った、「わたしはあなたの|兄《あに》に|銀《ぎん》|千《せん》シケルを|与《あた》えました。これはあなたの|身《み》に|起《た》ったすべての|事《こと》について、あなたに|償《つぐな》いをするものです。こうしてすべての|人《ひと》にあなたは|正《ただ》しいと|認《みと》められます」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブラハムは|神《かみ》に|祈《いの》った。|神《かみ》はアビメレクとその|妻《つま》および、はしためたちをいやされたので、|彼《かれ》らは|子《こ》を|産《う》むようになった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がさきにアブラハムの|妻《つま》サラのゆえに、アビメレクの|家《いえ》のすべての|者《もの》の|胎《たい》を、かたく|閉《と》ざされたからである。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、さきに|言《い》われたようにサラを|顧《かえり》み、|告《つ》げられたようにサラに|行《おこな》われた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サラはみごもり、|神《かみ》がアブラハムに|告《つ》げられた|時《とき》になって、|年老《としお》いたアブラハムに|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|生《うま》れた|子《こ》、サラが|産《う》んだ|男《おとこ》の|子《こ》の|名《な》をイサクと|名《な》づけた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|神《かみ》が|命《めい》じられたように八|日《か》|目《め》にその|子《こ》イサクに|割礼《かつれい》を|施《ほどこ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはその|子《こ》イサクが|生《うま》れた|時《とき》百|歳《さい》であった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてサラは|言《い》った、「|神《かみ》はわたしを|笑《わら》わせてくださった。|聞《き》く|者《もの》は|皆《みな》わたしのことで|笑《わら》うでしょう」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》った、「サラが|子《こ》に|乳《ちち》を|飲《の》ませるだろうと、だれがアブラハムに|言《い》い|得《え》たであろう。それなのに、わたしは|彼《かれ》が|年《とし》とってから、|子《こ》を|産《う》んだ」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さて、おさなごは|育《そだ》って|乳離《ちばな》れした。イサクが|乳離《ちばな》れした|日《ひ》にアブラハムは|盛《さか》んなふるまいを|設《もう》けた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]サラはエジプトの|女《おんな》ハガルのアブラハムに|産《う》んだ|子《こ》が、|自分《じぶん》の|子《こ》イサクと|遊《あそ》ぶのを|見《み》て、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムに|言《い》った、「このはしためとその|子《こ》を|追《お》い|出《だ》してください。このはしための|子《こ》はわたしの|子《こ》イサクと|共《とも》に、|世継《よつぎ》となるべき|者《もの》ではありません」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》で、アブラハムはその|子《こ》のために|非常《ひじょう》に|心配《しんぱい》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はアブラハムに|言《い》われた、「あのわらべのため、またあなたのはしためのために|心配《しんぱい》することはない。サラがあなたに|言《い》うことはすべて|聞《き》きいれなさい。イサクに|生《うま》れる|者《もの》が、あなたの|子孫《しそん》と|唱《とな》えられるからです。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、はしための|子《こ》もあなたの|子《こ》ですから、これをも、一つの|国民《こくみん》とします」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブラハムは|明《あ》くる|朝《あさ》はやく|起《お》きて、パンと|水《みず》の|皮《かわ》|袋《ぶくろ》とを|取《と》り、ハガルに|与《あた》えて、|肩《かた》に|負《お》わせ、その|子《こ》を|連《つ》れて|去《さ》らせた。ハガルは|去《さ》ってベエルシバの|荒野《あらの》にさまよった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]やがて|皮《かわ》|袋《ぶくろ》の|水《みず》が|尽《つ》きたので、|彼女《かのじょ》はその|子《こ》を|木《き》の|下《した》におき、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはこの|子《こ》の|死《し》ぬのを|見《み》るに|忍《しの》びない」と|言《い》って、|矢《や》の|届《とど》くほど|離《はな》れて|行《い》き、|子供《こども》の|方《ほう》に|向《む》いてすわった。|彼女《かのじょ》が|子供《こども》の|方《ほう》に|向《む》いてすわったとき、|子供《こども》は|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわらべの|声《こえ》を|聞《き》かれ、|神《かみ》の|使《つかい》は|天《てん》からハガルを|呼《よ》んで|言《い》った、「ハガルよ、どうしたのか。|恐《おそ》れてはいけない。|神《かみ》はあそこにいるわらべの|声《こえ》を|聞《き》かれた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》って|行《い》き、わらべを|取《と》り|上《あ》げてあなたの|手《て》に|抱《だ》きなさい。わたしは|彼《かれ》を|大《おお》いなる|国民《こくみん》とするであろう」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がハガルの|目《め》を|開《ひら》かれたので、|彼女《かのじょ》は|水《みず》の|井戸《いど》のあるのを|見《み》た。|彼女《かのじょ》は|行《い》って|皮《かわ》|袋《ぶくろ》に|水《みず》を|満《み》たし、わらべに|飲《の》ませた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわらべと|共《とも》にいまし、わらべは|成長《せいちょう》した。|彼《かれ》は|荒野《あらの》に|住《す》んで|弓《ゆみ》を|射《い》る|者《もの》となった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はパランの|荒野《あらの》に|住《す》んだ。|母《はは》は|彼《かれ》のためにエジプトの|国《くに》から|妻《つま》を|迎《むか》えた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そのころアビメレクとその|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》ピコルはアブラハムに|言《い》った、「あなたが|何事《なにごと》をなさっても、|神《かみ》はあなたと|共《とも》におられる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|今《いま》ここでわたしをも、わたしの|子《こ》をも、|孫《まご》をも|欺《あざむ》かないと、|神《かみ》をさしてわたしに|誓《ちか》ってください。わたしがあなたに|親切《しんせつ》にしたように、あなたもわたしと、このあなたの|寄留《きりゅう》の|地《ち》とに、しなければなりません」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|言《い》った、「わたしは|誓《ちか》います」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはアビメレクの|家来《けらい》たちが、|水《みず》の|井戸《いど》を|奪《うば》い|取《と》ったことについてアビメルクを|責《せ》めた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかしアビメレクは|言《い》った、「だれがこの|事《こと》をしたかわたしは|知《し》りません。あなたもわたしに|告《つ》げたことはなく、わたしもきょうまで|聞《き》きませんでした」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブラハムは|羊《ひつじ》と|牛《うし》とを|取《と》ってアビメレクに|与《あた》え、ふたりは|契約《けいやく》を|結《むす》んだ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムが|雌《めす》の|小羊《こひつじ》七|頭《とう》を|分《わ》けて|置《お》いたところ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクはアブラハムに|言《い》った、「あなたがこれらの|雌《めす》の|小羊《こひつじ》七|頭《とう》を|分《わ》けて|置《お》いたのは、なんのためですか」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|言《い》った、「あなたはわたしの|手《て》からこれらの|雌《めす》の|小羊《こひつじ》七|頭《とう》を|受《う》け|取《と》って、わたしがこの|井戸《いど》を|掘《ほ》ったことの|証拠《しょうこ》としてください」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これによってその|所《ところ》をベエルシバと|名《な》づけた。|彼《かれ》らがふたりそこで|誓《ちか》いをしたからである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]このように|彼《かれ》らはベエルシバで|契約《けいやく》を|結《むす》び、アビメレクとその|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》ピコルは|立《た》ってペリシテの|地《ち》に|帰《かえ》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはベエルシバに一|本《ぽん》のぎょりゅうの|木《き》を|植《う》え、その|所《ところ》で|永遠《えいえん》の|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》んだ。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてアブラハムは|長《なが》い|間《あいだ》ペリシテびとの|地《ち》にとどまった。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、|神《かみ》はアブラハムを|試《こころ》みて|彼《かれ》に|言《い》われた、「アブラハムよ」。|彼《かれ》は|言《い》った、「ここにおります」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|言《い》われた、「あなたの|子《こ》、あなたの|愛《あい》するひとり|子《こ》イサクを|連《つ》れてモリヤの|地《ち》に|行《い》き、わたしが|示《しめ》す|山《やま》で|彼《かれ》を|燔祭《はんさい》としてささげなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|朝《あさ》はやく|起《お》きて、ろばにくらを|置《お》き、ふたりの|若者《わかもの》と、その|子《こ》イサクとを|連《つ》れ、また|燔祭《はんさい》のたきぎを|割《わ》り、|立《た》って|神《かみ》が|示《しめ》された|所《ところ》に|出《で》かけた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》に、アブラハムは|目《め》をあげて、はるかにその|場所《ばしょ》を|見《み》た。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブラハムは|若者《わかもの》たちに|言《い》った、「あなたがたは、ろばと|一緒《いっしょ》にここにいなさい。わたしとわらべは|向《む》こうへ|行《い》って|礼拝《れいはい》し、そののち、あなたがたの|所《ところ》に|帰《かえ》ってきます」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|燔祭《はんさい》のたきぎを|取《と》って、その|子《こ》イサクに|負《お》わせ、|手《て》に|火《ひ》と|刃物《はもの》とを|執《と》って、ふたり|一緒《いっしょ》に|行《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]やがてイサクは|父《ちち》アブラハムに|言《い》った、「|父《ちち》よ」。|彼《かれ》は|答《こた》えた、「|子《こ》よ、わたしはここにいます」。イサクは|言《い》った、「|火《ひ》とたきぎとはありますが、|燔祭《はんさい》の|小羊《こひつじ》はどこにありますか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|言《い》った、「|子《こ》よ、|神《かみ》みずから|燔祭《はんさい》の|小羊《こひつじ》を|備《そな》えてくださるであろう」。こうしてふたりは|一緒《いっしょ》に|行《い》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|神《かみ》の|示《しめ》された|場所《ばしょ》にきたとき、アブラハムはそこに|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、たきぎを|並《なら》べ、その|子《こ》イサクを|縛《しば》って|祭壇《さいだん》のたきぎの|上《うえ》に|載《の》せた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてアブラハムが|手《て》を|差《さ》し|伸《の》べ、|刃物《はもの》を|執《と》ってその|子《こ》を|殺《ころ》そうとした|時《とき》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》が|天《てん》から|彼《かれ》を|呼《よ》んで|言《い》った、「アブラハムよ、アブラハムよ」。|彼《かれ》は|答《こた》えた、「はい、ここにおります」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]み|使《つかい》が|言《い》った、「わらべを|手《て》にかけてはならない。また|何《なに》も|彼《かれ》にしてはならない。あなたの|子《こ》、あなたのひとり|子《こ》をさえ、わたしのために|惜《お》しまないので、あなたが|神《かみ》を|恐《おそ》れる|者《もの》であることをわたしは|今《いま》|知《し》った」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》アブラハムが|目《め》をあげて|見《み》ると、うしろに、|角《つの》をやぶに|掛《か》けている一|頭《とう》の|雄羊《おひつじ》がいた。アブラハムは|行《い》ってその|雄羊《おひつじ》を|捕《とら》え、それをその|子《こ》のかわりに|燔祭《はんさい》としてささげた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それでアブラハムはその|所《ところ》の|名《な》をアドナイ・エレと|呼《よ》んだ。これにより、|人々《ひとびと》は|今日《こんにち》もなお「|主《しゅ》の|山《やま》に|備《そな》えあり」と|言《い》う。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|再《ふたた》び|天《てん》からアブラハムを|呼《よ》んで、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|主《しゅ》は|言《い》われた、『わたしは|自分《じぶん》をさして|誓《ちか》う。あなたがこの|事《こと》をし、あなたの|子《こ》、あなたのひとり|子《こ》をも|惜《お》しまなかったので、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|大《おお》いにあなたを|祝福《しゅくふく》し、|大《おお》いにあなたの|子孫《しそん》をふやして、|天《てん》の|星《ほし》のように、|浜《はま》べの|砂《すな》のようにする。あなたの|子孫《しそん》は|敵《てき》の|門《もん》を|打《う》ち|取《と》り、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|地《ち》のもろもろの|国民《こくみん》はあなたの|子孫《しそん》によって|祝福《しゅくふく》を|得《え》るであろう。あなたがわたしの|言葉《ことば》に|従《したが》ったからである』」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|若者《わかもの》たちの|所《ところ》に|帰《かえ》り、みな|立《た》って、|共《とも》にベエルシバへ|行《い》った。そしてアブラハムはベエルシバに|住《す》んだ。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、ある|人《ひと》がアブラハムに|告《つ》げて|言《い》った、「ミルカもまたあなたの|兄弟《きょうだい》ナホルに|子《こ》どもを|産《う》みました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|長男《ちょうなん》はウヅ、|弟《おとうと》はブズ、|次《つぎ》はアラムの|父《ちち》ケムエル、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》はケセデ、ハゾ、ピルダシ、エデラフ、ベトエルです」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ベトエルの|子《こ》はリベカであって、これら八|人《にん》はミルカがアブラハムの|兄弟《きょうだい》ナホルに|産《う》んだのである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ナホルのそばめで、|名《な》をルマという|女《おんな》もまたテバ、ガハム、タハシおよびマアカを|産《う》んだ。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サラの|一生《いっしょう》は百二十七|年《ねん》であった。これがサラの|生《い》きながらえた|年《とし》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サラはカナンの|地《ち》のキリアテ・アルバすなわちヘブロンで|死《し》んだ。アブラハムは|中《なか》にはいってサラのために|悲《かな》しみ|泣《な》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|死人《しにん》のそばから|立《た》って、ヘテの|人々《ひとびと》に|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたがたのうちの|旅《たび》の|者《もの》で|寄留者《きりゅうしゃ》ですが、わたしの|死人《しにん》を|出《だ》して|葬《ほうむ》るため、あなたがたのうちにわたしの|所有《しょゆう》として一つの|墓地《ぼち》をください」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヘテの|人々《ひとびと》はアブラハムに|答《こた》えて|言《い》った、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「わが|主《しゅ》よ、お|聞《き》きなさい。あなたはわれわれのうちにおられて、|神《かみ》のような|主君《しゅくん》です。われわれの|墓地《ぼち》の|最《もっと》も|良《よ》い|所《ところ》にあなたの|死人《しにん》を|葬《ほうむ》りなさい。その|墓地《ぼち》を|拒《こば》んで、あなたにその|死人《しにん》を|葬《ほうむ》らせない|者《もの》はわれわれのうちには、ひとりもないでしょう」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|立《た》ちあがり、その|地《ち》の|民《たみ》ヘテの|人々《ひとびと》に|礼《れい》をして、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「もしわたしの|死人《しにん》を|葬《ほうむ》るのに|同意《どうい》されるなら、わたしの|願《ねが》いをいれて、わたしのためにゾハルの|子《こ》エフロンに|頼《たの》み、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|持《も》っている|畑《はたけ》の|端《はし》のマクペラのほら|穴《あな》をじゅうぶんな|代価《だいか》でわたしに|与《あた》え、あなたがたのうちに|墓地《ぼち》を|持《も》たせてください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にエフロンはヘテの|人々《ひとびと》のうちにすわっていた。そこでヘテびとエフロンはヘテの|人々《ひとびと》、すなわちすべてその|町《まち》の|門《もん》にはいる|人々《ひとびと》の|聞《き》いているところで、アブラハムに|答《こた》えて|言《い》った、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「いいえ、わが|主《しゅ》よ、お|聞《き》きなさい。わたしはあの|畑《はたけ》をあなたにさしあげます。またその|中《なか》にあるほら|穴《あな》もさしあげます。わたしの|民《たみ》の|人々《ひとびと》の|前《まえ》で、それをさしあげます。あなたの|死人《しにん》を|葬《ほうむ》りなさい」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはその|地《ち》の|民《たみ》の|前《まえ》で|礼《れい》をし、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|民《たみ》の|聞《き》いているところでエフロンに|言《い》った、「あなたがそれを|承諾《しょうだく》されるなら、お|聞《き》きなさい。わたしはその|畑《はたけ》の|代価《だいか》を|払《はら》います。お|受《う》け|取《と》りください。わたしの|死人《しにん》をそこに|葬《ほうむ》りましょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エフロンはアブラハムに|答《こた》えて|言《い》った、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]「わが|主《しゅ》よ、お|聞《き》きなさい。あの|地《ち》は|銀《ぎん》四百シケルですが、これはわたしとあなたの|間《あいだ》で、なにほどのことでしょう。あなたの|死人《しにん》を|葬《ほうむ》りなさい」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブラハムはエフロンの|言葉《ことば》にしたがい、エフロンがヘテの|人々《ひとびと》の|聞《き》いているところで|言《い》った|銀《ぎん》、すなわち|商人《しょうにん》の|通用《つうよう》|銀《ぎん》四百シケルを|量《はか》ってエフロンに|与《あた》えた。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてマムレの|前《まえ》のマクペラにあるエフロンの|畑《はたけ》は、|畑《はたけ》も、その|中《なか》のほら|穴《あな》も、|畑《はたけ》の|中《なか》およびその|周囲《しゅうい》の|境《さかい》にあるすべての|木《き》も|皆《みな》、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヘテの|人々《ひとびと》の|前《まえ》、すなわちその|町《まち》の|門《もん》にはいるすべての|人々《ひとびと》の|前《まえ》で、アブラハムの|所有《しょゆう》と|決《き》まった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、アブラハムはその|妻《つま》サラをカナンの|地《ち》にあるマムレ、すなわちヘブロンの|前《まえ》のマクペラの|畑《はたけ》のほら|穴《あな》に|葬《ほうむ》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]このように|畑《はたけ》とその|中《なか》にあるほら|穴《あな》とはヘテの|人々《ひとびと》によってアブラハムの|所有《しょゆう》の|墓地《ぼち》と|定《さだ》められた。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|年《とし》が|進《すす》んで|老人《ろうじん》となった。|主《しゅ》はすべての|事《こと》にアブラハムを|恵《めぐ》まれた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さてアブラハムは|所有《しょゆう》のすべてを|管理《かんり》させていた|家《いえ》の|年長《ねんちょう》のしもべに|言《い》った、「あなたの|手《て》をわたしのももの|下《した》に|入《い》れなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|天地《てんち》の|神《かみ》、|主《しゅ》をさして|誓《ちか》わせる。あなたはわたしが|今《いま》|一緒《いっしょ》に|住《す》んでいるカナンびとのうちから、|娘《むすめ》をわたしの|子《こ》の|妻《つま》にめとってはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|国《くに》へ|行《い》き、|親族《しんぞく》の|所《ところ》へ|行《い》って、わたしの|子《こ》イサクのために|妻《つま》をめとらなければならない」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|彼《かれ》に|言《い》った、「もしその|女《おんな》がわたしについてこの|地《ち》に|来《く》ることを|好《この》まない|時《とき》は、わたしはあなたの|子《こ》をあなたの|出身《しゅっしん》|地《ち》に|連《つ》れ|帰《かえ》るべきでしょうか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしの|子《こ》は|決《けっ》して|向《む》こうへ|連《つ》れ|帰《かえ》ってはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|神《かみ》、|主《しゅ》はわたしを|父《ちち》の|家《いえ》、|親族《しんぞく》の|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》してわたしに|語《かた》り、わたしに|誓《ちか》って、おまえの|子孫《しそん》にこの|地《ち》を|与《あた》えると|言《い》われた。|主《しゅ》は、み|使《つかい》をあなたの|前《まえ》につかわされるであろう。あなたはあそこからわたしの|子《こ》に|妻《つま》をめとらねばならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]けれどもその|女《おんな》があなたについて|来《く》ることを|好《この》まないなら、あなたはこの|誓《ちか》いを|解《と》かれる。ただわたしの|子《こ》を|向《む》こうへ|連《つ》れ|帰《かえ》ってはならない」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでしもべは|手《て》を|主人《しゅじん》アブラハムのももの|下《した》に|入《い》れ、この|事《こと》について|彼《かれ》に|誓《ちか》った。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|主人《しゅじん》のらくだのうちから十|頭《とう》のらくだを|取《と》って|出《で》かけた。すなわち|主人《しゅじん》のさまざまの|良《よ》い|物《もの》を|携《たずさ》え、|立《た》ってアラム・ナハライムにむかい、ナホルの|町《まち》へ|行《い》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はらくだを|町《まち》の|外《そと》の、|水《みず》の|井戸《いど》のそばに|伏《ふ》させた。|時《とき》は|夕暮《ゆうぐれ》で、|女《おんな》たちが|水《みず》をくみに|出《で》る|時刻《じこく》であった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|主人《しゅじん》アブラハムの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうか、きょう、わたしにしあわせを|授《さづ》け、|主人《しゅじん》アブラハムに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》してください。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|泉《いずみ》のそばに|立《た》っています。|町《まち》の|人々《ひとびと》の|娘《むすめ》たちが|水《みず》をくみに|出《で》てきたとき、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|娘《むすめ》に|向《む》かって『お|願《ねが》いです、あなたの|水《みず》がめを|傾《かたむ》けてわたしに|飲《の》ませてください』と|言《い》い、|娘《むすめ》が|答《こた》えて、『お|飲《の》みください。あなたのらくだにも|飲《の》ませましょう』と|言《い》ったなら、その|者《もの》こそ、あなたがしもべイサクのために|定《さだ》められた|者《もの》ということにしてください。わたしはこれによって、あなたがわたしの|主人《しゅじん》に|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》されることを|知《し》りましょう」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまだ|言《い》い|終《おわ》らないうちに、アブラハムの|兄弟《きょうだい》ナホルの|妻《つま》ミルカの|子《こ》ベトエルの|娘《むすめ》リベカが、|水《みず》がめを|肩《かた》に|載《の》せて|出《で》てきた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|娘《むすめ》は|非常《ひじょう》に|美《うつく》しく、|男《おとこ》を|知《し》らぬ|処女《しょじょ》であった。|彼女《かのじょ》が|泉《いずみ》に|降《ふ》りて、|水《みず》がめを|満《み》たし、|上《あ》がってきた|時《とき》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|走《はし》り|寄《よ》って、|彼女《かのじょ》に|会《あ》って|言《い》った、「お|願《ねが》いです。あなたの|水《みず》がめの|水《みず》を|少《すこ》し|飲《の》ませてください」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼女《かのじょ》は「わが|主《しゅ》よ、お|飲《の》みください」と|言《い》って、|急《いそ》いで|水《みず》がめを|自分《じぶん》の|手《て》に|取《と》りおろして|彼《かれ》に|飲《の》ませた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|飲《の》ませ|終《おわ》って、|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「あなたのらくだもみな|飲《の》み|終《おわ》るまで、わたしは|水《みず》をくみましょう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|急《いそ》いでかめの|水《みず》を|水《みず》ぶねにあけ、|再《ふたた》び|水《みず》をくみに|井戸《いど》に|走《はし》って|行《い》って、すべてのらくだのために|水《みず》をくんだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|間《かん》その|人《ひと》は|主《しゅ》が|彼《かれ》の|旅《たび》の|祝福《しゅくふく》されるか、どうかを|知《し》ろうと、|黙《だま》って|彼女《かのじょ》を|見《み》つめていた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]らくだが|飲《の》み|終《おわ》ったとき、その|人《ひと》は|重《おも》さ|半《はん》シケルの|金《きん》の|鼻輪《はなわ》一つと、|重《おも》さ十シケルの|金《きん》の|腕輪《うでわ》二つを|取《と》って、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「あなたはだれの|娘《むすめ》か、わたしに|話《はな》してください。あなたの|父《ちち》の|家《いえ》にわたしどもの|泊《と》まる|場所《ばしょ》がありましょうか」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしはナホルの|妻《つま》ミルカの|子《こ》ベトエルの|娘《むすめ》です」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしどもには、わらも、|飼葉《かいば》もたくさんあります。また|泊《と》まる|場所《ばしょ》もあります」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|頭《とう》を|下《さ》げ、|主《しゅ》を|拝《はい》して、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|主人《しゅじん》アブラハムの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はわたしの|主人《しゅじん》にいつくしみと、まこととを|惜《お》しまれなかった。そして|主《しゅ》は|旅《たび》にあるわたしを|主人《しゅじん》の|兄弟《きょうだい》の|家《いえ》に|導《みちび》かれた」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|娘《むすめ》は|走《はし》って|行《い》って、|母《はは》の|家《いえ》のものにこれらの|事《こと》を|告《つ》げた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]リベカにひとりの|兄《あに》があって、|名《な》をラバンといった。ラバンは|泉《いずみ》のそばにいるその|人《ひと》の|所《ところ》へ|走《はし》って|行《い》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|鼻輪《はなわ》と|妹《いもうと》の|手《て》にある|腕輪《うでわ》とを|見《み》、また|妹《いもうと》リベカが「その|人《ひと》はわたしにこう|言《い》った」というのを|聞《き》いて、その|人《ひと》の|所《ところ》へ|行《い》ってみると、その|人《ひと》は|泉《いずみ》のほとりで、らくだのそばに|立《た》っていた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|人《ひと》に|言《い》った、「|主《しゅ》に|祝福《しゅくふく》された|人《ひと》よ、おはいりください。なぜ|外《そと》に|立《た》っておられますか。わたしは|家《いえ》を|準備《じゅんび》し、らくだのためにも|場所《ばしょ》を|準備《じゅんび》しておきました」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|家《いえ》にはいった。ラバンはらくだの|荷《に》を|解《と》いて、わらと|飼葉《かいば》をらくだに|与《あた》え、また|水《みず》を|与《あた》えてその|人《ひと》の|足《あし》と、その|従者《じゅうしゃ》たちの|足《あし》を|洗《あら》わせた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》の|前《まえ》に|食物《しょくもつ》を|供《そな》えたが、|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしは|用向《ようむ》きを|話《はな》すまでは|食《た》べません」。ラバンは|言《い》った、「お|話《はな》しください」。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしはアブラハムのしもべです。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|主人《しゅじん》を|大《おお》いに|祝福《しゅくふく》して、|大《おお》いなる|者《もの》とされました。|主《しゅ》はまた|彼《かれ》に|羊《ひつじ》、|牛《うし》、|銀《ぎん》、|金《きん》、|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》、らくだ、ろばを|与《あた》えられました。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主人《しゅじん》の|妻《つま》サラは|年老《としお》いてから、|主人《しゅじん》に|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》みました。|主人《しゅじん》はその|所有《しょゆう》を|皆《みな》これに|与《あた》えました。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ところで|主人《しゅじん》はわたしに|誓《ちか》わせて|言《い》いました、『わたしの|住《す》んでいる|地《ち》のカナンびとの|娘《むすめ》を、わたしの|子《こ》の|妻《つま》にめとってはならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]おまえはわたしの|父《ちち》の|家《いえ》、|親族《しんぞく》の|所《ところ》へ|行《い》って、わたしの|子《こ》に|妻《つま》をめとらなければならない』。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主人《しゅじん》に|言《い》いました、『もしその|女《おんな》がわたしについてこない|時《とき》はどういたしましょうか』。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主人《しゅじん》はわたしに|言《い》いました、『わたしの|仕《つか》えている|主《しゅ》は、み|使《つかい》をおまえと|一緒《いっしょ》につかわして、おまえの|旅《たび》にさいわいを|与《あた》えられるであろう。おまえはわたしの|親族《しんぞく》、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》からわたしの|子《こ》に|妻《つま》をめとらなければならない。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、おまえはわたしにした|誓《ちか》いから|解《と》かれるであろう。またおまえがわたしの|親族《しんぞく》に|行《い》く|時《とき》、|彼《かれ》らがおまえにその|娘《むすめ》を|与《あた》えないなら、おまえはわたしにした|誓《ちか》いから|解《と》かれるであろう』。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはきょう、|泉《いずみ》のところにきて|言《い》いました、『|主人《しゅじん》アブラハムの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうか|今《いま》わたしのゆく|道《みち》にさいわいを|与《あた》えてください。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|泉《いずみ》のそばに|立《た》っていますが、|水《みず》をくみに|出《で》てくる|娘《むすめ》に|向《む》かって、「お|願《ねが》いです。あなたの|水《みず》がめの|水《みず》を|少《すこ》し|飲《の》ませてください」と|言《い》い、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]「お|飲《の》みください。あなたのらくだのためにも、くみましょう」とわたしに|言《い》うなら、その|娘《むすめ》こそ、|主《しゅ》がわたしの|主人《しゅじん》の|子《こ》のために|定《さだ》められた|女《おんな》ということにしてください』。  [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|心《こころ》のうちでそう|言《い》い|終《おわ》らないうちに、リベカが|水《みず》がめを|肩《かた》に|載《の》せて|出《で》てきて、|水《みず》をくみに|泉《いずみ》に|降《ふ》りたので、わたしは『お|願《ねが》いです、|飲《の》ませてください』と|言《い》いますと、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|急《いそ》いで|水《みず》がめを|肩《かた》からおろし、『お|飲《の》みください。わたしはあなたのらくだにも|飲《の》ませましょう』と|言《い》いました。それでわたしは|飲《の》みましたが、|彼女《かのじょ》はらくだにも|飲《の》ませました。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼女《かのじょ》に|尋《たず》ねて、『あなたはだれの|娘《むすめ》ですか』と|言《い》いますと、『ナホルとその|妻《つま》ミルカの|子《こ》ベトエルの|娘《むすめ》です』と|答《こた》えました。そこでわたしは|彼女《かのじょ》の|鼻《はな》に|鼻輪《はなわ》をつけ、|手《て》に|腕輪《うでわ》をつけました。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは|頭《あたま》をさげて|主《しゅ》を|拝《はい》し、|主人《しゅじん》アブラハムの|神《かみ》、|主《しゅ》をほめたたえました。|主《しゅ》は|主人《しゅじん》の|兄弟《きょうだい》の|娘《むすめ》を|子《こ》にめとらせようと、わたしを|正《ただ》しい|道《みち》に|導《みちび》かれたからです。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、もしわたしの|主人《しゅじん》にいつくしみと、まことを|尽《つく》そうと|思《おも》われるなら、そうとわたしにお|話《はな》しください。そうでなければ、そうでないとお|話《はな》しください。それによってわたしは|右《みぎ》か|左《ひだり》に|決《き》めましょう」。  [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]ラバンとベトエルは|答《こた》えて|言《い》った、「この|事《こと》は|主《しゅ》から|出《で》たことですから、わたしどもはあなたによしあしを|言《い》うことができません。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]リベカがここにおりますから|連《つ》れて|行《い》って、|主《しゅ》が|言《い》われたように、あなたの|主人《しゅじん》の|子《こ》の|妻《つま》にしてください」。  [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムのしもべは|彼《かれ》らの|言葉《ことば》を|聞《き》いて、|地《ち》に|伏《ふ》し、|主《しゅ》を|拝《はい》した。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]そしてしもべは|銀《ぎん》の|飾《かざ》りと、|金《きん》の|飾《かざ》り、および|衣服《いふく》を|取《と》り|出《だ》してリベカに|与《あた》え、その|兄《あに》と|母《はは》とにも|価《あたい》の|高《たか》い|品々《しなじな》を|与《あた》えた。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》と|従者《じゅうしゃ》たちは|飲《の》み|食《く》いして|宿《やど》ったが、あくる|朝《あさ》|彼《かれ》らが|起《お》きた|時《とき》、しもべは|言《い》った、「わたしを|主人《しゅじん》のもとに|帰《かえ》らせてください」。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]リベカの|兄《あに》と|母《はは》とは|言《い》った、「|娘《むすめ》は|数日《すうじつ》、|少《すく》なくとも十|日《か》、わたしどもと|共《とも》にいて、それから|行《い》かせましょう」。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|主《しゅ》はわたしの|道《みち》にさいわいを|与《あた》えられましたから、わたしを|引《ひ》きとめずに、|主人《しゅじん》のもとに|帰《かえ》らせてください」。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「|娘《むすめ》を|呼《よ》んで|聞《き》いてみましょう」。[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはリベカを|呼《よ》んで|言《い》った、「あなたはこの|人《ひと》と|一緒《いっしょ》に|行《い》きますか」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「|行《い》きます」。[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|妹《いもうと》リベカと、そのうばと、アブラハムのしもべと、その|従者《じゅうしゃ》とを|送《おく》り|去《さ》らせた。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはリベカを|祝福《しゅくふく》して|彼女《かのじょ》に|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|妹《いもうと》よ、あなたは、ちよろずの|人《ひと》の|母《はは》となれ。 あなたの|子孫《しそん》はその|敵《てき》の|門《もん》を|打《う》ち|取《と》れ」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]リベカは|立《た》って|侍女《じじょ》たちと|共《とも》にらくだに|乗《の》り、その|人《ひと》に|従《したが》って|行《い》った。しもべはリベカを|連《つ》れて|立《た》ち|去《さ》った。  [#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]さてイサクはベエル・ラハイ・ロイからきて、ネゲブの|地《ち》に|住《す》んでいた。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|夕暮《ゆうぐれ》、|野《の》に|出《で》て|歩《ある》いていたが、|目《め》をあげて、らくだの|来《く》るのを|見《み》た。[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]リベカは|目《め》をあげてイサクを|見《み》、らくだからおりて、[#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]しもべに|言《い》った、「わたしたちに|向《む》かって、|野《の》を|歩《ある》いて|来《く》るあの|人《ひと》はだれでしょう」。しもべは|言《い》った、「あれはわたしの|主人《しゅじん》です」。するとリベカは、|被衣《かずき》で|身《み》をおおった。[#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|自分《じぶん》がしたことのすべてをイサクに|話《はな》した。[#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]イサクはリベカを|天幕《てんまく》に|連《つ》れて|行《い》き、リベカをめとって|妻《つま》とし、|彼女《かのじょ》を|愛《あい》した。こうしてイサクは|母《はは》の|死後《しご》、|慰《なぐさ》めを|得《え》た。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|再《ふたた》び|妻《つま》をめとった。|名《な》をケトラという。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバクおよびシュワを|産《う》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨクシャンの|子《こ》はシバとデダン。デダンの|子孫《しそん》はアシュリびと、レトシびと、レウミびとである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ミデアンの|子孫《しそん》はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアであって、これらは|皆《みな》ケトラの|子孫《しそん》であった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはその|所有《しょゆう》をことごとくイサクに|与《あた》えた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またそのそばめたちの|子《こ》らにもアブラハムは|物《もの》を|与《あた》え、なお|生《い》きている|間《あいだ》に|彼《かれ》らをその|子《こ》イサクから|離《はな》して、|東《ひがし》の|方《ほう》、|東《ひがし》の|国《くに》に|移《うつ》らせた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムの|生《い》きながらえた|年《とし》は百七十五|年《ねん》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムは|高齢《こうれい》に|達《たっ》し、|老人《ろうじん》となり、|年《とし》が|満《み》ちて|息《いき》|絶《た》え、|死《し》んでその|民《たみ》に|加《くわ》えられた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》イサクとイシマエルは|彼《かれ》をヘテびとゾハルの|子《こ》エフロンの|畑《はたけ》にあるマクペラのほら|穴《あな》に|葬《ほうむ》った。これはマムレの|向《む》かいにあり、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムがヘテの|人々《ひとびと》から、|買《か》い|取《と》った|畑《はたけ》であって、そこにアブラハムとその|妻《つま》サラが|葬《ほうむ》られた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムが|死《し》んだ|後《のち》、|神《かみ》はその|子《こ》イサクを|祝福《しゅくふく》された。イサクはベエル・ラハイ・ロイのほとりに|住《す》んだ。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]サラのつかえめエジプトびとハガルがアブラハムに|産《う》んだアブラハムの|子《こ》イシマエルの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イシマエルの|子《こ》らの|名《な》を|世代《せだい》にしたがって、その|名《な》をいえば|次《つぎ》のとおりである。すなわちイシマエルの|長子《ちょうし》はネバヨテ、|次《つぎ》はケダル、アデビエル、ミブサム、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ミシマ、ドマ、マッサ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ハダデ、テマ、エトル、ネフシ、ケデマ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これはイシマエルの|子《こ》らであり、|村《むら》と|宿営《しゅくえい》とによる|名《な》であって、その|氏族《しぞく》による十二|人《にん》の|君《きみ》たちである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イシマエルのよわいは百三十七|年《ねん》である。|彼《かれ》は|息《いき》|絶《た》えて|死《し》に、その|民《たみ》に|加《くわ》えられた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イシマエルの|子《こ》らはハビラからエジプトの|東《ひがし》、シュルまでの|間《あいだ》に|住《す》んで、アシュルに|及《およ》んだ。イシマエルはすべての|兄弟《きょうだい》の|東《ひがし》に|住《す》んだ。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムの|子《こ》イサクの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。アブラハムの|子《こ》はイサクであって、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]イサクは四十|歳《さい》の|時《とき》、パダンアラムのアラムびとベトエルの|娘《むすめ》で、アラムびとラバンの|妹《いもうと》リベカを|妻《つま》にめとった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|妻《つま》が|子《こ》を|産《う》まなかったので、|妻《つま》のために|主《しゅ》に|祈《いの》り|願《ねが》った。|主《しゅ》はその|願《ねが》いを|聞《き》かれ、|妻《つま》リベカはみごもった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ところがその|子《こ》らが|胎内《たいない》で|押《お》し|合《あ》ったので、リベカは|言《い》った、「こんなことでは、わたしはどうなるでしょう」。|彼女《かのじょ》は|行《い》って|主《しゅ》に|尋《たず》ねた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼女《かのじょ》に|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「二つの|国民《こくみん》があなたの|胎内《たいない》にあり、 二つの|民《たみ》があなたの|腹《はら》から|別《わか》れて|出《で》る。 一つの|民《たみ》は|他《た》の|民《たみ》よりも|強《つよ》く、 |兄《あに》は|弟《おとうと》に|仕《つか》えるであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》の|出産《しゅっさん》の|日《ひ》がきたとき、|胎内《たいない》にはふたごがあった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]さきに|出《で》たのは|赤《あか》くて|全身《ぜんしん》|毛《け》ごろものようであった。それで|名《な》をエサウと|名《な》づけた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》に|弟《おとうと》が|出《で》た。その|手《て》はエサウのかかとをつかんでいた。それで|名《な》をヤコブと|名《な》づけた。リベカが|彼《かれ》らを|産《う》んだ|時《とき》、イサクは六十|歳《さい》であった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]さてその|子《こ》らは|成長《せいちょう》し、エサウは|巧《たく》みな|狩猟者《しゅりょうしゃ》となり、|野《の》の|人《ひと》となったが、ヤコブは|穏《おだ》やかな|人《ひと》で、|天幕《てんまく》に|住《す》んでいた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イサクは、しかの|肉《にく》が|好《す》きだったので、エサウを|愛《あい》したが、リベカはヤコブを|愛《あい》した。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》ヤコブが、あつものを|煮《に》ていた|時《とき》、エサウは|飢《う》え|疲《つか》れて|野《の》から|帰《かえ》ってきた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]エサウはヤコブに|言《い》った、「わたしは|飢《う》え|疲《つか》れた。お|願《ねが》いだ。|赤《あか》いもの、その|赤《あか》いものをわたしに|食《た》べさせてくれ」。|彼《かれ》が|名《な》をエドムと|呼《よ》ばれたのはこのためである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|言《い》った、「まずあなたの|長子《ちょうし》の|特権《とっけん》をわたしに|売《う》りなさい」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|言《い》った、「わたしは|死《し》にそうだ。|長子《ちょうし》の|特権《とっけん》などわたしに|何《なに》になろう」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはまた|言《い》った、「まずわたしに|誓《ちか》いなさい」。|彼《かれ》は|誓《ちか》って|長子《ちょうし》の|特権《とっけん》をヤコブに|売《う》った。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブはパンとレンズ|豆《まめ》のあつものとをエサウに|与《あた》えたので、|彼《かれ》は|飲《の》み|食《く》いして、|立《た》ち|去《さ》った。このようにしてエサウは|長子《ちょうし》の|特権《とっけん》を|軽《かろ》んじた。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムの|時《とき》にあった|初《はじ》めのききんのほか、またききんがその|国《くに》にあったので、イサクはゲラルにいるペリシテびとの|王《おう》アビメレクの|所《ところ》へ|行《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|現《あらわ》れて|言《い》われた、「エジプトへ|下《くだ》ってはならない。わたしがあなたに|示《しめ》す|地《ち》にとどまりなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがこの|地《ち》にとどまるなら、わたしはあなたと|共《とも》にいて、あなたを|祝福《しゅくふく》し、これらの|国《くに》をことごとくあなたと、あなたの|子孫《しそん》とに|与《あた》え、わたしがあなたの|父《ちち》アブラハムに|誓《ちか》った|誓《ちか》いを|果《はた》そう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またわたしはあなたの|子孫《しそん》を|増《ま》して|天《てん》の|星《ほし》のようにし、あなたの|子孫《しそん》にこれらの|地《ち》をみな|与《あた》えよう。そして|地《ち》のすべての|国民《こくみん》はあなたの|子孫《しそん》によって|祝福《しゅくふく》をえるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムがわたしの|言葉《ことば》にしたがってわたしのさとしと、いましめと、さだめと、おきてとを|守《まも》ったからである」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイサクはゲラルに|住《す》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》の|人々《ひとびと》が|彼《かれ》の|妻《つま》のことを|尋《たず》ねたとき、「|彼女《かのじょ》はわたしの|妹《いもうと》です」と|彼《かれ》は|言《い》った。リベカは|美《うつく》しかったので、その|所《ところ》の|人々《ひとびと》がリベカのゆえに|自分《じぶん》を|殺《ころ》すかもしれないと|思《おも》って、「わたしの|妻《つま》です」と|言《い》うのを|恐《おそ》れたからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|長《なが》らくそこにいたが、ある|日《ひ》ペリシテびとの|王《おう》アビメレクは|窓《まど》から|外《そと》をながめていて、イサクがその|妻《つま》リベカと|戯《たわむ》れているのを|見《み》た。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでアビメレクはイサクを|召《め》して|言《い》った、「|彼女《かのじょ》は|確《たし》かにあなたの|妻《つま》です。あなたはどうして『|彼女《かのじょ》はわたしの|妹《いもうと》です』と|言《い》われたのですか」。イサクは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしは|彼女《かのじょ》のゆえに|殺《ころ》されるかもしれないと|思《おも》ったからです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクは|言《い》った、「あなたはどうしてこんな|事《こと》をわれわれにされたのですか。|民《たみ》のひとりが|軽々《かるがる》しくあなたの|妻《つま》と|寝《ね》るような|事《こと》があれば、その|時《とき》あなたはわれわれに|罪《つみ》を|負《お》わせるでしょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それでアビメレクはすべての|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》った、「この|人《ひと》、またはその|妻《つま》にさわる|者《もの》は|必《かなら》ず|死《し》ななければならない」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イサクはその|地《ち》に|種《たね》をまいて、その|年《とし》に百|倍《ばい》の|収穫《しゅうかく》を|得《え》た。このように|主《しゅ》が|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》されたので、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|富《と》み、またますます|栄《さか》えて|非常《ひじょう》に|裕福《ゆうふく》になり、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|羊《ひつじ》の|群《む》れ、|牛《うし》の|群《む》れ|及《およ》び|多《おお》くのしもべを|持《も》つようになったので、ペリシテびとは|彼《かれ》をねたんだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またペリシテびとは|彼《かれ》の|父《ちち》アブラハムの|時《とき》に、|父《ちち》のしもべたちが|掘《ほ》ったすべての|井戸《いど》をふさぎ、|土《つち》で|埋《う》めた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクはイサクに|言《い》った、「あなたはわれわれよりも、はるかに|強《つよ》くなられたから、われわれの|所《ところ》を|去《さ》ってください」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イサクはそこを|去《さ》り、ゲラルの|谷《たに》に|天幕《てんまく》を|張《は》ってその|所《ところ》に|住《す》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そしてイサクは|父《ちち》アブラハムの|時《とき》に|人々《ひとびと》の|掘《ほ》った|水《みず》の|井戸《いど》を|再《ふたた》び|掘《ほ》った。アブラハムの|死後《しご》、ペリシテびとがふさいだからである。イサクは|父《ちち》がつけた|名《な》にしたがってそれらに|名《な》をつけた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしイサクのしもべたちが|谷《たに》の|中《なか》を|掘《ほ》って、そこにわき|出《で》る|水《みず》の|井戸《いど》を|見《み》つけたとき、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ゲラルの|羊飼《ひつじかい》たちは、「この|水《みず》はわれわれのものだ」と|言《い》って、イサクの|羊飼《ひつじかい》たちと|争《あらそ》ったので、イサクはその|井戸《いど》の|名《な》をエセクと|名《な》づけた。|彼《かれ》らが|彼《かれ》と|争《あらそ》ったからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた一つの|井戸《いど》を|掘《ほ》ったが、これをも|争《あらそ》ったので、|名《な》をシテナと|名《な》づけた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イサクはそこから|移《うつ》ってまた一つの|井戸《いど》を|掘《ほ》ったが、|彼《かれ》らはこれを|争《あらそ》わなかったので、その|名《な》をレホボテと|名《な》づけて|言《い》った、「いま|主《しゅ》がわれわれの|場所《ばしょ》を|広《ひろ》げられたから、われわれはこの|地《ち》にふえるであろう」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそこからベエルシバに|上《のぼ》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よ》、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|現《あらわ》れて|言《い》われた、「わたしはあなたの|父《ちち》アブラハムの|神《かみ》である。あなたは|恐《おそ》れてはならない。わたしはあなたと|共《とも》におって、あなたを|祝福《しゅくふく》し、わたしのしもべアブラハムのゆえにあなたの|子孫《しそん》を|増《ま》すであろう」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それで|彼《かれ》はその|所《ところ》に|祭壇《さいだん》を|築《きず》いて、|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》び、そこに|天幕《てんまく》を|張《は》った。またイサクのしもべたちはそこに一つの|井戸《いど》を|掘《ほ》った。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にアビメレクがその|友《とも》アホザテと、|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》ピコルと|共《とも》にゲラルからイサクのもとにきたので、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはわたしを|憎《にく》んで、あなたがたの|中《なか》からわたしを|追《お》い|出《だ》されたのに、どうしてわたしの|所《ところ》にこられたのですか」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「われわれは|主《しゅ》があなたと|共《とも》におられるのを、はっきり|見《み》ましたので、いまわれわれの|間《あいだ》、すなわちわれわれとあなたとの|間《あいだ》に一つの|誓《ちか》いを|立《た》てて、あなたと|契約《けいやく》を|結ぼ《むすぼ》うと|思《おも》います。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]われわれはあなたに|害《がい》を|加《くわ》えたことはなく、ただ|良《よ》い|事《こと》だけをして、|安《やす》らかに|去《さ》らせたのですから、あなたはわれわれに|悪《わる》い|事《こと》をしてはなりません。まことにあなたは|主《しゅ》に|祝福《しゅくふく》されたかたです」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでイサクは|彼《かれ》らのためにふるまいを|設《もう》けた。|彼《かれ》らは|飲《の》み|食《く》いし、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あくる|朝《あさ》、はやく|起《お》きて|互《たがい》に|誓《ちか》った。こうしてイサクは|彼《かれ》らを|去《さ》らせたので、|彼《かれ》らはイサクのもとから|穏《おだ》やかに|去《さ》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、イサクのしもべたちがきて、|自分《じぶん》たちが|掘《ほ》った|井戸《いど》について|彼《かれ》に|告《つ》げて|言《い》った、「わたしたちは|水《みず》を|見《み》つけました」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]イサクはそれをシバと|名《な》づけた。これによってその|町《まち》の|名《な》は|今日《こんにち》にいたるまでベエルシバといわれている。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]エサウは四十|歳《さい》の|時《とき》、ヘテびとベエリの|娘《むすめ》ユデテとヘテびとエロンの|娘《むすめ》バスマテとを|妻《つま》にめとった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》たちはイサクとリベカにとって|心《こころ》の|痛《いた》みとなった。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|年老《としお》い、|目《め》がかすんで|見《み》えなくなった|時《とき》、|長子《ちょうし》エサウを|呼《よ》んで|言《い》った、「|子《こ》よ」。|彼《かれ》は|答《こた》えて|言《い》った、「ここにおります」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|言《い》った。「わたしは|年老《としお》いて、いつ|死《し》ぬかも|知《し》れない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それであなたの|武器《ぶき》、|弓矢《ゆみや》をもって|野《の》に|出《で》かけ、わたしのために、しかの|肉《にく》をとってきて、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|好《す》きなおいしい|食《た》べ|物《もの》を|作《つく》り、|持《も》ってきて|食《た》べさせよ。わたしは|死《し》ぬ|前《まえ》にあなたを|祝福《しゅくふく》しよう」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]イサクがその|子《こ》エサウに|語《かた》るのをリベカは|聞《き》いていた。やがてエサウが、しかの|肉《にく》を|獲《え》ようと|野《の》に|出《で》かけたとき、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]リベカはその|子《こ》ヤコブに|言《い》った、「わたしは|聞《き》いていましたが、|父《ちち》は|兄《あに》エサウに、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]『わたしのために、しかの|肉《にく》をとってきて、おいしい|食《た》べ|物《もの》を|作《つく》り、わたしに|食《た》べさせよ。わたしは|死《し》ぬ|前《まえ》に、|主《しゅ》の|前《まえ》であなたを|祝福《しゅくふく》しよう』と|言《い》いました。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それで、|子《こ》よ、わたしの|言葉《ことば》にしたがい、わたしの|言《い》うとおりにしなさい。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|群《む》れの|所《ところ》へ|行《い》って、そこからやぎの|子《こ》の|良《よ》いのを二|頭《とう》わたしの|所《ところ》に|取《と》ってきなさい。わたしはそれで|父《ちち》のために、|父《ちち》の|好《す》きなおいしい|食《た》べ|物《もの》を|作《つく》りましょう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれを|持《も》って|行《い》って|父《ちち》に|食《た》べさせなさい。|父《ちち》は|死《し》ぬ|前《まえ》にあなたを|祝福《しゅくふく》するでしょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|母《はは》リベカに|言《い》った、「|兄《あに》エサウは|毛深《けぶか》い|人《ひと》ですが、わたしはなめらかです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]おそらく|父《ちち》はわたしにさわってみるでしょう。そうすればわたしは|父《ちち》を|欺《あざむ》く|者《もの》と|思《おも》われ、|祝福《しゅくふく》を|受《う》けず、かえってのろいを|受《う》けるでしょう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|母《はは》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|子《こ》よ、あなたがうけるのろいはわたしが|受《う》けます。ただ、わたしの|言葉《ことば》に|従《したが》い、|行《い》って|取《と》ってきなさい」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》は|行《い》ってやぎの|子《こ》を|取《と》り、|母《はは》の|所《ところ》に|持《も》ってきたので、|母《はは》は|父《ちち》の|好《す》きなおいしい|食《た》べ|物《もの》を|作《つく》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]リベカは|家《いえ》にあった|長子《ちょうし》エサウの|晴着《はれぎ》を|取《と》って、|弟《おとうと》ヤコブに|着《き》せ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|子《こ》やぎの|皮《かわ》を|手《て》と|首《くび》のなめらかな|所《ところ》とにつけさせ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》が|作《つく》ったおいしい|食《た》べ|物《もの》とパンとをその|子《こ》ヤコブの|手《て》にわたした。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|父《ちち》の|所《ところ》へ|行《い》って|言《い》った、「|父《ちち》よ」。すると|父《ちち》は|言《い》った、「わたしはここにいる。|子《こ》よ、あなたはだれか」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|父《ちち》に|言《い》った、「|長子《ちょうし》エサウです。あなたがわたしに|言《い》われたとおりにいたしました。どうぞ|起《お》きて、すわってわたしのしかの|肉《にく》を|食《た》べ、あなたみずからわたしを|祝福《しゅくふく》してください」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]イサクはその|子《こ》に|言《い》った、「|子《こ》よ、どうしてあなたはこんなに|早《はや》く|手《て》に|入《い》れたのか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がわたしにしあわせを|授《さづ》けられたからです」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イサクはヤコブに|言《い》った、「|子《こ》よ、|近寄《ちかよ》りなさい。わたしは、さわってみて、あなたが|確《たし》かにわが|子《こ》エサウであるかどうかをみよう」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブが、|父《ちち》イサクに|近寄《ちかよ》ったので、イサクは|彼《かれ》にさわってみて|言《い》った、「|声《こえ》はヤコブの|声《こえ》だが、|手《て》はエサウの|手《て》だ」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|手《て》が|兄《あに》エサウの|手《て》のように|毛深《けぶか》かったため、イサクはヤコブを|見《み》わけることができなかったので、|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|言《い》った、「あなたは|確《たし》かにわが|子《こ》エサウですか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「そうです」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|言《い》った、「わたしの|所《ところ》へ|持《も》ってきなさい。わが|子《こ》のしかの|肉《にく》を|食《た》べて、わたしみずから、あなたを|祝福《しゅくふく》しよう」。ヤコブがそれを|彼《かれ》の|所《ところ》に|持《も》ってきたので、|彼《かれ》は|食《た》べた。またぶどう|酒《しゅ》を|持《も》ってきたので、|彼《かれ》は|飲《の》んだ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そして|父《ちち》イサクは|彼《かれ》に|言《い》った、「|子《こ》よ、さあ、|近寄《ちかよ》ってわたしに|口《くち》づけしなさい」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|近寄《ちかよ》って|口《くち》づけした|時《とき》、イサクはその|着物《きもの》のかおりをかぎ、|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》して|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「ああ、わが|子《こ》のかおりは、 |主《しゅ》が|祝福《しゅくふく》された|野《の》のかおりのようだ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]どうか|神《かみ》が、|天《てん》の|露《つゆ》と、 |地《ち》の|肥《こ》えたところと、|多《おお》くの|穀物《こくもつ》と、 |新《あたら》しいぶどう|酒《しゅ》とをあなたに|賜《たま》わるように。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》はあなたに|仕《つか》え、 もろもろの|国《くに》はあなたに|身《み》をかがめる。 あなたは|兄弟《きょうだい》たちの|主《しゅ》となり、 あなたの|母《はは》の|子《こ》らは、 あなたに|身《み》をかがめるであろう。 あなたをのろう|者《もの》はのろわれ、 あなたを|祝福《しゅくふく》する|者《もの》は|祝福《しゅくふく》される」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]イサクがヤコブを|祝福《しゅくふく》し|終《おわ》って、ヤコブが|父《ちち》イサクの|前《まえ》から|出《で》て|行《い》くとすぐ、|兄《あに》エサウが|狩《かり》から|帰《かえ》ってきた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》もまたおいしい|食《た》べ|物《もの》を|作《つく》って、|父《ちち》の|所《ところ》に|持《も》ってきて、|言《い》った、「|父《ちち》よ、|起《お》きてあなたの|子《こ》のしかの|肉《にく》を|食《た》べ、あなたみずから、わたしを|祝福《しゅくふく》してください」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》イサクは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたは、だれか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしはあなたの|子《こ》、|長子《ちょうし》エサウです」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|激《はげ》しくふるえて|言《い》った、「それでは、あのしかの|肉《にく》を|取《と》って、わたしに|持《も》ってきた|者《もの》はだれか。わたしはあなたが|来《く》る|前《まえ》に、みんな|食《た》べて|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》した。ゆえに|彼《かれ》が|祝福《しゅくふく》を|得《え》るであろう」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|父《ちち》の|言葉《ことば》を|聞《き》いた|時《とき》、|大声《おおごえ》をあげ、|激《はげ》しく|叫《さけ》んで、|父《ちち》に|言《い》った、「|父《ちち》よ、わたしを、わたしをも|祝福《しゅくふく》してください」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|言《い》った、「あなたの|弟《おとうと》が|偽《いつわ》ってやってきて、あなたの|祝福《しゅくふく》を|奪《うば》ってしまった」。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|言《い》った、「よくもヤコブと|名《な》づけたものだ。|彼《かれ》は二|度《ど》までもわたしをおしのけた。さきには、わたしの|長子《ちょうし》の|特権《とっけん》を|奪《うば》い、こんどはわたしの|祝福《しゅくふく》を|奪《うば》った」。また|言《い》った、「あなたはわたしのために|祝福《しゅくふく》を|残《のこ》しておかれませんでしたか」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|答《こた》えてエサウに|言《い》った、「わたしは|彼《かれ》をあなたの|主人《しゅじん》とし、|兄弟《きょうだい》たちを|皆《みな》しもべとして|彼《かれ》に|与《あた》え、また|穀物《こくもつ》とぶどう|酒《しゅ》を|彼《かれ》に|授《さづ》けた。わが|子《こ》よ、|今《いま》となっては、あなたのために|何《なに》ができようか」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|父《ちち》に|言《い》った、「|父《ちち》よ、あなたの|祝福《しゅくふく》はただ一つだけですか。|父《ちち》よ、わたしを、わたしをも|祝福《しゅくふく》してください」。エサウは|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》イサクは|答《こた》えて|彼《かれ》に|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「あなたのすみかは|地《ち》の|肥《こ》えた|所《ところ》から|離《はな》れ、 また|上《うえ》なる|天《てん》の|露《つゆ》から|離《はな》れるであろう。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはつるぎをもって|世《よ》を|渡《わた》り、 あなたの|弟《おとうと》に|仕《つか》えるであろう。 しかし、あなたが|勇《いさ》み|立《た》つ|時《とき》、 |首《くび》から、そのくびきを|振《ふ》り|落《おと》すであろう」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエサウは|父《ちち》がヤコブに|与《あた》えた|祝福《しゅくふく》のゆえにヤコブを|憎《にく》んだ。エサウは|心《こころ》の|内《うち》で|言《い》った、「|父《ちち》の|喪《も》の|日《ひ》も|遠《とお》くはないであろう。その|時《とき》、|弟《おとうと》ヤコブを|殺《ころ》そう」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]しかしリベカは|長子《ちょうし》エサウのこの|言葉《ことば》を|人《ひと》づてに|聞《き》いたので、|人《ひと》をやり、|弟《おとうと》ヤコブを|呼《よ》んで|言《い》った、「|兄《あに》エサウはあなたを|殺《ころ》そうと|考《かんが》えて、みずから|慰《なぐさ》めています。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》よ、|今《いま》わたしの|言葉《ことば》に|従《したが》って、すぐハランにいるわたしの|兄《あに》ラバンのもとにのがれ、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄《あに》の|怒《いか》りが|解《と》けるまで、しばらく|彼《かれ》の|所《ところ》にいなさい。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|兄《あに》の|憤《いきどお》りが|解《と》けて、あなたのした|事《こと》を|兄《あに》が|忘《わす》れるようになったならば、わたしは|人《ひと》をやって、あなたをそこから|迎《むか》えましょう。どうして、わたしは一|日《にち》のうちにあなたがたふたりを|失《うしな》ってよいでしょうか」。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]リベカはイサクに|言《い》った、「わたしはヘテびとの|娘《むすめ》どものことで、|生《い》きているのがいやになりました。もしヤコブがこの|地《ち》の、あの|娘《むすめ》どものようなヘテびとの|娘《むすめ》を|妻《つま》にめとるなら、わたしは|生《い》きていて、|何《なに》になりましょう」。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イサクはヤコブを|呼《よ》んで、これを|祝福《しゅくふく》し、|命《めい》じて|言《い》った、「あなたはカナンの|娘《むすめ》を|妻《つま》にめとってはならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》ってパダンアラムへ|行《い》き、あなたの|母《はは》の|父《ちち》ベトエルの|家《いえ》に|行《い》って、そこであなたの|母《はは》の|兄《あに》ラバンの|娘《むすめ》を|妻《つま》にめとりなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|全能《ぜんのう》の|神《かみ》が、あなたを|祝福《しゅくふく》し、|多《おお》くの|子《こ》を|得《え》させ、かつふえさせて、|多《おお》くの|国民《こくみん》とし、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またアブラハムの|祝福《しゅくふく》をあなたと|子孫《しそん》とに|与《あた》えて、|神《かみ》がアブラハムに|授《さづ》けられたあなたの|寄留《きりゅう》の|地《ち》を|継《つ》がせてくださるように」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイサクはヤコブを|送《おく》り|出《だ》した。ヤコブはパダンアラムに|向《む》かい、アラムびとベトエルの|子《こ》で、ヤコブとエサウとの|母《はは》リベカの|兄《あに》ラバンのもとへ|行《い》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]さてエサウは、イサクがヤコブを|祝福《しゅくふく》して、パダンアラムにつかわし、そこから|妻《つま》をめとらせようとしたこと、|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》し、|命《めい》じて「あなたはカナンの|娘《むすめ》を|妻《つま》にめとってはならない」と|言《い》ったこと、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そしてヤコブが|父母《ふぼ》の|言葉《ことば》に|従《したが》って、パダンアラムへ|行《い》ったことを|知《し》ったとき、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はカナンの|娘《むすめ》が|父《ちち》イサクの|心《こころ》にかなわないのを|見《み》た。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでエサウはイシマエルの|所《ところ》に|行《い》き、すでにある|妻《つま》たちのほかにアブラハムの|子《こ》イシマエルの|娘《むすめ》で、ネバヨテの|妹《いもうと》マハラテを|妻《つま》にめとった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さてヤコブはベエルシバを|立《た》って、ハランへ|向《む》かったが、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]一つの|所《ところ》に|着《つ》いた|時《とき》、|日《ひ》が|暮《く》れたので、そこに一|夜《や》を|過《す》ごし、その|所《ところ》の|石《いし》を|取《と》ってまくらとし、そこに|伏《ふ》して|寝《ね》た。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》は|夢《ゆめ》をみた。一つのはしごが|地《ち》の|上《うえ》に|立《た》っていて、その|頂《いただき》は|天《てん》に|達《たっ》し、|神《かみ》の|使《つかい》たちがそれを|上《のぼ》り|下《くだ》りしているのを|見《み》た。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|彼《かれ》のそばに|立《た》って|言《い》われた、「わたしはあなたの|父《ちち》アブラハムの|神《かみ》、イサクの|神《かみ》、|主《しゅ》である。あなたが|伏《ふ》している|地《ち》を、あなたと|子孫《しそん》とに|与《あた》えよう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子孫《しそん》は|地《ち》のちりのように|多《おお》くなって、|西《にし》、|東《ひがし》、|北《きた》、|南《みなみ》にひろがり、|地《ち》の|諸《しょ》|族《ぞく》はあなたと|子孫《しそん》とによって|祝福《しゅくふく》をうけるであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたと|共《とも》にいて、あなたがどこへ|行《い》くにもあなたを|守《まも》り、あなたをこの|地《ち》に|連《つ》れ|帰《かえ》るであろう。わたしは|決《けっ》してあなたを|捨《す》てず、あなたに|語《かた》った|事《こと》を|行《おこな》うであろう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|眠《ねむ》りからさめて|言《い》った、「まことに|主《しゅ》がこの|所《ところ》におられるのに、わたしは|知《し》らなかった」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》は|恐《おそ》れて|言《い》った、「これはなんという|恐《おそ》るべき|所《ところ》だろう。これは|神《かみ》の|家《いえ》である。これは|天《てん》の|門《もん》だ」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|朝《あさ》はやく|起《お》きて、まくらとしていた|石《いし》を|取《と》り、それを|立《た》てて|柱《はしら》とし、その|頂《いただき》に|油《あぶら》を|注《そそ》いで、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》の|名《な》をベテルと|名《な》づけた。その|町《まち》の|名《な》は|初《はじ》めはルズといった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|誓《ちか》いを|立《た》てて|言《い》った、「|神《かみ》がわたしと|共《とも》にいまし、わたしの|行《い》くこの|道《みち》でわたしを|守《まも》り、|食《た》べるパンと|着《き》る|着物《きもの》を|賜《たま》い、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|安《やす》らかに|父《ちち》の|家《いえ》に|帰《かえ》らせてくださるなら、|主《しゅ》をわたしの|神《かみ》といたしましょう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またわたしが|柱《はしら》に|立《た》てたこの|石《いし》を|神《かみ》の|家《いえ》といたしましょう。そしてあなたがくださるすべての|物《もの》の十|分《ぶん》の一を、わたしは|必《かなら》ずあなたにささげます」。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはその|旅《たび》を|続《つづ》けて|東《ひがし》の|民《たみ》の|地《ち》へ|行《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》ると|野《の》に一つの|井戸《いど》があって、そのかたわらに|羊《ひつじ》の三つの|群《む》れが|伏《ふ》していた。|人々《ひとびと》はその|井戸《いど》から|群《む》れに|水《みず》を|飲《の》ませるのであったが、|井戸《いど》の|口《くち》には|大《おお》きな|石《いし》があった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|群《む》れが|皆《みな》そこに|集《あつ》まると、|人々《ひとびと》は|井戸《いど》の|口《くち》から|石《いし》をころがして|羊《ひつじ》に|水《みず》を|飲《の》ませ、その|石《いし》をまた|井戸《いど》の|口《くち》の|元《もと》のところに|返《かえ》しておくのである。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|人々《ひとびと》に|言《い》った、「|兄弟《きょうだい》たちよ、あなたがたはどこからこられたのですか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「わたしたちはハランからです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはナホルの|子《こ》ラバンを|知《し》っていますか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「|知《し》っています」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはまた|彼《かれ》らに|言《い》った、「|彼《かれ》は|無事《ぶじ》ですか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「|無事《ぶじ》です。|御覧《ごらん》なさい。|彼《かれ》の|娘《むすめ》ラケルはいま|羊《ひつじ》と|一緒《いっしょ》にここへきます」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|言《い》った、「|日《ひ》はまだ|高《たか》いし、|家畜《かちく》を|集《あつ》める|時《とき》でもない。あなたがたは|羊《ひつじ》に|水《みず》を|飲《の》ませてから、また|行《い》って|飼《か》いなさい」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「わたしたちはそれはできないのです。|群《む》れがみな|集《あつ》まった|上《うえ》で、|井戸《いど》の|口《くち》から|石《いし》をころがし、それから|羊《ひつじ》に|水《みず》を|飲《の》ませるのです」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブがなお|彼《かれ》らと|語《かた》っている|時《とき》に、ラケルは|父《ちち》の|羊《ひつじ》と|一緒《いっしょ》にきた。|彼女《かのじょ》は|羊《ひつじ》を|飼《か》っていたからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|母《はは》の|兄《あに》ラバンの|娘《むすめ》ラケルと|母《はは》の|兄《あに》ラバンの|羊《ひつじ》とを|見《み》た。そしてヤコブは|進《すす》み|寄《よ》って|井戸《いど》の|口《くち》から|石《いし》をころがし、|母《はは》の|兄《あに》ラバンの|羊《ひつじ》に|水《みず》を|飲《の》ませた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはラケルに|口《くち》づけし、|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはラケルに、|自分《じぶん》がラケルの|父《ちち》のおいであり、リベカの|子《こ》であることを|告《つ》げたので、|彼女《かのじょ》は|走《はし》って|行《い》って|父《ちち》に|話《はな》した。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ラバンは|妹《いもうと》の|子《こ》ヤコブがきたという|知《し》らせを|聞《き》くとすぐ、|走《はし》って|行《い》ってヤコブを|迎《むか》え、これを|抱《だ》いて|口《くち》づけし、|家《いえ》に|連《つ》れてきた。そこでヤコブはすべての|事《こと》をラバンに|話《はな》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ラバンは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはほんとうにわたしの|骨肉《こつにく》です」。ヤコブは一か|月《げつ》の|間《あいだ》|彼《かれ》と|共《とも》にいた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にラバンはヤコブに|言《い》った、「あなたはわたしのおいだからといって、ただでわたしのために|働《はたら》くこともないでしょう。どんな|報酬《ほうしゅう》を|望《のぞ》みますか、わたしに|言《い》ってください」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]さてラバンにはふたりの|娘《むすめ》があった。|姉《あね》の|名《な》はレアといい、|妹《いもうと》の|名《な》はラケルといった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]レアは|目《め》が|弱《よわ》かったが、ラケルは|美《うつく》しくて|愛《あい》らしかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはラケルを|愛《あい》したので、「わたしは、あなたの|妹《いもうと》|娘《むすめ》ラケルのために七|年《ねん》あなたに|仕《つか》えましょう」と|言《い》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ラバンは|言《い》った、「|彼女《かのじょ》を|他人《たにん》にやるよりもあなたにやる|方《ほう》がよい。わたしと|一緒《いっしょ》にいなさい」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして、ヤコブは七|年《ねん》の|間《あいだ》ラケルのために|働《はたら》いたが、|彼女《かのじょ》を|愛《あい》したので、ただ|数日《すうじつ》のように|思《おも》われた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはラバンに|言《い》った、「|期日《きじつ》が|満《み》ちたから、わたしの|妻《つま》を|与《あた》えて、|妻《つま》の|所《ところ》にはいらせてください」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでラバンはその|所《ところ》の|人々《ひとびと》をみな|集《あつ》めて、ふるまいを|設《もう》けた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|夕暮《ゆうぐれ》となったとき、|娘《むすめ》レアをヤコブのもとに|連《つ》れてきたので、ヤコブは|彼女《かのじょ》の|所《ところ》にはいった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ラバンはまた|自分《じぶん》のつかえめジルパを|娘《むすめ》レアにつかえめとして|与《あた》えた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》になって、|見《み》ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンに|言《い》った、「あなたはどうしてこんな|事《こと》をわたしにされたのですか。わたしはラケルのために|働《はたら》いたのではありませんか。どうしてあなたはわたしを|欺《あざむ》いたのですか」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ラバンは|言《い》った、「|妹《いもうと》を|姉《あね》より|先《さき》にとつがせる|事《こと》はわれわれの|国《くに》ではしません。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]まずこの|娘《むすめ》のために一|週《しゅう》|間《かん》を|過《す》ごしなさい。そうすればあの|娘《むすめ》もあなたにあげよう。あなたは、そのため|更《さら》に七|年《ねん》わたしに|仕《つか》えなければならない」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはそのとおりにして、その一|週《しゅう》|間《かん》が|終《おわ》ったので、ラバンは|娘《むすめ》ラケルをも|妻《つま》として|彼《かれ》に|与《あた》えた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ラバンはまた|自分《じぶん》のつかえめビルハを|娘《むすめ》ラケルにつかえめとして|与《あた》えた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはまたラケルの|所《ところ》にはいった。|彼《かれ》はレアよりもラケルを|愛《あい》して、|更《さら》に七|年《ねん》ラバンに|仕《つか》えた。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はレアがきらわれるのを|見《み》て、その|胎《たい》を|開《ひら》かれたが、ラケルは、みごもらなかった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]レアは、みごもって|子《こ》を|産《う》み、|名《な》をルベンと|名《な》づけて、|言《い》った、「|主《しゅ》がわたしの|悩《なや》みを|顧《かえり》みられたから、|今《いま》は|夫《おっと》もわたしを|愛《あい》するだろう」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はまた、みごもって|子《こ》を|産《う》み、「|主《しゅ》はわたしが|嫌《きら》われるのをお|聞《き》きになって、わたしにこの|子《こ》をも|賜《たま》わった」と|言《い》って、|名《な》をシメオンと|名《な》づけた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はまた、みごもって|子《こ》を|産《う》み、「わたしは|彼《かれ》に三|人《にん》の|子《こ》を|産《う》んだから、こんどこそは|夫《おっと》もわたしに|親《した》しむだろう」と|言《い》って、|名《な》をレビと|名《な》づけた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はまた、みごもって|子《こ》を|産《う》み、「わたしは|今《いま》、|主《しゅ》をほめたたえる」と|言《い》って|名《な》をユダと|名《な》づけた。そこで|彼女《かのじょ》の、|子《こ》を|産《う》むことはやんだ。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ラケルは|自分《じぶん》がヤコブに|子《こ》を|産《う》まないのを|知《し》った|時《とき》、|姉《あね》をねたんでヤコブに|言《い》った、「わたしに|子《こ》どもをください。さもないと、わたしは|死《し》にます」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはラケルに|向《む》かい|怒《いか》って|言《い》った、「あなたの|胎《たい》に|子《こ》どもをやどらせないのは|神《かみ》です。わたしが|神《かみ》に|代《かわ》ることができようか」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ラケルは|言《い》った、「わたしのつかえめビルハがいます。|彼女《かのじょ》の|所《ところ》におはいりなさい。|彼女《かのじょ》が|子《こ》を|産《う》んで、わたしのひざに|置《お》きます。そうすれば、わたしもまた|彼女《かのじょ》によって|子《こ》を|持《も》つでしょう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ラケルはつかえめビルハを|彼《かれ》に|与《あた》えて、|妻《つま》とさせたので、ヤコブは|彼女《かのじょ》の|所《ところ》にはいった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ビルハは、みごもってヤコブに|子《こ》を|産《う》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでラケルは、「|神《かみ》はわたしの|訴《うった》えに|答《こた》え、またわたしの|声《こえ》を|聞《き》いて、わたしに|子《こ》を|賜《たま》わった」と|言《い》って、|名《な》をダンと|名《な》づけた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ラケルのつかえめビルハはまた、みごもって|第《だい》二の|子《こ》をヤコブに|産《う》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでラケルは、「わたしは|激《はげ》しい|争《あらそ》いで、|姉《あね》と|争《あらそ》って|勝《か》った」と|言《い》って、|名《な》をナフタリと|名《な》づけた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さてレアは|自分《じぶん》が|子《こ》を|産《う》むことのやんだのを|見《み》たとき、つかえめジルパを|取《と》り、|妻《つま》としてヤコブに|与《あた》えた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]レアのつかえめジルパはヤコブに|子《こ》を|産《う》んだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでレアは、「|幸運《こううん》がきた」と|言《い》って、|名《な》をガドと|名《な》づけた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]レアのつかえめジルパは|第《だい》二の|子《こ》をヤコブに|産《う》んだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでレアは、「わたしは、しあわせです。|娘《むすめ》たちはわたしをしあわせな|者《もの》と|言《い》うでしょう」と|言《い》って、|名《な》をアセルと|名《な》づけた。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]さてルベンは|麦《むぎ》|刈《か》りの|日《ひ》に|野《の》に|出《で》て、|野《の》で|恋《こい》なすびを|見《み》つけ、それを|母《はは》レアのもとに|持《も》ってきた。ラケルはレアに|言《い》った、「あなたの|子《こ》の|恋《こい》なすびをどうぞわたしにください」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]レアはラケルに|言《い》った、「あなたがわたしの|夫《おっと》を|取《と》ったのは|小《ちい》さな|事《こと》でしょうか。その|上《うえ》、あなたはまたわたしの|子《こ》の|恋《こい》なすびをも|取《と》ろうとするのですか」。ラケルは|言《い》った、「それではあなたの|子《こ》の|恋《こい》なすびに|換《か》えて、|今夜《こんや》|彼《かれ》をあなたと|共《とも》に|寝《ね》させましょう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|夕方《ゆうがた》になって、ヤコブが|野《の》から|帰《かえ》ってきたので、レアは|彼《かれ》を|出迎《でむか》えて|言《い》った、「わたしの|子《こ》の|恋《こい》なすびをもって、わたしがあなたを|雇《やと》ったのですから、あなたはわたしの|所《ところ》に、はいらなければなりません」。ヤコブはその|夜《よ》レアと|共《とも》に|寝《ね》た。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はレアの|願《ねが》いを|聞《き》かれたので、|彼女《かのじょ》はみごもって五|番目《ばんめ》の|子《こ》をヤコブに|産《う》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでレアは、「わたしがつかえめを|夫《おっと》に|与《あた》えたから、|神《かみ》がわたしにその|価《あたい》を|賜《たま》わったのです」と|言《い》って、|名《な》をイッサカルと|名《な》づけた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]レアはまた、みごもって六|番目《ばんめ》の|子《こ》をヤコブに|産《う》んだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでレアは、「|神《かみ》はわたしに|良《よ》い|賜物《たまもの》をたまわった。わたしは六|人《にん》の|子《こ》を|夫《おっと》に|産《う》んだから、|今《いま》こそ|彼《かれ》はわたしと|一緒《いっしょ》に|住《す》むでしょう」と|言《い》って、その|名《な》をゼブルンと|名《な》づけた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|彼女《かのじょ》はひとりの|娘《むすめ》を|産《う》んで、|名《な》をデナと|名《な》づけた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》に|神《かみ》はラケルを|心《こころ》にとめられ、|彼女《かのじょ》の|願《ねが》いを|聞《き》き、その|胎《たい》を|開《ひら》かれたので、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は、みごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》み、「|神《かみ》はわたしの|恥《はじ》をすすいでくださった」と|言《い》って、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|名《な》をヨセフと|名《な》づけ、「|主《しゅ》がわたしに、なおひとりの|子《こ》を|加《くわ》えられるように」と|言《い》った。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ラケルがヨセフを|産《う》んだ|時《とき》、ヤコブはラバンに|言《い》った、「わたしを|去《さ》らせて、わたしの|故郷《こきょう》、わたしの|国《くに》へ|行《い》かせてください。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|仕《つか》えて|得《え》たわたしの|妻子《さいし》を、わたしに|与《あた》えて|行《い》かせてください。わたしがあなたのために|働《はたら》いた|骨折《ほねお》りは、あなたがごぞんじです」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ラバンは|彼《かれ》に|言《い》った、「もし、あなたの|心《こころ》にかなうなら、とどまってください。わたしは|主《しゅ》があなたのゆえに、わたしを|恵《めぐ》まれるしるしを|見《み》ました」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》った、「あなたの|報酬《ほうしゅう》を|申《もう》し|出《で》てください。わたしはそれを|払《はら》います」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしがどのようにあなたに|仕《つか》えたか、またどのようにあなたの|家畜《かちく》を|飼《か》ったかは、あなたがごぞんじです。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|来《く》る|前《まえ》には、あなたの|持《も》っておられたものはわずかでしたが、ふえて|多《おお》くなりました。|主《しゅ》はわたしの|行《い》く|所《ところ》どこでも、あなたを|恵《めぐ》まれました。しかし、いつになったらわたしも|自分《じぶん》の|家《いえ》を|成《な》すようになるでしょうか」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|何《なに》をあなたにあげようか」。ヤコブは|言《い》った、「なにもわたしにくださるに|及《およ》びません。もしあなたが、わたしのためにこの一つの|事《こと》をしてくださるなら、わたしは|今《いま》一|度《ど》あなたの|群《む》れを|飼《か》い、|守《まも》りましょう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはきょう、あなたの|群《む》れをみな|回《まわ》ってみて、その|中《なか》からすべてぶちとまだらの|羊《ひつじ》、およびすべて|黒《くろ》い|小羊《こひつじ》と、やぎの|中《なか》のまだらのものと、ぶちのものとを|移《うつ》しますが、これをわたしの|報酬《ほうしゅう》としましょう。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あとで、あなたがきて、あなたの|前《まえ》でわたしの|報酬《ほうしゅう》をしらべる|時《とき》、わたしの|正《ただ》しい|事《こと》が|証明《しょうめい》されるでしょう。もしも、やぎの|中《なか》にぶちのないもの、まだらでないものがあったり、|小羊《こひつじ》の|中《なか》に|黒《くろ》くないものがあれば、それはみなわたしが|盗《ぬす》んだものとなるでしょう」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ラバンは|言《い》った、「よろしい。あなたの|言《い》われるとおりにしましょう」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そこでラバンはその|日《ひ》、|雄《お》やぎのしまのあるもの、まだらのもの、すべて|雌《め》やぎのぶちのもの、まだらのもの、すべて|白《しろ》みをおびているもの、またすべて|小羊《こひつじ》の|中《なか》の|黒《くろ》いものを|移《うつ》して|子《こ》らの|手《て》にわたし、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブとの|間《あいだ》に三|日《か》|路《じ》の|隔《へだ》たりを|設《もう》けた。ヤコブはラバンの|残《のこ》りの|群《む》れを|飼《か》った。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは、はこやなぎと、あめんどうと、すずかけの|木《き》のなまの|枝《えだ》を|取《と》り、|皮《かわ》をはいでそれに|白《しろ》い|筋《すじ》をつくり、|枝《えだ》の|白《しろ》い|所《ところ》を|表《あら》わし、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|皮《かわ》をはいだ|枝《えだ》を、|群《む》れがきて|水《みず》を|飲《の》む|鉢《はち》、すなわち|水《みず》ぶねの|中《なか》に、|群《む》れに|向《む》かわせて|置《お》いた。|群《む》れは|水《みず》を|飲《の》みにきた|時《とき》に、はらんだ。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|群《む》れは|枝《えだ》の|前《まえ》で、はらんで、しまのあるもの、ぶちのもの、まだらのものを|産《う》んだ。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはその|小羊《こひつじ》を|別《べつ》においた。|彼《かれ》はまた|群《む》れの|顔《かお》をラバンの|群《む》れのしまのあるものと、すべて|黒《くろ》いものとに|向《む》かわせた。そして|自分《じぶん》の|群《む》れを|別《べつ》にまとめておいて、ラバンの|群《む》れには、|入《い》れなかった。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]また|群《む》れの|強《つよ》いものが|発情《はつじょう》した|時《とき》には、ヤコブは|水《みず》ぶねの|中《なか》に、その|群《む》れの|目《め》の|前《まえ》に、かの|枝《えだ》を|置《お》いて、|枝《えだ》の|間《あいだ》で、はらませた。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]けれども|群《む》れの|弱《よわ》いものの|時《とき》には、それを|置《お》かなかった。こうして|弱《よわ》いものはラバンのものとなり、|強《つよ》いものはヤコブのものとなったので、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]この|人《ひと》は|大《おお》いに|富《と》み、|多《おお》くの|群《む》れと、|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》、およびらくだ、ろばを|持《も》つようになった。 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてヤコブはラバンの|子《こ》らが、「ヤコブはわれわれの|父《ちち》の|物《もの》をことごとく|奪《うば》い、|父《ちち》の|物《もの》によってあのすべての|富《とみ》を|獲《え》たのだ」と|言《い》っているのを|聞《き》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]またヤコブがラバンの|顔《かお》を|見《み》るのに、それは|自分《じぶん》に|対《たい》して|以前《いぜん》のようではなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヤコブに|言《い》われた、「あなたの|先祖《せんぞ》の|国《くに》へ|帰《かえ》り、|親族《しんぞく》のもとに|行《い》きなさい。わたしはあなたと|共《とも》にいるであろう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|人《ひと》をやって、ラケルとレアとを、|野《の》にいる|自分《じぶん》の|群《む》れのところに|招《まね》き、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》らに|言《い》った、「わたしがあなたがたの|父《ちち》の|顔《かお》を|見《み》るのに、わたしに|対《たい》して|以前《いぜん》のようではない。しかし、わたしの|父《ちち》の|神《かみ》はわたしと|共《とも》におられる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|知《し》っているように、わたしは|力《ちから》のかぎり、あなたがたの|父《ちち》に|仕《つか》えてきた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたの|父《ちち》はわたしを|欺《あざむ》いて、十|度《ど》もわたしの|報酬《ほうしゅう》を|変《か》えた。けれども|神《かみ》は|彼《かれ》がわたしに|害《がい》を|加《くわ》えることをお|許《ゆる》しにならなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》が、『ぶちのものはあなたの|報酬《ほうしゅう》だ』と|言《い》えば、|群《む》れは|皆《みな》ぶちのものを|産《う》んだ。もし|彼《かれ》が、『しまのあるものはあなたの|報酬《ほうしゅう》だ』と|言《い》えば、|群《む》れは|皆《みな》しまのあるものを|産《う》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|神《かみ》はあなたがたの|父《ちち》の|家畜《かちく》をとってわたしに|与《あた》えられた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|群《む》れが|発情《はつじょう》した|時《とき》、わたしが|夢《ゆめ》に|目《め》をあげて|見《み》ると、|群《む》れの|上《うえ》に|乗《の》っている|雄《お》やぎは|皆《みな》しまのあるもの、ぶちのもの、|霜《しも》ふりのものであった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|神《かみ》の|使《つかい》が|夢《ゆめ》の|中《なか》でわたしに|言《い》った、『ヤコブよ』。わたしは|答《こた》えた、『ここにおります』。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|使《つかい》は|言《い》った、『|目《め》を|上《あ》げて|見《み》てごらん。|群《む》れの|上《うえ》に|乗《の》っている|雄《お》やぎは|皆《みな》しまのあるもの、ぶちのもの、|霜《しも》ふりのものです。わたしはラバンがあなたにしたことをみな|見《み》ています。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはベテルの|神《かみ》です。かつてあなたはあそこで|柱《はしら》に|油《あぶら》を|注《そそ》いで、わたしに|誓《ちか》いを|立《た》てましたが、いま|立《た》ってこの|地《ち》を|出《で》て、あなたの|生《うま》れた|国《くに》へ|帰《かえ》りなさい』」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ラケルとレアは|答《こた》えて|言《い》った、「わたしたちの|父《ちち》の|家《いえ》に、なおわたしたちの|受《う》くべき|分《ぶん》、また|嗣《し》|業《ぎょう》がありましょうか。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちは|父《ちち》に|他人《たにん》のように|思《おも》われているではありませんか。|彼《かれ》はわたしたちを|売《う》ったばかりでなく、わたしたちのその|金《かね》をさえ|使《つか》い|果《は》たしたのです。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がわたしたちの|父《ちち》から|取《と》りあげられた|富《とみ》は、みなわたしたちとわたしたちの|子《こ》どものものです。だから|何事《なにごと》でも|神《かみ》があなたにお|告《つ》げになった|事《こと》をしてください」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|立《た》って、|子《こ》らと|妻《つま》たちをらくだに|乗《の》せ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|家畜《かちく》、すなわち|彼《かれ》がパダンアラムで|獲《え》た|家畜《かちく》と、すべての|財産《ざいさん》を|携《たずさ》えて、カナンの|地《ち》におる|父《ちち》イサクのもとへ|赴《おもむ》いた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ラバンは|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》るために|出《で》ていたので、ラケルは|父《ちち》の|所有《しょゆう》のテラピムを|盗《ぬす》み|出《だ》した。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またヤコブはアラムびとラバンを|欺《あざむ》き、|自分《じぶん》の|逃《に》げ|去《さ》るのを|彼《かれ》に|告《つ》げなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》はすべての|持《も》ち|物《もの》を|携《たずさ》えて|逃《に》げ、|立《た》って|川《かわ》を|渡《わた》り、ギレアデの|山地《さんち》へ|向《む》かった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》になって、ヤコブの|逃《に》げ|去《さ》ったことが、ラバンに|聞《きこ》えたので、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|一族《いちぞく》を|率《ひき》いて、|七日《なぬか》の|間《あいだ》そのあとを|追《お》い、ギレアデの|山地《さんち》で|追《お》いついた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|神《かみ》は|夜《よ》の|夢《ゆめ》にアラムびとラバンに|現《あらわ》れて|言《い》われた、「あなたは|心《こころ》してヤコブに、よしあしを|言《い》ってはなりません」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ラバンはついにヤコブに|追《お》いついたが、ヤコブが|山《やま》に|天幕《てんまく》を|張《は》っていたので、ラバンも|一族《いちぞく》と|共《とも》にギレアデの|山《やま》に|天幕《てんまく》を|張《は》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ラバンはヤコブに|言《い》った、「あなたはなんという|事《こと》をしたのですか。あなたはわたしを|欺《あざむ》いてわたしの|娘《むすめ》たちをいくさのとりこのように|引《ひ》いて|行《い》きました。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]なぜあなたはわたしに|告《つ》げずに、ひそかに|逃《に》げ|去《さ》ってわたしを|欺《あざむ》いたのですか。わたしは|手《て》|鼓《つづみ》や|琴《こと》で|喜《よろこ》び|歌《うた》ってあなたを|送《おく》りだそうとしていたのに。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]なぜわたしの|孫《まご》や|娘《むすめ》にわたしが|口《くち》づけするのを|許《ゆる》さなかったのですか。あなたは|愚《おろ》かな|事《こと》をしました。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたに|害《がい》を|加《くわ》える|力《ちから》をもっているが、あなたがたの|父《ちち》の|神《かみ》が|昨夜《さくや》わたしに|告《つ》げて、『おまえは|心《こころ》して、ヤコブによしあしを|言《い》うな』と|言《い》われました。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたが|逃《に》げ|出《だ》したのは|父《ちち》の|家《いえ》が|非常《ひじょう》に|恋《こい》しくなったからでしょうが、なぜあなたはわたしの|神《かみ》を|盗《ぬす》んだのですか」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはラバンに|答《こた》えた、「たぶんあなたが|娘《むすめ》たちをわたしから|奪《うば》いとるだろうと|思《おも》ってわたしは|恐《おそ》れたからです。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]だれの|所《ところ》にでもあなたの|神《かみ》が|見《み》つかったら、その|者《もの》を|生《い》かしてはおきません。|何《なに》かあなたの|物《もの》がわたしのところにあるか、われわれの|一族《いちぞく》の|前《まえ》で、|調《しら》べてみて、それをお|取《と》りください」。ラケルが|神《かみ》を|盗《ぬす》んだことをヤコブは|知《し》らなかったからである。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そこでラバンはヤコブの|天幕《てんまく》にはいり、またレアの|天幕《てんまく》にはいり、|更《さら》にふたりのはしための|天幕《てんまく》にはいってみたが、|見《み》つからなかったので、レアの|天幕《てんまく》を|出《で》てラケルの|天幕《てんまく》にはいった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ラケルはすでにテラピムを|取《と》って、らくだのくらの|下《した》に|入《い》れ、その|上《うえ》にすわっていたので、ラバンは、くまなく|天幕《てんまく》の|中《なか》を|捜《さが》したが、|見《み》つからなかった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ラケルは|父《ちち》に|言《い》った、「わたしは|女《おんな》の|常《つね》のことがあって、あなたの|前《まえ》に|立《た》ち|上《あ》がることができません。わが|主《しゅ》よ、どうかお|怒《いか》りにならぬよう」。|彼《かれ》は|捜《さが》したがテラピムは|見《み》つからなかった。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|怒《いか》ってラバンを|責《せ》めた。そしてヤコブはラバンに|言《い》った、「わたしにどんなあやまちがあり、どんな|罪《つみ》があって、あなたはわたしのあとを|激《はげ》しく|追《お》ったのですか。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|物《もの》をことごとく|探《さぐ》られたが、|何《なに》かあなたの|家《いえ》の|物《もの》が|見《み》つかりましたか。それを、ここに、わたしの|一族《いちぞく》と、あなたの|一族《いちぞく》の|前《まえ》に|置《お》いて、われわれふたりの|間《あいだ》をさばかせましょう。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの二十|年《ねん》、あなたと|一緒《いっしょ》にいましたが、その|間《かん》あなたの|雌《め》|羊《ひつじ》も|雌《め》やぎも|子《こ》を|産《う》みそこねたことはなく、またわたしはあなたの|群《む》れの|雄羊《おひつじ》を|食《た》べたこともありませんでした。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]また|野獣《やじゅう》が、かみ|裂《さ》いたものは、あなたのもとに|持《も》ってこないで、|自分《じぶん》でそれを|償《つぐな》いました。また|昼《ひる》|盗《ぬす》まれたものも、|夜《よる》|盗《ぬす》まれたものも、あなたはわたしにその|償《つぐな》いを|求《もと》められました。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしのことを|言《い》えば、|昼《ひる》は|暑《あつ》さに、|夜《よる》は|寒《さむ》さに|悩《なや》まされて、|眠《ねむ》ることもできませんでした。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの二十|年《ねん》あなたの|家族《かぞく》のひとりでありました。わたしはあなたのふたりの|娘《むすめ》のために十四|年《ねん》、またあなたの|群《む》れのために六|年《ねん》、あなたに|仕《つか》えましたが、あなたは|十《じゅう》|度《ど》もわたしの|報酬《ほうしゅう》を|変《か》えられました。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]もし、わたしの|父《ちち》の|神《かみ》、アブラハムの|神《かみ》、イサクのかしこむ|者《もの》がわたしと|共《とも》におられなかったなら、あなたはきっとわたしを、から|手《て》で|去《さ》らせたでしょう。|神《かみ》はわたしの|悩《なや》みと、わたしの|労苦《ろうく》とを|顧《かえり》みられて|昨夜《さくや》あなたを|戒《いまし》められたのです」。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ラバンは|答《こた》えてヤコブに|言《い》った、「|娘《むすめ》たちはわたしの|娘《むすめ》、|子《こ》どもたちはわたしの|孫《まご》です。また|群《む》れはわたしの|群《む》れ、あなたの|見《み》るものはみなわたしのものです。これらのわたしの|娘《むすめ》たちのため、また|彼《かれ》らが|産《う》んだ|子《こ》どもたちのため、きょうわたしは|何《なに》をすることができましょうか。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]さあ、それではわたしとあなたと|契約《けいやく》を|結《むす》んで、これをわたしとあなたとの|間《あいだ》の|証拠《しょうこ》としましょう」。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|石《いし》を|取《と》り、それを|立《た》てて|柱《はしら》とした。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはまた|一族《いちぞく》の|者《もの》に|言《い》った、「|石《いし》を|集《あつ》めてください」。|彼《かれ》らは|石《いし》を|取《と》って、一つの|石塚《いしづか》を|造《つく》った。こうして|彼《かれ》らはその|石塚《いしづか》のかたわらで|食事《しょくじ》をした。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]ラバンはこれをエガル・サハドタと|名《な》づけ、ヤコブはこれをガルエドと|名《な》づけた。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]そしてラバンは|言《い》った、「この|石塚《いしづか》はきょうわたしとあなたとの|間《あいだ》の|証拠《しょうこ》となります」。それでその|名《な》はガルエドと|呼《よ》ばれた。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]またミズパとも|呼《よ》ばれた。|彼《かれ》がこう|言《い》ったからである、「われわれが|互《たがい》に|別《わか》れたのちも、どうか|主《しゅ》がわたしとあなたとの|間《あいだ》を|見守《みまも》られるように。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがわたしの|娘《むすめ》を|虐待《ぎゃくたい》したり、わたしの|娘《むすめ》のほかに|妻《つま》をめとることがあれば、たといそこにだれひとりいなくても、|神《かみ》はわたしとあなたとの|間《あいだ》の|証人《しょうにん》でいらせられる」。  [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|更《さら》にラバンはヤコブに|言《い》った、「あなたとわたしとの|間《あいだ》にわたしが|建《た》てたこの|石塚《いしづか》をごらんなさい、この|柱《はしら》をごらんなさい。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]この|石塚《いしづか》を|越《こ》えてわたしがあなたに|害《がい》を|加《くわ》えず、またこの|石塚《いしづか》とこの|柱《はしら》を|越《こ》えてあなたがわたしに|害《がい》を|加《くわ》えないように、どうかこの|石塚《いしづか》があかしとなり、この|柱《はしら》があかしとなるように。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]どうかアブラハムの|神《かみ》、ナホルの|神《かみ》、|彼《かれ》らの|父《ちち》の|神《かみ》がわれわれの|間《あいだ》をさばかれるように」。ヤコブは|父《ちち》イサクのかしこむ|者《もの》によって|誓《ちか》った。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]そしてヤコブは|山《やま》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|一族《いちぞく》を|招《まね》いて、|食事《しょくじ》をした。|彼《かれ》らは|食事《しょくじ》をして|山《やま》に|宿《やど》った。  [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]あくる|朝《あさ》ラバンは|早《はや》く|起《お》き、|孫《まご》と|娘《むすめ》たちに|口《くち》づけして|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》し、|去《さ》って|家《いえ》に|帰《かえ》った。 第三二章[#「第三二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ヤコブが|旅路《たびじ》に|進《すす》んだとき、|神《かみ》の|使《つかい》たちが|彼《かれ》に|会《あ》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|彼《かれ》らを|見《み》て、「これは|神《かみ》の|陣営《じんえい》です」と|言《い》って、その|所《ところ》の|名《な》をマハナイムと|名《な》づけた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはセイルの|地《ち》、エドムの|野《の》に|住《す》む|兄《あに》エサウのもとに、さきだって|使者《ししゃ》をつかわした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちそれに|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたはわたしの|主人《しゅじん》エサウにこう|言《い》いなさい、『あなたのしもべヤコブはこう|言《い》いました。わたしはラバンのもとに|寄留《きりゅう》して|今《いま》までとどまりました。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|牛《うし》、ろば、|羊《ひつじ》、|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》を|持《も》っています。それでわが|主《しゅ》に|申《もう》し|上《あ》げて、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ようと|人《ひと》をつかわしたのです』」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》はヤコブのもとに|帰《かえ》って|言《い》った、「わたしたちはあなたの|兄《あに》エサウのもとへ|行《い》きました。|彼《かれ》もまたあなたを|迎《むか》えようと四百|人《にん》を|率《ひき》いてきます」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|大《おお》いに|恐《おそ》れ、|苦《くる》しみ、|共《とも》にいる|民《たみ》および|羊《ひつじ》、|牛《うし》、らくだを二つの|組《くみ》に|分《わ》けて、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「たとい、エサウがきて、一つの|組《くみ》を|撃《う》っても、|残《のこ》りの|組《くみ》はのがれるであろう」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはまた|言《い》った、「|父《ちち》アブラハムの|神《かみ》、|父《ちち》イサクの|神《かみ》よ、かつてわたしに『おまえの|国《くに》へ|帰《かえ》り、おまえの|親族《しんぞく》に|行《い》け。わたしはおまえを|恵《めぐ》もう』と|言《い》われた|主《しゅ》よ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがしもべに|施《ほどこ》されたすべての|恵《めぐ》みとまことをわたしは|受《う》けるに|足《た》りない|者《もの》です。わたしは、つえのほか|何《なに》も|持《も》たないでこのヨルダンを|渡《わた》りましたが、|今《いま》は二つの|組《くみ》にもなりました。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、|兄《あに》エサウの|手《て》からわたしをお|救《すく》いください。わたしは|彼《かれ》がきて、わたしを|撃《う》ち、|母《はは》や|子供《こども》たちにまで|及《およ》ぶのを|恐《おそ》れます。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、かつて、『わたしは|必《かなら》ずおまえを|恵《めぐ》み、おまえの|子孫《しそん》を|海《うみ》の|砂《すな》の|数《かぞ》えがたいほど|多《おお》くしよう』と|言《い》われました」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|夜《よ》そこに|宿《やど》り、|持《も》ち|物《もの》のうちから|兄《あに》エサウへの|贈《おく》り|物《もの》を|選《えら》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|雌《め》やぎ二百、|雄《お》やぎ二十、|雌《め》|羊《ひつじ》二百、|雄羊《おひつじ》二十、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|乳《ちち》らくだ三十とその|子《こ》、|雌牛《めうし》四十、|雄牛《おうし》十、|雌《め》ろば二十、|雄《お》ろば十。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれらをそれぞれの|群《む》れに|分《わ》けて、しもべたちの|手《て》にわたし、しもべたちに|言《い》った、「あなたがたはわたしの|先《さき》に|進《すす》みなさい、そして|群《む》れと|群《む》れとの|間《あいだ》には|隔《へだ》たりをおきなさい」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|先頭《せんとう》の|者《もの》に|命《めい》じて|言《い》った、「もし、|兄《あに》エサウがあなたに|会《あ》って『だれのしもべで、どこへ|行《い》くのか。あなたの|前《まえ》にあるこれらのものはだれの|物《もの》か』と|尋《たず》ねたら、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]『あなたのしもべヤコブの|物《もの》で、わが|主《しゅ》エサウにおくる|贈《おく》り|物《もの》です。|彼《かれ》もわたしたちのうしろにおります』と|言《い》いなさい」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|第《だい》二の|者《もの》にも、|第《だい》三の|者《もの》にも、また|群《む》れ|群《む》れについて|行《い》くすべての|者《もの》にも|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたがエサウに|会《あ》うときは、|同《おな》じように|彼《かれ》に|告《つ》げて、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]『あなたのしもべヤコブもわれわれのうしろにおります』と|言《い》いなさい」。ヤコブは、「わたしがさきに|送《おく》る|贈《おく》り|物《もの》をもってまず|彼《かれ》をなだめ、それから、|彼《かれ》の|顔《かお》を|見《み》よう。そうすれば、|彼《かれ》はわたしを|迎《むか》えてくれるであろう」と|思《おも》ったからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|贈《おく》り|物《もの》は|彼《かれ》に|先立《さきだ》って|渡《わた》り、|彼《かれ》はその|夜《よ》、|宿営《しゅくえい》にやどった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|夜《よ》|起《お》きて、ふたりの|妻《つま》とふたりのつかえめと十一|人《にん》の|子《こ》どもとを|連《つ》れてヤボクの|渡《わた》しをわたった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らを|導《みちび》いて|川《かわ》を|渡《わた》らせ、また|彼《かれ》の|持《も》ち|物《もの》を|渡《わた》らせた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはひとりあとに|残《のこ》ったが、ひとりの|人《ひと》が、|夜明《よあ》けまで|彼《かれ》と|組打《くみう》ちした。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ところでその|人《ひと》はヤコブに|勝《か》てないのを|見《み》て、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、その|人《ひと》と|組打《くみう》ちするあいだにはずれた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|言《い》った、「|夜《よ》が|明《あ》けるからわたしを|去《さ》らせてください」。ヤコブは|答《こた》えた、「わたしを|祝福《しゅくふく》してくださらないなら、あなたを|去《さ》らせません」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたの|名《な》はなんと|言《い》いますか」。|彼《かれ》は|答《こた》えた、「ヤコブです」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|言《い》った、「あなたはもはや|名《な》をヤコブと|言《い》わず、イスラエルと|言《い》いなさい。あなたが|神《かみ》と|人《ひと》とに、|力《ちから》を|争《あらそ》って|勝《か》ったからです」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|尋《たず》ねて|言《い》った、「どうかわたしにあなたの|名《な》を|知《し》らせてください」。するとその|人《ひと》は、「なぜあなたはわたしの|名《な》をきくのですか」と|言《い》ったが、その|所《ところ》で|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》した。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブはその|所《ところ》の|名《な》をペニエルと|名《な》づけて|言《い》った、「わたしは|顔《かお》と|顔《かお》をあわせて|神《かみ》を|見《み》たが、なお|生《い》きている」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》がペニエルを|過《す》ぎる|時《とき》、|日《ひ》は|彼《かれ》の|上《うえ》にのぼったが、|彼《かれ》はそのもものゆえにびっこを|引《ひ》いていた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そのため、イスラエルの|子《こ》らは|今日《こんにち》まで、もものつがいの|上《うえ》にある|腰《こし》の|筋《すじ》を|食《た》べない。かの|人《ひと》がヤコブのもものつがい、すなわち|腰《こし》の|筋《すじ》にさわったからである。 第三三章[#「第三三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてヤコブは|目《め》をあげ、エサウが四百|人《にん》を|率《ひき》いて|来《く》るのを|見《み》た。そこで|彼《かれ》は|子供《こども》たちを|分《わ》けてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]つかえめとその|子《こ》|供《とも》たちをまっ|先《さき》に|置《お》き、レアとその|子《こ》|供《とも》たちを|次《つぎ》に|置《お》き、ラケルとヨセフを|最後《さいご》に|置《お》いて、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]みずから|彼《かれ》らの|前《まえ》に|進《すす》み、七たび|身《み》を|地《ち》にかがめて、|兄《あに》に|近《ちか》づいた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]するとエサウは|走《はし》ってきて|迎《むか》え、|彼《かれ》を|抱《だ》き、そのくびをかかえて|口《くち》づけし、|共《とも》に|泣《な》いた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|目《め》をあげて|女《おんな》と|子供《こども》たちを|見《み》て|言《い》った、「あなたと|一緒《いっしょ》にいるこれらの|者《もの》はだれですか」。ヤコブは|言《い》った、「|神《かみ》がしもべに|授《さづ》けられた|子供《こども》たちです」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでつかえめたちはその|子《こ》|供《とも》たちと|共《とも》に|近寄《ちかよ》ってお|辞儀《じぎ》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]レアもまたその|子《こ》|供《とも》たちと|共《とも》に|近寄《ちかよ》ってお|辞儀《じぎ》し、それからヨセフとラケルが|近寄《ちかよ》ってお|辞儀《じぎ》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]するとエサウは|言《い》った、「わたしが|出会《であ》ったあのすべての|群《む》れはどうしたのですか」。ヤコブは|言《い》った、「わが|主《しゅ》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》るためです」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|言《い》った、「|弟《おとうと》よ、わたしはじゅうぶんもっている。あなたの|物《もの》はあなたのものにしなさい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|言《い》った、「いいえ、もしわたしがあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》るなら、どうか、わたしの|手《て》から|贈《おく》り|物《もの》を|受《う》けてください。あなたが|喜《よろこ》んでわたしを|迎《むか》えてくださるので、あなたの|顔《かお》を|見《み》て、|神《かみ》の|顔《かお》を|見《み》るように|思《おも》います。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]どうかわたしが|持《も》ってきた|贈《おく》り|物《もの》を|受《う》けてください。|神《かみ》がわたしを|恵《めぐ》まれたので、わたしはじゅうぶんもっていますから」。こうして|彼《かれ》がしいたので、|彼《かれ》は|受《う》け|取《と》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてエサウは|言《い》った、「さあ、|立《た》って|行《い》こう。わたしが|先《さき》に|行《い》く」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|彼《かれ》に|言《い》った、「ごぞんじのように、|子供《こども》たちは、かよわく、また|乳《ちち》を|飲《の》ませている|羊《ひつじ》や|牛《うし》をわたしが|世話《せわ》をしています。もし一|日《にち》でも|歩《ある》かせ|過《す》ぎたら|群《む》れはみな|死《し》んでしまいます。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わが|主《しゅ》よ、どうか、しもべの|先《さき》においでください。わたしはわたしの|前《まえ》にいる|家畜《かちく》と|子供《こども》たちの|歩《あゆ》みに|合《あ》わせて、ゆっくり|歩《ある》いて|行《い》き、セイルでわが|主《しゅ》と|一緒《いっしょ》になりましょう」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|言《い》った、「それならわたしが|連《つ》れている|者《もの》どものうち|幾《いく》|人《ひと》かをあなたのもとに|残《のこ》しましょう」。ヤコブは|言《い》った、「いいえ、それには|及《およ》びません。わが|主《しゅ》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》させてください」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》エサウはセイルへの|帰途《きと》についた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|立《た》ってスコテに|行《い》き、|自分《じぶん》のために|家《いえ》を|建《た》て、また|家畜《かちく》のために|小屋《こや》を|造《つく》った。これによってその|所《ところ》の|名《な》はスコテと|呼《よ》ばれている。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヤコブはパダンアラムからきて、|無事《ぶじ》カナンの|地《ち》のシケムの|町《まち》に|着《つ》き、|町《まち》の|前《まえ》に|宿営《しゅくえい》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|天幕《てんまく》を|張《は》った|野《の》の|一部《いちぶ》をシケムの|父《ちち》ハモルの|子《こ》らの|手《て》から百ケシタで|買《か》い|取《と》り、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこに|祭壇《さいだん》を|建《た》てて、これをエル・エロヘ・イスラエルと|名《な》づけた。 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レアがヤコブに|産《う》んだ|娘《むすめ》デナはその|地《ち》の|女《おんな》たちに|会《あ》おうと|出《で》かけて|行《い》ったが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》のつかさ、ヒビびとハモルの|子《こ》シケムが|彼女《かのじょ》を|見《み》て、|引《ひ》き|入《い》れ、これと|寝《ね》てはずかしめた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|深《ふか》くヤコブの|娘《むすめ》デナを|慕《した》い、この|娘《むすめ》を|愛《あい》して、ねんごろに|娘《むすめ》に|語《かた》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]シケムは|父《ちち》ハモルに|言《い》った、「この|娘《むすめ》をわたしの|妻《つま》にめとってください」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]さてヤコブはシケムが、|娘《むすめ》デナを|汚《けが》したことを|聞《き》いたけれども、その|子《こ》らが|家畜《かちく》を|連《つ》れて|野《の》にいたので、|彼《かれ》らの|帰《かえ》るまで|黙《だま》っていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]シケムの|父《ちち》ハモルはヤコブと|話《はな》し|合《あ》おうと、ヤコブの|所《ところ》に|出《で》てきた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|子《こ》らは|野《の》から|帰《かえ》り、この|事《こと》を|聞《き》いて、|悲《かな》しみ、かつ|非常《ひじょう》に|怒《いか》った。シケムがヤコブの|娘《むすめ》と|寝《ね》て、イスラエルに|愚《おろ》かなことをしたためで、こんなことは、してはならぬ|事《こと》だからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ハモルは|彼《かれ》らと|語《かた》って|言《い》った、「わたしの|子《こ》シケムはあなたがたの|娘《むすめ》を|心《こころ》に|慕《した》っています。どうか|彼女《かのじょ》を|彼《かれ》の|妻《つま》にください。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしたちと|婚姻《こんいん》し、あなたがたの|娘《むすめ》をわたしたちに|与《あた》え、わたしたちの|娘《むすめ》をあなたがたにめとってください。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてあなたがたとわたしたちとは|一緒《いっしょ》に|住《す》みましょう。|地《ち》はあなたがたの|前《まえ》にあります。ここに|住《す》んで|取引《とりひき》し、ここで|財産《ざいさん》を|獲《え》なさい」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]シケムはまたデナの|父《ちち》と|兄弟《きょうだい》たちとに|言《い》った、「あなたがたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》させてください。あなたがたがわたしに|言《い》われるものは、なんでもさしあげましょう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]たくさんの|結納《ゆいのう》|金《きん》と|贈《おく》り|物《もの》とをお|求《もと》めになっても、あなたがたの|言《い》われるとおりさしあげます。ただこの|娘《むすめ》はわたしの|妻《つま》にください」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ヤコブの|子《こ》らはシケムが|彼《かれ》らの|妹《いもうと》デナを|汚《けが》したので、シケムとその|父《ちち》ハモルに|偽《いつわ》って|答《こた》え、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「われわれは|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》に|妹《いもうと》をやる|事《こと》はできません。それはわれわれの|恥《はじ》とするところですから。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ただ、こうなさればわれわれはあなたがたに|同意《どうい》します。もしあなたがたのうち|男子《だんし》がみな|割礼《かつれい》を|受《う》けて、われわれのようになるなら、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|娘《むすめ》をあなたがたに|与《あた》え、あなたがたの|娘《むすめ》をわれわれにめとりましょう。そしてわれわれはあなたがたと|一緒《いっしょ》に|住《す》んで一つの|民《たみ》となりましょう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]けれども、もしあなたがたがわれわれに|聞《き》かず、|割礼《かつれい》を|受《う》けないなら、われわれは|娘《むすめ》を|連《つ》れて|行《い》きます」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|言葉《ことば》がハモルとハモルの|子《こ》シケムとの|心《こころ》にかなったので、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|若者《わかもの》は、ためらわずにこの|事《こと》をした。|彼《かれ》がヤコブの|娘《むすめ》を|愛《あい》したからである。また|彼《かれ》は|父《ちち》の|家《いえ》のうちで一|番《ばん》|重《おも》んじられた|者《もの》であった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでハモルとその|子《こ》シケムとは|町《まち》の|門《もん》に|行《い》き、|町《まち》の|人々《ひとびと》に|語《かた》って|言《い》った、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「この|人々《ひとびと》はわれわれと|親《した》しいから、この|地《ち》に|住《す》まわせて、ここで|取引《とりひき》をさせよう。|地《ち》は|広《ひろ》く、|彼《かれ》らをいれるにじゅうぶんである。そしてわれわれは|彼《かれ》らの|娘《むすめ》を|妻《つま》にめとり、われわれの|娘《むすめ》を|彼《かれ》らに|与《あた》えよう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|割礼《かつれい》を|受《う》けているように、もしわれわれのうちの|男子《だんし》が|皆《みな》、|割礼《かつれい》を|受《う》けるなら、ただこの|事《こと》だけで、この|人々《ひとびと》はわれわれに|同意《どうい》し、われわれと|一緒《いっしょ》に|住《す》んで一つの|民《たみ》となるのだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば|彼《かれ》らの|家畜《かちく》と|財産《ざいさん》とすべての|獣《けもの》とは、われわれのものとなるではないか。ただわれわれが|彼《かれ》らに|同意《どうい》すれば、|彼《かれ》らはわれわれと|一緒《いっしょ》に|住《す》むであろう」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|町《まち》の|門《もん》に|出入《でい》りする|者《もの》はみなハモルとその|子《こ》シケムとに|聞《き》き|従《したが》って、|町《まち》の|門《もん》に|出入《でい》りするすべての|男子《だんし》は|割礼《かつれい》を|受《う》けた。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》になって|彼《かれ》らが|痛《いた》みを|覚《おぼ》えている|時《とき》、ヤコブのふたりの|子《こ》、すなわちデナの|兄弟《きょうだい》シメオンとレビとは、おのおのつるぎを|取《と》って、|不意《ふい》に|町《まち》を|襲《おそ》い、|男子《だんし》をことごとく|殺《ころ》し、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]またつるぎの|刃《は》にかけてハモルとその|子《こ》シケムとを|殺《ころ》し、シケムの|家《いえ》からデナを|連《つ》れ|出《だ》した。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そしてヤコブの|子《こ》らは|殺《ころ》された|人々《ひとびと》をはぎ、|町《まち》をかすめた。|彼《かれ》らが|妹《いもうと》を|汚《けが》したからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|羊《ひつじ》、|牛《うし》、ろば|及《およ》び|町《まち》にあるものと、|野《の》にあるもの、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|並《なら》びにすべての|貨《か》|財《ざい》を|奪《うば》い、その|子《こ》|女《おんな》と|妻《つま》たちを|皆《みな》とりこにし、|家《いえ》の|中《なか》にある|物《もの》をことごとくかすめた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブはシメオンとレビとに|言《い》った、「あなたがたはわたしをこの|地《ち》の|住民《じゅうみん》、カナンびととペリジびとに|忌《い》みきらわせ、わたしに|迷惑《めいわく》をかけた。わたしは、|人数《にんずう》が|少《すく》ないから、|彼《かれ》らが|集《あつ》まってわたしを|攻《せ》め|撃《う》つならば、わたしも|家族《かぞく》も|滅《ほろ》ぼされるであろう」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「わたしたちの|妹《いもうと》を|遊女《ゆうじょ》のように|彼《かれ》が|扱《あつか》ってよいのですか」。 第三五章[#「第三五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ときに|神《かみ》はヤコブに|言《い》われた、「あなたは|立《た》ってベテルに|上《のぼ》り、そこに|住《す》んで、あなたがさきに|兄《あに》エサウの|顔《かお》を|避《さ》けてのがれる|時《とき》、あなたに|現《あらわ》れた|神《かみ》に|祭壇《さいだん》を|造《つく》りなさい」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは、その|家族《かぞく》および|共《とも》にいるすべての|者《もの》に|言《い》った、「あなたがたのうちにある|異《こと》なる|神々《かみがみ》を|捨《す》て、|身《み》を|清《きよ》めて|着物《きもの》を|着替《きが》えなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|立《た》ってベテルに|上《のぼ》り、その|所《ところ》でわたしの|苦難《くなん》の|日《ひ》にわたしにこたえ、かつわたしの|行《い》く|道《みち》で|共《とも》におられた|神《かみ》に|祭壇《さいだん》を|造《つく》ろう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|持《も》っている|異《こと》なる|神々《かみがみ》と、|耳《みみ》につけている|耳輪《みみわ》をことごとくヤコブに|与《あた》えたので、ヤコブはこれをシケムのほとりにあるテレビンの|木《き》の|下《した》に|埋《う》めた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは、いで|立《た》ったが、|大《おお》いなる|恐《おそ》れが|周囲《しゅうい》の|町々《まちまち》に|起《た》ったので、ヤコブの|子《こ》らのあとを|追《お》う|者《もの》はなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヤコブは|共《とも》にいたすべての|人々《ひとびと》と|一緒《いっしょ》にカナンの|地《ち》にあるルズ、すなわちベテルにきた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそこに|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、その|所《ところ》をエル・ベテルと|名《な》づけた。|彼《かれ》が|兄《あに》の|顔《かお》を|避《さ》けてのがれる|時《とき》、|神《かみ》がそこで|彼《かれ》に|現《あらわ》れたからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にリベカのうばデボラが|死《し》んで、ベテルのしもの、かしの|木《き》の|下《した》に|葬《ほうむ》られた。これによってその|木《き》の|名《な》をアロン・バクテと|呼《よ》ばれた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さてヤコブがパダンアラムから|帰《かえ》ってきた|時《とき》、|神《かみ》は|再《ふたた》び|彼《かれ》に|現《あらわ》れて|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》された。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたの|名《な》はヤコブである。しかしあなたの|名《な》をもはやヤコブと|呼《よ》んではならない。あなたの|名《な》をイスラエルとしなさい」。こうして|彼《かれ》をイスラエルと|名《な》づけられた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまた|彼《かれ》に|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「わたしは|全能《ぜんのう》の|神《かみ》である。 あなたは|生《う》めよ、またふえよ。 一つの|国民《こくみん》、また|多《おお》くの|国民《こくみん》があなたから|出《で》て、 |王《おう》たちがあなたの|身《み》から|出《で》るであろう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはアブラハムとイサクとに|与《あた》えた|地《ち》を、 あなたに|与《あた》えよう。 またあなたの|後《のち》の|子孫《しそん》にその|地《ち》を|与《あた》えよう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》と|語《かた》っておられたその|場所《ばしょ》から|彼《かれ》を|離《はな》れてのぼられた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|神《かみ》が|自分《じぶん》と|語《かた》られたその|場所《ばしょ》に、一|本《ぽん》の|石《いし》の|柱《はしら》を|立《た》て、その|上《うえ》に|灌祭《かんさい》をささげ、また|油《あぶら》を|注《そそ》いだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヤコブは|神《かみ》が|自分《じぶん》と|語《かた》られたその|場所《ばしょ》をベテルと|名《な》づけた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはベテルを|立《た》ったが、エフラタに|行《い》き|着《つ》くまでに、なお|隔《へだ》たりのある|所《ところ》でラケルは|産気《さんけ》づき、その|産《さん》は|重《おも》かった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|難産《なんざん》に|当《あた》って、|産婆《さんば》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|心配《しんぱい》することはありません。|今度《こんど》も|男《おとこ》の|子《こ》です」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|死《し》にのぞみ、|魂《たましい》の|去《さ》ろうとする|時《とき》、|子《こ》の|名《な》をベノニと|呼《よ》んだ。しかし、|父《ちち》はこれをベニヤミンと|名《な》づけた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ラケルは|死《し》んでエフラタ、すなわちベツレヘムの|道《みち》に|葬《ほうむ》られた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはその|墓《はか》に|柱《はしら》を|立《た》てた。これはラケルの|墓《はか》の|柱《はしら》であって、|今日《こんにち》に|至《いた》っている。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはまた、いで|立《た》ってミグダル・エダルの|向《む》こうに|天幕《てんまく》を|張《は》った。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルがその|地《ち》に|住《す》んでいた|時《とき》、ルベンは|父《ちち》のそばめビルハのところへ|行《い》って、これと|寝《ね》た。イスラエルはこれを|聞《き》いた。  さてヤコブの|子《こ》らは十二|人《にん》であった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちレアの|子《こ》らはヤコブの|長子《ちょうし》ルベンとシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ラケルの|子《こ》らはヨセフとベニヤミン。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ラケルのつかえめビルハの|子《こ》らはダンとナフタリ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]レアのつかえめジルパの|子《こ》らはガドとアセル。これらはヤコブの|子《こ》らであって、パダンアラムで|彼《かれ》に|生《うま》れた|者《もの》である。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはキリアテ・アルバ、すなわちヘブロンのマムレにいる|父《ちち》イサクのもとへ|行《い》った。ここはアブラハムとイサクとが|寄留《きりゅう》した|所《ところ》である。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イサクの|年《とし》は百八十|歳《さい》であった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イサクは|年老《としお》い、|日《ひ》|満《み》ちて|息《いき》|絶《た》え、|死《し》んで、その|民《たみ》に|加《くわ》えられた。その|子《こ》エサウとヤコブとは、これを|葬《ほうむ》った。 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エサウ、すなわちエドムの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エサウはカナンの|娘《むすめ》たちのうちから|妻《つま》をめとった。すなわちヘテびとエロンの|娘《むすめ》アダと、ヒビびとヂベオンの|子《こ》アナの|娘《むすめ》アホリバマとである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また、イシマエルの|娘《むすめ》ネバヨテの|妹《いもうと》バスマテをめとった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アダはエリパズをエサウに|産《う》み、バスマテはリウエルを|産《う》み、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アホリバマはエウシ、ヤラム、コラを|産《う》んだ。これらはエサウの|子《こ》であって、カナンの|地《ち》で|彼《かれ》に|生《うま》れた|者《もの》である。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エサウは|妻《つま》と|子《こ》と|娘《むすめ》と|家《いえ》のすべての|人《ひと》、|家畜《かちく》とすべての|獣《けもの》、またカナンの|地《ち》で|獲《え》たすべての|財産《ざいさん》を|携《たずさ》え、|兄弟《きょうだい》ヤコブを|離《はな》れてほかの|地《ち》へ|行《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|財産《ざいさん》が|多《おお》くて、|一緒《いっしょ》にいることができなかったからである。すなわち|彼《かれ》らが|寄留《きりゅう》した|地《ち》は|彼《かれ》らの|家畜《かちく》のゆえに、|彼《かれ》らをささえることができなかったのである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエサウはセイルの|山地《さんち》に|住《す》んだ。エサウはすなわちエドムである。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]セイルの|山地《さんち》におったエドムびとの|先祖《せんぞ》エサウの|系図《けいず》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エサウの|子《こ》らの|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちエサウの|妻《つま》アダの|子《こ》はエリパズ。エサウの|妻《つま》バスマテの|子《こ》はリウエル。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エリパズの|子《こ》らはテマン、オマル、ゼポ、ガタム、ケナズである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]テムナはエサウの|子《こ》エリパズのそばめで、アマレクをエリパズに|産《う》んだ。これらはエサウの|妻《つま》アダの|子《こ》らである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]リウエルの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちナハテ、ゼラ、シャンマ、ミザであって、これらはエサウの|妻《つま》バスマテの|子《こ》らである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヂベオンの|子《こ》アナの|娘《むすめ》で、エサウの|妻《つま》アホリバマの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわち|彼女《かのじょ》はエウシ、ヤラム、コラをエサウに|産《う》んだ。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エサウの|子《こ》らの|中《なか》で、|族《ぞく》|長《ちょう》たる|者《もの》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちエサウの|長子《ちょうし》エリパズの|子《こ》らはテマンの|族長《ぞくちょう》、オマルの|族長《ぞくちょう》、ゼポの|族長《ぞくちょう》、ケナズの|族長《ぞくちょう》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]コラの|族長《ぞくちょう》、ガタムの|族長《ぞくちょう》、アマレクの|族長《ぞくちょう》である。これらはエリパズから|出《で》た|族長《ぞくちょう》で、エドムの|地《ち》におった。これらはアダの|子《こ》らである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エサウの|子《こ》リウエルの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちナハテの|族長《ぞくちょう》、ゼラの|族長《ぞくちょう》、シャンマの|族長《ぞくちょう》、ミザの|族長《ぞくちょう》。これらはリウエルから|出《で》た|族長《ぞくちょう》で、エドムの|地《ち》におった。これらはエサウの|妻《つま》バスマテの|子《こ》らである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エサウの|妻《つま》アホリバマの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちエウシの|族長《ぞくちょう》、ヤラムの|族長《ぞくちょう》、コラの|族長《ぞくちょう》。これらはアナの|娘《むすめ》で、エサウの|妻《つま》アホリバマから|出《で》た|族長《ぞくちょう》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これらはエサウすなわちエドムの|子《こ》らで、|族《ぞく》|長《ちょう》たる|者《もの》である。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]この|地《ち》の|住民《じゅうみん》ホリびとセイルの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]デション、エゼル、デシャン。これらはセイルの|子《こ》ホリびとから|出《で》た|族長《ぞくちょう》で、エドムの|地《ち》におった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ロタンの|子《こ》らはホリ、ヘマムであり、ロタンの|妹《いもうと》はテムナであった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ショバルの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちアルワン、マナハテ、エバル、シポ、オナム。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヂベオンの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちアヤとアナ。このアナは|父《ちち》ヂベオンのろばを|飼《か》っていた|時《とき》、|荒野《あらの》で|温泉《おんせん》を|発見《はっけん》した|者《もの》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アナの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちデションとアホリバマ。アホリバマはアナの|娘《むすめ》である。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]デションの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちヘムダン、エシバン、イテラン、ケラン。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]エゼルの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちビルハン、ザワン、アカン。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]デシャンの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。すなわちウズとアラン。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ホリびとから|出《で》た|族長《ぞくちょう》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちロタンの|族長《ぞくちょう》、ショバルの|族長《ぞくちょう》、ヂベオンの|族長《ぞくちょう》、アナの|族長《ぞくちょう》、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]デションの|族長《ぞくちょう》、エゼルの|族長《ぞくちょう》、デシャンの|族長《ぞくちょう》。これらはホリびとから|出《で》た|族長《ぞくちょう》であって、その|氏族《しぞく》に|従《したが》ってセイルの|地《ち》におった|者《もの》である。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》を|治《おさ》める|王《おう》がまだなかった|時《とき》、エドムの|地《ち》を|治《おさ》めた|王《おう》たちは|次《つぎ》のとおりである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ベオルの|子《こ》ベラはエドムを|治《おさ》め、その|都《みやこ》の|名《な》はデナバであった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ベラが|死《し》んで、ボズラのゼラの|子《こ》ヨバブがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ヨバブが|死《し》んで、テマンびとの|地《ち》のホシャムがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ホシャムが|死《し》んで、ベダデの|子《こ》ハダデがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。|彼《かれ》はモアブの|野《の》でミデアンを|撃《う》った|者《もの》である。その|都《みやこ》の|名《な》はアビテであった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ハダデが|死《し》んで、マスレカのサムラがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]サムラが|死《し》んでユフラテ|川《かわ》のほとりにあるレホボテのサウルがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]サウルが|死《し》んでアクボルの|子《こ》バアル・ハナンがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]アクボルの|子《こ》バアル・ハナンが|死《し》んで、ハダルがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。その|都《みやこ》の|名《な》はパウであった。その|妻《つま》の|名《な》はメヘタベルといって、メザハブの|娘《むすめ》マテレデの|娘《むすめ》であった。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]エサウから|出《で》た|族長《ぞくちょう》の|名《な》は、その|氏族《しぞく》と|住所《じゅうしょ》と|名《な》に|従《したが》って|言《い》えば|次《つぎ》のとおりである。すなわちテムナの|族長《ぞくちょう》、アルワの|族長《ぞくちょう》、エテテの|族長《ぞくちょう》、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]アホリバマの|族長《ぞくちょう》、エラの|族長《ぞくちょう》、ピノンの|族長《ぞくちょう》、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ケナズの|族長《ぞくちょう》、テマンの|族長《ぞくちょう》、ミブザルの|族長《ぞくちょう》、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]マグデエルの|族長《ぞくちょう》、イラムの|族長《ぞくちょう》。これらはエドムの|族長《ぞくちょう》たちであって、その|領地《りょうち》|内《うち》の|住所《じゅうしょ》に|従《したが》っていったものである。エドムびとの|先祖《せんぞ》はエサウである。 第三七章[#「第三七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|父《ちち》の|寄留《きりゅう》の|地《ち》、すなわちカナンの|地《ち》に|住《す》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。  ヨセフは十七|歳《さい》の|時《とき》、|兄弟《きょうだい》たちと|共《とも》に|羊《ひつじ》の|群《む》れを|飼《か》っていた。|彼《かれ》はまだ|子供《こども》で、|父《ちち》の|妻《つま》たちビルハとジルパとの|子《こ》らと|共《とも》にいたが、ヨセフは|彼《かれ》らの|悪《わる》いうわさを|父《ちち》に|告《つ》げた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|年寄《としよ》り|子《こ》であったから、イスラエルは|他《た》のどの|子《こ》よりも|彼《かれ》を|愛《あい》して、|彼《かれ》のために|長《なが》そでの|着物《きもの》をつくった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|兄弟《きょうだい》たちは|父《ちち》がどの|兄弟《きょうだい》よりも|彼《かれ》を|愛《あい》するのを|見《み》て、|彼《かれ》を|憎《にく》み、|穏《おだ》やかに|彼《かれ》に|語《かた》ることができなかった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ある|時《とき》、ヨセフは|夢《ゆめ》を|見《み》て、それを|兄弟《きょうだい》たちに|話《はな》したので、|彼《かれ》らは、ますます|彼《かれ》を|憎《にく》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らに|言《い》った、「どうぞわたしが|見《み》た|夢《ゆめ》を|聞《き》いてください。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちが|畑《はたけ》の|中《なか》で|束《たば》を|結《ゆ》わえていたとき、わたしの|束《たば》が|起《お》きて|立《た》つと、あなたがたの|束《たば》がまわりにきて、わたしの|束《たば》を|拝《おが》みました」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すると|兄弟《きょうだい》たちは|彼《かれ》に|向《む》かって、「あなたはほんとうにわたしたちの|王《おう》になるのか。あなたは|実際《じっさい》わたしたちを|治《おさ》めるのか」と|言《い》って、|彼《かれ》の|夢《ゆめ》とその|言葉《ことば》のゆえにますます|彼《かれ》を|憎《にく》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはまた一つの|夢《ゆめ》を|見《み》て、それを|兄弟《きょうだい》たちに|語《かた》って|言《い》った、「わたしはまた|夢《ゆめ》を|見《み》ました。|日《ひ》と|月《つき》と十一の|星《ほし》とがわたしを|拝《おが》みました」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれを|父《ちち》と|兄弟《きょうだい》たちに|語《かた》ったので、|父《ちち》は|彼《かれ》をとがめて|言《い》った、「あなたが|見《み》たその|夢《ゆめ》はどういうのか。ほんとうにわたしとあなたの|母《はは》と、|兄弟《きょうだい》たちとが|行《い》って|地《ち》に|伏《ふ》し、あなたを|拝《おが》むのか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|兄弟《きょうだい》たちは|彼《かれ》をねたんだ。しかし|父《ちち》はこの|言葉《ことば》を|心《こころ》にとめた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さて|兄弟《きょうだい》たちがシケムに|行《い》って、|父《ちち》の|羊《ひつじ》の|群《む》れを|飼《か》っていたとき、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはヨセフに|言《い》った、「あなたの|兄弟《きょうだい》たちはシケムで|羊《ひつじ》を|飼《か》っているではないか。さあ、あなたを|彼《かれ》らの|所《ところ》へつかわそう」。ヨセフは|父《ちち》に|言《い》った、「はい、|行《い》きます」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》は|彼《かれ》に|言《い》った、「どうか、|行《い》って、あなたの|兄弟《きょうだい》たちは|無事《ぶじ》であるか、また|群《む》れは|無事《ぶじ》であるか|見《み》てきて、わたしに|知《し》らせてください」。|父《ちち》が|彼《かれ》をヘブロンの|谷《たに》からつかわしたので、|彼《かれ》はシケムに|行《い》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ひとりの|人《ひと》が|彼《かれ》に|会《あ》い、|彼《かれ》が|野《の》をさまよっていたので、その|人《ひと》は|彼《かれ》に|尋《たず》ねて|言《い》った、「あなたは|何《なに》を|捜《さが》しているのですか」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|兄弟《きょうだい》たちを|捜《さが》しているのです。|彼《かれ》らが、どこで|羊《ひつじ》を|飼《か》っているのか、どうぞわたしに|知《し》らせてください」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|言《い》った、「|彼《かれ》らはここを|去《さ》りました。|彼《かれ》らが『ドタンへ|行《い》こう』と|言《い》うのをわたしは|聞《き》きました」。そこでヨセフは|兄弟《きょうだい》たちのあとを|追《お》って|行《い》って、ドタンで|彼《かれ》らに|会《あ》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフが|彼《かれ》らに|近《ちか》づかないうちに、|彼《かれ》らははるかにヨセフを|見《み》て、これを|殺《ころ》そうと|計《はか》り、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|互《たがい》に|言《い》った、「あの|夢見《ゆめみ》る|者《もの》がやって|来《く》る。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]さあ、|彼《かれ》を|殺《ころ》して|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れ、|悪《わる》い|獣《けもの》が|彼《かれ》を|食《く》ったと|言《い》おう。そして|彼《かれ》の|夢《ゆめ》がどうなるか|見《み》よう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ルベンはこれを|聞《き》いて、ヨセフを|彼《かれ》らの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》そうとして|言《い》った、「われわれは|彼《かれ》の|命《いのち》を|取《と》ってはならない」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ルベンはまた|彼《かれ》らに|言《い》った、「|血《ち》を|流《なが》してはいけない。|彼《かれ》を|荒野《あらの》のこの|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れよう。|彼《かれ》に|手《て》をくだしてはならない」。これはヨセフを|彼《かれ》らの|手《て》から|救《すく》いだして|父《ちち》に|返《かえ》すためであった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]さて、ヨセフが|兄弟《きょうだい》たちのもとへ|行《い》くと、|彼《かれ》らはヨセフの|着物《きもの》、|彼《かれ》が|着《き》ていた|長《なが》そでの|着物《きもの》をはぎとり、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》を|捕《とら》えて|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れた。その|穴《あな》はからで、その|中《なか》に|水《みず》はなかった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはすわってパンを|食《た》べた。|時《とき》に|彼《かれ》らが|目《め》をあげて|見《み》ると、イシマエルびとの|隊商《たいしょう》が、らくだに|香料《こうりょう》と、|乳香《にゅうこう》と、もつやくとを|負《お》わせてエジプトへ|下《くだ》り|行《い》こうとギレアデからやってきた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダは|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》った、「われわれが|弟《おとうと》を|殺《ころ》し、その|血《ち》を|隠《かく》して|何《なに》の|益《えき》があろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]さあ、われわれは|彼《かれ》をイシマエルびとに|売《う》ろう。|彼《かれ》はわれわれの|兄弟《きょうだい》、われわれの|肉《にく》|身《み》だから、|彼《かれ》に|手《て》を|下《くだ》してはならない」。|兄弟《きょうだい》たちはこれを|聞《き》き|入《い》れた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にミデアンびとの|商人《しょうにん》たちが|通《とお》りかかったので、|彼《かれ》らはヨセフを|穴《あな》から|引《ひ》き|上《あ》げ、|銀《ぎん》二十シケルでヨセフをイシマエルびとに|売《う》った。|彼《かれ》らはヨセフをエジプトへ|連《つ》れて|行《い》った。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]さてルベンは|穴《あな》に|帰《かえ》って|見《み》たが、ヨセフが|穴《あな》の|中《なか》にいなかったので、|彼《かれ》は|衣服《いふく》を|裂《さ》き、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|兄弟《きょうだい》たちのもとに|帰《かえ》って|言《い》った、「あの|子《こ》はいない。ああ、わたしはどこへ|行《い》くことができよう」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨセフの|着物《きもの》を|取《と》り、|雄《お》やぎを|殺《ころ》して、|着物《きもの》をその|血《ち》に|浸《ひた》し、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|長《なが》そでの|着物《きもの》を|父《ちち》に|持《も》ち|帰《かえ》って|言《い》った、「わたしたちはこれを|見《み》つけましたが、これはあなたの|子《こ》の|着物《きもの》か、どうか|見《み》さだめてください」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》はこれを|見《み》さだめて|言《い》った、「わが|子《こ》の|着物《きもの》だ。|悪《わる》い|獣《けもの》が|彼《かれ》を|食《く》ったのだ。|確《たし》かにヨセフはかみ|裂《さ》かれたのだ」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤコブは|衣服《いふく》を|裂《さ》き、|荒布《あらぬの》を|腰《こし》にまとって、|長《なが》い|間《あいだ》その|子《こ》のために|嘆《なげ》いた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》らと|娘《むすめ》らとは|皆《みな》|立《た》って|彼《かれ》を|慰《なぐさ》めようとしたが、|彼《かれ》は|慰《なぐさ》められるのを|拒《こば》んで|言《い》った、「いや、わたしは|嘆《なげ》きながら|陰府《よみ》に|下《くだ》って、わが|子《こ》のもとへ|行《い》こう」。こうして|父《ちち》は|彼《かれ》のために|泣《な》いた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]さて、かのミデアンびとらはエジプトでパロの|役人《やくにん》、|侍衛《じえい》|長《ちょう》ポテパルにヨセフを|売《う》った。 第三八章[#「第三八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころユダは|兄弟《きょうだい》たちを|離《はな》れて|下《くだ》り、アドラムびとで、|名《な》をヒラという|者《もの》の|所《ところ》へ|行《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ユダはその|所《ところ》で、|名《な》をシュアというカナンびとの|娘《むすめ》を|見《み》て、これをめとり、その|所《ところ》にはいった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はみごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだので、ユダは|名《な》をエルと|名《な》づけた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|再《ふたた》びみごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》み、|名《な》をオナンと|名《な》づけた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|重《かさ》ねて、|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》み、|名《な》をシラと|名《な》づけた。|彼女《かのじょ》はこの|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだとき、クジブにおった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|長子《ちょうし》エルのために、|名《な》をタマルという|妻《つま》を|迎《むか》えた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしユダの|長子《ちょうし》エルは|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《わる》い|者《もの》であったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》を|殺《ころ》された。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダはオナンに|言《い》った、「|兄《あに》の|妻《つま》の|所《ところ》にはいって、|彼女《かのじょ》をめとり、|兄《あに》に|子供《こども》を|得《え》させなさい」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしオナンはその|子《こ》が|自分《じぶん》のものとならないのを|知《し》っていたので、|兄《あに》の|妻《つま》の|所《ところ》にはいった|時《とき》、|兄《あに》に|子《こ》を|得《え》させないために|地《ち》に|洩《も》らした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》のした|事《こと》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《わる》かったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》をも|殺《ころ》された。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダはその|子《こ》の|妻《つま》タマルに|言《い》った、「わたしの|子《こ》シラが|成人《せいじん》するまで、|寡婦《かふ》のままで、あなたの|父《ちち》の|家《いえ》にいなさい」。|彼《かれ》は、シラもまた|兄弟《きょうだい》たちのように|死《し》ぬかもしれないと、|思《おも》ったからである。それでタマルは|行《い》って|父《ちち》の|家《いえ》におった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》がたってシュアの|娘《むすめ》ユダの|妻《つま》は|死《し》んだ。その|後《のち》、ユダは|喪《も》を|終《おわ》ってその|友《とも》アドラムびとヒラと|共《とも》にテムナに|上《のぼ》り、|自分《じぶん》の|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》る|者《もの》のところへ|行《い》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ひとりの|人《ひと》がタマルに|告《つ》げて、「あなたのしゅうとが|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》るためにテムナに|上《のぼ》って|来《く》る」と|言《い》ったので、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|寡婦《かふ》の|衣服《いふく》を|脱《ぬ》ぎすて、|被衣《かずき》で|身《み》をおおい|隠《かく》して、テムナへ|行《い》く|道《みち》のかたわらにあるエナイムの|入口《いりぐち》にすわっていた。|彼女《かのじょ》はシラが|成人《せいじん》したのに、|自分《じぶん》がその|妻《つま》にされないのを|知《し》ったからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|彼女《かのじょ》を|見《み》たとき、|彼女《かのじょ》が|顔《かお》をおおっていたため、|遊女《ゆうじょ》だと|思《おも》い、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|道《みち》のかたわらで|彼女《かのじょ》に|向《む》かって|言《い》った、「さあ、あなたの|所《ところ》にはいらせておくれ」。|彼《かれ》はこの|女《おんな》がわが|子《こ》の|妻《つま》であることを|知《し》らなかったからである。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「わたしの|所《ところ》にはいるため、|何《なに》をくださいますか」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|言《い》った、「|群《む》れのうちのやぎの|子《こ》をあなたにあげよう」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「それをくださるまで、しるしをわたしにくださいますか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|言《い》った、「どんなしるしをあげようか」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「あなたの|印《いん》と|紐《ひも》と、あなたの|手《て》にあるつえとを」。|彼《かれ》はこれらを|与《あた》えて|彼女《かのじょ》の|所《ところ》にはいった。|彼女《かのじょ》はユダによってみごもった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|起《お》きて|去《さ》り、|被衣《かずき》を|脱《ぬ》いで|寡婦《かふ》の|衣服《いふく》を|着《き》た。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]やがてユダはその|女《おんな》からしるしを|取《と》りもどそうと、その|友《とも》アドラムびとに|託《たく》してやぎの|子《こ》を|送《おく》ったけれども、その|女《おんな》を|見《み》いだせなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》はその|所《ところ》の|人々《ひとびと》に|尋《たず》ねて|言《い》った、「エナイムで|道《みち》のかたわらにいた|遊女《ゆうじょ》はどこにいますか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「ここには|遊女《ゆうじょ》はいません」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はユダのもとに|帰《かえ》って|言《い》った、「わたしは|彼女《かのじょ》を|見《み》いだせませんでした。またその|所《ところ》の|人々《ひとびと》は、『ここには|遊女《ゆうじょ》はいない』と|言《い》いました」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダは|言《い》った、「|女《おんな》に|持《も》たせておこう。わたしたちは|恥《はじ》をかくといけないから。とにかく、わたしはこのやぎの|子《こ》を|送《おく》ったが、あなたは|彼女《かのじょ》を|見《み》いだせなかったのだ」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ところが三|月《がつ》ほどたって、ひとりの|人《ひと》がユダに|言《い》った、「あなたの|嫁《よめ》タマルは|姦淫《かんいん》しました。そのうえ、|彼女《かのじょ》は|姦淫《かんいん》によってみごもりました」。ユダは|言《い》った、「|彼女《かのじょ》を|引《ひ》き|出《だ》して|焼《や》いてしまえ」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|引《ひ》き|出《だ》された|時《とき》、そのしゅうとに|人《ひと》をつかわして|言《い》った、「わたしはこれをもっている|人《ひと》によって、みごもりました」。|彼女《かのじょ》はまた|言《い》った、「どうか、この|印《いん》と、|紐《ひも》と、つえとはだれのものか、|見定《みさだ》めてください」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ユダはこれを|見定《みさだ》めて|言《い》った、「|彼女《かのじょ》はわたしよりも|正《ただ》しい。わたしが|彼女《かのじょ》をわが|子《こ》シラに|与《あた》えなかったためである」。|彼《かれ》は|再《ふたた》び|彼女《かのじょ》を|知《し》らなかった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]さて|彼女《かのじょ》の|出産《しゅっさん》の|時《とき》がきたが、|胎内《たいない》には、ふたごがあった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|出産《しゅっさん》の|時《とき》に、ひとりの|子《こ》が|手《て》を|出《だ》したので、|産婆《さんば》は、「これがさきに|出《で》た」と|言《い》い、|緋《ひ》の|糸《いと》を|取《と》って、その|手《て》に|結《むす》んだ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|子《こ》が|手《て》をひっこめると、その|弟《おとうと》が|出《で》たので、「どうしてあなたは|自分《じぶん》で|破《やぶ》って|出《で》るのか」と|言《い》った。これによって|名《な》はペレヅと|呼《よ》ばれた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|手《て》に|緋《ひ》の|糸《いと》のある|兄《あに》が|出《で》たので、|名《な》はゼラと|呼《よ》ばれた。 第三九章[#「第三九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてヨセフは|連《つ》れられてエジプトに|下《くだ》ったが、パロの|役人《やくにん》で|侍衛《じえい》|長《ちょう》であったエジプトびとポテパルは、|彼《かれ》をそこに|連《つ》れ|下《くだ》ったイシマエルびとらの|手《て》から|買《か》い|取《と》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がヨセフと|共《とも》におられたので、|彼《かれ》は|幸運《こううん》な|者《もの》となり、その|主人《しゅじん》エジプトびとの|家《いえ》におった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|主人《しゅじん》は|主《しゅ》が|彼《かれ》とともにおられることと、|主《しゅ》が|彼《かれ》の|手《て》のすることをすべて|栄《さか》えさせられるのを|見《み》た。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ヨセフは|彼《かれ》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》、そのそば|近《ちか》く|仕《つか》えた。|彼《かれ》はヨセフに|家《いえ》をつかさどらせ、|持《も》ち|物《もの》をみな|彼《かれ》の|手《て》にゆだねた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がヨセフに|家《いえ》とすべての|持《も》ち|物《もの》をつかさどらせた|時《とき》から、|主《しゅ》はヨセフのゆえにそのエジプトびとの|家《いえ》を|恵《めぐ》まれたので、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みは|彼《かれ》の|家《いえ》と|畑《はたけ》とにあるすべての|持《も》ち|物《もの》に|及《およ》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》は|持《も》ち|物《もの》をみなヨセフの|手《て》にゆだねて、|自分《じぶん》が|食《た》べる|物《もの》のほかは、|何《なに》をも|顧《かえり》みなかった。  さてヨセフは|姿《すがた》がよく、|顔《かお》が|美《うつく》しかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、|主人《しゅじん》の|妻《つま》はヨセフに|目《め》をつけて|言《い》った、「わたしと|寝《ね》なさい」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|拒《こば》んで、|主人《しゅじん》の|妻《つま》に|言《い》った、「|御《ご》|主人《しゅじん》はわたしがいるので|家《いえ》の|中《なか》の|何《なに》をも|顧《かえり》みず、その|持《も》ち|物《もの》をみなわたしの|手《て》にゆだねられました。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|家《いえ》にはわたしよりも|大《おお》いなる|者《もの》はありません。また|御《ご》|主人《しゅじん》はあなたを|除《のぞ》いては、|何《なに》をもわたしに|禁《きん》じられませんでした。あなたが|御《ご》|主人《しゅじん》の|妻《つま》であるからです。どうしてわたしはこの|大《おお》きな|悪《あく》をおこなって、|神《かみ》に|罪《つみ》を|犯《おか》すことができましょう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|毎日《まいにち》ヨセフに|言《い》い|寄《よ》ったけれども、ヨセフは|聞《き》きいれず、|彼女《かのじょ》と|寝《ね》なかった。また|共《とも》にいなかった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》ヨセフが|務《つとめ》をするために|家《いえ》にはいった|時《とき》、|家《いえ》の|者《もの》がひとりもそこにいなかったので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はヨセフの|着物《きもの》を|捕《とら》えて、「わたしと|寝《ね》なさい」と|言《い》った。ヨセフは|着物《きもの》を|彼女《かのじょ》の|手《て》に|残《のこ》して|外《そと》にのがれ|出《で》た。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はヨセフが|着物《きもの》を|自分《じぶん》の|手《て》に|残《のこ》して|外《そと》にのがれたのを|見《み》て、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》の|者《もの》どもを|呼《よ》び、|彼《かれ》らに|告《つ》げて|言《い》った、「|主人《しゅじん》がわたしたちの|所《ところ》に|連《つ》れてきたヘブルびとは、わたしたちに|戯《たわむ》れます。|彼《かれ》はわたしと|寝《ね》ようとして、わたしの|所《ところ》にはいったので、わたしは|大声《おおごえ》で|叫《さけ》びました。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしが|声《こえ》をあげて|叫《さけ》ぶのを|聞《き》くと、|着物《きもの》をわたしの|所《ところ》に|残《のこ》して|外《そと》にのがれ|出《で》ました」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はその|着物《きもの》をかたわらに|置《お》いて、|主人《しゅじん》の|帰《かえ》って|来《く》るのを|待《ま》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼女《かのじょ》は|次《つぎ》のように|主人《しゅじん》に|告《つ》げた、「あなたがわたしたちに|連《つ》れてこられたヘブルのしもべはわたしに|戯《たわむ》れようとして、わたしの|所《ところ》にはいってきました。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|声《こえ》をあげて|叫《さけ》んだので、|彼《かれ》は|着物《きもの》をわたしの|所《ところ》に|残《のこ》して|外《そと》にのがれました」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主人《しゅじん》はその|妻《つま》が「あなたのしもべは、わたしにこんな|事《こと》をした」と|告《つ》げる|言葉《ことば》を|聞《き》いて、|激《はげ》しく|怒《いか》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨセフの|主人《しゅじん》は|彼《かれ》を|捕《とら》えて、|王《おう》の|囚人《しゅうじん》をつなぐ|獄屋《ごくや》に|投《な》げ|入《い》れた。こうしてヨセフは|獄屋《ごくや》の|中《なか》におったが、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨセフと|共《とも》におられて|彼《かれ》にいつくしみを|垂《た》れ、|獄屋《ごくや》|番《ばん》の|恵《めぐ》みをうけさせられた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|獄屋《ごくや》|番《ばん》は|獄屋《ごくや》におるすべての|囚人《しゅうじん》をヨセフの|手《て》にゆだねたので、|彼《かれ》はそこでするすべての|事《こと》をおこなった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|獄屋《ごくや》|番《ばん》は|彼《かれ》の|手《て》にゆだねた|事《こと》はいっさい|顧《かえり》みなかった。|主《しゅ》がヨセフと|共《とも》におられたからである。|主《しゅ》は|彼《かれ》のなす|事《こと》を|栄《さか》えさせられた。 第四〇章[#「第四〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、エジプト|王《おう》の|給仕《きゅうじ》|役《やく》と|料理《りょうり》|役《やく》とがその|主君《しゅくん》エジプト|王《おう》に|罪《つみ》を|犯《おか》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]パロはふたりの|役人《やくにん》、すなわち|給仕《きゅうじ》|役《やく》の|長《ちょう》と|料理《りょうり》|役《やく》の|長《ちょう》に|向《む》かって|憤《いきどお》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》|長《ちょう》の|家《いえ》の|監禁所《かんきんじょ》、すなわちヨセフがつながれている|獄屋《ごくや》に|入《い》れた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》|長《ちょう》はヨセフに|命《めい》じて|彼《かれ》らと|共《とも》におらせたので、ヨセフは|彼《かれ》らに|仕《つか》えた。こうして|彼《かれ》らは|監禁所《かんきんじょ》で|幾日《いくにち》かを|過《す》ごした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]さて|獄屋《ごくや》につながれたエジプト|王《おう》の|給仕《きゅうじ》|役《やく》と|料理《りょうり》|役《やく》のふたりは|一夜《いちや》のうちにそれぞれ|意味《いみ》のある|夢《ゆめ》を|見《み》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフが|朝《あさ》、|彼《かれ》らのところへ|行《い》って|見《み》ると、|彼《かれ》らは|悲《かな》しみに|沈《しず》んでいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフは|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》に|主人《しゅじん》の|家《いえ》の|監禁所《かんきんじょ》にいるパロの|役人《やくにん》たちに|尋《たず》ねて|言《い》った、「どうして、きょう、あなたがたの|顔色《かおいろ》が|悪《わる》いのですか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「わたしたちは|夢《ゆめ》を|見《み》ましたが、|解《と》いてくれる|者《もの》がいません」。ヨセフは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|解《と》くことは|神《かみ》によるのではありませんか。どうぞ、わたしに|話《はな》してください」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|給仕《きゅうじ》|役《やく》の|長《ちょう》はその|夢《ゆめ》をヨセフに|話《はな》して|言《い》った、「わたしが|見《み》た|夢《ゆめ》で、わたしの|前《まえ》に一|本《ぽん》のぶどうの|木《き》がありました。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そのぶどうの|木《き》に三つの|枝《えだ》があって、|芽《め》を|出《だ》し、|花《はな》が|咲《さ》き、ぶどうのふさが|熟《じゅく》しました。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にわたしの|手《て》に、パロの|杯《さかずき》があって、わたしはそのぶどうを|取《と》り、それをパロの|杯《さかずき》にしぼり、その|杯《さかずき》をパロの|手《て》にささげました」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|言《い》った、「その|解《と》き|明《あ》かしはこうです。三つの|枝《えだ》は三|日《か》です。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》から三|日《か》のうちにパロはあなたの|頭《あたま》を|上《あ》げて、あなたを|元《もと》の|役目《やくめ》に|返《かえ》すでしょう。あなたはさきに|給仕《きゅうじ》|役《やく》だった|時《とき》にされたように、パロの|手《て》に|杯《さかずき》をささげられるでしょう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたがしあわせになられたら、わたしを|覚《おぼ》えていて、どうかわたしに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》し、わたしの|事《こと》をパロに|話《はな》して、この|家《いえ》からわたしを|出《だ》してください。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|実《み》はヘブルびとの|地《ち》からさらわれてきた|者《もの》です。またここでもわたしは|地下《ちか》の|獄屋《ごくや》に|入《い》れられるような|事《こと》はしなかったのです」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|料理《りょうり》|役《やく》の|長《ちょう》はその|解《と》き|明《あ》かしの|良《よ》かったのを|見《み》て、ヨセフに|言《い》った、「わたしも|夢《ゆめ》を|見《み》たが、|白《しろ》いパンのかごが三つ、わたしの|頭《あたま》の|上《うえ》にあった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]一|番《ばん》|上《うえ》のかごには|料理《りょうり》|役《やく》がパロのために|作《つく》ったさまざまの|食物《しょくもつ》があったが、|鳥《とり》がわたしの|頭《あたま》の|上《うえ》のかごからそれを|食《た》べていた」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|答《こた》えて|言《い》った、「その|解《と》き|明《あ》かしはこうです。三つのかごは三|日《か》です。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》から三|日《か》のうちにパロはあなたの|頭《あたま》を|上《あ》げ|離《はな》して、あなたを|木《き》に|掛《か》けるでしょう。そして|鳥《とり》があなたの|肉《にく》を|食《く》い|取《と》るでしょう」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]さて三|日《か》|目《め》はパロの|誕生《たんじょう》|日《ひ》であったので、パロはすべての|家来《けらい》のためにふるまいを|設《もう》け、|家来《けらい》のうちの|給仕《きゅうじ》|役《やく》の|長《ちょう》の|頭《あたま》と、|料理《りょうり》|役《やく》の|長《ちょう》の|頭《あたま》を|上《あ》げた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわちパロは|給仕《きゅうじ》|役《やく》の|長《ちょう》を|給仕《きゅうじ》|役《やく》の|職《しょく》に|返《かえ》したので、|彼《かれ》はパロの|手《て》に|杯《さかずき》をささげた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしパロは|料理《りょうり》|役《やく》の|長《ちょう》を|木《き》に|掛《か》けた。ヨセフが|彼《かれ》らに|解《と》き|明《あ》かしたとおりである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ところが、|給仕《きゅうじ》|役《やく》の|長《ちょう》はヨセフを|思《おも》い|出《だ》さず、|忘《わす》れてしまった。 第四一章[#「第四一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]二|年《ねん》の|後《のち》パロは|夢《ゆめ》を|見《み》た。|夢《ゆめ》に、|彼《かれ》はナイル|川《かわ》のほとりに|立《た》っていた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すると、その|川《かわ》から|美《うつく》しい、|肥《こ》え|太《ふと》った七|頭《とう》の|雌牛《めうし》が|上《あ》がってきて|葦《あし》を|食《く》っていた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、また|醜《みにく》い、やせ|細《ほそ》った|他《た》の七|頭《とう》の|雌牛《めうし》が|川《かわ》から|上《あ》がってきて、|川《かわ》の|岸《きし》にいた|雌牛《めうし》のそばに|立《た》ち、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|醜《みにく》い、やせ|細《ほそ》った|雌牛《めうし》が、あの|美《うつく》しい、|肥《こ》えた七|頭《とう》の|雌牛《めうし》を|食《く》いつくした。ここでパロは|目《め》が|覚《さ》めた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|眠《ねむ》って、|再《ふたた》び|夢《ゆめ》を|見《み》た。|夢《ゆめ》に、一|本《ぽん》の|茎《くき》に|太《ふと》った|良《よ》い七つの|穂《ほ》が|出《で》てきた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》また、やせて、|東風《ひがしかぜ》に|焼《や》けた七つの|穂《ほ》が|出《で》てきて、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのやせた|穂《ほ》が、あの|太《ふと》って|実《みの》った七つの|穂《ほ》をのみつくした。ここでパロは|目《め》が|覚《さ》めたが、それは|夢《ゆめ》であった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》になって、パロは|心《こころ》が|騒《さわ》ぎ、|人《ひと》をつかわして、エジプトのすべての|魔術《まじゅつ》|師《し》とすべての|知者《ちしゃ》とを|呼《よ》び|寄《よ》せ、|彼《かれ》らに|夢《ゆめ》を|告《つ》げたが、これをパロに|解《と》き|明《あ》かしうる|者《もの》がなかった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|給仕《きゅうじ》|役《やく》の|長《ちょう》はパロに|告《つ》げて|言《い》った、「わたしはきょう、|自分《じぶん》のあやまちを|思《おも》い|出《だ》しました。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]かつてパロがしもべらに|向《む》かって|憤《いきどお》り、わたしと|料理《りょうり》|役《やく》の|長《ちょう》とを|侍衛《じえい》|長《ちょう》の|家《いえ》の|監禁所《かんきんじょ》にお|入《い》れになった|時《とき》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしも|彼《かれ》も|一夜《いちや》のうちに|夢《ゆめ》を|見《み》、それぞれ|意味《いみ》のある|夢《ゆめ》を|見《み》ましたが、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこに|侍衛《じえい》|長《ちょう》のしもべで、ひとりの|若《わか》いヘブルびとがわれわれと|共《とも》にいたので、|彼《かれ》に|話《はな》したところ、|彼《かれ》はわれわれの|夢《ゆめ》を|解《と》き|明《あ》かし、その|夢《ゆめ》によって、それぞれ|解《と》き|明《あ》かしをしました。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》が|解《と》き|明《あ》かしたとおりになって、パロはわたしを|職《しょく》に|返《かえ》し、|彼《かれ》を|木《き》に|掛《か》けられました」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでパロは|人《ひと》をつかわしてヨセフを|呼《よ》んだ。|人々《ひとびと》は|急《いそ》いで|彼《かれ》を|地下《ちか》の|獄屋《ごくや》から|出《だ》した。ヨセフは、ひげをそり、|着物《きもの》を|着替《きが》えてパロのもとに|行《い》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]パロはヨセフに|言《い》った、「わたしは|夢《ゆめ》を|見《み》たが、これを|解《と》き|明《あ》かす|者《もの》がない。|聞《き》くところによると、あなたは|夢《ゆめ》を|聞《き》いて、|解《と》き|明《あ》かしができるそうだ」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはパロに|答《こた》えて|言《い》った、「いいえ、わたしではありません。|神《かみ》がパロに|平安《へいあん》をお|告《つ》げになりましょう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]パロはヨセフに|言《い》った、「|夢《ゆめ》にわたしは|川《かわ》の|岸《きし》に|立《た》っていた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|川《かわ》から|肥《こ》え|太《ふと》った、|美《うつく》しい七|頭《とう》の|雌牛《めうし》が|上《あ》がってきて|葦《あし》を|食《く》っていた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|弱《よわ》く、|非常《ひじょう》に|醜《みにく》い、やせ|細《ほそ》った|他《た》の七|頭《とう》の|雌牛《めうし》がまた|上《うえ》がってきた。わたしはエジプト|全国《ぜんこく》で、このような|醜《みにく》いものをまだ|見《み》たことがない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ところがそのやせた|醜《みにく》い|雌牛《めうし》が、|初《はじ》めの七|頭《とう》の|肥《こ》えた|雌牛《めうし》を|食《く》いつくしたが、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|腹《はら》にはいっても、|腹《はら》にはいった|事《こと》が|知《し》れず、やはり|初《はじ》めのように|醜《みにく》かった。ここでわたしは|目《め》が|覚《さ》めた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|夢《ゆめ》をみた。一|本《ぽん》の|茎《くき》に七つの|実《み》った|良《よ》い|穂《ほ》が|出《で》てきた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、やせ|衰《おとろ》えて、|東風《ひがしかぜ》に|焼《や》けた七つの|穂《ほ》が|出《で》てきたが、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そのやせた|穂《ほ》が、あの七つの|良《よ》い|穂《ほ》をのみつくした。わたしは|魔術《まじゅつ》|師《し》に|話《はな》したが、わたしにそのわけを|示《しめ》しうる|者《もの》はなかった」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはパロに|言《い》った、「パロの|夢《ゆめ》は一つです。|神《かみ》がこれからしようとすることをパロに|示《しめ》されたのです。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]七|頭《とう》の|良《よ》い|雌牛《めうし》は七|年《ねん》です。七つの|良《よ》い|穂《ほ》も七|年《ねん》で、|夢《ゆめ》は一つです。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あとに|続《つづ》いて、|上《あ》がってきた七|頭《とう》のやせた|醜《みにく》い|雌牛《めうし》は七|年《ねん》で、|東風《ひがしかぜ》に|焼《や》けた|実《み》の|入《い》らない七つの|穂《ほ》は七|年《ねん》のききんです。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしがパロに|申《もう》し|上《あ》げたように、|神《かみ》がこれからしようとすることをパロに|示《しめ》されたのです。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]エジプト|全国《ぜんこく》に七|年《ねん》の|大《だい》|豊作《ほうさく》があり、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》七|年《ねん》のききんが|起《おこ》り、その|豊作《ほうさく》はみなエジプトの|国《くに》で|忘《わす》れられて、そのききんは|国《くに》を|滅《ほろ》ぼすでしょう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》に|来《く》るそのききんが、|非常《ひじょう》に|激《はげ》しいから、その|豊作《ほうさく》は|国《くに》のうちで|記憶《きおく》されなくなるでしょう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]パロが二|度《ど》|重《かさ》ねて|夢《ゆめ》を|見《み》られたのは、この|事《こと》が|神《かみ》によって|定《さだ》められ、|神《かみ》がすみやかにこれをされるからです。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえパロは|今《いま》、さとく、かつ|賢《かしこ》い|人《ひと》を|尋《たず》ね|出《だ》してエジプトの|国《くに》を|治《おさ》めさせなさい。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]パロはこうして|国中《くにぢゅう》に|監督《かんとく》を|置《お》き、その七|年《ねん》の|豊作《ほうさく》のうちに、エジプトの|国《くに》の|産物《さんぶつ》の五|分《ぶん》の一を|取《と》り、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|続《つづ》いて|来《く》る|良《よ》い|年々《ねんねん》のすべての|食糧《しょくりょう》を|彼《かれ》らに|集《あつ》めさせ、|穀物《こくもつ》を|食糧《しょくりょう》として、パロの|手《て》で|町々《まちまち》にたくわえ|守《まも》らせなさい。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]こうすれば|食糧《しょくりょう》は、エジプトの|国《くに》に|臨《のぞ》む七|年《ねん》のききんに|備《そな》えて、この|国《くに》のためにたくわえとなり、この|国《くに》はききんによって|滅《ほろ》びることがないでしょう」。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》はパロとそのすべての|家来《けらい》たちの|目《め》にかなった。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]そこでパロは|家来《けらい》たちに|言《い》った、「われわれは|神《かみ》の|霊《れい》をもつこのような|人《ひと》を、ほかに|見《み》いだし|得《え》ようか」。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]またパロはヨセフに|言《い》った、「|神《かみ》がこれを|皆《みな》あなたに|示《しめ》された。あなたのようにさとく|賢《かしこ》い|者《もの》はない。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|家《いえ》を|治《おさ》めてください。わたしの|民《たみ》はみなあなたの|言葉《ことば》に|従《したが》うでしょう。わたしはただ|王《おう》の|位《くらい》でだけあなたにまさる」。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]パロは|更《さら》にヨセフに|言《い》った、「わたしはあなたをエジプト|全国《ぜんこく》のつかさとする」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]そしてパロは|指輪《ゆびわ》を|手《て》からはずして、ヨセフの|手《て》にはめ、|亜麻《あま》|布《ぬの》の|衣服《いふく》を|着《き》せ、|金《きん》の|鎖《くさり》をくびにかけ、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|第《だい》二の|車《くるま》に|彼《かれ》を|乗《の》せ、「ひざまずけ」とその|前《まえ》に|呼《よ》ばわらせ、こうして|彼《かれ》をエジプト|全国《ぜんこく》のつかさとした。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ついでパロはヨセフに|言《い》った、「わたしはパロである。あなたの|許《ゆる》しがなければエジプト|全国《ぜんこく》で、だれも|手足《てあし》を|上《あ》げることはできない」。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]パロはヨセフの|名《な》をザフナテ・パネアと|呼《よ》び、オンの|祭司《さいし》ポテペラの|娘《むすめ》アセナテを|妻《つま》として|彼《かれ》に|与《あた》えた。ヨセフはエジプトの|国《くに》を|巡《めぐ》った。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフがエジプトの|王《おう》パロの|前《まえ》に|立《た》った|時《とき》は三十|歳《さい》であった。ヨセフはパロの|前《まえ》を|出《で》て、エジプト|全国《ぜんこく》をあまねく|巡《めぐ》った。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]さて七|年《ねん》の|豊作《ほうさく》のうちに|地《ち》は|豊《ゆた》かに|物《もの》を|産《さん》した。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフはエジプトの|国《くに》にできたその七|年間《ねんかん》の|食糧《しょくりょう》をことごとく|集《あつ》め、その|食糧《しょくりょう》を|町々《まちまち》に|納《おさ》めさせた。すなわち|町《まち》の|周囲《しゅうい》にある|畑《はたけ》の|食糧《しょくりょう》をその|町《まち》の|中《なか》に|納《おさ》めさせた。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|穀物《こくもつ》を|海《うみ》の|砂《すな》のように、|非常《ひじょう》に|多《おお》くたくわえ、|量《はか》りきれなくなったので、ついに|量《はか》ることをやめた。  [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]ききんの|年《とし》の|来《く》る|前《まえ》にヨセフにふたりの|子《こ》が|生《うま》れた。これらはオンの|祭司《さいし》ポテペラの|娘《むすめ》アセナテが|産《う》んだのである。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|長子《ちょうし》の|名《な》をマナセと|名《な》づけて|言《い》った、「|神《かみ》がわたしにすべての|苦難《くなん》と|父《ちち》の|家《いえ》のすべての|事《こと》を|忘《わす》れさせられた」。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]また|次《つぎ》の|子《こ》の|名《な》をエフライムと|名《な》づけて|言《い》った、「|神《かみ》がわたしを|悩《なや》みの|地《ち》で|豊《ゆた》かにせられた」。  [#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|国《くに》にあった七|年《ねん》の|豊作《ほうさく》が|終《おわ》り、[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|言《い》ったように七|年《ねん》のききんが|始《はじ》まった。そのききんはすべての|国《くに》にあったが、エジプト|全国《ぜんこく》には|食物《しょくもつ》があった。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]やがてエジプト|全国《ぜんこく》が|飢《う》えた|時《とき》、|民《たみ》はパロに|食物《しょくもつ》を|叫《さけ》び|求《もと》めた。そこでパロはすべてのエジプトびとに|言《い》った、「ヨセフのもとに|行《い》き、|彼《かれ》の|言《い》うようにせよ」。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]ききんが|地《ち》の|全面《ぜんめん》にあったので、ヨセフはすべての|穀倉《こくぐら》を|開《ひら》いて、エジプトびとに|売《う》った。ききんはますますエジプトの|国《くに》に|激《はげ》しくなった。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]ききんが|全《ぜん》|地《ち》に|激《はげ》しくなったので、|諸国《しょこく》の|人々《ひとびと》がエジプトのヨセフのもとに|穀物《こくもつ》を|買《か》うためにきた。 第四二章[#「第四二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはエジプトに|穀物《こくもつ》があると|知《し》って、むすこたちに|言《い》った、「あなたがたはなぜ|顔《かお》を|見合《みあ》わせているのですか」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》った、「エジプトに|穀物《こくもつ》があるということだが、あなたがたはそこへ|下《くだ》って|行《い》って、そこから、われわれのため|穀物《こくもつ》を|買《か》ってきなさい。そうすれば、われわれは|生《い》きながらえて、|死《し》を|免《まぬか》れるであろう」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフの十|人《にん》の|兄弟《きょうだい》は|穀物《こくもつ》を|買《か》うためにエジプトへ|下《くだ》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ヤコブはヨセフの|弟《おとうと》ベニヤミンを|兄弟《きょうだい》たちと|一緒《いっしょ》にやらなかった。|彼《かれ》が|災《わざわい》に|会《あ》うのを|恐《おそ》れたからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|子《こ》らは|穀物《こくもつ》を|買《か》おうと|人々《ひとびと》に|交《ま》じってやってきた。カナンの|地《ち》にききんがあったからである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ときにヨセフは|国《くに》のつかさであって、|国《くに》のすべての|民《たみ》に|穀物《こくもつ》を|売《う》ることをしていた。ヨセフの|兄弟《きょうだい》たちはきて、|地《ち》にひれ|伏《ふ》し、|彼《かれ》を|拝《はい》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|兄弟《きょうだい》たちを|見《み》て、それと|知《し》ったが、|彼《かれ》らに|向《む》かっては|知《し》らぬ|者《もの》のようにし、|荒々《あらあら》しく|語《かた》った。すなわち|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはどこからきたのか」。|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「|食糧《しょくりょう》を|買《か》うためにカナンの|地《ち》からきました」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは、|兄弟《きょうだい》たちであるのを|知《し》っていたが、|彼《かれ》らはヨセフとは|知《し》らなかった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはかつて|彼《かれ》らについて|見《み》た|夢《ゆめ》を|思《おも》い|出《だ》して、|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは|回《まわ》し|者《もの》で、この|国《くに》のすきをうかがうためにきたのです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨセフに|答《こた》えた、「いいえ、わが|主《しゅ》よ、しもべらはただ|食糧《しょくりょう》を|買《か》うためにきたのです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|皆《みな》、ひとりの|人《ひと》の|子《こ》で、|真実《しんじつ》な|者《もの》です。しもべらは|回《まわ》し|者《もの》ではありません」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らに|言《い》った、「いや、あなたがたはこの|国《くに》のすきをうかがうためにきたのです」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「しもべらは十二|人《にん》|兄弟《きょうだい》で、カナンの|地《ち》にいるひとりの|人《ひと》の|子《こ》です。|末《すえ》の|弟《おとうと》は|今《いま》、|父《ちち》と|一緒《いっしょ》にいますが、|他《た》のひとりはいなくなりました」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしが|言《い》ったとおり、あなたがたは|回《まわ》し|者《もの》です。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたをこうしてためしてみよう。パロのいのちにかけて|誓《ちか》います。|末《すえ》の|弟《おとうと》がここにこなければ、あなたがたはここを|出《で》ることはできません。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのひとりをやって|弟《おとうと》を|連《つ》れてこさせなさい。それまであなたがたをつないでおいて、あなたがたに|誠実《せいじつ》があるかどうか、あなたがたの|言葉《ことば》をためしてみよう。パロのいのちにかけて|誓《ちか》います。あなたがたは|確《たし》かに|回《まわ》し|者《もの》です」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らをみな|一緒《いっしょ》に三|日《か》の|間《あいだ》、|監禁所《かんきんじょ》に|入《い》れた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》にヨセフは|彼《かれ》らに|言《い》った、「こうすればあなたがたは|助《たす》かるでしょう。わたしは|神《かみ》を|恐《おそ》れます。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが|真実《しんじつ》な|者《もの》なら、|兄弟《きょうだい》のひとりをあなたがたのいる|監禁所《かんきんじょ》に|残《のこ》し、あなたがたは|穀物《こくもつ》を|携《たずさ》えて|行《い》って、|家族《かぞく》の|飢《う》えを|救《すく》いなさい。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|末《すえ》の|弟《おとうと》をわたしのもとに|連《つ》れてきなさい。そうすればあなたがたの|言葉《ことば》のほんとうであることがわかって、|死《し》を|免《まぬか》れるでしょう」。|彼《かれ》らはそのようにした。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|互《たがい》に|言《い》った、「|確《たし》かにわれわれは|弟《おとうと》の|事《こと》で|罪《つみ》がある。|彼《かれ》がしきりに|願《ねが》った|時《とき》、その|心《こころ》の|苦《くる》しみを|見《み》ながら、われわれは|聞《き》き|入《い》れなかった。それでこの|苦《くる》しみに|会《あ》うのだ」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ルベンが|彼《かれ》らに|答《こた》えて|言《い》った、「わたしはあなたがたに、この|子供《こども》に|罪《つみ》を|犯《おか》すなと|言《い》ったではないか。それにもかかわらず、あなたがたは|聞《き》き|入《い》れなかった。それで|彼《かれ》の|血《ち》の|報《むく》いを|受《う》けるのです」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨセフが|聞《き》きわけているのを|知《し》らなかった。|相互《そうご》の|間《あいだ》に|通訳者《つうやくしゃ》がいたからである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らを|離《はな》れて|行《い》って|泣《な》き、また|帰《かえ》ってきて|彼《かれ》らと|語《かた》り、そのひとりシメオンを|捕《とら》えて、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で|縛《しば》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨセフは|人々《ひとびと》に|命《めい》じて、|彼《かれ》らの|袋《ふくろ》に|穀物《こくもつ》を|満《み》たし、めいめいの|銀《ぎん》を|袋《ふくろ》に|返《かえ》し、|道中《どうちゅう》の|食料《しょくりょう》を|与《あた》えさせた。ヨセフはこのように|彼《かれ》らにした。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|穀物《こくもつ》をろばに|負《お》わせてそこを|去《さ》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そのひとりが|宿《やど》で、ろばに|飼葉《かいば》をやるため|袋《ふくろ》をあけて|見《み》ると、|袋《ふくろ》の|口《くち》に|自分《じぶん》の|銀《ぎん》があった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》った、「わたしの|銀《ぎん》は|返《かえ》してある。しかも|見《み》よ、それは|袋《ふくろ》の|中《なか》にある」。そこで|彼《かれ》らは|非常《ひじょう》に|驚《おどろ》き、|互《たがい》に|震《ふる》えながら|言《い》った、「|神《かみ》がわれわれにされたこのことは|何事《なにごと》だろう」。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはカナンの|地《ち》にいる|父《ちち》ヤコブのもとに|帰《かえ》り、その|身《み》に|起《た》った|事《こと》をことごとく|告《つ》げて|言《い》った、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]「あの|国《くに》の|君《きみ》は、われわれに|荒々《あらあら》しく|語《かた》り、|国《くに》をうかがう|回《まわ》し|者《もの》だと|言《い》いました。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|彼《かれ》に|答《こた》えました、『われわれは|真実《しんじつ》な|者《もの》であって|回《まわ》し|者《もの》ではない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]われわれは十二|人《にん》|兄弟《きょうだい》で、|同《おな》じ|父《ちち》の|子《こ》である。ひとりはいなくなり、|末《すえ》の|弟《おとうと》は|今《いま》|父《ちち》と|共《とも》にカナンの|地《ち》にいる』。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|国《くに》の|君《きみ》であるその|人《ひと》はわれわれに|言《い》いました、『わたしはこうしてあなたがたの|真実《しんじつ》な|者《もの》であるのを|知《し》ろう。あなたがたは|兄弟《きょうだい》のひとりをわたしのもとに|残《のこ》し、|穀物《こくもつ》を|携《たずさ》えて|行《い》って、|家族《かぞく》の|飢《う》えを|救《すく》いなさい。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そして|末《すえ》の|弟《おとうと》をわたしのもとに|連《つ》れてきなさい。そうすればあなたがたが|回《まわ》し|者《もの》ではなく、|真実《しんじつ》な|者《もの》であるのを|知《し》って、あなたがたの|兄弟《きょうだい》を|返《かえ》し、この|国《くに》であなたがたに|取引《とりひき》させましょう』」。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|袋《ふくろ》のものを|出《だ》して|見《み》ると、めいめいの|金《かね》|包《つつ》みが|袋《ふくろ》の|中《なか》にあったので、|彼《かれ》らも|父《ちち》も|金《かね》|包《つつ》みを|見《み》て|恐《おそ》れた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》ヤコブは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはわたしに|子《こ》を|失《うしな》わせた。ヨセフはいなくなり、シメオンもいなくなった。|今度《こんど》はベニヤミンをも|取《と》り|去《さ》る。これらはみなわたしの|身《み》にふりかかって|来《く》るのだ」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ルベンは|父《ちち》に|言《い》った、「もしわたしが|彼《かれ》をあなたのもとに|連《つ》れて|帰《かえ》らなかったら、わたしのふたりの|子《こ》を|殺《ころ》してください。ただ|彼《かれ》をわたしの|手《て》にまかせてください。わたしはきっと、あなたのもとに|彼《かれ》を|連《つ》れて|帰《かえ》ります」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|言《い》った、「わたしの|子《こ》はあなたがたと|共《とも》に|下《くだ》って|行《い》ってはならない。|彼《かれ》の|兄《あに》は|死《し》に、ただひとり|彼《かれ》が|残《のこ》っているのだから。もしあなたがたの|行《い》く|道《みち》で|彼《かれ》が|災《わざわい》に|会《あ》えば、あなたがたは、しらがのわたしを|悲《かな》しんで|陰府《よみ》に|下《くだ》らせるであろう」。 第四三章[#「第四三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ききんはその|地《ち》に|激《はげ》しかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがエジプトから|携《たずさ》えてきた|穀物《こくもつ》を|食《く》い|尽《つく》した|時《とき》、|父《ちち》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「また|行《い》って、われわれのために|少《すこ》しの|食糧《しょくりょう》を|買《か》ってきなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|父《ちち》に|答《こた》えて|言《い》った、「あの|人《ひと》はわれわれをきびしく|戒《いまし》めて、|弟《おとうと》が|一緒《いっしょ》でなければ、わたしの|顔《かお》を|見《み》てはならないと|言《い》いました。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|弟《おとうと》をわれわれと|一緒《いっしょ》にやってくださるなら、われわれは|下《くだ》って|行《い》って、あなたのために|食糧《しょくりょう》を|買《か》ってきましょう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|彼《かれ》をやられないなら、われわれは|下《くだ》って|行《い》きません。あの|人《ひと》がわれわれに、|弟《おとうと》が|一緒《いっしょ》でなければわたしの|顔《かお》を|見《み》てはならないと|言《い》ったのですから」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|言《い》った、「なぜ、もうひとりの|弟《おとうと》があるとあの|人《ひと》に|言《い》って、わたしを|苦《くる》しめるのか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「あの|人《ひと》がわれわれと|一族《いちぞく》とのことを|問《と》いただして、|父《ちち》はまだ|生《い》きているか、もうひとりの|弟《おとうと》があるかと|言《い》ったので、|問《と》われるままに|答《こた》えましたが、その|人《ひと》が、|弟《おとうと》を|連《つ》れてこいと|言《い》おうとは、どうして|知《し》ることができたでしょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|父《ちち》イスラエルに|言《い》った、「あの|子《こ》をわたしと|一緒《いっしょ》にやってくだされば、われわれは|立《た》って|行《い》きましょう。そしてわれわれもあなたも、われわれの|子供《こども》らも|生《い》きながらえ、|死《し》を|免《まぬか》れましょう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》の|身《み》を|請《う》け|合《あ》います。わたしの|手《て》から|彼《かれ》を|求《もと》めなさい。もしわたしが|彼《かれ》をあなたのもとに|連《つ》れ|帰《かえ》って、あなたの|前《まえ》に|置《お》かなかったら、わたしはあなたに|対《たい》して|永久《えいきゅう》に|罪《つみ》を|負《お》いましょう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もしわれわれがこんなにためらわなかったら、|今《いま》ごろは二|度《ど》も|行《い》ってきたでしょう」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》イスラエルは|彼《かれ》らに|言《い》った、「それではこうしなさい。この|国《くに》の|名産《めいさん》を|器《うつわ》に|入《い》れ、|携《たずさ》え|下《くだ》ってその|人《ひと》に|贈《おく》り|物《もの》にしなさい。すなわち|少《すこ》しの|乳香《にゅうこう》、|少《すこ》しの|蜜《みつ》、|香料《こうりょう》、もつやく、ふすだしう、あめんどう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|上《うえ》に、|倍額《ばいがく》の|銀《ぎん》を|手《て》に|持《も》って|行《い》きなさい。また|袋《ふくろ》の|口《くち》に|返《かえ》してあった|銀《ぎん》は|持《も》って|行《い》って|返《かえ》しなさい。たぶんそれは|誤《あやま》りであったのでしょう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|弟《おとうと》も|連《つ》れ、|立《た》って、またその|人《ひと》の|所《ところ》へ|行《い》きなさい。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]どうか|全能《ぜんのう》の|神《かみ》がその|人《ひと》の|前《まえ》であなたがたをあわれみ、もうひとりの|兄弟《きょうだい》とベニヤミンとを、|返《かえ》させてくださるように。もしわたしが|子《こ》を|失《うしな》わなければならないのなら、|失《うしな》ってもよい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|人々《ひとびと》は|贈《おく》り|物《もの》を|取《と》り、また|倍額《ばいがく》の|銀《ぎん》を|携《たずさ》え、ベニヤミンを|連《つ》れ、|立《た》ってエジプトへ|下《くだ》り、ヨセフの|前《まえ》に|立《た》った。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはベニヤミンが|彼《かれ》らと|共《とも》にいるのを|見《み》て、|家《いえ》づかさに|言《い》った、「この|人々《ひとびと》を|家《いえ》に|連《つ》れて|行《い》き、|獣《けもの》をほふって、したくするように。この|人々《ひとびと》は|昼《ひる》、わたしと|一緒《いっしょ》に|食事《しょくじ》をします」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》はヨセフの|言《い》ったようにして、この|人々《ひとびと》をヨセフの|家《いえ》へ|連《つ》れて|行《い》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ところがこの|人々《ひとびと》はヨセフの|家《いえ》へ|連《つ》れて|行《い》かれたので|恐《おそ》れて|言《い》った、「|初《はじ》めの|時《とき》に|袋《ふくろ》に|返《かえ》してあったあの|銀《ぎん》のゆえに、われわれを|引《ひ》き|入《い》れたのです。そしてわれわれを|襲《おそ》い、|攻《せ》め、|捕《とら》えて|奴隷《どれい》とし、われわれのろばをも|奪《うば》うのです」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨセフの|家《いえ》づかさに|近《ちか》づいて、|家《いえ》の|入口《いりぐち》で、|言《い》った、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「ああ、わが|主《しゅ》よ、われわれは|最初《さいしょ》、|食糧《しょくりょう》を|買《か》うために|下《くだ》ってきたのです。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ところが|宿《やど》に|行《い》って|袋《ふくろ》をあけて|見《み》ると、めいめいの|銀《ぎん》は|袋《ふくろ》の|口《くち》にあって、|銀《ぎん》の|重《おも》さは|元《もと》のままでした。それでわれわれはそれを|持《も》って|参《まい》りました。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そして|食糧《しょくりょう》を|買《か》うために、ほかの|銀《ぎん》をも|持《も》って|下《くだ》ってきました。われわれの|銀《ぎん》を|袋《ふくろ》に|入《い》れた|者《もの》が、だれであるかは|分《わか》りません」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|安心《あんしん》しなさい。|恐《おそ》れてはいけません。その|宝《たから》はあなたがたの|神《かみ》、あなたがたの|父《ちち》の|神《かみ》が、あなたがたの|袋《ふくろ》に|入《い》れてあなたがたに|賜《たま》わったのです。あなたがたの|銀《ぎん》はわたしが|受《う》け|取《と》りました」。そして|彼《かれ》はシメオンを|彼《かれ》らの|所《ところ》へ|連《つ》れてきた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|人《ひと》はこの|人々《ひとびと》をヨセフの|家《いえ》へ|導《みちび》き、|水《みず》を|与《あた》えて|足《あし》を|洗《あら》わせ、また、ろばに|飼葉《かいば》を|与《あた》えた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|所《ところ》で|食事《しょくじ》をするのだと|聞《き》き、|贈《おく》り|物《もの》を|整《ととの》えて、|昼《ひる》にヨセフの|来《く》るのを|待《ま》った。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]さてヨセフが|家《いえ》に|帰《かえ》ってきたので、|彼《かれ》らはその|家《いえ》に|携《たずさ》えてきた|贈《おく》り|物《もの》をヨセフにささげ、|地《ち》に|伏《ふ》して、|彼《かれ》を|拝《はい》した。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らの|安否《あんぴ》を|問《と》うて|言《い》った、「あなたがたの|父《ちち》、あなたがたがさきに|話《はな》していたその|老人《ろうじん》は|無事《ぶじ》ですか。なお|生《い》きながらえておられますか」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「あなたのしもべ、われわれの|父《ちち》は|無事《ぶじ》で、なお|生《い》きながらえています」。そして|彼《かれ》らは、|頭《とう》をさげて|拝《はい》した。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|目《め》をあげて|同《おな》じ|母《はは》の|子《こ》である|弟《おとうと》ベニヤミンを|見《み》て|言《い》った、「これはあなたがたが|前《まえ》にわたしに|話《はな》した|末《すえ》の|弟《おとうと》ですか」。また|言《い》った、「わが|子《こ》よ、どうか|神《かみ》があなたを|恵《めぐ》まれるように」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|弟《おとうと》なつかしさに|心《こころ》がせまり、|急《いそ》いで|泣《な》く|場所《ばしょ》をたずね、へやにはいって|泣《な》いた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]やがて|彼《かれ》は|顔《かお》を|洗《あら》って|出《で》てきた。そして|自分《じぶん》を|制《せい》して|言《い》った、「|食事《しょくじ》にしよう」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフはヨセフ、|彼《かれ》らは|彼《かれ》ら、|陪食《ばいしょく》のエジプトびとはエジプトびと、と|別々《べつべつ》に|席《せき》に|着《つ》いた。エジプトびとはヘブルびとと|共《とも》に|食事《しょくじ》することができなかった。それはエジプトびとの|忌《い》むところであったからである。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはヨセフの|前《まえ》に、|長子《ちょうし》は|長子《ちょうし》として、|弟《おとうと》は|弟《おとうと》としてすわらせられたので、その|人々《ひとびと》は|互《たがい》に|驚《おどろ》いた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]またヨセフの|前《まえ》から、めいめいの|分《ぶん》が|運《はこ》ばれたが、ベニヤミンの|分《ぶん》は|他《た》のいずれの|者《もの》の|分《ぶん》よりも五|倍《ばい》|多《おお》かった。こうして|彼《かれ》らは|飲《の》み、ヨセフと|共《とも》に|楽《たの》しんだ。 第四四章[#「第四四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてヨセフは|家《いえ》づかさに|命《めい》じて|言《い》った、「この|人々《ひとびと》の|袋《ふくろ》に、|運《はこ》べるだけ|多《おお》くの|食糧《しょくりょう》を|満《み》たし、めいめいの|銀《ぎん》を|袋《ふくろ》の|口《くち》に|入《い》れておきなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]またわたしの|杯《さかずき》、|銀《ぎん》の|杯《さかずき》をあの|年下《としした》の|者《もの》の|袋《ふくろ》の|口《くち》に、|穀物《こくもつ》の|代金《だいきん》と|共《とも》に|入《い》れておきなさい」。|家《いえ》づかさはヨセフの|言葉《ことば》のとおりにした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よ》が|明《あ》けると、その|人々《ひとびと》と、ろばとは|送《おく》り|出《だ》されたが、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》を|出《で》て、まだ|遠《とお》くへ|行《い》かないうちに、ヨセフは|家《いえ》づかさに|言《い》った、「|立《た》って、あの|人々《ひとびと》のあとを|追《お》いなさい。|追《お》いついて、|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『あなたがたはなぜ|悪《あく》をもって|善《ぜん》に|報《むく》いるのですか。なぜわたしの|銀《ぎん》の|杯《さかずき》を|盗《ぬす》んだのですか。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これはわたしの|主人《しゅじん》が|飲《の》む|時《とき》に|使《つか》い、またいつも|占《うらな》いに|用《もち》いるものではありませんか。あなたがたのした|事《こと》は|悪《わる》いことです』」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|家《いえ》づかさが|彼《かれ》らに|追《お》いついて、これらの|言葉《ことば》を|彼《かれ》らに|告《つ》げたとき、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「わが|主《しゅ》は、どうしてそのようなことを|言《い》われるのですか。しもべらは|決《けっ》してそのようなことはいたしません。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|袋《ふくろ》の|口《くち》で|見《み》つけた|銀《ぎん》でさえ、カナンの|地《ち》からあなたの|所《ところ》に|持《も》ち|帰《かえ》ったほどです。どうして、われわれは|御《ご》|主人《しゅじん》の|家《いえ》から|銀《ぎん》や|金《きん》を|盗《ぬす》みましょう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しもべらのうちのだれの|所《ところ》でそれが|見《み》つかっても、その|者《もの》は|死《し》に、またわれわれはわが|主《しゅ》の|奴隷《どれい》となりましょう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|家《いえ》づかさは|言《い》った、「それではあなたがたの|言葉《ことば》のようにしよう。|杯《さかずき》の|見《み》つかった|者《もの》はわたしの|奴隷《どれい》とならなければならない。ほかの|者《もの》は|無罪《むざい》です」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは、めいめい|急《いそ》いで|袋《ふくろ》を|地《ち》におろし、ひとりひとりその|袋《ふくろ》を|開《ひら》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|家《いえ》づかさは|年上《としうえ》から|捜《さが》し|始《はじ》めて|年下《としした》に|終《おわ》ったが、|杯《さかずき》はベニヤミンの|袋《ふくろ》の|中《なか》にあった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|衣服《いふく》を|裂《さ》き、おのおの、ろばに|荷《に》を|負《お》わせて|町《まち》に|引《ひ》き|返《かえ》した。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ユダと|兄弟《きょうだい》たちとは、ヨセフの|家《いえ》にはいったが、ヨセフがなおそこにいたので、|彼《かれ》らはその|前《まえ》で|地《ち》にひれ|伏《ふ》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたのこのしわざは|何事《なにごと》ですか。わたしのような|人《ひと》は、|必《かなら》ず|占《うらな》い|当《あ》てることを|知《し》らないのですか」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|言《い》った、「われわれはわが|主《しゅ》に|何《なに》を|言《い》い、|何《なに》を|述《の》べ|得《え》ましょう。どうしてわれわれは|身《み》の|潔白《けっぱく》をあらわし|得《え》ましょう。|神《かみ》がしもべらの|罪《つみ》をあばかれました。われわれと、|杯《さかずき》を|持《も》っていた|者《もの》とは|共《とも》にわが|主《しゅ》の|奴隷《どれい》となりましょう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|言《い》った、「わたしは|決《けっ》してそのようなことはしない。|杯《さかずき》を|持《も》っている|者《もの》だけがわたしの|奴隷《どれい》とならなければならない。ほかの|者《もの》は|安全《あんぜん》に|父《ちち》のもとへ|上《のぼ》って|行《い》きなさい」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》ユダは|彼《かれ》に|近《ちか》づいて|言《い》った、「ああ、わが|主《しゅ》よ、どうぞわが|主《しゅ》の|耳《みみ》にひとこと|言《い》わせてください。しもべをおこらないでください。あなたはパロのようなかたです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わが|主《しゅ》はしもべらに|尋《たず》ねて、『|父《ちち》があるか、また|弟《おとうと》があるか』と|言《い》われたので、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれはわが|主《しゅ》に|言《い》いました、『われわれには|老齢《ろうれい》の|父《ちち》があり、また|年寄《としよ》り|子《こ》の|弟《おとうと》があります。その|兄《あに》は|死《し》んで、|同《おな》じ|母《はは》の|子《こ》で|残《のこ》っているのは、ただこれだけですから|父《ちち》はこれを|愛《あい》しています』。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたはしもべらに|言《い》われました、『その|者《もの》をわたしの|所《ところ》へ|連《つ》れてきなさい。わたしはこの|目《め》で|彼《かれ》を|見《み》よう』。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]われわれはわが|主《しゅ》に|言《い》いました。『その|子《こ》|供《とも》は|父《ちち》を|離《はな》れることができません。もし|父《ちち》を|離《はな》れたら|父《ちち》は|死《し》ぬでしょう』。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたはしもべらに|言《い》われました、『|末《すえ》の|弟《おとうと》が|一緒《いっしょ》に|下《くだ》ってこなければ、おまえたちは|再《ふたた》びわたしの|顔《かお》を|見《み》ることはできない』。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それであなたのしもべである|父《ちち》のもとに|上《のぼ》って、わが|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|彼《かれ》に|告《つ》げました。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ところで、|父《ちち》が『おまえたちは|再《ふたた》び|行《い》って、われわれのために|少《すこ》しの|食糧《しょくりょう》を|買《か》ってくるように』と|言《い》ったので、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|言《い》いました、『われわれは|下《くだ》って|行《い》けません。もし|末《すえ》の|弟《おとうと》が|一緒《いっしょ》であれば|行《い》きましょう。|末《すえ》の|弟《おとうと》が|一緒《いっしょ》でなければ、あの|人《ひと》の|顔《かお》を|見《み》ることができません』。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべである|父《ちち》は|言《い》いました、『おまえたちの|知《し》っているとおり、|妻《つま》はわたしにふたりの|子《こ》を|産《う》んだ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ひとりは|外《そと》へ|出《で》たが、きっと|裂《さ》き|殺《ころ》されたのだと|思《おも》う。わたしは|今《いま》になっても|彼《かれ》を|見《み》ない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]もしおまえたちがこの|子《こ》をもわたしから|取《と》って|行《い》って、|彼《かれ》が|災《わざわい》に|会《あ》えば、おまえたちは、しらがのわたしを|悲《かな》しんで|陰府《よみ》に|下《くだ》らせるであろう』。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたのしもべである|父《ちち》のもとに|帰《かえ》って|行《い》くとき、もしこの|子供《こども》が|一緒《いっしょ》にいなかったら、どうなるでしょう。|父《ちち》の|魂《たましい》は|子供《こども》の|魂《たましい》に|結《むす》ばれているのです。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]この|子供《こども》がわれわれと|一緒《いっしょ》にいないのを|見《み》たら、|父《ちち》は|死《し》ぬでしょう。そうすればしもべらは、あなたのしもべであるしらがの|父《ちち》を|悲《かな》しんで|陰府《よみ》に|下《くだ》らせることになるでしょう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|父《ちち》にこの|子供《こども》の|身《み》を|請《う》け|合《あ》って『もしわたしがこの|子《こ》をあなたのもとに|連《つ》れ|帰《かえ》らなかったら、わたしは|父《ちち》に|対《たい》して|永久《えいきゅう》に|罪《つみ》を|負《お》いましょう』と|言《い》ったのです。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]どうか、しもべをこの|子供《こども》の|代《かわ》りに、わが|主《しゅ》の|奴隷《どれい》としてとどまらせ、この|子供《こども》を|兄弟《きょうだい》たちと|一緒《いっしょ》に|上《のぼ》り|行《い》かせてください、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]この|子供《こども》を|連《つ》れずに、どうしてわたしは|父《ちち》のもとに|上《のぼ》り|行《い》くことができましょう。|父《ちち》が|災《わざわい》に|会《あ》うのを|見《み》るに|忍《しの》びません」。 第四五章[#「第四五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフはそばに|立《た》っているすべての|人《ひと》の|前《まえ》で、|自分《じぶん》を|制《せい》しきれなくなったので、「|人《ひと》は|皆《みな》ここから|出《で》てください」と|呼《よ》ばわった。それゆえヨセフが|兄弟《きょうだい》たちに|自分《じぶん》のことを|明《あ》かした|時《とき》、ひとりも|彼《かれ》のそばに|立《た》っている|者《もの》はなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。エジプトびとはこれを|聞《き》き、パロの|家《いえ》もこれを|聞《き》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》った、「わたしはヨセフです。|父《ちち》はまだ|生《い》きながらえていますか」。|兄弟《きょうだい》たちは|答《こた》えることができなかった。|彼《かれ》らは|驚《おどろ》き|恐《おそ》れたからである。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》った、「わたしに|近寄《ちかよ》ってください」。|彼《かれ》らが|近寄《ちかよ》ったので|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしはあなたがたの|弟《おとうと》ヨセフです。あなたがたがエジプトに|売《う》った|者《もの》です。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしをここに|売《う》ったのを|嘆《なげ》くことも、|悔《くや》むこともいりません。|神《かみ》は|命《いのち》を|救《すく》うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]この二|年《ねん》の|間《あいだ》、|国中《くにぢゅう》にききんがあったが、なお五|年《ねん》の|間《あいだ》は|耕《たがや》すことも|刈《か》り|入《い》れることもないでしょう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は、あなたがたのすえを|地《ち》に|残《のこ》すため、また|大《おお》いなる|救《すくい》をもってあなたがたの|命《いのち》を|助《たす》けるために、わたしをあなたがたよりさきにつかわされたのです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえわたしをここにつかわしたのはあなたがたではなく、|神《かみ》です。|神《かみ》はわたしをパロの|父《ちち》とし、その|全家《ぜんか》の|主《しゅ》とし、またエジプト|全国《ぜんこく》のつかさとされました。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|父《ちち》のもとに|急《いそ》ぎ|上《のぼ》って|言《い》いなさい、『あなたの|子《こ》ヨセフが、こう|言《い》いました。|神《かみ》がわたしをエジプト|全国《ぜんこく》の|主《しゅ》とされたから、ためらわずにわたしの|所《ところ》へ|下《くだ》ってきなさい。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはゴセンの|地《ち》に|住《す》み、あなたも、あなたの|子《こ》らも、|孫《まご》たちも、|羊《ひつじ》も|牛《うし》も、その|他《た》のものもみな、わたしの|近《ちか》くにおらせます。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ききんはなお五|年《ねん》つづきますから、あなたも、|家族《かぞく》も、その|他《た》のものも、みな|困《こま》らないように、わたしはそこで|養《やしな》いましょう』。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたと|弟《おとうと》ベニヤミンが|目《め》に|見《み》るとおり、あなたがたに|口《くちずか》ら|語《かた》っているのはこのわたしです。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはエジプトでの、わたしのいっさいの|栄《さか》えと、あなたがたが|見《み》るいっさいの|事《こと》をわたしの|父《ちち》に|告《つ》げ、|急《いそ》いでわたしの|父《ちち》をここへ|連《つ》れ|下《くだ》りなさい」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨセフは|弟《おとうと》ベニヤミンのくびを|抱《だ》いて|泣《な》き、ベニヤミンも|彼《かれ》のくびを|抱《だ》いて|泣《な》いた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またヨセフはすべての|兄弟《きょうだい》たちに|口《くち》づけし、|彼《かれ》らを|抱《だ》いて|泣《な》いた。そして|後《のち》、|兄弟《きょうだい》たちは|彼《かれ》と|語《かた》った。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、「ヨセフの|兄弟《きょうだい》たちがきた」と|言《い》ううわさがパロの|家《いえ》に|聞《きこ》えたので、パロとその|家来《けらい》たちとは|喜《よろこ》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]パロはヨセフに|言《い》った、「|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》いなさい、『あなたがたは、こうしなさい。|獣《けもの》に|荷《に》を|負《お》わせてカナンの|地《ち》へ|行《い》き、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》と|家族《かぞく》とを|連《つ》れてわたしのもとへきなさい。わたしはあなたがたに、エジプトの|地《ち》の|良《よ》い|物《もの》を|与《あた》えます。あなたがたは、この|国《くに》の|最《もっと》も|良《よ》いものを|食《た》べるでしょう』。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らに|命《めい》じなさい、『あなたがたは、こうしなさい。|幼《おさ》な|子《ご》たちと|妻《つま》たちのためにエジプトの|地《ち》から|車《くるま》をもって|行《い》き、|父《ちち》を|連《つ》れてきなさい。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|家財《かざい》に|心《こころ》を|引《ひ》かれてはなりません。エジプト|全国《ぜんこく》の|良《よ》い|物《もの》は、あなたがたのものだからです』」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|子《こ》らはそのようにした。ヨセフはパロの|命《いのち》に|従《したが》って|彼《かれ》らに|車《くるま》を|与《あた》え、また|途中《とちゅう》の|食料《しょくりょう》をも|与《あた》えた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]まためいめいに|晴着《はれぎ》を|与《あた》えたが、ベニヤミンには|銀《ぎん》三百シケルと|晴着《はれぎ》五|着《ちゃく》とを|与《あた》えた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》は|父《ちち》に|次《つぎ》のようなものを|贈《おく》った。すなわちエジプトの|良《よ》い|物《もの》を|負《お》わせたろば十|頭《とう》と、|穀物《こくもつ》、パン|及《およ》び|父《ちち》の|道中《どうちゅう》の|食料《しょくりょう》を|負《お》わせた|雌《め》ろば十|頭《とう》。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨセフは|兄弟《きょうだい》たちを|送《おく》り|去《さ》らせ、|彼《かれ》らに|言《い》った、「|途中《とちゅう》で|争《あらそ》ってはなりません」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトから|上《のぼ》ってカナンの|地《ち》に|入《い》り、|父《ちち》ヤコブのもとへ|行《い》って、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》った、「ヨセフはなお|生《い》きていてエジプト|全国《ぜんこく》のつかさです」。ヤコブは|気《き》が|遠《とお》くなった。|彼《かれ》らの|言《い》うことが|信《しん》じられなかったからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはヨセフが|語《かた》った|言葉《ことば》を|残《のこ》らず|彼《かれ》に|告《つ》げた。|父《ちち》ヤコブはヨセフが|自分《じぶん》を|乗《の》せるために|送《おく》った|車《くるま》を|見《み》て|元《もと》|気《き》づいた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルは|言《い》った、「|満足《まんぞく》だ。わが|子《こ》ヨセフがまだ|生《い》きている。わたしは|死《し》ぬ|前《まえ》に|行《い》って|彼《かれ》を|見《み》よう」。 第四六章[#「第四六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはその|持《も》ち|物《もの》をことごとく|携《たずさ》えて|旅立《たびだ》ち、ベエルシバに|行《い》って、|父《ちち》イサクの|神《かみ》に|犠牲《ぎせい》をささげた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|神《かみ》は|夜《よ》の|幻《まぼろし》のうちにイスラエルに|語《かた》って|言《い》われた、「ヤコブよ、ヤコブよ」。|彼《かれ》は|言《い》った、「ここにいます」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|言《い》われた、「わたしは|神《かみ》、あなたの|父《ちち》の|神《かみ》である。エジプトに|下《くだ》るのを|恐《おそ》れてはならない。わたしはあそこであなたを|大《おお》いなる|国民《こくみん》にする。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたと|一緒《いっしょ》にエジプトに|下《くだ》り、また|必《かなら》ずあなたを|導《みちび》き|上《のぼ》るであろう。ヨセフが|手《て》ずからあなたの|目《め》を|閉《と》じるであろう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヤコブはベエルシバを|立《た》った。イスラエルの|子《こ》らはヤコブを|乗《の》せるためにパロの|送《おく》った|車《くるま》に、|父《ちち》ヤコブと|幼《おさ》な|子《こ》たちと|妻《つま》たちを|乗《の》せ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またその|家畜《かちく》とカナンの|地《ち》で|得《え》た|財産《ざいさん》を|携《たずさ》え、ヤコブとその|子孫《しそん》は|皆《みな》ともにエジプトへ|行《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヤコブはその|子《こ》と、|孫《まご》および|娘《むすめ》と|孫娘《まごむすめ》などその|子孫《しそん》をみな|連《つ》れて、エジプトへ|行《い》った。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|子《こ》らでエジプトへ|行《い》った|者《もの》の|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちヤコブとその|子《こ》らであるが、ヤコブの|長子《ちょうし》はルベン。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|子《こ》らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子《こ》らはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル|及《およ》びカナンの|女《おんな》の|産《う》んだ|子《こ》シャウル。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子《こ》らはゲルション、コハテ、メラリ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子《こ》らはエル、オナン、シラ、ペレヅ、ゼラ。エルとオナンはカナンの|地《ち》で|死《し》んだ。ペレヅの|子《こ》らはヘヅロンとハムル。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|子《こ》らはトラ、プワ、ヨブ、シムロン。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|子《こ》らはセレデ、エロン、ヤリエル。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]これらと|娘《むすめ》デナとはレアがパダンアラムでヤコブに|産《う》んだ|子《こ》らである。その|子《こ》らと|娘《むすめ》らは|合《あ》わせて三十三|人《にん》。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|子《こ》らはゼポン、ハギ、シュニ、エヅボン、エリ、アロデ、アレリ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|子《こ》らはエムナ、イシワ、イスイ、ベリアおよび|妹《いもうと》サラ。ベリアの|子《こ》らはヘベルとマルキエル。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これらはラバンが|娘《むすめ》レアに|与《あた》えたジルパの|子《こ》らである。|彼女《かのじょ》はこれらをヤコブに|産《う》んだ。|合《あ》わせて十六|人《にん》。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|妻《つま》ラケルの|子《こ》らはヨセフとベニヤミンとである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|国《くに》でヨセフにマナセとエフライムとが|生《うま》れた。これはオンの|祭司《さいし》ポテペラの|娘《むすめ》アセナテが|彼《かれ》に|産《う》んだ|者《もの》である。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子《こ》らはベラ、ベケル、アシベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシ、ムッピム、ホパム、アルデ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これらはラケルがヤコブに|産《う》んだ|子《こ》らである。|合《あ》わせて十四|人《にん》。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|子《こ》はホシム。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|子《こ》らはヤジエル、グニ、エゼル、シレム。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]これらはラバンが|娘《むすめ》ラケルに|与《あた》えたビルハの|子《こ》らである。|彼女《かのじょ》はこれらをヤコブに|産《う》んだ。|合《あ》わせて七|人《にん》。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブと|共《とも》にエジプトへ|行《い》ったすべての|者《もの》、すなわち|彼《かれ》の|身《み》から|出《で》た|者《もの》はヤコブの|子《こ》らの|妻《つま》をのぞいて、|合《あ》わせて六十六|人《にん》であった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]エジプトでヨセフに|生《うま》れた|子《こ》がふたりあった。エジプトへ|行《い》ったヤコブの|家《いえ》の|者《もの》は|合《あ》わせて七十|人《にん》であった。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]さてヤコブはユダをさきにヨセフにつかわして、ゴセンで|会《あ》おうと|言《い》わせた。そして|彼《かれ》らはゴセンの|地《ち》へ|行《い》った。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|車《くるま》を|整《ととの》えて、|父《ちち》イスラエルを|迎《むか》えるためにゴセンに|上《のぼ》り、|父《ちち》に|会《あ》い、そのくびを|抱《だ》き、くびをかかえて|久《ひさ》しく|泣《な》いた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、イスラエルはヨセフに|言《い》った、「あなたがなお|生《い》きていて、わたしはあなたの|顔《かお》を|見《み》たので|今《いま》は|死《し》んでもよい」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|兄弟《きょうだい》たちと|父《ちち》の|家族《かぞく》とに|言《い》った、「わたしは|上《のぼ》ってパロに|言《い》おう、『カナンの|地《ち》にいたわたしの|兄弟《きょうだい》たちと|父《ちち》の|家族《かぞく》とがわたしの|所《ところ》へきました。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]この|者《もの》らは|羊《ひつじ》を|飼《か》う|者《もの》、|家畜《かちく》の|牧者《ぼくしゃ》で、その|羊《ひつじ》、|牛《うし》および|持《も》ち|物《もの》をみな|携《たずさ》えてきました』。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]もしパロがあなたがたを|召《め》して、『あなたがたの|職業《しょくぎょう》は|何《なに》か』と|言《い》われたら、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]『しもべらは|幼《おさな》い|時《とき》から、ずっと|家畜《かちく》の|牧者《ぼくしゃ》です。われわれも、われわれの|先祖《せんぞ》もそうです』と|言《い》いなさい。そうすればあなたがたはゴセンの|地《ち》に|住《す》むことができましょう。|羊飼《ひつじかい》はすべて、エジプトびとの|忌《い》む|者《もの》だからです」。 第四七章[#「第四七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|行《い》って、パロに|言《い》った、「わたしの|父《ちち》と|兄弟《きょうだい》たち、その|羊《ひつじ》、|牛《うし》およびすべての|持《も》ち|物《もの》がカナンの|地《ち》からきて、|今《いま》ゴセンの|地《ち》におります」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|兄弟《きょうだい》のうちの五|人《にん》を|連《つ》れて|行《い》って、パロに|会《あ》わせた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]パロはヨセフの|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》った、「あなたがたの|職業《しょくぎょう》は|何《なに》か」。|彼《かれ》らはパロに|言《い》った、「しもべらは|羊《ひつじ》を|飼《か》う|者《もの》です。われわれも、われわれの|先祖《せんぞ》もそうです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまたパロに|言《い》った、「この|国《くに》に|寄留《きりゅう》しようとしてきました。カナンの|地《ち》はききんが|激《はげ》しく、しもべらの|群《む》れのための|牧草《ぼくそう》がないのです。どうかしもべらをゴセンの|地《ち》に|住《す》ませてください」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]パロはヨセフに|言《い》った、「あなたの|父《ちち》と|兄弟《きょうだい》たちとがあなたのところにきた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|地《ち》はあなたの|前《まえ》にある。|地《ち》の|最《もっと》も|良《よ》い|所《ところ》にあなたの|父《ちち》と|兄弟《きょうだい》たちとを|住《す》ませなさい。ゴセンの|地《ち》に|彼《かれ》らを|住《す》ませなさい。もしあなたが|彼《かれ》らのうちに|有能《ゆうのう》な|者《もの》があるのを|知《し》っているなら、その|者《もの》にわたしの|家畜《かちく》をつかさどらせなさい」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフは|父《ちち》ヤコブを|導《みちび》いてパロの|前《まえ》に|立《た》たせた。ヤコブはパロを|祝福《しゅくふく》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]パロはヤコブに|言《い》った、「あなたの|年《とし》はいくつか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはパロに|言《い》った、「わたしの|旅路《たびじ》のとしつきは、百三十|年《ねん》です。わたしのよわいの|日《ひ》はわずかで、ふしあわせで、わたしの|先祖《せんぞ》たちのよわいの|日《ひ》と|旅路《たびじ》の|日《ひ》には|及《およ》びません」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはパロを|祝福《しゅくふく》し、パロの|前《まえ》を|去《さ》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはパロの|命《めい》じたように、|父《ちち》と|兄弟《きょうだい》たちとのすまいを|定《さだ》め、|彼《かれ》らにエジプトの|国《くに》で|最《もっと》も|良《よ》い|地《ち》、ラメセスの|地《ち》を|所有《しょゆう》として|与《あた》えた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またヨセフは|父《ちち》と|兄弟《きょうだい》たちと|父《ちち》の|全家《ぜんか》とに、|家族《かぞく》の|数《かず》にしたがい、|食物《しょくもつ》を|与《あた》えて|養《やしな》った。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]さて、ききんが|非常《ひじょう》に|激《はげ》しかったので、|全《ぜん》|地《ち》に|食物《しょくもつ》がなく、エジプトの|国《くに》もカナンの|国《くに》も、ききんのために|衰《おとろ》えた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それでヨセフは|人々《ひとびと》が|買《か》った|穀物《こくもつ》の|代金《だいきん》としてエジプトの|国《くに》とカナンの|国《くに》にあった|銀《ぎん》をみな|集《あつ》め、その|銀《ぎん》をパロの|家《いえ》に|納《おさ》めた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエジプトの|国《くに》とカナンの|国《くに》に|銀《ぎん》が|尽《つ》きたとき、エジプトびとはみなヨセフのもとにきて|言《い》った、「|食物《しょくもつ》をください。|銀《ぎん》が|尽《つ》きたからとて、どうしてあなたの|前《まえ》で|死《し》んでよいでしょう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|言《い》った、「あなたがたの|家畜《かちく》を|出《だ》しなさい。|銀《ぎん》が|尽《つ》きたのなら、あなたがたの|家畜《かちく》と|引《ひ》き|替《か》えで|食物《しょくもつ》をわたそう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨセフの|所《ところ》へ|家畜《かちく》をひいてきたので、ヨセフは|馬《うま》と|羊《ひつじ》の|群《む》れと|牛《うし》の|群《む》れ|及《およ》びろばと|引《ひ》き|替《か》えで、|食物《しょくもつ》を|彼《かれ》らにわたした。こうして|彼《かれ》はその|年《とし》、すべての|家畜《かちく》と|引《ひ》き|替《か》えた|食物《しょくもつ》で|彼《かれ》らを|養《やしな》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]やがてその|年《とし》は|暮《く》れ、|次《つぎ》の|年《とし》、|人々《ひとびと》はまたヨセフの|所《ところ》へきて|言《い》った、「わが|主《しゅ》には|何事《なにごと》も|隠《かく》しません。われわれの|銀《ぎん》は|尽《つ》き、|獣《けもの》の|群《む》れもわが|主《しゅ》のものになって、われわれのからだと|田地《でんち》のほかはわが|主《しゅ》の|前《まえ》に|何《なに》も|残《のこ》っていません。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]われわれはどうして|田地《でんち》と|一緒《いっしょ》に、あなたの|目《め》の|前《まえ》で|滅《ほろ》んでよいでしょう。われわれと|田地《でんち》とを|食物《しょくもつ》と|引《ひ》き|替《か》えで|買《か》ってください。われわれは|田地《でんち》と|一緒《いっしょ》にパロの|奴隷《どれい》となりましょう。また|種《たね》をください。そうすればわれわれは|生《い》きながらえ、|死《し》を|免《まぬか》れて、|田地《でんち》も|荒《あ》れないでしょう」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフはエジプトの|田地《でんち》をみなパロのために|買《か》い|取《と》った。ききんがエジプトびとに、きびしかったので、めいめいその|田畑《たはた》を|売《う》ったからである。こうして|地《ち》はパロのものとなった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨセフはエジプトの|国境《こっきょう》のこの|端《はし》からかの|端《はし》まで|民《たみ》を|奴隷《どれい》とした。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ただ|祭司《さいし》の|田地《でんち》は|買《か》い|取《と》らなかった。|祭司《さいし》にはパロの|給与《きゅうよ》があって、パロが|与《あた》える|給与《きゅうよ》で|生活《せいかつ》していたので、その|田地《でんち》を|売《う》らなかったからである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|民《たみ》に|言《い》った、「わたしはきょう、あなたがたとその|田地《でんち》とを|買《か》い|取《と》って、パロのものとした。あなたがたに|種《たね》をあげるから|地《ち》にまきなさい。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|収穫《しゅうかく》の|時《とき》は、その五|分《ぶん》の一をパロに|納《おさ》め、五|分《ぶん》の四を|自分《じぶん》のものとして|田畑《たはた》の|種《たね》とし、|自分《じぶん》と|家族《かぞく》の|食糧《しょくりょう》とし、また|子供《こども》の|食糧《しょくりょう》としなさい」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「あなたはわれわれの|命《いのち》をお|救《すく》いくださった。どうかわが|主《しゅ》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》させてください。われわれはパロの|奴隷《どれい》になりましょう」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはエジプトの|田地《でんち》について、|収穫《しゅうかく》の五|分《ぶん》の一をパロに|納《おさ》めることをおきてとしたが、それは|今日《こんにち》に|及《およ》んでいる。ただし|祭司《さいし》の|田地《でんち》だけはパロのものとならなかった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]さてイスラエルはエジプトの|国《くに》でゴセンの|地《ち》に|住《す》み、そこで|財産《ざいさん》を|得《え》、|子《こ》を|生《う》み、|大《おお》いにふえた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはエジプトの|国《くに》で十七|年《ねん》|生《い》きながらえた。ヤコブのよわいの|日《ひ》は百四十七|年《ねん》であった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|死《し》ぬ|時《とき》が|近《ちか》づいたので、その|子《こ》ヨセフを|呼《よ》んで|言《い》った、「もしわたしがあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》るなら、どうか|手《て》をわたしのももの|下《した》に|入《い》れて|誓《ちか》い、|親切《しんせつ》と|誠実《せいじつ》とをもってわたしを|取《と》り|扱《あつか》ってください。どうかわたしをエジプトには|葬《ほうむ》らないでください。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》るときには、わたしをエジプトから|運《はこ》び|出《だ》して|先祖《せんぞ》たちの|墓《はか》に|葬《ほうむ》ってください」。ヨセフは|言《い》った、「あなたの|言《い》われたようにいたします」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブがまた、「わたしに|誓《ちか》ってください」と|言《い》ったので、|彼《かれ》は|誓《ちか》った。イスラエルは|床《ゆか》のかしらで|拝《おが》んだ。 第四八章[#「第四八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》に、「あなたの|父《ちち》は、いま|病気《びょうき》です」とヨセフに|告《つ》げる|者《もの》があったので、|彼《かれ》はふたりの|子《こ》、マナセとエフライムとを|連《つ》れて|行《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|人《ひと》がヤコブに|告《つ》げて、「あなたの|子《こ》ヨセフがあなたのもとにきました」と|言《い》ったので、イスラエルは|努《つと》めて|床《ゆか》の|上《うえ》にすわった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてヤコブはヨセフに|言《い》った、「|先《さき》に|全能《ぜんのう》の|神《かみ》がカナンの|地《ち》ルズでわたしに|現《あらわ》れ、わたしを|祝福《しゅくふく》して、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》われた、『わたしはおまえに|多《おお》くの|子《こ》を|得《え》させ、おまえをふやし、おまえを|多《おお》くの|国民《こくみん》としよう。また、この|地《ち》をおまえの|後《のち》の|子孫《しそん》に|与《あた》えて|永久《えいきゅう》の|所有《しょゆう》とさせる』。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エジプトにいるあなたの|所《ところ》にわたしが|来《く》る|前《まえ》に、エジプトの|国《くに》で|生《うま》れたあなたのふたりの|子《こ》はいまわたしの|子《こ》とします。すなわちエフライムとマナセとはルベンとシメオンと|同《おな》じようにわたしの|子《こ》とします。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ただし|彼《かれ》らの|後《のち》にあなたに|生《うま》れた|子《こ》らはあなたのものとなります。しかし、その|嗣《し》|業《ぎょう》はその|兄弟《きょうだい》の|名《な》で|呼《よ》ばれるでしょう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしがパダンから|帰《かえ》って|来《く》る|途中《とちゅう》ラケルはカナンの|地《ち》で|死《し》に、わたしは|悲《かな》しんだ。そこはエフラタに|行《い》くまでには、なお|隔《へだ》たりがあった。わたしはエフラタ、すなわちベツレヘムへ|行《い》く|道《みち》のかたわらに|彼女《かのじょ》を|葬《ほうむ》った」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ところで、イスラエルはヨセフの|子《こ》らを|見《み》て|言《い》った、「これはだれですか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|父《ちち》に|言《い》った、「|神《かみ》がここでわたしにくださった|子《こ》どもです」。|父《ちち》は|言《い》った、「|彼《かれ》らをわたしの|所《ところ》に|連《つ》れてきて、わたしに|祝福《しゅくふく》させてください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|目《め》は|老齢《ろうれい》のゆえに、かすんで|見《み》えなかったが、ヨセフが|彼《かれ》らを|父《ちち》の|所《ところ》に|近寄《ちかよ》らせたので、|父《ちち》は|彼《かれ》らに|口《くち》づけし、|彼《かれ》らを|抱《だ》いた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルはヨセフに|言《い》った、「あなたの|顔《かお》が|見《み》られようとは|思《おも》わなかったのに、|神《かみ》はあなたの|子《こ》らをもわたしに|見《み》させてくださった」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフは|彼《かれ》らをヤコブのひざの|間《あいだ》から|取《と》り|出《だ》し、|地《ち》に|伏《ふ》して|拝《はい》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはエフライムを|右《みぎ》の|手《て》に|取《と》ってイスラエルの|左《ひだり》の|手《て》に|向《む》かわせ、マナセを|左《ひだり》の|手《て》に|取《と》ってイスラエルの|右《みぎ》の|手《て》に|向《む》かわせ、ふたりを|近寄《ちかよ》らせた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すると、イスラエルは|右《みぎ》の|手《て》を|伸《の》べて|弟《おとうと》エフライムの|頭《あたま》に|置《お》き、|左《ひだり》の|手《て》をマナセの|頭《あたま》に|置《お》いた。マナセは|長子《ちょうし》であるが、ことさらそのように|手《て》を|置《お》いたのである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨセフを|祝福《しゅくふく》して|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「わが|先祖《せんぞ》アブラハムとイサクの|仕《つか》えた|神《かみ》、 |生《うま》れてからきょうまでわたしを|養《やしな》われた|神《かみ》、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すべての|災《わざわい》からわたしをあがなわれたみ|使《つかい》よ、 この|子供《こども》たちを|祝福《しゅくふく》してください。 またわが|名《な》と|先祖《せんぞ》アブラハムとイサクの|名《な》とが、 |彼《かれ》らによって|唱《とな》えられますように、 また|彼《かれ》らが|地《ち》の|上《うえ》にふえひろがりますように」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|父《ちち》が|右《みぎ》の|手《て》をエフライムの|頭《あたま》に|置《お》いているのを|見《み》て|不満《ふまん》に|思《おも》い、|父《ちち》の|手《て》を|取《と》ってエフライムの|頭《あたま》からマナセの|頭《あたま》へ|移《うつ》そうとした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨセフは|父《ちち》に|言《い》った、「|父《ちち》よ、そうではありません。こちらが|長子《ちょうし》です。その|頭《あたま》に|右《みぎ》の|手《て》を|置《お》いてください」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》は|拒《こば》んで|言《い》った、「わかっている。|子《こ》よ、わたしにはわかっている。|彼《かれ》もまた一つの|民《たみ》となり、また|大《おお》いなる|者《もの》となるであろう。しかし|弟《おとうと》は|彼《かれ》よりも|大《おお》いなる|者《もの》となり、その|子孫《しそん》は|多《おお》くの|国民《こくみん》となるであろう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》はこの|日《ひ》、|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》して|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「あなたを|指《さ》して、イスラエルは、 |人《ひと》を|祝福《しゅくふく》して|言《い》うであろう、 『|神《かみ》があなたをエフライムのごとく、 またマナセのごとくにせられるように』」。 [#ここで字下げ終わり] このように、|彼《かれ》はエフライムをマナセの|先《さき》に|立《た》てた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはまたヨセフに|言《い》った、「わたしはやがて|死《し》にます。しかし、|神《かみ》はあなたがたと|共《とも》におられて、あなたがたを|先祖《せんぞ》の|国《くに》に|導《みちび》き|返《かえ》されるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]なおわたしは一つの|分《ぶん》を|兄弟《きょうだい》よりも|多《おお》くあなたに|与《あた》える。これはわたしがつるぎと|弓《ゆみ》とを|持《も》ってアモリびとの|手《て》から|取《と》ったものである」。 第四九章[#「第四九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブはその|子《こ》らを|呼《よ》んで|言《い》った、「|集《あつ》まりなさい。|後《のち》の|日《ひ》に、あなたがたの|上《うえ》に|起《おこ》ることを、|告《つ》げましょう、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|子《こ》らよ、|集《あつ》まって|聞《き》け。 |父《ちち》イスラエルのことばを|聞《き》け。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ルベンよ、あなたはわが|長子《ちょうし》、 わが|勢《いきお》い、わが|力《ちから》のはじめ、 |威光《いこう》のすぐれた|者《もの》、|権力《けんりょく》のすぐれた|者《もの》。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|沸《わ》き|立《た》つ|水《みず》のようだから、 もはや、すぐれた|者《もの》ではあり|得《え》ない。 あなたは|父《ちち》の|床《ゆか》に|上《のぼ》って|汚《けが》した。 ああ、あなたはわが|寝床《ねどこ》に|上《のぼ》った。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]シメオンとレビとは|兄弟《きょうだい》。 |彼《かれ》らのつるぎは|暴虐《ぼうぎゃく》の|武器《ぶき》。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》よ、|彼《かれ》らの|会議《かいぎ》に|臨《のぞ》むな。 わが|栄《さか》えよ、|彼《かれ》らのつどいに|連《つら》なるな。 |彼《かれ》らは|怒《いか》りに|任《まか》せて|人《ひと》を|殺《ころ》し、 ほしいままに|雄牛《おうし》の|足《あし》の|筋《すじ》を|切《き》った。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|怒《いか》りは、|激《はげ》しいゆえにのろわれ、 |彼《かれ》らの|憤《いきどお》りは、はなはだしいゆえにのろわれる。 わたしは|彼《かれ》らをヤコブのうちに|分《わ》け、 イスラエルのうちに|散《ち》らそう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダよ、|兄弟《きょうだい》たちはあなたをほめる。 あなたの|手《て》は|敵《てき》のくびを|押《おさ》え、 |父《ちち》の|子《こ》らはあなたの|前《まえ》に|身《み》をかがめるであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ユダは、ししの|子《こ》。 わが|子《こ》よ、あなたは|獲物《えもの》をもって|上《のぼ》って|来《く》る。 |彼《かれ》は|雄《お》じしのようにうずくまり、 |雌《め》じしのように|身《み》を|伏《ふ》せる。 だれがこれを|起《おこ》すことができよう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]つえはユダを|離《はな》れず、 |立法《りっぽう》|者《しゃ》のつえはその|足《あし》の|間《あいだ》を|離《はな》れることなく、 シロの|来《く》る|時《とき》までに|及《およ》ぶであろう。 もろもろの|民《たみ》は|彼《かれ》に|従《したが》う。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそのろばの|子《こ》をぶどうの|木《き》につなぎ、 その|雌《め》ろばの|子《こ》を|良《よ》きぶどうの|木《き》につなぐ。 |彼《かれ》はその|衣服《いふく》をぶどう|酒《しゅ》で|洗《あら》い、 その|着物《きもの》をぶどうの|汁《しる》で|洗《あら》うであろう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|目《め》はぶどう|酒《しゅ》によって|赤《あか》く、 その|歯《は》は|乳《ちち》によって|白《しろ》い。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンは|海《うみ》べに|住《す》み、 |舟《ふね》の|泊《と》まる|港《みなと》となって、 その|境《さかい》はシドンに|及《およ》ぶであろう。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルはたくましいろば、 |彼《かれ》は|羊《ひつじ》のおりの|間《あいだ》に|伏《ふ》している。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|定住《ていじゅう》の|地《ち》を|見《み》て|良《よ》しとし、 その|国《くに》を|見《み》て|楽《たの》しとした。 |彼《かれ》はその|肩《かた》を|下《さ》げてにない、 |奴隷《どれい》となって|追《お》い|使《つか》われる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダンはおのれの|民《たみ》をさばくであろう、 イスラエルのほかの|部族《ぶぞく》のように。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダンは|道《みち》のかたわらのへび、 |道《みち》のほとりのまむし。 |馬《うま》のかかとをかんで、 |乗《の》る|者《もの》をうしろに|落《おと》すであろう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたの|救《すくい》を|待《ま》ち|望《のぞ》む。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ガドには|略奪者《りゃくだつしゃ》が|迫《せま》る。 しかし|彼《かれ》はかえって|敵《てき》のかかとに|迫《せま》るであろう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アセルはその|食物《しょくもつ》がゆたかで、 |王《おう》の|美味《びみ》をいだすであろう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリは|放《はな》たれた|雌《め》じか、 |彼《かれ》は|美《うつく》しい|子《こ》じかを|生《う》むであろう。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|実《み》を|結《むす》ぶ|若木《わかぎ》、 |泉《いずみ》のほとりの|実《み》を|結《むす》ぶ|若木《わかぎ》。 その|枝《えだ》は、かきねを|越《こ》えるであろう。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|射《い》る|者《もの》は|彼《かれ》を|激《はげ》しく|攻《せ》め、 |彼《かれ》を|射《い》、|彼《かれ》をいたく|悩《なや》ました。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》の|弓《ゆみ》はなお|強《つよ》く、 |彼《かれ》の|腕《うで》は|素早《すばや》い。 これはヤコブの|全能者《ぜんのうしゃ》の|手《て》により、 イスラエルの|岩《いわ》なる|牧者《ぼくしゃ》の|名《な》により、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|助《たす》ける|父《ちち》の|神《かみ》により、 また|上《うえ》なる|天《てん》の|祝福《しゅくふく》、 |下《した》に|横《よこ》たわる|淵《ふち》の|祝福《しゅくふく》、 |乳《ち》ぶさと|胎《たい》の|祝福《しゅくふく》をもって、 あなたを|恵《めぐ》まれる|全能者《ぜんのうしゃ》による。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|父《ちち》の|祝福《しゅくふく》は|永遠《えいえん》の|山《やま》の|祝福《しゅくふく》にまさり、 |永久《えいきゅう》の|丘《おか》の|賜物《たまもの》にまさる。 これらの|祝福《しゅくふく》はヨセフのかしらに|帰《き》し、 その|兄弟《きょうだい》たちの|君《きみ》たる|者《もの》の|頭《あたま》の|頂《いただき》に|帰《き》する。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンはかき|裂《さ》くおおかみ、 |朝《あさ》にその|獲物《えもの》を|食《く》らい、 |夕《ゆう》にその|分《ぶん》|捕物《とりもの》を|分《わ》けるであろう」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]すべてこれらはイスラエルの十二の|部族《ぶぞく》である。そしてこれは|彼《かれ》らの|父《ちち》が|彼《かれ》らに|語《かた》り、|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》したもので、|彼《かれ》は|祝福《しゅくふく》すべきところに|従《したが》って、|彼《かれ》らおのおのを|祝福《しゅくふく》した。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|彼《かれ》らに|命《めい》じて|言《い》った、「わたしはわが|民《たみ》に|加《くわ》えられようとしている。あなたがたはヘテびとエフロンの|畑《はたけ》にあるほら|穴《あな》に、わたしの|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》にわたしを|葬《ほうむ》ってください。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そのほら|穴《あな》はカナンの|地《ち》のマムレの|東《ひがし》にあるマクペラの|畑《はたけ》にあり、アブラハムがヘテびとエフロンから|畑《はたけ》と|共《とも》に|買《か》い|取《と》り、|所有《しょゆう》の|墓地《ぼち》としたもので、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そこにアブラハムと|妻《つま》サラとが|葬《ほうむ》られ、イサクと|妻《つま》リベカもそこに|葬《ほうむ》られたが、わたしはまたそこにレアを|葬《ほうむ》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あの|畑《はたけ》とその|中《なか》にあるほら|穴《あな》とはヘテの|人々《ひとびと》から|買《か》ったものです」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヤコブは|子《こ》らに|命《めい》じ|終《おわ》って、|足《あし》を|床《ゆか》におさめ、|息《いき》|絶《た》えて、その|民《たみ》に|加《くわ》えられた。 第五〇章[#「第五〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|父《ちち》の|顔《かお》に|伏《ふ》して|泣《な》き、|口《くち》づけした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨセフは|彼《かれ》のしもべである|医者《いしゃ》たちに、|父《ちち》に|薬《くすり》を|塗《ぬ》ることを|命《めい》じたので、|医者《いしゃ》たちはイスラエルに|薬《くすり》を|塗《ぬ》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]このために四十|日《にち》を|費《ついや》した。|薬《くすり》を|塗《ぬ》るにはこれほどの|日《ひ》|数《かず》を|要《よう》するのである。エジプトびとは七十|日《にち》の|間《あいだ》、|彼《かれ》のために|泣《な》いた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》のために|泣《な》く|日《ひ》が|過《す》ぎて、ヨセフはパロの|家《いえ》の|者《もの》に|言《い》った、「|今《いま》もしわたしがあなたがたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》るなら、どうかパロに|伝《つた》えてください。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]『わたしの|父《ちち》はわたしに|誓《ちか》わせて|言《い》いました「わたしはやがて|死《し》にます。カナンの|地《ち》に、わたしが|掘《ほ》って|置《お》いた|墓《はか》に|葬《ほうむ》ってください」。それで、どうかわたしを|上《のぼ》って|行《い》かせ、|父《ちち》を|葬《ほうむ》らせてください。そうすれば、わたしはまた|帰《かえ》ってきます』」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]パロは|言《い》った、「あなたの|父《ちち》があなたに|誓《ちか》わせたように|上《のぼ》って|行《い》って|彼《かれ》を|葬《ほうむ》りなさい」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨセフは|父《ちち》を|葬《ほうむ》るために|上《のぼ》って|行《い》った。|彼《かれ》と|共《とも》に|上《のぼ》った|者《もの》はパロのもろもろの|家来《けらい》たち、パロの|家《いえ》の|長老《ちょうろう》たち、エジプトの|国《くに》のもろもろの|長老《ちょうろう》たち、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|全家《ぜんか》とその|兄弟《きょうだい》たち|及《およ》びその|父《ちち》の|家族《かぞく》であった。ただ|子供《こども》と|羊《ひつじ》と|牛《うし》はゴセンの|地《ち》に|残《のこ》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》も|彼《かれ》と|共《とも》に|上《のぼ》ったので、その|行列《ぎょうれつ》はたいそう|盛《さか》んであった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨルダンの|向《む》こうのアタデの|打《う》ち|場《ば》に|行《い》き|着《つ》いて、そこで|大《おお》いに|嘆《なげ》き、|非常《ひじょう》に|悲《かな》しんだ。そしてヨセフは|七日《なぬか》の|間《あいだ》|父《ちち》のために|嘆《なげ》いた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|住民《じゅうみん》、カナンびとがアタデの|打《う》ち|場《ば》の|嘆《なげ》きを|見《み》て、「これはエジプトびとの|大《おお》いなる|嘆《なげ》きだ」と|言《い》ったので、その|所《ところ》の|名《な》はアベル・ミツライムと|呼《よ》ばれた。これはヨルダンの|向《む》こうにある。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|子《こ》らは|命《めい》じられたようにヤコブにおこなった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちその|子《こ》らは|彼《かれ》をカナンの|地《ち》へ|運《はこ》んで|行《い》って、マクペラの|畑《はたけ》のほら|穴《あな》に|葬《ほうむ》った。このほら|穴《あな》はマムレの|東《ひがし》にあって、アブラハムがヘテびとエフロンから|畑《はたけ》と|共《とも》に|買《か》って、|所有《しょゆう》の|墓地《ぼち》としたものである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|父《ちち》を|葬《ほうむ》った|後《のち》、その|兄弟《きょうだい》たち|及《およ》びすべて|父《ちち》を|葬《ほうむ》るために|一緒《いっしょ》に|上《のぼ》った|者《もの》と|共《とも》にエジプトに|帰《かえ》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|兄弟《きょうだい》たちは|父《ちち》の|死《し》んだのを|見《み》て|言《い》った、「ヨセフはことによるとわれわれを|憎《にく》んで、われわれが|彼《かれ》にしたすべての|悪《あく》に、|仕返《しかえ》しするに|違《ちが》いない」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはことづけしてヨセフに|言《い》った、「あなたの|父《ちち》は|死《し》ぬ|前《まえ》に|命《めい》じて|言《い》われました、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]『おまえたちはヨセフに|言《い》いなさい、「あなたの|兄弟《きょうだい》たちはあなたに|悪《あく》をおこなったが、どうかそのとがと|罪《つみ》をゆるしてやってください」』。|今《いま》どうかあなたの|父《ちち》の|神《かみ》に|仕《つか》えるしもべらのとがをゆるしてください」。ヨセフはこの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|泣《な》いた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]やがて|兄弟《きょうだい》たちもきて、|彼《かれ》の|前《まえ》に|伏《ふ》して|言《い》った、「このとおり、わたしたちはあなたのしもべです」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|恐《おそ》れることはいりません。わたしが|神《かみ》に|代《かわ》ることができましょうか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしに|対《たい》して|悪《あく》をたくらんだが、|神《かみ》はそれを|良《よ》きに|変《かわ》らせて、|今日《こんにち》のように|多《おお》くの|民《たみ》の|命《いのち》を|救《すく》おうと|計《はか》らわれました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|恐《おそ》れることはいりません。わたしはあなたがたとあなたがたの|子供《こども》たちを|養《やしな》いましょう」。|彼《かれ》は|彼《かれ》らを|慰《なぐさ》めて、|親切《しんせつ》に|語《かた》った。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]このようにしてヨセフは|父《ちち》の|家族《かぞく》と|共《とも》にエジプトに|住《す》んだ。そしてヨセフは百十|年《ねん》|生《い》きながらえた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフはエフライムの三|代《だい》の|子孫《しそん》を|見《み》た。マナセの|子《こ》マキルの|子《こ》らも|生《うま》れてヨセフのひざの|上《うえ》に|置《お》かれた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフは|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》った、「わたしはやがて|死《し》にます。|神《かみ》は|必《かなら》ずあなたがたを|顧《かえり》みて、この|国《くに》から|連《つ》れ|出《だ》し、アブラハム、イサク、ヤコブに|誓《ちか》われた|地《ち》に|導《みちび》き|上《のぼ》られるでしょう」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]さらにヨセフは、「|神《かみ》は|必《かなら》ずあなたがたを|顧《かえり》みられる。その|時《とき》、あなたがたはわたしの|骨《ほね》をここから|携《たずさ》え|上《のぼ》りなさい」と|言《い》ってイスラエルの|子《こ》らに|誓《ちか》わせた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨセフは百十|歳《さい》で|死《し》んだ。|彼《かれ》らはこれに|薬《くすり》を|塗《ぬ》り、|棺《かん》に|納《おさ》めて、エジプトに|置《お》いた。 [#改ページ] 出エジプト記[#「出エジプト記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ヤコブと|共《とも》に、おのおのその|家族《かぞく》を|伴《ともな》って、エジプトへ|行《い》ったイスラエルの|子《こ》らの|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちルベン、シメオン、レビ、ユダ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イッサカル、ゼブルン、ベニヤミン、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダン、ナフタリ、ガド、アセルであった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|腰《こし》から|出《で》たものは、|合《あ》わせて七十|人《にん》。ヨセフはすでにエジプトにいた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして、ヨセフは|死《し》に、|兄弟《きょうだい》たちも、その|時代《じだい》の|人々《ひとびと》もみな|死《し》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]けれどもイスラエルの|子孫《しそん》は|多《おお》くの|子《こ》を|生《う》み、ますますふえ、はなはだ|強《つよ》くなって、|国《くに》に|満《み》ちるようになった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ここに、ヨセフのことを|知《し》らない|新《あたら》しい|王《おう》が、エジプトに|起《た》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|民《たみ》に|言《い》った、「|見《み》よ、イスラエルびとなるこの|民《たみ》は、われわれにとって、あまりにも|多《おお》く、また|強《つよ》すぎる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さあ、われわれは、|抜《ぬ》かりなく|彼《かれ》らを|取《と》り|扱《あつか》おう。|彼《かれ》らが|多《おお》くなり、|戦《たたか》いの|起《おこ》るとき、|敵《てき》に|味方《みかた》して、われわれと|戦《たたか》い、ついにこの|国《くに》から|逃《に》げ|去《さ》ることのないようにしよう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでエジプトびとは|彼《かれ》らの|上《うえ》に|監督《かんとく》をおき、|重《おも》い|労役《ろうえき》をもって|彼《かれ》らを|苦《くる》しめた。|彼《かれ》らはパロのために|倉庫《そうこ》の|町《まち》ピトムとラメセスを|建《た》てた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|人々《ひとびと》が|苦《くる》しめられるにしたがって、いよいよふえひろがるので、|彼《かれ》らはイスラエルの|人々《ひとびと》のゆえに|恐《おそ》れをなした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エジプトびとはイスラエルの|人々《ひとびと》をきびしく|使《つか》い、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]つらい|務《つとめ》をもってその|生活《せいかつ》を|苦《くる》しめた。すなわち、しっくいこね、れんが|作《つく》り、および|田畑《たはた》のあらゆる|務《つとめ》に|当《あた》らせたが、そのすべての|労役《ろうえき》はきびしかった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またエジプトの|王《おう》は、ヘブルの|女《おんな》のために|取上《とりあ》げをする|助産婦《じょさんぷ》でひとりは|名《な》をシフラといい、|他《た》のひとりは|名《な》をプアという|者《もの》にさとして、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「ヘブルの|女《おんな》のために|助産《じょさん》をするとき、|産《う》み|台《だい》の|上《うえ》を|見《み》て、もし|男《おとこ》の|子《こ》ならばそれを|殺《ころ》し、|女《おんな》の|子《こ》ならば|生《い》かしておきなさい」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|助産婦《じょさんぷ》たちは|神《かみ》をおそれ、エジプトの|王《おう》が|彼《かれ》らに|命《めい》じたようにはせず、|男《おとこ》の|子《こ》を|生《い》かしておいた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|王《おう》は|助産婦《じょさんぷ》たちを|召《め》して|言《い》った、「あなたがたはなぜこのようなことをして、|男《おとこ》の|子《こ》を|生《い》かしておいたのか」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|助産婦《じょさんぷ》たちはパロに|言《い》った、「ヘブルの|女《おんな》はエジプトの|女《おんな》とは|違《ちが》い、|彼女《かのじょ》たちは|健《すこ》やかで|助産婦《じょさんぷ》が|行《い》く|前《まえ》に|産《う》んでしまいます」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それで|神《かみ》は|助産婦《じょさんぷ》たちに|恵《めぐ》みをほどこされた。そして|民《たみ》はふえ、|非常《ひじょう》に|強《つよ》くなった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|助産婦《じょさんぷ》たちは|神《かみ》をおそれたので、|神《かみ》は|彼女《かのじょ》たちの|家《いえ》を|栄《さか》えさせられた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでパロはそのすべての|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》った、「ヘブルびとに|男《おとこ》の|子《こ》が|生《うま》れたならば、みなナイル|川《かわ》に|投《な》げこめ。しかし|女《おんな》の|子《こ》はみな|生《い》かしておけ」。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、レビの|家《いえ》のひとりの|人《ひと》が|行《い》ってレビの|娘《むすめ》をめとった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はみごもって、|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだが、その|麗《うるわ》しいのを|見《み》て、三|月《つき》のあいだ|隠《かく》していた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もう|隠《かく》しきれなくなったので、パピルスで|編《あ》んだかごを|取《と》り、それにアスファルトと|樹脂《じゅし》とを|塗《ぬ》って、|子《こ》をその|中《なか》に|入《い》れ、これをナイル|川《かわ》の|岸《きし》の|葦《あし》の|中《なか》においた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|姉《あね》は、|彼《かれ》がどうされるかを|知《し》ろうと、|遠《とお》く|離《はな》れて|立《た》っていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ときにパロの|娘《むすめ》が|身《み》を|洗《あら》おうと、|川《かわ》に|降《ふ》りてきた。|侍女《じじょ》たちは|川《かわ》べを|歩《ある》いていたが、|彼女《かのじょ》は、|葦《あし》の|中《なか》にかごのあるのを|見《み》て、つかえめをやり、それを|取《と》ってこさせ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あけて|見《み》ると|子供《こども》がいた。|見《み》よ、|幼《おさ》な|子《ご》は|泣《な》いていた。|彼女《かのじょ》はかわいそうに|思《おも》って|言《い》った、「これはヘブルびとの|子供《こども》です」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|幼《おさ》な|子《ご》の|姉《あね》はパロの|娘《むすめ》に|言《い》った、「わたしが|行《い》ってヘブルの|女《おんな》のうちから、あなたのために、この|子《こ》に|乳《ちち》を|飲《の》ませるうばを|呼《よ》んでまいりましょうか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]パロの|娘《むすめ》が「|行《い》ってきてください」と|言《い》うと、|少女《しょうじょ》は|行《い》ってその|子《こ》の|母《はは》を|呼《よ》んできた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]パロの|娘《むすめ》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「この|子《こ》を|連《つ》れて|行《い》って、わたしに|代《かわ》り、|乳《ちち》を|飲《の》ませてください。わたしはその|報酬《ほうしゅう》をさしあげます」。|女《おんな》はその|子《こ》を|引《ひ》き|取《と》って、これに|乳《ちち》を|与《あた》えた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》が|成長《せいちょう》したので、|彼女《かのじょ》はこれをパロの|娘《むすめ》のところに|連《つ》れて|行《い》った。そして|彼《かれ》はその|子《こ》となった。|彼女《かのじょ》はその|名《な》をモーセと|名《な》づけて|言《い》った、「|水《みず》の|中《なか》からわたしが|引《ひ》き|出《だ》したからです」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|成長《せいちょう》して|後《のち》、ある|日《ひ》のこと、|同胞《どうほう》の|所《ところ》に|出《で》て|行《い》って、そのはげしい|労役《ろうえき》を|見《み》た。|彼《かれ》はひとりのエジプトびとが、|同胞《どうほう》のひとりであるヘブルびとを|打《う》つのを|見《み》たので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|左右《さゆう》を|見《み》まわし、|人《ひと》のいないのを|見《み》て、そのエジプトびとを|打《う》ち|殺《ころ》し、これを|砂《すな》の|中《なか》に|隠《かく》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》の|日《ひ》また|出《で》て|行《い》って、ふたりのヘブルびとが|互《たがい》に|争《あらそ》っているのを|見《み》、|悪《わる》い|方《ほう》の|男《おとこ》に|言《い》った、「あなたはなぜ、あなたの|友《とも》を|打《う》つのですか」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「だれがあなたを|立《た》てて、われわれのつかさ、また|裁判人《さいばんにん》としたのですか。エジプトびとを|殺《ころ》したように、あなたはわたしを|殺《ころ》そうと|思《おも》うのですか」。モーセは|恐《おそ》れた。そしてあの|事《こと》がきっと|知《し》れたのだと|思《おも》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]パロはこの|事《こと》を|聞《き》いて、モーセを|殺《ころ》そうとした。  しかしモーセはパロの|前《まえ》をのがれて、ミデヤンの|地《ち》に|行《い》き、|井戸《いど》のかたわらに|座《ざ》していた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]さて、ミデヤンの|祭司《さいし》に七|人《にん》の|娘《むすめ》があった。|彼女《かのじょ》たちはきて|水《みず》をくみ、|水槽《すいそう》にみたして|父《ちち》の|羊《ひつじ》の|群《む》れに|飲《の》ませようとしたが、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|羊飼《ひつじかい》たちがきて|彼女《かのじょ》らを|追《お》い|払《はら》ったので、モーセは|立《た》ち|上《あ》がって|彼女《かのじょ》たちを|助《たす》け、その|羊《ひつじ》の|群《む》れに|水《みず》を|飲《の》ませた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》たちが|父《ちち》リウエルのところに|帰《かえ》った|時《とき》、|父《ちち》は|言《い》った、「きょうは、どうして、こんなに|早《はや》く|帰《かえ》ってきたのか」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》たちは|言《い》った、「ひとりのエジプトびとが、わたしたちを|羊飼《ひつじかい》たちの|手《て》から|助《たす》け|出《だ》し、そのうえ、|水《みず》をたくさんくんで、|羊《ひつじ》の|群《む》れに|飲《の》ませてくれたのです」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|娘《むすめ》たちに|言《い》った、「そのかたはどこにおられるか。なぜ、そのかたをおいてきたのか。|呼《よ》んできて、|食事《しょくじ》をさしあげなさい」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]モーセがこの|人《ひと》と|共《とも》におることを|好《この》んだので、|彼《かれ》は|娘《むすめ》のチッポラを|妻《つま》としてモーセに|与《あた》えた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》が|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだので、モーセはその|名《な》をゲルショムと|名《な》づけた。「わたしは|外国《がいこく》に|寄留者《きりゅうしゃ》となっている」と|言《い》ったからである。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|日《ひ》を|経《へ》て、エジプトの|王《おう》は|死《し》んだ。イスラエルの|人々《ひとびと》は、その|苦役《くえき》の|務《つとめ》のゆえにうめき、また|叫《さけ》んだが、その|苦役《くえき》のゆえの|叫《さけ》びは|神《かみ》に|届《とど》いた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らのうめきを|聞《き》き、|神《かみ》はアブラハム、イサク、ヤコブとの|契約《けいやく》を|覚《おぼ》え、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はイスラエルの|人々《ひとびと》を|顧《かえり》み、|神《かみ》は|彼《かれ》らをしろしめされた。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|妻《つま》の|父《ちち》、ミデヤンの|祭司《さいし》エテロの|羊《ひつじ》の|群《む》れを|飼《か》っていたが、その|群《む》れを|荒野《あらの》の|奥《おく》に|導《みちび》いて、|神《かみ》の|山《やま》ホレブにきた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ときに|主《しゅ》の|使《つかい》は、しばの|中《なか》の|炎《ほのお》のうちに|彼《かれ》に|現《あらわ》れた。|彼《かれ》が|見《み》ると、しばは|火《ひ》に|燃《も》えているのに、そのしばはなくならなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「|行《い》ってこの|大《おお》きな|見《み》ものを|見《み》、なぜしばが|燃《も》えてしまわないかを|知《し》ろう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》がきて|見定《みさだめ》ようとするのを|見《み》、|神《かみ》はしばの|中《なか》から|彼《かれ》を|呼《よ》んで、「モーセよ、モーセよ」と|言《い》われた。|彼《かれ》は「ここにいます」と|言《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|言《い》われた、「ここに|近《ちか》づいてはいけない。|足《あし》からくつを|脱《ぬ》ぎなさい。あなたが|立《た》っているその|場所《ばしょ》は|聖《せい》なる|地《ち》だからである」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》われた、「わたしは、あなたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、アブラハムの|神《かみ》、イサクの|神《かみ》、ヤコブの|神《かみ》である」。モーセは|神《かみ》を|見《み》ることを|恐《おそ》れたので|顔《かお》を|隠《かく》した。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|言《い》われた、「わたしは、エジプトにいるわたしの|民《たみ》の|悩《なや》みを、つぶさに|見《み》、また|追《お》い|使《つか》う|者《もの》のゆえに|彼《かれ》らの|叫《さけ》ぶのを|聞《き》いた。わたしは|彼《かれ》らの|苦《くる》しみを|知《し》っている。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|下《くだ》って、|彼《かれ》らをエジプトびとの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》し、これをかの|地《ち》から|導《みちび》き|上《のぼ》って、|良《よ》い|広《ひろ》い|地《ち》、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》、すなわちカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのおる|所《ところ》に|至《いた》らせようとしている。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]いまイスラエルの|人々《ひとびと》の|叫《さけ》びがわたしに|届《とど》いた。わたしはまたエジプトびとが|彼《かれ》らをしえたげる、そのしえたげを|見《み》た。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さあ、わたしは、あなたをパロにつかわして、わたしの|民《たみ》、イスラエルの|人々《ひとびと》をエジプトから|導《みちび》き|出《だ》させよう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|神《かみ》に|言《い》った、「わたしは、いったい|何者《なにもの》でしょう。わたしがパロのところへ|行《い》って、イスラエルの|人々《ひとびと》をエジプトから|導《みちび》き|出《だ》すのでしょうか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|言《い》われた、「わたしは|必《かなら》ずあなたと|共《とも》にいる。これが、わたしのあなたをつかわしたしるしである。あなたが|民《たみ》をエジプトから|導《みちび》き|出《だ》したとき、あなたがたはこの|山《やま》で|神《かみ》に|仕《つか》えるであろう」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|神《かみ》に|言《い》った、「わたしがイスラエルの|人々《ひとびと》のところへ|行《い》って、|彼《かれ》らに『あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と|言《い》うとき、|彼《かれ》らが『その|名《な》はなんというのですか』とわたしに|聞《き》くならば、なんと|答《こた》えましょうか」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はモーセに|言《い》われた、「わたしは、|有《あ》って|有《あ》る|者《もの》」。また|言《い》われた、「イスラエルの|人々《ひとびと》にこう|言《い》いなさい、『「わたしは|有《あ》る」というかたが、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまたモーセに|言《い》われた、「イスラエルの|人々《ひとびと》にこう|言《い》いなさい『あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、アブラハムの|神《かみ》、イサクの|神《かみ》、ヤコブの|神《かみ》である|主《しゅ》が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と。これは|永遠《えいえん》にわたしの|名《な》、これは|世々《よよ》のわたしの|呼《よ》び|名《な》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|行《い》って、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちを|集《あつ》めて|言《い》いなさい、『あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、アブラハム、イサク、ヤコブの|神《かみ》である|主《しゅ》は、わたしに|現《あらわ》れて|言《い》われました、「わたしはあなたがたを|顧《かえり》み、あなたがたがエジプトでされている|事《こと》を|確《たし》かに|見《み》た。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはあなたがたを、エジプトの|悩《なや》みから|導《みちび》き|出《だ》して、カナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの|地《ち》、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》へ|携《たずさ》え|上《のぼ》ろうと|決心《けっしん》した」と』。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》うであろう。あなたはイスラエルの|長老《ちょうろう》たちと|一緒《いっしょ》にエジプトの|王《おう》のところへ|行《い》って|言《い》いなさい、『ヘブルびとの|神《かみ》、|主《しゅ》がわたしたちに|現《あらわ》れられました。それで、わたしたちを、三|日《か》の|道《みち》のりほど|荒野《あらの》に|行《い》かせて、わたしたちの|神《かみ》、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげることを|許《ゆる》してください』と。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、エジプトの|王《おう》は|強《つよ》い|手《て》をもって|迫《せま》らなければ、あなたがたを|行《い》かせないのをわたしは|知《し》っている。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それで、わたしは|手《て》を|伸《の》べて、エジプトのうちに|行《おこな》おうとする、さまざまの|不思議《ふしぎ》をもってエジプトを|打《う》とう。その|後《のち》に|彼《かれ》はあなたがたを|去《さ》らせるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|民《たみ》にエジプトびとの|好意《こうい》を|得《え》させる。あなたがたは|去《さ》るときに、むなし|手《て》で|去《さ》ってはならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はみな、その|隣《となり》の|女《おんな》と、|家《いえ》に|宿《やど》っている|女《おんな》に、|銀《ぎん》の|飾《かざ》り、|金《きん》の|飾《かざ》り、また|衣服《いふく》を|求《もと》めなさい。そしてこれらを、あなたがたのむすこ、|娘《むすめ》に|着《つ》けさせなさい。このようにエジプトびとのものを|奪《うば》い|取《と》りなさい」。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「しかし、|彼《かれ》らはわたしを|信《しん》ぜず、またわたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わないで|言《い》うでしょう、『|主《しゅ》はあなたに|現《あらわ》れなかった』と」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたの|手《て》にあるそれは|何《なに》か」。|彼《かれ》は|言《い》った、「つえです」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》われた、「それを|地《ち》に|投《な》げなさい」。|彼《かれ》がそれを|地《ち》に|投《な》げると、へびになったので、モーセはその|前《まえ》から|身《み》を|避《さ》けた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたの|手《て》を|伸《の》ばして、その|尾《お》を|取《と》りなさい。――そこで|手《て》を|伸《の》ばしてそれを|取《と》ると、|手《て》のなかでつえとなった。――[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これは、|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、アブラハムの|神《かみ》、イサクの|神《かみ》、ヤコブの|神《かみ》である|主《しゅ》が、あなたに|現《あらわ》れたのを、|彼《かれ》らに|信《しん》じさせるためである」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたの|手《て》をふところに|入《い》れなさい」。|彼《かれ》が|手《て》をふところに|入《い》れ、それを|出《だ》すと、|手《て》は、らい|病《びょう》にかかって、|雪《ゆき》のように|白《しろ》くなっていた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「|手《て》をふところにもどしなさい」。|彼《かれ》は|手《て》をふところにもどし、それをふところから|出《だ》して|見《み》ると、|回復《かいふく》して、もとの|肉《にく》のようになっていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「|彼《かれ》らがもしあなたを|信《しん》ぜず、また|初《はじ》めのしるしを|認《みと》めないならば、|後《のち》のしるしは|信《しん》じるであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがもしこの二つのしるしをも|信《しん》ぜず、あなたの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わないならば、あなたはナイル|川《かわ》の|水《みず》を|取《と》って、かわいた|地《ち》に|注《そそ》ぎなさい。あなたがナイル|川《かわ》から|取《と》った|水《みず》は、かわいた|地《ち》で|血《ち》となるであろう」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》に|言《い》った、「ああ|主《しゅ》よ、わたしは|以前《いぜん》にも、またあなたが、しもべに|語《かた》られてから|後《のち》も、|言葉《ことば》の|人《ひと》ではありません。わたしは|口《くち》も|重《おも》く、|舌《した》も|重《おも》いのです」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「だれが|人《ひと》に|口《くち》を|授《さづ》けたのか。おし、|耳《みみ》しい、|目《め》あき、|目《め》しいにだれがするのか。|主《しゅ》なるわたしではないか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|行《い》きなさい。わたしはあなたの|口《くち》と|共《とも》にあって、あなたの|言《い》うべきことを|教《おし》えるであろう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》よ、どうか、ほかの|適当《てきとう》な|人《ひと》をおつかわしください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|主《しゅ》はモーセにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》して|言《い》われた、「あなたの|兄弟《きょうだい》レビびとアロンがいるではないか。わたしは|彼《かれ》が|言葉《ことば》にすぐれているのを|知《し》っている。|見《み》よ、|彼《かれ》はあなたに|会《あ》おうとして|出《で》てきている。|彼《かれ》はあなたを|見《み》て|心《こころ》に|喜《よろこ》ぶであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》に|語《かた》って|言葉《ことば》をその|口《くち》に|授《さづ》けなさい。わたしはあなたの|口《くち》と|共《とも》にあり、|彼《かれ》の|口《くち》と|共《とも》にあって、あなたがたのなすべきことを|教《おし》え、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあなたに|代《かわ》って|民《たみ》に|語《かた》るであろう。|彼《かれ》はあなたの|口《くち》となり、あなたは|彼《かれ》のために、|神《かみ》に|代《かわ》るであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそのつえを|手《て》に|執《と》り、それをもって、しるしを|行《おこな》いなさい」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|妻《つま》の|父《ちち》エテロのところに|帰《かえ》って|彼《かれ》に|言《い》った、「どうかわたしを、エジプトにいる|身《み》うちの|者《もの》のところに|帰《かえ》らせ、|彼《かれ》らがまだ|生《い》きながらえているか、どうかを|見《み》させてください」。エテロはモーセに|言《い》った、「|安《やす》んじて|行《い》きなさい」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はミデヤンでモーセに|言《い》われた、「エジプトに|帰《かえ》って|行《い》きなさい。あなたの|命《いのち》を|求《もと》めた|人々《ひとびと》はみな|死《し》んだ」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|妻《つま》と|子供《こども》たちをとり、ろばに|乗《の》せて、エジプトの|地《ち》に|帰《かえ》った。モーセは|手《て》に|神《かみ》のつえを|執《と》った。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたがエジプトに|帰《かえ》ったとき、わたしがあなたの|手《て》に|授《さづ》けた|不思議《ふしぎ》を、みなパロの|前《まえ》で|行《おこな》いなさい。しかし、わたしが|彼《かれ》の|心《こころ》をかたくなにするので、|彼《かれ》は|民《たみ》を|去《さ》らせないであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはパロに|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる。イスラエルはわたしの|子《こ》、わたしの|長子《ちょうし》である。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|言《い》う。わたしの|子《こ》を|去《さ》らせて、わたしに|仕《つか》えさせなさい。もし|彼《かれ》を|去《さ》らせるのを|拒《こば》むならば、わたしはあなたの|子《こ》、あなたの|長子《ちょうし》を|殺《ころ》すであろう』と」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]さてモーセが|途中《とちゅう》で|宿《やど》っている|時《とき》、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|会《あ》って|彼《かれ》を|殺《ころ》そうとされた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》チッポラは|火打《ひう》ち|石《いし》の|小刀《こがたな》を|取《と》って、その|男《おとこ》の|子《こ》の|前《まえ》の|皮《かわ》を|切《き》り、それをモーセの|足《あし》につけて|言《い》った、「あなたはまことに、わたしにとって|血《ち》の|花婿《はなむこ》です」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|主《しゅ》はモーセをゆるされた。この|時《とき》「|血《ち》の|花婿《はなむこ》です」とチッポラが|言《い》ったのは|割礼《かつれい》のゆえである。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はアロンに|言《い》われた、「|荒野《あらの》に|行《い》ってモーセに|会《あ》いなさい」。|彼《かれ》は|行《い》って|神《かみ》の|山《やま》でモーセに|会《あ》い、これに|口《くち》づけした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|自分《じぶん》をつかわされた|主《しゅ》のすべての|言葉《ことば》と、|命《めい》じられたすべてのしるしをアロンに|告《つ》げた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセとアロンは|行《い》ってイスラエルの|人々《ひとびと》の|長老《ちょうろう》たちをみな|集《あつ》めた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンは|主《しゅ》がモーセに|語《かた》られた|言葉《ことば》を、ことごとく|告《つ》げた。また|彼《かれ》は|民《たみ》の|前《まえ》でしるしを|行《おこな》ったので、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|信《しん》じた。|彼《かれ》らは|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》を|顧《かえり》み、その|苦《くる》しみを|見《み》られたのを|聞《き》き、|伏《ふ》して|礼拝《れいはい》した。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、モーセとアロンは|行《い》ってパロに|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、『わたしの|民《たみ》を|去《さ》らせ、|荒野《あらの》で、わたしのために|祭《まつり》をさせなさい』と」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]パロは|言《い》った、「|主《しゅ》とはいったい|何者《なにもの》か。わたしがその|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》ってイスラエルを|去《さ》らせなければならないのか。わたしは|主《しゅ》を|知《し》らない。またイスラエルを|去《さ》らせはしない」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「ヘブルびとの|神《かみ》がわたしたちに|現《あらわ》れました。どうか、わたしたちを三|日《か》の|道《みち》のりほど|荒野《あらの》に|行《い》かせ、わたしたちの|神《かみ》、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげさせてください。そうしなければ|主《しゅ》は|疫病《えきびょう》か、つるぎをもって、わたしたちを|悩《なや》まされるからです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|王《おう》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「モーセとアロンよ、あなたがたは、なぜ|民《たみ》に|働《はたら》きをやめさせようとするのか。|自分《じぶん》の|労役《ろうえき》につくがよい」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]パロはまた|言《い》った、「|見《み》よ、|今《いま》や|土民《どみん》の|数《かず》は|多《おお》い。しかも、あなたがたは|彼《かれ》らに|労役《ろうえき》を|休《やす》ませようとするのか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、パロは|民《たみ》を|追《お》い|使《つか》う|者《もの》と、|民《たみ》のかしらたちに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたは、れんがを|作《つく》るためのわらを、もはや、|今《いま》までのように、この|民《たみ》に|与《あた》えてはならない。|彼《かれ》らに|自分《じぶん》で|行《い》って、わらを|集《あつ》めさせなさい。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|前《まえ》に|作《つく》っていた、れんがの|数《かず》どおりに|彼《かれ》らに|作《つく》らせ、それを|減《へ》らしてはならない。|彼《かれ》らはなまけ|者《もの》だ。それだから、|彼《かれ》らは|叫《さけ》んで、『|行《い》ってわたしたちの|神《かみ》に|犠牲《ぎせい》をささげさせよ』と|言《い》うのだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|人々《ひとびと》の|労役《ろうえき》を|重《おも》くして、|働《はたら》かせ、|偽《いつわ》りの|言葉《ことば》に|心《こころ》を|寄《よ》せさせぬようにしなさい」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》を|追《お》い|使《つか》う|者《もの》たちと、|民《たみ》のかしらたちは|出《で》て|行《い》って、|民《たみ》に|言《い》った、「パロはこう|仰《おお》せられる、『あなたがたに、わらは|与《あた》えない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》で|行《い》って、|見《み》つかる|所《ところ》から、わらを|取《と》って|来《く》るがよい。しかし|働《はたら》きは|少《すこ》しも|減《へ》らしてはならない』と」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》はエジプトの|全《ぜん》|地《ち》に|散《ち》って、わらのかわりに、|刈《か》り|株《かぶ》を|集《あつ》めた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|追《お》い|使《つか》う|者《もの》たちは、|彼《かれ》らをせき|立《た》てて|言《い》った、「わらがあった|時《とき》と|同《おな》じように、あなたがたの|働《はたら》きの、|日《ひ》ごとの|分《ぶん》を|仕上《しあ》げなければならない」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]パロの|追《お》い|使《つか》う|者《もの》たちがイスラエルの|人々《ひとびと》の|上《うえ》に|立《た》てたかしらたちは、|打《う》たれて、「なぜ、あなたがたは、れんが|作《つく》りの|仕事《しごと》を、きょうも、|前《まえ》のように|仕上《しあ》げないのか」と|言《い》われた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、イスラエルの|人々《ひとびと》のかしらたちはパロのところに|行《い》き、|叫《さけ》んで|言《い》った、「あなたはなぜ、しもべどもにこんなことをなさるのですか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しもべどもは、わらを|与《あた》えられず、しかも|彼《かれ》らはわたしたちに、『れんがは|作《つく》れ』と|言《い》うのです。その|上《うえ》、しもべどもは|打《う》たれています。|罪《つみ》はあなたの|民《たみ》にあるのです」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]パロは|言《い》った、「あなたがたは、なまけ|者《もの》だ、なまけ|者《もの》だ。それだから、『|行《い》って、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげさせよ』と|言《い》うのだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]さあ、|行《い》って|働《はたら》きなさい。わらは|与《あた》えないが、なおあなたがたは|定《さだ》めた|数《かず》のれんがを|納《おさ》めなければならない」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のかしらたちは、「れんがの|日《ひ》ごとの|分《ぶん》を|減《へ》らしてはならない」と|言《い》われたので、|悪《わる》い|事態《じたい》になったことを|知《し》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがパロを|離《はな》れて|出《で》てきた|時《とき》、|彼《かれ》らに|会《あ》おうとして|立《た》っていたモーセとアロンに|会《あ》ったので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「|主《しゅ》があなたがたをごらんになって、さばかれますように。あなたがたは、わたしたちをパロとその|家来《けらい》たちにきらわせ、つるぎを|彼《かれ》らの|手《て》に|渡《わた》して、|殺《ころ》させようとしておられるのです」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》のもとに|帰《かえ》って|言《い》った、「|主《しゅ》よ、あなたは、なぜこの|民《たみ》をひどい|目《め》にあわされるのですか。なんのためにわたしをつかわされたのですか。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしがパロのもとに|行《い》って、あなたの|名《な》によって|語《かた》ってからこのかた、|彼《かれ》はこの|民《たみ》をひどい|目《め》にあわせるばかりです。また、あなたは、すこしもあなたの|民《たみ》を|救《すく》おうとなさいません」。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|今《いま》、あなたは、わたしがパロに|何《なに》をしようとしているかを|見《み》るであろう。すなわちパロは|強《つよ》い|手《て》にしいられて、|彼《かれ》らを|去《さ》らせるであろう。|否《いな》、|彼《かれ》は|強《つよ》い|手《て》にしいられて、|彼《かれ》らを|国《くに》から|追《お》い|出《だ》すであろう」。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はモーセに|言《い》われた、「わたしは|主《しゅ》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはアブラハム、イサク、ヤコブには|全能《ぜんのう》の|神《かみ》として|現《あらわ》れたが、|主《しゅ》という|名《な》では、|自分《じぶん》を|彼《かれ》らに|知《し》らせなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたカナンの|地《ち》、すなわち|彼《かれ》らが|寄留《きりゅう》したその|寄留《きりゅう》の|地《ち》を、|彼《かれ》らに|与《あた》えるという|契約《けいやく》を|彼《かれ》らと|立《た》てた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、エジプトびとが|奴隷《どれい》としているイスラエルの|人々《ひとびと》のうめきを|聞《き》いて、わたしの|契約《けいやく》を|思《おも》い|出《だ》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『わたしは|主《しゅ》である。わたしはあなたがたをエジプトびとの|労役《ろうえき》の|下《した》から|導《みちび》き|出《だ》し、|奴隷《どれい》の|務《つとめ》から|救《すく》い、また|伸《の》べた|腕《うで》と|大《おお》いなるさばきをもって、あなたがたをあがなうであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを|取《と》ってわたしの|民《たみ》とし、わたしはあなたがたの|神《かみ》となる。わたしがエジプトびとの|労役《ろうえき》の|下《した》からあなたがたを|導《みちび》き|出《だ》すあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であることを、あなたがたは|知《し》るであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはアブラハム、イサク、ヤコブに|与《あた》えると|手《て》を|挙《あ》げて|誓《ちか》ったその|地《ち》にあなたがたをはいらせ、それを|所有《しょゆう》として、|与《あた》えるであろう。わたしは|主《しゅ》である』と」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこのようにイスラエルの|人々《ひとびと》に|語《かた》ったが、|彼《かれ》らは|心《こころ》の|痛《いた》みと、きびしい|奴隷《どれい》の|務《つとめ》のゆえに、モーセに|聞《き》き|従《したが》わなかった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さて|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「エジプトの|王《おう》パロのところに|行《い》って、|彼《かれ》がイスラエルの|人々《ひとびと》をその|国《くに》から|去《さ》らせるように|話《はな》しなさい」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》にむかって|言《い》った、「イスラエルの|人々《ひとびと》でさえ、わたしの|言《い》うことを|聞《き》かなかったのに、どうして、くちびるに|割礼《かつれい》のないわたしの|言《い》うことを、パロが|聞《き》き|入《い》れましょうか」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》はモーセとアロンに|語《かた》って、イスラエルの|人々《ひとびと》と、エジプトの|王《おう》パロのもとに|行《い》かせ、イスラエルの|人々《ひとびと》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》せと|命《めい》じられた。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》の|家《いえ》の|首長《しゅちょう》たちは|次《つぎ》のとおりである。すなわちイスラエルの|長子《ちょうし》ルベンの|子《こ》らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミで、これらはルベンの|一族《いちぞく》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子《こ》らはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル、およびカナンの|女《おんな》から|生《うま》れたシャウルで、これらはシメオンの|一族《いちぞく》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子《こ》らの|名《な》は、その|世代《せだい》に|従《したが》えば、ゲルション、コハテ、メラリで、レビの|一生《いっしょう》は百三十七|年《ねん》であった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションの|子《こ》らの|一族《いちぞく》はリブニとシメイである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルで、コハテの|一生《いっしょう》は百三十三|年《ねん》であった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》らはマヘリとムシである。これらはその|世代《せだい》によるレビの|一族《いちぞく》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アムラムは|父《ちち》の|妹《いもうと》ヨケベデを|妻《つま》としたが、|彼女《かのじょ》はアロンとモーセを|彼《かれ》に|産《う》んだ。アムラムの|一生《いっしょう》は百三十七|年《ねん》であった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イヅハルの|子《こ》らはコラ、ネペグ、ジクリである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ウジエルの|子《こ》らはミサエル、エルザパン、シテリである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アロンはナションの|姉妹《しまい》、アミナダブの|娘《むすめ》エリセバを|妻《つま》とした。エリセバは|彼《かれ》にナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを|産《う》んだ。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]コラの|子《こ》らはアッシル、エルカナ、アビアサフで、これらはコラびとの|一族《いちぞく》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》エレアザルはプテエルの|娘《むすめ》のひとりを|妻《つま》とした。|彼女《かのじょ》はピネハスを|彼《かれ》に|産《う》んだ。これらは、その|一族《いちぞく》によるレビびとの|先祖《せんぞ》の|家《いえ》の|首長《しゅちょう》たちである。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が、「イスラエルの|人々《ひとびと》をその|軍団《ぐんだん》に|従《したが》って、エジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》しなさい」と|言《い》われたのは、このアロンとモーセである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはイスラエルの|人々《ひとびと》をエジプトから|導《みちび》き|出《だ》すことについて、エジプトの|王《おう》パロに|語《かた》ったもので、すなわちこのモーセとアロンである。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がエジプトの|地《ち》でモーセに|語《かた》られた|日《ひ》に、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「わたしは|主《しゅ》である。わたしがあなたに|語《かた》ることは、みなエジプトの|王《おう》パロに|語《かた》りなさい」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしモーセは|主《しゅ》にむかって|言《い》った、「ごらんのとおり、わたしは、くちびるに|割礼《かつれい》のない|者《もの》です。パロがどうしてわたしの|言《い》うことを|聞《き》きいれましょうか」。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしはあなたをパロに|対《たい》して|神《かみ》のごときものとする。あなたの|兄弟《きょうだい》アロンはあなたの|預言者《よげんしゃ》となるであろう。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしが|命《めい》じることを、ことごとく|彼《かれ》に|告《つ》げなければならない。そしてあなたの|兄弟《きょうだい》アロンはパロに|告《つ》げて、イスラエルの|人々《ひとびと》をその|国《くに》から|去《さ》らせるようにさせなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしはパロの|心《こころ》をかたくなにするので、わたしのしるしと|不思議《ふしぎ》をエジプトの|国《くに》に|多《おお》く|行《おこな》っても、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]パロはあなたがたの|言《い》うことを|聞《き》かないであろう。それでわたしは|手《て》をエジプトの|上《うえ》に|加《くわ》え、|大《おお》いなるさばきをくだして、わたしの|軍団《ぐんだん》、わたしの|民《たみ》イスラエルの|人々《ひとびと》を、エジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》すであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|手《て》をエジプトの|上《うえ》にさし|伸《の》べて、イスラエルの|人々《ひとびと》を|彼《かれ》らのうちから|導《みちび》き|出《だ》す|時《とき》、エジプトびとはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになるであろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンはそのように|行《おこな》った。すなわち|主《しゅ》が|彼《かれ》らに|命《めい》じられたように|行《おこな》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがパロと|語《かた》った|時《とき》、モーセは八十|歳《さい》、アロンは八十三|歳《さい》であった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「パロがあなたがたに、『|不思議《ふしぎ》をおこなって|証拠《しょうこ》を|示《しめ》せ』と|言《い》う|時《とき》、あなたはアロンに|言《い》いなさい、『あなたのつえを|取《と》って、パロの|前《まえ》に|投《な》げなさい』と。するとそれはへびになるであろう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それで、モーセとアロンはパロのところに|行《い》き、|主《しゅ》の|命《めい》じられたとおりにおこなった。すなわちアロンはそのつえを、パロとその|家来《けらい》たちの|前《まえ》に|投《な》げると、それはへびになった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでパロもまた|知者《ちしゃ》と|魔法使《まほうつかい》を|召《め》し|寄《よ》せた。これらのエジプトの|魔術《まじゅつ》|師《し》らもまた、その|秘術《ひじゅつ》をもって|同《おな》じように|行《おこな》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らは、おのおのそのつえを|投《な》げたが、それらはへびになった。しかし、アロンのつえは|彼《かれ》らのつえを、のみつくした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]けれども、パロの|心《こころ》はかたくなになって、|主《しゅ》の|言《い》われたように、|彼《かれ》らの|言《い》うことを|聞《き》かなかった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「パロの|心《こころ》はかたくなで、|彼《かれ》は|民《たみ》を|去《さ》らせることを|拒《こば》んでいる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あすの|朝《あさ》、パロのところに|行《い》きなさい。|見《み》よ、|彼《かれ》は|水《みず》のところに|出《で》ている。あなたは、へびに|変《かわ》ったあのつえを|手《て》に|執《と》り、ナイル|川《かわ》の|岸《きし》に|立《た》って|彼《かれ》に|会《あ》い、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『ヘブルびとの|神《かみ》、|主《しゅ》がわたしをあなたにつかわして|言《い》われます、「わたしの|民《たみ》を|去《さ》らせ、|荒野《あらの》で、わたしに|仕《つか》えるようにさせよ」と。しかし|今《いま》もなお、あなたが|聞《き》きいれようとされないので、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、「これによってわたしが|主《しゅ》であることを、あなたは|知《し》るでしょう。|見《み》よ、わたしが|手《て》にあるつえでナイル|川《かわ》の|水《みず》を|打《う》つと、それは|血《ち》に|変《かわ》るであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|川《かわ》の|魚《うお》は|死《し》に、|川《かわ》は|臭《くさ》くなり、エジプトびとは|川《かわ》の|水《みず》を|飲《の》むことをいとうであろう」』と」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、「あなたはアロンに|言《い》いなさい、『あなたのつえを|執《と》って、|手《て》をエジプトの|水《みず》の|上《うえ》、|川《かわ》の|上《うえ》、|流《なが》れの|上《うえ》、|池《いけ》の|上《うえ》、またそのすべての|水《みず》たまりの|上《うえ》にさし|伸《の》べて、それを|血《ち》にならせなさい。エジプト|全国《ぜんこく》にわたって、|木《き》の|器《うつわ》、|石《いし》の|器《うつわ》にも、|血《ち》があるようになるでしょう』と」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンは|主《しゅ》の|命《めい》じられたようにおこなった。すなわち、|彼《かれ》はパロとその|家来《けらい》たちの|目《め》の|前《まえ》で、つえをあげてナイル|川《かわ》の|水《みず》を|打《う》つと、|川《かわ》の|水《みず》は、ことごとく|血《ち》に|変《かわ》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それで|川《かわ》の|魚《うお》は|死《し》に、|川《かわ》は|臭《くさ》くなり、エジプトびとは|川《かわ》の|水《みず》を|飲《の》むことができなくなった。そしてエジプト|全国《ぜんこく》にわたって|血《ち》があった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|魔術《まじゅつ》|師《し》らも|秘術《ひじゅつ》をもって|同《おな》じようにおこなった。しかし、|主《しゅ》の|言《い》われたように、パロの|心《こころ》はかたくなになり、|彼《かれ》らの|言《い》うことを|聞《き》かなかった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]パロは|身《み》をめぐらして|家《いえ》に|入《い》り、またこのことをも|心《こころ》に|留《と》めなかった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]すべてのエジプトびとはナイル|川《かわ》の|水《みず》が|飲《の》めなかったので、|飲《の》む|水《みず》を|得《え》ようと、|川《かわ》のまわりを|掘《ほ》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がナイル|川《かわ》を|打《う》たれてのち|七日《なぬか》を|経《へ》た。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたはパロのところに|行《い》って|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、「わたしの|民《たみ》を|去《さ》らせて、わたしに|仕《つか》えさせなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|去《さ》らせることを|拒《こば》むならば、|見《み》よ、わたしは、かえるをもって、あなたの|領土《りょうど》を、ことごとく|撃《う》つであろう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ナイル|川《かわ》にかえるが|群《むら》がり、のぼって、あなたの|家《いえ》、あなたの|寝室《しんしつ》にはいり、|寝台《しんだい》にのぼり、あなたの|家来《けらい》と|民《たみ》の|家《いえ》にはいり、またあなたのかまどや、こね|鉢《はち》にはいり、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたと、あなたの|民《たみ》と、すべての|家来《けらい》のからだに、はい|上《あ》がるであろう」と』」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたはアロンに|言《い》いなさい、『つえを|持《も》って、|手《て》を|川《かわ》の|上《うえ》、|流《なが》れの|上《うえ》、、|池《いけ》の|上《うえ》にさし|伸《の》べ、かえるをエジプトの|地《ち》にのぼらせなさい』と」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アロンが|手《て》をエジプトの|水《みず》の|上《うえ》にさし|伸《の》べたので、かえるはのぼってエジプトの|地《ち》をおおった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|魔術《まじゅつ》|師《し》らも|秘術《ひじゅつ》をもって|同《おな》じように|行《おこな》い、かえるをエジプトの|地《ち》にのぼらせた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]パロはモーセとアロンを|召《め》して|言《い》った、「かえるをわたしと、わたしの|民《たみ》から|取《と》り|去《さ》るように|主《しゅ》に|願《ねが》ってください。そのときわたしはこの|民《たみ》を|去《さ》らせて、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげさせるでしょう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはパロに|言《い》った、「あなたと、あなたの|家来《けらい》と、あなたの|民《たみ》のために、わたしがいつ|願《ねが》って、このかえるを、あなたとあなたの|家《いえ》から|断《た》って、ナイル|川《かわ》だけにとどまらせるべきか、きめてください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]パロは|言《い》った、「|明日《みょうにち》」。モーセは|言《い》った、「|仰《おお》せのとおりになって、わたしたちの|神《かみ》、|主《しゅ》に|並《なら》ぶもののないことを、あなたが|知《し》られますように。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして、かえるはあなたと、あなたの|家《いえ》と、あなたの|家来《けらい》と、あなたの|民《たみ》を|離《はな》れてナイル|川《かわ》にだけとどまるでしょう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモーセとアロンはパロを|離《はな》れて|出《で》た。モーセは|主《しゅ》がパロにつかわされたかえるの|事《こと》について、|主《しゅ》に|呼《よ》び|求《もと》めたので、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセのことばのようにされ、かえるは|家《いえ》から、|庭《にわ》から、また|畑《はたけ》から|死《し》に|絶《た》えた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これをひと|山《やま》ひと|山《やま》に|積《つ》んだので、|地《ち》は|臭《くさ》くなった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ところがパロは|息《いき》つくひまのできたのを|見《み》て、|主《しゅ》が|言《い》われたように、その|心《こころ》をかたくなにして|彼《かれ》らの|言《い》うことを|聞《き》かなかった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたはアロンに|言《い》いなさい、『あなたのつえをさし|伸《の》べて|地《ち》のちりを|打《う》ち、それをエジプトの|全国《ぜんこく》にわたって、ぶよとならせなさい』と」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのように|行《おこな》った。すなわちアロンはそのつえをとって|手《て》をさし|伸《の》べ、|地《ち》のちりを|打《う》ったので、ぶよは|人《ひと》と|家畜《かちく》についた。すなわち、|地《ち》のちりはみなエジプトの|全国《ぜんこく》にわたって、ぶよとなった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|魔術《まじゅつ》|師《し》らも|秘術《ひじゅつ》をもって|同《おな》じように|行《おこな》い、ぶよを|出《だ》そうとしたが、|彼《かれ》らにはできなかった。ぶよが|人《ひと》と|家畜《かちく》についたので、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|魔術《まじゅつ》|師《し》らはパロに|言《い》った、「これは|神《かみ》の|指《ゆび》です」。しかし|主《しゅ》の|言《い》われたように、パロの|心《こころ》はかたくなになって、|彼《かれ》らのいうことを|聞《き》かなかった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きてパロの|前《まえ》に|立《た》ちなさい。ちょうど|彼《かれ》は|水《みず》のところに|出《で》ているから|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、「わたしの|民《たみ》を|去《さ》らせて、わたしに|仕《つか》えさせなさい。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしの|民《たみ》を|去《さ》らせないならば、わたしは、あなたとあなたの|家来《けらい》と、あなたの|民《たみ》とあなたの|家《いえ》とに、あぶの|群《む》れをつかわすであろう。エジプトびとの|家々《いえいえ》は、あぶの|群《む》れで|満《み》ち、|彼《かれ》らの|踏《ふ》む|地《ち》もまた、そうなるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》わたしは、わたしの|民《たみ》の|住《す》むゴセンの|地《ち》を|区《く》|別《べっ》して、そこにあぶの|群《む》れを|入《い》れないであろう。|国《くに》の|中《なか》でわたしが|主《しゅ》であることをあなたが|知《し》るためである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|民《たみ》とあなたの|民《たみ》の|間《あいだ》に|区別《くべつ》をおく。このしるしは、あす|起《おこ》るであろう」と』」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのようにされたので、おびただしいあぶが、パロの|家《いえ》と、その|家来《けらい》の|家《いえ》と、エジプトの|全国《ぜんこく》にはいってきて、|地《ち》はあぶの|群《む》れのために|害《がい》をうけた。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、パロはモーセとアロンを|召《め》して|言《い》った、「あなたがたは|行《い》ってこの|国《くに》の|内《うち》で、あなたがたの|神《かみ》に|犠牲《ぎせい》をささげなさい」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「そうすることはできません。わたしたちはエジプトびとの|忌《い》むものを|犠牲《ぎせい》として、わたしたちの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげるからです。もし、エジプトびとの|目《め》の|前《まえ》で、|彼《かれ》らの|忌《い》むものを|犠牲《ぎせい》にささげるならば、|彼《かれ》らはわたしたちを|石《いし》で|打《う》たないでしょうか。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちは三|日《か》の|道《みち》のりほど、|荒野《あらの》にはいって、わたしたちの|神《かみ》、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげ、|主《しゅ》がわたしたちに|命《めい》じられるようにしなければなりません」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]パロは|言《い》った、「わたしはあなたがたを|去《さ》らせ、|荒野《あらの》で、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげさせよう。ただあまり|遠《とお》くへ|行《い》ってはならない。わたしのために|祈願《きがん》しなさい」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「わたしはあなたのもとから|出《で》て|行《い》って|主《しゅ》に|祈願《きがん》しましょう。あすあぶの|群《む》れがパロと、その|家来《けらい》と、その|民《たみ》から|離《はな》れるでしょう。ただパロはまた|欺《あざむ》いて、|民《たみ》が|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげに|行《い》くのをとめないようにしてください」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモーセはパロのもとを|出《で》て、|主《しゅ》に|祈願《きがん》したので、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセの|言葉《ことば》のようにされた。すなわち、あぶの|群《む》れをパロと、その|家来《けらい》と、その|民《たみ》から|取《と》り|去《さ》られたので、一つも|残《のこ》らなかった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]しかしパロはこんどもまた、その|心《こころ》をかたくなにして|民《たみ》を|去《さ》らせなかった。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「パロのもとに|行《い》って、|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『ヘブルびとの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、「わたしの|民《たみ》を|去《さ》らせて、わたしに|仕《つか》えさせなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|彼《かれ》らを|去《さ》らせることを|拒《こば》んで、なお|彼《かれ》らを|留《と》めおくならば、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|手《て》は|最《もっと》も|激《はげ》しい|疫病《えきびょう》をもって、|野《の》にいるあなたの|家畜《かちく》、すなわち|馬《うま》、ろば、らくだ、|牛《うし》、|羊《ひつじ》の|上《うえ》に|臨《のぞ》むであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》はイスラエルの|家畜《かちく》と、エジプトの|家畜《かちく》を|区別《くべつ》され、すべてイスラエルの|人々《ひとびと》に|属《ぞく》するものには一|頭《とう》も|死《し》ぬものがないであろう」と』」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、また、|時《とき》を|定《さだ》めて|仰《おお》せられた、「あす、|主《しゅ》はこのことを|国《くに》に|行《おこな》うであろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あくる|日《ひ》、|主《しゅ》はこのことを|行《おこな》われたので、エジプトびとの|家畜《かちく》はみな|死《し》んだ。しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》の|家畜《かちく》は一|頭《とう》も|死《し》ななかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]パロは|人《ひと》をつかわして|見《み》させたが、イスラエルの|家畜《かちく》は一|頭《とう》も|死《し》んでいなかった。それでもパロの|心《こころ》はかたくなで、|民《たみ》を|去《さ》らせなかった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセとアロンに|言《い》われた、「あなたがたは、かまどのすすを|両《りょう》|手《て》いっぱい|取《と》り、それをモーセはパロの|目《め》の|前《まえ》で|天《てん》にむかって、まき|散《ち》らしなさい。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それはエジプトの|全国《ぜんこく》にわたって、|細《こま》かいちりとなり、エジプト|全国《ぜんこく》で|人《ひと》と|獣《けもの》に|付《つ》いて、うみの|出《で》るはれものとなるであろう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは、かまどのすすを|取《と》ってパロの|前《まえ》に|立《た》ち、モーセは|天《てん》にむかってこれをまき|散《ち》らしたので、|人《ひと》と|獣《けもの》に|付《つ》いて、うみの|出《で》るはれものとなった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|魔術《まじゅつ》|師《し》らは、はれもののためにモーセの|前《まえ》に|立《た》つことができなかった。はれものが|魔術《まじゅつ》|師《し》らと、すべてのエジプトびとに|生《しょう》じたからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》はパロの|心《こころ》をかたくなにされたので、|彼《かれ》は|主《しゅ》がモーセに|語《かた》られたように、|彼《かれ》らの|言《い》うことを|聞《き》かなかった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、「|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き、パロの|前《まえ》に|立《た》って、|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『ヘブルびとの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、「わたしの|民《たみ》を|去《さ》らせて、わたしに|仕《つか》えさせなさい。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、こんどは、もろもろの|災《わざわい》を、あなたと、あなたの|家来《けらい》と、あなたの|民《たみ》にくだし、わたしに|並《なら》ぶものが|全《ぜん》|地《ち》にないことを|知《し》らせるであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし、|手《て》をさし|伸《の》べ、|疫病《えきびょう》をもって、あなたと、あなたの|民《たみ》を|打《う》っていたならば、あなたは|地《ち》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされていたであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしがあなたをながらえさせたのは、あなたにわたしの|力《ちから》を|見《み》させるため、そして、わたしの|名《な》が|全《ぜん》|地《ち》に|宣《の》べ|伝《つた》えられるためにほかならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それに、あなたはなお、わたしの|民《たみ》にむかって、おのれを|高《たか》くし、|彼《かれ》らを|去《さ》らせようとしない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ゆえに、あすの|今《いま》ごろ、わたしは|恐《おそ》ろしく|大《おお》きな|雹《ひょう》を|降《ふ》らせるであろう。それはエジプトの|国《くに》が|始《はじ》まった|日《ひ》から|今《いま》まで、かつてなかったほどのものである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、いま、|人《ひと》をやって、あなたの|家畜《かちく》と、あなたが|野《の》にもっているすべてのものを、のがれさせなさい。|人《ひと》も|獣《けもの》も、すべて|野《の》にあって|家《いえ》に|帰《かえ》らないものは|降《ふ》る|雹《ひょう》に|打《う》たれて|死《し》ぬであろう」と』」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]パロの|家来《けらい》のうち、|主《しゅ》の|言葉《ことば》をおそれる|者《もの》は、そのしもべと|家畜《かちく》を|家《いえ》にのがれさせたが、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|意《い》にとめないものは、そのしもべと|家畜《かちく》を|野《の》に|残《のこ》しておいた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたの|手《て》を|天《てん》にむかってさし|伸《の》べ、エジプトの|全国《ぜんこく》にわたって、エジプトの|地《ち》にいる|人《ひと》と|獣《けもの》と|畑《はたけ》のすべての|青物《あおもの》の|上《うえ》に|雹《ひょう》を|降《ふ》らせなさい」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|天《てん》にむかってつえをさし|伸《の》べると、|主《しゅ》は|雷《かみなり》と|雹《ひょう》をおくられ、|火《ひ》は|地《ち》にむかって、はせ|下《くだ》った。こうして|主《しゅ》は、|雹《ひょう》をエジプトの|地《ち》に|降《ふ》らされた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そして|雹《ひょう》が|降《ふ》り、|雹《ひょう》の|間《あいだ》に|火《ひ》がひらめき|渡《わた》った。|雹《ひょう》は|恐《おそ》ろしく|大《おお》きく、エジプト|全国《ぜんこく》には、|国《くに》をなしてこのかた、かつてないものであった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|雹《ひょう》はエジプト|全国《ぜんこく》にわたって、すべて|畑《はたけ》にいる|人《ひと》と|獣《けもの》を|打《う》った。|雹《ひょう》はまた|畑《はたけ》のすべての|青物《あおもの》を|打《う》ち、|野《の》のもろもろの|木《き》を|折《お》り|砕《くだ》いた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ただイスラエルの|人々《ひとびと》のいたゴセンの|地《ち》には、|雹《ひょう》が|降《ふ》らなかった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこで、パロは|人《ひと》をつかわし、モーセとアロンを|召《め》して|言《い》った、「わたしはこんどは|罪《つみ》を|犯《おか》した。|主《しゅ》は|正《ただ》しく、わたしと、わたしの|民《たみ》は|悪《わる》い。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|祈願《きがん》してください。この|雷《かみなり》と|雹《ひょう》はもうじゅうぶんです。わたしはあなたがたを|去《さ》らせます。もはやとどまらなくてもよろしい」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしは|町《まち》を|出《で》ると、すぐ、|主《しゅ》にむかってわたしの|手《て》を|伸《の》べひろげます。すると|雷《かみなり》はやみ、|雹《ひょう》はもはや|降《ふ》らなくなり、あなたは、|地《ち》が|主《しゅ》のものであることを|知《し》られましょう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたとあなたの|家来《けらい》たちは、なお、|神《かみ》なる|主《しゅ》を|恐《おそ》れないことを、わたしは|知《し》っています」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]――|亜麻《あま》と|大麦《おおむぎ》は|打《う》ち|倒《たお》された。|大麦《おおむぎ》は|穂《ほ》を|出《だ》し、|亜麻《あま》は|花《はな》が|咲《さ》いていたからである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|小麦《こむぎ》とスペルタ|麦《むぎ》はおくてであるため|打《う》ち|倒《たお》されなかった。――[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]モーセはパロのもとを|去《さ》り、|町《まち》を|出《で》て、|主《しゅ》にむかって|手《て》を|伸《の》べひろげたので、|雷《かみなり》と|雹《ひょう》はやみ、|雨《あめ》は|地《ち》に|降《ふ》らなくなった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ところがパロは|雨《あめ》と|雹《ひょう》と|雷《かみなり》がやんだのを|見《み》て、またも|罪《つみ》を|犯《おか》し、|心《こころ》をかたくなにした。|彼《かれ》も|家来《けらい》も、そうであった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]すなわちパロは|心《こころ》をかたくなにし、|主《しゅ》がモーセによって|語《かた》られたように、イスラエルの|人々《ひとびと》を|去《さ》らせなかった。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「パロのもとに|行《い》きなさい。わたしは|彼《かれ》の|心《こころ》とその|家来《けらい》たちの|心《こころ》をかたくなにした。これは、わたしがこれらのしるしを、|彼《かれ》らの|中《なか》に|行《おこな》うためである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしがエジプトびとをあしらったこと、また|彼《かれ》らの|中《なか》にわたしが|行《おこな》ったしるしを、あなたがたが、|子《こ》や|孫《まご》の|耳《みみ》に|語《かた》り|伝《つた》えるためである。そしてあなたがたは、わたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るであろう」。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンはパロのもとに|行《い》って|彼《かれ》に|言《い》った、「ヘブルびとの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『いつまで、あなたは、わたしに|屈伏《くっぷく》することを|拒《こば》むのですか。|民《たみ》を|去《さ》らせて、わたしに|仕《つか》えさせなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もし、わたしの|民《たみ》を|去《さ》らせることを|拒《こば》むならば、|見《み》よ、あす、わたしはいなごを、あなたの|領土《りょうど》にはいらせるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それは|地《ち》のおもてをおおい、|人《ひと》が|地《ち》を|見《み》ることもできないほどになるであろう。そして|雹《ひょう》を|免《まぬか》れて、|残《のこ》されているものを|食《く》い|尽《つく》し、|野《の》にはえているあなたがたの|木《き》をみな|食《く》い|尽《つく》すであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またそれはあなたの|家《いえ》とあなたのすべての|家来《けらい》の|家《いえ》、および、すべてのエジプトびとの|家《いえ》に|満《み》ちるであろう。このようなことは、あなたの|父《ちち》たちも、また、|祖父《そふ》たちも、|彼《かれ》らが|地上《ちじょう》にあった|日《ひ》から|今日《こんにち》に|至《いた》るまで、かつて|見《み》たことのないものである』と」。そして|彼《かれ》は|身《み》をめぐらして、パロのもとを|出《で》て|行《い》った。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]パロの|家来《けらい》たちは|王《おう》に|言《い》った、「いつまで、この|人《ひと》はわれわれのわなとなるのでしょう。この|人々《ひとびと》を|去《さ》らせ、|彼《かれ》らの|神《かみ》なる|主《しゅ》に|仕《つか》えさせては、どうでしょう。エジプトが|滅《ほろ》びてしまうことに、まだ|気《き》づかれないのですか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで、モーセとアロンは、また、パロのもとに|召《め》し|出《だ》された。パロは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|行《い》って、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|仕《つか》えなさい。しかし、|行《い》くものはだれだれか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「わたしたちは|幼《おさな》い|者《もの》も、|老《お》いた|者《もの》も|行《い》きます。むすこも|娘《むすめ》も|携《たずさ》え、|羊《ひつじ》も|牛《うし》も|連《つ》れて|行《い》きます。わたしたちは|主《しゅ》の|祭《まつり》を|執《と》り|行《おこな》わなければならないのですから」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]パロは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|万一《まんいち》、わたしが、あなたがたに|子供《こども》を|連《つ》れてまで|去《さ》らせるようなことがあれば、|主《しゅ》があなたがたと|共《とも》にいますがよい。あなたがたは|悪《わる》いたくらみをしている。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それはいけない。あなたがたは|男《おとこ》だけ|行《い》って|主《しゅ》に|仕《つか》えるがよい。それが、あなたがたの|要求《ようきゅう》であった」。|彼《かれ》らは、ついにパロの|前《まえ》から|追《お》い|出《だ》された。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたの|手《て》をエジプトの|地《ち》の|上《うえ》にさし|伸《の》べて、エジプトの|地《ち》にいなごをのぼらせ、|地《ち》のすべての|青物《あおもの》、すなわち、|雹《ひょう》が|打《う》ち|残《のこ》したものを、ことごとく|食《た》べさせなさい」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセはエジプトの|地《ち》の|上《うえ》に、つえをさし|伸《の》べたので、|主《しゅ》は|終日《しゅうじつ》、|終夜《しゅうや》、|東風《ひがしかぜ》を|地《ち》に|吹《ふ》かせられた。|朝《あさ》となって、|東風《ひがしかぜ》は、いなごを|運《はこ》んできた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]いなごはエジプト|全国《ぜんこく》にのぞみ、エジプトの|全《ぜん》|領土《りょうど》にとどまり、その|数《かず》がはなはだ|多《おお》く、このようないなごは|前《まえ》にもなく、また|後《のち》にもないであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]いなごは|地《ち》の|全面《ぜんめん》をおおったので、|地《ち》は|暗《くら》くなった。そして|地《ち》のすべての|青物《あおもの》と、|雹《ひょう》の|打《う》ち|残《のこ》した|木《き》の|実《み》を、ことごとく|食《た》べたので、エジプト|全国《ぜんこく》にわたって、|木《き》にも|畑《はたけ》の|青物《あおもの》にも、|緑《みどり》の|物《もの》とては|何《なに》も|残《のこ》らなかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで、パロは、|急《いそ》いでモーセとアロンを|召《め》して|言《い》った、「わたしは、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|対《たい》し、また、あなたがたに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》しました。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それで、どうか、もう一|度《ど》だけ、わたしの|罪《つみ》をゆるしてください。そしてあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈願《きがん》して、ただ、この|死《し》をわたしから|離《はな》れさせてください」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》はパロのところから|出《で》て、|主《しゅ》に|祈願《きがん》したので、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、はなはだ|強《つよ》い|西風《にしかぜ》に|変《かわ》らせ、いなごを|吹《ふ》き|上《あ》げて、これを|紅海《こうかい》に|追《お》いやられたので、エジプト|全土《ぜんど》には一つのいなごも|残《のこ》らなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》がパロの|心《こころ》をかたくなにされたので、|彼《かれ》はイスラエルの|人々《ひとびと》を|去《さ》らせなかった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、「|天《てん》にむかってあなたの|手《て》をさし|伸《の》べ、エジプトの|国《くに》に、くらやみをこさせなさい。そのくらやみは、さわれるほどである」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|天《てん》にむかって|手《て》をさし|伸《の》べたので、|濃《こ》いくらやみは、エジプト|全国《ぜんこく》に|臨《のぞ》み三|日《か》に|及《およ》んだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》の|間《あいだ》、|人々《ひとびと》は|互《たがい》に|見《み》ることもできず、まただれもその|所《ところ》から|立《た》つ|者《もの》もなかった。しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》には、みな、その|住《す》む|所《ところ》に|光《ひかり》があった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこでパロはモーセを|召《め》して|言《い》った、「あなたがたは|行《い》って|主《しゅ》に|仕《つか》えなさい。あなたがたの|子供《こども》も|連《つ》れて|行《い》ってもよろしい。ただ、あなたがたの|羊《ひつじ》と|牛《うし》は|残《のこ》して|置《お》きなさい」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、モーセは|言《い》った、「あなたは、また、わたしたちの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげる|犠牲《ぎせい》と|燔祭《はんさい》の|物《もの》をも、わたしたちにくださらなければなりません。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちは|家畜《かちく》も|連《つ》れて|行《い》きます。ひずめ一つも|残《のこ》しません。わたしたちは、そのうちから|取《と》って、わたしたちの|神《かみ》、|主《しゅ》に|仕《つか》えねばなりません。またわたしたちは、その|場所《ばしょ》に|行《い》くまでは、|何《なに》をもって、|主《しゅ》に|仕《つか》えるべきかを|知《し》らないからです」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]けれども、|主《しゅ》がパロの|心《こころ》をかたくなにされたので、パロは|彼《かれ》らを|去《さ》らせようとしなかった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]それでパロはモーセに|言《い》った、「わたしの|所《ところ》から|去《さ》りなさい。|心《こころ》して、わたしの|顔《かお》は二|度《ど》と|見《み》てはならない。わたしの|顔《かお》を|見《み》る|日《ひ》には、あなたの|命《いのち》はないであろう」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「よくぞ|仰《おお》せられました。わたしは、二|度《ど》と、あなたの|顔《かお》を|見《み》ないでしょう」。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「わたしは、なお一つの|災《わざわい》を、パロとエジプトの|上《うえ》にくだし、その|後《のち》、|彼《かれ》はあなたがたをここから|去《さ》らせるであろう。|彼《かれ》が|去《さ》らせるとき、|彼《かれ》はあなたがたを、ことごとくここから|追《お》い|出《だ》すであろう。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|民《たみ》の|耳《みみ》に|語《かた》って、|男《おとこ》は|隣《となり》の|男《おとこ》から、|女《おんな》は|隣《となり》の|女《おんな》から、それぞれ|銀《ぎん》の|飾《かざ》り、|金《きん》の|飾《かざ》りを|請《こ》い|求《もと》めさせなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|民《たみ》にエジプトびとの|好意《こうい》を|得《え》させられた。またモーセその|人《ひと》は、エジプトの|国《くに》で、パロの|家来《けらい》たちの|目《め》と|民《たみ》の|目《め》とに、はなはだ|大《おお》いなるものと|見《み》えた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『|真夜中《まよなか》ごろ、わたしはエジプトの|中《なか》へ|出《で》て|行《い》くであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|国《くに》のうちのういごは、|位《くらい》に|座《ざ》するパロのういごをはじめ、ひきうすの|後《のち》にいる、はしためのういごに|至《いた》るまで、みな|死《し》に、また|家畜《かちく》のういごもみな|死《し》ぬであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてエジプト|全国《ぜんこく》に|大《おお》いなる|叫《さけ》びが|起《おこ》るであろう。このようなことはかつてなく、また、ふたたびないであろう』と。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、すべて、イスラエルの|人々《ひとびと》にむかっては、|人《ひと》にむかっても、|獣《けもの》にむかっても、|犬《いぬ》さえその|舌《した》を|鳴《な》らさないであろう。これによって|主《しゅ》がエジプトびととイスラエルびととの|間《あいだ》の|区別《くべつ》をされるのを、あなたがたは|知《し》るであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これらのあなたの|家来《けらい》たちは、みな、わたしのもとに|下《くだ》ってきて、ひれ|伏《ふ》して|言《い》うであろう、『あなたもあなたに|従《したが》う|民《たみ》もみな|出《で》て|行《い》ってください』と。その|後《のち》、わたしは|出《で》て|行《い》きます」。|彼《かれ》は|激《はげ》しく|怒《いか》ってパロのもとから|出《で》て|行《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「パロはあなたがたの|言《い》うことを|聞《き》かないであろう。それゆえ、わたしはエジプトの|国《くに》に|不思議《ふしぎ》を|増《ま》し|加《くわ》えるであろう」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンは、すべてこれらの|不思議《ふしぎ》をパロの|前《まえ》に|行《い》ったが、|主《しゅ》がパロの|心《こころ》をかたくなにされたので、|彼《かれ》はイスラエルの|人々《ひとびと》をその|国《くに》から|去《さ》らせなかった。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエジプトの|国《くに》で、モーセとアロンに|告《つ》げて|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「この|月《つき》をあなたがたの|初《はじ》めの|月《つき》とし、これを|年《とし》の|正月《しょうがつ》としなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》いなさい、『この|月《つき》の十|日《か》におのおの、その|父《ちち》の|家《いえ》ごとに|小羊《こひつじ》を|取《と》らなければならない。すなわち、一|家族《かぞく》に|小羊《こひつじ》一|頭《とう》を|取《と》らなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もし|家族《かぞく》が|少《すく》なくて一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》を|食《た》べきれないときは、|家《いえ》のすぐ|隣《となり》の|人《ひと》と|共《とも》に、|人数《にんずう》に|従《したが》って一|頭《とう》を|取《と》り、おのおの|食《た》べるところに|応《おう》じて、|小羊《こひつじ》を|見計《みはか》らわなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|小羊《こひつじ》は|傷《きず》のないもので、一|歳《さい》の|雄《おす》でなければならない。|羊《ひつじ》またはやぎのうちから、これを|取《と》らなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてこの|月《つき》の十四|日《か》まで、これを|守《まも》って|置《お》き、イスラエルの|会衆《かいしゅう》はみな、|夕暮《ゆうぐれ》にこれをほふり、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|血《ち》を|取《と》り、|小羊《こひつじ》を|食《しょく》する|家《いえ》の|入口《いりぐち》の二つの|柱《はしら》と、かもいにそれを|塗《ぬ》らなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|夜《よる》、その|肉《にく》を|火《ひ》に|焼《や》いて|食《た》べ、|種《たね》|入《い》れぬパンと|苦《にが》|菜《な》を|添《そ》えて|食《た》べなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|生《なま》でも、|水《みず》で|煮《に》ても、|食《た》べてはならない。|火《ひ》に|焼《や》いて、その|頭《あたま》を|足《あし》と|内臓《ないぞう》と|共《とも》に|食《た》べなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》までそれを|残《のこ》しておいてはならない。|朝《あさ》まで|残《のこ》るものは|火《ひ》で|焼《や》きつくさなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、こうして、それを|食《た》べなければならない。すなわち|腰《こし》を|引《ひ》きからげ、|足《あし》にくつをはき、|手《て》につえを|取《と》って、|急《いそ》いでそれを|食《た》べなければならない。これは|主《しゅ》の|過越《すぎこし》である。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よる》わたしはエジプトの|国《くに》を|巡《めぐ》って、エジプトの|国《くに》におる|人《ひと》と|獣《けもの》との、すべてのういごを|打《う》ち、またエジプトのすべての|神々《かみがみ》に|審判《しんぱん》を|行《おこな》うであろう。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|血《ち》はあなたがたのおる|家々《いえいえ》で、あなたがたのために、しるしとなり、わたしはその|血《ち》を|見《み》て、あなたがたの|所《ところ》を|過《す》ぎ|越《こ》すであろう。わたしがエジプトの|国《くに》を|撃《う》つ|時《とき》、|災《わざわい》が|臨《のぞ》んで、あなたがたを|滅《ほろ》ぼすことはないであろう。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》はあなたがたに|記念《きねん》となり、あなたがたは|主《しゅ》の|祭《まつり》としてこれを|守《まも》り、|代々《よよ》、|永久《えいきゅう》の|定《さだ》めとしてこれを|守《まも》らなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》の|間《あいだ》あなたがたは|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べなければならない。その|初《はじ》めの|日《ひ》に|家《いえ》からパン|種《だね》を|取《す》り|除《のぞ》かなければならない。|第《だい》一|日《にち》から|第《だい》七|日《にち》までに、|種《たね》を|入《い》れたパンを|食《た》べる|人《ひと》はみなイスラエルから|断《た》たれるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]かつ、あなたがたは|第《だい》一|日《にち》に|聖《せい》|会《かい》を、また|第《だい》七|日《にち》に|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。これらの|日《ひ》には、なんの|仕事《しごと》もしてはならない。ただ、おのおのの|食《た》べものだけは|作《つく》ることができる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》を|守《まも》らなければならない。ちょうど、この|日《ひ》、わたしがあなたがたの|軍勢《ぐんぜい》をエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》したからである。それゆえ、あなたがたは|代々《よよ》、|永久《えいきゅう》の|定《さだ》めとして、その|日《ひ》を|守《まも》らなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|正月《しょうがつ》に、その|月《つき》の十四|日《か》の|夕方《ゆうがた》に、あなたがたは|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べ、その|月《つき》の二十一|日《にち》の|夕方《ゆうがた》まで|続《つづ》けなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|家《いえ》にパン|種《だね》を|置《お》いてはならない。|種《たね》を|入《い》れたものを|食《た》べる|者《もの》は、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》であれ、|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》であれ、すべて、イスラエルの|会衆《かいしゅう》から|断《た》たれるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|種《たね》を|入《い》れたものは|何《なに》も|食《た》べてはならない。すべてあなたがたのすまいにおいて|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べなければならない』」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセはイスラエルの|長老《ちょうろう》をみな|呼《よ》び|寄《よ》せて|言《い》った、「あなたがたは|急《いそ》いで|家族《かぞく》ごとに一つの|小羊《こひつじ》を|取《と》り、その|過越《すぎこし》の|獣《けもの》をほふらなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また一|束《たば》のヒソプを|取《と》って|鉢《はち》の|血《ち》に|浸《ひた》し、|鉢《はち》の|血《ち》を、かもいと|入口《いりぐち》の二つの|柱《はしら》につけなければならない。|朝《あさ》まであなたがたは、ひとりも|家《いえ》の|戸《と》の|外《そと》に|出《で》てはならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|行《い》き|巡《めぐ》ってエジプトびとを|撃《う》たれるとき、かもいと|入口《いりぐち》の二つの|柱《はしら》にある|血《ち》を|見《み》て、|主《しゅ》はその|入口《いりぐち》を|過《す》ぎ|越《こ》し、|滅《ほろ》ぼす|者《もの》が、あなたがたの|家《いえ》にはいって、|撃《う》つのを|許《ゆる》されないであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはこの|事《こと》を、あなたと|子孫《しそん》のための|定《さだ》めとして、|永久《えいきゅう》に|守《まも》らなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたように、あなたがたに|賜《たまわ》る|地《ち》に|至《いた》るとき、この|儀式《ぎしき》を|守《まも》らなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたがたの|子供《こども》たちが『この|儀式《ぎしき》はどんな|意味《いみ》ですか』と|問《と》うならば、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言《い》いなさい、『これは|主《しゅ》の|過越《すぎこし》の|犠牲《ぎせい》である。エジプトびとを|撃《う》たれたとき、エジプトにいたイスラエルの|人々《ひとびと》の|家《いえ》を|過《す》ぎ|越《こ》して、われわれの|家《いえ》を|救《すく》われたのである』」。|民《たみ》はこのとき、|伏《ふ》して|礼拝《れいはい》した。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|行《い》ってそのようにした。すなわち|主《しゅ》がモーセとアロンに|命《めい》じられたようにした。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|夜中《よなか》になって|主《しゅ》はエジプトの|国《くに》の、すべてのういご、すなわち|位《くらい》に|座《ざ》するパロのういごから、|地下《ちか》のひとやにおる|捕虜《ほりょ》のういごにいたるまで、また、すべての|家畜《かちく》のういごを|撃《う》たれた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それでパロとその|家来《けらい》およびエジプトびとはみな|夜《よる》のうちに|起《お》きあがり、エジプトに|大《おお》いなる|叫《さけ》びがあった。|死人《しにん》のない|家《いえ》がなかったからである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そこでパロは|夜《よる》のうちにモーセとアロンを|呼《よ》び|寄《よ》せて|言《い》った、「あなたがたとイスラエルの|人々《ひとびと》は|立《た》って、わたしの|民《たみ》の|中《なか》から|出《で》て|行《い》くがよい。そしてあなたがたの|言《い》うように、|行《い》って|主《しゅ》に|仕《つか》えなさい。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|言《い》うように|羊《ひつじ》と|牛《うし》とを|取《と》って|行《い》きなさい。また、わたしを|祝福《しゅくふく》しなさい」。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエジプトびとは|民《たみ》をせき|立《た》てて、すみやかに|国《くに》を|去《さ》らせようとした。|彼《かれ》らは「われわれはみな|死《し》ぬ」と|思《おも》ったからである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はまだパン|種《だね》を|入《い》れない|練《ね》り|粉《こ》を、こばちのまま|着物《きもの》に|包《つつ》んで|肩《かた》に|負《お》った。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》はモーセの|言葉《ことば》のようにして、エジプトびとから|銀《ぎん》の|飾《かざ》り、|金《きん》の|飾《かざ》り、また|衣服《いふく》を|請《こ》い|求《もと》めた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|民《たみ》にエジプトびとの|情《じょう》を|得《え》させ、|彼《かれ》らの|請《こ》い|求《もと》めたものを|与《あた》えさせられた。こうして|彼《かれ》らはエジプトびとのものを|奪《うば》い|取《と》った。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]さて、イスラエルの|人々《ひとびと》はラメセスを|出立《しゅったつ》してスコテに|向《む》かった。|女《おんな》と|子供《こども》を|除《のぞ》いて|徒歩《とほ》の|男子《だんし》は|約《やく》六十万|人《にん》であった。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]また|多《おお》くの|入《い》り|混《ま》じった|群衆《ぐんしゅう》および|羊《ひつじ》、|牛《うし》など|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|家畜《かちく》も|彼《かれ》らと|共《とも》に|上《のぼ》った。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはエジプトから|携《たずさ》えて|出《で》た|練《ね》り|粉《こ》をもって、|種《たね》|入《い》れぬパンの|菓子《かし》を|焼《や》いた。まだパン|種《だね》を|入《い》れていなかったからである。それは|彼《かれ》らがエジプトから|追《お》い|出《だ》されて|滞《とどこお》ることができず、また、|何《なに》の|食料《しょくりょう》をも|整《ととの》えていなかったからである。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトに|住《す》んでいた|間《あいだ》は、四百三十|年《ねん》であった。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]四百三十|年《ねん》の|終《おわ》りとなって、ちょうどその|日《ひ》に、|主《しゅ》の|全《ぜん》|軍《ぐん》はエジプトの|国《くに》を|出《で》た。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》すために|主《しゅ》が|寝《ね》ずの|番《ばん》をされた|夜《よる》であった。ゆえにこの|夜《よる》、すべてのイスラエルの|人々《ひとびと》は|代々《よよ》、|主《しゅ》のために|寝《ね》ずの|番《ばん》をしなければならない。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセとアロンとに|言《い》われた、「|過越《すぎこし》の|祭《まつり》の|定《さだ》めは|次《つぎ》のとおりである。すなわち、|異邦人《いほうじん》はだれもこれを|食《た》べてはならない。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、おのおのが|金《かね》で|買《か》ったしもべは、これに|割礼《かつれい》を|行《い》ってのち、これを|食《た》べさせることができる。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|仮《かり》ずまいの|者《もの》と、|雇人《やといにん》とは、これを|食《た》べてはならない。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]ひとつの|家《いえ》でこれを|食《た》べなければならない。その|肉《にく》を|少《すこ》しも|家《いえ》の|外《そと》に|持《も》ち|出《だ》してはならない。また、その|骨《ほね》を|折《お》ってはならない。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はこれを|守《まも》らなければならない。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|寄留《きりゅう》の|外国《がいこく》|人《じん》があなたのもとにとどまっていて、|主《しゅ》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|守《まも》ろうとするときは、その|男子《だんし》はみな|割礼《かつれい》を|受《う》けてのち、|近《ちか》づいてこれを|守《まも》ることができる。そうすれば|彼《かれ》は|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》のようになるであろう。しかし、|無《む》|割礼《かつれい》の|者《もの》はだれもこれを|食《た》べてはならない。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]この|律法《りっぽう》は|国《くに》に|生《うま》れたものにも、あなたがたのうちに|寄留《きりゅう》している|外国《がいこく》|人《じん》にも|同一《どういつ》である」。  [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、みなこのようにし、|主《しゅ》がモーセとアロンに|命《めい》じられたようにした。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ちょうどその|日《ひ》に、|主《しゅ》はイスラエルの|人々《ひとびと》を、その|軍団《ぐんだん》に|従《したが》ってエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》された。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》のうちで、すべてのういご、すなわちすべて|初《はじ》めに|胎《たい》を|開《ひら》いたものを、|人《ひと》であれ、|獣《けもの》であれ、みな、わたしのために|聖別《せいべつ》しなければならない。それはわたしのものである」。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは、エジプトから、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|出《で》るこの|日《ひ》を|覚《おぼ》えなさい。|主《しゅ》が|強《つよ》い|手《て》をもって、あなたがたをここから|導《みちび》き|出《だ》されるからである。|種《たね》を|入《い》れたパンを|食《た》べてはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはアビブの|月《つき》のこの|日《ひ》に|出《で》るのである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたに|与《あた》えると、あなたの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われたカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ヒビびと、エブスびとの|地《ち》、|乳《ちち》と|蜜《みつ》との|流《なが》れる|地《ち》に、|導《みちび》き|入《い》れられる|時《とき》、あなたはこの|月《つき》にこの|儀式《ぎしき》を|守《まも》らなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》のあいだ|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べ、|七日《なぬか》|目《め》には|主《しゅ》に|祭《まつり》をしなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》|入《い》れぬパンを|七日《なぬか》のあいだ|食《た》べなければならない。|種《たね》を|入《い》れたパンをあなたの|所《ところ》に|置《お》いてはならない。また、あなたの|地区《ちく》のどこでも、あなたの|所《ところ》にパン|種《だね》を|置《お》いてはならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、あなたの|子《こ》に|告《つ》げて|言《い》いなさい、『これはわたしがエジプトから|出《で》るときに、|主《しゅ》がわたしになされたことのためである』。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして、これを、|手《て》につけて、しるしとし、|目《め》の|間《あいだ》に|置《お》いて|記念《きねん》とし、|主《しゅ》の|律法《りっぽう》をあなたの|口《くち》に|置《お》かなければならない。|主《しゅ》が|強《つよ》い|手《て》をもって、あなたをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》されるからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたはこの|定《さだ》めを|年々《ねんねん》その|期節《きせつ》に|守《まも》らなければならない。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたとあなたの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われたように、あなたをカナンびとの|地《ち》に|導《みちび》いて、それをあなたに|賜《たま》わる|時《とき》、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、すべて|初《はじ》めに|胎《たい》を|開《ひら》いた|者《もの》、およびあなたの|家畜《かちく》の|産《う》むういごは、ことごとく|主《しゅ》にささげなければならない。すなわち、それらの|男性《だんせい》のものは|主《しゅ》に|帰《き》せしめなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また、すべて、ろばの、|初《はじ》めて|胎《たい》を|開《ひら》いたものは、|小羊《こひつじ》をもって、あがなわなければならない。もし、あがなわないならば、その|首《くび》を|折《お》らなければならない。あなたの|子《こ》らのうち、すべて、|男《おとこ》のういごは、あがなわなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》になって、あなたの|子《こ》が『これはどんな|意味《いみ》ですか』と|問《と》うならば、これに|言《い》わなければならない、『|主《しゅ》が|強《つよ》い|手《て》をもって、われわれをエジプトから、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|導《みちび》き|出《だ》された。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そのときパロが、かたくなで、われわれを|去《さ》らせなかったため、|主《しゅ》はエジプトの|国《くに》のういごを、|人《ひと》のういごも|家畜《かちく》のういごも、ことごとく|殺《ころ》された。それゆえ、|初《はじ》めて|胎《たい》を|開《ひら》く|男性《だんせい》のものはみな、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》としてささげるが、わたしの|子供《こども》のうちのういごは、すべてあがなうのである』。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして、これを|手《て》につけて、しるしとし、|目《め》の|間《あいだ》に|置《お》いて|覚《おぼ》えとしなければならない。|主《しゅ》が|強《つよ》い|手《て》をもって、われわれをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》されたからである」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]さて、パロが|民《たみ》を|去《さ》らせた|時《とき》、ペリシテびとの|国《くに》の|道《みち》は|近《ちか》かったが、|神《かみ》は|彼《かれ》らをそれに|導《みちび》かれなかった。|民《たみ》が|戦《たたか》いを|見《み》れば|悔《く》いてエジプトに|帰《かえ》るであろうと、|神《かみ》は|思《おも》われたからである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|紅海《こうかい》に|沿《そ》う|荒野《あらの》の|道《みち》に、|民《たみ》を|回《まわ》らされた。イスラエルの|人々《ひとびと》は|武装《ぶそう》してエジプトの|国《くに》を|出《で》て、|上《のぼ》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そのときモーセはヨセフの|遺骸《いがい》を|携《たずさ》えていた。ヨセフが、「|神《かみ》は|必《かなら》ずあなたがたを|顧《かえり》みられるであろう。そのとき、あなたがたは、わたしの|遺骸《いがい》を|携《たずさ》えて、ここから|上《のぼ》って|行《い》かなければならない」と|言《い》って、イスラエルの|人々《ひとびと》に|固《かた》く|誓《ちか》わせたからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|更《さら》にスコテから|進《すす》んで、|荒野《あらの》の|端《はし》にあるエタムに|宿営《しゅくえい》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|前《まえ》に|行《い》かれ、|昼《ひる》は|雲《くも》の|柱《はしら》をもって|彼《かれ》らを|導《みちび》き、|夜《よる》は|火《ひ》の|柱《はしら》をもって|彼《かれ》らを|照《てら》し、|昼《ひる》も|夜《よる》も|彼《かれ》らを|進《すす》み|行《い》かせられた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》は|雲《くも》の|柱《はしら》、|夜《よる》は|火《ひ》の|柱《はしら》が、|民《たみ》の|前《まえ》から|離《はな》れなかった。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げ、|引《ひ》き|返《かえ》して、ミグドルと|海《うみ》との|間《あいだ》にあるピハヒロテの|前《まえ》、バアルゼポンの|前《まえ》に|宿営《しゅくえい》させなさい。あなたがたはそれにむかって、|海《うみ》のかたわらに|宿営《しゅくえい》しなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]パロはイスラエルの|人々《ひとびと》について、『|彼《かれ》らはその|地《ち》で|迷《まよ》っている。|荒野《あらの》は|彼《かれ》らを|閉《と》じ|込《こ》めてしまった』と|言《い》うであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがパロの|心《こころ》をかたくなにするから、パロは|彼《かれ》らのあとを|追《お》うであろう。わたしはパロとそのすべての|軍勢《ぐんぜい》を|破《やぶ》って|誉《ほまれ》を|得《え》、エジプトびとにわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》らせるであろう」。|彼《かれ》らはそのようにした。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》の|逃《に》げ|去《さ》ったことが、エジプトの|王《おう》に|伝《つた》えられたので、パロとその|家来《けらい》たちとは、|民《たみ》に|対《たい》する|考《かんが》えを|変《か》えて|言《い》った、「われわれはなぜこのようにイスラエルを|去《さ》らせて、われわれに|仕《つか》えさせないようにしたのであろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それでパロは|戦車《せんしゃ》を|整《ととの》え、みずからその|民《たみ》を|率《ひき》い、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、えり|抜《ぬ》きの|戦車《せんしゃ》六百と、エジプトのすべての|戦車《せんしゃ》およびすべての|指揮者《しきしゃ》たちを|率《ひき》いた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がエジプトの|王《おう》パロの|心《こころ》をかたくなにされたので、|彼《かれ》はイスラエルの|人々《ひとびと》のあとを|追《お》った。イスラエルの|人々《ひとびと》は|意気揚々《いきようよう》と|出《で》たのである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトびとは|彼《かれ》らのあとを|追《お》い、パロのすべての|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》およびその|騎兵《きへい》と|軍勢《ぐんぜい》とは、バアルゼポンの|前《まえ》にあるピハヒロテのあたりで、|海《うみ》のかたわらに|宿営《しゅくえい》している|彼《かれ》らに|追《お》いついた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]パロが|近寄《ちかよ》った|時《とき》、イスラエルの|人々《ひとびと》は|目《め》を|上《あ》げてエジプトびとが|彼《かれ》らのあとに|進《すす》んできているのを|見《み》て、|非常《ひじょう》に|恐《おそ》れた。そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》にむかって|叫《さけ》び、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]かつモーセに|言《い》った、「エジプトに|墓《はか》がないので、|荒野《あらの》で|死《し》なせるために、わたしたちを|携《たずさ》え|出《だ》したのですか。なぜわたしたちをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》して、こんなにするのですか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちがエジプトであなたに|告《つ》げて、『わたしたちを|捨《す》てておいて、エジプトびとに|仕《つか》えさせてください』と|言《い》ったのは、このことではありませんか。|荒野《あらの》で|死《し》ぬよりもエジプトびとに|仕《つか》える|方《ほう》が、わたしたちにはよかったのです」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|恐《おそ》れてはならない。かたく|立《た》って、|主《しゅ》がきょう、あなたがたのためになされる|救《すくい》を|見《み》なさい。きょう、あなたがたはエジプトびとを|見《み》るが、もはや|永久《えいきゅう》に、二|度《ど》と|彼《かれ》らを|見《み》ないであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたがたのために|戦《たたか》われるから、あなたがたは|黙《もく》していなさい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたは、なぜわたしにむかって|叫《さけ》ぶのか。イスラエルの|人々《ひとびと》に|語《かた》って|彼《かれ》らを|進《すす》み|行《い》かせなさい。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはつえを|上《あ》げ、|手《て》を|海《うみ》の|上《うえ》にさし|伸《の》べてそれを|分《わ》け、イスラエルの|人々《ひとびと》に|海《うみ》の|中《なか》のかわいた|地《ち》を|行《い》かせなさい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしがエジプトびとの|心《こころ》をかたくなにするから、|彼《かれ》らはそのあとを|追《お》ってはいるであろう。こうしてわたしはパロとそのすべての|軍勢《ぐんぜい》および|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》とを|打《う》ち|破《やぶ》って|誉《ほまれ》を|得《え》よう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしがパロとその|戦車《せんしゃ》とその|騎兵《きへい》とを|打《う》ち|破《やぶ》って|誉《ほまれ》を|得《え》るとき、エジプトびとはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るであろう」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]このとき、イスラエルの|部隊《ぶたい》の|前《まえ》に|行《い》く|神《かみ》の|使《つかい》は|移《うつ》って|彼《かれ》らのうしろに|行《い》った。|雲《くも》の|柱《はしら》も|彼《かれ》らの|前《まえ》から|移《うつ》って|彼《かれ》らのうしろに|立《た》ち、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エジプトびとの|部隊《ぶたい》とイスラエルびとの|部隊《ぶたい》との|間《あいだ》にきたので、そこに|雲《くも》とやみがあり|夜《よ》もすがら、かれとこれと|近《ちか》づくことなく、|夜《よる》がすぎた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|手《て》を|海《うみ》の|上《うえ》にさし|伸《の》べたので、|主《しゅ》は|夜《よ》もすがら|強《つよ》い|東風《ひがしかぜ》をもって|海《うみ》を|退《しりぞ》かせ、|海《うみ》を|陸地《りくち》とされ、|水《みず》は|分《わ》かれた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|海《うみ》の|中《なか》のかわいた|地《ち》を|行《おこな》ったが、|水《みず》は|彼《かれ》らの|右《みぎ》と|左《ひだり》に、かきとなった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]エジプトびとは|追《お》ってきて、パロのすべての|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》とは、|彼《かれ》らのあとについて|海《うみ》の|中《なか》にはいった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|暁《あかつき》の|更《さら》に、|主《しゅ》は|火《ひ》と|雲《くも》の|柱《はしら》のうちからエジプトびとの|軍勢《ぐんぜい》を|見《み》おろして、エジプトびとの|軍勢《ぐんぜい》を|乱《みだ》し、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|戦車《せんしゃ》の|輪《わ》をきしらせて、|進《すす》むのに|重《おも》くされたので、エジプトびとは|言《い》った、「われわれはイスラエルを|離《はな》れて|逃《に》げよう。|主《しゅ》が|彼《かれ》らのためにエジプトびとと|戦《たたか》う」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたの|手《て》を|海《うみ》の|上《うえ》にさし|伸《の》べて、|水《みず》をエジプトびとと、その|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》との|上《うえ》に|流《なが》れ|返《かえ》らせなさい」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|手《て》を|海《うみ》の|上《うえ》にさし|伸《の》べると、|夜明《よあ》けになって|海《うみ》はいつもの|流《なが》れに|返《かえ》り、エジプトびとはこれにむかって|逃《に》げたが、|主《しゅ》はエジプトびとを|海《うみ》の|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》まれた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》は|流《なが》れ|返《かえ》り、イスラエルのあとを|追《お》って|海《うみ》にはいった|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》およびパロのすべての|軍勢《ぐんぜい》をおおい、ひとりも|残《のこ》らなかった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》は|海《うみ》の|中《なか》のかわいた|地《ち》を|行《おこな》ったが、|水《みず》は|彼《かれ》らの|右《みぎ》と|左《ひだり》に、かきとなった。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]このように、|主《しゅ》はこの|日《ひ》イスラエルをエジプトびとの|手《て》から|救《すく》われた。イスラエルはエジプトびとが|海《うみ》べに|死《し》んでいるのを|見《み》た。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはまた、|主《しゅ》がエジプトびとに|行《おこな》われた|大《おお》いなるみわざを|見《み》た。それで|民《たみ》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|主《しゅ》とそのしもべモーセとを|信《しん》じた。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセとイスラエルの|人々《ひとびと》は、この|歌《うた》を|主《しゅ》にむかって|歌《うた》った。|彼《かれ》らは|歌《うた》って|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》にむかってわたしは|歌《うた》おう、 |彼《かれ》は|輝《かがや》かしくも|勝《か》ちを|得《え》られた、 |彼《かれ》は|馬《うま》と|乗《の》り|手《て》を|海《うみ》に|投《な》げ|込《こ》まれた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|力《ちから》また|歌《うた》、わたしの|救《すくい》となられた、 |彼《かれ》こそわたしの|神《かみ》、わたしは|彼《かれ》をたたえる、 |彼《かれ》はわたしの|父《ちち》の|神《かみ》、わたしは|彼《かれ》をあがめる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はいくさびと、その|名《な》は|主《しゅ》。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はパロの|戦車《せんしゃ》とその|軍勢《ぐんぜい》とを|海《うみ》に|投《な》げ|込《こ》まれた、 そのすぐれた|指揮者《しきしゃ》たちは|紅海《こうかい》に|沈《しず》んだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|大水《おおみず》は|彼《かれ》らをおおい、|彼《かれ》らは|石《いし》のように|淵《ふち》に|下《くだ》った。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|右《みぎ》の|手《て》は|力《ちから》をもって|栄光《えいこう》にかがやく、 |主《しゅ》よ、あなたの|右《みぎ》の|手《て》は|敵《てき》を|打《う》ち|砕《くだ》く。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大《おお》いなる|威光《いこう》をもって、 あなたに|立《た》ちむかう|者《もの》を|打《う》ち|破《やぶ》られた。 あなたが|怒《いか》りを|発《はっ》せられると、 |彼《かれ》らは、わらのように|焼《や》きつくされた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|鼻《はな》の|息《いき》によって|水《みず》は|積《つ》みかさなり、 |流《なが》れは|堤《つつみ》となって|立《た》ち、 |大水《おおみず》は|海《うみ》のもなかに|凝《こ》り|固《かた》まった。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》は|言《い》った、『わたしは|追《お》い|行《い》き、|追《お》い|着《つ》いて、 |分捕《ぶんどり》|物《もの》を|分《わ》かち|取《と》ろう、 わたしの|欲望《よくぼう》を|彼《かれ》らによって|満《み》たそう、 つるぎを|抜《ぬ》こう、わたしの|手《て》は|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼそう』。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|息《いき》を|吹《ふ》かれると、|海《うみ》は|彼《かれ》らをおおい、 |彼《かれ》らは|鉛《なまり》のように、|大水《おおみず》の|中《なか》に|沈《しず》んだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|神々《かみがみ》のうち、だれがあなたに|比《くら》べられようか、 だれがあなたのように、|聖《せい》にして|栄《さか》えあるもの、 ほむべくして|恐《おそ》るべきもの、 くすしきわざを|行《おこな》うものであろうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|右《みぎ》の|手《て》を|伸《の》べられると、 |地《ち》は|彼《かれ》らをのんだ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あがなわれた|民《たみ》を|恵《めぐ》みをもって|導《みちび》き、 み|力《ちから》をもって、あなたの|聖《せい》なるすまいに|伴《ともな》われた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》は|聞《き》いて|震《ふる》え、 ペリシテの|住民《じゅうみん》は|苦《くる》しみに|襲《おそ》われた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エドムの|族長《ぞくちょう》らは、おどろき、 モアブの|首長《しゅちょう》らは、わななき、 カナンの|住民《じゅうみん》は、みな|溶《と》け|去《さ》った。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れと、おののきとは|彼《かれ》らに|臨《のぞ》み、 み|腕《うで》の|大《おお》いなるゆえに、|彼《かれ》らは|石《いし》のように|黙《もく》した、 |主《しゅ》よ、あなたの|民《たみ》の|通《とお》りすぎるまで、 あなたが|買《か》いとられた|民《たみ》の|通《とお》りすぎるまで。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らを|導《みちび》いて、 あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》の|山《やま》に|植《う》えられる。 |主《しゅ》よ、これこそあなたのすまいとして、 みずから|造《つく》られた|所《ところ》、 |主《しゅ》よ、み|手《て》によって|建《た》てられた|聖所《せいじょ》。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|永遠《えいえん》に|統《す》べ|治《おさ》められる」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]パロの|馬《うま》が、その|戦車《せんしゃ》および|騎兵《きへい》と|共《とも》に|海《うみ》にはいると、|主《しゅ》は|海《うみ》の|水《みず》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|流《なが》れ|返《かえ》らされたが、イスラエルの|人々《ひとびと》は|海《うみ》の|中《なか》のかわいた|地《ち》を|行《おこな》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、アロンの|姉《あね》、|女《おんな》|預言者《よげんしゃ》ミリアムはタンバリンを|手《て》に|取《と》り、|女《おんな》たちも|皆《みな》タンバリンを|取《と》って、|踊《おど》りながら、そのあとに|従《したが》って|出《で》てきた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでミリアムは|彼《かれ》らに|和《わ》して|歌《うた》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》にむかって|歌《うた》え、 |彼《かれ》は|輝《かがや》かしくも|勝《か》ちを|得《え》られた、 |彼《かれ》は|馬《うま》と|乗《の》り|手《て》を|海《うみ》に|投《な》げ|込《こ》まれた」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]さて、モーセはイスラエルを|紅海《こうかい》から|旅立《たびだ》たせた。|彼《かれ》らはシュルの|荒野《あらの》に|入《い》り、三|日《か》のあいだ|荒野《あらの》を|歩《ある》いたが、|水《みず》を|得《え》なかった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはメラに|着《つ》いたが、メラの|水《みず》は|苦《にが》くて|飲《の》むことができなかった。それで、その|所《ところ》の|名《な》はメラと|呼《よ》ばれた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ときに、|民《たみ》はモーセにつぶやいて|言《い》った、「わたしたちは|何《なに》を|飲《の》むのですか」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》に|叫《さけ》んだ。|主《しゅ》は|彼《かれ》に一|本《ぽん》の|木《き》を|示《しめ》されたので、それを|水《みず》に|投《な》げ|入《い》れると、|水《みず》は|甘《あま》くなった。  その|所《ところ》で|主《しゅ》は|民《たみ》のために|定《さだ》めと、おきてを|立《た》てられ、|彼《かれ》らを|試《こころ》みて、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》われた、「あなたが、もしあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|良《よ》く|聞《き》き|従《したが》い、その|目《め》に|正《ただ》しいと|見《み》られることを|行《おこな》い、その|戒《いまし》めに|耳《みみ》を|傾《かたむ》け、すべての|定《さだ》めを|守《まも》るならば、わたしは、かつてエジプトびとに|下《くだ》した|病《やまい》を一つもあなたに|下《くだ》さないであろう。わたしは|主《しゅ》であって、あなたをいやすものである」。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはエリムに|着《つ》いた。そこには|水《みず》の|泉《いずみ》十二と、なつめやしの|木《き》七十|本《ぽん》があった。その|所《ところ》で|彼《かれ》らは|水《みず》のほとりに|宿営《しゅくえい》した。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はエリムを|出発《しゅっぱつ》し、エジプトの|地《ち》を|出《で》て二か|月《げつ》|目《め》の十五|日《にち》に、エリムとシナイとの|間《あいだ》にあるシンの|荒野《あらの》にきたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|荒野《あらの》でイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は、モーセとアロンにつぶやいた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「われわれはエジプトの|地《ち》で、|肉《にく》のなべのかたわらに|座《ざ》し、|飽《あ》きるほどパンを|食《た》べていた|時《とき》に、|主《しゅ》の|手《て》にかかって|死《し》んでいたら|良《よ》かった。あなたがたは、われわれをこの|荒野《あらの》に|導《みちび》き|出《だ》して、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を|餓死《がし》させようとしている」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしはあなたがたのために、|天《てん》からパンを|降《ふ》らせよう。|民《たみ》は|出《で》て|日々《ひび》の|分《ぶん》を|日《ひ》ごとに|集《あつ》めなければならない。こうして|彼《かれ》らがわたしの|律法《りっぽう》に|従《したが》うかどうかを|試《こころ》みよう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》|目《め》には、|彼《かれ》らが|取《と》り|入《い》れたものを|調理《ちょうり》すると、それは|日《ひ》ごとに|集《あつ》めるものの二|倍《ばい》あるであろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンは、イスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|言《い》った、「|夕暮《ゆうぐれ》には、あなたがたは、エジプトの|地《ち》からあなたがたを|導《みちび》き|出《だ》されたのが、|主《しゅ》であることを|知《し》るであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、|朝《あさ》には、あなたがたは|主《しゅ》の|栄光《えいこう》を|見《み》るであろう。|主《しゅ》はあなたがたが|主《しゅ》にむかってつぶやくのを|聞《き》かれたからである。あなたがたは、いったいわれわれを|何者《なにもの》として、われわれにむかってつぶやくのか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまた|言《い》った、「|主《しゅ》は|夕暮《ゆうぐれ》にはあなたがたに|肉《にく》を|与《あた》えて|食《た》べさせ、|朝《あさ》にはパンを|与《あた》えて|飽《あ》き|足《た》らせられるであろう。|主《しゅ》はあなたがたが、|主《しゅ》にむかってつぶやくつぶやきを|聞《き》かれたからである。いったいわれわれは|何者《なにもの》なのか。あなたがたのつぶやくのは、われわれにむかってでなく、|主《しゅ》にむかってである」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはアロンに|言《い》った、「イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》いなさい、『あなたがたは|主《しゅ》の|前《まえ》に|近《ちか》づきなさい。|主《しゅ》があなたがたのつぶやきを|聞《き》かれたからである』と」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それでアロンがイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|語《かた》ったとき、|彼《かれ》らが|荒野《あらの》の|方《ほう》を|望《のぞ》むと、|見《み》よ、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|雲《くも》のうちに|現《あらわ》れていた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》のつぶやきを|聞《き》いた。|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『あなたがたは|夕《ゆう》には|肉《にく》を|食《た》べ、|朝《あさ》にはパンに|飽《あ》き|足《た》りるであろう。そうしてわたしがあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であることを|知《し》るであろう』と」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》べになると、うずらが|飛《と》んできて|宿営《しゅくえい》をおおった。また、|朝《あさ》になると、|宿営《しゅくえい》の|周囲《しゅうい》に|露《つゆ》が|降《ふ》りた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|降《ふ》りた|露《つゆ》がかわくと、|荒野《あらの》の|面《めん》には、|薄《うす》いうろこのようなものがあり、ちょうど|地《ち》に|結《むす》ぶ|薄《うす》い|霜《しも》のようであった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はそれを|見《み》て|互《たがい》に|言《い》った、「これはなんであろう」。|彼《かれ》らはそれがなんであるのか|知《し》らなかったからである。モーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「これは|主《しゅ》があなたがたの|食物《しょくもつ》として|賜《たま》わるパンである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|命《めい》じられるのはこうである、『あなたがたは、おのおのその|食《た》べるところに|従《したが》ってそれを|集《あつ》め、あなたがたの|人数《にんずう》に|従《したが》って、ひとり一オメルずつ、おのおのその|天幕《てんまく》におるもののためにそれを|取《と》りなさい』と」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はそのようにして、ある|者《もの》は|多《おお》く、ある|者《もの》は|少《すく》なく|集《あつ》めた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、オメルでそれを|計《はか》ってみると、|多《おお》く|集《あつ》めた|者《もの》にも|余《あま》らず、|少《すく》なく|集《あつ》めた|者《もの》にも|不足《ふそく》しなかった。おのおのその|食《た》べるところに|従《したが》って|集《あつ》めていた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「だれも|朝《あさ》までそれを|残《のこ》しておいてはならない」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはモーセに|聞《き》き|従《したが》わないで、ある|者《もの》は|朝《あさ》までそれを|残《のこ》しておいたが、|虫《むし》がついて|臭《くさ》くなった。モーセは|彼《かれ》らにむかって|怒《いか》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、おのおのその|食《た》べるところに|従《したが》って、|朝《あさ》ごとにそれを|集《あつ》めたが、|日《ひ》が|熱《あつ》くなるとそれは|溶《と》けた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》|目《め》には、|彼《かれ》らは二|倍《ばい》のパン、すなわちひとりに二オメルを|集《あつ》めた。そこで、|会衆《かいしゅう》の|長《ちょう》たちは|皆《みな》きて、モーセに|告《つ》げたが、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|主《しゅ》の|語《かた》られたのはこうである、『あすは|主《しゅ》の|聖《せい》|安息日《あんそくにち》で|休《やす》みである。きょう、|焼《や》こうとするものを|焼《や》き、|煮《に》ようとするものを|煮《に》なさい。|残《のこ》ったものはみな|朝《あさ》までたくわえて|保存《ほぞん》しなさい』と」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはモーセの|命《めい》じたように、それを|朝《あさ》まで|保存《ほぞん》したが、|臭《くさ》くならず、また|虫《むし》もつかなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「きょう、それを|食《た》べなさい。きょうは|主《しゅ》の|安息日《あんそくにち》であるから、きょうは|野《の》でそれを|獲《え》られないであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》の|間《あいだ》はそれを|集《あつ》めなければならない。|七日《なぬか》|目《め》は|安息日《あんそくにち》であるから、その|日《ひ》には|無《な》いであろう」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ところが|民《たみ》のうちには、|七日《なぬか》|目《め》に|出《で》て|集《あつ》めようとした|者《もの》があったが、|獲《え》られなかった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたがたは、いつまでわたしの|戒《いまし》めと、|律法《りっぽう》とを|守《まも》ることを|拒《こば》むのか。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》はあなたがたに|安息日《あんそくにち》を|与《あた》えられた。ゆえに六|日《か》|目《め》には、ふつか|分《ぶん》のパンをあなたがたに|賜《たま》わるのである。おのおのその|所《ところ》にとどまり、|七日《なぬか》|目《め》にはその|所《ところ》から|出《で》てはならない」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》は|七日《なぬか》|目《め》に|休《やす》んだ。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》はその|物《もの》の|名《な》をマナと|呼《よ》んだ。それはコエンドロの|実《み》のようで|白《しろ》く、その|味《あじ》は|蜜《みつ》を|入《い》れたせんべいのようであった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「|主《しゅ》の|命《めい》じられることはこうである、『それを一オメルあなたがたの|子孫《しそん》のためにたくわえておきなさい。それはわたしが、あなたがたをエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|時《とき》、|荒野《あらの》であなたがたに|食《た》べさせたパンを|彼《かれ》らに|見《み》させるためである』と」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセはアロンに|言《い》った「一つのつぼを|取《と》り、マナ一オメルをその|中《なか》に|入《い》れ、それを|主《しゅ》の|前《まえ》に|置《お》いて、|子孫《しそん》のためにたくわえなさい」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたように、アロンはそれをあかしの|箱《はこ》の|前《まえ》に|置《お》いてたくわえた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|人《ひと》の|住《す》む|地《ち》に|着《つ》くまで四十|年《ねん》の|間《あいだ》マナを|食《た》べた。すなわち、|彼《かれ》らはカナンの|地《ち》の|境《さかい》に|至《いた》るまでマナを|食《た》べた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]一オメルは一エパの十|分《ぶん》の一である。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は、|主《しゅ》の|命《いのち》に|従《したが》って、シンの|荒野《あらの》を|出発《しゅっぱつ》し、|旅路《たびじ》を|重《かさ》ねて、レピデムに|宿営《しゅくえい》したが、そこには|民《たみ》の|飲《の》む|水《みず》がなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それで、|民《たみ》はモーセと|争《あらそ》って|言《い》った、「わたしたちに|飲《の》む|水《みず》をください」。モーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはなぜわたしと|争《あらそ》うのか、なぜ|主《しゅ》を|試《こころ》みるのか」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はその|所《ところ》で|水《みず》にかわき、モーセにつぶやいて|言《い》った、「あなたはなぜわたしたちをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》して、わたしたちを、|子供《こども》や|家畜《かちく》と|一緒《いっしょ》に、かわきによって|死《し》なせようとするのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]このときモーセは|主《しゅ》に|叫《さけ》んで|言《い》った、「わたしはこの|民《たみ》をどうすればよいのでしょう。|彼《かれ》らは、|今《いま》にも、わたしを|石《いし》で|打《う》ち|殺《ころ》そうとしています」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたは|民《たみ》の|前《まえ》に|進《すす》み|行《い》き、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちを|伴《ともな》い、あなたがナイル|川《かわ》を|打《う》った、つえを|手《て》に|取《と》って|行《い》きなさい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはホレブの|岩《いわ》の|上《うえ》であなたの|前《まえ》に|立《た》つであろう。あなたは|岩《いわ》を|打《う》ちなさい。|水《みず》がそれから|出《で》て、|民《たみ》はそれを|飲《の》むことができる」。モーセはイスラエルの|長老《ちょうろう》たちの|目《め》の|前《まえ》で、そのように|行《おこな》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はその|所《ところ》の|名《な》をマッサ、またメリバと|呼《よ》んだ。これはイスラエルの|人々《ひとびと》が|争《あらそ》ったゆえ、また|彼《かれ》らが「|主《しゅ》はわたしたちのうちにおられるかどうか」と|言《い》って|主《しゅ》を|試《こころ》みたからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ときにアマレクがきて、イスラエルとレピデムで|戦《たたか》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはヨシュアに|言《い》った、「われわれのために|人《ひと》を|選《えら》び、|出《で》てアマレクと|戦《たたか》いなさい。わたしはあす|神《かみ》のつえを|手《て》に|取《と》って、|丘《おか》の|頂《いただき》に|立《た》つであろう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはモーセが|彼《かれ》に|言《い》ったようにし、アマレクと|戦《たたか》った。モーセとアロンおよびホルは|丘《おか》の|頂《いただき》に|登《のぼ》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|手《て》を|上《あ》げているとイスラエルは|勝《か》ち、|手《て》を|下《さ》げるとアマレクが|勝《か》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしモーセの|手《て》が|重《おも》くなったので、アロンとホルが|石《いし》を|取《と》って、モーセの|足《あし》もとに|置《お》くと、|彼《かれ》はその|上《うえ》に|座《ざ》した。そしてひとりはこちらに、ひとりはあちらにいて、モーセの|手《て》をささえたので、|彼《かれ》の|手《て》は|日没《にちぼつ》までさがらなかった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは、つるぎにかけてアマレクとその|民《たみ》を|打《う》ち|敗《やぶ》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「これを|書物《しょもつ》にしるして|記念《きねん》とし、それをヨシュアの|耳《みみ》に|入《い》れなさい。わたしは|天《あめ》が|下《した》からアマレクの|記憶《きおく》を|完全《かんぜん》に|消《け》し|去《さ》るであろう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》いてその|名《な》を「|主《しゅ》はわが|旗《はた》」と|呼《よ》んだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》の|旗《はた》にむかって|手《て》を|上《あ》げる、 |主《しゅ》は|世々《よよ》アマレクと|戦《たたか》われる」。 [#ここで字下げ終わり] 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、モーセのしゅうと、ミデアンの|祭司《さいし》エテロは、|神《かみ》がモーセと、み|民《たみ》イスラエルとにされたすべての|事《こと》、|主《しゅ》がイスラエルをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》されたことを|聞《き》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それでモーセのしゅうと、エテロは、さきに|送《おく》り|返《かえ》されていたモーセの|妻《つま》チッポラと、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのふたりの|子《こ》とを|連《つ》れてきた。そのひとりの|名《な》はゲルショムといった。モーセが、「わたしは|外国《がいこく》で|寄留者《きりゅうしゃ》となっている」と|言《い》ったからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ほかのひとりの|名《な》はエリエゼルといった。「わたしの|父《ちち》の|神《かみ》はわたしの|助《たす》けであって、パロのつるぎからわたしを|救《すく》われた」と|言《い》ったからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモーセのしゅうと、エテロは、モーセの|妻子《さいし》を|伴《ともな》って、|荒野《あらの》に|行《い》き、|神《かみ》の|山《やま》に|宿営《しゅくえい》しているモーセの|所《ところ》にきた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ある|人《ひと》がモーセに|言《い》った、「ごらんなさい。あなたのしゅうと、エテロは、あなたの|妻《つま》とそのふたりの|子《こ》を|連《つ》れて、あなたの|所《ところ》にこられます」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセはしゅうとを|出迎《でむか》えて、|身《み》をかがめ、|彼《かれ》に|口《くち》づけして、|互《たがい》に|安否《あんぴ》を|問《と》い、|共《とも》に|天幕《てんまく》にはいった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセは、|主《しゅ》がイスラエルのために、パロとエジプトびととにされたすべての|事《こと》、|道《みち》で|出会《であ》ったすべての|苦《くる》しみ、また|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|救《すく》われたことを、しゅうとに|物語《ものがた》ったので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エテロは|主《しゅ》がイスラエルをエジプトびとの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》して、もろもろの|恵《めぐ》みを|賜《たま》わったことを|喜《よろこ》んだ。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてエテロは|言《い》った、「|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はあなたがたをエジプトびとの|手《て》と、パロの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》し、|民《たみ》をエジプトびとの|手《て》の|下《した》から|救《すく》い|出《だ》された。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》こそわたしは|知《し》った。|実《じつ》に|彼《かれ》らはイスラエルびとにむかって|高慢《こうまん》にふるまったが、|主《しゅ》はあらゆる|神々《かみがみ》にまさって|大《おお》いにいますことを」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセのしゅうとエテロは|燔祭《はんさい》と|犠牲《ぎせい》を|神《かみ》に|供《そな》え、アロンとイスラエルの|長老《ちょうろう》たちもみなきて、モーセのしゅうとと|共《とも》に|神《かみ》の|前《まえ》で|食事《しょくじ》をした。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あくる|日《ひ》モーセは|座《ざ》して|民《たみ》をさばいたが、|民《たみ》は|朝《あさ》から|晩《ばん》まで、モーセのまわりに|立《た》っていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]モーセのしゅうとは、|彼《かれ》がすべて|民《たみ》にしていることを|見《み》て、|言《い》った、「あなたが|民《たみ》にしているこのことはなんですか。あなたひとりが|座《ざ》し、|民《たみ》はみな|朝《あさ》から|晩《ばん》まで、あなたのまわりに|立《た》っているのはなぜですか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセはしゅうとに|言《い》った、「|民《たみ》が|神《かみ》に|伺《うかが》おうとして、わたしの|所《ところ》に|来《く》るからです。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|事《こと》があれば、わたしの|所《ところ》にきます。わたしは|相互《そうご》の|間《あいだ》をさばいて、|神《かみ》の|定《さだ》めと|判決《はんけつ》を|知《し》らせるのです」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]モーセのしゅうとは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたのしていることは|良《よ》くない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたも、あなたと|一緒《いっしょ》にいるこの|民《たみ》も、|必《かなら》ず|疲《つか》れ|果《は》てるであろう。このことはあなたに|重《おも》|過《す》ぎるから、ひとりですることができない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしの|言《い》うことを|聞《き》きなさい。わたしはあなたに|助言《じょげん》する。どうか|神《かみ》があなたと|共《とも》にいますように。あなたは|民《たみ》のために|神《かみ》の|前《まえ》にいて、|事件《じけん》を|神《かみ》に|述《の》べなさい。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|定《さだ》めと|判決《はんけつ》を|教《おし》え、|彼《かれ》らの|歩《あゆ》むべき|道《みち》と、なすべき|事《こと》を|彼《かれ》らに|知《し》らせなさい。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また、すべての|民《たみ》のうちから、|有能《ゆうのう》な|人《ひと》で、|神《かみ》を|恐《おそ》れ、|誠実《せいじつ》で|不義《ふぎ》の|利《り》を|憎《にく》む|人《ひと》を|選《えら》び、それを|民《たみ》の|上《うえ》に|立《た》てて、千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》、五十|人《にん》の|長《ちょう》、十|人《にん》の|長《ちょう》としなさい。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|平素《へいそ》は|彼《かれ》らに|民《たみ》をさばかせ、|大事《だいじ》件はすべてあなたの|所《ところ》に|持《も》ってこさせ、|小《しょう》|事件《じけん》はすべて|彼《かれ》らにさばかせなさい。こうしてあなたを|身軽《みがる》にし、あなたと|共《とも》に|彼《かれ》らに、|荷《に》を|負《お》わせなさい。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、もしこの|事《こと》を|行《おこな》い、|神《かみ》もまたあなたに|命《めい》じられるならば、あなたは|耐《た》えることができ、この|民《たみ》もまた、みな|安《やす》んじてその|所《ところ》に|帰《かえ》ることができよう」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]モーセはしゅうとの|言葉《ことば》に|従《したが》い、すべて|言《い》われたようにした。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、モーセはすべてのイスラエルのうちから|有能《ゆうのう》な|人《ひと》を|選《えら》んで、|民《たみ》の|上《うえ》に|長《ちょう》として|立《た》て、千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》、五十|人《にん》の|長《ちょう》、十|人《にん》の|長《ちょう》とした。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|平素《へいそ》は|彼《かれ》らが|民《たみ》をさばき、むずかしい|事件《じけん》はモーセに|持《も》ってきたが、|小《ちい》さい|事件《じけん》はすべて|彼《かれ》らみずからさばいた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモーセはしゅうとを|送《おく》り|返《かえ》したので、その|国《くに》に|帰《かえ》って|行《い》った。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、エジプトの|地《ち》を|出《で》て|後《のち》三|月《つき》|目《め》のその|日《ひ》に、シナイの|荒野《あらの》にはいった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らはレピデムを|出立《しゅったつ》してシナイの|荒野《あらの》に|入《い》り、|荒野《あらの》に|宿営《しゅくえい》した。イスラエルはその|所《ところ》で|山《やま》の|前《まえ》に|宿営《しゅくえい》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]さて、モーセが|神《かみ》のもとに|登《のぼ》ると、|主《しゅ》は|山《やま》から|彼《かれ》を|呼《よ》んで|言《い》われた、「このように、ヤコブの|家《いえ》に|言《い》い、イスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げなさい、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]『あなたがたは、わたしがエジプトびとにした|事《こと》と、あなたがたを|鷲《わし》の|翼《つばさ》に|載《の》せてわたしの|所《ところ》にこさせたことを|見《み》た。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それで、もしあなたがたが、まことにわたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、わたしの|契約《けいやく》を|守《まも》るならば、あなたがたはすべての|民《たみ》にまさって、わたしの|宝《たから》となるであろう。|全《ぜん》|地《ち》はわたしの|所有《しょゆう》だからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしに|対《たい》して|祭司《さいし》の|国《くに》となり、また|聖《せい》なる|民《たみ》となるであろう』。これがあなたのイスラエルの|人々《ひとびと》に|語《かた》るべき|言葉《ことば》である」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それでモーセは|行《い》って|民《たみ》の|長老《ちょうろう》たちを|呼《よ》び、|主《しゅ》が|命《めい》じられたこれらの|言葉《ことば》を、すべてその|前《まえ》に|述《の》べたので、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はみな|共《とも》に|答《こた》えて|言《い》った、「われわれは|主《しゅ》が|言《い》われたことを、みな|行《おこな》います」。モーセは|民《たみ》の|言葉《ことば》を|主《しゅ》に|告《つ》げた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしは|濃《こ》い|雲《くも》のうちにあって、あなたに|臨《のぞ》むであろう。それはわたしがあなたと|語《かた》るのを|民《たみ》に|聞《き》かせて、|彼《かれ》らに|長《なが》くあなたを|信《しん》じさせるためである」。  モーセは|民《たみ》の|言葉《ことば》を|主《しゅ》に|告《つ》げた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたは|民《たみ》のところに|行《い》って、きょうとあす、|彼《かれ》らをきよめ、|彼《かれ》らにその|衣服《いふく》を|洗《あら》わせ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》までに|備《そな》えさせなさい。三|日《か》|目《め》に|主《しゅ》が、すべての|民《たみ》の|目《め》の|前《まえ》で、シナイ|山《さん》に|下《くだ》るからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|民《たみ》のために、|周囲《しゅうい》に|境《さかい》を|設《もう》けて|言《い》いなさい、『あなたがたは|注意《ちゅうい》して、|山《やま》に|上《のぼ》らず、また、その|境界《きょうかい》に|触《ふ》れないようにしなさい。|山《やま》に|触《ふ》れる|者《もの》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|手《て》をそれに|触《ふ》れてはならない。|触《ふ》れる|者《もの》は|必《かなら》ず|石《いし》で|打《う》ち|殺《ころ》されるか、|射殺《しゃさつ》されるであろう。|獣《けもの》でも|人《ひと》でも|生《い》きることはできない』。ラッパが|長《なが》く|響《ひび》いた|時《とき》、|彼《かれ》らは|山《やま》に|登《のぼ》ることができる」と。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|山《やま》から|民《たみ》のところに|下《くだ》り、|民《たみ》をきよめた。|彼《かれ》らはその|衣服《いふく》を|洗《あら》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|民《たみ》に|言《い》った、「三|日《か》|目《め》までに|備《そな》えをしなさい。|女《おんな》に|近《ちか》づいてはならない」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》の|朝《あさ》となって、かみなりと、いなずまと|厚《あつ》い|雲《くも》とが、|山《やま》の|上《うえ》にあり、ラッパの|音《おと》が、はなはだ|高《たか》く|響《ひび》いたので、|宿営《しゅくえい》におる|民《たみ》はみな|震《ふる》えた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|民《たみ》を|神《かみ》に|会《あ》わせるために、|宿営《しゅくえい》から|導《みちび》き|出《だ》したので、|彼《かれ》らは|山《やま》のふもとに|立《た》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]シナイ|山《さん》は|全《ぜん》|山《ざん》|煙《けむ》った。|主《しゅ》が|火《ひ》のなかにあって、その|上《うえ》に|下《くだ》られたからである。その|煙《けむり》は、かまどの|煙《けむり》のように|立《た》ち|上《のぼ》り、|全《ぜん》|山《ざん》はげしく|震《ふる》えた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ラッパの|音《おと》が、いよいよ|高《たか》くなったとき、モーセは|語《かた》り、|神《かみ》は、かみなりをもって、|彼《かれ》に|答《こた》えられた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシナイ|山《さん》の|頂《いただき》に|下《くだ》られた。そして|主《しゅ》がモーセを|山《やま》の|頂《いただき》に|召《め》されたので、モーセは|登《のぼ》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|下《くだ》って|行《い》って|民《たみ》を|戒《いまし》めなさい。|民《たみ》が|押《お》し|破《やぶ》って、|主《しゅ》のところにきて、|見《み》ようとし、|多《おお》くのものが|死《し》ぬことのないようにするためである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|近《ちか》づく|祭司《さいし》たちにもまた、その|身《み》をきよめさせなさい。|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|打《う》つことのないようにするためである」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》に|言《い》った、「|民《たみ》はシナイ|山《さん》に|登《のぼ》ることはできないでしょう。あなたがわたしたちを|戒《いまし》めて『|山《やま》のまわりに|境《さかい》を|設《もう》け、それをきよめよ』と|言《い》われたからです」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「|行《い》け、|下《くだ》れ。そしてあなたはアロンと|共《とも》に|登《のぼ》ってきなさい。ただし、|祭司《さいし》たちと|民《たみ》とが、|押《お》し|破《やぶ》って|主《しゅ》のところに|登《のぼ》ることのないようにしなさい。|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|打《う》つことのないようにするためである」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|民《たみ》の|所《ところ》に|下《くだ》って|行《い》って|彼《かれ》らに|告《つ》げた。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はこのすべての|言葉《ことば》を|語《かた》って|言《い》われた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、あなたをエジプトの|地《ち》、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|導《みちび》き|出《だ》した|者《もの》である。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしのほかに、なにものをも|神《かみ》としてはならない。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》のために、|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|造《つく》ってはならない。|上《うえ》は|天《てん》にあるもの、|下《した》は|地《ち》にあるもの、また|地《ち》の|下《した》の|水《みず》のなかにあるものの、どんな|形《かたち》をも|造《つく》ってはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それにひれ|伏《ふ》してはならない。それに|仕《つか》えてはならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》であるわたしは、ねたむ|神《かみ》であるから、わたしを|憎《にく》むものは、|父《ちち》の|罪《つみ》を|子《こ》に|報《むく》いて、三四|代《だい》に|及《およ》ぼし、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|愛《あい》し、わたしの|戒《いまし》めを|守《まも》るものには、|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》して、千|代《だい》に|至《いた》るであろう。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》を、みだりに|唱《とな》えてはならない。|主《しゅ》は、み|名《な》をみだりに|唱《とな》えるものを、|罰《ばっ》しないでは|置《お》かないであろう。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|安息日《あんそくにち》を|覚《おぼ》えて、これを|聖《せい》とせよ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》のあいだ|働《はたら》いてあなたのすべてのわざをせよ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》はあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|安息《あんそく》であるから、なんのわざをもしてはならない。あなたもあなたのむすこ、|娘《むすめ》、しもべ、はしため、|家畜《かちく》、またあなたの|門《もん》のうちにいる|他国《たこく》の|人《ひと》もそうである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は六|日《か》のうちに、|天《てん》と|地《ち》と|海《うみ》と、その|中《なか》のすべてのものを|造《つく》って、|七日《なぬか》|目《め》に|休《やす》まれたからである。それで|主《しゅ》は|安息日《あんそくにち》を|祝福《しゅくふく》して|聖《せい》とされた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|父《ちち》と|母《はは》を|敬《うやま》え。これは、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》で、あなたが|長《なが》く|生《い》きるためである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|殺《ころ》してはならない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|姦淫《かんいん》してはならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|盗《ぬす》んではならない。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|隣人《りんじん》について、|偽証《ぎしょう》してはならない。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|隣人《りんじん》の|家《いえ》をむさぼってはならない。|隣人《りんじん》の|妻《つま》、しもべ、はしため、|牛《うし》、ろば、またすべて|隣人《りんじん》のものをむさぼってはならない」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|皆《みな》、かみなりと、いなずまと、ラッパの|音《おと》と、|山《やま》の|煙《けむ》っているのとを|見《み》た。|民《たみ》は|恐《おそ》れおののき、|遠《とお》く|離《はな》れて|立《た》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはモーセに|言《い》った、「あなたがわたしたちに|語《かた》ってください。わたしたちは|聞《き》き|従《したが》います。|神《かみ》がわたしたちに|語《かた》られぬようにしてください。それでなければ、わたしたちは|死《し》ぬでしょう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|民《たみ》に|言《い》った、「|恐《おそ》れてはならない。|神《かみ》はあなたがたを|試《こころ》みるため、またその|恐《おそ》れをあなたがたの|目《め》の|前《まえ》において、あなたがたが|罪《つみ》を|犯《おか》さないようにするために|臨《のぞ》まれたのである」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|民《たみ》は|遠《とお》く|離《はな》れて|立《た》ったが、モーセは|神《かみ》のおられる|濃《こ》い|雲《くも》に|近《ちか》づいて|行《い》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたはイスラエルの|人々《ひとびと》にこう|言《い》いなさい、『あなたがたは、わたしが|天《てん》からあなたがたと|語《かた》るのを|見《み》た。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしと|並《なら》べて、|何《なに》をも|造《つく》ってはならない。|銀《ぎん》の|神々《かみがみ》も、|金《きん》の|神々《かみがみ》も、あなたがたのために、|造《つく》ってはならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしのために|土《つち》の|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、その|上《うえ》にあなたの|燔祭《はんさい》、|酬恩祭《しゅうおんさい》、|羊《ひつじ》、|牛《うし》をささげなければならない。わたしの|名《な》を|覚《おぼ》えさせるすべての|所《ところ》で、わたしはあなたに|臨《のぞ》んで、あなたを|祝福《しゅくふく》するであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもしわたしに|石《いし》の|祭壇《さいだん》を|造《つく》るならば、|切《き》り|石《いし》で|築《きず》いてはならない。あなたがもし、のみをそれに|当《あ》てるならば、それをけがすからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|階段《かいだん》によって、わたしの|祭壇《さいだん》に|登《のぼ》ってはならない。あなたの|隠《かく》し|所《ところ》が、その|上《うえ》にあらわれることのないようにするためである』。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたが|彼《かれ》らの|前《まえ》に|示《しめ》すべきおきてである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがヘブルびとである|奴隷《どれい》を|買《か》う|時《とき》は、六|年《ねん》のあいだ|仕《つか》えさせ、七|年《ねん》|目《め》には|無償《むしょう》で|自由《じゆう》の|身《み》として|去《さ》らせなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がもし|独身《どくしん》できたならば、|独身《どくしん》で|去《さ》らなければならない。もし|妻《つま》を|持《も》っていたならば、その|妻《つま》は|彼《かれ》と|共《とも》に|去《さ》らなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしその|主人《しゅじん》が|彼《かれ》に|妻《つま》を|与《あた》えて、|彼《かれ》に|男《おとこ》の|子《こ》また|女《おんな》の|子《こ》を|産《う》んだならば、|妻《つま》とその|子《こ》|供《とも》は|主人《しゅじん》のものとなり、|彼《かれ》は|独身《どくしん》で|去《さ》らなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|奴隷《どれい》がもし『わたしは、わたしの|主人《しゅじん》と、わたしの|妻《つま》と|子供《こども》を|愛《あい》します。わたしは|自由《じゆう》の|身《み》となって|去《さ》ることを|好《この》みません』と|明言《めいげん》するならば、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|主人《しゅじん》は|彼《かれ》を|神《かみ》のもとに|連《つ》れて|行《い》き、|戸《と》あるいは|柱《はしら》のところに|連《つ》れて|行《い》って、|主人《しゅじん》は、きりで|彼《かれ》の|耳《みみ》を|刺《さ》し|通《とお》さなければならない。そうすれば|彼《かれ》はいつまでもこれに|仕《つか》えるであろう。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がその|娘《むすめ》を|女《おんな》|奴隷《どれい》として|売《う》るならば、その|娘《むすめ》は|男《おとこ》|奴隷《どれい》が|去《さ》るように|去《さ》ってはならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》がもし|彼女《かのじょ》を|自分《じぶん》のものと|定《さだ》めた|主人《しゅじん》の|気《き》にいらない|時《とき》は、その|主人《しゅじん》は|彼女《かのじょ》が、あがなわれることを、これに|許《ゆる》さなければならない。|彼《かれ》はこれを|欺《あざむ》いたのであるから、これを|他国《たこく》の|民《たみ》に|売《う》る|権利《けんり》はない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がもし|彼女《かのじょ》を|自分《じぶん》の|子《こ》のものと|定《さだ》めるならば、これを|娘《むすめ》のように|扱《あつか》わなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が、たとい、ほかに|女《おんな》をめとることがあっても、|前《まえ》の|女《おんな》に|食物《しょくもつ》と|衣服《いふく》を|与《あた》えることと、その|夫婦《ふうふ》の|道《みち》とを|絶《た》えさせてはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がもしこの三つを|行《おこな》わないならば、|彼女《かのじょ》は|金《かね》を|償《つぐな》わずに|去《さ》ることができる。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|撃《う》って|死《し》なせた|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|人《ひと》がたくむことをしないのに、|神《かみ》が|彼《かれ》の|手《て》に|人《ひと》をわたされることのある|時《とき》は、わたしはあなたのために一つの|所《ところ》を|定《さだ》めよう。|彼《かれ》はその|所《ところ》へのがれることができる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|人《ひと》がもし、ことさらにその|隣人《りんじん》を|欺《あざむ》いて|殺《ころ》す|時《とき》は、その|者《もの》をわたしの|祭壇《さいだん》からでも、|捕《とら》えて|行《い》って|殺《ころ》さなければならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|父《ちち》または|母《はは》を|撃《う》つ|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》をかどわかした|者《もの》は、これを|売《う》っていても、なお|彼《かれ》の|手《て》にあっても、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|父《ちち》または|母《はは》をのろう|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|互《たがい》に|争《あらそ》い、そのひとりが|石《いし》または、こぶしで|相手《あいて》を|撃《う》った|時《とき》、これが|死《し》なないで|床《とこ》につき、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|再《ふたた》び|起《お》きあがって、つえにすがり、|外《そと》を|歩《ある》くようになるならば、これを|撃《う》った|者《もの》は、ゆるされるであろう。ただその|仕事《しごと》を|休《やす》んだ|損失《そんしつ》を|償《つぐな》い、かつこれにじゅうぶん|治療《ちりょう》させなければならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がつえをもって、|自分《じぶん》の|男《おとこ》|奴隷《どれい》または|女《おんな》|奴隷《どれい》を|撃《う》ち、その|手《て》の|下《した》に|死《し》ぬならば、|必《かなら》ず|罰《ばっ》せられなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》がもし一|日《にち》か、ふつか|生《い》き|延《の》びるならば、その|人《ひと》は|罰《ばっ》せられない。|奴隷《どれい》は|彼《かれ》の|財産《ざいさん》だからである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|互《たがい》に|争《あらそ》って、|身《み》ごもった|女《おんな》を|撃《う》ち、これに|流産《りゅうざん》させるならば、ほかの|害《がい》がなくとも、|彼《かれ》は|必《かなら》ずその|女《おんな》の|夫《おっと》の|求《もと》める|罰金《ばっきん》を|課《か》せられ、|裁判人《さいばんにん》の|定《さだ》めるとおりに|支払《しはら》わなければならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ほかの|害《がい》がある|時《とき》は、|命《いのち》には|命《いのち》、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》には|目《め》、|歯《は》には|歯《は》、|手《て》には|手《て》、|足《あし》には|足《あし》、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|焼《や》き|傷《きず》には|焼《や》き|傷《きず》、|傷《きず》には|傷《きず》、|打《う》ち|傷《きず》には|打《う》ち|傷《きず》をもって|償《つぐな》わなければならない。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|自分《じぶん》の|男《おとこ》|奴隷《どれい》の|片目《かため》、または|女《おんな》|奴隷《どれい》の|片目《かため》を|撃《う》ち、これをつぶすならば、その|目《め》のためにこれを|自由《じゆう》の|身《み》として|去《さ》らせなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また、もしその|男《おとこ》|奴隷《どれい》の一|本《ぽん》の|歯《は》、またはその|女《おんな》|奴隷《どれい》の一|本《ぽん》の|歯《は》を|撃《う》ち|落《おと》すならば、その|歯《は》のためにこれを|自由《じゆう》の|身《み》として|去《さ》らせなければならない。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]もし|牛《うし》が|男《おとこ》または|女《おんな》を|突《つ》いて|殺《ころ》すならば、その|牛《うし》は|必《かなら》ず|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》されなければならない。その|肉《にく》は|食《た》べてはならない。しかし、その|牛《うし》の|持《も》ち|主《ぬし》は|罪《つみ》がない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》がもし|以前《いぜん》から|突《つ》く|癖《くせ》があって、その|持《も》ち|主《ぬし》が|注意《ちゅうい》されても、これを|守《まも》りおかなかったために、|男《おとこ》または|女《おんな》を|殺《ころ》したならば、その|牛《うし》は|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》され、その|持《も》ち|主《ぬし》もまた|殺《ころ》されなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がもし、あがないの|金《かね》を|課《か》せられたならば、すべて|課《か》せられたほどのものを、|命《いのち》の|償《つぐな》いに|支払《しはら》わなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》の|子《こ》を|突《つ》いても、|女《おんな》の|子《こ》を|突《つ》いても、この|定《さだ》めに|従《したが》って|処置《しょち》されなければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》がもし|男《おとこ》|奴隷《どれい》または|女《おんな》|奴隷《どれい》を|突《つ》くならば、その|主人《しゅじん》に|銀《ぎん》三十シケルを|支払《しはら》わなければならない。またその|牛《うし》は|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》されなければならない。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|穴《あな》をあけたままに|置《お》き、あるいは|穴《あな》を|掘《ほ》ってこれにおおいをしないために、|牛《うし》または、ろばがこれに|落《お》ち|込《こ》むことがあれば、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|穴《あな》の|持《も》ち|主《ぬし》はこれを|償《つぐな》い、|金《かね》をその|持《も》ち|主《ぬし》に|支払《しはら》わなければならない。しかし、その|死《し》んだ|獣《けもの》は|彼《かれ》のものとなるであろう。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ある|人《ひと》の|牛《うし》が、もし|他人《たにん》の|牛《うし》を|突《つ》いて|殺《ころ》すならば、|彼《かれ》らはその|生《い》きている|牛《うし》を|売《う》って、その|価《あたい》を|分《わ》け、またその|死《し》んだものをも|分《わ》けなければならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あるいはその|牛《うし》が|以前《いぜん》から|突《つ》く|癖《くせ》のあることが|知《し》られているのに、その|持《も》ち|主《ぬし》がこれを|守《まも》りおかなかったならば、その|人《ひと》は|必《かなら》ずその|牛《うし》のために|牛《うし》をもって|償《つぐな》わなければならない。しかし、その|死《し》んだ|獣《けもの》は|彼《かれ》のものとなるであろう。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|牛《うし》または|羊《ひつじ》を|盗《ぬす》んで、これを|殺《ころ》し、あるいはこれを|売《う》るならば、|彼《かれ》は一|頭《とう》の|牛《うし》のために五|頭《とう》の|牛《うし》をもって、一|頭《とう》の|羊《ひつじ》のために四|頭《とう》の|羊《ひつじ》をもって|償《つぐな》わなければならない。[#太字]三!b[#「三!b」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|必《かなら》ず|償《つぐな》わなければならない。もし|彼《かれ》に|何《なに》もない|時《とき》は、|彼《かれ》はその|盗《ぬす》んだ|物《もの》のために|身《み》を|売《う》られるであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしその|盗《ぬす》んだ|物《もの》がなお|生《い》きて、|彼《かれ》の|手《て》もとにあれば、それは|牛《うし》、ろば、|羊《ひつじ》のいずれにせよ、これを二|倍《ばい》にして|償《つぐな》わなければならない。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もし|盗《ぬす》びとが|穴《あな》をあけてはいるのを|見《み》て、これを|撃《う》って|殺《ころ》したときは、その|人《ひと》には|血《ち》を|流《なが》した|罪《つみ》はない。[#太字]三!a[#「三!a」は行右小書き][#太字終わり]しかし|日《ひ》がのぼって|後《のち》ならば、その|人《ひと》に|血《ち》を|流《なが》した|罪《つみ》がある。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|畑《はたけ》またはぶどう|畑《はたけ》のものを|食《く》わせ、その|家畜《かちく》を|放《はな》って|他人《たにん》の|畑《はたけ》のものを|食《く》わせた|時《とき》は、|自分《じぶん》の|畑《はたけ》の|最《もっと》も|良《よ》い|物《もの》と、ぶどう|畑《はたけ》の|最《もっと》も|良《よ》い|物《もの》をもって、これを|償《つぐな》わなければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もし|火《ひ》が|出《で》て、いばらに|移《うつ》り、|積《つ》みあげた|麦《むぎ》|束《たば》、または|立《た》|穂《ほ》、または|畑《はたけ》を|焼《や》いたならば、その|火《ひ》を|燃《も》やした|者《もの》は、|必《かなら》ずこれを|償《つぐな》わなければならない。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|金銭《きんせん》または|物品《ぶっぴん》の|保管《ほかん》を|隣人《りんじん》に|託《たく》し、それが|隣人《りんじん》の|家《いえ》から|盗《ぬす》まれた|時《とき》、その|盗《ぬす》びとが|見《み》つけられたならば、これを二|倍《ばい》にして|償《つぐな》わせなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もし|盗《ぬす》びとが|見《み》つけられなければ、|家《いえ》の|主人《しゅじん》を|神《かみ》の|前《まえ》に|連《つ》れてきて、|彼《かれ》が|隣人《りんじん》の|持《も》ち|物《もの》に|手《て》をかけたかどうかを、|確《たし》かめなければならない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》であれ、ろばであれ、|羊《ひつじ》であれ、|衣服《いふく》であれ、あるいはどんな|失《うしな》った|物《もの》であれ、それについて|言《い》い|争《あらそ》いが|起《おこ》り『これがそれです』と|言《い》う|者《もの》があれば、その|双方《そうほう》の|言《い》い|分《ぶん》を、|神《かみ》の|前《まえ》に|持《も》ち|出《だ》さなければならない。そして|神《かみ》が|有罪《ゆうざい》と|定《さだ》められる|者《もの》は、それを二|倍《ばい》にしてその|相手《あいて》に|償《つぐな》わなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が、ろば、または|牛《うし》、または|羊《ひつじ》、またはどんな|家畜《かちく》でも、それを|隣人《りんじん》に|預《あづ》けて、それが|死《し》ぬか、|傷《きず》つくか、あるいは|奪《うば》い|去《さ》られても、それを|見《み》た|者《もの》がなければ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|双方《そうほう》の|間《あいだ》に、|隣人《りんじん》の|持《も》ち|物《もの》に|手《て》をかけなかったという|誓《ちか》いが、|主《しゅ》の|前《まえ》になされなければならない。そうすれば、|持《も》ち|主《ぬし》はこれを|受《う》け|入《い》れ、|隣人《りんじん》は|償《つぐな》うに|及《およ》ばない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]けれども、それがまさしく|自分《じぶん》の|所《ところ》から|盗《ぬす》まれた|時《とき》は、その|持《も》ち|主《ぬし》に|償《つぐな》わなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もしそれが|裂《さ》き|殺《ころ》された|時《とき》は、それを|証拠《しょうこ》として|持《も》って|来《く》るならば、その|裂《さ》き|殺《ころ》されたものは|償《つぐな》うに|及《およ》ばない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|隣人《りんじん》から|家畜《かちく》を|借《か》りて、それが|傷《きず》つき、または|死《し》ぬ|場合《ばあい》、その|持《も》ち|主《ぬし》がそれと|共《とも》にいない|時《とき》は、|必《かなら》ずこれを|償《つぐな》わなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もしその|持《も》ち|主《ぬし》がそれと|共《とも》におれば、それを|償《つぐな》うに|及《およ》ばない。もしそれが|賃借《ちんが》りしたものならば、その|借《か》|賃《ちん》をそれに|当《あ》てなければならない。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がまだ|婚約《こんやく》しない|処女《しょじょ》を|誘《さそ》って、これと|寝《ね》たならば、|彼《かれ》は|必《かなら》ずこれに|花嫁《はなよめ》|料《りょう》を|払《はら》って、|妻《つま》としなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]もしその|父《ちち》がこれをその|人《ひと》に|与《あた》えることをかたく|拒《こば》むならば、|彼《かれ》は|処女《しょじょ》の|花嫁《はなよめ》|料《りょう》に|当《あた》るほどの|金《かね》を|払《はら》わなければならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|魔法使《まほうつかい》の|女《おんな》は、これを|生《い》かしておいてはならない。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すべて|獣《けもの》を|犯《おか》す|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のほか、|他《た》の|神々《かみがみ》に|犠牲《ぎせい》をささげる|者《もの》は、|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされなければならない。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》を|苦《くる》しめてはならない。また、これをしえたげてはならない。あなたがたも、かつてエジプトの|国《くに》で、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》であったからである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはすべて|寡婦《かふ》、または|孤児《こじ》を|悩《なや》ましてはならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|彼《かれ》らを|悩《なや》まして、|彼《かれ》らがわたしにむかって|叫《さけ》ぶならば、わたしは|必《かなら》ずその|叫《さけ》びを|聞《き》くであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしの|怒《いか》りは|燃《も》えたち、つるぎをもってあなたがたを|殺《ころ》すであろう。あなたがたの|妻《つま》は|寡婦《かふ》となり、あなたがたの|子供《こども》たちは|孤児《こじ》となるであろう。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、|共《とも》におるわたしの|民《たみ》の|貧《まず》しい|者《もの》に|金《かね》を|貸《か》す|時《とき》は、これに|対《たい》して|金貸《かねか》しのようになってはならない。これから|利子《りし》を|取《と》ってはならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]もし|隣人《りんじん》の|上着《うわぎ》を|質《しつ》に|取《と》るならば、|日《ひ》の|入《い》るまでにそれを|返《かえ》さなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》の|身《み》をおおう、ただ一つの|物《もの》、|彼《かれ》の|膚《はだ》のための|着物《きもの》だからである。|彼《かれ》は|何《なに》を|着《き》て|寝《ね》ることができよう。|彼《かれ》がわたしにむかって|叫《さけ》ぶならば、わたしはこれに|聞《き》くであろう。わたしはあわれみ|深《ふか》いからである。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|神《かみ》をののしってはならない。また|民《たみ》の|司《つかさ》をのろってはならない。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|豊《ゆた》かな|穀物《こくもつ》と、あふれる|酒《さけ》とをささげるに、ためらってはならない。  あなたのういごを、わたしにささげなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、あなたの|牛《うし》と|羊《ひつじ》をも|同様《どうよう》にしなければならない。|七日《なぬか》の|間《あいだ》その|母《はは》と|共《とも》に|置《お》いて、八|日《か》|目《め》にそれをわたしに、ささげなければならない。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わたしに|対《たい》して|聖《せい》なる|民《たみ》とならなければならない。あなたがたは、|野《の》で|裂《さ》き|殺《ころ》されたものの|肉《にく》を|食《た》べてはならない。それは|犬《いぬ》に|投《な》げ|与《あた》えなければならない。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|偽《いつわ》りのうわさを|言《い》いふらしてはならない。あなたは|悪人《あくにん》と|手《て》を|携《たずさ》えて、|悪意《あくい》のある|証人《しょうにん》になってはならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|多数《たすう》に|従《したが》って|悪《あく》をおこなってはならない。あなたは|訴訟《そしょう》において、|多数《たすう》に|従《したが》って|片寄《かたよ》り、|正義《せいぎ》を|曲《ま》げるような|証言《しょうげん》をしてはならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|貧《まず》しい|人《ひと》をその|訴訟《そしょう》において、|曲《ま》げてかばってはならない。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたが|敵《てき》の|牛《うし》または、ろばの|迷《まよ》っているのに|会《あ》う|時《とき》は、|必《かなら》ずこれを|彼《かれ》の|所《ところ》に|連《つ》れて|行《い》って、|帰《き》さなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたを|憎《にく》む|者《もの》のろばが、その|荷物《にもつ》の|下《した》に|倒《たお》れ|伏《ふ》しているのを|見《み》る|時《とき》は、これを|見捨《みす》てて|置《お》かないように|気《き》をつけ、|必《かなら》ずその|人《ひと》に|手《て》を|貸《か》して、これを|起《おこ》さなければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|貧《まず》しい|者《もの》の|訴訟《そしょう》において、|裁判《さいばん》を|曲《ま》げてはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|偽《いつわ》り|事《こと》に|遠《とお》ざからなければならない。あなたは|罪《つみ》のない|者《もの》と|正《ただ》しい|者《もの》とを|殺《ころ》してはならない。わたしは|悪人《あくにん》を|義《ぎ》とすることはないからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|賄賂《わいろ》を|取《と》ってはならない。|賄賂《わいろ》は|人《ひと》の|目《め》をくらまし、|正《ただ》しい|者《もの》の|事件《じけん》をも|曲《ま》げさせるからである。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》をしえたげてはならない。あなたがたはエジプトの|国《くに》で|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》であったので、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》の|心《こころ》を|知《し》っているからである。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは六|年《ねん》のあいだ、|地《ち》に|種《たね》をまき、その|産物《さんぶつ》を|取《と》り|入《い》れることができる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、七|年《ねん》|目《め》には、これを|休《やす》ませて、|耕《たがや》さずに|置《お》かなければならない。そうすれば、あなたの|民《たみ》の|貧《まず》しい|者《もの》がこれを|食《た》べ、その|残《のこ》りは|野《の》の|獣《けもの》が|食《た》べることができる。あなたのぶどう|畑《はたけ》も、オリブ|畑《はたけ》も|同様《どうよう》にしなければならない。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは六|日《か》のあいだ、|仕事《しごと》をし、|七日《なぬか》|目《め》には|休《やす》まなければならない。これはあなたの|牛《うし》および、ろばが|休《やす》みを|得《え》、またあなたのはしための|子《こ》および|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》を|休《やす》ませるためである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが、あなたがたに|言《い》ったすべての|事《こと》に|心《こころ》を|留《と》めなさい。|他《た》の|神々《かみがみ》の|名《な》を|唱《とな》えてはならない。また、これをあなたのくちびるから|聞《きこ》えさせてはならない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|年《ねん》に三|度《ど》、わたしのために|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》を|守《まも》らなければならない。わたしが、あなたに|命《めい》じたように、アビブの|月《つき》の|定《さだ》めの|時《とき》に|七日《なぬか》のあいだ、|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べなければならない。それはその|月《つき》にあなたがエジプトから|出《で》たからである。だれも、むなし|手《て》でわたしの|前《まえ》に|出《で》てはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたが|畑《はたけ》にまいて|獲《え》た|物《もの》の|勤労《きんろう》の|初穂《はつほ》をささげる|刈入《かりい》れの|祭《まつり》と、あなたの|勤労《きんろう》の|実《み》を|畑《はたけ》から|取《と》り|入《い》れる|年《ねん》の|終《おわ》りに、|取入《とりい》れの|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|男子《だんし》はみな、|年《ねん》に三|度《ど》、|主《しゅ》なる|神《かみ》の|前《まえ》に|出《で》なければならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|犠牲《ぎせい》の|血《ち》を、|種《たね》を|入《い》れたパンと|共《とも》にささげてはならない。また、わたしの|祭《まつり》の|脂肪《しぼう》を|翌朝《よくあさ》まで|残《のこ》して|置《お》いてはならない。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|土地《とち》の|初穂《はつほ》の|最《もっと》も|良《よ》い|物《もの》を、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|家《いえ》に|携《たずさ》えてこなければならない。あなたは|子《こ》やぎを、その|母《はは》の|乳《ちち》で|煮《に》てはならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|使《つかい》をあなたの|前《まえ》につかわし、あなたを|道《みち》で|守《まも》らせ、わたしが|備《そな》えた|所《ところ》に|導《みちび》かせるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|前《まえ》に|慎《つつし》み、その|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》い、|彼《かれ》にそむいてはならない。わたしの|名《な》が|彼《かれ》のうちにあるゆえに、|彼《かれ》はあなたがたのとがをゆるさないであろう。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしあなたが|彼《かれ》の|声《こえ》によく|聞《き》き|従《したが》い、すべてわたしが|語《かた》ることを|行《おこな》うならば、わたしはあなたの|敵《てき》を|敵《てき》とし、あなたのあだをあだとするであろう。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|使《つかい》はあなたの|前《まえ》に|行《い》って、あなたをアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、カナンびと、ヒビびと、およびエブスびとの|所《ところ》に|導《みちび》き、わたしは|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼすであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》を|拝《おが》んではならない。これに|仕《つか》えてはならない。また|彼《かれ》らのおこないにならってはならない。あなたは|彼《かれ》らを|全《まった》く|打《う》ち|倒《たお》し、その|石《いし》の|柱《はしら》を|打《う》ち|砕《くだ》かなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|仕《つか》えなければならない。そうすれば、わたしはあなたがたのパンと|水《みず》を|祝《しゅく》し、あなたがたのうちから|病《やまい》を|除《のぞ》き|去《さ》るであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|国《くに》のうちには|流産《りゅうざん》する|女《おんな》もなく、|不妊《ふにん》の|女《おんな》もなく、わたしはあなたの|日《ひ》の|数《かず》を|満《み》ち|足《た》らせるであろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|先《さき》に、わたしの|恐《おそ》れをつかわし、あなたが|行《い》く|所《ところ》の|民《たみ》を、ことごとく|打《う》ち|敗《やぶ》り、すべての|敵《てき》に、その|背《せ》をあなたの|方《ほう》へ|向《む》けさせるであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、くまばちをあなたの|先《さき》につかわすであろう。これはヒビびと、カナンびと、およびヘテびとをあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》うであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|彼《かれ》らを一|年《ねん》のうちには、あなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》わないであろう。|土地《とち》が|荒《あ》れすたれ、|野《の》の|獣《けもの》が|増《ま》して、あなたを|害《がい》することのないためである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|徐々《じょじょ》に|彼《かれ》らをあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》うであろう。あなたは、ついにふえひろがって、この|地《ち》を|継《つ》ぐようになるであろう。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|紅海《こうかい》からペリシテびとの|海《うみ》に|至《いた》るまでと、|荒野《あらの》からユフラテ|川《かわ》に|至《いた》るまでを、あなたの|領域《りょういき》とし、この|地《ち》に|住《す》んでいる|者《もの》をあなたの|手《て》にわたすであろう。あなたは|彼《かれ》らをあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》うであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》ら、および|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》と|契約《けいやく》を|結《むす》んではならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたの|国《くに》に|住《す》んではならない。|彼《かれ》らがあなたをいざなって、わたしに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》させることのないためである。もし、あなたが|彼《かれ》らの|神《かみ》に|仕《つか》えるならば、それは|必《かなら》ずあなたのわなとなるであろう」。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]また、モーセに|言《い》われた、「あなたはアロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十|人《にん》の|長老《ちょうろう》たちと|共《とも》に、|主《しゅ》のもとにのぼってきなさい。そしてあなたがたは|遠《とお》く|離《はな》れて|礼拝《れいはい》しなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ただモーセひとりが|主《しゅ》に|近《ちか》づき、|他《た》の|者《もの》は|近《ちか》づいてはならない。また、|民《たみ》も|彼《かれ》と|共《とも》にのぼってはならない」。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モーセはきて、|主《しゅ》のすべての|言葉《ことば》と、すべてのおきてとを|民《たみ》に|告《つ》げた。|民《たみ》はみな|同《どう》|音《おん》に|答《こた》えて|言《い》った、「わたしたちは|主《しゅ》の|仰《おお》せられた|言葉《ことば》を|皆《みな》、|行《おこな》います」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセは|主《しゅ》の|言葉《ことば》を、ことごとく|書《か》きしるし、|朝《あさ》はやく|起《お》きて|山《やま》のふもとに|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、イスラエルの十二|部族《ぶぞく》に|従《したが》って十二の|柱《はしら》を|建《た》て、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの|若者《わかもの》たちをつかわして、|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》をささげさせ、また|酬恩祭《しゅうおんさい》として|雄牛《おうし》をささげさせた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》モーセはその|血《ち》の|半《なか》ばを|取《と》って、|鉢《はち》に|入《い》れ、また、その|血《ち》の|半《なか》ばを|祭壇《さいだん》に|注《そそ》ぎかけた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|契約《けいやく》の|書《しょ》を|取《と》って、これを|民《たみ》に|読《よ》み|聞《き》かせた。すると、|彼《かれ》らは|答《こた》えて|言《い》った、「わたしたちは|主《しゅ》が|仰《おお》せられたことを|皆《みな》、|従順《じゅうじゅん》に|行《おこな》います」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセはその|血《ち》を|取《と》って、|民《たみ》に|注《そそ》ぎかけ、そして|言《い》った、「|見《み》よ、これは|主《しゅ》がこれらのすべての|言葉《ことば》に|基《もとづ》いて、あなたがたと|結《むす》ばれる|契約《けいやく》の|血《ち》である」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモーセはアロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十|人《にん》の|長老《ちょうろう》たちと|共《とも》にのぼって|行《い》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして、|彼《かれ》らがイスラエルの|神《かみ》を|見《み》ると、その|足《あし》の|下《した》にはサファイアの|敷石《しきいし》のごとき|物《もの》があり、|澄《す》み|渡《わた》るおおぞらのようであった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はイスラエルの|人々《ひとびと》の|指導者《しどうしゃ》たちを|手《て》にかけられなかったので、|彼《かれ》らは|神《かみ》を|見《み》て、|飲《の》み|食《く》いした。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ときに|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|山《やま》に|登《のぼ》り、わたしの|所《ところ》にきて、そこにいなさい。|彼《かれ》らを|教《おし》えるために、わたしが|律法《りっぽう》と|戒《いまし》めとを|書《か》きしるした|石《いし》の|板《いた》をあなたに|授《さづ》けるであろう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|従者《じゅうしゃ》ヨシュアと|共《とも》に|立《た》ちあがり、モーセは|神《かみ》の|山《やま》に|登《のぼ》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|長老《ちょうろう》たちに|言《い》った、「わたしたちがあなたがたの|所《ところ》に|帰《かえ》って|来《く》るまで、ここで|待《ま》っていなさい。|見《み》よ、アロンとホルとが、あなたがたと|共《とも》にいるから、|事《こと》ある|者《もの》は、だれでも|彼《かれ》らの|所《ところ》へ|行《い》きなさい」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモーセは|山《やま》に|登《のぼ》ったが、|雲《くも》は|山《やま》をおおっていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|栄光《えいこう》がシナイ|山《さん》の|上《うえ》にとどまり、|雲《くも》は六|日《か》のあいだ、|山《やま》をおおっていたが、|七日《なぬか》|目《め》に|主《しゅ》は|雲《くも》の|中《なか》からモーセを|呼《よ》ばれた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|栄光《えいこう》は|山《やま》の|頂《いただき》で、|燃《も》える|火《ひ》のようにイスラエルの|人々《ひとびと》の|目《め》に|見《み》えたが、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|雲《くも》の|中《なか》にはいって、|山《やま》に|登《のぼ》った。そしてモーセは四十|日《にち》四十|夜《や》、|山《やま》にいた。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げて、わたしのためにささげ|物《もの》を|携《たずさ》えてこさせなさい。すべて、|心《こころ》から|喜《よろこ》んでする|者《もの》から、わたしにささげる|物《もの》を|受《う》け|取《と》りなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|彼《かれ》らから|受《う》け|取《と》るべきささげ|物《もの》はこれである。すなわち|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》、やぎの|毛糸《けいと》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あかね|染《そめ》の|雄羊《おひつじ》の|皮《かわ》、じゅごんの|皮《かわ》、アカシヤ|材《ざい》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ともし|油《あぶら》、|注《そそ》ぎ|油《あぶら》と|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》のための|香料《こうりょう》、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|縞《しま》めのう、エポデと|胸当《むねあて》にはめる|宝石《ほうせき》。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また、|彼《かれ》らにわたしのために|聖所《せいじょ》を|造《つく》らせなさい。わたしが|彼《かれ》らのうちに|住《す》むためである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたに|示《しめ》す|幕屋《まくや》の|型《かた》および、そのもろもろの|器《うつわ》の|型《かた》に|従《したが》って、これを|造《つく》らなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはアカシヤ|材《ざい》で|箱《はこ》を|造《つく》らなければならない。|長《なが》さは二キュビト|半《はん》、|幅《はば》は一キュビト|半《はん》、|高《たか》さは一キュビト|半《はん》。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|純金《じゅんきん》でこれをおおわなければならない。すなわち|内外《ないがい》ともにこれをおおい、その|上《うえ》の|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》らなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》の|環《かん》四つを|鋳《い》て、その四すみに|取《と》り|付《つ》けなければならない。すなわち二つの|環《かん》をこちら|側《がわ》に、二つの|環《かん》をあちら|側《がわ》に|付《つ》けなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》のさおを|造《つく》り、|金《きん》でこれをおおわなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてそのさおを|箱《はこ》の|側面《そくめん》の|環《かん》に|通《とお》し、それで|箱《はこ》をかつがなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さおは|箱《はこ》の|環《かん》に|差《さ》して|置《お》き、それを|抜《ぬ》き|放《はな》してはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|箱《はこ》に、わたしがあなたに|与《あた》えるあかしの|板《いた》を|納《おさ》めなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|純金《じゅんきん》の|贖罪所《しょくざいしょ》を|造《つく》らなければならない。|長《なが》さは二キュビト|半《はん》、|幅《はば》は一キュビト|半《はん》。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また二つの|金《きん》のケルビムを|造《つく》らなければならない。これを|打物《うちもの》|造《つく》りとし、|贖罪所《しょくざいしょ》の|両端《りょうはし》に|置《お》かなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]一つのケルブをこの|端《はし》に、一つのケルブをかの|端《はし》に|造《つく》り、ケルビムを|贖罪所《しょくざいしょ》の|一部《いちぶ》としてその|両端《りょうはし》に|造《つく》らなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ケルビムは|翼《つばさ》を|高《たか》く|伸《の》べ、その|翼《つばさ》をもって|贖罪所《しょくざいしょ》をおおい、|顔《かお》は|互《たがい》にむかい|合《あ》い、ケルビムの|顔《かお》は|贖罪所《しょくざいしょ》にむかわなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|贖罪所《しょくざいしょ》を|箱《はこ》の|上《うえ》に|置《お》き、|箱《はこ》の|中《なか》にはわたしが|授《さづ》けるあかしの|板《いた》を|納《おさ》めなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》でわたしはあなたに|会《あ》い、|贖罪所《しょくざいしょ》の|上《うえ》から、あかしの|箱《はこ》の|上《うえ》にある二つのケルビムの|間《あいだ》から、イスラエルの|人々《ひとびと》のために、わたしが|命《めい》じようとするもろもろの|事《こと》を、あなたに|語《かた》るであろう。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたアカシヤ|材《ざい》の|机《つくえ》を|造《つく》らなければならない。|長《なが》さは二キュビト、|幅《はば》は一キュビト、|高《たか》さは一キュビト|半《はん》。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|純金《じゅんきん》でこれをおおい、|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》り、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またその|周囲《しゅうい》に|手《て》|幅《はば》の|棧《さん》を|造《つく》り、その|棧《さん》の|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》らなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また、そのために|金《きん》の|環《かん》四つを|造《つく》り、その四つの|足《あし》のすみ四か|所《しょ》にその|環《かん》を|取《と》り|付《つ》けなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|環《かん》は|棧《さん》のわきに|付《つ》けて、|机《つくえ》をかつぐさおを|入《い》れる|所《ところ》としなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》のさおを|造《つく》り、|金《きん》でこれをおおい、それをもって、|机《つくえ》をかつがなければならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]また、その|皿《さら》、|乳香《にゅうこう》を|盛《も》る|杯《はい》および|灌祭《かんさい》を|注《そそ》ぐための|瓶《びん》と|鉢《はち》を|造《つく》り、これらは|純金《じゅんきん》で|造《つく》らなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|机《つくえ》の|上《うえ》には|供《そな》えのパンを|置《お》いて、|常《つね》にわたしの|前《まえ》にあるようにしなければならない。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]また|純金《じゅんきん》の|燭台《しょくだい》を|造《つく》らなければならない。|燭台《しょくだい》は|打物《うちもの》|造《つく》りとし、その|台《だい》、|幹《みき》、|萼《がく》、|節《ふし》、|花《はな》を一つに|連《つら》ならせなければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]また六つの|枝《えだ》をそのわきから|出《だ》させ、|燭台《しょくだい》の三つの|枝《えだ》をこの|側《がわ》から、|燭台《しょくだい》の三つの|枝《えだ》をかの|側《がわ》から|出《だ》させなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あめんどうの|花《はな》の|形《かたち》をした三つの|萼《がく》が、それぞれ|節《ふし》と|花《はな》をもって一つの|枝《えだ》にあり、また、あめんどうの|花《はな》の|形《かたち》をした三つの|萼《がく》が、それぞれ|節《ふし》と|花《はな》をもってほかの|枝《えだ》にあるようにし、|燭台《しょくだい》から|出《で》る六つの|枝《えだ》を、みなそのようにしなければならない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]また、|燭台《しょくだい》の|幹《みき》には、あめんどうの|花《はな》の|形《かたち》をした四つの|萼《がく》を|付《つ》け、その|萼《がく》にはそれぞれ|節《ふし》と|花《はな》をもたせなさい。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち二つの|枝《えだ》の|下《した》に一つの|節《ふし》を|取《と》り|付《つ》け、|次《つぎ》の二つの|枝《えだ》の|下《した》に一つの|節《ふし》を|取《と》り|付《つ》け、|更《さら》に|次《つぎ》の二つの|枝《えだ》の|下《した》に一つの|節《ふし》を|取《と》り|付《つ》け、|燭台《しょくだい》の|幹《みき》から|出《で》る六つの|枝《えだ》に、みなそのようにしなければならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]それらの|節《ふし》と|枝《えだ》を一つに|連《つら》ね、ことごとく|純金《じゅんきん》の|打物《うちもの》|造《つく》りにしなければならない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]また、それのともしび|皿《ざら》を七つ|造《つく》り、そのともしび|皿《ざら》に|火《ひ》をともして、その|前方《ぜんぽう》を|照《てら》させなければならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]その|芯《しん》|切《き》りばさみと、|芯《しん》|取《と》り|皿《ざら》は|純金《じゅんきん》で|造《つく》らなければならない。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|純金《じゅんきん》一タラントで|燭台《しょくだい》と、これらのもろもろの|器《うつわ》とが|造《つく》られなければならない。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたが|山《やま》で|示《しめ》された|型《かた》に|従《したが》い、|注意《ちゅうい》してこれを|造《つく》らなければならない。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた十|枚《まい》の|幕《まく》をもって|幕屋《まくや》を|造《つく》らなければならない。すなわち|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》で|幕《まく》を|作《つく》り、|巧《たく》みなわざをもって、それにケルビムを|織《お》り|出《だ》さなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|幕《まく》の|長《なが》さは、おのおの二十八キュビト、|幕《まく》の|幅《はば》は、おのおの四キュビトで、|幕《まく》は|皆《みな》|同《おな》じ|寸法《すんぽう》でなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|幕《まく》五|枚《まい》を|互《たがい》に|連《つら》ね|合《あ》わせ、また|他《た》の五|枚《まい》の|幕《まく》をも|互《たがい》に|連《つら》ね|合《あ》わせなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|一連《いちれん》の|端《はし》にある|幕《まく》の|縁《ふち》に|青色《あおいろ》の|乳《ち》をつけ、また|他《た》の|一連《いちれん》の|端《はし》にある|幕《まく》の|縁《ふち》にもそのようにしなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、その一|枚《まい》の|幕《まく》に|乳《ち》五十をつけ、また|他《た》の|一連《いちれん》の|幕《まく》の|端《はし》にも|乳《ち》五十をつけ、その|乳《ち》を|互《たがい》に|相《あい》|向《む》かわせなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|金《きん》の|輪《わ》五十を|作《つく》り、その|輪《わ》で|幕《まく》を|互《たがい》に|連《つら》ね|合《あ》わせて一つの|幕屋《まくや》にしなければならない。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》をおおう|天幕《てんまく》のためにやぎの|毛糸《けいと》で|幕《まく》を|作《つく》らなければならない。すなわち|幕《まく》十一|枚《まい》を|作《つく》り、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その一|枚《まい》の|幕《まく》の|長《なが》さは三十キュビト、その一|枚《まい》の|幕《まく》の|幅《はば》は四キュビトで、その十一|枚《まい》の|幕《まく》は|同《おな》じ|寸法《すんぽう》でなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|幕《まく》五|枚《まい》を一つに|連《つら》ね|合《あ》わせ、またその|幕《まく》六|枚《まい》を一つに|連《つら》ね|合《あ》わせて、その六|枚《まい》|目《め》の|幕《まく》を|天幕《てんまく》の|前《まえ》で|折《お》り|重《かさ》ねなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またその|一連《いちれん》の|端《はし》にある|幕《まく》の|縁《ふち》に|乳《ち》五十をつけ、|他《た》の|一連《いちれん》の|幕《まく》の|縁《ふち》にも|乳《ち》五十をつけなさい。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|青銅《せいどう》の|輪《わ》五十を|作《つく》り、その|輪《わ》を|乳《ち》に|掛《か》け、その|天幕《てんまく》を|連《つら》ね|合《あ》わせて一つにし、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|天幕《てんまく》の|幕《まく》の|残《のこ》りの|垂《た》れる|部分《ぶぶん》、すなわちその|残《のこ》りの|半《はん》|幕《まく》を|幕屋《まくや》のうしろに|垂《た》れさせなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そして|天幕《てんまく》の|幕《まく》のたけで|余《あま》るものの、こちらのキュビトと、あちらのキュビトとは、|幕屋《まくや》をおおうように、その|両側《りょうがわ》のこちらとあちらとに|垂《た》れさせなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また、あかね|染《ぞ》めの|雄羊《おひつじ》の|皮《かわ》で|天幕《てんまく》のおおいと、じゅごんの|皮《かわ》でその|上《うえ》にかけるおおいとを|造《つく》らなければならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|幕屋《まくや》のために、アカシヤ|材《ざい》で|立《たて》|枠《わく》を|造《つく》らなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|枠《わく》の|長《なが》さを十キュビト、|枠《わく》の|幅《はば》を一キュビト|半《はん》とし、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|枠《わく》ごとに二つの|柄《ほぞ》を|造《つく》って、かれとこれとを|食《く》い|合《あ》わさせ、|幕屋《まくや》のすべての|枠《わく》にこのようにしなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|幕屋《まくや》のために|枠《わく》を|造《つく》り、|南側《みなみがわ》のために|枠《わく》二十とし、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その二十の|枠《わく》の|下《した》に|銀《ぎん》の|座《ざ》四十を|造《つく》って、この|枠《わく》の|下《した》に、その二つの|柄《ほぞ》のために二つの|座《ざ》を|置《お》き、かの|枠《わく》の|下《した》にもその二つの|柄《ほぞ》のために二つの|座《ざ》を|置《お》かなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》の|他《た》の|側《がわ》、すなわち|北側《きたがわ》のためにも|枠《わく》二十を|造《つく》り、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|銀《ぎん》の|座《ざ》四十を|造《つく》って、この|枠《わく》の|下《した》に、二つの|座《ざ》を|置《お》き、かの|枠《わく》の|下《した》にも二つの|座《ざ》を|置《お》かなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》のうしろ、すなわち|西側《にしがわ》のために|枠《わく》六つを|造《つく》り、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》のうしろの二つのすみのために|枠《わく》二つを|造《つく》らなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これらは|下《した》で|重《かさ》なり|合《あ》い、|同《おな》じくその|頂《いただき》でも|第《だい》一の|環《かん》まで|重《かさ》なり|合《あ》うようにし、その二つともそのようにしなければならない。それらは二つのすみのために|設《もう》けるものである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|枠《わく》は八つ、その|銀《ぎん》の|座《ざ》は十六、この|枠《わく》の|下《した》に二つの|座《ざ》、かの|枠《わく》の|下《した》にも二つの|座《ざ》を|置《お》かなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》で|横木《よこぎ》を|造《つく》らなければならない。すなわち|幕屋《まくや》のこの|側《がわ》の|枠《わく》のために五つ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》のかの|側《がわ》の|枠《わく》のために|横木《よこぎ》五つ、|幕屋《まくや》のうしろの|西側《にしがわ》の|枠《わく》のために|横木《よこぎ》五つを|造《つく》り、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|枠《わく》のまん|中《なか》にある|中央《ちゅうおう》の|横木《よこぎ》は|端《はし》から|端《はし》まで|通《とお》るようにしなければならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|枠《わく》を|金《きん》でおおい、また|横木《よこぎ》を|通《とお》すその|環《かん》を|金《きん》で|造《つく》り、また、その|横木《よこぎ》を|金《きん》でおおわなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてあなたは|山《やま》で|示《しめ》された|様式《ようしき》に|従《したが》って|幕屋《まくや》を|建《た》てなければならない。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]また|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で|垂幕《たれまく》を|作《つく》り、|巧《たく》みなわざをもって、それにケルビムを|織《お》り|出《だ》さなければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そして|金《きん》でおおった四つのアカシヤ|材《ざい》の|柱《はしら》の|金《きん》の|鉤《こま》にこれを|掛《か》け、その|柱《はしら》は四つの|銀《ぎん》の|座《ざ》の|上《うえ》にすえなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり] その|垂幕《たれまく》の|輪《わ》を|鉤《こま》に|掛《か》け、その|垂幕《たれまく》の|内《うち》にあかしの|箱《はこ》を|納《おさ》めなさい。その|垂幕《たれまく》はあなたがたのために|聖所《せいじょ》と|至聖所《しせいじょ》とを|隔《へだ》て|分《わ》けるであろう。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]また|至聖所《しせいじょ》にあるあかしの|箱《はこ》の|上《うえ》に|贖罪所《しょくざいしょ》を|置《お》かなければならない。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|垂幕《たれまく》の|外《そと》に|机《つくえ》を|置《お》き、|幕屋《まくや》の|南側《みなみがわ》に、|机《つくえ》に|向《む》かい|合《あ》わせて|燭台《しょくだい》を|置《お》かなければならない。ただし|机《つくえ》は|北側《きたがわ》に|置《お》かなければならない。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》のために|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で、|色《いろ》とりどりに|織《お》ったとばりを|作《つく》らなければならない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそのとばりのためにアカシヤ|材《ざい》の|柱《はしら》五つを|造《つく》り、これを|金《きん》でおおい、その|鉤《こま》を|金《きん》で|造《つく》り、またその|柱《はしら》のために|青銅《せいどう》の|座《ざ》五つを|鋳《い》て|造《つく》らなければならない。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたアカシヤ|材《ざい》で|祭壇《さいだん》を|造《つく》らなければならない。|長《なが》さ五キュビト、|幅《はば》五キュビトの四|角《かく》で、|高《たか》さは三キュビトである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その四すみの|上《うえ》にその|一部《いちぶ》としてそれの|角《つの》を|造《つく》り、|青銅《せいどう》で|祭壇《さいだん》をおおわなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|灰《はい》を|取《と》るつぼ、|十能《じゅうのう》、|鉢《はち》、|肉《にく》|叉《また》、|火皿《ひざら》を|造《つく》り、その|器《うつわ》はみな|青銅《せいどう》で|造《つく》らなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|祭壇《さいだん》のために|青銅《せいどう》の|網《あみ》|細工《ざいく》の|格子《こうし》を|造《つく》り、その四すみで、|網《あみ》の|上《うえ》に|青銅《せいどう》の|環《かん》を四つ|取《と》り|付《つ》けなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|網《あみ》を|祭壇《さいだん》の|出張《でば》りの|下《した》に|取《と》り|付《つ》け、これを|祭壇《さいだん》の|高《たか》さの|半《なか》ばに|達《たっ》するようにしなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|祭壇《さいだん》のために、さおを|造《つく》らなければならない。すなわちアカシヤ|材《ざい》で、さおを|造《つく》り、|青銅《せいどう》で、これをおおわなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのさおを|環《かん》に|通《とお》し、さおを|祭壇《さいだん》の|両側《りょうがわ》にして、これをかつがなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|祭壇《さいだん》は|板《いた》で|空洞《くうどう》に|造《つく》り、|山《やま》で|示《しめ》されたように、これを|造《つく》らなければならない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|幕屋《まくや》の|庭《にわ》を|造《つく》り、|両側《りょうがわ》では|庭《にわ》のために|長《なが》さ百キュビトの|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》のあげばりを|設《もう》け、その|一方《いっぽう》に|当《あ》てなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|柱《はしら》は二十、その|柱《はしら》の二十の|座《ざ》は|青銅《せいどう》にし、その|柱《はしら》の|鉤《こま》と|桁《けた》とは|銀《ぎん》にしなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|同《おな》じく|北側《きたがわ》のために、|長《なが》さ百キュビトのあげばりを|設《もう》けなければならない。その|柱《はしら》は二十、その|柱《はしら》の二十の|座《ざ》は|青銅《せいどう》にし、その|柱《はしら》の|鉤《こま》と|桁《けた》とは|銀《ぎん》にしなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|庭《にわ》の|西側《にしがわ》の|幅《はば》のために五十キュビトのあげばりを|設《もう》けなければならない。その|柱《はしら》は十、その|座《ざ》も十。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|東側《ひがしがわ》でも|庭《にわ》の|幅《はば》を五十キュビトにしなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|一方《いっぽう》に十五キュビトのあげばりを|設《もう》けなければならない。その|柱《はしら》は三つ、その|座《ざ》も三つ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|他《た》の|一方《いっぽう》にも十五キュビトのあげばりを|設《もう》けなければならない。その|柱《はしら》は三つ、その|座《ざ》も三つ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》の|門《もん》のために|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で、|色《いろ》とりどりに|織《お》った|長《なが》さ二十キュビトのとばりを|設《もう》けなければならない。その|柱《はしら》は四つ、その|座《ざ》も四つ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》の|周囲《しゅうい》の|柱《はしら》はみな|銀《ぎん》の|桁《けた》でつなぎ、その|鉤《こま》は|銀《ぎん》、その|座《ざ》は|青銅《せいどう》にしなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》の|長《なが》さは百キュビト、その|幅《はば》は五十キュビト、その|高《たか》さは五キュビトで、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》の|布《ぬの》を|掛《か》けめぐらし、その|座《ざ》を|青銅《せいどう》にしなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すべて|幕屋《まくや》に|用《もち》いるもろもろの|器《うつわ》、およびそのすべての|釘《くぎ》、また|庭《にわ》のすべての|釘《くぎ》は|青銅《せいどう》で|造《つく》らなければならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたイスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて、オリブをつぶして|採《と》った|純粋《じゅんすい》の|油《あぶら》を、ともし|火《ひ》のために|持《も》ってこさせ、|絶《た》えずともし|火《ひ》をともさなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アロンとその|子《こ》たちとは、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|中《なか》のあかしの|箱《はこ》の|前《まえ》にある|垂幕《たれまく》の|外《そと》で、|夕《ゆう》から|朝《あさ》まで|主《しゅ》の|前《まえ》に、そのともし|火《ひ》を|整《ととの》えなければならない。これはイスラエルの|人々《ひとびと》の|守《まも》るべき|世々《よよ》|変《かわ》らざる|定《さだ》めでなければならない。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|人々《ひとびと》のうちから、あなたの|兄弟《きょうだい》アロンとその|子《こ》たち、すなわちアロンとアロンの|子《こ》ナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルとをあなたのもとにこさせ、|祭司《さいし》としてわたしに|仕《つか》えさせ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|兄弟《きょうだい》アロンのために|聖《せい》なる|衣服《いふく》を|作《つく》って、|彼《かれ》に|栄《さか》えと|麗《うるわ》しきをもたせなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはすべて|心《こころ》に|知恵《ちえ》ある|者《もの》、すなわち、わたしが|知恵《ちえ》の|霊《れい》を|満《み》たした|者《もの》たちに|語《かた》って、アロンの|衣服《いふく》を|作《つく》らせ、アロンを|聖別《せいべつ》し、|祭司《さいし》としてわたしに|仕《つか》えさせなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|作《つく》るべき|衣服《いふく》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|胸当《むねあて》、エポデ、|衣《ころも》、|市松《いちまつ》|模様《もよう》の|服《ふく》、|帽子《ぼうし》、|帯《おび》である。|彼《かれ》らはあなたの|兄弟《きょうだい》アロンとその|子《こ》たちとのために|聖《せい》なる|衣服《いふく》を|作《つく》り、|祭司《さいし》としてわたしに|仕《つか》えさせなければならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|金糸《きんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》を|受《う》け|取《と》らなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|金糸《きんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》を|用《もち》い、|巧《たく》みなわざをもってエポデを|作《つく》らなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これに二つの|肩《かた》ひもを|付《つ》け、その|両端《りょうはし》を、これに|付《つ》けなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エポデの|上《うえ》で、これをつかねる|帯《おび》は、|同《おな》じきれでエポデの|作《つく》りのように、|金糸《きんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で|作《つく》らなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは二つの|縞《しま》めのうを|取《と》って、その|上《うえ》にイスラエルの|子《こ》たちの|名《な》を|刻《きざ》まなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|名《な》六つを一つの|石《いし》に、|残《のこ》りの|名《な》六つを|他《た》の|石《いし》に、|彼《かれ》らの|生《うま》れた|順《じゅん》に|刻《きざ》まなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|宝石《ほうせき》に|彫刻《ちょうこく》する|人《ひと》が|印《いん》を|彫刻《ちょうこく》するように、イスラエルの|子《こ》たちの|名《な》をその二つの|石《いし》に|刻《きざ》み、それを|金《きん》の|編《あみ》|細工《ざいく》にはめ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]この二つの|石《いし》をエポデの|肩《かた》ひもにつけて、イスラエルの|子《こ》たちの|記念《きねん》の|石《いし》としなければならない。こうしてアロンは|主《しゅ》の|前《まえ》でその|両《りょう》|肩《かた》に|彼《かれ》らの|名《な》を|負《お》うて|記念《きねん》としなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|金《きん》の|編《あみ》|細工《ざいく》を|作《つく》らなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして二つの|純金《じゅんきん》の|鎖《くさり》を、ひも|細工《ざいく》にねじて|作《つく》り、そのひもの|鎖《くさり》をかの|編《あみ》|細工《ざいく》につけなければならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたさばきの|胸当《むねあて》を|巧《たく》みなわざをもって|作《つく》り、これをエポデの|作《つく》りのように|作《つく》らなければならない。すなわち|金糸《きんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で、これを|作《つく》らなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これは二つに|折《お》って四|角《かく》にし、|長《なが》さは一|指《ゆび》|当《あた》り、|幅《はば》も一|指《ゆび》|当《あた》りとしなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またその|中《なか》に|宝石《ほうせき》を四|列《れつ》にはめ|込《こ》まなければならない。すなわち|紅《こう》|玉髄《ぎょくずい》、|貴《き》かんらん|石《いし》、|水晶《すいしょう》の|列《れつ》を|第《だい》一|列《れつ》とし、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》|二《に》|列《れつ》は、ざくろ|石《いし》、るり、|赤《あか》|縞《しま》めのう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三|列《れつ》は|黄《き》|水晶《すいしょう》、めのう、|紫《むらさき》|水晶《すいしょう》。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四|列《れつ》は|黄《き》|碧玉《へきぎょく》、|縞《しま》めのう、|碧玉《へきぎょく》であって、これらを|金《きん》の|編《あみ》|細工《ざいく》の|中《なか》にはめ|込《こ》まなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|宝石《ほうせき》はイスラエルの|子《こ》らの|名《な》に|従《したが》い、その|名《な》とひとしく十二とし、おのおの|印《いん》の|彫刻《ちょうこく》のように十二の|部族《ぶぞく》のためにその|名《な》を|刻《きざ》まなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またひも|細工《ざいく》にねじた|純金《じゅんきん》の|鎖《くさり》を|胸当《むねあて》につけなければならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また、|胸当《むねあて》のために|金《きん》の|環《かん》二つを|作《つく》り、|胸当《むねあて》の|両端《りょうはし》にその二つの|環《かん》をつけ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]かの|二《に》|筋《すじ》の|金《きん》のひもを|胸当《むねあて》の|端《はし》の二つの|環《かん》につけなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|二《に》|筋《すじ》のひもの|他《た》の|両端《りょうはし》をかの二つの|編《あみ》|細工《ざいく》につけ、エポデの|肩《かた》ひもにつけて、|前《まえ》にくるようにしなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた二つの|金《きん》の|環《かん》を|作《つく》って、これを|胸当《むねあて》の|両端《りょうはし》につけなければならない。すなわちエポデに|接《せっ》する|内側《うちがわ》の|縁《ふち》にこれをつけなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また二つの|金《きん》の|環《かん》を|作《つく》って、これをエポデの二つの|肩《かた》ひもの|下《した》の|部分《ぶぶん》につけ、|前《まえ》の|方《ほう》で、そのつなぎ|目《め》に|近《ちか》く、エポデの|帯《おび》の|上《うえ》の|方《ほう》にあるようにしなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|胸当《むねあて》は|青《あお》ひもをもって、その|環《かん》をエポデの|環《かん》に|結《むす》びつけ、エポデの|帯《おび》の|上《うえ》の|方《ほう》にあるようにしなければならない。こうして|胸当《むねあて》がエポデから|離《はな》れないようにしなければならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アロンが|聖所《せいじょ》にはいる|時《とき》は、さばきの|胸当《むねあて》にあるイスラエルの|子《こ》たちの|名《な》をその|胸《むね》に|置《お》き、|主《しゅ》の|前《まえ》に|常《つね》に|覚《おぼ》えとしなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはさばきの|胸当《むねあて》にウリムとトンミムを|入《い》れて、アロンが|主《しゅ》の|前《まえ》にいたる|時《とき》、その|胸《むね》の|上《うえ》にあるようにしなければならない。こうしてアロンは|主《しゅ》の|前《まえ》に|常《つね》にイスラエルの|子《こ》たちのさばきを、その|胸《むね》に|置《お》かなければならない。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、エポデに|属《ぞく》する|上服《うわふく》をすべて|青地《あおじ》で|作《つく》らなければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|頭《あたま》を|通《とお》す|口《くち》を、そのまん|中《なか》に|設《もう》け、その|口《くち》の|周囲《しゅうい》には、よろいのえりのように|織物《おりもの》の|縁《ふち》をつけて、ほころびないようにし、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そのすそには|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》で、ざくろを|作《つく》り、そのすその|周囲《しゅうい》につけ、また|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|鈴《すず》をざくろの|間々《あいだあいだ》につけなければならない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|金《きん》の|鈴《すず》にざくろ、また|金《きん》の|鈴《すず》にざくろと、|上服《うわふく》のすその|周囲《しゅうい》につけなければならない。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]アロンは|務《つとめ》の|時《とき》、これを|着《き》なければならない。|彼《かれ》が|聖所《せいじょ》にはいって|主《しゅ》の|前《まえ》にいたる|時《とき》、また|出《で》る|時《とき》、その|音《おと》が|聞《きこ》えて、|彼《かれ》は|死《し》を|免《まぬか》れるであろう。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|純金《じゅんきん》の|板《いた》を|造《つく》り、|印《いん》の|彫刻《ちょうこく》のように、その|上《うえ》に『|主《しゅ》に|聖《せい》なる|者《もの》』と|刻《きざ》み、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]これを|青《あお》ひもで|帽子《ぼうし》に|付《つ》け、それが|帽子《ぼうし》の|前《まえ》の|方《ほう》に|来《く》るようにしなければならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]これはアロンの|額《ひたい》にあり、そしてアロンはイスラエルの|人々《ひとびと》がささげる|聖《せい》なる|物《もの》、すなわち|彼《かれ》らのもろもろの|聖《せい》なる|供《そな》え|物《もの》についての|罪《つみ》の|責《せ》めを|負《お》うであろう。これは|主《しゅ》の|前《まえ》にそれらの|受《う》けいれられるため、|常《つね》にアロンの|額《ひたい》になければならない。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|亜麻《あま》|糸《いと》で|市松《いちまつ》|模様《もよう》に|下《した》|服《ふく》を|織《お》り、|亜麻《あま》|布《ぬの》で、ずきんを|作《つく》り、また、|帯《おび》を|色《いろ》とりどりに|織《お》って|作《つく》らなければならない。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたアロンの|子《こ》たちのために|下《した》|服《ふく》を|作《つく》り、|彼《かれ》らのために|帯《おび》を|作《つく》り、|彼《かれ》らのために、ずきんを|作《つく》って、|彼《かれ》らに|栄《さか》えと|麗《うるわ》しきをもたせなければならない。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたはこれをあなたの|兄弟《きょうだい》アロンおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいるその|子《こ》たちに|着《き》せ、|彼《かれ》らに|油《あぶら》を|注《そそ》ぎ、|彼《かれ》らを|職《しょく》に|任《にん》じ、|彼《かれ》らを|聖別《せいべつ》し、|祭司《さいし》として、わたしに|仕《つか》えさせなければならない。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]また、|彼《かれ》らのために、その|隠《かく》し|所《ところ》をおおう|亜麻《あま》|布《ぬの》のしたばきを|作《つく》り、|腰《こし》からももに|届《とど》くようにしなければならない。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]アロンとその|子《こ》たちは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいる|時《とき》、あるいは|聖所《せいじょ》で|務《つとめ》をするために|祭壇《さいだん》に|近《ちか》づく|時《とき》に、これを|着《き》なければならない。そうすれば、|彼《かれ》らは|罪《つみ》を|得《え》て|死《し》ぬことはないであろう。これは|彼《かれ》と|彼《かれ》の|後《のち》の|子孫《しそん》とのための|永久《えいきゅう》の|定《さだ》めでなければならない。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らを|聖別《せいべつ》し、|祭司《さいし》としてわたしに|仕《つか》えさせるために、|次《つぎ》の|事《こと》を|彼《かれ》らにしなければならない。すなわち|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》と、きずのない|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》とを|取《と》り、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|種《たね》|入《い》れぬパンと、|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|種《たね》|入《い》れぬ|菓子《かし》と、|油《あぶら》を|塗《ぬ》った|種《たね》|入《い》れぬせんべいとを|取《と》りなさい。これらは|小麦粉《こむぎこ》で|作《つく》らなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてこれを一つのかごに|入《い》れ、そのかごに|入《い》れたまま、かの一|頭《とう》の|雄牛《おうし》および二|頭《とう》の|雄羊《おひつじ》と|共《とも》に|携《たずさ》えてこなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたアロンとその|子《こ》たちを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|連《つ》れてきて、|水《みず》で|彼《かれ》らを|洗《あら》い|清《きよ》め、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|衣服《いふく》を|取《と》り、|下《した》|服《ふく》とエポデに|属《ぞく》する|上服《うわふく》と、エポデと|胸当《むねあて》とをアロンに|着《き》せ、エポデの|帯《おび》を|締《し》めさせなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》の|頭《あたま》に|帽子《ぼうし》をかぶらせ、その|帽子《ぼうし》の|上《うえ》にかの|聖《せい》なる|冠《かんむり》をいただかせ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|注《そそ》ぎ|油《あぶら》を|取《と》って|彼《かれ》の|頭《あたま》にかけ、|彼《かれ》に|油《あぶら》|注《そそ》ぎをしなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|彼《かれ》の|子《こ》たちを|連《つ》れてきて|下《した》|服《ふく》を|着《き》せ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》ら、すなわちアロンとその|子《こ》たちに|帯《おび》を|締《し》めさせ、ずきんをかぶらせなければならない。|祭司《さいし》の|職《しょく》は|永久《えいきゅう》の|定《さだ》めによって|彼《かれ》らに|帰《き》するであろう。あなたはこうして、アロンとその|子《こ》たちを|職《しょく》に|任《にん》じなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》に|雄牛《おうし》を|引《ひ》いてきて、アロンとその|子《こ》たちは、その|雄羊《おひつじ》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》かなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で、|主《しゅ》の|前《まえ》にその|雄牛《おうし》をほふり、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》の|血《ち》を|取《と》り、|指《ゆび》をもって、これを|祭壇《さいだん》の|角《つの》につけ、その|残《のこ》りの|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|基《もとい》に|注《そそ》ぎかけなさい。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また、その|内臓《ないぞう》をおおうすべての|脂肪《しぼう》と|肝臓《かんぞう》の|小葉《しょうよう》と、二つの|腎臓《じんぞう》と、その|上《うえ》の|脂肪《しぼう》とを|取《と》って、これを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|雄牛《おうし》の|肉《にく》と|皮《かわ》と|汚物《おぶつ》とは、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》で|火《ひ》で|焼《や》き|捨《す》てなければならない。これは|罪祭《ざいさい》である。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、かの|雄羊《おひつじ》の一|頭《とう》を|取《と》り、そしてアロンとその|子《こ》たちは、その|雄羊《おひつじ》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》かなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|雄羊《おひつじ》をほふり、その|血《ち》を|取《と》って、|祭壇《さいだん》の四つの|側面《そくめん》に|注《そそ》ぎかけなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またその|雄羊《おひつじ》を|切《き》り|裂《さ》き、その|内臓《ないぞう》と、その|足《あし》とを|洗《あら》って、これをその|肉《にく》の|切《き》れ、および|頭《とう》と|共《とも》に|置《お》き、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|雄羊《おひつじ》をみな|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。これは|主《しゅ》にささげる|燔祭《はんさい》である。すなわち、これは|香《こう》ばしいかおりであって、|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》である。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|雄羊《おひつじ》の|他《た》の一|頭《とう》を|取《と》り、アロンとその|子《こ》たちは、その|雄羊《おひつじ》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》かなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたはその|雄羊《おひつじ》をほふり、その|血《ち》を|取《と》って、アロンの|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶと、その|子《こ》たちの|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶとにつけ、また|彼《かれ》らの|右《みぎ》の|手《て》の|親指《おやゆび》と、|右《みぎ》の|足《あし》の|親指《おやゆび》とにつけ、その|残《のこ》りの|血《ち》を|祭壇《さいだん》の四つの|側面《そくめん》に|注《そそ》ぎかけなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また|祭壇《さいだん》の|上《うえ》の|血《ち》および|注《そそ》ぎ|油《あぶら》を|取《と》って、アロンとその|衣服《いふく》、およびその|子《こ》たちと、その|子《こ》たちの|衣服《いふく》とに|注《そそ》がなければならない。|彼《かれ》とその|衣服《いふく》、およびその|子《こ》らと、その|衣服《いふく》とは|聖別《せいべつ》されるであろう。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、その|雄羊《おひつじ》の|脂肪《しぼう》、|脂《あぶら》|尾《お》、|内臓《ないぞう》をおおう|脂肪《しぼう》、|肝臓《かんぞう》の|小葉《しょうよう》、二つの|腎臓《じんぞう》、その|上《うえ》の|脂肪《しぼう》、および|右《みぎ》のももを|取《と》らなければならない。これは|任《にん》|職《しょく》の|雄羊《おひつじ》である。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|前《まえ》にある|種《たね》|入《い》れぬパンのかごの|中《なか》からパン一|個《こ》と、|油《あぶら》|菓子《かし》一|個《こ》と、せんべい一|個《こ》とを|取《と》り、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これをみなアロンの|手《て》と、その|子《こ》たちの|手《て》に|置《お》き、これを|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして、|揺祭《ようさい》としなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたはこれを|彼《かれ》らの|手《て》から|受《う》け|取《と》り、|燔祭《はんさい》に|加《くわ》えて|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》き、|主《しゅ》の|前《まえ》に|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。これは|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》である。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、アロンの|任《にん》|職《しょく》の|雄羊《おひつじ》の|胸《むね》を|取《と》り、これを|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして、|揺祭《ようさい》としなければならない。これはあなたの|受《う》ける|分《ぶん》となるであろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはアロンとその|子《こ》たちの|任《にん》|職《しょく》の|雄羊《おひつじ》の|胸《むね》ともも、すなわち|揺《ゆ》り|動《うご》かした|揺祭《ようさい》の|胸《むね》と、ささげたももとを|聖別《せいべつ》しなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルの|人々《ひとびと》から|永久《えいきゅう》に、アロンとその|子《こ》たちの|受《う》くべきささげ|物《もの》であって、イスラエルの|人々《ひとびと》の|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|中《なか》から|受《う》くべきもの、すなわち|主《しゅ》にささげるささげ|物《もの》である。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|聖《せい》なる|衣服《いふく》は|彼《かれ》の|後《のち》の|子孫《しそん》に|帰《き》すべきである。|彼《かれ》らはこれを|着《き》て、|油《あぶら》|注《そそ》がれ、|職《しょく》に|任《にん》ぜられなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》たちのうち、|彼《かれ》に|代《かわ》って|祭司《さいし》となり、|聖所《せいじょ》で|仕《つか》えるために|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいる|者《もの》は、|七日《なぬか》の|間《あいだ》これを|着《き》なければならない。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|任《にん》|職《しょく》の|雄羊《おひつじ》を|取《と》り、|聖《せい》なる|場所《ばしょ》でその|肉《にく》を|煮《に》なければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]アロンとその|子《こ》たちは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で、その|雄羊《おひつじ》の|肉《にく》と、かごの|中《なか》のパンとを|食《た》べなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|職《しょく》に|任《にん》じ、|聖別《せいべつ》するため、あがないに|用《もち》いたこれらのものを、|彼《かれ》らは|食《た》べなければならない。|他《た》の|人《ひと》はこれを|食《た》べてはならない。これは|聖《せい》なる|物《もの》だからである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]もし|任《にん》|職《しょく》の|肉《にく》、あるいはパンのうち、|朝《あさ》まで|残《のこ》るものがあれば、その|残《のこ》りは|火《ひ》で|焼《や》かなければならない。これは|聖《せい》なる|物《もの》だから|食《た》べてはならない。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしがすべて|命《めい》じるように、アロンとその|子《こ》たちにしなければならない。すなわち|彼《かれ》らのために|七日《なぬか》のあいだ、|任《にん》|職《しょく》の|式《しき》を|行《おこな》わなければならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|毎日《まいにち》、あがないのために、|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》一|頭《とう》をささげなければならない。また|祭壇《さいだん》のために、あがないをなす|時《とき》、そのために|罪祭《ざいさい》をささげ、また、これに|油《あぶら》を|注《そそ》いで|聖別《せいべつ》しなさい。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|祭壇《さいだん》のために、あがないをして、これを|聖別《せいべつ》しなければならない。こうして|祭壇《さいだん》は、いと|聖《せい》なる|物《もの》となり、すべて|祭壇《さいだん》に|触《ふ》れる|者《もの》は|聖《せい》となるであろう。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささぐべき|物《もの》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|当歳《とうさい》の|小羊《こひつじ》二|頭《とう》を|毎日《まいにち》|絶《た》やすことなくささげなければならない。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]その一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》は|朝《あさ》にこれをささげ、|他《た》の一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》は|夕《ゆう》にこれをささげなければならない。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》には、つぶして|取《と》った|油《あぶら》一ヒンの四|分《ぶん》の一をまぜた|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の一エパを|添《そ》え、また|灌祭《かんさい》として、ぶどう|酒《しゅ》一ヒンの四|分《ぶん》の一を|添《そ》えなければならない。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|他《た》の一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》は|夕《ゆう》にこれをささげ、|朝《あさ》の|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》と|同《おな》じものをこれに|添《そ》えてささげ、|香《こう》ばしいかおりのために|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》としなければならない。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたが|代々《よよ》|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で、|主《しゅ》の|前《まえ》に|絶《た》やすことなく、ささぐべき|燔祭《はんさい》である。わたしはその|所《ところ》であなたに|会《あ》い、あなたと|語《かた》るであろう。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]また、その|所《ところ》でわたしはイスラエルの|人々《ひとびと》に|会《あ》うであろう。|幕屋《まくや》はわたしの|栄光《えいこう》によって|聖別《せいべつ》されるであろう。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と|祭壇《さいだん》とを|聖別《せいべつ》するであろう。またアロンとその|子《こ》たちを|聖別《せいべつ》し、|祭司《さいし》としてわたしに|仕《つか》えさせるであろう。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|住《す》んで、|彼《かれ》らの|神《かみ》となるであろう。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》らのうちに|住《す》むために、|彼《かれ》らをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》した|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》であることを|彼《かれ》らは|知《し》るであろう。わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》である。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|香《こう》をたく|祭壇《さいだん》を|造《つく》らなければならない。アカシヤ|材《ざい》でこれを|造《つく》り、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|長《なが》さ一キュビト、|幅《はば》一キュビトの四|角《かく》にし、|高《たか》さ二キュビトで、これにその|一部《いちぶ》として|角《つの》をつけなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|頂《いただき》、その四つの|側面《そくめん》、およびその|角《つの》を|純金《じゅんきん》でおおい、その|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》り、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、その|両側《りょうがわ》に、|飾《かざ》り|縁《ふち》の|下《した》に|金《きん》の|環《かん》二つをこれのために|造《つく》らなければならない。すなわち、その二つの|側《がわ》にこれを|造《つく》らなければならない。これはそれをかつぐさおを|通《とお》すところである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そのさおはアカシヤ|材《ざい》で|造《つく》り、|金《きん》でおおわなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれを、あかしの|箱《はこ》の|前《まえ》にある|垂幕《たれまく》の|前《まえ》に|置《お》いて、わたしがあなたと|会《あ》うあかしの|箱《はこ》の|上《うえ》にある|贖罪所《しょくざいしょ》に|向《む》かわせなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アロンはその|上《うえ》で|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》をたかなければならない。|朝《あさ》ごとに、ともしびを|整《ととの》える|時《とき》、これをたかなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アロンはまた|夕《ゆう》べにともしびをともす|時《とき》にも、これをたかなければならない。これは|主《しゅ》の|前《まえ》にあなたがたが|代々《よよ》に|絶《た》やすことなく、ささぐべき|薫香《くんこう》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはその|上《うえ》で|異《こと》なる|香《こう》をささげてはならない。|燔祭《はんさい》をも|素祭《そさい》をもその|上《うえ》でささげてはならない。また、その|上《うえ》に|灌祭《かんさい》を|注《そそ》いではならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アロンは|年《ねん》に一|度《ど》その|角《つの》に|血《ち》をつけてあがないをしなければならない。すなわち、あがないの|罪祭《ざいさい》の|血《ち》をもって|代々《よよ》にわたり、|年《ねん》に一|度《ど》これがために、あがないをしなければならない。これは|主《しゅ》に|最《もっと》も|聖《せい》なるものである」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがイスラエルの|人々《ひとびと》の|数《かず》の|総計《そうけい》をとるに|当《あた》り、おのおのその|数《かぞ》えられる|時《とき》、その|命《いのち》のあがないを|主《しゅ》にささげなければならない。これは|数《かぞ》えられる|時《とき》、|彼《かれ》らのうちに|災《わざわい》の|起《おこ》らないためである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|数《かず》に|入《い》る|者《もの》は|聖所《せいじょ》のシケルで、|半《はん》シケルを|払《はら》わなければならない。一シケルは二十ゲラであって、おのおの|半《はん》シケルを|主《しゅ》にささげ|物《もの》としなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すべて|数《かず》に|入《い》る二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》は、|主《しゅ》にささげ|物《もの》をしなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|命《いのち》をあがなうために、|主《しゅ》にささげ|物《もの》をする|時《とき》、|富《と》める|者《もの》も|半《はん》シケルより|多《おお》く|出《だ》してはならず、|貧《まず》しい|者《もの》もそれより|少《すく》なく|出《だ》してはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはイスラエルの|人々《ひとびと》から、あがないの|銀《ぎん》を|取《と》って、これを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|用《よう》に|当《あ》てなければならない。これは|主《しゅ》の|前《まえ》にイスラエルの|人々《ひとびと》のため|記念《きねん》となって、あなたがたの|命《いのち》をあがなうであろう」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはまた|洗《あら》うために|洗盤《せんばん》と、その|台《だい》を|青銅《せいどう》で|造《つく》り、それを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と|祭壇《さいだん》との|間《あいだ》に|置《お》いて、その|中《なか》に|水《みず》を|入《い》れ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アロンとその|子《こ》たちは、それで|手《て》と|足《あし》とを|洗《あら》わなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいる|時《とき》、|水《みず》で|洗《あら》って、|死《し》なないようにしなければならない。また|祭壇《さいだん》に|近《ちか》づいて、その|務《つとめ》をなし、|火祭《かさい》を|主《しゅ》にささげる|時《とき》にも、そうしなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|手《て》、その|足《あし》を|洗《あら》って、|死《し》なないようにしなければならない。これは|彼《かれ》とその|子孫《しそん》の|代々《よよ》にわたる|永久《えいきゅう》の|定《さだ》めでなければならない」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはまた|最《もっと》も|良《よ》い|香料《こうりょう》を|取《と》りなさい。すなわち|液体《えきたい》の|没薬《もつやく》五百シケル、|香《こう》ばしい|肉桂《にっけい》をその|半《なか》ば、すなわち二百五十シケル、におい|菖蒲《しょうぶ》二百五十シケル、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|桂《けい》|枝《し》五百シケルを|聖所《せいじょ》のシケルで|取《と》り、また、オリブの|油《あぶら》一ヒンを|取《と》りなさい。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれを|聖《せい》なる|注《そそ》ぎ|油《あぶら》、すなわち|香油《こうゆ》を|造《つく》るわざにしたがい、まぜ|合《あ》わせて、におい|油《あぶら》に|造《つく》らなければならない。これは|聖《せい》なる|注《そそ》ぎ|油《あぶら》である。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこの|油《あぶら》を|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と、あかしの|箱《はこ》とに|注《そそ》ぎ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|机《つくえ》と、そのもろもろの|器《うつわ》、|燭台《しょくだい》と、そのもろもろの|器《うつわ》、|香《こう》の|祭壇《さいだん》、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》と、そのもろもろの|器《うつわ》、|洗盤《せんばん》と、その|台《だい》とに|油《あぶら》を|注《そそ》ぎ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これらをきよめて|最《もっと》も|聖《せい》なる|物《もの》としなければならない。すべてこれに|触《ふ》れる|者《もの》は|聖《せい》となるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはアロンとその|子《こ》たちに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、|彼《かれ》らを|聖別《せいべつ》し、|祭司《さいし》としてわたしに|仕《つか》えさせなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》わなければならない、『これはあなたがたの|代々《よよ》にわたる、わたしの|聖《せい》なる|注《そそ》ぎ|油《あぶら》であって、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|常《つね》の|人《ひと》の|身《み》にこれを|注《そそ》いではならない。またこの|割合《わりあい》をもって、これと|等《ひと》しいものを|造《つく》ってはならない。これは|聖《せい》なるものであるから、あなたがたにとっても|聖《せい》なる|物《もの》でなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]すべてこれと|等《ひと》しい|物《もの》を|造《つく》る|者《もの》、あるいはこれを|祭司《さいし》|以外《いがい》の|人《ひと》につける|者《もの》は、|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう』」。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた、モーセに|言《い》われた、「あなたは|香料《こうりょう》、すなわち|蘇《そ》|合《ごう》|香《こう》、シケレテ|香《こう》、|楓《ふう》|子《し》|香《こう》、|純粋《じゅんすい》の|乳香《にゅうこう》の|香料《こうりょう》を|取《と》りなさい。おのおの|同《おな》じ|量《りょう》でなければならない。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれをもって|香《こう》、すなわち|香料《こうりょう》をつくるわざにしたがって|薫香《くんこう》を|造《つく》り、|塩《しお》を|加《くわ》え、|純《じゅん》にして|聖《せい》なる|物《もの》としなさい。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]また、その|幾《いく》ぶんを|細《こま》かに|砕《くだ》き、わたしがあなたと|会《あ》う|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にある、あかしの|箱《はこ》の|前《まえ》にこれを|供《そな》えなければならない。これはあなたがたに|最《もっと》も|聖《せい》なるものである。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|造《つく》る|香《こう》の|同《おな》じ|割合《わりあい》をもって、それを|自分《じぶん》のために|造《つく》ってはならない。これはあなたにとって|主《しゅ》に|聖《せい》なるものでなければならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]すべてこれと|等《ひと》しいものを|造《つく》って、これをかぐ|者《もの》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう」。 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、わたしはユダの|部族《ぶぞく》に|属《ぞく》するホルの|子《こ》なるウリの|子《こ》ベザレルを|名《な》ざして|召《め》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これに|神《かみ》の|霊《れい》を|満《み》たして、|知恵《ちえ》と|悟《さと》りと|知識《ちしき》と|諸種《しょしゅ》の|工作《こうさく》に|長《ちょう》ぜしめ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|工夫《くふう》を|凝《こ》らして|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》の|細工《さいく》をさせ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|宝石《ほうせき》を|切《き》りはめ、|木《き》を|彫刻《ちょうこく》するなど、|諸種《しょしゅ》の|工作《こうさく》をさせるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはまたダンの|部族《ぶぞく》に|属《ぞく》するアヒサマクの|子《こ》アホリアブを|彼《かれ》と|共《とも》ならせ、そしてすべて|賢《かしこ》い|者《もの》の|心《こころ》に|知恵《ちえ》を|授《さづ》け、わたしがあなたに|命《めい》じたものを、ことごとく|彼《かれ》らに|造《つく》らせるであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》、あかしの|箱《はこ》、その|上《うえ》にある|贖罪所《しょくざいしょ》、|幕屋《まくや》のもろもろの|器《うつわ》、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|机《つくえ》とその|器《うつわ》、|純金《じゅんきん》の|燭台《しょくだい》と、そのもろもろの|器《うつわ》、|香《こう》の|祭壇《さいだん》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》とそのもろもろの|器《うつわ》、|洗盤《せんばん》とその|台《だい》、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|編物《あみもの》の|服《ふく》、すなわち|祭司《さいし》の|務《つとめ》をするための|祭司《さいし》アロンの|聖《せい》なる|服《ふく》、およびその|子《こ》たちの|服《ふく》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|注《そそ》ぎ|油《あぶら》、|聖所《せいじょ》のための|香《こう》ばしい|香《こう》などを、すべてわたしがあなたに|命《めい》じたように|造《つく》らせるであろう」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたは|必《かなら》ずわたしの|安息日《あんそくにち》を|守《まも》らなければならない。これはわたしとあなたがたとの|間《あいだ》の、|代々《よよ》にわたるしるしであって、わたしがあなたがたを|聖別《せいべつ》する|主《しゅ》であることを、|知《し》らせるためのものである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは|安息日《あんそくにち》を|守《まも》らなければならない。これはあなたがたに|聖《せい》なる|日《ひ》である。すべてこれを|汚《けが》す|者《もの》は|必《かなら》ず|殺《ころ》され、すべてこの|日《ひ》に|仕事《しごと》をする|者《もの》は、|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》のあいだは|仕事《しごと》をしなさい。|七日《なぬか》|目《め》は|全《まった》き|休《やす》みの|安息日《あんそくにち》で、|主《しゅ》のために|聖《せい》である。すべて|安息日《あんそくにち》に|仕事《しごと》をする|者《もの》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ゆえに、イスラエルの|人々《ひとびと》は|安息日《あんそくにち》を|覚《おぼ》え、|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》として、|代々《よよ》|安息日《あんそくにち》を|守《まも》らなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これは|永遠《えいえん》にわたしとイスラエルの|人々《ひとびと》との|間《あいだ》のしるしである。それは|主《しゅ》が六|日《か》のあいだに|天地《てんち》を|造《つく》り、|七日《なぬか》|目《め》に|休《やす》み、かつ、いこわれたからである』」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシナイ|山《さん》でモーセに|語《かた》り|終《お》えられたとき、あかしの|板《いた》二|枚《まい》、すなわち|神《かみ》が|指《ゆび》をもって|書《か》かれた|石《いし》の|板《いた》をモーセに|授《さづ》けられた。 第三二章[#「第三二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はモーセが|山《やま》を|下《くだ》ることのおそいのを|見《み》て、アロンのもとに|集《あつ》まって|彼《かれ》に|言《い》った、「さあ、わたしたちに|先立《さきだ》って|行《ゆ》く|神《かみ》を、わたしたちのために|造《つく》ってください。わたしたちをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》きのぼった|人《ひと》、あのモーセはどうなったのかわからないからです」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アロンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたの|妻《つま》、むすこ、|娘《むすめ》らの|金《きん》の|耳輪《みみわ》をはずしてわたしに|持《も》ってきなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》は|皆《みな》その|金《きん》の|耳輪《みみわ》をはずしてアロンのもとに|持《も》ってきた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アロンがこれを|彼《かれ》らの|手《て》から|受《う》け|取《と》り、|工具《こうぐ》で|型《かた》を|造《つく》り、|鋳《い》て|子《こ》|牛《うし》としたので、|彼《かれ》らは|言《い》った、「イスラエルよ、これはあなたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》きのぼったあなたの|神《かみ》である」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アロンはこれを|見《み》て、その|前《まえ》に|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。そしてアロンは|布告《ふこく》して|言《い》った、「あすは|主《しゅ》の|祭《まつり》である」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》はあくる|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて|燔祭《はんさい》をささげ、|酬恩祭《しゅうおんさい》を|供《そな》えた。|民《たみ》は|座《ざ》して|食《く》い|飲《の》みし、|立《た》って|戯《ざ》れた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|急《いそ》いで|下《くだ》りなさい。あなたがエジプトの|国《くに》から|導《みちび》きのぼったあなたの|民《たみ》は|悪《わる》いことをした。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|早《はや》くもわたしが|命《めい》じた|道《みち》を|離《はな》れ、|自分《じぶん》のために|鋳物《いもの》の|子《こ》|牛《うし》を|造《つく》り、これを|拝《おが》み、これに|犠牲《ぎせい》をささげて、『イスラエルよ、これはあなたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》きのぼったあなたの|神《かみ》である』と|言《い》っている」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、「わたしはこの|民《たみ》を|見《み》た。これはかたくなな|民《たみ》である。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それで、わたしをとめるな。わたしの|怒《いか》りは|彼《かれ》らにむかって|燃《も》え、|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしつくすであろう。しかし、わたしはあなたを|大《おお》いなる|国民《こくみん》とするであろう」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはその|神《かみ》、|主《しゅ》をなだめて|言《い》った、「|主《しゅ》よ、|大《おお》いなる|力《ちから》と|強《つよ》き|手《て》をもって、エジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》されたあなたの|民《たみ》にむかって、なぜあなたの|怒《いか》りが|燃《も》えるのでしょうか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]どうしてエジプトびとに『|彼《かれ》は|悪意《あくい》をもって|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》し、|彼《かれ》らを|山地《さんち》で|殺《ころ》し、|地《ち》の|面《めん》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼすのだ』と|言《い》わせてよいでしょうか。どうかあなたの|激《はげ》しい|怒《いか》りをやめ、あなたの|民《たみ》に|下《くだ》そうとされるこの|災《わざわい》を|思《おも》い|直《なお》し、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエルに、あなたが|御《ご》|自身《じしん》をさして|誓《ちか》い、『わたしは|天《てん》の|星《ほし》のように、あなたがたの|子孫《しそん》を|増《ま》し、わたしが|約束《やくそく》したこの|地《ち》を|皆《みな》あなたがたの|子孫《しそん》に|与《あた》えて、|長《なが》くこれを|所有《しょゆう》させるであろう』と|彼《かれ》らに|仰《おお》せられたことを|覚《おぼ》えてください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それで、|主《しゅ》はその|民《たみ》に|下《くだ》すと|言《い》われた|災《わざわい》について|思《おも》い|直《なお》された。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|身《み》を|転《てん》じて|山《やま》を|下《くだ》った。|彼《かれ》の|手《て》には、かの二|枚《まい》のあかしの|板《いた》があった。|板《いた》はその|両面《りょうめん》に|文字《もじ》があった。すなわち、この|面《めん》にも、かの|面《めん》にも|文字《もじ》があった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|板《いた》は|神《かみ》の|作《さく》、その|文字《もじ》は|神《かみ》の|文字《もじ》であって、|板《いた》に|彫《ほ》ったものである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|民《たみ》の|呼《よ》ばわる|声《こえ》を|聞《き》いて、モーセに|言《い》った、「|宿営《しゅくえい》の|中《なか》に|戦《たたか》いの|声《こえ》がします」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、モーセは|言《い》った、「|勝《かち》どきの|声《こえ》でなく、|敗北《はいぼく》の|叫《さけ》び|声《ごえ》でもない。わたしの|聞《き》くのは|歌《うた》の|声《こえ》である」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|宿営《しゅくえい》に|近《ちか》づくと、|子《こ》|牛《うし》と|踊《おど》りとを|見《み》たので、|彼《かれ》は|怒《いか》りに|燃《も》え、|手《て》からかの|板《いた》を|投《な》げうち、これを|山《やま》のふもとで|砕《くだ》いた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らが|造《つく》った|子《こ》|牛《うし》を|取《と》って|火《ひ》に|焼《や》き、こなごなに|砕《くだ》き、これを|水《みず》の|上《うえ》にまいて、イスラエルの|人々《ひとびと》に|飲《の》ませた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはアロンに|言《い》った、「この|民《たみ》があなたに|何《なに》をしたので、あなたは|彼《かれ》らに|大《おお》いなる|罪《つみ》を|犯《おか》させたのですか」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アロンは|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、|激《はげ》しく|怒《いか》らないでください。この|民《たみ》の|悪《わる》いのは、あなたがごぞんじです。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしに|言《い》いました、『わたしたちに|先立《さきだ》って|行《い》く|神《かみ》を、わたしたちのために|造《つく》ってください。わたしたちをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》きのぼった|人《ひと》、あのモーセは、どうなったのかわからないからです』。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは『だれでも、|金《きん》を|持《も》っている|者《もの》は、それを|取《と》りはずしなさい』と|彼《かれ》らに|言《い》いました。|彼《かれ》らがそれをわたしに|渡《わた》したので、わたしがこれを|火《ひ》に|投《な》げ|入《い》れると、この|子《こ》|牛《うし》が|出《で》てきたのです」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|民《たみ》がほしいままにふるまったのを|見《み》た。アロンは|彼《かれ》らがほしいままにふるまうに|任《まか》せ、|敵《てき》の|中《なか》に|物笑《ものわら》いとなったからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|宿営《しゅくえい》の|門《もん》に|立《た》って|言《い》った、「すべて|主《しゅ》につく|者《もの》はわたしのもとにきなさい」。レビの|子《こ》たちはみな|彼《かれ》のもとに|集《あつ》まった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、『あなたがたは、おのおの|腰《こし》につるぎを|帯《お》び、|宿営《しゅくえい》の|中《なか》を|門《もん》から|門《もん》へ|行《い》き|巡《めぐ》って、おのおのその|兄弟《きょうだい》、その|友《とも》、その|隣人《りんじん》を|殺《ころ》せ』」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子《こ》たちはモーセの|言葉《ことば》どおりにしたので、その|日《ひ》、|民《たみ》のうち、おおよそ三千|人《にん》が|倒《たお》れた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこで、モーセは|言《い》った、「あなたがたは、おのおのその|子《こ》、その|兄弟《きょうだい》に|逆《さか》らって、きょう、|主《しゅ》に|身《み》をささげた。それで|主《しゅ》は、きょう、あなたがたに|祝福《しゅくふく》を|与《あた》えられるであろう」。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あくる|日《ひ》、モーセは|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|大《おお》いなる|罪《つみ》を|犯《おか》した。それで|今《いま》、わたしは|主《しゅ》のもとに|上《のぼ》って|行《い》く。あなたがたの|罪《つみ》を|償《つぐな》うことが、できるかも|知《し》れない」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》のもとに|帰《かえ》って、そして|言《い》った、「ああ、この|民《たみ》は|大《おお》いなる|罪《つみ》を|犯《おか》し、|自分《じぶん》のために|金《きん》の|神《かみ》を|造《つく》りました。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》もしあなたが、|彼《かれ》らの|罪《つみ》をゆるされますならば――。しかし、もしかなわなければ、どうぞあなたが|書《か》きしるされたふみから、わたしの|名《な》を|消《け》し|去《さ》ってください」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「すべてわたしに|罪《つみ》を|犯《おか》した|者《もの》は、これをわたしのふみから|消《け》し|去《さ》るであろう。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|今《いま》あなたは|行《い》って、わたしがあなたに|告《つ》げたところに|民《たみ》を|導《みちび》きなさい。|見《み》よ、わたしの|使《つかい》はあなたに|先立《さきだ》って|行《い》くであろう。ただし|刑罰《けいばつ》の|日《ひ》に、わたしは|彼《かれ》らの|罪《つみ》を|罰《ばっ》するであろう」。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|民《たみ》を|撃《う》たれた。|彼《かれ》らが|子《こ》|牛《うし》を|造《つく》ったからである。それはアロンが|造《つく》ったのである。 第三三章[#「第三三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたと、あなたがエジプトの|国《くに》から|導《みちび》きのぼった|民《たみ》とは、ここを|立《た》ってわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに|誓《ちか》って、『これをあなたの|子孫《しそん》に|与《あた》える』と|言《い》った|地《ち》にのぼりなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはひとりの|使《つかい》をつかわしてあなたに|先立《さきだ》たせ、カナンびと、アモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとを|追《お》い|払《はら》うであろう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》にのぼりなさい。しかし、あなたがたは、かたくなな|民《たみ》であるから、わたしが|道《みち》であなたがたを|滅《ほろ》ぼすことのないように、あなたがたのうちにあって|一緒《いっしょ》にはのぼらないであろう」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はこの|悪《わる》い|知《し》らせを|聞《き》いて|憂《うれ》い、ひとりもその|飾《かざ》りを|身《み》に|着《つ》ける|者《もの》はなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたは、かたくなな|民《たみ》である。もしわたしが|一刻《いっこく》でも、あなたがたのうちにあって、|一緒《いっしょ》にのぼって|行《い》くならば、あなたがたを|滅《ほろ》ぼすであろう。ゆえに、|今《いま》、あなたがたの|飾《かざ》りを|身《み》から|取《と》り|去《さ》りなさい。そうすればわたしはあなたがたになすべきことを|知《し》るであろう』」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それで、イスラエルの|人々《ひとびと》はホレブ|山《やま》|以来《いらい》その|飾《かざ》りを|取《と》り|除《のぞ》いていた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|幕屋《まくや》を|取《と》って、これを|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に、|宿営《しゅくえい》を|離《はな》れて|張《は》り、これを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と|名《な》づけた。すべて|主《しゅ》に|伺《うかが》い|事《こと》のある|者《もの》は|出《で》て、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》にある|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|行《い》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|出《で》て、|幕屋《まくや》に|行《い》く|時《とき》には、|民《たみ》はみな|立《た》ちあがり、モーセが|幕屋《まくや》にはいるまで、おのおのその|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》に|立《た》って|彼《かれ》を|見送《みおく》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|幕屋《まくや》にはいると、|雲《くも》の|柱《はしら》が|下《くだ》って|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|立《た》った。そして|主《しゅ》はモーセと|語《かた》られた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はみな|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|雲《くも》の|柱《はしら》が|立《た》つのを|見《み》ると、|立《た》っておのおの|自分《じぶん》の|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》で|礼拝《れいはい》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がその|友《とも》と|語《かた》るように、|主《しゅ》はモーセと|顔《かお》を|合《あ》わせて|語《かた》られた。こうしてモーセは|宿営《しゅくえい》に|帰《かえ》ったが、その|従者《じゅうしゃ》なる|若者《わかもの》、ヌンの|子《こ》ヨシュアは|幕屋《まくや》を|離《はな》れなかった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》に|言《い》った、「ごらんください。あなたは『この|民《たみ》を|導《みちび》きのぼれ』とわたしに|言《い》いながら、わたしと|一緒《いっしょ》につかわされる|者《もの》を|知《し》らせてくださいません。しかも、あなたはかつて『わたしはお|前《まえ》を|選《えら》んだ。お|前《まえ》はまたわたしの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》た』と|仰《おお》せになりました。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》、わたしがもし、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ますならば、どうか、あなたの|道《みち》を|示《しめ》し、あなたをわたしに|知《し》らせ、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》させてください。また、この|国民《こくみん》があなたの|民《たみ》であることを|覚《おぼ》えてください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた「わたし|自身《じしん》が|一緒《いっしょ》に|行《い》くであろう。そしてあなたに|安息《あんそく》を|与《あた》えるであろう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》に|言《い》った「もしあなた|自身《じしん》が|一緒《いっしょ》に|行《い》かれないならば、わたしたちをここからのぼらせないでください。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしとあなたの|民《たみ》とが、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ることは、|何《なに》によって|知《し》られましょうか。それはあなたがわたしたちと|一緒《いっしょ》に|行《い》かれて、わたしとあなたの|民《たみ》とが、|地《ち》の|面《めん》にある|諸民《しょみん》と|異《こと》なるものになるからではありませんか」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたはわたしの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》、またわたしは|名《な》をもってあなたを|知《し》るから、あなたの|言《い》ったこの|事《こと》をもするであろう」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「どうぞ、あなたの|栄光《えいこう》をわたしにお|示《しめ》しください」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしはわたしのもろもろの|善《ぜん》をあなたの|前《まえ》に|通《とお》らせ、|主《しゅ》の|名《な》をあなたの|前《まえ》にのべるであろう。わたしは|恵《めぐ》もうとする|者《もの》を|恵《めぐ》み、あわれもうとする|者《もの》をあわれむ」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》われた、「しかし、あなたはわたしの|顔《かお》を|見《み》ることはできない。わたしを|見《み》て、なお|生《い》きている|人《ひと》はないからである」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしのかたわらに一つの|所《ところ》がある。あなたは|岩《いわ》の|上《うえ》に|立《た》ちなさい。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|栄光《えいこう》がそこを|通《とお》り|過《す》ぎるとき、わたしはあなたを|岩《いわ》の|裂《さ》け|目《め》に|入《い》れて、わたしが|通《とお》り|過《す》ぎるまで、|手《て》であなたをおおうであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしが|手《て》をのけるとき、あなたはわたしのうしろを|見《み》るが、わたしの|顔《かお》は|見《み》ないであろう」。 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたは|前《まえ》のような|石《いし》の|板《いた》二|枚《まい》を、|切《き》って|造《つく》りなさい。わたしはあなたが|砕《くだ》いた|初《はじ》めの|板《いた》にあった|言葉《ことば》を、その|板《いた》に|書《か》くであろう。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|朝《あさ》までに|備《そな》えをし、|朝《あさ》のうちにシナイ|山《さん》に|登《のぼ》って、|山《やま》の|頂《いただき》でわたしの|前《まえ》に|立《た》ちなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]だれもあなたと|共《とも》に|登《のぼ》ってはならない。また、だれも|山《やま》の|中《なか》にいてはならない。また|山《やま》の|前《まえ》で|羊《ひつじ》や|牛《うし》を|飼《か》っていてはならない」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|前《まえ》のような|石《いし》の|板《いた》二|枚《まい》を、|切《き》って|造《つく》り、|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて、|主《しゅ》が|彼《かれ》に|命《めい》じられたようにシナイ|山《さん》に|登《のぼ》った。|彼《かれ》はその|手《て》に|石《いし》の|板《いた》二|枚《まい》をとった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ときに|主《しゅ》は|雲《くも》の|中《なか》にあって|下《くだ》り、|彼《かれ》と|共《とも》にそこに|立《た》って|主《しゅ》の|名《な》を|宣《の》べられた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》の|前《まえ》を|過《す》ぎて|宣《の》べられた。「|主《しゅ》、|主《しゅ》、あわれみあり、|恵《めぐ》みあり、|怒《いか》ることおそく、いつくしみと、まこととの|豊《ゆた》かなる|神《かみ》、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]いつくしみを千|代《だい》までも|施《ほどこ》し、|悪《あく》と、とがと、|罪《つみ》とをゆるす|者《もの》、しかし、|罰《ばつ》すべき|者《もの》をば|決《けっ》してゆるさず、|父《ちち》の|罪《つみ》を|子《こ》に|報《むく》い、|子《こ》の|子《こ》に|報《むく》いて、三、四|代《だい》におよぼす|者《もの》」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|急《いそ》ぎ|地《ち》に|伏《ふ》して|拝《はい》し、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》った、「ああ|主《しゅ》よ、わたしがもし、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ますならば、かたくなな|民《たみ》ですけれども、どうか|主《しゅ》がわたしたちのうちにあって|一緒《いっしょ》に|行《い》ってください。そしてわたしたちの|悪《あく》と|罪《つみ》とをゆるし、わたしたちをあなたのものとしてください」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしは|契約《けいやく》を|結《むす》ぶ。わたしは|地《ち》のいずこにも、いかなる|民《たみ》のうちにも、いまだ|行《おこな》われたことのない|不思議《ふしぎ》を、あなたのすべての|民《たみ》の|前《まえ》に|行《おこな》うであろう。あなたが|共《とも》に|住《す》む|民《たみ》はみな、|主《しゅ》のわざを|見《み》るであろう。わたしがあなたのためになそうとすることは、|恐《おそ》るべきものだからである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが、きょう、あなたに|命《めい》じることを|守《まも》りなさい。|見《み》よ、わたしはアモリびと、カナンびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとを、あなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》うであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|行《ゆ》く|国《くに》に|住《す》んでいる|者《もの》と、|契約《けいやく》を|結《むす》ばないように、|気《き》をつけなければならない。おそらく|彼《かれ》らはあなたのうちにあって、わなとなるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]むしろあなたがたは、|彼《かれ》らの|祭壇《さいだん》を|倒《たお》し、|石《いし》の|柱《はしら》を|砕《くだ》き、アシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》さなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|他《た》の|神《かみ》を|拝《おが》んではならない。|主《しゅ》はその|名《な》を『ねたみ』と|言《い》って、ねたむ|神《かみ》だからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]おそらくあなたはその|国《くに》に|住《す》む|者《もの》と|契約《けいやく》を|結《むす》び、|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》を|慕《した》って|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、その|神々《かみがみ》に|犠牲《ぎせい》をささげ、|招《まね》かれて|彼《かれ》らの|犠牲《ぎせい》を|食《た》べ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またその|娘《むすめ》たちを、あなたのむすこたちにめとり、その|娘《むすめ》たちが|自分《じぶん》たちの|神々《かみがみ》を|慕《した》って|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、また、あなたのむすこたちをして、|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》を|慕《した》わせ、|姦淫《かんいん》を|行《おこな》わせるに|至《いた》るであろう。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》のために|鋳物《いもの》の|神々《かみがみ》を|造《つく》ってはならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》を|守《まも》らなければならない。すなわち、わたしがあなたに|命《めい》じたように、アビブの|月《つき》の|定《さだ》めの|時《とき》に、|七日《なぬか》のあいだ、|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べなければならない。あなたがアビブの|月《つき》にエジプトを|出《で》たからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すべて|初《はじ》めに|生《うま》れる|者《もの》は、わたしのものである。すべてあなたの|家畜《かちく》のういごの|雄《おす》は、|牛《うし》も|羊《ひつじ》もそうである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただし、ろばのういごは|小羊《こひつじ》であがなわなければならない。もしあがなわないならば、その|首《くび》を|折《お》らなければならない。あなたのむすこのうちのういごは、みなあがなわなければならない。むなし|手《て》でわたしの|前《まえ》に|出《で》てはならない。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは六|日《か》のあいだ|働《はたら》き、|七日《なぬか》|目《め》には|休《やす》まなければならない。|耕《たがや》し|時《どき》にも、|刈入《かりい》れ|時《どき》にも|休《やす》まなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは七|週《しゅう》の|祭《まつり》、すなわち|小麦《こむぎ》|刈《か》りの|初穂《はつほ》の|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならない。また|年《ねん》の|終《おわ》りに|取《と》り|入《い》れの|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|年《ねん》に三|度《ど》、|男子《だんし》はみな|主《しゅ》なる|神《かみ》、イスラエルの|神《かみ》の|前《まえ》に|出《で》なければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|国々《くにぐに》の|民《たみ》をあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》って、あなたの|境《さかい》を|広《ひろ》くするであろう。あなたが|年《ねん》に三|度《ど》のぼって、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》る|時《とき》には、だれもあなたの|国《くに》を|侵《おか》すことはないであろう。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|犠牲《ぎせい》の|血《ち》を、|種《たね》を|入《い》れたパンと|共《とも》に|供《そな》えてはならない。また|過越《すぎこし》の|祭《まつり》の|犠牲《ぎせい》を、|翌朝《よくあさ》まで|残《のこ》して|置《お》いてはならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|土地《とち》の|初穂《はつほ》の|最《もっと》も|良《よ》いものを、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|家《いえ》に|携《たずさ》えてこなければならない。あなたは|子《こ》やぎをその|母《はは》の|乳《ちち》で|煮《に》てはならない」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「これらの|言葉《ことば》を|書《か》きしるしなさい。わたしはこれらの|言葉《ことば》に|基《もとづ》いて、あなたおよびイスラエルと|契約《けいやく》を|結《むす》んだからである」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》と|共《とも》に、四十|日《にち》四十|夜《や》、そこにいたが、パンも|食《た》べず、|水《みず》も|飲《の》まなかった。そして|彼《かれ》は|契約《けいやく》の|言葉《ことば》、|十誡《じっかい》を|板《いた》の|上《うえ》に|書《か》いた。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはそのあかしの|板《いた》二|枚《まい》を|手《て》にして、シナイ|山《さん》から|下《くだ》ったが、その|山《やま》を|下《くだ》ったとき、モーセは、さきに|主《しゅ》と|語《かた》ったゆえに、|顔《かお》の|皮《かわ》が|光《ひかり》を|放《はな》っているのを|知《し》らなかった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]アロンとイスラエルの|人々《ひとびと》とがみな、モーセを|見《み》ると、|彼《かれ》の|顔《かお》の|皮《かわ》が|光《ひかり》を|放《はな》っていたので、|彼《かれ》らは|恐《おそ》れてこれに|近《ちか》づかなかった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らを|呼《よ》んだ。アロンと|会衆《かいしゅう》のかしらたちとがみな、モーセのもとに|帰《かえ》ってきたので、モーセは|彼《かれ》らと|語《かた》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、イスラエルの|人々《ひとびと》がみな|近《ちか》よったので、モーセは|主《しゅ》がシナイ|山《さん》で|彼《かれ》に|語《かた》られたことを、ことごとく|彼《かれ》らにさとした。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らと|語《かた》り|終《お》えた|時《とき》、|顔《かお》おおいを|顔《かお》に|当《あ》てた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]しかしモーセは|主《しゅ》の|前《まえ》に|行《い》って|主《しゅ》と|語《かた》る|時《とき》は、|出《で》るまで|顔《かお》おおいを|取《と》り|除《のぞ》いていた。そして|出《で》て|来《く》ると、その|命《めい》じられた|事《こと》をイスラエルの|人《ひと》|人《ひと》に|告《つ》げた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はモーセの|顔《かお》を|見《み》ると、モーセの|顔《かお》の|皮《かわ》が|光《ひかり》を|放《はな》っていた。モーセは|行《い》って|主《しゅ》と|語《かた》るまで、また|顔《かお》おおいを|顔《かお》に|当《あ》てた。 第三五章[#「第三五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を|集《あつ》めて|言《い》った、「これは|主《しゅ》が|行《おこな》えと|命《めい》じられた|言葉《ことば》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》の|間《あいだ》は|仕事《しごと》をしなさい。|七日《なぬか》|目《め》はあなたがたの|聖日《せいじつ》で、|主《しゅ》の|全《まった》き|休《やす》みの|安息日《あんそくにち》であるから、この|日《ひ》に|仕事《しごと》をする|者《もの》はだれでも|殺《ころ》されなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|安息日《あんそくにち》にはあなたがたのすまいのどこでも|火《ひ》をたいてはならない」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》った、「これは|主《しゅ》が|命《めい》じられたことである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|持《も》ち|物《もの》のうちから、|主《しゅ》にささげる|物《もの》を|取《と》りなさい。すべて、|心《こころ》から|喜《よろこ》んでする|者《もの》は、|主《しゅ》にささげる|物《もの》を|持《も》ってきなさい。すなわち|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》|糸《いと》、やぎの|毛糸《けいと》。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あかね|染《ぞ》めの|雄羊《おひつじ》の|皮《かわ》、じゅごんの|皮《かわ》、アカシヤ|材《ざい》、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ともし|油《あぶら》、|注《そそ》ぎ|油《あぶら》と|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》とのための|香料《こうりょう》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|縞《しま》めのう、エポデと|胸当《むねあて》とにはめる|宝石《ほうせき》。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたがたのうち、|心《こころ》に|知恵《ちえ》ある|者《もの》はきて、|主《しゅ》の|命《めい》じられたものをみな|造《つく》りなさい。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|幕屋《まくや》、その|天幕《てんまく》と、そのおおい、その|鉤《こま》と、その|枠《わく》、その|横木《よこぎ》、その|柱《はしら》と、その|座《ざ》、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|箱《はこ》と、そのさお、|贖罪所《しょくざいしょ》、|隔《へだ》ての|垂幕《たれまく》、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|机《つくえ》と、そのさお、およびそのもろもろの|器《うつわ》、|供《そな》えのパン、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また、ともしびのための|燭台《しょくだい》と、その|器《うつわ》、ともしび|皿《ざら》と、ともし|油《あぶら》、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|香《こう》の|祭壇《さいだん》と、そのさお、|注《そそ》ぎ|油《あぶら》、|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》、|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》のとばり、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》およびその|青銅《せいどう》の|網《あみ》、そのさおと、そのもろもろの|器《うつわ》、|洗盤《せんばん》と、その|台《だい》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》のあげばり、その|柱《はしら》とその|座《ざ》、|庭《にわ》の|門《もん》のとばり、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》の|釘《くぎ》、|庭《にわ》の|釘《くぎ》およびそのひも、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|聖所《せいじょ》における|務《つとめ》のための|編物《あみもの》の|服《ふく》、すなわち|祭司《さいし》の|務《つとめ》をなすための|祭司《さいし》アロンの|聖《せい》なる|服《ふく》およびその|子《こ》たちの|服《ふく》」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はモーセの|前《まえ》を|去《さ》り、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|心《こころ》に|感《かん》じた|者《もの》、すべて|心《こころ》から|喜《よろこ》んでする|者《もの》は、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|作業《さぎょう》と、そのもろもろの|奉仕《ほうし》と、|聖《せい》なる|服《ふく》とのために、|主《しゅ》にささげる|物《もの》を|携《たずさ》えてきた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、すべて|心《こころ》から|喜《よろこ》んでする|男女《だんじょ》は、|鼻輪《はなわ》、|耳輪《みみわ》、|指輪《ゆびわ》、|首飾《くびかざ》り、およびすべての|金《きん》の|飾《かざ》りを|携《たずさ》えてきた。すべて|金《きん》のささげ|物《もの》を|主《しゅ》にささげる|者《もの》はそのようにした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》|糸《いと》、やぎの|毛糸《けいと》、あかね|染《ぞ》めの|雄羊《おひつじ》の|皮《かわ》、じゅごんの|皮《かわ》を|持《も》っている|者《もの》は、それを|携《たずさ》えてきた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]すべて|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》のささげ|物《もの》をささげることのできる|者《もの》は、それを|主《しゅ》にささげる|物《もの》として|携《たずさ》えてきた。また、すべて|組立《くみた》ての|工事《こうじ》に|用《もち》いるアカシヤ|材《ざい》を|持《も》っている|者《もの》は、それを|携《たずさ》えてきた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また、すべて|心《こころ》に|知恵《ちえ》ある|女《おんな》たちは、その|手《て》をもって|紡《つむ》ぎ、その|紡《つむ》いだ|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》|糸《いと》を|携《たずさ》えてきた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すべて|知恵《ちえ》があって、|心《こころ》に|感《かん》じた|女《おんな》たちは、やぎの|毛《け》を|紡《つむ》いだ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また、かしらたちは|縞《しま》めのう、およびエポデと|胸当《むねあて》にはめる|宝石《ほうせき》を|携《たずさ》えてきた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また、ともしびと、|注《そそ》ぎ|油《あぶら》と、|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》のための|香料《こうりょう》と、|油《あぶら》とを|携《たずさ》えてきた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]このようにイスラエルの|人々《ひとびと》は|自発《じはつ》のささげ|物《もの》を|主《しゅ》に|携《たずさ》えてきた。すなわち|主《しゅ》がモーセによって、なせと|命《めい》じられたすべての|工作《こうさく》のために、|物《もの》を|携《たずさ》えてこようと、|心《こころ》から|喜《よろこ》んでする|男女《だんじょ》はみな、そのようにした。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「|見《み》よ、|主《しゅ》はユダの|部族《ぶぞく》に|属《ぞく》するホルの|子《こ》なるウリの|子《こ》ベザレルを|名《な》ざして|召《め》し、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|神《かみ》の|霊《れい》を|満《み》たして、|知恵《ちえ》と|悟《さと》りと|知識《ちしき》と|諸種《しょしゅ》の|工作《こうさく》に|長《ちょう》ぜしめ、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|工夫《くふう》を|凝《こ》らして|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》の|細工《さいく》をさせ、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]また|宝石《ほうせき》を|切《き》りはめ、|木《き》を|彫刻《ちょうこく》するなど、|諸種《しょしゅ》の|工作《こうさく》をさせ、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]また|人《ひと》を|教《おし》えうる|力《ちから》を、|彼《かれ》の|心《こころ》に|授《さづ》けられた。|彼《かれ》とダンの|部族《ぶぞく》に|属《ぞく》するアヒサマクの|子《こ》アホリアブとが、それである。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らに|知恵《ちえ》の|心《こころ》を|満《み》たして、|諸種《しょしゅ》の|工作《こうさく》をさせられた。すなわち|彫刻《ちょうこく》、|浮《う》き|織《おり》および|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》|糸《いと》の|縫取《ぬいと》り、また|機《はた》|織《おり》など|諸種《しょしゅ》の|工作《こうさく》をさせ、|工夫《くふう》を|凝《こ》らして|巧《たく》みなわざをさせられた。 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ベザレルとアホリアブおよびすべて|心《こころ》に|知恵《ちえ》ある|者《もの》、すなわち|主《しゅ》が|知恵《ちえ》と|悟《さと》りとを|授《さづ》けて、|聖所《せいじょ》の|組立《くみた》ての|諸種《しょしゅ》の|工事《こうじ》を、いかになすかを|知《し》らせられた|者《もの》は、すべて|主《しゅ》が|命《めい》じられたようにしなければならない」。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで、モーセはベザレルとアホリアブおよびすべて|心《こころ》に|知恵《ちえ》ある|者《もの》、すなわち、その|心《こころ》に|主《しゅ》が|知恵《ちえ》を|授《さづ》けられた|者《もの》、またきて、その|工事《こうじ》をなそうと|心《こころ》に|望《のぞ》むすべての|者《もの》を|召《め》し|寄《よ》せた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|聖所《せいじょ》の|組立《くみた》ての|工事《こうじ》をするために、イスラエルの|人々《ひとびと》が|携《たずさ》えてきたもろもろのささげ|物《もの》を、モーセから|受《う》け|取《と》ったが、|民《たみ》はなおも|朝《あさ》ごとに、|自発《じはつ》のささげ|物《もの》を|彼《かれ》のもとに|携《たずさ》えてきた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|聖所《せいじょ》のもろもろの|工事《こうじ》をする|賢《かしこ》い|人々《ひとびと》はみな、おのおのしていた|工事《こうじ》をやめて、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]モーセに|言《い》った「|民《たみ》があまりに|多《おお》く|携《たずさ》えて|来《く》るので、|主《しゅ》がせよと|命《めい》じられた|組立《くみた》ての|工事《こうじ》には|余《あま》ります」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|命令《めいれい》を|発《はっ》し、|宿営《しゅくえい》|中《ちゅう》にふれさせて|言《い》った、「|男《おとこ》も|女《おんな》も、もはや|聖所《せいじょ》のために、ささげ|物《もの》をするに|及《およ》ばない」。それで|民《たみ》は|携《たずさ》えて|来《く》ることをやめた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|材料《ざいりょう》はすべての|工事《こうじ》をするのにじゅうぶんで、かつ|余《あま》るからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すべて|工作《こうさく》をする|者《もの》のうちの|心《こころ》に|知恵《ちえ》ある|者《もの》は、十|枚《まい》の|幕《まく》で|幕屋《まくや》を|造《つく》った。すなわち|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》で|造《つく》り、|巧《たく》みなわざをもって、それにケルビムを|織《お》り|出《だ》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|幕《まく》の|長《なが》さは、おのおの二十八キュビト、|幕《まく》の|幅《はば》は、おのおの四キュビトで、|幕《まく》はみな|同《おな》じ|寸法《すんぽう》である。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|幕《まく》五|枚《まい》を|互《たがい》に|連《つら》ね|合《あ》わせ、また|他《た》の五|枚《まい》の|幕《まく》をも|互《たがい》に|連《つら》ね|合《あ》わせ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|一連《いちれん》の|端《はし》にある|幕《まく》の|縁《ふち》に|青色《あおいろ》の|乳《ち》をつけ、|他《た》の|一連《いちれん》の|端《はし》にある|幕《まく》の|縁《ふち》にも、そのようにした。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その一|枚《まい》の|幕《まく》に|乳《ち》五十をつけ、|他《た》の|一連《いちれん》の|幕《まく》の|端《はし》にも、|乳《ち》五十をつけた。その|乳《ち》を|互《たがい》に|相《あい》|向《む》かわせた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そして|金《きん》の|輪《わ》五十を|作《つく》り、その|輪《わ》で、|幕《まく》を|互《たがい》に|連《つら》ね|合《あ》わせたので、一つの|幕屋《まくや》になった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また、やぎの|毛糸《けいと》で|幕《まく》を|作《つく》り、|幕屋《まくや》をおおう|天幕《てんまく》にした。すなわち|幕《まく》十一|枚《まい》を|作《つく》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]おのおのの|幕《まく》の|長《なが》さは三十キュビト、おのおのの|幕《まく》の|幅《はば》は四キュビトで、その十一|枚《まい》の|幕《まく》は|同《おな》じ|寸法《すんぽう》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|幕《まく》五|枚《まい》を一つに|連《つら》ね|合《あ》わせ、また、その|幕《まく》六|枚《まい》を一つに|連《つら》ね|合《あ》わせ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|一連《いちれん》の|端《はし》にある|幕《まく》の|縁《ふち》に、|乳《ち》五十をつけ、|他《た》の|一連《いちれん》の|幕《まく》の|縁《ふち》にも、|乳《ち》五十をつけた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして、|青銅《せいどう》の|輪《わ》五十を|作《つく》り、その|天幕《てんまく》を|連《つら》ね|合《あ》わせて一つにした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また、あかね|染《ぞ》めの|雄羊《おひつじ》の|皮《かわ》で、|天幕《てんまく》のおおいと、じゅごんの|皮《かわ》で、その|上《うえ》にかけるおおいとを|作《つく》った。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》のためにアカシヤ|材《ざい》をもって、|立《たて》|枠《わく》を|造《つく》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|枠《わく》の|長《なが》さは十キュビト、|枠《わく》の|幅《はば》は、おのおの一キュビト|半《はん》とし、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|枠《わく》ごとに二つの|柄《ほぞ》を|造《つく》って、かれとこれとをくい|合《あ》わせ、|幕屋《まくや》のすべての|枠《わく》にこのようにした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》のために|枠《わく》を|造《つく》った。すなわち|南側《みなみがわ》のために|枠《わく》二十を|造《つく》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その二十の|枠《わく》の|下《した》に|銀《ぎん》の|座《ざ》四十を|造《つく》って、この|枠《わく》の|下《した》に、その二つの|柄《ほぞ》のために二つの|座《ざ》を|置《お》き、かの|枠《わく》の|下《した》にも、その二つの|柄《ほぞ》のために二つの|座《ざ》を|置《お》いた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》の|他《た》の|側《がわ》、すなわち|北側《きたがわ》のためにも|枠《わく》二十を|造《つく》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|銀《ぎん》の|座《ざ》四十を|造《つく》って、この|枠《わく》の|下《した》にも二つの|座《ざ》を|置《お》き、かの|枠《わく》の|下《した》にも二つの|座《ざ》を|置《お》いた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》のうしろ、|西側《にしがわ》のために|枠《わく》六つを|造《つく》り、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》のうしろの二つのすみのために|枠《わく》二つを|造《つく》った。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これらは、|下《した》で|重《かさ》なり|合《あ》い、|同《おな》じくその|頂《いただき》でも|第《だい》一の|環《かん》まで|重《かさ》なり|合《あ》うようにし、その二つとも二つのすみのために、そのように|造《つく》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして、その|枠《わく》は八つ、その|銀《ぎん》の|座《ざ》は十六、おのおのの|枠《わく》の|下《した》に、二つずつ|座《ざ》があった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》の|横木《よこぎ》を|造《つく》った。すなわち|幕屋《まくや》のこの|側《がわ》の|枠《わく》のために五つ、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》のかの|側《がわ》の|枠《わく》のために|横木《よこぎ》五つ、|幕屋《まくや》のうしろの|西側《にしがわ》の|枠《わく》のために|横木《よこぎ》五つを|造《つく》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|枠《わく》のまん|中《なか》にある|中央《ちゅうおう》の|横木《よこぎ》は、|端《はし》から|端《はし》まで|通《とお》るようにした。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|枠《わく》を|金《きん》でおおい、また|横木《よこぎ》を|通《とお》すその|環《かん》を|金《きん》で|造《つく》り、またその|横木《よこぎ》を|金《きん》でおおった。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]また|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で、|垂幕《たれまく》を|作《つく》り、|巧《たく》みなわざをもって、それにケルビムを|織《お》り|出《だ》した。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]また、これがためにアカシヤ|材《ざい》の|柱《はしら》四|本《ほん》を|作《つく》り、|金《きん》でこれをおおい、その|鉤《こま》を|金《きん》にし、その|柱《はしら》のために|銀《ぎん》の|座《ざ》四つを|鋳《い》た。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》のために|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で、|色《いろ》とりどりに|織《お》ったとばりを|作《つく》った。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]その|柱《はしら》五|本《ほん》と、その|鉤《こま》とを|造《つく》り、その|柱《はしら》の|頭《あたま》と|桁《けた》とを|金《きん》でおおった。ただし、その五つの|座《ざ》は|青銅《せいどう》であった。 第三七章[#「第三七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ベザレルはアカシヤ|材《ざい》の|箱《はこ》を|造《つく》った。|長《なが》さは二キュビト|半《はん》、|幅《はば》は一キュビト|半《はん》、|高《たか》さは一キュビト|半《はん》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|純金《じゅんきん》で、|内《うち》そとをおおい、その|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》の|環《かん》四つを|鋳《い》て、その四すみに|取《と》りつけた。すなわち二つの|環《かん》をこちら|側《がわ》に、二つの|環《かん》をあちら|側《がわ》に|取《と》りつけた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》のさおを|造《つく》り、|金《きん》でこれをおおい、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そのさおを|箱《はこ》の|側面《そくめん》の|環《かん》に|通《とお》して、|箱《はこ》をかつぐようにした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|純金《じゅんきん》で|贖罪所《しょくざいしょ》を|造《つく》った。|長《なが》さは二キュビト|半《はん》、|幅《はば》は一キュビト|半《はん》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》で、二つのケルビムを|造《つく》った。すなわち、これを|打物《うちもの》|造《つく》りとし、|贖罪所《しょくざいしょ》の|両端《りょうはし》に|置《お》いた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]一つのケルブをこの|端《はし》に、一つのケルブをかの|端《はし》に|置《お》いた。すなわちケルビムを|贖罪所《しょくざいしょ》の|一部《いちぶ》として、その|両端《りょうはし》に|造《つく》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ケルビムは|翼《つばさ》を|高《たか》く|伸《の》べ、その|翼《つばさ》で|贖罪所《しょくざいしょ》をおおい、|顔《かお》は|互《たがい》に|向《む》かい|合《あ》った。すなわちケルビムの|顔《かお》は|贖罪所《しょくざいしょ》に|向《む》かっていた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》で、|机《つくえ》を|造《つく》った。|長《なが》さは二キュビト、|幅《はば》は一キュビト、|高《たか》さは一キュビト|半《はん》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|純金《じゅんきん》でこれをおおい、その|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またその|周囲《しゅうい》に|手《て》|幅《はば》の|棧《さん》を|造《つく》り、その|周囲《しゅうい》の|棧《さん》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またこれがために|金《きん》の|環《かん》四つを|鋳《い》て、その四つの|足《あし》のすみ四か|所《しょ》にその|環《かん》を|取《と》りつけた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|環《かん》は|棧《さん》のわきにあって、|机《つくえ》をかつぐさおを|入《い》れる|所《ところ》とした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》で、|机《つくえ》をかつぐさおを|造《つく》り、|金《きん》でこれをおおった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|机《つくえ》の|上《うえ》の|器《うつわ》、すなわちその|皿《さら》、|乳香《にゅうこう》を|盛《も》る|杯《はい》および|灌祭《かんさい》を|注《そそ》ぐための|鉢《はち》と|瓶《びん》とを|純金《じゅんきん》で|造《つく》った。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|純金《じゅんきん》の|燭台《しょくだい》を|造《つく》った。すなわち|打物《うちもの》|造《つく》りで|燭台《しょくだい》を|造《つく》り、その|台《だい》、|幹《みき》、|萼《がく》、|節《ふし》、|花《はな》を一つに|連《つら》ねた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また六つの|枝《えだ》をそのわきから|出《だ》させた。すなわち|燭台《しょくだい》の三つの|枝《えだ》をこの|側《がわ》から、|燭台《しょくだい》の三つの|枝《えだ》をかの|側《がわ》から|出《だ》させた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あめんどうの|花《はな》の|形《かたち》をした三つの|萼《がく》が、|節《ふし》と|花《はな》とをもって、この|枝《えだ》にあり、また、あめんどうの|花《はな》の|形《かたち》をした三つの|萼《がく》が、|節《ふし》と|花《はな》とをもって、かの|枝《えだ》にあり、|燭台《しょくだい》から|出《で》る六つの|枝《えだ》をみなそのようにした。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|燭台《しょくだい》の|幹《みき》には、あめんどうの|花《はな》の|形《かたち》をした四つの|萼《がく》を、その|節《ふし》と|花《はな》とをもたせて|取《と》りつけた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また二つの|枝《えだ》の|下《した》に一つの|節《ふし》を|取《と》りつけ、|次《つぎ》の二つの|枝《えだ》の|下《した》に一つの|節《ふし》を|取《と》りつけ、さらに|次《つぎ》の二つの|枝《えだ》の|下《した》に一つの|節《ふし》を|取《と》りつけ、|燭台《しょくだい》の|幹《みき》から|出《で》る六つの|枝《えだ》に、みなそのようにした。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それらの|節《ふし》と|枝《えだ》を一つに|連《つら》ね、ことごとく|純金《じゅんきん》の|打物《うちもの》|造《つく》りとした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また、それのともしび|皿《ざら》七つと、その|芯《しん》|切《き》りばさみと、|芯《しん》|取《と》り|皿《ざら》とを|純金《じゅんきん》で|造《つく》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|純金《じゅんきん》一タラントをもって、|燭台《しょくだい》とそのすべての|器《うつわ》とを|造《つく》った。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》で|香《こう》の|祭壇《さいだん》を|造《つく》った。|長《なが》さ一キュビト、|幅《はば》一キュビトの四|角《かく》にし、|高《たか》さ二キュビトで、これにその|一部《いちぶ》として|角《つの》をつけた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|頂《いただき》、その|周囲《しゅうい》の|側面《そくめん》、その|角《つの》を|純金《じゅんきん》でおおい、その|周囲《しゅうい》に|金《きん》の|飾《かざ》り|縁《ふち》を|造《つく》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また、その|両側《りょうがわ》に、|飾《かざ》り|縁《ふち》の|下《した》に|金《きん》の|環《かん》二つを、そのために|造《つく》った。すなわちその二つの|側《がわ》にこれを|造《つく》った。これはそれをかつぐさおを|通《とお》す|所《ところ》である。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そのさおはアカシヤ|材《ざい》で|造《つく》り、|金《きん》でこれをおおった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]また|香料《こうりょう》を|造《つく》るわざにしたがって、|聖《せい》なる|注《そそ》ぎ|油《あぶら》と|純粋《じゅんすい》の|香料《こうりょう》の|薫香《くんこう》とを|造《つく》った。 第三八章[#「第三八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]またアカシヤ|材《ざい》で|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》を|造《つく》った。|長《なが》さ五キュビト、|幅《はば》五キュビトの四|角《かく》で、|高《たか》さは三キュビトである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その四すみの|上《うえ》に、その|一部《いちぶ》とし、それの|角《つの》を|造《つく》り、|青銅《せいどう》で|祭壇《さいだん》をおおった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|祭壇《さいだん》のもろもろの|器《うつわ》、すなわち、つぼ、|十能《じゅうのう》、|鉢《はち》、|肉《にく》|叉《また》、|火皿《ひざら》を|造《つく》った。そのすべての|器《うつわ》を|青銅《せいどう》で|造《つく》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|祭壇《さいだん》のために、|青銅《せいどう》の|網《あみ》|細工《ざいく》の|格子《こうし》を|造《つく》り、これを|祭壇《さいだん》の|出張《でば》りの|下《した》に|取《と》りつけて、|祭壇《さいだん》の|高《たか》さの|半《なか》ばに|達《たっ》するようにした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|青銅《せいどう》の|格子《こうし》の四すみのために、|環《かん》四つを|鋳《い》て、さおを|通《とお》す|所《ところ》とした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アカシヤ|材《ざい》で、そのさおを|造《つく》り、|青銅《せいどう》でこれをおおい、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのさおを|祭壇《さいだん》の|両側《りょうがわ》にある|環《かん》に|通《とお》して、それをかつぐようにした。|祭壇《さいだん》は|板《いた》をもって、|空洞《くうどう》に|造《つく》った。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|洗盤《せんばん》と、その|台《だい》を|青銅《せいどう》で|造《つく》った。すなわち|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で|務《つとめ》をなす|女《おんな》たちの|鏡《かがみ》をもって|造《つく》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|庭《にわ》を|造《つく》った。その|南側《みなみがわ》のために百キュビトの|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》の|庭《にわ》のあげばりを|設《もう》けた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|柱《はしら》は二十、その|柱《はしら》の二十の|座《ざ》は|青銅《せいどう》で、その|柱《はしら》の|鉤《こま》と|桁《けた》は|銀《ぎん》とした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|北側《きたがわ》のためにも百キュビトのあげばりを|設《もう》けた。その|柱《はしら》二十、その|柱《はしら》の二十の|座《ざ》は|青銅《せいどう》で、その|柱《はしら》の|鉤《こま》と|桁《けた》は|銀《ぎん》とした。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|西側《にしがわ》のために、五十キュビトのあげばりを|設《もう》けた。その|柱《はしら》は十、その|座《ざ》も十で、その|柱《はしら》の|鉤《こま》と|桁《けた》は|銀《ぎん》とした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|東側《ひがしがわ》のためにも、五十キュビトのあげばりを|設《もう》けた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|一方《いっぽう》に十五キュビトのあげばりを|設《もう》けた。その|柱《はしら》は三つ、その|座《ざ》も三つ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|他《た》の|一方《いっぽう》にも、|同《おな》じようにした。すなわち|庭《にわ》の|門《もん》のこなたかなたともに、十五キュビトのあげばりを|設《もう》けた。その|柱《はしら》は三つ、その|座《ざ》も三つ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》の|周囲《しゅうい》のあげばりはみな|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》である。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|柱《はしら》の|座《ざ》は|青銅《せいどう》、|柱《はしら》の|鉤《こま》と|桁《けた》とは|銀《ぎん》、|柱《はしら》の|頭《あたま》のおおいも|銀《ぎん》である。|庭《にわ》の|柱《はしら》はみな|銀《ぎん》の|桁《けた》で|連《つら》ねた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》の|門《もん》のとばりは|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で、|色《いろ》とりどりに|織《お》ったものであった。|長《なが》さは二十キュビト、|幅《はば》なる|高《たか》さは五キュビトで、|庭《にわ》のあげばりと|等《ひと》しかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|柱《はしら》は四つ、その|座《ざ》も四つで、ともに|青銅《せいどう》。その|鉤《こま》は|銀《ぎん》、|柱《はしら》の|頭《あたま》のおおいと|桁《けた》は|銀《ぎん》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|幕屋《まくや》および、その|周囲《しゅうい》の|庭《にわ》の|釘《くぎ》はみな|青銅《せいどう》であった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》、すなわちあかしの|幕屋《まくや》に|用《もち》いた|物《もの》の|総計《そうけい》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちモーセの|命《いのち》に|従《したが》い、|祭司《さいし》アロンの|子《こ》イタマルがレビびとを|用《もち》いて|量《はか》ったものである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|部族《ぶぞく》に|属《ぞく》するホルの|子《こ》なるウリの|子《こ》ベザレルは、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられた|事《こと》をことごとくした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|部族《ぶぞく》に|属《ぞく》するアヒサマクの|子《こ》アホリアブは|彼《かれ》と|共《とも》にあって|彫刻《ちょうこく》、|浮《う》き|織《おり》をなし、また|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》|糸《いと》で、|縫取《ぬいと》りをする|者《もの》であった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|聖所《せいじょ》のもろもろの|工作《こうさく》に|用《もち》いたすべての|金《きん》、すなわち、ささげ|物《もの》なる|金《きん》は|聖所《せいじょ》のシケルで、二十九タラント七百三十シケルであった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》のうちの|数《かぞ》えられた|者《もの》のささげた|銀《ぎん》は|聖所《せいじょ》のシケルで、百タラント千七百七十五シケルであった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これはひとり|当《あた》り一ベカ、すなわち|聖所《せいじょ》のシケルの|半《はん》シケルであって、すべて二十|歳《さい》|以上《いじょう》で|数《かぞ》えられた|者《もの》が六十万三千五百五十|人《にん》であったからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|聖所《せいじょ》の|座《ざ》と|垂幕《たれまく》の|座《ざ》とを|鋳《い》るために|用《もち》いた|銀《ぎん》は百タラントであった。すなわち百|座《ざ》につき百タラント、一|座《ざ》につき一タラントである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また千七百七十五シケルで|柱《はしら》の|鉤《こま》を|造《つく》り、また|柱《はしら》の|頭《あたま》をおおい、|柱《はしら》のために|桁《けた》を|造《つく》った。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ささげ|物《もの》なる|青銅《せいどう》は七十タラント二千四百シケルであった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]これを|用《もち》いて|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》の|座《ざ》、|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》と、それにつく|青銅《せいどう》の|格子《こうし》、および|祭壇《さいだん》のもろもろの|器《うつわ》を|造《つく》った。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]また|庭《にわ》の|周囲《しゅうい》の|座《ざ》、|庭《にわ》の|門《もん》の|座《ざ》、および|幕屋《まくや》のもろもろの|釘《くぎ》と、|庭《にわ》の|周囲《しゅうい》のもろもろの|釘《くぎ》を|造《つく》った。 第三九章[#「第三九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》で、|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》のための|編物《あみもの》の|服《ふく》を|作《つく》った。またアロンのために|聖《せい》なる|服《ふく》を|作《つく》った。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|金糸《きんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》でエポデを|作《つく》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》を|打《う》ち|延《の》べて|板《いた》とし、これを|切《き》って|糸《いと》とし、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》に|交《まじ》えて、|巧《たく》みな|細工《さいく》とした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、これがために|肩《かた》ひもを|作《つく》ってこれにつけ、その|両端《りょうはし》でこれにつけた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エポデの|上《うえ》で、これをつかねる|帯《おび》は、|同《おな》じきれで、|同《おな》じように、|金糸《きんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で|作《つく》った。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また、|縞《しま》めのうを|細工《さいく》して、|金糸《きんし》の|編《あみ》|細工《ざいく》にはめ、これに|印《いん》を|彫刻《ちょうこく》するように、イスラエルの|子《こ》たちの|名《な》を|刻《きざ》み、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これをエポデの|肩《かた》ひもにつけて、イスラエルの|子《こ》たちの|記念《きねん》の|石《いし》とした。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|胸当《むねあて》を|巧《たく》みなわざをもって、エポデの|作《つく》りのように|作《つく》った。すなわち|金糸《きんし》、|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で|作《つく》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|胸当《むねあて》は二つに|折《お》って四|角《かく》にした。すなわち二つに|折《お》って、|長《なが》さを一|指《ゆび》|当《あた》りとし、|幅《はば》も一|指《ゆび》|当《あた》りとした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》に|宝石《ほうせき》四|列《れつ》をはめた。すなわち、|紅《こう》|玉髄《ぎょくずい》、|貴《き》かんらん|石《いし》、|水晶《すいしょう》の|列《れつ》を|第《だい》一|列《れつ》とし、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二|列《れつ》は、ざくろ|石《いし》、るり、|赤《あか》|縞《しま》めのう、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三|列《れつ》は|黄《き》|水晶《すいしょう》、めのう、|紫《むらさき》|水晶《すいしょう》、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四|列《れつ》は|黄《き》|碧玉《へきぎょく》、|縞《しま》めのう、|碧玉《へきぎょく》であって、これらを|金《きん》の|編《あみ》|細工《ざいく》の|中《なか》にはめ|込《こ》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|宝石《ほうせき》はイスラエルの|子《こ》たちの|名《な》にしたがい、その|名《な》と|等《ひと》しく十二とし、おのおの|印《いん》の|彫刻《ちょうこく》のように、十二|部族《ぶぞく》のためにその|名《な》を|刻《きざ》んだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またひも|細工《ざいく》にねじた|純金《じゅんきん》のくさりを|胸当《むねあて》につけた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》の二つの|編《あみ》|細工《ざいく》と、二つの|金《きん》の|環《かん》とを|作《つく》り、その二つの|環《かん》を|胸当《むねあて》の|両端《りょうはし》につけた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]かの二|筋《すじ》の|金《きん》のひもを|胸当《むねあて》の|端《はし》の二つの|環《かん》につけた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その二|筋《すじ》のひもの|他《た》の|両端《りょうはし》を、かの二つの|編《あみ》|細工《ざいく》につけ、エポデの|肩《かた》ひもにつけて|前《まえ》にくるようにした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また二つの|金《きん》の|環《かん》を|作《つく》って、これを|胸当《むねあて》の|両端《りょうはし》につけた。すなわちエポデに|接《せっ》する|内側《うちがわ》の|縁《ふち》にこれをつけた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》の|環《かん》二つを|作《つく》って、これをエポデの二つの|肩《かた》ひもの|下《した》の|部分《ぶぶん》につけ、|前《まえ》の|方《ほう》で、そのつなぎ|目《め》に|近《ちか》く、エポデの|帯《おび》の|上《うえ》の|方《ほう》にくるようにした。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|胸当《むねあて》は|青《あお》ひもをもって、その|環《かん》をエポデの|環《かん》に|結《むす》びつけ、エポデの|帯《おび》の|上《うえ》の|方《ほう》にくるようにした。こうして、|胸当《むねあて》がエポデから|離《はな》れないようにした。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またエポデに|属《ぞく》する|上服《うわふく》は、すべて|青地《あおじ》の|織物《おりもの》で|作《つく》った。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|上服《うわふく》の|口《くち》はそのまん|中《なか》にあって、その|口《くち》の|周囲《しゅうい》には、よろいのえりのように|縁《ふち》をつけて、ほころびないようにした。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|上服《うわふく》のすそには|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》で、ざくろを|作《つく》りつけ、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|純金《じゅんきん》で|鈴《すず》を|作《つく》り、その|鈴《すず》を|上服《うわふく》のすその|周囲《しゅうい》の、ざくろとざくろとの|間《あいだ》につけた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|鈴《すず》にざくろ、|鈴《すず》にざくろと、|務《つとめ》の|上服《うわふく》のすその|周囲《しゅうい》につけた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]またアロンとその|子《こ》たちのために、|亜麻《あま》|糸《いと》で|織《お》った|下《した》|服《ふく》を|作《つく》り、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|亜麻《あま》|布《ぬの》で|帽子《ぼうし》を|作《つく》り、|亜麻《あま》|布《ぬの》で|麗《うるわ》しい|頭《とう》|布《ぬの》を|作《つく》り、|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》の|布《ぬの》で、|下《した》ばきを|作《つく》り、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|亜麻《あま》の|撚糸《ねんし》および|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》で、|色《いろ》とりどりに|織《お》った|帯《おび》を|作《つく》った。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]また|純金《じゅんきん》をもって、|聖《せい》なる|冠《かんむり》の|前《まえ》|板《いた》を|作《つく》り、|印《いん》の|彫刻《ちょうこく》のように、その|上《うえ》に「|主《しゅ》に|聖《せい》なる|者《もの》」という|文字《もじ》を|書《か》き、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これに|青《あお》ひもをつけて、それを|帽子《ぼうし》の|上《うえ》に|結《むす》びつけた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》なる|幕屋《まくや》の、もろもろの|工事《こうじ》が|終《おわ》った。イスラエルの|人々《ひとびと》はすべて|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにおこなった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|幕屋《まくや》と|天幕《てんまく》およびそのもろもろの|器《うつわ》をモーセのもとに|携《たずさ》えてきた。すなわち、その|鉤《こま》、その|枠《わく》、その|横木《よこぎ》、その|柱《はしら》、その|座《ざ》、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あかね|染《ぞ》めの|雄羊《おひつじ》の|皮《かわ》のおおい、じゅごんの|皮《かわ》のおおい、|隔《へだ》ての|垂幕《たれまく》、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あかしの|箱《はこ》と、そのさお、|贖罪所《しょくざいしょ》、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|机《つくえ》と、そのもろもろの|器《うつわ》、|供《そな》えのパン、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|純金《じゅんきん》の|燭台《しょくだい》と、そのともしび|皿《ざら》、すなわち|列《れつ》に|並《なら》べるともしび|皿《ざら》と、そのもろもろの|器《うつわ》、およびそのともし|油《あぶら》、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|金《きん》の|祭壇《さいだん》、|注《そそ》ぎ|油《あぶら》、|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》、|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》のとばり、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》、その|青銅《せいどう》の|格子《こうし》と、そのさお、およびそのもろもろの|器《うつわ》、|洗盤《せんばん》とその|台《だい》、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》のあげばり、その|柱《はしら》とその|座《ざ》、|庭《にわ》の|門《もん》のとばり、そのひもとその|釘《くぎ》、また|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》の|幕屋《まくや》に|用《もち》いるもろもろの|器《うつわ》、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|聖所《せいじょ》で|務《つとめ》をなす|編物《あみもの》の|服《ふく》、すなわち|祭司《さいし》の|務《つとめ》をなすための|祭司《さいし》アロンの|聖《せい》なる|服《ふく》およびその|子《こ》たちの|服《ふく》。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、すべて|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたように、そのすべての|工事《こうじ》をした。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]モーセがそのすべての|工事《こうじ》を|見《み》ると、|彼《かれ》らは|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりに、それをなしとげていたので、モーセは|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》した。 第四〇章[#「第四〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|正月《しょうがつ》の|元日《がんじつ》にあなたは|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》なる|幕屋《まくや》を|建《た》てなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|中《なか》にあかしの|箱《はこ》を|置《お》き、|垂幕《たれまく》で、|箱《はこ》を|隔《へだ》て|隠《かく》し、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、|机《つくえ》を|携《たずさ》え|入《い》れ、それに|並《なら》べるものを|並《なら》べ、|燭台《しょくだい》を|携《たずさ》え|入《い》れて、そのともしびをともさなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|金《きん》の|香《こう》の|祭壇《さいだん》を、あかしの|箱《はこ》の|前《まえ》にすえ、とばりを|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にかけなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》を|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》なる|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》の|前《まえ》にすえ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|洗盤《せんばん》を|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》と|祭壇《さいだん》との|間《あいだ》にすえて、これに|水《みず》を|入《い》れなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|周囲《しゅうい》に|庭《にわ》を|設《もう》け、|庭《にわ》の|門《もん》にとばりをかけなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|注《そそ》ぎ|油《あぶら》をとって、|幕屋《まくや》とその|中《なか》のすべてのものに|注《そそ》ぎ、それとそのもろもろの|器《うつわ》とを|聖別《せいべつ》しなければならない、こうして、それは|聖《せい》となるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》と、そのすべての|器《うつわ》に|油《あぶら》を|注《そそ》いで、その|祭壇《さいだん》を|聖別《せいべつ》しなければならない。こうして|祭壇《さいだん》は、いと|聖《せい》なるものとなるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|洗盤《せんばん》と、その|台《だい》とに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、これを|聖別《せいべつ》し、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アロンとその|子《こ》たちを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|連《つ》れてきて、|水《みず》で|彼《かれ》らを|洗《あら》い、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アロンに|聖《せい》なる|服《ふく》を|着《き》せ、これに|油《あぶら》を|注《そそ》いで|聖別《せいべつ》し、|祭司《さいし》の|務《つとめ》をさせなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》の|子《こ》たちを|連《つ》れてきて、これに|服《ふく》を|着《き》せ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|父《ちち》に|油《あぶら》を|注《そそ》いだように、|彼《かれ》らにも|油《あぶら》を|注《そそ》いで、|祭司《さいし》の|務《つとめ》をさせなければならない。|彼《かれ》らが|油《あぶら》そそがれることは、|代々《よよ》ながく|祭司《さいし》|職《しょく》のためになすべきことである」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]モーセはそのように|行《おこな》った。すなわち|主《しゅ》が|彼《かれ》に|命《めい》じられたように|行《おこな》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二|年《ねん》の|正月《しょうがつ》になって、その|月《つき》の|元日《がんじつ》に|幕屋《まくや》は|建《た》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すなわちモーセは|幕屋《まくや》を|建《た》て、その|座《ざ》をすえ、その|枠《わく》を|立《た》て、その|横木《よこぎ》をさし|込《こ》み、その|柱《はしら》を|立《た》て、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》の|上《うえ》に|天幕《てんまく》をひろげ、その|上《うえ》に|天幕《てんまく》のおおいをかけた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたあかしの|板《いた》をとって|箱《はこ》に|納《おさ》め、さおを|箱《はこ》につけ、|贖罪所《しょくざいしょ》を|箱《はこ》の|上《うえ》に|置《お》き、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|箱《はこ》を|幕屋《まくや》に|携《たずさ》え|入《い》れ、|隔《へだ》ての|垂幕《たれまく》をかけて、あかしの|箱《はこ》を|隠《かく》した。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》なる|幕屋《まくや》の|内部《ないぶ》の|北側《きたがわ》、|垂幕《たれまく》の|外《そと》に|机《つくえ》をすえ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》にパンを|列《れつ》に|並《なら》べて、|主《しゅ》の|前《まえ》に|供《そな》えた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》なる|幕屋《まくや》の|内部《ないぶ》の|南側《みなみがわ》に、|机《つくえ》にむかい|合《あ》わせて|燭台《しょくだい》をすえ、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|前《まえ》にともしびをともした。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|中《なか》、|垂幕《たれまく》の|前《まえ》に|金《きん》の|祭壇《さいだん》をすえ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》に|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》をたいた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にとばりをかけ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》を|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》なる|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にすえ、その|上《うえ》に|燔祭《はんさい》と|素祭《そさい》をささげた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》と|祭壇《さいだん》との|間《あいだ》に|洗盤《せんばん》を|置《お》き、|洗《あら》うためにそれに|水《みず》を|入《い》れた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンおよびその|子《こ》たちは、それで|手《て》と|足《あし》を|洗《あら》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》にはいるとき、また|祭壇《さいだん》に|近《ちか》づくとき、そこで|洗《あら》った。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》と|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|庭《にわ》を|設《もう》け、|庭《にわ》の|門《もん》にとばりをかけた。このようにしてモーセはその|工事《こうじ》を|終《お》えた。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|雲《くも》は|会見《かいけん》の|天幕《てんまく》をおおい、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|幕屋《まくや》に|満《み》ちた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に、はいることができなかった。|雲《くも》がその|上《うえ》にとどまり、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|幕屋《まくや》に|満《み》ちていたからである。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》が|幕屋《まくや》の|上《うえ》からのぼる|時《とき》、イスラエルの|人々《ひとびと》は|道《みち》に|進《すす》んだ。|彼《かれ》らはその|旅路《たびじ》において|常《つね》にそうした。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|雲《くも》がのぼらない|時《とき》は、そののぼる|日《ひ》まで|道《みち》に|進《すす》まなかった。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルの|家《いえ》のすべての|者《もの》の|前《まえ》に、|昼《ひる》は|幕屋《まくや》の|上《うえ》に|主《しゅ》の|雲《くも》があり、|夜《よる》は|雲《くも》の|中《なか》に|火《ひ》があった。|彼《かれ》らの|旅路《たびじ》において|常《つね》にそうであった。 [#改ページ] レビ記[#「レビ記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセを|呼《よ》び、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》からこれに|告《つ》げて|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたのうちだれでも|家畜《かちく》の|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》にささげるときは、|牛《うし》または|羊《ひつじ》を|供《そな》え|物《もの》としてささげなければならない。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もしその|供《そな》え|物《もの》が|牛《うし》の|燔祭《はんさい》であるならば、|雄牛《おうし》の|全《まった》きものをささげなければならない。|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で、|主《しゅ》の|前《まえ》に|受《う》け|入《い》れられるように、これをささげなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|燔祭《はんさい》の|獣《けもの》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》かなければならない。そうすれば|受《う》け|入《い》れられて、|彼《かれ》のためにあがないとなるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|前《まえ》でその|子《こ》|牛《うし》をほふり、アロンの|子《こ》なる|祭司《さいし》たちは、その|血《ち》を|携《たずさ》えてきて、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にある|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に、その|血《ち》を|注《そそ》ぎかけなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたその|燔祭《はんさい》の|獣《けもの》の|皮《かわ》をはぎ、|節々《ふしぶし》に|切《き》り|分《わ》かたなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》アロンの|子《こ》たちは|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|火《ひ》を|置《お》き、その|火《ひ》の|上《うえ》にたきぎを|並《なら》べ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》なる|祭司《さいし》たちはその|切《き》り|分《わ》けたものを、|頭《あたま》および|脂肪《しぼう》と|共《とも》に、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にある|火《ひ》の|上《うえ》のたきぎの|上《うえ》に|並《なら》べなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|内臓《ないぞう》と|足《あし》とは|水《みず》で|洗《あら》わなければならない。こうして|祭司《さいし》はそのすべてを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いて|燔祭《はんさい》としなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》にささげる|香《こう》ばしいかおりである。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もしその|燔祭《はんさい》の|供《そな》え|物《もの》が|群《む》れの|羊《ひつじ》または、やぎであるならば、|雄《おす》の|全《まった》きものをささげなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|祭壇《さいだん》の|北側《きたがわ》で、|主《しゅ》の|前《まえ》にこれをほふり、アロンの|子《こ》なる|祭司《さいし》たちは、その|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたこれを|節々《ふしぶし》に|切《き》り|分《わ》かち、|祭司《さいし》はこれを|頭《あたま》および|脂肪《しぼう》と|共《とも》に、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にある|火《ひ》の|上《うえ》のたきぎの|上《うえ》に|並《なら》べなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|内臓《ないぞう》と|足《あし》とは|水《みず》で|洗《あら》わなければならない。こうして|祭司《さいし》はそのすべてを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いて|燔祭《はんさい》としなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》にささげる|香《こう》ばしいかおりである。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし|主《しゅ》にささげる|供《そな》え|物《もの》が、|鳥《とり》の|燔祭《はんさい》であるならば、|山《やま》ばと、または|家《いえ》ばとのひなを、その|供《そな》え|物《もの》としてささげなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|祭壇《さいだん》に|携《たずさ》えて|行《い》き、その|首《くび》を|摘《つ》み|破《やぶ》り、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。その|血《ち》は|絞《しぼ》り|出《だ》して|祭壇《さいだん》の|側面《そくめん》に|塗《ぬ》らなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またその|餌《え》|袋《ぶくろ》は|羽《はね》と|共《とも》に|除《のぞ》いて、|祭壇《さいだん》の|東《ひがし》の|方《ほう》にある|灰《はい》|捨《すて》|場《ば》に|捨《す》てなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これは、その|翼《つばさ》を|握《にぎ》って|裂《さ》かなければならない。ただし|引《ひ》き|離《はな》してはならない。|祭司《さいし》はこれを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で、|火《ひ》の|上《うえ》のたきぎの|上《うえ》で|燔祭《はんさい》として|焼《や》かなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》にささげる|香《こう》ばしいかおりである。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|素祭《そさい》の|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》にささげるときは、その|供《そな》え|物《もの》は|麦粉《むぎこ》でなければならない。その|上《うえ》に|油《あぶら》を|注《そそ》ぎ、またその|上《うえ》に|乳香《にゅうこう》を|添《そ》え、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これをアロンの|子《こ》なる|祭司《さいし》たちのもとに|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。|祭司《さいし》はその|麦粉《むぎこ》とその|油《あぶら》の|一握《ひとにぎ》りを|乳香《にゅうこう》の|全部《ぜんぶ》と|共《とも》に|取《と》り、これを|記念《きねん》の|分《ぶん》として、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》にささげる|香《こう》ばしいかおりである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|素祭《そさい》の|残《のこ》りはアロンとその|子《こ》らのものになる。これは|主《しゅ》の|火祭《かさい》のいと|聖《せい》なる|物《もの》である。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、もし|天火《てんぴ》で|焼《や》いたものを|素祭《そさい》としてささげるならば、それは|麦粉《むぎこ》に|油《あぶら》を|混《ま》ぜて|作《つく》った|種《たね》|入《い》れぬ|菓子《かし》、または|油《あぶら》を|塗《ぬ》った|種《たね》|入《い》れぬ|煎餅《せんべい》でなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|供《そな》え|物《もの》が、もし、|平鍋《ひらなべ》で|焼《や》いた|素祭《そさい》であるならば、それは|麦粉《むぎこ》に|油《あぶら》を|混《ま》ぜて|作《つく》った|種《たね》|入《い》れぬものでなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれを|細《こま》かく|砕《くだ》き、その|上《うえ》に|油《あぶら》を|注《そそ》がなければならない。これは|素祭《そさい》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|供《そな》え|物《もの》が、もし|深《ふか》|鍋《なべ》で|煮《に》た|素祭《そさい》であるならば、|麦粉《むぎこ》に|油《あぶら》を|混《ま》ぜて|作《つく》らなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれらの|物《もの》で|作《つく》った|素祭《そさい》を、|主《しゅ》に|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。それを|祭司《さいし》に|渡《わた》すならば、|祭司《さいし》はそれを|祭壇《さいだん》に|携《たずさ》えて|行《い》き、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|素祭《そさい》のうちから|記念《きねん》の|分《ぶん》を|取《と》って、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》にささげる|香《こう》ばしいかおりである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|素祭《そさい》の|残《のこ》りはアロンとその|子《こ》らのものになる。これは、|主《しゅ》の|火祭《かさい》のいと|聖《せい》なる|物《もの》である。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|主《しゅ》にささげる|素祭《そさい》は、すべて|種《たね》を|入《い》れて|作《つく》ってはならない。パン|種《だね》も|蜜《みつ》も、すべて|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》として|焼《や》いてはならないからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|初穂《はつほ》の|供《そな》え|物《もの》としては、これらを|主《しゅ》にささげることができる。しかし|香《こう》ばしいかおりとして|祭壇《さいだん》にささげてはならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|素祭《そさい》の|供《そな》え|物《もの》は、すべて|塩《しお》をもって|味《あじ》をつけなければならない。あなたの|素祭《そさい》に、あなたの|神《かみ》の|契約《けいやく》の|塩《しお》を|欠《か》いてはならない。すべて、あなたの|供《そな》え|物《もの》は、|塩《しお》を|添《そ》えてささげなければならない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|初穂《はつほ》の|素祭《そさい》を|主《しゅ》にささげるならば、|火《ひ》で|穂《ほ》を|焼《や》いたもの、|新穀《しんこく》の|砕《くだ》いたものを、あなたの|初穂《はつほ》の|素祭《そさい》としてささげなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれに|油《あぶら》を|加《くわ》え、その|上《うえ》に|乳香《にゅうこう》を|置《お》かなければならない。これは|素祭《そさい》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は、その|砕《くだ》いた|物《もの》およびその|油《あぶら》のうちから|記念《きねん》の|分《ぶん》を|取《と》って、|乳香《にゅうこう》の|全部《ぜんぶ》と|共《とも》に|焼《や》かなければならない。これは|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》である。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》の|供《そな》え|物《もの》が|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》であって、|牛《うし》をささげるのであれば、|雌雄《しゆう》いずれであっても、|全《まった》きものを|主《しゅ》の|前《まえ》にささげなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|供《そな》え|物《もの》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で、これをほふらなければならない。そしてアロンの|子《こ》なる|祭司《さいし》たちは、その|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたその|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》のうちから|火祭《かさい》を|主《しゅ》にささげなければならない。すなわち|内臓《ないぞう》をおおう|脂肪《しぼう》と、|内臓《ないぞう》の|上《うえ》のすべての|脂肪《しぼう》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]二つの|腎臓《じんぞう》とその|上《うえ》の|腰《こし》のあたりにある|脂肪《しぼう》、ならびに|腎臓《じんぞう》と|共《とも》にとられる|肝臓《かんぞう》の|上《うえ》の|小葉《しょうよう》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンの|子《こ》たちは|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で、|火《ひ》の|上《うえ》のたきぎの|上《うえ》に|置《お》いた|燔祭《はんさい》の|上《うえ》で、これを|焼《や》かなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》にささげる|香《こう》ばしいかおりである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》の|供《そな》え|物《もの》が|主《しゅ》にささげる|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》で、それが|羊《ひつじ》であるならば、|雌雄《しゆう》いずれであっても、|全《まった》きものをささげなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もし|小羊《こひつじ》を|供《そな》え|物《もの》としてささげるならば、それを|主《しゅ》の|前《まえ》に|連《つ》れてきて、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、それを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》で、ほふらなければならない。そしてアロンの|子《こ》たちはその|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》のうちから、|火祭《かさい》を|主《しゅ》にささげなければならない。すなわちその|脂肪《しぼう》、|背骨《せぼね》に|接《せっ》して|切《き》り|取《と》る|脂《あぶら》|尾《お》の|全部《ぜんぶ》、|内臓《ないぞう》をおおう|脂肪《しぼう》と|内臓《ないぞう》の|上《うえ》のすべての|脂肪《しぼう》、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]二つの|腎臓《じんぞう》とその|上《うえ》の|腰《こし》のあたりにある|脂肪《しぼう》、ならびに|腎臓《じんぞう》と|共《とも》に|取《と》られる|肝臓《かんぞう》の|上《うえ》の|小葉《しょうよう》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》にささげる|食物《しょくもつ》である。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》の|供《そな》え|物《もの》が、やぎであるならば、それを|主《しゅ》の|前《まえ》に|連《つ》れてきて、  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、それを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》で、ほふらなければならない。そしてアロンの|子《こ》たちは、その|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたそのうちから|供《そな》え|物《もの》を|取《と》り、|火祭《かさい》として|主《しゅ》にささげなければならない。すなわち|内臓《ないぞう》をおおう|脂肪《しぼう》と|内臓《ないぞう》の|上《うえ》のすべての|脂肪《しぼう》、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]二つの|腎臓《じんぞう》とその|上《うえ》の|腰《こし》のあたりにある|脂肪《しぼう》、ならびに|腎臓《じんぞう》と|共《とも》に|取《と》られる|肝臓《かんぞう》の|上《うえ》の|小葉《しょうよう》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。これは|火祭《かさい》としてささげる|食物《しょくもつ》であって、|香《こう》ばしいかおりである。|脂肪《しぼう》はみな|主《しゅ》に|帰《き》すべきものである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|脂肪《しぼう》と|血《ち》とをいっさい|食《た》べてはならない。これはあなたがたが、すべてその|住《す》む|所《ところ》で、|代々《よよ》|守《まも》るべき|永久《えいきゅう》の|定《さだ》めである』」。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『もし|人《ひと》があやまって|罪《つみ》を|犯《おか》し、|主《しゅ》のいましめにそむいて、してはならないことの一つをした|時《とき》は|次《つぎ》のようにしなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|油《あぶら》|注《そそ》がれた|祭司《さいし》が|罪《つみ》を|犯《おか》して、とがを|民《たみ》に|及《およ》ぼすならば、|彼《かれ》はその|犯《おか》した|罪《つみ》のために|雄《おす》の|全《まった》き|子《こ》|牛《うし》を|罪祭《ざいさい》として|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》|牛《うし》を|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|連《つ》れてきて|主《しゅ》の|前《まえ》に|至《いた》り、その|子《こ》|牛《うし》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、その|子《こ》|牛《うし》を|主《しゅ》の|前《まえ》で、ほふらなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|油《あぶら》|注《そそ》がれた|祭司《さいし》は、その|子《こ》|牛《うし》の|血《ち》を|取《と》って、それを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|携《たずさ》え|入《い》り、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|指《ゆび》をその|血《ち》に|浸《ひた》して、|聖所《せいじょ》の|垂幕《たれまく》の|前《まえ》で|主《しゅ》の|前《まえ》にその|血《ち》を七たび|注《そそ》がなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はまたその|血《ち》を|取《と》り、|主《しゅ》の|前《まえ》で|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|中《なか》にある|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》の|祭壇《さいだん》の|角《つの》に、それを|塗《ぬ》らなければならない。その|子《こ》|牛《うし》の|血《ち》の|残《のこ》りはことごとく|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にある|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》のもとに|注《そそ》がなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またその|罪祭《ざいさい》の|子《こ》|牛《うし》から、すべての|脂肪《しぼう》を|取《と》らなければならない。すなわち|内臓《ないぞう》をおおう|脂肪《しぼう》と|内臓《ないぞう》の|上《うえ》のすべての|脂肪《しぼう》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]二つの|腎臓《じんぞう》とその|上《うえ》の|腰《こし》のあたりにある|脂肪《しぼう》、ならびに|腎臓《じんぞう》と|共《とも》に|取《と》られる|肝臓《かんぞう》の|上《うえ》の|小葉《しょうよう》である。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これを|取《と》るには|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|雄牛《おうし》から|取《と》るのと|同《おな》じようにしなければならない。そして|祭司《さいし》はそれを|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》|牛《うし》の|皮《かわ》とそのすべての|肉《にく》、およびその|頭《あたま》と|足《あし》と|内臓《ないぞう》と|汚物《おぶつ》など、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すべてその|子《こ》|牛《うし》の|残《のこ》りは、これを|宿営《しゅくえい》の|外《そと》の、|清《きよ》い|場所《ばしょ》なる|灰《はい》|捨《すて》|場《ば》に|携《たずさ》え|出《だ》し、|火《ひ》をもってこれをたきぎの|上《うえ》で|焼《や》き|捨《す》てなければならない。すなわちこれは|灰《はい》|捨《すて》|場《ば》で|焼《や》き|捨《す》てらるべきである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もしイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》があやまちを|犯《おか》し、そのことが|会衆《かいしゅう》の|目《め》に|隠《かく》れていても、|主《しゅ》のいましめにそむいて、してはならないことの一つをなして、とがを|得《え》たならば、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|犯《おか》した|罪《つみ》が|現《あらわ》れた|時《とき》、|会衆《かいしゅう》は|雄《おす》の|子《こ》|牛《うし》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。すなわちそれを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》に|連《つ》れてきて、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》の|長老《ちょうろう》たちは、|主《しゅ》の|前《まえ》でその|子《こ》|牛《うし》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、その|子《こ》|牛《うし》を|主《しゅ》の|前《まえ》で、ほふらなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして、|油《あぶら》|注《そそ》がれた|祭司《さいし》は、その|子《こ》|牛《うし》の|血《ち》を|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|携《たずさ》え|入《い》り、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|指《ゆび》をその|血《ち》に|浸《ひた》し、|垂幕《たれまく》の|前《まえ》で|主《しゅ》の|前《まえ》に七たび|注《そそ》がなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またその|血《ち》を|取《と》って、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|中《なか》の|主《しゅ》の|前《まえ》にある|祭壇《さいだん》の|角《つの》に、それを|塗《ぬ》らなければならない。その|血《ち》の|残《のこ》りはことごとく|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にある|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》のもとに|注《そそ》がなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またそのすべての|脂肪《しぼう》を|取《と》って|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|祭司《さいし》は|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》にしたように、この|雄牛《おうし》にも、しなければならない。こうして、|祭司《さいし》が|彼《かれ》らのためにあがないをするならば、|彼《かれ》らはゆるされるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして、|彼《かれ》はその|雄牛《おうし》を|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|携《たずさ》え|出《だ》し、はじめの|雄牛《おうし》を|焼《や》き|捨《す》てたように、これを|焼《や》き|捨《す》てなければならない。これは|会衆《かいしゅう》の|罪祭《ざいさい》である。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またつかさたる|者《もの》が|罪《つみ》を|犯《おか》し、あやまって、その|神《かみ》、|主《しゅ》のいましめにそむき、してはならないことの一つをして、とがを|得《え》、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]もしその|犯《おか》した|罪《つみ》を|知《し》るようになったときは、|供《そな》え|物《もの》として|雄《お》やぎの|全《まった》きものを|連《つ》れてきて、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そのやぎの|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、|燔祭《はんさい》をほふる|場所《ばしょ》で、|主《しゅ》の|前《まえ》にこれをほふらなければならない。これは|罪祭《ざいさい》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|指《ゆび》でその|罪祭《ざいさい》の|血《ち》を|取《と》り、|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》の|角《つの》にそれを|塗《ぬ》り、|残《のこ》りの|血《ち》は|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》のもとに|注《そそ》がなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また、そのすべての|脂肪《しぼう》は、|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|脂肪《しぼう》と|同《おな》じように、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。こうして、|祭司《さいし》が|彼《かれ》のためにその|罪《つみ》のあがないをするならば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|一般《いっぱん》の|人《ひと》がもしあやまって|罪《つみ》を|犯《おか》し、|主《しゅ》のいましめにそむいて、してはならないことの一つをして、とがを|得《え》、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|犯《おか》した|罪《つみ》を|知《し》るようになったときは、その|犯《おか》した|罪《つみ》のために|供《そな》え|物《もの》として|雌《め》やぎの|全《まった》きものを|連《つ》れてきて、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|罪祭《ざいさい》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、|燔祭《はんさい》をほふる|場所《ばしょ》で、その|罪祭《ざいさい》をほふらなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|指《ゆび》でその|血《ち》を|取《と》り、|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》の|角《つの》にこれを|塗《ぬ》り、|残《のこ》りの|血《ち》をことごとく|祭壇《さいだん》のもとに|注《そそ》がなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]またそのすべての|脂肪《しぼう》は|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》から|脂肪《しぼう》を|取《と》るのと|同《おな》じように|取《と》り、これを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いて|主《しゅ》にささげる|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。こうして|祭司《さいし》が|彼《かれ》のためにあがないをするならば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]もし|小羊《こひつじ》を|罪祭《ざいさい》のために|供《そな》え|物《もの》として|連《つ》れてくるならば、|雌《めす》の|全《まった》きものを|連《つ》れてこなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|罪祭《ざいさい》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》き、|燔祭《はんさい》をほふる|場所《ばしょ》で、これをほふり、|罪祭《ざいさい》としなければならない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|指《ゆび》でその|罪祭《ざいさい》の|血《ち》を|取《と》り、|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》の|角《つの》にそれを|塗《ぬ》り、|残《のこ》りの|血《ち》はことごとく|祭壇《さいだん》のもとに|注《そそ》がなければならない。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]またそのすべての|脂肪《しぼう》は|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》から|小羊《こひつじ》の|脂肪《しぼう》を|取《と》るのと|同《おな》じように|取《と》り、|祭司《さいし》はこれを|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》のように|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。こうして|祭司《さいし》が|彼《かれ》の|犯《おか》した|罪《つみ》のためにあがないをするならば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|証人《しょうにん》に|立《た》ち、|誓《ちか》いの|声《こえ》を|聞《き》きながら、その|見《み》たこと、|知《し》っていることを|言《い》わないで、|罪《つみ》を|犯《おか》すならば、|彼《かれ》はそのとがを|負《お》わなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また、もし|人《ひと》が|汚《けが》れた|野獣《やじゅう》の|死体《したい》、|汚《けが》れた|家畜《かちく》の|死体《したい》、|汚《けが》れた|這《は》うものの|死体《したい》など、すべて|汚《けが》れたものに|触《ふ》れるならば、そのことに|気《き》づかなくても、|彼《かれ》は|汚《けが》れたものとなって、とがを|得《え》る。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また、もし|彼《かれ》が|人《ひと》の|汚《けが》れに|触《ふ》れるならば、その|人《ひと》の|汚《けが》れが、どのような|汚《けが》れであれ、それに|気《き》づかなくても、|彼《かれ》がこれを|知《し》るようになった|時《とき》は、とがを|得《え》る。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、もし|人《ひと》がみだりにくちびるで|誓《ちか》い、|悪《あく》をなそう、または|善《ぜん》をなそうと|言《い》うならば、その|人《ひと》が|誓《ちか》ってみだりに|言《い》ったことは、それがどんなことであれ、それに|気《き》づかなくても、|彼《かれ》がこれを|知《し》るようになった|時《とき》は、これらの一つについて、とがを|得《え》る。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もしこれらの一つについて、とがを|得《え》たときは、その|罪《つみ》を|犯《おか》したことを|告白《こくはく》し、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|犯《おか》した|罪《つみ》のために|償《つぐな》いとして、|雌《めす》の|家畜《かちく》、すなわち|雌《めす》の|小羊《こひつじ》または|雌《め》やぎを|主《しゅ》のもとに|連《つ》れてきて、|罪祭《ざいさい》としなければならない。こうして|祭司《さいし》は|彼《かれ》のために|罪《つみ》のあがないをするであろう。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もし|小羊《こひつじ》に|手《て》のとどかない|時《とき》は、|山《やま》ばと二|羽《わ》か、|家《いえ》ばとのひな二|羽《わ》かを、|彼《かれ》が|犯《おか》した|罪《つみ》のために|償《つぐな》いとして|主《しゅ》に|携《たずさ》えてきて、一|羽《わ》を|罪祭《ざいさい》に、一|羽《わ》を|燔祭《はんさい》にしなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、これらを|祭司《さいし》に|携《たずさ》えてきて、|祭司《さいし》はその|罪祭《ざいさい》のものを|先《さき》にささげなければならない。すなわち、その|頭《あたま》を|首《くび》の|根《ね》のところで、|摘《つ》み|破《やぶ》らなければならない。ただし、|切《き》り|離《はな》してはならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|罪祭《ざいさい》の|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|側面《そくめん》に|注《そそ》ぎ、|残《のこ》りの|血《ち》は|祭壇《さいだん》のもとに|絞《しぼ》り|出《だ》さなければならない。これは|罪祭《ざいさい》である。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|第《だい》二のものは、|定《さだ》めにしたがって|燔祭《はんさい》としなければならない。こうして、|祭司《さいし》が|彼《かれ》のためにその|犯《おか》した|罪《つみ》のあがないをするならば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もし二|羽《わ》の|山《やま》ばとにも、二|羽《わ》の|家《いえ》ばとのひなにも、|手《て》の|届《とど》かないときは、|彼《かれ》の|犯《おか》した|罪《つみ》のために、|供《そな》え|物《もの》として|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の一エパを|携《たずさ》えてきて、これを|罪祭《ざいさい》としなければならない。ただし、その|上《うえ》に|油《あぶら》をかけてはならない。またその|上《うえ》に|乳香《にゅうこう》を|添《そ》えてはならない。これは|罪祭《ざいさい》だからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれを|祭司《さいし》のもとに|携《たずさ》えて|行《い》き、|祭司《さいし》は|一握《ひとにぎ》りを|取《と》って、|記念《きねん》の|分《ぶん》とし、これを|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》のように、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。これは|罪祭《ざいさい》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|祭司《さいし》が|彼《かれ》のため、すなわち、|彼《かれ》がこれらの一つを|犯《おか》した|罪《つみ》のために、あがないをするならば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。そしてその|残《のこ》りは|素祭《そさい》と|同《おな》じく、|祭司《さいし》に|帰《き》するであろう』」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]「もし|人《ひと》が|不正《ふせい》をなし、あやまって|主《しゅ》の|聖《せい》なる|物《もの》について|罪《つみ》を|犯《おか》したときは、その|償《つぐな》いとして、あなたの|値《ね》|積《づも》りにしたがい、|聖所《せいじょ》のシケルで、|銀《ぎん》|数《すう》シケルに|当《あた》る|雄羊《おひつじ》の|全《まった》きものを、|群《む》れのうちから|取《と》り、それを|主《しゅ》に|携《たずさ》えてきて、|愆祭《けんさい》としなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|聖《せい》なる|物《もの》について|犯《おか》した|罪《つみ》のために|償《つぐな》いをし、またその五|分《ぶん》の一をこれに|加《くわ》えて、|祭司《さいし》に|渡《わた》さなければならない。こうして|祭司《さいし》がその|愆祭《けんさい》の|雄羊《おひつじ》をもって、|彼《かれ》のためにあがないをするならば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|人《ひと》がもし|罪《つみ》を|犯《おか》し、|主《しゅ》のいましめにそむいて、してはならないことの一つをしたときは、たといそれを|知《し》らなくても、|彼《かれ》は|罪《つみ》を|得《え》、そのとがを|負《お》わなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあなたの|値《ね》|積《づも》りにしたがって、|雄羊《おひつじ》の|全《まった》きものを|群《む》れのうちから|取《と》り、|愆祭《けんさい》としてこれを|祭司《さいし》のもとに|携《たずさ》えてこなければならない。こうして、|祭司《さいし》が|彼《かれ》のために、すなわち|彼《かれ》が|知《し》らないで、しかもあやまって|犯《おか》した|過失《かしつ》のために、あがないをするならば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これは|愆祭《けんさい》である。|彼《かれ》は|確《たし》かに|主《しゅ》の|前《まえ》にとがを|得《え》たからである」。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「もし|人《ひと》が|罪《つみ》を|犯《おか》し、|主《しゅ》に|対《たい》して|不正《ふせい》をなしたとき、すなわち|預《あず》かり|物《もの》、|手《て》にした|質草《しちぐさ》、またはかすめた|物《もの》について、その|隣人《りんじん》を|欺《あざむ》き、あるいはその|隣人《りんじん》をしえたげ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あるいは|落《おと》し|物《もの》を|拾《ひろ》い、それについて|欺《あざむ》き、|偽《いつわ》って|誓《ちか》うなど、すべて|人《ひと》がそれをなして|罪《つみ》となることの一つについて、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|罪《つみ》を|犯《おか》し、とがを|得《え》たならば、|彼《かれ》はそのかすめた|物《もの》、しえたげて|取《と》った|物《もの》、|預《あず》かった|物《もの》、|拾《ひろ》った|落《おと》し|物《もの》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]または|偽《いつわ》り|誓《ちか》ったすべての|物《もの》を|返《かえ》さなければならない。すなわち|残《のこ》りなく|償《つぐな》い、|更《さら》にその五|分《ぶん》の一をこれに|加《くわ》え、|彼《かれ》が|愆祭《けんさい》をささげる|日《ひ》に、これをその|元《もと》の|持《も》ち|主《ぬし》に|渡《わた》さなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|償《つぐな》いとして、あなたの|値《ね》|積《づも》りにしたがい、|雄羊《おひつじ》の|全《まった》きものを、|群《む》れの|中《なか》から|取《と》り、これを|祭司《さいし》のもとに|携《たずさ》えてきて、|愆祭《けんさい》として|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|祭司《さいし》が|主《しゅ》の|前《まえ》で|彼《かれ》のためにあがないをするならば、|彼《かれ》はそのいずれを|行《い》ってとがを|得《え》てもゆるされるであろう」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「アロンとその|子《こ》たちに|命《めい》じて|言《い》いなさい、『|燔祭《はんさい》のおきては|次《つぎ》のとおりである。|燔祭《はんさい》は|祭壇《さいだん》の|炉《ろ》の|上《うえ》に、|朝《あさ》まで|夜《よ》もすがらあるようにし、そこに|祭壇《さいだん》の|火《ひ》を|燃《も》え|続《つづ》かせなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|亜麻《あま》|布《ぬの》の|服《ふく》を|着《き》、|亜麻《あま》|布《ぬの》のももひきを|身《み》につけ、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|火《ひ》に|焼《や》けた|燔祭《はんさい》の|灰《はい》を|取《と》って、これを|祭壇《さいだん》のそばに|置《お》き、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|衣服《いふく》を|脱《ぬ》ぎ、ほかの|衣服《いふく》を|着《き》て、その|灰《はい》を|宿営《しゅくえい》の|外《そと》の|清《きよ》い|場所《ばしょ》に|携《たずさ》え|出《だ》さなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|祭壇《さいだん》の|上《うえ》の|火《ひ》は、そこに|燃《も》え|続《つづ》かせ、それを|消《け》してはならない。|祭司《さいし》は|朝《あさ》ごとに、たきぎをその|上《うえ》に|燃《も》やし、|燔祭《はんさい》をその|上《うえ》に|並《なら》べ、また|酬恩祭《しゅうおんさい》の|脂肪《しぼう》をその|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》は|絶《た》えず|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|燃《も》え|続《つづ》かせ、これを|消《け》してはならない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|素祭《そさい》のおきては|次《つぎ》のとおりである。アロンの|子《こ》たちはそれを|祭壇《さいだん》の|前《まえ》で|主《しゅ》の|前《まえ》にささげなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|素祭《そさい》の|麦粉《むぎこ》|一握《ひとにぎ》りとその|油《あぶら》を、|素祭《そさい》の|上《うえ》にある|全部《ぜんぶ》の|乳香《にゅうこう》と|共《とも》に|取《と》って、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》き、|香《こう》ばしいかおりとし、|記念《きねん》の|分《ぶん》として|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|残《のこ》りはアロンとその|子《こ》たちが|食《た》べなければならない。すなわち、|種《たね》を|入《い》れずに|聖《せい》なる|所《ところ》で|食《た》べなければならない。|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|庭《にわ》でこれを|食《た》べなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これは|種《たね》を|入《い》れて|焼《や》いてはならない。わたしはこれをわたしの|火祭《かさい》のうちから|彼《かれ》らの|分《ぶん》として|与《あた》える。これは|罪祭《ざいさい》および|愆祭《けんさい》と|同様《どうよう》に、いと|聖《せい》なるものである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》たちのうち、すべての|男子《だんし》はこれを|食《た》べることができる。これは|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》のうちから、あなたがたが|代々《よよ》|永久《えいきゅう》に|受《う》けるように|定《さだ》められた|分《ぶん》である。すべてこれに|触《ふ》れるものは|聖《せい》となるであろう』」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「アロンとその|子《こ》たちが、アロンの|油《あぶら》|注《そそ》がれる|日《ひ》に、|主《しゅ》にささぐべき|供《そな》え|物《もの》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の一エパを、|絶《た》えずささげる|素祭《そさい》とし、|半《なか》ばは|朝《あさ》に、|半《なか》ばは|夕《ゆう》にささげなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それは|油《あぶら》をよく|混《ま》ぜて|平鍋《ひらなべ》で|焼《や》き、それを|携《たずさ》えてきて、|細《こま》かく|砕《くだ》いた|素祭《そさい》とし、|香《こう》ばしいかおりとして、|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|子《こ》たちのうち、|油《あぶら》|注《そそ》がれて|彼《かれ》についで|祭司《さいし》となる|者《もの》は、これをささげなければならない。これは|永久《えいきゅう》に|主《しゅ》に|帰《き》する|分《ぶん》として、|全《まった》く|焼《や》きつくすべきものである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|祭司《さいし》の|素祭《そさい》は|全《まった》く|焼《や》きつくすべきものであって、これを|食《た》べてはならない」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]「アロンとその|子《こ》たちに|言《い》いなさい、『|罪祭《ざいさい》のおきては|次《つぎ》のとおりである。|罪祭《ざいさい》は|燔祭《はんさい》をほふる|場所《ばしょ》で、|主《しゅ》の|前《まえ》にほふらなければならない。これはいと|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|罪《つみ》のためにこれをささげる|祭司《さいし》が、これを|食《た》べなければならない。すなわち|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|庭《にわ》の|聖《せい》なる|所《ところ》で、これを|食《た》べなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]すべてその|肉《にく》に|触《ふ》れる|者《もの》は|聖《せい》となるであろう。もしその|血《ち》が|衣服《いふく》にかかったならば、そのかかったものは|聖《せい》なる|所《ところ》で|洗《あら》わなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]またそれを|煮《に》た|土《つち》の|器《うつわ》は|砕《くだ》かなければならない。もし|青銅《せいどう》の|器《うつわ》で|煮《に》たのであれば、それはみがいて、|水《みず》で|洗《あら》わなければならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちのうちのすべての|男子《だんし》は、これを|食《た》べることができる。これはいと|聖《せい》なるものである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|血《ち》を|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|携《たずさ》えていって、|聖所《せいじょ》であがないに|用《もち》いた|罪祭《ざいさい》は|食《た》べてはならない。これは|火《ひ》で|焼《や》き|捨《す》てなければならない。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|愆祭《けんさい》のおきては|次《つぎ》のとおりである。それはいと|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|愆祭《けんさい》は|燔祭《はんさい》をほふる|場所《ばしょ》でほふらなければならない。そして|祭司《さいし》はその|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのすべての|脂肪《しぼう》をささげなければならない。すなわち|脂《あぶら》|尾《お》、|内臓《ないぞう》をおおう|脂肪《しぼう》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]二つの|腎臓《じんぞう》とその|上《うえ》の|腰《こし》のあたりにある|脂肪《しぼう》、|腎臓《じんぞう》と|共《とも》に|取《と》られる|肝臓《かんぞう》の|上《うえ》の|小葉《しょうよう》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いて、|主《しゅ》に|火祭《かさい》としなければならない。これは|愆祭《けんさい》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちのうちのすべての|男子《だんし》は、これを|食《た》べることができる。これは|聖《せい》なる|所《ところ》で|食《た》べなければならない。これはいと|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》も|愆祭《けんさい》も、そのおきては一つであって、|異《こと》なるところはない。これは、あがないをなす|祭司《さいし》に|帰《き》する。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|携《たずさ》えてくる|燔祭《はんさい》をささげる|祭司《さいし》、その|祭司《さいし》に、そのささげる|燔祭《はんさい》のものの|皮《かわ》は|帰《き》する。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すべて|天火《てんぴ》で|焼《や》いた|素祭《そさい》、またすべて|深《ふか》|鍋《なべ》または|平鍋《ひらなべ》で|作《つく》ったものは、これをささげる|祭司《さいし》に|帰《き》する。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべて|素祭《そさい》は、|油《あぶら》を|混《ま》ぜたものも、かわいたものも、アロンのすべての|子《こ》たちにひとしく|帰《き》する。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にささぐべき|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》のおきては|次《つぎ》のとおりである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もしこれを|感謝《かんしゃ》のためにささげるのであれば、|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|種《たね》|入《い》れぬ|菓子《かし》と、|油《あぶら》を|塗《ぬ》った|種《たね》|入《い》れぬ|煎餅《せんべい》と、よく|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》に|油《あぶら》を|混《ま》ぜて|作《つく》った|菓子《かし》とを、|感謝《かんしゃ》の|犠牲《ぎせい》に|合《あ》わせてささげなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|種《たね》を|入《い》れたパンの|菓子《かし》をその|感謝《かんしゃ》のための|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|合《あ》わせ、|供《そな》え|物《もの》としてささげなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちこのすべての|供《そな》え|物《もの》のうちから、|菓子《かし》一つずつを|取《と》って|主《しゅ》にささげなければならない。これは|酬恩祭《しゅうおんさい》の|血《ち》を|注《そそ》ぎかける|祭司《さいし》に|帰《き》する。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|感謝《かんしゃ》のための|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》は、その|供《そな》え|物《もの》をささげた|日《ひ》のうちに|食《た》べなければならない。|少《すこ》しでも|明《あ》くる|朝《あさ》まで|残《のこ》して|置《お》いてはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|供《そな》え|物《もの》の|犠牲《ぎせい》がもし|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》、または|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》であるならば、その|犠牲《ぎせい》をささげた|日《ひ》のうちにそれを|食《た》べ、その|残《のこ》りはまた|明《あ》くる|日《ひ》に|食《た》べることができる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》の|残《のこ》りは三|日《か》|目《め》には|火《ひ》で|焼《や》き|捨《す》てなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]もしその|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》を三|日《か》|目《め》に|少《すこ》しでも|食《た》べるならば、それは|受《う》け|入《い》れられず、また|供《そな》え|物《もの》と|見《み》なされず、かえって|忌《い》むべき|物《もの》となるであろう。そしてそれを|食《た》べる|者《もの》はとがを|負《お》わなければならない。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|肉《にく》がもし|汚《けが》れた|物《もの》に|触《ふ》れるならば、それを|食《た》べることなく、|火《ひ》で|焼《や》き|捨《す》てなければならない。|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》はすべて|清《きよ》い|者《もの》がこれを|食《た》べることができる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がその|身《み》に|汚《けが》れがあるのに、|主《しゅ》にささげた|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》を|食《た》べるならば、その|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また|人《ひと》がもしすべて|汚《けが》れたもの、すなわち|人《ひと》の|汚《けが》れ、あるいは|汚《けが》れた|獣《けもの》、あるいは|汚《けが》れた|這《は》うものに|触《ふ》れながら、|主《しゅ》にささげた|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》を|食《た》べるならば、その|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう』」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたは、すべて|牛《うし》、|羊《ひつじ》、やぎの|脂肪《しぼう》を|食《た》べてはならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|自然《しぜん》に|死《し》んだ|獣《けもの》の|脂肪《しぼう》および|裂《さ》き|殺《ころ》された|獣《けもの》の|脂肪《しぼう》は、さまざまのことに|使《つか》ってもよい。しかし、それは|決《けっ》して|食《た》べてはならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]だれでも|火祭《かさい》として|主《しゅ》にささげる|獣《けもの》の|脂肪《しぼう》を|食《た》べるならば、これを|食《た》べる|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたはすべてその|住《す》む|所《ところ》で、|鳥《とり》にせよ、|獣《けもの》にせよ、すべてその|血《ち》を|食《た》べてはならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]だれでもすべて|血《ち》を|食《た》べるならば、その|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう』」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》を|主《しゅ》にささげる|者《もの》は、その|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》のうちから、その|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》に|携《たずさ》えてこなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|火祭《かさい》は|手《て》ずからこれを|携《たずさ》えてこなければならない。すなわちその|脂肪《しぼう》と|胸《むね》とを|携《たずさ》えてきて、その|胸《むね》を|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして、|揺祭《ようさい》としなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》はその|脂肪《しぼう》を|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。その|胸《むね》はアロンとその|子《こ》たちに|帰《き》する。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》のうちから、その|右《みぎ》のももを|挙祭《きょさい》として、|祭司《さいし》に|与《あた》えなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》たちのうち、|酬恩祭《しゅうおんさい》の|血《ち》と|脂肪《しぼう》とをささげる|者《もの》は、その|右《みぎ》のももを|自分《じぶん》の|分《ぶん》として、|獲《え》るであろう。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》の|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》のうちから、その|揺祭《ようさい》の|胸《むね》と|挙祭《きょさい》のももを|取《と》って、|祭司《さいし》アロンとその|子《こ》たちに|与《あた》え、これをイスラエルの|人々《ひとびと》から|永久《えいきゅう》に|彼《かれ》らの|受《う》くべき|分《ぶん》とする。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》の|火祭《かさい》のうちから、アロンの|受《う》ける|分《ぶん》と、その|子《こ》たちの|受《う》ける|分《ぶん》とであって、|祭司《さいし》の|職《しょく》をなすため、|彼《かれ》らが|主《しゅ》にささげられた|日《ひ》に|定《さだ》められたのである。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、これは|彼《かれ》らに|油《あぶら》を|注《そそ》ぐ|日《ひ》に、イスラエルの|人々《ひとびと》が|彼《かれ》らに|与《あた》えるように、|主《しゅ》が|命《めい》じられたものであって、|代々《よよ》|永久《えいきゅう》に|受《う》くべき|分《ぶん》である』」。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]これは|燔祭《はんさい》、|素祭《そさい》、|罪祭《ざいさい》、|愆祭《けんさい》、|任職祭《にんしょくさい》、|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》のおきてである。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|主《しゅ》がシナイの|荒野《あらの》においてイスラエルの|人々《ひとびと》にその|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》にささげることを|命《めい》じられた|日《ひ》に、シナイ|山《さん》でモーセに|命《めい》じられたものである。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはアロンとその|子《こ》たち、およびその|衣服《いふく》、|注《そそ》ぎ|油《あぶら》、|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、|種《たね》|入《い》れぬパン一かごを|取《と》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|集《あつ》めなさい」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》が|命《めい》じられたようにした。そして|会衆《かいしゅう》は|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|集《あつ》まった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|会衆《かいしゅう》にむかって|言《い》った、「これは|主《しゅ》があなたがたにせよと|命《めい》じられたことである」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセはアロンとその|子《こ》たちを|連《つ》れてきて、|水《みず》で|彼《かれ》らを|洗《あら》い|清《きよ》め、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アロンに|服《ふく》を|着《き》させ、|帯《おび》をしめさせ、|衣《ころも》をまとわせ、エポデを|着《つ》けさせ、エポデの|帯《おび》をしめさせ、それをもってエポデを|身《み》に|結《ゆ》いつけ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|胸当《むねあて》を|着《つ》けさせ、その|胸当《むねあて》にウリムとトンミムを|入《い》れ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|頭《あたま》に|帽子《ぼうし》をかぶらせ、その|帽子《ぼうし》の|前《まえ》に|金《きん》の|板《いた》、すなわち|聖《せい》なる|冠《かんむり》をつけさせた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまた|注《そそ》ぎ|油《あぶら》を|取《と》り、|幕屋《まくや》とそのうちのすべての|物《もの》に|油《あぶら》を|注《そそ》いでこれを|聖別《せいべつ》し、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]かつ、それを七たび|祭壇《さいだん》に|注《そそ》ぎ、|祭壇《さいだん》とそのもろもろの|器《うつわ》、|洗盤《せんばん》とその|台《だい》に|油《あぶら》を|注《そそ》いでこれを|聖別《せいべつ》し、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|注《そそ》ぎ|油《あぶら》をアロンの|頭《あたま》に|注《そそ》ぎ、|彼《かれ》に|油《あぶら》を|注《そそ》いでこれを|聖別《せいべつ》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたアロンの|子《こ》たちを|連《つ》れてきて、|服《ふく》を|彼《かれ》らに|着《き》させ、|帯《おび》を|彼《かれ》らにしめさせ、|頭巾《ずきん》を|頭《あたま》に|巻《ま》かせた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》を|連《つ》れてこさせ、アロンとその|子《こ》たちは、その|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》いた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこれをほふり、その|血《ち》を|取《と》り、|指《ゆび》をもってその|血《ち》を|祭壇《さいだん》の四すみの|角《つの》につけて|祭壇《さいだん》を|清《きよ》め、また|残《のこ》りの|血《ち》を|祭壇《さいだん》のもとに|注《そそ》いで、これを|聖別《せいべつ》し、これがためにあがないをした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたその|内臓《ないぞう》の|上《うえ》のすべての|脂肪《しぼう》、|肝臓《かんぞう》の|小葉《しょうよう》、二つの|腎臓《じんぞう》とその|脂肪《しぼう》とを|取《と》り、これを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|雄牛《おうし》の|皮《かわ》と|肉《にく》と|汚物《おぶつ》は|宿営《しゅくえい》の|外《そと》で、|火《ひ》をもって|焼《や》き|捨《す》てた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|燔祭《はんさい》の|雄羊《おひつじ》を|連《つ》れてこさせ、アロンとその|子《こ》たちは、その|雄羊《おひつじ》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》いた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこれをほふって、その|血《ち》を|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして、モーセはその|雄羊《おひつじ》を|節々《ふしぶし》に|切《き》り|分《わ》かち、その|頭《あたま》と|切《き》り|分《わ》けたものと|脂肪《しぼう》とを|焼《や》いた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]またモーセは|水《みず》でその|内臓《ないぞう》と|足《あし》とを|洗《あら》い、その|雄羊《おひつじ》をことごとく|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いた。これは|香《こう》ばしいかおりのための|燔祭《はんさい》であって、|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》である。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたほかの|雄羊《おひつじ》、すなわち|任《にん》|職《しょく》の|雄羊《おひつじ》を|連《つ》れてこさせ、アロンとその|子《こ》たちは、その|雄羊《おひつじ》の|頭《あたま》に|手《て》を|置《お》いた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこれをほふり、その|血《ち》を|取《と》って、アロンの|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶと、|右手《みぎて》の|親指《おやゆび》と、|右足《みぎあし》の|親指《おやゆび》とにつけた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]またモーセはアロンの|子《こ》たちを|連《つ》れてきて、その|血《ち》を|彼《かれ》らの|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶと、|右手《みぎて》の|親指《おやゆび》と、|右足《みぎあし》の|親指《おやゆび》とにつけた。そしてモーセはその|残《のこ》りの|血《ち》を、|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたその|脂肪《しぼう》、すなわち|脂《あぶら》|尾《お》、|内臓《ないぞう》の|上《うえ》のすべての|脂肪《しぼう》、|肝臓《かんぞう》の|小葉《しょうよう》、二つの|腎臓《じんぞう》とその|脂肪《しぼう》、ならびにその|右《みぎ》のももを|取《と》り、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|前《まえ》にある|種《たね》|入《い》れぬパンのかごから|種《たね》|入《い》れぬ|菓子《かし》一つと、|油《あぶら》を|入《い》れたパンの|菓子《かし》一つと、|煎餅《せんべい》一つとを|取《と》って、かの|脂肪《しぼう》と|右《みぎ》のももとの|上《うえ》に|載《の》せ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]これをすべてアロンの|手《て》と、その|子《こ》たちの|手《て》に|渡《わた》し、|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かさせて|揺祭《ようさい》とした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセはこれを|彼《かれ》らの|手《て》から|取《と》り、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|燔祭《はんさい》と|共《とも》に|焼《や》いた。これは|香《こう》ばしいかおりとする|任《にん》|職《しょく》の|供《そな》え|物《もの》であって、|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》である。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセはその|胸《むね》を|取《と》り、|主《しゅ》の|前《まえ》にこれを|揺《ゆ》り|動《うご》かして|揺祭《ようさい》とした。これは|任《にん》|職《しょく》の|雄羊《おひつじ》のうちモーセに|帰《き》すべき|分《ぶん》であった。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまた|注《そそ》ぎ|油《あぶら》と|祭壇《さいだん》の|上《うえ》の|血《ち》とを|取《と》り、これをアロンとその|服《ふく》、またその|子《こ》たちとその|服《ふく》とに|注《そそ》いで、アロンとその|服《ふく》、およびその|子《こ》たちと、その|服《ふく》とを|聖別《せいべつ》した。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたアロンとその|子《こ》たちに|言《い》った、「|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》でその|肉《にく》を|煮《に》なさい。そして|任職祭《にんしょくさい》のかごの|中《なか》のパンと|共《とも》に、それをその|所《ところ》で|食《た》べなさい。これは『アロンとその|子《こ》たちが|食《た》べなければならない、と|言《い》え』とわたしが|命《めい》じられたとおりである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはその|肉《にく》とパンとの|残《のこ》ったものを|火《ひ》で|焼《や》き|捨《す》てなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはその|任職祭《にんしょくさい》の|終《おわ》る|日《ひ》まで|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》から|出《で》てはならない。あなたがたの|任《にん》|職《しょく》は|七日《なぬか》を|要《よう》するからである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]きょう|行《おこな》ったように、あなたがたのために、あがないをせよ、と|主《しゅ》はお|命《めい》じになった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|日夜《にちや》とどまり、|主《しゅ》の|仰《おお》せを|守《まも》って、|死《し》ぬことのないようにしなければならない。わたしはそのように|命《めい》じられたからである」。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アロンとその|子《こ》たちは|主《しゅ》がモーセによってお|命《めい》じになったことを、ことごとく|行《おこな》った。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]八|日《か》|目《め》になって、モーセはアロンとその|子《こ》たち、およびイスラエルの|長老《ちょうろう》たちを|呼《よ》び|寄《よ》せ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アロンに|言《い》った、「あなたは|雄《おす》の|子《こ》|牛《うし》の|全《まった》きものを|罪祭《ざいさい》のために|取《と》り、また|雄羊《おひつじ》の|全《まった》きものを|燔祭《はんさい》のために|取《と》って、|主《しゅ》の|前《まえ》にささげなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたは|雄《お》やぎを|罪祭《ざいさい》のために|取《と》り、また一|歳《さい》の|全《まった》き|子《こ》|牛《うし》と|小羊《こひつじ》とを|燔祭《はんさい》のために|取《と》りなさい、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|前《まえ》にささげる|酬恩祭《しゅうおんさい》のために|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》とを|取《と》り、また|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|素祭《そさい》を|取《と》りなさい。|主《しゅ》がきょうあなたがたに|現《あらわ》れたもうからである』」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはモーセが|命《めい》じたものを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》に|携《たずさ》えてきた。|会衆《かいしゅう》がみな|近《ちか》づいて|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》ったので、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「これは|主《しゅ》があなたがたに、せよと|命《めい》じられたことである。こうして|主《しゅ》の|栄光《えいこう》はあなたがたに|現《あらわ》れるであろう」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたアロンに|言《い》った、「あなたは|祭壇《さいだん》に|近《ちか》づき、あなたの|罪祭《ざいさい》と|燔祭《はんさい》をささげて、あなたのため、また|民《たみ》のためにあがないをし、また|民《たみ》の|供《そな》え|物《もの》をささげて、|彼《かれ》らのためにあがないをし、すべて|主《しゅ》がお|命《めい》じになったようにしなさい」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでアロンは|祭壇《さいだん》に|近《ちか》づき、|自分《じぶん》のための|罪祭《ざいさい》の|子《こ》|牛《うし》をほふった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンの|子《こ》たちは、その|血《ち》を|彼《かれ》のもとに|携《たずさ》えてきたので、|彼《かれ》は|指《ゆび》をその|血《ち》に|浸《ひた》し、それを|祭壇《さいだん》の|角《つの》につけ、|残《のこ》りの|血《ち》を|祭壇《さいだん》のもとに|注《そそ》ぎ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|罪祭《ざいさい》の|脂肪《しぼう》と|腎臓《じんぞう》と|肝臓《かんぞう》の|小葉《しょうよう》とを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またその|肉《にく》と|皮《かわ》とは|宿営《しゅくえい》の|外《そと》で|火《ひ》をもって|焼《や》き|捨《す》てた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|燔祭《はんさい》の|獣《けもの》をほふり、アロンの|子《こ》たちがその|血《ち》を|彼《かれ》に|渡《わた》したので、これを|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがまた|燔祭《はんさい》のもの、すなわち、その|切《き》り|分《わ》けたものと|頭《あたま》とを|彼《かれ》に|渡《わた》したので、|彼《かれ》はこれを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またその|内臓《ないぞう》と|足《あし》とを|洗《あら》い、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|燔祭《はんさい》と|共《とも》にこれを|焼《や》いた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|民《たみ》の|供《そな》え|物《もの》をささげた。すなわち、|民《たみ》のための|罪祭《ざいさい》のやぎを|取《と》ってこれをほふり、|前《まえ》のようにこれを|罪《つみ》のためにささげた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》をささげた。すなわち、これを|定《さだ》めのようにささげた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|素祭《そさい》をささげ、そのうちから|一握《ひとにぎ》りを|取《と》り、|朝《あさ》の|燔祭《はんさい》に|加《くわ》えて、これを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|民《たみ》のためにささげる|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》とをほふり、アロンの|子《こ》たちが、その|血《ち》を|彼《かれ》に|渡《わた》したので、|彼《かれ》はこれを|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|注《そそ》ぎかけた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またその|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》との|脂肪《しぼう》、すなわち、|脂《あぶら》|尾《お》、|内臓《ないぞう》をおおうもの、|腎臓《じんぞう》、|肝臓《かんぞう》の|小葉《しょうよう》。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これらの|脂肪《しぼう》を|彼《かれ》らはその|胸《むね》の|上《うえ》に|載《の》せて|携《たずさ》えてきたので、|彼《かれ》はその|脂肪《しぼう》を|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|胸《むね》と|右《みぎ》のももとは、アロンが|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして|揺祭《ようさい》とした。モーセが|命《めい》じたとおりである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アロンは|民《たみ》にむかって|手《て》をあげて、|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》し、|罪祭《ざいさい》、|燔祭《はんさい》、|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげ|終《おわ》って|降《ふ》りた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|入《い》り、また|出《で》てきて|民《たみ》を|祝福《しゅくふく》した。そして|主《しゅ》の|栄光《えいこう》はすべての|民《たみ》に|現《あらわ》れ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|前《まえ》から|火《ひ》が|出《で》て、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》の|燔祭《はんさい》と|脂肪《しぼう》とを|焼《や》きつくした。|民《たみ》はみな、これを|見《み》て|喜《よろこ》びよばわり、そしてひれ|伏《ふ》した。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてアロンの|子《こ》ナダブとアビフとは、おのおのその|香炉《こうろ》を|取《と》って|火《ひ》をこれに|入《い》れ、|薫香《くんこう》をその|上《うえ》に|盛《も》って、|異火《ことび》を|主《しゅ》の|前《まえ》にささげた。これは|主《しゅ》の|命令《めいれい》に|反《はん》することであったので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|前《まえ》から|火《ひ》が|出《で》て|彼《かれ》らを|焼《や》き|滅《ほろ》ぼし、|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|前《まえ》に|死《し》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》モーセはアロンに|言《い》った、「|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられた。すなわち『わたしは、わたしに|近《ちか》づく|者《もの》のうちに、わたしの|聖《せい》なることを|示《しめ》し、すべての|民《たみ》の|前《まえ》に|栄光《えいこう》を|現《あらわ》すであろう』」。アロンは|黙《もく》していた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モーセはアロンの|叔父《おじ》ウジエルの|子《こ》ミシヤエルとエルザパンとを|呼《よ》び|寄《よ》せて|彼《かれ》らに|言《い》った、「|近寄《ちかよ》って、あなたがたの|兄弟《きょうだい》たちを|聖所《せいじょ》の|前《まえ》から、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|運《はこ》び|出《だ》しなさい」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|近寄《ちかよ》って、|彼《かれ》らをその|服《ふく》のまま|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|運《はこ》び|出《だ》し、モーセの|言《い》ったようにした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたアロンおよびその|子《こ》エレアザルとイタマルとに|言《い》った、「あなたがたは|髪《かみ》の|毛《け》を|乱《みだ》し、また|衣服《いふく》を|裂《さ》いてはならない。あなたがたが|死《し》ぬことのないため、また|主《しゅ》の|怒《いか》りが、すべての|会衆《かいしゅう》に|及《およ》ぶことのないためである。ただし、あなたがたの|兄弟《きょうだい》イスラエルの|全家《ぜんか》は、|主《しゅ》が|火《ひ》をもって|焼《や》き|滅《ほろ》ぼしたもうたことを|嘆《なげ》いてもよい。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたは|死《し》ぬことのないように、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》から|外《そと》へ|出《で》てはならない。あなたがたの|上《うえ》に|主《しゅ》の|注《そそ》ぎ|油《あぶら》があるからである」。|彼《かれ》らはモーセの|言葉《ことば》のとおりにした。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はアロンに|言《い》われた、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「あなたも、あなたの|子《こ》たちも|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいる|時《とき》には、|死《し》ぬことのないように、ぶどう|酒《しゅ》と|濃《こ》い|酒《さけ》を|飲《の》んではならない。これはあなたがたが|代々《よよ》|永《なが》く|守《まも》るべき|定《さだ》めとしなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたが|聖《せい》なるものと|俗《ぞく》なるもの、|汚《けが》れたものと|清《きよ》いものとの|区別《くべつ》をすることができるため、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》がモーセによって|語《かた》られたすべての|定《さだ》めを、イスラエルの|人々《ひとびと》に|教《おし》えることができるためである」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたアロンおよびその|残《のこ》っている|子《こ》エレアザルとイタマルとに|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》の|火祭《かさい》のうちから|素祭《そさい》の|残《のこ》りを|取《と》り、パン|種《だね》を|入《い》れずに、これを|祭壇《さいだん》のかたわらで|食《た》べなさい。これはいと|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》の|火祭《かさい》のうちからあなたの|受《う》ける|分《ぶん》、またあなたの|子《こ》たちの|受《う》ける|分《ぶん》であるから、あなたがたはこれを|聖《せい》なる|所《ところ》で|食《た》べなければならない。わたしはこのように|命《めい》じられたのである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|揺《ゆ》り|動《うご》かした|胸《むね》とささげたももとは、あなたとあなたのむすこ、|娘《むすめ》たちがこれを|清《きよ》い|所《ところ》で|食《た》べなければならない。これはイスラエルの|人々《ひとびと》の|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|中《なか》からあなたの|分《ぶん》、あなたの|子《こ》たちの|分《ぶん》として|与《あた》えられるものだからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのささげたももと|揺《ゆ》り|動《うご》かした|胸《むね》とを、|火祭《かさい》の|脂肪《しぼう》と|共《とも》に|携《たずさ》えてきて、これを|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして|揺祭《ようさい》としなければならない。これは|主《しゅ》がお|命《めい》じになったように、|長《なが》く|受《う》くべき|分《ぶん》としてあなたと、あなたの|子《こ》たちとに|帰《き》するであろう」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]さてモーセは|罪祭《ざいさい》のやぎを、ていねいに|捜《さが》したが、|見《み》よ、それがすでに|焼《や》かれていたので、|彼《かれ》は|残《のこ》っているアロンの|子《こ》エレアザルとイタマルとにむかい、|怒《いか》って|言《い》った、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたは、なぜ|罪祭《ざいさい》のものを|聖《せい》なる|所《ところ》で|食《た》べなかったのか。これはいと|聖《せい》なる|物《もの》であって、あなたがたが|会衆《かいしゅう》の|罪《つみ》を|負《お》って、|彼《かれ》らのために|主《しゅ》の|前《まえ》にあがないをするため、あなたがたに|賜《たま》わった|物《もの》である。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、その|血《ち》は|聖所《せいじょ》の|中《なか》に|携《たずさ》え|入《い》れなかった。その|肉《にく》はわたしが|命《めい》じたように、あなたがたは|必《かなら》ずそれを|聖《せい》なる|所《ところ》で|食《た》べるべきであった」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アロンはモーセに|言《い》った、「|見《み》よ、きょう、|彼《かれ》らはその|罪祭《ざいさい》と|燔祭《はんさい》とを|主《しゅ》の|前《まえ》にささげたが、このような|事《こと》がわたしに|臨《のぞ》んだ。もしわたしが、きょう|罪祭《ざいさい》のものを|食《た》べたとしたら、|主《しゅ》はこれを|良《よ》しとせられたであろうか」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこれを|聞《き》いて|良《よ》しとした。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『|地《ち》にあるすべての|獣《けもの》のうち、あなたがたの|食《た》べることができる|動物《どうぶつ》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|獣《けもの》のうち、すべてひずめの|分《わ》かれたもの、すなわち、ひずめの|全《まった》く|切《き》れたもの、|反芻《はんすう》するものは、これを|食《た》べることができる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|反芻《はんすう》するもの、またはひずめの|分《わ》かれたもののうち、|次《つぎ》のものは|食《た》べてはならない。すなわち、らくだ、これは、|反芻《はんすう》するけれども、ひずめが|分《わ》かれていないから、あなたがたには|汚《けが》れたものである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》たぬき、これは、|反芻《はんすう》するけれども、ひずめが|分《わ》かれていないから、あなたがたには|汚《けが》れたものである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》うさぎ、これは、|反芻《はんすう》するけれども、ひずめが|分《わ》かれていないから、あなたがたには|汚《けが》れたものである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|豚《ぶた》、これは、ひずめが|分《わ》かれており、ひずめが|全《まった》く|切《き》れているけれども、|反芻《はんすう》することをしないから、あなたがたには|汚《けが》れたものである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、これらのものの|肉《にく》を|食《た》べてはならない。またその|死体《したい》に|触《ふ》れてはならない。これらは、あなたがたには|汚《けが》れたものである。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》の|中《なか》にいるすべてのもののうち、あなたがたの|食《た》べることができるものは|次《つぎ》のとおりである。すなわち、|海《うみ》でも、|川《かわ》でも、すべて|水《みず》の|中《なか》にいるもので、ひれと、うろこのあるものは、これを|食《た》べることができる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべて|水《みず》に|群《むら》がるもの、またすべての|水《みず》の|中《なか》にいる|生《い》き|物《もの》のうち、すなわち、すべて|海《うみ》、また|川《かわ》にいて、ひれとうろこのないものは、あなたがたに|忌《い》むべきものである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]これらはあなたがたに|忌《い》むべきものであるから、あなたがたはその|肉《にく》を|食《た》べてはならない。またその|死体《したい》は|忌《い》むべきものとしなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すべて|水《みず》の|中《なか》にいて、ひれも、うろこもないものは、あなたがたに|忌《い》むべきものである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|鳥《とり》のうち、|次《つぎ》のものは、あなたがたに|忌《い》むべきものとして、|食《た》べてはならない。それらは|忌《い》むべきものである。すなわち、はげわし、ひげはげわし、みさご、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]とび、はやぶさの|類《るい》、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろのからすの|類《るい》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]だちょう、よたか、かもめ、たかの|類《るい》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ふくろう、う、みみずく、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]むらさきばん、ペリカン、はげたか、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうのとり、さぎの|類《るい》、やつがしら、こうもり。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|羽《はね》があって四つの|足《あし》で|歩《ある》くすべての|這《は》うものは、あなたがたに|忌《い》むべきものである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|羽《はね》があって四つの|足《あし》で|歩《ある》くすべての|這《は》うもののうち、その|足《あし》のうえに、|跳《は》ね|足《あし》があり、それで|地《ち》の|上《うえ》をはねるものは|食《た》べることができる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、そのうち|次《つぎ》のものは|食《た》べることができる。|移住《いじゅう》いなごの|類《るい》、|遍歴《へんれき》いなごの|類《るい》、|大《おお》いなごの|類《るい》、|小《しょう》いなごの|類《るい》である。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|羽《はね》があって四つの|足《あし》で|歩《ある》く、そのほかのすべての|這《は》うものは、あなたがたに|忌《い》むべきものである。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|次《つぎ》の|場合《ばあい》に|汚《けが》れたものとなる。すなわち、すべてこれらのものの|死体《したい》に|触《ふ》れる|者《もの》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すべてこれらのものの|死体《したい》を|運《はこ》ぶ|者《もの》は、その|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すべて、ひずめの|分《わ》かれた|獣《けもの》で、その|切《き》れ|目《め》の|切《き》れていないもの、また、|反芻《はんすう》することをしないものは、あなたがたに|汚《けが》れたものである。すべて、これに|触《ふ》れる|者《もの》は|汚《けが》れる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]すべて四つの|足《あし》で|歩《ある》く|獣《けもの》のうち、その|足《あし》の|裏《うら》のふくらみで|歩《ある》くものは|皆《みな》あなたがたに|汚《けが》れたものである。すべてその|死体《したい》に|触《ふ》れる|者《もの》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|死体《したい》を|運《はこ》ぶ|者《もの》は、その|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。これは、あなたがたに|汚《けが》れたものである。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》にはう|這《は》うもののうち、|次《つぎ》のものはあなたがたに|汚《けが》れたものである。すなわち、もぐらねずみ、とびねずみ、とげ|尾《お》とかげの|類《るい》、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]やもり、|大《だい》とかげ、とかげ、すなとかげ、カメレオン。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|這《は》うもののうち、これらはあなたがたに|汚《けが》れたものである。すべてそれらのものが|死《し》んで、それに|触《ふ》れる|者《もの》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]またそれらのものが|死《し》んで、それが|落《お》ちかかった|物《もの》はすべて|汚《けが》れる。|木《き》の|器《うつわ》であれ、|衣服《いふく》であれ、|皮《かわ》であれ、|袋《ふくろ》であれ、およそ|仕事《しごと》に|使《つか》う|器《うつわ》はそれを|水《みず》に|入《い》れなければならない。それは|夕《ゆう》まで|汚《けが》れているが、そののち|清《きよ》くなる。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]またそれらのものが、|土《つち》の|器《うつわ》の|中《なか》に|落《お》ちたならば、その|中《なか》にあるものは|皆《みな》|汚《けが》れる。あなたがたはその|器《うつわ》をこわさなければならない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]またすべてその|中《なか》にある|食物《しょくもつ》で、|水分《すいぶん》のあるものは|汚《けが》れる。またすべてそのような|器《うつわ》の|中《なか》にある|飲《の》み|物《もの》も|皆《みな》|汚《けが》れる。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]またそれらのものの|死体《したい》が|落《お》ちかかったならば、その|物《もの》はすべて|汚《けが》れる。|天火《てんぴ》であれ、かまどであれ、それをこわさなければならない。これらは|汚《けが》れたもので、あなたがたに|汚《けが》れたものとなる。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|泉《いずみ》、あるいは|水《みず》の|集《あつ》まった|水《みず》たまりは|汚《けが》れない。しかし、その|死体《したい》に|触《ふ》れる|者《もの》は|汚《けが》れる。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]それらのものの|死体《したい》が、まく|種《たね》の|上《うえ》に|落《お》ちても、それは|汚《けが》れない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|種《たね》の|上《うえ》に|水《みず》がかかっていて、その|上《うえ》にそれらのものの|死体《したい》が、|落《お》ちるならば、それはあなたがたに|汚《けが》れたものとなる。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|食《た》べる|獣《けもの》が|死《し》んだ|時《とき》、その|死体《したい》に|触《ふ》れる|者《もの》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]その|死体《したい》を|食《た》べる|者《もの》は、その|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。その|死体《したい》を|運《はこ》ぶ|者《もの》も、その|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|地《ち》にはう|這《は》うものは|忌《い》むべきものである。これを|食《た》べてはならない。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]すべて|腹《はら》ばい|行《い》くもの、四つ|足《あし》で|歩《ある》くもの、あるいは|多《おお》くの|足《あし》をもつもの、すなわち、すべて|地《ち》にはう|這《は》うものは、あなたがたはこれを|食《た》べてはならない。それらは|忌《い》むべきものだからである。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはすべて|這《は》うものによって、あなたがたの|身《み》を|忌《い》むべきものとしてはならない。また、これをもって|身《み》を|汚《けが》し、あるいはこれによって|汚《けが》されてはならない。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であるから、あなたがたはおのれを|聖別《せいべつ》し、|聖《せい》なる|者《もの》とならなければならない。わたしは|聖《せい》なる|者《もの》である。|地《ち》にはう|這《は》うものによって、あなたがたの|身《み》を|汚《けが》してはならない。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|神《かみ》となるため、あなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|上《のぼ》った|主《しゅ》である。わたしは|聖《せい》なる|者《もの》であるから、あなたがたは|聖《せい》なる|者《もの》とならなければならない』」。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]これは|獣《けもの》と|鳥《とり》と、|水《みず》の|中《なか》に|動《うご》くすべての|生《い》き|物《もの》と、|地《ち》に|這《は》うすべてのものに|関《かん》するおきてであって、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|汚《けが》れたものと|清《きよ》いもの、|食《た》べられる|生《い》き|物《もの》と、|食《た》べられない|生《い》き|物《もの》とを|区別《くべつ》するものである。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『|女《おんな》がもし|身《み》ごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》めば、|七日《なぬか》のあいだ|汚《けが》れる。すなわち、|月《つき》のさわりの|日《ひ》かずほど|汚《けが》れるであろう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]八|日《か》|目《め》にはその|子《こ》の|前《まえ》の|皮《かわ》に|割礼《かつれい》を|施《ほどこ》さなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》はなお、|血《ち》の|清《きよ》めに三十三|日《にち》を|経《へ》なければならない。その|清《きよ》めの|日《ひ》の|満《み》ちるまでは、|聖《せい》なる|物《もの》に|触《ふ》れてはならない。また|聖《せい》なる|所《ところ》にはいってはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もし|女《おんな》の|子《こ》を|産《う》めば、二|週間《しゅうかん》、|月《つき》のさわりと|同《おな》じように|汚《けが》れる。その|女《おんな》はなお、|血《ち》の|清《きよ》めに六十六|日《にち》を|経《へ》なければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》の|子《こ》または|女《おんな》の|子《こ》についての|清《きよ》めの|日《ひ》が|満《み》ちるとき、|女《おんな》は|燔祭《はんさい》のために一|歳《さい》の|小羊《こひつじ》、|罪祭《ざいさい》のために|家《いえ》ばとのひな、あるいは|山《やま》ばとを、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》の、|祭司《さいし》のもとに、|携《たずさ》えてこなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|主《しゅ》の|前《まえ》にささげて、その|女《おんな》のために、あがないをしなければならない。こうして|女《おんな》はその|出血《しゅっけつ》の|汚《けが》れが|清《きよ》まるであろう。これは|男《おとこ》の|子《こ》または|女《おんな》の|子《こ》を|産《う》んだ|女《おんな》のためのおきてである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もしその|女《おんな》が|小羊《こひつじ》に|手《て》の|届《とど》かないときは、|山《やま》ばと二|羽《わ》か、|家《いえ》ばとのひな二|羽《わ》かを|取《と》って、一つを|燔祭《はんさい》、一つを|罪祭《ざいさい》とし、|祭司《さいし》はその|女《おんな》のために、あがないをしなければならない。こうして|女《おんな》は|清《きよ》まるであろう』」。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》がその|身《み》の|皮《かわ》に|腫《しゅ》、あるいは|吹出物《ふきでもの》、あるいは|光《ひか》る|所《ところ》ができ、これがその|身《み》の|皮《かわ》にらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》のようになるならば、その|人《ひと》を|祭司《さいし》アロンまたは、|祭司《さいし》なるアロンの|子《こ》たちのひとりのもとに、|連《つ》れて|行《い》かなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|身《み》の|皮《かわ》の|患部《かんぶ》を|見《み》、その|患部《かんぶ》の|毛《け》がもし|白《しろ》く|変《かわ》り、かつ|患部《かんぶ》が、その|身《み》の|皮《かわ》よりも|深《ふか》く|見《み》えるならば、それはらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》である。|祭司《さいし》は|彼《かれ》を|見《み》て、これを|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしまたその|身《み》の|皮《かわ》の|光《ひか》る|所《ところ》が|白《しろ》くて、|皮《かわ》よりも|深《ふか》く|見《み》えず、また|毛《け》も|白《しろ》く|変《かわ》っていないならば、|祭司《さいし》はその|患者《かんじゃ》を|七日《なぬか》のあいだ|留《と》め|置《お》かなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》に|祭司《さいし》はこれを|見《み》て、もし|患部《かんぶ》の|様子《ようす》に|変《かわ》りがなく、また|患部《かんぶ》が|皮《かわ》に|広《ひろ》がっていないならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》をさらに|七日《なぬか》のあいだ|留《と》め|置《お》かなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》に|祭司《さいし》は|再《ふたた》びその|人《ひと》を|見《み》て、|患部《かんぶ》がもし|薄《うす》らぎ、また|患部《かんぶ》が|皮《かわ》に|広《ひろ》がっていないならば、|祭司《さいし》はこれを|清《きよ》い|者《もの》としなければならない。これは|吹出物《ふきでもの》である。その|人《ひと》は|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。そして|清《きよ》くなるであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|人《ひと》が|祭司《さいし》に|見《み》せて|清《きよ》い|者《もの》とされた|後《のち》に、その|吹出物《ふきでもの》が|皮《かわ》に|広《ひろ》くひろがるならば、|再《ふたた》び|祭司《さいし》にその|身《み》を|見《み》せなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|見《み》て、その|吹出物《ふきでもの》が|皮《かわ》に|広《ひろ》がっているならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。これはらい|病《びょう》である。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》にらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》があるならば、その|人《ひと》を|祭司《さいし》のもとに|連《つ》れて|行《い》かなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》がこれを|見《み》て、その|皮《かわ》に|白《しろ》い|腫《しゅ》があり、その|毛《け》も|白《しろ》く|変《かわ》り、かつその|腫《しゅ》に|生《い》きた|生肉《なまにく》が|見《み》えるならば、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]これは|古《ふる》いらい|病《びょう》がその|身《み》の|皮《かわ》にあるのであるから、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。その|人《ひと》は|汚《けが》れた|者《もの》であるから、これを|留《と》め|置《お》くに|及《およ》ばない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もしらい|病《びょう》が|広《ひろ》く|皮《かわ》に|出《で》て、そのらい|病《びょう》が、その|患者《かんじゃ》の|皮《かわ》を|頭《あたま》から|足《あし》まで、ことごとくおおい、|祭司《さいし》の|見《み》るところすべてに|及《およ》んでおれば、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|見《み》、もしらい|病《びょう》がその|身《み》をことごとくおおっておれば、その|患者《かんじゃ》を|清《きよ》い|者《もの》としなければならない。それはことごとく|白《しろ》く|変《かわ》ったから、|彼《かれ》は|清《きよ》い|者《もの》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|生肉《なまにく》がその|人《ひと》に|現《あらわ》れておれば、|汚《けが》れた|者《もの》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|生肉《なまにく》を|見《み》て、その|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。|生肉《なまにく》は|汚《けが》れたものであって、それはらい|病《びょう》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もしまたその|生肉《なまにく》が|再《ふたた》び|白《しろ》く|変《かわ》るならば、その|人《ひと》は|祭司《さいし》のもとに|行《い》かなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|見《み》て、もしその|患部《かんぶ》が|白《しろ》く|変《かわ》っておれば、|祭司《さいし》はその|患者《かんじゃ》を|清《きよ》い|者《もの》としなければならない。その|人《ひと》は|清《きよ》い|者《もの》である。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|身《み》の|皮《かわ》に|腫物《はれもの》があったが、|直《なお》って、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|腫物《はれもの》の|場所《ばしょ》に|白《しろ》い|腫《しゅ》、または|赤《あか》みをおびた|白《しろ》い|光《ひか》る|所《ところ》があれば、これを|祭司《さいし》に|見《み》せなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|見《み》て、もし|皮《かわ》よりも|低《ひく》く|見《み》え、その|毛《け》が|白《しろ》く|変《かわ》っていれば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。それは|腫物《はれもの》に|起《た》ったらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》だからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|祭司《さいし》がこれを|見《み》て、もしその|所《ところ》に|白《しろ》い|毛《け》がなく、また|皮《かわ》よりも|低《ひく》い|所《ところ》がなく、かえって|薄《うす》らいでいるならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|七日《なぬか》のあいだ|留《と》め|置《お》かなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そしてもし|皮《かわ》に|広《ひろ》くひろがっているならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。それは|患部《かんぶ》だからである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|光《ひか》る|所《ところ》がもしその|所《ところ》にとどまって|広《ひろ》がらなければ、それは|腫物《はれもの》の|跡《あと》である。|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|清《きよ》い|者《もの》としなければならない。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]また|身《み》の|皮《かわ》にやけどがあって、そのやけどの|生《い》きた|肉《にく》がもし|赤《あか》みをおびた|白《しろ》、または、ただ|白《しろ》くて|光《ひか》る|所《ところ》となるならば、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|見《み》なければならない。そしてもし、その|光《ひか》る|所《ところ》にある|毛《け》が|白《しろ》く|変《かわ》って、そこが|皮《かわ》よりも|深《ふか》く|見《み》えるならば、これはやけどに|生《しょう》じたらい|病《びょう》である。|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。これはらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》だからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]けれども|祭司《さいし》がこれを|見《み》て、その|光《ひか》る|所《ところ》に|白《しろ》い|毛《け》がなく、また|皮《かわ》よりも|低《ひく》い|所《ところ》がなく、かえって|薄《うす》らいでいるならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|七日《なぬか》のあいだ|留《と》め|置《お》き、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》に|祭司《さいし》は|彼《かれ》を|見《み》なければならない。もし|皮《かわ》に|広《ひろ》くひろがっているならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。これはらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》だからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]もしその|光《ひか》る|所《ところ》が、その|所《ところ》にとどまって、|皮《かわ》に|広《ひろ》がらずに、かえって|薄《うす》らいでいるならば、これはやけどの|腫《しゅ》である。|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|清《きよ》い|者《もの》としなければならない。これはやけどの|跡《あと》だからである。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》あるいは|女《おんな》がもし、|頭《あたま》またはあごに|患部《かんぶ》が|生《しょう》じたならば、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|患部《かんぶ》を|見《み》なければならない。もしそれが|皮《かわ》よりも|深《ふか》く|見《み》え、またそこに|黄色《きいろ》の|細《ほそ》い|毛《け》があるならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。それはかいせんであって、|頭《あたま》またはあごのらい|病《びょう》だからである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》がそのかいせんの|患部《かんぶ》を|見《み》て、もしそれが|皮《かわ》よりも|深《ふか》く|見《み》えず、またそこに|黒《くろ》い|毛《け》がないならば、|祭司《さいし》はそのかいせんの|患者《かんじゃ》を|七日《なぬか》のあいだ|留《と》め|置《お》き、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》に|祭司《さいし》はその|患部《かんぶ》を|見《み》なければならない。そのかいせんがもし|広《ひろ》がらず、またそこに|黄色《きいろ》の|毛《け》がなく、そのかいせんが|皮《かわ》よりも|深《ふか》く|見《み》えないならば、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|身《み》をそらなければならない。ただし、そのかいせんをそってはならない。|祭司《さいし》はそのかいせんのある|者《もの》をさらに|七日《なぬか》のあいだ|留《と》め|置《お》き、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》に|祭司《さいし》はそのかいせんを|見《み》なければならない。もしそのかいせんが|皮《かわ》に|広《ひろ》がらず、またそれが|皮《かわ》よりも|深《ふか》く|見《み》えないならば、|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|清《きよ》い|者《もの》としなければならない。その|人《ひと》はまたその|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。そして|清《きよ》くなるであろう。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|彼《かれ》が|清《きよ》い|者《もの》とされた|後《のち》に、そのかいせんが、|皮《かわ》に|広《ひろ》くひろがるならば、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|見《み》なければならない。もしそのかいせんが|皮《かわ》に|広《ひろ》がっているならば、|祭司《さいし》は|黄色《きいろ》の|毛《け》を|捜《さが》すまでもなく、その|人《ひと》は|汚《けが》れた|者《もの》である。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしそのかいせんの|様子《ようす》に|変《かわ》りなく、そこに|黒《くろ》い|毛《け》が|生《しょう》じているならば、そのかいせんは|直《なお》ったので、その|人《ひと》は|清《きよ》い。|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|清《きよ》い|者《もの》としなければならない。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]また|男《おとこ》あるいは|女《おんな》がもし、その|身《み》の|皮《かわ》に|光《ひか》る|所《ところ》、すなわち|白《しろ》い|光《ひか》る|所《ところ》があるならば、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|見《み》なければならない。もしその|身《み》の|皮《かわ》の|光《ひか》る|所《ところ》が、|鈍《にぶ》い|白《しろ》であるならば、これはただ|白《はく》せんがその|皮《かわ》に|生《しょう》じたのであって、その|人《ひと》は|清《きよ》い。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもしその|頭《あたま》から|毛《け》が|抜《ぬ》け|落《お》ちても、それがはげならば|清《きよ》い。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]もしその|額《ひたい》の|毛《け》が|抜《ぬ》け|落《お》ちても、それが|額《ひたい》のはげならば|清《きよ》い。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]けれども、もしそのはげ|頭《あたま》または、はげ|額《ひたい》に|赤《あか》みをおびた|白《しろ》い|患部《かんぶ》があるならば、それはそのはげ|頭《あたま》または、はげ|額《ひたい》にらい|病《びょう》が|発《はっ》したのである。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|見《み》なければならない。もしそのはげ|頭《あたま》または、はげ|額《ひたい》の|患部《かんぶ》の|腫《しゅ》が|白《しろ》く|赤《あか》みをおびて、|身《み》の|皮《かわ》にらい|病《びょう》があらわれているならば、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》はらい|病《びょう》に|冒《おか》された|者《もの》であって、|汚《けが》れた|者《もの》である。|祭司《さいし》はその|人《ひと》を|確《たし》かに|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。|患部《かんぶ》が|頭《あたま》にあるからである。  [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|患部《かんぶ》のあるらい|病人《びょうにん》は、その|衣服《いふく》を|裂《さ》き、その|頭《あたま》を|現《あらわ》し、その|口《くち》ひげをおおって『|汚《けが》れた|者《もの》、|汚《けが》れた|者《もの》』と|呼《よ》ばわらなければならない。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]その|患部《かんぶ》が|身《み》にある|日《ひ》の|間《あいだ》は|汚《けが》れた|者《もの》としなければならない。その|人《ひと》は|汚《けが》れた|者《もの》であるから、|離《はな》れて|住《す》まなければならない。すなわち、そのすまいは|宿営《しゅくえい》の|外《そと》でなければならない。  [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]また|衣服《いふく》にらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》が|生《しょう》じた|時《とき》は、それが|羊毛《ようもう》の|衣服《いふく》であれ、|亜麻《あま》の|衣服《いふく》であれ、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]あるいは|亜麻《あま》または|羊毛《ようもう》の|縦糸《たていと》であれ、|横糸《よこいと》であれ、あるいは|皮《かわ》であれ、|皮《かわ》で|作《つく》ったどのような|物《もの》であれ、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]もしその|衣服《いふく》あるいは|皮《かわ》、あるいは|縦糸《たていと》、あるいは|横糸《よこいと》、あるいは|皮《かわ》で|作《つく》ったどのような|物《もの》であれ、その|患部《かんぶ》が|青《あお》みをおびているか、あるいは|赤《あか》みをおびているならば、これはらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》である。これを|祭司《さいし》に|見《み》せなければならない。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|患部《かんぶ》を|見《み》て、その|患部《かんぶ》のある|物《もの》を|七日《なぬか》のあいだ|留《と》め|置《お》き、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》に|患部《かんぶ》を|見《み》て、もしその|衣服《いふく》、あるいは|縦糸《たていと》、あるいは|横糸《よこいと》、あるいは|皮《かわ》、またどのように|用《もち》いられている|皮《かわ》であれ、|患部《かんぶ》が|広《ひろ》がっているならば、その|患部《かんぶ》は|悪性《あくせい》のらい|病《びょう》であって、それは|汚《けが》れた|物《もの》である。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|患部《かんぶ》のある|衣服《いふく》、あるいは|羊毛《ようもう》、または|亜麻《あま》の|縦糸《たていと》、または|横糸《よこいと》、あるいはすべて|皮《かわ》で|作《つく》った|物《もの》を|焼《や》かなければならない。これは|悪性《あくせい》のらい|病《びょう》であるから、その|物《もの》を|火《ひ》で|焼《や》かなければならない。  [#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|祭司《さいし》がこれを|見《み》て、もし|患部《かんぶ》がその|衣服《いふく》、あるいは|縦糸《たていと》、あるいは|横糸《よこいと》、あるいはすべて|皮《かわ》で|作《つく》った|物《もの》に|広《ひろ》がっていないならば、[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|命《めい》じて、その|患部《かんぶ》のある|物《もの》を|洗《あら》わせ、さらに|七日《なぬか》の|間《あいだ》これを|留《と》め|置《お》かなければならない。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|患部《かんぶ》を|洗《あら》った|後《のち》、|祭司《さいし》はそれを|見《み》て、もし|患部《かんぶ》の|色《いろ》が|変《かわ》らなければ、|患部《かんぶ》が|広《ひろ》がらなくても、それは|汚《けが》れた|物《もの》である。それが|表《ひょう》にあっても|裏《うら》にあっても|腐《くさ》れであるから、それを|火《ひ》で|焼《や》かなければならない。  [#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|祭司《さいし》がこれを|見《み》て、それを|洗《あら》った|後《のち》に、その|患部《かんぶ》が|薄《うす》らいだならば、その|衣服《いふく》、あるいは|皮《かわ》、あるいは|縦糸《たていと》、あるいは|横糸《よこいと》から、それを|切《き》り|取《と》らなければならない。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、なおその|衣服《いふく》、あるいは|縦糸《たていと》、あるいは|横糸《よこいと》、あるいはすべて|皮《かわ》で|作《つく》った|物《もの》にそれが|現《あらわ》れれば、それは|再発《さいはつ》したのである。その|患部《かんぶ》のある|物《もの》を|火《ひ》で|焼《や》かなければならない。[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]また|洗《あら》った|衣服《いふく》、あるいは|縦糸《たていと》、あるいは|横糸《よこいと》、あるいはすべて|皮《かわ》で|作《つく》った|物《もの》から、|患部《かんぶ》が|消《き》え|去《さ》るならば、|再《ふたた》びそれを|洗《あら》わなければならない。そうすれば|清《きよ》くなるであろう」。  [#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]これは|羊毛《ようもう》または|亜麻《あま》の|衣服《いふく》、あるいは|縦糸《たていと》、あるいは|横糸《よこいと》、あるいはすべて|皮《かわ》で|作《つく》った|物《もの》に|生《しょう》じるらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》について、それを|清《きよ》い|物《もの》とし、または|汚《けが》れた|物《もの》とするためのおきてである。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「らい|病人《びょうにん》が|清《きよ》い|者《もの》とされる|時《とき》のおきては|次《つぎ》のとおりである。すなわち、その|人《ひと》を|祭司《さいし》のもとに|連《つ》れて|行《い》き、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|出《で》て|行《い》って、その|人《ひと》を|見《み》、もしらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》がいえているならば、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|命《めい》じてその|清《きよ》められる|者《もの》のために、|生《い》きている|清《きよ》い|小鳥《ことり》二|羽《わ》と、|香柏《こうはく》の|木《き》と、|緋《ひ》の|糸《いと》と、ヒソプとを|取《と》ってこさせ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はまた|命《めい》じて、その|小鳥《ことり》の一|羽《わ》を、|流《なが》れ|水《みず》を|盛《も》った|土《つち》の|器《うつわ》の|上《うえ》で|殺《ころ》させ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|生《い》きている|小鳥《ことり》を、|香柏《こうはく》の|木《き》と、|緋《ひ》の|糸《いと》と、ヒソプと|共《とも》に|取《と》って、これをかの|流《なが》れ|水《みず》を|盛《も》った|土《つち》の|器《うつわ》の|上《うえ》で|殺《ころ》した|小鳥《ことり》の|血《ち》に、その|生《い》きている|小鳥《ことり》と|共《とも》に|浸《ひた》し、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これをらい|病《びょう》から|清《きよ》められる|者《もの》に七たび|注《そそ》いで、その|人《ひと》を|清《きよ》い|者《もの》とし、その|生《い》きている|小鳥《ことり》は|野《の》に|放《はな》たなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|清《きよ》められる|者《もの》はその|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|毛《け》をことごとくそり|落《おと》し、|水《みず》に|身《み》をすすいで|清《きよ》くなり、その|後《のち》、|宿営《しゅくえい》にはいることができる。ただし|七日《なぬか》の|間《あいだ》はその|天幕《てんまく》の|外《そと》にいなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|七日《なぬか》|目《め》に|毛《け》をことごとくそらなければならい。|頭《あたま》の|毛《け》も、ひげも、まゆも、ことごとくそらなければならない。|彼《かれ》はその|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすいで|清《きよ》くなるであろう。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]八|日《か》|目《め》にその|人《ひと》は|雄《おす》の|小羊《こひつじ》の|全《まった》きもの二|頭《とう》と、一|歳《さい》の|雌《めす》の|小羊《こひつじ》の|全《まった》きもの一|頭《とう》とを|取《と》り、また|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の三エパに|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|素祭《そさい》と、|油《あぶら》一ログとを|取《と》らなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|清《きよ》めをなす|祭司《さいし》は、|清《きよ》められる|人《ひと》とこれらの|物《もの》とを、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で|主《しゅ》の|前《まえ》に|置《お》き、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は、かの|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》を|取《と》って、これを一ログの|油《あぶら》と|共《とも》に|愆祭《けんさい》としてささげ、またこれを|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして|揺祭《ようさい》としなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|雄《おす》の|小羊《こひつじ》は|罪祭《ざいさい》および|燔祭《はんさい》をほふる|場所《ばしょ》、すなわち|聖《せい》なる|所《ところ》で、これをほふらなければならない。|愆祭《けんさい》は|罪祭《ざいさい》と|同《おな》じく、|祭司《さいし》に|帰《き》するものであって、いと|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》はその|愆祭《けんさい》の|血《ち》を|取《と》り、これを|清《きよ》められる|者《もの》の|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶと、|右《みぎ》の|手《て》の|親指《おやゆび》と、|右《みぎ》の|足《あし》の|親指《おやゆび》とにつけなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はまた一ログの|油《あぶら》を|取《と》って、これを|自分《じぶん》の|左《ひだり》の|手《て》のひらに|注《そそ》ぎ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|右《みぎ》の|指《ゆび》を|左《ひだり》の|手《て》のひらにある|油《あぶら》に|浸《ひた》し、その|指《ゆび》をもって、その|油《あぶら》を七たび|主《しゅ》の|前《まえ》に|注《そそ》がなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|手《て》のひらにある|油《あぶら》の|残《のこ》りを、|清《きよ》められる|者《もの》の|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶと、|右《みぎ》の|手《て》の|親指《おやゆび》と、|右《みぎ》の|足《あし》の|親指《おやゆび》とに、さきにつけた|愆祭《けんさい》の|血《ち》の|上《うえ》につけなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|手《て》のひらになお|残《のこ》っている|油《あぶら》を、|清《きよ》められる|者《もの》の|頭《あたま》につけ、|主《しゅ》の|前《まえ》で、その|人《ひと》のためにあがないをしなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》は|罪祭《ざいさい》をささげて、|汚《けが》れのゆえに、|清《きよ》められねばならぬ|者《もの》のためにあがないをし、その|後《のち》、|燔祭《はんさい》のものをほふらなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|燔祭《はんさい》と|素祭《そさい》とを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげ、その|人《ひと》のために、あがないをしなければならない。こうしてその|人《ひと》は|清《きよ》くなるであろう。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》がもし|貧《まず》しくて、それに|手《て》の|届《とど》かない|時《とき》は、|自分《じぶん》のあがないのために|揺《ゆ》り|動《うご》かす|愆祭《けんさい》として、|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》を|取《と》り、また|素祭《そさい》として|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の一エパと、|油《あぶら》一ログとを|取《と》り、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]さらにその|手《て》の|届《とど》く|山《やま》ばと二|羽《わ》、または|家《いえ》ばとのひな二|羽《わ》を|取《と》らなければならない。その一つは|罪祭《ざいさい》のため、|他《た》の一つは|燔祭《はんさい》のためである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そして八|日《か》|目《め》に、その|清《きよ》めのために|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》におる|祭司《さいし》のもと、|主《しゅ》の|前《まえ》にこれを|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|愆祭《けんさい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》と、一ログの|油《あぶら》とを|取《と》り、これを|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして|揺祭《ようさい》としなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|愆祭《けんさい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》をほふり、その|愆祭《けんさい》の|血《ち》を|取《と》って、これを|清《きよ》められる|者《もの》の|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶと、|右《みぎ》の|手《て》の|親指《おやゆび》と、|右《みぎ》の|足《あし》の|親指《おやゆび》とにつけなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》はその|油《あぶら》を|自分《じぶん》の|左《ひだり》の|手《て》のひらに|注《そそ》ぎ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|右《みぎ》の|指《ゆび》をもって、|左《ひだり》の|手《て》のひらにある|油《あぶら》を、七たび|主《しゅ》の|前《まえ》に|注《そそ》がなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》はその|手《て》のひらにある|油《あぶら》を、|清《きよ》められる|者《もの》の|右《みぎ》の|耳《みみ》たぶと、|右《みぎ》の|手《て》の|親指《おやゆび》と、|右《みぎ》の|足《あし》の|親指《おやゆび》とに、すなわち、|愆祭《けんさい》の|血《ち》をつけたところにつけなければならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》は|手《て》のひらに|残《のこ》っている|油《あぶら》を、|清《きよ》められる|者《もの》の|頭《あたま》につけ、|主《しゅ》の|前《まえ》で、その|人《ひと》のために、あがないをしなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》はその|手《て》の|届《とど》く|山《やま》ばと一|羽《わ》、または|家《いえ》ばとのひな一|羽《わ》をささげなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|手《て》の|届《とど》くものの一つを|罪祭《ざいさい》とし、|他《た》の一つを|燔祭《はんさい》として|素祭《そさい》と|共《とも》にささげなければならない。こうして|祭司《さいし》は|清《きよ》められる|者《もの》のために、|主《しゅ》の|前《まえ》にあがないをするであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これはらい|病《びょう》の|患者《かんじゃ》で、その|清《きよ》めに|必要《ひつよう》なものに、|手《て》の|届《とど》かない|者《もの》のためのおきてである」。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたに|所有《しょゆう》として|与《あた》えるカナンの|地《ち》に、あなたがたがはいる|時《とき》、その|所有《しょゆう》の|地《ち》において、|家《いえ》にわたしがらい|病《びょう》の|患部《かんぶ》を|生《しょう》じさせることがあれば、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》の|持《も》ち|主《ぬし》はきて、|祭司《さいし》に|告《つ》げ、『|患部《かんぶ》のようなものが、わたしの|家《いえ》にあります』と|言《い》わなければならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|命《めい》じて、|祭司《さいし》がその|患部《かんぶ》を|見《み》に|行《い》く|前《まえ》に、その|家《いえ》をあけさせ、その|家《いえ》にあるすべての|物《もの》が|汚《けが》されないようにし、その|後《のち》、|祭司《さいし》は、はいってその|家《いえ》を|見《み》なければならない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|患部《かんぶ》を|見《み》て、もしその|患部《かんぶ》が|家《いえ》の|壁《かべ》にあって、|青《あお》または|赤《あか》のくぼみをもち、それが|壁《かべ》よりも|低《ひく》く|見《み》えるならば、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|家《いえ》を|出《で》て、|家《いえ》の|入口《いりぐち》にいたり、|七日《なぬか》の|間《あいだ》その|家《いえ》を|閉鎖《へいさ》しなければならない。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|七日《なぬか》|目《め》に、またきてそれを|見《み》、その|患部《かんぶ》がもし|家《いえ》の|壁《かべ》に|広《ひろ》がっているならば、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|命《めい》じて、その|患部《かんぶ》のある|石《いし》を|取《と》り|出《だ》し、|町《まち》の|外《そと》の|汚《けが》れた|物《もの》を|捨《す》てる|場所《ばしょ》に|捨《す》てさせ、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]またその|家《いえ》の|内側《うちがわ》のまわりを|削《けず》らせ、その|削《けず》ったしっくいを|町《まち》の|外《そと》の|汚《けが》れた|物《もの》を|捨《す》てる|場所《ばしょ》に|捨《す》てさせ、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ほかの|石《いし》を|取《と》って、|元《もと》の|石《いし》のところに|入《い》れさせ、またほかのしっくいを|取《と》って、|家《いえ》を|塗《ぬ》らせなければならない。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]このように|石《いし》を|取《と》り|出《だ》し、|家《いえ》を|削《けず》り、|塗《ぬ》りかえた|後《のち》に、その|患部《かんぶ》がもし|再《ふたた》び|家《いえ》に|出《で》るならば、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はまたきて|見《み》なければならない。|患部《かんぶ》がもし|家《いえ》に|広《ひろ》がっているならば、これは|家《いえ》にある|悪性《あくせい》のらい|病《びょう》であって、これは|汚《けが》れた|物《もの》である。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》は、こぼち、その|石《いし》、その|木《き》、その|家《いえ》のしっくいは、ことごとく|町《まち》の|外《そと》の|汚《けが》れた|物《もの》を|捨《す》てる|場所《ばしょ》に|運《はこ》び|出《だ》さなければならない。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》が|閉鎖《へいさ》されている|日《ひ》の|間《あいだ》に、これにはいる|者《もの》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》に|寝《ね》る|者《もの》はその|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。その|家《いえ》で|食《しょく》する|者《もの》も、その|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|祭司《さいし》がはいって|見《み》て、もし|家《いえ》を|塗《ぬ》りかえた|後《のち》に、その|患部《かんぶ》が|家《いえ》に|広《ひろ》がっていなければ、これはその|患部《かんぶ》がいえたのであるから、|祭司《さいし》はその|家《いえ》を|清《きよ》いものとしなければならない。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》はその|家《いえ》を|清《きよ》めるために、|小鳥《ことり》二|羽《わ》と、|香柏《こうはく》の|木《き》と、|緋《ひ》の|糸《いと》と、ヒソプとを|取《と》り、[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]その|小鳥《ことり》の一|羽《わ》を|流《なが》れ|水《みず》を|盛《も》った|土《つち》の|器《うつわ》の|上《うえ》で|殺《ころ》し、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|香柏《こうはく》の|木《き》と、ヒソプと、|緋《ひ》の|糸《いと》と、|生《い》きている|小鳥《ことり》とを|取《と》って、その|殺《ころ》した|小鳥《ことり》の|血《ち》と|流《なが》れ|水《みず》に|浸《ひた》し、これを七たび|家《いえ》に|注《そそ》がなければならない。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|祭司《さいし》は|小鳥《ことり》の|血《ち》と|流《なが》れ|水《みず》と、|生《い》きている|小鳥《ことり》と、|香柏《こうはく》の|木《き》と、ヒソプと、|緋《ひ》の|糸《いと》とをもって|家《いえ》を|清《きよ》め、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]その|生《い》きている|小鳥《ことり》は|町《まち》の|外《そと》の|野《の》に|放《はな》して、その|家《いえ》のために、あがないをしなければならない。こうして、それは|清《きよ》くなるであろう」。  [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]これはらい|病《びょう》のすべての|患部《かんぶ》、かいせん、[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]および|衣服《いふく》と|家《いえ》のらい|病《びょう》、[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]ならびに|腫《しゅ》と、|吹出物《ふきでもの》と、|光《ひか》る|所《ところ》とに|関《かん》するおきてであって、[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]いつそれが|汚《けが》れているか、いつそれが|清《きよ》いかを|教《おし》えるものである。これがらい|病《びょう》に|関《かん》するおきてである。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた、モーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『だれでもその|肉《にく》に|流出《りゅうしゅつ》があれば、その|流出《りゅうしゅつ》は|汚《けが》れである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|流出《りゅうしゅつ》による|汚《けが》れは|次《つぎ》のとおりである。すなわち、その|肉《にく》の|流出《りゅうしゅつ》が|続《つづ》いていても、あるいは、その|肉《にく》の|流出《りゅうしゅつ》が|止《と》まっていても、|共《とも》に|汚《けが》れである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》の|寝《ね》た|床《とこ》はすべて|汚《けが》れる。またその|人《ひと》のすわった|物《もの》はすべて|汚《けが》れるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|床《とこ》に|触《ふ》れる|者《もの》は、その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》のすわった|物《もの》の|上《うえ》にすわる|者《もの》は、その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》の|肉《にく》に|触《ふ》れる|者《もの》は|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》のつばきが、|清《きよ》い|者《もの》にかかったならば、その|人《ひと》は|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》の|乗《の》った|鞍《くら》はすべて|汚《けが》れる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》の|下《した》になった|物《もの》に|触《ふ》れる|者《もの》は、すべて|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。またそれらの|物《もの》を|運《はこ》ぶ|者《もの》は、その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》が、|水《みず》で|手《て》を|洗《あら》わずに|人《ひと》に|触《ふ》れるならば、その|人《ひと》は|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》が|触《ふ》れた|土《つち》の|器《うつわ》は|砕《くだ》かなければならない。|木《き》の|器《うつわ》はすべて|水《みず》で|洗《あら》わなければならない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》の|流出《りゅうしゅつ》がやんで|清《きよ》くなるならば、|清《きよ》めのために|七日《なぬか》を|数《かぞ》え、その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|流《なが》れ|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。そうして|清《きよ》くなるであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]八|日《か》|目《め》に、|山《やま》ばと二|羽《わ》、または|家《いえ》ばとのひな二|羽《わ》を|取《と》って、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|行《い》き、|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》て、それを|祭司《さいし》に|渡《わた》さなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその一つを|罪祭《ざいさい》とし、|他《た》の一つを|燔祭《はんさい》としてささげなければならない。こうして|祭司《さいし》はその|人《ひと》のため、その|流出《りゅうしゅつ》のために|主《しゅ》の|前《まえ》に、あがないをするであろう。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし|精《せい》を|漏《も》らすことがあれば、その|全身《ぜんしん》を|水《みず》にすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すべて|精《せい》のついた|衣服《いふく》および|皮《かわ》で|作《つく》った|物《もの》は|水《みず》で|洗《あら》わなければならない。これは|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》がもし|女《おんな》と|寝《ね》て|精《せい》を|漏《も》らすことがあれば、|彼《かれ》らは|共《とも》に|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》らは|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|女《おんな》に|流出《りゅうしゅつ》があって、その|身《み》の|流出《りゅうしゅつ》がもし|血《ち》であるならば、その|女《おんな》は|七日《なぬか》のあいだ|不浄《ふじょう》である。すべてその|女《おんな》に|触《ふ》れる|者《もの》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|不浄《ふじょう》の|間《あいだ》に、その|女《おんな》の|寝《ね》た|物《もの》はすべて|汚《けが》れる。またその|女《おんな》のすわった|物《もの》も、すべて|汚《けが》れるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すべてその|女《おんな》の|床《とこ》に|触《ふ》れる|者《もの》は、その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すべてその|女《おんな》のすわった|物《もの》に|触《ふ》れる|者《もの》は|皆《みな》その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]またその|女《おんな》が|床《とこ》の|上《うえ》、またはすわる|物《もの》の|上《うえ》におる|時《とき》、それに|触《ふ》れるならば、その|人《ひと》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》がもし、その|女《おんな》と|寝《ね》て、その|不浄《ふじょう》を|身《み》にうけるならば、|彼《かれ》は|七日《なぬか》のあいだ|汚《けが》れるであろう。また|彼《かれ》の|寝《ね》た|床《とこ》はすべて|汚《けが》れるであろう。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》にもし、その|不浄《ふじょう》の|時《とき》のほかに、|多《おお》くの|日《ひ》にわたって|血《ち》の|流出《りゅうしゅつ》があるか、あるいはその|不浄《ふじょう》の|時《とき》を|越《こ》して|流出《りゅうしゅつ》があれば、その|汚《けが》れの|流出《りゅうしゅつ》の|日《ひ》の|間《あいだ》は、すべてその|不浄《ふじょう》の|時《とき》と|同《おな》じように、その|女《おんな》は|汚《けが》れた|者《もの》である。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|流出《りゅうしゅつ》の|日《ひ》の|間《あいだ》に、その|女《おんな》の|寝《ね》た|床《とこ》は、すべてその|女《おんな》の|不浄《ふじょう》の|時《とき》の|床《とこ》と|同《おな》じようになる。すべてその|女《おんな》のすわった|物《もの》は、|不浄《ふじょう》の|汚《けが》れのように|汚《けが》れるであろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]すべてこれらの|物《もの》に|触《ふ》れる|人《ひと》は|汚《けが》れる。その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|女《おんな》の|流出《りゅうしゅつ》がやんで、|清《きよ》くなるならば、|自分《じぶん》のために、なお|七日《なぬか》を|数《かぞ》えなければならない。そして|後《のち》、|清《きよ》くなるであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》は八|日《か》|目《め》に|山《やま》ばと二|羽《わ》、または|家《いえ》ばとのひな二|羽《わ》を|自分《じぶん》のために|取《と》り、それを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》におる|祭司《さいし》のもとに|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその一つを|罪祭《ざいさい》とし、|他《た》の一つを|燔祭《はんさい》としてささげなければならない。こうして|祭司《さいし》はその|女《おんな》のため、その|汚《けが》れの|流出《りゅうしゅつ》のために|主《しゅ》の|前《まえ》に、あがないをするであろう。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]このようにしてあなたがたは、イスラエルの|人々《ひとびと》を|汚《けが》れから|離《はな》さなければならない。これは|彼《かれ》らのうちにあるわたしの|幕屋《まくや》を|彼《かれ》らが|汚《けが》し、その|汚《けが》れのために|死《し》ぬことのないためである』」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これは|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》、|精《せい》を|漏《も》らして|汚《けが》れる|者《もの》、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|不浄《ふじょう》をわずらう|女《おんな》、ならびに|男《おとこ》あるいは|女《おんな》の|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》、および|不浄《ふじょう》の|女《おんな》と|寝《ね》る|者《もの》に|関《かん》するおきてである。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アロンのふたりの|子《こ》が、|主《しゅ》の|前《まえ》に|近《ちか》づいて|死《し》んだ|後《のち》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたの|兄弟《きょうだい》アロンに|告《つ》げて、|彼《かれ》が|時《とき》をわかたず、|垂幕《たれまく》の|内《うち》なる|聖所《せいじょ》に|入《い》り、|箱《はこ》の|上《うえ》なる|贖罪所《しょくざいしょ》の|前《まえ》に|行《い》かぬようにさせなさい。|彼《かれ》が|死《し》を|免《まぬか》れるためである。なぜなら、わたしは|雲《くも》の|中《なか》にあって|贖罪所《しょくざいしょ》の|上《うえ》に|現《あらわ》れるからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アロンが|聖所《せいじょ》に、はいるには、|次《つぎ》のようにしなければならない。すなわち|雄《おす》の|子《こ》|牛《うし》を|罪祭《ざいさい》のために|取《と》り、|雄羊《おひつじ》を|燔祭《はんさい》のために|取《と》り、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|聖《せい》なる|亜麻《あま》|布《ぬの》の|服《ふく》を|着《き》、|亜麻《あま》|布《ぬの》のももひきをその|身《み》にまとい、|亜麻《あま》|布《ぬの》の|帯《おび》をしめ、|亜麻《あま》|布《ぬの》の|帽子《ぼうし》をかぶらなければならない。これらは|聖《せい》なる|衣服《いふく》である。|彼《かれ》は|水《みず》に|身《み》をすすいで、これを|着《き》なければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|人々《ひとびと》の|会衆《かいしゅう》から|雄《お》やぎ二|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》のために|取《と》り、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》を|燔祭《はんさい》のために|取《と》らなければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンは|自分《じぶん》のための|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》をささげて、|自分《じぶん》と|自分《じぶん》の|家族《かぞく》のために、あがないをしなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アロンはまた二|頭《とう》のやぎを|取《と》り、それを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》たせ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その二|頭《とう》のやぎのために、くじを|引《ひ》かなければならない。すなわち一つのくじは|主《しゅ》のため、一つのくじはアザゼルのためである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンは|主《しゅ》のためのくじに|当《あた》ったやぎをささげて、これを|罪祭《ざいさい》としなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、アザゼルのためのくじに|当《あた》ったやぎは、|主《しゅ》の|前《まえ》に|生《い》かしておき、これをもって、あがないをなし、これをアザゼルのために、|荒野《あらの》に|送《おく》らなければならない。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、アロンは|自分《じぶん》のための|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》をささげて、|自分《じぶん》と|自分《じぶん》の|家族《かぞく》のために、あがないをしなければならない。|彼《かれ》は|自分《じぶん》のための|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》をほふり、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|前《まえ》の|祭壇《さいだん》から|炭火《すみび》を|満《み》たした|香炉《こうろ》と、|細《こま》かくひいた|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》を|両《りょう》|手《て》いっぱい|取《と》って、これを|垂幕《たれまく》の|内《うち》に|携《たずさ》え|入《い》り、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|前《まえ》で|薫香《くんこう》をその|火《ひ》にくべ、|薫香《くんこう》の|雲《くも》に、あかしの|箱《はこ》の|上《うえ》なる|贖罪所《しょくざいしょ》をおおわせなければならない。こうして、|彼《かれ》は|死《し》を|免《まぬか》れるであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたその|雄牛《おうし》の|血《ち》を|取《と》り、|指《ゆび》をもってこれを|贖罪所《しょくざいしょ》の|東《ひがし》の|面《めん》に|注《そそ》ぎ、また|指《ゆび》をもってその|血《ち》を|贖罪所《しょくざいしょ》の|前《まえ》に、七たび|注《そそ》がなければならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|民《たみ》のための|罪祭《ざいさい》のやぎをほふり、その|血《ち》を|垂幕《たれまく》の|内《うち》に|携《たずさ》え|入《い》り、その|血《ち》をかの|雄牛《おうし》の|血《ち》のように、|贖罪所《しょくざいしょ》の|上《うえ》と、|贖罪所《しょくざいしょ》の|前《まえ》に|注《そそ》ぎ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|汚《けが》れと、そのとが、すなわち、|彼《かれ》らのもろもろの|罪《つみ》のゆえに、|聖所《せいじょ》のためにあがないをしなければならない。また|彼《かれ》らの|汚《けが》れのうちに、|彼《かれ》らと|共《とも》にある|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》のためにも、そのようにしなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|聖所《せいじょ》であがないをするために、はいった|時《とき》は、|自分《じぶん》と|自分《じぶん》の|家族《かぞく》と、イスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》とのために、あがないをなし|終《お》えて|出《で》るまで、だれも|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|内《うち》にいてはならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》は|主《しゅ》の|前《まえ》の|祭壇《さいだん》のもとに|出《で》てきて、これがために、あがないをしなければならない、すなわち、かの|雄牛《おうし》の|血《ち》と、やぎの|血《ち》とを|取《と》って|祭壇《さいだん》の四すみの|角《つの》につけ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|指《ゆび》をもって七たびその|血《ち》をその|上《うえ》に|注《そそ》ぎ、イスラエルの|人々《ひとびと》の|汚《けが》れを|除《のぞ》いてこれを|清《きよ》くし、|聖別《せいべつ》しなければならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|聖所《せいじょ》と|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と|祭壇《さいだん》とのために、あがないをなし|終《お》えたとき、かの|生《い》きているやぎを|引《ひ》いてこなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンは、その|生《い》きているやぎの|頭《あたま》に|両手《りょうて》をおき、イスラエルの|人々《ひとびと》のもろもろの|悪《あく》と、もろもろのとが、すなわち、|彼《かれ》らのもろもろの|罪《つみ》をその|上《うえ》に|告白《こくはく》して、これをやぎの|頭《あたま》にのせ、|定《さだ》めておいた|人《ひと》の|手《て》によって、これを|荒野《あらの》に|送《おく》らなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてやぎは|彼《かれ》らのもろもろの|悪《あく》をになって、|人里《ひとざと》|離《はな》れた|地《ち》に|行《い》くであろう。すなわち、そのやぎを|荒野《あらの》に|送《おく》らなければならない。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そして、アロンは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|入《い》り、|聖所《せいじょ》に|入《い》る|時《とき》に|着《き》た|亜麻《あま》|布《ぬの》の|衣服《いふく》を|脱《ぬ》いで、そこに|置《お》き、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|聖《せい》なる|所《ところ》で|水《みず》に|身《み》をすすぎ、|他《た》の|衣服《いふく》を|着《き》、|出《で》てきて、|自分《じぶん》の|燔祭《はんさい》と|民《たみ》の|燔祭《はんさい》とをささげて、|自分《じぶん》のため、また|民《たみ》のために、あがないをしなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|罪祭《ざいさい》の|脂肪《しぼう》を|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》かなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]かのやぎをアザゼルに|送《おく》った|者《もの》は|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。その|後《のち》、|宿営《しゅくえい》に|入《い》ることができる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|聖所《せいじょ》で、あがないをするために、その|血《ち》を|携《たずさ》え|入《い》れられた|罪祭《ざいさい》の|雄牛《おうし》と、|罪祭《ざいさい》のやぎとは、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|携《たずさ》え|出《だ》し、その|皮《かわ》と|肉《にく》と|汚物《おぶつ》とは、|火《ひ》で|焼《や》き|捨《す》てなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これを|焼《や》く|者《もの》は|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。その|後《のち》、|宿営《しゅくえい》に|入《い》ることができる。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたが|永久《えいきゅう》に|守《まも》るべき|定《さだ》めである。すなわち、七|月《がつ》になって、その|月《つき》の十|日《か》に、あなたがたは|身《み》を|悩《なや》まし、|何《なに》の|仕事《しごと》もしてはならない。この|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》も、あなたがたのうちに|宿《やど》っている|寄留者《きりゅうしゃ》も、そうしなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》にあなたがたのため、あなたがたを|清《きよ》めるために、あがないがなされ、あなたがたは|主《しゅ》の|前《まえ》に、もろもろの|罪《つみ》が|清《きよ》められるからである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたの|全《まった》き|休《やす》みの|安息日《あんそくにち》であって、あなたがたは|身《み》を|悩《なや》まさなければならない。これは|永久《えいきゅう》に|守《まも》るべき|定《さだ》めである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|油《あぶら》を|注《そそ》がれ、|父《ちち》に|代《かわ》って|祭司《さいし》の|職《しょく》に|任《にん》じられる|祭司《さいし》は、|亜麻《あま》|布《ぬの》の|衣服《いふく》、すなわち、|聖《せい》なる|衣服《いふく》を|着《き》て、あがないをしなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|至聖所《しせいじょ》のために、あがないをなし、また|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》のためと、|祭壇《さいだん》のために、あがないをなし、また|祭司《さいし》たちのためと、|民《たみ》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》のために、あがないをしなければならない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたの|永久《えいきゅう》に|守《まも》るべき|定《さだ》めであって、イスラエルの|人々《ひとびと》のもろもろの|罪《つみ》のために、|年《ねん》に一|度《ど》あがないをするものである」。  |彼《かれ》は|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりにおこなった。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「アロンとその|子《こ》たち、およびイスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『|主《しゅ》が|命《めい》じられることはこれである。すなわち[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》のだれでも、|牛《うし》、|羊《ひつじ》あるいは、やぎを|宿営《しゅくえい》の|内《うち》でほふり、または|宿営《しゅくえい》の|外《そと》でほふり、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|携《たずさ》えてきて|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》で、|供《そな》え|物《もの》として|主《しゅ》にささげないならば、その|人《ひと》は|血《ち》を|流《なが》した|者《もの》とみなされる。|彼《かれ》は|血《ち》を|流《なが》したゆえ、その|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルの|人々《ひとびと》に、|彼《かれ》らが|野《の》のおもてでほふるのを|常《つね》としていた|犠牲《ぎせい》を|主《しゅ》のもとにひいてこさせ、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》におる|祭司《さいし》のもとにきて、これを|主《しゅ》にささげる|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》としてほふらせるためである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|血《ち》を|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にある|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》に|注《そそ》ぎかけ、またその|脂肪《しぼう》を|焼《や》いて|香《こう》ばしいかおりとし、|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|慕《した》って|姦淫《かんいん》をおこなったみだらな|神《かみ》に、|再《ふたた》び|犠牲《ぎせい》をささげてはならない。これは|彼《かれ》らが|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めである』。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『イスラエルの|家《いえ》の|者《もの》、またはあなたがたのうちに|宿《やど》る|寄留者《きりゅうしゃ》のだれでも、|燔祭《はんさい》あるいは|犠牲《ぎせい》をささげるのに、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|携《たずさ》えてきて、|主《しゅ》にささげないならば、その|人《ひと》は、その|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》の|者《もの》、またはあなたがたのうちに|宿《やど》る|寄留者《きりゅうしゃ》のだれでも、|血《ち》を|食《た》べるならば、わたしはその|血《ち》を|食《た》べる|人《ひと》に|敵《てき》して、わたしの|顔《かお》を|向《む》け、これをその|民《たみ》のうちから|断《た》つであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|肉《にく》の|命《いのち》は|血《ち》にあるからである。あなたがたの|魂《たましい》のために|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で、あがないをするため、わたしはこれをあなたがたに|与《あた》えた。|血《ち》は|命《いのち》であるゆえに、あがなうことができるからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに、わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った。あなたがたのうち、だれも|血《ち》を|食《た》べてはならない。またあなたがたのうちに|宿《やど》る|寄留者《きりゅうしゃ》も|血《ち》を|食《た》べてはならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のうち、またあなたがたのうちに|宿《やど》る|寄留者《きりゅうしゃ》のうち、だれでも、|食《た》べてもよい|獣《けもの》あるいは|鳥《とり》を|狩《か》り|獲《え》た|者《もの》は、その|血《ち》を|注《そそ》ぎ|出《だ》し、|土《つち》でこれをおおわなければならない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すべて|肉《にく》の|命《いのち》は、その|血《ち》と一つだからである。それで、わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った。あなたがたは、どんな|肉《にく》の|血《ち》も|食《た》べてはならない。すべて|肉《にく》の|命《いのち》はその|血《ち》だからである。すべて|血《ち》を|食《た》べる|者《もの》は|断《た》たれるであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|自然《しぜん》に|死《し》んだもの、または|裂《さ》き|殺《ころ》されたものを|食《た》べる|人《ひと》は、|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》であれ、|寄留者《きりゅうしゃ》であれ、その|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れているが、その|後《のち》、|清《きよ》くなるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし、|洗《あら》わず、また|身《み》をすすがないならば、|彼《かれ》はその|罪《つみ》を|負《お》わなければならない』」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|住《す》んでいたエジプトの|国《くに》の|習慣《しゅうかん》を|見習《みなら》ってはならない。またわたしがあなたがたを|導《みちび》き|入《い》れるカナンの|国《くに》の|習慣《しゅうかん》を|見習《みなら》ってはならない。また|彼《かれ》らの|定《さだ》めに|歩《あゆ》んではならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしのおきてを|行《おこな》い、わたしの|定《さだ》めを|守《まも》り、それに|歩《あゆ》まなければならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|定《さだ》めとわたしのおきてを|守《まも》らなければならない。もし|人《ひと》が、これを|行《おこな》うならば、これによって|生《い》きるであろう。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、だれも、その|肉親《にくしん》の|者《もの》に|近《ちか》づいて、これを|犯《おか》してはならない。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|母《はは》を|犯《おか》してはならない。それはあなたの|父《ちち》をはずかしめることだからである。|彼女《かのじょ》はあなたの|母《はは》であるから、これを|犯《おか》してはならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|父《ちち》の|妻《つま》を|犯《おか》してはならない。それはあなたの|父《ちち》をはずかしめることだからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|姉妹《しまい》、すなわちあなたの|父《ちち》の|娘《むすめ》にせよ、|母《はは》の|娘《むすめ》にせよ、|家《いえ》に|生《うま》れたのと、よそに|生《うま》れたのとを|問《と》わず、これを|犯《おか》してはならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのむすこの|娘《むすめ》、あるいは、あなたの|娘《むすめ》の|娘《むすめ》を|犯《おか》してはならない。それはあなた|自身《じしん》をはずかしめることだからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|父《ちち》の|妻《つま》があなたの|父《ちち》によって|産《う》んだ|娘《むすめ》は、あなたの|姉妹《しまい》であるから、これを|犯《おか》してはならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|父《ちち》の|姉妹《しまい》を|犯《おか》してはならない。|彼女《かのじょ》はあなたの|父《ちち》の|肉親《にくしん》だからである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|母《はは》の|姉妹《しまい》を|犯《おか》してはならない。|彼女《かのじょ》はあなたの|母《はは》の|肉親《にくしん》だからである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》の|妻《つま》を|犯《おか》し、|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》をはずかしめてはならない。|彼女《かのじょ》はあなたのおばだからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|嫁《よめ》を|犯《おか》してはならない。|彼女《かのじょ》はあなたのむすこの|妻《つま》であるから、これを|犯《おか》してはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》の|妻《つま》を|犯《おか》してはならない。それはあなたの|兄弟《きょうだい》をはずかしめることだからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|女《おんな》とその|娘《むすめ》とを|一緒《いっしょ》に|犯《おか》してはならない。またその|女《おんな》のむすこの|娘《むすめ》、またはその|娘《むすめ》の|娘《むすめ》を|取《と》って、これを|犯《おか》してはならない。|彼《かれ》らはあなたの|肉親《にくしん》であるから、これは|悪事《あくじ》である。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|妻《つま》のなお|生《い》きているうちにその|姉妹《しまい》を|取《と》って、|同《おな》じく|妻《つま》となし、これを|犯《おか》してはならない。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|月《つき》のさわりの|不浄《ふじょう》にある|女《おんな》に|近《ちか》づいて、これを|犯《おか》してはならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|隣《となり》の|妻《つま》と|交《まじ》わり、|彼女《かのじょ》によって|身《み》を|汚《けが》してはならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子《こ》どもをモレクにささげてはならない。またあなたの|神《かみ》の|名《な》を|汚《けが》してはならない。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|女《おんな》と|寝《ね》るように|男《おとこ》と|寝《ね》てはならない。これは|憎《にく》むべきことである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|獣《けもの》と|交《まじ》わり、これによって|身《み》を|汚《けが》してはならない。また|女《おんな》も|獣《けもの》の|前《まえ》に|立《た》って、これと|交《まじ》わってはならない。これは|道《みち》にはずれたことである。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはこれらのもろもろの|事《こと》によって|身《み》を|汚《けが》してはならない。わたしがあなたがたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》う|国々《くにぐに》の|人《ひと》は、これらのもろもろの|事《こと》によって|汚《けが》れ、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》もまた|汚《けが》れている。ゆえに、わたしはその|悪《あく》のためにこれを|罰《ばっ》し、その|地《ち》もまたその|住民《じゅうみん》を|吐《は》き|出《だ》すのである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ゆえに、あなたがたはわたしの|定《さだ》めとわたしのおきてを|守《まも》り、これらのもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》の一つでも|行《おこな》ってはならない。|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》も、あなたがたのうちに|宿《やど》っている|寄留者《きりゅうしゃ》もそうである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|先《さき》にいたこの|地《ち》の|人々《ひとびと》は、これらのもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》を|行《おこな》ったので、その|地《ち》も|汚《けが》れたからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これは、あなたがたがこの|地《ち》を|汚《けが》して、この|地《ち》があなたがたの|先《さき》にいた|民《たみ》を|吐《は》き|出《だ》したように、あなたがたをも|吐《は》き|出《だ》すことのないためである。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これらのもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》の一つでも|行《おこな》う|者《もの》があれば、これを|行《おこな》う|人《ひと》は、だれでもその|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえに、あなたがたはわたしの|言《い》いつけを|守《まも》り、|先《さき》に|行《おこな》われたこれらの|憎《にく》むべき|風習《ふうしゅう》の一つをも|行《おこな》ってはならない。またこれによって|身《み》を|汚《けが》してはならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である』」。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》いなさい、『あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》なるわたしは、|聖《せい》であるから、あなたがたも|聖《せい》でなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、おのおのその|母《はは》とその|父《ちち》とをおそれなければならない。またわたしの|安息日《あんそくにち》を|守《まも》らなければならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]むなしい|神々《かみがみ》に|心《こころ》を|寄《よ》せてはならない。また|自分《じぶん》のために|神々《かみがみ》を|鋳《い》て|造《つく》ってはならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》を|主《しゅ》にささげるときは、あなたがたが|受《う》け|入《い》れられるように、それをささげなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それは、ささげた|日《ひ》と、その|翌日《よくじつ》とに|食《た》べ、三|日《か》|目《め》まで|残《のこ》ったものは、それを|火《ひ》で|焼《や》かなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もし三|日《か》|目《め》に、|少《すこ》しでも|食《た》べるならば、それは|忌《い》むべきものとなって、あなたは|受《う》け|入《い》れられないであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それを|食《た》べる|者《もの》は、|主《しゅ》の|聖《せい》なる|物《もの》を|汚《けが》すので、そのとがを|負《お》わなければならない。その|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|地《ち》の|実《み》のりを|刈《か》り|入《い》れるときは、|畑《はたけ》のすみずみまで|刈《か》りつくしてはならない。またあなたの|刈入《かりい》れの|落《お》ち|穂《ぼ》を|拾《ひろ》ってはならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのぶどう|畑《はたけ》の|実《み》を|取《と》りつくしてはならない。またあなたのぶどう|畑《はたけ》に|落《お》ちた|実《み》を|拾《ひろ》ってはならない。|貧《まず》しい|者《もの》と|寄留者《きりゅうしゃ》とのために、これを|残《のこ》しておかなければならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|盗《ぬす》んではならない。|欺《あざむ》いてはならない。|互《たがい》に|偽《いつわ》ってはならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|名《な》により|偽《いつわ》り|誓《ちか》って、あなたがたの|神《かみ》の|名《な》を|汚《けが》してはならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|隣人《りんじん》をしえたげてはならない。また、かすめてはならない。|日《ひ》|雇人《やといにん》の|賃銀《ちんぎん》を|明《あ》くる|朝《あさ》まで、あなたのもとにとどめておいてはならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》しいを、のろってはならない。|目《め》しいの|前《まえ》につまずく|物《もの》を|置《お》いてはならない。あなたの|神《かみ》を|恐《おそ》れなければならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さばきをするとき、|不正《ふせい》を|行《おこな》ってはならない。|貧《まず》しい|者《もの》を|片《かた》よってかばい、|力《ちから》ある|者《もの》を|曲《ま》げて|助《たす》けてはならない。ただ|正義《せいぎ》をもって|隣人《りんじん》をさばかなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》のうちを|行《い》き|巡《めぐ》って、|人《ひと》の|悪口《わるぐち》を|言《い》いふらしてはならない。あなたの|隣人《りんじん》の|血《ち》にかかわる|偽証《ぎしょう》をしてはならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》に|兄弟《きょうだい》を|憎《にく》んではならない。あなたの|隣人《りんじん》をねんごろにいさめて、|彼《かれ》のゆえに|罪《つみ》を|身《み》に|負《お》ってはならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあだを|返《かえ》してはならない。あなたの|民《たみ》の|人々《ひとびと》に|恨《うら》みをいだいてはならない。あなた|自身《じしん》のようにあなたの|隣人《りんじん》を|愛《あい》さなければならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|定《さだ》めを|守《まも》らなければならない。あなたの|家畜《かちく》に|異《こと》なった|種《たね》をかけてはならない。あなたの|畑《はたけ》に二|種《しゅ》の|種《たね》をまいてはならない。二|種《しゅ》の|糸《いと》の|混《ま》ぜ|織《お》りの|衣服《いふく》を|身《み》につけてはならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]だれでも、|人《ひと》と|婚約《こんやく》のある|女《おんな》|奴隷《どれい》で、まだあがなわれず、|自由《じゆう》を|与《あた》えられていない|者《もの》と|寝《ね》て|交《まじ》わったならば、|彼《かれ》らふたりは|罰《ばつ》を|受《う》ける。しかし、|殺《ころ》されることはない。|彼女《かのじょ》は|自由《じゆう》の|女《おんな》ではないからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|男《おとこ》は|愆祭《けんさい》を|主《しゅ》に|携《たずさ》えてこなければならない。すなわち、|愆祭《けんさい》の|雄羊《おひつじ》を、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|連《つ》れてこなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そして、|祭司《さいし》は|彼《かれ》の|犯《おか》した|罪《つみ》のためにその|愆祭《けんさい》の|雄羊《おひつじ》をもって、|主《しゅ》の|前《まえ》に|彼《かれ》のために、あがないをするであろう。こうして|彼《かれ》の|犯《おか》した|罪《つみ》はゆるされるであろう。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、かの|地《ち》にはいって、もろもろのくだものの|木《き》を|植《う》えるときは、その|実《み》はまだ|割礼《かつれい》をうけないものと、|見《み》なさなければならない。すなわち、それは三|年《ねん》の|間《あいだ》あなたがたには、|割礼《かつれい》のないものであって、|食《た》べてはならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]四|年《ねん》|目《め》には、そのすべての|実《み》を|聖《せい》なる|物《もの》とし、それをさんびの|供《そな》え|物《もの》として|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし五|年《ねん》|目《め》には、あなたがたはその|実《み》を|食《た》べることができるであろう。こうするならば、それはあなたがたのために、|多《おお》くの|実《み》を|結《むす》ぶであろう。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|何《なに》をも|血《ち》のままで|食《た》べてはならない。また|占《うらな》いをしてはならない。|魔法《まほう》を|行《おこな》ってはならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのびんの|毛《け》を|切《き》ってはならない。ひげの|両端《りょうたん》をそこなってはならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|死人《しにん》のために|身《み》を|傷《きず》つけてはならない。また|身《み》に|入墨《いれずみ》をしてはならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|娘《むすめ》に|遊女《ゆうじょ》のわざをさせて、これを|汚《けが》してはならない。これはみだらな|事《こと》が|国《くに》に|行《おこな》われ、|悪事《あくじ》が|地《ち》に|満《み》ちないためである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|安息日《あんそくにち》を|守《まも》り、わたしの|聖所《せいじょ》を|敬《うやま》わなければならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|口寄《くちよ》せ、または|占《うらな》い|師《し》のもとにおもむいてはならない。|彼《かれ》らに|問《と》うて|汚《けが》されてはならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|白髪《はくはつ》の|人《ひと》の|前《まえ》では、|起立《きりつ》しなければならない。また|老人《ろうじん》を|敬《うやま》い、あなたの|神《かみ》を|恐《おそ》れなければならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]もし|他国《たこく》|人《じん》があなたがたの|国《くに》に|寄留《きりゅう》して|共《とも》にいるならば、これをしえたげてはならない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたと|共《とも》にいる|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》を、あなたがたと|同《おな》じ|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》のようにし、あなた|自身《じしん》のようにこれを|愛《あい》さなければならない。あなたがたもかつてエジプトの|国《くに》で|他国《たこく》|人《じん》であったからである。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、さばきにおいても、|物差《ものさ》しにおいても、はかりにおいても、ますにおいても、|不正《ふせい》を|行《おこな》ってはならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|正《ただ》しいてんびん、|正《ただ》しいおもり|石《いし》、|正《ただ》しいエパ、|正《ただ》しいヒンを|使《つか》わなければならない。わたしは、あなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》したあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしのすべての|定《さだ》めと、わたしのすべてのおきてを|守《まも》って、これを|行《おこな》わなければならない。わたしは|主《しゅ》である』」。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『イスラエルの|人々《ひとびと》のうち、またイスラエルのうちに|寄留《きりゅう》する|他国《たこく》|人《じん》のうち、だれでもその|子《こ》|供《とも》をモレクにささげる|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。すなわち、|国《くに》の|民《たみ》は|彼《かれ》を|石《いし》で|撃《う》たなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|顔《かお》をその|人《ひと》に|向《む》け、|彼《かれ》を|民《たみ》のうちから|断《た》つであろう。|彼《かれ》がその|子《こ》|供《とも》をモレクにささげてわたしの|聖所《せいじょ》を|汚《けが》し、またわたしの|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》したからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》が|子供《こども》をモレクにささげるとき、|国《くに》の|民《たみ》がもしことさらに、この|事《こと》に|目《め》をおおい、これを|殺《ころ》さないならば、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたし|自身《じしん》、|顔《かお》をその|人《ひと》とその|家族《かぞく》とに|向《む》け、|彼《かれ》および|彼《かれ》に|見《み》ならってモレクを|慕《した》い、これと|姦淫《かんいん》する|者《もの》を、すべて|民《たみ》のうちから|断《た》つであろう。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もし|口寄《くちよ》せ、または|占《うらな》い|師《し》のもとにおもむき、|彼《かれ》らを|慕《した》って|姦淫《かんいん》する|者《もの》があれば、わたしは|顔《かお》をその|人《ひと》に|向《む》け、これを|民《たみ》のうちから|断《た》つであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ゆえにあなたがたは、みずからを|聖別《せいべつ》し、|聖《せい》なる|者《もの》とならなければならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|定《さだ》めを|守《まも》って、これを|行《おこな》わなければならない。わたしはあなたがたを|聖別《せいべつ》する|主《しゅ》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]だれでも|父《ちち》または|母《はは》をのろう|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。|彼《かれ》が|父《ちち》または|母《はは》をのろったので、その|血《ち》は|彼《かれ》に|帰《き》するであろう。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|妻《つま》と|姦淫《かんいん》する|者《もの》、すなわち|隣人《りんじん》の|妻《つま》と|姦淫《かんいん》する|者《もの》があれば、その|姦夫《かんぷ》、|姦婦《かんぷ》は|共《とも》に|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|父《ちち》の|妻《つま》と|寝《ね》る|者《もの》は、その|父《ちち》をはずかしめる|者《もの》である。|彼《かれ》らはふたりとも|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。その|血《ち》は|彼《かれ》らに|帰《き》するであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》の|妻《つま》と|寝《ね》る|者《もの》は、ふたり|共《とも》に|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。|彼《かれ》らは|道《みち》ならぬことをしたので、その|血《ち》は|彼《かれ》らに|帰《き》するであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》と|寝《ね》るように|男《おとこ》と|寝《ね》る|者《もの》は、ふたりとも|憎《にく》むべき|事《こと》をしたので、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。その|血《ち》は|彼《かれ》らに|帰《き》するであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》をその|母《はは》と|一緒《いっしょ》にめとるならば、これは|悪事《あくじ》であって、|彼《かれ》も、|女《おんな》たちも|火《ひ》に|焼《や》かれなければならない。このような|悪事《あくじ》をあなたがたのうちになくするためである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》がもし、|獣《けもの》と|寝《ね》るならば|彼《かれ》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。あなたがたはまた、その|獣《けもの》を|殺《ころ》さなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》がもし、|獣《けもの》に|近《ちか》づいて、これと|寝《ね》るならば、あなたは、その|女《おんな》と|獣《けもの》とを|殺《ころ》さなければならない。|彼《かれ》らは|必《かなら》ず|殺《ころ》さるべきである。その|血《ち》は|彼《かれ》らに|帰《き》するであろう。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし、その|姉妹《しまい》、すなわち|父《ちち》の|娘《むすめ》、あるいは|母《はは》の|娘《むすめ》に|近《ちか》づいて、その|姉妹《しまい》のはだを|見《み》、|女《おんな》はその|兄弟《きょうだい》のはだを|見《み》るならば、これは|恥《は》ずべき|事《こと》である。|彼《かれ》らは、その|民《たみ》の|人々《ひとびと》の|目《め》の|前《まえ》で、|断《た》たれなければならない。|彼《かれ》は、その|姉妹《しまい》を|犯《おか》したのであるから、その|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし、|月《つき》のさわりのある|女《おんな》と|寝《ね》て、そのはだを|現《あらわ》すならば、|男《おとこ》は|女《おんな》の|源《みなもと》を|現《あらわ》し、|女《おんな》は|自分《じぶん》の|血《ち》の|源《みなもと》を|現《あらわ》したのであるから、ふたり|共《とも》にその|民《たみ》のうちから|断《た》たれなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|母《はは》の|姉妹《しまい》、またはあなたの|父《ちち》の|姉妹《しまい》を|犯《おか》してはならない。これは、|自分《じぶん》の|肉親《にくしん》の|者《もの》を|犯《おか》すことであるから、|彼《かれ》らはその|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし、そのおばと|寝《ね》るならば、これはおじをはずかしめることであるから、|彼《かれ》らはその|罪《つみ》を|負《お》い、|子《こ》なくして|死《し》ぬであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし、その|兄弟《きょうだい》の|妻《つま》を|取《と》るならば、これは|汚《けが》らわしいことである。|彼《かれ》はその|兄弟《きょうだい》をはずかしめたのであるから、|彼《かれ》らは|子《こ》なき|者《もの》となるであろう。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|定《さだ》めとおきてとをことごとく|守《まも》って、これを|行《おこな》わなければならない。そうすれば、わたしがあなたがたを|住《す》まわせようと|導《みちび》いて|行《い》く|地《ち》は、あなたがたを|吐《は》き|出《だ》さぬであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|前《まえ》からわたしが|追《お》い|払《はら》う|国《くに》びとの|風習《ふうしゅう》に、あなたがたは|歩《あゆ》んではならない。|彼《かれ》らは、このもろもろのことをしたから、わたしは|彼《かれ》らを|憎《にく》むのである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたに|言《い》った、「あなたがたは、|彼《かれ》らの|地《ち》を|獲《え》るであろう。わたしはこれをあなたがたに|与《あた》えて、これを|獲《え》させるであろう。これは|乳《ちち》と|蜜《みつ》との|流《なが》れる|地《ち》である」。わたしはあなたがたを|他《た》の|民《たみ》から|区別《くべつ》したあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|清《きよ》い|獣《けもの》と|汚《けが》れた|獣《けもの》、|汚《けが》れた|鳥《とり》と|清《きよ》い|鳥《とり》を|区別《くべつ》しなければならない。わたしがあなたがたのために|汚《けが》れたものとして|区別《くべつ》した|獣《けもの》、または|鳥《とり》またはすべて|地《ち》を|這《は》うものによって、あなたがたの|身《み》を|忌《い》むべきものとしてはならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしに|対《たい》して|聖《せい》なる|者《もの》でなければならない。|主《しゅ》なるわたしは|聖《せい》なる|者《もの》で、あなたがたをわたしのものにしようと、|他《た》の|民《たみ》から|区別《くべつ》したからである。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》または|女《おんな》で、|口寄《くちよ》せ、または|占《うらな》いをする|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。すなわち、|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》さなければならない。その|血《ち》は|彼《かれ》らに|帰《き》するであろう』」。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、「アロンの|子《こ》なる|祭司《さいし》たちに|告《つ》げて|言《い》いなさい、『|民《たみ》のうちの|死人《しにん》のために、|身《み》を|汚《けが》す|者《もの》があってはならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|近親《きんしん》の|者《もの》、すなわち、|父《ちち》、|母《はは》、むすこ、|娘《むすめ》、|兄弟《きょうだい》のため、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》の|近親《きんしん》で、まだ|夫《おっと》のない|処女《しょじょ》なる|姉妹《しまい》のためには、その|身《み》を|汚《けが》してもよい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|夫《おっと》にとついだ|姉妹《しまい》のためには、|身《み》を|汚《けが》してはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|頭《あたま》の|頂《いただき》をそってはならない。ひげの|両端《りょうたん》をそり|落《おと》してはならない。また|身《み》に|傷《きず》をつけてはならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》に|対《たい》して|聖《せい》でなければならない。また|神《かみ》の|名《な》を|汚《けが》してはならない。|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|火祭《かさい》、すなわち、|神《かみ》の|食物《しょくもつ》をささげる|者《もの》であるから、|聖《せい》でなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|遊女《ゆうじょ》や|汚《けが》れた|女《おんな》をめとってはならない。また|夫《おっと》に|出《だ》された|女《おんな》をめとってはならない。|祭司《さいし》は|神《かみ》に|対《たい》して|聖《せい》なる|者《もの》だからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》を|聖《せい》としなければならない。|彼《かれ》はあなたの|神《かみ》の|食物《しょくもつ》をささげる|者《もの》だからである。|彼《かれ》はあなたにとって|聖《せい》なる|者《もの》でなければならない。あなたがたを|聖《せい》とする|主《しゅ》、すなわち、わたしは|聖《せい》なる|者《もの》だからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》の|娘《むすめ》である|者《もの》が、|淫行《いんこう》をなして、その|身《み》を|汚《けが》すならば、その|父《ちち》を|汚《けが》すのであるから、|彼女《かのじょ》を|火《ひ》で|焼《や》かなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|兄弟《きょうだい》のうち、|頭《あたま》に|注《そそ》ぎ|油《あぶら》を|注《そそ》がれ、|職《しょく》に|任《にん》ぜられて、その|衣服《いふく》をつけ、|大《だい》|祭司《さいし》となった|者《もの》は、その|髪《かみ》の|毛《け》を|乱《みだ》してはならない。またその|衣服《いふく》を|裂《さ》いてはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|死人《しにん》のところに、はいってはならない。また|父《ちち》のためにも|母《はは》のためにも|身《み》を|汚《けが》してはならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|聖所《せいじょ》から|出《で》てはならない。|神《かみ》の|聖所《せいじょ》を|汚《けが》してはならない。その|神《かみ》の|注《そそ》ぎ|油《あぶら》による|聖別《せいべつ》が、|彼《かれ》の|上《うえ》にあるからである。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|処女《しょじょ》を|妻《つま》にめとらなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|寡婦《かふ》、|出《だ》された|女《おんな》、|汚《けが》れた|女《おんな》、|遊女《ゆうじょ》などをめとってはならない。ただ、|自分《じぶん》の|民《たみ》のうちの|処女《しょじょ》を、|妻《つま》にめとらなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、|彼《かれ》は|民《たみ》のうちに、|自分《じぶん》の|子孫《しそん》を|汚《けが》すことはない。わたしは|彼《かれ》を|聖別《せいべつ》する|主《しゅ》だからである』」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「アロンに|告《つ》げて|言《い》いなさい、『あなたの|代々《よよ》の|子孫《しそん》で、だれでも|身《み》にきずのある|者《もの》は|近寄《ちかよ》って、|神《かみ》の|食物《しょくもつ》をささげてはならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すべて、その|身《み》にきずのある|者《もの》は|近寄《ちかよ》ってはならない。すなわち、|目《め》しい、|足《あし》なえ、|鼻《はな》のかけた|者《もの》、|手足《てあし》の|不《ふ》つりあいの|者《もの》、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|足《あし》の|折《お》れた|者《もの》、|手《て》の|折《お》れた|者《もの》、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]せむし、こびと、|目《め》にきずのある|者《もの》、かいせんの|者《もの》、かさぶたのある|者《もの》、こうがんのつぶれた|者《もの》などである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|祭司《さいし》アロンの|子孫《しそん》のうち、|身《み》にきずのある|者《もの》は|近寄《ちかよ》って、|主《しゅ》の|火祭《かさい》をささげてはならない。|彼《かれ》は|身《み》にきずがあるから、|神《かみ》の|食物《しょくもつ》をささげるために、|近寄《ちかよ》ってはならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|神《かみ》の|食物《しょくもつ》の|聖《せい》なる|物《もの》も、|最《もっと》も|聖《せい》なる|物《もの》も|食《た》べることができる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|垂幕《たれまく》に|近《ちか》づいてはならない。また|祭壇《さいだん》に|近寄《ちかよ》ってはならない。|身《み》にきずがあるからである。|彼《かれ》はわたしの|聖所《せいじょ》を|汚《けが》してはならない。わたしはそれを|聖別《せいべつ》する|主《しゅ》である』」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこれをアロンとその|子《こ》ら|及《およ》びイスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|告《つ》げた。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「アロンとその|子《こ》たちに|告《つ》げて、イスラエルの|人々《ひとびと》の|聖《せい》なる|物《もの》、すなわち、|彼《かれ》らがわたしにささげる|物《もの》をみだりに|用《もち》いて、わたしの|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》さないようにさせなさい。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『あなたがたの|代々《よよ》の|子孫《しそん》のうち、だれでも、イスラエルの|人々《ひとびと》が|主《しゅ》にささげる|聖《せい》なる|物《もの》に、|汚《けが》れた|身《み》をもって|近《ちか》づく|者《もの》があれば、その|人《ひと》はわたしの|前《まえ》から|断《た》たれるであろう。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子孫《しそん》のうち、だれでも、らい|病《びょう》の|者《もの》、また|流出《りゅうしゅつ》ある|者《もの》は|清《きよ》くなるまで、|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べてはならない。また、すべて|死体《したい》によって|汚《けが》れた|物《もの》に|触《ふ》れた|者《もの》、|精《せい》を|漏《も》らした|者《もの》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]または、すべて|人《ひと》を|汚《けが》す|這《は》うものに|触《ふ》れた|者《もの》、または、どのような|汚《けが》れにせよ、|人《ひと》を|汚《けが》れさせる|人《ひと》に|触《ふ》れた|者《もの》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このようなものに|触《ふ》れた|人《ひと》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。|彼《かれ》はその|身《み》を|水《みず》にすすがないならば、|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べてはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》が|入《い》れば、|彼《かれ》は|清《きよ》くなるであろう。そののち、|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べることができる。それは|彼《かれ》の|食物《しょくもつ》だからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|自然《しぜん》に|死《し》んだもの、または|裂《さ》き|殺《ころ》されたものを|食《た》べ、それによって|身《み》を|汚《けが》してはならない。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえに、|彼《かれ》らはわたしの|言《い》いつけを|守《まも》らなければならない。|彼《かれ》らがこれを|汚《けが》し、これがために、|罪《つみ》を|獲《え》て|死《し》ぬことのないためである。わたしは|彼《かれ》らを|聖別《せいべつ》する|主《しゅ》である。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべて|一般《いっぱん》の|人《ひと》は|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べてはならない。|祭司《さいし》の|同居《どうきょ》|人《ひと》や|雇人《やといにん》も|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べてはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|祭司《さいし》が|金《かね》をもって|人《ひと》を|買《か》った|時《とき》は、その|者《もの》はこれを|食《た》べることができる。またその|家《いえ》に|生《うま》れた|者《もの》も|祭司《さいし》の|食物《しょくもつ》を|食《た》べることができる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もし|祭司《さいし》の|娘《むすめ》が|一般《いっぱん》の|人《ひと》にとついだならば、|彼女《かのじょ》は|聖《せい》なる|供《そな》え|物《もの》を|食《た》べてはならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もし|祭司《さいし》の|娘《むすめ》が、|寡婦《かふ》となり、または|出《だ》されて、|子供《こども》もなく、その|父《ちち》の|家《いえ》に|帰《かえ》り、|娘《むすめ》の|時《とき》のようであれば、その|父《ちち》の|食物《しょくもつ》を|食《た》べることができる。ただし、|一般《いっぱん》の|人《ひと》は、すべてこれを|食《た》べてはならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》があやまって|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べるならば、それにその五|分《ぶん》の一を|加《くわ》え、|聖《せい》なる|物《もの》としてこれを|祭司《さいし》に|渡《わた》さなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はイスラエルの|人々《ひとびと》が、|主《しゅ》にささげる|聖《せい》なる|物《もの》を|汚《けが》してはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》が|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べて、その|罪《つみ》のとがを|負《お》わないようにさせなければならない。わたしは|彼《かれ》らを|聖別《せいべつ》する|主《しゅ》である』」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「アロンとその|子《こ》たち、およびイスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『イスラエルの|家《いえ》の|者《もの》、またはイスラエルにおる|他国《たこく》|人《じん》のうちのだれでも、|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》、または|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》を|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》にささげようとするならば、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|受《う》け|入《い》れられるように|牛《うし》、|羊《ひつじ》、あるいはやぎの|雄《おす》の|全《まった》きものをささげなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すべてきずのあるものはささげてはならない。それはあなたがたのために、|受《う》け|入《い》れられないからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|特別《とくべつ》の|誓願《せいがん》をなすため、または|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》のために、|牛《うし》または|羊《ひつじ》を|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》として、|主《しゅ》にささげようとするならば、その|受《う》け|入《い》れられるために、それは|全《まった》きものでなければならない。それには、どんなきずもあってはならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|獣《けもの》のうちで、めくらのもの、|折《お》れた|所《ところ》のあるもの、|切《き》り|取《と》った|所《ところ》のあるもの、うみの|出《で》る|者《もの》、かいせんの|者《もの》、かさぶたのある|者《もの》など、あなたがたは、このようなものを|主《しゅ》にささげてはならない。また|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に、これらを|火祭《かさい》として、|主《しゅ》にささげてはならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》あるいは|羊《ひつじ》で、|足《あし》の|長《なが》すぎる|者《もの》、または|短《みじか》すぎる|者《もの》は、あなたがたが|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》とすることはできるが、|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》としては|受《う》け|入《い》れられないであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、こうがんの|破《やぶ》れたもの、つぶれたもの、|裂《さ》けたもの、または|切《き》り|取《と》られたものを、|主《しゅ》にささげてはならない。またあなたがたの|国《くに》のうちで、このようなことを、|行《おこな》ってはならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたは|異邦人《いほうじん》の|手《て》からこれらのものを|受《う》けて、あなたがたの|神《かみ》の|食物《しょくもつ》としてささげてはならない。これらのものには|欠点《けってん》があり、きずがあって、あなたがたのために|受《う》け|入《い》れられないからである』」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「|牛《うし》、または|羊《ひつじ》、またはやぎが|生《うま》れたならば、これを|七日《なぬか》の|間《あいだ》その|母親《ははおや》のもとに|置《お》かなければならない。八|日《か》|目《め》からは|主《しゅ》にささげる|火祭《かさい》として|受《う》け|入《い》れられるであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|雌牛《めうし》または|雌《め》|羊《ひつじ》をその|子《こ》と|同《おな》じ|日《ひ》にほふってはならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|感謝《かんしゃ》の|犠牲《ぎせい》を|主《しゅ》にささげるときは、あなたがたの|受《う》け|入《い》れられるようにささげなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]これはその|日《ひ》のうちに|食《た》べなければならない。|明《あ》くる|日《ひ》まで|残《のこ》しておいてはならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|戒《いまし》めを|守《まも》り、これを|行《おこな》わなければならない。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》してはならない。かえって、わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|聖《せい》とされなければならない。わたしはあなたがたを|聖別《せいべつ》する|主《しゅ》である。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》となるために、あなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》した|者《もの》である。わたしは|主《しゅ》である」。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたが、ふれ|示《しめ》して|聖《せい》|会《かい》とすべき|主《しゅ》の|定《さだ》めの|祭《まつり》は|次《つぎ》のとおりである。これらはわたしの|定《さだ》めの|祭《まつり》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》の|間《あいだ》は|仕事《しごと》をしなければならない。|第《だい》七|日《にち》は|全《まった》き|休《やす》みの|安息日《あんそくにち》であり、|聖《せい》|会《かい》である。どのような|仕事《しごと》もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて|守《まも》るべき|主《しゅ》の|安息日《あんそくにち》である。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時々《ときどき》に、あなたがたが、ふれ|示《しめ》すべき|主《しゅ》の|定《さだ》めの|祭《まつり》なる|聖《せい》|会《かい》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|正月《しょうがつ》の十四|日《か》の|夕《ゆう》は|主《しゅ》の|過越《すぎこし》の|祭《まつり》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またその|月《つき》の十五|日《にち》は|主《しゅ》の|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》である。あなたがたは|七日《なぬか》の|間《あいだ》は|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|初《はじ》めの|日《ひ》に|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。どんな|労働《ろうどう》もしてはならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|主《しゅ》に|火祭《かさい》をささげなければならない。|第《だい》七|日《にち》には、また|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》き、どのような|労働《ろうどう》もしてはならない』」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『わたしが|与《あた》える|地《ち》にはいって|穀物《こくもつ》を|刈《か》り|入《い》れるとき、あなたがたは|穀物《こくもつ》の|初穂《はつほ》の|束《たば》を、|祭司《さいし》のところへ|携《たずさ》えてこなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあなたがたの|受《う》け|入《い》れられるように、その|束《たば》を|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かすであろう。すなわち、|祭司《さいし》は|安息日《あんそくにち》の|翌日《よくじつ》に、これを|揺《ゆ》り|動《うご》かすであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またその|束《たば》を|揺《ゆ》り|動《うご》かす|日《ひ》に、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》の|全《まった》きものを|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|素祭《そさい》には|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の二エパを|用《もち》い、これを|主《しゅ》にささげて|火祭《かさい》とし、|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。またその|灌祭《かんさい》には、ぶどう|酒《しゅ》一ヒンの四|分《ぶん》の一を|用《もち》いなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》にこの|供《そな》え|物《もの》をささげるその|日《ひ》まで、あなたがたはパンも、|焼麦《やきむぎ》も、|新穀《しんこく》も|食《た》べてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|安息日《あんそくにち》の|翌日《よくじつ》、すなわち、|揺祭《ようさい》の|束《たば》をささげた|日《ひ》から|満《まん》七|週《しゅう》を|数《かぞ》えなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|第《だい》七の|安息日《あんそくにち》の|翌日《よくじつ》までに、五十|日《にち》を|数《かぞ》えて、|新穀《しんこく》の|素祭《そさい》を|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたのすまいから、十|分《ぶん》の二エパの|麦粉《むぎこ》に|種《たね》を|入《い》れて|焼《や》いたパン二|個《こ》を|携《たずさ》えてきて|揺祭《ようさい》としなければならない。これは|初穂《はつほ》として|主《しゅ》にささげるものである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはまたパンのほかに、一|歳《さい》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》七|頭《とう》と、|若《わか》き|雄牛《おうし》一|頭《とう》と、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》をささげなければならない。すなわち、これらをその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》とともに|主《しゅ》にささげて|燔祭《はんさい》としなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとなるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげ、一|歳《さい》の|小羊《こひつじ》二|頭《とう》を|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》としてささげなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》はその|初穂《はつほ》のパンと|共《とも》に、この二|頭《とう》の|小羊《こひつじ》を|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺祭《ようさい》として|揺《ゆ》り|動《うご》かさなければならない。これらは|主《しゅ》にささげる|聖《せい》なる|物《もの》であって、|祭司《さいし》に|帰《き》するであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、その|日《ひ》にふれ|示《しめ》して、|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。どのような|労働《ろうどう》もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|地《ち》の|穀物《こくもつ》を|刈《か》り|入《い》れるときは、その|刈入《かりい》れにあたって、|畑《はたけ》のすみずみまで|刈《か》りつくしてはならない。またあなたの|穀物《こくもつ》の|落《お》ち|穂《ぼ》を|拾《ひろ》ってはならない。|貧《まず》しい|者《もの》と|寄留者《きりゅうしゃ》のために、それを|残《のこ》しておかなければならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である』」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『七|月《がつ》一|日《にち》をあなたがたの|安息《あんそく》の|日《ひ》とし、ラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らして|記念《きねん》する|聖《せい》|会《かい》としなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]どのような|労働《ろうどう》もしてはならない。しかし、|主《しゅ》に|火祭《かさい》をささげなければならない』」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「|特《とく》にその七|月《がつ》の十|日《か》は|贖罪《しょくざい》の|日《ひ》である。あなたがたは|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》き、|身《み》を|悩《なや》まし、|主《しゅ》に|火祭《かさい》をささげなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、どのような|仕事《しごと》もしてはならない。これはあなたがたのために、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》にあがないをなすべき|贖罪《しょくざい》の|日《ひ》だからである。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]すべてその|日《ひ》に|身《み》を|悩《なや》まさない|者《もの》は、|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]またすべてその|日《ひ》にどのような|仕事《しごと》をしても、その|人《ひと》をわたしは|民《たみ》のうちから|滅《ほろ》ぼし|去《さ》るであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはどのような|仕事《しごと》もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたの|全《まった》き|休《やす》みの|安息日《あんそくにち》である。あなたがたは|身《み》を|悩《なや》まさなければならない。またその|月《つき》の九|日《か》の|夕《ゆう》には、その|夕《ゆう》から|次《つぎ》の|夕《ゆう》まで|安息《あんそく》を|守《まも》らなければならない」。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『その七|月《がつ》の十五|日《にち》は|仮庵《かりいお》の|祭《まつり》である。|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|主《しゅ》の|前《まえ》にそれを|守《まも》らなければならない。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|初《はじ》めの|日《ひ》に|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。どのような|労働《ろうどう》もしてはならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]また|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|主《しゅ》に|火祭《かさい》をささげなければならない。八|日《か》|目《め》には|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》き、|主《しゅ》に|火祭《かさい》をささげなければならない。これは|聖《せい》|会《かい》の|日《ひ》であるから、どのような|労働《ろうどう》もしてはならない。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]これらは|主《しゅ》の|定《さだ》めの|祭《まつり》であって、あなたがたがふれ|示《しめ》して|聖《せい》|会《かい》とし、|主《しゅ》に|火祭《かさい》すなわち、|燔祭《はんさい》、|素祭《そさい》、|犠牲《ぎせい》および|灌祭《かんさい》を、そのささぐべき|日《ひ》にささげなければならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]このほかに|主《しゅ》の|安息日《あんそくにち》があり、またほかに、あなたがたのささげ|物《もの》があり、またほかに、あなたがたのもろもろの|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》があり、またそのほかに、あなたがたのもろもろの|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》がある。これらは|皆《みな》あなたがたが|主《しゅ》にささげるものである。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、|地《ち》の|産物《さんぶつ》を|集《あつ》め|終《おわ》ったときは、七|月《がつ》の十五|日《にち》から|七日《なぬか》のあいだ、|主《しゅ》の|祭《まつり》を|守《まも》らなければならない。すなわち、|初《はじ》めの|日《ひ》にも|安息《あんそく》をし、八|日《か》|目《め》にも|安息《あんそく》をしなければならない。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|初《はじ》めの|日《ひ》に、|美《うつく》しい|木《き》の|実《み》と、なつめやしの|枝《えだ》と、|茂《しげ》った|木《き》の|枝《えだ》と、|谷《たに》のはこやなぎの|枝《えだ》を|取《と》って、|七日《なぬか》の|間《あいだ》あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|楽《たの》しまなければならない。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|年《ねん》に|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|主《しゅ》にこの|祭《まつり》を|守《まも》らなければならない。これはあなたがたの|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めであって、七|月《がつ》にこれを|守《まも》らなければならない。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|仮庵《かりいお》に|住《す》み、イスラエルで|生《うま》れた|者《もの》はみな|仮庵《かりいお》に|住《す》まなければならない。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]これはわたしがイスラエルの|人々《ひとびと》をエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》したとき、|彼《かれ》らを|仮庵《かりいお》に|住《す》まわせた|事《こと》を、あなたがたの|代々《よよ》の|子孫《しそん》に|知《し》らせるためである。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である』」。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》の|定《さだ》めの|祭《まつり》をイスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げた。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて、オリブを|砕《くだ》いて|採《と》った|純粋《じゅんすい》の|油《あぶら》を、ともしびのためにあなたの|所《ところ》へ|持《も》ってこさせ、|絶《た》えずともしびをともさせなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、アロンは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》のうちのあかしの|垂幕《たれまく》の|外《そと》で、|夕《ゆう》から|朝《あさ》まで|絶《た》えず、そのともしびを|主《しゅ》の|前《まえ》に|整《ととの》えなければならない。これはあなたがたが|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|純金《じゅんきん》の|燭台《しょくだい》の|上《うえ》に、そのともしびを|絶《た》えず|主《しゅ》の|前《まえ》に|整《ととの》えなければならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|麦粉《むぎこ》を|取《と》り、それで十二|個《こ》の|菓子《かし》を|焼《や》かなければならない。|菓子《かし》一|個《こ》に|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の二エパを|用《もち》いなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてそれを|主《しゅ》の|前《まえ》の|純金《じゅんきん》の|机《つくえ》の|上《うえ》に、ひと|重《かさ》ね六|個《こ》ずつ、ふた|重《かさ》ねにして|置《お》かなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、おのおのの|重《かさ》ねの|上《うえ》に、|純粋《じゅんすい》の|乳香《にゅうこう》を|置《お》いて、そのパンの|記念《きねん》の|分《ぶん》とし、|主《しゅ》にささげて|火祭《かさい》としなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|安息日《あんそくにち》ごとに|絶《た》えず、これを|主《しゅ》の|前《まえ》に|整《ととの》えなければならない。これはイスラエルの|人々《ひとびと》のささぐべきものであって、|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これはアロンとその|子《こ》たちに|帰《き》する。|彼《かれ》らはこれを|聖《せい》なる|所《ところ》で|食《た》べなければならない。これはいと|聖《せい》なる|物《もの》であって、|主《しゅ》の|火祭《かさい》のうち|彼《かれ》に|帰《き》すべき|永久《えいきゅう》の|分《ぶん》である」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|女《おんな》を|母《はは》とし、エジプトびとを|父《ちち》とするひとりの|者《もの》が、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|出《で》てきて、そのイスラエルの|女《おんな》の|産《う》んだ|子《こ》と、ひとりのイスラエルびとが|宿営《しゅくえい》の|中《なか》で|争《あらそ》いをし、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そのイスラエルの|女《おんな》の|産《う》んだ|子《こ》が|主《しゅ》の|名《な》を|汚《けが》して、のろったので、|人々《ひとびと》は|彼《かれ》をモーセのもとに|連《つ》れてきた。その|母《はは》はダンの|部族《ぶぞく》のデブリの|娘《むすめ》で、|名《な》をシロミテといった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を|閉《と》じ|込《こ》めて|置《お》いて、|主《しゅ》の|示《しめ》しを|受《う》けるのを|待《ま》っていた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]「あの、のろいごとを|言《い》った|者《もの》を|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|引《ひ》き|出《だ》し、それを|聞《き》いた|者《もの》に、みな|手《て》を|彼《かれ》の|頭《あたま》に|置《お》かせ、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|彼《かれ》を|石《いし》で|撃《う》たせなさい。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『だれでも、その|神《かみ》をのろう|者《もの》は、その|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|名《な》を|汚《けが》す|者《もの》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されるであろう。|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|必《かなら》ず|彼《かれ》を|石《いし》で|撃《う》たなければならない。|他国《たこく》の|者《もの》でも、この|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》でも、|主《しゅ》の|名《な》を|汚《けが》すときは|殺《ころ》されなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]だれでも、|人《ひと》を|撃《う》ち|殺《ころ》した|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|獣《けもの》を|撃《う》ち|殺《ころ》した|者《もの》は、|獣《けもの》をもってその|獣《けもの》を|償《つぐな》わなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|隣人《りんじん》に|傷《きず》を|負《お》わせるなら、その|人《ひと》は|自分《じぶん》がしたように|自分《じぶん》にされなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|骨折《こっせつ》には|骨折《こっせつ》、|目《め》には|目《め》、|歯《は》には|歯《は》をもって、|人《ひと》に|傷《きず》を|負《お》わせたように、|自分《じぶん》にもされなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|獣《けもの》を|撃《う》ち|殺《ころ》した|者《もの》はそれを|償《つぐな》い、|人《ひと》を|撃《う》ち|殺《ころ》した|者《もの》は|殺《ころ》されなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|他国《たこく》の|者《もの》にも、この|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》にも、あなたがたは|同一《どういつ》のおきてを|用《もち》いなければならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》だからである』」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]モーセがイスラエルの|人々《ひとびと》に|向《む》かい、「あの、のろいごとを|言《い》った|者《もの》を|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|引《ひ》き|出《だ》し、|石《いし》で|撃《う》て」と|命《めい》じたので、イスラエルの|人々《ひとびと》は、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにした。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシナイ|山《さん》で、モーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『わたしが|与《あた》える|地《ち》に、あなたがたがはいったときは、その|地《ち》にも、|主《しゅ》に|向《む》かって|安息《あんそく》を|守《まも》らせなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]六|年《ねん》の|間《あいだ》あなたは|畑《はたけ》に|種《たね》をまき、また六|年《ねん》の|間《あいだ》ぶどう|畑《はたけ》の|枝《えだ》を|刈《か》り|込《こ》み、その|実《み》を|集《あつ》めることができる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、七|年《ねん》|目《め》には、|地《ち》に|全《まった》き|休《やす》みの|安息《あんそく》を|与《あた》えなければならない。これは、|主《しゅ》に|向《む》かって|守《まも》る|安息《あんそく》である。あなたは|畑《はたけ》に|種《たね》をまいてはならない。また、ぶどう|畑《はたけ》の|枝《えだ》を|刈《か》り|込《こ》んではならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|穀物《こくもつ》の|自然《しぜん》に|生《は》えたものは|刈《か》り|取《と》ってはならない。また、あなたのぶどうの|枝《えだ》の|手入《てい》れをしないで|結《むす》んだ|実《み》は|摘《つ》んではならない。これは|地《ち》のために|全《まった》き|休《やす》みの|年《とし》だからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|安息《あんそく》の|年《とし》の|地《ち》の|産物《さんぶつ》は、あなたがたの|食物《しょくもつ》となるであろう。すなわち、あなたと、|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》と、|雇人《やといにん》と、あなたの|所《ところ》に|宿《やど》っている|他国《たこく》|人《じん》と、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家畜《かちく》と、あなたの|国《くに》のうちの|獣《けもの》とのために、その|産物《さんぶつ》はみな、|食物《しょくもつ》となるであろう。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|安息《あんそく》の|年《とし》を七たび、すなわち、七|年《ねん》を七|回《かい》|数《かぞ》えなければならない。|安息《あんそく》の|年《とし》七たびの|年数《ねんすう》は四十九|年《ねん》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]七|月《がつ》の十|日《か》にあなたはラッパの|音《おと》を|響《ひび》き|渡《わた》らせなければならない。すなわち、|贖罪《しょくざい》の|日《ひ》にあなたがたは|全国《ぜんこく》にラッパを|響《ひび》き|渡《わた》らせなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その五十|年《ねん》|目《め》を|聖別《せいべつ》して、|国中《くにぢゅう》のすべての|住民《じゅうみん》に|自由《じゆう》をふれ|示《しめ》さなければならない。この|年《とし》はあなたがたにはヨベルの|年《とし》であって、あなたがたは、おのおのその|所有《しょゆう》の|地《ち》に|帰《かえ》り、おのおのその|家族《かぞく》に|帰《かえ》らなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その五十|年《ねん》|目《め》はあなたがたにはヨベルの|年《とし》である。|種《たね》をまいてはならない。また|自然《しぜん》に|生《は》えたものは|刈《か》り|取《と》ってはならない。|手入《てい》れをしないで|結《むす》んだぶどうの|実《み》は|摘《つ》んではならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]この|年《とし》はヨベルの|年《とし》であって、あなたがたに|聖《せい》であるからである。あなたがたは|畑《はたけ》に|自然《しぜん》にできた|物《もの》を|食《た》べなければならない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]このヨベルの|年《とし》には、おのおのその|所有《しょゆう》の|地《ち》に|帰《かえ》らなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|隣人《りんじん》に|物《もの》を|売《う》り、また|隣人《りんじん》から|物《もの》を|買《か》うときは、|互《たがい》に|欺《あざむ》いてはならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨベルの|後《のち》の|年《とし》の|数《かず》にしたがって、あなたは|隣人《りんじん》から|買《か》い、|彼《かれ》もまた|畑《はたけ》の|産物《さんぶつ》の|年数《ねんすう》にしたがって、あなたに|売《う》らなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|年《とし》の|数《かず》の|多《おお》い|時《とき》は、その|値《あたい》を|増《ま》し、|年《とし》の|数《かず》の|少《すく》ない|時《とき》は、|値《あたい》を|減《へ》らさなければならない。|彼《かれ》があなたに|売《う》るのは|産物《さんぶつ》の|数《かず》だからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|互《たがい》に|欺《あざむ》いてはならない。あなたの|神《かみ》を|恐《おそ》れなければならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|定《さだ》めを|行《おこな》い、またわたしのおきてを|守《まも》って、これを|行《おこな》わなければならない。そうすれば、あなたがたは|安《やす》らかにその|地《ち》に|住《す》むことができるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》はその|実《み》を|結《むす》び、あなたがたは|飽《あ》きるまでそれを|食《た》べ、|安《やす》らかにそこに|住《す》むことができるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「七|年《ねん》|目《め》に|種《たね》をまくことができず、また|産物《さんぶつ》を|集《あつ》めることができないならば、わたしたちは|何《なに》を|食《た》べようか」とあなたがたは|言《い》うのか。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|命《めい》じて六|年《ねん》|目《め》に、あなたがたに|祝福《しゅくふく》をくだし、三か|年《ねん》|分《ぶん》の|産物《さんぶつ》を|実《みの》らせるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは八|年《ねん》|目《め》に|種《たね》をまく|時《とき》には、なお|古《ふる》い|産物《さんぶつ》を|食《た》べているであろう。九|年《ねん》|目《め》にその|産物《さんぶつ》のできるまで、あなたがたは|古《ふる》いものを|食《た》べることができるであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|永代《えいたい》には|売《う》ってはならない。|地《ち》はわたしのものだからである。あなたがたはわたしと|共《とも》にいる|寄留者《きりゅうしゃ》、また|旅《たび》びとである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|所有《しょゆう》としたどのような|土地《とち》でも、その|土地《とち》の|買《か》いもどしに|応《おう》じなければならない。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》が|落《お》ちぶれてその|所有《しょゆう》の|地《ち》を|売《う》った|時《とき》は、|彼《かれ》の|近親《きんしん》|者《しゃ》がきて、|兄弟《きょうだい》の|売《う》ったものを|買《か》いもどさなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]たといその|人《ひと》に、それを|買《か》いもどしてくれる|人《ひと》がいなくても、その|人《ひと》が|富《と》み、|自分《じぶん》でそれを|買《か》いもどすことができるようになったならば、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それを|売《う》ってからの|年《とし》を|数《かぞ》えて|残《のこ》りの|分《ぶん》を|買《か》い|手《て》に|返《かえ》さなければならない。そうすればその|人《ひと》はその|所有《しょゆう》の|地《ち》に|帰《かえ》ることができる。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしそれを|買《か》いもどすことができないならば、その|売《う》った|物《もの》はヨベルの|年《とし》まで|買《か》い|主《ぬし》の|手《て》にあり、ヨベルにはもどされて、その|人《ひと》はその|所有《しょゆう》の|地《ち》に|帰《かえ》ることができるであろう。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|城壁《じょうへき》のある|町《まち》の|住宅《じゅうたく》を|売《う》った|時《とき》は、|売《う》ってから|満《まん》一|年《ねん》の|間《あいだ》は、それを|買《か》いもどすことができる。その|間《かん》は|彼《かれ》に|買《か》いもどすことを|許《ゆる》さなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|満《まん》一|年《ねん》のうちに、それを|買《か》いもどさない|時《とき》は、|城壁《じょうへき》のある|町《まち》の|内《うち》のその|家《いえ》は|永代《えいたい》にそれを|買《か》った|人《ひと》のものと|定《さだ》まって、|代々《よよ》の|所有《しょゆう》となり、ヨベルの|年《とし》にももどされないであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|周囲《しゅうい》に|城壁《じょうへき》のない|村々《むらむら》の|家《いえ》は、その|地方《ちほう》の|畑《はたけ》に|附属《ふぞく》するものとみなされ、|買《か》いもどすことができ、またヨベルの|年《とし》には、もどされるであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]レビびとの|町々《まちまち》、すなわち、|彼《かれ》らの|所有《しょゆう》の|町々《まちまち》の|家《いえ》は、レビびとはいつでも|買《か》いもどすことができる。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]レビびとのひとりが、それを|買《か》いもどさない|時《とき》は、その|所有《しょゆう》の|町《まち》にある|売《う》った|家《いえ》はヨベルの|年《とし》にはもどされるであろう。レビびとの|町々《まちまち》の|家《いえ》はイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|彼《かれ》らがもっている|所有《しょゆう》だからである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|彼《かれ》らの|町々《まちまち》の|周囲《しゅうい》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》は|売《う》ってはならない。それは|彼《かれ》らの|永久《えいきゅう》の|所有《しょゆう》だからである。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》が|落《お》ちぶれ、|暮《くら》して|行《い》けない|時《とき》は、|彼《かれ》を|助《たす》け、|寄留者《きりゅうしゃ》または|旅《たび》びとのようにして、あなたと|共《とも》に|生《い》きながらえさせなければならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》から|利子《りし》も|利息《りそく》も|取《と》ってはならない。あなたの|神《かみ》を|恐《おそ》れ、あなたの|兄弟《きょうだい》をあなたと|共《とも》に|生《い》きながらえさせなければならない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|利子《りし》を|取《と》って|彼《かれ》に|金《かね》を|貸《か》してはならない。また|利益《りえき》をえるために|食物《しょくもつ》を|貸《か》してはならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、カナンの|地《ち》をあなたがたに|与《あた》え、かつあなたがたの|神《かみ》となるためにあなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》した|者《もの》である。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》が|落《お》ちぶれて、あなたに|身《み》を|売《う》るときは、|奴隷《どれい》のように|働《はたら》かせてはならない。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》を|雇人《やといにん》のように、また|旅《たび》びとのようにしてあなたの|所《ところ》におらせ、ヨベルの|年《とし》まであなたの|所《ところ》で|勤《つと》めさせなさい。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》には、|彼《かれ》は|子供《こども》たちと|共《とも》にあなたの|所《ところ》から|出《で》て、その|一族《いちぞく》のもとに|帰《かえ》り、|先祖《せんぞ》の|所有《しょゆう》の|地《ち》にもどるであろう。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトの|国《くに》からわたしが|導《みちび》き|出《だ》したわたしのしもべであるから、|身《み》を|売《う》って|奴隷《どれい》となってはならない。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》をきびしく|使《つか》ってはならない。あなたの|神《かみ》を|恐《おそ》れなければならない。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもつ|奴隷《どれい》は|男女《だんじょ》ともにあなたの|周囲《しゅうい》の|異邦人《いほうじん》のうちから|買《か》わなければならない。すなわち、|彼《かれ》らのうちから|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》を|買《か》うべきである。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたのうちに|宿《やど》っている|旅《たび》びとの|子供《こども》のうちからも|買《か》うことができる。また|彼《かれ》らのうちあなたがたの|国《くに》で|生《うま》れて、あなたがたと|共《とも》におる|人々《ひとびと》の|家族《かぞく》からも|買《か》うことができる。そして|彼《かれ》らはあなたがたの|所有《しょゆう》となるであろう。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|彼《かれ》らを|獲《え》て、あなたがたの|後《のち》の|子孫《しそん》に|所有《しょゆう》として|継《つ》がせることができる。すなわち、|彼《かれ》らは|長《なが》くあなたがたの|奴隷《どれい》となるであろう。しかし、あなたがたの|兄弟《きょうだい》であるイスラエルの|人々《ひとびと》をあなたがたは|互《たがい》にきびしく|使《つか》ってはならない。  [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]あなたと|共《とも》にいる|寄留者《きりゅうしゃ》または|旅《たび》びとが|富《と》み、そのかたわらにいるあなたの|兄弟《きょうだい》が|落《お》ちぶれて、あなたと|共《とも》にいるその|寄留者《きりゅうしゃ》、|旅《たび》びと、または|寄留者《きりゅうしゃ》の|一族《いちぞく》のひとりに|身《み》を|売《う》った|場合《ばあい》、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|身《み》を|売《う》った|後《のち》でも|彼《かれ》を|買《か》いもどすことができる。その|兄弟《きょうだい》のひとりが|彼《かれ》を|買《か》いもどさなければならない。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]あるいは、おじ、または、おじの|子《こ》が|彼《かれ》を|買《か》いもどさなければならない。あるいは|一族《いちぞく》の|近親《きんしん》の|者《もの》が、|彼《かれ》を|買《か》いもどさなければならない。あるいは|自分《じぶん》に|富《とみ》ができたならば、|自分《じぶん》で|買《か》いもどさなければならない。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|身《み》を|売《う》った|年《とし》からヨベルの|年《とし》までを、その|買《か》い|主《ぬし》と|共《とも》に|数《かぞ》え、その|年数《ねんすう》によって、|身《み》の|代金《しろきん》を|決《き》めなければならない。その|年数《ねんすう》は|雇《やと》われた|年数《ねんすう》として|数《かぞ》えなければならない。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]なお|残《のこ》りの|年《とし》が|多《おお》い|時《とき》は、その|年数《ねんすう》にしたがい、|買《か》われた|金額《きんがく》に|照《てら》して、あがないの|金《かね》を|払《はら》わなければならない。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]またヨベルの|年《とし》までに|残《のこ》りの|年《とし》が|少《すく》なければ、その|人《ひと》と|共《とも》に|計算《けいさん》し、その|年数《ねんすう》にしたがって、あがないの|金《かね》を|払《はら》わなければならない。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|年々《ねんねん》|雇《やと》われる|人《ひと》のように|扱《あつか》われなければならない。あなたの|目《め》の|前《まえ》で|彼《かれ》をきびしく|使《つか》わせてはならない。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》がこのようにしてあがなわれないならば、ヨベルの|年《とし》に|彼《かれ》は|子供《こども》と|共《とも》に|出《で》て|行《い》くことができる。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、わたしのしもべだからである。|彼《かれ》らはわたしがエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》したわたしのしもべである。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|自分《じぶん》のために、|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》ってはならない。また|刻《きざ》んだ|像《ぞう》も|石《いし》の|柱《はしら》も|立《た》ててはならない。またあなたがたの|地《ち》に|石像《せきぞう》を|立《た》てて、それを|拝《おが》んではならない。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》だからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|安息日《あんそくにち》を|守《まも》り、またわたしの|聖所《せいじょ》を|敬《うやま》わなければならない。わたしは|主《しゅ》である。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたがわたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》み、わたしの|戒《いまし》めを|守《まも》って、これを|行《おこな》うならば、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|季節《きせつ》|季節《きせつ》に、|雨《あめ》をあなたがたに|与《あた》えるであろう。|地《ち》は|産物《さんぶつ》を|出《だ》し、|畑《はたけ》の|木々《きぎ》は|実《み》を|結《むす》ぶであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|麦打《むぎう》ちは、ぶどうの|取入《とりい》れの|時《とき》まで|続《つづ》き、ぶどうの|取入《とりい》れは、|種《たね》まきの|時《とき》まで|続《つづ》くであろう。あなたがたは|飽《あ》きるほどパンを|食《た》べ、またあなたがたの|地《ち》に|安《やす》らかに|住《す》むであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|国《くに》に|平和《へいわ》を|与《あた》えるから、あなたがたは|安《やす》らかに|寝《ね》ることができ、あなたがたを|恐《おそ》れさすものはないであろう。わたしはまた|国《くに》のうちから|悪《わる》い|獣《けもの》を|絶《た》やすであろう。つるぎがあなたがたの|国《くに》を|行《い》き|巡《めぐ》ることはないであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|敵《てき》を|追《お》うであろう。|彼《かれ》らは、あなたがたのつるぎに|倒《たお》れるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの五|人《にん》は百|人《にん》を|追《お》い、百|人《にん》は万|人《にん》を|追《お》い、あなたがたの|敵《てき》はつるぎに|倒《たお》れるであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを|顧《かえり》み、|多《おお》くの|子《こ》を|獲《え》させ、あなたがたを|増《ま》し、あなたがたと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|固《かた》めるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|古《ふる》い|穀物《こくもつ》を|食《た》べている|間《あいだ》に、また|新《あたら》しいものを|獲《え》て、その|古《ふる》いものを|捨《す》てるようになるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|幕屋《まくや》をあなたがたのうちに|建《た》て、|心《こころ》にあなたがたを|忌《い》みきらわないであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたのうちに|歩《あゆ》み、あなたがたの|神《かみ》となり、あなたがたはわたしの|民《たみ》となるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、あなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》して、|奴隷《どれい》の|身分《みぶん》から|解《と》き|放《はな》った|者《もの》である。わたしはあなたがたのくびきの|横木《よこぎ》を|砕《くだ》いて、まっすぐに|立《た》って|歩《ある》けるようにしたのである。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたがもしわたしに|聞《き》き|従《したが》わず、またこのすべての|戒《いまし》めを|守《まも》らず、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|定《さだ》めを|軽《かろ》んじ、|心《こころ》にわたしのおきてを|忌《い》みきらって、わたしのすべての|戒《いまし》めを|守《まも》らず、わたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》るならば、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたにこのようにするであろう。すなわち、あなたがたの|上《うえ》に|恐怖《きょうふ》を|臨《のぞ》ませ、|肺病《はいびょう》と|熱病《ねつびょう》をもって、あなたがたの|目《め》を|見《み》えなくし、|命《いのち》をやせ|衰《おとろ》えさせるであろう。あなたがたが|種《たね》をまいてもむだである。|敵《てき》がそれを|食《た》べるであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|顔《かお》をあなたがたにむけて|攻《せ》め、あなたがたは|敵《てき》の|前《まえ》に|撃《う》ちひしがれるであろう。またあなたがたの|憎《にく》む|者《もの》があなたがたを|治《おさ》めるであろう。あなたがたは|追《お》う|者《もの》もないのに|逃《に》げるであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それでもなお、あなたがたがわたしに|聞《き》き|従《したが》わないならば、わたしはあなたがたの|罪《つみ》を七|倍《ばい》|重《おも》く|罰《ばっ》するであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|誇《ほこり》とする|力《ちから》を|砕《くだ》き、あなたがたの|天《てん》を|鉄《てつ》のようにし、あなたがたの|地《ち》を|青銅《せいどう》のようにするであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|力《ちから》は、むだに|費《ついや》されるであろう。すなわち、|地《ち》は|産物《さんぶつ》をいださず、|国《くに》のうちの|木々《きぎ》は|実《み》を|結《むす》ばないであろう。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたがわたしに|逆《さか》らって|歩《あゆ》み、わたしに|聞《き》き|従《したが》わないならば、わたしはあなたがたの|罪《つみ》に|従《したが》って七|倍《ばい》の|災《わざわい》をあなたがたに|下《くだ》すであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|野獣《やじゅう》をあなたがたのうちに|送《おく》るであろう。それはあなたがたの|子供《こども》を|奪《うば》い、また|家畜《かちく》を|滅《ほろ》ぼし、あなたがたの|数《かず》を|少《すく》なくするであろう。あなたがたの|大路《おおじ》は|荒《あ》れ|果《は》てるであろう。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたがこれらの|懲《こら》しめを|受《う》けてもなお|改《あらた》めず、わたしに|逆《さか》らって|歩《あゆ》むならば、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしもまたあなたがたに|逆《さか》らって|歩《あゆ》み、あなたがたの|罪《つみ》を七|倍《ばい》|重《おも》く|罰《ばっ》するであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|上《うえ》につるぎを|臨《のぞ》ませ、|違約《いやく》の|恨《うら》みを|報《むく》いるであろう。あなたがたが|町々《まちまち》に|集《あつ》まる|時《とき》は、あなたがたのうちに|疫病《えきびょう》を|送《おく》り、あなたがたは|敵《てき》の|手《て》にわたされるであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたのつえとするパンを|砕《くだ》くとき、十|人《にん》の|女《おんな》が一つのかまどでパンを|焼《や》き、それをはかりにかけてあなたがたに|渡《わた》すであろう。あなたがたは|食《た》べても|満《み》たされないであろう。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それでもなお、あなたがたがわたしに|聞《き》き|従《したが》わず、わたしに|逆《さか》らって|歩《あゆ》むならば、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしもあなたがたに|逆《さか》らい、|怒《いか》りをもって|歩《あゆ》み、あなたがたの|罪《つみ》を七|倍《ばい》|重《おも》く|罰《ばっ》するであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|自分《じぶん》のむすこの|肉《にく》を|食《た》べ、また|自分《じぶん》の|娘《むすめ》の|肉《にく》を|食《た》べるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|高《たか》き|所《ところ》をこぼち、|香《こう》の|祭壇《さいだん》を|倒《たお》し、|偶像《ぐうぞう》の|死体《したい》の|上《うえ》に、あなたがたの|死体《したい》を|投《な》げ|捨《す》てて、わたしは|心《こころ》にあなたがたを|忌《い》みきらうであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたあなたがたの|町々《まちまち》を|荒《あ》れ|地《ち》とし、あなたがたの|聖所《せいじょ》を|荒《あ》らすであろう。またわたしはあなたがたのささげる|香《こう》ばしいかおりをかがないであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]わたしがその|地《ち》を|荒《あ》らすゆえ、そこに|住《す》むあなたがたの|敵《てき》はそれを|見《み》て|驚《おどろ》くであろう。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを|国々《くにぐに》の|間《あいだ》に|散《ち》らし、つるぎを|抜《ぬ》いて、あなたがたの|後《うしろ》を|追《お》うであろう。あなたがたの|地《ち》は|荒《あ》れ|果《は》て、あなたがたの|町々《まちまち》は|荒《あ》れ|地《ち》となるであろう。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|地《ち》が|荒《あ》れ|果《は》てて、あなたがたは|敵《てき》の|国《くに》にある|間《あいだ》、|地《ち》は|安息《あんそく》を|楽《たの》しむであろう。すなわち、その|時《とき》、|地《ち》は|休《やす》みを|得《え》て、|安息《あんそく》を|楽《たの》しむであろう。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]それは|荒《あ》れ|果《は》てている|日《ひ》の|間《あいだ》、|休《やす》むであろう。あなたがたがそこに|住《す》んでいる|間《あいだ》、あなたがたの|安息《あんそく》のときに|休《やす》みを|得《え》なかったものである。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたのうちの|残《のこ》っている|者《もの》の|心《こころ》に、|敵《てき》の|国《くに》でわたしは|恐《おそ》れをいだかせるであろう。|彼《かれ》らは|木《こ》の|葉《は》の|動《うご》く|音《おと》にも|驚《おどろ》いて|逃《に》げ、つるぎを|避《さ》けて|逃《に》げる|者《もの》のように|逃《に》げて、|追《お》う|者《もの》もないのにころび|倒《たお》れるであろう。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|追《お》う|者《もの》もないのに、つるぎをのがれる|者《もの》のように|折《お》り|重《かさ》なって、つまずき|倒《たお》れるであろう。あなたがたは|敵《てき》の|前《まえ》に|立《た》つことができないであろう。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|国々《くにぐに》のうちにあって|滅《ほろ》びうせ、あなたがたの|敵《てき》の|地《ち》はあなたがたをのみつくすであろう。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちの|残《のこ》っている|者《もの》は、あなたがたの|敵《てき》の|地《ち》で|自分《じぶん》の|罪《つみ》のゆえにやせ|衰《おとろ》え、また|先祖《せんぞ》たちの|罪《つみ》のゆえに|彼《かれ》らと|同《おな》じようにやせ|衰《おとろ》えるであろう。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》らがもし、|自分《じぶん》の|罪《つみ》と、|先祖《せんぞ》たちの|罪《つみ》、すなわち、わたしに|反逆《はんぎゃく》し、またわたしに|逆《さか》らって|歩《あゆ》んだことを|告白《こくはく》するならば、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしが|彼《かれ》らに|逆《さか》らって|歩《あゆ》み、|彼《かれ》らを|敵《てき》の|国《くに》に|引《ひ》いて|行《い》っても、もし|彼《かれ》らの|無《む》|割礼《かつれい》の|心《こころ》が|砕《くだ》かれ、あまんじて|罪《つみ》の|罰《ばつ》を|受《う》けるならば、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]そのときわたしはヤコブと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|思《おも》い|起《おこ》し、またイサクと|結《むす》んだ|契約《けいやく》およびアブラハムと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|思《おも》い|起《おこ》し、またその|地《ち》を|思《おも》い|起《おこ》すであろう。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》らが|地《ち》を|離《はな》れて|地《ち》が|荒《あ》れ|果《は》てている|間《あいだ》、|地《ち》はその|安息《あんそく》を|楽《たの》しむであろう。|彼《かれ》らはまた、あまんじて|罪《つみ》の|罰《ばつ》を|受《う》けるであろう。|彼《かれ》らがわたしのおきてを|軽《かろ》んじ、|心《こころ》にわたしの|定《さだ》めを|忌《い》みきらったからである。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]それにもかかわらず、なおわたしは|彼《かれ》らが|敵《てき》の|国《くに》におるとき、|彼《かれ》らを|捨《す》てず、また|忌《い》みきらわず、|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》さず、|彼《かれ》らと|結《むす》んだわたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》ることをしないであろう。わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》だからである。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|彼《かれ》らのために|思《おも》い|起《おこ》すであろう。|彼《かれ》らはわたしがその|神《かみ》となるために|国々《くにぐに》の|人《ひと》の|目《め》の|前《まえ》で、エジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|者《もの》である。わたしは|主《しゅ》である』」。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]これらは|主《しゅ》が、シナイ|山《さん》で、|自分《じぶん》とイスラエルの|人々《ひとびと》との|間《あいだ》に、モーセによって|立《た》てられた|定《さだ》めと、おきてと、|律法《りっぽう》である。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『|人《ひと》があなたの|値《ね》|積《づも》りに|従《したが》って|主《しゅ》に|身《み》をささげる|誓願《せいがん》をする|時《とき》は、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|値《ね》|積《づも》りは、二十|歳《さい》から六十|歳《さい》までの|男《おとこ》には、その|値《ね》|積《づも》りを|聖所《せいじょ》のシケルに|従《したが》って|銀《ぎん》五十シケルとし、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》には、その|値《ね》|積《づも》りは三十シケルとしなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また五|歳《さい》から二十|歳《さい》までは、|男《おとこ》にはその|値《ね》|積《づも》りを二十シケルとし、|女《おんな》には十シケルとしなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]一か|月《げつ》から五|歳《さい》までは、|男《おとこ》にはその|値《ね》|積《づも》りを|銀《ぎん》五シケルとし、|女《おんな》にはその|値《ね》|積《づも》りを|銀《ぎん》三シケルとしなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また六十|歳《さい》|以上《いじょう》は、|男《おとこ》にはその|値《ね》|積《づも》りを十五シケルとし、|女《おんな》には十シケルとしなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もしその|人《ひと》が|貧《まず》しくて、あなたの|値《ね》|積《づも》りに|応《おう》じることができないならば、|祭司《さいし》の|前《まえ》に|立《た》ち、|祭司《さいし》の|値《ね》|積《づも》りを|受《う》けなければならない。|祭司《さいし》はその|誓願《せいがん》|者《しゃ》の|力《ちから》に|従《したが》って|値《ね》|積《づも》らなければならない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|供《そな》え|物《もの》とすることができる|家畜《かちく》で、|人《ひと》が|主《しゅ》にささげるものはすべて|聖《せい》なる|物《もの》となる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ほかのものをそれに|代用《だいよう》してはならない。|良《よ》い|物《もの》を|悪《わる》い|物《もの》に、|悪《わる》い|物《もの》を|良《よ》い|物《もの》に|取《と》り|換《か》えてはならない。もし|家畜《かちく》と|家畜《かちく》とを|取《と》り|換《か》えるならば、その|物《もの》も、それと|取《と》り|換《か》えた|物《もの》も|共《とも》に|聖《せい》なる|物《もの》となるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もしそれが|汚《けが》れた|家畜《かちく》で、|主《しゅ》に|供《そな》え|物《もの》としてささげられないものであるならば、その|人《ひと》はその|家畜《かちく》を|祭司《さいし》の|前《まえ》に|引《ひ》いてこなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|良《よ》い|悪《わる》いに|従《したが》って、それを|値《ね》|積《づも》らなければならない。それは|祭司《さいし》が|値積《ねづも》るとおりになるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もしその|人《ひと》が、それをあがなおうとするならば、その|値《ね》|積《づも》りにその五|分《ぶん》の一を|加《くわ》えなければならない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|自分《じぶん》の|家《いえ》を|主《しゅ》に|聖《せい》なる|物《もの》としてささげるときは、|祭司《さいし》はその|良《よ》い|悪《わる》いに|従《したが》って、それを|値《ね》|積《づも》らなければならない。それは|祭司《さいし》が|値《ね》|積《づも》ったとおりになるであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もしその|家《いえ》をささげる|人《ひと》が、それをあがなおうとするならば、その|値《ね》|積《づも》りの|金《かね》に、その五|分《ぶん》の一を|加《くわ》えなければならない。そうすれば、それは|彼《かれ》のものとなるであろう。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|相続《そうぞく》した|畑《はたけ》の|一部《いちぶ》を|主《しゅ》にささげるときは、あなたはそこにまく|種《たね》の|多少《たしょう》に|応《おう》じて、|値《ね》|積《づも》らなければならない。すなわち、|大麦《おおむぎ》一ホメルの|種《たね》を|銀《ぎん》五十シケルに|値《ね》|積《づも》らなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]もしその|畑《はたけ》をヨベルの|年《とし》からささげるのであれば、その|価《あたい》はあなたの|値《ね》|積《づも》りのとおりになるであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]もしその|畑《はたけ》をヨベルの|年《とし》の|後《のち》にささげるのであれば、|祭司《さいし》はヨベルの|年《とし》までに|残《のこ》っている|年《とし》の|数《かず》に|従《したが》ってその|金《かね》を|数《かぞ》え、それをあなたの|値《ね》|積《づも》りからさし|引《ひ》かなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もしまた、その|畑《はたけ》をささげる|人《ひと》が、それをあがなおうとするならば、あなたの|値《ね》|積《づも》りの|金《かね》にその五|分《ぶん》の一を|加《くわ》えなければならない。そうすれば、それは|彼《かれ》のものと|決《き》まるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしその|畑《はたけ》をあがなわず、またそれを|他《た》の|人《ひと》に|売《う》るならば、それはもはやあがなうことができないであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|畑《はたけ》は、ヨベルの|年《とし》になって|期限《きげん》が|切《き》れるならば、|奉納《ほうのう》の|畑《はたけ》と|同《おな》じく、|主《しゅ》の|聖《せい》なる|物《もの》となり、|祭司《さいし》の|所有《しょゆう》となるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もしまた|相続《そうぞく》した|畑《はたけ》の|一部《いちぶ》でなく、|買《か》った|畑《はたけ》を|主《しゅ》にささげる|時《とき》は、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|値《ね》|積《づも》りしてヨベルの|年《とし》までの|金《かね》を|数《かぞ》えなければならない。その|人《ひと》はその|値《ね》|積《づも》りの|金《かね》をその|日《ひ》に|主《しゅ》にささげて、|聖《せい》なる|物《もの》としなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヨベルの|年《とし》にその|畑《はたけ》は|売《う》り|主《ぬし》であるその|地《ち》の|相続《そうぞく》|者《しゃ》に|返《かえ》るであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたの|値《ね》|積《づも》りは|聖所《せいじょ》のシケルによってしなければならない。二十ゲラを一シケルとする。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|家畜《かちく》のういごは、ういごとしてすでに|主《しゅ》のものだから、だれもこれをささげてはならない。|牛《うし》でも|羊《ひつじ》でも、それは|主《しゅ》のものである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]もし|汚《けが》れた|家畜《かちく》であるならば、あなたの|値《ね》|積《づも》りにその五|分《ぶん》の一を|加《くわ》えて、その|人《ひと》はこれをあがなわなければならない。もしあがなわないならば、それを|値《ね》|積《づも》りに|従《したが》って|売《う》らなければならない。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|人《ひと》が|自分《じぶん》の|持《も》っているもののうちから|奉納物《ほうのうぶつ》として|主《しゅ》にささげたものは、|人《ひと》であっても、|家畜《かちく》であっても、また|相続《そうぞく》の|畑《はたけ》であっても、いっさいこれを|売《う》ってはならない。またあがなってはならない。|奉納物《ほうのうぶつ》はすべて|主《しゅ》に|属《ぞく》するいと|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またすべて|人《ひと》のうちから|奉納物《ほうのうぶつ》としてささげられた|人《ひと》は、あがなってはならない。|彼《かれ》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の十|分《ぶん》の一は|地《ち》の|産物《さんぶつ》であれ、|木《き》の|実《み》であれ、すべて|主《しゅ》のものであって、|主《しゅ》に|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がその十|分《ぶん》の一をあがなおうとする|時《とき》は、それにその五|分《ぶん》の一を|加《くわ》えなければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》または|羊《ひつじ》の十|分《ぶん》の一については、すべて|牧者《ぼくしゃ》のつえの|下《した》を十|番目《ばんめ》に|通《とお》るものは、|主《しゅ》に|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|良《よ》い|悪《わる》いを|問《と》うてはならない。またそれを|取《と》り|換《か》えてはならない。もし|取《と》り|換《か》えたならば、それと、その|取《と》り|換《か》えたものとは、|共《とも》に|聖《せい》なる|物《もの》となるであろう。それをあがなうことはできない』」。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]これらは|主《しゅ》が、シナイ|山《さん》で、イスラエルの|人々《ひとびと》のために、モーセに|命《めい》じられた|戒《いまし》めである。 [#改ページ] 民数記[#「民数記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|国《くに》を|出《で》た|次《つぎ》の|年《とし》の二|月《がつ》一|日《にち》に、|主《しゅ》はシナイの|荒野《あらの》において、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で、モーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたは、イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調査《ちょうさ》し、そのすべての|男子《だんし》の|名《な》の|数《かず》を、ひとりびとり|数《かぞ》えて、その|総数《そうすう》を|得《え》なさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのうちで、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》を、あなたとアロンとは、その|部隊《ぶたい》にしたがって|数《かぞ》えなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、すべての|部族《ぶぞく》は、おのおの|父祖《ふそ》の|家《いえ》の|長《ちょう》たるものを、ひとりずつ|出《だ》して、あなたがたと|協力《きょうりょく》させなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、あなたがたに|協力《きょうりょく》すべき|人々《ひとびと》の|名《な》は、|次《つぎ》のとおりである。ルベンからはシデウルの|子《こ》エリヅル。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]シメオンからはツリシャダイの|子《こ》シルミエル。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ユダからはアミナダブの|子《こ》ナション。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルからはツアルの|子《こ》ネタニエル。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンからはヘロンの|子《こ》エリアブ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子《こ》たちのうち、エフライムからはアミホデの|子《こ》エリシャマ、マナセからはパダヅルの|子《こ》ガマリエル。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンからはギデオニの|子《こ》アビダン。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダンからはアミシャダイの|子《こ》アヒエゼル。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アセルからはオクランの|子《こ》パギエル。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ガドからはデウエルの|子《こ》エリアサフ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリからはエナンの|子《こ》アヒラ」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これらは|会衆《かいしゅう》のうちから|選《えら》び|出《だ》された|人々《ひとびと》で、その|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》のつかさたち、またイスラエルの|氏族《しぞく》のかしらたちである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]こうして、モーセとアロンが、ここに|名《な》を|掲《かか》げた|人々《ひとびと》を|引《ひ》き|連《つ》れて、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]二|月《がつ》一|日《にち》に|会衆《かいしゅう》をことごとく|集《あつ》めたので、|彼《かれ》らはその|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》により、その|名《な》の|数《かず》にしたがって二十|歳《さい》|以上《いじょう》のものが、ひとりびとり|登録《とうろく》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|命《めい》じられたように、モーセはシナイの|荒野《あらの》で|彼《かれ》らを|数《かぞ》えた。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、イスラエルの|長子《ちょうし》ルベンの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|男子《だんし》の|名《な》の|数《かず》を、ひとりびとり|得《え》たが、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは四万六千五百|人《にん》であった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またシメオンの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|男子《だんし》の|名《な》の|数《かず》を、ひとりびとり|得《え》たが、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは五万九千三百|人《にん》であった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]またガドの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは四万五千六百五十|人《にん》であった。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは七万四千六百|人《にん》であった。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは五万四千四百|人《にん》であった。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは五万七千四百|人《にん》であった。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子《こ》たちのうち、エフライムの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは四万五百|人《にん》であった。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは三万二千二百|人《にん》であった。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは三万五千四百|人《にん》であった。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは六万二千七百|人《にん》であった。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは四万一千五百|人《にん》であった。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|子《こ》たちから|生《うま》れたものを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》によって|調《しら》べ、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》の|名《な》の|数《かず》を|得《え》たが、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|部族《ぶぞく》のうちで、|数《かぞ》えられたものは、五万三千四百|人《にん》であった。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]これらが|数《かぞ》えられた|人々《ひとびと》であって、モーセとアロンとイスラエルのつかさたちとが|数《かぞ》えた|人々《ひとびと》である。そのつかさたちは十二|人《にん》であって、おのおのその|父祖《ふそ》の|家《いえ》のために|出《で》たものである。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》のうち、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は、すべてイスラエルのうち、|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》であって、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]その|数《かぞ》えられた|者《もの》は|合《あ》わせて六十万三千五百五十|人《にん》であった。  [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、レビびとは、その|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》にしたがって、そのうちに|数《かぞ》えられなかった。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはレビの|部族《ぶぞく》だけは|数《かぞ》えてはならない。またその|総数《そうすう》をイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|数《かぞ》えあげてはならない。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはレビびとに、あかしの|幕屋《まくや》と、そのもろもろの|器《うつわ》と、それに|附属《ふぞく》するもろもろの|物《もの》を|管理《かんり》させなさい。|彼《かれ》らは|幕屋《まくや》と、そのもろもろの|器《うつわ》とを|持《も》ち|運《はこ》び、またそこで|務《つとめ》をし、|幕屋《まくや》のまわりに|宿営《しゅくえい》しなければならない。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》が|進《すす》む|時《とき》は、レビびとがこれを|取《と》りくずし、|幕屋《まくや》を|張《は》る|時《とき》は、レビびとがこれを|組《く》み|立《た》てなければならない。ほかの|人《ひと》がこれに|近《ちか》づく|時《とき》は|殺《ころ》されるであろう。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はその|部隊《ぶたい》にしたがって、おのおのその|宿営《しゅくえい》に、おのおのその|旗《はた》のもとにその|天幕《てんまく》を|張《は》らなければならない。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、レビびとは、あかしの|幕屋《まくや》のまわりに|宿営《しゅくえい》しなければならない。そうすれば、|主《しゅ》の|怒《いか》りはイスラエルの|人々《ひとびと》の|会衆《かいしゅう》の|上《うえ》に|臨《のぞ》むことがないであろう。レビびとは、あかしの|幕屋《まくや》の|務《つとめ》を|守《まも》らなければならない」。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はこのようにして、すべて|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたように|行《おこな》った。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》は、おのおのその|部隊《ぶたい》の|旗《はた》のもとに、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》の|旗印《はたじるし》にしたがって|宿営《しゅくえい》しなければならない。また|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》のまわりに、それに|向《む》かって|宿営《しゅくえい》しなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|日《ひ》の|出《で》る|方《ほう》、|東《ひがし》に|宿営《しゅくえい》するものは、ユダの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》につく|者《もの》であって、その|部隊《ぶたい》にしたがって|宿営《しゅくえい》し、アミナダブの|子《こ》ナションが、ユダの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は七万四千六百|人《にん》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そのかたわらに|宿営《しゅくえい》する|者《もの》はイッサカルの|部族《ぶぞく》で、ツアルの|子《こ》ネタニエルが、イッサカルの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は五万四千四百|人《にん》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》はゼブルンの|部族《ぶぞく》で、ヘロンの|子《こ》エリアブが、ゼブルンの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は五万七千四百|人《にん》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|宿営《しゅくえい》の、その|部隊《ぶたい》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は、|合《あ》わせて十八万六千四百|人《にん》である。これらの|者《もの》は、まっ|先《さき》に|進《すす》まなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》の|方《ほう》では、ルベンの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》につく|者《もの》が、その|部隊《ぶたい》にしたがっており、シデウルの|子《こ》エリヅルが、ルベンの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万六千五百|人《にん》である。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そのかたわらに|宿営《しゅくえい》する|者《もの》はシメオンの|部族《ぶぞく》で、ツリシャダイの|子《こ》シルミエルが、シメオンの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は五万九千三百|人《にん》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》はガドの|部族《ぶぞく》で、デウエルの|子《こ》エリアサフが、ガドの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万五千六百五十|人《にん》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|宿営《しゅくえい》の、その|部隊《ぶたい》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は、|合《あ》わせて十五万一千四百五十|人《にん》である。これらの|者《もの》は二|番目《ばんめ》に|進《すす》まなければならない。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》に|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》を、レビびとの|宿営《しゅくえい》とともに、もろもろの|宿営《しゅくえい》の|中央《ちゅうおう》にして|進《すす》まなければならない。|彼《かれ》らは|宿営《しゅくえい》するのと|同《おな》じように、おのおのその|位置《いち》で、その|旗《はた》にしたがって|進《すす》まなければならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|方《ほう》では、エフライムの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》につく|者《もの》が、その|部隊《ぶたい》にしたがっており、アミホデの|子《こ》エリシャマが、エフライムの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万五百|人《にん》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そのかたわらにマナセの|部族《ぶぞく》がおって、パダヅルの|子《こ》ガマリエルが、マナセの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は三万二千二百|人《にん》である。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にベニヤミンの|部族《ぶぞく》がおって、ギデオニの|子《こ》アビダンが、ベニヤミンの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は三万五千四百|人《にん》である。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|宿営《しゅくえい》の、その|部隊《ぶたい》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は、|合《あ》わせて十万八千百|人《にん》である。これらの|者《もの》は三|番目《ばんめ》に|進《すす》まなければならない。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》の|方《ほう》では、ダンの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》につく|者《もの》が、その|部隊《ぶたい》にしたがっており、アミシャダイの|子《こ》アヒエゼルが、ダンの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は六万二千七百|人《にん》である。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そのかたわらに|宿営《しゅくえい》する|者《もの》は、アセルの|部族《ぶぞく》であって、オクランの|子《こ》パギエルが、アセルの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万一千五百|人《にん》である。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にナフタリの|部族《ぶぞく》がおって、エナンの|子《こ》アヒラが、ナフタリの|子《こ》たちのつかさとなるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|部隊《ぶたい》、すなわち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は五万三千四百|人《にん》である。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|宿営《しゅくえい》の、|数《かぞ》えられた|者《もの》は|合《あ》わせて十五万七千六百|人《にん》である。これらの|者《もの》はその|旗《はた》にしたがって、|最後《さいご》に|進《すす》まなければならない」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これがイスラエルの|人々《ひとびと》の、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|数《かぞ》えられた|人々《ひとびと》である。もろもろの|宿営《しゅくえい》の、その|部隊《ぶたい》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は|合《あ》わせて六十万三千五百五十|人《にん》であった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、レビびとはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|数《かぞ》えられなかった。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、すべて|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりに|行《おこな》い、その|旗《はた》にしたがって|宿営《しゅくえい》し、おのおのその|氏族《しぞく》に|従《したが》い、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》に|従《したが》って|進《すす》んだ。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がシナイ|山《さん》で、モーセと|語《かた》られた|時《とき》の、アロンとモーセの|一族《いちぞく》は、|次《つぎ》のとおりであった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》たちの|名《な》は、|次《つぎ》のとおりである。|長子《ちょうし》はナダブ、|次《つぎ》はアビウ、エレアザル、イタマル。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これがアロンの|子《こ》たちの|名《な》であって、|彼《かれ》らはみな|油《あぶら》を|注《そそ》がれ、|祭司《さいし》の|職《しょく》に|任《にん》じられて|祭司《さいし》となった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ナダブとアビウとは、シナイの|荒野《あらの》において、|異火《ことび》を|主《しゅ》の|前《まえ》にささげたので、|主《しゅ》の|前《まえ》で|死《し》んだ。|彼《かれ》らには|子供《こども》がなかった。そしてエレアザルとイタマルとが、|父《ちち》アロンの|前《まえ》で|祭司《さいし》の|務《つとめ》をした。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「レビの|部族《ぶぞく》を|召《め》し|寄《よ》せ、|祭司《さいし》アロンの|前《まえ》に|立《た》って|仕《つか》えさせなさい。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》にあって、アロンと|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》のために、その|務《つとめ》をし、|幕屋《まくや》の|働《はたら》きをしなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|彼《かれ》らは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の、すべての|器《うつわ》をまもり、イスラエルの|人々《ひとびと》のために|務《つとめ》をし、|幕屋《まくや》の|働《はたら》きをしなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはレビびとを、アロンとその|子《こ》たちとに、|与《あた》えなければならない。|彼《かれ》らはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちから、|全《まった》くアロンに|与《あた》えられたものである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはアロンとその|子《こ》たちとを|立《た》てて、|祭司《さいし》の|職《しょく》を|守《まも》らせなければならない。ほかの|人《ひと》で|近《ちか》づくものは|殺《ころ》されるであろう」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの|初《はじ》めに|生《うま》れたすべてのういごの|代《かわ》りに、レビびとをイスラエルの|人々《ひとびと》のうちから|取《と》るであろう。レビびとは、わたしのものとなるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ういごはすべてわたしのものだからである。わたしは、エジプトの|国《くに》において、すべてのういごを|撃《う》ち|殺《ころ》した|日《ひ》に、イスラエルのういごを、|人《ひと》も|獣《けもの》も、ことごとく|聖別《せいべつ》して、わたしに|帰《き》せしめた。|彼《かれ》らはわたしのものとなるであろう。わたしは|主《しゅ》である」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたシナイの|荒野《あらの》でモーセに|言《い》われた、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはレビの|子《こ》たちを、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》により、その|氏族《しぞく》によって|数《かぞ》えなさい。すなわち、一か|月《げつ》|以上《いじょう》の|男子《だんし》を|数《かぞ》えなければならない」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それでモーセは|主《しゅ》の|言葉《ことば》にしたがって、|命《めい》じられたとおりに、それを|数《かぞ》えた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子《こ》たちの|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち、ゲルション、コハテ、メラリ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションの|子《こ》たちの|名《な》は、その|氏族《しぞく》によれば|次《つぎ》のとおりである。すなわち、リブニ、シメイ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》たちは、その|氏族《しぞく》によれば、アムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》たちは、その|氏族《しぞく》によれば、マヘリ、ムシ。これらはその|父祖《ふそ》の|家《いえ》によるレビの|氏族《しぞく》である。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションからリブニびとの|氏族《しぞく》と、シメイびとの|氏族《しぞく》とが|出《で》た。これらはゲルションびとの|氏族《しぞく》である。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|数《かぞ》えられた|者《もの》、すなわち、一か|月《げつ》|以上《いじょう》の|男子《だんし》の|数《かず》は|合《あ》わせて七千五百|人《にん》であった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションびとの|氏族《しぞく》は|幕屋《まくや》の|後方《こうほう》、すなわち、|西《にし》の|方《ほう》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ラエルの|子《こ》エリアサフが、ゲルションびとの|父祖《ふそ》の|家《いえ》のつかさとなるであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の、ゲルションの|子《こ》たちの|務《つとめ》は、|幕屋《まくや》、|天幕《てんまく》とそのおおい、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》のとばり、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》のあげばり、|幕屋《まくや》と|祭壇《さいだん》のまわりの|庭《にわ》の|入口《いりぐち》のとばり、そのひも、およびすべてそれに|用《もち》いる|物《もの》を|守《まも》ることである。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また、コハテからアムラムびとの|氏族《しぞく》、イヅハルびとの|氏族《しぞく》、ヘブロンびとの|氏族《しぞく》、ウジエルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。これらはコハテびとの|氏族《しぞく》である。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]一か|月《げつ》|以上《いじょう》の|男子《だんし》の|数《かず》は、|合《あ》わせて八千六百|人《にん》であって、|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》を|守《まも》る|者《もの》たちである。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》たちの|氏族《しぞく》は、|幕屋《まくや》の|南《みなみ》の|方《ほう》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ウジエルの|子《こ》エリザパンが、コハテびとの|氏族《しぞく》の|父祖《ふそ》の|家《いえ》のつかさとなるであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|務《つとめ》は、|契約《けいやく》の|箱《はこ》、|机《つくえ》、|燭台《しょくだい》、二つの|祭壇《さいだん》、|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》に|用《もち》いる|器《うつわ》、とばり、およびすべてそれに|用《もち》いる|物《もの》を|守《まも》ることである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》アロンの|子《こ》エレアザルが、レビびとのつかさたちの|長《ちょう》となり、|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》を|守《まも》るものたちを|監督《かんとく》するであろう。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]メラリからマヘリびとの|氏族《しぞく》と、ムシびとの|氏族《しぞく》とが|出《で》た。これらはメラリの|氏族《しぞく》である。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その|数《かぞ》えられた|者《もの》、すなわち、一か|月《げつ》|以上《いじょう》の|男子《だんし》の|数《かず》は、|合《あ》わせて六千二百|人《にん》であった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]アビハイルの|子《こ》ツリエルが、メラリの|氏族《しぞく》の|父祖《ふそ》の|家《いえ》のつかさとなるであろう。|彼《かれ》らは|幕屋《まくや》の|北《きた》の|方《ほう》に|宿営《しゅくえい》しなければならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》たちが、その|務《つとめ》として|管理《かんり》すべきものは、|幕屋《まくや》の|枠《わく》、その|横木《よこぎ》、その|柱《はしら》、その|座《ざ》、そのすべての|器《うつわ》、およびそれに|用《もち》いるすべての|物《もの》、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ならびに|庭《にわ》のまわりの|柱《はしら》とその|座《ざ》、その|釘《くぎ》、およびそのひもである。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》の|前《まえ》、その|東《ひがし》の|方《ほう》、すなわち、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|東《ひがし》の|方《ほう》に|宿営《しゅくえい》する|者《もの》は、モーセとアロン、およびアロンの|子《こ》たちであって、イスラエルの|人々《ひとびと》の|務《つとめ》に|代《かわ》って、|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》を|守《まも》るものである。ほかの|人《ひと》で|近《ちか》づく|者《もの》は|殺《ころ》されるであろう。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンとが、|主《しゅ》の|言葉《ことば》にしたがって|数《かぞ》えたレビびとで、その|氏族《しぞく》によって|数《かぞ》えられた|者《もの》、一か|月《げつ》|以上《いじょう》の|男子《だんし》は、|合《あ》わせて二万二千|人《にん》であった。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、「あなたは、イスラエルの|人々《ひとびと》のうち、すべてういごである|男子《だんし》の一か|月《げつ》|以上《いじょう》のものを|数《かぞ》えて、その|名《な》の|数《かず》を|調《しら》べなさい。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》なるわたしのために、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの、すべてのういごの|代《かわ》りにレビびとを|取《と》り、またイスラエルの|人々《ひとびと》の|家畜《かちく》のうちの、すべてのういごの|代《かわ》りに、レビびとの|家畜《かちく》を|取《と》りなさい」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|主《しゅ》の|命《めい》じられたように、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの、すべてのういごを|数《かぞ》えた。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]その|数《かぞ》えられたういごの|男子《だんし》、すべて一か|月《げつ》|以上《いじょう》の|者《もの》は、その|名《な》の|数《かず》によると二万二千二百七十三|人《にん》であった。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちの、すべてのういごの|代《かわ》りに、レビびとを|取《と》り、また|彼《かれ》らの|家畜《かちく》の|代《かわ》りに、レビびとの|家畜《かちく》を|取《と》りなさい。レビびとはわたしのものとなる。わたしは|主《しゅ》である。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|人々《ひとびと》のういごは、レビびとの|数《かず》を二百七十三|人《にん》|超過《ちょうか》しているから、そのあがないのために、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]そのあたまかずによって、ひとりごとに|銀《ぎん》|五《ご》シケルを|取《と》らなければならない。すなわち、|聖所《せいじょ》のシケルにしたがって、それを|取《と》らなければならない。一シケルは二十ゲラである。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、その|超過《ちょうか》した|者《もの》をあがなう|金《かね》を、アロンと、その|子《こ》たちに|渡《わた》さなければならない」。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは、レビびとによってあがなわれた|者《もの》を|超過《ちょうか》した|人々《ひとびと》から、あがないの|金《かね》を|取《と》った。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、モーセは、イスラエルの|人々《ひとびと》のういごから、|聖所《せいじょ》のシケルにしたがって千三百六十五シケルの|銀《ぎん》を|取《と》り、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]そのあがないの|金《かね》を、|主《しゅ》の|言葉《ことば》にしたがって、アロンとその|子《こ》たちに|渡《わた》した。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「レビの|子《こ》たちのうちから、コハテの|子《こ》たちの|総数《そうすう》を、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|調《しら》べ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]三十|歳《さい》|以上《いじょう》五十|歳《さい》|以下《いか》で、|務《つとめ》につき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で|働《はたら》くことのできる|者《もの》を、ことごとく|数《かぞ》えなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》たちの、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|務《つとめ》は、いと|聖《せい》なる|物《もの》にかかわるものであって、|次《つぎ》のとおりである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|宿営《しゅくえい》の|進《すす》む|時《とき》に、アロンとその|子《こ》たちとは、まず、はいって、|隔《へだ》ての|垂幕《たれまく》を|取《と》りおろし、それをもって、あかしの|箱《はこ》をおおい、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》に、じゅごんの|皮《かわ》のおおいを|施《ほどこ》し、またその|上《うえ》に|総《そう》|青色《あおいろ》の|布《ぬの》をうちかけ、|環《かん》にさおをさし|入《い》れる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|供《そな》えのパンの|机《つくえ》の|上《うえ》には、|青色《あおいろ》の|布《ぬの》をうちかけ、その|上《うえ》に、さら、|乳香《にゅうこう》を|盛《も》る|杯《さかずき》、|鉢《はち》、および|灌祭《かんさい》の|瓶《びん》を|並《なら》べ、また|絶《た》やさず|供《そな》えるパンを|置《お》き、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|緋色《ひいろ》の|布《ぬの》をその|上《うえ》にうちかけ、じゅごんの|皮《かわ》のおおいをもって、これをおおい、さおをさし|入《い》れる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|青色《あおいろ》の|布《ぬの》を|取《と》って、|燭台《しょくだい》とそのともし|火《ひ》ざら、|芯《しん》|切《き》りばさみ、|芯《しん》|取《と》りざら、およびそれに|用《もち》いるもろもろの|油《あぶら》の|器《うつわ》をおおい、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]じゅごんの|皮《かわ》のおおいのうちに、|燭台《しょくだい》とそのもろもろの|器《うつわ》をいれて、|担架《たんか》に|載《の》せる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また、|金《きん》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|青色《あおいろ》の|布《ぬの》をうちかけ、じゅごんの|皮《かわ》のおおいで、これをおおい、そのさおをさし|入《い》れる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》に|用《もち》いる|務《つとめ》の|器《うつわ》をみな|取《と》り、|青色《あおいろ》の|布《ぬの》に|包《つつ》み、じゅごんの|皮《かわ》のおおいで、これをおおって、|担架《たんか》に|載《の》せる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|祭壇《さいだん》の|灰《はい》を|取《と》り|去《さ》って、|紫《むらさき》の|布《ぬの》をその|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にうちかけ、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》に、|務《つとめ》をするのに|用《もち》いるもろもろの|器《うつわ》、すなわち、|火《ひ》ざら、|肉《にく》さし、|十能《じゅうのう》、|鉢《はち》、および|祭壇《さいだん》のすべての|器《うつわ》を|載《の》せ、またその|上《うえ》に、じゅごんの|皮《かわ》のおおいをうちかけ、そしてさおをさし|入《い》れる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|宿営《しゅくえい》の|進《すす》むとき、アロンとその|子《こ》たちとが、|聖所《せいじょ》と|聖所《せいじょ》のすべての|器《うつわ》をおおうことを|終《おわ》ったならば、その|後《のち》コハテの|子《こ》たちは、それを|運《はこ》ぶために、はいってこなければならない。しかし、|彼《かれ》らは|聖《せい》なる|物《もの》に|触《ふ》れてはならない。|触《ふ》れると|死《し》ぬであろう。|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》のうちの、これらの|物《もの》は、コハテの|子《こ》たちが|運《はこ》ぶものである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》アロンの|子《こ》エレアザルは、ともし|油《あぶら》、|香《こう》ばしい|薫香《くんこう》、|絶《た》やさず|供《そな》える|素祭《そさい》および|注《そそ》ぎ|油《あぶら》をつかさどり、また|幕屋《まくや》の|全体《ぜんたい》と、そのうちにあるすべての|聖《せい》なる|物《もの》、およびその|所《ところ》のもろもろの|器《うつわ》をつかさどらなければならない」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた、モーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはコハテびとの|一族《いちぞく》を、レビびとのうちから|絶《た》えさせてはならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがいと|聖《せい》なる|物《もの》に|近《ちか》づく|時《とき》、|死《し》なないで、|命《いのち》を|保《たも》つために、このようにしなさい、すなわち、アロンとその|子《こ》たちが、まず、はいり、|彼《かれ》らをおのおのその|働《はたら》きにつかせ、そのになうべきものを|取《と》らせなさい。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》らは、はいって、ひと|目《め》でも|聖《せい》なる|物《もの》を|見《み》てはならない。|見《み》るならば|死《し》ぬであろう」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはまたゲルションの|子《こ》たちの|総数《そうすう》を、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》により、その|氏族《しぞく》にしたがって|調《しら》べ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]三十|歳《さい》|以上《いじょう》五十|歳《さい》|以下《いか》で、|務《つとめ》につき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で|働《はたら》くことのできる|者《もの》を、ことごとく|数《かぞ》えなさい。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションびとの|氏族《しぞく》の|務《つとめ》として|働《はたら》くことと、|運《はこ》ぶ|物《もの》とは|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|彼《かれ》らは|幕屋《まくや》の|幕《まく》、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》およびそのおおいと、その|上《うえ》のじゅごんの|皮《かわ》のおおい、ならびに|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》のとばりを|運《はこ》び、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また|庭《にわ》のあげばり、および|幕屋《まくや》と|祭壇《さいだん》のまわりの|庭《にわ》の|門《もん》の|入口《いりぐち》のとばりと、そのひも、ならびにそれに|用《もち》いるすべての|器《うつわ》を|運《はこ》ばなければならない。そして|彼《かれ》らはすべてこれらのものについての|働《はたら》きをしなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションびとの|子《こ》たちのすべての|務《つとめ》、すなわち、その|運《はこ》ぶことと、|働《はたら》くこととは、すべてアロンとその|子《こ》たちの|命《めい》に|従《したが》わなければならない。あなたがたは|彼《かれ》らにすべてその|運《はこ》ぶべき|物《もの》を|定《さだ》めて、これを|守《まも》らせなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これはすなわちゲルションびとの|子《こ》たちの|氏族《しぞく》が、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》でする|働《はたら》きであって、|彼《かれ》らの|務《つとめ》は|祭司《さいし》アロンの|子《こ》イタマルの|指揮《しき》のもとにおかなければならない。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》たちをもまたあなたはその|氏族《しぞく》により、その|祖父《そふ》の|家《いえ》にしたがって|調《しら》べ、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]三十|歳《さい》|以上《いじょう》五十|歳《さい》|以下《いか》で、|務《つとめ》につき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|働《はたら》きをすることのできる|者《もの》を、ことごとく|数《かぞ》えなさい。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》でするすべての|務《つとめ》にしたがって、その|運《はこ》ぶ|責任《せきにん》のある|物《もの》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち、|幕屋《まくや》の|枠《わく》、その|横木《よこぎ》、その|柱《はしら》、その|座《ざ》、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》のまわりの|柱《はしら》、その|座《ざ》、その|釘《くぎ》、そのひも、またそのすべての|器《うつわ》、およびそれに|用《もち》いるすべてのものである。あなたがたは|彼《かれ》らが|運《はこ》ぶ|責任《せきにん》のある|器《うつわ》を、その|名《な》によって|割《わ》り|当《あ》てなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]これはすなわちメラリの|子《こ》たちの|氏族《しぞく》の|働《はたら》きであって、|彼《かれ》らは|祭司《さいし》アロンの|子《こ》イタマルの|指揮《しき》のもとに、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で、このすべての|働《はたら》きをしなければならない」。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセとアロン、および|会衆《かいしゅう》のつかさたちは、コハテの|子《こ》たちをその|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|調《しら》べ、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]三十|歳《さい》|以上《いじょう》五十|歳《さい》|以下《いか》で、|務《つとめ》につき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で|働《はたら》くことのできる|者《もの》を、ことごとく|数《かぞ》えたが、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]その|氏族《しぞく》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は二千七百五十|人《にん》であった。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]これはすなわち、コハテびとの|氏族《しぞく》の|数《かぞ》えられた|者《もの》で、すべて|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で|働《はたら》くことのできる|者《もの》であった。モーセとアロンが、|主《しゅ》のモーセによって|命《めい》じられたところにしたがって|数《かぞ》えたのである。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]またゲルションの|子《こ》たちを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|調《しら》べ、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]三十|歳《さい》|以上《いじょう》五十|歳《さい》|以下《いか》で、|務《つとめ》につき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で|働《はたら》くことのできる|者《もの》を、ことごとく|数《かぞ》えたが、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は二千六百三十|人《にん》であった。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]これはすなわち、ゲルションの|子《こ》たちの|氏族《しぞく》の|数《かぞ》えられた|者《もの》で、すべて|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で|働《はたら》くことのできる|者《もの》であった。モーセとアロンが、|主《しゅ》の|命《めい》にしたがって|数《かぞ》えたのである。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]またメラリの|子《こ》たちの|氏族《しぞく》を、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|調《しら》べ、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]三十|歳《さい》|以上《いじょう》五十|歳《さい》|以下《いか》で、|務《つとめ》につき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で|働《はたら》くことのできる|者《もの》を、ことごとく|数《かぞ》えたが、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]その|氏族《しぞく》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は三千二百|人《にん》であった。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]これはすなわち、メラリの|子《こ》たちの|氏族《しぞく》の|数《かぞ》えられた|者《もの》で、モーセとアロンが、|主《しゅ》のモーセによって|命《めい》じられたところにしたがって|数《かぞ》えたのである。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロン、およびイスラエルのつかさたちは、レビびとを、その|氏族《しぞく》により、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|調《しら》べ、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]三十|歳《さい》|以上《いじょう》五十|歳《さい》|以下《いか》で、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいって|務《つとめ》の|働《はたら》きをし、また、|運《はこ》ぶ|働《はたら》きをする|者《もの》を、ことごとく|数《かぞ》えたが、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]その|数《かぞ》えられた|者《もの》は八千五百八十|人《にん》であった。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|命《めい》により、モーセによって|任《にん》じられ、おのおのその|働《はたら》きにつき、かつその|運《はこ》ぶところを|受《う》け|持《も》った。こうして|彼《かれ》らは|主《しゅ》のモーセに|命《めい》じられたように|数《かぞ》えられたのである。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて、らい|病人《びょうにん》、|流出《りゅうしゅつ》のある|者《もの》、|死体《したい》にふれて|汚《けが》れた|者《もの》を、ことごとく|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|出《だ》させなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》でも|女《おんな》でも、あなたがたは|彼《かれ》らを|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|出《だ》してそこにおらせ、|彼《かれ》らに|宿営《しゅくえい》を|汚《けが》させてはならない。わたしがその|中《なか》に|住《す》んでいるからである」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はそのようにして、|彼《かれ》らを|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|出《だ》した。すなわち、|主《しゅ》がモーセに|言《い》われたようにイスラエルの|人々《ひとびと》は|行《い》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げなさい、『|男《おとこ》または|女《おんな》が、もし|人《ひと》の|犯《おか》す|罪《つみ》をおかして、|主《しゅ》に|罪《つみ》を|得《え》、その|人《ひと》がとがある|者《もの》となる|時《とき》は、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|犯《おか》した|罪《つみ》を|告白《こくはく》し、その|物《もの》の|価《あたい》にその五|分《ぶん》の一を|加《くわ》えて、|彼《かれ》がとがを|犯《おか》した|相手方《あいてがた》に|渡《わた》し、そのとがをことごとく|償《つぐな》わなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし、そのとがの|償《つぐな》いを|受《う》け|取《と》るべき|親族《しんぞく》も、その|人《ひと》にない|時《とき》は、|主《しゅ》にそのとがの|償《つぐな》いをして、これを|祭司《さいし》に|帰《き》せしめなければならない。なお、このほか、そのあがないをするために|用《もち》いた|贖罪《しょくざい》の|雄羊《おひつじ》も、|祭司《さいし》に|帰《き》せしめなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、|祭司《さいし》のもとに|携《たずさ》えて|来《く》るすべての|聖《せい》なるささげ|物《もの》は、みな|祭司《さいし》に|帰《き》せしめなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべて|人《ひと》の|聖《せい》なるささげ|物《もの》は|祭司《さいし》に|帰《き》し、すべて|人《ひと》が|祭司《さいし》に|与《あた》える|物《もの》は|祭司《さいし》に|帰《き》するであろう』」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げなさい、『もし|人《ひと》の|妻《つま》たる|者《もの》が、|道《みち》ならぬ|事《こと》をして、その|夫《おっと》に|罪《つみ》を|犯《おか》し、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|彼女《かのじょ》と|寝《ね》たのに、その|事《こと》が|夫《おっと》の|目《め》に|隠《かく》れて|現《あらわ》れず、|彼女《かのじょ》はその|身《み》を|汚《けが》したけれども、それに|対《たい》する|証人《しょうにん》もなく、|彼女《かのじょ》もまたその|時《とき》に|捕《とら》えられなかった|場合《ばあい》、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|妻《つま》が|身《み》を|汚《けが》したために、|夫《おっと》が|疑《うたが》いの|心《こころ》を|起《おこ》して|妻《つま》を|疑《うたが》うことがあり、または|妻《つま》が|身《み》を|汚《けが》した|事《こと》がないのに、|夫《おっと》が|疑《うたが》いの|心《こころ》を|起《おこ》して|妻《つま》を|疑《うたが》うことがあれば、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|夫《おっと》は|妻《つま》を|祭司《さいし》のもとに|伴《ともな》い、|彼女《かのじょ》のために|大麦《おおむぎ》の|粉《こな》一エパの十|分《ぶん》の一を|供《そな》え|物《もの》として|携《たずさ》えてこなければならない。ただし、その|上《うえ》に|油《あぶら》を|注《そそ》いではならない。また|乳香《にゅうこう》を|加《くわ》えてはならない。これは|疑《うたが》いの|供《そな》え|物《もの》、|覚《おぼ》えの|供《そな》え|物《もの》であって|罪《つみ》を|覚《おぼ》えさせるものだからである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|女《おんな》を|近《ちか》く|進《すす》ませ、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》たせなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はまた|土《つち》の|器《うつわ》に|聖《せい》なる|水《みず》を|入《い》れ、|幕屋《まくや》のゆかのちりを|取《と》ってその|水《みず》に|入《い》れ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》を|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》たせ、|女《おんな》にその|髪《かみ》の|毛《け》をほどかせ、|覚《おぼ》えの|供《そな》え|物《もの》すなわち、|疑《うたが》いの|供《そな》え|物《もの》を、その|手《て》に|持《も》たせなければならない。そして|祭司《さいし》は、のろいの|苦《にが》い|水《みず》を|手《て》に|取《と》り、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》に|誓《ちか》わせて、これに|言《い》わなければならない、「もし|人《ひと》があなたと|寝《ね》たことがなく、またあなたが、|夫《おっと》のもとにあって、|道《みち》ならぬ|事《こと》をして|汚《けが》れたことがなければ、のろいの|苦《にが》い|水《みず》も、あなたに|害《がい》を|与《あた》えないであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたが、もし|夫《おっと》のもとにあって、|道《みち》ならぬことをして|身《み》を|汚《けが》し、あなたの|夫《おっと》でない|人《ひと》が、あなたと|寝《ね》たことがあるならば、――[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|女《おんな》に、のろいの|誓《ちか》いをもって|誓《ちか》わせ、その|女《おんな》に|言《い》わなければならない。――|主《しゅ》はあなたのももをやせさせ、あなたの|腹《はら》をふくれさせて、あなたを|民《たみ》のうちの、のろいとし、また、ののしりとされるように。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また、のろいの|水《みず》が、あなたの|腹《はら》にはいってあなたの|腹《はら》をふくれさせ、あなたのももをやせさせるように」。その|時《とき》、|女《おんな》は「アァメン、アァメン」と|言《い》わなければならない。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は、こののろいを|書《か》き|物《もの》に|書《か》きしるし、それを|苦《にが》い|水《みず》に|洗《あら》い|落《おと》し、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》にそののろいの|水《みず》を|飲《の》ませなければならない。そののろいの|水《みず》は|彼女《かのじょ》のうちにはいって|苦《にが》くなるであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》はその|女《おんな》の|手《て》から|疑《うたが》いの|供《そな》え|物《もの》を|取《と》り、その|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》かして、それを|祭壇《さいだん》に|持《も》ってこなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|供《そな》え|物《もの》のうちから、|覚《おぼ》えの|分《ぶん》、|一握《ひとにぎ》りを|取《と》って、それを|祭壇《さいだん》で|焼《や》き、その|後《のち》、|女《おんな》にその|水《みず》を|飲《の》ませなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|水《みず》を|女《おんな》に|飲《の》ませる|時《とき》、もしその|女《おんな》が|身《み》を|汚《けが》し、|夫《おっと》に|罪《つみ》を|犯《おか》した|事《こと》があれば、そののろいの|水《みず》は|女《おんな》のうちにはいって|苦《にが》くなり、その|腹《はら》はふくれ、ももはやせて、その|女《おんな》は|民《たみ》のうちののろいとなるであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|女《おんな》が|身《み》を|汚《けが》した|事《こと》がなく、|清《きよ》いならば、|害《がい》を|受《う》けないで、|子《こ》を|産《う》むことができるであろう。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これは|疑《うたが》いのある|時《とき》のおきてである。|妻《つま》たる|者《もの》が|夫《おっと》のもとにあって、|道《みち》ならぬ|事《こと》をして|身《み》を|汚《けが》した|時《とき》、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]または|夫《おっと》たる|者《もの》が|疑《うたが》いの|心《こころ》を|起《おこ》して、|妻《つま》を|疑《うたが》う|時《とき》、|彼《かれ》はその|女《おんな》を|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》たせ、|祭司《さいし》はこのおきてを、ことごとく|彼女《かのじょ》に|行《おこな》わなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]こうするならば、|夫《おっと》は|罪《つみ》がなく、|妻《つま》は|罪《つみ》を|負《お》うであろう』」。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『|男《おとこ》または|女《おんな》が、|特《とく》に|誓《ちか》いを|立《た》て、ナジルびととなる|誓願《せいがん》をして、|身《み》を|主《しゅ》に|聖別《せいべつ》する|時《とき》は、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ぶどう|酒《しゅ》と|濃《こ》い|酒《さけ》を|断《た》ち、ぶどう|酒《しゅ》の|酢《す》となったもの、|濃《こ》い|酒《さけ》の|酢《す》となったものを|飲《の》まず、また、ぶどうの|汁《しる》を|飲《の》まず、また|生《なま》でも|干《ほ》したものでも、ぶどうを|食《た》べてはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ナジルびとである|間《あいだ》は、すべて、ぶどうの|木《き》からできるものは、|種《たね》も|皮《かわ》も|食《た》べてはならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また、ナジルびとたる|誓願《せいがん》を|立《た》てている|間《あいだ》は、すべて、かみそりを|頭《あたま》に|当《あ》ててはならない。|身《み》を|主《しゅ》に|聖別《せいべつ》した|日数《ひかず》の|満《み》ちるまで、|彼《かれ》は|聖《せい》なるものであるから、|髪《かみ》の|毛《け》をのばしておかなければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|身《み》を|主《しゅ》に|聖別《せいべつ》している|間《あいだ》は、すべて|死体《したい》に|近《ちか》づいてはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|父母《ふぼ》、|兄弟《きょうだい》、|姉妹《しまい》が|死《し》んだ|時《とき》でも、そのために|身《み》を|汚《けが》してはならない。|神《かみ》に|聖別《せいべつ》したしるしが、|頭《あたま》にあるからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はナジルびとである|間《あいだ》は、すべて|主《しゅ》の|聖《せい》なる|者《もの》である。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がはからずも|彼《かれ》のかたわらに|死《し》んで、|彼《かれ》の|聖別《せいべつ》した|頭《あたま》を|汚《けが》したならば、|彼《かれ》は|身《み》を|清《きよ》める|日《ひ》に、|頭《あたま》をそらなければならない。すなわち、|七日《なぬか》|目《め》にそれをそらなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして八|日《か》|目《め》に|山《やま》ばと二|羽《わ》、または|家《いえ》ばとのひな二|羽《わ》を|携《たずさ》えて、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》におる|祭司《さいし》の|所《ところ》に|行《い》かなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその一|羽《いちわ》を|罪祭《ざいさい》に、一|羽《いちわ》を|燔祭《はんさい》にささげて、|彼《かれ》が|死体《したい》によって|得《え》た|罪《つみ》を|彼《かれ》のためにあがない、その|日《ひ》に|彼《かれ》の|頭《あたま》を|聖別《せいべつ》しなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたナジルびとたる|日《ひ》の|数《かず》を、|改《あらた》めて|主《しゅ》に|聖別《せいべつ》し、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》を|携《たずさ》えてきて、|愆祭《けんさい》としなければならない。それ|以前《いぜん》の|日《ひ》は、|彼《かれ》がその|聖別《せいべつ》を|汚《けが》したので、|無効《むこう》になるであろう。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これがナジルびとの|律法《りっぽう》である。|聖別《せいべつ》の|日《ひ》|数《かず》が|満《み》ちた|時《とき》は、その|人《ひと》を|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|連《つ》れてこなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|人《ひと》は|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》にささげなければならない。すなわち、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》の|全《まった》きもの一|頭《とう》を|燔祭《はんさい》とし、一|歳《さい》の|雌《めす》の|小羊《こひつじ》の|全《まった》きもの一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》とし、|雄羊《おひつじ》の|全《まった》きもの一|頭《とう》を|酬恩祭《しゅうおんさい》とし、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|種《たね》|入《い》れぬパンの一かご、|油《あぶら》を|混《ま》ぜて|作《つく》った|麦粉《むぎこ》の|菓子《かし》、|油《あぶら》を|塗《ぬ》った|種《たね》|入《い》れぬ|煎餅《せんべい》、および|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》を|携《たずさ》えてこなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はこれを|主《しゅ》の|前《まえ》に|携《たずさ》えてきて、その|罪祭《ざいさい》と|燔祭《はんさい》とをささげ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|雄羊《おひつじ》を|種《たね》|入《い》れぬパンの一かごと|共《とも》に、|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》として、|主《しゅ》にささげなければならない。|祭司《さいし》はまたその|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》をもささげなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そのナジルびとは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で、|聖別《せいべつ》した|頭《あたま》をそり、その|聖別《せいべつ》した|頭《あたま》の|髪《かみ》を|取《と》って、これを|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》の|下《した》にある|火《ひ》の|上《うえ》に|置《お》かなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|雄羊《おひつじ》の|肩《かた》の|煮《に》えたものと、かごから|取《と》った|種《たね》|入《い》れぬ|菓子《かし》一つと、|種《たね》|入《い》れぬ|煎餅《せんべい》一つを|取《と》って、これをナジルびとが、その|聖別《せいべつ》した|頭《あたま》をそった|後《のち》、その|手《て》に|授《さづ》け、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|主《しゅ》の|前《まえ》でこれを|揺《ゆ》り|動《うご》かして|揺祭《ようさい》としなければならない。これは|聖《せい》なる|物《もの》であって、その|揺《ゆ》り|動《うご》かした|胸《むね》と、ささげたももと|共《とも》に、|祭司《さいし》に|帰《き》するであろう。こうして|後《のち》、そのナジルびとは、ぶどう|酒《しゅ》を|飲《の》むことができる。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これは|誓願《せいがん》をするナジルびとと、そのナジルびとたる|事《こと》のために、|主《しゅ》にささげる|彼《かれ》の|供《そな》え|物《もの》についての|律法《りっぽう》である。このほかにその|力《ちから》の|及《およ》ぶ|物《もの》をささげることができる。すなわち、|彼《かれ》はその|誓《ちか》う|誓願《せいがん》のように、ナジルびとの|律法《りっぽう》にしたがって|行《おこな》わなければならない』」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「アロンとその|子《こ》たちに|言《い》いなさい、『あなたがたはイスラエルの|人々《ひとびと》を|祝福《しゅくふく》してこのように|言《い》わなければならない。 [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「|願《ねが》わくは|主《しゅ》があなたを|祝福《しゅくふく》し、 あなたを|守《まも》られるように。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|願《ねが》わくは|主《しゅ》がみ|顔《かお》をもってあなたを|照《てら》し、 あなたを|恵《めぐ》まれるように。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|願《ねが》わくは|主《しゅ》がみ|顔《かお》をあなたに|向《む》け、 あなたに|平安《へいあん》を|賜《たま》わるように」』。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らがイスラエルの|人々《ひとびと》のために、わたしの|名《な》を|唱《とな》えるならば、わたしは|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》するであろう」。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|幕屋《まくや》を|建《た》て|終《おわ》り、これに|油《あぶら》を|注《そそ》いで|聖別《せいべつ》し、またそのすべての|器《うつわ》、およびその|祭壇《さいだん》と、そのすべての|器《うつわ》に|油《あぶら》を|注《そそ》いで、これを|聖別《せいべつ》した|日《ひ》に、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのつかさたち、すなわち、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》の|長《ちょう》たちは、ささげ|物《もの》をした。|彼《かれ》らは|各《かく》|部族《ぶぞく》のつかさたちであって、その|数《かぞ》えられた|人々《ひとびと》をつかさどる|者《もの》どもであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|供《そな》え|物《もの》を、|主《しゅ》の|前《まえ》に|携《たずさ》えてきたが、おおいのある|車《くるま》六|両《りょう》と|雄牛《おうし》十二|頭《とう》であった。つかさふたりに|車《くるま》一|両《りょう》、ひとりに|雄牛《おうし》一|頭《とう》である。|彼《かれ》らはこれを|幕屋《まくや》の|前《まえ》に|引《ひ》いてきた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはこれを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|務《つとめ》に|用《もち》いるために、|彼《かれ》らから|受《う》け|取《と》って、レビびとに、おのおのその|務《つとめ》にしたがって、|渡《わた》さなければならない」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセはその|車《くるま》と|雄牛《おうし》を|受《う》け|取《と》って、これをレビびとに|渡《わた》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、ゲルションの|子《こ》たちには、その|務《つとめ》にしたがって、|車《くるま》二|両《りょう》と|雄牛《おうし》四|頭《とう》を|渡《わた》し、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》たちには、その|務《つとめ》にしたがって|車《くるま》四|両《りょう》と|雄牛《おうし》八|頭《とう》を|渡《わた》し、|祭司《さいし》アロンの|子《こ》イタマルに、これを|監督《かんとく》させた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、コハテの|子《こ》たちには、|何《なに》をも|渡《わた》さなかった。|彼《かれ》らの|務《つとめ》は|聖《せい》なる|物《もの》を、|肩《かた》にになって|運《はこ》ぶことであったからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちは、また|祭壇《さいだん》に|油《あぶら》を|注《そそ》ぐ|日《ひ》に、|祭壇《さいだん》|奉納《ほうのう》の|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えてきて、その|供《そな》え|物《もの》を|祭壇《さいだん》の|前《まえ》にささげた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「つかさたちは一|日《にち》にひとりずつ、|祭壇《さいだん》|奉納《ほうのう》の|供《そな》え|物《もの》をささげなければならない」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》一|日《にち》に|供《そな》え|物《もの》をささげた|者《もの》は、ユダの|部族《ぶぞく》のアミナダブの|子《こ》ナションであった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ。これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはアミナダブの|子《こ》ナションの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二|日《にち》にはイッサカルのつかさ、ツアルの|子《こ》ネタニエルがささげ|物《もの》をした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そのささげた|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはツアルの|子《こ》ネタニエルの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三|日《にち》にはゼブルンの|子《こ》たちのつかさ、ヘロンの|子《こ》エリアブ。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはヘロンの|子《こ》エリアブの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四|日《にち》にはルベンの|子《こ》たちのつかさ、シデウルの|子《こ》エリヅル。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはシデウルの|子《こ》エリヅルの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》五|日《にち》にはシメオンの|子《こ》たちのつかさ、ツリシャダイの|子《こ》シルミエル。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはツリシャダイの|子《こ》シルミエルの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六|日《にち》にはガドの|子《こ》たちのつかさ、デウエルの|子《こ》エリアサフ。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはデウエルの|子《こ》エリアサフの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七|日《にち》にはエフライムの|子《こ》たちのつかさ、アミホデの|子《こ》エリシャマ。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはアミホデの|子《こ》エリシャマの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》八|日《か》にはマナセの|子《こ》たちのつかさ、パダヅルの|子《こ》ガマリエル。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはパダヅルの|子《こ》ガマリエルの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》九|日《にち》にはベニヤミンの|子《こ》らのつかさ、ギデオニの|子《こ》アビダン。[#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはギデオニの|子《こ》アビダンの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十|日《にち》にはダンの|子《こ》たちのつかさ、アミシャダイの|子《こ》アヒエゼル。[#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]六八[#「六八」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]六九[#「六九」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]七〇[#「七〇」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]七一[#「七一」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはアミシャダイの|子《こ》アヒエゼルの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]七二[#「七二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十一|日《にち》にはアセルの|子《こ》たちのつかさ、オクランの|子《こ》パギエル。[#太字]七三[#「七三」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]七四[#「七四」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]七五[#「七五」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]七六[#「七六」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]七七[#「七七」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはオクランの|子《こ》パギエルの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]七八[#「七八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十二|日《にち》にはナフタリの|子《こ》たちのつかさ、エナンの|子《こ》アヒラ。[#太字]七九[#「七九」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》は|銀《ぎん》のさら一つ、その|重《おも》さは百三十シケル、|銀《ぎん》の|鉢《はち》一つ、これは七十シケル、|共《とも》に|聖所《せいじょ》のシケルによる。この二つには|素祭《そさい》に|使《つか》う|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》を|満《み》たしていた。[#太字]八〇[#「八〇」は行右小書き][#太字終わり]また十シケルの|金《きん》の|杯《さかずき》一つ、これには|薫香《くんこう》を|満《み》たしていた。[#太字]八一[#「八一」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》一|頭《とう》。[#太字]八二[#「八二」は行右小書き][#太字終わり]|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎ一|頭《とう》。[#太字]八三[#「八三」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》二|頭《とう》。|雄羊《おひつじ》五|頭《とう》、|雄《お》やぎ五|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》五|頭《とう》であって、これはエナンの|子《こ》アヒラの|供《そな》え|物《もの》であった。  [#太字]八四[#「八四」は行右小書き][#太字終わり]|以上《いじょう》は|祭壇《さいだん》に|油《あぶら》を|注《そそ》ぐ|日《ひ》に、イスラエルのつかさたちが、|祭壇《さいだん》を|奉納《ほうのう》する|供《そな》え|物《もの》として、ささげたものである。すなわち、|銀《ぎん》のさら十二、|銀《ぎん》の|鉢《はち》十二、|金《きん》の|杯《さかずき》十二。[#太字]八五[#「八五」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》のさらはそれぞれ百三十シケル、|鉢《はち》はそれぞれ七十シケル、|聖所《せいじょ》のシケルによれば、この|銀《ぎん》の|器《うつわ》は|合《あ》わせて二千四百シケル。[#太字]八六[#「八六」は行右小書き][#太字終わり]また|薫香《くんこう》の|満《み》ちている十二の|金《きん》の|杯《さかずき》は、|聖所《せいじょ》のシケルによれば、それぞれ十シケル、その|杯《さかずき》の|金《きん》は|合《あ》わせて百二十シケルであった。[#太字]八七[#「八七」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》は|合《あ》わせて十二、|雄羊《おひつじ》は十二、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》は十二、このほかにその|素祭《そさい》のものがあった。また|罪祭《ざいさい》に|使《つか》う|雄《お》やぎは十二。[#太字]八八[#「八八」は行右小書き][#太字終わり]|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》に|使《つか》う|雄牛《おうし》は|合《あ》わせて二十四、|雄羊《おひつじ》は六十、|雄《お》やぎは六十、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》は六十であって、これは|祭壇《さいだん》に|油《あぶら》を|注《そそ》いだ|後《のち》に、|祭壇《さいだん》|奉納《ほうのう》の|供《そな》え|物《もの》としてささげたものである。  [#太字]八九[#「八九」は行右小書き][#太字終わり]さてモーセは|主《しゅ》と|語《かた》るために、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいって、あかしの|箱《はこ》の|上《うえ》の、|贖罪所《しょくざいしょ》の|上《うえ》、二つのケルビムの|間《あいだ》から|自分《じぶん》に|語《かた》られる|声《こえ》を|聞《き》いた。すなわち、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|語《かた》られた。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「アロンに|言《い》いなさい、『あなたがともし|火《ひ》をともす|時《とき》は、七つのともし|火《ひ》で|燭台《しょくだい》の|前方《ぜんぽう》を|照《てら》すようにしなさい』」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アロンはそのようにした。すなわち、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたように、|燭台《しょくだい》の|前方《ぜんぽう》を|照《てら》すように、ともし|火《ひ》をともした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|燭台《しょくだい》の|造《つく》りは|次《つぎ》のとおりである。それは|金《きん》の|打《う》ち|物《もの》で、その|台《だい》もその|花《はな》も|共《とも》に|打物《うちもの》|造《つく》りであった。モーセは|主《しゅ》に|示《しめ》された|型《かた》にしたがって、そのようにその|燭台《しょくだい》を|造《つく》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「レビびとをイスラエルの|人々《ひとびと》のうちから|取《と》って、|彼《かれ》らを|清《きよ》めなさい。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこのようにして|彼《かれ》らを|清《きよ》めなければならない。すなわち、|罪《つみ》を|清《きよ》める|水《みず》を|彼《かれ》らに|注《そそ》ぎかけ、|彼《かれ》らに|全身《ぜんしん》をそらせ、|衣服《いふく》を|洗《あら》わせて、|身《み》を|清《きよ》めさせ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らに|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》と、|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》の|素祭《そさい》とを|取《と》らせなさい。あなたはまた、ほかに|若《わか》い|雄牛《おうし》を|罪祭《ざいさい》のために|取《と》らなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして、あなたはレビびとを|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》に|連《つ》れてきて、イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を|集《あつ》め、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]レビびとを|主《しゅ》の|前《まえ》に|進《すす》ませ、イスラエルの|人々《ひとびと》をして、|手《て》をレビびとの|上《うえ》に|置《お》かせなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンは、レビびとをイスラエルの|人々《ひとびと》のささげる|揺祭《ようさい》として、|主《しゅ》の|前《まえ》にささげなければならない。これは|彼《かれ》らに|主《しゅ》の|務《つとめ》をさせるためである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それからあなたはレビびとをして、|手《て》をかの|雄牛《おうし》の|頭《あたま》の|上《うえ》に|置《お》かせ、その一つを|罪祭《ざいさい》とし、一つを|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》にささげ、レビびとのために|罪《つみ》のあがないをしなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはレビびとを、アロンとその|子《こ》たちの|前《まえ》に|立《た》たせ、これを|揺祭《ようさい》として|主《しゅ》にささげなければならない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうして、あなたはレビびとをイスラエルの|人々《ひとびと》のうちから|分《わ》かち、レビびとをわたしのものとしなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|後《のち》レビびとは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいって|務《つとめ》につくことができる。あなたは|彼《かれ》らを|清《きよ》め、|彼《かれ》らをささげて|揺祭《ようさい》としなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちから、|全《まった》くわたしにささげられたものだからである。イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの|初《はじ》めに|生《うま》れた|者《もの》、すなわち、すべてのういごの|代《かわ》りに、わたしは|彼《かれ》らを|取《と》ってわたしのものとした。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のうちのういごは、|人《ひと》も|獣《けもの》も、みなわたしのものだからである。わたしはエジプトの|地《ち》で、すべてのういごを|撃《う》ち|殺《ころ》した|日《ひ》に、|彼《かれ》らを|聖別《せいべつ》してわたしのものとした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちの、すべてのういごの|代《かわ》りにレビびとを|取《と》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちからレビびとを|取《と》って、アロンとその|子《こ》たちに|与《あた》え、|彼《かれ》らに|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》で、イスラエルの|人々《ひとびと》に|代《かわ》って|務《つとめ》をさせ、またイスラエルの|人々《ひとびと》のために|罪《つみ》のあがないをさせるであろう。これはイスラエルの|人々《ひとびと》が、|聖所《せいじょ》に|近《ちか》づいて、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|災《わざわい》の|起《おこ》ることのないようにするためである」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロン、およびイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は、すべて|主《しゅ》がレビびとの|事《こと》につき、モーセに|命《めい》じられた|所《ところ》にしたがって、レビびとに|行《い》った、すなわち、イスラエルの|人々《ひとびと》は、そのように|彼《かれ》らに|行《い》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでレビびとは|身《み》を|清《きよ》め、その|衣服《いふく》を|洗《あら》った。アロンは|彼《かれ》らを|主《しゅ》の|前《まえ》にささげて|揺祭《ようさい》とした。アロンはまた|彼《かれ》らのために、|罪《つみ》のあがないをして|彼《かれ》らを|清《きよ》めた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|後《のち》、レビびとは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》にはいって、アロンとその|子《こ》たちに|仕《つか》えて|務《つとめ》をした。すなわち、|彼《かれ》らはレビびとの|事《こと》について、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられた|所《ところ》にしたがって、そのように|彼《かれ》らに|行《い》った。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「レビびとは|次《つぎ》のようにしなければならない。すなわち、二十五|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》は|務《つとめ》につき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|働《はたら》きをしなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、五十|歳《さい》からは|務《つとめ》の|働《はたら》きを|退《しりぞ》き、|重《かさ》ねて|務《つとめ》をしてはならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ただ、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》でその|兄弟《きょうだい》たちの|務《つとめ》の|助《たす》けをすることができる。しかし、|務《つとめ》をしてはならない。あなたがレビびとにその|務《つとめ》をさせるには、このようにしなければならない」。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|国《くに》を|出《で》た|次《つぎ》の|年《とし》の|正月《しょうがつ》、|主《しゅ》はシナイの|荒野《あらの》でモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に、|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|定《さだ》めの|時《とき》に|行《おこな》わせなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|月《つき》の十四|日《か》の|夕暮《ゆうぐれ》、|定《さだ》めの|時《とき》に、それを|行《おこな》わなければならない。あなたがたは、そのすべての|定《さだ》めと、そのすべてのおきてにしたがって、それを|行《おこな》わなければならない」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセがイスラエルの|人々《ひとびと》に、|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならないと|言《い》ったので、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|正月《しょうがつ》の十四|日《か》の|夕暮《ゆうぐれ》、シナイの|荒野《あらの》で|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》った。すなわち、イスラエルの|人々《ひとびと》は、すべて|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにおこなった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ところが|人《ひと》の|死体《したい》に|触《ふ》れて|身《み》を|汚《けが》したために、その|日《ひ》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》うことのできない|人々《ひとびと》があって、その|日《ひ》モーセとアロンの|前《まえ》にきて、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|人々《ひとびと》は|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしたちは|人《ひと》の|死体《したい》に|触《ふ》れて|身《み》を|汚《けが》しましたが、なぜその|定《さだ》めの|時《とき》に、イスラエルの|人々《ひとびと》と|共《とも》に、|主《しゅ》に|供《そな》え|物《もの》をささげることができないのですか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「しばらく|待《ま》て。|主《しゅ》があなたがたについて、どう|仰《おお》せになるかを|聞《き》こう」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたのうち、また、あなたがたの|子孫《しそん》のうち、|死体《したい》に|触《ふ》れて|身《み》を|汚《けが》した|人《ひと》も、|遠《とお》い|旅路《たびじ》にある|人《ひと》も、なお、|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|主《しゅ》に|対《たい》して|行《おこな》うことができるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、二|月《にがつ》の十四|日《か》の|夕暮《ゆうぐれ》、それを|行《おこな》い、|種《たね》|入《い》れぬパンと|苦《く》|菜《な》を|添《そ》えて、それを|食《た》べなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これを|少《すこ》しでも|朝《あさ》まで|残《のこ》しておいてはならない。またその|骨《ほね》は一|本《ぽん》でも|折《お》ってはならない。|過越《すぎこし》の|祭《まつり》のすべての|定《さだ》めにしたがってこれを|行《おこな》わなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|身《み》は|清《きよ》く、|旅《たび》に|出《で》てもいないのに、|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》わないときは、その|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれるであろう。このような|人《ひと》は、|定《さだ》めの|時《とき》に|主《しゅ》の|供《そな》え|物《もの》をささげないゆえ、その|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし|他国《たこく》の|人《ひと》が、あなたがたのうちに|寄留《きりゅう》していて、|主《しゅ》に|対《たい》して|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》おうとするならば、|過越《すぎこし》の|祭《まつり》の|定《さだ》めにより、そのおきてにしたがって、これを|行《おこな》わなければならない。あなたがたは|他国《たこく》の|人《ひと》にも、|自国《じこく》の|人《ひと》にも、|同一《どういつ》の|定《さだ》めを|用《もち》いなければならない』」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》を|建《た》てた|日《ひ》に、|雲《くも》は|幕屋《まくや》をおおった。すれはすなわち、あかしの|幕屋《まくや》であって、|夕《ゆう》には、|幕屋《まくや》の|上《うえ》に、|雲《くも》は|火《ひ》のように|見《み》えて、|朝《あさ》にまで|及《およ》んだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|常《つね》にそうであって、|昼《ひる》は|雲《くも》がそれをおおい、|夜《よる》は|火《ひ》のように|見《み》えた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》が|幕屋《まくや》を|離《はな》れてのぼる|時《とき》は、イスラエルの|人々《ひとびと》は、ただちに|道《みち》に|進《すす》んだ。また|雲《くも》がとどまる|所《ところ》に、イスラエルの|人々《ひとびと》は|宿営《しゅくえい》した。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、イスラエルの|人々《ひとびと》は、|主《しゅ》の|命《めい》によって|道《みち》に|進《すす》み、|主《しゅ》の|命《めい》によって|宿営《しゅくえい》し、|幕屋《まくや》の|上《うえ》に|雲《くも》がとどまっている|間《あいだ》は、|宿営《しゅくえい》していた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》の|上《うえ》に、|日《ひ》|久《ひさ》しく|雲《くも》のとどまる|時《とき》は、イスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》の|言《い》いつけを|守《まも》って、|道《みち》に|進《すす》まなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|幕屋《まくや》の|上《うえ》に、|雲《くも》のとどまる|日《ひ》の|少《すく》ない|時《とき》もあったが、|彼《かれ》らは、ただ|主《しゅ》の|命《めい》にしたがって|宿営《しゅくえい》し、|主《しゅ》の|命《めい》にしたがって、|道《みち》に|進《すす》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また|雲《くも》は|夕《ゆう》から|朝《あさ》まで、とどまることもあったが、|朝《あさ》になって、|雲《くも》がのぼる|時《とき》は、|彼《かれ》らは|道《みち》に|進《すす》んだ。また|昼《ひる》でも|夜《よる》でも、|雲《くも》がのぼる|時《とき》は、|彼《かれ》らは|道《みち》に|進《すす》んだ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ふつかでも、一か|月《げつ》でも、あるいはそれ|以上《いじょう》でも、|幕屋《まくや》の|上《うえ》に、|雲《くも》がとどまっている|間《あいだ》は、イスラエルの|人々《ひとびと》は|宿営《しゅくえい》していて、|道《みち》に|進《すす》まなかったが、それがのぼると|道《みち》に|進《すす》んだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|命《めい》にしたがって|宿営《しゅくえい》し、|主《しゅ》の|命《めい》にしたがって|道《みち》に|進《すす》み、モーセによって、|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりに、|主《しゅ》の|言《い》いつけを|守《まも》った。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|銀《ぎん》のラッパを二|本《ほん》つくりなさい。すなわち、|打物《うちもの》|造《つく》りとし、それで|会衆《かいしゅう》を|呼《よ》び|集《あつ》め、また|宿営《しゅくえい》を|進《すす》ませなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この二つを|吹《ふ》くときは、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》が|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に、あなたの|所《ところ》に|集《あつ》まってこなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしその一つだけを|吹《ふ》くときは、イスラエルの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であるつかさたちが、あなたの|所《ところ》に|集《あつ》まってこなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたが|警報《けいほう》を|吹《ふ》き|鳴《な》らす|時《とき》は、|東《ひがし》の|方《ほう》の|宿営《しゅくえい》が、|道《みち》に|進《すす》まなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]二|度目《どめ》の|警報《けいほう》を|吹《ふ》き|鳴《な》らす|時《とき》は、|南《みなみ》の|方《ほう》の|宿営《しゅくえい》が、|道《みち》に|進《すす》まなければならない。すべて|道《みち》に|進《すす》む|時《とき》は、|警報《けいほう》を|吹《ふ》き|鳴《な》らさなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|会衆《かいしゅう》を|集《あつ》める|時《とき》にも、ラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らすが、|警報《けいほう》は|吹《ふ》き|鳴《な》らしてはならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》である|祭司《さいし》たちが、ラッパを|吹《ふ》かなければならない。これはあなたがたが、|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めとしなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたの|国《くに》で、あなたがたをしえたげるあだとの|戦《たたか》いに|出《で》る|時《とき》は、ラッパをもって、|警報《けいほう》を|吹《ふ》き|鳴《な》らさなければならない。そうするならば、あなたがたは、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|覚《おぼ》えられて、あなたがたの|敵《てき》から|救《すく》われるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたの|喜《よろこ》びの|日《ひ》、あなたがたの|祝《いわ》いの|時《とき》、および|月々《つきづき》の|第《だい》一|日《にち》には、あなたがたの|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》をささげるに|当《あた》って、ラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らさなければならない。そうするならば、あなたがたの|神《かみ》は、それによって、あなたがたを|覚《おぼ》えられるであろう。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二|年《ねん》の二|月《にがつ》|二十日《はつか》に、|雲《くも》があかしの|幕屋《まくや》を|離《はな》れてのぼったので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、シナイの|荒野《あらの》を|出《で》て、その|旅路《たびじ》に|進《すす》んだが、パランの|荒野《あらの》に|至《いた》って、|雲《くも》はとどまった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは、|主《しゅ》がモーセによって、|命《めい》じられたところにしたがって、|道《みち》に|進《すす》むことを|始《はじ》めた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|先頭《せんとう》には、ユダの|子《こ》たちの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》が、その|部隊《ぶたい》を|従《したが》えて|進《すす》んだ。ユダの|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はアミナダブの|子《こ》ナション、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はツアルの|子《こ》ネタニエル、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はヘロンの|子《こ》エリアブであった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そして|幕屋《まくや》は|取《と》りくずされ、ゲルションの|子《こ》たち、およびメラリの|子《こ》たちは|幕屋《まくや》を|運《はこ》び|進《すす》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にルベンの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》が、その|部隊《ぶたい》を|従《したが》えて|進《すす》んだ。ルベンの|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はシデウルの|子《こ》エリヅル、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はツリシャダイの|子《こ》シルミエル、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はデウエルの|子《こ》エリアサフであった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてコハテびとは|聖《せい》なる|物《もの》を|運《はこ》び|進《すす》んだ。これが|着《つ》くまでに、|人々《ひとびと》は|幕屋《まくや》を|建《た》て|終《おわ》るのである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にエフライムの|子《こ》たちの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》が、その|部隊《ぶたい》を|従《したが》えて|進《すす》んだ。エフライムの|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はアミホデの|子《こ》エリシャマ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はパダヅルの|子《こ》ガマリエル、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はギデオニの|子《こ》アビダンであった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にダンの|子《こ》たちの|宿営《しゅくえい》の|旗《はた》が、その|部隊《ぶたい》を|従《したが》えて|進《すす》んだ。この|部隊《ぶたい》はすべての|宿営《しゅくえい》のしんがりであった。ダンの|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はアミシャダイの|子《こ》アヒエゼル、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はオクランの|子《こ》パギエル、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|子《こ》たちの|部族《ぶぞく》の|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》はエナンの|子《こ》アヒラであった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、その|道《みち》に|進《すす》む|時《とき》は、このように、その|部隊《ぶたい》に|従《したが》って|進《すす》んだ。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]さて、モーセは、|妻《つま》の|父《ちち》、ミデヤンびとリウエルの|子《こ》ホバブに|言《い》った、「わたしたちは、かつて|主《しゅ》がおまえたちに|与《あた》えると|約束《やくそく》された|所《ところ》に|向《む》かって|進《すす》んでいます。あなたも|一緒《いっしょ》においでください。あなたが|幸福《こうふく》になられるようにいたしましょう。|主《しゅ》がイスラエルに|幸福《こうふく》を|約束《やくそく》されたのですから」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はモーセに|言《い》った、「わたしは|行《い》きません。わたしは|国《くに》に|帰《かえ》って、|親族《しんぞく》のもとに|行《い》きます」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまた|言《い》った、「どうかわたしたちを|見捨《みす》てないでください。あなたは、わたしたちが|荒野《あらの》のどこに|宿営《しゅくえい》すべきかを|御存《ごぞん》じですから、わたしたちの|目《め》となってください。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|一緒《いっしょ》においでくださるなら、|主《しゅ》がわたしたちに|賜《たま》わる|幸福《こうふく》をあなたにも|及《およ》ぼしましょう」。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|山《やま》を|去《さ》って、三|日《か》の|行程《こうてい》を|進《すす》んだ。|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》は、その三|日《か》の|行程《こうてい》の|間《あいだ》、|彼《かれ》らに|先立《さきだ》って|行《い》き、|彼《かれ》らのために|休《やす》む|所《ところ》を|尋《たず》ねもとめた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|宿営《しゅくえい》を|出《で》て、|道《みち》に|進《すす》むとき、|昼《ひる》は|主《しゅ》の|雲《くも》が|彼《かれ》らの|上《うえ》にあった。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|契約《けいやく》の|箱《はこ》の|進《すす》むときモーセは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》よ、|立《た》ちあがってください。 あなたの|敵《てき》は|打《う》ち|散《ち》らされ、 あなたを|憎《にく》む|者《もの》どもは、 あなたの|前《まえ》から|逃《に》げ|去《さ》りますように」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]またそのとどまるとき、|彼《かれ》は|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》よ、|帰《かえ》ってきてください、 イスラエルのちよろずの|人《ひと》に」。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、|民《たみ》は|災難《さいなん》に|会《あ》っている|人《ひと》のように、|主《しゅ》の|耳《みみ》につぶやいた。|主《しゅ》はこれを|聞《き》いて|怒《いか》りを|発《はっ》せられ、|主《しゅ》の|火《ひ》が|彼《かれ》らのうちに|燃《も》えあがって、|宿営《しゅくえい》の|端《はし》を|焼《や》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》はモーセにむかって|叫《さけ》んだ。モーセが|主《しゅ》に|祈《いの》ったので、その|火《ひ》はしずまった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|火《ひ》が|彼《かれ》らのうちに|燃《も》えあがったことによって、その|所《ところ》の|名《な》はタベラと|呼《よ》ばれた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らのうちにいた|多《おお》くの|寄《よ》り|集《あつ》まりびとは|欲心《よくしん》を|起《おこ》し、イスラエルの|人々《ひとびと》もまた|再《ふたた》び|泣《な》いて|言《い》った、「ああ、|肉《にく》が|食《た》べたい。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|思《おも》い|起《おこ》すが、エジプトでは、ただで、|魚《うお》を|食《た》べた。きゅうりも、すいかも、にらも、たまねぎも、そして、にんにくも。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、いま、われわれの|精根《せいこん》は|尽《つ》きた。われわれの|目《め》の|前《まえ》には、このマナのほか|何《なに》もない」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]マナは、こえんどろの|実《み》のようで、|色《いろ》はブドラクの|色《いろ》のようであった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|歩《ある》きまわって、これを|集《あつ》め、ひきうすでひき、または、うすでつき、かまで|煮《に》て、これをもちとした。その|味《あじ》は|油《あぶら》|菓子《かし》の|味《あじ》のようであった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よる》、|宿営《しゅくえい》の|露《つゆ》がおりるとき、マナはそれと|共《とも》に|降《ふ》った。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセは、|民《たみ》が|家《いえ》ごとに、おのおのその|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》で|泣《な》くのを|聞《き》いた。そこで|主《しゅ》は|激《はげ》しく|怒《いか》られ、またモーセは|不快《ふかい》に|思《おも》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして、モーセは|主《しゅ》に|言《い》った、「あなたはなぜ、しもべに|悪《わる》い|仕打《しう》ちをされるのですか。どうしてわたしはあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ないで、このすべての|民《たみ》の|重荷《おもに》を|負《お》わされるのですか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこのすべての|民《たみ》を、はらんだのですか。わたしがこれを|生《う》んだのですか。そうではないのに、あなたはなぜわたしに『|養《やしな》い|親《おや》が|乳児《にゅうじ》を|抱《だ》くように、|彼《かれ》らをふところに|抱《だ》いて、あなたが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われた|地《ち》に|行《い》け』と|言《い》われるのですか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはどこから|肉《にく》を|獲《え》て、このすべての|民《たみ》に|与《あた》えることができましょうか。|彼《かれ》らは|泣《な》いて、『|肉《にく》を|食《た》べさせよ』とわたしに|言《い》っているのです。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしひとりでは、このすべての|民《たみ》を|負《お》うことができません。それはわたしには|重《おも》|過《す》ぎます。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしがあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ますならば、わたしにこのような|仕打《しう》ちをされるよりは、むしろ、ひと|思《おも》いに|殺《ころ》し、このうえ|苦《くる》しみに|会《あ》わせないでください」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「イスラエルの|長老《ちょうろう》たちのうち、|民《たみ》の|長老《ちょうろう》となり、つかさとなるべきことを、あなたが|知《し》っている|者《もの》七十|人《にん》をわたしのもとに|集《あつ》め、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|連《つ》れてきて、そこにあなたと|共《とも》に|立《た》たせなさい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|下《くだ》って、その|所《ところ》で、あなたと|語《かた》り、またわたしはあなたの|上《うえ》にある|霊《れい》を、|彼《かれ》らにも|分《わ》け|与《あた》えるであろう。|彼《かれ》らはあなたと|共《とも》に、|民《たみ》の|重荷《おもに》を|負《お》い、あなたが、ただひとりで、それを|負《お》うことのないようにするであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|民《たみ》に|言《い》いなさい、『あなたがたは|身《み》を|清《きよ》めて、あすを|待《ま》ちなさい。あなたがたは|肉《にく》を|食《た》べることができるであろう。あなたがたが|泣《な》いて|主《しゅ》の|耳《みみ》に、わたしたちは|肉《にく》が|食《た》べたい。エジプトにいた|時《とき》は|良《よ》かったと|言《い》ったからである。それゆえ、|主《しゅ》はあなたがたに|肉《にく》を|与《あた》えて|食《た》べさせられるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがそれを|食《た》べるのは、一|日《にち》や|二日《ふつか》や五|日《か》や十|日《か》や|二十日《はつか》ではなく、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]一か|月《げつ》に|及《およ》び、ついにあなたがたの|鼻《はな》から|出《で》るようになり、あなたがたは、それに|飽《あ》き|果《は》てるであろう。それはあなたがたのうちにおられる|主《しゅ》を|軽《かる》んじて、その|前《まえ》に|泣《な》き、なぜ、わたしたちはエジプトから|出《で》てきたのだろうと|言《い》ったからである』」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「わたしと|共《とも》におる|民《たみ》は|徒歩《とほ》の|男子《だんし》だけでも六十万です。ところがあなたは、『わたしは|彼《かれ》らに|肉《にく》を|与《あた》えて一か|月《げつ》のあいだ|食《た》べさせよう』と|言《い》われます。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|羊《ひつじ》と|牛《うし》の|群《む》れを|彼《かれ》らのためにほふって、|彼《かれ》らを|飽《あ》きさせるというのですか。|海《うみ》のすべての|魚《うお》を|彼《かれ》らのために|集《あつ》めて、|彼《かれ》らを|飽《あ》きさせるというのですか」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|主《しゅ》の|手《て》は|短《みじか》かろうか。あなたは、いま、わたしの|言葉《ことば》の|成《な》るかどうかを|見《み》るであろう」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》モーセは|出《で》て、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|民《たみ》に|告《つ》げ、|民《たみ》の|長老《ちょうろう》たち七十|人《にん》を|集《あつ》めて、|幕屋《まくや》の|周囲《しゅうい》に|立《た》たせた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|雲《くも》のうちにあって|下《くだ》り、モーセと|語《かた》られ、モーセの|上《うえ》にある|霊《れい》を、その七十|人《にん》の|長老《ちょうろう》たちにも|分《わ》け|与《あた》えられた。その|霊《れい》が|彼《かれ》らの|上《うえ》にとどまった|時《とき》、|彼《かれ》らは|預言《よげん》した。ただし、その|後《のち》は|重《かさ》ねて|預言《よげん》しなかった。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ふたりの|者《もの》が、|宿営《しゅくえい》にとどまっていたが、ひとりの|名《な》はエルダデと|言《い》い、ひとりの|名《な》はメダデといった。|彼《かれ》らの|上《うえ》にも|霊《れい》がとどまった。|彼《かれ》らは|名《な》をしるされた|者《もの》であったが、|幕屋《まくや》に|行《い》かなかったので、|宿営《しゅくえい》のうちで|預言《よげん》した。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にひとりの|若者《わかもの》が|走《はし》ってきて、モーセに|告《つ》げて|言《い》った、「エルダデとメダデとが|宿営《しゅくえい》のうちで|預言《よげん》しています」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|時《とき》からモーセの|従者《じゅうしゃ》であったヌンの|子《こ》ヨシュアは|答《こた》えて|言《い》った、「わが|主《しゅ》、モーセよ、|彼《かれ》らをさし|止《と》めてください」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたは、わたしのためを|思《おも》って、ねたみを|起《おこ》しているのか。|主《しゅ》の|民《たみ》がみな|預言者《よげんしゃ》となり、|主《しゅ》がその|霊《れい》を|彼《かれ》らに|与《あた》えられることは、|願《ねが》わしいことだ」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモーセはイスラエルの|長老《ちょうろう》たちと|共《とも》に、|宿営《しゅくえい》に|引《ひ》きあげた。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]さて、|主《しゅ》のもとから|風《かぜ》が|起《おこ》り、|海《うみ》の|向《む》こうから、うずらを|運《はこ》んできて、これを|宿営《しゅくえい》の|近《ちか》くに|落《おと》した。その|落《お》ちた|範囲《はんい》は、|宿営《しゅくえい》の|周囲《しゅうい》で、こちら|側《がわ》も、おおよそ一|日《にち》の|行程《こうてい》、あちら|側《がわ》も、おおよそ一|日《にち》の|行程《こうてい》、|地面《じめん》から|高《たか》さおおよそ二キュビトであった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》は|立《た》ち|上《あ》がってその|日《ひ》は|終日《しゅうじつ》、その|夜《よ》は|終夜《しゅうや》、またその|次《つぎ》の|日《ひ》も|終日《しゅうじつ》、うずらを|集《あつ》めたが、|集《あつ》める|事《こと》の|最《もっと》も|少《すく》ない|者《もの》も、十ホメルほど|集《あつ》めた。|彼《かれ》らはみな、それを|宿営《しゅくえい》の|周囲《しゅうい》に|広《ひろ》げておいた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|肉《にく》がなお、|彼《かれ》らの|歯《は》の|間《あいだ》にあって|食《た》べつくさないうちに、|主《しゅ》は|民《たみ》にむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|主《しゅ》は|非常《ひじょう》に|激《はげ》しい|疫病《えきびょう》をもって|民《たみ》を|撃《う》たれた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]これによって、その|所《ところ》の|名《な》はキブロテ・ハッタワと|呼《よ》ばれた。|欲心《よくしん》を|起《おこ》した|民《たみ》を、そこに|埋《う》めたからである。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]キブロテ・ハッタワから、|民《たみ》はハゼロテに|進《すす》み、ハゼロテにとどまった。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはクシの|女《おんな》をめとっていたが、そのクシの|女《おんな》をめとったゆえをもって、ミリアムとアロンはモーセを|非難《ひなん》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「|主《しゅ》はただモーセによって|語《かた》られるのか。われわれによっても|語《かた》られるのではないのか」。|主《しゅ》はこれを|聞《き》かれた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モーセはその|人《ひと》となり|柔和《にゅうわ》なこと、|地上《ちじょう》のすべての|人《ひと》にまさっていた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|主《しゅ》は|突然《とつぜん》モーセとアロン、およびミリアムにむかって「あなたがた三|人《にん》、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|出《で》てきなさい」と|言《い》われたので、|彼《かれ》ら三|人《にん》は|出《で》てきたが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|雲《くも》の|柱《はしら》のうちにあって|下《くだ》り、|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|立《た》って、アロンとミリアムを|呼《よ》ばれた。|彼《かれ》らふたりが|進《すす》み|出《で》ると、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》われた、「あなたがたは、いま、わたしの|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。あなたがたのうちに、もし、|預言者《よげんしゃ》があるならば、|主《しゅ》なるわたしは|幻《まぼろし》をもって、これにわたしを|知《し》らせ、また|夢《ゆめ》をもって、これと|語《かた》るであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしのしもべモーセとは、そうではない。|彼《かれ》はわたしの|全家《ぜんか》に|忠信《ちゅうしん》なる|者《もの》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》とは、わたしは|口《くち》ずから|語《かた》り、|明《あき》らかに|言《い》って、なぞを|使《つか》わない。|彼《かれ》はまた|主《しゅ》の|形《かたち》を|見《み》るのである。なぜ、あなたがたはわたしのしもべモーセを|恐《おそ》れず|非難《ひなん》するのか」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らにむかい|怒《いか》りを|発《はっ》して|去《さ》られた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》が|幕屋《まくや》の|上《うえ》を|離《はな》れ|去《さ》った|時《とき》、ミリアムは、らい|病《びょう》となり、その|身《み》は|雪《ゆき》のように|白《しろ》くなった。アロンがふり|返《かえ》ってミリアムを|見《み》ると、|彼女《かのじょ》はらい|病《びょう》になっていた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、アロンはモーセに|言《い》った、「ああ、わが|主《しゅ》よ、わたしたちは|愚《おろ》かなことをして|罪《つみ》を|犯《おか》しました。どうぞ、その|罰《ばつ》をわたしたちに|受《う》けさせないでください。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|彼女《かのじょ》を|母《はは》の|胎《たい》から|肉《にく》が|半《なか》ば|滅《ほろ》びうせて|出《で》る|死人《しにん》のようにしないでください」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》モーセは|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「ああ、|神《かみ》よ、どうぞ|彼女《かのじょ》をいやしてください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|彼女《かのじょ》の|父《ちち》が|彼女《かのじょ》の|顔《かお》につばきしてさえ、|彼女《かのじょ》は|七日《なぬか》のあいだ、|恥《は》じて|身《み》を|隠《かく》すではないか。|彼女《かのじょ》を|七日《なぬか》のあいだ、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》で|閉《と》じこめておかなければならない。その|後《のち》、|連《つ》れもどしてもよい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでミリアムは|七日《なぬか》のあいだ、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》で|閉《と》じこめられた。|民《たみ》はミリアムが|連《つ》れもどされるまでは、|道《みち》に|進《すす》まなかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|民《たみ》はハゼロテを|立《た》って|進《すす》み、パランの|荒野《あらの》に|宿営《しゅくえい》した。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》をつかわして、わたしがイスラエルの|人々《ひとびと》に|与《あた》えるカナンの|地《ち》を|探《さぐ》らせなさい。すなわち、その|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》ごとに、すべて|彼《かれ》らのうちのつかさたる|者《もの》ひとりずつをつかわしなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》の|命《めい》にしたがって、パランの|荒野《あらの》から|彼《かれ》らをつかわした。その|人々《ひとびと》はみなイスラエルの|人々《ひとびと》のかしらたちであった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。ルベンの|部族《ぶぞく》ではザックルの|子《こ》シャンマ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|部族《ぶぞく》ではホリの|子《こ》シャパテ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|部族《ぶぞく》ではエフンネの|子《こ》カレブ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|部族《ぶぞく》ではヨセフの|子《こ》イガル、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|部族《ぶぞく》ではヌンの|子《こ》ホセア、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|部族《ぶぞく》ではラフの|子《こ》パルテ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|部族《ぶぞく》ではソデの|子《こ》ガデエル、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|部族《ぶぞく》すなわち、マナセの|部族《ぶぞく》ではスシの|子《こ》ガデ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|部族《ぶぞく》ではゲマリの|子《こ》アンミエル、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|部族《ぶぞく》ではミカエルの|子《こ》セトル、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|部族《ぶぞく》ではワフシの|子《こ》ナヘビ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|部族《ぶぞく》ではマキの|子《こ》ギウエル。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|以上《いじょう》はモーセがその|地《ち》を|探《さぐ》らせるためにつかわした|人々《ひとびと》の|名《な》である。そしてモーセはヌンの|子《こ》ホセアをヨシュアと|名《な》づけた。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らをつかわし、カナンの|地《ち》を|探《さぐ》らせようとして、これに|言《い》った、「あなたがたはネゲブに|行《い》って、|山《やま》に|登《のぼ》り、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|様子《ようす》を|見《み》、そこに|住《す》む|民《たみ》は、|強《つよ》いか|弱《よわ》いか、|少《すく》ないか|多《おお》いか、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|住《す》んでいる|地《ち》は、|良《よ》いか|悪《わる》いか。|人々《ひとびと》の|住《す》んでいる|町々《まちまち》は、|天幕《てんまく》か、|城壁《じょうへき》のある|町《まち》か、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》は、|肥《こ》えているか、やせているか、そこには、|木《き》があるかないかを|見《み》なさい。あなたがたは、|勇《いさ》んで|行《い》って、その|地《ち》のくだものを|取《と》ってきなさい」。|時《とき》は、ぶどうの|熟《じゅく》し|始《はじ》める|季節《きせつ》であった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|彼《かれ》らはのぼっていって、その|地《ち》をチンの|荒野《あらの》からハマテの|入口《いりぐち》に|近《ちか》いレホブまで|探《さぐ》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはネゲブにのぼって、ヘブロンまで|行《い》った。そこにはアナクの|子孫《しそん》であるアヒマン、セシャイ、およびタルマイがいた。ヘブロンはエジプトのゾアンよりも七|年《ねん》|前《まえ》に|建《た》てられたものである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ついに|彼《かれ》らはエシコルの|谷《たに》に|行《い》って、そこで一ふさのぶどうの|枝《えだ》を|切《き》り|取《と》り、これを|棒《ぼう》をもって、ふたりでかつぎ、また、ざくろといちじくをも|取《と》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、そこで|切《き》り|取《と》ったぶどうの一ふさにちなんで、その|所《ところ》はエシコルの|谷《たに》と|呼《よ》ばれた。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]四十|日《にち》の|後《のち》、|彼《かれ》らはその|地《ち》を|探《さぐ》り|終《おわ》って|帰《かえ》ってきた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そして、パランの|荒野《あらの》にあるカデシにいたモーセとアロン、およびイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》のもとに|行《い》って、|彼《かれ》らと|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》とに|復命《ふくめい》し、その|地《ち》のくだものを|彼《かれ》らに|見《み》せた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはモーセに|言《い》った、「わたしたちはあなたが、つかわした|地《ち》へ|行《い》きました。そこはまことに|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れている|地《ち》です。これはそのくだものです。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|地《ち》に|住《す》む|民《たみ》は|強《つよ》く、その|町々《まちまち》は|堅固《けんご》で|非常《ひじょう》に|大《おお》きく、わたしたちはそこにアナクの|子孫《しそん》がいるのを|見《み》ました。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またネゲブの|地《ち》には、アマレクびとが|住《す》み、|山地《さんち》にはヘテびと、エブスびと、アモリびとが|住《す》み、|海《うみ》べとヨルダンの|岸《きし》べには、カナンびとが|住《す》んでいます」。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、カレブはモーセの|前《まえ》で、|民《たみ》をしずめて|言《い》った、「わたしたちはすぐにのぼって、|攻《せ》め|取《と》りましょう。わたしたちは|必《かなら》ず|勝《か》つことができます」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》とともにのぼって|行《い》った|人々《ひとびと》は|言《い》った、「わたしたちはその|民《たみ》のところへ|攻《せ》めのぼることはできません。|彼《かれ》らはわたしたちよりも|強《つよ》いからです」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはその|探《さぐ》った|地《ち》のことを、イスラエルの|人々《ひとびと》に|悪《わる》く|言《い》いふらして|言《い》った、「わたしたちが|行《い》き|巡《めぐ》って|探《さぐ》った|地《ち》は、そこに|住《す》む|者《もの》を|滅《ほろ》ぼす|地《ち》です。またその|所《ところ》でわたしたちが|見《み》た|民《たみ》はみな|背《せ》の|高《たか》い|人々《ひとびと》です。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちはまたそこで、ネピリムから|出《で》たアナクの|子孫《しそん》ネピリムを|見《み》ました。わたしたちには|自分《じぶん》が、いなごのように|思《おも》われ、また|彼《かれ》らにも、そう|見《み》えたに|違《ちが》いありません」。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|会衆《かいしゅう》はみな|声《こえ》をあげて|叫《さけ》び、|民《たみ》はその|夜《よ》、|泣《な》き|明《あ》かした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|人々《ひとびと》はみなモーセとアロンにむかってつぶやき、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「ああ、わたしたちはエジプトの|国《くに》で|死《し》んでいたらよかったのに。この|荒野《あらの》で|死《し》んでいたらよかったのに。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、|主《しゅ》はわたしたちをこの|地《ち》に|連《つ》れてきて、つるぎに|倒《たお》れさせ、またわたしたちの|妻子《さいし》をえじきとされるのであろうか。エジプトに|帰《かえ》る|方《ほう》が、むしろ|良《よ》いではないか」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|互《たがい》に|言《い》った、「わたしたちはひとりのかしらを|立《た》てて、エジプトに|帰《かえ》ろう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、モーセとアロンはイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》でひれふした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このとき、その|地《ち》を|探《さぐ》った|者《もの》のうちのヌンの|子《こ》ヨシュアとエフンネの|子《こ》カレブは、その|衣服《いふく》を|裂《さ》き、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》った、「わたしたちが|行《い》き|巡《めぐ》って|探《さぐ》った|地《ち》は|非常《ひじょう》に|良《よ》い|地《ち》です。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もし、|主《しゅ》が|良《よ》しとされるならば、わたしたちをその|地《ち》に|導《みちび》いて|行《い》って、それをわたしたちにくださるでしょう。それは|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れている|地《ち》です。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ただ、|主《しゅ》にそむいてはなりません。またその|地《ち》の|民《たみ》を|恐《おそ》れてはなりません。|彼《かれ》らはわたしたちの|食《く》い|物《もの》にすぎません。|彼《かれ》らを|守《まも》る|者《もの》は|取《す》り|除《のぞ》かれます。|主《しゅ》がわたしたちと|共《とも》におられますから、|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはなりません」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ところが|会衆《かいしゅう》はみな|石《いし》で|彼《かれ》らを|撃《う》ち|殺《ころ》そうとした。  そのとき、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》からイスラエルのすべての|人《ひと》に|現《あらわ》れた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「この|民《たみ》はいつまでわたしを|侮《あなど》るのか。わたしがもろもろのしるしを|彼《かれ》らのうちに|行《い》ったのに、|彼《かれ》らはいつまでわたしを|信《しん》じないのか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|疫病《えきびょう》をもって|彼《かれ》らを|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼし、あなたを|彼《かれ》らよりも|大《おお》いなる|強《つよ》い|国民《こくみん》としよう」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》に|言《い》った、「エジプトびとは、あなたが|力《ちから》をもって、この|民《たみ》を|彼《かれ》らのうちから|導《みちび》き|出《だ》されたことを|聞《き》いて、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]この|地《ち》の|住民《じゅうみん》に|告《つ》げるでしょう。|彼《かれ》らは、|主《しゅ》なるあなたが、この|民《たみ》のうちにおられ、|主《しゅ》なるあなたが、まのあたり|現《あらわ》れ、あなたの|雲《くも》が、|彼《かれ》らの|上《うえ》にとどまり、|昼《ひる》は|雲《くも》の|柱《はしら》のうちに、|夜《よる》は|火《ひ》の|柱《はしら》のうちにあって、|彼《かれ》らの|前《まえ》に|行《い》かれるのを|聞《き》いたのです。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]いま、もし、あなたがこの|民《たみ》をひとり|残《のこ》らず|殺《ころ》されるならば、あなたのことを|聞《き》いた|国民《こくみん》は|語《かた》って、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]『|主《しゅ》は|与《あた》えると|誓《ちか》った|地《ち》に、この|民《たみ》を|導《みちび》き|入《い》れることができなかったため、|彼《かれ》らを|荒野《あらの》で|殺《ころ》したのだ』と|言《い》うでしょう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、あなたが|約束《やくそく》されたように、いま|主《しゅ》の|大《おお》いなる|力《ちから》を|現《あらわ》してください。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつて、『|主《しゅ》は|怒《いか》ることおそく、いつくしみに|富《と》み、|罪《つみ》ととがをゆるす|者《もの》、しかし、|罰《ばつ》すべき|者《もの》は、|決《けっ》してゆるさず、|父《ちち》の|罪《つみ》を|子《こ》に|報《むく》いて、三、四|代《だい》に|及《およ》ぼす|者《もの》である』と|言《い》われました。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、あなたの|大《おお》いなるいつくしみによって、エジプトからこのかた、|今《いま》にいたるまで、この|民《たみ》をゆるされたように、この|民《たみ》の|罪《つみ》をおゆるしください」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしはあなたの|言葉《ことば》のとおりにゆるそう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|生《い》きている。また|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が、|全《ぜん》|世界《せかい》に|満《み》ちている。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|栄光《えいこう》と、わたしがエジプトと|荒野《あらの》で|行《い》ったしるしを|見《み》ながら、このように十|度《ど》もわたしを|試《こころ》みて、わたしの|声《こえ》に|聞《き》きしたがわなかった|人々《ひとびと》はひとりも、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしがかつて|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えると|誓《ちか》った|地《ち》を|見《み》ないであろう。またわたしを|侮《あなど》った|人々《ひとびと》も、それを|見《み》ないであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ただし、わたしのしもべカレブは|違《ちが》った|心《こころ》をもっていて、わたしに|完全《かんぜん》に|従《したが》ったので、わたしは|彼《かれ》が|行《い》ってきた|地《ち》に|彼《かれ》を|導《みちび》き|入《い》れるであろう。|彼《かれ》の|子孫《しそん》はそれを|所有《しょゆう》するにいたるであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|谷《たに》にはアマレクびととカナンびとが|住《す》んでいるから、あなたがたは、あす、|身《み》をめぐらして|紅海《こうかい》の|道《みち》を|荒野《あらの》へ|進《すす》みなさい」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「わたしにむかってつぶやくこの|悪《わる》い|会衆《かいしゅう》をいつまで|忍《しの》ぶことができようか。わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》が、わたしにむかってつぶやくのを|聞《き》いた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『|主《しゅ》は|言《い》われる、「わたしは|生《い》きている。あなたがたが、わたしの|耳《みみ》に|語《かた》ったように、わたしはあなたがたにするであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|死体《したい》となって、この|荒野《あらの》に|倒《たお》れるであろう。あなたがたのうち、わたしにむかってつぶやいた|者《もの》、すなわち、すべて|数《かぞ》えられた二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》はみな|倒《たお》れるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]エフンネの|子《こ》カレブと、ヌンの|子《こ》ヨシュアのほかは、わたしがかつて、あなたがたを|住《す》まわせようと、|手《て》をあげて|誓《ちか》った|地《ち》に、はいることができないであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたが、えじきになるであろうと|言《い》ったあなたがたの|子供《こども》は、わたしが|導《みちび》いて、はいるであろう。|彼《かれ》らはあなたがたが、いやしめた|地《ち》を|知《し》るようになるであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたは|死体《したい》となってこの|荒野《あらの》に|倒《たお》れるであろう。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|子《こ》たちは、あなたがたの|死体《したい》が|荒野《あらの》に|朽《く》ち|果《は》てるまで四十|年《ねん》のあいだ、|荒野《あらの》で|羊飼《ひつじかい》となり、あなたがたの|不信《ふしん》の|罪《つみ》を|負《お》うであろう。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、かの|地《ち》を|探《さぐ》った四十|日《にち》の|日《ひ》|数《かず》にしたがい、その一|日《にち》を一|年《ねん》として、四十|年《ねん》のあいだ、|自分《じぶん》の|罪《つみ》を|負《お》い、わたしがあなたがたを|遠《とお》ざかったことを|知《し》るであろう」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なるわたしがこれを|言《い》う。わたしは|必《かなら》ずわたしに|逆《さか》らって|集《あつ》まったこの|悪《わる》い|会衆《かいしゅう》に、これをことごとく|行《おこな》うであろう。|彼《かれ》らはこの|荒野《あらの》に|朽《く》ち、ここで|死《し》ぬであろう』」。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]こうして、モーセにつかわされ、かの|地《ち》を|探《さぐ》りに|行《い》き、|帰《かえ》ってきて、その|地《ち》を|悪《わる》く|言《い》い、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を、モーセにむかって、つぶやかせた|人々《ひとびと》、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|地《ち》を|悪《わる》く|言《い》いふらした|人々《ひとびと》は、|疫病《えきびょう》にかかって|主《しゅ》の|前《まえ》に|死《し》んだが、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》を|探《さぐ》りに|行《い》った|人々《ひとびと》のうち、ヌンの|子《こ》ヨシュアと、エフンネの|子《こ》カレブとは|生《い》き|残《のこ》った。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]モーセが、これらのことを、イスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|告《つ》げたとき、|民《たみ》は|非常《ひじょう》に|悲《かな》しみ、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて|山《やま》の|頂《いただ》きに|登《のぼ》って|言《い》った、「わたしたちはここにいる。さあ、|主《しゅ》が|約束《やくそく》された|所《ところ》へ|上《のぼ》って|行《い》こう。わたしたちは|罪《つみ》を|犯《おか》したのだから」。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「あなたがたは、それをなし|遂《と》げることもできないのに、どうして、そのように|主《しゅ》の|命《めい》にそむくのか。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|上《のぼ》って|行《い》ってはならない。|主《しゅ》があなたがたのうちにおられないから、あなたがたは|敵《てき》の|前《まえ》に、|撃《う》ち|破《やぶ》られるであろう。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]そこには、アマレクびとと、カナンびとがあなたがたの|前《まえ》にいるから、あなたがたは、つるぎに|倒《たお》れるであろう。あなたがたがそむいて、|主《しゅ》に|従《したが》わなかったゆえ、|主《しゅ》はあなたがたと|共《とも》におられないからである」。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》らは、ほしいままに|山《やま》の|頂《いただき》に|登《のぼ》った。ただし、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》と、モーセとは、|宿営《しゅくえい》の|中《なか》から|出《で》なかった。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、その|山《やま》に|住《す》んでいたアマレクびとと、カナンびとが|下《くだ》ってきて、|彼《かれ》らを|撃《う》ち|破《やぶ》り、ホルマまで|追《お》ってきた。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『あなたがたが、わたしの|与《あた》えて|住《す》ませる|地《ち》に|行《い》って、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|火祭《かさい》をささげる|時《とき》、すなわち|特別《とくべつ》の|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》、あるいは|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》、あるいは|祝《しゅく》のときの|供《そな》え|物《もの》として、|牛《うし》または|羊《ひつじ》を|燔祭《はんさい》または|犠牲《ぎせい》としてささげ、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとするとき、[#太字]四 五[#「四 五」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》にささげる|者《もの》は、|燔祭《はんさい》または|犠牲《ぎせい》と|共《とも》に、|小羊《こひつじ》一|頭《とう》ごとに、|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ぶん》の一に、|油《あぶら》一ヒンの四|分《ぶん》の一を|混《ま》ぜたものを、|素祭《そさい》としてささげ、ぶどう|酒《しゅ》一ヒンの四|分《ぶん》の一を、|灌祭《かんさい》としてささげなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もし、また|雄羊《おひつじ》を|用《もち》いるときは、|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ぶん》の二に、|油《あぶら》一ヒンの三|分《ぶん》の一を|混《ま》ぜたものを、|素祭《そさい》としてささげ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、ぶどう|酒《しゅ》一ヒンの三|分《ぶん》の一を、|灌祭《かんさい》としてささげて、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またあなたが|特別《とくべつ》の|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》、あるいは|酬恩祭《しゅうおんさい》を、|主《しゅ》にささげる|時《とき》、|若《わか》い|雄牛《おうし》を、|燔祭《はんさい》または|犠牲《ぎせい》とするならば、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ぶん》の三に、|油《あぶら》一ヒンの二|分《ぶん》の一を|混《ま》ぜたものを、|素祭《そさい》として、|若《わか》い|雄牛《おうし》と|共《とも》にささげ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また、ぶどう|酒《しゅ》一ヒンの二|分《ぶん》の一を、|灌祭《かんさい》としてささげなければならない。これは|火祭《かさい》であって、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとするものである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|雄牛《おうし》、あるいは|雄羊《おひつじ》、あるいは|小羊《こひつじ》、あるいは|子《こ》やぎは、一|頭《とう》ごとに、このようにしなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、あなたがたのささげる|数《かず》にてらし、その|数《かず》にしたがって、一|頭《とう》ごとに、このようにしなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》が、|火祭《かさい》をささげて、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとするときは、このように、これらのことを|行《おこな》わなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたのうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》、またはあなたがたのうちに、|代々《よよ》ながく|住《す》む|者《もの》が、|火祭《かさい》をささげて、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとしようとする|時《とき》は、あなたがたがするように、その|人《ひと》もしなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》たる|者《もの》は、あなたがたも、あなたがたのうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》も、|同一《どういつ》の|定《さだ》めに|従《したが》わなければならない。これは、あなたがたが|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めである。|他国《たこく》の|人《ひと》も、|主《しゅ》の|前《まえ》には、あなたがたと|等《ひと》しくなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、あなたがたも、あなたがたのうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》も、|同一《どういつ》の|律法《りっぽう》、|同一《どういつ》のおきてに|従《したが》わなければならない』」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『わたしが|導《みちび》いて|行《い》く|地《ち》に、あなたがたがはいって、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|食物《しょくもつ》を|食《た》べるとき、あなたがたは、ささげ|物《もの》を|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|麦粉《むぎこ》の|初物《はつもの》で|作《つく》った|菓子《かし》を、ささげ|物《もの》としなければならない。これを、|打《う》ち|場《ば》からのささげ|物《もの》のように、ささげなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|代々《よよ》その|麦粉《むぎこ》の|初物《はつもの》で、|主《しゅ》にささげ|物《もの》をしなければならない。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、もしあやまって、|主《しゅ》がモーセに|告《つ》げられたこのすべての|戒《いまし》めを|行《おこな》わず、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がモーセによって|戒《いまし》めを|与《あた》えられた|日《ひ》からこのかた、|代々《よよ》にわたり、あなたがたに|命《めい》じられたすべての|事《こと》を|行《おこな》わないとき、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|会衆《かいしゅう》が|知《し》らずに、あやまって|犯《おか》した|時《とき》は、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》を、|燔祭《はんさい》としてささげ、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとし、これに|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とを|定《さだ》めのように|加《くわ》え、また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を、|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は、イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》のために、|罪《つみ》のあがないをしなければならない。そうすれば、|彼《かれ》らはゆるされるであろう。それは|過失《かしつ》だからである。|彼《かれ》らはその|過失《かしつ》のために、その|供《そな》え|物《もの》として、|火祭《かさい》を|主《しゅ》にささげ、また|罪祭《ざいさい》を|主《しゅ》の|前《まえ》にささげなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はゆるされ、また|彼《かれ》らのうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》も、ゆるされるであろう。|民《たみ》はみな|過失《かしつ》を|犯《おか》したからである。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》があやまって|罪《つみ》を|犯《おか》す|時《とき》は、一|歳《さい》の|雌《め》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は、|人《ひと》があやまって|罪《つみ》を|犯《おか》した|時《とき》、そのあやまって|罪《つみ》を|犯《おか》した|人《ひと》のために、|主《しゅ》の|前《まえ》に|罪《つみ》のあがないをして、その|罪《つみ》をあがなわなければならない。そうすれば、|彼《かれ》はゆるされるであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの、|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》でも、そのうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》でも、あやまって|罪《つみ》を|犯《おか》す|者《もの》には、あなたがたは|同一《どういつ》の|律法《りっぽう》を|用《もち》いなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|国《くに》に|生《うま》れた|者《もの》でも、|他国《たこく》の|人《ひと》でも、|故意《こい》に|罪《つみ》を|犯《おか》す|者《もの》は|主《しゅ》を|汚《けが》すもので、その|人《ひと》は|民《たみ》のうちから|断《た》たれなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|侮《あなど》り、その|戒《いまし》めを|破《やぶ》ったのであるから、|必《かなら》ず|断《た》たれ、その|罪《つみ》を|負《お》わなければならない』」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が|荒野《あらの》におるとき、|安息日《あんそくにち》にひとりの|人《ひと》が、たきぎを|集《あつ》めるのを|見《み》た。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そのたきぎを|集《あつ》めるのを|見《み》た|人々《ひとびと》は、その|人《ひと》をモーセとアロン、および|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》のもとに|連《つ》れてきたが、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]どう|取《と》り|扱《あつか》うべきか、まだ|示《しめ》しを|受《う》けていなかったので、|彼《かれ》を|閉《と》じ|込《こ》めておいた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「その|人《ひと》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|宿営《しゅくえい》の|外《そと》で、|彼《かれ》を|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》さなければならない」。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|彼《かれ》を|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|連《つ》れ|出《だ》し、|彼《かれ》を|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》し、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにした。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて、|代々《よよ》その|衣服《いふく》のすその四すみにふさをつけ、そのふさを|青《あお》ひもで、すその四すみにつけさせなさい。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、そのふさを|見《み》て、|主《しゅ》のもろもろの|戒《いまし》めを|思《おも》い|起《おこ》して、それを|行《おこな》い、あなたがたが|自分《じぶん》の|心《こころ》と、|目《め》の|欲《よく》に|従《したが》って、みだらな|行《おこな》いをしないためである。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして、あなたがたは、わたしのもろもろの|戒《いまし》めを|思《おも》い|起《おこ》して、それを|行《おこな》い、あなたがたの|神《かみ》に|聖《せい》なる|者《もの》とならなければならない。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、あなたがたの|神《かみ》となるために、あなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》した|者《もの》である。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である」。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ここに、レビの|子《こ》コハテの|子《こ》なるイヅハルの|子《こ》コラと、ルベンの|子《こ》なるエリアブの|子《こ》ダタンおよびアビラムと、ルベンの|子《こ》なるペレテの|子《こ》オンとが|相《あい》|結《むす》び、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のうち、|会衆《かいしゅう》のうちから|選《えら》ばれて、つかさとなった|名《な》のある|人々《ひとびと》二百五十|人《にん》と|共《とも》に|立《た》って、モーセに|逆《さか》らった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|集《あつ》まって、モーセとアロンとに|逆《さか》らって|言《い》った、「あなたがたは、|分《ぶん》を|越《こ》えています。|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は、ことごとく|聖《せい》なるものであって、|主《しゅ》がそのうちにおられるのに、どうしてあなたがたは、|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》の|上《うえ》に|立《た》つのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこれを|聞《き》いてひれ|伏《ふ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]やがて|彼《かれ》はコラと、そのすべての|仲間《なかま》とに|言《い》った、「あす、|主《しゅ》は、|主《しゅ》につくものはだれ、|聖《せい》なる|者《もの》はだれであるかを|示《しめ》して、その|人《ひと》をみもとに|近《ちか》づけられるであろう。すなわち、その|選《えら》んだ|人《ひと》を、みもとに|近《ちか》づけられるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それで、|次《つぎ》のようにしなさい。コラとそのすべての|仲間《なかま》とは、|火《ひ》ざらを|取《と》り、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》に|火《ひ》を|入《い》れ、それに|薫香《くんこう》を|盛《も》って、あす、|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》なさい。その|時《とき》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|人《ひと》は|聖《せい》なる|者《もの》である。レビの|子《こ》たちよ、あなたがたこそ、|分《ぶん》を|越《こ》えている」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたコラに|言《い》った、「レビの|子《こ》たちよ、|聞《き》きなさい。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》はあなたがたをイスラエルの|会衆《かいしゅう》のうちから|分《わ》かち、|主《しゅ》に|近《ちか》づかせて、|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|務《つとめ》をさせ、かつ|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|立《た》って|仕《つか》えさせられる。これはあなたがたにとって、|小《ちい》さいことであろうか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はあなたとあなたの|兄弟《きょうだい》なるレビの|子《こ》たちをみな|近《ちか》づけられた。あなたがたはなお、その|上《うえ》に|祭司《さいし》となることを|求《もと》めるのか。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたとあなたの|仲間《なかま》は、みなそのために|集《あつ》まって|主《しゅ》に|敵《てき》している。あなたがたはアロンをなんと|思《おも》って、|彼《かれ》に|対《たい》してつぶやくのか」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|人《ひと》をやって、エリアブの|子《こ》ダタンとアビラムとを|呼《よ》ばせたが、|彼《かれ》らは|言《い》った、「わたしたちは|参《まい》りません。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》から、わたしたちを|導《みちび》き|出《だ》して、|荒野《あらの》でわたしたちを|殺《ころ》そうとしている。これは|小《ちい》さいことでしょうか。その|上《うえ》、あなたはわたしたちに|君臨《くんりん》しようとしている。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]かつまた、あなたはわたしたちを、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》に|導《みちび》いて|行《い》かず、|畑《はたけ》と、ぶどう|畑《はたけ》とを|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えもしない。これらの|人々《ひとびと》の|目《め》をくらまそうとするのですか。わたしたちは|参《まい》りません」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|大《おお》いに|怒《いか》って、|主《しゅ》に|言《い》った、「|彼《かれ》らの|供《そな》え|物《もの》を|顧《かえり》みないでください。わたしは|彼《かれ》らから、ろば一|頭《とう》をも|取《と》ったことなく、また|彼《かれ》らのひとりをも|害《がい》したことはありません」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセはコラに|言《い》った、「あなたとあなたの|仲間《なかま》はみなアロンと|一緒《いっしょ》に、あす、|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》なさい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、おのおの|火《ひ》ざらを|取《と》って、それに|薫香《くんこう》を|盛《も》り、おのおのその|火《ひ》ざらを|主《しゅ》の|前《まえ》に|携《たずさ》えて|行《い》きなさい。その|火《ひ》ざらは|会《あ》わせて二百五十。あなたとアロンも、おのおの|火《ひ》ざらを|携《たずさ》えて|行《い》きなさい」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、おのおの|火《ひ》ざらを|取《と》り、|火《ひ》をその|中《なか》に|入《い》れ、それに|薫香《くんこう》を|盛《も》り、モーセとアロンも|共《とも》に、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|立《た》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、コラは|会衆《かいしゅう》を、ことごとく|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》に|集《あつ》めて、|彼《かれ》らふたりに|逆《さか》らわせようとしたが、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》は|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|現《あらわ》れた。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはこの|会衆《かいしゅう》を|離《はな》れなさい。わたしはただちに|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼすであろう」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らふたりは、ひれ|伏《ふ》して|言《い》った、「|神《かみ》よ、すべての|肉《にく》なる|者《もの》の|命《いのち》の|神《かみ》よ、このひとりの|人《ひと》が、|罪《つみ》を|犯《おか》したからといって、あなたは|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|対《たい》して|怒《いか》られるのですか」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|会衆《かいしゅう》に|告《つ》げて、コラとダタンとアビラムのすまいの|周囲《しゅうい》を|去《さ》れと|言《い》いなさい」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|立《た》ってダタンとアビラムのもとに|行《い》ったが、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちも、|彼《かれ》に|従《したが》って|行《い》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|会衆《かいしゅう》に|言《い》った、「どうぞ、あなたがたはこれらの|悪《わる》い|人々《ひとびと》の|天幕《てんまく》を|離《はな》れてください。|彼《かれ》らのものには|何《なに》にも|触《ふ》れてはならない。|彼《かれ》らのもろもろの|罪《つみ》によって、あなたがたも|滅《ほろ》ぼされてはいけないから」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》はコラとダタンとアビラムのすまいの|周囲《しゅうい》を|離《はな》れ|去《さ》った。そして、ダタンとアビラムとは、|妻《つま》、|子《こ》、および|幼児《ようじ》と|一緒《いっしょ》に|出《で》て、|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》に|立《た》った。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》がこれらのすべての|事《こと》をさせるために、わたしをつかわされたこと、またわたしが、これを|自分《じぶん》の|心《こころ》にしたがって|行《おこな》うものでないことを、|次《つぎ》のことによって|知《し》るであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、もしこれらの|人々《ひとびと》が、|普通《ふつう》の|死《し》に|方《かた》で|死《し》に、|普通《ふつう》の|運命《うんめい》に|会《あ》うのであれば、|主《しゅ》がわたしをつかわされたのではない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》が|新《あたら》しい|事《こと》をされ、|地《ち》が|口《くち》を|開《ひら》いて、これらの|人々《ひとびと》と、それに|属《ぞく》する|者《もの》とを、ことごとくのみつくして、|生《い》きながら|陰府《よみ》に|下《くだ》らせられるならば、あなたがたはこれらの|人々《ひとびと》が、|主《しゅ》を|侮《あなど》ったのであることを|知《し》らなければならない」。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モーセが、これらのすべての|言葉《ことば》を|述《の》べ|終《おわ》ったとき、|彼《かれ》らの|下《した》の|土地《とち》が|裂《さ》け、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|口《くち》を|開《ひら》いて、|彼《かれ》らとその|家族《かぞく》、ならびにコラに|属《ぞく》するすべての|人々《ひとびと》と、すべての|所有物《しょゆうぶつ》をのみつくした。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|彼《かれ》らと、|彼《かれ》らに|属《ぞく》するものは、|皆《みな》|生《い》きながら|陰府《よみ》に|下《くだ》り、|地《ち》はその|上《うえ》を|閉《と》じふさいで、|彼《かれ》らは|会衆《かいしゅう》のうちから、|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、その|周囲《しゅうい》にいたイスラエルの|人々《ひとびと》は、みな|彼《かれ》らの|叫《さけ》びを|聞《き》いて|逃《に》げ|去《さ》り、「|恐《おそ》らく|地《ち》はわたしたちをも、のみつくすであろう」と|言《い》った。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》のもとから|火《ひ》が|出《で》て、|薫香《くんこう》を|供《そな》える二百五十|人《にん》をも|焼《や》きつくした。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|祭司《さいし》アロンの|子《こ》エレアザルに|告《つ》げて、その|燃《も》える|火《ひ》の|中《なか》から、かの|火《ひ》ざらを|取《と》り|出《だ》させ、その|中《なか》の|火《ひ》を|遠《とお》く|広《ひろ》くまき|散《ち》らさせなさい。それらの|火《ひ》ざらは|聖《せい》となったから、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|罪《つみ》を|犯《おか》して|命《いのち》を|失《うしな》った|人々《ひとびと》の、これらの|火《ひ》ざらを、|広《ひろ》い|延《の》べ|板《いた》として、|祭壇《さいだん》のおおいとしなさい。これは|主《しゅ》の|前《まえ》にささげられて、|聖《せい》となったからである。こうして、これはイスラエルの|人々《ひとびと》に、しるしとなるであろう」。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》エレアザルは、かの|焼《や》き|殺《ころ》された|人々《ひとびと》が|供《そな》えた|青銅《せいどう》の|火《ひ》ざらを|取《と》り、これを|広《ひろ》く|打《う》ち|延《の》ばして、|祭壇《さいだん》のおおいとし、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]これをイスラエルの|人々《ひとびと》の|記念《きねん》の|物《もの》とした。これはアロンの|子孫《しそん》でないほかの|人《ひと》が、|主《しゅ》の|前《まえ》に|近《ちか》づいて、|薫香《くんこう》をたくことのないようにするため、またその|人《ひと》がコラ、およびその|仲間《なかま》のようにならないためである。すなわち、|主《しゅ》がモーセによってエレアザルに|言《い》われたとおりである。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]その|翌日《よくじつ》、イスラエルの|人々《ひとびと》の|会衆《かいしゅう》は、みなモーセとアロンとにつぶやいて|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》の|民《たみ》を|殺《ころ》しました」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》が|集《あつ》まって、モーセとアロンとに|逆《さか》らったとき、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》を|望《のぞ》み|見《み》ると、|雲《くも》がこれをおおい、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|現《あらわ》れていた。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]モーセとアロンとが、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》に|行《い》くと、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはこの|会衆《かいしゅう》を|離《はな》れなさい。わたしはただちに|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼそう」。そこで|彼《かれ》らふたりは、ひれ|伏《ふ》した。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]モーセはアロンに|言《い》った、「あなたは|火《ひ》ざらを|取《と》って、それに|祭壇《さいだん》から|取《と》った|火《ひ》を|入《い》れ、その|上《うえ》に|薫香《くんこう》を|盛《も》り、|急《いそ》いでそれを|会衆《かいしゅう》のもとに|持《も》って|行《い》って、|彼《かれ》らのために|罪《つみ》のあがないをしなさい。|主《しゅ》が|怒《いか》りを|発《はっ》せられ、|疫病《えきびょう》がすでに|始《はじ》まったからです」。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]そこで、アロンはモーセの|言《い》ったように、それを|取《と》って|会衆《かいしゅう》の|中《なか》に|走《はし》って|行《い》ったが、|疫病《えきびょう》はすでに|民《たみ》のうちに|始《はじ》まっていたので、|薫香《くんこう》をたいて、|民《たみ》のために|罪《つみ》のあがないをし、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]すでに|死《し》んだ|者《もの》と、なお|生《い》きている|者《もの》との|間《あいだ》に|立《た》つと、|疫病《えきびょう》はやんだ。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]コラの|事《こと》によって|死《し》んだ|者《もの》のほかに、この|疫病《えきびょう》によって|死《し》んだ|者《もの》は一万四千七百|人《にん》であった。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]アロンは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》にいるモーセのもとに|帰《かえ》った。こうして|疫病《えきびょう》はやんだ。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げて、|彼《かれ》らのうちから、おのおのの|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって、つえ一|本《ぽん》ずつを|取《と》りなさい。すなわち、そのすべてのつかさたちから、|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって、つえ十二|本《ほん》を|取《と》り、その|人々《ひとびと》の|名《な》を、おのおのそのつえに|書《か》きしるし、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]レビのつえにはアロンの|名《な》を|書《か》きしるしなさい。|父祖《ふそ》の|家《いえ》のかしらは、おのおののつえ一|本《ぽん》を|出《だ》すのだからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして、これらのつえを、わたしがあなたがたに|会《あ》う|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|中《なか》の、あかしの|箱《はこ》の|前《まえ》に|置《お》きなさい。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|選《えら》んだ|人《ひと》のつえには、|芽《め》が|出《で》るであろう。こうして、わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》が、あなたがたにむかって、つぶやくのをやめさせるであろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセが、このようにイスラエルの|人々《ひとびと》に|語《かた》ったので、つかさたちはみな、その|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって、おのおの、つえ一|本《ぽん》ずつを|彼《かれ》に|渡《わた》した。そのつえは|合《あ》わせて十二|本《ほん》。アロンのつえも、そのつえのうちにあった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]モーセは、それらのつえを、あかしの|幕屋《まくや》の|中《なか》の、|主《しゅ》の|前《まえ》に|置《お》いた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|翌日《よくじつ》、モーセが、あかしの|幕屋《まくや》にはいって|見《み》ると、レビの|家《いえ》のために|出《だ》したアロンのつえは|芽《め》をふき、つぼみを|出《だ》し、|花《はな》が|咲《さ》いて、あめんどうの|実《み》を|結《むす》んでいた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセがそれらのつえを、ことごとく|主《しゅ》の|前《まえ》から、イスラエルのすべての|人《ひと》の|所《ところ》に|持《も》ち|出《だ》したので、|彼《かれ》らは|見《み》て、おのおの|自分《じぶん》のつえを|取《と》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「アロンのつえを、あかしの|箱《はこ》の|前《まえ》に|持《も》ち|帰《かえ》り、そこに|保存《ほぞん》して、そむく|者《もの》どものために、しるしとしなさい。こうして、|彼《かれ》らのわたしに|対《たい》するつぶやきをやめさせ、|彼《かれ》らの|死《し》ぬのをまぬかれさせなければならない」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはそのようにして、|主《しゅ》が|彼《かれ》に|命《めい》じられたとおりに|行《おこな》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、モーセに|言《い》った、「ああ、わたしたちは|死《し》ぬ。|破滅《はめつ》です、|全滅《ぜんめつ》です。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|幕屋《まくや》に|近《ちか》づく|者《もの》が、みな|死《し》ぬのであれば、わたしたちは|死《し》に|絶《た》えるではありませんか」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|主《しゅ》はアロンに|言《い》われた、「あなたとあなたの|子《こ》たち、およびあなたの|父祖《ふそ》の|家《いえ》の|者《もの》は、|聖所《せいじょ》に|関《かん》する|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。また、あなたとあなたの|子《こ》たちとは、|祭司《さいし》|職《しょく》に|関《かん》する|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、あなたの|兄弟《きょうだい》なるレビの|部族《ぶぞく》の|者《もの》、すなわち、あなたの|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》の|者《もの》どもを、あなたに|近《ちか》づかせ、あなたに|連《つら》なり、あなたに|仕《つか》えさせなければならない。ただし、あなたとあなたの|子《こ》たちとは、|共《とも》にあかしの|幕屋《まくや》の|前《まえ》で|仕《つか》えなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、あなたの|務《つとめ》と、すべての|幕屋《まくや》の|務《つとめ》とを|守《まも》らなければならない。ただし、|聖所《せいじょ》の|器《うつわ》と、|祭壇《さいだん》とに|近《ちか》づいてはならない。|彼《かれ》らもあなたがたも、|死《し》ぬことのないためである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたに|連《つら》なって、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|務《つとめ》を|守《まも》り、|幕屋《まくや》のもろもろの|働《はたら》きをしなければならない。ほかの|者《もの》は、あなたがたに|近《ちか》づいてはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]このように、あなたがたは、|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》と、|祭壇《さいだん》の|務《つとめ》とを|守《まも》らなければならない。そうすれば、|主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りは、かさねてイスラエルの|人々《ひとびと》に|臨《のぞ》まないであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|兄弟《きょうだい》たるレビびとを、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちから|取《と》り、|主《しゅ》のために、これを|賜物《たまもの》として、あなたがたに|与《あた》え、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|働《はたら》きをさせる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたとあなたの|子《こ》たちは|共《とも》に|祭司《さいし》|職《しょく》を|守《まも》って、|祭壇《さいだん》と、|垂幕《たれまく》のうちのすべての|事《こと》を|執《と》り|行《おこな》い、|共《とも》に|勤《つと》めなければならない。わたしは|祭司《さいし》の|職務《しょくむ》を|賜物《たまもの》として、あなたがたに|与《あた》える。ほかの|人《ひと》で|近《ちか》づく|者《もの》は|殺《ころ》されるであろう」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたアロンに|言《い》われた、「わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》の、すべての|聖《せい》なる|供《そな》え|物《もの》で、わたしにささげる|物《もの》の|一部《いちぶ》をあなたに|与《あた》える。すなわち、わたしはこれをあなたと、あなたの|子《こ》たちに、その|分《わ》け|前《まえ》として|与《あた》え、|永久《えいきゅう》に|受《う》くべき|分《ぶん》とする。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]いと|聖《せい》なる|供《そな》え|物《もの》のうち、|火《ひ》で|焼《や》かずに、あなたに|帰《き》すべきものは|次《つぎ》のとおりである。すなわち、わたしにささげるすべての|供《そな》え|物《もの》、|素祭《そさい》、|罪祭《ざいさい》、|愆祭《けんさい》はみな、いと|聖《せい》なる|物《もの》であって、あなたとあなたの|子《こ》たちに|帰《き》するであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]いと|聖《せい》なる|所《ところ》で、それを|食《た》べなければならない。|男子《だんし》はみな、それを|食《た》べることができる。それはあなたに|帰《き》すべき|聖《せい》なる|物《もの》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またあなたに|帰《き》すべきものはこれである。すなわち、イスラエルの|人々《ひとびと》のささげる|供《そな》え|物《もの》のうち、すべて|揺祭《ようさい》とするものであって、これをあなたとあなたのむすこ|娘《むすめ》に|与《あた》えて、|永久《えいきゅう》に|受《う》くべき|分《ぶん》とする。あなたの|家《いえ》の|者《もの》のうち、|清《きよ》い|者《もの》はみな、これを|食《た》べることができる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すべて|油《あぶら》の|最《もっと》もよい|物《もの》、およびすべて|新《あたら》しいぶどう|酒《しゅ》と、|穀物《こくもつ》の|最《もっと》も|良《よ》い|物《もの》など、|人々《ひとびと》が|主《しゅ》にささげる|初穂《はつほ》をあなたに|与《あた》える。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》のすべての|産物《さんぶつ》の|初物《はつもの》で、|人々《ひとびと》が|主《しゅ》のもとに|携《たずさ》えてきたものは、あなたに|帰《き》するであろう。あなたの|家《いえ》の|者《もの》のうち、|清《きよ》い|者《もの》はみな、これを|食《た》べることができる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのうちの|奉納物《ほうのうぶつ》はみな、あなたに|帰《き》する。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すべて|肉《にく》なる|者《もの》のういごであって、|主《しゅ》にささげられる|者《もの》はみな、|人《ひと》でも|獣《けもの》でも、あなたに|帰《き》する。ただし、|人《ひと》のういごは|必《かなら》ずあがなわなければならない。また|汚《けが》れた|獣《けもの》のういごも、あがなわなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》のういごは|生後《せいご》一か|月《げつ》で、あがなわなければならない。そのあがない|金《きん》はあなたの|値《ね》|積《づも》りにより、|聖所《せいじょ》のシケルにしたがって、|銀《ぎん》五シケルでなければならない。一シケルは二十ゲラである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|牛《うし》のういご、|羊《ひつじ》のういご、やぎのういごは、あがなってはならない。これらは|聖《せい》なるものである。その|血《ち》を|祭壇《さいだん》に|注《そそ》ぎかけ、その|脂肪《しぼう》を|焼《や》いて|火祭《かさい》とし、|香《こう》ばしいかおりとして、|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|肉《にく》はあなたに|帰《き》する。それは|揺祭《ようさい》の|胸《むね》や|右《みぎ》のももと|同《おな》じく、あなたに|帰《き》する。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、|主《しゅ》にささげる|聖《せい》なる|供《そな》え|物《もの》はみな、あなたとあなたのむすこ|娘《むすめ》とに|与《あた》えて、|永久《えいきゅう》に|受《う》ける|分《ぶん》とする。これは|主《しゅ》の|前《まえ》にあって、あなたとあなたの|子孫《しそん》とに|対《たい》し、|永遠《えいえん》に|変《かわ》らぬ|塩《しお》の|契約《けいやく》である」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたアロンに|言《い》われた、「あなたはイスラエルの|人々《ひとびと》の|地《ち》のうちに、|嗣《し》|業《ぎょう》をもってはならない。また|彼《かれ》らのうちに、|何《なに》の|分《ぶん》をも|持《も》ってはならない。|彼《かれ》らのうちにあって、わたしがあなたの|分《ぶん》であり、あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》である。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはレビの|子孫《しそん》にはイスラエルにおいて、すべて十|分《ぶん》の一を|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》え、その|働《はたら》き、すなわち、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|働《はたら》きに|報《むく》いる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、かさねて|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|近《ちか》づいてはならない。|罪《つみ》を|得《え》て|死《し》なないためである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]レビびとだけが|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|働《はたら》きをしなければならない。|彼《かれ》らがその|罪《つみ》を|負《お》うであろう。|彼《かれ》らがイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに、|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》を|持《も》たないことをもって、あなたがたの|代々《よよ》ながく|守《まも》るべき|定《さだ》めとしなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》が|供《そな》え|物《もの》として|主《しゅ》にささげる十|分《ぶん》の一を、レビびとに|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えた。それで『|彼《かれ》らはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに、|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》を|持《も》ってはならない』と、わたしは|彼《かれ》らに|言《い》ったのである」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]「レビびとに|言《い》いなさい、『わたしがイスラエルの|人々《ひとびと》から|取《と》って、|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》える十|分《ぶん》の一を|受《う》ける|時《とき》、あなたがたはその十|分《ぶん》の一の十|分《ぶん》の一を、|主《しゅ》にささげなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのささげ|物《もの》は、|打《う》ち|場《ば》からの|穀物《こくもつ》や、|酒《さか》ぶねからのぶどう|酒《しゅ》と|同《おな》じように|見《み》なされるであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そのようにあなたがたもまた、イスラエルの|人々《ひとびと》から|受《う》けるすべての十|分《ぶん》の一の|物《もの》のうちから、|主《しゅ》に|供《そな》え|物《もの》をささげ、|主《しゅ》にささげたその|供《そな》え|物《もの》を、|祭司《さいし》アロンに|与《あた》えなければならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|受《う》けるすべての贈|物《もの》のうちから、その|良《よ》いところ、すなわち、|聖《せい》なる|部分《ぶぶん》を|取《と》って、ことごとく|供《そな》え|物《もの》として、|主《しゅ》にささげなければならない』。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『あなたがたが、そのうちから|良《よ》いところを|取《と》ってささげる|時《とき》、その|残《のこ》りの|部分《ぶぶん》はレビびとには、|打《う》ち|場《ば》の|産物《さんぶつ》や、|酒《さか》ぶねの|産物《さんぶつ》と|同《おな》じように|見《み》なされるであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたと、あなたがたの|家族《かぞく》とは、どこでそれを|食《た》べてもよい。これは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》であなたがたがする|働《はたら》きの|報酬《ほうしゅう》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、その|良《よ》いところをささげるときは、それによって、あなたがたは|罪《つみ》を|負《お》わないであろう。あなたがたはイスラエルの|人々《ひとびと》の|聖《せい》なる|供《そな》え|物《もの》を|汚《けが》してはならない。|死《し》をまぬかれるためである』」。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》の|命《めい》じられた|律法《りっぽう》の|定《さだ》めは|次《つぎ》のとおりである。すなわち『イスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げて、|完全《かんぜん》で、|傷《きず》がなく、まだくびきを|負《お》ったことのない|赤《あか》い|雌牛《めうし》を、あなたのもとに|引《ひ》いてこさせ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これを|祭司《さいし》エレアザルにわたして、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》にひき|出《だ》させ、|彼《かれ》の|前《まえ》でこれをほふらせなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》エレアザルは、|指《ゆび》をもってその|血《ち》を|取《と》り、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|表《ひょう》に|向《む》かって、その|血《ち》を七たびふりかけなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ついでその|雌牛《めうし》を|自分《じぶん》の|目《め》の|前《まえ》で|焼《や》かせ、その|皮《かわ》と|肉《にく》と|血《ち》とは、その|汚物《おぶつ》と|共《とも》に|焼《や》かなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|香柏《こうはく》の|木《き》と、ヒソプと、|緋《ひ》の|糸《いと》とを|取《と》って|雌牛《めうし》の|燃《も》えているなかに|投《な》げ|入《い》れなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》は|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすいで|後《のち》、|宿営《しゅくえい》に、はいることができる。ただし|祭司《さいし》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またその|雌牛《めうし》を|焼《や》いた|者《もの》も|水《みず》で|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。|彼《かれ》も|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それから|身《み》の|清《きよ》い|者《もの》がひとり、その|雌牛《めうし》の|灰《はい》を|集《あつ》め、|宿営《しゅくえい》の|外《そと》の|清《きよ》い|所《ところ》にたくわえておかなければならない。これはイスラエルの|人々《ひとびと》の|会衆《かいしゅう》のため、|汚《けが》れを|清《きよ》める|水《みず》をつくるために|備《そな》えるものであって、|罪《つみ》を|清《きよ》めるものである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|雌牛《めうし》の|灰《はい》を|集《あつ》めた|者《もの》は|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。その|人《ひと》は|夕《ゆう》まで|汚《けが》れる。これはイスラエルの|人々《ひとびと》と、そのうちに|宿《やど》っている|他国《たこく》|人《じん》との、|永久《えいきゅう》に|守《まも》るべき|定《さだ》めとしなければならない。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|人《ひと》の|死体《したい》に|触《ふ》れる|者《もの》は、|七日《なぬか》のあいだ|汚《けが》れる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は三|日《か》|目《め》と|七日《なぬか》|目《め》とに、この|灰《はい》の|水《みず》をもって|身《み》を|清《きよ》めなければならない。そうすれば|清《きよ》くなるであろう。しかし、もし三|日《か》|目《め》と|七日《なぬか》|目《め》とに、|身《み》を|清《きよ》めないならば、|清《きよ》くならないであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|死人《しにん》の|死体《したい》に|触《ふ》れて、|身《み》を|清《きよ》めない|者《もの》は|主《しゅ》の|幕屋《まくや》を|汚《けが》す|者《もの》で、その|人《ひと》はイスラエルから|断《た》たれなければならない。|汚《けが》れを|清《きよ》める|水《みず》がその|身《み》に|注《そそ》ぎかけられないゆえ、その|人《ひと》は|清《きよ》くならず、その|汚《けが》れは、なお、その|身《み》にあるからである。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|天幕《てんまく》の|中《なか》で|死《し》んだ|時《とき》に|用《もち》いる|律法《りっぽう》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち、すべてその|天幕《てんまく》にはいった|者《もの》、およびすべてその|天幕《てんまく》にいた|者《もの》は|七日《なぬか》のあいだ|汚《けが》れる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ふたで|上《うえ》をおおわない|器《うつわ》はみな|汚《けが》れる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》、または|死《し》んだ|者《もの》、または|人《ひと》の|骨《ほね》、または|墓《はか》などに、|野外《やがい》で|触《ふ》れる|者《もの》は|皆《みな》、|七日《なぬか》のあいだ|汚《けが》れる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|汚《けが》れた|者《もの》があった|時《とき》には、|罪《つみ》を|清《きよ》める|焼《や》いた|雌牛《めうし》の|灰《はい》を|取《と》って|器《うつわ》に|入《い》れ、|流《なが》れの|水《みず》をこれに|加《くわ》え、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|身《み》の|清《きよ》い|者《もの》がひとりヒソプを|取《と》って、その|水《みず》に|浸《ひた》し、これをその|天幕《てんまく》と、すべての|器《うつわ》と、そこにいた|人々《ひとびと》と、|骨《ほね》、あるいは|殺《ころ》された|者《もの》、あるいは|死《し》んだ|者《もの》、あるいは|墓《はか》などに|触《ふ》れた|者《もの》とにふりかけなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すなわちその|身《み》の|清《きよ》い|人《ひと》は三|日《か》|目《め》と|七日《なぬか》|目《め》とにその|汚《けが》れたものに、それをふりかけなければならない。そして|七日《なぬか》|目《め》にその|人《ひと》は|身《み》を|清《きよ》め、|衣服《いふく》を|洗《あら》い、|水《みず》に|身《み》をすすがなければならない。そうすれば|夕《ゆう》になって|清《きよ》くなるであろう。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|汚《けが》れて|身《み》を|清《きよ》めない|人《ひと》は|主《しゅ》の|聖所《せいじょ》を|汚《けが》す|者《もの》で、その|人《ひと》は|会衆《かいしゅう》のうちから|断《た》たれなければならない。|汚《けが》れを|清《きよ》める|水《みず》がその|身《み》に|注《そそ》ぎかけられないゆえ、その|人《ひと》は|汚《けが》れているからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らの|永久《えいきゅう》に|守《まも》るべき|定《さだ》めとしなければならない。すなわち|汚《けが》れを|清《きよ》める|水《みず》をふりかけた|者《もの》は|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。また|汚《けが》れを|清《きよ》める|水《みず》に|触《ふ》れた|者《もの》も|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すべて|汚《けが》れた|人《ひと》の|触《ふ》れる|物《もの》は|汚《けが》れる。またそれに|触《ふ》れる|人《ひと》も|夕《ゆう》まで|汚《けが》れるであろう』」。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|正月《しょうがつ》になってチンの|荒野《あらの》にはいった。そして|民《たみ》はカデシにとどまったが、ミリアムがそこで|死《し》んだので、|彼女《かのじょ》をそこに|葬《ほうむ》った。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのころ|会衆《かいしゅう》は|水《みず》が|得《え》られなかったため、|相《あい》|集《あつ》まってモーセとアロンに|迫《せま》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|民《たみ》はモーセと|争《あらそ》って|言《い》った、「さきにわれわれの|兄弟《きょうだい》たちが|主《しゅ》の|前《まえ》に|死《し》んだ|時《とき》、われわれも|死《し》んでいたらよかったものを。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、あなたがたは|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》をこの|荒野《あらの》に|導《みちび》いて、われわれと、われわれの|家畜《かちく》とを、ここで|死《し》なせようとするのですか。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]どうしてあなたがたはわれわれをエジプトから|上《のぼ》らせて、この|悪《わる》い|所《ところ》に|導《みちび》き|入《い》れたのですか。ここには|種《たね》をまく|所《ところ》もなく、いちじくもなく、ぶどうもなく、ざくろもなく、また|飲《の》む|水《みず》もありません」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセとアロンは|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》を|去《さ》り、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》へ|行《い》ってひれ|伏《ふ》した。すると|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|彼《かれ》らに|現《あらわ》れ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは、つえをとり、あなたの|兄弟《きょうだい》アロンと|共《とも》に|会衆《かいしゅう》を|集《あつ》め、その|目《め》の|前《まえ》で|岩《いわ》に|命《めい》じて|水《みず》を|出《だ》させなさい。こうしてあなたは|彼《かれ》らのために|岩《いわ》から|水《みず》を|出《だ》して、|会衆《かいしゅう》とその|家畜《かちく》に|飲《の》ませなさい」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|命《めい》じられたように|主《しゅ》の|前《まえ》にあるつえを|取《と》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセはアロンと|共《とも》に|会衆《かいしゅう》を|岩《いわ》の|前《まえ》に|集《あつ》めて|彼《かれ》らに|言《い》った、「そむく|人《ひと》たちよ、|聞《き》きなさい。われわれがあなたがたのためにこの|岩《いわ》から|水《みず》を|出《だ》さなければならないのであろうか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|手《て》をあげ、つえで|岩《いわ》を二|度《ど》|打《う》つと、|水《みず》がたくさんわき|出《で》たので、|会衆《かいしゅう》とその|家畜《かちく》はともに|飲《の》んだ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|主《しゅ》はモーセとアロンに|言《い》われた、「あなたがたはわたしを|信《しん》じないで、イスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》にわたしの|聖《せい》なることを|現《あらわ》さなかったから、この|会衆《かいしゅう》をわたしが|彼《かれ》らに|与《あた》えた|地《ち》に|導《みちび》き|入《い》れることができないであろう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これがメリバの|水《みず》であって、イスラエルの|人々《ひとびと》はここで|主《しゅ》と|争《あらそ》ったが、|主《しゅ》は|自分《じぶん》の|聖《せい》なることを|彼《かれ》らのうちに|現《あらわ》された。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]さて、モーセはカデシからエドムの|王《おう》に|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》った、「あなたの|兄弟《きょうだい》、イスラエルはこう|申《もう》します、『あなたはわたしたちが|遭遇《そうぐう》したすべての|患難《かんなん》をご|存《ぞん》じです。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちの|先祖《せんぞ》はエジプトに|下《くだ》って|行《い》って、わたしたちは|年《とし》|久《ひさ》しくエジプトに|住《す》んでいましたが、エジプトびとがわたしたちと、わたしたちの|先祖《せんぞ》を|悩《なや》ましたので、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちが|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったとき、|主《しゅ》はわたしたちの|声《こえ》を|聞《き》き、ひとりの|天《てん》の|使《つかい》をつかわして、わたしたちをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》されました。わたしたちは|今《いま》あなたの|領地《りょうち》の|端《はし》にあるカデシの|町《まち》におります。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、わたしたちにあなたの|国《くに》を|通《とお》らせてください。わたしたちは|畑《はたけ》もぶどう|畑《はたけ》も|通《とお》りません。また|井戸《いど》の|水《みず》も|飲《の》みません。ただ|王《おう》の|大路《おおじ》を|通《とお》り、あなたの|領地《りょうち》を|過《す》ぎるまでは|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》りません』」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、エドムはモーセに|言《い》った、「あなたはわたしの|領地《りょうち》をとおってはなりません。さもないと、わたしはつるぎをもって|出《で》て、あなたに|立《た》ちむかうでしょう」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はエドムに|言《い》った、「わたしたちは|大路《おおじ》を|通《とお》ります。もしわたしたちとわたしたちの|家畜《かちく》とが、あなたの|水《みず》を|飲《の》むことがあれば、その|価《あたい》を|払《はら》います。わたしは|徒歩《とほ》で|通《とお》るだけですから|何事《なにごと》もないでしょう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、エドムは「あなたは|通《とお》ることはなりません」と|言《い》って、|多《おお》くの|民《たみ》と|強《つよ》い|軍勢《ぐんぜい》とを|率《ひき》い、|出《で》て、これに|立《た》ちむかってきた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]このようにエドムはイスラエルに、その|領地《りょうち》を|通《とお》ることを|拒《こば》んだので、イスラエルはエドムからほかに|向《む》かった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はカデシから|進《すす》んでホル|山《やま》に|着《つ》いた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエドムの|国境《こっきょう》に|近《ちか》いホル|山《やま》で、モーセとアロンに|言《い》われた、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「アロンはその|民《たみ》に|連《つら》ならなければならない。|彼《かれ》はわたしがイスラエルの|人々《ひとびと》に|与《あた》えた|地《ち》に、はいることができない。これはメリバの|水《みず》で、あなたがたがわたしの|言葉《ことば》にそむいたからである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはアロンとその|子《こ》エレアザルを|連《つ》れてホル|山《やま》に|登《のぼ》り、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アロンに|衣服《いふく》を|脱《ぬ》がせて、それをその|子《こ》エレアザルに|着《き》せなさい。アロンはそのところで|死《し》んで、その|民《たみ》に|連《つら》なるであろう」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりにし、|連《つ》れだって|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|目《め》の|前《まえ》でホル|山《やま》に|登《のぼ》った。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセはアロンに|衣服《いふく》を|脱《ぬ》がせ、それをその|子《こ》エレアザルに|着《き》せた。アロンはその|山《やま》の|頂《いただき》で|死《し》んだ。そしてモーセとエレアザルは|山《やま》から|下《くだ》ったが、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》がアロンの|死《し》んだのを|見《み》たとき、イスラエルの|全家《ぜんか》は三十|日《にち》の|間《あいだ》アロンのために|泣《な》いた。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にネゲブに|住《す》んでいたカナンびとアラデの|王《おう》は、イスラエルがアタリムの|道《みち》をとおって|来《く》ると|聞《き》いて、イスラエルを|攻撃《こうげき》し、そのうちの|数人《すうにん》を|捕虜《ほりょ》にした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルは|主《しゅ》に|誓《ちか》いを|立《た》てて|言《い》った、「もし、あなたがこの|民《たみ》をわたしの|手《て》にわたしてくださるならば、わたしはその|町々《まちまち》をことごとく|滅《ほろ》ぼしましょう」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルの|言葉《ことば》を|聞《き》きいれ、カナンびとをわたされたので、イスラエルはそのカナンびとと、その|町々《まちまち》とをことごとく|滅《ほろ》ぼした。それでその|所《ところ》の|名《な》はホルマと|呼《よ》ばれた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はホル|山《やま》から|進《すす》み、|紅海《こうかい》の|道《みち》をとおって、エドムの|地《ち》を|回《まわ》ろうとしたが、|民《たみ》はその|道《みち》に|堪《た》えがたくなった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|神《かみ》とモーセとにむかい、つぶやいて|言《い》った、「あなたがたはなぜわたしたちをエジプトから|導《みちび》き|上《のぼ》って、|荒野《あらの》で|死《し》なせようとするのですか。ここには|食物《しょくもつ》もなく、|水《みず》もありません。わたしたちはこの|粗悪《そあく》な|食物《しょくもつ》はいやになりました」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》は、|火《ひ》のへびを|民《たみ》のうちに|送《おく》られた。へびは|民《たみ》をかんだので、イスラエルの|民《たみ》のうち、|多《おお》くのものが|死《し》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はモーセのもとに|行《い》って|言《い》った、「わたしたちは|主《しゅ》にむかい、またあなたにむかい、つぶやいて|罪《つみ》を|犯《おか》しました。どうぞへびをわたしたちから|取《と》り|去《さ》られるように|主《しゅ》に|祈《いの》ってください」。モーセは|民《たみ》のために|祈《いの》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|火《ひ》のへびを|造《つく》って、それをさおの|上《うえ》に|掛《か》けなさい。すべてのかまれた|者《もの》が|仰《あお》いで、それを|見《み》るならば|生《い》きるであろう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|青銅《せいどう》で一つのへびを|造《つく》り、それをさおの|上《うえ》に|掛《か》けて|置《お》いた。すべてへびにかまれた|者《もの》はその|青銅《せいどう》のへびを|仰《あお》いで|見《み》て|生《い》きた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|道《みち》を|進《すす》んでオボテに|宿営《しゅくえい》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またオボテから|進《すす》んで|東《ひがし》の|方《ほう》、モアブの|前《まえ》にある|荒野《あらの》において、イエアバリムに|宿営《しゅくえい》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またそこから|進《すす》んでゼレデの|谷《たに》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]さらにそこから|進《すす》んでアルノン|川《かわ》のかなたに|宿営《しゅくえい》した。アルノン|川《かわ》はアモリびとの|境《さかい》から|延《の》び|広《ひろ》がる|荒野《あらの》を|流《なが》れるもので、モアブとアモリびととの|間《あいだ》にあって、モアブの|境《さかい》をなしていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえに、「|主《しゅ》の|戦《たたか》いの|書《しょ》」にこう|言《い》われている。 [#ここから2字下げ] 「スパのワヘブ、 アルノンの|谷々《たにだに》、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|谷々《たにだに》の|斜面《しゃめん》、 アルの|町《まち》まで|傾《かたむ》き、 モアブの|境《さかい》に|寄《よ》りかかる」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそこからベエルへ|進《すす》んで|行《い》った。これは|主《しゅ》がモーセにむかって、「|民《たみ》を|集《あつ》めよ。わたしはかれらに|水《みず》を|与《あた》えるであろう」と|言《い》われた|井戸《いど》である。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》イスラエルはこの|歌《うた》をうたった。 [#ここから2字下げ] 「|井戸《いど》の|水《みず》よ、わきあがれ、 |人々《ひとびと》よ、この|井戸《いど》のために|歌《うた》え、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|笏《しゃく》とつえとをもって つかさたちがこの|井戸《いど》を|掘《ほ》り、 |民《たみ》のおさたちがこれを|掘《ほ》った」。 [#ここで字下げ終わり] そして|彼《かれ》らは|荒野《あらの》からマッタナに|進《すす》み、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]マッタナからナハリエルに、ナハリエルからバモテに、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]バモテからモアブの|野《の》にある|谷《たに》に|行《い》き、|荒野《あらの》を|見《み》おろすピスガの|頂《いただき》に|着《つ》いた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ここでイスラエルはアモリびとの|王《おう》シホンに|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》わせた、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしにあなたの|国《くに》を|通《とお》らせてください。わたしたちは|畑《はたけ》にもぶどう|畑《はたけ》にも、はいりません。また|井戸《いど》の|水《みず》も|飲《の》みません。わたしたちはあなたの|領地《りょうち》を|通《とお》り|過《す》ぎるまで、ただ|王《おう》の|大路《おおじ》を|通《とお》ります」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、シホンはイスラエルに|自分《じぶん》の|領地《りょうち》を|通《とお》ることを|許《ゆる》さなかった。そしてシホンは|民《たみ》をことごとく|集《あつ》め、|荒野《あらの》に|出《で》て、イスラエルを|攻《せ》めようとし、ヤハズにきてイスラエルと|戦《たたか》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは、やいばで|彼《かれ》を|撃《う》ちやぶり、アルノンからヤボクまで|彼《かれ》の|地《ち》を|占領《せんりょう》し、アンモンびとの|境《さかい》に|及《およ》んだ。ヤゼルはアンモンびとの|境《さかい》だからである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルはこれらの|町々《まちまち》をことごとく|取《と》った。そしてイスラエルはアモリびとのすべての|町々《まちまち》に|住《す》み、ヘシボンとそれに|附属《ふぞく》するすべての|村々《むらむら》にいた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンはアモリびとの|王《おう》シホンの|都《みやこ》であって、シホンはモアブの|以前《いぜん》の|王《おう》と|戦《たたか》って、|彼《かれ》の|地《ち》をアルノンまで、ことごとくその|手《て》から|奪《うば》い|取《と》ったのである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえに|歌《うた》にうたわれている。 [#ここから2字下げ] 「|人々《ひとびと》よ、ヘシボンにきたれ、 シホンの|町《まち》を|築《きず》き|建《た》てよ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンから|火《ひ》が|燃《も》え|出《だ》し、 シホンの|都《みやこ》から|炎《ほのお》が|出《で》て、 モアブのアルを|焼《や》き|尽《つく》し、 アルノンの|高地《こうち》の|君《きみ》たちを|滅《ほろ》ぼしたからだ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モアブよ、お|前《まえ》はわざわいなるかな、 ケモシの|民《たみ》よ、お|前《まえ》は|滅《ほろ》ぼされるであろう。 |彼《かれ》は、むすこらを|逃《に》げ|去《さ》らせ、 |娘《むすめ》らをアモリびとの|王《おう》シホンの|捕虜《ほりょ》とならせた。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|子《こ》らは|滅《ほろ》び|去《さ》った、 ヘシボンからデボンまで。 われわれは|荒《あら》した、|火《ひ》はついてメデバに|及《およ》んだ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルはアモリびとの|地《ち》に|住《す》んだが、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまた|人《ひと》をつかわしてヤゼルを|探《さぐ》らせ、ついにその|村々《むらむら》を|取《と》って、そこにいたアモリびとを|追《お》い|出《だ》し、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|転《てん》じてバシャンの|道《みち》に|上《のぼ》って|行《い》ったが、バシャンの|王《おう》オグは、その|民《たみ》をことごとく|率《ひき》い、エデレイで|戦《たたか》おうとして|出迎《でむか》えた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|彼《かれ》を|恐《おそ》れてはならない。わたしは|彼《かれ》とその|民《たみ》とその|地《ち》とを、ことごとくあなたの|手《て》にわたす。あなたはヘシボンに|住《す》んでいたアモリびとの|王《おう》シホンにしたように|彼《かれ》にもするであろう」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》とその|子《こ》とすべての|民《たみ》とを、ひとり|残《のこ》らず|撃《う》ち|殺《ころ》して、その|地《ち》を|占領《せんりょう》した。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、イスラエルの|人々《ひとびと》はまた|道《みち》を|進《すす》んで、エリコに|近《ちか》いヨルダンのかなたのモアブの|平野《へいや》に|宿営《しゅくえい》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]チッポルの|子《こ》バラクはイスラエルがアモリびとにしたすべての|事《こと》を|見《み》たので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モアブは|大《おお》いにイスラエルの|民《たみ》を|恐《おそ》れた。その|数《かず》が|多《おお》かったためである。モアブはイスラエルの|人々《ひとびと》をひじょうに|恐《おそ》れたので、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ミデアンの|長老《ちょうろう》たちに|言《い》った、「この|群衆《ぐんしゅう》は|牛《うし》が|野《の》の|草《くさ》をなめつくすように、われわれの|周囲《しゅうい》の|物《もの》をみな、なめつくそうとしている」。チッポルの|子《こ》バラクはこの|時《とき》モアブの|王《おう》であった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はアンモンびとの|国《くに》のユフラテ|川《かわ》のほとりにあるペトルに|使者《ししゃ》をつかわし、ベオルの|子《こ》バラムを|招《まね》こうとして|言《い》わせた、「エジプトから|出《で》てきた|民《たみ》があり、|地《ち》のおもてをおおってわたしの|前《まえ》にいます。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|今《いま》きてわたしのためにこの|民《たみ》をのろってください。|彼《かれ》らはわたしよりも|強《つよ》いのです。そうしてくだされば、われわれは|彼《かれ》らを|撃《う》って、この|国《くに》から|追《お》い|払《はら》うことができるかもしれません。あなたが|祝福《しゅくふく》する|者《もの》は|祝福《しゅくふく》され、あなたがのろう|者《もの》はのろわれることをわたしは|知《し》っています」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|長老《ちょうろう》たちとミデアンの|長老《ちょうろう》たちは|占《うらな》いの|礼物《れいもつ》を|手《て》にして|出発《しゅっぱつ》し、バラムのもとへ|行《い》って、バラクの|言葉《ことば》を|告《つ》げた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]バラムは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|今夜《こんや》ここに|泊《と》まりなさい。|主《しゅ》がわたしに|告《つ》げられるとおりに、あなたがたに|返答《へんとう》しましょう」。それでモアブのつかさたちはバラムのもとにとどまった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ときに|神《かみ》はバラムに|臨《のぞ》んで|言《い》われた、「あなたのところにいるこの|人々《ひとびと》はだれですか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]バラムは|神《かみ》に|言《い》った、「モアブの|王《おう》チッポルの|子《こ》バラクが、わたしに|人《ひと》をよこして|言《い》いました。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]『エジプトから|出《で》てきた|民《たみ》があり、|地《ち》のおもてをおおっています。どうぞ|今《いま》きてわたしのために|彼《かれ》らをのろってください。そうすればわたしは|戦《たたか》って、|彼《かれ》らを|追《お》い|払《はら》うことができるかもしれません』」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はバラムに|言《い》われた、「あなたは|彼《かれ》らと|一緒《いっしょ》に|行《い》ってはならない。またその|民《たみ》をのろってはならない。|彼《かれ》らは|祝福《しゅくふく》された|者《もの》だからである」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|明《あ》くる|朝《あさ》|起《お》きて、バラムはバラクのつかさたちに|言《い》った、「あなたがたは|国《くに》にお|帰《かえ》りなさい。|主《しゅ》はわたしがあなたがたと|一緒《いっしょ》に|行《い》くことを、お|許《ゆる》しになりません」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]モアブのつかさたちは|立《た》ってバラクのもとに|行《い》って|言《い》った、「バラムはわたしたちと|一緒《いっしょ》に|来《く》ることを|承知《しょうち》しません」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]バラクはまた|前《まえ》の|者《もの》よりも|身分《みぶん》の|高《たか》いつかさたちを|前《まえ》よりも|多《おお》くつかわした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはバラムのところへ|行《い》って|言《い》った、「チッポルの|子《こ》バラクはこう|申《もう》します、『どんな|妨《さまた》げをも|顧《かえり》みず、どうぞわたしのところへおいでください。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|大《おお》いに|優遇《ゆうぐう》します。そしてあなたがわたしに|言《い》われる|事《こと》はなんでもいたします。どうぞきてわたしのためにこの|民《たみ》をのろってください』」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、バラムはバラクの|家来《けらい》たちに|答《こた》えた、「たといバラクがその|家《いえ》に|満《み》ちるほどの|金銀《きんぎん》をわたしに|与《あた》えようとも、|事《こと》の|大小《だいしょう》を|問《と》わず、わたしの|神《かみ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|越《こ》えては|何《なに》もすることができません。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それで、どうぞ、あなたがたも|今夜《こんや》ここにとどまって、|主《しゅ》がこの|上《うえ》、わたしになんと|仰《おお》せられるかを|確《たし》かめさせてください」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よる》になり、|神《かみ》はバラムに|臨《のぞ》んで|言《い》われた、「この|人々《ひとびと》はあなたを|招《まね》きにきたのだから、|立《た》ってこの|人々《ひとびと》と|一緒《いっしょ》に|行《い》きなさい。ただしわたしが|告《つ》げることだけを|行《おこな》わなければならない」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|明《あ》くる|朝《あさ》|起《お》きてバラムは、ろばにくらをおき、モアブのつかさたちと|一緒《いっしょ》に|行《い》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかるに|神《かみ》は|彼《かれ》が|行《い》ったために|怒《いか》りを|発《はっ》せられ、|主《しゅ》の|使《つかい》は|彼《かれ》を|妨《さまた》げようとして、|道《みち》に|立《た》ちふさがっていた。バラムは、ろばに|乗《の》り、そのしもべふたりも|彼《かれ》と|共《とも》にいたが、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ろばは|主《しゅ》の|使《つかい》が、|手《て》に|抜《ぬ》き|身《み》のつるぎをもって、|道《みち》に|立《た》ちふさがっているのを|見《み》、|道《みち》をそれて|畑《はたけ》にはいったので、バラムは、ろばを|打《う》って|道《みち》に|返《かえ》そうとした。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかるに|主《しゅ》の|使《つかい》はまたぶどう|畑《はたけ》の|間《あいだ》の|狭《せま》い|道《みち》に|立《た》ちふさがっていた。|道《みち》の|両側《りょうがわ》には|石《いし》がきがあった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ろばは|主《しゅ》の|使《つかい》を|見《み》て、|石《いし》がきにすり|寄《よ》り、バラムの|足《あし》を|石《いし》がきに|押《お》しつけたので、バラムは、また、ろばを|打《う》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》はまた|先《さき》に|進《すす》んで、|狭《せま》い|所《ところ》に|立《た》ちふさがっていた。そこは|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも、|曲《まが》る|道《みち》がなかったので、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ろばは|主《しゅ》の|使《つかい》を|見《み》てバラムの|下《した》に|伏《ふ》した。そこでバラムは|怒《いか》りを|発《はっ》し、つえでろばを|打《う》った。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]すると、|主《しゅ》が、ろばの|口《くち》を|開《ひら》かれたので、ろばはバラムにむかって|言《い》った、「わたしがあなたに|何《なに》をしたというのですか。あなたは三|度《ど》もわたしを|打《う》ったのです」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]バラムは、ろばに|言《い》った、「お|前《まえ》がわたしを|侮《あなど》ったからだ。わたしの|手《て》につるぎがあれば、いま、お|前《まえ》を|殺《ころ》してしまうのだが」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ろばはまたバラムに|言《い》った、「わたしはあなたが、きょうまで|長《なが》いあいだ|乗《の》られたろばではありませんか。わたしはいつでも、あなたにこのようにしたでしょうか」。バラムは|言《い》った、「いや、しなかった」。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]このとき|主《しゅ》がバラムの|目《め》を|開《ひら》かれたので、|彼《かれ》は|主《しゅ》の|使《つかい》が|手《て》に|抜《ぬ》き|身《み》のつるぎをもって、|道《みち》に|立《た》ちふさがっているのを|見《み》て、|頭《とう》を|垂《た》れてひれ|伏《ふ》した。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|彼《かれ》に|言《い》った、「なぜあなたは三|度《ど》もろばを|打《う》ったのか。あなたが|誤《あやま》って|道《みち》を|行《い》くので、わたしはあなたを|妨《さまた》げようとして|出《で》てきたのだ。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ろばはわたしを|見《み》て三|度《ど》も|身《み》を|巡《めぐ》らしてわたしを|避《さ》けた。もし、ろばが|身《み》を|巡《めぐ》らしてわたしを|避《さ》けなかったなら、わたしはきっと|今《いま》あなたを|殺《ころ》して、ろばを|生《い》かしておいたであろう」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]バラムは|主《しゅ》の|使《つかい》に|言《い》った、「わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》しました。あなたがわたしをとどめようとして、|道《みち》に|立《た》ちふさがっておられるのを、わたしは|知《し》りませんでした。それで|今《いま》、もし、|お気《おき》に|召《め》さないのであれば、わたしは|帰《かえ》りましょう」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》はバラムに|言《い》った、「この|人々《ひとびと》と|一緒《いっしょ》に|行《い》きなさい。ただし、わたしが|告《つ》げることのみを|述《の》べなければならない」。こうしてバラムはバラクのつかさたちと|一緒《いっしょ》に|行《い》った。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]さて、バラクはバラムがきたと|聞《き》いて、|国境《こっきょう》のアルノン|川《かわ》のほとり、|国境《こっきょう》の|一端《いったん》にあるモアブの|町《まち》まで|出《で》て|行《い》って|迎《むか》えた。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そしてバラクはバラムに|言《い》った、「わたしは|人《ひと》をつかわしてあなたを|招《まね》いたではありませんか。あなたはなぜわたしのところへきませんでしたか。わたしは|実際《じっさい》あなたを|優遇《ゆうぐう》することができないでしょうか」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]バラムはバラクに|言《い》った、「ごらんなさい。わたしはあなたのところにきています。しかし、|今《いま》、|何事《なにごと》かをみずから|言《い》うことができましょうか。わたしはただ|神《かみ》がわたしの|口《くち》に|授《さづ》けられることを|述《の》べなければなりません」。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてバラムはバラクと|一緒《いっしょ》に|行《い》き、キリアテ・ホゾテにきたとき、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]バラクは|牛《うし》と|羊《ひつじ》とをほふって、バラムおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいたバラムを|連《つ》れてきたつかさたちに|贈《おく》った。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|明《あ》くる|朝《あさ》バラクはバラムを|伴《ともな》ってバモテバアルにのぼり、そこからイスラエルの|民《たみ》の|宿営《しゅくえい》の|一端《いったん》をながめさせた。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]バラムはバラクに|言《い》った、「わたしのために、ここに七つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、七|頭《とう》の|雄牛《おうし》と七|頭《とう》の|雄羊《おひつじ》とを|整《ととの》えなさい」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]バラクはバラムの|言《い》ったとおりにした。そしてバラクとバラムとは、その|祭壇《さいだん》ごとに|雄牛《おうし》一|頭《とう》と|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》とをささげた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]バラムはバラクに|言《い》った、「あなたは|燔祭《はんさい》のかたわらに|立《た》っていてください。その|間《あいだ》にわたしは|行《い》ってきます。|主《しゅ》はたぶんわたしに|会《あ》ってくださるでしょう。そして、|主《しゅ》がわたしに|示《しめ》される|事《こと》はなんでもあなたに|告《つ》げましょう」。こうして|彼《かれ》は一つのはげ|山《やま》に|登《のぼ》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がバラムに|会《あ》われたので、バラムは|神《かみ》に|言《い》った、「わたしは七つの|祭壇《さいだん》を|設《もう》け、|祭壇《さいだん》ごとに|雄牛《おうし》一|頭《とう》と|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》とをささげました」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はバラムの|口《くち》に|言葉《ことば》を|授《さづ》けて|言《い》われた、「バラクのもとに|帰《かえ》ってこう|言《い》いなさい」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がバラクのもとに|帰《かえ》ってみると、バラクはモアブのすべてのつかさたちと|共《とも》に|燔祭《はんさい》のかたわらに|立《た》っていた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]バラムはこの|託宣《たくせん》を|述《の》べた。 [#ここから2字下げ] 「バラクはわたしをアラムから|招《まね》き|寄《よ》せ、 モアブの|王《おう》はわたしを|東《ひがし》の|山《やま》から|招《まね》き|寄《よ》せて|言《い》う、 『きてわたしのためにヤコブをのろえ、 きてイスラエルをのろえ』と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》ののろわない|者《もの》を、わたしがどうしてのろえよう。 |主《しゅ》ののろわない|者《もの》を、わたしがどうしてのろえよう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》の|頂《いただき》からながめ、 |丘《おか》の|上《うえ》から|見《み》たが、 これはひとり|離《はな》れて|住《す》む|民《たみ》、 もろもろの|国民《こくみん》のうちに|並《なら》ぶものはない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]だれがヤコブの|群衆《ぐんしゅう》を|数《かぞ》え、 イスラエルの|無数《むすう》の|民《たみ》を|数《かぞ》え|得《え》よう。 わたしは|義人《ぎじん》のように|死《し》に、 わたしの|終《おわ》りは|彼《かれ》らの|終《おわ》りのようでありたい」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでバラクはバラムに|言《い》った、「あなたはわたしに|何《なに》をするのですか。わたしは|敵《てき》をのろうために、あなたを|招《まね》いたのに、あなたはかえって|敵《てき》を|祝福《しゅくふく》するばかりです」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]バラムは|答《こた》えた、「わたしは、|主《しゅ》がわたしの|口《くち》に|授《さづ》けられる|事《こと》だけを|語《かた》るように|注意《ちゅうい》すべきではないでしょうか」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]バラクは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしと|一緒《いっしょ》にほかのところへ|行《い》って、そこから|彼《かれ》らをごらんください。あなたはただ|彼《かれ》らの|一端《いったん》を|見《み》るだけで、|全体《ぜんたい》を|見《み》ることはできないでしょうが、そこからわたしのために|彼《かれ》らをのろってください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はバラムを|連《つ》れてゾピムの|野《の》に|行《い》き、ピスガの|頂《いただき》に|登《のぼ》って、そこに七つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、|祭壇《さいだん》ごとに|雄牛《おうし》一|頭《とう》と|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》とをささげた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ときにはバラムはバラクに|言《い》った、「あなたはここで、|燔祭《はんさい》のかたわらに|立《た》っていてください。わたしは|向《む》こうへ|行《い》って、|主《しゅ》に|伺《うかが》いますから」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はバラムに|臨《のぞ》み、|言葉《ことば》を|口《くち》に|授《さづ》けて|言《い》われた、「バラクのもとに|帰《かえ》ってこう|言《い》いなさい」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がバラクのところへ|行《い》って|見《み》ると、バラクは|燔祭《はんさい》のかたわらに|立《た》ち、モアブのつかさたちも|共《とも》にいた。バラクはバラムに|言《い》った、「|主《しゅ》はなんと|言《い》われましたか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでバラムはまたこの|託宣《たくせん》を|述《の》べた。 [#ここから2字下げ] 「バラクよ、|立《た》って|聞《き》け、 チッポルの|子《こ》よ、わたしに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|人《ひと》のように|偽《いつわ》ることはなく、 また|人《ひと》の|子《こ》のように|悔《く》いることもない。 |言《い》ったことで、|行《おこな》わないことがあろうか、 |語《かた》ったことで、しとげないことがあろうか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|祝福《しゅくふく》せよとの|命《めい》をわたしはうけた、 すでに|神《かみ》が|祝福《しゅくふく》されたものを、 わたしは|変《か》えることができない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]だれもヤコブのうちに|災《わざわい》のあるのを|見《み》ない、 またイスラエルのうちに|悩《なや》みのあるのを|見《み》ない。 |彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》が|共《とも》にいまし、 |王《おう》をたたえる|声《こえ》がその|中《なか》に|聞《きこ》える。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》された、 |彼《かれ》らは|野牛《やぎゅう》の|角《つの》のようだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブには|魔術《まじゅつ》がなく、 イスラエルには|占《うらな》いがない。 |神《かみ》がそのなすところを|時《とき》に|応《おう》じてヤコブに|告《つ》げ、 イスラエルに|示《しめ》されるからだ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、この|民《たみ》は|雌《め》じしのように|立《た》ち|上《あ》がり、 |雄《お》じしのように|身《み》を|起《おこ》す。 これはその|獲物《えもの》を|食《く》らい、 その|殺《ころ》した|者《もの》の|血《ち》を|飲《の》むまでは|身《み》を|横《よこ》たえない」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]バラクはバラムに|言《い》った、「あなたは|彼《かれ》らをのろうことも|祝福《しゅくふく》することも、やめてください」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]バラムは|答《こた》えてバラクに|言《い》った、「|主《しゅ》の|言《い》われることは、なんでもしなければならないと、わたしはあなたに|告《つ》げませんでしたか」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]バラクはバラムに|言《い》った、「どうぞ、おいでください。わたしはあなたをほかの|所《ところ》へお|連《つ》れしましょう。|神《かみ》はあなたがそこからわたしのために|彼《かれ》らをのろうことを|許《ゆる》されるかもしれません」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてバラクはバラムを|連《つ》れて、|荒野《あらの》を|見《み》おろすペオルの|頂《いただき》に|行《い》った。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]バラムはバラクに|言《い》った、「わたしのためにここに七つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、|雄牛《おうし》七|頭《とう》と、|雄羊《おひつじ》七|頭《とう》とを|整《ととの》えなさい」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]バラクはバラムの|言《い》ったとおりにし、その|祭壇《さいだん》ごとに|雄牛《おうし》一|頭《とう》と|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》とをささげた。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]バラムはイスラエルを|祝福《しゅくふく》することが|主《しゅ》の|心《こころ》にかなうのを|見《み》たので、|今度《こんど》はいつものように|行《い》って|魔術《まじゅつ》を|求《もと》めることをせず、|顔《かお》を|荒野《あらの》にむけ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》を|上《あ》げて、イスラエルがそれぞれ|部族《ぶぞく》にしたがって|宿営《しゅくえい》しているのを|見《み》た。その|時《とき》、|神《かみ》の|霊《れい》が|臨《のぞ》んだので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこの|託宣《たくせん》を|述《の》べた。 [#ここから2字下げ] 「ベオルの|子《こ》バラムの|言葉《ことば》、 |目《め》を|閉《と》じた|人《ひと》の|言葉《ことば》、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|言葉《ことば》を|聞《き》く|者《もの》、 |全能者《ぜんのうしゃ》の|幻《まぼろし》を|見《み》る|者《もの》、 |倒《たお》れ|伏《ふ》して、|目《め》の|開《ひら》かれた|者《もの》の|言葉《ことば》。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブよ、あなたの|天幕《てんまく》は|麗《うるわ》しい、 イスラエルよ、あなたのすまいは、|麗《うるわ》しい。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それは|遠《とお》くひろがる|谷々《たにだに》のよう、 |川《かわ》べの|園《その》のよう、 |主《しゅ》が|植《う》えられた|沈香《ぢんこう》|樹《じゅ》のよう、 |流《なが》れのほとりの|香柏《こうはく》のようだ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》は|彼《かれ》らのかめからあふれ、 |彼《かれ》らの|種《たね》は|水《みず》の|潤《うるお》いに|育《そだ》つであろう。 |彼《かれ》らの|王《おう》はアガグよりも|高《たか》くなり、 |彼《かれ》らの|国《くに》はあがめられるであろう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》された、 |彼《かれ》らは|野牛《やぎゅう》の|角《つの》のようだ。 |彼《かれ》らは|敵《てき》なる|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼし、 その|骨《ほね》を|砕《くだ》き、 |矢《や》をもって|突《つ》き|通《とお》すであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|雄《お》じしのように|身《み》をかがめ、 |雌《め》じしのように|伏《ふ》している。 だれが|彼《かれ》らを|起《おこ》しえよう。 あなたを|祝福《しゅくふく》する|者《もの》は|祝福《しゅくふく》され、 あなたをのろう|者《もの》はのろわれるであろう」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでバラクはバラムにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|手《て》を|打《う》ち|鳴《な》らした。そしてバラクはバラムに|言《い》った、「|敵《てき》をのろうために|招《まね》いたのに、あなたはかえって三|度《ど》までも|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》あなたは|急《いそ》いで|自分《じぶん》のところへ|帰《かえ》ってください。わたしはあなたを|大《おお》いに|優遇《ゆうぐう》しようと|思《おも》った。しかし、|主《しゅ》はその|優遇《ゆうぐう》をあなたに|得《え》させないようにされました」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]バラムはバラクに|言《い》った、「わたしはあなたがつかわされた|使者《ししゃ》たちに|言《い》ったではありませんか、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]『たといバラクがその|家《いえ》に|満《み》ちるほどの|金銀《きんぎん》をわたしに|与《あた》えようとも、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|越《こ》えて|心《こころ》のままに|善《ぜん》も|悪《あく》も|行《おこな》うことはできません。わたしは|主《しゅ》の|言《い》われることを|述《の》べるだけです』。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|今《いま》わたしの|民《たみ》のところへ|帰《かえ》って|行《い》きます。それでわたしはこの|民《たみ》が|後《のち》の|日《ひ》にあなたの|民《たみ》にどんなことをするかをお|知《おし》らせしましょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてこの|託宣《たくせん》を|述《の》べた。 [#ここから2字下げ] 「ベオルの|子《こ》バラムの|言葉《ことば》、 |目《め》を|閉《と》じた|人《ひと》の|言葉《ことば》。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|言葉《ことば》を|聞《き》く|者《もの》、 いと|高《たか》き|者《もの》の|知識《ちしき》をもつ|者《もの》、 |全能者《ぜんのうしゃ》の|幻《まぼろし》を|見《み》、 |倒《たお》れ|伏《ふ》して、|目《め》の|開《ひら》かれた|者《もの》の|言葉《ことば》。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》を|見《み》る、しかし|今《いま》ではない。 わたしは|彼《かれ》を|望《のぞ》み|見《み》る、しかし|近《ちか》くではない。 ヤコブから一つの|星《ほし》が|出《で》、 イスラエルから一|本《ぽん》のつえが|起《おこ》り、 モアブのこめかみと、 セツのすべての|子《こ》らの|脳天《のうてん》を|撃《う》つであろう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》のエドムは|領地《りょうち》となり、 セイルもまた|領地《りょうち》となるであろう。 そしてイスラエルは|勝利《しょうり》を|得《え》るであろう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|権《けん》を|執《と》る|者《もの》がヤコブから|出《で》、 |生《い》き|残《のこ》った|者《もの》を|町《まち》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼすであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]バラムはまたアマレクを|望《のぞ》み|見《み》て、この|託宣《たくせん》を|述《の》べた。 [#ここから2字下げ] 「アマレクは|諸《しょ》|国民《こくみん》のうちの|最初《さいしょ》のもの、 しかし、ついに|滅《ほろ》び|去《さ》るであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]またケニびとを|望《のぞ》み|見《み》てこの|託宣《たくせん》を|述《の》べた。 [#ここから2字下げ] 「お|前《まえ》のすみかは|堅固《けんご》だ、 |岩《いわ》に、お|前《まえ》は|巣《す》をつくっている。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、カインは|滅《ほろ》ぼされるであろう。 アシュルはいつまでお|前《まえ》を|捕虜《ほりょ》とするであろうか」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたこの|託宣《たくせん》を|述《の》べた。 [#ここから2字下げ] 「ああ、|神《かみ》が|定《さだ》められた|以上《いじょう》、 だれが|生《い》き|延《の》びることができよう。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]キッテムの|海岸《かいがん》から|舟《ふね》がきて、 アシュルを|攻《せ》めなやまし、 エベルを|攻《せ》めなやますであろう。 そして|彼《かれ》もまたついに|滅《ほろ》び|去《さ》るであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてバラムは|立《た》ち|上《あ》がって、|自分《じぶん》のところへ|帰《かえ》っていった。バラクもまた|立《た》ち|去《さ》った。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはシッテムにとどまっていたが、|民《たみ》はモアブの|娘《むすめ》たちと、みだらな|事《こと》をし|始《はじ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|娘《むすめ》たちが|神々《かみがみ》に|犠牲《ぎせい》をささげる|時《とき》に|民《たみ》を|招《まね》くと、|民《たみ》は|一緒《いっしょ》にそれを|食《た》べ、|娘《むすめ》たちの|神々《かみがみ》を|拝《おが》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはこうしてペオルのバアルにつきしたがったので、|主《しゅ》はイスラエルにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》せられた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|民《たみ》の|首領《しゅりょう》をことごとく|捕《とら》え、|日《ひ》のあるうちにその|人々《ひとびと》を|主《しゅ》の|前《まえ》で|処刑《しょけい》しなさい。そうすれば|主《しゅ》の|怒《いか》りはイスラエルを|離《はな》れるであろう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルのさばきびとたちにむかって|言《い》った、「あなたがたはおのおの、|配下《はいか》の|者《もの》どもでペオルのバアルにつきしたがったものを|殺《ころ》しなさい」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセとイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》とが|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で|泣《な》いていた|時《とき》、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で、ひとりのイスラエルびとが、その|兄弟《きょうだい》たちの|中《なか》に、ひとりのミデアンの|女《おんな》を|連《つ》れてきた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》アロンの|子《こ》なるエレアザルの|子《こ》ピネハスはこれを|見《み》て、|会衆《かいしゅう》のうちから|立《た》ち|上《あ》がり、やりを|手《て》に|執《と》り、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そのイスラエルの|人《ひと》の|後《あと》を|追《お》って、|奥《おく》の|間《ま》に|入《い》り、そのイスラエルの|人《ひと》を|突《つ》き、またその|女《おんな》の|腹《はら》を|突《つ》き|通《とお》して、ふたりを|殺《ころ》した。こうして|疫病《えきびょう》がイスラエルの|人々《ひとびと》に|及《およ》ぶのがやんだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|疫病《えきびょう》で|死《し》んだ|者《もの》は二万四千|人《にん》であった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「|祭司《さいし》アロンの|子《こ》なるエレアザルの|子《こ》ピネハスは|自分《じぶん》のことのように、わたしの|憤激《ふんげき》をイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|表《あら》わし、わたしの|怒《いか》りをそのうちから|取《と》り|去《さ》ったので、わたしは|憤激《ふんげき》して、イスラエルの|人々《ひとびと》を|滅《ほろ》ぼすことをしなかった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このゆえにあなたは|言《い》いなさい、『わたしは|平和《へいわ》の|契約《けいやく》を|彼《かれ》に|授《さづ》ける。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》とその|後《のち》の|子孫《しそん》に|永遠《えいえん》の|祭司《さいし》|職《しょく》の|契約《けいやく》となるであろう。|彼《かれ》はその|神《かみ》のために|熱心《ねっしん》であって、イスラエルの|人々《ひとびと》のために|罪《つみ》のあがないをしたからである』と」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ミデアンの|女《おんな》と|共《とも》に|殺《ころ》されたイスラエルの|人《ひと》の|名《な》はジムリといい、サルの|子《こ》で、シメオンびとのうちの|一族《いちぞく》のつかさであった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またその|殺《ころ》されたミデアンの|女《おんな》の|名《な》はコズビといい、ツルの|娘《むすめ》であった。ツルはミデアンの|民《たみ》の|一族《いちぞく》のかしらであった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「ミデアンびとを|打《う》ち|悩《なや》ましなさい。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはたくらみをもって、あなたがたを|悩《なや》まし、ペオルの|事《こと》と、|彼《かれ》らの|姉妹《しまい》、ミデアンのつかさの|娘《むすめ》コズビ、すなわちペオルの|事《こと》により、|疫病《えきびょう》の|起《おこ》った|日《ひ》に|殺《ころ》された|女《おんな》の|事《こと》とによって、あなたがたを|惑《まど》わしたからである」。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|疫病《えきびょう》の|後《のち》、|主《しゅ》はモーセと|祭司《さいし》アロンの|子《こ》エレアザルとに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|総数《そうすう》をその|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって|調《しら》べ、イスラエルにおいて、すべて|戦争《せんそう》に|出《で》ることのできる二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》を|数《かぞ》えなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセと|祭司《さいし》エレアザルとは、エリコに|近《ちか》いヨルダンのほとりにあるモアブの|平野《へいや》で|彼《かれ》らに|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたように、あなたがたのうちの二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》を|数《かぞ》えなさい」。エジプトの|地《ち》から|出《で》てきたイスラエルの|人々《ひとびと》は|次《つぎ》のとおりである。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ルベンはイスラエルの|長子《ちょうし》である。ルベンの|子孫《しそん》は、ヘノクからヘノクびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、パルからパルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヘヅロンからヘヅロンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、カルミからカルミびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これらはルベンびとの|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万三千七百三十|人《にん》であった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またパルの|子《こ》はエリアブ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エリアブの|子《こ》はネムエル、ダタン、アビラムである。このダタンとアビラムとは|会衆《かいしゅう》のうちから|選《えら》び|出《だ》された|者《もの》で、コラのともがらと|共《とも》にモーセとアロンとに|逆《さか》らって|主《しゅ》と|争《あらそ》った|時《とき》、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|口《くち》を|開《ひら》いて|彼《かれ》らとコラとをのみ、その|仲間《なかま》は|死《し》んだ。その|時《とき》二百五十|人《にん》が|火《ひ》に|焼《や》き|滅《ほろ》ぼされて、|戒《いまし》めの|鏡《かがみ》となった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ただし、コラの|子《こ》たちは|死《し》ななかった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、ネムエルからネムエルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ヤミンからヤミンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ヤキンからヤキンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ゼラからゼラびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、シャウルからシャウルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これらはシメオンびとの|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は二万二千二百|人《にん》であった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、ゼポンからゼポンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ハギからハギびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、シュニからシュニびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]オズニからオズニびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、エリからエリびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アロドからアロドびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、アレリからアレリびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これらはガドの|子孫《しそん》の|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万五百|人《にん》であった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子《こ》らはエルとオナンとであって、エルとオナンとはカナンの|地《ち》で|死《し》んだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、シラからシラびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ペレヅからペレヅびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ゼラからゼラびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ペレヅの|子孫《しそん》は、ヘヅロンからヘヅロンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ハムルからハムルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これらはユダの|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は七万六千五百|人《にん》であった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、トラからトラびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、プワからプワびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヤシュブからヤシュブびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、シムロンからシムロンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]これらはイッサカルの|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は六万四千三百|人《にん》であった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、セレデからセレデびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、エロンからエロンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ヤリエルからヤリエルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]これらはゼブルンびとの|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は六万五百|人《にん》であった。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子《こ》らは、その|氏族《しぞく》によれば、マナセとエフライムとであって、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|子孫《しそん》は、マキルからマキルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。マキルからギレアデが|生《うま》れ、ギレアデからギレアデびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。イエゼルからイエゼルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ヘレクからヘレクびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]アスリエルからアスリエルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、シケムからシケムびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]セミダからセミダびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ヘペルからヘペルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ヘペルの|子《こ》ゼロペハデには|男《おとこ》の|子《こ》がなく、ただ|女《おんな》の|子《こ》のみで、ゼロペハデの|女《おんな》の|子《こ》の|名《な》はマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]これらはマナセの|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は五万二千七百|人《にん》であった。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、|次《つぎ》のとおりである。シュテラからはシュテラびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ベケルからベケルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、タハンからタハンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]またシュテラの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちエランからエランびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]これらはエフライムの|子孫《しそん》の|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は三万二千五百|人《にん》であった。|以上《いじょう》はヨセフの|子孫《しそん》で、その|氏族《しぞく》によるものである。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、ベラからベラびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、アシベルからアシベルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、アヒラムからアヒラムびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]シュパムからシュパムびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ホパムからホパムびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ベラの|子《こ》はアルデとナアマンとであって、アルデからアルデびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ナアマンからナアマンびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]これらはベニヤミンの|子孫《しそん》であって、その|氏族《しぞく》によれば|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万五千六百|人《にん》であった。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、|次《つぎ》のとおりである。シュハムからシュハムびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。これらはダンの|氏族《しぞく》であって、その|氏族《しぞく》によるものである。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]シュハムびとのすべての|氏族《しぞく》のうち、|数《かぞ》えられた|者《もの》は六万四千四百|人《にん》であった。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、エムナからエムナびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、エスイからエスイびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、ベリアからベリアびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]ベリアの|子孫《しそん》のうちヘベルからヘベルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、マルキエルからマルキエルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|娘《むすめ》の|名《な》はサラといった。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]これらはアセルの|子孫《しそん》の|氏族《しぞく》であって、|数《かぞ》えられた|者《もの》は五万三千四百|人《にん》であった。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|子孫《しそん》は、その|氏族《しぞく》によれば、ヤジエルからヤジエルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、グニからグニびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]エゼルからエゼルびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、シレムからシレムびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]これらはナフタリの|氏族《しぞく》であって、その|氏族《しぞく》により、|数《かぞ》えられた|者《もの》は四万五千四百|人《にん》であった。  [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]これらはイスラエルの|子孫《しそん》の|数《かぞ》えられた|者《もの》であって、六十万一千百三十|人《にん》であった。  [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]「これらの|人々《ひとびと》に、その|名《な》の|数《かず》にしたがって|地《ち》を|分《わ》け|与《あた》え、|嗣《し》|業《ぎょう》とさせなさい。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》きい|部族《ぶぞく》には|多《おお》くの|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》え、|小《ちい》さい|部族《ぶぞく》には|少《すこ》しの|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えなさい。すなわち|数《かぞ》えられた|数《かず》にしたがって、おのおのの|部族《ぶぞく》にその|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えなければならない。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]ただし|地《ち》は、くじをもって|分《わ》け、その|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》の|名《な》にしたがって、それを|継《つ》がなければならない。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、くじをもってその|嗣《し》|業《ぎょう》を|大《おお》きいものと、|小《ちい》さいものとに|分《わ》けなければならない」。  [#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]レビびとのその|氏族《しぞく》にしたがって|数《かぞ》えられた|者《もの》は|次《つぎ》のとおりである。ゲルションからゲルションびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、コハテからコハテびとの|氏族《しぞく》が|出《で》、メラリからメラリびとの|氏族《しぞく》が|出《で》た。[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]レビの|氏族《しぞく》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちリブニびとの|氏族《しぞく》、ヘブロンびとの|氏族《しぞく》、マヘリびとの|氏族《しぞく》、ムシびとの|氏族《しぞく》、コラびとの|氏族《しぞく》であって、コハテからアムラムが|生《うま》れた。[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]アムラムの|妻《つま》の|名《な》はヨケベデといって、レビの|娘《むすめ》である。|彼女《かのじょ》はエジプトでレビに|生《うま》れた|者《もの》であるが、アムラムにとついで、アロンとモーセおよびその|姉妹《しまい》ミリアムを|産《う》んだ。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]アロンにはナダブ、アビウ、エレアザルおよびイタマルが|生《うま》れた。[#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]ナダブとアビウは|異火《ことび》を|主《しゅ》の|前《まえ》にささげた|時《とき》に|死《し》んだ。[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]その|数《かぞ》えられた一か|月《げつ》|以上《いじょう》のすべての|男子《だんし》は二万三千|人《にん》であった。|彼《かれ》らはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えられなかったため、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|数《かぞ》えられなかった|者《もの》である。  [#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]これらはモーセと|祭司《さいし》エレアザルが、エリコに|近《ちか》いヨルダンのほとりにあるモアブの|平野《へいや》で|数《かぞ》えたイスラエルの|人々《ひとびと》の|数《かず》である。[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]ただしそのうちには、モーセと|祭司《さいし》アロンがシナイの|荒野《あらの》でイスラエルの|人々《ひとびと》を|数《かぞ》えた|時《とき》に|数《かぞ》えられた|者《もの》はひとりもなかった。[#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]それは|主《しゅ》がかつて|彼《かれ》らについて「|彼《かれ》らは|必《かなら》ず|荒野《あらの》で|死《し》ぬであろう」と|言《い》われたからである。それで|彼《かれ》らのうちエフンネの|子《こ》カレブとヌンの|子《こ》ヨシュアのほか、ひとりも|残《のこ》った|者《もの》はなかった。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ヨセフの|子《こ》マナセの|氏族《しぞく》のうちのヘペルの|子《こ》、ゼロペハデの|娘《むすめ》たちが|訴《うった》えてきた。ヘペルはギレアデの|子《こ》、ギレアデはマキルの|子《こ》、マキルはマナセの|子《こ》である。その|娘《むすめ》たちは|名《な》をマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといったが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》でモーセと、|祭司《さいし》エレアザルと、つかさたちと|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》との|前《まえ》に|立《た》って|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしたちの|父《ちち》は|荒野《あらの》で|死《し》にました。|彼《かれ》は、コラの|仲間《なかま》となって|主《しゅ》に|逆《さか》らった|者《もの》どもの|仲間《なかま》のうちには|加《くわ》わりませんでした。|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|罪《つみ》によって|死《し》んだのですが、|男《おとこ》の|子《こ》がありませんでした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》の|子《こ》がないからといって、どうしてわたしたちの|父《ちち》の|名《な》がその|氏族《しぞく》のうちから|削《けず》られなければならないのでしょうか。わたしたちの|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》と|同《おな》じように、わたしたちにも|所有《しょゆう》|地《ち》を|与《あた》えてください」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]モーセがその|事《こと》を|主《しゅ》の|前《まえ》に|述《の》べると、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「ゼロペハデの|娘《むすめ》たちの|言《い》うことは|正《ただ》しい。あなたは|必《かなら》ず|彼《かれ》らの|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》たちと|同《おな》じように、|彼《かれ》らにも|嗣《し》|業《ぎょう》の|所有《しょゆう》|地《ち》を|与《あた》えなければならない。すなわち、その|父《ちち》の|嗣《し》|業《ぎょう》を|彼《かれ》らに|渡《わた》さなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『もし|人《ひと》が|死《し》んで、|男《おとこ》の|子《こ》がない|時《とき》は、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|娘《むすめ》に|渡《わた》さなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もしまた|娘《むすめ》もない|時《とき》は、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|兄弟《きょうだい》に|与《あた》えなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もし|兄弟《きょうだい》もない|時《とき》は、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》に|与《あた》えなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もしまた|父《ちち》に|兄弟《きょうだい》がない|時《とき》は、その|氏族《しぞく》のうちで|彼《かれ》に|最《もっと》も|近《ちか》い|親族《しんぞく》にその|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えて|所有《しょゆう》させなければならない』。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにイスラエルの|人々《ひとびと》は、これをおきての|定《さだ》めとしなければならない」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「このアバリムの|山《やま》に|登《のぼ》って、わたしがイスラエルの|人々《ひとびと》に|与《あた》える|地《ち》を|見《み》なさい。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれを|見《み》てから、|兄弟《きょうだい》アロンのようにその|民《たみ》に|加《くわ》えられるであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これは|会衆《かいしゅう》がチンの|荒野《あらの》で|逆《さか》らい|争《あらそ》った|時《とき》、あなたがたはわたしの|命《めい》にそむき、あの|水《みず》のかたわらで|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》にわたしの|聖《せい》なることを|現《あらわ》さなかったからである」。これはチンの|荒野《あらの》にあるカデシのメリバの|水《みず》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》に|言《い》った、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「すべての|肉《にく》なるものの|命《いのち》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうぞ、この|会衆《かいしゅう》の|上《うえ》にひとりの|人《ひと》を|立《た》て、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|前《まえ》に|出入《でい》りし、|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》し、|彼《かれ》らを|導《みちび》き|入《い》れる|者《もの》とし、|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》を|牧者《ぼくしゃ》のない|羊《ひつじ》のようにしないでください」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「|神《かみ》の|霊《れい》のやどっているヌンの|子《こ》ヨシュアを|選《えら》び、あなたの|手《て》をその|上《うえ》におき、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》を|祭司《さいし》エレアザルと|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|立《た》たせて、|彼《かれ》らの|前《まえ》で|職《しょく》に|任《にん》じなさい。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》にあなたの|権威《けんい》を|分《わ》け|与《あた》え、イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を|彼《かれ》に|従《したが》わせなさい。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|祭司《さいし》エレアザルの|前《まえ》に|立《た》ち、エレアザルは|彼《かれ》のためにウリムをもって、|主《しゅ》の|前《まえ》に|判断《はんだん》を|求《もと》めなければならない。ヨシュアとイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》とはエレアザルの|言葉《ことば》に|従《したが》っていで、エレアザルの|言葉《ことば》に|従《したが》ってはいらなければならない」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|主《しゅ》が|命《めい》じられたようにし、ヨシュアを|選《えら》んで、|祭司《さいし》エレアザルと|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|立《た》たせ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|上《うえ》に|手《て》をおき、|主《しゅ》がモーセによって|語《かた》られたとおりに|彼《かれ》を|任命《にんめい》した。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて|言《い》いなさい、『あなたがたは|香《こう》ばしいかおりとしてわたしにささげる|火祭《かさい》、すなわち、わたしの|供《そな》え|物《もの》、わたしの|食物《しょくもつ》を|定《さだ》めの|時《とき》にわたしにささげることを|怠《おこた》ってはならない』。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『あなたがたが|主《しゅ》にささぐべき|火祭《かさい》はこれである。すなわち一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》二|頭《とう》を|毎日《まいにち》ささげて|常燔祭《じょうはんさい》としなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》を|朝《あさ》にささげ、一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》を|夕《ゆう》にささげなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ぶん》の一に、|砕《くだ》いて|取《と》った|油《あぶら》一ヒンの四|分《ぶん》の一を|混《ま》ぜて|素祭《そさい》としなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これはシナイ|山《さん》で|定《さだ》められた|常燔祭《じょうはんさい》であって、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとしてささげる|火祭《かさい》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またその|灌祭《かんさい》は|小羊《こひつじ》一|頭《とう》について一ヒンの四|分《ぶん》の一をささげなければならない。すなわち|聖所《せいじょ》において|主《しゅ》のために|濃《こ》い|酒《さけ》をそそいで|灌祭《かんさい》としなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》には|他《た》の一|頭《とう》の|小羊《こひつじ》をささげなければならない。その|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは|朝《あさ》のものと|同《おな》じようにし、その|小羊《こひつじ》を|火祭《かさい》としてささげ、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|安息日《あんそくにち》には一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》二|頭《とう》と、|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ん》の二に|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|素祭《そさい》と、その|灌祭《かんさい》とをささげなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これは|安息日《あんそくにち》ごとの|燔祭《はんさい》であって、|常燔祭《じょうはんさい》とその|灌祭《かんさい》とに|加《くわ》えらるべきものである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたは|月々《つきづき》の|第《だい》一|日《にち》に|燔祭《はんさい》を|主《しゅ》にささげなければならない。すなわち|若《わか》い|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》七|頭《とう》をささげ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|雄牛《おうし》一|頭《とう》には|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ぶん》の三に|油《あぶら》を|混《ま》ぜたものを|素祭《そさい》とし、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》には|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ぶん》の二に|油《あぶら》を|混《ま》ぜたものを|素祭《そさい》とし、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|小羊《こひつじ》一|頭《とう》には|麦粉《むぎこ》十|分《ぶん》の一に|油《あぶら》を|混《ま》ぜたものを|素祭《そさい》とし、これを|香《こう》ばしいかおりの|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》のために|火祭《かさい》としなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またその|灌祭《かんさい》は|雄牛《おうし》一|頭《とう》についてぶどう|酒《しゅ》一ヒンの二|分《ぶん》の一、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》について一ヒンの三|分《ぶん》の一、|小羊《こひつじ》一|頭《とう》について一ヒンの四|分《ぶん》の一をささげなければならない。これは|年《ねん》の|月々《つきづき》を|通《つう》じて、|新月《しんげつ》ごとにささぐべき|燔祭《はんさい》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|常燔祭《じょうはんさい》とその|灌祭《かんさい》とのほかに、|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》として|主《しゅ》にささげなければならない。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|正月《しょうがつ》の十四|日《か》は|主《しゅ》の|過越《すぎこし》の|祭《まつり》である。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またその|月《つき》の十五|日《にち》は|祭日《さいじつ》としなければならない。|七日《なぬか》のあいだ|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|初《はじ》めの|日《ひ》には|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。なんの|労役《ろうえき》をもしてはならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|火祭《かさい》として|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》をささげなければならない。すなわち|若《わか》い|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》七|頭《とう》をささげなければならない。これらはみな|全《まった》きものでなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|素祭《そさい》には|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》をささげなければならない。すなわち|雄牛《おうし》一|頭《とう》につき|麦粉《むぎこ》一エパの十|分《ぶん》の三、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》につき十|分《ぶん》の二をささげ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また七|頭《とう》の|小羊《こひつじ》にはその一|頭《とう》ごとに十|分《ぶん》の一をささげなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげ、あなたがたのために|罪《つみ》のあがないをしなければならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|朝《あさ》にささげる|常燔祭《じょうはんさい》の|燔祭《はんさい》のほかに、これらをささげなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]このようにあなたがたは|七日《なぬか》のあいだ|毎日《まいにち》、|火祭《かさい》の|食物《しょくもつ》をささげて、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。これは|常燔祭《じょうはんさい》とその|灌祭《かんさい》とのほかにささぐべきものである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そして|第《だい》七|日《にち》に、あなたがたは|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。なんの|労役《ろうえき》をもしてはならない。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは七|週《しゅう》の|祭《まつり》、すなわち|新《あたら》しい|素祭《そさい》を|主《しゅ》にささげる|初穂《はつほ》の|日《ひ》にも|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。なんの|労役《ろうえき》をもしてはならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|燔祭《はんさい》をささげて、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。すなわち|若《わか》い|雄牛《おうし》二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》七|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|素祭《そさい》には|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》をささげなければならない。すなわち|雄牛《おうし》一|頭《とう》につき一エパの十|分《ぶん》の三、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》につき十|分《ぶん》の二をささげ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]また七|頭《とう》の|小羊《こひつじ》には一|頭《とう》ごとに十|分《ぶん》の一をささげなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》をささげてあなたがたのために|罪《つみ》のあがないをしなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》とその|灌祭《かんさい》とのほかに、これらをささげなければならない。これらはみな、|全《まった》きものでなければならない。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]七|月《がつ》には、その|月《つき》の|第《だい》一|日《にち》に|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。なんの|労役《ろうえき》をもしてはならない。これはあなたがたがラッパを|吹《ふ》く|日《ひ》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|燔祭《はんさい》をささげて、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。すなわち|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》七|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|素祭《そさい》には|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》をささげなければならない。すなわち|雄牛《おうし》一|頭《とう》について一エパの十|分《ぶん》の三、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》について十|分《ぶん》の二をささげ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また七|頭《とう》の|小羊《こひつじ》には一|頭《とう》ごとに十|分《ぶん》の一をささげなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげ、あなたがたのために|罪《つみ》のあがないをしなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これは|新月《しんげつ》の|燔祭《はんさい》とその|素祭《そさい》、|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》、および|灌祭《かんさい》のほかのものであって、これらのものの|定《さだ》めにしたがい、|香《こう》ばしいかおりとして、|主《しゅ》に|火祭《かさい》としなければならない。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またその七|月《がつ》の十|日《か》に|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》き、かつあなたがたの|身《み》を|悩《なや》まさなければならない。なんの|仕事《しごと》もしてはならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》をささげて、|香《こう》ばしいかおりとしなければならない。すなわち|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》七|頭《とう》をささげなければならない。これらはみな|全《まった》きものでなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|素祭《そさい》には|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》をささげなければならない。すなわち|雄牛《おうし》一|頭《とう》につき一エパの十|分《ぶん》の三、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》につき十|分《ぶん》の二をささげ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また七|頭《とう》の|小羊《こひつじ》には一|頭《とう》ごとに十|分《ぶん》の一をささげなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|贖罪《しょくざい》の|罪祭《ざいさい》と|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》、および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]七|月《がつ》の十五|日《にち》に|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。なんの|労役《ろうえき》もしてはならない。|七日《なぬか》のあいだ|主《しゅ》のために|祭《まつり》をしなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|燔祭《はんさい》をささげて、|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりの|火祭《かさい》としなければならない。すなわち|若《わか》い|雄牛《おうし》十三|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|小羊《こひつじ》十四|頭《とう》をささげなければならない。これらはみな|全《まった》きものでなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|素祭《そさい》には|油《あぶら》を|混《ま》ぜた|麦粉《むぎこ》をささげなければならない。すなわち十三|頭《とう》の|雄牛《おうし》には一|頭《とう》ごとに十|分《ぶん》の三、その二|頭《とう》の|雄羊《おひつじ》には一|頭《とう》ごとに十|分《ぶん》の二をささげ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その十四|頭《とう》の|小羊《こひつじ》には一|頭《とう》ごとに十|分《ぶん》の一をささげなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二|日《にち》には|若《わか》い|雄牛《おうし》十二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》十四|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》と|小羊《こひつじ》とのための|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とはその|数《かず》にしたがって、|定《さだ》めのようにささげなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三|日《にち》には|雄牛《おうし》十一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》十四|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》と|小羊《こひつじ》とのための|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは、その|数《かず》にしたがって|定《さだ》めのようにささげなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四|日《にち》には|雄牛《おうし》十|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》十四|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》と|小羊《こひつじ》とのための|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは、その|数《かず》にしたがって|定《さだ》めのようにささげなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》五|日《にち》には|雄牛《おうし》九|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》十四|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》と|小羊《こひつじ》とのための|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは、その|数《かず》にしたがって|定《さだ》めのようにささげなければならない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六|日《にち》には|雄牛《おうし》八|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》十四|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》と|小羊《こひつじ》とのための|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは、その|数《かず》にしたがって|定《さだ》めのようにささげなければならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七|日《にち》には|雄牛《おうし》七|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》十四|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》と|小羊《こひつじ》とのための|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは、その|数《かず》にしたがって|定《さだ》めのようにささげなければならない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》八|日《か》にはまた|集会《しゅうかい》を|開《ひら》かなければならない。なんの|労役《ろうえき》をもしてはならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|燔祭《はんさい》をささげて|主《しゅ》に|香《こう》ばしいかおりの|火祭《かさい》としなければならない。すなわち|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》、一|歳《さい》の|雄《おす》の|全《まった》き|小羊《こひつじ》七|頭《とう》をささげなければならない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》と|雄羊《おひつじ》と|小羊《こひつじ》とのための|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは、その|数《かず》にしたがって|定《さだ》めのようにささげなければならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]また|雄《お》やぎ一|頭《とう》を|罪祭《ざいさい》としてささげなければならない。これらは|常燔祭《じょうはんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》のほかのものである。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|定《さだ》めの|祭《まつり》の|時《とき》に、これらのものを|主《しゅ》にささげなければならない。これらはあなたがたの|誓願《せいがん》、または|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》としてささげる|燔祭《はんさい》、|素祭《そさい》、|灌祭《かんさい》および|酬恩祭《しゅうおんさい》のほかのものである』」。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》が|命《めい》じられた|事《こと》をことごとくイスラエルの|人々《ひとびと》に|告《つ》げた。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》のかしらたちに|言《い》った、「これは|主《しゅ》が|命《めい》じられた|事《こと》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|主《しゅ》に|誓願《せいがん》をかけ、またはその|身《み》に|物《もの》|断《だ》ちをしようと|誓《ちか》いをするならば、その|言葉《ことば》を|破《やぶ》ってはならない。|口《くち》で|言《い》ったとおりにすべて|行《おこな》わなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またもし|女《おんな》がまだ|若《わか》く、|父《ちち》の|家《いえ》にいて、|主《しゅ》に|誓願《せいがん》をかけ、またはその|身《み》に|物《もの》|断《だ》ちをしようとする|時《とき》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》が|彼女《かのじょ》の|誓願《せいがん》、または|彼女《かのじょ》の|身《み》に|断《た》った|物《もの》|断《だ》ちのことを|聞《き》いて、|彼女《かのじょ》に|何《なに》も|言《い》わないならば、|彼女《かのじょ》はすべて|誓願《せいがん》を|行《おこな》い、またその|身《み》に|断《た》った|物《もの》|断《だ》ちをすべて|守《まも》らなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼女《かのじょ》の|父《ちち》がそれを|聞《き》いた|日《ひ》に、それを|承認《しょうにん》しない|時《とき》は、|彼女《かのじょ》はその|誓願《せいがん》、またはその|身《み》に|断《た》った|物《もの》|断《だ》ちをすべてやめることができる。|父《ちち》が|承認《しょうにん》しないのであるから、|主《しゅ》は|彼女《かのじょ》をゆるされるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またもし|夫《おっと》のある|身《み》で、みずから|誓願《せいがん》をかけ、またはその|身《み》に|物《もの》|断《だ》ちをしようと、|軽々《かるがる》しく|口《くち》で|言《い》った|場合《ばあい》、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|夫《おっと》がそれを|聞《き》き、それを|聞《き》いた|日《ひ》に|彼女《かのじょ》に|何《なに》も|言《い》わないならば、|彼女《かのじょ》はその|誓願《せいがん》を|行《おこな》い、その|身《み》に|断《た》った|物《もの》|断《だ》ちを|守《まも》らなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|夫《おっと》がそれを|聞《き》いた|日《ひ》に、それを|承認《しょうにん》しないならば、|夫《おっと》はその|女《おんな》がかけた|誓願《せいがん》、またはその|身《み》に|物《もの》|断《だ》ちをしようと、|軽々《かるがる》しく|口《くち》に|言《い》ったことをやめさせることができる。|主《しゅ》はその|女《おんな》をゆるされるであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|寡婦《かふ》あるいは|離縁《りえん》された|女《おんな》の|誓願《せいがん》、すべてその|身《み》に|断《た》った|物《もの》|断《だ》ちは、それを|守《まも》らなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もし|女《おんな》が|夫《おっと》の|家《いえ》で|誓願《せいがん》をかけ、またはその|身《み》に|物《もの》|断《だ》ちをしようと|誓《ちか》った|時《とき》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|夫《おっと》がそれを|聞《き》いて、|彼女《かのじょ》に|何《なに》も|言《い》わず、またそれに|反対《はんたい》しないならば、その|誓願《せいがん》はすべて|行《おこな》わなければならない。またその|身《み》に|断《た》った|物《もの》|断《だ》ちはすべて|守《まも》らなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|夫《おっと》がそれを|聞《き》いた|日《ひ》にそれを|認《みと》めないならば、|彼女《かのじょ》の|誓願《せいがん》、または|身《み》の|物《もの》|断《だ》ちについて、|彼女《かのじょ》が|口《くち》で|言《い》った|事《こと》は、すべてやめることができる。|夫《おっと》がそれを|認《みと》めなかったのだから、|主《しゅ》はその|女《おんな》をゆるされるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すべての|誓願《せいがん》およびすべてその|身《み》を|悩《なや》ます|物《もの》|断《だ》ちの|誓約《せいやく》は、|夫《おっと》がそれを|守《まも》らせることができ、または|夫《おっと》がそれをやめさせることができる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし|夫《おっと》が|彼女《かのじょ》に|何《なに》も|言《い》わずに|日《ひ》を|送《おく》るならば、|彼《かれ》は|妻《つま》がした|誓願《せいがん》、または|物《もの》|断《だ》ちをすべて|認《みと》めたのである。|彼《かれ》はそれを|聞《き》いた|日《ひ》に|妻《つま》に|何《なに》も|言《い》わなかったのだから、それを|認《みと》めたのである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|夫《おっと》がそれを|聞《き》き、あとになって、それを|認《みと》めないならば、|彼《かれ》は|妻《つま》の|罪《つみ》を|負《お》わなければならない」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これらは|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられた|定《さだ》めであって、|夫《おっと》と|妻《つま》との|間《あいだ》、および|父《ちち》とまだ|若《わか》くて|父《ちち》の|家《いえ》にいる|娘《むすめ》との|間《あいだ》に|関《かん》するものである。 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「ミデアンびとにイスラエルの|人々《ひとびと》のあだを|報《むく》いなさい。その|後《のち》、あなたはあなたの|民《たみ》に|加《くわ》えられるであろう」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたのうちから|人《ひと》を|選《えら》んで|戦《たたか》いのために|武装《ぶそう》させ、ミデアンびとを|攻《せ》めて、|主《しゅ》のためミデアンびとに|復讐《ふくしゅう》しなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》から、|部族《ぶぞく》ごとに千|人《にん》ずつを|戦《たたか》いに|送《おく》り|出《だ》さなければならない」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|部族《ぶぞく》のうちから|部族《ぶぞく》ごとに千|人《にん》ずつを|選《えら》び、一万二千|人《にん》を|得《え》て、|戦《たたか》いのために|武装《ぶそう》させた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|各《かく》|部族《ぶぞく》から千|人《にん》ずつを|戦《たたか》いにつかわし、また|祭司《さいし》エレアザルの|子《こ》ピネハスに、|聖《せい》なる|器《うつわ》と|吹《ふ》き|鳴《な》らすラッパとを|執《と》らせて、|共《とも》に|戦《たたか》いにつかわした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにミデアンびとと|戦《たたか》って、その|男子《だんし》をみな|殺《ころ》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|殺《ころ》した|者《もの》のほかにまたミデアンの|王《おう》五|人《にん》を|殺《ころ》した。その|名《な》はエビ、レケム、ツル、フル、レバである。またベオルの|子《こ》バラムをも、つるぎにかけて|殺《ころ》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|人々《ひとびと》はミデアンの|女《おんな》たちとその|子《こ》|供《とも》たちを|捕虜《ほりょ》にし、その|家畜《かちく》と、|羊《ひつじ》の|群《む》れと、|貨《か》|財《ざい》とをことごとく|奪《うば》い|取《と》り、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そのすまいのある|町々《まちまち》と、その|部落《ぶらく》とを、ことごとく|火《ひ》で|焼《や》いた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはすべて|奪《うば》ったものと、かすめたものとは|人《ひと》をも|家畜《かちく》をも|取《と》り、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|生《なま》けどった|者《もの》と、かすめたものと、|奪《うば》ったものとを|携《たずさ》えて、エリコに|近《ちか》いヨルダンのほとりのモアブの|平野《へいや》の|宿営《しゅくえい》におるモーセと|祭司《さいし》エレアザルとイスラエルの|人々《ひとびと》の|会衆《かいしゅう》のもとへもどってきた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ときにモーセと|祭司《さいし》エレアザルと|会衆《かいしゅう》のつかさたちはみな|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|出《で》て|迎《むか》えたが、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|軍勢《ぐんぜい》の|将《しょう》たち、すなわち|戦場《せんじょう》から|帰《かえ》ってきた千|人《にん》の|長《ちょう》たちと、百|人《にん》の|長《ちょう》たちに|対《たい》して|怒《いか》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは|女《おんな》たちをみな|生《い》かしておいたのか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはバラムのはかりごとによって、イスラエルの|人々《ひとびと》に、ペオルのことで|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》させ、ついに|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》のうちに|疫病《えきびょう》を|起《おこ》すに|至《いた》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》、この|子供《こども》たちのうちの|男《おとこ》の|子《こ》をみな|殺《ころ》し、また|男《おとこ》と|寝《ね》て、|男《おとこ》を|知《し》った|女《おんな》をみな|殺《ころ》しなさい。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ただし、まだ|男《おとこ》と|寝《ね》ず、|男《おとこ》を|知《し》らない|娘《むすめ》はすべてあなたがたのために|生《い》かしておきなさい。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたがたは|七日《なぬか》のあいだ|宿営《しゅくえい》の|外《そと》にとどまりなさい。あなたがたのうちすべて|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》、およびすべて|殺《ころ》された|者《もの》に|触《ふ》れた|者《もの》は、あなたがた|自身《じしん》も、あなたがたの|捕虜《ほりょ》も|共《とも》に、三|日《か》|目《め》と|七日《なぬか》|目《め》とに|身《み》を|清《きよ》めなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|衣服《いふく》と、すべての|皮《かわ》の|器《うつわ》と、すべてやぎの|毛《け》で|作《つく》ったものと、すべての|木《き》の|器《うつわ》とを|清《きよ》めなければならない」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》エレアザルは|戦《たたか》いに|出《で》たいくさびとたちに|言《い》った、「これは|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられた|律法《りっぽう》の|定《さだ》めである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》、すず、|鉛《なまり》など、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|火《ひ》に|耐《た》える|物《もの》は|火《ひ》の|中《なか》を|通《とお》さなければならない。そうすれば|清《きよ》くなるであろう。なおその|上《うえ》、|汚《けが》れを|清《きよ》める|水《みず》で、|清《きよ》めなければならない。しかし、すべて|火《ひ》に|耐《た》えないものは|水《みず》の|中《なか》を|通《とお》さなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|七日《なぬか》|目《め》に|衣服《いふく》を|洗《あら》わなければならない。そして|清《きよ》くなり、その|後《のち》|宿営《しゅくえい》にはいることができる」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]「あなたと|祭司《さいし》エレアザルおよび|会衆《かいしゅう》の|氏族《しぞく》のかしらたちは、その|生《なま》けどった|人《ひと》と|家畜《かちく》の|獲物《えもの》の|総数《そうすう》を|調《しら》べ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|獲物《えもの》を|戦《たたか》いに|出《で》た|勇士《ゆうし》と、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》とに|折半《せっぱん》しなさい。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そして|戦《たたか》いに|出《で》たいくさびとに、|人《ひと》または|牛《うし》、またはろば、または|羊《ひつじ》を、おのおの五百ごとに一つを|取《と》り、みつぎとして|主《しゅ》にささげさせなさい。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らが|受《う》ける|半分《はんぶん》のなかから、それを|取《と》り、|主《しゅ》にささげる|物《もの》として|祭司《さいし》エレアザルに|渡《わた》しなさい。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|人々《ひとびと》が|受《う》ける|半分《はんぶん》のなかから、その|獲《え》た|人《ひと》または|牛《うし》、またはろば、または|羊《ひつじ》などの|家畜《かちく》を、おのおの五十ごとに一つを|取《と》り、|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|務《つとめ》をするレビびとに|与《あた》えなさい」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モーセと|祭司《さいし》エレアザルとは|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりに|行《い》った。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|獲物《えもの》、すなわち、いくさびとたちが|奪《うば》い|取《と》ったものの|残《のこ》りは|羊《ひつじ》六十七万五千、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》七万二千、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ろば六万一千、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》三万二千、これはみな|男《おとこ》と|寝《ね》ず、|男《おとこ》を|知《し》らない|女《おんな》であった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|半分《はんぶん》、すなわち|戦《たたか》いに|出《で》た|者《もの》の|分《ぶん》は|羊《ひつじ》三十三万七千五百、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にみつぎとした|羊《ひつじ》は六百七十五。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》は三万六千、そのうちから|主《しゅ》にみつぎとしたものは七十二。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ろばは三万五百、そのうちから|主《しゅ》にみつぎとしたものは六十一。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は一万六千、そのうちから|主《しゅ》にみつぎとしたものは三十二|人《にん》であった。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはそのみつぎを|主《しゅ》にささげる|物《もの》として|祭司《さいし》エレアザルに|渡《わた》した。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|戦《たたか》いに|出《で》た|人々《ひとびと》とは|別《べつ》にイスラエルの|人々《ひとびと》に|与《あた》えた|半分《はんぶん》、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|会衆《かいしゅう》の|受《う》けた|半分《はんぶん》は|羊《ひつじ》三十三万七千五百、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》三万六千、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]ろば三万五百、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》一万六千であって、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルの|人々《ひとびと》の|受《う》けた|半分《はんぶん》のなかから、|人《ひと》および|獣《けもの》をおのおの五十ごとに一つを|取《と》って、|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|務《つとめ》をするレビびとに|与《あた》えた。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|軍勢《ぐんぜい》の|将《しょう》であったものども、すなわち千|人《にん》の|長《ちょう》たちと百|人《にん》の|長《ちょう》たちとがモーセのところにきて、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]モーセに|言《い》った、「しもべらは、|指揮《しき》|下《か》のいくさびとを|数《かぞ》えましたが、われわれのうち、ひとりも|欠《か》けた|者《もの》はありませんでした。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]それで、われわれは、おのおの|手《て》に|入《い》れた|金《きん》の|飾《かざ》り|物《もの》、すなわち|腕《うで》|飾《かざ》り、|腕輪《うでわ》、|指輪《ゆびわ》、|耳輪《みみわ》、|首飾《くびかざ》りなどを|主《しゅ》に|携《たずさ》えてきて|供《そな》え|物《もの》とし、|主《しゅ》の|前《まえ》にわれわれの|命《いのち》のあがないをしようと|思《おも》います」。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]モーセと|祭司《さいし》エレアザルとは、|彼《かれ》らから|細工《さいく》を|施《ほどこ》した|金《きん》の|飾《かざ》り|物《もの》を|受《う》け|取《と》った。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]千|人《にん》の|長《ちょう》たちと百|人《にん》の|長《ちょう》たちとが、|主《しゅ》にささげものとした|金《きん》は|合《あ》わせて一万六千七百五十シケル。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]いくさびとは、おのおの|自分《じぶん》のぶんどり|物《もの》を|獲《え》た。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]モーセと|祭司《さいし》エレアザルとは、千|人《にん》の|長《ちょう》たちと百|人《にん》の|長《ちょう》たちとから、その|金《きん》を|受《う》け|取《と》り、それを|携《たずさ》えて|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|入《い》り、|主《しゅ》の|前《まえ》に|置《お》いてイスラエルの|人々《ひとびと》のために|記念《きねん》とした。 第三二章[#「第三二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|子孫《しそん》とガドの|子孫《しそん》とは|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|家畜《かちく》の|群《む》れを|持《も》っていた。|彼《かれ》らがヤゼルの|地《ち》と、ギレアデの|地《ち》とを|見《み》ると、そこは|家畜《かちく》を|飼《か》うのに|適《てき》していたので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|子孫《しそん》とルベンの|子孫《しそん》とがきて、モーセと、|祭司《さいし》エレアザルと、|会衆《かいしゅう》のつかさたちとに|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「アタロテ、デボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシボン、エレアレ、シバム、ネボ、ベオン、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|主《しゅ》がイスラエルの|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼされた|国《くに》は、|家畜《かちく》を|飼《か》うのに|適《てき》した|地《ち》ですが、しもべらは|家畜《かちく》を|持《も》っています」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|言《い》った、「それでもし、あなたの|恵《めぐ》みを|得《え》られますなら、どうぞこの|地《ち》をしもべらの|領地《りょうち》にして、われわれにヨルダンを|渡《わた》らせないでください」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]モーセはガドの|子孫《しそん》とルベンの|子孫《しそん》とに|言《い》った、「あなたがたは|兄弟《きょうだい》が|戦《たたか》いに|行《い》くのに、ここにすわっていようというのか。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]どうしてあなたがたはイスラエルの|人々《ひとびと》の|心《こころ》をくじいて、|主《しゅ》が|彼《かれ》らに|与《あた》えられる|地《ち》に|渡《わた》ることができないようにするのか。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|先祖《せんぞ》も、わたしがカデシ・バルネアから、その|地《ち》を|見《み》るためにつかわした|時《とき》に、|同《おな》じようなことをした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らはエシコルの|谷《たに》に|行《い》って、その|地《ち》を|見《み》たとき、イスラエルの|人々《ひとびと》の|心《こころ》をくじいて、|主《しゅ》が|与《あた》えられる|地《ち》に|行《い》くことができないようにした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|時《とき》、|主《しゅ》は|怒《いか》りを|発《はっ》し、|誓《ちか》って|言《い》われた、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]『エジプトから|出《で》てきた|人々《ひとびと》で二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》はひとりもわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに|誓《ちか》った|地《ち》を|見《み》ることはできない。|彼《かれ》らはわたしに|従《したが》わなかったからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ただケニズびとエフンネの|子《こ》カレブとヌンの|子《こ》ヨシュアとはそうではない。このふたりは|全《まった》く|主《しゅ》に|従《したが》ったからである』。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこのようにイスラエルにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|彼《かれ》らを四十|年《ねん》のあいだ|荒野《あらの》にさまよわされたので、|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》ったその|世代《せだい》の|人々《ひとびと》は、ついにみな|滅《ほろ》びた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはその|父《ちち》に|代《かわ》って|立《た》った|罪《つみ》びとのやからであって、|主《しゅ》のイスラエルに|対《たい》する|激《はげ》しい|怒《いか》りをさらに|増《ま》そうとしている。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがもしそむいて|主《しゅ》に|従《したが》わないならば、|主《しゅ》はまたこの|民《たみ》を|荒野《あらの》にすておかれるであろう。そうすればあなたがたはこの|民《たみ》をことごとく|滅《ほろ》ぼすに|至《いた》るであろう」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはモーセのところへ|進《すす》み|寄《よ》って|言《い》った、「われわれはこの|所《ところ》に、|群《む》れのために|羊《ひつじ》のおりを|建《た》て、また|子供《こども》たちのために|町々《まちまち》を|建《た》てようと|思《おも》います。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、われわれは|武装《ぶそう》してイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》に|進《すす》み、|彼《かれ》らをその|所《ところ》へ|導《みちび》いて|行《い》きましょう。ただわれわれの|子供《こども》たちは、この|地《ち》の|住民《じゅうみん》の|害《がい》をのがれるため、|堅固《けんご》な|町々《まちまち》に|住《す》ませておかなければなりません。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われわれはイスラエルの|人々《ひとびと》が、おのおのその|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》けるまでは、|家《いえ》に|帰《かえ》りません。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またわれわれはヨルダンのかなたで|彼《かれ》らとともには|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》けません。われわれはヨルダンのこなた、すなわち|東《ひがし》の|方《ほう》で|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》けるからです」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「もし、あなたがたがそのようにし、みな|武装《ぶそう》して|主《しゅ》の|前《まえ》に|行《い》って|戦《たたか》い、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]みな|武装《ぶそう》して|主《しゅ》の|前《まえ》に|行《い》ってヨルダン|川《がわ》を|渡《わた》り、|主《しゅ》がその|敵《てき》を|自分《じぶん》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われて、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]この|国《くに》が|主《しゅ》の|前《まえ》に|征服《せいふく》されて|後《のち》、|帰《かえ》ってくるならば、あなたがたは|主《しゅ》の|前《まえ》にも、イスラエルの|前《まえ》にも、とがめはないであろう。そしてこの|地《ち》は|主《しゅ》の|前《まえ》にあなたがたの|所有《しょゆう》となるであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、そうしないならば、あなたがたは|主《しゅ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》した|者《もの》となり、その|罪《つみ》は|必《かなら》ず|身《み》に|及《およ》ぶことを|知《し》らなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|子供《こども》たちのために|町々《まちまち》を|建《た》て、|羊《ひつじ》のために、おりを|建《た》てなさい。しかし、あなたがたは|約束《やくそく》したことは|行《おこな》わなければならない」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|子孫《しそん》とルベンの|子孫《しそん》とは、モーセに|言《い》った、「しもべらはあなたの|命《めい》じられたとおりにいたします。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|子供《こども》たちと|妻《つま》と|羊《ひつじ》と、すべての|家畜《かちく》とは、このギレアデの|町々《まちまち》に|残《のこ》します。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、しもべらはみな|武装《ぶそう》して、あなたの|言《い》われるとおり、|主《しゅ》の|前《まえ》に|渡《わた》って|行《い》って|戦《たたか》います」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|彼《かれ》らのことについて、|祭司《さいし》エレアザルと、ヌンの|子《こ》ヨシュアと、イスラエルの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》のうちの|氏族《しぞく》のかしらたちとに|命《めい》じた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセは|彼《かれ》らに|言《い》った、「ガドの|子孫《しそん》と、ルベンの|子孫《しそん》とが、おのおの|武装《ぶそう》してあなたがたと|一緒《いっしょ》にヨルダンを|渡《わた》り、|主《しゅ》の|前《まえ》に|戦《たたか》って、その|地《ち》をあなたがたが|征服《せいふく》するならば、あなたがたは|彼《かれ》らにギレアデの|地《ち》を|領地《りょうち》として|与《あた》えなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|彼《かれ》らが|武装《ぶそう》してあなたがたと|一緒《いっしょ》に|渡《わた》って|行《い》かないならば、|彼《かれ》らはカナンの|地《ち》であなたがたのうちに|領地《りょうち》を|獲《え》なければならない」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|子孫《しそん》と、ルベンの|子孫《しそん》とは|答《こた》えて|言《い》った、「しもべらは|主《しゅ》が|言《い》われたとおりにいたします。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|武装《ぶそう》して、|主《しゅ》の|前《まえ》にカナンの|地《ち》へ|渡《わた》って|行《い》きますが、ヨルダンのこなたで、われわれの|嗣《し》|業《ぎょう》をもつことにします」。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセはガドの|子孫《しそん》と、ルベンの|子孫《しそん》と、ヨセフの|子《こ》マナセの|部族《ぶぞく》の|半《なか》ばとに、アモリびとの|王《おう》シホンの|国《くに》と、バシャンの|王《おう》オグの|国《くに》とを|与《あた》えた。すなわち、その|国《くに》およびその|領内《りょうない》の|町々《まちまち》とその|町々《まちまち》の|周囲《しゅうい》の|地《ち》とを|与《あた》えた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてガドの|子孫《しそん》は、デボン、アタロテ、アロエル、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]アテロテ・ショパン、ヤゼル、ヨグベハ、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ベテニムラ、ベテハランなどの|堅固《けんご》な|町々《まちまち》を|建《た》て、|羊《ひつじ》のおりを|建《た》てた。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]またルベンの|子孫《しそん》は、ヘシボン、エレアレ、キリヤタイム、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]および|後《のち》に|名《な》を|改《あらた》めたネボと、バアル・メオンの|町《まち》を|建《た》て、またシブマの|町《まち》を|建《た》てた。|彼《かれ》らは|建《た》てた|町々《まちまち》に|新《あたら》しい|名《な》を|与《あた》えた。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]またマナセの|子《こ》マキルの|子孫《しそん》はギレアデに|行《い》って、そこを|取《と》り、その|住民《じゅうみん》アモリびとを|追《お》い|払《はら》ったので、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]モーセはギレアデをマナセの|子《こ》マキルに|与《あた》えてそこに|住《す》まわせた。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]またマナセの|子《こ》ヤイルは|行《い》って|村々《むらむら》を|取《と》り、それをハオテヤイルと|名《な》づけた。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]またノバは|行《い》ってケナテとその|村々《むらむら》を|取《と》り、|自分《じぶん》の|名《な》にしたがって、それをノバと|名《な》づけた。 第三三章[#「第三三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、モーセとアロンとに|導《みちび》かれ、その|部隊《ぶたい》に|従《したが》って、エジプトの|国《くに》を|出《で》てから|経《へ》た|旅路《たびじ》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》の|命《めい》により、その|旅路《たびじ》にしたがって|宿駅《しゅくえき》を|書《か》きとめた。その|宿駅《しゅくえき》にしたがえば|旅路《たびじ》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|正月《しょうがつ》の十五|日《にち》にラメセスを|出立《しゅったつ》した。すなわち|過越《すぎこし》の|翌日《よくじつ》イスラエルの|人々《ひとびと》は、すべてのエジプトびとの|目《め》の|前《まえ》を|意気揚々《いきようよう》と|出立《しゅったつ》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エジプトびとは、|主《しゅ》に|撃《う》ち|殺《ころ》されたすべてのういごを|葬《ほうむ》っていた。|主《しゅ》はまた|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》にも|罰《ばつ》を|加《くわ》えられた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》はラメセスを|出立《しゅったつ》してスコテに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]スコテを|出立《しゅったつ》して|荒野《あらの》の|端《はし》にあるエタムに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エタムを|出立《しゅったつ》してバアル・ゼポンの|前《まえ》にあるピハヒロテに|引《ひ》き|返《かえ》してミグドルの|前《まえ》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ピハヒロテを|出立《しゅったつ》して、|海《うみ》のなかをとおって|荒野《あらの》に|入《い》り、エタムの|荒野《あらの》を三|日《か》|路《じ》ほど|行《い》って、メラに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]メラを|出立《しゅったつ》し、エリムに|行《い》って|宿営《しゅくえい》した。エリムには|水《みず》の|泉《いずみ》十二と、なつめやし七十|本《ほん》とがあった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エリムを|出立《しゅったつ》して|紅海《こうかい》のほとりに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|紅海《こうかい》を|出立《しゅったつ》してシンの|荒野《あらの》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]シンの|荒野《あらの》を|出立《しゅったつ》してドフカに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ドフカを|出立《しゅったつ》してアルシに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アルシを|出立《しゅったつ》してレピデムに|宿営《しゅくえい》した。そこには|民《たみ》の|飲《の》む|水《みず》がなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]レピデムを|出立《しゅったつ》してシナイの|荒野《あらの》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]シナイの|荒野《あらの》を|出立《しゅったつ》してキブロテ・ハッタワに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]キブロテ・ハッタワを|出立《しゅったつ》してハゼロテに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ハゼロテを|出立《しゅったつ》してリテマに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]リテマを|出立《しゅったつ》してリンモン・パレツに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]リンモン・パレツを|出立《しゅったつ》してリブナに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]リブナを|出立《しゅったつ》してリッサに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]リッサを|出立《しゅったつ》してケヘラタに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ケヘラタを|出立《しゅったつ》してシャペル|山《やま》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]シャペル|山《やま》を|出立《しゅったつ》してハラダに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ハラダを|出立《しゅったつ》してマケロテに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]マケロテを|出立《しゅったつ》してタハテに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]タハテを|出立《しゅったつ》してテラに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]テラを|出立《しゅったつ》してミテカに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ミテカを|出立《しゅったつ》してハシモナに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ハシモナを|出立《しゅったつ》してモセラに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]モセラを|出立《しゅったつ》してベネヤカンに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ベネヤカンを|出立《しゅったつ》してホル・ハギデガデに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ホル・ハギデガデを|出立《しゅったつ》してヨテバタに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ヨテバタを|出立《しゅったつ》してアブロナに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]アブロナを|出立《しゅったつ》してエジオン・ゲベルに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エジオン・ゲベルを|出立《しゅったつ》してチンの|荒野《あらの》すなわちカデシに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]カデシを|出立《しゅったつ》してエドムの|国《くに》の|端《はし》にあるホル|山《やま》に|宿営《しゅくえい》した。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトの|国《くに》を|出《で》て四十|年《ねん》|目《め》の五|月《がつ》一|日《にち》に、|祭司《さいし》アロンは|主《しゅ》の|命《めい》によりホル|山《やま》に|登《のぼ》って、その|所《ところ》で|死《し》んだ。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]アロンはホル|山《やま》で|死《し》んだとき百二十三|歳《さい》であった。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]カナンの|地《ち》のネゲブに|住《す》んでいたカナンびとアラデの|王《おう》は、イスラエルの|人々《ひとびと》の|来《く》るのを|聞《き》いた。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]ついで、ホル|山《やま》を|出立《しゅったつ》してザルモナに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ザルモナを|出立《しゅったつ》してプノンに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]プノンを|出立《しゅったつ》してオボテに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]オボテを|出立《しゅったつ》してモアブの|境《さかい》にあるイエ・アバリムに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]イエ・アバリムを|出立《しゅったつ》してデボン・ガドに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]デボン・ガドを|出立《しゅったつ》してアルモン・デブラタイムに|宿営《しゅくえい》し、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]アルモン・デブラタイムを|出立《しゅったつ》してネボの|前《まえ》にあるアバリムの|山《やま》に|宿営《しゅくえい》し、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]アバリムの|山《やま》を|出立《しゅったつ》してエリコに|近《ちか》いヨルダンのほとりのモアブの|平野《へいや》に|宿営《しゅくえい》した。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヨルダンのほとりのモアブの|平野《へいや》で、ベテエシモテとアベル・シッテムとの|間《あいだ》に|宿営《しゅくえい》した。  [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]エリコに|近《ちか》いヨルダンのほとりのモアブの|平野《へいや》で、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい。あなたがたがヨルダンを|渡《わた》ってカナンの|地《ち》にはいるときは、[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|住民《じゅうみん》をことごとくあなたがたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》い、すべての|石像《せきぞう》をこぼち、すべての|鋳《い》|像《ぞう》をこぼち、すべての|高《たか》き|所《ところ》を|破壊《はかい》しなければならない。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたはその|地《ち》の|民《たみ》を|追《お》い|払《はら》って、そこに|住《す》まなければならない。わたしがその|地《ち》をあなたがたの|所有《しょゆう》として|与《あた》えたからである。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、おのおの|氏族《しぞく》ごとにくじを|引《ひ》き、その|地《ち》を|分《わ》けて|嗣《し》|業《ぎょう》としなければならない。|大《おお》きい|部族《ぶぞく》には|多《おお》くの|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》え、|小《ちい》さい|部族《ぶぞく》には|少《すこ》しの|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えなければならない。そのくじの|当《あた》った|所《ところ》がその|所有《しょゆう》となるであろう。あなたがたは|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》にしたがって、それを|継《つ》がなければならない。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|地《ち》の|住民《じゅうみん》をあなたがたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》わないならば、その|残《のこ》して|置《お》いた|者《もの》はあなたがたの|目《め》にとげとなり、あなたがたの|脇《わき》にいばらとなり、あなたがたの|住《す》む|国《くに》において、あなたがたを|悩《なや》ますであろう。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしは|彼《かれ》らにしようと|思《おも》ったとおりに、あなたがたにするであろう」。 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて|言《い》いなさい。あなたがたがカナンの|地《ち》にはいるとき、あなたがたの|嗣《し》|業《ぎょう》となるべき|地《ち》はカナンの|地《ち》で、その|全域《ぜんいき》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》の|方《ほう》はエドムに|接《せっ》するチンの|荒野《あらの》に|始《はじ》まり、|南《みなみ》の|境《さかい》は、|東《ひがし》は|塩《しお》の|海《うみ》の|端《はし》に|始《はじ》まる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》はアクラビムの|坂《さか》の|南《みなみ》を|巡《めぐ》ってチンに|向《む》かい、カデシ・バルネアの|南《みなみ》に|至《いた》り、ハザル・アダルに|進《すす》み、アズモンに|及《およ》ぶ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》はまたアズモンから|転《てん》じてエジプトの|川《かわ》に|至《いた》り、|海《うみ》に|及《およ》んで|尽《つ》きる。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|境《さかい》はおおうみとその|沿岸《えんがん》で、これがあなたがたの|西《にし》の|境《さかい》である。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|北《きた》の|境《さかい》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちおおうみからホル|山《やま》まで|線《せん》を|引《ひ》き、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ホル|山《やま》からハマテの|入口《いりぐち》まで|線《せん》を|引《ひ》き、その|境《さかい》をゼダデに|至《いた》らせ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またその|境《さかい》はジフロンに|進《すす》み、ハザル・エノンに|至《いた》って|尽《つ》きる。これがあなたがたの|北《きた》の|境《さかい》である。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|東《ひがし》の|境《さかい》は、ハザル・エノンからシパムまで|線《せん》を|引《ひ》き、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またその|境《さかい》はアインの|東《ひがし》の|方《ほう》で、シパムからリブラに|下《くだ》り、またその|境《さかい》は|下《くだ》ってキンネレテの|海《うみ》の|東《ひがし》の|斜面《しゃめん》に|至《いた》り、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またその|境《さかい》はヨルダンに|下《くだ》り、|塩《しお》の|海《うみ》に|至《いた》って|尽《つ》きる。あなたがたの|国《くに》の|周囲《しゅうい》の|境《さかい》は|以上《いじょう》のとおりである」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて|言《い》った、「これはあなたがたが、くじによって|継《つ》ぐべき|地《ち》である。|主《しゅ》はこれを九つの|部族《ぶぞく》と|半《はん》|部族《ぶぞく》とに|与《あた》えよと|命《めい》じられた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それはルベンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》とガドの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》とが|共《とも》に|父祖《ふそ》の|家《いえ》にしたがって、すでにその|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》け、またマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》もその|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》けていたからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]この二つの|部族《ぶぞく》と|半《はん》|部族《ぶぞく》とはエリコに|近《ちか》いヨルダンのかなた、すなわち|東《ひがし》の|方《ほう》、|日《ひ》の|出《で》る|方《ほう》で、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》けた」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたに、|嗣《し》|業《ぎょう》として|地《ち》を|分《わ》け|与《あた》える|人々《ひとびと》の|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|祭司《さいし》エレアザルと、ヌンの|子《こ》ヨシュアとである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはまた、おのおの|部族《ぶぞく》から、つかさひとりずつを|選《えら》んで、|地《ち》を|分《わ》け|与《あた》えさせなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|人々《ひとびと》の|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちユダの|部族《ぶぞく》ではエフンネの|子《こ》カレブ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》ではアミホデの|子《こ》サムエル、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|部族《ぶぞく》ではキスロンの|子《こ》エリダデ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》ではヨグリの|子《こ》つかさブッキ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子孫《しそん》、すなわちマナセの|部族《ぶぞく》ではエポデの|子《こ》つかさハニエル、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》ではシフタンの|子《こ》つかさケムエル、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》ではパルナクの|子《こ》つかさエリザパン、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》ではアザンの|子《こ》つかさパルテエル、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》ではシロミの|子《こ》つかさアヒウデ、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》では、アミホデの|子《こ》つかさパダヘル。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]カナンの|地《ち》でイスラエルの|人々《ひとびと》に|嗣《し》|業《ぎょう》を|分《わ》け|与《あた》えることを|主《しゅ》が|命《めい》じられた|人々《ひとびと》は|以上《いじょう》のとおりである」。 第三五章[#「第三五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エリコに|近《ちか》いヨルダンのほとりのモアブの|平野《へいや》で、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて、その|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》のうちから、レビびとに|住《す》むべき|町々《まちまち》を|与《あた》えさせなさい。また、あなたがたは、その|町々《まちまち》の|周囲《しゅうい》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》をレビびとに|与《あた》えなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|町々《まちまち》は|彼《かれ》らの|住《す》む|所《ところ》、その|放牧《ほうぼく》|地《ち》は|彼《かれ》らの|家畜《かちく》と|群《む》れ、およびすべての|獣《けもの》のためである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがレビびとに|与《あた》える|町々《まちまち》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》は、|町《まち》の|石《いし》がきから一千キュビトの|周囲《しゅうい》としなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|町《まち》の|外《そと》で|東側《ひがしがわ》に二千キュビト、|南側《みなみがわ》に二千キュビト、|西側《にしがわ》に二千キュビト、|北側《きたがわ》に二千キュビトを|計《はか》り、|町《まち》はその|中央《ちゅうおう》にしなければならない。|彼《かれ》らの|町《まち》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》はこのようにしなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがレビびとに|与《あた》える|町々《まちまち》は六つで、のがれの|町《まち》とし、|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》がのがれる|所《ところ》としなければならない。なおこのほかに四十二の|町《まち》を|与《あた》えなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたがたがレビびとに|与《あた》える|町《まち》は|合《あ》わせて四十八で、これをその|放牧《ほうぼく》|地《ち》と|共《とも》に|与《あた》えなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがイスラエルの|人々《ひとびと》の|所有《しょゆう》のうちからレビびとに|町々《まちまち》を|与《あた》えるには、|大《おお》きい|部族《ぶぞく》からは|多《おお》く|取《と》り、|小《ちい》さい|部族《ぶぞく》からは|少《すく》なく|取《と》り、おのおの|受《う》ける|嗣《し》|業《ぎょう》にしたがって、その|町々《まちまち》をレビびとに|与《あた》えなければならない」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい。あなたがたがヨルダンを|渡《わた》ってカナンの|地《ち》にはいるときは、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのために|町《まち》を|選《えら》んで、のがれの|町《まち》とし、あやまって|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》を、そこにのがれさせなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたが|復讐《ふくしゅう》する|者《もの》を|避《さ》けてのがれる|町《まち》であって、|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》が|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|立《た》って、さばきを|受《う》けないうちに、|殺《ころ》されることのないためである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|与《あた》える|町々《まちまち》のうち、六つをのがれの|町《まち》としなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヨルダンのかなたで三つの|町《まち》を|与《あた》え、カナンの|地《ち》で三つの|町《まち》を|与《あた》えて、のがれの|町《まち》としなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]これらの六つの|町《まち》は、イスラエルの|人々《ひとびと》と、|他国《たこく》の|人《ひと》および|寄留者《きりゅうしゃ》のために、のがれの|場所《ばしょ》としなければならない。すべてあやまって|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》が、そこにのがれるためである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|鉄《てつ》の|器《うつわ》で、|人《ひと》を|打《う》って|死《し》なせたならば、その|人《ひと》は|故《こ》|殺人《さつじん》である。|故《こ》|殺人《さつじん》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またもし|人《ひと》を|殺《ころ》せるほどの|石《いし》を|取《と》って、|人《ひと》を|打《う》って|死《し》なせたならば、その|人《ひと》は|故《こ》|殺人《さつじん》である。|故《こ》|殺人《さつじん》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あるいは|人《ひと》を|殺《ころ》せるほどの|木《き》の|器《うつわ》を|取《と》って、|人《ひと》を|打《う》って|死《し》なせたならば、その|人《ひと》は|故《こ》|殺人《さつじん》である。|故《こ》|殺人《さつじん》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|血《ち》の|復讐《ふくしゅう》をする|者《もの》は、|自分《じぶん》でその|故《こ》|殺人《さつじん》を|殺《ころ》すことができる。すなわち|彼《かれ》に|出会《であ》うとき、|彼《かれ》を|殺《ころ》すことができる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またもし|恨《うら》みのために|人《ひと》を|突《つ》き、あるいは|故意《こい》に|人《ひと》に|物《もの》を|投《な》げつけて|死《し》なせ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あるいは|恨《うら》みによって|手《て》で|人《ひと》を|打《う》って|死《し》なせたならば、その|打《う》った|者《もの》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。|彼《かれ》は|故《こ》|殺人《さつじん》だからである。|血《ち》の|復讐《ふくしゅう》をする|者《もの》は、その|故《こ》|殺人《さつじん》に|出会《であ》うとき|殺《ころ》すことができる。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|恨《うら》みもないのに|思《おも》わず|人《ひと》を|突《つ》き、または、なにごころなく|人《ひと》に|物《もの》を|投《な》げつけ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あるいは|人《ひと》のいるのも|見《み》ずに、|人《ひと》を|殺《ころ》せるほどの|石《いし》を|投《な》げつけて|死《し》なせた|場合《ばあい》、その|人《ひと》がその|敵《てき》でもなく、また|害《がい》を|加《くわ》えようとしたのでもない|時《とき》は、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》はこれらのおきてによって、その|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》と、|血《ち》の|復讐《ふくしゅう》をする|者《もの》との|間《あいだ》をさばかなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|会衆《かいしゅう》はその|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》を|血《ち》の|復讐《ふくしゅう》をする|者《もの》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》して、|逃《に》げて|行《い》ったのがれの|町《まち》に|返《かえ》さなければならない。その|者《もの》は|聖《せい》なる|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|大《だい》|祭司《さいし》の|死《し》ぬまで、そこにいなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》が、その|逃《に》げて|行《い》ったのがれの|町《まち》の|境《さかい》を|出《で》た|場合《ばあい》、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|血《ち》の|復讐《ふくしゅう》をする|者《もの》は、のがれの|町《まち》の|境《さかい》の|外《そと》で、これに|出会《であ》い、|血《ち》の|復讐《ふくしゅう》をする|者《もの》が、その|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》を|殺《ころ》しても、|彼《かれ》には|血《ち》を|流《なが》した|罪《つみ》はない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|大《だい》|祭司《さいし》の|死《し》ぬまで、そののがれの|町《まち》におるべきものだからである。|大《だい》|祭司《さいし》の|死《し》んだ|後《のち》は、|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》は|自分《じぶん》の|所有《しょゆう》の|地《ち》にかえることができる。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これらのことはすべてあなたがたの|住《す》む|所《ところ》で、|代々《よよ》あなたがたのためのおきての|定《さだ》めとしなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》、すなわち|故《こ》|殺人《さつじん》はすべて|証人《しょうにん》の|証言《しょうげん》にしたがって|殺《ころ》されなければならない。しかし、だれもただひとりの|証言《しょうげん》によって|殺《ころ》されることはない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|死《し》に|当《あた》る|罪《つみ》を|犯《おか》した|故《こ》|殺人《さつじん》の|命《いのち》のあがないしろを|取《と》ってはならない。|彼《かれ》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]また、のがれの|町《まち》にのがれた|者《もの》のために、あがないしろを|取《と》って|大《だい》|祭司《さいし》の|死《し》ぬ|前《まえ》に|彼《かれ》を|自分《じぶん》の|地《ち》に|帰《かえ》り|住《す》まわせてはならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはそのおる|所《ところ》の|地《ち》を|汚《けが》してはならない。|流血《りゅうけつ》は|地《ち》を|汚《けが》すからである。|地《ち》の|上《うえ》に|流《なが》された|血《ち》は、それを|流《なが》した|者《もの》の|血《ち》によらなければあがなうことができない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、その|住《す》む|所《ところ》の|地《ち》、すなわちわたしのおる|地《ち》を|汚《けが》してはならない。|主《しゅ》なるわたしがイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|住《す》んでいるからである」。 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子孫《しそん》の|氏族《しぞく》のうち、マナセの|子《こ》マキルの|子《こ》であるギレアデの|子《こ》らの|氏族《しぞく》のかしらたちがきて、モーセとイスラエルの|人々《ひとびと》のかしらであるつかさたちとの|前《まえ》で|語《かた》って、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「イスラエルの|人々《ひとびと》に、その|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》をくじによって|与《あた》えることを|主《しゅ》はあなたに|命《めい》じられ、あなたもまた、われわれの|兄弟《きょうだい》ゼロペハデの|嗣《し》|業《ぎょう》を、その|娘《むすめ》たちに|与《あた》えるよう、|主《しゅ》によって|命《めい》じられました。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|娘《むすめ》たちがもし、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの|他《た》の|部族《ぶぞく》のむすこたちにとつぐならば、|彼女《かのじょ》たちの|嗣《し》|業《ぎょう》は、われわれの|父祖《ふそ》の|嗣《し》|業《ぎょう》のうちから|取《す》り|除《のぞ》かれて、そのとつぐ|部族《ぶぞく》の|嗣《し》|業《ぎょう》に|加《くわ》えられるでしょう。こうしてそれはわれわれの|嗣《し》|業《ぎょう》の|分《ぶん》から|取《す》り|除《のぞ》かれるでしょう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》のヨベルの|年《とし》がきた|時《とき》、|彼女《かのじょ》たちの|嗣《し》|業《ぎょう》は、そのとついだ|部族《ぶぞく》の|嗣《し》|業《ぎょう》に|加《くわ》えられるでしょう。こうして|彼女《かのじょ》たちの|嗣《し》|業《ぎょう》は、われわれの|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》の|嗣《し》|業《ぎょう》のうちから|取《す》り|除《のぞ》かれるでしょう」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》の|言葉《ことば》にしたがって、イスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて|言《い》った、「ヨセフの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》の|言《い》うところは|正《ただ》しい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ゼロペハデの|娘《むすめ》たちについて、|主《しゅ》が|命《めい》じられたことはこうである。すなわち『|彼女《かのじょ》たちはその|心《こころ》にかなう|者《もの》にとついでもよいが、ただその|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》の|一族《いちぞく》にのみ、とつがなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そうすればイスラエルの|人々《ひとびと》の|嗣《し》|業《ぎょう》は、|部族《ぶぞく》から|部族《ぶぞく》に|移《うつ》るようなことはないであろう。イスラエルの|人々《ひとびと》は、おのおのその|父祖《ふそ》の|部族《ぶぞく》の|嗣《し》|業《ぎょう》をかたく|保《たも》つべきだからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》のうち、|嗣《し》|業《ぎょう》をもっている|娘《むすめ》はみな、その|父《ちち》の|部族《ぶぞく》に|属《ぞく》する|一族《いちぞく》にとつがなければならない。そうすればイスラエルの|人々《ひとびと》は、おのおのその|父祖《ふそ》の|嗣《し》|業《ぎょう》を|保《たも》つことができる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|嗣《し》|業《ぎょう》は一つの|部族《ぶぞく》から|他《た》の|部族《ぶぞく》に|移《うつ》ることはなかろう。イスラエルの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》はおのおのその|嗣《し》|業《ぎょう》をかたく|保《たも》つべきだからである』」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでゼロペハデの|娘《むすめ》たちは、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわちゼロペハデの|娘《むすめ》たち、マアラ、テルザ、ホグラ、ミルカおよびノアは、その|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》のむすこたちにとついだ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》たちはヨセフの|子《こ》マナセのむすこたちの|一族《いちぞく》にとついだので、その|嗣《し》|業《ぎょう》はその|父《ちち》の|一族《いちぞく》の|属《ぞく》する|部族《ぶぞく》にとどまった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これらはエリコに|近《ちか》いヨルダンのほとりのモアブの|平野《へいや》で、|主《しゅ》がモーセによってイスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じられた|命令《めいれい》とおきてである。 [#改ページ] 申命記[#「申命記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これはヨルダンの|向《む》こうの|荒野《あらの》、パランと、トペル、ラバン、ハゼロテ、デザハブとの|間《あいだ》の、スフの|前《まえ》にあるアラバにおいて、モーセがイスラエルのすべての|人《ひと》に|告《つ》げた|言葉《ことば》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ホレブからセイル|山《やま》の|道《みち》を|経《へ》て、カデシ・バルネアに|達《たっ》するには、十一|日《にち》の|道《みち》のりである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四十|年《ねん》の十一|月《がつ》となり、その|月《つき》の一|日《にち》に、モーセはイスラエルの|人々《ひとびと》にむかって、|主《しゅ》が|彼《かれ》らのため|彼《かれ》に|授《さづ》けられた|命令《めいれい》を、ことごとく|告《つ》げた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これはモーセがヘシボンに|住《す》んでいたアモリびとの|王《おう》シホン、およびアシタロテとエデレイとに|住《す》んでいたバシャンの|王《おう》オグを|殺《ころ》した|後《のち》であった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわちモーセはヨルダンの|向《む》こうのモアブの|地《ち》で、みずから、この|律法《りっぽう》の|説明《せつめい》に|当《あた》った、そして|言《い》った、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》はホレブにおいて、われわれに|言《い》われた、『あなたがたはすでに|久《ひさ》しく、この|山《やま》にとどまっていたが、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|身《み》をめぐらして|道《みち》に|進《すす》み、アモリびとの|山地《さんち》に|行《い》き、その|近隣《きんりん》のすべての|所《ところ》、アラバ、|山地《さんち》、|低地《ていち》、ネゲブ、|海《うみ》べ、カナンびとの|地《ち》、またレバノンに|行《い》き、|大川《おおかわ》ユフラテにまで|行《い》きなさい。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはこの|地《ち》をあなたがたの|前《まえ》に|置《お》いた。この|地《ち》にはいって、それを|自分《じぶん》のものとしなさい。これは|主《しゅ》が、あなたがたの|先祖《せんぞ》アブラハム、イサク、ヤコブに|誓《ちか》って、|彼《かれ》らとその|後《のち》の|子孫《しそん》に|与《あた》えると|言《い》われた|所《ところ》である』。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》、わたしはあなたがたに|言《い》った、『わたしはひとりであなたがたを|負《お》うことができない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたがたを|多《おお》くされたので、あなたがたは、きょう、|空《そら》の|星《ほし》のように|多《おお》い。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]――どうぞ、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたを、|今《いま》あるより千|倍《ばい》も|多《おお》くし、またあなたがたに|約束《やくそく》されたように、あなたがたを|恵《めぐ》んでくださるように。――[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしひとりで、どうして、あなたがたを|負《お》い、あなたがたの|重荷《おもに》と、あなたがたの|争《あらそ》いを|処理《しょり》することができようか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、おのおの|部族《ぶぞく》ごとに、|知恵《ちえ》があり、|知識《ちしき》があって、|人《ひと》に|知《し》られている|人々《ひとびと》を|選《えら》び|出《だ》しなさい。わたしはその|人々《ひとびと》を、あなたがたのかしらとするであろう』。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あなたがたはわたしに|答《こた》えた、『あなたがしようと|言《い》われることは|良《よ》いことです』。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしは、あなたがたのうちから、|知恵《ちえ》があり、|人《ひと》に|知《し》られている|人々《ひとびと》を|取《と》って、あなたがたのかしらとした。すなわち千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》、五十|人《にん》の|長《ちょう》、十|人《にん》の|長《ちょう》とし、また、あなたがたの|部族《ぶぞく》のつかさびととした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また、あのとき、わたしはあなたがたのさばきびとたちに|命《めい》じて|言《い》った、『あなたがたは、|兄弟《きょうだい》たちの|間《あいだ》の|訴《うった》えを|聞《き》き、|人《ひと》とその|兄弟《きょうだい》、または|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》との|間《あいだ》を、|正《ただ》しくさばかなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、さばきをする|時《とき》、|人《ひと》を|片寄《かたよ》り|見《み》てはならない。|小《ちい》さい|者《もの》にも|大《おお》いなる|者《もの》にも|聞《き》かなければならない。|人《ひと》の|顔《かお》を|恐《おそ》れてはならない。さばきは|神《かみ》の|事《こと》だからである。あなたがたで|決《き》めるのにむずかしい|事《こと》は、わたしのところに|持《も》ってこなければならない。わたしはそれを|聞《き》くであろう』。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、あの|時《とき》、あなたがたがしなければならないことを、ことごとく|命《めい》じた。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたように、われわれは、ホレブを|出立《しゅったつ》して、あなたがたが|見《み》た、あの|大《おお》きな|恐《おそ》ろしい|荒野《あらの》を|通《とお》り、アモリびとの|山地《さんち》へ|行《ゆ》く|道《みち》によって、カデシ・バルネアにきた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしはあなたがたに|言《い》った、『あなたがたは、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がお|与《あた》えになるアモリびとの|山地《さんち》に|着《つ》いた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこの|地《ち》をあなたの|前《まえ》に|置《お》かれた。あなたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》が|告《つ》げられたように、|上《のぼ》って|行《い》って、これを|自分《じぶん》のものとしなさい。|恐《おそ》れてはならない。おののいてはならない』。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|皆《みな》わたしに|近寄《ちかよ》って|言《い》った、『われわれは|人《ひと》をさきにつかわして、その|地《ち》を|探《さぐ》らせ、どの|道《みち》から|上《のぼ》るべきか、どの|町々《まちまち》に|入《い》るべきかを、|復命《ふくめい》させましょう』。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]このことは|良《よ》いと|思《おも》ったので、わたしはあなたがたのうち、おのおのの|部族《ぶぞく》から、ひとりずつ十二|人《にん》の|者《もの》を|選《えら》んだ。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|身《み》をめぐらして、|山地《さんち》に|上《のぼ》って|行《い》き、エシコルの|谷《たに》へ|行《い》ってそれを|探《さぐ》り、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》のくだものを|手《て》に|取《と》って、われわれのところに|持《も》って|下《くだ》り、|復命《ふくめい》して|言《い》った、『われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》は|良《よ》い|地《ち》です』。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたは|上《のぼ》って|行《い》くことを|好《この》まないで、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》にそむいた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そして|天幕《てんまく》でつぶやいて|言《い》った。『|主《しゅ》はわれわれを|憎《にく》んでアモリびとの|手《て》に|渡《わた》し、|滅《ほろ》ぼそうとしてエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》されたのだ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]われわれはどこへ|上《のぼ》って|行《い》くのか。|兄弟《きょうだい》たちは、「その|民《たみ》はわれわれよりも|大《おお》きくて、|背《せ》も|高《たか》い。|町々《まちまち》は|大《おお》きく、その|石《いし》がきは|天《てん》に|届《とど》いている。われわれは、またアナクびとの|子孫《しそん》をその|所《ところ》で|見《み》た」と|言《い》って、われわれの|心《こころ》をくじいた』。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、わたしはあなたがたに|言《い》った、『|彼《かれ》らをこわがってはならない。また|恐《おそ》れてはならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|先《さき》に|立《た》って|行《い》かれるあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はエジプトにおいて、あなたがたの|目《め》の|前《まえ》で、すべてのことを|行《おこな》われたように、あなたがたのために|戦《たたか》われるであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはまた|荒野《あらの》で、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、|人《ひと》のその|子《こ》を|抱《だ》くように、あなたを|抱《だ》かれるのを|見《み》た。あなたがたが、この|所《ところ》に|来《く》るまで、その|道《みち》すがら、いつもそうであった』。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]このように|言《い》っても、あなたがたはなお、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|信《しん》じなかった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|道々《みちみち》あなたがたの|先《さき》に|立《た》って|行《い》き、あなたがたが|宿営《しゅくえい》する|場所《ばしょ》を|捜《さが》し、|夜《よる》は|火《ひ》のうちにあり、|昼《ひる》は|雲《くも》のうちにあって、あなたがたに|行《ゆ》くべき|道《みち》を|示《しめ》された。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、あなたがたの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|怒《いか》り、|誓《ちか》って|言《い》われた、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]『この|悪《わる》い|世代《せだい》の|人々《ひとびと》のうちには、わたしが、あなたがたの|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えると|誓《ちか》ったあの|良《よ》い|地《ち》を|見《み》る|者《もの》は、ひとりもないであろう。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ただエフンネの|子《こ》カレブだけはそれを|見《み》ることができるであろう。|彼《かれ》が|踏《ふ》んだ|地《ち》を、わたしは|彼《かれ》とその|子孫《しそん》に|与《あた》えるであろう。|彼《かれ》が|全《まった》く|主《しゅ》に|従《したが》ったからである』。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた、あなたがたのゆえに、わたしをも|怒《いか》って|言《い》われた、『おまえもまた、そこにはいることができないであろう。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]おまえに|仕《つか》えているヌンの|子《こ》ヨシュアが、そこにはいるであろう。|彼《かれ》を|力《ちから》づけよ。|彼《かれ》はイスラエルにそれを|獲《え》させるであろう。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたが、かすめられるであろうと|言《い》ったあなたがたのおさなごたち、およびその|日《ひ》にまだ|善悪《ぜんあく》をわきまえないあなたがたの|子供《こども》たちが、そこにはいるであろう。わたしはそれを|彼《かれ》らに|与《あた》える。|彼《かれ》らはそれを|所有《しょゆう》とするであろう。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|身《み》をめぐらし、|紅海《こうかい》の|道《みち》によって、|荒野《あらの》に|進《すす》んで|行《い》きなさい』。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたはわたしに|答《こた》えて|言《い》った、『われわれは|主《しゅ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》しました。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたように、われわれは|上《のぼ》って|行《い》って|戦《たたか》いましょう』。そして、おのおの|武器《ぶき》を|身《み》に|帯《お》びて、かるがるしく|山地《さんち》へ|上《のぼ》って|行《い》こうとした。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、「あなたがたは|上《のぼ》って|行《い》ってはならない。また|戦《たたか》ってはならない。わたしはあなたがたのうちにいない。おそらく、あなたがたは|敵《てき》に|撃《う》ち|敗《やぶ》られるであろう」』。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]このようにわたしが|告《つ》げたのに、あなたがたは|聞《き》かないで|主《しゅ》の|命令《めいれい》にそむき、ほしいままに|山地《さんち》へ|上《のぼ》って|行《い》ったが、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]その|山地《さんち》に|住《す》んでいるアモリびとが、あなたがたに|向《む》かって|出《で》てきて、はちが|追《お》うように、あなたがたを|追《お》いかけ、セイルで|撃《う》ち|敗《やぶ》って、ホルマにまで|及《およ》んだ。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|帰《かえ》ってきて、|主《しゅ》の|前《まえ》で|泣《な》いたが、|主《しゅ》はあなたがたの|声《こえ》を|聞《き》かず、あなたがたに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けられなかった。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてあなたがたは、|日《ひ》|久《ひさ》しくカデシにとどまった。あなたがたのそこにとどまった|日数《にっすう》のとおりである。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]それから、われわれは|身《み》をめぐらし、|主《しゅ》がわたしに|告《つ》げられたように、|紅海《こうかい》の|方《ほう》に|向《む》かって|荒野《あらの》に|進《すす》み|入《い》り、|日《ひ》|久《ひさ》しくセイル|山《やま》を|行《い》きめぐっていたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]『あなたがたは|既《すで》に|久《ひさ》しくこの|山《やま》を|行《い》きめぐっているが、|身《み》をめぐらして|北《きた》に|進《すす》みなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]おまえはまた|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》え、「あなたがたは、エサウの|子孫《しそん》、すなわちセイルに|住《す》んでいるあなたがたの|兄弟《きょうだい》の|領内《りょうない》を|通《とお》ろうとしている。|彼《かれ》らはあなたがたを|恐《おそ》れるであろう。それゆえ、あなたがたはみずから|深《ふか》く|慎《つつし》み、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らと|争《あらそ》ってはならない。|彼《かれ》らの|地《ち》は、|足《あし》の|裏《うら》で|踏《ふ》むほどでも、あなたがたに|与《あた》えないであろう。わたしがセイル|山《やま》をエサウに|与《あた》えて、|領地《りょうち》とさせたからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|彼《かれ》らから|金《かね》で|食物《しょくもつ》を|買《か》って|食《た》べ、また|金《かね》で|水《みず》を|買《か》って|飲《の》まなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、あなたのするすべての|事《こと》において、あなたを|恵《めぐ》み、あなたがこの|大《おお》いなる|荒野《あらの》を|通《とお》るのを、|見守《みまも》られたからである。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がこの四十|年《ねん》の|間《あいだ》、あなたと|共《とも》におられたので、あなたは|何《なに》も|乏《とぼ》しいことがなかった」』。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわれわれは、エサウの|子孫《しそん》でセイルに|住《す》んでいる|兄弟《きょうだい》を|離《はな》れ、アラバの|道《みち》を|避《さ》け、エラテとエジオン・ゲベルを|離《はな》れて|進《すす》んだ。  われわれは|転《てん》じて、モアブの|荒野《あらの》の|方《ほう》に|向《む》かって|進《すす》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『モアブを|敵視《てきし》してはならない。またそれと|争《あらそ》い|戦《たたか》ってはならない。|彼《かれ》らの|地《ち》は、|領地《りょうち》としてあなたに|与《あた》えない。ロトの|子孫《しそん》にアルを|与《あた》えて、|領地《りょうち》とさせたからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり](むかし、エミびとがこの|所《ところ》に|住《す》んでいた。この|民《たみ》は|大《おお》いなる|民《たみ》であって、|数《かず》も|多《おお》く、アナクびとのように|背《せ》も|高《たか》く、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またアナクびとと|同《おな》じくレパイムであると、みなされていたが、モアブびとは、これをエミびとと|呼《よ》んでいた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ホリびとも、むかしはセイルに|住《す》んでいたが、エサウの|子孫《しそん》がこれを|追《お》い|払《はら》い、これを|滅《ほろ》ぼし、|彼《かれ》らに|代《かわ》ってそこに|住《す》んだ。|主《しゅ》が|賜《たま》わった|所有《しょゆう》の|地《ち》に、イスラエルがおこなったのと|同《おな》じである。)[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、いま、|立《た》ちあがってゼレデ|川《がわ》を|渡《わた》りなさい』。そこでわれわれはゼレデ|川《がわ》を|渡《わた》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]カデシ・バルネアを|出《で》てこのかた、ゼレデ|川《がわ》を|渡《わた》るまでの|間《あいだ》の|日《ひ》は三十八|年《ねん》であって、その|世代《せだい》のいくさびとはみな|死《し》に|絶《た》えて、|宿営《しゅくえい》のうちにいなくなった。|主《しゅ》が|彼《かれ》らに|誓《ちか》われたとおりである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]まことに|主《しゅ》の|手《て》が|彼《かれ》らを|攻《せ》め、|宿営《しゅくえい》のうちから|滅《ほろ》ぼし|去《さ》られたので、|彼《かれ》らはついに|死《し》に|絶《た》えた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]いくさびとがみな|民《たみ》のうちから|死《し》に|絶《た》えたとき、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]『おまえは、きょう、モアブの|領地《りょうち》アルを|通《とお》ろうとしている。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|子孫《しそん》に|近《ちか》づく|時《とき》、おまえは|彼《かれ》らを|敵視《てきし》してはならない。また|争《あらそ》ってはならない。わたしはアンモンの|子孫《しそん》の|地《ち》を|領地《りょうち》として、おまえに|与《あた》えない。それをロトの|子孫《しそん》に|領地《りょうち》として|与《あた》えたからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり](これもまたレパイムの|国《くに》とみなされた。むかし、レパイムがここに|住《す》んでいたからである。しかし、アンモンびとは|彼《かれ》らをザムズミびとと|呼《よ》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》は|大《おお》いなる|民《たみ》であって|数《かず》も|多《おお》く、アナクびとのように|背《せ》も|高《たか》かったが、|主《しゅ》はアンモンびとの|前《まえ》から、これを|滅《ほろ》ぼされ、アンモンびとがこれを|追《お》い|払《はら》って、|彼《かれ》らに|代《かわ》ってそこに|住《す》んだ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》は、セイルに|住《す》んでいるエサウの|子孫《しそん》のためにその|前《まえ》から、ホリびとを|滅《ほろ》ぼされたのと|同《おな》じである。|彼《かれ》らはホリびとを|追《お》い|払《はら》い、これに|代《かわ》って|今日《こんにち》までそこに|住《す》んでいる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]またカフトルから|出《で》たカフトルびとは、ガザにまで|及《およ》ぶ|村々《むらむら》に|住《す》んでいたアビびとを|滅《ほろ》ぼして、これに|代《かわ》ってそこに|住《す》んでいる。)[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|立《た》ちあがり、|進《すす》んでアルノン|川《がわ》を|渡《わた》りなさい。わたしはヘシボンの|王《おう》アモリびとシホンとその|国《くに》とを、おまえの|手《て》に|渡《わた》した。それを|征服《せいふく》し|始《はじ》めよ。|彼《かれ》と|争《あらそ》って|戦《たたか》え。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]きょうから、わたしは|全《ぜん》|天下《てんか》の|民《たみ》に、おまえをおびえ|恐《おそ》れさせるであろう。|彼《かれ》らはおまえのうわさを|聞《き》いて|震《ふる》え、おまえのために|苦《くる》しむであろう』。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは、ケデモテの|荒野《あらの》から、ヘシボンの|王《おう》シホンに|使者《ししゃ》をつかわし、|平和《へいわ》の|言葉《ことば》を|述《の》べさせた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]『あなたの|国《くに》を|通《とお》らせてください。わたしは|大路《おおじ》をとおっていきます、|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》りません。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|金《かね》で|食物《しょくもつ》を|売《う》ってわたしに|食《た》べさせ、|金《かね》をとって|水《みず》を|与《あた》えてわたしに|飲《の》ませてください。|徒歩《とほ》で|通《とお》らせてくださるだけでよいのです。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]セイルに|住《す》むエサウの|子孫《しそん》と、アルに|住《す》むモアブびとが、わたしにしたようにしてください。そうすれば、わたしはヨルダンを|渡《わた》って、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》に|行《い》きます』。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ヘシボンの|王《おう》シホンは、われわれを|通《とお》らせるのを|好《この》まなかった。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|彼《かれ》をあなたの|手《て》に|渡《わた》すため、その|気《き》を|強《つよ》くし、その|心《こころ》をかたくなにされたからである。|今日《こんにち》|見《み》るとおりである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『わたしはシホンと、その|地《ち》とを、おまえに|渡《わた》し|始《はじ》めた。おまえはそれを|征服《せいふく》しはじめ、その|地《ち》を|自分《じぶん》のものとせよ』。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そこでシホンは、われわれを|攻《せ》めようとして、その|民《たみ》をことごとく|率《ひき》い、|出《で》てきてヤハズで|戦《たたか》ったが、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が|彼《かれ》を|渡《わた》されたので、われわれは|彼《かれ》とその|子《こ》らと、そのすべての|民《たみ》とを|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、われわれは|彼《かれ》のすべての|町《まち》を|取《と》り、そのすべての|町《まち》の|男《おとこ》、|女《おんな》および|子供《こども》を|全《まった》く|滅《ほろ》ぼして、ひとりをも|残《のこ》さなかった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ただその|家畜《かちく》は、われわれが|取《と》った|町々《まちまち》のぶんどり|物《もの》と|共《とも》に、われわれが|獲《え》て|自分《じぶん》の|物《もの》とした。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アルノンの|谷《たに》のほとりにあるアロエルおよび|谷《たに》の|中《なか》にある|町《まち》からギレアデに|至《いた》るまで、われわれが|攻《せ》めて|取《と》れなかった|町《まち》は一つもなかった。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がことごとくわれわれに|渡《わた》されたのである。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ただアンモンの|子孫《しそん》の|地《ち》、すなわちヤボク|川《がわ》の|全《ぜん》|岸《きし》、および|山地《さんち》の|町々《まちまち》、またすべてわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が|禁《きん》じられた|所《ところ》には|近寄《ちかよ》らなかった。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そしてわれわれは|身《み》をめぐらして、バシャンの|道《みち》を|上《のぼ》って|行《い》ったが、バシャンの|王《おう》オグは、われわれを|迎《むか》え|撃《う》とうとして、その|民《たみ》をことごとく|率《ひき》い、|出《で》てきてエデレイで|戦《たたか》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『|彼《かれ》を|恐《おそ》れてはならない。わたしは|彼《かれ》と、そのすべての|民《たみ》と、その|地《ち》をおまえの|手《て》に|渡《わた》している。おまえはヘシボンに|住《す》んでいたアモリびとの|王《おう》シホンにしたように、|彼《かれ》にするであろう』。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》はバシャンの|王《おう》オグと、そのすべての|民《たみ》を、われわれの|手《て》に|渡《わた》されたので、われわれはこれを|撃《う》ち|殺《ころ》して、ひとりをも|残《のこ》さなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、われわれは|彼《かれ》の|町々《まちまち》を、ことごとく|取《と》った。われわれが|取《と》らなかった|町《まち》は一つもなかった。|取《と》った|町《まち》は六十。アルゴブの|全《ぜん》|地方《ちほう》であって、バシャンにおけるオグの|国《くに》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これらは|皆《みな》、|高《たか》い|石《いし》がきがあり、|門《もん》があり、|貫《かん》の|木《き》のある|堅固《けんご》な|町《まち》であった。このほかに|石《いし》がきのない|町《まち》は、|非常《ひじょう》に|多《おお》かった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれはヘシボンの|王《おう》シホンにしたように、これらを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼし、そのすべての|町《まち》の|男《おとこ》、|女《おんな》および|子供《こども》をことごとく|滅《ほろ》ぼした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ただし、そのすべての|家畜《かちく》と、その|町々《まちまち》からのぶんどり|物《もの》とは、われわれが|獲《え》て|自分《じぶん》の|物《もの》とした。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》われわれはヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》にいるアモリびとのふたりの|王《おう》の|手《て》から、アルノン|川《がわ》からヘルモン|山《ざん》までの|地《ち》を|取《と》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり](シドンびとはヘルモンをシリオンと|呼《よ》び、アモリびとはこれをセニルと|呼《よ》んでいる。)[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|高原《こうげん》のすべての|町《まち》、ギレアデの|全《ぜん》|地《ち》、バシャンの|全《ぜん》|地《ち》、サルカおよびエデレイまで、バシャンにあるオグの|国《くに》の|町々《まちまち》をことごとく|取《と》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり](バシャンの|王《おう》オグはレパイムのただひとりの|生存者《せいぞんしゃ》であった。|彼《かれ》の|寝台《しんだい》は|鉄《てつ》の|寝台《しんだい》であった。これは|今《いま》なおアンモンびとのラバにあるではないか。これは|普通《ふつう》のキュビト|尺《しゃく》で、|長《なが》さ|九《きゅう》キュビト、|幅《はば》四キュビトである。)  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》われわれは、この|地《ち》を|獲《え》た。そしてわたしはアルノン|川《がわ》のほとりのアロエルから|始《はじ》まる|地《ち》と、ギレアデの|山地《さんち》の|半《なか》ばと、その|町々《まちまち》とは、ルベンびとと、ガドびととに|与《あた》えた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたギレアデの|残《のこ》りの|地《ち》と、オグの|国《くに》であったバシャンの|全《ぜん》|地《ち》とは、マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》に|与《あた》えた。すなわちアルゴブの|全《ぜん》|地方《ちほう》である。(そのバシャンの|全《ぜん》|地《ち》はレパイムの|国《くに》と|唱《とな》えられる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|子《こ》ヤイルは、アルゴブの|全《ぜん》|地方《ちほう》を|取《と》って、ゲシュルびとと、マアカびとの|境《さかい》にまで|達《たっ》し、|自分《じぶん》の|名《な》にしたがって、バシャンをハボテ・ヤイルと|名《な》づけた。この|名《な》は|今日《こんにち》にまでおよんでいる。)[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またわたしはマキルにはギレアデを|与《あた》えた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ルベンびとと、ガドびととには、ギレアデからアルノン|川《がわ》までを|与《あた》え、その|川《かわ》のまん|中《なか》をもって|境《さかい》とし、またアンモンびとの|境《さかい》であるヤボク|川《がわ》にまで|達《たっ》せしめた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またヨルダンを|境《さかい》として、キンネレテからアラバの|海《うみ》すなわち|塩《しお》の|海《うみ》まで、アラバをこれに|与《あた》えて、|東《ひがし》の|方《ほう》ピスガのふもとに|達《たっ》せしめた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしはあなたがたに|命《めい》じて|言《い》った、『あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこの|地《ち》をあなたがたに|与《あた》えて、これを|獲《え》させられるから、あなたがた|勇士《ゆうし》はみな|武装《ぶそう》して、|兄弟《きょうだい》であるイスラエルの|人々《ひとびと》に|先立《さきだ》って、|渡《わた》って|行《い》かなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ただし、あなたがたの|妻《つま》と、|子供《こども》と、|家畜《かちく》とは、わたしが|与《あた》えた|町々《まちまち》にとどまらなければならない。(わたしはあなたがたが|多《おお》くの|家畜《かちく》を|持《も》っているのを|知《し》っている。)[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がすでにあなたがたに|与《あた》えられたように、あなたがたの|兄弟《きょうだい》にも|安息《あんそく》を|与《あた》えられて、|彼《かれ》らもまたヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》で、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|与《あた》えられる|地《ち》を|獲《え》るようになったならば、あなたがたはおのおのわたしがあなたがたに|与《あた》えた|領地《りょうち》に|帰《かえ》ることができる』。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしはヨシュアに|命《めい》じて|言《い》った、『あなたの|目《め》はあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》がこのふたりの|王《おう》に|行《おこな》われたすべてのことを|見《み》た。|主《しゅ》はまたあなたが|渡《わた》って|行《い》くもろもろの|国《くに》にも、|同《おな》じように|行《おこな》われるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたのために|戦《たたか》われるからである』。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|主《しゅ》に|願《ねが》って|言《い》った、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]『|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたの|大《おお》いなる|事《こと》と、あなたの|強《つよ》い|手《て》とを、たった|今《いま》、しもべに|示《しめ》し|始《はじ》められました。|天《てん》にも|地《ち》にも、あなたのようなわざをなし、あなたのような|力《ちから》あるわざのできる|神《かみ》が、ほかにありましょうか。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、わたしにヨルダンを|渡《わた》って|行《い》かせ、その|向《む》こう|側《がわ》の|良《よ》い|地《ち》、あの|良《よ》い|山地《さんち》、およびレバノンを|見《み》ることのできるようにしてください』。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はあなたがたのゆえにわたしを|怒《いか》り、わたしに|聞《き》かれなかった。そして|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『おまえはもはや|足《た》りている。この|事《こと》については、|重《かさ》ねてわたしに|言《い》ってはならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]おまえはピスガの|頂《いただき》に|登《のぼ》り、|目《め》をあげて|西《にし》、|北《きた》、|南《みなみ》、|東《ひがし》を|望《のぞ》み|見《み》よ。おまえはこのヨルダンを|渡《わた》ることができないからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、おまえはヨシュアに|命《めい》じ、|彼《かれ》を|励《はげ》まし、|彼《かれ》を|強《つよ》くせよ。|彼《かれ》はこの|民《たみ》に|先立《さきだ》って|渡《わた》って|行《い》き、|彼《かれ》らにおまえの|見《み》る|地《ち》を|継《つ》がせるであろう』。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわれわれはベテペオルに|対《たい》する|谷《たに》にとどまっていた。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、いま、わたしがあなたがたに|教《おし》える|定《さだ》めと、おきてとを|聞《き》いて、これを|行《おこな》いなさい。そうすれば、あなたがたは|生《い》きることができ、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》にはいって、それを|自分《じぶん》のものとすることができよう。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたに|命《めい》じる|言葉《ことば》に|付《つ》け|加《くわ》えてはならない。また|減《へ》らしてはならない。わたしが|命《めい》じるあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》を|守《まも》ることのできるためである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|目《め》は、|主《しゅ》がバアル・ペオルで|行《おこな》われたことを|見《み》た。ペオルのバアルに|従《したが》った|人々《ひとびと》は、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がことごとく、あなたのうちから|滅《ほろ》ぼしつくされたのである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》につき|従《したが》ったあなたがたは|皆《みな》、きょう、|生《い》きながらえている。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりに、|定《さだ》めと、おきてとを、あなたがたに|教《おし》える。あなたがたがはいって、|自分《じぶん》のものとする|地《ち》において、そのように|行《おこな》うためである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、これを|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。これは、もろもろの|民《たみ》にあなたがたの|知恵《ちえ》、また|知識《ちしき》を|示《しめ》す|事《こと》である。|彼《かれ》らは、このもろもろの|定《さだ》めを|聞《き》いて、『この|大《おお》いなる|国民《こくみん》は、まことに|知恵《ちえ》あり、|知識《ちしき》ある|民《たみ》である』と|言《い》うであろう。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》は、われわれが|呼《よ》び|求《もと》める|時《とき》、つねにわれわれに|近《ちか》くおられる。いずれの|大《おお》いなる|国民《こくみん》に、このように|近《ちか》くおる|神《かみ》があるであろうか。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また、いずれの|大《おお》いなる|国民《こくみん》に、きょう、わたしがあなたがたの|前《まえ》に|立《た》てるこのすべての|律法《りっぽう》のような|正《ただ》しい|定《さだ》めと、おきてとがあるであろうか。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ただあなたはみずから|慎《つつし》み、またあなた|自身《じしん》をよく|守《まも》りなさい。そして|目《め》に|見《み》たことを|忘《わす》れず、|生《い》きながらえている|間《あいだ》、それらの|事《こと》をあなたの|心《こころ》から|離《はな》してはならない。またそれらのことを、あなたの|子孫《しそん》に|知《し》らせなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがホレブにおいて、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》った|日《ひ》に、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『|民《たみ》をわたしのもとに|集《あつ》めよ。わたしは|彼《かれ》らにわたしの|言葉《ことば》を|聞《き》かせ、|地上《ちじょう》に|生《い》きながらえる|間《あいだ》、|彼《かれ》らにわたしを|恐《おそ》れることを|学《まな》ばせ、またその|子《こ》|供《とも》を|教《おし》えることのできるようにさせよう』。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこであなたがたは|近《ちか》づいて、|山《やま》のふもとに|立《た》ったが、|山《やま》は|火《ひ》で|焼《や》けて、その|炎《ほのお》は|中天《ちゅうてん》に|達《たっ》し、|暗黒《あんこく》と|雲《くも》と|濃《こ》い|雲《くも》とがあった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》は|火《ひ》の|中《なか》から、あなたがたに|語《かた》られたが、あなたがたは|言葉《ことば》の|声《こえ》を|聞《き》いたけれども、|声《こえ》ばかりで、なんの|形《かたち》も|見《み》なかった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|契約《けいやく》を|述《の》べて、それを|行《おこな》うように、あなたがたに|命《めい》じられた。それはすなわち|十誡《じっかい》であって、|主《しゅ》はそれを|二《に》|枚《まい》の|石《いし》の|板《いた》に|書《か》きしるされた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はわたしに|命《めい》じて、あなたがたに|定《さだ》めと、おきてとを|教《おし》えさせられた。あなたがたが|渡《わた》って|行《い》って|自分《じぶん》のものとする|地《ち》で、|行《おこな》わせるためであった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたはみずから|深《ふか》く|慎《つつし》まなければならない。ホレブで|主《しゅ》が|火《ひ》の|中《なか》からあなたがたに|語《かた》られた|日《ひ》に、あなたがたはなんの|形《かたち》も|見《み》なかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それであなたがたは|道《みち》を|誤《あやま》って、|自分《じぶん》のために、どんな|形《かたち》の|刻《きざ》んだ|像《ぞう》をも|造《つく》ってはならない。|男《おとこ》または|女《おんな》の|像《ぞう》を|造《つく》ってはならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|地《ち》の|上《うえ》におるもろもろの|獣《けもの》の|像《ぞう》、|空《そら》を|飛《と》ぶもろもろの|鳥《とり》の|像《ぞう》、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》に|這《は》うもろもろの|物《もの》の|像《ぞう》、|地《ち》の|下《した》の|水《みず》の|中《なか》におるもろもろの|魚《うお》の|像《ぞう》を|造《つく》ってはならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|目《め》を|上《あ》げて|天《てん》を|望《のぞ》み、|日《ひ》、|月《つき》、|星《ほし》すなわちすべて|天《てん》の|万象《ばんしょう》を|見《み》、|誘惑《ゆうわく》されてそれを|拝《おが》み、それに|仕《つか》えてはならない。それらのものは、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|全《ぜん》|天下《てんか》の|万民《ばんみん》に|分《わ》けられたものである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》はあなたがたを|取《と》って、|鉄《てつ》の|炉《ろ》すなわちエジプトから|導《みちび》き|出《だ》し、|自分《じぶん》の|所有《しょゆう》の|民《たみ》とされた。きょう、|見《み》るとおりである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ところで|主《しゅ》はあなたがたのゆえに、わたしを|怒《いか》り、わたしがヨルダンを|渡《わた》って|行《い》くことができないことと、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》としてあなたに|賜《たま》わる|良《よ》い|地《ち》にはいることができないこととを|誓《ちか》われた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|地《ち》で|死《し》ぬ。ヨルダンを|渡《わた》って|行《い》くことはできない。しかしあなたがたは|渡《わた》って|行《い》って、あの|良《よ》い|地《ち》を|獲《え》るであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|慎《つつし》み、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》を|忘《わす》れて、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|禁《きん》じられたどんな|形《かたち》の|刻《きざ》んだ|像《ぞう》をも|造《つく》ってはならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|焼《や》きつくす|火《ひ》、ねたむ|神《かみ》である。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|子《こ》を|生《う》み、|孫《まご》を|得《え》、|長《なが》くその|地《ち》におるうちに、|道《みち》を|誤《あやま》って、すべて|何《なに》かの|形《かたち》に|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|造《つく》り、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をなして、その|憤《いきどお》りを|引《ひ》き|起《おこ》すことがあれば、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、きょう、|天《てん》と|地《ち》を|呼《よ》んであなたがたに|対《たい》してあかしとする。あなたがたはヨルダンを|渡《わた》って|行《い》って|獲《え》る|地《ち》から、たちまち|全滅《ぜんめつ》するであろう。あなたがたはその|所《ところ》で|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》つことができず、|全《まった》く|滅《ほろ》ぼされるであろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたがたを|国々《くにぐに》に|散《ち》らされるであろう。そして|主《しゅ》があなたがたを|追《お》いやられる|国民《こくみん》のうちに、あなたがたの|残《のこ》る|者《もの》の|数《かず》は|少《すく》ないであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》であなたがたは|人《ひと》が|手《て》で|作《つく》った、|見《み》ることも、|聞《き》くことも、|食《た》べることも、かぐこともない|木《き》や|石《いし》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》えるであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|所《ところ》からあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》め、もし|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして、|主《しゅ》を|求《もと》めるならば、あなたは|主《しゅ》に|会《あ》うであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》の|日《ひ》になって、あなたがなやみにあい、これらのすべての|事《こと》が、あなたに|臨《のぞ》むとき、もしあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|立《た》ち|帰《かえ》ってその|声《こえ》に|聞《き》きしたがうならば、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はいつくしみの|深《ふか》い|神《かみ》であるから、あなたを|捨《す》てず、あなたを|滅《ほろ》ぼさず、またあなたの|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》った|契約《けいやく》を|忘《わす》れられないであろう。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|試《こころ》みにあなたの|前《まえ》に|過《す》ぎ|去《さ》った|日《ひ》について|問《と》え。|神《かみ》が|地上《ちじょう》に|人《ひと》を|造《つく》られた|日《ひ》からこのかた、|天《てん》のこの|端《はし》から、かの|端《はし》までに、かつてこのように|大《おお》いなる|事《こと》があったであろうか。このようなことを|聞《き》いたことがあったであろうか。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》の|中《なか》から|語《かた》られる|神《かみ》の|声《こえ》をあなたが|聞《き》いたように、|聞《き》いてなお|生《い》きていた|民《たみ》がかつてあったであろうか。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あるいはまた、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》がエジプトにおいて、あなたがたの|目《め》の|前《まえ》に、あなたがたのためにもろもろの|事《こと》をなされたように、|試《こころ》みと、しるしと、|不思議《ふしぎ》と、|戦《たたか》いと、|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》ばした|腕《うで》と、|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|事《こと》とをもって|臨《のぞ》み、一つの|国民《こくみん》を|他《た》の|国民《こくみん》のうちから|引《ひ》き|出《だ》して、|自分《じぶん》の|民《たみ》とされた|神《かみ》が、かつてあったであろうか。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたにこの|事《こと》を|示《しめ》したのは、|主《しゅ》こそ|神《かみ》であって、ほかに|神《かみ》のないことを|知《し》らせるためであった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|訓練《くんれん》するために、|主《しゅ》は|天《てん》からその|声《こえ》を|聞《き》かせ、|地上《ちじょう》では、またその|大《おお》いなる|火《ひ》を|示《しめ》された。あなたはその|言葉《ことば》が|火《ひ》の|中《なか》から|出《で》るのを|聞《き》いた。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたの|先祖《せんぞ》たちを|愛《あい》されたので、その|後《のち》の|子孫《しそん》を|選《えら》び、|大《おお》いなる|力《ちから》をもって、みずからあなたをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》し、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]あなたよりも|大《おお》きく、かつ|強《つよ》いもろもろの|国民《こくみん》を、あなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》い、あなたをその|地《ち》に|導《みちび》き|入《い》れて、これを|嗣《し》|業《ぎょう》としてあなたに|与《あた》えようとされること、|今日《こんにち》|見《み》るとおりである。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたは、きょう|知《し》って、|心《こころ》にとめなければならない。|上《うえ》は|天《てん》、|下《した》は|地《ち》において、|主《しゅ》こそ|神《かみ》にいまし、ほかに|神《かみ》のないことを。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、きょう、わたしが|命《めい》じる|主《しゅ》の|定《さだ》めと|命令《めいれい》とを|守《まも》らなければならない。そうすれば、あなたとあなたの|後《のち》の|子孫《しそん》はさいわいを|得《え》、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|永久《えいきゅう》にあなたに|賜《たま》わる|地《ち》において、|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》つことができるであろう」。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]それからモーセはヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、|東《ひがし》の|方《ほう》に三つの|町々《まちまち》を|指定《してい》した。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|過去《かこ》の|恨《うら》みによるのではなく、あやまって|隣人《りんじん》を|殺《ころ》した|者《もの》をそこにのがれさせ、その|町《まち》の一つにのがれて、|命《いのち》を|全《まっと》うさせるためであった。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちルベンびとのためには|荒野《あらの》の|中《なか》の|高地《こうち》にあるベゼルを、ガドびとのためにはギレアデのラモテを、マナセびとのためにはバシャンのゴランを|定《さだ》めた。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]モーセがイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》に|示《しめ》した|律法《りっぽう》はこれである。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトから|出《で》たとき、モーセが|彼《かれ》らに|述《の》べたあかしと、|定《さだ》めと、おきてとはこれである。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、アモリびとの|王《おう》シホンの|国《くに》のベテペオルに|対《たい》する|谷《たに》においてこれを|述《の》べた。シホンはヘシボンに|住《す》んでいたが、モーセとイスラエルの|人々《ひとびと》が、エジプトを|出《で》てきた|時《とき》、これを|撃《う》ち|敗《やぶ》って、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]その|国《くに》を|獲《え》、またバシャンの|王《おう》オグの|国《くに》を|獲《え》た。このふたりはアモリびとの|王《おう》であって、ヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、|東《ひがし》の|方《ほう》におった。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|獲《え》た|地《ち》はアルノン|川《がわ》のほとりにあるアロエルからシリオン|山《ざん》すなわちヘルモンに|及《およ》び、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]ヨルダンの|東側《ひがしがわ》のアラバの|全部《ぜんぶ》をかねて、アラバの|海《うみ》に|達《たっ》し、ピスガのふもとに|及《およ》んだ。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてモーセはイスラエルのすべての|人《ひと》を|召《め》し|寄《よ》せて|言《い》った、「イスラエルよ、きょう、わたしがあなたがたの|耳《みみ》に|語《かた》る|定《さだ》めと、おきてを|聞《き》き、これを|学《まな》び、これを|守《まも》って|行《おこな》え。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》はホレブで、われわれと|契約《けいやく》を|結《むす》ばれた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこの|契約《けいやく》をわれわれの|先祖《せんぞ》たちとは|結《むす》ばず、きょう、ここに|生《い》きながらえているわれわれすべての|者《もの》と|結《むす》ばれた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|山《やま》で|火《ひ》の|中《なか》から、あなたがたと|顔《かお》を|合《あ》わせて|語《かた》られた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、わたしは|主《しゅ》とあなたがたとの|間《あいだ》に|立《た》って|主《しゅ》の|言葉《ことば》をあなたがたに|伝《つた》えた。あなたがたは|火《ひ》のゆえに|恐《おそ》れて|山《やま》に|登《のぼ》ることができなかったからである。|主《しゅ》は|言《い》われた、  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]『わたしはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、あなたをエジプトの|地《ち》、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|導《みちび》き|出《だ》した|者《もの》である。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしのほかに|何《なに》ものをも|神《かみ》としてはならない。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》のために|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|造《つく》ってはならない。|上《うえ》は|天《てん》にあるもの、|下《した》は|地《ち》にあるもの、また|地《ち》の|下《した》の|水《みず》の|中《なか》にあるものの、どのような|形《かたち》をも|造《つく》ってはならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それを|拝《おが》んではならない。またそれに|仕《つか》えてはならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》であるわたしは、ねたむ|神《かみ》であるから、わたしを|憎《にく》むものには、|父《ちち》の|罪《つみ》を|子《こ》に|報《むく》いて三、四|代《だい》に|及《およ》ぼし、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|愛《あい》し、わたしの|戒《いまし》めを|守《まも》る|者《もの》には|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》して|千《せん》|代《だい》に|至《いた》るであろう。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》をみだりに|唱《とな》えてはならない。|主《しゅ》はその|名《な》をみだりに|唱《とな》える|者《もの》を|罰《ばっ》しないではおかないであろう。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|安息日《あんそくにち》を|守《まも》ってこれを|聖《せい》とし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたに|命《めい》じられたようにせよ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》のあいだ|働《はたら》いて、あなたのすべてのわざをしなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》はあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|安息《あんそく》であるから、なんのわざをもしてはならない。あなたも、あなたのむすこ、|娘《むすめ》、しもべ、はしため、|牛《うし》、ろば、もろもろの|家畜《かちく》も、あなたの|門《もん》のうちにおる|他国《たこく》の|人《ひと》も|同《おな》じである。こうしてあなたのしもべ、はしためを、あなたと|同《おな》じように|休《やす》ませなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつてエジプトの|地《ち》で|奴隷《どれい》であったが、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》ばした|腕《うで》とをもって、そこからあなたを|導《みちび》き|出《だ》されたことを|覚《おぼ》えなければならない。それゆえ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|安息日《あんそくにち》を|守《まも》ることを|命《めい》じられるのである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたように、あなたの|父《ちち》と|母《はは》とを|敬《うやま》え。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》で、あなたが|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》ち、さいわいを|得《え》ることのできるためである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|殺《ころ》してはならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|姦淫《かんいん》してはならない。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|盗《ぬす》んではならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|隣人《りんじん》について|偽証《ぎしょう》してはならない。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|隣人《りんじん》の|妻《つま》をむさぼってはならない。また|隣人《りんじん》の|家《いえ》、|畑《はたけ》、しもべ、はしため、|牛《うし》、ろば、またすべて|隣人《りんじん》のものをほしがってはならない』。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれらの|言葉《ことば》を|山《やま》で|火《ひ》の|中《なか》、|雲《くも》の|中《なか》、|濃《こ》い|雲《くも》の|中《なか》から、|大《おお》いなる|声《こえ》をもって、あなたがたの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》にお|告《つ》げになったが、このほかのことは|言《い》われず、二|枚《まい》の|石《いし》の|板《いた》にこれを|書《か》きしるして、わたしに|授《さづ》けられた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|山《やま》は|火《ひ》で|燃《も》えていたが、あなたがたが|暗黒《あんこく》のうちから|聞《きこ》える|声《こえ》を|聞《き》くに|及《およ》んで、あなたがたの|部族《ぶぞく》のすべてのかしらと|長老《ちょうろう》たちは、わたしに|近寄《ちかよ》って、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、『われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|栄光《えいこう》と、その|大《おお》いなることとを、われわれに|示《しめ》されて、われわれは|火《ひ》の|中《なか》から|出《で》るその|声《こえ》を|聞《き》きました。きょう、われわれは|神《かみ》が|人《ひと》と|語《かた》られ、しかもなおその|人《ひと》が|生《い》きているのを|見《み》ました。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]われわれはなぜ|死《し》ななければならないでしょうか。この|大《おお》いなる|火《ひ》はわれわれを|焼《や》き|滅《ほろ》ぼそうとしています。もしこの|上《うえ》なおわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》を|聞《き》くならば、われわれは|死《し》んでしまうでしょう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]およそ|肉《にく》なる|者《もの》のうち、だれが、|火《ひ》の|中《なか》から|語《かた》られる|生《い》ける|神《かみ》の|声《こえ》を、われわれのように|聞《き》いてなお|生《い》きている|者《もの》がありましょうか。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはどうぞ|近《ちか》く|進《すす》んで|行《い》って、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が|言《い》われることをみな|聞《き》き、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたにお|告《つ》げになることをすべてわれわれに|告《つ》げてください。われわれは|聞《き》いて|行《おこな》います』。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがわたしに|語《かた》っている|時《とき》、|主《しゅ》はあなたがたの|言葉《ことば》を|聞《き》いて、わたしに|言《い》われた、『わたしはこの|民《たみ》がおまえに|語《かた》っている|言葉《ことば》を|聞《き》いた。|彼《かれ》らの|言《い》ったことはみな|良《よ》い。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ただ|願《ねが》わしいことは、|彼《かれ》らがつねにこのような|心《こころ》をもってわたしを|恐《おそ》れ、わたしのすべての|命令《めいれい》を|守《まも》って、|彼《かれ》らもその|子孫《しそん》も|永久《えいきゅう》にさいわいを|得《え》るにいたることである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]おまえは|行《い》って|彼《かれ》らに、「あなたがたはおのおのその|天幕《てんまく》に|帰《かえ》れ」と|言《い》え。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、おまえはこの|所《ところ》でわたしのそばに|立《た》て。わたしはすべての|命令《めいれい》と、|定《さだ》めと、おきてとをおまえに|告《つ》げ|示《しめ》すであろう。おまえはこれを|彼《かれ》らに|教《おし》え、わたしが|彼《かれ》らに|与《あた》えて|獲《え》させる|地《ち》において、これを|行《おこな》わせなければならない』。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりに、|慎《つつし》んで|行《おこな》わなければならない。そして|左《ひだり》にも|右《みぎ》にも|曲《まが》ってはならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられた|道《みち》に|歩《あゆ》まなければならない。そうすればあなたがたは|生《い》きることができ、かつさいわいを|得《え》て、あなたがたの|獲《え》る|地《ち》において、|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》つことができるであろう。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたに|教《おし》えよと|命《めい》じられた|命令《めいれい》と、|定《さだ》めと、おきてであって、あなたがたは|渡《わた》って|行《い》って|獲《え》る|地《ち》で、これを|行《おこな》わなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたが|子《こ》や|孫《まご》と|共《とも》に、あなたの|生《い》きながらえる|日《ひ》の|間《あいだ》、つねにあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れて、わたしが|命《めい》じるもろもろの|定《さだ》めと、|命令《めいれい》とを|守《まも》らせるため、またあなたが|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》つことのできるためである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルよ、|聞《き》いて、それを|守《まも》り|行《おこな》え。そうすれば、あなたはさいわいを|得《え》、あなたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》があなたに|言《い》われたように、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|国《くに》で、あなたの|数《かず》は|大《おお》いに|増《ま》すであろう。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ|聞《き》け。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》は|唯一《ゆいいつ》の|主《しゅ》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくし、|力《ちから》をつくして、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》さなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]きょう、わたしがあなたに|命《めい》じるこれらの|言葉《ことば》をあなたの|心《こころ》に|留《と》め、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|努《つと》めてこれをあなたの|子《こ》らに|教《おし》え、あなたが|家《いえ》に|座《ざ》している|時《とき》も、|道《みち》を|歩《ある》く|時《とき》も、|寝《ね》る|時《とき》も、|起《お》きる|時《とき》も、これについて|語《かた》らなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またあなたはこれをあなたの|手《て》につけてしるしとし、あなたの|目《め》の|間《あいだ》に|置《お》いて|覚《おぼ》えとし、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|家《いえ》の|入口《いりぐち》の|柱《はしら》と、あなたの|門《もん》とに|書《か》きしるさなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は、あなたの|先祖《せんぞ》アブラハム、イサク、ヤコブに|向《む》かって、あなたに|与《あた》えると|誓《ちか》われた|地《ち》に、あなたをはいらせられる|時《とき》、あなたが|建《た》てたものでない|大《おお》きな|美《うつく》しい|町々《まちまち》を|得《え》させ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|満《み》たしたものでないもろもろの|良《よ》い|物《もの》を|満《み》たした|家《いえ》を|得《え》させ、あなたが|掘《ほ》ったものでない|掘《ほ》り|井戸《いど》を|得《え》させ、あなたが|植《う》えたものでないぶどう|畑《はたけ》とオリブの|畑《はたけ》とを|得《え》させられるであろう。あなたは|食《た》べて|飽《あ》きるであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あなたはみずから|慎《つつし》み、エジプトの|地《ち》、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|導《みちび》き|出《だ》された|主《しゅ》を|忘《わす》れてはならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れてこれに|仕《つか》え、その|名《な》をさして|誓《ちか》わなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|他《た》の|神々《かみがみ》すなわち|周囲《しゅうい》の|民《たみ》の|神々《かみがみ》に|従《したが》ってはならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたのうちにおられるあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はねたむ|神《かみ》であるから、おそらく、あなたに|向《む》かって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|地《ち》のおもてからあなたを|滅《ほろ》ぼし|去《さ》られるであろう。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがマッサでしたように、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|試《こころ》みてはならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたに|命《めい》じられた|命令《めいれい》と、あかしと、|定《さだ》めとを、|努《つと》めて|守《まも》らなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|主《しゅ》が|見《み》て|正《ただ》しいとし、|良《よ》いとされることを|行《おこな》わなければならない。そうすれば、あなたはさいわいを|得《え》、かつ|主《しゅ》があなたの|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》われた、あの|良《よ》い|地《ち》にはいって、|自分《じぶん》のものとすることができるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》が|仰《おお》せられたように、あなたの|敵《てき》を|皆《みな》あなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われるであろう。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》の|日《ひ》となって、あなたの|子《こ》があなたに|問《と》うて|言《い》うであろう、『われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたに|命《めい》じられたこのあかしと、|定《さだ》めと、おきてとは、なんのためですか』。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたはその|子《こ》に|言《い》わなければならない。『われわれはエジプトでパロの|奴隷《どれい》であったが、|主《しゅ》は|強《つよ》い|手《て》をもって、われわれをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》された。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれわれの|目《め》の|前《まえ》で、|大《おお》きな|恐《おそ》ろしいしるしと|不思議《ふしぎ》とをエジプトと、パロとその|全家《ぜんか》とに|示《しめ》され、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]われわれをそこから|導《みちび》き|出《だ》し、かつてわれわれの|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》われた|地《ち》にはいらせ、それをわれわれに|賜《たま》わった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はこのすべての|定《さだ》めを|行《おこな》えと、われわれに|命《めい》じられた。これはわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れて、われわれが、つねにさいわいであり、また|今日《こんにち》のように、|主《しゅ》がわれわれを|守《まも》って|命《いのち》を|保《たも》たせるためである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]もしわれわれが、|命《めい》じられたとおりに、このすべての|命令《めいれい》をわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|守《まも》って|行《おこな》うならば、それはわれわれの|義《ぎ》となるであろう』。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、あなたの|行《い》って|取《と》る|地《ち》にあなたを|導《みちび》き|入《い》れ、|多《おお》くの|国々《くにぐに》の|民《たみ》、ヘテびと、ギルガシびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、およびエブスびと、すなわちあなたよりも|数多《かずおお》く、また|力《ちから》のある七つの|民《たみ》を、あなたの|前《まえ》から|追《お》いはらわれる|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|彼《かれ》らをあなたに|渡《わた》して、これを|撃《う》たせられる|時《とき》は、あなたは|彼《かれ》らを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼさなければならない。|彼《かれ》らとなんの|契約《けいやく》をもしてはならない。|彼《かれ》らに|何《なに》のあわれみをも|示《しめ》してはならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らと|婚姻《こんいん》をしてはならない。あなたの|娘《むすめ》を|彼《かれ》のむすこに|与《あた》えてはならない。かれの|娘《むすめ》をあなたのむすこにめとってはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それは|彼《かれ》らがあなたのむすこを|惑《まど》わしてわたしに|従《したが》わせず、ほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えさせ、そのため|主《しゅ》はあなたがたにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、すみやかにあなたがたを|滅《ほろ》ぼされることとなるからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]むしろ、あなたがたはこのように|彼《かれ》らに|行《おこな》わなければならない。すなわち|彼《かれ》らの|祭壇《さいだん》をこぼち、その|石《いし》の|柱《はしら》を|撃《う》ち|砕《くだ》き、そのアシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》し、その|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|火《ひ》で|焼《や》かなければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|聖《せい》なる|民《たみ》である。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|地《ち》のおもてのすべての|民《たみ》のうちからあなたを|選《えら》んで、|自分《じぶん》の|宝《たから》の|民《たみ》とされた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたがたを|愛《あい》し、あなたがたを|選《えら》ばれたのは、あなたがたがどの|国民《こくみん》よりも|数《かず》が|多《おお》かったからではない。あなたがたはよろずの|民《たみ》のうち、もっとも|数《かず》の|少《すく》ないものであった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ただ|主《しゅ》があなたがたを|愛《あい》し、またあなたがたの|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》われた|誓《ちか》いを|守《まも》ろうとして、|主《しゅ》は|強《つよ》い|手《て》をもってあなたがたを|導《みちび》き|出《だ》し、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から、エジプトの|王《おう》パロの|手《て》から、あがない|出《だ》されたのである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえあなたは|知《し》らなければならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|神《かみ》にましまし、|真実《しんじつ》の|神《かみ》にましまして、|彼《かれ》を|愛《あい》し、その|命令《めいれい》を|守《まも》る|者《もの》には、|契約《けいやく》を|守《まも》り、|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》して|千《せん》|代《だい》に|及《およ》び、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》を|憎《にく》む|者《もの》には、めいめいに|報《むく》いて|滅《ほろ》ぼされることを。|主《しゅ》は|自分《じぶん》を|憎《にく》む|者《もの》には|猶予《ゆうよ》することなく、めいめいに|報《むく》いられる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、きょうわたしがあなたに|命《めい》じる|命令《めいれい》と、|定《さだ》めと、おきてとを|守《まも》って、これを|行《おこな》わなければならない。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがこれらのおきてを|聞《き》いて|守《まも》り|行《おこな》うならば、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われた|契約《けいやく》を|守《まも》り、いつくしみを|施《ほどこ》されるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|愛《あい》し、あなたを|祝福《しゅくふく》し、あなたの|数《かず》を|増《ま》し、あなたに|与《あた》えると|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われた|地《ち》で、あなたの|子女《しじょ》を|祝福《しゅくふく》し、あなたの|地《ち》の|産物《さんぶつ》、|穀物《こくもつ》、|酒《さけ》、|油《あぶら》、また|牛《うし》の|子《こ》、|羊《ひつじ》の|子《こ》を|増《ま》されるであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|万民《ばんみん》にまさって|祝福《しゅくふく》されるであろう。あなたのうち、|男《おとこ》も|女《おんな》も|子《こ》のないものはなく、またあなたの|家畜《かちく》にも|子《こ》のないものはないであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたすべての|病《やまい》をあなたから|取《と》り|去《さ》り、あなたの|知《し》っている、あのエジプトの|悪疫《あくえき》にかからせず、ただあなたを|憎《にく》むすべての|者《もの》にそれを|臨《のぞ》ませられるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたに|渡《わた》される|国民《こくみん》を|滅《ほろ》ぼしつくし、|彼《かれ》らを|見《み》てあわれんではならない。また|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えてはならない。それがあなたのわなとなるからである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》のうちで『これらの|国民《こくみん》はわたしよりも|多《おお》いから、どうしてこれを|追《お》い|払《はら》うことができようか』と|言《い》うのか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がパロと、すべてのエジプトびととにされたことを、よく|覚《おぼ》えなさい。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、あなたが|目《め》で|見《み》た|大《おお》いなる|試《こころ》みと、しるしと、|不思議《ふしぎ》と、|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》ばした|腕《うで》とを|覚《おぼ》えなさい。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこれらをもって、あなたを|導《みちび》き|出《だ》されたのである。またそのように、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたが|恐《おそ》れているすべての|民《たみ》にされるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はまた、くまばちを|彼《かれ》らのうちに|送《おく》って、なお|残《のこ》っている|者《もの》と|逃《に》げ|隠《かく》れている|者《もの》を|滅《ほろ》ぼしつくされるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》である|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|神《かみ》があなたのうちにおられるからである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこれらの|国民《こくみん》を|徐々《じょじょ》にあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われるであろう。あなたはすみやかに|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしつくしてはならない。そうでなければ、|野《の》の|獣《けもの》が|増《ま》してあなたを|害《がい》するであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|彼《かれ》らをあなたに|渡《わた》し、|大《おお》いなる|混乱《こんらん》におとしいれて、ついに|滅《ほろ》ぼされるであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|王《おう》たちをあなたの|手《て》に|渡《わた》されるであろう。あなたは|彼《かれ》らの|名《な》を|天《てん》の|下《した》から|消《け》し|去《さ》るであろう。あなたに|立《た》ちむかうものはなく、あなたはついに|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼすにいたるであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》の|彫像《ちょうぞう》を|火《ひ》に|焼《や》かなければならない。それに|着《き》せた|銀《ぎん》または|金《きん》をむさぼってはならない。これを|取《と》って|自分《じぶん》のものにしてはならない。そうでなければ、あなたはこれによって、わなにかかるであろう。これはあなたの|神《かみ》が|忌《い》みきらわれるものだからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|忌《い》むべきものを|家《いえ》に|持《も》ちこんで、それと|同《おな》じようにあなた|自身《じしん》も、のろわれたものとなってはならない。あなたはそれを|全《まった》く|忌《い》みきらわなければならない。それはのろわれたものだからである。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが、きょう、|命《めい》じるこのすべての|命令《めいれい》を、あなたがたは|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。そうすればあなたがたは|生《い》きることができ、かつふえ|増《ま》し、|主《しゅ》があなたがたの|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》われた|地《ち》にはいって、それを|自分《じぶん》のものとすることができるであろう。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がこの四十|年《ねん》の|間《あいだ》、|荒野《あらの》であなたを|導《みちび》かれたそのすべての|道《みち》を|覚《おぼ》えなければならない。それはあなたを|苦《くる》しめて、あなたを|試《こころ》み、あなたの|心《こころ》のうちを|知《し》り、あなたがその|命令《めいれい》を|守《まも》るか、どうかを|知《し》るためであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それで|主《しゅ》はあなたを|苦《くる》しめ、あなたを|飢《う》えさせ、あなたも|知《し》らず、あなたの|先祖《せんぞ》たちも|知《し》らなかったマナをもって、あなたを|養《やしな》われた。|人《ひと》はパンだけでは|生《い》きず、|人《ひと》は|主《しゅ》の|口《くち》から|出《で》るすべてのことばによって|生《い》きることをあなたに|知《し》らせるためであった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この四十|年《ねん》の|間《あいだ》、あなたの|着物《きもの》はすり|切《き》れず、あなたの|足《あし》は、はれなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|人《ひと》がその|子《こ》を|訓練《くんれん》するように、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》もあなたを|訓練《くんれん》されることを|心《こころ》にとめなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》を|守《まも》り、その|道《みち》に|歩《あゆ》んで、|彼《かれ》を|恐《おそ》れなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたを|良《よ》い|地《ち》に|導《みちび》き|入《い》れられるからである。そこは|谷《たに》にも|山《やま》にもわき|出《で》る|水《みず》の|流《なが》れ、|泉《いずみ》、および|淵《ふち》のある|地《ち》、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|小麦《こむぎ》、|大麦《おおむぎ》、ぶどう、いちじく|及《およ》びざくろのある|地《ち》、|油《あぶら》のオリブの|木《き》、および|蜜《みつ》のある|地《ち》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|食《た》べる|食物《しょくもつ》に|欠《か》けることなく、なんの|乏《とぼ》しいこともない|地《ち》である。その|地《ち》の|石《いし》は|鉄《てつ》であって、その|山《やま》からは|銅《どう》を|掘《ほ》り|取《と》ることができる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|食《た》べて|飽《あ》き、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|良《よ》い|地《ち》を|賜《たま》わったことを|感謝《かんしゃ》するであろう。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、きょう、わたしが|命《めい》じる|主《しゅ》の|命令《めいれい》と、おきてと、|定《さだ》めとを|守《まも》らず、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|忘《わす》れることのないように|慎《つつし》まなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|食《た》べて|飽《あ》き、|麗《うるわ》しい|家《いえ》を|建《た》てて|住《す》み、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|牛《うし》や|羊《ひつじ》がふえ、|金銀《きんぎん》が|増《ま》し、|持《も》ち|物《もの》がみな|増《ま》し|加《くわ》わるとき、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]おそらく|心《こころ》にたかぶり、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|忘《わす》れるであろう。|主《しゅ》はあなたをエジプトの|地《ち》、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|導《みちび》き|出《だ》し、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|導《みちび》いて、あの|大《おお》きな|恐《おそ》ろしい|荒野《あらの》、すなわち|火《ひ》のへびや、さそりがいて、|水《みず》のない、かわいた|地《ち》を|通《とお》り、あなたのために|堅《かた》い|岩《いわ》から|水《みず》を|出《だ》し、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|先祖《せんぞ》たちも|知《し》らなかったマナを|荒野《あらの》であなたに|食《た》べさせられた。それはあなたを|苦《くる》しめ、あなたを|試《こころ》みて、ついにはあなたをさいわいにするためであった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》のうちに『|自分《じぶん》の|力《ちから》と|自分《じぶん》の|手《て》の|働《はたら》きで、わたしはこの|富《とみ》を|得《え》た』と|言《い》ってはならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|覚《おぼ》えなければならない。|主《しゅ》はあなたの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われた|契約《けいやく》を|今日《こんにち》のように|行《おこな》うために、あなたに|富《とみ》を|得《え》る|力《ちから》を|与《あた》えられるからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|忘《わす》れて|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》い、これに|仕《つか》え、これを|拝《おが》むならば、――わたしは、きょう、あなたがたに|警告《けいこく》する。――あなたがたはきっと|滅《ほろ》びるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたがたの|前《まえ》から|滅《ほろ》ぼし|去《さ》られる|国々《くにぐに》の|民《たみ》のように、あなたがたも|滅《ほろ》びるであろう。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|従《したが》わないからである。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、|聞《き》きなさい。あなたは、きょう、ヨルダンを|渡《わた》って|行《い》って、あなたよりも|大《おお》きく、かつ|強《つよ》い|国々《くにぐに》を|取《と》ろうとしている。その|町々《まちまち》は|大《おお》きく、|石《いし》がきは|天《てん》に|達《たっ》している。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|民《たみ》は、あなたの|知《し》っているアナクびとの|子孫《しそん》であって、|大《おお》きく、また|背《せ》が|高《たか》い。あなたはまた『アナクの|子孫《しそん》の|前《まえ》に、だれが|立《た》つことができようか』と|人《ひと》の|言《い》うのを|聞《き》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたは、きょう、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|焼《や》きつくす|火《ひ》であって、あなたの|前《まえ》に|進《すす》まれることを|知《し》らなければならない。|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼし、|彼《かれ》らをあなたの|前《まえ》に|屈伏《くっぷく》させられるであろう。|主《しゅ》があなたに|言《い》われたように、|彼《かれ》らを|追《お》い|払《はら》い、すみやかに|滅《ほろ》ぼさなければならない。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたの|前《まえ》から|彼《かれ》らを|追《お》い|払《はら》われた|後《のち》に、あなたは|心《こころ》のなかで『わたしが|正《ただ》しいから|主《しゅ》はわたしをこの|地《ち》に|導《みちび》き|入《い》れてこれを|獲《え》させられた』と|言《い》ってはならない。この|国々《くにぐに》の|民《たみ》が|悪《わる》いから、|主《しゅ》はこれをあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われるのである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|行《い》ってその|地《ち》を|獲《え》るのは、あなたが|正《ただ》しいからではなく、またあなたの|心《こころ》がまっすぐだからでもない。この|国々《くにぐに》の|民《たみ》が|悪《わる》いから、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|彼《かれ》らをあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われるのである。これは|主《しゅ》があなたの|先祖《せんぞ》アブラハム、イサク、ヤコブに|誓《ちか》われた|言葉《ことば》を|行《おこな》われるためである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それであなたは、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたにこの|良《よ》い|地《ち》を|与《あた》えてこれを|得《え》させられるのは、あなたが|正《ただ》しいからではないことを|知《し》らなければならない。あなたは|強情《ごうじょう》な|民《たみ》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|荒野《あらの》であなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|怒《いか》らせたことを|覚《おぼ》え、それを|忘《わす》れてはならない。あなたがたはエジプトの|地《ち》を|出《で》た|日《ひ》からこの|所《ところ》に|来《く》るまで、いつも|主《しゅ》にそむいた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またホレブにおいてさえ、あなたがたが|主《しゅ》を|怒《いか》らせたので、|主《しゅ》は|怒《いか》ってあなたがたを|滅《ほろ》ぼそうとされた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|石《いし》の|板《いた》すなわち|主《しゅ》があなたがたと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》の|板《いた》を|受《う》けるために|山《やま》に|登《のぼ》った|時《とき》、わたしは四十|日《にち》四十|夜《や》、|山《やま》にいて、パンも|食《た》べず|水《みず》も|飲《の》まなかった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|神《かみ》の|指《ゆび》をもって|書《か》きしるした|石《いし》の|板《いた》二|枚《まい》をわたしに|授《さづ》けられた。その|上《うえ》には、|集会《しゅうかい》の|日《ひ》に|主《しゅ》が|山《やま》で|火《ひ》の|中《なか》から、あなたがたに|告《つ》げられた|言葉《ことば》が、ことごとく|書《か》いてあった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち四十|日《にち》四十|夜《や》が|終《おわ》った|時《とき》、|主《しゅ》はわたしにその|契約《けいやく》の|板《いた》である|石《いし》の|板《いた》二|枚《まい》を|授《さづ》け、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『おまえは|立《た》って、すみやかにこの|所《ところ》から|降《ふ》りなさい。おまえがエジプトから|導《みちび》き|出《だ》した|民《たみ》は|悪《あく》を|行《おこな》ったからである。|彼《かれ》らはわたしが|命《めい》じた|道《みち》を|早《はや》くも|離《はな》れて、|鋳《い》た|像《ぞう》を|自分《じぶん》たちのために|造《つく》った』。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたわたしに|言《い》われた、『この|民《たみ》を|見《み》るのに、これは|強情《ごうじょう》な|民《たみ》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|止《と》めるな。わたしは|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼし、|彼《かれ》らの|名《な》を|天《てん》の|下《した》から|消《け》し|去《さ》り、おまえを|彼《かれ》らよりも|強《つよ》く、かつ|大《おお》いなる|国民《こくみん》としよう』。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|身《み》をめぐらして|山《やま》を|降《お》りたが、|山《やま》は|火《ひ》で|焼《や》けていた。|契約《けいやく》の|板《いた》二|枚《まい》はわたしの|両手《りょうて》にあった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしが|見《み》ると、あなたがたは、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》し、|自分《じぶん》たちのために|鋳物《いもの》の|子《こ》|牛《うし》を|造《つく》って、|主《しゅ》が|命《めい》じられた|道《みち》を|早《はや》くも|離《はな》れたので、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその二|枚《まい》の|板《いた》をつかんで、|両手《りょうて》から|投《な》げ|出《だ》し、あなたがたの|目《め》の|前《まえ》でこれを|砕《くだ》いた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは|前《まえ》のように四十|日《にち》四十|夜《や》、|主《しゅ》の|前《まえ》にひれ|伏《ふ》し、パンも|食《た》べず、|水《みず》も|飲《の》まなかった。これはあなたがたが|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこない、|罪《つみ》を|犯《おか》して|主《しゅ》を|怒《いか》らせたすべての|罪《つみ》によるのである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|怒《いか》りを|発《はっ》し、|憤《いきどお》りを|起《おこ》し、あなたがたを|怒《いか》って|滅《ほろ》ぼそうとされたので、わたしは|恐《おそ》れたが、その|時《とき》もまた|主《しゅ》はわたしの|願《ねが》いを|聞《き》かれた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた、はなはだしくアロンを|怒《いか》って、|彼《かれ》を|滅《ほろ》ぼそうとされたが、わたしはその|時《とき》もまたアロンのために|祈《いの》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたが|造《つく》って|罪《つみ》を|得《え》た|子《こ》|牛《うし》を|取《と》り、それを|火《ひ》で|焼《や》き、それを|撃《う》ち|砕《くだ》き、よくひいて|細《こま》かいちりとし、そのちりを|山《やま》から|流《なが》れ|下《くだ》る|谷川《たにがわ》に|投《な》げ|捨《す》てた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはタベラ、マッサおよびキブロテ・ハッタワにおいてもまた|主《しゅ》を|怒《いか》らせた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》はカデシ・バルネアから、あなたがたをつかわそうとされた|時《とき》、『|上《のぼ》って|行《い》って、わたしが|与《あた》える|地《ち》を|占領《せんりょう》せよ』と|言《い》われた。ところが、あなたがたはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》にそむき、|彼《かれ》を|信《しん》ぜず、また|彼《かれ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わなかった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたを|知《し》ったその|日《ひ》からこのかた、あなたがたはいつも|主《しゅ》にそむいた。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは、さきにひれ|伏《ふ》したように、四十|日《にち》四十|夜《や》、|主《しゅ》の|前《まえ》にひれ|伏《ふ》した。|主《しゅ》があなたがたを|滅《ほろ》ぼすと|言《い》われたからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》に|祈《いの》って|言《い》った、『|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたが|大《おお》いなる|力《ちから》をもってあがない、|強《つよ》い|手《て》をもってエジプトから|導《みちび》き|出《だ》されたあなたの|民《たみ》、あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》を|滅《ほろ》ぼさないでください。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべアブラハム、イサク、ヤコブを|覚《おぼ》えてください。この|民《たみ》の|強情《ごうじょう》と|悪《あく》と|罪《つみ》とに|目《め》をとめないでください。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわれわれを|導《みちび》き|出《だ》された|国《くに》の|人《ひと》はおそらく、「|主《しゅ》は、|約束《やくそく》した|地《ち》に|彼《かれ》らを|導《みちび》き|入《い》れることができず、また|彼《かれ》らを|憎《にく》んだので、|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》して|荒野《あらの》で|殺《ころ》したのだ」と|言《い》うでしょう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは、あなたの|民《たみ》、あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》であって、あなたが|大《おお》いなる|力《ちから》と|伸《の》ばした|腕《うで》とをもって|導《みちび》き|出《だ》されたのです』。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『おまえは、|前《まえ》のような|石《いし》の|板《いた》二|枚《まい》を|切《き》って|作《つく》り、|山《やま》に|登《のぼ》って、わたしのもとにきなさい。また|木《き》の|箱《はこ》一つを|作《つく》りなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さきにおまえが|砕《くだ》いた二|枚《まい》の|板《いた》に|書《か》いてあった|言葉《ことば》を、わたしはその|板《いた》に|書《か》きしるそう。おまえはそれをその|箱《はこ》におさめなければならない』。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしはアカシヤ|材《ざい》の|箱《はこ》一つを|作《つく》り、また|前《まえ》のような|石《いし》の|板《いた》二|枚《まい》を|切《き》って|作《つく》り、その二|枚《まい》の|板《いた》を|手《て》に|持《も》って|山《やま》に|登《のぼ》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はかつて、かの|集会《しゅうかい》の|日《ひ》に|山《やま》で|火《ひ》の|中《なか》からあなたがたに|告《つ》げられた|十誡《じっかい》を|書《か》きしるされたように、その|板《いた》に|書《か》きしるし、それを|主《しゅ》はわたしに|授《さづ》けられた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしは|身《み》をめぐらして|山《やま》から|降《お》り、その|板《いた》を、わたしが|作《つく》った|箱《はこ》におさめた。|今《いま》なおその|中《なか》にある。|主《しゅ》がわたしに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり](こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》はベエロテ・ベネ・ヤカンを|出立《しゅったつ》してモセラに|着《つ》いた。アロンはその|所《ところ》で|死《し》んでそこに|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》エレアザルが|彼《かれ》に|代《かわ》って|祭司《さいし》となった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またそこを|出立《しゅったつ》してグデゴダに|至《いた》り、グデゴダを|出立《しゅったつ》してヨテバタに|着《つ》いた。この|地《ち》には|多《おお》くの|水《みず》の|流《なが》れがあった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はレビの|部族《ぶぞく》を|選《えら》んで、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかつぎ、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》って|仕《つか》え、また|主《しゅ》の|名《な》をもって|祝福《しゅくふく》することをさせられた。この|事《こと》は|今日《こんにち》に|及《およ》んでいる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そのためレビは|兄弟《きょうだい》たちと|一緒《いっしょ》には|分《わ》け|前《まえ》がなく、|嗣《し》|業《ぎょう》もない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|彼《かれ》に|言《い》われたとおり、|主《しゅ》みずからが|彼《かれ》の|嗣《し》|業《ぎょう》であった。)  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|前《まえ》の|時《とき》のように四十|日《にち》四十|夜《や》、|山《やま》におったが、|主《しゅ》はその|時《とき》にもわたしの|願《ねが》いを|聞《き》かれた。|主《しゅ》はあなたを|滅《ほろ》ぼすことを|望《のぞ》まれなかった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はわたしに『おまえは|立《た》ちあがり、|民《たみ》に|先立《さきだ》って|進《すす》み|行《い》き、わたしが|彼《かれ》らに|与《あた》えると、その|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》った|地《ち》に|彼《かれ》らをはいらせ、それを|取《と》らせよ』と|言《い》われた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、|今《いま》、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたに|求《もと》められる|事《こと》はなんであるか。ただこれだけである。すなわちあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、そのすべての|道《みち》に|歩《あゆ》んで、|彼《かれ》を|愛《あい》し、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|仕《つか》え、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしがきょうあなたに|命《めい》じる|主《しゅ》の|命令《めいれい》と|定《さだ》めとを|守《まも》って、さいわいを|得《え》ることである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|天《てん》と、もろもろの|天《てん》の|天《てん》、および|地《ち》と、|地《ち》にあるものとはみな、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のものである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そうであるのに、|主《しゅ》はただあなたの|先祖《せんぞ》たちを|喜《よろこ》び|愛《あい》し、その|後《のち》の|子孫《しそん》であるあなたがたを|万民《ばんみん》のうちから|選《えら》ばれた。|今日《こんにち》|見《み》るとおりである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは|心《こころ》に|割礼《かつれい》をおこない、もはや|強情《ごうじょう》であってはならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》である|主《しゅ》は、|神《かみ》の|神《かみ》、|主《しゅ》の|主《しゅ》、|大《おお》いにして|力《ちから》ある|恐《おそ》るべき|神《かみ》にましまし、|人《ひと》をかたより|見《み》ず、また、まいないを|取《と》らず、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]みなし|子《こ》とやもめのために|正《ただ》しいさばきを|行《おこな》い、また|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》を|愛《あい》して、|食物《しょくもつ》と|着物《きもの》を|与《あた》えられるからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》を|愛《あい》しなさい。あなたがたもエジプトの|国《くに》で|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》であった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|彼《かれ》に|仕《つか》え、|彼《かれ》に|従《したが》い、その|名《な》をさして|誓《ちか》わなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあなたのさんびすべきもの、またあなたの|神《かみ》であって、あなたが|目《め》に|見《み》たこれらの|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|事《こと》を、あなたのために|行《おこな》われた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|先祖《せんぞ》たちは、わずか七十|人《にん》でエジプトに|下《くだ》ったが、いま、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたを|天《てん》の|星《ほし》のように|多《おお》くされた。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》し、|常《つね》にそのさとしと、|定《さだ》めと、おきてと、|戒《いまし》めとを|守《まも》らなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、きょう、|次《つぎ》のことを|知《し》らなければならない。わたしが|語《かた》るのは、あなたがたの|子供《こども》たちに|対《たい》してではない。|彼《かれ》らはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|訓練《くんれん》と、|主《しゅ》の|大《おお》いなる|事《こと》と、その|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》べた|腕《うで》とを|知《し》らず、また|見《み》なかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らは|主《しゅ》がエジプトで、エジプト|王《おう》パロとその|全国《ぜんこく》に|対《たい》して|行《おこな》われたしるしと、わざ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》がエジプトの|軍勢《ぐんぜい》とその|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》とに|行《おこな》われた|事《こと》、すなわち|彼《かれ》らがあなたがたのあとを|追《お》ってきた|時《とき》に、|紅海《こうかい》の|水《みず》を|彼《かれ》らの|上《うえ》にあふれさせ、|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼされて、|今日《こんにち》に|至《いた》った|事《こと》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたがこの|所《ところ》に|来《く》るまで、|主《しゅ》が|荒野《あらの》で、あなたがたに|行《おこな》われた|事《こと》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]およびルベンの|子《こ》のエリアブの|子《こ》、ダタンとアビラムとにされた|事《こと》、すなわちイスラエルのすべての|人々《ひとびと》の|中《なか》で、|地《ち》が|口《くち》を|開《ひら》き、|彼《かれ》らと、その|家族《かぞく》と、|天幕《てんまく》と、|彼《かれ》らに|従《したが》うすべてのものを、のみつくした|事《こと》などを|彼《かれ》らは|知《し》らず、また|見《み》なかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたは|主《しゅ》が|行《おこな》われたこれらの|大《おお》いなる|事《こと》を、ことごとく|目《め》に|見《み》たのである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ゆえに、わたしが、きょう、あなたがたに|命《めい》じる|戒《いまし》めを、ことごとく|守《まも》らなければならない。そうすればあなたがたは|強《つよ》くなり、|渡《わた》って|行《い》って|取《と》ろうとする|地《ち》にはいって、それを|取《と》ることができ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]かつ、|主《しゅ》が|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》って|彼《かれ》らとその|子孫《しそん》とに|与《あた》えようと|言《い》われた|地《ち》、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|国《くに》において、|長《なが》く|生《い》きることができるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|行《い》って|取《と》ろうとする|地《ち》は、あなたがたが|出《で》てきたエジプトの|地《ち》のようではない。あそこでは、|青物《あおもの》|畑《ばたけ》でするように、あなたがたは|種《たね》をまき、|足《あし》でそれに|水《みず》を|注《そそ》いだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたが|渡《わた》って|行《い》って|取《と》る|地《ち》は、|山《やま》と|谷《たに》の|多《おお》い|地《ち》で、|天《てん》から|降《ふ》る|雨《あめ》で|潤《うるお》っている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》は、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|顧《かえり》みられる|所《ところ》で、|年《とし》の|始《はじ》めから|年《とし》の|終《おわ》りまで、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|目《め》が|常《つね》にその|上《うえ》にある。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もし、きょう、あなたがたに|命《めい》じるわたしの|命令《めいれい》によく|聞《き》き|従《したが》って、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》し、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして|仕《つか》えるならば、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたがたの|地《ち》に|雨《あめ》を、|秋《あき》の|雨《あめ》、|春《はる》の|雨《あめ》ともに、|時《とき》にしたがって|降《ふ》らせ、|穀物《こくもつ》と、ぶどう|酒《しゅ》と、|油《あぶら》を|取《と》り|入《い》れさせ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|家畜《かちく》のために|野《の》に|草《くさ》を|生《は》えさせられるであろう。あなたは|飽《あ》きるほど|食《た》べることができるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|心《こころ》が|迷《まよ》い、|離《はな》れ|去《さ》って、|他《た》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》え、それを|拝《おが》むことのないよう、|慎《つつし》まなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]おそらく|主《しゅ》はあなたがたにむかい|怒《いか》りを|発《はっ》して、|天《てん》を|閉《と》ざされるであろう。そのため|雨《あめ》は|降《ふ》らず、|地《ち》は|産物《さんぶつ》を|出《だ》さず、あなたがたは|主《しゅ》が|賜《たま》わる|良《よ》い|地《ち》から、すみやかに|滅《ほろ》びうせるであろう。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、これらのわたしの|言葉《ことば》を|心《こころ》と|魂《たましい》におさめ、またそれを|手《て》につけて、しるしとし、|目《め》の|間《あいだ》に|置《お》いて|覚《おぼ》えとし、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これを|子供《こども》たちに|教《おし》え、|家《いえ》に|座《ざ》している|時《とき》も、|道《みち》を|歩《ある》く|時《とき》も、|寝《ね》る|時《とき》も、|起《お》きる|時《とき》も、それについて|語《かた》り、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|家《いえ》の|入口《いりぐち》の|柱《はしら》と、|門《もん》にそれを|書《か》きしるさなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、|主《しゅ》が|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えようと|誓《ちか》われた|地《ち》に、あなたがたの|住《す》む|日数《にっすう》およびあなたがたの|子供《こども》たちの|住《す》む|日数《にっすう》は、|天《てん》が|地《ち》をおおう|日数《にっすう》のように|多《おお》いであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしがあなたがたに|命《めい》じるこのすべての|命令《めいれい》をよく|守《まも》って|行《おこな》い、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》し、そのすべての|道《みち》に|歩《あゆ》み、|主《しゅ》につき|従《したが》うならば、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこの|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|皆《みな》、あなたがたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われ、あなたがたはあなたがたよりも|大《おお》きく、かつ|強《つよ》い|国々《くにぐに》を|取《と》るに|至《いた》るであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|足《あし》の|裏《うら》で|踏《ふ》む|所《ところ》は|皆《みな》、あなたがたのものとなり、あなたがたの|領域《りょういき》は|荒野《あらの》からレバノンに|及《およ》び、また|大川《おおかわ》ユフラテから|西《にし》の|海《うみ》に|及《およ》ぶであろう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]だれもあなたがたに|立《た》ち|向《む》かうことのできる|者《もの》はないであろう。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》は、かつて|言《い》われたように、あなたがたの|踏《ふ》み|入《い》る|地《ち》の|人々《ひとびと》が、あなたがたを|恐《おそ》れおののくようにされるであろう。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは、きょう、あなたがたの|前《まえ》に|祝福《しゅくふく》と、のろいとを|置《お》く。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]もし、きょう、わたしがあなたがたに|命《めい》じるあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》に|聞《き》き|従《したが》うならば、|祝福《しゅくふく》を|受《う》けるであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》に|聞《き》き|従《したが》わず、わたしが、きょう、あなたがたに|命《めい》じる|道《みち》を|離《はな》れ、あなたがたの|知《し》らなかった|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》うならば、のろいを|受《う》けるであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、あなたの|行《い》って|占領《せんりょう》する|地《ち》にあなたを|導《みちび》き|入《い》れられる|時《とき》、あなたはゲリジム|山《やま》に|祝福《しゅくふく》を|置《お》き、エバル|山《やま》にのろいを|置《お》かなければならない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]これらの|山《やま》はヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、アラバに|住《す》んでいるカナンびとの|地《ち》で、|日《ひ》の|入《い》る|方《ほう》の|道《みち》の|西側《にしがわ》にあり、ギルガルに|向《む》かいあって、モレのテレビンの|木《き》の|近《ちか》くにあるではないか。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはヨルダンを|渡《わた》り、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》にはいって、それを|占領《せんりょう》しようとしている。あなたがたはそれを|占領《せんりょう》して、そこに|住《す》むであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしが、きょう、あなたがたに|授《さづ》ける|定《さだ》めと、おきてをことごとく|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたの|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》が|所有《しょゆう》として|賜《たま》わる|地《ち》で、あなたがたが|世《よ》に|生《い》きながらえている|間《あいだ》、|守《まも》り|行《おこな》わなければならない|定《さだ》めと、おきてである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|追《お》い|払《はら》う|国々《くにぐに》の|民《たみ》が、その|神々《かみがみ》に|仕《つか》えた|所《ところ》は、|高《たか》い|山《やま》にあるものも、|丘《おか》にあるものも、|青《あお》|木《き》の|下《した》にあるものも、ことごとくこわし、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|祭壇《さいだん》をこぼち、|柱《はしら》を|砕《くだ》き、アシラ|像《ぞう》を|火《ひ》で|焼《や》き、また|刻《きざ》んだ|神々《かみがみ》の|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》して、その|名《な》をその|所《ところ》から|消《け》し|去《さ》らなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ただし、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》にはそのようにしてはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために、あなたがたの|全部《ぜんぶ》|族《ぞく》のうちから|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》、すなわち|主《しゅ》のすまいを|尋《たず》ね|求《もと》めて、そこに|行《い》き、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|燔祭《はんさい》と、|犠牲《ぎせい》と、十|分《ぶん》の一と、ささげ|物《もの》と、|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》と、|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》および|牛《うし》、|羊《ひつじ》のういごをそこに|携《たずさ》えて|行《い》って、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこであなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》で|食《た》べ、あなたがたも、|家族《かぞく》も|皆《みな》、|手《て》を|労《ろう》して|獲《え》るすべての|物《もの》を|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。これはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みによって|獲《え》るものだからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでは、われわれがきょうここでしているように、めいめいで|正《ただ》しいと|思《おも》うようにふるまってはならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはまだ、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》から|賜《たま》わる|安息《あんそく》と|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》に、はいっていないのである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたがヨルダンを|渡《わた》り、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》として|賜《たま》わる|地《ち》に|住《す》むようになり、さらに|主《しゅ》があなたがたの|周囲《しゅうい》の|敵《てき》をことごとく|除《のぞ》いて、|安息《あんそく》を|与《あた》え、あなたがたが|安《やす》らかに|住《す》むようになる|時《とき》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はその|名《な》を|置《お》くために、一つの|場所《ばしょ》を|選《えら》ばれるであろう。あなたがたはそこにわたしの|命《めい》じる|物《もの》をすべて|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。すなわち、あなたがたの|燔祭《はんさい》と、|犠牲《ぎせい》と、十|分《ぶん》の一と、ささげ|物《もの》およびあなたがたが|主《しゅ》に|誓《ちか》ったすべての|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》とを|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたがたのむすこ、|娘《むすめ》、しもべ、はしためと|共《とも》にあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。また|町《まち》の|内《うち》におるレビびととも、そうしなければならない。|彼《かれ》はあなたがたのうちに|分《わ》け|前《まえ》がなく、|嗣《し》|業《ぎょう》を|持《も》たないからである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|慎《つつし》んで、すべてあなたがよいと|思《おも》う|場所《ばしょ》で、みだりに|燔祭《はんさい》をささげないようにしなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ただあなたの|部族《ぶぞく》の一つのうちに、|主《しゅ》が|選《えら》ばれるその|場所《ばしょ》で、|燔祭《はんさい》をささげ、またわたしが|命《めい》じるすべての|事《こと》をしなければならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|恵《めぐ》みにしたがって、すべて|心《こころ》に|好《この》む|獣《けもの》を、どの|町《まち》ででも|殺《ころ》して、その|肉《にく》を|食《た》べることができる。すなわち、かもしかや|雄《お》じかの|肉《にく》と|同様《どうよう》にそれを、|汚《けが》れた|人《ひと》も、|清《きよ》い|人《ひと》も、|食《た》べることができる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|血《ち》は|食《た》べてはならない。|水《みず》のようにそれを|地《ち》に|注《そそ》がなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|穀物《こくもつ》と、ぶどう|酒《しゅ》と、|油《あぶら》との十|分《ぶん》の一および|牛《うし》、|羊《ひつじ》のういご、ならびにあなたが|立《た》てる|誓願《せいがん》の|供《そな》え|物《もの》と、|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》およびささげ|物《もの》は、|町《まち》の|内《うち》で|食《た》べることはできない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》でそれを|食《た》べなければならない。すなわちあなたのむすこ、|娘《むすめ》、しもべ、はしため、および|町《まち》の|内《うち》におるレビびとと|共《とも》にそれを|食《た》べ、|手《て》を|労《ろう》して|獲《え》るすべての|物《もの》を、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|慎《つつし》んで、あなたが|世《よ》に|生《い》きながらえている|間《あいだ》、レビびとを|捨《す》てないようにしなければならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたように、あなたの|領域《りょういき》を|広《ひろ》くされるとき、あなたは|肉《にく》を|食《た》べたいと|願《ねが》って、『わたしは|肉《にく》を|食《た》べよう』と|言《い》うであろう。その|時《とき》、あなたはほしいだけ|肉《にく》を|食《た》べることができる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》が、|遠《とお》く|離《はな》れているならば、わたしが|命《めい》じるように、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|牛《うし》、|羊《ひつじ》をほふり、|門《もん》の|内《うち》で、ほしいだけ|食《た》べることができる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]かもしかや、|雄《お》じかを|食《た》べるように、それを|食《た》べることができる。すなわち|汚《けが》れた|人《ひと》も、|清《きよ》い|人《ひと》も|一様《いちよう》にそれを|食《た》べることができる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ただ|堅《かた》く|慎《つつし》んで、その|血《ち》を|食《た》べないようにしなければならない。|血《ち》は|命《いのち》だからである。その|命《いのち》を|肉《にく》と|一緒《いっしょ》に|食《た》べてはならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれを|食《た》べてはならない。|水《みず》のようにそれを|地《ち》に|注《そそ》がなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれを|食《た》べてはならない。こうして、|主《しゅ》が|正《ただ》しいと|見《み》られる|事《こと》を|行《おこな》うならば、あなたにも|後《のち》の|子孫《しそん》にも、さいわいがあるであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ただあなたのささげる|聖《せい》なる|物《もの》と、|誓願《せいがん》の|物《もの》とは、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》へ|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そして|燔祭《はんさい》をささげる|時《とき》は、|肉《にく》と|血《ち》とをあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげなければならない。|犠牲《ぎせい》をささげる|時《とき》は、|血《ち》をあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》にそそぎかけ、|肉《にく》はみずから|食《た》べることができる。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしが|命《めい》じるこれらの|事《こと》を、ことごとく|聞《き》いて|守《まも》らなければならない。こうしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|見《み》て|良《よ》いとし、|正《ただ》しいとされる|事《こと》を|行《おこな》うならば、あなたにも|後《のち》の|子孫《しそん》にも、|長《なが》くさいわいがあるであろう。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、あなたの|行《い》って|追《お》い|払《はら》おうとする|国々《くにぐに》の|民《たみ》を、あなたの|前《まえ》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされ、あなたがついにその|国々《くにぐに》を|獲《え》て、その|地《ち》に|住《す》むようになる|時《とき》、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはみずから|慎《つつし》み、|彼《かれ》らがあなたの|前《まえ》から|滅《ほろ》ぼされた|後《のち》、|彼《かれ》らにならって、わなにかかってはならない。また|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》を|尋《たず》ね|求《もと》めて、『これらの|国々《くにぐに》の|民《たみ》はどのようにその|神々《かみがみ》に|仕《つか》えたのか、わたしもそのようにしよう』と|言《い》ってはならない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|対《たい》しては、そのようにしてはならない。|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|憎《にく》まれるもろもろの|忌《い》むべき|事《こと》を、その|神々《かみがみ》にむかって|行《おこな》い、むすこ、|娘《むすめ》をさえ|火《ひ》に|焼《や》いて、|神々《かみがみ》にささげたからである。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしが|命《めい》じるこのすべての|事《こと》を|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。これにつけ|加《くわ》えてはならない。また|減《へ》らしてはならない。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちに|預言者《よげんしゃ》または|夢《ゆめ》みる|者《もの》が|起《た》って、しるしや|奇跡《きせき》を|示《しめ》し、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|告《つ》げるそのしるしや|奇跡《きせき》が|実現《じつげん》して、あなたがこれまで|知《し》らなかった『ほかの|神々《かみがみ》に、われわれは|従《したが》い|仕《つか》えよう』と|言《い》っても、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|預言者《よげんしゃ》または|夢《ゆめ》みる|者《もの》の|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》ってはならない。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたがたが|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》するか、どうかを|知《し》ろうと、このようにあなたがたを|試《こころ》みられるからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|従《したが》って|歩《あゆ》み、|彼《かれ》を|恐《おそ》れ、その|戒《いまし》めを|守《まも》り、その|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》い、|彼《かれ》に|仕《つか》え、|彼《かれ》につき|従《したが》わなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|預言者《よげんしゃ》または|夢《ゆめ》みる|者《もの》を|殺《ころ》さなければならない。あなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|出《だ》し、|奴隷《どれい》の|家《いえ》からあがなわれたあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》にあなたがたをそむかせ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|歩《あゆ》めと|命《めい》じられた|道《みち》を|離《はな》れさせようとして|語《かた》るゆえである。こうしてあなたがたのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|同《おな》じ|母《はは》に|生《うま》れたあなたの|兄弟《きょうだい》、またはあなたのむすこ、|娘《むすめ》、またはあなたのふところの|妻《つま》、またはあなたと|身命《しんめい》を|共《とも》にする|友《とも》が、ひそかに|誘《さそ》って『われわれは|行《い》って|他《た》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》えよう』と|言《い》うかも|知《し》れない。これはあなたも|先祖《せんぞ》たちも|知《し》らなかった|神々《かみがみ》、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|地《ち》のこのはてから、|地《ち》のかのはてまで、あるいは|近《ちか》く、あるいは|遠《とお》く、あなたの|周囲《しゅうい》にある|民《たみ》の|神々《かみがみ》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたはその|人《ひと》に|従《したが》ってはならない。その|人《ひと》の|言《い》うことを|聞《き》いてはならない。その|人《ひと》をあわれんではならない。その|人《ひと》を|惜《お》しんではならない。その|人《ひと》をかばってはならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|必《かなら》ず|彼《かれ》を|殺《ころ》さなければならない。|彼《かれ》を|殺《ころ》すには、あなたがまず|彼《かれ》に|手《て》を|下《くだ》し、その|後《のち》、|民《たみ》がみな|手《て》を|下《くだ》さなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はエジプトの|国《くに》、|奴隷《どれい》の|家《いえ》からあなたを|導《みちび》き|出《だ》されたあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》からあなたを|離《はな》れさせようとしたのであるから、あなたは|石《いし》をもって|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》さなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そうすればイスラエルは|皆《みな》|聞《き》いて|恐《おそ》れ、|重《かさ》ねてこのような|悪《わる》い|事《こと》を、あなたがたのうちに|行《おこな》わないであろう。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたに|与《あた》えて|住《す》まわせられる|町《まち》の一つで、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]よこしまな|人々《ひとびと》があなたがたのうちに|起《た》って、あなたがたの|知《し》らなかった『ほかの|神々《かみがみ》に、われわれは|行《い》って|仕《つか》えよう』と|言《い》って、その|町《まち》に|住《す》む|人々《ひとびと》を|誘惑《ゆうわく》したことを|聞《き》くならば、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそれを|尋《たず》ね、|探《さぐ》り、よく|問《と》いたださなければならない。そして、そのような|憎《にく》むべき|事《こと》があなたがたのうちに|行《おこな》われた|事《こと》が、|真実《しんじつ》で、|確《たし》かならば、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|必《かなら》ず、その|町《まち》に|住《す》む|者《もの》をつるぎの|刃《は》にかけて|撃《う》ち|殺《ころ》し、その|町《まち》と、そのうちにおるすべての|者《もの》、およびその|家畜《かちく》をつるぎの|刃《は》にかけて、ことごとく|滅《ほろ》ぼさなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またそのすべてのぶんどり|物《もの》は、|町《まち》の|広場《ひろば》の|中央《ちゅうおう》に|集《あつ》め、|火《ひ》をもってその|町《まち》と、すべてのぶんどり|物《もの》とを、ことごとく|焼《や》いて、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげなければならない。これはながく|荒塚《あらつか》となって、|再《ふたた》び|建《た》て|直《なお》されないであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そののろわれた|物《もの》は一つもあなたの|手《て》に|留《と》めおいてはならない。|主《しゅ》が|激《はげ》しい|怒《いか》りをやめ、あなたに|慈悲《じひ》を|施《ほどこ》して、あなたをあわれみ、|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われたように、あなたの|数《かず》を|多《おお》くされるためである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》い、わたしが、きょう、|命《めい》じるすべての|戒《いまし》めを|守《まも》り、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|正《ただ》しいと|見《み》られる|事《こと》を|行《おこな》うならば、このようになるであろう。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|子供《こども》である。|死《し》んだ|人《ひと》のために|自分《じぶん》の|身《み》に|傷《きず》をつけてはならない。また|額《ひたい》の|髪《かみ》をそってはならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|聖《せい》なる|民《たみ》だからである。|主《しゅ》は|地《ち》のおもてのすべての|民《たみ》のうちからあなたを|選《えら》んで、|自分《じぶん》の|宝《たから》の|民《たみ》とされた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|忌《い》むべき|物《もの》は、どんなものでも|食《た》べてはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|食《た》べることができる|獣《けもの》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|牛《うし》、|羊《ひつじ》、やぎ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|雄《お》じか、かもしか、こじか、|野《の》やぎ、くじか、おおじか、|野羊《やぎ》など、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|獣《けもの》のうち、すべて、ひずめの|分《わか》れたもの、ひずめが二つに|切《き》れたもので、|反芻《はんすう》するものは|食《た》べることができる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|反芻《はんすう》するものと、ひずめの|分《わか》れたもののうち、|次《つぎ》のものは|食《た》べてはならない。すなわち、らくだ、|野《の》うさぎ、および|岩《いわ》だぬき、これらは|反芻《はんすう》するけれども、ひずめが|分《わか》れていないから|汚《けが》れたものである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|豚《ぶた》、これは、ひずめが|分《わか》れているけれども、|反芻《はんすう》しないから、|汚《けが》れたものである。その|肉《にく》を|食《た》べてはならない。またその|死体《したい》に|触《ふ》れてはならない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》の|中《なか》にいるすべての|物《もの》のうち、|次《つぎ》のものは|食《た》べることができる。すなわち、すべて、ひれと、うろこのあるものは、|食《た》べることができる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべて、ひれと、うろこのないものは、|食《た》べてはならない。これは|汚《けが》れたものである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|清《きよ》い|鳥《とり》は|食《た》べることができる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|次《つぎ》のものは|食《た》べてはならない。すなわち、はげわし、ひげはげわし、みさご、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|黒《くろ》とび、はやぶさ、とびの|類《るい》。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|各種《かくしゅ》のからすの|類《るい》。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]だちょう、|夜《よる》たか、かもめ、たかの|類《るい》。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ふくろう、みみずく、むらさきばん、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ペリカン、はげたか、う、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]こうのとり、さぎの|類《るい》。やつがしら、こうもり。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またすべて|羽《はね》があって|這《は》うものは|汚《けが》れたものである。それを|食《た》べてはならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すべて|翼《つばさ》のある|清《きよ》いものは|食《た》べることができる。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|自然《しぜん》に|死《し》んだものは|食《た》べてはならない。|町《まち》の|内《うち》におる|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》に、それを|与《あた》えて|食《た》べさせることができる。またそれを|外国《がいこく》|人《じん》に|売《う》ってもよい。あなたはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|聖《せい》なる|民《たみ》だからである。  |子《こ》やぎをその|母《はは》の|乳《ちち》で|煮《に》てはならない。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|毎年《まいとし》、|畑《はたけ》に|種《たね》をまいて|獲《え》るすべての|産物《さんぶつ》の十|分《ぶん》の一を|必《かなら》ず|取《と》り|分《わ》けなければならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》、すなわち|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、|穀物《こくもつ》と、ぶどう|酒《しゅ》と、|油《あぶら》との十|分《ぶん》の一と、|牛《うし》、|羊《ひつじ》のういごを|食《た》べ、こうして|常《つね》にあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れることを|学《まな》ばなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|道《みち》があまりに|遠《とお》く、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》が、|非常《ひじょう》に|遠《とお》く|離《はな》れていて、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたを|恵《めぐ》まれるとき、それを|携《たずさ》えて|行《い》くことができないならば、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|物《もの》を|金《かね》に|換《か》え、その|金《かね》を|包《つつ》んで|手《て》に|取《と》り、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》に|行《い》き、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|金《かね》をすべてあなたの|好《この》む|物《もの》に|換《か》えなければならない。すなわち|牛《うし》、|羊《ひつじ》、ぶどう|酒《しゅ》、|濃《こ》い|酒《さけ》など、すべてあなたの|欲《ほっ》する|物《もの》に|換《か》え、その|所《ところ》であなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》でそれを|食《た》べ、|家族《かぞく》と|共《とも》に|楽《たの》しまなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|内《うち》におるレビびとを|捨《す》ててはならない。|彼《かれ》はあなたがたのうちに|分《ぶん》がなく、|嗣《し》|業《ぎょう》を|持《も》たない|者《もの》だからである。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]三|年《ねん》の|終《おわ》りごとに、その|年《とし》の|産物《さんぶつ》の十|分《ぶん》の一を、ことごとく|持《も》ち|出《だ》して、|町《まち》の|内《うち》にたくわえ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちに|分《わ》け|前《まえ》がなく、|嗣《し》|業《ぎょう》を|持《も》たないレビびと、および|町《まち》の|内《うち》におる|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と、|孤児《こじ》と、|寡婦《かふ》を|呼《よ》んで、それを|食《た》べさせ、|満足《まんぞく》させなければならない。そうすれば、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたが|手《て》で|行《おこな》うすべての|事《こと》にあなたを|祝福《しゅくふく》されるであろう。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは七|年《ねん》の|終《おわ》りごとに、ゆるしを|行《おこな》わなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのゆるしのしかたは|次《つぎ》のとおりである。すべてその|隣人《りんじん》に|貸《か》した|貸主《かしぬし》はそれをゆるさなければならない。その|隣人《りんじん》または|兄弟《きょうだい》にそれを|督促《とくそく》してはならない。|主《しゅ》のゆるしが、ふれ|示《しめ》されたからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|外国《がいこく》|人《じん》にはそれを|督促《とくそく》することができるが、あなたの|兄弟《きょうだい》に|貸《か》した|物《もの》はゆるさなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたのうちに|貧《まず》しい|者《もの》はなくなるであろう。(あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えられる|地《ち》で、あなたを|祝福《しゅくふく》されるからである。)[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ただ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》って、わたしが、きょう、あなたに|命《めい》じることの|戒《いまし》めを、ことごとく|守《まも》り|行《おこな》うとき、そのようになるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたようにあなたを|祝福《しゅくふく》されるから、あなたは|多《おお》くの|国《くに》びとに|貸《か》すようになり、|借《か》りることはないであろう。またあなたは|多《おお》くの|国《くに》びとを|治《おさ》めるようになり、|彼《かれ》らがあなたを|治《おさ》めることはないであろう。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》で、もしあなたの|兄弟《きょうだい》で|貧《まず》しい|者《もの》がひとりでも、|町《まち》の|内《うち》におるならば、その|貧《まず》しい|兄弟《きょうだい》にむかって、|心《こころ》をかたくなにしてはならない。また|手《て》を|閉《と》じてはならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|必《かなら》ず|彼《かれ》に|手《て》を|開《ひら》いて、その|必要《ひつよう》とする|物《もの》を|貸《か》し|与《あた》え、|乏《とぼ》しいのを|補《おぎな》わなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》に|邪念《じゃねん》を|起《おこ》し、『|第《だい》七|年《ねん》のゆるしの|年《とし》が|近《ちか》づいた』と|言《い》って、|貧《まず》しい|兄弟《きょうだい》に|対《たい》し、|物《もの》を|惜《お》しんで、|何《なに》も|与《あた》えないことのないように|慎《つつし》まなければならない。その|人《ひと》があなたを|主《しゅ》に|訴《うった》えるならば、あなたは|罪《つみ》を|得《え》るであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》から|彼《かれ》に|与《あた》えなければならない。|彼《かれ》に|与《あた》える|時《とき》は|惜《お》しんではならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこの|事《こと》のために、あなたをすべての|事業《じぎょう》と、|手《て》のすべての|働《はたら》きにおいて|祝福《しゅくふく》されるからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》はいつまでも|国《くに》のうちに|絶《た》えることがないから、わたしは|命《めい》じて|言《い》う、『あなたは|必《かなら》ず|国《くに》のうちにいるあなたの|兄弟《きょうだい》の|乏《とぼ》しい|者《もの》と、|貧《まず》しい|者《もの》とに、|手《て》を|開《ひら》かなければならない』。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|兄弟《きょうだい》であるヘブルの|男《おとこ》、またはヘブルの|女《おんな》が、あなたのところに|売《う》られてきて、六|年《ねん》|仕《つか》えたならば、|第《だい》七|年《ねん》には|彼《かれ》に|自由《じゆう》を|与《あた》えて|去《さ》らせなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|自由《じゆう》を|与《あた》えて|去《さ》らせる|時《とき》は、から|手《て》で|去《さ》らせてはならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|群《む》れと、|打《う》ち|場《ば》と、|酒《さか》ぶねのうちから|取《と》って、|惜《お》しみなく|彼《かれ》に|与《あた》えなければならない。すなわちあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたを|恵《めぐ》まれたように、|彼《かれ》に|与《あた》えなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつてエジプトの|国《くに》で|奴隷《どれい》であったが、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたをあがない|出《だ》された|事《こと》を|記憶《きおく》しなければならない。このゆえにわたしは、きょう、この|事《こと》を|命《めい》じる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|人《ひと》があなたと、あなたの|家族《かぞく》を|愛《あい》し、あなたと|一緒《いっしょ》にいることを|望《のぞ》み、『わたしはあなたを|離《はな》れて|去《さ》りたくありません』と|言《い》うならば、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、きりを|取《と》って|彼《かれ》の|耳《みみ》を|戸《と》に|刺《さ》さなければならない。そうすれば、|彼《かれ》はいつまでもあなたの|奴隷《どれい》となるであろう。|女《おんな》|奴隷《どれい》にもそうしなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|自由《じゆう》を|与《あた》えて|去《さ》らせる|時《とき》には、|快《こころよ》く|去《さ》らせなければならない。|彼《かれ》が六|年間《ねんかん》、|賃銀《ちんぎん》を|取《と》る|雇人《やといにん》の二|倍《ばい》あなたに|仕《つか》えて|働《はたら》いたからである。あなたがそうするならば、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたが|行《おこな》うすべての|事《こと》にあなたを|祝福《しゅくふく》されるであろう。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》、|羊《ひつじ》の|産《う》む|雄《おす》のういごは|皆《みな》あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|聖別《せいべつ》しなければならない。|牛《うし》のういごを|用《もち》いてなんの|仕事《しごと》をもしてはならない。また|羊《ひつじ》のういごの|毛《け》を|切《き》ってはならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|所《ところ》で、|主《しゅ》の|前《まえ》にあなたは|家族《かぞく》と|共《とも》に|年《とし》ごとにそれを|食《た》べなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|獣《けもの》がもし|傷《きず》のあるもの、すなわち|足《あし》なえまたは、めくらなど、すべて|悪《わる》い|傷《きず》のあるものである|時《とき》は、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にそれを|犠牲《ぎせい》としてささげてはならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|内《うち》でそれを|食《た》べなければならない。|汚《けが》れた|人《ひと》も、|清《きよ》い|人《ひと》も、かもしかや、|雄《お》じかと|同様《どうよう》にそれを|食《た》べることができる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|血《ち》は|食《た》べてはならない。|水《みず》のようにそれを|地《ち》にそそがなければならない。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはアビブの|月《つき》を|守《まも》って、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならない。アビブの|月《つき》に、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|夜《よる》の|間《あいだ》にあなたをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》されたからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、|羊《ひつじ》または|牛《うし》をあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|過越《すぎこし》の|犠牲《ぎせい》としてほふらなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》を|入《い》れたパンをそれと|共《とも》に|食《た》べてはならない。|七日《なぬか》のあいだ、|種《たね》|入《い》れぬパンすなわち|悩《なや》みのパンを、それと|共《とも》に|食《た》べなければならない。あなたがエジプトの|国《くに》から|出《で》るとき、|急《いそ》いで|出《で》たからである。こうして|世《よ》に|生《い》きながらえる|日《ひ》の|間《あいだ》、エジプトの|国《くに》から|出《で》てきた|日《ひ》を|常《つね》に|覚《おぼ》えなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|七日《なぬか》の|間《あいだ》は、|国《くに》の|内《うち》どこにもパン|種《だね》があってはならない。また|初《はじ》めの|日《ひ》の|夕暮《ゆうぐれ》にほふるものの|肉《にく》を、|翌朝《よくあさ》まで|残《のこ》しておいてはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|町《まち》の|内《うち》で、|過越《すぎこし》の|犠牲《ぎせい》をほふってはならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ただあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、|夕暮《ゆうぐれ》の|日《ひ》の|入《い》るころ、あなたがエジプトから|出《で》た|時刻《じこく》に、|過越《すぎこし》の|犠牲《ぎせい》をほふらなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、それを|焼《や》いて|食《た》べ、|朝《あさ》になって|天幕《てんまく》に|帰《かえ》らなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]六|日《か》のあいだ|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べ、|七日《なぬか》|目《め》にあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》かなければならない。なんの|仕事《しごと》もしてはならない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また七|週間《しゅうかん》を|数《かぞ》えなければならない。すなわち|穀物《こくもつ》に、かまを|入《い》れ|始《はじ》める|時《とき》から七|週間《しゅうかん》を|数《かぞ》え|始《はじ》めなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために七|週《しゅう》の|祭《まつり》を|行《おこな》い、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|祝福《しゅくふく》にしたがって、|力《ちから》に|応《おう》じ、|自発《じはつ》の|供《そな》え|物《もの》をささげなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてあなたはむすこ、|娘《むすめ》、しもべ、はしためおよび|町《まち》の|内《うち》におるレビびと、ならびにあなたがたのうちにおる|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と|孤児《こじ》と|寡婦《かふ》と|共《とも》に、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつてエジプトで|奴隷《どれい》であったことを|覚《おぼ》え、これらの|定《さだ》めを|守《まも》り|行《おこな》わなければならない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|打《う》ち|場《ば》と、|酒《さか》ぶねから|取入《とりい》れをしたとき、|七日《なぬか》のあいだ|仮庵《かりいお》の|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|祭《まつり》の|時《とき》には、あなたはむすこ、|娘《むすめ》、しもべ、はしためおよび|町《まち》の|内《うち》におるレビびと、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》、|孤児《こじ》、|寡婦《かふ》と|共《とも》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で|七日《なぬか》の|間《あいだ》、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|祭《まつり》を|行《おこな》わなければならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はすべての|産物《さんぶつ》と、|手《て》のすべてのわざとにおいて、あなたを|祝福《しゅくふく》されるから、あなたは|大《おお》いに|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたのうちの|男子《だんし》は|皆《みな》あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、|年《ねん》に三|度《ど》、すなわち|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》と、七|週《しゅう》の|祭《まつり》と、|仮庵《かりいお》の|祭《まつり》に、|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》なければならない。ただし、から|手《て》で|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》てはならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|祝福《しゅくふく》にしたがい、おのおの|力《ちから》に|応《おう》じて、ささげ|物《もの》をしなければならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わるすべての|町々《まちまち》の|内《うち》に、|部族《ぶぞく》にしたがって、さばきびとと、つかさびととを、|立《た》てなければならない。そして|彼《かれ》らは|正《ただ》しいさばきをもって|民《たみ》をさばかなければならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはさばきを|曲《ま》げてはならない。|人《ひと》をかたより|見《み》てはならない。また|賄賂《わいろ》を|取《と》ってはならない。|賄賂《わいろ》は|賢《かしこ》い|者《もの》の|目《め》をくらまし、|正《ただ》しい|者《もの》の|事件《じけん》を|曲《ま》げるからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただ|公義《こうぎ》をのみ|求《もと》めなければならない。そうすればあなたは|生《い》きながらえて、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》を|所有《しょゆう》するにいたるであろう。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|築《きず》く|祭壇《さいだん》のかたわらに、アシラの|木像《もくぞう》をも|立《た》ててはならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|憎《にく》まれる|柱《はしら》を|立《た》ててはならない。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|傷《きず》があり、|欠《か》けた|所《ところ》のある|牛《うし》または|羊《ひつじ》はあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげてはならない。そのようなものはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|忌《い》みきらわれるものだからである。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|町《まち》で、あなたがたのうちに、もし|男子《だんし》または|女子《じょし》があなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪事《あくじ》をおこなって、|契約《けいやく》にそむき、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|行《い》って|他《た》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》え、それを|拝《おが》み、わたしの|禁《きん》じる、|日《ひ》や|月《つき》やその|他《た》の|天《てん》の|万象《ばんしょう》を|拝《おが》むことがあり、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|事《こと》を|知《し》らせる|者《もの》があって、あなたがそれを|聞《き》くならば、あなたはそれをよく|調《しら》べなければならない。そしてその|事《こと》が|真実《しんじつ》であり、そのような|憎《にく》むべき|事《こと》が|確《たし》かにイスラエルのうちに|行《おこな》われていたならば、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|悪事《あくじ》をおこなった|男子《だんし》または|女子《じょし》を|町《まち》の|門《もん》にひき|出《だ》し、その|男子《だんし》または|女子《じょし》を|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》さなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ふたりの|証人《しょうにん》または三|人《にん》の|証人《しょうにん》の|証言《しょうげん》によって|殺《ころ》すべき|者《もの》を|殺《ころ》さなければならない。ただひとりの|証人《しょうにん》の|証言《しょうげん》によって|殺《ころ》してはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのような|者《もの》を|殺《ころ》すには、|証人《しょうにん》がまず|手《て》を|下《くだ》し、それから|民《たみ》が|皆《みな》、|手《て》を|下《くだ》さなければならない。こうしてあなたのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|内《うち》に|訴《うった》え|事《こと》が|起《おこ》り、その|事件《じけん》がもし|血《ち》を|流《なが》す|事《こと》、または|権利《けんり》を|争《あらそ》う|事《こと》、または|人《ひと》を|撃《う》った|事《こと》などであって、あなたが、さばきかねるものである|時《とき》は、|立《た》ってあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》にのぼり、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]レビびとである|祭司《さいし》と、その|時《とき》の|裁判人《さいばんにん》とに|行《い》って|尋《たず》ねなければならない。|彼《かれ》らはあなたに|判決《はんけつ》の|言葉《ことば》を|告《つ》げるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|主《しゅ》が|選《えら》ばれるその|場所《ばしょ》で、|彼《かれ》らが|告《つ》げる|言葉《ことば》に|従《したが》っておこない、すべて|彼《かれ》らが|教《おし》えるように|守《まも》り|行《おこな》わなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らが|教《おし》える|律法《りっぽう》と、|彼《かれ》らが|告《つ》げる|判決《はんけつ》とに|従《したが》って|行《おこな》わなければならない。|彼《かれ》らが|告《つ》げる|言葉《ことば》にそむいて、|右《みぎ》にも|左《ひだり》にもかたよってはならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がほしいままにふるまい、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》って|仕《つか》える|祭司《さいし》または|裁判人《さいばんにん》に|聞《き》き|従《したが》わないならば、その|人《ひと》を|殺《ころ》して、イスラエルのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》かなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば|民《たみ》は|皆《みな》、|聞《き》いて|恐《おそ》れ、|重《かさ》ねてほしいままにふるまうことをしないであろう。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》に|行《い》き、それを|獲《え》てそこに|住《す》むようになる|時《とき》、もしあなたが『わたしも|周囲《しゅうい》のすべての|国《くに》びとのように、わたしの|上《うえ》に|王《おう》を|立《た》てよう』と|言《い》うならば、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|必《かなら》ずあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|者《もの》を、あなたの|上《うえ》に|立《た》てて|王《おう》としなければならない。|同胞《どうほう》のひとりを、あなたの|上《うえ》に|立《た》てて|王《おう》としなければならない。|同胞《どうほう》でない|外国《がいこく》|人《じん》をあなたの|上《うえ》に|立《た》ててはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》となる|人《ひと》は|自分《じぶん》のために|馬《うま》を|多《おお》く|獲《え》ようとしてはならない。また|馬《うま》を|多《おお》く|獲《え》るために|民《たみ》をエジプトに|帰《かえ》らせてはならない。|主《しゅ》はあなたがたにむかって、『この|後《のち》かさねてこの|道《みち》に|帰《かえ》ってはならない』と|仰《おお》せられたからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|妻《つま》を|多《おお》く|持《も》って|心《こころ》を、|迷《まよ》わしてはならない。また|自分《じぶん》のために|金銀《きんぎん》を|多《おお》くたくわえてはならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|国《くに》の|王位《おうい》につくようになったら、レビびとである|祭司《さいし》の|保管《ほかん》する|書物《しょもつ》から、この|律法《りっぽう》の|写《うつ》しを一つの|書物《しょもつ》に|書《か》きしるさせ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》に|生《い》きながらえる|日《ひ》の|間《あいだ》、|常《つね》にそれを|自分《じぶん》のもとに|置《お》いて|読《よ》み、こうしてその|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れることを|学《まな》び、この|律法《りっぽう》のすべての|言葉《ことば》と、これらの|定《さだ》めとを|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば|彼《かれ》の|心《こころ》が|同胞《どうほう》を|見《み》くだして、|高《たか》ぶることなく、また|戒《いまし》めを|離《はな》れて、|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》ることなく、その|子孫《しそん》と|共《とも》にイスラエルにおいて、|長《なが》くその|位《くらい》にとどまることができるであろう。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レビびとである|祭司《さいし》すなわちレビの|全部《ぜんぶ》|族《ぞく》はイスラエルのうちに、|分《ぶん》も|嗣《し》|業《ぎょう》も|持《も》たない。|彼《かれ》らは|主《しゅ》にささげられる|火祭《かさい》の|物《もの》と、その|他《た》のささげ|物《もの》とを|食《た》べなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|兄弟《きょうだい》のうちに|嗣《し》|業《ぎょう》を|持《も》たない。かつて|彼《かれ》らに|約束《やくそく》されたとおり|主《しゅ》が|彼《かれ》らの|嗣《し》|業《ぎょう》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》が|民《たみ》から|受《う》ける|分《ぶん》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|犠牲《ぎせい》をささげる|者《もの》は、|牛《うし》でも、|羊《ひつじ》でも、その|肩《かた》と、|両方《りょうほう》のほおと、|胃《い》とを|祭司《さいし》に|与《あた》えなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|穀物《こくもつ》と、ぶどう|酒《しゅ》と、|油《あぶら》の|初物《はつもの》および|羊《ひつじ》の|毛《け》の|初物《はつもの》をも|彼《かれ》に|与《あた》えなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がすべての|部族《ぶぞく》のうちから|彼《かれ》を|選《えら》び|出《だ》して、|彼《かれ》とその|子孫《しそん》を|長《なが》く|主《しゅ》の|名《な》によって|立《た》って|仕《つか》えさせられるからである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]レビびとはイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》のうち、どこにいる|者《もの》でも、|彼《かれ》が|宿《やど》っている|町《まち》を|出《で》て、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》に|行《い》くならば、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》っているすべての|兄弟《きょうだい》レビびとと|同《おな》じように、その|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》によって|仕《つか》えることができる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|食《た》べる|分《ぶん》は|彼《かれ》らと|同《おな》じである。ただし|彼《かれ》はこのほかに|父《ちち》の|遺産《いさん》を|売《う》って|獲《え》た|物《もの》を|持《も》つことができる。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》にはいったならば、その|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|憎《にく》むべき|事《こと》を|習《なら》いおこなってはならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちに、|自分《じぶん》のむすこ、|娘《むすめ》を|火《ひ》に|焼《や》いてささげる|者《もの》があってはならない。また|占《うらな》いをする|者《もの》、|卜者《ぼくしゃ》、|易者《えきしゃ》、|魔法使《まほうつかい》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|呪文《じゅもん》を|唱《とな》える|者《もの》、|口寄《くちよ》せ、かんなぎ、|死人《しにん》に|問《と》うことをする|者《もの》があってはならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべてこれらの|事《こと》をする|者《もの》を|憎《にく》まれるからである。そしてこれらの|憎《にく》むべき|事《こと》のゆえにあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|彼《かれ》らをあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われるのである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》にあなたは|全《まった》き|者《もの》でなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|追《お》い|払《はら》うかの|国々《くにぐに》の|民《たみ》は|卜者《ぼくしゃ》、|占《うらな》いをする|者《もの》に|聞《き》き|従《したが》うからである。しかし、あなたには、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はそうする|事《こと》を|許《ゆる》されない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたのうちから、あなたの|同胞《どうほう》のうちから、わたしのようなひとりの|預言者《よげんしゃ》をあなたのために|起《おこ》されるであろう。あなたがたは|彼《かれ》に|聞《き》き|従《したが》わなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたが|集会《しゅうかい》の|日《ひ》にホレブであなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|求《もと》めたことである。すなわちあなたは『わたしが|死《し》ぬことのないようにわたしの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》を二|度《ど》とわたしに|聞《き》かせないでください。またこの|大《おお》いなる|火《ひ》を二|度《ど》と|見《み》させないでください』と|言《い》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、『|彼《かれ》らが|言《い》ったことは|正《ただ》しい。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|同胞《どうほう》のうちから、おまえのようなひとりの|預言者《よげんしゃ》を|彼《かれ》らのために|起《おこ》して、わたしの|言葉《ことば》をその|口《くち》に|授《さづ》けよう。|彼《かれ》はわたしが|命《めい》じることを、ことごとく|彼《かれ》らに|告《つ》げるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしの|名《な》によって、わたしの|言葉《ことば》を|語《かた》るのに、もしこれに|聞《き》き|従《したが》わない|者《もの》があるならば、わたしはそれを|罰《ばっ》するであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただし|預言者《よげんしゃ》が、わたしが|語《かた》れと|命《めい》じないことを、わたしの|名《な》によってほしいままに|語《かた》り、あるいは|他《た》の|神々《かみがみ》の|名《な》によって|語《かた》るならば、その|預言者《よげんしゃ》は|殺《ころ》さなければならない』。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》のうちに『われわれは、その|言葉《ことば》が|主《しゅ》の|言《い》われたものでないと、どうして|知《し》り|得《え》ようか』と|言《い》うであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もし|預言者《よげんしゃ》があって、|主《しゅ》の|名《な》によって|語《かた》っても、その|言葉《ことば》が|成就《じょうじゅ》せず、またその|事《こと》が|起《おこ》らない|時《とき》は、それは|主《しゅ》が|語《かた》られた|言葉《ことば》ではなく、その|預言者《よげんしゃ》がほしいままに|語《かた》ったのである。その|預言者《よげんしゃ》を|恐《おそ》れるに|及《およ》ばない。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼしつくして、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|地《ち》を|賜《たま》わり、あなたがそれを|獲《え》て、その|町々《まちまち》と、その|家々《いえいえ》に|住《す》むようになる|時《とき》は、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|与《あた》えて|獲《え》させられる|地《ち》のうちに、三つの|町《まち》をあなたのために|指定《してい》しなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてそこに|行《い》く|道《みち》を|備《そな》え、またあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたに|継《つ》がせられる|地《ち》の|領域《りょういき》を三|区《く》に|分《わ》け、すべて|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》をそこにのがれさせなければならない。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》がそこにのがれて、|命《いのち》を|全《まっと》うすべき|場合《ばあい》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|以前《いぜん》から|憎《にく》むこともないのに、|知《し》らないでその|隣人《りんじん》を|殺《ころ》した|場合《ばあい》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]たとえば|人《ひと》が|木《き》を|切《き》ろうとして、|隣人《りんじん》と|一緒《いっしょ》に|林《はやし》に|入《い》り、|手《て》におのを|取《と》って、|木《き》を|切《き》り|倒《たお》そうと|撃《う》ちおろすとき、その|頭《あたま》が|柄《え》から|抜《ぬ》け、|隣人《りんじん》にあたって、|死《し》なせたような|場合《ばあい》がそれである。そういう|人《ひと》はこれらの|町《まち》の一つにのがれて、|命《いのち》を|全《まっと》うすることができる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そうしなければ、|復讐《ふくしゅう》する|者《もの》が|怒《いか》って、その|殺《ころ》した|者《もの》を|追《お》いかけ、|道《みち》が|長《なが》いために、ついに|追《お》いついて|殺《ころ》すであろう。しかし、その|人《ひと》は|以前《いぜん》から|彼《かれ》を|憎《にく》んでいた|者《もの》でないから、|殺《ころ》される|理由《りゆう》はない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはあなたに|命《めい》じて『三つの|町《まち》をあなたのために|指定《してい》しなければならない』と|言《い》ったのである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われたように、あなたの|領域《りょういき》を|広《ひろ》め、|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えると|言《い》われた|地《ち》を、ことごとく|賜《たま》わる|時《とき》、――[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが、きょう、|命《めい》じるこのすべての|戒《いまし》めを|守《まも》って、それをおこない、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》して、|常《つね》にその|道《みち》に|歩《あゆ》む|時《とき》――あなたはこれら三つの|町《まち》のほかに、また三つの|町《まち》をあなたのために|増《ま》し|加《くわ》えなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|与《あた》えて|嗣《し》|業《ぎょう》とされる|地《ち》のうちで、|罪《つみ》のない|者《もの》の|血《ち》が|流《なが》されないようにするためである。そうしなければ、その|血《ち》を|流《なが》したとがは、あなたに|帰《き》するであろう。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|人《ひと》が|隣人《りんじん》を|憎《にく》んでそれをつけねらい、|立《た》ちかかってその|人《ひと》を|撃《う》ち|殺《ころ》し、そしてこれらの|町《まち》の一つにのがれるならば、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちは|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》をそこから|引《ひ》いてこさせ、|復讐《ふくしゅう》する|者《もの》にわたして|殺《ころ》させなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》をあわれんではならない。|罪《つみ》のない|者《もの》の|血《ち》を|流《なが》したとがを、イスラエルから|除《のぞ》かなければならない。そうすればあなたにさいわいがあるであろう。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|与《あた》えて|獲《え》させられる|地《ち》で、あなたが|継《つ》ぐ|嗣《し》|業《ぎょう》において、|先祖《せんぞ》の|定《さだ》めたあなたの|隣人《りんじん》の|土地《とち》の|境《さかい》を|移《うつ》してはならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]どんな|不正《ふせい》であれ、どんなとがであれ、すべて|人《ひと》の|犯《おか》す|罪《つみ》は、ただひとりの|証人《しょうにん》によって|定《さだ》めてはならない。ふたりの|証人《しょうにん》の|証言《しょうげん》により、または三|人《にん》の|証人《しょうにん》の|証言《しょうげん》によって、その|事《こと》を|定《さだ》めなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし|悪意《あくい》のある|証人《しょうにん》が|起《た》って、|人《ひと》に|対《たい》して|悪《わる》い|証言《しょうげん》をすることがあれば、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|相《あい》|争《あらそ》うふたりの|者《もの》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|行《い》って、その|時《とき》の|祭司《さいし》と|裁判人《さいばんにん》の|前《まえ》に|立《た》たなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|裁判人《さいばんにん》は|詳細《しょうさい》にそれを|調《しら》べなければならない。そしてその|証人《しょうにん》がもし|偽《いつわ》りの|証人《しょうにん》であって、|兄弟《きょうだい》にむかって|偽《いつわ》りの|証言《しょうげん》をした|者《もの》であるならば、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|彼《かれ》が|兄弟《きょうだい》にしようとしたことを|彼《かれ》に|行《おこな》い、こうしてあなたがたのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば|他《た》の|人《ひと》たちは|聞《き》いて|恐《おそ》れ、その|後《のち》ふたたびそのような|悪《あく》をあなたがたのうちに|行《おこな》わないであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あわれんではならない。|命《いのち》には|命《いのち》、|目《め》には|目《め》、|歯《は》には|歯《は》、|手《て》には|手《て》、|足《あし》には|足《あし》をもって|償《つぐな》わせなければならない。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|敵《てき》と|戦《たたか》うために|出《で》る|時《とき》、|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》と、あなたよりも|大《だい》ぜいの|軍隊《ぐんたい》を|見《み》ても、|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。あなたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》きのぼられたあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|共《とも》におられるからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|戦《たたか》いに|臨《のぞ》むとき、|祭司《さいし》は|進《すす》み|出《で》て|民《たみ》に|告《つ》げて、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》わなければならない、『イスラエルよ|聞《き》け。あなたがたは、きょう、|敵《てき》と|戦《たたか》おうとしている。|気《き》おくれしてはならない。|恐《おそ》れてはならない。あわててはならない。|彼《かれ》らに|驚《おどろ》いてはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|共《とも》に|行《い》かれ、あなたがたのために|敵《てき》と|戦《たたか》って、あなたがたを|救《すく》われるからである』。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》につかさたちは|民《たみ》に|告《つ》げて|言《い》わなければならない。『|新《あたら》しい|家《いえ》を|建《た》てて、まだそれをささげていない|者《もの》があれば、その|人《ひと》を|家《いえ》に|帰《かえ》らせなければならない。そうしなければ、|彼《かれ》が|戦《たたか》いに|死《し》んだとき、ほかの|人《ひと》がそれをささげるようになるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ぶどう|畑《はたけ》を|作《つく》って、まだその|実《み》を|食《た》べていない|者《もの》があれば、その|人《ひと》を|家《いえ》に|帰《かえ》らせなければならない。そうしなければ|彼《かれ》が|戦《たたか》いに|死《し》んだとき、ほかの|人《ひと》がそれを|食《た》べるようになるであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》と|婚約《こんやく》して、まだその|女《おんな》をめとっていない|者《もの》があれば、その|人《ひと》を|家《いえ》に|帰《かえ》らせなければならない。そうしなければ|彼《かれ》が|戦《たたか》いに|死《し》んだとき、ほかの|人《ひと》が|彼女《かのじょ》をめとるようになるであろう』。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちは、また|民《たみ》に|告《つ》げて|言《い》わなければならない。『|恐《おそ》れて|気《き》おくれする|者《もの》があるならば、その|人《ひと》を|家《いえ》に|帰《かえ》らせなければならない。そうしなければ、|兄弟《きょうだい》たちの|心《こころ》が|彼《かれ》の|心《こころ》のようにくじけるであろう』。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちがこのように|民《たみ》に|告《つ》げ|終《おわ》ったならば、|軍勢《ぐんぜい》のかしらたちを|立《た》てて|民《たみ》を|率《ひき》いさせなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]一つの|町《まち》へ|進《すす》んで|行《い》って、それを|攻《せ》めようとする|時《とき》は、まず|穏《おだ》やかに|降服《こうふく》することを|勧《すす》めなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もしその|町《まち》が|穏《おだ》やかに|降服《こうふく》しようと|答《こた》えて、|門《もん》を|開《ひら》くならば、そこにいるすべての|民《たみ》に、みつぎを|納《おさ》めさせ、あなたに|仕《つか》えさせなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もし|穏《おだ》やかに|降服《こうふく》せず、|戦《たたか》おうとするならば、あなたはそれを|攻《せ》めなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がそれをあなたの|手《て》にわたされる|時《とき》、つるぎをもってそのうちの|男《おとこ》をみな|撃《う》ち|殺《ころ》さなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ただし|女《おんな》、|子供《こども》、|家畜《かちく》およびすべて|町《まち》のうちにあるもの、すなわちぶんどり|物《もの》は|皆《みな》、|戦利《せんり》|品《ひん》として|取《と》ることができる。また|敵《てき》からぶんどった|物《もの》はあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わったものだから、あなたはそれを|用《もち》いることができる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|遠《とお》く|離《はな》れている|町々《まちまち》、すなわちこれらの|国々《くにぐに》に|属《ぞく》さない|町々《まちまち》には、すべてこのようにしなければならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ただし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えられるこれらの|民《たみ》の|町々《まちまち》では、|息《いき》のある|者《もの》をひとりも|生《い》かしておいてはならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとはみな|滅《ほろ》ぼして、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりにしなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがその|神々《かみがみ》を|拝《おが》んでおこなったすべての|憎《にく》むべき|事《こと》を、あなたがたに|教《おし》えて、それを|行《おこな》わせ、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》させることのないためである。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|長《なが》く|町《まち》を|攻《せ》め|囲《かこ》んで、それを|取《と》ろうとする|時《とき》でも、おのをふるって、そこの|木《き》を|切《き》り|枯《か》らしてはならない。それはあなたの|食《しょく》となるものだから、|切《き》り|倒《たお》してはならない。あなたは|田野《でんや》の|木《き》までも、|人《ひと》のように|攻《せ》めなければならないであろうか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただし|実《み》を|結《むす》ばない|木《き》とわかっている|木《き》は|切《き》り|倒《たお》して、あなたと|戦《たたか》っている|町《まち》にむかい、それをもってとりでを|築《きず》き、|陥落《かんらく》するまで、それを|攻《せ》めることができる。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|与《あた》えて|獲《え》させられる|地《ち》で、|殺《ころ》されて|野《の》に|倒《たお》れている|人《ひと》があって、だれが|殺《ころ》したのかわからない|時《とき》は、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|長老《ちょうろう》たちと、さばきびとたちが|出《で》てきて、その|殺《ころ》された|者《もの》のある|所《ところ》から、|周囲《しゅうい》の|町々《まちまち》までの|距離《きょり》をはからなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|殺《ころ》された|者《もの》のある|所《ところ》に|最《もっと》も|近《ちか》い|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちは、まだ|使《つか》わない、まだくびきを|負《お》わせて|引《ひ》いたことのない|若《わか》い|雌牛《めうし》をとり、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちはその|雌牛《めうし》を、|耕《たがや》すことも、|種《たね》まくこともしない、|絶《た》えず|水《みず》の|流《なが》れている|谷《たに》へ|引《ひ》いていって、その|谷《たに》で|雌牛《めうし》のくびを|折《お》らなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》レビの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》たちは、そこに|進《すす》み|出《で》なければならない。|彼《かれ》らはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|自分《じぶん》に|仕《つか》えさせ、また|主《しゅ》の|名《な》によって|祝福《しゅくふく》させるために|選《えら》ばれた|者《もの》で、すべての|論争《ろんそう》と、すべての|暴行《ぼうこう》は|彼《かれ》らの|言葉《ことば》によって|解決《かいけつ》されるからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|殺《ころ》された|者《もの》のある|所《ところ》に|最《もっと》も|近《ちか》い|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちは|皆《みな》、|彼《かれ》らが|谷《たに》でくびを|折《お》った|雌牛《めうし》の|上《うえ》で|手《て》を|洗《あら》い、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|証言《しょうげん》して|言《い》わなければならない、『われわれの|手《て》はこの|血《ち》を|流《なが》さず、われわれの|目《め》もそれを|見《み》なかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたがあがなわれた|民《たみ》イスラエルをおゆるしください。|罪《つみ》のない|者《もの》の|血《ち》を|流《なが》したとがを、あなたの|民《たみ》イスラエルのうちにとどめないでください。そして|血《ち》を|流《なが》したとがをおゆるしください』。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]このようにして、あなたは|主《しゅ》が|正《ただ》しいと|見《み》られる|事《こと》をおこない、|罪《つみ》のない|者《もの》の|血《ち》を|流《なが》したとがを、あなたがたのうちから|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|出《で》て|敵《てき》と|戦《たたか》う|際《さい》、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がそれをあなたの|手《て》にわたされ、あなたがそれを|捕虜《ほりょ》とした|時《とき》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もし|捕虜《ほりょ》のうちに|美《うつく》しい|女《おんな》のあるのを|見《み》て、それを|好《この》み、|妻《つま》にめとろうとするならば、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》をあなたの|家《いえ》に|連《つ》れて|帰《かえ》らなければならない。|女《おんな》は|髪《かみ》をそり、つめを|切《き》り、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|捕虜《ほりょ》の|着物《きもの》を|脱《ぬ》ぎすてて、あなたの|家《いえ》におり、|自分《じぶん》の|父母《ふぼ》のために一か|月《げつ》のあいだ|嘆《なげ》かなければならない。そして|後《のち》、あなたは|彼女《かのじょ》の|所《ところ》にはいって、その|夫《おっと》となり、|彼女《かのじょ》を|妻《つま》とすることができる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》あなたがもし|彼女《かのじょ》を|好《この》まなくなったならば、|彼女《かのじょ》を|自由《じゆう》に|去《さ》らせなければならない。|決《けっ》して|金《かね》で|売《う》ってはならない。あなたはすでに|彼女《かのじょ》をはずかしめたのだから、|彼女《かのじょ》を|奴隷《どれい》のようにあしらってはならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がふたりの|妻《つま》をもち、そのひとりは|愛《あい》する|者《もの》、ひとりは|気《き》にいらない|者《もの》であって、その|愛《あい》する|者《もの》と|気《き》にいらない|者《もの》のふたりが、ともに|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》み、もしその|長子《ちょうし》が、|気《き》にいらない|女《おんな》の|産《う》んだ|者《もの》である|時《とき》は、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》たちに|自分《じぶん》の|財産《ざいさん》を|継《つ》がせる|時《とき》、|気《き》にいらない|女《おんな》の|産《う》んだ|長子《ちょうし》をさしおいて、|愛《あい》する|女《おんな》の|産《う》んだ|子《こ》を|長子《ちょうし》とすることはできない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|必《かなら》ずその|気《き》にいらない|者《もの》の|産《う》んだ|子《こ》が|長子《ちょうし》であることを|認《みと》め、|自分《じぶん》の|財産《ざいさん》を|分《わ》ける|時《とき》には、これに二|倍《ばい》の|分《わ》け|前《まえ》を|与《あた》えなければならない。これは|自分《じぶん》の|力《ちから》の|初《はじ》めであって、|長子《ちょうし》の|特権《とっけん》を|持《も》っているからである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]もし、わがままで、|手《て》に|負《お》えない|子《こ》があって、|父《ちち》の|言葉《ことば》にも、|母《はは》の|言葉《ことば》にも|従《したが》わず、|父母《ふぼ》がこれを|懲《こ》らしてもきかない|時《とき》は、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|父母《ふぼ》はこれを|捕《とら》えて、その|町《まち》の|門《もん》に|行《い》き、|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちの|前《まえ》に|出《だ》し、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちに|言《い》わなければならない、『わたしたちのこの|子《こ》はわがままで、|手《て》に|負《お》えません。わたしたちの|言葉《ことば》に|従《したが》わず、|身持《みも》ちが|悪《わる》く、|大《だい》|酒飲《さけの》みです』。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|町《まち》の|人《ひと》は|皆《みな》、|彼《かれ》を|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》し、あなたがたのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。そうすれば、イスラエルは|皆《みな》|聞《き》いて|恐《おそ》れるであろう。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|死《し》にあたる|罪《つみ》を|犯《おか》して|殺《ころ》され、あなたがそれを|木《き》の|上《うえ》にかける|時《とき》は、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|翌朝《よくあさ》までその|死体《したい》を|木《き》の|上《うえ》に|留《と》めておいてはならない。|必《かなら》ずそれをその|日《ひ》のうちに|埋《う》めなければならない。|木《き》にかけられた|者《もの》は|神《かみ》にのろわれた|者《もの》だからである。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》として|賜《たま》わる|地《ち》を|汚《けが》してはならない。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》の|牛《うし》、または|羊《ひつじ》の|迷《まよ》っているのを|見《み》て、それを|見捨《みす》てておいてはならない。|必《かなら》ずそれを|兄弟《きょうだい》のところへ|連《つ》れて|帰《かえ》らなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もしその|兄弟《きょうだい》が|近《ちか》くの|者《もの》でなく、|知《し》らない|人《ひと》であるならば、それを|自分《じぶん》の|家《いえ》にひいてきて、あなたのところにおき、その|兄弟《きょうだい》が|尋《たず》ねてきた|時《とき》に、それを|彼《かれ》に|返《かえ》さなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》のろばの|場合《ばあい》も、そうしなければならない。|着物《きもの》の|場合《ばあい》も、そうしなければならない。またすべてあなたの|兄弟《きょうだい》の|失《うしな》った|物《もの》を|見《み》つけた|場合《ばあい》も、そうしなければならない。それを|見捨《みす》てておくことはできない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》のろばまたは|牛《うし》が|道《みち》に|倒《たお》れているのを|見《み》て、|見捨《みす》てておいてはならない。|必《かなら》ずそれを|助《たす》け|起《おこ》さなければならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|男《おとこ》の|着物《きもの》を|着《き》てはならない。また|男《おとこ》は|女《おんな》の|着物《きもの》を|着《き》てはならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はそのような|事《こと》をする|者《もの》を|忌《い》みきらわれるからである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|道《みち》で、|木《き》の|上《うえ》、または|地面《じめん》に|鳥《とり》の|巣《す》のあるのを|見《み》つけ、その|中《なか》に|雛《ひよこ》または|卵《たまご》があって、|母《はは》|鳥《とり》がその|雛《ひよこ》または|卵《たまご》を|抱《だ》いているならば、|母《はは》|鳥《とり》を|雛《ひよこ》と|一緒《いっしょ》に|取《と》ってはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|必《かなら》ず|母《はは》|鳥《とり》を|去《さ》らせ、ただ|雛《ひよこ》だけを|取《と》らなければならない。そうすればあなたはさいわいを|得《え》、|長《なが》く|生《い》きながらえることができるであろう。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|新《あたら》しい|家《いえ》を|建《た》てる|時《とき》は、|屋根《やね》に|欄干《らんかん》を|設《もう》けなければならない。それは|人《ひと》が|屋根《やね》から|落《お》ちて、|血《ち》のとがをあなたの|家《いえ》に|帰《き》することのないようにするためである。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ぶどう|畑《はたけ》に二|種《しゅ》の|種《たね》を|混《ま》ぜてまいてはならない。そうすればあなたがまいた|種《たね》から|産《さん》する|物《もの》も、ぶどう|畑《はたけ》から|出《で》る|物《もの》も、みな|忌《い》むべき|物《もの》となるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》と、ろばとを|組《く》み|合《あ》わせて|耕《たがや》してはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|羊毛《ようもう》と|亜麻《あま》|糸《いと》を|混《ま》ぜて|織《お》った|着物《きもの》を|着《き》てはならない。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|身《み》にまとう|上着《うわぎ》の四すみに、ふさをつけなければならない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|妻《つま》をめとり、|妻《つま》のところにはいって|後《のち》、その|女《おんな》をきらい、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]『わたしはこの|女《おんな》をめとって|近《ちか》づいた|時《とき》、|彼女《かのじょ》に|処女《しょじょ》の|証拠《しょうこ》を|見《み》なかった』と|言《い》って|虚偽《きょぎ》の|非難《ひなん》をもって、その|女《おんな》に|悪名《あくめい》を|負《お》わせるならば、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》の|父《ちち》と|母《はは》は、|彼女《かのじょ》の|処女《しょじょ》の|証拠《しょうこ》を|取《と》って、|門《もん》におる|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちに|差《さ》し|出《だ》し、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼女《かのじょ》の|父《ちち》は|長老《ちょうろう》たちに|言《い》わなければならない。『わたしはこの|人《ひと》に|娘《むすめ》を|与《あた》えて|妻《つま》にさせましたが、この|人《ひと》は|娘《むすめ》をきらい、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|虚偽《きょぎ》の|非難《ひなん》をもって、「わたしはあなたの|娘《むすめ》に|処女《しょじょ》の|証拠《しょうこ》を|見《み》なかった」と|言《い》います。しかし、これがわたしの|娘《むすめ》の|処女《しょじょ》の|証拠《しょうこ》です』と|言《い》って、その|父母《ふぼ》はかの|布《ぬの》を|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちの|前《まえ》にひろげなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちは、その|人《ひと》を|捕《とら》えて|撃《う》ち|懲《こ》らし、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|銀《ぎん》百シケルの|罰金《ばっきん》を|課《か》し、それを|女《おんな》の|父《ちち》に|与《あた》えなければならない。|彼《かれ》はイスラエルの|処女《しょじょ》に|悪名《あくめい》を|負《お》わせたからである。|彼《かれ》はその|女《おんな》を|妻《つま》とし、|一生《いっしょう》その|女《おんな》を|出《だ》すことはできない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、この|非難《ひなん》が|真実《しんじつ》であって、その|女《おんな》に|処女《しょじょ》の|証拠《しょうこ》が|見《み》られない|時《とき》は、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》を|父《ちち》の|家《いえ》の|入口《いりぐち》にひき|出《だ》し、|町《まち》の|人々《ひとびと》は|彼女《かのじょ》を|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》さなければならない。|彼女《かのじょ》は|父《ちち》の|家《いえ》で、みだらな|事《こと》をおこない、イスラエルのうちに|愚《おろ》かな|事《こと》をしたからである。あなたはこうしてあなたがたのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もし|夫《おっと》のある|女《おんな》と|寝《ね》ている|男《おとこ》を|見《み》つけたならば、その|女《おんな》と|寝《ね》た|男《おとこ》およびその|女《おんな》を|一緒《いっしょ》に|殺《ころ》し、こうしてイスラエルのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]もし|処女《しょじょ》である|女《おんな》が、|人《ひと》と|婚約《こんやく》した|後《のち》、|他《た》の|男《おとこ》が|町《まち》の|内《うち》でその|女《おんな》に|会《あ》い、これを|犯《おか》したならば、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはそのふたりを|町《まち》の|門《もん》にひき|出《だ》して、|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》さなければならない。これはその|女《おんな》が|町《まち》の|内《うち》におりながら|叫《さけ》ばなかったからであり、またその|男《おとこ》は|隣人《りんじん》の|妻《つま》をはずかしめたからである。あなたはこうしてあなたがたのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|男《おとこ》が、|人《ひと》と|婚約《こんやく》した|女《おんな》に|野《の》で|会《あ》い、その|女《おんな》を|捕《とら》えてこれを|犯《おか》したならば、その|男《おとこ》だけを|殺《ころ》さなければならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》には|何《なに》もしてはならない。|女《おんな》には|死《し》にあたる|罪《つみ》がない。|人《ひと》がその|隣人《りんじん》に|立《た》ちむかって、それを|殺《ころ》したと|同《おな》じ|事件《じけん》だからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]これは|男《おとこ》が|野《の》で|女《おんな》に|会《あ》ったので、|人《ひと》と|婚約《こんやく》したその|女《おんな》が|叫《さけ》んだけれども、|救《すく》う|者《もの》がなかったのである。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]まだ|人《ひと》と|婚約《こんやく》しない|処女《しょじょ》である|女《おんな》に、|男《おとこ》が|会《あ》い、これを|捕《とら》えて|犯《おか》し、ふたりが|見《み》つけられたならば、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》を|犯《おか》した|男《おとこ》は|女《おんな》の|父《ちち》に|銀《ぎん》五十シケルを|与《あた》えて、|女《おんな》を|自分《じぶん》の|妻《つま》としなければならない。|彼《かれ》はその|女《おんな》をはずかしめたゆえに、|一生《いっしょう》その|女《おんな》を|出《だ》すことはできない。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]だれも|父《ちち》の|妻《つま》をめとってはならない。|父《ちち》の|妻《つま》と|寝《ね》てはならない。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|去勢《きょせい》した|男子《だんし》は|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》に|加《くわ》わってはならない。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|私生児《しせいじ》は|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》に|加《くわ》わってはならない。その|子孫《しそん》は十|代《だい》までも|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》に|加《くわ》わってはならない。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アンモンびととモアブびとは|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》に|加《くわ》わってはならない。|彼《かれ》らの|子孫《しそん》は十|代《だい》までも、いつまでも|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》に|加《くわ》わってはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたがエジプトから|出《で》てきた|時《とき》に、|彼《かれ》らがパンと|水《みず》を|携《たずさ》えてあなたがたを|道《みち》に|迎《むか》えず、アラム・ナハライムのペトルからベオルの|子《こ》バラムを|雇《やと》って、あなたをのろわせようとしたからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はバラムの|言《い》うことを|聞《き》こうともせず、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたのために、そののろいを|変《か》えて、|祝福《しゅくふく》とされた。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたを|愛《あい》されたからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|一生《いっしょう》いつまでも|彼《かれ》らのために|平安《へいあん》をも、|幸福《こうふく》をも|求《もと》めてはならない。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはエドムびとを|憎《にく》んではならない。|彼《かれ》はあなたの|兄弟《きょうだい》だからである。またエジプトびとを|憎《にく》んではならない。あなたはかつてその|国《くに》の|寄留者《きりゅうしゃ》であったからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らが|産《う》んだ|子《こ》どもは三|代《だい》|目《め》には、|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》に|加《くわ》わることができる。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》を|攻《せ》めるために|出《で》て|陣営《じんえい》におる|時《とき》は、すべての|汚《けが》れた|物《もの》を|避《さ》けなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちに、|夜《よる》の|思《おも》いがけない|事《こと》によって|身《み》の|汚《けが》れた|人《ひと》があるならば、|陣営《じんえい》の|外《そと》に|出《で》なければならない。|陣営《じんえい》の|内《うち》に、はいってはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|夕方《ゆうがた》になって、|水《みず》で|身《み》を|洗《あら》い、|日《ひ》が|没《ぼっ》して|後《のち》、|陣営《じんえい》の|内《うち》に、はいることができる。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|陣営《じんえい》の|外《そと》に一つの|所《ところ》を|設《もう》けておいて、|用《よう》をたす|時《とき》、そこに|出《で》て|行《い》かなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|武器《ぶき》と|共《とも》に、くわを|備《そな》え、|外《そと》に|出《で》て、かがむ|時《とき》、それをもって|土《つち》を|掘《ほ》り、|向《む》きをかえて、|出《で》た|物《もの》をおおわなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたを|救《すく》い、|敵《てき》をあなたにわたそうと、|陣営《じんえい》の|中《なか》を|歩《あゆ》まれるからである。ゆえに|陣営《じんえい》は|聖《せい》なる|所《ところ》として|保《たも》たなければならない。|主《しゅ》があなたのうちにきたない|物《もの》のあるのを|見《み》て、|離《はな》れ|去《さ》られることのないためである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主人《しゅじん》を|避《さ》けて、あなたのところに|逃《に》げてきた|奴隷《どれい》を、その|主人《しゅじん》にわたしてはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|者《もの》をあなたがたのうちに、あなたと|共《とも》におらせ、|町《まち》の一つのうち、|彼《かれ》が|好《この》んで|選《えら》ぶ|場所《ばしょ》に|住《す》ませなければならない。|彼《かれ》を|虐待《ぎゃくたい》してはならない。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|女子《じょし》は|神殿《しんでん》|娼婦《しょうふ》となってはならない。またイスラエルの|男子《だんし》は|神殿《しんでん》|男娼《だんしょう》となってはならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|娼婦《しょうふ》の|得《え》た|価《あたい》または|男娼《だんしょう》の|価《あたい》をあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|家《いえ》に|携《たずさ》えて|行《い》って、どんな|誓願《せいがん》にも|用《もち》いてはならない。これはともにあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|憎《にく》まれるものだからである。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|兄弟《きょうだい》に|利息《りそく》を|取《と》って|貸《か》してはならない。|金銭《きんせん》の|利息《りそく》、|食物《しょくもつ》の|利息《りそく》などすべて|貸《か》して|利息《りそく》のつく|物《もの》の|利息《りそく》を|取《と》ってはならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|外国《がいこく》|人《じん》には|利息《りそく》を|取《と》って|貸《か》してもよい。ただ|兄弟《きょうだい》には|利息《りそく》を|取《と》って|貸《か》してはならない。これはあなたが、はいって|取《と》る|地《ち》で、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がすべてあなたのする|事《こと》に|祝福《しゅくふく》を|与《あた》えられるためである。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|誓願《せいがん》をかける|時《とき》、それを|果《はた》すことを|怠《おこた》ってはならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|必《かなら》ずそれをあなたに|求《もと》められるからである。それを|怠《おこた》るときは|罪《つみ》を|得《え》るであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたが|誓願《せいがん》をかけないならば、|罪《つみ》を|得《え》ることはない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|口《くち》で|言《い》った|事《こと》は|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。あなたが|口《くち》で|約束《やくそく》した|事《こと》は、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にあなたが|自発《じはつ》|的《まと》に|誓願《せいがん》したのだからである。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|隣人《りんじん》のぶどう|畑《はたけ》にはいる|時《とき》、そのぶどうを|心《こころ》にまかせて|飽《あ》きるほど|食《た》べてもよい。しかし、あなたの|器《うつわ》の|中《なか》に|取《と》り|入《い》れてはならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|隣人《りんじん》の|麦畑《むぎばたけ》にはいる|時《とき》、|手《て》でその|穂《ほ》を|摘《つ》んで|食《た》べてもよい。しかし、あなたの|隣人《りんじん》の|麦畑《むぎばたけ》にかまを|入《い》れてはならない。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|妻《つま》をめとって、|結婚《けっこん》したのちに、その|女《おんな》に|恥《は》ずべきことのあるのを|見《み》て、|好《この》まなくなったならば、|離縁《りえん》|状《じょう》を|書《か》いて|彼女《かのじょ》の|手《て》に|渡《わた》し、|家《いえ》を|去《さ》らせなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》がその|家《いえ》を|出《で》てのち、|行《い》って、ほかの|人《ひと》にとつぎ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》の|夫《おっと》も|彼女《かのじょ》をきらって、|離縁《りえん》|状《じょう》を|書《か》き、その|手《て》に|渡《わた》して|家《いえ》を|去《さ》らせるか、または|妻《つま》にめとった|後《のち》の|夫《おっと》が|死《し》んだときは、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はすでに|身《み》を|汚《けが》したのちであるから、|彼女《かのじょ》を|去《さ》らせた|先《さき》の|夫《おっと》は、ふたたび|彼女《かのじょ》を|妻《つま》にめとることはできない。これは|主《しゅ》の|前《まえ》に|憎《にく》むべき|事《こと》だからである。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》としてあなたに|与《あた》えられる|地《ち》に|罪《つみ》を|負《お》わせてはならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|新《あら》たに|妻《つま》をめとった|時《とき》は、|戦争《せんそう》に|出《だ》してはならない。また|何《なに》の|務《つとめ》もこれに|負《お》わせてはならない。その|人《ひと》は一|年《ねん》の|間《あいだ》、|束縛《そくばく》なく|家《いえ》にいて、そのめとった|妻《つま》を|慰《なぐさ》めなければならない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ひきうす、またはその|上石《うわいし》を|質《しつ》にとってはならない。これは|命《いのち》をつなぐものを|質《しつ》にとることだからである。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの|同胞《どうほう》のひとりをかどわかして、これを|奴隷《どれい》のようにあしらい、またはこれを|売《う》る|者《もの》を|見《み》つけたならば、そのかどわかした|者《もの》を|殺《ころ》して、あなたがたのうちから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》らなければならない。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]らい|病《びょう》の|起《た》った|時《とき》は|気《き》をつけて、すべてレビびとたる|祭司《さいし》が|教《おし》えることを、よく|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。すなわちわたしが|彼《かれ》らに|命《めい》じたように、あなたがたはそれを|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがエジプトから|出《で》てきたとき、|道《みち》であなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がミリアムにされたことを|記憶《きおく》しなければならない。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|隣人《りんじん》に|物《もの》を|貸《か》すときは、|自分《じぶん》でその|家《いえ》にはいって、|質物《しちもの》を|取《と》ってはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|外《そと》に|立《た》っていて、|借《か》りた|人《ひと》が|質物《しちもの》を|外《そと》にいるあなたのところへ|持《も》ち|出《だ》さなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もしその|人《ひと》が|貧《まず》しい|人《ひと》である|時《とき》は、あなたはその|質物《しちもの》を|留《と》めおいて|寝《ね》てはならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|質物《しちもの》は|日《ひ》の|入《い》るまでに、|必《かなら》ず|返《かえ》さなければならない。そうすれば|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|上着《うわぎ》をかけて|寝《ね》ることができて、あなたを|祝福《しゅくふく》するであろう。それはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》にあなたの|義《ぎ》となるであろう。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しく|乏《とぼ》しい|雇人《やといにん》は、|同胞《どうほう》であれ、またはあなたの|国《くに》で、|町《まち》のうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》であれ、それを|虐待《ぎゃくたい》してはならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|賃銀《ちんぎん》はその|日《ひ》のうちに|払《はら》い、それを|日《ひ》の|入《い》るまで|延《の》ばしてはならない。|彼《かれ》は|貧《まず》しい|者《もの》で、その|心《こころ》をこれにかけているからである。そうしなければ|彼《かれ》はあなたを|主《しゅ》に|訴《うった》えて、あなたは|罪《つみ》を|得《え》るであろう。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》は|子《こ》のゆえに|殺《ころ》さるべきではない。|子《こ》は|父《ちち》のゆえに|殺《ころ》さるべきではない。おのおの|自分《じぶん》の|罪《つみ》のゆえに|殺《ころ》さるべきである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》または|孤児《こじ》のさばきを|曲《ま》げてはならない。|寡婦《かふ》の|着物《きもの》を|質《しつ》に|取《と》ってはならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつてエジプトで|奴隷《どれい》であったが、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がそこからあなたを|救《すく》い|出《だ》されたことを|記憶《きおく》しなければならない。それでわたしはあなたにこの|事《こと》をせよと|命《めい》じるのである。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|畑《はたけ》で|穀物《こくもつ》を|刈《か》る|時《とき》、もしその|一束《ひとたば》を|畑《はたけ》におき|忘《わす》れたならば、それを|取《と》りに|引《ひ》き|返《かえ》してはならない。それは|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と|孤児《こじ》と|寡婦《かふ》に|取《と》らせなければならない。そうすればあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はすべてあなたがする|事《こと》において、あなたを|祝福《しゅくふく》されるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがオリブの|実《み》をうち|落《おと》すときは、ふたたびその|枝《えだ》を|捜《さが》してはならない。それを|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と|孤児《こじ》と|寡婦《かふ》に|取《と》らせなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]またぶどう|畑《はたけ》のぶどうを|摘《つ》み|取《と》るときは、その|残《のこ》ったものを、ふたたび|捜《さが》してはならない。それを|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と|孤児《こじ》と|寡婦《かふ》に|取《と》らせなければならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつてエジプトの|国《くに》で|奴隷《どれい》であったことを|記憶《きおく》しなければならない。それでわたしはあなたにこの|事《こと》をせよと|命《めい》じるのである。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》と|人《ひと》との|間《あいだ》に|争《あらそ》い|事《こと》があって、さばきを|求《もと》めてきたならば、さばきびとはこれをさばいて、|正《ただ》しい|者《もの》を|正《ただ》しいとし、|悪《わる》い|者《もの》を|悪《わる》いとしなければならない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|悪《わる》い|者《もの》が、むち|打《う》つべき|者《もの》であるならば、さばきびとは|彼《かれ》を|伏《ふ》させ、|自分《じぶん》の|前《まえ》で、その|罪《つみ》にしたがい、|数《かぞ》えて|彼《かれ》をむち|打《う》たせなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》をむち|打《う》つには四十を|越《こ》えてはならない。もしそれを|越《こ》えて、それよりも|多《おお》くむちを|打《う》つときは、あなたの|兄弟《きょうだい》はあなたの|目《め》の|前《まえ》で、はずかしめられることになるであろう。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|脱穀《だっこく》をする|牛《うし》にくつこを|掛《か》けてはならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|兄弟《きょうだい》が|一緒《いっしょ》に|住《す》んでいて、そのうちのひとりが|死《し》んで|子《こ》のない|時《とき》は、その|死《し》んだ|者《もの》の|妻《つま》は|出《で》て、|他人《たにん》にとついではならない。その|夫《おっと》の|兄弟《きょうだい》が|彼女《かのじょ》の|所《ところ》にはいり、めとって|妻《つま》とし、|夫《おっと》の|兄弟《きょうだい》としての|道《みち》を|彼女《かのじょ》につくさなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|女《おんな》が|初《はじ》めに|産《う》む|男《おとこ》の|子《こ》に、|死《し》んだ|兄弟《きょうだい》の|名《な》を|継《つ》がせ、その|名《な》をイスラエルのうちに|絶《た》やさないようにしなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|人《ひと》が|兄弟《きょうだい》の|妻《つま》をめとるのを|好《この》まないならば、その|兄弟《きょうだい》の|妻《つま》は|町《まち》の|門《もん》へ|行《い》って、|長老《ちょうろう》たちに|言《い》わなければならない、『わたしの|夫《おっと》の|兄弟《きょうだい》はその|兄弟《きょうだい》の|名《な》をイスラエルのうちに|残《のこ》すのを|拒《こば》んで、|夫《おっと》の|兄弟《きょうだい》としての|道《みち》をつくすことを|好《この》みません』。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちは|彼《かれ》を|呼《よ》び|寄《よ》せて、さとさなければならない。もし|彼《かれ》が|固執《こしつ》して、『わたしは|彼女《かのじょ》をめとることを|好《この》みません』と|言《い》うならば、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|兄弟《きょうだい》の|妻《つま》は|長老《ちょうろう》たちの|目《め》の|前《まえ》で、|彼《かれ》のそばに|行《い》き、その|足《あし》のくつを|脱《ぬ》がせ、その|顔《かお》につばきして、|答《こた》えて|言《い》わなければならない。『|兄弟《きょうだい》の|家《いえ》をたてない|者《もの》には、このようにすべきです』。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》の|家《いえ》の|名《な》は、くつを|脱《ぬ》がされた|者《もの》の|家《いえ》と、イスラエルのうちで|呼《よ》ばれるであろう。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ふたりの|人《ひと》が|互《たがい》に|争《あらそ》うときに、そのひとりの|人《ひと》の|妻《つま》が、|打《う》つ|者《もの》の|手《て》から|夫《おっと》を|救《すく》おうとして|近《ちか》づき、|手《て》を|伸《の》べて、その|人《ひと》の|隠《かく》し|所《ところ》をつかまえるならば、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》の|手《て》を|切《き》り|落《おと》さなければならない。あわれみをかけてはならない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|袋《ふくろ》に|大小《だいしょう》二|種《しゅ》の|重《おも》り|石《いし》を|入《い》れておいてはならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家《いえ》に|大小《だいしょう》二|種《しゅ》のますをおいてはならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|不足《ふそく》のない|正《ただ》しい|重《おも》り|石《いし》を|持《も》ち、また|不足《ふそく》のない|正《ただ》しいますを|持《も》たなければならない。そうすればあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》で、あなたは|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》つことができるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すべてこのような|不正《ふせい》をする|者《もの》を、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|憎《にく》まれるからである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがエジプトから|出《で》てきた|時《とき》、|道《みち》でアマレクびとがあなたにしたことを|記憶《きおく》しなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らは|道《みち》であなたに|出会《であ》い、あなたがうみ|疲《つか》れている|時《とき》、うしろについてきていたすべての|弱《よわ》っている|者《もの》を|攻《せ》め|撃《う》った。このように|彼《かれ》らは|神《かみ》を|恐《おそ》れなかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》として|賜《たま》わる|地《ち》で、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたの|周囲《しゅうい》のすべての|敵《てき》を|征服《せいふく》して、あなたに|安息《あんそく》を|与《あた》えられる|時《とき》、あなたはアマレクの|名《な》を|天《てん》の|下《した》から|消《け》し|去《さ》らなければならない。この|事《こと》を|忘《わす》れてはならない。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|嗣《し》|業《ぎょう》として|賜《たま》わる|国《くに》にはいって、それを|所有《しょゆう》し、そこに|住《す》む|時《とき》は、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|国《くに》にできる、|地《ち》のすべての|実《み》の|初物《はつもの》を|取《と》ってかごに|入《い》れ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために|選《えら》ばれる|所《ところ》へ|携《たずさ》えて|行《い》かなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|時《とき》の|祭司《さいし》の|所《ところ》へ|行《い》って|彼《かれ》に|言《い》わなければならない、『きょう、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にわたしは|申《もう》します。|主《しゅ》がわれわれに|与《あた》えると|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われた|国《くに》に、わたしははいることができました』。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|祭司《さいし》はあなたの|手《て》からそのかごを|受《う》け|取《と》ってあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|前《まえ》に|置《お》かなければならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして、あなたはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|述《の》べて|言《い》わなければならない、『わたしの|先祖《せんぞ》は、さすらいの一アラムびとでありましたが、わずかの|人《ひと》を|連《つ》れてエジプトへ|下《くだ》って|行《い》って、その|所《ところ》に|寄留《きりゅう》し、ついにそこで|大《おお》きく、|強《つよ》い、|人数《にんずう》の|多《おお》い|国民《こくみん》になりました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ところがエジプトびとはわれわれをしえたげ、また|悩《なや》まして、つらい|労役《ろうえき》を|負《お》わせましたが、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われわれが|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》に|叫《さけ》んだので、|主《しゅ》はわれわれの|声《こえ》を|聞《き》き、われわれの|悩《なや》みと、|骨折《ほねお》りと、しえたげとを|顧《かえり》み、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》べた|腕《うで》と、|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|事《こと》と、しるしと、|不思議《ふしぎ》とをもって、われわれをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》し、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われわれをこの|所《ところ》へ|連《つ》れてきて、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れるこの|地《ち》をわれわれに|賜《たま》わりました。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、ごらんください。あなたがわたしに|賜《たま》わった|地《ち》の|実《み》の|初物《はつもの》を、いま|携《たずさ》えてきました』。そしてあなたはそれをあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|置《お》いて、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|礼拝《れいはい》し、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたとあなたの|家《いえ》とに|賜《たま》わったすべての|良《よ》い|物《もの》をもって、レビびとおよびあなたのなかにいる|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と|共《とも》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三|年《ねん》すなわち十|分《ぶん》の一を|納《おさ》める|年《とし》に、あなたがすべての|産物《さんぶつ》の十|分《ぶん》の一を|納《おさ》め|終《おわ》って、それをレビびとと|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と|孤児《こじ》と|寡婦《かふ》とに|与《あた》え、|町《まち》のうちで|彼《かれ》らに|飽《あ》きるほど|食《た》べさせた|時《とき》、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》で|言《い》わなければならない、『わたしはその|聖《せい》なる|物《もの》を|家《いえ》から|取《と》り|出《だ》し、またレビびとと|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と|孤児《こじ》と|寡婦《かふ》とにそれを|与《あた》え、すべてあなたが|命《めい》じられた|命令《めいれい》のとおりにいたしました。わたしはあなたの|命令《めいれい》にそむかず、またそれを|忘《わす》れませんでした。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|聖《せい》なる|物《もの》を|喪《も》のうちで|食《た》べたことがなく、また|汚《けが》れた|身《み》でそれを|取《と》り|出《だ》したことがなく、また|死人《しにん》にそれを|供《そな》えたことがありませんでした。わたしはわたしの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、すべてあなたがわたしに|命《めい》じられたとおりにいたしました。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|聖《せい》なるすみかである|天《てん》からみそなわして、あなたの|民《たみ》イスラエルと、あなたがわれわれに|与《あた》えられた|地《ち》とを|祝福《しゅくふく》してください。これはあなたがわれわれの|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》われた|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》です』。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]きょう、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこれらの|定《さだ》めと、おきてとを|行《おこな》うことをあなたに|命《めい》じられる。それゆえ、あなたは|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくしてそれを|守《まも》り|行《おこな》わなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]きょう、あなたは|主《しゅ》をあなたの|神《かみ》とし、かつその|道《みち》に|歩《あゆ》み、|定《さだ》めと、|戒《いまし》めと、おきてとを|守《まも》り、その|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》うことを|明言《めいげん》した。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして、|主《しゅ》は|先《さき》に|約束《やくそく》されたように、きょう、あなたを|自分《じぶん》の|宝《たから》の|民《たみ》とされること、また、あなたがそのすべての|命令《めいれい》を|守《まも》るべきことを|明言《めいげん》された。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|誉《ほまれ》と|良《よ》き|名《な》と|栄《さか》えとをあなたに|与《あた》えて、|主《しゅ》の|造《つく》られたすべての|国民《こくみん》にまさるものとされるであろう。あなたは|主《しゅ》が|言《い》われたように、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|聖《せい》なる|民《たみ》となるであろう」。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセとイスラエルの|長老《ちょうろう》たちとは|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》った、「わたしが、きょう、あなたがたに|命《めい》じるすべての|戒《いまし》めを|守《まも》りなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがヨルダンを|渡《わた》ってあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|国《くに》にはいる|時《とき》、あなたは|大《おお》きな|石《いし》|数個《すうこ》を|立《た》てて、それにしっくいを|塗《ぬ》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたが|渡《わた》って、あなたの|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたようにあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》、すなわち|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》にはいる|時《とき》、この|律法《りっぽう》のすべての|言葉《ことば》をその|上《うえ》に|書《か》きしるさなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、あなたがたが、ヨルダンを|渡《わた》ったならば、わたしが、きょう、あなたがたに|命《めい》じるそれらの|石《いし》をエバル|山《やま》に|立《た》て、それにしっくいを|塗《ぬ》らなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またそこにあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために、|祭壇《さいだん》、すなわち|石《いし》の|祭壇《さいだん》を|築《きず》かなければならない。|鉄《てつ》の|器《うつわ》を|石《いし》に|当《あ》てず、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|自然《しぜん》のままの|石《いし》であなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、その|上《うえ》であなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》をささげなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》をささげて、その|所《ところ》で|食《た》べ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》で|喜《よろこ》び|楽《たの》しまなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこの|律法《りっぽう》のすべての|言葉《ことば》をその|石《いし》の|上《うえ》に|明《あき》らかに|書《か》きしるさなければならない」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またモーセとレビびとたる|祭司《さいし》たちとは、イスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|言《い》った、「イスラエルよ、|静《しず》かに|聞《き》きなさい。あなたは、きょう、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|民《たみ》となった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、わたしが、きょう、|命《めい》じる|戒《いまし》めと|定《さだ》めとを|行《おこな》わなければならない」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》またモーセは|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたがヨルダンを|渡《わた》った|時《とき》、|次《つぎ》の|人《ひと》たちはゲリジム|山《やま》に|立《た》って|民《たみ》を|祝福《しゅくふく》しなければならない。すなわちシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフおよびベニヤミン。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|次《つぎ》の|人《ひと》たちはエバル|山《やま》に|立《た》ってのろわなければならない。すなわちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてレビびとは|大声《おおごえ》でイスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|告《つ》げて|言《い》わなければならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]『|工人《こうじん》の|手《て》の|作《さく》である|刻《きざ》んだ|像《ぞう》、または|鋳《い》た|像《ぞう》は、|主《しゅ》が|憎《にく》まれるものであるから、それを|造《つく》って、ひそかに|安置《あんち》する|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》は、みな|答《こた》えてアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]『|父《ちち》や|母《はは》を|軽《かろ》んずる|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]『|隣人《りんじん》との|土地《とち》の|境《さかい》を|移《うつ》す|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]『|盲人《もうじん》を|道《みち》に|迷《まよ》わす|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]『|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》や|孤児《こじ》、|寡婦《かふ》のさばきを|曲《ま》げる|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]『|父《ちち》の|妻《つま》を|犯《おか》す|者《もの》は、|父《ちち》を|恥《は》ずかしめるのであるからのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]『すべて|獣《けもの》を|犯《おか》す|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]『|父《ちち》の|娘《むすめ》、または|母《はは》の|娘《むすめ》である|自分《じぶん》の|姉妹《しまい》を|犯《おか》す|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]『|妻《つま》の|母《はは》を|犯《おか》す|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]『ひそかに|隣人《りんじん》を|撃《う》ち|殺《ころ》す|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]『まいないを|取《と》って|罪《つみ》なき|者《もの》を|殺《ころ》す|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]『この|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》を|守《まも》り|行《おこな》わない|者《もの》はのろわれる』。|民《たみ》はみなアァメンと|言《い》わなければならない。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》によく|聞《き》き|従《したが》い、わたしが、きょう、|命《めい》じるすべての|戒《いまし》めを|守《まも》り|行《おこな》うならば、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたを|地《ち》のもろもろの|国民《こくみん》の|上《うえ》に|立《た》たせられるであろう。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたがあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》うならば、このもろもろの|祝福《しゅくふく》はあなたに|臨《のぞ》み、あなたに|及《およ》ぶであろう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|町《まち》の|内《うち》でも|祝福《しゅくふく》され、|畑《はたけ》でも|祝福《しゅくふく》されるであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|身《み》から|生《うま》れるもの、|地《ち》に|産《さん》する|物《もの》、|家畜《かちく》の|産《う》むもの、すなわち|牛《うし》の|子《こ》、|羊《ひつじ》の|子《こ》は|祝福《しゅくふく》されるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またあなたのかごと、こねばちは|祝福《しゅくふく》されるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、はいるにも|祝福《しゅくふく》され、|出《で》るにも|祝福《しゅくふく》されるであろう。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》が|起《た》ってあなたを|攻《せ》める|時《とき》は、|主《しゅ》はあなたにそれを|撃《う》ち|敗《やぶ》らせられるであろう。|彼《かれ》らは一つの|道《みち》から|攻《せ》めて|来《く》るが、あなたの|前《まえ》で七つの|道《みち》から|逃《に》げ|去《さ》るであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|命《めい》じて|祝福《しゅくふく》をあなたの|倉《くら》と、あなたの|手《て》のすべてのわざにくだし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》であなたを|祝福《しゅくふく》されるであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|戒《いまし》めを|守《まも》り、その|道《みち》を|歩《あゆ》むならば、|主《しゅ》は|誓《ちか》われたようにあなたを|立《た》てて、その|聖《せい》なる|民《たみ》とされるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば|地《ち》のすべての|民《たみ》は|皆《みな》あなたが|主《しゅ》の|名《な》をもって|唱《とな》えられるのを|見《み》てあなたを|恐《おそ》れるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたに|与《あた》えると|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》われた|地《ち》で、|主《しゅ》は|良《よ》い|物《もの》、すなわちあなたの|身《み》から|生《うま》れる|者《もの》、|家畜《かちく》の|産《う》むもの、|地《ち》に|産《さん》する|物《もの》を|豊《ゆた》かにされるであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|宝《たから》の|蔵《くら》である|天《てん》をあなたのために|開《ひら》いて、|雨《あめ》を|季節《きせつ》にしたがってあなたの|地《ち》に|降《ふ》らせ、あなたの|手《て》のすべてのわざを|祝福《しゅくふく》されるであろう。あなたは|多《おお》くの|国民《こくみん》に|貸《か》すようになり、|借《か》りることはないであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたをかしらとならせ、|尾《お》とはならせられないであろう。あなたはただ|栄《さか》えて|衰《おとろ》えることはないであろう。きょう、わたしが|命《めい》じるあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|戒《いまし》めに|聞《き》き|従《したが》って、これを|守《まも》り|行《おこな》うならば、あなたは|必《かなら》ずこのようになるであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]きょう、わたしが|命《めい》じるこのすべての|言葉《ことば》を|離《はな》れて|右《みぎ》または|左《ひだり》に|曲《まが》り、|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》い、それに|仕《つか》えてはならない。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、きょう、わたしが|命《めい》じるすべての|戒《いまし》めと|定《さだ》めとを|守《まも》り|行《おこな》わないならば、このもろもろののろいがあなたに|臨《のぞ》み、あなたに|及《およ》ぶであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|町《まち》のうちでものろわれ、|畑《はたけ》でものろわれ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのかごも、こねばちものろわれ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|身《み》から|生《うま》れるもの、|地《ち》に|産《さん》する|物《もの》、|牛《うし》の|子《こ》、|羊《ひつじ》の|子《こ》ものろわれるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、はいるにものろわれ、|出《で》るにものろわれるであろう。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたが|手《て》をくだすすべての|働《はたら》きにのろいと、|混乱《こんらん》と、|懲《こら》しめとを|送《おく》られ、あなたはついに|滅《ほろ》び、すみやかにうせ|果《は》てるであろう。これはあなたが|悪《あく》をおこなってわたしを|捨《す》てたからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|疫病《えきびょう》をあなたの|身《み》につかせ、あなたが|行《い》って|取《と》る|地《ち》から、ついにあなたを|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|肺病《はいびょう》と|熱病《ねつびょう》と|炎症《えんしょう》と|間《あいだ》けつ|熱《ねつ》と、かんばつと、|立《た》ち|枯《が》れと、|腐《くさ》り|穂《ほ》とをもってあなたを|撃《う》たれるであろう。これらのものはあなたを|追《お》い、ついにあなたを|滅《ほろ》ぼすであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|頭《あたま》の|上《うえ》の|天《てん》は|青銅《せいどう》となり、あなたの|下《した》の|地《ち》は|鉄《てつ》となるであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたの|地《ち》の|雨《あめ》を、ちりと、ほこりに|変《かわ》らせ、それが|天《てん》からあなたの|上《うえ》にくだって、ついにあなたを|滅《ほろ》ぼすであろう。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたを|敵《てき》の|前《まえ》で|敗《やぶ》れさせられるであろう。あなたは一つの|道《みち》から|彼《かれ》らを|攻《せ》めて|行《い》くが、|彼《かれ》らの|前《まえ》で七つの|道《みち》から|逃《に》げ|去《さ》るであろう。そしてあなたは|地《ち》のもろもろの|国《くに》に|恐《おそ》るべき|見《み》せしめとなるであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|死体《したい》は|空《そら》のもろもろの|鳥《とり》と、|地《ち》の|獣《けもの》とのえじきとなり、しかもそれを|追《お》い|払《はら》う|者《もの》はないであろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエジプトの|腫物《はれもの》と|潰瘍《かいよう》と|壊血病《かいけつびょう》とひぜんとをもってあなたを|撃《う》たれ、あなたはいやされることはないであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》はあなたを|撃《う》って|気《き》を|狂《くる》わせ、|目《め》を|見《み》えなくし、|心《こころ》を|混乱《こんらん》させられるであろう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|盲人《もうじん》が|暗《くら》やみに|手探《てさぐ》りするように、|真昼《まひる》にも|手探《てさぐ》りするであろう。あなたは|行《ゆ》く|道《みち》で|栄《さか》えることがなく、ただ|常《つね》にしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを|救《すく》う|者《もの》はないであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|妻《つま》をめとっても、ほかの|人《ひと》が|彼女《かのじょ》と|寝《ね》るであろう。|家《いえ》を|建《た》てても、その|中《なか》に|住《す》まないであろう。ぶどう|畑《はたけ》を|作《つく》っても、その|実《み》を|摘《つ》み|取《と》ることがないであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|牛《うし》が|目《め》の|前《まえ》でほふられても、あなたはそれを|食《た》べることができず、あなたのろばが|目《め》の|前《まえ》で|奪《うば》われても、|返《かえ》されないであろう。あなたの|羊《ひつじ》が|敵《てき》のものになっても、それを|救《すく》ってあなたに|返《かえ》す|者《もの》はないであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのむすこや|娘《むすめ》は|他国民《たこくみん》にわたされる。あなたの|目《め》はそれを|見《み》、|終日《しゅうじつ》、|彼《かれ》らを|慕《した》って|衰《おとろ》えるが、あなたは|手《て》を|施《ほどこ》すすべもないであろう。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|地《ち》の|産物《さんぶつ》およびあなたの|労《ろう》して|獲《え》た|物《もの》はみなあなたの|知《し》らない|民《たみ》が|食《た》べるであろう。あなたは、ただ|常《つね》にしえたげられ、|苦《くる》しめられるのみであろう。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてあなたは|目《め》に|見《み》る|事柄《ことがら》によって、|気《き》が|狂《くる》うにいたるであろう。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたのひざと、はぎとに|悪《わる》い、いやし|得《え》ない|腫物《はれもの》を|生《しょう》じさせて、|足《あし》の|裏《うら》から|頭《あたま》の|頂《いただき》にまで|及《およ》ぼされるであろう。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたとあなたが|立《た》てた|王《おう》とを|携《たずさ》えて、あなたもあなたの|先祖《せんぞ》も|知《し》らない|国《くに》に|移《うつ》されるであろう。あなたはそこで|木《き》や|石《いし》で|造《つく》ったほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えるであろう。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|主《しゅ》があなたを|追《お》いやられるもろもろの|民《たみ》のなかで|驚《おどろ》きとなり、ことわざとなり、|笑《わら》い|草《ぐさ》となるであろう。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|多《おお》くの|種《たね》を|畑《はたけ》に|携《たずさ》えて|出《で》ても、その|収穫《しゅうかく》は|少《すく》ないであろう。いなごがそれを|食《く》いつくすからである。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがぶどう|畑《はたけ》を|作《つく》り、それにつちかっても、そのぶどう|酒《しゅ》を|飲《の》むことができず、その|実《み》を|集《あつ》めることもないであろう。|虫《むし》がそれを|食《た》べるからである。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|国《くに》にはあまねくオリブの|木《き》があるであろう。しかし、あなたはその|油《あぶら》を|身《み》に|塗《ぬ》ることができないであろう。その|実《み》がみな|落《お》ちてしまうからである。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]むすこや、|娘《むすめ》があなたに|生《うま》れても、あなたのものにならないであろう。|彼《かれ》らは|捕《とら》えられて|行《い》くからである。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのもろもろの|木《き》、および|地《ち》の|産物《さんぶつ》は、いなごが|取《と》って|食《た》べるであろう。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのうちに|寄留《きりゅう》する|他国《たこく》|人《じん》は、ますます|高《たか》くなり、あなたの|上《うえ》に|出《で》て、あなたはますます|低《ひく》くなるであろう。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあなたに|貸《か》し、あなたは|彼《かれ》に|貸《か》すことができない。|彼《かれ》はかしらとなり、あなたは|尾《お》となるであろう。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]このもろもろののろいが、あなたに|臨《のぞ》み、あなたを|追《お》い、ついに|追《お》いついて、あなたを|滅《ほろ》ぼすであろう。これはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、あなたに|命《めい》じられた|戒《いまし》めと|定《さだ》めとを、あなたが|守《まも》らなかったからである。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》は|長《なが》くあなたとあなたの|子孫《しそん》のうえにあって、しるしとなり、また|不思議《ふしぎ》となるであろう。  [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがすべての|物《もの》に|豊《ゆた》かになり、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|心《こころ》から|喜《よろこ》び|楽《たの》しんで|仕《つか》えないので、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|飢《う》え、かわき、|裸《はだか》になり、すべての|物《もの》に|乏《とぼ》しくなって、|主《しゅ》があなたにつかわされる|敵《てき》に|仕《つか》えるであろう。|敵《てき》は|鉄《てつ》のくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを|滅《ほろ》ぼすであろう。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|主《しゅ》は|遠《とお》い|所《ところ》から、|地《ち》のはてから一つの|民《たみ》を、はげたかが|飛《と》びかけるように、あなたに|攻《せ》めきたらせられるであろう。これはあなたがその|言葉《ことば》を|知《し》らない|民《たみ》、[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]|顔《かお》の|恐《おそ》ろしい|民《たみ》であって、|彼《かれ》らは|老人《ろうじん》の|身《み》を|顧《かえり》みず、|幼《おさな》い|者《もの》をあわれまず、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家畜《かちく》が|産《う》むものや、|地《ち》の|産物《さんぶつ》を|食《く》って、あなたを|滅《ほろ》ぼし、|穀物《こくもつ》をも、|酒《さけ》をも、|油《あぶら》をも、|牛《うし》の|子《こ》をも、|羊《ひつじ》の|子《こ》をも、あなたの|所《ところ》に|残《のこ》さず、ついにあなたを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼすであろう。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]その|民《たみ》は|全国《ぜんこく》ですべての|町《まち》を|攻《せ》め|囲《かこ》み、ついにあなたが|頼《たの》みとする、|堅固《けんご》な|高《たか》い|石《いし》がきをことごとく|撃《う》ちくずし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わった|国《くに》のうちのすべての|町々《まちまち》を|攻《せ》め|囲《かこ》むであろう。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|敵《てき》に|囲《かこ》まれ、|激《はげ》しく|攻《せ》めなやまされて、ついにあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わったあなたの|身《み》から|生《うま》れた|者《もの》、むすこ、|娘《むすめ》の|肉《にく》を|食《た》べるに|至《いた》るであろう。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちのやさしい、|温和《おんわ》な|男《おとこ》でさえも、|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》、|自分《じぶん》のふところの|妻《つま》、|最後《さいご》に|残《のこ》っている|子供《こども》にも|食物《しょくもつ》を|惜《お》しんで|与《あた》えず、[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》が|自分《じぶん》の|子供《こども》を|食《た》べ、その|肉《にく》を|少《すこ》しでも、この|人々《ひとびと》のだれにも|与《あた》えようとはしないであろう。これは|敵《てき》があなたのすべての|町々《まちまち》を|囲《かこ》み、|激《はげ》しく|攻《せ》め|悩《なや》まして、|何《なに》をもその|人《ひと》に|残《のこ》さないからである。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたのうちのやさしい、|柔和《にゅうわ》な|女《おんな》、すなわち|柔和《にゅうわ》で、やさしく、|足《あし》の|裏《うら》を|土《つち》に|付《つ》けようともしない|者《もの》でも、|自分《じぶん》のふところの|夫《おっと》や、むすこ、|娘《むすめ》にもかくして、[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|足《あし》の|間《あいだ》からでる|後産《ごさん》や、|自分《じぶん》の|産《う》む|子《こ》をひそかに|食《た》べるであろう。|敵《てき》があなたの|町々《まちまち》を|囲《かこ》み、|激《はげ》しく|攻《せ》めなやまして、すべての|物《もの》が|欠乏《けつぼう》するからである。  [#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが、この|書物《しょもつ》にしるされているこの|律法《りっぽう》のすべての|言葉《ことば》を|守《まも》り|行《おこな》わず、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》というこの|栄《さか》えある|恐《おそ》るべき|名《な》を|恐《おそ》れないならば、[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたとその|子孫《しそん》の|上《うえ》に|激《はげ》しい|災《わざわい》を|下《くだ》されるであろう。その|災《わざわい》はきびしく、かつ|久《ひさ》しく、その|病気《びょうき》は|重《おも》く、かつ|久《ひさ》しいであろう。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた、あなたが|恐《おそ》れた|病気《びょうき》、すなわちエジプトのもろもろの|病気《びょうき》を|再《ふたた》び|臨《のぞ》ませて、あなたの|身《み》につかせられるであろう。[#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]またこの|律法《りっぽう》の|書《しょ》にのせてないもろもろの|病気《びょうき》と、もろもろの|災《わざわい》とを、|主《しゅ》はあなたが|滅《ほろ》びるまで、あなたの|上《うえ》に|下《くだ》されるであろう。[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|天《てん》の|星《ほし》のように|多《おお》かったが、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わなかったから、|残《のこ》る|者《もの》が|少《すく》なくなるであろう。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]さきに|主《しゅ》があなたがたを|良《よ》くあしらい、あなたがたを|多《おお》くするのを|喜《よろこ》ばれたように、|主《しゅ》は|今《いま》あなたがたを|滅《ほろ》ぼし|絶《た》やすのを|喜《よろこ》ばれるであろう。あなたがたは、はいって|取《と》る|地《ち》から|抜《ぬ》き|去《さ》られるであろう。[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|地《ち》のこのはてから、かのはてまでのもろもろの|民《たみ》のうちにあなたがたを|散《ち》らされるであろう。その|所《ところ》で、あなたもあなたの|先祖《せんぞ》たちも|知《し》らなかった|木《き》や|石《いし》で|造《つく》ったほかの|神々《かみがみ》にあなたは|仕《つか》えるであろう。[#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]その|国々《くにぐに》の|民《たみ》のうちであなたは|安《やす》きを|得《え》ず、また|足《あし》の|裏《うら》を|休《やす》める|所《ところ》も|得《え》られないであろう。|主《しゅ》はその|所《ところ》で、あなたの|心《こころ》をおののかせ、|目《め》を|衰《おとろ》えさせ、|精神《せいしん》を|打《う》ちしおれさせられるであろう。[#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|命《いのち》は|細《ほそ》い|糸《いと》にかかっているようになり、|夜昼《よるひる》|恐《おそ》れおののいて、その|命《いのち》もおぼつかなく|思《おも》うであろう。[#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|心《こころ》にいだく|恐《おそ》れと、|目《め》に|見《み》るものによって、|朝《あさ》には『ああ|夕《ゆう》であればよいのに』と|言《い》い、|夕《ゆう》には『ああ|朝《あさ》であればよいのに』と|言《い》うであろう。[#太字]六八[#「六八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたを|舟《ふね》に|乗《の》せ、かつてわたしがあなたに|告《つ》げて、『あなたは|再《ふたた》びこれを|見《み》ることはない』と|言《い》った|道《みち》によって、あなたをエジプトへ|連《つ》れもどされるであろう。あなたがたはそこで|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》として|敵《てき》に|売《う》られるが、だれも|買《か》う|者《もの》はないであろう」。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じて、モアブの|地《ち》でイスラエルの|人々《ひとびと》と|結《むす》ばせられた|契約《けいやく》の|言葉《ことば》であって、ホレブで|彼《かれ》らと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》のほかのものである。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルのすべての|人《ひと》を|呼《よ》び|集《あつ》めて|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》がエジプトの|地《ち》で、パロと、そのすべての|家来《けらい》と、その|全《ぜん》|地《ち》とにせられたすべての|事《こと》をまのあたり|見《み》た。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちその|大《おお》きな|試《こころ》みと、しるしと、|大《おお》きな|不思議《ふしぎ》とをまのあたり|見《み》たのである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|今日《こんにち》まで|主《しゅ》はあなたがたの|心《こころ》に|悟《さと》らせず、|目《め》に|見《み》させず、|耳《みみ》に|聞《き》かせられなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは四十|年《ねん》の|間《あいだ》、あなたがたを|導《みちび》いて|荒野《あらの》を|通《とお》らせたが、あなたがたの|身《み》につけた|着物《きもの》は|古《ふる》びず、|足《あし》のくつは|古《ふる》びなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはまたパンも|食《た》べず、ぶどう|酒《しゅ》も|濃《こ》い|酒《さけ》も|飲《の》まなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であることを|知《し》るに|至《いた》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがこの|所《ところ》にきたとき、ヘシボンの|王《おう》シホンと、バシャンの|王《おう》オグがわれわれを|迎《むか》えて|戦《たたか》ったが、われわれは|彼《かれ》らを|撃《う》ち|敗《やぶ》って、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》を|取《と》り、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの|半《なか》ばとに、|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたはこの|契約《けいやく》の|言葉《ことば》を|守《まも》って、それを|行《おこな》わなければならない。そうすればあなたがたのするすべての|事《こと》は|栄《さか》えるであろう。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|皆《みな》、きょう、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》っている。すなわちあなたがたの|部族《ぶぞく》のかしらたち、|長老《ちょうろう》たち、つかさたちなど、イスラエルのすべての|人々《ひとびと》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|小《ちい》さい|者《もの》たちも、|妻《つま》たちも、|宿営《しゅくえい》のうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》も、あなたのために、たきぎを|割《わ》る|者《もの》も、|水《みず》をくむ|者《もの》も、みな|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》って、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、きょう、あなたと|結《むす》ばれるあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|契約《けいやく》と|誓《ちか》いとに、はいろうとしている。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がさきにあなたに|約束《やくそく》されたように、またあなたの|先祖《せんぞ》アブラハム、イサク、ヤコブに|誓《ちか》われたように、きょう、あなたを|立《た》てて|自分《じぶん》の|民《たみ》とし、またみずからあなたの|神《かみ》となられるためである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはただあなたがたとだけ、この|契約《けいやく》と|誓《ちか》いとを|結《むす》ぶのではない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]きょう、ここで、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》にわれわれと|共《とも》に|立《た》っている|者《もの》ならびに、きょう、ここにわれわれと|共《とも》にいない|者《もの》とも|結《むす》ぶのである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれがどのようにエジプトの|国《くに》に|住《す》んでいたか、どのように|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|中《なか》を|通《とお》ってきたか、それはあなたがたが|知《し》っている。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたは|木《き》や|石《いし》や|銀《ぎん》や|金《きん》で|造《つく》った|憎《にく》むべき|物《もの》と|偶像《ぐうぞう》とが、|彼《かれ》らのうちにあるのを|見《み》た。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その|心《こころ》にわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》を|離《はな》れてそれらの|国民《こくみん》の|神々《かみがみ》に|行《い》って|仕《つか》える|男《おとこ》や|女《おんな》、|氏族《しぞく》や|部族《ぶぞく》があってはならない。またあなたがたのうちに、|毒草《どくそう》や、にがよもぎを|生《しょう》ずる|根《ね》があってはならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そのような|人《ひと》はこの|誓《ちか》いの|言葉《ことば》を|聞《き》いても、|心《こころ》に|自分《じぶん》を|祝福《しゅくふく》して『|心《こころ》をかたくなにして|歩《あゆ》んでもわたしには|平安《へいあん》がある』と|言《い》うであろう。そうすれば|潤《うるお》った|者《もの》も、かわいた|者《もの》もひとしく|滅《ほろ》びるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのような|人《ひと》をゆるすことを|好《この》まれない。かえって|主《しゅ》はその|人《ひと》に|怒《いか》りとねたみを|発《はっ》し、この|書物《しょもつ》にしるされたすべてののろいを|彼《かれ》の|上《うえ》に|加《くわ》え、|主《しゅ》はついにその|人《ひと》の|名《な》を|天《てん》の|下《した》から|消《け》し|去《さ》られるであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちからその|人《ひと》を|区《く》|別《べっ》して|災《わざわい》をくだし、この|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるされた|契約《けいやく》の|中《なか》のもろもろののろいのようにされるであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》の|代《よ》の|人《ひと》、すなわちあなたがたののちに|起《おこ》るあなたがたの|子孫《しそん》および|遠《とお》い|国《くに》から|来《く》る|外国《がいこく》|人《じん》は、この|地《ち》の|災《わざわい》を|見《み》、|主《しゅ》がこの|地《ち》にくだされた|病気《びょうき》を|見《み》て|言《い》うであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]――|全《ぜん》|地《ち》は|硫黄《いおう》となり、|塩《しお》となり、|焼《や》け|土《つち》となって、|種《たね》もまかれず、|実《み》も|結《むす》ばず、なんの|草《くさ》も|生《しょう》じなくなって、むかし|主《しゅ》が|怒《いか》りと|憤《いきどお》りをもって|滅《ほろ》ぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの|破滅《はめつ》のようである。――[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、もろもろの|国民《こくみん》は|言《い》うであろう、『なぜ、|主《しゅ》はこの|地《ち》にこのようなことをされたのか。この|激《はげ》しい|大《おお》いなる|怒《いか》りは|何《なに》ゆえか』。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|人々《ひとびと》は|言《い》うであろう、『|彼《かれ》らはその|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》がエジプトの|国《くに》から|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》して|彼《かれ》らと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》をすて、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|行《い》って|彼《かれ》らの|知《し》らない、また|授《さず》からない、ほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えて、それを|拝《おが》んだからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこの|地《ち》にむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、この|書物《しょもつ》にしるされたもろもろののろいをこれにくだし、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|怒《いか》りと、はげしい|怒《いか》りと|大《おお》いなる|憤《いきどお》りとをもって|彼《かれ》らをこの|地《ち》から|抜《ぬ》き|取《と》って、ほかの|国《くに》に|投《な》げやられた。|今日《こんにち》|見《み》るとおりである』。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|隠《かく》れた|事《こと》はわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|属《ぞく》するものである。しかし|表《あら》わされたことは|長《なが》くわれわれとわれわれの|子孫《しそん》に|属《ぞく》し、われわれにこの|律法《りっぽう》のすべての|言葉《ことば》を|行《おこな》わせるのである。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたの|前《まえ》に|述《の》べたこのもろもろの|祝福《しゅくふく》と、のろいの|事《こと》があなたに|臨《のぞ》み、あなたがあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|追《お》いやられたもろもろの|国民《こくみん》のなかでこの|事《こと》を|心《こころ》に|考《かんが》えて、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたもあなたの|子供《こども》も|共《とも》にあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|立《た》ち|帰《かえ》り、わたしが、きょう、|命《めい》じるすべてのことにおいて、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》うならば、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたを|再《ふたた》び|栄《さか》えさせ、あなたをあわれみ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたを|散《ち》らされた|国々《くにぐに》から|再《ふたた》び|集《あつ》められるであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]たといあなたが|天《てん》のはてに|追《お》いやられても、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はそこからあなたを|集《あつ》め、そこからあなたを|連《つ》れ|帰《かえ》られるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたの|先祖《せんぞ》が|所有《しょゆう》した|地《ち》にあなたを|帰《かえ》らせ、あなたはそれを|所有《しょゆう》するに|至《いた》るであろう。|主《しゅ》はまたあなたを|栄《さか》えさせ、|数《かず》を|増《ま》して|先祖《せんぞ》たちよりも|多《おお》くされるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたの|心《こころ》とあなたの|子孫《しそん》の|心《こころ》に|割礼《かつれい》を|施《ほどこ》し、あなたをして、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》させ、こうしてあなたに|命《いのち》を|得《え》させられるであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はまた、あなたを|迫害《はくがい》する|敵《てき》と、あなたを|憎《にく》む|者《もの》とに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたは|再《ふたた》び|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、わたしが、きょう、あなたに|命《めい》じるすべての|戒《いまし》めを|守《まも》るであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そうすればあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたのするすべてのことと、あなたの|身《み》から|生《うま》れる|者《もの》と、|家畜《かちく》の|産《う》むものと、|地《ち》に|産《さん》する|物《もの》を|豊《ゆた》かに|与《あた》えて、あなたを|栄《さか》えさせられるであろう。すなわち|主《しゅ》はあなたの|先祖《せんぞ》たちを|喜《よろこ》ばれたように|再《ふたた》びあなたを|喜《よろこ》んで、あなたを|栄《さか》えさせられるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたが、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》きしたがい、この|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるされた|戒《いまし》めと|定《さだ》めとを|守《まも》り、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|帰《き》するからである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが、きょう、あなたに|命《めい》じるこの|戒《いまし》めは、むずかしいものではなく、また|遠《とお》いものでもない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これは|天《てん》にあるのではないから、『だれがわれわれのために|天《てん》に|上《のぼ》り、それをわれわれのところへ|持《も》ってきて、われわれに|聞《き》かせ、|行《おこな》わせるであろうか』と|言《い》うに|及《およ》ばない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またこれは|海《うみ》のかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために|海《うみ》を|渡《わた》って|行《い》き、それをわれわれのところへ|携《たずさ》えてきて、われわれに|聞《き》かせ、|行《おこな》わせるであろうか』と|言《い》うに|及《およ》ばない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]この|言葉《ことば》はあなたに、はなはだ|近《ちか》くあってあなたの|口《くち》にあり、またあなたの|心《こころ》にあるから、あなたはこれを|行《おこな》うことができる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは、きょう、|命《いのち》とさいわい、および|死《し》と|災《わざわい》をあなたの|前《まえ》に|置《お》いた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》し、その|道《みち》に|歩《あゆ》み、その|戒《いまし》めと|定《さだ》めと、おきてとを|守《まも》ることを|命《めい》じる。それに|従《したが》うならば、あなたは|生《い》きながらえ、その|数《かず》は|多《おお》くなるであろう。またあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたが|行《い》って|取《と》る|地《ち》であなたを|祝福《しゅくふく》されるであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしあなたが|心《こころ》をそむけて|聞《き》き|従《したが》わず、|誘《さそ》われて|他《た》の|神々《かみがみ》を|拝《おが》み、それに|仕《つか》えるならば、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、きょう、あなたがたに|告《つ》げる。あなたがたは|必《かなら》ず|滅《ほろ》びるであろう。あなたがたはヨルダンを|渡《わた》り、はいって|行《い》って|取《と》る|地《ち》でながく|命《いのち》を|保《たも》つことができないであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、きょう、|天《てん》と|地《ち》を|呼《よ》んであなたがたに|対《たい》する|証人《しょうにん》とする。わたしは|命《いのち》と|死《し》および|祝福《しゅくふく》とのろいをあなたの|前《まえ》に|置《お》いた。あなたは|命《いのち》を|選《えら》ばなければならない。そうすればあなたとあなたの|子孫《しそん》は|生《い》きながらえることができるであろう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》して、その|声《こえ》を|聞《き》き、|主《しゅ》につき|従《したが》わなければならない。そうすればあなたは|命《いのち》を|得《え》、かつ|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》つことができ、|主《しゅ》が|先祖《せんぞ》アブラハム、イサク、ヤコブに|与《あた》えると|誓《ちか》われた|地《ち》に|住《す》むことができるであろう」。 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでモーセは|続《つづ》いてこの|言葉《ことば》をイスラエルのすべての|人《ひと》に|告《つ》げて、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしは、きょう、すでに百二十|歳《さい》になり、もはや|出入《でい》りすることはできない。また|主《しゅ》はわたしに『おまえはこのヨルダンを|渡《わた》ることはできない』と|言《い》われた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はみずからあなたに|先立《さきだ》って|渡《わた》り、あなたの|前《まえ》から、これらの|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼし|去《さ》って、あなたにこれを|獲《え》させられるであろう。また|主《しゅ》がかつて|言《い》われたように、ヨシュアはあなたを|率《ひき》いて|渡《わた》るであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がさきにアモリびとの|王《おう》シホンとオグおよびその|地《ち》にされたように、|彼《かれ》らにもおこなって|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼされるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らをあなたがたに|渡《わた》されるから、あなたがたはわたしが|命《めい》じたすべての|命令《めいれい》のとおりに|彼《かれ》らに|行《おこな》わなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|強《つよ》く、かつ|勇《いさ》ましくなければならない。|彼《かれ》らを|恐《おそ》れ、おののいてはならない。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたと|共《とも》に|行《い》かれるからである。|主《しゅ》は|決《けっ》してあなたを|見放《みはな》さず、またあなたを|見捨《みす》てられないであろう」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]モーセはヨシュアを|呼《よ》び、イスラエルのすべての|人《ひと》の|目《め》の|前《まえ》で|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはこの|民《たみ》と|共《とも》に|行《い》き、|主《しゅ》が|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えると|誓《ちか》われた|地《ち》に|入《い》るのであるから、あなたは|強《つよ》く、かつ|勇《いさ》ましくなければならない。あなたは|彼《かれ》らにそれを|獲《え》させるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はみずからあなたに|先立《さきだ》って|行《い》き、またあなたと|共《とも》におり、あなたを|見放《みはな》さず、|見捨《みす》てられないであろう。|恐《おそ》れてはならない、おののいてはならない」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこの|律法《りっぽう》を|書《か》いて、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかつぐレビの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》およびイスラエルのすべての|長老《ちょうろう》たちに|授《さづ》けた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセは|彼《かれ》らに|命《めい》じて|言《い》った、「七|年《ねん》の|終《おわ》りごとに、すなわち、ゆるしの|年《とし》の|定《さだ》めの|時《とき》になり、かりいおの|祭《まつり》に、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのすべての|人《ひと》があなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》るため、|主《しゅ》の|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》に|来《く》るとき、あなたはイスラエルのすべての|人《ひと》の|前《まえ》でこの|律法《りっぽう》を|読《よ》んで|聞《き》かせなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|男《おとこ》、|女《おんな》、|子供《こども》およびあなたの|町《まち》のうちに|寄留《きりゅう》している|他国《たこく》|人《じん》など|民《たみ》を|集《あつ》め、|彼《かれ》らにこれを|聞《き》かせ、かつ|学《まな》ばせなければならない。そうすれば|彼《かれ》らはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れてこの|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》を、ことごとく|守《まも》り|行《おこな》うであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|子供《こども》たちでこれを|知《し》らない|者《もの》も|聞《き》いて、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れることを|学《まな》ぶであろう。あなたがたがヨルダンを|渡《わた》って|行《い》って|取《と》る|地《ち》にながらえる|日《ひ》のあいだ|常《つね》にそうしなければならない」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたモーセに|言《い》われた、「あなたの|死《し》ぬ|日《ひ》が|近《ちか》づいている。ヨシュアを|召《め》して|共《とも》に|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|立《た》ちなさい。わたしは|彼《かれ》に|務《つとめ》を|命《めい》じるであろう」。モーセとヨシュアが|行《い》って|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》に|立《た》つと、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|幕屋《まくや》で|雲《くも》の|柱《はしら》のうちに|現《あらわ》れられた。その|雲《くも》の|柱《はしら》は|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》のかたわらにとどまった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、「あなたはまもなく|眠《ねむ》って|先祖《せんぞ》たちと|一緒《いっしょ》になるであろう。そのときこの|民《たみ》はたちあがり、はいって|行《い》く|地《ち》の|異《こと》なる|神々《かみがみ》を|慕《した》って|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、わたしを|捨《す》て、わたしが|彼《かれ》らと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|破《やぶ》るであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、わたしは|彼《かれ》らにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|彼《かれ》らを|捨《す》て、わたしの|顔《かお》を|彼《かれ》らに|隠《かく》すゆえに、|彼《かれ》らは|滅《ほろ》ぼしつくされ、|多《おお》くの|災《わざわい》と|悩《なや》みが|彼《かれ》らに|臨《のぞ》むであろう。そこでその|日《ひ》、|彼《かれ》らは|言《い》うであろう、『これらの|災《わざわい》がわれわれに|臨《のぞ》むのは、われわれの|神《かみ》がわれわれのうちにおられないからではないか』。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかも|彼《かれ》らがほかの|神々《かみがみ》に|帰《き》して、もろもろの|悪《あく》を|行《おこな》うゆえに、わたしはその|日《ひ》には|必《かなら》ずわたしの|顔《かお》を|隠《かく》すであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それであなたがたは|今《いま》、この|歌《うた》を|書《か》きしるし、イスラエルの|人々《ひとびと》に|教《おし》えてその|口《くち》に|唱《とな》えさせ、この|歌《うた》をイスラエルの|人々《ひとびと》に|対《たい》するわたしのあかしとならせなさい。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》った、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》に|彼《かれ》らを|導《みちび》き|入《い》れる|時《とき》、|彼《かれ》らは|食《た》べて|飽《あ》き、|肥《こ》え|太《ふと》るに|及《およ》んで、ほかの|神々《かみがみ》に|帰《き》し、それに|仕《つか》えて、わたしを|軽《かろ》んじ、わたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》るであろう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|多《おお》くの|災《わざわい》と|悩《なや》みとが|彼《かれ》らに|臨《のぞ》む|時《とき》、この|歌《うた》は|彼《かれ》らに|対《たい》して、あかしとなるであろう。(それはこの|歌《うた》が|彼《かれ》らの|子孫《しそん》の|口《くち》にあって、|彼《かれ》らはそれを|忘《わす》れないからである。)わたしが|誓《ちか》った|地《ち》に|彼《かれ》らを|導《みちび》き|入《い》れる|前《まえ》、すでに|彼《かれ》らが|思《おも》いはかっている|事《こと》をわたしは|知《し》っているからである」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]モーセはその|日《ひ》、この|歌《うた》を|書《か》いてイスラエルの|人々《ひとびと》に|教《おし》えた。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヌンの|子《こ》ヨシュアに|命《めい》じて|言《い》われた、「あなたはイスラエルの|人々《ひとびと》をわたしが|彼《かれ》らに|誓《ちか》った|地《ち》に|導《みちび》き|入《い》れなければならない。それゆえ|強《つよ》くかつ|勇《いさ》ましくあれ。わたしはあなたと|共《とも》にいるであろう」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]モーセがこの|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》を、ことごとく|書物《しょもつ》に|書《か》き|終《おわ》った|時《とき》、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかつぐレビびとに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]「この|律法《りっぽう》の|書《しょ》をとって、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》のかたわらに|置《お》き、その|所《ところ》であなたにむかってあかしをするものとしなさい。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを|知《し》っている。きょう、わたしが|生《い》きながらえて、あなたがたと|一緒《いっしょ》にいる|間《あいだ》ですら、あなたがたは|主《しゅ》にそむいた。ましてわたしが|死《し》んだあとはどんなであろう。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|部族《ぶぞく》のすべての|長老《ちょうろう》たちと、つかさたちをわたしのもとに|集《あつ》めなさい。わたしはこれらの|言葉《ことば》を|彼《かれ》らに|語《かた》り|聞《き》かせ、|天《てん》と|地《ち》とを|呼《よ》んで|彼《かれ》らにむかってあかしさせよう。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知《し》っている。わたしが|死《し》んだのち、あなたがたは|必《かなら》ず|悪《わる》い|事《こと》をして、わたしが|命《めい》じた|道《みち》を|離《はな》れる。そして|後《のち》の|日《ひ》に|災《わざわい》があなたがたに|臨《のぞ》むであろう。これは|主《しゅ》の|悪《あく》と|見《み》られることを|行《おこな》い、あなたがたのすることをもって|主《しゅ》を|怒《いか》らせるからである」。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてモーセはイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|次《つぎ》の|歌《うた》の|言葉《ことば》を、ことごとく|語《かた》り|聞《き》かせた。 第三二章[#「第三二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「|天《てん》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ、わたしは|語《かた》る、 |地《ち》よ、わたしの|口《くち》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|教《おしえ》は|雨《あめ》のように|降《ふ》りそそぎ、 わたしの|言葉《ことば》は|露《つゆ》のようにしたたるであろう。 |若草《わかくさ》の|上《うえ》に|降《ふ》る|小雨《こさめ》のように、 |青草《あおくさ》の|上《うえ》にくだる|夕立《ゆうだ》ちのように。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》の|名《な》をのべよう、 われわれの|神《かみ》に|栄光《えいこう》を|帰《かえ》せよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|岩《いわ》であって、そのみわざは|全《まった》く、 その|道《みち》はみな|正《ただ》しい。 |主《しゅ》は|真実《しんじつ》なる|神《かみ》であって、|偽《いつわ》りなく、 |義《ぎ》であって、|正《せい》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》にむかって|悪《あく》を|行《おこな》い、 そのきずのゆえに、もはや|主《しゅ》の|子《こ》らではなく、 よこしまで、|曲《まが》ったやからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|知恵《ちえ》のない|民《たみ》よ、 あなたがたはこのようにして|主《しゅ》に|報《むく》いるのか。 |主《しゅ》はあなたを|生《う》み、あなたを|造《つく》り、 あなたを|堅《かた》く|立《た》てられたあなたの|父《ちち》ではないか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]いにしえの|日《ひ》を|覚《おぼ》え、 |代々《よよ》の|年《とし》を|思《おも》え。 あなたの|父《ちち》に|問《と》え、 |彼《かれ》はあなたに|告《つ》げるであろう。 |長老《ちょうろう》たちに|問《と》え、 |彼《かれ》らはあなたに|語《かた》るであろう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|者《もの》は|人《ひと》の|子《こ》らを|分《わ》け、 |諸《しょ》|国民《こくみん》にその|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えられたとき、 イスラエルの|子《こ》らの|数《かず》に|照《てら》して、 もろもろの|民《たみ》の|境《さかい》を|定《さだ》められた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|分《ぶん》はその|民《たみ》であって、 ヤコブはその|定《さだ》められた|嗣《し》|業《ぎょう》である。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれを|荒野《あらの》の|地《ち》で|見《み》いだし、 |獣《けもの》のほえる|荒《あ》れ|地《ち》で|会《あ》い、 これを|巡《めぐ》り|囲《かこ》んでいたわり、 |目《め》のひとみのように|守《まも》られた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わしがその|巣《す》のひなを|呼《よ》び|起《おこ》し、 その|子《こ》の|上《うえ》に|舞《ま》いかけり、 その|羽《はね》をひろげて|彼《かれ》らをのせ、 そのつばさの|上《うえ》にこれを|負《お》うように、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はただひとりで|彼《かれ》を|導《みちび》かれて、 ほかの|神々《かみがみ》はあずからなかった。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》に|地《ち》の|高《たか》き|所《ところ》を|乗《の》り|通《とお》らせ、 |田畑《たはた》の|産物《さんぶつ》を|食《く》わせ、 |岩《いわ》の|中《なか》から|蜜《みつ》を|吸《す》わせ、 |堅《かた》い|岩《いわ》から|油《あぶら》を|吸《す》わせ、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》の|凝乳《ぎょうにゅう》、|羊《ひつじ》の|乳《ちち》、 |小羊《こひつじ》と|雄羊《おひつじ》の|脂肪《しぼう》、 バシャンの|牛《うし》と|雄《お》やぎ、 |小麦《こむぎ》の|良《よ》い|物《もの》を|食《く》わせられた。 またあなたはぶどうのしるのあわ|立《た》つ|酒《さけ》を|飲《の》んだ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかるにエシュルンは|肥《こ》え|太《ふと》って、|足《あし》でけった。 あなたは|肥《こ》え|太《ふと》って、つややかになり、 |自分《じぶん》を|造《つく》った|神《かみ》を|捨《す》て、 |救《すくい》の|岩《いわ》を|侮《あなど》った。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えて、|主《しゅ》のねたみを|起《おこ》し、 |憎《にく》むべきおこないをもって|主《しゅ》の|怒《いか》りをひき|起《おこ》した。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》でもない|悪霊《あくれい》に|犠牲《ぎせい》をささげた。 それは|彼《かれ》らがかつて|知《し》らなかった|神々《かみがみ》、 |近《ちか》ごろ|出《で》た|新《あたら》しい|神々《かみがみ》、 |先祖《せんぞ》たちの|恐《おそ》れることもしなかった|者《もの》である。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》を|生《う》んだ|岩《いわ》を|軽《かろ》んじ、 |自分《じぶん》を|造《つく》った|神《かみ》を|忘《わす》れた。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれを|見《み》、 そのむすこ、|娘《むすめ》を|怒《いか》ってそれを|捨《す》てられた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》われた、 『わたしはわたしの|顔《かお》を|彼《かれ》らに|隠《かく》そう。 わたしは|彼《かれ》らの|終《おわ》りがどうなるかを|見《み》よう。 |彼《かれ》らはそむき、もとるやから、 |真実《しんじつ》のない|子《こ》らである。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》でもない|者《もの》をもって、 わたしにねたみを|起《おこ》させ、 |偶像《ぐうぞう》をもって、わたしを|怒《いか》らせた。 それゆえ、わたしは|民《たみ》ともいえない|者《もの》をもって、 |彼《かれ》らにねたみを|起《おこ》させ、 |愚《おろ》かな|民《たみ》をもって、|彼《かれ》らを|怒《いか》らせるであろう。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|怒《いか》りによって、|火《ひ》は|燃《も》えいで、 |陰府《よみ》の|深《ふか》みにまで|燃《も》え|行《い》き、 |地《ち》とその|産物《さんぶつ》とを|焼《や》きつくし、 |山々《やまやま》の|基《もとい》を|燃《も》やすであろう。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|上《うえ》に|災《わざわい》を|積《つ》みかさね、 わたしの|矢《や》を|彼《かれ》らにむかって|射《い》つくすであろう。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|飢《う》えて、やせ|衰《おとろ》え、 |熱病《ねつびょう》と|悪《わる》い|疫病《えきびょう》によって|滅《ほろ》びるであろう。 わたしは|彼《かれ》らを|獣《けもの》の|歯《は》にかからせ、 |地《ち》に|這《は》うものの|毒《どく》にあたらせるであろう。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|外《そと》にはつるぎ、|内《うち》には|恐《おそ》れがあって、 |若《わか》き|男《おとこ》も|若《わか》き|女《おんな》も、 |乳《ち》のみ|子《ご》も、しらがの|人《ひと》も|滅《ほろ》びるであろう。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまさに|言《い》おうとした、「|彼《かれ》らを|遠《とお》く|散《ち》らし、 |彼《かれ》らの|事《こと》を|人々《ひとびと》が|記憶《きおく》しないようにしよう」。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|敵《てき》が|誇《ほこ》るのを|恐《おそ》れる。 あだびとはまちがえて|言《い》うであろう、 「われわれの|手《て》が|勝《か》ちをえたのだ。 これはみな|主《しゅ》がされたことではない」』。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|思慮《しりょ》の|欠《か》けた|民《たみ》、 そのうちには|知識《ちしき》がない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]もし、|彼《かれ》らに|知恵《ちえ》があれば、これをさとり、 その|身《み》の|終《おわ》りをわきまえたであろうに。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|岩《いわ》が|彼《かれ》らを|売《う》らず、 |主《しゅ》が|彼《かれ》らをわたされなかったならば、 どうして、ひとりで千|人《にん》を|追《お》い、 ふたりで|万《まん》|人《にん》を|敗《やぶ》ることができたであろう。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|岩《いわ》はわれらの|岩《いわ》に|及《およ》ばない。 われらの|敵《てき》もこれを|認《みと》めている。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのぶどうの|木《き》は、 ソドムのぶどうの|木《き》から|出《で》たもの、 またゴモラの|野《の》から|出《で》たもの、 そのぶどうは|毒《どく》ぶどう、そのふさは|苦《にが》い。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そのぶどう|酒《しゅ》はへびの|毒《どく》のよう、 まむしの|恐《おそ》ろしい|毒《どく》のようである。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]これはわたしのもとにたくわえられ、 わたしの|倉《くら》に|封《ふう》じ|込《こ》められているではないか。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|足《あし》がすべるとき、 わたしはあだを|返《かえ》し、|報《むく》いをするであろう。 |彼《かれ》らの|災《わざわい》の|日《ひ》は|近《ちか》く、 |彼《かれ》らの|破滅《はめつ》は、 すみやかに|来《く》るであろう。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はついにその|民《たみ》をさばき、 そのしもべらにあわれみを|加《くわ》えられるであろう。 これは|彼《かれ》らの|力《ちから》がうせ|去《さ》り、 つながれた|者《もの》もつながれない|者《もの》も、 もはやいなくなったのを、|主《しゅ》が|見《み》られるからである。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|主《しゅ》は|言《い》われるであろう、 『|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》はどこにいるか、 |彼《かれ》らの|頼《たの》みとした|岩《いわ》はどこにあるか。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|犠牲《ぎせい》のあぶらを|食《く》い、 |灌祭《かんさい》の|酒《さけ》を|飲《の》んだ|者《もの》はどこにいるか。 |立《た》ちあがってあなたがたを|助《たす》けさせよ、 あなたがたを|守《まも》らせよ。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|今見《いまみ》よ、わたしこそは|彼《かれ》である。 わたしのほかに|神《かみ》はない。 わたしは|殺《ころ》し、また|生《い》かし、 |傷《きず》つけ、またいやす。 わたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》しうるものはない。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|天《てん》にむかい|手《て》をあげて|誓《ちか》う、 「わたしは|永遠《えいえん》に|生《い》きる。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがきらめくつるぎをとぎ、 |手《て》にさばきを|握《にぎ》るとき、 わたしは|敵《てき》にあだを|返《かえ》し、 わたしを|憎《にく》む|者《もの》に|報復《ほうふく》するであろう。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|矢《や》を|血《ち》に|酔《よ》わせ、 わたしのつるぎに|肉《にく》を|食《く》わせるであろう。 |殺《ころ》された|者《もの》と|捕《とら》えられた|者《もの》の|血《ち》を|飲《の》ませ、 |敵《てき》の|長髪《ちょうはつ》の|頭《あたま》の|肉《にく》を|食《く》わせるであろう」』。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》の|民《たみ》よ、|主《しゅ》の|民《たみ》のために|喜《よろこ》び|歌《うた》え。 |主《しゅ》はそのしもべの|血《ち》のために|報復《ほうふく》し、 その|敵《てき》にあだを|返《かえ》し、 その|民《たみ》の|地《ち》の|汚《けが》れを|清《きよ》められるからである」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]モーセとヌンの|子《こ》ヨシュアは|共《とも》に|行《い》って、この|歌《うた》の|言葉《ことば》を、ことごとく|民《たみ》に|読《よ》み|聞《き》かせた。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]モーセはこの|言葉《ことば》を、ことごとくイスラエルのすべての|人《ひと》に|告《つ》げ|終《おわ》って、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに|命《めい》じるこのすべての|言葉《ことば》を|心《こころ》におさめ、|子供《こども》たちにもこの|律法《りっぽう》のすべての|言葉《ことば》を|守《まも》り|行《おこな》うことを|命《めい》じなければならない。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]この|言葉《ことば》はあなたがたにとって、むなしい|言葉《ことば》ではない。これはあなたがたのいのちである。この|言葉《ことば》により、あなたがたはヨルダンを|渡《わた》って|行《い》って|取《と》る|地《ち》で、|長《なが》く|命《いのち》を|保《たも》つことができるであろう」。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》、|主《しゅ》はモーセに|言《い》われた、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはエリコに|対《たい》するモアブの|地《ち》にあるアバリム|山《やま》すなわちネボ|山《やま》に|登《のぼ》り、わたしがイスラエルの|人々《ひとびと》に|与《あた》えて|獲《え》させるカナンの|地《ち》を|見渡《みわ》たせ。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|登《のぼ》って|行《い》くその|山《やま》で|死《し》に、あなたの|民《たみ》に|連《つら》なるであろう。あなたの|兄弟《きょうだい》アロンがホル|山《やま》で|死《し》んでその|民《たみ》に|連《つら》なったようになるであろう。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたがチンの|荒野《あらの》にあるメリバテ・カデシの|水《みず》のほとりで、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちでわたしにそむき、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちでわたしを|聖《せい》なるものとして|敬《うやま》わなかったからである。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]それであなたはわたしがイスラエルの|人々《ひとびと》に|与《あた》える|地《ち》を、|目《め》の|前《まえ》に|見《み》るであろう。しかし、その|地《ち》に、はいることはできない」。 第三三章[#「第三三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》モーセは|死《し》ぬ|前《まえ》にイスラエルの|人々《ひとびと》を|祝福《しゅくふく》した。|祝福《しゅくふく》の|言葉《ことば》は|次《つぎ》のとおりである。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はシナイからこられ、 セイルからわれわれにむかってのぼられ、 パランの|山《やま》から|光《ひかり》を|放《はな》たれ、 ちよろずの|聖者《せいじゃ》の|中《なか》からこられた。 その|右《みぎ》の|手《て》には|燃《も》える|火《ひ》があった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]まことに|主《しゅ》はその|民《たみ》を|愛《あい》される。 すべて|主《しゅ》に|聖別《せいべつ》されたものは、み|手《て》のうちにある。 |彼《かれ》らはあなたの|足《あし》もとに|座《ざ》して、 |教《おしえ》をうける。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モーセはわれわれに|律法《りっぽう》を|授《さづ》けて、 ヤコブの|会衆《かいしゅう》の|所有《しょゆう》とさせた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》のかしらたちが|集《あつ》まり、 イスラエルの|部族《ぶぞく》がみな|集《あつ》まった|時《とき》、 |主《しゅ》はエシュルンのうちに|王《おう》となられた」。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「ルベンは|生《い》きる、|死《し》にはしない。 しかし、その|人数《にんずう》は|少《すく》なくなるであろう」。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ユダについては、こう|言《い》った、 「|主《しゅ》よ、ユダの|声《こえ》を|聞《き》いて、 |彼《かれ》をその|民《たみ》に|導《みちび》きかえしてください。 み|手《て》をもって、|彼《かれ》のために|戦《たたか》ってください。 |彼《かれ》を|助《たす》けて、|敵《てき》に|当《あた》らせてください」。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]レビについては|言《い》った、 「あなたのトンミムをレビに|与《あた》えてください。 ウリムをあなたに|仕《つか》える|人《ひと》に|与《あた》えてください。 かつてあなたはマッサで|彼《かれ》を|試《こころ》み、 メリバの|水《みず》のほとりで|彼《かれ》と|争《あらそ》われた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|父《ちち》、その|母《はは》について|言《い》った、 『わたしは|彼《かれ》らを|顧《かえり》みない』。 |彼《かれ》は|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》をも|認《みと》めず、 |自分《じぶん》の|子供《こども》をも|顧《かえり》みなかった。 |彼《かれ》らはあなたの|言葉《ことば》にしたがい、 あなたの|契約《けいやく》を|守《まも》ったからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたのおきてをヤコブに|教《おし》え、 あなたの|律法《りっぽう》をイスラエルに|教《おし》え、 |薫香《くんこう》をあなたの|前《まえ》に|供《そな》え、 |燔祭《はんさい》を|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|彼《かれ》の|力《ちから》を|祝福《しゅくふく》し、 |彼《かれ》の|手《て》のわざを|喜《よろこ》び|受《う》けてください。 |彼《かれ》に|逆《さか》らう|者《もの》と、 |彼《かれ》を|憎《にく》む|者《もの》との|腰《こし》を|打《う》ち|砕《くだ》いて、 |立《た》ち|上《あ》がることのできないようにしてください」。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンについては|言《い》った、 「|主《しゅ》に|愛《あい》される|者《もの》、 |彼《かれ》は|安《やす》らかに|主《しゅ》のそばにおり、 |主《しゅ》は|終日《しゅうじつ》、|彼《かれ》を|守《まも》り、 その|肩《かた》の|間《あいだ》にすまいを|営《いとな》まれるであろう」。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフについては|言《い》った、 「どうぞ|主《しゅ》が|彼《かれ》の|地《ち》を|祝福《しゅくふく》されるように。 |上《うえ》なる|天《てん》の|賜物《たまもの》と|露《つゆ》、 |下《した》に|横《よこ》たわる|淵《ふち》の|賜物《たまもの》、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》によって|産《さん》する|尊《たっと》い|賜物《たまもの》、 |月《つき》によって|生《しょう》ずる|尊《たっと》い|賜物《たまもの》、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]いにしえの|山々《やまやま》の|産《さん》する|賜物《たまもの》、 とこしえの|丘《おか》の|尊《たっと》い|賜物《たまもの》、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》とそれに|満《み》ちる|尊《たっと》い|賜物《たまもの》、 しばの|中《なか》におられた|者《もの》の|恵《めぐ》みが、 ヨセフの|頭《あたま》に|臨《のぞ》み、 その|兄弟《きょうだい》たちの|君《くん》たる|者《もの》の|頭《あたま》の|頂《いただき》にくだるように。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|牛《うし》のういごは|威厳《いげん》があり、 その|角《つの》は|野牛《やぎゅう》の|角《つの》のよう、 これをもって|国々《くにぐに》の|民《たみ》をことごとく|突《つ》き|倒《たお》し、 |地《ち》のはてにまで|及《およ》ぶ。 このような|者《もの》はエフライムに|幾《いく》|万《まん》とあり、 またこのような|者《もの》はマナセに|幾《いく》|千《せん》とある」。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンについては|言《い》った、 「ゼブルンよ、あなたは|外《そと》に|出《で》て|楽《たの》しみを|得《え》よ。 イッサカルよ、あなたは|天幕《てんまく》にいて|楽《たの》しみを|得《え》よ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|山《やま》に|招《まね》き、 その|所《ところ》で|正《ただ》しい|犠牲《ぎせい》をささげるであろう。 |彼《かれ》らは|海《うみ》の|富《とみ》を|吸《す》い、 |砂《すな》に|隠《かく》れた|宝《たから》を|取《と》るからである」。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ガドについては|言《い》った、 「ガドを|大《おお》きくする|者《もの》は、ほむべきかな。 ガドは、ししのように|伏《ふ》し、 |腕《うで》や|頭《あたま》の|頂《いただき》をかき|裂《さ》くであろう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|初穂《はつほ》の|地《ち》を|自分《じぶん》のために|選《えら》んだ。 そこには|将軍《しょうぐん》の|分《ぶん》も|取《と》り|置《お》かれていた。 |彼《かれ》は|民《たみ》のかしらたちと|共《とも》にきて、 イスラエルと|共《とも》に|主《しゅ》の|正義《せいぎ》と|審判《しんぱん》とを|行《おこな》った」。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダンについては|言《い》った、 「ダンはししの|子《こ》であって、 バシャンからおどりでる」。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリについては|言《い》った、 「ナフタリよ、あなたは|恵《めぐ》みに|満《み》たされ、 |主《しゅ》の|祝福《しゅくふく》に|満《み》ちて、 |湖《みずうみ》とその|南《みなみ》の|地《ち》を|所有《しょゆう》する」。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アセルについては|言《い》った、 「アセルは|他《た》の|子《こ》らにまさって|祝福《しゅくふく》される。 |彼《かれ》はその|兄弟《きょうだい》たちに|愛《あい》せられ、 その|足《あし》を|油《あぶら》にひたすことができるように。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|貫《かん》の|木《き》は|鉄《てつ》と|青銅《せいどう》、 あなたの|力《ちから》はあなたの|年《とし》と|共《とも》に|続《つづ》くであろう」。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]「エシュルンよ、|神《かみ》に|並《なら》ぶ|者《もの》はほかにない。 あなたを|助《たす》けるために|天《てん》に|乗《の》り、 |威光《いこう》をもって|空《そら》を|通《とお》られる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]とこしえにいます|神《かみ》はあなたのすみかであり、 |下《した》には|永遠《えいえん》の|腕《うで》がある。 |敵《てき》をあなたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》って、 『|滅《ほろ》ぼせ』と|言《い》われた。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|安《やす》らかに|住《す》み、 ヤコブの|泉《いずみ》は|穀物《こくもつ》とぶどう|酒《しゅ》の|地《ち》に、 ひとりいるであろう。 また|天《てん》は|露《つゆ》をくだすであろう。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、あなたはしあわせである。 だれがあなたのように、 |主《しゅ》に|救《すく》われた|民《たみ》があるであろうか。 |主《しゅ》はあなたを|助《たす》ける|盾《たて》、 あなたの|威光《いこう》のつるぎ、 あなたの|敵《てき》はあなたにへつらい|服《ふく》し、 あなたは|彼《かれ》らの|高《たか》き|所《ところ》を|踏《ふ》み|進《すす》むであろう」。 [#ここで字下げ終わり] 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モーセはモアブの|平野《へいや》からネボ|山《やま》に|登《のぼ》り、エリコの|向《む》かいのピスガの|頂《いただき》へ|行《い》った。そこで|主《しゅ》は|彼《かれ》にギレアデの|全《ぜん》|地《ち》をダンまで|示《しめ》し、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|全部《ぜんぶ》、エフライムとマナセの|地《ち》およびユダの|全《ぜん》|地《ち》を|西《にし》の|海《うみ》まで|示《しめ》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ネゲブと|低地《ていち》、すなわち、しゅろの|町《まち》エリコの|谷《たに》をゾアルまで|示《しめ》された。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの|子孫《しそん》に|与《あた》えると|言《い》って|誓《ちか》った|地《ち》はこれである。わたしはこれをあなたの|目《め》に|見《み》せるが、あなたはそこへ|渡《わた》って|行《い》くことはできない」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》のしもべモーセは|主《しゅ》の|言葉《ことば》のとおりにモアブの|地《ち》で|死《し》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》をベテペオルに|対《たい》するモアブの|地《ち》の|谷《たに》に|葬《ほうむ》られたが、|今日《こんにち》までその|墓《はか》を|知《し》る|人《ひと》はない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]モーセは|死《し》んだ|時《とき》、百二十|歳《さい》であったが、|目《め》はかすまず、|気力《きりょく》は|衰《おとろ》えていなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はモアブの|平野《へいや》で三十|日《にち》の|間《あいだ》モーセのために|泣《な》いた。そしてモーセのために|泣《な》き|悲《かな》しむ|日《ひ》はついに|終《おわ》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヌンの|子《こ》ヨシュアは|知恵《ちえ》の|霊《れい》に|満《み》ちた|人《ひと》であった。モーセが|彼《かれ》の|上《うえ》に|手《て》を|置《お》いたからである。イスラエルの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》に|聞《き》き|従《したが》い、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりにおこなった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルには、こののちモーセのような|預言者《よげんしゃ》は|起《おこ》らなかった。モーセは|主《しゅ》が|顔《かお》を|合《あ》わせて|知《し》られた|者《もの》であった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエジプトの|地《ち》で|彼《かれ》をパロとそのすべての|家来《けらい》およびその|全《ぜん》|地《ち》につかわして、もろもろのしるしと|不思議《ふしぎ》を|行《おこな》わせられた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]モーセはイスラエルのすべての|人《ひと》の|前《まえ》で|大《おお》いなる|力《ちから》をあらわし、|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|事《こと》をおこなった。 [#改ページ] ヨシュア記[#「ヨシュア記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のしもべモーセが|死《し》んだ|後《のち》、|主《しゅ》はモーセの|従者《じゅうしゃ》、ヌンの|子《こ》ヨシュアに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしのしもべモーセは|死《し》んだ。それゆえ、|今《いま》あなたと、このすべての|民《たみ》とは、|共《とも》に|立《た》って、このヨルダンを|渡《わた》り、わたしがイスラエルの|人々《ひとびと》に|与《あた》える|地《ち》に|行《い》きなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、|足《あし》の|裏《うら》で|踏《ふ》む|所《ところ》はみな、わたしがモーセに|約束《やくそく》したように、あなたがたに|与《あた》えるであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|領域《りょういき》は、|荒野《あらの》からレバノンに|及《およ》び、また|大川《おおかわ》ユフラテからヘテびとの|全《ぜん》|地《ち》にわたり、|日《ひ》の|入《い》る|方《ほう》の|大海《たいかい》に|達《たっ》するであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|生《い》きながらえる|日《ひ》の|間《あいだ》、あなたに|当《あた》ることのできる|者《もの》は、ひとりもないであろう。わたしは、モーセと|共《とも》にいたように、あなたと|共《とも》におるであろう。わたしはあなたを|見放《みはな》すことも、|見捨《みすて》ることもしない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|強《つよ》く、また|雄々《おお》しくあれ。あなたはこの|民《たみ》に、わたしが|彼《かれ》らに|与《あた》えると、その|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》った|地《ち》を|獲《え》させなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ただ|強《つよ》く、また|雄々《おお》しくあって、わたしのしもべモーセがあなたに|命《めい》じた|律法《りっぽう》をことごとく|守《まも》って|行《おこな》い、これを|離《はな》れて|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》ってはならない。それはすべてあなたが|行《い》くところで、|勝利《しょうり》を|得《え》るためである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]この|律法《りっぽう》の|書《しょ》をあなたの|口《くち》から|離《はな》すことなく、|昼《ひる》も|夜《よる》もそれを|思《おも》い、そのうちにしるされていることを、ことごとく|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。そうするならば、あなたの|道《みち》は|栄《さか》え、あなたは|勝利《しょうり》を|得《え》るであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|命《めい》じたではないか。|強《つよ》く、また|雄々《おお》しくあれ。あなたがどこへ|行《い》くにも、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|共《とも》におられるゆえ、|恐《おそ》れてはならない、おののいてはならない」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアは|民《たみ》のつかさたちに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「|宿営《しゅくえい》のなかを|巡《めぐ》って|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》いなさい、『|糧食《りょうしょく》の|備《そな》えをしなさい。三|日《か》のうちに、あなたがたはこのヨルダンを|渡《わた》って、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたに|与《あた》えて|獲《え》させようとされる|地《ち》を|獲《え》るために、|進《すす》み|行《い》かなければならないからである』」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまたルベンびと、ガドびと、およびマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》に|言《い》った、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》のしもべモーセがあなたがたに|命《めい》じて、『あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたがたのために|安息《あんそく》の|場所《ばしょ》を|備《そな》え、この|地《ち》をあなたがたに|賜《たま》わるであろう』と|言《い》った|言葉《ことば》を|記憶《きおく》しなさい。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|妻子《さいし》と|家畜《かちく》とは、モーセがあなたがたに|与《あた》えたヨルダンのこちら|側《がわ》の|地《ち》にとどまらなければならない。しかし、あなたがたのうちの|勇士《ゆうし》はみな|武装《ぶそう》して、|兄弟《きょうだい》たちの|先《さき》に|立《た》って|渡《わた》り、これを|助《たす》けなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》があなたがたに|賜《たま》わったように、あなたがたの|兄弟《きょうだい》たちにも|安息《あんそく》を|賜《たま》わり、|彼《かれ》らもあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わる|地《ち》を|獲《え》るようになるならば、あなたがたは、|主《しゅ》のしもべモーセから|与《あた》えられた、ヨルダンのこちら|側《がわ》、|日《ひ》の|出《で》の|方《ほう》にある、あなたがたの|所有《しょゆう》の|地《ち》に|帰《かえ》って、それを|保《たも》つことができるであろう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨシュアに|答《こた》えた、「あなたがわれわれに|命《めい》じられたことをみな|行《おこな》います。あなたがつかわされる|所《ところ》へは、どこへでも|行《い》きます。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]われわれはすべてのことをモーセに|聞《き》き|従《したが》ったように、あなたに|聞《き》き|従《したが》います。ただ、どうぞ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がモーセと|共《とも》におられたように、あなたと|共《とも》におられますように。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]だれであっても、あなたの|命令《めいれい》にそむき、あなたの|命《めい》じられる|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》わないものがあれば、|生《い》かしてはおきません。ただ、|強《つよ》く、また|雄々《おお》しくあってください」。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヌンの|子《こ》ヨシュアは、シッテムから、ひそかにふたりの|斥候《せっこう》をつかわして|彼《かれ》らに|言《い》った、「|行《い》って、その|地《ち》、|特《とく》にエリコを|探《さぐ》りなさい」。|彼《かれ》らは|行《い》って、|名《な》をラハブという|遊女《ゆうじょ》の|家《いえ》にはいり、そこに|泊《と》まったが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エリコの|王《おう》に、「イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの|数《すう》|名《めい》の|者《もの》が|今夜《こんや》この|地《ち》を|探《さぐ》るために、はいってきました」と|言《い》う|者《もの》があったので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エリコの|王《おう》は|人《ひと》をやってラハブに|言《い》った、「あなたの|所《ところ》にきて、あなたの|家《いえ》にはいった|人々《ひとびと》をここへ|出《だ》しなさい。|彼《かれ》らはこの|国《くに》のすべてを|探《さぐ》るためにきたのです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|女《おんな》はすでにそのふたりの|人《ひと》を|入《い》れて|彼《かれ》らを|隠《かく》していた。そして|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「|確《たし》かにその|人々《ひとびと》はわたしの|所《ところ》にきました。しかし、わたしはその|人々《ひとびと》がどこからきたのか|知《し》りませんでしたが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]たそがれ|時《とき》、|門《もん》の|閉《と》じるころに、その|人々《ひとびと》は|出《で》て|行《い》きました。どこへ|行《い》ったのかわたしは|知《し》りません。|急《いそ》いであとを|追《お》いなさい。|追《お》いつけるでしょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|実《じつ》、|彼女《かのじょ》はすでに|彼《かれ》らを|連《つ》れて|屋根《やね》にのぼり、|屋上《おくじょう》に|並《なら》べてあった|亜麻《あま》の|茎《くき》の|中《なか》に|彼《かれ》らを|隠《かく》していたのである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らのあとを|追《お》ってヨルダンの|道《みち》を|進《すす》み、|渡《わた》し|場《ば》へ|向《む》かった。あとを|追《お》う|者《もの》が|出《で》て|行《い》くとすぐ|門《もん》は|閉《と》ざされた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ふたりの|人《ひと》がまだ|寝《ね》ないうち、ラハブは|屋上《おくじょう》にのぼって|彼《かれ》らの|所《ところ》にきた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らに|言《い》った、「|主《しゅ》がこの|地《ち》をあなたがたに|賜《たま》わったこと、わたしたちがあなたがたをひじょうに|恐《おそ》れていること、そしてこの|地《ち》の|民《たみ》がみなあなたがたの|前《まえ》に|震《ふる》えおののいていることをわたしは|知《し》っています。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがエジプトから|出《で》てこられた|時《とき》、|主《しゅ》があなたがたの|前《まえ》で|紅海《こうかい》の|水《みず》を|干《ほ》されたこと、およびあなたがたが、ヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》にいたアモリびとのふたりの|王《おう》シホンとオグにされたこと、すなわちふたりを、|全滅《ぜんめつ》されたことを、わたしたちは|聞《き》いたからです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちはそれを|聞《き》くと、|心《こころ》は|消《き》え、あなたがたのゆえに|人々《ひとびと》は|全《まった》く|勇気《ゆうき》を|失《うしな》ってしまいました。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|上《うえ》の|天《てん》にも、|下《した》の|地《ち》にも、|神《かみ》でいらせられるからです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それで、どうか、わたしがあなたがたを|親切《しんせつ》に|扱《あつか》ったように、あなたがたも、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》を|親切《しんせつ》に|扱《あつか》われることをいま|主《しゅ》をさして|誓《ちか》い、|確《たし》かなしるしをください。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしの|父母《ふぼ》、|兄弟《きょうだい》、|姉妹《しまい》およびすべて|彼《かれ》らに|属《ぞく》するものを|生《い》きながらえさせ、わたしたちの|命《いのち》を|救《すく》って、|死《し》を|免《まぬか》れさせてください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ふたりの|人《ひと》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「もしあなたがたが、われわれのこのことを|他《た》に|漏《も》らさないならば、われわれは|命《いのち》にかけて、あなたがたを|救《すく》います。また|主《しゅ》がわれわれにこの|地《ち》を|賜《たま》わる|時《とき》、あなたがたを|親切《しんせつ》に|扱《あつか》い、|真実《しんじつ》をつくしましょう」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでラハブは|綱《つな》をもって|彼《かれ》らを|窓《まど》からつりおろした。その|家《いえ》が|町《まち》の|城壁《じょうへき》の|上《うえ》に|建《た》っていて、|彼女《かのじょ》はその|城壁《じょうへき》の|上《うえ》に|住《す》んでいたからである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ラハブは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|追手《おって》に|会《あ》わないように、あなたがたは|山《やま》へ|行《い》って、三|日《か》の|間《あいだ》そこに|身《み》を|隠《かく》し、|追手《おって》の|帰《かえ》って|行《い》くのを|待《ま》って、それから|去《さ》って|行《い》きなさい」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ふたりの|人《ひと》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたがわれわれに|誓《ちか》わせたこの|誓《ちか》いについて、われわれは|罪《つみ》を|犯《おか》しません。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われわれがこの|地《ち》に|討《う》ち|入《い》る|時《とき》、わたしたちをつりおろした|窓《まど》に、この|赤《あか》い|糸《いと》のひもを|結《むす》びつけ、またあなたの|父母《ふぼ》、|兄弟《きょうだい》、およびあなたの|父《ちち》の|家族《かぞく》をみなあなたの|家《いえ》に|集《あつ》めなさい。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ひとりでも|家《いえ》の|戸口《とぐち》から|外《そと》へ|出《で》て、|血《ち》を|流《なが》されることがあれば、その|責《せ》めはその|人《ひと》|自身《じしん》のこうべに|帰《き》すでしょう。われわれに|罪《つみ》はありません。しかしあなたの|家《いえ》の|中《なか》にいる|人《ひと》に|手《て》をかけて|血《ち》を|流《なが》すことがあれば、その|責《せ》めはわれわれのこうべに|帰《き》すでしょう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またあなたが、われわれのこのことを|他《た》に|漏《も》らすならば、あなたがわれわれに|誓《ちか》わせた|誓《ちか》いについては、われわれに|罪《つみ》はありません」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ラハブは|言《い》った、「あなたがたの|仰《おお》せのとおりにいたしましょう」。こうして|彼《かれ》らを|送《おく》り|出《だ》したので、|彼《かれ》らは|去《さ》った。そして|彼女《かのじょ》は|赤《あか》いひもを|窓《まど》に|結《むす》んだ。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|立《た》ち|去《さ》って|山《やま》にはいり、|追手《おって》が|帰《かえ》るのを|待《ま》って、三|日《か》の|間《あいだ》そこにとどまった。|追手《おって》は|彼《かれ》らをあまねく|道《みち》に|捜《さが》したが、ついに|見《み》つけることができなかった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてふたりの|人《ひと》はまた|山《やま》を|下《くだ》り、|川《かわ》を|渡《わた》って、ヌンの|子《こ》ヨシュアのもとにきて、その|身《み》に|起《た》ったことをつぶさに|述《の》べた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアに|言《い》った、「ほんとうに|主《しゅ》はこの|国《くに》をことごとくわれわれの|手《て》にお|与《あた》えになりました。この|国《くに》の|住民《じゅうみん》はみなわれわれの|前《まえ》に|震《ふる》えおののいています」。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き、イスラエルの|人々《ひとびと》すべてとともにシッテムを|出立《しゅったつ》して、ヨルダンに|行《い》き、それを|渡《わた》らずに、そこに|宿《やど》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》の|後《のち》、つかさたちは|宿営《しゅくえい》の|中《なか》を|行《い》き|巡《めぐ》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》った、「レビびとである|祭司《さいし》たちが、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかきあげるのを|見《み》るならば、あなたがたはその|所《ところ》を|出立《しゅったつ》して、そのあとに|従《したが》わなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたがたは|行《い》くべき|道《みち》を|知《し》ることができるであろう。あなたがたは|前《まえ》にこの|道《みち》をとおったことがないからである。しかし、あなたがたと|箱《はこ》との|間《あいだ》には、おおよそ二千キュビトの|距離《きょり》をおかなければならない。それに|近《ちか》づいてはならない」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまた|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|身《み》を|清《きよ》めなさい。あす、|主《しゅ》があなたがたのうちに|不思議《ふしぎ》を|行《おこな》われるからである」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|祭司《さいし》たちに|言《い》った、「|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかき、|民《たみ》に|先立《さきだ》って|渡《わた》りなさい」。そこで|彼《かれ》らは|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかき、|民《たみ》に|先立《さきだ》って|進《すす》んだ。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「きょうからわたしはすべてのイスラエルの|前《まえ》にあなたを|尊《たっと》い|者《もの》とするであろう。こうしてわたしがモーセと|共《とも》にいたように、あなたとともにおることを|彼《かれ》らに|知《し》らせるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちに|命《めい》じて|言《い》わなければならない、『あなたがたは、ヨルダンの|水《みず》ぎわへ|行《い》くと、すぐ、ヨルダンの|中《なか》に|立《た》ちとどまらなければならない』」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「あなたがたはここに|近《ちか》づいて、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアは|言《い》った、「|生《い》ける|神《かみ》があなたがたのうちにおいでになり、あなたがたの|前《まえ》から、カナンびと、ヘテびと、ヒビびと、ペリジびと、ギルガシびと、アモリびと、エブスびとを、|必《かなら》ず|追《お》い|払《はら》われることを、|次《つぎ》のことによって、あなたがたは|知《し》るであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ごらんなさい。|全《ぜん》|地《ち》の|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》は、あなたがたに|先立《さきだ》ってヨルダンを|渡《わた》ろうとしている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|今《いま》、イスラエルの|部族《ぶぞく》のうちから、|部族《ぶぞく》ごとにひとりずつ、|合《あ》わせて十二|人《にん》を|選《えら》びなさい。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》の|主《しゅ》なる|神《かみ》の|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちの|足《あし》の|裏《うら》が、ヨルダンの|水《みず》の|中《なか》に|踏《ふ》みとどまる|時《とき》、ヨルダンの|水《みず》は|流《なが》れをせきとめられ、|上《うえ》から|流《なが》れくだる|水《みず》はとどまって、うず|高《たか》くなるであろう」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》はヨルダンを|渡《わた》ろうとして|天幕《てんまく》をいで|立《た》ち、|祭司《さいし》たちは|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかき、|民《たみ》に|先立《さきだ》って|行《い》ったが、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|箱《はこ》をかく|者《もの》がヨルダンにきて、|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちの|足《あし》が|水《みず》ぎわにひたると|同時《どうじ》に、――ヨルダンは|刈入《かりい》れの|間《あいだ》|中《ぢゅう》、|岸《きし》|一面《いちめん》にあふれるのであるが、――[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|上《うえ》から|流《なが》れくだる|水《みず》はとどまって、はるか|遠《とお》くのザレタンのかたわらにある|町《まち》アダムのあたりで、うず|高《たか》く|立《た》ち、アラバの|海《うみ》すなわち|塩《しお》の|海《うみ》の|方《ほう》に|流《なが》れくだる|水《みず》は|全《まった》くせきとめられたので、|民《たみ》はエリコに|向《む》かって|渡《わた》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すべてのイスラエルが、かわいた|地《ち》を|渡《わた》って|行《い》く|間《あいだ》、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちは、ヨルダンの|中《なか》のかわいた|地《ち》に|立《た》っていた。そしてついに|民《たみ》はみなヨルダンを|渡《わた》り|終《おわ》った。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》が|皆《みな》、ヨルダンを|渡《わた》り|終《おわ》った|時《とき》、|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|民《たみ》のうちから、|部族《ぶぞく》ごとにひとりずつ、|合《あ》わせて十二|人《にん》を|選《えら》び、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|命《めい》じて|言《い》いなさい、『ヨルダンの|中《なか》で|祭司《さいし》たちが|足《あし》を|踏《ふ》みとどめたその|所《ところ》から、|石《いし》十二を|取《と》り、それを|携《たずさ》えて|渡《わた》り、|今夜《こんや》あなたがたが|宿《やど》る|場所《ばしょ》にすえなさい』」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちから、|部族《ぶぞく》ごとに、ひとりずつ、かねて|定《さだ》めておいた十二|人《にん》の|者《もの》を|召《め》し|寄《よ》せ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》の|前《まえ》に|立《た》って|行《い》き、ヨルダンの|中《なか》に|進《すす》み|入《はい》り、イスラエルの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》の|数《かず》にしたがって、おのおの|石《いし》一つを|取《と》り|上《あ》げ、|肩《かた》にのせて|運《はこ》びなさい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたのうちに、しるしとなるであろう。|後《のち》の|日《ひ》になって、あなたがたの|子《こ》どもたちが、『これらの|石《いし》は、どうしたわけですか』と|問《と》うならば、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたがたは|彼《かれ》らに、むかしヨルダンの|水《みず》が、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》の|前《まえ》で、せきとめられたこと、すなわちその|箱《はこ》がヨルダンを|渡《わた》った|時《とき》、ヨルダンの|水《みず》が、せきとめられたことを|告《つ》げなければならない。こうして、それらの|石《いし》は|永久《えいきゅう》にイスラエルの|人々《ひとびと》の|記念《きねん》となるであろう」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はヨシュアが|命《めい》じたようにし、|主《しゅ》がヨシュアに|言《い》われたように、イスラエルの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》の|数《かず》にしたがって、ヨルダンの|中《なか》から十二の|石《いし》を|取《と》り、それを|携《たずさ》えて|渡《わた》り、|彼《かれ》らの|宿《やど》る|場所《ばしょ》へ|行《い》って、そこにすえた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまたヨルダンの|中《なか》で、|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちが、|足《あし》を|踏《ふ》みとどめた|所《ところ》に、十二の|石《いし》を|立《た》てたが、|今日《こんにち》まで、そこに|残《のこ》っている。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちは、|主《しゅ》がヨシュアに|命《めい》じて、|民《たみ》に|告《つ》げさせられた|事《こと》が、すべて|行《おこな》われてしまうまで、ヨルダンの|中《なか》に|立《た》っていた。すべてモーセがヨシュアに|命《めい》じたとおりである。|民《たみ》は|急《いそ》いで|渡《わた》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》がみな|渡《わた》り|終《おわ》った|時《とき》、|主《しゅ》の|箱《はこ》と|祭司《さいし》たちとは、|民《たみ》の|見《み》る|前《まえ》で|渡《わた》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|子孫《しそん》とガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|部族《ぶぞく》の|半《なか》ばは、モーセが|彼《かれ》らに|命《めい》じていたように|武装《ぶそう》して、イスラエルの|人々《ひとびと》に|先立《さきだ》って|渡《わた》り、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|戦《たたか》いのために|武装《ぶそう》したおおよそ四万の|者《もの》が|戦《たたか》うため、|主《しゅ》の|前《まえ》に|渡《わた》って、エリコの|平野《へいや》に|着《つ》いた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》、|主《しゅ》はイスラエルのすべての|人《ひと》の|前《まえ》にヨシュアを|尊《たっと》い|者《もの》とされたので、|彼《かれ》らはみなモーセを|敬《うやま》ったように、ヨシュアを|一生《いっしょう》のあいだ|敬《うやま》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「あかしの|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちに|命《めい》じて、ヨルダンから|上《あ》がってこさせなさい」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|祭司《さいし》たちに|命《めい》じて|言《い》った、「ヨルダンから|上《あ》がってきなさい」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかく|祭司《さいし》たちはヨルダンの|中《なか》から|上《あ》がってきたが、|祭司《さいし》たちの|足《あし》の|裏《うら》がかわいた|地《ち》にあがると|同時《どうじ》に、ヨルダンの|水《みず》はもとの|所《ところ》に|流《なが》れかえって、|以前《いぜん》のように、その|岸《きし》にことごとくあふれた。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|正月《しょうがつ》の十|日《か》に、ヨルダンから|上《あ》がってきて、エリコの|東《ひがし》の|境《さかい》にあるギルガルに|宿営《しゅくえい》した。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアは、|人々《ひとびと》がヨルダンから|取《と》ってきた十二の|石《いし》をギルガルに|立《た》て、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「|後《のち》の|日《ひ》にあなたがたの|子《こ》どもたちが、その|父《ちち》に『これらの|石《いし》は、どうしたわけですか』とたずねたならば、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]『むかしイスラエルがこのヨルダンを、かわいた|地《ち》にされて|渡《わた》ったのだ』と|言《い》って、その|子《こ》どもたちに|知《し》らせなければならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はヨルダンの|水《みず》を、あなたがたのために|干《ほ》しからして、あなたがたを|渡《わた》らせてくださった。それはあたかも、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、われわれのために|紅海《こうかい》を|干《ほ》しからして、われわれを|渡《わた》らせてくださったのと|同《おな》じである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]このようにされたのは、|地《ち》のすべての|民《たみ》に、|主《しゅ》の|手《て》に|力《ちから》のあることを|知《し》らせ、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》をつねに|恐《おそ》れさせるためである」。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、すなわち|西《にし》の|方《ほう》におるアモリびとの|王《おう》たちと、|海《うみ》べにおるカナンびとの|王《おう》たちとは|皆《みな》、|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》で、ヨルダンの|水《みず》を|干《ほ》しからして、|彼《かれ》らを|渡《わた》らせられたと|聞《き》いて、イスラエルの|人々《ひとびと》のゆえに、|心《こころ》は|消《き》え、|彼《かれ》らのうちに、もはや|元気《げんき》もなくなった。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「|火打石《ひうちいし》の|小刀《こがたな》を|造《つく》り、|重《かさ》ねてまたイスラエルの|人々《ひとびと》に|割礼《かつれい》を|行《おこな》いなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアは|火打石《ひうちいし》の|小刀《こがたな》を|造《つく》り、|陽《よう》|皮《ひ》の|丘《おか》で、イスラエルの|人々《ひとびと》に|割礼《かつれい》を|行《おこな》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアが|人々《ひとびと》に|割礼《かつれい》を|行《おこな》った|理由《りゆう》はこうである。エジプトから|出《で》てきた|民《たみ》のうちの、すべての|男子《だんし》、すなわち、いくさびとたちは|皆《みな》、エジプトを|出《で》た|後《のち》、|途中《とちゅう》、|荒野《あらの》で|死《し》んだが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|出《で》てきた|民《たみ》は|皆《みな》、|割礼《かつれい》を|受《う》けた|者《もの》であった。しかし、エジプトを|出《で》た|後《のち》に、|途中《とちゅう》、|荒野《あらの》で|生《う》まれた|民《たみ》は、みな|割礼《かつれい》を|受《う》けていなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は四十|年《ねん》の|間《あいだ》、|荒野《あらの》を|歩《ある》いていて、そのエジプトから|出《で》てきた|民《たみ》、すなわち、いくさびとたちは、みな|死《し》に|絶《た》えた。これは|彼《かれ》らが|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わなかったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》って、われわれに|与《あた》えると|仰《おお》せられた|地《ち》、|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》を、|彼《かれ》らに|見《み》させないと|誓《ちか》われたからである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアが|割礼《かつれい》を|行《おこな》ったのは、この|人々《ひとびと》についで|起《おこ》されたその|子《こ》どもたちであった。|彼《かれ》らは|途中《とちゅう》で|割礼《かつれい》を|受《う》けていなかったので、|無《む》|割礼《かつれい》の|者《もの》であったからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すべての|民《たみ》に|割礼《かつれい》を|行《おこな》うことが|終《おわ》ったので、|民《たみ》は|宿営《しゅくえい》のうちの|自分《じぶん》の|所《ところ》にとどまって|傷《きず》の|直《なお》るのを|待《ま》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「きょう、わたしはエジプトのはずかしめを、あなたがたからころがし|去《さ》った」。それでその|所《ところ》の|名《な》は、|今日《こんにち》までギルガルと|呼《よ》ばれている。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はギルガルに|宿営《しゅくえい》していたが、その|月《つき》の十四|日《か》の|夕暮《ゆうぐれ》、エリコの|平野《へいや》で|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|過越《すぎこし》の|祭《まつり》の|翌日《よくじつ》、その|地《ち》の|穀物《こくもつ》、すなわち|種《たね》|入《い》れぬパンおよびいり|麦《むぎ》を、その|日《ひ》に|食《た》べたが、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|穀物《こくもつ》を|食《た》べた|翌日《よくじつ》から、マナの|降《ふ》ることはやみ、イスラエルの|人々《ひとびと》は、もはやマナを|獲《え》なかった。その|年《とし》はカナンの|地《ち》の|産物《さんぶつ》を|食《た》べた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアがエリコの|近《ちか》くにいたとき、|目《め》を|上《あ》げて|見《み》ると、ひとりの|人《ひと》が|抜《ぬ》き|身《み》のつるぎを|手《て》に|持《も》ち、こちらに|向《む》かって|立《た》っていたので、ヨシュアはその|人《ひと》のところへ|行《い》って|言《い》った、「あなたはわれわれを|助《たす》けるのですか。それともわれわれの|敵《てき》を|助《たす》けるのですか」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「いや、わたしは|主《しゅ》の|軍勢《ぐんぜい》の|将《しょう》として|今《いま》きたのだ」。ヨシュアは|地《ち》にひれ|伏《ふ》し|拝《はい》して|言《い》った、「わが|主《しゅ》は|何《なに》をしもべに|告《つ》げようとされるのですか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すると|主《しゅ》の|軍勢《ぐんぜい》の|将《しょう》はヨシュアに|言《い》った、「あなたの|足《あし》のくつを|脱《ぬ》ぎなさい。あなたが|立《た》っている|所《ところ》は|聖《せい》なる|所《ところ》である」。ヨシュアはそのようにした。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてエリコは、イスラエルの|人々《ひとびと》のゆえに、かたく|閉《と》ざして、|出入《でい》りするものがなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしはエリコと、その|王《おう》および|大《だい》|勇士《ゆうし》を、あなたの|手《て》にわたしている。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた、いくさびとはみな、|町《まち》を|巡《めぐ》って、|町《まち》の|周囲《しゅうい》を一|度《ど》|回《まわ》らなければならない。|六日《むいか》の|間《あいだ》そのようにしなければならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]七|人《にん》の|祭司《さいし》たちは、おのおの|雄羊《おひつじ》の|角《つの》のラッパを|携《たずさ》えて、|箱《はこ》に|先立《さきだ》たなければならない。そして|七日《なぬか》|目《め》には七|度《ど》|町《まち》を|巡《めぐ》り、|祭司《さいし》たちはラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らさなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》たちが|雄羊《おひつじ》の|角《つの》を|長《なが》く|吹《ふ》き|鳴《な》らし、そのラッパの|音《おと》が、あなたがたに|聞《きこ》える|時《とき》、|民《たみ》はみな|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわり、|叫《さけ》ばなければならない。そうすれば、|町《まち》の|周囲《しゅうい》の|石《いし》がきは、くずれ|落《お》ち、|民《たみ》はみなただちに|進《すす》んで、|攻《せ》め|上《のぼ》ることができる」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヌンの|子《こ》ヨシュアは|祭司《さいし》たちを|召《め》して|言《い》った、「あなたがたは|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかき、七|人《にん》の|祭司《さいし》たちは|雄羊《おひつじ》の|角《つの》のラッパ七|本《ほん》を|携《たずさ》えて、|主《しゅ》の|箱《はこ》に|先立《さきだ》たなければならない」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|進《すす》んで|行《い》って|町《まち》を|巡《めぐ》りなさい。|武装《ぶそう》した|者《もの》は|主《しゅ》の|箱《はこ》に|先立《さきだ》って|進《すす》まなければならない」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアが|民《たみ》に|命《めい》じたように、七|人《にん》の|祭司《さいし》たちは、|雄羊《おひつじ》の|角《つの》のラッパ七|本《ほん》を|携《たずさ》えて、|主《しゅ》に|先立《さきだ》って|進《すす》み、ラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らした。|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》はそのあとに|従《したが》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|武装《ぶそう》した|者《もの》はラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らす|祭司《さいし》たちに|先立《さきだ》って|行《い》き、しんがりは|箱《はこ》に|従《したが》った。ラッパは|絶《た》え|間《ま》なく|鳴《な》り|響《ひび》いた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ヨシュアは|民《たみ》に|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたは|呼《よ》ばわってはならない。あなたがたの|声《こえ》を|聞《きこ》えさせてはならない。また|口《くち》から|言葉《ことば》を|出《だ》してはならない。ただ、わたしが|呼《よ》ばわれと|命《めい》じる|日《ひ》に、あなたがたは|呼《よ》ばわらなければならない」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》の|箱《はこ》を|持《も》って、|町《まち》を|巡《めぐ》らせ、その|周囲《しゅうい》を一|度《ど》|回《まわ》らせた。|人々《ひとびと》は|宿営《しゅくえい》に|帰《かえ》り、|夜《よる》を|宿営《しゅくえい》で|過《す》ごした。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|翌朝《よくあさ》ヨシュアは|早《はや》く|起《お》き、|祭司《さいし》たちは|主《しゅ》の|箱《はこ》をかき、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]七|人《にん》の|祭司《さいし》たちは、|雄羊《おひつじ》の|角《つの》のラッパ七|本《ほん》を|携《たずさ》えて、|主《しゅ》の|箱《はこ》に|先立《さきだ》ち、|絶《た》えず、ラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らして|進《すす》み、|武装《ぶそう》した|者《もの》はこれに|先立《さきだ》って|行《い》き、しんがりは|主《しゅ》の|箱《はこ》に|従《したが》った。ラッパは|絶《た》え|間《ま》なく|鳴《な》り|響《ひび》いた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》の|日《ひ》にも、|町《まち》の|周囲《しゅうい》を一|度《ど》|巡《めぐ》って|宿営《しゅくえい》に|帰《かえ》った。|六日《むいか》の|間《あいだ》そのようにした。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》には、|夜明《よあ》けに、|早《はや》く|起《お》き、|同《おな》じようにして、|町《まち》を七|度《ど》めぐった。|町《まち》を七|度《ど》めぐったのはこの|日《ひ》だけであった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]七|度目《どめ》に、|祭司《さいし》たちがラッパを|吹《ふ》いた|時《とき》、ヨシュアは|民《たみ》に|言《い》った、「|呼《よ》ばわりなさい。|主《しゅ》はこの|町《まち》をあなたがたに|賜《たま》わった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]この|町《まち》と、その|中《なか》のすべてのものは、|主《しゅ》への|奉納物《ほうのうぶつ》として|滅《ほろ》ぼされなければならない。ただし|遊女《ゆうじょ》ラハブと、その|家《いえ》に|共《とも》におる|者《もの》はみな|生《い》かしておかなければならない。われわれが|送《おく》った|使者《ししゃ》たちをかくまったからである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたは、|奉納物《ほうのうぶつ》に|手《て》を|触《ふ》れてはならない。|奉納《ほうのう》に|当《あた》り、その|奉納物《ほうのうぶつ》をみずから|取《と》って、イスラエルの|宿営《しゅくえい》を、|滅《ほろ》ぼさるべきものとし、それを|悩《なや》ますことのないためである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|銀《ぎん》と|金《きん》、|青銅《せいどう》と|鉄《てつ》の|器《うつわ》は、みな|主《しゅ》に|聖《せい》なる|物《もの》であるから、|主《しゅ》の|倉《くら》に|携《たずさ》え|入《い》れなければならない」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》は|呼《よ》ばわり、|祭司《さいし》たちはラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らした。|民《たみ》はラッパの|音《おと》を|聞《き》くと|同時《どうじ》に、みな|大声《おおごえ》をあげて|呼《よ》ばわったので、|石《いし》がきはくずれ|落《お》ちた。そこで|民《たみ》はみな、すぐに|上《のぼ》って|町《まち》にはいり、|町《まち》を|攻《せ》め|取《と》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして|町《まち》にあるものは、|男《おとこ》も、|女《おんな》も、|若《わか》い|者《もの》も、|老《お》いた|者《もの》も、また|牛《うし》、|羊《ひつじ》、ろばをも、ことごとくつるぎにかけて|滅《ほろ》ぼした。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヨシュアは、この|地《ち》を|探《さぐ》ったふたりの|人《ひと》に|言《い》った、「あの|遊女《ゆうじょ》の|家《いえ》にはいって、その|女《おんな》と|彼女《かのじょ》に|属《ぞく》するすべてのものを|連《つ》れ|出《だ》し、|彼女《かのじょ》に|誓《ちか》ったようにしなさい」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|斥候《せっこう》となったその|若《わか》い|人《ひと》たちははいって、ラハブとその|父母《ふぼ》、|兄弟《きょうだい》、そのほか|彼女《かのじょ》に|属《ぞく》するすべてのものを|連《つ》れ|出《だ》し、その|親族《しんぞく》をみな|連《つ》れ|出《だ》して、イスラエルの|宿営《しゅくえい》の|外《そと》に|置《お》いた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そして|火《ひ》で|町《まち》とその|中《なか》のすべてのものを|焼《や》いた。ただ、|銀《ぎん》と|金《きん》、|青銅《せいどう》と|鉄《てつ》の|器《うつわ》は、|主《しゅ》の|家《いえ》の|倉《くら》に|納《おさ》めた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|遊女《ゆうじょ》ラハブとその|父《ちち》の|家《いえ》の|一族《いちぞく》と|彼女《かのじょ》に|属《ぞく》するすべてのものとは、ヨシュアが|生《い》かしておいたので、ラハブは|今日《こんにち》までイスラエルのうちに|住《す》んでいる。これはヨシュアがエリコを|探《さぐ》らせるためにつかわした|使者《ししゃ》たちをかくまったためである。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは、その|時《とき》、|人々《ひとびと》に|誓《ちか》いを|立《た》てて|言《い》った、「おおよそ|立《た》って、このエリコの|町《まち》を|再建《さいけん》する|人《ひと》は、|主《しゅ》の|前《まえ》にのろわれるであろう。 [#ここから2字下げ] その|礎《いしずえ》をすえる|人《ひと》は|長子《ちょうし》を|失《うしな》い、 その|門《もん》を|建《た》てる|人《ひと》は|末《すえ》の|子《こ》を|失《うしな》うであろう」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨシュアと|共《とも》におられ、ヨシュアの|名声《めいせい》は、あまねくその|地《ち》に|広《ひろ》がった。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》は|奉納物《ほうのうぶつ》について|罪《つみ》を|犯《おか》した。すなわちユダの|部族《ぶぞく》のうちの、ゼラの|子《こ》ザブデの|子《こ》であるカルミの|子《こ》アカンが|奉納物《ほうのうぶつ》を|取《と》ったのである。それで|主《しゅ》はイスラエルの|人々《ひとびと》にむかって|怒《いか》りを|発《はっ》せられた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはエリコから|人々《ひとびと》をつかわし、ベテルの|東《ひがし》、ベテアベンの|近《ちか》くにあるアイに|行《い》かせようとして、その|人々《ひとびと》に|言《い》った、「|上《のぼ》って|行《い》って、かの|地《ち》を|探《さぐ》ってきなさい」。|人々《ひとびと》は|上《のぼ》って|行《い》って、アイを|探《さぐ》ったが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアのもとに|帰《かえ》ってきて|言《い》った、「|民《たみ》をことごとく|行《い》かせるには|及《およ》びません。ただ二、三千|人《にん》を|上《のぼ》らせて、アイを|撃《う》たせなさい。|彼《かれ》らは|少《すく》ないのですから、|民《たみ》をことごとくあそこへやってほねおりをさせるには|及《およ》びません」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》のうち、おおよそ三千|人《にん》がそこに|上《のぼ》ったが、ついにアイの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|逃《に》げ|出《だ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アイの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らのうち、おおよそ三十六|人《にん》を|殺《ころ》し、|更《さら》に|彼《かれ》らを|門《もん》の|前《まえ》からシバリムまで|追《お》って、|下《くだ》り|坂《ざか》で|彼《かれ》らを|殺《ころ》したので、|民《たみ》の|心《こころ》は|消《き》えて|水《みず》のようになった。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そのためヨシュアは|衣服《いふく》を|裂《さ》き、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちと|共《とも》に、|主《しゅ》の|箱《はこ》の|前《まえ》で、|夕方《ゆうがた》まで|地《ち》にひれ|伏《ふ》し、ちりをかぶった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはなにゆえ、この|民《たみ》にヨルダンを|渡《わた》らせ、われわれをアモリびとの|手《て》に|渡《わた》して|滅《ほろ》ぼさせられるのですか。われわれはヨルダンの|向《む》こうに、|安《やす》んじてとどまればよかったのです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|主《しゅ》よ。イスラエルがすでに|敵《てき》に|背《せ》をむけた|今《いま》となって、わたしはまた|何《なに》を|言《い》い|得《え》ましょう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]カナンびと、およびこの|地《ち》に|住《す》むすべてのものは、これを|聞《き》いて、われわれを|攻《せ》めかこみ、われわれの|名《な》を|地《ち》から|断《た》ち|去《さ》ってしまうでしょう。それであなたは、あなたの|大《おお》いなる|名《な》のために、|何《なに》をしようとされるのですか」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「|立《た》ちなさい。あなたはどうして、そのようにひれ|伏《ふ》しているのか。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|罪《つみ》を|犯《おか》し、わたしが|彼《かれ》らに|命《めい》じておいた|契約《けいやく》を|破《やぶ》った。|彼《かれ》らは|奉納物《ほうのうぶつ》を|取《と》り、|盗《ぬす》み、かつ|偽《いつわ》って、それを|自分《じぶん》の|所有物《しょゆうぶつ》のうちに|入《い》れた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それでイスラエルの|人々《ひとびと》は|敵《てき》に|当《あた》ることができず、|敵《てき》に|背《せ》をむけた。|彼《かれ》らも|滅《ほろ》ぼされるべきものとなったからである。あなたがたが、その|滅《ほろ》ぼされるべきものを、あなたがたのうちから|滅《ほろ》ぼし|去《さ》るのでなければ、わたしはもはやあなたがたとは|共《とも》にいないであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》って、|民《たみ》を|清《きよ》めて|言《い》いなさい、『あなたがたは|身《み》を|清《きよ》めて、あすのために|備《そな》えなさい。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、「イスラエルよ、あなたがたのうちに、|滅《ほろ》ぼされるべきものがある。その|滅《ほろ》ぼされるべきものを、あなたがたのうちから|除《のぞ》き|去《さ》るまでは、|敵《てき》に|当《あた》ることはできないであろう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あすの|朝《あさ》、あなたがたは|部族《ぶぞく》ごとに|進《すす》み|出《で》なければならない。そして|主《しゅ》がくじを|当《あ》てられる|部族《ぶぞく》は、|氏族《しぞく》ごとに|進《すす》みいで、|主《しゅ》がくじを|当《あ》てられる|氏族《しぞく》は、|家族《かぞく》ごとに|進《すす》みいで、|主《しゅ》がくじを|当《あ》てられる|家族《かぞく》は、|男《おとこ》ひとりびとり|進《すす》み|出《で》なければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|滅《ほろ》ぼされるべきものを|持《も》っていて、くじを|当《あ》てられた|者《もの》は、その|持《も》ち|物《もの》|全部《ぜんぶ》と|共《とも》に、|火《ひ》で|焼《や》かれなければならない。|主《しゅ》の|契約《けいやく》を|破《やぶ》りイスラエルのうちに|愚《おろ》かなことを|行《おこな》ったからである』」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き、イスラエルを|部族《ぶぞく》ごとに|進《すす》み|出《だ》させたところ、ユダの|部族《ぶぞく》がくじに|当《あた》り、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ユダのもろもろの|氏族《しぞく》を|進《すす》み|出《だ》させたところ、ゼラびとの|氏族《しぞく》が、くじに|当《あた》った。ゼラびとの|氏族《しぞく》を|家族《かぞく》ごとに|進《すす》み|出《だ》させたところ、ザブデの|家族《かぞく》が、くじに|当《あた》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ザブデの|家族《かぞく》を|男《おとこ》ひとりびとり|進《すす》み|出《だ》させたところ、アカンがくじに|当《あた》った。アカンはユダの|部族《ぶぞく》のうちの、ゼラの|子《こ》、ザブデの|子《こ》なるカルミの|子《こ》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヨシュアはアカンに|言《い》った、「わが|子《こ》よ、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|栄光《えいこう》を|帰《き》し、また|主《しゅ》をさんびし、あなたのしたことを|今《いま》わたしに|告《つ》げなさい。わたしに|隠《かく》してはならない」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アカンはヨシュアに|答《こた》えた、「ほんとうにわたしはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》しました。わたしがしたのはこうです。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはぶんどり|物《もの》のうちに、シナルの|美《うつく》しい|外套《がいとう》一|枚《まい》と|銀《ぎん》二百シケルと、|目方《めかた》五十シケルの|金《きん》の|延《の》べ|棒《ぼう》一|本《ぽん》のあるのを|見《み》て、ほしくなり、それを|取《と》りました。わたしの|天幕《てんまく》の|中《なか》に、|地《ち》に|隠《かく》してあります。|銀《ぎん》はその|下《した》にあります」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアは|使者《ししゃ》たちをつかわした。|使者《ししゃ》たちが|天幕《てんまく》に|走《はし》っていって|見《み》ると、それは|彼《かれ》の|天幕《てんまく》に|隠《かく》してあって、|銀《ぎん》もその|下《した》にあった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそれを|天幕《てんまく》の|中《なか》から|取《と》り|出《だ》して、ヨシュアとイスラエルのすべての|人々《ひとびと》の|所《ところ》に|携《たずさ》えてきたので、それを|主《しゅ》の|前《まえ》に|置《お》いた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはすべてのイスラエルびとと|共《とも》に、ゼラの|子《こ》アカンを|捕《とら》え、かの|銀《ぎん》と|外套《がいとう》と|金《きん》の|延《の》べ|棒《ぼう》、および|彼《かれ》のむすこ、|娘《むすめ》、|牛《うし》、ろば、|羊《ひつじ》、|天幕《てんまく》など、|彼《かれ》の|持《も》ち|物《もの》をことごとく|取《と》って、アコルの|谷《たに》へ|引《ひ》いていった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアは|言《い》った、「なぜあなたはわれわれを|悩《なや》ましたのか。|主《しゅ》は、きょう、あなたを|悩《なや》まされるであろう」。やがてすべてのイスラエルびとは|石《いし》で|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》し、また|彼《かれ》の|家族《かぞく》をも|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》し、|火《ひ》をもって|焼《や》いた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そしてアカンの|上《うえ》に|石塚《いしづか》を|大《おお》きく|積《つ》み|上《あ》げたが、それは|今日《こんにち》まで|残《のこ》っている。そして|主《しゅ》は|激《はげ》しい|怒《いか》りをやめられたが、このことによって、その|所《ところ》の|名《な》は|今日《こんにち》までアコルの|谷《たに》と|呼《よ》ばれている。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「|恐《おそ》れてはならない、おののいてはならない。いくさびとを|皆《みな》、|率《ひき》い、|立《た》って、アイに|攻《せ》め|上《のぼ》りなさい。わたしはアイの|王《おう》とその|民《たみ》、その|町《まち》、その|地《ち》をあなたの|手《て》に|授《さづ》ける。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、さきにエリコとその|王《おう》にしたとおり、アイとその|王《おう》とにしなければならない。ただし、ぶんどり|物《もの》と|家畜《かちく》とは|戦利《せんり》|品《ひん》としてあなたがたのものとすることができるであろう。あなたはまず、|町《まち》のうしろに|伏兵《ふくへい》を|置《お》きなさい」。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|立《た》って、すべてのいくさびとと|共《とも》に、アイに|攻《せ》め|上《のぼ》ろうとして、まず|大《だい》|勇士《ゆうし》三万|人《にん》を|選《えら》び、それを|夜《よる》のうちにつかわした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|彼《かれ》らに|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたは|町《まち》に|向《む》かって、|町《まち》のうしろに|伏《ふ》せていなければならない。|町《まち》を|遠《とお》く|離《はな》れないで、みな|備《そな》えをしていなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしとわたしに|従《したが》う|民《たみ》とは|皆《みな》|共《とも》に、|町《まち》に|攻《せ》め|寄《よ》せよう。そして|彼《かれ》らが|前《まえ》のようにわれわれにむかって|出《で》てくるとき、われわれは|彼《かれ》らの|前《まえ》から|逃《に》げるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば|彼《かれ》らはわれわれを|追《お》って|出《で》てくるであろうから、われわれはついに|彼《かれ》らを|町《まち》からおびき|出《だ》すことができる。|彼《かれ》らは|言《い》うであろう、『この|人々《ひとびと》はまた|前《まえ》のように、われわれの|前《まえ》から|逃《に》げていく』。こうしてわれわれは|彼《かれ》らの|前《まえ》から|逃《に》げるであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あなたがたは|伏《ふ》せている|所《ところ》から|立《た》ち|上《あ》がって、|町《まち》を|取《と》らなければならない。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》がそれをあなたがたの|手《て》に|与《あた》えられるからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、|町《まち》を|取《と》ったならば、|町《まち》に|火《ひ》を|放《はな》ち、|主《しゅ》が|命《めい》じられたようにしなければならない。わたしはこう、あなたがたに|命《めい》じるのである」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そうしてヨシュアが|彼《かれ》らをつかわしたので、|彼《かれ》らはアイの|西方《せいほう》、ベテルとアイの|間《あいだ》の|待《ま》ち|伏《ぶ》せする|場所《ばしょ》に|行《い》って|身《み》を|伏《ふ》せた。ヨシュアはその|夜《よる》、|民《たみ》の|中《なか》に|宿《やど》った。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|明《あ》くる|朝《あさ》、|早《はや》く|起《お》きて、|民《たみ》を|集《あつ》め、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちと|共《とも》に、|民《たみ》に|先立《さきだ》って、アイに|上《のぼ》っていった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》と|共《とも》にいたいくさびとたちもみな|上《のぼ》っていって、|町《まち》の|前《まえ》に|近《ちか》づき、アイの|北《きた》に|陣《じん》を|取《と》った。|彼《かれ》らとアイの|間《あいだ》には、一つの|谷《たに》があった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはおおよそ五千|人《にん》をとって、|町《まち》の|西方《せいほう》、ベテルとアイの|間《あいだ》に、|伏《ふ》せておいた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》の|主力《しゅりょく》を|町《まち》の|北《きた》におき、しんがりを|町《まち》の|西《にし》においた。ヨシュアはその|夜《よ》、|谷《たに》の|中《なか》で|宿《やど》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アイの|王《おう》はこれを|見《み》て、すべての|民《たみ》と|共《とも》に、|急《いそ》いで、|早《はや》く|起《お》き、アラバに|行《い》く|下《くだ》り|坂《ざか》に|進《すす》み|出《で》て、イスラエルと|戦《たたか》った。しかし、|王《おう》は|町《まち》のうしろに、すきをうかがう|伏兵《ふくへい》のおることを|知《し》らなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはイスラエルのすべての|人々《ひとびと》と|共《とも》に、|彼《かれ》らに|打《う》ち|破《やぶ》られたふりをして、|荒野《あらの》の|方向《ほうこう》へ|逃《に》げだしたので、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|町《まち》の|民《たみ》はみな|呼《よ》ばわり|集《あつ》まって|彼《かれ》らのあとを|追《お》い、ヨシュアのあとを|追《お》って|町《まち》からおびき|出《だ》され、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アイにもベテルにも|残《のこ》っているものはひとりもなく、みな|出《で》てイスラエルのあとを|追《お》い、|町《まち》を|開《あ》け|放《はな》して、イスラエルのあとを|追《お》った。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「あなたの|手《て》にあるなげやりを、アイの|方《ほう》にさし|伸《の》べなさい。わたしはその|町《まち》をあなたの|手《て》に|与《あた》えるであろう」。そこでヨシュアが|手《て》にしていたなげやりを、アイの|方《ほう》にさし|伸《の》べると、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|伏兵《ふくへい》はたちまちその|場所《ばしょ》から|立《た》ち|上《あ》がり、ヨシュアが|手《て》をのべると|同時《どうじ》に、|走《はし》って|町《まち》に|入《はい》り、それを|取《と》って、ただちに|町《まち》に|火《ひ》をかけた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それでアイの|人々《ひとびと》が、うしろをふり|返《かえ》って|見《み》ると、|町《まち》の|焼《や》ける|煙《けむり》が|天《てん》に|立《た》ちのぼっていたので、こちらへもあちらへも|逃《に》げるすべがなかった。|荒野《あらの》へ|逃《に》げていった|民《たみ》も|身《み》をかえして、|追《お》ってきた|者《もの》に|迫《せま》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアとすべてのイスラエルびとは、|伏兵《ふくへい》が|町《まち》を|取《と》り、|町《まち》の|焼《や》ける|煙《けむり》が|立《た》ち|上《のぼ》るのを|見《み》て、|身《み》をかえしてアイの|人々《ひとびと》を|撃《う》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|町《まち》を|取《と》ったものは|町《まち》を|出《で》て|彼《かれ》らに|向《む》かったので、|彼《かれ》らは、こちらとあちらとからイスラエルの|中《なか》にはさまれた。こうしてイスラエルびとが|彼《かれ》らを|撃《う》ったので、|生《い》き|残《のこ》ったもの、|逃《に》げおおせたものは、ひとりもなかった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてアイの|王《おう》を|生《い》けどりにして、ヨシュアのもとへ|連《つ》れてきた。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルびとは、|荒野《あらの》に|追撃《ついげき》してきたアイの|住民《じゅうみん》をことごとく|野《の》で|殺《ころ》し、つるぎをもってひとりも|残《のこ》さず|撃《う》ち|倒《たお》してのち、|皆《みな》アイに|帰《かえ》り、つるぎをもってその|町《まち》を|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼした。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》アイの|人々《ひとびと》はことごとく|倒《たお》れた。その|数《かず》は|男女《だんじょ》あわせて一万二千|人《にん》であった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはアイの|住民《じゅうみん》をことごとく|滅《ほろ》ぼしつくすまでは、なげやりをさし|伸《の》べた|手《て》を|引《ひ》っこめなかった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|町《まち》の|家畜《かちく》および、ぶんどり|品《ひん》はイスラエルびとが|自分《じぶん》たちの|戦利《せんり》|品《ひん》として|取《と》った。|主《しゅ》がヨシュアに|命《めい》じられた|言葉《ことば》にしたがったのである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアはアイを|焼《や》いて、|永久《えいきゅう》に|荒塚《あらつか》としたが、それは|今日《こんにち》まで|荒《あ》れ|地《ち》となっている。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまた、アイの|王《おう》を|夕方《ゆうがた》まで|木《き》に|掛《か》けてさらし、|日《ひ》の|入《い》るころ、|命《めい》じて、その|死体《したい》を|木《き》から|取《と》りおろし、|町《まち》の|門《もん》の|入口《いりぐち》に|投《な》げすて、その|上《うえ》に|石《いし》の|大塚《おおつか》を|積《つ》み|上《あ》げさせたが、それは|今日《こんにち》まで|残《のこ》っている。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアはエバル|山《やま》にイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》のために一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》のしもべモーセがイスラエルの|人々《ひとびと》に|命《めい》じたことにもとづき、モーセの|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるされているように、|鉄《てつ》の|道具《どうぐ》を|当《あ》てない|自然《しぜん》のままの|石《いし》の|祭壇《さいだん》であって、|人々《ひとびと》はその|上《うえ》で、|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》をささげ、|酬恩祭《しゅうおんさい》を|供《そな》えた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》で、ヨシュアはまたモーセの|書《か》きしるした|律法《りっぽう》を、イスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》で、|石《いし》に|書《か》き|写《うつ》した。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてすべてのイスラエルびとは、|本国《ほんごく》|人《じん》も、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》も、|長老《ちょうろう》、つかさびと、さばきびとと|共《とも》に、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかくレビびとである|祭司《さいし》たちの|前《まえ》で、|箱《はこ》のこなたとかなたに|分《わか》れて、|半《なか》ばはゲリジム|山《やま》の|前《まえ》に、|半《なか》ばはエバル|山《やま》の|前《まえ》に|立《た》った。これは|主《しゅ》のしもべモーセがさきに|命《めい》じたように、イスラエルの|民《たみ》を|祝福《しゅくふく》するためであった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そして|後《のち》、ヨシュアはすべての|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるされている|所《ところ》にしたがって、|祝福《しゅくふく》と、のろいとに|関《かん》する|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》をことごとく|読《よ》んだ。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|命《めい》じたすべての|言葉《ことば》のうち、ヨシュアがイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》および|女《おんな》と|子《こ》どもたち、ならびにイスラエルのうちに|住《す》む|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》の|前《まえ》で、|読《よ》まなかったものは一つもなかった。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ヨルダンの|西側《にしがわ》の、|山地《さんち》、|平地《へいち》、およびレバノンまでの|大海《たいかい》の|沿岸《えんがん》に|住《す》むもろもろの|王《おう》たち、すなわちヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの|王《おう》たちは、これを|聞《き》いて、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》を|合《あ》わせ、|相《あい》|集《あつ》まって、ヨシュアおよびイスラエルと|戦《たたか》おうとした。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ギベオンの|住民《じゅうみん》たちは、ヨシュアがエリコとアイにおこなったことを|聞《き》いて、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》たちも|策略《さくりゃく》をめぐらし、|行《い》って|食料《しょくりょう》|品《ひん》を|準備《じゅんび》し、|古《ふる》びた|袋《ふくろ》と、|古《ふる》びて|破《やぶ》れたのを|繕《つくろ》ったぶどう|酒《しゅ》の|皮《かわ》|袋《ぶくろ》とを、ろばに|負《お》わせ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|繕《つくろ》った|古《ふる》ぐつを|足《あし》にはき、|古《ふる》びた|着物《きもの》を|身《み》につけた。|彼《かれ》らの|食料《しょくりょう》のパンは、みなかわいて、|砕《くだ》けていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはギルガルの|陣営《じんえい》のヨシュアの|所《ところ》にきて、|彼《かれ》とイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「われわれは|遠《とお》い|国《くに》からまいりました。それで|今《いま》われわれと|契約《けいやく》を|結《むす》んでください」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》はそのヒビびとたちに|言《い》った、「あなたがたはわれわれのうちに|住《す》んでいるのかも|知《し》れないから、われわれはどうしてあなたがたと|契約《けいやく》が|結《むす》べましょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨシュアに|言《い》った、「われわれはあなたのしもべです」。ヨシュアは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはだれですか。どこからきたのですか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨシュアに|言《い》った、「しもべどもはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のゆえに、ひじょうに|遠《とお》い|国《くに》からまいりました。われわれは|主《しゅ》の|名声《めいせい》、および|主《しゅ》がエジプトで|行《おこな》われたすべての|事《こと》を|聞《き》き、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》がヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》にいたアモリびとのふたりの|王《おう》、すなわちヘシボンの|王《おう》シホン、およびアシタロテにおったバシャンの|王《おう》オグに|行《おこな》われたすべてのことを|聞《き》いたからです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それで、われわれの|長老《ちょうろう》たち、および|国《くに》の|住民《じゅうみん》はみなわれわれに|言《い》いました、『おまえたちは|旅路《たびじ》の|食料《しょくりょう》を|手《て》に|携《たずさ》えていって、|彼《かれ》らに|会《あ》って|言《い》いなさい、「われわれはあなたがたのしもべです。それで|今《いま》われわれと|契約《けいやく》を|結《むす》んでください」』。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ここにあるこのパンは、あなたがたの|所《ところ》に|来《く》るため、われわれが|出立《しゅったつ》する|日《ひ》に、おのおの|家《いえ》から、まだあたたかなのを|旅《たび》の|食料《しょくりょう》として|準備《じゅんび》したのですが、|今《いま》はもうかわいて|砕《くだ》けています。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またぶどう|酒《しゅ》を|満《み》たしたこれらの|皮《かわ》|袋《ぶくろ》も、|新《あたら》しかったのですが、|破《やぶ》れました。われわれのこの|着物《きもの》も、くつも、|旅路《たびじ》がひじょうに|長《なが》かったので、|古《ふる》びてしまいました」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らの|食料《しょくりょう》|品《ひん》を|共《とも》に|食《た》べ、|主《しゅ》のさしずを|求《もと》めようとはしなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアは|彼《かれ》らと|和《わ》を|講《こう》じ、|契約《けいやく》を|結《むす》んで、|彼《かれ》らを|生《い》かしておいた。|会衆《かいしゅう》の|長《ちょう》たちは|彼《かれ》らに|誓《ちか》いを|立《た》てた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|契約《けいやく》を|結《むす》んで三|日《か》の|後《のち》に、|彼《かれ》らはその|人々《ひとびと》が|近《ちか》くの|人々《ひとびと》で、|自分《じぶん》たちのうちに|住《す》んでいるということを|聞《き》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|進《すす》んで、三|日《か》|目《め》にその|町々《まちまち》に|着《つ》いた。その|町々《まちまち》とは、ギベオン、ケピラ、ベエロテおよびキリアテ・ヤリムであった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ところで|会衆《かいしゅう》の|長《ちょう》たちが、すでにイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》をさして|彼《かれ》らに|誓《ちか》いを|立《た》てていたので、イスラエルの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らを|殺《ころ》さなかった。そこで|会衆《かいしゅう》はみな、|長《ちょう》たちにむかってつぶやいた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|長《ちょう》たちは|皆《みな》、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》った、「われわれはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》をさして|彼《かれ》らに|誓《ちか》った。それゆえ|今《いま》、|彼《かれ》らに|触《ふ》れてはならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれは、こうして|彼《かれ》らを|生《い》かしておこう。そうすれば、われわれが|彼《かれ》らに|立《た》てた|誓《ちか》いのゆえに、|怒《いか》りがわれわれに|臨《のぞ》むことはないであろう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|長《ちょう》たちはまた|人々《ひとびと》に「|彼《かれ》らを|生《い》かしておこう」と|言《い》ったので、|彼《かれ》らはついに、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》のために、たきぎを|切《き》り、|水《みず》をくむものとなった。|長《ちょう》たちが|彼《かれ》らに|言《い》ったとおりである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|彼《かれ》らを|呼《よ》び|寄《よ》せて|言《い》った、「あなたがたは、われわれのうちに|住《す》みながら、なぜ『われわれはあなたがたからは|遠《とお》く|離《はな》れている』と|言《い》って、われわれをだましたのか。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それであなたがたは|今《いま》のろわれ、|奴隷《どれい》となってわたしの|神《かみ》の|家《いえ》のために、たきぎを|切《き》り、|水《みず》をくむものが、|絶《た》えずあなたがたのうちから|出《で》るであろう」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨシュアに|答《こた》えて|言《い》った、「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がそのしもべモーセに、この|地《ち》をことごとくあなたがたに|与《あた》え、この|地《ち》に|住《す》む|民《たみ》をことごとくあなたがたの|前《まえ》から|滅《ほろ》ぼし|去《さ》るようにと、お|命《めい》じになったことを、しもべどもは|明《あき》らかに|伝《つた》え|聞《き》きましたので、あなたがたのゆえに、|命《いのち》が|危《あやう》いと、われわれは|非常《ひじょう》に|恐《おそ》れて、このことをしたのです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]われわれは、|今《いま》、あなたの|手《て》のうちにあります。われわれにあなたがして|良《よ》いと|思《おも》い、|正《ただ》しいと|思《おも》うことをしてください」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアは、|彼《かれ》らにそのようにし、|彼《かれ》らをイスラエルの|人々《ひとびと》の|手《て》から|救《すく》って|殺《ころ》させなかった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ヨシュアは、その|日《ひ》、|彼《かれ》らを、|会衆《かいしゅう》のため、また|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》のため、|主《しゅ》が|選《えら》ばれる|場所《ばしょ》で、たきぎを|切《き》り、|水《みず》をくむ|者《もの》とした。これは|今日《こんにち》までつづいている。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|王《おう》アドニゼデクは、ヨシュアがアイを|攻《せ》め|取《と》って、それを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼし、さきにエリコとその|王《おう》とにしたように、アイとその|王《おう》にもしたこと、またギベオンの|住民《じゅうみん》が、イスラエルと|和《わ》を|講《こう》じて、そのうちにおることを|聞《き》き、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いに|恐《おそ》れた。それは、ギベオンが|大《おお》きな|町《まち》であって、|王《おう》の|都《みやこ》にもひとしいものであり、またアイより|大《おお》きくて、そのうちの|人々《ひとびと》が、すべて|強《つよ》かったからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでエルサレムの|王《おう》アドニゼデクは、ヘブロンの|王《おう》ホハム、ヤルムテの|王《おう》ピラム、ラキシの|王《おう》ヤピア、およびエグロンの|王《おう》デビルに|人《ひと》をつかわして|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「わたしの|所《ところ》に|上《のぼ》ってきて、わたしを|助《たす》けてください。われわれはギベオンを|撃《う》ちましょう。ギベオンはヨシュアおよびイスラエルの|人々《ひとびと》と|和《わ》を|講《こう》じたからです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アモリびとの五|人《にん》の|王《おう》、すなわちエルサレムの|王《おう》、ヘブロンの|王《おう》、ヤルムテの|王《おう》、ラキシの|王《おう》、およびエグロンの|王《おう》は|兵《へい》を|集《あつ》め、そのすべての|軍勢《ぐんぜい》を|率《ひき》いて|上《のぼ》ってきて、ギベオンに|向《む》かって|陣《じん》を|取《と》り、それを|攻《せ》めて|戦《たたか》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ギベオンの|人々《ひとびと》は、ギルガルの|陣営《じんえい》に|人《ひと》をつかわし、ヨシュアに|言《い》った、「あなたの|手《て》を|引《ひ》かないで、しもべどもを|助《たす》けてください。|早《はや》く、われわれの|所《ところ》に|上《のぼ》ってきて、われわれを|救《すく》い、|助《たす》けてください。|山地《さんち》に|住《す》むアモリびとの|王《おう》たちがみな|集《あつ》まって、われわれを|攻《せ》めるからです」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアはすべてのいくさびとと、すべての|大《だい》|勇士《ゆうし》を|率《ひき》いて、ギルガルから|上《のぼ》って|行《い》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。わたしが|彼《かれ》らをあなたの|手《て》にわたしたからである。|彼《かれ》らのうちには、あなたに|当《あた》ることのできるものは、ひとりもないであろう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは、ギルガルから、よもすがら|進《すす》みのぼって、にわかに|彼《かれ》らに|攻《せ》めよせたところ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らを、イスラエルの|前《まえ》に、|恐《おそ》れあわてさせられたので、イスラエルはギベオンで|彼《かれ》らをおびただしく|撃《う》ち|殺《ころ》し、ベテホロンの|上《のぼ》り|坂《ざか》をとおって|逃《に》げる|彼《かれ》らを、アゼカとマッケダまで|追撃《ついげき》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがイスラエルの|前《まえ》から|逃《に》げ|走《はし》って、ベテホロンの|下《くだ》り|坂《ざか》をおりていた|時《とき》、|主《しゅ》は|天《てん》から|彼《かれ》らの|上《うえ》に|大石《おおいし》を|降《ふ》らし、アゼカにいたるまでもそうされたので、|多《おお》くの|人々《ひとびと》が|死《し》んだ。イスラエルの|人々《ひとびと》がつるぎをもって|殺《ころ》したものよりも、|雹《ひょう》に|打《う》たれて|死《し》んだもののほうが|多《おお》かった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がアモリびとをイスラエルの|人々《ひとびと》にわたされた|日《ひ》に、ヨシュアはイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》で|主《しゅ》にむかって|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|日《ひ》よ、ギベオンの|上《うえ》にとどまれ、 |月《つき》よ、アヤロンの|谷《たに》にやすらえ」。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》がその|敵《てき》を|撃《う》ち|破《やぶ》るまで、 |日《ひ》はとどまり、 |月《つき》は|動《うご》かなかった。 [#ここで字下げ終わり] これはヤシャルの|書《しょ》にしるされているではないか。|日《ひ》が|天《てん》の|中空《ちゅうくう》にとどまって、|急《いそ》いで|没《ぼっ》しなかったこと、おおよそ一|日《にち》であった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これより|先《さき》にも、あとにも、|主《しゅ》がこのように|人《ひと》の|言葉《ことば》を|聞《き》きいれられた|日《ひ》は一|日《にち》もなかった。|主《しゅ》がイスラエルのために|戦《たたか》われたからである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアはイスラエルのすべての|人《ひと》と|共《とも》にギルガルの|陣営《じんえい》に|帰《かえ》った。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]かの五|人《にん》の|王《おう》たちは|逃《に》げて|行《い》って、マッケダのほら|穴《あな》に|隠《かく》れたが、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]五|人《にん》の|王《おう》たちがマッケダのほら|穴《あな》にかくれているのが|見《み》つかったと、ヨシュアに|告《つ》げる|者《もの》があったので、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|言《い》った、「ほら|穴《あな》の|口《くち》に|大石《おおいし》をころがし、そのそばに|人《ひと》を|置《お》いて、|守《まも》らせなさい。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ただし、あなたがたは、そこにとどまらないで、|敵《てき》のあとを|追《お》い、そのしんがりを|撃《う》ち、|彼《かれ》らをその|町《まち》にはいらせてはならない。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|彼《かれ》らをあなたがたの|手《て》に|渡《わた》されたからである」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアとイスラエルの|人々《ひとびと》は、|大《おお》いに|彼《かれ》らを|撃《う》ち|殺《ころ》し、ついに|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしつくしたが、|彼《かれ》らのうちのがれて|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》どもは、|堅固《けんご》な|町々《まちまち》に|逃《に》げこんだので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はみな|安《やす》らかにマッケダの|陣営《じんえい》のヨシュアのもとに|帰《かえ》ってきたが、イスラエルの|人々《ひとびと》にむかって|舌《した》を|鳴《な》らす|者《もの》はひとりもなかった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヨシュアは|言《い》った、「ほら|穴《あな》の|口《くち》を|開《ひら》いて、ほら|穴《あな》から、かの五|人《にん》の|王《おう》たちを、わたしのもとにひき|出《だ》しなさい」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]やがて、そのようにして、かの五|人《にん》の|王《おう》たち、すなわち、エルサレムの|王《おう》、ヘブロンの|王《おう》、ヤルムテの|王《おう》、ラキシの|王《おう》、およびエグロンの|王《おう》を、ほら|穴《あな》から|彼《かれ》のもとにひき|出《だ》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]この|王《おう》たちをヨシュアのもとにひき|出《だ》した|時《とき》、ヨシュアはイスラエルのすべての|人々《ひとびと》を|呼《よ》び|寄《よ》せ、|自分《じぶん》と|共《とも》に|行《い》ったいくさびとの|長《ちょう》たちに|言《い》った、「|近寄《ちかよ》って、この|王《おう》たちのくびに|足《あし》をかけなさい」。そこで|近寄《ちかよ》って、その|王《おう》たちのくびに|足《あし》をかけたので、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|恐《おそ》れおののいてはならない。|強《つよ》くまた|雄々《おお》しくあれ。あなたがたが|攻《せ》めて|戦《たたか》うすべての|敵《てき》には、|主《しゅ》がこのようにされるのである」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そして|後《のち》ヨシュアは|彼《かれ》らを|撃《う》って|死《し》なせ、五|本《ほん》の|木《き》にかけて、|夕暮《ゆうぐ》れまで|木《き》の|上《うえ》にさらして|置《お》いたが、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》の|入《い》るころになって、ヨシュアが|命《めい》じたので、これを|木《き》からおろし、|彼《かれ》らが|隠《かく》れていたほら|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れ、ほら|穴《あな》の|口《くち》に|大石《おおいし》を|置《お》いた。これは|今日《こんにち》まで|残《のこ》っている。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ヨシュアはマッケダを|取《と》り、つるぎをもって、それと、その|王《おう》とを|撃《う》ち、その|中《なか》のすべての|人《ひと》を、ことごとく|滅《ほろ》ぼして、ひとりも|残《のこ》さず、エリコの|王《おう》にしたように、マッケダの|王《おう》にもした。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアはイスラエルのすべての|人《ひと》を|率《ひき》いて、マッケダからリブナに|進《すす》み、リブナを|攻《せ》めて|戦《たたか》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が、それと、その|王《おう》をも、イスラエルの|手《て》に|渡《わた》されたので、つるぎをもって、それと、その|中《なか》のすべての|人《ひと》を|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼして、ひとりもその|中《なか》に|残《のこ》さず、エリコの|王《おう》にしたように、その|王《おう》にもした。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまたイスラエルのすべての|人《ひと》を|率《ひき》いて、リブナからラキシに|進《すす》み、これに|向《む》かって|陣《じん》をしき、|攻《せ》め|戦《たたか》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がラキシをイスラエルの|手《て》に|渡《わた》されたので、ふつか|目《め》にこれを|取《と》り、つるぎをもって、それと、その|中《なか》のすべての|人《ひと》を|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼした。すべてリブナにしたとおりであった。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ゲゼルの|王《おう》ホラムが、ラキシを|助《たす》けるために|上《のぼ》ってきたので、ヨシュアは|彼《かれ》と、その|民《たみ》とを|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼして、ついにひとりも|残《のこ》さなかった。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまたイスラエルのすべての|人《ひと》を|率《ひき》いて、ラキシからエグロンに|進《すす》み、これに|向《む》かって|陣《じん》をしき、|攻《せ》め|戦《たたか》った。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》これを|取《と》り、つるぎをもって、これを|撃《う》ち、その|中《なか》のすべての|人《ひと》を、ことごとくその|日《ひ》に|滅《ほろ》ぼした。すべてラキシにしたとおりであった。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまたイスラエルのすべての|人《ひと》を|率《ひき》いて、エグロンからヘブロンに|進《すす》み|上《のぼ》り、これを|攻《せ》めて|戦《たたか》い、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]それを|取《と》って、それと、その|王《おう》、およびそのすべての|町々《まちまち》と、その|中《なか》のすべての|人《ひと》を、つるぎをもって|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼし、ひとりも|残《のこ》さなかった。すべてエグロンにしたとおりであった。すなわち、それとその|中《なか》のすべての|人《ひと》を、ことごとく|滅《ほろ》ぼした。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]またヨシュアはイスラエルのすべての|人《ひと》を|率《ひき》いて、デビルへひきかえし、これを|攻《せ》めて|戦《たたか》い、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]それと、その|王《おう》、およびそのすべての|町々《まちまち》を|取《と》り、つるぎをもってそれを|撃《う》ち、その|中《なか》のすべての|人《ひと》を、ことごとく|滅《ほろ》ぼし、ひとりも|残《のこ》さなかった。|彼《かれ》がデビルと、その|王《おう》にしたことは、ヘブロンにしたとおりであり、またリブナと、その|王《おう》にしたとおりであった。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアはその|地《ち》の|全部《ぜんぶ》、すなわち、|山地《さんち》、ネゲブ、|平地《へいち》、および|山腹《さんぷく》の|地《ち》と、そのすべての|王《おう》たちを|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼして、ひとりも|残《のこ》さず、すべて|息《いき》のあるものは、ことごとく|滅《ほろ》ぼした。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりであった。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはカデシ・バルネアからガザまでの|国々《くにぐに》、およびゴセンの|全《ぜん》|地《ち》を|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼして、ギベオンにまで|及《およ》んだ。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》がイスラエルのために|戦《たたか》われたので、ヨシュアはこれらすべての|王《おう》たちと、その|地《ち》をいちどきに|取《と》った。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアはイスラエルのすべての|人《ひと》を|率《ひき》いて、ギルガルの|陣営《じんえい》に|帰《かえ》った。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ハゾルの|王《おう》ヤビンは、これを|聞《き》いて、マドンの|王《おう》ヨバブ、シムロンの|王《おう》、およびアクサフの|王《おう》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|北《きた》の|山地《さんち》、キンネロテの|南《みなみ》のアラバ、|平地《へいち》、|西《にし》の|方《ほう》のドルの|高地《こうち》におる|王《おう》たち、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|東西《とうざい》のカナンびと、アモリびと、ヘテびと、ペリジびと、|山地《さんち》のエブスびと、ミヅパの|地《ち》にあるヘルモンのふもとのヒビびとに|使者《ししゃ》をつかわした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは、そのすべての|軍勢《ぐんぜい》を|率《ひき》いて|出《で》てきた。その|大軍《たいぐん》は|浜《はま》べの|砂《すな》のように|数多《かずおお》く、|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》も、ひじょうに|多《おお》かった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これらの|王《おう》たちはみな|軍《ぐん》を|集《あつ》め、|進《すす》んできて、|共《とも》にメロムの|水《みず》のほとりに|陣《じん》をしき、イスラエルと|戦《たたか》おうとした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、「|彼《かれ》らのゆえに|恐《おそ》れてはならない。あすの|今《いま》ごろ、わたしは|彼《かれ》らを|皆《みな》イスラエルに|渡《わた》して、ことごとく|殺《ころ》させるであろう。あなたは|彼《かれ》らの|馬《うま》の|足《あし》の|筋《すじ》を|切《き》り、|戦車《せんしゃ》を|火《ひ》で|焼《や》かなければならない」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアは、すべてのいくさびとを|率《ひき》いて、にわかにメロムの|水《みず》のほとりにおし|寄《よ》せ、|彼《かれ》らを|襲《おそ》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らをイスラエルの|手《て》に|渡《わた》されたので、これを|撃《う》ち|破《やぶ》り、|大《だい》シドンおよびミスレポテ・マイムまで、これを|追撃《ついげき》し、|東《ひがし》の|方《ほう》では、ミヅパの|谷《たに》まで|彼《かれ》らを|追《お》い、ついにひとりも|残《のこ》さず|撃《う》ちとった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|主《しゅ》が|命《めい》じられたとおりに|彼《かれ》らに|行《おこな》い、|彼《かれ》らの|馬《うま》の|足《あし》の|筋《すじ》を|切《き》り、|戦車《せんしゃ》を|火《ひ》で|焼《や》いた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ヨシュアはひきかえして、ハゾルを|取《と》り、つるぎをもって、その|王《おう》を|撃《う》った。ハゾルは|昔《むかし》、これらすべての|国々《くにぐに》の|盟主《めいしゅ》であったからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはつるぎをもって、その|中《なか》のすべての|人《ひと》を|撃《う》ち、ことごとくそれを|滅《ほろ》ぼし、|息《いき》のあるものは、ひとりも|残《のこ》さなかった。そして|火《ひ》をもってハゾルを|焼《や》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはこれらの|王《おう》たちのすべての|町々《まちまち》、およびその|諸王《しょおう》を|取《と》り、つるぎをもって、これを|撃《う》ち、ことごとく|滅《ほろ》ぼした。|主《しゅ》のしもべモーセが|命《めい》じたとおりであった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|丘《おか》の|上《うえ》に|立《た》っている|町々《まちまち》をイスラエルは|焼《や》かなかった。ヨシュアはただハゾルだけを|焼《や》いた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これらの|町《まち》のすべてのぶんどり|物《もの》と|家畜《かちく》とは、イスラエルの|人々《ひとびと》が|戦利《せんり》|品《ひん》として|取《と》ったが、|人《ひと》はみなつるぎをもって、|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》し、|息《いき》のあるものは、ひとりも|残《のこ》さなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がそのしもべモーセに|命《めい》じられたように、モーセはヨシュアに|命《めい》じたが、ヨシュアはそのとおりにおこなった。すべて|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたことで、ヨシュアが|行《おこな》わなかったことは一つもなかった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアはその|全《ぜん》|地《ち》、すなわち、|山地《さんち》、ネゲブの|全《ぜん》|地《ち》、ゴセンの|全《ぜん》|地《ち》、|平地《へいち》、アラバならびにイスラエルの|山地《さんち》と|平地《へいち》を|取《と》り、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]セイルへ|上《のぼ》って|行《い》く|道《みち》のハラク|山《やま》から、ヘルモン|山《やま》のふもとのレバノンの|谷《たに》にあるバアルガデまでを|獲《え》た。そしてそれらの|王《おう》たちを、ことごとく|捕《とら》えて、|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはこれらすべての|王《おう》たちと、|長《なが》いあいだ|戦《たたか》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ギベオンの|住民《じゅうみん》ヒビびとのほかには、イスラエルの|人々《ひとびと》と|和《わ》を|講《こう》じた|町《まち》は一つもなかった。|町々《まちまち》はみな|戦争《せんそう》をして、|攻《せ》め|取《と》ったものであった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|心《こころ》をかたくなにして、イスラエルに|攻《せ》めよせたのは、もともと|主《しゅ》がそうさせられたので、|彼《かれ》らがのろわれた|者《もの》となり、あわれみを|受《う》けず、ことごとく|滅《ほろ》ぼされるためであった。|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ヨシュアはまた|行《い》って、|山地《さんち》、ヘブロン、デビル、アナブ、ユダのすべての|山地《さんち》、イスラエルのすべての|山地《さんち》から、アナクびとを|断《た》ち、|彼《かれ》らの|町々《まちまち》をも|共《とも》に|滅《ほろ》ぼした。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それでイスラエルの|人々《ひとびと》の|地《ち》に、アナクびとは、ひとりもいなくなった。ただガサ、ガテ、アシドドには、|少《すこ》し|残《のこ》っているだけであった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアはその|地《ち》を、ことごとく|取《と》った。すべて|主《しゅ》がモーセに|告《つ》げられたとおりである。そしてヨシュアはイスラエルの|部族《ぶぞく》にそれぞれの|分《ぶん》を|与《あた》えて、|嗣《し》|業《ぎょう》とさせた。こうしてその|地《ち》に|戦争《せんそう》はやんだ。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、|日《ひ》の|出《で》の|方《ほう》で、アルノンの|谷《たに》からヘルモン|山《やま》まで、および|東《ひがし》アラバの|全土《ぜんど》のうちで、イスラエルの|人々《ひとびと》が|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼして|地《ち》を|取《と》った|国《くに》の|王《おう》たちは、|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]まず、アモリびとの|王《おう》シホン。|彼《かれ》はヘシボンに|住《す》み、その|領地《りょうち》は、アルノンの|谷《たに》のほとりにあるアロエル、および|谷《たに》の|中《なか》の|町《まち》から、ギレアデの|半《なか》ばを|占《し》めて、アンモンびととの|境《さかい》であるヤボク|川《かわ》に|達《たっ》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》の|方《ほう》ではアラバをキンネレテの|湖《みずうみ》まで|占《し》め、またアラバの|海《うみ》すなわち|塩《しお》の|海《うみ》の|東《ひがし》におよび、ベテエシモテの|道《みち》を|経《へ》て、|南《みなみ》はピスガの|山《やま》のふもとに|達《たっ》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にレパイムの|生《い》き|残《のこ》りのひとりであったバシャンの|王《おう》オグ。|彼《かれ》はアシタロテとエデレイとに|住《す》み、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヘルモン|山《やま》、サレカ、およびバシャンの|全土《ぜんど》を|領《りょう》したので、ゲシュルびと、およびマアカびとと|境《さかい》を|接《せっ》し、またギレアデの|半《なか》ばを|領《りょう》したので、ヘシボンの|王《おう》シホンと|境《さかい》を|接《せっ》していた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のしもべモーセと、イスラエルの|人々《ひとびと》とが、|彼《かれ》らを|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼし、そして|主《しゅ》のしもべモーセは、これらの|地《ち》を、ルベンびと、ガドびと、およびマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》に|与《あた》えて|所有《しょゆう》とさせた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨルダンのこちら|側《がわ》、|西《にし》の|方《ほう》にあって、レバノンの|谷《たに》にあるバアルガデから、セイルへ|上《のぼ》って|行《い》く|道《みち》のハラク|山《やま》までの|間《あいだ》で、ヨシュアと、イスラエルの|人々《ひとびと》とが、|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼした|国《くに》の|王《おう》たちは、|次《つぎ》のとおりである。ヨシュアは|彼《かれ》らの|地《ち》をイスラエルの|部族《ぶぞく》に、それぞれの|分《ぶん》を|与《あた》えて|嗣《し》|業《ぎょう》とさせた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これは、|山地《さんち》、|平地《へいち》、アラバ、|山腹《さんぷく》、|荒野《あらの》、およびネゲブであって、ヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの|所領《しょりょう》であった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エリコの|王《おう》ひとり。ベテルのほとりのアイの|王《おう》ひとり。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|王《おう》ひとり。ヘブロンの|王《おう》ひとり。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヤルムテの|王《おう》ひとり。ラキシの|王《おう》ひとり。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エグロンの|王《おう》ひとり。ゲゼルの|王《おう》ひとり。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]デビルの|王《おう》ひとり。ゲデルの|王《おう》ひとり。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ホルマの|王《おう》ひとり。アラデの|王《おう》ひとり。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]リブナの|王《おう》ひとり。アドラムの|王《おう》ひとり。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]マッケダの|王《おう》ひとり。ベテルの|王《おう》ひとり。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]タップアの|王《おう》ひとり。ヘペルの|王《おう》ひとり。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アペクの|王《おう》ひとり。シャロンの|王《おう》ひとり。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]マドンの|王《おう》ひとり。ハゾルの|王《おう》ひとり。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]シムロン・メロンの|王《おう》ひとり。アクサフの|王《おう》ひとり。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]タアナクの|王《おう》ひとり。メギドの|王《おう》ひとり。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ケデシの|王《おう》ひとり。カルメルのヨクネアムの|王《おう》ひとり。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ドルの|高地《こうち》におるドルの|王《おう》ひとり。ガリラヤのゴイイムの|王《おう》ひとり。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]テルザの|王《おう》ひとり。|合《あ》わせて三十一|王《おう》である。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてヨシュアは|年《とし》が|進《すす》んで|老《お》いたが、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたは|年《とし》が|進《すす》んで|老《お》いたが、|取《と》るべき|地《ち》は、なお|多《おお》く|残《のこ》っている。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|残《のこ》っている|地《ち》は、|次《つぎ》のとおりである。ペリシテびとの|全《ぜん》|地域《ちいき》、ゲシュルびとの|全土《ぜんど》、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|東《ひがし》のシホルから|北《きた》にのびて、カナンびとに|属《ぞく》するといわれるエクロンの|境《さかい》までの|地《ち》、ペリシテびとの五|人《にん》の|君《きみ》たちの|地《ち》、すなわち、ガザ、アシドド、アシケロン、ガテ、およびエクロン。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》のアビびとの|地《ち》、カナンびとの|全《ぜん》|地《ち》、シドンびとに|属《ぞく》するメアラからアモリびとの|境《さかい》にあるアペクまでの|部分《ぶぶん》。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またヘルモン|山《やま》のふもとのバアルガデからハマテの|入口《いりぐち》に|至《いた》るゲバルびとの|地《ち》、およびレバノンの|東《ひがし》の|全土《ぜんど》。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]レバノンからミスレポテ・マイムまでの|山地《さんち》のすべての|民《たみ》、すなわちシドンびとの|全土《ぜんど》。わたしはみずから|彼《かれ》らをイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》うであろう。わたしが|命《めい》じたように、あなたはその|地《ち》をイスラエルに|分《わ》け|与《あた》えて、|嗣《し》|業《ぎょう》とさせなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|地《ち》を九つの|部族《ぶぞく》と、マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》とに|分《わ》け|与《あた》えて、|嗣《し》|業《ぎょう》とさせなければならない」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|他《た》の|半《はん》|部族《ぶぞく》と|共《とも》に、ルベンびとと、ガドびととは、ヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、|東《ひがし》の|方《ほう》で、その|嗣《し》|業《ぎょう》をモーセから|受《う》けた。|主《しゅ》のしもべモーセが、|彼《かれ》らに|与《あた》えたのは、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アルノンの|谷《たに》のほとりにあるアロエル、および|谷《たに》の|中《なか》にある|町《まち》から、デボンとメデバの|間《あいだ》にある|高原《こうげん》のすべての|地《ち》。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンで|世《よ》を|治《おさ》めた、アモリびとの|王《おう》シホンのすべての|町々《まちまち》を|含《ふく》めて、アンモンの|人々《ひとびと》の|境《さかい》までの|地《ち》。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデと、ゲシュルびと、ならびにマアカびとの|領地《りょうち》、ヘルモン|山《やま》の|全土《ぜんど》、サルカまでのバシャン|全体《ぜんたい》。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アシタロテとエデレイで|世《よ》を|治《おさ》めたバシャンの|王《おう》オグの|全国《ぜんこく》。オグはレパイムの|生《い》き|残《のこ》りであった。モーセはこれらを|撃《う》って、|追《お》い|払《はら》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ただし、イスラエルの|人々《ひとびと》は、ゲシュルびとと、マアカびとを|追《お》い|払《はら》わなかった。ゲシュルびとと、マアカびとは、|今日《こんにち》までイスラエルのうちに|住《す》んでいる。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ただレビの|部族《ぶぞく》には、ヨシュアはなんの|嗣《し》|業《ぎょう》をも|与《あた》えなかった。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|火祭《かさい》が|彼《かれ》らの|嗣《し》|業《ぎょう》であるからである。|主《しゅ》がヨシュアに|言《い》われたとおりである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセはルベンびとの|部族《ぶぞく》に、その|家族《かぞく》にしたがって|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えたが、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|領域《りょういき》はアルノンの|谷《たに》のほとりにあるアロエル、および|谷《たに》の|中《なか》にある|町《まち》からメデバのほとりのすべての|高原《こうげん》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンおよびその|高原《こうげん》のすべての|町々《まちまち》、デボン、バモテ・バアル、ベテ・バアル・メオン、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヤハヅ、ケデモテ、メパアテ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]キリアタイム、シブマ、|谷《たに》の|中《なか》の|山《やま》にあるゼレテ・シャハル、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ベテペオル、ピスガの|山腹《さんぷく》、ベテエシモテ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|高原《こうげん》のすべての|町々《まちまち》と、ヘシボンで|世《よ》を|治《おさ》めたアモリびとの|王《おう》シホンの|全国《ぜんこく》に|及《およ》んだ。モーセはシホンを、ミデアンのつかさたちエビ、レケム、ツル、ホルおよびレバと|共《とも》に|撃《う》ち|殺《ころ》した。これらはみなシホンの|諸侯《しょこう》であって、その|地《ち》に|住《す》んでいた|者《もの》である。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はまたベオルの|子《こ》、|占《うらな》い|師《し》バラムをもつるぎにかけて、そのほかに|殺《ころ》した|者《もの》どもと|共《とも》に|殺《ころ》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ルベンびとの|領域《りょういき》はヨルダンを|境《さかい》とした。これはルベンびとが、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》であって、その|町々《まちまち》と|村々《むらむら》とを|含《ふく》む。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたガドの|部族《ぶぞく》、ガドの|子孫《しそん》にも、その|家族《かぞく》にしたがって、|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えたが、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|領域《りょういき》はヤゼル、ギレアデのすべての|町々《まちまち》、アンモンびとの|地《ち》の|半《なか》ばで、ラバの|東《ひがし》のアロエルまでの|地《ち》。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンからラマテ・ミゾパまでの|地《ち》、およびベトニム、マハナイムからデビルの|境《さかい》までの|地《ち》。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|谷《たに》の|中《なか》ではベテハラム、ベテニムラ、スコテ、およびザポンなど、ヘシボンの|王《おう》シホンの|国《くに》の|残《のこ》りの|部分《ぶぶん》。ヨルダンを|境《さかい》として、ヨルダンの|東側《ひがしがわ》、キンネレテの|湖《みずうみ》の|南《みなみ》の|端《はし》までの|地《ち》。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これはガドびとが、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》であって、その|町々《まちまち》と|村々《むらむら》とを|含《ふく》む。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モーセはまたマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》にも、|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えたが、それはマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》が、その|家族《かぞく》にしたがって|与《あた》えられたものである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|領域《りょういき》はマハナイムからバシャンの|全土《ぜんど》に|及《およ》び、バシャンの|王《おう》オグの|全国《ぜんこく》、バシャンにあるヤイルのすべての|町々《まちまち》、すなわちその六十の|町《まち》。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]またギレアデの|半《なか》ば、バシャンのオグの|国《くに》の|町《まち》であるアシタロテとエデレイ。これらはマナセの|子《こ》マキルの|子孫《しそん》に|与《あた》えられた。すなわちマキルの|子孫《しそん》の|半《なか》ばが、その|家族《かぞく》にしたがって、それを|獲《え》た。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これらはヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、エリコの|東《ひがし》のモアブの|平野《へいや》で、モーセが|分《わ》け|与《あた》えた|嗣《し》|業《ぎょう》である。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ただし、レビの|部族《ぶぞく》には、モーセはなんの|嗣《し》|業《ぎょう》をも|与《あた》えなかった。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》がその|嗣《し》|業《ぎょう》だからである。|主《しゅ》がモーセに|言《い》われたとおりである。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、カナンの|地《ち》で|受《う》けた|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》は、|次《つぎ》のとおりである。すなわち、|祭司《さいし》エレアザル、ヌンの|子《こ》ヨシュア、およびイスラエルの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》の|首長《しゅちょう》たちが、これを|彼《かれ》らに|分《わ》かち、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がモーセによって|命《めい》じられたように、くじによって、これを九つの|部族《ぶぞく》と、|半《なか》ばの|部族《ぶぞく》とに、|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これはヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》で、モーセがすでに|他《た》の二つの|部族《ぶぞく》と、|半《なか》ばの|部族《ぶぞく》とに、|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えていたからである。ただしレビびとには、|彼《かれ》らの|中《なか》で|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えず、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子孫《しそん》が、マナセと、エフライムの二つの|部族《ぶぞく》となったからである。レビびとには|土地《とち》の|分《わ》け|前《まえ》を|与《あた》えず、ただ、その|住《す》むべき|町々《まちまち》および、|家畜《かちく》と|持《も》ち|物《もの》とを|置《お》くための|放牧《ほうぼく》|地《ち》を|与《あた》えたばかりであった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたようにおこなって、その|地《ち》を|分《わ》けた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ユダの|人々《ひとびと》がギルガルのヨシュアの|所《ところ》にきて、ケニズびとエフンネの|子《こ》カレブが、ヨシュアに|言《い》った、「|主《しゅ》がカデシ・バルネアで、あなたとわたしとについて、|神《かみ》の|人《ひと》モーセに|言《い》われたことを、あなたはごぞんじです。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のしもべモーセが、この|地《ち》を|探《さぐ》るために、わたしをカデシ・バルネアからつかわした|時《とき》、わたしは四十|歳《さい》でした。そしてわたしは、|自分《じぶん》の|信《しん》ずるところを|復命《ふくめい》しました。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|共《とも》に|上《のぼ》って|行《い》った|兄弟《きょうだい》たちは、|民《たみ》の|心《こころ》をくじいてしまいましたが、わたしは|全《まった》くわが|神《かみ》、|主《しゅ》に|従《したが》いました。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》モーセは|誓《ちか》って、|言《い》いました、『おまえの|足《あし》で|踏《ふ》んだ|地《ち》は、かならず|長《なが》くおまえと|子孫《しそん》との|嗣《し》|業《ぎょう》となるであろう。おまえが|全《まった》くわが|神《かみ》、|主《しゅ》に|従《したが》ったからである』。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がこの|言葉《ことば》をモーセに|語《かた》られた|時《とき》からこのかた、イスラエルが|荒野《あらの》に|歩《あゆ》んだ四十五|年《ねん》の|間《あいだ》、|主《しゅ》は|言《い》われたように、わたしを|生《い》きながらえさせてくださいました。わたしは|今日《こんにち》すでに八十五|歳《さい》ですが、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》もなお、モーセがわたしをつかわした|日《ひ》のように、|健《すこ》やかです。わたしの|今《いま》の|力《ちから》は、あの|時《とき》の|力《ちから》に|劣《おと》らず、どんな|働《はたら》きにも、|戦《たたか》いにも|堪《こた》えることができます。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それで|主《しゅ》があの|日《ひ》|語《かた》られたこの|山地《さんち》を、どうか|今《いま》、わたしにください。あの|日《ひ》あなたも|聞《き》いたように、そこにはアナキびとがいて、その|町々《まちまち》は|大《おお》きく|堅固《けんご》です。しかし、|主《しゅ》がわたしと|共《とも》におられて、わたしはついには、|主《しゅ》が|言《い》われたように、|彼《かれ》らを|追《お》い|払《はら》うことができるでしょう」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアはエフンネの|子《こ》カレブを|祝福《しゅくふく》し、ヘブロンを|彼《かれ》に|与《あた》えて|嗣《し》|業《ぎょう》とさせた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヘブロンは、ケニズびとエフンネの|子《こ》カレブの|嗣《し》|業《ぎょう》となって、|今日《こんにち》に|至《いた》っている。|彼《かれ》が|全《まった》くイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|従《したが》ったからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンの|名《な》は、もとはキリアテ・アルバといった。アルバは、アナキびとのうちの、|最《もっと》も|大《おお》いなる|人《ひと》であった。こうしてこの|地《ち》に|戦争《せんそう》はやんだ。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》が、その|家族《かぞく》にしたがって、くじで|獲《え》た|地《ち》は、|南《みなみ》の|方《ほう》では、エドムの|境《さかい》に|達《たっ》し、|南《みなみ》のはてにあるチンの|荒野《あらの》に|及《およ》んでいた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|南《みなみ》の|境《さかい》は、|塩《しお》の|海《うみ》の|南《みなみ》の|端《はし》の、|入海《いりうみ》から|起《おこ》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アクラビムの|坂《さか》の|南《みなみ》に|出《で》てチンに|進《すす》み、カデシ・バルネアの|南《みなみ》から|上《のぼ》って、ヘヅロンに|進《すす》み、アダルに|上《のぼ》っていって、カルカに|回《まわ》り、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アヅモンに|進《すす》んで、エジプトの|川《かわ》に|達《たっ》し、その|境《さかい》は|海《うみ》に|至《いた》って|尽《つ》きる。これが|彼《かれ》らの|南《みなみ》の|境《さかい》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》の|境《さかい》は|塩《しお》の|海《うみ》であって、ヨルダンの|川口《かわぐち》に|達《たっ》する。|北《きた》の|方《ほう》の|境《さかい》は、ヨルダンの|川口《かわぐち》の、|入海《いりうみ》から|起《おこ》り、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|上《のぼ》ってベテホグラに|行《い》き、ベテアラバの|北《きた》を|過《す》ぎ、|上《のぼ》ってルベンびとボハンの|石《いし》に|達《たっ》し、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またアコルの|谷《たに》からデビルに|上《のぼ》って、|北《きた》におもむき、|川《かわ》の|南《みなみ》にあるアドミムの|坂《さか》に|対《たい》するギルガルに|向《む》かって|進《すす》み、エンシメシの|水《みず》に|達《たっ》し、エンロゲルに|至《いた》って|尽《つ》きる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またその|境《さかい》はベンヒンノムの|谷《たに》に|沿《そ》って、エブスびとの|地《ち》、すなわちエルサレムの|南《みなみ》のわきに|上《のぼ》り、ヒンノムの|谷《たに》の|西《にし》にある|山《やま》の|頂《いただき》に|上《のぼ》る。これはレパイムの|谷《たに》の|北《きた》の|果《はて》にあるものである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》は、この|山《やま》の|頂《いただき》からネフトアの|水《みず》の|源《みなもと》に|至《いた》り、その|所《ところ》からエフロン|山《やま》の|町々《まちまち》に|及《およ》び、その|境《さかい》は|曲《まが》ってバアラに|達《たっ》する。これは、すなわちキリアテ・ヤリムである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》は、バアラから|西《にし》に|回《まわ》って、セイル|山《やま》に|及《およ》び、ヤリム|山《やま》、すなわちケサロンの|北《きた》のわきを|経《へ》て、ベテシメシに|下《くだ》り、テムナに|進《すす》み、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エクロンの|北《きた》の|丘《おか》のわきに|出《で》て、シッケロンに|曲《まが》り、バアラ|山《やま》に|進《すす》み、ヤブネルに|達《たっ》し、|海《うみ》に|至《いた》って|尽《つ》きる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|西《にし》の|境《さかい》は|大海《たいかい》であって、|海岸《かいがん》を|境《さかい》とした。これがユダの|人々《ひとびと》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|地《ち》の|四方《しほう》の|境《さかい》である。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは、|主《しゅ》に|命《めい》じられたように、エフンネの|子《こ》カレブに、ユダの|人々《ひとびと》のうちで、キリアテ・アルバ、すなわちヘブロンを|与《あた》えて、その|分《ぶん》とさせた。アルバはアナクの|父《ちち》であった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]カレブはその|所《ところ》から、アナクの|子《こ》三|人《にん》を|追《お》い|払《はら》った。すなわち、セシャイ、アヒマン、およびタルマイであって、アナクから|出《で》たものである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はこの|所《ところ》からデビルに|住《す》む|民《たみ》の|所《ところ》に|攻《せ》め|上《のぼ》った。デビルの|名《な》は、もとはキリアテ・セペルといった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]カレブは|言《い》った、「キリアテ・セペルを|撃《う》って、これを|取《と》る|者《もの》には、わたしの|娘《むすめ》アクサを|妻《つま》として|与《あた》えるであろう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ケナズの|子《こ》で、カレブの|弟《おとうと》オテニエルがそれを|取《と》ったので、カレブは|娘《むすめ》アクサを、|妻《つま》として|彼《かれ》に|与《あた》えた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》がとつぐ|時《とき》、|畑《はたけ》を|父《ちち》に|求《もと》めるようにと、オテニエルに|勧《すす》められた。そして|彼女《かのじょ》が、ろばから|降《ふ》りたので、カレブは|彼女《かのじょ》に、|何《なに》を|望《のぞ》むのかとたずねた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|答《こた》えて|言《い》った、「わたしに|贈《おく》り|物《もの》をください。あなたはネゲブの|地《ち》に、わたしをやられるのですから、|泉《いずみ》をもください」。カレブは|彼女《かのじょ》に|上《うえ》の|泉《いずみ》と|下《した》の|泉《いずみ》とを|与《あた》えた。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》が、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》は、|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》の|部族《ぶぞく》が、|南《みなみ》でエドムの|境《さかい》の|方《ほう》にもっていた|遠《とお》くの|町々《まちまち》は、カブジエル、エデル、ヤグル、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]キナ、デモナ、アダダ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ケデシ、ハゾル、イテナン、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ジフ、テレム、ベアロテ、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ハゾル・ハダッタ、ケリオテ・ヘヅロンすなわちハゾル、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アマム、シマ、モラダ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ハザルガダ、ヘシモン、ベテペレテ、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ハザル・シュアル、ベエルシバ、ビジョテヤ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]バアラ、イイム、エゼム、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]エルトラデ、ケシル、ホルマ、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]チクラグ、マデマンナ、サンサンナ、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]レバオテ、シルヒム、アイン、リンモン。これらの|町《まち》は|合《あ》わせて二十九、ならびにそれに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|平地《へいち》では、エシタオル、ゾラ、アシナ、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ザノア、エンガンニム、タップア、エナム、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ヤルムテ、アドラム、ソコ、アゼカ、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]シャアライム、アデタイム、ゲデラ、ゲデロタイム。すなわち十四の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ゼナン、ハダシャ、ミグダルガデ、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]デラン、ミヅパ、ヨクテル、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ラキシ、ボヅカテ、エグロン、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]カボン、ラマム、キテリシ、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]ゲデロテ、ベテダゴン、ナアマ、マッケダ。すなわち十六の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]またリブナ、エテル、アシャン、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]イフタ、アシナ、ネジブ、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ケイラ、アクジブ、マレシャ。すなわち九つの|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]エクロンと、その|町々《まちまち》、および|村々《むらむら》。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]エクロンから|海《うみ》まで、すべてアシドドのほとりにある|町々《まちまち》、およびそれに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]アシドドとその|町々《まちまち》および|村々《むらむら》。ガザとその|町々《まちまち》および|村々《むらむら》。エジプトの|川《かわ》と|大海《たいかい》の|海岸《かいがん》までが、その|境《さかい》であった。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|山地《さんち》では、シャミル、ヤッテル、ソコ、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]ダンナ、キリアテ・サンナすなわちデビル、[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]アナブ、エシテモ、アニム、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ゴセン、ホロン、ギロ。すなわち十一の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]アラブ、ドマ、エシャン、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]ヤニム、ベテタップア、アペカ、[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]ホムタ、キリアテ・アルバすなわちヘブロン、ヂオル。すなわち九つの|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]マオン、カルメル、ジフ、ユッタ、[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]エズレル、ヨクデアム、ザノア、[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]カイン、ギベア、テムナ。すなわち十の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]ハルホル、ベテズル、ゲドル、[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]マアラテ、ベテアノテ、エルテコン。すなわち六つの|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]キリアテ・バアルすなわちキリアテ・ヤリム、ラバ。これらの二つの|町《まち》とそれに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]|荒野《あらの》では、ベテアラバ、ミデン、セカカ、[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]ニブシャン、|塩《しお》の|町《まち》、エンゲデ。すなわち六つの|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。  [#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ユダの|人々《ひとびと》は、エルサレムの|住民《じゅうみん》エブスびとを|追《お》い|払《はら》うことができなかった。それでエブスびとは|今日《こんにち》まで、ユダの|人々《ひとびと》と|共《とも》にエルサレムに|住《す》んでいる。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子孫《しそん》が、くじによって|獲《え》た|地《ち》の|境《さかい》は、エリコのほとりのヨルダン、すなわちエリコの|水《みず》の|東《ひがし》から|起《た》って、|荒野《あらの》に|延《の》び、エリコから|山地《さんち》に|上《のぼ》っている|荒野《あらの》を|経《へ》て、ベテルに|至《いた》り、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ベテルからルズにおもむき、アルキびとの|領地《りょうち》であるアタロテに|進《すす》み、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》に|下《くだ》ってヤフレテびとの|領地《りょうち》に|達《たっ》し、|下《した》ベテホロンの|地域《ちいき》に|及《およ》び、ゲゼルに|達《たっ》し、|海《うみ》に|至《いた》って|尽《つ》きる。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨセフの|子孫《しそん》のマナセと、エフライムとは、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》けた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|子孫《しそん》が、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|地《ち》の|境《さかい》は、|次《つぎ》のとおりである。|彼《かれ》らの|嗣《し》|業《ぎょう》の|東《ひがし》の|境《さかい》は、アタロテ・アダルであって、|上《うえ》ベテホロンに|達《たっ》し、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》は、その|所《ところ》から|海《うみ》に|及《およ》ぶ。|北《きた》にはミクメタテがあり、|東《ひがし》ではその|境《さかい》はタアナテシロで|曲《まが》り、|進《すす》んでヤノアの|東《ひがし》に|至《いた》り、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヤノアからアタロテとナアラに|下《くだ》り、エリコに|達《たっ》し、ヨルダンに|至《いた》って|尽《つ》きる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]タップアからその|境《さかい》は|西《にし》に|進《すす》んで、カナの|川《かわ》に|達《たっ》し、|海《うみ》に|至《いた》って|尽《つ》きる。これはエフライムの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》が、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]このほかにマナセの|子孫《しそん》の|嗣《し》|業《ぎょう》のうちにも、エフライムの|子孫《しそん》のために|分《わ》け|与《あた》えられた|町々《まちまち》があって、そのすべての|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》を|獲《え》た。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ただし、ゲゼルに|住《す》むカナンびとを、|追《お》い|払《はら》わなかったので、カナンびとは|今日《こんにち》までエフライムの|中《なか》に|住《す》み、|奴隷《どれい》となって|追《お》い|使《つか》われている。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|部族《ぶぞく》が、くじによって|獲《え》た|地《ち》は、|次《つぎ》のとおりである。マナセはヨセフの|長子《ちょうし》であった。マナセの|長子《ちょうし》で、ギレアデの|父《ちち》であるマキルは、|軍人《ぐんじん》であったので、ギレアデとバシャンを|獲《え》た。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|部族《ぶぞく》の|他《た》のものにも、その|家族《かぞく》にしたがって、|地《ち》を|与《あた》えたが、それは、アビエゼル、ヘレク、アスリエル、シケム、ヘペル、セミダで、これらはヨセフの|子《こ》マナセの|男《おとこ》の|子孫《しそん》であって、その|家族《かぞく》にしたがって、あげたものである。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、マナセの|子《こ》マキル、その|子《こ》ギレアデ、その|子《こ》ヘペル、その|子《こ》であったゼロペハデには、|女《おんな》の|子《こ》だけで、|男《おとこ》の|子《こ》がなかった。|女《おんな》の|子《こ》たちの|名《な》は、マヘラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》たちは、|祭司《さいし》エレアザル、ヌンの|子《こ》ヨシュアおよび、つかさたちの|前《まえ》に|進《すす》み|出《で》て、「わたしたちの|兄弟《きょうだい》と|同《おな》じように、わたしたちにも、|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えよと、|主《しゅ》はモーセに|命《めい》じおきになりました」と|言《い》ったので、ヨシュアは|主《しゅ》の|命《いのち》にしたがって、|彼《かれ》らの|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》たちと|同《おな》じように、|彼女《かのじょ》たちにも|嗣《し》|業《ぎょう》を|与《あた》えた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてマナセはヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》で、ギレアデとバシャンの|地《ち》のほかに、なお十の|部分《ぶぶん》を|獲《え》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|娘《むすめ》たちが、|男《おとこ》の|子《こ》らと|共《とも》に、|嗣《し》|業《ぎょう》を|獲《え》たからである。ギレアデの|地《ち》は、そのほかのマナセの|子孫《しそん》に|分《わ》け|与《あた》えられた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|獲《え》た|地《ち》の|境《さかい》は、アセルからシケムの|東《ひがし》のミクメタテに|及《およ》び、その|境《さかい》は|南《みなみ》に|延《の》びて、エンタップアの|住民《じゅうみん》に|達《たっ》する。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]タップアの|地《ち》はマナセに|属《ぞく》していたが、マナセの|境《さかい》にあるタップアの|町《まち》は、エフライムの|子孫《しそん》に|属《ぞく》していた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またその|境《さかい》はカナの|川《かわ》に|下《くだ》って、|川《かわ》の|南《みなみ》に|至《いた》る。そこの|町々《まちまち》はマナセの|町々《まちまち》の|中《なか》にあって、エフライムに|属《ぞく》した。マナセの|境《さかい》は、|川《かわ》の|北《きた》に|沿《そ》って|進《すす》み、|海《うみ》に|達《たっ》して|尽《つ》きる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|川《かわ》の|南《みなみ》の|地《ち》は、エフライムに|属《ぞく》し、|北《きた》はマナセに|属《ぞく》する。|海《うみ》がその|境《さかい》となる。マナセは|北《きた》はアセルに|接《せっ》し、|東《ひがし》はイッサカルに|接《せっ》する。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]マナセはまたイッサカルとアセルの|中《なか》に、ベテシャンとその|村々《むらむら》、イブレアムとその|村々《むらむら》、ドルの|住民《じゅうみん》とその|村々《むらむら》、エンドルの|住民《じゅうみん》とその|村々《むらむら》、タアナクの|住民《じゅうみん》とその|村々《むらむら》、メギドの|住民《じゅうみん》とその|村々《むらむら》を|獲《え》た。このうち|第《だい》三のものは|高地《こうち》である。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、マナセの|子孫《しそん》は、これらの|町々《まちまち》を|取《と》ることができなかったので、カナンびとは|長《なが》くこの|地《ち》に|住《す》み|続《つづ》けようとした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》が|強《つよ》くなるにしたがって、カナンびとを|使役《しえき》するようになり、ことごとく|追《お》い|払《はら》うことはしなかった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子孫《しそん》はヨシュアに|言《い》った、「|主《しゅ》が|今《いま》まで、わたしを|祝福《しゅくふく》されたので、わたしは|数《かず》の|多《おお》い|民《たみ》となったのに、あなたはなぜ、わたしの|嗣《し》|業《ぎょう》として、ただ一つのくじ、一つの|分《ぶん》だけを、くださったのですか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|彼《かれ》らに|言《い》った、「もしあなたが|数《かず》の|多《おお》い|民《たみ》ならば、|林《はやし》に|上《のぼ》っていって、そこで、ペリジびとやレパイムびとの|地《ち》を|自分《じぶん》で|切《き》り|開《ひら》くがよい。エフライムの|山地《さんち》が、あなたがたには|狭《せま》いのだから」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|子孫《しそん》は|答《こた》えた、「|山地《さんち》はわたしどもに|十分《じゅうぶん》ではありません。かつまた|平地《へいち》におるカナンびとは、ベテシャンとその|村々《むらむら》におるものも、エズレルの|谷《たに》におるものも、みな|鉄《てつ》の|戦車《せんしゃ》を|持《も》っています」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまたヨセフの|家《いえ》、すなわちエフライムとマナセに|言《い》った、「あなたは|数《かず》の|多《おお》い|民《たみ》で、|大《おお》きな|力《ちから》をもっています。それでただ一つのくじでは|足《た》りません。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|山地《さんち》をもあなたのものとしなければなりません。それは|林《はやし》ではあるが、|切《き》り|開《ひら》いて、|向《む》こうの|端《はし》まで、|自分《じぶん》のものとしなければなりません。カナンびとは|鉄《てつ》の|戦車《せんしゃ》があって、|強《つよ》くはあるが、あなたはそれを|追《お》い|払《はら》うことができます」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は、その|地《ち》を|征服《せいふく》したので、シロに|集《あつ》まり、そこに|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》を|立《た》てた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちに、まだ|嗣《し》|業《ぎょう》を|分《わ》かち|取《と》らない|部族《ぶぞく》が、七つ|残《のこ》っていたので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「あなたがたは、|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》が、あなたがたに|与《あた》えられた|地《ち》を|取《と》りに|行《い》くのを、いつまで|怠《おこた》っているのですか。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|部族《ぶぞく》ごとに三|人《にん》ずつを|出《だ》しなさい。わたしはその|人々《ひとびと》をつかわしましょう。|彼《かれ》らは|立《た》っていって、その|地《ち》を|行《い》き|巡《めぐ》り、おのおのの|嗣《し》|業《ぎょう》のために、それを|図面《ずめん》にして、わたしのところへ|持《も》ってこなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|地《ち》を七つの|部分《ぶぶん》に|分《わ》けなければならない。ユダは|南《みなみ》のその|領地《りょうち》にとどまり、ヨセフの|家《いえ》は|北《きた》のその|領地《りょうち》にとどまらなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、その|地《ち》を七つに|分《わ》けて、|図面《ずめん》にし、それをここに、わたしのところへ|持《も》ってこなければならない。わたしはここで、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に、あなたがたのために、くじを|引《ひ》くであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]レビびとは、あなたがたのうちに|何《なに》の|分《ぶん》をも|持《も》たない。|主《しゅ》の|祭司《さいし》たることが、|彼《かれ》らの|嗣《し》|業《ぎょう》だからである。またガドとルベンとマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》とは、ヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、|東《ひがし》の|方《ほう》で、すでにその|嗣《し》|業《ぎょう》を|受《う》けた。それは|主《しゅ》のしもべモーセが、|彼《かれ》らに|与《あた》えたものである」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|人々《ひとびと》は|立《た》って|行《い》った。その|地《ち》の|図面《ずめん》を|作《つく》るために|出《で》て|行《い》く|人々《ひとびと》に、ヨシュアは|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたは|行《い》って、その|地《ち》を|行《い》き|巡《めぐ》り、それを|図面《ずめん》にして、わたしのところに|持《も》って|帰《かえ》りなさい。わたしはシロで、|主《しゅ》の|前《まえ》に、あなたがたのために、ここでくじを|引《ひ》きましょう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|人々《ひとびと》は|行《い》って、その|地《ち》を|経《へ》めぐり、|町々《まちまち》にしたがって、それを七つの|部分《ぶぶん》とし、|図面《ずめん》にして、|書物《しょもつ》に|書《か》きしるし、シロの|宿営《しゅくえい》におるヨシュアのもとへ|持《も》ってきた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはシロで、|彼《かれ》らのために|主《しゅ》の|前《まえ》に、くじを|引《ひ》いた。そしてヨシュアはその|所《ところ》で、イスラエルの|人々《ひとびと》に、それぞれの|分《ぶん》として、|地《ち》を|分《わ》け|与《あた》えた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]まずベニヤミンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》のために、その|家族《かぞく》にしたがって、くじを|引《ひ》いた。そしてそのくじによって|獲《え》た|領地《りょうち》は、ユダの|子孫《しそん》と、ヨセフの|子孫《しそん》との|間《あいだ》にあった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|北《きた》の|方《ほう》の|境《さかい》は、ヨルダンに|始《はじ》まり、エリコの|北《きた》のわきに|上《のぼ》り、また|西《にし》の|方《ほう》の|山地《さんち》をとおって|上《のぼ》り、ベテアベンの|荒野《あらの》に|達《たっ》して|尽《つ》きる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこから、その|境《さかい》はルズに|進《すす》み、ルズの|南《みなみ》のわきに|至《いた》る。ルズはベテルである。ついでその|境《さかい》は|下《した》ベテホロンの|南《みなみ》の|山《やま》にあるアタロテ・アダルに|下《くだ》り、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|方《ほう》では、ベテホロンの|南《みなみ》にある|山《やま》から|南《みなみ》に|曲《まが》り、ユダの|子孫《しそん》の|町《まち》キリアテ・バアルに|至《いた》って|尽《つ》きる。キリアテ・バアルはキリアテ・ヤリムである。これが|西《にし》の|方《ほう》の|境《さかい》であった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|南《みなみ》の|方《ほう》は、キリアテ・ヤリムの|端《はし》に|始《はじ》まり、その|境《さかい》はそこからエフロンにおもむき、ネフトアの|水《みず》の|源《みなもと》に|至《いた》り、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ついでその|境《さかい》は、レパイムの|谷《たに》の|北《きた》の|端《はし》にあるベンヒンノムの|谷《たに》を|見《み》おろす|山《やま》の|端《はし》に|下《くだ》り、|進《すす》んでエブスびとのわきの|南《みなみ》、ヒンノムの|谷《たに》に|下《くだ》り、|また《また》|下《した》ってエンロゲルに|至《いた》り、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》に|曲《まが》ってエンシメシにおもむき、アドミムの|坂《さか》に|対《たい》するゲリロテにおもむき、ルベンびとボハンの|石《いし》に|下《くだ》り、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ベテアラバのわきを|北《きた》に|進《すす》んで、アラバに|下《くだ》り、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》は、ベテホグラの|北《きた》のわきに|進《すす》み、ヨルダンの|南端《なんたん》で、|塩《しお》の|海《うみ》の|北《きた》の|入海《いりうみ》に|至《いた》って|尽《つ》きる。これが|南《みなみ》の|境《さかい》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨルダンは|東《ひがし》の|方《ほう》の|境《さかい》となっていた。これがベニヤミンの|子孫《しそん》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》の|四方《しほう》の|境《さかい》である。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》が、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|町々《まちまち》は、エリコ、ベテホグラ、エメクケジツ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ベテアラバ、ゼマライム、ベテル、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アビム、パラ、オフラ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ケパル・アンモニ、オフニ、ゲバ。すなわち十二の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またギベオン、ラマ、ベエロテ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ミヅパ、ケピラ、モザ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]レケム、イルピエル、タララ、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ゼラ、エレフ、エブスすなわちエルサレム、ギベア、キリアテ・ヤリム。すなわち十四の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。これがベニヤミンの|子孫《しそん》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》である。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にシメオンのため、すなわちシメオンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》のために、その|家族《かぞく》にしたがって、くじを|引《ひ》いた。その|嗣《し》|業《ぎょう》はユダの|子孫《しそん》の|嗣《し》|業《ぎょう》のうちにあった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|嗣《し》|業《ぎょう》として|獲《え》たものは、ベエルシバ、すなわちシバ、モラダ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ハザル・シュアル、バラ、エゼム、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エルトラデ、ベトル、ホルマ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]チクラグ、ベテ・マルカボテ、ハザルスサ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ベテレバオテ、シャルヘン。すなわち十三の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またアイン、リンモン、エテル、アシャン。すなわち四つの|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]およびこれらの|町《まち》の|周囲《しゅうい》にあって、バアラテ・ベエル、すなわちネゲブのラマに|至《いた》るまでのすべての|村々《むらむら》。これがシメオンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子孫《しそん》の|嗣《し》|業《ぎょう》は、ユダの|子孫《しそん》の|領域《りょういき》のうちにあった。これはユダの|子孫《しそん》の|分《ぶん》が|大《おお》きかったので、シメオンの|子孫《しそん》が、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|彼《かれ》らの|嗣《し》|業《ぎょう》の|中《なか》に|獲《え》たからである。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三にゼブルンの|子孫《しそん》のために、その|家族《かぞく》にしたがって、くじを|引《ひ》いた。その|嗣《し》|業《ぎょう》の|領域《りょういき》はサリデに|及《およ》び、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》は|西《にし》に|上《のぼ》って、マララに|至《いた》り、ダバセテに|達《たっ》し、ヨクネアムの|東《ひがし》にある|川《かわ》に|達《たっ》し、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]サリデから、|東《ひがし》の|方《ほう》、|日《ひ》の|出《で》の|方《ほう》に|曲《まが》り、キスロテ・タボルの|境《さかい》に|至《いた》り、ダベラテに|出《で》て、ヤピアに|上《のぼ》り、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこから|東《ひがし》の|方《ほう》、|日《ひ》の|出《で》の|方《ほう》に|進《すす》んで、ガテヘペルとイッタ・カジンに|至《いた》り、リンモンに|進《すす》んで、ネアの|方《ほう》に|曲《まが》る。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》ではその|境《さかい》はハンナトンに|回《まわ》り、イフタエルの|谷《たに》に|至《いた》って|尽《つ》きる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてカッタテ、ナハラル、シムロン、イダラ、ベツレヘムなど十二の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》があった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これがゼブルンの|子孫《しそん》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》であって、その|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》とである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四にイッサカル、すなわちイッサカルの|子孫《しそん》のために、その|家族《かぞく》にしたがって、くじを|引《ひ》いた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|領域《りょういき》には、エズレル、ケスロテ、シュネム、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ハパライム、シオン、アナハラテ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ラビテ、キション、エベツ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]レメテ、エンガンニム、エンハダ、ベテパッゼズがあり、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》はタボル、シャハヂマ、ベテシメシに|達《たっ》し、その|境《さかい》はヨルダンに|至《いた》って|尽《つ》きる。十六の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》があった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]これがイッサカルの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》であって、その|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》とである。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》五に、アセルの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》のために、その|家族《かぞく》にしたがって、くじを|引《ひ》いた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|領域《りょういき》には、ヘルカテ、ハリ、ベテン、アクサフ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アランメレク、アマデ、ミシャルがあり、その|境《さかい》は|西《にし》では、カルメルとシホル・リブナテに|達《たっ》し、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それから|東《ひがし》に|折《お》れて、ベテダゴンに|至《いた》り、|北《きた》の|方《ほう》ゼブルンと、イプタエルの|谷《たに》に|達《たっ》し、ベテエメクおよびネイエルに|至《いた》り、|北《きた》はカブルにいで、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|更《さら》にエブロン、レホブ、ハンモン、カナを|経《へ》て、|大《だい》シドンに|及《およ》び、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]それから、その|境《さかい》はラマに|曲《まが》り、|堅固《けんご》な|町《まち》ツロに|至《いた》る。またその|境《さかい》はホサに|曲《まが》り、|海《うみ》に|至《いた》って|尽《つ》きる。そして、マハラブ、アクジブ、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ウンマ、アペク、レホブなど、二十二の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》があった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これがアセルの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》であって、その|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》とである。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六に、ナフタリの|子孫《しそん》のために、その|家族《かぞく》にしたがって、くじを|引《ひ》いた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》はヘレフから、すなわちザアナニイムのかしの|木《き》から|起《おこ》り、アダミ・ネケブおよび、ヤブネルを|経《へ》て、ラクムに|至《いた》り、ヨルダンに|至《いた》って|尽《つ》きる。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|境《さかい》は|西《にし》に|向《む》かって、アズノテ・タボルに|至《いた》り、そこからホッコクに|出《で》る。|南《みなみ》はゼブルンに|接《せっ》し、|西《にし》はアセルに|接《せっ》し、|東《ひがし》はヨルダンのユダに|達《たっ》する。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]その|堅固《けんご》な|町々《まちまち》は、ヂデム、ゼル、ハンマテ、ラッカテ、キンネレテ、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アダマ、ラマ、ハゾル、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ケデシ、エデレイ、エンハゾル、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]イロン、ミグダルエル、ホレム、ベテアナテ、ベテシメシなどで、十九の|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》があった。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]これがナフタリの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》が、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》であって、その|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》とである。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七に、ダンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》のために、その|家族《かぞく》にしたがって、くじを|引《ひ》いた。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]その|嗣《し》|業《ぎょう》の|領域《りょういき》には、ゾラ、エシタオル、イルシメシ、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]シャラビム、アヤロン、イテラ、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]エロン、テムナ、エクロン、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]エルテケ、ギベトン、バアラテ、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]エホデ、ベネベラク、ガテリンモン、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]メヤルコン、ラッコン、およびヨッパと|相対《あいたい》する|地域《ちいき》があった。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]ただし、ダンの|子孫《しそん》の|領域《りょういき》は、|彼《かれ》らのために|小《ちい》さかったので、ダンの|子孫《しそん》は、|上《のぼ》って|行《い》き、レセムを|攻《せ》めてそれを|取《と》り、つるぎにかけて|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼし、それを|獲《え》てそこに|住《す》み、|先祖《せんぞ》ダンの|名《な》にしたがって、レセムをダンと|名《な》づけた。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]これがダンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》の、その|家族《かぞく》にしたがって|獲《え》た|嗣《し》|業《ぎょう》であって、その|町々《まちまち》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》とである。  [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|国《くに》の|各地《かくち》域を|嗣《し》|業《ぎょう》として|分《わ》け|与《あた》えることを|終《おわ》ったとき、イスラエルの|人々《ひとびと》は、|自分《じぶん》たちのうちに、一つの|嗣《し》|業《ぎょう》を、ヌンの|子《こ》ヨシュアに|与《あた》えた。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|主《しゅ》の|命《いのち》に|従《したが》って、|彼《かれ》が|求《もと》めた|町《まち》を|与《あた》えたが、それはエフライムの|山地《さんち》にあるテムナテ・セラであって、|彼《かれ》はその|町《まち》を|建《た》てなおして、そこに|住《す》んだ。  [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]これらは、|祭司《さいし》エレアザル、ヌンの|子《こ》ヨシュア、およびイスラエルの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》の|族長《ぞくちょう》たちが、シロにおいて|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で、|主《しゅ》の|前《まえ》に、くじを|引《ひ》いて|分《わ》け|与《あた》えた|嗣《し》|業《ぎょう》である。こうして|地《ち》を|分《わ》けることを|終《おわ》った。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はヨシュアに|言《い》われた、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、『|先《さき》にわたしがモーセによって|言《い》っておいた、のがれの|町《まち》を|選《えら》び|定《さだ》め、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あやまって、|知《し》らずに|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》を、そこへのがれさせなさい。これはあなたがたが、あだを|討《う》つ|者《もの》をさけて、のがれる|場所《ばしょ》となるでしょう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は、これらの|町《まち》の一つにのがれて|行《い》って、|町《まち》の|門《もん》の|入口《いりぐち》に|立《た》ち、その|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちに、そのわけを|述《の》べなければならない。そうすれば、|彼《かれ》らはその|人《ひと》を|町《まち》に|受《う》け|入《い》れて、|場所《ばしょ》を|与《あた》え、|共《とも》に|住《す》ませるであろう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]たとい、あだを|討《う》つ|者《もの》が|追《お》ってきても、|人《ひと》を|殺《ころ》したその|者《もの》を、その|手《て》に|渡《わた》してはならない。|彼《かれ》はあやまって|隣人《りんじん》を|殺《ころ》したのであって、もとからそれを|憎《にく》んでいたのではないからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は、|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|立《た》って、さばきを|受《う》けるまで、あるいはその|時《とき》の|大《だい》|祭司《さいし》が|死《し》ぬまで、その|町《まち》に|住《す》まなければならない。そして|後《のち》、|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|町《まち》、|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》って|行《い》って、|逃《に》げ|出《だ》してきたその|町《まち》に|住《す》むことができる』」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ナフタリの|山地《さんち》にあるガリラヤのケデシ、エフライムの|山地《さんち》にあるシケム、およびユダの|山地《さんち》にあるキリアテ・アルバすなわちヘブロンを、これがために|選《えら》び|分《わ》かち、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》、エリコの|東《ひがし》の|方《ほう》では、ルベンの|部族《ぶぞく》のうちから、|高原《こうげん》の|荒野《あらの》にあるベゼル、ガドの|部族《ぶぞく》のうちから、ギレアデのラモテ、マナセの|部族《ぶぞく》のうちから、バシャンのゴランを|選《えら》び|定《さだ》めた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これらは、イスラエルのすべての|人々《ひとびと》、およびそのうちに|寄留《きりゅう》する|他国《たこく》|人《じん》のために|設《もう》けられた|町々《まちまち》であって、すべて、あやまって|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》を、そこにのがれさせ、|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|立《た》たないうちに、あだを|討《う》つ|者《もの》の|手《て》にかかって|死《し》ぬことのないようにするためである。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にレビの|族長《ぞくちょう》たちは、|祭司《さいし》エレアザル、ヌンの|子《こ》ヨシュアおよびイスラエルの|部族《ぶぞく》の|族長《ぞくちょう》たちのもとにきて、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]カナンの|地《ち》のシロで|彼《かれ》らに|言《い》った、「|主《しゅ》はかつて、われわれに|住《す》むべき|町々《まちまち》を|与《あた》えることと、それに|属《ぞく》する|放牧《ほうぼく》|地《ち》を、|家畜《かちく》のために|与《あた》えることを、モーセによって|命《めい》じられました」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでイスラエルの|人々《ひとびと》は、|主《しゅ》の|命《いのち》にしたがって、|自分《じぶん》たちの|嗣《し》|業《ぎょう》のうちから、|次《つぎ》の|町々《まちまち》と、その|放牧《ほうぼく》|地《ち》とを、レビびとに|与《あた》えた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]まずコハテびとの|氏族《しぞく》のために、くじを|引《ひ》いた。|祭司《さいし》アロンの|子孫《しそん》であるこれらのレビびとは、くじによって、ユダの|部族《ぶぞく》、シメオンの|部族《ぶぞく》、およびベニヤミンの|部族《ぶぞく》のうちから、十三の|町《まち》を|獲《え》た。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》のコハテびとは、くじによって、エフライムの|部族《ぶぞく》の|氏族《しぞく》、ダンの|部族《ぶぞく》、およびマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のうちから、十の|町《まち》を|獲《え》た。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またゲルションびとは、くじによって、イッサカルの|部族《ぶぞく》の|氏族《しぞく》、アセルの|部族《ぶぞく》、ナフタリの|部族《ぶぞく》、およびバシャンにあるマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のうちから、十三の|町《まち》を|獲《え》た。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またメラリびとは、その|氏族《しぞく》にしたがって、ルベンの|部族《ぶぞく》、ガドの|部族《ぶぞく》、およびゼブルンの|部族《ぶぞく》のうちから、十二の|町《まち》を|獲《え》た。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、|主《しゅ》がモーセによって|命《めい》じられたとおりに、これらの|町《まち》と、その|放牧《ほうぼく》|地《ち》とを、くじによって、レビびとに|与《あた》えた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]まずユダの|部族《ぶぞく》と、シメオンの|部族《ぶぞく》のうちから、|次《つぎ》に|名《な》をあげる|町々《まちまち》を|与《あた》えた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これらはレビびとに|属《ぞく》するコハテびとの|氏族《しぞく》の一つである、アロンの|子孫《しそん》に|与《あた》えられた。|最初《さいしょ》のくじが|彼《かれ》らに|当《あた》ったからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわちユダの|山地《さんち》にあるキリアテ・アルバすなわちヘブロンおよびその|周囲《しゅうい》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》を|彼《かれ》らに|与《あた》えた。このアルバはアナクの|父《ちち》であった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ただし、この|町《まち》の|畑《はたけ》と、それに|属《ぞく》する|村々《むらむら》とは、すでにエフンネの|子《こ》カレブが、それを|受《う》けて|所有《しょゆう》していた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》アロンの|子孫《しそん》に|与《あた》えたのは、|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》の、のがれる|町《まち》であるヘブロンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、リブナとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヤッテルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、エシテモアとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ホロンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、デビルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アインとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ユッタとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ベテシメシとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、九つの|町《まち》であって、この二つの|部族《ぶぞく》のうちから|分《わ》け|与《あた》えたものである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またベニヤミンの|部族《ぶぞく》のうちから、ギベオンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ゲバとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アナトテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、アルモンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、四つの|町《まち》を|与《あた》えた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》たちの|町《まち》は、|合《あ》わせて十三であって、それに|属《ぞく》する|放牧《ほうぼく》|地《ち》があった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》のコハテびとであるレビびとの|氏族《しぞく》は、くじによって、エフライムの|部族《ぶぞく》のうちから|町《まち》を|獲《え》た。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|町《まち》は、|人《ひと》を|殺《ころ》したものの、のがれる|町《まち》であるエフライムの|山地《さんち》のシケムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ゲゼルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]キブザイムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ベテホロンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、四つの|町《まち》である。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]またダンの|部族《ぶぞく》のうちから|分《わ》け|与《あた》えた|町《まち》は、エルテケとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ギベトンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アヤロンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ガテリンモンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、四つの|町《まち》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のうちから|分《わ》け|与《あた》えた|町《まち》は、タアナクとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、およびガテリンモンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、二つの|町《まち》である。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》のコハテびとの|氏族《しぞく》の|町《まち》は、|合《あ》わせて十であって、それに|属《ぞく》する|放牧《ほうぼく》|地《ち》があった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションびとであるレビびとの|氏族《しぞく》の一つに|与《あた》えられた|町《まち》は、マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のうちからは、|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》の、のがれる|町《まち》であるバシャンのゴランとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、およびベエシテラとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、二つの|町《まち》である。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|部族《ぶぞく》のうちからは、キションとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ダベラテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヤルムテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、エンガンニムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、四つの|町《まち》である。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|部族《ぶぞく》のうちからは、ミシャルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、アブドンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヘルカテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、レホブとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、四つの|町《まち》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|部族《ぶぞく》のうちからは、|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》の、のがれる|町《まち》であるガリラヤのケデシとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ハンモテ・ドルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、カルタンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、三つの|町《まち》である。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションびとが、その|氏族《しぞく》にしたがって|獲《え》た|町《まち》は、|合《あ》わせて十三の|町《まち》であって、それに|属《ぞく》する|放牧《ほうぼく》|地《ち》があった。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》のレビびとである、メラリびとの|氏族《しぞく》に|与《あた》えられた|町《まち》は、ゼブルンの|部族《ぶぞく》のうちからは、ヨクネアムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、カルタとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]デムナとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ナハラルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、四つの|町《まち》である。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|部族《ぶぞく》のうちからは、ベゼルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ヤハヅとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ケデモテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、メパアテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、四つの|町《まち》である。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|部族《ぶぞく》のうちからは、|人《ひと》を|殺《ころ》した|者《もの》の、のがれる|町《まち》であるギレアデのラモテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、マハナイムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ヤゼルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》など、|合《あ》わせて四つの|町《まち》である。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]これらはみな、ほかのレビびとであるメラリびとが、その|氏族《しぞく》にしたがって、くじをもって|獲《え》た|町《まち》であって、|合《あ》わせて十二であった。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|所有《しょゆう》のうちに、レビびとが|持《も》った|町々《まちまち》は、|合《あ》わせて四十八であって、それに|属《ぞく》する|放牧《ほうぼく》|地《ち》があった。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]これらの|町々《まちまち》は、それぞれその|周囲《しゅうい》に|放牧《ほうぼく》|地《ち》があった。これらの|町々《まちまち》はみなそうであった。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]このように、|主《しゅ》が、イスラエルに|与《あた》えると、その|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われた|地《ち》を、ことごとく|与《あた》えられたので、|彼《かれ》らはそれを|獲《え》て、そこに|住《す》んだ。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われたように、|四方《しほう》に|安息《あんそく》を|賜《たま》わったので、すべての|敵《てき》のうち、ひとりも|彼《かれ》らに|手向《てむ》かう|者《もの》はなかった。|主《しゅ》が|敵《てき》をことごとく|彼《かれ》らの|手《て》に|渡《わた》されたからである。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がイスラエルの|家《いえ》に|約束《やくそく》されたすべての|良《よ》いことは、一つとしてたがわず、みな|実現《じつげん》した。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にヨシュアは、ルベンびと、ガドびと、およびマナセの|部族《ぶぞく》の|半《なか》ばを|呼《よ》び|集《あつ》めて、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》のしもべモーセが|命《めい》じたことを、ことごとく|守《まも》り、またわたしの|命《めい》じたすべての|事《こと》にも、わたしの|言葉《ことば》に|聞《き》きしたがいました。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|今日《こんにち》まで|長《なが》い|年月《としつき》の|間《あいだ》、あなたがたの|兄弟《きょうだい》たちを|捨《す》てず、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》を、よく|守《まも》ってきました。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》はすでに、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、あなたがたの|兄弟《きょうだい》たちに、|先《さき》に|約束《やくそく》されたとおり、|安息《あんそく》を|賜《たま》わるようになりました。それで、あなたがたは|身《み》を|返《かえ》して、|主《しゅ》のしもべモーセが、あなたがたに|与《あた》えたヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》の|所有《しょゆう》の|地《ち》に|行《い》き、|自分《じぶん》たちの|天幕《てんまく》に|帰《かえ》りなさい。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ただ|主《しゅ》のしもべモーセが、あなたがたに|命《めい》じた|戒《いまし》めと、|律法《りっぽう》とを|慎《つつし》んで|行《おこな》い、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》し、そのすべての|道《みち》に|歩《あゆ》み、その|命令《めいれい》を|守《まも》って、|主《しゅ》につき|従《したが》い、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして、|主《しゅ》に|仕《つか》えなさい」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアが|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》して|去《さ》らせたので、|彼《かれ》らはその|天幕《てんまく》に|帰《かえ》った。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|部族《ぶぞく》の|半《なか》ばには、すでにモーセがバシャンで|所有《しょゆう》|地《ち》を|与《あた》えたが、|他《た》の|半《なか》ばには、ヨシュアがヨルダンのこちら|側《がわ》、|西《にし》の|方《ほう》で、その|兄弟《きょうだい》たちのうちに、|所有《しょゆう》|地《ち》を|与《あた》えた。ヨシュアは、|彼《かれ》らをその|天幕《てんまく》に|送《おく》りかえす|時《とき》、|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》して、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「あなたがたは|多《おお》くの|貨《か》|財《ざい》と、おびただしい|数《かず》の|家畜《かちく》と、|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》、および|多《おお》くの|衣服《いふく》を|持《も》って|天幕《てんまく》に|帰《かえ》り、|敵《てき》から|獲《え》たぶんどり|物《もの》を|兄弟《きょうだい》たちに|分《わ》けなさい」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|部族《ぶぞく》の|半《なか》ばは、|主《しゅ》がモーセによって|命《めい》じられたように、すでに|自分《じぶん》の|所有《しょゆう》|地《ち》となっているギレアデの|地《ち》に|行《い》こうと、カナンの|地《ち》のシロで、イスラエルの|人々《ひとびと》と|別《わか》れて|帰《かえ》って|行《い》った。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|部族《ぶぞく》の|半《なか》ばが、カナンの|地《ち》のヨルダンのほとりにきた|時《とき》、その|所《ところ》で、ヨルダンの|岸《きし》べに一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。それは|大《おお》きくて|遠《とお》くから|見《み》える|祭壇《さいだん》であった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は、「ルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|部族《ぶぞく》の|半《なか》ばが、カナンの|地《ち》の|国境《こっきょう》、ヨルダンのほとりのイスラエルの|人々《ひとびと》に|属《ぞく》する|方《ほう》で、一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた」といううわさを|聞《き》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、それを|聞《き》くとひとしく、イスラエルの|人々《ひとびと》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はシロに|集《あつ》まって、|彼《かれ》らの|所《ところ》に|攻《せ》め|上《のぼ》ろうとした。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は、|祭司《さいし》エレアザルの|子《こ》ピネハスをギレアデの|地《ち》のルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》の|所《ところ》につかわし、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|各《かく》|部族《ぶぞく》のうちから、|父祖《ふそ》の|家《いえ》のつかさ、ひとりずつをあげて、|合《あ》わせて十|人《にん》のつかさたちを、|彼《かれ》と|共《とも》に|行《い》かせた。これらはみなイスラエルの|氏族《しぞく》のうちで、|父祖《ふそ》の|家《いえ》のかしらたる|人々《ひとびと》であった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはギレアデの|地《ち》に|行《い》き、ルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》に|語《かた》って|言《い》った、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》の|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はこう|言《い》います、『あなたがたがイスラエルの|神《かみ》にむかって、とがを|犯《おか》し、|今日《こんにち》、ひるがえって|主《しゅ》に|従《したが》うことをやめ、|自分《じぶん》のために一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》いて、|今日《こんにち》、|主《しゅ》にそむこうとするのは|何事《なにごと》か。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ペオルで|犯《おか》した|罪《つみ》で、なお|足《た》りないとするのか。それがために|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》に|災《わざわい》が|下《くだ》ったが、われわれは|今日《こんにち》もなお、その|罪《つみ》から|清《きよ》められていない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかもあなたがたは、|今日《こんにち》、ひるがえって|主《しゅ》に|従《したが》うことをやめようとするのか。あなたがたが、きょう、|主《しゅ》にそむくならば、あす、|主《しゅ》はイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》にむかって|怒《いか》られるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたの|所有《しょゆう》の|地《ち》が|清《きよ》くないのであれば、|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|立《た》っている|主《しゅ》の|所有《しょゆう》の|地《ち》に|渡《わた》ってきて、われわれのうちに、|所有《しょゆう》の|地《ち》を|獲《え》なさい。ただ、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》のほかに、|自分《じぶん》のために|祭壇《さいだん》を|築《きず》いて、|主《しゅ》にそむき、またわれわれをそむく|者《もの》とならせないでください。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ゼラの|子《こ》アカンは、のろわれた|物《もの》について、とがを|犯《おか》し、それがためイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に、|怒《いか》りが|臨《のぞ》んだではないか。またその|罪《つみ》によって|滅《ほろ》びた|者《もの》は、|彼《かれ》ひとりではなかった』」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》は、イスラエルの|氏族《しぞく》のかしらたちに|答《こた》えて|言《い》った、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「|力《ちから》ある|者《もの》、|神《かみ》、|主《しゅ》。|力《ちから》ある|者《もの》、|神《かみ》、|主《しゅ》。|主《しゅ》は|知《し》ろしめす。イスラエルもまた|知《し》らなければならない。もしそれがそむくことであり、あるいは|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》すことであるならば、きょう、われわれをゆるさないでください。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]われわれが|祭壇《さいだん》を|築《きず》いたことが、もし|主《しゅ》に|従《したが》うことをやめるためであり、またその|上《うえ》に、|燔祭《はんさい》、|素祭《そさい》をささげるためであり、あるいはまたその|上《うえ》に、|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》をささげるためであったならば、|主《しゅ》みずから、その|罪《つみ》を|問《と》いただしてください。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、われわれは|次《つぎ》のことを|考《かんが》えてしたのです。すなわち、のちの|日《ひ》になって、あなたがたの|子孫《しそん》が、われわれの|子孫《しそん》にむかって|言《い》うことがあるかも|知《し》れません、『あなたがたは、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》と、なんの|関係《かんけい》があるのですか。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|子孫《しそん》と、ガドの|子孫《しそん》よ、|主《しゅ》は、あなたがたと、われわれとの|間《あいだ》に、ヨルダンを|境《さかい》とされました。あなたがたは|主《しゅ》の|民《たみ》の|特権《とっけん》がありません』。こう|言《い》って、あなたがたの|子孫《しそん》が、われわれの|子孫《しそん》に、|主《しゅ》を|拝《おが》むことをやめさせるかも|知《し》れないので、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|言《い》いました、『さあ、われわれは一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》こう。|燔祭《はんさい》のためではなく、また|犠牲《ぎせい》のためでもなく、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ただあなたがたと、われわれとの|間《あいだ》、およびわれわれの|後《のち》の|子孫《しそん》の|間《あいだ》に、|証拠《しょうこ》とならせて、われわれが、|燔祭《はんさい》と|犠牲《ぎせい》、および|酬恩祭《しゅうおんさい》をもって、|主《しゅ》の|前《まえ》で、|主《しゅ》につとめをするためである。こうすれば、のちの|日《ひ》になって、あなたがたの|子孫《しそん》が、われわれの|子孫《しそん》に、「あなたがたは|主《しゅ》の|民《たみ》の|特権《とっけん》がありません」とは|言《い》わないであろう』。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]またわれわれは|言《い》いました、『のちの|日《ひ》に、われわれ、またわれわれの|子孫《しそん》が、もしそのようなことを|言《い》われるならば、その|時《とき》、われわれは|言《い》おう、「われわれの|先祖《せんぞ》が|造《つく》った|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|型《かた》をごらんなさい。これは|燔祭《はんさい》のためではなく、また|犠牲《ぎせい》のためでもなく、あなたがたと、われわれとの|間《あいだ》の|証拠《しょうこ》である」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にそむき、ひるがえって|今日《こんにち》、|主《しゅ》に|従《したが》うことをやめて、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》にある|祭壇《さいだん》のほかに、|燔祭《はんさい》、|素祭《そさい》、または|犠牲《ぎせい》をささげるための|祭壇《さいだん》を|築《きず》くようなことは、|決《けっ》していたしません』」。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ピネハス、および|会衆《かいしゅう》のつかさたち、すなわち|彼《かれ》と|共《とも》に|行《い》ったイスラエルの|氏族《しぞく》のかしらたちは、ルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|子孫《しそん》が|語《かた》った|言葉《ことば》を|聞《き》いて、それを|良《よ》しとした。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》エレアザルの|子《こ》ピネハスは、ルベンの|子孫《しそん》、ガドの|子孫《しそん》、およびマナセの|子孫《しそん》に|言《い》った、「|今日《こんにち》、われわれは、|主《しゅ》がわれわれのうちにいますことを|知《し》った。あなたがたが、|主《しゅ》にむかって、このとがを|犯《おか》さなかったからである。あなたがたは|今《いま》、イスラエルの|人々《ひとびと》を、|主《しゅ》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》したのです」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|祭司《さいし》エレアザルの|子《こ》ピネハスと、つかさたちは、ルベンの|子孫《しそん》、およびガドの|子孫《しそん》に|別《わか》れて、ギレアデの|地《ち》からカナンの|地《ち》に|帰《かえ》り、イスラエルの|人々《ひとびと》のところに|行《い》って|復命《ふくめい》したので、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はそれを|良《よ》しとした。そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|神《かみ》をほめたたえ、ルベンの|子孫《しそん》、およびガドの|子孫《しそん》の|住《す》んでいる|国《くに》を|滅《ほろ》ぼすために|攻《せ》め|上《のぼ》ろうとは、もはや|言《い》わなかった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|子孫《しそん》とガドの|子孫《しそん》は、その|祭壇《さいだん》を「あかし」と|名《な》づけて|言《い》った、「これは、われわれの|間《あいだ》にあって、|主《しゅ》が|神《かみ》にいますというあかしをするものである」。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がイスラエルの|周囲《しゅうい》の|敵《てき》を、ことごとく|除《のぞ》いて、イスラエルに|安息《あんそく》を|賜《たま》わってのち、|久《ひさ》しくたち、ヨシュアも|年《とし》が|進《すす》んで|老《お》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはイスラエルのすべての|人《ひと》、その|長老《ちょうろう》、かしらたち、さばきびと、つかさびとたちを|呼《よ》び|集《あつ》めて|言《い》った、「わたしは|年《ねん》も|進《すす》んで|老人《ろうじん》となった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、すでにあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、このもろもろの|国《くに》びとに|行《おこな》われたすべてのことを|見《み》た。あなたがたのために|戦《たたか》われたのは、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはヨルダンから、|日《ひ》の|入《い》る|方《ほう》、|大海《たいかい》までの、このもろもろの|残《のこ》っている|国々《くにぐに》と、すでにわたしが|滅《ほろ》ぼし|去《さ》ったすべての|国々《くにぐに》を、くじをもって、あなたがたに|分《わ》け|与《あた》え、あなたがたの|各《かく》|部族《ぶぞく》の|嗣《し》|業《ぎょう》とさせた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|前《まえ》から、その|国民《こくみん》を|打《う》ち|払《はら》い、あなたがたの|目《め》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われるのは、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。そしてあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたように、あなたがたは|彼《かれ》らの|地《ち》を|獲《え》るであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは|堅《かた》く|立《た》って、モーセの|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるされていることを、ことごとく|守《まも》って|行《おこな》わなければならない。それを|離《はな》れて|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》ってはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちに|残《のこ》っている、これらの|国民《こくみん》と|交《ま》じってはならない。|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》の|名《な》を|唱《とな》えてはならない。それをさして|誓《ちか》ってはならない。またそれに|仕《つか》え、それを|拝《おが》んではならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ただ、|今日《こんにち》までしてきたように、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》につき|従《したが》わなければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|大《おお》いなる|強《つよ》き|国民《こくみん》を、あなたがたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われた。あなたがたには|今日《こんにち》まで、|立《た》ち|向《む》かうことのできる|者《もの》は、ひとりもなかった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのひとりは、千|人《にん》を|追《お》い|払《はら》うことができるであろう。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたように、みずからあなたがたのために|戦《たたか》われるからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは|深《ふか》く|慎《つつし》んで、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|愛《あい》さなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたがもしひるがえって、これらの|国民《こくみん》の、|生《い》き|残《のこ》って、あなたがたの|中《なか》にとどまる|者《もの》どもと|親《した》しくなり、これと|婚姻《こんいん》し、ゆききするならば、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、しかと|知《し》らなければならない。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》は、もはや、これらの|国民《こくみん》をあなたがたの|前《まえ》から、|追《お》い|払《はら》うことをされないであろう。|彼《かれ》らは、かえって、あなたがたのわなとなり、|網《あみ》となり、あなたがたのわきに、むちとなり、あなたがたの|目《め》に、とげとなって、あなたがたはついに、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わったこの|良《よ》い|地《ち》から、|滅《ほろ》びうせるであろう。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|今日《こんにち》、わたしは|世《よ》の|人《ひと》のみな|行《い》く|道《みち》を|行《い》こうとする。あなたがたがみな、|心《こころ》のうちにまた、|肝《きも》に|銘《めい》じて|知《し》っているように、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、あなたがたについて|約束《やくそく》されたもろもろの|良《よ》いことで、一つも|欠《か》けたものはなかった。みなあなたがたに|臨《のぞ》んで、一つも|欠《か》けたものはなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたについて|約束《やくそく》された、もろもろの|良《よ》いことが、あなたがたに|臨《のぞ》んだように、|主《しゅ》はまた、もろもろの|悪《わる》いことをあなたがたに|下《くだ》して、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|賜《たま》わったこの|良《よ》い|地《ち》から、ついに、あなたがたを|滅《ほろ》ぼし|断《た》たれるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》が|命《めい》じられたその|契約《けいやく》を|犯《おか》し、|行《い》って|他《た》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》え、それを|拝《おが》むならば、|主《しゅ》はあなたがたにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、あなたがたは、|主《しゅ》が|賜《たま》わった|良《よ》い|地《ち》から、すみやかに|滅《ほろ》びうせるであろう」。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは、イスラエルのすべての|部族《ぶぞく》をシケムに|集《あつ》め、イスラエルの|長老《ちょうろう》、かしら、さばきびと、つかさたちを|召《め》し|寄《よ》せて、|共《とも》に|神《かみ》の|前《まえ》に|進《すす》み|出《で》た。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシュアはすべての|民《たみ》に|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、『あなたがたの|先祖《せんぞ》たち、すなわちアブラハムの|父《ちち》、ナホルの|父《ちち》テラは、|昔《むかし》、ユフラテ|川《かわ》の|向《む》こうに|住《す》み、みな、ほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えていたが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたがたの|先祖《せんぞ》アブラハムを、|川《かわ》の|向《む》こうから|連《つ》れ|出《だ》して、カナンの|全《ぜん》|地《ち》を|導《みちび》き|通《とお》り、その|子孫《しそん》を|増《ま》した。わたしは|彼《かれ》にイサクを|与《あた》え、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イサクにヤコブとエサウを|与《あた》え、エサウにはセイルの|山地《さんち》を|与《あた》えて、|所有《しょゆう》とさせたが、ヤコブとその|子《こ》|供《とも》たちはエジプトに|下《くだ》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはモーセとアロンをつかわし、またエジプトのうちに|不思議《ふしぎ》をおこなって、これに|災《わざわい》を|下《くだ》し、その|後《のち》あなたがたを|導《みちび》き|出《だ》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|父《ちち》たちを、エジプトから|導《みちび》き|出《だ》し、あなたがたが|海《うみ》にきたとき、エジプトびとは、|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》とをもって、あなたがたの|父《ちち》たちを|紅海《こうかい》に|追《お》ってきた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、あなたがたの|父《ちち》たちが|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったので、|主《しゅ》は|暗《くら》やみをあなたがたとエジプトびととの|間《あいだ》に|置《お》き、|海《うみ》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|傾《かたむ》けて|彼《かれ》らをおおわれた。あなたがたは、わたしがエジプトでしたことを|目《め》で|見《み》た。そして|長《なが》い|間《あいだ》、|荒野《あらの》に|住《す》んでいた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》に|住《す》んでいたアモリびとの|地《ち》に、あなたがたを|導《みちび》き|入《い》れた。|彼《かれ》らはあなたがたと|戦《たたか》ったので、わたしは|彼《かれ》らをあなたがたの|手《て》に|渡《わた》して、|彼《かれ》らの|地《ち》を|獲《え》させ、|彼《かれ》らをあなたがたの|前《まえ》から|滅《ほろ》ぼし|去《さ》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ついで、モアブの|王《おう》チッポルの|子《こ》バラクが|立《た》って、イスラエルに|敵《てき》し、|人《ひと》をつかわし、ベオルの|子《こ》バラムを|招《まね》き、あなたがたをのろわせようとしたが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがバラムに|聞《き》こうとしなかったので、|彼《かれ》は、かえって、あなたがたを|祝福《しゅくふく》した。こうしてわたしは|彼《かれ》の|手《て》からあなたがたを|救《すく》い|出《だ》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたがたは、ヨルダンを|渡《わた》って、エリコにきたが、エリコの|人々《ひとびと》はあなたがたと|戦《たたか》い、アモリびと、ペリジびと、カナンびと、ヘテびと、ギルガシびと、ヒビびと、およびエブスびとも、あなたがたと|戦《たたか》ったが、わたしは|彼《かれ》らをあなたがたの|手《て》に|渡《わた》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたがたの|前《まえ》に、くまばちを|送《おく》って、あのアモリびとのふたりの|王《おう》を、あなたがたの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》った。これはあなたがたのつるぎ、または、あなたがたの|弓《ゆみ》によってではなかった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは、あなたがたが|自分《じぶん》で|労《ろう》しなかった|地《ち》を、あなたがたに|与《あた》え、あなたがたが|建《た》てなかった|町《まち》を、あなたがたに|与《あた》えた。そしてあなたがたはいまその|所《ところ》に|住《す》んでいる。あなたがたはまた|自分《じぶん》で|作《つく》らなかったぶどう|畑《はたけ》と、オリブ|畑《はたけ》の|実《み》を|食《た》べている』。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、いま、あなたがたは|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、まことと、まごころと、|真実《しんじつ》とをもって、|主《しゅ》に|仕《つか》え、あなたがたの|先祖《せんぞ》が、|川《かわ》の|向《む》こう、およびエジプトで|仕《つか》えた|他《た》の|神々《かみがみ》を|除《のぞ》き|去《さ》って、|主《しゅ》に|仕《つか》えなさい。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが|主《しゅ》に|仕《つか》えることを、こころよしとしないのならば、あなたがたの|先祖《せんぞ》が、|川《かわ》の|向《む》こうで|仕《つか》えた|神々《かみがみ》でも、または、いまあなたがたの|住《す》む|地《ち》のアモリびとの|神々《かみがみ》でも、あなたがたの|仕《つか》える|者《もの》を、きょう、|選《えら》びなさい。ただし、わたしとわたしの|家《いえ》とは|共《とも》に|主《しゅ》に|仕《つか》えます」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|民《たみ》は|答《こた》えて|言《い》った、「|主《しゅ》を|捨《す》てて、|他《た》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》えるなど、われわれは|決《けっ》していたしません。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がみずからわれわれと、われわれの|先祖《せんぞ》とを、エジプトの|地《ち》、|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|導《みちび》き|上《のぼ》り、またわれわれの|目《め》の|前《まえ》で、あの|大《おお》いなるしるしを|行《おこな》い、われわれの|行《い》くすべての|道《みち》で|守《まも》り、われわれが|通《とお》ったすべての|国民《こくみん》の|中《なか》でわれわれを|守《まも》られたからです。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた、この|地《ち》に|住《す》んでいたアモリびとなど、すべての|民《たみ》を、われわれの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われました。それゆえ、われわれも|主《しゅ》に|仕《つか》えます。|主《しゅ》はわれわれの|神《かみ》だからです」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ヨシュアは|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》に|仕《つか》えることはできないであろう。|主《しゅ》は|聖《せい》なる|神《かみ》であり、ねたむ|神《かみ》であって、あなたがたの|罪《つみ》、あなたがたのとがを、ゆるされないからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが|主《しゅ》を|捨《す》てて、|異《こと》なる|神々《かみがみ》に|仕《つか》えるならば、あなたがたにさいわいを|下《くだ》されたのちにも、ひるがえってあなたがたに|災《わざわい》をくだし、あなたがたを|滅《ほろ》ぼしつくされるであろう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はヨシュアに|言《い》った、「いいえ、われわれは|主《しゅ》に|仕《つか》えます」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシュアは|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》を|選《えら》んで、|主《しゅ》に|仕《つか》えると|言《い》った。あなたがたみずからその|証人《しょうにん》である」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「われわれは|証人《しょうにん》です」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはまた|言《い》った、「それならば、あなたがたのうちにある、|異《こと》なる|神々《かみがみ》を|除《のぞ》き|去《さ》り、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に、|心《こころ》を|傾《かたむ》けなさい」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はヨシュアに|言《い》った、「われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に、われわれは|仕《つか》え、その|声《こえ》に|聞《き》きしたがいます」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアは、その|日《ひ》、|民《たみ》と|契約《けいやく》をむすび、シケムにおいて、|定《さだ》めと、おきてを、|彼《かれ》らのために|設《もう》けた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアはこれらの|言葉《ことば》を|神《かみ》の|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるし、|大《おお》きな|石《いし》を|取《と》って、その|所《ところ》で、|主《しゅ》の|聖所《せいじょ》にあるかしの|木《き》の|下《した》にそれを|立《た》て、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは、すべての|民《たみ》に|言《い》った、「|見《み》よ、この|石《いし》はわれわれのあかしとなるであろう。|主《しゅ》がわれわれに|語《かた》られたすべての|言葉《ことば》を、|聞《き》いたからである。それゆえ、あなたがたが|自分《じぶん》の|神《かみ》を|捨《す》てることのないために、この|石《いし》が、あなたがたのあかしとなるであろう」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシュアは|民《たみ》を、おのおのその|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》に|帰《き》し|去《さ》らせた。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、|主《しゅ》のしもべ、ヌンの|子《こ》ヨシュアは百十|歳《さい》で|死《し》んだ、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》をその|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》のうちのテムナテ・セラに|葬《ほうむ》った。テムナテ・セラは、エフライムの|山地《さんち》で、ガアシ|山《やま》の|北《きた》にある。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはヨシュアの|世《よ》にある|日《ひ》の|間《あいだ》、また|主《しゅ》がイスラエルのために|行《おこな》われたもろもろのことを|知《し》っていて、ヨシュアのあとに|生《い》き|残《のこ》った|長老《ちょうろう》たちが|世《よ》にある|日《ひ》の|間《あいだ》、つねに|主《しゅ》に|仕《つか》えた。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が、エジプトから|携《たずさ》え|上《のぼ》ったヨセフの|骨《ほね》は、むかしヤコブが|銀《ぎん》百|枚《まい》で、シケムの|父《ちち》ハモルの|子《こ》らから|買《か》い|取《と》ったシケムのうちの|地所《じしょ》の|一部《いちぶ》に|葬《ほうむ》られた。これはヨセフの|子孫《しそん》の|嗣《し》|業《ぎょう》となった。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》エレアザルも|死《し》んだ。|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を、その|子《こ》ピネハスに|与《あた》えられた|町《まち》で、エフライムの|山地《さんち》にあるギベアに|葬《ほうむ》った。 [#改ページ] 士師記[#「士師記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアが|死《し》んだ|後《のち》、イスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》に|問《と》うて|言《い》った、「わたしたちのうち、だれが|先《さき》に|攻《せ》め|上《のぼ》って、カナンびとと|戦《たたか》いましょうか」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「ユダが|上《のぼ》るべきである。わたしはこの|国《くに》を|彼《かれ》の|手《て》にわたした」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ユダはその|兄弟《きょうだい》シメオンに|言《い》った、「わたしと|一緒《いっしょ》に、わたしに|割《わ》り|当《あ》てられた|領地《りょうち》へ|上《のぼ》って|行《い》って、カナンびとと|戦《たたか》ってください。そうすればわたしもあなたと|一緒《いっしょ》に、あなたに|割《わ》り|当《あ》てられた|領地《りょうち》へ|行《い》きましょう」。そこでシメオンは|彼《かれ》と|一緒《いっしょ》に|行《い》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ユダが|上《のぼ》って|行《い》くと、|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|手《て》にカナンびととペリジびととをわたされたので、|彼《かれ》らはベゼクで一万|人《にん》を|撃《う》ち|破《やぶ》り、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またベゼクでアドニベゼクに|会《あ》い、|彼《かれ》と|戦《たたか》ってカナンびととペリジびととを|撃《う》ち|破《やぶ》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アドニベゼクは|逃《に》げたが、|彼《かれ》らはそのあとを|追《お》って|彼《かれ》を|捕《とら》え、その|手足《てあし》の|親指《おやゆび》を|切《き》り|放《はな》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アドニベゼクは|言《い》った、「かつて七十|人《にん》の|王《おう》たちが|手足《てあし》の|親指《おやゆび》を|切《き》られて、わたしの|食卓《しょくたく》の|下《した》で、くずを|拾《ひろ》ったことがあったが、|神《かみ》はわたしがしたように、わたしに|報《むく》いられたのだ」。|人々《ひとびと》は|彼《かれ》をエルサレムへ|連《つ》れて|行《い》ったが、|彼《かれ》はそこで|死《し》んだ。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》はエルサレムを|攻《せ》めて、これを|取《と》り、つるぎをもってこれを|撃《う》ち、|町《まち》に|火《ひ》を|放《はな》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、ユダの|人々《ひとびと》は|山地《さんち》とネゲブと|平地《へいち》に|住《す》んでいるカナンびとと|戦《たたか》うために|下《くだ》ったが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダはまずヘブロンに|住《す》んでいるカナンびとを|攻《せ》めて、セシャイとアヒマンとタルマイを|撃《う》ち|破《やぶ》った。ヘブロンのもとの|名《な》はキリアテ・アルバであった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またそこから|進《すす》んでデビルの|住民《じゅうみん》を|攻《せ》めた。(デビルのもとの|名《な》はキリアテ・セペルであった。)[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にカレブは|言《い》った、「キリアテ・セペルを|撃《う》って、これを|取《と》る|者《もの》には、わたしの|娘《むすめ》アクサを|妻《つま》として|与《あた》えるであろう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]カレブの|弟《おとうと》ケナズの|子《こ》オテニエルがそれを|取《と》ったので、カレブは|娘《むすめ》アクサを|妻《つま》として|彼《かれ》に|与《あた》えた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アクサは|行《い》くとき|彼女《かのじょ》の|父《ちち》に|畑《はたけ》を|求《もと》めることを|夫《おっと》にすすめられたので、アクサがろばから|降《お》りると、カレブは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたは|何《なに》を|望《のぞ》むのか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]アクサは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしに|贈《おく》り|物《もの》をください。あなたはわたしをネゲブの|地《ち》へやられるのですから、|泉《いずみ》をもください」。それでカレブは|上《うえ》の|泉《いずみ》と|下《した》の|泉《いずみ》とを|彼女《かのじょ》に|与《あた》えた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]モーセのしゅうとであるケニびとの|子孫《しそん》はユダの|人々《ひとびと》と|共《とも》に、しゅろの|町《まち》からアラドに|近《ちか》いネゲブにあるユダの|野《の》に|上《のぼ》ってきて、アマレクびとと|共《とも》に|住《す》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてユダはその|兄弟《きょうだい》シメオンと|共《とも》に|行《い》って、ゼパテに|住《す》んでいたカナンびとを|撃《う》ち、それをことごとく|滅《ほろ》ぼした。これによってその|町《まち》の|名《な》はホルマと|呼《よ》ばれた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ユダはまたガザとその|地域《ちいき》、アシケロンとその|地域《ちいき》、エクロンとその|地域《ちいき》を|取《と》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がユダと|共《とも》におられたので、ユダはついに|山地《さんち》を|手《て》に|入《い》れたが、|平地《へいち》に|住《す》んでいた|民《たみ》は|鉄《てつ》の|戦車《せんしゃ》をもっていたので、これを|追《お》い|出《だ》すことができなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はモーセがかつて|言《い》ったように、ヘブロンをカレブに|与《あた》えたので、カレブはその|所《ところ》からアナクの三|人《にん》の|子《こ》を|追《お》い|出《だ》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》はエルサレムに|住《す》んでいたエブスびとを|追《お》い|出《だ》さなかったので、エブスびとは|今日《こんにち》までベニヤミンの|人々《ひとびと》と|共《とも》にエルサレムに|住《す》んでいる。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ヨセフの|一族《いちぞく》はまたベテルに|攻《せ》め|上《のぼ》ったが、|主《しゅ》は|彼《かれ》らと|共《とも》におられた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヨセフの|一族《いちぞく》は|人《ひと》をやってベテルを|探《さぐ》らせた。この|町《まち》のもとの|名《な》はルズであった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|斥候《せっこう》たちは|町《まち》から|出《で》てきた|人《ひと》を|見《み》て、|言《い》った、「どうぞこの|町《まち》にはいる|道《みち》を|教《おし》えてください。そうすればわたしたちはあなたに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》しましょう」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|町《まち》にはいる|道《みち》を|教《おし》えたので、|彼《かれ》らはつるぎをもって|町《まち》を|撃《う》った。しかし、かの|人《ひと》とその|家族《かぞく》は|自由《じゆう》に|去《さ》らせた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》はヘテびとの|地《ち》に|行《い》って|町《まち》を|建《た》て、それをルズと|名《な》づけた。これは|今日《こんにち》までその|名《な》である。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]マナセはベテシャンとその|村里《むらざと》の|住民《じゅうみん》、タアナクとその|村里《むらざと》の|住民《じゅうみん》、ドルとその|村里《むらざと》の|住民《じゅうみん》、イブレアムとその|村里《むらざと》の|住民《じゅうみん》、メギドとその|村里《むらざと》の|住民《じゅうみん》を|追《お》い|出《だ》さなかったので、カナンびとは|引《ひ》き|続《つづ》いてその|地《ち》に|住《す》んでいたが、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|強《つよ》くなったとき、カナンびとを|強制《きょうせい》|労働《ろうどう》に|服《ふく》させ、|彼《かれ》らをことごとくは|追《お》い|出《だ》さなかった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またエフライムはゲゼルに|住《す》んでいたカナンびとを|追《お》い|出《だ》さなかったので、カナンびとはゲゼルにおいて|彼《かれ》らのうちに|住《す》んでいた。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンはキテロンの|住民《じゅうみん》およびナハラルの|住民《じゅうみん》を|追《お》い|出《だ》さなかったので、カナンびとは|彼《かれ》らのうちに|住《す》んで|強制《きょうせい》|労働《ろうどう》に|服《ふく》した。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]アセルはアッコの|住民《じゅうみん》およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの|住民《じゅうみん》を|追《お》い|出《だ》さなかったので、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]アセルびとは、その|地《ち》の|住民《じゅうみん》であるカナンびとのうちに|住《す》んでいた。|彼《かれ》らが|追《お》い|出《だ》さなかったからである。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリはベテシメシの|住民《じゅうみん》およびベテアナテの|住民《じゅうみん》を|追《お》い|出《だ》さずに、その|地《ち》の|住民《じゅうみん》であるカナンびとのうちに|住《す》んでいた。しかしベテシメシとベテアナテの|住民《じゅうみん》は、ついに|彼《かれ》らの|強制《きょうせい》|労働《ろうどう》に|服《ふく》した。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]アモリびとはダンの|人々《ひとびと》を|山地《さんち》に|追《お》い|込《こ》んで|平地《へいち》に|下《くだ》ることを|許《ゆる》さなかった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]アモリびとは|引《ひ》き|続《つづ》いてハルヘレス、アヤロン、シャラビムに|住《す》んでいたが、ヨセフの|一族《いちぞく》の|手《て》が|強《つよ》くなったので、|彼《かれ》らは|強制《きょうせい》|労働《ろうどう》に|服《ふく》した。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アモリびとの|境《さかい》はアクラビムの|坂《さか》からセラを|経《へ》て|上《うえ》の|方《ほう》に|及《およ》んだ。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》がギルガルからボキムに|上《のぼ》って|言《い》った、「わたしはあなたがたをエジプトから|上《のぼ》らせて、あなたがたの|先祖《せんぞ》に|誓《ちか》った|地《ち》に|連《つ》れてきて、|言《い》った、『わたしはあなたと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|決《けっ》して|破《やぶ》ることはない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはこの|国《くに》の|住民《じゅうみん》と|契約《けいやく》を|結《むす》んではならない。|彼《かれ》らの|祭壇《さいだん》をこぼたなければならない』と。しかし、あなたがたはわたしの|命令《めいれい》に|従《したが》わなかった。あなたがたは、なんということをしたのか。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしは|言《い》う、『わたしはあなたがたの|前《まえ》から|彼《かれ》らを|追《お》い|払《はら》わないであろう。|彼《かれ》らはかえってあなたがたの|敵《てき》となり、|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》はあなたがたのわなとなるであろう』と」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》がこれらの|言葉《ことば》をイスラエルのすべての|人々《ひとびと》に|告《つ》げたので、|民《たみ》は|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それでその|所《ところ》の|名《な》をボキムと|呼《よ》んだ。そして|彼《かれ》らはその|所《ところ》で|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアが|民《たみ》を|去《さ》らせたので、イスラエルの|人々《ひとびと》はおのおのその|領地《りょうち》へ|行《い》って|土地《とち》を|獲《え》た。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はヨシュアの|在世中《ざいせいちゅう》も、またヨシュアのあとに|生《い》き|残《のこ》った|長老《ちょうろう》たち、すなわち|主《しゅ》がかつてイスラエルのために|行《おこな》われたすべての|大《おお》いなるわざを|見《み》た|人々《ひとびと》の|在世中《ざいせいちゅう》も|主《しゅ》に|仕《つか》えた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》のしもべヌンの|子《こ》ヨシュアは百十|歳《さい》で|死《し》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》をエフライムの|山地《さんち》のガアシ|山《やま》の|北《きた》のテムナテ・ヘレスにある|彼《かれ》の|領地《りょうち》|内《うち》に|葬《ほうむ》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|時代《じだい》の|者《もの》もまたことごとくその|先祖《せんぞ》たちのもとにあつめられた。その|後《のち》ほかの|時代《じだい》が|起《た》ったが、これは|主《しゅ》を|知《し》らず、また|主《しゅ》がイスラエルのために|行《おこな》われたわざをも|知《し》らなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、もろもろのバアルに|仕《つか》え、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]かつてエジプトの|地《ち》から|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》された|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てて、ほかの|神々《かみがみ》すなわち|周囲《しゅうい》にある|国民《こくみん》の|神々《かみがみ》に|従《したが》い、それにひざまずいて、|主《しゅ》の|怒《いか》りをひき|起《おこ》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らは|主《しゅ》を|捨《す》てて、バアルとアシタロテに|仕《つか》えたので、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|怒《いか》りがイスラエルに|対《たい》して|燃《も》え、かすめ|奪《うば》う|者《もの》の|手《て》にわたして、かすめ|奪《うば》わせ、かつ|周囲《しゅうい》のもろもろの|敵《てき》の|手《て》に|売《う》られたので、|彼《かれ》らは|再《ふたた》びその|敵《てき》に|立《た》ち|向《む》かうことができなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがどこへ|行《い》っても、|主《しゅ》の|手《て》は|彼《かれ》らに|災《わざわい》をした。これは|主《しゅ》がかつて|言《い》われ、また|主《しゅ》が|彼《かれ》らに|誓《ちか》われたとおりで、|彼《かれ》らはひどく|悩《なや》んだ。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はさばきづかさを|起《おこ》して、|彼《かれ》らをかすめ|奪《うば》う|者《もの》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》された。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはそのさばきづかさにも|従《したが》わず、かえってほかの|神々《かみがみ》を|慕《した》ってそれと|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、それにひざまずき、|先祖《せんぞ》たちが|主《しゅ》の|命令《めいれい》に|従《したが》って|歩《あゆ》んだ|道《みち》を、いちはやく|離《はな》れ|去《さ》って、そのようには|行《おこな》わなかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》らのためにさばきづかさを|起《おこ》されたとき、そのさばきづかさの|在世中《ざいせいちゅう》、|主《しゅ》はさばきづかさと|共《とも》におられて、|彼《かれ》らを|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》された。これは|彼《かれ》らが|自分《じぶん》をしえたげ|悩《なや》ました|者《もの》のゆえに、うめき|悲《かな》しんだので、|主《しゅ》が|彼《かれ》らをあわれまれたからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしさばきづかさが|死《し》ぬと、|彼《かれ》らはそむいて、|先祖《せんぞ》たちにまさって|悪《あく》を|行《おこな》い、ほかの|神々《かみがみ》に|従《したが》ってそれに|仕《つか》え、それにひざまずいてそのおこないをやめず、かたくなな|道《みち》を|離《はな》れなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それで|主《しゅ》はイスラエルに|対《たい》し|激《はげ》しく|怒《いか》って|言《い》われた、「この|民《たみ》はわたしがかつて|先祖《せんぞ》たちに|命《めい》じた|契約《けいやく》を|犯《おか》し、わたしの|命令《めいれい》に|従《したが》わないゆえ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしもまたヨシュアが|死《し》んだときに|残《のこ》しておいた|国民《こくみん》を、この|後《のち》、|彼《かれ》らの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》わないであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルが、|先祖《せんぞ》たちの|守《まも》ったように|主《しゅ》の|道《みち》を|守《まも》ってそれに|歩《あゆ》むかどうかをわたしが|試《こころ》みるためである」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこれらの|国民《こくみん》を|急《いそ》いで|追《お》い|払《はら》わずに|残《のこ》しておいて、ヨシュアの|手《て》にわたされなかったのである。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]すべてカナンのもろもろの|戦争《せんそう》を|知《し》らないイスラエルの|人々《ひとびと》を|試《こころ》みるために、|主《しゅ》が|残《のこ》しておかれた|国民《こくみん》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これはただイスラエルの|代々《よよ》の|子孫《しそん》、|特《とく》にまだ|戦争《せんそう》を|知《し》らないものに、それを|教《おし》え|知《し》らせるためである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちペリシテびとの五|人《にん》の|君《きみ》たちと、すべてのカナンびとと、シドンびとおよびレバノン|山《やま》に|住《す》んで、バアル・ヘルモン|山《やま》からハマテの|入口《いりぐち》までを|占《し》めていたヒビびとなどであって、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これらをもってイスラエルを|試《こころ》み、|主《しゅ》がモーセによって|先祖《せんぞ》たちに|命《めい》じられた|命令《めいれい》に、|彼《かれ》らが|従《したが》うかどうかを|知《し》ろうとされたのである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかるにイスラエルの|人々《ひとびと》はカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのうちに|住《す》んで、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|娘《むすめ》を|妻《つま》にめとり、また|自分《じぶん》たちの|娘《むすめ》を|彼《かれ》らのむすこに|与《あた》えて、|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、|自分《じぶん》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》を|忘《わす》れて、バアルおよびアシラに|仕《つか》えた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はイスラエルに|対《たい》して|激《はげ》しく|怒《いか》り、|彼《かれ》らをメソポタミヤの|王《おう》クシャン・リシャタイムの|手《て》に|売《う》りわたされたので、イスラエルの|人々《ひとびと》は八|年《ねん》の|間《あいだ》、クシャン・リシャタイムに|仕《つか》えた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》が|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったとき、|主《しゅ》はイスラエルの|人々《ひとびと》のために、ひとりの|救助者《きゅうじょしゃ》を|起《おこ》して|彼《かれ》らを|救《すく》われた。すなわちカレブの|弟《おとうと》、ケナズの|子《こ》オテニエルである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|霊《れい》がオテニエルに|臨《のぞ》んだので、|彼《かれ》はイスラエルをさばいた。|彼《かれ》が|戦《たたか》いに|出《で》ると、|主《しゅ》はメソポタミヤの|王《おう》クシャン・リシャタイムをその|手《て》にわたされたので、オテニエルの|手《て》はクシャン・リシャタイムに|勝《か》ち、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》は四十|年《ねん》のあいだ|太平《たいへい》であった。ケナズの|子《こ》オテニエルはついに|死《し》んだ。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はまた|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなった。すなわち|彼《かれ》らが|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなったので、|主《しゅ》はモアブの|王《おう》エグロンを|強《つよ》めて、イスラエルに|敵対《てきたい》させられた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エグロンはアンモンおよびアマレクの|人々《ひとびと》を|集《あつ》め、きてイスラエルを|撃《う》ち、しゅろの|町《まち》を|占領《せんりょう》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》は十八|年《ねん》の|間《あいだ》モアブの|王《おう》エグロンに|仕《つか》えた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|人々《ひとびと》が|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったとき、|主《しゅ》は|彼《かれ》らのために、ひとりの|救助者《きゅうじょしゃ》を|起《おこ》された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの|子《こ》、|左《ひだり》ききのエホデである。イスラエルの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》によってモアブの|王《おう》エグロンに、みつぎ|物《もの》を|送《おく》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エホデは|長《なが》さ一キュビトのもろ|刃《は》のつるぎを|作《つく》らせ、それを|衣《ころも》の|下《した》、|右《みぎ》のももの|上《うえ》に|帯《お》びて、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|王《おう》エグロンにみつぎ|物《もの》をもってきた。エグロンは|非常《ひじょう》に|肥《こ》えた|人《ひと》であった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エホデがみつぎ|物《もの》をささげ|終《おわ》ったとき、|彼《かれ》はみつぎ|物《もの》をになってきた|民《たみ》を|帰《かえ》らせ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]かれ|自身《じしん》はギルガルに|近《ちか》い|石像《せきぞう》のある|所《ところ》から|引《ひ》きかえして|言《い》った、「|王《おう》よ、わたしはあなたに|申《もう》しあげる|機密《きみつ》をもっています」。そこで|王《おう》は「さがっておれ」と|言《い》ったので、かたわらに|立《た》っている|者《もの》は|皆《みな》|出《で》て|行《い》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エホデが|王《おう》のところにはいって|来《く》ると、|王《おう》はひとりで|涼《すず》みの|高殿《たかどの》に|座《ざ》していたので、エホデが「わたしは|神《かみ》の|命《いのち》によってあなたに|申《もう》しあげることがあります」と|言《い》うと、|王《おう》は|座《ざ》から|立《た》ちあがった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そのときエホデは|左《ひだり》の|手《て》を|伸《の》ばし、|右《みぎ》のももからつるぎをとって|王《おう》の|腹《はら》を|刺《さ》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]つるぎのつかも|刃《は》と|共《とも》にはいったが、つるぎを|腹《はら》から|抜《ぬ》き|出《だ》さなかったので、|脂肪《しぼう》が|刃《は》をふさいだ。そして|汚物《おぶつ》が|出《で》た。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]エホデは|廊下《ろうか》に|出《で》て、|王《おう》のおる|高殿《たかどの》の|戸《と》を|閉《と》じ、|錠《じょう》をおろした。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|出《で》た|後《のち》、|王《おう》のしもべどもがきて、|高殿《たかどの》の|戸《と》に|錠《じょう》のおろされてあるのを|見《み》て、「|王《おう》はきっと|涼《すず》み|殿《どの》のへやで|足《あし》をおおっておられるのだ」と|思《おも》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しもべどもは|長《なが》いあいだ|待《ま》っていたが、|王《おう》がなお|高殿《たかどの》の|戸《と》を|開《ひら》かないので、|心配《しんぱい》してかぎをとって|開《ひら》いて|見《み》ると、|王《おう》は|床《ゆか》にたおれて|死《し》んでいた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]エホデは|彼《かれ》らのためらうまに、のがれて|石像《せきぞう》のある|所《ところ》を|過《す》ぎ、セイラに|逃《に》げていった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|行《い》ってエフライムの|山地《さんち》にラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らしたので、イスラエルの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》と|共《とも》に|山地《さんち》から|下《くだ》ってエホデに|従《したが》った。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]エホデは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしについてきなさい。|主《しゅ》はあなたがたの|敵《てき》モアブびとをあなたがたの|手《て》にわたされます」。そこで|彼《かれ》らはエホデに|従《したが》って|下《くだ》り、ヨルダンの|渡《わた》し|場《ば》をおさえ、モアブびとをひとりも|渡《わた》らせなかった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|彼《かれ》らはモアブびとおおよそ一万|人《にん》を|殺《ころ》した。これはいずれも|肥《こ》え|太《ふと》った|勇士《ゆうし》であって、ひとりも、のがれた|者《もの》がなかった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモアブはその|日《ひ》イスラエルの|手《て》に|服《ふく》し、|国《くに》は八十|年《ねん》のあいだ|太平《たいへい》であった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]エホデの|後《のち》、アナテの|子《こ》シャムガルが|起《おこ》り、|牛《うし》のむちをもってペリシテびと六百|人《にん》を|殺《ころ》した。この|人《ひと》もまたイスラエルを|救《すく》った。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エホデが|死《し》んだ|後《のち》、イスラエルの|人々《ひとびと》がまた|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなったので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、ハゾルで|世《よ》を|治《おさ》めていたカナンの|王《おう》ヤビンの|手《て》に|彼《かれ》らを|売《う》りわたされた。ヤビンの|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》はハロセテ・ゴイムに|住《す》んでいたシセラであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|鉄《てつ》の|戦車《せんしゃ》九百|両《りょう》をもち、二十|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルの|人々《ひとびと》を|激《はげ》しくしえたげたので、イスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》に|向《む》かって|呼《よ》ばわった。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そのころラピドテの|妻《つま》、|女《おんな》|預言者《よげんしゃ》デボラがイスラエルをさばいていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はエフライムの|山地《さんち》のラマとベテルの|間《あいだ》にあるデボラのしゅろの|木《き》の|下《した》に|座《ざ》し、イスラエルの|人々《ひとびと》は|彼女《かのじょ》のもとに|上《のぼ》ってきて、さばきをうけた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]デボラは|人《ひと》をつかわして、ナフタリのケデシからアビノアムの|子《こ》バラクを|招《まね》いて|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたに、こう|命《めい》じられるではありませんか、『ナフタリの|部族《ぶぞく》とゼブルンの|部族《ぶぞく》から一万|人《にん》を|率《ひき》い、|行《い》って、タボル|山《やま》に|陣《じん》をしけ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはヤビンの|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》シセラとその|戦車《せんしゃ》と|軍隊《ぐんたい》とをキション|川《かわ》に|引《ひ》き|寄《よ》せて、あなたに|出《で》あわせ、|彼《かれ》をあなたの|手《て》にわたすであろう』」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]バラクは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたがもし|一緒《いっしょ》に|行《い》ってくだされば、わたしは|行《い》きます。しかし、|一緒《いっしょ》に|行《い》ってくださらないならば、|行《い》きません」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]デボラは|言《い》った、「|必《かなら》ずあなたと|一緒《いっしょ》に|行《い》きます。しかしあなたは|今《いま》|行《い》く|道《みち》では|誉《ほまれ》を|得《え》ないでしょう。|主《しゅ》はシセラを|女《おんな》の|手《て》にわたされるからです」。デボラは|立《た》ってバラクと|一緒《いっしょ》にケデシに|行《い》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]バラクはゼブルンとナフタリをケデシに|呼《よ》び|集《あつ》め、一万|人《にん》を|従《したが》えて|上《のぼ》った。デボラも|彼《かれ》と|共《とも》に|上《のぼ》った。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にケニびとヘベルはモーセのしゅうとホバブの|子孫《しそん》であるケニびとから|分《わか》れて、ケデシに|近《ちか》いザアナイムのかしの|木《き》までも|遠《とお》く|行《い》って|天幕《てんまく》を|張《は》っていた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アビノアムの|子《こ》バラクがタボル|山《やま》に|上《のぼ》ったと、|人々《ひとびと》がシセラに|告《つ》げたので、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]シセラは|自分《じぶん》の|戦車《せんしゃ》の|全部《ぜんぶ》すなわち|鉄《てつ》の|戦車《せんしゃ》九百|両《りょう》と、|自分《じぶん》と|共《とも》におるすべての|民《たみ》をハロセテ・ゴイムからキション|川《かわ》に|呼《よ》び|集《あつ》めた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]デボラはバラクに|言《い》った、「さあ、|立《た》ちあがりなさい。きょうは|主《しゅ》がシセラをあなたの|手《て》にわたされる|日《ひ》です。|主《しゅ》はあなたに|先立《さきだ》って|出《で》られるではありませんか」。そこでバラクは一万|人《にん》を|従《したが》えてタボル|山《やま》から|下《くだ》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はつるぎをもってシセラとすべての|戦車《せんしゃ》および|軍勢《ぐんぜい》をことごとくバラクの|前《まえ》に|撃《う》ち|敗《やぶ》られたので、シセラは|戦車《せんしゃ》から|飛《と》びおり、|徒歩《とほ》で|逃《に》げ|去《さ》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]バラクは|戦車《せんしゃ》と|軍勢《ぐんぜい》とを|追撃《ついげき》してハロセテ・ゴイムまで|行《い》った。シセラの|軍勢《ぐんぜい》はことごとくつるぎにたおれて、|残《のこ》ったものはひとりもなかった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしシセラは|徒歩《とほ》で|逃《に》げ|去《さ》って、ケニびとヘベルの|妻《つま》ヤエルの|天幕《てんまく》に|行《い》った。ハゾルの|王《おう》ヤビンとケニびとヘベルの|家《いえ》とは|互《たがい》にむつまじかったからである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヤエルは|出《で》てきてシセラを|迎《むか》え、|彼《かれ》に|言《い》った、「おはいりください。|主《しゅ》よ、どうぞうちへおはいりください。|恐《おそ》れるにはおよびません」。シセラが|天幕《てんまく》にはいったので、ヤエルは|毛布《もうふ》をもって|彼《かれ》をおおった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]シセラはヤエルに|言《い》った、「どうぞ、わたしに|水《みず》を|少《すこ》し|飲《の》ませてください。のどがかわきましたから」。ヤエルは|乳《ちち》の|皮《かわ》|袋《ぶくろ》を|開《ひら》いて|彼《かれ》に|飲《の》ませ、また|彼《かれ》をおおった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]シセラはまたヤエルに|言《い》った、「|天幕《てんまく》の|入口《いりぐち》に|立《た》っていてください。もし|人《ひと》がきて、あなたに『だれか、ここにおりますか』と|問《と》うならば『おりません』と|答《こた》えてください」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》が|疲《つか》れて|熟睡《じゅくすい》したとき、ヘベルの|妻《つま》ヤエルは|天幕《てんまく》のくぎを|取《と》り、|手《て》に|槌《つち》を|携《たずさ》えて|彼《かれ》に|忍《しの》び|寄《よ》り、こめかみにくぎを|打《う》ち|込《こ》んで|地《ち》に|刺《さ》し|通《とお》したので、|彼《かれ》は|息《いき》|絶《た》えて|死《し》んだ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]バラクがシセラを|追《お》ってきたとき、ヤエルは|彼《かれ》を|出迎《でむか》えて|言《い》った、「おいでなさい。あなたが|求《もと》めている|人《ひと》をお|見《み》せしましょう」。|彼《かれ》がヤエルの|天幕《てんまく》にはいって|見《み》ると、シセラはこめかみにくぎを|打《う》たれて|倒《たお》れて|死《し》んでいた。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|日《ひ》、|神《かみ》はカナンの|王《おう》ヤビンをイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》に|撃《う》ち|敗《やぶ》られた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》の|手《て》はますますカナンびとの|王《おう》ヤビンの|上《うえ》に|重《おも》くなって、ついにカナンの|王《おう》ヤビンを|滅《ほろ》ぼすに|至《いた》った。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》デボラとアビノアムの|子《こ》バラクは|歌《うた》って|言《い》った。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|指導者《しどうしゃ》たちは|先《さき》に|立《た》ち、 |民《たみ》は|喜《よろこ》び|勇《いさ》んで|進《すす》み|出《で》た。 |主《しゅ》をさんびせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|王《おう》よ|聞《き》け、 もろもろの|君《きみ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 わたしは|主《しゅ》に|向《む》かって|歌《うた》おう、 わたしはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》をほめたたえよう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたがセイルを|出《で》、 エドムの|地《ち》から|進《すす》まれたとき、 |地《ち》は|震《ふる》い、|天《てん》はしたたり、 |雲《くも》は|水《みず》をしたたらせた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|山《やま》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》き、 シナイの|主《しゅ》、すなわちイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|揺《ゆ》り|動《うご》いた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アナテの|子《こ》シャムガルのとき、 ヤエルの|時《とき》には|隊商《たいしょう》は|絶《た》え、 |旅人《たびびと》はわき|道《みち》をとおった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルには|農民《のうみん》が|絶《た》え、 かれらは|絶《た》え|果《は》てたが、 デボラよ、ついにあなたは|立《た》ちあがり、 |立《た》ってイスラエルの|母《はは》となった。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》が|新《あたら》しい|神々《かみがみ》を|選《えら》んだとき、 |戦《たたか》いは|門《もん》に|及《およ》んだ。 イスラエルの四万|人《にん》のうちに、 |盾《たて》あるいは|槍《やり》の|見《み》られたことがあったか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》は|民《たみ》のうちの|喜《よろこ》び|勇《いさ》んで |進《すす》み|出《で》たイスラエルのつかさたちと|共《とも》にある。 |主《しゅ》をさんびせよ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|茶色《ちゃいろ》のろばに|乗《の》るもの、 |毛氈《もうせん》の|上《うえ》にすわるもの、 および|道《みち》を|歩《あゆ》むものよ、|共《とも》に|歌《うた》え。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|楽人《がくじん》の|調《しら》べは|水《みず》くむ|所《ところ》に|聞《きこ》える。 かれらはそこで|主《しゅ》の|救《すくい》を|唱《とな》え、 イスラエルの|農民《のうみん》の|救《すくい》を|唱《とな》えている。 その|時《とき》、|主《しゅ》の|民《たみ》は|門《もん》に|下《くだ》って|行《い》った。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|起《お》きよ、|起《お》きよ、デボラ。 |起《お》きよ、|起《お》きよ、|歌《うた》をうたえ。 |立《た》てよ、バラク、とりこを|捕《とら》えよ、 アビノアムの|子《こ》よ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|残《のこ》った|者《もの》は|尊《たっと》い|者《もの》のように|下《くだ》って|行《い》き、 |主《しゅ》の|民《たみ》は|勇士《ゆうし》のように|下《くだ》って|行《い》った。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエフライムから|出《で》て|谷《たに》に|進《すす》み、 |兄弟《きょうだい》ベニヤミンはあなたの|民《たみ》のうちにある。 マキルからはつかさたちが|下《くだ》って|行《い》き、 ゼブルンからは|指揮《しき》を|執《と》るものが|下《くだ》って|行《い》った。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|君《きみ》たちはデボラと|共《とも》におり、 イッサカルはバラクと|同《おな》じく、 |直《ただ》ちにそのあとについて|谷《たに》に|突進《とっしん》した。 しかしルベンの|氏族《しぞく》は|大《おお》いに|思案《しあん》した。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、あなたは、おりの|間《あいだ》にとどまって、 |羊《ひつじ》の|群《む》れに|笛《ふえ》|吹《ふ》くのを|聞《き》いているのか。 ルベンの|氏族《しぞく》は|大《おお》いに|思案《しあん》した。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデはヨルダンの|向《む》こうにとどまっていた。 なぜ、ダンは|舟《ふね》のかたわらにとどまったか。 アセルは|浜《はま》べに|座《ざ》し、 その|波止場《はとば》のかたわらにとどまっていた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンは|命《いのち》をすてて、|死《し》を|恐《おそ》れぬ|民《たみ》である。 |野《の》の|高《たか》い|所《ところ》におるナフタリもまたそうであった。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|王《おう》たちはきて|戦《たたか》った。 その|時《とき》カナンの|王《おう》たちは、 メギドの|水《みず》のほとりのタアナクで|戦《たたか》った。 |彼《かれ》らは|一片《いっぺん》の|銀《ぎん》をも|獲《え》なかった。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|星《ほし》は|天《てん》より|戦《たたか》い、 その|軌道《きどう》をはなれてシセラと|戦《たたか》った。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]キションの|川《かわ》は|彼《かれ》らを|押《お》し|流《なが》した、 |激《はげ》しく|流《なが》れる|川《かわ》、キションの|川《かわ》。 わが|魂《たましい》よ、|勇《いさ》ましく|進《すす》め。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|軍馬《ぐんば》ははせ|駆《か》けり、 |馬《うま》のひずめは|地《ち》を|踏《ふ》みならした。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|言《い》った、『メロズをのろえ、 |激《はげ》しくその|民《たみ》をのろえ、 |彼《かれ》らはきて|主《しゅ》を|助《たす》けず、 |主《しゅ》を|助《たす》けて|勇士《ゆうし》を|攻《せ》めなかったからである』。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ケニびとヘベルの|妻《つま》ヤエルは、 |女《おんな》のうちの|最《もっと》も|恵《めぐ》まれた|者《もの》、 |天幕《てんまく》に|住《す》む|女《おんな》のうち|最《もっと》も|恵《めぐ》まれた|者《もの》である。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]シセラが|水《みず》を|求《もと》めると、ヤエルは|乳《ちち》を|与《あた》えた。 すなわち|貴重《きちょう》な|鉢《はち》に|凝乳《ぎょうにゅう》を|盛《も》ってささげた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヤエルはくぎに|手《て》をかけ、 |右手《みぎて》に|重《おも》い|槌《つち》をとって、 シセラを|打《う》ち、その|頭《あたま》を|砕《くだ》き、 |粉々《こなごな》にして、そのこめかみを|打《う》ち|貫《つらぬ》いた。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]シセラはヤエルの|足《あし》もとにかがんで|倒《たお》れ|伏《ふ》し、 その|足《あし》もとにかがんで|倒《たお》れ、 そのかがんだ|所《ところ》に|倒《たお》れて|死《し》んだ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]シセラの|母《はは》は|窓《まど》からながめ、 |格子《こうし》|窓《まど》から|叫《さけ》んで|言《い》った、 『どうして|彼《かれ》の|車《くるま》の|来《く》るのがおそいのか、 どうして|彼《かれ》の|車《くるま》の|歩《あゆ》みがはかどらないのか』。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|侍女《じじょ》たちの|賢《かしこ》い|者《もの》は|答《こた》え、 |母《はは》またみずからおのれに|答《こた》えて|言《い》った、 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]『|彼《かれ》らは|獲物《えもの》を|得《え》て、 それを|分《わ》けているのではないか、 |人《ひと》ごとにひとり、ふたりのおなごを|取《と》り、 シセラの|獲物《えもの》は|色《いろ》|染《ぞ》めの|衣《ころも》、 |縫《ぬ》い|取《と》りした|色《いろ》|染《ぞ》めの|衣《ころも》の|獲物《えもの》であろう。 すなわち|縫《ぬ》い|取《と》りした|色《いろ》|染《ぞ》めの|衣《ころも》二つを、 |獲物《えもの》としてそのくびにまとうであろう』。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|敵《てき》はみなこのように|滅《ほろ》び、 あなたを|愛《あい》する|者《もの》を |太陽《たいよう》の|勢《いきお》いよく|上《のぼ》るようにしてください」。 [#ここで字下げ終わり] こうして|後《のち》、|国《くに》は四十|年《ねん》のあいだ|太平《たいへい》であった。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はまた|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らを七|年《ねん》の|間《あいだ》ミデアンびとの|手《て》にわたされた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ミデアンびとの|手《て》はイスラエルに|勝《か》った。イスラエルの|人々《ひとびと》はミデアンびとのゆえに、|山《やま》にある|岩屋《いわや》と、ほら|穴《あな》と|要害《ようがい》とを|自分《じぶん》たちのために|造《つく》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルびとが|種《たね》をまいた|時《とき》には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび|東方《とうほう》の|民《たみ》が|上《のぼ》ってきてイスラエルびとを|襲《おそ》い、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルびとに|向《む》かって|陣《じん》を|取《と》り、|地《ち》の|産物《さんぶつ》を|荒《あら》してガザの|附近《ふきん》にまで|及《およ》び、イスラエルのうちに|命《いのち》をつなぐべき|物《もの》を|残《のこ》さず、|羊《ひつじ》も|牛《うし》もろばも|残《のこ》さなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|家畜《かちく》と|天幕《てんまく》を|携《たずさ》えて、いなごのように|多《おお》く|上《のぼ》ってきたからである。すなわち|彼《かれ》らとそのらくだは|無数《むすう》であって、|彼《かれ》らは|国《くに》を|荒《あら》すためにはいってきたのであった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルはミデアンびとのために|非常《ひじょう》に|衰《おとろ》え、イスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》に|呼《よ》ばわった。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》がミデアンびとのゆえに、|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったとき、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はひとりの|預言者《よげんしゃ》をイスラエルの|人々《ひとびと》につかわして|彼《かれ》らに|言《い》われた、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、『わたしはかつてあなたがたをエジプトから|導《みちび》き|上《のぼ》り、あなたがたを|奴隷《どれい》の|家《いえ》から|携《たずさ》え|出《だ》し、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトびとの|手《て》およびすべてあなたがたをしえたげる|者《もの》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》し、あなたがたの|前《まえ》から|彼《かれ》らを|追《お》い|払《はら》って、その|国《くに》をあなたがたに|与《あた》えた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたがたに|言《い》った、「わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。あなたがたが|住《す》んでいる|国《くに》のアモリびとの|神々《かみがみ》を|恐《おそ》れてはならない」と。しかし、あなたがたはわたしの|言葉《ことば》に|従《したが》わなかった』」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]さて|主《しゅ》の|使《つかい》がきて、アビエゼルびとヨアシに|属《ぞく》するオフラにあるテレビンの|木《き》の|下《した》に|座《ざ》した。|時《とき》にヨアシの|子《こ》ギデオンはミデアンびとの|目《め》を|避《さ》けるために|酒《さか》ぶねの|中《なか》で|麦《むぎ》を|打《う》っていたが、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|彼《かれ》に|現《あらわ》れて|言《い》った、「|大《だい》|勇士《ゆうし》よ、|主《しゅ》はあなたと|共《とも》におられます」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|言《い》った、「ああ、|君《きみ》よ、|主《しゅ》がわたしたちと|共《とも》におられるならば、どうしてこれらの|事《こと》がわたしたちに|臨《のぞ》んだのでしょう。わたしたちの|先祖《せんぞ》が『|主《しゅ》はわれわれをエジプトから|導《みちび》き|上《のぼ》られたではないか』といって、わたしたちに|告《つ》げたそのすべての|不思議《ふしぎ》なみわざはどこにありますか。|今《いま》、|主《しゅ》はわたしたちを|捨《す》てて、ミデアンびとの|手《て》にわたされました」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はふり|向《む》いて|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたはこのあなたの|力《ちから》をもって|行《い》って、ミデアンびとの|手《て》からイスラエルを|救《すく》い|出《だ》しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|主《しゅ》に|言《い》った、「ああ|主《しゅ》よ、わたしはどうしてイスラエルを|救《すく》うことができましょうか。わたしの|氏族《しぞく》はマナセのうちで|最《もっと》も|弱《よわ》いものです。わたしはまたわたしの|父《ちち》の|家族《かぞく》のうちで|最《もっと》も|小《ちい》さいものです」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「しかし、わたしがあなたと|共《とも》におるから、ひとりを|撃《う》つようにミデアンびとを|撃《う》つことができるでしょう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンはまた|主《しゅ》に|言《い》った、「わたしがもしあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ていますならば、どうぞ、わたしと|語《かた》るのがあなたであるというしるしを|見《み》せてください。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、わたしが|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えてあなたのもとにもどってきて、あなたの|前《まえ》に|供《そな》えるまで、ここを|去《さ》らないでください」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしはあなたがもどって|来《く》るまで|待《ま》ちましょう」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでギデオンは|自分《じぶん》の|家《いえ》に|行《い》って、やぎの|子《こ》を|整《ととの》え、一エパの|粉《こな》で|種《たね》|入《い》れぬパンをつくり、|肉《にく》をかごに|入《い》れ、あつものをつぼに|盛《も》り、テレビンの|木《き》の|下《した》におる|彼《かれ》のもとに|持《も》ってきて、それを|供《そな》えた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|使《つかい》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|肉《にく》と|種《たね》|入《い》れぬパンをとって、この|岩《いわ》の|上《うえ》に|置《お》き、それにあつものを|注《そそ》ぎなさい」。|彼《かれ》はそのようにした。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すると|主《しゅ》の|使《つかい》が|手《て》にもっていたつえの|先《さき》を|出《だ》して、|肉《にく》と|種《たね》|入《い》れぬパンに|触《ふ》れると、|岩《いわ》から|火《ひ》が|燃《も》えあがって、|肉《にく》と|種《たね》|入《い》れぬパンとを|焼《や》きつくした。そして|主《しゅ》の|使《つかい》は|去《さ》って|見《み》えなくなった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンはその|人《ひと》が|主《しゅ》の|使《つかい》であったことをさとって|言《い》った、「ああ|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、どうなることでしょう。わたしは|顔《かお》をあわせて|主《しゅ》の|使《つかい》を|見《み》たのですから」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「|安心《あんしん》せよ、|恐《おそ》れるな。あなたは|死《し》ぬことはない」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこでギデオンは|主《しゅ》のために|祭壇《さいだん》をそこに|築《きず》いて、それを「|主《しゅ》は|平安《へいあん》」と|名《な》づけた。これは|今日《こんにち》までアビエゼルびとのオフラにある。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よ》、|主《しゅ》はギデオンに|言《い》われた、「あなたの|父《ちち》の|雄牛《おうし》と七|歳《さい》の|第《だい》二の|雄牛《おうし》とを|取《と》り、あなたの|父《ちち》のもっているバアルの|祭壇《さいだん》を|打《う》ちこわし、そのかたわらにあるアシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》し、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために、このとりでの|頂《いただき》に、|石《いし》を|並《なら》べて|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、|第《だい》二の|雄牛《おうし》を|取《と》り、あなたが|切《き》り|倒《たお》したアシラの|木《き》をもって|燔祭《はんさい》をささげなさい」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンはしもべ十|人《にん》を|連《つ》れて、|主《しゅ》が|言《い》われたとおりにおこなった。ただし|彼《かれ》は|父《ちち》の|家族《かぞく》のもの、および|町《まち》の|人々《ひとびと》を|恐《おそ》れたので、|昼《ひる》それを|行《おこな》うことができず、|夜《よる》それを|行《おこな》った。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|人々《ひとびと》が|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて|見《み》ると、バアルの|祭壇《さいだん》は|打《う》ちこわされ、そのかたわらのアシラ|像《ぞう》は|切《き》り|倒《たお》され、|新《あら》たに|築《きず》いた|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に、|第《だい》二の|雄牛《おうし》がささげられてあった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|互《たがい》に「これはだれのしわざか」と|言《い》って|問《と》い|尋《たず》ねたすえ、「これはヨアシの|子《こ》ギデオンのしわざだ」と|言《い》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|人々《ひとびと》はヨアシに|言《い》った、「あなたのむすこを|引《ひ》き|出《だ》して|殺《ころ》しなさい。|彼《かれ》はバアルの|祭壇《さいだん》を|打《う》ちこわしそのかたわらにあったアシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》したのです」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかしヨアシは|自分《じぶん》に|向《む》かって|立《た》っているすべての|者《もの》に|言《い》った、「あなたがたはバアルのために|言《い》い|争《あらそ》うのですか。あるいは|彼《かれ》を|弁護《べんご》しようとなさるのですか。バアルのために|言《い》い|争《あらそ》う|者《もの》は、あすの|朝《あさ》までに|殺《ころ》されるでしょう。バアルがもし|神《かみ》であるならば、|自分《じぶん》の|祭壇《さいだん》が|打《う》ちこわされたのだから、|彼《かれ》みずから|言《い》い|争《あらそ》うべきです」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|日《ひ》、「|自分《じぶん》の|祭壇《さいだん》が|打《う》ちこわされたのだから、バアルみずからその|人《ひと》と|言《い》い|争《あらそ》うべきです」と|言《い》ったので、ギデオンはエルバアルと|呼《よ》ばれた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にミデアンびと、アマレクびとおよび|東方《とうほう》の|民《たみ》がみな|集《あつ》まってヨルダン|川《がわ》を|渡《わた》り、エズレルの|谷《たに》に|陣《じん》を|取《と》ったが、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|霊《れい》がギデオンに|臨《のぞ》み、ギデオンがラッパを|吹《ふ》いたので、アビエゼルびとは|集《あつ》まって|彼《かれ》に|従《したが》った。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》に|彼《かれ》があまねくマナセに|使者《ししゃ》をつかわしたので、マナセびともまた|集《あつ》まって|彼《かれ》に|従《したが》った。|彼《かれ》がまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに|使者《ししゃ》をつかわすと、その|人々《ひとびと》も|上《のぼ》って|彼《かれ》を|迎《むか》えた。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|神《かみ》に|言《い》った、「あなたがかつて|言《い》われたように、わたしの|手《て》によってイスラエルを|救《すく》おうとされるならば、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|羊《ひつじ》の|毛《け》一|頭《とう》|分《ぶん》を|打《う》ち|場《ば》に|置《お》きますから、|露《つゆ》がその|羊《ひつじ》の|毛《け》の|上《うえ》にだけあって、|地《ち》がすべてかわいているようにしてください。これによってわたしは、あなたがかつて|言《い》われたように、わたしの|手《て》によってイスラエルをお|救《すく》いになることを|知《し》るでしょう」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]すなわちそのようになった。|彼《かれ》が|翌朝《よくあさ》|早《はや》く|起《お》きて、|羊《ひつじ》の|毛《け》をかき|寄《よ》せ、その|毛《け》から|露《つゆ》を|絞《しぼ》ると、|鉢《はち》に|満《み》ちるほどの|水《みず》が|出《で》た。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|神《かみ》に|言《い》った、「わたしをお|怒《いか》りにならないように|願《ねが》います。わたしにもう一|度《ど》だけ|言《い》わせてください。どうぞ、もう一|度《ど》だけ|羊《ひつじ》の|毛《け》をもってためさせてください。どうぞ、|羊《ひつじ》の|毛《け》だけをかわかして、|地《ち》にはことごとく|露《つゆ》があるようにしてください」。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|夜《よる》、そうされた。すなわち|羊《ひつじ》の|毛《け》だけかわいて、|地《ち》にはすべて|露《つゆ》があった。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてエルバアルと|呼《よ》ばれるギデオンおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいたすべての|民《たみ》は|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き、ハロデの|泉《いずみ》のほとりに|陣《じん》を|取《と》った。ミデアンびとの|陣《じん》は|彼《かれ》らの|北《きた》の|方《ほう》にあり、モレの|丘《おか》に|沿《そ》って|谷《たに》の|中《なか》にあった。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はギデオンに|言《い》われた、「あなたと|共《とも》におる|民《たみ》はあまりに|多《おお》い。ゆえにわたしは|彼《かれ》らの|手《て》にミデアンびとをわたさない。おそらくイスラエルはわたしに|向《む》かってみずから|誇《ほこ》り、『わたしは|自身《じしん》の|手《て》で|自分《じぶん》を|救《すく》ったのだ』と|言《い》うであろう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|民《たみ》の|耳《みみ》に|触《ふ》れ|示《しめ》して、『だれでも|恐《おそ》れおののく|者《もの》は|帰《かえ》れ』と|言《い》いなさい」。こうしてギデオンは|彼《かれ》らを|試《こころ》みたので、|民《たみ》のうち|帰《かえ》った|者《もの》は二万二千|人《にん》あり、|残《のこ》った|者《もの》は一万|人《にん》であった。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたギデオンに|言《い》われた、「|民《たみ》はまだ|多《おお》い。|彼《かれ》らを|導《みちび》いて|水《みず》ぎわに|下《くだ》りなさい。わたしはそこで、あなたのために|彼《かれ》らを|試《こころ》みよう。わたしがあなたに|告《つ》げて『この|人《ひと》はあなたと|共《とも》に|行《い》くべきだ』と|言《い》う|者《もの》は、あなたと|共《とも》に|行《い》くべきである。またわたしがあなたに|告《つ》げて『この|人《ひと》はあなたと|共《とも》に|行《い》ってはならない』と|言《い》う|者《もの》は、だれも|行《い》ってはならない」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでギデオンが|民《たみ》を|導《みちび》いて|水《みず》ぎわに|下《くだ》ると、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「すべて|犬《いぬ》のなめるように|舌《した》をもって|水《みず》をなめる|者《もの》はそれを|別《べつ》にしておきなさい。またすべてひざを|折《お》り、かがんで|水《みず》を|飲《の》む|者《もの》もそうしなさい」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|手《て》を|口《くち》にあてて|水《みず》をなめた|者《もの》の|数《かず》は三百|人《にん》であった。|残《のこ》りの|民《たみ》はみなひざを|折《お》り、かがんで|水《みず》を|飲《の》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はギデオンに|言《い》われた、「わたしは|水《みず》をなめた三百|人《にん》の|者《もの》をもって、あなたがたを|救《すく》い、ミデアンびとをあなたの|手《て》にわたそう。|残《のこ》りの|民《たみ》はおのおのその|家《いえ》に|帰《かえ》らせなさい」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》はかの三百|人《にん》を|留《と》めおき、|残《のこ》りのイスラエルびとの|手《て》から、つぼとラッパを|取《と》り、|民《たみ》をおのおのその|天幕《てんまく》に|帰《かえ》らせた。|時《とき》にミデアンびとの|陣《じん》は|下《した》の|谷《たに》の|中《なか》にあった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よる》、|主《しゅ》はギデオンに|言《い》われた、「|立《た》てよ、|下《くだ》っていって|敵陣《てきじん》に|攻《せ》め|入《い》れ。わたしはそれをあなたの|手《て》にわたす。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|下《くだ》って|行《い》くことを|恐《おそ》れるならば、あなたのしもべプラと|共《とも》に|敵陣《てきじん》に|下《くだ》っていって、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|言《い》うところを|聞《き》け。そうすればあなたの|手《て》が|強《つよ》くなって、|敵陣《てきじん》に|攻《せ》め|下《くだ》ることができるであろう」。ギデオンがしもべプラと|共《とも》に|下《くだ》って、|敵陣《てきじん》にある|兵隊《へいたい》たちの|前哨《ぜんしょう》|地点《ちてん》に|行《い》ってみると、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ミデアンびと、アマレクびとおよびすべての|東方《とうほう》の|民《たみ》はいなごのように|数多《かずおお》く|谷《たに》に|沿《そ》って|伏《ふ》していた。そのらくだは|海《うみ》べの|砂《すな》のように|多《おお》くて|数《かぞ》えきれなかった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンがそこへ|行《い》ったとき、ある|人《ひと》がその|仲間《なかま》に|夢《ゆめ》を|語《かた》っていた。その|人《ひと》は|言《い》った、「わたしは|夢《ゆめ》を|見《み》た。|大麦《おおむぎ》のパン一つがミデアンの|陣中《じんちゅう》にころがってきて、|天幕《てんまく》に|達《たっ》し、それを|打《う》ち|倒《たお》し、くつがえしたので、|天幕《てんまく》は|倒《たお》れ|伏《ふ》した」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|仲間《なかま》は|答《こた》えて|言《い》った、「それはイスラエルの|人《ひと》、ヨアシの|子《こ》ギデオンのつるぎにちがいない。|神《かみ》はミデアンとすべての|軍勢《ぐんぜい》を|彼《かれ》の|手《て》にわたされるのだ」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|夢《ゆめ》の|物語《ものがたり》とその|解《と》き|明《あ》かしとを|聞《き》いたので、|礼拝《れいはい》し、イスラエルの|陣営《じんえい》に|帰《かえ》り、そして|言《い》った、「|立《た》てよ、|主《しゅ》はミデアンの|軍勢《ぐんぜい》をあなたがたの|手《て》にわたされる」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》は三百|人《にん》を三|組《くみ》に|分《わ》け、|手《て》に|手《て》にラッパと、からつぼとを|取《と》らせ、つぼの|中《なか》にたいまつをともさせ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしを|見《み》て、わたしのするようにしなさい。わたしが|敵陣《てきじん》のはずれに|達《たっ》したとき、あなたがたもわたしのするようにしなさい。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしと|共《とも》におる|者《もの》がみなラッパを|吹《ふ》くと、あなたがたもまたすべての|陣営《じんえい》の|四方《しほう》でラッパを|吹《ふ》き、『|主《しゅ》のためだ、ギデオンのためだ』と|言《い》いなさい」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてギデオンと、|彼《かれ》と|共《とも》にいた百|人《にん》の|者《もの》が、|中更《ちゅうこう》の|初《はじ》めに|敵陣《てきじん》のはずれに|行《い》ってみると、ちょうど|番兵《ばんぺい》を|交代《こうたい》した|時《とき》であったので、|彼《かれ》らはラッパを|吹《ふ》き、|手《て》に|携《たずさ》えていたつぼを|打《う》ち|砕《くだ》いた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち三|組《くみ》の|者《もの》がラッパを|吹《ふ》き、つぼを|打《う》ち|砕《くだ》き、|左《ひだり》の|手《て》にはたいまつをとり、|右《みぎ》の|手《て》にはラッパを|持《も》ってそれを|吹《ふ》き、「|主《しゅ》のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と|叫《さけ》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしておのおのその|持《も》ち|場《ば》に|立《た》ち、|敵陣《てきじん》を|取《と》り|囲《かこ》んだので、|敵《てき》|軍《ぐん》はみな|走《はし》り、|大声《おおごえ》をあげて|逃《に》げ|去《さ》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]三百|人《にん》のものがラッパを|吹《ふ》くと、|主《しゅ》は|敵《てき》|軍《ぐん》をしてみな|互《たがい》に|同志《どうし》|打《う》ちさせられたので、|敵《てき》|軍《ぐん》はゼレラの|方《ほう》、ベテシッタおよびアベルメホラの|境《さかい》、タバテの|近《ちか》くまで|逃《に》げ|去《さ》った。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はナフタリ、アセルおよび|全《ぜん》マナセから|集《あつ》まってきて、ミデアンびとを|追撃《ついげき》した。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|使者《ししゃ》をあまねくエフライムの|山地《さんち》につかわし、「|下《くだ》ってきて、ミデアンびとを|攻《せ》め、ベタバラに|至《いた》るまでの|流《なが》れを|取《と》り、またヨルダンをも|取《と》れ」と|言《い》わせた。そこでエフライムの|人々《ひとびと》はみな|集《あつ》まってきて、ベタバラに|至《いた》るまでの|流《なが》れを|取《と》り、またヨルダンをも|取《と》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまたミデアンびとのふたりの|君《きみ》オレブとゼエブを|捕《とら》え、オレブをオレブ|岩《いわ》のほとりで|殺《ころ》し、ゼエブをゼエブの|酒《さか》ぶねのほとりで|殺《ころ》した。またミデアンびとを|追撃《ついげき》し、オレブとゼエブの|首《くび》を|携《たずさ》えてヨルダンの|向《む》こうのギデオンのもとへ|行《い》った。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|人々《ひとびと》はギデオンに|向《む》かい「あなたが、ミデアンびとと|戦《たたか》うために|行《い》かれたとき、われわれを|呼《よ》ばれなかったが、どうしてそういうことをされたのですか」と|言《い》って|激《はげ》しく|彼《かれ》を|責《せ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|今《いま》わたしのした|事《こと》は、あなたがたのした|事《こと》と|比《くら》べものになりましょうか。エフライムの|拾《ひろ》い|集《あつ》めた|取《と》り|残《のこ》りのぶどうはアビエゼルの|収穫《しゅうかく》したぶどうにもまさるではありませんか。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はミデアンの|君《きみ》オレブとゼエブをあなたがたの|手《て》にわたされました。わたしのなし|得《え》た|事《こと》は、あなたがたのした|事《こと》と|比《くら》べものになりましょうか」。ギデオンがこの|言葉《ことば》を|述《の》べると、|彼《かれ》らの|憤《いきどお》りは|解《と》けた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|自分《じぶん》に|従《したが》っていた三百|人《にん》と|共《とも》にヨルダンに|行《い》ってこれを|渡《わた》り、|疲《つか》れながらもなお|追撃《ついげき》したが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はスコテの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「どうぞわたしに|従《したが》っている|民《たみ》にパンを|与《あた》えてください。|彼《かれ》らが|疲《つか》れているのに、わたしはミデアンの|王《おう》ゼバとザルムンナを|追撃《ついげき》しているのですから」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]スコテのつかさたちは|言《い》った、「ゼバとザルムンナは、すでにあなたの|手《て》のうちにあるのですか。われわれはどうしてあなたの|軍勢《ぐんぜい》にパンを|与《あた》えねばならないのですか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|言《い》った、「それならば|主《しゅ》がわたしの|手《て》にゼバとザルムンナをわたされるとき、わたしは|野《の》のいばらと、おどろをもって、あなたがたの|肉《にく》を|打《う》つであろう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてギデオンはそこからペヌエルに|上《のぼ》り、|同《おな》じことをペヌエルの|人々《ひとびと》に|述《の》べると、|彼《かれ》らもスコテの|人々《ひとびと》が|答《こた》えたように|答《こた》えたので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ペヌエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「わたしが|安《やす》らかに|帰《かえ》ってきたとき、このやぐらを|打《う》ちこわすであろう」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さてゼバとザルムンナは|軍勢《ぐんぜい》おおよそ一万五千|人《にん》を|率《ひき》いて、カルコルにいた。これは|皆《みな》、|東方《とうほう》の|民《たみ》の|全《ぜん》|軍《ぐん》のうち|生《い》き|残《のこ》ったもので、|戦死《せんし》した|者《もの》は、つるぎを|帯《お》びているものが十二万|人《にん》あった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンはノバとヨグベハの|東《ひがし》の|隊商《たいしょう》の|道《みち》を|上《のぼ》って、|敵《てき》|軍《ぐん》の|油断《ゆだん》しているところを|撃《う》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ゼバとザルムンナは|逃《に》げたが、ギデオンは|追撃《ついげき》して、ミデアンのふたりの|王《おう》ゼバとザルムンナを|捕《とら》え、その|軍勢《ぐんぜい》をことごとく|撃《う》ち|敗《やぶ》った。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨアシの|子《こ》ギデオンはヘレスの|坂《さか》をとおって|戦《たたか》いから|帰《かえ》り、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]スコテの|若者《わかもの》ひとりを|捕《とら》えて、|尋《たず》ねたところ、|彼《かれ》はスコテのつかさたち|及《およ》び|長老《ちょうろう》たち七十七|人《にん》の|名《な》をギデオンのために|書《か》きしるした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンはスコテの|人々《ひとびと》のところへ|行《い》って|言《い》った、「あなたがたがかつて『ゼバとザルムンナはすでにあなたの|手《て》のうちにあるのか。われわれはどうしてあなたの|疲《つか》れた|人々《ひとびと》にパンを|与《あた》えねばならないのか』と|言《い》って、わたしをののしったそのゼバとザルムンナを|見《み》なさい」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》は、その|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちを|捕《とら》え、|野《の》のいばらと、おどろとを|取《と》り、それをもってスコテの|人々《ひとびと》を|懲《こ》らし、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またペヌエルのやぐらを|打《う》ちこわして|町《まち》の|人々《ひとびと》を|殺《ころ》した。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そしてギデオンはゼバとザルムンナに|言《い》った、「あなたがたがタボルで|殺《ころ》したのは、どんな|人々《ひとびと》であったか」。|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「|彼《かれ》らはあなたに|似《に》てみな|王子《おうじ》のように|見《み》えました」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|言《い》った、「|彼《かれ》らはわたしの|兄弟《きょうだい》、わたしの|母《はは》の|子《こ》たちだ。|主《しゅ》は|生《い》きておられる。もしあなたがたが|彼《かれ》らを|生《い》かしておいたならば、わたしはあなたがたを|殺《ころ》さないのだが」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|長子《ちょうし》エテルに|言《い》った、「|立《た》って、|彼《かれ》らを|殺《ころ》しなさい」。しかしその|若者《わかもの》はなお|年《とし》が|若《わか》かったので、|恐《おそ》れてつるぎを|抜《ぬ》かなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでゼバとザルムンナは|言《い》った、「あなた|自身《じしん》が|立《た》って、わたしたちを|撃《う》ってください。|人《ひと》によってそれぞれ|力《ちから》も|違《ちが》いますから」。ギデオンは|立《た》ちあがってゼバとザルムンナを|殺《ころ》し、|彼《かれ》らのらくだの|首《くび》に|掛《か》けてあった|月形《つきがた》の|飾《かざ》りを|取《と》った。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はギデオンに|言《い》った、「あなたはミデアンの|手《て》からわれわれを|救《すく》われたのですから、あなたも、あなたの|子《こ》も|孫《まご》もわれわれを|治《おさ》めてください」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしはあなたがたを|治《おさ》めることはいたしません。またわたしの|子《こ》もあなたがたを|治《おさ》めてはなりません。|主《しゅ》があなたがたを|治《おさ》められます」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンはまた|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしはあなたがたに一つの|願《ねが》いがあります。あなたがたのぶんどった|耳輪《みみわ》をめいめいわたしにください」。ミデアンびとはイシマエルびとであったゆえに、|金《きん》の|耳輪《みみわ》を|持《も》っていたからである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「わたしどもは|喜《よろこ》んでそれをさしあげます」。そして|衣《ころも》をひろげ、めいめいぶんどった|耳輪《みみわ》をその|中《なか》に|投《な》げ|入《い》れた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてギデオンが|求《もと》めて|得《え》た|金《きん》の|耳輪《みみわ》の|重《おも》さは一千七百|金《きん》シケルであった。ほかに|月形《つきがた》の|飾《かざ》りと|耳飾《みみかざ》りと、ミデアンの|王《おう》たちの|着《き》た|紫《むらさき》の|衣《ころも》およびらくだの|首《くび》に|掛《か》けた|首飾《くびかざ》りなどもあった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンはそれをもって一つのエポデを|作《つく》り、それを|自分《じぶん》の|町《まち》オフラに|置《お》いた。イスラエルは|皆《みな》それを|慕《した》って|姦淫《かんいん》をおこなった。それはギデオンとその|家《いえ》にとって、わなとなった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]このようにしてミデアンはイスラエルの|人々《ひとびと》に|征服《せいふく》されて、|再《ふたた》びその|頭《あたま》をあげることができなかった。そして|国《くに》はギデオンの|世《よ》にあるうち、四十|年《ねん》のあいだ|太平《たいへい》であった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシの|子《こ》エルバアルは|行《い》って|自分《じぶん》の|家《いえ》に|住《す》んだ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンは|多《おお》くの|妻《つま》をもっていたので、|自分《じぶん》の|子供《こども》だけで七十|人《にん》あった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]シケムにいた|彼《かれ》のめかけがまたひとりの|子《こ》を|産《う》んだので、アビメレクと|名《な》づけた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシの|子《こ》ギデオンは|高齢《こうれい》に|達《たっ》して|死《し》に、アビエゼルびとのオフラにある|父《ちち》ヨアシの|墓《はか》に|葬《ほうむ》られた。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ギデオンが|死《し》ぬと、イスラエルの|人々《ひとびと》はまたバアルを|慕《した》って、これと|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、バアル・ベリテを|自分《じぶん》たちの|神《かみ》とした。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルの|人々《ひとびと》は|周囲《しゅうい》のもろもろの|敵《てき》の|手《て》から|自分《じぶん》たちを|救《すく》われた|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》を|覚《おぼ》えず、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]またエルバアルすなわちギデオンがイスラエルのためにしたもろもろの|善行《ぜんこう》に|応《おう》じて|彼《かれ》の|家族《かぞく》に|親切《しんせつ》をつくすこともしなかった。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてエルバアルの|子《こ》アビメレクはシケムに|行《い》き、|母《はは》の|身内《みうち》の|人《ひと》たちのもとに|行《い》って、|彼《かれ》らと|母《はは》の|父《ちち》の|家《いえ》の|一族《いちぞく》とに|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「どうぞ、シケムのすべての|人々《ひとびと》の|耳《みみ》に|告《つ》げてください、『エルバアルのすべての|子《こ》七十|人《にん》であなたがたを|治《おさ》めるのと、ただひとりであなたがたを|治《おさ》めるのと、どちらがよいか。わたしがあなたがたの|骨肉《こつにく》であることを|覚《おぼ》えてください』と」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|母《はは》の|身内《みうち》の|人《ひと》たちがアビメレクに|代《かわ》ってこれらの|言葉《ことば》をことごとくシケムのすべての|人々《ひとびと》の|耳《みみ》に|告《つ》げると、|彼《かれ》らは|心《こころ》をアビメレクに|傾《かたむ》け、「|彼《かれ》はわれわれの|兄弟《きょうだい》だ」と|言《い》って、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]バアル・ベリテの|宮《みや》から|銀《ぎん》七十シケルを|取《と》って|彼《かれ》に|与《あた》えた。アビメレクはそれをもって、やくざのならず|者《もの》を|雇《やと》って|自分《じぶん》に|従《したが》わせ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]オフラにある|父《ちち》の|家《いえ》に|行《い》って、エルバアルの|子《こ》で、|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》である七十|人《にん》を、一つの|石《いし》の|上《うえ》で|殺《ころ》した。ただしエルバアルの|末《すえ》の|子《こ》ヨタムは|身《み》を|隠《かく》したので|生《い》き|残《のこ》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでシケムのすべての|人々《ひとびと》とベテミロのすべての|人々《ひとびと》は|集《あつ》まり、|行《い》ってシケムにある|石《いし》の|柱《はしら》のかたわらのテレビンの|木《き》のもとで、アビメレクを|立《た》てて|王《おう》とした。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]このことをヨタムに|告《つ》げる|者《もの》があったので、ヨタムは|行《い》ってゲリジム|山《やま》の|頂《いただき》に|立《た》ち、|大声《おおごえ》に|叫《さけ》んで|彼《かれ》らに|言《い》った、「シケムの|人々《ひとびと》よ、わたしに|聞《き》きなさい。そうすれば|神《かみ》はあなたがたに|聞《き》かれるでしょう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ある|時《とき》、もろもろの|木《き》が|自分《じぶん》たちの|上《うえ》に|王《おう》を|立《た》てようと|出《で》て|行《い》ってオリブの|木《き》に|言《い》った、『わたしたちの|王《おう》になってください』。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしオリブの|木《き》は|彼《かれ》らに|言《い》った、『わたしはどうして|神《かみ》と|人《ひと》とをあがめるために|用《もち》いられるわたしの|油《あぶら》を|捨《す》てて|行《い》って、もろもろの|木《き》を|治《おさ》めることができましょう』。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|木《き》はまたいちじくの|木《き》に|言《い》った、『きてわたしたちの|王《おう》になってください』。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしいちじくの|木《き》は|彼《かれ》らに|言《い》った、『わたしはどうしてわたしの|甘味《かんみ》と、わたしの|良《よ》い|果実《かじつ》とを|捨《す》てて|行《い》って、もろもろの|木《き》を|治《おさ》めることができましょう』。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|木《き》はまたぶどうの|木《き》に|言《い》った、『きてわたしたちの|王《おう》になってください』。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ぶどうの|木《き》は|彼《かれ》らに|言《い》った、『わたしはどうして|神《かみ》と|人《ひと》とを|喜《よろこ》ばせるわたしのぶどう|酒《しゅ》を|捨《す》てて|行《い》って、もろもろの|木《き》を|治《おさ》めることができましょう』。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこですべての|木《き》はいばらに|言《い》った、『きてわたしたちの|王《おう》になってください』。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]いばらはもろもろの|木《き》に|言《い》った、『あなたがたが|真実《しんじつ》にわたしを|立《た》てて|王《おう》にするならば、きてわたしの|陰《かげ》に|難《なん》を|避《さ》けなさい。そうしなければ、いばらから|火《ひ》が|出《で》てレバノンの|香柏《こうはく》を|焼《や》きつくすでしょう』。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがアビメレクを|立《た》てて|王《おう》にしたことは、|真実《しんじつ》と|敬意《けいい》とをもってしたものですか。あなたがたはエルバアルとその|家《いえ》をよく|扱《あつか》い、|彼《かれ》のおこないに|応《おう》じてしたのですか。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|父《ちち》はあなたがたのために|戦《たたか》い、|自分《じぶん》の|命《いのち》を|投《な》げ|出《だ》して、あなたがたをミデアンの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》したのに、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、きょう、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》に|反抗《はんこう》して|起《おこ》り、その|子《こ》七十|人《にん》を一つの|石《いし》の|上《うえ》で|殺《ころ》し、その|腰元《こしもと》の|子《こ》アビメレクをあなたがたの|身内《みうち》の|者《もの》であるゆえに|立《た》てて、シケムの|人々《ひとびと》の|王《おう》にしました。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが、きょう、エルバアルとその|家《いえ》になされたことが|真実《しんじつ》と|敬意《けいい》をもってしたものであるならば、アビメレクのために|喜《よろこ》びなさい。|彼《かれ》もまたあなたがたのために|喜《よろこ》ぶでしょう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、そうでなければ、アビメレクから|火《ひ》が|出《で》て、シケムの|人々《ひとびと》とベテミロとを|焼《や》きつくし、またシケムの|人々《ひとびと》とベテミロからも|火《ひ》が|出《で》てアビメレクを|焼《や》きつくすでしょう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨタムは|走《はし》って|逃《に》げ|去《さ》り、ベエルに|行《い》き、|兄弟《きょうだい》アビメレクの|顔《かお》をさけてそこに|住《す》んだ。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクは三|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルを|治《おさ》めたが、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はアビメレクとシケムの|人々《ひとびと》の|間《あいだ》に|悪霊《あくれい》をおくられたので、シケムの|人々《ひとびと》はアビメレクを|欺《あざむ》くようになった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これはエルバアルの七十|人《にん》の|子《こ》が|受《う》けた|暴虐《ぼうぎゃく》と|彼《かれ》らの|血《ち》が、|彼《かれ》らを|殺《ころ》した|兄弟《きょうだい》アビメレクの|上《うえ》と、|彼《かれ》の|手《て》を|強《つよ》めてその|兄弟《きょうだい》を|殺《ころ》させたシケムの|人々《ひとびと》の|上《うえ》とに|報《むく》いとなってきたのである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]シケムの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》に|敵《てき》して|待《ま》ち|伏《ぶ》せする|者《もの》を|山々《やまやま》の|頂《いただき》におき、すべてその|道《みち》を|通《とお》り|過《す》ぎる|者《もの》を|略奪《りゃくだつ》させた。このことがアビメレクに|告《つ》げ|知《し》らされた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]さてエベデの|子《こ》ガアルはその|身内《みうち》の|人々《ひとびと》と|一緒《いっしょ》にシケムに|移住《いじゅう》したが、シケムの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を|信用《しんよう》した。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|畑《はたけ》に|出《で》てぶどうを|取《と》り|入《い》れ、それを|踏《ふ》み|絞《しぼ》って|祭《まつり》をし、|神《かみ》の|宮《みや》に|行《い》って|飲《の》み|食《く》いしてアビメレクをのろった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてエベデの|子《こ》ガアルは|言《い》った、「アビメレクは|何《なに》ものか。シケムのわれわれは|何《なに》ものなれば|彼《かれ》に|仕《つか》えなければならないのか。エルバアルの|子《こ》とその|役人《やくにん》ゼブルはシケムの|先祖《せんぞ》ハモルの|一族《いちぞく》に|仕《つか》えたではないか。われわれはどうして|彼《かれ》に|仕《つか》えなければならないのか。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ああ、この|民《たみ》がわたしの|手《て》の|下《した》にあったらよいのだが。そうすればわたしはアビメレクをやめさせ、アビメレクに|向《む》かって『おまえの|軍勢《ぐんぜい》を|増《ま》して|出《で》てこい』と|言《い》うであろう」。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》のつかさゼブルはエベデの|子《こ》ガアルの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|怒《いか》りを|発《はっ》し、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》をアルマにおるアビメレクにつかわして|言《い》わせた、「エベデの|子《こ》ガアルとその|身内《みうち》の|人々《ひとびと》がシケムにきて、|町《まち》を|騒《さわ》がせ、あなたにそむかせようとしています。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]それであなたと、あなたと|共《とも》におる|人々《ひとびと》が|夜《よる》のうちに|行《い》って、|野《の》に|身《み》を|伏《ふ》せ、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》になって、|日《ひ》ののぼるとき、|早《はや》く|起《お》き|出《で》て|町《まち》を|襲《おそ》うならば、ガアルと、|彼《かれ》と|共《とも》におる|民《たみ》は|出《で》てきて、あなたに|抵抗《ていこう》するでしょう。その|時《とき》あなたは|機《はた》を|得《え》て、|彼《かれ》らを|撃《う》つことができるでしょう」。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクと、|彼《かれ》と|共《とも》にいたすべての|民《たみ》は|夜《よる》のうちに|起《お》き|出《で》て、四|組《くみ》に|分《わか》れ、|身《み》を|伏《ふ》せてシケムをうかがった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]エベデの|子《こ》ガアルが|出《で》て、|町《まち》の|門《もん》の|入口《いりぐち》に|立《た》ったとき、アビメレクと、|彼《かれ》と|共《とも》にいた|民《たみ》が|身《み》を|伏《ふ》せていたところから|立《た》ちあがったので、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ガアルは|民《たみ》を|見《み》てゼブルに|言《い》った、「ごらんなさい。|民《たみ》が|山々《やまやま》の|頂《いただき》からおりてきます」。ゼブルは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたは|山々《やまやま》の|影《かげ》を|人《ひと》のように|見《み》るのです」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ガアルは|再《ふたた》び|言《い》った、「ごらんなさい。|民《たみ》が|国《くに》の|中央《ちゅうおう》|部《ぶ》からおりてきます。一|組《くみ》は|占《うらな》い|師《し》のテレビンの|木《き》の|方《ほう》からきます」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたがかつて『アビメレクは|何《なに》ものか。われわれは|何《なに》ものなれば|彼《かれ》に|仕《つか》えなければならないのか』と|言《い》ったあなたの|口《くち》は|今《いま》どこにありますか。これはあなたが|侮《あなど》った|民《たみ》ではありませんか。|今《いま》、|出《で》て|彼《かれ》らと|戦《たたか》いなさい」。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]そこでガアルはシケムの|人々《ひとびと》を|率《ひき》い、|出《で》てアビメレクと|戦《たたか》ったが、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクは|彼《かれ》を|追《お》ったので、ガアルは|彼《かれ》の|前《まえ》から|逃《に》げた。そして|傷《きず》つき|倒《たお》れる|者《もの》が|多《おお》く、|門《もん》の|入口《いりぐち》にまで|及《およ》んだ。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてアビメレクは|引《ひ》き|続《つづ》いてアルマにいたが、ゼブルはガアルとその|身内《みうち》の|人々《ひとびと》を|追《お》い|出《だ》してシケムにおらせなかった。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|翌日《よくじつ》、|民《たみ》が|畑《はたけ》に|出《で》ると、そのことがアビメレクに|聞《きこ》えた。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクは|自分《じぶん》の|民《たみ》を|率《ひき》い、それを三|組《くみ》に|分《わ》け、|野《の》に|身《み》を|伏《ふ》せて、うかがっていると、|民《たみ》が|町《まち》から|出《で》てきたので、たちあがってこれを|撃《う》った。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクと、|彼《かれ》と|共《とも》にいた|組《くみ》の|者《もの》は|襲《おそ》って|行《い》って、|町《まち》の|門《もん》の|入口《いりぐち》に|立《た》ち、|他《た》の二|組《くみ》は|野《の》にいたすべてのものを|襲《おそ》って、それを|殺《ころ》した。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクはその|日《ひ》、|終日《しゅうじつ》、|町《まち》を|攻《せ》め、ついに|町《まち》を|取《と》って、そのうちの|民《たみ》を|殺《ころ》し、|町《まち》を|破壊《はかい》して、|塩《しお》をまいた。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]シケムのやぐらの|人々《ひとびと》は|皆《みな》これを|聞《き》いて、エルベリテの|宮《みや》の|塔《とう》にはいった。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]シケムのやぐらの|人々《ひとびと》が|皆《みな》|集《あつ》まったことがアビメレクに|聞《きこ》えたので、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクは|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》にいた|民《たみ》をことごとく|率《ひき》いてザルモン|山《さん》にのぼり、アビメレクは|手《て》におのを|取《と》って、|木《き》の|枝《えだ》を|切《き》り|落《おと》し、それを|取《と》りあげて|自分《じぶん》の|肩《かた》にのせ、|一緒《いっしょ》にいた|民《たみ》にむかって|言《い》った、「あなたがたはわたしがしたことを|見《み》たとおりに|急《いそ》いでしなさい」。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》もまた|皆《みな》おのおのその|枝《えだ》を|切《き》り|落《おと》し、アビメレクに|従《したが》って|行《い》って、|枝《えだ》を|塔《とう》によせかけ、|塔《とう》に|火《ひ》をつけて|彼《かれ》らを|攻《せ》めた。こうしてシケムのやぐらの|人々《ひとびと》もまたことごとく|死《し》んだ。|男女《だんじょ》おおよそ一千|人《にん》であった。  [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]ついでアビメレクはテベツに|行《い》き、テベツに|向《む》かって|陣《じん》を|張《は》り、これを|攻《せ》め|取《と》ったが、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|中《なか》に一つの|堅固《けんご》なやぐらがあって、すべての|男女《だんじょ》すなわち|町《まち》の|人々《ひとびと》が|皆《みな》そこに|逃《に》げ|込《こ》み、あとを|閉《と》ざして、やぐらの|屋根《やね》に|上《のぼ》ったので、[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクはやぐらのもとに|押《お》し|寄《よ》せてこれを|攻《せ》め、やぐらの|入口《いりぐち》に|近《ちか》づいて、|火《ひ》をつけて|焼《や》こうとしたとき、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]ひとりの|女《おんな》がアビメレクの|頭《あたま》に、うすの|上石《うわいし》を|投《な》げて、その|頭《ず》|骸骨《がいこつ》を|砕《くだ》いた。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクは|自分《じぶん》の|武器《ぶき》を|持《も》つ|若者《わかもの》を|急《いそ》ぎ|呼《よ》んで|言《い》った、「つるぎを|抜《ぬ》いてわたしを|殺《ころ》せ。さもないと|人々《ひとびと》はわたしを、|女《おんな》に|殺《ころ》されたのだと|言《い》うであろう」。その|若者《わかもの》が|彼《かれ》を|刺《さ》し|通《とお》したので|彼《かれ》は|死《し》んだ。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はアビメレクの|死《し》んだのを|見《み》て、おのおの|去《さ》って|家《いえ》に|帰《かえ》った。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]このように|神《かみ》はアビメレクがその|兄弟《きょうだい》七十|人《にん》を|殺《ころ》して、|自分《じぶん》の|父《ちち》に|対《たい》して|犯《おか》した|悪《あく》に|報《むく》いられた。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]また|神《かみ》はシケムの|人々《ひとびと》のすべての|悪《あく》を|彼《かれ》らのこうべに|報《むく》いられた。こうしてエルバアルの|子《こ》ヨタムののろいが、|彼《かれ》らに|臨《のぞ》んだのである。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アビメレクの|後《のち》、イッサカルの|人《ひと》で、ドドの|子《こ》であるプワの|子《こ》トラが|起《た》ってイスラエルを|救《すく》った。|彼《かれ》はエフライムの|山地《さんち》のシャミルに|住《す》み、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]二十三|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルをさばいたが、ついに|死《し》んでシャミルに|葬《ほうむ》られた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|後《のち》にギレアデびとヤイルが|起《た》って二十二|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルをさばいた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に三十|人《にん》の|子《こ》があった。|彼《かれ》らは三十|頭《とう》のろばに|乗《の》り、また三十の|町《まち》をもっていた。ギレアデの|地《ち》で|今日《こんにち》まで、ハボテ・ヤイルと|呼《よ》ばれているものがそれである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤイルは|死《し》んで、カモンに|葬《ほうむ》られた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|再《ふたた》び|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、バアルとアシタロテおよびスリヤの|神々《かみがみ》、シドンの|神々《かみがみ》、モアブの|神々《かみがみ》、アンモンびとの|神々《かみがみ》、ペリシテびとの|神々《かみがみ》に|仕《つか》え、|主《しゅ》を|捨《す》ててこれに|仕《つか》えなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルに|対《たい》して|怒《いか》りを|発《はっ》し、|彼《かれ》らをペリシテびとの|手《て》およびアンモンびとの|手《て》に|売《う》りわたされたので、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|年《ねん》イスラエルの|人々《ひとびと》をしえたげ|悩《なや》ました。すなわち|彼《かれ》らはヨルダンの|向《む》こうのギレアデにあるアモリびとの|地《ち》にいたすべてのイスラエルびとを十八|年《ねん》のあいだ|悩《なや》ました。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またアンモンの|人々《ひとびと》がユダとベニヤミンとエフライムの|氏族《しぞく》を|攻《せ》めるためにヨルダンを|渡《わた》ってきたので、イスラエルは|非常《ひじょう》に|悩《なや》まされた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「わたしたちはわたしたちの|神《かみ》を|捨《す》ててバアルに|仕《つか》え、あなたに|罪《つみ》を|犯《おか》しました」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》われた、「わたしはかつてエジプトびと、アモリびと、アンモンびと、ペリシテびとからあなたがたを|救《すく》い|出《だ》したではないか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またシドンびと、アマレクびとおよびマオンびとがあなたがたをしえたげた|時《とき》、わたしに|呼《よ》ばわったので、あなたがたを|彼《かれ》らの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたはわたしを|捨《す》てて、ほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えた。それゆえ、わたしはかさねてあなたがたを|救《すく》わないであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|選《えら》んだ|神々《かみがみ》に|行《い》って|呼《よ》ばわり、あなたがたの|悩《なや》みの|時《とき》、|彼《かれ》らにあなたがたを|救《すく》わせるがよい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》に|言《い》った、「わたしたちは|罪《つみ》を|犯《おか》しました。なんでもあなたが|良《よ》いと|思《おも》われることをしてください。ただどうぞ、きょう、わたしたちを|救《すく》ってください」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そうして|彼《かれ》らは|自分《じぶん》たちのうちから|異《こと》なる|神々《かみがみ》を|取《と》り|除《のぞ》いて、|主《しゅ》に|仕《つか》えた。それで|主《しゅ》の|心《こころ》はイスラエルの|悩《なや》みを|見《み》るに|忍《しの》びなくなった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にアンモンの|人々《ひとびと》は|召集《しょうしゅう》されてギレアデに|陣《じん》を|取《と》ったが、イスラエルの|人々《ひとびと》は|集《あつ》まってミヅパに|陣《じん》を|取《と》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|民《たみ》とギレアデの|君《きみ》たちとは|互《たがい》に|言《い》った、「だれがアンモンの|人々《ひとびと》に|向《む》かって|戦《たたか》いを|始《はじ》めるか。その|人《ひと》はギレアデのすべての|民《たみ》のかしらとなるであろう」。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてギレアデびとエフタは|強《つよ》い|勇士《ゆうし》であったが|遊女《ゆうじょ》の|子《こ》で、エフタの|父《ちち》はギレアデであった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデの|妻《つま》も|子供《こども》を|産《う》んだが、その|妻《つま》の|子供《こども》たちが|成長《せいちょう》したとき、|彼《かれ》らはエフタを|追《お》い|出《だ》して|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはほかの|女《おんな》の|産《う》んだ|子《こ》だから、わたしたちの|父《ちち》の|家《いえ》を|継《つ》ぐことはできません」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでエフタはその|兄弟《きょうだい》たちのもとから|逃《に》げ|去《さ》って、トブの|地《ち》に|住《す》んでいると、やくざ|者《もの》がエフタのもとに|集《あつ》まってきて、|彼《かれ》と|一緒《いっしょ》に|出《で》かけて|略奪《りゃくだつ》を|事《こと》としていた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》がたって|後《のち》、アンモンの|人々《ひとびと》はイスラエルと|戦《たたか》うことになり、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》がイスラエルと|戦《たたか》ったとき、ギレアデの|長老《ちょうろう》たちは|行《い》ってエフタをトブの|地《ち》から|連《つ》れてこようとして、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エフタに|言《い》った、「きて、わたしたちの|大将《たいしょう》になってください。そうすればわたしたちはアンモンの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》うことができます」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エフタはギレアデの|長老《ちょうろう》たちに|言《い》った、「あなたがたはわたしを|憎《にく》んで、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》から|追《お》い|出《だ》したではありませんか。しかるに|今《いま》あなたがたが|困《こま》っている|時《とき》とはいえ、わたしのところに|来《く》るとはどういうわけですか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデの|長老《ちょうろう》たちはエフタに|言《い》った、「それでわたしたちは|今《いま》、あなたに|帰《かえ》ったのです。どうぞ、わたしたちと|一緒《いっしょ》に|行《い》って、アンモンの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》ってください。そしてわたしたちとギレアデに|住《す》んでいるすべてのものとのかしらになってください」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エフタはギレアデの|長老《ちょうろう》たちに|言《い》った、「もしあなたがたが、わたしをつれて|帰《かえ》って、アンモンの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》わせるとき、|主《しゅ》が|彼《かれ》らをわたしにわたされるならば、わたしはあなたがたのかしらとなりましょう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデの|長老《ちょうろう》たちはエフタに|言《い》った、「|主《しゅ》はあなたとわたしたちの|間《あいだ》の|証人《しょうにん》です。わたしたちは|必《かなら》ずあなたの|言《い》われるとおりにしましょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでエフタはギレアデの|長老《ちょうろう》たちと|一緒《いっしょ》に|行《い》った。|民《たみ》は|彼《かれ》を|立《た》てて|自分《じぶん》たちのかしらとし、|大将《たいしょう》とした。それでエフタはミヅパで、|自分《じぶん》の|言葉《ことば》をことごとく|主《しゅ》の|前《まえ》に|述《の》べた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]かくてエフタはアンモンの|人々《ひとびと》の|王《おう》に|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》った、「あなたはわたしとなんのかかわりがあって、わたしのところへ|攻《せ》めてきて、わたしの|国《くに》と|戦《たたか》おうとするのですか」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》の|王《おう》はエフタの|使者《ししゃ》に|答《こた》えた、「|昔《むかし》、イスラエルがエジプトから|上《のぼ》ってきたとき、アルノンからヤボクに|及《およ》び、またヨルダンに|及《およ》ぶわたしの|国《くに》を|奪《うば》い|取《と》ったからです。それゆえ|今《いま》、|穏《おだ》やかにそれを|返《かえ》しなさい」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エフタはまた|使者《ししゃ》をアンモンの|人々《ひとびと》の|王《おう》につかわして、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》わせた、「エフタはこう|申《もう》します、『イスラエルはモアブの|地《ち》も、またアンモンの|人々《ひとびと》の|地《ち》も|取《と》りませんでした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはエジプトから|上《のぼ》ってきたとき、|荒野《あらの》をとおって|紅海《こうかい》にいたり、カデシにきました。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルは|使者《ししゃ》をエドムの|王《おう》につかわして「どうぞ、われわれにあなたの|国《くに》を|通《とお》らせてください」と|言《い》わせましたが、エドムの|王《おう》は|聞《き》きいれませんでした。また|同《おな》じように|人《ひと》をモアブの|王《おう》につかわしたが、|彼《かれ》も|承諾《しょうだく》しなかったので、イスラエルはカデシにとどまりました。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それから|荒野《あらの》をとおって、エドムの|地《ち》とモアブの|地《ち》を|回《まわ》り、モアブの|地《ち》の|東部《とうぶ》に|達《たっ》し、アルノンの|向《む》こうに|宿営《しゅくえい》しましたがモアブの|領域《りょういき》には、はいりませんでした。アルノンはモアブの|境《さかい》だからです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にイスラエルはヘシボンの|王《おう》すなわちアモリびとの|王《おう》シホンに|使者《ししゃ》をつかわし、シホンに|向《む》かって「どうぞ、われわれにあなたの|国《くに》をとおって、われわれの|目的《もくてき》|地《ち》へ|行《い》かせてください」と|言《い》わせました。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ところがシホンはイスラエルを|信《しん》ぜず、その|領域《りょういき》を|通《とお》らせないばかりか、かえってすべての|民《たみ》を|集《あつ》めてヤハヅに|陣《じん》を|取《と》り、イスラエルと|戦《たたか》いましたが、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はシホンとそのすべての|民《たみ》をイスラエルの|手《て》にわたされたので、イスラエルは|彼《かれ》らを|撃《う》ち|破《やぶ》って、その|土地《とち》に|住《す》んでいたアモリびとの|地《ち》をことごとく|占領《せんりょう》し、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アルノンからヤボクまでと、|荒野《あらの》からヨルダンまで、アモリびとの|領域《りょういき》をことごとく|占領《せんりょう》しました。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]このようにイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はその|民《たみ》イスラエルの|前《まえ》からアモリびとを|追《お》い|払《はら》われたのに、あなたはそれを|取《と》ろうとするのですか。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あなたの|神《かみ》ケモシがあなたに|取《と》らせるものを|取《と》らないのですか。われわれはわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がわれわれの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われたものの|土地《とち》を|取《と》るのです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはモアブの|王《おう》チッポルの|子《こ》バラクにまさる|者《もの》ですか。バラクはかつてイスラエルと|争《あらそ》ったことがありますか。かつて|彼《かれ》らと|戦《たたか》ったことがありますか。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはヘシボンとその|村里《むらざと》に|住《す》み、またアロエルとその|村里《むらざと》およびアルノンの|岸《きし》に|沿《そ》うすべての|町々《まちまち》に|住《す》むこと三百|年《ねん》になりますが、あなたがたはどうしてその|間《かん》にそれを|取《と》りもどさなかったのですか。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|何《なに》も|悪《わる》い|事《こと》をしたこともないのに、あなたはわたしと|戦《たたか》って、わたしに|害《がい》を|加《くわ》えようとします。|審判者《しんぱんしゃ》であられる|主《しゅ》よ、どうぞ、きょう、イスラエルの|人々《ひとびと》とアンモンの|人々《ひとびと》との|間《あいだ》をおさばきください』」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかしアンモンの|人々《ひとびと》の|王《おう》はエフタが|言《い》いつかわした|言葉《ことば》をききいれなかった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|霊《れい》がエフタに|臨《のぞ》み、エフタはギレアデおよびマナセをとおって、ギレアデのミヅパに|行《い》き、ギレアデのミヅパから|進《すす》んでアンモンの|人々《ひとびと》のところに|行《い》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]エフタは|主《しゅ》に|誓願《せいがん》を|立《た》てて|言《い》った、「もしあなたがアンモンの|人々《ひとびと》をわたしの|手《て》にわたされるならば、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがアンモンの|人々《ひとびと》に|勝《か》って|帰《かえ》るときに、わたしの|家《いえ》の|戸口《とぐち》から|出《で》てきて、わたしを|迎《むか》えるものはだれでも|主《しゅ》のものとし、その|者《もの》を|燔祭《はんさい》としてささげましょう」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]エフタはアンモンの|人々《ひとびと》のところに|進《すす》んで|行《い》って、|彼《かれ》らと|戦《たたか》ったが、|主《しゅ》は|彼《かれ》らをエフタの|手《て》にわたされたので、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]アロエルからミンニテの|附近《ふきん》まで、二十の|町《まち》を|撃《う》ち|敗《はい》り、アベル・ケラミムに|至《いた》るまで、|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|人《ひと》を|殺《ころ》した。こうしてアンモンの|人々《ひとびと》はイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》に|攻《せ》め|伏《ふ》せられた。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]やがてエフタはミヅパに|帰《かえ》り、|自分《じぶん》の|家《いえ》に|来《く》ると、|彼《かれ》の|娘《むすめ》が|鼓《つづみ》をもち、|舞《ま》い|踊《おど》って|彼《かれ》を|出迎《でむか》えた。|彼女《かのじょ》はエフタのひとり|子《こ》で、ほかに|男子《だんし》も|女子《じょし》もなかった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]エフタは|彼女《かのじょ》を|見《み》ると、|衣《ころも》を|裂《さ》いて|言《い》った、「ああ、|娘《むすめ》よ、あなたは|全《まった》くわたしを|打《う》ちのめした。わたしを|悩《なや》ますものとなった。わたしが|主《しゅ》に|誓《ちか》ったのだから|改《あらた》めることはできないのだ」。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|娘《むすめ》は|言《い》った、「|父《ちち》よ、あなたは|主《しゅ》に|誓《ちか》われたのですから、|主《しゅ》があなたのために、あなたの|敵《てき》アンモンの|人々《ひとびと》に|報復《ほうふく》された|今《いま》、あなたが|言《い》われたとおりにわたしにしてください」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|娘《むすめ》はまた|父《ちち》に|言《い》った、「どうぞ、この|事《こと》をわたしにさせてください。すなわち二か|月《げつ》の|間《あいだ》わたしをゆるし、|友《とも》だちと|一緒《いっしょ》に|行《い》って、|山々《やまやま》をゆきめぐり、わたしの|処女《しょじょ》であることを|嘆《なげ》かせてください」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]エフタは「|行《い》きなさい」と|言《い》って、|彼女《かのじょ》を二か|月《げつ》の|間《あいだ》、|出《だ》してやった。|彼女《かのじょ》は|友《とも》だちと|一緒《いっしょ》に|行《い》って、|山《やま》の|上《うえ》で|自分《じぶん》の|処女《しょじょ》であることを|嘆《なげ》いたが、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]二か|月《げつ》の|後《のち》、|父《ちち》のもとに|帰《かえ》ってきたので、|父《ちち》は|誓《ちか》った|誓願《せいがん》のとおりに|彼女《かのじょ》におこなった。|彼女《かのじょ》はついに|男《おとこ》を|知《し》らなかった。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]これによって|年々《ねんねん》イスラエルの|娘《むすめ》たちは|行《い》って、|年《ねん》に四|日《か》ほどギレアデびとエフタの|娘《むすめ》のために|嘆《なげ》くことがイスラエルのならわしとなった。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|人々《ひとびと》は|集《あつ》まってザポンに|行《い》き、エフタに|言《い》った、「なぜあなたは|進《すす》んで|行《い》ってアンモンの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》いながら、われわれを|招《まね》いて|一緒《いっしょ》に|行《い》かせませんでしたか。われわれはあなたの|家《いえ》に|火《ひ》をつけてあなたを|一緒《いっしょ》に|焼《や》いてしまいます」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エフタは|彼《かれ》らに|言《い》った、「かつてわたしとわたしの|民《たみ》がアンモンの|人々《ひとびと》と|大《おお》いに|争《あらそ》ったとき、あなたがたを|呼《よ》んだが、あなたがたはわたしを|彼《かれ》らの|手《て》から|救《すく》ってくれませんでした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|救《すく》ってくれないのを|見《み》たから、わたしは|命《いのち》がけでアンモンの|人々《ひとびと》のところへ|攻《せ》めて|行《い》きますと、|主《しゅ》は|彼《かれ》らをわたしの|手《て》にわたされたのです。どうしてあなたがたは、きょう、わたしのところに|上《のぼ》ってきて、わたしと|戦《たたか》おうとするのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでエフタはギレアデの|人々《ひとびと》をことごとく|集《あつ》めてエフライムと|戦《たたか》い、ギレアデの|人々《ひとびと》はエフライムを|撃《う》ち|破《やぶ》った。これはエフライムが「ギレアデびとよ、あなたがたはエフライムとマナセのうちにいるエフライムの|落人《おちうど》だ」と|言《い》ったからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてギレアデびとはエフライムに|渡《わた》るヨルダンの|渡《わた》し|場《ば》を|押《おさ》えたので、エフライムの|落人《おちうど》が「|渡《わた》らせてください」と|言《い》うとき、ギレアデの|人々《ひとびと》は「あなたはエフライムびとですか」と|問《と》い、その|人《ひと》がもし「そうではありません」と|言《い》うならば、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またその|人《ひと》に「では『シボレテ』と|言《い》ってごらんなさい」と|言《い》い、その|人《ひと》がそれを|正《ただ》しく|発音《はつおん》することができないで「セボレテ」と|言《い》うときは、その|人《ひと》を|捕《とら》えて、ヨルダンの|渡《わた》し|場《ば》で|殺《ころ》した。その|時《とき》エフライムびとの|倒《たお》れたものは四万二千|人《にん》であった。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エフタは六|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルをさばいた。ギレアデびとエフタはついに|死《し》んで、ギレアデの|自分《じぶん》の|町《まち》に|葬《ほうむ》られた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|後《のち》にベツレヘムのイブザンがイスラエルをさばいた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に三十|人《にん》のむすこがあった。また三十|人《にん》の|娘《むすめ》があったが、それを|自分《じぶん》の|氏族《しぞく》|以外《いがい》の|者《もの》にとつがせ、むすこたちのためには三十|人《にん》の|娘《むすめ》をほかからめとった。|彼《かれ》は七|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルをさばいた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イブザンはついに|死《し》んで、ベツレヘムに|葬《ほうむ》られた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|後《のち》にゼブルンびとエロンがイスラエルをさばいた。|彼《かれ》は十|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルをさばいた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンびとエロンはついに|死《し》んで、ゼブルンの|地《ち》のアヤロンに|葬《ほうむ》られた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|後《のち》にピラトンびとヒレルの|子《こ》アブドンがイスラエルをさばいた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に四十|人《にん》のむすこ|及《およ》び三十|人《にん》の|孫《まご》があり、七十|頭《とう》のろばに|乗《の》った。|彼《かれ》は八|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルをさばいた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ピラトンびとヒレルの|子《こ》アブドンはついに|死《し》んで、エフライムの|地《ち》のアマレクびとの|山地《さんち》にあるピラトンに|葬《ほうむ》られた。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》がまた|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》ったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らを四十|年《ねん》の|間《あいだ》ペリシテびとの|手《て》にわたされた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ここにダンびとの|氏族《しぞく》の|者《もの》で、|名《な》をマノアというゾラの|人《ひと》があった。その|妻《つま》はうまずめで、|子《こ》を|産《う》んだことがなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》がその|女《おんな》に|現《あらわ》れて|言《い》った、「あなたはうまずめで、|子《こ》を|産《う》んだことがありません。しかし、あなたは|身《み》ごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》むでしょう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それであなたは|気《き》をつけて、ぶどう|酒《しゅ》または|濃《こ》い|酒《さけ》を|飲《の》んではなりません。またすべて|汚《けが》れたものを|食《た》べてはなりません。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|身《み》ごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》むでしょう。その|頭《あたま》にかみそりをあててはなりません。その|子《こ》は|生《うま》れた|時《とき》から|神《かみ》にささげられたナジルびとです。|彼《かれ》はペリシテびとの|手《て》からイスラエルを|救《すく》い|始《はじ》めるでしょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|女《おんな》はきて|夫《おっと》に|言《い》った、「|神《かみ》の|人《ひと》がわたしのところにきました。その|顔《かお》かたちは|神《かみ》の|使《つかい》の|顔《かお》かたちのようで、たいそう|恐《おそ》ろしゅうございました。わたしはその|人《ひと》が、どこからきたのか|尋《たず》ねませんでしたが、その|人《ひと》もわたしに|名《な》を|告《つ》げませんでした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|人《ひと》はわたしに『あなたは|身《み》ごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》むでしょう。それであなたはぶどう|酒《しゅ》または|濃《こ》い|酒《さけ》を|飲《の》んではなりません。またすべて|汚《けが》れたものを|食《た》べてはなりません。その|子《こ》は|生《うま》れた|時《とき》から|死《し》ぬ|日《ひ》まで|神《かみ》にささげられたナジルびとです』と|申《もう》しました」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでマノアは|主《しゅ》に|願《ねが》い|求《もと》めて|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》よ、どうぞ、あなたがさきにつかわされた|神《かみ》の|人《ひと》をもう一|度《ど》わたしたちに|臨《のぞ》ませて、わたしたちがその|生《うま》れる|子《こ》になすべきことを|教《おし》えさせてください」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がマノアの|願《ねが》いを|聞《き》かれたので、|神《かみ》の|使《つかい》は|女《おんな》が|畑《はたけ》に|座《ざ》していた|時《とき》、ふたたび|彼女《かのじょ》に|臨《のぞ》んだ。しかし|夫《おっと》マノアは|一緒《いっしょ》にいなかった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|急《いそ》ぎ|走《はし》って|行《い》って|夫《おっと》に|言《い》った、「さきごろ、わたしに|臨《のぞ》まれた|人《ひと》がまたわたしに|現《あらわ》れました」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]マノアは|立《た》って|妻《つま》のあとについて|行《い》き、その|人《ひと》のもとに|行《い》って|言《い》った、「あなたはかつてこの|女《おんな》にお|告《つ》げになったおかたですか」。その|人《ひと》は|言《い》った、「そうです」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]マノアは|言《い》った、「あなたの|言《い》われたことが|事実《じじつ》となったとき、その|子《こ》の|育《そだ》て|方《かた》およびこれになすべき|事《こと》はなんでしょうか」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》はマノアに|言《い》った、「わたしがさきに|女《おんな》に|言《い》ったことは|皆《みな》、|守《まも》らせなければなりません。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちぶどうの|木《き》から|産《さん》するものはすべて|食《た》べてはなりません。またぶどう|酒《しゅ》と|濃《こ》い|酒《さけ》を|飲《の》んではなりません。またすべて|汚《けが》れたものを|食《た》べてはなりません。わたしが|彼女《かのじょ》に|命《めい》じたことは|皆《みな》、|守《まも》らせなければなりません」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]マノアは|主《しゅ》の|使《つかい》に|言《い》った、「どうぞ、わたしたちに、あなたを|引《ひ》き|留《と》めさせ、あなたのために|子《こ》やぎを|備《そな》えさせてください」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》はマノアに|言《い》った、「あなたがわたしを|引《ひ》き|留《と》めても、わたしはあなたの|食物《しょくもつ》をたべません。しかしあなたが|燔祭《はんさい》を|備《そな》えようとなさるのであれば、|主《しゅ》にそれをささげなさい」。マノアは|彼《かれ》が|主《しゅ》の|使《つかい》であるのを|知《し》らなかったからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]マノアは|主《しゅ》の|使《つかい》に|言《い》った、「あなたの|名《な》はなんといいますか。あなたの|言《い》われたことが|事実《じじつ》となったとき、わたしたちはあなたをあがめましょう」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしの|名《な》は|不思議《ふしぎ》です。どうしてあなたはそれをたずねるのですか」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでマノアは|子《こ》やぎと|素祭《そさい》とをとり、|岩《いわ》の|上《うえ》でそれを|主《しゅ》にささげた。|主《しゅ》は|不思議《ふしぎ》なことをされ、マノアとその|妻《つま》はそれを|見《み》た。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|炎《ほのお》が|祭壇《さいだん》から|天《てん》にあがったとき、|主《しゅ》の|使《つかい》は|祭壇《さいだん》の|炎《ほのお》のうちにあってのぼった。マノアとその|妻《つま》は|見《み》て、|地《ち》にひれ|伏《ふ》した。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》はふたたびマノアとその|妻《つま》に|現《あらわ》れなかった。その|時《とき》マノアは|彼《かれ》が|主《しゅ》の|使《つかい》であることを|知《し》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]マノアは|妻《つま》に|向《む》かって|言《い》った、「わたしたちは|神《かみ》を|見《み》たから、きっと|死《し》ぬであろう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|妻《つま》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|主《しゅ》がもし、わたしたちを|殺《ころ》そうと|思《おも》われたのならば、わたしたちの|手《て》から|燔祭《はんさい》と|素祭《そさい》をおうけにならなかったでしょう。またこれらのすべての|事《こと》をわたしたちにお|示《しめ》しになるはずはなく、また|今《いま》わたしたちにこのような|事《こと》をお|告《つ》げにならなかったでしょう」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]やがて|女《おんな》は|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んで、その|名《な》をサムソンと|呼《よ》んだ。その|子《こ》は|成長《せいちょう》し、|主《しゅ》は|彼《かれ》を|恵《めぐ》まれた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|霊《れい》はゾラとエシタオルの|間《あいだ》のマハネダンにおいて|初《はじ》めて|彼《かれ》を|感動《かんどう》させた。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サムソンはテムナに|下《くだ》って|行《い》き、ペリシテびとの|娘《むすめ》で、テムナに|住《す》むひとりの|女《おんな》を|見《み》た。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|帰《かえ》ってきて|父母《ふぼ》に|言《い》った、「わたしはペリシテびとの|娘《むすめ》で、テムナに|住《す》むひとりの|女《おんな》を|見《み》ました。|彼女《かのじょ》をめとってわたしの|妻《つま》にしてください」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|父母《ふぼ》は|言《い》った、「あなたが|行《い》って、|割礼《かつれい》をうけないペリシテびとのうちから|妻《つま》を|迎《むか》えようとするのは、|身内《みうち》の|娘《むすめ》たちのうちに、あるいはわたしたちのすべての|民《たみ》のうちに|女《おんな》がないためなのですか」。しかしサムソンは|父《ちち》に|言《い》った、「|彼女《かのじょ》をわたしにめとってください。|彼女《かのじょ》はわたしの|心《こころ》にかないますから」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|父母《ふぼ》はこの|事《こと》が|主《しゅ》から|出《で》たものであることを|知《し》らなかった。サムソンはペリシテびとを|攻《せ》めようと、おりをうかがっていたからである。そのころペリシテびとはイスラエルを|治《おさ》めていた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]かくてサムソンは|父母《ふぼ》と|共《とも》にテムナに|下《くだ》って|行《い》った。|彼《かれ》がテムナのぶどう|畑《はたけ》に|着《つ》くと、一|頭《とう》の|若《わか》いししがほえたけって|彼《かれ》に|向《む》かってきた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|霊《れい》が|激《はげ》しく|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだので、|彼《かれ》はあたかも|子《こ》やぎを|裂《さ》くようにそのししを|裂《さ》いたが、|手《て》にはなんの|武器《ぶき》も|持《も》っていなかった。しかしサムソンはそのしたことを|父《ちち》にも|母《はは》にも|告《つ》げなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|下《くだ》って|行《い》って|女《おんな》と|話《はな》し|合《あ》ったが、|女《おんな》はサムソンの|心《こころ》にかなった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》がたって|後《のち》、サムソンは|彼女《かのじょ》をめとろうとして|帰《かえ》ったが、|道《みち》を|転《てん》じて、かのししのしかばねを|見《み》ると、ししのからだに、はちの|群《む》れと、|蜜《みつ》があった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそれをかきあつめ、|手《て》にとって|歩《ある》きながら|食《た》べ、|父母《ふぼ》のもとに|帰《かえ》って、|彼《かれ》らに|与《あた》えたので、|彼《かれ》らもそれを|食《た》べた。しかし、ししのからだからその|蜜《みつ》をかきあつめたことは|彼《かれ》らに|告《つ》げなかった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|父《ちち》が|下《くだ》って、|女《おんな》のもとに|行《い》ったので、サムソンはそこにふるまいを|設《もう》けた。そうすることは|花婿《はなむこ》のならわしであったからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はサムソンを|見《み》ると、三十|人《にん》の|客《きゃく》を|連《つ》れてきて、|同席《どうせき》させた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしはあなたがたに一つのなぞを|出《だ》しましょう。あなたがたがもし|七日《なぬか》のふるまいのうちにそれを|解《と》いて、わたしに|告《つ》げることができたなら、わたしはあなたがたに|亜麻《あま》の|着物《きもの》三十と、|晴《は》れ|着《ぎ》三十をさしあげましょう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたが、それをわたしに|告《つ》げることができなければ、|亜麻《あま》の|着物《きもの》三十と|晴《は》れ|着《ぎ》三十をわたしにくれなければなりません」。|彼《かれ》らはサムソンに|言《い》った、「なぞを|出《だ》しなさい。わたしたちはそれを|聞《き》きましょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|彼《かれ》らに|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|食《く》らう|者《もの》から|食《く》い|物《もの》が|出《で》、 |強《つよ》い|者《もの》から|甘《あま》い|物《もの》が|出《で》た」。 [#ここで字下げ終わり] |彼《かれ》らは三|日《か》のあいだなぞを|解《と》くことができなかった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]四|日《か》|目《め》になって、|彼《かれ》らはサムソンの|妻《つま》に|言《い》った、「あなたの|夫《おっと》を|説《と》きすすめて、なぞをわたしたちに|明《あ》かすようにしてください。そうしなければ、わたしたちは|火《ひ》をつけてあなたとあなたの|父《ちち》の|家《いえ》を|焼《や》いてしまいます。あなたはわたしたちの|物《もの》を|取《と》るために、わたしたちを|招《まね》いたのですか」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでサムソンの|妻《つま》はサムソンの|前《まえ》に|泣《な》いて|言《い》った、「あなたはただわたしを|憎《にく》むだけで、|愛《あい》してくれません。あなたはわたしの|国《くに》の|人々《ひとびと》になぞを|出《だ》して、それをわたしに|解《と》き|明《あ》かしませんでした」。サムソンは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「わたしは|自分《じぶん》の|父《ちち》にも|母《はは》にも|解《と》き|明《あ》かさなかった。どうしてあなたに|解《と》き|明《あ》かせよう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|七日《なぬか》のふるまいの|間《あいだ》、|彼《かれ》の|前《まえ》に|泣《な》いていたが、|七日《なぬか》|目《め》になって、サムソンはついに|彼女《かのじょ》に|解《と》き|明《あ》かした。ひどく|彼《かれ》に|迫《せま》ったからである。そこで|彼女《かのじょ》はなぞを|自分《じぶん》の|国《くに》の|人々《ひとびと》にあかした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》になって、|日《ひ》の|没《ぼっ》する|前《まえ》に|町《まち》の|人々《ひとびと》はサムソンに|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|蜜《みつ》より|甘《あま》いものに|何《なに》があろう。 ししより|強《つよ》いものに|何《なに》があろう」。 [#ここで字下げ終わり] サムソンは|彼《かれ》らに|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「わたしの|若《わか》い|雌牛《めうし》で|耕《たがや》さなかったなら、 わたしのなぞは|解《と》けなかった」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|主《しゅ》の|霊《れい》が|激《はげ》しくサムソンに|臨《のぞ》んだので、サムソンはアシケロンに|下《くだ》って|行《い》って、その|町《まち》の|者《もの》三十|人《にん》を|殺《ころ》し、|彼《かれ》らからはぎ|取《と》って、かのなぞを|解《と》いた|人々《ひとびと》に、その|晴《は》れ|着《ぎ》を|与《あた》え、|激《はげ》しく|怒《いか》って|父《ちち》の|家《いえ》に|帰《かえ》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]サムソンの|妻《つま》は|花婿《はなむこ》|付添人《つきそいにん》であった|客《きゃく》の|妻《つま》となった。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》がたって|後《のち》、|麦《むぎ》|刈《かり》の|時《とき》にサムソンは|子《こ》やぎを|携《たずさ》えて|妻《つま》をおとずれ、「へやにはいって、|妻《つま》に|会《あ》いましょう」と|言《い》ったが、|妻《つま》の|父《ちち》ははいることを|許《ゆる》さなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そして|父《ちち》は|言《い》った、「あなたが|確《たし》かに|彼女《かのじょ》をきらったに|相違《そうい》ないと|思《おも》ったので、わたしは|彼女《かのじょ》をあなたの|客《きゃく》であった|者《もの》にやりました。|彼女《かのじょ》の|妹《いもうと》は|彼女《かのじょ》よりもきれいではありませんか。どうぞ、|彼女《かのじょ》の|代《かわ》りに|妹《いもうと》をめとってください」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|今度《こんど》はわたしがペリシテびとに|害《がい》を|加《くわ》えても、|彼《かれ》らのことでは、わたしに|罪《つみ》がない」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでサムソンは|行《い》って、きつね三百|匹《ひき》を|捕《とら》え、たいまつをとり、|尾《お》と|尾《お》をあわせて、その二つの|尾《お》の|間《あいだ》に一つのたいまつを|結《むす》びつけ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]たいまつに|火《ひ》をつけて、そのきつねをペリシテびとのまだ|刈《か》らない|麦《むぎ》の|中《なか》に|放《はな》し|入《い》れ、そのたばね|積《つ》んだものと、まだ|刈《か》らないものとを|焼《や》き、オリブ|畑《はたけ》をも|焼《や》いた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは|言《い》った、「これはだれのしわざか」。|人々《ひとびと》は|言《い》った、「テムナびとの|婿《むこ》サムソンだ。そのしゅうとがサムソンの|妻《つま》を|取《と》り|返《かえ》して、その|客《きゃく》であった|者《もの》に|与《あた》えたからだ」。そこでペリシテびとは|上《のぼ》ってきて|彼女《かのじょ》とその|父《ちち》の|家《いえ》を|火《ひ》で|焼《や》き|払《はら》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたがそんなことをするならば、わたしはあなたがたに|仕返《しかえ》しせずにはおかない」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてサムソンは|彼《かれ》らを、さんざんに|撃《う》って|大《だい》ぜい|殺《ころ》した。こうしてサムソンは|下《くだ》って|行《い》って、エタムの|岩《いわ》の|裂《さ》け|目《め》に|住《す》んでいた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでペリシテびとは|上《のぼ》ってきて、ユダに|陣《じん》を|取《と》り、レヒを|攻《せ》めたので、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》は|言《い》った、「あなたがたはどうしてわれわれのところに|攻《せ》めのぼってきたのですか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「われわれはサムソンを|縛《しば》り、|彼《かれ》がわれわれにしたように、|彼《かれ》にするために|上《のぼ》ってきたのです」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダの|人々《ひとびと》三千|人《にん》がエタムの|岩《いわ》の|裂《さ》け|目《め》に|下《くだ》って|行《い》って、サムソンに|言《い》った、「ペリシテびとはわれわれの|支配者《しはいしゃ》であることをあなたは|知《し》らないのですか。あなたはどうしてわれわれにこんな|事《こと》をしたのですか」。サムソンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|彼《かれ》らがわたしにしたように、わたしは|彼《かれ》らにしたのです」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまたサムソンに|言《い》った、「われわれはあなたを|縛《しば》って、ペリシテびとの|手《て》にわたすために|下《くだ》ってきたのです」。サムソンは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがた|自身《じしん》はわたしを|撃《う》たないということを|誓《ちか》いなさい」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはサムソンに|言《い》った、「いや、われわれはただ、あなたを|縛《しば》って、ペリシテびとの|手《て》にわたすだけです。|決《けっ》してあなたを|殺《ころ》しません」。|彼《かれ》らは二|本《ほん》の|新《あたら》しい|綱《つな》をもって|彼《かれ》を|縛《しば》って、|岩《いわ》からひきあげた。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]サムソンがレヒにきたとき、ペリシテびとは|声《こえ》をあげて、|彼《かれ》に|近《ちか》づいた。その|時《とき》、|主《しゅ》の|霊《れい》が|激《はげ》しく|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだので、|彼《かれ》の|腕《うで》にかかっていた|綱《つな》は|火《ひ》に|焼《や》けた|亜麻《あま》のようになって、そのなわめが|手《て》から|解《と》けて|落《お》ちた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はろばの|新《あたら》しいあご|骨《ほね》一つを|見《み》つけたので、|手《て》を|伸《の》べて|取《と》り、それをもって一千|人《にん》を|打《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてサムソンは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「ろばのあご|骨《ほね》をもって|山《やま》また|山《やま》を|築《きず》き、 ろばのあご|骨《ほね》をもって一千|人《にん》を|打《う》ち|殺《ころ》した」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》い|終《おわ》ると、その|手《て》からあご|骨《ほね》を|投《な》げすてた。これがためにその|所《ところ》は「あご|骨《ほね》の|丘《おか》」と|呼《よ》ばれた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》はひどくかわきを|覚《おぼ》えたので、|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「あなたはしもべの|手《て》をもって、この|大《おお》きな|救《すくい》を|施《ほどこ》されたのに、わたしは|今《いま》、かわいて|死《し》に、|割礼《かつれい》をうけないものの|手《て》に|陥《おちい》ろうとしています」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|神《かみ》はレヒにあるくぼんだ|所《ところ》を|裂《さ》かれたので、そこから|水《みず》が|流《なが》れ|出《で》た。サムソンがそれを|飲《の》むと|彼《かれ》の|霊《れい》はもとにかえって|元《もと》|気《き》づいた。それでその|名《な》を「|呼《よ》ばわった|者《もの》の|泉《いずみ》」と|呼《よ》んだ。これは|今日《こんにち》までレヒにある。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]サムソンはペリシテびとの|時代《じだい》に二十|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルをさばいた。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サムソンはガザへ|行《い》って、そこでひとりの|遊女《ゆうじょ》を|見《み》、その|女《おんな》のところにはいった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「サムソンがここにきた」と、ガザの|人々《ひとびと》に|告《つ》げるものがあったので、ガザの|人々《ひとびと》はその|所《ところ》を|取《と》り|囲《かこ》み、|夜通《よどお》し|町《まち》の|門《もん》で|待《ま》ち|伏《ぶ》せし、「われわれは|朝《あさ》まで|待《ま》って|彼《かれ》を|殺《ころ》そう」と|言《い》って、|夜通《よどお》し|静《しず》かにしていた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|夜中《よなか》まで|寝《ね》たが、|夜中《よなか》に|起《お》きて、|町《まち》の|門《もん》のとびらと二つの|門柱《もんちゅう》に|手《て》をかけて、|貫《かん》の|木《き》もろともに|引《ひ》き|抜《ぬ》き、|肩《かた》に|載《の》せて、ヘブロンの|向《む》かいにある|山《やま》の|頂《いただき》に|運《はこ》んで|行《い》った。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》、サムソンはソレクの|谷《たに》にいるデリラという|女《おんな》を|愛《あい》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとの|君《きみ》たちはその|女《おんな》のところにきて|言《い》った、「あなたはサムソンを|説《と》きすすめて、|彼《かれ》の|大力《だいりき》はどこにあるのか、またわれわれはどうすれば|彼《かれ》に|勝《か》って、|彼《かれ》を|縛《しば》り|苦《くる》しめることができるかを|見《み》つけなさい。そうすればわれわれはおのおの|銀《ぎん》千百|枚《まい》ずつをあなたにさしあげましょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでデリラはサムソンに|言《い》った、「あなたの|大力《だいりき》はどこにあるのか、またどうすればあなたを|縛《しば》って|苦《くる》しめることができるか、どうぞわたしに|聞《き》かせてください」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|女《おんな》に|言《い》った、「|人々《ひとびと》がもし、かわいたことのない七|本《ほん》の|新《あたら》しい|弓弦《ゆみづる》をもってわたしを|縛《しば》るなら、わたしは|弱《よわ》くなってほかの|人《ひと》のようになるでしょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでペリシテびとの|君《きみ》たちが、かわいたことのない七|本《ほん》の|新《あたら》しい|弓弦《ゆみづる》を|女《おんな》に|持《も》ってきたので、|女《おんな》はそれをもってサムソンを|縛《しば》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はかねて|奥《おく》のへやに|人《ひと》を|忍《しの》ばせておいて、サムソンに|言《い》った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに|迫《せま》っています」。しかしサムソンはその|弓弦《ゆみづる》を、あたかも|亜麻《あま》|糸《いと》が|火《ひ》にあって|断《た》たれるように|断《た》ち|切《き》った。こうして|彼《かれ》の|力《ちから》の|秘密《ひみつ》は|知《し》れなかった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]デリラはサムソンに|言《い》った、「あなたはわたしを|欺《あざむ》いて、うそを|言《い》いました。どうしたらあなたを|縛《しば》ることができるか、どうぞ|今《いま》わたしに|聞《き》かせてください」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|女《おんな》に|言《い》った、「もし|人々《ひとびと》がまだ|用《もち》いたことのない|新《あたら》しい|綱《つな》をもって、わたしを|縛《しば》るなら、|弱《よわ》くなってほかの|人《ひと》のようになるでしょう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでデリラは|新《あたら》しい|綱《つな》をとり、それをもって|彼《かれ》を|縛《しば》り、そして|彼《かれ》に|言《い》った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに|迫《せま》っています」。|時《とき》に|人々《ひとびと》は|奥《おく》のへやに|忍《しの》んでいたが、サムソンはその|綱《つな》を|糸《いと》のように|腕《うで》から|断《た》ち|落《おと》した。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでデリラはサムソンに|言《い》った、「あなたは|今《いま》まで、わたしを|欺《あざむ》いて、うそを|言《い》いましたが、どうしたらあなたを|縛《しば》ることができるか、わたしに|聞《き》かせてください」。|彼《かれ》は|女《おんな》に|言《い》った、「あなたがもし、わたしの|髪《かみ》の|毛《け》七ふさを|機《はた》の|縦糸《たていと》と|一緒《いっしょ》に|織《お》って、くぎでそれを|留《と》めておくならば、わたしは|弱《よわ》くなってほかの|人《ひと》のようになるでしょう」。そこで|彼《かれ》が|眠《ねむ》ったとき、デリラはサムソンの|髪《かみ》の|毛《け》、七ふさをとって、それを|機《はた》の|縦糸《たていと》に|織《お》り|込《こ》み、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]くぎでそれを|留《と》めておいて、|彼《かれ》に|言《い》った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに|迫《せま》っています」。しかしサムソンは|目《め》をさまして、くぎと|機《はた》と|縦糸《たていと》とを|引《ひ》き|抜《ぬ》いた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|女《おんな》はサムソンに|言《い》った、「あなたの|心《こころ》がわたしを|離《はな》れているのに、どうして『おまえを|愛《あい》する』と|言《い》うことができますか。あなたはすでに三|度《ど》もわたしを|欺《あざむ》き、あなたの|大力《だいりき》がどこにあるかをわたしに|告《つ》げませんでした」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|毎日《まいにち》その|言葉《ことば》をもって|彼《かれ》に|迫《せま》り|促《うなが》したので、|彼《かれ》の|魂《たましい》は|死《し》ぬばかりに|苦《くる》しんだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はついにその|心《こころ》をことごとく|打《う》ち|明《あ》けて|女《おんな》に|言《い》った、「わたしの|頭《あたま》にはかみそりを|当《あ》てたことがありません。わたしは|生《うま》れた|時《とき》から|神《かみ》にささげられたナジルびとだからです。もし|髪《かみ》をそり|落《おと》されたなら、わたしの|力《ちから》は|去《さ》って|弱《よわ》くなり、ほかの|人《ひと》のようになるでしょう」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]デリラはサムソンがその|心《こころ》をことごとく|打《う》ち|明《あ》けたのを|見《み》、|人《ひと》をつかわしてペリシテびとの|君《きみ》たちを|呼《よ》んで|言《い》った、「サムソンはその|心《こころ》をことごとくわたしに|打《う》ち|明《あ》けましたから、|今度《こんど》こそ|上《のぼ》っておいでなさい」。そこでペリシテびとの|君《きみ》たちは、|銀《ぎん》を|携《たずさ》えて|女《おんな》のもとに|上《のぼ》ってきた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|自分《じぶん》のひざの|上《うえ》にサムソンを|眠《ねむ》らせ、|人《ひと》を|呼《よ》んで|髪《かみ》の|毛《け》、七ふさをそり|落《おと》させ、|彼《かれ》を|苦《くる》しめ|始《はじ》めたが、その|力《ちから》は|彼《かれ》を|去《さ》っていた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|女《おんな》が「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに|迫《せま》っています」と|言《い》ったので、|彼《かれ》は|目《め》をさまして|言《い》った、「わたしはいつものように|出《で》て|行《い》って、からだをゆすろう」。|彼《かれ》は|主《しゅ》が|自分《じぶん》を|去《さ》られたことを|知《し》らなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでペリシテびとは|彼《かれ》を|捕《とら》えて、|両《りょう》|眼《め》をえぐり、ガザに|引《ひ》いて|行《い》って、|青銅《せいどう》の|足《あし》かせをかけて|彼《かれ》をつないだ。こうしてサムソンは|獄屋《ごくや》の|中《なか》で、うすをひいていたが、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|髪《かみ》の|毛《け》はそり|落《おと》された|後《のち》、ふたたび|伸《の》び|始《はじ》めた。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとの|君《きみ》たちは、|彼《かれ》らの|神《かみ》ダゴンに|大《おお》いなる|犠牲《ぎせい》をささげて|祝《しゅく》をしようと、|共《とも》に|集《あつ》まって|言《い》った、「われわれの|神《かみ》は、|敵《てき》サムソンをわれわれの|手《て》にわたされた」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はサムソンを|見《み》て、|自分《じぶん》たちの|神《かみ》をほめたたえて|言《い》った、「われわれの|神《かみ》は、われわれの|国《くに》を|荒《あら》し、われわれを|多《おお》く|殺《ころ》した|敵《てき》をわれわれの|手《て》にわたされた」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|心《こころ》に|喜《よろこ》んで|言《い》った、「サムソンを|呼《よ》んで、われわれのために|戯《ざ》れ|事《ごと》をさせよう」。|彼《かれ》らは|獄屋《ごくや》からサムソンを|呼《よ》び|出《だ》して、|彼《かれ》らの|前《まえ》に|戯《ざ》れ|事《ごと》をさせた。|彼《かれ》らがサムソンを|柱《はしら》のあいだに|立《た》たせると、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|自分《じぶん》の|手《て》をひいている|若者《わかもの》に|言《い》った、「わたしの|手《て》を|放《はな》して、この|家《いえ》をささえている|柱《はしら》をさぐらせ、それに|寄《よ》りかからせてください」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》には|男女《だんじょ》が|満《み》ち、ペリシテびとの|君《きみ》たちも|皆《みな》そこにいた。また|屋根《やね》の|上《うえ》には三千|人《にん》ばかりの|男女《だんじょ》がいて、サムソンの|戯《ざ》れ|事《ごと》をするのを|見《み》ていた。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]サムソンは|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、どうぞ、わたしを|覚《おぼ》えてください。ああ、|神《かみ》よ、どうぞもう一|度《ど》、わたしを|強《つよ》くして、わたしの二つの|目《め》の一つのためにでもペリシテびとにあだを|報《むく》いさせてください」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そしてサムソンは、その|家《いえ》をささえている二つの|中《なか》|柱《はしら》の一つを|右《みぎ》の|手《て》に、一つを|左《ひだり》の|手《て》にかかえて、|身《み》をそれに|寄《よ》せ、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはペリシテびとと|共《とも》に|死《し》のう」と|言《い》って、|力《ちから》をこめて|身《み》をかがめると、|家《いえ》はその|中《なか》にいた|君《きみ》たちと、すべての|民《たみ》の|上《うえ》に|倒《たお》れた。こうしてサムソンが|死《し》ぬときに|殺《ころ》したものは、|生《い》きているときに|殺《ころ》したものよりも|多《おお》かった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]やがて|彼《かれ》の|身内《みうち》の|人《ひと》たちおよび|父《ちち》の|家族《かぞく》の|者《もの》がみな|下《くだ》ってきて、|彼《かれ》を|引《ひ》き|取《と》り、|携《たずさ》え|上《のぼ》って、ゾラとエシタオルの|間《あいだ》にある|父《ちち》マノアの|墓《はか》に|葬《ほうむ》った。サムソンがイスラエルをさばいたのは二十|年《ねん》であった。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ここにエフライムの|山地《さんち》の|人《ひと》で、|名《な》をミカと|呼《よ》ぶものがあった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|母《はは》に|言《い》った、「あなたはかつて|銀《ぎん》千百|枚《まい》を|取《と》られたので、それをのろい、わたしにも|話《はな》されましたが、その|銀《ぎん》はわたしが|持《も》っています。わたしがそれを|取《と》ったのです」。|母《はは》は|言《い》った、「どうぞ|主《しゅ》がわが|子《こ》を|祝福《しゅくふく》されますように」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》が|銀《ぎん》千百|枚《まい》を|母《はは》に|返《かえ》したので、|母《はは》は|言《い》った、「わたしはわたしの|子《こ》のために一つの|刻《きざ》んだ|像《ぞう》と、一つの|鋳《い》た|像《ぞう》を|造《つく》るためにその|銀《ぎん》をわたしの|手《て》から|主《しゅ》に|献納《けんのう》します。それで|今《いま》それをあなたに|返《かえ》しましょう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ミカがその|銀《ぎん》を|母《はは》に|返《かえ》したので、|母《はは》はその|銀《ぎん》二百|枚《まい》をとって、それを|銀《ぎん》|細工人《ざいくにん》に|与《あた》え、一つの|刻《きざ》んだ|像《ぞう》と、一つの|鋳《い》た|像《ぞう》を|造《つく》らせた。その|像《ぞう》はミカの|家《いえ》にあった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]このミカという|人《ひと》は|神《かみ》の|宮《みや》をもち、エポデとテラピムを|造《つく》り、その|子《こ》のひとりを|立《た》てて、|自分《じぶん》の|祭司《さいし》とした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そのころイスラエルには|王《おう》がなかったので、|人々《ひとびと》はおのおの|自分《じぶん》たちの|目《め》に|正《ただ》しいと|思《おも》うことを|行《おこな》った。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さてここにユダの|氏族《しぞく》のもので、ユダのベツレヘムからきたひとりの|若者《わかもの》があった。|彼《かれ》はレビびとであって、そこに|寄留《きりゅう》していたのである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]この|人《ひと》は|自分《じぶん》の|住《す》むべきところを|尋《たず》ねて、ユダのベツレヘムの|町《まち》を|去《さ》り、|旅《たび》してエフライムの|山地《さんち》のミカの|家《いえ》にきた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ミカは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはどこからおいでになりましたか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしはユダのベツレヘムのレビびとですが、|住《す》むべきところを|尋《たず》ねて|旅《たび》をしているのです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ミカは|言《い》った、「わたしと|一緒《いっしょ》にいて、わたしのために|父《ちち》とも|祭司《さいし》ともなってください。そうすれば|年《ねん》に|銀《ぎん》十|枚《まい》と|衣服《いふく》ひとそろいと|食物《しょくもつ》とをさしあげましょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]レビびとはついにその|人《ひと》と|一緒《いっしょ》に|住《す》むことを|承諾《しょうだく》した。そしてその|若者《わかもの》は|彼《かれ》の|子《こ》のひとりのようになった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ミカはレビびとであるこの|若者《わかもの》を|立《た》てて|自分《じぶん》の|祭司《さいし》としたので、|彼《かれ》はミカの|家《いえ》にいた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それでミカは|言《い》った、「|今《いま》わたしはレビびとを|祭司《さいし》に|持《も》つようになったので、|主《しゅ》がわたしをお|恵《めぐ》みくださることがわかりました」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころイスラエルには|王《おう》がなかった。そのころダンびとの|部族《ぶぞく》はイスラエルの|部族《ぶぞく》のうちにあって、その|日《ひ》までまだ|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》を|得《え》なかったので|自分《じぶん》たちの|住《す》むべき|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》を|求《もと》めていた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それでダンの|人々《ひとびと》は|自分《じぶん》の|部族《ぶぞく》の|総勢《そうぜい》のうちから、|勇者《ゆうしゃ》五|人《にん》をゾラとエシタオルからつかわして|土地《とち》をうかがい|探《さぐ》らせた。すなわち|彼《かれ》らに|言《い》った、「|行《い》って|土地《とち》を|探《さぐ》ってきなさい」。|彼《かれ》らはエフライムの|山地《さんち》に|行《い》き、ミカの|家《いえ》に|着《つ》いて、そこに|宿《やど》ろうとした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがミカの|家《いえ》に|近《ちか》づいたとき、レビびとである|若者《わかもの》の|声《こえ》を|聞《き》きわけたので、|身《み》をめぐらしてそこにはいって|彼《かれ》に|言《い》った、「だれがあなたをここに|連《つ》れてきたのですか。あなたはここで|何《なに》をしているのですか。ここになんの|用《よう》があるのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|若者《わかもの》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「ミカが、かようかようにしてわたしを|雇《やと》ったので、わたしはその|祭司《さいし》となったのです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「どうぞ、|神《かみ》に|伺《うかが》って、われわれが|行《い》く|道《みち》にしあわせがあるかどうかを|知《し》らせてください」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|祭司《さいし》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「|安心《あんしん》して|行《い》きなさい。あなたがたが|行《い》く|道《みち》は|主《しゅ》が|見守《みまも》っておられます」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこで五|人《にん》の|者《もの》は|去《さ》ってライシに|行《い》き、そこにいる|民《たみ》を|見《み》ると、|彼《かれ》らは|安《やす》らかに|住《す》まい、その|穏《おだ》やかで|安《やす》らかなことシドンびとのようであって、この|国《くに》には一つとして|欠《か》けたものがなく、|富《とみ》を|持《も》ち、またシドンびとと|遠《とお》く|離《はな》れており、ほかの|民《たみ》と|交《まじ》わることがなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]かくて|彼《かれ》らがゾラとエシタオルにおる|兄弟《きょうだい》たちのもとに|帰《かえ》ってくると、|兄弟《きょうだい》たちは|彼《かれ》らに|言《い》った、「いかがでしたか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「|立《た》って|彼《かれ》らのところに|攻《せ》め|上《のぼ》りましょう。われわれはかの|地《ち》を|見《み》たが、|非常《ひじょう》に|豊《ゆた》かです。あなたがたはなぜじっとしているのですか。ためらわずに|進《すす》んで|行《い》って、かの|地《ち》を|取《と》りなさい。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|行《い》けば、|安《やす》らかにおる|民《たみ》の|所《ところ》に|行《い》くでしょう。その|地《ち》は|広《ひろ》く、|神《かみ》はそれをあなたがたの|手《て》に|賜《たま》わるのです。そこには|地《ち》にあるもの一つとして|欠《か》けているものはありません」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでダンの|氏族《しぞく》のもの六百|人《にん》が|武器《ぶき》を|帯《お》びて、ゾラとエシタオルを|出発《しゅっぱつ》し、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|上《のぼ》って|行《い》ってユダのキリアテ・ヤリムに|陣《じん》を|張《は》った。このゆえに、その|所《ところ》は|今日《こんにち》までマハネダンと|呼《よ》ばれる。それはキリアテ・ヤリムの|西《にし》にある。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそこからエフライムの|山地《さんち》に|進《すす》み、ミカの|家《いえ》に|着《つ》いた。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]かのライシの|国《くに》をうかがいに|行《い》った五|人《にん》の|者《もの》はその|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》った、「あなたがたはこれらの|家《いえ》にエポデとテラピムと|刻《きざ》んだ|像《ぞう》と|鋳《い》た|像《ぞう》のあるのを|知《し》っていますか。それであなたがたは|今《いま》、なすべきことを|決《き》めなさい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはその|方《ほう》へ|身《み》をめぐらして、かのレビびとの|若者《わかもの》の|家《いえ》すなわちミカの|家《いえ》に|行《い》って、|彼《かれ》に|安否《あんぴ》を|問《と》うた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|武器《ぶき》を|帯《お》びた六百|人《にん》のダンの|人々《ひとびと》は|門《もん》の|入口《いりぐち》に|立《た》っていた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]かの|土地《とち》をうかがいに|行《い》った五|人《にん》の|者《もの》は|上《のぼ》って|行《い》って、そこにはいり、|刻《きざ》んだ|像《ぞう》とエポデとテラピムと|鋳《い》た|像《ぞう》とを|取《と》ったが、|祭司《さいし》は|武器《ぶき》を|帯《お》びた六百|人《にん》の|者《もの》と|共《とも》に|門《もん》の|入口《いりぐち》に|立《た》っていた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがミカの|家《いえ》にはいって|刻《きざ》んだ|像《ぞう》とエポデとテラピムと|鋳《い》た|像《ぞう》とを|取《と》った|時《とき》、|祭司《さいし》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは|何《なに》をなさいますか」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「|黙《だま》りなさい。あなたの|手《て》を|口《くち》にあてて、われわれと|一緒《いっしょ》にきて、われわれのために|父《ちち》とも|祭司《さいし》ともなりなさい。ひとりの|家《いえ》の|祭司《さいし》であるのと、イスラエルの|一《いち》|部族《ぶぞく》、|一《いち》|氏族《しぞく》の|祭司《さいし》であるのと、どちらがよいですか」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|喜《よろこ》んで、エポデとテラピムと|刻《きざ》んだ|像《ぞう》とを|取《と》り、|民《たみ》のなかに|加《くわ》わった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]かくて|彼《かれ》らは|身《み》をめぐらして|去《さ》り、その|子《こ》|供《とも》たちと|家畜《かちく》と|貨《か》|財《ざい》をさきにたてて|進《すす》んだが、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ミカの|家《いえ》をはるかに|離《はな》れたとき、ミカは|家《いえ》に|近《ちか》い|家《いえ》の|人々《ひとびと》を|集《あつ》め、ダンの|人々《ひとびと》に|追《お》いつき、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|人々《ひとびと》を|呼《よ》んだので、|彼《かれ》らはふり|向《む》いてミカに|言《い》った、「あなたがそのように|仲間《なかま》を|連《つ》れてきたのは、どうしたのですか」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「あなたがたが、わたしの|造《つく》った|神々《かみがみ》および|祭司《さいし》を|奪《うば》い|去《さ》ったので、わたしに|何《なに》が|残《のこ》っていますか。しかるにあなたがたがわたしに|向《む》かって『どうしたのですか』と|言《い》われるとは|何事《なにごと》ですか」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたは|大《おお》きな|声《こえ》を|出《だ》さないがよい。|気《き》の|荒《あら》い|連中《れんちゅう》があなたに|撃《う》ちかかって、あなたは|自分《じぶん》の|命《いのち》と|家族《かぞく》の|命《いのち》を|失《うしな》うようになるでしょう」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダンの|人々《ひとびと》は|去《さ》って|行《い》ったが、ミカは|彼《かれ》らの|強《つよ》いのを|見《み》て、くびすをかえして|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》った。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]さて|彼《かれ》らはミカが|造《つく》った|物《もの》と、ミカと|共《とも》にいた|祭司《さいし》とを|奪《うば》ってライシにおもむき、|穏《おだ》やかで、|安《やす》らかな|民《たみ》のところへ|行《い》って、つるぎをもって|彼《かれ》らを|撃《う》ち、|火《ひ》をつけてその|町《まち》を|焼《や》いたが、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]シドンを|遠《とお》く|離《はな》れており、ほかの|民《たみ》との|交《まじ》わりがなかったので、それを|救《すく》うものがなかった。その|町《まち》はベテレホブに|属《ぞく》する|谷《たに》にあった。|彼《かれ》らは|町《まち》を|建《た》てなおしてそこに|住《す》み、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルに|生《うま》れた|先祖《せんぞ》ダンの|名《な》にしたがって、その|町《まち》の|名《な》をダンと|名《な》づけた。その|町《まち》の|名《な》はもとはライシであった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてダンの|人々《ひとびと》は|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|自分《じぶん》たちのために|安置《あんち》し、モーセの|孫《まご》すなわちゲルショムの|子《こ》ヨナタンとその|子孫《しそん》がダンびとの|部族《ぶぞく》の|祭司《さいし》となって、|国《くに》が|捕囚《ほしゅう》となる|日《ひ》にまで|及《およ》んだ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|家《いえ》がシロにあったあいだ、|常《つね》に|彼《かれ》らはミカが|造《つく》ったその|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|飾《かざ》って|置《お》いた。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、イスラエルに|王《おう》がなかった|時《とき》、エフライムの|山地《さんち》の|奥《おく》にひとりのレビびとが|寄留《きりゅう》していた。|彼《かれ》はユダのベツレヘムからひとりの|女《おんな》を|迎《むか》えて、めかけとしていたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのめかけは|怒《いか》って、|彼《かれ》のところを|去《さ》り、ユダのベツレヘムの|父《ちち》の|家《いえ》に|帰《かえ》って、そこに四か|月《げつ》ばかり|過《す》ごした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|夫《おっと》は|彼女《かのじょ》をなだめて|連《つ》れ|帰《かえ》ろうと、しもべと二|頭《とう》のろばを|従《したが》え、|立《た》って|彼女《かのじょ》のあとを|追《お》って|行《い》った。|彼《かれ》が|女《おんな》の|父《ちち》の|家《いえ》に|着《つ》いた|時《とき》、|娘《むすめ》の|父《ちち》は|彼《かれ》を|見《み》て、|喜《よろこ》んで|迎《むか》えた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|娘《むすめ》の|父《ちち》であるしゅうとが|引《ひ》き|留《と》めたので、|彼《かれ》は三|日《か》|共《とも》におり、みな|飲《の》み|食《く》いしてそこに|宿《やど》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]四|日《か》|目《め》に|彼《かれ》らは|朝《あさ》はやく|起《お》き、|彼《かれ》が|立《た》ち|去《さ》ろうとしたので、|娘《むすめ》の|父《ちち》は|婿《むこ》に|言《い》った、「|少《すこ》し|食事《しょくじ》をして|元気《げんき》をつけ、それから|出《で》かけなさい」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでふたりは|座《ざ》して|共《とも》に|飲《の》み|食《く》いしたが、|娘《むすめ》の|父《ちち》はその|人《ひと》に|言《い》った、「どうぞもう|一晩《ひとばん》|泊《と》まって|楽《たの》しく|過《す》ごしなさい」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|立《た》って|去《さ》ろうとしたが、しゅうとがしいたので、ついにまたそこに|宿《やど》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]五|日《か》|目《め》になって、|朝《あさ》はやく|起《お》きて|去《さ》ろうとしたが、|娘《むすめ》の|父《ちち》は|言《い》った、「どうぞ、|元気《げんき》をつけて、|日《ひ》が|傾《かたむ》くまでとどまりなさい」。そこで|彼《かれ》らふたりは|食事《しょくじ》をした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》がついにめかけおよびしもべと|共《とも》に|去《さ》ろうとして|立《た》ちあがったとき、|娘《むすめ》の|父《ちち》であるしゅうとは|彼《かれ》に|言《い》った、「|日《ひ》も|暮《く》れようとしている。どうぞもう一|晩《ばん》|泊《と》まりなさい。|日《ひ》は|傾《かたむ》いた。ここに|宿《やど》って|楽《たの》しく|過《す》ごしなさい。そしてあしたの|朝《あさ》はやく|起《お》きて|出立《しゅったつ》し、|家《いえ》に|帰《かえ》りなさい」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|人《ひと》は|泊《と》まることを|好《この》まないので、|立《た》って|去《さ》り、エブスすなわちエルサレムの|向《む》かいに|着《つ》いた。くらをおいた二|頭《とう》のろばと|彼《かれ》のめかけも|一緒《いっしょ》であった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがエブスに|近《ちか》づいたとき、|日《ひ》はすでに|没《ぼっ》したので、しもべは|主人《しゅじん》に|言《い》った、「さあ、われわれは|道《みち》を|転《てん》じてエブスびとのこの|町《まち》にはいって、そこに|宿《やど》りましょう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主人《しゅじん》は|彼《かれ》に|言《い》った、「われわれは|道《みち》を|転《てん》じて、イスラエルの|人々《ひとびと》の|町《まち》でない|外国《がいこく》|人《じん》の|町《まち》に、はいってはならない。ギベアまで|行《い》こう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたしもべに|言《い》った、「さあ、われわれはギベアかラマか、そのうちの一つに|着《つ》いてそこに|宿《やど》ろう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|進《すす》んで|行《い》ったが、ベニヤミンに|属《ぞく》するギベアの|近《ちか》くで|日《ひ》が|暮《く》れたので、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ギベアへ|行《い》って|宿《やど》ろうと、そこに|道《みち》を|転《てん》じ、|町《まち》にはいって、その|広場《ひろば》に|座《ざ》した。だれも|彼《かれ》らを|家《いえ》に|迎《むか》えて|泊《と》めてくれる|者《もの》がなかったからである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にひとりの|老人《ろうじん》が|夕暮《ゆうぐれ》に|畑《はたけ》の|仕事《しごと》から|帰《かえ》ってきた。この|人《ひと》はエフライムの|山地《さんち》の|者《もの》で、ギベアに|寄留《きりゅう》していたのである。ただしこの|所《ところ》の|人々《ひとびと》はベニヤミンびとであった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|目《め》をあげて、|町《まち》の|広場《ひろば》に|旅人《たびびと》のおるのを|見《み》た。|老人《ろうじん》は|言《い》った、「あなたはどこへ|行《い》かれるのですか。どこからおいでになりましたか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|言《い》った、「われわれはユダのベツレヘムから、エフライムの|山地《さんち》の|奥《おく》へ|行《い》くものです。わたしはあそこの|者《もの》で、ユダのベツレヘムへ|行《い》き、|今《いま》わたしの|家《いえ》に|帰《かえ》るところですが、だれもわたしを|家《いえ》に|泊《と》めてくれる|者《もの》がありません。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]われわれには、ろばのわらも|飼葉《かいば》もあり、またわたしと、はしためと、しもべと|共《とも》にいる|若者《わかもの》との|食物《しょくもつ》も|酒《さけ》もあって、|何《なに》も|欠《か》けているものはありません」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|老人《ろうじん》は|言《い》った、「|安心《あんしん》しなさい。あなたの|必要《ひつよう》なものはなんでも|備《そな》えましょう。ただ|広場《ひろば》で|夜《よる》を|過《す》ごしてはなりません」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》を|家《いえ》に|連《つ》れていって、ろばに|飼葉《かいば》を|与《あた》えた。|彼《かれ》らは|足《あし》を|洗《あら》って|飲《の》み|食《く》いした。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|楽《たの》しく|過《す》ごしていた|時《とき》、|町《まち》の|人々《ひとびと》の|悪《わる》い|者《もの》どもがその|家《いえ》を|取《と》り|囲《かこ》み、|戸《と》を|打《う》ちたたいて、|家《いえ》のあるじである|老人《ろうじん》に|言《い》った、「あなたの|家《いえ》にきた|人《ひと》を|出《だ》しなさい。われわれはその|者《もの》を|知《し》るであろう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|家《いえ》のあるじは|彼《かれ》らのところに|出《で》ていって|言《い》った、「いいえ、|兄弟《きょうだい》たちよ、どうぞ、そんな|悪《わる》いことをしないでください。この|人《ひと》はすでにわたしの|家《いえ》にはいったのだから、そんなつまらない|事《こと》をしないでください。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ここに|処女《しょじょ》であるわたしの|娘《むすめ》と、この|人《ひと》のめかけがいます。|今《いま》それを|出《だ》しますから、それをはずかしめ、あなたがたの|好《す》きなようにしなさい。しかしこの|人《ひと》にはそのようなつまらない|事《こと》をしないでください」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|人々《ひとびと》が|聞《き》きいれなかったので、その|人《ひと》は|自分《じぶん》のめかけをとって|彼《かれ》らのところに|出《だ》した。|彼《かれ》らはその|女《おんな》を|犯《おか》して|朝《あさ》まで|終夜《しゅうや》はずかしめ、|日《ひ》ののぼるころになって|放《はな》し|帰《かえ》らせた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》になって|女《おんな》は|自分《じぶん》の|主人《しゅじん》を|宿《やど》してくれた|人《ひと》の|家《いえ》の|戸口《とぐち》にきて|倒《たお》れ|伏《ふ》し、|夜《よる》のあけるまでに|及《およ》んだ。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》の|主人《しゅじん》は|朝《あさ》|起《お》きて|家《いえ》の|戸《と》を|開《ひら》き、|出《で》て|旅立《たびだ》とうとすると、そのめかけである|女《おんな》が|家《いえ》の|戸口《とぐち》に、|手《て》を|敷居《しきい》にかけて|倒《たお》れていた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|女《おんな》に|向《む》かって、「|起《お》きよ、|行《い》こう」と|言《い》ったけれども、なんの|答《こたえ》もなかった。そこでその|人《ひと》は|女《おんな》をろばに|乗《の》せ、|立《た》って|自分《じぶん》の|家《いえ》におもむいたが、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》に|着《つ》いたとき、|刀《かたな》を|執《と》り、めかけを|捕《とら》えて、そのからだを十二|切《き》れに|断《た》ち|切《き》り、それをイスラエルの|全《ぜん》|領域《りょういき》にあまねく|送《おく》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それを|見《み》たものはみな|言《い》った、「イスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトの|地《ち》から|上《のぼ》ってきた|日《ひ》から|今日《こんにち》まで、このような|事《こと》は|起《た》ったこともなく、また|見《み》たこともない。この|事《こと》をよく|考《かんが》え、|協議《きょうぎ》して|言《い》うことを|決《き》めよ」。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》は、ダンからベエルシバまで、またギレアデの|地《ち》からもみな|出《で》てきて、その|会衆《かいしゅう》はひとりのようにミヅパで|主《しゅ》のもとに|集《あつ》まった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》の|首領《しゅりょう》たち、すなわちイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》の|首領《しゅりょう》たちは、みずから|神《かみ》の|民《たみ》の|集合《しゅうごう》に|出《で》た。つるぎを|帯《お》びている|歩兵《ほへい》が四十万|人《にん》あった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》は、イスラエルの|人々《ひとびと》がミヅパに|上《のぼ》ったことを|聞《き》いた。イスラエルの|人々《ひとびと》は|言《い》った、「どうして、この|悪事《あくじ》が|起《おこ》ったのか、われわれに|話《はな》してください」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|殺《ころ》された|女《おんな》の|夫《おっと》であるレビびとは|答《こた》えて|言《い》った、「わたしは、めかけと|一緒《いっしょ》にベニヤミンに|属《ぞく》するギベアへ|行《い》って|宿《やど》りましたが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ギベアの|人々《ひとびと》は|立《た》ってわたしを|攻《せ》め、|夜《よ》の|間《ま》に、わたしのおる|家《いえ》を|取《と》り|囲《かこ》んで、わたしを|殺《ころ》そうと|企《くわだ》て、ついにわたしのめかけをはずかしめて、|死《し》なせました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはめかけを|捕《とら》えて|断《た》ち|切《き》り、それをイスラエルの|嗣《し》|業《ぎょう》のすべての|地方《ちほう》にあまねく|送《おく》りました。|彼《かれ》らがイスラエルにおいて|憎《にく》むべきみだらなことを|行《おこな》ったからです。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》よ、あなたがたは|皆《みな》|自分《じぶん》の|意見《いけん》と|考《かんが》えをここに|述《の》べてください」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|皆《みな》ひとりのように|立《た》って|言《い》った、「われわれはだれも|自分《じぶん》の|天幕《てんまく》に|行《い》きません。まただれも|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》りません。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われわれが|今《いま》ギベアに|対《たい》してしようとする|事《こと》はこれです。われわれはくじを|引《ひ》いて、ギベアに|攻《せ》めのぼりましょう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》から百|人《にん》について十|人《にん》、千|人《にん》について百|人《にん》、万|人《にん》について千|人《にん》を|選《えら》んで、|民《たみ》の|糧食《りょうしょく》をとらせ、|民《たみ》はベニヤミンのギベアに|行《い》って、ベニヤミンびとがイスラエルにおいておこなったすべてのみだらな|事《こと》に|対《たい》して、|報復《ほうふく》しましょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》|集《あつ》まり、|一致《いっち》|結束《けっそく》して|町《まち》を|攻《せ》めようとした。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのもろもろの|部族《ぶぞく》は|人々《ひとびと》をあまねくベニヤミンの|部族《ぶぞく》のうちにつかわして|言《い》わせた、「あなたがたのうちに|起《た》ったこの|事《こと》は、なんたる|悪事《あくじ》でしょうか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》ギベアにいるあの|悪《わる》い|人々《ひとびと》をわたしなさい。われわれは|彼《かれ》らを|殺《ころ》して、イスラエルから|悪《あく》を|除《のぞ》き|去《さ》りましょう」。しかしベニヤミンの|人々《ひとびと》はその|兄弟《きょうだい》であるイスラエルの|人々《ひとびと》の|言葉《ことば》を|聞《き》きいれなかった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]かえってベニヤミンの|人々《ひとびと》は|町々《まちまち》からギベアに|集《あつ》まり、|出《で》てイスラエルの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》おうとした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|町々《まちまち》から|集《あつ》まったベニヤミンの|人々《ひとびと》はつるぎを|帯《お》びている|者《もの》二万六千|人《にん》あり、ほかにギベアの|住民《じゅうみん》で|集《あつ》まった|精兵《せいへい》が七百|人《にん》あった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]このすべての|民《たみ》のうちに|左《ひだり》ききの|精兵《せいへい》が七百|人《にん》あって、いずれも一|本《ぽん》の|毛《け》すじをねらって|石《いし》を|投《な》げても、はずれることがなかった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|集《あつ》まった|者《もの》はベニヤミンを|除《のぞ》いて、つるぎを|帯《お》びている|者《もの》四十万|人《にん》あり、いずれも|軍人《ぐんじん》であった。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|立《た》ちあがってベテルにのぼり、|神《かみ》に|尋《たず》ねた、「われわれのうち、いずれがさきにのぼって、ベニヤミンの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》いましょうか」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「ユダがさきに」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》は、|朝《あさ》|起《お》きて、ギベアに|対《たい》し|陣《じん》を|取《と》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルの|人々《ひとびと》はベニヤミンと|戦《たたか》うために|出《で》て|行《い》って、ギベアで|彼《かれ》らに|対《たい》して|戦《たたか》いの|備《そな》えをしたが、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》はギベアから|出《で》てきて、その|日《ひ》イスラエルの|人々《ひとびと》のうち二万二千|人《にん》を|地《ち》に|撃《う》ち|倒《たお》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|民《たみ》の|人々《ひとびと》は|奮《ふる》いたって|初《はじ》めの|日《ひ》に|備《そな》えをした|所《ところ》にふたたび|戦《たたか》いの|備《そな》えをした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|上《のぼ》って|行《い》って|主《しゅ》の|前《まえ》に|夕暮《ゆうぐれ》まで|泣《な》き、|主《しゅ》に|尋《たず》ねた、「われわれは|再《ふたた》びわれわれの|兄弟《きょうだい》であるベニヤミンの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》いを|交《まじ》えるべきでしょうか」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「|攻《せ》めのぼれ」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》は、|次《つぎ》の|日《ひ》またベニヤミンの|人々《ひとびと》の|所《ところ》に|攻《せ》めよせたが、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンは|次《つぎ》の|日《ひ》またギベアから|出《で》て、これを|迎《むか》え、ふたたびイスラエルの|人々《ひとびと》のうち一万八千|人《にん》を|地《ち》に|撃《う》ち|倒《たお》した。これらは|皆《みな》つるぎを|帯《お》びている|者《もの》であった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これがためにイスラエルのすべての|人々《ひとびと》すなわち|全《ぜん》|軍《ぐん》はベテルに|上《のぼ》って|行《い》って|泣《な》き、その|所《ところ》で|主《しゅ》の|前《まえ》に|座《ざ》して、その|日《ひ》|夕暮《ゆうぐれ》まで|断食《だんじき》し、|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》を|主《しゅ》の|前《まえ》にささげた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》に|尋《たず》ね、――そのころ|神《かみ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》はそこにあって、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子《こ》エレアザルの|子《こ》であるピネハスが、それに|仕《つか》えていた――そして|言《い》った、「われわれはなおふたたび|出《で》て、われわれの|兄弟《きょうだい》であるベニヤミンの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》うべきでしょうか。あるいはやめるべきでしょうか」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「のぼれ。わたしはあす|彼《かれ》らをあなたがたの|手《て》にわたすであろう」。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルはギベアの|周囲《しゅうい》に|伏兵《ふくへい》を|置《お》き、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は三|日《か》|目《め》にまたベニヤミンの|人々《ひとびと》のところに|攻《せ》めのぼり、|前《まえ》のようにギベアに|対《たい》して|備《そな》えをした。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》は|出《で》て、|民《たみ》を|迎《むか》えたが、ついに|町《まち》からおびき|出《だ》されたので、|彼《かれ》らは|前《まえ》のように|大路《おおじ》で|民《たみ》を|撃《う》ちはじめ、また|野《の》でイスラエルの|人《ひと》を三十|人《にん》ばかり|殺《ころ》した。その|大路《おおじ》は、一つはベテルに|至《いた》り、一つはギベアに|至《いた》るものであった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》は|言《い》った、「|彼《かれ》らは|初《はじ》めのように、われわれの|前《まえ》に|撃《う》ち|破《やぶ》られる」。しかしイスラエルの|人々《ひとびと》は|言《い》った、「われわれは|逃《に》げて、|彼《かれ》らを|町《まち》から|大路《おおじ》におびき|出《だ》そう」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》その|所《ところ》から|立《た》ってバアル・タマルに|備《そな》えをした。その|間《かん》に|待《ま》ち|伏《ぶ》せていたイスラエルの|人々《ひとびと》がその|所《ところ》から、すなわちゲバの|西《にし》から|現《あらわ》れ|出《で》た。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルの|全《ぜん》|軍《ぐん》のうちから|精兵《せいへい》一万|人《にん》がきて、ギベアを|襲《おそ》い、その|戦《たたか》いは|激《はげ》しかった。しかしベニヤミンの|人々《ひとびと》は|災《わざわい》の|自分《じぶん》たちに|迫《せま》っているのを|知《し》らなかった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がイスラエルの|前《まえ》にベニヤミンを|撃《う》ち|敗《やぶ》られたので、イスラエルの|人々《ひとびと》は、その|日《ひ》ベニヤミンびと二万五千一百|人《にん》を|殺《ころ》した。これらは|皆《みな》つるぎを|帯《お》びている|者《もの》であった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてベニヤミンの|人々《ひとびと》は|自分《じぶん》たちの|撃《う》ち|敗《やぶ》られたのを|見《み》た。  そこでイスラエルの|人々《ひとびと》はギベアに|対《たい》して|設《もう》けた|伏兵《ふくへい》をたのんで、ベニヤミンびとを|避《さ》けて|退《しりぞ》いた。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|伏兵《ふくへい》は|急《いそ》いでギベアに|突《つ》き|入《い》り、|進《すす》んでつるぎをもって|町《まち》をことごとく|撃《う》った。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》と|伏兵《ふくへい》の|間《あいだ》に|定《さだ》めた|合図《あいず》は、|町《まち》から|大《おお》いなるのろしがあがるとき、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》が|戦《たたか》いに|転《てん》じることであった。さてベニヤミンは|初《はじ》めイスラエルの|人々《ひとびと》を|撃《う》って三十|人《にん》ばかりを|殺《ころ》したので|言《い》った、「まことに|彼《かれ》らは|最初《さいしょ》の|戦《たたか》いのようにわれわれの|前《まえ》に|撃《う》ち|敗《やぶ》られる」。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、のろしが|煙《けむり》の|柱《はしら》となって|町《まち》からのぼりはじめたので、ベニヤミンの|人々《ひとびと》がうしろを|見《み》ると、|町《まち》はみな|煙《けむり》となって|天《てん》にのぼっていた。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》イスラエルの|人々《ひとびと》が|向《む》きを|変《か》えたので、ベニヤミンの|人々《ひとびと》は|災《わざわい》が|自分《じぶん》たちに|迫《せま》ったのを|見《み》て、うろたえ、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|身《み》をめぐらして|荒野《あらの》の|方《ほう》に|向《む》かったが、|戦《たたか》いが|彼《かれ》らに|追《お》い|迫《せま》り、|町《まち》から|出《で》てきた|者《もの》どもは、|彼《かれ》らを|中《なか》にはさんで|殺《ころ》した。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルの|人々《ひとびと》はベニヤミンの|人々《ひとびと》を|切《き》り|倒《たお》し、|追《お》い|撃《う》ち、|踏《ふ》みにじって、ノハから|東《ひがし》の|方《ほう》ギベアの|向《む》かいにまで|及《およ》んだ。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|倒《たお》れた|者《もの》は一万八千|人《にん》で、みな|勇士《ゆうし》であった。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|身《み》をめぐらして|荒野《あらの》の|方《ほう》、リンモンの|岩《いわ》まで|逃《に》げたが、イスラエルの|人々《ひとびと》は|大路《おおじ》でそのうち五千|人《にん》を|切《き》り|倒《たお》し、なおも|追撃《ついげき》してギドムに|至《いた》り、そのうちの二千|人《にん》を|殺《ころ》した。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|日《ひ》ベニヤミンの|倒《たお》れた|者《もの》はつるぎを|帯《お》びている|者《もの》|合《あ》わせて二万五千|人《にん》で、みな|勇士《ゆうし》であった。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]しかし六百|人《にん》の|者《もの》は|身《み》をめぐらして|荒野《あらの》の|方《ほう》、リンモンの|岩《いわ》まで|逃《に》げて、四か|月《げつ》の|間《あいだ》リンモンの|岩《いわ》に|住《す》んだ。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》はまた|身《み》をかえしてベニヤミンの|人々《ひとびと》を|攻《せ》め、つるぎをもって|人《ひと》も|獣《けもの》もすべて|見《み》つけたものを|撃《う》ち|殺《ころ》し、また|見《み》つけたすべての|町《まち》に|火《ひ》をかけた。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]かつてイスラエルの|人々《ひとびと》はミヅパで、「われわれのうちひとりもその|娘《むすめ》をベニヤミンびとの|妻《つま》として|与《あた》える|者《もの》があってはならない」と|言《い》って|誓《ちか》ったので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はベテルに|行《い》って、そこで|夕暮《ゆうぐれ》まで|神《かみ》の|前《まえ》に|座《ざ》し、|声《こえ》をあげて|激《はげ》しく|泣《な》いて、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうしてイスラエルにこのような|事《こと》が|起《た》って、|今日《こんにち》イスラエルに一つの|部族《ぶぞく》が|欠《か》けるようになったのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|翌日《よくじつ》、|民《たみ》は|早《はや》く|起《お》きて、そこに|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》は|言《い》った、「イスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちで|集会《しゅうかい》に|上《のぼ》って、|主《しゅ》のもとに|行《い》かなかった|者《もの》はだれか」。これは|彼《かれ》らがミヅパにのぼって、|主《しゅ》のもとに|行《い》かない|者《もの》のことについて|大《おお》いなる|誓《ちか》いを|立《た》てて、「その|人《ひと》は|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない」と|言《い》ったからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|人々《ひとびと》は|兄弟《きょうだい》ベニヤミンをあわれんで|言《い》った、「|今日《こんにち》イスラエルに一つの|部族《ぶぞく》が|絶《た》えた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|主《しゅ》をさして、われわれの|娘《むすめ》を|彼《かれ》らに|妻《つま》として|与《あた》えないと|誓《ちか》ったので、かの|残《のこ》った|者《もの》どもに|妻《つま》をめとらせるにはどうしたらよいであろうか」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|言《い》った、「イスラエルの|部族《ぶぞく》のうちで、ミヅパにのぼって|主《しゅ》のもとに|行《い》かなかったのはどの|部族《ぶぞく》か」。ところがヤベシ・ギレアデからはひとりも|陣営《じんえい》にきて|集会《しゅうかい》に|臨《のぞ》んだ|者《もの》がなかった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|民《たみ》を|集《あつ》めて|見《み》ると、ヤベシ・ギレアデの|住民《じゅうみん》はひとりもそこにいなかった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|会衆《かいしゅう》は|勇士《ゆうし》一万二千|人《にん》をかしこにつかわし、これに|命《めい》じて|言《い》った、「ヤベシ・ギレアデに|行《い》って、その|住民《じゅうみん》を、|女《おんな》、|子供《こども》もろともつるぎをもって|撃《う》て。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてこのようにしなければならない。すなわち|男《おとこ》および|男《おとこ》と|寝《ね》た|女《おんな》はことごとく|滅《ほろ》ぼさなければならない」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはヤベシ・ギレアデの|住民《じゅうみん》のうちで四百|人《にん》の|若《わか》い|処女《しょじょ》を|獲《え》た。これはまだ|男《おとこ》と|寝《ね》たことがなく、|男《おとこ》を|知《し》らない|者《もの》である。|彼《かれ》らはこれをカナンの|地《ち》にあるシロの|陣営《じんえい》に|連《つ》れてきた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|人《ひと》をつかわして、リンモンの|岩《いわ》におるベニヤミンの|人々《ひとびと》に|平和《へいわ》を|告《つ》げた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》がその|時《とき》、|帰《かえ》ってきたので、|彼《かれ》らはヤベシ・ギレアデの|女《おんな》のうちから|生《い》かしておいた|女《おんな》をこれに|与《あた》えたが、なお|足《た》りなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》は、|主《しゅ》がイスラエルの|部族《ぶぞく》のうちに|欠陥《けっかん》をつくられたことのために、ベニヤミンをあわれんだ。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》の|長老《ちょうろう》たちは|言《い》った、「ベニヤミンの|女《おんな》が|絶《た》えたので、かの|残《のこ》りの|者《もの》どもに|妻《つま》をめとらせるにはどうしたらよいでしょうか」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|言《い》った、「イスラエルから一つの|部族《ぶぞく》が|消《き》えうせないためにベニヤミンのうちの|残《のこ》りの|者《もの》どもに、あとつぎがなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、われわれの|娘《むすめ》を|彼《かれ》らの|妻《つま》に|与《あた》えることはできない。イスラエルの|人々《ひとびと》が『ベニヤミンに|妻《つま》を|与《あた》える|者《もの》はのろわれる』と|言《い》って|誓《ちか》ったからである」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それで|彼《かれ》らは|言《い》った、「|年々《ねんねん》シロに|主《しゅ》の|祭《まつり》がある」。シロはベテルの|北《きた》にあって、ベテルからシケムにのぼる|大路《おおじ》の|東《ひがし》、レバナの|南《みなみ》にある。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはベニヤミンの|人々《ひとびと》に|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたは|行《い》って、ぶどう|畑《はたけ》に|待《ま》ち|伏《ぶ》せして、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]うかがいなさい。もしシロの|娘《むすめ》たちが|踊《おど》りを|踊《おど》りに|出《で》てきたならば、ぶどう|畑《はたけ》から|出《で》て、シロの|娘《むすめ》たちのうちから、めいめい|自分《じぶん》の|妻《つま》をとって、ベニヤミンの|地《ち》に|連《つ》れて|行《い》きなさい。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もしその|父《ちち》あるいは|兄弟《きょうだい》がきて、われわれに|訴《うった》えるならば、われわれは|彼《かれ》らに、『われわれのために|彼《かれ》らをゆるしてください。|戦争《せんそう》のときにわれわれは、|彼《かれ》らおのおのに|妻《つま》をとってやらなかったし、またあなたがたも|彼《かれ》らに|与《あた》えなかったからです。もし|与《あた》えたならば、あなたがたは|罪《つみ》を|犯《おか》したことになるからでした』と|言《い》いましょう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》はそのように|行《おこな》い、|踊《おど》っている|者《もの》どものうちから|自分《じぶん》たちの|数《かず》にしたがって|妻《つま》を|取《と》り、それを|連《つ》れて|領地《りょうち》に|帰《かえ》り、|町々《まちまち》を|建《た》てなおして、そこに|住《す》んだ。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》は、その|時《とき》そこを|去《さ》って、おのおのその|部族《ぶぞく》および|氏族《しぞく》に|帰《かえ》った。すなわちそこを|立《た》って、おのおのその|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》に|帰《かえ》った。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、イスラエルには|王《おう》がなかったので、おのおの|自分《じぶん》の|目《め》に|正《ただ》しいと|見《み》るところをおこなった。 [#改ページ] ルツ記[#「ルツ記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さばきづかさが|世《よ》を|治《おさ》めているころ、|国《くに》に|飢《き》きんがあったので、ひとりの|人《ひと》がその|妻《つま》とふたりの|男《おとこ》の|子《こ》を|連《つ》れてユダのベツレヘムを|去《さ》り、モアブの|地《ち》へ|行《い》ってそこに|滞在《たいざい》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》の|名《な》はエリメレク、|妻《つま》の|名《な》はナオミ、ふたりの|男《おとこ》の|子《こ》の|名《な》はマロンとキリオンといい、ユダのベツレヘムのエフラタびとであった。|彼《かれ》らはモアブの|地《ち》へ|行《い》って、そこにおったが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ナオミの|夫《おっと》エリメレクは|死《し》んで、ナオミとふたりの|男《おとこ》の|子《こ》が|残《のこ》された。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ふたりの|男《おとこ》の|子《こ》はそれぞれモアブの|女《おんな》を|妻《つま》に|迎《むか》えた。そのひとりの|名《な》はオルパといい、ひとりの|名《な》はルツといった。|彼《かれ》らはそこに十|年《ねん》ほど|住《す》んでいたが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]マロンとキリオンのふたりもまた|死《し》んだ。こうしてナオミはふたりの|子《こ》と|夫《おっと》とに|先《さき》だたれた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ナオミはモアブの|地《ち》で、|主《しゅ》がその|民《たみ》を|顧《かえり》みて、すでに|食物《しょくもつ》をお|与《あた》えになっていることを|聞《き》いたので、その|嫁《よめ》と|共《とも》に|立《た》って、モアブの|地《ち》からふるさとへ|帰《かえ》ろうとした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼女《かのじょ》は|今《いま》いる|所《ところ》を|出立《しゅったつ》し、ユダの|地《ち》へ|帰《かえ》ろうと、ふたりの|嫁《よめ》を|連《つ》れて|道《みち》に|進《すす》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかしナオミはふたりの|嫁《よめ》に|言《い》った、「あなたがたは、それぞれ|自分《じぶん》の|母《はは》の|家《いえ》に|帰《かえ》って|行《い》きなさい。あなたがたが、|死《し》んだふたりの|子《こ》とわたしに|親切《しんせつ》をつくしたように、どうぞ、|主《しゅ》があなたがたに、いつくしみを|賜《たま》わりますよう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、|主《しゅ》があなたがたに|夫《おっと》を|与《あた》え、|夫《おっと》の|家《いえ》で、それぞれ|身《み》の|落《お》ち|着《つ》き|所《どころ》を|得《え》させられるように」。こう|言《い》って、ふたりの|嫁《よめ》に|口《くち》づけしたので、|彼《かれ》らは|声《こえ》をあげて|泣《な》き、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ナオミに|言《い》った、「いいえ、わたしたちは|一緒《いっしょ》にあなたの|民《たみ》のところへ|帰《かえ》ります」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしナオミは|言《い》った、「|娘《むすめ》たちよ、|帰《かえ》って|行《い》きなさい。どうして、わたしと|一緒《いっしょ》に|行《い》こうというのですか。あなたがたの|夫《おっと》となる|子《こ》がまだわたしの|胎内《たいない》にいると|思《おも》うのですか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|娘《むすめ》たちよ、|帰《かえ》って|行《い》きなさい。わたしは|年《とし》をとっているので、|夫《おっと》をもつことはできません。たとい、わたしが|今夜《こんや》、|夫《おっと》をもち、また|子《こ》を|産《う》む|望《のぞ》みがあるとしても、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そのためにあなたがたは、|子《こ》どもの|成長《せいちょう》するまで|待《ま》っているつもりなのですか。あなたがたは、そのために|夫《おっと》をもたずにいるつもりなのですか。|娘《むすめ》たちよ、それはいけません。|主《しゅ》の|手《て》がわたしに|臨《のぞ》み、わたしを|責《せ》められたことで、あなたがたのために、わたしは|非常《ひじょう》に|心《こころ》を|痛《いた》めているのです」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。そしてオルパはそのしゅうとめに|口《くち》づけしたが、ルツはしゅうとめを|離《はな》れなかった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでナオミは|言《い》った、「ごらんなさい。あなたの|相嫁《あいよめ》は|自分《じぶん》の|民《たみ》と|自分《じぶん》の|神々《かみがみ》のもとへ|帰《かえ》って|行《い》きました。あなたも|相嫁《あいよめ》のあとについて|帰《かえ》りなさい」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかしルツは|言《い》った、「あなたを|捨《す》て、あなたを|離《はな》れて|帰《かえ》ることをわたしに|勧《すす》めないでください。わたしはあなたの|行《い》かれる|所《ところ》へ|行《い》き、またあなたの|宿《やど》られる|所《ところ》に|宿《やど》ります。あなたの|民《たみ》はわたしの|民《たみ》、あなたの|神《かみ》はわたしの|神《かみ》です。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|死《し》なれる|所《ところ》でわたしも|死《し》んで、そのかたわらに|葬《ほうむ》られます。もし|死《し》に|別《わか》れでなく、わたしがあなたと|別《わか》れるならば、|主《しゅ》よ、どうぞわたしをいくえにも|罰《ばっ》してください」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ナオミはルツが|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》に|行《い》こうと、|固《かた》く|決心《けっしん》しているのを|見《み》たので、そのうえ|言《い》うことをやめた。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そしてふたりは|旅《たび》をつづけて、ついにベツレヘムに|着《つ》いた。|彼《かれ》らがベツレヘムに|着《つ》いたとき、|町《まち》はこぞって|彼《かれ》らのために|騒《さわ》ぎたち、|女《おんな》たちは|言《い》った、「これはナオミですか」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ナオミは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしをナオミ(|楽《たの》しみ)と|呼《よ》ばずに、マラ(|苦《くる》しみ)と|呼《よ》んでください。なぜなら|全能者《ぜんのうしゃ》がわたしをひどく|苦《くる》しめられたからです。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|出《で》て|行《い》くときは|豊《ゆた》かでありましたが、|主《しゅ》はわたしをから|手《て》で|帰《かえ》されました。|主《しゅ》がわたしを|悩《なや》まし、|全能者《ぜんのうしゃ》がわたしに|災《わざわい》をくだされたのに、どうしてわたしをナオミと|呼《よ》ぶのですか」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてナオミは、モアブの|地《ち》から|帰《かえ》った|嫁《よめ》、モアブの|女《おんな》ルツと|一緒《いっしょ》に|帰《かえ》ってきて、|大麦《おおむぎ》|刈《かり》の|初《はじ》めにベツレヘムに|着《つ》いた。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてナオミには、|夫《おっと》エリメレクの|一族《いちぞく》で、|非常《ひじょう》に|裕福《ゆうふく》なひとりの|親戚《しんせき》があって、その|名《な》をボアズといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|女《おんな》ルツはナオミに|言《い》った、「どうぞ、わたしを|畑《はたけ》に|行《い》かせてください。だれか|親切《しんせつ》な|人《ひと》が|見当《みあた》るならば、わたしはその|方《かた》のあとについて|落《お》ち|穂《ぼ》を|拾《ひろ》います」。ナオミが|彼女《かのじょ》に「|娘《むすめ》よ、|行《い》きなさい」と|言《い》ったので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ルツは|行《い》って、|刈《か》る|人《ひと》たちのあとに|従《したが》い、|畑《はたけ》で|落《お》ち|穂《ぼ》を|拾《ひろ》ったが、|彼女《かのじょ》ははからずもエリメレクの|一族《いちぞく》であるボアズの|畑《はたけ》の|部分《ぶぶん》にきた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ボアズは、ベツレヘムからきて、|刈《か》る|者《もの》どもに|言《い》った、「|主《しゅ》があなたがたと|共《とも》におられますように」。|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「|主《しゅ》があなたを|祝福《しゅくふく》されますように」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ボアズは|刈《か》る|人《ひと》たちを|監督《かんとく》しているしもべに|言《い》った、「これはだれの|娘《むすめ》ですか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|刈《か》る|人《ひと》たちを|監督《かんとく》しているしもべは|答《こた》えた、「あれはモアブの|女《おんな》で、モアブの|地《ち》からナオミと|一緒《いっしょ》に|帰《かえ》ってきたのですが、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は『どうぞ、わたしに、|刈《か》る|人《ひと》たちのあとについて、|束《たば》のあいだで、|落《お》ち|穂《ぼ》を|拾《ひろ》い|集《あつ》めさせてください』と|言《い》いました。そして|彼女《かのじょ》は|朝《あさ》|早《はや》くきて、|今《いま》まで|働《はたら》いて、|少《すこ》しのあいだも|休《やす》みませんでした」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ボアズはルツに|言《い》った、「|娘《むすめ》よ、お|聞《き》きなさい。ほかの|畑《はたけ》に|穂《ほ》を|拾《ひろ》いに|行《い》ってはいけません。またここを|去《さ》ってはなりません。わたしのところで|働《はたら》く|女《おんな》たちを|離《はな》れないで、ここにいなさい。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》が|刈《か》りとっている|畑《はたけ》に|目《め》をとめて、そのあとについて|行《い》きなさい。わたしは|若者《わかもの》たちに|命《めい》じて、あなたのじゃまをしないようにと、|言《い》っておいたではありませんか。あなたがかわく|時《とき》には|水《みず》がめのところへ|行《い》って、|若者《わかもの》たちのくんだのを|飲《の》みなさい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|地《ち》に|伏《ふ》して|拝《はい》し、|彼《かれ》に|言《い》った、「どうしてあなたは、わたしのような|外国《がいこく》|人《じん》を|顧《かえり》みて、|親切《しんせつ》にしてくださるのですか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ボアズは|答《こた》えて|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたの|夫《おっと》が|死《し》んでこのかた、あなたがしゅうとめにつくしたこと、また|自分《じぶん》の|父母《ふぼ》と|生《うま》れた|国《くに》を|離《はな》れて、かつて|知《し》らなかった|民《たみ》のところにきたことは|皆《みな》わたしに|聞《きこ》えました。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、|主《しゅ》があなたのしたことに|報《むく》いられるように。どうぞ、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》、すなわちあなたがその|翼《つばさ》の|下《した》に|身《み》を|寄《よ》せようとしてきた|主《しゅ》からじゅうぶんの|報《むく》いを|得《え》られるように」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、まことにありがとうございます。わたしはあなたのはしためのひとりにも|及《およ》ばないのに、あなたはこんなにわたしを|慰《なぐさ》め、はしためにねんごろに|語《かた》られました」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|食事《しょくじ》の|時《とき》、ボアズは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「ここへきて、パンを|食《た》べ、あなたの|食《た》べる|物《もの》を|酢《す》に|浸《ひた》しなさい」。|彼女《かのじょ》が|刈《か》る|人々《ひとびと》のかたわらにすわったので、ボアズは|焼麦《やきむぎ》を|彼女《かのじょ》に|与《あた》えた。|彼女《かのじょ》は|飽《あ》きるほど|食《た》べて|残《のこ》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼女《かのじょ》がまた|穂《ほ》を|拾《ひろ》おうと|立《た》ちあがったとき、ボアズは|若者《わかもの》たちに|命《めい》じて|言《い》った、「|彼女《かのじょ》には|束《たば》の|間《あいだ》でも|穂《ほ》を|拾《ひろ》わせなさい。とがめてはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|彼女《かのじょ》のために|束《たば》からわざと|抜《ぬ》き|落《おと》しておいて|拾《ひろ》わせなさい。しかってはならない」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼女《かのじょ》は|夕暮《ゆうぐれ》まで|畑《はたけ》で|落《お》ち|穂《ぼ》を|拾《ひろ》った。そして|拾《ひろ》った|穂《ほ》を|打《う》つと、|大麦《おおむぎ》は一エパほどあった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はそれを|携《たずさ》えて|町《まち》にはいり、しゅうとめにその|拾《ひろ》ったものを|見《み》せ、かつ|食《た》べ|飽《あ》きて、|残《のこ》して|持《も》ちかえったものを|取《と》り|出《だ》して|与《あた》えた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しゅうとめは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたは、きょう、どこで|穂《ほ》を|拾《ひろ》いましたか。どこで|働《はたら》きましたか。あなたをそのように|顧《かえり》みてくださったかたに、どうか|祝福《しゅくふく》があるように」。そこで|彼女《かのじょ》は|自分《じぶん》がだれの|所《ところ》で|働《はたら》いたかを、しゅうとめに|告《つ》げて、「わたしが、きょう|働《はたら》いたのはボアズという|名《な》の|人《ひと》の|所《ところ》です」と|言《い》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ナオミは|嫁《よめ》に|言《い》った、「|生《い》きている|者《もの》をも、|死《し》んだ|者《もの》をも、|顧《かえり》みて、いつくしみを|賜《たま》わる|主《しゅ》が、どうぞその|人《ひと》を|祝福《しゅくふく》されますように」。ナオミはまた|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「その|人《ひと》はわたしたちの|縁者《えんじゃ》で、|最《もっと》も|近《ちか》い|親戚《しんせき》のひとりです」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|女《おんな》ルツは|言《い》った、「その|人《ひと》はまたわたしに『あなたはわたしのところの|刈入《かりい》れが|全部《ぜんぶ》|終《おわ》るまで、わたしのしもべたちのそばについていなさい』と|言《い》いました」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ナオミは|嫁《よめ》ルツに|言《い》った、「|娘《むすめ》よ、その|人《ひと》のところで|働《はたら》く|女《おんな》たちと|一緒《いっしょ》に|出《で》かけるのはけっこうです。そうすればほかの|畑《はたけ》で|人《ひと》にいじめられるのを|免《まぬか》れるでしょう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それで|彼女《かのじょ》はボアズのところで|働《はたら》く|女《おんな》たちのそばについていて|穂《ほ》を|拾《ひろ》い、|大麦《おおむぎ》|刈《かり》と|小麦《こむぎ》|刈《かり》の|終《おわ》るまでそうした。こうして|彼女《かのじょ》はしゅうとめと|一緒《いっしょ》に|暮《くら》した。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にしゅうとめナオミは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|娘《むすめ》よ、わたしはあなたの|落《お》ち|着《つ》き|所《どころ》を|求《もと》めて、あなたをしあわせにすべきではないでしょうか。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|一緒《いっしょ》に|働《はたら》いた|女《おんな》たちの|主人《しゅじん》ボアズはわたしたちの|親戚《しんせき》ではありませんか。|彼《かれ》は|今夜《こんや》、|打《う》ち|場《ば》で|大麦《おおむぎ》をあおぎ|分《わ》けます。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それであなたは|身《み》を|洗《あら》って|油《あぶら》をぬり、|晴《は》れ|着《ぎ》をまとって|打《う》ち|場《ば》に|下《くだ》って|行《い》きなさい。ただ、あなたはその|人《ひと》が|飲《の》み|食《く》いを|終《おわ》るまで、その|人《ひと》に|知《し》られてはなりません。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|人《ひと》が|寝《ね》る|時《とき》、その|寝《ね》る|場所《ばしょ》を|見定《みさだ》め、はいって|行《い》って、その|足《あし》の|所《ところ》をまくって、そこに|寝《ね》なさい。|彼《かれ》はあなたのすべきことを|知《し》らせるでしょう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ルツはしゅうとめに|言《い》った、「あなたのおっしゃることを|皆《みな》いたしましょう」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼女《かのじょ》は|打《う》ち|場《ば》に|下《くだ》り、すべてしゅうとめが|命《めい》じたとおりにした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ボアズは|飲《の》み|食《く》いして、|心《こころ》をたのしませたあとで、|麦《むぎ》を|積《つ》んである|場所《ばしょ》のかたわらへ|行《い》って|寝《ね》た。そこで|彼女《かのじょ》はひそかに|行《い》き、ボアズの|足《あし》の|所《ところ》をまくって、そこに|寝《ね》た。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|夜中《よなか》になって、その|人《ひと》は|驚《おどろ》き、|起《お》きかえって|見《み》ると、ひとりの|女《おんな》が|足《あし》のところに|寝《ね》ていたので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはだれですか」と|言《い》うと、|彼女《かのじょ》は|答《こた》えた、「わたしはあなたのはしためルツです。あなたのすそで、はしためをおおってください。あなたは|最《もっと》も|近《ちか》い|親戚《しんせき》です」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ボアズは|言《い》った、「|娘《むすめ》よ、どうぞ、|主《しゅ》があなたを|祝福《しゅくふく》されるように。あなたは|貧富《ひんぷ》にかかわらず|若《わか》い|人《ひと》に|従《したが》い|行《ゆ》くことはせず、あなたが|最後《さいご》に|示《しめ》したこの|親切《しんせつ》は、さきに|示《しめ》した|親切《しんせつ》にまさっています。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それで、|娘《むすめ》よ、あなたは|恐《おそ》れるにおよびません。あなたが|求《もと》めることは|皆《みな》、あなたのためにいたしましょう。わたしの|町《まち》の|人々《ひとびと》は|皆《みな》、あなたがりっぱな|女《おんな》であることを|知《し》っているからです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]たしかにわたしは|近《ちか》い|親戚《しんせき》ではありますが、わたしよりも、もっと|近《ちか》い|親戚《しんせき》があります。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|今夜《こんや》はここにとどまりなさい。|朝《あさ》になって、もしその|人《ひと》が、あなたのために|親戚《しんせき》の|義務《ぎむ》をつくすならば、よろしい、その|人《ひと》にさせなさい。しかし|主《しゅ》は|生《い》きておられます。その|人《ひと》が、あなたのために|親戚《しんせき》の|義務《ぎむ》をつくすことを|好《この》まないならば、わたしはあなたのために|親戚《しんせき》の|義務《ぎむ》をつくしましょう。|朝《あさ》までここにおやすみなさい」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ルツは|朝《あさ》まで|彼《かれ》の|足《あし》のところに|寝《ね》たが、だれかれの|見分《みわ》け|難《がた》いころに|起《お》きあがった。それはボアズが「この|女《おんな》の|打《う》ち|場《ば》にきたことが|人《ひと》に|知《し》られてはならない」と|言《い》ったからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてボアズは|言《い》った、「あなたの|着《き》る|外套《がいとう》を|持《も》ってきて、それを|広《ひろ》げなさい」。|彼女《かのじょ》がそれを|広《ひろ》げると、ボアズは|大麦《おおむぎ》六オメルをはかって|彼女《かのじょ》に|負《お》わせた。|彼女《かのじょ》は|町《まち》に|帰《かえ》り、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しゅうとめのところへ|行《い》くと、しゅうとめは|言《い》った、「|娘《むすめ》よ、どうでしたか」。そこでルツはその|人《ひと》が|彼女《かのじょ》にしたことをことごとく|告《つ》げて、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「あのかたはわたしに|向《む》かって、から|手《て》で、しゅうとめのところへ|帰《かえ》ってはならないと|言《い》って、この|大麦《おおむぎ》六オメルをわたしにくださいました」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しゅうとめは|言《い》った、「|娘《むすめ》よ、この|事《こと》がどうなるかわかるまでお|待《ま》ちなさい。あの|人《ひと》は、きょう、その|事《こと》を|決定《けってい》しなければ|落《お》ち|着《つ》かないでしょう」。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ボアズは|町《まち》の|門《もん》のところへ|上《のぼ》っていって、そこにすわった。すると、さきにボアズが|言《い》った|親戚《しんせき》の|人《ひと》が|通《とお》り|過《す》ぎようとしたので、ボアズはその|人《ひと》に|言《い》った、「|友《とも》よ、こちらへきて、ここにおすわりください」。|彼《かれ》はきてすわった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ボアズはまた|町《まち》の|長老《ちょうろう》十|人《にん》を|招《まね》いて|言《い》った、「ここにおすわりください」。|彼《かれ》らがすわった|時《とき》、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ボアズは|親戚《しんせき》の|人《ひと》に|言《い》った、「モアブの|地《ち》から|帰《かえ》ってきたナオミは、われわれの|親族《しんぞく》エリメレクの|地所《じしょ》を|売《う》ろうとしています。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはそのことをあなたに|知《し》らせて、ここにすわっている|人々《ひとびと》と、|民《たみ》の|長老《ちょうろう》たちの|前《まえ》で、それを|買《か》いなさいと、あなたに|言《い》おうと|思《おも》いました。もし、あなたが、それをあがなおうと|思《おも》われるならば、あがなってください。しかし、あなたがそれをあがなわないならば、わたしにそう|言《い》って|知《し》らせてください。それをあがなう|人《ひと》は、あなたのほかにはなく、わたしはあなたの|次《つぎ》ですから」。|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしがあがないましょう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでボアズは|言《い》った、「あなたがナオミの|手《て》からその|地所《じしょ》を|買《か》う|時《とき》には、|死《し》んだ|者《もの》の|妻《つま》であったモアブの|女《おんな》ルツをも|買《か》って、|死《し》んだ|者《もの》の|名《な》を|起《おこ》してその|嗣《し》|業《ぎょう》を|伝《つた》えなければなりません」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|親戚《しんせき》の|人《ひと》は|言《い》った、「それでは、わたしにはあがなうことができません。そんなことをすれば|自分《じぶん》の|嗣《し》|業《ぎょう》をそこないます。あなたがわたしに|代《かわ》って、|自分《じぶん》であがなってください。わたしはあがなうことができませんから」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]むかしイスラエルでは、|物《もの》をあがなう|事《こと》と、|権利《けんり》の|譲渡《じょうと》について、|万事《ばんじ》を|決定《けってい》する|時《とき》のならわしはこうであった。すなわち、その|人《ひと》は、|自分《じぶん》のくつを|脱《ぬ》いで、|相手《あいて》の|人《ひと》に|渡《わた》した。これがイスラエルでの|証明《しょうめい》の|方法《ほうほう》であった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|親戚《しんせき》の|人《ひと》がボアズにむかい「あなたが|自分《じぶん》であがないなさい」と|言《い》って、そのくつを|脱《ぬ》いだので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ボアズは|長老《ちょうろう》たちとすべての|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは、きょう、わたしがエリメレクのすべての|物《もの》およびキリオンとマロンのすべての|物《もの》をナオミの|手《て》から|買《か》いとった|事《こと》の|証人《しょうにん》です。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またわたしはマロンの|妻《つま》であったモアブの|女《おんな》ルツをも|買《か》って、わたしの|妻《つま》としました。これはあの|死《し》んだ|者《もの》の|名《な》を|起《おこ》してその|嗣《し》|業《ぎょう》を|伝《つた》え、|死《し》んだ|者《もの》の|名《な》がその|一族《いちぞく》から、またその|郷里《きょうり》の|門《もん》から|断絶《だんぜつ》しないようにするためです。きょうあなたがたは、その|証人《しょうにん》です」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すると|門《もん》にいたすべての|民《たみ》と|長老《ちょうろう》たちは|言《い》った、「わたしたちは|証人《しょうにん》です。どうぞ、|主《しゅ》があなたの|家《いえ》にはいる|女《おんな》を、イスラエルの|家《いえ》をたてたラケルとレアのふたりのようにされますよう。どうぞ、あなたがエフラタで|富《とみ》を|得《え》、ベツレヘムで|名《な》を|揚《あ》げられますように。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、|主《しゅ》がこの|若《わか》い|女《おんな》によってあなたに|賜《たま》わる|子供《こども》により、あなたの|家《いえ》が、かのタマルがユダに|産《う》んだペレヅの|家《いえ》のようになりますように」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてボアズはルツをめとって|妻《つま》とし、|彼女《かのじょ》のところにはいった。|主《しゅ》は|彼女《かのじょ》をみごもらせられたので、|彼女《かのじょ》はひとりの|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|女《おんな》たちはナオミに|言《い》った、「|主《しゅ》はほむべきかな、|主《しゅ》はあなたを|見捨《みす》てずに、きょう、あなたにひとりの|近親《きんしん》をお|授《さづ》けになりました。どうぞ、その|子《こ》の|名《な》がイスラエルのうちに|高《たか》く|揚《あ》げられますように。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあなたのいのちを|新《あら》たにし、あなたの|老年《ろうねん》を|養《やしな》う|者《もの》となるでしょう。あなたを|愛《あい》するあなたの|嫁《よめ》、七|人《にん》のむすこにもまさる|彼女《かのじょ》が|彼《かれ》を|産《う》んだのですから」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでナオミはその|子《こ》をとり、ふところに|置《お》いて、|養《やしな》い|育《そだ》てた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|近所《きんじょ》の|女《おんな》たちは「ナオミに|男《おとこ》の|子《こ》が|生《うま》れた」と|言《い》って、|彼《かれ》に|名《な》をつけ、その|名《な》をオベデと|呼《よ》んだ。|彼《かれ》はダビデの|父《ちち》であるエッサイの|父《ちち》となった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]さてペレヅの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。ペレヅからヘヅロンが|生《うま》れ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヘヅロンからラムが|生《うま》れ、ラムからアミナダブが|生《うま》れ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アミナダブからナションが|生《うま》れ、ナションからサルモンが|生《うま》れ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]サルモンからボアズが|生《うま》れ、ボアズからオベデが|生《うま》れ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]オベデからエッサイが|生《うま》れ、エッサイからダビデが|生《うま》れた。 [#改ページ] サムエル記上[#「サムエル記上」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|山地《さんち》のラマタイム・ゾピムに、エルカナという|名《な》の|人《ひと》があった。エフライムびとで、エロハムの|子《こ》であった。エロハムはエリウの|子《こ》、エリウはトフの|子《こ》、トフはツフの|子《こ》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エルカナには、ふたりの|妻《つま》があって、ひとりの|名《な》はハンナといい、ひとりの|名《な》はペニンナといった。ペニンナには|子《こ》どもがあったが、ハンナには|子《こ》どもがなかった。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|人《ひと》は|年《とし》ごとに、その|町《まち》からシロに|上《のぼ》っていって、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》を|拝《はい》し、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげるのを|常《つね》とした。シロには、エリのふたりの|子《こ》、ホフニとピネハスとがいて、|主《しゅ》に|仕《つか》える|祭司《さいし》であった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エルカナは、|犠牲《ぎせい》をささげる|日《ひ》、|妻《つま》ペニンナとそのむすこ|娘《むすめ》にはみな、その|分《わ》け|前《まえ》を|与《あた》えた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エルカナはハンナを|愛《あい》していたが、|彼女《かのじょ》には、ただ一つの|分《わ》け|前《まえ》を|与《あた》えるだけであった。|主《しゅ》がその|胎《たい》を|閉《と》ざされたからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|彼女《かのじょ》を|憎《にく》んでいる|他《た》の|妻《つま》は、ひどく|彼女《かのじょ》を|悩《なや》まして、|主《しゅ》がその|胎《たい》を|閉《と》ざされたことを|恨《うら》ませようとした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|年《とし》は|暮《く》れ、|年《とし》は|明《あ》けたが、ハンナが|主《しゅ》の|宮《みや》に|上《のぼ》るごとに、ペニンナは|彼女《かのじょ》を|悩《なや》ましたので、ハンナは|泣《な》いて|食《た》べることもしなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|夫《おっと》エルカナは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「ハンナよ、なぜ|泣《な》くのか。なぜ|食《た》べないのか。どうして|心《こころ》に|悲《かな》しむのか。わたしはあなたにとって十|人《にん》の|子《こ》どもよりもまさっているではないか」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]シロで|彼《かれ》らが|飲《の》み|食《く》いしたのち、ハンナは|立《た》ちあがった。その|時《とき》、|祭司《さいし》エリは|主《しゅ》の|神殿《しんでん》の|柱《はしら》のかたわらの|座《ざ》にすわっていた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ハンナは|心《こころ》に|深《ふか》く|悲《かな》しみ、|主《しゅ》に|祈《いの》って、はげしく|泣《な》いた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|誓《ちか》いを|立《た》てて|言《い》った、「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》よ、まことに、はしための|悩《なや》みをかえりみ、わたしを|覚《おぼ》え、はしためを|忘《わす》れずに、はしために|男《おとこ》の|子《こ》を|賜《たま》わりますなら、わたしはその|子《こ》を|一生《いっしょう》のあいだ|主《しゅ》にささげ、かみそりをその|頭《あたま》にあてません」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》が|主《しゅ》の|前《まえ》で|長《なが》く|祈《いの》っていたので、エリは|彼女《かのじょ》の|口《くち》に|目《め》をとめた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ハンナは|心《こころ》のうちで|物《もの》を|言《い》っていたので、くちびるが|動《うご》くだけで、|声《こえ》は|聞《きこ》えなかった。それゆえエリは、|酔《よ》っているのだと|思《おも》って、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「いつまで|酔《よ》っているのか。|酔《よ》いをさましなさい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしハンナは|答《こた》えた、「いいえ、わが|主《しゅ》よ。わたしは|不幸《ふこう》な|女《おんな》です。ぶどう|酒《しゅ》も|濃《こ》い|酒《さけ》も|飲《の》んだのではありません。ただ|主《しゅ》の|前《まえ》に|心《こころ》を|注《そそ》ぎ|出《だ》していたのです。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]はしためを、|悪《わる》い|女《おんな》と|思《おも》わないでください。|積《つも》る|憂《うれ》いと|悩《なや》みのゆえに、わたしは|今《いま》まで|物《もの》を|言《い》っていたのです」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでエリは|答《こた》えた、「|安心《あんしん》して|行《い》きなさい。どうかイスラエルの|神《かみ》があなたの|求《もと》める|願《ねが》いを|聞《き》きとどけられるように」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「どうぞ、はしためにも、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》させてください」。こうして、その|女《おんな》は|去《さ》って|食事《しょくじ》し、その|顔《かお》は、もはや|悲《かな》しげではなくなった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて、|主《しゅ》の|前《まえ》に|礼拝《れいはい》し、そして、ラマにある|家《いえ》に|帰《かえ》って|行《い》った。エルカナは|妻《つま》ハンナを|知《し》り、|主《しゅ》が|彼女《かのじょ》を|顧《かえり》みられたので、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はみごもり、その|時《とき》が|巡《めぐ》ってきて、|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》み、「わたしがこの|子《こ》を|主《しゅ》に|求《もと》めたからだ」といって、その|名《な》をサムエルと|名《な》づけた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エルカナその|人《ひと》とその|家族《かぞく》とはみな|上《のぼ》っていって、|年《とし》ごとの|犠牲《ぎせい》と、|誓《ちか》いの|供《そな》え|物《もの》とをささげた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしハンナは|上《のぼ》って|行《い》かず、|夫《おっと》に|言《い》った、「わたしはこの|子《こ》が|乳離《ちばな》れしてから、|主《しゅ》の|前《まえ》に|連《つ》れていって、いつまでも、そこにおらせましょう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|夫《おっと》エルカナは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたが|良《よ》いと|思《おも》うようにして、この|子《こ》の|乳離《ちばな》れするまで|待《ま》ちなさい。ただどうか|主《しゅ》がその|言《い》われたことを|実現《じつげん》してくださるように」。こうしてその|女《おんな》はとどまって、その|子《こ》に|乳《ちち》をのませ、|乳離《ちばな》れするのを|待《ま》っていたが、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|乳離《ちばな》れした|時《とき》、三|歳《さい》の|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|麦粉《むぎこ》一エパ、ぶどう|酒《しゅ》のはいった|皮《かわ》|袋《ぶくろ》一つを|取《と》り、その|子《こ》を|連《つ》れて、シロにある|主《しゅ》の|宮《みや》に|行《い》った。その|子《こ》はなお|幼《おさな》かった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはその|牛《うし》を|殺《ころ》し、|子供《こども》をエリのもとへ|連《つ》れて|行《い》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ハンナは|言《い》った、「わが|君《きみ》よ、あなたは|生《い》きておられます。わたしは、かつてここに|立《た》って、あなたの|前《まえ》で、|主《しゅ》に|祈《いの》った|女《おんな》です。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]この|子《こ》を|与《あた》えてくださいと、わたしは|祈《いの》りましたが、|主《しゅ》はわたしの|求《もと》めた|願《ねが》いを|聞《き》きとどけられました。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしもこの|子《こ》を|主《しゅ》にささげます。この|子《こ》は|一生《いっしょう》のあいだ|主《しゅ》にささげたものです」。  そして|彼《かれ》らはそこで|主《しゅ》を|礼拝《れいはい》した。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ハンナは|祈《いの》って|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「わたしの|心《こころ》は|主《しゅ》によって|喜《よろこ》び、 わたしの|力《ちから》は|主《しゅ》によって|強《つよ》められた、 わたしの|口《くち》は|敵《てき》をあざ|笑《わら》う、 あなたの|救《すくい》によってわたしは|楽《たの》しむからである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のように|聖《せい》なるものはない、 あなたのほかには、だれもない、 われわれの|神《かみ》のような|岩《いわ》はない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|重《かさ》ねて|高慢《こうまん》に|語《かた》ってはならない、 たかぶりの|言葉《ことば》を|口《くち》にすることをやめよ。 |主《しゅ》はすべてを|知《し》る|神《かみ》であって、 もろもろのおこないは|主《しゅ》によって|量《はか》られる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|勇士《ゆうし》の|弓《ゆみ》は|折《お》れ、 |弱《よわ》き|者《もの》は|力《ちから》を|帯《お》びる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|飽《あ》き|足《た》りた|者《もの》は|食《しょく》のために|雇《やと》われ、 |飢《う》えたものは、もはや|飢《う》えることがない。 うまずめは七|人《にん》の|子《こ》を|産《う》み、 |多《おお》くの|子《こ》をもつ|女《おんな》は|孤独《こどく》となる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|殺《ころ》し、また|生《い》かし、 |陰府《よみ》にくだし、また|上《うえ》げられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|貧《まず》しくし、また|富《と》ませ、 |低《ひく》くし、また|高《たか》くされる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》を、ちりのなかから|立《た》ちあがらせ、 |乏《とぼ》しい|者《もの》を、あくたのなかから|引《ひ》き|上《あ》げて、 |王侯《おうこう》と|共《とも》にすわらせ、 |栄誉《えいよ》の|位《くらい》を|継《つ》がせられる。 |地《ち》の|柱《はしら》は|主《しゅ》のものであって、 その|柱《はしら》の|上《うえ》に、|世界《せかい》をすえられたからである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|聖徒《せいと》たちの|足《あし》を|守《まも》られる、 しかし|悪《わる》いものどもは|暗黒《あんこく》のうちに|滅《ほろ》びる。 |人《ひと》は|力《ちから》をもって|勝《か》つことができないからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》と|争《あらそ》うものは|粉々《こなごな》に|砕《くだ》かれるであろう、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らにむかって|天《てん》から|雷《かみなり》をとどろかし、 |地《ち》のはてまでもさばき、|王《おう》に|力《ちから》を|与《あた》え、 |油《あぶら》そそがれた|者《もの》の|力《ちから》を|強《つよ》くされるであろう」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エルカナはラマにある|家《いえ》に|帰《かえ》ったが、|幼《おさ》な|子《こ》は|祭司《さいし》エリの|前《まえ》にいて|主《しゅ》に|仕《つか》えた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さて、エリの|子《こ》らは、よこしまな|人々《ひとびと》で、|主《しゅ》を|恐《おそ》れなかった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》のささげ|物《もの》についての|祭司《さいし》のならわしはこうである。|人《ひと》が|犠牲《ぎせい》をささげる|時《とき》、その|肉《にく》を|煮《に》る|間《あいだ》に、|祭司《さいし》のしもべは、みつまたの|肉《にく》|刺《さ》しを|手《て》に|持《も》ってきて、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それをかま、またはなべ、またはおおがま、または|鉢《はち》に|突《つ》きいれ、|肉《にく》|刺《さ》しの|引《ひ》き|上《あ》げるものは|祭司《さいし》がみな|自分《じぶん》のものとした。|彼《かれ》らはシロで、そこに|来《く》るすべてのイスラエルの|人《ひと》に、このようにした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》が|脂肪《しぼう》を|焼《や》く|前《まえ》にもまた、|祭司《さいし》のしもべがきて、|犠牲《ぎせい》をささげる|人《ひと》に|言《い》うのであった、「|祭司《さいし》のために|焼《や》く|肉《にく》を|与《あた》えよ。|祭司《さいし》はあなたから|煮《に》た|肉《にく》を|受《う》けない。|生《なま》の|肉《にく》がよい」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》が、「まず|脂肪《しぼう》を|焼《や》かせましょう。その|後《のち》ほしいだけ|取《と》ってください」と|言《い》うと、しもべは、「いや、|今《いま》もらいたい。くれないなら、わたしは|力《ちから》づくで、それを|取《と》ろう」と|言《い》う。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]このように、その|若者《わかもの》たちの|罪《つみ》は、|主《しゅ》の|前《まえ》に|非常《ひじょう》に|大《おお》きかった。この|人々《ひとびと》が|主《しゅ》の|供《そな》え|物《もの》を|軽《かろ》んじたからである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはまだ|幼《おさな》く、|身《み》に|亜麻《あま》|布《ぬの》のエポデを|着《つ》けて、|主《しゅ》の|前《まえ》に|仕《つか》えていた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|母《はは》は|彼《かれ》のために|小《ちい》さい|上着《うわぎ》を|作《つく》り、|年《とし》ごとに、|夫《おっと》と|共《とも》にその|年《とし》の|犠牲《ぎせい》をささげるために|上《のぼ》る|時《とき》、それを|持《も》ってきた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エリはいつもエルカナとその|妻《つま》を|祝福《しゅくふく》して|言《い》った、「この|女《おんな》が|主《しゅ》にささげた|者《もの》のかわりに、|主《しゅ》がこの|女《おんな》によってあなたに|子《こ》を|与《あた》えられるように」。そして|彼《かれ》らはその|家《いえ》に|帰《かえ》るのを|常《つね》とした。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》がハンナを|顧《かえり》みられたので、ハンナはみごもって、三|人《にん》の|男《おとこ》の|子《こ》とふたりの|女《おんな》の|子《こ》を|産《う》んだ。わらべサムエルは|主《しゅ》の|前《まえ》で|育《そだ》った。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エリはひじょうに|年《とし》をとった。そしてその|子《こ》らがイスラエルの|人々《ひとびと》にしたいろいろのことを|聞《き》き、また|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|入口《いりぐち》で|勤《つと》めていた|女《おんな》たちと|寝《ね》たことを|聞《き》いて、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「なにゆえ、そのようなことをするのか。わたしはこのすべての|民《たみ》から、あなたがたの|悪《わる》いおこないのことを|聞《き》く。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》らよ、それはいけない。わたしの|聞《き》く、|主《しゅ》の|民《たみ》の|言《い》いふらしている|風説《ふうせつ》は|良《よ》くない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|人《ひと》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》すならば、|神《かみ》が|仲裁《ちゅうさい》されるであろう。しかし|人《ひと》が|主《しゅ》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》すならば、だれが、そのとりなしをすることができようか」。しかし|彼《かれ》らは|父《ちち》の|言《い》うことに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けようともしなかった。|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|殺《ころ》そうとされたからである。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わらべサムエルは|育《そだ》っていき、|主《しゅ》にも、|人々《ひとびと》にも、ますます|愛《あい》せられた。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]このとき、ひとりの|神《かみ》の|人《ひと》が、エリのもとにきて|言《い》った、「|主《しゅ》はかく|仰《おお》せられる、『あなたの|先祖《せんぞ》の|家《いえ》がエジプトでパロの|家《いえ》の|奴隷《どれい》であったとき、わたしはその|先祖《せんぞ》の|家《いえ》に|自《みずか》らを|現《あらわ》した。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちからそれを|選《えら》び|出《だ》して、わたしの|祭司《さいし》とし、わたしの|祭壇《さいだん》に|上《のぼ》って、|香《こう》をたかせ、わたしの|前《まえ》でエポデを|着《つ》けさせ、また、イスラエルの|人々《ひとびと》の|火祭《かさい》をことごとくあなたの|先祖《せんぞ》の|家《いえ》に|与《あた》えた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]それにどうしてあなたがたは、わたしが|命《めい》じた|犠牲《ぎせい》と|供《そな》え|物《もの》をむさぼりの|目《め》をもって|見《み》るのか。またなにゆえ、わたしよりも|自分《じぶん》の|子《こ》らを|尊《たっと》び、わたしの|民《たみ》イスラエルのささげるもろもろの|供《そな》え|物《もの》の、|最《もっと》も|良《よ》き|部分《ぶぶん》をもって|自分《じぶん》を|肥《こ》やすのか』。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、『わたしはかつて、「あなたの|家《いえ》とあなたの|父《ちち》の|家《いえ》とは、|永久《えいきゅう》にわたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》むであろう」と|言《い》った』。しかし|今《いま》、|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、『|決《けっ》してそうはしない。わたしを|尊《たっと》ぶ|者《もの》を、わたしは|尊《たっと》び、わたしを|卑《いや》しめる|者《もの》は、|軽《かろ》んぜられるであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|日《ひ》が|来《く》るであろう。その|日《ひ》、わたしはあなたの|力《ちから》と、あなたの|父《ちち》の|家《いえ》の|力《ちから》を|断《た》ち、あなたの|家《いえ》に|年老《としお》いた|者《もの》をなくするであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、あなたは|災《わざわい》のうちにあって、イスラエルに|与《あた》えられるもろもろの|繁栄《はんえい》を、ねたみ|見《み》るであろう。あなたの|家《いえ》には|永久《えいきゅう》に|年老《としお》いた|者《もの》がいなくなるであろう。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたの|一族《いちぞく》のひとりを、わたしの|祭壇《さいだん》から|断《た》たないであろう。|彼《かれ》は|残《のこ》されてその|目《め》を|泣《な》きはらし、|心《こころ》を|痛《いた》めるであろう。またあなたの|家《いえ》に|生《うま》れ|出《で》るものは、みなつるぎに|死《し》ぬであろう。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのふたりの|子《こ》ホフニとピネハスの|身《み》に|起《おこ》ることが、あなたのためにそのしるしとなるであろう。すなわちそのふたりは|共《とも》に|同《おな》じ|日《ひ》に|死《し》ぬであろう。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》のために、ひとりの|忠実《ちゅうじつ》な|祭司《さいし》を|起《おこ》す。その|人《ひと》はわたしの|心《こころ》と|思《おも》いとに|従《したが》って|行《おこな》うであろう。わたしはその|家《いえ》を|確立《かくりつ》しよう。その|人《ひと》はわたしが|油《あぶら》そそいだ|者《もの》の|前《まえ》につねに|歩《あゆ》むであろう。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|家《いえ》で|生《い》き|残《のこ》っている|人々《ひとびと》はみなきて、|彼《かれ》に一|枚《まい》の|銀《ぎん》と一|個《こ》のパンを|請《こ》い|求《もと》め、「どうぞ、わたしを|祭司《さいし》の|職《しょく》の一つに|任《にん》じ、|一口《ひとくち》のパンでも|食《た》べることができるようにしてください」と|言《い》うであろう』」。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わらべサムエルは、エリの|前《まえ》で、|主《しゅ》に|仕《つか》えていた。そのころ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》はまれで、|黙示《もくし》も|常《つね》ではなかった。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さてエリは、しだいに|目《め》がかすんで、|見《み》ることができなくなり、そのとき|自分《じぶん》のへやで|寝《ね》ていた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》のともしびはまだ|消《き》えず、サムエルが|神《かみ》の|箱《はこ》のある|主《しゅ》の|神殿《しんでん》に|寝《ね》ていた|時《とき》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は「サムエルよ、サムエルよ」と|呼《よ》ばれた。|彼《かれ》は「はい、ここにおります」と|言《い》って、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エリの|所《ところ》へ|走《はし》っていって|言《い》った、「あなたがお|呼《およ》びになりました。わたしは、ここにおります」。しかしエリは|言《い》った、「わたしは|呼《よ》ばない。|帰《かえ》って|寝《ね》なさい」。|彼《かれ》は|行《い》って|寝《ね》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたかさねて「サムエルよ、サムエルよ」と|呼《よ》ばれた。サムエルは|起《お》きてエリのもとへ|行《い》って|言《い》った、「あなたがお|呼《およ》びになりました。わたしは、ここにおります」。エリは|言《い》った、「|子《こ》よ、わたしは|呼《よ》ばない。もう一|度《ど》|寝《ね》なさい」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはまだ|主《しゅ》を|知《し》らず、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまだ|彼《かれ》に|現《あらわ》されなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた三|度目《どめ》にサムエルを|呼《よ》ばれたので、サムエルは|起《お》きてエリのもとへ|行《い》って|言《い》った、「あなたがお|呼《およ》びになりました。わたしは、ここにおります」。その|時《とき》、エリは|主《しゅ》がわらべを|呼《よ》ばれたのであることを|悟《さと》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてエリはサムエルに|言《い》った、「|行《い》って|寝《ね》なさい。もしあなたを|呼《よ》ばれたら、『しもべは|聞《き》きます。|主《しゅ》よ、お|話《はな》しください』と|言《い》いなさい」。サムエルは|行《い》って|自分《じぶん》の|所《ところ》で|寝《ね》た。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はきて|立《た》ち、|前《まえ》のように、「サムエルよ、サムエルよ」と|呼《よ》ばれたので、サムエルは|言《い》った、「しもべは|聞《き》きます。お|話《はな》しください」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はサムエルに|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしはイスラエルのうちに一つの|事《こと》をする。それを|聞《き》く|者《もの》はみな、|耳《みみ》が二つとも|鳴《な》るであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、わたしが、かつてエリの|家《いえ》について|話《はな》したことを、はじめから|終《おわ》りまでことごとく、エリに|行《おこな》うであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエリに、|彼《かれ》が|知《し》っている|悪事《あくじ》のゆえに、その|家《いえ》を|永久《えいきゅう》に|罰《ばっ》することを|告《つ》げる。その|子《こ》らが|神《かみ》をけがしているのに、|彼《かれ》がそれをとめなかったからである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはエリの|家《いえ》に|誓《ちか》う。エリの|家《いえ》の|悪《あく》は、|犠牲《ぎせい》や|供《そな》え|物《もの》をもってしても、|永久《えいきゅう》にあがなわれないであろう」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|朝《あさ》まで|寝《ね》て、|主《しゅ》の|宮《みや》の|戸《と》をあけたが、サムエルはその|幻《まぼろし》のことをエリに|語《かた》るのを|恐《おそ》れた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかしエリはサムエルを|呼《よ》んで|言《い》った、「わが|子《こ》サムエルよ」。サムエルは|言《い》った、「はい、ここにおります」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エリは|言《い》った、「|何事《なにごと》をお|告《つ》げになったのか。|隠《かく》さず|話《はな》してください。もしお|告《つ》げになったことを一つでも|隠《かく》して、わたしに|言《い》わないならば、どうぞ|神《かみ》があなたを|罰《ばっ》し、さらに|重《おも》く|罰《ばっ》せられるように」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでサムエルは、その|事《こと》をことごとく|話《はな》して、|何《なに》も|彼《かれ》に|隠《かく》さなかった。エリは|言《い》った、「それは|主《しゅ》である。どうぞ|主《しゅ》が、|良《よ》いと|思《おも》うことを|行《おこな》われるように」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|育《そだ》っていった。|主《しゅ》が|彼《かれ》と|共《とも》におられて、その|言葉《ことば》を一つも|地《ち》に|落《お》ちないようにされたので、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダンからベエルシバまで、イスラエルのすべての|人《ひと》は、サムエルが|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》と|定《さだ》められたことを|知《し》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はふたたびシロで|現《あらわ》れられた。すなわち|主《しゅ》はシロで、|主《しゅ》の|言葉《ことば》によって、サムエルに|自《みずか》らを|現《あらわ》された。こうしてサムエルの|言葉《ことば》は、あまねくイスラエルの|人々《ひとびと》に|及《およ》んだ。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルびとは|出《で》てペリシテびとと|戦《たたか》おうとして、エベネゼルのほとりに|陣《じん》をしき、ペリシテびとはアペクに|陣《じん》をしいた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはイスラエルびとにむかって|陣《じん》|備《そな》えをしたが、|戦《たたか》うに|及《およ》んで、イスラエルびとはペリシテびとの|前《まえ》に|敗《やぶ》れ、ペリシテびとは|戦場《せんじょう》において、おおよそ四千|人《にん》を|殺《ころ》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》が|陣営《じんえい》に|退《しりぞ》いた|時《とき》、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちは|言《い》った、「なにゆえ、|主《しゅ》はきょう、ペリシテびとの|前《まえ》にわれわれを|敗《やぶ》られたのか。シロへ|行《い》って|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をここへ|携《たずさ》えてくることにしよう。そして|主《しゅ》をわれわれのうちに|迎《むか》えて、|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》っていただこう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》は|人《ひと》をシロにつかわし、ケルビムの|上《うえ》に|座《ざ》しておられる|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》を、そこから|携《たずさ》えてこさせた。その|時《とき》エリのふたりの|子《こ》、ホフニとピネハスは|神《かみ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》と|共《とも》に、その|所《ところ》にいた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》が|陣営《じんえい》についた|時《とき》、イスラエルびとはみな|大声《おおごえ》で|叫《さけ》んだので、|地《ち》は|鳴《な》り|響《ひび》いた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは、その|叫《さけ》び|声《ごえ》を|聞《き》いて|言《い》った、「ヘブルびとの|陣営《じんえい》の、この|大《おお》きな|叫《さけ》び|声《ごえ》は|何事《なにごと》か」。そして|主《しゅ》の|箱《はこ》が、|陣営《じんえい》に|着《つ》いたことを|知《し》った|時《とき》、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは|恐《おそ》れて|言《い》った、「|神々《かみがみ》が|陣営《じんえい》にきたのだ」。|彼《かれ》らはまた|言《い》った、「ああ、われわれはわざわいである。このようなことは|今《いま》までなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ああ、われわれはわざわいである。だれがわれわれをこれらの|強《つよ》い|神々《かみがみ》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すことができようか。これらの|神々《かみがみ》は、もろもろの|災《わざわい》をもってエジプトびとを|荒野《あらの》で|撃《う》ったのだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとよ、|勇気《ゆうき》を|出《だ》して|男《おとこ》らしくせよ。ヘブルびとがあなたがたに|仕《つか》えたように、あなたがたが|彼《かれ》らに|仕《つか》えることのないために、|男《おとこ》らしく|戦《たたか》え」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてペリシテびとが|戦《たたか》ったので、イスラエルびとは|敗《やぶ》れて、おのおのその|家《いえ》に|逃《に》げて|帰《かえ》った。|戦死者《せんししゃ》はひじょうに|多《おお》く、イスラエルの|歩兵《ほへい》で|倒《たお》れたものは三万であった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|神《かみ》の|箱《はこ》は|奪《うば》われ、エリのふたりの|子《こ》、ホフニとピネハスは|殺《ころ》された。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ひとりのベニヤミンびとが、|衣服《いふく》を|裂《さ》き、|頭《あたま》に|土《つち》をかぶって、|戦場《せんじょう》から|走《はし》ってシロにきた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|着《つ》いたとき、エリは|道《みち》のかたわらにある|自分《じぶん》の|座《ざ》にすわって|待《ま》ちかまえていた。その|心《こころ》に|神《かみ》の|箱《はこ》の|事《こと》を|気《き》づかっていたからである。その|人《ひと》が|町《まち》にはいって、|情報《じょうほう》をつたえたので、|町《まち》はこぞって|叫《さけ》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エリはその|叫《さけ》び|声《ごえ》を|聞《き》いて|言《い》った、「この|騒《さわ》ぎ|声《こえ》は|何《なに》か」。その|人《ひと》は|急《いそ》いでエリの|所《ところ》へきてエリに|告《つ》げた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エリは九十八|歳《さい》で、その|目《め》は|固《かた》まって|見《み》ることができなかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》はエリに|言《い》った、「わたしは|戦場《せんじょう》からきたものです。きょう|戦場《せんじょう》からのがれたのです」。エリは|言《い》った、「わが|子《こ》よ、|様子《ようす》はどうであったか」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しらせをもたらしたその|人《ひと》は|答《こた》えて|言《い》った、「イスラエルびとは、ペリシテびとの|前《まえ》から|逃《に》げ、|民《たみ》のうちにはまた|多《おお》くの|戦死者《せんししゃ》があり、あなたのふたりの|子《こ》、ホフニとピネハスも|死《し》に、|神《かみ》の|箱《はこ》は|奪《うば》われました」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|神《かみ》の|箱《はこ》のことを|言《い》ったとき、エリはその|座《ざ》から、あおむけに|門《もん》のかたわらに|落《お》ち、|首《くび》を|折《お》って|死《し》んだ。|老《お》いて|身《み》が|重《おも》かったからである。|彼《かれ》のイスラエルをさばいたのは四十|年《ねん》であった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|嫁《よめ》、ピネハスの|妻《つま》はみごもって|出産《しゅっさん》の|時《とき》が|近《ちか》づいていたが、|神《かみ》の|箱《はこ》が|奪《うば》われたこと、しゅうとと|夫《おっと》が|死《し》んだというしらせを|聞《き》いたとき、|陣痛《じんつう》が|起《おこ》り|身《み》をかがめて|子《こ》を|産《う》んだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》が|死《し》にかかっている|時《とき》、|世話《せわ》をしていた|女《おんな》が|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|恐《おそ》れることはありません。|男《おとこ》の|子《こ》が|生《うま》れました」。しかし|彼女《かのじょ》は|答《こた》えもせず、また|顧《かえり》みもしなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ただ|彼女《かのじょ》は「|栄光《えいこう》はイスラエルを|去《さ》った」と|言《い》って、その|子《こ》をイカボデと|名《な》づけた。これは|神《かみ》の|箱《はこ》の|奪《うば》われたこと、また|彼女《かのじょ》のしゅうとと|夫《おっと》のことによるのである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はまた、「|栄光《えいこう》はイスラエルを|去《さ》った。|神《かみ》の|箱《はこ》が|奪《うば》われたからです」と|言《い》った。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは|神《かみ》の|箱《はこ》をぶんどって、エベネゼルからアシドドに|運《はこ》んできた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてペリシテびとはその|神《かみ》の|箱《はこ》を|取《と》ってダゴンの|宮《みや》に|運《はこ》びこみ、ダゴンのかたわらに|置《お》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アシドドの|人々《ひとびと》が、|次《つぎ》の|日《ひ》、|早《はや》く|起《お》きて|見《み》ると、ダゴンが|主《しゅ》の|箱《はこ》の|前《まえ》に、うつむきに|地《ち》に|倒《たお》れていたので、|彼《かれ》らはダゴンを|起《おこ》して、それをもとの|所《ところ》に|置《お》いた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》の|朝《あさ》また|早《はや》く|起《お》きて|見《み》ると、ダゴンはまた、|主《しゅ》の|箱《はこ》の|前《まえ》に、うつむきに|地《ち》に|倒《たお》れていた。そしてダゴンの|頭《あたま》と|両手《りょうて》とは|切《き》れて|離《はな》れ、しきいの|上《うえ》にあり、ダゴンはただ|胴体《どうたい》だけとなっていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえダゴンの|祭司《さいし》たちやダゴンの|宮《みや》にはいる|人々《ひとびと》は、だれも|今日《こんにち》にいたるまで、アシドドのダゴンのしきいを|踏《ふ》まない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》の|手《て》はアシドドびとの|上《うえ》にきびしく|臨《のぞ》み、|主《しゅ》は|腫物《はれもの》をもってアシドドとその|領域《りょういき》の|人々《ひとびと》を|恐《おそ》れさせ、また|悩《なや》まされた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アシドドの|人々《ひとびと》は、このありさまを|見《み》て|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》を、われわれの|所《ところ》に、とどめ|置《お》いてはならない。その|神《かみ》の|手《て》が、われわれと、われわれの|神《かみ》ダゴンの|上《うえ》にきびしく|臨《のぞ》むからである」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|人《ひと》をつかわして、ペリシテびとの|君《きみ》たちを|集《あつ》めて|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》をどうしましょう」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》はガテに|移《うつ》そう」。|人々《ひとびと》はイスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》をそこに|移《うつ》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがそれを|移《うつ》すと、|主《しゅ》の|手《て》がその|町《まち》に|臨《のぞ》み、|非常《ひじょう》な|騒《さわ》ぎが|起《た》った。そして|老若《ろうにゃく》を|問《と》わず|町《まち》の|人々《ひとびと》を|撃《う》たれたので、|彼《かれ》らの|身《み》に|腫物《はれもの》ができた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》は|神《かみ》の|箱《はこ》をエクロンに|送《おく》ったが、|神《かみ》の|箱《はこ》がエクロンに|着《つ》いた|時《とき》、エクロンの|人々《ひとびと》は|叫《さけ》んで|言《い》った、「|彼《かれ》らがイスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》をわれわれの|所《ところ》に|移《うつ》したのは、われわれと|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼすためである」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|人《ひと》をつかわして、ペリシテびとの|君《きみ》たちをみな|集《あつ》めて|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》を|送《おく》り|出《だ》して、もとの|所《ところ》に|返《かえ》し、われわれと|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼすことのないようにしよう」。|恐《おそ》ろしい|騒《さわ》ぎが|町中《まちぢゅう》に|起《た》っていたからである。そこには|神《かみ》の|手《て》が|非常《ひじょう》にきびしく|臨《のぞ》んでいたので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》なない|人《ひと》は|腫物《はれもの》をもって|撃《う》たれ、|町《まち》の|叫《さけ》びは|天《てん》に|達《たっ》した。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|箱《はこ》は七か|月《げつ》の|間《あいだ》ペリシテびとの|地《ち》にあった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは、|祭司《さいし》や|占《うらな》い|師《し》を|呼《よ》んで|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》をどうしましょうか。どのようにして、それをもとの|所《ところ》へ|送《おく》り|返《かえ》せばよいか|告《つ》げてください」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》の|箱《はこ》を|送《おく》り|返《かえ》す|時《とき》には、それをむなしく|返《かえ》してはならない。|必《かなら》ず|彼《かれ》にとがの|供《そな》え|物《もの》をもって|償《つぐな》いをしなければならない。そうすれば、あなたがたはいやされ、また|彼《かれ》の|手《て》がなぜあなたがたを|離《はな》れないかを|知《し》ることができるであろう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|言《い》った、「われわれが|償《つぐな》うとがの|供《そな》え|物《もの》には|何《なに》をしましょうか」。|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「ペリシテびとの|君《きみ》たちの|数《かず》にしたがって、|金《きん》の|腫物《はれもの》五つと|金《きん》のねずみ五つである。あなたがたすべてと、|君《きみ》たちに|臨《のぞ》んだ|災《わざわい》は一つだからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたの|腫物《はれもの》の|像《ぞう》と、|地《ち》を|荒《あら》すねずみの|像《ぞう》を|造《つく》り、イスラエルの|神《かみ》に|栄光《えいこう》を|帰《き》するならば、たぶん|彼《かれ》は、あなたがた、およびあなたがたの|神々《かみがみ》と、あなたがたの|地《ち》に、その|手《て》を|加《くわ》えることを|軽《かる》くされるであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、あなたがたはエジプトびととパロがその|心《こころ》をかたくなにしたように、|自分《じぶん》の|心《こころ》をかたくなにするのか。|神《かみ》が|彼《かれ》らを|悩《なや》ましたので、|彼《かれ》らは|民《たみ》を|行《い》かせ、|民《たみ》は|去《さ》ったではないか。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》、|新《あたら》しい|車《くるま》一|両《りょう》を|造《つく》り、まだくびきを|付《つ》けたことのない|乳牛《にゅうぎゅう》二|頭《とう》をとり、その|牛《うし》を|車《くるま》につなぎ、そのおのおのの|子《こ》|牛《うし》を|乳牛《にゅうぎゅう》から|離《はな》して|家《いえ》に|連《つ》れ|帰《かえ》り、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|箱《はこ》をとって、それをその|車《くるま》に|載《の》せ、あなたがたがとがの|供《そな》え|物《もの》として|彼《かれ》に|償《つぐな》う|金《きん》の|作《つく》り|物《もの》を一つの|箱《はこ》におさめてそのかたわらに|置《お》き、それを|送《おく》って|去《さ》らせなさい。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|見《み》ていて、それが|自分《じぶん》の|領地《りょうち》へ|行《い》く|道《みち》を、ベテシメシへ|上《のぼ》るならば、この|大《おお》いなる|災《わざわい》を、われわれに|下《くだ》したのは|彼《かれ》である。しかし、そうしない|時《とき》は、われわれを|撃《う》ったのは|彼《かれ》の|手《て》ではなく、その|事《こと》の|偶然《ぐうぜん》であったことを|知《し》るであろう」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はそのようにした。すなわち、|彼《かれ》らは二|頭《とう》の|乳牛《にゅうぎゅう》をとって、これを|車《くるま》につなぎ、そのおのおのの|子《こ》|牛《うし》を|家《いえ》に|閉《と》じこめ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|箱《はこ》、および|金《きん》のねずみと、|腫物《はれもの》の|像《ぞう》をおさめた|箱《はこ》とを|車《くるま》に|載《の》せた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すると|雌牛《めうし》はまっすぐにベテシメシの|方向《ほうこう》へ、ひとすじに|大路《おおじ》を|歩《あゆ》み、|鳴《な》きながら|進《すす》んでいって、|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》らなかった。ペリシテびとの|君《きみ》たちは、ベテシメシの|境《さかい》までそのあとについていった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にベテシメシの|人々《ひとびと》は|谷《たに》で|小麦《こむぎ》を|刈《か》り|入《い》れていたが、|目《め》をあげて、その|箱《はこ》を|見《み》、それを|迎《むか》えて|喜《よろこ》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|車《くるま》はベテシメシびとヨシュアの|畑《はたけ》にはいって、そこにとどまった。その|所《ところ》に|大《おお》きな|石《いし》があった。|人々《ひとびと》は|車《くるま》の|木《き》を|割《わ》り、その|雌牛《めうし》を|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》にささげた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]レビびとは|主《しゅ》の|箱《はこ》と、そのかたわらの、|金《きん》の|作《つく》り|物《もの》をおさめた|箱《はこ》を|取《と》りおろし、それを|大石《おおいし》の|上《うえ》に|置《お》いた。そしてベテシメシの|人々《ひとびと》は、その|日《ひ》、|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》を|供《そな》え、|犠牲《ぎせい》をささげた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとの五|人《にん》の|君《きみ》たちはこれを|見《み》て、その|日《ひ》、エクロンに|帰《かえ》った。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとが、とがの|供《そな》え|物《もの》として、|主《しゅ》に|償《つぐな》いをした|金《きん》の|腫物《はれもの》は、|次《つぎ》のとおりである。すなわちアシドドのために一つ、ガザのために一つ、アシケロンのために一つ、ガテのために一つ、エクロンのために一つであった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》のねずみは、|城壁《じょうへき》をめぐらした|町《まち》から|城壁《じょうへき》のない|村里《むらざと》にいたるまで、すべて五|人《にん》の|君《きみ》たちに|属《ぞく》するペリシテびとの|町《まち》の|数《かず》にしたがって|造《つく》った。|主《しゅ》の|箱《はこ》をおろした|所《ところ》のかたわらにあった|大石《おおいし》は、|今日《こんにち》にいたるまで、ベテシメシびとヨシュアの|畑《はたけ》にあって、あかしとなっている。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ベテシメシの|人々《ひとびと》で|主《しゅ》の|箱《はこ》の|中《なか》を|見《み》たものがあったので、|主《しゅ》はこれを|撃《う》たれた。すなわち|民《たみ》のうち七十|人《にん》を|撃《う》たれた。|主《しゅ》が|民《たみ》を|撃《う》って|多《おお》くの|者《もの》を|殺《ころ》されたので、|民《たみ》はなげき|悲《かな》しんだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ベテシメシの|人々《ひとびと》は|言《い》った、「だれが、この|聖《せい》なる|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》つことができようか。|主《しゅ》はわれわれを|離《はな》れてだれの|所《ところ》へ|上《のぼ》って|行《い》かれたらよいのか」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは、|使者《ししゃ》をキリアテ・ヤリムの|人々《ひとびと》につかわして|言《い》った、「ペリシテびとが|主《しゅ》の|箱《はこ》を|返《かえ》したから、|下《くだ》ってきて、それをあなたがたの|所《ところ》へ|携《たずさ》え|上《のぼ》ってください」。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]キリアテ・ヤリムの|人々《ひとびと》は、きて、|主《しゅ》の|箱《はこ》を|携《たずさ》え|上《のぼ》り、|丘《おか》の|上《うえ》のアビナダブの|家《いえ》に|持《も》ってきて、その|子《こ》エレアザルを|聖別《せいべつ》して、|主《しゅ》の|箱《はこ》を|守《まも》らせた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|箱《はこ》は|久《ひさ》しくキリアテ・ヤリムにとどまって、二十|年《ねん》を|経《へ》た。イスラエルの|全家《ぜんか》は|主《しゅ》を|慕《した》って|嘆《なげ》いた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サムエルはイスラエルの|全家《ぜんか》に|告《つ》げていった、「もし、あなたがたが|一心《いっしん》に|主《しゅ》に|立《た》ち|返《かえ》るのであれば、ほかの|神々《かみがみ》とアシタロテを、あなたがたのうちから|捨《す》て|去《さ》り、|心《こころ》を|主《しゅ》に|向《む》け、|主《しゅ》にのみ|仕《つか》えなければならない。そうすれば、|主《しゅ》はあなたがたをペリシテびとの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》されるであろう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》はバアルとアシタロテを|捨《す》て|去《さ》り、ただ|主《しゅ》にのみ|仕《つか》えた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはまた|言《い》った、「イスラエルびとを、ことごとくミヅパに|集《あつ》めなさい。わたしはあなたがたのために|主《しゅ》に|祈《いの》りましょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はミヅパに|集《あつ》まり、|水《みず》をくんでそれを|主《しゅ》の|前《まえ》に|注《そそ》ぎ、その|日《ひ》、|断食《だんじき》してその|所《ところ》で|言《い》った、「われわれは|主《しゅ》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》した」。サムエルはミヅパでイスラエルの|人々《ひとびと》をさばいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》のミヅパに|集《あつ》まったことがペリシテびとに|聞《きこ》えたので、ペリシテびとの|君《きみ》たちは、イスラエルに|攻《せ》め|上《のぼ》ってきた。イスラエルの|人々《ひとびと》はそれを|聞《き》いて、ペリシテびとを|恐《おそ》れた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|人々《ひとびと》はサムエルに|言《い》った、「われわれのため、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|叫《さけ》ぶことを、やめないでください。そうすれば|主《しゅ》がペリシテびとの|手《て》からわれわれを|救《すく》い|出《だ》されるでしょう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでサムエルは|乳《ちち》を|飲《の》む|小羊《こひつじ》一|頭《とう》をとり、これを|全《まった》き|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》にささげた。そしてサムエルはイスラエルのために|主《しゅ》に|叫《さけ》んだので、|主《しゅ》はこれに|答《こた》えられた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]サムエルが|燔祭《はんさい》をささげていた|時《とき》、ペリシテびとはイスラエルと|戦《たたか》おうとして|近《ちか》づいてきた。しかし|主《しゅ》はその|日《ひ》、|大《おお》いなる|雷《かみなり》をペリシテびとの|上《うえ》にとどろかせて、|彼《かれ》らを|乱《みだ》されたので、|彼《かれ》らはイスラエルびとの|前《まえ》に|敗《やぶ》れて|逃《に》げた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はミヅパを|出《で》てペリシテびとを|追《お》い、これを|撃《う》って、ベテカルの|下《した》まで|行《い》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サムエルは一つの|石《いし》をとってミヅパとエシャナの|間《あいだ》にすえ、「|主《しゅ》は|今《いま》に|至《いた》るまでわれわれを|助《たす》けられた」と|言《い》って、その|名《な》をエベネゼルと|名《な》づけた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてペリシテびとは|征服《せいふく》され、ふたたびイスラエルの|領地《りょうち》に、はいらなかった。サムエルの|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|主《しゅ》の|手《て》が、ペリシテびとを|防《ふせ》いだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとがイスラエルから|取《と》った|町々《まちまち》は、エクロンからガテまで、イスラエルにかえり、イスラエルはその|周囲《しゅうい》の|地《ち》をもペリシテびとの|手《て》から|取《と》りかえした。またイスラエルとアモリびととの|間《あいだ》には|平和《へいわ》があった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|一生《いっしょう》の|間《あいだ》イスラエルをさばいた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|年《とし》ごとにサムエルはベテルとギルガル、およびミヅパを|巡《めぐ》って、その|所々《ところどころ》でイスラエルをさばき、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ラマに|帰《かえ》った。そこに|彼《かれ》の|家《いえ》があったからである。その|所《ところ》でも|彼《かれ》はイスラエルをさばき、またそこで|主《しゅ》に|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|年老《としお》いて、その|子《こ》らをイスラエルのさばきづかさとした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|長子《ちょうし》の|名《な》はヨエルといい、|次《つぎ》の|子《こ》の|名《な》はアビヤと|言《い》った。|彼《かれ》らはベエルシバでさばきづかさであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|子《こ》らは|父《ちち》の|道《みち》を|歩《あゆ》まないで、|利《り》にむかい、まいないを|取《と》って、さばきを|曲《ま》げた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちはみな|集《あつ》まってラマにおるサムエルのもとにきて、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「あなたは|年老《としお》い、あなたの|子《こ》たちはあなたの|道《みち》を|歩《あゆ》まない。|今《いま》ほかの|国々《くにぐに》のように、われわれをさばく|王《おう》を、われわれのために|立《た》ててください」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らが、「われわれをさばく|王《おう》を、われわれに|与《あた》えよ」と|言《い》うのを|聞《き》いて、サムエルは|喜《よろこ》ばなかった。そしてサムエルが|主《しゅ》に|祈《いの》ると、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサムエルに|言《い》われた、「|民《たみ》が、すべてあなたに|言《い》う|所《ところ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》いなさい。|彼《かれ》らが|捨《す》てるのはあなたではなく、わたしを|捨《す》てて、|彼《かれ》らの|上《うえ》にわたしが|王《おう》であることを|認《みと》めないのである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、わたしがエジプトから|連《つ》れ|上《のぼ》った|日《ひ》から、きょうまで、わたしを|捨《す》ててほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》え、さまざまの|事《こと》をわたしにしたように、あなたにもしているのである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》その|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》いなさい。ただし、|深《ふか》く|彼《かれ》らを|戒《いまし》めて、|彼《かれ》らを|治《おさ》める|王《おう》のならわしを|彼《かれ》らに|示《しめ》さなければならない」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|王《おう》を|立《た》てることを|求《もと》める|民《たみ》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》をことごとく|告《つ》げて、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「あなたがたを|治《おさ》める|王《おう》のならわしは|次《つぎ》のとおりである。|彼《かれ》はあなたがたのむすこを|取《と》って、|戦車《せんしゃ》|隊《たい》に|入《い》れ、|騎兵《きへい》とし、|自分《じぶん》の|戦車《せんしゃ》の|前《まえ》に|走《はし》らせるであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたそれを千|人《にん》の|長《ちょう》、五十|人《にん》の|長《ちょう》に|任《にん》じ、またその|地《ち》を|耕《たがや》させ、その|作物《さくもつ》を|刈《か》らせ、またその|武器《ぶき》と|戦車《せんしゃ》の|装備《そうび》を|造《つく》らせるであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたの|娘《むすめ》を|取《と》って、|香《こう》をつくる|者《もの》とし、|料理《りょうり》をする|者《もの》とし、パンを|焼《や》く|者《もの》とするであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたの|畑《はたけ》とぶどう|畑《はたけ》とオリブ|畑《はたけ》の|最《もっと》も|良《よ》い|物《もの》を|取《と》って、その|家来《けらい》に|与《あた》え、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|穀物《こくもつ》と、ぶどう|畑《はたけ》の、十|分《ぶん》の一を|取《と》って、その|役人《やくにん》と|家来《けらい》に|与《あた》え、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたの|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》および、あなたがたの|最《もっと》も|良《よ》い|牛《うし》とろばを|取《と》って、|自分《じぶん》のために|働《はたら》かせ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたの|羊《ひつじ》の十|分《ぶん》の一を|取《と》り、あなたがたは、その|奴隷《どれい》となるであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|日《ひ》あなたがたは|自分《じぶん》のために|選《えら》んだ|王《おう》のゆえに|呼《よ》ばわるであろう。しかし|主《しゅ》はその|日《ひ》にあなたがたに|答《こた》えられないであろう」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ところが|民《たみ》はサムエルの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》うことを|拒《こば》んで|言《い》った、「いいえ、われわれを|治《おさ》める|王《おう》がなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれも|他《た》の|国々《くにぐに》のようになり、|王《おう》がわれわれをさばき、われわれを|率《ひき》いて、われわれの|戦《たたか》いにたたかうのである」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|民《たみ》の|言葉《ことば》をことごとく|聞《き》いて、それを|主《しゅ》の|耳《みみ》に|告《つ》げた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサムエルに|言《い》われた、「|彼《かれ》らの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、|彼《かれ》らのために|王《おう》を|立《た》てよ」。サムエルはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「あなたがたは、めいめいその|町《まち》に|帰《かえ》りなさい」。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ベニヤミンの|人《ひと》で、キシという|名《な》の|裕福《ゆうふく》な|人《ひと》があった。キシはアビエルの|子《こ》、アビエルはゼロルの|子《こ》、ゼロルはベコラテの|子《こ》、ベコラテはアピヤの|子《こ》、アピヤはベニヤミンびとである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]キシにはサウルという|名《な》の|子《こ》があった。|若《わか》くて|麗《うるわ》しく、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|彼《かれ》よりも|麗《うるわ》しい|人《ひと》はなく、|民《たみ》のだれよりも|肩《かた》から|上《うえ》、|背《せ》が|高《たか》かった。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|父《ちち》キシの|数《すう》|頭《とう》のろばがいなくなった。そこでキシは、その|子《こ》サウルに|言《い》った、「しもべをひとり|連《つ》れて、|立《た》って|行《い》き、ろばを|捜《さが》してきなさい」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでふたりはエフライムの|山地《さんち》を|通《とお》りすぎ、シャリシャの|地《ち》を|通《とお》り|過《す》ぎたけれども|見当《みあた》らず、シャリムの|地《ち》を|通《とお》り|過《す》ぎたけれどもおらず、ベニヤミンの|地《ち》を|通《とお》り|過《す》ぎたけれども|見当《みあた》らなかった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがツフの|地《ち》にきた|時《とき》、サウルは|連《つ》れてきたしもべに|言《い》った、「さあ、|帰《かえ》ろう。|父《ちち》は、ろばのことよりも、われわれのことを|心配《しんぱい》するだろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ところが、しもべは|言《い》った、「この|町《まち》には|神《かみ》の|人《ひと》がおられます。|尊《たっと》い|人《ひと》で、その|言《い》われることはみなそのとおりになります。その|所《ところ》へ|行《い》きましょう。われわれの|出《で》てきた|旅《たび》のことについて|何《なに》か|示《しめ》されるでしょう」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはしもべに|言《い》った、「しかし|行《い》くのであれば、その|人《ひと》に|何《なに》を|贈《おく》ろうか。|袋《ふくろ》のパンはもはや、なくなり、|神《かみ》の|人《ひと》に|持《も》っていく|贈《おく》り|物《もの》がない。|何《なに》かありますか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しもべは、またサウルに|答《こた》えた、「わたしの|手《て》に四|分《ぶん》の一シケルの|銀《ぎん》があります。わたしはこれを、|神《かみ》の|人《ひと》に|与《あた》えて、われわれの|道《みち》を|示《しめ》してもらいましょう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]――|昔《むかし》イスラエルでは、|神《かみ》に|問《と》うために|行《い》く|時《とき》には、こう|言《い》った、「さあ、われわれは|先見者《せんけんしゃ》のところへ|行《い》こう」。|今《いま》の|預言者《よげんしゃ》は、|昔《むかし》は|先見者《せんけんしゃ》といわれていたのである。――[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルはそのしもべに|言《い》った、「それは|良《よ》い。さあ、|行《い》こう」。こうして|彼《かれ》らは、|神《かみ》の|人《ひと》のいるその|町《まち》へ|行《い》った。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|町《まち》へ|行《い》く|坂《さか》を|上《のぼ》っている|時《とき》、|水《みず》をくむために|出《で》てくるおとめたちに|出会《であ》ったので、|彼《かれ》らに|言《い》った、「|先見者《せんけんしゃ》はここにおられますか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]おとめたちは|答《こた》えた、「おられます。ごらんなさい、この|先《さき》です。|急《いそ》いで|行《い》きなさい。|民《たみ》がきょう|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげるので、たった|今《いま》、|町《まち》にこられたところです。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、|町《まち》にはいるとすぐ、あのかたが|高《たか》き|所《ところ》に|上《のぼ》って|食事《しょくじ》される|前《まえ》に|会《あ》えるでしょう。|民《たみ》はそのかたがこられるまでは|食事《しょくじ》をしません。あのかたが|犠牲《ぎせい》を|祝福《しゅくふく》されてから、|招《まね》かれた|人々《ひとびと》が|食事《しょくじ》をするのです。さあ、|上《のぼ》っていきなさい。すぐに|会《あ》えるでしょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|町《まち》に|上《のぼ》っていった。そして|町《まち》の|中《なか》に、はいろうとした|時《とき》、サムエルは|高《たか》き|所《ところ》に|上《のぼ》るため|彼《かれ》らのほうに|向《む》かって|出《で》てきた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さてサウルが|来《く》る一|日《にち》|前《まえ》に、|主《しゅ》はサムエルの|耳《みみ》に|告《つ》げて|言《い》われた、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「あすの|今《いま》ごろ、あなたの|所《ところ》に、ベニヤミンの|地《ち》から、ひとりの|人《ひと》をつかわすであろう。あなたはその|人《ひと》に|油《あぶら》を|注《そそ》いで、わたしの|民《たみ》イスラエルの|君《きみ》としなさい。|彼《かれ》はわたしの|民《たみ》をペリシテびとの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すであろう。わたしの|民《たみ》の|叫《さけ》びがわたしに|届《とど》き、わたしがその|悩《なや》みを|顧《かえり》みるからである」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]サムエルがサウルを|見《み》た|時《とき》、|主《しゅ》は|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしの|言《い》ったのはこの|人《ひと》である。この|人《ひと》がわたしの|民《たみ》を|治《おさ》めるであろう」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そのときサウルは、|門《もん》の|中《なか》でサムエルに|近《ちか》づいて|言《い》った、「|先見者《せんけんしゃ》の|家《いえ》はどこですか。どうか|教《おし》えてください」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはサウルに|答《こた》えた、「わたしがその|先見者《せんけんしゃ》です。わたしの|前《まえ》に|行《い》って、|高《たか》き|所《ところ》に|上《のぼ》りなさい。あなたがたは、きょう、わたしと|一緒《いっしょ》に|食事《しょくじ》しなさい。わたしはあすの|朝《あさ》あなたを|帰《かえ》らせ、あなたの|心《こころ》にあることをみな|示《しめ》しましょう。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|前《まえ》に、いなくなったあなたのろばは、もはや|見《み》つかったので|心《こころ》にかけなくてもよろしい。しかしイスラエルのすべての|望《のぞ》ましきものはだれのものですか。それはあなたのもの、あなたの|父《ちち》の|家《いえ》のすべての|人《ひと》のものではありませんか」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|答《こた》えた、「わたしはイスラエルのうちの|最《もっと》も|小《ちい》さい|部族《ぶぞく》のベニヤミンびとであって、わたしの|一族《いちぞく》はまたベニヤミンのどの|一族《いちぞく》よりも|卑《いや》しいものではありませんか。どうしてあなたは、そのようなことをわたしに|言《い》われるのですか」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはサウルとそのしもべを|導《みちび》いて、へやにはいり、|招《まね》かれた三十|人《にん》ほどのうちの|上座《かみざ》にすわらせた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてサムエルは|料理《りょうり》|人《にん》に|言《い》った、「あなたに|渡《わた》して、|取《と》りのけておくようにと|言《い》っておいた|分《ぶん》を|持《も》ってきなさい」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|料理《りょうり》|人《にん》は、ももとその|上《うえ》の|部分《ぶぶん》を|取《と》り|上《あ》げて、それをサウルの|前《まえ》に|置《お》いた。そしてサムエルは|言《い》った、「ごらんなさい。|取《と》っておいた|物《もの》が、あなたの|前《まえ》に|置《お》かれています。|召《め》しあがってください。あなたが|客人《きゃくじん》たちと|一緒《いっしょ》に|食事《しょくじ》ができるように、この|時《とき》まで、あなたのために|取《と》っておいたものです」。  こうしてサウルはその|日《ひ》サムエルと|一緒《いっしょ》に|食事《しょくじ》をした。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らが|高《たか》き|所《ところ》を|下《くだ》って|町《まち》にはいった|時《とき》、サウルのために|屋上《おくじょう》に|床《とこ》が|設《もう》けられ、|彼《かれ》はその|上《うえ》に|身《み》を|横《よこ》たえて|寝《ね》た。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そして|夜明《よあ》けになって、サムエルは|屋上《おくじょう》のサウルに|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|起《お》きなさい。あなたをお|送《おく》りします」。サウルは|起《お》き|上《あ》がった。そしてサウルとサムエルのふたりは、|共《とも》に|外《そと》に|出《で》た。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|町《まち》はずれに|下《くだ》った|時《とき》、サムエルはサウルに|言《い》った、「あなたのしもべに|先《さき》に|行《い》くように|言《い》いなさい。しもべが|先《さき》に|行《い》ったら、あなたは、しばらくここに|立《た》ちとどまってください。|神《かみ》の|言葉《ことば》を|知《し》らせましょう」。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サムエルは|油《あぶら》のびんを|取《と》って、サウルの|頭《あたま》に|注《そそ》ぎ、|彼《かれ》に|口《くち》づけして|言《い》った、「|主《しゅ》はあなたに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、その|民《たみ》イスラエルの|君《きみ》とされたではありませんか。あなたは|主《しゅ》の|民《たみ》を|治《おさ》め、|周囲《しゅうい》の|敵《てき》の|手《て》から|彼《かれ》らを|救《すく》わなければならない。|主《しゅ》があなたに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、その|嗣《し》|業《ぎょう》の|君《きみ》とされたことの、しるしは|次《つぎ》のとおりです。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがきょう、わたしを|離《はな》れて、|去《さ》って|行《い》くとき、ベニヤミンの|領地《りょうち》のゼルザにあるラケルの|墓《はか》のかたわらで、ふたりの|人《ひと》に|会《あ》うでしょう。そして|彼《かれ》らはあなたに|言《い》います、『あなたが|捜《さが》しに|行《い》かれたろばは|見《み》つかりました。いま|父上《ちちうえ》は、ろばよりもあなたがたの|事《こと》を|心配《しんぱい》して、「わが|子《こ》のことは、どうしよう」と|言《い》っておられます』。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、そこからなお|進《すす》んで、タボルのかしの|木《き》の|所《ところ》へ|行《い》くと、そこでベテルに|上《のぼ》って|神《かみ》を|拝《おが》もうとする三|人《にん》の|者《もの》に|会《あ》うでしょう。ひとりは三|頭《とう》の|子《こ》やぎを|連《つ》れ、ひとりは三つのパンを|携《たずさ》え、ひとりは、ぶどう|酒《しゅ》のはいった|皮《かわ》|袋《ぶくろ》一つを|携《たずさ》えている。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたにあいさつし、二つのパンをくれるでしょう。あなたはそれを、その|手《て》から|受《う》けなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、あなたは|神《かみ》のギベアへ|行《い》く。そこはペリシテびとの|守備《しゅび》|兵《へい》のいる|所《ところ》である。あなたはその|所《ところ》へ|行《い》って、|町《まち》にはいる|時《とき》、|立琴《たてごと》、|手《て》|鼓《つづみ》、|笛《ふえ》、|琴《こと》を|執《と》る|人々《ひとびと》を|先《さき》に|行《い》かせて、|預言《よげん》しながら|高《たか》き|所《ところ》から|降《ふ》りてくる|一群《いちぐん》の|預言者《よげんしゃ》に|会《あ》うでしょう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|霊《れい》があなたの|上《うえ》にもはげしく|下《くだ》って、あなたは|彼《かれ》らと|一緒《いっしょ》に|預言《よげん》し、|変《かわ》って|新《あたら》しい|人《ひと》となるでしょう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これらのしるしが、あなたの|身《み》に|起《た》ったならば、あなたは|手当《てあ》たりしだいになんでもしなさい。|神《かみ》があなたと|一緒《いっしょ》におられるからです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしに|先立《さきだ》ってギルガルに|下《くだ》らなければならない。わたしはあなたのもとに|下《くだ》っていって、|燔祭《はんさい》を|供《そな》え、|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげるでしょう。わたしがあなたのもとに|行《い》って、あなたのしなければならない|事《こと》をあなたに|示《しめ》すまで、|七日《なぬか》のあいだ|待《ま》たなければならない」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]サウルが|背《せ》をかえしてサムエルを|離《はな》れたとき、|神《かみ》は|彼《かれ》に|新《あたら》しい|心《こころ》を|与《あた》えられた。これらのしるしは|皆《みな》その|日《ひ》に|起《た》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはギベアにきた|時《とき》、|預言者《よげんしゃ》の|一群《いちぐん》に|出会《であ》った。そして|神《かみ》の|霊《れい》が、はげしくサウルの|上《うえ》に|下《くだ》り、|彼《かれ》は|彼《かれ》らのうちにいて|預言《よげん》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もとからサウルを|知《し》っていた|人々《ひとびと》はみな、サウルが|預言者《よげんしゃ》たちと|共《とも》に|預言《よげん》するのを|見《み》て|互《たがい》に|言《い》った、「キシの|子《こ》に|何事《なにごと》が|起《た》ったのか。サウルもまた|預言者《よげんしゃ》たちのうちにいるのか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》のひとりの|者《もの》が|答《こた》えた、「|彼《かれ》らの|父《ちち》はだれなのか」。それで「サウルもまた|預言者《よげんしゃ》たちのうちにいるのか」というのが、ことわざとなった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|預言《よげん》することを|終《お》えて、|高《たか》き|所《ところ》へ|行《い》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]サウルのおじが、サウルとそのしもべとに|言《い》った、「あなたがたは、どこへ|行《い》ったのか」。サウルは|言《い》った、「ろばを|捜《さが》しにいったのですが、どこにもいないので、サムエルのもとに|行《い》きました」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サウルのおじは|言《い》った、「サムエルが、どんなことを|言《い》ったか、どうぞ|話《はな》してください」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]サウルはおじに|言《い》った、「ろばが|見《み》つかったと、はっきり、わたしたちに|言《い》いました」。しかしサムエルが|言《い》った|王国《おうこく》のことについて、おじには|何《なに》も|告《つ》げなかった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]さて、サムエルは|民《たみ》をミヅパで|主《しゅ》の|前《まえ》に|集《あつ》め、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしはイスラエルをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》し、あなたがたをエジプトびとの|手《て》、およびすべてあなたがたをしえたげる|王国《おうこく》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》した』。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたは、きょう、あなたがたをその|悩《なや》みと|苦《くる》しみの|中《なか》から|救《すく》われるあなたがたの|神《かみ》を|捨《す》て、その|上《うえ》、『いいえ、われわれの|上《うえ》に|王《おう》を|立《た》てよ』と|言《い》う。それゆえ|今《いま》、あなたがたは、|部族《ぶぞく》にしたがい、また|氏族《しぞく》にしたがって、|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》なさい」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサムエルがイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》を|呼《よ》び|寄《よ》せた|時《とき》、ベニヤミンの|部族《ぶぞく》が、くじに|当《あた》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]またベニヤミンの|部族《ぶぞく》をその|氏族《しぞく》にしたがって|呼《よ》び|寄《よ》せた|時《とき》、マテリの|氏族《しぞく》が、くじに|当《あた》り、マテリの|氏族《しぞく》を|人《ひと》ごとに|呼《よ》び|寄《よ》せた|時《とき》、キシの|子《こ》サウルが、くじに|当《あた》った。しかし|人々《ひとびと》が|彼《かれ》を|捜《さが》した|時《とき》、|見《み》つからなかった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでまた|主《しゅ》に「その|人《ひと》はここにきているのですか」と|問《と》うと、|主《しゅ》は|言《い》われた、「|彼《かれ》は|荷物《にもつ》の|間《あいだ》に|隠《かく》れている」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|走《はし》って|行《い》って、|彼《かれ》をそこから|連《つ》れてきた。|彼《かれ》は|民《たみ》の|中《なか》に|立《た》ったが、|肩《かた》から|上《うえ》は、|民《たみ》のどの|人《ひと》よりも|高《たか》かった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはすべての|民《たみ》に|言《い》った、「|主《しゅ》が|選《えら》ばれた|人《ひと》をごらんなさい。|民《たみ》のうちに|彼《かれ》のような|人《ひと》はないではありませんか」。|民《たみ》はみな「|王《おう》|万歳《ばんざい》」と|叫《さけ》んだ。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サムエルは|王国《おうこく》のならわしを|民《たみ》に|語《かた》り、それを|書《しょ》にしるして、|主《しゅ》の|前《まえ》におさめた。こうしてサムエルはすべての|民《たみ》をそれぞれ|家《いえ》に|帰《かえ》らせた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]サウルもまたギベアにある|彼《かれ》の|家《いえ》に|帰《かえ》った。そして|神《かみ》にその|心《こころ》を|動《うご》かされた|勇士《ゆうし》たちも|彼《かれ》と|共《とも》に|行《い》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、よこしまな|人々《ひとびと》は「この|男《おとこ》がどうしてわれわれを|救《すく》うことができよう」と|言《い》って、|彼《かれ》を|軽《かろ》んじ、|贈《おく》り|物《もの》をしなかった。しかしサウルは|黙《だま》っていた。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アンモンびとナハシは|上《のぼ》ってきて、ヤベシ・ギレアデを|攻《せ》め|囲《かこ》んだ。ヤベシの|人々《ひとびと》はナハシに|言《い》った、「われわれと|契約《けいやく》を|結《むす》びなさい。そうすればわれわれはあなたに|仕《つか》えます」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかしアンモンびとナハシは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|次《つぎ》の|条件《じょうけん》であなたがたと|契約《けいやく》を|結《むす》ぼう。すなわち、わたしが、あなたがたすべての|右《みぎ》の|目《め》をえぐり|取《と》って、|全《ぜん》イスラエルをはずかしめるということだ」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヤベシの|長老《ちょうろう》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「われわれに|七日《なぬか》の|猶予《ゆうよ》を|与《あた》え、イスラエルの|全《ぜん》|領土《りょうど》に|使者《ししゃ》を|送《おく》ることを|許《ゆる》してください。そしてもしわれわれを|救《すく》う|者《もの》がない|時《とき》は|降伏《こうふく》します」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|使者《ししゃ》が、サウルのギベアにきて、この|事《こと》を|民《たみ》の|耳《みみ》に|告《つ》げたので、|民《たみ》はみな|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サウルは|畑《はたけ》から|牛《うし》のあとについてきた。そしてサウルは|言《い》った、「|民《たみ》が|泣《な》いているのは、どうしたのか」。|人々《ひとびと》は|彼《かれ》にヤベシの|人々《ひとびと》の|事《こと》を|告《つ》げた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]サウルがこの|言葉《ことば》を|聞《き》いた|時《とき》、|神《かみ》の|霊《れい》が|激《はげ》しく|彼《かれ》の|上《うえ》に|臨《のぞ》んだので、|彼《かれ》の|怒《いか》りははなはだしく|燃《も》えた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は一くびきの|牛《うし》をとり、それを|切《き》り|裂《さ》き、|使者《ししゃ》の|手《て》によってイスラエルの|全《ぜん》|領土《りょうど》に|送《おく》って|言《い》わせた、「だれであってもサウルとサムエルとに|従《したが》って|出《で》ない|者《もの》は、その|牛《うし》がこのようにされるであろう」。|民《たみ》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れて、ひとりのように|出《で》てきた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]サウルはベゼクでそれを|数《かぞ》えたが、イスラエルの|人々《ひとびと》は三十万、ユダの|人々《ひとびと》は三万であった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|人々《ひとびと》は、きた|使者《ししゃ》たちに|言《い》った、「ヤベシ・ギレアデの|人《ひと》にこう|言《い》いなさい、『あす、|日《ひ》の|暑《あつ》くなるころ、あなたがたは|救《すくい》を|得《え》るであろう』と」。|使者《ししゃ》が|帰《かえ》って、ヤベシの|人々《ひとびと》に|告《つ》げたので、|彼《かれ》らは|喜《よろこ》んだ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでヤベシの|人々《ひとびと》は|言《い》った、「あす、われわれは|降伏《こうふく》します。なんでも、あなたがたが|良《よ》いと|思《おも》うことを、われわれにしてください」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|明《あ》くる|日《ひ》、サウルは|民《たみ》を三つの|部隊《ぶたい》に|分《わ》け、あかつきに|敵《てき》の|陣営《じんえい》に|攻《せ》め|入《い》り、|日《ひ》の|暑《あつ》くなるころまで、アンモンびとを|殺《ころ》した。|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》はちりぢりになって、ふたり|一緒《いっしょ》にいるものはなかった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|民《たみ》はサムエルに|言《い》った、「さきに、『サウルがどうしてわれわれを|治《おさ》めることができようか』と|言《い》ったものはだれでしょうか。その|人々《ひとびと》を|引《ひ》き|出《だ》してください。われわれはその|人々《ひとびと》を|殺《ころ》します」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしサウルは|言《い》った、「|主《しゅ》はきょう、イスラエルに|救《すくい》を|施《ほどこ》されたのですから、きょうは|人《ひと》を|殺《ころ》してはなりません」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでサムエルは|民《たみ》に|言《い》った、「さあ、ギルガルへ|行《い》って、あそこで|王国《おうこく》を|一新《いっしん》しよう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》はみなギルガルへ|行《い》って、その|所《ところ》で|主《しゅ》の|前《まえ》にサウルを|王《おう》とし、|酬恩祭《しゅうおんさい》を|主《しゅ》の|前《まえ》にささげ、サウルとイスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》、その|所《ところ》で|大《おお》いに|祝《いわ》った。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》った、「|見《み》よ、わたしは、あなたがたの|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》って、あなたがたの|上《うえ》に|王《おう》を|立《た》てた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ|王《おう》は|今《いま》、あなたがたの|前《まえ》に|歩《あゆ》む。わたしは|年老《としお》いて|髪《かみ》は|白《しろ》くなった。わたしの|子《こ》らもあなたがたと|共《とも》にいる。わたしは|若《わか》い|時《とき》から、きょうまで、あなたがたの|前《まえ》に|歩《あゆ》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはここにいる。|主《しゅ》の|前《まえ》と、その|油《あぶら》そそがれた|者《もの》の|前《まえ》に、わたしを|訴《うった》えよ。わたしが、だれの|牛《うし》を|取《と》ったか。だれのろばを|取《と》ったか。だれを|欺《あざむ》いたか。だれをしえたげたか。だれの|手《て》から、まいないを|取《と》って、|自分《じぶん》の|目《め》をくらましたか。もしそのようなことがあれば、わたしはそれを、あなたがたに|償《つぐな》おう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「あなたは、われわれを|欺《あざむ》いたことも、しえたげたこともありません。また|人《ひと》の|手《て》から|何《なに》も|取《と》ったことはありません」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたが、わたしの|手《て》のうちに、なんの|不正《ふせい》をも|見《み》いださないことを、|主《しゅ》はあなたがたにあかしされる。その|油《あぶら》そそがれた|者《もの》も、きょうそれをあかしする」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「あかしされます」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|民《たみ》に|言《い》った、「モーセとアロンを|立《た》てて、あなたがたの|先祖《せんぞ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》された|主《しゅ》が|証人《しょうにん》です。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは|今《いま》、|立《た》ちなさい。わたしは|主《しゅ》が、あなたがたとあなたがたの|先祖《せんぞ》のために|行《おこな》われたすべての|救《すくい》のわざについて、|主《しゅ》の|前《まえ》に、あなたがたと|論《ろん》じよう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブがエジプトに|行《い》って、エジプトびとが、|彼《かれ》らを、しえたげた|時《とき》、あなたがたの|先祖《せんぞ》は|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったので、|主《しゅ》はモーセとアロンをつかわされた。そこで|彼《かれ》らは、あなたがたの|先祖《せんぞ》をエジプトから|導《みちび》き|出《だ》して、この|所《ところ》に|住《す》まわせた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》らがその|神《かみ》、|主《しゅ》を|忘《わす》れたので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らをハゾルの|王《おう》ヤビンの|軍《ぐん》の|長《ちょう》シセラの|手《て》に|渡《わた》し、またペリシテびとの|手《て》とモアブの|王《おう》の|手《て》にわたされた。そこで|彼《かれ》らがイスラエルを|攻《せ》めたので、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、『われわれは|主《しゅ》を|捨《す》て、バアルとアシタロテに|仕《つか》えて、|罪《つみ》を|犯《おか》しました。|今《いま》、われわれを|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》してください。われわれはあなたに|仕《つか》えます』。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエルバアルとバラクとエフタとサムエルをつかわして、あなたがたを|周囲《しゅうい》の|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》されたので、あなたがたは|安《やす》らかに|住《す》むことができた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ところが、アンモンびとの|王《おう》ナハシが|攻《せ》めてくるのを|見《み》たとき、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたがたの|王《おう》であるのに、あなたがたはわたしに、『いいえ、われわれを|治《おさ》める|王《おう》がなければならない』と|言《い》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|今《いま》あなたがたの|選《えら》んだ|王《おう》、あなたがたが|求《もと》めた|王《おう》を|見《み》なさい。|主《しゅ》はあなたがたの|上《うえ》に|王《おう》を|立《た》てられた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたがたが|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|主《しゅ》に|仕《つか》えて、その|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、|主《しゅ》の|戒《いまし》めにそむかず、あなたがたも、あなたがたを|治《おさ》める|王《おう》も|共《とも》に、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|従《したが》うならば、それで|良《よ》い。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしあなたがたが|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、|主《しゅ》の|戒《いまし》めにそむくならば、|主《しゅ》の|手《て》は、あなたがたとあなたがたの|王《おう》を|攻《せ》めるであろう。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|今《いま》、あなたがたは|立《た》って、|主《しゅ》が、あなたがたの|目《め》の|前《まえ》で|行《おこな》われる、この|大《おお》いなる|事《こと》を|見《み》なさい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]きょうは|小麦《こむぎ》|刈《かり》の|時《とき》ではないか。わたしは|主《しゅ》に|呼《よ》ばわるであろう。そのとき|主《しゅ》は|雷《かみなり》と|雨《あめ》を|下《くだ》して、あなたがたが|王《おう》を|求《もと》めて、|主《しゅ》の|前《まえ》に|犯《おか》した|罪《つみ》の|大《おお》いなることを|見《み》させ、また|知《し》らせられるであろう」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そしてサムエルが|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったので、|主《しゅ》はその|日《ひ》、|雷《かみなり》と|雨《あめ》を|下《くだ》された。|民《たみ》は|皆《みな》ひじょうに|主《しゅ》とサムエルとを|恐《おそ》れた。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はみなサムエルに|言《い》った、「しもべらのために、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈《いの》って、われわれの|死《し》なないようにしてください。われわれは、もろもろの|罪《つみ》を|犯《おか》した|上《うえ》に、また|王《おう》を|求《もと》めて、|悪《あく》を|加《くわ》えました」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|民《たみ》に|言《い》った、「|恐《おそ》れることはない。あなたがたは、このすべての|悪《あく》をおこなった。しかし|主《しゅ》に|従《したが》うことをやめず、|心《こころ》をつくして|主《しゅ》に|仕《つか》えなさい。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]むなしい|物《もの》に|迷《まよ》って|行《い》ってはならない。それは、あなたがたを|助《たす》けることも|救《すく》うこともできないむなしいものだからである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、その|大《おお》いなる|名《な》のゆえに、その|民《たみ》を|捨《す》てられないであろう。|主《しゅ》が、あなたがたを|自分《じぶん》の|民《たみ》とすることを|良《よ》しとされるからである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしは、あなたがたのために|祈《いの》ることをやめて|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》すことは、けっしてしないであろう。わたしはまた|良《よ》い、|正《ただ》しい|道《みち》を、あなたがたに|教《おし》えるであろう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、ただ|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|心《こころ》をつくして、|誠実《せいじつ》に|主《しゅ》に|仕《つか》えなければならない。そして|主《しゅ》がどんなに|大《おお》きいことをあなたがたのためにされたかを|考《かんが》えなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたが、なおも|悪《あく》を|行《おこな》うならば、あなたがたも、あなたがたの|王《おう》も、|共《とも》に|滅《ほろ》ぼされるであろう」。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サウルは三十|歳《さい》で|王《おう》の|位《くらい》につき、二|年《ねん》イスラエルを|治《おさ》めた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さてサウルはイスラエルびと三千を|選《えら》んだ。二千はサウルと|共《とも》にミクマシ、およびベテルの|山地《さんち》におり、一千はヨナタンと|共《とも》にベニヤミンのギベアにいた。サウルはその|他《た》の|民《たみ》を、おのおの、その|天幕《てんまく》に|帰《かえ》らせた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは、ゲバにあるペリシテびとの|守備《しゅび》|兵《へい》を|敗《やぶ》った。ペリシテびとはそのことを|聞《き》いた。そこで、サウルは|国中《くにぢゅう》に、あまねく|角笛《つのぶえ》を|吹《ふ》きならして|言《い》わせた、「ヘブルびとよ、|聞《き》け」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人《ひと》は|皆《みな》、サウルがペリシテびとの|守備《しゅび》|兵《へい》を|敗《やぶ》ったこと、そしてイスラエルがペリシテびとに|憎《にく》まれるようになったことを|聞《き》いた。こうして|民《たみ》は|召《め》されて、ギルガルのサウルのもとに|集《あつ》まった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはイスラエルと|戦《たたか》うために|集《あつ》まった。|戦車《せんしゃ》三千、|騎兵《きへい》六千、|民《たみ》は|浜《はま》べの|砂《すな》のように|多《おお》かった。|彼《かれ》らは|上《のぼ》ってきて、ベテアベンの|東《ひがし》のミクマシに|陣《じん》を|張《は》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルびとは、ひどく|圧迫《あっぱく》され、|味方《みかた》が|危《あやう》くなったのを|見《み》て、ほら|穴《あな》に、|縦穴《たてあな》に、|岩《いわ》に、|墓《はか》に、ため|池《いけ》に|身《み》を|隠《かく》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、あるヘブルびとはヨルダンを|渡《わた》って、ガドとギレアデの|地《ち》へ|行《い》った。しかしサウルはなおギルガルにいて、|民《たみ》はみな、ふるえながら|彼《かれ》に|従《したが》った。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]サウルは、サムエルが|定《さだ》めたように、|七日《なぬか》のあいだ|待《ま》ったが、サムエルがギルガルにこなかったので、|民《たみ》は|彼《かれ》を|離《はな》れて|散《ち》って|行《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは|言《い》った、「|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をわたしの|所《ところ》に|持《も》ってきなさい」。こうして|彼《かれ》は|燔祭《はんさい》をささげた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|燔祭《はんさい》をささげ|終《おわ》ると、サムエルがきた。サウルはあいさつをしようと、|彼《かれ》を|迎《むか》えに|出《で》た。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サムエルは|言《い》った、「あなたは|何《なに》をしたのですか」。サウルは|言《い》った、「|民《たみ》はわたしを|離《はな》れて|散《ち》って|行《い》き、あなたは|定《さだ》まった|日《ひ》のうちにこられないのに、ペリシテびとがミクマシに|集《あつ》まったのを|見《み》たので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、ペリシテびとが|今《いま》にも、ギルガルに|下《くだ》ってきて、わたしを|襲《おそ》うかも|知《し》れないのに、わたしはまだ|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを|求《もと》めることをしていないと|思《おも》い、やむを|得《え》ず|燔祭《はんさい》をささげました」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはサウルに|言《い》った、「あなたは|愚《おろ》かなことをした。あなたは、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|命《めい》じられた|命令《めいれい》を|守《まも》らなかった。もし|守《まも》ったならば、|主《しゅ》は|今《いま》あなたの|王国《おうこく》を|長《なが》くイスラエルの|上《うえ》に|確保《かくほ》されたであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|今《いま》は、あなたの|王国《おうこく》は|続《つづ》かないであろう。|主《しゅ》は|自分《じぶん》の|心《こころ》にかなう|人《ひと》を|求《もと》めて、その|人《ひと》に|民《たみ》の|君《きみ》となることを|命《めい》じられた。あなたが|主《しゅ》の|命《めい》じられた|事《こと》を|守《まも》らなかったからである」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサムエルは|立《た》って、ギルガルからベニヤミンのギベアに|上《のぼ》っていった。  サウルは|共《とも》にいる|民《たみ》を|数《かぞ》えてみたが、おおよそ六百|人《にん》あった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]サウルとその|子《こ》ヨナタン、ならびに、|共《とも》にいる|民《たみ》は、ベニヤミンのゲバにおり、ペリシテびとはミクマシに|陣《じん》を|張《は》っていた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてペリシテびとの|陣《じん》から三つの|部隊《ぶたい》にわかれた|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》が|出《で》てきて、一|部《ぶ》|隊《たい》はオフラの|方《ほう》に|向《む》かって、シュアルの|地《ち》に|行《い》き、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]一|部《ぶ》|隊《たい》はベテホロンの|方《ほう》に|向《む》かい、一|部《ぶ》|隊《たい》は|荒野《あらの》の|方《ほう》のゼボイムの|谷《たに》を|見《み》おろす|境《さかい》の|方《ほう》に|向《む》かった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、イスラエルの|地《ち》にはどこにも|鉄工《てっこう》がいなかった。ペリシテびとが「ヘブルびとはつるぎも、やりも|造《つく》ってはならない」と|言《い》ったからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただしイスラエルの|人《ひと》は|皆《みな》、そのすきざき、くわ、おの、かまに|刃《は》をつけるときは、ペリシテびとの|所《ところ》へ|下《くだ》って|行《い》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すきざきと、くわのための|料金《りょうきん》は一ピムであり、おのに|刃《は》をつけるのと、とげのあるむちを|直《なお》すのは三|分《ぶん》の一シケルであった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それでこの|戦《たたか》いの|日《ひ》には、サウルおよびヨナタンと|共《とも》にいた|民《たみ》の|手《て》には、つるぎもやりもなく、ただサウルとその|子《こ》ヨナタンとがそれを|持《も》っていた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとの|先陣《せんじん》はミクマシの|渡《わた》りに|進《すす》み|出《で》た。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》、サウルの|子《こ》ヨナタンは、その|武器《ぶき》を|執《と》る|若者《わかもの》に「さあ、われわれは|向《む》こう|側《がわ》の、ペリシテびとの|先陣《せんじん》へ|渡《わた》って|行《い》こう」と|言《い》った。しかしヨナタンは|父《ちち》には|告《つ》げなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サウルはギベアのはずれで、ミグロンにある、ざくろの|木《き》の|下《した》にとどまっていたが、|共《とも》にいた|民《たみ》はおおよそ六百|人《にん》であった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またアヒヤはエポデを|身《み》に|着《つ》けて|共《とも》にいた。アヒヤはアヒトブの|子《こ》、アヒトブはイカボデの|兄弟《きょうだい》、イカボデはピネハスの|子《こ》、ピネハスはシロにおいて|主《しゅ》の|祭司《さいし》であったエリの|子《こ》である。|民《たみ》はヨナタンが|出《で》かけることを|知《し》らなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンがペリシテびとの|先陣《せんじん》に|渡《わた》って|行《い》こうとする|渡《わた》りには、|一方《いっぽう》に|険《けわ》しい|岩《いわ》があり、|他方《たほう》にも|険《けわ》しい|岩《いわ》があり、|一方《いっぽう》の|名《な》をボゼヅといい、|他方《たほう》の|名《な》をセネといった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》の一つはミクマシの|前《まえ》にあって|北《きた》にあり、一つはゲバの|前《まえ》にあって|南《みなみ》にあった。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはその|武器《ぶき》を|執《と》る|若者《わかもの》に|言《い》った、「さあ、われわれは、この|割礼《かつれい》なき|者《もの》どもの|先陣《せんじん》へ|渡《わた》って|行《い》こう。|主《しゅ》がわれわれのために|何《なに》か|行《おこな》われるであろう。|多《おお》くの|人《ひと》をもって|救《すく》うのも、|少《すく》ない|人《ひと》をもって|救《すく》うのも、|主《しゅ》にとっては、なんの|妨《さまた》げもないからである」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたの|望《のぞ》みどおりにしなさい。わたしは|一緒《いっしょ》にいます。わたしはあなたと|同《おな》じ|心《こころ》です」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはまた|言《い》った、「われわれは、あの|人々《ひとびと》の|所《ところ》に|渡《わた》っていって、|彼《かれ》らに|身《み》を|現《あらわ》そう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして、もし|彼《かれ》らがわれわれに、『こちらから|行《い》くまで|待《ま》て』と|言《い》うならば、われわれはその|場《ば》にとどまり、|彼《かれ》らの|所《ところ》に|上《のぼ》っていかないであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|彼《かれ》らが『われわれのところへ|上《のぼ》ってこい』と|言《い》うならば、われわれは|上《のぼ》って|行《い》こう。|主《しゅ》が|彼《かれ》らをわれわれの|手《て》に|渡《わた》されるからである。これをもってしるしとしよう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてふたりはペリシテびとの|先陣《せんじん》に、その|身《み》を|現《あらわ》したので、ペリシテびとは|言《い》った、「|見《み》よ、ヘブルびとが、|隠《かく》れていた|穴《あな》から|出《で》てくる」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|先陣《せんじん》の|人々《ひとびと》はヨナタンと、その|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》に|叫《さけ》んで|言《い》った、「われわれのところに|上《のぼ》ってこい。|目《め》に、もの|見《み》せてくれよう」。ヨナタンは、その|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》に|言《い》った、「わたしのあとについて|上《のぼ》ってきなさい。|主《しゅ》は|彼《かれ》らをイスラエルの|手《て》に|渡《わた》されたのだ」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨナタンはよじ|登《のぼ》り、|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》もそのあとについて|登《のぼ》った。ペリシテびとはヨナタンの|前《まえ》に|倒《たお》れた。|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》も、あとについていってペリシテびとを|殺《ころ》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンとその|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》とが、|手始《てはじ》めに|殺《ころ》したものは、おおよそ二十|人《にん》であって、このことは一くびきの|牛《うし》の|耕《たがや》す|畑《はたけ》のおおよそ|半分《はんぶん》の|内《うち》で|行《おこな》われた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そして|陣営《じんえい》にいる|者《もの》、|野《の》にいるもの、およびすべての|民《たみ》は|恐怖《きょうふ》に|襲《おそ》われ、|先陣《せんじん》のもの、および|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》までも、|恐《おそ》れおののいた。また|地《ち》は|震《ふる》い|動《うご》き、|非常《ひじょう》に|大《おお》きな|恐怖《きょうふ》となった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンのギベアにいたサウルの|番兵《ばんぺい》たちが|見《み》ると、ペリシテびとの|群衆《ぐんしゅう》はくずれて|右往左往《うおうさおう》していた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サウルは、|共《とも》にいる|民《たみ》に|言《い》った、「|人数《にんずう》を|調《しら》べて、われわれのうちのだれが|出《で》て|行《い》ったかを|見《み》よ」。|人数《にんずう》を|調《しら》べたところ、ヨナタンとその|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》とがそこにいなかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]サウルはアヒヤに|言《い》った、「エポデをここに|持《も》ってきなさい」。その|時《とき》、アヒヤはイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》でエポデを|身《み》に|着《つ》けていたからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]サウルが|祭司《さいし》に|語《かた》っている|間《あいだ》にも、ペリシテびとの|陣営《じんえい》の|騒《さわ》ぎはますます|大《おお》きくなったので、サウルは|祭司《さいし》に|言《い》った、「|手《て》を|引《ひ》きなさい」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサウルおよび|共《とも》にいる|民《たみ》は|皆《みな》、|集《あつ》まって|戦《たたか》いに|出《で》た。ペリシテびとはつるぎをもって|同志《どうし》|打《う》ちしたので、|非常《ひじょう》に|大《おお》きな|混乱《こんらん》となった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また|先《さき》にペリシテびとと|共《とも》にいて、|彼《かれ》らと|共《とも》に|陣営《じんえい》にきていたヘブルびとたちも、|翻《ひるがえ》ってサウルおよびヨナタンと|共《とも》にいるイスラエルびとにつくようになった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またエフライムの|山地《さんち》に|身《み》を|隠《かく》していたイスラエルびとたちも|皆《みな》、ペリシテびとが|逃《に》げると|聞《き》いて、|彼《かれ》らもまた|戦《たたか》いに|出《で》て、それを|追撃《ついげき》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》はその|日《ひ》イスラエルを|救《すく》われた。そして|戦《たたか》いはベテアベンに|移《うつ》った。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|日《ひ》イスラエルの|人々《ひとびと》は|苦《くる》しんだ。これはサウルが|民《たみ》に|誓《ちか》わせて「|夕方《ゆうがた》まで、わたしが|敵《てき》にあだを|返《かえ》すまで、|食物《しょくもつ》を|食《た》べる|者《もの》は、のろわれる」と|言《い》ったからである。それゆえ|民《たみ》のうちには、ひとりも|食物《しょくもつ》を|口《くち》にしたものはなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ところで、|民《たみ》がみな|森《もり》の|中《なか》にはいると、|地《ち》のおもてに|蜜《みつ》があった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|森《もり》にはいった|時《とき》、|蜜《みつ》のしたたっているのを|見《み》た。しかしだれもそれを|手《て》に|取《と》って|口《くち》につけるものがなかった。|民《たみ》が|誓《ちか》いを|恐《おそ》れたからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかしヨナタンは、|父《ちち》が|民《たみ》に|誓《ちか》わせたことを|聞《き》かなかったので、|手《て》を|伸《の》べてつえの|先《さき》を|蜜《みつ》ばちの|巣《す》に|浸《ひた》し、|手《て》に|取《と》って|口《くち》につけた。すると|彼《かれ》は|目《め》がはっきりした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|民《たみ》のひとりが|言《い》った、「あなたの|父《ちち》は、かたく|民《たみ》に|誓《ちか》わせて『きょう、|食物《しょくもつ》を|食《た》べる|者《もの》は、のろわれる』と|言《い》われました。それで|民《たみ》は|疲《つか》れているのです」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|言《い》った、「|父《ちち》は|国《くに》を|悩《なや》ませました。ごらんなさい。この|蜜《みつ》をすこしなめたばかりで、わたしの|目《め》がこんなに、はっきりしたではありませんか。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]まして、|民《たみ》がきょう|敵《てき》からぶんどった|物《もの》を、じゅうぶん|食《た》べていたならば、さらに|多《おお》くのペリシテびとを|殺《ころ》していたでしょうに」。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》イスラエルびとは、ペリシテびとを|撃《う》って、ミクマシからアヤロンに|及《およ》んだ。そして|民《たみ》は、ひじょうに|疲《つか》れたので、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ぶんどり|物《もの》に、はせかかって、|羊《ひつじ》、|牛《うし》、|子《こ》|牛《うし》を|取《と》って、それを|地《ち》の|上《うえ》に|殺《ころ》し、|血《ち》のままでそれを|食《た》べた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はサウルに|言《い》った、「|民《たみ》は|血《ち》のままで|食《た》べて、|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》しています」。サウルは|言《い》った、「あなたがたはそむいている。この|所《ところ》へ、わたしのもとに|大《おお》きな|石《いし》をころがしてきなさい」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]サウルはまた|言《い》った、「あなたがたは|分《わか》れて、|民《たみ》の|中《なか》にはいって、|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『おのおの|牛《うし》または、|羊《ひつじ》を|引《ひ》いてきてここでほふって|食《た》べなさい。|血《ち》のままで|食《た》べて、|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》してはならない』」。そこで|民《たみ》は|皆《みな》、その|夜《よる》、おのおの|牛《うし》を|引《ひ》いてきて、それを、その|所《ところ》でほふった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサウルは|主《しゅ》に一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。これはサウルが|主《しゅ》のために|築《きず》いた|最初《さいしょ》の|祭壇《さいだん》である。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「われわれは|夜《よる》のうちにペリシテびとを|追《お》って|下《くだ》り、|夜明《よあ》けまで|彼《かれ》らをかすめて、ひとりも|残《のこ》らぬようにしよう」。|人々《ひとびと》は|言《い》った、「|良《よ》いと|思《おも》われることを、なんでもしてください」。しかし|祭司《さいし》は|言《い》った、「われわれは、ここで、|神《かみ》に|尋《たず》ねましょう」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは|神《かみ》に|伺《うかが》った、「わたしはペリシテびとを|追《お》って|下《くだ》るべきでしょうか。あなたは|彼《かれ》らをイスラエルの|手《て》に|渡《わた》されるでしょうか」。しかし|神《かみ》はその|日《ひ》は|答《こた》えられなかった。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは|言《い》った、「|民《たみ》の|長《ちょう》たちよ、みなこの|所《ところ》に|近《ちか》よりなさい。あなたがたは、よく|見《み》きわめて、きょうのこの|罪《つみ》が|起《お》きたわけを|知《し》らなければならない。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルを|救《すく》う|主《しゅ》は|生《い》きておられる。たとい、それがわたしの|子《こ》ヨナタンであっても、|必《かなら》ず|死《し》ななければならない」。しかし|民《たみ》のうちにはひとりも、これに|答《こた》えるものがいなかった。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルはイスラエルのすべての|人《ひと》に|言《い》った、「あなたがたは|向《む》こう|側《がわ》にいなさい。わたしとわたしの|子《こ》ヨナタンはこちら|側《がわ》にいましょう」。|民《たみ》はサウルに|言《い》った、「|良《よ》いと|思《おも》われることをしてください」。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたはきょう、なにゆえしもべに|答《こた》えられなかったのですか。もしこの|罪《つみ》がわたしにあるか、またはわたしの|子《こ》ヨナタンにあるのでしたら、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、ウリムをお|与《あた》えください。しかし、もしこの|罪《つみ》が、あなたの|民《たみ》イスラエルにあるのでしたらトンミムをお|与《あた》えください」。こうしてヨナタンとサウルとが、くじに|当《あた》り、|民《たみ》はのがれた。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「わたしか、わたしの|子《こ》ヨナタンかを|決《き》めるために、くじを|引《ひ》きなさい」。くじはヨナタンに|当《あた》った。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]サウルはヨナタンに|言《い》った、「あなたがしたことを、わたしに|言《い》いなさい」。ヨナタンは|言《い》った、「わたしは|確《たし》かに|手《て》にあったつえの|先《さき》に|少《すこ》しばかりの|蜜《みつ》をつけて、なめました。わたしはここにいます。|死《し》は|覚悟《かくご》しています」。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「|神《かみ》がわたしをいくえにも|罰《ばっ》してくださるように。ヨナタンよ、あなたは|必《かなら》ず|死《し》ななければならない」。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|民《たみ》はサウルに|言《い》った、「イスラエルのうちにこの|大《おお》いなる|勝利《しょうり》をもたらしたヨナタンが|死《し》ななければならないのですか。|決《けっ》してそうではありません。|主《しゅ》は|生《い》きておられます。ヨナタンの|髪《かみ》の|毛《け》一すじも|地《ち》に|落《おと》してはなりません。|彼《かれ》は|神《かみ》と|共《とも》にきょう|働《はたら》いたのです」。こうして|民《たみ》はヨナタンを|救《すく》ったので|彼《かれ》は|死《し》を|免《まぬか》れた。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]サウルはペリシテびとを|追《お》うことをやめて|引《ひ》きあげ、ペリシテびとはその|国《くに》へ|帰《かえ》った。  [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはイスラエルの|王《おう》となって、|周囲《しゅうい》のもろもろの|敵《てき》、すなわちモアブ、アンモンの|人々《ひとびと》、エドム、ゾバの|王《おう》たちおよびペリシテびとと|戦《たたか》い、すべて|向《む》かう|所《ところ》で|勝利《しょうり》を|得《え》た。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|勇《いさ》ましく|働《はたら》き、アマレクびとを|撃《う》って、イスラエルびとを|略奪者《りゃくだつしゃ》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》した。  [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]さて、サウルのむすこたちはヨナタン、エスイ、およびマルキシュアである。ふたりの|娘《むすめ》の|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|姉《あね》の|名《な》はメラブ、|妹《いもうと》の|名《な》はミカルである。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|妻《つま》の|名《な》はアヒノアムといい、アヒマアズの|娘《むすめ》である。また|軍《ぐん》の|長《ちょう》の|名《な》はアブネルといい、サウルのおじネルの|子《こ》である。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|父《ちち》キシとアブネルの|父《ちち》ネルとは、アビエルの|子《こ》である。  [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、ペリシテびとと|激《はげ》しい|戦《たたか》いがあった。サウルは|力《ちから》の|強《つよ》い|人《ひと》や|勇気《ゆうき》のある|人《ひと》を|見《み》るごとに、それを|召《め》しかかえた。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、サムエルはサウルに|言《い》った、「|主《しゅ》は、わたしをつかわし、あなたに|油《あぶら》をそそいで、その|民《たみ》イスラエルの|王《おう》とされました。それゆえ、|今《いま》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、『わたしは、アマレクがイスラエルにした|事《こと》、すなわちイスラエルがエジプトから|上《のぼ》ってきた|時《とき》、その|途中《とちゅう》で|敵対《てきたい》したことについて|彼《かれ》らを|罰《ばっ》するであろう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》、|行《い》ってアマレクを|撃《う》ち、そのすべての|持《も》ち|物《もの》を|滅《ほろ》ぼしつくせ。|彼《かれ》らをゆるすな。|男《おとこ》も|女《おんな》も、|幼《おさ》な|子《こ》も|乳飲《ちの》み|子《ご》も、|牛《うし》も|羊《ひつじ》も、らくだも、ろばも|皆《みな》、|殺《ころ》せ』」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|民《たみ》を|呼《よ》び|集《あつ》め、テライムで|人数《にんずう》を|調《しら》べたところ、|歩兵《ほへい》は二十万、ユダの|人《ひと》は一万であった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてサウルはアマレクの|町《まち》へ|行《い》って、|谷《たに》に|兵《へい》を|伏《ふ》せた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]サウルはケニびとに|言《い》った、「さあ、あなたがたはアマレクびとを|離《はな》れて、|下《くだ》っていってください。|彼《かれ》らと|一緒《いっしょ》にあなたがたを|滅《ほろ》ぼすようなことがあってはならない。あなたがたは、イスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトから|上《のぼ》ってきた|時《とき》、|親切《しんせつ》にしてくれたのですから」。そこでケニびとはアマレクびとを|離《はな》れて|行《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはアマレクびとを|撃《う》って、ハビラからエジプトの|東《ひがし》にあるシュルにまで|及《およ》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてアマレクびとの|王《おう》アガグをいけどり、つるぎをもってその|民《たみ》をことごとく|滅《ほろ》ぼした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしサウルと|民《たみ》はアガグをゆるし、また|羊《ひつじ》と|牛《うし》の|最《もっと》も|良《よ》いもの、|肥《こ》えたものならびに|小羊《こひつじ》と、すべての|良《よ》いものを|残《のこ》し、それらを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》すことを|好《この》まず、ただ|値《ね》うちのない、つまらない|物《もの》を|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》した。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がサムエルに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはサウルを|王《おう》としたことを|悔《く》いる。|彼《かれ》がそむいて、わたしに|従《したが》わず、わたしの|言葉《ことば》を|行《おこな》わなかったからである」。サムエルは|怒《いか》って、|夜通《よどお》し、|主《しゅ》に|呼《よ》ばわった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そして|朝《あさ》サウルに|会《あ》うため、|早《はや》く|起《お》きたが、サムエルに|告《つ》げる|人《ひと》があった、「サウルはカルメルにきて、|自分《じぶん》のために|戦勝《せんしょう》|記念碑《きねんひ》を|建《た》て、|身《み》をかえして|進《すす》み、ギルガルへ|下《くだ》って|行《い》きました」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]サムエルがサウルのもとへ|来《く》ると、サウルは|彼《かれ》に|言《い》った、「どうぞ、|主《しゅ》があなたを|祝福《しゅくふく》されますように。わたしは|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|実行《じっこう》しました」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|言《い》った、「それならば、わたしの|耳《みみ》にはいる、この|羊《ひつじ》の|声《こえ》と、わたしの|聞《き》く|牛《うし》の|声《こえ》は、いったい、なんですか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「|人々《ひとびと》がアマレクびとの|所《ところ》から|引《ひ》いてきたのです。|民《たみ》は、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげるために、|羊《ひつじ》と|牛《うし》の|最《もっと》も|良《よ》いものを|残《のこ》したのです。そのほかは、われわれが|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》しました」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはサウルに|言《い》った、「おやめなさい。|昨夜《さくや》、|主《しゅ》がわたしに|言《い》われたことを、あなたに|告《つ》げましょう」。サウルは|彼《かれ》に|言《い》った、「|言《い》ってください」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|言《い》った、「たとい、|自分《じぶん》では|小《ちい》さいと|思《おも》っても、あなたはイスラエルの|諸部族《しょぶぞく》の|長《ちょう》ではありませんか。|主《しゅ》はあなたに|油《あぶら》を|注《そそ》いでイスラエルの|王《おう》とされた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はあなたに|使命《しめい》を|授《さづ》け、つかわして|言《い》われた、『|行《い》って、|罪《つみ》びとなるアマレクびとを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》せ。|彼《かれ》らを|皆殺《みなごろ》しにするまで|戦《たたか》え』。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それであるのに、どうしてあなたは|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わないで、ぶんどり|物《もの》にとびかかり、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなったのですか」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルはサムエルに|言《い》った、「わたしは|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、|主《しゅ》がつかわされた|使命《しめい》を|帯《お》びて|行《い》き、アマレクの|王《おう》アガグを|連《つ》れてきて、アマレクびとを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》しました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|民《たみ》は|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》すべきもののうち|最《もっと》も|良《よ》いものを、ギルガルで、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげるため、ぶんどり|物《もの》のうちから|羊《ひつじ》と|牛《うし》を|取《と》りました」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》はそのみ|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》う|事《こと》を|喜《よろこ》ばれるように、 |燔祭《はんさい》や|犠牲《ぎせい》を|喜《よろこ》ばれるであろうか。 |見《み》よ、|従《したが》うことは|犠牲《ぎせい》にまさり、 |聞《き》くことは|雄羊《おひつじ》の|脂肪《しぼう》にまさる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そむくことは|占《うらな》いの|罪《つみ》に|等《ひと》しく、 |強情《ごうじょう》は|偶像《ぐうぞう》|礼拝《れいはい》の|罪《つみ》に|等《ひと》しいからである。 あなたが|主《しゅ》のことばを|捨《す》てたので、 |主《しゅ》もまたあなたを|捨《す》てて、|王《おう》の|位《くらい》から|退《しりぞ》けられた」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]サウルはサムエルに|言《い》った、「わたしは|主《しゅ》の|命令《めいれい》とあなたの|言葉《ことば》にそむいて|罪《つみ》を|犯《おか》しました。|民《たみ》を|恐《おそ》れて、その|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》ったからです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、|今《いま》わたしの|罪《つみ》をゆるし、わたしと|一緒《いっしょ》に|帰《かえ》って、|主《しゅ》を|拝《おが》ませてください」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはサウルに|言《い》った、「あなたと|一緒《いっしょ》に|帰《かえ》りません。あなたが|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|捨《す》てたので、|主《しゅ》もあなたを|捨《す》てて、イスラエルの|王位《おうい》から|退《しりぞ》けられたからです」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサムエルが|去《さ》ろうとして|身《み》をかえした|時《とき》、サウルがサムエルの|上着《うわぎ》のすそを|捕《とら》えたので、それは|裂《さ》けた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|彼《かれ》に|言《い》った、「|主《しゅ》はきょう、あなたからイスラエルの|王国《おうこく》を|裂《さ》き、もっと|良《よ》いあなたの|隣人《りんじん》に|与《あた》えられた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|栄光《えいこう》は|偽《いつわ》ることもなく、|悔《く》いることもない。|彼《かれ》は|人《ひと》ではないから|悔《く》いることはない」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》しましたが、どうぞ、|民《たみ》の|長老《ちょうろう》たち、およびイスラエルの|前《まえ》で、わたしを|尊《たっと》び、わたしと|一緒《いっしょ》に|帰《かえ》って、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|拝《おが》ませてください」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そこでサムエルはサウルのあとについて|帰《かえ》った。そしてサウルは|主《しゅ》を|拝《おが》んだ。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にサムエルは|言《い》った、「わたしの|所《ところ》にアマレクびとの|王《おう》アガグを|引《ひ》いてきなさい」。アガグはうれしそうにサムエルの|所《ところ》にきた。アガグは「|死《し》の|苦《くる》しみはきっと|過《す》ぎ|去《さ》ったのだ」と|思《おも》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|言《い》った、「あなたのつるぎは|多《おお》くの|女《おんな》に|子供《こども》を|失《うしな》わせた。そのようにあなたの|母《はは》も|女《おんな》のうちで|最《もっと》も|無惨《むざん》に|子供《こども》を|失《うしな》う|者《もの》となるであろう」。サムエルはギルガルで|主《しゅ》の|前《まえ》に、アガグを|寸断《すんだん》した。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そしてサムエルはラマに|行《い》き、サウルは|故郷《こきょう》のギベアに|上《のぼ》って、その|家《いえ》に|帰《かえ》った。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|死《し》ぬ|日《ひ》まで、二|度《ど》とサウルを|見《み》なかった。しかしサムエルはサウルのために|悲《かな》しんだ。また|主《しゅ》はサウルをイスラエルの|王《おう》としたことを|悔《く》いられた。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて|主《しゅ》はサムエルに|言《い》われた、「わたしがすでにサウルを|捨《す》てて、イスラエルの|王位《おうい》から|退《しりぞ》けたのに、あなたはいつまで|彼《かれ》のために|悲《かな》しむのか。|角《つの》に|油《あぶら》を|満《み》たし、それをもって|行《い》きなさい。あなたをベツレヘムびとエッサイのもとにつかわします。わたしはその|子《こ》たちのうちにひとりの|王《おう》を|捜《さが》し|得《え》たからである」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|言《い》った、「どうしてわたしは|行《い》くことができましょう。サウルがそれを|聞《き》けば、わたしを|殺《ころ》すでしょう」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「一|頭《とう》の|子《こ》|牛《うし》を|引《ひ》いていって、『|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげるためにきました』と|言《い》いなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてエッサイを|犠牲《ぎせい》の|場所《ばしょ》に|呼《よ》びなさい。その|時《とき》わたしはあなたのすることを|示《しめ》します。わたしがあなたに|告《つ》げる|人《ひと》に|油《あぶら》を|注《そそ》がなければならない」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|主《しゅ》が|命《めい》じられたようにして、ベツレヘムへ|行《い》った。|町《まち》の|長老《ちょうろう》たちは、|恐《おそ》れながら|出《で》て、|彼《かれ》を|迎《むか》え、「|穏《おだ》やかな|事《こと》のためにこられたのですか」と|言《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|言《い》った、「|穏《おだ》やかな|事《こと》のためです。わたしは|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげるためにきました。|身《み》をきよめて、|犠牲《ぎせい》の|場所《ばしょ》にわたしと|共《とも》にきてください」。そしてサムエルはエッサイとその|子《こ》たちをきよめて|犠牲《ぎせい》の|場《ば》に|招《まね》いた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがきた|時《とき》、サムエルはエリアブを|見《み》て、「|自分《じぶん》の|前《まえ》にいるこの|人《ひと》こそ、|主《しゅ》が|油《あぶら》をそそがれる|人《ひと》だ」と|思《おも》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はサムエルに|言《い》われた、「|顔《かお》かたちや|身《み》のたけを|見《み》てはならない。わたしはすでにその|人《ひと》を|捨《す》てた。わたしが|見《み》るところは|人《ひと》とは|異《こと》なる。|人《ひと》は|外《そと》の|顔《かお》かたちを|見《み》、|主《しゅ》は|心《こころ》を|見《み》る」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでエッサイはアビナダブを|呼《よ》んでサムエルの|前《まえ》を|通《とお》らせた。サムエルは|言《い》った、「|主《しゅ》が|選《えら》ばれたのはこの|人《ひと》でもない」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エッサイはシャンマを|通《とお》らせたが、サムエルは|言《い》った、「|主《しゅ》が|選《えら》ばれたのはこの|人《ひと》でもない」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エッサイは七|人《にん》の|子《こ》にサムエルの|前《まえ》を|通《とお》らせたが、サムエルはエッサイに|言《い》った、「|主《しゅ》が|選《えら》ばれたのはこの|人《ひと》たちではない」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはエッサイに|言《い》った、「あなたのむすこたちは|皆《みな》ここにいますか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「まだ|末《すえ》の|子《こ》が|残《のこ》っていますが|羊《ひつじ》を|飼《か》っています」。サムエルはエッサイに|言《い》った、「|人《ひと》をやって|彼《かれ》を|連《つ》れてきなさい。|彼《かれ》がここに|来《く》るまで、われわれは|食卓《しょくたく》につきません」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人《ひと》をやって|彼《かれ》をつれてきた。|彼《かれ》は|血色《けっしょく》のよい、|目《め》のきれいな、|姿《すがた》の|美《うつく》しい|人《ひと》であった。|主《しゅ》は|言《い》われた、「|立《た》ってこれに|油《あぶら》をそそげ。これがその|人《ひと》である」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|油《あぶら》の|角《つの》をとって、その|兄弟《きょうだい》たちの|中《なか》で、|彼《かれ》に|油《あぶら》をそそいだ。この|日《ひ》からのち、|主《しゅ》の|霊《れい》は、はげしくダビデの|上《うえ》に|臨《のぞ》んだ。そしてサムエルは|立《た》ってラマへ|行《い》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]さて|主《しゅ》の|霊《れい》はサウルを|離《はな》れ、|主《しゅ》から|来《く》る|悪霊《あくれい》が|彼《かれ》を|悩《なや》ました。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|家来《けらい》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「ごらんなさい。|神《かみ》から|来《く》る|悪霊《あくれい》があなたを|悩《なや》ましているのです。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、われわれの|主君《しゅくん》が、あなたの|前《まえ》に|仕《つか》えている|家来《けらい》たちに|命《めい》じて、じょうずに|琴《こと》をひく|者《もの》ひとりを|捜《さが》させてください。|神《かみ》から|来《く》る|悪霊《あくれい》があなたに|臨《のぞ》む|時《とき》、|彼《かれ》が|手《て》で|琴《こと》をひくならば、あなたは|良《よ》くなられるでしょう」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは|家来《けらい》たちに|言《い》った、「じょうずに|琴《こと》をひく|者《もの》を|捜《さが》して、わたしのもとに|連《つ》れてきなさい」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ひとりの|若者《わかもの》がこたえた、「わたしはベツレヘムびとエッサイの|子《こ》を|見《み》ましたが、|琴《こと》がじょうずで、|勇気《ゆうき》もあり、いくさびとで、|弁舌《べんぜつ》にひいで、|姿《すがた》の|美《うつく》しい|人《ひと》です。また|主《しゅ》が|彼《かれ》と|共《とも》におられます」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルはエッサイのもとに|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》った、「|羊《ひつじ》を|飼《か》っているあなたの|子《こ》ダビデをわたしのもとによこしなさい」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エッサイは、ろばにパンを|負《お》わせ、|皮《かわ》|袋《ぶくろ》にいれたぶどう|酒《しゅ》一|袋《ふくろ》と、やぎの|子《こ》とを|取《と》って、その|子《こ》ダビデの|手《て》によってサウルに|送《おく》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはサウルのもとにきて、|彼《かれ》に|仕《つか》えた。サウルはひじょうにこれを|愛《あい》して、その|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》とした。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またサウルは|人《ひと》をつかわしてエッサイに|言《い》った、「ダビデをわたしに|仕《つか》えさせてください。|彼《かれ》はわたしの|心《こころ》にかないました」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》から|出《で》る|悪霊《あくれい》がサウルに|臨《のぞ》む|時《とき》、ダビデは|琴《こと》をとり、|手《て》でそれをひくと、サウルは|気《き》が|静《しず》まり、|良《よ》くなって、|悪霊《あくれい》は|彼《かれ》を|離《はな》れた。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとは、|軍《ぐん》を|集《あつ》めて|戦《たたか》おうとし、ユダに|属《ぞく》するソコに|集《あつ》まって、ソコとアゼカの|間《あいだ》にあるエペス・ダミムに|陣取《じんど》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サウルとイスラエルの|人々《ひとびと》は|集《あつ》まってエラの|谷《たに》に|陣取《じんど》り、ペリシテびとに|対《たい》して|戦列《せんれつ》をしいた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは|向《む》こうの|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》ち、イスラエルはこちらの|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》った。その|間《かん》に|谷《たに》があった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ペリシテびとの|陣《じん》から、ガテのゴリアテという|名《な》の、|戦《たたか》いをいどむ|者《もの》が|出《で》てきた。|身《み》のたけは六キュビト|半《はん》。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|頭《あたま》には|青銅《せいどう》のかぶとを|頂《いただ》き、|身《み》には、うろことじのよろいを|着《き》ていた。そのよろいは|青銅《せいどう》で|重《おも》さ五千シケル。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|足《あし》には|青銅《せいどう》のすね|当《とう》を|着《つ》け、|肩《かた》には|青銅《せいどう》の|投《な》げやりを|背負《せお》っていた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|手《て》に|持《も》っているやりの|柄《え》は、|機《はた》の|巻棒《まきぼう》のようであり、やりの|穂《ほ》の|鉄《てつ》は六百シケルであった。|彼《かれ》の|前《まえ》には、|盾《たて》を|執《と》る|者《もの》が|進《すす》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ゴリアテは|立《た》ってイスラエルの|戦列《せんれつ》に|向《む》かって|叫《さけ》んだ、「なにゆえ|戦列《せんれつ》をつくって|出《で》てきたのか。わたしはペリシテびと、おまえたちはサウルの|家来《けらい》ではないか。おまえたちから、ひとりを|選《えら》んで、わたしのところへ|下《くだ》ってこさせよ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もしその|人《ひと》が|戦《たたか》ってわたしを|殺《ころ》すことができたら、われわれはおまえたちの|家来《けらい》となる。しかしわたしが|勝《か》ってその|人《ひと》を|殺《ころ》したら、おまえたちは、われわれの|家来《けらい》になって|仕《つか》えなければならない」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またこのペリシテびとは|言《い》った、「わたしは、きょうイスラエルの|戦列《せんれつ》にいどむ。ひとりを|出《だ》して、わたしと|戦《たたか》わせよ」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]サウルとイスラエルのすべての|人《ひと》は、ペリシテびとのこの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|驚《おどろ》き、ひじょうに|恐《おそ》れた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さて、ダビデはユダのベツレヘムにいたエフラタびとエッサイという|名《な》の|人《ひと》の|子《こ》で、この|人《ひと》に|八《はち》|人《にん》の|子《こ》があったが、サウルの|世《よ》には|年《とし》が|進《すす》んで、すでに|年老《としお》いていた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エッサイの|子《こ》らのうち、|上《うえ》の三|人《にん》はサウルに|従《したが》って|戦争《せんそう》に|出《で》た。その|戦《たたか》いに|出《で》た三|人《にん》の|子《こ》の|名《な》は、|長子《ちょうし》をエリアブといい、|次《つぎ》をアビナダブといい、|第《だい》三をシャンマと|言《い》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|末《すえ》の|子《こ》であって、|兄《あに》三|人《にん》はサウルにしたがった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはサウルの|所《ところ》から|行《い》ったりきたりして、ベツレヘムで|父《ちち》の|羊《ひつじ》を|飼《か》っていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あのペリシテびとは四十|日《にち》の|間《あいだ》、|朝夕《あさゆう》|出《で》てきて、|彼《かれ》らの|前《まえ》に|立《た》った。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、エッサイはその|子《こ》ダビデに|言《い》った、「|兄《あに》たちのため、このいり|麦《むぎ》一エパと、この十|個《こ》のパンをとって、|急《いそ》いで|陣営《じんえい》にいる|兄《あに》の|所《ところ》へ|持《も》っていきなさい。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またこの十の|乾酪《かんらく》を|取《と》って、千|人《にん》の|長《ちょう》にもって|行《い》き、|兄《あに》たちの|安否《あんぴ》を|見《み》とどけて、そのしるしをもらってきなさい」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]さてサウルと|彼《かれ》らおよびイスラエルのすべての|人《ひと》は、エラの|谷《たに》でペリシテびとと|戦《たたか》っていた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|朝《あさ》はやく|起《お》きて、|羊《ひつじ》を|番人《ばんにん》に|託《たく》し、エッサイが|命《めい》じたように|食料《しょくりょう》|品《ひん》を|携《たずさ》えて|行《い》った。|彼《かれ》が|陣営《じんえい》に|着《つ》いた|時《とき》、|軍勢《ぐんぜい》は、ときの|声《こえ》をあげて|戦線《せんせん》に|出《で》ようとしていた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルとペリシテびととは|戦列《せんれつ》を|敷《し》いて、|軍《ぐん》と|軍《ぐん》と|向《む》き|合《あ》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|荷物《にもつ》をおろして、|荷物《にもつ》を|守《まも》る|者《もの》にあずけ、|戦列《せんれつ》の|方《ほう》へ|走《はし》って、|兄《あに》たちの|所《ところ》へ|行《い》き、|彼《かれ》らの|安否《あんぴ》を|尋《たず》ねた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|兄《あに》たちと|語《かた》っている|時《とき》、ペリシテびとの|戦列《せんれつ》から、ガテのペリシテびとで、|名《な》をゴリアテという、あの|戦《たたか》いをいどむ|者《もの》が|上《のぼ》ってきて、|前《まえ》と|同《おな》じ|言葉《ことば》を|言《い》ったので、ダビデはそれを|聞《き》いた。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのすべての|人《ひと》は、その|人《ひと》を|見《み》て、|避《さ》けて|逃《に》げ、ひじょうに|恐《おそ》れた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はまた|言《い》った、「あなたがたは、あの|上《のぼ》ってきた|人《ひと》を|見《み》たか。|確《たし》かにイスラエルにいどむために|上《のぼ》ってきたのだ。|彼《かれ》を|殺《ころ》す|人《ひと》は、|王《おう》が|大《おお》いなる|富《とみ》を|与《あた》えて|富《と》ませ、その|娘《むすめ》を|与《あた》え、その|父《ちち》の|家《いえ》にはイスラエルのうちで|税《ぜい》を|免《まぬか》れさせるであろう」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはかたわらに|立《た》っている|人々《ひとびと》に|言《い》った、「このペリシテびとを|殺《ころ》し、イスラエルの|恥《はじ》をすすぐ|人《ひと》には、どうされるのですか。この|割礼《かつれい》なきペリシテびとは|何者《なにもの》なので、|生《い》ける|神《かみ》の|軍《ぐん》をいどむのか」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|前《まえ》と|同《おな》じように、「|彼《かれ》を|殺《ころ》す|人《ひと》にはこうされるであろう」と|答《こた》えた。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|上《うえ》の|兄《あに》エリアブはダビデが|人々《ひとびと》と|語《かた》るのを|聞《き》いて、ダビデに|向《む》かい|怒《いか》りを|発《はっ》して|言《い》った、「なんのために|下《くだ》ってきたのか。|野《の》にいるわずかの|羊《ひつじ》はだれに|託《たく》したのか。あなたのわがままと|悪《わる》い|心《こころ》はわかっている。|戦《たたか》いを|見《み》るために|下《くだ》ってきたのだ」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「わたしが|今《いま》、|何《なに》をしたというのですか。ただひと|言《こと》いっただけではありませんか」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]またふり|向《む》いて、ほかの|人《ひと》に|前《まえ》のように|語《かた》ったところ、|民《たみ》はまた|同《おな》じように|答《こた》えた。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はダビデの|語《かた》った|言葉《ことば》を|聞《き》いて、それをサウルに|告《つ》げたので、サウルは|彼《かれ》を|呼《よ》び|寄《よ》せた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはサウルに|言《い》った、「だれも|彼《かれ》のゆえに|気《き》を|落《おと》してはなりません。しもべが|行《い》ってあのペリシテびとと|戦《たたか》いましょう」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]サウルはダビデに|言《い》った、「|行《い》って、あのペリシテびとと|戦《たたか》うことはできない。あなたは|年少《ねんしょう》だが、|彼《かれ》は|若《わか》い|時《とき》からの|軍人《ぐんじん》だからです」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデはサウルに|言《い》った、「しもべは|父《ちち》の|羊《ひつじ》を|飼《か》っていたのですが、しし、あるいはくまがきて、|群《む》れの|小羊《こひつじ》を|取《と》った|時《とき》、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはそのあとを|追《お》って、これを|撃《う》ち、|小羊《こひつじ》をその|口《くち》から|救《すく》いだしました。その|獣《けもの》がわたしにとびかかってきた|時《とき》は、ひげをつかまえて、それを|撃《う》ち|殺《ころ》しました。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]しもべはすでに、ししと、くまを|殺《ころ》しました。この|割礼《かつれい》なきペリシテびとも、|生《い》ける|神《かみ》の|軍《ぐん》をいどんだのですから、あの|獣《けもの》の一|頭《とう》のようになるでしょう」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまた|言《い》った、「ししのつめ、くまのつめからわたしを|救《すく》い|出《だ》された|主《しゅ》は、またわたしを、このペリシテびとの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》されるでしょう」。サウルはダビデに|言《い》った、「|行《い》きなさい。どうぞ|主《しゅ》があなたと|共《とも》におられるように」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]そしてサウルは|自分《じぶん》のいくさ|衣《ころも》をダビデに|着《き》せ、|青銅《せいどう》のかぶとを、その|頭《あたま》にかぶらせ、また、うろことじのよろいを|身《み》にまとわせた。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは、いくさ|衣《ころも》の|上《うえ》に、つるぎを|帯《お》びて|行《い》こうとしたが、できなかった。それに|慣《な》れていなかったからである。そこでダビデはサウルに|言《い》った、「わたしはこれらのものを|着《つ》けていくことはできません。|慣《な》れていないからです」。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはそれらを|脱《ぬ》ぎすて、|手《て》につえをとり、|谷間《たにま》からなめらかな|石《いし》五|個《こ》を|選《えら》びとって|自分《じぶん》の|持《も》っている|羊飼《ひつじかい》の|袋《ふくろ》に|入《い》れ、|手《て》に|石《いし》|投《な》げを|執《と》って、あのペリシテびとに|近《ちか》づいた。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]そのペリシテびとは|進《すす》んできてダビデに|近《ちか》づいた。そのたてを|執《と》る|者《もの》が|彼《かれ》の|前《まえ》にいた。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは|見《み》まわしてダビデを|見《み》、これを|侮《あなど》った。まだ|若《わか》くて|血色《けっしょく》がよく、|姿《すがた》が|美《うつく》しかったからである。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはダビデに|言《い》った、「つえを|持《も》って、|向《む》かってくるが、わたしは|犬《いぬ》なのか」。ペリシテびとは、また|神々《かみがみ》の|名《な》によってダビデをのろった。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはダビデに|言《い》った、「さあ、|向《む》かってこい。おまえの|肉《にく》を、|空《そら》の|鳥《とり》、|野《の》の|獣《けもの》のえじきにしてくれよう」。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはペリシテびとに|言《い》った、「おまえはつるぎと、やりと、|投《な》げやりを|持《も》って、わたしに|向《む》かってくるが、わたしは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|名《な》、すなわち、おまえがいどんだ、イスラエルの|軍《ぐん》の|神《かみ》の|名《な》によって、おまえに|立《た》ち|向《む》かう。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]きょう、|主《しゅ》は、おまえをわたしの|手《て》にわたされるであろう。わたしは、おまえを|撃《う》って、|首《くび》をはね、ペリシテびとの|軍勢《ぐんぜい》の|死《し》かばねを、きょう、|空《そら》の|鳥《とり》、|地《ち》の|野獣《やじゅう》のえじきにし、イスラエルに、|神《かみ》がおられることを|全《ぜん》|地《ち》に|知《し》らせよう。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]またこの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》も、|主《しゅ》は|救《すくい》を|施《ほどこ》すのに、つるぎとやりを|用《もち》いられないことを|知《し》るであろう。この|戦《たたか》いは|主《しゅ》の|戦《たたか》いであって、|主《しゅ》がわれわれの|手《て》におまえたちを|渡《わた》されるからである」。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]そのペリシテびとが|立《た》ち|上《あ》がり、|近《ちか》づいてきてダビデに|立《た》ち|向《む》かったので、ダビデは|急《いそ》ぎ|戦線《せんせん》に|走《はし》り|出《で》て、ペリシテびとに|立《た》ち|向《む》かった。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|手《て》を|袋《ふくろ》に|入《い》れて、その|中《なか》から一つの|石《いし》を|取《と》り、|石《いし》|投《な》げで|投《な》げて、ペリシテびとの|額《ひたい》を|撃《う》ったので、|石《いし》はその|額《ひたい》に|突《つ》き|入《はい》り、うつむきに|地《ち》に|倒《たお》れた。  [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデは|石《いし》|投《な》げと|石《いし》をもってペリシテびとに|勝《か》ち、ペリシテびとを|撃《う》って、これを|殺《ころ》した。ダビデの|手《て》につるぎがなかったので、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|走《はし》りよってペリシテびとの|上《うえ》に|乗《の》り、そのつるぎを|取《と》って、さやから|抜《ぬ》きはなし、それをもって|彼《かれ》を|殺《ころ》し、その|首《くび》をはねた。ペリシテの|人々《ひとびと》は、その|勇士《ゆうし》が|死《し》んだのを|見《み》て|逃《に》げた。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルとユダの|人々《ひとびと》は|立《た》ちあがり、ときをあげて、ペリシテびとを|追撃《ついげき》し、ガテおよびエクロンの|門《もん》にまで|及《およ》んだ。そのためペリシテびとの|負傷《ふしょう》|者《しゃ》は、シャライムからガテおよびエクロンに|行《い》く|道《みち》の|上《うえ》に|倒《たお》れた。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はペリシテびとの|追撃《ついげき》を|終《お》えて|帰《かえ》り、その|陣営《じんえい》を|略奪《りゃくだつ》した。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは、あのペリシテびとの|首《くび》を|取《と》ってエルサレムへ|持《も》って|行《い》ったが、その|武器《ぶき》は|自分《じぶん》の|天幕《てんまく》に|置《お》いた。  [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]サウルはダビデがあのペリシテびとに|向《む》かって|出《で》ていくのを|見《み》て、|軍《ぐん》の|長《ちょう》アブネルに|言《い》った、「アブネルよ、この|若者《わかもの》はだれの|子《こ》か」。アブネルは|言《い》った、「|王《おう》よ、あなたのいのちにかけて|誓《ちか》います。わたしは|知《し》らないのです」。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「この|若者《わかもの》がだれの|子《こ》か、|尋《たず》ねてみよ」。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが、あのペリシテびとを|殺《ころ》して|帰《かえ》ってきた|時《とき》、アブネルは、ペリシテびとの|首《くび》を|手《て》に|持《も》っている|彼《かれ》を、サウルの|前《まえ》に|連《つ》れて|行《い》った。[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|彼《かれ》に|言《い》った、「|若者《わかもの》よ、あなたはだれの|子《こ》か」。ダビデは|答《こた》えた、「あなたのしもべ、ベツレヘムびとエッサイの|子《こ》です」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがサウルに|語《かた》り|終《お》えた|時《とき》、ヨナタンの|心《こころ》はダビデの|心《こころ》に|結《むす》びつき、ヨナタンは|自分《じぶん》の|命《いのち》のようにダビデを|愛《あい》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》、サウルはダビデを|召《め》しかかえて、|父《ちち》の|家《いえ》に|帰《かえ》らせなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンとダビデとは|契約《けいやく》を|結《むす》んだ。ヨナタンが|自分《じぶん》の|命《いのち》のようにダビデを|愛《あい》したからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|自分《じぶん》が|着《き》ていた|上着《うわぎ》を|脱《ぬ》いでダビデに|与《あた》えた。また、そのいくさ|衣《ころも》、およびつるぎも|弓《ゆみ》も|帯《おび》も、そのようにした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはどこでもサウルがつかわす|所《ところ》に|出《で》て|行《い》って、てがらを|立《た》てたので、サウルは|彼《かれ》を|兵《へい》の|隊長《たいちょう》とした。それはすべての|民《たみ》の|心《こころ》にかない、またサウルの|家来《けらい》たちの|心《こころ》にもかなった。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》が|引《ひ》き|揚《あ》げてきた|時《とき》、すなわちダビデが、かのペリシテびとを|殺《ころ》して|帰《かえ》った|時《とき》、|女《おんな》たちはイスラエルの|町々《まちまち》から|出《で》てきて、|手《て》|鼓《つづみ》と|祝《いわ》い|歌《うた》と|三糸《みついと》の|琴《こと》をもって、|歌《うた》いつ|舞《ま》いつ、サウル|王《おう》を|迎《むか》えた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》たちは|踊《おど》りながら|互《たがい》に|歌《うた》いかわした、 [#ここから2字下げ] 「サウルは千を|撃《う》ち|殺《ころ》し、 ダビデは|万《まん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]サウルは、ひじょうに|怒《いか》り、この|言葉《ことば》に|気《き》を|悪《わる》くして|言《い》った、「ダビデには|万《まん》と|言《い》い、わたしには千と|言《い》う。この|上《うえ》、|彼《かれ》に|与《あた》えるものは、|国《くに》のほかないではないか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]サウルは、この|日《ひ》からのちダビデをうかがった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》の|日《ひ》、|神《かみ》から|来《く》る|悪霊《あくれい》がサウルにはげしく|臨《のぞ》んで、サウルが|家《いえ》の|中《なか》で|狂《くる》いわめいたので、ダビデは、いつものように、|手《て》で|琴《こと》をひいた。その|時《とき》、サウルの|手《て》にやりがあったので、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]サウルは「ダビデを|壁《かべ》に|刺《さ》し|通《とお》そう」と|思《おも》って、そのやりをふり|上《あ》げた。しかしダビデは二|度《ど》|身《み》をかわしてサウルを|避《さ》けた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がサウルを|離《はな》れて、ダビデと|共《とも》におられたので、サウルはダビデを|恐《おそ》れた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえサウルは、ダビデを|遠《とお》ざけて、千|人《にん》の|長《ちょう》としたので、ダビデは|民《たみ》の|先《さき》に|立《た》って|出入《でい》りした。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またダビデは、すべてそのすることに、てがらを|立《た》てた。|主《しゅ》が|共《とも》におられたからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サウルはダビデが|大《おお》きなてがらを|立《た》てるのを|見《み》て|彼《かれ》を|恐《おそ》れたが、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルとユダのすべての|人《ひと》はダビデを|愛《あい》した。|彼《かれ》が|民《たみ》の|先《さき》に|立《た》って|出入《でい》りしたからである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サウルはダビデに|言《い》った、「わたしの|長女《ちょうじょ》メラブを、あなたに|妻《つま》として|与《あた》えよう。ただ、あなたはわたしのために|勇《いさ》ましく、|主《しゅ》の|戦《たたか》いを|戦《たたか》いなさい」。サウルは「|自分《じぶん》の|手《て》で|彼《かれ》を|殺《ころ》さないで、ペリシテびとの|手《て》で|殺《ころ》そう」と|思《おも》ったからである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはサウルに|言《い》った、「わたしは|何者《なにもの》なのでしょう。わたしの|親族《しんぞく》、わたしの|父《ちち》の|一族《いちぞく》はイスラエルのうちで|何者《なにもの》なのでしょう。そのわたしが、どうして|王《おう》のむこになることができましょう」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしサウルの|娘《むすめ》メラブは、ダビデにとつぐべき|時《とき》になって、メホラびとアデリエルに|妻《つま》として|与《あた》えられた。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|娘《むすめ》ミカルはダビデを|愛《あい》した。|人々《ひとびと》がそれをサウルに|告《つ》げたとき、サウルはその|事《こと》を|喜《よろこ》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]サウルは「ミカルを|彼《かれ》に|与《あた》えて、|彼《かれ》を|欺《あざむ》く|手《て》だてとし、ペリシテびとの|手《て》で|彼《かれ》を|殺《ころ》そう」と|思《おも》ったので、サウルはふたたびダビデに|言《い》った、「あなたを、きょう、わたしのむこにします」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そしてサウルは|家来《けらい》たちに|命《めい》じた、「ひそかにダビデに|言《い》いなさい、『|王《おう》はあなたが|気《き》に|入《い》り、|王《おう》の|家来《けらい》たちも|皆《みな》あなたを|愛《あい》しています。それゆえ|王《おう》のむこになりなさい』」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルの|家来《けらい》たちはこの|言葉《ことば》をダビデの|耳《みみ》に|語《かた》ったので、ダビデは|言《い》った、「わたしのような|貧《まず》しく、|卑《いや》しい|者《もの》が、|王《おう》のむこになることは、あなたがたには、たやすいことと|思《おも》われますか」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|家来《けらい》たちはサウルに、「ダビデはこう|言《い》った」と|告《つ》げた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「あなたがたはダビデにこう|言《い》いなさい、『|王《おう》はなにも|結納《ゆいのう》を|望《のぞ》まれない。ただペリシテびとの|陽《よう》の|皮《かわ》一百を|獲《え》て、|王《おう》のあだを|討《う》つことを|望《のぞ》まれる』」。これはサウルが、ダビデをペリシテびとの|手《て》によって|倒《たお》そうと|思《おも》ったからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|家来《けらい》たちが、この|言葉《ことば》をダビデに|告《つ》げた|時《とき》、ダビデは|王《おう》のむこになることを|良《よ》しとした。そして|定《さだ》めた|日《ひ》がまだこないうちに、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|従者《じゅうしゃ》をつれて、|立《た》って|行《い》き、ペリシテびと二百|人《にん》を|殺《ころ》して、その|陽《よう》の|皮《かわ》を|携《たずさ》え|帰《かえ》り、|王《おう》のむこになるために、それをことごとく|王《おう》にささげた。そこでサウルは|娘《むすめ》ミカルを|彼《かれ》に|妻《つま》として|与《あた》えた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかしサウルは|見《み》て、|主《しゅ》がダビデと|共《とも》におられること、またイスラエルのすべての|人《ひと》がダビデを|愛《あい》するのを|知《し》った|時《とき》、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]サウルは、ますますダビデを|恐《おそ》れた。こうしてサウルは|絶《た》えずダビデに|敵《てき》した。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとの|君《きみ》たちが|攻《せ》めてきたが、ダビデは、|彼《かれ》らが|攻《せ》めてくるごとに、サウルのどの|家来《けらい》よりも|多《おお》くのてがらを|立《た》てたので、その|名《な》はひじょうに|尊敬《そんけい》された。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サウルはその|子《こ》ヨナタンおよびすべての|家来《けらい》たちにダビデを|殺《ころ》すようにと|言《い》った。しかしサウルの|子《こ》ヨナタンは|深《ふか》くダビデを|愛《あい》していた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはダビデに|言《い》った、「|父《ちち》サウルはあなたを|殺《ころ》そうとしています。それゆえあすの|朝《あさ》、|気《き》をつけて、わからない|場所《ばしょ》に|身《み》を|隠《かく》していてください。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|出《で》て|行《い》って、あなたがいる|野原《のはら》で|父《ちち》のかたわらに|立《た》ち、|父《ちち》にあなたのことを|話《はな》しましょう。そして、|何《なに》かわたしにわかれば、あなたに|告《つ》げましょう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|父《ちち》サウルにダビデのことをほめて|言《い》った、「|王《おう》よ、どうか|家来《けらい》ダビデに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》さないでください。|彼《かれ》は、あなたに|罪《つみ》を|犯《おか》さず、また|彼《かれ》のしたことは、あなたのためになることでした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|命《いのち》をかけて、あのペリシテびとを|殺《ころ》し、|主《しゅ》はイスラエルの|人々《ひとびと》に|大《おお》いなる|勝利《しょうり》を|与《あた》えられたのです。あなたはそれを|見《み》て|喜《よろこ》ばれました。それであるのに、どうしてゆえなくダビデを|殺《ころ》し、|罪《つみ》なき|者《もの》の|血《ち》を|流《なが》して|罪《つみ》を|犯《おか》そうとされるのですか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]サウルはヨナタンの|言葉《ことば》を|聞《き》きいれた。そしてサウルは|誓《ちか》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わたしは|決《けっ》して|彼《かれ》を|殺《ころ》さない」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはダビデを|呼《よ》んでこれらのことをみなダビデに|告《つ》げた。そしてヨナタンがダビデをサウルのもとに|連《つ》れてきたので、ダビデは、もとのようにサウルの|前《まえ》にいた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ところがまた|戦争《せんそう》がおこって、ダビデは|出《で》てペリシテびとと|戦《たたか》い、|大《おお》いに|彼《かれ》らを|殺《ころ》したので、|彼《かれ》らはその|前《まえ》から|逃《に》げ|去《さ》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さてサウルが|家《いえ》にいて|手《て》にやりを|持《も》ってすわっていた|時《とき》、|主《しゅ》から|来《く》る|悪霊《あくれい》がサウルに|臨《のぞ》んだので、ダビデは|琴《こと》をひいていたが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルはそのやりをもってダビデを|壁《かべ》に|刺《さ》し|通《とお》そうとした。しかし|彼《かれ》はサウルの|前《まえ》に|身《み》をかわしたので、やりは|壁《かべ》につきささった。そしてダビデは|逃《に》げ|去《さ》った。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よる》、サウルはダビデの|家《いえ》に|使者《ししゃ》たちをつかわして|見張《みは》りをさせ、|朝《あさ》になって|彼《かれ》を|殺《ころ》させようとした。しかしダビデの|妻《つま》ミカルはダビデに|言《い》った、「もし|今夜《こんや》のうちに、あなたが|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》わないならば、あすは|殺《ころ》されるでしょう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてミカルがダビデを|窓《まど》からつりおろしたので、|彼《かれ》は|逃《に》げ|去《さ》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ミカルは一つの|像《ぞう》をとって、|寝床《ねどこ》の|上《うえ》に|横《よこ》たえ、その|頭《あたま》にやぎの|毛《け》の|網《あみ》をかけ、|着物《きもの》をもってそれをおおった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]サウルはダビデを|捕《とら》えるため|使者《ししゃ》たちをつかわしたが、|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「あの|人《ひと》は|病気《びょうき》です」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは、ダビデを|見《み》させようと|使者《ししゃ》たちをつかわして|言《い》った、「|彼《かれ》を|寝床《ねどこ》のまま、わたしの|所《ところ》に|連《つ》れてきなさい。わたしが|彼《かれ》を|殺《ころ》そう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》たちがはいって|見《み》ると、|寝床《ねどこ》には|像《ぞう》が|横《よこ》たえてあって、その|頭《あたま》には、やぎの|毛《け》の|網《あみ》がかけてあった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはミカルに|言《い》った、「あなたはどうして、このようにわたしを|欺《あざむ》いて、わたしの|敵《てき》を|逃《に》がしたのか」。ミカルはサウルに|答《こた》えた、「あの|人《ひと》はわたしに『|逃《に》がしてくれ。さもないと、おまえを|殺《ころ》す』と|言《い》いました」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|逃《に》げ|去《さ》り、ラマにいるサムエルのもとへ|行《い》って、サウルが|自分《じぶん》にしたすべてのことを|彼《かれ》に|告《つ》げた。そしてダビデとサムエルは|行《い》ってナヨテに|住《す》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ある|人《ひと》がサウルに「ダビデはラマのナヨテにいます」と|告《つ》げたので、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルは、ダビデを|捕《とら》えるために、|使者《ししゃ》たちをつかわした。|彼《かれ》らは|預言者《よげんしゃ》の|一群《いちぐん》が|預言《よげん》していて、サムエルが、そのうちの、かしらとなって|立《た》っているのを|見《み》たが、その|時《とき》、|神《かみ》の|霊《れい》はサウルの|使者《ししゃ》たちにも|臨《のぞ》んで、|彼《かれ》らもまた|預言《よげん》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]サウルは、このことを|聞《き》いて、|他《た》の|使者《ししゃ》たちをつかわしたが、|彼《かれ》らもまた|預言《よげん》した。サウルは三たび|使者《ししゃ》たちをつかわしたが、|彼《かれ》らもまた|預言《よげん》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルはみずからラマに|行《い》き、セクの|大井戸《おおいど》に|着《つ》いた|時《とき》、|問《と》うて|言《い》った、「サムエルとダビデは、どこにおるか」。ひとりの|人《ひと》が|答《こた》えた、「|彼《かれ》らはラマのナヨテにいます」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルはそこからラマのナヨテに|行《い》ったが、|神《かみ》の|霊《れい》はまた|彼《かれ》にも|臨《のぞ》んで、|彼《かれ》はラマのナヨテに|着《つ》くまで|歩《ある》きながら|預言《よげん》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》もまた|着物《きもの》を|脱《ぬ》いで、|同《おな》じようにサムエルの|前《まえ》で|預言《よげん》し、一|日《にち》一|夜《や》、|裸《はだか》で|倒《たお》れ|伏《ふ》していた。|人々《ひとびと》が「サウルもまた|預言者《よげんしゃ》たちのうちにいるのか」というのはこのためである。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはラマのナヨテから|逃《に》げてきて、ヨナタンに|言《い》った、「わたしが|何《なに》をし、どのような|悪《わる》いことがあり、あなたの|父《ちち》の|前《まえ》にどんな|罪《つみ》を|犯《おか》したので、わたしを|殺《ころ》そうとされるのでしょうか」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|彼《かれ》に|言《い》った、「|決《けっ》して|殺《ころ》されることはありません。|父《ちち》は|事《こと》の|大小《だいしょう》を|問《と》わず、わたしに|告《つ》げないですることはありません。どうして|父《ちち》がわたしにその|事《こと》を|隠《かく》しましょう。そのようなことはありません」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデは|答《こた》えた、「あなたの|父《ちち》は、わたしがあなたの|好意《こうい》をえていることをよく|知《し》っておられます。それで『ヨナタンが|悲《かな》しむことのないように、これを|知《し》らせないでおこう』と|思《おも》っておられるのです。しかし、|主《しゅ》は|生《い》きておられ、あなたの|魂《たましい》は|生《い》きています。わたしと|死《し》との|間《あいだ》は、ただ一|歩《ぽ》です」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはダビデに|言《い》った、「あなたが|言《い》われることはなんでもします」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはヨナタンに|言《い》った、「あすは、ついたちですから、わたしは|王《おう》と|一緒《いっしょ》に|食事《しょくじ》をしなければなりません。しかしわたしを|行《い》かせて三|日《か》|目《め》の|夕方《ゆうがた》まで、|野原《のはら》に|隠《かく》れることを|許《ゆる》してください。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|父《ちち》がわたしのことを|尋《たず》ねられるならば、その|時《とき》、|言《い》ってください、『ダビデはふるさとの|町《まち》ベツレヘムへ|急《いそ》いで|行《い》くことを|許《ゆる》してくださいと、しきりにわたしに|求《もと》めました。そこで|全家《ぜんか》の|年《とし》|祭《まつり》があるからです』。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》が「|良《よ》し」と|言《い》われるなら、しもべは|安全《あんぜん》ですが、|怒《いか》られるなら、わたしに|害《がい》を|加《くわ》える|決心《けっしん》でおられるのを|知《し》ってください。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|主《しゅ》の|前《まえ》で、しもべと|契約《けいやく》を|結《むす》んでくださいました。それでどうぞしもべにいつくしみを|施《ほどこ》してください。しかし、もしわたしに|悪《わる》いことがあるならば、あなた|自《みずか》らわたしを|殺《ころ》してください。どうしてあなたの|父《ちち》のもとへわたしを|引《ひ》いていかなければならないでしょう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|言《い》った、「そのようなことは|決《けっ》してありません。|父《ちち》があなたに|害《がい》を|加《くわ》える|決心《けっしん》をしていることがわたしにわかっているならば、わたしはそれをあなたに|告《つ》げないでおきましょうか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはヨナタンに|言《い》った、「あなたの|父《ちち》が|荒々《あらあら》しくあなたに|答《こた》えられる|時《とき》、だれがわたしに|告《つ》げるでしょうか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはダビデに|言《い》った、「さあ、|野原《のはら》へ|出《で》ていこう」。こうしてふたりは|野原《のはら》へ|出《で》て|行《い》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨナタンはダビデに|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》が、|証人《しょうにん》です。|明日《みょうにち》か|明後日《みょうごにち》の|今《いま》ごろ、わたしが|父《ちち》の|心《こころ》を|探《さぐ》って、|父《ちち》がダビデに|対《たい》して|良《よ》いのを|見《み》ながら、|人《ひと》をつかわしてあなたに|知《し》らせないようなことをするでしょうか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もし|父《ちち》があなたに|害《がい》を|加《くわ》えようと|思《おも》っているのに、それをあなたに|知《し》らせず、あなたを|逃《に》がして、|安全《あんぜん》に|去《さ》らせないならば、|主《しゅ》よ、どうぞ|幾重《いくえ》にも、このヨナタンを|罰《ばっ》してください。どうぞ|主《しゅ》が|父《ちち》と|共《とも》におられたように、あなたと|共《とも》におられますように。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしがなお|生《い》きながらえているならば、|主《しゅ》のいつくしみをわたしに|施《ほどこ》し、|死《し》を|免《まぬか》れさせてください。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またわたしの|家《いえ》をも、|長《なが》くあなたのいつくしみにあずからせてください。|主《しゅ》がダビデの|敵《てき》をことごとく|地《ち》のおもてから|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされる|時《とき》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンの|名《な》をダビデの|家《いえ》から|絶《た》やさないでください。どうぞ|主《しゅ》がダビデの|敵《てき》に、あだを|返《かえ》されるように」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨナタンは|重《かさ》ねてダビデに|誓《ちか》わせた。|彼《かれ》を|愛《あい》したからである。ヨナタンは|自分《じぶん》の|命《いのち》のように|彼《かれ》を|愛《あい》していた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはダビデに|言《い》った、「あすはついたちです。あなたの|席《せき》があいているので、どうしたのかと|尋《たず》ねられるでしょう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》には、きびしく|尋《たず》ねられるでしょうから、|先《さき》にあなたが|隠《かく》れた|場所《ばしょ》へ|行《い》って、|向《む》こうの|石塚《いしづか》のかたわらにいてください。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|的《まと》を|射《い》るようにして、|矢《や》を三|本《ほん》、そのそばに|放《はな》ちます。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして、『|行《い》って|矢《や》を|捜《さが》してきなさい』と|言《い》って|子供《こども》をつかわしましょう。わたしが|子供《こども》に、『|矢《や》は|手前《てまえ》にある。それを|取《と》ってきなさい』と|言《い》うならば、その|時《とき》あなたはきてください。|主《しゅ》が|生《い》きておられるように、あなたは|安全《あんぜん》で、|何《なに》も|危険《きけん》がないからです。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしがその|子《こ》|供《とも》に、『|矢《や》は|向《む》こうにある』と|言《い》うならば、その|時《とき》、あなたは|去《さ》って|行《い》きなさい。|主《しゅ》があなたを|去《さ》らせられるのです。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたとわたしとで|話《はな》しあった|事《こと》については、|主《しゅ》が|常《つね》にあなたとわたしとの|間《あいだ》におられます」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|野原《のはら》に|身《み》を|隠《かく》した。さて、ついたちになったので、|王《おう》は|食事《しょくじ》をするため|席《せき》に|着《つ》いた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はいつものように|壁《かべ》|寄《よ》りに|席《せき》に|着《つ》き、ヨナタンはその|向《む》かい|側《がわ》の|席《せき》に|着《つ》き、アブネルはサウルの|横《よこ》の|席《せき》に|着《つ》いたが、ダビデの|場所《ばしょ》にはだれもいなかった。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ところがその|日《ひ》サウルは|何《なに》も|言《い》わなかった、「|彼《かれ》に|何《なに》か|起《た》って|汚《けが》れたのだろう。きっと|汚《けが》れたのにちがいない」と|思《おも》ったからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ふつか|目《め》すなわち、ついたちの|明《あ》くる|日《ひ》も、ダビデの|場所《ばしょ》はあいていたので、サウルは、その|子《こ》ヨナタンに|言《い》った、「どうしてエッサイの|子《こ》は、きのうもきょうも|食事《しょくじ》にこないのか」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはサウルに|答《こた》えた、「ダビデは、ベツレヘムへ|行《い》くことを|許《ゆる》してくださいと、しきりにわたしに|求《もと》めました。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》いました、『わたしに|行《い》かせてください。われわれの|一族《いちぞく》が|町《まち》で|祭《まつり》をするので、|兄《あに》がわたしに|来《く》るようにと|命《めい》じました。それでもし、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ますならば、どうぞ、わたしに|行《い》くことを|許《ゆる》し、|兄弟《きょうだい》たちに|会《あ》わせてください』。それで|彼《かれ》は|王《おう》の|食卓《しょくたく》にこなかったのです」。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》サウルはヨナタンにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたは|心《こころ》の|曲《まが》った、そむく|女《おんな》の|産《う》んだ|子《こ》だ。あなたがエッサイの|子《こ》を|選《えら》んで、|自分《じぶん》の|身《み》をはずかしめ、また|母《はは》の|身《み》をはずかしめていることをわたしが|知《し》らないと|思《おも》うのか。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]エッサイの|子《こ》がこの|世《よ》に|生《い》きながらえている|間《あいだ》は、あなたも、あなたの|王国《おうこく》も|堅《かた》く|立《た》っていくことはできない。それゆえ|今《いま》、|人《ひと》をつかわして、|彼《かれ》をわたしのもとに|連《つ》れてこさせなさい。|彼《かれ》は|必《かなら》ず|死《し》ななければならない」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|父《ちち》サウルに|答《こた》えた、「どうして|彼《かれ》は|殺《ころ》されなければならないのですか。|彼《かれ》は|何《なに》をしたのですか」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ところがサウルはヨナタンを|撃《う》とうとして、やりを|彼《かれ》に|向《む》かって|振《ふ》り|上《あ》げたので、ヨナタンは|父《ちち》がダビデを|殺《ころ》そうと、|心《こころ》に|決《き》めているのを|知《し》った。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|激《はげ》しく|怒《いか》って|席《せき》を|立《た》ち、その|月《つき》のふつかには|食事《しょくじ》をしなかった。|父《ちち》がダビデをはずかしめたので、ダビデのために|憂《うれ》えたからである。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あくる|朝《あさ》、ヨナタンは、ひとりの|小《ちい》さい|子供《こども》を|連《つ》れて、ダビデと|打《う》ち|合《あ》わせたように|野原《のはら》に|出《で》て|行《い》った。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|子《こ》|供《とも》に|言《い》った、「|走《はし》って|行《い》って、わたしの|射《い》る|矢《や》を|捜《さが》しなさい」。|子供《こども》が|走《はし》って|行《い》く|間《あいだ》に、ヨナタンは|矢《や》を|彼《かれ》の|前《まえ》の|方《ほう》に|放《はな》った。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そして|子供《こども》が、ヨナタンの|放《はな》った|矢《や》のところへ|行《い》った|時《とき》、ヨナタンは|子供《こども》のうしろから|呼《よ》ばわって、「|矢《や》は|向《む》こうにあるではないか」と|言《い》った。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンはまた、その|子《こ》|供《とも》のうしろから|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|早《はや》くせよ、|急《いそ》げ。とどまるな」。その|子《こ》|供《とも》は|矢《や》を|拾《ひろ》い|集《あつ》めて|主人《しゅじん》ヨナタンのもとにきた。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|子供《こども》は|何《なに》も|知《し》らず、ヨナタンとダビデだけがそのことを|知《し》っていた。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|自分《じぶん》の|武器《ぶき》をその|子《こ》|供《とも》に|渡《わた》して|言《い》った、「あなたはこれを|町《まち》へ|運《はこ》んで|行《い》きなさい」。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|子供《こども》が|行《い》ってしまうとダビデは|石塚《いしづか》のかたわらをはなれて|立《た》ちいで、|地《ち》にひれ|伏《ふ》して三|度《ど》|敬礼《けいれい》した。そして、ふたりは|互《たがい》に|口《くち》づけし、|互《たがい》に|泣《な》いた。やがてダビデは|心《こころ》が|落《お》ち|着《つ》いた。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヨナタンはダビデに|言《い》った、「|無事《ぶじ》に|行《い》きなさい。われわれふたりは、『|主《しゅ》が|常《つね》にわたしとあなたの|間《あいだ》におられ、また、わたしの|子孫《しそん》とあなたの|子孫《しそん》の|間《あいだ》におられる』と|言《い》って、|主《しゅ》の|名《な》をさして|誓《ちか》ったのです」。こうしてダビデは|立《た》ち|去《さ》り、ヨナタンは|町《まち》にはいった。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはノブに|行《い》き、|祭司《さいし》アヒメレクのところへ|行《い》った。アヒメレクはおののきながらダビデを|迎《むか》えて|言《い》った、「どうしてあなたはひとりですか。だれも|供《とも》がいないのですか」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|祭司《さいし》アヒメレクに|言《い》った、「|王《おう》がわたしに一つの|事《こと》を|命《めい》じて、『わたしがおまえをつかわしてさせる|事《こと》、またわたしが|命《めい》じたことについては、|何《なに》をも|人《ひと》に|知《し》らせてはならない』と|言《い》われました。そこでわたしは、ある|場所《ばしょ》に|若者《わかもの》たちを|待《ま》たせてあります。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ところで|今《いま》あなたの|手《て》もとにパン五|個《こ》でもあれば、それをわたしにください。なければなんでも、あるものをください」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はダビデに|答《こた》えて|言《い》った、「|常《つね》のパンはわたしの|手《て》もとにありません。ただその|若者《わかもの》たちが|女《おんな》を|慎《つつし》んでさえいたのでしたら、|聖別《せいべつ》したパンがあります」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|祭司《さいし》に|答《こた》えた、「わたしが|戦《たたか》いに|出《で》るいつもの|時《とき》のように、われわれはたしかに|女《おんな》たちを|近《ちか》づけていません。|若者《わかもの》たちの|器《うつわ》は、|常《つね》の|旅《たび》であったとしても、|清《きよ》いのです。まして、きょう、|彼《かれ》らの|器《うつわ》は|清《きよ》くないでしょうか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》は|彼《かれ》に|聖別《せいべつ》したパンを|与《あた》えた。その|所《ところ》に、|供《そな》えのパンのほかにパンがなく、このパンは、これを|取《と》り|下《さ》げる|日《ひ》に、あたたかいパンと|置《お》きかえるため、|主《しゅ》の|前《まえ》から|取《と》り|下《とり》さげたものである。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、その|所《ところ》に、サウルのしもべのひとりが、|主《しゅ》の|前《まえ》に|留《と》め|置《お》かれていた。その|名《な》はドエグといい、エドムびとであって、サウルの|牧者《ぼくしゃ》の|長《ちょう》であった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたアヒメレクに|言《い》った、「ここに、あなたの|手《て》もとに、やりかつるぎがありませんか。|王《おう》の|事《こと》が|急《きゅう》を|要《よう》したので、わたしはつるぎも|武器《ぶき》も|持《も》ってこなかったのです」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|言《い》った、「あなたがエラの|谷《たに》で|殺《ころ》したペリシテびとゴリアテのつるぎが、|布《ぬの》に|包《つつ》んでエポデのうしろにあります。もしあなたがこれを|取《と》ろうとおもわれるなら、お|取《と》りください。ここにはそのほかにはありません」。ダビデは|言《い》った、「それにまさるものはありません。それをわたしにください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|日《ひ》サウルを|恐《おそ》れて、|立《た》ってガテの|王《おう》アキシのところへ|逃《に》げて|行《い》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アキシの|家来《けらい》たちはアキシに|言《い》った、「これはあの|国《くに》の|王《おう》ダビデではありませんか。|人々《ひとびと》が|踊《おど》りながら、|互《たがい》に|歌《うた》いかわして、 [#ここから2字下げ] 『サウルは千を|撃《う》ち|殺《ころ》し、 ダビデは|万《まん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した』 [#ここで字下げ終わり] と|言《い》ったのは、この|人《ひと》のことではありませんか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは、これらの|言葉《ことば》を|心《こころ》におき、ガテの|王《おう》アキシを、ひじょうに|恐《おそ》れたので、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》の|前《まえ》で、わざと|挙動《きょどう》を|変《か》え、|捕《とら》えられて|気違《きちが》いのふりをし、|門《もん》のとびらを|打《う》ちたたき、よだれを|流《なが》して、ひげに|伝《つた》わらせた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アキシは|家来《けらい》たちに|言《い》った、「あなたがたの|見《み》るように、この|人《ひと》は|気違《きちが》いだ。どうして|彼《かれ》をわたしの|所《ところ》へ|連《つ》れてきたのか。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|気違《きちが》いが|必要《ひつよう》なのか。この|者《もの》を|連《つ》れてきて、わたしの|前《まえ》で|狂《くる》わせようというのか。この|者《もの》をわたしの|家《いえ》へ|入《い》れようとするのか」。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはその|所《ところ》を|去《さ》り、アドラムのほら|穴《あな》へのがれた。|彼《かれ》の|兄弟《きょうだい》たちと|父《ちち》の|家《いえ》の|者《もの》は|皆《みな》、これを|聞《き》き、その|所《ところ》に|下《くだ》って|彼《かれ》のもとにきた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また、しえたげられている|人々《ひとびと》、|負債《ふさい》のある|人々《ひとびと》、|心《こころ》に|不満《ふまん》のある|人々《ひとびと》も|皆《みな》、|彼《かれ》のもとに|集《あつ》まってきて、|彼《かれ》はその|長《ちょう》となった。おおよそ四百|人《にん》の|人々《ひとびと》が|彼《かれ》と|共《とも》にあった。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはそこからモアブのミヅパへ|行《い》き、モアブの|王《おう》に|言《い》った、「|神《かみ》がわたしのためにどんなことをされるかわかるまで、どうぞわたしの|父母《ふぼ》をあなたの|所《ところ》におらせてください」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はモアブの|王《おう》に|彼《かれ》らを|託《たく》したので、|彼《かれ》らはダビデが|要害《ようがい》におる|間《あいだ》、|王《おう》の|所《ところ》におった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]さて、|預言者《よげんしゃ》ガドはダビデに|言《い》った、「|要害《ようがい》にとどまっていないで、|去《さ》ってユダの|地《ち》へ|行《い》きなさい」。そこでダビデは|去《さ》って、ハレテの|森《もり》へ|行《い》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]サウルは、ダビデおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいる|人々《ひとびと》が|見《み》つかったということを|聞《き》いた。サウルはギベアで、やりを|手《て》にもって、|丘《おか》のぎょりゅうの|木《き》の|下《した》にすわっており、|家来《けらい》たちはみなそのまわりに|立《た》っていた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはまわりに|立《た》っている|家来《けらい》たちに|言《い》った、「あなたがたベニヤミンびとは|聞《き》きなさい。エッサイの|子《こ》もまた、あなたがたおのおのに|畑《はたけ》やぶどう|畑《はたけ》を|与《あた》え、おのおのを千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》にするであろうか。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|皆《みな》|共《とも》にはかってわたしに|敵《てき》した。わたしの|子《こ》がエッサイの|子《こ》と|契約《けいやく》を|結《むす》んでも、それをわたしに|告《つ》げるものはなく、またあなたがたのうち、ひとりもわたしのために|憂《うれ》えず、きょうのように、わたしの|子《こ》がわたしのしもべをそそのかしてわたしに|逆《さか》らわせ、|道《みち》で|彼《かれ》がわたしを|待《ま》ち|伏《ぶ》せするようになっても、わたしに|告《つ》げる|者《もの》はない」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エドムびとドエグは、サウルの|家来《けらい》たちのそばに|立《た》っていたが、|答《こた》えて|言《い》った、「わたしはエッサイの|子《こ》がノブにいるアヒトブの|子《こ》アヒメレクの|所《ところ》にきたのを|見《み》ました。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アヒメレクは|彼《かれ》のために|主《しゅ》に|問《と》い、また|彼《かれ》に|食物《しょくもつ》を|与《あた》え、ペリシテびとゴリアテのつるぎを|与《あた》えました」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|人《ひと》をつかわして、アヒトブの|子《こ》|祭司《さいし》アヒメレクとその|父《ちち》の|家《いえ》のすべての|者《もの》、すなわちノブの|祭司《さいし》たちを|召《め》したので、みな|王《おう》の|所《ところ》にきた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「アヒトブの|子《こ》よ、|聞《き》きなさい」。|彼《かれ》は|答《こた》えた、「わが|主《しゅ》よ、わたしはここにおります」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|彼《かれ》に|言《い》った、「どうしてあなたはエッサイの|子《こ》と|共《とも》にはかってわたしに|敵《てき》し、|彼《かれ》にパンとつるぎを|与《あた》え、|彼《かれ》のために|神《かみ》に|問《と》い、きょうのように|彼《かれ》をわたしに|逆《さか》らって|立《た》たせ、|道《みち》で|待《ま》ち|伏《ぶ》せさせるのか」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アヒメレクは|王《おう》に|答《こた》えて|言《い》った、「あなたの|家来《けらい》のうち、ダビデのように|忠義《ちゅうぎ》な|者《もの》がほかにありますか。|彼《かれ》は|王《おう》の|娘《むすめ》|婿《むこ》であり、|近衛《このえ》|兵《へい》の|長《ちょう》であって、あなたの|家《いえ》で|尊《たっと》ばれる|人《ひと》ではありませんか。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》のために|神《かみ》に|問《と》うたのは、きょう|初《はじ》めてでしょうか。いいえ、|決《けっ》してそうではありません。|王《おう》よ、どうぞ、しもべと|父《ちち》の|全家《ぜんか》に|罪《つみ》を|負《お》わせないでください。しもべは、これについては、|事《こと》の|大小《だいしょう》を|問《と》わず、|何《なに》をも|知《し》らなかったのです」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「アヒメレクよ、あなたは|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならない。あなたの|父《ちち》の|全家《ぜんか》も|同《おな》じである」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》はまわりに|立《た》っている|近衛《このえ》の|兵《へい》に|言《い》った、「|身《み》をひるがえして、|主《しゅ》の|祭司《さいし》たちを|殺《ころ》しなさい。|彼《かれ》らもダビデと|協力《きょうりょく》していて、ダビデの|逃《に》げたのを|知《し》りながら、それをわたしに|告《つ》げなかったからです」。ところが|王《おう》の|家来《けらい》たちは|主《しゅ》の|祭司《さいし》たちを|殺《ころ》すために|手《て》を|下《くだ》そうとはしなかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》はドエグに|言《い》った、「あなたが|身《み》をひるがえして、|祭司《さいし》たちを|殺《ころ》しなさい」。エドムびとドエグは|身《み》をひるがえして|祭司《さいし》たちを|撃《う》ち、その|日《ひ》|亜麻《あま》|布《ぬの》のエポデを|身《み》につけている|者《もの》八十五|人《にん》を|殺《ころ》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた、つるぎをもって|祭司《さいし》の|町《まち》ノブを|撃《う》ち、つるぎをもって|男《おとこ》、|女《おんな》、|幼《おさ》な|子《こ》、|乳飲《ちの》み|子《ご》、|牛《うし》、ろば、|羊《ひつじ》を|殺《ころ》した。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしアヒトブの|子《こ》アヒメレクの|子《こ》たちのひとりで、|名《な》をアビヤタルという|人《ひと》は、のがれてダビデの|所《ところ》に|走《はし》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてアビヤタルは、サウルが|主《しゅ》の|祭司《さいし》たちを|殺《ころ》したことをダビデに|告《つ》げたので、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアビヤタルに|言《い》った、「あの|日《ひ》、エドムびとドエグがあそこにいたので、わたしは|彼《かれ》がきっとサウルに|告《つ》げるであろうと|思《おも》った。わたしがあなたの|父《ちち》の|家《いえ》の|人々《ひとびと》の|命《いのち》を|失《うしな》わせるもととなったのです。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|所《ところ》にとどまってください。|恐《おそ》れることはありません。あなたの|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》は、わたしの|命《いのち》をも|求《もと》めているのです。わたしの|所《ところ》におられるならば、あなたは|安全《あんぜん》でしょう」。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて|人々《ひとびと》はダビデに|告《つ》げて|言《い》った、「ペリシテびとがケイラを|攻《せ》めて、|打《う》ち|場《ば》の|穀物《こくもつ》をかすめています」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|主《しゅ》に|問《と》うて|言《い》った、「わたしが|行《い》って、このペリシテびとを|撃《う》ちましょうか」。|主《しゅ》はダビデに|言《い》われた、「|行《い》ってペリシテびとを|撃《う》ち、ケイラを|救《すく》いなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデの|従者《じゅうしゃ》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「われわれは、ユダのここにおってさえ、|恐《おそ》れているのに、ましてケイラへ|行《い》って、ペリシテびとの|軍《ぐん》に|当《あた》ることができましょうか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが|重《かさ》ねて|主《しゅ》に|問《と》うたところ、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|答《こた》えて|言《い》われた、「|立《た》って、ケイラへ|下《くだ》りなさい。わたしはペリシテびとをあなたの|手《て》に|渡《わた》します」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちはケイラへ|行《い》って、ペリシテびとと|戦《たたか》い、|彼《かれ》らの|家畜《かちく》を|奪《うば》いとり、|彼《かれ》らを|多《おお》く|撃《う》ち|殺《ころ》した。こうしてダビデはケイラの|住民《じゅうみん》を|救《すく》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アヒメレクの|子《こ》アビヤタルは、ケイラにいるダビデのもとにのがれてきた|時《とき》、|手《て》にエポデをもって|下《くだ》ってきた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデのケイラにきたことがサウルに|聞《きこ》えたので、サウルは|言《い》った、「|神《かみ》はわたしの|手《て》に|彼《かれ》をわたされた。|彼《かれ》は|門《もん》と|貫《かん》の|木《き》のある|町《まち》にはいって、|自分《じぶん》で|身《み》を|閉《と》じこめたからである」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルはすべての|民《たみ》を|戦《たたか》いに|呼《よ》び|集《あつ》めて、ケイラに|下《くだ》り、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》を|攻《せ》め|囲《かこ》もうとした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはサウルが|自分《じぶん》に|害《がい》を|加《くわ》えようとしているのを|知《し》って、|祭司《さいし》アビヤタルに|言《い》った、「エポデを|持《も》ってきてください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、しもべはサウルがケイラにきて、わたしのために、この|町《まち》を|滅《ほろ》ぼそうとしていることを|確《たし》かに|聞《き》きました。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ケイラの|人々《ひとびと》はわたしを|彼《かれ》の|手《て》に|渡《わた》すでしょうか。しもべの|聞《き》いたように、サウルは|下《くだ》ってくるでしょうか。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうぞ、しもべに|告《つ》げてください」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「|彼《かれ》は|下《くだ》って|来《く》る」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「ケイラの|人々《ひとびと》はわたしと|従者《じゅうしゃ》たちをサウルの|手《て》にわたすでしょうか」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「|彼《かれ》らはあなたがたを|渡《わた》すであろう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデとその六百|人《にん》ほどの|従者《じゅうしゃ》たちは|立《た》って、ケイラを|去《さ》り、いずこともなくさまよった。ダビデのケイラから|逃《に》げ|去《さ》ったことがサウルに|聞《きこ》えたので、サウルは|戦《たたか》いに|出《で》ることをやめた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|荒野《あらの》にある|要害《ようがい》におり、またジフの|荒野《あらの》の|山地《さんち》におった。サウルは|日々《ひび》に|彼《かれ》を|尋《たず》ね|求《もと》めたが、|神《かみ》は|彼《かれ》をその|手《て》に|渡《わた》されなかった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデはサウルが|自分《じぶん》の|命《いのち》を|求《もと》めて|出《で》てきたので|恐《おそ》れた。その|時《とき》ダビデはジフの|荒野《あらの》のホレシにいたが、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|子《こ》ヨナタンは|立《た》って、ホレシにいるダビデのもとに|行《い》き、|神《かみ》によって|彼《かれ》を|力《ちから》づけた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨナタンは|彼《かれ》に|言《い》った、「|恐《おそ》れるにはおよびません。|父《ちち》サウルの|手《て》はあなたに|届《とど》かないでしょう。あなたはイスラエルの|王《おう》となり、わたしはあなたの|次《つぎ》となるでしょう。このことは|父《ちち》サウルも|知《し》っています」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らふたりは|主《しゅ》の|前《まえ》で|契約《けいやく》を|結《むす》び、ダビデはホレシにとどまり、ヨナタンは|家《いえ》に|帰《かえ》った。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ジフびとはギベアにいるサウルのもとに|上《のぼ》って|行《い》き、そして|言《い》った、「ダビデは、|荒野《あらの》の|南《みなみ》にあるハキラの|丘《おか》の|上《うえ》のホレシの|要害《ようがい》に|隠《かく》れて、われわれと|共《とも》にいるではありませんか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|王《おう》よ、あなたが|下《くだ》って|行《い》こうという|望《のぞ》みのとおり、いま|下《くだ》ってきてください。われわれは|彼《かれ》を|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》します」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|言《い》った、「あなたがたはわたしに|同情《どうじょう》を|寄《よ》せてくれたのです。どうぞ|主《しゅ》があなたがたを|祝福《しゅくふく》されるように。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|行《い》って、なお|確《たし》かめてください。|彼《かれ》のよく|行《い》く|所《ところ》とだれがそこで|彼《かれ》を|見《み》たかを|見《み》きわめてください。|人《ひと》の|語《かた》るところによると、|彼《かれ》はひじょうに|悪賢《わるがしこ》いそうだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたがたは|彼《かれ》が|隠《かく》れる|隠《かく》れ|場所《ばしょ》をみな|見《み》きわめ、|確《たし》かな|知《し》らせをもってわたしの|所《ところ》に|帰《かえ》ってきなさい。その|時《とき》わたしはあなたがたと|共《とも》に|行《い》きます。もし|彼《かれ》がこの|地《ち》にいるならば、わたしはユダの|氏族《しぞく》をあまねく|尋《たず》ねて|彼《かれ》を|捜《さが》しだします」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|立《た》って、サウルに|先立《さきだ》ってジフへ|行《い》った。  さてダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちは|荒野《あらの》の|南《みなみ》のアラバにあるマオンの|荒野《あらの》にいた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そしてサウルとその|従者《じゅうしゃ》たちはきて|彼《かれ》を|捜《さが》した。|人々《ひとびと》がこれをダビデに|告《つ》げたので、ダビデはマオンの|荒野《あらの》にある|岩《いわ》の|所《ところ》へ|下《くだ》って|行《い》った。サウルはこれを|聞《き》いて、マオンの|荒野《あらの》にきてダビデを|追《お》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|山《やま》のこちら|側《がわ》を|行《い》き、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちとは|山《やま》のむこう|側《がわ》を|行《おこな》った。そしてダビデは|急《いそ》いでサウルからのがれようとした。サウルとその|従者《じゅうしゃ》たちが、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちを|囲《かこ》んで|捕《とら》えようとしたからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、サウルの|所《ところ》に、ひとりの|使者《ししゃ》がきて|言《い》った、「ペリシテびとが|国《くに》を|侵《おか》しています。|急《いそ》いできてください」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルはダビデを|追《お》うことをやめて|帰《かえ》り、|行《い》ってペリシテびとに|当《あた》った。それで|人々《ひとびと》は、その|所《ところ》を「のがれの|岩《いわ》」と|名《な》づけた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはそこから|上《のぼ》ってエンゲデの|要害《ようがい》にいた。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サウルがペリシテびとを|追《お》うことをやめて|帰《かえ》ってきたとき、|人々《ひとびと》は|彼《かれ》に|告《つ》げて|言《い》った、「ダビデはエンゲデの|野《の》にいます」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは、|全《ぜん》イスラエルから|選《えら》んだ三千の|人《ひと》を|率《ひき》い、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちとを|捜《さが》すため、「やぎの|岩《いわ》」の|前《まえ》へ|出《で》かけた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|途中《とちゅう》、|羊《ひつじ》のおりの|所《ところ》にきたが、そこに、ほら|穴《あな》があり、サウルは|足《あし》をおおうために、その|中《なか》にはいった。その|時《とき》、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちは、ほら|穴《あな》の|奥《おく》にいた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|従者《じゅうしゃ》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「|主《しゅ》があなたに|告《つ》げて、『わたしはあなたの|敵《てき》をあなたの|手《て》に|渡《わた》す。あなたは|自分《じぶん》の|良《よ》いと|思《おも》うことを|彼《かれ》にすることができる』と|言《い》われた|日《ひ》がきたのです」。そこでダビデは|立《た》って、ひそかに、サウルの|上着《うわぎ》のすそを|切《き》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|後《のち》になって、ダビデはサウルの|上着《うわぎ》のすそを|切《き》ったことに、|心《こころ》の|責《せ》めを|感《かん》じた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|従者《じゅうしゃ》たちに|言《い》った、「|主《しゅ》が|油《あぶら》を|注《そそ》がれたわが|君《きみ》に、わたしがこの|事《こと》をするのを|主《しゅ》は|禁《きん》じられる。|彼《かれ》は|主《しゅ》が|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》であるから、|彼《かれ》に|敵《てき》して、わたしの|手《て》をのべるのは|良《よ》くない」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはこれらの|言葉《ことば》をもって|従者《じゅうしゃ》たちを|差《さ》し|止《と》め、サウルを|撃《う》つことを|許《ゆる》さなかった。サウルは|立《た》って、ほら|穴《あな》を|去《さ》り、|道《みち》を|進《すす》んだ。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデもまた、そのあとから|立《た》ち、ほら|穴《あな》を|出《で》て、サウルのうしろから|呼《よ》ばわって、「わが|君《きみ》、|王《おう》よ」と|言《い》った。サウルがうしろをふり|向《む》いた|時《とき》、ダビデは|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|拝《はい》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデはサウルに|言《い》った、「どうして、あなたは『ダビデがあなたを|害《がい》しようとしている』という|人々《ひとびと》の|言葉《ことば》を|聞《き》かれるのですか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、この|日《ひ》、|自分《じぶん》の|目《め》で、|主《しゅ》があなたをきょう、ほら|穴《あな》の|中《なか》でわたしの|手《て》に|渡《わた》されたのをごらんになりました。|人々《ひとびと》はわたしにあなたを|殺《ころ》すことを|勧《すす》めたのですが、わたしは|殺《ころ》しませんでした。『わが|君《きみ》は|主《しゅ》が|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|方《かた》であるから、これに|敵《てき》して|手《て》をのべることはしない』とわたしは|言《い》いました。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|父《ちち》よ、ごらんなさい。あなたの|上着《うわぎ》のすそは、わたしの|手《て》にあります。わたしがあなたの|上着《うわぎ》のすそを|切《き》り、しかも、あなたを|殺《ころ》さなかったことによって、あなたは、わたしの|手《て》に|悪《あく》も、とがもないことを|見《み》て|知《し》られるでしょう。あなたはわたしの|命《いのち》を|取《と》ろうと、ねらっておられますが、わたしはあなたに|対《たい》して|罪《つみ》をおかしたことはないのです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|主《しゅ》がわたしとあなたの|間《あいだ》をさばかれますように。また|主《しゅ》がわたしのために、あなたに|報《むく》いられますように。しかし、わたしはあなたに|手《て》をくだすことをしないでしょう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|昔《むかし》から、ことわざに|言《い》っているように、『|悪《あく》は|悪人《あくにん》から|出《で》る』。しかし、わたしはあなたに|手《て》をくだすことをしないでしょう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は、だれを|追《お》って|出《で》てこられたのですか。あなたは、だれを|追《お》っておられるのですか。|死《し》んだ|犬《いぬ》を|追《お》っておられるのです。一|匹《ぴき》の|蚤《のみ》を|追《お》っておられるのです。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|主《しゅ》がさばきびととなって、わたしとあなたの|間《あいだ》をさばき、かつ|見《み》て、わたしの|訴《うった》えを|聞《き》き、わたしをあなたの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》してくださるように」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがこれらの|言葉《ことば》をサウルに|語《かた》り|終《おわ》ったとき、サウルは|言《い》った、「わが|子《こ》ダビデよ、これは、あなたの|声《こえ》であるか」。そしてサウルは|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはまたダビデに|言《い》った、「あなたはわたしよりも|正《ただ》しい。わたしがあなたに|悪《あく》を|報《むく》いたのに、あなたはわたしに|善《ぜん》を|報《むく》いる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]きょう、あなたはいかに|良《よ》くわたしをあつかったかを|明《あき》らかにしました。すなわち|主《しゅ》がわたしをあなたの|手《て》にわたされたのに、あなたはわたしを|殺《ころ》さなかったのです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|敵《てき》に|会《あ》ったとき、|敵《てき》を|無事《ぶじ》に|去《さ》らせるでしょうか。あなたが、きょう、わたしにした|事《こと》のゆえに、どうぞ|主《しゅ》があなたに|良《よ》い|報《むく》いを|与《あた》えられるように。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしは、あなたがかならず|王《おう》となることを|知《し》りました。またイスラエルの|王国《おうこく》が、あなたの|手《て》によって|堅《かた》く|立《た》つことを|知《し》りました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたはわたしのあとに、わたしの|子孫《しそん》を|断《た》たず、またわたしの|父《ちち》の|家《いえ》から、わたしの|名《な》を|滅《ほろ》ぼし|去《さ》らないと、いま|主《しゅ》をさして、わたしに|誓《ちか》ってください」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデはサウルに、そのように|誓《ちか》った。そしてサウルは|家《いえ》に|帰《かえ》り、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちは|要害《ようがい》にのぼって|行《い》った。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてサムエルが|死《し》んだので、イスラエルの|人々《ひとびと》はみな|集《あつ》まって、|彼《かれ》のためにひじょうに|悲《かな》しみ、ラマにあるその|家《いえ》に|彼《かれ》を|葬《ほうむ》った。  そしてダビデは|立《た》ってパランの|荒野《あらの》に|下《くだ》って|行《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]マオンに、ひとりの|人《ひと》があって、カルメルにその|所有《しょゆう》があり、ひじょうに|裕福《ゆうふく》で、|羊《ひつじ》三千|頭《とう》、やぎ一千|頭《とう》を|持《も》っていた。|彼《かれ》はカルメルで|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》っていた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》の|名《な》はナバルといい、|妻《つま》の|名《な》はアビガイルといった。アビガイルは|賢《かしこ》くて|美《うつく》しかったが、その|夫《おっと》は|剛情《ごうじょう》で、|粗暴《そぼう》であった。|彼《かれ》はカレブびとであった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|荒野《あらの》にいて、ナバルがその|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》っていることを|聞《き》いたので、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]十|人《にん》の|若者《わかもの》をつかわし、その|若者《わかもの》たちに|言《い》った、「カルメルに|上《のぼ》って|行《い》ってナバルの|所《ところ》へ|行《い》き、わたしの|名《な》をもって|彼《かれ》にあいさつし、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》にこう|言《い》いなさい、『どうぞあなたに|平安《へいあん》があるように。あなたの|家《いえ》に|平安《へいあん》があるように。またあなたのすべての|持《も》ち|物《もの》に|平安《へいあん》があるように。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたが|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》っておられることを|聞《き》きました。あなたの|羊飼《ひつじかい》たちはわれわれと|一緒《いっしょ》にいたのですが、われわれは|彼《かれ》らを|少《すこ》しも|害《がい》しませんでした。また|彼《かれ》らはカルメルにいる|間《あいだ》に、|何《なに》ひとつ|失《うしな》ったことはありません。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|若者《わかもの》たちに|聞《き》いてみられるならば、わかります。それゆえ、わたしの|若者《わかもの》たちに、あなたの|好意《こうい》を|示《しめ》してください。われわれは|祝《しゅく》の|日《ひ》にきたのです。どうぞ、あなたの|手《て》もとにあるものを、|贈《おく》り|物《もの》として、しもべどもとあなたの|子《こ》ダビデにください』」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|若者《わかもの》たちは|行《い》って、ダビデの|名《な》をもって、これらの|言葉《ことば》をナバルに|語《かた》り、そして|待《ま》っていた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ナバルはダビデの|若者《わかもの》たちに|答《こた》えて|言《い》った、「ダビデとはだれか。エッサイの|子《こ》とはだれか。このごろは、|主人《しゅじん》を|捨《す》てて|逃《に》げるしもべが|多《おお》い。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]どうしてわたしのパンと|水《みず》、またわたしの|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》る|人々《ひとびと》のためにほふった|肉《にく》をとって、どこからきたのかわからない|人々《ひとびと》に|与《あた》えることができようか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|若者《わかもの》たちは、そこを|去《さ》り、|帰《かえ》ってきて、|彼《かれ》にこのすべての|事《こと》を|告《つ》げた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|従者《じゅうしゃ》たちに|言《い》った、「おのおの、つるぎを|帯《お》びなさい」。|彼《かれ》らはおのおのつるぎを|帯《お》び、ダビデもまたつるぎを|帯《お》びた。そしておおよそ四百|人《にん》がダビデに|従《したが》って|上《のぼ》っていき、二百|人《にん》は|荷物《にもつ》のところにとどまった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ところで、ひとりの|若者《わかもの》がナバルの|妻《つま》アビガイルに|言《い》った、「ダビデが|荒野《あらの》から|使者《ししゃ》をつかわして、|主人《しゅじん》にあいさつをしたのに、|主人《しゅじん》はその|使者《ししゃ》たちをののしられました。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あの|人々《ひとびと》はわれわれに|大《だい》へんよくしてくれて、われわれは|少《すこ》しも|害《がい》を|受《う》けず、またわれわれが|野《の》にいた|時《とき》、|彼《かれ》らと|共《とも》にいた|間《あいだ》は、|何《なに》ひとつ|失《うしな》ったことはありませんでした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれが|羊《ひつじ》を|飼《か》って|彼《かれ》らと|共《とも》にいる|間《あいだ》、|彼《かれ》らは|夜《よる》も|昼《ひる》もわれわれのかきとなってくれました。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたは|今《いま》それを|知《し》って、|自分《じぶん》のすることを|考《かんが》えてください。|主人《しゅじん》とその|一家《いっか》に|災《わざわい》が|起《お》きるからです。しかも|主人《しゅじん》はよこしまな|人《ひと》で、|話《はな》しかけることもできません」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、アビガイルは|急《いそ》いでパン二百、ぶどう|酒《しゅ》の|皮《かわ》|袋《ぶくろ》二つ、|調理《ちょうり》した|羊《ひつじ》五|頭《とう》、いり|麦《むぎ》五セア、ほしぶどう百ふさ、ほしいちじくのかたまり二百を|取《と》って、ろばにのせ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|若者《わかもの》たちに|言《い》った、「わたしのさきに|進《すす》みなさい。わたしはあなたがたのうしろに、ついて|行《い》きます」。しかし|彼女《かのじょ》は|夫《おっと》ナバルには|告《つ》げなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アビガイルが、ろばに|乗《の》って|山陰《やまかげ》を|下《くだ》ってきた|時《とき》、ダビデと|従者《じゅうしゃ》たちは|彼女《かのじょ》の|方《ほう》に|向《む》かって|降《ふ》りてきたので、|彼女《かのじょ》はその|人々《ひとびと》に|出会《であ》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ダビデはさきにこう|言《い》った、「わたしはこの|人《ひと》が|荒野《あらの》で|持《も》っている|物《もの》をみな|守《まも》って、その|人《ひと》に|属《ぞく》する|物《もの》を|何《なに》ひとつなくならないようにしたが、それは|全《まった》くむだであった。|彼《かれ》はわたしのした|親切《しんせつ》に|悪《あく》をもって|報《むく》いた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしがあすの|朝《あさ》まで、ナバルに|属《ぞく》するすべての|者《もの》のうち、ひとりの|男《おとこ》でも|残《のこ》しておくならば、|神《かみ》が|幾重《いくえ》にもダビデを|罰《ばっ》してくださるように」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アビガイルはダビデを|見《み》て、|急《いそ》いで、ろばを|降《ふ》り、ダビデの|前《まえ》で|地《ち》にひれ|伏《ふ》し、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|足《あし》もとに|伏《ふ》して|言《い》った、「わが|君《きみ》よ、このとがをわたしだけに|負《お》わせてください。しかしどうぞ、はしために、あなたの|耳《みみ》に|語《かた》ることを|許《ゆる》し、はしための|言葉《ことば》をお|聞《き》きください。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わが|君《きみ》よ、どうぞ、このよこしまな|人《ひと》ナバルのことを|気《き》にかけないでください。あの|人《ひと》はその|名《な》のとおりです。|名《な》はナバルで、|愚《おろ》かな|者《もの》です。あなたのはしためであるわたしは、わが|君《きみ》なるあなたがつかわされた|若者《わかもの》たちを|見《み》なかったのです。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》、わが|君《きみ》よ、|主《しゅ》は|生《い》きておられます。またあなたは|生《い》きておられます。|主《しゅ》は、あなたがきて|血《ち》を|流《なが》し、また|手《て》ずから、あだを|報《むく》いるのをとどめられました。どうぞ|今《いま》、あなたの|敵《てき》、およびわが|君《きみ》に|害《がい》を|加《くわ》えようとする|者《もの》は、ナバルのごとくになりますように。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》、あなたのつかえめが、わが|君《きみ》に|携《たずさ》えてきた|贈《おく》り|物《もの》を、わが|君《きみ》に|従《したが》う|若者《わかもの》たちに|与《あた》えてください。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、はしためのとがを|許《ゆる》してください。|主《しゅ》は|必《かなら》ずわが|君《きみ》のために|確《たし》かな|家《いえ》を|造《つく》られるでしょう。わが|君《きみ》が|主《しゅ》のいくさを|戦《たたか》い、またこの|世《よ》に|生《い》きながらえられる|間《あいだ》、あなたのうちに|悪《わる》いことが|見《み》いだされないからです。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]たとい|人《ひと》が|立《た》ってあなたを|追《お》い、あなたの|命《いのち》を|求《もと》めても、わが|君《きみ》の|命《いのち》は、|生《い》きている|者《もの》の|束《たば》にたばねられて、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のもとに|守《まも》られるでしょう。しかし|主《しゅ》はあなたの|敵《てき》の|命《いのち》を、|石《いし》|投《な》げの|中《なか》から|投《な》げるように、|投《な》げ|捨《す》てられるでしょう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》があなたについて|語《かた》られたすべての|良《よ》いことをわが|君《きみ》に|行《おこな》い、あなたをイスラエルのつかさに|任《にん》じられる|時《とき》、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、ゆえなく|血《ち》を|流《なが》し、またわが|君《きみ》がみずからあだを|報《むく》いたと|言《い》うことで、それがあなたのつまずきとなり、またわが|君《きみ》の|心《こころ》の|責《せ》めとなることのないようにしてください。|主《しゅ》がわが|君《きみ》を|良《よ》くせられる|時《とき》、このはしためを|思《おも》いだしてください」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアビガイルに|言《い》った、「きょう、あなたをつかわして、わたしを|迎《むか》えさせられたイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|知恵《ちえ》はほむべきかな。またあなたはほむべきかな。あなたは、きょう、わたしがきて|血《ち》を|流《なが》し、|手《て》ずからあだを|報《むく》いることをとどめられたのです。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたを|害《がい》することをとどめられたイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はまことに|生《い》きておられる。もしあなたが|急《いそ》いでわたしに|会《あ》いにこなかったならば、あすの|朝《あさ》までには、ナバルのところに、ひとりの|男《おとこ》も|残《のこ》らなかったでしょう」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアビガイルが|携《たずさ》えてきた|物《もの》をその|手《て》から|受《う》けて、|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたは|無事《ぶじ》にのぼって、|家《いえ》に|帰《かえ》りなさい。わたしはあなたの|声《こえ》を|聞《き》きいれ、あなたの|願《ねが》いを|許《ゆる》します」。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてアビガイルはナバルのもとにきたが、|見《み》よ、|彼《かれ》はその|家《いえ》で、|王《おう》の|酒宴《しゅえん》のような|酒宴《しゅえん》を|開《ひら》いていた。ナバルは|心《こころ》に|楽《たの》しみ、ひじょうに|酔《よ》っていたので、アビガイルは|明《あ》くる|朝《あさ》まで|事《こと》の|大小《だいしょう》を|問《と》わず|何《なに》をも|彼《かれ》に|告《つ》げなかった。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》になってナバルの|酔《よ》いがさめたとき、その|妻《つま》が|彼《かれ》にこれらの|事《こと》を|告《つ》げると、|彼《かれ》の|心《こころ》はそのうちに|死《し》んで、|彼《かれ》は|石《いし》のようになった。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]十|日《か》ばかりして|主《しゅ》がナバルを|撃《う》たれたので|彼《かれ》は|死《し》んだ。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはナバルが|死《し》んだと|聞《き》いて|言《い》った、「|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はわたしがナバルの|手《て》から|受《う》けた|侮辱《ぶじょく》に|報《むく》いて、しもべが|悪《あく》をおこなわないようにされた。|主《しゅ》はナバルの|悪行《あくぎょう》をそのこうべに|報《むく》いられたのだ」。ダビデはアビガイルを|妻《つま》にめとろうと、|人《ひと》をつかわして|彼女《かのじょ》に|申《もう》し|込《こ》んだ。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデのしもべたちはカルメルにいるアビガイルの|所《ところ》にきて、|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「ダビデはあなたを|妻《つま》にめとろうと、われわれをあなたの|所《ところ》へつかわしたのです」。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]アビガイルは|立《た》ち、|地《ち》にひれ|伏《ふ》し|拝《はい》して|言《い》った、「はしためは、わが|君《きみ》のしもべたちの|足《あし》を|洗《あら》うつかえめです」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]アビガイルは|急《いそ》いで|立《た》ち、ろばに|乗《の》って、五|人《にん》の|侍女《じじょ》たちを|連《つ》れ、ダビデの|使者《ししゃ》たちに|従《したが》って|行《い》き、ダビデの|妻《つま》となった。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたエズレルのアヒノアムをめとった。|彼女《かのじょ》たちはふたりともダビデの|妻《つま》となった。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ところでサウルはその|娘《むすめ》、ダビデの|妻《つま》ミカルを、ガリムの|人《ひと》であるライシの|子《こ》パルテに|与《あた》えた。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころジフびとがギベアにおるサウルのもとにきて|言《い》った、「ダビデは|荒野《あらの》の|前《まえ》にあるハキラの|山《やま》に|隠《かく》れているではありませんか」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|立《た》って、ジフの|荒野《あらの》でダビデを|捜《さが》すために、イスラエルのうちから|選《えら》んだ三千|人《にん》をひき|連《つ》れて、ジフの|荒野《あらの》に|下《くだ》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|荒野《あらの》の|前《まえ》の|道《みち》のかたわらにあるハキラの|山《やま》に|陣《じん》を|取《と》った。ダビデは|荒野《あらの》にとどまっていたが、サウルが|自分《じぶん》のあとを|追《お》って|荒野《あらの》にきたのを|見《み》て、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|斥候《せっこう》を|出《だ》し、サウルが|確《たし》かにきたのを|知《し》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|立《た》って、サウルが|陣《じん》を|取《と》っている|所《ところ》へ|行《い》って、サウルとその|軍《ぐん》の|長《ちょう》、ネルの|子《こ》アブネルの|寝《ね》ている|場所《ばしょ》を|見《み》た。サウルは|陣所《じんしょ》のうちに|寝《ね》ていて、|民《たみ》はその|周囲《しゅうい》に|宿営《しゅくえい》していた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは、ヘテびとアヒメレク、およびゼルヤの|子《こ》で、ヨアブの|兄弟《きょうだい》であるアビシャイに|言《い》った、「だれがわたしと|共《とも》にサウルの|陣《じん》に|下《くだ》って|行《い》くか」。アビシャイは|言《い》った、「わたしが|一緒《いっしょ》に|下《くだ》って|行《い》きます」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデとアビシャイとが|夜《よる》、|民《たみ》のところへ|行《い》ってみると、サウルは|陣所《じんしょ》のうちに|身《み》を|横《よこ》たえて|寝《ね》ており、そのやりは|枕《まくら》もとに|地《ち》に|突《つ》きさしてあった。そしてアブネルと|民《たみ》らとはその|周囲《しゅうい》に|寝《ね》ていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アビシャイはダビデに|言《い》った、「|神《かみ》はきょう|敵《てき》をあなたの|手《て》に|渡《わた》されました。どうぞわたしに、|彼《かれ》のやりをもってひと|突《つ》きで|彼《かれ》を|地《ち》に|刺《さ》しとおさせてください。ふたたび|突《つ》くには|及《およ》びません」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデはアビシャイに|言《い》った、「|彼《かれ》を|殺《ころ》してはならない。|主《しゅ》が|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》に|向《む》かって、|手《て》をのべ、|罪《つみ》を|得《え》ない|者《もの》があろうか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまた|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。|主《しゅ》が|彼《かれ》を|撃《う》たれるであろう。あるいは|彼《かれ》の|死《し》ぬ|日《ひ》が|来《く》るであろう。あるいは|戦《たたか》いに|下《くだ》って|行《い》って|滅《ほろ》びるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》に|向《む》かって、わたしが|手《て》をのべることを|主《しゅ》は|禁《きん》じられる。しかし|今《いま》、そのまくらもとにあるやりと|水《みず》のびんを|取《と》りなさい。そしてわれわれは|去《さ》ろう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはサウルの|枕《まくら》もとから、やりと|水《みず》のびんを|取《と》って|彼《かれ》らは|去《さ》ったが、だれもそれを|見《み》ず、だれも|知《し》らず、また、だれも|目《め》をさまさず、みな|眠《ねむ》っていた。|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|深《ふか》く|眠《ねむ》らされたからである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|向《む》こう|側《がわ》に|渡《わた》って|行《い》って、|遠《とお》く|離《はな》れて|山《やま》の|頂《いただき》に|立《た》った。|彼《かれ》らの|間《あいだ》の|隔《へだ》たりは|大《おお》きかった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|民《たみ》とネルの|子《こ》アブネルに|呼《よ》ばわって|言《い》った、「アブネルよ、あなたは|答《こた》えないのか」。アブネルは|答《こた》えて|言《い》った、「|王《おう》を|呼《よ》んでいるあなたはだれか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアブネルに|言《い》った、「あなたは|男《おとこ》ではないか。イスラエルのうちに、あなたに|及《およ》ぶ|人《ひと》があろうか。それであるのに、どうしてあなたは|主君《しゅくん》である|王《おう》を|守《まも》らなかったのか。|民《たみ》のひとりが、あなたの|主君《しゅくん》である|王《おう》を|殺《ころ》そうとして、はいりこんだではないか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがしたこの|事《こと》は|良《よ》くない。|主《しゅ》は|生《い》きておられる。あなたがたは、まさに|死《し》に|値《あたい》する。|主《しゅ》が|油《あぶら》をそそがれた、あなたの|主君《しゅくん》を|守《まも》らなかったからだ。いま|王《おう》のやりがどこにあるか。その|枕《まくら》もとにあった|水《みず》のびんがどこにあるかを|見《み》なさい」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはダビデの|声《こえ》を|聞《き》きわけて|言《い》った、「わが|子《こ》ダビデよ、これはあなたの|声《こえ》か」。ダビデは|言《い》った、「|王《おう》、わが|君《きみ》よ、わたしの|声《こえ》です」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまた|言《い》った、「わが|君《きみ》はどうしてしもべのあとを|追《お》われるのですか。わたしが|何《なに》をしたのですか。わたしの|手《て》になんのわるいことがあるのですか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》、わが|君《きみ》よ、どうぞ、|今《いま》しもべの|言葉《ことば》を|聞《き》いてください。もし|主《しゅ》があなたを|動《うご》かして、わたしの|敵《てき》とされたのであれば、どうぞ|主《しゅ》が|供《そな》え|物《もの》を|受《う》けて|和《やわ》らいでくださるように。もし、それが|人《ひと》であるならば、どうぞその|人々《ひとびと》が|主《しゅ》の|前《まえ》にのろいを|受《う》けるように。|彼《かれ》らが『おまえは|行《い》って|他《た》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》えなさい』と|言《い》って、きょう、わたしを|追《お》い|出《だ》し、|主《しゅ》の|嗣《し》|業《ぎょう》にあずかることができないようにしたからです。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》、|主《しゅ》の|前《まえ》を|離《はな》れて、わたしの|血《ち》が|地《ち》に|落《お》ちることのないようにしてください。イスラエルの|王《おう》は、|人《ひと》が|山《やま》で、しゃこを|追《お》うように、わたしの|命《いのち》を|取《と》ろうとして|出《で》てこられたのです」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、サウルは|言《い》った、「わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》した。わが|子《こ》ダビデよ、|帰《かえ》ってきてください。きょう、わたしの|命《いのち》があなたの|目《め》に|尊《たっと》く|見《み》られたゆえ、わたしは、もはやあなたに|害《がい》を|加《くわ》えないであろう。わたしは|愚《おろ》かなことをして、|非常《ひじょう》なまちがいをした」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|答《こた》えた、「|王《おう》のやりは、ここにあります。ひとりの|若者《わかもの》に|渡《わた》ってこさせ、これを|持《も》ちかえらせてください。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人《ひと》おのおのにその|義《ぎ》と|真実《しんじつ》とに|従《したが》って|報《むく》いられます。|主《しゅ》がきょう、あなたをわたしの|手《て》に|渡《わた》されたのに、わたしは|主《しゅ》が|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》に|向《む》かって、|手《て》をのべることをしなかったのです。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]きょう、わたしがあなたの|命《いのち》を|重《おも》んじたように、どうぞ|主《しゅ》がわたしの|命《いのち》を|重《おも》んじて、もろもろの|苦難《くなん》から|救《すく》い|出《だ》してくださるように」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]サウルはダビデに|言《い》った、「わが|子《こ》ダビデよ、あなたはほむべきかな。あなたは|多《おお》くの|事《こと》をおこなって、それをなし|遂《と》げるであろう」。こうしてダビデはその|道《みち》を|行《い》き、サウルは|自分《じぶん》の|所《ところ》へ|帰《かえ》った。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|心《こころ》のうちに|言《い》った、「わたしは、いつかはサウルの|手《て》にかかって|滅《ほろ》ぼされるであろう。|早《はや》くペリシテびとの|地《ち》へのがれるほかはない。そうすればサウルはこの|上《うえ》イスラエルの|地《ち》にわたしをくまなく|捜《さが》すことはやめ、わたしは|彼《かれ》の|手《て》からのがれることができるであろう」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデは、|共《とも》にいた六百|人《にん》と|一緒《いっしょ》に、|立《た》ってガテの|王《おう》マオクの|子《こ》アキシの|所《ところ》へ|行《い》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデと|従者《じゅうしゃ》たちは、おのおのその|家族《かぞく》とともに、ガテでアキシと|共《とも》に|住《す》んだ。ダビデはそのふたりの|妻《つま》、すなわちエズレルの|女《おんな》アヒノアムと、カルメルの|女《おんな》でナバルの|妻《つま》であったアビガイルと|共《とも》におった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがガテにのがれたことがサウルに|聞《きこ》えたので、サウルはもはや|彼《かれ》を|捜《さが》さなかった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデはアキシに|言《い》った、「もしわたしがあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》るならば、どうぞ、いなかにある|町《まち》のうちで一つの|場所《ばしょ》をわたしに|与《あた》えてそこに|住《す》まわせてください。どうしてしもべがあなたと|共《とも》に|王《おう》の|町《まち》に|住《す》むことができましょうか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アキシはその|日《ひ》チクラグを|彼《かれ》に|与《あた》えた。こうしてチクラグは|今日《こんにち》にいたるまでユダの|王《おう》に|属《ぞく》している。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがペリシテびとの|国《くに》に|住《す》んだ|日《ひ》の|数《かず》は一|年《ねん》と四か|月《げつ》であった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデは|従者《じゅうしゃ》と|共《とも》にのぼって、ゲシュルびと、ゲゼルびとおよびアマレクびとを|襲《おそ》った。これらは|昔《むかし》からシュルに|至《いた》るまでの|地《ち》の|住民《じゅうみん》であって、エジプトに|至《いた》るまでの|地《ち》に|住《す》んでいた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|地《ち》を|撃《う》って、|男《おとこ》も|女《おんな》も|生《い》かしおかず、|羊《ひつじ》と|牛《うし》とろばとらくだと|衣服《いふく》とを|取《と》って、アキシのもとに|帰《かえ》ってきた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アキシが「あなたはきょうどこを|襲《おそ》いましたか」と|尋《たず》ねると、ダビデは、その|時々《ときどき》、「ユダのネゲブです」、「エラメルびとのネゲブです」「ケニびとのネゲブです」と|言《い》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|男《おとこ》も|女《おんな》も|生《い》かしおかず、ひとりをもガテに|引《ひ》いて|行《い》かなかった。それはダビデが、「|恐《おそ》らくは、|彼《かれ》らが、『ダビデはこうした』と|言《い》って、われわれのことを|告《つ》げるであろう」と|思《おも》ったからである。ダビデはペリシテびとのいなかに|住《す》んでいる|間《あいだ》はこうするのが|常《つね》であった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アキシはダビデを|信《しん》じて|言《い》った、「|彼《かれ》は|自分《じぶん》を|全《まった》くその|民《たみ》イスラエルに|憎《にく》まれるようにした。それゆえ|彼《かれ》は|永久《えいきゅう》にわたしのしもべとなるであろう」。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、ペリシテびとがイスラエルと|戦《たたか》おうとして、いくさのために|軍勢《ぐんぜい》を|集《あつ》めたので、アキシはダビデに|言《い》った、「あなたは、しかと|承知《しょうち》してください。あなたとあなたの|従者《じゅうしゃ》たちとは、わたしと|共《とも》に|出《で》て、|軍勢《ぐんぜい》に|加《くわ》わらなければなりません」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアキシに|言《い》った、「よろしい、あなたはしもべが|何《なに》をするかを|知《し》られるでしょう」。アキシはダビデに|言《い》った、「よろしい、あなたを|終身《しゅうしん》わたしの|護衛《ごえい》の|長《ちょう》としよう」。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]さてサムエルはすでに|死《し》んで、イスラエルのすべての|人《ひと》は|彼《かれ》のために|悲《かな》しみ、その|町《まち》ラマに|葬《ほうむ》った。また|先《さき》にサウルは|口寄《くちよ》せや|占《うらな》い|師《し》をその|地《ち》から|追放《ついほう》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとが|集《あつ》まってきてシュネムに|陣《じん》を|取《と》ったので、サウルはイスラエルのすべての|人《ひと》を|集《あつ》めて、ギルボアに|陣《じん》を|取《と》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]サウルはペリシテびとの|軍勢《ぐんぜい》を|見《み》て|恐《おそ》れ、その|心《こころ》はいたくおののいた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルは|主《しゅ》に|伺《うかが》いをたてたが、|主《しゅ》は|夢《ゆめ》によっても、ウリムによっても、|預言者《よげんしゃ》によっても|彼《かれ》に|答《こた》えられなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サウルはしもべたちに|言《い》った、「わたしのために、|口寄《くちよ》せの|女《おんな》を|捜《さが》し|出《だ》しなさい。わたしは|行《い》ってその|女《おんな》に|尋《たず》ねよう」。しもべたちは|彼《かれ》に|言《い》った、「|見《み》よ、エンドルにひとりの|口寄《くちよ》せがいます」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|姿《すがた》を|変《か》えてほかの|着物《きもの》をまとい、ふたりの|従者《じゅうしゃ》を|伴《ともな》って|行《い》き、|夜《よる》の|間《あいだ》に、その|女《おんな》の|所《ところ》にきた。そしてサウルは|言《い》った、「わたしのために|口寄《くちよ》せの|術《じゅつ》を|行《い》って、わたしがあなたに|告《つ》げる|人《ひと》を|呼《よ》び|起《おこ》してください」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはサウルがしたことをごぞんじでしょう。|彼《かれ》は|口寄《くちよ》せや|占《うらな》い|師《し》をその|国《くに》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼしました。どうしてあなたは、わたしの|命《いのち》にわなをかけて、わたしを|死《し》なせようとするのですか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|主《しゅ》をさして|彼女《かのじょ》に|誓《ちか》って|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。この|事《こと》のためにあなたが|罰《ばつ》を|受《う》けることはないでしょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|言《い》った、「あなたのためにだれを|呼《よ》び|起《おこ》しましょうか」。サウルは|言《い》った、「サムエルを|呼《よ》び|起《おこ》してください」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はサムエルを|見《み》た|時《とき》、|大声《おおごえ》で|叫《さけ》んだ。そしてその|女《おんな》はサウルに|言《い》った、「どうしてあなたはわたしを|欺《あざむ》かれたのですか。あなたはサウルです」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|恐《おそ》れることはない。あなたには|何《なに》が|見《み》えるのですか」。|女《おんな》はサウルに|言《い》った、「|神《かみ》のようなかたが|地《ち》からのぼられるのが|見《み》えます」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]サウルは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「その|人《ひと》はどんな|様子《ようす》をしていますか」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「ひとりの|老人《ろうじん》がのぼってこられます。その|人《ひと》は|上着《うわぎ》をまとっておられます」。サウルはその|人《ひと》がサムエルであるのを|知《し》り、|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|拝《はい》した。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはサウルに|言《い》った、「なぜ、わたしを|呼《よ》び|起《おこ》して、わたしを|煩《わずら》わすのか」。サウルは|言《い》った、「わたしは、ひじょうに|悩《なや》んでいます。ペリシテびとがわたしに|向《む》かっていくさを|起《おこ》し、|神《かみ》はわたしを|離《はな》れて、|預言者《よげんしゃ》によっても、|夢《ゆめ》によっても、もはやわたしに|答《こた》えられないのです。それで、わたしのすべきことを|知《し》るために、あなたを|呼《よ》びました」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]サムエルは|言《い》った、「|主《しゅ》があなたを|離《はな》れて、あなたの|敵《てき》となられたのに、どうしてあなたはわたしに|問《と》うのですか。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、わたしによって|語《かた》られたとおりにあなたに|行《おこな》われた。|主《しゅ》は|王国《おうこく》を、あなたの|手《て》から|裂《さ》きはなして、あなたの|隣人《りんじん》であるダビデに|与《あた》えられた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、|主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りに|従《したが》って、アマレクびとを|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼさなかったゆえに、|主《しゅ》はこの|事《こと》を、この|日《ひ》、あなたに|行《おこな》われたのである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたイスラエルをも、あなたと|共《とも》に、ペリシテびとの|手《て》に|渡《わた》されるであろう。あすは、あなたもあなたの|子《こ》らもわたしと|一緒《いっしょ》になるであろう。また|主《しゅ》はイスラエルの|軍勢《ぐんぜい》をもペリシテびとの|手《て》に|渡《わた》される」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そのときサウルは、ただちに、|地《ち》に|伸《の》び、|倒《たお》れ、サムエルの|言葉《ことば》のために、ひじょうに|恐《おそ》れ、またその|力《ちから》はうせてしまった。その一|日《にち》一|夜《や》、|食物《しょくもつ》をとっていなかったからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はサウルのもとにきて、|彼《かれ》のおののいているのを|見《み》て|言《い》った、「あなたのつかえめは、あなたの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、わたしの|命《いのち》をかけて、あなたの|言《い》われた|言葉《ことば》に|従《したが》いました。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》あなたも、つかえめの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、|一口《ひとくち》のパンをあなたの|前《まえ》にそなえさせてください。あなたはそれをめしあがって|力《ちから》をつけ、|道《みち》を|行《い》ってください」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ところがサウルは|断《ことわ》って|言《い》った、「わたしは|食《た》べません」。しかし|彼《かれ》のしもべたちも、その|女《おんな》もしいてすすめたので、サウルはその|言葉《ことば》を|聞《き》きいれ、|地《ち》から|起《お》きあがり、|床《とこ》の|上《うえ》にすわった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》は|家《いえ》に|肥《こ》えた|子《こ》|牛《うし》があったので、|急《いそ》いでそれをほふり、また|麦粉《むぎこ》をとり、こねて、|種《たね》|入《い》れぬパンを|焼《や》き、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]サウルとそのしもべたちの|前《まえ》に|持《も》ってきたので、|彼《かれ》らは|食《た》べた。そして|彼《かれ》らは|立《た》ち|上《あ》がって、その|夜《よる》のうちに|去《さ》った。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとは、その|軍勢《ぐんぜい》をことごとくアペクに|集《あつ》めた。イスラエルびとはエズレルにある|泉《いずみ》のかたわらに|陣《じん》を|取《と》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとの|君《きみ》たちは、あるいは百|人《にん》、あるいは千|人《にん》を|率《ひき》いて|進《すす》み、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちはアキシと|共《とも》に、しんがりになって|進《すす》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ペリシテびとの|君《きみ》たちは|言《い》った、「これらのヘブルびとはここで|何《なに》をしているのか」。アキシはペリシテびとたちに|言《い》った、「これはイスラエルの|王《おう》サウルのしもべダビデではないか。|彼《かれ》はこの|日《ひ》ごろ、この|年《とし》ごろ、わたしと|共《とも》にいたが、|逃《に》げ|落《お》ちてきた|日《ひ》からきょうまで、わたしは|彼《かれ》にあやまちがあったのを|見《み》たことがない」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかしペリシテびとの|君《きみ》たちは|彼《かれ》に|向《む》かって|怒《いか》った。そしてペリシテびとの|君《きみ》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「この|人《ひと》を|帰《かえ》らせて、あなたが|彼《かれ》を|置《お》いたもとの|所《ところ》へ|行《い》かせなさい。われわれと|一緒《いっしょ》に|彼《かれ》を|戦《たたか》いに|下《くだ》らせてはならない。|戦《たたか》いの|時《とき》、|彼《かれ》がわれわれの|敵《てき》となるかも|知《し》れないからである。この|者《もの》は|何《なに》をもってその|主君《しゅくん》とやわらぐことができようか。ここにいる|人々《ひとびと》の|首《くび》をもってするほかはあるまい。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これは、かつて|人々《ひとびと》が|踊《おど》りのうちに|歌《うた》いかわして、 [#ここから2字下げ] 『サウルは千を|撃《う》ち|殺《ころ》し、 ダビデは|万《まん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した』 [#ここで字下げ終わり] と|言《い》った、あのダビデではないか」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでアキシはダビデを|呼《よ》んで|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。あなたは|正《ただ》しい|人《ひと》である。あなたがわたしと|一緒《いっしょ》に|戦《たたか》いに|出入《でい》りすることをわたしは|良《よ》いと|思《おも》っている。それはあなたがわたしの|所《ところ》にきた|日《ひ》からこの|日《ひ》まで、わたしは、あなたに|悪《わる》い|事《こと》があったのを|見《み》たことがないからである。しかしペリシテびとの|君《きみ》たちはあなたを|良《よ》く|言《い》わない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》|安《やす》らかに|帰《かえ》って|行《い》きなさい。|彼《かれ》らが|悪《わる》いと|思《おも》うことはしないがよかろう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアキシに|言《い》った、「しかしわたしが|何《なに》をしたというのですか。わたしがあなたに|仕《つか》えはじめた|日《ひ》からこの|日《ひ》までに、あなたはしもべの|身《み》に|何《なに》を|見《み》られたので、わたしは|行《い》って、わたしの|主君《しゅくん》である|王《おう》の|敵《てき》と|戦《たたか》うことができないのですか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アキシはダビデに|答《こた》えた、「わたしは|見《み》て、あなたが|神《かみ》の|使《つかい》のようにりっぱな|人《ひと》であることを|知《し》っている。しかし、ペリシテびとの|君《きみ》たちは、『われわれと|一緒《いっしょ》に|彼《かれ》を|戦《たたか》いに|上《のぼ》らせてはならない』と|言《い》っている。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたは、|一緒《いっしょ》にきたあなたの|主君《しゅくん》のしもべたちと|共《とも》に|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きなさい。そして|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き、|夜《よる》が|明《あ》けてから|去《さ》りなさい」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちとは|共《とも》にペリシテびとの|地《ち》へ|帰《かえ》ろうと、|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて|出立《しゅったつ》したが、ペリシテびとはエズレルへ|上《のぼ》って|行《い》った。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちが三|日《か》|目《め》にチクラグにきた|時《とき》、アマレクびとはすでにネゲブとチクラグを|襲《おそ》っていた。|彼《かれ》らはチクラグを|撃《う》ち、|火《ひ》をはなってこれを|焼《や》き、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》にいた|女《おんな》たちおよびすべての|者《もの》を|捕虜《ほりょ》にし、|小《ちい》さい|者《もの》をも|大《おお》きい|者《もの》をも、ひとりも|殺《ころ》さずに、|引《ひ》いて、その|道《みち》に|行《い》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデと|従者《じゅうしゃ》たちはその|町《まち》にきて、|町《まち》が|火《ひ》で|焼《や》かれ、その|妻《つま》とむすこ|娘《むすめ》らは|捕虜《ほりょ》となったのを|見《み》た。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいた|民《たみ》は|声《こえ》をあげて|泣《な》き、ついに|泣《な》く|力《ちから》もなくなった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデのふたりの|妻《つま》すなわちエズレルの|女《おんな》アヒノアムと、カルメルびとナバルの|妻《つま》であったアビガイルも|捕虜《ほりょ》になった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ダビデはひじょうに|悩《なや》んだ。それは|民《たみ》がみなおのおのそのむすこ|娘《むすめ》のために|心《こころ》を|痛《いた》めたため、ダビデを|石《いし》で|撃《う》とうと|言《い》ったからである。しかしダビデはその|神《かみ》、|主《しゅ》によって|自分《じぶん》を|力《ちから》づけた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアヒメレクの|子《こ》、|祭司《さいし》アビヤタルに、「エポデをわたしのところに|持《も》ってきなさい」と|言《い》ったので、アビヤタルは、エポデをダビデのところに|持《も》ってきた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》に|伺《うかが》いをたてて|言《い》った、「わたしはこの|軍隊《ぐんたい》のあとを|追《お》うべきですか。わたしはそれに|追《お》いつくことができましょうか」。|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「|追《お》いなさい。あなたは|必《かなら》ず|追《お》いついて、|確《たし》かに|救《すく》い|出《だ》すことができるであろう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは、|一緒《いっしょ》にいた六百|人《にん》の|者《もの》と|共《とも》に|出立《しゅったつ》してベソル|川《かわ》へ|行《い》ったが、あとに|残《のこ》る|者《もの》はそこにとどまった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちダビデは四百|人《にん》と|共《とも》に|追撃《ついげき》をつづけたが、|疲《つか》れてベソル|川《かわ》を|渡《わた》れない|者《もの》二百|人《にん》はとどまった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|野《の》で、ひとりのエジプトびとを|見《み》て、それをダビデのもとに|引《ひ》いてきて、パンを|食《た》べさせ、|水《みず》を|飲《の》ませた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らはほしいちじくのかたまり一つと、ほしぶどう二ふさを|彼《かれ》に|与《あた》えた。|彼《かれ》は|食《た》べて|元気《げんき》を|回復《かいふく》した。|彼《かれ》は三|日《か》三|夜《よ》、パンを|食《た》べず、|水《みず》を|飲《の》んでいなかったからである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはだれのものか。どこからきたのか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしはエジプトの|若者《わかもの》で、アマレクびとの|奴隷《どれい》です。三|日《か》|前《まえ》にわたしが|病気《びょうき》になったので、|主人《しゅじん》はわたしを|捨《す》てて|行《い》きました。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしどもは、ケレテびとのネゲブと、ユダに|属《ぞく》する|地《ち》と、カレブのネゲブを|襲《おそ》い、また|火《ひ》でチクラグを|焼《や》きはらいました」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはその|軍隊《ぐんたい》のところへわたしを|導《みちび》き|下《くだ》ってくれるか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「あなたはわたしを|殺《ころ》さないこと、またわたしを|主人《しゅじん》の|手《て》に|渡《わた》さないことを、|神《かみ》をさしてわたしに|誓《ちか》ってください。そうすればあなたをその|軍隊《ぐんたい》のところへ|導《みちび》き|下《くだ》りましょう」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はダビデを|導《みちび》き|下《くだ》ったが、|見《み》よ、|彼《かれ》らはペリシテびとの|地《ち》とユダの|地《ち》から|奪《うば》い|取《と》ったさまざまの|多《おお》くのぶんどり|物《もの》のゆえに、|食《く》い|飲《の》み、かつ|踊《おど》りながら、|地《ち》のおもてにあまねく|散《ち》りひろがっていた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|夕《ゆう》ぐれから|翌日《よくじつ》の|夕方《ゆうがた》まで、|彼《かれ》らを|撃《う》ったので、らくだに|乗《の》って|逃《に》げた四百|人《にん》の|若者《わかもの》たちのほかには、ひとりものがれた|者《もの》はなかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはアマレクびとが|奪《うば》い|取《と》ったものをみな|取《と》りもどした。またダビデはそのふたりの|妻《つま》を|救《すく》い|出《だ》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らに|属《ぞく》するものは、|小《ちい》さいものも|大《おお》きいものも、むすこも|娘《むすめ》もぶんどり|物《もの》も、アマレクびとが|奪《うば》い|去《さ》った|物《もの》は|何《なに》をも|失《うしな》わないで、ダビデがみな|取《と》りもどした。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたすべての|羊《ひつじ》と|牛《うし》を|取《と》った。|人々《ひとびと》はこれらの|家畜《かちく》を|彼《かれ》の|前《まえ》に|追《お》って|行《い》きながら、「これはダビデのぶんどり|物《もの》だ」と|言《い》った。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデが、あの|疲《つか》れてダビデについて|行《い》くことができずに、ベソル|川《かわ》のほとりにとどまっていた二百|人《にん》の|者《もの》のところへきた|時《とき》、|彼《かれ》らは|出《で》てきてダビデを|迎《むか》え、またダビデと|共《とも》にいる|民《たみ》を|迎《むか》えた。ダビデは|民《たみ》に|近《ちか》づいてその|安否《あんぴ》を|問《と》うた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そのときダビデと|共《とも》に|行《い》った|人々《ひとびと》のうちで、|悪《わる》く、かつよこしまな|者《もの》どもはみな|言《い》った、「|彼《かれ》らはわれわれと|共《とも》に|行《い》かなかったのだから、われわれはその|人々《ひとびと》にわれわれの|取《と》りもどしたぶんどり|物《もの》を|分《わ》け|与《あた》えることはできない。ただおのおのにその|妻子《さいし》を|与《あた》えて、|連《つ》れて|行《い》かせましょう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデは|言《い》った、「|兄弟《きょうだい》たちよ、|主《しゅ》はわれわれを|守《まも》って、|攻《せ》めてきた|軍隊《ぐんたい》をわれわれの|手《て》に|渡《わた》された。その|主《しゅ》が|賜《たま》わったものを、あなたがたはそのようにしてはならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]だれがこの|事《こと》について、あなたがたに|聞《き》き|従《したが》いますか。|戦《たたか》いに|下《くだ》って|行《い》った|者《もの》の|分《わ》け|前《まえ》と、|荷物《にもつ》のかたわらにとどまっていた|者《もの》の|分《わ》け|前《まえ》を|同様《どうよう》にしなければならない。|彼《かれ》らはひとしく|分《わ》け|前《まえ》を|受《う》けるべきである」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》|以来《いらい》、ダビデはこれをイスラエルの|定《さだ》めとし、おきてとして|今日《こんにち》に|及《およ》んでいる。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはチクラグにきて、そのぶんどり|物《もの》の|一部《いちぶ》をユダの|長老《ちょうろう》である|友人《ゆうじん》たちにおくって|言《い》った、「これは|主《しゅ》の|敵《てき》から|取《と》ったぶんどり|物《もの》のうちからあなたがたにおくる|贈《おく》り|物《もの》である」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そのおくり|先《さき》は、ベテルにいる|人々《ひとびと》、ネゲブのラモテにいる|人々《ひとびと》、ヤッテルにいる|人々《ひとびと》、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]アロエルにいる|人々《ひとびと》、シフモテにいる|人々《ひとびと》、エシテモアにいる|人々《ひとびと》、ラカルにいる|人々《ひとびと》、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]エラメルびとの|町々《まちまち》にいる|人々《ひとびと》、ケニびとの|町々《まちまち》にいる|人々《ひとびと》、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ホルマにいる|人々《ひとびと》、ボラシャンにいる|人々《ひとびと》、アタクにいる|人々《ひとびと》、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンにいる|人々《ひとびと》、およびダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちが、さまよい|歩《ある》いたすべての|所《ところ》にいる|人々《ひとびと》であった。 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとはイスラエルと|戦《たたか》った。イスラエルの|人々《ひとびと》はペリシテびとの|前《まえ》から|逃《に》げ、|多《おお》くの|者《もの》は|傷《きず》ついてギルボア|山《やま》にたおれた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはサウルとその|子《こ》らに|攻《せ》め|寄《よ》り、そしてペリシテびとはサウルの|子《こ》ヨナタン、アビナダブ、およびマルキシュアを|殺《ころ》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|戦《たたか》いは|激《はげ》しくサウルに|迫《せま》り、|弓《ゆみ》を|射《い》る|者《もの》どもがサウルを|見《み》つけて、|彼《かれ》を|射《い》たので、サウルは|射《い》る|者《もの》たちにひどい|傷《きず》を|負《お》わされた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルはその|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》に|言《い》った、「つるぎを|抜《ぬ》き、それをもってわたしを|刺《さ》せ。さもないと、これらの|無《む》|割礼《かつれい》の|者《もの》どもがきて、わたしを|刺《さ》し、わたしをなぶり|殺《ごろ》しにするであろう」。しかしその|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》は、ひじょうに|恐《おそ》れて、それに|応《おう》じなかったので、サウルは、つるぎを|執《と》って、その|上《うえ》に|伏《ふ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》はサウルが|死《し》んだのを|見《み》て、|自分《じぶん》もまたつるぎの|上《うえ》に|伏《ふ》して、|彼《かれ》と|共《とも》に|死《し》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサウルとその三|人《にん》の|子《こ》たち、およびサウルの|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》、ならびにその|従者《じゅうしゃ》たちは|皆《みな》、この|日《ひ》|共《とも》に|死《し》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》で、|谷《たに》の|向《む》こう|側《がわ》、およびヨルダンの|向《む》こう|側《がわ》にいる|者《もの》が、イスラエルの|人々《ひとびと》の|逃《に》げるのを|見《み》、またサウルとその|子《こ》たちの|死《し》んだのを|見《み》て|町々《まちまち》を|捨《す》てて|逃《に》げたので、ペリシテびとはきてその|中《なか》に|住《す》んだ。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あくる|日《ひ》、ペリシテびとは|殺《ころ》された|者《もの》から、はぎ|取《と》るためにきたが、サウルとその三|人《にん》の|子《こ》たちがギルボア|山《やま》にたおれているのを|見《み》つけた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはサウルの|首《くび》を|切《き》り、そのよろいをはぎ|取《と》り、ペリシテびとの|全《ぜん》|地《ち》に|人《ひと》をつかわして、この|良《よ》い|知《し》らせを、その|偶像《ぐうぞう》と|民《たみ》とに|伝《つた》えさせた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らは、そのよろいをアシタロテの|神殿《しんでん》に|置《お》き、|彼《かれ》のからだをベテシャンの|城壁《じょうへき》にくぎづけにした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヤベシ・ギレアデの|住民《じゅうみん》たちは、ペリシテびとがサウルにした|事《こと》を|聞《き》いて、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|勇士《ゆうし》たちはみな|立《た》ち、|夜《よ》もすがら|行《い》って、サウルのからだと、その|子《こ》たちのからだをベテシャンの|城壁《じょうへき》から|取《と》りおろし、ヤベシにきて、これをそこで|焼《や》き、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|骨《ほね》を|取《と》って、ヤベシのぎょりゅうの|木《き》の|下《した》に|葬《ほうむ》り、|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|断食《だんじき》した。 [#改ページ] サムエル記下[#「サムエル記下」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サウルが|死《し》んだ|後《のち》、ダビデはアマレクびとを|撃《う》って|帰《かえ》り、ふつかの|間《あいだ》チクラグにとどまっていたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》となって、ひとりの|人《ひと》が、その|着物《きもの》を|裂《さ》き、|頭《あたま》に|土《つち》をかぶって、サウルの|陣営《じんえい》からきた。そしてダビデのもとにきて、|地《ち》に|伏《ふ》して|拝《はい》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはどこからきたのか」。|彼《かれ》はダビデに|言《い》った、「わたしはイスラエルの|陣営《じんえい》から、のがれてきたのです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》に|言《い》った、「|様子《ようす》はどうであったか|話《はな》しなさい」。|彼《かれ》は|答《こた》えた、「|民《たみ》は|戦《たたか》いから|逃《に》げ、|民《たみ》の|多《おお》くは|倒《たお》れて|死《し》に、サウルとその|子《こ》ヨナタンもまた|死《し》にました」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|自分《じぶん》と|話《はな》している|若者《わかもの》に|言《い》った、「あなたはサウルとその|子《こ》ヨナタンが|死《し》んだのを、どうして|知《し》ったのか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|話《はな》している|若者《わかもの》は|言《い》った、「わたしは、はからずも、ギルボア|山《やま》にいましたが、サウルはそのやりによりかかっており、|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》とが|彼《かれ》に|攻《せ》め|寄《よ》ろうとしていました。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》はうしろを|振《ふ》り|向《む》いてわたしを|見《み》、わたしを|呼《よ》びましたので、『ここにいます』とわたしは|答《こた》えました。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は『おまえはだれか』と|言《い》いましたので、『アマレクびとです』と|答《こた》えました。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしに|言《い》いました、『そばにきて|殺《ころ》してください。わたしは|苦《くる》しみに|耐《た》えない。まだ|命《いのち》があるからです』。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしはそのそばにいって|彼《かれ》を|殺《ころ》しました。|彼《かれ》がすでに|倒《たお》れて、|生《い》きることのできないのを|知《し》ったからです。そしてわたしは|彼《かれ》の|頭《あたま》にあった|冠《かんむり》と、|腕《うで》につけていた|腕輪《うでわ》とを|取《と》って、それをわが|主《しゅ》のもとに|携《たずさ》えてきたのです」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そのときダビデは|自分《じぶん》の|着物《きもの》をつかんでそれを|裂《さ》き、|彼《かれ》と|共《とも》にいた|人々《ひとびと》も|皆《みな》|同《おな》じようにした。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはサウルのため、またその|子《こ》ヨナタンのため、また|主《しゅ》の|民《たみ》のため、またイスラエルの|家《いえ》のために|悲《かな》しみ|泣《な》いて、|夕暮《ゆうぐれ》まで|食《しょく》を|断《た》った。それは|彼《かれ》らがつるぎに|倒《たお》れたからである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|自分《じぶん》と|話《はな》していた|若者《わかもの》に|言《い》った、「あなたはどこの|人《ひと》ですか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「アマレクびとで、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》の|子《こ》です」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまた|彼《かれ》に|言《い》った、「どうしてあなたは|手《て》を|伸《の》べて|主《しゅ》の|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》を|殺《ころ》すことを|恐《おそ》れなかったのですか」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはひとりの|若者《わかもの》を|呼《よ》び、「|近寄《ちかよ》って|彼《かれ》を|撃《う》て」と|言《い》った。そこで|彼《かれ》を|撃《う》ったので|死《し》んだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたの|流《なが》した|血《ち》の|責《せ》めはあなたに|帰《き》する。あなたが|自分《じぶん》の|口《くち》から、『わたしは|主《しゅ》の|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》を|殺《ころ》した』と|言《い》って、|自身《じしん》にむかって|証拠《しょうこ》を|立《た》てたからである」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはこの|悲《かな》しみの|歌《うた》をもって、サウルとその|子《こ》ヨナタンのために|哀悼《あいとう》した。――[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これは、ユダの|人々《ひとびと》に|教《おし》えるための|弓《ゆみ》の|歌《うた》で、ヤシャルの|書《しょ》にしるされている。――|彼《かれ》は|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルよ、あなたの|栄光《えいこう》は、 あなたの|高《たか》き|所《ところ》で|殺《ころ》された。 ああ、|勇士《ゆうし》たちは、ついに|倒《たお》れた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ガテにこの|事《こと》を|告《つ》げてはいけない。 アシケロンのちまたに|伝《つた》えてはならない。 おそらくはペリシテびとの|娘《むすめ》たちが|喜《よろこ》び、 |割礼《かつれい》なき|者《もの》の|娘《むすめ》たちが|勝《か》ちほこるであろう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ギルボアの|山《やま》よ、 |露《つゆ》はおまえの|上《うえ》におりるな。 |死《し》の|野《の》よ、 |雨《あめ》もおまえの|上《うえ》に|降《ふ》るな。 その|所《ところ》に|勇士《ゆうし》たちの|盾《たて》は|捨《す》てられ、 サウルの|盾《たて》は|油《あぶら》を|塗《ぬ》らずに|捨《す》てられた。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|殺《ころ》した|者《もの》の|血《ち》を|飲《の》まずには、 ヨナタンの|弓《ゆみ》は|退《しりぞ》かず、 |勇士《ゆうし》の|脂肪《しぼう》を|食《た》べないでは、 サウルのつるぎは、むなしくは|帰《かえ》らなかった。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]サウルとヨナタンとは、|愛《あい》され、かつ|喜《よろこ》ばれた。 |彼《かれ》らは|生《い》きるにも、|死《し》ぬにも|離《はな》れず、 わしよりも|早《はや》く、 ししよりも|強《つよ》かった。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|娘《むすめ》たちよ、サウルのために|泣《な》け。 |彼《かれ》は|緋色《ひいろ》の|着物《きもの》をもって、 はなやかにあなたがたを|装《よそお》い、 あなたがたの|着物《きもの》に|金《きん》の|飾《かざ》りをつけた。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|勇士《ゆうし》たちは|戦《たたか》いのさなかに|倒《たお》れた。 ヨナタンは、あなたの|高《たか》き|所《ところ》で|殺《ころ》された。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わが|兄弟《きょうだい》ヨナタンよ、あなたのためわたしは|悲《かな》しむ。 あなたはわたしにとって、いとも|楽《たの》しい|者《もの》であった。 あなたがわたしを|愛《あい》するのは|世《よ》の|常《つね》のようでなく、 |女《おんな》の|愛《あい》にもまさっていた。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|勇士《ゆうし》たちは|倒《たお》れた。 |戦《たたか》いの|器《うつわ》はうせた」。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》、ダビデは|主《しゅ》に|問《と》うて|言《い》った、「わたしはユダの一つの|町《まち》に|上《のぼ》るべきでしょうか」。|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「|上《のぼ》りなさい」。ダビデは|言《い》った、「どこへ|上《のぼ》るべきでしょうか」。|主《しゅ》は|言《い》われた、「ヘブロンへ」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデはその|所《ところ》へ|上《のぼ》った。|彼《かれ》のふたりの|妻《つま》、エズレルの|女《おんな》アヒノアムと、カルメルびとナバルの|妻《つま》であったアビガイルも|上《のぼ》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまた|自分《じぶん》と|共《とも》にいた|人々《ひとびと》を、|皆《みな》その|家族《かぞく》と|共《とも》に|連《つ》れて|上《のぼ》った。そして|彼《かれ》らはヘブロンの|町々《まちまち》に|住《す》んだ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にユダの|人々《ひとびと》がきて、その|所《ところ》でダビデに|油《あぶら》を|注《そそ》ぎ、ユダの|家《いえ》の|王《おう》とした。  |人々《ひとびと》がダビデに|告《つ》げて、「サウルを|葬《ほうむ》ったのはヤベシ・ギレアデの|人々《ひとびと》である」と|言《い》ったので、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|使者《ししゃ》をヤベシ・ギレアデの|人々《ひとびと》につかわして|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは、|主君《しゅくん》サウルにこの|忠誠《ちゅうせい》をあらわして|彼《かれ》を|葬《ほうむ》った。どうぞ|主《しゅ》があなたがたを|祝福《しゅくふく》されるように。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|主《しゅ》がいまあなたがたに、いつくしみと|真実《しんじつ》を|示《しめ》されるように。あなたがたが、この|事《こと》をしたので、わたしもまたあなたがたに|好意《こうい》を|示《しめ》すであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたがたは|手《て》を|強《つよ》くし、|雄々《おお》しくあれ。あなたがたの|主君《しゅくん》サウルは|死《し》に、ユダの|家《いえ》がわたしに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、|彼《かれ》らの|王《おう》としたからである」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さてサウルの|軍《ぐん》の|長《ちょう》、ネルの|子《こ》アブネルは、さきにサウルの|子《こ》イシボセテを|取《と》り、マハナイムに|連《つ》れて|渡《わた》り、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》をギレアデ、アシュルびと、エズレル、エフライム、ベニヤミンおよび|全《ぜん》イスラエルの|王《おう》とした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|子《こ》イシボセテはイスラエルの|王《おう》となった|時《とき》、四十|歳《さい》であって、二|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めたが、ユダの|家《いえ》はダビデに|従《したが》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがヘブロンにいてユダの|家《いえ》の|王《おう》であった|日数《にっすう》は七|年《ねん》と六か|月《げつ》であった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ネルの|子《こ》アブネル、およびサウルの|子《こ》イシボセテの|家来《けらい》たちはマハナイムを|出《で》てギベオンへ|行《い》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》ヨアブとダビデの|家来《けらい》たちも|出《で》ていって、ギベオンの|池《いけ》のそばで|彼《かれ》らと|出会《であ》い、|一方《いっぽう》は|池《いけ》のこちら|側《がわ》に、|一方《いっぽう》は|池《いけ》のあちら|側《がわ》にすわった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アブネルはヨアブに|言《い》った、「さあ、|若者《わかもの》たちを|立《た》たせて、われわれの|前《まえ》で|勝負《しょうぶ》をさせよう」。ヨアブは|言《い》った、「|彼《かれ》らを|立《た》たせよう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサウルの|子《こ》イシボセテとベニヤミンびととのために十二|人《にん》、およびダビデの|家来《けらい》たち十二|人《にん》を|数《かぞ》えて|出《だ》した。|彼《かれ》らは|立《た》って|進《すす》み、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]おのおの|相手《あいて》の|頭《あたま》を|捕《とら》え、つるぎを|相手《あいて》のわき|腹《ばら》に|刺《さ》し、こうして|彼《かれ》らは|共《とも》に|倒《たお》れた。それゆえ、その|所《ところ》はヘルカテ・ハヅリムと|呼《よ》ばれた。それはギベオンにある。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|戦《たたか》いはひじょうに|激《はげ》しく、アブネルとイスラエルの|人々《ひとびと》はダビデの|家来《けらい》たちの|前《まえ》に|敗《やぶ》れた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》にゼルヤの三|人《にん》の|子《こ》、ヨアブ、アビシャイ、およびアサヘルがいたが、アサヘルは|足《あし》の|早《はや》いこと、|野《の》のかもしかのようであった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アサヘルはアブネルのあとを|追《お》っていったが、|行《い》くのに|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》ることなく、アブネルのあとに|走《はし》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アブネルは|後《うしろ》をふりむいて|言《い》った、「あなたはアサヘルであったか」。アサヘルは|答《こた》えた、「わたしです」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アブネルは|彼《かれ》に|言《い》った、「|右《みぎ》か|左《ひだり》に|曲《まが》って、|若者《わかもの》のひとりを|捕《とら》え、そのよろいを|奪《うば》いなさい」。しかしアサヘルはアブネルを|追《お》うことをやめず、ほかに|向《む》かおうともしなかった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アブネルはふたたびアサヘルに|言《い》った、「わたしを|追《お》うことをやめて、ほかに|向《む》かいなさい。あなたを|地《ち》に|撃《う》ち|倒《たお》すことなど、どうしてわたしにできようか。それをすれば、わたしは、どうしてあなたの|兄《あに》ヨアブに|顔《かお》を|合《あ》わせることができようか」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それでもなお|彼《かれ》は、ほかに|向《む》かうことを|拒《こば》んだので、アブネルは、やりの|石《いし》|突《つ》きで|彼《かれ》の|腹《はら》を|突《つ》いたので、やりはその|背中《せなか》に|出《で》た。|彼《かれ》はそこに|倒《たお》れて、その|場《ば》で|死《し》んだ。そしてアサヘルが|倒《たお》れて|死《し》んでいる|場所《ばしょ》に|来《く》る|者《もの》は|皆《みな》|立《た》ちとどまった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかしヨアブとアビシャイとは、なおアブネルのあとを|追《お》ったが、|彼《かれ》らがギベオンの|荒野《あらの》の|道《みち》のほとり、ギアの|前《まえ》にあるアンマの|山《やま》にきた|時《とき》、|日《ひ》は|暮《く》れた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》はアブネルのあとについてきて、|集《あつ》まり、一|隊《たい》となって、一つの|山《やま》の|頂《いただき》に|立《た》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》アブネルはヨアブに|呼《よ》ばわって|言《い》った、「いつまでもつるぎをもって|滅《ほろ》ぼそうとするのか。あなたはその|結果《けっか》の|悲惨《ひさん》なのを|知《し》らないのか。いつまで|民《たみ》にその|兄弟《きょうだい》を|追《お》うことをやめよと|命《めい》じないのか」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|言《い》った、「|神《かみ》は|生《い》きておられる。もしあなたが|言《い》いださなかったならば、|民《たみ》はおのおのその|兄弟《きょうだい》を|追《お》わずに、|朝《あさ》のうちに|去《さ》っていたであろう」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨアブは|角笛《つのぶえ》を|吹《ふ》いたので、|民《たみ》はみな|立《た》ちとどまって、もはやイスラエルのあとを|追《お》わず、また|重《かさ》ねて|戦《たたか》わなかった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アブネルとその|従者《じゅうしゃ》たちは、|夜《よ》もすがら、アラバを|通《とお》って|行《い》き、ヨルダンを|渡《わた》り、|昼《ひる》まで|行進《こうしん》を|続《つづ》けてマハナイムに|着《つ》いた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブはアブネルを|追《お》うことをやめて|帰《かえ》り、|民《たみ》をみな|集《あつ》めたが、ダビデの|家来《けらい》たち十九|人《ひと》とアサヘルとが|見当《みあた》らなかった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ダビデの|家来《けらい》たちは、アブネルの|従者《じゅうしゃ》であるベニヤミンの|人々《ひとびと》三百六十|人《にん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はアサヘルを|取《と》り|上《あ》げてベツレヘムにあるその|父《ちち》の|墓《はか》に|葬《ほうむ》った。ヨアブとその|従者《じゅうしゃ》たちは、|夜《よ》もすがら|行《い》って、|夜明《よあ》けにヘブロンに|着《つ》いた。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|家《いえ》とダビデの|家《いえ》との|間《あいだ》の|戦争《せんそう》は|久《ひさ》しく|続《つづ》き、ダビデはますます|強《つよ》くなり、サウルの|家《いえ》はますます|弱《よわ》くなった。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンでダビデに|男《おとこ》の|子《こ》が|生《うま》れた。|彼《かれ》の|長子《ちょうし》はエズレルの|女《おんな》アヒノアムの|産《う》んだアムノン、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》はカルメルびとナバルの|妻《つま》であったアビガイルの|産《う》んだキレアブ、|第《だい》三はゲシュルの|王《おう》タルマイの|娘《むすめ》マアカの|子《こ》アブサロム、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四はハギテの|子《こ》アドニヤ、|第《だい》五はアビタルの|子《こ》シパテヤ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六はダビデの|妻《つま》エグラの|産《う》んだイテレアム。これらの|子《こ》がヘブロンでダビデに|生《うま》れた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|家《いえ》とダビデの|家《いえ》とが|戦《たたか》いを|続《つづ》けている|間《あいだ》に、アブネルはサウルの|家《いえ》で、|強《つよ》くなってきた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さてサウルには、ひとりのそばめがあった。その|名《な》をリヅパといい、アヤの|娘《むすめ》であったが、イシボセテはアブネルに|言《い》った、「あなたはなぜわたしの|父《ちち》のそばめのところにはいったのですか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アブネルはイシボセテの|言葉《ことば》を|聞《き》き、|非常《ひじょう》に|怒《いか》って|言《い》った、「わたしはユダの|犬《いぬ》のかしらですか。わたしはきょう、あなたの|父《ちち》サウルの|家《いえ》と、その|兄弟《きょうだい》と、その|友人《ゆうじん》とに|忠誠《ちゅうせい》をあらわして、あなたをダビデの|手《て》に|渡《わた》すことをしなかったのに、あなたはきょう、|女《おんな》の|事《こと》のあやまちを|挙《あ》げてわたしを|責《せ》められる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がダビデに|誓《ちか》われたことを、わたしが|彼《かれ》のためになし|遂《と》げないならば、|神《かみ》がアブネルをいくえにも|罰《ばっ》しられるように。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|王国《おうこく》をサウルの|家《いえ》から|移《うつ》し、ダビデの|位《くらい》をダンからベエルシバに|至《いた》るまで、イスラエルとユダの|上《うえ》に|立《た》たせられるであろう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イシボセテはアブネルを|恐《おそ》れたので、ひと|言《こと》も|彼《かれ》に|答《こた》えることができなかった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アブネルはヘブロンにいるダビデのもとに|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》った、「|国《くに》はだれのものですか。わたしと|契約《けいやく》を|結《むす》びなさい。わたしはあなたに|力添《ちからぞ》えして、イスラエルをことごとくあなたのものにしましょう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「よろしい。わたしは、あなたと|契約《けいやく》を|結《むす》びましょう。ただし一つの|事《こと》をあなたに|求《もと》めます。あなたがきてわたしの|顔《かお》を|見《み》るとき、まずサウルの|娘《むすめ》ミカルを|連《つ》れて|来《く》るのでなければ、わたしの|顔《かお》を|見《み》ることはできません」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それからダビデは|使者《ししゃ》をサウルの|子《こ》イシボセテにつかわして|言《い》った、「ペリシテびとの|陽《よう》の|皮《かわ》一百をもってめとったわたしの|妻《つま》ミカルを|引《ひ》き|渡《わた》しなさい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでイシボセテは|人《ひと》をやって|彼女《かのじょ》をその|夫《おっと》、ライシの|子《こ》パルテエルから|取《と》ったので、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|夫《おっと》は|彼女《かのじょ》と|共《とも》に|行《い》き、|泣《な》きながら|彼女《かのじょ》のあとについて、バホリムまで|行《い》ったが、アブネルが|彼《かれ》に「|帰《かえ》って|行《い》け」と|言《い》ったので|彼《かれ》は|帰《かえ》った。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アブネルはイスラエルの|長老《ちょうろう》たちと|協議《きょうぎ》して|言《い》った、「あなたがたは|以前《いぜん》からダビデをあなたがたの|王《おう》とすることを|求《もと》めていましたが、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》それをしなさい。|主《しゅ》がダビデについて、『わたしのしもべダビデの|手《て》によって、わたしの|民《たみ》イスラエルをペリシテびとの|手《て》、およびもろもろの|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すであろう』と|言《い》われたからです」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アブネルはまたベニヤミンにも|語《かた》った。そしてアブネルは、イスラエルとベニヤミンの|全家《ぜんか》が|良《よ》いと|思《おも》うことをみな、ヘブロンでダビデに|告《つ》げようとして|出発《しゅっぱつ》した。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アブネルが二十|人《にん》を|従《したが》えてヘブロンにいるダビデのもとに|行《い》った|時《とき》、ダビデはアブネルと|彼《かれ》に|従《したが》っている|従者《じゅうしゃ》たちのために|酒宴《しゅえん》を|設《もう》けた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アブネルはダビデに|言《い》った、「わたしは|立《た》って|行《い》き、イスラエルをことごとく、わが|主《しゅ》、|王《おう》のもとに|集《あつ》めて、あなたと|契約《けいやく》を|結《むす》ばせ、あなたの|望《のぞ》むものをことごとく|治《おさ》められるようにいたしましょう」。こうしてダビデはアブネルを|送《おく》り|帰《かえ》らせたので|彼《かれ》は|安全《あんぜん》に|去《さ》って|行《い》った。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ちょうどその|時《とき》、ダビデの|家来《けらい》たちはヨアブと|共《とも》に|多《おお》くのぶんどり|物《もの》を|携《たずさ》えて|略奪《りゃくだつ》から|帰《かえ》ってきた。しかしアブネルはヘブロンのダビデのもとにはいなかった。ダビデが|彼《かれ》を|帰《かえ》らせて|彼《かれ》が|安全《あんぜん》に|去《さ》ったからである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいた|軍勢《ぐんぜい》がみな|帰《かえ》ってきたとき、|人々《ひとびと》はヨアブに|言《い》った、「ネルの|子《こ》アブネルが|王《おう》のもとにきたが、|王《おう》が|彼《かれ》を|帰《かえ》らせたので|彼《かれ》は|安全《あんぜん》に|去《さ》った」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨアブは|王《おう》のもとに|行《い》って|言《い》った、「あなたは|何《なに》をなさったのですか。アブネルがあなたの|所《ところ》にきたのに、あなたはどうして、|彼《かれ》を|返《かえ》し|去《さ》らせられたのですか。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ネルの|子《こ》アブネルがあなたを|欺《あざむ》くためにきたこと、そしてあなたの|出入《でい》りを|知《し》り、またあなたのなさっていることを、ことごとく|知《し》るためにきたことをあなたはごぞんじです」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブはダビデの|所《ところ》から|出《で》てきて、|使者《ししゃ》をつかわし、アブネルを|追《お》わせたので、|彼《かれ》らはシラの|井戸《いど》から|彼《かれ》を|連《つ》れて|帰《かえ》った。しかしダビデはその|事《こと》を|知《し》らなかった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アブネルがヘブロンに|帰《かえ》ってきたとき、ヨアブはひそかに|語《かた》ろうといって|彼《かれ》を|門《もん》のうちに|連《つ》れて|行《い》き、その|所《ところ》で|彼《かれ》の|腹《はら》を|刺《さ》して|死《し》なせ、|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》アサヘルの|血《ち》を|報《むく》いた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》ダビデはこの|事《こと》を|聞《き》いて|言《い》った、「わたしとわたしの|王国《おうこく》とは、ネルの|子《こ》アブネルの|血《ち》に|関《かん》して、|主《しゅ》の|前《まえ》に|永久《えいきゅう》に|罪《つみ》はない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、その|罪《つみ》がヨアブの|頭《あたま》と、その|父《ちち》の|全家《ぜんか》に|帰《き》するように。またヨアブの|家《いえ》には|流出《りゅうしゅつ》を|病《や》む|者《もの》、らい|病人《びょうにん》、つえにたよる|者《もの》、つるぎに|倒《たお》れる|者《もの》、または|食物《しょくもつ》の|乏《とぼ》しい|者《もの》が|絶《た》えないように」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨアブとその|弟《おとうと》アビシャイとはアブネルを|殺《ころ》したが、それは|彼《かれ》がギベオンの|戦《たたか》いで|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》アサヘルを|殺《ころ》したためであった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはヨアブおよび|自分《じぶん》と|共《とも》にいるすべての|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|着物《きもの》を|裂《さ》き、|荒布《あらぬの》をまとい、アブネルの|前《まえ》に|嘆《なげ》きながら|行《い》きなさい」。そしてダビデ|王《おう》はその|棺《かん》のあとに|従《したが》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はアブネルをヘブロンに|葬《ほうむ》った。|王《おう》はアブネルの|墓《はか》で|声《こえ》をあげて|泣《な》き、|民《たみ》もみな|泣《な》いた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はアブネルのために|悲《かな》しみの|歌《うた》を|作《つく》って|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|愚《おろ》かな|人《ひと》の|死《し》ぬように、 アブネルがどうして|死《し》んだのか。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|手《て》は|縛《しば》られず、 |足《あし》には|足《あし》かせもかけられないのに、 |悪人《あくにん》の|前《まえ》に|倒《たお》れる|人《ひと》のように、 あなたは|倒《たお》れた」。 [#ここで字下げ終わり] そして|民《たみ》は|皆《みな》、ふたたび|彼《かれ》のために|泣《な》いた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はみなきて、|日《ひ》のあるうちに、ダビデにパンを|食《た》べさせようとしたが、ダビデは|誓《ちか》って|言《い》った、「もしわたしが|日《ひ》の|入《い》る|前《まえ》に、パンでも、ほかのものでも|味《あじ》わうならば、|神《かみ》がわたしをいくえにも|罰《ばっ》しられるように」。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はみなそれを|見《み》て|満足《まんぞく》した。すべて|王《おう》のすることは|民《たみ》を|満足《まんぞく》させた。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》すべての|民《たみ》およびイスラエルは|皆《みな》、ネルの|子《こ》アブネルを|殺《ころ》したのは、|王《おう》の|意思《いし》によるものでないことを|知《し》った。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はその|家来《けらい》たちに|言《い》った、「この|日《ひ》イスラエルで、ひとりの|偉大《いだい》なる|将軍《しょうぐん》が|倒《たお》れたのをあなたがたは|知《し》らないのか。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|王《おう》であるけれども、|今日《こんにち》なお|弱《よわ》い。ゼルヤの|子《こ》であるこれらの|人々《ひとびと》はわたしの|手《て》におえない。どうぞ|主《しゅ》が|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》に、その|悪《あく》にしたがって|報《むく》いられるように」。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|子《こ》イシボセテは、アブネルがヘブロンで|死《し》んだことを|聞《き》いて、その|力《ちから》を|失《うしな》い、イスラエルは|皆《みな》あわてた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|子《こ》イシボセテにはふたりの|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》の|隊長《たいちょう》があった。ひとりの|名《な》はバアナ、|他《た》のひとりの|名《な》はレカブといって、ベニヤミンの|子孫《しそん》であるベロテびとリンモンの|子《こ》たちであった。(それはベロテもまたベニヤミンのうちに|数《かぞ》えられているからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ベロテびとはギッタイムに|逃《に》げていって、|今日《こんにち》までその|所《ところ》に|寄留《きりゅう》している)。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]さてサウルの|子《こ》ヨナタンに|足《あし》のなえた|子《こ》がひとりあった。エズレルからサウルとヨナタンの|事《こと》の|知《し》らせがきた|時《とき》、|彼《かれ》は五|歳《さい》であった。うばが|彼《かれ》を|抱《だ》いて|逃《に》げたが、|急《いそ》いで|逃《に》げる|時《とき》、その|子《こ》は|落《お》ちて|足《あし》なえとなった。その|名《な》はメピボセテといった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ベロテびとリンモンの|子《こ》たち、レカブとバアナとは|出立《しゅったつ》して、|日《ひ》の|暑《あつ》いころイシボセテの|家《いえ》にきたが、イシボセテは|昼寝《ひるね》をしていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|家《いえ》の|門《もん》を|守《まも》る|女《おんな》は|麦《むぎ》をあおぎ|分《わ》けていたが、|眠《ねむ》くなって|寝《ね》てしまった。そこでレカブとその|兄弟《きょうだい》バアナは、ひそかに|中《なか》にはいった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|家《いえ》にはいった|時《とき》、イシボセテは|寝室《しんしつ》で|床《ゆか》の|上《うえ》に|寝《ね》ていたので、|彼《かれ》らはそれを|撃《う》って|殺《ころ》し、その|首《くび》をはね、その|首《くび》を|取《と》って、よもすがらアラバの|道《みち》を|行《い》き、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イシボセテの|首《くび》をヘブロンにいるダビデのもとに|携《たずさ》えて|行《い》って|王《おう》に|言《い》った、「あなたの|命《いのち》を|求《もと》めたあなたの|敵《てき》サウルの|子《こ》イシボセテの|首《くび》です。|主《しゅ》はきょう、わが|君《きみ》、|王《おう》のためにサウルとそのすえとに|報復《ほうふく》されました」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはベロテびとリンモンの|子《こ》レカブとその|兄弟《きょうだい》バアナに|答《こた》えた、「わたしの|命《いのち》を、もろもろの|苦難《くなん》から|救《すく》われた|主《しゅ》は|生《い》きておられる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはかつて、|人《ひと》がわたしに|告《つ》げて、『|見《み》よ、サウルは|死《し》んだ』と|言《い》って、みずから|良《よ》いおとずれを|伝《つた》える|者《もの》と|思《おも》っていた|者《もの》を|捕《とら》えてチクラグで|殺《ころ》し、そのおとずれに|報《むく》いたのだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》が|正《ただ》しい|人《ひと》をその|家《いえ》の|床《ゆか》の|上《うえ》で|殺《ころ》したときは、なおさらのことだ。|今《いま》わたしが、|彼《かれ》の|血《ち》を|流《なが》した|罪《つみ》を|報《むく》い、あなたがたを、この|地《ち》から|絶《た》ち|滅《ほろ》ぼさないでおくであろうか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|若者《わかもの》たちに|命《めい》じたので、|若者《わかもの》たちは|彼《かれ》らを|殺《ころ》し、その|手足《てあし》を|切《き》り|離《はな》し、ヘブロンの|池《いけ》のほとりで|木《き》に|掛《か》けた。|人々《ひとびと》はイシボセテの|首《くび》を|持《も》って|行《い》って、ヘブロンにあるアブネルの|墓《はか》に|葬《ほうむ》った。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのすべての|部族《ぶぞく》はヘブロンにいるダビデのもとにきて|言《い》った、「われわれは、あなたの|骨肉《こつにく》です。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|先《さき》にサウルがわれわれの|王《おう》であった|時《とき》にも、あなたはイスラエルを|率《ひき》いて|出入《でい》りされました。そして|主《しゅ》はあなたに、『あなたはわたしの|民《たみ》イスラエルを|牧《ぼく》するであろう。またあなたはイスラエルの|君《きみ》となるであろう』と|言《い》われました」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]このようにイスラエルの|長老《ちょうろう》たちが|皆《みな》、ヘブロンにいる|王《おう》のもとにきたので、ダビデ|王《おう》はヘブロンで|主《しゅ》の|前《まえ》に|彼《かれ》らと|契約《けいやく》を|結《むす》んだ。そして|彼《かれ》らはダビデに|油《あぶら》を|注《そそ》いでイスラエルの|王《おう》とした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|王《おう》となったとき三十|歳《さい》で、四十|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヘブロンで七|年《ねん》六か|月《げつ》ユダを|治《おさ》め、またエルサレムで三十三|年《ねん》、|全《ぜん》イスラエルとユダを|治《おさ》めた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》とその|従者《じゅうしゃ》たちとはエルサレムへ|行《い》って、その|地《ち》の|住民《じゅうみん》エブスびとを|攻《せ》めた。エブスびとはダビデに|言《い》った、「あなたはけっして、ここに|攻《せ》め|入《い》ることはできない。かえって、めしいや|足《あし》なえでも、あなたを|追《お》い|払《はら》うであろう」。|彼《かれ》らが「ダビデはここに|攻《せ》め|入《い》ることはできない」と|思《おも》ったからである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ところがダビデはシオンの|要害《ようがい》を|取《と》った。これがダビデの|町《まち》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ダビデは、「だれでもエブスびとを|撃《う》とうとする|人《ひと》は、|水《みず》をくみ|上《あ》げる|縦穴《たてあな》を|上《のぼ》って|行《い》って、ダビデが|心《こころ》に|憎《にく》んでいる|足《あし》なえやめしいを|撃《う》て」と|言《い》った。それゆえに|人々《ひとびと》は、「めしいや|足《あし》なえは、|宮《みや》にはいってはならない」と|言《い》いならわしている。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|要害《ようがい》に|住《す》んで、これをダビデの|町《まち》と|名《な》づけた。またダビデはミロから|内《うち》の|周囲《しゅうい》に|城壁《じょうへき》を|築《きず》いた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはますます|大《おお》いなる|者《もの》となり、かつ|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》が|彼《かれ》と|共《とも》におられた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ツロの|王《おう》ヒラムはダビデに|使者《ししゃ》をつかわして、|香柏《こうはく》および|大工《だいく》と|石工《いしく》を|送《おく》った。|彼《かれ》らはダビデのために|家《いえ》を|建《た》てた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|主《しゅ》が|自分《じぶん》を|堅《かた》く|立《た》ててイスラエルの|王《おう》とされたこと、|主《しゅ》がその|民《たみ》イスラエルのためにその|王国《おうこく》を|興《おこ》されたことを|悟《さと》った。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはヘブロンからきて|後《のち》、さらにエルサレムで|妻《つま》とそばめを|入《い》れたので、むすこと|娘《むすめ》がまたダビデに|生《うま》れた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムで|彼《かれ》に|生《うま》れた|者《もの》の|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。シャンムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イブハル、エリシュア、ネペグ、ヤピア、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エリシャマ、エリアダ、およびエリペレテ。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとは、ダビデが|油《あぶら》を|注《そそ》がれてイスラエルの|王《おう》になったことを|聞《き》き、みな|上《のぼ》ってきてダビデを|捜《さが》したが、ダビデはそれを|聞《き》いて|要害《ようがい》に|下《くだ》って|行《い》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはきて、レパイムの|谷《たに》に|広《ひろ》がっていた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》に|問《と》うて|言《い》った、「ペリシテびとに|向《む》かって|上《のぼ》るべきでしょうか。あなたは|彼《かれ》らをわたしの|手《て》に|渡《わた》されるでしょうか」。|主《しゅ》はダビデに|言《い》われた、「|上《のぼ》るがよい。わたしはかならずペリシテびとをあなたの|手《て》に|渡《わた》すであろう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデはバアル・ペラジムへ|行《い》って、|彼《かれ》らをその|所《ところ》で|撃《う》ち|破《やぶ》り、そして|言《い》った、「|主《しゅ》は、|破《やぶ》り|出《で》る|水《みず》のように、|敵《てき》をわたしの|前《まえ》に|破《やぶ》られた」。それゆえにその|所《ところ》の|名《な》はバアル・ペラジムと|呼《よ》ばれている。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはその|所《ところ》に|彼《かれ》らの|偶像《ぐうぞう》を|捨《す》てて|行《い》ったので、ダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちはそれを|運《はこ》び|去《さ》った。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとが、ふたたび|上《のぼ》ってきて、レパイムの|谷《たに》に|広《ひろ》がったので、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》に|問《と》うたが、|主《しゅ》は|言《い》われた、「|上《のぼ》ってはならない。|彼《かれ》らのうしろに|回《まわ》り、バルサムの|木《き》の|前《まえ》から|彼《かれ》らを|襲《おそ》いなさい。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]バルサムの|木《き》の|上《うえ》に|行進《こうしん》の|音《おと》が|聞《きこ》えたならば、あなたは|奮《ふる》い|立《た》たなければならない。その|時《とき》、|主《しゅ》があなたの|前《まえ》に|出《で》て、ペリシテびとの|軍勢《ぐんぜい》を|撃《う》たれるからである」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは、|主《しゅ》が|命《めい》じられたようにして、ペリシテびとを|撃《う》ち、ゲバからゲゼルに|及《およ》んだ。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|再《ふたた》びイスラエルのえり|抜《ぬ》きの|者《もの》三万|人《にん》をことごとく|集《あつ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|立《た》って、|自分《じぶん》と|共《とも》にいるすべての|民《たみ》と|共《とも》にバアレ・ユダへ|行《い》って、|神《かみ》の|箱《はこ》をそこからかき|上《のぼ》ろうとした。この|箱《はこ》はケルビムの|上《うえ》に|座《ざ》しておられる|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|名《な》をもって|呼《よ》ばれている。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》の|箱《はこ》を|新《あたら》しい|車《くるま》に|載《の》せて、|山《やま》の|上《うえ》にあるアビナダブの|家《いえ》から|運《はこ》び|出《だ》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アビナダブの|子《こ》たち、ウザとアヒオとが|神《かみ》の|箱《はこ》を|載《の》せた|新《あたら》しい|車《くるま》を|指揮《しき》し、ウザは|神《かみ》の|箱《はこ》のかたわらに|沿《そ》い、アヒオは|箱《はこ》の|前《まえ》に|進《すす》んだ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデとイスラエルの|全家《ぜんか》は|琴《こと》と|立琴《たてごと》と|手《て》|鼓《つづみ》と|鈴《すず》とシンバルとをもって|歌《うた》をうたい、|力《ちから》をきわめて、|主《しゅ》の|前《まえ》に|踊《おど》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがナコンの|打《う》ち|場《ば》にきた|時《とき》、ウザは|神《かみ》の|箱《はこ》に|手《て》を|伸《の》べて、それを|押《おさ》えた。|牛《うし》がつまずいたからである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すると|主《しゅ》はウザに|向《む》かって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|彼《かれ》が|手《て》を|箱《はこ》に|伸《の》べたので、|彼《かれ》をその|場《ば》で|撃《う》たれた。|彼《かれ》は|神《かみ》の|箱《はこ》のかたわらで|死《し》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がウザを|撃《う》たれたので、ダビデは|怒《いか》った。その|所《ところ》は|今日《こんにち》までペレヅ・ウザと|呼《よ》ばれている。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ダビデは|主《しゅ》を|恐《おそ》れて|言《い》った、「どうして|主《しゅ》の|箱《はこ》がわたしの|所《ところ》に|来《く》ることができようか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》の|箱《はこ》をダビデの|町《まち》に|入《い》れることを|好《この》まず、これを|移《うつ》してガテびとオベデエドムの|家《いえ》に|運《はこ》ばせた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|箱《はこ》はガテびとオベデエドムの|家《いえ》に三か|月《げつ》とどまった。|主《しゅ》はオベデエドムとその|全家《ぜんか》を|祝福《しゅくふく》された。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデ|王《おう》は、「|主《しゅ》が|神《かみ》の|箱《はこ》のゆえに、オベデエドムの|家《いえ》とそのすべての|所有《しょゆう》を|祝福《しゅくふく》されている」と|聞《き》き、ダビデは|行《い》って、|喜《よろこ》びをもって、|神《かみ》の|箱《はこ》をオベデエドムの|家《いえ》からダビデの|町《まち》にかき|上《のぼ》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|箱《はこ》をかく|者《もの》が六|歩《ほ》|進《すす》んだ|時《とき》、ダビデは|牛《うし》と|肥《こ》えた|物《もの》を|犠牲《ぎせい》としてささげた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|力《ちから》をきわめて、|主《しゅ》の|箱《はこ》の|前《まえ》で|踊《おど》った。その|時《とき》ダビデは|亜麻《あま》|布《ぬの》のエポデをつけていた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデとイスラエルの|全家《ぜんか》とは、|喜《よろこ》びの|叫《さけ》びと|角笛《つのぶえ》の|音《おと》をもって、|神《かみ》の|箱《はこ》をかき|上《のぼ》った。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|箱《はこ》がダビデの|町《まち》にはいった|時《とき》、サウルの|娘《むすめ》ミカルは|窓《まど》からながめ、ダビデ|王《おう》が|主《しゅ》の|前《まえ》に|舞《ま》い|踊《おど》るのを|見《み》て、|心《こころ》のうちにダビデをさげすんだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|主《しゅ》の|箱《はこ》をかき|入《い》れて、ダビデがそのために|張《は》った|天幕《てんまく》の|中《なか》のその|場所《ばしょ》に|置《お》いた。そしてダビデは|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》を|主《しゅ》の|前《まえ》にささげた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげ|終《おわ》った|時《とき》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|名《な》によって|民《たみ》を|祝福《しゅくふく》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そしてすべての|民《たみ》、イスラエルの|全《ぜん》|民衆《みんしゅう》に、|男《おとこ》にも|女《おんな》にも、おのおのパンの|菓子《かし》一|個《こ》、|肉《にく》一きれ、ほしぶどう一かたまりを|分《わ》け|与《あた》えた。こうして|民《たみ》はみなおのおのその|家《いえ》に|帰《かえ》った。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが|家族《かぞく》を|祝福《しゅくふく》しようとして|帰《かえ》ってきた|時《とき》、サウルの|娘《むすめ》ミカルはダビデを|出迎《でむか》えて|言《い》った、「きょうイスラエルの|王《おう》はなんと|威厳《いげん》のあったことでしょう。いたずら|者《もの》が、|恥《はじ》も|知《し》らず、その|身《み》を|現《あらわ》すように、きょう|家来《けらい》たちのはしためらの|前《まえ》に|自分《じぶん》の|身《み》を|現《あらわ》されました」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはミカルに|言《い》った、「あなたの|父《ちち》よりも、またその|全家《ぜんか》よりも、むしろわたしを|選《えら》んで、|主《しゅ》の|民《たみ》イスラエルの|君《きみ》とせられた|主《しゅ》の|前《まえ》に|踊《おど》ったのだ。わたしはまた|主《しゅ》の|前《まえ》に|踊《おど》るであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれよりももっと|軽《かろ》んじられるようにしよう。そしてあなたの|目《め》には|卑《いや》しめられるであろう。しかしわたしは、あなたがさきに|言《い》った、はしためたちに|誉《ほまれ》を|得《え》るであろう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサウルの|娘《むすめ》ミカルは|死《し》ぬ|日《ひ》まで|子供《こども》がなかった。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、|王《おう》が|自分《じぶん》の|家《いえ》に|住《す》み、また|主《しゅ》が|周囲《しゅうい》の|敵《てき》をことごとく|打《う》ち|退《しりぞ》けて|彼《かれ》に|安息《あんそく》を|賜《たま》わった|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|預言者《よげんしゃ》ナタンに|言《い》った、「|見《み》よ、|今《いま》わたしは、|香柏《こうはく》の|家《いえ》に|住《す》んでいるが、|神《かみ》の|箱《はこ》はなお|幕屋《まくや》のうちにある」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ナタンは|王《おう》に|言《い》った、「|主《しゅ》があなたと|共《とも》におられますから、|行《い》って、すべてあなたの|心《こころ》にあるところを|行《おこな》いなさい」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がナタンに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》って、わたしのしもべダビデに|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる。あなたはわたしの|住《す》む|家《いえ》を|建《た》てようとするのか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》をエジプトから|導《みちび》き|出《だ》した|日《ひ》から|今日《こんにち》まで、|家《いえ》に|住《す》まわず、|天幕《てんまく》をすまいとして|歩《あゆ》んできた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしがイスラエルのすべての|人々《ひとびと》と|共《とも》に|歩《あゆ》んだすべての|所《ところ》で、わたしがわたしの|民《たみ》イスラエルを|牧《ぼく》することを|命《めい》じたイスラエルのさばきづかさのひとりに、ひと|言《こと》でも「どうしてあなたがたはわたしのために|香柏《こうはく》の|家《いえ》を|建《た》てないのか」と、|言《い》ったことがあるであろうか』。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|今《いま》あなたは、わたしのしもべダビデにこう|言《い》いなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる。わたしはあなたを|牧場《まきば》から、|羊《ひつじ》に|従《したが》っている|所《ところ》から|取《と》って、わたしの|民《たみ》イスラエルの|君《きみ》とし、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがどこへ|行《い》くにも、あなたと|共《とも》におり、あなたのすべての|敵《てき》をあなたの|前《まえ》から|断《た》ち|去《さ》った。わたしはまた|地上《ちじょう》の|大《おお》いなる|者《もの》の|名《な》のような|大《おお》いなる|名《な》をあなたに|得《え》させよう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしの|民《たみ》イスラエルのために一つの|所《ところ》を|定《さだ》めて、|彼《かれ》らを|植《う》えつけ、|彼《かれ》らを|自分《じぶん》の|所《ところ》に|住《す》ませ、|重《かさ》ねて|動《うご》くことのないようにするであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|前《まえ》のように、わたしがわたしの|民《たみ》イスラエルの|上《うえ》にさばきづかさを|立《た》てた|日《ひ》からこのかたのように、|悪人《あくにん》が|重《かさ》ねてこれを|悩《なや》ますことはない。わたしはあなたのもろもろの|敵《てき》を|打《う》ち|退《しりぞ》けて、あなたに|安息《あんそく》を|与《あた》えるであろう。|主《しゅ》はまた「あなたのために|家《いえ》を|造《つく》る」と|仰《おお》せられる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|日《ひ》が|満《み》ちて、|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》る|時《とき》、わたしはあなたの|身《み》から|出《で》る|子《こ》を、あなたのあとに|立《た》てて、その|王国《おうこく》を|堅《かた》くするであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしの|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》てる。わたしは|長《なが》くその|国《くに》の|位《くらい》を|堅《かた》くしよう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|父《ちち》となり、|彼《かれ》はわたしの|子《こ》となるであろう。もし|彼《かれ》が|罪《つみ》を|犯《おか》すならば、わたしは|人《ひと》のつえと|人《ひと》の|子《こ》のむちをもって|彼《かれ》を|懲《こ》らす。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはわたしのいつくしみを、わたしがあなたの|前《まえ》から|除《のぞ》いたサウルから|取《と》り|去《さ》ったように、|彼《かれ》からは|取《と》り|去《さ》らない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家《いえ》と|王国《おうこく》はわたしの|前《まえ》に|長《なが》く|保《たも》つであろう。あなたの|位《くらい》は|長《なが》く|堅《かと》うせられる』」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ナタンはすべてこれらの|言葉《ことば》のように、またすべてこの|幻《まぼろし》のようにダビデに|語《かた》った。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ダビデ|王《おう》は、はいって|主《しゅ》の|前《まえ》に|座《ざ》して|言《い》った、「|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、わたしがだれ、わたしの|家《いえ》が|何《なに》であるので、あなたはこれまでわたしを|導《みちび》かれたのですか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、これはなおあなたの|目《め》には|小《ちい》さい|事《こと》です。|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはまたしもべの|家《いえ》の、はるか|後《のち》の|事《こと》を|語《かた》って、きたるべき|代々《よよ》のことを|示《しめ》されました。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはこの|上《うえ》なにをあなたに|申《もう》しあげることができましょう。|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはしもべを|知《し》っておられるのです。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|約束《やくそく》のゆえに、またあなたの|心《こころ》に|従《したが》って、あなたはこのもろもろの|大《おお》いなる|事《こと》を|行《おこな》い、しもべにそれを|知《し》らせられました。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたは|偉大《いだい》です。それは、われわれがすべて|耳《みみ》に|聞《き》いたところによれば、あなたのような|者《もの》はなく、またあなたのほかに|神《かみ》はないからです。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のどの|国民《こくみん》が、あなたの|民《たみ》イスラエルのようでありましょうか。これは|神《かみ》が|行《い》って、|自分《じぶん》のためにあがなって|民《たみ》とし、|自《みずか》らの|名《な》をあげられたもの、また|彼《かれ》らのために|大《おお》いなる|恐《おそ》るべきことをなし、その|民《たみ》の|前《まえ》から|国《くに》びととその|神々《かみがみ》とを|追《お》い|出《だ》されたものです。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|民《たみ》イスラエルを|永遠《えいえん》にあなたの|民《たみ》として、|自分《じぶん》のために、|定《さだ》められました。|主《しゅ》よ、あなたは|彼《かれ》らの|神《かみ》となられたのです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、|今《いま》あなたが、しもべとしもべの|家《いえ》とについて|語《かた》られた|言葉《ことば》を|長《なが》く|堅《かと》うして、あなたの|言《い》われたとおりにしてください。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたの|名《な》はとこしえにあがめられて、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はイスラエルの|神《かみ》である』と|言《い》われ、あなたのしもべダビデの|家《いえ》は、あなたの|前《まえ》に|堅《かた》く|立《た》つことができましょう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》よ、あなたはしもべに|示《しめ》して、『おまえのために|家《いえ》を|建《た》てよう』と|言《い》われました。それゆえ、しもべはこの|祈《いのり》をあなたにささげる|勇気《ゆうき》を|得《え》たのです。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたは|神《かみ》にましまし、あなたの|言葉《ことば》は|真実《しんじつ》です。あなたはこの|良《よ》き|事《こと》をしもべに|約束《やくそく》されました。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|今《いま》、しもべの|家《いえ》を|祝福《しゅくふく》し、あなたの|前《まえ》に|長《なが》くつづかせてくださるように。|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたがそれを|言《い》われたのです。どうぞあなたの|祝福《しゅくふく》によって、しもべの|家《いえ》がながく|祝福《しゅくふく》されますように」。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》ダビデはペリシテびとを|撃《う》って、これを|征服《せいふく》した。ダビデはまたペリシテびとの|手《て》からメテグ・アンマを|取《と》った。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたモアブを|撃《う》ち、|彼《かれ》らを|地《ち》に|伏《ふ》させ、なわをもって|彼《かれ》らを|測《はか》った。すなわち二|筋《すじ》のなわをもって|殺《ころ》すべき|者《もの》を|測《はか》り、一|筋《すじ》のなわをもって|生《い》かしておく|者《もの》を|測《はか》った。そしてモアブびとは、ダビデのしもべとなって、みつぎを|納《おさ》めた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたレホブの|子《こ》であるゾバの|王《おう》ハダデゼルが、ユフラテ|川《かわ》のほとりにその|勢力《せいりょく》を|回復《かいふく》しようとして|行《い》くところを|撃《う》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|彼《かれ》から|騎兵《きへい》千七百|人《にん》、|歩兵《ほへい》二万|人《にん》を|取《と》った。ダビデはまた一百の|戦車《せんしゃ》の|馬《うま》を|残《のこ》して、そのほかの|戦車《せんしゃ》の|馬《うま》はみなその|足《あし》の|筋《すじ》を|切《き》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダマスコのスリヤびとが、ゾバの|王《おう》ハダデゼルを|助《たす》けるためにきたので、ダビデはスリヤびと二万二千|人《にん》を|殺《ころ》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデはダマスコのスリヤに|守備《しゅび》|隊《たい》を|置《お》いた。スリヤびとは、ダビデのしもべとなって、みつぎを|納《おさ》めた。|主《しゅ》はダビデにすべてその|行《い》く|所《ところ》で|勝利《しょうり》を|与《あた》えられた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはハダデゼルのしもべらが|持《も》っていた|金《きん》の|盾《たて》を|奪《うば》って、エルサレムに|持《も》ってきた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》はまたハダデゼルの|町《まち》、ベタとベロタイから、ひじょうに|多《おお》くの|青銅《せいどう》を|取《と》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にハマテの|王《おう》トイは、ダビデがハダデゼルのすべての|軍勢《ぐんぜい》を|撃《う》ち|破《やぶ》ったことを|聞《き》き、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》ヨラムをダビデ|王《おう》のもとにつかわして、|彼《かれ》にあいさつし、かつ|祝《しゅく》を|述《の》べさせた。ハダデゼルはかつてしばしばトイと|戦《たたか》いを|交《まじ》えたが、ダビデがハダデゼルと|戦《たたか》ってこれを|撃《う》ち|破《やぶ》ったからである。ヨラムが|銀《ぎん》の|器《うつわ》と|金《きん》の|器《うつわ》と|青銅《せいどう》の|器《うつわ》を|携《たずさ》えてきたので、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》は|征服《せいふく》したすべての|国民《こくみん》から|取《と》ってささげた|金銀《きんぎん》と|共《とも》にこれらをも|主《しゅ》にささげた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちエドム、モアブ、アンモンの|人々《ひとびと》、ペリシテびと、アマレクから|獲《え》た|物《もの》、およびゾバの|王《おう》レホブの|子《こ》ハダデゼルから|獲《え》たぶんどり|物《もの》と|共《とも》にこれをささげた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデは|名声《めいせい》を|得《え》た。|彼《かれ》は|帰《かえ》ってきてから|塩《しお》の|谷《たに》でエドムびと一万八千|人《にん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてエドムに|守備《しゅび》|隊《たい》を|置《お》いた。すなわちエドムの|全《ぜん》|地《ち》に|守備《しゅび》|隊《たい》を|置《お》き、エドムびとは|皆《みな》ダビデのしもべとなった。|主《しゅ》はダビデにすべてその|行《い》く|所《ところ》で|勝利《しょうり》を|与《あた》えられた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》を|治《おさ》め、そのすべての|民《たみ》に|正義《せいぎ》と|公平《こうへい》を|行《おこな》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》ヨアブは|軍《ぐん》の|長《ちょう》、アヒルデの|子《こ》ヨシャパテは|史官《しかん》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アヒトブの|子《こ》ザドクとアビヤタルの|子《こ》アヒメレクは|祭司《さいし》、セラヤは|書記官《しょきかん》、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤはケレテびととペレテびとの|長《ちょう》、ダビデの|子《こ》たちは|祭司《さいし》であった。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にダビデは|言《い》った、「サウルの|家《いえ》の|人《ひと》で、なお|残《のこ》っている|者《もの》があるか。わたしはヨナタンのために、その|人《ひと》に|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》そう」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さて、サウルの|家《いえ》にヂバという|名《な》のしもべがあったが、|人々《ひとびと》が|彼《かれ》をダビデのもとに|呼《よ》び|寄《よ》せたので、|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたがヂバか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「しもべがそうです」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「サウルの|家《いえ》の|人《ひと》がまだ|残《のこ》っていませんか。わたしはその|人《ひと》に|神《かみ》の|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》そうと|思《おも》う」。ヂバは|王《おう》に|言《い》った、「ヨナタンの|子《こ》がまだおります。あしなえです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「その|人《ひと》はどこにいるのか」。ヂバは|王《おう》に|言《い》った、「|彼《かれ》はロ・デバルのアンミエルの|子《こ》マキルの|家《いえ》におります」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》は|人《ひと》をつかわして、ロ・デバルのアンミエルの|子《こ》マキルの|家《いえ》から、|彼《かれ》を|連《つ》れてこさせた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|子《こ》ヨナタンの|子《こ》であるメピボセテはダビデのもとにきて、ひれ|伏《ふ》して|拝《はい》した。ダビデが、「メピボセテよ」と|言《い》ったので、|彼《かれ》は、「しもべは、ここにおります」と|答《こた》えた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》に|言《い》った、「|恐《おそ》れることはない。わたしはかならずあなたの|父《ちち》ヨナタンのためにあなたに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》しましょう。あなたの|父《ちち》サウルの|地《ち》をみなあなたに|返《かえ》します。またあなたは|常《つね》にわたしの|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》をしなさい」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|拝《はい》して|言《い》った、「あなたは、しもべを|何《なん》とおぼしめして、|死《し》んだ|犬《いぬ》のようなわたしを|顧《かえり》みられるのですか」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はサウルのしもべヂバを|呼《よ》んで|言《い》った、「すべてサウルとその|家《いえ》に|属《ぞく》する|物《もの》を|皆《みな》、わたしはあなたの|主人《しゅじん》の|子《こ》に|与《あた》えた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたと、あなたの|子《こ》たちと、しもべたちとは、|彼《かれ》のために|地《ち》を|耕《たがや》して、あなたの|主人《しゅじん》の|子《こ》が|食《た》べる|食物《しょくもつ》を|取《と》り|入《い》れなければならない。しかしあなたの|主人《しゅじん》の|子《こ》メピボセテはいつもわたしの|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》をするであろう」。ヂバには十五|人《にん》の|男《おとこ》の|子《こ》と二十|人《にん》のしもべがあった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヂバは|王《おう》に|言《い》った、「すべて|王《おう》わが|主君《しゅくん》がしもべに|命《めい》じられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてメピボセテは|王《おう》の|子《こ》のひとりのようにダビデの|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》をした。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]メピボセテには|小《ちい》さい|子《こ》があって、|名《な》をミカといった。そしてヂバの|家《いえ》に|住《す》んでいる|者《もの》はみなメピボセテのしもべとなった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]メピボセテはエルサレムに|住《す》んだ。|彼《かれ》がいつも|王《おう》の|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》をしたからである。|彼《かれ》は|両足《りょうあし》ともに、なえていた。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》アンモンの|人々《ひとびと》の|王《おう》が|死《し》んで、その|子《こ》ハヌンがこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのときダビデは|言《い》った、「わたしはナハシの|子《こ》ハヌンに、その|父《ちち》がわたしに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》したように、|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》そう」。そしてダビデは|彼《かれ》を、その|父《ちち》のゆえに|慰《なぐさ》めようと、しもべをつかわした。ダビデのしもべたちはアンモンの|人々《ひとびと》の|地《ち》に|行《い》ったが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》のつかさたちはその|主君《しゅくん》ハヌンに|言《い》った、「ダビデが|慰《なぐさ》める|者《もの》をあなたのもとにつかわしたのは|彼《かれ》があなたの|父《ちち》を|尊《たっと》ぶためだと|思《おも》われますか。ダビデがあなたのもとに、しもべたちをつかわしたのは、この|町《まち》をうかがい、それを|探《さぐ》って、|滅《ほろ》ぼすためではありませんか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでハヌンはダビデのしもべたちを|捕《とら》え、おのおの、ひげの|半《なか》ばをそり|落《おと》し、その|着物《きもの》を|中《なか》ほどから|断《た》ち|切《き》り|腰《こし》の|所《ところ》までにして、|彼《かれ》らを|帰《かえ》らせた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がこれをダビデに|告《つ》げたので、ダビデは|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》らを|迎《むか》えさせた。その|人々《ひとびと》はひじょうに|恥《は》じたからである。そこで|王《おう》は|言《い》った、「ひげがのびるまでエリコにとどまって、その|後《のち》、|帰《かえ》りなさい」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》は|自分《じぶん》たちがダビデに|憎《にく》まれていることがわかったので、|人《ひと》をつかわして、ベテ・レホブのスリヤびととゾバのスリヤびととの|歩兵《ほへい》二万|人《にん》およびマアカの|王《おう》とその一千|人《にん》、トブの|人《ひと》一万二千|人《にん》を|雇《やと》い|入《い》れた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはそれを|聞《き》いて、ヨアブと|勇士《ゆうし》の|全《ぜん》|軍《ぐん》をつかわしたので、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》は|出《で》て、|門《もん》の|入口《いりぐち》に|戦《たたか》いの|備《そな》えをした。ゾバとレホブとのスリヤびと、およびトブとマアカの|人々《ひとびと》は|別《べつ》に|野《の》にいた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|戦《たたか》いが|前後《ぜんご》から|自分《じぶん》に|迫《せま》ってくるのを|見《み》て、イスラエルのえり|抜《ぬ》きの|兵士《へいし》のうちから|選《えら》んで、これをスリヤびとに|対《たい》して|備《そな》え、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そのほかの|民《たみ》を|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》アビシャイの|手《て》にわたして、アンモンの|人々《ひとびと》に|対《たい》して|備《そな》えさせ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》った、「もしスリヤびとがわたしに|手《て》ごわいときは、わたしを|助《たす》けてください。もしアンモンの|人々《ひとびと》があなたに|手《て》ごわいときは、|行《い》ってあなたを|助《たす》けましょう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|勇《いさ》ましくしてください。われわれの|民《たみ》のため、われわれの|神《かみ》の|町々《まちまち》のため、|勇《いさ》ましくしましょう。どうぞ|主《しゅ》が|良《よ》いと|思《おも》われることをされるように」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブが|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》にいる|民《たみ》と|共《とも》に、スリヤびとに|向《む》かって|戦《たたか》おうとして|近《ちか》づいたとき、スリヤびとは|彼《かれ》の|前《まえ》から|逃《に》げた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》はスリヤびとが|逃《に》げるのを|見《み》て、|彼《かれ》らもまたアビシャイの|前《まえ》から|逃《に》げて|町《まち》にはいった。そこでヨアブはアンモンの|人々《ひとびと》を|撃《う》つことをやめてエルサレムに|帰《かえ》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしスリヤびとは|自分《じぶん》たちのイスラエルに|打《う》ち|敗《やぶ》られたのを|見《み》て、|共《とも》に|集《あつ》まった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてハダデゼルは|人《ひと》をつかわし、ユフラテ|川《かわ》の|向《む》こう|側《がわ》にいるスリヤびとを|率《ひき》いてヘラムにこさせた。ハダデゼルの|軍《ぐん》の|長《ちょう》ショバクがこれを|率《ひき》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》がダビデに|聞《きこ》えたので、|彼《かれ》はイスラエルをことごとく|集《あつ》め、ヨルダンを|渡《わた》ってヘラムにきた。スリヤびとはダビデに|向《む》かって|備《そな》えをして|彼《かれ》と|戦《たたか》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかしスリヤびとがイスラエルの|前《まえ》から|逃《に》げたので、ダビデはスリヤびとの|戦車《せんしゃ》の|兵《へい》七百、|騎兵《きへい》四万を|殺《ころ》し、またその|軍《ぐん》の|長《ちょう》ショバクを|撃《う》ったので、|彼《かれ》はその|所《ところ》で|死《し》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ハダデゼルの|家来《けらい》であった|王《おう》たちはみな、|自分《じぶん》たちがイスラエルに|打《う》ち|敗《やぶ》られたのを|見《み》て、イスラエルと|和《わ》を|講《こう》じ、これに|仕《つか》えた。こうしてスリヤびとは|恐《おそ》れて|再《ふたた》びアンモンの|人々《ひとびと》を|助《たす》けることをしなかった。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|春《はる》になって、|王《おう》たちが|戦《たたか》いに|出《で》るに|及《およ》んで、ダビデはヨアブおよび|自分《じぶん》と|共《とも》にいる|家来《けらい》たち、|並《なら》びにイスラエルの|全《ぜん》|軍《ぐん》をつかわした。|彼《かれ》らはアンモンの|人々《ひとびと》を|滅《ほろ》ぼし、ラバを|包囲《ほうい》した。しかしダビデはエルサレムにとどまっていた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さて、ある|日《ひ》の|夕暮《ゆうぐれ》、ダビデは|床《ゆか》から|起《お》き|出《で》て、|王《おう》の|家《いえ》の|屋上《おくじょう》を|歩《ある》いていたが、|屋上《おくじょう》から、ひとりの|女《おんな》がからだを|洗《あら》っているのを|見《み》た。その|女《おんな》は|非常《ひじょう》に|美《うつく》しかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|人《ひと》をつかわしてその|女《おんな》のことを|探《さぐ》らせたが、ある|人《ひと》は|言《い》った、「これはエリアムの|娘《むすめ》で、ヘテびとウリヤの|妻《つま》バテシバではありませんか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|使者《ししゃ》をつかわして、その|女《おんな》を|連《つ》れてきた。|女《おんな》は|彼《かれ》の|所《ところ》にきて、|彼《かれ》はその|女《おんな》と|寝《ね》た。(|女《おんな》は|身《み》の|汚《けが》れを|清《きよ》めていたのである。)こうして|女《おんな》はその|家《いえ》に|帰《かえ》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|妊娠《にんしん》したので、|人《ひと》をつかわしてダビデに|告《つ》げて|言《い》った、「わたしは|子《こ》をはらみました」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデはヨアブに、「ヘテびとウリヤをわたしの|所《ところ》につかわせ」と|言《い》ってやったので、ヨアブはウリヤをダビデの|所《ところ》につかわした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ウリヤがダビデの|所《ところ》にきたので、ダビデは、ヨアブはどうしているか、|民《たみ》はどうしているか、|戦《たたか》いはうまくいっているかとたずねた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデはウリヤに|言《い》った、「あなたの|家《いえ》に|行《い》って、|足《あし》を|洗《あら》いなさい」。ウリヤは|王《おう》の|家《いえ》を|出《で》ていったが、|王《おう》の|贈《おく》り|物《もの》が|彼《かれ》の|後《のち》に|従《したが》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしウリヤは|王《おう》の|家《いえ》の|入口《いりぐち》で|主君《しゅくん》の|家来《けらい》たちと|共《とも》に|寝《ね》て、|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》らなかった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がダビデに、「ウリヤは|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》りませんでした」と|告《つ》げたので、ダビデはウリヤに|言《い》った、「|旅《たび》から|帰《かえ》ってきたのではないか。どうして|家《いえ》に|帰《かえ》らなかったのか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ウリヤはダビデに|言《い》った、「|神《かみ》の|箱《はこ》も、イスラエルも、ユダも、|小屋《こや》の|中《なか》に|住《す》み、わたしの|主人《しゅじん》ヨアブと、わが|主君《しゅくん》の|家来《けらい》たちが|野《の》のおもてに|陣《じん》を|取《と》っているのに、わたしはどうして|家《いえ》に|帰《かえ》って|食《く》い|飲《の》みし、|妻《つま》と|寝《ね》ることができましょう。あなたは|生《い》きておられます。あなたの|魂《たましい》は|生《い》きています。わたしはこの|事《こと》をいたしません」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはウリヤに|言《い》った、「きょうも、ここにとどまりなさい。わたしはあす、あなたを|去《さ》らせましょう」。そこでウリヤはその|日《ひ》と|次《つぎ》の|日《ひ》エルサレムにとどまった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》を|招《まね》いて|自分《じぶん》の|前《まえ》で|食《く》い|飲《の》みさせ、|彼《かれ》を|酔《よ》わせた。|夕暮《ゆうぐれ》になって|彼《かれ》は|出《で》ていって、その|床《ゆか》に、|主君《しゅくん》の|家来《けらい》たちと|共《とも》に|寝《ね》た。そして|自分《じぶん》の|家《いえ》には|下《くだ》って|行《い》かなかった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》になってダビデはヨアブにあてた|手紙《てがみ》を|書《か》き、ウリヤの|手《て》に|託《たく》してそれを|送《おく》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|手紙《てがみ》に、「あなたがたはウリヤを|激《はげ》しい|戦《たたか》いの|最前線《さいぜんせん》に|出《だ》し、|彼《かれ》の|後《うしろ》から|退《しりぞ》いて、|彼《かれ》を|討死《うちじに》させよ」と|書《か》いた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|町《まち》を|囲《かこ》んでいたので、|勇士《ゆうし》たちがいると|知《し》っていた|場所《ばしょ》にウリヤを|置《お》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|人々《ひとびと》が|出《で》てきてヨアブと|戦《たたか》ったので、|民《たみ》のうち、ダビデの|家来《けらい》たちにも、|倒《たお》れるものがあり、ヘテびとウリヤも|死《し》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|人《ひと》をつかわして|戦《たたか》いのことをつぶさにダビデに|告《つ》げた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブはその|使者《ししゃ》に|命《めい》じて|言《い》った、「あなたが|戦《たたか》いのことをつぶさに|王《おう》に|語《かた》り|終《おわ》ったとき、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]もし|王《おう》が|怒《いか》りを|起《おこ》して、『あなたがたはなぜ|戦《たたか》おうとしてそんなに|町《まち》に|近《ちか》づいたのか。|彼《かれ》らが|城壁《じょうへき》の|上《うえ》から|射《い》るのを|知《し》らなかったのか。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エルベセテの|子《こ》アビメレクを|撃《う》ったのはだれか。ひとりの|女《おんな》が|城壁《じょうへき》の|上《うえ》から|石《いし》うすの|上石《うわいし》を|投《な》げて|彼《かれ》をテベツで|殺《ころ》したのではなかったか。あなたがたはなぜそんなに|城壁《じょうへき》に|近《ちか》づいたのか』と|言《い》われたならば、その|時《とき》あなたは、『あなたのしもべ、ヘテびとウリヤもまた|死《し》にました』と|言《い》いなさい」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|使者《ししゃ》は|行《い》き、ダビデのもとにきて、ヨアブが|言《い》いつかわしたことをことごとく|告《つ》げた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》はダビデに|言《い》った、「|敵《てき》はわれわれよりも|有利《ゆうり》な|位置《いち》を|占《し》め、|出《で》てきてわれわれを|野《の》で|攻《せ》めましたが、われわれは|町《まち》の|入口《いりぐち》まで|彼《かれ》らを|追《お》い|返《かえ》しました。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|射手《しゃしゅ》どもは|城壁《じょうへき》からあなたの|家来《けらい》たちを|射《い》ましたので、|王《おう》の|家来《けらい》のある|者《もの》は|死《し》に、また、あなたの|家来《けらい》ヘテびとウリヤも|死《し》にました」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|使者《ししゃ》に|言《い》った、「あなたはヨアブにこう|言《い》いなさい、『この|事《こと》で|心配《しんぱい》することはない。つるぎはこれをも|彼《かれ》をも|同《おな》じく|滅《ほろ》ぼすからである。|強《つよ》く|町《まち》を|攻《せ》めて|戦《たたか》い、それを|攻《せ》め|落《おと》しなさい』と。そしてヨアブを|励《はげ》ましなさい」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ウリヤの|妻《つま》は|夫《おっと》ウリヤが|死《し》んだことを|聞《き》いて、|夫《おっと》のために|悲《かな》しんだ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|喪《も》が|過《す》ぎた|時《とき》、ダビデは|人《ひと》をつかわして|彼女《かのじょ》を|自分《じぶん》の|家《いえ》に|召《め》し|入《い》れた。|彼女《かのじょ》は|彼《かれ》の|妻《つま》となって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。しかしダビデがしたこの|事《こと》は|主《しゅ》を|怒《いか》らせた。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はナタンをダビデにつかわされたので、|彼《かれ》はダビデの|所《ところ》にきて|言《い》った、「ある|町《まち》にふたりの|人《ひと》があって、ひとりは|富《と》み、ひとりは|貧《まず》しかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|富《と》んでいる|人《ひと》は|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|羊《ひつじ》と|牛《うし》を|持《も》っていたが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|人《ひと》は|自分《じぶん》が|買《か》った一|頭《とう》の|小《ちい》さい|雌《めす》の|小羊《こひつじ》のほかは|何《なに》も|持《も》っていなかった。|彼《かれ》がそれを|育《そだ》てたので、その|小羊《こひつじ》は|彼《かれ》および|彼《かれ》の|子供《こども》たちと|共《とも》に|成長《せいちょう》し、|彼《かれ》の|食物《しょくもつ》を|食《た》べ、|彼《かれ》のわんから|飲《の》み、|彼《かれ》のふところで|寝《ね》て、|彼《かれ》にとっては|娘《むすめ》のようであった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ひとりの|旅《たび》びとが、その|富《と》んでいる|人《ひと》のもとにきたが、|自分《じぶん》の|羊《ひつじ》または|牛《うし》のうちから一|頭《いっとう》を|取《と》って、|自分《じぶん》の|所《ところ》にきた|旅《たび》びとのために|調理《ちょうり》することを|惜《お》しみ、その|貧《まず》しい|人《ひと》の|小羊《こひつじ》を|取《と》って、これを|自分《じぶん》の|所《ところ》にきた|人《ひと》のために|調理《ちょうり》した」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|人《ひと》の|事《こと》をひじょうに|怒《いか》ってナタンに|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。この|事《こと》をしたその|人《ひと》は|死《し》ぬべきである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]かつその|人《ひと》はこの|事《こと》をしたため、またあわれまなかったため、その|小羊《こひつじ》を四|倍《ばい》にして|償《つぐな》わなければならない」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ナタンはダビデに|言《い》った、「あなたがその|人《ひと》です。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしはあなたに|油《あぶら》を|注《そそ》いでイスラエルの|王《おう》とし、あなたをサウルの|手《て》から|救《すく》いだし、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|主人《しゅじん》の|家《いえ》を|与《あた》え、|主人《しゅじん》の|妻《つま》たちをあなたのふところに|与《あた》え、またイスラエルとユダの|家《いえ》をあなたに|与《あた》えた。もし|少《すく》なかったならば、わたしはもっと|多《おお》くのものをあなたに|増《ま》し|加《くわ》えたであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]どうしてあなたは|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|軽《かろ》んじ、その|目《め》の|前《まえ》に|悪事《あくじ》をおこなったのですか。あなたはつるぎをもってヘテびとウリヤを|殺《ころ》し、その|妻《つま》をとって|自分《じぶん》の|妻《つま》とした。すなわちアンモンの|人々《ひとびと》のつるぎをもって|彼《かれ》を|殺《ころ》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしを|軽《かろ》んじてヘテびとウリヤの|妻《つま》をとり、|自分《じぶん》の|妻《つま》としたので、つるぎはいつまでもあなたの|家《いえ》を|離《はな》れないであろう』。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『|見《み》よ、わたしはあなたの|家《いえ》からあなたの|上《うえ》に|災《わざわい》を|起《おこ》すであろう。わたしはあなたの|目《め》の|前《まえ》であなたの|妻《つま》たちを|取《と》って、|隣《となり》びとに|与《あた》えるであろう。その|人《ひと》はこの|太陽《たいよう》の|前《まえ》で|妻《つま》たちと|一緒《いっしょ》に|寝《ね》るであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはひそかにそれをしたが、わたしは|全《ぜん》イスラエルの|前《まえ》と、|太陽《たいよう》の|前《まえ》にこの|事《こと》をするのである』」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはナタンに|言《い》った、「わたしは|主《しゅ》に|罪《つみ》をおかしました」。ナタンはダビデに|言《い》った、「|主《しゅ》もまたあなたの|罪《つみ》を|除《のぞ》かれました。あなたは|死《し》ぬことはないでしょう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたはこの|行《おこな》いによって|大《おお》いに|主《しゅ》を|侮《あなど》ったので、あなたに|生《うま》れる|子供《こども》はかならず|死《し》ぬでしょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてナタンは|家《いえ》に|帰《かえ》った。  さて|主《しゅ》は、ウリヤの|妻《つま》がダビデに|産《う》んだ|子《こ》を|撃《う》たれたので、|病気《びょうき》になった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|子《こ》のために|神《かみ》に|嘆願《たんがん》した。すなわちダビデは|断食《だんじき》して、へやにはいり|終夜《しゅうや》|地《ち》に|伏《ふ》した。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|家《いえ》の|長老《ちょうろう》たちは、|彼《かれ》のかたわらに|立《た》って|彼《かれ》を|地《ち》から|起《おこ》そうとしたが、|彼《かれ》は|起《お》きようとはせず、また|彼《かれ》らと|一緒《いっしょ》に|食事《しょくじ》をしなかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》にその|子《こ》は|死《し》んだ。ダビデの|家来《けらい》たちはその|子《こ》が|死《し》んだことをダビデに|告《つ》げるのを|恐《おそ》れた。それは|彼《かれ》らが、「|見《み》よ、|子《こ》のなお|生《い》きている|間《あいだ》に、われわれが|彼《かれ》に|語《かた》ったのに|彼《かれ》はその|言葉《ことば》を|聞《き》きいれなかった。どうして|彼《かれ》にその|子《こ》の|死《し》んだことを|告《つ》げることができようか。|彼《かれ》は|自《みずか》らを|害《がい》するかも|知《し》れない」と|思《おも》ったからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデは、|家来《けらい》たちが|互《たがい》にささやき|合《あ》うのを|見《み》て、その|子《こ》の|死《し》んだのを|悟《さと》り、|家来《けらい》たちに|言《い》った、「|子《こ》は|死《し》んだのか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「|死《し》なれました」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ダビデは|地《ち》から|起《お》き|上《あ》がり、|身《み》を|洗《あら》い、|油《あぶら》をぬり、その|着物《きもの》を|替《か》えて、|主《しゅ》の|家《いえ》にはいって|拝《はい》した。そののち|自分《じぶん》の|家《いえ》に|行《い》き、|求《もと》めて|自分《じぶん》のために|食物《しょくもつ》を|備《そな》えさせて|食《た》べた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|家来《けらい》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたのなさったこの|事《こと》はなんでしょうか。あなたは|子《こ》の|生《い》きている|間《あいだ》はその|子《こ》のために|断食《だんじき》して|泣《な》かれました。しかし|子《こ》が|死《し》ぬと、あなたは|起《お》きて|食事《しょくじ》をなさいました」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「|子《こ》の|生《い》きている|間《あいだ》に、わたしが|断食《だんじき》して|泣《な》いたのは、『|主《しゅ》がわたしをあわれんで、この|子《こ》を|生《い》かしてくださるかも|知《し》れない』と|思《おも》ったからです。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|今《いま》は|死《し》んだので、わたしはどうして|断食《だんじき》しなければならないでしょうか。わたしは|再《ふたた》び|彼《かれ》をかえらせることができますか。わたしは|彼《かれ》の|所《ところ》に|行《い》くでしょうが、|彼《かれ》はわたしの|所《ところ》に|帰《かえ》ってこないでしょう」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|妻《つま》バテシバを|慰《なぐさ》め、|彼女《かのじょ》の|所《ところ》にはいって、|彼女《かのじょ》と|共《とも》に|寝《ね》たので、|彼女《かのじょ》は|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。ダビデはその|名《な》をソロモンと|名《な》づけた。|主《しゅ》はこれを|愛《あい》された。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そして|預言者《よげんしゃ》ナタンをつかわし、|命《めい》じてその|名《な》をエデデアと|呼《よ》ばせられた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]さてヨアブはアンモンの|人々《ひとびと》のラバを|攻《せ》めて|王《おう》の|町《まち》を|取《と》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|使者《ししゃ》をダビデにつかわして|言《い》った、「わたしはラバを|攻《せ》めて|水《みず》の|町《まち》を|取《と》りました。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|今《いま》、|残《のこ》りの|民《たみ》を|集《あつ》め、この|町《まち》に|向《む》かって|陣《じん》をしき、これを|取《と》りなさい。わたしがこの|町《まち》を|取《と》って、|人《ひと》がわたしの|名《な》をもって、これを|呼《よ》ぶようにならないためです」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|民《たみ》をことごとく|集《あつ》めてラバへ|行《い》き、|攻《せ》めてこれを|取《と》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|彼《かれ》らの|王《おう》の|冠《かんむり》をその|頭《あたま》から|取《と》りはなした。それは|金《きん》で|重《おも》さは一タラントであった。|宝石《ほうせき》がはめてあり、それをダビデの|頭《あたま》に|置《お》いた。ダビデはその|町《まち》からぶんどり|物《もの》を|非常《ひじょう》に|多《おお》く|持《も》ち|出《だ》した。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]またダビデはそのうちの|民《たみ》を|引《ひ》き|出《だ》して、|彼《かれ》らをのこぎりや、|鉄《てつ》のつるはし、|鉄《てつ》のおのを|使《つか》う|仕事《しごと》につかせ、また、れんが|造《つく》りの|労役《ろうえき》につかせた。|彼《かれ》はアンモンの|人々《ひとびと》のすべての|町《まち》にこのようにした。そしてダビデと|民《たみ》とは|皆《みな》エルサレムに|帰《かえ》った。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデの|子《こ》アブサロムには|名《な》をタマルという|美《うつく》しい|妹《いもうと》があったが、その|後《のち》ダビデの|子《こ》アムノンはこれを|恋《こい》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アムノンは|妹《いもうと》タマルのために|悩《なや》んでついにわずらった。それはタマルが|処女《しょじょ》であって、アムノンは|彼女《かのじょ》に|何事《なにごと》もすることができないと|思《おも》ったからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ところがアムノンにはひとりの|友《とも》だちがあった。|名《な》をヨナダブといい、ダビデの|兄弟《きょうだい》シメアの|子《こ》である。ヨナダブはひじょうに|賢《かしこ》い|人《ひと》であった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はアムノンに|言《い》った、「|王子《おうじ》よ、あなたは、どうして|朝《あさ》ごとに、そんなにやせ|衰《おとろ》えるのですか。わたしに|話《はな》さないのですか」。アムノンは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしは|兄弟《きょうだい》アブサロムの|妹《いもうと》タマルを|恋《こい》しているのです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヨナダブは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたは|病《やまい》と|偽《いつわ》り、|寝床《ねどこ》に|横《よこ》たわって、あなたの|父《ちち》がきてあなたを|見《み》るとき|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『どうぞ、わたしの|妹《いもうと》タマルをこさせ、わたしの|所《ところ》に|食物《しょくもつ》を|運《はこ》ばせてください。そして|彼女《かのじょ》がわたしの|目《め》の|前《まえ》で|食物《しょくもつ》をととのえ、|彼女《かのじょ》の|手《て》からわたしが|食《た》べることのできるようにさせてください』」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでアムノンは|横《よこ》になって|病《やまい》と|偽《いつわ》ったが、|王《おう》がきて|彼《かれ》を|見《み》た|時《とき》、アムノンは|王《おう》に|言《い》った、「どうぞわたしの|妹《いもうと》タマルをこさせ、わたしの|目《め》の|前《まえ》で二つの|菓子《かし》を|作《つく》らせて、|彼女《かのじょ》の|手《て》からわたしが|食《た》べることのできるようにしてください」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはタマルの|家《いえ》に|人《ひと》をつかわして|言《い》わせた、「あなたの|兄《あに》アムノンの|家《いえ》へ|行《い》って、|彼《かれ》のために|食物《しょくもつ》をととのえなさい」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでタマルはその|兄《あに》アムノンの|家《いえ》へ|行《い》ったところ、アムノンは|寝《ね》ていた。タマルは|粉《こな》を|取《と》って、これをこね、|彼《かれ》の|目《め》の|前《まえ》で、|菓子《かし》を|作《つく》り、その|菓子《かし》を|焼《や》き、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]なべを|取《と》って|彼《かれ》の|前《まえ》にそれをあけた。しかし|彼《かれ》は|食《た》べることを|拒《こば》んだ。そしてアムノンは、「みな、わたしを|離《はな》れて|出《で》てください」と|言《い》ったので、|皆《みな》、|彼《かれ》を|離《はな》れて|出《で》た。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アムノンはタマルに|言《い》った、「|食物《しょくもつ》を|寝室《しんしつ》に|持《も》ってきてください。わたしはあなたの|手《て》から|食《た》べます」。そこでタマルは|自分《じぶん》の|作《つく》った|菓子《かし》をとって、|寝室《しんしつ》にはいり|兄《あに》アムノンの|所《ところ》へ|持《も》っていった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]タマルが|彼《かれ》に|食《た》べさせようとして|近《ちか》くに|持《も》って|行《い》った|時《とき》、|彼《かれ》はタマルを|捕《とら》えて|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|妹《いもうと》よ、|来《き》て、わたしと|寝《ね》なさい」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]タマルは|言《い》った、「いいえ、|兄《あに》|上《うえ》よ、わたしをはずかしめてはなりません。このようなことはイスラエルでは|行《おこな》われません。この|愚《おろ》かなことをしてはなりません。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|恥《はじ》をわたしはどこへ|持《も》って|行《い》くことができましょう。あなたはイスラエルの|愚《おろ》か|者《もの》のひとりとなるでしょう。それゆえ、どうぞ|王《おう》に|話《はな》してください。|王《おう》がわたしをあなたに|与《あた》えないことはないでしょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかしアムノンは|彼女《かのじょ》の|言《い》うことを|聞《き》こうともせず、タマルよりも|強《つよ》かったので、タマルをはずかしめてこれと|共《とも》に|寝《ね》た。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それからアムノンは、ひじょうに|深《ふか》くタマルを|憎《にく》むようになった。|彼女《かのじょ》を|憎《にく》む|憎《にく》しみは、|彼女《かのじょ》を|恋《こい》した|恋《こい》よりも|大《おお》きかった。アムノンは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|立《た》って、|行《い》きなさい」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]タマルはアムノンに|言《い》った、「いいえ、|兄《あに》|上《うえ》よ、わたしを|返《かえ》すことは、あなたがさきにわたしになさった|事《こと》よりも|大《おお》きい|悪《あく》です」。しかしアムノンは|彼女《かのじょ》の|言《い》うことを|聞《き》こうともせず、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|仕《つか》えている|若者《わかもの》を|呼《よ》んで|言《い》った、「この|女《おんな》をわたしの|所《ところ》から|外《そと》におくり|出《だ》し、そのあとに|戸《と》を|閉《と》ざすがよい」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、タマルは|長《なが》そでの|着物《きもの》を|着《き》ていた。|昔《むかし》、|王《おう》の|姫《ひめ》たちの|処女《しょじょ》である|者《もの》はこのような|着物《きもの》を|着《き》たからである。アムノンのしもべは|彼女《かのじょ》を|外《そと》に|出《だ》して、そのあとに|戸《と》を|閉《と》ざした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]タマルは|灰《はい》を|頭《あたま》にかぶり、|着《き》ていた|長《なが》そでの|着物《きもの》を|裂《さ》き、|手《て》を|頭《あたま》にのせて、|叫《さけ》びながら|去《さ》って|行《い》った。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|兄《あに》アブサロムは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|兄《あに》アムノンがあなたと|一緒《いっしょ》にいたのか。しかし|妹《いもうと》よ、|今《いま》は|黙《だま》っていなさい。|彼《かれ》はあなたの|兄《あに》です。この|事《こと》を|心《こころ》にとめなくてよろしい」。こうしてタマルは|兄《あに》アブサロムの|家《いえ》に|寂《さび》しく|住《す》んでいた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》はこれらの|事《こと》をことごとく|聞《き》いて、ひじょうに|怒《いか》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはアムノンに|良《よ》いことも|悪《わる》いことも|語《かた》ることをしなかった。それはアムノンがアブサロムの|妹《いもうと》タマルをはずかしめたので、アブサロムが|彼《かれ》を|憎《にく》んでいたからである。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|満《まん》二|年《ねん》の|後《のち》、アブサロムはエフライムの|近《ちか》くにあるバアル・ハゾルで|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》らせていた|時《とき》、|王《おう》の|子《こ》たちをことごとく|招《まね》いた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そしてアブサロムは|王《おう》のもとにきて|言《い》った、「|見《み》よ、しもべは|羊《ひつじ》の|毛《け》を|切《き》らせております。どうぞ|王《おう》も|王《おう》の|家来《けらい》たちも、しもべと|共《とも》にきてください」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はアブサロムに|言《い》った、「いいえ、わが|子《こ》よ、われわれが|皆《みな》|行《い》ってはならない。あなたの|重荷《おもに》になるといけないから」。アブサロムはダビデにしいて|願《ねが》った。しかしダビデは|行《い》くことを|承知《しょうち》せず|彼《かれ》に|祝福《しゅくふく》を|与《あた》えた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブサロムは|言《い》った、「それでは、どうぞわたしの|兄《あに》アムノンをわれわれと|共《とも》に|行《い》かせてください」。|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「どうして|彼《かれ》があなたと|共《とも》に|行《い》かなければならないのか」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかしアブサロムは|彼《かれ》にしいて|願《ねが》ったので、ついにアムノンと|王《おう》の|子《こ》たちを|皆《みな》、アブサロムと|共《とも》に|行《い》かせた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブサロムは|若者《わかもの》たちに|命《めい》じて|言《い》った、「アムノンが|酒《さけ》を|飲《の》んで、|心《こころ》|楽《たの》しくなった|時《とき》を|見《み》すまし、わたしがあなたがたに、『アムノンを|撃《う》て』と|言《い》う|時《とき》、|彼《かれ》を|殺《ころ》しなさい。|恐《おそ》れることはない。わたしが|命《めい》じるのではないか。|雄々《おお》しくしなさい。|勇《いさ》ましくしなさい」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムの|若者《わかもの》たちはアブサロムの|命《めい》じたようにアムノンにおこなったので、|王《おう》の|子《こ》たちは|皆《みな》|立《た》って、おのおのその|騾馬《らば》に|乗《の》って|逃《に》げた。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがまだ|着《つ》かないうちに、「アブサロムは|王《おう》の|子《こ》たちをことごとく|殺《ころ》して、ひとりも|残《のこ》っている|者《もの》がない」という|知《し》らせがダビデに|達《たっ》したので、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|立《た》ち、その|着物《きもの》を|裂《さ》いて、|地《ち》に|伏《ふ》した。そのかたわらに|立《た》っていた|家来《けらい》たちも|皆《みな》その|着物《きもの》を|裂《さ》いた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデの|兄弟《きょうだい》シメアの|子《こ》ヨナダブは|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、|王《おう》の|子《こ》たちである|若者《わかもの》たちがみな|殺《ころ》されたと、お|考《かんが》えになってはなりません。アムノンだけが|死《し》んだのです。これは|彼《かれ》がアブサロムの|妹《いもうと》タマルをはずかしめた|日《ひ》から、アブサロムの|命《いのち》によって|定《さだ》められていたことなのです。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わが|主《しゅ》、|王《おう》よ、|王《おう》の|子《こ》たちが|皆《みな》|死《し》んだと|思《おも》って、この|事《こと》を|心《こころ》にとめられてはなりません。アムノンだけが|死《し》んだのです」。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはのがれた。|時《とき》に|見張《みは》りをしていた|若者《わかもの》が|目《め》をあげて|見《み》ると、|山《やま》のかたわらのホロナイムの|道《みち》から|多《おお》くの|民《たみ》の|来《く》るのが|見《み》えた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ヨナダブは|王《おう》に|言《い》った、「|見《み》よ、|王《おう》の|子《こ》たちがきました。しもべの|言《い》ったとおりです」。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|語《かた》ることを|終《おわ》った|時《とき》、|王《おう》の|子《こ》たちはきて|声《こえ》をあげて|泣《な》いた。|王《おう》もその|家来《けらい》たちも|皆《みな》、|非常《ひじょう》にはげしく|泣《な》いた。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]しかしアブサロムはのがれて、ゲシュルの|王《おう》アミホデの|子《こ》タルマイのもとに|行《い》った。ダビデは|日々《ひび》その|子《こ》のために|悲《かな》しんだ。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはのがれてゲシュルに|行《い》き、三|年《ねん》の|間《あいだ》そこにいた。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|心《こころ》に、アブサロムに|会《あ》うことを、せつに|望《のぞ》んだ。アムノンは|死《し》んでしまい、ダビデが|彼《かれ》のことはあきらめていたからである。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》ヨアブは|王《おう》の|心《こころ》がアブサロムに|向《む》かっているのを|知《し》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨアブはテコアに|人《ひと》をつかわして、そこからひとりの|賢《かしこ》い|女《おんな》を|連《つ》れてこさせ、その|女《おんな》に|言《い》った、「あなたは|悲《かな》しみのうちにある|人《ひと》をよそおって、|喪服《もふく》を|着《き》、|油《あぶら》を|身《み》に|塗《ぬ》らず、|死《し》んだ|人《ひと》のために|長《なが》いあいだ|悲《かな》しんでいる|女《おんな》のように、よそおって、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》のもとに|行《い》き、しかじかと|彼《かれ》に|語《かた》りなさい」。こうしてヨアブはその|言葉《ことば》を|彼女《かのじょ》の|口《くち》に|授《さづ》けた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]テコアの|女《おんな》は|王《おう》のもとに|行《い》き、|地《ち》に|伏《ふ》して|拝《はい》し、「|王《おう》よ、お|助《たす》けください」と|言《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|女《おんな》に|言《い》った、「どうしたのか」。|女《おんな》は|言《い》った、「まことにわたしは|寡婦《かふ》でありまして、|夫《おっと》は|死《し》にました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]つかえめにはふたりの|子《こ》どもがあり、ふたりは|野《の》で|争《あらそ》いましたが、だれも|彼《かれ》らを|引《ひ》き|分《わ》ける|者《もの》がなかったので、ひとりはついに|他《た》の|者《もの》を|撃《う》って|殺《ころ》しました。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すると|全家《ぜんか》|族《ぞく》がつかえめに|逆《さか》らい|立《た》って、『|兄弟《きょうだい》を|撃《う》ち|殺《ころ》した|者《もの》を|引《ひ》き|渡《わ》たすがよい。われわれは|彼《かれ》が|殺《ころ》したその|兄弟《きょうだい》の|命《いのち》のために|彼《かれ》を|殺《ころ》そう』と|言《い》い、|彼《かれ》らは|世継《よつぎ》をも|殺《ころ》そうとしました。こうして|彼《かれ》らは|残《のこ》っているわたしの|炭火《すみび》を|消《け》して、わたしの|夫《おっと》の|名《な》をも、|跡《あと》|継《つぎ》をも、|地《ち》のおもてにとどめないようにしようとしています」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|女《おんな》に|言《い》った、「|家《いえ》に|帰《かえ》りなさい。わたしはあなたのことについて|命令《めいれい》を|下《くだ》します」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]テコアの|女《おんな》は|王《おう》に|言《い》った、「わが|主《しゅ》、|王《おう》よ、わたしとわたしの|父《ちち》の|家《いえ》にその|罪《つみ》を|帰《き》してください。どうぞ|王《おう》と|王《おう》の|位《くらい》には|罪《つみ》がありませんように」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「もしあなたに|何《なに》か|言《い》う|者《もの》があれば、わたしの|所《ところ》に|連《つ》れてきなさい。そうすれば、その|人《ひと》は|重《かさ》ねてあなたに|触《ふ》れることはないでしょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|言《い》った、「どうぞ|王《おう》が、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》をおぼえて、|血《ち》の|報復《ほうふく》をする|者《もの》に|重《かさ》ねて|滅《ほろ》ぼすことをさせず、わたしの|子《こ》の|殺《ころ》されることのないようにしてください」。|王《おう》は|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。あなたの|子《こ》の|髪《かみ》の|毛《け》一|筋《すじ》も|地《ち》に|落《お》ちることはないでしょう」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|言《い》った、「どうぞ、つかえめにひと|言《こと》、わが|主《しゅ》、|王《おう》に|言《い》わせてください」。ダビデは|言《い》った、「|言《い》いなさい」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》は|言《い》った、「あなたは、それならばどうして、|神《かみ》の|民《たみ》に|向《む》かってこのような|事《こと》を|図《はか》られたのですか。|王《おう》は|今《いま》この|事《こと》を|言《い》われたことによって|自分《じぶん》を|罪《つみ》ある|者《もの》とされています。それは|王《おう》が|追放《ついほう》された|者《もの》を|帰《かえ》らせられないからです。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちはみな|死《し》ななければなりません。|地《ち》にこぼれた|水《みず》の|再《ふたた》び|集《あつ》めることのできないのと|同《おな》じです。しかし|神《かみ》は、|追放《ついほう》された|者《もの》が|捨《す》てられないように、てだてを|設《もう》ける|人《ひと》の|命《いのち》を|取《と》ることはなさいません。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこの|事《こと》を|王《おう》、わが|主《しゅ》に|言《い》おうとして|来《き》たのは、わたしが|民《たみ》を|恐《おそ》れたからです。つかえめは、こう|思《おも》ったのです、『|王《おう》に|申《もう》し|上《あ》げよう。|王《おう》は、はしための|願《ねが》いのようにしてくださるかもしれない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|聞《き》いてくださる。わたしとわたしの|子《こ》を|共《とも》に|滅《ほろ》ぼして|神《かみ》の|嗣《し》|業《ぎょう》から|離《はな》れさせようとする|人《ひと》の|手《て》から、はしためを|救《すく》い|出《だ》してくださるのだから』。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]つかえめはまた、こう|思《おも》ったのです、『|王《おう》、わが|主《しゅ》の|言葉《ことば》はわたしを|安心《あんしん》させるであろう』と。それは|王《おう》、わが|主《しゅ》は|神《かみ》の|使《つかい》のように|善《ぜん》と|悪《あく》を|聞《き》きわけられるからです。どうぞあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたと|共《とも》におられますように」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|女《おんな》に|答《こた》えて|言《い》った、「わたしが|問《と》うことに|隠《かく》さず|答《こた》えてください」。|女《おんな》は|言《い》った、「|王《おう》、わが|主《しゅ》よ、どうぞ|言《い》ってください」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「このすべての|事《こと》において、ヨアブの|手《て》があなたと|共《とも》にありますか」。|女《おんな》は|答《こた》えた、「あなたはたしかに|生《い》きておられます。|王《おう》、わが|主《しゅ》よ、すべて|王《おう》、わが|主《しゅ》の|言《い》われた|事《こと》から|人《ひと》は|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》ることはできません。わたしに|命《めい》じたのは、あなたのしもべヨアブです。|彼《かれ》がつかえめの|口《くち》に、これらの|言葉《ことば》をことごとく|授《さづ》けたのです。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|事《こと》のなりゆきを|変《か》えるため、あなたのしもべヨアブがこの|事《こと》をしたのです。わが|君《きみ》には|神《かみ》の|使《つかい》の|知恵《ちえ》のような|知恵《ちえ》があって、|地《ち》の|上《うえ》のすべてのことを|知《し》っておられます」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》はヨアブに|言《い》った、「この|事《こと》を|許《ゆる》す。|行《い》って、|若者《わかもの》アブサロムを|連《つ》れ|帰《かえ》るがよい」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|拝《はい》し、|王《おう》を|祝福《しゅくふく》した。そしてヨアブは|言《い》った、「わが|主《しゅ》、|王《おう》よ、|王《おう》がしもべの|願《ねが》いを|許《ゆる》されたので、きょうしもべは、あなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》たことを|知《し》りました」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨアブは|立《た》ってゲシュルに|行《い》き、アブサロムをエルサレムに|連《つ》れてきた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「|彼《かれ》を|自分《じぶん》の|家《いえ》に|引《ひ》きこもらせるがよい。わたしの|顔《かお》を|見《み》てはならない」。こうしてアブサロムは|自分《じぶん》の|家《いえ》に|引《ひ》きこもり、|王《おう》の|顔《かお》を|見《み》なかった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]さて|全《ぜん》イスラエルのうちにアブサロムのように、|美《うつく》しさのためほめられた|人《ひと》はなかった。その|足《あし》の|裏《うら》から|頭《あたま》の|頂《いただき》まで|彼《かれ》には|傷《きず》がなかった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムがその|頭《あたま》を|刈《か》る|時《とき》、その|髪《かみ》の|毛《け》をはかったが、|王《おう》のはかりで二百シケルあった。|毎年《まいねん》の|終《おわ》りにそれを|刈《か》るのを|常《つね》とした。それが|重《おも》くなると、|彼《かれ》はそれを|刈《か》ったのである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムに三|人《にん》のむすこと、タマルという|名《な》のひとりの|娘《むすめ》が|生《うま》れた。タマルは|美《うつく》しい|女《おんな》であった。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてアブサロムは|満《まん》二|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムに|住《す》んだが、|王《おう》の|顔《かお》を|見《み》なかった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブサロムはヨアブを|王《おう》のもとにつかわそうとして、ヨアブの|所《ところ》に|人《ひと》をつかわしたが、ヨアブは|彼《かれ》の|所《ところ》にこようとはしなかった。|彼《かれ》は|再《ふたた》び|人《ひと》をつかわしたがヨアブはこようとはしなかった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブサロムはその|家来《けらい》に|言《い》った、「ヨアブの|畑《はたけ》はわたしの|畑《はたけ》の|隣《となり》にあって、そこに|大麦《おおむぎ》がある。|行《い》ってそれに|火《ひ》を|放《はな》ちなさい」。アブサロムの|家来《けらい》たちはその|畑《はたけ》に|火《ひ》を|放《はな》った。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|立《た》ってアブサロムの|家《いえ》にきて|彼《かれ》に|言《い》った、「どうしてあなたの|家来《けらい》たちはわたしの|畑《はたけ》に|火《ひ》を|放《はな》ったのですか」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはヨアブに|言《い》った、「わたしはあなたに|人《ひと》をつかわして、ここへ|来《く》るようにと|言《い》ったのです。あなたを|王《おう》のもとにつかわし、『なんのためにわたしはゲシュルからきたのですか。なおあそこにいたならば|良《よ》かったでしょうに』と|言《い》わせようとしたのです。それゆえ|今《いま》わたしに|王《おう》の|顔《かお》を|見《み》させてください。もしわたしに|罪《つみ》があるなら|王《おう》にわたしを|殺《ころ》させてください」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨアブは|王《おう》のもとへ|行《い》って|告《つ》げたので、|王《おう》はアブサロムを|召《め》しよせた。|彼《かれ》は|王《おう》のもとにきて、|王《おう》の|前《まえ》に|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|拝《はい》した。|王《おう》はアブサロムに|口《くち》づけした。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》、アブサロムは|自分《じぶん》のために|戦車《せんしゃ》と|馬《うま》、および|自分《じぶん》の|前《まえ》に|駆《か》ける|者《もの》五十|人《にん》を|備《そな》えた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムは|早《はや》く|起《お》きて|門《もん》の|道《みち》のかたわらに|立《た》つのを|常《つね》とした。|人《ひと》が|訴《うった》えがあって|王《おう》に|裁判《さいばん》を|求《もと》めに|来《く》ると、アブサロムはその|人《ひと》を|呼《よ》んで|言《い》った、「あなたはどの|町《まち》の|者《もの》ですか」。その|人《ひと》が「しもべはイスラエルのこれこれの|部族《ぶぞく》のものです」と|言《い》うと、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはその|人《ひと》に|言《い》った、「|見《み》よ、あなたの|要求《ようきゅう》は|良《よ》く、また|正《ただ》しい。しかしあなたのことを|聞《き》くべき|人《ひと》は|王《おう》がまだ|立《た》てていない」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはまた|言《い》った、「ああ、わたしがこの|地《ち》のさばきびとであったならばよいのに。そうすれば|訴《うった》え、または|申《もうし》|立《た》てのあるものは、|皆《みな》わたしの|所《ところ》にきて、わたしはこれに|公平《こうへい》なさばきを|行《おこな》うことができるのだが」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|人《ひと》が|彼《かれ》に|敬礼《けいれい》しようとして|近《ちか》づくと、|彼《かれ》は|手《て》を|伸《の》べ、その|人《ひと》を|抱《だ》きかかえて|口《くち》づけした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムは|王《おう》にさばきを|求《もと》めて|来《く》るすべてのイスラエルびとにこのようにした。こうしてアブサロムはイスラエルの|人々《ひとびと》の|心《こころ》を|自分《じぶん》のものとした。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして四|年《ねん》の|終《おわ》りに、アブサロムは|王《おう》に|言《い》った、「どうぞわたしを|行《い》かせ、ヘブロンで、かつて|主《しゅ》に|立《た》てた|誓《ちか》いを|果《はた》させてください。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それは、しもべがスリヤのゲシュルにいた|時《とき》、|誓《ちか》いを|立《た》てて、『もし|主《しゅ》がほんとうにわたしをエルサレムに|連《つ》れ|帰《かえ》ってくださるならば、わたしは|主《しゅ》に|礼拝《れいはい》をささげます』と|言《い》ったからです」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》が|彼《かれ》に、「|安《やす》らかに|行《い》きなさい」と|言《い》ったので、|彼《かれ》は|立《た》ってヘブロンへ|行《い》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてアブサロムは|密使《みっし》をイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちにつかわして|言《い》った、「ラッパの|響《ひび》きを|聞《き》くならば、『アブサロムがヘブロンで|王《おう》となった』と|言《い》いなさい」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]二百|人《にん》の|招《まね》かれた|者《もの》がエルサレムからアブサロムと|共《とも》に|行《い》った。|彼《かれ》らは|何《なに》|心《こころ》なく|行《い》き、|何事《なにごと》をも|知《し》らなかった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムは|犠牲《ぎせい》をささげている|間《あいだ》に|人《ひと》をつかわして、ダビデの|議《ぎ》|官《かん》ギロびとアヒトペルを、その|町《まち》ギロから|呼《よ》び|寄《よ》せた。|徒党《ととう》は|強《つよ》く、|民《たみ》はしだいにアブサロムに|加《くわ》わった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ひとりの|使者《ししゃ》がダビデのところにきて、「イスラエルの|人々《ひとびと》の|心《こころ》はアブサロムに|従《したが》いました」と|言《い》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは、|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》にエルサレムにいるすべての|家来《けらい》に|言《い》った、「|立《た》て、われわれは|逃《に》げよう。そうしなければアブサロムの|前《まえ》からのがれることはできなくなるであろう。|急《いそ》いで|行《い》くがよい。さもないと、|彼《かれ》らが|急《いそ》ぎ|追《お》いついて、われわれに|害《がい》をこうむらせ、つるぎをもって|町《まち》を|撃《う》つであろう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》のしもべたちは|王《おう》に|言《い》った、「しもべたちは、わが|主君《しゅくん》、|王《おう》の|選《えら》ばれる|所《ところ》をすべて|行《おこな》います」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]こうして|王《おう》は|出《で》て|行《い》き、その|全家《ぜんか》は|彼《かれ》に|従《したが》った。|王《おう》は十|人《にん》のめかけを|残《のこ》して|家《いえ》を|守《まも》らせた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|出《で》て|行《い》き、|民《たみ》はみな|彼《かれ》に|従《したが》った。|彼《かれ》らは|町《まち》はずれの|家《いえ》にとどまった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》のしもべたちは|皆《みな》、|彼《かれ》のかたわらを|進《すす》み、すべてのケレテびとと、すべてのペレテびと、および|彼《かれ》に|従《したが》ってガテからきた六百|人《にん》のガテびとは|皆《みな》、|王《おう》の|前《まえ》に|進《すす》んだ。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|王《おう》はガテびとイッタイに|言《い》った、「どうしてあなたもまた、われわれと|共《とも》に|行《い》くのですか。あなたは|帰《かえ》って|王《おう》と|共《とも》にいなさい。あなたは|外国《がいこく》|人《じん》で、また|自分《じぶん》の|国《くに》から|追放《ついほう》された|者《もの》だからです。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、きのう|来《き》たばかりです。わたしは|自分《じぶん》の|行《い》く|所《ところ》を|知《し》らずに|行《い》くのに、どうしてきょう、あなたを、われわれと|共《とも》にさまよわせてよいでしょう。あなたは|帰《かえ》りなさい。あなたの|兄弟《きょうだい》たちも|連《つ》れて|帰《かえ》りなさい。どうぞ|主《しゅ》が|恵《めぐ》みと|真実《しんじつ》をあなたに|示《しめ》してくださるように」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしイッタイは|王《おう》に|答《こた》えた、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わが|君《きみ》、|王《おう》は|生《い》きておられる。わが|君《きみ》、|王《おう》のおられる|所《ところ》に、|死《し》ぬも|生《い》きるも、しもべもまたそこにおります」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはイッタイに|言《い》った、「では|進《すす》んで|行《い》きなさい」。そこでガテびとイッタイは|進《すす》み、また|彼《かれ》のすべての|従者《じゅうしゃ》および|彼《かれ》と|共《とも》にいた|子《こ》どもたちも|皆《みな》、|進《すす》んだ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|国中《くにぢゅう》みな|大声《おおごえ》で|泣《な》いた。|民《たみ》はみな|進《すす》んだ。|王《おう》もまたキデロンの|谷《たに》を|渡《わた》って|進《すす》み、|民《たみ》は|皆《みな》|進《すす》んで|荒野《あらの》の|方《ほう》に|向《む》かった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そしてアビヤタルも|上《のぼ》ってきた。|見《み》よ、ザドクおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいるすべてのレビびともまた、|神《かみ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかいてきた。|彼《かれ》らは|神《かみ》の|箱《はこ》をおろして、|民《たみ》がことごとく|町《まち》を|出《で》てしまうのを|待《ま》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》はザドクに|言《い》った、「|神《かみ》の|箱《はこ》を|町《まち》にかきもどすがよい。もしわたしが|主《しゅ》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》るならば、|主《しゅ》はわたしを|連《つ》れ|帰《かえ》って、わたしにその|箱《はこ》とそのすまいとを|見《み》させてくださるであろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかしもし|主《しゅ》が、『わたしはおまえを|喜《よろこ》ばない』とそう|言《い》われるのであれば、どうぞ|主《しゅ》が|良《よ》しと|思《おも》われることをわたしにしてくださるように。わたしはここにおります」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|祭司《さいし》ザドクに|言《い》った、「|見《み》よ、あなたもアビヤタルも、ふたりの|子《こ》たち、すなわちあなたの|子《こ》アヒマアズとアビヤタルの|子《こ》ヨナタンを|連《つ》れて、|安《やす》らかに|町《まち》に|帰《かえ》りなさい。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたから|言葉《ことば》があって|知《し》らせをうけるまで、|荒野《あらの》の|渡《わた》し|場《ば》にとどまります」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこでザドクとアビヤタルは|神《かみ》の|箱《はこ》をエルサレムにかきもどり、そこにとどまった。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはオリブ|山《やま》の|坂道《さかみち》を|登《のぼ》ったが、|登《のぼ》る|時《とき》に|泣《な》き、その|頭《あたま》をおおい、はだしで|行《い》った。|彼《かれ》と|共《とも》にいる|民《たみ》もみな|頭《あたま》をおおって|登《のぼ》り、|泣《な》きながら|登《のぼ》った。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、「アヒトペルがアブサロムと|共謀《きょうぼう》した|者《もの》のうちにいる」とダビデに|告《つ》げる|人《ひと》があったのでダビデは|言《い》った、「|主《しゅ》よ、どうぞアヒトペルの|計略《けいりゃく》を|愚《おろ》かなものにしてください」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが|山《やま》の|頂《いただき》にある|神《かみ》を|礼《れい》|拝《はい》する|場所《ばしょ》にきた|時《とき》、|見《み》よ、アルキびとホシャイはその|上着《うわぎ》を|裂《さ》き、|頭《あたま》に|土《つち》をかぶり、|来《き》てダビデを|迎《むか》えた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|彼《かれ》に|言《い》った、「もしあなたがわたしと|共《とも》に|進《すす》むならば、わたしの|重荷《おもに》となるであろう。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]しかしもしあなたが|町《まち》に|帰《かえ》ってアブサロムに|向《む》かい、『|王《おう》よ、わたしはあなたのしもべとなります。わたしがこれまで、あなたの|父《ちち》のしもべであったように、わたしは|今《いま》あなたのしもべとなります』と|言《い》うならば、あなたはわたしのためにアヒトペルの|計略《けいりゃく》を|破《やぶ》ることができるであろう。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たち、ザドクとアビヤタルとは、あなたと|共《とも》にあそこにいるではないか。それゆえ、あなたは|王《おう》の|家《いえ》から|聞《き》くことをことごとく|祭司《さいし》たち、ザドクとアビヤタルとに|告《つ》げなさい。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あそこには|彼《かれ》らと|共《とも》にそのふたりの|子《こ》たち、すなわちザドクの|子《こ》アヒマアズとアビヤタルの|子《こ》ヨナタンとがいる。あなたがたは|聞《き》いたことをことごとく|彼《かれ》らの|手《て》によってわたしに|通報《つうほう》しなさい」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデの|友《とも》ホシャイは|町《まち》にはいった。その|時《とき》アブサロムはすでにエルサレムにはいっていた。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが|山《やま》の|頂《いただき》を|過《す》ぎて、すこし|行《い》った|時《とき》、メピボセテのしもべヂバは、くらを|置《お》いた二|頭《とう》のろばを|引《ひ》き、その|上《うえ》にパン二百|個《こ》、|干《ほし》ぶどう百ふさ、|夏《なつ》のくだもの一百、ぶどう|酒《しゅ》一|袋《ふくろ》を|載《の》せてきてダビデを|迎《むか》えた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はヂバに|言《い》った、「あなたはどうしてこれらのものを|持《も》ってきたのですか」。ヂバは|答《こた》えた、「ろばは|王《おう》の|家族《かぞく》が|乗《の》るため、パンと|夏《なつ》のくだものは|若者《わかもの》たちが|食《た》べるため、ぶどう|酒《しゅ》は|荒野《あらの》で|弱《よわ》った|者《もの》が|飲《の》むためです」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「あなたの|主人《しゅじん》の|子《こ》はどこにおるのですか」。ヂバは|王《おう》に|言《い》った、「エルサレムにとどまっています。|彼《かれ》は、『イスラエルの|家《いえ》はきょう、わたしの|父《ちち》の|国《くに》をわたしに|返《かえ》すであろう』と|思《おも》ったのです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はヂバに|言《い》った、「|見《み》よ、メピボセテのものはことごとくあなたのものです」。ヂバは|言《い》った、「わたしは|敬意《けいい》を|表《あらわ》します。わが|主《しゅ》、|王《おう》よ、あなたの|前《まえ》にいつまでも|恵《めぐ》みを|得《え》させてください」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》がバホリムにきた|時《とき》、サウルの|家《いえ》の|一族《いちぞく》の|者《もの》がひとりそこから|出《で》てきた。その|名《な》をシメイといい、ゲラの|子《こ》である。|彼《かれ》は|出《で》てきながら|絶《た》えずのろった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はダビデとダビデ|王《おう》のもろもろの|家来《けらい》に|向《む》かって|石《いし》を|投《な》げた。その|時《とき》、|民《たみ》と|勇士《ゆうし》たちはみな|王《おう》の|左右《さゆう》にいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]シメイはのろう|時《とき》にこう|言《い》った、「|血《ち》を|流《なが》す|人《ひと》よ、よこしまな|人《ひと》よ、|立《た》ち|去《さ》れ、|立《た》ち|去《さ》れ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|代《かわ》って|王《おう》となったサウルの|家《いえ》の|血《ち》をすべて|主《しゅ》があなたに|報《むく》いられたのだ。|主《しゅ》は|王国《おうこく》をあなたの|子《こ》アブサロムの|手《て》に|渡《わた》された。|見《み》よ、あなたは|血《ち》を|流《なが》す|人《ひと》だから、|災《わざわい》に|会《あ》うのだ」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にゼルヤの|子《こ》アビシャイは|王《おう》に|言《い》った、「この|死《し》んだ|犬《いぬ》がどうしてわが|主《しゅ》、|王《おう》をのろってよかろうか。わたしに、|行《い》って|彼《かれ》の|首《くび》を|取《と》らせてください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》は|言《い》った、「ゼルヤの|子《こ》たちよ、あなたがたと、なんのかかわりがあるのか。|彼《かれ》がのろうのは、|主《しゅ》が|彼《かれ》に、『ダビデをのろえ』と|言《い》われたからであるならば、だれが、『あなたはどうしてこういうことをするのか』と|言《い》ってよいであろうか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたアビシャイと|自分《じぶん》のすべての|家来《けらい》とに|言《い》った、「わたしの|身《み》から|出《で》たわが|子《こ》がわたしの|命《いのち》を|求《もと》めている。|今《いま》、このベニヤミンびととしてはなおさらだ。|彼《かれ》を|許《ゆる》してのろわせておきなさい。|主《しゅ》が|彼《かれ》に|命《めい》じられたのだ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|悩《なや》みを|顧《かえり》みてくださるかもしれない。また|主《しゅ》はきょう|彼《かれ》ののろいにかえて、わたしに|善《ぜん》を|報《むく》いてくださるかも|知《し》れない」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデとその|従者《じゅうしゃ》たちとは|道《みち》を|行《い》ったが、シメイはダビデに|並《なら》んで|向《む》かいの|山《やま》の|中腹《ちゅうふく》を|行《い》き、|行《い》きながらのろい、また|彼《かれ》に|向《む》かって|石《いし》や、ちりを|投《な》げつけた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》および|共《とも》にいる|民《たみ》はみな|疲《つか》れてヨルダンに|着《つ》き、|彼《かれ》はその|所《ところ》で|息《いき》をついだ。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さてアブサロムとすべての|民《たみ》、イスラエルの|人々《ひとびと》はエルサレムにきた。アヒトペルもアブサロムと|共《とも》にいた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|友《とも》であるアルキびとホシャイがアブサロムのもとにきた|時《とき》、ホシャイはアブサロムに「|王《おう》|万歳《ばんざい》、|王《おう》|万歳《ばんざい》」と|言《い》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはホシャイに|言《い》った、「これはあなたがその|友《とも》に|示《しめ》す|真実《しんじつ》なのか。あなたはどうしてあなたの|友《とも》と|一緒《いっしょ》に|行《い》かなかったのか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ホシャイはアブサロムに|言《い》った、「いいえ、|主《しゅ》とこの|民《たみ》とイスラエルのすべての|人々《ひとびと》が|選《えら》んだ|者《もの》にわたしは|属《ぞく》し、かつその|人《ひと》と|一緒《いっしょ》におります。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]かつまたわたしはだれに|仕《つか》えるべきですか。その|子《こ》の|前《まえ》に|仕《つか》えるべきではありませんか。あなたの|父《ちち》の|前《まえ》に|仕《つか》えたように、わたしはあなたの|前《まえ》に|仕《つか》えます」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブサロムはアヒトペルに|言《い》った、「あなたがたは、われわれがどうしたらよいのか、|計《はか》りごとを|述《の》べなさい」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アヒトペルはアブサロムに|言《い》った、「あなたの|父《ちち》が|家《いえ》を|守《まも》るために|残《のこ》された、めかけたちの|所《ところ》にはいりなさい。そうすればイスラエルは|皆《みな》あなたが|父上《ちちうえ》に|憎《にく》まれることを|聞《き》くでしょう。そしてあなたと|一緒《いっしょ》にいる|者《もの》の|手《て》は|強《つよ》くなるでしょう」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らがアブサロムのために|屋上《おくじょう》に|天幕《てんまく》を|張《は》ったので、アブサロムは|全《ぜん》イスラエルの|目《め》の|前《まえ》で|父《ちち》のめかけたちの|所《ところ》にはいった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そのころアヒトペルが|授《さづ》ける|計《はか》りごとは|人《ひと》が|神《かみ》のみ|告《つ》げを|伺《うかが》うようであった。アヒトペルの|計《はか》りごとは|皆《みな》ダビデにもアブサロムにも|共《とも》にそのように|思《おも》われた。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にアヒトペルはアブサロムに|言《い》った、「わたしに一万二千の|人《ひと》を|選《えら》び|出《だ》させてください。わたしは|立《た》って、|今夜《こんや》ダビデのあとを|追《お》い、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|疲《つか》れて|手《て》が|弱《よわ》くなっているところを|襲《おそ》って、|彼《かれ》をあわてさせましょう。そして|彼《かれ》と|共《とも》にいる|民《たみ》がみな|逃《に》げるとき、わたしは|王《おう》ひとりを|撃《う》ち|取《と》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すべての|民《たみ》を|花嫁《はなよめ》がその|夫《おっと》のもとに|帰《かえ》るようにあなたに|帰《かえ》らせましょう。あなたが|求《もと》めておられるのはただひとりの|命《いのち》だけですから、|民《たみ》はみな|穏《おだ》やかになるでしょう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|言葉《ことば》はアブサロムとイスラエルのすべての|長老《ちょうろう》の|心《こころ》にかなった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでアブサロムは|言《い》った、「アルキびとホシャイをも|呼《よ》びよせなさい。われわれは|彼《かれ》の|言《い》うことを|聞《き》きましょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ホシャイがアブサロムのもとにきた|時《とき》、アブサロムは|彼《かれ》に|言《い》った、「アヒトペルはこのように|言《い》った。われわれは|彼《かれ》の|言葉《ことば》のように|行《おこな》うべきか。いけないのであれば、|言《い》いなさい」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ホシャイはアブサロムに|言《い》った、「このたびアヒトペルが|授《さづ》けた|計《はか》りごとは|良《よ》くありません」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ホシャイはまた|言《い》った、「ごぞんじのように、あなたの|父《ちち》とその|従者《じゅうしゃ》たちとは|勇士《ゆうし》です。その|上《うえ》|彼《かれ》らは、|野《の》で|子《こ》を|奪《うば》われた|熊《くま》のように、ひどく|怒《いか》っています。また、あなたの|父《ちち》はいくさびとですから、|民《たみ》と|共《とも》に|宿《やど》らないでしょう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|今《いま》でも|穴《あな》の|中《なか》か、どこかほかの|所《ところ》にかくれています。もし|民《たみ》のうちの|幾《いく》|人《ひと》かが|手始《てはじ》めに|倒《たお》れるならば、それを|聞《き》く|者《もの》はだれでも、『アブサロムに|従《したが》う|民《たみ》のうちに|戦死者《せんししゃ》があった』と|言《い》うでしょう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、ししの|心《こころ》のような|心《こころ》のある|勇《いさ》ましい|人《ひと》であっても、|恐《おそ》れて|消《き》え|去《さ》ってしまうでしょう。それはイスラエルのすべての|人《ひと》が、あなたの|父《ちち》の|勇士《ゆうし》であること、また|彼《かれ》と|共《とも》にいる|者《もの》が、|勇《いさ》ましい|人々《ひとびと》であることを|知《し》っているからです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ところでわたしの|計《はか》りごとは、イスラエルをダンからベエルシバまで、|海《うみ》べの|砂《すな》のように|多《おお》くあなたのもとに|集《あつ》めて、あなたみずから|戦《たたか》いに|臨《のぞ》むことです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわれわれは|彼《かれ》の|見《み》つかる|場所《ばしょ》で|彼《かれ》を|襲《おそ》い、つゆが|地《ち》におりるように|彼《かれ》の|上《うえ》に|下《くだ》る。そして|彼《かれ》および|彼《かれ》と|共《とも》にいるすべての|人《ひと》をひとりも|残《のこ》さないでしょう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》がいずれかの|町《まち》に|退《しりぞ》くならば、|全《ぜん》イスラエルはその|町《まち》になわをかけ、われわれはそれを|谷《たに》に|引《ひ》き|倒《たお》して、そこに一つの|小石《こいし》も|見《み》られないようにするでしょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムとイスラエルの|人々《ひとびと》はみな、「アルキびとホシャイの|計《はか》りごとは、アヒトペルの|計《はか》りごとよりもよい」と|言《い》った。それは|主《しゅ》がアブサロムに|災《わざわい》を|下《くだ》そうとして、アヒトペルの|良《よ》い|計《はか》りごとを|破《やぶ》ることを|定《さだ》められたからである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでホシャイは|祭司《さいし》たち、ザドクとアビヤタルとに|言《い》った、「アヒトペルはアブサロムとイスラエルの|長老《ちょうろう》たちのためにこういう|計《はか》りごとをした。またわたしはこういう|計《はか》りごとをした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたはすみやかに|人《ひと》をつかわしてダビデに|告《つ》げ、『|今夜《こんや》、|荒野《あらの》の|渡《わた》し|場《ば》に|宿《やど》らないで、|必《かなら》ず|渡《わた》って|行《い》きなさい。さもないと|王《おう》および|共《とも》にいる|民《たみ》はみな、|滅《ほろ》ぼされるでしょう』と|言《い》いなさい」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ヨナタンとアヒマアズはエンロゲルで|待《ま》っていた。ひとりのつかえめが|行《い》って|彼《かれ》らに|告《つ》げ、|彼《かれ》らは|行《い》ってダビデ|王《おう》に|告《つ》げるのが|常《つね》であった。それは|彼《かれ》らが|町《まち》にはいるのを|見《み》られないようにするためである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ところがひとりの|若者《わかもの》が|彼《かれ》らを|見《み》てアブサロムに|告《つ》げたので、|彼《かれ》らふたりは|急《いそ》いで|去《さ》り、バホリムの、あるひとりの|人《ひと》の|家《いえ》にきた。その|人《ひと》の|庭《にわ》に|井戸《いど》があって、|彼《かれ》らはその|中《なか》に|下《くだ》ったので、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はおおいを|取《と》ってきて|井戸《いど》の|口《くち》の|上《うえ》にひろげ、|麦《むぎ》をその|上《うえ》にまき|散《ち》らした。それゆえその|事《こと》は|何《なに》も|知《し》れなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムのしもべたちはその|女《おんな》の|家《いえ》にきて|言《い》った、「アヒマアズとヨナタンはどこにいますか」。|女《おんな》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「あの|人々《ひとびと》は|小川《おがわ》を|渡《わた》って|行《い》きました」。|彼《かれ》らは|尋《たず》ねたが|見当《みあた》らなかったのでエルサレムに|帰《かえ》った。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|去《さ》った|後《のち》、|人々《ひとびと》は|井戸《いど》から|上《のぼ》り、|行《い》ってダビデ|王《おう》に|告《つ》げた。すなわち|彼《かれ》らはダビデに|言《い》った、「|立《た》って、すみやかに|川《かわ》を|渡《わた》りなさい。アヒトペルがあなたがたに|対《たい》してこういう|計《はか》りごとをしたからです」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|立《た》って、|共《とも》にいるすべての|民《たみ》と|一緒《いっしょ》にヨルダンを|渡《わた》った。|夜明《よあ》けには、ヨルダンを|渡《わた》らない|者《もの》はひとりもなかった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アヒトペルは、|自分《じぶん》の|計《はか》りごとが|行《おこな》われないのを|見《み》て、ろばにくらを|置《お》き、|立《た》って|自分《じぶん》の|町《まち》に|行《い》き、その|家《いえ》に|帰《かえ》った。そして|家《いえ》の|人《ひと》に|遺言《ゆいごん》してみずからくびれて|死《し》に、その|父《ちち》の|墓《はか》に|葬《ほうむ》られた。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはマハナイムにきた。またアブサロムは|自分《じぶん》と|共《とも》にいるイスラエルのすべての|人々《ひとびと》と|一緒《いっしょ》にヨルダンを|渡《わた》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アブサロムはアマサをヨアブの|代《かわ》りに|軍《ぐん》の|長《ちょう》とした。アマサはかのナハシの|娘《むすめ》でヨアブの|母《はは》ゼルヤの|妹《いもうと》であるアビガルをめとったイシマエルびと、|名《な》はイトラという|人《ひと》の|子《こ》である。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルとアブサロムはギレアデの|地《ち》に|陣取《じんど》った。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがマハナイムにきた|時《とき》、アンモンの|人々《ひとびと》のうちのラバのナハシの|子《こ》ショビと、ロ・デバルのアンミエルの|子《こ》マキル、およびロゲリムのギレアデびとバルジライは、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|寝床《ねどこ》と|鉢《はち》、|土器《どき》、|小麦《こむぎ》、|大麦《おおむぎ》、|粉《こな》、いり|麦《むぎ》、|豆《まめ》、レンズ|豆《まめ》、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|蜜《みつ》、|凝乳《ぎょうにゅう》、|羊《ひつじ》、|乾酪《かんらく》をダビデおよび|共《とも》にいる|民《たみ》が|食《た》べるために|持《も》ってきた。それは|彼《かれ》らが、「|民《たみ》は|荒野《あらの》で|飢《う》え|疲《つか》れかわいている」と|思《おも》ったからである。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデは|自分《じぶん》と|共《とも》にいる|民《たみ》を|調《しら》べて、その|上《うえ》に千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》を|立《た》てた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|民《たみ》をつかわし、三|分《ぶん》の一をヨアブの|手《て》に、三|分《ぶん》の一をゼルヤの|子《こ》ヨアブの|兄弟《きょうだい》アビシャイの|手《て》に、三|分《ぶん》の一をガテびとイッタイの|手《て》にあずけた。こうして|王《おう》は|民《たみ》に|言《い》った、「わたしもまた|必《かなら》ずあなたがたと|一緒《いっしょ》に|出《で》ます」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|民《たみ》は|言《い》った、「あなたは|出《で》てはなりません。それはわれわれがどんなに|逃《に》げても、|彼《かれ》らはわれわれに|心《こころ》をとめず、われわれの|半《なか》ばが|死《し》んでも、われわれに|心《こころ》をとめないからです。しかしあなたはわれわれの一万に|等《ひと》しいのです。それゆえあなたは|町《まち》の|中《なか》からわれわれを|助《たす》けてくださる|方《ほう》がよろしい」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたの|最《もっと》も|良《よ》いと|思《おも》うことをわたしはしましょう」。こうして|王《おう》は|門《もん》のかたわらに|立《た》ち、|民《たみ》は|皆《みな》あるいは百|人《にん》、あるいは千|人《にん》となって|出《で》て|行《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はヨアブ、アビシャイおよびイッタイに|命《めい》じて、「わたしのため、|若者《わかもの》アブサロムをおだやかに|扱《あつか》うように」と|言《い》った。|王《おう》がアブサロムの|事《こと》についてすべての|長《ちょう》たちに|命《めい》じている|時《とき》、|民《たみ》は|皆《みな》|聞《き》いていた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》はイスラエルに|向《む》かって|野《の》に|出《で》て|行《い》き、エフライムの|森《もり》で|戦《たたか》ったが、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|民《たみ》はその|所《ところ》でダビデの|家来《けらい》たちの|前《まえ》に|敗《やぶ》れた。その|日《ひ》その|所《ところ》に|戦死者《せんししゃ》が|多《おお》く、二万に|及《およ》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そして|戦《たたか》いはあまねくその|地《ち》のおもてに|広《ひろ》がった。この|日《ひ》、|森《もり》の|滅《ほろ》ぼした|者《もの》は、つるぎの|滅《ほろ》ぼした|者《もの》よりも|多《おお》かった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さてアブサロムはダビデの|家来《けらい》たちに|行《い》き|会《あ》った。その|時《とき》アブサロムは|騾馬《らば》に|乗《の》っていたが、|騾馬《らば》は|大《おお》きいかしの|木《き》の、|茂《しげ》った|枝《えだ》の|下《した》を|通《とお》ったので、アブサロムの|頭《あたま》がそのかしの|木《き》にかかって、|彼《かれ》は|天地《てんち》の|間《あいだ》につりさがった。|騾馬《らば》は|彼《かれ》を|捨《す》てて|過《す》ぎて|行《い》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ひとりの|人《ひと》がそれを|見《み》てヨアブに|告《つ》げて|言《い》った、「わたしはアブサロムが、かしの|木《き》にかかっているのを|見《み》ました」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブはそれを|告《つ》げた|人《ひと》に|言《い》った、「あなたはそれを|見《み》たというのか。それなら、どうしてあなたは|彼《かれ》をその|所《ところ》で、|地《ち》に|撃《う》ち|落《おと》さなかったのか。わたしはあなたに|銀《ぎん》十シケルと|帯《おび》一|筋《すじ》を|与《あた》えたであろうに」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》はヨアブに|言《い》った、「たといわたしの|手《て》に|銀《ぎん》千シケルを|受《う》けても、|手《て》を|出《だ》して|王《おう》の|子《こ》に|敵《てき》することはしません。|王《おう》はわれわれが|聞《き》いているところで、あなたとアビシャイとイッタイに、『わたしのため|若者《わかもの》アブサロムを|保護《ほご》せよ』と|命《めい》じられたからです。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしがそむいて|彼《かれ》の|命《いのち》をそこなったのであれば、|何事《なにごと》も|王《おう》に|隠《かく》れることはありませんから、あなたはみずから|立《た》ってわたしを|責《せ》められたでしょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ヨアブは「こうしてあなたと|共《とも》にとどまってはおられない」と|言《い》って、|手《て》に三|筋《すじ》の|投《な》げやりを|取《と》り、あのかしの|木《き》にかかって、なお|生《い》きているアブサロムの|心臓《しんぞう》にこれを|突《つ》き|通《とお》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブの|武器《ぶき》を|執《と》る十|人《にん》の|若者《わかもの》たちは|取《と》り|巻《ま》いて、アブサロムを|撃《う》ち|殺《ころ》した。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨアブがラッパを|吹《ふ》いたので、|民《たみ》はイスラエルのあとを|追《お》うことをやめて|帰《かえ》った。ヨアブが|民《たみ》を|引《ひ》きとめたからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はアブサロムを|取《と》って、|森《もり》の|中《なか》の|大《おお》きな|穴《あな》に|投《な》げいれ、その|上《うえ》にひじょうに|大《おお》きい|石塚《いしづか》を|積《つ》み|上《あ》げた。そしてイスラエルはみなおのおのその|天幕《てんまく》に|逃《に》げ|帰《かえ》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]さてアブサロムは|生《い》きている|間《あいだ》に、|王《おう》の|谷《たに》に|自分《じぶん》のために一つの|柱《はしら》を|建《た》てた。それは|彼《かれ》が、「わたしは|自分《じぶん》の|名《な》を|伝《つた》える|子《こ》がない」と|思《おも》ったからである。|彼《かれ》はその|柱《はしら》に|自分《じぶん》の|名《な》をつけた。その|柱《はしら》は|今日《こんにち》までアブサロムの|碑《いしぶみ》ととなえられている。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]さてザドクの|子《こ》アヒマアズは|言《い》った、「わたしは|走《はし》って|行《い》って、|主《しゅ》が|王《おう》を|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》されたおとずれを|王《おう》に|伝《つた》えましょう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|彼《かれ》に|言《い》った、「きょうは、おとずれを|伝《つた》えてはならない。おとずれを|伝《つた》えるのは、ほかの|日《ひ》にしなさい。きょうは|王《おう》の|子《こ》が|死《し》んだので、おとずれを|伝《つた》えてはならない」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブはクシびとに|言《い》った、「|行《い》って、あなたの|見《み》た|事《こと》を|王《おう》に|告《つ》げなさい」。クシびとはヨアブに|礼《れい》をして|走《はし》って|行《い》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ザドクの|子《こ》アヒマアズは|重《かさ》ねてヨアブに|言《い》った、「|何事《なにごと》があろうとも、わたしにもクシびとのあとから|走《はし》って|行《い》かせてください」。ヨアブは|言《い》った、「|子《こ》よ、おとずれの|報《むく》いを|得《え》られないのに、どうしてあなたは|走《はし》って|行《い》こうとするのか」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|何事《なにごと》があろうとも、わたしは|走《はし》って|行《い》きます」。ヨアブは|彼《かれ》に|言《い》った、「|走《はし》って|行《い》きなさい」。そこでアヒマアズは|低地《ていち》の|道《みち》を|走《はし》って|行《い》き、クシびとを|追《お》い|越《こ》した。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にダビデは二つの|門《もん》の|間《あいだ》にすわっていた。そして|見張《みは》りの|者《もの》が|城壁《じょうへき》の|門《もん》の|屋根《やね》にのぼり、|目《め》をあげて|見《み》ていると、ただひとりで|走《はし》ってくる|者《もの》があった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|見張《みは》りの|者《もの》が|呼《よ》ばわって|王《おう》に|告《つ》げたので、|王《おう》は|言《い》った、「もしひとりならば、その|口《くち》におとずれがあるであろう」。その|人《ひと》は|急《いそ》いできて|近《ちか》づいた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|見張《みは》りの|者《もの》は、ほかにまたひとり|走《はし》ってくるのを|見《み》たので、|門《もん》の|方《ほう》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|見《み》よ、ほかにただひとりで|走《はし》って|来《く》る|者《もの》があります」。|王《おう》は|言《い》った、「|彼《かれ》もまたおとずれを|持《も》ってくるのだ」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|見張《みは》りの|者《もの》は|言《い》った、「まっ|先《さき》に|走《はし》って|来《く》る|人《ひと》はザドクの|子《こ》アヒマアズのようです」。|王《おう》は|言《い》った、「|彼《かれ》は|良《よ》い|人《ひと》だ。|良《よ》いおとずれを|持《も》ってくるであろう」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にアヒマアズは|呼《よ》ばわって|王《おう》に|言《い》った、「|平安《へいあん》でいらせられますように」。そして|王《おう》の|前《まえ》に|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|言《い》った、「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》は|王《おう》、わが|君《きみ》に|敵《てき》して|手《て》をあげた|人々《ひとびと》を|引《ひ》き|渡《わた》されました」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「|若者《わかもの》アブサロムは|平安《へいあん》ですか」。アヒマアズは|答《こた》えた、「ヨアブがしもべをつかわす|時《とき》、わたしは|大《おお》きな|騒《さわ》ぎを|見《み》ましたが、|何事《なにごと》であったか|知《し》りません」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「わきへ|行《い》って、そこに|立《た》っていなさい」。|彼《かれ》はわきへ|行《い》って|立《た》った。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》クシびとがきた。そしてそのクシびとは|言《い》った、「わが|君《きみ》、|王《おう》が|良《よ》いおとずれをお|受《う》けくださるよう。|主《しゅ》はきょう、すべてあなたに|敵《てき》して|立《た》った|者《もの》どもの|手《て》から、あなたを|救《すく》い|出《だ》されたのです」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はクシびとに|言《い》った、「|若者《わかもの》アブサロムは|平安《へいあん》ですか」。クシびとは|答《こた》えた、「|王《おう》、わが|君《きみ》の|敵《てき》、およびすべてあなたに|敵《てき》して|立《た》ち、|害《がい》をしようとする|者《もの》は、あの|若者《わかもの》のようになりますように」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はひじょうに|悲《かな》しみ、|門《もん》の|上《うえ》のへやに|上《のぼ》って|泣《な》いた。|彼《かれ》は|行《い》きながらこのように|言《い》った、「わが|子《こ》アブサロムよ。わが|子《こ》、わが|子《こ》アブサロムよ。ああ、わたしが|代《かわ》って|死《し》ねばよかったのに。アブサロム、わが|子《こ》よ、わが|子《こ》よ」。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にヨアブに|告《つ》げる|者《もの》があって、「|見《み》よ、|王《おう》はアブサロムのために|泣《な》き|悲《かな》しんでいる」と|言《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|日《ひ》の|勝利《しょうり》はすべての|民《たみ》の|悲《かな》しみとなった。それはその|日《ひ》、|民《たみ》が、「|王《おう》はその|子《こ》のために|悲《かな》しんでいる」と|人《ひと》の|言《い》うのを|聞《き》いたからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そして|民《たみ》はその|日《ひ》、|戦《たたか》いに|逃《に》げて|恥《は》じている|民《たみ》がひそかに、はいるように、ひそかに|町《まち》にはいった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|顔《かお》をおおった。そして|王《おう》は|大声《おおごえ》に|叫《さけ》んで、「わが|子《こ》アブサロムよ。アブサロム、わが|子《こ》よ、わが|子《こ》よ」と|言《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にヨアブは|家《いえ》にはいり、|王《おう》のもとにきて|言《い》った、「あなたは、きょう、あなたの|命《いのち》と、あなたのむすこ|娘《むすめ》たちの|命《いのち》、およびあなたの|妻《つま》たちの|命《いのち》と、めかけたちの|命《いのち》を|救《すく》ったすべての|家来《けらい》の|顔《かお》をはずかしめられました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それはあなたが|自分《じぶん》を|憎《にく》む|者《もの》を|愛《あい》し、|自分《じぶん》を|愛《あい》する|者《もの》を|憎《にく》まれるからです。あなたは、きょう、|軍《ぐん》の|長《ちょう》たちをも、しもべたちをも|顧《かえり》みないことを|示《しめ》されました。きょう、わたしは|知《し》りました。もし、アブサロムが|生《い》きていて、われわれが|皆《みな》きょう|死《し》んでいたら、あなたの|目《め》にかなったでしょう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》|立《た》って|出《で》て|行《い》って、しもべたちにねんごろに|語《かた》ってください。わたしは|主《しゅ》をさして|誓《ちか》います。もしあなたが|出《で》られないならば、|今夜《こんや》あなたと|共《とも》にとどまる|者《もの》はひとりもないでしょう。これはあなたが|若《わか》い|時《とき》から|今《いま》までにこうむられたすべての|災《わざわい》よりも、あなたにとって|悪《わる》いでしょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|立《た》って|門《もん》のうちの|座《ざ》についた。|人々《ひとびと》はすべての|民《たみ》に、「|見《み》よ、|王《おう》は|門《もん》に|座《ざ》している」と|告《つ》げたので、|民《たみ》はみな|王《おう》の|前《まえ》にきた。  さてイスラエルはおのおのその|天幕《てんまく》に|逃《に》げ|帰《かえ》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルのもろもろの|部族《ぶぞく》の|中《なか》で|民《たみ》はみな|争《あらそ》って|言《い》った、「|王《おう》はわれわれを|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》し、またわれわれをペリシテびとの|手《て》から|助《たす》け|出《だ》された。しかし|今《いま》はアブサロムのために|国《くに》のそとに|逃《に》げておられる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またわれわれが|油《あぶら》を|注《そそ》いで、われわれの|上《うえ》に|立《た》てたアブサロムは|戦《たたか》いで|死《し》んだ。それであるのに、どうしてあなたがたは|王《おう》を|導《みちび》きかえることについて、|何《なに》をも|言《い》わないのか」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》は|祭司《さいし》たちザドクとアビヤタルとに|人《ひと》をつかわして|言《い》った、「ユダの|長老《ちょうろう》たちに|言《い》いなさい、『|全《ぜん》イスラエルの|言葉《ことば》が|王《おう》に|達《たっ》したのに、どうしてあなたがたは|王《おう》をその|家《いえ》に|導《みちび》きかえる|最後《さいご》の|者《もの》となるのですか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|兄弟《きょうだい》、わたしの|骨肉《こつにく》です。それにどうして|王《おう》を|導《みちび》きかえる|最後《さいご》の|者《もの》となるのですか』。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またアマサに|言《い》いなさい、『あなたはわたしの|骨肉《こつにく》ではありませんか。これから|後《のち》あなたをヨアブに|代《か》えて、わたしの|軍《ぐん》の|長《ちょう》とします。もしそうしないときは、|神《かみ》が|幾重《いくえ》にもわたしを|罰《ばっ》してくださるように』」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはユダのすべての|人《ひと》の|心《こころ》を、ひとりのように|自分《じぶん》に|傾《かたむ》けさせたので、|彼《かれ》らは|王《おう》に、「どうぞあなたも、すべての|家来《けらい》たちも|帰《かえ》ってきてください」と|言《い》いおくった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|帰《かえ》ってきてヨルダンまで|来《く》ると、ユダの|人《ひと》|人《ひと》は|王《おう》を|迎《むか》えるためギルガルにきて、|王《おう》にヨルダンを|渡《わた》らせた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]バホリムのベニヤミンびと、ゲラの|子《こ》シメイは、|急《いそ》いでユダの|人々《ひとびと》と|共《とも》に|下《くだ》ってきて、ダビデ|王《おう》を|迎《むか》えた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]一千|人《にん》のベニヤミンびとが|彼《かれ》と|共《とも》にいた。またサウルの|家《いえ》のしもべヂバもその十五|人《にん》のむすこと、二十|人《にん》のしもべを|従《したが》えて、|王《おう》の|前《まえ》にヨルダンに|駆《か》け|下《くだ》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》の|家族《かぞく》を|渡《わた》し、|王《おう》の|心《こころ》にかなうことをしようと|渡《わた》し|場《ば》を|渡《わた》った。ゲラの|子《こ》シメイはヨルダンを|渡《わた》ろうとする|時《とき》、|王《おう》の|前《まえ》にひれ|伏《ふ》し、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》に|言《い》った、「どうぞわが|君《きみ》が、|罪《つみ》をわたしに|帰《き》しられないように。またわが|君《きみ》、|王《おう》のエルサレムを|出《で》られた|日《ひ》に、しもべがおこなった|悪《わる》い|事《こと》を|思《おも》い|出《だ》されないように。どうぞ|王《おう》がそれを|心《こころ》に|留《と》められないように。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|自分《じぶん》が|罪《つみ》を|犯《おか》したことを|知《し》っています。それゆえ、|見《み》よ、わたしはきょう、ヨセフの|全家《ぜんか》のまっ|先《さき》に|下《くだ》ってきて、わが|主《しゅ》、|王《おう》を|迎《むか》えるのです」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》アビシャイは|答《こた》えて|言《い》った、「シメイは|主《しゅ》が|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》をのろったので、そのために|殺《ころ》されるべきではありませんか」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「あなたがたゼルヤの|子《こ》たちよ、あなたがたとなにのかかわりがあって、あなたがたはきょうわたしに|敵対《てきたい》するのか。きょう、イスラエルのうちで|人《ひと》を|殺《ころ》して|良《よ》かろうか。わたしが、きょうイスラエルの|王《おう》となったことを、どうして|自分《じぶん》で|知《し》らないことがあろうか」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|王《おう》はシメイに、「あなたを|殺《ころ》さない」と|言《い》って、|王《おう》は|彼《かれ》に|誓《ちか》った。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|子《こ》メピボセテは|下《くだ》ってきて|王《おう》を|迎《むか》えた。|彼《かれ》は|王《おう》が|去《さ》った|日《ひ》から|安《やす》らかに|帰《かえ》る|日《ひ》まで、その|足《あし》を|飾《かざ》らず、そのひげを|整《ととの》えず、またその|着物《きもの》を|洗《あら》わなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がエルサレムからきて|王《おう》を|迎《むか》えた|時《とき》、|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「メピボセテよ、あなたはどうしてわたしと|共《とも》に|行《い》かなかったのか」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|答《こた》えた、「わが|主《しゅ》、|王《おう》よ、わたしの|家来《けらい》がわたしを|欺《あざむ》いたのです。しもべは|彼《かれ》に、『わたしのために、ろばにくらを|置《お》け。わたしはそれに|乗《の》って|王《おう》と|共《とも》に|行《い》く』と|言《い》ったのです。しもべは|足《あし》なえだからです。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》はしもべのことをわが|主《しゅ》、|王《おう》の|前《まえ》に、あしざまに|言《い》ったのです。しかし、わが|主《しゅ》、|王《おう》は|神《かみ》の|使《つかい》のようでいらせられます。それで、あなたの|良《よ》いと|思《おも》われることをしてください。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|父《ちち》の|全家《ぜんか》はわが|主《しゅ》、|王《おう》の|前《まえ》にはみな|死《し》んだ|人《ひと》にすぎないのに、あなたはしもべを、あなたの|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》をする|人々《ひとびと》のうちに|置《お》かれました。わたしになんの|権利《けんり》があって、|重《かさ》ねて|王《おう》に|訴《うった》えることができましょう」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはどうしてなおも|自分《じぶん》のことを|言《い》うのですか。わたしは|決《き》めました。あなたとヂバとはその|土地《とち》を|分《わ》けなさい」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]メピボセテは|王《おう》に|言《い》った、「わが|主《しゅ》、|王《おう》が|安《やす》らかに|家《いえ》に|帰《かえ》られたのですから、|彼《かれ》にそれをみな|取《と》らせてください」。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]さてギレアデびとバルジライはロゲリムから|下《くだ》ってきて、ヨルダンで|王《おう》を|見送《みおく》るため、|王《おう》と|共《とも》にヨルダンに|進《すす》んだ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]バルジライは、ひじょうに|年老《としお》いた|人《ひと》で八十{|歳《さい》であった。|彼《かれ》はまた、ひじょうに|裕福《ゆうふく》な|人《ひと》であったので、|王《おう》がマハナイムにとどまっている|間《あいだ》、|王《おう》を|養《やしな》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はバルジライに|言《い》った、「わたしと|一緒《いっしょ》に|渡《わた》って|行《い》きなさい。わたしはエルサレムであなたをわたしと|共《とも》におらせて|養《やしな》いましょう」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]バルジライは|王《おう》に|言《い》った、「わたしは、なお|何《なに》|年《ねん》いきながらえるので、|王《おう》と|共《とも》にエルサレムに|上《のぼ》るのですか。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|今日《こんにち》八十|歳《さい》です。わたしに、|良《よ》いこと|悪《わる》いことがわきまえられるでしょうか。しもべは|食《た》べるもの、|飲《の》むものを|味《あじ》わうことができましょうか。わたしは|歌《うた》う|男《おとこ》や|歌《うた》う|女《おんな》の|声《こえ》をまだ|聞《き》くことができましょうか。それであるのに、しもべはどうしてなおわが|主《しゅ》、|王《おう》の|重荷《おもに》となってよろしいでしょうか。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|王《おう》と|共《とも》にヨルダンを|渡《わた》って、ただ|少《すこ》し|行《い》きましょう。どうして|王《おう》はこのような|報《むく》いをわたしに|報《むく》いられなければならないのでしょうか。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]どうぞしもべを|帰《かえ》らせてください。わたしは|自分《じぶん》の|町《まち》で、|父母《ふぼ》の|墓《はか》の|近《ちか》くで|死《し》にます。ただし、あなたのしもべキムハムがここにおります。わが|主《しゅ》、|王《おう》と|共《とも》に|彼《かれ》を|渡《わた》って|行《い》かせてください。またあなたが|良《よ》いと|思《おも》われる|事《こと》を|彼《かれ》にしてください」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|答《こた》えた、「キムハムはわたしと|共《とも》に|渡《わた》って|行《い》かせます。わたしは、あなたが|良《よ》いと|思《おも》われる|事《こと》を|彼《かれ》にしましょう。またあなたが|望《のぞ》まれることはみな、あなたのためにいたします」。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》はみなヨルダンを|渡《わた》った。|王《おう》は|渡《わた》った|時《とき》、バルジライに|口《くち》づけして、|祝福《しゅくふく》したので、|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》っていった。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はギルガルに|進《すす》んだ。キムハムも|彼《かれ》と|共《とも》に|進《すす》んだ。ユダの|民《たみ》はみな|王《おう》を|送《おく》り、イスラエルの|民《たみ》の|半《なか》ばもまたそうした。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]さてイスラエルの|人々《ひとびと》はみな|王《おう》の|所《ところ》にきて、|王《おう》に|言《い》った、「われわれの|兄弟《きょうだい》であるユダの|人々《ひとびと》は、|何《なに》ゆえにあなたを|盗《ぬす》み|去《さ》って、|王《おう》とその|家族《かぞく》、およびダビデに|伴《ともな》っているすべての|従者《じゅうしゃ》にヨルダンを|渡《わた》らせたのですか」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》はみなイスラエルの|人々《ひとびと》に|答《こた》えた、「|王《おう》はわれわれの|近親《きんしん》だからです。あなたがたはどうしてこの|事《こと》で|怒《いか》られるのですか。われわれが|少《すこ》しでも|王《おう》の|物《もの》を|食《た》べたことがありますか。|王《おう》が|何《なに》か|賜物《たまもの》をわれわれに|与《あた》えたことがありますか」。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はユダの|人々《ひとびと》に|答《こた》えた、「われわれは|王《おう》のうちに十の|分《ぶん》を|持《も》っています。またダビデのうちにもわれわれはあなたがたよりも|多《おお》くを|持《も》っています。それであるのに、どうしてあなたがたはわれわれを|軽《かろ》んじたのですか。われらの|王《おう》を|導《みちび》き|帰《かえ》ろうと|最初《さいしょ》に|言《い》ったのはわれわれではないのですか」。しかしユダの|人々《ひとびと》の|言葉《ことば》はイスラエルの|人々《ひとびと》の|言葉《ことば》よりも|激《はげ》しかった。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、その|所《ところ》にひとりのよこしまな|人《ひと》があって、|名《な》をシバといった。ビクリの|子《こ》で、ベニヤミンびとであった。|彼《かれ》はラッパを|吹《ふ》いて|言《い》った、「われわれはダビデのうちに|分《ぶん》がない。またエッサイの|子《こ》のうちに|嗣《し》|業《ぎょう》を|持《も》たない。イスラエルよ、おのおのその|天幕《てんまく》に|帰《かえ》りなさい」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》ダビデに|従《したが》う|事《こと》をやめて、ビクリの|子《こ》シバに|従《したが》った。しかしユダの|人々《ひとびと》はその|王《おう》につき|従《したが》って、ヨルダンからエルサレムへ|行《い》った。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはエルサレムの|自分《じぶん》の|家《いえ》にきた。そして|王《おう》は|家《いえ》を|守《まも》るために|残《のこ》しておいた十|人《にん》のめかけたちを|取《と》って、一つの|家《いえ》に|入《い》れて|守《まも》り、また|養《やしな》ったが、|彼女《かのじょ》たちの|所《ところ》には、はいらなかった。|彼女《かのじょ》たちは|死《し》ぬ|日《ひ》まで|閉《と》じこめられ|一生《いっしょう》、|寡婦《かふ》としてすごした。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はアマサに|言《い》った、「わたしのため三|日《か》のうちにユダの|人々《ひとびと》を|呼《よ》び|集《あつ》めて、ここにきなさい」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アマサはユダを|呼《よ》び|集《あつ》めるために|行《い》ったが、|彼《かれ》は|定《さだ》められた|時《とき》よりもおくれた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアビシャイに|言《い》った、「ビクリの|子《こ》シバは|今《いま》われわれにアブサロムよりも|多《おお》くの|害《がい》をするであろう。あなたの|主君《しゅくん》の|家来《けらい》たちを|率《ひき》いて、|彼《かれ》のあとを|追《お》いなさい。さもないと|彼《かれ》は|堅固《けんご》な|町々《まちまち》を|獲《え》て、われわれを|悩《なや》ますであろう」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨアブとケレテびととペレテびと、およびすべての|勇士《ゆうし》はアビシャイに|従《したが》って|出《で》た。すなわち|彼《かれ》らはエルサレムを|出《で》て、ビクリの|子《こ》シバのあとを|追《お》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがギベオンにある|大石《おおいし》のところにいた|時《とき》、アマサがきて|彼《かれ》らに|会《あ》った。|時《とき》にヨアブは|軍服《ぐんぷく》を|着《き》て、|帯《おび》をしめ、その|上《うえ》にさやに|納《おさ》めたつるぎを|腰《こし》に|結《むす》んで|帯《お》びていたが、|彼《かれ》が|進《すす》み|出《で》た|時《とき》つるぎは|抜《ぬ》け|落《お》ちた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブはアマサに、「|兄弟《きょうだい》よ、あなたは|安《やす》らかですか」と|言《い》って、ヨアブは|右《みぎ》の|手《て》をもってアマサのひげを|捕《とら》えて|彼《かれ》に|口《くち》づけしようとしたが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アマサはヨアブの|手《て》につるぎがあることに|気《き》づかなかったので、ヨアブはそれをもってアマサの|腹部《ふくぶ》を|刺《さ》して、そのはらわたを|地《ち》に|流《なが》し|出《だ》し、|重《かさ》ねて|撃《う》つこともなく|彼《かれ》を|殺《ころ》した。  こうしてヨアブとその|兄弟《きょうだい》アビシャイはビクリの|子《こ》シバのあとを|追《お》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にヨアブの|若者《わかもの》のひとりがアマサのかたわらに|立《た》って|言《い》った、「ヨアブに|味方《みかた》する|者《もの》、ダビデにつく|者《もの》はヨアブのあとに|従《したが》いなさい」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アマサは|血《ち》に|染《し》んで|大路《おおじ》の|中《なか》にころがっていたので、そのそばに|来《く》る|者《もの》はみな|彼《かれ》を|見《み》て|立《た》ちどまった。この|人《ひと》は|民《たみ》がみな|立《た》ちどまるのを|見《み》て、アマサを|大路《おおじ》から|畑《はたけ》に|移《うつ》し、|衣服《いふく》をその|上《うえ》にかけた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アマサが|大路《おおじ》から|移《うつ》されたので、|民《たみ》は|皆《みな》ヨアブに|従《したが》って|進《すす》み、ビクリの|子《こ》シバのあとを|追《お》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]シバはイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちを|通《とお》ってベテマアカのアベルにきた。ビクリびとは|皆《みな》、|集《あつ》まってきて|彼《かれ》に|従《したが》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨアブと|共《とも》にいたすべての|人々《ひとびと》がきて、|彼《かれ》をベテマアカのアベルに|囲《かこ》み、|町《まち》に|向《む》かって|土《つち》|塁《るい》を|築《きず》いた。それはとりでに|向《む》かって|立《た》てられた。こうして|彼《かれ》らは|城壁《じょうへき》をくずそうとしてこれを|撃《う》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ひとりの|賢《かしこ》い|女《おんな》が|町《まち》から|呼《よ》ばわった、「あなたがたは|聞《き》きなさい。あなたがたは|聞《き》きなさい。ヨアブに、『ここにきてください。わたしはあなたに|言《い》うことがあります』と|言《い》ってください」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がその|女《おんな》に|近寄《ちかよ》ると、|女《おんな》は「あなたがヨアブですか」と|言《い》った。|彼《かれ》は「そうです」と|答《こた》えた。すると|女《おんな》は|彼《かれ》に「はしための|言葉《ことば》をお|聞《き》きください」と|言《い》ったので、「|聞《き》きましょう」と|彼《かれ》は|言《い》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|女《おんな》は|言《い》った、「|昔《むかし》、|人々《ひとびと》はいつも、『アベルで|尋《たず》ねなさい』と|言《い》って、|事《こと》を|定《さだ》めました。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルのうちの|平和《へいわ》な、|忠誠《ちゅうせい》な|者《もの》です。そうであるのに、あなたはイスラエルのうちで|母《はは》ともいうべき|町《まち》を|滅《ほろ》ぼそうとしておられます。どうして|主《しゅ》の|嗣《し》|業《ぎょう》を、のみ|尽《つく》そうとされるのですか」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|答《こた》えた、「いいえ、|決《けっ》してそうではなく、わたしが、のみ|尽《つく》したり、|滅《ほろ》ぼしたりすることはありません。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|事実《じじつ》はそうではなく、エフライムの|山地《さんち》の|人《ひと》ビクリの|子《こ》、|名《な》をシバという|者《もの》が|手《て》をあげて|王《おう》ダビデにそむいたのです。あなたがたが|彼《かれ》ひとりを|渡《わた》すならば、わたしはこの|町《まち》を|去《さ》ります」。|女《おんな》はヨアブに|言《い》った、「|彼《かれ》の|首《くび》は|城壁《じょうへき》の|上《うえ》からあなたの|所《ところ》へ|投《な》げられるでしょう」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてこの|女《おんな》が|知恵《ちえ》をもって、すべての|民《たみ》の|所《ところ》に|行《い》ったので、|彼《かれ》らはビクリの|子《こ》シバの|首《くび》をはねてヨアブの|所《ところ》へ|投《な》げ|出《だ》した。そこでヨアブはラッパを|吹《ふ》きならしたので、|人々《ひとびと》は|散《ち》って|町《まち》を|去《さ》り、おのおの|家《いえ》に|帰《かえ》った。ヨアブはエルサレムにいる|王《おう》のもとに|帰《かえ》った。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブはイスラエルの|全《ぜん》|軍《ぐん》の|長《ちょう》であった。エホヤダの|子《こ》ベナヤはケレテびと、およびペレテびとの|長《ちょう》、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アドラムは|徴募《ちょうぼ》|人《にん》の|長《ちょう》、アヒルデの|子《こ》ヨシャパテは|史官《しかん》、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]シワは|書記官《しょきかん》、ザドクとアビヤタルとは|祭司《さいし》。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]またヤイルびとイラはダビデの|祭司《さいし》であった。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|世《よ》に、|年《とし》また|年《とし》と三|年《ねん》、ききんがあったので、ダビデが|主《しゅ》に|尋《たず》ねたところ、|主《しゅ》は|言《い》われた、「サウルとその|家《いえ》とに、|血《ち》を|流《なが》した|罪《つみ》がある。それはかつて|彼《かれ》がギベオンびとを|殺《ころ》したためである」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》はギベオンびとを|召《め》しよせた。ギベオンびとはイスラエルの|子孫《しそん》ではなく、アモリびとの|残《のこ》りであって、イスラエルの|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らと|誓《ちか》いを|立《た》てて、その|命《いのち》を|助《たす》けた。ところがサウルはイスラエルとユダの|人々《ひとびと》のために|熱心《ねっしん》であったので、|彼《かれ》らを|殺《ころ》そうとしたのである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでダビデはギベオンびとに|言《い》った、「わたしはあなたがたのために、|何《なに》をすればよいのですか。どんな|償《つぐな》いをすれば、あなたがたは|主《しゅ》の|嗣《し》|業《ぎょう》を|祝福《しゅくふく》するのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ギベオンびとは|彼《かれ》に|言《い》った、「これはわれわれと、サウルまたはその|家《いえ》との|間《あいだ》の|金銀《きんぎん》の|問題《もんだい》ではありません。またイスラエルのうちのひとりでも、われわれが|殺《ころ》そうというのでもありません」。ダビデは|言《い》った、「わたしがあなたがたのために|何《なに》をすればよいと|言《い》うのですか」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]かれらは|王《おう》に|言《い》った、「われわれを|滅《ほろ》ぼした|人《ひと》、われわれを|滅《ほろ》ぼしてイスラエルの|領域《りょういき》のどこにもおらせないようにと、たくらんだ|人《ひと》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》の|子孫《しそん》七|人《にん》を|引《ひ》き|渡《わた》してください。われわれは|主《しゅ》の|山《やま》にあるギベオンで、|彼《かれ》らを|主《しゅ》の|前《まえ》に|木《き》にかけましょう」。|王《おう》は|言《い》った、「|引《ひ》き|渡《わた》しましょう」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》はサウルの|子《こ》ヨナタンの|子《こ》であるメピボセテを|惜《お》しんだ。|彼《かれ》らの|間《あいだ》、すなわちダビデとサウルの|子《こ》ヨナタンとの|間《あいだ》に、|主《しゅ》をさして|立《た》てた|誓《ちか》いがあったからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はアヤの|娘《むすめ》リヅパがサウルに|産《う》んだふたりの|子《こ》アルモニとメピボセテ、およびサウルの|娘《むすめ》メラブがメホラびとバルジライの|子《こ》アデリエルに|産《う》んだ五|人《にん》の|子《こ》を|取《と》って、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをギベオンびとの|手《て》に|引《ひ》き|渡《わた》したので、ギベオンびとは|彼《かれ》らを|山《やま》で|主《しゅ》の|前《まえ》に|木《き》にかけた。|彼《かれ》ら七|人《にん》は|共《とも》に|倒《たお》れた。|彼《かれ》らは|刈入《かりい》れの|初《はじ》めの|日《ひ》、すなわち|大麦《おおむぎ》|刈《か》りの|初《はじ》めに|殺《ころ》された。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アヤの|娘《むすめ》リヅパは|荒布《あらぬの》をとって、それを|自分《じぶん》のために|岩《いわ》の|上《うえ》に|敷《し》き、|刈入《かりい》れの|初《はじ》めから、その|人々《ひとびと》の|死体《したい》の|上《うえ》に|天《てん》から|雨《あめ》が|降《ふ》るまで、|昼《ひる》は|空《そら》の|鳥《とり》が|死体《したい》の|上《うえ》にこないようにし、|夜《よる》は|野《の》の|獣《けもの》を|近寄《ちかよ》らせなかった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アヤの|娘《むすめ》でサウルのめかけであったリヅパのしたことがダビデに|聞《きこ》えたので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|行《い》ってサウルの|骨《ほね》とその|子《こ》ヨナタンの|骨《ほね》を、ヤベシギレアデの|人々《ひとびと》の|所《ところ》から|取《と》ってきた。これはペリシテびとがサウルをギルボアで|殺《ころ》した|日《ひ》に、|木《き》にかけたベテシャンの|広場《ひろば》から、|彼《かれ》らが|盗《ぬす》んでいたものである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはそこからサウルの|骨《ほね》と、その|子《こ》ヨナタンの|骨《ほね》を|携《たずさ》えて|上《のぼ》った。また|人々《ひとびと》はそのかけられた|者《もの》どもの|骨《ほね》を|集《あつ》めた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはサウルとその|子《こ》ヨナタンの|骨《ほね》を、ベニヤミンの|地《ち》のゼラにあるその|父《ちち》キシの|墓《はか》に|葬《ほうむ》り、すべて|王《おう》の|命《めい》じたようにした。この|後《のち》、|神《かみ》はその|地《ち》のために、|祈《いのり》を|聞《き》かれた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはまたイスラエルと|戦争《せんそう》をした。ダビデはその|家来《けらい》たちと|共《とも》に|下《くだ》ってペリシテびとと|戦《たたか》ったが、ダビデは|疲《つか》れていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にイシビベノブはダビデを|殺《ころ》そうと|思《おも》った。イシビベノブは|巨人《きょじん》の|子孫《しそん》で、そのやりは|青銅《せいどう》で|重《おも》さ三百シケルあり、|彼《かれ》は|新《あたら》しいつるぎを|帯《お》びていた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしゼルヤの|子《こ》アビシャイはダビデを|助《たす》けて、そのペリシテびとを|撃《う》ち|殺《ころ》した。そこでダビデの|従者《じゅうしゃ》たちは|彼《かれ》に|誓《ちか》って|言《い》った、「あなたはわれわれと|共《とも》に、|重《かさ》ねて|戦争《せんそう》に|出《で》てはなりません。さもないと、あなたはイスラエルのともし|火《ひ》を|消《け》すでしょう」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》、|再《ふたた》びゴブでペリシテびととの|戦《たたか》いがあった。|時《とき》にホシャびとシベカイは|巨人《きょじん》の|子孫《しそん》のひとりサフを|殺《ころ》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ここにまたゴブで、ペリシテびととの|戦《たたか》いがあったが、そこではベツレヘムびとヤレオレギムの|子《こ》エルハナンは、ガテびとゴリアテを|殺《ころ》した。そのやりの|柄《え》は|機《はた》の|巻棒《まきぼう》のようであった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またガテで|再《ふたた》び|戦《たたか》いがあったが、そこにひとりの|背《せ》の|高《たか》い|人《ひと》があり、その|手《て》の|指《ゆび》と|足《あし》の|指《ゆび》は六|本《ぽん》ずつで、その|数《かず》は|合《あ》わせて二十四|本《ほん》であった。|彼《かれ》もまた|巨人《きょじん》から|生《うま》れた|者《もの》であった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はイスラエルをののしったので、ダビデの|兄弟《きょうだい》シメアの|子《こ》ヨナタンが|彼《かれ》を|殺《ころ》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これらの四|人《にん》はガテで|巨人《きょじん》から|生《うま》れた|者《もの》であったが、ダビデの|手《て》とその|家来《けらい》たちの|手《て》に|倒《たお》れた。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》がもろもろの|敵《てき》の|手《て》とサウルの|手《て》から、|自分《じぶん》を|救《すく》い|出《だ》された|日《ひ》に、この|歌《うた》の|言葉《ことば》を|主《しゅ》に|向《む》かって|述《の》べ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》はわが|岩《いわ》、わが|城《しろ》、わたしを|救《すく》う|者《もの》、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、わが|岩《いわ》。わたしは|彼《かれ》に|寄《よ》り|頼《たの》む。 わが|盾《たて》、わが|救《すくい》の|角《つの》、 わが|高《たか》きやぐら、わが|避《さ》け|所《どころ》、 わが|救主《すくいぬし》。あなたはわたしを|暴虐《ぼうぎゃく》から|救《すく》われる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、ほめまつるべき|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって、 わたしの|敵《てき》から|救《すく》われる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》の|波《なみ》はわたしをとりまき、 |滅《ほろ》びの|大水《おおみず》はわたしを|襲《おそ》った。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|陰府《よみ》の|綱《つな》はわたしをとりかこみ、 |死《し》のわなはわたしに、たち|向《む》かった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|苦難《くなん》のうちにわたしは|主《しゅ》を|呼《よ》び、 またわが|神《かみ》に|呼《よ》ばわった。 |主《しゅ》がその|宮《みや》からわたしの|声《こえ》を|聞《き》かれて、 わたしの|叫《さけ》びはその|耳《みみ》にとどいた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|地《ち》は|震《ふる》いうごき、 |天《てん》の|基《もとい》はゆるぎふるえた。 |彼《かれ》が|怒《いか》られたからである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|煙《けむり》はその|鼻《はな》からたち|上《のぼ》り、 |火《ひ》はその|口《くち》から|出《で》て|焼《や》きつくし、 |白熱《はくねつ》の|炭《すみ》は|彼《かれ》から|燃《も》え|出《で》た。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|天《てん》を|低《ひく》くして|下《くだ》られ、 |暗《くら》やみが|彼《かれ》の|足《あし》の|下《した》にあった。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はケルブに|乗《の》って|飛《と》び、 |風《かぜ》の|翼《つばさ》に|乗《の》ってあらわれた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|周囲《しゅうい》に|幕屋《まくや》として、 やみと|濃《こ》き|雲《くも》と|水《みず》の|集《あつ》まりとを|置《お》かれた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そのみ|前《まえ》の|輝《かがや》きから |炭火《すみび》が|燃《も》え|出《で》た。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|天《てん》から|雷《かみなり》をとどろかせ、 いと|高《たか》き|者《もの》は|声《こえ》を|出《だ》された。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|矢《や》を|放《はな》って|彼《かれ》らを|散《ち》らし、 いなずまを|放《はな》って|彼《かれ》らを|撃《う》ち|破《やぶ》られた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のとがめと、その|鼻《はな》のいぶきとによって、 |海《うみ》の|底《そこ》はあらわれ、 |世界《せかい》の|基《もとい》が、あらわになった。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|高《たか》き|所《ところ》から|手《て》を|伸《の》べてわたしを|捕《とら》え、 |大水《おおみず》の|中《なか》からわたしを|引《ひ》き|上《あ》げ、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|強《つよ》い|敵《てき》と、わたしを|憎《にく》む|者《もの》とから わたしを|救《すく》われた。 |彼《かれ》らはわたしにとって、あまりにも|強《つよ》かったからだ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしの|災《わざわい》の|日《ひ》にわたしに、たち|向《む》かった。 しかし|主《しゅ》はわたしの|支柱《しちゅう》となられた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしを|広《ひろ》い|所《ところ》へ|引《ひ》きだされ、 わたしを|喜《よろこ》ばれて、|救《すく》ってくださった。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|義《ぎ》にしたがってわたしに|報《むく》い、 わたしの|手《て》の|清《きよ》きにしたがって わたしに|報《むく》いかえされた。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それは、わたしが|主《しゅ》の|道《みち》を|守《まも》り、|悪《あく》を|行《おこな》わず、 わが|神《かみ》から|離《はな》れたことがないからである。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そのすべてのおきてはわたしの|前《まえ》にあって、 わたしはその、み|定《さだ》めを|離《はな》れたことがない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》の|前《まえ》に|欠《か》けた|所《ところ》なく、 |自《みずか》らを|守《まも》って|罪《つみ》を|犯《おか》さなかった。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はわたしの|義《ぎ》にしたがい、 その|目《め》のまえにわたしの|清《きよ》きにしたがって、 わたしに|報《むく》いられた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|忠実《ちゅうじつ》な|者《もの》には、あなたは|忠実《ちゅうじつ》な|者《もの》となり、 |欠《か》けた|所《ところ》のない|人《ひと》には、 あなたは|欠《か》けた|所《ところ》のない|者《もの》となり、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|清《きよ》い|者《もの》には、あなたは|清《きよ》い|者《もの》となり、 まがった|者《もの》には、かたいぢな|者《もの》となられる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはへりくだる|民《たみ》を|救《すく》われる、 しかしあなたの|目《め》は|高《たか》ぶる|者《もの》を|見《み》て これをひくくせられる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]まことに、|主《しゅ》よ、あなたはわたしのともし|火《び》、 わが|神《かみ》はわたしのやみを|照《てら》される。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]まことに、あなたによって わたしは|敵《てき》|軍《ぐん》をふみ|滅《ほろ》ぼし、 わが|神《かみ》によって|石《いし》がきをとび|越《こ》えることができる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]この|神《かみ》こそ、その|道《みち》は|非《ひ》のうちどころなく、 |主《しゅ》の|約束《やくそく》は|真実《しんじつ》である。 |彼《かれ》はすべて|彼《かれ》に|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》の|盾《たて》である。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のほかに、だれが|神《かみ》か、 われらの|神《かみ》のほか、だれが|岩《いわ》であるか。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]この|神《かみ》こそわたしの|堅固《けんご》な|避《さ》け|所《どころ》であり、 わたしの|道《みち》を|安全《あんぜん》にされた。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|足《あし》をめじかの|足《あし》のようにして、 わたしを|高《たか》い|所《ところ》に|安全《あんぜん》に|立《た》たせ、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|手《て》を|戦《たたか》いに|慣《な》らされたので、 わたしの|腕《うで》は|青銅《せいどう》の|弓《ゆみ》を|引《ひ》くことができる。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|救《すくい》の|盾《たて》をわたしに|与《あた》え、 あなたの|助《たす》けは、わたしを|大《おお》いなる|者《もの》とされた。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしが|歩《ある》く|広《ひろ》い|場所《ばしょ》を|与《あた》えられたので、 わたしの|足《あし》はすべらなかった。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|敵《てき》を|追《お》って、これを|滅《ほろ》ぼし、 これを|絶《た》やすまでは|帰《かえ》らなかった。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|絶《た》やし、|彼《かれ》らを|砕《くだ》いたので |彼《かれ》らは|立《た》つことができず、わたしの|足《あし》もとに|倒《たお》れた。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|戦《たたか》いのために、わたしに|力《ちから》を|帯《お》びさせ わたしを|攻《せ》める|者《もの》をわたしの|下《した》にかがませられた。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]あなたによって、|敵《てき》は そのうしろをわたしに|向《む》けたので、 わたしを|憎《にく》む|者《もの》をわたしは|滅《ほろ》ぼした。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|見《み》まわしたが、|救《すく》う|者《もの》はいなかった。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》に|叫《さけ》んだが、|彼《かれ》らには|答《こた》えられなかった。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|地《ち》のちりのように |細《こま》かに|打《う》ちくだき、 ちまたのどろのように、|踏《ふ》みにじった。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを|国々《くにぐに》の|民《たみ》との|争《あらそ》いから|救《すく》い|出《だ》し、 わたしをもろもろの|国民《こくみん》のかしらとされた。 わたしの|知《し》らなかった|民《たみ》がわたしに|仕《つか》えた。 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|異国《いこく》の|人《ひと》たちはきてわたしにこび、 わたしの|事《こと》を|聞《き》くとすぐわたしに|従《したが》った。 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|異国《いこく》の|人《ひと》たちは、うちしおれて その|城《しろ》からふるえながら|出《で》てきた。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わが|岩《いわ》はほむべきかな。 わが|神《かみ》、わが|救《すくい》の|岩《いわ》はあがむべきかな。 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]この|神《かみ》はわたしのために、あだを|報《むく》い、 もろもろの|民《たみ》をわたしの|下《した》に|置《お》かれた。 [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]またわたしを|敵《てき》から|救《すく》い|出《だ》し、 あだの|上《うえ》にわたしをあげ、 |暴虐《ぼうぎゃく》の|人々《ひとびと》からわたしを|救《すく》い|出《だ》された。 [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》よ、わたしはもろもろの|国民《くにたみ》の|中《なか》で、 あなたをたたえ、 あなたの、み|名《な》をほめ|歌《うた》うであろう。 [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|王《おう》に|大《おお》いなる|勝利《しょうり》を|与《あた》え、 |油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》に、ダビデとその|子孫《しそん》とに、 とこしえに、いつくしみを|施《ほどこ》される」。 [#ここで字下げ終わり] 第二三章[#「第二三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これはダビデの|最後《さいご》の|言葉《ことば》である。 エッサイの|子《こ》ダビデの|託宣《たくせん》、 すなわち|高《たか》く|挙《あ》げられた|人《ひと》、 ヤコブの|神《かみ》に|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|人《ひと》、 イスラエルの|良《よ》き|歌《うた》びとの|託宣《たくせん》。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》の|霊《れい》はわたしによって|語《かた》る、 その|言葉《ことば》はわたしの|舌《した》の|上《うえ》にある。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》は|語《かた》られた、 イスラエルの|岩《いわ》はわたしに|言《い》われた、 『|人《ひと》を|正《ただ》しく|治《おさ》める|者《もの》、 |神《かみ》を|恐《おそ》れて、|治《おさ》める|者《もの》は、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》の|光《ひかり》のように、 |雲《くも》のない|朝《あさ》に、|輝《かがや》きでる|太陽《たいよう》のように、 |地《ち》に|若草《わかくさ》を|芽《め》ばえさせる|雨《あめ》のように|人《ひと》に|臨《のぞ》む』。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]まことに、わが|家《や》はそのように、 |神《かみ》と|共《とも》にあるではないか。 それは、|神《かみ》が、よろず|備《そな》わって|確《たし》かな とこしえの|契約《けいやく》をわたしと|結《むす》ばれたからだ。 どうして|彼《かれ》はわたしの|救《すくい》と|願《ねが》いを、 |皆《みな》なしとげられぬことがあろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、よこしまな|人《ひと》は、いばらのようで、 |手《て》をもって|取《と》ることができないゆえ、 みな|共《とも》に|捨《す》てられるであろう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これに|触《ふ》れようとする|人《ひと》は |鉄《てつ》や、やりの|柄《え》をもって|武装《ぶそう》する、 |彼《かれ》らはことごとく|火《ひ》で|焼《や》かれるであろう」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|勇士《ゆうし》たちの|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。タクモンびとヨセブ・バッセベテはかの三|人《にん》のうちの|長《ちょう》であったが、|彼《かれ》はいちじに八百|人《にん》に|向《む》かって、やりをふるい、それを|殺《ころ》した。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|次《つぎ》はアホアびとドドの|子《こ》エレアザルであって、三|勇士《ゆうし》のひとりである。|彼《かれ》は、|戦《たたか》おうとしてそこに|集《あつ》まったペリシテびとに|向《む》かって|戦《たたか》いをいどみ、イスラエルの|人々《ひとびと》が|退《しりぞ》いた|時《とき》、ダビデと|共《とも》にいたが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》ってペリシテびとを|撃《う》ち、ついに|手《て》が|疲《つか》れ、|手《て》がつるぎに|着《つ》いて|離《はな》れないほどになった。その|日《ひ》、|主《しゅ》は|大《おお》いなる|勝利《しょうり》を|与《あた》えられた。|民《たみ》は|彼《かれ》のあとに|帰《かえ》ってきて、ただ|殺《ころ》された|者《もの》をはぎ|取《と》るばかりであった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|次《つぎ》はハラルびとアゲの|子《こ》シャンマであった。ある|時《とき》、ペリシテびとはレヒに|集《あつ》まった。そこに|一面《いちめん》にレンズ|豆《まめ》を|作《つく》った|地所《じしょ》があった。|民《たみ》はペリシテびとの|前《まえ》から|逃《に》げたが、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|地所《じしょ》の|中《なか》に|立《た》って、これを|防《ふせ》ぎ、ペリシテびとを|殺《ころ》した。そして|主《しゅ》は|大《おお》いなる|救《すくい》を|与《あた》えられた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]三十|人《にん》の|長《ちょう》たちのうちの三|人《にん》は|下《くだ》って|行《い》って|刈入《かりい》れのころに、アドラムのほら|穴《あな》にいるダビデのもとにきた。|時《とき》にペリシテびとの一|隊《たい》はレパイムの|谷《たに》に|陣《じん》を|取《と》っていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ダビデは|要害《ようがい》におり、ペリシテびとの|先陣《せんじん》はベツレヘムにあったが、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは、せつに|望《のぞ》んで、「だれかベツレヘムの|門《もん》のかたわらにある|井戸《いど》の|水《みず》をわたしに|飲《の》ませてくれるとよいのだが」と|言《い》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでその三|人《にん》の|勇士《ゆうし》たちはペリシテびとの|陣《じん》を|突《つ》き|通《とお》って、ベツレヘムの|門《もん》のかたわらにある|井戸《いど》の|水《みず》を|汲《く》み|取《と》って、ダビデのもとに|携《たずさ》えてきた。しかしダビデはそれを|飲《の》もうとはせず、|主《しゅ》の|前《まえ》にそれを|注《そそ》いで、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|主《しゅ》よ、わたしは|断《だん》じて|飲《の》むことをいたしません。いのちをかけて|行《い》った|人々《ひとびと》の|血《ち》を、どうしてわたしは|飲《の》むことができましょう」。こうして|彼《かれ》はそれを|飲《の》もうとはしなかった。三|勇士《ゆうし》はこれらのことを|行《おこな》った。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》ヨアブの|兄弟《きょうだい》アビシャイは三十|人《にん》の|長《ちょう》であった。|彼《かれ》は三百|人《にん》に|向《む》かって、やりをふるい、それを|殺《ころ》した。そして、|彼《かれ》は三|人《にん》と|共《とも》に|名《な》を|得《え》た。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は三十|人《にん》のうち|最《もっと》も|尊《たっと》ばれた|者《もの》で、|彼《かれ》らの|長《ちょう》となった。しかし、かの三|人《にん》には|及《およ》ばなかった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤはカブジエル|出身《しゅっしん》の|勇士《ゆうし》であって、|多《おお》くのてがらを|立《た》てた。|彼《かれ》はモアブのアリエルのふたりの|子《こ》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。|彼《かれ》はまた|雪《ゆき》の|日《ひ》に|下《くだ》っていって、|穴《あな》の|中《なか》でししを|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|姿《すがた》のうるわしいエジプトびとを|撃《う》ち|殺《ころ》した。そのエジプトびとは|手《て》にやりを|持《も》っていたが、ベナヤはつえをとってその|所《ところ》に|下《くだ》っていき、エジプトびとの|手《て》からやりをもぎとって、そのやりをもって|殺《ころ》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤはこれらの|事《こと》をして三|勇士《ゆうし》と|共《とも》に|名《な》を|得《え》た。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は三十|人《にん》のうちに|有名《ゆうめい》であったが、かの三|人《にん》には|及《およ》ばなかった。ダビデは|彼《かれ》を|侍衛《じえい》の|長《ちょう》とした。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]三十|人《にん》のうちにあったのは、ヨアブの|兄弟《きょうだい》アサヘル。ベツレヘム|出身《しゅっしん》のドドの|子《こ》エルハナン。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ハロデ|出身《しゅっしん》のシャンマ。ハロデ|出身《しゅっしん》のエリカ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]パルテびとヘレヅ。テコア|出身《しゅっしん》のイッケシの|子《こ》イラ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アナトテ|出身《しゅっしん》のアビエゼル。ホシャびとメブンナイ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]アホアびとザルモン。ネトパ|出身《しゅっしん》のマハライ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ネトパ|出身《しゅっしん》のバアナの|子《こ》ヘレブ。ベニヤミンびとのギベアから|出《で》たリバイの|子《こ》イッタイ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ピラトンのベナヤ。ガアシの|谷《たに》|出身《しゅっしん》のヒダイ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]アルバテびとアビアルボン。バホリム|出身《しゅっしん》のアズマウテ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]シャルボン|出身《しゅっしん》のエリヤバ。ヤセンの|子《こ》たち。ヨナタン。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ハラルびとシャンマ。ハラルびとシャラルの|子《こ》アヒアム。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]マアカ|出身《しゅっしん》のアハスバイの|子《こ》エリペレテ。ギロ|出身《しゅっしん》のアヒトペルの|子《こ》エリアム。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]カルメル|出身《しゅっしん》のヘヅロ。アルバびとパアライ。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ゾバ|出身《しゅっしん》のナタンの|子《こ》イガル。ガドびとバニ。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]アンモンびとゼレク。ゼルヤの|子《こ》ヨアブの|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》、ベエロテ|出身《しゅっしん》のナハライ。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]イテルびとイラ。イテルびとガレブ。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ヘテびとウリヤ。|合《あ》わせて三十七|人《にん》である。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|再《ふたた》びイスラエルに|向《む》かって|怒《いか》りを|発《はっ》し、ダビデを|感動《かんどう》して|彼《かれ》らに|逆《さか》らわせ、「|行《い》ってイスラエルとユダとを|数《かぞ》えよ」と|言《い》われた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》はヨアブおよびヨアブと|共《とも》にいる|軍《ぐん》の|長《ちょう》たちに|言《い》った、「イスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちを、ダンからベエルシバまで|行《い》き|巡《めぐ》って|民《たみ》を|数《かぞ》え、わたしに|民《たみ》の|数《かず》を|知《し》らせなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|王《おう》に|言《い》った、「どうぞあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》が、|民《たみ》を|今《いま》よりも百|倍《ばい》に|増《ま》してくださいますように。そして|王《おう》、わが|主《しゅ》がまのあたり、それを|見《み》られますように。しかし|王《おう》、わが|主《しゅ》は|何《なに》ゆえにこの|事《こと》を|喜《よろこ》ばれるのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》の|言葉《ことば》がヨアブと|軍《ぐん》の|長《ちょう》たちとに|勝《か》ったので、ヨアブと|軍《ぐん》の|長《ちょう》たちとは|王《おう》の|前《まえ》を|退《しりぞ》き、イスラエルの|民《たみ》を|数《かぞ》えるために|出《で》て|行《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヨルダンを|渡《わた》り、アロエルから、すなわち|谷《たに》の|中《なか》にある|町《まち》から|始《はじ》めて、ガドに|向《む》かい、ヤゼルに|進《すす》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それからギレアデに|行《い》き、またヘテびとの|地《ち》にあるカデシに|行《い》き、それからダンに|至《いた》り、ダンからシドンにまわり、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またツロの|要害《ようがい》に|行《い》き、ヒビびと、およびカナンびとのすべての|町《まち》に|行《い》き、ユダのネゲブに|出《で》てベエルシバへ|行《い》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|国《くに》をあまねく|行《い》き|巡《めぐ》って、九か|月《げつ》と二十|日《にち》を|経《へ》てエルサレムにきた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨアブは|民《たみ》の|総数《そうすう》を|王《おう》に|告《つ》げた。すなわちイスラエルには、つるぎを|抜《ぬ》く|勇士《ゆうし》たちが八十万あった。ただしユダの|人々《ひとびと》は五十万であった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデは|民《たみ》を|数《かぞ》えた|後《のち》、|心《こころ》に|責《せ》められた。そこでダビデは|主《しゅ》に|言《い》った、「わたしはこれをおこなって|大《おお》きな|罪《つみ》を|犯《おか》しました。しかし|主《しゅ》よ、|今《いま》どうぞしもべの|罪《つみ》を|取《と》り|去《さ》ってください。わたしはひじょうに|愚《おろ》かなことをいたしました」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが|朝《あさ》|起《お》きたとき、|主《しゅ》の|言葉《ことば》はダビデの|先見者《せんけんしゃ》である|預言者《よげんしゃ》ガデに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》ってダビデに|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、「わたしは三つのことを|示《しめ》す。あなたはその一つを|選《えら》ぶがよい。わたしはそれをあなたに|行《おこな》うであろう」と』」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ガデはダビデのもとにきて、|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたの|国《くに》に三|年《ねん》のききんをこさせようか。あなたが|敵《てき》に|追《お》われて三か|月《げつ》|敵《てき》の|前《まえ》に|逃《に》げるようにしようか。それとも、あなたの|国《くに》に三|日《か》の|疫病《えきびょう》をおくろうか。あなたは|考《かんが》えて、わたしがどの|答《こたえ》を、わたしをつかわされた|方《かた》になすべきかを|決《き》めなさい」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはガデに|言《い》った、「わたしはひじょうに|悩《なや》んでいますが、|主《しゅ》のあわれみは|大《おお》きいゆえ、われわれを|主《しゅ》の|手《て》に|陥《おちい》らせてください。わたしを|人《ひと》の|手《て》には|陥《おちい》らせないでください」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》は|朝《あさ》から|定《さだ》めの|時《とき》まで|疫病《えきびょう》をイスラエルに|下《くだ》された。ダンからベエルシバまでに|民《たみ》の|死《し》んだ|者《もの》は七万|人《にん》あった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|使《つかい》が|手《て》をエルサレムに|伸《の》べてこれを|滅《ほろ》ぼそうとしたが、|主《しゅ》はこの|害悪《がいあく》を|悔《く》い、|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼしている|天《てん》の|使《つかい》に|言《い》われた、「もはや、じゅうぶんである。|今《いま》あなたの|手《て》をとどめるがよい」。その|時《とき》、|主《しゅ》の|使《つかい》はエブスびとアラウナの|打《う》ち|場《ば》のかたわらにいた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|民《たみ》を|撃《う》っている|天《てん》の|使《つかい》を|見《み》た|時《とき》、|主《しゅ》に|言《い》った、「わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》しました。わたしは|悪《あく》を|行《おこな》いました。しかしこれらの|羊《ひつじ》たちは|何《なに》をしたのですか。どうぞあなたの|手《て》をわたしとわたしの|父《ちち》の|家《いえ》に|向《む》けてください」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ガデはダビデのところにきて|彼《かれ》に|言《い》った、「|上《のぼ》って|行《い》ってエブスびとアラウナの|打《う》ち|場《ば》で|主《しゅ》に|祭壇《さいだん》を|建《た》てなさい」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはガデの|言葉《ことば》に|従《したが》い、|主《しゅ》の|命《めい》じられたように|上《のぼ》って|行《い》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アラウナは|見《み》おろして、|王《おう》とそのしもべたちが|自分《じぶん》の|方《ほう》に|進《すす》んでくるのを|見《み》たので、アラウナは|出《で》てきて|王《おう》の|前《まえ》に|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|拝《はい》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてアラウナは|言《い》った、「どうして|王《おう》わが|主《しゅ》は、しもべの|所《ところ》にこられましたか」。ダビデは|言《い》った、「あなたから|打《う》ち|場《ば》を|買《か》い|取《と》り、|主《しゅ》に|祭壇《さいだん》を|築《きず》いて|民《たみ》に|下《くだ》る|災《わざわい》をとどめるためです」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アラウナはダビデに|言《い》った、「どうぞ|王《おう》、わが|主《しゅ》のよいと|思《おも》われる|物《もの》を|取《と》ってささげてください。|燔祭《はんさい》にする|牛《うし》もあります。たきぎにする|打《だ》|穀《こく》|機《き》も|牛《うし》のくびきもあります。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、アラウナはこれをことごとく|王《おう》にささげます」。アラウナはまた|王《おう》に、「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたを|受《う》けいれられますように」と|言《い》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》はアラウナに|言《い》った、「いいえ、|代価《だいか》を|支払《しはら》ってそれをあなたから|買《か》い|取《と》ります。わたしは|費用《ひよう》をかけずに|燔祭《はんさい》をわたしの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげることはしません」。こうしてダビデは|銀《ぎん》五十シケルで|打《う》ち|場《ば》と|牛《うし》とを|買《か》い|取《と》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|所《ところ》で|主《しゅ》に|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげた。そこで|主《しゅ》はその|地《ち》のために|祈《いのり》を|聞《き》かれたので、|災《わざわい》がイスラエルに|下《くだ》ることはとどまった。 [#改ページ] 列王紀上[#「列王紀上」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》は|年《とし》がすすんで|老《お》い、|夜着《よぎ》を|着《き》せても|暖《あたた》まらなかったので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|家来《けらい》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「|王《おう》わが|主《しゅ》のために、ひとりの|若《わか》いおとめを|捜《さが》し|求《もと》めて|王《おう》にはべらせ、|王《おう》の|付添《つきそ》いとし、あなたのふところに|寝《ね》て、|王《おう》わが|主《しゅ》を|暖《あたた》めさせましょう」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはあまねくイスラエルの|領土《りょうど》に|美《うつく》しいおとめを|捜《さが》し|求《もと》めて、シュナミびとアビシャグを|得《え》、|王《おう》のもとに|連《つ》れてきた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]おとめは|非常《ひじょう》に|美《うつく》しく、|王《おう》の|付添《つきそ》いとなって|王《おう》に|仕《つか》えたが、|王《おう》は|彼女《かのじょ》を|知《し》ることがなかった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]さてハギテの|子《こ》アドニヤは|高《たか》ぶって、「わたしは|王《おう》となろう」と|言《い》い、|自分《じぶん》のために|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》および|自分《じぶん》の|前《まえ》に|駆《か》ける|者《もの》五十|人《にん》を|備《そな》えた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|父《ちち》は|彼《かれ》が|生《うま》れてこのかた一|度《ど》も「なぜ、そのような|事《こと》をするのか」と|言《い》って|彼《かれ》をたしなめたことがなかった。アドニヤもまた|非常《ひじょう》に|姿《すがた》の|良《よ》い|人《ひと》であって、アブサロムの|次《つぎ》に|生《うま》れた|者《もの》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がゼルヤの|子《こ》ヨアブと|祭司《さいし》アビヤタルとに|相談《そうだん》したので、|彼《かれ》らはアドニヤに|従《したが》って|彼《かれ》を|助《たす》けた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|祭司《さいし》ザドクと、エホヤダの|子《こ》ベナヤと、|預言者《よげんしゃ》ナタンおよびシメイとレイ、ならびにダビデの|勇士《ゆうし》たちはアドニヤに|従《したが》わなかった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アドニヤはエンロゲルのほとりにある「へびの|石《いし》」のかたわらで、|羊《ひつじ》と|牛《うし》と|肥《こ》えた|家畜《かちく》をほふって、|王《おう》の|子《こ》である|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》たち、および|王《おう》の|家来《けらい》であるユダの|人々《ひとびと》をことごとく|招《まね》いた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|預言者《よげんしゃ》ナタンと、ベナヤと、|勇士《ゆうし》たちと、|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》ソロモンとは|招《まね》かなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にナタンはソロモンの|母《はは》バテシバに|言《い》った、「ハギテの|子《こ》アドニヤが|王《おう》となったのをお|聞《き》きになりませんでしたか。われわれの|主《しゅ》ダビデはそれをごぞんじないのです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それでいま、あなたに|計《はか》りごとを|授《さづ》けて、あなたの|命《いのち》と、あなたの|子《こ》ソロモンの|命《いのち》を|救《すく》うようにいたしましょう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはすぐダビデ|王《おう》のところへ|行《い》って、『|王《おう》わが|主《しゅ》よ、あなたは、はしために|誓《ちか》って、おまえの|子《こ》ソロモンが、わたしに|次《つ》いで|王《おう》となり、わたしの|位《くらい》に|座《ざ》するであろうと|言《い》われたではありませんか。そうであるのに、どうしてアドニヤが|王《おう》となったのですか』と|言《い》いなさい。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがなお|王《おう》と|話《はな》しておられる|間《あいだ》に、わたしもまた、あなたのあとから、はいって|行《い》って、あなたの|言葉《ことば》を|確認《かくにん》しましょう」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでバテシバは|寝室《しんしつ》にはいって|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》った。(|王《おう》は|非常《ひじょう》に|老《お》いて、シュナミびとアビシャグが|王《おう》に|仕《つか》えていた)。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]バテシバは|身《み》をかがめて|王《おう》を|拝《はい》した。|王《おう》は|言《い》った、「|何《なに》の|用《よう》か」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|王《おう》に|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、あなたは、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》をさして、はしために|誓《ちか》い、『おまえの|子《こ》ソロモンがわたしに|次《つ》いで|王《おう》となり、わたしの|位《くらい》に|座《ざ》するであろう』と|言《い》われました。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そうであるのに、ごらんなさい、|今《いま》アドニヤが|王《おう》となりました。|王《おう》わが|主《しゅ》よ、あなたはそれをごぞんじないのです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|牛《うし》と|肥《こ》えた|家畜《かちく》と|羊《ひつじ》をたくさんほふって、|王《おう》の|子《こ》たち、および|祭司《さいし》アビヤタルと、|軍《ぐん》の|長《ちょう》ヨアブを|招《まね》きましたが、あなたのしもべソロモンは|招《まね》きませんでした。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》わが|主《しゅ》よ、イスラエルのすべての|目《め》はあなたに|注《そそ》がれ、だれがあなたに|次《つ》いで、|王《おう》わが|主《しゅ》の|位《くらい》に|座《ざ》すべきかを|告《つ》げられるのを|望《のぞ》んでいます。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》わが|主《しゅ》が|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》られるとき、わたしと、わたしの|子《こ》ソロモンは|謀叛《むほん》|人《ひと》とみなされるでしょう」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]バテシバがなお|王《おう》と|話《はな》しているうちに、|預言者《よげんしゃ》ナタンがはいってきた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|王《おう》に|告《つ》げて、「|預言者《よげんしゃ》ナタンがここにおります」と|言《い》った。|彼《かれ》は|王《おう》の|前《まえ》にはいり、|地《ち》に|伏《ふ》して|王《おう》を|拝《はい》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そしてナタンは|言《い》った、「|王《おう》わが|主《しゅ》よ、あなたは、『アドニヤがわたしに|次《つ》いで|王《おう》となり、わたしの|位《くらい》に|座《ざ》するであろう』と|仰《おお》せられましたか。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はきょう|下《くだ》っていって、|牛《うし》と、|肥《こ》えた|家畜《かちく》と|羊《ひつじ》をたくさんほふって、|王《おう》の|子《こ》たちと、|軍《ぐん》の|長《ちょう》ヨアブと、|祭司《さいし》アビヤタルを|招《まね》きました。|彼《かれ》らはアドニヤの|前《まえ》で|食《く》い|飲《の》みして、『アドニヤ|万歳《ばんざい》』と|言《い》いました。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたのしもべであるわたしと、|祭司《さいし》ザドクと、エホヤダの|子《こ》ベナヤと、あなたのしもべソロモンを|招《まね》きませんでした。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》は|王《おう》わが|主《しゅ》がさせられた|事《こと》ですか。あなたはしもべたちに、だれがあなたに|次《つ》いで|王《おう》わが|主《しゅ》の|位《くらい》に|座《ざ》すべきかを|告《つ》げられませんでした」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》は|答《こた》えて|言《い》った、「バテシバをわたしのところに|呼《よ》びなさい」。|彼女《かのじょ》は|王《おう》の|前《まえ》にはいってきて、|王《おう》の|前《まえ》に|立《た》った。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]すると|王《おう》は|誓《ちか》って|言《い》った、「わたしの|命《いのち》をすべての|苦難《くなん》から|救《すく》われた|主《しゅ》は|生《い》きておられる。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》をさしてあなたに|誓《ちか》い、『あなたの|子《こ》ソロモンがわたしに|次《つ》いで|王《おう》となり、わたしに|代《かわ》って、わたしの|位《くらい》に|座《ざ》するであろう』と|言《い》ったように、わたしはきょう、そのようにしよう」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そこでバテシバは|身《み》をかがめ、|地《ち》に|伏《ふ》して|王《おう》を|拝《はい》し、「わが|主《しゅ》ダビデ|王《おう》が、とこしえに|生《い》きながらえられますように」と|言《い》った。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「|祭司《さいし》ザドクと、|預言者《よげんしゃ》ナタンおよびエホヤダの|子《こ》ベナヤをわたしの|所《ところ》に|呼《よ》びなさい」。やがて|彼《かれ》らは|王《おう》の|前《まえ》にきた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたの|主君《しゅくん》の|家来《けらい》たちを|連《つ》れ、わが|子《こ》ソロモンをわたしの|騾馬《らば》に|乗《の》せ、|彼《かれ》を|導《みちび》いてギホンに|下《くだ》り、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》で|祭司《さいし》ザドクと|預言者《よげんしゃ》ナタンは|彼《かれ》に|油《あぶら》を|注《そそ》いでイスラエルの|王《おう》としなさい。そしてラッパを|吹《ふ》いて、『ソロモン|王《おう》|万歳《ばんざい》』と|言《い》いなさい。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]それから、あなたがたは|彼《かれ》に|従《したが》って|上《のぼ》ってきなさい。|彼《かれ》はきて、わたしの|位《くらい》に|座《ざ》し、わたしに|代《かわ》って|王《おう》となるであろう。わたしは|彼《かれ》を|立《た》ててイスラエルとユダの|上《うえ》に|主君《しゅくん》とする」。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤは|王《おう》に|答《こた》えて|言《い》った、「アァメン、|願《ねが》わくは、|王《おう》わが|主君《しゅくん》の|神《かみ》、|主《しゅ》もまたそう|仰《おお》せられますように。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|願《ねが》わくは、|主《しゅ》が|王《おう》わが|主君《しゅくん》と|共《とも》におられたように、ソロモンと|共《とも》におられて、その|位《くらい》をわが|主君《しゅくん》ダビデ|王《おう》の|位《くらい》よりも|大《おお》きくせられますように」。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》ザドクと|預言者《よげんしゃ》ナタンおよびエホヤダの|子《こ》ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとは|下《くだ》って|行《い》って、ソロモンをダビデ|王《おう》の|騾馬《らば》に|乗《の》せ、|彼《かれ》をギホンに|導《みちび》いて|行《い》った。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ザドクは|幕屋《まくや》から|油《あぶら》の|角《つの》を|取《と》ってきて、ソロモンに|油《あぶら》を|注《そそ》いだ。そしてラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らし、|民《たみ》は|皆《みな》「ソロモン|王《おう》|万歳《ばんざい》」と|言《い》った。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》はみな|彼《かれ》に|従《したが》って|上《のぼ》り、|笛《ふえ》を|吹《ふ》いて|大《おお》いに|喜《よろこ》び|祝《いわ》った。|地《ち》は|彼《かれ》らの|声《こえ》で|裂《さ》けるばかりであった。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]アドニヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいた|客《きゃく》たちは|皆《みな》|食事《しょくじ》を|終《おわ》ったとき、これを|聞《き》いた。ヨアブはラッパの|音《おと》を|聞《き》いて|言《い》った、「|町《まち》の|中《なか》のあの|騒《さわ》ぎは|何《なに》か」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|言葉《ことば》のなお|終《おわ》らないうちに、そこへ|祭司《さいし》アビヤタルの|子《こ》ヨナタンがきたので、アドニヤは|彼《かれ》に|言《い》った、「はいりなさい。あなたは|勇敢《ゆうかん》な|人《ひと》で、よい|知《し》らせを|持《も》ってきたのでしょう」。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンは|答《こた》えてアドニヤに|言《い》った、「いいえ、|主君《しゅくん》ダビデ|王《おう》はソロモンを|王《おう》とせられました。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|祭司《さいし》ザドクと|預言者《よげんしゃ》ナタンおよびエホヤダの|子《こ》ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとをソロモンと|共《とも》につかわされたので、|彼《かれ》らはソロモンを|王《おう》の|騾馬《らば》に|乗《の》せて|行《い》き、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ザドクと|預言者《よげんしゃ》ナタンはギホンで|彼《かれ》に|油《あぶら》を|注《そそ》いで|王《おう》としました。そして|彼《かれ》らがそこから|喜《よろこ》んで|上《のぼ》って|来《く》るので、|町《まち》が|騒《さわ》がしいのです。あなたが|聞《き》いた|声《こえ》はそれなのです。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンは|王《おう》の|位《くらい》に|座《ざ》し、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]かつ|王《おう》の|家来《けらい》たちがきて、|主君《しゅくん》ダビデ|王《おう》に|祝《いわ》いを|述《の》べて、『|願《ねが》わくは、あなたの|神《かみ》がソロモンの|名《な》をあなたの|名《な》よりも|高《たか》くし、|彼《かれ》の|位《くらい》をあなたの|位《くらい》よりも|大《おお》きくされますように』と|言《い》いました。そして|王《おう》は|床《ゆか》の|上《うえ》で|拝《はい》されました。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまたこう|言《い》われました、『イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はきょう、わたしの|位《くらい》に|座《ざ》するひとりの|子《こ》を|与《あた》えて、これをわたしに|見《み》せてくださった』と」。  [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》アドニヤと|共《とも》にいた|客《きゃく》はみな|驚《おどろ》き、|立《た》っておのおの|自分《じぶん》の|道《みち》に|去《さ》って|行《い》った。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてアドニヤはソロモンを|恐《おそ》れ、|立《た》って|行《い》って|祭壇《さいだん》の|角《つの》をつかんだ。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ある|人《ひと》がこれをソロモンに|告《つ》げて|言《い》った、「アドニヤはソロモンを|恐《おそ》れ、|今《いま》|彼《かれ》は|祭壇《さいだん》の|角《つの》をつかんで、『どうぞ、ソロモン|王《おう》がきょう、つるぎをもってしもべを|殺《ころ》さないとわたしに|誓《ちか》ってくださるように』と|言《い》っています」。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|言《い》った、「もし|彼《かれ》がよい|人《ひと》となるならば、その|髪《かみ》の|毛《け》ひとすじも|地《ち》に|落《お》ちることはなかろう。しかし|彼《かれ》のうちに|悪《あく》のあることがわかるならば、|彼《かれ》は|死《し》ななければならない」。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》を|祭壇《さいだん》からつれて|下《くだ》らせた。|彼《かれ》がきてソロモンを|拝《はい》したので、ソロモンは|彼《かれ》に「|家《いえ》に|帰《かえ》りなさい」と|言《い》った。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|死《し》ぬ|日《ひ》が|近《ちか》づいたので、|彼《かれ》はその|子《こ》ソロモンに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|世《よ》のすべての|人《ひと》の|行《い》く|道《みち》を|行《い》こうとしている。あなたは|強《つよ》く、|男《おとこ》らしくなければならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のさとしを|守《まも》り、その|道《みち》に|歩《あゆ》み、その|定《さだ》めと|戒《いまし》めと、おきてとあかしとを、モーセの|律法《りっぽう》にしるされているとおりに|守《まも》らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての|事《こと》と、あなたの|向《む》かうすべての|所《ところ》で、あなたは|栄《さか》えるであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》がさきにわたしについて|語《かた》って『もしおまえの|子《こ》たちが、その|道《みち》を|慎《つつし》み、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして|真実《しんじつ》をもって、わたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》むならば、おまえに|次《つ》いでイスラエルの|位《くらい》にのぼる|人《ひと》が、|欠《か》けることはなかろう』と|言《い》われた|言葉《ことば》を|確実《かくじつ》にされるであろう。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またあなたはゼルヤの|子《こ》ヨアブがわたしにした|事《こと》、すなわち|彼《かれ》がイスラエルのふたりの|軍《ぐん》の|長《ちょう》ネルの|子《こ》アブネルと、エテルの|子《こ》アマサにした|事《こと》を|知《し》っている。|彼《かれ》はこのふたりを|殺《ころ》して、|戦争《せんそう》で|流《なが》した|地《ち》を|太平《たいへい》の|時《とき》に|報《むく》い、|罪《つみ》のない|者《もの》の|血《ち》をわたしの|腰《こし》のまわりの|帯《おび》と、わたしの|足《あし》のくつにつけた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたの|知恵《ちえ》にしたがって|事《こと》を|行《おこな》い、|彼《かれ》のしらがを|安《やす》らかに|陰府《よみ》に|下《くだ》らせてはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ただしギレアデびとバルジライの|子《こ》らには|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》し、|彼《かれ》らをあなたの|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》する|人々《ひとびと》のうちに|加《くわ》えなさい。|彼《かれ》らはわたしがあなたの|兄弟《きょうだい》アブサロムを|避《さ》けて|逃《に》げた|時《とき》、わたしを|迎《むか》えてくれたからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またバホリムのベニヤミンびとゲラの|子《こ》シメイがあなたと|共《とも》にいる。|彼《かれ》はわたしがマハナイムへ|行《い》った|時《とき》、|激《はげ》しいのろいの|言葉《ことば》をもってわたしをのろった。しかし|彼《かれ》がヨルダンへ|下《くだ》ってきて、わたしを|迎《むか》えたので、わたしは|主《しゅ》をさして|彼《かれ》に|誓《ちか》い、『わたしはつるぎをもってあなたを|殺《ころ》さない』と|言《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》を|罪《つみ》のない|者《もの》としてはならない。あなたは|知恵《ちえ》のある|人《ひと》であるから、|彼《かれ》になすべき|事《こと》を|知《し》っている。あなたは|彼《かれ》のしらがを|血《ち》に|染《ぞ》めて|陰府《よみ》に|下《くだ》らせなければならない」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがイスラエルを|治《おさ》めた|日数《にっすう》は四十|年《ねん》であった。すなわちヘブロンで七|年《ねん》、エルサレムで三十三|年《ねん》、|王《おう》であった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このようにしてソロモンは|父《ちち》ダビデの|位《くらい》に|座《ざ》し、|国《くに》は|堅《かた》く|定《さだ》まった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]さて、ハギテの|子《こ》アドニヤがソロモンの|母《はは》バテシバのところへきたので、バテシバは|言《い》った、「あなたは|穏《おだ》やかな|事《こと》のためにきたのですか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「|穏《おだ》やかな|事《こと》のためです」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|言《い》った、「あなたに|申《もう》しあげる|事《こと》があります」。バテシバは|言《い》った、「|言《い》いなさい」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「ごぞんじのように、|国《くに》はわたしのもので、イスラエルの|人《ひと》は|皆《みな》わたしが|王《おう》になるものと|期待《きたい》していました。しかし|国《くに》は|転《てん》じて、わたしの|兄弟《きょうだい》のものとなりました。|彼《かれ》のものとなったのは、|主《しゅ》から|出《で》たことです。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしはあなたに一つのお|願《ねが》いがあります。|断《ことわ》らないでください」。バテシバは|彼《かれ》に|言《い》った、「|言《い》いなさい」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「どうかソロモン|王《おう》に|請《こ》うて、――|王《おう》はあなたに|断《ことわ》るようなことはないでしょうから――シュナミびとアビシャグをわたしに|与《あた》えて|妻《つま》にさせてください」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]バテシバは|言《い》った、「よろしい。わたしはあなたのために|王《おう》に|話《はな》しましょう」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]バテシバはアドニヤのためにソロモン|王《おう》に|話《はな》すため、|王《おう》のもとへ|行《い》った。|王《おう》は|立《た》って|迎《むか》え、|彼女《かのじょ》を|拝《はい》して|王座《おうざ》に|着《つ》き、|王《おう》|母《はは》のために|座《ざ》を|設《もう》けさせたので、|彼女《かのじょ》は|王《おう》の|右《みぎ》に|座《ざ》した。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでバテシバは|言《い》った、「あなたに一つの|小《ちい》さいお|願《ねが》いがあります。お|断《ことわ》りにならないでください」。|王《おう》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|母上《ははうえ》よ、あなたの|願《ねが》いを|言《い》ってください。わたしは|断《ことわ》らないでしょう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「どうぞ、シュナミびとアビシャグをあなたの|兄弟《きょうだい》アドニヤに|与《あた》えて、|妻《つま》にさせてください」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》は|答《こた》えて|母《はは》に|言《い》った、「どうしてアドニヤのためにシュナミびとアビシャグを|求《もと》められるのですか。|彼《かれ》のためには|国《くに》をも|求《もと》めなさい。|彼《かれ》はわたしの|兄《あに》で、|彼《かれ》の|味方《みかた》には|祭司《さいし》アビヤタルとゼルヤの|子《こ》ヨアブがいるのですから」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてソロモン|王《おう》は|主《しゅ》をさして|誓《ちか》って|言《い》った、「もしアドニヤがこの|言葉《ことば》によって|自分《じぶん》の|命《いのち》を|失《うしな》うのでなければ、どんなにでもわたしを|罰《ばっ》してください。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|立《た》てて、|父《ちち》ダビデの|位《くらい》にのぼらせ、|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたように、わたしに|一家《いっか》を|与《あた》えてくださった|主《しゅ》は|生《い》きておられる。アドニヤはきょう|殺《さつ》されなければならない」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》はエホヤダの|子《こ》ベナヤをつかわしたので、|彼《かれ》はアドニヤを|撃《う》って|殺《ころ》した。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|祭司《さいし》アビヤタルに|言《い》った、「あなたの|領地《りょうち》アナトテへ|行《い》きなさい。あなたは|死《し》に|当《あた》る|者《もの》ですが、さきにわたしの|父《ちち》ダビデの|前《まえ》に|神《かみ》、|主《しゅ》の|箱《はこ》をかつぎ、またすべてわたしの|父《ちち》が|受《う》けた|苦《くる》しみを、あなたも|共《とも》に|苦《くる》しんだので、わたしは、きょうは、あなたを|殺《ころ》しません」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そしてソロモンはアビヤタルを|主《しゅ》の|祭司《さいし》|職《しょく》から|追放《ついほう》した。こうして|主《しゅ》がシロでエリの|家《いえ》について|言《い》われた|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|成就《じょうじゅ》した。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]さてこの|知《し》らせがヨアブに|達《たっ》したので、ヨアブは|主《しゅ》の|幕屋《まくや》にのがれて、|祭壇《さいだん》の|角《つの》をつかんだ。ヨアブはアブサロムを|支持《しじ》しなかったけれども、アドニヤを|支持《しじ》したからである。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブが|主《しゅ》の|幕屋《まくや》にのがれて、|祭壇《さいだん》のかたわらにいることを、ソロモン|王《おう》に|告《つ》げる|者《もの》があったので、ソロモン|王《おう》はエホヤダの|子《こ》ベナヤをつかわし、「|行《い》って|彼《かれ》を|撃《う》て」と|言《い》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ベナヤは|主《しゅ》の|幕屋《まくや》へ|行《い》って|彼《かれ》に|言《い》った、「|王《おう》はあなたに、|出《で》て|来《く》るようにと|申《もう》されます」。しかし|彼《かれ》は|言《い》った、「いや、わたしはここで|死《し》にます」。ベナヤは|王《おう》に|復命《ふくめい》して|言《い》った、「ヨアブはこう|申《もう》しました。またわたしにこう|答《こた》えました」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》はベナヤに|言《い》った、「|彼《かれ》が|言《い》うようにし、|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》して|葬《ほうむ》り、ヨアブがゆえなく|流《なが》した|血《ち》のとがをわたしと、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》から|除《のぞ》き|去《さ》りなさい。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたヨアブが|血《ち》を|流《なが》した|行為《こうい》を、|彼《かれ》|自身《じしん》のこうべに|報《むく》いられるであろう。これは|彼《かれ》が|自分《じぶん》よりも|正《ただ》しいすぐれたふたりの|人《ひと》、すなわちイスラエルの|軍《ぐん》の|長《ちょう》ネルの|子《こ》アブネルと、ユダの|軍《ぐん》の|長《ちょう》エテルの|子《こ》アマサを、つるぎをもって|撃《う》ち|殺《ころ》し、わたしの|父《ちち》ダビデのあずかり|知《し》らない|事《こと》をしたからである。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》らの|血《ち》は|永遠《えいえん》にヨアブのこうべと、その|子孫《しそん》のこうべに|帰《き》すであろう。しかしダビデと、その|子孫《しそん》と、その|家《いえ》と、その|位《くらい》とには、|主《しゅ》から|賜《たま》わる|平安《へいあん》が|永久《えいきゅう》にあるであろう」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そこでエホヤダの|子《こ》ベナヤは|上《のぼ》っていって、|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。|彼《かれ》は|荒野《あらの》にある|自分《じぶん》の|家《いえ》に|葬《ほうむ》られた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はエホヤダの|子《こ》ベナヤを、ヨアブに|代《かわ》って|軍《ぐん》の|長《ちょう》とした。|王《おう》はまた|祭司《さいし》ザドクをアビヤタルに|代《かわ》らせた。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》は|人《ひと》をつかわし、シメイを|召《め》して|言《い》った、「あなたはエルサレムのうちに、|自分《じぶん》のために|家《いえ》を|建《た》てて、そこに|住《す》み、そこからどこへも|出《で》てはならない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|出《で》て、キデロン|川《かわ》を|渡《わた》る|日《ひ》には|必《かなら》ず|殺《ころ》されることを、しかと|知《し》らなければならない。あなたの|血《ち》はあなたのこうべに|帰《き》すであろう」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]シメイは|王《おう》に|言《い》った、「お|言葉《ことば》は|結構《けっこう》です。|王《おう》、わが|主《しゅ》の|仰《おお》せられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてシメイは|久《ひさ》しくエルサレムに|住《す》んだ。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ところが三|年《ねん》の|後《のち》、シメイのふたりの|奴隷《どれい》が、ガテの|王《おう》マアカの|子《こ》アキシのところへ|逃《に》げ|去《さ》った。|人々《ひとびと》がシメイに|告《つ》げて、「ごらんなさい、あなたの|奴隷《どれい》はガテにいます」と|言《い》ったので、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]シメイは|立《た》って、ろばにくらを|置《お》き、ガテのアキシのところへ|行《い》って、その|奴隷《どれい》を|尋《たず》ねた。すなわちシメイは|行《い》ってその|奴隷《どれい》をガテから|連《つ》れてきたが、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]シメイがエルサレムからガテへ|行《い》って|帰《かえ》ったことがソロモン|王《おう》に|聞《きこ》えたので、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|人《ひと》をつかわし、シメイを|召《め》して|言《い》った、「わたしはあなたに|主《しゅ》をさして|誓《ちか》わせ、かつおごそかにあなたを|戒《いまし》めて、『あなたが|出《で》て、どこかへ|行《ゆ》く|日《ひ》には、|必《かなら》ず|殺《ころ》されることを、しかと|知《し》らなければならない』と|言《い》ったではないか。そしてあなたは、わたしに『お|言葉《ことば》は|結構《けっこう》です。|従《したが》います』と|言《い》った。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ところで、あなたはなぜ|主《しゅ》に|対《たい》する|誓《ちか》いと、わたしが|命《めい》じた|命令《めいれい》を|守《まも》らなかったのか」。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまたシメイに|言《い》った、「あなたは|自分《じぶん》の|心《こころ》に、あなたがわたしの|父《ちち》ダビデにしたもろもろの|悪《あく》を|知《し》っている。|主《しゅ》はあなたの|悪《あく》をあなたのこうべに|報《むく》いられるであろう。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]しかしソロモン|王《おう》は|祝福《しゅくふく》をうけ、ダビデの|位《くらい》は|永久《えいきゅう》に|主《しゅ》の|前《まえ》に|堅《かた》く|立《た》つであろう」。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》がエホヤダの|子《こ》ベナヤに|命《めい》じたので、|彼《かれ》は|出《で》ていってシメイを|撃《う》ち|殺《ころ》した。こうして|国《くに》はソロモンの|手《て》に|堅《かた》く|立《た》った。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》はエジプトの|王《おう》パロと|縁《ふち》を|結《むす》び、パロの|娘《むすめ》をめとってダビデの|町《まち》に|連《つ》れてきて、|自分《じぶん》の|家《いえ》と、|主《しゅ》の|宮《みや》と、エルサレムの|周囲《しゅうい》の|城壁《じょうへき》を|建《た》て|終《おわ》るまでそこにおらせた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのころまで|主《しゅ》の|名《な》のために|建《た》てた|宮《みや》がなかったので、|民《たみ》は|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげていた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|主《しゅ》を|愛《あい》し、|父《ちち》ダビデの|定《さだ》めに|歩《あゆ》んだが、ただ|彼《かれ》は|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》、|王《おう》はギベオンへ|行《い》って、そこで|犠牲《ぎせい》をささげようとした。それが|主要《しゅよう》な|高《たか》き|所《ところ》であったからである。ソロモンは一千の|燔祭《はんさい》をその|祭壇《さいだん》にささげた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ギベオンで|主《しゅ》は|夜《よ》の|夢《ゆめ》にソロモンに|現《あらわ》れて|言《い》われた、「あなたに|何《なに》を|与《あた》えようか、|求《もと》めなさい」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|言《い》った、「あなたのしもべであるわたしの|父《ちち》ダビデがあなたに|対《たい》して|誠実《せいじつ》と|公義《こうぎ》と|真心《まごころ》とをもって、あなたの|前《まえ》に|歩《あゆ》んだので、あなたは|大《おお》いなるいつくしみを|彼《かれ》に|示《しめ》されました。またあなたは|彼《かれ》のために、この|大《おお》いなるいつくしみをたくわえて、|今日《こんにち》、|彼《かれ》の|位《くらい》に|座《ざ》する|子《こ》を|授《さづ》けられました。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたはこのしもべを、わたしの|父《ちち》ダビデに|代《かわ》って|王《おう》とならせられました。しかし、わたしは|小《ちい》さい|子供《こども》であって、|出入《でい》りすることを|知《し》りません。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]かつ、しもべはあなたが|選《えら》ばれた、あなたの|民《たみ》、すなわちその|数《かず》が|多《おお》くて、|数《かぞ》えることも、|調《しら》べることもできないほどのおびただしい|民《たみ》の|中《なか》におります。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|聞《き》きわける|心《こころ》をしもべに|与《あた》えて、あなたの|民《たみ》をさばかせ、わたしに|善悪《ぜんあく》をわきまえることを|得《え》させてください。だれが、あなたのこの|大《おお》いなる|民《たみ》をさばくことができましょう」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはこの|事《こと》を|求《もと》めたので、そのことが|主《しゅ》のみこころにかなった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|神《かみ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたはこの|事《こと》を|求《もと》めて、|自分《じぶん》のために|長命《ちょうめい》を|求《もと》めず、また|自分《じぶん》のために|富《とみ》を|求《もと》めず、また|自分《じぶん》の|敵《てき》の|命《いのち》をも|求《もと》めず、ただ|訴《うった》えをききわける|知恵《ちえ》を|求《もと》めたゆえに、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたの|言葉《ことば》にしたがって、|賢《かしこ》い、|英明《えいめい》な|心《こころ》を|与《あた》える。あなたの|先《さき》にはあなたに|並《なら》ぶ|者《もの》がなく、あなたの|後《のち》にもあなたに|並《なら》ぶ|者《もの》は|起《おこ》らないであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたあなたの|求《もと》めないもの、すなわち|富《とみ》と|誉《ほまれ》をもあなたに|与《あた》える。あなたの|生《い》きているかぎり、|王《おう》たちのうちにあなたに|並《なら》ぶ|者《もの》はないであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが、あなたの|父《ちち》ダビデの|歩《あゆ》んだように、わたしの|道《みち》に|歩《あゆ》んで、わたしの|定《さだ》めと|命令《めいれい》とを|守《まも》るならば、わたしはあなたの|日《ひ》を|長《なが》くするであろう」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|目《め》をさましてみると、それは|夢《ゆめ》であった。そこで|彼《かれ》はエルサレムへ|行《い》き、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》の|前《まえ》に|立《た》って|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげ、すべての|家来《けらい》のために|祝宴《しゅくえん》を|設《もう》けた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]さて、ふたりの|遊女《ゆうじょ》が|王《おう》のところにきて、|王《おう》の|前《まえ》に|立《た》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ひとりの|女《おんな》は|言《い》った、「ああ、わが|主《しゅ》よ、この|女《おんな》とわたしとはひとつの|家《いえ》に|住《す》んでいますが、わたしはこの|女《おんな》と|一緒《いっしょ》に|家《いえ》にいる|時《とき》、|子《こ》を|産《う》みました。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ところがわたしの|産《う》んだ|後《のち》、三|日《か》|目《め》にこの|女《おんな》もまた|子《こ》を|産《う》みました。そしてわたしたちは|一緒《いっしょ》にいましたが、|家《いえ》にはほかにだれもわたしたちと|共《とも》にいた|者《もの》はなく、ただわたしたちふたりだけでした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ところがこの|女《おんな》は|自分《じぶん》の|子《こ》の|上《うえ》に|伏《ふ》したので、|夜《よる》のうちにその|子《こ》は|死《し》にました。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|夜中《よなか》に|起《お》きて、はしための|眠《ねむ》っている|間《あいだ》に、わたしの|子《こ》をわたしのかたわらから|取《と》って、|自分《じぶん》のふところに|寝《ね》かせ、|自分《じぶん》の|死《し》んだ|子《こ》をわたしのふところに|寝《ね》かせました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|朝《あさ》、|子《こ》に|乳《ちち》を|飲《の》ませようとして|起《お》きて|見《み》ると|死《し》んでいました。しかし|朝《あさ》になってよく|見《み》ると、それはわたしが|産《う》んだ|子《こ》ではありませんでした」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ほかの|女《おんな》は|言《い》った、「いいえ、|生《い》きているのがわたしの|子《こ》です。|死《し》んだのはあなたの|子《こ》です」。|初《はじ》めの|女《おんな》は|言《い》った、「いいえ、|死《し》んだのがあなたの|子《こ》です。|生《い》きているのはわたしの|子《こ》です」。|彼《かれ》らはこのように|王《おう》の|前《まえ》に|言《い》い|合《あ》った。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|王《おう》は|言《い》った、「ひとりは『この|生《い》きているのがわたしの|子《こ》で、|死《し》んだのがあなたの|子《こ》だ』と|言《い》い、またひとりは『いいえ、|死《し》んだのがあなたの|子《こ》で、|生《い》きているのはわたしの|子《こ》だ』と|言《い》う」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は「|刀《かたな》を|持《も》ってきなさい」と|言《い》ったので、|刀《かたな》を|王《おう》の|前《まえ》に|持《も》ってきた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「|生《い》きている|子《こ》を二つに|分《わ》けて、|半分《はんぶん》をこちらに、|半分《はんぶん》をあちらに|与《あた》えよ」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すると|生《い》きている|子《こ》の|母《はは》である|女《おんな》は、その|子《こ》のために|心《こころ》がやけるようになって、|王《おう》に|言《い》った、「ああ、わが|主《しゅ》よ、|生《い》きている|子《こ》を|彼女《かのじょ》に|与《あた》えてください。|決《けっ》してそれを|殺《ころ》さないでください」。しかしほかのひとりは|言《い》った、「それをわたしのものにも、あなたのものにもしないで、|分《わ》けてください」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]すると|王《おう》は|答《こた》えて|言《い》った、「|生《い》きている|子《こ》を|初《はじ》めの|女《おんな》に|与《あた》えよ。|決《けっ》して|殺《ころ》してはならない。|彼女《かのじょ》はその|母《はは》なのだ」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|皆《みな》|王《おう》が|与《あた》えた|判決《はんけつ》を|聞《き》いて|王《おう》を|恐《おそ》れた。|神《かみ》の|知恵《ちえ》が|彼《かれ》のうちにあって、さばきをするのを|見《み》たからである。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》はイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》の|王《おう》であった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|高官《こうかん》たちは|次《つぎ》のとおりである。ザドクの|子《こ》アザリヤは|祭司《さいし》。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]シシャの|子《こ》エリホレフとアヒヤは|書記官《しょきかん》。アヒルデの|子《こ》ヨシャバテは|史官《しかん》。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤは|軍《ぐん》の|長《ちょう》。ザドクとアビヤタルは|祭司《さいし》。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ナタンの|子《こ》アザリヤは|代官《だいかん》の|長《ちょう》。ナタンの|子《こ》ザブデは|祭司《さいし》で、|王《おう》の|友《とも》であった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アヒシャルは|宮内卿《くないきょう》。アブダの|子《こ》アドニラムは|徴募《ちょうぼ》の|長《ちょう》であった。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまたイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》に十二|人《にん》の|代官《だいかん》を|置《お》いた。その|人々《ひとびと》は|王《おう》とその|家《いえ》のために|食物《しょくもつ》を|備《そな》えた。すなわちおのおの一|年《ねん》に一|月《つき》ずつ|食物《しょくもつ》を|備《そな》えるのであった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。エフライムの|山地《さんち》にはベンホル。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]マカヅと、シャラビムと、ベテシメシと、エロン・ベテハナンにはベンデケル。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アルボテにはベンヘセデ、(|彼《かれ》はソコとヘペルの|全《ぜん》|地《ち》を|担当《たんとう》した)。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ドルの|高地《こうち》の|全部《ぜんぶ》にはベン・アビナダブ、(|彼《かれ》はソロモンの|娘《むすめ》タパテを|妻《つま》とした)。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アヒルデの|子《こ》バアナはタアナクとメギドと、エズレルの|下《した》、ザレタンのかたわらにあるベテシャンの|全《ぜん》|地《ち》を|担当《たんとう》して、ベテシャンからアベル・メホラに|至《いた》り、ヨクメアムの|向《む》こうにまで|及《およ》んだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ラモテ・ギレアデにはベンゲベル、(|彼《かれ》はギレアデにあるマナセの|子《こ》ヤイルの|村々《むらむら》を|担当《たんとう》し、またバシャンにあるアルゴブの|地方《ちほう》の|城壁《じょうへき》と|青銅《せいどう》の|貫《かん》の|木《き》のある|大《おお》きな|町《まち》六十を|担当《たんとう》した)。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]マハナイムにはイドの|子《こ》アヒナダブ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリにはアヒマアズ、(|彼《かれ》もソロモンの|娘《むすめ》バスマテを|妻《つま》にめとった)。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アセルとベアロテにはホシャイの|子《こ》バアナ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルにはパルアの|子《こ》ヨシャパテ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンにはエラの|子《こ》シメイ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アモリびとの|王《おう》シホンの|地《ち》およびバシャンの|王《おう》オグの|地《ち》なるギレアデの|地《ち》にはウリの|子《こ》ゲベル。|彼《かれ》はその|地《ち》のただひとりの|代官《だいかん》であった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダとイスラエルの|人々《ひとびと》は|多《おお》くて、|海《うみ》べの|砂《すな》のようであったが、|彼《かれ》らは|飲《の》み|食《く》いして|楽《たの》しんだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはユフラテ|川《かわ》からペリシテびとの|地《ち》と、エジプトの|境《さかい》に|至《いた》るまでの|諸国《しょこく》を|治《おさ》めたので、|皆《みな》みつぎ|物《もの》を|携《たずさ》えてきて、ソロモンの|一生《いっしょう》のあいだ|仕《つか》えた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]さてソロモンの一|日《にち》の|食物《しょくもつ》は|細《こま》かい|麦粉《むぎこ》三十コル、|荒《あら》い|麦粉《むぎこ》六十コル、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|肥《こ》えた|牛《うし》十|頭《とう》、|牧場《まきば》の|牛《うし》二十|頭《とう》、|羊《ひつじ》百|頭《とう》で、そのほかに|雄《お》じか、かもしか、こじか、および|肥《こ》えた|鳥《とり》があった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これはソロモンがユフラテ|川《かわ》の|西《にし》の|地方《ちほう》をテフサからガザまで、ことごとく|治《おさ》めたからである。すなわち|彼《かれ》はユフラテ|川《かわ》の|西《にし》の|諸王《しょおう》をことごとく|治《おさ》め、|周囲《しゅうい》|至《いた》る|所《ところ》に|平安《へいあん》を|得《え》た。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、ユダとイスラエルはダンからベエルシバに|至《いた》るまで、|安《やす》らかにおのおの|自分《じぶん》たちのぶどうの|木《き》の|下《した》と、いちじくの|木《き》の|下《した》に|住《す》んだ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまた|戦車《せんしゃ》の|馬《うま》の、うまや四千と、|騎兵《きへい》一万二千を|持《も》っていた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そしてそれらの|代官《だいかん》たちはおのおの|当番《とうばん》の|月《つき》にソロモン|王《おう》のため、およびすべてソロモン|王《おう》の|食卓《しょくたく》に|連《つら》なる|者《もの》のために、|食物《しょくもつ》を|備《そな》えて|欠《か》けることのないようにした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らはおのおのその|割当《わりあて》にしたがって|馬《うま》および|早馬《はやうま》に|食《く》わせる|大麦《おおむぎ》とわらを、その|馬《うま》のいる|所《ところ》に|持《も》ってきた。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はソロモンに|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|知恵《ちえ》と|悟《さと》りを|授《さづ》け、また|海《うみ》べの|砂原《すなはら》のように|広《ひろ》い|心《こころ》を|授《さづ》けられた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|知恵《ちえ》は|東《ひがし》の|人々《ひとびと》の|知恵《ちえ》とエジプトのすべての|知恵《ちえ》にまさった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はすべての|人《ひと》よりも|賢《かしこ》く、エズラびとエタンよりも、またマホルの|子《こ》ヘマン、カルコル、ダルダよりも|賢《かしこ》く、その|名声《めいせい》は|周囲《しゅうい》のすべての|国々《くにぐに》に|聞《きこ》えた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|箴言《しんげん》三千を|説《と》いた。またその|歌《うた》は一千五|首《しゅ》あった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|草木《くさき》のことを|論《ろん》じてレバノンの|香柏《こうはく》から|石《いし》がきにはえるヒソプにまで|及《およ》んだ。|彼《かれ》はまた|獣《けもの》と|鳥《とり》と|這《は》うものと|魚《うお》のことを|論《ろん》じた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|諸国《しょこく》の|人々《ひとびと》はソロモンの|知恵《ちえ》を|聞《き》くためにきた。|地《ち》の|諸王《しょおう》はソロモンの|知恵《ちえ》を|聞《き》いて|人《ひと》をつかわした。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてツロの|王《おう》ヒラムは、ソロモンが|油《あぶら》を|注《そそ》がれ、その|父《ちち》に|代《かわ》って、|王《おう》となったのを|聞《き》いて、|家来《けらい》をソロモンにつかわした。ヒラムは|常《つね》にダビデを|愛《あい》したからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでソロモンはヒラムに|人《ひと》をつかわして|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「あなたの|知《し》られるとおり、|父《ちち》ダビデはその|周囲《しゅうい》にあった|敵《てき》との|戦《たたか》いのゆえに、|彼《かれ》の|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために|宮《みや》を|建《た》てることができず、|主《しゅ》が|彼《かれ》らをその|足《あし》の|裏《うら》の|下《した》に|置《お》かれるのを|待《ま》ちました。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ところが|今《いま》わが|神《かみ》、|主《しゅ》はわたしに|四方《しほう》の|太平《たいへい》を|賜《たま》わって、|敵《てき》もなく、|災《わざわい》もなくなったので、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|父《ちち》ダビデに『おまえに|代《かわ》って、おまえの|位《くらい》に、わたしがつかせるおまえの|子《こ》、その|人《ひと》がわが|名《な》のために|宮《みや》を|建《た》てるであろう』と|言《い》われたように、わが|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために|宮《みや》を|建《た》てようと|思《おも》います。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたは|命令《めいれい》を|下《くだ》して、レバノンの|香柏《こうはく》をわたしのために|切《き》り|出《だ》させてください。わたしのしもべたちをあなたのしもべたちと|一緒《いっしょ》に|働《はたら》かせます。またわたしはすべてあなたのおっしゃるとおり、あなたのしもべたちの|賃銀《ちんぎん》をあなたに|払《はら》います。あなたの|知《し》られるとおり、わたしたちのうちにはシドンびとのように|木《き》を|切《き》るに|巧《たく》みな|人《ひと》がないからです」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヒラムはソロモンの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|大《おお》いに|喜《よろこ》び、「きょう、|主《しゅ》はあがむべきかな。|主《しゅ》はこのおびただしい|民《たみ》を|治《おさ》める|賢《かしこ》い|子《こ》をダビデに|賜《たま》わった」と|言《い》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてヒラムはソロモンに|人《ひと》をつかわして|言《い》った、「わたしはあなたが|申《もう》しおくられたことを|聞《き》きました。|香柏《こうはく》の|材木《ざいもく》と、いとすぎの|材木《ざいもく》については、すべてお|望《のぞ》みのようにいたします。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしのしもべどもにそれをレバノンから|海《うみ》に|運《はこ》びおろさせましょう。わたしはそれをいかだに|組《く》んで、|海路《かいろ》、あなたの|指示《しじ》される|場所《ばしょ》まで|送《おく》り、そこでそれをくずしましょう。あなたはそれを|受《う》け|取《と》ってください。また、あなたはわたしの|家《いえ》のために|食物《しょくもつ》を|供給《きょうきゅう》して、わたしの|望《のぞ》みをかなえてください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヒラムはソロモンにすべて|望《のぞ》みのように|香柏《こうはく》の|材木《ざいもく》と、いとすぎの|材木《ざいもく》を|与《あた》えた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またソロモンはヒラムにその|家《いえ》の|食物《しょくもつ》として|小麦《こむぎ》二万コルを|与《あた》え、またオリブをつぶして|取《と》った|油《あぶら》二万コルを|与《あた》えた。このようにソロモンは|年々《ねんねん》ヒラムに|与《あた》えた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|約束《やくそく》されたようにソロモンに|知恵《ちえ》を|賜《たま》わった。またヒラムとソロモンの|間《あいだ》は|平和《へいわ》であって、|彼《かれ》らふたりは|条約《じょうやく》を|結《むす》んだ。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》はイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》から|強制的《きょうせいてき》に|労働者《ろうどうしゃ》を|徴募《ちょうぼ》した。その|徴募《ちょうぼ》|人員《じんいん》は三万|人《にん》であった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|彼《かれ》らを一か|月《げつ》|交代《こうたい》に一万|人《にん》ずつレバノンにつかわした。すなわち一か|月《げつ》レバノンに、二か|月《げつ》|家《いえ》にあり、アドニラムは|徴募《ちょうぼ》の|監督《かんとく》であった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンにはまた|荷《に》を|負《お》う|者《もの》が七万|人《にん》、|山《やま》で|石《いし》を|切《き》る|者《もの》が八万|人《にん》あった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ほかにソロモンには|工事《こうじ》を|監督《かんとく》する|上役《うわやく》の|官吏《かんり》が三千三百|人《にん》あって、|工事《こうじ》に|働《はたら》く|民《たみ》を|監督《かんとく》した。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|命《めい》じて|大《おお》きい|高価《こうか》な|石《いし》を|切《き》り|出《だ》させ、|切《き》り|石《いし》をもって|宮《みや》の|基《もとい》をすえさせた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンの|建築者《けんちくしゃ》と、ヒラムの|建築者《けんちくしゃ》およびゲバルびとは|石《いし》を|切《き》り、|材木《ざいもく》と|石《いし》とを|宮《みや》を|建《た》てるために|備《そな》えた。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトの|地《ち》を|出《で》て|後《のち》四百八十|年《ねん》、ソロモンがイスラエルの|王《おう》となって|第《だい》四|年《ねん》のジフの|月《つき》すなわち二|月《がつ》に、ソロモンは|主《しゅ》のために|宮《みや》を|建《た》てることを|始《はじ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》が|主《しゅ》のために|建《た》てた|宮《みや》は|長《なが》さ六十キュビト、|幅《はば》二十キュビト、|高《たか》さ三十キュビトであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》の|拝殿《はいでん》の|前《まえ》の|廊《ろう》は|宮《みや》の|幅《はば》にしたがって|長《なが》さ二十キュビト、その|幅《はば》は|宮《みや》の|前《まえ》で十キュビトであった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|宮《みや》に、|内側《うちがわ》の|広《ひろ》い|枠《わく》の|窓《まど》を|造《つく》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|宮《みや》の|壁《かべ》につけて|周囲《しゅうい》に|脇屋《わきや》を|設《もう》け、|宮《みや》の|壁《かべ》すなわち|拝殿《はいでん》と|本殿《ほんでん》の|壁《かべ》の|周囲《しゅうい》に|建《た》てめぐらし、|宮《みや》の|周囲《しゅうい》に|脇間《わきま》があるようにした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|下《した》の|脇間《わきま》は|広《ひろ》さ五キュビト、|中《なか》の|広《ひろ》さ六キュビト、|第《だい》三のは|広《ひろ》さ七キュビトであった。|宮《みや》の|外側《そとがわ》には|壁《かべ》に|段《だん》を|造《つく》って、|梁《はり》を|宮《みや》の|壁《かべ》の|中《なか》に|差《さ》し|込《こ》まないようにした。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》は|建《た》てる|時《とき》に、|石《いし》|切《き》り|場《ば》で|切《き》り|整《ととの》えた|石《いし》をもって|造《つく》ったので、|建《た》てている|間《あいだ》は|宮《みや》のうちには、つちも、おのも、その|他《た》の|鉄器《てっき》もその|音《おと》が|聞《きこ》えなかった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|下《した》の|脇間《わきま》の|入口《いりぐち》は|宮《みや》の|右側《みぎがわ》にあり、|回《まわ》り|階段《かいだん》によって|中《なか》の|脇間《わきま》に、|中《なか》の|脇間《わきま》から|第《だい》三の|脇間《わきま》にのぼった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》は|宮《みや》を|建《た》て|終《おわ》り、|香柏《こうはく》のたるきと|板《いた》をもって|宮《みや》の|天井《てんじょう》を|造《つく》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|宮《みや》につけて、おのおの|高《たか》さ五キュビトの|脇間《わきま》のある|脇屋《わきや》を|建《た》てめぐらし、|香柏《こうはく》の|材木《ざいもく》をもって|宮《みや》に|接続《せつぞく》させた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》の|言葉《ことば》がソロモンに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたが|建《た》てるこの|宮《みや》については、もしあなたがわたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》み、おきてを|行《おこな》い、すべての|戒《いまし》めを|守《まも》り、それに|従《したが》って|歩《あゆ》むならば、わたしはあなたの|父《ちち》ダビデに|約束《やくそく》したことを|成就《じょうじゅ》する。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしはイスラエルの|人々《ひとびと》のうちに|住《す》み、わたしの|民《たみ》イスラエルを|捨《す》てることはない」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンは|宮《みや》を|建《た》て|終《おわ》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|香柏《こうはく》の|板《いた》をもって|宮《みや》の|壁《かべ》の|内側《うちがわ》を|張《は》った。すなわち|宮《みや》の|床《ゆか》から|天井《てんじょう》のたるきまで|香柏《こうはく》の|板《いた》で|張《は》った。また、いとすぎの|板《いた》をもって|宮《みや》の|床《ゆか》を|張《は》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|宮《みや》の|奥《おく》に二十キュビトの|室《しつ》を|床《ゆか》から|天井《てんじょう》のたるきまで|香柏《こうはく》の|板《いた》をもって|造《つく》った。すなわち|宮《みや》の|内《うち》に|至聖所《しせいじょ》としての|本堂《ほんどう》を|造《つく》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》すなわち|本殿《ほんでん》の|前《まえ》にある|拝殿《はいでん》は|長《なが》さ四十キュビトであった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》の|内《うち》|側《がわ》の|香柏《こうはく》の|板《いた》は、ひさごの|形《かたち》と、|咲《さ》いた|花《はな》を|浮彫《うきぼり》りにしたもので、みな|香柏《こうはく》の|板《いた》で、|石《いし》は|見《み》えなかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》を|置《お》くために、|宮《みや》の|内《うち》の|奥《おく》に|本殿《ほんでん》を|設《もう》けた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|本殿《ほんでん》は|長《なが》さ二十キュビト、|幅《はば》二十キュビト、|高《たか》さ二十キュビトであって、|純金《じゅんきん》でこれをおおった。また|香柏《こうはく》の|祭壇《さいだん》を|造《つく》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|純金《じゅんきん》をもって|宮《みや》の|内《うち》|側《がわ》をおおい、|本殿《ほんでん》の|前《まえ》に|金《きん》の|鎖《くさり》をもって|隔《へだ》てを|造《つく》り、|金《きん》をもってこれをおおった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》をもって|残《のこ》らず|宮《みや》をおおい、ついに|宮《みや》を|飾《かざ》ることをことごとく|終《お》えた。また|本殿《ほんでん》に|属《ぞく》する|祭壇《さいだん》をことごとく|金《きん》でおおった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|本殿《ほんでん》のうちにオリブの|木《き》をもって二つのケルビムを|造《つく》った。その|高《たか》さはおのおの十キュビト。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そのケルブの一つの|翼《つばさ》の|長《なが》さは五キュビト、またそのケルブの|他《た》の|翼《つばさ》の|長《なが》さも五キュビトであった。一つの|翼《つばさ》の|端《はし》から|他《た》の|翼《つばさ》の|端《はし》までは十キュビトあった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|他《た》のケルブも十キュビトであって、二つのケルビムは|同《おな》じ|寸法《すんぽう》、|同《おな》じ|形《かたち》であった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]このケルブの|高《たか》さは十キュビト、かのケルブの|高《たか》さも|同《おな》じであった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|宮《みや》のうちの|奥《おく》にケルビムをすえた。ケルビムの|翼《つばさ》を|伸《の》ばしたところ、このケルブの|翼《つばさ》はこの|壁《かべ》に|達《たっ》し、かのケルブの|翼《つばさ》はかの|壁《かべ》に|達《たっ》し、|他《た》の二つの|翼《つばさ》は|宮《みや》の|中《なか》で|互《たがい》に|触《ふ》れ|合《あ》った。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|金《きん》をもってそのケルビムをおおった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|宮《みや》の|周囲《しゅうい》の|壁《かべ》に、|内外《ないがい》の|室《しつ》とも|皆《みな》ケルビムと、しゅろの|木《き》と、|咲《さ》いた|花《はな》の|形《かたち》の|彫《ほ》り|物《もの》を|刻《きざ》み、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》の|床《ゆか》は、|内外《ないがい》の|室《しつ》とも|金《きん》でおおった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|本殿《ほんでん》の|入口《いりぐち》にはオリブの|木《き》のとびらを|造《つく》った。そのとびらの|上《うえ》のかまちと|脇《わき》|柱《ばしら》とで五|辺《へん》|形《けい》をなしていた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その二つのとびらもオリブの|木《き》であって、ソロモンはその|上《うえ》にケルビムと、しゅろの|木《き》と、|咲《さ》いた|花《はな》の|形《かたち》を|刻《きざ》み、|金《きん》をもっておおった。すなわちケルビムと、しゅろの|木《き》の|上《うえ》に|金《きん》を|着《き》せた。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンはまた|拝殿《はいでん》の|入口《いりぐち》のためにオリブの|木《き》で|四角《しかく》の|形《かたち》に|脇《わき》|柱《ばしら》を|造《つく》った。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その二つのとびらはいとすぎであって、一つのとびらは二つにたたむ|折《お》り|戸《と》であり、|他《た》のとびらも二つにたたむ|折《お》り|戸《と》であった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはその|上《うえ》にケルビムと、しゅろの|木《き》と、|咲《さ》いた|花《はな》を|刻《きざ》み、|金《きん》をもって|彫《ほ》り|物《もの》の|上《うえ》を|形《かたち》どおりにおおった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]また|切《き》り|石《いし》三かさねと、|香柏《こうはく》の|角材《かくざい》ひとかさねとをもって|内庭《うちにわ》を|造《つく》った。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四|年《ねん》のジフの|月《つき》に|主《しゅ》の|宮《みや》の|基《もとい》をすえ、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十一|年《ねん》のブルの|月《つき》すなわち八|月《がつ》に、|宮《みや》のすべての|部分《ぶぶん》が|設計《せっけい》どおりに|完成《かんせい》した。ソロモンはこれを|建《た》てるのに七|年《ねん》を|要《よう》した。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]またソロモンは|自分《じぶん》の|家《いえ》を|建《た》てたが、十三|年《ねん》かかってその|家《いえ》を|全部《ぜんぶ》|建《た》て|終《おわ》った。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はレバノンの|森《もり》の|家《いえ》を|建《た》てた。|長《なが》さ百キュビト、|幅《はば》五十キュビト、|高《たか》さ三十キュビトで、三|列《れつ》の|香柏《こうはく》の|柱《はしら》があり、その|柱《はしら》の|上《うえ》に|香柏《こうはく》の|梁《はり》があった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]四十五|本《ほん》の|柱《はしら》の|上《うえ》にある|室《しつ》は|香柏《こうはく》の|板《いた》でおおった。|柱《はしら》は|各《かく》|列《れつ》十五|本《ほん》あった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|窓《まど》わくが三|列《れつ》あって、|窓《まど》と|窓《まど》と三|段《だん》に|向《む》かい|合《あ》っていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|戸口《とぐち》と|窓《まど》はみな|四角《しかく》の|枠《わく》をもち、|窓《まど》と|窓《まど》と三|段《だん》に|向《む》かい|合《あ》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|柱《はしら》の|広間《ひろま》を|造《つく》った。|長《なが》さ五十キュビト、|幅《はば》三十キュビトであった。|柱《はしら》の|前《まえ》に一つの|広間《ひろま》があり、その|玄関《げんかん》に|柱《はしら》とひさしがあった。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またソロモンはみずから|審判《しんぱん》をするために|玉座《ぎょくざ》の|広間《ひろま》、すなわち|審判《しんぱん》の|広間《ひろま》を|造《つく》った。|床《ゆか》からたるきまで|香柏《こうはく》をもっておおった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|住《す》んだ|宮殿《きゅうでん》はその|広間《ひろま》のうしろの|他《た》の|庭《にわ》にあって、その|造作《ぞうさ》は|同《おな》じであった。ソロモンはまた|彼《かれ》がめとったパロの|娘《むすめ》のために|家《いえ》を|建《た》てたが、その|広間《ひろま》と|同《おな》じであった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これらはみな|内外《ないがい》とも、|土台《どだい》から|軒《のき》まで、また|主《しゅ》の|宮《みや》の|庭《にわ》から|大庭《おおにわ》まで、|寸法《すんぽう》に|合《あ》わせて|切《き》った|石《いし》、すなわち、のこぎりでひいた|高価《こうか》な|石《いし》で|造《つく》られた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|土台《どだい》は|高価《こうか》な|石《いし》、|大《おお》きな|石《いし》、すなわち八キュビトの|石《いし》、十キュビトの|石《いし》であった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》には|寸法《すんぽう》に|合《あ》わせて|切《き》った|高価《こうか》な|石《いし》と|香柏《こうはく》とがあった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|大庭《おおにわ》の|周囲《しゅうい》には三かさねの|切《き》り|石《いし》と、一かさねの|香柏《こうはく》の|角材《かくざい》があった。|主《しゅ》の|宮《みや》の|内《うち》|庭《にわ》と|宮殿《きゅうでん》の|広間《ひろま》の|庭《にわ》の|場合《ばあい》と|同《おな》じである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》は|人《ひと》をつかわしてツロからヒラムを|呼《よ》んできた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はナフタリの|部族《ぶぞく》の|寡婦《かふ》の|子《こ》であって、その|父《ちち》はツロの|人《ひと》で、|青銅《せいどう》の|細工人《さいくにん》であった。ヒラムは|青銅《せいどう》のいろいろな|細工《さいく》をする|知恵《ちえ》と|悟《さと》りと|知識《ちしき》に|満《み》ちた|者《もの》であったが、ソロモン|王《おう》のところにきて、そのすべての|細工《さいく》をした。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|青銅《せいどう》の|柱《はしら》二|本《ほん》を|鋳《い》た。一|本《ぽん》の|柱《はしら》の|高《たか》さは十八キュビト、そのまわりは|綱《つな》をもって|測《はか》ると十二キュビトあり、|指《ゆび》四|本《ほん》の|厚《あつ》さで|空洞《くうどう》であった。|他《た》の|柱《はしら》も|同《おな》じである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|青銅《せいどう》を|溶《と》かして|柱頭《ちゅうとう》二つを|造《つく》り、|柱《はしら》の|頂《いただき》にすえた。その一つの|柱頭《ちゅうとう》の|高《たか》さは五キュビト、|他《た》の|柱頭《ちゅうとう》の|高《たか》さも五キュビトであった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》のために|鎖《くさり》に|編《あ》んだ|飾《かざ》りひもで|市松《いちまつ》|模様《もよう》の|網《あみ》|細工《ざいく》二つを|造《つく》った。すなわちこの|柱頭《ちゅうとう》のために一つ、かの|柱頭《ちゅうとう》のために一つを|造《つく》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またざくろを|造《つく》った。すなわち二|並《なら》びのざくろを一つの|網《あみ》|細工《ざいく》の|上《うえ》のまわりに|造《つく》って、|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》を|巻《ま》いた。|他《た》の|柱頭《ちゅうとう》にも|同《おな》じようにした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]この|廊《ろう》の|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》の|上《うえ》に四キュビトのゆりの|花《はな》の|細工《さいく》があった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]二つの|柱《はしら》の|上端《じょうたん》の|丸《まる》い|突出《とっしゅつ》|部《ぶ》の|上《うえ》にある|網《あみ》|細工《ざいく》の|柱頭《ちゅうとう》の|周囲《しゅうい》には、おのおの二百のざくろが二|並《なら》びになっていた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]この|柱《はしら》を|神殿《しんでん》の|廊《ろう》に|立《た》てた。すなわち|南《みなみ》に|柱《はしら》を|立《た》てて、その|名《な》をヤキンと|名《な》づけ、|北《きた》に|柱《はしら》を|立《た》てて、その|名《な》をボアズと|名《な》づけた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|柱《はしら》の|頂《いただき》にはゆりの|花《はな》の|細工《さいく》があった。こうしてその|柱《はしら》の|造作《ぞうさ》ができあがった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また|海《うみ》を|鋳《い》て|造《つく》った。|縁《ふち》から|縁《ふち》まで十キュビトであって、|周囲《しゅうい》は|円形《えんけい》をなし、|高《たか》さ五キュビトで、その|周囲《しゅうい》は|綱《つな》をもって|測《はか》ると三十キュビトであった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|縁《ふち》の|下《した》には三十キュビトの|周囲《しゅうい》をめぐるひさごがあって、|海《うみ》の|周囲《しゅうい》を|囲《かこ》んでいた。そのひさごは二|並《なら》びで、|海《うみ》を|鋳《い》る|時《とき》に|鋳《い》たものである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|海《うみ》は十二の|牛《うし》の|上《うえ》に|置《お》かれ、その三つは|北《きた》に|向《む》かい、三つは|西《にし》に|向《む》かい、三つは|南《みなみ》に|向《む》かい、三つは|東《ひがし》に|向《む》かっていた。|海《うみ》はその|上《うえ》に|置《お》かれ、|牛《うし》のうしろは|皆《みな》|内《うち》に|向《む》かっていた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|厚《あつ》さは|手《て》の|幅《はば》で、その|縁《ふち》は|杯《はい》の|縁《ふち》のように、ゆりの|花《はな》に|似《に》せて|造《つく》られた。|海《うみ》には|水《みず》が二千バテはいった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|青銅《せいどう》の|台《だい》を十|個《こ》|造《つく》った。|台《だい》は|長《なが》さ四キュビト、|幅《はば》四キュビト、|高《たか》さ三キュビトであった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|台《だい》の|構造《こうぞう》は|次《つぎ》のとおりである。|台《だい》には|鏡板《かがみいた》があり、|鏡板《かがみいた》は|枠《わく》の|中《なか》にあった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|枠《わく》の|中《なか》にある|鏡板《かがみいた》には、ししと|牛《うし》とケルビムとがあり、また、ししと|牛《うし》の|上《うえ》と|下《した》にある|枠《わく》の|斜面《しゃめん》には|花《はな》|飾《かざ》りが|細工《さいく》してあった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]また|台《だい》にはおのおの四つの|青銅《せいどう》の|車輪《しゃりん》と、|青銅《せいどう》の|車軸《しゃじく》があり、その四すみには|洗盤《せんばん》のささえがあった。そのささえは、おのおの|花《はな》|飾《かざ》りのかたわらに|鋳《い》て|造《つく》りつけてあった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|口《くち》は一キュビト|上《うえ》に|突《つ》き|出《で》て、|台《だい》の|頂《いただき》の|内《うち》にあり、その|口《くち》は|丸《まる》く、|台座《だいざ》のように|造《つく》られ、|深《ふか》さ一キュビト|半《はん》であった。またその|口《くち》には|彫《ほ》り|物《もの》があった。その|鏡板《かがみいた》は|四角《しかく》で、|丸《まる》くなかった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]四つの|車輪《しゃりん》は|鏡板《かがみいた》の|下《した》にあり、|車軸《しゃじく》は|台《だい》に|取《と》り|付《つ》けてあり、|車輪《しゃりん》の|高《たか》さはおのおの一キュビト|半《はん》であった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|車輪《しゃりん》の|構造《こうぞう》は|戦車《せんしゃ》の|車輪《しゃりん》の|構造《こうぞう》と|同《おな》じで、その|車軸《しゃじく》と|縁《ふち》と|輻《や》と|轂《こしき》とはみな|鋳物《いもの》であった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]おのおのの|台《だい》の四すみに四つのささえがあり、そのささえは|台《だい》の|一部《いちぶ》をなしていた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|台《だい》の|上《うえ》には|高《たか》さ|半《はん》キュビトの|丸《まる》い|帯《おび》|輪《わ》があった。そして|台《だい》の|上《うえ》にあるその|支柱《しちゅう》と|鏡板《かがみいた》とはその|一部《いちぶ》をなしていた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]その|支柱《しちゅう》の|表面《ひょうめん》と|鏡板《かがみいた》にはそれぞれの|場所《ばしょ》に、ケルビムと、ししと、しゅろを|刻《きざ》み、またその|周囲《しゅうい》に|花《はな》|飾《かざ》りを|施《ほどこ》した。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]このようにして十|個《こ》の|台《だい》を|造《つく》った。それはみな|同《おな》じ|鋳方《いかた》、|同《おな》じ|寸法《すんぽう》、|同《おな》じ|形《かたち》であった。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]また|青銅《せいどう》の|洗盤《せんばん》を十|個《こ》|造《つく》った。|洗盤《せんばん》はおのおの四十バテの|水《みず》がはいり、|洗盤《せんばん》はおのおの四キュビトであった。十|個《こ》の|台《だい》の|上《うえ》にはおのおの一つずつの|洗盤《せんばん》があった。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]その|台《だい》の五|個《こ》を|宮《みや》の|南《みなみ》の|方《ほう》に、五|個《こ》を|宮《みや》の|北《きた》の|方《ほう》に|置《お》き、|宮《みや》の|東南《とうなん》の|方《ほう》に|海《うみ》をすえた。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ヒラムはまたつぼと|十能《じゅうのう》と|鉢《はち》を|造《つく》った。こうしてヒラムはソロモン|王《おう》のために|主《しゅ》の|宮《みや》のすべての|細工《さいく》をなし|終《お》えた。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち二|本《ほん》の|柱《はしら》と、その|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》の二つの|玉《たま》と、|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》の二つの|玉《たま》をおおう二つの|網《あみ》|細工《ざいく》と、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]その二つの|網《あみ》|細工《ざいく》のためのざくろ四百。このざくろは一つの|網《あみ》|細工《ざいく》に、二|並《なら》びにつけて、|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》の二つの|玉《たま》を|巻《ま》いた。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]また十|個《こ》の|台《だい》と、その|台《だい》の|上《うえ》の十|個《こ》の|洗盤《せんばん》と、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]一つの|海《うみ》と、その|海《うみ》の|下《した》の十二の|牛《うし》とであった。  [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]さてつぼと|十能《じゅうのう》と|鉢《はち》、すなわちヒラムがソロモン|王《おう》のために|造《つく》った|主《しゅ》の|宮《みや》のこれらの|器《うつわ》はみな|光《ひかり》のある|青銅《せいどう》であった。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はヨルダンの|低地《ていち》で、スコテとザレタンの|間《あいだ》の|粘土《ねんど》の|地《ち》でこれらを|鋳《い》た。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはその|器《うつわ》が|非常《ひじょう》に|多《おお》かったので、|皆《みな》それをはからずにおいた。その|青銅《せいどう》の|重《おも》さは、はかり|得《え》なかった。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]またソロモンは|主《しゅ》の|宮《みや》にあるもろもろの|器《うつわ》を|造《つく》った。すなわち|金《きん》の|祭壇《さいだん》と、|供《そな》えのパンを|載《の》せる|金《きん》の|机《つくえ》、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]および|純金《じゅんきん》の|燭台《しょくだい》。この|燭台《しょくだい》は|本殿《ほんでん》の|前《まえ》に、五つは|南《みなみ》に、五つは|北《きた》にあった。また|金《きん》の|花《はな》と、ともしび|皿《さら》と、|心《こころ》かきと、[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]|純金《じゅんきん》の|皿《さら》と、|心切《しんき》りばさみと、|鉢《はち》と、|香《こう》の|杯《はい》と、|心取《しんと》り|皿《ざら》と、|至聖所《しせいじょ》である|宮《みや》の|奥《おく》のとびらのためおよび、|宮《みや》の|拝殿《はいでん》のとびらのために、|金《きん》のひじつぼを|造《つく》った。  [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモン|王《おう》が|主《しゅ》の|宮《みや》のために|造《つく》るすべての|細工《さいく》は|終《おわ》った。そしてソロモンは|父《ちち》ダビデがささげた|物《もの》、すなわち|金銀《きんぎん》および|器物《うつわもの》を|携《たずさ》え|入《はい》り、|主《しゅ》の|宮《みや》の|宝蔵《ほうぞう》の|中《なか》にたくわえた。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をダビデの|町《まち》、すなわちシオンからかつぎ|上《のぼ》ろうとして、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちと、すべての|部族《ぶぞく》のかしらたちと、イスラエルの|人々《ひとびと》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちをエルサレムでソロモン|王《おう》のもとに|召《め》し|集《あつ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人《ひと》は|皆《みな》エタニムの|月《つき》すなわち七|月《がつ》の|祭《まつり》にソロモン|王《おう》のもとに|集《あつ》まった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|長老《ちょうろう》たちが|皆《みな》|来《き》たので、|祭司《さいし》たちは|箱《はこ》を|取《と》りあげた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|箱《はこ》と、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と、|幕屋《まくや》にあるすべての|聖《せい》なる|器《うつわ》をかつぎ|上《のぼ》った。すなわち|祭司《さいし》とレビびとがこれらの|物《もの》をかつぎ|上《のぼ》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》および|彼《かれ》のもとに|集《あつ》まったイスラエルの|会衆《かいしゅう》は|皆《みな》|彼《かれ》と|共《とも》に|箱《はこ》の|前《まえ》で、|羊《ひつじ》と|牛《うし》をささげたが、その|数《かず》が|多《おお》くて|調《しら》べることも|数《かぞ》えることもできなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちは|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をその|場所《ばしょ》にかつぎ|入《い》れた。すなわち|宮《みや》の|本殿《ほんでん》である|至聖所《しせいじょ》のうちのケルビムの|翼《つばさ》の|下《した》に|置《お》いた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ケルビムは|翼《つばさ》を|箱《はこ》の|所《ところ》に|伸《の》べていたので、ケルビムは|上《うえ》から|箱《はこ》とそのさおをおおった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さおは|長《なが》かったので、さおの|端《はし》が|本殿《ほんでん》の|前《まえ》の|聖所《せいじょ》から|見《み》えた。しかし|外《そと》には|見《み》えなかった。そのさおは|今日《こんにち》までそこにある。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|箱《はこ》の|内《うち》には二つの|石《いし》の|板《いた》のほか|何《なに》もなかった。これはイスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトの|地《ち》から|出《で》たとき、|主《しゅ》が|彼《かれ》らと|契約《けいやく》を|結《むす》ばれたときに、モーセがホレブで、それに|納《おさ》めたものである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》たちが|聖所《せいじょ》から|出《で》たとき、|雲《くも》が|主《しゅ》の|宮《みや》に|満《み》ちたので、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちは|雲《くも》のために|立《た》って|仕《つか》えることができなかった。|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|主《しゅ》の|宮《みや》に|満《み》ちたからである。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでソロモンは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》は|日《ひ》を|天《てん》に|置《お》かれた。 しかも|主《しゅ》は|自《みずか》ら|濃《こ》き|雲《くも》の|中《なか》に|住《す》まおうと|言《い》われた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのために|高《たか》き|家《いえ》、 とこしえのみすまいを|建《た》てた」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|身《み》をめぐらして、イスラエルのすべての|会衆《かいしゅう》を|祝福《しゅくふく》した。その|時《とき》イスラエルのすべての|会衆《かいしゅう》は|立《た》っていた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はその|口《くち》をもってわたしの|父《ちち》ダビデに|約束《やくそく》されたことを、その|手《て》をもってなし|遂《と》げられた。|主《しゅ》は|言《い》われた、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]『わが|民《たみ》イスラエルをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》した|日《ひ》から、わたしはわたしの|名《な》を|置《お》くべき|宮《みや》を|建《た》てるために、イスラエルのもろもろの|部族《ぶぞく》のうちから、どの|町《まち》をも|選《えら》んだことがなかった。ただダビデを|選《えら》んで、わが|民《たみ》イスラエルの|上《うえ》に|立《た》たせた』と。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために|宮《みや》を|建《た》てることは、わたしの|父《ちち》ダビデの|心《こころ》にあった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はわたしの|父《ちち》ダビデに|言《い》われた、『わたしの|名《な》のために|宮《みや》を|建《た》てることはあなたの|心《こころ》にあった。あなたの|心《こころ》にこの|事《こと》のあったのは|結構《けっこう》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]けれどもあなたはその|宮《みや》を|建《た》ててはならない。あなたの|身《み》から|出《で》るあなたの|子《こ》がわたしの|名《な》のために|宮《みや》を|建《た》てるであろう』と。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はその|言《い》われた|言葉《ことば》を|行《おこな》われた。すなわちわたしは|父《ちち》ダビデに|代《かわ》って|立《た》ち、|主《しゅ》が|言《い》われたように、イスラエルの|位《くらい》に|座《ざ》し、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために|宮《みや》を|建《た》てた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたそこに|主《しゅ》の|契約《けいやく》を|納《おさ》めた|箱《はこ》のために一つの|場所《ばしょ》を|設《もう》けた。その|契約《けいやく》は|主《しゅ》がわれわれの|先祖《せんぞ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》された|時《とき》に、|彼《かれ》らと|結《むす》ばれたものである」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》で、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|前《まえ》に|立《た》ち、|手《て》を|天《てん》に|伸《の》べて、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、|上《うえ》の|天《てん》にも、|下《した》の|地《ち》にも、あなたのような|神《かみ》はありません。あなたは|契約《けいやく》を|守《まも》られ、|心《こころ》をつくしてあなたの|前《まえ》に|歩《あゆ》むあなたのしもべらに、いつくしみを|施《ほどこ》し、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべであるわたしの|父《ちち》ダビデに|約束《やくそく》されたことを|守《まも》られました。あなたが|口《くち》をもって|約束《やくそく》されたことを、|手《て》をもってなし|遂《と》げられたことは、|今日《こんにち》|見《み》るとおりであります。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたのしもべであるわたしの|父《ちち》ダビデに、あなたが|約束《やくそく》して『おまえがわたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》んだように、おまえの|子孫《しそん》が、その|道《みち》を|慎《つつし》んで、わたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》むならば、おまえにはイスラエルの|位《くらい》に|座《ざ》する|人《ひと》が、わたしの|前《まえ》に|欠《か》けることはないであろう』と|言《い》われたことを、ダビデのために|守《まも》ってください。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》よ、どうぞ、あなたのしもべであるわたしの|父《ちち》ダビデに|言《い》われた|言葉《ことば》を|確認《かくにん》してください。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》は、はたして|地上《ちじょう》に|住《す》まわれるでしょうか。|見《み》よ、|天《てん》も、いと|高《たか》き|天《てん》もあなたをいれることはできません。ましてわたしの|建《た》てたこの|宮《みや》はなおさらです。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかしわが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、しもべの|祈《いのり》と|願《ねが》いを|顧《かえり》みて、しもべがきょう、あなたの|前《まえ》にささげる|叫《さけ》びと|祈《いのり》をお|聞《き》きください。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたが『わたしの|名《な》をそこに|置《お》く』と|言《い》われた|所《ところ》、すなわち、この|宮《みや》に|向《む》かって|夜昼《よるひる》あなたの|目《め》をお|開《ひら》きください。しもべがこの|所《ところ》に|向《む》かって|祈《いの》る|祈《いのり》をお|聞《き》きください。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しもべと、あなたの|民《たみ》イスラエルがこの|所《ところ》に|向《む》かって|祈《いの》る|時《とき》に、その|願《ねが》いをお|聞《き》きください。あなたのすみかである|天《てん》で|聞《き》き、|聞《き》いておゆるしください。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がその|隣《とな》り|人《びと》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》し、|誓《ちか》いをすることを|求《もと》められる|時《とき》、|来《き》てこの|宮《みや》であなたの|祭壇《さいだん》の|前《まえ》に|誓《ちか》うならば、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》で|聞《き》いて|行《おこな》い、あなたのしもべらをさばき、|悪人《あくにん》を|罰《ばっ》して、そのおこないの|報《むく》いをそのこうべに|帰《き》し、|義人《ぎじん》を|義《ぎ》として、その|義《ぎ》にしたがって、その|人《ひと》に|報《むく》いてください。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|民《たみ》イスラエルが、あなたに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》したために|敵《てき》の|前《まえ》に|敗《やぶ》れた|時《とき》、あなたに|立《た》ち|返《かえ》って、あなたの|名《な》をあがめ、この|宮《みや》であなたに|祈《いの》り|願《ねが》うならば、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》にあって|聞《き》き、あなたの|民《たみ》イスラエルの|罪《つみ》をゆるして、あなたが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》に|賜《たま》わった|地《ち》に|彼《かれ》らを|帰《かえ》らせてください。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らがあなたに|罪《つみ》を|犯《おか》したために、|天《てん》が|閉《と》ざされて|雨《あめ》がなく、あなたが|彼《かれ》らを|苦《くる》しめられる|時《とき》、|彼《かれ》らがこの|所《ところ》に|向《む》かって|祈《いの》り、あなたの|名《な》をあがめ、その|罪《つみ》を|離《はな》れるならば、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》で|聞《き》き、あなたのしもべ、あなたの|民《たみ》イスラエルの|罪《つみ》をゆるし、|彼《かれ》らに|歩《あゆ》むべき|良《よ》い|道《みち》を|教《おし》えて、あなたが、あなたの|民《たみ》に|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えられた|地《ち》に|雨《あめ》を|降《ふ》らせてください。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]もし|国《くに》にききんがあるか、もしくは|疫病《えきびょう》、|立《た》ち|枯《が》れ、|腐《くさ》り|穂《ほ》、いなご、|青虫《あおむし》があるか、もしくは|敵《てき》のために|町《まち》の|中《なか》に|攻《せ》め|囲《かこ》まれることがあるか、どんな|災害《さいがい》、どんな|病気《びょうき》があっても、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]もし、だれでも、あなたの|民《たみ》イスラエルがみな、おのおのその|心《こころ》の|悩《なや》みを|知《し》って、この|宮《みや》に|向《む》かい、|手《て》を|伸《の》べるならば、どんな|祈《いのり》、どんな|願《ねが》いでも、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あなたのすみかである|天《てん》で|聞《き》いてゆるし、かつ|行《おこな》い、おのおのの|人《ひと》に、その|心《こころ》を|知《し》っておられるゆえ、そのすべての|道《みち》にしたがって|報《むく》いてください。ただ、あなただけ、すべての|人《ひと》の|心《こころ》を|知《し》っておられるからです。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、われわれの|先祖《せんぞ》に|賜《たま》わった|地《ち》に、|彼《かれ》らの|生《い》きながらえる|日《ひ》の|間《あいだ》、|常《つね》にあなたを|恐《おそ》れさせてください。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|民《たみ》イスラエルの|者《もの》でなく、あなたの|名《な》のために|遠《とお》い|国《くに》から|来《く》る|異邦人《いほうじん》が、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]――それは|彼《かれ》らがあなたの|大《おお》いなる|名《な》と、|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》べた|腕《うで》とについて|聞《き》き|及《およ》ぶからです、――もしきて、この|宮《みや》に|向《む》かって|祈《いの》るならば、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あなたのすみかである|天《てん》で|聞《き》き、すべて|異邦人《いほうじん》があなたに|呼《よ》び|求《もと》めることをかなえさせてください。そうすれば、|地《ち》のすべての|民《たみ》は、あなたの|民《たみ》イスラエルのように、あなたの|名《な》を|知《し》り、あなたを|恐《おそ》れ、またわたしが|建《た》てたこの|宮《みや》があなたの|名《な》によって|呼《よ》ばれることを|知《し》るにいたるでしょう。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》が|敵《てき》と|戦《たたか》うために、あなたがつかわされる|道《みち》を|通《とお》って|出《で》て|行《い》くとき、もし|彼《かれ》らがあなたの|選《えら》ばれた|町《まち》、わたしがあなたの|名《な》のために|建《た》てた|宮《みや》の|方《ほう》に|向《む》かって、|主《しゅ》に|祈《いの》るならば、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》で、|彼《かれ》らの|祈《いのり》と|願《ねが》いを|聞《き》いて|彼《かれ》らをお|助《たす》けください。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがあなたに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》すことがあって、――|人《ひと》は|罪《つみ》を|犯《おか》さない|者《もの》はないのです、――あなたが|彼《かれ》らを|怒《いか》り、|彼《かれ》らを|敵《てき》にわたし、|敵《てき》が|彼《かれ》らを|捕虜《ほりょ》として|遠近《えんきん》にかかわらず、|敵《てき》の|地《ち》に|引《ひ》いて|行《い》く|時《とき》、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らが|捕《とら》われていった|地《ち》で、みずから|省《かえり》みて|悔《く》い、|自分《じぶん》を|捕《とら》えていった|者《もの》の|地《ち》で、あなたに|願《ねが》い、『われわれは|罪《つみ》を|犯《おか》しました、そむいて|悪《あく》を|行《おこな》いました』と|言《い》い、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》を|捕《とら》えていった|敵《てき》の|地《ち》で、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくしてあなたに|立《た》ち|返《かえ》り、あなたが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えられた|地《ち》、あなたが|選《えら》ばれた|町《まち》、わたしがあなたの|名《な》のために|建《た》てた|宮《みや》の|方《ほう》に|向《む》かって、あなたに|祈《いの》るならば、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのすみかである|天《てん》で、|彼《かれ》らの|祈《いのり》と|願《ねが》いを|聞《き》いて、|彼《かれ》らを|助《たす》け、[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》が、あなたに|対《たい》して|犯《おか》した|罪《つみ》と、あなたに|対《たい》して|行《い》ったすべてのあやまちをゆるし、|彼《かれ》らを|捕《とら》えていった|者《もの》の|前《まえ》で、|彼《かれ》らにあわれみを|得《え》させ、その|人々《ひとびと》が|彼《かれ》らをあわれむようにしてください。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり](|彼《かれ》らはあなたがエジプトから、|鉄《てつ》のかまどの|中《なか》から|導《みちび》き|出《だ》されたあなたの|民《たみ》、あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》であるからです)。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、しもべの|願《ねが》いと、あなたの|民《たみ》イスラエルの|願《ねが》いに、あなたの|目《め》を|開《ひら》き、すべてあなたに|呼《よ》び|求《もと》める|時《とき》、|彼《かれ》らの|願《ねが》いをお|聞《き》きください。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らを|地《ち》のすべての|民《たみ》のうちから|区《く》|別《べっ》して、あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》とされたからです。|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたがわれわれの|先祖《せんぞ》をエジプトから|導《みちび》き|出《だ》された|時《とき》、モーセによって|言《い》われたとおりです」。  [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはこの|祈《いのり》と|願《ねが》いをことごとく|主《しゅ》にささげ|終《おわ》ると、それまで|天《てん》に|向《む》かって|手《て》を|伸《の》べ、ひざまずいていた|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|前《まえ》から|立《た》ちあがり、[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》って|大声《おおごえ》でイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を|祝福《しゅくふく》して|言《い》った、[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はすべて|約束《やくそく》されたように、その|民《たみ》イスラエルに|太平《たいへい》を|賜《たま》わった。そのしもべモーセによって|仰《おお》せられたその|良《よ》き|約束《やくそく》は|皆《みな》一つもたがわなかった。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》がわれわれの|先祖《せんぞ》と|共《とも》におられたように、われわれと|共《とも》におられるように。われわれを|離《はな》れず、またわれわれを|見捨《みす》てられないように。[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|心《こころ》を|主《しゅ》に|傾《かたむ》けて、|主《しゅ》のすべての|道《みち》に|歩《あゆ》ませ、われわれの|先祖《せんぞ》に|命《めい》じられた|戒《いまし》めと|定《さだ》めと、おきてとを|守《まも》らせられるように。[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|前《まえ》にわたしが|述《の》べたこれらの|願《ねが》いの|言葉《ことば》が、|日夜《にちや》われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|覚《おぼ》えられるように。そして|主《しゅ》は|日々《ひび》の|事《こと》に、しもべを|助《たす》け、|主《しゅ》の|民《たみ》イスラエルを|助《たす》けられるように。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、|地《ち》のすべての|民《たみ》は|主《しゅ》が|神《かみ》であることと、|他《ほか》に|神《かみ》のないことを|知《し》るに|至《いた》るであろう。[#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは、|今日《こんにち》のようにわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|対《たい》して、|心《こころ》は|全《まった》く|真実《しんじつ》であり、|主《しゅ》の|定《さだ》めに|歩《あゆ》み、|主《しゅ》の|戒《いまし》めを|守《まも》らなければならない」。  [#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》および|王《おう》と|共《とも》にいるすべてのイスラエルびとは|主《しゅ》の|前《まえ》に|犠牲《ぎせい》をささげた。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|酬恩祭《しゅうおんさい》として|牛《うし》二万二千|頭《とう》、|羊《ひつじ》十二万|頭《とう》を|主《しゅ》にささげた。こうして|王《おう》とイスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》|主《しゅ》の|宮《みや》を|奉献《ほうけん》した。[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|王《おう》は|主《しゅ》の|宮《みや》の|前《まえ》にある|庭《にわ》の|中《なか》を|聖別《せいべつ》し、その|所《ところ》で|燔祭《はんさい》と|素祭《そさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》の|脂肪《しぼう》をささげた。これは|主《しゅ》の|前《まえ》にある|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》が|素祭《そさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》の|脂肪《しぼう》とを|受《う》けるに|足《た》りなかったからである。  [#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ソロモンは|七日《なぬか》の|間《あいだ》われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|祭《まつり》を|行《おこな》った。ハマテの|入口《いりぐち》からエジプトの|川《かわ》に|至《いた》るまでのすべてのイスラエルびとの|大《おお》いなる|会衆《かいしゅう》が|彼《かれ》と|共《とも》にいた。[#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]八|日《か》|目《め》にソロモンは|民《たみ》を|帰《かえ》らせた。|民《たみ》は|王《おう》を|祝福《しゅくふく》し、|主《しゅ》がそのしもべダビデと、その|民《たみ》イスラエルとに|施《ほどこ》されたもろもろの|恵《めぐ》みを|喜《よろこ》び、|心《こころ》に|楽《たの》しんでその|天幕《てんまく》に|帰《かえ》って|行《い》った。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》およびソロモンが|建《た》てようと|望《のぞ》んだすべてのものを|建《た》て|終《おわ》った|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はかつてギベオンでソロモンに|現《あらわ》れられたように|再《ふたた》び|現《あらわ》れて、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたが、わたしの|前《まえ》に|願《ねが》った|祈《いのり》と|願《ねが》いとを|聞《き》いた。わたしはあなたが|建《た》てたこの|宮《みや》を|聖別《せいべつ》して、わたしの|名《な》を|永久《えいきゅう》にそこに|置《お》く。わたしの|目《め》と、わたしの|心《こころ》は|常《つね》にそこにあるであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし、あなたの|父《ちち》ダビデが|歩《あゆ》んだように|全《まった》き|心《こころ》をもって|正《ただ》しくわたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》み、すべてわたしが|命《めい》じたようにおこなって、わたしの|定《さだ》めと、おきてとを|守《まも》るならば、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたの|父《ちち》ダビデに|約束《やくそく》して『イスラエルの|王位《おうい》にのぼる|人《ひと》があなたに|欠《か》けることはないであろう』と|言《い》ったように、あなたのイスラエルに|王《おう》たる|位《くらい》をながく|確保《かくほ》するであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがた、またはあなたがたの|子孫《しそん》がそむいてわたしに|従《したが》わず、わたしがあなたがたの|前《まえ》に|置《お》いた|戒《いまし》めと|定《さだ》めとを|守《まも》らず、|他《た》の|神々《かみがみ》に|行《い》って、それに|仕《つか》え、それを|拝《おが》むならば、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルを、わたしが|与《あた》えた|地《ち》のおもてから|断《た》つであろう。またわたしの|名《な》のために|聖別《せいべつ》した|宮《みや》をわたしの|前《まえ》から|投《な》げすてるであろう。そしてイスラエルはもろもろの|民《たみ》のうちにことわざとなり、|笑《わら》い|草《ぐさ》となるであろう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]かつ、この|宮《みや》は|荒塚《あらつか》となり、そのかたわらを|過《す》ぎる|者《もの》は|皆《みな》|驚《おどろ》き、うそぶいて『なにゆえ、|主《しゅ》はこの|地《ち》と、この|宮《みや》とにこのようにされたのか』と|言《い》うであろう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|人々《ひとびと》は|答《こた》えて『|彼《かれ》らは|自分《じぶん》の|先祖《せんぞ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てて、|他《た》の|神々《かみがみ》につき|従《したが》い、それを|拝《おが》み、それに|仕《つか》えたために、|主《しゅ》はこのすべての|災《わざわい》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|下《くだ》したのである』と|言《い》うであろう」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは二十|年《ねん》を|経《へ》て二つの|家《いえ》すなわち|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》とを|建《た》て|終《おわ》った|時《とき》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ツロの|王《おう》ヒラムがソロモンの|望《のぞ》みに|任《まか》せて|香柏《こうはく》と、いとすぎと、|金《きん》とを|供給《きょうきゅう》したので、ソロモン|王《おう》はガリラヤの|地《ち》の|町《まち》二十をヒラムに|与《あた》えた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしヒラムがツロから|来《き》て、ソロモンが|彼《かれ》に|与《あた》えた|町々《まちまち》を|見《み》たとき、それらは|彼《かれ》の|気《き》にいらなかったので、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、「|兄弟《きょうだい》よ、あなたがくださったこれらの|町々《まちまち》は、いったいなんですか」と|言《い》った。それで、そこは|今日《こんにち》までカブルの|地《ち》と|呼《よ》ばれている。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヒラムはかつて|金《きん》百二十タラントを|王《おう》に|贈《おく》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》が|強制的《きょうせいてき》に|労働者《ろうどうしゃ》を|徴募《ちょうぼ》したのはこうである。すなわち|主《しゅ》の|宮《みや》と|自分《じぶん》の|宮殿《きゅうでん》と、ミロとエルサレムの|城壁《じょうへき》と、ハゾルとメギドとゲゼルを|建《た》てるためであった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり](エジプトの|王《おう》パロはかつて|上《のぼ》ってきて、ゲゼルを|取《と》り、|火《ひ》でこれを|焼《や》き、その|町《まち》に|住《す》んでいたカナンびとを|殺《ころ》し、これをソロモンの|妻《つま》である|自分《じぶん》の|娘《むすめ》に|与《あた》えて|婚姻《こんいん》の|贈《おく》り|物《もの》としたので、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはそのゲゼルを|建《た》て|直《なお》した)。|また《また》|下《した》ベテホロンと、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]バアラテとユダの|国《くに》の|荒野《あらの》にあるタマル、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]およびソロモンが|持《も》っていた|倉庫《そうこ》の|町々《まちまち》、|戦車《せんしゃ》の|町々《まちまち》、|騎兵《きへい》の|町々《まちまち》ならびにソロモンがエルサレム、レバノンおよびそのすべての|領地《りょうち》において|建《た》てようと|望《のぞ》んだものをことごとく|建《た》てるためであった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すべてイスラエルの|子孫《しそん》でないアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの|残《のこ》った|者《もの》、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》にあって|彼《かれ》らのあとに|残《のこ》った|子孫《しそん》すなわちイスラエルの|人々《ひとびと》の|滅《ほろ》ぼしつくすことのできなかった|者《もの》を、ソロモンは|強制的《きょうせいてき》に|奴隷《どれい》として|徴募《ちょうぼ》をおこない、|今日《こんにち》に|至《いた》っている。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|人々《ひとびと》をソロモンはひとりも|奴隷《どれい》としなかった。|彼《かれ》らは|軍人《ぐんじん》、また|彼《かれ》の|役人《やくにん》、|司令《しれい》|官《かん》、|指揮《しき》|官《かん》、|戦車《せんしゃ》|隊長《たいちょう》、|騎兵隊《きへいたい》|長《ちょう》であったからである。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|工事《こうじ》を|監督《かんとく》する|上役《うわやく》の|官吏《かんり》は五百五十|人《にん》であって、|工事《こうじ》に|働《はたら》く|民《たみ》を|治《おさ》めた。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]パロの|娘《むすめ》はダビデの|町《まち》から|上《のぼ》って、ソロモンが|彼女《かのじょ》のために|建《た》てた|家《いえ》に|住《す》んだ。その|時《とき》ソロモンはミロを|建《た》てた。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|主《しゅ》のために|築《きず》いた|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|年《ねん》に三|度《ど》|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげ、また|主《しゅ》の|前《まえ》に|香《こう》をたいた。こうしてソロモンは|宮《みや》を|完成《かんせい》した。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》はエドムの|地《ち》、|紅海《こうかい》の|岸《きし》のエラテに|近《ちか》いエジオン・ゲベルで|数隻《すうせき》の|船《ふね》を|造《つく》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヒラムは|海《うみ》の|事《こと》を|知《し》っている|船員《せんいん》であるそのしもべをソロモンのしもべと|共《とも》にその|船《ふね》でつかわした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはオフルへ|行《い》って、そこから|金《きん》四百二十タラントを|取《と》って、ソロモン|王《おう》の|所《ところ》にもってきた。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]シバの|女王《じょおう》は|主《しゅ》の|名《な》にかかわるソロモンの|名声《めいせい》を|聞《き》いたので、|難問《なんもん》をもってソロモンを|試《こころ》みようとたずねてきた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|多《おお》くの|従者《じゅうしゃ》を|連《つ》れ、|香料《こうりょう》と、たくさんの|金《きん》と|宝石《ほうせき》とをらくだに|負《お》わせてエルサレムにきた。|彼女《かのじょ》はソロモンのもとにきて、その|心《こころ》にあることをことごとく|彼《かれ》に|告《つ》げたが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはそのすべての|問《とい》に|答《こた》えた。|王《おう》が|知《し》らないで|彼女《かのじょ》に|説明《せつめい》のできないことは一つもなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]シバの|女王《じょおう》はソロモンのもろもろの|知恵《ちえ》と、ソロモンが|建《た》てた|宮殿《きゅうでん》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|食卓《しょくたく》の|食物《しょくもつ》と、|列座《れつざ》の|家来《けらい》たちと、その|侍臣《じしん》たちの|伺候《しこう》ぶり、|彼《かれ》らの|服装《ふくそう》と、|彼《かれ》の|給仕《きゅうじ》たち、および|彼《かれ》が|主《しゅ》の|宮《みや》でささげる|燔祭《はんさい》を|見《み》て、|全《まった》く|気《き》を|奪《うば》われてしまった。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|王《おう》に|言《い》った、「わたしが|国《くに》であなたの|事《こと》と、あなたの|知恵《ちえ》について|聞《き》いたことは|真実《しんじつ》でありました。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしがきて、|目《め》に|見《み》るまでは、その|言葉《ことば》を|信《しん》じませんでしたが、|今見《いまみ》るとその|半分《はんぶん》もわたしは|知《し》らされていなかったのです。あなたの|知恵《ちえ》と|繁栄《はんえい》はわたしが|聞《き》いたうわさにまさっています。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|奥方《おくがた》たちはさいわいです。|常《つね》にあなたの|前《まえ》に|立《た》って、あなたの|知恵《ちえ》を|聞《き》く|家来《けらい》たちはさいわいです。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はあなたを|喜《よろこ》び、あなたをイスラエルの|位《くらい》にのぼらせられました。|主《しゅ》は|永久《えいきゅう》にイスラエルを|愛《あい》せられるゆえ、あなたを|王《おう》として|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》わせられるのです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼女《かのじょ》は|金《きん》百二十タラントおよび|多《おお》くの|香料《こうりょう》と|宝石《ほうせき》とを|王《おう》に|贈《おく》った。シバの|女王《じょおう》がソロモン|王《おう》に|贈《おく》ったような|多《おお》くの|香料《こうりょう》は|再《ふたた》びこなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]オフルから|金《きん》を|載《の》せてきたヒラムの|船《ふね》は、またオフルからたくさんのびゃくだんの|木《き》と|宝石《ほうせき》とを|運《はこ》んできたので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はびゃくだんの|木《き》をもって|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》のために|壁《へき》|柱《ちゅう》を|造《つく》り、また|歌《うた》う|人々《ひとびと》のために|琴《こと》と|立琴《たてごと》とを|造《つく》った。このようなびゃくだんの|木《き》は、かつてきたこともなく、また|今日《こんにち》まで|見《み》たこともなかった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》はその|豊《ゆた》かなのにしたがってシバの|女王《じょおう》に|贈《おく》り|物《もの》をしたほかに、|彼女《かのじょ》の|望《のぞ》みにまかせて、すべてその|求《もと》める|物《もの》を|贈《おく》った。そして|彼女《かのじょ》はその|家来《けらい》たちと|共《とも》に|自分《じぶん》の|国《くに》へ|帰《かえ》っていった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]さて一|年《ねん》の|間《あいだ》にソロモンのところに、はいってきた|金《きん》の|目方《めかた》は六百六十六タラントであった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そのほかに|貿易《ぼうえき》|商《しょう》および|商人《しょうにん》の|取引《とりひき》、ならびにアラビヤの|諸王《しょおう》と|国《くに》の|代官《だいかん》たちからも、はいってきた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》は|延金《のべきん》の|大盾《おおだて》二百を|造《つく》った。その|大盾《おおだて》にはおのおの六百シケルの|金《きん》を|用《もち》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|延金《のべきん》の|小盾《こだて》三百を|造《つく》った。その|小盾《こだて》にはおのおの三ミナの|金《きん》を|用《もち》いた。|王《おう》はこれらをレバノンの|森《もり》の|家《いえ》に|置《お》いた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|大《おお》きな|象牙《ぞうげ》の|玉座《ぎょくざ》を|造《つく》り、|純金《じゅんきん》をもってこれをおおった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|玉座《ぎょくざ》に六つの|段《だん》があり、|玉座《ぎょくざ》の|後《のち》に|子《こ》|牛《うし》の|頭《あたま》があり、|座席《ざせき》の|両側《りょうがわ》にひじ|掛《か》けがあって、ひじ|掛《か》けのわきに二つのししが|立《た》っていた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また六つの|段《だん》のおのおのの|両側《りょうがわ》に十二のししが|立《た》っていた。このような|物《もの》はどこの|国《くに》でも|造《つく》られたことがなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》が|飲《の》むときに|用《もち》いた|器《うつわ》は|皆《みな》|金《きん》であった。またレバノンの|森《もり》の|家《いえ》の|器《うつわ》も|皆《みな》|純金《じゅんきん》であって、|銀《ぎん》のものはなかった。|銀《ぎん》はソロモンの|世《よ》には|顧《かえり》みられなかった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これは|王《おう》が|海《うみ》にタルシシの|船隊《せんたい》を|所有《しょゆう》して、ヒラムの|船隊《せんたい》と|一緒《いっしょ》に|航海《こうかい》させ、タルシシの|船隊《せんたい》に三|年《ねん》に一|度《ど》、|金《きん》、|銀《ぎん》、|象牙《ぞうげ》、さる、くじゃくを|載《の》せてこさせたからである。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]このようにソロモン|王《おう》は|富《とみ》も|知恵《ちえ》も、|地《ち》のすべての|王《おう》にまさっていたので、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》の|人々《ひとびと》は|神《かみ》がソロモンの|心《こころ》に|授《さづ》けられた|知恵《ちえ》を|聞《き》こうとしてソロモンに|謁見《えっけん》を|求《もと》めた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はおのおの|贈《おく》り|物《もの》を|携《たずさ》えてきた。すなわち|銀《ぎん》の|器《うつわ》、|金《きん》の|器《うつわ》、|衣服《いふく》、|没薬《もつやく》、|香料《こうりょう》、|馬《うま》、|騾馬《らば》など|年々《ねんねん》|定《さだ》まっていた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》とを|集《あつ》めたが、|戦車《せんしゃ》一千四百|両《りょう》、|騎兵《きへい》一万二千あった。ソロモンはこれを|戦車《せんしゃ》の|町《まち》とエルサレムの|王《おう》のもとに|置《お》いた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はエルサレムで、|銀《ぎん》を|石《いし》のように|用《もち》い、|香柏《こうはく》を|平地《へいち》にあるいちじく|桑《くわ》のように|多《おお》く|用《もち》いた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|馬《うま》を|輸入《ゆにゅう》したのはエジプトとクエからであった。すなわち|王《おう》の|貿易《ぼうえき》|商《しょう》はクエから|代価《だいか》を|払《はら》って|受《う》け|取《と》ってきた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトから|輸入《ゆにゅう》される|戦車《せんしゃ》一|両《りょう》は|銀《ぎん》六百シケル、|馬《うま》は百五十シケルであった。このようにして、これらのものが|王《おう》の|貿易《ぼうえき》|商《しょう》によって、ヘテびとのすべての|王《おう》たちおよびスリヤの|王《おう》たちに|輸出《ゆしゅつ》された。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》は|多《おお》くの|外国《がいこく》の|女《おんな》を|愛《あい》した。すなわちパロの|娘《むすめ》、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの|女《おんな》を|愛《あい》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はかつてこれらの|国民《こくみん》について、イスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》われた、「あなたがたは|彼《かれ》らと|交《まじ》わってはならない。|彼《かれ》らもまたあなたがたと|交《まじ》わってはならない。|彼《かれ》らは|必《かなら》ずあなたがたの|心《こころ》を|転《てん》じて|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》に|従《したが》わせるからである」。しかしソロモンは|彼《かれ》らを|愛《あい》して|離《はな》れなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》には|王妃《おうひ》としての|妻《つま》七百|人《にん》、そばめ三百|人《にん》があった。その|妻《つま》たちが|彼《かれ》の|心《こころ》を|転《てん》じたのである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|年老《としお》いた|時《とき》、その|妻《つま》たちが|彼《かれ》の|心《こころ》を|転《てん》じて|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》わせたので、|彼《かれ》の|心《こころ》は|父《ちち》ダビデの|心《こころ》のようには、その|神《かみ》、|主《しゅ》に|真実《しんじつ》でなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これはソロモンがシドンびとの|女神《めがみ》アシタロテに|従《したが》い、アンモンびとの|神《かみ》である|憎《にく》むべき|者《もの》ミルコムに|従《したが》ったからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このようにソロモンは|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、|父《ちち》ダビデのように|全《まった》くは|主《しゅ》に|従《したが》わなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そしてソロモンはモアブの|神《かみ》である|憎《にく》むべき|者《もの》ケモシのために、またアンモンの|人々《ひとびと》の|神《かみ》である|憎《にく》むべき|者《もの》モレクのためにエルサレムの|東《ひがし》の|山《やま》に|高《たか》き|所《ところ》を|築《きず》いた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|外国《がいこく》のすべての|妻《つま》たちのためにもそうしたので、|彼女《かのじょ》たちはその|神々《かみがみ》に|香《こう》をたき、|犠牲《ぎせい》をささげた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]このようにソロモンの|心《こころ》が|転《てん》じて、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|離《はな》れたため、|主《しゅ》は|彼《かれ》を|怒《いか》られた。すなわち|主《しゅ》がかつて二|度《ど》|彼《かれ》に|現《あらわ》れ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》について|彼《かれ》に、|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》ってはならないと|命《めい》じられたのに、|彼《かれ》は|主《しゅ》の|命《めい》じられたことを|守《まも》らなかったからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はソロモンに|言《い》われた、「これがあなたの|本心《ほんしん》であり、わたしが|命《めい》じた|契約《けいやく》と|定《さだ》めとを|守《まも》らなかったので、わたしは|必《かなら》ずあなたから|国《くに》を|裂《さ》き|離《はな》して、それをあなたの|家来《けらい》に|与《あた》える。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたの|父《ちち》ダビデのために、あなたの|世《よ》にはそれをしないが、あなたの|子《こ》の|手《て》からそれを|裂《さ》き|離《はな》す。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ただし、わたしは|国《くに》をことごとくは|裂《さ》き|離《はな》さず、わたしのしもべダビデのために、またわたしが|選《えら》んだエルサレムのために一つの|部族《ぶぞく》をあなたの|子《こ》に|与《あた》えるであろう」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》はエドムびとハダデを|起《おこ》して、ソロモンの|敵《てき》とされた。|彼《かれ》はエドムの|王《おう》|家《いえ》の|者《もの》であった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さきにダビデはエドムにいたが、|軍《ぐん》の|長《ちょう》ヨアブが|上《のぼ》っていって、|戦死《せんし》した|者《もの》を|葬《ほうむ》り、エドムの|男子《だんし》をことごとく|打《う》ち|殺《ころ》した|時《とき》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり](ヨアブはイスラエルの|人々《ひとびと》と|共《とも》に六か|月《げつ》そこにとどまって、エドムの|男子《だんし》をことごとく|断《た》った)。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ハダデはその|父《ちち》のしもべである|数人《すうにん》のエドムびとと|共《とも》に|逃《に》げてエジプトへ|行《い》こうとした。その|時《とき》ハダデはまだ|少年《しょうねん》であった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがミデアンを|立《た》ってパランへ|行《い》き、パランから|人々《ひとびと》を|伴《ともな》ってエジプトへ|行《い》き、エジプトの|王《おう》パロのところへ|行《い》くと、パロは|彼《かれ》に|家《いえ》を|与《あた》え、|食糧《しょくりょう》を|定《さだ》め、かつ|土地《とち》を|与《あた》えた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ハダデは|大《おお》いにパロの|心《こころ》にかなったので、パロは|自分《じぶん》の|妻《つま》の|妹《いもうと》すなわち|王妃《おうひ》タペネスの|妹《いもうと》を|妻《つま》として|彼《かれ》に|与《あた》えた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]タペネスの|妹《いもうと》は|彼《かれ》に|男《おとこ》の|子《こ》ゲヌバテを|産《う》んだので、タペネスはその|子《こ》をパロの|家《いえ》のうちで|乳離《ちばな》れさせた。ゲヌバテはパロの|家《いえ》で、パロの|子《こ》どもたちと|一緒《いっしょ》にいた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]さてハダデはエジプトで、ダビデがその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》ったことと、|軍《ぐん》の|長《ちょう》ヨアブが|死《し》んだことを|聞《き》いたので、ハダデはパロに|言《い》った、「わたしを|去《さ》らせて、|国《くに》へ|帰《かえ》らせてください」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]パロは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしと|共《とも》にいて、なんの|不足《ふそく》があって|国《くに》へ|帰《かえ》ることを|求《もと》めるのですか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「ただ、わたしを|帰《かえ》らせてください」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまたエリアダの|子《こ》レゾンを|起《おこ》してソロモンの|敵《てき》とされた。|彼《かれ》はその|主人《しゅじん》ゾバの|王《おう》ハダデゼルのもとを|逃《に》げ|去《さ》った|者《もの》であった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがゾバの|人々《ひとびと》を|殺《ころ》した|後《のち》、|彼《かれ》は|人々《ひとびと》を|自分《じぶん》のまわりに|集《あつ》めて|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》の|首領《しゅりょう》となった。|彼《かれ》らはダマスコへ|行《い》って、そこに|住《す》み、ダマスコで|彼《かれ》を|王《おう》とした。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はソロモンの|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、イスラエルの|敵《てき》となって、ハダデがしたように|害《がい》をなし、イスラエルを|憎《にく》んでスリヤを|治《おさ》めた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ゼレダのエフライムびとネバテの|子《こ》ヤラベアムはソロモンの|家来《けらい》であったが、その|母《はは》の|名《な》はゼルヤといって|寡婦《かふ》であった。|彼《かれ》もまたその|手《て》をあげて|王《おう》に|敵《てき》した。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|手《て》をあげて、|王《おう》に|敵《てき》した|事情《じじょう》はこうである。ソロモンはミロを|築《きず》き、|父《ちち》ダビデの|町《まち》の|破《やぶ》れ|口《くち》をふさいでいた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムは|非常《ひじょう》に|手腕《しゅわん》のある|人《ひと》であったが、ソロモンはこの|若者《わかもの》がよく|働《はたら》くのを|見《み》て、|彼《かれ》にヨセフの|家《いえ》のすべての|強制《きょうせい》|労働《ろうどう》の|監督《かんとく》をさせた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、ヤラベアムがエルサレムを|出《で》たとき、シロびとである|預言者《よげんしゃ》アヒヤが|道《みち》で|彼《かれ》に|会《あ》った。アヒヤは|新《あたら》しい|着物《きもの》を|着《き》ていた。そして|彼《かれ》らふたりだけが|野《の》にいた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]アヒヤは|着《き》ている|着物《きもの》をつかんで、それを十二|切《き》れに|裂《さ》き、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムに|言《い》った、「あなたは十|切《き》れを|取《と》りなさい。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、『|見《み》よ、わたしは|国《くに》をソロモンの|手《て》から|裂《さ》き|離《はな》して、あなたに十|部族《ぶぞく》を|与《あた》えよう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり](ただし|彼《かれ》はわたしのしもべダビデのために、またわたしがイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちから|選《えら》んだ|町《まち》エルサレムのために、一つの|部族《ぶぞく》をもつであろう)。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]それは|彼《かれ》がわたしを|捨《す》てて、シドンびとの|女神《めがみ》アシタロテと、モアブの|神《かみ》ケモシと、アンモンの|人々《ひとびと》の|神《かみ》ミルコムを|拝《おが》み、|父《ちち》ダビデのように、わたしの|道《みち》に|歩《あゆ》んで、わたしの|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》い、わたしの|定《さだ》めと、おきてを|守《まも》ることをしなかったからである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|国《くに》をことごとくは|彼《かれ》の|手《て》から|取《と》らない。わたしが|選《えら》んだ、わたしのしもべダビデが、わたしの|命令《めいれい》と|定《さだ》めとを|守《まも》ったので、わたしは|彼《かれ》のためにソロモンを|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|君《きみ》としよう。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そして、わたしはその|子《こ》の|手《て》から|国《くに》を|取《と》って、その十|部族《ぶぞく》をあなたに|与《あた》える。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》には一つの|部族《ぶぞく》を|与《あた》えて、わたしの|名《な》を|置《お》くために|選《えら》んだ|町《まち》エルサレムで、わたしのしもべダビデに、わたしの|前《まえ》に|常《つね》に一つのともしびを|保《たも》たせるであろう。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたを|選《えら》び、あなたはすべて|心《こころ》の|望《のぞ》むところを|治《おさ》めて、イスラエルの|上《うえ》に|王《おう》となるであろう。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたが、わたしの|命《めい》じるすべての|事《こと》を|聞《き》いて、わたしの|道《みち》に|歩《あゆ》み、わたしの|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》い、わたしのしもべダビデがしたように、わたしの|定《さだ》めと|戒《いまし》めとを|守《まも》るならば、わたしはあなたと|共《とも》にいて、わたしがダビデのために|建《た》てたように、あなたのために|堅固《けんご》な|家《いえ》を|建《た》てて、イスラエルをあなたに|与《あた》えよう。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこのためにダビデの|子孫《しそん》を|苦《くる》しめる。しかし|永久《えいきゅう》にではない』」。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはヤラベアムを|殺《ころ》そうとしたが、ヤラベアムは|立《た》ってエジプトにのがれ、エジプト|王《おう》シシャクのところへ|行《い》って、ソロモンの|死《し》ぬまでエジプトにいた。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンのそのほかの|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》およびその|知恵《ちえ》は、ソロモンの|事績《じせき》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンがエルサレムでイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》を|治《おさ》めた|日《ひ》は四十|年《ねん》であった。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、|父《ちち》ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》レハベアムが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはシケムへ|行《い》った。すべてのイスラエルびとが|彼《かれ》を|王《おう》にしようとシケムへ|行《い》ったからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ネバテの|子《こ》ヤラベアムはソロモンを|避《さ》けてエジプトにのがれ、なおそこにいたが、これを|聞《き》いてエジプトから|帰《かえ》ったので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》を|招《まね》いた。そしてヤラベアムとイスラエルの|会衆《かいしゅう》は|皆《みな》レハベアムの|所《ところ》にきて|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|父上《ちちうえ》はわれわれのくびきを|重《おも》くされましたが、|今《いま》|父上《ちちうえ》のきびしい|使役《しえき》と、|父上《ちちうえ》がわれわれに|負《お》わせられた|重《おも》いくびきとを|軽《かる》くしてください。そうすればわれわれはあなたに|仕《つか》えます」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|去《さ》って、三|日《か》|過《す》ぎてから、またわたしのところにきなさい」。それで|民《たみ》は|立《た》ち|去《さ》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]レハベアム|王《おう》は|父《ちち》ソロモンの|存命《ぞんめい》|中《なか》ソロモンに|仕《つか》えた|老人《ろうじん》たちに|相談《そうだん》して|言《い》った、「この|民《たみ》にどう|返答《へんとう》すればよいと|思《おも》いますか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはレハベアムに|言《い》った、「もし、あなたが、きょう、この|民《たみ》のしもべとなって|彼《かれ》らに|仕《つか》え、|彼《かれ》らに|答《こた》えるとき、ねんごろに|語《かた》られるならば、|彼《かれ》らは|永久《えいきゅう》にあなたのしもべとなるでしょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》は|老人《ろうじん》たちが|与《あた》えた|勧《すす》めを|捨《す》てて、|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》に|大《おお》きくなって|自分《じぶん》に|仕《つか》えている|若者《わかもの》たちに|相談《そうだん》して、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「この|民《たみ》がわたしにむかって『あなたの|父《ちち》がわれわれに|負《お》わせたくびきを|軽《かる》くしてください』というのに、われわれはなんと|返答《へんとう》すればよいと|思《おも》いますか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》と|一緒《いっしょ》に|大《おお》きくなった|若者《わかもの》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたにむかって『|父上《ちちうえ》はわれわれのくびきを|重《おも》くされましたが、あなたは、それをわれわれのために|軽《かる》くしてください』と|言《い》うこの|民《たみ》に、こう|言《い》いなさい、『わたしの|小指《こゆび》は|父《ちち》の|腰《こし》よりも|太《ふと》い。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》はあなたがたに|重《おも》いくびきを|負《お》わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを|重《おも》くしよう。|父《ちち》はむちであなたがたを|懲《こ》らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを|懲《こ》らそう』と」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さてヤラベアムと|民《たみ》は|皆《みな》、|王《おう》が「三|日《か》|目《め》に|再《ふたた》びわたしのところに|来《く》るように」と|言《い》ったとおりに、三|日《か》|目《め》にレハベアムのところにきた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|荒々《あらあら》しく|民《たみ》に|答《こた》え、|老人《ろうじん》たちが|与《あた》えた|勧《すす》めを|捨《す》てて、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|若者《わかもの》たちの|勧《すす》めに|従《したが》い、|彼《かれ》らに|告《つ》げて|言《い》った、「|父《ちち》はあなたがたのくびきを|重《おも》くしたが、わたしはあなたがたのくびきを、さらに|重《おも》くしよう。|父《ちち》はむちであなたがたを|懲《こ》らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを|懲《こ》らそう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]このように|王《おう》は|民《たみ》の|言《い》うことを|聞《き》きいれなかった。これはかつて|主《しゅ》がシロびとアヒヤによって、ネバテの|子《こ》ヤラベアムに|言《い》われた|言葉《ことば》を|成就《じょうじゅ》するために、|主《しゅ》が|仕向《しむ》けられた|事《こと》であった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》、|王《おう》が|自分《じぶん》たちの|言《い》うことを|聞《き》きいれないのを|見《み》たので、|民《たみ》は|王《おう》に|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「われわれはダビデのうちに|何《なに》の|分《ぶん》があろうか、 エッサイの|子《こ》のうちに|嗣《し》|業《ぎょう》がない。 イスラエルよ、あなたがたの|天幕《てんまく》へ|帰《かえ》れ。 ダビデよ、|今《いま》|自分《じぶん》の|家《いえ》の|事《こと》を|見《み》よ」。 [#ここで字下げ終わり] そしてイスラエルはその|天幕《てんまく》へ|去《さ》っていった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしレハベアムはユダの|町々《まちまち》に|住《す》んでいるイスラエルの|人々《ひとびと》を|治《おさ》めた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]レハベアム|王《おう》は|徴募《ちょうぼ》の|監督《かんとく》であったアドラムをつかわしたが、イスラエルが|皆《みな》、|彼《かれ》を|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》したので、レハベアム|王《おう》は|急《いそ》いで|車《くるま》に|乗《の》り、エルサレムへ|逃《に》げた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルはダビデの|家《いえ》にそむいて|今日《こんにち》に|至《いた》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|皆《みな》ヤラベアムの|帰《かえ》ってきたのを|聞《き》き、|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》を|集会《しゅうかい》に|招《まね》き、イスラエルの|全家《ぜんか》の|上《うえ》に|王《おう》とした。ユダの|部族《ぶぞく》のほかはダビデの|家《いえ》に|従《したが》う|者《もの》がなかった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|子《こ》レハベアムはエルサレムに|来《き》て、ユダの|全家《ぜんか》とベニヤミンの|部族《ぶぞく》の|者《もの》、すなわちえり|抜《ぬ》きの|軍人《ぐんじん》十八万を|集《あつ》め、|国《くに》を|取《と》りもどすために、イスラエルの|家《いえ》と|戦《たたか》おうとしたが、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|言葉《ことば》が|神《かみ》の|人《ひと》シマヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「ソロモンの|子《こ》であるユダの|王《おう》レハベアム、およびユダとベニヤミンの|全家《ぜんか》、ならびにそのほかの|民《たみ》に|言《い》いなさい、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる。あなたがたは|上《のぼ》っていってはならない。あなたがたの|兄弟《きょうだい》であるイスラエルの|人々《ひとびと》と|戦《たたか》ってはならない。おのおの|家《いえ》に|帰《かえ》りなさい。この|事《こと》はわたしから|出《で》たのである』」。それで|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|言葉《ことば》をきき、|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|従《したが》って|帰《かえ》っていった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムはエフライムの|山地《さんち》にシケムを|建《た》てて、そこに|住《す》んだ。|彼《かれ》はまたそこから|出《で》てペヌエルを|建《た》てた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかしヤラベアムはその|心《こころ》のうちに|言《い》った、「|国《くに》は|今《いま》ダビデの|家《いえ》にもどるであろう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]もしこの|民《たみ》がエルサレムにある|主《しゅ》の|宮《みや》に|犠牲《ぎせい》をささげるために|上《のぼ》るならば、この|民《たみ》の|心《こころ》はユダの|王《おう》である|彼《かれ》らの|主君《しゅくん》レハベアムに|帰《かえ》り、わたしを|殺《ころ》して、ユダの|王《おう》レハベアムに|帰《かえ》るであろう」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|相談《そうだん》して、二つの|金《きん》の|子《こ》|牛《うし》を|造《つく》り、|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたはもはやエルサレムに|上《のぼ》るには、およばない。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの|国《くに》から|導《みちび》き|上《のぼ》ったあなたがたの|神《かみ》を|見《み》よ」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》は一つをベテルにすえ、一つをダンに|置《お》いた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》は|罪《つみ》となった。|民《たみ》がベテルへ|行《い》って一つを|礼拝《れいはい》し、ダンへ|行《い》って一つを|礼拝《れいはい》したからである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|高《たか》き|所《ところ》に|家《いえ》を|造《つく》り、レビの|子孫《しそん》でない|一般《いっぱん》の|民《たみ》を|祭司《さいし》に|任命《にんめい》した。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]またヤラベアムはユダで|行《おこな》う|祭《まつり》と|同《おな》じ|祭《まつり》を八|月《がつ》の十五|日《にち》に|定《さだ》め、そして|祭壇《さいだん》に|上《のぼ》った。|彼《かれ》はベテルでそのように|行《おこな》い、|彼《かれ》が|造《つく》った|子《こ》|牛《うし》に|犠牲《ぎせい》をささげた。また|自分《じぶん》の|造《つく》った|高《たか》き|所《ところ》の|祭司《さいし》をベテルに|立《た》てた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》はベテルに|造《つく》った|祭壇《さいだん》に八|月《がつ》の十五|日《にち》に|上《のぼ》った。これは|彼《かれ》が|自分《じぶん》で|勝手《かって》に|考《かんが》えついた|月《つき》であった。そして|彼《かれ》はイスラエルの|人々《ひとびと》のために|祭《まつり》を|定《さだ》め、|祭壇《さいだん》に|上《のぼ》って|香《こう》をたいた。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》の|人《ひと》が|主《しゅ》の|命《いのち》によってユダからベテルにきた。その|時《とき》ヤラベアムは|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|立《た》って|香《こう》をたいていた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》は|祭壇《さいだん》にむかい|主《しゅ》の|命《いのち》によって|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|祭壇《さいだん》よ、|祭壇《さいだん》よ、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『|見《み》よ、ダビデの|家《いえ》にひとりの|子《こ》が|生《うま》れる。その|名《な》をヨシヤという。|彼《かれ》はおまえの|上《うえ》で|香《こう》をたく|高《たか》き|所《ところ》の|祭司《さいし》らを、おまえの|上《うえ》にささげる。また|人《ひと》の|骨《ほね》がおまえの|上《うえ》で|焼《や》かれる』」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|彼《かれ》はまた一つのしるしを|示《しめ》して|言《い》った、「|主《しゅ》の|言《い》われたしるしはこれである、『|見《み》よ、|祭壇《さいだん》は|裂《さ》け、その|上《うえ》にある|灰《はい》はこぼれ|出《で》るであろう』」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアム|王《おう》は、|神《かみ》の|人《ひと》がベテルにある|祭壇《さいだん》にむかって|呼《よ》ばわる|言葉《ことば》を|聞《き》いた|時《とき》、|祭壇《さいだん》から|手《て》を|伸《の》ばして、「|彼《かれ》を|捕《とら》えよ」と|言《い》ったが、|彼《かれ》にむかって|伸《の》ばした|手《て》が|枯《か》れて、ひっ|込《こ》めることができなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|神《かみ》の|人《ひと》が|主《しゅ》の|言葉《ことば》をもって|示《しめ》したしるしのように|祭壇《さいだん》は|裂《さ》け、|灰《はい》は|祭壇《さいだん》からこぼれ|出《で》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|神《かみ》の|人《ひと》に|言《い》った、「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|願《ねが》い、わたしのために|祈《いの》って、わたしの|手《て》をもとに|返《かえ》らせてください」。|神《かみ》の|人《ひと》が|主《しゅ》に|願《ねが》ったので、|王《おう》の|手《て》はもとに|返《かえ》って、|前《まえ》のようになった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|神《かみ》の|人《ひと》に|言《い》った、「わたしと|一緒《いっしょ》に|家《いえ》にきて、|身《み》を|休《やす》めなさい。あなたに|謝礼《しゃれい》をさしあげましょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》は|王《おう》に|言《い》った、「たとい、あなたの|家《いえ》の|半《なか》ばをくださっても、わたしはあなたと|一緒《いっしょ》にまいりません。またこの|所《ところ》では、パンも|食《た》べず|水《みず》も|飲《の》みません。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》によってわたしは、『パンを|食《た》べてはならない、|水《みず》を|飲《の》んではならない。また|来《き》た|道《みち》から|帰《かえ》ってはならない』と|命《めい》じられているからです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》はほかの|道《みち》を|行《い》き、ベテルに|来《き》た|道《みち》からは|帰《かえ》らなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]さてベテルにひとりの|年老《としお》いた|預言者《よげんしゃ》が|住《す》んでいたが、そのむすこたちがきて、その|日《ひ》|神《かみ》の|人《ひと》がベテルでした|事《こと》どもを|彼《かれ》に|話《はな》した。また|神《かみ》の|人《ひと》が|王《おう》に|言《い》った|言葉《ことば》をもその|父《ちち》に|話《はな》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》が|彼《かれ》らに「その|人《ひと》はどの|道《みち》を|行《い》ったか」と|聞《き》いたので、むすこたちはユダからきた|神《かみ》の|人《ひと》の|行《い》った|道《みち》を|父《ちち》に|示《しめ》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》はむすこたちに|言《い》った、「わたしのためにろばにくらを|置《お》きなさい」。|彼《かれ》らがろばにくらを|置《お》いたので、|彼《かれ》はそれに|乗《の》り、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》のあとを|追《お》って|行《い》き、かしの|木《き》の|下《した》にすわっているのを|見《み》て、その|人《ひと》に|言《い》った、「あなたはユダからこられた|神《かみ》の|人《ひと》ですか」。その|人《ひと》は|言《い》った、「そうです」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》はその|人《ひと》に|言《い》った、「わたしと|一緒《いっしょ》に|家《いえ》にきてパンを|食《た》べてください」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|言《い》った、「わたしはあなたと|一緒《いっしょ》に|引《ひ》き|返《かえ》すことはできません。あなたと|一緒《いっしょ》に|行《い》くことはできません。またわたしはこの|所《ところ》であなたと|一緒《いっしょ》にパンも|食《た》べず|水《みず》も|飲《の》みません。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》によってわたしは、『その|所《ところ》でパンを|食《た》べてはならない、|水《みず》を|飲《の》んではならない。また|来《き》た|道《みち》から|帰《かえ》ってはならない』と|言《い》われているからです」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|人《ひと》に|言《い》った、「わたしもあなたと|同《おな》じ|預言者《よげんしゃ》ですが、|天《てん》の|使《つかい》が|主《しゅ》の|命《いのち》によってわたしに|告《つ》げて、『その|人《ひと》を|一緒《いっしょ》に|家《いえ》につれ|帰《かえ》り、パンを|食《た》べさせ、|水《みず》を|飲《の》ませよ』と|言《い》いました」。これは|彼《かれ》がその|人《ひと》を|欺《あざむ》いたのである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|人《ひと》は|彼《かれ》と|一緒《いっしょ》に|引《ひ》き|返《かえ》し、その|家《いえ》でパンを|食《た》べ、|水《みず》を|飲《の》んだ。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|食卓《しょくたく》についていたとき、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が、その|人《ひと》をつれて|帰《かえ》った|預言者《よげんしゃ》に|臨《のぞ》んだので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はユダからきた|神《かみ》の|人《ひと》にむかい|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『あなたが|主《しゅ》の|言葉《ことば》にそむき、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》がお|命《めい》じになった|命令《めいれい》を|守《まも》らず、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|引《ひ》き|返《かえ》して、|主《しゅ》があなたに、パンを|食《た》べてはならない、|水《みず》を|飲《の》んではならない、と|言《い》われた|場所《ばしょ》でパンを|食《た》べ、|水《みず》を|飲《の》んだゆえ、あなたの|死体《したい》はあなたの|先祖《せんぞ》の|墓《はか》に|行《い》かないであろう』」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|人《ひと》がパンを|食《た》べ、|水《みず》を|飲《の》んだ|後《のち》、|彼《かれ》はその|人《ひと》のため、すなわちつれ|帰《かえ》った|預言者《よげんしゃ》のためにろばにくらを|置《お》いた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|人《ひと》は|立《た》ち|去《さ》ったが、|道《みち》でししが|彼《かれ》に|会《あ》って|彼《かれ》を|殺《ころ》した。そしてその|死体《したい》は|道《みち》に|捨《す》てられ、ろばはそのかたわらに|立《た》ち、ししもまた|死体《したい》のかたわらに|立《た》っていた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はそこをとおって、|道《みち》に|捨《す》てられている|死体《したい》と、|死体《したい》のかたわらに|立《た》っているししを|見《み》て、かの|老《ろう》|預言者《よげんしゃ》の|住《す》んでいる|町《まち》にきてそれを|話《はな》した。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》を|道《みち》からつれて|帰《かえ》った|預言者《よげんしゃ》はそれを|聞《き》いて|言《い》った、「それは|主《しゅ》の|言葉《ことば》にそむいた|神《かみ》の|人《ひと》だ。|主《しゅ》が|彼《かれ》に|言《い》われた|言葉《ことば》のように、|主《しゅ》は|彼《かれ》をししにわたされ、ししが|彼《かれ》を|裂《さ》き|殺《ころ》したのだ」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そしてむすこたちに|言《い》った、「わたしのためにろばにくらを|置《お》きなさい」。|彼《かれ》らがくらを|置《お》いたので、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|行《い》って、|死体《したい》が|道《みち》に|捨《す》てられ、ろばとししが|死体《したい》のかたわらに|立《た》っているのを|見《み》た。ししはその|死体《したい》を|食《た》べず、ろばも|裂《さ》いていなかった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|預言者《よげんしゃ》は|神《かみ》の|人《ひと》の|死体《したい》を|取《と》りあげ、それをろばに|載《の》せて|町《まち》に|持《も》ち|帰《かえ》り、|悲《かな》しんでそれを|葬《ほうむ》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちその|死体《したい》を|自分《じぶん》の|墓《はか》に|納《おさ》め、|皆《みな》これがために「ああ、わが|兄弟《きょうだい》よ」と|言《い》って|悲《かな》しんだ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそれを|葬《ほうむ》って|後《のち》、むすこたちに|言《い》った、「わたしが|死《し》んだ|時《とき》は、|神《かみ》の|人《ひと》を|葬《ほうむ》った|墓《はか》に|葬《ほうむ》り、わたしの|骨《ほね》を|彼《かれ》の|骨《ほね》のかたわらに|納《おさ》めなさい。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|主《しゅ》の|命《いのち》によって、ベテルにある|祭壇《さいだん》にむかい、またサマリヤの|町々《まちまち》にある|高《たか》き|所《ところ》のすべての|家《いえ》にむかって|呼《よ》ばわった|言葉《ことば》は|必《かなら》ず|成就《じょうじゅ》するのです」。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》の|後《のち》も、ヤラベアムはその|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れて|立《た》ち|返《かえ》ることをせず、また|一般《いっぱん》の|民《たみ》を、|高《たか》き|所《ところ》の|祭司《さいし》に|任命《にんめい》した。すなわち、だれでも|好《この》む|者《もの》は、それを|立《た》てて|高《たか》き|所《ところ》の|祭司《さいし》とした。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》はヤラベアムの|家《いえ》の|罪《つみ》となって、ついにこれを|地《ち》のおもてから|断《た》ち|滅《ほろ》ぼすようになった。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころヤラベアムの|子《こ》アビヤが|病気《びょうき》になったので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムは|妻《つま》に|言《い》った、「|立《た》って|姿《すがた》を|変《か》え、ヤラベアムの|妻《つま》であることの|知《し》られないようにしてシロへ|行《い》きなさい。わたしがこの|民《たみ》の|王《おう》となることを、わたしに|告《つ》げた|預言者《よげんしゃ》アヒヤがそこにいます。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]パン十|個《こ》と|菓子《かし》|数個《すうこ》および、みつ一びんを|携《たずさ》えて|彼《かれ》のところへ|行《い》きなさい。|彼《かれ》はこの|子《こ》がどうなるかをあなたに|告《つ》げるでしょう」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムの|妻《つま》はそのようにして、|立《た》ってシロへ|行《い》き、アヒヤの|家《いえ》に|着《つ》いたが、アヒヤは|年老《としお》いたため、|目《め》がかすんで|見《み》ることができなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はアヒヤに|言《い》われた、「ヤラベアムの|妻《つま》が|子供《こども》の|事《こと》をあなたに|尋《たず》ねるために|来《く》る。|子供《こども》は|病気《びょうき》だ。あなたは|彼女《かのじょ》にこうこう|言《い》わなければならない」。  |彼女《かのじょ》は|来《く》るとき、|他人《たにん》を|装《よそお》っていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼女《かのじょ》が|戸口《とぐち》にはいってきたとき、アヒヤはその|足音《あしおと》を|聞《き》いて|言《い》った、「ヤラベアムの|妻《つま》よ、はいりなさい。なぜ、|他人《たにん》を|装《よそお》うのですか。わたしはあなたにきびしい|事《こと》を|告《つ》げるよう、|命《めい》じられています。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|行《い》ってヤラベアムに|言《い》いなさい、『イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、「わたしはあなたを|民《たみ》のうちからあげ、わたしの|民《たみ》イスラエルの|上《うえ》に|立《た》てて|君《きみ》とし、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》をダビデの|家《いえ》から|裂《さ》き|離《はな》して、それをあなたに|与《あた》えたのに、あなたはわたしのしもべダビデが、わたしの|命令《めいれい》を|守《まも》って|一心《いっしん》にわたしに|従《したが》い、ただわたしの|目《め》にかなった|事《こと》のみを|行《おこな》ったようにではなく、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたよりも|先《さき》にいたすべての|者《もの》にまさって|悪《あく》をなし、|行《い》って|自分《じぶん》のために|他《た》の|神々《かみがみ》と|鋳《い》た|像《ぞう》を|造《つく》り、わたしを|怒《いか》らせ、わたしをうしろに|捨《す》て|去《さ》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|見《み》よ、わたしはヤラベアムの|家《いえ》に|災《わざわい》を|下《くだ》し、ヤラベアムに|属《ぞく》する|男《おとこ》は、イスラエルについて、つながれた|者《もの》も、|自由《じゆう》な|者《もの》もことごとく|断《た》ち、|人《ひと》があくたを|残《のこ》りなく|焼《や》きつくすように、ヤラベアムの|家《いえ》を|全《まった》く|断《た》ち|滅《ほろ》ぼすであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムに|属《ぞく》する|者《もの》は、|町《まち》で|死《し》ぬ|者《もの》を|犬《いぬ》が|食《た》べ、|野《の》で|死《し》ぬ|者《もの》を|空《そら》の|鳥《とり》が|食《た》べるであろう。|主《しゅ》がこれを|言《い》われるのである」』。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|立《た》って、|家《いえ》へ|帰《かえ》りなさい。あなたの|足《あし》が|町《まち》にはいる|時《とき》に、|子《こ》どもは|死《し》にます。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルは|皆《みな》、|彼《かれ》のために|悲《かな》しんで|彼《かれ》を|葬《ほうむ》るでしょう。ヤラベアムに|属《ぞく》する|者《もの》は、ただ|彼《かれ》だけ|墓《はか》に|葬《ほうむ》られるでしょう。ヤラベアムの|家《いえ》のうちで、|彼《かれ》はイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》にむかって|良《よ》い|思《おも》いをいだいていたからです。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルの|上《うえ》にひとりの|王《おう》を|起《おこ》されます。|彼《かれ》はその|日《ひ》ヤラベアムの|家《いえ》を|断《た》つでしょう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》|主《しゅ》はイスラエルを|撃《う》って、|水《みず》に|揺《ゆ》らぐ|葦《あし》のようにし、イスラエルを、その|先祖《せんぞ》に|賜《たま》わったこの|良《よ》い|地《ち》から|抜《ぬ》き|去《さ》って、ユフラテ|川《かわ》の|向《む》こうに|散《ち》らされるでしょう。|彼《かれ》らがアシラ|像《ぞう》を|造《つく》って|主《しゅ》を|怒《いか》らせたからです。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヤラベアムの|罪《つみ》のゆえに、すなわち|彼《かれ》がみずから|犯《おか》し、またイスラエルに|犯《おか》させたその|罪《つみ》のゆえにイスラエルを|捨《す》てられるでしょう」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムの|妻《つま》は|立《た》って|去《さ》り、テルザへ|行《い》って、|家《いえ》の|敷居《しきい》をまたいだ|時《とき》、|子《こ》どもは|死《し》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|皆《みな》|彼《かれ》を|葬《ほうむ》り、|彼《かれ》のために|悲《かな》しんだ。|主《しゅ》がそのしもべ|預言者《よげんしゃ》アヒヤによって|言《い》われた|言葉《ことば》のとおりである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムのその|他《た》の|事績《じせき》、|彼《かれ》がどのように|戦《たたか》い、どのように|世《よ》を|治《おさ》めたかは、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムが|世《よ》を|治《おさ》めた|日《ひ》は二十二|年《ねん》であった。|彼《かれ》はその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、その|子《こ》ナダブが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|子《こ》レハベアムはユダで|世《よ》を|治《おさ》めた。レハベアムは|王《おう》となったとき四十一|歳《さい》であったが、|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くために、イスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちから|選《えら》ばれた|町《まち》エルサレムで、十七|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》の|名《な》はナアマといってアンモンびとであった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》はその|先祖《せんぞ》の|行《おこな》ったすべての|事《こと》にまさって、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、その|犯《おか》した|罪《つみ》によって|主《しゅ》の|怒《いか》りを|引《ひ》き|起《おこ》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らもすべての|高《たか》い|丘《おか》の|上《うえ》と、すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》に、|高《たか》き|所《ところ》と|石《いし》の|柱《はしら》とアシラ|像《ぞう》とを|建《た》てたからである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|国《くに》にはまた|神殿《しんでん》|男娼《だんしょう》たちがいた。|彼《かれ》らは|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われた|国民《こくみん》のすべての|憎《にく》むべき|事《こと》をならい|行《い》った。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムの|王《おう》の|第《だい》五|年《ねん》にエジプトの|王《おう》シシャクがエルサレムに|攻《せ》め|上《のぼ》ってきて、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|宮《みや》の|宝物《ほうもつ》と、|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》の|宝物《ほうもつ》を|奪《うば》い|去《さ》った。|彼《かれ》はそれをことごとく|奪《うば》い|去《さ》り、またソロモンの|造《つく》った|金《きん》の|盾《たて》をみな|奪《うば》い|去《さ》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはその|代《かわ》りに|青銅《せいどう》の|盾《たて》を|造《つく》って、|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》の|門《もん》を|守《まも》る|侍衛《じえい》|長《ちょう》の|手《て》にわたした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》が|主《しゅ》の|宮《みや》にはいるごとに、|侍衛《じえい》はそれを|携《たずさ》え、また、それを|侍衛《じえい》のへやへ|持《も》ち|帰《かえ》った。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムとヤラベアムの|間《あいだ》には|絶《た》えず|戦争《せんそう》があった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って|先祖《せんぞ》と|共《とも》にダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られた。その|母《はは》の|名《な》はナアマといってアンモンびとであった。その|子《こ》アビヤムが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ネバテの|子《こ》ヤラベアム|王《おう》の|第《だい》十八|年《ねん》にアビヤムがユダの|王《おう》となり、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムで三|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》の|名《な》はマアカといって、アブサロムの|娘《むすめ》であった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|父《ちち》が|先《さき》に|行《おこな》ったもろもろの|罪《つみ》をおこない、その|心《こころ》は|父《ちち》ダビデの|心《こころ》のようにその|神《かみ》、|主《しゅ》に|対《たい》して|全《まった》く|真実《しんじつ》ではなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それにもかかわらず、その|神《かみ》、|主《しゅ》はダビデのために、エルサレムにおいて|彼《かれ》に一つのともしびを|与《あた》え、その|子《こ》を|彼《かれ》のあとに|立《た》てて、エルサレムを|固《かた》められた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それはダビデがヘテびとウリヤの|事《こと》のほか、|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》い、|主《しゅ》が|命《めい》じられたすべての|事《こと》に、そむかなかったからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムとヤラベアムの|間《あいだ》には|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|戦争《せんそう》があった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アビヤムのその|他《た》の|行為《こうい》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。アビヤムとヤラベアムの|間《あいだ》にも|戦争《せんそう》があった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アビヤムはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アサが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》ヤラベアムの|第《だい》二十|年《ねん》にアサはユダの|王《おう》となり、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムで四十一|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》の|名《な》はマアカといってアブサロムの|娘《むすめ》であった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アサはその|父《ちち》ダビデがしたように|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》をし、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神殿《しんでん》|男娼《だんしょう》を|国《くに》から|追《お》い|出《だ》し、|先祖《せんぞ》たちの|造《つく》ったもろもろの|偶像《ぐうぞう》を|除《のぞ》いた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたその|母《はは》マアカが、アシラのために|憎《にく》むべき|像《ぞう》を|造《つく》らせたので、|彼女《かのじょ》を|太后《たいこう》の|位《くらい》から|退《しりぞ》けた。そしてアサはその|憎《にく》むべき|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》してキデロンの|谷《たに》で|焼《や》き|捨《す》てた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ただし|高《たか》き|所《ところ》は|除《のぞ》かなかった。けれどもアサの|心《こころ》は|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|主《しゅ》に|対《たい》して|全《まった》く|真実《しんじつ》であった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|父《ちち》の|献納《けんのう》した|物《もの》と|自分《じぶん》の|献納《けんのう》した|物《もの》、|金銀《きんぎん》および|器物《うつわもの》を|主《しゅ》の|宮《みや》に|携《たずさ》え|入《い》れた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アサとイスラエルの|王《おう》バアシャの|間《あいだ》には|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|戦争《せんそう》があった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》バアシャはユダに|攻《せ》め|上《のぼ》り、ユダの|王《おう》アサの|所《ところ》に、だれをも|出入《でい》りさせないためにラマを|築《きず》いた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでアサは|主《しゅ》の|宮《みや》の|宝蔵《ほうぞう》と、|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》の|宝蔵《ほうぞう》に|残《のこ》っている|金銀《きんぎん》をことごとく|取《と》って、これを|家来《けらい》たちの|手《て》にわたし、そしてアサ|王《おう》は|彼《かれ》らをダマスコに|住《す》んでいるスリヤの|王《おう》、ヘジョンの|子《こ》タブリモンの|子《こ》であるベネハダデにつかわして|言《い》わせた、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]「わたしの|父《ちち》とあなたの|父《ちち》との|間《あいだ》に|結《むす》ばれていたように、わたしとあなたの|間《あいだ》に|同盟《どうめい》を|結《むす》びましょう。わたしはあなたに|金銀《きんぎん》の|贈《おく》り|物《もの》をさしあげます。|行《い》って、あなたとイスラエルの|王《おう》バアシャとの|同盟《どうめい》を|破棄《はき》し、|彼《かれ》をわたしの|所《ところ》から|撤退《てったい》させてください」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ベネハダデはアサ|王《おう》の|言《い》うことを|聞《き》き、|自分《じぶん》の|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちをつかわしてイスラエルの|町々《まちまち》を|攻《せ》め、イヨンとダンとアベル・ベテ・マアカおよびキンネレテの|全《ぜん》|地《ち》と、ナフタリの|全《ぜん》|地《ち》を|撃《う》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]バアシャはこれを|聞《き》き、ラマを|築《きず》くことをやめて、テルザにとどまった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでアサ|王《おう》はユダ|全国《ぜんこく》に|布告《ふこく》を|発《はっ》した。ひとりも|免《まぬか》れる|者《もの》はなかった。すなわちバアシャがラマを|築《きず》くために|用《もち》いた|石《いし》と|材木《ざいもく》を|運《はこ》びこさせ、アサ|王《おう》はそれを|用《もち》いて、ベニヤミンのゲバとミヅパを|築《きず》いた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アサのその|他《た》の|事績《じせき》とそのすべての|勲功《くんこう》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》および|彼《かれ》が|建《た》てた|町々《まちまち》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。|彼《かれ》は|老年《ろうねん》になって|足《あし》を|病《や》んだ。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アサはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、|父《ちち》ダビデの|町《まち》に|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》ヨシャパテが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アサの|第《だい》二|年《ねん》にヤラベアムの|子《こ》ナダブがイスラエルの|王《おう》となって、二|年《ねん》イスラエルを|治《おさ》めた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、その|父《ちち》の|道《みち》に|歩《あゆ》み、|父《ちち》がイスラエルに|犯《おか》させた|罪《つみ》をおこなった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|家《いえ》のアヒヤの|子《こ》バアシャは|彼《かれ》に|対《たい》してむほんを|企《くわだ》て、ペリシテびとに|属《ぞく》するギベトンで|彼《かれ》を|撃《う》った。これはナダブとイスラエルが|皆《みな》ギベトンを|囲《かこ》んでいたからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてユダの|王《おう》アサの|第《だい》三|年《ねん》にバアシャは|彼《かれ》を|殺《ころ》し、|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|王《おう》となるとすぐヤラベアムの|全家《ぜんか》を|撃《う》ち、|息《いき》のある|者《もの》をひとりもヤラベアムの|家《いえ》に|残《のこ》さず、ことごとく|滅《ほろ》ぼした。|主《しゅ》がそのしもべシロびとアヒヤによって|言《い》われた|言葉《ことば》のとおりであって、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]これはヤラベアムがみずから|犯《おか》し、またイスラエルに|犯《おか》させた|罪《つみ》のため、また|彼《かれ》がイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|怒《いか》らせたその|怒《いか》りによるのであった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ナダブのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]アサとイスラエルの|王《おう》バアシャの|間《あいだ》には|一生《いっしょう》の|間《あいだ》|戦争《せんそう》があった。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アサの|第《だい》三|年《ねん》にアヒヤの|子《こ》バアシャはテルザでイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》の|王《おう》となって、二十四|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、ヤラベアムの|道《みち》に|歩《あゆ》み、ヤラベアムがイスラエルに|犯《おか》させた|罪《つみ》をおこなった。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》の|言葉《ことば》がハナニの|子《こ》エヒウに|臨《のぞ》み、バアシャを|責《せ》めて|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたをちりの|中《なか》からあげて、わたしの|民《たみ》イスラエルの|上《うえ》に|君《きみ》としたが、あなたはヤラベアムの|道《みち》に|歩《あゆ》み、わたしの|民《たみ》イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させ、その|罪《つみ》をもってわたしを|怒《いか》らせた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしは、バアシャとその|家《いえ》を|全《まった》く|滅《ほろ》ぼし|去《さ》り、あなたの|家《いえ》をネバテの|子《こ》ヤラベアムの|家《いえ》のようにする。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]バアシャに|属《ぞく》する|者《もの》で、|町《まち》で|死《し》ぬ|者《もの》は|犬《いぬ》が|食《た》べ、|彼《かれ》に|属《ぞく》する|者《もの》で、|野《の》で|死《し》ぬ|者《もの》は|空《そら》の|鳥《とり》が|食《た》べるであろう」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]バアシャのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がした|事《こと》と、その|勲功《くんこう》とは、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]バアシャはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、テルザに|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》エラが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》はまたハナニの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》エヒウによって|臨《のぞ》み、バアシャとその|家《いえ》を|責《せ》めた。これは|彼《かれ》が|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に、もろもろの|悪《あく》を|行《おこな》い、その|手《て》のわざをもって|主《しゅ》を|怒《いか》らせ、ヤラベアムの|家《いえ》にならったためであり、また|彼《かれ》がヤラベアムの|家《いえ》を|滅《ほろ》ぼしたためであった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アサの|第《だい》二十六|年《ねん》にバアシャの|子《こ》エラはテルザでイスラエルの|王《おう》となり、二|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がテルザにいて、テルザの|宮殿《きゅうでん》のつかさアルザの|家《いえ》で|酒《さけ》を|飲《の》んで|酔《よ》った|時《とき》、その|家来《けらい》で|戦車《せんしゃ》|隊《たい》の|半《なか》ばを|指揮《しき》していたジムリが、|彼《かれ》にそむいた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてユダの|王《おう》アサの|第《だい》二十七|年《ねん》にジムリは、はいってきて|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》し、|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ジムリは|王《おう》となって、|位《くらい》についた|時《とき》、バアシャの|全家《ぜんか》を|殺《ころ》し、その|親族《しんぞく》または|友《とも》だちの|男子《だんし》は、ひとりも|残《のこ》さなかった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてジムリはバアシャの|全家《ぜんか》を|滅《ほろ》ぼした。|主《しゅ》が|預言者《よげんしゃ》エヒウによってバアシャを|責《せ》めて|言《い》われた|言葉《ことば》のとおりである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これはバアシャのもろもろの|罪《つみ》と、その|子《こ》エラの|罪《つみ》のためであって、|彼《かれ》らが|罪《つみ》を|犯《おか》し、またイスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させ、|彼《かれ》らの|偶像《ぐうぞう》をもってイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|怒《いか》らせたからである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エラのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アサの|第《だい》二十七|年《ねん》にジムリはテルザで|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|民《たみ》はペリシテびとに|属《ぞく》するギベトンにむかって|陣取《じんど》っていたが、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|陣取《じんど》っていた|民《たみ》が「ジムリはむほんを|起《おこ》して|王《おう》を|殺《ころ》した」と|人《ひと》のいうのを|聞《き》いたので、イスラエルは|皆《みな》その|日《ひ》|陣営《じんえい》で、|軍《ぐん》の|長《ちょう》オムリをイスラエルの|王《おう》とした。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでオムリはイスラエルの|人々《ひとびと》と|共《とも》にギベトンから|上《のぼ》ってテルザを|囲《かこ》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ジムリはその|町《まち》の|陥《おちい》るのを|見《み》て、|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》の|天守《てんしゅ》にはいり、|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》に|火《ひ》をかけてその|中《なか》で|死《し》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》が|犯《おか》した|罪《つみ》のためであって、|彼《かれ》が|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、ヤラベアムの|道《みち》に|歩《あゆ》み、ヤラベアムがイスラエルに|犯《おか》させたその|罪《つみ》を|行《おこな》ったからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ジムリのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》が|企《くわだ》てた|陰謀《いんぼう》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》イスラエルの|民《たみ》は二つに|分《わか》れ、|民《たみ》の|半《なか》ばはギナテの|子《こ》テブニに|従《したが》って、これを|王《おう》としようとし、|半《なか》ばはオムリに|従《したが》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしオムリに|従《したが》った|民《たみ》はギナテの|子《こ》テブニに|従《したが》った|民《たみ》に|勝《か》って、テブニは|死《し》に、オムリが|王《おう》となった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アサの|第《だい》三十一|年《ねん》にオムリはイスラエルの|王《おう》となって十二|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。|彼《かれ》はテルザで六|年《ねん》|王《おう》であった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|銀《ぎん》二タラントでセメルからサマリヤの|山《やま》を|買《か》い、その|上《うえ》に|町《まち》を|建《た》て、その|建《た》てた|町《まち》の|名《な》をその|山《やま》の|持《も》ち|主《ぬし》であったセメルの|名《な》に|従《したが》ってサマリヤと|呼《よ》んだ。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]オムリは|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、|彼《かれ》よりも|先《さき》にいたすべての|者《もの》にまさって|悪《わる》い|事《こと》をした。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はネバテの|子《こ》ヤラベアムのすべての|道《みち》に|歩《あゆ》み、ヤラベアムがイスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させ、|彼《かれ》らの|偶像《ぐうぞう》をもってイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|怒《いか》らせたその|罪《つみ》を|行《おこな》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]オムリが|行《い》ったその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》があらわした|勲功《くんこう》とは、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]オムリはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、サマリヤに|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アハブが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アサの|第《だい》三十八|年《ねん》にオムリの|子《こ》アハブがイスラエルの|王《おう》となった。オムリの|子《こ》アハブはサマリヤで二十二|年《ねん》イスラエルを|治《おさ》めた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]オムリの|子《こ》アハブは|彼《かれ》よりも|先《さき》にいたすべての|者《もの》にまさって、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》を|行《おこな》うことを、|軽《かる》い|事《こと》とし、シドンびとの|王《おう》エテバアルの|娘《むすめ》イゼベルを|妻《つま》にめとり、|行《い》ってバアルに|仕《つか》え、これを|拝《おが》んだ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はサマリヤに|建《た》てたバアルの|宮《みや》に、バアルのために|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]アハブはまたアシラ|像《ぞう》を|造《つく》った。アハブは|彼《かれ》よりも|先《さき》にいたイスラエルのすべての|王《おう》にまさってイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|怒《いか》らせることを|行《おこな》った。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|代《よ》にベテルびとヒエルはエリコを|建《た》てた。|彼《かれ》はその|基《もとい》をすえる|時《とき》に|長子《ちょうし》アビラムを|失《うしな》い、その|門《もん》を|立《た》てる|時《とき》に|末《すえ》の|子《こ》セグブを|失《うしな》った。|主《しゅ》がヌンの|子《こ》ヨシュアによって|言《い》われた|言葉《ことば》のとおりである。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデのテシベに|住《す》むテシベびとエリヤはアハブに|言《い》った、「わたしの|仕《つか》えているイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は|生《い》きておられます。わたしの|言葉《ことば》のないうちは、|数年《すうねん》|雨《あめ》も|露《つゆ》もないでしょう」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエリヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「ここを|去《さ》って|東《ひがし》におもむき、ヨルダンの|東《ひがし》にあるケリテ|川《かわ》のほとりに|身《み》を|隠《かく》しなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|川《かわ》の|水《みず》を|飲《の》みなさい。わたしはからすに|命《めい》じて、そこであなたを|養《やしな》わせよう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|行《い》って、|主《しゅ》の|言葉《ことば》のとおりにした。すなわち|行《い》って、ヨルダンの|東《ひがし》にあるケリテ|川《かわ》のほとりに|住《す》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すると、からすが|朝《あさ》ごとに|彼《かれ》の|所《ところ》にパンと|肉《にく》を|運《はこ》び、また|夕《ゆう》ごとにパンと|肉《にく》を|運《はこ》んできた。そして|彼《かれ》はその|川《かわ》の|水《みず》を|飲《の》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|国《くに》に|雨《あめ》がなかったので、しばらくしてその|川《かわ》はかれた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|立《た》ってシドンに|属《ぞく》するザレパテへ|行《い》って、そこに|住《す》みなさい。わたしはそのところのやもめ|女《おんな》に|命《めい》じてあなたを|養《やしな》わせよう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》は|立《た》ってザレパテへ|行《い》ったが、|町《まち》の|門《もん》に|着《つ》いたとき、ひとりのやもめ|女《おんな》が、その|所《ところ》でたきぎを|拾《ひろ》っていた。|彼《かれ》はその|女《おんな》に|声《こえ》をかけて|言《い》った、「|器《うつわ》に|水《みず》を|少《すこ》し|持《も》ってきて、わたしに|飲《の》ませてください」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》が|行《い》って、それを|持《も》ってこようとした|時《とき》、|彼《かれ》は|彼女《かのじょ》を|呼《よ》んで|言《い》った、「|手《て》に|一口《ひとくち》のパンを|持《も》ってきてください」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|生《い》きておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに|一握《ひとにぎ》りの|粉《こな》と、びんに|少《すこ》しの|油《あぶら》があるだけです。|今《いま》わたしはたきぎ二、三|本《ぼん》を|拾《ひろ》い、うちへ|帰《かえ》って、わたしと|子供《こども》のためにそれを|調理《ちょうり》し、それを|食《た》べて|死《し》のうとしているのです」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|恐《おそ》れるにはおよばない。|行《い》って、あなたが|言《い》ったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために|小《ちい》さいパンを、一つ|作《つく》って|持《も》ってきなさい。その|後《のち》、あなたと、あなたの|子供《こども》のために|作《つく》りなさい。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]『|主《しゅ》が|雨《あめ》を|地《ち》のおもてに|降《ふ》らす|日《ひ》まで、かめの|粉《こな》は|尽《つ》きず、びんの|油《あぶら》は|絶《た》えない』とイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》が|言《い》われるからです」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|行《い》って、エリヤが|言《い》ったとおりにした。|彼女《かのじょ》と|彼《かれ》および|彼女《かのじょ》の|家族《かぞく》は|久《ひさ》しく|食《た》べた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がエリヤによって|言《い》われた|言葉《ことば》のように、かめの|粉《こな》は|尽《つ》きず、びんの|油《あぶら》は|絶《た》えなかった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、その|家《いえ》の|主婦《しゅふ》であるこの|女《おんな》の|男《おとこ》の|子《こ》が|病気《びょうき》になった。その|病気《びょうき》はたいそう|重《おも》く、|息《いき》が|絶《た》えたので、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はエリヤに|言《い》った、「|神《かみ》の|人《ひと》よ、あなたはわたしに、|何《なに》の|恨《うら》みがあるのですか。あなたはわたしの|罪《つみ》を|思《おも》い|出《だ》させるため、またわたしの|子《こ》を|死《し》なせるためにおいでになったのですか」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|子《こ》をわたしによこしなさい」。そして|彼女《かのじょ》のふところから|子供《こども》を|取《と》り、|自分《じぶん》のいる|屋上《おくじょう》のへやへかかえて|上《のぼ》り、|自分《じぶん》の|寝台《しんだい》に|寝《ね》かせ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたはわたしが|宿《やど》っている|家《いえ》のやもめにさえ|災《わざわい》をくだして、|子供《こども》を|殺《ころ》されるのですか」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして三|度《ど》その|子《こ》|供《とも》の|上《うえ》に|身《み》を|伸《の》ばし、|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、この|子供《こども》の|魂《たましい》をもとに|帰《かえ》らせてください」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエリヤの|声《こえ》を|聞《き》きいれられたので、その|子《こ》|供《とも》の|魂《たましい》はもとに|帰《かえ》って、|彼《かれ》は|生《い》きかえった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]エリヤはその|子《こ》|供《とも》を|取《と》って|屋上《おくじょう》のへやから|家《いえ》の|中《なか》につれて|降《ふ》り、その|母《はは》にわたして|言《い》った、「ごらんなさい。あなたの|子《こ》は|生《い》きかえりました」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》はエリヤに|言《い》った、「|今《いま》わたしはあなたが|神《かみ》の|人《ひと》であることと、あなたの|口《くち》にある|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|真実《しんじつ》であることを|知《し》りました」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|日《ひ》を|経《へ》て、三|年《ねん》|目《め》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエリヤに|臨《のぞ》んだ、「|行《い》って、あなたの|身《み》をアハブに|示《しめ》しなさい。わたしは|雨《あめ》を|地《ち》に|降《ふ》らせる」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エリヤはその|身《み》をアハブに|示《しめ》そうとして|行《い》った。その|時《とき》、サマリヤにききんが|激《はげ》しかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アハブは|家《いえ》づかさオバデヤを|召《め》した。(オバデヤは|深《ふか》く|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|人《ひと》で、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イゼベルが|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》を|断《た》ち|滅《ほろ》ぼした|時《とき》、オバデヤは百|人《にん》の|預言者《よげんしゃ》を|救《すく》い|出《だ》して五十|人《にん》ずつほら|穴《あな》に|隠《かく》し、パンと|水《みず》をもって|彼《かれ》らを|養《やしな》った)。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アハブはオバデヤに|言《い》った、「|国中《くにぢゅう》のすべての|水《みず》の|源《みなもと》と、すべての|川《かわ》に|行《い》ってみるがよい。|馬《うま》と|騾馬《らば》を|生《い》かしておくための|草《くさ》があるかもしれない。そうすれば、われわれは|家畜《かちく》をいくぶんでも|失《うしな》わずにすむであろう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|行《い》き|巡《めぐ》る|地《ち》をふたりで|分《わ》け、アハブはひとりでこの|道《みち》を|行《い》き、オバデヤはひとりで|他《た》の|道《みち》を|行《おこな》った。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]オバデヤが|道《みち》を|進《すす》んでいた|時《とき》、エリヤが|彼《かれ》に|会《あ》った。|彼《かれ》はエリヤを|認《みと》めて|伏《ふ》して|言《い》った、「わが|主《しゅ》エリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|彼《かれ》に|言《い》った、「そうです。|行《い》って、あなたの|主人《しゅじん》に、エリヤはここにいると|告《つ》げなさい」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしにどんな|罪《つみ》があって、あなたはしもべをアハブの|手《て》にわたして|殺《ころ》そうとされるのですか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|生《い》きておられます。わたしの|主人《しゅじん》があなたを|尋《たず》ねるために、|人《ひと》をつかわさない|民《たみ》はなく、|国《くに》もありません。そしてエリヤはいないと|言《い》う|時《とき》は、その|国《くに》、その|民《たみ》に、あなたが|見《み》つからないという|誓《ちか》いをさせるのです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|今《いま》『|行《い》って、エリヤはここにいると|主人《しゅじん》に|告《つ》げよ』と|言《い》われます。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしがあなたを|離《はな》れて|行《い》くと、|主《しゅ》の|霊《れい》はあなたを、わたしの|知《し》らない|所《ところ》へ|連《つ》れて|行《い》くでしょう。わたしが|行《い》ってアハブに|告《つ》げ、|彼《かれ》があなたを|見《み》つけることができなければ、|彼《かれ》はわたしを|殺《ころ》すでしょう。しかし、しもべは|幼《おさな》い|時《とき》から|主《しゅ》を|恐《おそ》れている|者《もの》です。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イゼベルが|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》を|殺《ころ》した|時《とき》に、わたしがした|事《こと》、すなわち、わたしが|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》のうち百|人《にん》を五十|人《にん》ずつほら|穴《あな》に|隠《かく》して、パンと|水《みず》をもって|養《やしな》った|事《こと》を、わが|主《しゅ》は|聞《き》かれませんでしたか。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ところが|今《いま》あなたは『|行《い》って、エリヤはここにいると|主人《しゅじん》に|告《つ》げよ』と|言《い》われます。そのようなことをすれば|彼《かれ》はわたしを|殺《ころ》すでしょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|言《い》った、「わたしの|仕《つか》える|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わたしは|必《かなら》ず、きょう、わたしの|身《み》を|彼《かれ》に|示《しめ》すであろう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]オバデヤは|行《い》ってアハブに|会《あ》い、|彼《かれ》に|告《つ》げたので、アハブはエリヤに|会《あ》おうとして|行《い》った。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アハブはエリヤを|見《み》たとき、|彼《かれ》に|言《い》った、「イスラエルを|悩《なや》ます|者《もの》よ、あなたはここにいるのですか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|答《こた》えた、「わたしがイスラエルを|悩《なや》ますのではありません。あなたと、あなたの|父《ちち》の|家《いえ》が|悩《なや》ましたのです。あなたがたが|主《しゅ》の|命令《めいれい》を|捨《す》て、バアルに|従《したが》ったためです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》、|人《ひと》をつかわしてイスラエルのすべての|人《ひと》およびバアルの|預言者《よげんしゃ》四百五十|人《にん》、ならびにアシラの|預言者《よげんしゃ》四百|人《にん》、イゼベルの|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》する|者《もの》たちをカルメル|山《やま》に|集《あつ》めて、わたしの|所《ところ》にこさせなさい」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでアハブはイスラエルのすべての|人《ひと》に|人《ひと》をつかわして、|預言者《よげんしゃ》たちをカルメル|山《やま》に|集《あつ》めた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そのときエリヤはすべての|民《たみ》に|近《ちか》づいて|言《い》った、「あなたがたはいつまで二つのものの|間《あいだ》に|迷《まよ》っているのですか。|主《しゅ》が|神《かみ》ならばそれに|従《したが》いなさい。しかしバアルが|神《かみ》ならば、それに|従《したが》いなさい」。|民《たみ》はひと|言《こと》も|彼《かれ》に|答《こた》えなかった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|民《たみ》に|言《い》った、「わたしはただひとり|残《のこ》った|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》です。しかしバアルの|預言者《よげんしゃ》は四百五十|人《にん》あります。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]われわれに二|頭《とう》の|牛《うし》をください。そして一|頭《とう》の|牛《うし》を|彼《かれ》らに|選《えら》ばせ、それを|切《き》り|裂《さ》いて、たきぎの|上《うえ》に|載《の》せ、それに|火《ひ》をつけずにおかせなさい。わたしも一|頭《とう》の|牛《うし》を|整《ととの》え、それをたきぎの|上《うえ》に|載《の》せて|火《ひ》をつけずにおきましょう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてあなたがたはあなたがたの|神《かみ》の|名《な》を|呼《よ》びなさい。わたしは|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》びましょう。そして|火《ひ》をもって|答《こた》える|神《かみ》を|神《かみ》としましょう」。|民《たみ》は|皆《みな》|答《こた》えて「それがよかろう」と|言《い》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そこでエリヤはバアルの|預言者《よげんしゃ》たちに|言《い》った、「あなたがたは|大《だい》ぜいだから|初《はじ》めに一|頭《とう》の|牛《うし》を|選《えら》んで、それを|整《ととの》え、あなたがたの|神《かみ》の|名《な》を|呼《よ》びなさい。ただし|火《ひ》をつけてはなりません」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|与《あた》えられた|牛《うし》を|取《と》って|整《ととの》え、|朝《あさ》から|昼《ひる》までバアルの|名《な》を|呼《よ》んで「バアルよ、|答《こた》えてください」と|言《い》った。しかしなんの|声《こえ》もなく、また|答《こた》える|者《もの》もなかったので、|彼《かれ》らは|自分《じぶん》たちの|造《つく》った|祭壇《さいだん》のまわりに|踊《おど》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》になってエリヤは|彼《かれ》らをあざけって|言《い》った、「|彼《かれ》は|神《かみ》だから、|大声《おおごえ》をあげて|呼《よ》びなさい。|彼《かれ》は|考《かんが》えにふけっているのか、よそへ|行《い》ったのか、|旅《たび》に|出《で》たのか、または|眠《ねむ》っていて|起《おこ》されなければならないのか」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわり、|彼《かれ》らのならわしに|従《したが》って、|刀《かたな》とやりで|身《み》を|傷《きず》つけ、|血《ち》をその|身《み》に|流《なが》すに|至《いた》った。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|昼《ひる》が|過《す》ぎても|彼《かれ》らはなお|叫《さけ》び|続《つづ》けて、|夕《ゆう》の|供《そな》え|物《もの》をささげる|時《とき》にまで|及《およ》んだ。しかしなんの|声《こえ》もなく、|答《こた》える|者《もの》もなく、また|顧《かえり》みる|者《もの》もなかった。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エリヤはすべての|民《たみ》にむかって「わたしに|近寄《ちかよ》りなさい」と|言《い》ったので、|民《たみ》は|皆《みな》|彼《かれ》に|近寄《ちかよ》った。|彼《かれ》はこわれている|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》を|繕《つくろ》った。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そしてエリヤは|昔《むかし》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がヤコブに|臨《のぞ》んで、「イスラエルをあなたの|名《な》とせよ」と|言《い》われたヤコブの|子《こ》らの|部族《ぶぞく》の|数《かず》にしたがって十二の|石《いし》を|取《と》り、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|石《いし》で|主《しゅ》の|名《な》によって|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|種《たね》二セヤをいれるほどの|大《おお》きさの、みぞを|作《つく》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]また、たきぎを|並《なら》べ、|牛《うし》を|切《き》り|裂《さ》いてたきぎの|上《うえ》に|載《の》せて|言《い》った、「四つのかめに|水《みず》を|満《み》たし、それを|燔祭《はんさい》とたきぎの|上《うえ》に|注《そそ》げ」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》った、「それを二|度《ど》せよ」。二|度《ど》それをすると、また|言《い》った、「三|度《ど》それをせよ」。三|度《ど》それをした。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》は|祭壇《さいだん》の|周囲《しゅうい》に|流《なが》れた。またみぞにも|水《みず》を|満《み》たした。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》の|供《そな》え|物《もの》をささげる|時《とき》になって、|預言者《よげんしゃ》エリヤは|近寄《ちかよ》って|言《い》った、「アブラハム、イサク、ヤコブの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、イスラエルでは、あなたが|神《かみ》であること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの|言葉《ことば》に|従《したが》ってこのすべての|事《こと》を|行《おこな》ったことを、|今日《こんにち》|知《し》らせてください。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしに|答《こた》えてください、わたしに|答《こた》えてください。|主《しゅ》よ、この|民《たみ》にあなたが|神《かみ》であること、またあなたが|彼《かれ》らの|心《こころ》を|翻《ひるがえ》されたのであることを|知《し》らせてください」。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|主《しゅ》の|火《ひ》が|下《くだ》って|燔祭《はんさい》と、たきぎと、|石《いし》と、ちりとを|焼《や》きつくし、またみぞの|水《みず》をなめつくした。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|皆《みな》|見《み》て、ひれ|伏《ふ》して|言《い》った、「|主《しゅ》が|神《かみ》である。|主《しゅ》が|神《かみ》である」。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|彼《かれ》らに|言《い》った、「バアルの|預言者《よげんしゃ》を|捕《とら》えよ。そのひとりも|逃《に》がしてはならない」。そこで|彼《かれ》らを|捕《とら》えたので、エリヤは|彼《かれ》らをキション|川《かわ》に|連《つ》れくだって、そこで|彼《かれ》らを|殺《ころ》した。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]エリヤはアハブに|言《い》った、「|大雨《おおあめ》の|音《おと》がするから、|上《のぼ》って|行《い》って、|食《く》い|飲《の》みしなさい」。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]アハブは|食《く》い|飲《の》みするために|上《のぼ》っていった。しかしエリヤはカルメルの|頂《いただき》に|登《のぼ》り、|地《ち》に|伏《ふ》して|顔《かお》をひざの|間《あいだ》に|入《い》れていたが、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はしもべに|言《い》った、「|上《のぼ》っていって|海《うみ》の|方《ほう》を|見《み》なさい」。|彼《かれ》は|上《のぼ》っていって、|見《み》て、「|何《なに》もありません」と|言《い》ったので、エリヤは「もう一|度《ど》|行《い》きなさい」と|言《い》って七|度《ど》に|及《およ》んだ。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]七|度目《どめ》にしもべは|言《い》った、「|海《うみ》から|人《ひと》の|手《て》ほどの|小《ちい》さな|雲《くも》が|起《た》っています」。エリヤは|言《い》った、「|上《のぼ》っていって、『|雨《あめ》にとどめられないように|車《くるま》を|整《ととの》えて|下《くだ》れ』とアハブに|言《い》いなさい」。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]すると|間《ま》もなく、|雲《くも》と|風《かぜ》が|起《おこ》り、|空《そら》が|黒《くろ》くなって|大雨《おおあめ》が|降《ふ》ってきた。アハブは|車《くるま》に|乗《の》ってエズレルへ|行《い》った。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|手《て》がエリヤに|臨《のぞ》んだので、|彼《かれ》は|腰《こし》をからげ、エズレルの|入口《いりぐち》までアハブの|前《まえ》に|走《はし》っていった。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アハブはエリヤのしたすべての|事《こと》、また|彼《かれ》がすべての|預言者《よげんしゃ》を|刀《かたな》で|殺《ころ》したことをイゼベルに|告《つ》げたので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イゼベルは|使者《ししゃ》をエリヤにつかわして|言《い》った、「もしわたしが、あすの|今《いま》ごろ、あなたの|命《いのち》をあの|人々《ひとびと》のひとりの|命《いのち》のようにしていないならば、|神々《かみがみ》がどんなにでも、わたしを|罰《ばっ》してくださるように」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでエリヤは|恐《おそ》れて、|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》うために|立《た》って|逃《に》げ、ユダに|属《ぞく》するベエルシバへ|行《い》って、しもべをそこに|残《のこ》し、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》は一|日《にち》の|道《みち》のりほど|荒野《あらの》にはいって|行《い》って、れだまの|木《き》の|下《した》に|座《ざ》し、|自分《じぶん》の|死《し》を|求《もと》めて|言《い》った、「|主《しゅ》よ、もはや、じゅうぶんです。|今《いま》わたしの|命《いのち》を|取《と》ってください。わたしは|先祖《せんぞ》にまさる|者《もの》ではありません」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はれだまの|木《き》の|下《した》に|伏《ふ》して|眠《ねむ》ったが、|天《てん》の|使《つかい》が|彼《かれ》にさわり、「|起《お》きて|食《た》べなさい」と|言《い》ったので、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|起《お》きて|見《み》ると、|頭《とう》のそばに、|焼《や》け|石《いし》の|上《うえ》で|焼《や》いたパン一|個《こ》と、一びんの|水《みず》があった。|彼《かれ》は|食《た》べ、かつ|飲《の》んでまた|寝《ね》た。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|再《ふたた》びきて、|彼《かれ》にさわって|言《い》った、「|起《お》きて|食《た》べなさい。|道《みち》が|遠《とお》くて|耐《た》えられないでしょうから」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|起《お》きて|食《た》べ、かつ|飲《の》み、その|食物《しょくもつ》で|力《ちから》づいて四十|日《にち》四十|夜《や》|行《い》って、|神《かみ》の|山《やま》ホレブに|着《つ》いた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》で|彼《かれ》はほら|穴《あな》にはいって、そこに|宿《やど》ったが、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》んで、|彼《かれ》に|言《い》われた、「エリヤよ、あなたはここで|何《なに》をしているのか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしは|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》のために|非常《ひじょう》に|熱心《ねっしん》でありました。イスラエルの|人々《ひとびと》はあなたの|契約《けいやく》を|捨《す》て、あなたの|祭壇《さいだん》をこわし、|刀《かたな》をもってあなたの|預言者《よげんしゃ》たちを|殺《ころ》したのです。ただわたしだけ|残《のこ》りましたが、|彼《かれ》らはわたしの|命《いのち》を|取《と》ろうとしています」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「|出《で》て、|山《やま》の|上《うえ》で|主《しゅ》の|前《まえ》に、|立《た》ちなさい」。その|時《とき》|主《しゅ》は|通《とお》り|過《す》ぎられ、|主《しゅ》の|前《まえ》に|大《おお》きな|強《つよ》い|風《かぜ》が|吹《ふ》き、|山《やま》を|裂《さ》き、|岩《いわ》を|砕《くだ》いた。しかし|主《しゅ》は|風《かぜ》の|中《なか》におられなかった。|風《かぜ》の|後《のち》に|地震《じしん》があったが、|地震《じしん》の|中《なか》にも|主《しゅ》はおられなかった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|地震《じしん》の|後《のち》に|火《ひ》があったが、|火《ひ》の|中《なか》にも|主《しゅ》はおられなかった。|火《ひ》の|後《のち》に|静《しず》かな|細《ほそ》い|声《こえ》が|聞《きこ》えた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エリヤはそれを|聞《き》いて|顔《かお》を|外套《がいとう》に|包《つつ》み、|出《で》てほら|穴《あな》の|口《くち》に|立《た》つと、|彼《かれ》に|語《かた》る|声《こえ》が|聞《きこ》えた、「エリヤよ、あなたはここで|何《なに》をしているのか」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしは|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》のために|非常《ひじょう》に|熱心《ねっしん》でありました。イスラエルの|人々《ひとびと》はあなたの|契約《けいやく》を|捨《す》て、あなたの|祭壇《さいだん》をこわし、|刀《かたな》であなたの|預言者《よげんしゃ》たちを|殺《ころ》したからです。ただわたしだけ|残《のこ》りましたが、|彼《かれ》らはわたしの|命《いのち》を|取《と》ろうとしています」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたの|道《みち》を|帰《かえ》って|行《い》って、ダマスコの|荒野《あらの》におもむき、ダマスコに|着《つ》いて、ハザエルに|油《あぶら》を|注《そそ》ぎ、スリヤの|王《おう》としなさい。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またニムシの|子《こ》エヒウに|油《あぶら》を|注《そそ》いでイスラエルの|王《おう》としなさい。またアベルメホラのシャパテの|子《こ》エリシャに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、あなたに|代《かわ》って|預言者《よげんしゃ》としなさい。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ハザエルのつるぎをのがれる|者《もの》をエヒウが|殺《ころ》し、エヒウのつるぎをのがれる|者《もの》をエリシャが|殺《ころ》すであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしはイスラエルのうちに七千|人《にん》を|残《のこ》すであろう。|皆《みな》バアルにひざをかがめず、それに|口《くち》づけしない|者《もの》である」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]さてエリヤはそこを|去《さ》って|行《い》って、シャパテの|子《こ》エリシャに|会《あ》った。|彼《かれ》は十二くびきの|牛《うし》を|前《まえ》に|行《い》かせ、|自分《じぶん》は十二|番目《ばんめ》のくびきと|共《とも》にいて|耕《たがや》していた。エリヤは|彼《かれ》のかたわらを|通《とお》り|過《す》ぎて|外套《がいとう》を|彼《かれ》の|上《うえ》にかけた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|牛《うし》を|捨《す》て、エリヤのあとに|走《はし》ってきて|言《い》った、「わたしの|父母《ふぼ》に|口《くち》づけさせてください。そして|後《のち》あなたに|従《したが》いましょう」。エリヤは|彼《かれ》に|言《い》った、「|行《い》ってきなさい。わたしはあなたに|何《なに》をしましたか」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|彼《かれ》を|離《はな》れて|帰《かえ》り、ひとくびきの|牛《うし》を|取《と》って|殺《ころ》し、|牛《うし》のくびきを|燃《も》やしてその|肉《にく》を|煮《に》、それを|民《たみ》に|与《あた》えて|食《た》べさせ、|立《た》って|行《い》ってエリヤに|従《したが》い、|彼《かれ》に|仕《つか》えた。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]スリヤの|王《おう》ベネハダデはその|軍勢《ぐんぜい》をことごとく|集《あつ》めた。三十二|人《にん》の|王《おう》が|彼《かれ》と|共《とも》におり、また|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》もあった。|彼《かれ》は|上《のぼ》ってサマリヤを|囲《かこ》み、これを|攻《せ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》は|町《まち》に|使者《ししゃ》をつかわし、イスラエルの|王《おう》アハブに|言《い》った、「ベネハダデはこう|申《もう》します、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]『あなたの|金銀《きんぎん》はわたしのもの、またあなたの|妻《つま》たちと|子供《こども》たちの|最《もっと》も|美《うつく》しい|者《もの》もわたしのものです』」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|答《こた》えた、「|王《おう》、わが|主《しゅ》よ、|仰《おお》せのとおり、わたしと、わたしの|持《も》ち|物《もの》は|皆《みな》あなたのものです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》は|再《ふたた》びきて|言《い》った、「ベネハダデはこう|申《もう》します、『わたしはさきに|人《ひと》をつかわして、あなたの|金銀《きんぎん》、|妻子《さいし》を|引《ひ》きわたせと|言《い》いました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あすの|今《いま》ごろ、しもべたちをあなたにつかわします。|彼《かれ》らはあなたの|家《いえ》と、あなたの|家来《けらい》の|家《いえ》を|探《さぐ》って、すべて|彼《かれ》らの|気《き》にいる|物《もの》を|手《て》に|入《い》れて|奪《うば》い|去《さ》るでしょう』」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|王《おう》は|国《くに》の|長老《ちょうろう》をことごとく|召《め》して|言《い》った、「よく|注意《ちゅうい》して、この|人《ひと》が|無理《むり》な|事《こと》を|求《もと》めているのを|知《し》りなさい。|彼《かれ》は|人《ひと》をつかわして、わたしの|妻子《さいし》と|金銀《きんぎん》を|求《もと》めたが、わたしはそれを|拒《こば》まなかった」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すべての|長老《ちょうろう》および|民《たみ》は|皆《みな》|彼《かれ》に|言《い》った、「|聞《き》いてはなりません。|承諾《しょうだく》してはなりません」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それで|彼《かれ》はベネハダデの|使者《ししゃ》に|言《い》った、「|王《おう》、わが|主《しゅ》に|告《つ》げなさい。『あなたが|初《はじ》めに|要求《ようきゅう》されたことは|皆《みな》いたしましょう。しかし|今度《こんど》の|事《こと》はできません』」。|使者《ししゃ》は|去《さ》って|復命《ふくめい》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ベネハダデは|彼《かれ》に|人《ひと》をつかわして|言《い》った、「もしサマリヤのちりが、わたしに|従《したが》うすべての|民《たみ》の|手《て》を|満《み》たすに|足《た》りるならば、|神々《かみがみ》がどんなにでも、わたしを|罰《ばっ》してくださるように」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|答《こた》えた、「『|武具《ぶぐ》を|帯《お》びる|者《もの》は、それを|脱《ぬ》ぐ|者《もの》のように|誇《ほこ》ってはならない』と|告《つ》げなさい」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ベネハダデは|仮《かり》|小屋《ごや》で、|王《おう》たちと|酒《さけ》を|飲《の》んでいたが、この|事《こと》を|聞《き》いて、その|家来《けらい》たちに|言《い》った、「|戦《たたか》いの|備《そな》えをせよ」。|彼《かれ》らは|町《まち》にむかって|戦《たたか》いの|備《そな》えをした。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》ひとりの|預言者《よげんしゃ》がイスラエルの|王《おう》アハブのもとにきて|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『あなたはこの|大軍《たいぐん》を|見《み》たか。わたしはきょう、これをあなたの|手《て》にわたす。あなたは、わたしが|主《しゅ》であることを、|知《し》るようになるであろう』」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アハブは|言《い》った、「だれにさせましょうか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『|地方《ちほう》の|代官《だいかん》の|家来《けらい》たちにさせよ』」。アハブは|言《い》った、「だれが|戦《たたか》いを|始《はじ》めましょうか」。|彼《かれ》は|答《こた》えた、「あなたです」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでアハブは|地方《ちほう》の|代官《だいかん》の|家来《けらい》たちを|調《しら》べたところ二百三十二|人《にん》あった。|次《つぎ》にすべての|民《たみ》、すなわちイスラエルのすべての|人《ひと》を|調《しら》べたところ七千|人《にん》あった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|昼《ひる》ごろ|出《で》ていったが、ベネハダデは|仮《かり》|小屋《ごや》で、|味方《みかた》の三十二|人《にん》の|王《おう》たちと|共《とも》に|酒《さけ》を|飲《の》んで|酔《よ》っていた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|地方《ちほう》の|代官《だいかん》の|家来《けらい》たちが|先《さき》に|出《で》ていった。ベネハダデは|斥候《せっこう》をつかわしたが、|彼《かれ》らは「サマリヤから|人々《ひとびと》が|出《で》てきた」と|報告《ほうこく》したので、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|和解《わかい》のために|出《で》てきたのであっても、|生《いけ》どりにせよ。また|戦《たたか》いのために|出《で》てきたのであっても、|生《いけ》どりにせよ」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|地方《ちほう》の|代官《だいかん》の|家来《けらい》たちと、それに|従《したが》う|軍勢《ぐんぜい》が|町《まち》から|出《で》ていって、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]おのおのその|相手《あいて》を|撃《う》ち|殺《ころ》したので、スリヤびとは|逃《に》げた。イスラエルはこれを|追《お》ったが、スリヤの|王《おう》ベネハダデは|馬《うま》に|乗《の》り、|騎兵《きへい》を|従《したが》えてのがれた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|出《で》ていって、|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》をぶんどり、また|大《おお》いにスリヤびとを|撃《う》ち|殺《ころ》した。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、かの|預言者《よげんしゃ》がイスラエルの|王《おう》のもとにきて|言《い》った、「|行《い》って、|力《ちから》を|養《やしな》い、なすべき|事《こと》をよく|考《かんが》えなさい。|来年《らいねん》の|春《はる》にはスリヤの|王《おう》が、あなたのところに|攻《せ》め|上《のぼ》ってくるからです」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]スリヤの|王《おう》の|家来《けらい》たちは|王《おう》に|言《い》った、「|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》は|山《やま》の|神《かみ》ですから|彼《かれ》らがわれわれよりも|強《つよ》かったのです。もしわれわれが|平地《へいち》で|戦《たたか》うならば、|必《かなら》ず|彼《かれ》らよりも|強《つよ》いでしょう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それでこうしなさい。|王《おう》たちをおのおのその|地位《ちい》から|退《しりぞ》かせ、|総督《そうとく》を|置《お》いてそれに|代《かわ》らせなさい。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またあなたが|失《うしな》った|軍勢《ぐんぜい》に|等《ひと》しい|軍勢《ぐんぜい》を|集《あつ》め、|馬《うま》は|馬《うま》、|戦車《せんしゃ》は|戦車《せんしゃ》をもって|補《おぎな》いなさい。こうしてわれわれが|平地《へいち》で|戦《たたか》うならば|必《かなら》ず|彼《かれ》らよりも|強《つよ》いでしょう」。|彼《かれ》はその|言葉《ことば》を|聞《き》きいれて、そのようにした。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|春《はる》になって、ベネハダデはスリヤびとを|集《あつ》めて、イスラエルと|戦《たたか》うために、アペクに|上《のぼ》ってきた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|召集《しょうしゅう》され、|糧食《りょうしょく》を|受《う》けて|彼《かれ》らを|迎《むか》え|撃《う》つために|出《で》かけた。イスラエルの|人々《ひとびと》はやぎの二つの|小《ちい》さい|群《む》れのように|彼《かれ》らの|前《まえ》に|陣取《じんど》ったが、スリヤびとはその|地《ち》に|満《み》ちていた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|神《かみ》の|人《ひと》がきて、イスラエルの|王《おう》に|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『スリヤびとが、|主《しゅ》は|山《やま》の|神《かみ》であって、|谷《たに》の|神《かみ》ではないと|言《い》っているから、わたしはこのすべての|大軍《たいぐん》をあなたの|手《て》にわたす。あなたは、わたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになるであろう』」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|互《たがい》にむかいあって|陣取《じんど》り、|七日《なぬか》|目《め》になって|戦《たたか》いを|交《まじ》えたが、イスラエルの|人々《ひとびと》は一|日《にち》にスリヤびとの|歩兵《ほへい》十万|人《にん》を|殺《ころ》した。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そのほかの|者《もの》はアペクの|町《まち》に|逃《に》げこんだが、|城壁《じょうへき》がくずれて、その|残《のこ》った二万七千|人《にん》の|上《うえ》に|倒《たお》れた。  ベネハダデは|逃《に》げて|町《まち》に|入《はい》り、|奥《おく》の|間《あいだ》にはいった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|家来《けらい》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「イスラエルの|家《いえ》の|王《おう》たちはあわれみ|深《ふか》い|王《おう》であると|聞《き》いています。それでわれわれの|腰《こし》に|荒布《あらぬの》をつけ、くびになわをかけて、イスラエルの|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》かせてください。たぶん|彼《かれ》はあなたの|命《いのち》を|助《たす》けるでしょう」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|荒布《あらぬの》を|腰《こし》にまき、なわをくびにかけてイスラエルの|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》って|言《い》った、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの|命《いのち》を|助《たす》けてください』と|申《もう》しています」。アハブは|言《い》った、「|彼《かれ》はまだ|生《い》きているのですか。|彼《かれ》はわたしの|兄弟《きょうだい》です」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|人々《ひとびと》はこれを|吉兆《きっちょう》としてすみやかに|彼《かれ》の|言葉《ことば》をうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの|兄弟《きょうだい》です」と|言《い》ったので、|彼《かれ》は|言《い》った、「|行《い》って|彼《かれ》をつれてきなさい」。それでベネハダデは|彼《かれ》の|所《ところ》に|出《で》てきたので、|彼《かれ》はこれを|自分《じぶん》の|車《くるま》に|乗《の》せた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ベネハダデは|彼《かれ》に|言《い》った、「わたしの|父《ちち》が、あなたの|父上《ちちうえ》から|取《と》った|町々《まちまち》は|返《かえ》します。またわたしの|父《ちち》がサマリヤに|造《つく》ったように、あなたはダマスコに、あなたのために|市場《しじょう》を|設《もう》けなさい」。アハブは|言《い》った、「わたしはこの|契約《けいやく》をもってあなたを|帰《かえ》らせましょう」。こうしてアハブは|彼《かれ》と|契約《けいやく》を|結《むす》び、|彼《かれ》を|帰《かえ》らせた。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]さて|預言者《よげんしゃ》のともがらのひとりが|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|従《したが》ってその|仲間《なかま》に|言《い》った、「どうぞ、わたしを|撃《う》ってください」。しかしその|人《ひと》は|撃《う》つことを|拒《こば》んだので、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|人《ひと》に|言《い》った、「あなたは|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》わないゆえ、わたしを|離《はな》れて|行《い》くとすぐ、ししがあなたを|殺《ころ》すでしょう」。その|人《ひと》が|彼《かれ》のそばを|離《はな》れて|行《い》くとすぐ、ししが|彼《かれ》に|会《あ》って|彼《かれ》を|殺《ころ》した。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたほかの|人《ひと》に|会《あ》って|言《い》った、「どうぞ、わたしを|撃《う》ってください」。するとその|人《ひと》は|彼《かれ》を|撃《う》ち、|撃《う》って|傷《きず》つけた。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|預言者《よげんしゃ》は|行《い》って、|道《みち》のかたわらで|王《おう》を|待《ま》ち、|目《め》にほうたいを|当《あ》てて|姿《すがた》を|変《か》えていた。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》が|通《とお》り|過《す》ぎる|時《とき》、|王《おう》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「しもべはいくさの|中《なか》に|出《で》て|行《い》きましたが、ある|軍人《ぐんじん》が、ひとりの|人《ひと》をわたしの|所《ところ》につれてきて|言《い》いました、『この|人《ひと》を|守《まも》っていなさい。もし|彼《かれ》がいなくなれば、あなたの|命《いのち》を|彼《かれ》の|命《いのち》に|代《か》えるか、または|銀《ぎん》一タラントを|払《はら》わなければならない』。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ところが、しもべはあちらこちらと|忙《いそが》しくしていたので、ついに|彼《かれ》はいなくなりました」。イスラエルの|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが|自分《じぶん》でそれを|定《さだ》めたのです」。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》が|急《いそ》いで|目《め》のほうたいを|取《と》り|除《のぞ》いたので、イスラエルの|王《おう》はそれが|預言者《よげんしゃ》のひとりであることを|知《し》った。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|王《おう》に|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしが|滅《ほろ》ぼそうと|定《さだ》めた|人《ひと》を、あなたは|自分《じぶん》の|手《て》から|放《はな》して|行《い》かせたので、あなたの|命《いのち》は|彼《かれ》の|命《いのち》に|代《かわ》り、あなたの|民《たみ》は|彼《かれ》の|民《たみ》に|代《かわ》るであろう』と」。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|悲《かな》しみ、かつ|怒《いか》って|自分《じぶん》の|家《いえ》におもむき、サマリヤに|帰《かえ》った。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう|畑《はたけ》をもっていたが、サマリヤの|王《おう》アハブの|宮殿《きゅうでん》のかたわらにあったので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アハブはナボテに|言《い》った、「あなたのぶどう|畑《はたけ》はわたしの|家《いえ》の|近《ちか》くにあるので、わたしに|譲《ゆず》って|青物《あおもの》|畑《はたけ》にさせてください。その|代《かわ》り、わたしはそれよりも|良《よ》いぶどう|畑《はたけ》をあなたにあげましょう。もしお|望《のぞ》みならば、その|価《あたい》を|金《きん》でさしあげましょう」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ナボテはアハブに|言《い》った、「わたしは|先祖《せんぞ》の|嗣《し》|業《ぎょう》をあなたに|譲《ゆず》ることを|断《だん》じていたしません」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アハブはエズレルびとナボテが|言《い》った|言葉《ことば》を|聞《き》いて、|悲《かな》しみ、かつ|怒《いか》って|家《いえ》にはいった。ナボテが「わたしは|先祖《せんぞ》の|嗣《し》|業《ぎょう》をあなたに|譲《ゆず》りません」と|言《い》ったからである。アハブは|床《とこ》に|伏《ふ》し、|顔《かお》をそむけて|食事《しょくじ》をしなかった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|妻《つま》イゼベルは|彼《かれ》の|所《ところ》にきて、|言《い》った、「あなたは|何《なに》をそんなに|悲《かな》しんで、|食事《しょくじ》をなさらないのですか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう|畑《はたけ》を|金《かね》で|譲《ゆず》ってください。もし|望《のぞ》むならば、その|代《かわ》りに、ほかのぶどう|畑《はたけ》をあげよう』と|言《い》ったが、|彼《かれ》は|答《こた》えて『わたしはぶどう|畑《はたけ》を|譲《ゆず》りません』と|言《い》ったからだ」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|妻《つま》イゼベルは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたが|今《いま》イスラエルを|治《おさ》めているのですか。|起《お》きて|食事《しょくじ》をし、|元気《げんき》を|出《だ》してください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう|畑《はたけ》をあなたにあげます」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はアハブの|名《な》で|手紙《てがみ》を|書《か》き、|彼《かれ》の|印《しるし》をおして、ナボテと|同《おな》じように、その|町《まち》に|住《す》んでいる|長老《ちょうろう》たちと|身分《みぶん》の|尊《たっと》い|人々《ひとびと》に、その|手紙《てがみ》を|送《おく》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はその|手紙《てがみ》に|書《か》きしるした、「|断食《だんじき》を|布告《ふこく》して、ナボテを|民《たみ》のうちの|高《たか》い|所《ところ》にすわらせ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またふたりのよこしまな|者《もの》を|彼《かれ》の|前《まえ》にすわらせ、そして|彼《かれ》を|訴《うった》えて、『あなたは|神《かみ》と|王《おう》とをのろった』と|言《い》わせなさい。こうして|彼《かれ》を|引《ひ》き|出《だ》し、|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》しなさい」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|町《まち》の|人々《ひとびと》、すなわち、その|町《まち》に|住《す》んでいる|長老《ちょうろう》たちおよび|身分《みぶん》の|尊《たっと》い|人々《ひとびと》は、イゼベルが|言《い》いつかわしたようにした。|彼女《かのじょ》が|彼《かれ》らに|送《おく》った|手紙《てがみ》に|書《か》きしるされていたように、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|断食《だんじき》を|布告《ふこく》して、ナボテを|民《たみ》のうちの|高《たか》い|所《ところ》にすわらせた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてふたりのよこしまな|者《もの》がはいってきて、その|前《まえ》にすわり、そのよこしまな|者《もの》たちが|民《たみ》の|前《まえ》でナボテを|訴《うった》えて、「ナボテは|神《かみ》と|王《おう》とをのろった」と|言《い》った。そこで|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を|町《まち》の|外《そと》に|引《ひ》き|出《だ》し、|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|人々《ひとびと》はイゼベルに「ナボテは|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》された」と|言《い》い|送《おく》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イゼベルはナボテが|石《いし》で|撃《う》ち|殺《ころ》されたのを|聞《き》くとすぐ、アハブに|言《い》った、「|立《た》って、あのエズレルびとナボテが、あなたに|金《かね》で|譲《ゆず》ることを|拒《こば》んだぶどう|畑《はたけ》を|取《と》りなさい。ナボテは|生《い》きていません。|死《し》んだのです」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アハブはナボテの|死《し》んだのを|聞《き》くとすぐ、|立《た》って、エズレルびとナボテのぶどう|畑《はたけ》を|取《と》るために、そこへ|下《くだ》っていった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がテシベびとエリヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「|立《た》って、|下《くだ》って|行《い》き、サマリヤにいるイスラエルの|王《おう》アハブに|会《あ》いなさい。|彼《かれ》はナボテのぶどう|畑《はたけ》を|取《と》ろうとしてそこへ|下《くだ》っている。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》に|言《い》わなければならない、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたは|殺《ころ》したのか、また|取《と》ったのか』と。また|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|犬《いぬ》がナボテの|血《ち》をなめた|場所《ばしょ》で、|犬《いぬ》があなたの|血《ち》をなめるであろう』」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アハブはエリヤに|言《い》った、「わが|敵《てき》よ、ついに、わたしを|見《み》つけたのか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「|見《み》つけました。あなたが|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》うことに|身《み》をゆだねたゆえ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|災《わざわい》を|下《くだ》し、あなたを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼし、アハブに|属《ぞく》する|男《おとこ》は、イスラエルにいてつながれた|者《もの》も、|自由《じゆう》な|者《もの》もことごとく|断《た》ち、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|家《いえ》をネバテの|子《こ》ヤラベアムの|家《いえ》のようにし、アヒヤの|子《こ》バアシャの|家《いえ》のようにするでしょう。これはあなたがわたしを|怒《いか》らせた|怒《いか》りのゆえ、またイスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたゆえです。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]イゼベルについて、|主《しゅ》はまた|言《い》われました、『|犬《いぬ》がエズレルの|地域《ちいき》でイゼベルを|食《く》うであろう』と。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アハブに|属《ぞく》する|者《もの》は、|町《まち》で|死《し》ぬ|者《もの》を|犬《いぬ》が|食《く》い、|野《の》で|死《し》ぬ|者《もの》を|空《そら》の|鳥《とり》が|食《く》うでしょう」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アハブのように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》うことに|身《み》をゆだねた|者《もの》はなかった。その|妻《つま》イゼベルが|彼《かれ》をそそのかしたのである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われたアモリびとがしたように|偶像《ぐうぞう》に|従《したが》って、はなはだ|憎《にく》むべき|事《こと》を|行《おこな》った。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アハブはこれらの|言葉《ことば》を|聞《き》いた|時《とき》、|衣《ころも》を|裂《さ》き、|荒布《あらぬの》を|身《み》にまとい、|食《しょく》を|断《た》ち、|荒布《あらぬの》に|伏《ふ》し、|打《う》ちしおれて|歩《ある》いた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がテシベびとエリヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]「アハブがわたしの|前《まえ》にへりくだっているのを|見《み》たか。|彼《かれ》がわたしの|前《まえ》にへりくだっているゆえ、わたしは|彼《あ》の|世《よ》には|災《わざわい》を|下《くだ》さない。その|子《こ》の|世《よ》に|災《わざわい》をその|家《いえ》に|下《くだ》すであろう」。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]スリヤとイスラエルの|間《あいだ》に|戦争《せんそう》がなくて三|年《ねん》を|経《へ》た。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかし三|年《ねん》|目《め》にユダの|王《おう》ヨシャパテがイスラエルの|王《おう》の|所《ところ》へ|下《くだ》っていったので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はその|家来《けらい》たちに|言《い》った、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの|所有《しょゆう》であることを|知《し》っていますか。しかもなおわれわれはスリヤの|王《おう》の|手《て》からそれを|取《と》らずに|黙《だま》っているのです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はヨシャパテに|言《い》った、「ラモテ・ギレアデで|戦《たたか》うためにわたしと|一緒《いっしょ》に|行《い》かれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの|王《おう》に|言《い》った、「わたしはあなたと一つです。わたしの|民《たみ》はあなたの|民《たみ》と一つです。わたしの|馬《うま》はあなたの|馬《うま》と一つです」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはまたイスラエルの|王《おう》に|言《い》った、「まず、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|伺《うかが》いなさい」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|王《おう》は|預言者《よげんしゃ》四百|人《にん》ばかりを|集《あつ》めて、|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしはラモテ・ギレアデに|戦《たたか》いに|行《い》くべきでしょうか、あるいは|控《ひか》えるべきでしょうか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「|上《のぼ》っていきなさい。|主《しゅ》はそれを|王《おう》の|手《て》にわたされるでしょう」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|言《い》った、「ここには、われわれの|問《と》うべき|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》がほかにいませんか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はヨシャパテに|言《い》った、「われわれが|主《しゅ》に|問《と》うことのできる|人《ひと》が、まだひとりいます。イムラの|子《こ》ミカヤです。|彼《かれ》はわたしについて|良《よ》い|事《こと》を|預言《よげん》せず、ただ|悪《わる》い|事《こと》だけを|預言《よげん》するので、わたしは|彼《かれ》を|憎《にく》んでいます」。ヨシャパテは|言《い》った、「|王《おう》よ、そう|言《い》わないでください」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|王《おう》は|役人《やくにん》を|呼《よ》んで、「|急《いそ》いでイムラの|子《こ》ミカヤを|連《つ》れてきなさい」と|言《い》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さてイスラエルの|王《おう》およびユダの|王《おう》ヨシャパテは|王《おう》の|服《ふく》を|着《き》て、サマリヤの|門《もん》の|入口《いりぐち》の|広場《ひろば》に、おのおのその|王座《おうざ》にすわり、|預言者《よげんしゃ》たちは|皆《みな》その|前《まえ》で|預言《よげん》していた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ケナアナの|子《こ》ゼデキヤは|鉄《てつ》の|角《つの》を|造《つく》って|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『あなたはこれらの|角《つの》をもってスリヤびとを|突《つ》いて|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしなさい』」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》たちは|皆《みな》そのように|預言《よげん》して|言《い》った、「ラモテ・ギレアデに|上《のぼ》っていって|勝利《しょうり》を|得《え》なさい。|主《しゅ》はそれを|王《おう》の|手《て》にわたされるでしょう」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]さてミカヤを|呼《よ》びにいった|使者《ししゃ》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|預言者《よげんしゃ》たちは|一致《いっち》して|王《おう》に|良《よ》い|事《こと》を|言《い》いました。どうぞ、あなたも、|彼《かれ》らのひとりの|言葉《ことば》のようにして、|良《よ》い|事《こと》を|言《い》ってください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられます。|主《しゅ》がわたしに|言《い》われる|事《こと》を|申《もう》しましょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》くと、|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに|戦《たたか》いに|行《い》くべきでしょうか、あるいは|控《ひか》えるべきでしょうか」。|彼《かれ》は|王《おう》に|言《い》った、「|上《のぼ》っていって|勝利《しょうり》を|得《え》なさい。|主《しゅ》はそれを|王《おう》の|手《て》にわたされるでしょう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|幾《いく》たびあなたを|誓《ちか》わせたら、あなたは|主《しゅ》の|名《な》をもって、ただ|真実《しんじつ》のみをわたしに|告《つ》げるでしょうか」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしはイスラエルが|皆《みな》、|牧者《ぼくしゃ》のない|羊《ひつじ》のように、|山《やま》に|散《ち》っているのを|見《み》ました。すると|主《しゅ》は『これらの|者《もの》は|飼主《かいぬし》がいない。|彼《かれ》らをそれぞれ|安《やす》らかに、その|家《いえ》に|帰《かえ》らせよ』と|言《い》われました」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はヨシャパテに|言《い》った、「|彼《かれ》がわたしについて|良《よ》い|事《こと》を|預言《よげん》せず、ただ|悪《わる》い|事《こと》だけを|預言《よげん》すると、あなたに|告《つ》げたではありませんか」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「それゆえ|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。わたしは|主《しゅ》がその|玉座《ぎょくざ》にすわり、|天《てん》の|万軍《ばんぐん》がそのかたわらに、|右左《みぎひだり》に|立《た》っているのを|見《み》たが、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに|上《のぼ》らせ、|彼《かれ》を|倒《たお》れさせるであろうか』と|言《い》われました。するとひとりはこの|事《こと》を|言《い》い、ひとりはほかの|事《こと》を|言《い》いました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》一つの|霊《れい》が|進《すす》み|出《で》て、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》ち、『わたしが|彼《かれ》をいざないましょう』と|言《い》いました。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は『どのような|方法《ほうほう》でするのか』と|言《い》われたので、|彼《かれ》は『わたしが|出《で》て|行《い》って、|偽《いつわ》りを|言《い》う|霊《れい》となって、すべての|預言者《よげんしゃ》の|口《くち》に|宿《やど》りましょう』と|言《い》いました。そこで|主《しゅ》は『おまえは|彼《かれ》をいざなって、それを|成《な》し|遂《と》げるであろう。|出《で》て|行《い》って、そうしなさい』と|言《い》われました。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それで|主《しゅ》は|偽《いつわ》りを|言《い》う|霊《れい》をあなたのすべての|預言者《よげんしゃ》の|口《くち》に|入《い》れ、また|主《しゅ》はあなたの|身《み》に|起《おこ》る|災《わざわい》を|告《つ》げられたのです」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]するとケナアナの|子《こ》ゼデキヤは|近寄《ちかよ》って、ミカヤのほおを|打《う》って|言《い》った、「どのようにして|主《しゅ》の|霊《れい》がわたしを|離《はな》れて、あなたに|語《かた》りましたか」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「あなたが|奥《おく》の|間《あいだ》にはいって|身《み》を|隠《かく》すその|日《ひ》に、わかるでしょう」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|言《い》った、「ミカヤを|捕《とら》え、|町《まち》のつかさアモンと、|王《おう》の|子《こ》ヨアシの|所《ところ》へ|引《ひ》いて|帰《かえ》って、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》いなさい、『|王《おう》がこう|言《い》います、この|者《もの》を|獄屋《ごくや》に|入《い》れ、わずかのパンと|水《みず》をもって|彼《かれ》を|養《やしな》い、わたしが|勝利《しょうり》を|得《え》て|帰《かえ》ってくるのを|待《ま》て』」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「もしあなたが|勝利《しょうり》を|得《え》て|帰《かえ》ってこられるならば、|主《しゅ》がわたしによって|語《かた》られなかったのです」。また|彼《かれ》は|言《い》った、「あなたがた、すべての|民《たみ》よ、|聞《き》きなさい」。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|王《おう》とユダの|王《おう》ヨシャパテはラモテ・ギレアデに|上《のぼ》っていった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はヨシャパテに|言《い》った、「わたしは|姿《すがた》を|変《か》えて、|戦《たたか》いに|行《い》きます。あなたは|王《おう》の|服《ふく》を|着《つ》けなさい」。イスラエルの|王《おう》は|姿《すがた》を|変《か》えて|戦《たたか》いに|行《い》った。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]さて、スリヤの|王《おう》は、その|戦車《せんしゃ》|長《ちょう》三十二|人《にん》に|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたは、|小《ちい》さい|者《もの》とも|大《おお》きい|者《もの》とも|戦《たたか》わないで、ただイスラエルの|王《おう》とだけ|戦《たたか》いなさい」。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|戦車《せんしゃ》|長《ちょう》らはヨシャパテを|見《み》たとき、これはきっとイスラエルの|王《おう》だと|思《おも》ったので、|身《み》をめぐらして、これと|戦《たたか》おうとすると、ヨシャパテは|呼《よ》ばわった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|戦車《せんしゃ》|長《ちょう》らは|彼《かれ》がイスラエルの|王《おう》でないのを|見《み》たので、|彼《かれ》を|追《お》うことをやめて|引《ひ》き|返《かえ》した。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ひとりの|人《ひと》が|何《なに》|心《こころ》なく|弓《ゆみ》をひいて、イスラエルの|王《おう》の|胸当《むねあて》と|草摺《くさずり》の|間《あいだ》を|射《い》たので、|彼《かれ》はその|戦車《せんしゃ》の|御者《ぎょしゃ》に|言《い》った、「わたしは|傷《きず》を|受《う》けた。|戦車《せんしゃ》をめぐらして、わたしを|戦場《せんじょう》から|運《はこ》び|出《だ》せ」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》|戦《たたか》いは|激《はげ》しくなった。|王《おう》は|戦車《せんしゃ》の|中《なか》にささえられて|立《た》ち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、|夕暮《ゆうぐれ》になって|死《し》んだ。|傷《きず》の|血《ち》は|戦車《せんしゃ》の|底《そこ》に|流《なが》れた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》の|没《ぼっ》するころ、|軍勢《ぐんぜい》の|中《なか》に|呼《よ》ばわる|声《こえ》がした、「めいめいその|町《まち》へ、めいめいその|国《くに》へ|帰《かえ》れ」。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|死《し》んで、サマリヤへ|携《たずさ》え|行《い》かれた。|人々《ひとびと》は|王《おう》をサマリヤに|葬《ほうむ》った。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]またその|戦車《せんしゃ》をサマリヤの|池《いけ》で|洗《あら》ったが、|犬《いぬ》がその|血《ち》をなめた。また|遊女《ゆうじょ》がそこで|身《み》を|洗《あら》った。|主《しゅ》が|言《い》われた|言葉《ことば》のとおりである。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]アハブのそのほかの|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》と、その|建《た》てた|象牙《ぞうげ》の|家《いえ》と、その|建《た》てたすべての|町《まち》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてアハブはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、その|子《こ》アハジヤが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]アサの|子《こ》ヨシャパテはイスラエルの|王《おう》アハブの|第《だい》四|年《ねん》にユダの|王《おう》となった。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|王《おう》となった|時《とき》、三十五|歳《さい》であったが、エルサレムで二十五|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》の|名《な》はアズバといい、シルヒの|娘《むすめ》であった。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|父《ちち》アサのすべての|道《みち》に|歩《あゆ》み、それを|離《はな》れることなく、|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》をした。ただし|高《たか》き|所《ところ》は|除《のぞ》かなかったので、|民《たみ》はなお|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはまたイスラエルの|王《おう》と、よしみを|結《むす》んだ。  [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》があらわした|勲功《くんこう》およびその|戦争《せんそう》については、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|父《ちち》アサの|世《よ》になお|残《のこ》っていた|神殿《しんでん》|男娼《だんしょう》たちを|国《くに》のうちから|追《お》い|払《はら》った。  [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]そのころエドムには|王《おう》がなく、|代官《だいかん》が|王《おう》であった。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはタルシシの|船《ふね》を|造《つく》って、|金《きん》を|獲《え》るためにオフルに|行《い》かせようとしたが、その|船《ふね》はエジオン・ゲベルで|難破《なんぱ》したため、ついに|行《い》かなかった。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]そこでアハブの|子《こ》アハジヤはヨシャパテに「わたしの|家来《けらい》をあなたの|家来《けらい》と|一緒《いっしょ》に|船《ふね》で|行《い》かせなさい」と|言《い》ったが、ヨシャパテは|承知《しょうち》しなかった。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》って、|父《ちち》ダビデの|町《まち》に|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》ヨラムが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]アハブの|子《こ》アハジヤはユダの|王《おう》ヨシャパテの|第《だい》十七|年《ねん》にサマリヤでイスラエルの|王《おう》となり、二|年《ねん》イスラエルを|治《おさ》めた。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、その|父《ちち》の|道《みち》と、その|母《はは》の|道《みち》、およびかのイスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|道《みち》に|歩《あゆ》み、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]バアルに|仕《つか》えて、それを|拝《おが》み、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|怒《いか》らせた。すべて|彼《かれ》の|父《ちち》がしたとおりであった。 [#改ページ] 列王紀下[#「列王紀下」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アハブが|死《し》んだ|後《のち》、モアブはイスラエルにそむいた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さてアハジヤはサマリヤにある|高殿《たかどの》のらんかんから|落《お》ちて|病気《びょうき》になったので、|使者《ししゃ》をつかわし、「|行《い》ってエクロンの|神《かみ》バアル・ゼブブに、この|病気《びょうき》がなおるかどうかを|尋《たず》ねよ」と|命《めい》じた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、|主《しゅ》の|使《つかい》はテシベびとエリヤに|言《い》った、「|立《た》って、|上《のぼ》って|行《い》き、サマリヤの|王《おう》の|使者《ししゃ》に|会《あ》って|言《い》いなさい、『あなたがたがエクロンの|神《かみ》バアル・ゼブブに|尋《たず》ねようとして|行《い》くのは、イスラエルに|神《かみ》がないためか』。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『あなたは、|登《のぼ》った|寝台《しんだい》から|降《お》りることなく、|必《かなら》ず|死《し》ぬであろう』」。そこでエリヤは|上《のぼ》って|行《い》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》たちがアハジヤのもとに|帰《かえ》ってきたので、アハジヤは|彼《かれ》らに|言《い》った、「なぜ|帰《かえ》ってきたのか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「ひとりの|人《ひと》が|上《のぼ》ってきて、われわれに|会《あ》って|言《い》いました、『おまえたちをつかわした|王《おう》の|所《ところ》へ|帰《かえ》って|言《い》いなさい。|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたがエクロンの|神《かみ》バアル・ゼブブに|尋《たず》ねようとして|人《ひと》をつかわすのは、イスラエルに|神《かみ》がないためなのか。それゆえあなたは、|登《のぼ》った|寝台《しんだい》から|降《お》りることなく、|必《かなら》ず|死《し》ぬであろう』」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|上《のぼ》ってきて、あなたがたに|会《あ》って、これらの|事《こと》を|告《つ》げた|人《ひと》はどんな|人《ひと》であったか」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「その|人《ひと》は|毛《け》ごろもを|着《き》て、|腰《こし》に|皮《かわ》の|帯《おび》を|締《し》めていました」。|彼《かれ》は|言《い》った、「その|人《ひと》はテシべびとエリヤだ」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は五十|人《にん》の|長《ちょう》を、|部下《ぶか》の五十|人《にん》と|共《とも》にエリヤの|所《ところ》へつかわした。|彼《かれ》がエリヤの|所《ところ》へ|上《のぼ》っていくと、エリヤは|山《やま》の|頂《いただき》にすわっていたので、エリヤに|言《い》った、「|神《かみ》の|人《ひと》よ、|王《おう》があなたに、|下《くだ》って|来《く》るようにと|言《い》われます」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしエリヤは五十|人《にん》の|長《ちょう》に|答《こた》えた、「わたしがもし|神《かみ》の|人《ひと》であるならば、|火《ひ》が|天《てん》から|下《くだ》って、あなたと|部下《ぶか》の五十|人《にん》とを|焼《や》き|尽《つく》すでしょう」。そのように|火《ひ》が|天《てん》から|下《くだ》って、|彼《かれ》と|部下《ぶか》の五十|人《にん》とを|焼《や》き|尽《つく》した。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|他《た》の五十|人《にん》の|長《ちょう》を、|部下《ぶか》の五十|人《にん》と|共《とも》にエリヤにつかわした。|彼《かれ》は|上《のぼ》っていってエリヤに|言《い》った、「|神《かみ》の|人《ひと》よ、|王《おう》がこう|命《めい》じられます、『すみやかに|下《くだ》ってきなさい』」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしエリヤは|彼《かれ》らに|答《こた》えた、「わたしがもし|神《かみ》の|人《ひと》であるならば、|火《ひ》が|天《てん》から|下《くだ》って、あなたと|部下《ぶか》の五十|人《にん》とを|焼《や》き|尽《つく》すでしょう」。そのように|神《かみ》の|火《ひ》が|天《てん》から|下《くだ》って、|彼《かれ》と|部下《ぶか》の五十|人《にん》とを|焼《や》き|尽《つく》した。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|第《だい》三の五十|人《にん》の|長《ちょう》を|部下《ぶか》の五十|人《にん》と|共《とも》につかわした。|第《だい》三の五十|人《にん》の|長《ちょう》は|上《のぼ》っていって、エリヤの|前《まえ》にひざまずき、|彼《かれ》に|願《ねが》って|言《い》った、「|神《かみ》の|人《ひと》よ、どうぞ、わたしの|命《いのち》と、あなたのしもべであるこの五十|人《にん》の|命《いのち》をあなたの|目《め》に|尊《たっと》いものとみなしてください。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ごらんなさい、|火《ひ》が|天《てん》からくだって、さきの五十|人《にん》の|長《ちょう》ふたりと、その|部下《ぶか》の五十|人《にん》ずつとを|焼《や》き|尽《つく》しました。しかし|今《いま》わたしの|命《いのち》をあなたの|目《め》に|尊《たっと》いものとみなしてください」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|使《つかい》はエリヤに|言《い》った、「|彼《かれ》と|共《とも》に|下《くだ》りなさい。|彼《かれ》を|恐《おそ》れてはならない」。そこでエリヤは|立《た》って、|彼《かれ》と|共《とも》に|下《くだ》り、|王《おう》のもとへ|行《い》って、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》に|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『あなたはエクロンの|神《かみ》バアル・ゼブブに|尋《たず》ねようと|使者《ししゃ》をつかわしたが、それはイスラエルに、その|言葉《ことば》を|求《もと》むべき|神《かみ》がないためであるか。それゆえあなたは、|登《のぼ》った|寝台《しんだい》から|降《お》りることなく、|必《かなら》ず|死《し》ぬであろう』」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はエリヤが|言《い》った|主《しゅ》の|言葉《ことば》のとおりに|死《し》んだが、|彼《かれ》に|子《こ》がなかったので、その|兄弟《きょうだい》ヨラムが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。これはユダの|王《おう》ヨシャパテの|子《こ》ヨラムの|第《だい》二|年《ねん》である。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤのその|他《た》の|事績《じせき》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がつむじ|風《かぜ》をもってエリヤを|天《てん》に|上《のぼ》らせようとされた|時《とき》、エリヤはエリシャと|共《とも》にギルガルを|出《で》て|行《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エリヤはエリシャに|言《い》った、「どうぞ、ここにとどまってください。|主《しゅ》はわたしをベテルにつかわされるのですから」。しかしエリシャは|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられます。またあなたも|生《い》きておられます。わたしはあなたを|離《はな》れません」。そして|彼《かれ》らはベテルへ|下《くだ》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ベテルにいる|預言者《よげんしゃ》のともがらが、エリシャのもとに|出《で》てきて|彼《かれ》に|言《い》った、「|主《しゅ》がきょう、あなたの|師事《しじ》する|主人《しゅじん》をあなたから|取《と》られるのを|知《し》っていますか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「はい、|知《し》っています。あなたがたは|黙《だま》っていてください」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|彼《かれ》に|言《い》った、「エリシャよ、どうぞ、ここにとどまってください。|主《しゅ》はわたしをエリコにつかわされるのですから」。しかしエリシャは|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられます。またあなたも|生《い》きておられます。わたしはあなたを|離《はな》れません」。そして|彼《かれ》らはエリコへ|行《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エリコにいた|預言者《よげんしゃ》のともがらが、エリシャのもとにきて|彼《かれ》に|言《い》った、「|主《しゅ》がきょう、あなたの|師事《しじ》する|主人《しゅじん》をあなたから|取《と》られるのを|知《し》っていますか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「はい、|知《し》っています。あなたがたは|黙《だま》っていてください」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エリヤはまた|彼《かれ》に|言《い》った、「どうぞ、ここにとどまってください。|主《しゅ》はわたしをヨルダンにつかわされるのですから」。しかし|彼《かれ》は|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられます。またあなたも|生《い》きておられます。わたしはあなたを|離《はな》れません」。そしてふたりは|進《すす》んで|行《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》のともがら五十|人《にん》も|行《い》って、|彼《かれ》らにむかって、はるかに|離《はな》れて|立《た》っていた。|彼《かれ》らふたりは、ヨルダンのほとりに|立《た》ったが、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|外套《がいとう》を|取《と》り、それを|巻《ま》いて|水《みず》を|打《う》つと、|水《みず》が|左右《さゆう》に|分《わか》れたので、ふたりはかわいた|土《つち》の|上《うえ》を|渡《わた》ることができた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|渡《わた》ったとき、エリヤはエリシャに|言《い》った、「わたしが|取《と》られて、あなたを|離《はな》れる|前《まえ》に、あなたのしてほしい|事《こと》を|求《もと》めなさい」。エリシャは|言《い》った、「どうぞ、あなたの|霊《れい》の二つの|分《ぶん》をわたしに|継《つ》がせてください」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エリヤは|言《い》った、「あなたはむずかしい|事《こと》を|求《もと》める。あなたがもし、わたしが|取《と》られて、あなたを|離《はな》れるのを|見《み》るならば、そのようになるであろう。しかし|見《み》ないならば、そのようにはならない」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|進《すす》みながら|語《かた》っていた|時《とき》、|火《ひ》の|車《くるま》と|火《ひ》の|馬《うま》があらわれて、ふたりを|隔《へだ》てた。そしてエリヤはつむじ|風《かぜ》に|乗《の》って|天《てん》にのぼった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはこれを|見《み》て「わが|父《ちち》よ、わが|父《ちち》よ、イスラエルの|戦車《せんしゃ》よ、その|騎兵《きへい》よ」と|叫《さけ》んだが、|再《ふたた》び|彼《かれ》を|見《み》なかった。  そこでエリシャは|自分《じぶん》の|着物《きもの》をつかんで、それを二つに|裂《さ》き、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またエリヤの|身《み》から|落《お》ちた|外套《がいとう》を|取《と》り|上《あ》げ、|帰《かえ》ってきてヨルダンの|岸《きし》に|立《た》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてエリヤの|身《み》から|落《お》ちたその|外套《がいとう》を|取《と》って|水《みず》を|打《う》ち、「エリヤの|神《かみ》、|主《しゅ》はどこにおられますか」と|言《い》い、|彼《かれ》が|水《みず》を|打《う》つと、|水《みず》は|左右《さゆう》に|分《わか》れたので、エリシャは|渡《わた》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エリコにいる|預言者《よげんしゃ》のともがらは|彼《かれ》の|近《ちか》づいて|来《く》るのを|見《み》て、「エリヤの|霊《れい》がエリシャの|上《うえ》にとどまっている」と|言《い》った。そして|彼《かれ》らは|来《き》て|彼《かれ》を|迎《むか》え、その|前《まえ》に|地《ち》に|伏《ふ》して、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》った、「しもべらの|所《ところ》に|力《ちから》の|強《つよ》い|者《もの》が五十|人《にん》います。どうぞ|彼《かれ》らをつかわして、あなたの|主人《しゅじん》を|尋《たず》ねさせてください。|主《しゅ》の|霊《れい》が|彼《かれ》を|引《ひ》きあげて、|彼《かれ》を|山《やま》か|谷《たに》に|投《な》げたのかも|知《し》れません」。エリシャは「つかわしてはならない」と|言《い》ったが、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|恥《は》じるまで、しいたので、|彼《かれ》は「つかわしなさい」と|言《い》った。それで|彼《かれ》らは五十|人《にん》の|者《もの》をつかわし、三|日《か》の|間《あいだ》|尋《たず》ねたが、|彼《かれ》を|見《み》いださなかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エリシャのなおエリコにとどまっている|時《とき》、|彼《かれ》らが|帰《かえ》ってきたので、エリシャは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしは、あなたがたに、|行《い》ってはならないと|告《つ》げたではないか」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|人々《ひとびと》はエリシャに|言《い》った、「|見《み》られるとおり、この|町《まち》の|場所《ばしょ》は|良《よ》いが|水《みず》が|悪《わる》いので、この|地《ち》は|流産《りゅうざん》を|起《おこ》すのです」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「|新《あたら》しい|皿《さら》に|塩《しお》を|盛《も》って、わたしに|持《も》ってきなさい」。|彼《かれ》らは|持《も》ってきた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|水《みず》の|源《みなもと》へ|出《で》て|行《い》って、|塩《しお》をそこに|投《な》げ|入《い》れて|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしはこの|水《みず》を|良《よ》い|水《みず》にした。もはやここには|死《し》も|流産《りゅうざん》も|起《おこ》らないであろう』」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|水《みず》はエリシャの|言《い》ったとおりに|良《よ》い|水《みず》になって|今日《こんにち》に|至《いた》っている。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそこからベテルへ|上《のぼ》ったが、|上《のぼ》って|行《い》く|途中《とちゅう》、|小《ちい》さい|子供《こども》らが|町《まち》から|出《で》てきて|彼《かれ》をあざけり、|彼《かれ》にむかって「はげ|頭《あたま》よ、のぼれ。はげ|頭《あたま》よ、のぼれ」と|言《い》ったので、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はふり|返《かえ》って|彼《かれ》らを|見《み》、|主《しゅ》の|名《な》をもって|彼《かれ》らをのろった。すると|林《はやし》の|中《なか》から二|頭《とう》の|雌《め》ぐまが|出《で》てきて、その|子《こ》|供《とも》らのうち四十二|人《にん》を|裂《さ》いた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそこからカルメル|山《やま》へ|行《い》き、そこからサマリヤに|帰《かえ》った。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシャパテの|第《だい》十八|年《ねん》にアハブの|子《こ》ヨラムはサマリヤでイスラエルの|王《おう》となり、十二|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなったが、その|父母《ふぼ》のようではなかった。|彼《かれ》がその|父《ちち》の|造《つく》ったバアルの|石柱《せきちゅう》を|除《のぞ》いたからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》はイスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》につき|従《したが》って、それを|離《はな》れなかった。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|王《おう》メシャは|羊《ひつじ》の|飼育《しいく》|者《もの》で、十万の|小羊《こひつじ》と、十万の|雄羊《おひつじ》の|毛《け》とを|年々《ねんねん》イスラエルの|王《おう》に|納《おさ》めていたが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アハブが|死《し》んだ|後《のち》、モアブの|王《おう》はイスラエルの|王《おう》にそむいた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨラム|王《おう》はその|時《とき》サマリヤを|出《で》て、イスラエルびとをことごとく|集《あつ》め、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、|人《ひと》をユダの|王《おう》ヨシャパテにつかわし、「モアブの|王《おう》はわたしにそむきました。あなたはモアブと|戦《たたか》うために、わたしと|一緒《いっしょ》に|行《い》かれませんか」と|言《い》わせた。|彼《かれ》は|言《い》った、「|行《い》きましょう。わたしはあなたと一つです。わたしの|民《たみ》はあなたの|民《たみ》と一つです。わたしの|馬《うま》はあなたの|馬《うま》と一つです」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|言《い》った、「われわれはどの|道《みち》を|上《のぼ》るのですか」。ヨラムは|答《こた》えた、「エドムの|荒野《あらの》の|道《みち》を|上《のぼ》りましょう」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|王《おう》はユダの|王《おう》およびエドムの|王《おう》と|共《とも》に|出《で》て|行《い》った。しかし|彼《かれ》らは|回《まわ》り|道《みち》をして、|七日《なぬか》の|間《あいだ》|進《すす》んだが、|軍勢《ぐんぜい》とそれに|従《したが》う|家畜《かちく》の|飲《の》む|水《みず》がなかったので、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》は、この三|人《にん》の|王《おう》をモアブの|手《て》に|渡《わた》そうとして|召《め》し|集《あつ》められたのだ」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|言《い》った、「われわれが|主《しゅ》に|問《と》うことのできる|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》はここにいませんか」。イスラエルの|王《おう》のひとりの|家来《けらい》が|答《こた》えた、「エリヤの|手《て》に|水《みず》を|注《そそ》いだシャパテの|子《こ》エリシャがここにいます」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|言《い》った、「|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|彼《かれ》にあります」。そこでイスラエルの|王《おう》とヨシャパテとエドムの|王《おう》とは|彼《かれ》のもとへ|下《くだ》っていった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはイスラエルの|王《おう》に|言《い》った、「わたしはあなたとなんのかかわりがありますか。あなたの|父上《ちちうえ》の|預言者《よげんしゃ》たちと|母上《ははうえ》の|預言者《よげんしゃ》たちの|所《ところ》へ|行《い》きなさい」。イスラエルの|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「いいえ、|主《しゅ》がこの三|人《にん》の|王《おう》をモアブの|手《て》に|渡《わた》そうとして|召《め》し|集《あつ》められたのです」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「わたしの|仕《つか》える|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|生《い》きておられます。わたしはユダの|王《おう》ヨシャパテのためにするのでなければ、あなたを|顧《かえり》み、あなたに|会《あ》うことはしないのだが、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]いま|楽人《がくじん》をわたしの|所《ところ》に|連《つ》れてきなさい」。そこで|楽人《がくじん》が|楽《がく》を|奏《そう》すると、|主《しゅ》の|手《て》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》んで、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしはこの|谷《たに》を|水《みず》たまりで|満《み》たそう』。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がこう|仰《おお》せられるからである、『あなたがたは|風《かぜ》も|雨《あめ》も|見《み》ないのに、この|谷《たに》に|水《みず》が|満《み》ちて、あなたがたと、その|家畜《かちく》および|獣《けもの》が|飲《の》むであろう』。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》の|目《め》には|小《ちい》さい|事《こと》である。|主《しゅ》はモアブびとをも、あなたがたの|手《て》に|渡《わた》される。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたがたはすべての|堅固《けんご》な|町《まち》と、すべての|良《よ》い|町《まち》を|撃《う》ち、すべての|良《よ》い|木《き》を|切《き》り|倒《たお》し、すべての|水《みず》の|井戸《いど》をふさぎ、|石《いし》をもって|地《ち》のすべての|良《よ》い|所《ところ》を|荒《あら》すであろう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あくる|朝《あさ》になって、|供《そな》え|物《もの》をささげる|時《とき》に、|水《みず》がエドムの|方《ほう》から|流《なが》れてきて、|水《みず》は|国《くに》に|満《み》ちた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]さてモアブびとは|皆《みな》、|王《おう》たちが|自分《じぶん》たちを|攻《せ》めるために|上《のぼ》ってきたのを|聞《き》いたので、よろいを|着《き》ることのできる|者《もの》を、|老《お》いも|若《わか》きもことごとく|召集《しょうしゅう》して、|国境《こっきょう》に|配置《はいち》したが、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》はやく|起《お》きて、|太陽《たいよう》がのぼって|水《みず》を|照《てら》したとき、モアブびとは|目《め》の|前《まえ》に|血《ち》のように|赤《あか》い|水《みず》を|見《み》たので、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「これは|血《ち》だ、きっと|王《おう》たちが|互《たがい》に|戦《たたか》って|殺《ころ》し|合《あ》ったのだ。だから、モアブよ、ぶんどりに|行《い》きなさい」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかしモアブびとがイスラエルの|陣営《じんえい》に|行《い》くと、イスラエルびとは|立《た》ちあがってモアブびとを|撃《う》ったので、|彼《かれ》らはイスラエルの|前《まえ》から|逃《に》げ|去《さ》った。イスラエルびとは|進《すす》んで、モアブびとを|撃《う》ち、その|国《くに》にはいって、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼし、おのおの|石《いし》を一つずつ、|地《ち》のすべての|良《よ》い|所《ところ》に|投《な》げて、これに|満《み》たし、|水《みず》の|井戸《いど》をことごとくふさぎ、|良《よ》い|木《き》をことごとく|切《き》り|倒《たお》して、ただキル・ハラセテはその|名《な》を|残《のこ》すのみとなったが、|石《いし》を|投《な》げる|者《もの》がこれを|囲《かこ》んで|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼした。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|王《おう》は|戦《たたか》いがあまりに|激《はげ》しく、|当《あた》りがたいのを|見《み》て、つるぎを|抜《ぬ》く|者《もの》七百|人《にん》を|率《ひき》い、エドムの|王《おう》の|所《ところ》に|突《つ》き|入《はい》ろうとしたが、|果《はた》さなかったので、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|位《くらい》を|継《つ》ぐべきその|長子《ちょうし》をとって|城壁《じょうへき》の|上《うえ》で|燔祭《はんさい》としてささげた。その|時《とき》イスラエルに|大《おお》いなる|憤《いきどお》りが|臨《のぞ》んだので、|彼《かれ》らは|彼《かれ》をすてて|自分《じぶん》の|国《くに》に|帰《かえ》った。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》のともがらの、ひとりの|妻《つま》がエリシャに|呼《よ》ばわって|言《い》った、「あなたのしもべであるわたしの|夫《おっと》が|死《し》にました。ごぞんじのように、あなたのしもべは|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》でありましたが、|今《いま》、|債《さい》|主《しゅ》がきて、わたしのふたりの|子供《こども》を|取《と》って|奴隷《どれい》にしようとしているのです」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたのために|何《なに》をしましょうか。あなたの|家《いえ》にどんな|物《もの》があるか、|言《い》いなさい」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「一びんの|油《あぶら》のほかは、はしための|家《いえ》に|何《なに》もありません」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「ほかへ|行《い》って、|隣《となり》の|人々《ひとびと》から|器《うつわ》を|借《か》りなさい。あいた|器《うつわ》を|借《か》りなさい。|少《すこ》しばかりではいけません。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|内《うち》にはいって、あなたの|子供《こども》たちと|一緒《いっしょ》に|戸《と》の|内《うち》に|閉《と》じこもり、そのすべての|器《うつわ》に|油《あぶら》をついで、いっぱいになったとき、一つずつそれを|取《と》りのけておきなさい」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|彼《かれ》を|離《はな》れて|去《さ》り、|子供《こども》たちと|一緒《いっしょ》に|戸《と》の|内《うち》に|閉《と》じこもり、|子供《こども》たちの|持《も》って|来《く》る|器《うつわ》に|油《あぶら》をついだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|油《あぶら》が|満《み》ちたとき、|彼女《かのじょ》は|子供《こども》に「もっと|器《うつわ》を|持《も》ってきなさい」と|言《い》ったが、|子供《こども》が「|器《うつわ》はもうありません」と|言《い》ったので、|油《あぶら》はとまった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼女《かのじょ》は|神《かみ》の|人《ひと》のところにきて|告《つ》げたので、|彼《かれ》は|言《い》った、「|行《い》って、その|油《あぶら》を|売《う》って|負債《ふさい》を|払《はら》いなさい。あなたと、あなたの|子供《こども》たちはその|残《のこ》りで|暮《くら》すことができます」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》エリシャはシュネムへ|行《い》ったが、そこにひとりの|裕福《ゆうふく》な|婦人《ふじん》がいて、しきりに|彼《かれ》に|食事《しょくじ》をすすめたので、|彼《かれ》はそこを|通《とお》るごとに、そこに|寄《よ》って|食事《しょくじ》をした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》は|夫《おっと》に|言《い》った、「いつもわたしたちの|所《ところ》を|通《とお》るあの|人《ひと》は|確《たし》かに|神《かみ》の|聖《せい》なる|人《ひと》です。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちは|屋上《おくじょう》に|壁《かべ》のある一つの|小《ちい》さいへやを|造《つく》り、そこに|寝台《しんだい》と|机《つくえ》といすと|燭台《しょくだい》とを|彼《かれ》のために|備《そな》えましょう。そうすれば|彼《かれ》がわたしたちの|所《ところ》に|来《く》るとき、そこに、はいることができます」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ある|日《ひ》エリシャはそこにきて、そのへやにはいり、そこに|休《やす》んだが、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそのしもべゲハジに「このシュネムの|女《おんな》を|呼《よ》んできなさい」と|言《い》った。|彼《かれ》がその|女《おんな》を|呼《よ》ぶと、|彼女《かのじょ》はきてエリシャの|前《まえ》に|立《た》ったので、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはゲハジに|言《い》った、「|彼女《かのじょ》に|言《い》いなさい、『あなたはこんなにねんごろに、わたしたちのために|心《こころ》を|用《もち》いられたが、あなたのためには|何《なに》をしたらよいでしょうか。|王《おう》または|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》にあなたの|事《こと》をよろしく|頼《たの》むことをお|望《のぞ》みですか』」。|彼女《かのじょ》は|答《こた》えて|言《い》った、「わたしは|自分《じぶん》の|民《たみ》のうちに|住《す》んでいます」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「それでは|彼女《かのじょ》のために|何《なに》をしようか」。ゲハジは|言《い》った、「|彼女《かのじょ》には|子供《こども》がなく、その|夫《おっと》は|老《お》いています」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]するとエリシャが「|彼女《かのじょ》を|呼《よ》びなさい」と|言《い》ったので、|彼女《かのじょ》を|呼《よ》ぶと、|来《き》て|戸口《とぐち》に|立《た》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「|来年《らいねん》の|今《いま》ごろ、あなたはひとりの|子《こ》を|抱《だ》くでしょう」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「いいえ、わが|主《しゅ》よ、|神《かみ》の|人《ひと》よ、はしためを|欺《あざむ》かないでください」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|女《おんな》はついに|身《み》ごもって、エリシャが|彼女《かのじょ》に|言《い》ったように、|次《つぎ》の|年《ねん》のそのころに|子《こ》を|産《う》んだ。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》が|成長《せいちょう》して、ある|日《ひ》、|刈入《かりい》れびとの|所《ところ》へ|出《で》ていって、|父《ちち》のもとへ|行《い》ったが、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》にむかって「|頭《あたま》が、|頭《あたま》が」と|言《い》ったので、|父《ちち》はしもべに「|彼《かれ》を|母《はは》のもとへ|背負《せお》っていきなさい」と|言《い》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》を|背負《せお》って|母《はは》のもとへ|行《い》くと、|昼《ひる》まで|母《はは》のひざの|上《うえ》にすわっていたが、ついに|死《し》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|母《はは》は|上《あ》がっていって、これを|神《かみ》の|人《ひと》の|寝台《しんだい》の|上《うえ》に|置《お》き、|戸《と》を|閉《と》じて|出《で》てきた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そして|夫《おっと》を|呼《よ》んで|言《い》った、「どうぞ、しもべひとりと、ろば一|頭《とう》をわたしにかしてください。|急《いそ》いで|神《かみ》の|人《ひと》の|所《ところ》へ|行《い》って、また|帰《かえ》ってきます」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|夫《おっと》は|言《い》った、「どうしてきょう|彼《かれ》の|所《ところ》へ|行《い》こうとするのか。きょうは、ついたちでもなく、|安息日《あんそくにち》でもない」。|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「よろしいのです」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼女《かのじょ》はろばにくらを|置《お》いて、しもべに|言《い》った、「|速《はや》く|駆《か》けさせなさい。わたしが|命《めい》じる|時《とき》でなければ、|歩調《ほちょう》をゆるめてはなりません」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼女《かのじょ》は|出発《しゅっぱつ》してカルメル|山《やま》へ|行《い》き、|神《かみ》の|人《ひと》の|所《ところ》へ|行《い》った。  |神《かみ》の|人《ひと》は|彼女《かのじょ》の|近《ちか》づいてくるのを|見《み》て、しもべゲハジに|言《い》った、「|向《む》こうから、あのシュネムの|女《おんな》が|来《く》る。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すぐ|走《はし》って|行《い》って、|彼女《かのじょ》を|迎《むか》えて|言《い》いなさい、『あなたは|無事《ぶじ》ですか。あなたの|夫《おっと》は|無事《ぶじ》ですか。あなたの|子供《こども》は|無事《ぶじ》ですか』」。|彼女《かのじょ》は|答《こた》えた、「|無事《ぶじ》です」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼女《かのじょ》は|山《やま》にきて、|神《かみ》の|人《ひと》の|所《ところ》へくるとエリシャの|足《あし》にすがりついた。ゲハジが|彼女《かのじょ》を|追《お》いのけようと|近《ちか》よった|時《とき》、|神《かみ》の|人《ひと》は|言《い》った、「かまわずにおきなさい。|彼女《かのじょ》は|心《こころ》に|苦《くる》しみがあるのだから。|主《しゅ》はそれを|隠《かく》して、まだわたしにお|告《つ》げにならないのだ」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼女《かのじょ》は|言《い》った、「わたしがあなたに|子《こ》を|求《もと》めましたか。わたしを|欺《あざむ》かないでくださいと|言《い》ったではありませんか」。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはゲハジに|言《い》った、「|腰《こし》をひきからげ、わたしのつえを|手《て》に|持《も》って|行《い》きなさい。だれに|会《あ》っても、あいさつしてはならない。またあなたにあいさつする|者《もの》があっても、それに|答《こた》えてはならない。わたしのつえを|子供《こども》の|顔《かお》の|上《うえ》に|置《お》きなさい」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|子供《こども》の|母《はは》は|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられます。あなたも|生《い》きておられます。わたしはあなたを|離《はな》れません」。そこでエリシャはついに|立《た》ちあがって|彼女《かのじょ》のあとについて|行《い》った。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ゲハジは|彼《かれ》らの|先《さき》に|行《い》って、つえを|子供《こども》の|顔《かお》の|上《うえ》に|置《お》いたが、なんの|声《こえ》もなく、|生《い》きかえったしるしもなかったので、|帰《かえ》ってきてエリシャに|会《あ》い、|彼《かれ》に|告《つ》げて「|子供《こども》はまだ|目《め》をさましません」と|言《い》った。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]エリシャが|家《いえ》にはいって|見《み》ると、|子供《こども》は|死《し》んで、|寝台《しんだい》の|上《うえ》に|横《よこ》たわっていたので、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》ははいって|戸《と》を|閉《と》じ、|彼《かれ》らふたりだけ|内《うち》にいて|主《しゅ》に|祈《いの》った。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そしてエリシャが|上《あ》がって|子供《こども》の|上《うえ》に|伏《ふ》し、|自分《じぶん》の|口《くち》を|子供《こども》の|口《くち》の|上《うえ》に、|自分《じぶん》の|目《め》を|子供《こども》の|目《め》の|上《うえ》に、|自分《じぶん》の|両手《りょうて》を|子供《こども》の|両手《りょうて》の|上《うえ》にあて、その|身《み》を|子供《こども》の|上《うえ》に|伸《の》ばしたとき、|子供《こども》のからだは|暖《あたた》かになった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエリシャは|再《ふたた》び|起《お》きあがって、|家《いえ》の|中《なか》をあちらこちらと|歩《あゆ》み、また|上《うえ》がって、その|身《み》を|子供《こども》の|上《うえ》に|伸《の》ばすと、|子供《こども》は七たびくしゃみをして|目《め》を|開《ひら》いた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはただちにゲハジを|呼《よ》んで、「あのシュネムの|女《おんな》を|呼《よ》べ」と|言《い》ったので、|彼女《かのじょ》を|呼《よ》んだ。|彼女《かのじょ》がはいってくるとエリシャは|言《い》った、「あなたの|子供《こども》をつれて|行《い》きなさい」。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》ははいってきて、エリシャの|足《あし》もとに|伏《ふ》し、|地《ち》に|身《み》をかがめた。そしてその|子《こ》|供《とも》を|取《と》りあげて|出《で》ていった。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはギルガルに|帰《かえ》ったが、その|地《ち》にききんがあった。|預言者《よげんしゃ》のともがらが|彼《かれ》の|前《まえ》に|座《ざ》していたので、エリシャはそのしもべに|言《い》った、「|大《おお》きなかまをすえて、|預言者《よげんしゃ》のともがらのために|野菜《やさい》の|煮物《にもの》をつくりなさい」。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのうちのひとりが|畑《はたけ》に|出《で》ていって|青物《あおもの》をつんだが、つる|草《くさ》のあるのを|見《み》て、その|野《の》うりを一|包《つつみ》つんできて、|煮物《にもの》のかまの|中《なか》に|切《き》り|込《こ》んだ。|彼《かれ》らはそれが|何《なに》であるかを|知《し》らなかったからである。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]やがてこれを|盛《も》って|人々《ひとびと》に|食《た》べさせようとしたが、|彼《かれ》らがその|煮物《にもの》を|食《た》べようとした|時《とき》、|叫《さけ》んで、「ああ|神《かみ》の|人《ひと》よ、かまの|中《なか》に、たべると|死《し》ぬものがはいっています」と|言《い》って、|食《た》べることができなかったので、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは「それでは|粉《こな》を|持《も》って|来《き》なさい」と|言《い》って、それをかまに|投《な》げ|入《い》れ、「|盛《も》って|人々《ひとびと》に|食《た》べさせなさい」と|言《い》った。かまの|中《なか》には、なんの|毒物《どくぶつ》もなくなった。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、バアル・シャリシャから|人《ひと》がきて、|初穂《はつほ》のパンと、|大麦《おおむぎ》のパン二十|個《こ》と、|新穀《しんこく》一|袋《ふくろ》とを|神《かみ》の|人《ひと》のもとに|持《も》ってきたので、エリシャは「|人々《ひとびと》に|与《あた》えて|食《た》べさせなさい」と|言《い》ったが、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]その|召使《めしつかい》は|言《い》った、「どうしてこれを百|人《にん》の|前《まえ》に|供《そな》えるのですか」。しかし|彼《かれ》は|言《い》った、「|人々《ひとびと》に|与《あた》えて|食《た》べさせなさい。|主《しゅ》はこう|言《い》われる、『|彼《かれ》らは|食《た》べてなお|余《あま》すであろう』」。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》はそれを|彼《かれ》らの|前《まえ》に|供《そな》えたので、|彼《かれ》らは|食《た》べてなお|余《あま》した。|主《しゅ》の|言葉《ことば》のとおりであった。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]スリヤ|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》ナアマンはその|主君《しゅくん》に|重《おも》んじられた|有力《ゆうりょく》な|人《ひと》であった。|主《しゅ》がかつて|彼《かれ》を|用《もち》いてスリヤに|勝利《しょうり》を|得《え》させられたからである。|彼《かれ》は|大《だい》|勇士《ゆうし》であったが、らい|病《びょう》をわずらっていた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さきにスリヤびとが|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》を|組《く》んで|出《で》てきたとき、イスラエルの|地《ち》からひとりの|少女《しょうじょ》を|捕《とら》えて|行《い》った。|彼女《かのじょ》はナアマンの|妻《つま》に|仕《つか》えたが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|女《おんな》|主人《しゅじん》にむかって、「ああ、|御《ご》|主人《しゅじん》がサマリヤにいる|預言者《よげんしゃ》と|共《とも》におられたらよかったでしょうに。|彼《かれ》はそのらい|病《びょう》をいやしたことでしょう」と|言《い》ったので、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ナアマンは|行《い》って、その|主君《しゅくん》に、「イスラエルの|地《ち》からきた|娘《むすめ》がこういう|事《こと》を|言《い》いました」と|告《つ》げると、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]スリヤ|王《おう》は|言《い》った、「それでは|行《い》きなさい。わたしはイスラエルの|王《おう》に|手紙《てがみ》を|書《か》きましょう」。  そこで|彼《かれ》は|銀《ぎん》十タラントと、|金《きん》六千シケルと、|晴《は》れ|着《ぎ》十|着《ちゃく》を|携《たずさ》えて|行《い》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がイスラエルの|王《おう》に|持《も》って|行《い》った|手紙《てがみ》には、「この|手紙《てがみ》があなたにとどいたならば、わたしの|家来《けらい》ナアマンを、あなたにつかわしたことと|御《ご》|承知《しょうち》ください。あなたに|彼《かれ》のらい|病《びょう》をいやしていただくためです」とあった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はその|手紙《てがみ》を|読《よ》んだ|時《とき》、|衣《ころも》を|裂《さ》いて|言《い》った、「わたしは|殺《ころ》したり、|生《い》かしたりすることのできる|神《かみ》であろうか。どうしてこの|人《ひと》は、らい|病人《びょうにん》をわたしにつかわして、それをいやせと|言《い》うのか。あなたがたは、|彼《かれ》がわたしに|争《あらそ》いをしかけているのを|知《し》って|警戒《けいかい》するがよい」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》エリシャは、イスラエルの|王《おう》がその|衣《ころも》を|裂《さ》いたことを|聞《き》き、|王《おう》に|人《ひと》をつかわして|言《い》った、「どうしてあなたは|衣《ころも》を|裂《さ》いたのですか。|彼《かれ》をわたしのもとにこさせなさい。そうすれば|彼《かれ》はイスラエルに|預言者《よげんしゃ》のあることを|知《し》るようになるでしょう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでナアマンは|馬《うま》と|車《くるま》とを|従《したが》えてきて、エリシャの|家《いえ》の|入口《いりぐち》に|立《た》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]するとエリシャは|彼《かれ》に|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》った、「あなたはヨルダンへ|行《い》って七たび|身《み》を|洗《あら》いなさい。そうすれば、あなたの|肉《にく》はもとにかえって|清《きよ》くなるでしょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしナアマンは|怒《いか》って|去《さ》り、そして|言《い》った、「わたしは、|彼《かれ》がきっとわたしのもとに|出《で》てきて|立《た》ち、その|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》んで、その|箇所《かしょ》の|上《うえ》に|手《て》を|動《うご》かして、らい|病《びょう》をいやすのだろうと|思《おも》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダマスコの|川《かわ》アバナとパルパルはイスラエルのすべての|川《かわ》|水《みず》にまさるではないか。わたしはこれらの|川《かわ》に|身《み》を|洗《あら》って|清《きよ》まることができないのであろうか」。こうして|彼《かれ》は|身《み》をめぐらし、|怒《いか》って|去《さ》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、しもべたちは|彼《かれ》に|近《ちか》よって|言《い》った、「わが|父《ちち》よ、|預言者《よげんしゃ》があなたに、|何《なに》か|大《おお》きな|事《こと》をせよと|命《めい》じても、あなたはそれをなさらなかったでしょうか。まして|彼《かれ》はあなたに『|身《み》を|洗《あら》って|清《きよ》くなれ』と|言《い》うだけではありませんか」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでナアマンは|下《くだ》って|行《い》って、|神《かみ》の|人《ひと》の|言葉《ことば》のように七たびヨルダンに|身《み》を|浸《ひた》すと、その|肉《にく》がもとにかえって|幼《おさ》な|子《ご》の|肉《にく》のようになり、|清《きよ》くなった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はすべての|従者《じゅうしゃ》を|連《つ》れて|神《かみ》の|人《ひと》のもとに|帰《かえ》ってきて、その|前《まえ》に|立《た》って|言《い》った、「わたしは|今《いま》、イスラエルのほか、|全《ぜん》|地《ち》のどこにも|神《かみ》のおられないことを|知《し》りました。それゆえ、どうぞ、しもべの|贈《おく》り|物《もの》を|受《う》けてください」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「わたしの|仕《つか》える|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わたしは|何《なに》も|受《う》けません」。|彼《かれ》はしいて|受《う》けさせようとしたが、それを|拒《こば》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでナアマンは|言《い》った、「もしお|受《う》けにならないのであれば、どうぞ|騾馬《らば》に二|駄《だ》の|土《つち》をしもべにください。これから|後《のち》しもべは、|他《た》の|神《かみ》には|燔祭《はんさい》も|犠牲《ぎせい》もささげず、ただ|主《しゅ》にのみささげます。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|主《しゅ》がこの|事《こと》を、しもべにおゆるしくださるように。すなわち、わたしの|主君《しゅくん》がリンモンの|宮《みや》にはいって、そこで|礼《れい》|拝《はい》するとき、わたしの|手《て》によりかかることがあり、またわたしもリンモンの|宮《みや》で|身《み》をかがめることがありましょう。わたしがリンモンの|宮《みや》で|身《み》をかがめる|時《とき》、どうぞ|主《しゅ》がその|事《こと》を、しもべにおゆるしくださるように」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|彼《かれ》に|言《い》った、「|安《やす》んじて|行《い》きなさい」。  ナアマンがエリシャを|離《はな》れて|少《すこ》し|行《い》ったとき、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》エリシャのしもべゲハジは|言《い》った、「|主人《しゅじん》はこのスリヤびとナアマンをいたわって、|彼《かれ》が|携《たずさ》えてきた|物《もの》を|受《う》けなかった。|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わたしは|彼《かれ》のあとを|追《お》いかけて、|彼《かれ》から|少《すこ》し、|物《もの》を|受《う》けよう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてゲハジはナアマンのあとを|追《お》ったが、ナアマンは|自分《じぶん》のあとから|彼《かれ》が|走《はし》ってくるのを|見《み》て、|車《くるま》から|降《ふ》り、|彼《かれ》を|迎《むか》えて、「|変《かわ》った|事《こと》があるのですか」と|言《い》うと、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|無事《ぶじ》です。|主人《しゅじん》がわたしをつかわして|言《い》わせます、『ただいまエフライムの|山地《さんち》から、|預言者《よげんしゃ》のともがらのふたりの|若者《わかもの》が、わたしのもとに|来《き》ましたので、どうぞ|彼《かれ》らに|銀《ぎん》一タラントと|晴《は》れ|着《ぎ》二|着《ちゃく》を|与《あた》えてください』」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ナアマンは、「どうぞ二タラントを|受《う》けてください」と|言《い》って|彼《かれ》にしい、|銀《ぎん》二タラントを二つの|袋《ふくろ》に|入《い》れ、|晴《は》れ|着《ぎ》二|着《ちゃく》を|添《そ》えて、|自分《じぶん》のふたりのしもべに|渡《わた》したので、|彼《かれ》らはそれを|負《お》ってゲハジの|先《さき》に|立《た》って|進《すす》んだが、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|丘《おか》にきたとき、それを|彼《かれ》らの|手《て》から|受《う》け|取《と》って|家《いえ》のうちにおさめ、|人々《ひとびと》を|送《おく》りかえしたので、|彼《かれ》らは|去《さ》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がはいって|主人《しゅじん》の|前《まえ》に|立《た》つと、エリシャは|彼《かれ》に|言《い》った、「ゲハジよ、どこへ|行《い》ってきたのか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「しもべはどこへも|行《い》きません」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「あの|人《ひと》が|車《くるま》をはなれて、あなたを|迎《むか》えたとき、わたしの|心《こころ》はあなたと|一緒《いっしょ》にそこにいたではないか。|今《いま》は|金《きん》を|受《う》け、|着物《きもの》を|受《う》け、オリブ|畑《はたけ》、ぶどう|畑《はたけ》、|羊《ひつじ》、|牛《うし》、しもべ、はしためを|受《う》ける|時《とき》であろうか。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、ナアマンのらい|病《びょう》はあなたに|着《つ》き、ながくあなたの|子孫《しそん》に|及《およ》ぶであろう」。|彼《かれ》がエリシャの|前《まえ》を|出《で》ていくとき、らい|病《びょう》が|発《はっ》して|雪《ゆき》のように|白《しろ》くなっていた。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて|預言者《よげんしゃ》のともがらはエリシャに|言《い》った、「わたしたちがあなたと|共《とも》に|住《す》んでいる|所《ところ》は|狭《せま》くなりましたので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちをヨルダンに|行《い》かせ、そこからめいめい一|本《ぽん》ずつ|材木《ざいもく》を|取《と》ってきて、わたしたちの|住《す》む|場所《ばしょ》を|造《つく》らせてください」。エリシャは|言《い》った、「|行《い》きなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にそのひとりが、「どうぞあなたも、しもべらと|一緒《いっしょ》に|行《い》ってください」と|言《い》ったので、エリシャは「|行《い》きましょう」と|答《こた》えた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてエリシャは|彼《かれ》らと|一緒《いっしょ》に|行《い》った。|彼《かれ》らはヨルダンへ|行《い》って|木《き》を|切《き》り|倒《たお》したが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ひとりが|材木《ざいもく》を|切《き》り|倒《たお》しているとき、おのの|頭《あたま》が|水《みず》の|中《なか》に|落《お》ちたので、|彼《かれ》は|叫《さけ》んで|言《い》った。「ああ、わが|主《しゅ》よ。これは|借《か》りたものです」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》は|言《い》った、「それはどこに|落《お》ちたのか」。|彼《かれ》がその|場所《ばしょ》を|知《し》らせると、エリシャは一|本《ぽん》の|枝《えだ》を|切《き》り|落《おと》し、そこに|投《な》げ|入《い》れて、そのおのの|頭《あたま》を|浮《うか》ばせ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「それを|取《と》りあげよ」と|言《い》ったので、その|人《ひと》は|手《て》を|伸《の》べてそれを|取《と》った。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]かつてスリヤの|王《おう》がイスラエルと|戦《たたか》っていたとき、|家来《けらい》たちと|評議《ひょうぎ》して「しかじかの|所《ところ》にわたしの|陣《じん》を|張《は》ろう」と|言《い》うと、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》はイスラエルの|王《おう》に「あなたは|用心《ようじん》して、この|所《ところ》をとおってはなりません。スリヤびとがそこに|下《くだ》ってきますから」と|言《い》い|送《おく》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それでイスラエルの|王《おう》は|神《かみ》の|人《ひと》が|自分《じぶん》に|告《つ》げてくれた|所《ところ》に|人《ひと》をつかわし、|警戒《けいかい》したので、その|所《ところ》でみずからを|防《ふせ》ぎえたことは一、二|回《かい》にとどまらなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]スリヤの|王《おう》はこの|事《こと》のために|心《こころ》を|悩《なや》まし、|家来《けらい》たちを|召《め》して|言《い》った、「われわれのうち、だれがイスラエルの|王《おう》と|通《つう》じているのか、わたしに|告《つ》げる|者《もの》はないか」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ひとりの|家来《けらい》が|言《い》った、「|王《おう》、わが|主《しゅ》よ、だれも|通《つう》じている|者《もの》はいません。ただイスラエルの|預言者《よげんしゃ》エリシャが、あなたが|寝室《しんしつ》で|語《かた》られる|言葉《ことば》でもイスラエルの|王《おう》に|告《つ》げるのです」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「|彼《かれ》がどこにいるか|行《い》って|捜《さが》しなさい。わたしは|人《ひと》をやって|彼《かれ》を|捕《とら》えよう」。|時《とき》に「|彼《かれ》はドタンにいる」と|王《おう》に|告《つ》げる|者《もの》があったので、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はそこに|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》および|大軍《たいぐん》をつかわした。|彼《かれ》らは|夜《よる》のうちに|来《き》て、その|町《まち》を|囲《かこ》んだ。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》の|召使《めしつかい》が|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて|出《で》て|見《み》ると、|軍勢《ぐんぜい》が|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》をもって|町《まち》を|囲《かこ》んでいたので、その|若者《わかもの》はエリシャに|言《い》った、「ああ、わが|主《しゅ》よ、わたしたちはどうしましょうか」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「|恐《おそ》れることはない。われわれと|共《とも》にいる|者《もの》は|彼《かれ》らと|共《とも》にいる|者《もの》よりも|多《おお》いのだから」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてエリシャが|祈《いの》って「|主《しゅ》よ、どうぞ、|彼《かれ》の|目《め》を|開《ひら》いて|見《み》させてください」と|言《い》うと、|主《しゅ》はその|若者《わかもの》の|目《め》を|開《ひら》かれたので、|彼《かれ》が|見《み》ると、|火《ひ》の|馬《うま》と|火《ひ》の|戦車《せんしゃ》が|山《やま》に|満《み》ちてエリシャのまわりにあった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]スリヤびとがエリシャの|所《ところ》に|下《くだ》ってきた|時《とき》、エリシャは|主《しゅ》に|祈《いの》って|言《い》った、「どうぞ、この|人々《ひとびと》の|目《め》をくらましてください」。するとエリシャの|言葉《ことば》のとおりに|彼《かれ》らの|目《め》をくらまされた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでエリシャは|彼《かれ》らに「これはその|道《みち》ではない。これはその|町《まち》でもない。わたしについてきなさい。わたしはあなたがたを、あなたがたの|尋《たず》ねる|人《ひと》の|所《ところ》へ|連《つ》れて|行《い》きましょう」と|言《い》って、|彼《かれ》らをサマリヤへ|連《つ》れて|行《い》った。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがサマリヤにはいったとき、エリシャは|言《い》った、「|主《しゅ》よ、この|人々《ひとびと》の|目《め》を|開《ひら》いて|見《み》させてください」。|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|目《め》を|開《ひら》かれたので、|彼《かれ》らが|見《み》ると、|見《み》よ、|彼《かれ》らはサマリヤのうちに|来《き》ていた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|彼《かれ》らを|見《み》て、エリシャに|言《い》った、「わが|父《ちち》よ、|彼《かれ》らを|撃《う》ち|殺《ころ》しましょうか。|彼《かれ》らを|撃《う》ち|殺《ころ》しましょうか」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|答《こた》えた、「|撃《う》ち|殺《ころ》してはならない。あなたはつるぎと|弓《ゆみ》をもって、|捕虜《ほりょ》にした|者《もの》どもを|撃《う》ち|殺《ころ》すでしょうか。パンと|水《みず》を|彼《かれ》らの|前《まえ》に|供《そな》えて|食《く》い|飲《の》みさせ、その|主君《しゅくん》のもとへ|行《い》かせなさい」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|彼《かれ》らのために|盛《さか》んなふるまいを|設《もう》けた。|彼《かれ》らが|食《く》い|飲《の》みを|終《おわ》ると|彼《かれ》らを|去《さ》らせたので、その|主君《しゅくん》の|所《ところ》へ|帰《かえ》った。スリヤの|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》は|再《ふたた》びイスラエルの|地《ち》にこなかった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》スリヤの|王《おう》ベネハダデはその|全《ぜん》|軍《ぐん》を|集《あつ》め、|上《のぼ》ってきてサマリヤを|攻《せ》め|囲《かこ》んだので、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤに|激《はげ》しいききんが|起《た》った。すなわち|彼《かれ》らがこれを|攻《せ》め|囲《かこ》んだので、ついに、ろばの|頭《あたま》一つが|銀《ぎん》八十シケルで|売《う》られ、はとのふん一カブの四|分《ぶん》の一が|銀《ぎん》五シケルで|売《う》られるようになった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》が|城壁《じょうへき》の|上《うえ》をとおっていた|時《とき》、ひとりの|女《おんな》が|彼《かれ》に|呼《よ》ばわって、「わが|主《しゅ》、|王《おう》よ、|助《たす》けてください」と|言《い》ったので、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「もし|主《しゅ》があなたを|助《たす》けられないならば、|何《なに》をもってわたしがあなたを|助《たす》けることができよう。|打《う》ち|場《ば》の|物《もの》をもってか、|酒《さか》ぶねの|物《もの》をもってか」。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|女《おんな》に|尋《たず》ねた、「|何事《なにごと》なのですか」。|彼女《かのじょ》は|答《こた》えた、「この|女《おんな》はわたしにむかって『あなたの|子《こ》をください。わたしたちは、きょうそれを|食《た》べ、あす、わたしの|子《こ》を|食《た》べましょう』と|言《い》いました。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしたちは、まずわたしの|子《こ》を|煮《に》て|食《た》べましたが、|次《つぎ》の|日《ひ》わたしが|彼女《かのじょ》にむかって『あなたの|子《こ》をください。わたしたちはそれを|食《た》べましょう』と|言《い》いますと、|彼女《かのじょ》はその|子《こ》を|隠《かく》しました」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はその|女《おんな》の|言葉《ことば》を|聞《き》いて、|衣《ころも》を|裂《さ》き、――|王《おう》は|城壁《じょうへき》の|上《うえ》をとおっていたが、|民《たみ》が|見《み》ると、その|身《み》に|荒布《あらぬの》を|着《つ》けていた――[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|言《い》った「きょう、シャパテの|子《こ》エリシャの|首《くび》がその|肩《かた》の|上《うえ》にすわっているならば、|神《かみ》がどんなにでもわたしを|罰《ばっ》してくださるように」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]さてエリシャはその|家《いえ》に|座《ざ》していたが、|長老《ちょうろう》たちもきて|彼《かれ》と|共《とも》に|座《ざ》した。|王《おう》は|自分《じぶん》の|所《ところ》から|人《ひと》をつかわしたが、エリシャはその|使者《ししゃ》がまだ|着《つ》かないうちに|長老《ちょうろう》たちに|言《い》った、「あなたがたは、この|人《ひと》を|殺《ころ》す|者《もの》がわたしの|首《くび》を|取《と》るために、|人《ひと》をつかわすのを|見《み》ますか。その|使者《ししゃ》がきたならば、|戸《と》を|閉《と》じて、|内《うち》に|入《い》れてはなりません。|彼《かれ》のうしろに、その|主君《しゅくん》の|足音《あしおと》がするではありませんか」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がなお|彼《かれ》らと|語《かた》っているうちに、|王《おう》は|彼《かれ》のもとに|下《くだ》ってきて|言《い》った、「この|災《わざわい》は|主《しゅ》から|出《で》たのです。わたしはどうしてこの|上《うえ》、|主《しゅ》を|待《ま》たなければならないでしょうか」。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|言《い》った、「|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『あすの|今《いま》ごろサマリヤの|門《もん》で、|麦粉《むぎこ》一セアを一シケルで|売《う》り、|大麦《おおむぎ》二セアを一シケルで|売《う》るようになるであろう』」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にひとりの|副官《ふくかん》すなわち|王《おう》がその|人《ひと》の|手《て》によりかかっていた|者《もの》が|神《かみ》の|人《ひと》に|答《こた》えて|言《い》った、「たとい|主《しゅ》が|天《てん》に|窓《まど》を|開《ひら》かれても、そんな|事《こと》がありえましょうか」。エリシャは|言《い》った、「あなたは|自分《じぶん》の|目《め》をもってそれを|見《み》るであろう。しかしそれを|食《た》べることはなかろう」。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]さて|町《まち》の|門《もん》の|入口《いりぐち》に四|人《にん》のらい|病人《びょうにん》がいたが、|彼《かれ》らは|互《たがい》に|言《い》った、「われわれはどうしてここに|座《ざ》して|死《し》を|待《ま》たねばならないのか。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われわれがもし|町《まち》にはいろうといえば、|町《まち》には|食物《しょくもつ》が|尽《つ》きているから、われわれはそこで|死《し》ぬであろう。しかしここに|座《ざ》していても|死《し》ぬのだ。いっその|事《こと》、われわれはスリヤびとの|陣営《じんえい》へ|逃《に》げて|行《い》こう。もし|彼《かれ》らがわれわれを|生《い》かしておいてくれるならば、|助《たす》かるが、たといわれわれを|殺《ころ》しても|死《し》ぬばかりだ」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはスリヤびとの|陣営《じんえい》へ|行《い》こうと、たそがれに|立《た》ちあがったが、スリヤびとの|陣営《じんえい》のほとりに|行《い》って|見《み》ると、そこにはだれもいなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がスリヤびとの|軍勢《ぐんぜい》に|戦車《せんしゃ》の|音《おと》、|馬《うま》の|音《おと》、|大軍《たいぐん》の|音《おと》を|聞《き》かせられたので、|彼《かれ》らは|互《たがい》に「|見《み》よ、イスラエルの|王《おう》がわれわれを|攻《せ》めるために、ヘテびとの|王《おう》たちおよびエジプトの|王《おう》たちを|雇《やと》ってきて、われわれを|襲《おそ》うのだ」と|言《い》って、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]たそがれに|立《た》って|逃《に》げ、その|天幕《てんまく》と、|馬《うま》と、ろばを|捨《す》て、|陣営《じんえい》をそのままにしておいて、|命《いのち》を|全《まっと》うしようと|逃《に》げたからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでらい|病人《びょうにん》たちは|陣営《じんえい》のほとりに|行《い》き、一つの|天幕《てんまく》にはいって|食《く》い|飲《の》みし、そこから|金銀《きんぎん》、|衣服《いふく》を|持《も》ち|出《だ》してそれを|隠《かく》し、また|来《き》て、|他《た》の|天幕《てんまく》に|入《はい》り、そこからも|持《も》ち|出《だ》してそれを|隠《かく》した。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|互《たがい》に|言《い》った、「われわれのしている|事《こと》はよくない。きょうは|良《よ》いおとずれのある|日《ひ》であるのに、|黙《だま》っていて、|夜明《よあ》けまで|待《ま》つならば、われわれは|罰《ばつ》をこうむるであろう。さあ、われわれは|行《い》って|王《おう》の|家族《かぞく》に|告《つ》げよう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|来《き》て、|町《まち》の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》を|呼《よ》んで|言《い》った、「わたしたちがスリヤびとの|陣営《じんえい》に|行《い》って|見《み》ると、そこにはだれの|姿《すがた》も|見《み》えず、また|人声《ひとごえ》もなく、ただ、|馬《うま》とろばがつないであり、|天幕《てんまく》はそのままでした」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》は|呼《よ》ばわって、それを|王《おう》の|家族《かぞく》のうちに|知《し》らせた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|夜《よる》のうちに|起《お》きて、|家来《けらい》たちに|言《い》った、「スリヤびとがわれわれに|対《たい》して|図《はか》っている|事《こと》をあなたがたに|告《つ》げよう。|彼《かれ》らは、われわれの|飢《う》えているのを|知《し》って、|陣営《じんえい》を|出《で》て|野《の》に|隠《かく》れ、『イスラエルびとが|町《まち》を|出《で》たら、いけどりにして、|町《まち》に|押《お》し|入《い》ろう』と|考《かんが》えているのだ」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|家来《けらい》のひとりが|答《こた》えて|言《い》った、「|人々《ひとびと》に、ここに|残《のこ》っている|馬《うま》のうち五|頭《とう》を|連《つ》れてこさせてください。ここに|残《のこ》っているこれらの|人々《ひとびと》は、すでに|滅《ほろ》びうせたイスラエルの|全《ぜん》|群衆《ぐんしゅう》と|同《おな》じ|運命《うんめい》にあうのですから。わたしたちは|人《ひと》をやってうかがわせましょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはふたりの|騎兵《きへい》を|選《えら》んだ。|王《おう》はそれをつかわし、「|行《い》って|見《み》よ」と|言《い》って、スリヤびとの|軍勢《ぐんぜい》のあとをつけさせたので、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのあとを|追《お》ってヨルダンまで|行《い》ったが、|道《みち》にはすべて、スリヤびとがあわてて|逃《に》げる|時《とき》に|捨《す》てていった|衣服《いふく》と|武器《ぶき》が|散《ち》らばっていた。その|使者《ししゃ》は|帰《かえ》ってきて、これを|王《おう》に|告《つ》げた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》が|出《で》ていって、スリヤびとの|陣営《じんえい》をかすめたので、|麦粉《むぎこ》一セアは一シケルで|売《う》られ、|大麦《おおむぎ》二セアは一シケルで|売《う》られ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》のとおりになった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|自分《じぶん》がその|人《ひと》の|手《て》によりかかっていた、あの|副官《ふくかん》を|立《た》てて|門《もん》を|管理《かんり》させたが、|民《たみ》は|門《もん》で|彼《かれ》を|踏《ふ》みつけたので、|彼《かれ》は|死《し》んだ。すなわち、|王《おう》が|神《かみ》の|人《ひと》のところに|下《くだ》ってきた|時《とき》、|神《かみ》の|人《ひと》が|言《い》ったとおりであった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これは|神《かみ》の|人《ひと》が|王《おう》にむかって、「あすの|今《いま》ごろ、サマリヤの|門《もん》で|大麦《おおむぎ》二セアを一シケルで|売《う》り、|麦粉《むぎこ》一セアを一シケルで|売《う》るようになるであろう」と|言《い》ったときに、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|副官《ふくかん》が|神《かみ》の|人《ひと》に|答《こた》えて、「たとい|主《しゅ》が|天《てん》に|窓《まど》を|開《ひら》かれても、そんな|事《こと》がありえようか」と|言《い》ったからである。そのとき|神《かみ》の|人《ひと》は「あなたは|自分《じぶん》の|目《め》をもってそれを|見《み》るであろう。しかしそれを|食《た》べることはなかろう」と|言《い》ったが、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これはそのとおり|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだ。すなわち|民《たみ》が|門《もん》で|彼《かれ》を|踏《ふ》みつけたので|彼《かれ》は|死《し》んだ。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはかつて、その|子《こ》を|生《い》きかえらせてやった|女《おんな》に|言《い》ったことがある。「あなたは、ここを|立《た》って、あなたの|家族《かぞく》と|共《とも》に|行《い》き、|寄留《きりゅう》しようと|思《おも》う|所《ところ》に|寄留《きりゅう》しなさい。|主《しゅ》がききんを|呼《よ》び|下《くだ》されたので、七|年《ねん》の|間《あいだ》それがこの|地《ち》に|臨《のぞ》むから」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|女《おんな》は|立《た》って|神《かみ》の|人《ひと》の|言葉《ことば》のようにし、その|家族《かぞく》と|共《とも》に|行《い》ってペリシテびとの|地《ち》に七|年《ねん》|寄留《きりゅう》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]七|年《ねん》たって|後《のち》、|女《おんな》はペリシテびとの|地《ち》から|帰《かえ》ってきて、|自分《じぶん》の|家《いえ》と|畑《はたけ》のために|王《おう》に|訴《うった》えようと|出《で》ていった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|王《おう》は|神《かみ》の|人《ひと》のしもべゲハジにむかって「エリシャがしたもろもろの|大《おお》きな|事《こと》をわたしに|話《はな》してください」と|言《い》って、|彼《かれ》と|物語《ものがた》っていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわちエリシャが|死人《しにん》を|生《い》きかえらせた|事《こと》を、ゲハジが|王《おう》と|物語《ものがた》っていたとき、その|子《こ》を|生《い》きかえらせてもらった|女《おんな》が、|自分《じぶん》の|家《いえ》と|畑《はたけ》のために|王《おう》に|訴《うった》えてきたので、ゲハジは|言《い》った、「わが|主《しゅ》、|王《おう》よ、これがその|女《おんな》です。またこれがその|子《こ》で、エリシャが|生《い》きかえらせたのです」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》がその|女《おんな》に|尋《たず》ねると、|彼女《かのじょ》は|王《おう》に|話《はな》したので、|王《おう》は|彼女《かのじょ》のためにひとりの|役人《やくにん》に|命《めい》じて|言《い》った、「すべて|彼女《かのじょ》に|属《ぞく》する|物《もの》、ならびに|彼女《かのじょ》がこの|地《ち》を|去《さ》った|日《ひ》から|今《いま》までのその|畑《はたけ》の|産物《さんぶつ》をことごとく|彼女《かのじょ》に|返《かえ》しなさい」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さてエリシャはダマスコに|来《き》た。|時《とき》にスリヤの|王《おう》ベネハダデは|病気《びょうき》であったが、「|神《かみ》の|人《ひと》がここに|来《き》た」と|告《つ》げる|者《もの》があったので、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はハザエルに|言《い》った、「|贈《おく》り|物《もの》を|携《たずさ》えて|行《い》って|神《かみ》の|人《ひと》を|迎《むか》え、|彼《かれ》によって|主《しゅ》に『わたしのこの|病気《びょうき》はなおりましょうか』と|言《い》って|尋《たず》ねなさい」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでハザエルは|彼《かれ》を|迎《むか》えようと、ダマスコのもろもろの|良《よ》い|物《もの》をらくだ四十|頭《とう》に|載《の》せ、|贈《おく》り|物《もの》として|携《たずさ》え|行《い》き、エリシャの|前《まえ》に|立《た》って|言《い》った、「あなたの|子《こ》、スリヤの|王《おう》ベネハダデがわたしをあなたにつかわして、『わたしのこの|病気《びょうき》はなおりましょうか』と|言《い》わせています」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|彼《かれ》に|言《い》った、「|行《い》って|彼《かれ》に『あなたは|必《かなら》ずなおります』と|告《つ》げなさい。ただし|主《しゅ》はわたしに、|彼《かれ》が|必《かなら》ず|死《し》ぬことを|示《しめ》されました」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|神《かみ》の|人《ひと》がひとみを|定《さだ》めて|彼《かれ》の|恥《は》じるまでに|見《み》つめ、やがて|泣《な》き|出《だ》したので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ハザエルは|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、どうして|泣《な》かれるのですか」。エリシャは|答《こた》えた、「わたしはあなたがイスラエルの|人々《ひとびと》にしようとする|害悪《がいあく》を|知《し》っているからです。すなわち、あなたは|彼《かれ》らの|城《しろ》に|火《ひ》をかけ、つるぎをもって|若者《わかもの》を|殺《ころ》し、|幼《おさ》な|子《ご》を|投《な》げうち、|妊娠《にんしん》の|女《おんな》を|引《ひ》き|裂《さ》くでしょう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ハザエルは|言《い》った、「しもべは一|匹《ぴき》の|犬《いぬ》にすぎないのに、どうしてそんな|大《おお》きな|事《こと》をすることができましょう」。エリシャは|言《い》った、「|主《しゅ》がわたしに|示《しめ》されました。あなたはスリヤの|王《おう》となるでしょう」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がエリシャのもとを|去《さ》って、|主君《しゅくん》のところへ|行《い》くと、「エリシャはあなたになんと|言《い》ったか」と|尋《たず》ねられたので、「あなたが|必《かなら》ずなおるでしょうと、|彼《かれ》はわたしに|告《つ》げました」と|答《こた》えた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|翌日《よくじつ》になってハザエルは|布《ぬの》を|取《と》って|水《みず》に|浸《ひた》し、それをもって|王《おう》の|顔《かお》をおおったので、|王《おう》は|死《し》んだ。ハザエルは|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》アハブの|子《こ》ヨラムの|第《だい》五|年《ねん》に、ユダの|王《おう》ヨシャパテの|子《こ》ヨラムが|位《くらい》についた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|王《おう》となったとき三十二|歳《さい》で、八|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はアハブの|家《いえ》がしたようにイスラエルの|王《おう》たちの|道《みち》に|歩《あゆ》んだ。アハブの|娘《むすめ》が|彼《かれ》の|妻《つま》であったからである。|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなったが、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はしもべダビデのためにユダを|滅《ほろ》ぼすことを|好《この》まれなかった。すなわち|主《しゅ》は|彼《かれ》とその|子孫《しそん》に|常《つね》にともしびを|与《あた》えると、|彼《かれ》に|約束《やくそく》されたからである。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムの|世《よ》にエドムがそむいてユダの|支配《しはい》を|脱《だっ》し、みずから|王《おう》を|立《た》てたので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムはすべての|戦車《せんしゃ》を|従《したが》えてザイルにわたって|行《い》き、その|戦車《せんしゃ》の|指揮《しき》|官《かん》たちと|共《とも》に、|夜《よ》のうちに|立《た》ちあがって、|彼《かれ》を|包囲《ほうい》しているエドムびとを|撃《う》った。しかしヨラムの|軍隊《ぐんたい》は|天幕《てんまく》に|逃《に》げ|帰《かえ》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エドムはこのようにそむいてユダの|支配《しはい》を|脱《だっ》し、|今日《こんにち》に|至《いた》っている。リブナもまた|同時《どうじ》にそむいた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムのその|他《た》の|事績《じせき》および|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、ユダの|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、ダビデの|町《まち》にその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アハジヤが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》アハブの|子《こ》ヨラムの|第《だい》十二|年《ねん》にユダの|王《おう》ヨラムの|子《こ》アハジヤが|位《くらい》についた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤは|王《おう》となったとき二十二|歳《さい》で、エルサレムで一|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》は|名《な》をアタリヤと|言《い》って、イスラエルの|王《おう》オムリの|孫娘《まごむすめ》であった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤはまたアハブの|家《いえ》の|道《みち》に|歩《あゆ》み、アハブの|家《いえ》がしたように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなった。|彼《かれ》はアハブの|家《いえ》の|婿《むこ》であったからである。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はアハブの|子《こ》ヨラムと|共《とも》に|行《い》って、スリヤの|王《おう》ハザエルとラモテ・ギレアデで|戦《たたか》ったが、スリヤびとらはヨラムに|傷《きず》を|負《お》わせた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨラム|王《おう》はそのスリヤの|王《おう》ハザエルと|戦《たたか》うときにラマでスリヤびとに|負《お》わされた|傷《きず》をいやすため、エズレルに|帰《かえ》ったが、ユダの|王《おう》ヨラムの|子《こ》アハジヤはアハブの|子《こ》ヨラムが|病《や》んでいたので、エズレルに|下《くだ》って|彼《かれ》をおとずれた。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|預言者《よげんしゃ》エリシャは|預言者《よげんしゃ》のともがらのひとりを|呼《よ》んで|言《い》った、「|腰《こし》をひきからげ、この|油《あぶら》のびんを|携《たずさ》えて、ラモテ・ギレアデへ|行《い》きなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこに|着《つ》いたならば、ニムシの|子《こ》ヨシャパテの|子《こ》であるエヒウを|尋《たず》ね|出《だ》し、|内《うち》にはいって|彼《かれ》をその|同僚《どうりょう》たちのうちから|立《た》たせて、|奥《おく》の|間《あいだ》に|連《つ》れて|行《い》き、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|油《あぶら》のびんを|取《と》って、その|頭《あたま》に|注《そそ》ぎ、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしはあなたに|油《あぶら》を|注《そそ》いでイスラエルの|王《おう》とする』と|言《い》い、そして|戸《と》をあけて|逃《に》げ|去《さ》りなさい。とどまってはならない」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|預言者《よげんしゃ》であるその|若者《わかもの》はラモテ・ギレアデへ|行《い》ったが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|来《き》て|見《み》ると、|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちが|会議《かいぎ》|中《ちゅう》であったので、|彼《かれ》は「|将軍《しょうぐん》よ、わたしはあなたに|申《もう》しあげる|事《こと》があります」と|言《い》うと、エヒウが|答《こた》えて、「われわれすべてのうちの、だれにですか」と|言《い》ったので、|彼《かれ》は「|将軍《しょうぐん》よ、あなたにです」と|言《い》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]するとエヒウが|立《た》ちあがって|家《いえ》にはいったので、|若者《わかもの》はその|頭《あたま》に|油《あぶら》を|注《そそ》いで|彼《かれ》に|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『わたしはあなたに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、|主《しゅ》の|民《たみ》イスラエルの|王《おう》とする。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|主君《しゅくん》アハブの|家《いえ》を|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼさなければならない。それによってわたしは、わたしのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちの|血《ち》と、|主《しゅ》のすべてのしもべたちの|血《ち》をイゼベルに|報《むく》いる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アハブの|全家《ぜんか》は|滅《ほろ》びるであろう。アハブに|属《ぞく》する|男《おとこ》は、イスラエルにいて、つながれた|者《もの》も、|自由《じゆう》な|者《もの》も、ことごとくわたしは|断《た》ち、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アハブの|家《いえ》をネバテの|子《こ》ヤラベアムのようにし、アヒヤの|子《こ》バアシャの|家《いえ》のようにする。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|犬《いぬ》がイズレルの|地域《ちいき》でイゼベルを|食《く》い、|彼女《かのじょ》を|葬《ほうむ》る|者《もの》はないであろう』」。そして|彼《かれ》は|戸《と》をあけて|逃《に》げ|去《さ》った。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]やがてエヒウが|主君《しゅくん》の|家来《けらい》たちの|所《ところ》へ|出《で》て|来《く》ると、|彼《かれ》らはエヒウに|言《い》った、「|変《かわ》った|事《こと》はありませんか。あの|気違《きちが》いは、なんのためにあなたの|所《ところ》にきたのですか」。エヒウは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは、あの|人《ひと》を|知《し》っています。またその|言《い》う|事《こと》も|知《し》っています」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「それは|違《ちが》います。どうぞわれわれに|話《はな》してください」。そこでエヒウは|言《い》った、「|彼《かれ》はこうこう、わたしに|告《つ》げて|言《い》いました、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしはあなたに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、イスラエルの|王《おう》とする』」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》らは|急《いそ》いで、おのおの|衣服《いふく》をとり、それを|階段《かいだん》の|上《うえ》のエヒウの|下《した》に|敷《し》き、ラッパを|吹《ふ》いて「エヒウは|王《おう》である」と|言《い》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてニムシの|子《こ》であるヨシャパテの|子《こ》エヒウはヨラムにそむいた。(ヨラムはイスラエルをことごとく|率《ひき》いて、ラモテ・ギレアデでスリヤの|王《おう》ハザエルを|防《ふせ》いだが、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨラム|王《おう》はスリヤの|王《おう》ハザエルと|戦《たたか》った|時《とき》に、スリヤびとに|負《お》わされた|傷《きず》をいやすため、エズレルに|帰《かえ》っていた。)エヒウは|言《い》った、「もしこれがあなたがたの|本心《ほんしん》であるならば、ひとりもこの|町《まち》から|忍《しの》び|出《で》て、これをエズレルに|告《つ》げてはならない」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてエヒウは|車《くるま》に|乗《の》ってエズレルへ|行《い》った。ヨラムがそこに|伏《ふ》していたからである。またユダの|王《おう》アハジヤはヨラムを|見舞《みま》うために|下《くだ》っていた。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]さてエズレルのやぐらに、ひとりの|物見《ものみ》が|立《た》っていたが、エヒウの|群衆《ぐんしゅう》が|来《く》るのを|見《み》て、「|群衆《ぐんしゅう》が|見《み》える」と|言《い》ったので、ヨラムは|言《い》った、「ひとりを|馬《うま》に|乗《の》せてつかわし、それに|会《あ》わせて『|平安《へいあん》ですか』と|言《い》わせなさい」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでひとりが|馬《うま》に|乗《の》って|行《い》き、|彼《かれ》に|会《あ》って|言《い》った、「|王《おう》はこう|仰《おお》せられます、『|平安《へいあん》ですか』」。エヒウ|言《い》った、「あなたは|平安《へいあん》となんの|関係《かんけい》がありますか。わたしのあとについてきなさい」。|物見《ものみ》はまた|告《つ》げて|言《い》った、「|使者《ししゃ》は|彼《かれ》らの|所《ところ》へ|行《い》きましたが、|帰《かえ》ってきません」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|再《ふたた》び|人《ひと》を|馬《うま》でつかわしたので、|彼《かれ》らの|所《ところ》へ|行《い》って|言《い》った、「|王《おう》はこう|仰《おお》せられます、『|平安《へいあん》ですか』」。エヒウは|答《こた》えて|言《い》った、「あなたは|平安《へいあん》となんの|関係《かんけい》がありますか。わたしのあとについてきなさい」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|物見《ものみ》はまた|告《つ》げて|言《い》った、「|彼《かれ》も、|彼《かれ》らの|所《ところ》へ|行《い》きましたが|帰《かえ》ってきません。あの|車《くるま》の|操縦《そうじゅう》はニムシの|子《こ》エヒウの|操縦《そうじゅう》するのに|似《に》て、|猛烈《もうれつ》な|勢《いきお》いで|操縦《そうじゅう》して|来《き》ます」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨラムが「|車《くるま》を|用意《ようい》せよ」と|言《い》ったので、|車《くるま》を|用意《ようい》すると、イスラエルの|王《おう》ヨラムと、ユダの|王《おう》アハジヤは、おのおのその|車《くるま》で|出《で》て|行《い》った。すなわちエヒウに|会《あ》うために|出《で》ていって、エズレルびとナボテの|地所《じしょ》で|彼《かれ》に|会《あ》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムはエヒウを|見《み》て|言《い》った、「エヒウよ、|平安《へいあん》ですか」。エヒウは|答《こた》えた、「あなたの|母《はは》イゼベルの|姦淫《かんいん》と|魔術《まじゅつ》とが、こんなに|多《おお》いのに、どうして|平安《へいあん》でありえましょうか」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヨラムは|車《くるま》をめぐらして|逃《に》げ、アハジヤにむかって、「アハジヤよ、|反逆《はんぎゃく》です」と|言《い》うと、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エヒウは|手《て》に|弓《ゆみ》をひきしぼって、ヨラムの|両《りょう》|肩《かた》の|間《あいだ》を|射《い》たので、|矢《や》は|彼《かれ》の|心臓《しんぞう》を|貫《つらぬ》き、|彼《かれ》は|車《くるま》の|中《なか》に|倒《たお》れた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]エヒウはその|副官《ふくかん》ビデカルに|言《い》った、「|彼《かれ》を|取《と》りあげて、エズレルびとナボテの|畑《はたけ》に|投《な》げ|捨《す》てなさい。かつて、わたしとあなたと、ふたり|共《とも》に|乗《の》って、|彼《かれ》の|父《ちち》アハブに|従《したが》ったとき、|主《しゅ》が|彼《かれ》について、この|預言《よげん》をされたことを|記憶《きおく》しなさい。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|主《しゅ》は|言《い》われた、『まことに、わたしはきのうナボテの|血《ち》と、その|子《こ》らの|血《ち》を|見《み》た』。また|主《しゅ》は|言《い》われた、『わたしはこの|地所《じしょ》であなたに|報復《ほうふく》する』と。それゆえ|彼《かれ》を|取《と》りあげて、その|地所《じしょ》に|投《な》げすて、|主《しゅ》の|言葉《ことば》のようにしなさい」。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アハジヤはこれを|見《み》てベテハガンの|方《ほう》へ|逃《に》げたが、エヒウはそのあとを|追《お》い、「|彼《かれ》をも|撃《う》て」と|言《い》ったので、イブレアムのほとりのグルの|坂《さか》で|車《くるま》の|中《なか》の|彼《かれ》を|撃《う》った。|彼《かれ》はメギドまで|逃《に》げていって、そこで|死《し》んだ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|家来《けらい》たちは|彼《かれ》を|車《くるま》に|載《の》せてエルサレムに|運《はこ》び、ダビデの|町《まち》で|彼《かれ》の|墓《はか》にその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|葬《ほうむ》った。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アハブの|子《こ》ヨラムの|第《だい》十一|年《ねん》にアハジヤはユダの|王《おう》となったのである。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]エヒウがエズレルにきた|時《とき》、イゼベルはそれを|聞《き》いて、その|目《め》を|塗《ぬ》り、|髪《かみ》を|飾《かざ》って|窓《まど》から|望《のぞ》み|見《み》たが、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]エヒウが|門《もん》にはいってきたので、「|主君《しゅくん》を|殺《ころ》したジムリよ、|無事《ぶじ》ですか」と|言《い》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]するとエヒウは|顔《かお》をあげて|窓《まど》にむかい、「だれか、わたしに|味方《みかた》する|者《もの》があるか。だれかあるか」と|言《い》うと、二、三|人《にん》の|宦官《かんがん》がエヒウを|望《のぞ》み|見《み》たので、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]エヒウは「|彼女《かのじょ》を|投《な》げ|落《おと》せ」と|言《い》った。|彼《かれ》らは|彼女《かのじょ》を|投《な》げ|落《おと》したので、その|血《ち》が|壁《かべ》と|馬《うま》とにはねかかった。そして|馬《うま》は|彼女《かのじょ》を|踏《ふ》みつけた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]エヒウは|内《うち》にはいって|食《く》い|飲《の》みし、そして|言《い》った、「あののろわれた|女《おんな》を|見《み》、|彼女《かのじょ》を|葬《ほうむ》りなさい。|彼女《かのじょ》は|王《おう》の|娘《むすめ》なのだ」。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らが|彼女《かのじょ》を|葬《ほうむ》ろうとして|行《い》って|見《み》ると、|頭蓋骨《ずがいこつ》と、|足《あし》と、たなごころのほか|何《なに》もなかったので、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|帰《かえ》って、|彼《かれ》に|告《つ》げると、|彼《かれ》は|言《い》った、「これは|主《しゅ》が、そのしもべ、テシベびとエリヤによってお|告《つ》げになった|言葉《ことば》である。すなわち『エズレルの|地《ち》で|犬《いぬ》がイゼベルの|肉《にく》を|食《く》うであろう。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]イゼベルの|死体《したい》はエズレルの|地《ち》で、|糞土《ふんど》のように|野《の》のおもてに|捨《す》てられて、だれも、これはイゼベルだ、と|言《い》うことができないであろう』」。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アハブはサマリヤに七十|人《にん》の|子供《こども》があった。エヒウは|手紙《てがみ》をしたためてサマリヤに|送《おく》り、|町《まち》のつかさたちと、|長老《ちょうろう》たちと、アハブの|子供《こども》の|守役《もりやく》たちとに|伝《つた》えて|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたの|主君《しゅくん》の|子供《こども》たちがあなたがたと|共《とも》におり、また|戦車《せんしゃ》も|馬《うま》も、|堅固《けんご》な|町《まち》も|武器《ぶき》もあるのだから、この|手紙《てがみ》があなたがたのもとに|届《とど》いたならば、すぐ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|主君《しゅくん》の|子供《こども》たちのうち|最《もっと》もすぐれた、|最《もっと》も|適当《てきとう》な|者《もの》を|選《えら》んで、その|父《ちち》の|位《くらい》にすえ、|主君《しゅくん》の|家《いえ》のために|戦《たたか》いなさい」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|大《おお》いに|恐《おそ》れて|言《い》った、「ふたりの|王《おう》たちがすでに|彼《かれ》に|当《あた》ることができなかったのに、われわれがどうして|当《あた》ることができよう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|宮廷《きゅうてい》のつかさ、|町《まち》のつかさ、|長老《ちょうろう》たちと|守役《もりやく》たちはエヒウに|人《ひと》をつかわして|言《い》った、「わたしたちは、あなたのしもべです。すべてあなたが|命《めい》じられる|事《こと》をいたします。わたしたちは|王《おう》を|立《た》てることを|好《この》みません。あなたがよいと|思《おも》われることをしてください」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでエヒウは|再《ふたた》び|彼《かれ》らに|手紙《てがみ》を|書《か》き|送《おく》って|言《い》った、「もしあなたがたが、わたしに|味方《みかた》し、わたしに|従《したが》おうとするならば、あなたがたの|主君《しゅくん》の|子供《こども》たちの|首《くび》を|取《と》って、あすの|今《いま》ごろエズレルにいるわたしのもとに|持《も》ってきなさい」。そのころ、|王《おう》の|子供《こども》たち七十|人《にん》は|彼《かれ》らを|育《そだ》てていた|町《まち》のおもだった|人々《ひとびと》と|共《とも》にいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|手紙《てがみ》を|受《う》け|取《と》ると、|王《おう》の|子供《こども》たちを|捕《とら》えて、その七十|人《にん》をことごとく|殺《ころ》し、その|首《くび》をかごにつめて、エズレルにいるエヒウのもとに|送《おく》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》が|来《き》て、エヒウに|告《つ》げ、「|人々《ひとびと》が|王《おう》の|子供《こども》たちの|首《くび》を|持《も》ってきました」と|言《い》うと、「あくる|朝《あさ》までそれを|門《もん》の|入口《いりぐち》に、ふた|山《やま》に|積《つ》んでおけ」と|言《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》になると、|彼《かれ》は|出《で》て|行《い》って|立《た》ち、すべての|民《たみ》に|言《い》った、「あなたがたは|正《ただ》しい。|主君《しゅくん》にそむいて|彼《かれ》を|殺《ころ》したのはわたしです。しかしこのすべての|者《もの》どもを|殺《ころ》したのはだれですか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これであなたがたは、|主《しゅ》がアハブの|家《いえ》について|告《つ》げられた|主《しゅ》の|言葉《ことば》は|一《ひと》つも|地《ち》に|落《お》ちないことを|知《し》りなさい。|主《しゅ》は、そのしもべエリヤによってお|告《つ》げになった|事《こと》をなし|遂《と》げられたのです」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエヒウは、アハブの|家《いえ》に|属《ぞく》する|者《もの》でエズレルに|残《のこ》っている|者《もの》をことごとく|殺《ころ》し、またそのすべてのおもだった|者《もの》、その|親《した》しい|者《もの》およびその|祭司《さいし》たちを|殺《ころ》して、|彼《かれ》に|属《ぞく》する|者《もの》はひとりも|残《のこ》さなかった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さてエヒウは|立《た》ってサマリヤへ|行《い》ったが、|途中《とちゅう》、|牧者《ぼくしゃ》の|集《あつ》まり|場《ば》で、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アハジヤの|身内《みうち》の|人々《ひとびと》に|会《あ》い、「あなたがたはどなたですか」と|言《い》うと、「わたしたちはアハジヤの|身内《みうち》の|者《もの》ですが、|王《おう》の|子供《こども》たちと、|王《おう》|母《はは》の|子供《こども》たちの|安否《あんぴ》を|問《と》うために|下《くだ》ってきたのです」と|答《こた》えたので、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エヒウは「|彼《かれ》らをいけどれ」と|命《めい》じた。そこで|彼《かれ》らをいけどって、|集《あつ》まり|場《ば》の|穴《あな》のかたわらで|彼《かれ》ら四十二|人《にん》をことごとく|殺《ころ》し、ひとりをも|残《のこ》さなかった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エヒウはそこを|立《た》って|行《い》ったが、|自分《じぶん》を|迎《むか》えにきたレカブの|子《こ》ヨナダブに|会《あ》ったので、|彼《かれ》にあいさつして、「あなたの|心《こころ》は、わたしがあなたに|対《たい》するように|真実《しんじつ》ですか」と|言《い》うと、ヨナダブは「|真実《しんじつ》です」と|答《こた》えた。するとエヒウは「それならば、あなたの|手《て》をわたしに|伸《の》べなさい」と|言《い》ったので、その|手《て》を|伸《の》べると、|彼《かれ》を|引《ひ》いて|自分《じぶん》の|車《くるま》に|上《のぼ》らせ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「わたしと|一緒《いっしょ》にきて、わたしが|主《しゅ》に|熱心《ねっしん》なのを|見《み》なさい」と|言《い》った。そして|彼《かれ》を|自分《じぶん》の|車《くるま》に|乗《の》せ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤへ|行《い》って、アハブに|属《ぞく》する|者《もの》で、サマリヤに|残《のこ》っている|者《もの》をことごとく|殺《ころ》して、その|一族《いちぞく》を|滅《ほろ》ぼした。|主《しゅ》がエリヤにお|告《つ》げになった|言葉《ことば》のとおりである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|次《つ》いでエヒウは|民《たみ》をことごとく|集《あつ》めて|彼《かれ》らに|言《い》った、「アハブは|少《すこ》しばかりバアルに|仕《つか》えたが、エヒウは|大《おお》いにこれに|仕《つか》えるであろう。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|今《いま》バアルのすべての|預言者《よげんしゃ》、すべての|礼拝者《れいはいしゃ》、すべての|祭司《さいし》をわたしのもとに|召《め》しなさい。ひとりもこない|者《もの》のないようにしなさい。わたしは|大《おお》いなる|犠牲《ぎせい》をバアルにささげようとしている。すべてこない|者《もの》は|生《い》かしておかない」。しかしエヒウはバアルの|礼拝者《れいはいしゃ》たちを|滅《ほろ》ぼすために|偽《いつわ》ってこうしたのである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてエヒウは「バアルのために|聖《せい》|会《かい》を|催《もよお》しなさい」と|命《めい》じたので、|彼《かれ》らはこれを|布告《ふこく》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エヒウはあまねくイスラエルに|人《ひと》をつかわしたので、バアルの|礼拝者《れいはいしゃ》たちはことごとく|来《き》た。こないで|残《のこ》った|者《もの》はひとりもなかった。|彼《かれ》らはバアルの|宮《みや》にはいったので、バアルの|宮《みや》は|端《たん》から|端《たん》までいっぱいになった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エヒウは|衣装《いしょう》をつかさどる|者《もの》に「|祭服《さいふく》を|取《と》り|出《だ》してバアルのすべての|礼拝者《れいはいしゃ》に|与《あた》えよ」と|言《い》ったので、|彼《かれ》らのために|祭服《さいふく》を|取《と》り|出《だ》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてエヒウはレカブの|子《こ》ヨナダブと|共《とも》にバアルの|宮《みや》に|入《はい》り、バアルの|礼拝者《れいはいしゃ》たちに|言《い》った、「|調《しら》べてみて、ここにはただバアルの|礼拝者《れいはいしゃ》のみで、|主《しゅ》のしもべはひとりも、あなたがたのうちにいないようにしなさい」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》は|犠牲《ぎせい》と|燔祭《はんさい》とをささげるためにはいった。  さてエヒウは八十|人《にん》の|者《もの》を|外《そと》に|置《お》いて|言《い》った、「わたしがあなたがたの|手《て》に|渡《わた》す|者《もの》をひとりでも|逃《のが》す|者《もの》は、|自分《じぶん》の|命《いのち》をもってその|人《ひと》の|命《いのち》に|換《か》えなければならない」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|燔祭《はんさい》をささげることが|終《おわ》ったとき、エヒウはその|侍衛《じえい》と|将校《しょうこう》たちに|言《い》った、「はいって|彼《かれ》らを|殺《ころ》せ。ひとりも|逃《に》がしてはならない」。|侍衛《じえい》と|将校《しょうこう》たちはつるぎをもって|彼《かれ》らを|撃《う》ち|殺《ころ》し、それを|投《な》げ|出《だ》して、バアルの|宮《みや》の|本殿《ほんでん》に|入《はい》り、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]バアルの|宮《みや》にある|柱《はしら》の|像《ぞう》を|取《と》り|出《だ》して、それを|焼《や》いた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らはバアルの|石柱《せきちゅう》をこわし、バアルの|宮《みや》をこわして、かわやとしたが|今日《こんにち》まで|残《のこ》っている。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]このようにエヒウはイスラエルのうちからバアルを|一掃《いっそう》した。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかしエヒウはイスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》、すなわちベテルとダンにある|金《きん》の|子《こ》|牛《うし》に|仕《つか》えることをやめなかった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエヒウに|言《い》われた、「あなたはわたしの|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》うにあたって、よくそれを|行《おこな》い、またわたしの|心《こころ》にあるすべての|事《こと》をアハブの|家《いえ》にしたので、あなたの|子孫《しそん》は四|代《だい》までイスラエルの|位《くらい》に|座《ざ》するであろう」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかしエヒウはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|律法《りっぽう》を|心《こころ》をつくして|守《まも》り|行《おこな》おうとはせず、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたヤラベアムの|罪《つみ》を|離《はな》れなかった。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》にあたって、|主《しゅ》はイスラエルの|領地《りょうち》を|切《き》り|取《と》ることを|始《はじ》められた。すなわちハザエルはイスラエルのすべての|領域《りょういき》を|侵《おか》し、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ヨルダンの|東《ひがし》で、ギレアデの|全《ぜん》|地《ち》、カドびと、ルベンびと、マナセびとの|地《ち》を|侵《おか》し、アルノン|川《かわ》のほとりにあるアロエルからギレアデとバシャンに|及《およ》んだ。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]エヒウのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》およびその|武勇《ぶゆう》は、ことごとくイスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]エヒウはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、|彼《かれ》をサマリヤに|葬《ほうむ》った。その|子《こ》エホアハズが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エヒウがサマリヤでイスラエルを|治《おさ》めたのは二十八|年《ねん》であった。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてアハジヤの|母《はは》アタリヤはその|子《こ》の|死《し》んだのを|見《み》て、|立《た》って|王《おう》の|一族《いちぞく》をことごとく|滅《ほろ》ぼしたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨラム|王《おう》の|娘《むすめ》で、アハジヤの|姉妹《しまい》であるエホシバはアハジヤの|子《こ》ヨアシを、|殺《ころ》されようとしている|王《おう》の|子《こ》たちのうちから|盗《ぬす》み|取《と》り、|彼《かれ》とそのうばとを|寝室《しんしつ》に|入《い》れて、アタリヤに|隠《かく》したので、|彼《かれ》はついに|殺《ころ》されなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシはうばと|共《とも》に六|年《ねん》の|間《あいだ》、|主《しゅ》の|宮《みや》に|隠《かく》れていたが、その|間《かん》アタリヤが|国《くに》を|治《おさ》めた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七|年《ねん》になってエホヤダは|人《ひと》をつかわして、カリびとと|近衛《このえ》|兵《へい》との|大将《たいしょう》たちを|招《まね》きよせ、|主《しゅ》の|宮《みや》にいる|自分《じぶん》のもとにこさせ、|彼《かれ》らと|契約《けいやく》を|結《むす》び、|主《しゅ》の|宮《みや》で|彼《かれ》らに|誓《ちか》いをさせて|王《おう》の|子《こ》を|見《み》せ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたのする|事《こと》はこれです、すなわち、|安息日《あんそくにち》に|非番《ひばん》となって|王《おう》の|家《いえ》を|守《まも》るあなたがたの三|分《ぶん》の一は、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|宮殿《きゅうでん》を|守《まも》らなければならない。(|他《た》の三|分《ぶん》の一はスルの|門《もん》におり、三|分《ぶん》の一は|近衛《このえ》|兵《へい》のうしろの|門《もん》におる)。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべて|安息日《あんそくにち》に|当番《とうばん》で|主《しゅ》の|宮《みや》を|守《まも》るあなたがたの二つの|部隊《ぶたい》は、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]おのおのの|武器《ぶき》を|手《て》に|取《と》って|王《おう》のまわりに|立《た》たなければならない。すべて|列《れつ》に|近《ちか》よる|者《もの》は|殺《ころ》されなければならない。あなたがたは|王《おう》が|出《で》る|時《とき》にも、はいる|時《とき》にも|王《おう》と|共《とも》にいなければならない」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|大将《たいしょう》たちは|祭司《さいし》エホヤダがすべて|命《めい》じたとおりにおこなった。すなわち|彼《かれ》らはおのおの|安息日《あんそくにち》に|非番《ひばん》となる|者《もの》と、|安息日《あんそくにち》に|当番《とうばん》となる|者《もの》とを|率《ひき》いて|祭司《さいし》エホヤダのもとにきたので、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|主《しゅ》の|宮《みや》にあるダビデ|王《おう》のやりと|盾《たて》を|大将《たいしょう》たちに|渡《わた》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|近衛《このえ》|兵《へい》はおのおの|手《て》に|武器《ぶき》をとって|主《しゅ》の|宮《みや》の|南側《みなみがわ》から|北側《きたがわ》まで、|祭壇《さいだん》と|宮《みや》を|取《と》り|巻《ま》いて|立《た》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでエホヤダは|王《おう》の|子《こ》をつれ|出《だ》して|冠《かんむり》をいただかせ、|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|渡《わた》し、|彼《かれ》を|王《おう》と|宣言《せんげん》して|油《あぶら》を|注《そそ》いだので、|人々《ひとびと》は|手《て》を|打《う》って「|王《おう》|万歳《ばんざい》」と|言《い》った。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アタリヤは|近衛《このえ》|兵《へい》と|民《たみ》の|声《こえ》を|聞《き》いて、|主《しゅ》の|宮《みや》に|入《はい》り、|民《たみ》のところへ|行《い》って、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》ると、|王《おう》は|慣例《かんれい》にしたがって|柱《はしら》のかたわらに|立《た》ち、|王《おう》のかたわらには|大将《たいしょう》たちとラッパ|手《て》たちが|立《た》ち、また|国《くに》の|民《たみ》は|皆《みな》|喜《よろこ》んでラッパを|吹《ふ》いていたので、アタリヤはその|衣《ころも》を|裂《さ》いて、「|反逆《はんぎゃく》です、|反逆《はんぎゃく》です」と|叫《さけ》んだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|祭司《さいし》エホヤダは|軍勢《ぐんぜい》を|指揮《しき》していた|大将《たいしょう》たちに|命《めい》じて、「|彼女《かのじょ》を|列《れつ》の|間《あいだ》をとおって|出《で》て|行《い》かせ、|彼女《かのじょ》に|従《したが》う|者《もの》をつるぎをもって|殺《ころ》しなさい」と|言《い》った。これは|祭司《さいし》がさきに「|彼女《かのじょ》を|主《しゅ》の|宮《みや》で|殺《ころ》してはならない」と|言《い》ったからである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|彼女《かのじょ》を|捕《とら》え、|王《おう》の|家《いえ》の|馬道《うまみち》へ|連《つ》れて|行《い》ったが、|彼女《かのじょ》はついにそこで|殺《ころ》された。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]かくてエホヤダは|主《しゅ》と|王《おう》および|民《たみ》との|間《あいだ》に、|皆《みな》|主《しゅ》の|民《たみ》となるという|契約《けいやく》を|立《た》てさせ、また|王《おう》と|民《たみ》との|間《あいだ》にもそれを|立《た》てさせた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|国《くに》の|民《たみ》は|皆《みな》バアルの|宮《みや》に|行《い》って、これをこわし、その|祭壇《さいだん》とその|像《ぞう》を|打《う》ち|砕《くだ》き、バアルの|祭司《さいし》マッタンをその|祭壇《さいだん》の|前《まえ》で|殺《ころ》した。そして|祭司《さいし》は|主《しゅ》の|宮《みや》に|管理《かんり》|人《ひと》を|置《お》いた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|次《つ》いでエホヤダは|大将《たいしょう》たちと、カリびとと、|近衛《このえ》|兵《へい》と|国《くに》のすべての|民《たみ》を|率《ひき》いて、|主《しゅ》の|宮《みや》から|王《おう》を|導《みちび》き|下《くだ》り、|近衛《このえ》|兵《へい》の|門《もん》の|道《みち》から|王《おう》の|家《いえ》に|入《はい》り、|王《おう》の|位《くらい》に|座《ざ》せしめた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|国《くに》の|民《たみ》は|皆《みな》|喜《よろこ》び、|町《まち》はアタリヤが|王《おう》の|家《いえ》でつるぎをもって|殺《ころ》されてのち、おだやかになった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシは|位《くらい》についた|時《とき》七|歳《さい》であった。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシはエヒウの|第《だい》七|年《ねん》に|位《くらい》につき、エルサレムで四十|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はベエルシバの|出身《しゅっしん》で、|名《な》をヂビアといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシは|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》をおこなった。|祭司《さいし》エホヤダが|彼《かれ》を|教《おし》えたからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|高《たか》き|所《ところ》は|除《のぞ》かなかったので、|民《たみ》はなおその|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシは|祭司《さいし》たちに|言《い》った、「すべて|主《しゅ》の|宮《みや》に|聖別《せいべつ》してささげる|銀《ぎん》、すなわちおのおのが|課《か》せられて、|割当《わりあて》にしたがって|人々《ひとびと》の|出《だ》す|銀《ぎん》、および|人々《ひとびと》が|心《こころ》から|願《ねが》って|主《しゅ》の|宮《みや》の|持《も》ってくる|銀《ぎん》は、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これを|祭司《さいし》たちがおのおのその|知《し》る|人《ひと》から|受《う》け|取《と》り、どこでも|主《しゅ》の|宮《みや》に|破《やぶ》れの|見《み》える|時《とき》は、それをもってその|破《やぶ》れを|繕《つくろ》わなければならない」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ところがヨアシ|王《おう》の二十三|年《ねん》に|至《いた》るまで、|祭司《さいし》たちは|主《しゅ》の|宮《みや》の|破《やぶ》れを|繕《つくろ》わなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それで、ヨアシ|王《おう》は|祭司《さいし》エホヤダおよび|他《た》の|祭司《さいし》たちを|召《め》して|言《い》った、「なぜ、あなたがたは|主《しゅ》の|宮《みや》の|破《やぶ》れを|繕《つくろ》わないのか。あなたがたはもはや|知人《ちじん》から|銀《ぎん》を|受《う》けてはならない。|主《しゅ》の|宮《みや》の|破《やぶ》れを|繕《つくろ》うためにそれを|渡《わた》しなさい」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちは|重《かさ》ねて|民《たみ》から|銀《ぎん》を|受《う》けない|事《こと》と、|主《しゅ》の|宮《みや》の|破《やぶ》れを|繕《つくろ》わない|事《こと》とに|同意《どうい》した。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》エホヤダは一つの|箱《はこ》を|取《と》り、そのふたに|穴《あな》をあけて、それを|主《しゅ》の|宮《みや》の|入口《いりぐち》の|右側《みぎがわ》、|祭壇《さいだん》のかたわらに|置《お》いた。そして|門《もん》を|守《まも》る|祭司《さいし》たちは|主《しゅ》の|宮《みや》にはいってくる|銀《ぎん》をことごとくその|中《なか》に|入《い》れた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|箱《はこ》の|中《なか》に|銀《ぎん》が|多《おお》くなったのを|見《み》ると、|王《おう》の|書記官《しょきかん》と|大《だい》|祭司《さいし》が|上《のぼ》ってきて、|主《しゅ》の|宮《みや》にある|銀《ぎん》を|数《かぞ》えて|袋《ふくろ》に|詰《つ》めた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|数《かぞ》えた|銀《ぎん》を、|工事《こうじ》をつかさどる|主《しゅ》の|宮《みや》の|監督《かんとく》|者《もの》の|手《て》にわたしたので、|彼《かれ》らはそれを|主《しゅ》の|宮《みや》に|働《はたら》く|木工《もっこう》と|建築《けんちく》|師《し》に|払《はら》い、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|石工《いしく》および|石《いし》|切《き》りに|払《はら》い、またそれをもって|主《しゅ》の|宮《みや》の|破《やぶ》れを|繕《つくろ》う|材木《ざいもく》と|切《き》り|石《いし》を|買《か》い、|主《しゅ》の|宮《みや》を|繕《つくろ》うために|用《もち》いるすべての|物《もの》のために|費《ついや》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|主《しゅ》の|宮《みや》にはいってくるその|銀《ぎん》をもって|主《しゅ》の|宮《みや》のために|銀《ぎん》のたらい、|心切《しんき》りばさみ、|鉢《はち》、ラッパ、|金《きん》の|器《うつわ》、|銀《ぎん》の|器《うつわ》などを|造《つく》ることはしなかった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ただこれを|工事《こうじ》をする|者《もの》に|渡《わた》して、それで|主《しゅ》の|宮《みや》を|繕《つくろ》わせた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またその|銀《ぎん》を|渡《わた》して|工事《こうじ》をする|者《もの》に|払《はら》わせた|人々《ひとびと》と|計算《けいさん》することはしなかった。|彼《かれ》らは|正直《しょうじき》に|事《こと》をおこなったからである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|愆祭《けんさい》の|銀《ぎん》と|罪祭《ざいさい》の|銀《ぎん》は|主《しゅ》の|宮《みや》に、はいらないで、|祭司《さいし》に|帰《き》した。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、スリヤの|王《おう》ハザエルが|上《のぼ》ってきて、ガテを|攻《せ》めてこれを|取《と》った。そしてハザエルがエルサレムに|攻《せ》め|上《のぼ》ろうとして、その|顔《かお》を|向《む》けたとき、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨアシはその|先祖《せんぞ》、ユダの|王《おう》ヨシャパテ、ヨラム、アハジヤが|聖別《せいべつ》してささげたすべての|物《もの》、およびヨアシ|自身《じしん》が|聖別《せいべつ》してささげた|物《もの》、ならびに|主《しゅ》の|宮《みや》の|倉《くら》と、|主《しゅ》の|宮《みや》にある|金《きん》をことごとく|取《と》って、スリヤ|王《おう》のハザエルに|贈《おく》ったので、ハザエルはエルサレムを|離《はな》れ|去《さ》った。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシのその|他《た》の|事績《じせき》および|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシの|家来《けらい》たちは|立《た》って|徒党《ととう》を|結《むす》び、シラに|下《くだ》る|道《みち》にあるミロの|家《いえ》でヨアシを|殺《ころ》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわちその|家来《けらい》シメアテの|子《こ》ヨザカルと、ショメルの|子《こ》ヨザバデが|彼《かれ》を|撃《う》って|殺《ころ》し、|彼《かれ》をその|先祖《せんぞ》と|同《おな》じく、ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》った。その|子《こ》アマジヤが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アハジヤの|子《こ》ヨアシの|第《だい》二十三|年《ねん》にエヒウの|子《こ》エホアハズはサマリヤでイスラエルの|王《おう》となり、十七|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》を|行《おこな》いつづけて、それを|離《はな》れなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はイスラエルに|対《たい》して|怒《いか》りを|発《はっ》し、エホアハズの|治世《ちせい》の|間《あいだ》、|絶《た》えずイスラエルをスリヤの|王《おう》ハザエルの|手《て》にわたし、またハザエルの|子《こ》ベネハダデの|手《て》にわたされた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかしエホアハズが|主《しゅ》に|願《ねが》い|求《もと》めたので、|主《しゅ》はついにこれを|聞《き》きいれられた。スリヤの|王《おう》によって|悩《なや》まされたイスラエルの|悩《なや》みを|見《み》られたからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それで|主《しゅ》がひとりの|救助者《きゅうじょしゃ》をイスラエルに|賜《たま》わったので、イスラエルの|人々《ひとびと》はスリヤびとの|手《て》をのがれ、|前《まえ》のように|自分《じぶん》たちの|天幕《てんまく》に|住《す》むようになった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それにもかかわらず、|彼《かれ》らはイスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたヤラベアムの|家《いえ》の|罪《つみ》を|離《はな》れず、それを|行《おこな》いつづけた。またアシラの|像《ぞう》もサマリヤに|立《た》ったままであった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さきにスリヤの|王《おう》が|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼし、|踏《ふ》み|砕《くだ》くちりのようにしたのでエホアハズの|軍勢《ぐんぜい》で|残《のこ》ったものは、ただ|騎兵《きへい》五十|人《にん》、|戦車《せんしゃ》十|両《りょう》、|歩兵《ほへい》一万|人《にん》のみであった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エホアハズその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》およびその|武勇《ぶゆう》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エホアハズは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、|彼《かれ》をサマリヤに|葬《ほうむ》った。その|子《こ》ヨアシが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨアシの|第《だい》三十七|年《ねん》に、エホアハズの|子《こ》ヨアシはサマリヤでイスラエルの|王《おう》となり、十六|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムのもろもろの|罪《つみ》を|離《はな》れず、それに|歩《あゆ》んだ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》およびユダの|王《おう》アマジヤと|戦《たたか》ったその|武勇《ぶゆう》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、ヤラベアムがその|位《くらい》に|座《ざ》した。そしてヨアシはイスラエルの|王《おう》たちと|同《おな》じくサマリヤに|葬《ほうむ》られた。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]さてエリシャは|死《し》ぬ|病気《びょうき》にかかっていたが、イスラエルの|王《おう》ヨアシは|下《くだ》ってきて|彼《かれ》の|顔《かお》の|上《うえ》に|涙《なみだ》を|流《なが》し、「わが|父《ちち》よ、わが|父《ちち》よ、イスラエルの|戦車《せんしゃ》よ、その|騎兵《きへい》よ」と|言《い》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エリシャは|彼《かれ》に「|弓《ゆみ》と|矢《や》を|取《と》りなさい」と|言《い》ったので、|弓《ゆみ》と|矢《や》を|取《と》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはまたイスラエルの|王《おう》に「|弓《ゆみ》に|手《て》をかけなさい」と|言《い》ったので、|手《て》をかけた。するとエリシャは|自分《じぶん》の|手《て》を|王《おう》の|手《て》の|上《うえ》におき、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「|東《ひがし》|向《む》きの|窓《まど》をあけなさい」と|言《い》ったので、それをあけると、エリシャはまた「|射《い》なさい」と|言《い》った。|彼《かれ》が|射《い》ると、エリシャは|言《い》った、「|主《しゅ》の|救《すくい》の|矢《や》、スリヤに|対《たい》する|救《すくい》の|矢《や》。あなたはアペクでスリヤびとを|撃《う》ち|破《やぶ》り、|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしつくすであろう」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エリシャはまた「|矢《や》を|取《と》りなさい」と|言《い》ったので、それを|取《と》った。エリシャはまたイスラエルの|王《おう》に「それをもって|地《ち》を|射《い》なさい」と|言《い》ったので、三|度《ど》|射《い》てやめた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すると|神《かみ》の|人《ひと》は|怒《いか》って|言《い》った、「あなたは五|度《ど》も六|度《ど》も|射《い》るべきであった。そうしたならば、あなたはスリヤを|撃《う》ち|破《やぶ》り、それを|滅《ほろ》ぼしつくすことができたであろう。しかし|今《いま》あなたはそうしなかったので、スリヤを|撃《う》ち|破《やぶ》ることはただ三|度《ど》だけであろう」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエリシャは|死《し》んで|葬《ほうむ》られた。さてモアブの|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》は|年《とし》が|改《あらた》まるごとに、|国《くに》にはいって|来《く》るのを|常《つね》とした。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ひとりの|人《ひと》を|葬《ほうむ》ろうとする|者《もの》があったが、|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》を|見《み》たので、その|人《ひと》をエリシャの|墓《はか》に|投《な》げ|入《い》れて|去《さ》った。その|人《ひと》はエリシャの|骨《ほね》に|触《ふ》れるとすぐ|生《い》きかえって|立《た》ちあがった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]スリヤの|王《おう》ハザエルはエホアハズの|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、イスラエルを|悩《なや》ましたが、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はアブラハム、イサク、ヤコブと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》のゆえにイスラエルを|恵《めぐ》み、これをあわれみ、これを|顧《かえり》みて|滅《ほろ》ぼすことを|好《この》まず、なおこれをみ|前《まえ》から|捨《す》てられなかった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]スリヤの|王《おう》ハザエルはついに|死《し》んで、その|子《こ》ベネハダデが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そこでエホアハズの|子《こ》ヨアシは、|父《ちち》エホアハズがハザエルに|攻《せ》め|取《と》られた|町々《まちまち》を、ハザエルの|子《こ》ベネハダデの|手《て》から|取《と》り|返《かえ》した。すなわちヨアシは三|度《ど》|彼《かれ》を|撃《う》ち|破《やぶ》って、イスラエルの|町々《まちまち》を|取《と》り|返《かえ》した。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》エホアハズの|子《こ》ヨアシの|第《だい》二|年《ねん》に、ユダの|王《おう》ヨアシの|子《こ》アマジヤが|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|王《おう》となった|時《とき》二十五|歳《さい》で、二十九|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はエルサレムの|出身《しゅっしん》で、|名《な》をエホアダンといった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤは|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》をおこなったが、|先祖《せんぞ》ダビデのようではなかった。|彼《かれ》はすべての|事《こと》を|父《ちち》ヨアシがおこなったようにおこなった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ただし|高《たか》き|所《ところ》は|除《のぞ》かなかったので、|民《たみ》はなおその|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|国《くに》が|彼《かれ》の|手《て》のうちに|強《つよ》くなった|時《とき》、|父《ちち》ヨアシ|王《おう》を|殺害《さつがい》した|家来《けらい》たちを|殺《ころ》したが、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|殺害者《さつがいしゃ》の|子供《こども》たちは|殺《ころ》さなかった。これはモーセの|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるされている|所《ところ》に|従《したが》ったのであって、そこに|主《しゅ》は|命《めい》じて「|父《ちち》は|子《こ》のゆえに|殺《ころ》さるべきではない。|子《こ》は|父《ちち》のゆえに|殺《ころ》さるべきではない。おのおの|自分《じぶん》の|罪《つみ》のゆえに|殺《ころ》さるべきである」と|言《い》われている。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤはまた|塩《しお》の|谷《たに》でエドムびと一万|人《にん》を|殺《ころ》した。またセラを|攻《せ》め|取《と》って、その|名《な》をヨクテルと|名《な》づけたが、|今日《こんにち》までそのとおりである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでアマジヤがエヒウの|子《こ》エホアハズの|子《こ》であるイスラエルの|王《おう》ヨアシに|使者《ししゃ》をつかわして、「さあ、われわれは|互《たがい》に|顔《かお》を|合《あ》わせよう」と|言《い》わせたので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》ヨアシはユダの|王《おう》アマジヤに|言《い》い|送《おく》った、「かつてレバノンのいばらがレバノンの|香柏《こうはく》に、『あなたの|娘《むすめ》をわたしのむすこの|妻《つま》にください』と|言《い》い|送《おく》ったことがあったが、レバノンの|野獣《やじゅう》がとおって、そのいばらを|踏《ふ》み|倒《たお》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大《おお》いにエドムを|撃《う》って、|心《こころ》にたかぶっているが、その|栄誉《えいよ》に|満足《まんぞく》して|家《いえ》にとどまりなさい。|何《なに》ゆえ、あなたは|災《わざわい》をひき|起《おこ》して、|自分《じぶん》もユダも|共《とも》に|滅《ほろ》びるような|事《こと》をするのですか」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしアマジヤが|聞《き》きいれなかったので、イスラエルの|王《おう》ヨアシは|上《のぼ》ってきた。そこで|彼《かれ》とユダの|王《おう》アマジヤはユダのベテシメシで|互《たがい》に|顔《かお》をあわせたが、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ユダはイスラエルに|敗《やぶ》られて、おのおのその|天幕《てんまく》に|逃《に》げ|帰《かえ》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》ヨアシはアハジヤの|子《こ》ヨアシの|子《こ》であるユダの|王《おう》アマジヤをベテシメシで|捕《とら》え、エルサレムにきて、エルサレムの|城壁《じょうへき》をエフライムの|門《もん》から|隅《すみ》の|門《もん》まで、おおよそ四百キュビトにわたってこわし、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|家《いえ》の|倉《くら》にある|金銀《きんぎん》およびもろもろの|器《うつわ》をことごとく|取《と》り、かつ|人質《ひとじち》をとってサマリヤに|帰《かえ》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシのその|他《た》の|事績《じせき》と、その|武勇《ぶゆう》および|彼《かれ》がユダの|王《おう》アマジヤと|戦《たたか》った|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、イスラエルの|王《おう》たちと|共《とも》にサマリヤに|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》ヤラベアムが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシの|子《こ》であるユダの|王《おう》アマジヤは、エホアハズの|子《こ》であるイスラエルの|王《おう》ヨアシが|死《し》んで|後《のち》、なお十五|年《ねん》|生《い》きながらえた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤのその|他《た》の|事績《じせき》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|人々《ひとびと》がエルサレムで|徒党《ととう》を|結《むす》び、|彼《かれ》に|敵対《てきたい》したので、|彼《かれ》はラキシに|逃《に》げていったが、その|人々《ひとびと》はラキシに|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》をそこで|殺《ころ》させた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を|馬《うま》に|載《の》せて|運《はこ》んできて、エルサレムで|彼《かれ》を|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》にダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてユダの|民《たみ》は|皆《みな》アザリヤを|父《ちち》アマジヤの|代《かわ》りに|王《おう》とした。|時《とき》に|年《ねん》十六|歳《さい》であった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はエラテの|町《まち》を|建《た》てて、これをユダに|復帰《ふっき》させた。これはかの|王《おう》がその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》った|後《のち》であった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨアシの|子《こ》アマジヤの|第《だい》十五|年《ねん》に、イスラエルの|王《おう》ヨアシの|子《こ》ヤラべアムがサマリヤで|王《おう》となって四十一|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》を|離《はな》れなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はハマテの|入口《いりぐち》からアラバの|海《うみ》まで、イスラエルの|領域《りょういき》を|回復《かいふく》した。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》がガテヘペルのアミッタイの|子《こ》である、そのしもべ|預言者《よげんしゃ》ヨナによって|言《い》われた|言葉《ことば》のとおりである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルの|悩《なや》みの|非常《ひじょう》に|激《はげ》しいのを|見《み》られた。そこにはつながれた|者《もの》も、|自由《じゆう》な|者《もの》もいなくなり、またイスラエルを|助《たす》ける|者《もの》もいなかった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はイスラエルの|名《な》を|天《あめ》が|下《した》から|消《け》し|去《さ》ろうとは|言《い》われなかった。そして|彼《かれ》らをヨアシの|子《こ》ヤラベアムの|手《て》によって|救《すく》われた。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》およびその|武勇《ぶゆう》、すなわち|彼《かれ》が|戦争《せんそう》をした|事《こと》および、かつてユダに|属《ぞく》していたダマスコとハマテを、イスラエルに|復帰《ふっき》させた|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムはその|先祖《せんぞ》であるイスラエルの|王《おう》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、その|子《こ》ゼカリヤが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》ヤラベアムの|第《だい》二十七|年《ねん》に、ユダの|王《おう》アマジヤの|子《こ》アザリヤが|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|王《おう》となった|時《とき》は十六|歳《さい》で、五十二|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はエルサレムの|出身《しゅっしん》で、|名《な》をエコリアといった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》い、すべての|事《こと》を|父《ちち》アマジヤが|行《い》ったようにおこなった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ただし|高《たか》き|所《ところ》は|除《のぞ》かなかったので、|民《たみ》はなおその|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|王《おう》を|撃《う》たれたので、その|死《し》ぬ|日《ひ》まで、らい|病人《びょうにん》となって、|離《はな》れ|家《や》に|住《す》んだ。|王《おう》の|子《こ》ヨタムが|家《いえ》の|事《こと》を|管理《かんり》し、|国《くに》の|民《たみ》をさばいた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アザリヤのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アザリヤはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、|彼《かれ》をダビデの|町《まち》にその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|葬《ほうむ》った。その|子《こ》ヨタムが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アザリヤの|第《だい》三十八|年《ねん》にヤラベアムの|子《こ》ゼカリヤがサマリヤでイスラエルの|王《おう》となり、六か|月《げつ》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|先祖《せんぞ》たちがおこなったように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》を|離《はな》れなかった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤベシの|子《こ》シャルムが|徒党《ととう》を|結《むす》んで|彼《かれ》に|敵《てき》し、イブレアムで|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》し、|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ゼカリヤのその|他《た》の|事績《じせき》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はかつてエヒウに、「あなたの|子孫《しそん》は四|代《だい》までイスラエルの|位《くらい》に|座《ざ》するであろう」と|告《つ》げられたが、はたしてそのとおりになった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヤベシの|子《こ》シャルムはユダの|王《おう》ウジヤの|第《だい》三十九|年《ねん》に|王《おう》となり、サマリヤで一か|月《げつ》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にガデの|子《こ》メナヘムがテルザからサマリヤに|上《のぼ》ってきて、ヤベシの|子《こ》シャルムをサマリヤで|撃《う》ち|殺《ころ》し、|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]シャルムのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》が|徒党《ととう》を|結《むす》んだ|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》メナヘムはテルザから|進《すす》んでいって、タップアと、そのうちにいるすべての|者《もの》、およびその|領域《りょういき》を|撃《う》った。すなわち|彼《かれ》らが|彼《かれ》のために|開《ひら》かなかったので、これを|撃《う》って、そのうちの|妊娠《にんしん》の|女《おんな》をことごとく|引《ひ》き|裂《さ》いた。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アザリヤの|第《だい》三十九|年《ねん》に、ガデの|子《こ》メナヘムはイスラエルの|王《おう》となり、サマリヤで十|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》を|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|離《はな》れなかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にアッスリヤの|王《おう》プルが|国《くに》に|攻《せ》めてきたので、メナヘムは|銀《ぎん》一千タラントをプルに|与《あた》えた。これは|彼《かれ》がプルの|助《たす》けを|得《え》て、|国《くに》を|自分《じぶん》の|手《て》のうちに|強《つよ》くするためであった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちメナヘムはその|銀《ぎん》をイスラエルのすべての|富《と》める|者《もの》に|課《か》し、その|人々《ひとびと》におのおの|銀《ぎん》五十シケルを|出《だ》させてアッスリヤの|王《おう》に|与《あた》えた。こうしてアッスリヤの|王《おう》は|国《くに》にとどまらないで|帰《かえ》っていった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]メナヘムのその|他《た》の|事績《じせき》と|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]メナヘムは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》り、その|子《こ》ペカヒヤが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]メナヘムの|子《こ》ペカヒヤはユダの|王《おう》アザリヤの|第《だい》五十|年《ねん》に、サマリヤでイスラエルの|王《おう》となり、二|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》せたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》を|離《はな》れなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》の|副官《ふくかん》であったレマリヤのペカが、ギレアデびと五十|人《にん》と|共《とも》に|徒党《ととう》を|結《むす》んで|彼《かれ》に|敵《てき》し、サマリヤの、|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》の|天守《てんしゅ》で|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。すなわちペカは|彼《かれ》を|殺《ころ》し、|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ペカヒヤのその|他《た》の|事績《じせき》と|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされている。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]レマリヤの|子《こ》ペカはユダの|王《おう》アザリヤの|第《だい》五十二|年《ねん》に、サマリヤでイスラエルの|王《おう》となり、二十|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこない、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムの|罪《つみ》を|離《はな》れなかった。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》ペカの|世《よ》に、アッスリヤの|王《おう》テグラテピレセルが|来《き》て、イヨン、アベル・ベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾル、ギレアデ、ガリラヤ、ナフタリの|全《ぜん》|地《ち》を|取《と》り、|人々《ひとびと》をアッスリヤへ|捕《とら》え|移《うつ》した。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にエラの|子《こ》ホセアは|徒党《ととう》を|結《むす》んで、レマリヤの|子《こ》ペカに|敵《てき》し、|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》し、|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。これはウジヤの|子《こ》ヨタムの|第《だい》二十|年《ねん》であった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ペカのその|他《た》の|事績《じせき》と|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、イスラエルの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされている。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]レマリヤの|子《こ》イスラエルの|王《おう》ペカの|第《だい》二|年《ねん》に、ユダの|王《おう》ウジヤの|子《こ》ヨタムが|王《おう》となった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|王《おう》となった|時《とき》二十五|歳《さい》であったが、エルサレムで十六|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》はザドクの|娘《むすめ》で、|名《な》をエルシャといった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》い、すべて|父《ちち》ウジヤの|行《い》ったようにおこなった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ただし|高《たか》き|所《ところ》は|除《のぞ》かなかったので、|民《たみ》はなおその|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。|彼《かれ》は|主《しゅ》の|宮《みや》の|上《うえ》の|門《もん》を|建《た》てた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ヨタムのその|他《た》の|事績《じせき》と|彼《かれ》がしたすべての|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、|主《しゅ》はスリヤの|王《おう》レヂンとレマリヤの|子《こ》ペカをユダに|攻《せ》めこさせられた。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ヨタムは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、その|先祖《せんぞ》ダビデの|町《まち》に|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アハズが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レマリヤの|子《こ》ペカの|第《だい》十七|年《ねん》にユダの|王《おう》ヨタムの|子《こ》アハズが|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アハズは|王《おう》となった|時《とき》二十|歳《さい》で、エルサレムで十六|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めたが、その|神《かみ》、|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》を|先祖《せんぞ》ダビデのようには|行《おこな》わなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はイスラエルの|王《おう》たちの|道《みち》に|歩《あゆ》み、また|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われた|異邦人《いほうじん》の|憎《にく》むべきおこないにしたがって、|自分《じぶん》の|子《こ》を|火《ひ》に|焼《や》いてささげ|物《もの》とした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]かつ|彼《かれ》は|高《たか》き|所《ところ》、また|丘《おか》の|上《うえ》、すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、スリヤの|王《おう》レヂンおよびレマリヤの|子《こ》であるイスラエルの|王《おう》ペカがエルサレムに|攻《せ》め|上《のぼ》って、アハズを|囲《かこ》んだが、|勝《か》つことができなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エドムの|王《おう》はエラテを|回復《かいふく》してエドムの|所領《しょりょう》とし、ユダの|人々《ひとびと》をエラテから|追《お》い|出《だ》した。そしてエドムびとがエラテにきて、そこに|住《す》み、|今日《こんにち》に|至《いた》っている。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでアハズは|使者《ししゃ》をアッスリヤの|王《おう》テグラテピレセルにつかわして|言《い》わせた、「わたしはあなたのしもべ、あなたの|子《こ》です。スリヤの|王《おう》とイスラエルの|王《おう》がわたしを|攻《せ》め|囲《かこ》んでいます。どうぞ|上《のぼ》ってきて、|彼《かれ》らの|手《て》からわたしを|救《すく》い|出《だ》してください」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてアハズは|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|家《いえ》の|倉《くら》にある|金《きん》と|銀《ぎん》をとり、これを|贈《おく》り|物《もの》としてアッスリヤの|王《おう》におくったので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》は|彼《かれ》の|願《ねが》いを|聞《き》きいれた。すなわちアッスリヤの|王《おう》はダマスコに|攻《せ》め|上《のぼ》って、これを|取《と》り、その|民《たみ》をキルに|捕《とら》え|移《うつ》し、またレヂンを|殺《ころ》した。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アハズ|王《おう》はアッスリヤの|王《おう》テグラテピレセルに|会《あ》おうとダマスコへ|行《い》ったが、ダマスコにある|祭壇《さいだん》を|見《み》たので、アハズ|王《おう》はその|祭壇《さいだん》の|作《つく》りにしたがって、その|詳《くわ》しい|図面《ずめん》と、ひな|型《がた》とを|作《つく》って、|祭司《さいし》ウリヤに|送《おく》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》ウリヤはアハズ|王《おう》がダマスコから|送《おく》ったものにしたがって|祭壇《さいだん》を|建《た》てた。すなわち|祭司《さいし》ウリヤはアハズ|王《おう》がダマスコから|帰《かえ》るまでにそのとおりに|作《つく》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はダマスコから|帰《かえ》ってきて、その|祭壇《さいだん》を|見《み》、|祭壇《さいだん》に|近《ちか》づいてその|上《うえ》に|登《のぼ》り、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|燔祭《はんさい》と|素祭《そさい》を|焼《や》き、|灌祭《かんさい》を|注《そそ》ぎ、|酬恩祭《しゅうおんさい》の|血《ち》を|祭壇《さいだん》にそそぎかけた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|主《しゅ》の|前《まえ》にあった|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》を|宮《みや》の|前《まえ》から|移《うつ》した。すなわちそれを|新《あたら》しい|祭壇《さいだん》と|主《しゅ》の|宮《みや》の|間《あいだ》から|移《うつ》して、|新《あたら》しい|祭壇《さいだん》の|北《きた》の|方《ほう》にすえた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてアハズ|王《おう》は|祭司《さいし》ウリヤに|命《めい》じて|言《い》った、「|朝《あさ》の|燔祭《はんさい》と|夕《ゆう》の|素祭《そさい》および|王《おう》の|燔祭《はんさい》とその|素祭《そさい》、ならびに|国中《くにぢゅう》の|民《たみ》の|燔祭《はんさい》とその|素祭《そさい》および|灌祭《かんさい》は、この|大《おお》きな|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》きなさい。また|燔祭《はんさい》の|血《ち》と|犠牲《ぎせい》の|血《ち》はすべてこれにそそぎかけなさい。あの|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》をわたしは|伺《うかが》いを|立《た》てるのに|用《もち》いよう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ウリヤはアハズ|王《おう》がすべて|命《めい》じたとおりにおこなった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またアハズ|王《おう》は|台《だい》の|鏡板《かがみいた》を|切《き》り|取《と》って、|洗盤《せんばん》をその|上《うえ》から|移《うつ》し、また|海《うみ》をその|下《した》にある|青銅《せいどう》の|牛《うし》の|上《うえ》からおろして、|石《いし》の|座《ざ》の|上《うえ》にすえ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|宮《みや》のうちに|造《つく》られていた|安息日《あんそくにち》|用《よう》のおおいのある|道《みち》、および|王《おう》の|用《もち》いる|外《そと》の|入口《いりぐち》をアッスリヤの|王《おう》のために|主《しゅ》の|宮《みや》から|除《のぞ》いた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アハズのその|他《た》の|事績《じせき》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アハズは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、ダビデの|町《まち》にその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》ヒゼキヤが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アハズの|第《だい》十二|年《ねん》にエラの|子《こ》ホセアが|王《おう》となり、サマリヤで九|年《ねん》の|間《あいだ》、イスラエルを|治《おさ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》ったが、|彼《かれ》|以前《いぜん》のイスラエルの|王《おう》たちのようではなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》シャルマネセルが|攻《せ》め|上《のぼ》ったので、ホセアは|彼《かれ》に|隷属《れいぞく》して、みつぎを|納《おさ》めたが、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》はホセアがついに|自分《じぶん》にそむいたのを|知《し》った。それはホセアが|使者《ししゃ》をエジプトの|王《おう》ソにつかわし、また|年々《ねんねん》|納《おさ》めていたみつぎを、アッスリヤの|王《おう》に|納《おさ》めなかったからである。そこでアッスリヤの|王《おう》は|彼《かれ》を|監禁《かんきん》し、|獄屋《ごくや》につないだ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてアッスリヤの|王《おう》は|攻《せ》め|上《のぼ》って|国中《くにぢゅう》を|侵《おか》し、サマリヤに|上《のぼ》ってきて三|年《ねん》の|間《あいだ》、これを|攻《せ》め|囲《かこ》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ホセアの|第《だい》九|年《ねん》になって、アッスリヤの|王《おう》はついにサマリヤを|取《と》り、イスラエルの|人々《ひとびと》をアッスリヤに|捕《とら》えていって、ハラと、ゴザンの|川《かわ》ハボルのほとりと、メデアの|町々《まちまち》においた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》が|起《た》ったのは、イスラエルの|人々《ひとびと》が、|自分《じぶん》たちをエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|上《のぼ》って、エジプトの|王《おう》パロの|手《て》をのがれさせられたその|神《かみ》、|主《しゅ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》し、|他《た》の|神々《かみがみ》を|敬《うやま》い、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われた|異邦人《いほうじん》のならわしに|従《したが》って|歩《あゆ》み、またイスラエルの|王《おう》たちが|定《さだ》めたならわしに|従《したが》って|歩《あゆ》んだからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はその|神《かみ》、|主《しゅ》にむかって|正《ただしか》らぬ|事《こと》をひそかに|行《おこな》い、|見張《みはり》|台《だい》から|堅固《けんご》な|町《まち》に|至《いた》るまで、すべての|町々《まちまち》に|高《たか》き|所《ところ》を|建《た》て、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|高《たか》い|丘《おか》の|上《うえ》、すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》に|石《いし》の|柱《はしら》とアシラ|像《ぞう》を|立《た》て、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》らの|前《まえ》から|捕《とら》え|移《うつ》された|異邦人《いほうじん》がしたように、すべての|高《たか》き|所《ところ》で|香《こう》をたき、|悪事《あくじ》を|行《い》って、|主《しゅ》を|怒《いか》らせた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》が|彼《かれ》らに「あなたがたはこの|事《こと》をしてはならない」と|言《い》われたのに|偶像《ぐうぞう》に|仕《つか》えた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべての|預言者《よげんしゃ》、すべての|先見者《せんけんしゃ》によってイスラエルとユダを|戒《いまし》め、「|翻《ひるがえ》って、あなたがたの|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れ、わたしがあなたがたの|先祖《せんぞ》たちに|命《めい》じ、またわたしのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちによってあなたがたに|伝《つた》えたすべての|律法《りっぽう》のとおりに、わたしの|戒《いまし》めと|定《さだ》めとを|守《まも》れ」と|仰《おお》せられたが、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|聞《き》きいれず、|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちがその|神《かみ》、|主《しゅ》を|信《しん》じないで、|強情《ごうじょう》であったように、|彼《かれ》らは|強情《ごうじょう》であった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|定《さだ》めを|捨《す》て、|主《しゅ》が|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、また|彼《かれ》らに|与《あた》えられた|警告《けいこく》を|軽《かる》んじ、かつむなしい|偶像《ぐうぞう》に|従《したが》ってむなしくなり、また|周囲《しゅうい》の|異邦人《いほうじん》に|従《したが》った。これは|主《しゅ》が、|彼《かれ》らのようにおこなってはならないと|彼《かれ》らに|命《めい》じられたものである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|神《かみ》、|主《しゅ》のすべての|戒《いまし》めを|捨《す》て、|自分《じぶん》のために二つの|子《こ》|牛《うし》の|像《ぞう》を|鋳《い》て|造《つく》り、またアシラ|像《ぞう》を|造《つく》り、|天《てん》の|万象《ばんしょう》を|拝《おが》み、かつバアルに|仕《つか》え、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またそのむすこ、|娘《むすめ》を|火《ひ》に|焼《や》いてささげ|物《もの》とし、|占《うらな》いおよびまじないをなし、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなうことに|身《み》をゆだねて、|主《しゅ》を|怒《いか》らせた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|大《おお》いにイスラエルを|怒《いか》り、|彼《かれ》らをみ|前《まえ》から|除《のぞ》かれたので、ユダの|部族《ぶぞく》のほか|残《のこ》った|者《もの》はなかった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ところがユダもまたその|神《かみ》、|主《しゅ》の|戒《いまし》めを|守《まも》らず、イスラエルが|定《さだ》めたならわしに|歩《あゆ》んだので、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルの|子孫《しそん》をことごとく|捨《す》て、|彼《かれ》らを|苦《くる》しめ、|彼《かれ》らを|略奪者《りゃくだつしゃ》の|手《て》にわたして、ついに|彼《かれ》らをみ|前《まえ》から|打《う》ちすてられた。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルをダビデの|家《いえ》から|裂《さ》き|離《はな》されたので、イスラエルはネバテの|子《こ》ヤラベアムを|王《おう》としたが、ヤラベアムはイスラエルに、|主《しゅ》に|従《したが》うことをやめさせ、|大《おお》きな|罪《つみ》を|犯《おか》させた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》がヤラベアムのおこなったすべての|罪《つみ》をおこない|続《つづ》けて、それを|離《はな》れなかったので、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ついに|主《しゅ》はそのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちによって|言《い》われたように、イスラエルをみ|前《まえ》から|除《のぞ》き|去《さ》られた。こうしてイスラエルは|自分《じぶん》の|国《くに》からアッスリヤに|移《うつ》されて|今日《こんにち》に|至《いた》っている。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]かくてアッスリヤの|王《おう》はバビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムから|人々《ひとびと》をつれてきて、これをイスラエルの|人々《ひとびと》の|代《かわ》りにサマリヤの|町々《まちまち》におらせたので、その|人々《ひとびと》はサマリヤを|領有《りょうゆう》して、その|町々《まちまち》に|住《す》んだ。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがそこに|住《す》み|始《はじ》めた|時《とき》、|主《しゅ》を|敬《うやま》うことをしなかったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らのうちにししを|送《おく》り、ししは|彼《かれ》らのうちの|数人《すうにん》を|殺《ころ》した。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》はアッスリヤの|王《おう》に|告《つ》げて|言《い》った、「あなたが|移《うつ》してサマリヤの|町々《まちまち》におらせられたあの|国々《くにぐに》の|民《たみ》は、その|地《ち》の|神《かみ》のおきてを|知《し》らないゆえに、その|神《かみ》は|彼《かれ》らのうちにししを|送《おく》り、ししは|彼《かれ》らを|殺《ころ》した。これは|彼《かれ》らが、その|地《ち》の|神《かみ》のおきてを|知《し》らないためです」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》は|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたがあそこから|移《うつ》した|祭司《さいし》のひとりをあそこへ|連《つ》れて|行《い》きなさい。|彼《かれ》をあそこへやって|住《す》まわせ、その|国《くに》の|神《かみ》のおきてをその|人々《ひとびと》に|教《おし》えさせなさい」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこでサマリヤから|移《うつ》された|祭司《さいし》のひとりが|来《き》てベテルに|住《す》み、どのように|主《しゅ》を|敬《うやま》うべきかを|彼《かれ》らに|教《おし》えた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|民《たみ》はおのおの|自分《じぶん》の|神々《かみがみ》を|造《つく》って、それをサマリヤびとが|造《つく》った|高《たか》き|所《ところ》の|家《いえ》に|安置《あんち》した。|民《たみ》は|皆《みな》|住《す》んでいる|町々《まちまち》でそのようにおこなった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちバビロンの|人々《ひとびと》はスコテ・ベノテを|造《つく》り、クタの|人々《ひとびと》はネルガルを|造《つく》り、ハマテの|人々《ひとびと》はアシマを|造《つく》り、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]アワの|人々《ひとびと》はニブハズとタルタクを|造《つく》り、セパルワイムびとはその|子《こ》を|火《ひ》に|焼《や》いて、セパルワイムの|神《かみ》アデランメレクおよびアナンメレクにささげた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|主《しゅ》を|敬《うやま》い、|自分《じぶん》たちのうちから|一般《いっぱん》の|民《たみ》を|立《た》てて|高《たか》き|所《ところ》の|祭司《さいし》としたので、その|人々《ひとびと》は|高《たか》き|所《ところ》の|家《いえ》で|勤《つと》めをした。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]このように|彼《かれ》らは|主《しゅ》を|敬《うやま》ったが、また|彼《かれ》らが|出《で》てきた|国々《くにぐに》のならわしにしたがって、|自分《じぶん》たちの|神々《かみがみ》にも|仕《つか》えた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|今日《こんにち》に|至《いた》るまで|彼《かれ》らは|先《さき》のならわしにしたがっておこなっている。  |彼《かれ》らは|主《しゅ》を|敬《うやま》わず、また|主《しゅ》がイスラエルと|名《な》づけられたヤコブの|子孫《しそん》に|命《めい》じられた|定《さだ》めにも、おきてにも、|律法《りっぽう》にも、|戒《いまし》めにも|従《したが》わない。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はかつて|彼《かれ》らと|契約《けいやく》を|結《むす》び、|彼《かれ》らに|命《めい》じて|言《い》われた、「あなたがたは|他《た》の|神々《かみがみ》を|敬《うやま》ってはならない。また|彼《かれ》らを|拝《おが》み、|彼《かれ》らに|仕《つか》え、|彼《かれ》らに|犠牲《ぎせい》をささげてはならない。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ただ|大《おお》きな|力《ちから》と|伸《の》べた|腕《うで》とをもって、あなたがたをエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|上《のぼ》った|主《しゅ》をのみ|敬《うやま》い、これを|拝《おが》み、これに|犠牲《ぎせい》をささげなければならない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたのために|書《か》きしるされた|定《さだ》めと、おきてと、|律法《りっぽう》と、|戒《いまし》めとを、|慎《つつし》んで|常《つね》に|守《まも》らなければならない。|他《た》の|神々《かみがみ》を|敬《うやま》ってはならない。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|忘《わす》れてはならない。また|他《た》の|神々《かみがみ》を|敬《うやま》ってはならない。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ただあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|敬《うやま》わなければならない。|主《しゅ》はあなたがたをそのすべての|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》されるであろう」。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|聞《き》きいれず、かえって|先《さき》のならわしにしたがっておこなった。  [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]このように、これらの|民《たみ》は|主《しゅ》を|敬《うやま》い、またその|刻《きざ》んだ|像《ぞう》にも|仕《つか》えたが、その|子《こ》たちも、|孫《まご》たちも|同様《どうよう》であって、|彼《かれ》らはその|先祖《せんぞ》がおこなったように|今日《こんにち》までおこなっている。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》エラの|子《こ》ホセアの|第《だい》三|年《ねん》にユダの|王《おう》アハズの|子《こ》ヒゼキヤが|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|王《おう》となった|時《とき》二十五|歳《さい》で、エルサレムで二十九|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はゼカリヤの|娘《むすめ》で、|名《な》をアビといった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはすべて|先祖《せんぞ》ダビデがおこなったように|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》い、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》き|所《ところ》を|除《のぞ》き、|石柱《せきちゅう》をこわし、アシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》し、モーセの|造《つく》った|青銅《せいどう》のへびを|打《う》ち|砕《くだ》いた。イスラエルの|人々《ひとびと》はこの|時《とき》までそのへびに|向《む》かって|香《こう》をたいていたからである。|人々《ひとびと》はこれをネホシタンと|呼《よ》んだ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|信頼《しんらい》した。そのために|彼《かれ》のあとにも|彼《かれ》の|先《さき》にも、ユダのすべての|王《おう》のうちに|彼《かれ》に|及《およ》ぶ|者《もの》はなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》は|固《かた》く|主《しゅ》に|従《したが》って|離《はな》れることなく、|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられた|命令《めいれい》を|守《まも》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》と|共《とも》におられたので、すべて|彼《かれ》が|出《で》て|戦《たたか》うところで|功《こう》をあらわした。|彼《かれ》はアッスリヤの|王《おう》にそむいて、|彼《かれ》に|仕《つか》えなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はペリシテびとを|撃《う》ち|敗《はい》って、ガザとその|領域《りょういき》にまで|達《たっ》し、|見張《みはり》|台《だい》から|堅固《けんご》な|町《まち》にまで|及《およ》んだ。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤ|王《おう》の|第《だい》四|年《ねん》すなわちイスラエルの|王《おう》エラの|子《こ》ホセアの|第《だい》七|年《ねん》に、アッスリヤの|王《おう》シャルマネセルはサマリヤに|攻《せ》め|上《のぼ》って、これを|囲《かこ》んだが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]三|年《ねん》の|後《のち》ついにこれを|取《と》った。サマリヤが|取《と》られたのはヒゼキヤの|第《だい》六|年《ねん》で、それはイスラエルの|王《おう》ホセアの|第《だい》九|年《ねん》であった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》はイスラエルの|人々《ひとびと》をアッスリヤに|捕《とら》えていって、ハラと、ゴザンの|川《かわ》ハボルのほとりと、メデアの|町々《まちまち》に|置《お》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがその|神《かみ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》にしたがわず、その|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、|主《しゅ》のしもべモーセの|命《めい》じたすべての|事《こと》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、また|行《おこな》わなかったからである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤ|王《おう》の|第《だい》十四|年《ねん》にアッスリヤの|王《おう》セナケリブが|攻《せ》め|上《のぼ》ってユダのすべての|堅固《けんご》な|町々《まちまち》を|取《と》ったので、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヒゼキヤは|人《ひと》をラキシにつかわしてアッスリヤの|王《おう》に|言《い》った、「わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》しました。どうぞ|引《ひ》き|上《あ》げてください。わたしに|課《か》せられることはなんでもいたします」。アッスリヤの|王《おう》は|銀《ぎん》三百タラントと|金《きん》三十タラントをユダの|王《おう》ヒゼキヤに|課《か》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|家《いえ》の|倉《くら》とにある|銀《ぎん》をことごとく|彼《かれ》に|与《あた》えた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》ユダの|王《おう》ヒゼキヤはまた|主《しゅ》の|神殿《しんでん》の|戸《と》および|柱《はしら》から|自分《じぶん》が|着《き》せた|金《きん》をはぎ|取《と》って、アッスリヤの|王《おう》に|与《あた》えた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》はまたタルタン、ラブサリスおよびラブシャケを、ラキシから|大軍《たいぐん》を|率《ひき》いてエルサレムにいるヒゼキヤ|王《おう》のもとにつかわした。|彼《かれ》らは|上《のぼ》ってエルサレムに|来《き》た。|彼《かれ》らはエルサレムに|着《つ》くと、|布《ぬの》さらし|場《ば》に|行《い》く|大路《おおじ》に|沿《そ》っている|上《うえ》の|池《いけ》の|水道《すいどう》のかたわらへ|行《い》って、そこに|立《た》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らが|王《おう》を|呼《よ》んだので、ヒルキヤの|子《こ》である|宮内卿《くないきょう》エリアキム、|書記官《しょきかん》セブナ、およびアサフの|子《こ》である|史官《しかん》ヨアが|彼《かれ》らのところに|出《で》てきた。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ラブシャケは|彼《かれ》らに|言《い》った、「ヒゼキヤに|言《い》いなさい、『|大王《だいおう》、アッスリヤの|王《おう》はこう|仰《おお》せられる。あなたが|頼《たの》みとする|者《もの》は|何《なに》か。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|口先《くちさき》だけの|言葉《ことば》が|戦争《せんそう》をする|計略《けいりゃく》と|力《ちから》だと|考《かんが》えるのか。あなたは|今《いま》だれにたよって、わたしにそむいたのか。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたは、あの|折《お》れかけている|葦《あし》のつえ、エジプトを|頼《たの》みとしているが、それは|人《ひと》がよりかかる|時《とき》、その|人《ひと》の|手《て》を|刺《さ》し|通《とお》すであろう。エジプトの|王《おう》パロはすべて|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》にそのようにする。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがもし「われわれは、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》を|頼《たの》む」とわたしに|言《い》うのであれば、その|神《かみ》はヒゼキヤがユダとエルサレムに|告《つ》げて、「あなたがたはエルサレムで、この|祭壇《さいだん》の|前《まえ》に|礼拝《れいはい》しなければならない」と|言《い》って、その|高《たか》き|所《ところ》と|祭壇《さいだん》とを|除《のぞ》いた|者《もの》ではないか。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]さあ、わたしの|主君《しゅくん》アッスリヤの|王《おう》とかけをせよ。もしあなたの|方《ほう》に|乗《の》る|人《ひと》があるならば、わたしは|馬《うま》二千|頭《とう》を|与《あた》えよう。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはエジプトを|頼《たの》み、|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》を|請《こ》い|求《もと》めているが、わたしの|主君《しゅくん》の|家来《けらい》のうちの|最《もっと》も|小《ちい》さい一|隊長《たいちょう》でさえ、どうして|撃退《げきたい》することができようか。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこの|所《ところ》を|滅《ほろ》ぼすために|上《のぼ》ってきたのは、|主《しゅ》の|許《ゆる》しなしにしたことであろうか。|主《しゅ》がわたしにこの|地《ち》に|攻《せ》め|上《のぼ》ってこれを|滅《ほろ》ぼせと|言《い》われたのだ』」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヒルキヤの|子《こ》エリアキムおよびセブナとヨアはラブシャケに|言《い》った、「どうぞ、アラム|語《ご》でしもべどもに|話《はな》してください。わたしたちは、それがわかるからです。|城壁《じょうへき》の|上《うえ》にいる|民《たみ》の|聞《き》いているところで、わたしたちにユダヤの|言葉《ことば》で|話《はな》さないでください」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかしラブシャケは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしの|主君《しゅくん》は、あなたの|主君《しゅくん》とあなたにだけでなく、|城壁《じょうへき》の|上《うえ》に|座《ざ》している|人々《ひとびと》にも、この|言葉《ことば》を|告《つ》げるためにわたしをつかわしたのではないか。|彼《かれ》らも、あなたがたと|共《とも》に|自分《じぶん》の|糞尿《ふんにょう》を|食《く》い|飲《の》みするに|至《いた》るであろう」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてラブシャケは|立《た》ちあがり、ユダヤの|言葉《ことば》で|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った。「|大王《だいおう》、アッスリヤの|王《おう》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はこう|仰《おお》せられる、『あなたがたはヒゼキヤに|欺《あざむ》かれてはならない。|彼《かれ》はあなたがたをわたしの|手《て》から|救《すく》いだすことはできない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤが「|主《しゅ》は|必《かなら》ずわれわれを|救《すく》い|出《だ》される。この|町《まち》はアッスリヤ|王《おう》の|手《て》に|陥《おちい》ることはない」と|言《い》っても、あなたがたは|主《しゅ》を|頼《たの》みとしてはならない』。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはヒゼキヤの|言葉《ことば》を|聞《き》いてはならない。アッスリヤの|王《おう》はこう|仰《おお》せられる、『あなたがたはわたしと|和解《わかい》して、わたしに|降服《こうふく》せよ。そうすればあなたがたはおのおの|自分《じぶん》のぶどうの|実《み》を|食《た》べ、おのおの|自分《じぶん》のいちじくの|実《み》を|食《た》べ、おのおの|自分《じぶん》の|井戸《いど》の|水《みず》を|飲《の》むことができるであろう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]やがてわたしが|来《き》て、あなたがたを一つの|国《くに》へ|連《つ》れて|行《い》く。それはあなたがたの|国《くに》のように|穀物《こくもつ》とぶどう|酒《しゅ》のある|地《ち》、パンとぶどう|畑《はたけ》のある|地《ち》、オリブの|木《き》と|蜜《みつ》のある|地《ち》である。あなたがたは|生《い》きながらえることができ、|死《し》ぬことはない。ヒゼキヤが「|主《しゅ》はわれわれを|救《すく》われる」と|言《い》って、あなたがたを|惑《まど》わしても|彼《かれ》に|聞《き》いてはならない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|諸《しょ》|国民《こくみん》の|神々《かみがみ》のうち、どの|神《かみ》がその|国《くに》をアッスリヤの|王《おう》の|手《て》から|救《すく》ったか。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ハマテやアルパデの|神々《かみがみ》はどこにいるのか。セパルワイム、ヘナおよびイワの|神々《かみがみ》はどこにいるのか。|彼《かれ》らはサマリヤをわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》したか。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》のすべての|神々《かみがみ》のうち、その|国《くに》をわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》した|者《もの》があったか。|主《しゅ》がどうしてエルサレムをわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すことができよう』」。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|民《たみ》は|黙《もく》して、ひと|言《こと》も|彼《かれ》に|答《こた》えなかった。|王《おう》が|命《めい》じて「|彼《かれ》に|答《こた》えてはならない」と|言《い》っておいたからである。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヒルキヤの|子《こ》である|宮内卿《くないきょう》エリアキム、|書記官《しょきかん》セブナ、およびアサフの|子《こ》である|史官《しかん》ヨアは|衣《ころも》を|裂《さ》き、ヒゼキヤのもとに|来《き》て、ラブシャケの|言葉《ことば》を|彼《かれ》に|告《つ》げた。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤ|王《おう》はこれを|聞《き》いて、|衣《ころも》を|裂《さ》き、|荒布《あらぬの》を|身《み》にまとって|主《しゅ》に|宮《みや》に|入《はい》り、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|宮内卿《くないきょう》エリアキムと|書記官《しょきかん》セブナおよび|祭司《さいし》のうちの|年長者《ねんちょうしゃ》たちに|荒布《あらぬの》をまとわせて、アモツの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》イザヤのもとにつかわした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはイザヤに|言《い》った、「ヒゼキヤはこう|申《もう》されます、『きょうは|悩《なや》みと、|懲《こら》しめと、はずかしめの|日《ひ》です。|胎児《たいじ》がまさに|生《うま》れようとして、これを|産《う》み|出《だ》す|力《ちから》がないのです。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はラブシャケがその|主君《しゅくん》アッスリヤの|王《おう》につかわされて、|生《い》ける|神《かみ》をそしったもろもろの|言葉《ことば》を|聞《き》かれたかもしれません。そしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はその|聞《き》いた|言葉《ことば》をとがめられるかもしれません。それゆえ、この|残《のこ》っている|者《もの》のために|祈《いのり》をささげてください』」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤ|王《おう》の|家来《けらい》たちがイザヤのもとに|来《き》たとき、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]イザヤは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたの|主君《しゅくん》にこう|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、アッスリヤの|王《おう》の|家来《けらい》たちが、わたしをそしった|言葉《ことば》を|聞《き》いて|恐《おそ》れるには|及《およ》ばない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは一つの|霊《れい》を|彼《かれ》らのうちに|送《おく》って、一つのうわさを|聞《き》かせ、|彼《かれ》を|自分《じぶん》の|国《くに》へ|帰《かえ》らせて、|自分《じぶん》の|国《くに》でつるぎに|倒《たお》れさせるであろう』」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ラブシャケは|引《ひ》き|返《かえ》して、アッスリヤの|王《おう》がリブナを|攻《せ》めているところへ|行《い》った。|彼《かれ》が|王《おう》のラキシを|去《さ》ったことを|聞《き》いたからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》アッスリヤの|王《おう》はエチオピヤの|王《おう》テルハカについて、「|彼《かれ》はあなたと|戦《たたか》うために|出《で》てきた」と|人々《ひとびと》がいうのを|聞《き》いたので、|再《ふたた》び|使者《ししゃ》をヒゼキヤにつかわして|言《い》った、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|王《おう》ヒゼキヤにこう|言《い》いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの|王《おう》の|手《て》に|陥《おちい》ることはない、と|言《い》うあなたの|信頼《しんらい》する|神《かみ》に|欺《あざむ》かれてはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはアッスリヤの|王《おう》たちがもろもろの|国々《くにぐに》にした|事《こと》、|彼《かれ》らを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼした|事《こと》を|聞《き》いている。どうしてあなたが|救《すく》われることができようか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|父《ちち》たちはゴザン、ハラン、レゼフ、およびテラサルにいたエデンの|人々《ひとびと》を|滅《ほろ》ぼしたが、その|国々《くにぐに》の|神々《かみがみ》は|彼《かれ》らを|救《すく》ったか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ハマテの|王《おう》、アルパデの|王《おう》、セパルワイムの|町《まち》の|王《おう》、ヘナの|王《おう》およびイワの|王《おう》はどこにいるのか』」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|使者《ししゃ》の|手《て》から|手紙《てがみ》を|受《う》け|取《と》ってそれを|読《よ》み、|主《しゅ》の|宮《みや》にのぼっていって、|主《しゅ》の|前《まえ》にそれをひろげ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヒゼキヤは|主《しゅ》の|前《まえ》に|祈《いの》って|言《い》った、「ケルビムの|上《うえ》に|座《ざ》しておられるイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、|地《ち》のすべての|国《くに》のうちで、ただあなただけが|神《かみ》でいらせられます。あなたは|天《てん》と|地《ち》を|造《つく》られました。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて|聞《き》いてください。|主《しゅ》よ、|目《め》を|開《ひら》いてごらんください。セナケリブが|生《い》ける|神《かみ》をそしるために|書《か》き|送《おく》った|言葉《ことば》をお|聞《き》きください。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、まことにアッスリヤの|王《おう》たちはもろもろの|民《たみ》とその|国々《くにぐに》を|滅《ほろ》ぼし、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またその|神々《かみがみ》を|火《ひ》に|投《な》げ|入《い》れました。それらは|神《かみ》ではなく、|人《ひと》の|手《て》の|作《つく》ったもので、|木《き》や|石《いし》だから|滅《ほろ》ぼされたのです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうぞ、|今《いま》われわれを|彼《かれ》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》してください。そうすれば|地《ち》の|国々《くにぐに》は|皆《みな》、|主《しゅ》であるあなただけが|神《かみ》でいらせられることを|知《し》るようになるでしょう」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》アモツの|子《こ》イザヤは|人《ひと》をつかわしてヒゼキヤに|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『アッスリヤの|王《おう》セナケリブについてあなたがわたしに|祈《いの》ったことは|聞《き》いた』。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》について|語《かた》られた|言葉《ことば》はこうである、 [#ここから2字下げ] 『|処女《しょじょ》であるシオンの|娘《むすめ》は あなたを|侮《あなど》り、あなたをあざける。 エルサレムの|娘《むすめ》は あなたのうしろで|頭《あたま》を|振《ふ》る。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。 あなたはだれにむかって|声《こえ》をあげ、 |目《め》を|高《たか》くあげたのか。 イスラエルの|聖者《せいじゃ》にむかってしたのだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|使者《ししゃ》をもって|主《しゅ》をそしって|言《い》った、 「わたしは|多《おお》くの|戦車《せんしゃ》をひきいて|山々《やまやま》の|頂《いただき》にのぼり、 レバノンの|奥《おく》に|行《い》き、 たけの|高《たか》い|香柏《こうはく》と|最《もっと》も|良《よ》いいとすぎを|切《き》り|倒《たお》し、 またその|果《はて》の|野営《やえい》|地《ち》に|行《い》き、 その|密林《みつりん》にはいった。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|井戸《いど》を|掘《ほ》って|外国《がいこく》の|水《みず》を|飲《の》んだ。 わたしは|足《あし》の|裏《うら》で、 エジプトのすべての|川《かわ》を|踏《ふ》みからした」。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|聞《き》かなかったか、 |昔《むかし》わたしがこれを|定《さだ》めたことを。 |堅固《けんご》な|町々《まちまち》をあなたが|荒塚《あらつか》とすることも、 いにしえの|日《ひ》からわたしが|計画《けいかく》して |今《いま》これをおこなうのだ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そのうちに|住《す》む|民《たみ》は|力《ちから》|弱《よわ》くおののき、|恥《はじ》をいだいて、 |野《の》の|草《くさ》のように、|青菜《あおな》のようになり、 |育《そだ》たないで|枯《か》れる|屋根《やね》の|草《くさ》のようになった。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのすわること、|出入《でい》りすること、 わたしにむかって|怒《いか》り|叫《さけ》んだことをも|知《し》っている。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしにむかって|怒《いか》り|叫《さけ》んだことと、 あなたの|高慢《こうまん》がわたしの|耳《みみ》にはいったため、 わたしはあなたの|鼻《はな》に|輪《わ》をつけ、 あなたの|口《くち》にくつわをはめて、 あなたをもときた|道《みち》へ|引《ひ》きもどすであろう』。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]『あなたに|与《あた》えるしるしはこれである。すなわち、ことしは|落《お》ち|穂《ぼ》からはえたものを|食《た》べ、二|年《ねん》|目《め》にはまたその|落《お》ち|穂《ぼ》からはえたものを|食《た》べ、三|年《ねん》|目《め》には|種《たね》をまき、|刈《か》り|入《い》れ、ぶどう|畑《はたけ》を|作《つく》ってその|実《み》を|食《た》べるであろう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|家《いえ》ののがれて|残《のこ》る|者《もの》は|再《ふたた》び|下《した》に|根《ね》を|張《は》り、|上《うえ》に|実《み》を|結《むす》ぶであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|残《のこ》る|者《もの》がエルサレムから|出《で》てき、のがれた|者《もの》がシオンの|山《やま》から|出《で》て|来《く》るであろう。|主《しゅ》の|熱心《ねっしん》がこれをされるであろう』。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はアッスリヤの|王《おう》について、こう|仰《おお》せられる、『|彼《かれ》はこの|町《まち》にこない、またここに|矢《や》を|放《はな》たない、|盾《たて》をもってその|前《まえ》に|来《く》ることなく、また|塁《るい》を|築《きず》いてこれを|攻《せ》めることはない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|来《き》た|道《みち》を|帰《かえ》って、この|町《まち》に、はいることはない。|主《しゅ》がこれを|言《い》う。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》のため、またわたしのしもべダビデのためにこの|町《まち》を|守《まも》って、これを|救《すく》うであろう』」。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よる》、|主《しゅ》の|使《つかい》が|出《で》て、アッスリヤの|陣営《じんえい》で十八万五千|人《にん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。|人々《ひとびと》が|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて|見《み》ると、|彼《かれ》らは|皆《みな》、|死体《したい》となっていた。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》セナケリブは|立《た》ち|去《さ》り、|帰《かえ》って|行《い》ってニネベにいたが、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|神《かみ》ニスロクの|神殿《しんでん》で|礼拝《れいはい》していた|時《とき》、その|子《こ》アデランメレクとシャレゼルが、つるぎをもって|彼《かれ》を|殺《ころ》し、ともにアララテの|地《ち》へ|逃《に》げて|行《い》った。そこでその|子《こ》エサルハドンが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、ヒゼキヤは|病気《びょうき》になって|死《し》にかかっていた。アモツの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》イザヤは|彼《かれ》のところにきて|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『|家《いえ》の|人《ひと》に|遺言《ゆいごん》をなさい。あなたは|死《し》にます。|生《い》きながらえることはできません』」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒゼキヤは|顔《かお》を|壁《かべ》に|向《む》けて|主《しゅ》に|祈《いの》って|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「ああ|主《しゅ》よ、わたしが|真実《しんじつ》を|真心《まごころ》をもってあなたの|前《まえ》に|歩《あゆ》み、あなたの|目《め》にかなうことをおこなったのをどうぞ|思《おも》い|起《おこ》してください」。そしてヒゼキヤは|激《はげ》しく|泣《な》いた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イザヤがまだ|中庭《なかにわ》を|出《で》ないうちに|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「|引《ひ》き|返《かえ》して、わたしの|民《たみ》の|君《きみ》ヒゼキヤに|言《い》いなさい、『あなたの|父《ちち》ダビデの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしはあなたの|祈《いのり》を|聞《き》き、あなたの|涙《なみだ》を|見《み》た。|見《み》よ、わたしはあなたをいやす。三|日《か》|目《め》にはあなたは|主《しゅ》の|宮《みや》に|上《のぼ》るであろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]かつ、わたしはあなたのよわいを十五|年《ねん》|増《ま》す。わたしはあなたと、この|町《まち》とをアッスリヤの|王《おう》の|手《て》から|救《すく》い、わたしの|名《な》のため、またわたしのしもべダビデのためにこの|町《まち》を|守《まも》るであろう』」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そしてイザヤは|言《い》った、「|干《ほ》しいちじくのひとかたまりを|持《も》ってきて、それを|腫物《はれもの》につけさせなさい。そうすれば|直《なお》るでしょう」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはイザヤに|言《い》った、「|主《しゅ》がわたしをいやされる|事《こと》と、三|日《か》|目《め》にわたしが|主《しゅ》の|家《いえ》に|上《のぼ》ることについて、どんなしるしがありましょうか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イザヤは|言《い》った、「|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたことを|行《おこな》われることについては、|主《しゅ》からこのしるしを|得《え》られるでしょう。すなわち|日影《ひかげ》が十|度《ど》|進《すす》むか、あるいは十|度《ど》|退《しりぞ》くかです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|答《こた》えた、「|日影《ひかげ》が十|度《ど》|進《すす》むことはたやすい|事《こと》です。むしろ|日影《ひかげ》を十|度《ど》|退《しりぞ》かせてください」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|預言者《よげんしゃ》イザヤが|主《しゅ》に|呼《よ》ばわると、アハズの|日《ひ》|時《とき》計の|上《うえ》に|進《すす》んだ|日影《ひかげ》を、十|度《ど》|退《しりぞ》かせられた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、バラダンの|子《こ》であるバビロンの|王《おう》メロダクバラダンは、|手紙《てがみ》と|贈《おく》り|物《もの》を|持《も》たせて|使節《しせつ》をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが|病《や》んでいることを|聞《き》いたからである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|彼《かれ》らを|喜《よろこ》び|迎《むか》えて、|宝物《ほうもつ》の|蔵《くら》、|金銀《きんぎん》、|香料《こうりょう》、|貴重《きちょう》な|油《あぶら》および|武器《ぶき》|倉《くら》、ならびにその|倉庫《そうこ》にあるすべての|物《もの》を|彼《かれ》らに|見《み》せた。|家《いえ》にある|物《もの》も、|国《くに》にある|物《もの》も、ヒゼキヤが|彼《かれ》らに|見《み》せない|物《もの》は一つもなかった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|預言者《よげんしゃ》イザヤはヒゼキヤ|王《おう》のもとにきて|言《い》った、「あの|人々《ひとびと》は|何《なに》を|言《い》いましたか。どこからきたのですか」。ヒゼキヤは|言《い》った、「|彼《かれ》らは|遠《とお》い|国《くに》から、バビロンからきたのです」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イザヤは|言《い》った、「|彼《かれ》らはあなたの|家《いえ》で|何《なに》を|見《み》ましたか」。ヒゼキヤは|答《こた》えて|言《い》った、「わたしの|家《いえ》にある|物《もの》を|皆《みな》|見《み》ました。わたしの|倉庫《そうこ》のうちには、わたしが|彼《かれ》らに|見《み》せない|物《もの》は一つもありません」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでイザヤはヒゼキヤに|言《い》った、「|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]『|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、すべてあなたの|家《いえ》にある|物《もの》、および、あなたの|先祖《せんぞ》たちが|今日《こんにち》までに|積《つ》みたくわえた|物《もの》の、バビロンに|運《はこ》び|去《さ》られる|日《ひ》が|来《く》る。|何《なに》も|残《のこ》るものはないであろう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたの|身《み》から|出《で》るあなたの|子《こ》たちも|連《つ》れ|去《さ》られ、バビロンの|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》で|宦官《かんがん》となるであろう』」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはイザヤに|言《い》った、「あなたが|言《い》われた|主《しゅ》の|言葉《ことば》は|結構《けっこう》です」。|彼《かれ》は「せめて|自分《じぶん》が|世《よ》にあるあいだ、|平和《へいわ》と|安全《あんぜん》があれば|良《よ》いことではなかろうか」と|思《おも》ったからである。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤのその|他《た》の|事績《じせき》とその|武勇《ぶゆう》および、|彼《かれ》が|貯水池《ちょすいち》と|水道《すいどう》を|作《つく》って、|町《まち》に|水《みず》を|引《ひ》いた|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、その|子《こ》マナセが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]マナセは十二|歳《さい》で|王《おう》となり、五十五|年《ねん》の|間《あいだ》、エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》の|名《な》はヘフジバといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]マナセは|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われた|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|憎《にく》むべきおこないにならって、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|父《ちち》ヒゼキヤがこわした|高《たか》き|所《ところ》を|建《た》て|直《なお》し、またイスラエルの|王《おう》アハブがしたようにバアルのために|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、アシラ|像《ぞう》を|造《つく》り、かつ|天《てん》の|万象《ばんしょう》を|拝《おが》んで、これに|仕《つか》えた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|宮《みや》のうちに|数個《すうこ》の|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。これは|主《しゅ》が「わたしの|名《な》をエルサレムに|置《お》こう」と|言《い》われたその|宮《みや》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|主《しゅ》の|宮《みや》の二つの|庭《にわ》に|天《てん》の|万象《ばんしょう》のために|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またその|子《こ》を|火《ひ》に|焼《や》いてささげ|物《もの》とし、|占《うらな》いをし、|魔術《まじゅつ》を|行《おこな》い、|口寄《くちよ》せと|魔法使《まほうつかい》を|用《もち》い、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|多《おお》くの|悪《あく》を|行《い》って、|主《しゅ》の|怒《いか》りを|引《ひ》き|起《おこ》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたアシラの|彫像《ちょうぞう》を|作《つく》って|主《しゅ》の|宮《みや》に|置《お》いた。|主《しゅ》はこの|宮《みや》についてダビデとその|子《こ》ソロモンに|言《い》われたことがある、「わたしはこの|宮《みや》と、わたしがイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちから|選《えら》んだエルサレムとに、わたしの|名《な》を|永遠《えいえん》に|置《お》く。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もし、|彼《かれ》らがわたしが|命《めい》じたすべての|事《こと》、およびわたしのしもべモーセが|命《めい》じたすべての|律法《りっぽう》を|守《まも》り|行《おこな》うならば、イスラエルの|足《あし》を、わたしが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えた|地《ち》から、|重《かさ》ねて|迷《まよ》い|出《だ》させないであろう」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|聞《き》きいれなかった。マナセが|人々《ひとびと》をいざなって|悪《あく》を|行《おこな》ったことは、|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》に|滅《ほろ》ぼされた|国々《くにぐに》の|民《たみ》よりもはなはだしかった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はそのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちによって|言《い》われた、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|王《おう》マナセがこれらの|憎《にく》むべき|事《こと》を|行《おこな》い、|彼《かれ》の|先《さき》にあったアモリびとの|行《い》ったすべての|事《こと》よりも|悪《わる》い|事《こと》を|行《おこな》い、またその|偶像《ぐうぞう》をもってユダに|罪《つみ》を|犯《おか》させたので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしはエルサレムとユダに|災《わざわい》をくだそうとしている。これを|聞《き》く|者《もの》は、その|耳《みみ》が二つながら|鳴《な》るであろう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはサマリヤをはかった|測《はか》りなわと、アハブの|家《いえ》に|用《もち》いた|下《さ》げ|振《ふ》りをエルサレムにほどこし、|人《ひと》が|皿《さら》をぬぐい、これをぬぐって|伏《ふ》せるように、エルサレムをぬぐい|去《さ》る。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしの|嗣《し》|業《ぎょう》の|民《たみ》の|残《のこ》りを|捨《す》て、|彼《かれ》らを|敵《てき》の|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》らはもろもろの|敵《てき》のえじきとなり、|略奪《りゃくだつ》にあうであろう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちがエジプトを|出《で》た|日《ひ》から|今日《こんにち》に|至《いた》るまで、|彼《かれ》らがわたしの|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《い》って、わたしを|怒《いか》らせたためである」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]マナセはまた|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《い》って、ユダに|罪《つみ》を|犯《おか》させたその|罪《つみ》のほかに、|罪《つみ》なき|者《もの》の|血《ち》を|多《おお》く|流《なが》して、エルサレムのこの|果《はて》から、かの|果《はて》にまで|満《み》たした。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]マナセのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がおこなったすべての|事《こと》およびその|犯《おか》した|罪《つみ》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]マナセは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、その|家《いえ》の|園《その》すなわちウザの|園《その》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アモンが|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アモンは|王《おう》となった|時《とき》二十二|歳《さい》であって、エルサレムで二|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》はヨテバのハルツの|娘《むすめ》で、|名《な》をメシュレメテといった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アモンはその|父《ちち》マナセのおこなったように、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》はすべてその|父《ちち》の|歩《あゆ》んだ|道《みち》に|歩《あゆ》み、|父《ちち》の|仕《つか》えた|偶像《ぐうぞう》に|仕《つか》えて、これを|拝《おが》み、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てて、|主《しゅ》の|道《みち》に|歩《あゆ》まなかった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アモンの|家来《けらい》たちはついに|彼《かれ》に|敵《てき》して|徒党《ととう》を|結《むす》び、|王《おう》をその|家《いえ》で|殺《ころ》したが、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|民《たみ》は、アモン|王《おう》に|敵《てき》して|徒党《ととう》を|結《むす》んだ|者《もの》をことごとく|撃《う》ち|殺《ころ》した。そして|国《くに》の|民《たみ》はアモンの|子《こ》ヨシヤを|王《おう》としてアモンに|代《かわ》らせた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アモンのその|他《た》の|事績《じせき》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アモンはウザの|園《その》にある|墓《はか》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》ヨシヤが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤは八|歳《さい》で|王《おう》となり、エルサレムで三十一|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》はボヅカテのアダヤの|娘《むすめ》で、|名《な》をエデダといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤは|主《しゅ》の|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》い、|先祖《せんぞ》ダビデの|道《みち》に|歩《あゆ》んで|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》らなかった。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤ|王《おう》の|第《だい》十八|年《ねん》に|王《おう》はメシュラムの|子《こ》アザリヤの|子《こ》である|書記官《しょきかん》シャパンを|主《しゅ》の|宮《みや》につかわして|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|大《だい》|祭司《さいし》ヒルキヤのもとへのぼって|行《い》って、|主《しゅ》に|宮《みや》にはいってきた|銀《ぎん》、すなわち|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》が|民《たみ》から|集《あつ》めたものの|総額《そうがく》を|彼《かれ》に|数《かぞ》えさせ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それを|工事《こうじ》をつかさどる|主《しゅ》の|宮《みや》の|監督《かんとく》|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》させ、|彼《かれ》らから|主《しゅ》の|宮《みや》で|工事《こうじ》をする|者《もの》にそれを|渡《わた》して、|宮《みや》の|破《やぶ》れを|繕《つくろ》わせなさい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|木工《もっこう》と|建築《けんちく》|師《し》と|石工《いしく》にそれを|渡《わた》し、また|宮《みや》を|繕《つくろ》う|材木《ざいもく》と|切《き》り|石《いし》を|買《か》わせなさい。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ただし|彼《かれ》らは|正直《しょうじき》に|事《こと》を|行《おこな》うから、|彼《かれ》らに|渡《わた》した|銀《ぎん》については|彼《かれ》らと|計算《けいさん》するに|及《およ》ばない」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|大《だい》|祭司《さいし》ヒルキヤは|書記官《しょきかん》シャパンに|言《い》った、「わたしは|主《しゅ》の|宮《みや》で|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|見《み》つけました」。そしてヒルキヤがその|書物《しょもつ》をシャパンに|渡《わた》したので、|彼《かれ》はそれを|読《よ》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|書記官《しょきかん》シャパンは|王《おう》のもとへ|行《い》き、|王《おう》に|報告《ほうこく》して|言《い》った、「しもべどもは|宮《みや》にあった|銀《ぎん》を|皆《みな》|出《だ》して、それを|工事《こうじ》をつかさどる|主《しゅ》の|宮《みや》の|監督《かんとく》|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》しました」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|書記官《しょきかん》シャパンはまた|王《おう》に|告《つ》げて「|祭司《さいし》ヒルキヤはわたしに一つの|書物《しょもつ》を|渡《わた》しました」と|言《い》い、それを|王《おう》の|前《まえ》で|読《よ》んだ。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はその|律法《りっぽう》の|書《しょ》の|言葉《ことば》を|聞《き》くと、その|衣《ころも》を|裂《さ》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|祭司《さいし》ヒルキヤと、シャパンの|子《こ》アヒカムと、ミカヤの|子《こ》アクボルと、|書記官《しょきかん》シャパンと、|王《おう》の|大臣《だいじん》アサヤとに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたは|行《い》って、この|見《み》つかった|書物《しょもつ》の|言葉《ことば》について、わたしのため、|民《たみ》のため、またユダ|全国《ぜんこく》のために|主《しゅ》に|尋《たず》ねなさい。われわれの|先祖《せんぞ》たちがこの|書物《しょもつ》の|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》わず、すべてわれわれについてしるされている|事《こと》を|行《おこな》わなかったために、|主《しゅ》はわれわれにむかって、|大《おお》いなる|怒《いか》りを|発《はっ》しておられるからです」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャパンおよびアサヤはシャルムの|妻《つま》である|女《おんな》|預言者《よげんしゃ》ホルダのもとへ|行《い》った。シャルムはハルハスの|子《こ》であるテクワの|子《こ》で、|衣装《いしょう》べやを|守《まも》る|者《もの》であった。その|時《とき》ホルダはエルサレムの|下町《したまち》に|住《す》んでいた。|彼《かれ》らがホルダに|告《つ》げたので、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ホルダは|彼《かれ》らに|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『あなたがたをわたしにつかわした|人《ひと》に|言《い》いなさい。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われます、|見《み》よ、わたしはユダの|王《おう》が|読《よ》んだあの|書物《しょもつ》のすべての|言葉《ことば》にしたがって、|災《わざわい》をこの|所《ところ》と、ここに|住《す》んでいる|民《たみ》に|下《くだ》そうとしている。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがわたしを|捨《す》てて|他《た》の|神々《かみがみ》に|香《こう》をたき、|自分《じぶん》たちの|手《て》で|作《つく》ったもろもろの|物《もの》をもって、わたしを|怒《いか》らせたからである。それゆえ、わたしはこの|所《ところ》にむかって|怒《いか》りの|火《ひ》を|発《はっ》する。これは|消《き》えることがないであろう』。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ただし|主《しゅ》に|尋《たず》ねるために、あなたがたをつかわしたユダの|王《おう》にはこう|言《い》いなさい、『あなたが|聞《き》いた|言葉《ことば》についてイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、わたしがこの|所《ところ》と、ここに|住《す》んでいる|民《たみ》にむかって、これは|荒《あ》れ|地《ち》となり、のろいとなるであろうと|言《い》うのを|聞《き》いた|時《とき》、|心《こころ》に|悔《く》い、|主《しゅ》の|前《まえ》にへりくだり、|衣《ころも》を|裂《さ》いてわたしの|前《まえ》に|泣《な》いたゆえ、わたしもまたあなたの|言《い》うことを|聞《き》いたのであると|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|見《み》よ、わたしはあなたを|先祖《せんぞ》たちのもとに|集《あつ》める。あなたは|安《やす》らかに|墓《はか》に|集《あつ》められ、わたしがこの|所《ところ》に|下《くだ》すもろもろの|災《わざわい》を|目《め》に|見《み》ることはないであろう』」。|彼《かれ》らはこの|言葉《ことば》を|王《おう》に|持《も》ち|帰《かえ》った。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|人《ひと》をつかわしてユダとエルサレムの|長老《ちょうろう》たちをことごとく|集《あつ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》はユダのもろもろの|人々《ひとびと》と、エルサレムのすべての|住民《じゅうみん》および|祭司《さいし》、|預言者《よげんしゃ》ならびに|大小《だいしょう》のすべての|民《たみ》を|従《したが》えて|主《しゅ》の|宮《みや》にのぼり、|主《しゅ》の|宮《みや》で|見《み》つかった|契約《けいやく》の|書《しょ》の|言葉《ことば》をことごとく|彼《かれ》らに|読《よ》み|聞《き》かせた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|次《つ》いで|王《おう》は|柱《はしら》のかたわらに|立《た》って、|主《しゅ》の|前《まえ》に|契約《けいやく》を|立《た》て、|主《しゅ》に|従《したが》って|歩《あゆ》み、|心《こころ》をつくし|精神《せいしん》をつくして、|主《しゅ》の|戒《いまし》めと、あかしと、|定《さだ》めとを|守《まも》り、この|書物《しょもつ》にしるされているこの|契約《けいやく》の|言葉《ことば》を|行《おこな》うことを|誓《ちか》った。|民《たみ》は|皆《みな》その|契約《けいやく》に|加《くわ》わった。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|王《おう》は|大《だい》|祭司《さいし》ヒルキヤと、それに|次《つ》ぐ|祭司《さいし》たちおよび|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》どもに|命《めい》じて、|主《しゅ》の|神殿《しんでん》からバアルとアシラと|天《てん》の|万象《ばんしょう》とのために|作《つく》ったもろもろの|器《うつわ》を|取《と》り|出《だ》させ、エルサレムの|外《そと》のキデロンの|野《の》でそれを|焼《や》き、その|灰《はい》をベテルに|持《も》って|行《い》かせた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また、ユダの|町々《まちまち》とエルサレムの|周囲《しゅうい》にある|高《たか》き|所《ところ》で|香《こう》をたくためにユダの|王《おう》たちが|任命《にんめい》した|祭司《さいし》たちを|廃《はい》し、またバアルと|日《ひ》と|月《つき》と|星宿《せいしゅく》と|天《てん》の|万象《ばんしょう》とに|香《こう》をたく|者《もの》どもをも|廃《はい》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|主《しゅ》の|宮《みや》からアシラ|像《ぞう》を|取《と》り|出《だ》し、エルサレムの|外《そと》のキデロン|川《かわ》に|持《も》って|行《い》って、キデロン|川《かわ》でそれを|焼《や》き、それを|打《う》ち|砕《くだ》いて|粉《こな》とし、その|粉《こな》を|民《たみ》の|墓《はか》に|投《な》げすてた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|宮《みや》にあった|神殿《しんでん》|男娼《だんしょう》の|家《いえ》をこわした。そこは|女《おんな》たちがアシラ|像《ぞう》のために|掛《か》け|幕《まく》を|織《お》る|所《ところ》であった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたユダの|町々《まちまち》から|祭司《さいし》をことごとく|召《め》しよせ、また|祭司《さいし》が|香《こう》をたいたゲバからベエルシバまでの|高《たか》き|所《ところ》を|汚《けが》し、また|門《もん》にある|高《たか》き|所《ところ》をこわした。これらの|高《たか》き|所《ところ》は|町《まち》のつかさヨシュアの|門《もん》の|入口《いりぐち》にあり、|町《まち》の|門《もん》にはいる|人《ひと》の|左《ひだり》にあった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》き|所《ところ》の|祭司《さいし》たちはエルサレムで|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》にのぼることをしなかったが、その|兄弟《きょうだい》たちのうちにあって|種《たね》|入《い》れぬパンを|食《た》べた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた、だれもそのむすこ|娘《むすめ》を|火《ひ》に|焼《や》いて、モレクにささげ|物《もの》とすることのないように、ベンヒンノムの|谷《たに》にあるトペテを|汚《けが》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|王《おう》たちが|太陽《たいよう》にささげて|主《しゅ》の|宮《みや》の|門《もん》に|置《お》いた|馬《うま》を、|境内《けいだい》にある|侍従《じじゅう》ナタンメレクのへやのかたわらに|移《うつ》し、|太陽《たいよう》の|車《くるま》を|火《ひ》で|焼《や》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》はユダの|王《おう》たちがアハズの|高殿《たかどの》の|屋上《おくじょう》に|造《つく》った|祭壇《さいだん》と、マナセが|主《しゅ》の|宮《みや》の二つの|庭《にわ》に|造《つく》った|祭壇《さいだん》とをこわして、それを|打《う》ち|砕《くだ》き、|砕《くだ》けたものをキデロン|川《かわ》に|投《な》げすてた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》はイスラエルの|王《おう》ソロモンが|昔《むかし》シドンびとの|憎《にく》むべき|者《もの》アシタロテと、モアブびとの|憎《にく》むべき|者《もの》ケモシと、アンモンの|人々《ひとびと》の|憎《にく》むべき|者《もの》ミルコムのためにエルサレムの|東《ひがし》、|滅亡《めつぼう》の|山《やま》の|南《みなみ》に|築《きず》いた|高《たか》き|所《ところ》を|汚《けが》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またもろもろの|石柱《せきちゅう》を|打《う》ち|砕《くだ》き、アシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》し、|人《ひと》の|骨《ほね》をもってその|所《ところ》を|満《み》たした。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また、ベテルにある|祭壇《さいだん》と、イスラエルに|罪《つみ》を|犯《おか》させたネバテの|子《こ》ヤラベアムが|造《つく》った|高《たか》き|所《ところ》、すなわちその|祭壇《さいだん》と|高《たか》き|所《ところ》とを|彼《かれ》はこわし、その|石《いし》を|打《う》ち|砕《くだ》いて|粉《こな》とし、かつアシラ|像《ぞう》を|焼《や》いた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨシヤは|身《み》をめぐらして|山《やま》に|墓《はか》のあるのを|見《み》、|人《ひと》をつかわしてその|墓《はか》から|骨《ほね》を|取《と》らせ、それをその|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いて、それを|汚《けが》した。|昔《むかし》、|神《かみ》の|人《ひと》が|主《しゅ》の|言葉《ことば》としてこの|事《こと》を|呼《よ》ばわり|告《つ》げたが、そのとおりになった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヨシヤは「あそこに|見《み》える|石碑《せきひ》は|何《なに》か」と|尋《たず》ねた。|町《まち》の|人々《ひとびと》が|彼《かれ》に「あれはあなたがベテルの|祭壇《さいだん》に|対《たい》して|行《おこな》われたこれらの|事《こと》を、ユダからきて|預言《よげん》した|神《かみ》の|人《ひと》の|墓《はか》です」と|言《い》ったので、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「そのままにして|置《お》きなさい。だれもその|骨《ほね》を|移《うつ》してはならない」。それでその|骨《ほね》と、サマリヤからきた|預言者《よげんしゃ》の|骨《ほね》には|手《て》をつけなかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|王《おう》たちがサマリヤの|町々《まちまち》に|造《つく》って、|主《しゅ》を|怒《いか》らせた|高《たか》き|所《ところ》の|家《いえ》も|皆《みな》ヨシヤは|取《と》り|除《のぞ》いて、|彼《かれ》がすべてベテルに|行《い》ったようにこれに|行《い》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた、そこにあった|高《たか》き|所《ところ》の|祭司《さいし》たちを|皆《みな》|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|殺《ころ》し、|人《ひと》の|骨《ほね》を|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》いた。こうして|彼《かれ》はエルサレムに|帰《かえ》った。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》はすべての|民《たみ》に|命《めい》じて、「あなたがたはこの|契約《けいやく》の|書《しょ》にしるされているように、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|執《と》り|行《おこな》いなさい」と|言《い》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]さばきづかさがイスラエルをさばいた|日《ひ》からこのかた、またイスラエルの|王《おう》たちとユダの|王《おう》たちの|世《よ》にも、このような|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|執《と》り|行《おこな》ったことはなかったが、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤ|王《おう》の|第《だい》十八|年《ねん》に、エルサレムでこの|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|主《しゅ》に|執《と》り|行《おこな》ったのである。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤはまた|祭司《さいし》ヒルキヤが|主《しゅ》の|宮《みや》で|見《み》つけた|書物《しょもつ》にしるされている|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》を|確実《かくじつ》に|行《おこな》うために、|口寄《くちよ》せと|占《うらな》い|師《し》と、テラピムと|偶像《ぐうぞう》およびユダの|地《ち》とエルサレムに|見《み》られるもろもろの|憎《にく》むべき|者《もの》を|取《と》り|除《のぞ》いた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤのように|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくし、|力《ちから》をつくしてモーセのすべての|律法《りっぽう》にしたがい、|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たよ》んだ|王《おう》はヨシヤの|先《さき》にはなく、またその|後《のち》にも|彼《かれ》のような|者《もの》は|起《おこ》らなかった。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]けれども|主《しゅ》はなおユダにむかって|発《はっ》せられた|激《はげ》しい|大《おお》いなる|怒《いか》りをやめられなかった。これはマナセがもろもろの|腹《はら》だたしい|行《おこな》いをもって|主《しゅ》を|怒《いか》らせたためである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》は|言《い》われた、「わたしはイスラエルを|移《うつ》したように、ユダをもわたしの|目《め》の|前《まえ》から|移《うつ》し、わたしが|選《えら》んだこのエルサレムの|町《まち》と、わたしの|名《な》をそこに|置《お》こうと|言《い》ったこの|宮《みや》とを|捨《す》てるであろう」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》が|行《い》ったすべての|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤの|世《よ》にエジプトの|王《おう》パロ・ネコが、アッスリヤの|王《おう》のところへ|行《い》こうと、ユフラテ|川《かわ》をさして|上《のぼ》ってきたので、ヨシヤ|王《おう》は|彼《かれ》を|迎《むか》え|撃《う》とうと|出《で》て|行《い》ったが、パロ・ネコは|彼《かれ》を|見《み》るや、メギドにおいて|彼《かれ》を|殺《ころ》した。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|家来《けらい》たちは|彼《かれ》の|死体《したい》を|車《くるま》に|載《の》せ、メギドからエルサレムに|運《はこ》んで|彼《かれ》の|墓《はか》に|葬《ほうむ》った。|国《くに》の|民《たみ》はヨシヤの|子《こ》エホアハズを|立《た》て、|彼《かれ》に|油《あぶら》を|注《そそ》ぎ、|王《おう》として|父《ちち》に|代《かわ》らせた。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]エホアハズは|王《おう》となった|時《とき》二十三|歳《さい》で、エルサレムで三か|月《げつ》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》はリブナのエレミヤの|娘《むすめ》で、|名《な》をハムタルといった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]エホアハズは|先祖《せんぞ》たちがすべて|行《い》ったように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》ったが、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]パロ・ネコは|彼《かれ》をハマテの|地《ち》のリブラにつないで|置《お》いて、エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めることができないようにした。また|銀《ぎん》百タラントと|金《きん》一タラントのみつぎを|国《くに》に|課《か》した。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そしてパロ・ネコはヨシヤの|子《こ》エリアキムを|父《ちち》ヨシヤに|代《かわ》って|王《おう》とならせ、|名《な》をエホヤキムと|改《あらた》め、エホアハズをエジプトへ|引《ひ》いて|行《い》った。エホアハズはエジプトへ|行《い》ってそこで|死《し》んだ。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムは|金銀《きんぎん》をパロに|送《おく》った。しかし|彼《かれ》はパロの|命《いのち》に|従《したが》って|金《かね》を|送《おく》るために|国《くに》に|税《ぜい》を|課《か》し、|国《くに》の|民《たみ》おのおのからその|課税《かぜい》にしたがって|金銀《きんぎん》をきびしく|取《と》り|立《た》てて、それをパロ・ネコに|送《おく》った。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムは二十五|歳《さい》で|王《おう》となり、エルサレムで十一|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》はルマのペダヤの|娘《むすめ》で、|名《な》をゼビダといった。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムは|先祖《せんぞ》たちがすべて|行《い》ったように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムの|世《よ》にバビロンの|王《おう》ネブカデネザルが|上《のぼ》ってきたので、エホヤキムは|彼《かれ》に|隷属《れいぞく》して三|年《ねん》を|経《へ》たが、ついに|翻《ひるがえ》って|彼《かれ》にそむいた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はカルデヤびとの|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》、スリヤびとの|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》、モアブびとの|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》、アンモンびとの|略奪《りゃくだつ》|隊《たい》をつかわしてエホヤキムを|攻《せ》められた。すなわちユダを|攻《せ》め、これを|滅《ほろ》ぼすために|彼《かれ》らをつかわされた。|主《しゅ》がそのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちによって|語《かた》られた|言葉《ことば》のとおりである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これは|全《まった》く|主《しゅ》の|命《いのち》によってユダに|臨《のぞ》んだもので、ユダを|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》から|払《はら》い|除《のぞ》くためであった。すなわちマナセがすべておこなったその|罪《つみ》のため、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》が|罪《つみ》なき|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》し、|罪《つみ》なき|人《ひと》の|血《ち》をエルサレムに|満《み》たしたためであって、|主《しゅ》はその|罪《つみ》をゆるそうとはされなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムのその|他《た》の|事績《じせき》と、|彼《かれ》がおこなったすべての|事《こと》は、ユダの|王《おう》の|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムは|先祖《せんぞ》たちとともに|眠《ねむ》り、その|子《こ》エホヤキンが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|王《おう》は|再《ふたた》びその|国《くに》から|出《で》てこなかった。バビロンの|王《おう》がエジプトの|川《かわ》からユフラテ|川《かわ》まで、すべてエジプトの|王《おう》に|属《ぞく》するものを|取《と》ったからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキンは|王《おう》となった|時《とき》十八|歳《さい》で、エルサレムで三か|月《げつ》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》はエルサレムのエルナタンの|娘《むすめ》で、|名《な》をネホシタといった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキンはすべてその|父《ちち》がおこなったように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、バビロンの|王《おう》ネブカデネザルの|家来《けらい》たちはエルサレムに|攻《せ》め|上《のぼ》って、|町《まち》を|囲《かこ》んだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|家来《けらい》たちが|町《まち》を|囲《かこ》んでいたとき、バビロンの|王《おう》ネブカデネザルもまた|町《まち》に|攻《せ》めてきた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》エホヤキンはその|母《はは》、その|家来《けらい》、そのつかさたち、および|侍従《じじゅう》たちと|共《とも》に|出《で》て、バビロンの|王《おう》に|降服《こうふく》したので、バビロンの|王《おう》は|彼《かれ》を|捕虜《ほりょ》とした。これはネブカデネザルの|治世《ちせい》の|第《だい》八|年《ねん》であった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|主《しゅ》の|宮《みや》のもろもろの|宝物《ほうもつ》および|王《おう》の|家《いえ》の|宝物《ほうもつ》をことごとく|持《も》ち|出《だ》し、イスラエルの|王《おう》ソロモンが|造《つく》って|主《しゅ》の|神殿《しんでん》に|置《お》いたもろもろの|金《きん》の|器《うつわ》を|切《き》りこわした。|主《しゅ》が|言《い》われたとおりである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたエルサレムのすべての|市民《しみん》、およびすべてのつかさとすべての|勇士《ゆうし》、ならびにすべての|木工《もっこう》と|鍛冶《かじ》一万|人《にん》を|捕《とら》えて|行《い》った。|残《のこ》った|者《もの》は|国《くに》の|民《たみ》の|貧《まず》しい|者《もの》のみであった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さらに|彼《かれ》はエホヤキンをバビロンに|捕《とら》えて|行《い》き、また|王《おう》の|母《はは》、|王《おう》の|妻《つま》たち、および|侍従《じじゅう》と|国《くに》のうちのおもな|人々《ひとびと》をも、エルサレムからバビロンへ|捕《とら》えて|行《い》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またバビロンの|王《おう》はすべて|勇敢《ゆうかん》な|者《もの》七千|人《にん》、|木工《もっこう》と|鍛冶《かじ》一千|人《にん》ならびに|強《つよ》くて|良《よ》く|戦《たたか》う|者《もの》をみな|捕《とら》えてバビロンへ|連《つ》れて|行《い》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてバビロンの|王《おう》はエホヤキンの|父《ちち》の|兄弟《きょうだい》マッタニヤを|王《おう》としてエホヤキンに|代《か》え、|名《な》をゼデキヤと|改《あらた》めた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤは二十一|歳《さい》で|王《おう》となり、エルサレムで十一|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》はリブナのエレミヤの|娘《むすめ》で、|名《な》をハムタルといった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤはすべてエホヤキムがおこなったように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムとユダにこのような|事《こと》の|起《た》ったのは|主《しゅ》の|怒《いか》りによるので、|主《しゅ》はついに|彼《かれ》らをみ|前《まえ》から|払《はら》いすてられた。  さてゼデキヤはバビロンの|王《おう》にそむいた。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでゼデキヤの|治世《ちせい》の|第《だい》九|年《ねん》の十|月《がつ》十|日《か》に、バビロンの|王《おう》ネブカデネザルはもろもろの|軍勢《ぐんぜい》を|率《ひき》い、エルサレムにきて、これにむかって|陣《じん》を|張《は》り、|周囲《しゅうい》にとりでを|築《きず》いてこれを|攻《せ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|町《まち》は|囲《かこ》まれて、ゼデキヤ|王《おう》の|第《だい》十一|年《ねん》にまで|及《およ》んだが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その四|月《がつ》九|日《か》になって、|町《まち》のうちにききんが|激《はげ》しくなり、その|地《ち》の|民《たみ》に|食物《しょくもつ》がなくなった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|一角《いっかく》がついに|破《やぶ》れたので、|王《おう》はすべての|兵士《へいし》とともに、|王《おう》の|園《その》のかたわらにある二つの|城壁《じょうへき》のあいだの|門《もん》の|道《みち》から|夜《よる》のうちに|逃《に》げ|出《だ》して、カルデヤびとが|町《まち》を|囲《かこ》んでいる|間《あいだ》に、アラバの|方《ほう》へ|落《お》ち|延《の》びた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしカルデヤびとの|軍勢《ぐんぜい》は|王《おう》を|追《お》い、エリコの|平地《へいち》で|彼《かれ》に|追《お》いついた。|彼《かれ》の|軍勢《ぐんぜい》はみな|彼《かれ》を|離《はな》れて|散《ち》り|去《さ》ったので、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとは|王《おう》を|捕《とら》え、|彼《かれ》をリブラにいるバビロンの|王《おう》のもとへ|引《ひ》いていって|彼《かれ》の|罪《つみ》を|定《さだ》め、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤの|子《こ》たちをゼデキヤの|目《め》の|前《まえ》で|殺《ころ》し、ゼデキヤの|目《め》をえぐり、|足《あし》かせをかけてバビロンへ|連《つ》れて|行《い》った。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデネザルの|第《だい》十九|年《ねん》の五|月《ごがつ》|七日《なぬか》に、バビロンの|王《おう》の|臣《しん》、|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンがエルサレムにきて、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|家《いえ》とエルサレムのすべての|家《いえ》を|焼《や》いた。すなわち|火《ひ》をもってすべての|大《おお》きな|家《いえ》を|焼《や》いた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|侍衛《じえい》の|長《ちょう》と|共《とも》にいたカルデヤびとのすべての|軍勢《ぐんぜい》はエルサレムの|周囲《しゅうい》の|城壁《じょうへき》を|破壊《はかい》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは、|町《まち》に|残《のこ》された|民《たみ》およびバビロン|王《おう》に|降服《こうふく》した|者《もの》と|残《のこ》りの|群衆《ぐんしゅう》を|捕《とら》え|移《うつ》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ただし|侍衛《じえい》の|長《ちょう》はその|地《ち》の|貧《まず》しい|者《もの》を|残《のこ》して、ぶどうを|作《つく》る|者《もの》とし、|農夫《のうふ》とした。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとはまた|主《しゅ》の|宮《みや》の|青銅《せいどう》の|柱《はしら》と、|主《しゅ》の|宮《みや》の|洗盤《せんばん》の|台《だい》と、|青銅《せいどう》の|海《うみ》を|砕《くだ》いて、その|青銅《せいどう》をバビロンに|運《はこ》び、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またつぼと、|十能《じゅうのう》と、|心切《しんき》りばさみと、|香《こう》を|盛《も》る|皿《さら》およびすべて|神殿《しんでん》の|務《つとめ》に|用《もち》いる|青銅《せいどう》の|器《うつわ》、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|心取《しんと》り|皿《ざら》と|鉢《はち》を|取《と》り|去《さ》った。|侍衛《じえい》の|長《ちょう》はまた|金《きん》で|作《つく》った|物《もの》と|銀《ぎん》で|作《つく》った|物《もの》を|取《と》り|去《さ》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|主《しゅ》の|宮《みや》のために|造《つく》った二つの|柱《はしら》と、一つの|海《うみ》と|洗盤《せんばん》の|台《だい》など、これらのもろもろの|器《うつわ》の|青銅《せいどう》の|重《おも》さは|量《はか》ることができなかった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]一つの|柱《はしら》の|高《たか》さは十八キュビトで、その|上《うえ》に|青銅《せいどう》の|柱頭《ちゅうとう》があり、|柱頭《ちゅうとう》の|高《たか》さは三キュビトで、|柱頭《ちゅうとう》の|周囲《しゅうい》に|網《あみ》|細工《さいく》とざくろがあって、みな|青銅《せいどう》であった。|他《た》の|柱《はしら》もその|網《あみ》|細工《さいく》もこれと|同《おな》じであった。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》の|長《ちょう》は|祭司《さいし》|長《ちょう》セラヤと|次席《じせき》の|祭司《さいし》ゼパニヤと三|人《にん》の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》を|捕《とら》え、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|兵士《へいし》をつかさどるひとりの|役人《やくにん》と、|王《おう》の|前《まえ》にはべる|者《もの》のうち、|町《まち》で|見《み》つかった|者《もの》五|人《にん》と、その|地《ち》の|民《たみ》を|募《つの》った|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》の|書記官《しょきかん》と、|町《まち》で|見《み》つかったその|地《ち》の|民《たみ》六十|人《にん》を|町《まち》から|捕《とら》え|去《さ》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは|彼《かれ》らを|捕《とら》えて、リブラにいるバビロンの|王《おう》のもとへ|連《つ》れて|行《い》ったので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》はハマテの|地《ち》のリブラで|彼《かれ》らを|撃《う》ち|殺《ころ》した。このようにしてユダはその|地《ち》から|捕《とら》え|移《うつ》された。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]さてバビロンの|王《おう》ネブカデネザルはユダの|地《ち》に|残《のこ》してとどまらせた|民《たみ》の|上《うえ》に、シャパンの|子《こ》アヒカムの|子《こ》であるゲダリヤを|立《た》てて|総督《そうとく》とした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちおよびその|部下《ぶか》の|人々《ひとびと》は、バビロンの|王《おう》がゲダリヤを|総督《そうとく》としたことを|聞《き》いて、ミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。すなわちネタニヤの|子《こ》イシマエル、カレヤの|子《こ》ヨハナン、ネトパびとタンホメテの|子《こ》セラヤ、マアカびとの|子《こ》ヤザニヤおよびその|部下《ぶか》の|人々《ひとびと》がゲダリヤのもとにきた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ゲダリヤは|彼《かれ》らとその|部下《ぶか》の|人々《ひとびと》に|誓《ちか》って|言《い》った、「あなたがたはカルデヤびとのしもべとなることを|恐《おそ》れてはならない。この|地《ち》に|住《す》んで、バビロンの|王《おう》に|仕《つか》えなさい。そうすればあなたがたは|幸福《こうふく》を|得《え》るでしょう」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ところが七|月《がつ》になって、|王《おう》の|血統《けっとう》のエリシャマの|子《こ》であるネタニヤの|子《こ》イシマエルは十|人《にん》の|者《もの》と|共《とも》にきて、ゲダリヤを|撃《う》ち|殺《ころ》し、また|彼《かれ》と|共《とも》にミヅパにいたユダヤ|人《ひと》と、カルデヤびとを|殺《ころ》した。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そのため、|大小《だいしょう》の|民《たみ》および|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちは、みな|立《た》ってエジプトへ|行《い》った。|彼《かれ》らはカルデヤびとを|恐《おそ》れたからである。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》エホヤキンが|捕《とら》え|移《うつ》されて|後《のち》三十七|年《ねん》の十二|月《がつ》二十七|日《にち》、すなわちバビロンの|王《おう》エビルメロダクの|治世《ちせい》の|第《だい》一|年《ねん》に、|王《おう》はユダの|王《おう》エホヤキンを|獄屋《ごくや》から|出《だ》して[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ねんごろに|彼《かれ》を|慰《なぐさ》め、その|位《くらい》を|彼《かれ》と|共《とも》にバビロンにいる|王《おう》たちの|位《くらい》よりも|高《たか》くした。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエホヤキンはその|獄屋《ごくや》の|衣《ころも》を|脱《ぬ》ぎ、|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|常《つね》に|王《おう》の|前《まえ》で|食事《しょくじ》した。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、たえず|日々《ひび》の|分《ぶん》を|王《おう》から|賜《たま》わって、その|食物《しょくもつ》とした。 [#改ページ] 歴代志上[#「歴代志上」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アダム、セツ、エノス、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ケナン、マハラレル、ヤレド、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エノク、メトセラ、ラメク、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ノア、セム、ハム、ヤペテ。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤペテの|子《こ》らはゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラス。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ゴメルの|子《こ》らはアシケナズ、デパテ、トガルマ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヤワンの|子《こ》らはエリシャ、タルシシ、キッテム、ロダニム。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ハムの|子《こ》らはクシ、エジプト、プテ、カナン。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]クシの|子《こ》らはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカ。ラアマの|子《こ》らはシバとデダン。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]クシはニムロデを|生《う》んだ。ニムロデは|初《はじ》めて|世《よ》の|権力《けんりょく》ある|者《もの》となった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エジプトはルデびと、アナムびと、レハブびと、ナフトびと、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]パテロスびと、カスルびと、カフトルびとを|生《う》んだ。カフトルびとからペリシテびとが|出《で》た。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]カナンは|長子《ちょうし》シドンとヘテを|生《う》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またエブスびと、アモリびと、ギルガシびと、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヒビびと、アルキびと、セニびと、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとを|生《う》んだ。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]セムの|子《こ》らはエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラム、ウズ、ホル、ゲテル、メセクである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アルパクサデはシラを|生《う》み、シラはエベルを|生《う》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]エベルにふたりの|子《こ》が|生《うま》れた。ひとりの|名《な》はペレグ――|彼《かれ》の|代《よ》に|地《ち》の|民《たみ》が|散《ち》り|分《わか》れたからである――その|弟《おとうと》の|名《な》はヨクタンといった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨクタンはアルモダデ、シャレフ、ハザル・マウテ、エラ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ハドラム、ウザル、デクラ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エバル、アビマエル、シバ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]オフル、ハビラ、ヨバブを|生《う》んだ。これらはみなヨクタンの|子《こ》である。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]セム、アルパクサデ、シラ、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]エベル、ペレグ、リウ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]セルグ、ナホル、テラ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アブラムすなわちアブラハムである。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムの|子《こ》らはイサクとイシマエルである。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。イシマエルの|長子《ちょうし》はネバヨテ、|次《つぎ》はケダル、アデビエル、ミブサム、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ミシマ、ドマ、マッサ、ハダデ、テマ、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]エトル、ネフシ、ケデマ。これらはイシマエルの|子孫《しそん》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムのそばめケトラの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。|彼女《かのじょ》はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバク、シュワを|産《う》んだ。ヨクシャンの|子《こ》らはシバとデダンである。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ミデアンの|子《こ》らはエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダア。これらはみなケトラの|子孫《しそん》である。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムはイサクを|生《う》んだ。イサクの|子《こ》らはエサウとイスラエル。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]エサウの|子《こ》らはエリパズ、リウエル、エウシ、ヤラム、コラ。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エリパズの|子《こ》らはテマン、オマル、ゼピ、ガタム、ケナズ、テムナ、アマレク。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]リウエルの|子《こ》らはナハテ、ゼラ、シャンマ、ミッザ。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]セイルの|子《こ》らはロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、デション、エゼル、デシャン。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ロタンの|子《こ》らはホリとホマム。ロタンの|妹《いもうと》はテムナ。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ショバルの|子《こ》らはアルヤン、マナハテ、エバル、シピ、オナム。ヂベオンの|子《こ》らはアヤとアナ。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]アナの|子《こ》はデション。デションの|子《こ》らはハムラン、エシバン、イテラン、ケラン。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]エゼルの|子《こ》らはビルハン、ザワン、ヤカン。デシャンの|子《こ》らはウズとアラン。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》を|治《おさ》める|王《おう》がまだなかった|時《とき》、エドムの|地《ち》を|治《おさ》めた|王《おう》たちは|次《つぎ》のとおりである。ベオルの|子《こ》ベラ。その|都《みやこ》の|名《な》はデナバといった。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ベラが|死《し》んで、ボズラのゼラの|子《こ》ヨバブが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]ヨバブが|死《し》んで、テマンびとの|地《ち》のホシャムが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]ホシャムが|死《し》んで、ベダテの|子《こ》ハダデが|代《かわ》って|王《おう》となった。|彼《かれ》はモアブの|野《の》でミデアンを|撃《う》った。|彼《かれ》の|都《みやこ》の|名《な》はアビテといった。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]ハダデが|死《し》んで、マスレカのサムラが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]サムラが|死《し》んで、ユフラテ|川《かわ》のほとりのレホボテのサウルが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]サウルが|死《し》んで、アクボルの|子《こ》バアル・ハナンが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]バアル・ハナンが|死《し》んで、ハダデが|代《かわ》って|王《おう》となった。|彼《かれ》の|都《みやこ》の|名《な》はパイといった。|彼《かれ》の|妻《つま》はマテレデの|娘《むすめ》であって、|名《な》をメヘタベルといった。マテレデはメザハブの|娘《むすめ》である。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ハダデも|死《し》んだ。  エドムの|族長《ぞくちょう》は、テムナ|侯《こう》、アルヤ|侯《こう》、エテテ|侯《こう》、[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]アホリバマ|侯《こう》、エラ|侯《こう》、ピノン|侯《こう》、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]ケナズ|侯《こう》、テマン|侯《こう》、ミブザル|侯《こう》、[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]マグデエル|侯《こう》、イラム|侯《こう》。これらはエドムの|族長《ぞくちょう》である。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダン、ヨセフ、ベニヤミン、ナフタリ、ガド、アセル。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子《こ》らはエル、オナン、シラである。この三|人《にん》はカナンの|女《おんな》バテシュアがユダによって|産《う》んだ|者《もの》である。ユダの|長子《ちょうし》エルは|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》ったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》を|殺《ころ》された。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|嫁《よめ》タマルはユダによってペレヅとゼラを|産《う》んだ。ユダの|子《こ》らは|合《あ》わせて五|人《にん》である。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ペレヅの|子《こ》らはヘヅロンとハムル。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ゼラの|子《こ》らはジムリ、エタン、ヘマン、カルコル、ダラで、|合《あ》わせて五|人《にん》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]カルミの|子《こ》はアカル。アカルは|奉納物《ほうのうぶつ》について|罪《つみ》を|犯《おか》し、イスラエルを|悩《なや》ました|者《もの》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エタンの|子《こ》はアザリヤである。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヘヅロンに|生《うま》れた|子《こ》らはエラメル、ラム、ケルバイである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ラムはアミナダブを|生《う》み、アミナダブはユダの|子孫《しそん》のつかさナションを|生《う》んだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ナションはサルマを|生《う》み、サルマはボアズを|生《う》み、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ボアズはオベデを|生《う》み、オベデはエッサイを|生《う》んだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エッサイは|長子《ちょうし》エリアブ、|次《つぎ》にアビナダブ、|第《だい》三にシメア、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四にネタンエル、|第《だい》五にラダイ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六にオゼム、|第《だい》七にダビデを|生《う》んだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|姉妹《しまい》はゼルヤとアビガイルである。ゼルヤの|産《う》んだ|子《こ》はアビシャイ、ヨアブ、アサヘルの三|人《にん》である。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アビガイルはアマサを|産《う》んだ。アマサの|父《ちち》はイシマエルびとエテルである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヘヅロンの|子《こ》カレブはその|妻《つま》アズバおよびエリオテによって|子《こ》をもうけた。その|子《こ》らはエシル、ショバブ、アルドンである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]カレブはアズバが|死《し》んだのでエフラタをめとった。エフラタはカレブによってホルを|産《う》んだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ホルはウリを|生《う》み、ウリはベザレルを|生《う》んだ。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そののちヘヅロンはギレアデの|父《ちち》マキルの|娘《むすめ》の|所《ところ》にはいった。|彼《かれ》が|彼女《かのじょ》をめとったときは六十|歳《さい》であった。|彼女《かのじょ》はヘヅロンによってセグブを|産《う》んだ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]セグブはヤイルを|生《う》んだ。ヤイルはギレアデの|地《ち》に二十三の|町《まち》をもっていた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかしゲシュルとアラムは|彼《かれ》らからハボテ・ヤイルおよびケナテとその|村里《むらざと》など|合《あ》わせて六十の|町《まち》を|取《と》った。これらはみなギレアデの|父《ちち》マキルの|子孫《しそん》であった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヘヅロンが|死《し》んだのち、カレブは|父《ちち》ヘヅロンの|妻《つま》エフラタの|所《ところ》にはいった。|彼女《かのじょ》は|彼《かれ》にテコアの|父《ちち》アシュルを|産《う》んだ。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ヘヅロンの|長子《ちょうし》エラメルの|子《こ》らは|長子《ちょうし》ラム、|次《つぎ》はブナ、オレン、オゼム、アヒヤである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]エラメルはまたほかの|妻《つま》をもっていた。|名《な》をアタラといって、オナムの|母《はは》である。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]エラメルの|長子《ちょうし》ラムの|子《こ》らはマアツ、ヤミン、エケルである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]オナムの|子《こ》らはシャンマイとヤダである。シャンマイの|子《こ》らはナダブとアビシュルである。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]アビシュルの|妻《つま》の|名《な》はアビハイルといって、アバンとモリデを|産《う》んだ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ナダブの|子《こ》らはセレデとアッパイムである。セレデは|子《こ》をもたずに|死《し》んだ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]アッパイムの|子《こ》はイシ、イシの|子《こ》はセシャン、セシャンの|子《こ》はアヘライである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]シャンマイの|兄弟《きょうだい》ヤダの|子《こ》らはエテルとヨナタンである。エテルは|子《こ》をもたずに|死《し》んだ。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンの|子《こ》らはペレテとザザである。|以上《いじょう》はエラメルの|子孫《しそん》である。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]セシャンには|男《おとこ》の|子《こ》はなく、ただ|女《おんな》の|子《こ》のみであったが、|彼《かれ》はヤルハと|呼《よ》ぶエジプトびとの|奴隷《どれい》をもっていたので、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]セシャンは|娘《むすめ》を|奴隷《どれい》ヤルハに|与《あた》えてその|妻《つま》とさせた。|彼女《かのじょ》はヤルハによってアッタイを|産《う》んだ。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アッタイはナタンを|生《う》み、ナタンはザバデを|生《う》み、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ザバデはエフラルを|生《う》み、エフラルはオベデを|生《う》み、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]オベデはエヒウを|生《う》み、エヒウはアザリヤを|生《う》み、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]アザリヤはヘレヅを|生《う》み、ヘレヅはエレアサを|生《う》み、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]エレアサはシスマイを|生《う》み、シスマイはシャルムを|生《う》み、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]シャルムはエカミヤを|生《う》み、エカミヤはエリシャマを|生《う》んだ。  [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]エラメルの|兄弟《きょうだい》であるカレブの|子《こ》らは|長子《ちょうし》をマレシャといってジフの|父《ちち》である。マレシャの|子《こ》はヘブロン。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンの|子《こ》らはコラ、タップア、レケム、シマである。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]シマはラハムを|生《う》んだ。ラハムはヨルカムの|父《ちち》である。またレケムはシャンマイを|生《う》んだ。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]シャンマイの|子《こ》はマオン。マオンはベテヅルの|父《ちち》である。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]カレブのそばめエパはハラン、モザ、ガゼズを|産《う》んだ。ハランはガゼズを|生《う》んだ。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]エダイの|子《こ》らはレゲム、ヨタム、ゲシャン、ペレテ、エパ、シャフである。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]カレブのそばめマアカはシベルとテルハナを|産《う》み、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]またマデマンナの|父《ちち》シャフおよびマクベナとギベアの|父《ちち》シワを|産《う》んだ。カレブの|娘《むすめ》はアクサである。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]これらはカレブの|子孫《しそん》であった。  エフラタの|長子《ちょうし》ホルの|子《こ》らはキリアテ・ヤリムの|父《ちち》ショバル、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ベツレヘムの|父《ちち》サルマおよびベテガデルの|父《ちち》ハレフである。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]キリアテ・ヤリムの|父《ちち》ショバル|子《こ》らはハロエとメヌコテびとの|半《なか》ばである。[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]キリアテ・ヤリムの|氏族《しぞく》はイテルびと、プテびと、シュマびと、ミシラびとであって、これらからザレアびとおよびエシタオルびとが|出《で》た。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]サルマの|子《こ》らはベツレヘム、ネトパびと、アタロテ・ベテ・ヨアブ、マナハテびとの|半《なか》ばおよびゾリびとである。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]またヤベヅに|住《す》んでいた|書記《しょき》の|氏族《しぞく》テラテびと、シメアテびと、スカテびとである。これらはケニびとであってレカブの|家《いえ》の|先祖《せんぞ》ハマテから|出《で》た|者《もの》である。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンで|生《うま》れたダビデの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。|長子《ちょうし》はアムノンでエズレルびとアヒノアムから|生《うま》れ、|次《つぎ》はダニエルでカルメルびとアビガイルから|生《うま》れ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三はアブサロムでゲシュルの|王《おう》タルマイの|娘《むすめ》マアカの|産《う》んだ|子《こ》、|第《だい》四はアドニヤでハギテの|産《う》んだ|子《こ》、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》五はシパテヤでアビタルから|生《うま》れ、|第《だい》六はイテレアムで、|彼《かれ》の|妻《つま》エグラから|生《うま》れた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この六|人《にん》はヘブロンで|彼《かれ》に|生《うま》れた。ダビデがそこで|王《おう》となっていたのは七|年《ねん》六か|月《げつ》、エルサレムで|王《おう》となっていたのは三十三|年《ねん》であった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムで|生《うま》れたものは|次《つぎ》のとおりである。すなわちシメア、ショバブ、ナタン、ソロモン。この四|人《にん》はアンミエルの|娘《むすめ》バテシュアから|生《うま》れた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またイブハル、エリシャマ、エリペレテ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ノガ、ネペグ、ヤピア、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エリシャマ、エリアダ、エリペレテの九|人《にん》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これらはみなダビデの|子《こ》である。このほかに、そばめどもの|産《う》んだ|子《こ》らがあり、タマルは|彼《かれ》らの|姉妹《しまい》であった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|子《こ》はレハベアム、その|子《こ》はアビヤ、その|子《こ》はアサ、その|子《こ》はヨシャパテ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はヨラム、その|子《こ》はアハジヤ、その|子《こ》はヨアシ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はアマジヤ、その|子《こ》はアザリヤ、その|子《こ》はヨタム、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はアハズ、その|子《こ》はヒゼキヤ、その|子《こ》はマナセ、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はアモン、その|子《こ》はヨシヤ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤの|子《こ》らは|長子《ちょうし》ヨハナン、|次《つぎ》はエホヤキム、|第《だい》三はゼデキヤ、|第《だい》四はシャルムである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムの|子孫《しそん》はその|子《こ》はエコニア、その|子《こ》はゼデキヤである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|捕虜《ほりょ》となったエコニヤの|子《こ》らはその|子《こ》シャルテル、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]マルキラム、ペダヤ、セナザル、エカミア、ホシャマ、ネダビヤである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ペダヤの|子《こ》らはゼルバベルとシメイである。ゼルバベルの|子《こ》らはメシュラムとハナニヤ。シロミテは|彼《かれ》らの|姉妹《しまい》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またハシュバ、オヘル、ベレキヤ、ハサデヤ、ユサブ・ヘセデの五|人《にん》がある。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ハナニヤの|子《こ》らはペラテヤとエシャヤ、その|子《こ》レパヤ、その|子《こ》アルナン、その|子《こ》オバデヤ、その|子《こ》シカニヤである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]シカニヤの|子《こ》らはシマヤ。シマヤの|子《こ》らはハットシ、イガル、バリア、ネアリヤ、シャパテの六|人《にん》である。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ネアリヤの|子《こ》らはエリオエナイ、ヒゼキヤ、アズリカムの三|人《にん》である。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エリオエナイの|子《こ》らはホダヤ、エリアシブ、ペラヤ、アックブ、ヨハナン、デラヤ、アナニの七|人《にん》である。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子《こ》らはペレヅ、ヘヅロン、カルミ、ホル、ショバルである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ショバルの|子《こ》レアヤはヤハテを|生《う》み、ヤハテはアホマイとラハデを|生《う》んだ。これらはザレアびとの|一族《いちぞく》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エタムの|子《こ》らはエズレル、イシマおよびイデバシ、|彼《かれ》らの|姉妹《しまい》の|名《な》はハゼレルポニである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ゲドルの|父《ちち》はペヌエル、ホシャの|父《ちち》はエゼルである。これらはベツレヘムの|父《ちち》エフラタの|長子《ちょうし》ホルの|子《こ》らである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]テコアの|父《ちち》アシュルにはふたりの|妻《つま》ヘラとナアラとがあった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ナアラはアシュルによってアホザム、ヘペル、テメニおよびアハシタリを|産《う》んだ。これらはナアラの|子《こ》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヘラの|子《こ》らはゼレテ、エゾアル、エテナンである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]コヅはアヌブとゾベバを|生《う》んだ。またハルムの|子《こ》アハルヘルの|氏族《しぞく》も|彼《かれ》から|出《で》た。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヤベヅはその|兄弟《きょうだい》のうちで|最《もっと》も|尊《たっと》ばれた|者《もの》であった。その|母《はは》が「わたしは|苦《くる》しんでこの|子《こ》を|産《う》んだから」と|言《い》ってその|名《な》をヤベヅと|名《な》づけたのである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤベヅはイスラエルの|神《かみ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「どうか、あなたが|豊《ゆた》かにわたしを|恵《めぐ》み、わたしの|国境《こっきょう》を|広《ひろ》げ、あなたの|手《て》がわたしとともにあって、わたしを|災《わざわい》から|免《まぬか》れさせ、|苦《くる》しみをうけさせられないように」。|神《かみ》は|彼《かれ》の|求《もと》めるところをゆるされた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]シュワの|兄弟《きょうだい》ケルブはメヒルを|生《う》んだ。メヒルはエシトンの|父《ちち》、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エシトンはベテラパ、パセアおよびイルナハシの|父《ちち》テヒンナを|生《う》んだ。これらはレカの|人々《ひとびと》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ケナズの|子《こ》らはオテニエルとセラヤ。オテニエルの|子《こ》らはハタテとメオノタイ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]メオノタイはオフラを|生《う》み、セラヤはゲハラシムの|父《ちち》ヨアブを|生《う》んだ。|彼《かれ》らは|工人《こうじん》であったのでゲハラシムと|呼《よ》ばれたのである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エフンネの|子《こ》カレブの|子《こ》らはイル、エラおよびナアム。エラの|子《こ》はケナズ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エハレレルの|子《こ》らはジフ、ジバ、テリア、アサレルである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エズラの|子《こ》らはエテル、メレデ、エペル、ヤロン。|次《つぎ》のものはメレデがめとったパロの|娘《むすめ》ビテヤの|子《こ》らである。すなわち|彼女《かのじょ》はみごもってミリアム、シャンマイおよびイシバを|産《う》んだ。イシバはエシテモアの|父《ちち》である。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|妻《つま》はユダヤ|人《ひと》で、ゲドルの|父《ちち》エレデとソコの|父《ちち》ヘベルとザノアの|父《ちち》エクテエルを|産《う》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ナハムの|姉妹《しまい》であるホデヤの|妻《つま》の|子《こ》らはガルムびとケイラの|父《ちち》およびマアカびとエシテモアである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]シモンの|子《こ》らはアムノン、リンナ、ベネハナン、テロンである。イシの|子《こ》らはゾヘテとベネゾヘテである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子《こ》シラの|子《こ》らはレカの|父《ちち》エル、マレシャの|父《ちち》ラダおよびベテアシベアの|亜麻布《あまぬの》|織《おり》の|家《いえ》の|一族《いちぞく》、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ならびにモアブを|治《おさ》めてレヘムに|帰《かえ》ったヨキム、コゼバの|人々《ひとびと》、ヨアシおよびサラフである。その|記録《きろく》は|古《ふる》い。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]これらの|者《もの》は|陶器《とうき》を|造《つく》る|人《ひと》で、ネタイムおよびゲデラに|住《す》み、|王《おう》の|用《よう》をするため、|王《おう》とともに、そこに|住《す》んだ。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子《こ》らはネムエル、ヤミン、ヤリブ、ゼラ、シャウル。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]シャウルの|子《こ》はシャルム、その|子《こ》はミブサム、その|子《こ》はミシマ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ミシマの|子孫《しそん》は、その|子《こ》はハムエル、その|子《こ》はザックル、その|子《こ》はシメイ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]シメイには|男《おとこ》の|子《こ》十六|人《にん》、|女《おんな》の|子《こ》六|人《にん》あったが、その|兄弟《きょうだい》たちには|多《おお》くの|子《こ》はなかった。またその|氏族《しぞく》の|者《もの》はすべてユダの|子孫《しそん》ほどにはふえなかった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|住《す》んだ|所《ところ》はベエルシバ、モラダ、ハザル・シュアル、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ビルハ、エゼム、トラデ、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ベトエル、ホルマ、チクラグ、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ベテ・マルカボテ、ハザル・スシム、ベテ・ビリ、およびシャライムである。これらはダビデの|世《よ》に|至《いた》るまで|彼《かれ》らの|町《まち》であった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|村里《むらざと》はエタム、アイン、リンモン、トケン、アシャンの五つの|町《まち》である。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]またこれらの|町々《まちまち》の|周囲《しゅうい》に|多《おお》くの|村《むら》があって、バアルまでおよんだ。|彼《かれ》らのすみかは|以上《いじょう》のとおりで、|彼《かれ》らはおのおの|系図《けいず》をもっていた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]メショバブ、ヤムレク、アマジヤの|子《こ》ヨシャ、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ヨエル、アシエルのひこ、セラヤの|孫《まご》、ヨシビアの|子《こ》エヒウ。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エリオエナイ、ヤコバ、エショハヤ、アサヤ、アデエル、エシミエル、ベナヤ、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]およびシピの|子《こ》ジザ。シピはアロンの|子《こ》、アロンはエダヤの|子《こ》、エダヤはシムリの|子《こ》、シムリはシマヤの|子《こ》である。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ここに|名《な》をあげた|者《もの》どもはその|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であって、それらの|氏族《しぞく》は|大《おお》いにふえ|広《ひろ》がった。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|群《む》れのために|牧場《まきば》を|求《もと》めてゲドルの|入口《いりぐち》に|行《い》き、|谷《たに》の|東《ひがし》の|方《ほう》まで|進《すす》み、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ついに|豊《ゆた》かな|良《よ》い|牧場《まきば》を|見《み》いだした。その|地《ち》は|広《ひろ》く|穏《おだ》やかで、|安《やす》らかであった。その|地《ち》の|前《まえ》の|住民《じゅうみん》はハムびとであったからである。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|名《な》をしるした|者《もの》どもはユダの|王《おう》ヒゼキヤの|世《よ》に|行《い》って、|彼《かれ》らの|天幕《てんまく》と、そこにいたメウニびとを|撃《う》ち|破《やぶ》り、|彼《かれ》らをことごとく|滅《ほろ》ぼして|今日《こんにち》に|至《いた》っている。そこには、|群《む》れのための|牧場《まきば》があったので、|彼《かれ》らはそこに|住《す》んだ。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]またシメオンびとのうちの五百|人《にん》はイシの|子《こ》らペラテヤ、ネアリヤ、レパヤ、ウジエルをかしらとしてセイル|山《やま》に|行《い》き、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]アマレクびとで、のがれて|残《のこ》っていた|者《もの》を|撃《う》ち|滅《ほろ》ぼして、|今日《こんにち》までそこに|住《す》んでいる。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|長子《ちょうし》ルベンの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。――ルベンは|長子《ちょうし》であったが|父《ちち》の|床《とこ》を|汚《けが》したので、|長子《ちょうし》の|権《けん》はイスラエルの|子《こ》ヨセフの|子《こ》らに|与《あた》えられた。それで|長子《ちょうし》の|権《けん》による|系図《けいず》にしるされていない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]またユダは|兄弟《きょうだい》たちにまさる|者《もの》となり、その|中《なか》から|君《くん》たる|者《もの》がでたが|長子《ちょうし》の|権《けん》はヨセフのものとなったのである。――[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルの|長子《ちょうし》ルベンの|子《こ》らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨエルの|子《こ》らはその|子《こ》はシマヤ、その|子《こ》はゴグ、その|子《こ》はシメイ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はミカ、その|子《こ》はレアヤ、その|子《こ》はバアル、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はベエラである。このベエラはアッスリヤの|王《おう》テルガテ・ピルネセルが|捕《とら》え|移《うつ》した|者《もの》である。|彼《かれ》はルベンびとのつかさであった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|兄弟《きょうだい》たちは、その|氏族《しぞく》により、その|歴代《れきだい》の|系図《けいず》によれば、かしらエイエルおよびゼカリヤ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ベラなどである。ベラはアザズの|子《こ》、シマの|孫《まご》、ヨエルのひこである。|彼《かれ》はアロエルに|住《す》み、ネボおよびバアル・メオンまで|及《およ》んでいたが、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデの|地《ち》で|彼《かれ》の|家畜《かちく》がふえ|増《ま》したので、|彼《かれ》は|東《ひがし》の|方《ほう》ユフラテ|川《かわ》のこなたの|荒野《あらの》の|入口《いりぐち》にまで|住《す》んだ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またサウルの|時《とき》、|彼《かれ》らはハガルびとと|戦《たたか》って、これを|撃《う》ち|倒《たお》し、ギレアデの|東《ひがし》の|全部《ぜんぶ》にわたって|彼《かれ》らの|天幕《てんまく》に|住《す》んだ。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|子孫《しそん》はこれと|相対《あいたい》してバシャンの|地《ち》に|住《す》み、サルカまで|及《およ》んでいた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そのかしらはヨエル、|次《つぎ》はシャパム、ヤアナイ、シャパテで、ともにバシャンに|住《す》んだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》たちは、その|氏族《しぞく》によればミカエル、メシュラム、シバ、ヨライ、ヤカン、ジア、エベルの七|人《にん》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これらはホリの|子《こ》アビハイルの|子《こ》らである。ホリはヤロアの|子《こ》、ヤロアはギレアデの|子《こ》、ギレアデはミカエルの|子《こ》、ミカエルはエシサイの|子《こ》、エシサイはヤドの|子《こ》、ヤドはブズの|子《こ》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]アヒはアブデルの|子《こ》、アブデルはグニの|子《こ》、グニはその|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはギレアデとバシャンとその|村里《むらざと》とシャロンのすべての|放牧《ほうぼく》|地《ち》に|住《す》んで、その|四方《しほう》の|境《さかい》にまで|及《およ》んでいた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これらはみなユダの|王《おう》ヨタムの|世《よ》とイスラエルの|王《おう》ヤラベアムの|世《よ》に|系図《けいず》にのせられた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ルベンびとと、ガドびとと、マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》には|出《で》て|戦《たたか》いうる|者《もの》四万四千七百六十|人《にん》あり、|皆《みな》|勇士《ゆうし》で、|盾《たて》とつるぎをとり、|弓《ゆみ》をひき、|戦《たたか》いに|巧《たく》みな|人々《ひとびと》であった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはハガルびとおよびエトル、ネフシ、ノダブなどと|戦《たたか》ったが、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|助《たす》けを|得《え》てこれを|攻《せ》めたので、ハガルびとおよびこれとともにいた|者《もの》は|皆《みな》、|彼《かれ》らの|手《て》にわたされた。これは|彼《かれ》らが|戦《たたか》いにあたって|神《かみ》に|呼《よ》ばわり、|神《かみ》に|寄《よ》り|頼《たよ》んだので|神《かみ》はその|願《ねが》いを|聞《き》かれたからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|家畜《かちく》を|奪《うば》い|取《と》ったが、らくだ五万、|羊《ひつじ》二十五万、ろば二千あり、また|人《ひと》は|十《じゅう》|万《まん》|人《にん》あった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これはその|戦《たたか》いが|神《かみ》によったので、|多《おお》くの|者《もの》が|殺《ころ》されて|倒《たお》れたからである。そして|彼《かれ》らは|捕《とら》え|移《うつ》される|時《とき》まで、これに|代《かわ》ってその|所《ところ》に|住《す》んだ。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》の|人々《ひとびと》はこの|地《ち》に|住《す》み、ふえ|広《ひろ》がって、ついにバシャンからバアル・ヘルモン、セニルおよびヘルモン|山《やま》にまで|及《およ》んだ。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちは|次《つぎ》のとおりである。すなわち、エペル、イシ、エリエル、アズリエル、エレミヤ、ホダヤ、ヤデエル。これらは|皆《みな》その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》で|名高《なだか》い|大《だい》|勇士《ゆうし》であった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》し、|神《かみ》が、かつて|彼《かれ》らの|前《まえ》から|滅《ほろ》ぼされた|国《くに》の|民《たみ》の|神々《かみがみ》を|慕《した》って、これと|姦淫《かんいん》したので、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》は、アッスリヤの|王《おう》プルの|心《こころ》を|奮《ふる》い|起《おこ》し、またアッスリヤの|王《おう》テルガテ・ピルネセルの|心《こころ》を|奮《ふる》い|起《おこ》されたので、|彼《かれ》はついにルベンびとと、ガドびとと、マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》を|捕《とら》えて|行《い》き、ハウラとハボルとハラとゴザン|川《かわ》のほとりに|移《うつ》して|今日《こんにち》に|至《いた》っている。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子《こ》らはゲルション、コハテ、メラリ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アムラムの|子《こ》らはアロン、モーセ、ミリアム。アロンの|子《こ》らはナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エレアザルはピネハスを|生《う》み、ピネハスはアビシュアを|生《う》み、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アビシュアはブッキを|生《う》み、ブッキはウジを|生《う》み、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ウジはゼラヒヤを|生《う》み、ゼラヒヤはメラヨテを|生《う》み、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]メラヨテはアマリヤを|生《う》み、アマリヤはアヒトブを|生《う》み、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アヒトブはザドクを|生《う》み、ザドクはアヒマアズを|生《う》み、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アヒマアズはアザリヤを|生《う》み、アザリヤはヨナハンを|生《う》み、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨナハンはアザリヤを|生《う》んだ。このアザリヤはソロモンがエルサレムに|建《た》てた|宮《みや》で|祭司《さいし》の|務《つとめ》をした|者《もの》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アザリヤはアマリヤを|生《う》み、アマリヤはアヒトブを|生《う》み、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アヒトブはザトクを|生《う》み、ザトクはシャルムを|生《う》み、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]シャルムはヒルキヤを|生《う》み、ヒルキヤはアザリヤを|生《う》み、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アザリヤはセラヤを|生《う》み、セラヤはヨザダクを|生《う》んだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヨザダクは|主《しゅ》がネブカデネザルの|手《て》によってユダとエルサレムの|人《ひと》を|捕《とら》え|移《うつ》された|時《とき》に|捕《とら》えられて|行《い》った。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子《こ》らはゲルション、コハテおよびメラリ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションの|子《こ》らの|名《な》はリブニとシメイ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》らはマヘリとムシ。これらはレビびとのその|家筋《いえすじ》による|氏族《しぞく》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションの|子《こ》はリブニ、その|子《こ》はヤハテ、その|子《こ》はジンマ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はヨア、その|子《こ》はイド、その|子《こ》はゼラ、その|子《こ》はヤテライ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》はアミナダブ、その|子《こ》はコラ、その|子《こ》はアシル、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はエルカナ、その|子《こ》はエビアサフ、その|子《こ》はアシル、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はタハテ、その|子《こ》はウリエル、その|子《こ》はウジヤ、その|子《こ》はシャウル。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]エルカナの|子《こ》らはアマサイとアヒモテ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はエルカナ、その|子《こ》はゾパイ、その|子《こ》はナハテ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はエリアブ、その|子《こ》はエロハム、その|子《こ》はエルカナ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]サムエルの|子《こ》らは、|長子《ちょうし》はヨエル、|次《つぎ》はアビヤ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》はマヘリ、その|子《こ》はリブニ、その|子《こ》はシメイ、その|子《こ》はウザ、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はシメア、その|子《こ》はハギヤ、その|子《こ》はアサヤである。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|契約《けいやく》の|箱《はこ》を|安置《あんち》したのち、ダビデが|主《しゅ》の|宮《みや》で|歌《うた》をうたう|事《こと》をつかさどらせた|人々《ひとびと》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》で|歌《うた》をもって|仕《つか》えたが、ソロモンがエルサレムに|主《しゅ》の|宮《みや》を|建《た》ててからは、|一定《いってい》の|秩序《ちつじょ》に|従《したが》って|務《つとめ》を|行《おこな》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|務《つとめ》をしたもの、およびその|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。コハテびとの|子《こ》らのうちヘマンは|歌《うた》をうたう|者《もの》、ヘマンはヨエルの|子《こ》、ヨエルはサムエルの|子《こ》、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]サムエルはエルカナの|子《こ》、エルカナはエロハムの|子《こ》、エロハムはエリエルの|子《こ》、エリエルはトアの|子《こ》、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]トアはヅフの|子《こ》、ヅフはエルカナの|子《こ》、エルカナはマハテの|子《こ》、マハテはアマサイの|子《こ》、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アマサイはエルカナの|子《こ》、エルカナはヨエルの|子《こ》、ヨエルはアザリヤの|子《こ》、アザリヤはゼパニヤの|子《こ》、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ゼパニヤはタハテの|子《こ》、タハテはアシルの|子《こ》、アシルはエビアサフの|子《こ》、エビアサフはコラの|子《こ》、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]コラはイヅハルの|子《こ》、イヅハルはコハテの|子《こ》、コハテはレビの|子《こ》、レビはイスラエルの|子《こ》である。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ヘマンの|兄弟《きょうだい》アサフはヘマンの|右《みぎ》に|立《た》った。アサフはベレキヤの|子《こ》、ベレキヤはシメアの|子《こ》、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]シメアはミカエルの|子《こ》、ミカエルはバアセヤの|子《こ》、バアセヤはマルキヤの|子《こ》、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]マルキヤはエテニの|子《こ》、エテニはゼラの|子《こ》、ゼラはアダヤの|子《こ》、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]アダヤはエタンの|子《こ》、エタンはジンマの|子《こ》、ジンマはシメイの|子《こ》、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]シメイはヤハテの|子《こ》、ヤハテはゲルションの|子《こ》、ゲルションはレビの|子《こ》である。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》であるメラリの|子《こ》らが|左《ひだり》に|立《た》った。そのうちのエタンはキシの|子《こ》、キシはアブデの|子《こ》、アブデはマルクの|子《こ》、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]マルクはハシャビヤの|子《こ》、ハシャビヤはアマジヤの|子《こ》、アマジヤはヒルキヤの|子《こ》、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]ヒルキヤはアムジの|子《こ》、アムジはバニの|子《こ》、バニはセメルの|子《こ》、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]セメルはマヘリの|子《こ》、マヘリはムシの|子《こ》、ムシはメラリの|子《こ》、メラリはレビの|子《こ》である。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》であるレビびとたちは、|神《かみ》の|宮《みや》の|幕屋《まくや》のもろもろの|務《つとめ》に|任《にん》じられた。  [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]アロンとその|子《こ》らは|燔祭《はんさい》の|壇《だん》と|香《こう》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげることをなし、また|至聖所《しせいじょ》のすべてのわざをなし、かつイスラエルのためにあがないをなした。すべて|神《かみ》のしもべモーセの|命《めい》じたとおりである。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。アロンの|子《こ》はエレアザル、その|子《こ》はピネハス、その|子《こ》はアビシュア、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はブッキ、その|子《こ》はウジ、その|子《こ》はゼラヒヤ、[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はメラヨテ、その|子《こ》はアマリヤ、その|子《こ》はアヒトブ、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はザドク、その|子《こ》はアヒマアズである。  [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子孫《しそん》の|住《す》む|所《ところ》はその|境《さかい》のうちにある|宿営《しゅくえい》によっていえば|次《つぎ》のとおりである。まずコハテびとの|氏族《しぞく》がくじによって|得《え》たところ、[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らが|与《あた》えられたところは、ユダの|地《ち》にあるヘブロンとその|周囲《しゅうい》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》である。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|町《まち》の|田畑《たはた》とその|村々《むらむら》は、エフンネの|子《こ》カレブに|与《あた》えられた。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]そしてアロンの|子孫《しそん》に|与《あた》えられたものは、のがれの|町《まち》であるヘブロンおよびリブナとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ヤッテルおよびエシテモアとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]ヒレンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、デビルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]アシャンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ベテシメシとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》である。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]またベニヤミンの|部族《ぶぞく》のうちからはゲバとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、アレメテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、アナトテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》を|与《あた》えられた。|彼《かれ》らの|町《まち》は、すべてその|氏族《しぞく》のうちに十三あった。  [#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]またコハテの|子孫《しそん》の|残《のこ》りの|者《もの》は|部族《ぶぞく》の|氏族《しぞく》のうちからと、|半《はん》|部族《ぶぞく》すなわちマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のうちからくじによって|十《じゅう》の|町《まち》を|与《あた》えられた。[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]またゲルションの|子孫《しそん》はその|氏族《しぞく》によってイッサカルの|部族《ぶぞく》、アセルの|部族《ぶぞく》、ナフタリの|部族《ぶぞく》、およびバシャンのマナセの|部族《ぶぞく》のうちから十三の|町《まち》が|与《あた》えられた。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子孫《しそん》はその|氏族《しぞく》によってルベンの|部族《ぶぞく》、ガドの|部族《ぶぞく》、およびゼブルンの|部族《ぶぞく》のうちからくじによって十二の|町《まち》が|与《あた》えられた。[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]このようにイスラエルの|人々《ひとびと》はレビびとに|町々《まちまち》とその|放牧《ほうぼく》|地《ち》とを|与《あた》えた。[#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]すなわちユダの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》とシメオンの|部族《ぶぞく》の|子孫《しそん》と、ベニヤミンの|子孫《しそん》の|部族《ぶぞく》のうちからここに|名《な》をあげたこれらの|町《まち》をくじによって|与《あた》えた。  [#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子孫《しそん》の|氏族《しぞく》はまたエフライムの|部族《ぶぞく》のうちからも|町々《まちまち》を|獲《え》てその|領地《りょうち》とした。[#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らが|与《あた》えられた、のがれの|町《まち》はエフライムの|山地《さんち》にあるシケムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ゲゼルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]六八[#「六八」は行右小書き][#太字終わり]ヨクメアムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ベテホロンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]六九[#「六九」は行右小書き][#太字終わり]アヤロンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ガテリンモンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》である。[#太字]七〇[#「七〇」は行右小書き][#太字終わり]またマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のうちからは、アネルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》およびビレアムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》を、コハテの|子孫《しそん》の|氏族《しぞく》の|残《のこ》りのものに|与《あた》えた。  [#太字]七一[#「七一」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションの|子孫《しそん》に|与《あた》えられたものはマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のうちからはバシャンのゴランとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、アシタロテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》。[#太字]七二[#「七二」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|部族《ぶぞく》のうちからはケデシとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ダベラテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]七三[#「七三」は行右小書き][#太字終わり]ラモテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、アネムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》。[#太字]七四[#「七四」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|部族《ぶぞく》のうちからはマシャルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、アブドンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]七五[#「七五」は行右小書き][#太字終わり]ホコクとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、レホブとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》。[#太字]七六[#「七六」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|部族《ぶぞく》のうちからはガリラヤのケデシとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ハンモンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、キリアタイムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》である。[#太字]七七[#「七七」は行右小書き][#太字終わり]このほかのもの、すなわちメラリの|子孫《しそん》に|与《あた》えられたものはゼブルンの|部族《ぶぞく》のうちからリンモンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、タボルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]七八[#「七八」は行右小書き][#太字終わり]エリコに|近《ちか》いヨルダンのかなた、すなわちヨルダンの|東《ひがし》ではルベンの|部族《ぶぞく》のうちからは|荒野《あらの》のベゼルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ヤザとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]七九[#「七九」は行右小書き][#太字終わり]ケデモテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、メパアテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》。[#太字]八〇[#「八〇」は行右小書き][#太字終わり]ガドの|部族《ぶぞく》のうちからはギレアデのラモテとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、マハナイムとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、[#太字]八一[#「八一」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》、ヤゼルとその|放牧《ほうぼく》|地《ち》である。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|子《こ》らはトラ、プワ、ヤシュブ、シムロムの四|人《にん》。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]トラの|子《こ》らはウジ、レパヤ、エリエル、ヤマイ、エブサム、サムエル。これは|皆《みな》トラの|子《こ》で、その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である。その|子孫《しそん》の|大《だい》|勇士《ゆうし》たる|者《もの》はダビデの|世《よ》にはその|数《かず》二万二千六百|人《にん》であった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ウジの|子《こ》はイズラヒヤ、イズラヒヤの|子《こ》らはミカエル、オバデヤ、ヨエル、イシアの五|人《にん》で、みな|長《ちょう》たる|者《もの》であった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|子孫《しそん》のうちに、その|氏族《しぞく》に|従《したが》えば|軍勢《ぐんぜい》の|士卒《しそつ》三万六千|人《にん》あった。これは|彼《かれ》らが|妻子《さいし》を|多《おお》くもっていたからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルのすべての|氏族《しぞく》のうちの|兄弟《きょうだい》たちで|系図《けいず》によって|数《かぞ》えられた|大《だい》|勇士《ゆうし》は|合《あ》わせて八万七千|人《にん》あった。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子《こ》らはベラ、ベケル、エデアエルの三|人《にん》。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ベラの|子《こ》らはエヅボン、ウジ、ウジエル、エレモテ、イリの五|人《にん》で、|皆《みな》その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である。その|系図《けいず》によって|数《かぞ》えられた|大《だい》|勇士《ゆうし》は二万二千三十四|人《にん》あった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ベケルの|子《こ》らはゼミラ、ヨアシ、エリエゼル、エリオエナイ、オムリ、エレモテ、アビヤ、アナトテ、アラメテで|皆《みな》ベケルの|子《こ》らである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|子孫《しそん》のうち、その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》として|系図《けいず》によって|数《かぞ》えられた|大《だい》|勇士《ゆうし》は二万二百|人《にん》あった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エデアエルの|子《こ》はビルハン。ビルハンの|子《こ》らはエウシ、ベニヤミン、エホデ、ケナアナ、ゼタン、タルシシ、アヒシャハル。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|皆《みな》エデアエルの|子《こ》らで|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であった。その|子孫《しそん》のうちには、いくさに|出《で》てよく|戦《たたか》う|大《だい》|勇士《ゆうし》が一万七千二百|人《にん》あった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またイルの|子《こ》らはシュパムとホパム。アヘルの|子《こ》はホシムである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|子《こ》らはヤハジエル、グニ、エゼル、シャルムで|皆《みな》ビルハの|産《う》んだ|子《こ》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|子《こ》らはそのそばめであるスリヤの|女《おんな》の|産《う》んだアスリエル。|彼女《かのじょ》はまたギレアデの|父《ちち》マキルを|産《う》んだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]マキルはホパムとシュパムの|妹《いもうと》マアカという|者《もの》を|妻《つま》にめとった。二|番目《ばんめ》の|子《こ》はゼロペハデという。ゼロペハデには|女《おんな》の|子《こ》だけがあった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]マキルの|妻《つま》マアカは|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んで|名《な》をペレシと|名《な》づけた。その|弟《おとうと》の|名《な》はシャレシ。シャレシの|子《こ》らはウラムとラケムである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ウラムの|子《こ》はベダン。これらはマナセの|子《こ》マキルの|子《こ》であるギレアデの|子《こ》らである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|妹《いもうと》ハンモレケテはイシホデ、アビエゼル、マヘラを|産《う》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]セミダの|子《こ》らはアヒアン、シケム、リキ、アニアムである。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|子《こ》はシュテラ、その|子《こ》はベレデ、その|子《こ》はタハテ、その|子《こ》はエラダ、その|子《こ》はタハテ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はザバデ、その|子《こ》はシュテラである。エゼルとエレアデはガテの|土人《どじん》らに|殺《ころ》された。これは|彼《かれ》らが|下《くだ》って|行《い》ってその|家畜《かちく》を|奪《うば》おうとしたからである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》エフライムが|日《ひ》|久《ひさ》しくこのために|悲《かな》しんだので、その|兄弟《きょうだい》たちが|来《き》て|彼《かれ》を|慰《なぐさ》めた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そののち、エフライムは|妻《つま》のところにはいった。|妻《つま》ははらんで|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》み、その|名《な》をベリアと|名《な》づけた。その|家《いえ》に|災《わざわい》があったからである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|娘《むすめ》セラは|上《うえ》と|下《した》のベテホロンおよびウゼン・セラを|建《た》てた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ベリアの|子《こ》はレパ、その|子《こ》はレセフ、その|子《こ》はテラ、その|子《こ》はタハン、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はラダン、その|子《こ》はアミホデ、その|子《こ》はエリシャマ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》はヌン、その|子《こ》はヨシュア。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|子孫《しそん》の|領地《りょうち》と|住所《じゅうしょ》はベテルとその|村々《むらむら》、また|東《ひがし》の|方《ほう》ではナアラン、|西《にし》の|方《ほう》ではゲゼルとその|村々《むらむら》、またシケムとその|村々《むらむら》、アワとその|村々《むらむら》。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またマナセの|子孫《しそん》の|国境《こっきょう》に|沿《そ》って、ベテシャンとその|村々《むらむら》、タアナクとその|村々《むらむら》、メギドンとその|村々《むらむら》、ドルとその|村々《むらむら》で、イスラエルの|子《こ》ヨセフの|子孫《しそん》はこれらの|所《ところ》に|住《す》んだ。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|子《こ》らはイムナ、イシワ、エスイ、ベリアおよびその|姉妹《しまい》セラ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ベリアの|子《こ》らはヘベルとマルキエル。マルキエルはビルザヒテの|父《ちち》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ヘベルはヤフレテ、ショメル、ホタムおよびその|姉妹《しまい》シュアを|生《う》んだ。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ヤフレテの|子《こ》らはパサク、ビムハル、アシワテ。これらはヤレフテの|子《こ》らである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|兄弟《きょうだい》ショメルの|子《こ》らはロガ、ホバおよびアラム。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ショメルの|兄弟《きょうだい》ヘレムの|子《こ》らはゾパ、イムナ、シレシ、アマル。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ゾパの|子《こ》らはスア、ハルネペル、シュアル、ベリ、イムラ、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ベゼル、ホド、シャンマ、シルシャ、イテラン、ベエラ。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]エテルの|子《こ》らはエフンネ、ピスパおよびアラ。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ウラの|子《こ》らはアラ、ハニエル、およびリヂア。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]これらは|皆《みな》アセルの|子孫《しそん》であって、その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》、えりぬきの|大《だい》|勇士《ゆうし》、つかさたちのかしらであった。その|系図《けいず》によって|数《かぞ》えられた|者《もの》で、いくさに|出《で》てよく|戦《たたか》う|者《もの》の|数《かず》は二万六千|人《にん》であった。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|生《う》んだ|者《もの》は|長子《ちょうし》はベラ、その|次《つぎ》はアシベル、|第《だい》三はアハラ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四はノハ、|第《だい》五はラパ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ベラの|子《こ》らはアダル、ゲラ、アビウデ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]アビシュア、ナアマン、アホア、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ゲラ、シフパム、ヒラム。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エホデの|子《こ》らは|次《つぎ》のとおりである。(これらはゲバの|住民《じゅうみん》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であって、マナハテに|捕《とら》え|移《うつ》されたものである。)[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちナアマン、アヒヤ、ゲラすなわちヘグラム。ゲラはウザとアヒフデの|父《ちち》であった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]シャハライムは|妻《つま》ホシムとバアラを|離別《りべつ》してのち、モアブの|国《くに》で|子《こ》らをもうけた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|妻《つま》ホデシによってもうけた|子《こ》らはヨバブ、ヂビア、メシャ、マルカム、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エウヅ、シャキヤ、ミルマ。これらはその|子《こ》らであって|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたホシムによってアビトブとエルパアルをもうけた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エルパアルの|子《こ》らはエベル、ミシャムおよびセメド。|彼《かれ》はオノとロドとその|村々《むらむら》を|建《た》てた|者《もの》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またベリアとシマがあった。(これはアヤロンの|住民《じゅうみん》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であって、ガテの|住民《じゅうみん》を|追《お》い|払《はら》ったものである。)[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またアヒオ、シャシャク、エレモテ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ゼバデヤ、アラデ、アデル、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ミカエル、イシパおよびヨハはベリアの|子《こ》らであった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ゼバデヤ、メシュラム、ヘゼキ、ヘベル、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イシメライ、エズリアおよびヨバブはエルパアルの|子《こ》らであった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヤキン、ジクリ、ザベデ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エリエナイ、チルタイ、エリエル、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アダヤ、ベラヤおよびシムラテはシマの|子《こ》らであった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イシパン、ヘベル、エリエル、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アブドン、ジクリ、ハナン、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ハナニヤ、エラム、アントテヤ、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]イペデヤおよびペヌエルはシャシャクの|子《こ》らであった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]シャムセライ、シハリア、アタリヤ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヤレシャ、エリヤおよびジクリはエロハムの|子《こ》らであった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これらは|歴代《れきだい》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であり、またかしらであって、エルサレムに|住《す》んだ。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ギベオンの|父《ちち》エイエルはギベオンに|住《す》み、その|妻《つま》の|名《な》はマアカといった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|長子《ちょうし》はアブドンで、|次《つぎ》はツル、キシ、バアル、ナダブ、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ゲドル、アヒオ、ザケル、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]およびミクロテ。ミクロテはシメアを|生《う》んだ。これらもまた|兄弟《きょうだい》たちと|向《む》かいあってエルサレムに|住《す》んだ。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ネルはキシを|生《う》み、キシはサウルを|生《う》み、サウルはヨナタン、マルキシュア、アビナダブ、エシバアルを|生《う》んだ。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンの|子《こ》はメリバアルで、メリバアルはミカエルを|生《う》んだ。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ミカの|子《こ》らはピトン、メレク、タレア、アハズである。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アハズはエホアダを|生《う》み、エホアダはアレメテ、アズマウテ、ジムリを|生《う》み、ジムリはモザを|生《う》み、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]モザはビネアを|生《う》んだ。ビネアの|子《こ》はラパ、ラパの|子《こ》はエレアサ、エレアサの|子《こ》はアゼルである。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]アゼルには六|人《にん》の|子《こ》があり、その|名《な》はアズリカム、ボケル、イシマエル、シャリヤ、オバデヤ、ハナンで、|皆《みな》アゼルの|子《こ》である。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]その|兄弟《きょうだい》エセクの|子《こ》らは、|長子《ちょうし》はウラム、|次《つぎ》はエウシ、|第《だい》三はエリペレテである。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ウラムの|子《こ》らは|大《だい》|勇士《ゆうし》で、よく|弓《ゆみ》を|射《い》る|者《もの》であった。|彼《かれ》は|多《おお》くの|子《こ》と|孫《まご》をもち、百五十|人《にん》もあった。これらは|皆《みな》ベニヤミンの|子孫《しそん》である。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]このようにすべてのイスラエルびとは|系図《けいず》によって|数《かぞ》えられた。これらはイスラエルの|列王紀《れつおうき》にしるされている。ユダはその|不信《ふしん》のゆえにバビロンに|捕囚《ほしゅう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|領地《りょうち》の|町々《まちまち》に|最初《さいしょ》に|住《す》んだものはイスラエルびと、|祭司《さいし》、レビびとおよび|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またエルサレムにはユダの|子孫《しそん》、ベニヤミンの|子孫《しそん》およびエフライムとマナセの|子孫《しそん》が|住《す》んでいた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちユダの|子《こ》ペレヅの|子孫《しそん》のうちではアミホデの|子《こ》ウタイ。アミホデはオムリの|子《こ》、オムリはイムリの|子《こ》、イムリはバニの|子《こ》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]シロびとのうちでは|長子《ちょうし》アサヤとそのほかの|子《こ》たち。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ゼラの|子孫《しそん》のうちではユエルとその|兄弟《きょうだい》六百九十|人《にん》。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子孫《しそん》のうちではハセヌアの|子《こ》ホダビヤの|子《こ》であるメシュラムの|子《こ》サル、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エロハムの|子《こ》イブニヤ、ミクリの|子《こ》であるウジの|子《こ》エラおよびイブニヤの|子《こ》リウエルの|子《こ》であるシパテヤの|子《こ》メシュラム、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ならびに|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》たちで、その|系図《けいず》によれば|合《あ》わせて九百五十六|人《にん》。これらの|人々《ひとびと》は|皆《みな》その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》のうちではエダヤ、ヨアリブ、ヤキン、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]およびヒルキヤの|子《こ》アザリヤ、ヒルキヤはメシュラムの|子《こ》、メシュラムはザドクの|子《こ》、ザドクはメラヨテの|子《こ》、メラヨテはアヒトブの|子《こ》である。アザリヤは|神《かみ》の|宮《みや》のつかさである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またエロハムの|子《こ》アダヤ、エロハムはパシュルの|子《こ》、パシュルはマルキヤの|子《こ》である。またアデエルの|子《こ》はマアセヤ、アデエルはヤゼラの|子《こ》、ヤゼラはメシュラムの|子《こ》、メシュラムはメシレモテの|子《こ》、メシレモテはインメルの|子《こ》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そのほかに|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》たちもあった。これらはその|氏族《しぞく》の|長《ちょう》で、|合《あ》わせて一千七百六十|人《にん》、みな|神《かみ》の|宮《みや》の|務《つとめ》をするのに、はなはだ|力《ちから》のある|人々《ひとびと》であった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]レビびとのうちではハシュブの|子《こ》シマヤ、ハシュブはアズリカムの|子《こ》、アズリカムはハシャビヤの|子《こ》で、これらはメラリの|子孫《しそん》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またバクバッカル、ヘレシ、ガラル、およびアサフの|子《こ》ジクリの|子《こ》であるミカの|子《こ》マッタニヤ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ならびにエドトンの|子《こ》ガラルの|子《こ》であるシマヤの|子《こ》オバデヤおよびエルカナの|子《こ》であるアサの|子《こ》ベレキヤ、エルカナはネトパびとの|村里《むらざと》に|住《す》んだ|者《もの》である。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》を|守《まも》るものはシャルム、アックブ、タルモン、アヒマンおよびその|兄弟《きょうだい》たちで、シャルムはその|長《ちょう》であった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|今日《こんにち》まで|東《ひがし》の|方《ほう》にある|王《おう》の|門《もん》を|守《まも》っている。これらはレビの|子孫《しそん》で営の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]コラの|子《こ》エビヤサフの|子《こ》であるコレの|子《こ》シャルムおよびその|氏族《しぞく》の|兄弟《きょうだい》たちなどのコラびとは|幕屋《まくや》のもろもろの|門《もん》を|守《まも》る|務《つとめ》をつかさどった。その|先祖《せんぞ》たちは|主《しゅ》の|営《えい》をつかさどり、その|入口《いりぐち》を|守《まも》る|者《もの》であった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エレアザルの|子《こ》ピネハスが、むかし|彼《かれ》らのつかさであった。|主《しゅ》は|彼《かれ》とともにおられた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]メシレミヤの|子《こ》ゼカリヤは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》であった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これらは|皆《みな》|選《えら》ばれて|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》で、|合《あ》わせて二百十二|人《にん》あった。|彼《かれ》らはその|村々《むらむら》で|系図《けいず》によって|数《かぞ》えられた|者《もの》で、ダビデと|先見者《せんけんしゃ》サムエルが|彼《かれ》らを|職《しょく》に|任《にん》じたのである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らとその|子孫《しそん》は|監守《かんしゅ》|人《にん》として、|主《しゅ》の|家《いえ》である|幕屋《まくや》の|家《いえ》の|門《もん》をつかさどった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》は|東西《とうざい》|南北《なんぼく》の|四方《しほう》にいた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またその|村々《むらむら》にいる|兄弟《きょうだい》たちは|七日《なぬか》ごとに|代《かわ》り、|来《き》て|彼《かれ》らを|助《たす》けた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》の|長《ちょう》である四|人《にん》のレビびとは|神《かみ》の|家《いえ》のもろもろの|室《しつ》と|宝《たから》とをつかさどった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》の|家《いえ》を|守《まも》る|身《み》であるから、そのまわりに|宿《やど》った。そして|朝《あさ》ごとにこれを|開《ひら》くことをした。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そのうちに|務《つとめ》の|器《うつわ》をつかさどる|者《もの》があった。|彼《かれ》らはその|数《かず》を|調《しら》べて|携《たずさ》え|入《はい》り、またその|数《かず》を|調《しら》べて|携《たずさ》え|出《だ》した。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またそのほかの|品《ひん》、すべての|聖《せい》なる|器《うつわ》および|麦粉《むぎこ》、ぶどう|酒《しゅ》、|油《あぶら》、|乳香《にゅうこう》、|香料《こうりょう》をつかさどる|者《もの》があった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》のともがらのうちに|香料《こうりょう》を|混《ま》ぜる|者《もの》があった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]コラびとシャルムの|長子《ちょうし》でレビびとのひとりであるマタテヤはせんべいを|造《つく》る|勤《つと》めをつかさどった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]またコハテびとの|子孫《しそん》であるその|兄弟《きょうだい》たちのうちに|供《そな》えのパンをつかさどって、|安息日《あんそくにち》ごとにこれを|整《ととの》える|者《もの》どもがあった。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]レビびとの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であるこれらの|者《もの》は|歌《うた》うたう|者《もの》であって、|宮《みや》のもろもろの|室《しつ》に|住《す》み、ほかの|務《つとめ》はしなかった。|彼《かれ》らは|日夜《にちや》|自分《じぶん》の|務《つとめ》に|従《したが》ったからである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]これらはレビびとの|歴代《れきだい》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であって、かしらたる|人々《ひとびと》であった。|彼《かれ》らはエルサレムに|住《す》んだ。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ギベオンの|父《ちち》エヒエルはギベオンに|住《す》んでいた。その|妻《つま》の|名《な》はマアカといった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|長子《ちょうし》はアブドン、|次《つぎ》はツル、キシ、バアル、ネル、ナダブ、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ゲドル、アヒオ、ゼカリヤ、ミクロテである。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ミクロテはシメアムを|生《う》んだ。|彼《かれ》らもその|兄弟《きょうだい》たちとともにエルサレムに|住《す》んで、その|兄弟《きょうだい》たちと|向《む》かいあっていた。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ネルはキシを|生《う》み、キシはサウルを|生《う》み、サウルはヨナタン、マルキシュア、アビナダブ、エシバアルを|生《う》んだ。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨナタンの|子《こ》はメリバアルで、メリバアルはミカを|生《う》んだ。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]ミカの|子《こ》らはピトン、メレク、タレアおよびアハズである。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]アハズはヤラを|生《う》み、ヤラはアレメテ、アズマウテおよびジムリを|生《う》み、ジムリはモザを|生《う》み、[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]モザはビネアを|生《う》んだ。ビネアの|子《こ》はレパヤ、その|子《こ》はエレアサ、その|子《こ》はアゼルである。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]アゼルに六|人《にん》の|男《おとこ》の|子《こ》があった。その|名《な》はアズリカム、ボケル、イシマエル、シャリヤ、オバデヤ、ハナン。これらはみなアゼルの|子《こ》らであった。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとはイスラエルと|戦《たたか》ったが、イスラエルの|人々《ひとびと》がペリシテびとの|前《まえ》から|逃《に》げ、ギルボア|山《やま》で|殺《ころ》されて|倒《たお》れたので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはサウルとその|子《こ》たちのあとを|追《お》い、サウルの|子《こ》ヨナタン、アビナダブおよびマルキシュアを|殺《ころ》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|戦《たたか》いは|激《はげ》しくサウルにおし|迫《せま》り、|射手《いて》の|者《もの》どもがついにサウルを|見《み》つけたので、|彼《かれ》は|射手《て》の|者《もの》どもに|傷《きず》を|負《お》わされた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでサウルはその|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》に|言《い》った、「つるぎを|抜《ぬ》き、それをもってわたしを|刺《さ》せ。さもないと、これらの|割礼《かつれい》なき|者《もの》が|来《き》て、わたしをはずかしめるであろう」。しかしその|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》がいたく|恐《おそ》れて|聞《き》きいれなかったので、サウルはつるぎをとってその|上《うえ》に|伏《ふ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|武器《ぶき》を|執《と》る|者《もの》はサウルの|死《し》んだのを|見《み》て、|自分《じぶん》もまたつるぎの|上《うえ》に|伏《ふ》して|死《し》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサウルと三|人《にん》の|子《こ》らおよびその|家族《かぞく》は|皆《みな》ともに|死《し》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|谷《たに》にいたイスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》|彼《かれ》らの|逃《に》げるのを|見《み》、またサウルとその|子《こ》らの|死《し》んだのを|見《み》て、|町々《まちまち》をすてて|逃《に》げたので、ペリシテびとが|来《き》てそのうちに|住《す》んだ。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あくる|日《ひ》ペリシテびとは|殺《ころ》された|者《もの》から、はぎ|取《と》るために|来《き》て、サウルとその|子《こ》らのギルボア|山《やま》に|倒《たお》れているのを|見《み》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]サウルをはいでその|首《くび》と、よろいかぶとを|取《と》り、ペリシテびとの|国《くに》の|四方《しほう》に|人《ひと》をつかわして、この|良《よ》き|知《し》らせをその|偶像《ぐうぞう》と|民《たみ》に|告《つ》げさせた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてサウルのよろいかぶとを|彼《かれ》らの|神《かみ》の|家《いえ》に|置《お》き、|首《くび》をダゴンの|神殿《しんでん》にくぎづけにした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしヤベシ・ギレアデの|人々《ひとびと》は|皆《みな》ペリシテびとがサウルにしたことを|聞《き》いたので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|勇士《ゆうし》たちが|皆《みな》|立《た》ち|上《あ》がり、サウルのからだとその|子《こ》らのからだをとって、これをヤベシに|持《も》って|来《き》て、ヤベシのかしの|木《き》の|下《した》にその|骨《ほね》を|葬《ほうむ》り、|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|断食《だんじき》した。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてサウルは|主《しゅ》にむかって|犯《おか》した|罪《つみ》のために|死《し》んだ。すなわち|彼《かれ》は|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|守《まも》らず、また|口寄《くちよ》せに|問《と》うことをして、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|問《と》うことをしなかった。それで|主《しゅ》は|彼《かれ》を|殺《ころ》し、その|国《くに》を|移《うつ》してエッサイの|子《こ》ダビデに|与《あた》えられた。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ここにイスラエルの|人《ひと》は|皆《みな》ヘブロンにいるダビデのもとに|集《あつ》まって|来《き》て|言《い》った、「われわれは、あなたの|骨肉《こつにく》です。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|先《さき》にサウルが|王《おう》であった|時《とき》にも、あなたはイスラエルを|率《ひき》いて|出入《でい》りされました。そしてあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたに『あなたはわが|民《たみ》イスラエルを|牧《ぼく》する|者《もの》となり、わが|民《たみ》イスラエルの|君《きみ》となるであろう』と|言《い》われました」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]このようにイスラエルの|長老《ちょうろう》が|皆《みな》ヘブロンにいる|王《おう》のもとに|来《き》たので、ダビデはヘブロンで|主《しゅ》の|前《まえ》に|彼《かれ》らと|契約《けいやく》を|結《むす》んだ。そして|彼《かれ》らは、サムエルによって|語《かた》られた|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|従《したが》ってダビデに|油《あぶら》を|注《そそ》ぎ、イスラエルの|王《おう》とした。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデとすべてのイスラエルはエルサレムへ|行《い》った。エルサレムはすなわちエブスであって、そこにはその|地《ち》の|住民《じゅうみん》であるエブスびとがいた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エブスの|住民《じゅうみん》はダビデに|言《い》った、「あなたはここにはいってはならない」。しかし、ダビデはシオンの|要害《ようがい》を|取《と》った。これがすなわちダビデの|町《まち》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》ダビデは|言《い》った、「だれでも|第《だい》一にエブスびとを|撃《う》つ|者《もの》を、かしらとし、|将《しょう》とする」。ゼルヤの|子《こ》ヨアブが|第《だい》一にのぼっていったので、かしらとなった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデがその|要害《ようがい》に|住《す》んだので|人々《ひとびと》はこれをダビデの|町《まち》と|名《な》づけた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたその|町《まち》の|周囲《しゅうい》すなわちミロから|四方《しほう》に|石《いし》がきを|築《きず》き、ヨアブは|町《まち》のほかの|部分《ぶぶん》を|繕《つくろ》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはますます|大《おお》いなる|者《もの》となった。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が|彼《かれ》とともにおられたからである。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|勇士《ゆうし》のおもなものは|次《つぎ》のとおりである。|彼《かれ》らはイスラエルのすべての|人《ひと》とともにダビデに|力《ちから》をそえて|国《くに》を|得《え》させ、|主《しゅ》がイスラエルについて|言《い》われた|言葉《ことば》にしたがって、|彼《かれ》を|王《おう》とした|人々《ひとびと》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|勇士《ゆうし》の|数《かず》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち三|人《にん》の|長《ちょう》であるハクモニびとの|子《こ》ヤショベアム、|彼《かれ》はやりをふるって三百|人《にん》に|向《む》かい、一|度《ど》にこれを|殺《ころ》した|者《もの》である。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|次《つぎ》はアホアびとドドの|子《こ》エレアザルで、三|勇士《ゆうし》のひとりである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はダビデとともにパスダミムにいたが、ペリシテびとがそこに|集《あつ》まって|来《き》て|戦《たたか》った。そこに|一面《いちめん》に|大麦《おおむぎ》のはえた|地所《じしょ》があった。|民《たみ》はペリシテびとの|前《まえ》から|逃《に》げた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》は|地所《じしょ》の|中《なか》に|立《た》ってこれを|防《ふせ》ぎ、ペリシテびとを|殺《ころ》した。そして|主《しゅ》は|大《おお》いなる|勝利《しょうり》を|与《あた》えて|彼《かれ》らを|救《すく》われた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]三十|人《にん》の|長《ちょう》たちのうちの三|人《にん》は|下《くだ》っていってアドラムのほらあなの|岩《いわ》の|所《ところ》にいるダビデのもとへ|行《い》った。|時《とき》にペリシテびとの|軍勢《ぐんぜい》はレパイムの|谷《たに》に|陣《じん》を|取《と》っていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ダビデは|要害《ようがい》におり、ペリシテびとの|先陣《せんじん》はベツレヘムにあったが、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはせつに|望《のぞ》んで、「だれかベツレヘムの|門《もん》のかたわらにある|井戸《いど》の|水《みず》をわたしに|飲《の》ませてくれるとよいのだが」と|言《い》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでその三|人《にん》はペリシテびとの|陣《じん》を|突《つ》き|通《とお》って、ベツレヘムの|門《もん》のかたわらにある|井戸《いど》の|水《みず》をくみ|取《と》って、ダビデのもとに|携《たずさ》えて|来《き》た。しかしダビデはそれを|飲《の》もうとはせず、それを|主《しゅ》の|前《まえ》に|注《そそ》いで、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「わが|神《かみ》よ、わたしは|断《だん》じてこれをいたしません。|命《いのち》をかけて|行《い》ったこの|人《ひと》たちの|血《ち》をどうしてわたしは|飲《の》むことができましょう。|彼《かれ》らは|命《いのち》をかけてこの|水《みず》をとって|来《き》たのです」。それゆえ、ダビデはこの|水《みず》を|飲《の》もうとはしなかった。三|勇士《ゆうし》はこのことをおこなった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブの|兄弟《きょうだい》アビシャイは三十|人《にん》の|長《ちょう》であった。|彼《かれ》はやりをふるって三百|人《にん》に|立《た》ち|向《む》かい、これを|殺《ころ》して三|人《にん》のほかに|名《な》を|得《え》た。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は三十|人《にん》のうち、|最《もっと》も|尊《たっと》ばれた|者《もの》で、|彼《かれ》らのかしらとなった。しかし、かの三|人《にん》には|及《およ》ばなかった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤは、カブジエル|出身《しゅっしん》の|勇士《ゆうし》であって、|多《おお》くのてがらを|立《た》てた。|彼《かれ》はモアブのアリエルのふたりの|子《こ》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。|彼《かれ》はまた|雪《ゆき》の|日《ひ》に|下《くだ》っていって、|穴《あな》の|中《なか》でししを|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|身《み》のたけ五キュビトばかりのエジプトびとを|撃《う》ち|殺《ころ》した。そのエジプトびとは|手《て》に|機《はた》の|巻棒《まきぼう》ほどのやりを|持《も》っていたが、ベナヤはつえをとって|彼《かれ》の|所《ところ》へ|下《くだ》って|行《い》き、エジプトびとの|手《て》から、やりをもぎとり、そのやりをもって|彼《かれ》を|殺《ころ》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤは、これらの|事《こと》を|行《い》って三|勇士《ゆうし》のほかに|名《な》を|得《え》た。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は三十|人《にん》のうちに|有名《ゆうめい》であったが、かの三|人《にん》には|及《およ》ばなかった。ダビデは|彼《かれ》を|侍衛《じえい》の|長《ちょう》とした。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|軍団《ぐんだん》のうちの|勇士《ゆうし》はヨアブの|兄弟《きょうだい》アサヘル。ベツレヘム|出身《しゅっしん》のドドの|子《こ》エルハナン。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ハロデ|出身《しゅっしん》のシャンマ。ペロンびとヘレヅ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]テコア|出身《しゅっしん》のイッケシの|子《こ》イラ。アナトテ|出身《しゅっしん》のアビエゼル。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ホシャテびとシベカイ。アホアびとイライ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ネトパ|出身《しゅっしん》のマハライ。ネトパ|出身《しゅっしん》のバアナの|子《こ》ヘレデ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンびとのギベアから|出《で》たリバイの|子《こ》イタイ。ピラトンのベナヤ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ガアシの|谷《たに》のホライ。アルバテびとアビエル。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]バハルム|出身《しゅっしん》のアズマウテ。シャルボン|出身《しゅっしん》のエリヤバ。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ギゾンびとハセム。ハラルびとシャゲの|子《こ》ヨナタン。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ハラルびとサカルの|子《こ》アヒアム。ウルの|子《こ》エリパル。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]メケラテびとヘペル。ペロンびとアヒヤ。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]カルメル|出身《しゅっしん》のヘズロ。エズバイの|子《こ》ナアライ。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ナタンの|兄弟《きょうだい》ヨエル。ハグリの|子《こ》ミブハル。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]アンモンびとゼレク。ゼルヤの|子《こ》ヨアブの|武器《ぶき》を|執《と》るもの、ベエロテ|出身《しゅっしん》のナハライ。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]イテルびとイラ。イテルびとガレブ。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]ヘテびとウリヤ。アハライの|子《こ》ザバデ。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ルベンびとシザの|子《こ》アデナ。|彼《かれ》はルベンびとの|長《ちょう》であって、三十|人《にん》を|率《ひき》いた。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]またマアカの|子《こ》ハナン。ミテニびとヨシャパテ。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]アシテラテびとウジヤ。アロエルびとホタムの|子《こ》らシャマとエイエル。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]テジびとシムリの|子《こ》エデアエルおよびその|兄弟《きょうだい》ヨハ。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]マハブびとエリエル。エルナアムの|子《こ》らエリバイおよびヨシャビヤ。モアブびとイテマ。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]エリエル、オベデおよびメゾバびとヤシエルである。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがキシの|子《こ》サウルにしりぞけられて、なおチクラグにいた|時《とき》、|次《つぎ》の|人々《ひとびと》が|彼《かれ》のもとに|来《き》た。|彼《かれ》らはダビデを|助《たす》けて|戦《たたか》った|勇士《ゆうし》たちのうちにあり、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|弓《ゆみ》をよくする|者《もの》、|左右《さゆう》いずれの|手《て》をもってもよく|矢《や》を|射《い》、|石《いし》を|投《な》げる|者《もの》で、ともにベニヤミンびとで、サウルの|同族《どうぞく》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのかしらはアヒエゼル、|次《つぎ》はヨアシで、ともにギベア|出身《しゅっしん》のシマアの|子《こ》たちである。またエジエルとペレテで、ともにアズマウテの|子《こ》たちである。またベラカおよびアナトテ|出身《しゅっしん》のエヒウ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またギベオン|出身《しゅっしん》のイシマヤ、|彼《かれ》は三十|人《にん》のうちの|勇士《ゆうし》で、その三十|人《にん》の|長《ちょう》である。またエレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ|出身《しゅっしん》のヨザバデ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エルザイ、エリモテ、ベアリヤ、シマリヤ、ハリフびとシパテヤ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エルカナ、イシア、アザリエル、ヨエゼル、ヤショベアムで、これらはコラびとである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またゲドルのエロハムの|子《こ》たちであるヨエラおよびゼバデヤである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ガドびとのうちから|荒野《あらの》の|要害《ようがい》に|来《き》て、ダビデについた|者《もの》は|皆《みな》|勇士《ゆうし》で、よく|戦《たたか》う|軍人《ぐんじん》、よく|盾《たて》とやりをつかう|者《もの》、その|顔《かお》はししの|顔《かお》のようで、その|速《はや》いことは|山《やま》にいるしかのようであった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのかしらはエゼル、|次《つぎ》はオバデヤ、|第《だい》三はエリアブ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四はミシマンナ、|第《だい》五はエレミヤ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六はアッタイ、|第《だい》七はエリエル、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》八はヨナハン、|第《だい》九はエルザバデ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十はエレミヤ、|第《だい》十一はマクバナイである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これらはガドの|子孫《しそん》で|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たる|者《もの》、その|最《もっと》も|小《ちい》さい|者《もの》でも百|人《にん》に|当《あた》り、その|最《もっと》も|大《おお》いなる|者《もの》は千|人《にん》に|当《あた》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|正月《しょうがつ》、ヨルダンがその|全《ぜん》|岸《きし》にあふれたとき、|彼《かれ》らはこれを|渡《わた》って、|谷々《たにだに》にいる|者《もの》をことごとく|東《ひがし》に|西《にし》に|逃《に》げ|走《はし》らせた。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンとユダの|子孫《しそん》のうちの|人々《ひとびと》が|要害《ようがい》に|来《き》て、ダビデについた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|出《で》て|彼《かれ》らを|迎《むか》えて|言《い》った、「あなたがたが|好意《こうい》をもって、わたしを|助《たす》けるために|来《き》たのならば、わたしの|心《こころ》もあなたがたと、ひとつになりましょう。しかし、わたしの|手《て》になんの|悪事《あくじ》もないのに、もしあなたがたが、わたしを|欺《あざむ》いて、|敵《てき》に|渡《わた》すためであるならば、われわれの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》がどうぞみそなわして、あなたがたを|責《せ》められますように」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|霊《れい》が三十|人《にん》の|長《ちょう》アマサイに|臨《のぞ》み、アマサイは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「ダビデよ、われわれはあなたのもの。 エッサイの|子《こ》よ、われわれはあなたと|共《とも》にある。 |平安《へいあん》あれ、あなたに|平安《へいあん》あれ。 あなたを|助《たす》ける|者《もの》に|平安《へいあん》あれ。 あなたの|神《かみ》があなたを|助《たす》けられる」。 [#ここで字下げ終わり] そこでダビデは|彼《かれ》らを|受《う》けいれて|部隊《ぶたい》の|長《ちょう》とした。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]さきにダビデがペリシテびとと|共《とも》にサウルと|戦《たたか》おうと|攻《せ》めて|来《き》たとき、マナセびと|数人《すうにん》がダビデについた。(ただしダビデはついにペリシテびとを|助《たす》けなかった。それはペリシテびとの|君《きみ》たちが|相《あい》はかって、「|彼《かれ》はわれわれの|首《くび》をとって、その|主君《しゅくん》サウルのもとに|帰《かえ》るであろう」と|言《い》って、|彼《かれ》を|去《さ》らせたからである。)[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがチクラグへ|行《い》ったとき、マナセびとアデナ、ヨザバデ、エデアエル、ミカエル、ヨザバデ、エリウ、ヂルタイが|彼《かれ》についた。|皆《みな》マナセびとの千|人《にん》の|長《ちょう》であった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはダビデを|助《たす》けて|敵《てき》|軍《ぐん》に|当《あた》った。|彼《かれ》らは|皆《みな》|大《だい》|勇士《ゆうし》で|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》であった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデを|助《たす》ける|者《もの》が|日《ひ》に|日《ひ》に|加《くわ》わって、ついに|大軍《たいぐん》となり、|神《かみ》の|軍勢《ぐんぜい》のようになった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|従《したが》い、サウルの|国《くに》をダビデに|与《あた》えようとして、ヘブロンにいるダビデのもとに|来《き》た|武装《ぶそう》した|軍隊《ぐんたい》の|数《かず》は、|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|子孫《しそん》で|盾《たて》とやりをとり、|武装《ぶそう》した|者《もの》六千八百|人《にん》、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|子孫《しそん》で、よく|戦《たたか》う|勇士《ゆうし》七千百|人《にん》、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子孫《しそん》からは四千六百|人《にん》。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダはアロンの|家《いえ》のつかさで、|彼《かれ》に|属《ぞく》する|者《もの》は三千七百|人《にん》。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ザドクは|年《ねん》|若《わか》い|勇士《ゆうし》で、|彼《かれ》の|氏族《しぞく》から|出《で》た|将軍《しょうぐん》は二十二|人《にん》。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]サウルの|同族《どうぞく》、ベニヤミンの|子孫《しそん》からは三千|人《にん》、ベニヤミンびとの|多《おお》くはなおサウルの|家《いえ》に|忠義《ちゅうぎ》をつくしていた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|子孫《しそん》からは二万八百|人《にん》、|皆《みな》|勇士《ゆうし》で、その|氏族《しぞく》の|名《な》ある|人々《ひとびと》であった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》からは一万八千|人《にん》、|皆《みな》ダビデを|王《おう》に|立《た》てようとして|上《のぼ》って|来《き》て、|名《な》をつらねた|者《もの》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|子孫《しそん》からはよく|時勢《じせい》に|通《つう》じ、イスラエルのなすべきことをわきまえた|人々《ひとびと》が|来《き》た。その|長《ちょう》たる|者《もの》が二百|人《にん》あって、その|兄弟《きょうだい》たちは|皆《みな》その|指揮《しき》に|従《したが》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンからは五万|人《にん》、|皆《みな》|訓練《くんれん》を|経《へ》た|軍隊《ぐんたい》で、もろもろの|武具《ぶぐ》で|身《み》をよろい、|一心《いっしん》にダビデを|助《たす》けた|者《もの》である。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリからは|将《しょう》たる|者《もの》一千|人《にん》および|盾《たて》とやりをとってこれに|従《したが》う|者《もの》三万七千|人《にん》。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ダンびとからは|武装《ぶそう》した|者《もの》二万八千六百|人《にん》。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]アセルからは|戦《たたか》いの|備《そな》えをした|熟練《じゅくれん》の|者《もの》四万|人《にん》。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]またヨルダンのかなたルベンびと、ガドびと、マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》からはもろもろの|武具《ぶぐ》で|身《み》をよろった|者《もの》十二万|人《にん》であった。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]すべてこれらの|戦《たたか》いの|備《そな》えをしたいくさびとらは|真心《まごころ》をもってヘブロンに|来《き》て、ダビデを|全《ぜん》イスラエルの|王《おう》にしようとした。このほかのイスラエルびともまた、|心《こころ》をひとつにしてダビデを|王《おう》にしようとした。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヘブロンにダビデとともに三|日《か》いて、|食《く》い|飲《の》みした。その|兄弟《きょうだい》たちは|彼《かれ》らのために|備《そな》えをしたからである。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らに|近《ちか》い|人々《ひとびと》はイッサカル、ゼブルン、ナフタリなどの|遠《とお》い|所《ところ》の|者《もの》まで、ろば、らくだ、|騾馬《らば》、|牛《うし》などに|食物《しょくもつ》を|負《お》わせて|来《き》た。すなわち|麦粉《むぎこ》の|食物《しょくもつ》、|干《ひ》いちじく、|干《ほし》ぶどう、ぶどう|酒《しゅ》、|油《あぶら》、|牛《うし》、|羊《ひつじ》などを|多《おお》く|携《たずさ》えて|来《き》た。これはイスラエルに|喜《よろこ》びがあったからである。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ここにダビデは千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》などの|諸《しょ》|将《しょう》と|相《あい》はかり、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデはイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》った、「もし、このことをあなたがたがよしとし、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がこれを|許《ゆる》されるならば、われわれは、イスラエルの|各地《かくち》に|残《のこ》っているわれわれの|兄弟《きょうだい》ならびに、|放牧《ほうぼく》|地《ち》の|付《つ》いている|町々《まちまち》にいる|祭司《さいし》とレビびとに、|使《つかい》をつかわし、われわれの|所《ところ》に|呼《よ》び|集《あつ》めましょう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|神《かみ》の|箱《はこ》をわれわれの|所《ところ》に|移《うつ》しましょう。われわれはサウルの|世《よ》にはこれをおろそかにしたからです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》は|一同《いちどう》「そうしましょう」と|言《い》った。このことがすべての|民《たみ》の|目《め》に|正《ただ》しかったからである。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデはキリアテ・ヤリムから|神《かみ》の|箱《はこ》を|運《はこ》んでくるため、エジプトのシホルからハマテの|入口《いりぐち》までのイスラエルをことごとく|呼《よ》び|集《あつ》めた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデとすべてのイスラエルはバアラすなわちユダのキリアテ・ヤリムに|上《のぼ》り、ケルビムの|上《うえ》に|座《ざ》しておられる|主《しゅ》の|名《な》をもって|呼《よ》ばれている|神《かみ》の|箱《はこ》をそこからかき|上《のぼ》ろうと、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|箱《はこ》を|新《あたら》しい|車《くるま》にのせて、アビナダブの|家《いえ》からひきだし、ウザとアヒヨがその|車《くるま》を|御《ぎょ》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデおよびすべてのイスラエルは|歌《うた》と|琴《こと》と|立琴《たてごと》と、|手《て》|鼓《つづみ》と、シンバルと、ラッパをもって、|力《ちから》をきわめて|神《かみ》の|前《まえ》に|踊《おど》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがキドンの|打《う》ち|場《ば》に|来《き》た|時《とき》、ウザは|手《て》を|伸《の》べて|箱《はこ》を|押《おさ》えた。|牛《うし》がつまずいたからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ウザが|手《て》を|箱《はこ》につけたことによって、|主《しゅ》は|彼《かれ》に|向《む》かって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|彼《かれ》を|撃《う》たれたので、|彼《かれ》はその|所《ところ》で|神《かみ》の|前《まえ》に|死《し》んだ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がウザを|撃《う》たれたので、ダビデは|怒《いか》った。その|所《ところ》は|今日《こんにち》までペレヅ・ウザと|呼《よ》ばれている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ダビデは|神《かみ》を|恐《おそ》れて|言《い》った、「どうして|神《かみ》の|箱《はこ》を、わたしの|所《ところ》へかいて|行《い》けようか」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それでダビデはその|箱《はこ》を|自分《じぶん》の|所《ところ》ダビデの|町《まち》へは|移《うつ》さず、これを|転《てん》じてガテびとオベデ・エドムの|家《いえ》に|運《はこ》ばせた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|箱《はこ》は三か|月《げつ》の|間《あいだ》、オベデ・エドムの|家《いえ》に、その|家族《かぞく》とともにとどまった。|主《しゅ》はオベデ・エドムの|家族《かぞく》とそのすべての|持《も》ち|物《もの》を|祝福《しゅくふく》された。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ツロの|王《おう》ヒラムはダビデに|使者《ししゃ》をつかわし、|彼《かれ》のために|家《いえ》を|建《た》てさせようと|香柏《こうはく》および|石工《いしく》と|木工《もっこう》を|送《おく》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》が|自分《じぶん》を|堅《かた》く|立《た》ててイスラエルの|王《おう》とされたことと、その|民《たみ》イスラエルのために|彼《かれ》の|国《くに》を|大《おお》いに|興《おこ》されたことを|悟《さと》った。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはエルサレムでまた|妻《つま》たちをめとった。そしてダビデにまたむすこ、|娘《むすめ》が|生《うま》れた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がエルサレムで|得《え》た|子《こ》たちの|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちシャンマ、ショバブ、、ナタン、ソロモン、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]イブハル、エリシュア、エルペレテ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ノガ、ネペグ、ヤピア、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エリシャマ、ベエリアダ、エリペレテである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さてペリシテびとはダビデが|油《あぶら》を|注《そそ》がれて|全《ぜん》イスラエルの|王《おう》になったことを|聞《き》いたので、ペリシテびとはみな|上《のぼ》ってきてダビデを|捜《さが》した。ダビデはこれを|聞《き》いてこれに|当《あた》ろうと|出《で》ていったが、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとはすでに|来《き》て、レパイムの|谷《たに》を|侵《おか》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|神《かみ》に|問《と》うて|言《い》った、「ペリシテびとに|向《む》かって|上《のぼ》るべきでしょうか。あなたは|彼《かれ》らをわたしの|手《て》にわたされるでしょうか」。|主《しゅ》はダビデに|言《い》われた、「|上《のぼ》りなさい。わたしは|彼《かれ》らをあなたの|手《て》にわたそう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》はバアル・ペラジムへ|上《のぼ》っていった。その|所《ところ》でダビデは|彼《かれ》らを|打《う》ち|敗《はい》り、そして|言《い》った、「|神《かみ》は|破《やぶ》り|出《で》る|水《みず》のように、わたしの|手《て》で|敵《てき》を|破《やぶ》られた」。それゆえ、その|所《ところ》の|名《な》はバアル・ペラジムと|呼《よ》ばれている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|自分《じぶん》たちの|神《かみ》をそこに|残《のこ》して|退《しりぞ》いたので、ダビデは|命《めい》じてこれを|火《ひ》で|焼《や》かせた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびとは|再《ふたた》び|谷《たに》を|侵《おか》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが|再《ふたた》び|神《かみ》に|問《と》うたので|神《かみ》は|言《い》われた、「あなたは|彼《かれ》らを|追《お》って|上《のぼ》ってはならない。|遠回《とおまわ》りしてバルサムの|木《き》の|前《まえ》から|彼《かれ》らを|襲《おそ》いなさい。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]バルサムの|木《き》の|上《うえ》に|行進《こうしん》の|音《おと》が|聞《きこ》えたならば、あなたは|行《い》って|戦《たたか》いなさい。|神《かみ》があなたの|前《まえ》に|出《で》てペリシテびとの|軍勢《ぐんぜい》を|撃《う》たれるからです」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|神《かみ》が|命《めい》じられたようにして、ペリシテびとの|軍勢《ぐんぜい》を|撃《う》ち|破《やぶ》り、ギベオンからゲゼルに|及《およ》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデの|名《な》はすべての|国々《くにぐに》に|聞《きこ》えわたり、|主《しゅ》はすべての|国《くに》びとに|彼《かれ》を|恐《おそ》れさせられた。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはダビデの|町《まち》のうちに|自分《じぶん》のために|家《いえ》を|建《た》て、また|神《かみ》の|箱《はこ》のために|所《ところ》を|備《そな》え、これがために|幕屋《まくや》を|張《は》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「|神《かみ》の|箱《はこ》をかくべき|者《もの》はただレビびとのみである。|主《しゅ》が|主《しゅ》の|箱《はこ》をかかせ、また|主《しゅ》に|長《なが》く|仕《つか》えさせるために|彼《かれ》らを|選《えら》ばれたからである」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》の|箱《はこ》をこれがために|備《そな》えた|所《ところ》にかき|上《のぼ》るため、イスラエルをことごとくエルサレムに|集《あつ》めた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたアロンの|子孫《しそん》とレビびとを|集《あつ》めた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、コハテの|子孫《しそん》のうちからはウリエルを|長《ちょう》としてその|兄弟《きょうだい》百二十|人《にん》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子孫《しそん》のうちからはアサヤを|長《ちょう》としてその|兄弟《きょうだい》二百二十|人《にん》、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ゲルショムの|子孫《しそん》のうちからはヨエルを|長《ちょう》としてその|兄弟《きょうだい》百三十|人《にん》、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エリザパンの|子孫《しそん》のうちからはシマヤを|長《ちょう》としてその|兄弟《きょうだい》二百|人《にん》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンの|子孫《しそん》のうちからはエリエルを|長《ちょう》としてその|兄弟《きょうだい》八十|人《にん》、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ウジエルの|子孫《しそん》のうちからはアミナダブを|長《ちょう》としてその|兄弟《きょうだい》百十二|人《にん》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|祭司《さいし》ザドクとアビヤタル、およびレビびとウリエル、アサヤ、ヨエル、シマヤ、エリエル、アミナダブを|召《め》し、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたはレビびとの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である。あなたがたとあなたがたの|兄弟《きょうだい》はともに|身《み》を|清《きよ》め、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|箱《はこ》をわたしがそのために|備《そな》えた|所《ところ》にかき|上《のぼ》りなさい。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]さきにこれをかいた|者《もの》があなたがたでなかったので、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》はわれわれを|撃《う》たれました。これはわれわれがその|定《さだ》めにしたがってそれを|扱《あつか》わなかったからです」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》たちとレビびとたちはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|箱《はこ》をかき|上《のぼ》るために|身《み》を|清《きよ》め、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]レビびとたちはモーセが|主《しゅ》の|言葉《ことば》にしたがって|命《めい》じたように、|神《かみ》の|箱《はこ》をさおをもって|肩《かた》にになった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたレビびとの|長《ちょう》たちに、その|兄弟《きょうだい》たちを|選《えら》んで|歌《うた》うたう|者《もの》となし、|立琴《たてごと》と|琴《こと》とシンバルなどの|楽器《がっき》を|打《う》ちはやし、|喜《よろこ》びの|声《こえ》をあげることを|命《めい》じた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでレビびとはヨエルの|子《こ》ヘマンと、その|兄弟《きょうだい》ベレキヤの|子《こ》アサフおよびメラリの|子孫《しそん》である|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》クシャヤの|子《こ》エタンを|選《えら》んだ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またこれに|次《つ》ぐその|兄弟《きょうだい》たちがこれと|共《とも》にいた。すなわちゼカリヤ、ヤジエル、セミラモテ、エイエル、ウンニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マッタテヤ、エリペレホ、ミクネヤおよび|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》オベデ・エドムとエイエル。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|歌《うた》うたう|者《もの》ヘマン、アサフおよびエタンは|青銅《せいどう》のシンバルを|打《う》ちはやす|者《もの》であった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ゼカリヤ、アジエル、セミラモテ、エイエル、ウンニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤはアラモテにしたがって|立琴《たてごと》を|奏《そう》する|者《もの》であった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしマッタテヤ、エリペレホ、ミクネヤ、オベデ・エドム、エイエル、アザジヤはセミニテにしたがって|琴《こと》をもって|指揮《しき》する|者《もの》であった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ケナニヤはレビびとの|楽長《がくちょう》で、|音楽《おんがく》に|通《つう》じていたので、これを|指揮《しき》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ベレキヤとエルカナは|箱《はこ》のために|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》であった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》シバニヤ、ヨシャパテ、ネタネル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、エリエゼルらは|神《かみ》の|箱《はこ》の|前《まえ》でラッパを|吹《ふ》き、オベデ・エドムとエヒアは|箱《はこ》のために|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》であった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデとイスラエルの|長老《ちょうろう》たちおよび千|人《にん》の|長《ちょう》たちは|行《い》って、オベデ・エドムの|家《いえ》から|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》を|喜《よろこ》び|勇《いさ》んでかき|上《のぼ》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかくレビびとを|助《たす》けられたので、|彼《かれ》らは|雄牛《おうし》七|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》七|頭《とう》をささげた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|亜麻《あま》|布《ぬの》の|衣服《いふく》を|着《き》ていた。|箱《はこ》をかくすべてのレビびとは、|歌《うた》うたう|者《もの》、|音楽《おんがく》をつかさどるケナニヤも|同様《どうよう》である。ダビデはまた|亜麻《あま》|布《ぬの》のエポデを|着《き》ていた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルは|皆《みな》、|声《こえ》をあげ、|角笛《つのぶえ》を|吹《ふ》きならし、ラッパと、シンバルと、|立琴《たてごと》と|琴《こと》をもって|打《う》ちはやして|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をかき|上《のぼ》った。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》がダビデの|町《まち》にはいったとき、サウルの|娘《むすめ》ミカルが|窓《まど》からながめ、ダビデ|王《おう》の|舞《ま》い|踊《おど》るのを|見《み》て、|心《こころ》のうちに|彼《かれ》をいやしめた。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|神《かみ》の|箱《はこ》をかき|入《い》れて、ダビデがそのために|張《は》った|幕屋《まくや》のうちに|置《お》き、そして|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》を|神《かみ》の|前《まえ》にささげた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげ|終《お》えたとき、|主《しゅ》の|名《な》をもって|民《たみ》を|祝福《しゅくふく》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》に|男《おとこ》にも|女《おんな》にもおのおのパン一つ、|肉《にく》一|切《き》れ、|干《ほし》ぶどう一かたまりを|分《わ》け|与《あた》えた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたレビびとのうちから|主《しゅ》の|箱《はこ》の|前《まえ》に|仕《つか》える|者《もの》を|立《た》てて、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》をあがめ、|感謝《かんしゃ》し、ほめたたえさせた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|楽長《がくちょう》はアサフ、その|次《つぎ》はゼカリヤ、エイエル、セミラモテ、エヒエル、マッタテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデ・エドム、エイエルで、|彼《かれ》らは|立琴《たてごと》と|琴《こと》を|弾《だん》じ、アサフはシンバルを|打《う》ち|鳴《な》らし、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ベナヤとヤハジエルは|神《かみ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》の|前《まえ》でつねにラッパを|吹《ふ》いた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ダビデは|初《はじ》めてアサフと|彼《かれ》の|兄弟《きょうだい》たちを|立《た》てて、|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》をささげさせた。 [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、そのみ|名《な》を|呼《よ》び、 そのみわざをもろもろの|民《たみ》の|中《なか》に|知《し》らせよ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にむかって|歌《うた》え、|主《しゅ》をほめ|歌《うた》え。 そのもろもろのくすしきみわざを|語《かた》れ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|聖《せい》なるみ|名《な》を|誇《ほこ》れ。 どうか|主《しゅ》を|求《もと》める|者《もの》の|心《こころ》が|喜《よろこ》ぶように。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》とそのみ|力《ちから》とを|求《もと》めよ。 つねにそのみ|顔《かお》をたずねよ。 [#太字]一二 一三[#「一二 一三」は行右小書き][#太字終わり]そのしもべアブラハムのすえよ、 その|選《えら》ばれたヤコブの|子《こ》らよ。 |主《しゅ》のなされたくすしきみわざと、その|奇跡《きせき》と、 そのみ|口《くち》のさばきとを|心《こころ》にとめよ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》にいます。 そのさばきは|全《ぜん》|地《ち》にある。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はとこしえにその|契約《けいやく》をみこころにとめられる。 これはよろずよに|命《めい》じられたみ|言葉《ことば》であって、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》、 イサクに|誓《ちか》われた|約束《やくそく》である。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれを|堅《かた》く|立《た》ててヤコブのために|定《さだ》めとし、 イスラエルのためにとこしえの|契約《けいやく》として、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》われた、「あなたにカナンの|地《ち》を|与《あた》えて、 あなたがたの|受《う》ける|嗣《し》|業《ぎょう》の|分《わ》け|前《まえ》とする」と。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》らの|数《かず》は|少《すく》なくて、 |数《かぞ》えるに|足《た》らず、かの|国《くに》で|旅《たび》びととなり、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》から|国《くに》へ|行《い》き、 この|国《くに》からほかの|民《たみ》へ|行《い》った。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人《ひと》の|彼《かれ》らをしえたげるのをゆるされず、 |彼《かれ》らのために|王《おう》たちを|懲《こら》しめて、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》われた、「わが|油《あぶら》そそがれた|者《もの》たちに さわってはならない。 わが|預言者《よげんしゃ》たちに|害《がい》を|加《くわ》えてはならない」と。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》よ、|主《しゅ》に|向《む》かって|歌《うた》え。 |日《ひ》ごとにその|救《すくい》を|宣《の》べ|伝《つた》えよ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》の|中《なか》にその|栄光《えいこう》をあらわし、 もろもろの|民《たみ》の|中《なか》にくすしきみわざをあらわせ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|大《おお》いなるかたにいまして、 いとほめたたうべき|者《もの》、 もろもろの|神《かみ》にまさって、|恐《おそ》るべき|者《もの》だからである。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》のすべての|神《かみ》はむなしい。 しかし|主《しゅ》は|天《てん》を|造《つく》られた。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|誉《ほまれ》と|威厳《いげん》とはそのみ|前《まえ》にあり、 |力《ちから》と|喜《よろこ》びとはその|聖所《せいじょ》にある。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》のやからよ、|主《しゅ》に|帰《き》せよ、 |栄光《えいこう》と|力《ちから》とを|主《しゅ》に|帰《き》せよ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そのみ|名《な》にふさわしい|栄光《えいこう》を|主《しゅ》に|帰《き》せよ。 |供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えて|主《しゅ》のみ|前《まえ》にきたれ。 |聖《せい》なる|装《よそお》いをして|主《しゅ》を|拝《おが》め。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》よ、そのみ|前《まえ》におののけ。 |世界《せかい》は|堅《かた》く|立《た》って、|動《うご》かされることはない。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》は|喜《よろこ》び、|地《ち》はたのしみ、 もろもろの|国民《くにたみ》の|中《なか》に|言《い》え、「|主《しゅ》は|王《おう》であられる」と。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》とその|中《なか》に|満《み》つるものとは|鳴《な》りどよめき、 |田畑《たはた》とその|中《なか》のすべての|物《もの》は|喜《よろこ》べ。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|林《はやし》のもろもろの|木《き》も|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|喜《よろこ》び|歌《うた》う。 |主《しゅ》は|地《ち》をさばくためにこられるからである。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》え、「われわれの|救《すくい》の|神《かみ》よ、われわれを|救《すく》い、 もろもろの|国民《くにたみ》の|中《なか》から われわれを|集《あつ》めてお|救《すく》いください。 そうすればあなたの|聖《せい》なるみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》し、 あなたの|誉《ほまれ》を|誇《ほこ》るでしょう。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は、 とこしえからとこしえまでほむべきかな」と。 [#ここで字下げ終わり] その|時《とき》すべての|民《たみ》は「アァメン」と|言《い》って|主《しゅ》をほめたたえた。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはアサフとその|兄弟《きょうだい》たちを|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》の|前《まえ》にとめおいて、|常《つね》に|箱《はこ》の|前《まえ》に|仕《つか》え、|日々《ひび》のわざを|行《おこな》わせた。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]オベデ・エドムとその|兄弟《きょうだい》たちは|合《あ》わせて六十八|人《にん》である。またエドトンの|子《こ》オベデ・エドムおよびホサは|門守《かどもり》であった。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ザドクとその|兄弟《きょうだい》である|祭司《さいし》たちはギベオンにある|高《たか》き|所《ところ》で|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》に|仕《つか》え、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がイスラエルに|命《めい》じられた|律法《りっぽう》にしるされたすべてのことにしたがって|燔祭《はんさい》の|壇《だん》の|上《うえ》に|朝夕《あさゆう》たえず|燔祭《はんさい》を|主《しゅ》にささげた。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らとともにヘマン、エドトンおよびほかの|選《えら》ばれて|名《な》をしるされた|者《もの》どもがいて、|主《しゅ》のいつくしみの|世々《よよ》|限《かぎ》りなきことについて|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》した。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヘマンおよびエドトンは|彼《かれ》らとともにいて、ラッパ、シンバルおよびその|他《た》の|聖歌《せいか》のための|楽器《がっき》をとって|音楽《おんがく》を|奏《そう》し、エドトンの|子《こ》らは|門《もん》を|守《まも》った。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|民《たみ》は|皆《みな》おのおの|家《いえ》に|帰《かえ》り、ダビデはその|家族《かぞく》を|祝福《しゅくふく》するために|帰《かえ》って|行《い》った。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてダビデは|自分《じぶん》の|家《いえ》に|住《す》むようになったとき、|預言者《よげんしゃ》ナタンに|言《い》った、「|見《み》よ、わたしは|香柏《こうはく》の|家《いえ》に|住《す》んでいるが、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》は|天幕《てんまく》のうちにある」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ナタンはダビデに|言《い》った、「|神《かみ》があなたとともにおられるから、すべてあなたの|心《こころ》にあるところを|行《おこな》いなさい」。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よる》、|神《かみ》の|言葉《ことば》がナタンに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》ってわたしのしもべダビデに|告《つ》げよ、『|主《しゅ》はこう|言《い》われる、わたしの|住《す》む|家《いえ》を|建《た》ててはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルを|導《みちび》き|上《のぼ》った|日《ひ》から|今日《こんにち》まで、|家《いえ》に|住《す》まわず、|天幕《てんまく》から|天幕《てんまく》に、|幕屋《まくや》から|幕屋《まくや》に|移《うつ》ったのである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしがすべてのイスラエルと|共《とも》に|歩《あゆ》んだすべての|所《ところ》で、わたしの|民《たみ》を|牧《ぼく》することを|命《めい》じたイスラエルのさばきづかさのひとりに、ひと|言《こと》でも、「どうしてあなたがたは、わたしのために|香柏《こうはく》の|家《いえ》を|建《た》てないのか」と|言《い》ったことがあるだろうか』と。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》あなたは、わたしのしもべダビデにこう|言《い》いなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、「わたしはあなたを|牧場《まきば》から、|羊《ひつじ》に|従《したが》っている|所《ところ》から|取《と》って、わたしの|民《たみ》イスラエルの|君《きみ》とし、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがどこへ|行《い》くにもあなたと|共《とも》におり、あなたのすべての|敵《てき》をあなたの|前《まえ》から|断《た》ち|去《さ》った。わたしはまた|地《ち》の|上《うえ》の|大《おお》いなる|者《もの》の|名《な》のような|名《な》をあなたに|得《え》させよう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしはわが|民《たみ》イスラエルのために一つの|所《ところ》を|定《さだ》めて、|彼《かれ》らを|植《う》えつけ、|彼《かれ》らを|自分《じぶん》の|所《ところ》に|住《す》ませ、|重《かさ》ねて|動《うご》くことのないようにしよう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|前《まえ》のように、すなわちわたしがわが|民《たみ》イスラエルの|上《うえ》にさばきづかさを|立《た》てた|時《とき》からこのかたのように、|悪《わる》い|人《ひと》が|重《かさ》ねてこれを|荒《あら》すことはないであろう。わたしはまたあなたのもろもろの|敵《てき》を|征服《せいふく》する。かつわたしは|主《しゅ》があなたのために|家《いえ》を|建《た》てられることを|告《つ》げる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|日《ひ》が|満《み》ち、あなたの|先祖《せんぞ》たちの|所《ところ》へ|行《い》かねばならぬとき、わたしはあなたの|子《こ》、すなわちあなたの|子《こ》らのひとりを、あなたのあとに|立《た》てて、その|王国《おうこく》を|堅《かた》くする。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしのために|家《いえ》を|建《た》てるであろう。わたしは|長《なが》く|彼《かれ》の|位《くらい》を|堅《かた》くする。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|父《ちち》となり、|彼《かれ》はわたしの|子《こ》となる。わたしは、わたしのいつくしみを、あなたのさきにあった|者《もの》から|取《と》り|去《さ》ったように、|彼《かれ》からは|取《と》り|去《さ》らない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]かえって、わたしは|彼《かれ》を|長《なが》くわたしの|家《いえ》に、わたしの|王国《おうこく》にすえおく。|彼《かれ》の|位《くらい》はとこしえに|堅《かた》く|立《た》つであろう』」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ナタンはすべてこれらの|言葉《ことば》のように、またすべてこの|幻《まぼろし》のようにダビデに|語《かた》った。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ダビデ|王《おう》は、はいって|主《しゅ》の|前《まえ》に|座《ざ》して|言《い》った、「|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、わたしがだれ、わたしの|家《いえ》がなんであるので、あなたはこれまでわたしを|導《みちび》かれたのですか。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、これはあなたの|目《め》には|小《ちい》さな|事《こと》です。|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはしもべの|家《いえ》について、はるか|後《のち》の|事《こと》を|語《かた》って、きたるべき|代々《よよ》のことを|示《しめ》されました。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しもべの|名誉《めいよ》については、ダビデはこの|上《うえ》あなたに|何《なに》を|申《もう》しあげることができましょう。あなたはしもべを|知《し》っておられるからです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはしもべのために、またあなたの|心《こころ》にしたがって、このもろもろの|大《おお》いなる|事《こと》をなし、すべての|大《おお》いなる|事《こと》を|知《し》らされました。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われわれがすべて|耳《みみ》に|聞《き》いた|所《ところ》によれば、あなたのようなものはなく、またあなたのほかに|神《かみ》はありません。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また|地上《ちじょう》のどの|国民《こくみん》が、あなたの|民《たみ》イスラエルのようでありましょうか。これは|神《かみ》が|行《い》って、|自分《じぶん》のためにあがなって|民《たみ》とし、エジプトからあなたがあがない|出《だ》されたあなたの|民《たみ》の|前《まえ》から|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|追《お》い|払《はら》い、|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|事《こと》を|行《い》って、|名《な》を|得《え》られたものではありませんか。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたの|民《たみ》イスラエルを|長《なが》くあなたの|民《たみ》とされました。|主《しゅ》よ、あなたは|彼《かれ》らの|神《かみ》となられたのです。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》よ、あなたがしもべと、しもべの|家《いえ》について|語《かた》られた|言葉《ことば》を|長《なが》く|堅《かた》くして、あなたの|言《い》われたとおりにしてください。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そうすればあなたの|名《な》はとこしえに|堅《かた》くされ、あがめられて、『イスラエルの|神《かみ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はイスラエルの|神《かみ》である』と|言《い》われ、またあなたのしもべダビデの|家《いえ》はあなたの|前《まえ》に|堅《かた》く|立《た》つことができるでしょう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、あなたは|彼《かれ》のために|家《いえ》を|建《た》てると、しもべに|示《しめ》されました。それゆえ、しもべはあなたの|前《まえ》に|祈《いの》る|勇気《ゆうき》を|得《え》ました。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|神《かみ》にいまし、この|良《よ》き|事《こと》をしもべに|約束《やくそく》されました。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえどうぞいま、しもべの|家《いえ》を|祝福《しゅくふく》し、あなたの|前《まえ》に|長《なが》く|続《つづ》かせてくださるように。|主《しゅ》よ、あなたの|祝福《しゅくふく》されるものは|長《なが》く|祝福《しゅくふく》を|受《う》けるからです」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》ダビデはペリシテびとを|撃《う》ってこれを|征服《せいふく》し、ペリシテびとの|手《て》からガテとその|村々《むらむら》を|取《と》った。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたモアブを|撃《う》った。モアブびとはダビデのしもべとなって、みつぎを|納《おさ》めた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまた、ハマテのゾバの|王《おう》ハダデゼルがユフラテ|川《かわ》のほとりに、その|記念碑《きねんひ》を|建《た》てようとして|行《い》ったとき|彼《かれ》を|撃《う》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|彼《かれ》から|戦車《せんしゃ》一千、|騎兵《きへい》七千|人《にん》、|歩兵《ほへい》二万|人《にん》を|取《と》った。ダビデは一百の|戦車《せんしゃ》の|馬《うま》を|残《のこ》して、そのほかの|戦車《せんしゃ》の|馬《うま》はみなその|足《あし》の|筋《すじ》を|切《き》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ダマスコのスリヤびとがゾバの|王《おう》ハダデゼルを|助《たす》けるために|来《き》たので、ダビデはそのスリヤびと二万二千|人《にん》を|殺《ころ》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデはダマスコのスリヤに|守備《しゅび》|隊《たい》を|置《お》いた。スリヤびとはみつぎを|納《おさ》めてダビデのしもべとなった。|主《しゅ》はダビデにすべてその|行《い》く|所《ところ》で|勝利《しょうり》を|与《あた》えられた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはハダデゼルのしもべらが|持《も》っていた|金《きん》の|盾《たて》を|奪《うば》って、エルサレムに|持《も》ってきた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またハダデゼルの|町《まち》テブハテとクンからダビデは|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|青銅《せいどう》を|取《と》った。ソロモンはそれを|用《もち》いて|青銅《せいどう》の|海《うみ》、|柱《はしら》および|青銅《せいどう》の|器《うつわ》を|造《つく》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にハマテの|王《おう》トイはダビデがゾバの|王《おう》ハダデゼルのすべての|軍勢《ぐんぜい》を|撃《う》ち|破《やぶ》ったことを|聞《き》き、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》ハドラムをダビデ|王《おう》につかわして、|彼《かれ》にあいさつさせ、かつ|祝《しゅく》を|述《の》べさせた。ハダデゼルはかつてしばしばトイと|戦《たたか》いを|交《まじ》えたが、ダビデはハダデゼルと|戦《たたか》って、これを|撃《う》ち|破《やぶ》ったからである。ハドラムは|金《きん》、|銀《ぎん》および|青銅《せいどう》のさまざまの|器《うつわ》を|贈《おく》ったので、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》はこれをエドム、モアブ、アンモンの|人々《ひとびと》、ペリシテびと、アマクレなどの|諸《しょ》|国民《こくみん》のうちから|取《と》ってきた|金銀《きんぎん》とともに、|主《しゅ》にささげた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》アビシャイは|塩《しお》の|谷《たに》で、エドムびと一万八千を|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはエドムに|守備《しゅび》|隊《たい》を|置《お》き、エドムびとは|皆《みな》ダビデのしもべとなった。|主《しゅ》はダビデにすべてその|行《い》く|所《ところ》で|勝利《しょうり》を|与《あた》えられた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデはイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》を|治《おさ》め、そのすべての|民《たみ》に|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》を|行《おこな》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》ヨアブは|軍《ぐん》の|長《ちょう》、アヒルデの|子《こ》ヨシャパテは|史官《しかん》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アヒトブの|子《こ》ザドクとアビヤタルの|子《こ》アビメレクは|祭司《さいし》、シャウシャは|書記官《しょきかん》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|子《こ》ベナヤはケレテびととペレテびとの|長《ちょう》、ダビデの|子《こ》たちは|王《おう》のかたわらにはべる|大臣《だいじん》であった。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》アンモンの|人々《ひとびと》の|王《おう》ナハシが|死《し》んで、その|子《こ》がこれに|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのときダビデは|言《い》った、「わたしはナハシの|子《こ》ハヌンに、|彼《かれ》の|父《ちち》がわたしに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》したように、|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》そう」。そしてダビデは|彼《かれ》をその|父《ちち》のゆえに|慰《なぐさ》めようとして|使者《ししゃ》をつかわした。ダビデのしもべたちはハヌンを|慰《なぐさ》めるためアンモンの|人々《ひとびと》の|地《ち》に|来《き》たが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》のつかさたちはハヌンに|言《い》った、「ダビデが|慰《なぐさ》める|者《もの》をあなたのもとにつかわしたことによって、あなたは|彼《かれ》があなたの|父《ちち》を|尊《たっと》ぶのだと|思《おも》われますか。|彼《かれ》のしもべたちが|来《き》たのは、この|国《くに》をうかがい、|探《さぐ》って|滅《ほろ》ぼすためではありませんか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでハヌンはダビデのしもべたちを|捕《とら》えて、そのひげをそり|落《おと》し、その|着物《きもの》を|中《なか》ほどから|断《た》ち|切《き》って|腰《こし》の|所《ところ》までにして|彼《かれ》らを|帰《かえ》してやった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ある|人々《ひとびと》が|来《き》て、この|人《ひと》たちのされたことをダビデに|告《つ》げたので、|彼《かれ》は|人《ひと》をつかわして、|彼《かれ》らを|迎《むか》えさせた。その|人々《ひとびと》が|非常《ひじょう》に|恥《は》じたからである。そこで|王《おう》は|言《い》った、「ひげがのびるまでエリコにとどまって、その|後《のち》|帰《かえ》りなさい」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》は|自分《じぶん》たちがダビデに|憎《にく》まれることをしたとわかったので、ハヌンおよびアンモンの|人々《ひとびと》は|銀《ぎん》千タラントを|送《おく》ってメソポタミヤとアラム・マアカ、およびゾバから|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》を|雇《やと》い|入《い》れた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|戦車《せんしゃ》三万二千およびマアカの|王《おう》とその|軍隊《ぐんたい》を|雇《やと》い|入《い》れたので、|彼《かれ》らは|来《き》てメデバの|前《まえ》に|陣《じん》を|張《は》った。そこでアンモンの|人々《ひとびと》は|町々《まちまち》から|寄《よ》り|集《あつ》まって、|戦《たたか》いに|出動《しゅつどう》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはこれを|聞《き》いてヨアブと|勇士《ゆうし》の|全《ぜん》|軍《ぐん》をつかわしたので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》は|出《で》て|来《き》て|町《まち》の|入口《いりぐち》に|戦《たたか》いの|備《そな》えをした。また|助《たす》けに|来《き》た|王《おう》たちは|別《べつ》に|野《の》にいた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にヨアブは|戦《たたか》いが|前後《ぜんご》から|自分《じぶん》に|向《む》かっているのを|見《み》て、イスラエルのえり|抜《ぬ》きの|兵士《へいし》のうちから|選《えら》んで、これをスリヤびとに|対《たい》して|備《そな》え、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そのほかの|民《たみ》を|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》アビシャイの|手《て》にわたして、アンモンの|人々《ひとびと》に|対《たい》して|備《そな》えさせ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》った、「もしスリヤびとがわたしに|手《て》ごわいときは、わたしを|助《たす》けてください。もしアンモンの|人々《ひとびと》があなたに|手《て》ごわいときは、あなたを|助《たす》けましょう。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|勇《いさ》ましくしてください。われわれの|民《たみ》のためと、われわれの|神《かみ》の|町々《まちまち》のために、|勇《いさ》ましくしましょう。どうか、|主《しゅ》が|良《よ》いと|思《おも》われることをされるように」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨアブが|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》にいる|民《たみ》と|共《とも》にスリヤびとに|向《む》かって|戦《たたか》おうとして|近《ちか》づいたとき、スリヤびとは|彼《かれ》の|前《まえ》から|逃《に》げた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》はスリヤびとの|逃《に》げるのを|見《み》て、|彼《かれ》らもまたヨアブの|兄弟《きょうだい》アビシャイの|前《まえ》から|逃《に》げて|町《まち》にはいった。そこでヨアブはエルサレムに|帰《かえ》った。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかしスリヤびとは|自分《じぶん》たちがイスラエルの|前《まえ》に|打《う》ち|敗《やぶ》られたのを|見《み》て、|使者《ししゃ》をつかわし、ハダデゼルの|軍《ぐん》の|長《ちょう》ショパクの|率《ひき》いるユフラテ|川《かわ》の|向《む》こう|側《がわ》にいるスリヤびとを|引《ひ》き|出《だ》した。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》がダビデに|聞《きこ》えたので、|彼《かれ》はイスラエルをことごとく|集《あつ》め、ヨルダンを|渡《わた》り、|彼《かれ》らの|所《ところ》に|来《き》て、これに|向《む》かって|戦《たたか》いの|備《そな》えをした。ダビデがこのようにスリヤびとに|対《たい》して|戦《たたか》いの|備《そな》えをしたとき、|彼《かれ》はダビデと|戦《たたか》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかしスリヤびとがイスラエルの|前《まえ》から|逃《に》げたので、ダビデはスリヤびとの|戦車《せんしゃ》の|兵《へい》七千、|歩兵《ほへい》四万を|殺《ころ》し、また|軍《ぐん》の|長《ちょう》ショパクをも|殺《ころ》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ハダデゼルのしもべたちは|味方《みかた》の|者《もの》がイスラエルに|打《う》ち|敗《やぶ》られたのを|見《み》て、ダビデと|和《わ》を|講《こう》じ、|彼《かれ》に|仕《つか》えた。スリヤびとは|再《ふたた》びアンモンびとを|助《たす》けることをしなかった。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|春《はる》になって、|王《おう》たちが|戦《たたか》いに|出《で》るに|及《およ》んで、ヨアブは|軍勢《ぐんぜい》を|率《ひき》いてアンモンびとの|地《ち》を|荒《あら》し、|行《い》ってラバを|包囲《ほうい》した。しかしダビデはエルサレムにとどまった。ヨアブはラバを|撃《う》って、これを|滅《ほろ》ぼした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|彼《かれ》らの|王《おう》の|冠《かんむり》をその|頭《あたま》から|取《と》りはなした。その|金《きん》の|重《おも》さを|量《はか》ってみると一タラント、またその|中《なか》に|宝石《ほうせき》があった。これをダビデの|頭《あたま》に|置《お》いた。ダビデはまたその|町《まち》のぶんどり|物《もの》を|非常《ひじょう》に|多《おお》く|持《も》ち|出《だ》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》はそのうちの|民《たみ》を|引《ひ》き|出《だ》して、これをのこぎりと、|鉄《てつ》のつるはしと、おのを|使《つか》う|仕事《しごと》につかせた。ダビデはアンモンびとのすべての|町々《まちまち》にこのように|行《い》った。そしてダビデと|民《たみ》とは|皆《みな》エルサレムに|帰《かえ》った。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》ゲゼルでペリシテびとと|戦《たたか》いが|起《た》った。その|時《とき》ホシャびとシベカイが|巨人《きょじん》の|子孫《しそん》のひとりシパイを|殺《ころ》した。かれらはついに|征服《せいふく》された。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ここにまたペリシテびとと|戦《たたか》いがあったが、ヤイルの|子《こ》エルハナンはガテびとゴリアテの|兄弟《きょうだい》ラミを|殺《ころ》した。そのやりの|柄《え》は|機《はた》の|巻棒《まきぼう》のようであった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またガテに|戦《たたか》いがあったが、そこにひとりの|背《せ》の|高《たか》い|人《ひと》がいた。その|手《て》の|指《ゆび》と|足《あし》の|指《ゆび》は六|本《ぽん》ずつで、|合《あ》わせて二十四|本《ほん》あった。|彼《かれ》もまた|巨人《きょじん》から|生《うま》れた|者《もの》であった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はイスラエルをののしったので、ダビデの|兄弟《きょうだい》シメアの|子《こ》ヨナタンがこれを|殺《ころ》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これらはガテで|巨人《きょじん》から|生《うま》れた|者《もの》であったが、ダビデの|手《て》とその|家来《けらい》たちの|手《て》に|倒《たお》れた。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にサタンが|起《た》ってイスラエルに|敵《てき》し、ダビデを|動《うご》かしてイスラエルを|数《かぞ》えさせようとした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはヨアブと|軍《ぐん》の|将校《しょうこう》たちに|言《い》った、「あなたがたは|行《い》って、ベエルシバからダンまでのイスラエルを|数《かぞ》え、その|数《かず》を|調《しら》べてわたしに|知《し》らせなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブは|言《い》った、「それがどのくらいあっても、どうか|主《しゅ》がその|民《たみ》を百|倍《ばい》に|増《ま》されるように。しかし|王《おう》わが|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らは|皆《みな》あなたのしもべではありませんか。どうしてわが|主《しゅ》はこの|事《こと》を|求《もと》められるのですか。どうしてイスラエルに|罪《つみ》を|得《え》させられるのですか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》の|言葉《ことば》がヨアブに|勝《か》ったので、ヨアブは|出《で》て|行《い》って、イスラエルをあまねく|行《い》き|巡《めぐ》り、エルサレムに|帰《かえ》って|来《き》た。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてヨアブは|民《たみ》の|総数《そうすう》をダビデに|告《つ》げた。すなわちイスラエルにはつるぎを|抜《ぬ》く|者《もの》が百十万|人《にん》、ユダにはつるぎを|抜《ぬ》く|者《もの》が四十七万|人《にん》あった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかしヨアブは|王《おう》の|命令《めいれい》を|快《こころよ》しとしなかったので、レビとベニヤミンとはその|中《なか》に|数《かぞ》えなかった。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》が|神《かみ》の|目《め》に|悪《わる》かったので、|神《かみ》はイスラエルを|撃《う》たれた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|神《かみ》に|言《い》った、「わたしはこの|事《こと》を|行《い》って|大《おお》いに|罪《つみ》を|犯《おか》しました。しかし|今《いま》どうか、しもべの|罪《つみ》を|除《のぞ》いてください。わたしは|非常《ひじょう》に|愚《おろ》かなことをいたしました」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はダビデの|先見者《せんけんしゃ》ガデに|告《つ》げて|言《い》われた、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》ってダビデに|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしは三つの|事《こと》を|示《しめ》す。あなたはその一つを|選《えら》びなさい。わたしはそれをあなたに|行《おこな》おう』と」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ガデはダビデのもとに|来《き》て|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『あなたは|選《えら》びなさい。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち三|年《ねん》のききんか、あるいは三|月《がつ》の|間《あいだ》、あなたのあだの|前《まえ》に|敗《やぶ》れて、|敵《てき》のつるぎに|追《お》いつかれるか、あるいは三|日《か》の|間《あいだ》、|主《しゅ》のつるぎすなわち|疫病《えきびょう》がこの|国《くに》にあって、|主《しゅ》の|使《つかい》がイスラエルの|全《ぜん》|領域《りょういき》にわたって|滅《ほろ》ぼすことをするか』。いま、わたしがどういう|答《こたえ》をわたしをつかわしたものになすべきか|決《き》めなさい」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはガデに|言《い》った、「わたしは|非常《ひじょう》に|悩《なや》んでいるが、|主《しゅ》のあわれみは|大《おお》きいゆえ、わたしを|主《しゅ》の|手《て》に|陥《おちい》らせてください。しかしわたしを|人《ひと》の|手《て》に|陥《おちい》らせないでください」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はイスラエルに|疫病《えきびょう》を|下《くだ》されたので、イスラエルびとのうち七万|人《にん》が|倒《たお》れた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまたみ|使《つかい》をエルサレムにつかわして、これを|滅《ほろ》ぼそうとされたが、み|使《つかい》がまさに|滅《ほろ》ぼそうとしたとき、|主《しゅ》は|見《み》られて、この|災《わざわい》を|悔《く》い、その|滅《ほろ》ぼすみ|使《つかい》に|言《い》われた、「もうじゅうぶんだ。|今《いま》あなたの|手《て》をとどめよ」。そのとき|主《しゅ》の|使《つかい》はエブスびとオルナンの|打《う》ち|場《ば》のかたわらに|立《た》っていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダビデが|目《め》をあげて|見《み》ると、|主《しゅ》の|使《つかい》が|地《ち》と|天《てん》の|間《あいだ》に|立《た》って、|手《て》に|抜《ぬ》いたつるぎをもち、エルサレムの|上《うえ》にさし|伸《の》べていたので、ダビデと|長老《ちょうろう》たちは|荒布《あらぬの》を|着《き》て、ひれ|伏《ふ》した。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|神《かみ》に|言《い》った、「|民《たみ》を|数《かぞ》えよと|命《めい》じたのはわたしではありませんか。|罪《つみ》を|犯《おか》し、|悪《わる》い|事《こと》をしたのはわたしです。しかしこれらの|羊《ひつじ》は|何《なに》をしましたか。わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうぞあなたの|手《て》をわたしと、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》にむけてください。しかし|災《わざわい》をあなたの|民《たみ》に|下《くだ》さないでください」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|使《つかい》はガデに|命《めい》じ、ダビデが|上《のぼ》って|行《い》って、エブスびとオルナンの|打《う》ち|場《ば》で|主《しゅ》のために一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》くように|告《つ》げさせた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデはガデが|主《しゅ》の|名《な》をもって|告《つ》げた|言葉《ことば》に|従《したが》って|上《のぼ》って|行《い》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そのときオルナンは|麦《むぎ》を|打《う》っていたが、ふりかえってみ|使《つかい》を|見《み》たので、ともにいた|彼《かれ》の四|人《にん》の|子《こ》は|身《み》をかくした。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデがオルナンに|近《ちか》づくと、オルナンは|目《め》を|上《あ》げてダビデを|見《み》、|打《う》ち|場《ば》から|出《で》て|来《き》て|地《ち》にひれ|伏《ふ》してダビデを|拝《はい》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはオルナンに|言《い》った、「この|打《う》ち|場《ば》の|所《ところ》をわたしに|与《あた》えなさい。わたしは|災《わざわい》が|民《たみ》に|下《くだ》るのをとどめるため、そこに|主《しゅ》のために一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》きます。あなたは、そのじゅうぶんな|価《あたい》をとってこれをわたしに|与《あた》えなさい」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]オルナンはダビデに|言《い》った、「どうぞこれをお|取《と》りなさい。そして|王《おう》わが|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られるところを|行《おこな》いなさい。わたしは|牛《うし》を|燔祭《はんさい》のために、|打《だ》|穀《こっ》|機《き》をたきぎのために、|麦《むぎ》を|素祭《そさい》のためにささげます。わたしは|皆《みな》これをささげます」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》はオルナンに|言《い》った、「いいえ、わたしはじゅうぶんな|代価《だいか》を|払《はら》ってこれを|買《か》います。わたしは|主《しゅ》のためにあなたのものを|取《と》ることをしません。また、|費《つい》えなしに|燔祭《はんさい》をささげることをいたしません」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それでダビデはその|所《ところ》のために|金《きん》六百シケルをはかって、オルナンに|払《はら》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデは|主《しゅ》のために、その|所《ところ》に一つの|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげて、|主《しゅ》を|呼《よ》んだ。|主《しゅ》は|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|天《てん》から|火《ひ》を|下《くだ》して|答《こた》えられた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》がみ|使《つかい》に|命《めい》じられたので、|彼《かれ》はつるぎをさやにおさめた。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ダビデは|主《しゅ》がエブスびとオルナンの|打《う》ち|場《ば》で|自分《じぶん》に|答《こた》えられたのを|見《み》たので、その|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]モーセが|荒野《あらの》で|造《つく》った|主《しゅ》の|幕屋《まくや》と|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》とは、その|時《とき》ギベオンの|高《たか》き|所《ところ》にあったからである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデはその|前《まえ》へ|行《い》って|神《かみ》に|求《もと》めることができなかった。|彼《かれ》が|主《しゅ》の|使《つかい》のつるぎを|恐《おそ》れたからである。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]それでダビデは|言《い》った、「|主《しゅ》なる|神《かみ》の|家《いえ》はこれである、イスラエルのための|燔祭《はんさい》の|祭壇《さいだん》はこれである」と。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|命《めい》じてイスラエルの|地《ち》にいる|他国《たこく》|人《じん》を|集《あつ》めさせ、また|神《かみ》の|家《いえ》を|建《た》てるのに|用《もち》いる|石《いし》を|切《き》るために|石工《いしく》を|定《さだ》めた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまた|門《もん》のとびらのくぎ、およびかすがいに|用《もち》いる|鉄《てつ》をおびただしく|備《そな》えた。また|青銅《せいどう》を|量《はか》ることもできないほどおびただしく|備《そな》えた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|香柏《こうはく》を|数《かぞ》えきれぬほど|備《そな》えた。これはシドンびととツロの|人々《ひとびと》がおびただしく|香柏《こうはく》をダビデの|所《ところ》に|持《も》って|来《き》たからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「わが|子《こ》ソロモンは|若《わか》く、かつ|経験《けいけん》がない。また|主《しゅ》のために|建《た》てる|家《いえ》はきわめて|壮大《そうだい》で、|万国《ばんこく》に|名《な》を|得《え》、|栄《さか》えを|得《え》るものでなければならない。それゆえ、わたしはその|準備《じゅんび》をしておこう」と。こうしてダビデは|死《し》ぬ|前《まえ》に|多《おお》くの|物資《ぶっし》を|準備《じゅんび》した。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はその|子《こ》ソロモンを|召《め》して、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|家《いえ》を|建《た》てることを|命《めい》じた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちダビデはソロモンに|言《い》った、「わが|子《こ》よ、わたしはわが|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》てようと|志《こころざ》していた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ところが|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》われた、『おまえは|多《おお》くの|血《ち》を|流《なが》し、|大《おお》いなる|戦争《せんそう》をした。おまえはわたしの|前《まえ》で|多《おお》くの|血《ち》を|地《ち》に|流《なが》したから、わが|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》ててはならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|男《おとこ》の|子《こ》がおまえに|生《うま》れる。|彼《かれ》は|平和《へいわ》の|人《ひと》である。わたしは|彼《かれ》に|平安《へいあん》を|与《あた》えて、|周囲《しゅうい》のもろもろの|敵《てき》に|煩《わずら》わされないようにしよう。|彼《かれ》の|名《な》はソロモンと|呼《よ》ばれ、|彼《あ》の|世《よ》にわたしはイスラエルに|平安《へいあん》と|静穏《せいおん》とを|与《あた》える。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわが|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》てるであろう。|彼《かれ》はわが|子《こ》となり、わたしは|彼《かれ》の|父《ちち》となる。わたしは|彼《かれ》の|王位《おうい》をながくイスラエルの|上《うえ》に|堅《かた》くするであろう』。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それでわが|子《こ》よ、どうか|主《しゅ》があなたと|共《とも》にいまし、あなたを|栄《さか》えさせて、|主《しゅ》があなたについて|言《い》われたように、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|家《いえ》を|建《た》てさせてくださるように。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ただ、どうか|主《しゅ》があなたに|分別《ふんべつ》と|知恵《ちえ》を|賜《たま》い、あなたをイスラエルの|上《うえ》に|立《た》たせられるとき、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|律法《りっぽう》を、あなたに|守《まも》らせてくださるように。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし、|主《しゅ》がイスラエルについてモーセに|命《めい》じられた|定《さだ》めとおきてとを|慎《つつし》んで|守《まも》るならば、あなたは|栄《さか》えるであろう。|心《こころ》を|強《つよ》くし、|勇《いさ》め。|恐《おそ》れてはならない、おののいてはならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|苦難《くなん》のうちにあって|主《しゅ》の|家《いえ》のために|金《きん》十万タラント、|銀《ぎん》百万タラントを|備《そな》え、また|青銅《せいどう》と|鉄《てつ》を|量《はか》ることもできないほどおびただしく|備《そな》えた。また|材木《ざいもく》と|石《いし》をも|備《そな》えた。あなたはまたこれに|加《くわ》えなければならない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたにはまた|多数《たすう》の|職人《しょくにん》、すなわち|石《いし》や|木《き》を|切《き》り|刻《きざ》む|者《もの》、|工作《こうさく》に|巧《たく》みな|各種《かくしゅ》の|者《もの》がある。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》もおびただしくある。たって|行《おこな》いなさい。どうか|主《しゅ》があなたと|共《とも》におられるように」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはまたイスラエルのすべてのつかさたちにその|子《こ》ソロモンを|助《たす》けるように|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたがたとともにおられるではないか。|四方《しほう》に|泰平《たいへい》を|賜《たま》わったではないか。|主《しゅ》はこの|地《ち》の|民《たみ》をわたしの|手《て》にわたされたので、この|地《ち》は|主《しゅ》の|前《まえ》とその|民《たみ》の|前《まえ》に|服《ふく》している。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それであなたがたは|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくしてあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》めなさい。たって|主《しゅ》なる|神《かみ》の|聖所《せいじょ》を|建《た》て、|主《しゅ》の|名《な》のために|建《た》てるその|家《いえ》に、|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》と|神《かみ》の|聖《せい》なるもろもろの|器《うつわ》を|携《たずさ》え|入《い》れなさい」。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|老《お》い、その|日《ひ》が|満《み》ちたので、その|子《こ》ソロモンをイスラエルの|王《おう》とした。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはイスラエルのすべてのつかさおよび|祭司《さいし》とレビびとを|集《あつ》めた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]レビびとの三十|歳《さい》|以上《いじょう》のものを|数《かぞ》えると、その|男《おとこ》の|数《かず》が三万八千|人《にん》あった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「そのうち二万四千|人《にん》は|主《しゅ》の|家《いえ》の|仕事《しごと》をつかさどり、六千|人《にん》はつかさびと、およびさばきびととなり、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]四千|人《にん》は|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》となり、また四千|人《にん》はさんびのためにわたしの|造《つく》った|楽器《がっき》で|主《しゅ》をたたえよ」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデは|彼《かれ》らをレビの|子《こ》らにしたがってゲルション、コハテ、メラリの|組《くみ》に|分《わ》けた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションの|子《こ》らはラダンとシメイ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ラダンの|子《こ》らは、かしらのエヒエルとゼタムとヨエルの三|人《にん》。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]シメイの|子《こ》らはシロミテ、ハジエル、ハランの三|人《にん》。これらはラダンの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]シメイの|子《こ》らはヤハテ、ジナ、エウシ、ベリアの四|人《にん》。|皆《みな》シメイの|子《こ》で、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヤハテはかしら、ジザはその|次《つぎ》、エウシとベリアは|子《こ》が|多《おお》くなかったので、ともに|数《かぞ》えられて一つの|氏族《しぞく》となった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]コハテの|子《こ》らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルの四|人《にん》。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アムラムの|子《こ》らはアロンとモーセである。アロンはその|子《こ》らとともに、ながくいと|聖《せい》なるものを|聖別《せいべつ》するために|分《わ》かたれて、|主《しゅ》の|前《まえ》に|香《こう》をたき、|主《しゅ》に|仕《つか》え、|常《つね》に|主《しゅ》の|名《な》をもって|祝福《しゅくふく》することをなした。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|人《ひと》モーセの|子《こ》らはレビの|部族《ぶぞく》のうちに|数《かぞ》えられた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モーセの|子《こ》らはゲルションとエリエゼル。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ゲルションの|子《こ》らは、かしらはシブエル。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エリエゼルの|子《こ》らは、かしらはレハビヤ。エリエゼルにはこのほかに|子《こ》がなかった。しかしレハビヤの|子《こ》らは|非常《ひじょう》に|多《おお》かった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イヅハルの|子《こ》らは、かしらはシロミテ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンの|子《こ》らは|長子《ちょうし》はエリヤ、|次《つぎ》はアマリヤ、|第《だい》三はヤハジエル、|第《だい》四はエカメアム。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ウジエルの|子《こ》らは、かしらはミカ、|次《つぎ》はイシアである。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》らはマヘリとムシ。マヘリの|子《こ》らはエレアザルとキシ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エレアザルは|男《おとこ》の|子《こ》がなくて|死《し》に、ただ|娘《むすめ》たちだけであったが、キシの|子《こ》であるその|身内《みうち》の|男《おとこ》たちが|彼女《かのじょ》たちをめとった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ムシの|子《こ》らはマヘリ、エデル、エレモテの三|人《にん》である。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これらはその|氏族《しぞく》によるレビの|子孫《しそん》であって、その|人数《にんずう》が|数《かぞ》えられ、その|名《な》がしるされて、|主《しゅ》の|家《いえ》の|務《つとめ》をなした二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》で、|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はその|民《たみ》に|平安《へいあん》を|与《あた》え、ながくエルサレムに|住《す》まわれる。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]レビびとは|重《かさ》ねて|幕屋《まくや》およびその|勤《つと》めの|器物《うつわもの》をかつぐことはない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]――ダビデの|最後《さいご》の|言葉《ことば》によって、レビびとは二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》が|数《かぞ》えられた――[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|務《つとめ》はアロンの|子孫《しそん》を|助《たす》けて|主《しゅ》の|家《いえ》の|働《はたら》きをし、|庭《にわ》とへやの|仕事《しごと》およびすべての|聖《せい》なるものを|清《きよ》めること、そのほか、すべて|神《かみ》の|家《いえ》の|働《はたら》きをすることである。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]また|供《そな》えのパン、|素祭《そさい》の|麦粉《むぎこ》、|種《たね》|入《い》れぬ|菓子《かし》、|焼《や》いた|供《そな》え|物《もの》、|油《あぶら》をまぜた|供《そな》え|物《もの》をつかさどり、またすべて|分量《ぶんりょう》および|大《おお》きさを|量《はか》ることをつかさどり、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]また|朝《あさ》ごとに|立《た》って|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、さんびし、|夕《ゆう》にもまたそのようにし、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]また|安息日《あんそくにち》と|新月《しんげつ》と|祭日《さいじつ》に、|主《しゅ》にもろもろの|燔祭《はんさい》をささげるときは、|絶《た》えず|主《しゅ》の|前《まえ》にその|命《めい》じられた|数《かず》にしたがってささげなければならない。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]このようにして|彼《かれ》らは|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》を|守《まも》り、|主《しゅ》の|家《いえ》の|働《はたら》きのためにその|兄弟《きょうだい》であるアロンの|子《こ》らに|仕《つか》えなければならない」。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|子孫《しそん》の|組《くみ》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちアロンの|子《こ》らはナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ナダブとアビウはその|父《ちち》に|先《さき》だって|死《し》に、|子《こ》がなかったので、エレアザルとイタマルが|祭司《さいし》となった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはエレアザルの|子孫《しそん》ザドクとイタマルの|子孫《しそん》アヒメレクの|助《たす》けによって|彼《かれ》らを|分《わ》けて、それぞれの|勤《つと》めにつけた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エレアザルの|子孫《しそん》のうちにはイタマルの|子孫《しそん》のうちよりも|長《ちょう》たる|人々《ひとびと》が|多《おお》かった。それでエレアザルの|子孫《しそん》で|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である十六|人《にん》と、イタマルの|子孫《しそん》で|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である|者《もの》八|人《にん》にこれを|分《わ》けた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]このように|彼《かれ》らは|皆《みな》ひとしく、くじによって|分《わ》けられた。|聖所《せいじょ》のつかさ、および|神《かみ》のつかさは、ともにエレアザルの|子孫《しそん》とイタマルの|子孫《しそん》から|出《で》たからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]レビびとネタネルの|子《こ》である|書記《しょき》シマヤは、|王《おう》とつかさたちと|祭司《さいし》ザドクとアビヤタルの|子《こ》アヒメレクと|祭司《さいし》およびレビびとの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちの|前《まえ》で、これを|書《か》きしるした。すなわちエレアザルのために|氏族《しぞく》一つを|取《と》れば、イタマルのためにも一つを|取《と》った。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》一のくじはヨアリブに|当《あた》り、|第《だい》二はエダヤに|当《あた》り、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三はハリムに、|第《だい》四はセオリムに、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》五はマルキヤに、|第《だい》六はミヤミンに、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七はハッコヅに、|第《だい》八はアビヤに、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》九はエシュアに、|第《だい》十はシカニヤに、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十一はエリアシブに、|第《だい》十二はヤキムに、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十三はホッパに、|第《だい》十四はエシバブに、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十五はビルガに、|第《だい》十六はインメルに、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十七はヘジルに、|第《だい》十八はハピセツに、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十九はペタヒヤに、|第《だい》二十はエゼキエルに、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十一はヤキンに、|第《だい》二十二はガムルに、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十三はデラヤに、|第《だい》二十四はマアジヤに|当《あた》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これは、|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》アロンによって|設《もう》けられた|定《さだ》めにしたがい、|主《しゅ》の|家《いえ》にはいって|務《つとめ》をなす|順序《じゅんじょ》であって、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|彼《かれ》に|命《めい》じられたとおりである。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]このほかのレビの|子孫《しそん》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちアムラムの|子《こ》らのうちではシュバエル。シュバエルの|子《こ》らのうちではエデヤ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]レハビヤについては、レハビヤの|子《こ》らのうちでは|長子《ちょうし》イシア。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]イヅハリびとのうちではシロミテ。シロミテの|子《こ》らのうちではヤハテ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンの|子《こ》らは|長子《ちょうし》はエリヤ、|次《つぎ》はアマリヤ、|第《だい》三はヤハジエル、|第《だい》四はエカメアム。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ウジエルの|子《こ》らのうちではミカ。ミカの|子《こ》らのうちではシャミル。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ミカの|兄弟《きょうだい》はイシア。イシアの|子《こ》らのうちではゼカリヤ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子《こ》らはマヘリとムシ。ヤジアの|子《こ》らはベノ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子孫《しそん》のヤジアから|出《で》た|者《もの》はベノ、ショハム、ザックル、イブリ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]マヘリからエレアザルが|出《で》た。|彼《かれ》には|子《こ》がなかった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]キシについては、キシの|子《こ》はエラメル。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ムシの|子《こ》らはマヘリ、エデル、エリモテ。これらはレビびとの|子孫《しそん》で、その|氏族《しぞく》によっていった|者《もの》である。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|者《もの》もまた|氏族《しぞく》の|兄《あに》もその|弟《おとうと》も|同様《どうよう》に、ダビデ|王《おう》と、ザドクと、アヒメレクと、|祭司《さいし》およびレビびとの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちの|前《まえ》で、アロンの|子孫《しそん》であるその|兄弟《きょうだい》たちのようにくじを|引《ひ》いた。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデと|軍《ぐん》の|長《ちょう》たちはまたアサフ、ヘマンおよびエドトンの|子《こ》らを|勤《つと》めのために|分《わ》かち、|琴《こと》と、|立琴《たてごと》と、シンバルをもって|預言《よげん》する|者《もの》にした。その|勤《つと》めをなした|人々《ひとびと》の|数《かず》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アサフの|子《こ》たちはザックル、ヨセフ、ネタニヤ、アサレラであって、アサフの|指揮《しき》のもとに|王《おう》の|命《いのち》によって|預言《よげん》した|者《もの》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エドトンについては、エドトンの|子《こ》たちはゲダリヤ、ゼリ、エサヤ、ハシャビヤ、マッタテヤの六|人《にん》で、|琴《こと》をもって|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、かつほめたたえて|預言《よげん》したその|父《ちち》エドトンの|指揮《しき》の|下《した》にあった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヘマンについては、ヘマンの|子《こ》たちはブッキヤ、マッタニヤ、ウジエル、シブエル、エレモテ、ハナニヤ、ハナニ、エリアタ、ギダルテ、ロマムテ・エゼル、ヨシベカシャ、マロテ、ホテル、マハジオテである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これらは|皆《みな》、|神《かみ》がご|自身《じしん》の|約束《やくそく》にしたがって|高《たか》くされた|王《おう》の|先見者《せんけんしゃ》ヘマンの|子《こ》たちであった。|神《かみ》はヘマンに|男《おとこ》の|子《こ》十四|人《にん》、|女《おんな》の|子《こ》三|人《にん》を|与《あた》えられた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これらの|者《もの》は|皆《みな》その|父《ちち》の|指揮《しき》の|下《した》にあって、|主《しゅ》の|宮《みや》で|歌《うた》をうたい、シンバルと|立琴《たてごと》と|琴《こと》をもって|神《かみ》の|宮《みや》の|務《つとめ》をした。アサフ、エドトンおよびヘマンは|王《おう》の|命《いのち》の|下《した》にあった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らおよび|主《しゅ》に|歌《うた》をうたうことのために|訓練《くんれん》され、すべて|熟練《じゅくれん》した|兄弟《きょうだい》たちの|数《かず》は二百八十八|人《にん》であった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|小《しょう》なる|者《もの》も、|大《だい》なる|者《もの》も、|教師《きょうし》も|生徒《せいと》も|皆《みな》ひとしくその|務《つとめ》のためにくじを|引《ひ》いた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》一のくじはアサフのためにヨセフに|当《あた》り、|第《だい》二はゲダリヤに|当《あた》った。|彼《かれ》とその|兄弟《きょうだい》たちおよびその|子《こ》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三はザックルに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四はイヅリに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》五はネタニヤに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六はブッキヤに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七はアサレラに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》八はエサヤに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》九はマッタニヤに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十はシメイに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十一はアザリエルに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十二はハシャビヤに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十三はシュバエルに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十四はマッタテヤに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十五はエレモテに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十六はハナニヤに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十七はヨシベカシャに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十八はハナニに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十九はマロテに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十はエリアタに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十一はホテルに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十二はギダルテに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十三はマハジオテに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十四はロマムテ・エゼルに|当《あた》った。その|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たち、|合《あ》わせて十二|人《にん》であった。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》の|組《くみ》は|次《つぎ》のとおりである。すなわちコラびとのうちでは、アサフの|子孫《しそん》のうちのコレの|子《こ》メシレミヤ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]メシレミヤの|子《こ》たちは、|長子《ちょうし》はゼカリヤ、|次《つぎ》はエデアエル、|第《だい》三はゼバデヤ、|第《だい》四はヤテニエル、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》五はエラム、|第《だい》六はヨハナン、|第《だい》七はエリヨエナイである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]オベデ・エドムの|子《こ》たちは、|長子《ちょうし》はシマヤ、|次《つぎ》はヨザバデ、|第《だい》三はヨア、|第《だい》四はサカル、|第《だい》五はネタネル、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六はアンミエル、|第《だい》七はイッサカル、|第《だい》八はピウレタイである。|神《かみ》が|彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》されたからである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|子《こ》シマヤにも|数人《すうにん》の|子《こ》が|生《うま》れ、|有能《ゆうのう》な|人々《ひとびと》であったので、その|父《ちち》の|家《いえ》を|治《おさ》める|者《もの》となった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちシマヤの|子《こ》たちはオテニ、レパエル、オベデ、エルザバデで、エルザバデの|兄弟《きょうだい》エリウとセマキヤは|力《ちから》ある|人々《ひとびと》であった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これらは|皆《みな》オベデ・エドムの|子孫《しそん》である。|彼《かれ》らはその|子《こ》たちおよびその|兄弟《きょうだい》たちと|共《とも》にその|勤《つと》めに|適《てき》した|力《ちから》ある|人々《ひとびと》で、|合《あ》わせて六十二|人《にん》、みなオベデ・エドムに|属《ぞく》する|者《もの》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]メシレミヤにも|子《こ》たちと|兄弟《きょうだい》たち|合《あ》わせて十八|人《にん》あって、|皆《みな》|力《ちから》ある|人々《ひとびと》であった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]メラリの|子孫《しそん》ホサにも|子《こ》たちがあった。そのかしらはシムリ、これは|長子《ちょうし》ではなかったが、|父《ちち》はこれをかしらにしたのであった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》はヒルキヤ、|第《だい》三はテバリヤ、|第《だい》四はゼカリヤである。ホサの|子《こ》たちと|兄弟《きょうだい》たちは|合《あ》わせて十三|人《にん》である。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これらは|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》の|組《くみ》の|長《ちょう》たる|人々《ひとびと》であって、その|兄弟《きょうだい》たちと|同様《どうよう》に|務《つとめ》をなして、|主《しゅ》の|宮《みや》に|仕《つか》えた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそれぞれ|門《もん》のために|小《しょう》なる|者《もの》も、|大《だい》なる|者《もの》も|等《ひと》しく、その|氏族《しぞく》にしたがってくじを|引《ひ》いた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》の|門《もん》のくじはシレミヤに|当《あた》った。また|彼《かれ》の|子《こ》で|思慮《しりょ》|深《ふか》い|議《ぎ》|士《し》ゼカリヤのためにくじを|引《ひ》いたが、|北《きた》の|門《もん》のくじがこれに|当《あた》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]オベデ・エドムには|南《みなみ》の|門《もん》のくじ、その|子《こ》たちには|倉《くら》のくじ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]シュパムとホサには|西《にし》の|門《もん》のくじが|当《あた》った。これは|坂《さか》の|大路《おおじ》にあるシャレケテの|門《もん》のかたわらにあった。|守《まも》る|者《もの》と|守《まも》る|者《もの》とが|相対《あいたい》していた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》の|方《ほう》には|毎日《まいにち》六|人《にん》、|北《きた》の|方《ほう》には|毎日《まいにち》四|人《にん》、|南《みなみ》の|方《ほう》には|毎日《まいにち》四|人《にん》、|倉《くら》には二|人《にん》と二|人《にん》、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|方《ほう》パルバルには|大路《おおじ》に四|人《にん》、パルバルに二|人《にん》。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》の|組《くみ》は|以上《いじょう》のとおりで、コラの|子孫《しそん》とメラリの|子孫《しそん》であった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]レビびとのうちアヒヤは|神《かみ》の|宮《みや》の|倉《くら》および|聖《せい》なる|物《もの》の|倉《くら》をつかさどった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ラダンの|子孫《しそん》すなわちラダンから|出《で》たゲルションびとの|子孫《しそん》で、ゲルションびとの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》はエヒエリである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エヒエリ、ゼタムおよびその|兄弟《きょうだい》ヨエルの|子《こ》たちは|主《しゅ》の|宮《みや》の|倉《くら》をつかさどった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アムラムびと、イヅハルびと、ヘブロンびと、ウジエルびとのうちでは|次《つぎ》のとおりであった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちモーセの|子《こ》ゲルショムの|子《こ》シブエルは|倉《くら》のつかさであった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|兄弟《きょうだい》でエリエゼルから|出《で》た|者《もの》は、その|子《こ》はレハビヤ、その|子《こ》はエサヤ、その|子《こ》はヨラム、その|子《こ》はジクリ、その|子《こ》はシロミテである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]このシロミテとその|兄弟《きょうだい》たちはすべての|聖《せい》なる|物《もの》の|倉《くら》をつかさどった。これはダビデ|王《おう》と、|氏族《しぞく》の|長《ちょう》と、千|人《にん》の|長《ちょう》と、百|人《にん》の|長《ちょう》と、|軍《ぐん》の|長《ちょう》たちのささげたものである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らが|戦《たたか》いで|獲《え》たぶんどり|物《もの》のうちから|主《しゅ》の|宮《みや》の|修繕《しゅうぜん》のためにささげたものである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]またすべて|先見者《せんけんしゃ》サムエル、キシの|子《こ》サウル、ネルの|子《こ》アブネル、ゼルヤの|子《こ》ヨアブなどがささげた|物《もの》。すべてこれらのささげ|物《もの》はシロミテとその|兄弟《きょうだい》たちが|管理《かんり》した。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イヅハルびとのうちでは、ケナニヤとその|子《こ》たちが、つかさおよびさばきびととしてイスラエルの|外事《がいじ》のために|選《えら》ばれた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンびとのうちでは、ハシャビヤおよびその|兄弟《きょうだい》など|勇士《ゆうし》千七百|人《にん》があって、ヨルダンのこなた、すなわち|西《にし》の|方《ほう》でイスラエルの|監督《かんとく》となり、|主《しゅ》のすべての|事《こと》を|行《おこな》い、|王《おう》に|奉仕《ほうし》した。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヘブロンびとのうちでは、|系図《けいず》と|氏族《しぞく》によってエリヤがヘブロンびとの|長《ちょう》であったが、ダビデの|治世《ちせい》の|第《だい》四十|年《ねん》に|彼《かれ》らを|尋《たず》ね|求《もと》め、ギレアデのヤゼルで|彼《かれ》らのうちから|大《だい》|勇士《ゆうし》を|得《え》た。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》は|彼《かれ》とその|兄弟《きょうだい》など|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たち二千七百|人《にん》の|勇士《ゆうし》をルベンびと、ガドびと、マナセびとの|半《はん》|部族《ぶぞく》の|監督《かんとく》となし、すべて|神《かみ》につける|事《こと》と|王《おう》の|事《こと》とをつかさどらせた。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|子孫《しそん》のうちで|氏族《しぞく》の|長《ちょう》、|千《せん》|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》、およびつかさたちは|年《ねん》のすべての|月《つき》の|間《あいだ》、|月《つき》ごとに|交替《こうたい》して|組《くみ》のすべての|事《こと》をなして|王《おう》に|仕《つか》えたが、その|数《かず》にしたがえば|各組《かくくみ》二万四千|人《にん》あった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]まず|第《だい》一の|組《くみ》すなわち|正月《しょうがつ》の|分《ぶん》はザブデエルの|子《こ》ヤショベアムがこれを|率《ひき》いた。その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はペレヅの|子孫《しそん》で、|正月《しょうがつ》の|軍団《ぐんだん》のすべての|将《しょう》たちのかしらであった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]二|月《がつ》の|組《くみ》はアホアびとドダイがこれを|率《ひき》いた。その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]三|月《がつ》の|第《だい》三の|将《しょう》は|祭司《さいし》エホヤダの|子《こ》ベナヤが|長《ちょう》であって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このベナヤはかの三十|人《にん》のうちの|勇士《ゆうし》であって三十|人《にん》を|率《ひき》い、その|子《こ》アミザバデがその|組《くみ》にあった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]四|月《がつ》の|第《だい》四の|将《しょう》はヨアブの|兄弟《きょうだい》アサヘルであって、その|子《こ》ゼバデヤがこれに|次《つ》いだ。その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]五|月《がつ》の|第《だい》五の|将《しょう》はイズラヒびとシャンモテであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]六|月《がつ》の|第《だい》六の|将《しょう》はテコアびとイッケシの|子《こ》イラであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]七|月《がつ》の|第《だい》七の|将《しょう》はエフライムの|子孫《しそん》であるペロンびとヘレヅであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]八|月《がつ》の|第《だい》八の|将《しょう》はゼラびとの|子孫《しそん》であるホシャびとシベカイであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]九|月《がつ》の|第《だい》九の|将《しょう》はベニヤミンの|子孫《しそん》であるアナトテびとアビエゼルであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]十|月《がつ》の|第《だい》十の|将《しょう》はゼラびとの|子孫《しそん》であるネトパびとマハライであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]十一|月《がつ》の|第《だい》十一の|将《しょう》はエフライムの|子孫《しそん》であるピラトンびとベナヤであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]十二|月《がつ》の|第《だい》十二の|将《しょう》はオテニエルの|子孫《しそん》であるネトパびとヘルダイであって、その|組《くみ》には二万四千|人《にん》あった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]なおイスラエルの|部族《ぶぞく》を|治《おさ》める|者《もの》たちは|次《つぎ》のとおりである。ルベンびとのつかさはヂクリの|子《こ》エリエゼル。シメオンびとのつかさはマアカの|子《こ》シパテヤ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]レビびとのつかさはケムエルの|子《こ》ハシャビヤ。アロンびとのつかさはザドク。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ユダのつかさはダビデの|兄弟《きょうだい》のひとりエリウ。イッサカルのつかさはミカエルの|子《こ》オムリ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンのつかさはオバデヤの|子《こ》イシマヤ。ナフタリのつかさはアズリエルの|子《こ》エレモテ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|子孫《しそん》のつかさはアザジヤの|子《こ》ホセア。マナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のつかさはペダヤの|子《こ》ヨエル。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデにあるマナセの|半《はん》|部族《ぶぞく》のつかさはゼカリヤの|子《こ》イド。ベニヤミンのつかさはアブネルの|子《こ》ヤシエル。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ダンのつかさはエロハムの|子《こ》アザリエル。これらはイスラエルの|部族《ぶぞく》のつかさたちであった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかしダビデは二十|歳《さい》|以下《いか》の|者《もの》は|数《かぞ》えなかった。|主《しゅ》がかつてイスラエルを|天《てん》の|星《ほし》のように|多《おお》くすると|言《い》われたからである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ゼルヤの|子《こ》ヨアブは|数《かぞ》え|始《はじ》めたが、これをなし|終《お》えなかった。その|数《かぞ》えることによって|怒《いか》りがイスラエルの|上《うえ》に|臨《のぞ》んだ。またその|数《かず》はダビデ|王《おう》の|歴代志《れきだいし》に|載《の》せなかった。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アデエルの|子《こ》アズマウテは|王《おう》の|倉《くら》をつかさどり、ウジヤの|子《こ》ヨナタンは|田野《でんや》、|町々《まちまち》、|村々《むらむら》、もろもろの|塔《とう》にある|倉《くら》をつかさどり、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ケルブの|子《こ》エズリは|地《ち》を|耕《たがや》す|農夫《のうふ》をつかさどり、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ラマテびとシメイはぶどう|畑《はたけ》をつかさどり、シプミびとザブデはぶどう|畑《はたけ》から|取《と》ったぶどう|酒《しゅ》の|倉《くら》をつかさどり、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ゲデルびとバアル・ハナンは|平野《へいや》のオリブの|木《き》といちじく|桑《くわ》の|木《き》をつかさどり、ヨアシは|油《あぶら》の|倉《くら》をつかさどり、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]シャロンびとシテライはシャロンで|飼《か》う|牛《うし》の|群《む》れをつかさどり、アデライの|子《こ》シャパテはもろもろの|谷《たに》におる|牛《うし》の|群《む》れをつかさどり、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]イシマエルびとオビルはらくだをつかさどり、メロノテびとエデヤはろばをつかさどり、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ハガルびとヤジズは|羊《ひつじ》の|群《む》れをつかさどった。|彼《かれ》らは|皆《みな》ダビデ|王《おう》の|財産《ざいさん》のつかさであった。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]またダビデのおじヨナタンは|議《ぎ》|官《かん》で、|知恵《ちえ》ある|人《ひと》であり、|学者《がくしゃ》であった。また|彼《かれ》とハクモニの|子《こ》エヒエルは|王《おう》の|子《こ》たちの|補佐《ほさ》であった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]アヒトペルは|王《おう》の|議《ぎ》|官《かん》。アルキびとホシャイは|王《おう》の|友《とも》であった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]アヒトペルに|次《つ》ぐ|者《もの》はベナヤの|子《こ》エホヤダおよびアビヤタル。|王《おう》の|軍《ぐん》の|長《ちょう》はヨアブであった。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはイスラエルのすべての|長官《ちょうかん》、すなわち|部族《ぶぞく》の|長《ちょう》、|王《おう》に|仕《つか》えた|組《くみ》の|長《ちょう》、千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》、|王《おう》とその|子《こ》たちのすべての|財産《ざいさん》および|家畜《かちく》のつかさ、|宦官《かんがん》、|有力《ゆうりょく》|者《しゃ》、|勇士《ゆうし》などをことごとくエルサレムに|召《め》し|集《あつ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデ|王《おう》はその|足《あし》で|立《た》ち|上《あ》がって|言《い》った、「わが|兄弟《きょうだい》たち、わが|民《たみ》よ、わたしに|聞《き》きなさい。わたしは|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》のため、われわれの|神《かみ》の|足《あし》|台《だい》のために|安住《あんじゅう》の|家《いえ》を|建《た》てようとの|志《こころざし》をもち、すでにこれを|建《た》てる|準備《じゅんび》をした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》はわたしに|言《い》われた、『おまえはわが|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》ててはならない。おまえは|軍人《ぐんじん》であって、|多《おお》くの|血《ち》を|流《なが》したからである』と。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それにもかかわらず、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はわたしの|父《ちち》の|全家《ぜんか》のうちからわたしを|選《えら》んで|長《なが》くイスラエルの|王《おう》とせられた。すなわちユダを|選《えら》んでかしらとし、ユダの|家《いえ》のうちで、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》を|選《えら》び、わたしの|父《ちち》の|子《こ》らのうちで、わたしを|喜《よろこ》び、|全《ぜん》イスラエルの|王《おう》とせられた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はわたしに|多《おお》くの|子《こ》を|賜《たま》わり、そのすべての|子《こ》らのうちからわが|子《こ》ソロモンを|選《えら》び、これを|主《しゅ》の|国《くに》の|位《くらい》にすわらせて、イスラエルを|治《おさ》めさせようとせられた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたわたしに|言《い》われた、『おまえの|子《こ》ソロモンがわが|家《や》およびわが|庭《にわ》を|造《つく》るであろう。わたしは|彼《かれ》を|選《えら》んでわが|子《こ》となしたからである。わたしは|彼《かれ》の|父《ちち》となる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がもし|今日《こんにち》のように、わが|戒《いまし》めとわがおきてを|固《かた》く|守《まも》って|行《おこな》うならば、わたしはその|国《くに》をいつまでも|堅《かた》くするであろう』と。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえいま、|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》なる|全《ぜん》イスラエルの|目《め》の|前《まえ》およびわれわれの|神《かみ》の|聞《き》かれる|所《ところ》であなたがたに|勧《すす》める。あなたがたはその|神《かみ》、|主《しゅ》のすべての|戒《いまし》めを|守《まも》り、これを|求《もと》めなさい。そうすればあなたがたはこの|良《よ》き|地《ち》を|所有《しょゆう》し、これをあなたがたの|後《のち》の|子孫《しそん》に|長《なが》く|嗣《し》|業《ぎょう》として|伝《つた》えることができる。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》ソロモンよ、あなたの|父《ちち》の|神《かみ》を|知《し》り、|全《まった》き|心《こころ》をもって|喜《よろこ》び|勇《いさ》んで|彼《かれ》に|仕《つか》えなさい。|主《しゅ》はすべての|心《こころ》を|探《さぐ》り、すべての|思《おも》いを|悟《さと》られるからである。あなたがもし|彼《かれ》を|求《もと》めるならば|会《あ》うことができる。しかしあなたがもしかれを|捨《す》てるならば|彼《かれ》は|長《なが》くあなたを|捨《す》てられるであろう。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それであなたは|慎《つつし》みなさい。|主《しゅ》はあなたを|選《えら》んで|聖所《せいじょ》とすべき|家《いえ》を|建《た》てさせようとされるのだから|心《こころ》を|強《つよ》くしてこれを|行《おこな》いなさい」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてダビデは|神殿《しんでん》の|廊《ろう》およびその|家《いえ》、その|倉《くら》、その|上《うえ》の|室《しつ》、その|内《うち》の|室《しつ》、|贖罪所《しょくざいしょ》の|室《しつ》などの|計画《けいかく》をその|子《こ》ソロモンに|授《さづ》け、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またその|心《こころ》にあったすべてのもの、すなわち|主《しゅ》の|宮《みや》の|庭《にわ》、|周囲《しゅうい》のすべての|室《しつ》、|神《かみ》の|家《いえ》の|倉《くら》、ささげ|物《もの》の|倉《くら》などの|計画《けいかく》を|授《さづ》け、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》およびレビびとの|組《くみ》と、|主《しゅ》の|宮《みや》のもろもろの|務《つとめ》の|仕事《しごと》と、|主《しゅ》の|宮《みや》のもろもろの|勤《つと》めの|器物《うつわもの》について|授《さづ》け、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またもろもろの|勤《つと》めに|用《もち》いるすべての|金《きん》の|器《うつわ》を|造《つく》る|金《きん》の|目方《めかた》、およびもろもろの|勤《つと》めに|用《もち》いる|銀《ぎん》の|器《うつわ》の|目方《めかた》を|定《さだ》めた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|金《きん》の|燭台《しょくだい》と、そのともしび|皿《さら》の|目方《めかた》、おのおのの|燭台《しょくだい》と、そのともしび|皿《さら》の|金《きん》の|目方《めかた》を|定《さだ》め、また|銀《ぎん》の|燭台《しょくだい》についてもおのおのの|燭台《しょくだい》の|用法《ようほう》にしたがって|燭台《しょくだい》と、そのともしび|皿《さら》の|銀《ぎん》の|目方《めかた》を|定《さだ》めた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|供《そな》えのパンの|机《つくえ》については、そのおのおのの|机《つくえ》のために|金《きん》の|目方《めかた》を|定《さだ》め、また|銀《ぎん》の|机《つくえ》のためにも|銀《ぎん》を|定《さだ》め、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|肉《にく》さし、|鉢《はち》、かめに|用《もち》いる|純金《じゅんきん》の|目方《めかた》を|定《さだ》め、|金《きん》の|大杯《たいはい》についてもおのおのの|目方《めかた》を|定《さだ》め、|銀《ぎん》の|大杯《たいはい》についてもおのおのの|目方《めかた》を|定《さだ》め、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|香《こう》の|祭壇《さいだん》のために|精《せい》|金《きん》の|目方《めかた》を|定《さだ》め、また|翼《つばさ》を|伸《の》べて|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をおおっているケルビムの|金《きん》の|車《くるま》のひな|型《がた》の|金《きん》を|定《さだ》めた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはすべての|工作《こうさく》が|計画《けいかく》にしたがってなされるため、これについて|主《しゅ》の|手《て》によって|書《か》かれたものにより、これをことごとく|明《あき》らかにした。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダビデはその|子《こ》ソロモンに|言《い》った、「あなたは|心《こころ》を|強《つよ》くし、|勇《いさ》んでこれを|行《おこな》いなさい。|恐《おそ》れてはならない。おののいてはならない。|主《しゅ》なる|神《かみ》、わたしの|神《かみ》があなたとともにおられるからである。|主《しゅ》はあなたを|離《はな》れず、あなたを|捨《す》てず、ついに|主《しゅ》の|宮《みや》の|務《つとめ》のすべての|工事《こうじ》をなし|終《お》えさせられるでしょう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》の|宮《みや》のすべての|務《つとめ》のためには|祭司《さいし》とレビびとの|組《くみ》がある。またもろもろの|勤《つと》めのためにすべての|仕事《しごと》を|喜《よろこ》んでする|巧《たく》みな|者《もの》が|皆《みな》あなたと|共《とも》にある。またつかさたちおよびすべての|民《たみ》もあなたの|命《めい》じるところをことごとく|行《おこな》うでしょう」。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》はまた|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|言《い》った、「わが|子《こ》ソロモンは|神《かみ》がただひとりを|選《えら》ばれた|者《もの》であるが、まだ|若《わか》くて|経験《けいけん》がなく、この|事業《じぎょう》は|大《おお》きい。この|宮《みや》は|人《ひと》のためではなく、|主《しゅ》なる|神《かみ》のためだからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|力《ちから》をつくして|神《かみ》の|宮《みや》のために|備《そな》えた。すなわち|金《きん》の|物《もの》を|造《つく》るために|金《きん》、|銀《ぎん》の|物《もの》のために|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》の|物《もの》のために|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》の|物《もの》のために|鉄《てつ》、|木《き》の|物《もの》のために|木《き》を|備《そな》えた。その|他《た》|縞《しま》めのう、はめ|石《いし》、アンチモニイ、|色《いろ》のついた|石《いし》、さまざまの|宝石《ほうせき》、|大理石《だいりせき》などおびただしい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]なおわたしはわが|神《かみ》の|宮《みや》に|熱心《ねっしん》なるがゆえに、|聖《せい》なる|家《いえ》のために|備《そな》えたすべての|物《もの》に|加《くわ》えて、わたしの|持《も》っている|金銀《きんぎん》の|財宝《ざいほう》をわが|神《かみ》の|宮《みや》にささげる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちオフルの|金《きん》三千タラント、|精《せい》|銀《ぎん》七千タラントをそのもろもろの|建物《たてもの》の|壁《かべ》をおおうためにささげる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|金《きん》は|金《きん》の|物《もの》のために、|銀《ぎん》は|銀《ぎん》の|物《もの》のために、すべて|工人《こうじん》によって|造《つく》られるもののために|用《もち》いる。だれかきょう、|主《しゅ》にその|身《み》をささげる|者《もの》のように|喜《よろこ》んでささげ|物《もの》をするだろうか」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たち、イスラエルの|部族《ぶぞく》のつかさたち、千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》および|王《おう》の|工事《こうじ》をつかさどる|者《もの》たちは|喜《よろこ》んでささげ|物《もの》をした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|神《かみ》の|宮《みや》の|務《つとめ》のために|金《きん》五千タラント一万ダリク、|銀《ぎん》一万タラント、|青銅《せいどう》一万八千タラント、|鉄《てつ》十万タラントをささげた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|宝石《ほうせき》を|持《も》っている|者《もの》はそれをゲルションびとエヒエルの|手《て》によって|神《かみ》の|宮《みや》の|倉《くら》に|納《おさ》めた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがこのように真|心《こころ》からみずから|進《すす》んで|主《しゅ》にささげたので、|民《たみ》はそのみずから|進《すす》んでささげたのを|喜《よろこ》んだ。ダビデ|王《おう》もまた|大《おお》いに|喜《よろこ》んだ。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでダビデは|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》で|主《しゅ》をほめたたえた。ダビデは|言《い》った、「われわれの|先祖《せんぞ》イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたはとこしえにほむべきかたです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|大《おお》いなることと、|力《ちから》と、|栄光《えいこう》と、|勝利《しょうり》と、|威光《いこう》とはあなたのものです。|天《てん》にあるもの、|地《ち》にあるものも|皆《みな》あなたのものです。|主《しゅ》よ、|国《くに》もまたあなたのものです。あなたは|万有《ばんゆう》のかしらとして、あがめられます。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|富《とみ》と|誉《ほまれ》とはあなたから|出《で》ます。あなたは|万有《ばんゆう》をつかさどられます。あなたの|手《て》には|勢《いきお》いと|力《ちから》があります。あなたの|手《て》はすべてのものを|大《おお》いならしめ、|強《つよ》くされます。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》よ、われわれは、いま、あなたに|感謝《かんしゃ》し、あなたの|光栄《こうえい》ある|名《な》をたたえます。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかしわれわれがこのように|喜《よろこ》んでささげることができても、わたしは|何者《なにもの》でしょう。わたしの|民《たみ》は|何《なに》でしょう。すべての|物《もの》はあなたから|出《で》ます。われわれはあなたから|受《う》けて、あなたにささげたのです。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]われわれはあなたの|前《まえ》ではすべての|先祖《せんぞ》たちのように、|旅《たび》びとです、|寄留者《きりゅうしゃ》です。われわれの|世《よ》にある|日《ひ》は|影《かげ》のようで、|長《なが》くとどまることはできません。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたの|聖《せい》なる|名《な》のために、あなたに|家《いえ》を|建《た》てようとしてわれわれが|備《そな》えたこの|多《おお》くの|物《もの》は|皆《みな》あなたの|手《て》から|出《で》たもの、また|皆《みな》あなたのものです。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、あなたは|心《こころ》をためし、また|正直《しょうじき》を|喜《よろこ》ばれることを、わたしは|知《し》っています。わたしは|正《ただ》しい|心《こころ》で、このすべての|物《もの》を|喜《よろこ》んでささげました。|今《いま》わたしはまた、ここにおるあなたの|民《たみ》が|喜《よろこ》んで、みずから|進《すす》んであなたにささげ|物《もの》をするのを|見《み》ました。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|先祖《せんぞ》アブラハム、イサク、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたの|民《たみ》の|心《こころ》にこの|意志《いし》と|精神《せいしん》とをいつまでも|保《たも》たせ、その|心《こころ》をあなたに|向《む》けさせてください。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またわが|子《こ》ソロモンに|心《こころ》をつくしてあなたの|命令《めいれい》と、あなたのあかしと、あなたのさだめとを|守《まも》らせて、これをことごとく|行《おこな》わせ、わたしが|備《そな》えをした|宮《みや》を|建《た》てさせてください」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてダビデが|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》にむかって、「あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》をほめたたえよ」と|言《い》ったので、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》をほめたたえ、|伏《ふ》して|主《しゅ》を|拝《はい》し、|王《おう》に|敬礼《けいれい》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|翌日《よくじつ》|彼《かれ》らは|全《ぜん》イスラエルのために|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげた。すなわち|燔祭《はんさい》として|雄牛《おうし》一千、|雄羊《おひつじ》一千、|小羊《こひつじ》一千をその|灌祭《かんさい》と|共《とも》に|主《しゅ》にささげ、おびただしい|犠牲《ぎせい》をささげた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|日《ひ》、|彼《かれ》らは|大《おお》いなる|喜《よろこ》びをもって|主《しゅ》の|前《まえ》に|食《く》い|飲《の》みした。  |彼《かれ》らはさらに|改《あらた》めてダビデの|子《こ》ソロモンを|王《おう》となし、これに|油《あぶら》を|注《そそ》いで|主《しゅ》の|君《きみ》となし、またザドクを|祭司《さいし》とした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンはその|父《ちち》ダビデに|代《かわ》り、|王《おう》として|主《しゅ》の|位《くらい》に|座《ざ》した。|彼《かれ》は|栄《さか》え、イスラエルは|皆《みな》|彼《かれ》に|従《したが》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]またすべてのつかさたち、|勇士《ゆうし》たち、およびダビデ|王《おう》の|王子《おうじ》たちも|皆《みな》ソロモン|王《おう》に|忠誠《ちゅうせい》を|誓《ちか》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|全《ぜん》イスラエルの|目《め》の|前《まえ》でソロモンを|非常《ひじょう》に|大《おお》いならしめ、|彼《かれ》より|前《まえ》のイスラエルのどの|王《おう》も|得《え》たことのない|王威《おうい》を|彼《かれ》に|与《あた》えられた。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]このようにエッサイの|子《こ》ダビデは|全《ぜん》イスラエルを|治《おさ》めた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がイスラエルを|治《おさ》めた|期間《きかん》は四十|年《ねん》であった。すなわちヘブロンで七|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》め、エルサレムで三十三|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|高齢《こうれい》に|達《たっ》し、|年《ねん》も|富《とみ》も|誉《ほまれ》も|満《み》ち|足《た》りて|死《し》んだ。その|子《こ》ソロモンが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ダビデ|王《おう》の|始終《しじゅう》の|行為《こうい》は、|先見者《せんけんしゃ》サムエルの|書《しょ》、|預言者《よげんしゃ》ナタンの|書《しょ》および|先見者《せんけんしゃ》ガドの|書《しょ》にしるされている。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そのうちには|彼《かれ》のすべての|政《せい》と、その|力《ちから》および|彼《かれ》とイスラエルと|他《た》のすべての|国々《くにぐに》に|臨《のぞ》んだ|事《こと》どもをしるしている。 [#改ページ] 歴代志下[#「歴代志下」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|子《こ》ソロモンはその|国《くに》に|自分《じぶん》の|地位《ちい》を|確立《かくりつ》した。その|神《かみ》、|主《しゅ》が|共《とも》にいまして|彼《かれ》を|非常《ひじょう》に|大《おお》いなる|者《もの》にされた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはすべてのイスラエルびと、すなわち千|人《にん》の|長《ちょう》、百|人《にん》の|長《ちょう》、さばきびとおよびイスラエルの|全《ぜん》|地《ち》のすべてのつかさ、|氏族《しぞく》のかしらたちに|告《つ》げた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてソロモンとイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》はともにギベオンにある|高《たか》き|所《ところ》へ|行《い》った。|主《しゅ》のしもべモーセが|荒野《あらの》で|造《つく》った|神《かみ》の|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》がそこにあったからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり](しかし|神《かみ》の|箱《はこ》はダビデがすでにキリアテ・ヤリムから、これのために|備《そな》えた|所《ところ》に|運《はこ》び|上《のぼ》らせてあった。ダビデはさきに、エルサレムでこれのために|天幕《てんまく》を|張《は》って|置《お》いたからである。)[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またホルの|子《こ》であるウリの|子《こ》ベザレルが|造《つく》った|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》がその|所《ところ》の|主《しゅ》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》にあり、ソロモンおよび|会衆《かいしゅう》は|主《しゅ》に|求《もと》めた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはそこに|上《のぼ》って|行《い》って、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》のうちにある|主《しゅ》の|前《まえ》の|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》に|燔祭《はんさい》一千をささげた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よる》、|神《かみ》はソロモンに|現《あらわ》れて|言《い》われた、「あなたに|何《なに》を|与《あた》えようか、|求《もと》めなさい」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|神《かみ》に|言《い》った、「あなたはわたしの|父《ちち》ダビデに|大《おお》いなるいつくしみを|示《しめ》し、またわたしを|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》とされました。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、どうぞわが|父《ちち》ダビデに|約束《やくそく》された|事《こと》を|果《はた》してください。あなたは|地《ち》のちりのような|多《おお》くの|民《たみ》の|上《うえ》にわたしを|立《た》てて|王《おう》とされたからです。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》の|前《まえ》に|出入《でい》りすることのできるように|今《いま》わたしに|知恵《ちえ》と|知識《ちしき》とを|与《あた》えてください。だれがこのような|大《おお》いなるあなたの|民《たみ》をさばくことができましょうか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はソロモンに|言《い》われた、「この|事《こと》があなたの|心《こころ》にあって、|富《とみ》をも、|宝《たから》をも、|誉《ほまれ》をも、またあなたを|憎《にく》む|者《もの》の|命《いのち》をも|求《もと》めず、また|長命《ちょうめい》をも|求《もと》めず、ただわたしがあなたを|立《た》てて|王《おう》としたわたしの|民《たみ》をさばくために|知恵《ちえ》と|知識《ちしき》とを|自分《じぶん》のために|求《もと》めたので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》と|知識《ちしき》とはあなたに|与《あた》えられている。わたしはまたあなたの|前《まえ》の|王《おう》たちの、まだ|得《え》たことのないほどの|富《とみ》と|宝《たから》と|誉《ほまれ》とをあなたに|与《あた》えよう。あなたの|後《のち》の|者《もの》も、このようなものを|得《え》ないでしょう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それからソロモンはギベオンの|高《たか》き|所《ところ》を|去《さ》り、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》の|前《まえ》を|去《さ》って、エルサレムに|帰《かえ》り、イスラエルを|治《おさ》めた。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》とを|集《あつ》めたが、|戦車《せんしゃ》一千四百|両《りょう》、|騎兵《きへい》一万二千|人《にん》あった。ソロモンはこれを|戦車《せんしゃ》の|町々《まちまち》と、エルサレムの|王《おう》のもととに|置《お》いた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|銀《ぎん》と|金《きん》を|石《いし》のようにエルサレムに|多《おお》くし、|香柏《こうはく》を|平野《へいや》のいちじく|桑《くわ》のように|多《おお》くした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|馬《うま》を|輸入《ゆにゅう》したのはエジプトとクエからであった。すなわち|王《おう》の|貿易《ぼうえき》|商人《しょうにん》がクエから|代価《だいか》を|払《はら》って|受《う》け|取《と》って|来《き》た。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトから|戦車《せんしゃ》一|両《りょう》を|銀《ぎん》六百シケルで|輸入《ゆにゅう》し、|馬《うま》一|頭《とう》を|銀《ぎん》百五十で|輸入《ゆにゅう》した。|同《おな》じようにこれらのものが|彼《かれ》らによってヘテびとのすべての|王《おう》たち、およびスリヤの|王《おう》たちにも|輸出《ゆしゅつ》された。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さてソロモンは|主《しゅ》の|名《な》のために一つの|宮《みや》を|建《た》て、また|自分《じぶん》のために一つの|王宮《おうきゅう》を|建《た》てようと|思《おも》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてソロモンは|荷《に》を|負《お》う|者《もの》七万|人《にん》、|山《やま》で|石《いし》を|切《き》り|出《だ》す|者《もの》八万|人《にん》、これらを|監督《かんとく》する|者《もの》三千六百|人《にん》を|数《かぞ》え|出《だ》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまずツロのヒラムに|人《ひと》をつかわして|言《い》わせた、「あなたはわたしの|父《ちち》ダビデに、その|住《す》むべき|家《いえ》を|建《た》てるために|香柏《こうはく》を|送《おく》られました。どうぞ|彼《かれ》にされたように、わたしにもして|下《くだ》さい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはわが|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために一つの|家《いえ》を|建《た》て、これを|聖別《せいべつ》して|彼《かれ》にささげ、|彼《かれ》の|前《まえ》にこうばしい|香《こう》をたき、|常供《じょうく》のパンを|供《そな》え、また|燔祭《はんさい》を|安息日《あんそくにち》、|新月《しんげつ》、およびわれらの|神《かみ》、|主《しゅ》の|定《さだ》めの|祭《まつり》に|朝夕《あさゆう》ささげ、これをイスラエルのながく|守《まも》るべき|定《さだ》めにしようとしています。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またわたしの|建《た》てる|家《いえ》は|大《おお》きな|家《いえ》です。われらの|神《かみ》はすべての|神《かみ》よりも|大《おお》いなる|神《かみ》だからです。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|天《てん》も、|諸《しょ》|天《てん》の|天《てん》も|彼《かれ》を|入《い》れることができないのに、だれが|彼《かれ》のために|家《いえ》を|建《た》てることができましょうか。わたしは|何者《なにもの》ですか、|彼《かれ》のために|家《いえ》を|建《た》てるというのも、ただ|彼《かれ》の|前《まえ》に|香《こう》をたく|所《ところ》に、ほかならないのです。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それで、どうぞ|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》の|細工《さいく》および|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》、|青《あお》|糸《いと》の|織物《おりもの》にくわしく、また|彫刻《ちょうこく》の|術《じゅつ》に|巧《たく》みな|工人《こうじん》ひとりをわたしに|送《おく》って、|父《ちち》ダビデが|備《そな》えておいたユダとエルサレムのわたしの|工人《こうじん》たちと|一緒《いっしょ》に|働《はたら》かせてください。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またどうぞレバノンから|香柏《こうはく》、いとすぎ、びゃくだんを|送《おく》ってください。わたしはあなたのしもべたちがレバノンで|木《き》を|切《き》ることをよくわきまえているのを|知《し》っています。わたしのしもべたちも、あなたのしもべたちと|一緒《いっしょ》に|働《はたら》かせ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしのためにたくさんの|材木《ざいもく》を|備《そな》えさせてください。わたしの|建《た》てる|家《いえ》は|非常《ひじょう》に|広大《こうだい》なものですから。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|木《き》を|切《き》るあなたのしもべたちに|砕《くだ》いた|小麦《こむぎ》二万コル、|大麦《おおむぎ》二万コル、ぶどう|酒《しゅ》二万バテ、|油《あぶら》二万バテを|与《あた》えます」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでツロの|王《おう》ヒラムは|手紙《てがみ》をソロモンに|送《おく》って|答《こた》えた、「|主《しゅ》はその|民《たみ》を|愛《あい》するゆえに、あなたを|彼《かれ》らの|王《おう》とされました」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヒラムはまた|言《い》った、「|天地《てんち》を|造《つく》られたイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|彼《かれ》はダビデ|王《おう》に|賢《かしこ》い|子《こ》を|与《あた》え、これに|分別《ふんべつ》と|知恵《ちえ》を|授《さづ》けて、|主《しゅ》のために|宮《みや》を|建《た》て、また|自分《じぶん》のために、|王宮《おうきゅう》を|建《た》てることをさせられた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]いまわたしは|達人《たつじん》ヒラムという|知恵《ちえ》のある|工人《こうじん》をつかわします。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はダンの|子孫《しそん》である|女《おんな》を|母《はは》とし、ツロの|人《ひと》を|父《ちち》とし、|金銀《きんぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》、|石《いし》、|木《き》の|細工《さいく》および|紫《むらさき》|糸《いと》、|青《あお》|糸《いと》、|亜麻《あま》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》の|織物《おりもの》にくわしく、またよくもろもろの|彫刻《ちょうこく》をし、|意匠《いしょう》を|凝《こ》らしてもろもろの|工作《こうさく》をします。|彼《かれ》を|用《もち》いてあなたの|工人《こうじん》およびあなたの|父《ちち》、わが|主《しゅ》ダビデの|工人《こうじん》と|一緒《いっしょ》に|働《はたら》かせなさい。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それでいまわが|主《しゅ》の|言《い》われた|小麦《こむぎ》、|大麦《おおむぎ》、|油《あぶら》およびぶどう|酒《しゅ》をそのしもべどもに|送《おく》ってください。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|求《もと》められる|材木《ざいもく》はレバノンから|切《き》りだし、いかだに|組《く》んで、|海《うみ》からヨッパに|送《おく》ります。あなたはそれをエルサレムに|運《はこ》び|上《あ》げなさい」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでソロモンはその|父《ちち》ダビデが|数《かぞ》えたようにイスラエルの|国《くに》にいるすべての|他国《たこく》|人《じん》を|数《かぞ》えたが、|合《あ》わせて十五万三千六百|人《にん》あった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその七万|人《にん》を|荷《に》を|負《お》う|者《もの》とし、八万|人《にん》を|山《やま》で|木《き》や|石《いし》を|切《き》る|者《もの》とし、三千六百|人《にん》を|民《たみ》を|働《はたら》かせる|監督《かんとく》|者《しゃ》とした。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはエルサレムのモリアの|山《やま》に|主《しゅ》の|宮《みや》を|建《た》てることを|始《はじ》めた。そこは|父《ちち》ダビデに|主《しゅ》が|現《あらわ》れられた|所《ところ》、すなわちエブスびとオルナンの|打《う》ち|場《ば》にダビデが|備《そな》えた|所《ところ》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|宮《みや》を|建《た》て|始《はじ》めたのは、その|治世《ちせい》の四|年《ねん》の二|月《がつ》であった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|建《た》てた|神《かみ》の|宮《みや》の|基《もとい》の|寸法《すんぽう》は|次《つぎ》のとおりである。すなわち|昔《むかし》の|尺度《しゃくど》によれば|長《なが》さ六十キュビト、|幅《はば》二十キュビト、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》の|前《まえ》の|廊《ろう》は|宮《みや》の|幅《はば》に|従《したが》って|長《なが》さ二十キュビト|高《たか》さ百二十キュビトで、その|内部《ないぶ》は|純金《じゅんきん》でおおった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またその|拝殿《はいでん》はいとすぎの|板《いた》で|張《は》り、|精《せい》|金《きん》をもってこれをおおい、その|上《うえ》にしゅろと|鎖《くさり》の|形《かたち》を|施《ほどこ》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|宝石《ほうせき》をはめ|込《こ》んで|宮《みや》を|飾《かざ》った。その|金《きん》はパルワイムの|金《きん》であった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|金《きん》をもってその|宮《みや》、すなわち、|梁《はり》、|敷居《しきい》、|壁《かべ》および|戸《と》をおおい、|壁《かべ》の|上《うえ》にケルビムを|彫《ほ》りつけた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|至聖所《しせいじょ》を|造《つく》った。その|長《なが》さは|宮《みや》の|長《なが》さにしたがって二十キュビト、|幅《はば》も二十キュビトである。|彼《かれ》は|精《せい》|金《きん》六百タラントをもってこれをおおった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|釘《くぎ》の|金《きん》の|重《おも》さは五十シケルであった。|彼《かれ》はまた|階上《かいじょう》の|室《しつ》も|金《きん》でおおった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|至聖所《しせいじょ》に|木《き》を|刻《きざ》んだケルビムの|像《ぞう》を二つ|造《つく》り、これを|金《きん》でおおった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ケルビムの|翼《つばさ》の|長《なが》さは|合《あ》わせて二十キュビトあった。すなわち一つのケルブの一つの|翼《つばさ》は五キュビトで、|宮《みや》の|壁《かべ》に|届《とど》き、ほかの|翼《つばさ》も五キュビトで、|他《た》のケルブの|翼《つばさ》に|届《とど》き、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|他《た》のケルブの一つの|翼《つばさ》も五キュビトで、|宮《みや》の|壁《かべ》に|届《とど》き、ほかの|翼《つばさ》も五キュビトで、|先《さき》のケルブの|翼《つばさ》に|接《せっ》していた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これらのケルビムの|翼《つばさ》は|広《ひろ》げると二十キュビトあった。かれらは|共《とも》に|足《あし》で|立《た》ち、その|顔《かお》は|拝殿《はいでん》に|向《む》かっていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまた|青《あお》|糸《いと》、|紫《むらさき》|糸《いと》、|緋《ひ》|糸《いと》および|亜麻《あま》|糸《いと》で|垂幕《たれまく》を|造《つく》り、その|上《うえ》にケルビムの|縫《ぬ》い|取《と》りを|施《ほどこ》した。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|宮《みや》の|前《まえ》に|柱《はしら》を二|本《ほん》|造《つく》った。その|高《たか》さは三十五キュビト、おのおのの|柱《はしら》の|頂《いただき》に五キュビトの|柱頭《ちゅうとう》を|造《つく》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|首《くび》|飾《かざり》のような|鎖《くさり》を|造《つく》って、|柱《はしら》の|頂《いただき》につけ、ざくろ百を|造《つく》ってその|鎖《くさり》の|上《うえ》につけた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこの|柱《はしら》を|神殿《しんでん》の|前《まえ》に、一|本《ぽん》を|南《みなみ》の|方《ほう》に、一|本《ぽん》を|北《きた》の|方《ほう》に|立《た》て、|南《みなみ》の|方《ほう》のをヤキンと|名《な》づけ、|北《きた》の|方《ほう》のをボアズと|名《な》づけた。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまた|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》を|造《つく》った。その|長《なが》さ二十キュビト、|幅《はば》二十キュビト、|高《たか》さ十キュビトである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|海《うみ》を|鋳《い》て|造《つく》った。|縁《ふち》から|縁《ふち》まで十キュビトであって、|周囲《しゅうい》は|円形《えんけい》をなし、|高《たか》さ五キュビトで、その|周囲《しゅうい》は|綱《つな》をもって|測《はか》ると三十キュビトあった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|下《した》には三十キュビトの|周囲《しゅうい》をめぐるひさごの|形《かたち》があって、|海《うみ》の|周囲《しゅうい》を|囲《かこ》んでいた。そのひさごは二|並《なら》びで、|海《うみ》を|鋳《い》る|時《とき》に|鋳《い》たものである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|海《うみ》は十二の|牛《うし》の|上《うえ》に|置《お》かれ、その三つは|北《きた》に|向《む》かい、三つは|西《にし》に|向《む》かい、三つは|南《みなみ》に|向《む》かい、三つは|東《ひがし》に|向《む》かっていた。|海《うみ》はその|上《うえ》に|置《お》かれ、|牛《うし》のうしろはみな|内《うち》に|向《む》かっていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|厚《あつ》さは|手《て》の|幅《はば》で、その|縁《ふち》は|杯《はい》の|縁《ふち》のように、ゆりの|花《はな》に|似《に》せて|造《つく》られた。|海《うみ》には|水《みず》を三千バテ|入《い》れることができた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|物《もの》を|洗《あら》うために|洗盤《せんばん》十|個《こ》を|造《つく》って、五|個《こ》を|南側《みなみがわ》に、五|個《こ》を|北側《きたがわ》に|置《お》いた。その|中《なか》で|燔祭《はんさい》に|用《もち》いるものを|洗《あら》った。しかし|海《うみ》は|祭司《さいし》がその|中《なか》で|身《み》を|洗《あら》うためであった。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|金《きん》の|燭台《しょくだい》十|個《こ》をその|定《さだ》めに|従《したが》って|造《つく》り、|拝殿《はいでん》の|中《なか》の|南側《みなみがわ》に五|個《こ》、|北側《きたがわ》に五|個《こ》を|置《お》き、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|机《つくえ》十|個《こ》を|造《つく》り、|神殿《しんでん》の|中《なか》の|南側《みなみがわ》に五|個《こ》、|北側《きたがわ》に五|個《こ》を|置《お》き、また|金《きん》の|鉢《はち》百を|造《つく》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|祭司《さいし》の|庭《にわ》と|大庭《おおにわ》および|庭《にわ》の|戸《と》を|造《つく》り、その|戸《と》を|青銅《せいどう》でおおった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|海《うみ》を|宮《みや》の|東南《とうなん》のすみにすえた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヒラムはまたつぼと|十能《じゅうのう》と|鉢《はち》とを|造《つく》った。こうしてヒラムはソロモン|王《おう》のため、|神《かみ》の|宮《みや》の|工事《こうじ》を|終《お》えた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち二|本《ほん》の|柱《はしら》と|玉《たま》と、|柱《はしら》の|頂《いただき》にある二つの|柱頭《ちゅうとう》と、|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》の二つの|玉《たま》をおおう二つの|網《あみ》|細工《ざいく》と、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その二つの|網《あみ》|細工《ざいく》のためのざくろ四百、このざくろはおのおの|網《あみ》|細工《ざいく》に二|並《なら》びにつけて、|柱《はしら》の|頂《いただき》にある|柱頭《ちゅうとう》の二つの|玉《たま》を|巻《ま》いていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|台《だい》と|台《だい》の|上《うえ》の|洗盤《せんばん》と、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]一つの|海《うみ》とその|下《した》の十二の|牛《うし》を|造《つく》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]つぼ、|十能《じゅうのう》、|肉《にく》さしなどすべてこれらの|器物《うつわもの》を、|達人《たつじん》ヒラムはソロモン|王《おう》のため、|主《しゅ》の|宮《みや》のために、|光《ひかり》のある|青銅《せいどう》で|造《つく》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はヨルダンの|低地《ていち》で、スコテとゼレダの|間《あいだ》の|粘土《ねんど》の|地《ち》でこれを|鋳《い》た。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]このようにソロモンはこれらのすべての|器物《うつわもの》を|非常《ひじょう》に|多《おお》く|造《つく》ったので、その|青銅《せいどう》の|重量《じゅうりょう》は、|量《はか》ることができなかった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンは|神《かみ》の|宮《みや》のすべての|器物《うつわもの》を|造《つく》った。すなわち|金《きん》の|祭壇《さいだん》と、|供《そな》えのパンを|載《の》せる|机《つくえ》、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|定《さだ》めのように|本殿《ほんでん》の|前《まえ》で|火《ひ》をともす|純金《じゅんきん》の|燭台《しょくだい》と、そのともしび|皿《さら》を|造《つく》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|花《はな》、ともしび|皿《さら》、|心《こころ》かきは|精《せい》|金《きん》であった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|心切《しんき》りばさみ、|鉢《はち》、|香《こう》の|杯《はい》、|心取《しんと》り|皿《ざら》は|純金《じゅんきん》であった。また|宮《みや》の|戸《と》、すなわち|至聖所《しせいじょ》の|内部《ないぶ》の|戸《と》および|拝殿《はいでん》の|戸《と》のひじつぼは|金《きん》であった。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンは|主《しゅ》の|宮《みや》のためにしたすべての|工事《こうじ》を|終《おわ》った。そしてソロモンは|父《ちち》ダビデがささげた|物《もの》、すなわち|金銀《きんぎん》およびもろもろの|器物《うつわもの》を|携《たずさ》えて|行《い》って|神《かみ》の|宮《みや》の|宝蔵《ほうぞう》に|納《おさ》めた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をダビデの|町《まち》シオンからかつぎ|上《のぼ》ろうとして、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちと、すべての|部族《ぶぞく》のかしらたちと、イスラエルの|人々《ひとびと》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちをエルサレムに|召《め》し|集《あつ》めた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》七|月《がつ》の|祭《まつり》に|王《おう》のもとに|集《あつ》まった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|長老《ちょうろう》たちが|皆《みな》きたので、レビびとたちは|箱《はこ》を|取《と》り|上《あ》げた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|箱《はこ》と、|会見《かいけん》の|幕屋《まくや》と、|幕屋《まくや》にあるすべて|聖《せい》なる|器《うつわ》をかつぎ|上《のぼ》った。すなわち|祭司《さいし》とレビびとがこれらの|物《もの》をかつぎ|上《のぼ》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》および|彼《かれ》のもとに|集《あつ》まったイスラエルの|会衆《かいしゅう》は|皆《みな》|箱《はこ》の|前《まえ》で|羊《ひつじ》と|牛《うし》をささげたが、その|数《かず》が|多《おお》くて、|調《しら》べることも|数《かぞ》えることもできなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|祭司《さいし》たちは|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》をその|場所《ばしょ》にかつぎ|入《い》れ、|宮《みや》の|本殿《ほんでん》である|至聖所《しせいじょ》のうちのケルビムの|翼《つばさ》の|下《した》に|置《お》いた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ケルビムは|翼《つばさ》を|箱《はこ》の|所《ところ》の|上《うえ》に|伸《の》べていたので、ケルビムは|上《うえ》から|箱《はこ》とそのさおをおおった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さおは|長《なが》かったので、さおの|端《はし》が|本殿《ほんでん》の|前《まえ》の|聖所《せいじょ》から|見《み》えた。しかし|外部《がいぶ》には|見《み》えなかった。さおは|今日《こんにち》までそこにある。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|箱《はこ》の|内《うち》には二|枚《まい》の|板《いた》のほか|何《なに》もなかった。これはイスラエルの|人々《ひとびと》がエジプトから|出《で》て|来《き》たとき、|主《しゅ》が|彼《かれ》らと|契約《けいやく》を|結《むす》ばれ、モーセがホレブでそれを|納《おさ》めたものである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》たちが|聖所《せいじょ》から|出《で》たとき(ここにいた|祭司《さいし》たちは|皆《みな》、その|組《くみ》の|順《じゅん》にかかわらず|身《み》を|清《きよ》めた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またレビびとの|歌《うた》うたう|者《もの》、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび|彼《かれ》らの|子《こ》たちと|兄弟《きょうだい》たちはみな|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》、シンバルと、|立琴《たてごと》と、|琴《こと》をとって|祭壇《さいだん》の|東《ひがし》に|立《た》ち、百二十|人《にん》の|祭司《さいし》は|彼《かれ》らと|一緒《いっしょ》に|立《た》ってラッパを|吹《ふ》いた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ラッパ|吹《ふ》く|者《もの》と|歌《うた》うたう|者《もの》とは、ひとりのように|声《こえ》を|合《あ》わせて|主《しゅ》をほめ、|感謝《かんしゃ》した)、そして|彼《かれ》らがラッパと、シンバルとその|他《た》の|楽器《がっき》をもって|声《こえ》をふりあげ、|主《しゅ》をほめて [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》は|恵《めぐ》みあり、 そのあわれみはとこしえに|絶《た》えることがない」 [#ここで字下げ終わり] と|言《い》ったとき、|雲《くも》はその|宮《みや》すなわち|主《しゅ》の|宮《みや》に|満《み》ちた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちは|雲《くも》のゆえに|立《た》って|勤《つと》めをすることができなかった。|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|神《かみ》の|宮《みや》に|満《み》ちたからである。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでソロモンは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》はみずから|濃《こ》き|雲《くも》の|中《なか》に|住《す》まおうと|言《い》われた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはあなたのために|高《たか》き|家《いえ》、 とこしえのみすまいを|建《た》てた」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|顔《かお》をふり|向《む》けてイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》を|祝福《しゅくふく》した。その|時《とき》イスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|立《た》っていた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》は|口《くち》をもってわが|父《ちち》ダビデに|約束《やくそく》されたことを、その|手《て》をもってなし|遂《と》げられた。すなわち|主《しゅ》は|言《い》われた、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]『わが|民《たみ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|日《ひ》から、わたしはわが|名《な》を|置《お》くべき|家《いえ》を|建《た》てるために、イスラエルのもろもろの|部族《ぶぞく》のうちから、どの|町《まち》をも|選《えら》んだことがなく、また|他《た》のだれをもわが|民《たみ》イスラエルの|君《きみ》として|選《えら》んだことがない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わが|名《な》を|置《お》くために、ただエルサレムだけを|選《えら》び、またわが|民《たみ》イスラエルを|治《おさ》めさせるために、ただダビデだけを|選《えら》んだ』。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》てることは、|父《ちち》ダビデの|心《こころ》にあった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》は|父《ちち》ダビデに|言《い》われた、『わたしの|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》てることはあなたの|心《こころ》にあった。あなたの|心《こころ》にこの|事《こと》のあったのは|結構《けっこう》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたはその|家《いえ》を|建《た》ててはならない。あなたの|腰《こし》から|出《で》るあなたの|子《こ》がわたしの|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》てるであろう』。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はそう|言《い》われた|言葉《ことば》を|行《おこな》われた。すなわちわたしは|父《ちち》ダビデに|代《かわ》って|立《た》ち、|主《しゅ》が|言《い》われたように、イスラエルの|位《くらい》に|座《ざ》し、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》のために|家《いえ》を|建《た》てた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》と|結《むす》ばれた|主《しゅ》の|契約《けいやく》を|入《い》れた|箱《はこ》をそこに|納《おさ》めた」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはイスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|前《まえ》に|立《た》って、|手《て》を|伸《の》べた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはさきに|長《なが》さ五キュビト、|幅《はば》五キュビト、|高《たか》さ三キュビトの|青銅《せいどう》の|台《だい》を|造《つく》って、|庭《にわ》のまん|中《なか》にすえて|置《お》いたので、|彼《かれ》はその|上《うえ》に|立《た》ち、イスラエルの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》でひざをかがめ、その|手《て》を|天《てん》に|伸《の》べて、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、|天《てん》にも|地《ち》にも、あなたのような|神《かみ》はありません。あなたは|契約《けいやく》を|守《まも》られ、|心《こころ》をつくしてあなたの|前《まえ》に|歩《あゆ》むあなたのしもべらに、いつくしみを|施《ほどこ》し、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべ、わたしの|父《ちち》ダビデに|約束《やくそく》されたことを|守《まも》られました。あなたが|口《くち》をもって|約束《やくそく》されたことを、|手《て》をもってなし|遂《と》げられたことは、|今日《こんにち》|見《み》るとおりであります。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたのしもべ、わたしの|父《ちち》ダビデに、あなたが|約束《やくそく》して、『おまえがわたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》んだように、おまえの|子孫《しそん》がその|道《みち》を|慎《つつし》んで、わたしのおきてに|歩《あゆ》むならば、おまえにはイスラエルの|位《くらい》に|座《ざ》する|人《ひと》がわたしの|前《まえ》に|欠《か》けることはない』と|言《い》われたことを、ダビデのためにお|守《まも》りください。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうぞ、あなたのしもべダビデに|言《い》われた|言葉《ことば》を|確認《かくにん》してください。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》は、はたして|人《ひと》と|共《とも》に|地上《ちじょう》に|住《す》まわれるでしょうか。|見《み》よ、|天《てん》も、いと|高《たか》き|天《てん》もあなたをいれることはできません。わたしの|建《た》てたこの|家《いえ》などなおさらです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしわが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、しもべの|祈《いのり》と|願《ねが》いを|顧《かえり》みて、しもべがあなたの|前《まえ》にささげる|叫《さけ》びと|祈《いのり》をお|聞《き》きください。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、あなたの|目《め》を|昼《ひる》も|夜《よる》もこの|家《いえ》に、すなわち、あなたの|名《な》をそこに|置《お》くと|言《い》われた|所《ところ》に|向《む》かってお|開《ひら》きください。どうぞ、しもべがこの|所《ところ》に|向《む》かってささげる|祈《いのり》をお|聞《き》きください。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、しもべと、あなたの|民《たみ》イスラエルがこの|所《ところ》に|向《む》かって|祈《いの》る|時《とき》に、その|願《ねが》いをお|聞《き》きください。あなたのすみかである|天《てん》から|聞《き》き、|聞《き》いておゆるしください。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がその|隣《とな》り|人《びと》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》し、|誓《ちか》いをすることを|求《もと》められるとき、|来《き》てこの|宮《みや》で、あなたの|祭壇《さいだん》の|前《まえ》に|誓《ちか》うならば、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》から|聞《き》いて、|行《おこな》い、あなたのしもべらをさばき、|悪人《あくにん》に|報《むく》いをなして、その|行《おこな》いの|報《むく》いをそのこうべに|帰《き》し、|義人《ぎじん》を|義《ぎ》として、その|義《ぎ》にしたがってその|人《ひと》に|報《むく》いてください。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|民《たみ》イスラエルが、あなたに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》したために、|敵《てき》の|前《まえ》に|敗《やぶ》れた|時《とき》、あなたに|立《た》ち|返《かえ》って、あなたの|名《な》をあがめ、この|宮《みや》であなたの|前《まえ》に|祈《いの》り|願《ねが》うならば、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》から|聞《き》き、あなたの|民《たみ》イスラエルの|罪《つみ》をゆるして、あなたが|彼《かれ》らとその|先祖《せんぞ》に|与《あた》えられた|地《ち》に|彼《かれ》らを|帰《かえ》らせてください。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らがあなたに|罪《つみ》を|犯《おか》したために、|天《てん》が|閉《と》ざされて、|雨《あめ》がなく、あなたが|彼《かれ》らを|苦《くる》しめられるとき、|彼《かれ》らがこの|所《ところ》に|向《む》かって|祈《いの》り、あなたの|名《な》をあがめ、その|罪《つみ》を|離《はな》れるならば、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》にあって|聞《き》き、あなたのしもべ、あなたの|民《たみ》イスラエルの|罪《つみ》をゆるして、|彼《かれ》らに|歩《あゆ》むべき|良《よ》い|道《みち》を|教《おし》え、あなたの|民《たみ》に|嗣《し》|業《ぎょう》として|賜《たま》わった|地《ち》に|雨《あめ》を|降《ふ》らせてください。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]もし|国《くに》にききんがあるか、もしくは|疫病《えきびょう》、|立《た》ち|枯《が》れ、|腐《くさ》り|穂《ほ》、いなご、|青虫《あおむし》があるか、または|敵《てき》のために|町《まち》の|門《もん》の|中《なか》に|攻《せ》め|囲《かこ》まれることがあるか、どんな|災害《さいがい》、どんな|病気《びょうき》があっても、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]もし、ひとりか、あるいはあなたの|民《たみ》イスラエルが|皆《みな》おのおのその|心《こころ》の|悩《なや》みを|知《し》って、この|宮《みや》に|向《む》かい、|手《て》を|伸《の》べるならば、どんな|祈《いのり》、どんな|願《ねが》いでも、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそのすみかである|天《てん》から|聞《き》いてゆるし、おのおのの|人《ひと》に、その|心《こころ》を|知《し》っておられるゆえ、そのすべての|道《みち》にしたがって|報《むく》いてください。ただあなただけがすべての|人《ひと》の|心《こころ》を|知《し》っておられるからです。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわれわれの|先祖《せんぞ》たちに|賜《たま》わった|地《ち》に、|彼《かれ》らの|生《い》きながらえる|日《ひ》の|間《あいだ》、|常《つね》にあなたを|恐《おそ》れさせ、あなたの|道《みち》に|歩《あゆ》ませてください。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|民《たみ》イスラエルの|者《もの》でなく、|他国《たこく》|人《じん》で、あなたの|大《おお》いなる|名《な》と、|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》べた|腕《うで》のために|遠《とお》い|国《くに》から|来《き》て、この|宮《みや》に|向《む》かって|祈《いの》るならば、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あなたのすみかである|天《てん》から|聞《き》き、すべて|他国《たこく》|人《じん》があなたに|呼《よ》び|求《もと》めるようにしてください。そうすれば|地《ち》のすべての|民《たみ》はあなたの|民《たみ》イスラエルのように、あなたの|名《な》を|知《し》り、あなたを|恐《おそ》れ、またわたしが|建《た》てたこの|宮《みや》が、あなたの|名《な》によって|呼《よ》ばれることを|知《し》るにいたるでしょう。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》が|敵《てき》と|戦《たたか》うために、あなたがつかわされる|道《みち》によって|出《で》るとき、もし|彼《かれ》らがあなたの|選《えら》ばれたこの|町《まち》と、わたしがあなたの|名《な》のために|建《た》てたこの|宮《みや》に|向《む》かってあなたに|祈《いの》るならば、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》から|彼《かれ》らの|祈《いのり》と|願《ねが》いとを|聞《き》いて|彼《かれ》らをお|助《たす》けください。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがあなたに|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》すことがあって、――|罪《つみ》を|犯《おか》さない|人《ひと》はないゆえ、――あなたが|彼《かれ》らを|怒《いか》って、|敵《てき》にわたし、|敵《てき》が|彼《かれ》らを|捕虜《ほりょ》として|遠《とお》い|地《ち》あるいは|近《ちか》い|地《ち》に|引《ひ》いて|行《い》くとき、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]もし、|彼《かれ》らが|捕《とら》われて|行《い》った|地《ち》で、みずから|省《かえり》みて|悔《く》い、その|捕《とら》われの|地《ち》であなたに|願《ねが》い、『われわれは|罪《つみ》を|犯《おか》し、よこしまな|事《こと》をし、|悪《あく》を|行《おこな》いました』と|言《い》い、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]その|捕《とら》われの|地《ち》で|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくしてあなたに|立《た》ち|返《かえ》り、あなたが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えられた|地《ち》、あなたが|選《えら》ばれた|町《まち》、わたしがあなたの|名《な》のために|建《た》てたこの|宮《みや》に|向《む》かって|祈《いの》るならば、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのすみかである|天《てん》から、|彼《かれ》らの|祈《いのり》と|願《ねが》いとを|聞《き》いて|彼《かれ》らを|助《たす》け、あなたに|向《む》かって|罪《つみ》を|犯《おか》したあなたの|民《たみ》をおゆるしください。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、どうぞ、この|所《ところ》でささげる|祈《いのり》にあなたの|目《め》を|開《ひら》き、あなたの|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 [#ここから2字下げ] [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、|今《いま》あなたと、あなたの|力《ちから》の|箱《はこ》が |立《た》って、あなたの|安息所《あんそくじょ》におはいりください。 |主《しゅ》なる|神《かみ》よ、どうぞあなたの|祭司《さいし》たちに |救《すくい》の|衣《ころも》を|着《き》せ、 あなたの|聖徒《せいと》たちに|恵《めぐ》みを|喜《よろこ》ばせてください。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、どうぞあなたの|油《あぶら》そそがれた|者《もの》の|顔《かお》を |退《しりぞ》けないでください。 あなたのしもべダビデに|示《しめ》されたいつくしみを |覚《おぼ》えて|下《くだ》さい」。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンが|祈《いの》り|終《おわ》ったとき、|天《てん》から|火《ひ》が|下《くだ》って|燔祭《はんさい》と|犠牲《ぎせい》を|焼《や》き、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|宮《みや》に|満《み》ちた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|主《しゅ》の|宮《みや》に|満《み》ちたので、|祭司《さいし》たちは|主《しゅ》の|宮《みや》に、はいることができなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はみな|火《ひ》が|下《くだ》ったのを|見《み》、また|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|宮《みや》に|臨《のぞ》んだのを|見《み》て、|敷石《しきいし》の|上《うえ》で|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|拝《はい》し、|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》して|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》と|民《たみ》は|皆《みな》|主《しゅ》の|前《まえ》に|犠牲《ぎせい》をささげた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》のささげた|犠牲《ぎせい》は、|牛《うし》二万二千|頭《とう》、|羊《ひつじ》十二万|頭《とう》であった。こうして|王《おう》と|民《たみ》は|皆《みな》|神《かみ》の|宮《みや》をささげた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はその|持《も》ち|場《ば》に|立《た》ち、レビびとも|主《しゅ》の|楽器《がっき》をとって|立《た》った。その|楽器《がっき》はダビデ|王《おう》が|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》するために|造《つく》ったもので、ダビデが|彼《かれ》らの|手《て》によってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに|絶《た》えることがない」ととなえさせたものである。|祭司《さいし》は|彼《かれ》らの|前《まえ》でラッパを|吹《ふ》き、すべてのイスラエルびとは|立《た》っていた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまた|主《しゅ》の|宮《みや》の|前《まえ》にある|庭《にわ》の|中《なか》を|聖別《せいべつ》し、その|所《ところ》で、|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》のあぶらをささげた。これはソロモンが|造《つく》った|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》が、その|燔祭《はんさい》と|素祭《そさい》とあぶらとを|載《の》せるに|足《た》りなかったからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ソロモンは|七日《なぬか》の|間《あいだ》|祭《まつり》を|行《おこな》った。ハマテの|入口《いりぐち》からエジプトの|川《かわ》に|至《いた》るまでのすべてのイスラエルびとが|彼《かれ》と|共《とも》にあり、|非常《ひじょう》に|大《おお》きな|会衆《かいしゅう》であった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして八|日《か》|目《め》に|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》いた。|彼《かれ》らは|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|祭壇《さいだん》|奉献《ほうけん》の|礼《れい》を|行《おこな》い、|七日《なぬか》の|間《あいだ》|祭《まつり》を|行《おこな》ったが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]七|月《がつ》二十三|日《にち》に|至《いた》ってソロモンは|民《たみ》をその|天幕《てんまく》に|帰《かえ》らせた。|皆《みな》|主《しゅ》がダビデ、ソロモンおよびその|民《たみ》イスラエルに|施《ほどこ》された|恵《めぐ》みのために|喜《よろこ》び、かつ|心《こころ》に|楽《たの》しんで|去《さ》った。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてソロモンは|主《しゅ》の|家《いえ》と|王《おう》の|家《いえ》とを|造《つく》り|終《お》えた。すなわち|彼《かれ》は|主《しゅ》の|家《いえ》と|自分《じぶん》の|家《いえ》について、しようと|計画《けいかく》したすべての|事《こと》を|首尾《しゅび》よくなし|遂《と》げた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》は|夜《よる》ソロモンに|現《あらわ》れて|言《い》われた、「わたしはあなたの|祈《いのり》を|聞《き》き、この|所《ところ》をわたしのために|選《えら》んで、|犠牲《ぎせい》をささげる|家《いえ》とした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|天《てん》を|閉《と》じて|雨《あめ》をなくし、またはわたしがいなごに|命《めい》じて|地《ち》の|物《もの》を|食《く》わせ、または|疫病《えきびょう》を|民《たみ》の|中《なか》に|送《おく》るとき、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|名《な》をもってとなえられるわたしの|民《たみ》が、もしへりくだり、|祈《いの》って、わたしの|顔《かお》を|求《もと》め、その|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れるならば、わたしは|天《てん》から|聞《き》いて、その|罪《つみ》をゆるし、その|地《ち》をいやす。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》この|所《ところ》にささげられる|祈《いのり》にわたしの|目《め》を|開《ひら》き、|耳《みみ》を|傾《かたむ》ける。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしはわたしの|名《な》をながくここにとどめるために、この|宮《みや》を|選《えら》び、かつ|聖別《せいべつ》した。わたしの|目《め》とわたしの|心《こころ》は|常《つね》にここにある。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|父《ちち》ダビデの|歩《あゆ》んだようにわたしの|前《まえ》に|歩《あゆ》み、わたしが|命《めい》じたとおりにすべて|行《い》って、わたしの|定《さだ》めとおきてとを|守《まも》るならば、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|父《ちち》ダビデに|契約《けいやく》して『イスラエルを|治《おさ》める|人《ひと》はあなたに|欠《か》けることがない』と|言《い》ったとおりに、あなたの|王《おう》の|位《くらい》を|堅《かた》くする。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたがもし|翻《ひるがえ》って、わたしがあなたがたの|前《まえ》に|置《お》いた|定《さだ》めと|戒《いまし》めとを|捨《す》て、|行《い》って|他《た》の|神々《かみがみ》に|仕《つか》え、それを|拝《おが》むならば、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたをわたしの|与《あた》えた|地《ち》から|抜《ぬ》き|去《さ》り、またわたしの|名《な》のために|聖別《せいべつ》したこの|宮《みや》をわたしの|前《まえ》から|投《な》げ|捨《す》てて、もろもろの|民《たみ》のうちにことわざとし、|笑《わら》い|草《ぐさ》とする。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]またこの|宮《みや》は|高《たか》いけれども、ついには、そのかたわらを|過《す》ぎる|者《もの》は|皆《みな》|驚《おどろ》いて、『|何《なに》ゆえ|主《しゅ》はこの|地《ち》と、この|宮《みや》とにこのようにされたのか』と|言《い》うであろう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|人々《ひとびと》は|答《こた》えて『|彼《かれ》らはその|先祖《せんぞ》たちをエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てて、|他《た》の|神々《かみがみ》につき|従《したが》い、それを|拝《おが》み、それに|仕《つか》えたために、|主《しゅ》はこのすべての|災《わざわい》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|下《くだ》したのである』と|言《い》うであろう」。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは二十|年《ねん》を|経《へ》て、|主《しゅ》の|家《いえ》と|自分《じぶん》の|家《いえ》とを|建《た》て|終《おわ》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]またソロモンはヒラムから|送《おく》られた|町々《まちまち》を|建《た》て|直《なお》して、そこにイスラエルの|人々《ひとびと》を|住《す》ませた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまたハマテ・ゾバを|攻《せ》めて、これを|取《と》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|荒野《あらの》にタデモルを|建《た》て、もろもろの|倉《くら》の|町《まち》をハマテに|建《た》てた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|城壁《じょうへき》、|門《もん》、|貫《かん》の|木《き》のある|堅固《けんご》な|町《まち》、|上《うえ》ベテホロンと|下《した》ベテホロンを|建《た》てた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはまたバアラテと|自分《じぶん》のもっていたすべての|倉《くら》の|町《まち》と、すべての|戦車《せんしゃ》の|町《まち》と、|騎兵《きへい》の|町《まち》、ならびにエルサレム、レバノンおよび|自分《じぶん》の|治《おさ》める|全《ぜん》|地方《ちほう》に|建《た》てようと|望《のぞ》んだものを、ことごとく|建《た》てた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべてイスラエルの|子孫《しそん》でないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの|残《のこ》った|民《たみ》、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》にあって|彼《かれ》らのあとに|残《のこ》ったその|子孫《しそん》、すなわちイスラエルの|子孫《しそん》が|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》さなかった|民《たみ》に、ソロモンは|強制《きょうせい》|徴募《ちょうぼ》をおこなって|今日《こんにち》に|及《およ》んでいる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、イスラエルの|人々《ひとびと》をソロモンはその|工事《こうじ》のためには、ひとりも|奴隷《どれい》としなかった。|彼《かれ》らは|兵士《へいし》となり、|将校《しょうこう》となり、|戦車《せんしゃ》と、|騎兵《きへい》の|長《ちょう》となった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これらはソロモン|王《おう》のおもな|官吏《かんり》で、二百五十|人《にん》あり、|民《たみ》を|治《おさ》めた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはパロの|娘《むすめ》をダビデの|町《まち》から|連《つ》れ|上《のぼ》って、|彼女《かのじょ》のために|建《た》てた|家《いえ》に|入《い》れて|言《い》った、「|主《しゅ》の|箱《はこ》を|迎《むか》えた|所《ところ》は|神聖《しんせい》であるから、わたしの|妻《つま》はイスラエルの|王《おう》ダビデの|家《いえ》に|住《す》んではならない」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|廊《ろう》の|前《まえ》に|築《きず》いておいた|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》をささげた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちモーセの|命令《めいれい》に|従《したが》って、|毎日《まいにち》|定《さだ》めのようにささげ、|安息日《あんそくにち》、|新月《しんげつ》および|年《ねん》に三|度《ど》の|祭《まつり》、すなわち|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》、七|週《しゅう》の|祭《まつり》、|仮庵《かりいお》の|祭《まつり》にこれをささげた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは、その|父《ちち》ダビデのおきてに|従《したが》って、|祭司《さいし》の|組《くみ》を|定《さだ》めてその|職《しょく》に|任《にん》じ、またレビびとをその|勤《つと》めに|任《にん》じて、|毎日《まいにち》|定《さだ》めのように|祭司《さいし》の|前《まえ》でさんびと|奉仕《ほうし》をさせ、また|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》に、その|組《くみ》にしたがって、もろもろの|門《もん》を|守《まも》らせた。これは|神《かみ》の|人《ひと》ダビデがこのように|命《めい》じたからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》とレビびとはすべての|事《こと》につき、また|倉《くら》の|事《こと》について、|王《おう》の|命令《めいれい》にそむかなかった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]このようにソロモンは、|主《しゅ》の|宮《みや》の|基《もとい》をすえた|日《ひ》からこれをなし|終《お》えたときまで、その|工事《こうじ》の|準備《じゅんび》をことごとくなしたので、|主《しゅ》の|宮《みや》は|完成《かんせい》した。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それからソロモンはエドムの|地《ち》の|海《うみ》べにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ|行《い》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にヒラムはそのしもべどもの|手《て》によって|船団《せんだん》を|彼《かれ》に|送《おく》り、また|海《うみ》の|事《こと》になれたしもべどもをつかわしたので、|彼《かれ》らはソロモンのしもべらと|共《とも》にオフルへ|行《い》き、そこから|金《きん》四百五十タラントを|取《と》って、これをソロモン|王《おう》のもとに|携《たずさ》えてきた。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]シバの|女王《じょおう》はソロモンの|名声《めいせい》を|聞《き》いたので、|難問《なんもん》をもってソロモンを|試《こころ》みようと、|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|従者《じゅうしゃ》を|連《つ》れ、|香料《こうりょう》と|非常《ひじょう》にたくさんの|金《きん》と|宝石《ほうせき》とをらくだに|負《お》わせて、エルサレムのソロモンのもとに|来《き》て、その|心《こころ》にあることをことごとく|彼《かれ》に|告《つ》げた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|彼女《かのじょ》のすべての|問《とい》に|答《こた》えた。ソロモンが|知《し》らないで|彼女《かのじょ》に|説明《せつめい》のできないことは一つもなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]シバの|女王《じょおう》はソロモンの|知恵《ちえ》と、|彼《かれ》が|建《た》てた|家《いえ》を|見《み》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またその|食卓《しょくたく》の|食物《しょくもつ》と、|列座《れつざ》の|家来《けらい》たちと、その|侍臣《じしん》たちの|伺候《しこう》|振《ふ》りと|彼《かれ》らの|服装《ふくそう》、および|彼《かれ》の|給仕《きゅうじ》たちとその|服装《ふくそう》、ならびに|彼《かれ》が|主《しゅ》の|宮《みや》でささげる|燔祭《はんさい》を|見《み》て、|全《まった》く|気《き》を|奪《うば》われてしまった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|王《おう》に|言《い》った、「わたしが|国《くに》であなたの|事《こと》と、あなたの|知恵《ちえ》について|聞《き》いたうわさは|真実《しんじつ》でした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|来《き》て|目《め》に|見《み》るまでは、そのうわさを|信《しん》じませんでしたが、|今見《いまみ》ると、あなたの|知恵《ちえ》の|大《おお》いなることはその|半分《はんぶん》もわたしに|知《し》らされませんでした。あなたはわたしの|聞《き》いたうわさにまさっています。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|奥方《おくがた》たちはさいわいです。|常《つね》にあなたの|前《まえ》に|立《た》って、あなたの|知恵《ちえ》を|聞《き》くこのあなたの|家来《けらい》たちはさいわいです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はあなたを|喜《よろこ》び、あなたをその|位《くらい》につかせ、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|王《おう》とされました。あなたの|神《かみ》はイスラエルを|愛《あい》して、とこしえにこれを|堅《かた》くするために、あなたをその|王《おう》とされ、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》を|行《おこな》われるのです」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼女《かのじょ》は|金《きん》百二十タラント、および|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|香料《こうりょう》と|宝石《ほうせき》とを|王《おう》に|贈《おく》った。シバの|女王《じょおう》がソロモンに|贈《おく》ったような|香料《こうりょう》は、いまだかつてなかった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]オフルから|金《きん》を|携《たずさ》えて|来《き》たヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの|木《き》と|宝石《ほうせき》をも|携《たずさ》えて|来《き》た。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はそのびゃくだんの|木《き》で、|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|家《いえ》とに|階段《かいだん》を|造《つく》り、また|歌《うた》うたう|者《もの》のために|琴《こと》と|立琴《たてごと》を|造《つく》った。このようなものはかつてユダの|地《ち》で|見《み》たことがなかった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》は、シバの|女王《じょおう》が|贈《おく》った|物《もの》に|報《むく》いたほかに、|彼女《かのじょ》の|望《のぞ》みにまかせて、すべてその|求《もと》めるものを|贈《おく》った。そして|彼女《かのじょ》はその|家来《けらい》たちと|共《とも》に|自分《じぶん》の|国《くに》へ|帰《かえ》って|行《い》った。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]さて一|年《ねん》の|間《あいだ》にソロモンの|所《ところ》にはいって|来《き》た|金《きん》の|目方《めかた》は六百六十六タラントであった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]このほかに|貿易《ぼうえき》|商《しょう》および|商人《しょうにん》の|携《たずさ》えて|来《き》たものがあった。またアラビヤのすべての|王《おう》たちおよび|国《くに》の|代官《だいかん》たちも|金銀《きんぎん》をソロモンに|携《たずさ》えてきた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》は|延金《のべきん》の|大盾《おおだて》二百を|造《つく》った。その|大盾《おおだて》にはおのおの六百シケルの|延金《のべきん》を|用《もち》いた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|延金《のべきん》の|小盾《こだて》三百を|造《つく》った。|小盾《こだて》にはおのおの三百シケルの|金《きん》を|用《もち》いた。|王《おう》はこれらをレバノンの|森《もり》の|家《いえ》に|置《お》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|大《おお》きな|象牙《ぞうげ》の|玉座《ぎょくざ》を|造《つく》り、|純金《じゅんきん》でこれをおおった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|玉座《ぎょくざ》には六つの|段《だん》があり、また|金《きん》の|足《あし》|台《だい》があって|共《とも》に|玉座《ぎょくざ》につらなり、その|座《ざ》する|所《ところ》の|両方《りょうほう》に、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが|立《た》っていた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また十二のししが六つの|段《だん》のおのおのの|両側《りょうがわ》に|立《た》っていた。このような|物《もの》はどこの|国《くに》でも|造《つく》られたことがなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》が|飲《の》むときに|用《もち》いた|器《うつわ》はみな|金《きん》であった。またレバノンの|森《もり》の|家《いえ》の|器《うつわ》もみな|純金《じゅんきん》であって、|銀《ぎん》はソロモンの|世《よ》には|尊《たっと》ばれなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これは|王《おう》の|船《ふね》がヒラムのしもべたちを|乗《の》せてタルシシへ|行《い》き、三|年《ねん》ごとに一|度《ど》、そのタルシシの|船《ふね》が|金《きん》、|銀《ぎん》、|象牙《ぞうげ》、さる、くじゃくを|載《の》せて|来《き》たからである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]このようにソロモン|王《おう》は|富《とみ》と|知恵《ちえ》において、|地《ち》のすべての|王《おう》にまさっていたので、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のすべての|王《おう》は|神《かみ》がソロモンの|心《こころ》に|授《さづ》けられた|知恵《ちえ》を|聞《き》こうとしてソロモンに|謁見《えっけん》を|求《もと》めた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はおのおの|贈《おく》り|物《もの》を|携《たずさ》えてきた。すなわち|銀《ぎん》の|器《うつわ》、|金《きん》の|器《うつわ》、|衣服《いふく》、|没薬《もつやく》、|香料《こうりょう》、|馬《うま》、|騾馬《らば》など|年々《ねんねん》|定《さだ》まっていた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンは|馬《うま》と|戦車《せんしゃ》のために|馬屋《うまや》四千と|騎兵《きへい》一万二千を|持《も》ち、これを|戦車《せんしゃ》の|町《まち》に|置《お》き、またエルサレムの|王《おう》のもとに|置《お》いた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はユフラテ|川《かわ》からペリシテびとの|地《ち》と、エジプトの|境《さかい》に|至《いた》るまでのすべての|王《おう》を|治《おさ》めた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|銀《ぎん》を|石《いし》のようにエルサレムに|多《おお》くし、|香柏《こうはく》を|平野《へいや》のいちじく|桑《くわ》のように|多《おお》くした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|人々《ひとびと》はエジプトおよび|諸国《しょこく》から|馬《うま》をソロモンのために|輸入《ゆにゅう》した。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンのそのほかの|始終《しじゅう》の|行為《こうい》は、|預言者《よげんしゃ》ナタンの|書《しょ》と、シロびとアヒヤの|預言《よげん》と、|先見者《せんけんしゃ》イドがネバテの|子《こ》ヤラベアムについて|述《の》べた|黙示《もくし》のなかに、しるされているではないか。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはエルサレムで四十|年《ねん》の|間《あいだ》イスラエルの|全《ぜん》|地《ち》を|治《おさ》めた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、|父《ちち》ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》レハベアムが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはシケムへ|行《い》った。すべてのイスラエルびとが|彼《かれ》を|王《おう》にしようとシケムへ|行《い》ったからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ネバテの|子《こ》ヤラベアムは、ソロモンを|避《さ》けてエジプトにのがれていたが、これを|聞《き》いてエジプトから|帰《かえ》ったので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》を|招《まね》いた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは|来《き》て、レハベアムに|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「あなたの|父《ちち》は、われわれのくびきを|重《おも》くしましたが、|今《いま》あなたの|父《ちち》のきびしい|使役《しえき》と、あなたの|父《ちち》が、われわれに|負《お》わせた|重《おも》いくびきを|軽《かる》くしてください。そうすればわたしたちはあなたに|仕《つか》えましょう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムは|彼《かれ》らに|答《こた》えた、「三|日《か》の|後《のち》、またわたしの|所《ところ》に|来《き》なさい」。それで|民《たみ》は|去《さ》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]レハベアム|王《おう》は|父《ちち》ソロモンの|存命《ぞんめい》|中《ちゅう》ソロモンに|仕《つか》えた|長老《ちょうろう》たちに|相談《そうだん》して|言《い》った、「あなたがたはこの|民《たみ》にどう|返答《へんとう》すればよいと|思《おも》いますか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはレハベアムに|言《い》った、「あなたがもしこの|民《たみ》を|親切《しんせつ》にあつかい、|彼《かれ》らを|喜《よろこ》ばせ、ねんごろに|語《かた》られるならば|彼《かれ》らは|長《なが》くあなたのしもべとなるでしょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》は|長老《ちょうろう》たちが|与《あた》えた|勧《すす》めをすてて、|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》に|大《おお》きくなって|自分《じぶん》に|仕《つか》えている|若者《わかもの》たちに|相談《そうだん》して、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは、この|民《たみ》がわたしに|向《む》かって、『あなたの|父上《ちちうえ》が、われわれに|負《お》わせたくびきを|軽《かる》くしてください』と|言《い》うのに、われわれはなんと|返答《へんとう》すればよいと|思《おも》いますか」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》と|一緒《いっしょ》に|大《おお》きくなった|若者《わかもの》たちは|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたに|向《む》かって、『あなたの|父《ちち》は、われわれのくびきを|重《おも》くしたが、あなたは、それをわれわれのために|軽《かる》くしてください』と|言《い》ったこの|民《たみ》に、こう|言《い》いなさい、『わたしの|小指《こゆび》は|父《ちち》の|腰《こし》よりも|太《ふと》い、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》はあなたがたに|重《おも》いくびきを|負《お》わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを|重《おも》くしよう。|父《ちち》はむちであなたがたを|懲《こ》らしたが、わたしはさそりであなたがたを|懲《こ》らそう』」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さてヤラベアムと|民《たみ》は|皆《みな》、|王《おう》が「三|日《か》|目《め》にわたしのところに|来《き》なさい」と|言《い》ったとおりに、三|日《か》|目《め》にレハベアムのところへ|行《い》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|荒々《あらあら》しく|彼《かれ》らに|答《こた》えた。すなわちレハベアム|王《おう》は|長老《ちょうろう》たちの|勧《すす》めをすて、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|若者《わかもの》たちの|勧《すす》めに|従《したが》い、|彼《かれ》らに|告《つ》げて|言《い》った、「|父《ちち》はあなたがたのくびきを|重《おも》くしたが、わたしは|更《さら》にこれを|重《おも》くしよう。|父《ちち》はむちであなたがたを|懲《こ》らしたが、わたしはさそりであなたがたを|懲《こ》らそう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]このように|王《おう》は|民《たみ》の|言《い》うことを|聞《き》きいれなかった。これは|主《しゅ》が、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの|子《こ》ヤラベアムに|言《い》われた|言葉《ことば》を|成就《じょうじゅ》するために、|神《かみ》がなされたのであった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》、|王《おう》が|自分《じぶん》たちの|言《い》うことを|聞《き》きいれないのを|見《み》たので、|民《たみ》は|王《おう》に|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「われわれはダビデのうちに|何《なに》の|分《ぶん》があろうか。 われわれはエッサイの|子《こ》のうちに|嗣《し》|業《ぎょう》がない。 イスラエルよ、めいめいの|天幕《てんまく》に|帰《かえ》れ。 ダビデよ、|今《いま》あなたの|家《いえ》を|見《み》よ」。 [#ここで字下げ終わり] そしてイスラエルは|皆《みな》|彼《かれ》らの|天幕《てんまく》へ|去《さ》って|行《い》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしレハベアムはユダの|町々《まちまち》に|住《す》んでいるイスラエルの|人々《ひとびと》を|治《おさ》めた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]レハベアム|王《おう》は|徴募《ちょうぼ》|人《にん》の|監督《かんとく》であったアドラムをつかわしたが、イスラエルの|人々《ひとびと》が|石《いし》で|彼《かれ》を|撃《う》ち|殺《ころ》したので、レハベアム|王《おう》は|急《いそ》いで|車《くるま》に|乗《の》り、エルサレムに|逃《に》げた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルはダビデの|家《いえ》にそむいて|今日《こんにち》に|至《いた》った。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはエルサレムに|来《き》て、ユダとベニヤミンの|家《いえ》の|者《もの》、すなわち、えり|抜《ぬ》きの|軍人《ぐんじん》十八万|人《にん》を|集《あつ》め、|国《くに》を|取《と》りもどすためにイスラエルと|戦《たたか》おうとしたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|神《かみ》の|人《ひと》シマヤに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「ソロモンの|子《こ》、ユダの|王《おう》レハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの|人々《ひとびと》に|言《い》いなさい、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたがたは|上《のぼ》ってはならない。あなたがたの|兄弟《きょうだい》と|戦《たたか》ってはならない。おのおの|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》りなさい。この|事《こと》はわたしから|出《で》たのである』」。それで|人々《ひとびと》は|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》き、ヤラベアムを|攻《せ》めに|行《い》くのをやめて|帰《かえ》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはエルサレムに|住《す》んで、ユダに|防衛《ぼうえい》の|町々《まちまち》を|建《た》てた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわちベツレヘム、エタム、テコア、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ベテズル、ソコ、アドラム、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ガテ、マレシャ、ジフ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アドライム、ラキシ、アゼカ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって|要害《ようがい》の|町々《まちまち》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|要害《ようがい》を|堅固《けんご》にし、これに|軍《ぐん》|長《ちょう》を|置《お》き、|糧食《りょうしょく》と|油《あぶら》とぶどう|酒《しゅ》をたくわえ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またそのすべての|町《まち》に|盾《たて》とやりを|備《そな》えて、これを|非常《ひじょう》に|強化《きょうか》し、そしてユダとベニヤミンを|確保《かくほ》した。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|全《ぜん》|地《ち》の|祭司《さいし》とレビびとは|四方《しほう》の|境《さかい》から|来《き》てレハベアムに|身《み》を|寄《よ》せた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちレビびとは|自分《じぶん》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》と|領地《りょうち》を|離《はな》れてユダとエルサレムに|来《き》た。これはヤラベアムとその|子《こ》らが|彼《かれ》らを|排斥《はいせき》して、|主《しゅ》の|前《まえ》に|祭司《さいし》の|務《つとめ》をさせなかったためである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムは|高《たか》き|所《ところ》と、みだらな|神《かみ》と、|自分《じぶん》で|造《つく》った|子《こ》|牛《うし》のために|自分《じぶん》の|祭司《さいし》を|立《た》てた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちで、すべてその|心《こころ》を|傾《かたむ》けて、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》める|者《もの》は|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》に|犠牲《ぎせい》をささげるために、レビびとに|従《したが》ってエルサレムに|来《き》た。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]このように|彼《かれ》らはユダの|国《くに》を|堅《かた》くし、ソロモンの|子《こ》レハベアムを三|年《ねん》の|間《あいだ》|強《つよ》くした。|彼《かれ》らは三|年《ねん》の|間《あいだ》ダビデとソロモンの|道《みち》に|歩《あゆ》んだからである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはダビデの|子《こ》エレモテの|娘《むすめ》マハラテを|妻《つま》にめとった。マハラテはエッサイの|子《こ》エリアブの|娘《むすめ》アビハイルが|産《う》んだ|者《もの》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はエウシ、シマリヤおよびザハムの三|子《し》を|産《う》んだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|彼女《かのじょ》の|後《のち》にアブサロムの|娘《むすめ》マアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを|産《う》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはアブサロムの|娘《むすめ》マアカをすべての|妻《つま》とそばめにまさって|愛《あい》した。|彼《かれ》は|妻《つま》十八|人《にん》、そばめ六十|人《にん》をめとって、|男《おとこ》の|子《こ》二十八|人《にん》と|女《おんな》の|子《こ》六十|人《にん》をもうけた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはマアカの|子《こ》アビヤを|立《た》ててかしらとし、その|兄弟《きょうだい》の|長《ちょう》とした。|彼《かれ》はアビヤを|王《おう》にしようと|思《おも》ったからである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それで|王《おう》は|賢《かしこ》くとり|行《おこな》い、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの|全《ぜん》|地方《ちほう》にあるすべての|要害《ようがい》の|町《まち》に|散在《さんざい》させ、|彼《かれ》らに|糧食《りょうしょく》を|多《おお》く|与《あた》え、また|多《おお》くの|妻《つま》を|得《え》させた。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはその|国《くに》が|堅《かた》く|立《た》ち、|強《つよ》くなるに|及《およ》んで、|主《しゅ》のおきてを|捨《す》てた。イスラエルも|皆《みな》|彼《かれ》にならった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがこのように|主《しゅ》に|向《む》かって|罪《つみ》を|犯《おか》したので、レハベアム|王《おう》の五|年《ねん》にエジプトの|王《おう》シシャクがエルサレムに|攻《せ》め|上《のぼ》ってきた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|戦車《せんしゃ》は一千二百、|騎兵《きへい》は六万、また|彼《かれ》に|従《したが》ってエジプトから|来《き》た|民《たみ》、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは|無数《むすう》であった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]シシャクはユダの|要害《ようがい》の|町々《まちまち》を|取《と》り、エルサレムに|迫《せま》って|来《き》た。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|預言者《よげんしゃ》シマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに|集《あつ》まったユダのつかさたちのもとにきて|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『あなたがたはわたしを|捨《す》てたので、わたしもあなたがたを|捨《す》ててシシャクにわたした』と」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルのつかさたち、および|王《おう》はへりくだって、「|主《しゅ》は|正《ただ》しい」と|言《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らのへりくだるのを|見《み》られたので、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がシマヤにのぞんで|言《い》った、「|彼《かれ》らがへりくだったから、わたしは|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼさないで、|間《ま》もなく|救《すくい》を|施《ほどこ》す。わたしはシシャクの|手《て》によって、|怒《いか》りをエルサレムに|注《そそ》ぐことをしない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはシシャクのしもべになる。これは|彼《かれ》らがわたしに|仕《つか》えることと、|国々《くにぐに》の|王《おう》たちに|仕《つか》えることとの|相違《そうい》を|知《し》るためである」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|王《おう》シシャクはエルサレムに|攻《せ》めのぼって、|主《しゅ》の|宮《みや》の|宝物《ほうもつ》と、|王《おう》の|家《いえ》の|宝物《ほうもつ》とを|奪《うば》い|去《さ》った。すなわちそれらをことごとく|奪《うば》い|去《さ》り、またソロモンの|造《つく》った|金《きん》の|盾《たて》をも|奪《うば》い|去《さ》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それでレハベアム|王《おう》は、その|代《かわ》りに|青銅《せいどう》の|盾《たて》を|造《つく》って、|王《おう》の|家《いえ》の|門《もん》を|守《まも》る|侍衛《じえい》|長《ちょう》たちの|手《て》に|渡《わた》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》が|主《しゅ》の|宮《みや》にはいるごとに|侍衛《じえい》は|来《き》て、これを|負《お》い、またこれを|侍衛《じえい》のへやへ|持《も》って|帰《かえ》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムがへりくだったので|主《しゅ》の|怒《いか》りは|彼《かれ》を|離《はな》れ、|彼《かれ》をことごとく|滅《ほろ》ぼそうとはされなかった。またユダの|事情《じじょう》もよくなった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]レハベアム|王《おう》はエルサレムで|自分《じぶん》の|地位《ちい》を|確立《かくりつ》し、|世《よ》を|治《おさ》めた。すなわちレハベアムは四十一|歳《さい》のとき|位《くらい》につき、十七|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。エルサレムは|主《しゅ》がその|名《な》を|置《お》くためにイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちから|選《えら》ばれた|町《まち》である。|彼《かれ》の|母《はは》はアンモンの|女《おんな》で、|名《な》をナアマといった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムは|主《しゅ》を|求《もと》めることに|心《こころ》を|傾《かたむ》けないで、|悪《わる》い|事《こと》を|行《おこな》った。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムの|始終《しじゅう》の|行為《こうい》は、|預言者《よげんしゃ》シマヤおよび|先見者《せんけんしゃ》イドの|書《しょ》にしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの|間《あいだ》には|絶《た》えず|戦争《せんそう》があった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]レハベアムはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アビヤが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアム|王《おう》の|第《だい》十八|年《ねん》にアビヤがユダの|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は三|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。|彼《かれ》の|母《はは》はギベアのウリエルの|娘《むすめ》で、|名《な》をミカヤといった。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ここにアビヤとヤラベアムとの|間《あいだ》に|戦争《せんそう》が|起《おこ》り、アビヤは四十万の|精兵《せいへい》から|成《な》る|勇敢《ゆうかん》な|軍勢《ぐんぜい》をもって|戦《たたか》いにいで、ヤラベアムも|大《だい》|勇士《ゆうし》から|成《な》る八十万の|精兵《せいへい》をもって、これに|向《む》かって|戦《たたか》いの|備《そな》えをした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にアビヤはエフライムの|山地《さんち》にあるゼマライム|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》って|言《い》った、「ヤラベアムおよびイスラエルの|人々《ひとびと》よ|皆《みな》|聞《き》け。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》が|塩《しお》の|契約《けいやく》をもってイスラエルの|国《くに》をながくダビデとその|子孫《しそん》に|賜《たま》わったことを|知《し》らないのか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ところがダビデの|子《こ》ソロモンの|家来《けらい》であるネバテの|子《こ》ヤラベアムが|起《た》って、その|主君《しゅくん》にそむき、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|卑《いや》しい|無頼《ぶらい》のともがらが|集《あつ》まって|彼《かれ》にくみし、ソロモンの|子《こ》レハベアムに|敵《てき》したが、レハベアムは|若《わか》く、かつ|意志《いし》が|弱《よわ》くてこれに|当《あた》ることができなかった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》また、あなたがたは|大軍《たいぐん》をたのみ、またヤラベアムが|造《つく》って、あなたがたの|神《かみ》とした|金《きん》の|子《こ》|牛《うし》をたのんで、ダビデの|子孫《しそん》の|手《て》にある|主《しゅ》の|国《くに》に|敵対《てきたい》しようとしている。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたはアロンの|子孫《しそん》である|主《しゅ》の|祭司《さいし》とレビびととを|追《お》いだして、|他《た》の|国々《くにぐに》の|民《たみ》がするように|祭司《さいし》を|立《た》てたではないか。すなわちだれでも|若《わか》い|雄牛《おうし》一|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》七|頭《とう》を|携《たずさ》えてきて、|自分《じぶん》を|聖別《せいべつ》する|者《もの》は|皆《みな》あの|神《かみ》でない|者《もの》の|祭司《さいし》とすることができた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしわれわれにおいては、|主《しゅ》がわれわれの|神《かみ》であって、われわれは|彼《かれ》を|捨《す》てない。また|主《しゅ》に|仕《つか》える|祭司《さいし》はアロンの|子孫《しそん》であり、|働《はたら》きをなす|者《もの》はレビびとである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|朝《あさ》ごと|夕《ゆう》ごとに|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》と、こうばしい|香《こう》をささげ、|供《そな》えのパンを|純金《じゅんきん》の|机《つくえ》の|上《うえ》に|供《そな》え、また|金《きん》の|燭台《しょくだい》とそのともしび|皿《さら》を|整《ととの》えて、|夕《ゆう》ごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|務《つとめ》を|守《まも》っているが、あなたがたは|彼《かれ》を|捨《す》てた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》はみずからわれわれと|共《とも》におられて、われわれのかしらとなられ、また、その|祭司《さいし》たちはラッパを|吹《ふ》きならして、あなたがたを|攻《せ》める。イスラエルの|人々《ひとびと》よ、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》に|敵《てき》して|戦《たたか》ってはならない。あなたがたは|成功《せいこう》しない」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムは|伏兵《ふくへい》を|彼《かれ》らのうしろに|回《まわ》らせたので、|彼《かれ》の|軍隊《ぐんたい》はユダの|前《まえ》にあり、|伏兵《ふくへい》は|彼《かれ》らのうしろにあった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ユダはうしろを|見《み》ると、|敵《てき》が|前《まえ》とうしろとにあったので、|主《しゅ》に|向《む》かって|呼《よ》ばわり、|祭司《さいし》たちはラッパを|吹《ふ》いた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダの|人々《ひとびと》はときの|声《こえ》をあげた。ユダの|人々《ひとびと》がときの|声《こえ》をあげると、|神《かみ》はヤラベアムとイスラエルの|人々《ひとびと》をアビヤとユダの|前《まえ》に|打《う》ち|敗《やぶ》られたので、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はユダの|前《まえ》から|逃《に》げた。|神《かみ》が|彼《かれ》らをユダの|手《て》に|渡《わた》されたので、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アビヤとその|民《たみ》は、|彼《かれ》らをおびただしく|撃《う》ち|殺《ころ》した。イスラエルの|殺《ころ》されて|倒《たお》れた|者《もの》は五十万|人《にん》、|皆《みな》|精兵《せいへい》であった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]このように、この|時《とき》イスラエルの|人々《ひとびと》は|打《う》ち|負《ま》かされ、ユダの|人々《ひとびと》は|勝《かち》を|得《え》た。|彼《かれ》らがその|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》を|頼《たの》んだからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アビヤはヤラベアムを|追撃《ついげき》して|数個《すうこ》の|町《まち》を|彼《かれ》から|取《と》った。すなわちベテルとその|村里《むらざと》、エシャナとその|村里《むらざと》、エフロンとその|村里《むらざと》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヤラベアムは、アビヤの|世《よ》には|再《ふたた》び|力《ちから》を|得《え》ることができず、|主《しゅ》に|撃《う》たれて|死《し》んだ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしアビヤは|強《つよ》くなり、|妻《つま》十四|人《にん》をめとり、むすこ二十二|人《にん》、むすめ十六|人《にん》をもうけた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アビヤのその|他《た》の|行為《こうい》すなわちその|行動《こうどう》と|言葉《ことば》は、|預言者《よげんしゃ》イドの|注釈《ちゅうしゃく》にしるされている。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アビヤはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》って、ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アサが|代《かわ》って|王《おう》となった。アサの|治世《ちせい》に|国《くに》は十|年《ねん》の|間《あいだ》、|穏《おだ》やかであった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アサはその|神《かみ》、|主《しゅ》の|目《め》に|良《よ》しと|見《み》え、また|正《ただ》しと|見《み》えることを|行《おこな》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|異《こと》なる|祭壇《さいだん》と、もろもろの|高《たか》き|所《ところ》を|取《と》り|除《のぞ》き、|石柱《せきちゅう》をこわし、アシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》し、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ユダに|命《めい》じてその|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》めさせ、おきてと|戒《いまし》めとを|行《おこな》わせ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ユダのすべての|町々《まちまち》から、|高《たか》き|所《ところ》と|香《こう》の|祭壇《さいだん》とを|取《と》り|除《のぞ》いた。そして|国《くに》は|彼《かれ》のもとに|穏《おだ》やかであった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|国《くに》が|穏《おだ》やかであったので、|要害《ようがい》の|町《まち》|数個《すうこ》をユダに|建《た》てた。また|主《しゅ》が|彼《かれ》に|平安《へいあん》を|賜《たま》わったので、この|年《とし》ごろ|戦争《せんそう》がなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はユダに|言《い》った、「われわれはこれらの|町《まち》を|建《た》て、その|周囲《しゅうい》に|石《いし》がきを|築《きず》き、やぐらを|建《た》て、|門《もん》と|貫《かん》の|木《き》を|設《もう》けよう。われわれがわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》めたので、この|国《くに》はなおわれわれのものであり、われわれが|彼《かれ》を|求《もと》めたので、|四方《しほう》において、われわれに|平安《へいあん》を|賜《たま》わった」。こうして|彼《かれ》らは|滞《とどこお》りなく|建《た》て|終《おわ》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アサの|軍隊《ぐんたい》はユダから|出《で》た|者《もの》三十万|人《にん》あって、|盾《たて》とやりをとり、ベニヤミンから|出《で》た|者《もの》二十八万|人《にん》あって、|小盾《こだて》をとり、|弓《ゆみ》を|引《ひ》いた。これはみな|大《だい》|勇士《ゆうし》であった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エチオピヤびとゼラが、百万の|軍隊《ぐんたい》と三百の|戦車《せんしゃ》を|率《ひき》いて、マレシャまで|攻《せ》めてきた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アサは|出《で》て、これを|迎《むか》え、マレシャのゼパタの|谷《たに》に|戦《たたか》いの|備《そな》えをした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にアサはその|神《かみ》、|主《しゅ》に|向《む》かって|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|主《しゅ》よ、|力《ちから》のある|者《もの》を|助《たす》けることも、|力《ちから》のない|者《もの》を|助《たす》けることも、あなたにおいては|異《こと》なることはありません。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、われわれをお|助《たす》けください。われわれはあなたに|寄《よ》り|頼《たの》み、あなたの|名《な》によってこの|大軍《たいぐん》に|当《あた》ります。|主《しゅ》よ、あなたはわれわれの|神《かみ》です。どうぞ|人《ひと》をあなたに|勝《か》たせないでください」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はアサの|前《まえ》とユダの|前《まえ》でエチオピヤびとを|撃《う》ち|敗《やぶ》られたので、エチオピヤびとは|逃《に》げ|去《さ》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アサと|彼《かれ》に|従《したが》う|民《たみ》は|彼《かれ》らをゲラルまで|追撃《ついげき》したので、エチオピヤびとは|倒《たお》れて、|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》はひとりもなかった。|主《しゅ》と|主《しゅ》の|軍勢《ぐんぜい》の|前《まえ》に|撃《う》ち|破《やぶ》られたからである。ユダの|人々《ひとびと》の|得《え》たぶんどり|物《もの》は|非常《ひじょう》に|多《おお》かった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた、ゲラルの|周囲《しゅうい》の|町々《まちまち》をことごとく|撃《う》ち|破《やぶ》った。|主《しゅ》の|恐《おそ》れが|彼《かれ》らの|上《うえ》に|臨《のぞ》んだからである。そして|彼《かれ》らはそのすべての|町《まち》をかすめ|奪《うば》った。その|内《うち》に|多《おお》くの|物《もの》があったからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|家畜《かちく》をもっている|者《もの》の|天幕《てんまく》を|襲《おそ》い、|多《おお》くの|羊《ひつじ》とらくだを|奪《うば》い|取《と》って、エルサレムに|帰《かえ》った。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|神《かみ》の|霊《れい》がオデデの|子《こ》アザリヤに|臨《のぞ》んだので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|出《で》ていってアサを|迎《むか》え、これに|言《い》った、「アサおよびユダとベニヤミンの|人々《ひとびと》よ、わたしに|聞《き》きなさい。あなたがたが|主《しゅ》と|共《とも》におる|間《あいだ》は、|主《しゅ》もあなたがたと|共《とも》におられます。あなたがたが、もし|彼《かれ》を|求《もと》めるならば、|彼《かれ》に|会《あ》うでしょう。しかし、|彼《かれ》を|捨《す》てるならば、|彼《かれ》もあなたがたを|捨《す》てられるでしょう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そもそも、イスラエルには|長《なが》い|間《あいだ》、まことの|神《かみ》がなく、|教《おしえ》をなす|祭司《さいし》もなく、|律法《りっぽう》もなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|悩《なや》みの|時《とき》、|彼《かれ》らがイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|立《た》ち|返《かえ》り、|彼《かれ》を|求《もと》めたので|彼《かれ》に|会《あ》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そのころは、|出《で》る|者《もの》にも|入《い》る|者《もの》にも、|平安《へいあん》がなく、|大《おお》いなる|騒乱《そうらん》が|国々《くにぐに》のすべての|住民《じゅうみん》を|悩《なや》ました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》は|国《くに》に、|町《まち》は|町《まち》に|撃《う》ち|砕《くだ》かれた。|神《かみ》がもろもろの|悩《なや》みをもって|彼《かれ》らを|苦《くる》しめられたからです。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたは|勇気《ゆうき》を|出《だ》しなさい。|手《て》を|弱《よわ》くしてはならない。あなたがたのわざには|報《むく》いがあるからです」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アサはこれらの|言葉《ことば》すなわちオデデの|子《こ》アザリヤの|預言《よげん》を|聞《き》いて|勇気《ゆうき》を|得《え》、|憎《にく》むべき|偶像《ぐうぞう》をユダとベニヤミンの|全《ぜん》|地《ち》から|除《のぞ》き、また|彼《かれ》がエフライムの|山地《さんち》で|得《え》た|町々《まちまち》から|除《のぞ》き、|主《しゅ》の|宮《みや》の|廊《ろう》の|前《まえ》にあった|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》を|再興《さいこう》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたユダとベニヤミンの|人々《ひとびと》およびエフライム、マナセ、シメオンから|来《き》て、|彼《かれ》らの|間《あいだ》に|寄留《きりゅう》していた|者《もの》を|集《あつ》めた。その|神《かみ》、|主《しゅ》がアサと|共《とも》におられるのを|見《み》て、イスラエルからアサのもとに|下《くだ》った|者《もの》が|多《おお》くあったからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはアサの|治世《ちせい》の十五|年《ねん》の三|月《がつ》にエルサレムに|集《あつ》まり、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|携《たずさ》えてきたぶんどり|物《もの》のうちから|牛《うし》七百|頭《とう》、|羊《ひつじ》七千|頭《とう》をその|日《ひ》|主《しゅ》にささげた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|契約《けいやく》を|結《むす》び、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》めることと、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すべてイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》めない|者《もの》は|老幼《ろうよう》|男女《だんじょ》の|別《べつ》なく|殺《ころ》さるべきことを|約《やく》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|大声《おおごえ》をあげて|叫《さけ》び、ラッパを|吹《ふ》き、|角笛《つのぶえ》を|鳴《な》らして、|主《しゅ》に|誓《ちか》いを|立《た》てた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|皆《みな》その|誓《ちか》いを|喜《よろこ》んだ。|彼《かれ》らは|心《こころ》をつくして|誓《ちか》いを|立《た》て、|精神《せいしん》をつくして|主《しゅ》を|求《もと》めたので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らに|会《あ》い、|四方《しほう》で|彼《かれ》らに|安息《あんそく》を|賜《たま》わった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アサ|王《おう》の|母《はは》マアカがアシラのために|憎《にく》むべき|像《ぞう》を|造《つく》ったので、アサは|彼女《かのじょ》をおとして|太后《たいこう》とせず、その|憎《にく》むべき|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》して|粉々《こなごな》に|砕《くだ》き、キデロン|川《かわ》でそれを|焼《や》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ただし|高《たか》き|所《ところ》はイスラエルから|除《のぞ》かなかったが、アサの|心《こころ》は|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|正《ただ》しかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた、その|父《ちち》のささげた|物《もの》および|自分《じぶん》のささげた|物《もの》、すなわち|銀《ぎん》、|金《きん》|並《なら》びに|器物《うつわもの》などを|主《しゅ》の|宮《みや》に|携《たずさ》え|入《い》れた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そしてアサの|治世《ちせい》の三十五|年《ねん》までは|再《ふたた》び|戦争《せんそう》がなかった。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アサの|治世《ちせい》の三十六|年《ねん》にイスラエルの|王《おう》バアシャはユダに|攻《せ》め|上《のぼ》り、ユダの|王《おう》アサの|所《ところ》にだれをも|出入《でい》りさせないためにラマを|築《きず》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでアサは|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|家《いえ》の|宝蔵《ほうぞう》から|金銀《きんぎん》を|取《と》り|出《だ》し、ダマスコに|住《す》んでいるスリヤの|王《おう》ベネハダデに|贈《おく》って|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしの|父《ちち》とあなたの|父《ちち》の|間《あいだ》のように、わたしとあなたの|間《あいだ》に|同盟《どうめい》を|結《むす》びましょう。わたしはあなたに|金銀《きんぎん》を|贈《おく》ります。|行《い》って、あなたとイスラエルの|王《おう》バアシャとの|同盟《どうめい》を|破《やぶ》り、|彼《かれ》をわたしから|撤退《てったい》させてください」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ベネハダデはアサ|王《おう》の|言《い》うことを|聞《き》き、|自分《じぶん》の|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちをつかわしてイスラエルの|町々《まちまち》を|攻《せ》め、イヨンとダンとアベル・マイムおよびナフタリのすべての|倉《くら》の|町《まち》を|撃《う》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]バアシャはこれを|聞《き》いて、ラマを|築《きず》くことをやめ、その|工事《こうじ》を|廃《はい》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでアサ|王《おう》はユダの|全国《ぜんこく》の|人々《ひとびと》を|引《ひ》き|連《つ》れ、バアシャがラマを|建《た》てるために|用《もち》いた|石《いし》と|木材《もくざい》を|運《はこ》んでこさせ、それをもってゲバとミヅパを|建《た》てた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのころ|先見者《せんけんしゃ》ハナニがユダの|王《おう》アサのもとに|来《き》て|言《い》った、「あなたがスリヤの|王《おう》に|寄《よ》り|頼《たの》んで、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》まなかったので、スリヤ|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》はあなたの|手《て》からのがれてしまった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]かのエチオピヤびとと、リビアびとは|大軍《たいぐん》で、その|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》は、はなはだ|多《おお》かったではないか。しかしあなたが|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》んだので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らをあなたの|手《て》に|渡《わた》された。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|目《め》はあまねく|全《ぜん》|地《ち》を|行《い》きめぐり、|自分《じぶん》に|向《む》かって|心《こころ》を|全《まっと》うする|者《もの》のために|力《ちから》をあらわされる。|今度《こんど》の|事《こと》では、あなたは|愚《おろ》かな|事《こと》をした。ゆえにこの|後《のち》、あなたに|戦争《せんそう》が|臨《のぞ》むであろう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]するとアサはその|先見者《せんけんしゃ》を|怒《いか》って、|獄屋《ごくや》に|入《い》れた。この|事《こと》のために|激《はげ》しく|彼《かれ》を|怒《いか》ったからである。アサはまたそのころ|民《たみ》のある|者《もの》をしえたげた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、アサの|始終《しじゅう》の|行為《こうい》は、ユダとイスラエルの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アサはその|治世《ちせい》の三十九|年《ねん》に|足《あし》を|病《や》み、その|病《やまい》は|激《はげ》しくなったが、その|病《やまい》の|時《とき》にも、|主《しゅ》を|求《もと》めないで|医者《いしゃ》を|求《もと》めた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アサは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》り、その|治世《ちせい》の四十一|年《ねん》に|死《し》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》が|自分《じぶん》のためにダビデの|町《まち》に|掘《ほ》っておいた|墓《はか》に|葬《ほうむ》り、|製《せい》|香《こう》の|術《じゅつ》をもって|造《つく》った|様々《さまざま》の|香料《こうりょう》を|満《み》たした|床《とこ》に|横《よこ》たえ、|彼《かれ》のためにおびただしく|香《こう》をたいた。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アサの|子《こ》ヨシャパテがアサに|代《かわ》って|王《おう》となり、イスラエルに|向《む》かって|自分《じぶん》を|強《つよ》くし、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ユダのすべての|堅固《けんご》な|町々《まちまち》に|軍隊《ぐんたい》を|置《お》き、またユダの|地《ち》およびその|父《ちち》アサが|取《と》ったエフライムの|町々《まちまち》に|守備《しゅび》|隊《たい》を|置《お》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨシャパテと|共《とも》におられた。|彼《かれ》がその|父《ちち》ダビデの|最初《さいしょ》の|道《みち》に|歩《あゆ》んで、バアルに|求《もと》めず、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|父《ちち》の|神《かみ》に|求《もと》めて、その|戒《いまし》めに|歩《あゆ》み、イスラエルの|行《おこな》いにならわなかったからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|国《くに》を|彼《かれ》の|手《て》に|堅《かた》く|立《た》てられ、またユダの|人々《ひとびと》は|皆《みな》ヨシャパテに|贈《おく》り|物《もの》を|持《も》ってきた。|彼《かれ》は|大《おお》いなる|富《とみ》と|誉《ほまれ》とを|得《え》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》は|主《しゅ》の|道《みち》に|心《こころ》を|励《はげ》まし、さらに|高《たか》き|所《ところ》とアシラ|像《ぞう》とをユダから|除《のぞ》いた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたその|治世《ちせい》の三|年《ねん》に、つかさたちベネハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタンエルおよびミカヤをつかわしてユダの|町々《まちまち》で|教《おし》えさせ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らと|共《とも》にレビびとのうちからシマヤ、ネタニヤ、ゼバデヤ、アサヘル、セミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トバドニヤをつかわし、またこれらのレビびとと|共《とも》に|祭司《さいし》エリシャマとヨラムをもつかわした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|携《たずさ》えて、ユダで|教《おしえ》をなし、またユダの|町々《まちまち》をことごとく|巡回《じゅんかい》して、|民《たみ》の|間《あいだ》に|教《おしえ》をなした。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダの|周囲《しゅうい》の|国々《くにぐに》は|皆《みな》|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、ヨシャパテと|戦《たたか》うことをしなかった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また、ペリシテびとのうちで|贈《おく》り|物《もの》や、みつぎの|銀《ぎん》をヨシャパテの|所《ところ》に|持《も》ってくる|者《もの》があり、またアラビヤびとは|雄羊《おひつじ》七千七百|頭《とう》、|雄《お》やぎ七千七百|頭《とう》を|彼《かれ》に|持《も》ってきた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨシャパテはますます|大《おお》いになり、ユダに|要害《ようがい》および|倉《くら》の|町《まち》を|建《た》て、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|町々《まちまち》に|多《おお》くの|軍需《ぐんじゅ》|品《ひん》を|持《も》ち、またエルサレムに|大《だい》|勇士《ゆうし》である|軍人《ぐんじん》たちを|持《も》っていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをその|氏族《しぞく》によって|数《かぞ》えれば|次《つぎ》のとおりである。すなわちユダから|出《で》た千|人《にん》の|長《ちょう》のうちでは、アデナという|軍《ぐん》|長《ちょう》と|彼《かれ》に|従《したが》う|大《だい》|勇士《ゆうし》三十万|人《にん》、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》は|軍《ぐん》|長《ちょう》ヨハナンと|彼《かれ》に|従《したが》う|者《もの》二十八|万《まん》|人《にん》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》は|喜《よろこ》んでその|身《み》を|主《しゅ》にささげた|者《もの》ジクリの|子《こ》アマジヤと|彼《かれ》に|従《したが》う|大《だい》|勇士《ゆうし》二十万|人《にん》。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンから|出《で》た|者《もの》のうちでは、エリアダという|大《だい》|勇士《ゆうし》と|彼《かれ》に|従《したが》う|弓《ゆみ》および|盾《たて》を|持《も》つ|者《もの》二十万|人《にん》、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》はヨザバデと|彼《かれ》に|従《したが》う|戦《たたか》いの|備《そな》えある|者《もの》十八|万《まん》|人《にん》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これらは|皆《みな》|王《おう》に|仕《つか》える|者《もの》たちで、このほかにまたユダ|全国《ぜんこく》の|堅固《けんご》な|町々《まちまち》に、|王《おう》が|駐在《ちゅうざい》させた|者《もの》があった。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|大《おお》いなる|富《とみ》と|誉《ほまれ》とをもち、アハブと|縁《ふち》を|結《むす》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|数年《すうねん》の|後《のち》、サマリヤに|下《くだ》って、アハブをおとずれた。アハブは|彼《かれ》と|彼《かれ》に|従《したが》ってきた|民《たみ》のために|羊《ひつじ》と|牛《うし》を|多《おお》くほふり、ラモテ・ギレアデに|一緒《いっしょ》に|攻《せ》め|上《のぼ》ることを|彼《かれ》にすすめた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》アハブはユダの|王《おう》ヨシャパテに|言《い》った、「あなたはわたしと|一緒《いっしょ》にラモテ・ギレアデに|攻《せ》めて|行《い》きますか」。ヨシャパテは|答《こた》えた、「わたしはあなたと一つです、わたしの|民《たみ》はあなたの|民《たみ》と一つです。わたしはあなたと|一緒《いっしょ》に|戦《たたか》いに|臨《のぞ》みましょう」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはまたイスラエルの|王《おう》に|言《い》った、「まず|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|求《もと》めなさい」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|王《おう》は|預言者《よげんしゃ》四百|人《にん》を|集《あつ》めて|彼《かれ》らに|言《い》った、「われわれはラモテ・ギレアデに、|戦《たたか》いに|行《い》くべきか、あるいは|控《ひか》えるべきか」。|彼《かれ》らは|言《い》った、「|上《のぼ》って|行《い》きなさい。|神《かみ》はそれを|王《おう》の|手《て》にわたされるでしょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|言《い》った、「ほかにわれわれが|問《と》うべき|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》はここにいませんか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はヨシャパテに|言《い》った、「ほかになおひとりいます。われわれはこの|人《ひと》によって|主《しゅ》に|問《と》うことができますが、|彼《かれ》はわたしについて|良《よ》い|事《こと》を|預言《よげん》したことがなく、|常《つね》に|悪《わる》いことだけを|預言《よげん》するので、わたしは|彼《かれ》を|憎《にく》みます。その|者《もの》はイムラの|子《こ》ミカヤです」。ヨシャパテは|言《い》った、「|王《おう》よ、そうは|言《い》わないでください」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|王《おう》はひとりの|役人《やくにん》を|呼《よ》んで、「イムラの|子《こ》ミカヤを|急《いそ》いで|連《つ》れてきなさい」と|言《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さてイスラエルの|王《おう》およびユダの|王《おう》ヨシャパテは|王《おう》の|衣《ころも》を|着《き》て、サマリヤの|門《もん》の|入口《いりぐち》の|広場《ひろば》におのおのその|玉座《ぎょくざ》に|座《ざ》し、|預言者《よげんしゃ》たちは|皆《みな》その|前《まえ》で|預言《よげん》していた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ケナアナの|子《こ》ゼデキヤは|鉄《てつ》の|角《つの》を|造《つく》って|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『あなたはこれらの|角《つの》をもってスリヤびとを|突《つ》いて|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》しなさい』」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》たちは|皆《みな》そのように|預言《よげん》して|言《い》った、「ラモテ・ギレアデに|上《のぼ》っていって|勝利《しょうり》を|得《え》なさい。|主《しゅ》はそれを|王《おう》の|手《て》にわたされるでしょう」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さてミカヤを|呼《よ》びに|行《い》った|使者《ししゃ》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|預言者《よげんしゃ》たちは|一致《いっち》して|王《おう》に|良《よ》い|事《こと》を|言《い》いました。どうぞ、あなたの|言葉《ことば》も、|彼《かれ》らのひとりの|言葉《ことば》のようにし、|良《よ》い|事《こと》を|言《い》ってください」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わが|神《かみ》の|言《い》われることをわたしは|申《もう》します」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》くと、|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに|戦《たたか》いに|行《い》くべきか、あるいは|控《ひか》えるべきか」。|彼《かれ》は|言《い》った、「|上《のぼ》って|行《い》って|勝利《しょうり》を|得《え》なさい。|彼《かれ》らはあなたの|手《て》にわたされるでしょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|幾《いく》たびあなたを|誓《ちか》わせたら、あなたは|主《しゅ》の|名《な》をもって、ただ|真実《しんじつ》のみをわたしに|告《つ》げるだろうか」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「わたしはイスラエルが|皆《みな》|牧者《ぼくしゃ》のない|羊《ひつじ》のように|山《やま》に|散《ち》っているのを|見《み》ました。すると|主《しゅ》は『これらの|者《もの》は|主人《しゅじん》をもっていない。|彼《かれ》らをそれぞれ|安《やす》らかに、その|家《いえ》に|帰《かえ》らせよ』と|言《い》われました」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はヨシャパテに|言《い》った、「わたしはあなたに、|彼《かれ》はわたしについて|良《よ》い|事《こと》を|預言《よげん》せず、ただ|悪《わる》い|事《こと》だけを|預言《よげん》すると|告《つ》げたではありませんか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「それだから|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。わたしは|主《しゅ》がその|玉座《ぎょくざ》に|座《ざ》し、|天《てん》の|万軍《ばんぐん》がその|右左《みぎひだり》に|立《た》っているのを|見《み》たが、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、『だれがイスラエルの|王《おう》アハブをいざなって、ラモテ・ギレアデに|上《のぼ》らせ、|彼《かれ》を|倒《たお》れさせるであろうか』と|言《い》われた。するとひとりは、こうしようと|言《い》い、ひとりは、ああしようと|言《い》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》一つの|霊《れい》が|進《すす》み|出《で》て、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》ち、『わたしが|彼《かれ》をいざないましょう』と|言《い》ったので、|主《しゅ》は|彼《かれ》に『|何《なに》をもってするか』と|言《い》われた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は『わたしが|出《で》て|行《い》って、|偽《いつわ》りを|言《い》う|霊《れい》となって、すべての|預言者《よげんしゃ》の|口《くち》に|宿《やど》りましょう』と|言《い》った。そこで|主《しゅ》は『おまえは|彼《かれ》をいざなって、それをなし|遂《と》げるであろう。|出《で》て|行《い》って、そうしなさい』と|言《い》われた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|偽《いつわ》りを|言《い》う|霊《れい》をこの|預言者《よげんしゃ》たちの|口《くち》に|入《い》れ、また|主《しゅ》はあなたについて|災《わざわい》を|告《つ》げられたのです」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]するとケナアナの|子《こ》ゼデキヤが|近寄《ちかよ》ってミカヤのほおを|打《う》って|言《い》った、「|主《しゅ》の|霊《れい》がどの|道《みち》からわたしを|離《はな》れて|行《い》って、あなたに|語《かた》りましたか」。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「あなたが|奥《おく》の|間《あいだ》にはいって|身《み》を|隠《かく》す|日《ひ》に|見《み》るでしょう」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》は|言《い》った、「ミカヤを|捕《とら》え、|町《まち》のつかさアモンと|王《おう》の|子《こ》ヨアシの|所《ところ》へ|引《ひ》いて|行《い》って、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》いなさい、『|王《おう》はこう|言《い》う、この|者《もの》を|獄屋《ごくや》に|入《い》れ、|少《すこ》しばかりのパンと|水《みず》をもって|彼《かれ》を|養《やしな》い、わたしが|勝利《しょうり》を|得《え》て|帰《かえ》ってくるのを|待《ま》て』と」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤは|言《い》った、「あなたがもし|勝利《しょうり》を|得《え》て|帰《かえ》るならば、|主《しゅ》はわたしによって|語《かた》られなかったのです」。また|彼《かれ》は|言《い》った、「あなたがたすべての|民《たみ》よ、|聞《き》きなさい」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|王《おう》とユダの|王《おう》ヨシャパテは、ラモテ・ギレアデに|上《のぼ》った。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》はヨシャパテに|言《い》った、「わたしは|姿《すがた》を|変《か》えて|戦《たたか》いに|行《い》きましょう。しかしあなたは|王《おう》の|衣《ころも》を|着《つ》けなさい」。イスラエルの|王《おう》は|姿《すがた》を|変《か》えて|戦《たたか》いに|行《い》った。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]さて、スリヤの|王《おう》は、その|戦車《せんしゃ》|隊長《たいちょう》たちに|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたは|小《ちい》さい|者《もの》とも、|大《おお》きい|者《もの》とも|戦《たたか》ってはならない。ただイスラエルの|王《おう》とのみ|戦《たたか》いなさい」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|戦車《せんしゃ》|隊長《たいちょう》らはヨシャパテを|見《み》たとき、これはきっとイスラエルの|王《おう》だと|思《おも》ったので、|身《み》を|巡《めぐ》らしてこれと|戦《たたか》おうとした。しかしヨシャパテが|呼《よ》ばわったので、|主《しゅ》はこれを|助《たす》けられた。すなわち|神《かみ》は|敵《てき》を|彼《かれ》から|離《はな》れさせられた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|戦車《せんしゃ》|隊長《たいちょう》らは|彼《かれ》がイスラエルの|王《おう》でないのを|見《み》たので、|彼《かれ》を|追《お》うことをやめて|引《ひ》き|返《かえ》した。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ひとりの|人《ひと》が、なにごころなく|弓《ゆみ》を|引《ひ》いて、イスラエルの|王《おう》の|胸当《むねあて》と、くさずりの|間《あいだ》を|射《い》たので、|彼《かれ》はその|車《くるま》の|御者《ぎょしゃ》に|言《い》った、「わたしは|傷《きず》を|受《う》けたから、|車《くるま》をめぐらして、わたしを|軍中《ぐんちゅう》から|運《はこ》び|出《だ》せ」。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》|戦《たたか》いは|激《はげ》しくなった。イスラエルの|王《おう》は|車《くるま》の|中《なか》に|自分《じぶん》をささえて|立《た》ち、|夕暮《ゆうぐれ》までスリヤびとに|向《む》かっていたが、|日《ひ》の|入《い》るころになって|死《し》んだ。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシャパテは、つつがなくエルサレムの|自分《じぶん》の|家《いえ》に|帰《かえ》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|先見者《せんけんしゃ》ハナニの|子《こ》エヒウが|出《で》てヨシャパテを|迎《むか》えて|言《い》った、「あなたは|悪人《あくにん》を|助《たす》け、|主《しゅ》を|憎《にく》む|者《もの》を|愛《あい》してよいのですか。それゆえ|怒《いか》りが|主《しゅ》の|前《まえ》から|出《で》て、あなたの|上《うえ》に|臨《のぞ》みます。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたには、なお|良《よ》い|事《こと》もあります。あなたはアシラ|像《ぞう》を|国《くに》の|中《なか》から|除《のぞ》き、|心《こころ》を|傾《かたむ》けて|神《かみ》を|求《もと》められました」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはエルサレムに|住《す》んでいたが、また|出《で》て、ベエルシバからエフライムの|山地《さんち》まで|民《たみ》の|中《なか》を|巡《めぐ》り、|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》に|彼《かれ》らを|導《みちび》き|返《かえ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたユダの|国中《くにぢゅう》、すべての|堅固《けんご》な|町《まち》ごとに|裁判人《さいばんにん》を|置《お》いた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そして|裁判人《さいばんにん》たちに|言《い》った、「あなたがたは|自分《じぶん》のする|事《こと》に|気《き》をつけなさい。あなたがたは|人《ひと》のために|裁判《さいばん》するのではなく、|主《しゅ》のためにするのです。あなたがたが|裁判《さいばん》する|時《とき》には、|主《しゅ》はあなたがたと|共《とも》におられます。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]だからあなたがたは|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|慎《つつし》んで|行《おこな》いなさい。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》には|不義《ふぎ》がなく、|人《ひと》をかたより|見《み》ることなく、まいないを|取《と》ることもないからです」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはまたレビびと、|祭司《さいし》、およびイスラエルの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちを|選《えら》んでエルサレムに|置《お》き、|主《しゅ》のために|裁判《さいばん》を|行《おこな》い、|争議《そうぎ》の|解決《かいけつ》に|当《あた》らせた。|彼《かれ》らはエルサレムに|居住《きょじゅう》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|彼《かれ》らに|命《めい》じて|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|真実《しんじつ》と|真心《まごころ》とをもって|行《おこな》わなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべてその|町々《まちまち》に|住《す》んでいるあなたがたの|兄弟《きょうだい》たちから、|血《ち》を|流《なが》した|事《こと》または|律法《りっぽう》と|戒《いまし》め、|定《さだ》めとおきてなどの|事《こと》について|訴《うった》えてきたならば、|彼《かれ》らをさとして、|主《しゅ》の|前《まえ》に|罪《つみ》を|犯《おか》させず、|怒《いか》りがあなたがたと、あなたがたの|兄弟《きょうだい》たちに|臨《のぞ》まないようにしなさい。そのようにすれば、あなたがたは|罪《つみ》を|犯《おか》すことがないでしょう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|祭司《さいし》|長《ちょう》アマリヤは、あなたがたの|上《うえ》にいて、|主《しゅ》の|事《こと》をすべてつかさどり、イシマエルの|子《こ》、ユダの|家《いえ》のつかさゼバデヤは|王《おう》の|事《こと》をすべてつかさどり、またレビびとはあなたがたの|前《まえ》にあって|役人《やくにん》となります。|雄々《おお》しく|行動《こうどう》しなさい。|主《しゅ》は|正直《しょうじき》な|人《ひと》と|共《とも》におられます」。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》モアブびと、アンモンびとおよびメウニびとらがヨシャパテと|戦《たたか》おうと|攻《せ》めてきた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ある|人《ひと》がきて、ヨシャパテに|告《つ》げて|言《い》った、「|海《うみ》のかなたのエドムから|大軍《たいぐん》があなたに|攻《せ》めて|来《き》ます。|見《み》よ、|彼《かれ》らはハザゾン・タマル(すなわちエンゲデ)にいます」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシャパテは|恐《おそ》れ、|主《しゅ》に|顔《かお》を|向《む》けて|助《たす》けを|求《もと》め、ユダ|全国《ぜんこく》に|断食《だんじき》をふれさせた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それでユダはこぞって|集《あつ》まり、|主《しゅ》の|助《たす》けを|求《もと》めた。すなわちユダのすべての|町《まち》から|人々《ひとびと》が|来《き》て|主《しゅ》を|求《もと》めた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨシャパテは|主《しゅ》の|宮《みや》の|新《あたら》しい|庭《にわ》の|前《まえ》で、ユダとエルサレムの|会衆《かいしゅう》の|中《なか》に|立《た》って、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「われわれの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたは|天《てん》にいます|神《かみ》ではありませんか。|異邦人《いほうじん》のすべての|国《くに》を|治《おさ》められるではありませんか。あなたの|手《て》には|力《ちから》があり、|勢《いきお》いがあって、あなたに|逆《さか》らいうる|者《もの》はありません。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》よ、あなたはこの|国《くに》の|民《たみ》をあなたの|民《たみ》イスラエルの|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》って、あなたの|友《とも》アブラハムの|子孫《しそん》に、これを|永遠《えいえん》に|与《あた》えられたではありませんか。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはここに|住《す》み、あなたの|名《な》のためにここに|聖所《せいじょ》を|建《た》てて|言《い》いました、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]『つるぎ、|審判《しんぱん》、|疫病《えきびょう》、ききんなどの|災《わざわい》がわれわれに|臨《のぞ》む|時《とき》、われわれはこの|宮《みや》の|前《まえ》に|立《た》って、あなたの|前《まえ》におり、その|悩《なや》みの|中《なか》であなたに|呼《よ》ばわります。すると、あなたは|聞《き》いて|助《たす》けられます。あなたの|名《な》はこの|宮《みや》にあるからです』と。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》アンモン、モアブ、およびセイル|山《やま》の|人々《ひとびと》をごらんなさい。|昔《むかし》イスラエルがエジプトの|国《くに》から|出《で》てきた|時《とき》、あなたはイスラエルに|彼《かれ》らを|侵《おか》すことをゆるされなかったので、イスラエルは|彼《かれ》らを|離《はな》れて、|滅《ほろ》ぼしませんでした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがわれわれに|報《むく》いるところをごらんください。|彼《かれ》らは|来《き》て、あなたがわれわれに|賜《たま》わったあなたの|領地《りょうち》からわれわれを|追《お》い|払《はら》おうとしています。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》よ、あなたは|彼《かれ》らをさばかれないのですか。われわれはこのように|攻《せ》めて|来《く》る|大軍《たいぐん》に|当《あた》る|力《ちから》がなく、またいかになすべきかを|知《し》りません。ただ、あなたを|仰《あお》ぎ|望《のぞ》むのみです」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》はその|幼《おさ》な|子《こ》、その|妻《つま》、および|子供《こども》たちと|共《とも》に|皆《みな》|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》っていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|主《しゅ》の|霊《れい》が|会衆《かいしゅう》の|中《なか》でアサフの|子孫《しそん》であるレビびとヤハジエルに|臨《のぞ》んだ。ヤハジエルはゼカリヤの|子《こ》、ゼカリヤはベナヤの|子《こ》、ベナヤはエイエルの|子《こ》、エイエルはマッタニヤの|子《こ》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヤハジエルは|言《い》った、「ユダの|人々《ひとびと》、エルサレムの|住民《じゅうみん》、およびヨシャパテ|王《おう》よ、|聞《き》きなさい。|主《しゅ》はあなたがたにこう|仰《おお》せられる、『この|大軍《たいぐん》のために|恐《おそ》れてはならない。おののいてはならない。これはあなたがたの|戦《たたか》いではなく、|主《しゅ》の|戦《たたか》いだからである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あす、|彼《かれ》らの|所《ところ》へ|攻《せ》め|下《くだ》りなさい。|見《み》よ、|彼《かれ》らはヂヅの|坂《さか》から|上《のぼ》って|来《く》る。あなたがたはエルエルの|野《の》の|東《ひがし》、|谷《たに》の|端《たん》でこれに|会《あ》うであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]この|戦《たたか》いには、あなたがたは|戦《たたか》うに|及《およ》ばない。ユダおよびエルサレムよ、あなたがたは|進《すす》み|出《で》て|立《た》ち、あなたがたと|共《とも》におられる|主《しゅ》の|勝利《しょうり》を|見《み》なさい。|恐《おそ》れてはならない。おののいてはならない。あす、|彼《かれ》らの|所《ところ》に|攻《せ》めて|行《い》きなさい。|主《しゅ》はあなたがたと|共《とも》におられるからである』」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|地《ち》にひれ|伏《ふ》した。ユダの|人々《ひとびと》およびエルサレムの|民《たみ》も|主《しゅ》の|前《まえ》に|伏《ふ》して、|主《しゅ》を|拝《はい》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》コハテびとの|子孫《しそん》、およびコラびとの|子孫《しそん》であるレビびとが|立《た》ち|上《あ》がり、|大声《おおごえ》をあげてイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》をさんびした。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きてテコアの|野《の》に|出《で》て|行《い》った。その|出《で》て|行《い》くとき、ヨシャパテは|立《た》って|言《い》った、「ユダの|人々《ひとびと》およびエルサレムの|民《たみ》よ、わたしに|聞《き》きなさい。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|信《しん》じなさい。そうすればあなたがたは|堅《かた》く|立《た》つことができる。|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》を|信《しん》じなさい。そうすればあなたがたは|成功《せいこう》するでしょう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|民《たみ》と|相談《そうだん》して|人々《ひとびと》を|任命《にんめい》し、|聖《せい》なる|飾《かざ》りを|着《つ》けて|軍勢《ぐんぜい》の|前《まえ》に|進《すす》ませ、|主《しゅ》に|向《む》かって|歌《うた》をうたい、かつさんびさせ、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない」 [#ここで字下げ終わり] と|言《い》わせた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らが|歌《うた》をうたい、さんびし|始《はじ》めた|時《とき》、|主《しゅ》は|伏兵《ふくへい》を|設《もう》け、かのユダに|攻《せ》めてきたアンモン、モアブ、セイル|山《やま》の|人々《ひとびと》に|向《む》かわせられたので、|彼《かれ》らは|打《う》ち|敗《やぶ》られた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちアンモンとモアブの|人々《ひとびと》は|立《た》ち|上《あ》がって、セイル|山《やま》の|民《たみ》に|敵《てき》し、|彼《かれ》らを|殺《ころ》して|全《まった》く|滅《ほろ》ぼしたが、セイルの|民《たみ》を|殺《ころ》し|尽《つく》すに|及《およ》んで、|彼《かれ》らもおのおの|互《たがい》に|助《たす》けて|滅《ほろ》ぼしあった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》は|野《の》の|物見《ものみ》やぐらへ|行《い》って、かの|群衆《ぐんしゅう》を|見《み》たが、|地《ち》に|倒《たお》れた|死体《したい》だけであって、ひとりものがれた|者《もの》はなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それでヨシャパテとその|民《たみ》は|彼《かれ》らの|物《もの》を|奪《うば》うために|来《き》て|見《み》ると、|多数《たすう》の|家畜《かちく》、|財宝《ざいほう》、|衣服《いふく》および|宝石《ほうせき》などおびただしくあったので、おのおのそれをはぎ|取《と》ったが、|運《はこ》びきれないほどたくさんで、かすめ|取《と》るに三|日《か》もかかった。それほど|物《もの》が|多《おお》かったのである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]四|日《か》|目《め》に|彼《かれ》らはベラカの|谷《たに》に|集《あつ》まり、その|所《ところ》で|主《しゅ》を|祝福《しゅくふく》した。それでその|所《ところ》の|名《な》を|今日《こんにち》までベラカの|谷《たに》と|呼《よ》んでいる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そしてユダとエルサレムの|人々《ひとびと》は|皆《みな》ヨシャパテを|先《さき》に|立《た》て、|喜《よろこ》んでエルサレムに|帰《かえ》ってきた。|主《しゅ》が|彼《かれ》らにその|敵《てき》のことによって|喜《よろこ》びを|与《あた》えられたからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らは|立琴《たてごと》、|琴《こと》およびラッパをもってエルサレムの|主《しゅ》の|宮《みや》に|来《き》た。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そしてもろもろの|国《くに》の|民《たみ》は|主《しゅ》がイスラエルの|敵《てき》と|戦《たたか》われたことを|聞《き》いて|神《かみ》を|恐《おそ》れた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|神《かみ》が|四方《しほう》に|安息《あんそく》を|賜《たま》わったので、ヨシャパテの|国《くに》は|穏《おだ》やかであった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]このようにヨシャパテはユダを|治《おさ》めた。|彼《かれ》は三十五|歳《さい》の|時《とき》、|王《おう》となり、二十五|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。|彼《かれ》の|母《はは》の|名《な》はアズバといってシルヒの|娘《むすめ》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|父《ちち》アサの|道《みち》を|歩《あゆ》んでそれを|離《はな》れず、|主《しゅ》の|目《め》に|正《ただ》しいと|見《み》られることを|行《おこな》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|高《たか》き|所《ところ》は|除《のぞ》かず、また|民《たみ》はその|先祖《せんぞ》の|神《かみ》に|心《こころ》を|傾《かたむ》けなかった。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテのその|他《た》の|始終《しじゅう》の|行為《こうい》は、ハナニの|子《こ》エヒウの|書《しょ》にしるされ、イスラエルの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》に|載《の》せられてある。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》ユダの|王《おう》ヨシャパテはイスラエルの|王《おう》アハジヤと|相《あい》|結《むす》んだ。アハジヤは|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテはタルシシへ|行《い》く|船《ふね》を|造《つく》るためにアハジヤと|相《あい》|結《むす》び、エジオン・ゲベルで|一緒《いっしょ》に|船《ふね》|数隻《すうせき》を|造《つく》った。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》マレシャのドダワの|子《こ》エリエゼルはヨシャパテに|向《む》かって|預言《よげん》し、「あなたはアハジヤと|相《あい》|結《むす》んだので、|主《しゅ》はあなたの|造《つく》った|物《もの》をこわされます」と|言《い》ったが、その|船《ふね》は|難破《なんぱ》して、タルシシへ|行《い》くことができなかった。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》り、|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》にダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》ヨラムが|代《かわ》って|王《おう》となった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨシャパテの|子《こ》であるその|兄弟《きょうだい》たちはアザリヤ、エヒエル、ゼカリヤ、アザリヤ、ミカエルおよびシパテヤで、|皆《みな》ユダの|王《おう》ヨシャパテの|子《こ》たちであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|父《ちち》は|彼《かれ》らに|金《きん》、|銀《ぎん》、|宝物《ほうもつ》の|賜物《たまもの》を|多《おお》く|与《あた》え、またユダの|要害《ようがい》の|町々《まちまち》を|与《あた》えたが、ヨラムは|長子《ちょうし》なので、|国《くに》はヨラムに|与《あた》えた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムはその|父《ちち》の|位《くらい》に|登《のぼ》って|強《つよ》くなった|時《とき》、その|兄弟《きょうだい》たちをことごとくつるぎにかけて|殺《ころ》し、またユダのつかさたち|数人《すうにん》を|殺《ころ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムは|位《くらい》についた|時《とき》三十二|歳《さい》で、エルサレムで八|年《ねん》の|間《あいだ》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はアハブの|家《いえ》がしたようにイスラエルの|王《おう》たちの|道《みち》に|歩《あゆ》んだ。アハブの|娘《むすめ》を|妻《つま》としたからである。このように|彼《かれ》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》をおこなったが、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はさきにダビデと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》のゆえに、また|彼《かれ》とその|子孫《しそん》とにながく、ともしびを|与《あた》えると|約束《やくそく》されたことによって、ダビデの|家《いえ》を|滅《ほろ》ぼすことを|好《この》まれなかった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムの|世《よ》にエドムがそむいて、ユダの|支配《しはい》を|脱《だっ》し、みずから|王《おう》を|立《た》てたので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムはその|将校《しょうこう》たち、およびすべての|戦車《せんしゃ》を|従《したが》えて|渡《わた》って|行《い》き、|夜《よる》のうちに|立《た》ち|上《あ》がって、|自分《じぶん》を|包囲《ほうい》しているエドムびととその|戦車《せんしゃ》の|隊長《たいちょう》たちを|撃《う》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エドムはこのようにそむいてユダの|支配《しはい》を|脱《だっ》し、|今日《こんにち》に|至《いた》っている。そのころリブナもまたそむいてユダの|支配《しはい》を|脱《だっ》した。ヨラムが|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てたからである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたユダの|山地《さんち》に|高《たか》き|所《ところ》を|造《つく》って、エルサレムの|民《たみ》に|姦淫《かんいん》を|行《おこな》わせ、ユダを|惑《まど》わした。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|預言者《よげんしゃ》エリヤから|次《つぎ》のような一|通《つう》の|手紙《てがみ》がヨラムのもとに|来《き》た、「あなたの|先祖《せんぞ》ダビデの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『あなたは|父《ちち》ヨシャパテの|道《みち》に|歩《あゆ》まず、またユダの|王《おう》アサの|道《みち》に|歩《あゆ》まないで、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》たちの|道《みち》に|歩《あゆ》み、ユダとエルサレムの|民《たみ》に、かのアハブの|家《いえ》がイスラエルに|姦淫《かんいん》を|行《おこな》わせたように、|姦淫《かんいん》を|行《おこな》わせ、またあなたの|父《ちち》の|家《いえ》の|者《もの》で、あなたにまさっているあなたの|兄弟《きょうだい》たちを|殺《ころ》したゆえ、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|大《おお》いなる|災《わざわい》をもってあなたの|民《たみ》と|子供《こども》と|妻《つま》たちと、すべての|所有《しょゆう》を|撃《う》たれる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|内臓《ないぞう》の|病気《びょうき》にかかって|大病《たいびょう》になり、それが|日《ひ》に|日《ひ》に|重《おも》くなって、ついに|内臓《ないぞう》が|出《で》るようになる』」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はヨラムに|対《たい》してエチオピヤびとの|近《ちか》くに|住《す》んでいるペリシテびととアラビヤびとの|霊《れい》を|振《ふ》り|起《おこ》されたので、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはユダに|攻《せ》め|上《のぼ》って、これを|侵《おか》し、|王《おう》の|家《いえ》にある|貨《か》|財《ざい》をことごとく|奪《うば》い|去《さ》り、またヨラムの|子供《こども》と|妻《つま》たちをも|奪《うば》い|去《さ》ったので、|末《すえ》の|子《こ》エホアハズのほかには、ひとりも|残《のこ》った|者《もの》がなかった。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]このもろもろの|事《こと》の|後《のち》、|主《しゅ》は|彼《かれ》を|撃《う》って|内臓《ないぞう》にいえがたい|病気《びょうき》を|起《おこ》させられた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》がたって、二|年《ねん》の|終《おわ》りになり、その|内臓《ないぞう》が|病気《びょうき》のために|出《で》て、|重《おも》い|病苦《びょうく》によって|死《し》んだ。|民《たみ》は|彼《かれ》の|先祖《せんぞ》のために|香《こう》をたいたように、|彼《かれ》のために|香《こう》をたかなかった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨラムはその|位《くらい》についた|時《とき》三十二|歳《さい》で、八|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》め、ついに|死《し》んだ。ひとりも|彼《かれ》を|惜《お》しむ|者《もの》がなかった。|人々《ひとびと》は|彼《かれ》をダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》ったが、|王《おう》たちの|墓《はか》にではなかった。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|民《たみ》はヨラムの|末《すえ》の|子《こ》アハジヤを|彼《かれ》の|代《かわ》りに|王《おう》とした。かつてアラビヤびとと|一緒《いっしょ》に|陣営《じんえい》に|攻《せ》めてきた一|隊《たい》の|者《もの》が|上《うえ》の|子《こ》たちをことごとく|殺《ころ》したので、ユダの|王《おう》ヨラムの|子《こ》アハジヤが|王《おう》となったのである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤは|王《おう》となった|時《とき》四十二|歳《さい》で、エルサレムで一|年《ねん》の|間《あいだ》|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はオムリの|娘《むすめ》で|名《な》をアタリヤといった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤもまたアハブの|家《いえ》の|道《みち》に|歩《あゆ》んだ。その|母《はは》が|彼《かれ》の|相談《そうだん》|相手《あいて》となって|悪《あく》を|行《おこな》わせたからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたアハブの|家《いえ》がしたように|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。すなわちその|父《ちち》が|死《し》んだ|後《のち》、アハブの|家《いえ》の|者《もの》がその|相談役《そうだんやく》となったので、|彼《かれ》はついに|自分《じぶん》を|滅《ほろ》ぼすに|至《いた》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤはまた|彼《かれ》らの|勧《すす》めに|従《したが》って、イスラエルの|王《おう》アハブの|子《こ》ヨラムと|共《とも》にラモテ・ギレアデへ|行《い》き、スリヤの|王《おう》ハザエルと|戦《たたか》ったが、スリヤびとはヨラムに|傷《きず》を|負《お》わせた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨラムはスリヤの|王《おう》ハザエルと|戦《たたか》った|時《とき》、ラマで|負《お》ったその|傷《きず》をいやすためにエズレルに|帰《かえ》った。ユダの|王《おう》ヨラムの|子《こ》アハジヤはアハブの|子《こ》ヨラムが|病気《びょうき》なのでエズレルに|下《くだ》ってこれを|見舞《みま》った。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤがヨラムを|見舞《みまい》に|行《い》ったことによって|滅《ほろ》びに|至《いた》ったのは|神《かみ》によって|定《さだ》められたことである。すなわち|彼《かれ》がそこに|着《つ》いた|時《とき》、ヨラムと|一緒《いっしょ》に|出《で》て、ニムシの|子《こ》エヒウを|迎《むか》えた。エヒウは|主《しゅ》がアハブの|家《いえ》を|断《た》ち|滅《ほろ》ぼすために|油《あぶら》を|注《そそ》がれた|者《もの》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エヒウはアハブの|家《いえ》を|罰《ばっ》するにあたって、ユダのつかさたち、およびアハジヤの|兄弟《きょうだい》たちの|子《こ》らがアハジヤに|仕《つか》えているのを|見《み》たので、|彼《かれ》らをも|殺《ころ》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤはサマリヤに|隠《かく》れていたが、エヒウが|彼《かれ》を|捜《さが》し|求《もと》めたので、|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を|捕《とら》え、エヒウのもとに|引《ひ》いてきて、|彼《かれ》を|殺《ころ》した。ただし「|彼《かれ》は|心《こころ》をつくして|主《しゅ》を|求《もと》めたヨシャパテの|子《こ》である」と|人々《ひとびと》は|言《い》ったのでこれを|葬《ほうむ》った。こうしてアハジヤの|家《いえ》には|国《くに》を|統《す》べ|治《おさ》めうる|者《もの》がなくなった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アハジヤの|母《はは》アタリヤは|自分《じぶん》の|子《こ》の|死《し》んだのを|見《み》て、|立《た》ってユダの|家《いえ》の|王子《おうじ》をことごとく|滅《ほろ》ぼしたが、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|娘《むすめ》エホシバはアハジヤの|子《こ》ヨアシを|王《おう》の|子《こ》たちの|殺《ころ》される|者《もの》のうちから|盗《ぬす》み|取《と》り、|彼《かれ》とそのうばを|寝室《しんしつ》においた。こうしてエホシバがヨアシをアタリヤから|隠《かく》したので、アタリヤはヨアシを|殺《ころ》さなかった。エホシバはヨラム|王《おう》の|娘《むすめ》、またアハジヤの|妹《いもうと》で、|祭司《さいし》エホヤダの|妻《つま》である。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてヨアシは|神《かみ》の|宮《みや》に|隠《かく》れて|彼《かれ》らと|共《とも》におること六|年《ねん》、その|間《かん》アタリヤが|国《くに》を|治《おさ》めた。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七|年《ねん》になって、エホヤダは|勇気《ゆうき》をだしてエロハムの|子《こ》アザリヤ、ヨハナンの|子《こ》イシマエル、オベデの|子《こ》アザリヤ、アダヤの|子《こ》マアセヤ、ジクリの|子《こ》エリシャパテなどの百|人《にん》の|長《ちょう》たちを|招《まね》いて|契約《けいやく》を|結《むす》ばせた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはユダを|行《い》きめぐって、ユダのすべての|町《まち》からレビびとを|集《あつ》め、またイスラエルの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちを|集《あつ》めて、エルサレムに|来《き》た。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|会衆《かいしゅう》は|皆《みな》|神《かみ》の|宮《みや》で|王《おう》と|契約《けいやく》を|結《むす》んだ。その|時《とき》エホヤダは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|主《しゅ》がダビデの|子孫《しそん》のことについて|言《い》われたように、|王《おう》の|子《こ》が|位《くらい》につくべきです。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのなすべき|事《こと》はこれです。すなわちあなたがた|祭司《さいし》およびレビびとの|安息日《あんそくにち》にはいって|来《く》る|者《もの》の、三|分《ぶん》の一は|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》となり、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]三|分《ぶん》の一は|王《おう》の|家《いえ》におり、三|分《ぶん》の一は|礎《いしずえ》の|門《もん》におり、|民《たみ》は|皆《みな》、|主《しゅ》の|宮《みや》の|庭《にわ》にいなさい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》と、|勤《つと》めをするレビびとのほかは、だれも|主《しゅ》の|宮《みや》に、はいってはならない。|彼《かれ》らは|聖《せい》なる|者《もの》であるから、はいることができる。|民《たみ》は|皆《みな》、|主《しゅ》の|命令《めいれい》を|守《まも》らなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]レビびとはめいめい|手《て》に|武器《ぶき》をとって|王《おう》のまわりに|立《た》たなければならない。|宮《みや》にはいる|者《もの》をすべて|殺《ころ》しなさい。あなたがたは|王《おう》がはいる|時《とき》にも|出《で》る|時《とき》にも、|王《おう》と|共《とも》にいなさい」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでレビびとおよびユダの|人々《ひとびと》は、|祭司《さいし》エホヤダがすべて|命《めい》じたように|行《おこな》い、めいめいその|組《くみ》の|者《もの》で、|安息日《あんそくにち》にはいって|来《く》るべき|者《もの》と、|安息日《あんそくにち》に|出《で》て|行《い》くべき|者《もの》を|率《ひき》いていた。|祭司《さいし》エホヤダが|組《くみ》の|者《もの》を|去《さ》らせなかったからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》エホヤダは、|神《かみ》の|宮《みや》にあるダビデ|王《おう》のやりおよび|大盾《おおだて》、|小盾《こだて》を百|人《にん》の|長《ちょう》たちに|渡《わた》し、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》を|守《まも》るために、すべての|民《たみ》にめいめい|手《て》に|武器《ぶき》をとらせ、|宮《みや》の|南側《みなみがわ》から|北側《きたがわ》にわたって、|祭壇《さいだん》と|宮《みや》に|沿《そ》って|立《た》たせた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|王《おう》の|子《こ》を|連《つ》れ|出《だ》して、これに|冠《かんむり》をいただかせ、あかしの|書《しょ》を|渡《わた》して|王《おう》となし、エホヤダおよびその|子《こ》たちが|彼《かれ》に|油《あぶら》を|注《そそ》いだ。そして「|王《おう》|万歳《ばんざい》」と|言《い》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アタリヤは|民《たみ》の|走《はし》りながら|王《おう》をほめる|声《こえ》を|聞《き》いたので、|主《しゅ》の|宮《みや》に|入《い》り、|民《たみ》の|所《ところ》へ|行《い》って、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》ると、|王《おう》は|入口《いりぐち》で|柱《はしら》のかたわらに|立《た》ち、|王《おう》のかたわらには|将軍《しょうぐん》たちとラッパ|手《て》が|立《た》っており、また|国《くに》の|民《たみ》は|皆《みな》|喜《よろこ》んでラッパを|吹《ふ》き、|歌《うた》をうたう|者《もの》は|楽器《がっき》をもってさんびしていたので、アタリヤは|衣《ころも》を|裂《さ》いて「|反逆《はんぎゃく》だ、|反逆《はんぎゃく》だ」と|叫《さけ》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エホヤダは|軍勢《ぐんぜい》を|統率《とうそつ》する百|人《にん》の|長《ちょう》たちを|呼《よ》び|出《だ》し、「|列《れつ》の|間《あいだ》から|彼女《かのじょ》を|連《つ》れ|出《だ》せ、|彼女《かのじょ》に|従《したが》う|者《もの》をつるぎで|殺《ころ》せ」と|言《い》った。|祭司《さいし》が|彼女《かのじょ》を|主《しゅ》の|宮《みや》で|殺《ころ》してはならないと|言《い》ったからである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》は|彼女《かのじょ》に|手《て》をかけ、|王《おう》の|家《いえ》の|馬《うま》の|門《もん》の|入口《いりぐち》まで|連《つ》れて|行《い》き、その|所《ところ》で|彼女《かのじょ》を|殺《ころ》した。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダは|自分《じぶん》とすべての|民《たみ》と|王《おう》との|間《あいだ》に、|彼《かれ》らは|皆《みな》、|主《しゅ》の|民《たみ》となるとの|契約《けいやく》を|結《むす》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこですべての|民《たみ》はバアルの|家《いえ》に|行《い》って、それをこわし、その|祭壇《さいだん》とその|像《ぞう》とを|打《う》ち|砕《くだ》き、バアルの|祭司《さいし》マッタンを|祭壇《さいだん》の|前《まえ》で|殺《ころ》した。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダはまた|主《しゅ》の|宮《みや》の|守衛《しゅえい》を、|祭司《さいし》とレビびとの|指揮《しき》のもとに|置《お》いた。このレビびとは|昔《むかし》ダビデがモーセの|律法《りっぽう》にしるされているように、|喜《よろこ》びと|歌《うた》とをもって|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》をささげるために、|主《しゅ》の|宮《みや》に|配置《はいち》したものであって、|今《いま》そのダビデの|例《れい》にならったものである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|主《しゅ》の|宮《みや》のもろもろの|門《もん》に|門衛《もんえい》を|置《お》き、|汚《けが》れた|者《もの》は|何《なに》によって|汚《けが》れた|者《もの》でも、はいらせないようにした。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエホヤダは百|人《にん》の|長《ちょう》たち、|貴族《きぞく》たち、|民《たみ》のつかさたちおよび|国《くに》のすべての|民《たみ》を|率《ひき》いて、|主《しゅ》の|宮《みや》から|王《おう》を|連《つ》れ|下《くだ》り、|上《うえ》の|門《もん》から|王《おう》の|家《いえ》に|進《すす》み、|王《おう》を|国《くに》の|位《くらい》につかせた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|民《たみ》は|皆《みな》|喜《よろこ》んだ。|町《まち》はアタリヤがつるぎで|殺《ころ》された|後《のち》、|穏《おだ》やかであった。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシは|位《くらい》についた|時《とき》七|歳《さい》で、エルサレムで四十|年《ねん》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めた。|彼《かれ》の|母《はは》はベエルシバから|出《で》た|者《もの》で|名《な》をヂビアといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシは|祭司《さいし》エホヤダの|世《よ》にある|日《ひ》の|間《あいだ》は|常《つね》に|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られることを|行《おこな》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダは|彼《かれ》のためにふたりの|妻《つま》をめとり、|彼《かれ》に|男子《だんし》と|女子《じょし》が|生《うま》れた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》ヨアシは|主《しゅ》の|宮《みや》を|修繕《しゅうぜん》しようと|志《こころざ》して、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》とレビびとを|集《あつ》めて|言《い》った、「ユダの|町々《まちまち》へ|行《い》って、あなたがたの|神《かみ》の|宮《みや》を|年々《ねんねん》|修繕《しゅうぜん》する|資金《しきん》をすべてのイスラエルびとから|集《あつ》めなさい。その|事《こと》を|急《いそ》いでしなさい」。ところがレビびとはこれを|急《いそ》いでしなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それで|王《おう》はかしらであるエホヤダを|召《め》して|言《い》った、「あなたはなぜレビびとに|求《もと》めて、|主《しゅ》のしもべモーセがあかしの|幕屋《まくや》のためにイスラエルの|会衆《かいしゅう》に|課《か》した|税金《ぜいきん》をユダとエルサレムから|取《と》り|立《た》てさせないのか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]かの|悪《わる》い|女《おんな》アタリヤの|子《こ》らが|神《かみ》の|宮《みや》に|侵入《しんにゅう》して|主《しゅ》の|宮《みや》のもろもろの|奉納物《ほうのうぶつ》をとり、バアルのために|用《もち》いたからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|命《めい》じて一|個《こ》の|箱《はこ》を|造《つく》らせ、これを|主《しゅ》の|宮《みや》の|門《もん》の|外《そと》に|置《お》き、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ユダとエルサレムにふれて、|神《かみ》のしもべモーセが|荒野《あらの》でイスラエルに|課《か》した|税金《ぜいきん》を|主《しゅ》のために|持《も》ってこさせた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべてのつかさたちおよびすべての|民《たみ》は|皆《みな》|喜《よろこ》んでその|税金《ぜいきん》を|持《も》って|来《き》て、その|箱《はこ》に|投《な》げ|入《い》れたので、ついに|箱《はこ》はいっぱいになった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]レビびとはその|箱《はこ》に|金《きん》が|多《おお》くあるのを|見《み》て、|王《おう》の|役人《やくにん》の|所《ところ》へ|持《も》って|行《い》くと、|王《おう》の|書記《しょき》と|祭司《さいし》|長《ちょう》の|下役《したやく》とが|来《き》て、その|箱《はこ》を|傾《かたむ》け、これを|取《と》ってもとの|所《ところ》に|返《かえ》した。|彼《かれ》らは|日々《ひび》このようにして|金《きん》をおびただしく|集《あつ》めた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》とエホヤダはこれを|主《しゅ》の|宮《みや》の|工事《こうじ》をなす|者《もの》に|渡《わた》し、|石工《いしく》および|木工《もっこう》を|雇《やと》って、|主《しゅ》の|宮《みや》を|修繕《しゅうぜん》させ、また|鉄工《てっこう》および|青銅《せいどう》|工《こう》を|雇《やと》って、|主《しゅ》の|宮《みや》を|修復《しゅうふく》させた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|工人《こうじん》たちは|働《はたら》いたので、|修復《しゅうふく》の|工事《こうじ》は|彼《かれ》らの|手《て》によってはかどり、|神《かみ》の|宮《みや》を、もとの|状態《じょうたい》に|復《ふく》し、これを|堅固《けんご》にした。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それをなし|終《おわ》ったとき、|余《あま》った|金《きん》を|王《おう》とエホヤダの|前《まえ》に|持《も》って|来《き》たので、それをもって|主《しゅ》の|宮《みや》のために|器物《うつわもの》を|造《つく》った。すなわち|勤《つと》めの|器《うつわ》、|燔祭《はんさい》の|器《うつわ》、|香《こう》の|皿《さら》、および|金銀《きんぎん》の|器《うつわ》を|造《つく》った。エホヤダの|世《よ》にある|日《ひ》の|間《あいだ》は、|絶《た》えず|主《しゅ》の|宮《みや》で|燔祭《はんさい》をささげた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしエホヤダは|年老《としお》い、|日《ひ》が|満《み》ちて|死《し》んだ。その|死《し》んだ|時《とき》は百三十|歳《さい》であった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》をダビデの|町《まち》で|王《おう》たちの|中《なか》に|葬《ほうむ》った。|彼《かれ》はイスラエルにおいて|神《かみ》とその|宮《みや》とに|良《よ》い|事《こと》を|行《おこな》ったからである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エホヤダの|死《し》んだ|後《のち》、ユダのつかさたちが|来《き》て、うやうやしく|王《おう》に|敬意《けいい》を|表《あらわ》した。|王《おう》は|彼《かれ》らに|聞《き》き|従《したが》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》の|宮《みや》を|捨《す》てて、アシラ|像《ぞう》および|偶像《ぐうぞう》に|仕《つか》えたので、そのとがのために、|怒《いか》りがユダとエルサレムに|臨《のぞ》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らをご|自分《じぶん》に|引《ひ》き|返《かえ》そうとして、|預言者《よげんしゃ》たちをつかわし、|彼《かれ》らにむかってあかしをさせられたが、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けなかった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|神《かみ》の|霊《れい》が|祭司《さいし》エホヤダの|子《こ》ゼカリヤに|臨《のぞ》んだので、|彼《かれ》は|民《たみ》の|前《まえ》に|立《た》ち|上《あ》がって|言《い》った、「|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、『あなたがたが|主《しゅ》の|戒《いまし》めを|犯《おか》して、|災《わざわい》を|招《まね》くのはどういうわけであるか。あなたがたが|主《しゅ》を|捨《す》てたために、|主《しゅ》もあなたがたを|捨《す》てられたのである』」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を|害《がい》しようと|計《はか》り、|王《おう》の|命《いのち》によって、|石《いし》をもって|彼《かれ》を|主《しゅ》の|宮《みや》の|庭《にわ》で|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]このようにヨアシ|王《おう》はゼカリヤの|父《ちち》エホヤダが|自分《じぶん》に|施《ほどこ》した|恵《めぐ》みを|思《おも》わず、その|子《こ》を|殺《ころ》した。ゼカリヤは|死《し》ぬ|時《とき》、「どうぞ|主《しゅ》がこれをみそなわして|罰《ばっ》せられるように」と|言《い》った。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|年《ねん》の|終《おわ》りになって、スリヤの|軍勢《ぐんぜい》はヨアシにむかって|攻《せ》め|上《のぼ》り、ユダとエルサレムに|来《き》て、|民《たみ》のつかさたちをことごとく|民《たみ》のうちから|滅《ほろ》ぼし、そのぶんどり|物《もの》を|皆《みな》ダマスコの|王《おう》に|送《おく》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》スリヤの|軍勢《ぐんぜい》は|少数《しょうすう》で|来《き》たのであるが、|主《しゅ》は|大軍《たいぐん》を|彼《かれ》らの|手《て》に|渡《わた》された。これは|彼《かれ》らがその|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てたためである。このように|彼《かれ》らはヨアシを|罰《ばっ》した。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]スリヤ|軍《ぐん》はヨアシに|大《だい》|傷《きず》を|負《お》わせて|捨《す》て|去《さ》ったが、ヨアシの|家来《けらい》たちは|祭司《さいし》エホヤダの|子《こ》の|血《ち》のために、|党《とう》を|結《むす》んで|彼《かれ》にそむき、|彼《かれ》を|床《とこ》の|上《うえ》に|殺《ころ》して、|死《し》なせた。|人々《ひとびと》は|彼《かれ》をダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》ったが、|王《おう》の|墓《はか》には|葬《ほうむ》らなかった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|党《とう》を|結《むす》んで|彼《かれ》にそむいた|者《もの》は、アンモンの|女《おんな》シメアテの|子《こ》ザバデおよびモアブの|女《おんな》シムリテの|子《こ》ヨザバデであった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヨアシの|子《こ》らのこと、ヨアシに|対《たい》する|多《おお》くの|預言《よげん》および|神《かみ》の|宮《みや》の|修理《しゅうり》の|事《こと》などは、|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》の|注釈《ちゅうしゃく》にしるされている。ヨアシの|子《こ》アマジヤが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤは|王《おう》となった|時《とき》二十五|歳《さい》で、二十九|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はエルサレムの|者《もの》で、|名《な》をエホアダンといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤは|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られることを|行《おこな》ったが、|全《まった》き|心《こころ》をもってではなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、|国《くに》が|彼《かれ》の|手《て》のうちに|強《つよ》くなったとき、|父《ちち》ヨアシ|王《おう》を|殺害《さつがい》した|家来《けらい》たちを|殺《ころ》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|子《こ》|供《とも》たちは|殺《ころ》さなかった。これはモーセの|律法《りっぽう》の|書《しょ》にしるされている|所《ところ》に|従《したが》ったのであって、そこに|主《しゅ》は|命《めい》じて、「|父《ちち》は|子《こ》のゆえに|殺《ころ》されるべきではない。|子《こ》は|父《ちち》のゆえに|殺《ころ》されるべきではない。おのおの|自分《じぶん》の|罪《つみ》のゆえに|殺《ころ》されるべきである」と|言《い》われている。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤはユダの|人々《ひとびと》を|集《あつ》め、その|氏族《しぞく》に|従《したが》って、千|人《にん》の|長《ちょう》に|付属《ふぞく》させ、または百|人《にん》の|長《ちょう》に|付属《ふぞく》させた。ユダとベニヤミンのすべてに|行《い》った。そして二十|歳《さい》|以上《いじょう》の|者《もの》を|数《かぞ》えたところ、やりと|盾《たて》をとって|戦《たたか》いに|臨《のぞ》みうる|精兵《せいへい》三十万|人《にん》を|得《え》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|銀《ぎん》百タラントをもってイスラエルから|大《だい》|勇士《ゆうし》十万|人《にん》を|雇《やと》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|神《かみ》の|人《ひと》が|彼《かれ》の|所《ところ》に|来《き》て|言《い》った、「|王《おう》よ、イスラエルの|軍勢《ぐんぜい》をあなたと|共《とも》に|行《い》かせてはいけません。|主《しゅ》はイスラエルびと、すなわちエフライムのすべての|人々《ひとびと》とは|共《とも》におられないからです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがこのような|方法《ほうほう》で|戦《たたか》いに|強《つよ》くなろうと|思《おも》うならば、|神《かみ》はあなたを|敵《てき》の|前《まえ》に|倒《たお》されるでしょう。|神《かみ》には|助《たす》ける|力《ちから》があり、また|倒《たお》す|力《ちから》があるからです」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤは|神《かみ》の|人《ひと》に|言《い》った、「それではわたしがイスラエルの|軍隊《ぐんたい》に|与《あた》えた百タラントをどうしましょうか」。|神《かみ》の|人《ひと》は|答《こた》えた、「|主《しゅ》はそれよりも|多《おお》いものをあなたにお|与《あた》えになることができます」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでアマジヤはエフライムから|来《き》て|自分《じぶん》に|加《くわ》わった|軍隊《ぐんたい》を|分離《ぶんり》して|帰《かえ》らせたので、|彼《かれ》らはユダに|対《たい》して|激《はげ》しい|怒《いか》りを|発《はっ》し、|火《ひ》のように|怒《いか》って|自分《じぶん》の|所《ところ》に|帰《かえ》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしアマジヤは|勇気《ゆうき》を|出《だ》し、その|民《たみ》を|率《ひき》いて|塩《しお》の|谷《たに》へ|行《い》き、セイルびと一万|人《にん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|人々《ひとびと》はこのほかに一万|人《にん》をいけどり、|岩《いわ》の|頂《いただき》に|引《ひ》いて|行《い》って|岩《いわ》の|頂《いただき》から|彼《かれ》らを|投《な》げ|落《おと》したので、|皆《みな》こなごなに|砕《くだ》けた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ところがアマジヤが|自分《じぶん》と|共《とも》に|戦《たたか》いに|行《い》かせないで|帰《き》してやった|兵卒《へいそつ》らが、サマリヤからベテホロンまでの、ユダの|町々《まちまち》を|襲《おそ》って三千|人《にん》を|殺《ころ》し、|多《おお》くの|物《もの》を|奪《うば》い|取《と》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤはエドムびとを|殺《ころ》して|帰《かえ》った|時《とき》、セイルびとの|神々《かみがみ》を|携《たずさ》えてきて、これを|安置《あんち》して|自分《じぶん》の|神《かみ》とし、これを|礼拝《れいはい》し、これにささげ|物《もの》をなした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はアマジヤに|向《む》かって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|預言者《よげんしゃ》を|彼《かれ》につかわして|言《い》わせられた、「かの|民《たみ》の|神々《かみがみ》は|自分《じぶん》の|民《たみ》をあなたの|手《て》から|救《すく》うことができなかったのに、あなたはどうしてそれを|求《もと》めたのか」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がこう|王《おう》に|語《かた》ると、|王《おう》は|彼《かれ》に、「われわれはあなたを|王《おう》の|顧問《こもん》にしたのですか。やめなさい。あなたはどうして|殺《ころ》されようとするのですか」と|言《い》ったので、|預言者《よげんしゃ》はやめて|言《い》った、「あなたはこの|事《こと》を|行《い》って、わたしのいさめを|聞《き》きいれないゆえ、|神《かみ》はあなたを|滅《ほろ》ぼそうと|定《さだ》められたことをわたしは|知《し》っています」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダの|王《おう》アマジヤは|協議《きょうぎ》の|結果《けっか》、|人《ひと》をエヒウの|子《こ》エホアハズの|子《こ》であるイスラエルの|王《おう》ヨアシにつかわし、「さあ、われわれは|互《たがい》に|顔《かお》をあわせよう」と|言《い》わせたところ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》ヨアシはユダの|王《おう》アマジヤに|言《い》い|送《おく》った、「レバノンのいばらが、かつてレバノンの|香柏《こうはく》に、『あなたの|娘《むすめ》をわたしのむすこの|妻《つま》に|与《あた》えよ』と|言《い》い|送《おく》ったところが、レバノンの|野獣《やじゅう》が|通《とお》りかかって、そのいばらを|踏《ふ》み|倒《たお》した。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは『|見《み》よ、わたしはエドムを|撃《う》ち|破《やぶ》った』と|言《い》って|心《こころ》に|誇《ほこ》り|高《たか》ぶっている。しかしあなたは|自分《じぶん》の|家《いえ》にとどまっていなさい。どうしてあなたは|災《わざわい》を|引《ひ》き|起《おこ》して、|自分《じぶん》もユダも|共《とも》に|滅《ほろ》びようとするのか」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしアマジヤは|聞《き》きいれなかった。これは|神《かみ》から|出《で》たのであって、|彼《かれ》らがエドムの|神々《かみがみ》を|求《もと》めたので|神《かみ》は|彼《かれ》らを|敵《てき》の|手《て》に|渡《わた》されるためである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|王《おう》ヨアシは|上《のぼ》って|来《き》て、ユダのベテシメシでユダの|王《おう》アマジヤと|顔《かお》を|合《あ》わせたが、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ユダはイスラエルに|撃《う》ち|破《やぶ》られ、おのおのその|天幕《てんまく》に|逃《に》げ|帰《かえ》った。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》イスラエルの|王《おう》ヨアシはエホアハズの|子《こ》ヨアシの|子《こ》であるユダの|王《おう》アマジヤをベテシメシで|捕《とら》えて、エルサレムに|引《ひ》いて|行《い》き、エルサレムの|城壁《じょうへき》をエフライム|門《もん》から、|隅《すみ》の|門《もん》まで四百キュビトほどをこわし、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]また|神《かみ》の|宮《みや》のうちで、オベデエドムが|守《まも》っていたすべての|金銀《きんぎん》およびもろもろの|器物《うつわもの》ならびに|王《おう》の|家《いえ》の|財宝《ざいほう》を|奪《うば》い、また|人質《ひとじち》をとって、サマリヤに|帰《かえ》った。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨアシの|子《こ》アマジヤはイスラエルの|王《おう》エホアハズの|子《こ》ヨアシが|死《し》んで|後《のち》なお十五|年《ねん》|生《い》きながらえた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤのその|他《た》の|始終《しじゅう》の|行為《こうい》は、ユダとイスラエルの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アマジヤがそむいて、|主《しゅ》に|従《したが》わなくなった|時《とき》から、|人々《ひとびと》はエルサレムにおいて|党《とう》を|結《むす》び、|彼《かれ》に|敵《てき》したので、|彼《かれ》はラキシに|逃《に》げて|行《い》ったが、その|人々《ひとびと》はラキシに|人《ひと》をやって、|彼《かれ》をその|所《ところ》で|殺《ころ》させた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はこれを|馬《うま》に|負《お》わせて|持《も》ってきて、ユダの|町《まち》でその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》にこれを|葬《ほうむ》った。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダの|民《たみ》は|皆《みな》ウジヤをとって|王《おう》となし、その|父《ちち》アマジヤに|代《かわ》らせた。|時《とき》に十六|歳《さい》であった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はエラテを|建《た》てて、これをふたたびユダのものにした。これはかの|王《おう》がその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》った|後《のち》であった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤは|王《おう》となった|時《とき》十六|歳《さい》で、エルサレムで五十二|年《ねん》の|間《あいだ》|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はエルサレムの|者《もの》で|名《な》をエコリヤといった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤは|父《ちち》アマジヤがしたように、すべて|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られることを|行《おこな》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|神《かみ》を|恐《おそ》れることを|自分《じぶん》に|教《おし》えたゼカリヤの|世《よ》にある|日《ひ》の|間《あいだ》、|神《かみ》を|求《もと》めることに|努《つと》めた。|彼《かれ》が|主《しゅ》を|求《もと》めた|間《あいだ》、|神《かみ》は|彼《かれ》を|栄《さか》えさせられた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|出《で》てペリシテびとと|戦《たたか》い、ガテの|城壁《じょうへき》、ヤブネの|城壁《じょうへき》およびアシドドの|城壁《じょうへき》をくずし、アシドドの|地《ち》とペリシテびとのなかに|町《まち》を|建《た》てた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》を|助《たす》けてペリシテびとと、グルバアルに|住《す》むアラビヤびとおよびメウニびとを|攻《せ》め|撃《う》たせられた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アンモンびとはウジヤにみつぎを|納《おさ》めた。ウジヤは|非常《ひじょう》に|強《つよ》くなったので、その|名《な》はエジプトの|入口《いりぐち》までも|広《ひろ》まった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤはまたエルサレムの|隅《すみ》の|門《もん》、|谷《たに》の|門《もん》および|城壁《じょうへき》の|曲《まが》りかどにやぐらを|建《た》てて、これを|堅固《けんご》にした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|荒野《あらの》にやぐらを|建《た》て、また|多《おお》くの|水《みず》ためを|掘《ほ》った。|彼《かれ》は|平野《へいや》にも|平地《へいち》にもたくさんの|家畜《かちく》をもっていたからである。|彼《かれ》はまた|農事《のうじ》を|好《この》んだので、|山々《やまやま》および|肥《こ》えた|畑《はたけ》には|農夫《のうふ》とぶどうをつくる|者《もの》をもっていた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤはまたよく|戦《たたか》う一|軍団《ぐんだん》を|持《も》っていた。|彼《かれ》らは|書記《しょき》エイエルと、つかさマアセヤによって|調《しら》べた|数《かず》に|従《したが》って|組々《くみぐみ》に|分《わか》れ、|皆《みな》|王《おう》の|軍《ぐん》|長《ちょう》のひとりハナニヤの|指揮《しき》|下《した》にあった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である|大《だい》|勇士《ゆうし》の|数《かず》は|合《あ》わせて二千六百|人《にん》であった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|指揮《しき》|下《した》にある|軍勢《ぐんぜい》は三十万七千五百|人《にん》で、|皆《みな》|大《おお》いなる|力《ちから》をもって|戦《たたか》い、|王《おう》を|助《たす》けて|敵《てき》に|当《あた》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤはその|全《ぜん》|軍《ぐん》のために|盾《たて》、やり、かぶと、よろい、|弓《ゆみ》および|石《いし》|投《な》げの|石《いし》を|備《そな》えた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたエルサレムで|技術《ぎじゅつ》|者《もの》の|考案《こうあん》した|機械《きかい》を|造《つく》って、これをやぐらおよび|城壁《じょうへき》のすみずみにすえ、これをもって|矢《や》および|大石《おおいし》を|射出《しゃしゅつ》した。こうして|彼《かれ》の|名声《めいせい》は|遠《とお》くまで|広《ひろ》まった。|彼《かれ》が|驚《おどろ》くほど|神《かみ》の|助《たす》けを|得《え》て|強《つよ》くなったからである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》は|強《つよ》くなるに|及《およ》んで、その|心《こころ》に|高《たか》ぶり、ついに|自分《じぶん》を|滅《ほろ》ぼすに|至《いた》った。すなわち|彼《かれ》はその|神《かみ》、|主《しゅ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》し、|主《しゅ》の|宮《みや》にはいって|香《こう》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|香《こう》をたこうとした。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|祭司《さいし》アザリヤは|主《しゅ》の|祭司《さいし》である|勇士《ゆうし》八十|人《にん》を|率《ひき》いて、|彼《かれ》のあとに|従《したが》ってはいり、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤ|王《おう》を|引《ひ》き|止《と》めて|言《い》った、「ウジヤよ、|主《しゅ》に|香《こう》をたくことはあなたのなすべきことではなく、ただアロンの|子孫《しそん》で、|香《こう》をたくために|清《きよ》められた|祭司《さいし》たちのすることです。すぐ|聖所《せいじょ》から|出《で》なさい。あなたは|罪《つみ》を|犯《おか》しました。あなたは|主《しゅ》なる|神《かみ》から|栄《さか》えを|得《え》ることはできません」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]するとウジヤは|怒《いか》りを|発《はっ》し、|香炉《こうろ》を|手《て》にとって|香《こう》をたこうとしたが、|彼《かれ》が|祭司《さいし》に|向《む》かって|怒《いか》りを|発《はっ》している|間《あいだ》に、らい|病《びょう》がその|額《ひたい》に|起《た》った。|時《とき》に|彼《かれ》は|主《しゅ》の|宮《みや》で|祭司《さいし》たちの|前《まえ》、|香《こう》の|祭壇《さいだん》のかたわらにいた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》の|長《ちょう》アザリヤおよびすべての|祭司《さいし》たちが|彼《かれ》を|見《み》ると、|彼《かれ》の|額《ひたい》にらい|病《びょう》が|生《しょう》じていたので、|急《いそ》いで|彼《かれ》をそこから|追《お》い|出《だ》した。|彼《かれ》|自身《じしん》もまた|主《しゅ》に|撃《う》たれたことを|知《し》って、|急《いそ》いで|出《で》て|行《い》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤ|王《おう》は、|死《し》ぬ|日《ひ》までらい|病人《びょうにん》であった。|彼《かれ》はらい|病人《びょうにん》であったので、|離《はな》れ|殿《どの》に|住《す》んだ。|主《しゅ》の|宮《みや》から|断《た》たれたからである。その|子《こ》ヨタムが|王《おう》の|家《いえ》をつかさどり、|国《くに》の|民《たみ》を|治《おさ》めた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤのその|他《た》の|始終《しじゅう》の|行為《こうい》は、アモツの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》イザヤがこれを|書《か》きしるした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤは|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、|人々《ひとびと》は「|彼《かれ》はらい|病人《びょうにん》である」と|言《い》って、|王《おう》たちの|墓《はか》に|連《つら》なる|墓地《ぼち》に、その|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|葬《ほうむ》った。その|子《こ》ヨタムが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨタムは|王《おう》となった|時《とき》二十五|歳《さい》で、十六|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はザドクの|娘《むすめ》で|名《な》をエルシャといった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヨタムはその|父《ちち》ウジヤがしたように|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られることをした。しかし|主《しゅ》の|宮《みや》には、はいらなかった。|民《たみ》はなお|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|宮《みや》の|上《うえ》の|門《もん》を|建《た》て、オペルの|石《いし》がきを|多《おお》く|築《きず》き|増《ま》し、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|山地《さんち》に|数個《すうこ》の|町《まち》を|建《た》て、|林《はやし》の|間《あいだ》に|城《しろ》とやぐらを|築《きず》いた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はアンモンびとの|王《おう》と|戦《たたか》ってこれに|勝《か》った。その|年《ねん》アンモンの|人々《ひとびと》は|銀《ぎん》百タラント、|小麦《こむぎ》一万コル、|大麦《おおむぎ》一万コルを|彼《かれ》に|贈《おく》った。アンモンの|人々《ひとびと》は|第《だい》二|年《ねん》にも|第《だい》三|年《ねん》にも|同《おな》じように|彼《かれ》に|納《おさ》めた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨタムはその|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》にその|行《おこな》いを|堅《かた》くしたので|力《ちから》ある|者《もの》となった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨタムのその|他《た》の|行為《こうい》、そのすべての|戦《たたか》いおよびその|行《おこな》いなどは、イスラエルとユダの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|王《おう》となった|時《とき》、二十五|歳《さい》で、十六|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨタムはその|先祖《せんぞ》と|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、ダビデの|町《まち》に|葬《ほうむ》られ、その|子《こ》アハズが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アハズは|王《おう》となった|時《とき》二十|歳《さい》で、十六|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めたが、その|父《ちち》ダビデとは|違《ちが》って、|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られることを|行《おこな》わず、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》たちの|道《みち》に|歩《あゆ》み、またもろもろのバアルのために|鋳《い》た|像《ぞう》を|造《つく》り、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ベンヒンノムの|谷《たに》で|香《こう》をたき、その|子《こ》らを|火《ひ》に|焼《や》いて|供《そな》え|物《もの》とするなど、|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われた|異邦人《いほうじん》の|憎《にく》むべき|行《おこな》いにならい、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|高《たか》き|所《ところ》の|上《うえ》、|丘《おか》の|上《うえ》、すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|香《こう》をたいた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、その|神《かみ》、|主《しゅ》は|彼《かれ》をスリヤの|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》されたので、スリヤびとは|彼《かれ》を|撃《う》ち|破《やぶ》り、その|民《たみ》を|多《おお》く|捕虜《ほりょ》として、ダマスコに|引《ひ》いて|行《い》った。|彼《かれ》はまたイスラエルの|王《おう》の|手《て》にも|渡《わた》されたので、イスラエルの|王《おう》も|彼《かれ》を|撃《う》ち|破《やぶ》って|大《おお》いに|殺《ころ》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわちレマリヤの|子《こ》ペカはユダで一|日《にち》のうちに十二万|人《にん》を|殺《ころ》した。|皆《みな》|勇士《ゆうし》であった。これは|彼《かれ》らがその|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てたためである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、エフライムの|勇士《ゆうし》ジクリという|者《もの》が|王《おう》の|子《こ》マアセヤ、|宮内《くない》|大臣《だいじん》アズリカムおよび|王《おう》に|次《つ》ぐ|人《ひと》エルカナを|殺《ころ》した。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》はついにその|兄弟《きょうだい》のうちから|婦人《ふじん》ならびに|男子《だんし》、|女子《じょし》など二十万|人《にん》を|捕虜《ほりょ》にし、また|多《おお》くのぶんどり|物《もの》をとり、そのぶんどり|物《もの》をサマリヤに|持《も》って|行《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》そこに|名《な》をオデデという|主《しゅ》の|預言者《よげんしゃ》があって、サマリヤに|帰《かえ》って|来《き》た|軍勢《ぐんぜい》の|前《まえ》に|進《すす》み|出《で》て|言《い》った、「|見《み》よ、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》はユダを|怒《いか》って、これをあなたがたの|手《て》に|渡《わた》されたが、あなたがたは|天《てん》に|達《たっ》するほどの|怒《いか》りをもってこれを|殺《ころ》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そればかりでなく、あなたがたは|今《いま》、ユダとエルサレムの|人々《ひとびと》を|従《したが》わせて、|自分《じぶん》の|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》にしようと|思《おも》っている。しかしあなたがた|自身《じしん》もまた、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》しているではないか。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]いまわたしに|聞《き》き、あなたがたがその|兄弟《きょうだい》のうちから|捕《とら》えて|来《き》た|捕虜《ほりょ》を|放《はな》ち|帰《かえ》らせなさい。|主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りがあなたがたの|上《うえ》に|臨《のぞ》んでいるからです」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでエフライムびとのおもなる|人々《ひとびと》、すなわちヨハナンの|子《こ》アザリヤ、メシレモテの|子《こ》ベレキヤ、シャルムの|子《こ》ヒゼキヤ、ハデライの|子《こ》アマサらもまた、|戦争《せんそう》から|帰《かえ》った|者《もの》どもに|向《む》かって|立《た》ちあがり、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「|捕虜《ほりょ》をここに|引《ひ》き|入《い》れてはならない。あなたがたはわたしどもに|主《しゅ》に|対《たい》するとがを|得《え》させて、さらにわれわれの|罪《つみ》とがを|増《ま》し|加《くわ》えようとしている。われわれのとがは|大《おお》きく、|激《はげ》しい|怒《いか》りがイスラエルの|上《うえ》に|臨《のぞ》んでいるからです」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|兵卒《へいそつ》どもがその|捕虜《ほりょ》とぶんどり|物《もの》をつかさたちと|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|捨《す》てておいたので、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|前《まえ》に|名《な》をあげた|人々《ひとびと》が|立《た》って|捕虜《ほりょ》を|受《う》け|取《と》り、ぶんどり|物《もの》のうちから|衣服《いふく》をとって、|裸《はだか》の|者《もの》に|着《き》せ、また、くつをはかせ、|食《く》い|飲《の》みさせ、|油《あぶら》を|注《そそ》ぎなどし、その|弱《よわ》い|者《もの》を|皆《みな》ろばに|乗《の》せ、こうして|彼《かれ》らをしゅろの|町《まち》エリコに|連《つ》れて|行《い》って、その|兄弟《きょうだい》たちに|渡《わた》し、そしてサマリヤに|帰《かえ》って|来《き》た。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》アハズ|王《おう》は|人《ひと》をアッスリヤの|王《おう》につかわして|助《たす》けを|求《もと》めさせた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エドムびとが|再《ふたた》び|侵入《しんにゅう》してユダを|撃《う》ち、|民《たみ》を|捕《とら》え|去《さ》ったからである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ペリシテびともまた|平野《へいや》の|町々《まちまち》およびユダのネゲブの|町々《まちまち》を|侵《おか》して、ベテシメシ、アヤロン、ゲデロテおよびソコとその|村里《むらざと》、テムナとその|村里《むらざと》、ギムゾとその|村里《むらざと》を|取《と》って、そこに|住《す》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルの|王《おう》アハズのゆえに、|主《しゅ》がユダを|低《ひく》くされたのであって、|彼《かれ》がユダのうちにみだらなことを|行《おこな》い、|主《しゅ》に|向《む》かって|大《おお》いに|罪《つみ》を|犯《おか》したからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》テルガデ・ピルネセルは|彼《かれ》の|所《ところ》に|来《き》たが、|彼《かれ》に|力《ちから》を|添《そ》えないで、かえって|彼《かれ》を|悩《なや》ました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アハズは|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|家《いえ》、およびつかさたちの|家《いえ》の|物《もの》を|取《と》ってアッスリヤの|王《おう》に|与《あた》えたが、それはアハズの|助《たす》けにはならなかった。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]このアハズ|王《おう》はその|悩《なや》みの|時《とき》にあたって、ますます|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|彼《かれ》は|自分《じぶん》を|撃《う》ったダマスコの|神々《かみがみ》に、|犠牲《ぎせい》をささげて|言《い》った、「スリヤの|王《おう》たちの|神々《かみがみ》はその|王《おう》たちを|助《たす》けるから、わたしもそれに|犠牲《ぎせい》をささげよう。そうすれば|彼《かれ》らはわたしを|助《たす》けるであろう」と。しかし、|彼《かれ》らはかえってアハズとイスラエル|全国《ぜんこく》とを|倒《たお》す|者《もの》となった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アハズは|神《かみ》の|宮《みや》の|器物《うつわもの》を|集《あつ》めて、|神《かみ》の|宮《みや》の|器物《うつわもの》を|切《き》り|破《やぶ》り、|主《しゅ》の|宮《みや》の|戸《と》を|閉《と》じ、エルサレムのすべてのすみずみに|祭壇《さいだん》を|造《つく》り、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ユダのすべての|町々《まちまち》に|高《たか》き|所《ところ》を|造《つく》って、|他《た》の|神々《かみがみ》に|香《こう》をたきなどして、|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》の|怒《いか》りを|引《ひ》き|起《おこ》した。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アハズのその|他《た》の|始終《しじゅう》の|行為《こうい》およびそのすべての|行動《こうどう》は、ユダとイスラエルの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アハズはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、エルサレムの|町《まち》にこれを|葬《ほうむ》った。しかし、イスラエルの|王《おう》たちの|墓《はか》には|持《も》って|行《い》かなかった。その|子《こ》ヒゼキヤが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|王《おう》となった|時《とき》二十五|歳《さい》で、二十九|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。その|母《はは》はアビヤと|言《い》って、ゼカリヤの|娘《むすめ》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|父《ちち》ダビデがすべてなしたように|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られることをした。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|治世《ちせい》の|第《だい》一|年《ねん》の一|月《がつ》に|主《しゅ》の|宮《みや》の|戸《と》を|開《ひら》き、かつこれを|繕《つくろ》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|祭司《さいし》とレビびとを|連《つ》れていって、|東《ひがし》の|広場《ひろば》に|集《あつ》め、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「レビびとよ、|聞《き》きなさい。あなたがたは|今《いま》、|身《み》を|清《きよ》めて、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》の|宮《みや》を|清《きよ》め、|聖所《せいじょ》から|汚《けが》れを|除《のぞ》き|去《さ》りなさい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|先祖《せんぞ》は|罪《つみ》を|犯《おか》し、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|悪《あく》と|見《み》られることを|行《い》って、|主《しゅ》を|捨《す》て、|主《しゅ》のすまいに|顔《かお》をそむけ、うしろを|向《む》けた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|廊《ろう》の|戸《と》を|閉《と》じ、ともしびを|消《け》し、|聖所《せいじょ》でイスラエルの|神《かみ》に|香《こう》をたかず、|燔祭《はんさい》をささげなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》の|怒《いか》りはユダとエルサレムに|臨《のぞ》み、あなたがたが|目《め》に|見《み》るように、|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|恐《おそ》れと|驚《おどろ》きと|物笑《ものわら》いにされた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、われわれの|父《ちち》たちはつるぎにたおれ、われわれのむすこたち、むすめたち、|妻《つま》たちはこれがために|捕虜《ほりょ》となった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしは、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》と|契約《けいやく》を|結《むす》ぶ|志《こころざし》をもっている。そうすればその|激《はげ》しい|怒《いか》りは、われわれを|離《はな》れるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》らよ、|今《いま》は|怠《おこた》ってはならない。|主《しゅ》はあなたがたを|選《えら》んで、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》って|仕《つか》えさせ、ご|自分《じぶん》に|仕《つか》える|者《もの》となし、また|香《こう》をたく|者《もの》とされたからである」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでレビびとは|立《た》ち|上《あ》がった。すなわちコハテびとの|子孫《しそん》のうちでは、アマサイの|子《こ》マハテおよびアザリヤの|子《こ》ヨエル。メラリの|子孫《しそん》では、アブデの|子《こ》キシおよびエハレレルの|子《こ》アザリヤ。ゲルションびとのうちでは、ジンマの|子《こ》ヨアおよびヨアの|子《こ》エデン。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エリザパンの|子孫《しそん》のうちでは、シムリとエイエル。アサフの|子孫《しそん》のうちでは、ゼカリヤとマッタニヤ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヘマンの|子孫《しそん》のうちでは、エヒエルとシメイ。エドトンの|子孫《しそん》のうちでは、シマヤとウジエルである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|兄弟《きょうだい》たちを|集《あつ》めて|身《み》を|清《きよ》め、|主《しゅ》の|言葉《ことば》による|王《おう》の|命令《めいれい》に|従《したが》って、|主《しゅ》の|宮《みや》を|清《きよ》めるためにはいって|来《き》た。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちが|主《しゅ》の|宮《みや》の|奥《おく》にはいってこれを|清《きよ》め、|主《しゅ》の|宮《みや》にあった|汚《けが》れた|物《もの》をことごとく|主《しゅ》の|宮《みや》の|庭《にわ》に|運《はこ》び|出《だ》すと、レビびとはそれを|受《う》けて|外《そと》に|出《だ》し、キデロン|川《かわ》に|持《も》って|行《い》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|正月《しょうがつ》の|元日《がんじつ》に|清《きよ》めることを|始《はじ》めて、その|月《つき》の八|日《か》に|主《しゅ》の|宮《みや》の|廊《ろう》に|達《たっ》した。それから|主《しゅ》の|宮《みや》を|清《きよ》めるのに八|日《か》を|費《ついや》し、|正月《しょうがつ》の十六|日《にち》にこれを|終《おわ》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはヒゼキヤ|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》って|言《い》った、「われわれは|主《しゅ》の|宮《みや》をことごとく|清《きよ》め、また|燔祭《はんさい》の|壇《だん》とそのすべての|器物《うつわもの》、および|供《そな》えのパンの|机《つくえ》とそのすべての|器物《うつわもの》とを|清《きよ》めました。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またアハズ|王《おう》がその|治世《ちせい》に|罪《つみ》を|犯《おか》して|捨《す》てたすべての|器物《うつわもの》をも|整《ととの》えて|清《きよ》めました。それらは|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|前《まえ》にあります」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒゼキヤ|王《おう》は|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きいで、|町《まち》のつかさたちを|集《あつ》めて、|主《しゅ》の|宮《みや》に|上《のぼ》って|行《い》き、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|雄牛《おうし》七|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》七|頭《とう》、|小羊《こひつじ》七|頭《とう》、|雄《お》やぎ七|頭《とう》を|引《ひ》いてこさせ、|国《くに》と|聖所《せいじょ》とユダのためにこれを|罪祭《ざいさい》とし、アロンの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》たちに|命《めい》じてこれを|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげさせた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|雄牛《おうし》をほふると、|祭司《さいし》たちはその|血《ち》を|受《う》けて|祭壇《さいだん》にふりかけ、また|雄羊《おひつじ》をほふると、その|血《ち》を|祭壇《さいだん》にふりかけ、また|小羊《こひつじ》をほふると、その|血《ち》を|祭壇《さいだん》にふりかけた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そして|罪祭《ざいさい》の|雄《お》やぎを|王《おう》と|会衆《かいしゅう》の|前《まえ》に|引《ひ》いて|来《き》たので、|彼《かれ》らはその|上《うえ》に|手《て》を|置《お》いた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》たちはこれをほふり、その|血《ち》を|罪祭《ざいさい》として|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげてイスラエル|全国《ぜんこく》のためにあがないをした。これは|王《おう》がイスラエル|全国《ぜんこく》のために|燔祭《はんさい》および|罪祭《ざいさい》をささげることを|命《めい》じたためである。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまたレビびとを|主《しゅ》の|宮《みや》に|置《お》き、ダビデおよび|王《おう》の|先見者《せんけんしゃ》ガドと|預言者《よげんしゃ》ナタンの|命令《めいれい》に|従《したが》って、これにシンバル、|立琴《たてごと》および|琴《こと》をとらせた。これは|主《しゅ》がその|預言者《よげんしゃ》によって|命《めい》じられたところである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてレビびとはダビデの|楽器《がっき》をとり、|祭司《さいし》はラッパをとって|立《た》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒゼキヤは|燔祭《はんさい》を|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげることを|命《めい》じた。|燔祭《はんさい》をささげ|始《はじ》めた|時《とき》、|主《しゅ》の|歌《うた》をうたい、ラッパを|吹《ふ》き、イスラエルの|王《おう》ダビデの|楽器《がっき》をならし|始《はじ》めた。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そして|会衆《かいしゅう》は|皆《みな》|礼拝《れいはい》し、|歌《うた》うたう|者《もの》は|歌《うた》をうたい、ラッパ|手《て》はラッパを|吹《ふ》き|鳴《な》らし、|燔祭《はんさい》が|終《おわ》るまですべてこのようであったが、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ささげる|事《こと》が|終《おわ》ると、|王《おう》および|彼《かれ》と|共《とも》にいた|者《もの》はみな|身《み》をかがめて|礼拝《れいはい》した。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]またヒゼキヤ|王《おう》およびつかさたちはレビびとに|命《めい》じて、ダビデと|先見者《せんけんしゃ》アサフの|言葉《ことば》をもって|主《しゅ》をさんびさせた。|彼《かれ》らは|喜《よろこ》んでさんびし、|頭《とう》をさげて|礼拝《れいはい》した。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ヒゼキヤは|言《い》った、「あなたがたはすでに|主《しゅ》に|仕《つか》えるために|身《み》を|清《きよ》めたのであるから、|進《すす》みよって、|主《しゅ》の|宮《みや》に|犠牲《ぎせい》と|感謝《かんしゃ》の|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えて|来《き》なさい」と。そこで|会衆《かいしゅう》は|犠牲《ぎせい》と|感謝《かんしゃ》の|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えて|来《き》た。また|志《こころざし》ある|者《もの》は|皆《みな》|燔祭《はんさい》を|携《たずさ》えて|来《き》た。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》の|携《たずさ》えて|来《き》た|燔祭《はんさい》の|数《かず》は|雄牛《おうし》七十|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》百|頭《とう》、|小羊《こひつじ》二百|頭《とう》、これらは|皆《みな》|主《しゅ》に|燔祭《はんさい》としてささげるものであった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]また|奉納物《ほうのうぶつ》は|牛《うし》六百|頭《とう》、|小羊《こひつじ》三千|頭《とう》であった。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ところが|祭司《さいし》が|少《すく》なくてその|燔祭《はんさい》の|物《もの》の|皮《かわ》を、はぎつくすことができなかったので、その|兄弟《きょうだい》であるレビびとがこれを|助《たす》けて、そのわざをなし|終《お》え、その|間《かん》に|他《た》の|祭司《さいし》たちは|身《み》を|清《きよ》めた。これはレビびとが|祭司《さいし》たちよりも、|身《み》を|清《きよ》めることに、きちょうめんであったからである。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]このほかおびただしい|燔祭《はんさい》があり、また、|酬恩祭《しゅうおんさい》の|脂肪《しぼう》および|燔祭《はんさい》の|灌祭《かんさい》もあった。こうして、|主《しゅ》の|宮《みや》の|勤《つと》めは|回復《かいふく》された。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》は、にわかになされたけれども、|神《かみ》がこのように|民《たみ》のために|備《そな》えをされたので、ヒゼキヤおよびすべての|民《たみ》は|喜《よろこ》んだ。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはイスラエルとユダにあまねく|人《ひと》をつかわし、また|手紙《てがみ》をエフライムとマナセに|書《か》き|送《おく》り、エルサレムにある|主《しゅ》の|宮《みや》に|来《き》て、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》うように|勧《すす》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はすでにつかさたちおよびエルサレムにおる|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》に|計《はか》って、二|月《がつ》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》うことを|定《さだ》めた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]――これは|身《み》を|清《きよ》めた|祭司《さいし》の|数《かず》が|足《た》らず、|民《たみ》もまた、エルサレムに|集《あつ》まらなかったので、|正月《しょうがつ》にこれを|行《おこな》うことができなかったからである――[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》が、|王《おう》にも|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》にも|良《よ》かったので、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》を|定《さだ》めて、ベエルシバからダンまでイスラエルにあまねくふれ|示《しめ》し、エルサレムに|来《き》て、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》うことを|勧《すす》めた。これはしるされているように、これを|行《おこな》う|者《もの》が|多《おお》くなかったゆえである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|飛脚《ひきゃく》たちは、|王《おう》とそのつかさたちから|受《う》けた|手紙《てがみ》をもって、イスラエルとユダをあまねく|行《い》き|巡《めぐ》り、|王《おう》の|命《いのち》を|伝《つた》えて|言《い》った、「イスラエルの|人々《ひとびと》よ、あなたがたはアブラハム、イサク、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|立《た》ち|返《かえ》りなさい。そうすれば|主《しゅ》は、アッスリヤの|王《おう》たちの|手《て》からのがれた|残《のこ》りのあなたがたに、|帰《かえ》られるでしょう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|父《ちち》たちおよび|兄弟《きょうだい》たちのようになってはならない。|彼《かれ》らはその|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》、|主《しゅ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》したので、あなたがたの|見《み》るように|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|滅《ほろ》びに|渡《わた》されたのです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|父《ちち》たちのように|強情《ごうじょう》にならないで、|主《しゅ》に|帰服《きふく》し、|主《しゅ》がとこしえに|聖別《せいべつ》された|聖所《せいじょ》に|入《い》り、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|仕《つか》えなさい。そうすれば、その|激《はげ》しい|怒《いか》りがあなたがたを|離《はな》れるでしょう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが|主《しゅ》に|立《た》ち|返《かえ》るならば、あなたがたの|兄弟《きょうだい》および|子供《こども》は、これを|捕《とら》えていった|者《もの》の|前《まえ》にあわれみを|得《え》て、この|国《くに》に|帰《かえ》ることができるでしょう。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|恵《めぐ》みあり、あわれみある|方《かた》であられるゆえ、あなたがたが|彼《かれ》に|立《た》ち|返《かえ》るならば、|顔《かお》をあなたがたにそむけられることはありません」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]このように|飛脚《ひきゃく》たちは、エフライムとマナセの|国《くに》にはいって、|町《まち》から|町《まち》に|行《い》き|巡《めぐ》り、ついに、ゼブルンまで|行《い》ったが、|人々《ひとびと》はこれをあざけり|笑《わら》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ただしアセル、マナセ、ゼブルンのうちには|身《み》を|低《ひく》くして、エルサレムにきた|人々《ひとびと》もあった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またユダにおいては|神《かみ》の|手《て》が|人々《ひとびと》に一つ|心《こころ》を|与《あた》えて、|王《おう》とつかさたちが|主《しゅ》の|言葉《ことば》によって|命《めい》じたことを|行《おこな》わせた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうして二|月《がつ》になって、|多《おお》くの|民《たみ》は、|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》を|行《おこな》うためエルサレムに|集《あつ》まったが、|非常《ひじょう》に|大《おお》きな|会衆《かいしゅう》であった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|立《た》ってエルサレムにあるもろもろの|祭壇《さいだん》を|取《と》り|除《のぞ》き、またすべての|香《こう》をたく|祭壇《さいだん》を|取《と》り|除《のぞ》いてキデロン|川《かわ》に|投《な》げすて、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]二|月《がつ》の十四|日《か》に|過越《すぎこし》の|小羊《こひつじ》をほふった。そこで|祭司《さいし》たちおよびレビびとはみずから|恥《は》じ、|身《み》を|清《きよ》めて|主《しゅ》の|宮《みや》に|燔祭《はんさい》を|携《たずさ》えて|来《き》た。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》の|人《ひと》モーセの|律法《りっぽう》に|従《したが》い、いつものようにその|所《ところ》に|立《た》ち、|祭司《さいし》たちは、レビびとの|手《て》から|血《ち》を|受《う》けて|注《そそ》いだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、|会衆《かいしゅう》のうちにまだ|身《み》を|清《きよ》めていない|者《もの》が|多《おお》かったので、レビびとはその|清《きよ》くないすべての|人々《ひとびと》に|代《かわ》って|過越《すぎこし》の|小羊《こひつじ》をほふり、|主《しゅ》に|清《きよ》めてささげた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|民《たみ》すなわちエフライム、マナセ、イッサカル、ゼブルンからきた|多《おお》くの|者《もの》はまだ|身《み》を|清《きよ》めていないのに、|書《か》きしるされたとおりにしないで|過越《すぎこし》の|物《もの》を|食《た》べた。それでヒゼキヤは、|彼《かれ》らのために|祈《いの》って|言《い》った、「|恵《めぐ》みふかき|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らをゆるしてください。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|聖所《せいじょ》の|清《きよ》めの|規定《きてい》どおりにしなかったけれども、その|心《こころ》を|傾《かたむ》けて|神《かみ》を|求《もと》め、その|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》めたのです」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヒゼキヤに|聞《き》いて、|民《たみ》をいやされた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでエルサレムに|来《き》ていたイスラエルの|人々《ひとびと》は|大《おお》いなる|喜《よろこ》びをいだいて、|七日《なぬか》のあいだ|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》を|行《おこな》った。またレビびとと|祭司《さいし》たちは|日々《ひび》に|主《しゅ》をさんびし、|力《ちから》をつくして|主《しゅ》をたたえた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そしてヒゼキヤは|主《しゅ》の|勤《つと》めによく|通《つう》じているすべてのレビびとを|深《ふか》くねぎらった。こうして|人々《ひとびと》は|酬恩祭《しゅうおんさい》の|犠牲《ぎせい》をささげ、その|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》して、|七日《なぬか》のあいだ|祭《まつり》の|供《そな》え|物《もの》を|食《た》べた。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]なお|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》は|相《あい》はかって、さらに|七日《なぬか》のあいだ|祭《まつり》を|守《まも》ることを|定《さだ》め、|喜《よろこ》びをもってまた|七日《なぬか》のあいだ|守《まも》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にユダの|王《おう》ヒゼキヤは|雄牛《おうし》一千|頭《とう》、|羊《ひつじ》七千|頭《とう》を|会衆《かいしゅう》に|贈《おく》り、また、つかさたちは|雄牛《おうし》一千|頭《とう》、|羊《ひつじ》|一《いち》|万《まん》|頭《とう》を|会衆《かいしゅう》に|贈《おく》った。|祭司《さいし》もまた|多《おお》く|身《み》を|清《きよ》めた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》および|祭司《さいし》、レビびと、ならびにイスラエルからきた|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》、およびイスラエルの|地《ち》からきた|他国《たこく》|人《じん》と、ユダに|住《す》む|他国《たこく》|人《じん》は|皆《みな》|喜《よろこ》んだ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]このようにエルサレムに|大《おお》いなる|喜《よろこ》びがあった。イスラエルの|王《おう》ダビデの|子《こ》ソロモンの|時《とき》からこのかた、このような|事《こと》はエルサレムになかった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]このとき|祭司《さいし》たちとレビびとは|立《た》って、|民《たみ》を|祝福《しゅくふく》したが、その|声《こえ》は|聞《き》かれ、その|祈《いのり》は|主《しゅ》の|聖《せい》なるすみかである|天《てん》に|達《たっ》した。 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》がすべて|終《おわ》った|時《とき》、そこにいたイスラエルびとは|皆《みな》、ユダの|町々《まちまち》に|出《で》て|行《い》って、|石柱《せきちゅう》を|砕《くだ》き、アシラ|像《ぞう》を|切《き》り|倒《たお》し、ユダとベニヤミンの|全《ぜん》|地《ち》、およびエフライムとマナセにある|高《たか》き|所《ところ》と|祭壇《さいだん》とを|取《と》りこわし、ついにこれをことごとく|破壊《はかい》した。そしてイスラエルの|人々《ひとびと》はおのおのその|町々《まちまち》、その|所領《しょりょう》に|帰《かえ》った。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|祭司《さいし》およびレビびとの|班《はん》を|定《さだ》め、|班《はん》ごとにおのおのその|勤《つと》めに|従《したが》って、|祭司《さいし》とレビびとに|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげさせ、|主《しゅ》の営の|門《もん》で|勤《つと》めをし、|感謝《かんしゃ》をし、さんびをさせた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|燔祭《はんさい》のために|自分《じぶん》の|財産《ざいさん》のうちから|王《おう》の|分《ぶん》を|出《だ》した。すなわち|朝夕《あさゆう》の|燔祭《はんさい》および|安息日《あんそくにち》、|新月《しんげつ》、|定《さだ》めの|祭《まつり》などの|燔祭《はんさい》のために|出《だ》して、|主《しゅ》の|律法《りっぽう》にしるされているとおりにした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またエルサレムに|住《す》む|民《たみ》に、|祭司《さいし》とレビびとにその|分《ぶん》を|与《あた》えることを|命《めい》じた。これは|彼《かれ》らをして|主《しゅ》の|律法《りっぽう》に|身《み》をゆだねさせるためである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|命令《めいれい》が|伝《つた》わるやいなや、イスラエルの|人々《ひとびと》は|穀物《こくもつ》、|酒《さけ》、|油《あぶら》、|蜜《みつ》ならびに|畑《はたけ》のもろもろの|産物《さんぶつ》の|初物《はつもの》を|多《おお》くささげ、またすべての|物《もの》の十|分《ぶん》の一をおびただしく|携《たずさ》えて|来《き》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|町々《まちまち》に|住《す》んでいたイスラエルとユダの|人々《ひとびと》もまた|牛《うし》、|羊《ひつじ》の十|分《ぶん》の一ならびにその|神《かみ》、|主《しゅ》にささげられた|奉納物《ほうのうぶつ》を|携《たずさ》えて|来《き》て、これを|積《つ》み|重《かさ》ねた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]三|月《がつ》にこれを|積《つ》み|重《かさ》ねることを|始《はじ》め、七|月《がつ》にこれを|終《おわ》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤおよびつかさたちは|来《き》て、その|積《つ》み|重《かさ》ねた|物《もの》を|見《み》、|主《しゅ》とその|民《たみ》イスラエルを|祝福《しゅくふく》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そしてヒゼキヤがその|積《つ》み|重《かさ》ねた|物《もの》について|祭司《さいし》およびレビびとに|問《と》い|尋《たず》ねた|時《とき》、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ザドクの|家《いえ》から|出《で》た|祭司《さいし》の|長《ちょう》アザリヤは|彼《かれ》に|答《こた》えて|言《い》った、「|民《たみ》が|主《しゅ》の|宮《みや》に|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えて|来《く》ることを|始《はじ》めてからこのかた、われわれは|飽《あ》きるほど|食《た》べたが、たくさん|残《のこ》りました。|主《しゅ》がその|民《たみ》を|恵《めぐ》まれたからです。それでわれわれは、このように|多《おお》くの|残《のこ》った|物《もの》をもっているのです」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒゼキヤは|主《しゅ》の|宮《みや》のうちに|室《しつ》を|設《もう》けることを|命《めい》じたので、|彼《かれ》らはこれを|設《もう》け、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|供《そな》え|物《もの》の十|分《ぶん》の一および|奉納物《ほうのうぶつ》を|忠実《ちゅうじつ》に|携《たずさ》え|入《い》れた。これをつかさどる|者《もの》のかしらはレビびとコナニヤで、その|兄弟《きょうだい》シメイは|彼《かれ》に|次《つ》ぐ|者《もの》となり、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エヒエル、アザジヤ、ナハテ、アサヘル、エレモテ、ヨザバデ、エリエル、イスマキヤ、マハテ、ベナヤらは、ヒゼキヤ|王《おう》および|神《かみ》の|宮《みや》のつかさアザリヤの|任命《にんめい》によって、コナニヤおよびその|兄弟《きょうだい》シメイを|助《たす》けて、その|監督《かんとく》|者《しゃ》となった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》レビびとイムナの|子《こ》コレは、|神《かみ》にささげる|自発《じはつ》のささげ|物《もの》をつかさどり、|主《しゅ》の|供《そな》え|物《もの》および|最《もっと》も|聖《せい》なる|物《もの》を|分配《ぶんぱい》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》を|助《たす》ける|者《もの》はエデン、ミニヤミン、エシュア、シマヤ、アマリヤおよびシカニヤで、|皆《みな》|祭司《さいし》の|町々《まちまち》でその|兄弟《きょうだい》たちに、|班《はん》によって、|老若《ろうにゃく》ひとしく|忠実《ちゅうじつ》に|分配《ぶんぱい》した。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ただしすべて|登録《とうろく》された三|歳《さい》|以上《いじょう》の|男子《だんし》で|主《しゅ》の|宮《みや》に|入《い》り、その|班《はん》に|従《したが》って|日々《ひび》の|職分《しょくぶん》をつくし、その|受持《うけもち》の|勤《つと》めをなす|者《もの》は|除《のぞ》かれた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》の|登録《とうろく》はその|氏族《しぞく》によってなされ、二十|歳《さい》|以上《いじょう》のレビびとの|登録《とうろく》はその|班《はん》により、その|受持《うけもち》にしたがってなされた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》はその|幼《おさ》な|子《こ》、その|妻《つま》、そのむすこ、その|娘《むすめ》、|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》と|共《とも》に|登録《とうろく》した。|彼《かれ》らは|忠実《ちゅうじつ》に|身《み》を|聖《せい》なる|事《こと》にささげたからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|町々《まちまち》の|放牧《ほうぼく》|地《ち》におるアロンの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》たちのためには、|町《まち》ごとに|人《ひと》を|名《な》ざし|選《えら》んで、|祭司《さいし》のうちのすべての|男《おとこ》およびレビびとのうちの|登録《とうろく》されたすべての|者《もの》に、その|分《ぶん》を|与《あた》えさせた。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはユダ|全国《ぜんこく》にこのようにし、|良《よ》い|事《こと》、|正《ただ》しい|事《こと》、|忠実《ちゅうじつ》な|事《こと》をその|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|行《い》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がその|神《かみ》を|求《もと》めるために|神《かみ》の|宮《みや》の|務《つとめ》につき、|律法《りっぽう》につき、|戒《いまし》めについて|始《はじ》めたわざは、ことごとく|心《こころ》をつくして|行《おこな》い、これをなし|遂《と》げた。 第三二章[#「第三二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤがこれらの|事《こと》を|忠実《ちゅうじつ》に|行《い》った|後《のち》、アッスリヤの|王《おう》セナケリブが|来《き》てユダに|侵入《しんにゅう》し、|堅固《けんご》な|町々《まちまち》に|向《む》かって|陣《じん》を|張《は》り、これを|攻《せ》め|取《と》ろうとした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはセナケリブが|来《き》て、エルサレムを|攻《せ》めようとするのを|見《み》たので、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのつかさたちおよび|勇士《ゆうし》たちと|相談《そうだん》して、|町《まち》の|外《そと》にある|泉《いずみ》の|水《みず》を、ふさごうとした。|彼《かれ》らはこれを|助《たす》けた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|民《たみ》は|集《あつ》まって、すべての|泉《いずみ》および|国《くに》の|中《なか》を|流《なが》れる|谷川《たにがわ》をふさいで|言《い》った、「アッスリヤの|王《おう》たちがきて、|多《おお》くの|水《みず》を|得《え》られるようなことをしておいていいだろうか」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはまた|勇気《ゆうき》を|出《だ》して、|破《やぶ》れた|城壁《じょうへき》をことごとく|築《きず》き|直《なお》して、その|上《うえ》にやぐらを|建《た》て、その|外《そと》にまた|城壁《じょうへき》を|巡《めぐ》らし、ダビデの|町《まち》のミロを|堅固《けんご》にし、|武器《ぶき》および|盾《たて》を|多《おお》く|造《つく》り、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|軍《ぐん》|長《ちょう》を|民《たみ》の|上《うえ》に|置《お》き、|町《まち》の|門《もん》の|広場《ひろば》に|民《たみ》を|集《あつ》めて、これを|励《はげ》まして|言《い》った、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「|心《こころ》を|強《つよ》くし、|勇《いさ》みたちなさい。アッスリヤの|王《おう》をも、|彼《かれ》と|共《とも》にいるすべての|群衆《ぐんしゅう》をも|恐《おそ》れてはならない。おののいてはならない。われわれと|共《とも》におる|者《もの》は|彼《かれ》らと|共《とも》におる|者《もの》よりも|大《おお》いなる|者《もの》だからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》と|共《とも》におる|者《もの》は|肉《にく》の|腕《うで》である。しかしわれわれと|共《とも》におる|者《もの》はわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、われわれを|助《たす》け、われわれに|代《かわ》って|戦《たたか》われる」。|民《たみ》はユダの|王《おう》ヒゼキヤの|言葉《ことば》に|安心《あんしん》した。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》アッスリヤの|王《おう》セナケリブはその|全《ぜん》|軍《ぐん》をもってラキシを|囲《かこ》んでいたが、その|家来《けらい》をエルサレムにつかわして、ユダの|王《おう》ヒゼキヤおよびエルサレムにいるすべてのユダの|人《ひと》に|告《つ》げさせて|言《い》った、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「アッスリヤの|王《おう》セナケリブはこう|言《い》います、『あなたがたは|何《なに》を|頼《たの》んでエルサレムにこもっているのか。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは「われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がアッスリヤの|王《おう》の|手《て》から、われわれを|救《すく》ってくださる」と|言《い》って、あなたがたをそそのかし、|飢《う》えと、かわきをもって、あなたがたを|死《し》なせようとしているのではないか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このヒゼキヤは|主《しゅ》のもろもろの|高《たか》き|所《ところ》と|祭壇《さいだん》を|取《と》り|除《のぞ》き、ユダとエルサレムに|命《めい》じて、「あなたがたはただ一つの|祭壇《さいだん》の|前《まえ》で|礼拝《れいはい》し、その|上《うえ》に|犠牲《ぎせい》をささげなければならない」と|言《い》った|者《もの》ではないか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わたしおよびわたしの|先祖《せんぞ》たちが、|他《た》の|国々《くにぐに》のすべての|民《たみ》にしたことを|知《し》らないのか。それらの|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|神々《かみがみ》は、|少《すこ》しでもその|国《くに》を、わたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すことができたか。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|先祖《せんぞ》たちが|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》したそれらの|国民《こくみん》のもろもろの|神《かみ》のうち、だれか|自分《じぶん》の|民《たみ》をわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すことのできたものがあるか。それで、どうしてあなたがたの|神《かみ》が、あなたがたをわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すことができよう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたはヒゼキヤに|欺《あざむ》かれてはならない。そそのかされてはならない。また|彼《かれ》を|信《しん》じてはならない。いずれの|民《たみ》、いずれの|国《くに》の|神《かみ》もその|民《たみ》をわたしの|手《て》、または、わたしの|先祖《せんぞ》の|手《て》から|救《すく》いだすことができなかったのだから、ましてあなたがたの|神《かみ》が、どうしてわたしの|手《て》からあなたがたを|救《すく》いだすことができようか』」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]セナケリブの|家来《けらい》は、このほかにも|多《おお》く|主《しゅ》なる|神《かみ》、およびそのしもべヒゼキヤをそしった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]セナケリブはまた|手紙《てがみ》を|書《か》き|送《おく》って、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》をあざけり、かつそしって|言《い》った、「|諸国《しょこく》の|民《たみ》の|神々《かみがみ》が、その|民《たみ》をわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》さなかったように、ヒゼキヤの|神《かみ》も、その|民《たみ》をわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》さないであろう」と。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|大声《おおごえ》をあげ、ユダヤの|言葉《ことば》をもって、|城壁《じょうへき》の|上《うえ》にいるエルサレムの|民《たみ》に|向《む》かって|叫《さけ》び、これをおどし、かつおびやかした。|彼《かれ》らは|町《まち》を|取《と》るためである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]このように|彼《かれ》らがエルサレムの|神《かみ》について|語《かた》ること、|人《ひと》の|手《て》のわざである|地上《ちじょう》の|民《たみ》の|神々《かみがみ》について|語《かた》るようであった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒゼキヤ|王《おう》およびアモツの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》イザヤは|共《とも》に|祈《いの》って、|天《てん》に|呼《よ》ばわったので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はひとりのみ|使《つかい》をつかわして、アッスリヤ|王《おう》の|陣営《じんえい》にいるすべての|大《だい》|勇士《ゆうし》と|将官《しょうかん》、|軍《ぐん》|長《ちょう》らを|滅《ほろ》ぼされた。それで|王《おう》は|赤面《せきめん》して|自分《じぶん》の|国《くに》に|帰《かえ》ったが、その|神《かみ》の|家《いえ》にはいった|時《とき》、その|子《こ》のひとりが、つるぎをもって|彼《かれ》をその|所《ところ》で|殺《ころ》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]このように|主《しゅ》は、ヒゼキヤとエルサレムの|住民《じゅうみん》をアッスリヤの|王《おう》セナケリブの|手《て》およびすべての|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》し、いたる|所《ところ》で|彼《かれ》らを|守《まも》られた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|多《おお》くの|人々《ひとびと》はささげ|物《もの》をエルサレムに|携《たずさ》えてきて|主《しゅ》にささげ、また|宝物《ほうもつ》をユダの|王《おう》ヒゼキヤに|贈《おく》った。この|後《のち》ヒゼキヤは|万国《ばんこく》の|民《たみ》に|尊《たっと》ばれた。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、ヒゼキヤは|病《や》んで|死《し》ぬばかりであったが、|主《しゅ》に|祈《いの》ったので、|主《しゅ》はこれに|答《こた》えて、しるしを|賜《たま》わった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかしヒゼキヤはその|受《う》けた|恵《めぐ》みに|報《むく》いることをせず、その|心《こころ》が|高《たか》ぶったので、|怒《いか》りが|彼《かれ》とユダおよびエルサレムに|臨《のぞ》もうとしたが、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはその|心《こころ》の|高《たか》ぶりを|悔《く》いてへりくだり、またエルサレムの|住民《じゅうみん》も|同様《どうよう》にしたので、|主《しゅ》の|怒《いか》りは、ヒゼキヤの|世《よ》には|彼《かれ》らに|臨《のぞ》まなかった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|富《とみ》と|栄誉《えいよ》をきわめ、|宝蔵《ほうぞう》を|造《つく》って、|金《きん》、|銀《ぎん》、|宝石《ほうせき》、|香料《こうりょう》、|盾《たて》および|各種《かくしゅ》の|尊《たっと》い|器物《うつわもの》をおさめ、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|倉庫《そうこ》を|造《つく》って|穀物《こくもつ》、|酒《さけ》、|油《あぶら》などの|産物《さんぶつ》をおさめ、|小屋《こや》を|造《つく》って|種々《しゅじゅ》の|家畜《かちく》を|置《お》き、おりを|造《つく》って|羊《ひつじ》の|群《む》れを|置《お》き、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]また|多数《たすう》の|町《まち》を|設《もう》け、かつ|羊《ひつじ》と|牛《うし》をおびただしく|所有《しょゆう》した。|神《かみ》が|非常《ひじょう》に|多《おお》くの|貨《か》|財《ざい》を|彼《かれ》に|賜《たま》わったからである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]このヒゼキヤはまたギホンの|水《みず》の|上《うえ》の|源《みなもと》をふさいで、これをダビデの|町《まち》の|西《にし》の|方《ほう》にまっすぐに|引《ひ》き|下《くだ》した。このようにヒゼキヤはそのすべてのわざをなし|遂《と》げた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかしバビロンの|君《きみ》たちが|使者《ししゃ》をつかわして、この|国《くに》にあった、しるしについて|尋《たず》ねさせた|時《とき》には、|神《かみ》は|彼《かれ》を|試《こころ》みて、|彼《かれ》の|心《こころ》にあることを、ことごとく|知《し》るために|彼《かれ》を|捨《す》て|置《お》かれた。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤのその|他《た》の|行為《こうい》およびその|徳行《とっこう》は、アモツの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》イザヤの|黙示《もくし》とユダとイスラエルの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、ダビデの|子孫《しそん》の|墓《はか》のうちの|高《たか》い|所《ところ》に|葬《ほうむ》られた。ユダの|人々《ひとびと》およびエルサレムの|住民《じゅうみん》は|皆《みな》その|死《し》に|当《あた》って|彼《かれ》に|敬意《けいい》を|表《あらわ》した。その|子《こ》マナセが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。 第三三章[#「第三三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]マナセは十二|歳《さい》で|王《おう》となり、五十五|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》から|追《お》い|払《はら》われた|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|憎《にく》むべき|行《おこな》いに|見《み》ならって、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|父《ちち》ヒゼキヤがこわした|高《たか》き|所《ところ》を|再《ふたた》び|築《きず》き、またもろもろのバアルのために|祭壇《さいだん》を|設《もう》け、アシラ|像《ぞう》を|造《つく》り、|天《てん》の|万象《ばんしょう》を|拝《おが》んで、これに|仕《つか》え、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》が「わが|名《な》は|永遠《えいえん》にエルサレムにある」と|言《い》われた|主《しゅ》の|宮《みや》のうちに|数個《すうこ》の|祭壇《さいだん》を|築《きず》き、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|宮《みや》の二つの|庭《にわ》に|天《てん》の|万象《ばんしょう》のために|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたベンヒンノムの|谷《たに》でその|子《こ》|供《とも》を|火《ひ》に|焼《や》いて|供《そな》え|物《もの》とし、|占《うらな》いをし、|魔法《まほう》をつかい、まじないを|行《おこな》い、|口寄《くちよ》せと、|占《うらな》い|師《し》を|任用《にんよう》するなど、|主《しゅ》の|前《まえ》に|多《おお》くの|悪《あく》を|行《い》って、その|怒《いか》りをひき|起《おこ》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|刻《きざ》んだ|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》って|神《かみ》の|宮《みや》に|安置《あんち》した。|神《かみ》はこの|宮《みや》についてダビデとその|子《こ》ソロモンに|言《い》われたことがある、「わたしはこの|宮《みや》と、わたしがイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のうちから|選《えら》んだエルサレムとに、わたしの|名《な》を|永遠《えいえん》に|置《お》く。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがもし、わたしがすべて|命《めい》じた|事《こと》、すなわち、モーセが|伝《つた》えたすべての|律法《りっぽう》と|定《さだ》めとおきてとを|慎《つつし》んで|行《おこな》うならば、わたしがあなたがたの|先祖《せんぞ》のために|定《さだ》めた|地《ち》から、|重《かさ》ねてイスラエルの|足《あし》を|移《うつ》すことをしない」と。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]マナセはこのようにユダとエルサレムの|住民《じゅうみん》を|迷《まよ》わせ、|主《しゅ》がイスラエルの|人々《ひとびと》の|前《まえ》に|滅《ほろ》ぼされた|国々《くにぐに》の|民《たみ》にもまさって|悪《あく》を|行《おこな》わせた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はマナセおよびその|民《たみ》に|告《つ》げられたが、|彼《かれ》らは|心《こころ》に|留《と》めなかった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はアッスリヤの|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》の|諸《しょ》|将《しょう》をこれに|攻《せ》めこさせられたので、|彼《かれ》らはマナセをかぎで|捕《とら》え、|青銅《せいどう》のかせにつないで、バビロンに|引《ひ》いて|行《い》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|悩《なや》みにあうに|及《およ》んで、その|神《かみ》、|主《しゅ》に|願《ねが》い|求《もと》め、その|先祖《せんぞ》の|神《かみ》の|前《まえ》に|大《おお》いに|身《み》を|低《ひく》くして、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》に|祈《いの》ったので、|神《かみ》はその|祈《いのり》を|受《う》けいれ、その|願《ねが》いを|聞《き》き、|彼《かれ》をエルサレムに|連《つ》れ|帰《かえ》って、|再《ふたた》び|国《くに》に|臨《のぞ》ませられた。これによってマナセは|主《しゅ》こそ、まことに|神《かみ》にいますことを|知《し》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》、|彼《かれ》はダビデの|町《まち》の|外《そと》の|石《いし》がきをギホンの|西《にし》の|方《ほう》の|谷《たに》のうちに|築《きず》き、|魚《うお》の|門《もん》の|入口《いりぐち》にまで|及《およ》ぼし、またオペルに|石《いし》がきをめぐらして、|非常《ひじょう》に|高《たか》くこれを|築《きず》き|上《あ》げ、ユダのすべての|堅固《けんご》な|町《まち》に|軍《ぐん》|長《ちょう》を|置《お》き、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|宮《みや》から、|異邦《いほう》の|神々《かみがみ》および|偶像《ぐうぞう》を|取《と》り|除《のぞ》き、|主《しゅ》の|宮《みや》の|山《やま》とエルサレムに|自分《じぶん》で|築《きず》いたすべての|祭壇《さいだん》を|取《と》り|除《のぞ》いて、|町《まち》の|外《そと》に|投《な》げ|捨《す》て、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》を|築《きず》き|直《なお》して、|酬恩祭《しゅうおんさい》および|感謝《かんしゃ》の|犠牲《ぎせい》を、その|上《うえ》にささげ、ユダに|命《めい》じてイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|仕《つか》えさせた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|民《たみ》は、なお|高《たか》き|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげた。ただしその|神《かみ》、|主《しゅ》にのみささげた。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]マナセのそのほかの|行為《こうい》、その|神《かみ》にささげた|祈《いのり》、およびイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》をもって|彼《かれ》に|告《つ》げた|先見者《せんけんしゃ》たちの|言葉《ことば》は、イスラエルの|列《れつ》|王《おう》の|記録《きろく》のうちにしるされている。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またその|祈《いのり》と、|祈《いのり》の|聞《き》かれた|事《こと》、そのもろもろの|罪《つみ》と、とが、その|身《み》を|低《ひく》くする|前《まえ》に|高《たか》き|所《ところ》を|築《きず》いて、アシラ|像《ぞう》および|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|立《た》てた|場所《ばしょ》などは、|先見者《せんけんしゃ》の|記録《きろく》のうちにしるされている。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]マナセはその|先祖《せんぞ》たちと|共《とも》に|眠《ねむ》ったので、その|家《いえ》に|葬《ほうむ》られた。その|子《こ》アモンが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アモンは|王《おう》となった|時《とき》二十二|歳《さい》で、二|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|父《ちち》マナセのしたように|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。すなわちアモンはその|父《ちち》マナセが|造《つく》ったもろもろの|刻《きざ》んだ|像《ぞう》に|犠牲《ぎせい》をささげて、これに|仕《つか》え、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|父《ちち》マナセが|身《み》を|低《ひく》くしたように|主《しゅ》の|前《まえ》に|身《み》を|低《ひく》くしなかった。かえってこのアモンは、いよいよそのとがを|増《ま》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|家来《けらい》たちは|党《とう》を|結《むす》んで|彼《かれ》にそむき、|彼《かれ》をその|家《いえ》で|殺《ころ》した。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|国《くに》の|民《たみ》は、|党《とう》を|結《むす》んでアモン|王《おう》にそむいた|者《もの》どもをことごとく|撃《う》ち|殺《ころ》した。そして|国《くに》の|民《たみ》はその|子《こ》ヨシヤを|王《おう》となして、そのあとを|継《つ》がせた。 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤは八|歳《さい》のとき|王《おう》となり、エルサレムで三十一|年《ねん》の|間《あいだ》|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|良《よ》しと|見《み》られることをなし、その|父《ちち》ダビデの|道《みち》を|歩《あゆ》んで、|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|曲《まが》らなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまだ|若《わか》かったが、その|治世《ちせい》の|第《だい》八|年《ねん》に|父《ちち》ダビデの|神《かみ》を|求《もと》めることを|始《はじ》め、その十二|年《ねん》には|高《たか》き|所《ところ》、アシラ|像《ぞう》、|刻《きざ》んだ|像《ぞう》、|鋳《い》た|像《ぞう》などを|除《のぞ》いて、ユダとエルサレムを|清《きよ》めることを|始《はじ》め、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もろもろのバアルの|祭壇《さいだん》を、|自分《じぶん》の|前《まえ》で|打《う》ちこわさせ、その|上《うえ》に|立《た》っていた|香《こう》の|祭壇《さいだん》を|切《き》り|倒《たお》し、アシラ|像《ぞう》、|刻《きざ》んだ|像《ぞう》、|鋳《い》た|像《ぞう》を|打《う》ち|砕《くだ》いて|粉々《こなごな》にし、これらの|像《ぞう》に|犠牲《ぎせい》をささげた|者《もの》どもの|墓《はか》の|上《うえ》にそれをまき|散《ち》らし、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》らの|骨《ほね》をそのもろもろの|祭壇《さいだん》の|上《うえ》で|焼《や》き、こうしてユダとエルサレムを|清《きよ》めた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またマナセ、エフライム、シメオンおよびナフタリの|荒《あ》れた|町々《まちまち》にもこのようにし、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|祭壇《さいだん》をこわし、アシラ|像《ぞう》およびもろもろの|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|粉々《こなごな》に|打《う》ち|砕《くだ》き、イスラエル|全国《ぜんこく》の|香《こう》の|祭壇《さいだん》をことごとく|切《き》り|倒《たお》して、エルサレムに|帰《かえ》った。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤはその|治世《ちせい》の十八|年《ねん》に、|国《くに》と|宮《みや》とを|清《きよ》めた|時《とき》、その|神《かみ》、|主《しゅ》の|宮《みや》を|繕《つくろ》わせようと、アザリヤの|子《こ》シャパン、|町《まち》のつかさマアセヤおよびヨアハズの|子《こ》|史官《しかん》ヨアをつかわした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|大《だい》|祭司《さいし》ヒルキヤのもとへ|行《い》って、|神《かみ》の|宮《みや》にはいった|金《かね》を|渡《わた》した。これは|門《もん》を|守《まも》るレビびとがマナセ、エフライムおよびその|他《た》のすべてのイスラエル、ならびにユダとベニヤミンのすべての|人《ひと》、およびエルサレムの|住民《じゅうみん》の|手《て》から|集《あつ》めたものである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはこれを|主《しゅ》の|宮《みや》を|監督《かんとく》する|職工《しょっこう》らの|手《て》に|渡《わた》したので、|主《しゅ》の|宮《みや》で|働《はたら》く|職工《しょっこう》らは、これを|宮《みや》を|繕《つくろ》い|直《なお》すために|支払《しはら》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|大工《だいく》および|建築者《けんちくしゃ》にこれを|渡《わた》して、ユダの|王《おう》たちが|破《やぶ》った|建物《たてもの》のために、|切《き》り|石《いし》および|骨組《ほねぐみ》の|材木《ざいもく》を|買《か》わせ、|梁《はり》|材《ざい》を|整《ととの》えさせた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|人々《ひとびと》は|忠実《ちゅうじつ》に|仕事《しごと》をした。その|監督《かんとく》|者《しゃ》はメラリの|子孫《しそん》であるレビびとヤハテとオバデヤ、およびコハテびとの|子孫《しそん》であるゼカリヤとメシュラムであって、|工事《こうじ》をつかさどった。また|楽器《がっき》に|巧《たく》みなレビびとがこれに|伴《ともな》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|荷《に》を|負《お》う|者《もの》を|監督《かんとく》し、|様々《さまざま》の|仕事《しごと》に|働《はたら》くすべての|者《もの》をつかさどった。また|他《た》のレビびとは|書記《しょき》となり、|役人《やくにん》となり、また|門衛《もんえい》となった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]さて|彼《かれ》らが|主《しゅ》の|宮《みや》にはいった|金《かね》を|取《と》りだした|時《とき》、|祭司《さいし》ヒルキヤはモーセの|伝《つた》えた|主《しゅ》の|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|発見《はっけん》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒルキヤは|書記官《しょきかん》シャパンに|言《い》った、「わたしは|主《しゅ》の|宮《みや》で|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|発見《はっけん》しました」と。そしてヒルキヤはその|書《しょ》をシャパンに|渡《わた》した。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]シャパンはその|書《しょ》を|王《おう》のもとに|持《も》って|行《い》き、さらに|王《おう》に|復命《ふくめい》して|言《い》った、「しもべらはゆだねられた|事《こと》をことごとくなし、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|宮《みや》にあった|金《かね》をあけて、|監督《かんとく》|者《しゃ》の|手《て》および|職工《しょっこう》の|手《て》に|渡《わた》しました」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|書記官《しょきかん》シャパンはまた|王《おう》に|告《つ》げて、「|祭司《さいし》ヒルキヤはわたしに一つの|書物《しょもつ》を|渡《わた》しました」と|言《い》い、シャパンはそれを|王《おう》の|前《まえ》で|読《よ》んだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はその|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》を|聞《き》いて|衣《ころも》を|裂《さ》いた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》はヒルキヤおよびシャパンの|子《こ》アヒカムとミカの|子《こ》アブドンと|書記官《しょきかん》シャパンと|王《おう》の|家来《けらい》アサヤとに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたは|行《い》って、この|発見《はっけん》された|書物《しょもつ》の|言葉《ことば》についてわたしのために、またイスラエルとユダの|残《のこ》りの|者《もの》のために|主《しゅ》に|問《と》いなさい。われわれの|先祖《せんぞ》たちが|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|守《まも》らず、すべてこの|書物《しょもつ》にしるされていることを|行《おこな》わなかったので、|主《しゅ》はわれわれに|大《おお》いなる|怒《いか》りを|注《そそ》がれるからです」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒルキヤおよび|王《おう》のつかわした|人々《ひとびと》は、シャルムの|妻《つま》である|女《おんな》|預言者《よげんしゃ》ホルダのもとへ|行《い》った。シャルムはハスラの|子《こ》であるトクハテの|子《こ》で、|衣装《いしょう》を|守《まも》る|者《もの》である。|時《とき》にホルダは、エルサレムの|第《だい》二|区《く》に|住《す》んでいた。|彼《かれ》らはホルダにその|趣意《しゅい》を|語《かた》ったので、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ホルダは|彼《かれ》らに|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、『あなたがたをわたしにつかわした|人《ひと》に|告《つ》げなさい。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます。|見《み》よ、わたしはユダの|王《おう》の|前《まえ》で|読《よ》んだ|書物《しょもつ》にしるされているもろもろののろい、すなわち|災《わざわい》をこの|所《ところ》と、ここに|住《す》む|者《もの》に|下《くだ》す。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしを|捨《す》てて、|他《た》の|神々《かみがみ》に|香《こう》をたき、|自分《じぶん》の|手《て》で|造《つく》ったもろもろの|物《もの》をもって、わたしの|怒《いか》りを|引《ひ》き|起《おこ》そうとしたからである。それゆえ、わたしの|怒《いか》りは、この|所《ところ》に|注《そそ》がれて|消《き》えない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたをつかわして、|主《しゅ》に|問《と》わせるユダの|王《おう》にはこう|言《い》いなさい。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる。あなたが|聞《き》いた|言葉《ことば》については、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]この|所《ところ》と、ここに|住《す》む|者《もの》を|責《せ》める|神《かみ》の|言葉《ことば》を、あなたが|聞《き》いた|時《とき》、|心《こころ》に|悔《く》い、|神《かみ》の|前《まえ》に|身《み》をひくくし、わたしの|前《まえ》にへりくだり、|衣《ころも》を|裂《さ》いて、わたしの|前《まえ》に|泣《な》いたので、わたしもまた、あなたに|聞《き》いた、と|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたを|先祖《せんぞ》たちのもとに|集《あつ》める。あなたは|安《やす》らかにあなたの|墓《はか》に|集《あつ》められる。あなたはわたしがこの|所《ところ》と、ここに|住《す》む|者《もの》に|下《くだ》すもろもろの|災《わざわい》を|目《め》に|見《み》ることがない』と」。|彼《かれ》らは|王《おう》に|復命《ふくめい》した。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|人《ひと》をつかわしてユダとエルサレムの|長老《ちょうろう》をことごとく|集《あつ》め、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|主《しゅ》の|宮《みや》に|上《のぼ》って|行《い》った。ユダのすべての|人々《ひとびと》、エルサレムの|住民《じゅうみん》、|祭司《さいし》、レビびと、およびすべての|民《たみ》は、|老《お》いた|者《もの》も|若《わか》い|者《もの》もことごとく|彼《かれ》に|従《したが》った。そこで|王《おう》は|主《しゅ》の|宮《みや》で|発見《はっけん》した|契約《けいやく》の|書《しょ》の|言葉《ことば》を、ことごとく|彼《かれ》らの|耳《みみ》に|読《よ》み|聞《き》かせ、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|自分《じぶん》の|所《ところ》に|立《た》って、|主《しゅ》の|前《まえ》に|契約《けいやく》を|立《た》て、|主《しゅ》に|従《したが》って|歩《あゆ》み、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくして、その|戒《いまし》めと、あかしと|定《さだ》めとをまもり、この|書《しょ》にしるされた|契約《けいやく》の|言葉《ことば》を|行《おこな》おうと|言《い》い、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムおよびベニヤミンの|人々《ひとびと》を|皆《みな》これに|加《くわ》わらせた。エルサレムの|住民《じゅうみん》は|先祖《せんぞ》の|神《かみ》であるその|神《かみ》の|契約《けいやく》にしたがって|行《い》った。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤはイスラエルの|人々《ひとびと》に|属《ぞく》するすべての|地《ち》から、|憎《にく》むべきものをことごとく|取《と》り|除《のぞ》き、イスラエルにいるすべての|人《ひと》をその|神《かみ》、|主《しゅ》に|仕《つか》えさせた。ヨシヤが|世《よ》にある|日《ひ》の|間《あいだ》は、|彼《かれ》らは|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》に|従《したが》って|離《はな》れなかった。 第三五章[#「第三五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤはエルサレムで|主《しゅ》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》った。すなわち|正月《しょうがつ》の十四|日《か》に|過越《すぎこし》の|小羊《こひつじ》をほふらせ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》にその|職務《しょくむ》をとり|行《おこな》わせ、|彼《かれ》らを|励《はげ》まして|主《しゅ》の|宮《みや》の|務《つとめ》をさせ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|聖《せい》なる|者《もの》となってすべてのイスラエルびとを|教《おし》えるレビびとに|言《い》った、「あなたがたはイスラエルの|王《おう》ダビデの|子《こ》ソロモンの|建《た》てた|宮《みや》に、|聖《せい》なる|箱《はこ》を|置《お》きなさい。|再《ふたた》びこれを|肩《かた》にになうに|及《およ》ばない。あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》およびその|民《たみ》イスラエルに|仕《つか》えなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはイスラエルの|王《おう》ダビデの|書《しょ》、およびその|子《こ》ソロモンの|書《しょ》に|基《もとづ》いて|氏族《しぞく》にしたがい、その|班《はん》によって、みずから|備《そな》えをなし、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|兄弟《きょうだい》である|民《たみ》の|人々《ひとびと》の|氏族《しぞく》の|区分《くぶん》にしたがって|聖所《せいじょ》に|立《た》ち、このためにレビびとの|氏族《しぞく》の|分《ぶん》が|欠《か》けることのないようにしなさい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|過越《すぎこし》の|小羊《こひつじ》をほふり、|身《み》を|清《きよ》め、あなたがたの|兄弟《きょうだい》のために|備《そな》えをし、モーセが|伝《つた》えた|主《しゅ》の|言葉《ことば》にしたがって|行《おこな》いなさい」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤは、|小羊《こひつじ》および|子《こ》やぎを|民《たみ》の|人々《ひとびと》に|贈《おく》った。これは|皆《みな》その|所《ところ》にいるすべての|人《ひと》のための|過越《すぎこし》の|供《そな》え|物《もの》であって、その|数《かず》三万、また|雄牛《おうし》三千を|贈《おく》った。それらは|王《おう》の|所有《しょゆう》から|出《だ》したのである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そのつかさたちも|民《たみ》と|祭司《さいし》とレビびとに真|心《こころ》から|贈《おく》った。また|神《かみ》の|宮《みや》のつかさたちヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルも|小羊《こひつじ》と|子《こ》やぎ二千六百|頭《とう》、|牛《うし》三百|頭《とう》を|祭司《さいし》に|与《あた》えて|過越《すぎこし》の|供《そな》え|物《もの》とした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またレビびとの|長《ちょう》である|人々《ひとびと》すなわちコナニヤおよびその|兄弟《きょうだい》シマヤ、ネタンエルならびにハシャビヤ、エイエル、ヨザバデなども|小羊《こひつじ》と|子《こ》やぎ五千|頭《とう》、|牛《うし》五百|頭《とう》をレビびとに|贈《おく》って|過越《すぎこし》の|供《そな》え|物《もの》とした。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]このように|勤《つと》めのことが|備《そな》わったので、|王《おう》の|命《いのち》に|従《したが》って|祭司《さいし》たちはその|持《も》ち|場《ば》に|立《た》ち、レビびとはその|班《はん》に|従《したが》って|仕《つか》え、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]やがて|過越《すぎこし》の|小羊《こひつじ》がほふられたので、|祭司《さいし》はその|血《ち》を|受《う》け|取《と》って|注《そそ》いだ。レビびとはその|皮《かわ》をはいだ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それから|燔祭《はんさい》の|物《もの》をとり|分《わ》け、それを|民《たみ》の|人々《ひとびと》の|氏族《しぞく》の|区分《くぶん》に|従《したが》って|渡《わた》し、|主《しゅ》にささげさせた。これはモーセの|書《しょ》にしるされたとおりである。また|牛《うし》をもこのようにした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そして|定《さだ》めに|従《したが》って|過越《すぎこし》の|小羊《こひつじ》を|火《ひ》であぶり、その|他《た》の|聖《せい》なる|供《そな》え|物《もの》を|深《ふか》なべ、かま、|浅《あさ》なべなどに|煮《に》て、|急《いそ》いですべての|民《たみ》の|人々《ひとびと》にくばった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|彼《かれ》らは|自分《じぶん》のためと、|祭司《さいし》たちのために|備《そな》えをした。アロンの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》たちは、|燔祭《はんさい》と|脂肪《しぼう》をささげるのに|忙《いそが》しくて、|夜《よる》になったからである。それでレビびとは|自分《じぶん》たちのためと、アロンの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》たちのために|備《そな》えたのである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]アサフの|子孫《しそん》である|歌《うた》うたう|者《もの》たちは、ダビデ、アサフ、ヘマンおよび|王《おう》の|先見者《せんけんしゃ》エドトンの|命《いのち》に|従《したが》ってその|持《も》ち|場《ば》におり、|門衛《もんえい》たちはおのおの|門《もん》にいて、その|職務《しょくむ》を|離《はな》れるに|及《およ》ばなかった。|兄弟《きょうだい》であるレビびとが|彼《かれ》らのために|備《そな》えたからである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]このようにその|日《ひ》、|主《しゅ》の|勤《つと》めの|事《こと》がことごとく|備《そな》わったので、ヨシヤ|王《おう》の|命《いのち》に|従《したが》って|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》い、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》に|燔祭《はんさい》をささげた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ここに|来《き》ていたイスラエルの|人々《ひとびと》は、そのとき|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》い、また|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》を|行《おこな》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》サムエルの|日《ひ》からこのかた、イスラエルでこのような|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》ったことはなかった。またイスラエルの|諸王《しょおう》のうちには、ヨシヤが、|祭司《さいし》、レビびと、ならびにそこに|来《き》たユダとイスラエルのすべての|人々《ひとびと》、およびエルサレムの|住民《じゅうみん》と|共《とも》に|行《い》ったような|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》った|者《もの》はひとりもなかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]この|過越《すぎこし》の|祭《まつり》はヨシヤの|治世《ちせい》の|第《だい》十八|年《ねん》に|行《おこな》われた。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]このようにヨシヤが|宮《みや》を|整《ととの》えた|後《のち》、エジプトの|王《おう》ネコはユフラテ|川《かわ》のほとりにあるカルケミシで|戦《たたか》うために|上《のぼ》ってきたので、ヨシヤはこれを|防《ふせ》ごうと|出《で》て|行《い》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしネコは|彼《かれ》に|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》った、「ユダの|王《おう》よ、われわれはお|互《たがい》に|何《なに》のあずかるところがありますか。わたしはきょう、あなたを|攻《せ》めようとして|来《き》たのではありません。わたしの|敵《てき》の|家《いえ》を|攻《せ》めようとして|来《き》たのです。|神《かみ》がわたしに|命《めい》じて|急《いそ》がせています。わたしと|共《とも》におられる|神《かみ》に|逆《さか》らうことをやめなさい。そうしないと、|神《かみ》はあなたを|滅《ほろ》ぼされるでしょう」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしヨシヤは|引《ひ》き|返《かえ》すことを|好《この》まず、かえって|彼《かれ》と|戦《たたか》うために、|姿《すがた》を|変《か》え、|神《かみ》の|口《くち》から|出《で》たネコの|言葉《ことば》を|聞《き》きいれず、|行《い》ってメギドの|谷《たに》で|戦《たたか》ったが、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|射手《しゃしゅ》の|者《もの》どもがヨシヤを|射《い》あてたので、|王《おう》はその|家来《けらい》たちに、「わたしを|助《たす》け|出《だ》せ。わたしはひどく|傷《きず》ついた」と|言《い》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|家来《けらい》たちは|彼《かれ》を|車《くるま》から|助《たす》け|出《だ》し、|王《おう》のもっていた|第《だい》二の|車《くるま》に|乗《の》せてエルサレムにつれて|行《い》ったが、ついに|死《し》んだので、その|先祖《せんぞ》の|墓《はか》にこれを|葬《ほうむ》った。そしてユダとエルサレムは|皆《みな》ヨシヤのために|悲《かな》しんだ。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にエレミヤはヨシヤのために|哀歌《あいか》を|作《つく》った。|歌《うた》うたう|男《おとこ》、|歌《うた》うたう|女《おんな》は|今日《こんにち》に|至《いた》るまで、その|哀歌《あいか》のうちにヨシヤのことを|述《の》べ、イスラエルのうちにこれを|例《れい》とした。これは|哀歌《あいか》のうちにしるされている。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤのその|他《た》の|行為《こうい》、|主《しゅ》の|律法《りっぽう》にしるされた|所《ところ》に|従《したが》って|行《い》った|徳行《とっこう》、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]およびその|始終《しじゅう》の|行《おこな》いなどは、イスラエルとユダの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》にしるされている。 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|民《たみ》はヨシヤの|子《こ》エホアハズを|立《た》て、エルサレムでその|父《ちち》に|代《かわ》って|王《おう》とならせた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エホアハズは|王《おう》となった|時《とき》二十三|歳《さい》で、エルサレムで三|月《つき》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》めたが、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|王《おう》はエルサレムで|彼《かれ》を|廃《はい》し、かつ|銀《ぎん》百タラント、|金《きん》一タラントの|罰金《ばっきん》を|国《くに》に|課《か》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてエジプト|王《おう》は|彼《かれ》の|兄弟《きょうだい》エリアキムをユダとエルサレムの|王《おう》とし、その|名《な》をエホヤキムと|改《あらた》め、その|兄弟《きょうだい》エホアハズを|捕《とら》えてエジプトへ|引《ひ》いて|行《い》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムは|王《おう》となった|時《とき》二十五|歳《さい》で、十一|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。|彼《かれ》はその|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、バビロンの|王《おう》ネブカデネザルが|彼《かれ》の|所《ところ》に|攻《せ》め|上《のぼ》り、|彼《かれ》をバビロンに|引《ひ》いて|行《い》こうとして、かせにつないだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデネザルはまた|主《しゅ》の|宮《みや》の|器物《うつわもの》をバビロンに|運《はこ》んで|行《い》って、バビロンにあるその|宮殿《きゅうでん》にそれをおさめた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキムのその|他《た》の|行為《こうい》、その|行《い》った|憎《にく》むべき|事《こと》および|彼《かれ》がひそかに|行《い》った|事《こと》などは、イスラエルとユダの|列《れつ》|王《おう》の|書《しょ》にしるされている。その|子《こ》エホヤキンが|彼《かれ》に|代《かわ》って|王《おう》となった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキンは|王《おう》となった|時《とき》八|歳《さい》で、エルサレムで三|月《つき》と十|日《か》の|間《あいだ》、|世《よ》を|治《おさ》め、|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|年《とし》が|改《あらた》まり|春《はる》になって、ネブカデネザル|王《おう》は|人《ひと》をつかわして、|彼《かれ》を|主《しゅ》の|宮《みや》の|尊《たっと》い|器物《うつわもの》と|共《とも》にバビロンに|連《つ》れて|行《い》かせ、その|兄弟《きょうだい》ゼデキヤをユダとエルサレムの|王《おう》とした。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤは|王《おう》となった|時《とき》二十一|歳《さい》で、十一|年《ねん》の|間《あいだ》エルサレムで|世《よ》を|治《おさ》めた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|伝《つた》える|預言者《よげんしゃ》エレミヤの|前《まえ》に、|身《み》をひくくしなかった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた、|彼《かれ》に|神《かみ》をさして|誓《ちか》わせたネブカデネザル|王《おう》にもそむいた。|彼《かれ》は|強情《ごうじょう》で、その|心《こころ》をかたくなにして、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》に|立《た》ち|返《かえ》らなかった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》のかしらたちおよび|民《たみ》らもまた、すべて|異邦人《いほうじん》のもろもろの|憎《にく》むべき|行為《こうい》にならって、はなはだしく|罪《つみ》を|犯《おか》し、|主《しゅ》がエルサレムに|聖別《せいべつ》しておかれた|主《しゅ》の|宮《みや》を|汚《けが》した。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》はその|民《たみ》と、すみかをあわれむがゆえに、しきりに、その|使者《ししゃ》を|彼《かれ》らにつかわされたが、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|神《かみ》の|使者《ししゃ》たちをあざけり、その|言葉《ことば》を|軽《かろ》んじ、その|預言者《よげんしゃ》たちをののしったので、|主《しゅ》の|怒《いか》りがその|民《たみ》に|向《む》かって|起《おこ》り、ついに|救《すく》うことができないようになった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》はカルデヤびとの|王《おう》を|彼《かれ》らに|攻《せ》めこさせられたので、|彼《かれ》はその|聖所《せいじょ》の|家《いえ》でつるぎをもって|若者《わかもの》たちを|殺《ころ》し、|若者《わかもの》をも、|処女《しょじょ》をも、|老人《ろうじん》をも、しらがの|者《もの》をもあわれまなかった。|主《しゅ》は|彼《かれ》らをことごとく|彼《かれ》の|手《て》に|渡《わた》された。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|神《かみ》の|宮《みや》のもろもろの|大小《だいしょう》の|器物《うつわもの》、|主《しゅ》の|宮《みや》の|貨《か》|財《ざい》、|王《おう》とそのつかさたちの|貨《か》|財《ざい》など、すべてこれをバビロンに|携《たずさ》えて|行《い》き、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|宮《みや》を|焼《や》き、エルサレムの|城壁《じょうへき》をくずし、そのうちの|宮殿《きゅうでん》をことごとく|火《ひ》で|焼《や》き、そのうちの|尊《たっと》い|器物《うつわもの》をことごとくこわした。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたつるぎをのがれた|者《もの》どもを、バビロンに|捕《とら》えて|行《い》って、|彼《かれ》とその|子《こ》らの|家来《けらい》となし、ペルシャの|国《くに》の|興《おこ》るまで、そうして|置《お》いた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これはエレミヤの|口《くち》によって|伝《つた》えられた|主《しゅ》の|言葉《ことば》の|成就《じょうじゅ》するためであった。こうして|国《くに》はついにその|安息《あんそく》をうけた。すなわちこれはその|荒《あ》れている|間《あいだ》、|安息《あんそく》して、ついに七十|年《ねん》が|満《み》ちた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ペルシャ|王《おう》クロスの|元年《がんねん》に|当《あた》り、|主《しゅ》はエレミヤの|口《くち》によって|伝《つた》えた|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|成就《じょうじゅ》するため、ペルシャ|王《おう》クロスの|霊《れい》を|感動《かんどう》されたので、|王《おう》はあまねく|国中《くにぢゅう》にふれ|示《しめ》し、またそれを|書《か》き|示《しめ》して|言《い》った、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「ペルシャの|王《おう》クロスはこう|言《い》う、『|天《てん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|地上《ちじょう》の|国々《くにぐに》をことごとくわたしに|賜《たま》わって、|主《しゅ》の|宮《みや》をユダにあるエルサレムに|建《た》てることをわたしに|命《めい》じられた。あなたがたのうち、その|民《たみ》である|者《もの》は|皆《みな》、その|神《かみ》、|主《しゅ》の|助《たす》けを|得《え》て|上《のぼ》って|行《い》きなさい』」。 [#改ページ] エズラ記[#「エズラ記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ペルシャ|王《おう》クロスの|元年《がんねん》に、|主《しゅ》はさきにエレミヤの|口《くち》によって|伝《つた》えられた|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|成就《じょうじゅ》するため、ペルシャ|王《おう》クロスの|心《こころ》を|感動《かんどう》されたので、|王《おう》は|全国《ぜんこく》に|布告《ふこく》を|発《はっ》し、また|詔書《しょうしょ》をもって|告《つ》げて|言《い》った、  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「ペルシャ|王《おう》クロスはこのように|言《い》う、|天《てん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|地上《ちじょう》の|国々《くにぐに》をことごとくわたしに|下《くだ》さって、|主《しゅ》の|宮《みや》をユダにあるエルサレムに|建《た》てることをわたしに|命《めい》じられた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうち、その|民《たみ》である|者《もの》は|皆《みな》その|神《かみ》の|助《たす》けを|得《え》て、ユダにあるエルサレムに|上《のぼ》って|行《い》き、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|宮《みや》を|復興《ふっこう》せよ。|彼《かれ》はエルサレムにいます|神《かみ》である。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すべて|生《い》き|残《のこ》って、どこに|宿《やど》っている|者《もの》でも、その|所《ところ》の|人々《ひとびと》は|金《きん》、|銀《ぎん》、|貨《か》|財《ざい》、|家畜《かちく》をもって|助《たす》け、そのほかにまたエルサレムにある|神《かみ》の|宮《みや》のために|真心《まごころ》よりの|供《そな》え|物《もの》をささげよ」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダとベニヤミンの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》、|祭司《さいし》およびレビびとなど、すべて|神《かみ》にその|心《こころ》を|感動《かんどう》された|者《もの》は、エルサレムにある|主《しゅ》の|宮《みや》を|復興《ふっこう》するために|上《のぼ》って|行《い》こうと|立《た》ち|上《あ》がった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|周囲《しゅうい》の|人々《ひとびと》は|皆《みな》、|銀《ぎん》の|器《うつわ》、|金《きん》、|貨《か》|財《ざい》、|家畜《かちく》および|宝物《たからもの》を|与《あた》えて|彼《かれ》らを|力《ちから》づけ、そのほかにまた、もろもろの|物《もの》を|惜《お》しげなくささげた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]クロス|王《おう》はまたネブカデネザルが、さきにエルサレムから|携《たずさ》え|出《だ》して|自分《じぶん》の|神《かみ》の|宮《みや》に|納《おさ》めた|主《しゅ》の|宮《みや》の|器《うつわ》を|取《と》り|出《だ》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すなわちペルシャ|王《おう》クロスは|倉《くら》づかさミテレダテの|手《て》によってこれを|取《と》り|出《だ》して、ユダのつかさセシバザルに|数《かぞ》え|渡《わた》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|数《かず》は|次《つぎ》のとおりである。|金《きん》のたらい一千、|銀《ぎん》のたらい一千、|香炉《こうろ》二十九、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|金《きん》の|鉢《はち》三十、|銀《ぎん》の|鉢《はち》二千四百十、その|他《た》の|器《うつわ》一千、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|金銀《きんぎん》の|器《うつわ》は|合《あ》わせて五千四百六十九あったが、セシバザルは|捕囚《ほしゅう》を|連《つ》れてバビロンからエルサレムに|上《のぼ》った|時《とき》、これらのものをことごとく|携《たずさ》えて|上《のぼ》った。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデネザルに|捕《とら》えられて、バビロンに|移《うつ》された|者《もの》のうち、|捕囚《ほしゅう》をゆるされてエルサレムおよびユダに|上《のぼ》って、おのおの|自分《じぶん》の|町《まち》に|帰《かえ》ったこの|州《しゅう》の|人々《ひとびと》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはゼルバベル、エシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシャン、ミスパル、ビグワイ、レホム、バアナと|共《とも》に|帰《かえ》ってきた。  そのイスラエルの|民《たみ》の|人数《にんずう》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]パロシの|子孫《しそん》は二千百七十二|人《にん》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]シパテヤの|子孫《しそん》は三百七十二|人《にん》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アラの|子孫《しそん》は七百七十五|人《にん》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]パハテ・モアブの|子孫《しそん》すなわちエシュアとヨアブの|子孫《しそん》は二千八百十二|人《にん》、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エラムの|子孫《しそん》は一千二百五十四|人《にん》、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ザットの|子孫《しそん》は九百四十五|人《にん》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ザッカイの|子孫《しそん》は七百六十|人《にん》、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]バニの|子孫《しそん》は六百四十二|人《にん》、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ベバイの|子孫《しそん》は六百二十三|人《にん》、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アズガデの|子孫《しそん》は一千二百二十二|人《にん》、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アドニカムの|子孫《しそん》は六百六十六|人《にん》、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ビグワイの|子孫《しそん》は二千五十六|人《にん》、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]アデンの|子孫《しそん》は四百五十四|人《にん》、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アテルの|子孫《しそん》すなわちヒゼキヤの|子孫《しそん》は九十八|人《にん》、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ベザイの|子孫《しそん》は三百二十三|人《にん》、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヨラの|子孫《しそん》は百十二|人《にん》、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ハシュムの|子孫《しそん》は二百二十三|人《にん》、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ギバルの|子孫《しそん》は九十五|人《にん》、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ベツレヘムの|子孫《しそん》は百二十三|人《にん》、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ネトパの|人々《ひとびと》は五十六|人《にん》、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アナトテの|人々《ひとびと》は百二十八|人《にん》、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アズマウテの|子孫《しそん》は四十二|人《にん》、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]キリアテ・ヤリム、ケピラおよびベエロテの|子孫《しそん》は七百四十三|人《にん》、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ラマおよびゲバの|子孫《しそん》は六百二十一|人《にん》、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ミクマシの|人々《ひとびと》は百二十二|人《にん》、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ベテルおよびアイの|人々《ひとびと》は二百二十三|人《にん》、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ネボの|子孫《しそん》は五十二|人《にん》、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]マグビシの|子孫《しそん》は百五十六|人《にん》、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|他《た》のエラムの|子孫《しそん》は一千二百五十四|人《にん》、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|子孫《しそん》は三百二十|人《にん》、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ロド、ハデデおよびオノの|子孫《しそん》は七百二十五|人《にん》、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]エリコの|子孫《しそん》は三百四十五|人《にん》、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]セナアの|子孫《しそん》は三千六百三十|人《にん》。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は、エシュアの|家《いえ》のエダヤの|子孫《しそん》九百七十三|人《にん》、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]インメルの|子孫《しそん》一千五十二|人《にん》、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]パシュルの|子孫《しそん》一千二百四十七|人《にん》、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|子孫《しそん》一千十七|人《にん》。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]レビびとは、ホダヤの|子孫《しそん》すなわちエシュアとカデミエルの|子孫《しそん》七十四|人《にん》。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|歌《うた》うたう|者《もの》は、アサフの|子孫《しそん》百二十八|人《にん》。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|門衛《もんえい》の|子孫《しそん》は、シャルムの|子孫《しそん》、アテルの|子孫《しそん》、タルモンの|子孫《しそん》、アックブの|子孫《しそん》、ハテタの|子孫《しそん》、ショバイの|子孫《しそん》|合《あ》わせて百三十九|人《にん》。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちは、ヂハの|子孫《しそん》、ハスパの|子孫《しそん》、タバオテの|子孫《しそん》、[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]ケロスの|子孫《しそん》、シアハの|子孫《しそん》、パドンの|子孫《しそん》、[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]レバナの|子孫《しそん》、ハガバの|子孫《しそん》、アックブの|子孫《しそん》、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]ハガブの|子孫《しそん》、シャルマイの|子孫《しそん》、ハナンの|子孫《しそん》、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]ギデルの|子孫《しそん》、ガハルの|子孫《しそん》、レアヤの|子孫《しそん》、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]レヂンの|子孫《しそん》、ネコダの|子孫《しそん》、ガザムの|子孫《しそん》、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]ウザの|子孫《しそん》、パセアの|子孫《しそん》、ベサイの|子孫《しそん》、[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]アスナの|子孫《しそん》、メウニムの|子孫《しそん》、ネフシムの|子孫《しそん》、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]バクブクの|子孫《しそん》、ハクパの|子孫《しそん》、ハルホルの|子孫《しそん》、[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]バヅリテの|子孫《しそん》、メヒダの|子孫《しそん》、ハルシャの|子孫《しそん》、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]バルコスの|子孫《しそん》、シセラの|子孫《しそん》、テマの|子孫《しそん》、[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]ネヂアの|子孫《しそん》、ハテパの|子孫《しそん》である。  [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンのしもべたちの|子孫《しそん》は、ソタイの|子孫《しそん》、ハッソペレテの|子孫《しそん》、ペリダの|子孫《しそん》、[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]ヤアラの|子孫《しそん》、ダルコンの|子孫《しそん》、ギデルの|子孫《しそん》、[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]シパテヤの|子孫《しそん》、ハッテルの|子孫《しそん》、ポケレテ・ハッゼバイムの|子孫《しそん》、アミの|子孫《しそん》。  [#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちとソロモンのしもべたちの|子孫《しそん》とは|合《あ》わせて三百九十二|人《にん》。  [#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》にあげる|人々《ひとびと》はテル・メラ、テル・ハレサ、ケルブ、アダンおよびインメルから|上《のぼ》って|来《き》た|者《もの》であったが、|彼《かれ》らはその|氏族《しぞく》とその|血統《けっとう》とを|示《しめ》して、そのイスラエルの|者《もの》であることを|明《あき》らかにすることができなかった。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちデラヤの|子孫《しそん》、トビヤの|子孫《しそん》、ネコダの|子孫《しそん》で|合《あ》わせて六百五十二|人《にん》。[#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》の|子孫《しそん》のうちにはハバヤの|子孫《しそん》、ハッコヅの|子孫《しそん》、バルジライの|子孫《しそん》があった。バルジライはギレアデびとバルジライの|娘《むすめ》たちのうちから|妻《つま》をめとったので、その|名《な》で|呼《よ》ばれることになった。[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]これらの|者《もの》は|系譜《けいふ》に|載《の》った|者《もの》たちのうちに|自分《じぶん》の|名《な》を|尋《たず》ねたが|見《み》いだされなかったので、|汚《けが》れた|者《もの》として、|祭司《さいし》の|職《しょく》から|除《のぞ》かれた。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]|総督《そうとく》は|彼《かれ》らに|告《つ》げて、ウリムとトンミムを|身《み》につける|祭司《さいし》の|興《おこ》るまでは、いと|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べてはならないと|言《い》った。  [#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》は|合《あ》わせて四万二千三百六十|人《にん》であった。[#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]このほかに、しもべおよびはしため|合《あ》わせて七千三百三十七|人《にん》、また|歌《うた》うたう|男女《だんじょ》二百|人《にん》あった。[#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]その|馬《うま》は七百三十六|頭《とう》、その|騾馬《らば》は二百四十五|頭《とう》、[#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]そのらくだは四百三十五|頭《とう》、そのろばは六千七百二十|頭《とう》あった。  [#太字]六八[#「六八」は行右小書き][#太字終わり]|氏族《しぞく》の|長《ちょう》|数人《すうにん》はエルサレムにある|主《しゅ》の|宮《みや》の|所《ところ》にきた|時《とき》、|神《かみ》の|宮《みや》をもとの|所《ところ》に|建《た》てるために|真心《まごころ》よりの|供《そな》え|物《もの》をささげた。[#太字]六九[#「六九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、その|力《ちから》に|従《したが》って|工事《こうじ》のために|倉《くら》に|納《おさ》めたものは、|金《きん》六万一千ダリク、|銀《ぎん》五千ミナ、|祭司《さいし》の|衣服《いふく》百かさねであった。  [#太字]七〇[#「七〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》、レビびと、および|民《たみ》のある|者《もの》はエルサレムおよびその|近郊《きんこう》に|住《す》み、|歌《うた》うたう|者《もの》、|門衛《もんえい》および|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちはその|町々《まちまち》に|住《す》み、|一般《いっぱん》のイスラエルびとは|自分《じぶん》たちの|町々《まちまち》に|住《す》んだ。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]こうしてイスラエルの|人々《ひとびと》はその|町々《まちまち》に|住《す》んでいたが、七|月《がつ》になって、|民《たみ》はひとりのようにエルサレムに|集《あつ》まった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨザダクの|子《こ》エシュアとその|仲間《なかま》の|祭司《さいし》たち、およびシャルテルの|子《こ》ゼルバベルとその|兄弟《きょうだい》たちは|立《た》って、イスラエルの|神《かみ》の|祭壇《さいだん》を|築《きず》いた。これは|神《かみ》の|人《ひと》モーセの|律法《りっぽう》にしるされたところに|従《したが》って、その|上《うえ》に|燔祭《はんさい》をささげるためであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|恐《おそ》れていたので、|祭壇《さいだん》をもとの|所《ところ》に|設《もう》けた。そしてその|上《うえ》で|燔祭《はんさい》を|主《しゅ》にささげ、|朝夕《あさゆう》それをささげた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、しるされたところに|従《したが》って|仮庵《かりほ》の|祭《まつり》を|行《おこな》い、おきてに|従《したが》って、|毎日《まいにち》ささぐべき|数《かず》のとおりに、|日々《ひび》の|燔祭《はんさい》をささげた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|後《のち》は|常燔祭《じょうはんさい》、|新月《しんげつ》と|主《しゅ》のすべて|定《さだ》められた|祭《まつり》とにささげる|供《そな》え|物《もの》および|各自《かくじ》が|主《しゅ》にささげる|真心《まごころ》よりの|供《そな》え|物《もの》をささげた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち七|月《がつ》一|日《にち》から|燔祭《はんさい》を|主《しゅ》にささげることを|始《はじ》めたが、|主《しゅ》の|宮《みや》の|基礎《きそ》はまだすえられてなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|石工《いしく》と|木工《もっこう》に|金《かね》を|渡《わた》し、またシドンとツロの|人々《ひとびと》に|食《く》い|物《もの》、|飲《の》み|物《もの》および|油《あぶら》を|与《あた》えて、ペルシャ|王《おう》クロスから|得《え》た|許可《きょか》に|従《したが》って、レバノンからヨッパの|海《うみ》に|香柏《こうはく》を|運《はこ》ばせた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さてエルサレムの|神《かみ》の|宮《みや》に|帰《かえ》った|次《つぎ》の|年《ねん》の二|月《がつ》に、シャルテルの|子《こ》ゼルバベルとヨザダクの|子《こ》エシュアはその|兄弟《きょうだい》である|他《た》の|祭司《さいし》、レビびとおよび|捕囚《ほしゅう》からエルサレムに|帰《かえ》って|来《き》たすべての|人々《ひとびと》と|共《とも》に|工事《こうじ》を|始《はじ》め、二十|歳《さい》|以上《いじょう》のレビびとを|立《た》てて、|主《しゅ》の|宮《みや》の|工事《こうじ》を|監督《かんとく》させた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダの|子孫《しそん》であるエシュアとその|子《こ》らおよびその|兄弟《きょうだい》、カデミエルとその|子《こ》らは|共《とも》に|立《た》って、|神《かみ》の|宮《みや》で|工事《こうじ》をなす|者《もの》を|監督《かんとく》した。ヘナダデの|子《こ》らおよびレビびとの|子《こ》らと、その|兄弟《きょうだい》たちもまた|一緒《いっしょ》であった。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|建築者《けんちくしゃ》が|主《しゅ》の|宮《みや》の|基礎《きそ》をすえた|時《とき》、|祭司《さいし》たちは|礼服《れいふく》をつけてラッパをとり、アサフの|子《こ》らであるレビびとはシンバルをとり、イスラエルの|王《おう》ダビデの|指令《しれい》に|従《したが》って|主《しゅ》をさんびした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|互《たがい》に|歌《うた》いあって|主《しゅ》をほめ、かつ|感謝《かんしゃ》し、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》はめぐみ|深《ふか》く、 そのいつくしみは とこしえにイスラエルに|絶《た》えることがない」 [#ここで字下げ終わり] と|言《い》った。そして|民《たみ》はみな|主《しゅ》をさんびするとき、|大声《おおごえ》をあげて|叫《さけ》んだ。|主《しゅ》の|宮《みや》の|基礎《きそ》がすえられたからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|祭司《さいし》、レビびと、|氏族《しぞく》の|長《ちょう》である|多《おお》くの|人々《ひとびと》のうちに、もとの|宮《みや》を|見《み》た|老人《ろうじん》たちがあったが、|今《いま》この|宮《みや》の|基礎《きそ》のすえられるのを|見《み》た|時《とき》、|大声《おおごえ》をあげて|泣《な》いた。また|喜《よろこ》びのために|声《こえ》をあげて|叫《さけ》ぶ|者《もの》も|多《おお》かった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それで、|人々《ひとびと》は|民《たみ》の|喜《よろこ》び|叫《さけ》ぶ|声《こえ》と、|民《たみ》の|泣《な》く|声《こえ》とを|聞《き》きわけることができなかった。|民《たみ》が|大声《おおごえ》に|叫《さけ》んだので、その|声《こえ》が|遠《とお》くまで|聞《きこ》えたからである。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダとベニヤミンの|敵《てき》である|者《もの》たちは|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》ってきた|人々《ひとびと》が、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|神殿《しんでん》を|建《た》てていることを|聞《き》き、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ゼルバベルと|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちのもとに|来《き》て|言《い》った、「われわれも、あなたがたと|一緒《いっしょ》にこれを|建《た》てさせてください。われわれはあなたがたと|同《おな》じく、あなたがたの|神《かみ》を|礼拝《れいはい》します。アッスリヤの|王《おう》エサル・ハドンがわれわれをここにつれて|来《き》た|日《ひ》からこのかた、われわれは|彼《かれ》に|犠牲《ぎせい》をささげてきました」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしゼルバベル、エシュアおよびその|他《た》のイスラエルの|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちは、|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは、われわれの|神《かみ》に|宮《みや》を|建《た》てることにあずかってはなりません。ペルシャの|王《おう》クロス|王《おう》がわれわれに|命《めい》じたように、われわれだけで、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》のために|建《た》てるのです」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|地《ち》の|民《たみ》はユダの|民《たみ》の|手《て》を|弱《よわ》らせて、その|建築《けんちく》を|妨《さまた》げ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|企《くわだ》てを|破《やぶ》るために|役人《やくにん》を|買収《ばいしゅう》して|彼《かれ》らに|敵《てき》せしめ、ペルシャ|王《おう》クロスの|代《よ》からペルシャ|王《おう》ダリヨスの|治世《ちせい》にまで|及《およ》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アハスエロスの|治世《ちせい》、すなわちその|治世《ちせい》の|初《はじ》めに、|彼《かれ》らはユダとエルサレムの|住民《じゅうみん》を|訴《うった》える|告訴《こくそ》|状《じょう》を|書《か》いた。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またアルタシャスタの|世《よ》にビシラム、ミテレダテ、タビエルおよびその|他《た》の|同僚《どうりょう》も、ペルシャ|王《おう》アルタシャスタに|手紙《てがみ》を|書《か》いた。その|手紙《てがみ》の|文《ぶん》はアラム|語《ご》で|書《か》かれて|訳《やく》されていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|長官《ちょうかん》レホムと|書記官《しょきかん》シムシャイはアルタシャスタ|王《おう》にエルサレムを|訴《うった》えて|次《つぎ》のような|手紙《てがみ》をしたためた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|長官《ちょうかん》レホムと|書記官《しょきかん》シムシャイおよびその|他《た》の|同僚《どうりょう》、すなわち|裁判官《さいばんかん》、|知事《ちじ》、|役人《やくにん》、ペルシャ|人《ひと》、エレクの|人々《ひとびと》、バビロン|人《ひと》、スサの|人々《ひとびと》すなわちエラムびと、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]およびその|他《た》の|民《たみ》すなわち|大《おお》いなる|尊《たっと》いオスナパルが、|移《うつ》してサマリヤの|町々《まちまち》および|川《かわ》|向《む》こうのその|他《た》の|地《ち》に|住《す》ませた|者《もの》どもが、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|送《おく》った|手紙《てがみ》の|写《うつ》しはこれである。――「アルタシャスタ|王《おう》へ、|川《かわ》|向《む》こうのあなたのしもべども、あいさつを|申《もう》し|上《あ》げます。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、ご|承知《しょうち》ください。あなたのもとから、わたしたちの|所《ところ》に|上《のぼ》って|来《き》たユダヤ|人《ひと》らはエルサレムに|来《き》て、かのそむいた|悪《わる》い|町《まち》を|建《た》て|直《なお》し、その|城壁《じょうへき》を|築《きず》きあげ、その|基礎《きそ》をつくろっています。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、いまご|承知《しょうち》ください。もしこの|町《まち》を|建《た》て、|城壁《じょうへき》を|築《きず》きあげるならば、|彼《かれ》らはみつぎ、|関税《かんぜい》、|税金《ぜいきん》を|納《おさ》めなくなります。そうすれば|王《おう》の|収入《しゅうにゅう》が|減《へ》るでしょう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|王宮《おうきゅう》の|塩《しお》をはむ|者《もの》ですから、|王《おう》の|不名誉《ふめいよ》を|見《み》るに|忍《しの》びないので、|人《ひと》をつかわして|王《おう》にお|聞《き》かせするのです。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|歴代《れきだい》の|記録《きろく》をお|調《しら》べください。その|記録《きろく》の|書《しょ》において、この|町《まち》はそむいた|町《まち》で、|諸王《しょおう》と|諸《しょ》|州《しゅう》に|害《がい》を|及《およ》ぼしたものであることを|見《み》、その|中《なか》に|古来《こらい》、むほんの|行《おこな》われたことを|知《し》られるでしょう。この|町《まち》が|滅《ほろ》ぼされたのはこれがためなのです。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|王《おう》にお|知《おし》らせいたします。もしこの|町《まち》が|建《た》てられ、|城壁《じょうへき》が|築《きず》きあげられたなら、|王《おう》は|川《かわ》|向《む》こうの|領地《りょうち》を|失《うしな》うに|至《いた》るでしょう」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|返書《へんしょ》を|送《おく》って|言《い》った、「|長官《ちょうかん》レホム、|書記官《しょきかん》シムシャイ、その|他《た》サマリヤおよび|川《かわ》|向《む》こうのほかの|所《ところ》に|住《す》んでいる|同僚《どうりょう》に、あいさつをする。いま、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがわれわれに|送《おく》った|手紙《てがみ》を、わたしの|前《まえ》に|明《あき》らかに|読《よ》ませた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|命令《めいれい》を|下《くだ》して|調査《ちょうさ》させたところ、この|町《まち》は|古来《こらい》、|諸王《しょおう》にそむいた|事《こと》、その|中《なか》に|反乱《はんらん》、むほんのあったことを|見《み》いだした。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またエルサレムには|大《おお》いなる|王《おう》たちがあって、|川《かわ》|向《む》こうの|地《ち》をことごとく|治《おさ》め、みつぎ、|関税《かんぜい》、|税金《ぜいきん》を|納《おさ》めさせたこともあった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それであなたがたは|命令《めいれい》を|伝《つた》えて、その|人々《ひとびと》をとどめ、わたしの|命令《めいれい》の|下《くだ》るまで、この|町《まち》を|建《た》てさせてはならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|慎《つつし》んでこのことについて|怠《おこた》ることのないようにしなさい。どうして|損害《そんがい》を|増《ま》して、|王《おう》に|害《がい》を|及《およ》ぼしてよかろうか」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]アルタシャスタ|王《おう》の|手紙《てがみ》の|写《うつ》しがレホムおよび|書記官《しょきかん》シムシャイとその|同僚《どうりょう》の|前《まえ》に|読《よ》み|上《あ》げられたので、|彼《かれ》らは|急《いそ》いでエルサレムのユダヤ|人《ひと》のもとにおもむき、|腕力《わんりょく》と|権力《けんりょく》とをもって|彼《かれ》らをやめさせた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それでエルサレムにある|神《かみ》の|宮《みや》の|工事《こうじ》は|中止《ちゅうし》された。すなわちペルシャ|王《おう》ダリヨスの|治世《ちせい》の二|年《ねん》まで|中止《ちゅうし》された。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて|預言者《よげんしゃ》ハガイおよびイドの|子《こ》ゼカリヤのふたりの|預言者《よげんしゃ》は、ユダとエルサレムにいるユダヤ|人《ひと》に|向《む》かって、|彼《かれ》らの|上《うえ》にいますイスラエルの|神《かみ》の|名《な》によって|預言《よげん》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでシャルテルの|子《こ》ゼルバベルおよびヨザダクの|子《こ》エシュアは|立《た》ちあがって、エルサレムにある|神《かみ》の|宮《みや》を|建《た》て|始《はじ》めた。|神《かみ》の|預言者《よげんしゃ》たちも、|彼《かれ》らと|共《とも》にいて|彼《かれ》らを|助《たす》けた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》タテナイおよびセタル・ボズナイとその|同僚《どうりょう》は|彼《かれ》らの|所《ところ》に|来《き》てこう|言《い》った、「だれがあなたがたにこの|宮《みや》を|建《た》て、この|城壁《じょうへき》を|築《きず》きあげることを|命《めい》じたのか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また「この|建物《たてもの》を|建《た》てている|人々《ひとびと》の|名《な》はなんというのか」と|尋《たず》ねた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしユダヤ|人《ひと》の|長老《ちょうろう》たちの|上《うえ》には、|神《かみ》の|目《め》が|注《そそ》がれていたので、|彼《かれ》らはこれをやめさせることができず、その|事《こと》をダリヨスに|奏《そう》して、その|返答《へんとう》の|来《く》るのを|待《ま》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》タテナイおよびセタル・ボズナイとその|同僚《どうりょう》である|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》たちが、ダリヨス|王《おう》に|送《おく》った|手紙《てがみ》の|写《うつ》しは|次《つぎ》のとおりである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|彼《かれ》らが|王《おう》に|送《おく》った|手紙《てがみ》には、|次《つぎ》のようにしるされてあった。「|願《ねが》わくはダリヨス|王《おう》に|全《まった》き|平安《へいあん》があるように。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》に|次《つぎ》のことをお|知《おし》らせいたします。すなわち、われわれがユダヤ|州《しゅう》へ|行《い》き、かの|大《おお》いなる|神《かみ》の|宮《みや》へ|行《い》って|見《み》たところ、それは|大《おお》きな|石《いし》をもって|建《た》てられ、|材木《ざいもく》を|組《く》んで|壁《かべ》をつくり、その|工事《こうじ》は|勤勉《きんべん》に|行《おこな》われ、|彼《かれ》らの|手《て》によって|大《おお》いにはかどっています。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでわれわれはその|長老《ちょうろう》たちに|尋《たず》ねてこう|言《い》いました、『だれがあなたがたにこの|宮《みや》を|建《た》て、この|城壁《じょうへき》を|築《きず》きあげることを|命《めい》じたのか』と。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれはまた|彼《かれ》らのかしらたる|人々《ひとびと》の|名《な》を|書《か》きしるして、あなたにお|知《おし》らせするために、その|名《な》を|尋《たず》ねました。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すると、|彼《かれ》らはわれわれに|答《こた》えてこう|言《い》いました、『われわれは|天地《てんち》の|神《かみ》のしもべであって、|年《とし》|久《ひさ》しい|昔《むかし》に|建《た》てられた|宮《みや》を、|再《ふたた》び|建《た》てるのです。これはもと、イスラエルの|大《おお》いなる|王《おう》の|建《た》てあげたものですが、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|先祖《せんぞ》たちが、|天《てん》の|神《かみ》の|怒《いか》りを|引《ひ》き|起《おこ》したため、|神《かみ》は|彼《かれ》らを、カルデヤびとバビロンの|王《おう》ネブカデネザルの|手《て》に|渡《わた》されたので、|彼《かれ》はこの|宮《みや》をこわし、|民《たみ》をバビロンに|捕《とら》えて|行《い》きました。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ところがバビロンの|王《おう》クロスの|元年《がんねん》に、クロス|王《おう》は|神《かみ》のこの|宮《みや》を|再《ふたた》び|建《た》てることの|命令《めいれい》を|下《くだ》されました。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またクロス|王《おう》は|先《さき》にネブカデネザルが、エルサレムの|宮《みや》からバビロンの|神殿《しんでん》に|移《うつ》した|神《かみ》の|宮《みや》の|金銀《きんぎん》の|器《うつわ》を、バビロンの|神殿《しんでん》から|取《と》り|出《だ》して、|彼《かれ》が|総督《そうとく》に|任《にん》じたセシバザルという|名《な》の|者《もの》に|渡《わた》して、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》われました、「これらの|器《うつわ》を|携《たずさ》えて|行《い》って、エルサレムにある|宮《みや》に|納《おさ》め、|神《かみ》の|宮《みや》をもとの|所《ところ》に|建《た》てよ」と。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでこのセシバザルは|来《き》てエルサレムにある|神《かみ》の|宮《みや》の|基礎《きそ》をすえました。その|時《とき》から|今《いま》に|至《いた》るまで、|建築《けんちく》を|続《つづ》けていますが、まだ|完成《かんせい》しないのです』と。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》、もし|王《おう》がよしと|見《み》られるならば、バビロンにある|王《おう》の|宝庫《ほうこ》を|調《しら》べて、エルサレムの|神《かみ》のこの|宮《みや》を|建《た》てることの|命令《めいれい》が、はたしてクロス|王《おう》から|出《で》ているかどうかを|確《たし》かめ、この|事《こと》についての|王《おう》のお|考《かんが》えをわれわれに|伝《つた》えてください」。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでダリヨス|王《おう》は|命《めい》を|下《くだ》して、バビロンのうちで、|古文書《こもんじょ》をおさめてある|書庫《しょこ》を|調《しら》べさせたところ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]メデヤ|州《しゅう》の|都《みやこ》エクバタナで、一つの|巻物《まきもの》を|見《み》いだした。そのうちにこうしるされてある。  「|記録《きろく》。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]クロス|王《おう》の|元年《がんねん》にクロス|王《おう》は|命《めい》を|下《くだ》した、『エルサレムにある|神《かみ》の|宮《みや》については、|犠牲《ぎせい》をささげ、|燔祭《はんさい》を|供《そな》える|所《ところ》の|宮《みや》を|建《た》て、その|宮《みや》の|高《たか》さを六十キュビトにし、その|幅《はば》を六十キュビトにせよ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いなる|石《いし》の|層《そう》を三|段《だん》にし、|木《き》の|層《そう》を一|段《だん》にせよ。その|費用《ひよう》は|王《おう》の|家《いえ》から|与《あた》えられる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またネブカデネザルが、エルサレムの|宮《みや》からバビロンに|移《うつ》した|神《かみ》の|宮《みや》の|金銀《きんぎん》の|器物《うつわもの》は、これをかえして、エルサレムにある|宮《みや》のもとの|所《ところ》に|持《も》って|行《い》き、これを|神《かみ》の|宮《みや》に|納《おさ》めよ』」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「それで|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》タテナイおよびセタル・ボズナイとその|同僚《どうりょう》である|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》たちよ、あなたがたはこれに|遠《とお》ざかり、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》のこの|宮《みや》の|工事《こうじ》を|彼《かれ》らに|任《まか》せ、ユダヤ|人《ひと》の|知事《ちじ》とユダヤ|人《ひと》の|長老《ちょうろう》たちに、|神《かみ》のこの|宮《みや》をもとの|所《ところ》に|建《た》てさせよ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|命《めい》を|下《くだ》し、|神《かみ》のこの|宮《みや》を|建《た》てることについて、あなたがたがこれらのユダヤ|人《ひと》の|長老《ちょうろう》たちになすべき|事《こと》を|示《しめ》す。|王《おう》の|財産《ざいさん》、すなわち|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》から|納《おさ》めるみつぎの|中《なか》から、その|費用《ひよう》をじゅうぶんそれらの|人々《ひとびと》に|与《あた》えて、その|工事《こうじ》を|滞《とどこお》らないようにせよ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またその|必要《ひつよう》とするもの、すなわち|天《てん》の|神《かみ》にささげる|燔祭《はんさい》の|子《こ》|牛《うし》、|雄羊《おひつじ》および|小羊《こひつじ》ならびに|麦《むぎ》、|塩《しお》、|酒《さけ》、|油《あぶら》などエルサレムにいる|祭司《さいし》たちの|求《もと》めにしたがって、|日々《ひび》|怠《おこた》りなく|彼《かれ》らに|与《あた》え、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らにこうばしい|犠牲《ぎせい》を|天《てん》の|神《かみ》にささげさせ、|王《おう》と|王子《おうじ》たちの|長寿《ちょうじゅ》を|祈《いの》らせよ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|命《めい》を|下《くだ》す。だれでもこの|命《めい》ずる|所《ところ》を|改《あらた》める|者《もの》があるならば、その|家《いえ》の|梁《はり》は|抜《ぬ》き|取《と》られ、|彼《かれ》はその|上《うえ》にくぎづけにされ、その|家《いえ》はまた、これがために|汚物《おぶつ》の|山《やま》とされるであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これを|改《あらた》めようとする|者《もの》、あるいはエルサレムにある|神《かみ》のこの|宮《みや》を|滅《ほろ》ぼそうとして|手《て》を|出《だ》す|王《おう》あるいは|民《たみ》は、かしこにその|名《な》をとどめられる|神《かみ》よ、|願《ねが》わくはこれを|倒《たお》されるように。われダリヨスは|命《めい》を|下《くだ》す。|心《こころ》してこれを|行《おこな》え」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨス|王《おう》がこう|言《い》い|送《おく》ったので、|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》タテナイおよびセタル・ボズナイとその|同僚《どうりょう》たちは|心《こころ》してこれを|行《おこな》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてユダヤ|人《ひと》の|長老《ちょうろう》たちは、|預言者《よげんしゃ》ハガイおよびイドの|子《こ》ゼカリヤの|預言《よげん》によって|建《た》て、これをなし|遂《と》げた。|彼《かれ》らはイスラエルの|神《かみ》の|命令《めいれい》により、またクロス、ダリヨスおよびペルシャ|王《おう》アルタシャスタの|命《めい》によって、これを|建《た》て|終《おわ》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]この|宮《みや》はダリヨス|王《おう》の|治世《ちせい》の六|年《ねん》アダルの|月《つき》の三|日《か》に|完成《かんせい》した。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでイスラエルの|人々《ひとびと》、|祭司《さいし》たち、レビびとおよびその|他《た》の|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》った|人々《ひとびと》は、|喜《よろこ》んで|神《かみ》のこの|宮《みや》の|奉献《ほうけん》|式《しき》を|行《おこな》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|神《かみ》のこの|宮《みや》の|奉献《ほうけん》|式《しき》において、|雄牛《おうし》一百|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》二百|頭《とう》、|小羊《こひつじ》四百|頭《とう》をささげ、またイスラエルの|部族《ぶぞく》の|数《かず》にしたがって、|雄《お》やぎ十二|頭《とう》をささげて、すべてのイスラエルびとのための|罪祭《ざいさい》とした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またモーセの|書《しょ》にしるされてあるように|祭司《さいし》を|組《くみ》|別《べつ》により、レビびとを|班《はん》|別《べつ》によって|立《た》て、エルサレムで|神《かみ》に|仕《つか》えさせた。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》って|来《き》た|人々《ひとびと》は、|正月《しょうがつ》の十四|日《か》に|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|行《おこな》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|祭司《さいし》、レビびとたちは|共《とも》に|身《み》を|清《きよ》めて|皆《みな》|清《きよ》くなり、すべて|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》って|来《き》た|人々《ひとびと》のため、その|兄弟《きょうだい》である|祭司《さいし》たちのため、また|彼《かれ》ら|自身《じしん》のために|過越《すぎこし》の|小羊《こひつじ》をほふった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》って|来《き》たイスラエルの|人々《ひとびと》、およびその|地《ち》の|異邦人《いほうじん》の|汚《けが》れを|捨《す》てて|彼《かれ》らに|連《つら》なり、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》を|拝《はい》しようとする|者《もの》はすべてこれを|食《た》べ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|喜《よろこ》んで|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|種《たね》|入《い》れぬパンの|祭《まつり》を|行《おこな》った。これは|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|喜《よろこ》ばせ、またアッスリヤの|王《おう》の|心《こころ》を|彼《かれ》らに|向《む》かわせ、|彼《かれ》にイスラエルの|神《かみ》にいます|神《かみ》の|宮《みや》の|工事《こうじ》を|助《たす》けさせられたからである。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》ペルシャ|王《おう》アルタシャスタの|治世《ちせい》にエズラという|者《もの》があった。エズラはセラヤの|子《こ》、セラヤはアザリヤの|子《こ》、アザリヤはヒルキヤの|子《こ》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヒルキヤはシャルムの|子《こ》、シャルムはザドクの|子《こ》、ザドクはアヒトブの|子《こ》、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アヒトブはアマリヤの|子《こ》、アマリヤはアザリヤの|子《こ》、アザリヤはメラヨテの|子《こ》、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]メラヨテはゼラヒヤの|子《こ》、ゼラヒヤはウジの|子《こ》、ウジはブッキの|子《こ》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ブッキはアビシュアの|子《こ》、アビシュアはピネハスの|子《こ》、ピネハスはエレアザルの|子《こ》、エレアザルは|祭司《さいし》|長《ちょう》アロンの|子《こ》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このエズラはバビロンから|上《のぼ》って|来《き》た。|彼《かれ》はイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》がお|授《さづ》けになったモーセの|律法《りっぽう》に|精通《せいつう》した|学者《がくしゃ》であった。その|神《かみ》、|主《しゅ》の|手《て》が|彼《かれ》の|上《うえ》にあったので、その|求《もと》めることを|王《おう》はことごとく|許《ゆる》した。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アルタシャスタ|王《おう》の七|年《ねん》にまたイスラエルの|人々《ひとびと》および|祭司《さいし》、レビびと、|歌《うた》うたう|者《もの》、|門衛《もんえい》、|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべなどエルサレムに|上《のぼ》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》の七|年《ねん》の五|月《がつ》にエズラはエルサレムに|来《き》た。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|正月《しょうがつ》の一|日《にち》にバビロンを|出立《しゅったつ》して、五|月《がつ》一|日《にち》にエルサレムに|着《つ》いた。その|神《かみ》の|恵《めぐ》みの|手《て》が|彼《かれ》の|上《うえ》にあったからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エズラは|心《こころ》をこめて|主《しゅ》の|律法《りっぽう》を|調《しら》べ、これを|行《おこな》い、かつイスラエルのうちに|定《さだ》めとおきてとを|教《おし》えた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|戒《いまし》めの|言葉《ことば》、およびイスラエルに|賜《たま》わった|定《さだ》めに|通《つう》じた|学者《がくしゃ》で、|祭司《さいし》であるエズラにアルタシャスタ|王《おう》の|与《あた》えた|手紙《てがみ》の|写《うつ》しは、|次《つぎ》のとおりである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「|諸王《しょおう》の|王《おう》アルタシャスタ、|天《てん》の|神《かみ》の|律法《りっぽう》の|学者《がくしゃ》である|祭司《さいし》エズラに|送《おく》る。|今《いま》、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|命《めい》を|下《くだ》す。わが|国《くに》のうちにいるイスラエルの|民《たみ》およびその|祭司《さいし》、レビびとのうち、すべてエルサレムへ|行《い》こうと|望《のぞ》む|者《もの》は|皆《みな》、あなたと|共《とも》に|行《い》くことができる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|自分《じぶん》の|手《て》にあるあなたの|神《かみ》の|律法《りっぽう》に|照《てら》して、ユダとエルサレムの|事情《じじょう》を|調《しら》べるために、|王《おう》および七|人《にん》の|議《ぎ》|官《かん》によってつかわされるのである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]かつあなたは|王《おう》およびその|議《ぎ》|官《かん》らが、エルサレムにいますイスラエルの|神《かみ》に|真心《まごころ》からささげる|銀《ぎん》と|金《きん》を|携《たずさ》え、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またバビロン|全《ぜん》|州《しゅう》であなたが|獲《え》るすべての|金銀《きんぎん》、および|民《たみ》と|祭司《さいし》とが、エルサレムにあるその|神《かみ》の|宮《みや》のために、|真心《まごころ》からささげた|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えて|行《い》く。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それであなたはその|金《かね》をもって|雄牛《おうし》、|雄羊《おひつじ》、|小羊《こひつじ》およびその|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》の|品々《しなじな》を|気《き》をつけて|買《か》い、エルサレムにあるあなたがたの|神《かみ》の|宮《みや》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に、これをささげなければならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたとあなたの|兄弟《きょうだい》たちが、その|余《あま》った|金銀《きんぎん》でしようと|思《おも》うよい|事《こと》があるならば、あなたがたの|神《かみ》のみ|旨《むね》に|従《したが》ってそれを|行《おこな》え。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|神《かみ》の|宮《みや》の|勤《つと》め|事《こと》のためにあなたが|与《あた》えられた|器《うつわ》は、エルサレムの|神《かみ》の|前《まえ》に|納《おさ》めよ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そのほかあなたの|神《かみ》の|宮《みや》のために|用《もち》うべき|必要《ひつよう》なものがあれば、それを|王《おう》の|倉《くら》から|出《だ》して|用《もち》いよ。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]われ、アルタシャスタ|王《おう》は|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》のすべての|倉《くら》づかさに|命《めい》を|下《くだ》して|言《い》う、『|天《てん》の|神《かみ》の|律法《りっぽう》の|学者《がくしゃ》である|祭司《さいし》エズラがあなたがたに|求《もと》める|事《こと》は、すべてこれを|心《こころ》して|行《おこな》え。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|銀《ぎん》は百タラントまで、|小麦《こむぎ》は百コルまで、ぶどう|酒《しゅ》は百バテまで、|油《あぶら》は百バテまで、|塩《しお》は|制限《せいげん》なく|与《あた》えよ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|神《かみ》の|宮《みや》のために、|天《てん》の|神《かみ》の|命《めい》じるところは、すべて|正《ただ》しくこれを|行《おこな》え。そうしないと|神《かみ》の|怒《いか》りが、|王《おう》と|王《おう》の|子《こ》らの|国《くに》に|臨《のぞ》むであろう』。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]われわれは、またあなたがたに|告《つ》げる、『|祭司《さいし》、レビびと、|歌《うた》うたう|者《もの》、|門衛《もんえい》、|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべ、および|神《かみ》のこの|宮《みや》の|仕《つか》えびとたちには、みつぎ、|租税《そぜい》、|税金《ぜいきん》を|課《か》してはならぬ』。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]エズラよ、あなたはあなたの|手《て》にある|神《かみ》の|知恵《ちえ》によって、つかさおよび|裁判人《さいばんにん》を|立《た》て、|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》のすべての|民《たみ》、すなわちあなたの|神《かみ》の|律法《りっぽう》を|知《し》っている|者《もの》たちを、ことごとくさばかせよ。あなたがたはまたこれを|知《し》らない|者《もの》を|教《おし》えよ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》の|律法《りっぽう》および|王《おう》の|律法《りっぽう》を|守《まも》らない|者《もの》を、きびしくその|罪《つみ》に|定《さだ》めて、あるいは|死刑《しけい》に、あるいは|追放《ついほう》に、あるいは|財産《ざいさん》|没収《ぼっしゅう》に、あるいは|投獄《とうごく》に|処《しょ》せよ」。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。|主《しゅ》はこのように、|王《おう》の|心《こころ》に、エルサレムにある|主《しゅ》の|宮《みや》を|飾《かざ》る|心《こころ》を|起《おこ》させ、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》の|前《まえ》と、その|議《ぎ》|官《かん》の|前《まえ》と|王《おう》の|大臣《だいじん》の|前《まえ》で、わたしに|恵《めぐ》みを|得《え》させられた。わたしはわが|神《かみ》、|主《しゅ》の|手《て》がわたしの|上《うえ》にあるので|力《ちから》を|得《え》、イスラエルのうちから|首領《しゅりょう》たる|人々《ひとびと》を|集《あつ》めて、わたしと|共《とも》に|上《のぼ》らせた。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アルタシャスタ|王《おう》の|治世《ちせい》に、バビロンからわたしと|一緒《いっしょ》に|上《のぼ》って|来《き》た|者《もの》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》、およびその|系譜《けいふ》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ピネハスの|子孫《しそん》のうちではゲルショム。イタマルの|子孫《しそん》のうちではダニエル。ダビデの|子孫《しそん》のうちではシカニヤの|子《こ》ハットシ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]パロシの|子孫《しそん》のうちではゼカリヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》に|系譜《けいふ》に|載《の》せられた|男《おとこ》百五十|人《にん》。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]パハテ・モアブの|子孫《しそん》のうちではゼラヒヤの|子《こ》エリヨエナイおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》二百|人《にん》。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ザッツの|子孫《しそん》のうちではヤハジエルの|子《こ》シカニヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》三百|人《にん》。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アデンの|子孫《しそん》のうちではヨナタンの|子《こ》エベデおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》五十|人《にん》。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エラムの|子孫《しそん》のうちではアタリヤの|子《こ》エサヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》七十|人《にん》。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]シパテヤの|子孫《しそん》のうちではミカエルの|子《こ》ゼバデヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》八十|人《にん》。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨアブの|子孫《しそん》のうちではエヒエルの|子《こ》オバデヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》二百十八|人《にん》。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]バニの|子孫《しそん》のうちではヨシピアの|子《こ》シロミテおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》百六十|人《にん》。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ベバイの|子孫《しそん》のうちではベバイの|子《こ》ゼカリヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》二十八|人《にん》。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アズガデの|子孫《しそん》のうちではハッカタンの|子《こ》ヨハナンおよび|彼《かれ》と|共《とも》にある|男《おとこ》百十|人《にん》。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アドニカムの|子孫《しそん》のうちでは|後《のち》に|来《き》た|者《もの》どもで、その|名《な》はエリペレテ、ユエル、シマヤおよび|彼《かれ》らと|共《とも》にある|男《おとこ》六十|人《にん》。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ビグワイの|子孫《しそん》のうちではウタイとザックルおよび|彼《かれ》らと|共《とも》にある|男《おとこ》七十|人《にん》である。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らをアハワに|流《なが》れる|川《かわ》のほとりに|集《あつ》めて、そこに|三日《みっか》のあいだ|露営《ろえい》した。わたしは|民《たみ》と|祭司《さいし》とを|調《しら》べたが、そこにはレビの|子孫《しそん》はひとりもいなかったので、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》をつかわしてエリエゼル、アリエル、シマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシュラムという|首《くび》|長《ちょう》たる|人々《ひとびと》を|招《まね》き、またヨヤリブ、およびエルナタンのような|見識《けんしき》のある|人々《ひとびと》を|招《まね》いた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしはカシピアという|所《ところ》の|首長《しゅちょう》イドのもとに|彼《かれ》らをつかわし、カシピアという|所《ところ》にいるイドと、その|兄弟《きょうだい》である|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちに|告《つ》ぐべき|言葉《ことば》を、|彼《かれ》らに|授《さづ》け、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》のために、|仕《つか》え|人《ひと》をわれわれに|連《つ》れて|来《こ》いと|言《い》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》がよくわれわれを|助《たす》けられたので、|彼《かれ》らはイスラエルの|子《こ》、レビの|子《こ》、マヘリの|子孫《しそん》のうちの|思慮《しりょ》|深《ふか》い|人《ひと》、すなわちセレビヤおよびその|子《こ》らとその|兄弟《きょうだい》たち十八|人《にん》を、われわれに|連《つ》れて|来《き》、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またハシャビヤおよび|彼《かれ》と|共《とも》に、メラリの|子孫《しそん》のエサヤとその|兄弟《きょうだい》およびその|子《こ》ら二十|人《にん》、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]および|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべ、すなわちダビデとそのつかさたちが、レビびとに|仕《つか》えさせるために|選《えら》んだ|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべ二百二十|人《にん》を|連《つ》れてきた。これらの|者《もの》は|皆《みな》その|名《な》を|言《い》って|記録《きろく》された。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは、かしこのアハワ|川《かわ》のほとりで|断食《だんじき》を|布告《ふこく》し、われわれの|神《かみ》の|前《まえ》で|身《み》をひくくし、われわれと、われわれの|幼《おさな》き|者《もの》と、われわれのすべての|貨《か》|財《ざい》のために、|正《ただ》しい|道《みち》を|示《しめ》されるように|神《かみ》に|求《もと》めた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これは、われわれがさきに|王《おう》に|告《つ》げて、「われわれの|神《かみ》の|手《て》は、|神《かみ》を|求《もと》めるすべての|者《もの》の|上《うえ》にやさしく|下《くだ》り、その|威力《いりょく》と|怒《いか》りとはすべて|神《かみ》を|捨《す》てる|者《もの》の|上《うえ》に|下《くだ》る」と|言《い》ったので、わたしは|道中《どうちゅう》の|敵《てき》に|対《たい》して、われわれを|守《まも》るべき|歩兵《ほへい》と|騎兵《きへい》とを、|王《おう》に|頼《たの》むことを|恥《は》じたからである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこでわれわれは|断食《だんじき》して、このことをわれわれの|神《かみ》に|求《もと》めたところ、|神《かみ》はその|願《ねが》いを|聞《き》きいれられた。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはおもだった|祭司《さいし》十二|人《にん》すなわちセレビヤ、ハシャビヤおよびその|兄弟《きょうだい》十|人《にん》を|選《えら》び、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|金銀《きんぎん》および|器物《うつわもの》、すなわち|王《おう》と、その|議《ぎ》|官《かん》と、その|諸侯《しょこう》およびすべて|在留《ざいりゅう》のイスラエルびとが、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》のためにささげた|奉納物《ほうのうぶつ》を|量《はか》って|彼《かれ》らに|渡《わた》した。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|量《はか》って|彼《かれ》らの|手《て》に|渡《わた》したものは、|銀《ぎん》六百五十タラント、|銀《ぎん》の|器《うつわ》百タラント、|金《きん》百タラントであった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|金《きん》の|大杯《おおさかずき》が二十あって、一千ダリクに|当《あた》る。また|光《ひか》り|輝《かがや》く|青銅《せいどう》の|器《うつわ》二|個《こ》あって、その|尊《たっと》いこと|金《きん》のようである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは|主《しゅ》に|聖別《せいべつ》された|者《もの》である。この|器物《うつわもの》も|聖《せい》である。またこの|金銀《きんぎん》は、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》にささげた|真心《まごころ》よりの|供《そな》え|物《もの》である。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはエルサレムで、|主《しゅ》の|宮《みや》のへやの|中《なか》で、|祭司《さいし》|長《ちょう》、レビびとおよびイスラエルの|氏族《しぞく》のかしらたちの|前《まえ》で、これを|量《はか》るまで、|見張《みは》り、かつ|守《まも》りなさい」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|祭司《さいし》およびレビびとたちは、その|金銀《きんぎん》および|器物《うつわもの》を、エルサレムにあるわれわれの|神《かみ》の|宮《みや》に|携《たずさ》えて|行《い》くため、その|重《おも》さのものを|受《う》け|取《と》った。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|正月《しょうがつ》の十二|日《にち》に、アハワ|川《がわ》を|出立《しゅったつ》してエルサレムに|向《む》かったが、われわれの|神《かみ》の|手《て》は、われわれの|上《うえ》にあって、|敵《てき》の|手《て》および|道《みち》に|待《ま》ち|伏《ぶ》せする|者《もの》の|手《て》から、われわれを|救《すく》われた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]われわれはエルサレムに|着《つ》いて、三|日《か》そこにいたが、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]四|日《か》|目《め》にわれわれの|神《かみ》の|宮《みや》の|内《うち》で、その|金銀《きんぎん》および|器物《うつわもの》を、ウリヤの|子《こ》|祭司《さいし》メレモテの|手《て》に|量《はか》って|渡《わた》した。ピネハスの|子《こ》エレアザルが|彼《かれ》と|共《とも》にいた。またエシュアの|子《こ》ヨザバデ、およびビンヌイの|子《こ》ノアデヤのふたりのレビびとも、|彼《かれ》らと|共《とも》にいた。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちそのすべての|数《かず》と|重《おも》さとを|調《しら》べ、その|重《おも》さは|皆《みな》|書《か》きとめられた。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|捕囚《ほしゅう》の|人々《ひとびと》で|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》って|来《き》た|者《もの》は、イスラエルの|神《かみ》に|燔祭《はんさい》をささげた。すなわちイスラエル|全体《ぜんたい》のために|雄牛《おうし》十二|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》九十六|頭《とう》、|小羊《こひつじ》七十七|頭《とう》をささげ、また|罪祭《ざいさい》として|雄《お》やぎ十二|頭《とう》をささげた。これらはみな、|主《しゅ》にささげた|燔祭《はんさい》である。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|王《おう》の|命令《めいれい》|書《しょ》を、|王《おう》の|総督《そうとく》たち、および|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》たちに|渡《わた》したので、|彼《かれ》らは|民《たみ》と|神《かみ》の|宮《みや》とを|援助《えんじょ》した。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》がなされた|後《のち》、つかさたちは、わたしのもとに|来《き》て|言《い》った、「イスラエルの|民《たみ》、|祭司《さいし》およびレビびとは|諸国《しょこく》の|民《たみ》と|離《はな》れないで、カナンびと、ヘテびと、ペリジびと、エブスびと、アンモンびと、モアブびと、エジプトびと、アモリびとなどの|憎《にく》むべき|事《こと》を|行《おこな》いました。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|彼《かれ》らの|娘《むすめ》たちをみずからめとり、またそのむすこたちにめとったので、|聖《せい》なる|種《たね》が|諸国《しょこく》の|民《たみ》とまじりました。そしてつかさたる|者《もの》、|長《ちょう》たる|者《もの》が|先《さき》だって、このとがを|犯《おか》しました」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|事《こと》を|聞《き》いた|時《とき》、|着物《きもの》と|上着《うわぎ》とを|裂《さ》き、|髪《かみ》の|毛《け》とひげを|抜《ぬ》き、|驚《おどろ》きあきれてすわった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》の|言葉《ことば》におののく|者《もの》は|皆《みな》、|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》って|来《き》た|人々《ひとびと》のとがのゆえに、わたしのもとに|集《あつ》まったが、わたしは|夕《ゆう》の|供《そな》え|物《もの》の|時《とき》まで、|驚《おどろ》きあきれてすわった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》の|供《そな》え|物《もの》の|時《とき》になって、わたしは|断食《だんじき》から|立《た》ちあがり、|着物《きもの》と|上着《うわぎ》を|裂《さ》いたまま、ひざをかがめて、わが|神《かみ》、|主《しゅ》にむかって|手《て》をさし|伸《の》べて、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、  「わが|神《かみ》よ、わたしはあなたにむかって|顔《かお》を|上《あ》げるのを|恥《は》じて、|赤面《せきめん》します。われわれの|不義《ふぎ》は|積《つ》って|頭《あたま》よりも|高《たか》くなり、われわれのとがは|重《かさ》なって|天《てん》に|達《たっ》したからです。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|先祖《せんぞ》の|日《ひ》から|今日《こんにち》まで、われわれは|大《おお》いなるとがを|負《お》い、われわれの|不義《ふぎ》によって、われわれとわれわれの|王《おう》たち、および|祭司《さいし》たちは|国々《くにぐに》の|王《おう》たちの|手《て》にわたされ、つるぎにかけられ、|捕《とら》え|行《ゆ》かれ、かすめられ、|恥《はじ》をこうむりました。|今日《こんにち》のとおりです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ところがいま、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》は、しばし|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》して、のがれ|残《のこ》るべき|者《もの》をわれわれのうちにおき、その|聖所《せいじょ》のうちに|確《たし》かなよりどころを|与《あた》え、こうしてわれわれの|神《かみ》はわれわれの|目《め》を|明《あき》らかにし、われわれをその|奴隷《どれい》のうちにあって、|少《すこ》しく|生《い》き|返《かえ》らせられました。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|奴隷《どれい》の|身《み》でありますが、その|奴隷《どれい》たる|時《とき》にも|神《かみ》はわれわれを|見捨《みす》てられず、かえってペルシャ|王《おう》たちの|目《め》の|前《まえ》でいつくしみを|施《ほどこ》して、われわれを|生《い》き|返《かえ》らせ、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》を|建《た》てさせ、その|破壊《はかい》をつくろわせ、ユダとエルサレムでわれわれに|保護《ほご》を|与《あた》えられました。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》よ、この|後《のち》、|何《なに》を|言《い》うことができましょう。われわれは、あなたの|戒《いまし》めを|捨《す》てたからです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつて、あなたのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちによって|命《めい》じて|仰《おお》せられました、『おまえたちが|行《い》って|獲《え》ようとする|地《ち》は、|各地《かくち》の|民《たみ》の|汚《けが》れにより、その|憎《にく》むべきわざによって|汚《けが》れた|地《ち》で、この|果《はて》から、かの|果《はて》まで、その|汚《けが》れに|満《み》ちている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それでおまえたちの|娘《むすめ》を、|彼《かれ》らのむすこに|与《あた》えてはならない。|彼《かれ》らの|娘《むすめ》を、おまえたちのむすこにめとってはならない。また|永久《えいきゅう》に|彼《かれ》らの|平安《へいあん》をも|福祉《ふくし》をも|求《もと》めてはならない。そうすればおまえたちは|強《つよ》くなり、その|地《ち》の|良《よ》き|物《もの》を|食《た》べ、これを|永久《えいきゅう》におまえたちの|子孫《しそん》に|伝《つた》えて|嗣《し》|業《ぎょう》とさせることができる』と。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|悪《わる》い|行《おこな》いにより、|大《おお》いなるとがによって、これらすべてのことが、すでにわれわれに|臨《のぞ》みましたが、われわれの|神《かみ》なるあなたは、われわれの|不義《ふぎ》よりも|軽《かる》い|罰《ばつ》をくだして、このように|残《のこ》りの|者《もの》を|与《あた》えてくださったのを|見《み》ながら、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|再《ふたた》びあなたの|命令《めいれい》を|破《やぶ》って、これらの|憎《にく》むべきわざを|行《おこな》う|民《たみ》と|縁《ふち》を|結《むす》んでよいでしょうか。あなたはわれわれを|怒《いか》って、ついに|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》し、|残《のこ》る|者《もの》も、のがれる|者《もの》もないようにされるのではないでしょうか。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ああ、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたは|正《ただ》しくいらせられます。われわれはのがれて|残《のこ》ること|今日《こんにち》のとおりです。われわれは、とがをもってあなたの|前《まえ》にあります。それゆえだれもあなたの|前《まえ》に|立《た》つことはできません」。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エズラが|神《かみ》の|宮《みや》の|前《まえ》に|泣《な》き|伏《ふ》して|祈《いの》り、かつざんげしていた|時《とき》、|男《おとこ》、|女《おんな》および|子供《こども》の|大《おお》いなる|群集《ぐんしゅう》がイスラエルのうちから|彼《かれ》のもとに|集《あつ》まってきた。|民《たみ》はいたく|泣《な》き|悲《かな》しんだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にエラムの|子孫《しそん》のうちのエヒエルの|子《こ》シカニヤが、エズラに|告《つ》げて|言《い》った、「われわれは|神《かみ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》し、この|地《ち》の|民《たみ》から|異邦《いほう》の|女《おんな》をめとりました。しかし、このことについてはイスラエルに、|今《いま》なお|望《のぞ》みがあります。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでわれわれはわが|主《しゅ》の|教《おしえ》と、われわれの|神《かみ》の|命令《めいれい》におののく|人々《ひとびと》の|教《おしえ》とに|従《したが》って、これらの|妻《つま》ならびにその|子《こ》|供《とも》たちを、ことごとく|追《お》い|出《だ》すという|契約《けいやく》を、われわれの|神《かみ》に|立《た》てましょう。そして|律法《りっぽう》に|従《したが》ってこれを|行《おこな》いましょう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》ちあがってください、この|事《こと》はあなたの|仕事《しごと》です。われわれはあなたを|助《たす》けます。|心《こころ》を|強《つよ》くしてこれを|行《おこな》いなさい」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エズラは|立《た》って、おもだった|祭司《さいし》、レビびとおよびすべてのイスラエルびとに、この|言葉《ことば》のように|行《おこな》うことを|誓《ちか》わせたので、|彼《かれ》らは|誓《ちか》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エズラは|神《かみ》の|宮《みや》の|前《まえ》から|出《で》て、エリアシブの|子《こ》ヨハナンのへやにはいったが、そこへ|行《い》っても|彼《かれ》はパンも|食《た》べず、|水《みず》も|飲《の》まずに|夜《よる》を|過《す》ごした。これは|彼《かれ》が、|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》った|人々《ひとびと》のとがを|嘆《なげ》いたからである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そしてユダおよびエルサレムにあまねく|布告《ふこく》を|出《だ》し、|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》ったすべての|者《もの》に|告《つ》げて、エルサレムに|集《あつ》まるべき|事《こと》と、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]つかさおよび|長老《ちょうろう》たちのさとしに|従《したが》って、三|日《か》のうちにこない|者《もの》はだれでもその|財産《ざいさん》はことごとく|没収《ぼっしゅう》され、その|人《ひと》|自身《じしん》は|捕《とら》われ|人《びと》の|会《かい》から|破門《はもん》されると|言《い》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダとベニヤミンの|人々《ひとびと》は|皆《みな》三|日《か》のうちにエルサレムに|集《あつ》まった。これは九|月《がつ》の|二十日《はつか》であった。すべての|民《たみ》は|神《かみ》の|宮《みや》の|前《まえ》の|広場《ひろば》に|座《ざ》して、このことのため、また|大雨《おおあめ》のために|震《ふる》えおののいていた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|祭司《さいし》エズラは|立《た》って|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは|罪《つみ》を|犯《おか》し、|異邦《いほう》の|女《おんな》をめとって、イスラエルのとがを|増《ま》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|神《かみ》、|主《しゅ》にざんげして、そのみ|旨《むね》を|行《おこな》いなさい。あなたがたはこの|地《ち》の|民《たみ》および|異邦《いほう》の|女《おんな》と|離《はな》れなさい」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すると|会衆《かいしゅう》は|皆《みな》|大声《おおごえ》をあげて|答《こた》えた、「あなたの|言《い》われたとおり、われわれは|必《かなら》ず|行《おこな》います。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|民《たみ》は|多《おお》く、また|大雨《おおあめ》の|季節《きせつ》ですから、|外《そと》に|立《た》っていることはできません。またこれは一|日《にち》やふつかの|仕事《しごと》ではありません。われわれはこの|事《こと》について|大《おお》いに|罪《つみ》を|犯《おか》したからです。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それでどうぞ、われわれのつかさたちは|全《ぜん》|会衆《かいしゅう》のために|立《た》ってください。われわれの|町《まち》の|内《うち》に、もし|異邦《いほう》の|女《おんな》をめとった|者《もの》があるならば、みな|定《さだ》めの|時《とき》にこさせなさい。またおのおのの|町《まち》の|長老《ちょうろう》および|裁判人《さいばんにん》も、それと|一緒《いっしょ》にこさせなさい。そうすればこの|事《こと》によるわれわれの|神《かみ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りは、ついにわれわれを|離《はな》れるでしょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ところがアサヘルの|子《こ》ヨナタンおよびテクワの|子《こ》ヤハジアはこれに|反対《はんたい》した。そしてメシュラムおよびレビびとシャベタイは|彼《かれ》らを|支持《しじ》した。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》って|来《き》た|人々《ひとびと》はこのように|行《い》った。すなわち|祭司《さいし》エズラは、|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちをその|氏族《しぞく》にしたがい、おのおのその|名《な》をさして|選《えら》んだ。|彼《かれ》らは十|月《がつ》の一|日《にち》から|座《ざ》してこの|事《こと》を|調《しら》べ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|正月《しょうがつ》の一|日《にち》になって、|異邦《いほう》の|女《おんな》をめとった|人々《ひとびと》をことごとく|調《しら》べ|終《おわ》った。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》の|子孫《しそん》のうちで|異邦《いほう》の|女《おんな》をめとった|事《こと》のあらわれた|者《もの》は、ヨザダクの|子《こ》エシュアの|子《こ》ら、およびその|兄弟《きょうだい》たちのうちではマアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダリヤであった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|妻《つま》を|離縁《りえん》しようという|誓《ちか》いをなし、すでに|罪《つみ》を|犯《おか》したというので、そのとがのために|雄羊《おひつじ》一|頭《とう》をささげた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]インメルの|子《こ》らのうちではハナニおよびゼバデヤ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|子《こ》らのうちではマアセヤ、エリヤ、シマヤ、エヒエル、ウジヤ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]パシュルの|子《こ》らのうちではエリオエナイ、マアセヤ、イシマエル、ネタンエル、ヨザバデ、エラサ。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]レビびとのうちではヨザバテ、シメイ、ケラヤ(すなわちケリタ)、ペタヒヤ、ユダ、エリエゼル。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|歌《うた》うたう|者《もの》のうちではエリアシブ。|門衛《もんえい》のうちではシャルム、テレム、ウリ。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのうち、パロシの|子《こ》らのうちではラミヤ、エジア、マルキヤ、ミヤミン、エレアザル、ハシャビヤ、ベナヤ。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]エラムの|子《こ》らのうちではマッタニヤ、ゼカリヤ、エヒエル、アブデ、エレモテ、エリヤ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ザットの|子《こ》らのうちではエリオエナイ、エリアシブ、マッタニヤ、エレモテ、ザバデ、アジザ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ベバイの|子《こ》らのうちではヨハナン、ハナニヤ、ザバイ、アテライ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]バニの|子《こ》らのうちではメシュラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シヤル、エレモテ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]パハテ・モアブの|子《こ》らのうちではアデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マッタニヤ、ベザレル、ビンヌイ、マナセ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|子《こ》らのうちではエリエゼル、イシヤ、マルキヤ、シマヤ、シメオン、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミン、マルク、シマリヤ。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ハシュムの|子《こ》らのうちではマッテナイ、マッタタ、ザバデ、エリパレテ、エレマイ、マナセ、シメイ。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]バニの|子《こ》らのうちではマアダイ、アムラム、ウエル、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ベナヤ、ベデヤ、ケルヒ、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]ワニア、メレモテ、エリアシブ、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]マッタニヤ、マッテナイ、ヤアス。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ビンヌイの|子《こ》らのうちではシメイ、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]シレミヤ、ナタン、アダヤ、[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]マクナデバイ、シャシャイ、シャライ、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]アザリエル、シレミヤ、シマリヤ、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]シャルム、アマリヤ、ヨセフ。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]ネボの|子《こ》らではエイエル、マッタテヤ、ザバデ、ゼビナ、ヤッダイ、ヨエル、ベナヤ。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]これらの|者《もの》は|皆《みな》|異邦《いほう》の|女《おんな》をめとった|者《もの》である。|彼《かれ》らはその|女《おんな》たちをその|子《こ》|供《とも》と|共《とも》に|離縁《りえん》した。 [#改ページ] ネヘミヤ書[#「ネヘミヤ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ハカリヤの|子《こ》ネヘミヤの|言葉《ことば》。  |第《だい》二十|年《ねん》のキスレウの|月《つき》に、わたしが|首都《しゅと》スサにいた|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|兄弟《きょうだい》のひとりハナニが|数人《すうにん》の|者《もの》と|共《とも》にユダから|来《き》たので、わたしは|捕囚《ほしゅう》を|免《まぬか》れて|生《い》き|残《のこ》ったユダヤ|人《ひと》の|事《こと》およびエルサレムの|事《こと》を|尋《たず》ねた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしに|言《い》った、「かの|州《しゅう》で|捕囚《ほしゅう》を|免《まぬか》れて|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》は|大《おお》いなる|悩《なや》みと、はずかしめのうちにあり、エルサレムの|城壁《じょうへき》はくずされ、その|門《もん》は|火《ひ》で|焼《や》かれたままであります」と。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれらの|言葉《ことば》を|聞《き》いた|時《とき》、すわって|泣《な》き、|数日《すうじつ》のあいだ|嘆《なげ》き|悲《かな》しみ、|断食《だんじき》して|天《てん》の|神《かみ》の|前《まえ》に|祈《いの》って、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|天《てん》の|神《かみ》、|主《しゅ》、おのれを|愛《あい》し、その|戒《いまし》めを|守《まも》る|者《もの》には|契約《けいやく》を|守《まも》り、いつくしみを|施《ほどこ》される|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|神《かみ》よ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|耳《みみ》を|傾《かたむ》け、|目《め》を|開《ひら》いてしもべの|祈《いのり》を|聞《き》いてください。わたしは|今《いま》、あなたのしもべであるイスラエルの|子孫《しそん》のために、|昼《ひる》も|夜《よる》もみ|前《まえ》に|祈《いの》り、われわれイスラエルの|子孫《しそん》が、あなたに|対《たい》して|犯《おか》した|罪《つみ》をざんげいたします。まことにわたしも、わたしの|父《ちち》の|家《いえ》も|罪《つみ》を|犯《おか》しました。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われわれはあなたに|対《たい》して|大《おお》いに|悪《わる》い|事《こと》を|行《おこな》い、あなたのしもべモーセに|命《めい》じられた|戒《いまし》めをも、|定《さだ》めをも、おきてをも|守《まも》りませんでした。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、あなたのしもべモーセに|命《めい》じられた|言葉《ことば》を、|思《おも》い|起《おこ》してください。すなわちあなたは|言《い》われました、『もしあなたがたが|罪《つみ》を|犯《おか》すならば、わたしはあなたがたを、もろもろの|民《たみ》の|間《あいだ》に|散《ち》らす。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたがわたしに|立《た》ち|返《かえ》り、わたしの|戒《いまし》めを|守《まも》って、これを|行《おこな》うならば、たといあなたがたのうちの|散《ち》らされた|者《もの》が、|天《てん》の|果《はて》にいても、わたしはそこから|彼《かれ》らを|集《あつ》め、わたしの|名《な》を|住《す》まわせるために|選《えら》んだ|所《ところ》に|連《つ》れて|来《く》る』と。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、あなたが|大《おお》いなる|力《ちから》と|強《つよ》い|手《て》をもって、あがなわれたあなたのしもべ、あなたの|民《たみ》です。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、どうぞしもべの|祈《いのり》と、あなたの|名《な》を|恐《おそ》れることを|喜《よろこ》ぶあなたのしもべらの|祈《いのり》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。どうぞ、きょう、しもべを|恵《めぐ》み、この|人《ひと》の|目《め》の|前《まえ》であわれみを|得《え》させてください」。この|時《とき》、わたしは|王《おう》の|給仕《きゅうじ》|役《やく》であった。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アルタシャスタ|王《おう》の|第《だい》二十|年《ねん》、ニサンの|月《つき》に、|王《おう》の|前《まえ》に|酒《さけ》が|出《で》た|時《とき》、わたしは|酒《さけ》をついで|王《おう》にささげた。これまでわたしは|王《おう》の|前《まえ》で|悲《かな》しげな|顔《かお》をしていたことはなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はわたしに|言《い》われた、「あなたは|病気《びょうき》でもないのにどうして|悲《かな》しげな|顔《かお》をしているのか。|何《なに》か|心《こころ》に|悲《かな》しみをもっているにちがいない」。そこでわたしは|大《おお》いに|恐《おそ》れて、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》に|申《もう》しあげた、「どうぞ|王《おう》よ、|長生《ながい》きされますように。わたしの|先祖《せんぞ》の|墳墓《ふんぼ》の|地《ち》であるあの|町《まち》は|荒廃《こうはい》し、その|門《もん》が|火《ひ》で|焼《や》かれたままであるのに、どうしてわたしは|悲《かな》しげな|顔《かお》をしないでいられましょうか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はわたしにむかって、「それでは、あなたは|何《なに》を|願《ねが》うのか」と|言《い》われたので、わたしは|天《てん》の|神《かみ》に|祈《いの》って、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》に|申《もう》しあげた、「もし|王《おう》がよしとされ、しもべがあなたの|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》ますならば、どうかわたしを、ユダにあるわたしの|先祖《せんぞ》の|墳墓《ふんぼ》の|町《まち》につかわして、それを|再建《さいけん》させてください」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|王妃《おうひ》もかたわらに|座《ざ》していたが、|王《おう》はわたしに|言《い》われた、「あなたの|旅《たび》の|期間《きかん》はどれほどですか。いつごろ|帰《かえ》ってきますか」。こうして|王《おう》がわたしをつかわすことをよしとされたので、わたしは|期間《きかん》を|定《さだ》めて|王《おう》に|申《もう》しあげた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|王《おう》に|申《もう》しあげた、「もし|王《おう》がよしとされるならば、|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》たちに|与《あた》える|手紙《てがみ》をわたしに|賜《たま》わり、わたしがユダに|行《い》きつくまで、|彼《かれ》らがわたしを|通過《つうか》させるようにしてください。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》の|山林《さんりん》を|管理《かんり》するアサフに|与《あた》える|手紙《てがみ》をも|賜《たま》わり、|神殿《しんでん》に|属《ぞく》する|城《しろ》の|門《もん》を|建《た》てるため、また|町《まち》の|石《いし》がき、およびわたしの|住《す》むべき|家《いえ》を|建《た》てるために|用《もち》いる|材木《ざいもく》をわたしに|与《あた》えるようにしてください」。わたしの|神《かみ》がよくわたしを|助《たす》けられたので、|王《おう》はわたしの|願《ねが》いを|許《ゆる》された。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》たちの|所《ところ》へ|行《い》って、|王《おう》の|手紙《てがみ》を|渡《わた》した。なお|王《おう》は|軍《ぐん》の|長《ちょう》および|騎兵《きへい》をわたしと|共《とも》につかわした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ところがホロニびとサンバラテおよびアンモンびと|奴隷《どれい》トビヤはこれを|聞《き》き、イスラエルの|子孫《しそん》の|福祉《ふくし》を|求《もと》める|人《ひと》が|来《き》たというので、|大《おお》いに|感情《かんじょう》を|害《がい》した。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエルサレムに|着《つ》いて、そこに三|日《か》|滞在《たいざい》した|後《のち》、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|夜中《よなか》に|起《お》き|出《で》た。|数人《すうにん》の|者《もの》がわたしに|伴《ともな》ったが、わたしは、|神《かみ》がエルサレムのためになそうとして、わたしの|心《こころ》に|入《い》れられたことを、だれにも|告《つ》げ|知《し》らせず、またわたしが|乗《の》った|獣《けもの》のほかには、|獣《けもの》をつれて|行《い》かなかった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|夜中《よなか》に|出《で》て|谷《たに》の|門《もん》を|通《とお》り、|龍《りゅう》の|井戸《いど》および|糞《ふん》の|門《もん》に|行《い》って、エルサレムのくずれた|城壁《じょうへき》や、|火《ひ》に|焼《や》かれた|門《もん》を|調査《ちょうさ》し、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|泉《いずみ》の|門《もん》および|王《おう》の|池《いけ》に|行《い》ったが、わたしの|乗《の》っている|獣《けもの》の|通《とお》るべき|所《ところ》もなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたその|夜《よる》のうちに|谷《たに》に|沿《そ》って|上《のぼ》り、|城壁《じょうへき》を|調査《ちょうさ》したうえ、|身《み》をめぐらして、|谷《たに》の|門《もん》を|通《とお》って|帰《かえ》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちは、わたしがどこへ|行《い》ったか、|何《なに》をしたかを|知《し》らなかった。わたしはまたユダヤ|人《ひと》にも、|祭司《さいし》たちにも、|尊《たっと》い|人《ひと》たちにも、つかさたちにも、その|他《た》|工事《こうじ》をする|人々《ひとびと》にもまだ|知《し》らせなかった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはついに|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたの|見《み》るとおり、われわれは|難局《なんきょく》にある。エルサレムは|荒廃《こうはい》し、その|門《もん》は|火《ひ》に|焼《や》かれた。さあ、われわれは|再《ふたた》び|世《よ》のはずかしめをうけることのないように、エルサレムの|城壁《じょうへき》を|築《きず》こう」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして、わたしの|神《かみ》がよくわたしを|助《たす》けられたことを|彼《かれ》らに|告《つ》げ、また|王《おう》がわたしに|語《かた》られた|言葉《ことば》をも|告《つ》げたので、|彼《かれ》らは「さあ、|立《た》ち|上《あ》がって|築《きず》こう」と|言《い》い、|奮《ふる》い|立《た》って、この|良《よ》きわざに|着手《ちゃくしゅ》しようとした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ところがホロニびとサンバラテ、アンモンびと|奴隷《どれい》トビヤおよびアラビヤびとガシムがこれを|聞《き》いて、われわれをあざけり、われわれを|侮《あなど》って|言《い》った、「あなたがたは|何《なに》をするのか、|王《おう》に|反逆《はんぎゃく》しようとするのか」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|答《こた》えて|言《い》った、「|天《てん》の|神《かみ》がわれわれを|恵《めぐ》まれるので、そのしもべであるわれわれは|奮《ふる》い|立《た》って|築《きず》くのである。しかしあなたがたはエルサレムに|何《なに》の|分《ぶん》もなく、|権利《けんり》もなく、|記念《きねん》もない」。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]かくて|大《だい》|祭司《さいし》エリアシブは、その|兄弟《きょうだい》である|祭司《さいし》たちと|共《とも》に|立《た》って|羊《ひつじ》の|門《もん》を|建《た》て、これを|聖別《せいべつ》してそのとびらを|設《もう》け、さらにこれを|聖別《せいべつ》して、ハンメアの|望楼《ぼうろう》に|及《およ》ぼし、またハナネルの|望楼《ぼうろう》にまで|及《およ》ぼした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|次《つぎ》にはエリコの|人々《ひとびと》が|建《た》て、その|次《つぎ》にはイムリの|子《こ》ザックルが|建《た》てた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|魚《うお》の|門《もん》はハッセナアの|子《こ》らが|建《た》て、その|梁《はり》を|置《お》き、そのとびらと|横木《よこぎ》と|貫《かん》の|木《き》とを|設《もう》けた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にハッコヅの|子《こ》ウリヤの|子《こ》メレモテが|修理《しゅうり》し、その|次《つぎ》にメシザベルの|子《こ》ベレキヤの|子《こ》メシュラムが|修理《しゅうり》し、その|次《つぎ》にバアナの|子《こ》ザドクが|修理《しゅうり》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にテコアびとらが|修理《しゅうり》したが、その|貴人《きじん》たちはその|主《しゅ》の|工事《こうじ》に|服《ふく》さなかった。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|古《ふる》い|門《もん》はパセアの|子《こ》ヨイアダおよびベソデヤの|子《こ》メシュラムがこれを|修理《しゅうり》し、その|梁《はり》を|置《お》き、そのとびらと|横木《よこぎ》と|貫《かん》の|木《き》とを|設《もう》けた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にギベオンびとメラテヤ、メロノテびとヤドン、および|川《かわ》|向《む》こうの|州《しゅう》の|知事《ちじ》の|行政下《ぎょうせいか》にあるギベオンとミヅパの|人々《ひとびと》が|修理《しゅうり》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にハルハヤの|子《こ》ウジエルなどの|金《きん》|細工人《ざいくにん》が|修理《しゅうり》し、その|次《つぎ》に|製香者《せいこうしゃ》のひとりハナニヤが|修理《しゅうり》した。こうして|彼《かれ》らはエルサレムを|城壁《じょうへき》の|広《ひろ》い|所《ところ》まで|復旧《ふっきゅう》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にエルサレムの|半《はん》|区域《くいき》の|知事《ちじ》ホルの|子《こ》レパヤが|修理《しゅうり》し、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にハルマフの|子《こ》エダヤが|自分《じぶん》の|家《いえ》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》を|修理《しゅうり》し、その|次《つぎ》にはハシャブニヤの|子《こ》ハットシが|修理《しゅうり》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|子《こ》マルキヤおよびバハテ・モアブの|子《こ》ハシュブも|他《た》の|部分《ぶぶん》および|炉《ろ》の|望楼《ぼうろう》を|修理《しゅうり》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にエルサレムの|他《た》の|半《はん》|区域《くいき》の|知事《ちじ》ハロヘシの|子《こ》シャルムがその|娘《むすめ》たちと|共《とも》に|修理《しゅうり》した。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|谷《たに》の|門《もん》はハヌンがザノアの|民《たみ》と|共《とも》にこれを|修理《しゅうり》し、これを|建《た》て|直《なお》して、そのとびらと|横木《よこぎ》と|貫《かん》の|木《き》とを|設《もう》け、また|糞《ふん》の|門《もん》まで|城壁《じょうへき》一千キュビトを|修理《しゅうり》した。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|糞《ふん》の|門《もん》はベテ・ハケレムの|区域《くいき》の|知事《ちじ》レカブの|子《こ》マルキヤがこれを|修理《しゅうり》し、これを|建《た》て|直《なお》して、そのとびらと|横木《よこぎ》と|貫《かん》の|木《き》とを|設《もう》けた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|泉《いずみ》の|門《もん》はミヅパの|区域《くいき》の|知事《ちじ》コロホゼの|子《こ》シャルンがこれを|修理《しゅうり》し、これを|建《た》て|直《なお》して、おおいを|施《ほどこ》し、そのとびらと|横木《よこぎ》と|貫《かん》の|木《き》とを|設《もう》けた。|彼《かれ》はまた|王《おう》の|園《その》のほとりのシラの|池《いけ》に|沿《そ》った|石《いし》がきを|修理《しゅうり》して、ダビデの|町《まち》から|下《くだ》る|階段《かいだん》にまで|及《およ》んだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にベテズルの|半《はん》|区域《くいき》の|知事《ちじ》アズブクの|子《こ》ネヘミヤが|修理《しゅうり》して、ダビデの|墓《はか》と|向《む》かい|合《あ》った|所《ところ》に|及《およ》び、|掘池《ほりいけ》と|勇士《ゆうし》の|宅《たく》にまで|及《およ》んだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にバニの|子《こ》レホムなどのレビびとが|修理《しゅうり》し、その|次《つぎ》にケイラの|半《はん》|区域《くいき》の|知事《ちじ》ハシャビヤがその|区域《くいき》のために|修理《しゅうり》した。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にケイラの|半《はん》|区域《くいき》の|知事《ちじ》ヘナダデの|子《こ》バワイなどその|兄弟《きょうだい》たちが|修理《しゅうり》し、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》にエシュアの|子《こ》でミヅパの|知事《ちじ》であるエゼルが、|城壁《じょうへき》の|曲《まが》りかどにある|武器《ぶき》|倉《くら》に|上《のぼ》る|所《ところ》と|向《む》かい|合《あ》った|他《た》の|部分《ぶぶん》を|修理《しゅうり》し、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にザバイの|子《こ》バルクが、|力《ちから》をつくして|城壁《じょうへき》の|曲《まが》りかどから|大《だい》|祭司《さいし》エリアシブの|家《いえ》の|門《もん》までの|他《た》の|部分《ぶぶん》を|修理《しゅうり》し、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にハッコヅの|子《こ》ウリヤの|子《こ》メレモテが、エリアシブの|家《いえ》の|門《もん》からエリアシブの|家《いえ》の|端《たん》までの|他《た》の|部分《ぶぶん》を|修理《しゅうり》し、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|後《のち》に|低地《ていち》の|人々《ひとびと》である|祭司《さいし》たちが|修理《しゅうり》し、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にベニヤミンおよびハシュブが、|自分《じぶん》たちの|家《いえ》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》を|修理《しゅうり》し、その|後《のち》にアナニヤの|子《こ》マアセヤの|子《こ》アザリヤが、|自分《じぶん》の|家《いえ》の|附近《ふきん》を|修理《しゅうり》し、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にヘナダデの|子《こ》ビンヌイが、アザリヤの|家《いえ》から|城壁《じょうへき》の|曲《まが》りかど、およびすみまでの|他《た》の|部分《ぶぶん》を|修理《しゅうり》した。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ウザイの|子《こ》パラルは、|城壁《じょうへき》の|曲《まが》りかどと|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》、および|監視《かんし》の|庭《にわ》に|近《ちか》い|王《おう》の|上《うえ》の|家《いえ》から|突《つ》き|出《で》ている|望楼《ぼうろう》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》を|修理《しゅうり》した。その|後《のち》にパロシの|子《こ》ペダヤ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]およびオペルに|住《す》んでいる|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちが、|東《ひがし》の|方《ほう》の|水《みず》の|門《もん》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》、および|突《つ》き|出《で》ている|望楼《ぼうろう》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》まで|修理《しゅうり》した。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にテコアびとが、|突《つ》き|出《で》ている|大《だい》|望楼《ぼうろう》と|向《む》かい|合《あ》っている|他《た》の|部分《ぶぶん》を|修理《しゅうり》し、オペルの|城壁《じょうへき》にまで|及《およ》んだ。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|馬《うま》の|門《もん》から|上《うえ》の|方《ほう》は|祭司《さいし》たちが、おのおの|自分《じぶん》の|家《いえ》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》を|修理《しゅうり》した。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にインメルの|子《こ》ザドクが、|自分《じぶん》の|家《いえ》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》を|修理《しゅうり》し、その|後《のち》にシカニヤの|子《こ》シマヤという|東《ひがし》の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》が|修理《しゅうり》し、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》にシレミヤの|子《こ》ハナニヤおよびザラフの|第《だい》六の|子《こ》ハヌンが|他《た》の|部分《ぶぶん》を|修理《しゅうり》し、その|後《のち》にベレキヤの|子《こ》メシュラムが、|自分《じぶん》のへやと|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》を|修理《しゅうり》した。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》に|金《きん》|細工人《ざいくにん》のひとりマルキヤという|者《もの》が、|召集《しょうしゅう》の|門《もん》と|向《む》かい|合《あ》っている|所《ところ》を|修理《しゅうり》して、すみの二|階《かい》のへやに|至《いた》り、|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちおよび|商人《しょうにん》の|家《いえ》にまで|及《およ》んだ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]またすみの二|階《かい》のへやと|羊《ひつじ》の|門《もん》の|間《あいだ》は|金《きん》|細工人《ざいくにん》と|商人《しょうにん》たちがこれを|修理《しゅうり》した。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サンバラテはわれわれが|城壁《じょうへき》を|築《きず》くのを|聞《き》いて|怒《いか》り、|大《おお》いに|憤《いきどお》ってユダヤ|人《ひと》をあざけった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|兄弟《きょうだい》たちおよびサマリヤの|兵隊《へいたい》の|前《まえ》で|語《かた》って|言《い》った、「この|弱々《よわよわ》しいユダヤ|人《ひと》は|何《なに》をしているのか。|自分《じぶん》で|再興《さいこう》しようとするのか。|犠牲《ぎせい》をささげようとするのか。一|日《にち》で|事《こと》を|終《お》えようとするのか。|塵塚《ちりづか》の|中《なか》の|石《いし》はすでに|焼《や》けているのに、これを|取《と》りだして|生《い》かそうとするのか」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またアンモンびとトビヤは、|彼《かれ》のかたわらにいて|言《い》った、「そうだ、|彼《かれ》らの|築《きず》いている|城壁《じょうへき》は、きつね一|匹《ぴき》が|上《のぼ》ってもくずれるであろう」と。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「われわれの|神《かみ》よ、|聞《き》いてください。われわれは|侮《あなど》られています。|彼《かれ》らのはずかしめを|彼《かれ》らのこうべに|返《かえ》し、|彼《かれ》らを|捕囚《ほしゅう》の|地《ち》でぶんどり|物《もの》にしてください。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのとがをおおわず、|彼《かれ》らの|罪《つみ》をみ|前《まえ》から|消《け》し|去《さ》らないでください。|彼《かれ》らは|築《きず》き|建《た》てる|者《もの》の|前《まえ》であなたを|怒《いか》らせたからです」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわれわれは|城壁《じょうへき》を|築《きず》いたが、|石《いし》がきはみな|相《あい》|連《つら》なって、その|高《たか》さの|半《なか》ばにまで|達《たっ》した。|民《たみ》が|心《こころ》をこめて|働《はたら》いたからである。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ところがサンバラテ、トビヤ、アラビヤびと、アンモンびと、アシドドびとらは、エルサレムの|城壁《じょうへき》の|修理《しゅうり》が|進展《しんてん》し、その|破《わ》れ|目《め》もふさがり|始《はじ》めたと|聞《き》いて|大《おお》いに|怒《いか》り、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|皆《みな》|共《とも》に|相《あい》はかり、エルサレムを|攻《せ》めて、その|中《なか》に|混乱《こんらん》を|起《おこ》そうとした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでわれわれは|神《かみ》に|祈《いの》り、また|日夜《にちや》|見張《みは》りを|置《お》いて|彼《かれ》らに|備《そな》えた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ユダびとは|言《い》った、「|荷《に》を|負《お》う|者《もの》の|力《ちから》は|衰《おとろ》え、そのうえ、|灰《はい》|土《つち》がおびただしいので、われわれは|城壁《じょうへき》を|築《きず》くことができない」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またわれわれの|敵《てき》は|言《い》った、「|彼《かれ》らの|知《し》らないうちに、また|見《み》ないうちに、|彼《かれ》らの|中《なか》にはいりこんで|彼《かれ》らを|殺《ころ》し、その|工事《こうじ》をやめさせよう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|近《ちか》くに|住《す》んでいるユダヤ|人《ひと》たちはきて、十|度《たび》もわれわれに|言《い》った、「|彼《かれ》らはその|住《す》んでいるすべての|所《ところ》からわれわれに|攻《せ》め|上《のぼ》るでしょう」と。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|民《たみ》につるぎ、やりおよび|弓《ゆみ》を|持《も》たせ、|城壁《じょうへき》の|後《のち》の|低《ひく》い|所《ところ》、すなわち|空地《くうち》にその|家族《かぞく》にしたがって|立《た》たせた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|見《み》めぐり、|立《た》って|尊《たっと》い|人々《ひとびと》、つかさたち、およびその|他《た》の|民《たみ》らに|言《い》った、「あなたがたは|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|主《しゅ》を|覚《おぼ》え、あなたがたの|兄弟《きょうだい》、むすこ、|娘《むすめ》、|妻《つま》および|家《いえ》のために|戦《たたか》いなさい」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|敵《てき》は|自分《じぶん》たちの|事《こと》が、われわれに|悟《さと》られたことを|聞《き》き、また|神《かみ》が|彼《かれ》らの|計《はか》りごとを|破《やぶ》られたことを|聞《き》いたので、われわれはみな|城壁《じょうへき》に|帰《かえ》り、おのおのその|工事《こうじ》を|続《つづ》けた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》から|後《のち》は、わたしのしもべの|半数《はんすう》は|工事《こうじ》に|働《はたら》き、|半数《はんすう》はやり、|盾《たて》、|弓《ゆみ》、よろいをもって|武装《ぶそう》した。そしてつかさたちは|城壁《じょうへき》を|築《きず》いているユダの|全家《ぜんか》の|後《うしろ》に|立《た》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|荷《に》を|負《お》い|運《はこ》ぶ|者《もの》はおのおの|片手《かたて》で|工事《こうじ》をなし、|片手《かたて》に|武器《ぶき》を|執《と》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|築《きず》き|建《た》てる|者《もの》はおのおのその|腰《こし》につるぎを|帯《お》びて|築《きず》き|建《た》て、ラッパを|吹《ふ》く|者《もの》はわたしのかたわらにいた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|尊《たっと》い|人々《ひとびと》、つかさたち、およびその|他《た》の|民《たみ》に|言《い》った、「|工事《こうじ》は|大《おお》きくかつ|広《ひろ》がっているので、われわれは|城壁《じょうへき》の|上《うえ》で|互《たがい》に|遠《とお》く|離《はな》れている。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]どこででもラッパの|音《おと》を|聞《き》いたなら、そこにいるわれわれの|所《ところ》に|集《あつ》まってほしい。われわれの|神《かみ》はわれわれのために|戦《たたか》われます」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]このようにして、われわれは|工事《こうじ》を|進《すす》めたが、|半数《はんすう》の|者《もの》は|夜明《よあ》けから|星《ほし》の|出《で》る|時《とき》まで、やりを|執《と》っていた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしはまた|民《たみ》に|告《つ》げて、「おのおのそのしもべと|共《とも》にエルサレムの|内《うち》に|宿《やど》り、|夜《よる》はわれわれの|護衛者《ごえいしゃ》となり、|昼《ひる》は|工事《こうじ》をするように」と|言《い》った。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そして、わたしも、わたしの|兄弟《きょうだい》たちも、わたしのしもべたちも、わたしを|護衛《ごえい》する|人々《ひとびと》も、われわれのうちひとりも、その|衣《ころも》を|脱《ぬ》がず、おのおの|手《て》に|武器《ぶき》を|執《と》っていた。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて、ここに|民《たみ》がその|妻《つま》と|共《とも》に、その|兄弟《きょうだい》であるユダヤ|人《ひと》に|向《む》かって|大《おお》いに|叫《さけ》び|訴《うった》えることがあった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、ある|人々《ひとびと》は|言《い》った、「われわれはむすこ|娘《むすめ》と|共《とも》に|大《だい》ぜいです。われわれは|穀物《こくもつ》を|得《え》て、|食《た》べて|生《い》きていかなければなりません」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またある|人々《ひとびと》は|言《い》った、「われわれは|飢《う》えのために、|穀物《こくもつ》を|得《え》ようと|田畑《たはた》も、ぶどう|畑《はたけ》も、|家《いえ》も|抵当《ていとう》に|入《い》れています」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ある|人々《ひとびと》は|言《い》った、「われわれは|王《おう》の|税金《ぜいきん》のために、われわれの|田畑《たはた》およびぶどう|畑《はたけ》をもって|金《かね》を|借《か》りました。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|現《げん》にわれわれの|肉《にく》はわれわれの|兄弟《きょうだい》の|肉《にく》に|等《ひと》しく、われわれの|子供《こども》も|彼《かれ》らの|子供《こども》に|等《ひと》しいのに、|見《み》よ、われわれはむすこ|娘《むすめ》を|人《ひと》の|奴隷《どれい》とするようにしいられています。われわれの|娘《むすめ》のうちには、すでに|人《ひと》の|奴隷《どれい》になった|者《もの》もありますが、われわれの|田畑《たはた》も、ぶどう|畑《はたけ》も|他人《たにん》のものになっているので、われわれにはどうする|力《ちから》もありません」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|叫《さけ》びと、これらの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|大《おお》いに|怒《いか》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはみずから|考《かんが》えたすえ、|尊《たっと》い|人々《ひとびと》およびつかさたちを|責《せ》めて|言《い》った、「あなたがたはめいめいその|兄弟《きょうだい》から|利息《りそく》をとっている」。そしてわたしは|彼《かれ》らの|事《こと》について|大会《たいかい》を|開《ひら》き、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「われわれは|異邦人《いほうじん》に|売《う》られたわれわれの|兄弟《きょうだい》ユダヤ|人《ひと》を、われわれの|力《ちから》にしたがってあがなった。しかるにあなたがたは|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》を|売《う》ろうとするのか。|彼《かれ》らはわれわれに|売《う》られるのか」。|彼《かれ》らは|黙《もく》してひと|言《こと》もいわなかった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|言《い》った、「あなたがたのする|事《こと》はよくない。あなたがたは、われわれの|敵《てき》である|異邦人《いほうじん》のそしりをやめさせるために、われわれの|神《かみ》を|恐《おそ》れつつ|事《こと》をなすべきではないか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしもわたしの|兄弟《きょうだい》たちも、わたしのしもべたちも|同《おな》じく|金《かね》と|穀物《こくもつ》とを|貸《か》しているが、われわれはこの|利息《りそく》をやめよう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、あなたがたは、きょうにも|彼《かれ》らの|田畑《たはた》、ぶどう|畑《はたけ》、オリブ|畑《はたけ》および|家屋《かおく》を|彼《かれ》らに|返《かえ》し、またあなたがたが|彼《かれ》らから|取《と》っていた|金銭《きんせん》、|穀物《こくもつ》、ぶどう|酒《しゅ》、|油《あぶら》などの百|分《ぶん》の一を|返《かえ》しなさい」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》らは「われわれはそれを|返《かえ》します。|彼《かれ》らから|何《なに》をも|要求《ようきゅう》しません。あなたの|言《い》うようにします」と|言《い》った。そこでわたしは|祭司《さいし》たちを|呼《よ》び、|彼《かれ》らにこの|言葉《ことば》のとおりに|行《おこな》うという|誓《ちか》いを|立《た》てさせた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたわたしのふところを|打《う》ち|払《はら》って|言《い》った、「この|約束《やくそく》を|実行《じっこう》しない|者《もの》を、どうぞ|神《かみ》がこのように|打《う》ち|払《はら》って、その|家《いえ》およびその|仕事《しごと》を|離《はな》れさせられるように。その|人《ひと》はこのように|打《う》ち|払《はら》われてむなしくなるように」。|会衆《かいしゅう》はみな「アァメン」と|言《い》って、|主《しゅ》をさんびした。そして|民《たみ》はこの|約束《やくそく》のとおりに|行《い》った。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは、ユダの|地《ち》の|総督《そうとく》に|任《にん》ぜられた|時《とき》から、すなわちアルタシャスタ|王《おう》の|第《だい》二十|年《ねん》から|第《だい》三十二|年《ねん》まで、十二|年《ねん》の|間《あいだ》、わたしもわたしの|兄弟《きょうだい》たちも、|総督《そうとく》としての|手当《てあ》てを|受《う》けなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしより|以前《いぜん》の|総督《そうとく》らは|民《たみ》に|重荷《おもに》を|負《お》わせ、|彼《かれ》らから|銀《ぎん》四十シケルのほかにパンとぶどう|酒《しゅ》を|取《と》り、また|彼《かれ》らのしもべたちも|民《たみ》を|圧迫《あっぱく》した。しかしわたしは|神《かみ》を|恐《おそ》れるので、そのようなことはしなかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはかえって、この|城壁《じょうへき》の|工事《こうじ》に|身《み》をゆだね、どんな|土地《とち》をも|買《か》ったことはない。わたしのしもべたちは|皆《みな》そこに|集《あつ》まって|工事《こうじ》をした。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またわたしの|食卓《しょくたく》にはユダヤ|人《ひと》と、つかさたち百五十|人《にん》もあり、そのほかに、われわれの|周囲《しゅうい》の|異邦人《いほうじん》のうちからきた|人々《ひとびと》もあった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これがために一|日《にち》に|牛《うし》一|頭《とう》、|肥《こ》えた|羊《ひつじ》六|頭《とう》を|備《そな》え、また|鶏《にわとり》をもわたしのために|備《そな》え、十|日《か》ごとにたくさんのぶどう|酒《しゅ》を|備《そな》えたが、わたしはこの|民《たみ》の|労役《ろうえき》が|重《おも》かったので、|総督《そうとく》としての|手当《てあ》てを|求《もと》めなかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、わたしがこの|民《たみ》のためにしたすべての|事《こと》を|覚《おぼ》えて、わたしをお|恵《めぐ》みください。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]サンバラテ、トビヤ、アラビヤびとガシムおよびその|他《た》のわれわれの|敵《てき》は、わたしが|城壁《じょうへき》を|築《きず》き|終《おわ》って、一つの|破《やぶ》れも|残《のこ》らないと|聞《き》いた。(しかしその|時《とき》にはまだ|門《もん》のとびらをつけていなかったのである。)[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでサンバラテとガシムはわたしに|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》った、「さあ、われわれはオノの|平野《へいや》にある一つの|村《むら》で|会見《かいけん》しよう」と。|彼《かれ》らはわたしに|危害《きがい》を|加《くわ》えようと|考《かんが》えていたのである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしは|彼《かれ》らに|使者《ししゃ》をつかわして|言《い》わせた、「わたしは|大《おお》いなる|工事《こうじ》をしているから|下《くだ》って|行《い》くことはできない。どうしてこの|工事《こうじ》をさしおいて、あなたがたの|所《ところ》へ|下《くだ》って|行《い》き、その|間《かん》、|工事《こうじ》をやめることができようか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは四|度《ど》までこのようにわたしに|人《ひと》をつかわしたが、わたしは|同《おな》じように|彼《かれ》らに|答《こた》えた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ところが、サンバラテは五|度目《どめ》にそのしもべを|前《まえ》のようにわたしにつかわした。その|手《て》には|開封《かいふう》の|手紙《てがみ》を|携《たずさ》えていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》に|次《つぎ》のようにしるしてあった、「|諸《しょ》|国民《こくみん》の|間《あいだ》に|言《い》い|伝《つた》えられ、またガシムも|言《い》っているが、あなたはユダヤ|人《ひと》と|共《とも》に|反乱《はんらん》を|企《くわだ》て、これがために|城壁《じょうへき》を|築《きず》いている。またその|言《い》うところによれば、あなたは|彼《かれ》らの|王《おう》になろうとしている。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またあなたは|預言者《よげんしゃ》を|立《た》てて、あなたのことをエルサレムにのべ|伝《つた》えさせ、『ユダに|王《おう》がある』と|言《い》わせているが、そのことはこの|言葉《ことば》のとおり|王《おう》に|聞《きこ》えるでしょう。それゆえ、|今《いま》おいでなさい。われわれは|共《とも》に|相談《そうだん》しましょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|彼《かれ》に|人《ひと》をつかわして|言《い》わせた、「あなたの|言《い》うようなことはしていません。あなたはそれを|自分《じぶん》の|心《こころ》から|造《つく》り|出《だ》したのです」と。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみな「|彼《かれ》らの|手《て》が|弱《よわ》って|工事《こうじ》をやめるようになれば、|工事《こうじ》は|成就《じょうじゅ》しないだろう」と|考《かんが》えて、われわれをおどそうとしたのである。しかし|神《かみ》よ、どうぞいまわたしの|手《て》を|強《つよ》めてください。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]さてわたしはメヘタベルの|子《こ》デラヤの|子《こ》シマヤの|家《いえ》に|行《い》ったところ、|彼《かれ》は|閉《と》じこもっていて|言《い》った、「われわれは|神《かみ》の|宮《みや》すなわち|神殿《しんでん》の|中《なか》で|会合《かいごう》し、|神殿《しんでん》の|戸《と》を|閉《と》じておきましょう。|彼《かれ》らはあなたを|殺《ころ》そうとして|来《く》るからです。きっと|夜《よる》のうちにあなたを|殺《ころ》そうとして|来《く》るでしょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、「わたしのような|者《もの》がどうして|逃《に》げられよう。わたしのような|者《もの》でだれが|神殿《しんでん》にはいって|命《いのち》を|全《まっと》うすることができよう。わたしははいらない」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|悟《さと》った。|神《かみ》が|彼《かれ》をつかわされたのではない。|彼《かれ》がわたしにむかってこの|預言《よげん》を|伝《つた》えたのは、トビヤとサンバラテが|彼《かれ》を|買収《ばいしゅう》したためである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|買収《ばいしゅう》されたのはこの|事《こと》のためである。すなわちわたしを|恐《おそ》れさせ、わたしにこのようにさせて、|罪《つみ》を|犯《おか》させ、わたしに|悪名《あくめい》をきせて|侮辱《ぶじょく》するためであった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、トビヤ、サンバラテおよび|女《おんな》|預言者《よげんしゃ》ノアデヤならびにその|他《た》の|預言者《よげんしゃ》など、すべてわたしを|恐《おそ》れさせようとする|者《もの》たちをおぼえて、|彼《かれ》らが|行《い》ったこれらのわざに|報《むく》いてください。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|城壁《じょうへき》は五十二|日《にち》を|経《へ》て、エルルの|月《つき》の二十五|日《にち》に|完成《かんせい》した。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|敵《てき》が|皆《みな》これを|聞《き》いた|時《とき》、われわれの|周囲《しゅうい》の|異邦人《いほうじん》はみな|恐《おそ》れ、|大《おお》いに|面目《めんぼく》を|失《うしな》った。|彼《かれ》らはこの|工事《こうじ》が、われわれの|神《かみ》の|助《たす》けによって|成就《じょうじゅ》したことを|悟《さと》ったからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またそのころ、ユダの|尊《たっと》い|人々《ひとびと》は|多《おお》くの|手紙《てがみ》をトビヤに|送《おく》った。トビヤの|手紙《てがみ》もまた|彼《かれ》らにきた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]トビヤはアラの|子《こ》シカニヤの|婿《むこ》であったので、ユダのうちの|多《おお》くの|者《もの》が|彼《かれ》と|誓《ちか》いを|立《た》てていたからである。トビヤの|子《こ》ヨハナンもベレキヤの|子《こ》メシュラムの|娘《むすめ》を|妻《つま》にめとった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまたトビヤの|善行《ぜんこう》をわたしの|前《まえ》に|語《かた》り、またわたしの|言葉《ことば》を|彼《かれ》に|伝《つた》えた。トビヤはたびたび|手紙《てがみ》を|送《おく》って、わたしを|恐《おそ》れさせようとした。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|城壁《じょうへき》が|築《きず》かれて、とびらを|設《もう》け、さらに|門衛《もんえい》、|歌《うた》うたう|者《もの》およびレビびとを|任命《にんめい》したので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしの|兄弟《きょうだい》ハナニと、|城《しろ》のつかさハナニヤに|命《めい》じて、エルサレムを|治《おさ》めさせた。|彼《かれ》は|多《おお》くの|者《もの》にまさって|忠信《ちゅうしん》な、|神《かみ》を|恐《おそ》れる|者《もの》であったからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|日《ひ》の|暑《あつ》くなるまではエルサレムのもろもろの|門《もん》を|開《ひら》いてはならない。|人々《ひとびと》が|立《た》って|守《まも》っている|間《あいだ》に|門《もん》を|閉《と》じさせ、|貫《かん》の|木《き》を|差《さ》せ。またエルサレムの|住民《じゅうみん》の|中《なか》から|番兵《ばんぺい》を|立《た》てて、おのおのにその|所《ところ》を|守《まも》らせ、またおのおのの|家《いえ》と|向《む》かい|合《あ》う|所《ところ》を|守《まも》らせよ」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》は|広《ひろ》くて|大《おお》きかったが、その|内《うち》の|民《たみ》は|少《すく》なく、|家々《いえいえ》はまだ|建《た》てられていなかった。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|神《かみ》はわたしの|心《こころ》に、|尊《たっと》い|人々《ひとびと》、つかさおよび|民《たみ》を|集《あつ》めて、|家系《かけい》によってその|名簿《めいぼ》をしらべようとの|思《おも》いを|起《おこ》された。わたしは|最初《さいしょ》に|上《のぼ》って|来《き》た|人々《ひとびと》の|系図《けいず》を|発見《はっけん》し、その|中《なか》にこのようにしるしてあるのを|見《み》いだした。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデネザルが|捕《とら》え|移《うつ》した|捕囚《ほしゅう》のうち、ゆるされてエルサレムおよびユダに|上《のぼ》り、おのおの|自分《じぶん》の|町《まち》に|帰《かえ》ったこの|州《しゅう》の|人々《ひとびと》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはゼルバベル、エシュア、ネヘミヤ、アザリヤ、ラアミヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシャン、ミスペレテ、ビグワイ、ネホム、バアナと|一緒《いっしょ》に|帰《かえ》ってきた|者《もの》たちである。  そのイスラエルの|民《たみ》の|人数《にんずう》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]パロシの|子孫《しそん》は二千百七十二|人《にん》。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]シパテヤの|子孫《しそん》は三百七十二|人《にん》。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アラの|子孫《しそん》は六百五十二|人《にん》。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]パハテ・モアブの|子孫《しそん》すなわちエシュアとヨアブの|子孫《しそん》は二千八百十八|人《にん》。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エラムの|子孫《しそん》は一千二百五十四|人《にん》。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ザットの|子孫《しそん》は八百四十五|人《にん》。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ザッカイの|子孫《しそん》は七百六十|人《にん》。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ビンヌイの|子孫《しそん》は六百四十八|人《にん》。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ベバイの|子孫《しそん》は六百二十八|人《にん》。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アズガデの|子孫《しそん》は二千三百二十二|人《にん》。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アドニカムの|子孫《しそん》は六百六十七|人《にん》。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ビグワイの|子孫《しそん》は二千六十七|人《にん》。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]アデンの|子孫《しそん》は六百五十五|人《にん》。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤの|家《いえ》のアテルの|子孫《しそん》は九十八|人《にん》。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ハシュムの|子孫《しそん》は三百二十八|人《にん》。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ベザイの|子孫《しそん》は三百二十四|人《にん》。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ハリフの|子孫《しそん》は百十二|人《にん》。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ギベオンの|子孫《しそん》は九十五|人《にん》。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ベツレヘムおよびネトパの|人々《ひとびと》は百八十八|人《にん》。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]アナトテの|人々《ひとびと》は百二十八|人《にん》。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ベテ・アズマウテの|人々《ひとびと》は四十二|人《にん》。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]キリアテ・ヤリム、ケピラおよびベエロテの|人々《ひとびと》は七百四十三|人《にん》。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ラマおよびゲバの|人々《ひとびと》は六百二十一|人《にん》。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ミクマシの|人々《ひとびと》は百二十二|人《にん》。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]ベテルおよびアイの|人々《ひとびと》は百二十三|人《にん》。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ほかのネボの|人々《ひとびと》は五十二|人《にん》。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ほかのエラムの|子孫《しそん》は一千二百五十四|人《にん》。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|子孫《しそん》は三百二十|人《にん》。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]エリコの|人々《ひとびと》は三百四十五|人《にん》。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]ロド、ハデデおよびオノの|人々《ひとびと》は七百二十一|人《にん》。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]セナアの|子孫《しそん》は三千九百三十|人《にん》。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》では、エシュアの|家《いえ》のエダヤの|子孫《しそん》が九百七十三|人《にん》。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]インメルの|子孫《しそん》が一千五十二|人《にん》。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]パシュルの|子孫《しそん》が一千二百四十七|人《にん》。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|子孫《しそん》が一千十七|人《にん》。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]レビびとでは、エシュアの|子孫《しそん》すなわちホデワの|子孫《しそん》のうちのカデミエルの|子孫《しそん》が七十四|人《にん》。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|歌《うた》うたう|者《もの》では、アサフの|子孫《しそん》が百四十八|人《にん》。  [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|門衛《もんえい》では、シャルムの|子孫《しそん》、アテルの|子孫《しそん》、タルモンの|子孫《しそん》、アックブの|子孫《しそん》、ハテタの|子孫《しそん》およびショバイの|子孫《しそん》|合《あ》わせて百三十八|人《にん》。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべでは、ジハの|子孫《しそん》、ハスパの|子孫《しそん》、タバオテの|子孫《しそん》、[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]ケロスの|子孫《しそん》、シアの|子孫《しそん》、パドンの|子孫《しそん》、[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]レバナの|子孫《しそん》、ハガバの|子孫《しそん》、サルマイの|子孫《しそん》、[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]ハナンの|子孫《しそん》、ギデルの|子孫《しそん》、ガハルの|子孫《しそん》、[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]レアヤの|子孫《しそん》、レヂンの|子孫《しそん》、ネコダの|子孫《しそん》、[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]ガザムの|子孫《しそん》、ウザの|子孫《しそん》、パセアの|子孫《しそん》、[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]ベサイの|子孫《しそん》、メウニムの|子孫《しそん》、ネフセシムの|子孫《しそん》、[#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]バクブクの|子孫《しそん》、ハクパの|子孫《しそん》、ハルホルの|子孫《しそん》、[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]バヅリテの|子孫《しそん》、メヒダの|子孫《しそん》、ハルシャの|子孫《しそん》、[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]バルコスの|子孫《しそん》、シセラの|子孫《しそん》、テマの|子孫《しそん》、[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]ネヂアの|子孫《しそん》およびハテパの|子孫《しそん》。  [#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンのしもべであった|者《もの》たちの|子孫《しそん》では、ソタイの|子孫《しそん》、ソペレテの|子孫《しそん》、ペリダの|子孫《しそん》、[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]ヤアラの|子孫《しそん》、ダルコンの|子孫《しそん》、ギデルの|子孫《しそん》、[#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]シパテヤの|子孫《しそん》、ハッテルの|子孫《しそん》、ポケレテ・ハッゼバイムの|子孫《しそん》、アモンの|子孫《しそん》。  [#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちとソロモンのしもべであった|者《もの》たちの|子孫《しそん》とは|合《あ》わせて|三百《さんびゃく》|九《きゅう》|十《じゅう》|二《に》|人《にん》。  [#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]テルメラ、テルハレサ、ケルブ、アドンおよびインメルから|上《のぼ》って|来《き》た|者《もの》があったが、その|氏族《しぞく》と、|血統《けっとう》とを|示《しめ》して、イスラエルの|者《もの》であることを|明《あき》らかにすることができなかった。その|人々《ひとびと》は|次《つぎ》のとおりである。[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちデラヤの|子孫《しそん》、トビヤの|子孫《しそん》、ネコダの|子孫《しそん》であって、|合《あ》わせて六百四十二|人《にん》。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》のうちにホバヤの|子孫《しそん》、ハッコヅの|子孫《しそん》、バルジライの|子孫《しそん》がある。バルジライはギレアデびとバルジライの|娘《むすめ》たちのうちから|妻《つま》をめとったので、その|名《な》で|呼《よ》ばれた。[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]これらの|者《もの》はこの|系図《けいず》に|載《の》った|者《もの》のうちに、|自分《じぶん》の|籍《せき》をたずねたが、なかったので、|汚《けが》れた|者《もの》として|祭司《さいし》の|職《しょく》から|除《のぞ》かれた。[#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]|総督《そうとく》は|彼《かれ》らに|告《つ》げて、ウリムとトンミムを|帯《お》びる|祭司《さいし》の|起《おこ》るまでは、いと|聖《せい》なる|物《もの》を|食《た》べてはならぬと|言《い》った。  [#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]|会衆《かいしゅう》は|合《あ》わせて四万二千三百六十|人《にん》であった。[#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]このほかに|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》が七千三百三十七|人《にん》、|歌《うた》うたう|者《もの》が|男女《だんじょ》|合《あ》わせて二百四十五|人《にん》あった。[#太字]六八[#「六八」は行右小書き][#太字終わり]その|馬《うま》は七百三十六|頭《とう》、その|騾馬《らば》は二百四十五|頭《とう》、[#太字]六九[#「六九」は行右小書き][#太字終わり]そのらくだは四百三十五|頭《とう》、そのろばは六千七百二十|頭《とう》であった。  [#太字]七〇[#「七〇」は行右小書き][#太字終わり]|氏族《しぞく》の|長《ちょう》のうち|工事《こうじ》のためにささげ|物《もの》をした|人々《ひとびと》があった。|総督《そうとく》は|金《きん》一千ダリク、|鉢《はち》五十、|祭司《さいし》の|衣服《いふく》五百三十かさねを|倉《くら》に|納《おさ》めた。[#太字]七一[#「七一」は行右小書き][#太字終わり]また|氏族《しぞく》の|長《ちょう》のうちのある|人々《ひとびと》は|金《きん》二万ダリク、|銀《ぎん》二千二百ミナを|工事《こうじ》のために|倉《くら》に|納《おさ》めた。[#太字]七二[#「七二」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》の|民《たみ》の|納《おさ》めたものは|金《きん》二万ダリク、|銀《ぎん》二千ミナ、|祭司《さいし》の|衣服《いふく》六十七かさねであった。  [#太字]七三[#「七三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|祭司《さいし》、レビびと、|門衛《もんえい》、|歌《うた》うたう|者《もの》、|民《たみ》のうちのある|人々《ひとびと》、|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたち、およびイスラエルびとは|皆《みな》その|町々《まちまち》に|住《す》んだ。  イスラエルの|人々《ひとびと》はその|町々《まちまち》に|住《す》んで七|月《がつ》になった。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|民《たみ》は|皆《みな》ひとりのようになって|水《みず》の|門《もん》の|前《まえ》の|広場《ひろば》に|集《あつ》まり、|主《しゅ》がイスラエルに|与《あた》えられたモーセの|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|持《も》って|来《く》るように、|学者《がくしゃ》エズラに|求《もと》めた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》エズラは七|月《がつ》の一|日《にち》に|律法《りっぽう》を|携《たずさ》えて|来《き》て、|男女《だんじょ》の|会衆《かいしゅう》およびすべて|聞《き》いて|悟《さと》ることのできる|人々《ひとびと》の|前《まえ》にあらわれ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》の|門《もん》の|前《まえ》にある|広場《ひろば》で、あけぼのから|正午《しょうご》まで、|男女《だんじょ》および|悟《さと》ることのできる|人々《ひとびと》の|前《まえ》でこれを|読《よ》んだ。|民《たみ》はみな|律法《りっぽう》の|書《しょ》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|学者《がくしゃ》エズラはこの|事《こと》のために、かねて|設《もう》けた|木《き》の|台《だい》の|上《うえ》に|立《た》ったが、|彼《かれ》のかたわらには|右《みぎ》の|方《ほう》にマッタテヤ、シマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤおよびマアセヤが|立《た》ち、|左《ひだり》の|方《ほう》にはペダヤ、ミサエル、マルキヤ、ハシュム、ハシバダナ、ゼカリヤおよびメシュラムが|立《た》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エズラはすべての|民《たみ》の|前《まえ》にその|書《しょ》を|開《ひら》いた。|彼《かれ》はすべての|民《たみ》よりも|高《たか》い|所《ところ》にいたからである。|彼《かれ》が|書《しょ》を|開《ひら》くと、すべての|民《たみ》は|起立《きりつ》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エズラは|大《おお》いなる|神《かみ》、|主《しゅ》をほめ、|民《たみ》は|皆《みな》その|手《て》をあげて、「アァメン、アァメン」と|言《い》って|答《こた》え、こうべをたれ、|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|主《しゅ》を|拝《はい》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エシュア、バニ、セレビヤ、ヤミン、アックブ、シャベタイ、ホデヤ、マアセヤ、ケリタ、アザリヤ、ヨザバデ、ハナン、ペラヤおよびレビびとたちは|民《たみ》に|律法《りっぽう》を|悟《さと》らせた。|民《たみ》はその|所《ところ》に|立《た》っていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|書《しょ》、すなわち|神《かみ》の|律法《りっぽう》をめいりょうに|読《よ》み、その|意味《いみ》を|解《と》き|明《あ》かしてその|読《よ》むところを|悟《さと》らせた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|総督《そうとく》であるネヘミヤと、|祭司《さいし》であり、|学者《がくしゃ》であるエズラと、|民《たみ》を|教《おし》えるレビびとたちはすべての|民《たみ》に|向《む》かって「この|日《ひ》はあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|聖《せい》なる|日《ひ》です。|嘆《なげ》いたり、|泣《な》いたりしてはならない」と|言《い》った。すべての|民《たみ》が|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》を|聞《き》いて|泣《な》いたからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたは|去《さ》って、|肥《こ》えたものを|食《た》べ、|甘《あま》いものを|飲《の》みなさい。その|備《そな》えのないものには|分《わ》けてやりなさい。この|日《ひ》はわれわれの|主《しゅ》の|聖《せい》なる|日《ひ》です。|憂《うれ》えてはならない。|主《しゅ》を|喜《よろこ》ぶことはあなたがたの|力《ちから》です」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]レビびともまたすべての|民《たみ》を|静《しず》めて、「|泣《な》くことをやめなさい。この|日《ひ》は|聖《せい》なる|日《ひ》です。|憂《うれ》えてはならない」と|言《い》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すべての|民《たみ》は|去《さ》って|食《く》い|飲《の》みし、また|分《わ》け|与《あた》えて、|大《おお》いに|喜《よろこ》んだ。これは|彼《かれ》らが|読《よ》み|聞《き》かされた|言葉《ことば》を|悟《さと》ったからである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》の|日《ひ》、すべての|民《たみ》の|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たち、|祭司《さいし》、レビびとらは|律法《りっぽう》の|言葉《ことば》を|学《まな》ぶために|学者《がくしゃ》エズラのもとに|集《あつ》まってきて、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|律法《りっぽう》のうちに|主《しゅ》がモーセに|命《めい》じられたこと、すなわちイスラエルの|人々《ひとびと》は七|月《がつ》の|祭《まつり》の|間《あいだ》、|仮庵《かりいお》の|中《なか》に|住《す》むべきことがしるされているのを|見《み》いだした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|町々《まちまち》およびエルサレムにのべ|伝《つた》えて、「あなたがたは|山《やま》に|出《で》て|行《い》って、オリブと|野生《やせい》のオリブ、ミルトス、なつめやし、および|茂《しげ》った|木《き》の|枝《えだ》を|取《と》ってきて、しるされてあるとおり、|仮庵《かりいお》を|造《つく》れ」と|言《い》ってあるのを|見《み》いだした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それで|民《たみ》は|出《で》て|行《い》って、それを|持《も》って|帰《かえ》り、おのおのその|家《いえ》の|屋根《やね》の|上《うえ》、その|庭《にわ》、|神《かみ》の|宮《みや》の|庭《にわ》、|水《みず》の|門《もん》の|広場《ひろば》、エフライムの|門《もん》の|広場《ひろば》などに|仮庵《かりいお》を|造《つく》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|捕囚《ほしゅう》から|帰《かえ》って|来《き》た|会衆《かいしゅう》は|皆《みな》|仮庵《かりいお》を|造《つく》って、|仮庵《かりいお》に|住《す》んだ。ヌンの|子《こ》ヨシュアの|日《ひ》からこの|日《ひ》まで、イスラエルの|人々《ひとびと》はこのように|行《い》ったことがなかった。それでその|喜《よろこ》びは|非常《ひじょう》に|大《おお》きかった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エズラは|初《はじ》めの|日《ひ》から|終《おわ》りの|日《ひ》まで、|毎日《まいにち》|神《かみ》の|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|読《よ》んだ。|人々《ひとびと》は|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|祭《まつり》を|行《おこな》い、|八日《ようか》|目《め》になって、おきてにしたがって|聖《せい》|会《かい》を|開《ひら》いた。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|月《つき》の二十四|日《か》にイスラエルの|人々《ひとびと》は|集《あつ》まって|断食《だんじき》し、|荒布《あらぬの》をまとい、|土《つち》をかぶった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてイスラエルの|子孫《しそん》は、すべての|異邦人《いほうじん》を|離《はな》れ、|立《た》って|自分《じぶん》の|罪《つみ》と|先祖《せんぞ》の|不義《ふぎ》とをざんげした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|所《ところ》に|立《た》って、その|日《ひ》の四|分《ぶん》の一をもってその|神《かみ》、|主《しゅ》の|律法《りっぽう》の|書《しょ》を|読《よ》み、|他《た》の四|分《ぶん》の一をもってざんげをなし、その|神《かみ》、|主《しゅ》を|拝《はい》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エシュア、バニ、カデミエル、シバニヤ、ブンニ、セレビヤ、バニ、ケナニらはレビびとの|台《だい》の|上《うえ》に|立《た》ち、|大声《おおごえ》をあげて、その|神《かみ》、|主《しゅ》に|呼《よ》ばわった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それからまたエシュア、カデミエル、バニ、ハシャブニヤ、セレビヤ、ホデヤ、セバニヤ、ペタヒヤなどのレビびとは|言《い》った、「|立《た》ちあがって|永遠《えいえん》から|永遠《えいえん》にいますあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》をほめなさい。あなたの|尊《たっと》いみ|名《な》はほむべきかな。これはすべての|祝福《しゅくふく》とさんびを|越《こ》えるものです」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またエズラは|言《い》った、「あなたは、ただあなたのみ、|主《しゅ》でいらせられます。あなたは|天《てん》と|諸《しょ》|天《てん》の|天《てん》と、その|万象《ばんしょう》、|地《ち》とその|上《うえ》のすべてのもの、|海《うみ》とその|中《なか》のすべてのものを|造《つく》り、これをことごとく|保《たも》たれます。|天《てん》の|万軍《ばんぐん》はあなたを|拝《はい》します。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|主《しゅ》、|神《かみ》でいらせられます。あなたは|昔《むかし》アブラムを|選《えら》んでカルデヤのウルから|導《みちび》き|出《だ》し、|彼《かれ》にアブラハムという|名《な》を|与《あた》え、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|心《こころ》があなたの|前《まえ》に|忠信《ちゅうしん》なのを|見《み》られて、|彼《かれ》と|契約《けいやく》を|結《むす》び、その|子孫《しそん》にカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、エブスびとおよびギルガシびとの|地《ち》を|与《あた》えると|言《い》われたが、ついにあなたはその|約束《やくそく》を|成就《じょうじゅ》されました。あなたは|正《ただ》しくいらせられるからです。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわれわれの|先祖《せんぞ》がエジプトで|苦難《くなん》を|受《う》けるのを|顧《かえり》みられ、また|紅海《こうかい》のほとりで|呼《よ》ばわり|叫《さけ》ぶのを|聞《き》きいれられ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しるしと|不思議《ふしぎ》とをあらわしてパロと、そのすべての|家来《けらい》と、その|国《くに》のすべての|民《たみ》を|攻《せ》められました。|彼《かれ》らがわれわれの|先祖《せんぞ》に|対《たい》して、ごうまんにふるまったことを|知《し》られたからです。そしてあなたが|名《な》をあげられたこと|今日《こんにち》のようです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|彼《かれ》らの|前《まえ》で|海《うみ》を|分《わ》け、|彼《かれ》らに、かわいた|地《ち》を|踏《ふ》んで|海《うみ》の|中《なか》を|通《とお》らせ、|彼《かれ》らを|追《お》う|者《もの》を、|石《いし》を|大水《おおみず》に|投《な》げ|入《い》れるように|淵《ふち》に|投《な》げ|入《い》れ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》は|雲《くも》の|柱《はしら》をもって|彼《かれ》らを|導《みちび》き、|夜《よる》は|火《ひ》の|柱《はしら》をもってその|行《ゆ》くべき|道《みち》を|照《てら》されました。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたシナイ|山《さん》の|上《うえ》に|下《くだ》り、|天《てん》から|彼《かれ》らと|語《かた》り、|正《ただ》しいおきてと、まことの|律法《りっぽう》および|良《よ》きさだめと|戒《いまし》めとを|授《さづ》け、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|聖《せい》なる|安息日《あんそくにち》を|彼《かれ》らに|示《しめ》し、あなたのしもべモーセによって|戒《いまし》めと、さだめと、|律法《りっぽう》とを|彼《かれ》らに|命《めい》じ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》から|食物《しょくもつ》を|与《あた》えてその|飢《う》えをとどめ、|岩《いわ》から|水《みず》を|出《だ》してそのかわきを|潤《うるお》し、また、|彼《かれ》らに|与《あた》えると|誓《ちか》われたその|国《くに》にはいって、これを|獲《え》るように|彼《かれ》らに|命《めい》じられました。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》ら、すなわちわれわれの|先祖《せんぞ》はごうまんにふるまい、かたくなで、あなたの|戒《いまし》めに|従《したが》わず、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|従《したが》うことを|拒《こば》み、あなたが|彼《かれ》らの|中《なか》で|行《おこな》われた|奇跡《きせき》を|心《こころ》にとめず、かえってかたくなになり、みずからひとりのかしらを|立《た》てて、エジプトの|奴隷《どれい》の|生活《せいかつ》に|帰《かえ》ろうとしました。しかしあなたは|罪《つみ》をゆるす|神《かみ》、|恵《めぐ》みあり、あわれみあり、|怒《いか》ることおそく、いつくしみ|豊《ゆた》かにましまして、|彼《かれ》らを|捨《す》てられませんでした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らがみずから一つの|鋳物《いもの》の|子《こ》|牛《うし》を|造《つく》って、『これはあなたがたをエジプトから|導《みちび》き|上《のぼ》ったあなたがたの|神《かみ》である』と|言《い》って、|大《おお》いに|汚《けが》し|事《こと》を|行《おこな》った|時《とき》にも、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大《おお》いなるあわれみをもって|彼《かれ》らを|荒野《あらの》に|見捨《みす》てられず、|昼《ひる》は|雲《くも》の|柱《はしら》を|彼《かれ》らの|上《うえ》から|離《はな》さないで|道々《みちみち》|彼《かれ》らを|導《みちび》き、|夜《よる》は|火《ひ》の|柱《はしら》をもって|彼《かれ》らの|行《ゆ》くべき|道《みち》を|照《てら》されました。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またあなたは|良《よ》きみたまを|賜《たま》わって|彼《かれ》らを|教《おし》え、あなたのマナを|常《つね》に|彼《かれ》らの|口《くち》に|与《あた》え、また|水《みず》を|彼《かれ》らに|与《あた》えて、かわきをとどめ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]四十|年《ねん》の|間《あいだ》|彼《かれ》らを|荒野《あらの》で|養《やしな》われたので、|彼《かれ》らはなんの|欠《か》けるところもなく、その|衣服《いふく》も|古《ふる》びず、その|足《あし》もはれませんでした。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたは|彼《かれ》らに|諸国《しょこく》、|諸民《しょみん》を|与《あた》えて、これをすべて|分《わ》かち|取《と》らせられました。|彼《かれ》らはヘシボンの|王《おう》シホンの|領地《りょうち》、およびバシャンの|王《おう》オグの|領地《りょうち》を|獲《え》ました。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|子孫《しそん》を|増《ま》して|空《そら》の|星《ほし》のようにし、|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに、はいって|獲《え》よと|言《い》われた|地《ち》に|彼《かれ》らを|導《みちび》き|入《い》れられたので、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|子孫《しそん》は、はいってこの|地《ち》を|獲《え》ました。あなたはまた、この|地《ち》に|住《す》むカナンびとを|彼《かれ》らの|前《まえ》に|征服《せいふく》し、その|王《おう》たちおよびその|地《ち》の|民《たみ》を|彼《かれ》らの|手《て》に|渡《わた》して、|意《い》のままに|扱《あつか》わせられました。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それで|彼《かれ》らは|堅固《けんご》な|町々《まちまち》および|肥《こ》えた|地《ち》を|取《と》り、もろもろの|良《よ》い|物《もの》の|満《み》ちた|家《いえ》、|掘池《ほりいけ》、ぶどう|畑《はたけ》、オリブ|畑《はたけ》および|多《おお》くの|果樹《かじゅ》を|獲《え》、|食《た》べて|飽《あ》き、|肥《こ》え|太《ふと》り、あなたの|大《おお》いなる|恵《めぐ》みによって|楽《たの》しみました。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]それにもかかわらず|彼《かれ》らは|不《ふ》|従順《じゅうじゅん》で、あなたにそむき、あなたの|律法《りっぽう》を|後《のち》に|投《な》げ|捨《す》て、|彼《かれ》らを|戒《いまし》めて、あなたに|立《た》ち|返《かえ》らせようとした|預言者《よげんしゃ》たちを|殺《ころ》し、|大《おお》いに|汚《けが》し|事《こと》を|行《おこな》いました。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこであなたは|彼《かれ》らを|敵《てき》の|手《て》に|渡《わた》して|苦《くる》しめられましたが、|彼《かれ》らがその|苦難《くなん》の|時《とき》にあなたに|呼《よ》ばわったので、あなたは|天《てん》からこれを|聞《き》かれ、|大《おお》いなるあわれみをもって|彼《かれ》らに|救《すく》う|者《もの》を|与《あた》え、|敵《てき》の|手《て》から|救《すく》わせられました。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》らは|安息《あんそく》を|得《え》るやいなや、またあなたの|前《まえ》に|悪事《あくじ》を|行《おこな》ったので、あなたは|彼《かれ》らを|敵《てき》の|手《て》に|捨《す》て|置《お》いて、これに|治《おさ》めさせられましたが、|彼《かれ》らがまた|立《た》ち|返《かえ》ってあなたに|呼《よ》ばわったので、あなたは|天《てん》からこれを|聞《き》き、あわれみをもってしばしば|彼《かれ》らを|救《すく》い|出《だ》し、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|戒《いまし》めて、あなたの|律法《りっぽう》に|引《ひ》きもどそうとされました。けれども|彼《かれ》らはごうまんにふるまい、あなたの|戒《いまし》めに|従《したが》わず、|人《ひと》がこれを|行《おこな》うならば、これによって|生《い》きるというあなたのおきてを|破《やぶ》って|罪《つみ》を|犯《おか》し、|肩《かた》をそびやかし、かたくなになって、|聞《き》き|従《したが》おうとはしませんでした。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それでもあなたは|年《とし》|久《ひさ》しく|彼《かれ》らを|忍《しの》び、あなたの|預言者《よげんしゃ》たちにより、あなたのみたまをもって|彼《かれ》らを|戒《いまし》められましたが、|彼《かれ》らは|耳《みみ》を|傾《かたむ》けなかったので、|彼《かれ》らを|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|手《て》に|渡《わた》されました。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは|大《おお》いなるあわれみによって|彼《かれ》らを|絶《た》やさず、また|彼《かれ》らを|捨《す》てられませんでした。あなたは|恵《めぐ》みあり、あわれみある|神《かみ》でいらせられるからです。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、われわれの|神《かみ》、|契約《けいやく》を|保《たも》ち、いつくしみを|施《ほどこ》される|大《おお》いにして|力強《ちからづよ》く、|恐《おそ》るべき|神《かみ》よ、アッスリヤの|王《おう》たちの|時《とき》から|今日《こんにち》まで、われわれとわれわれの|王《おう》たち、つかさたち、|祭司《さいし》たち、|預言者《よげんしゃ》たち、|先祖《せんぞ》たち、およびあなたのすべての|民《たみ》に|臨《のぞ》んだもろもろの|苦難《くなん》を|小《ちい》さい|事《こと》と|見《み》ないでください。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]われわれに|臨《のぞ》んだすべての|事《こと》について、あなたは|正《ただ》しいのです。あなたは|誠実《せいじつ》をもって|行《おこな》われたのに、われわれは|悪《あく》を|行《おこな》ったのです。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|王《おう》たち、つかさたち、|祭司《さいし》たち、|先祖《せんぞ》たちはあなたの|律法《りっぽう》を|行《おこな》わず、あなたがお|与《あた》えになった|命令《めいれい》と|戒《いまし》めとに|聞《き》き|従《したが》いませんでした。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らはおのれの|国《くに》におり、あなたが|下《くだ》さった|大《おお》きな|恵《めぐ》みのうちにおり、またあなたがお|与《あた》えになった|広《ひろ》い|肥《こ》えた|地《ち》におりながら、あなたに|仕《つか》えず、また|自分《じぶん》の|悪《わる》いわざをやめることをしませんでした。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|今日《こんにち》|奴隷《どれい》です。あなたがわれわれの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えて、その|実《み》とその|良《よ》き|物《もの》とを|食《た》べさせようとされた|地《ち》で、われわれは|奴隷《どれい》となっているのです。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そしてこの|地《ち》はわれわれの|罪《つみ》のゆえに、あなたがわれわれの|上《うえ》に|立《た》てられた|王《おう》たちのために|多《おお》くの|産物《さんぶつ》を|出《だ》しています。かつ|彼《かれ》らはわれわれの|身《み》をも、われわれの|家畜《かちく》をも|意《い》のままに|左右《さゆう》することができるので、われわれは|大《おお》いなる|苦難《くなん》のうちにあるのです」。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]このもろもろの|事《こと》のためにわれわれは|堅《かた》い|契約《けいやく》を|結《むす》んで、これを|記録《きろく》し、われわれのつかさたち、レビびとたち|祭司《さいし》たちはこれに|印《いん》を|押《お》した。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|印《いん》を|押《お》した|者《もの》はハカリヤの|子《こ》である|総督《そうとく》ネヘミヤ、およびゼデキヤ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]セラヤ、アザリヤ、エレミヤ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]パシュル、アマリヤ、マルキヤ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ハットシ、シバニヤ、マルク、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ハリム、メレモテ、オバデヤ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ダニエル、ギンネトン、バルク、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]メシュラム、アビヤ、ミヤミン、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]マアジヤ、ビルガイ、シマヤで、これらは|祭司《さいし》である。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]レビびとではアザニヤの|子《こ》エシュア、ヘナダデの|子《こ》らのうちのビンヌイ、カデミエル、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]およびその|兄弟《きょうだい》シバニヤ、ホデヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ミカ、レホブ、ハシャビヤ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ザックル、セレビヤ、シバニヤ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ホデヤ、バニ、ベニヌである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》のかしらではパロシ、パハテ・モアブ、エラム、ザット、バニ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ブンニ、アズガデ、ベバイ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]アドニヤ、ビグワイ、アデン、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アテル、ヒゼキヤ、アズル、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ホデヤ、ハシュム、ベザイ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ハリフ、アナトテ、ノバイ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]マグピアシ、メシュラム、ヘジル、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]メシザベル、ザドク、ヤドア、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ペラテヤ、ハナン、アナニヤ、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ホセア、ハナニヤ、ハシュブ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ハロヘシ、ピルハ、ショベク、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]レホム、ハシャブナ、マアセヤ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]アヒヤ、ハナン、アナン、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]マルク、ハリム、バアナである。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》の|民《たみ》、|祭司《さいし》、レビびと、|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》、|歌《うた》うたう|者《もの》、|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべ、ならびにすべて|国々《くにぐに》の|民《たみ》と|離《はな》れて|神《かみ》の|律法《りっぽう》に|従《したが》った|者《もの》およびその|妻《つま》、むすこ、|娘《むすめ》などすべて|知識《ちしき》と|悟《さと》りのある|者《もの》は、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|兄弟《きょうだい》である|尊《たっと》い|人々《ひとびと》につき|従《したが》い、|神《かみ》のしもべモーセによって|授《さづ》けられた|神《かみ》の|律法《りっぽう》に|歩《あゆ》み、われわれの|主《しゅ》、|主《しゅ》のすべての|戒《いまし》めと、おきてと、|定《さだ》めとを|守《まも》り|行《おこな》うために、のろいと|誓《ちか》いとに|加《くわ》わった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれはこの|地《ち》の|民《たみ》らにわれわれの|娘《むすめ》を|与《あた》えず、われわれのむすこに|彼《かれ》らの|娘《むすめ》をめとらない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]またこの|地《ち》の|民《たみ》らがたとい|品物《しなもの》または|穀物《こくもつ》を|安息日《あんそくにち》に|携《たずさ》えて|来《き》て|売《う》ろうとしても、われわれは|安息日《あんそくにち》または|聖日《せいじつ》にはそれを|買《か》わない。また七|年《ねん》ごとに|耕作《こうさく》をやめ、すべての|負債《ふさい》をゆるす。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]われわれはまたみずから|規定《きてい》を|設《もう》けて、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》の|用《よう》のために|年々《ねんねん》シケルの三|分《ぶん》の一を|出《だ》し、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|供《そな》えのパン、|常素祭《じょうそさい》、|常燔祭《じょうはんさい》のため、|安息日《あんそくにち》、|新月《しんげつ》および|定《さだ》めの|祭《まつり》の|供《そな》え|物《もの》のため、|聖《せい》なる|物《もの》のため、イスラエルのあがないをなす|罪祭《ざいさい》、およびわれわれの|神《かみ》の|宮《みや》のもろもろのわざのために|用《もち》いることにした。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]またわれわれ|祭司《さいし》、レビびとおよび|民《たみ》はくじを|引《ひ》いて、|律法《りっぽう》にしるされてあるようにわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にたくべきたきぎの|供《そな》え|物《もの》を、|年々《ねんねん》|定《さだ》められた|時《とき》に|氏族《しぞく》にしたがって、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》に|納《おさ》める|者《もの》を|定《さだ》めた。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]またわれわれの|土地《とち》の|初《はつ》なり、および|各種《かくしゅ》の|木《き》の|実《み》の|初《はつ》なりを、|年々《ねんねん》|主《しゅ》の|宮《みや》に|携《たずさ》えてくることを|誓《ちか》い、[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]また|律法《りっぽう》にしるしてあるように、われわれの|子《こ》どもおよび|家畜《かちく》のういご、およびわれわれの|牛《うし》や|羊《ひつじ》のういごを、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》に|携《たずさ》えてきて、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》に|仕《つか》える|祭司《さいし》に|渡《わた》し、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|麦粉《むぎこ》の|初物《はつもの》、われわれの|供《そな》え|物《もの》、|各種《かくしゅ》の|木《き》の|実《み》、ぶどう|酒《しゅ》および|油《あぶら》を|祭司《さいし》のもとに|携《たずさ》えて|行《い》って、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》のへやに|納《おさ》め、またわれわれの|土地《とち》の|産物《さんぶつ》の十|分《ぶん》の一をレビびとに|与《あた》えることにした。レビびとはわれわれのすべての|農作《のうさく》をなす|町《まち》において、その十|分《ぶん》の一を|受《う》くべき|者《もの》だからである。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]レビびとが十|分《ぶん》の一を|受《う》ける|時《とき》には、アロンの|子孫《しそん》である|祭司《さいし》が、そのレビびとと|共《とも》にいなければならない。そしてまたレビびとはその十|分《ぶん》の一の十|分《ぶん》の一を、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》に|携《たずさ》え|上《のぼ》って、へやまたは|倉《くら》に|納《おさ》めなければならない。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]すなわちイスラエルの|人々《ひとびと》およびレビの|子孫《しそん》は|穀物《こくもつ》、ぶどう|酒《しゅ》、および|油《あぶら》の|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えて|行《い》って、|聖所《せいじょ》の|器物《うつわもの》および|勤《つと》めをする|祭司《さいし》、|門衛《もんえい》、|歌《うた》うたう|者《もの》たちのいるへやにこれを|納《おさ》めなければならない。こうしてわれわれは、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》をなおざりにしない。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》のつかさたちはエルサレムに|住《す》み、その|他《た》の|民《たみ》はくじを|引《ひ》いて、十|人《にん》のうちからひとりずつを、|聖都《せいと》エルサレムに|来《き》て|住《す》ませ、九|人《にん》を|他《た》の|町々《まちまち》に|住《す》ませた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]またすべてみずから|進《すす》みでてエルサレムに|住《す》むことを|申《もう》し|出《で》た|人々《ひとびと》は、|民《たみ》はこれを|祝福《しゅくふく》した。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]さてエルサレムに|住《す》んだこの|州《しゅう》の|長《ちょう》たちは|次《つぎ》のとおりである。ただしユダの|町々《まちまち》ではおのおのその|町々《まちまち》にある|自分《じぶん》の|所有《しょゆう》|地《ち》に|住《す》んだ。すなわちイスラエルびと、|祭司《さいし》、レビびと、|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべ、およびソロモンのしもべであった|者《もの》たちの|子孫《しそん》である。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そしてエルサレムにはユダの|子孫《しそん》およびベニヤミンの|子孫《しそん》のうちのある|者《もの》たちが|住《す》んだ。すなわちユダの|子孫《しそん》ではウジヤの|子《こ》アタヤで、ウジヤはゼカリヤの|子《こ》、ゼカリヤはアマリヤの|子《こ》、アマリヤはシパテヤの|子《こ》、シパテヤはマハラレルの|子《こ》、マハラレルはペレヅの|子孫《しそん》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またバルクの|子《こ》マアセヤで、バルクはコロホゼの|子《こ》、コロホゼはハザヤの|子《こ》、ハザヤはアダヤの|子《こ》、アダヤはヨヤリブの|子《こ》、ヨヤリブはゼカリヤの|子《こ》、ゼカリヤはシロニびとの|子《こ》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ペレヅの|子孫《しそん》でエルサレムに|住《す》んだ|者《もの》は|合《あ》わせて四百六十八|人《にん》で、みな|勇敢《ゆうかん》な|人々《ひとびと》である。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子孫《しそん》では|次《つぎ》のとおりである。すなわちメシュラムの|子《こ》サルで、メシュラムはヨエデの|子《こ》、ヨエデはペダヤの|子《こ》、ペダヤはコラヤの|子《こ》、コラヤはマアセヤの|子《こ》、マアセヤはイテエルの|子《こ》、イテエルはエサヤの|子《こ》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|次《つぎ》はガバイおよびサライなどで|合《あ》わせて九百二十八|人《にん》。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ジクリの|子《こ》ヨエルが|彼《かれ》らの|監督《かんとく》である。ハッセヌアの|子《こ》ユダがその|副官《ふくかん》として|町《まち》を|治《おさ》めた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ではヨヤリブの|子《こ》エダヤ、ヤキン、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]および|神《かみ》の|宮《みや》のつかさセラヤで、セラヤはヒルキヤの|子《こ》、ヒルキヤはメシュラムの|子《こ》、メシュラムはザドクの|子《こ》、ザドクはメラヨテの|子《こ》、メラヨテはアヒトブの|子《こ》である。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》の|務《つとめ》をするその|兄弟《きょうだい》は八百二十二|人《にん》あり、また、エロハムの|子《こ》アダヤがある。エロハムはペラリヤの|子《こ》、ペラリヤはアムジの|子《こ》、アムジはゼカリヤの|子《こ》、ゼカリヤはパシホルの|子《こ》、パシホルはマルキヤの|子《こ》である。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アダヤの|兄弟《きょうだい》で、|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たる|者《もの》は二百四十二|人《にん》あり、またアザリエルの|子《こ》アマシサイがある。アザリエルはアハザイの|子《こ》、アハザイはメシレモテの|子《こ》、メシレモテはインメルの|子《こ》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|兄弟《きょうだい》である|勇士《ゆうし》は百二十八|人《にん》あり、その|監督《かんとく》はハッゲドリムの|子《こ》ザブデエルである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]レビびとではハシュブの|子《こ》シマヤで、ハシュブはアズリカムの|子《こ》、アズリカムはハシャビヤの|子《こ》、ハシャビヤはブンニの|子《こ》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またシャベタイおよびヨザバデがある。これらはレビびとのかしらであって、|神《かみ》の|宮《みや》の|外《そと》のわざをつかさどった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またミカの|子《こ》マッタニヤがある。ミカはザブデの|子《こ》、ザブデはアサフの|子《こ》である。マッタニヤは|祈《いのり》の|時《とき》に|感謝《かんしゃ》の|言葉《ことば》を|唱《とな》え|始《はじ》める|者《もの》である。その|兄弟《きょうだい》のうちのバクブキヤは|彼《かれ》に|次《つ》ぐ|者《もの》であった。またシャンマの|子《こ》アブダがある。シャンマはガラルの|子《こ》、ガラルはエドトンの|子《こ》である。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|聖都《せいと》におるレビびとは|合《あ》わせて二百八十四|人《にん》であった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|門衛《もんえい》では|門《もん》を|守《まも》るアックブ、タルモンおよびその|兄弟《きょうだい》たち|合《あ》わせて百七十二|人《にん》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》のイスラエルびと、|祭司《さいし》、レビびとたちは|皆《みな》ユダのすべての|町々《まちまち》にあって、おのおの|自分《じぶん》の|嗣《し》|業《ぎょう》にとどまった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ただし|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちはオペルに|住《す》み、ヂハおよびギシパが|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべたちを|監督《かんとく》していた。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムにおるレビびとの|監督《かんとく》はウジである。ウジはバニの|子《こ》、バニはハシャビヤの|子《こ》、ハシャビヤはマッタニヤの|子《こ》、マッタニヤはミカの|子《こ》である。ミカは|歌《うた》うたう|者《もの》なるアサフの|子孫《しそん》である。ウジは|神《かみ》の|宮《みや》のわざを|監督《かんとく》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らについては|王《おう》からの|命令《めいれい》があって、|歌《うた》うたう|者《もの》に|日々《ひび》の|定《さだ》まった|分《ぶん》を|与《あた》えさせた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|子《こ》ゼラの|子孫《しそん》であるメシザベルの|子《こ》ペタヒヤは|王《おう》の|手《て》に|属《ぞく》して|民《たみ》に|関《かん》するすべての|事《こと》を|取《と》り|扱《あつか》った。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|村々《むらむら》とその|田畑《たはた》については、ユダの|子孫《しそん》の|者《もの》はキリアテ・アルバとその|村々《むらむら》、デボンとその|村々《むらむら》、エカブジエルとその|村々《むらむら》に|住《す》み、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]エシュア、モラダおよびベテペレテに|住《す》み、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ハザル・シュアルおよびベエルシバとその|村々《むらむら》に|住《す》み、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]チクラグおよびメコナとその|村々《むらむら》に|住《す》み、[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]エンリンモン、ザレア、ヤルムテに|住《す》み、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ザノア、アドラムおよびそれらの|村々《むらむら》、ラキシとその|田野《でんや》、アゼカとその|村々《むらむら》に|住《す》んだ。こうして|彼《かれ》らはベエルシバからヒンノムの|谷《たに》にまで|宿営《しゅくえい》した。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|子孫《しそん》はまたゲバからミクマシ、アヤおよびベテルとその|村々《むらむら》に|住《す》み、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]アナトテ、ノブ、アナニヤ、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ハゾル、ラマ、ギッタイム、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ハデデ、ゼボイム、ネバラテ、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ロド、オノ、|工人《こうじん》の|谷《たに》に|住《す》んだ。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]レビびとの|組《くみ》のユダにあるもののうちベニヤミンに|合《あわ》したものもあった。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]シャルテルの|子《こ》ゼルバベルおよびエシュアと|一緒《いっしょ》に|上《のぼ》ってきた|祭司《さいし》とレビびとは|次《つぎ》のとおりである。すなわちセラヤ、エレミヤ、エズラ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アマリヤ、マルク、ハットシ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]シカニヤ、レホム、メレモテ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イド、ギンネトイ、アビヤ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ミヤミン、マアデヤ、ビルガ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]シマヤ、ヨヤリブ、エダヤ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サライ、アモク、ヒルキヤ、エダヤで、これらの|者《もの》はエシュアの|時代《じだい》に|祭司《さいし》およびその|兄弟《きょうだい》らのかしらであった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]レビびとではエシュア、ビンヌイ、カデミエル、セレビヤ、ユダ、マッタニヤで、マッタニヤはその|兄弟《きょうだい》らと|共《とも》に|感謝《かんしゃ》のことをつかさどった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|兄弟《きょうだい》であるバグブキヤおよびウンノは|彼《かれ》らの|向《む》かいに|立《た》って|勤《つと》めをした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エシュアの|子《こ》はヨアキム、ヨアキムの|子《こ》はエリアシブ、エリアシブの|子《こ》はヨイアダ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ヨイアダの|子《こ》はヨナタン、ヨナタンの|子《こ》はヤドアである。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨアキムの|時代《じだい》に|祭司《さいし》で|氏族《しぞく》の|長《ちょう》であった|者《もの》はセラヤの|氏族《しぞく》ではメラヤ、エレミヤの|氏族《しぞく》ではハナニヤ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エズラの|氏族《しぞく》ではメシュラム、アマリヤの|氏族《しぞく》ではヨハナン、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]マルキの|氏族《しぞく》ではヨナタン、シバニヤの|氏族《しぞく》ではヨセフ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ハリムの|氏族《しぞく》ではアデナ、メラヨテの|氏族《しぞく》ではヘルカイ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イドの|氏族《しぞく》ではゼカリヤ、ギンネトンの|氏族《しぞく》ではメシュラム、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]アビヤの|氏族《しぞく》ではジクリ、ミニヤミンの|氏族《しぞく》、モアデヤの|氏族《しぞく》ではピルタイ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ビルガの|氏族《しぞく》ではシャンマ、シマヤの|氏族《しぞく》ではヨナタン、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヨヤリブの|氏族《しぞく》ではマッテナイ、エダヤの|氏族《しぞく》ではウジ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]サライの|氏族《しぞく》ではカライ、アモクの|氏族《しぞく》ではエベル、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヒルキヤの|氏族《しぞく》ではハシャビヤ、エダヤの|氏族《しぞく》ではネタンエルである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]レビびとについては、エリアシブ、ヨイアダ、ヨハナンおよびヤドアの|時代《じだい》に、その|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たちが|登録《とうろく》された。また|祭司《さいし》たちもペルシャ|王《おう》ダリヨスの|治世《ちせい》まで|登録《とうろく》された。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]レビの|子孫《しそん》で|氏族《しぞく》の|長《ちょう》たる|者《もの》は、エリアシブの|子《こ》ヨハナンの|世《よ》まで|歴代志《れきだいし》の|書《しょ》にしるされている。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]レビびとのかしらはハシャビヤ、セレビヤおよびカデミエルの|子《こ》エシュアであって、その|兄弟《きょうだい》たち|相《あい》|向《む》かい|合《あ》い、|組《くみ》と|組《くみ》と|対応《たいおう》して|神《かみ》の|人《ひと》ダビデの|命令《めいれい》に|従《したが》い、さんびと|感謝《かんしゃ》をささげた。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]マツタニヤ、バクブキヤ、オバデヤ、メシュラム、タルモンおよびアックブは|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》で|門《もん》の|内《うち》の|倉《くら》を|監督《かんとく》した。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これらはヨザダクの|子《こ》エシュアの|子《こ》ヨアキムの|時代《じだい》、また|総督《そうとく》ネヘミヤおよび|学者《がくしゃ》である|祭司《さいし》エズラの|時代《じだい》にいた|人々《ひとびと》である。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]さてエルサレムの|城壁《じょうへき》の|落成《らくせい》|式《しき》に|当《あた》って、レビびとを、そのすべての|所《ところ》から|招《まね》いてエルサレムにこさせ、|感謝《かんしゃ》と、|歌《うた》と、シンバルと、|立琴《たてごと》と、|琴《こと》とをもって|喜《よろこ》んで|落成《らくせい》|式《しき》を|行《おこな》おうとした。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|歌《うた》うたう|人々《ひとびと》はエルサレムの|周囲《しゅうい》の|地方《ちほう》、ネトパびとの|村々《むらむら》から|集《あつ》まってきた。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またベテギルガルおよびゲバとアズマウテの|地方《ちほう》からも|集《あつ》まってきた。この|歌《うた》うたう|者《もの》たちはエルサレムの|周囲《しゅうい》に|自分《じぶん》の|村々《むらむら》を|建《た》てていたからである。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|祭司《さいし》とレビびとたちは|身《み》を|清《きよ》め、また|民《たみ》およびもろもろの|門《もん》と|城壁《じょうへき》とを|清《きよ》めた。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしはユダのつかさたちを|城壁《じょうへき》の|上《うえ》にのぼらせ、また|感謝《かんしゃ》する|者《もの》の二つの|大《おお》きな|組《くみ》を|作《つく》って、|行進《こうしん》させた。その一つは|城壁《じょうへき》の|上《うえ》を|右《みぎ》に|糞《ふん》の|門《もん》をさして|進《すす》んだ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そのあとに|従《したが》って|進《すす》んだ|者《もの》はホシャヤ、およびユダのつかさたちの|半《なか》ば、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ならびにアザリヤ、エズラ、メシュラム、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ユダ、ベニヤミン、シマヤ、エレミヤであった。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]また|数人《すうにん》の|祭司《さいし》がラッパをもって|従《したが》った。すなわちヨナタンの|子《こ》ゼカリヤ。ヨナタンはシマヤの|子《こ》、シマヤはマッタニヤの|子《こ》、マッタニヤはミカヤの|子《こ》、ミカヤはザックルの|子《こ》、ザックルはアサフの|子《こ》である。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]またゼカリヤの|兄弟《きょうだい》たちシマヤ、アザリエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタンエル、ユダ、ハナニなどであって、|神《かみ》の|人《ひと》ダビデの|楽器《がっき》を|持《も》って|従《したが》った。そして|学者《がくしゃ》エズラは|彼《かれ》らの|先《さき》に|進《すす》んだ。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|泉《いずみ》の|門《もん》を|経《へ》て、まっすぐに|進《すす》み、|城壁《じょうへき》の|上《のぼ》り|口《くち》で、ダビデの|町《まち》の|階段《かいだん》から|上《のぼ》り、ダビデの|家《いえ》の|上《うえ》を|過《す》ぎて|東《ひがし》の|方《ほう》、|水《みず》の|門《もん》に|至《いた》った。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|他《た》の一|組《くみ》の|感謝《かんしゃ》する|者《もの》は|左《ひだり》に|進《すす》んだ。わたしは|民《たみ》の|半《なか》ばと|共《とも》に|彼《かれ》らのあとに|従《したが》った。そして|城壁《じょうへき》の|上《うえ》を|行《い》き、|炉《ろ》の|望楼《ぼうろう》の|上《うえ》を|過《す》ぎて、|城壁《じょうへき》の|広《ひろ》い|所《ところ》に|至《いた》り、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|門《もん》の|上《うえ》を|通《とお》り、|古《ふる》い|門《もん》を|過《す》ぎ、|魚《うお》の|門《もん》およびハナネルの|望楼《ぼうろう》とハンメアの|望楼《ぼうろう》を|過《す》ぎて、|羊《ひつじ》の|門《もん》に|至《いた》り、|近衛《このえ》の|門《もん》に|立《た》ち|止《ど》まった。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして二|組《くみ》の|感謝《かんしゃ》する|者《もの》は|神《かみ》の|宮《みや》にはいって|立《た》った。わたしもそこに|立《た》ち、つかさたちの|半《なか》ばもわたしと|共《とも》に|立《た》った。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]また|祭司《さいし》エリアキム、マアセヤ、ミニヤミン、ミカヤ、エリオエナイ、ゼカリヤ、ハナニヤらはラッパを|持《も》ち、[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]マアセヤ、シマヤ、エレアザル、ウジ、ヨハナン、マルキヤ、エラムおよびエゼルも|共《とも》にいた。そして|歌《うた》うたう|者《もの》たちは|声《こえ》|高《たか》く|歌《うた》った。エズラヒヤはその|監督《かんとく》であった。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らはその|日《ひ》、|大《おお》いなる|犠牲《ぎせい》をささげて|喜《よろこ》んだ。|神《かみ》が|彼《かれ》らを|大《おお》いに|喜《よろこ》び|楽《たの》しませられたからである。|女子供《おんなこども》までも|喜《よろこ》んだ。それでエルサレムの|喜《よろこ》びの|声《こえ》は|遠《とお》くまで|聞《きこ》えた。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|倉《くら》のもろもろのへやをつかさどる|人々《ひとびと》を|選《えら》び、ささげ|物《もの》、|初物《はつもの》、十|分《ぶん》の一など|律法《りっぽう》の|定《さだ》めるところの|祭司《さいし》およびレビびとの|分《ぶん》を|町々《まちまち》の|田畑《たはた》にしたがって|取《と》り|集《あつ》めて、へやに|入《い》れることをつかさどらせた。これは|祭司《さいし》およびレビびとの|仕《つか》えるのを、ユダびとが|喜《よろこ》んだからである。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはダビデおよびその|子《こ》ソロモンの|命令《めいれい》に|従《したが》って、|神《かみ》の|勤《つと》めおよび|清《きよ》め|事《ごと》の|勤《つと》めをした。|歌《うた》うたう|者《もの》および|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》もそのように|行《い》った。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|昔《むかし》ダビデおよびアサフの|日《ひ》には、|歌《うた》うたう|者《もの》のかしらがひとりいて、|神《かみ》にさんびと|感謝《かんしゃ》をささげる|事《こと》があった。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]またゼルバベルの|日《ひ》およびネヘミヤの|日《ひ》には、イスラエルびとはみな|歌《うた》うたう|者《もの》と|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》に|日々《ひび》の|分《ぶん》を|与《あた》え、またレビびとに|物《もの》を|聖別《せいべつ》して|与《あた》え、レビびとはまたこれを|聖別《せいべつ》してアロンの|子孫《しそん》に|与《あた》えた。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》モーセの|書《しょ》を|読《よ》んで|民《たみ》に|聞《き》かせたが、その|中《なか》にアンモンびと、およびモアブびとは、いつまでも|神《かみ》の|会《かい》に、はいってはならないとしるされているのを|見《み》いだした。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがかつて、パンと|水《みず》をもってイスラエルの|人々《ひとびと》を|迎《むか》えず、かえってこれをのろわせるためにバラムを|雇《やと》ったからである。しかしわれわれの|神《かみ》はそののろいを|変《か》えて|祝福《しゅくふく》とされた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はこの|律法《りっぽう》を|聞《き》いた|時《とき》、|混血《こんけつ》の|民《たみ》をことごとくイスラエルから|分《わ》け|離《はな》した。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これより|先《さき》、われわれの|神《かみ》の|宮《みや》のへやをつかさどっていた|祭司《さいし》エリアシブは、トビヤと|縁組《えんぐみ》したので、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]トビヤのために|大《おお》きなへやを|備《そな》えた。そのへやはもと、|素祭《そさい》の|物《もの》、|乳香《にゅうこう》、|器物《うつわもの》および|規定《きてい》によってレビびと、|歌《うた》うたう|者《もの》および|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》たちに|与《あた》える|穀物《こくもつ》、ぶどう|酒《しゅ》、|油《あぶら》の十|分《ぶん》の一、ならびに|祭司《さいし》のためのささげ|物《もの》を|置《お》いた|所《ところ》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|当時《とうじ》、わたしはエルサレムにいなかった。わたしはバビロンの|王《おう》アルタシャスタの三十二|年《ねん》に|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》ったが、しばらくたって|王《おう》にいとまを|請《こ》い、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムに|来《き》て、エリアシブがトビヤのためにした|悪事《あくじ》、すなわち|彼《かれ》のために|神《かみ》の|宮《みや》の|庭《にわ》に一つのへやを|備《そな》えたことを|発見《はっけん》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|非常《ひじょう》に|怒《いか》り、トビヤの|家《いえ》の|器物《うつわもの》をことごとくそのへやから|投《な》げだし、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|命《めい》じて、すべてのへやを|清《きよ》めさせ、そして|神《かみ》の|宮《みや》の|器物《うつわもの》および|素祭《そさい》、|乳香《にゅうこう》などを|再《ふたた》びそこに|携《たずさ》え|入《い》れた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたレビびとがその|受《う》くべき|分《ぶん》を|与《あた》えられていなかったことを|知《し》った。これがためにその|務《つとめ》をなすレビびとおよび|歌《うた》うたう|者《もの》たちは、おのおの|自分《じぶん》の|畑《はたけ》に|逃《に》げ|帰《かえ》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはつかさたちを|責《せ》めて|言《い》った、「なぜ|神《かみ》の|宮《みや》を|捨《す》てさせたのか」。そしてレビびとを|招《まね》き|集《あつ》めて、その|持《も》ち|場《ば》に|復帰《ふっき》させた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダの|人々《ひとびと》は|皆《みな》、|穀物《こくもつ》、ぶどう|酒《しゅ》、|油《あぶら》の十|分《ぶん》の一を|倉《くら》に|携《たずさ》えてきた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|祭司《さいし》シレミヤ、|学者《がくしゃ》ザドクおよびレビびとペダヤを|倉《くら》のつかさとし、またマッタニヤの|子《こ》ザックルの|子《こ》ハナンをその|助手《じょしゅ》として|倉《くら》をつかさどらせた。|彼《かれ》らは|忠実《ちゅうじつ》な|者《もの》と|思《おも》われたからである。|彼《かれ》らの|任務《にんむ》は|兄弟《きょうだい》たちに|分配《ぶんぱい》する|事《こと》であった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、この|事《こと》のためにわたしを|覚《おぼ》えてください。わが|神《かみ》の|宮《みや》とその|勤《つと》めのためにわたしが|行《い》った|良《よ》きわざをぬぐい|去《さ》らないでください。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そのころわたしはユダのうちで|安息日《あんそくにち》に|酒《さか》ぶねを|踏《ふ》む|者《もの》、|麦《むぎ》|束《たば》を|持《も》ってきて、ろばに|負《お》わす|者《もの》、またぶどう|酒《しゅ》、ぶどう、いちじくおよびさまざまの|荷《に》を|安息日《あんそくにち》にエルサレムに|運《はこ》び|入《い》れる|者《もの》を|見《み》たので、わたしは|彼《かれ》らが|食物《しょくもつ》を|売《う》っていたその|日《ひ》に|彼《かれ》らを|戒《いまし》めた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこに|住《す》んでいたツロの|人々《ひとびと》もまた|魚《うお》およびさまざまの|品物《しなもの》を|持《も》ってきて、|安息日《あんそくにち》にユダの|人々《ひとびと》に|売《う》り、エルサレムで|商売《しょうばい》した。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしはユダの|尊《たっと》い|人々《ひとびと》を|責《せ》めて|言《い》った、「あなたがたはなぜこの|悪事《あくじ》を|行《い》って、|安息日《あんそくにち》を|汚《けが》すのか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|先祖《せんぞ》も、このように|行《い》ったので、われわれの|神《かみ》はこのすべての|災《わざわい》を、われわれとこの|町《まち》に|下《くだ》されたではないか。ところがあなたがたは|安息日《あんそくにち》を|汚《けが》して、さらに|大《おお》いなる|怒《いか》りをイスラエルの|上《うえ》に|招《まね》くのである」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこで|安息日《あんそくにち》の|前《まえ》に、エルサレムのもろもろの|門《もん》が|暗《くら》くなり|始《はじ》めた|時《とき》、わたしは|命《めい》じてそのとびらを|閉《と》じさせ、|安息日《あんそくにち》が|終《おわ》るまでこれを|開《ひら》いてはならないと|命《めい》じ、わたしのしもべ|数人《すうにん》を|門《もん》に|置《お》いて、|安息日《あんそくにち》に|荷《に》を|携《たずさ》え|入《い》れさせないようにした。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これがために、|商人《しょうにん》およびさまざまの|品物《しなもの》を|売《う》る|者《もの》どもは一、二|回《かい》エルサレムの|外《そと》に|宿《やど》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|戒《いまし》めて|言《い》った、「あなたがたはなぜ|城壁《じょうへき》の|前《まえ》に|宿《やど》るのか。もしあなたがたが|重《かさ》ねてそのようなことをするならば、わたしはあなたがたを|処《しょ》|罰《ばっ》する」と。そのとき|以来《いらい》、|彼《かれ》らは|安息日《あんそくにち》にはこなかった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたレビびとに|命《めい》じて、その|身《み》を|清《きよ》めさせ、|来《き》て|門《もん》を|守《まも》らせて、|安息日《あんそくにち》を|聖別《せいべつ》した。わが|神《かみ》よ、わたしのためにまた、このことを|覚《おぼ》え、あなたの|大《おお》いなるいつくしみをもって、わたしをあわれんでください。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そのころまた、わたしはアシドド、アンモン、モアブの|女《おんな》をめとったユダヤ|人《ひと》を|見《み》た。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|子供《こども》の|半分《はんぶん》はアシドドの|言葉《ことば》を|語《かた》って、ユダヤの|言葉《ことば》を|語《かた》ることができず、おのおのその|母親《ははおや》の|出《で》た|民《たみ》の|言葉《ことば》を|語《かた》った。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|責《せ》め、またののしり、そのうちの|数人《すうにん》を|撃《う》って、その|毛《け》を|抜《ぬ》き、|神《かみ》の|名《な》をさして|誓《ちか》わせて|言《い》った、「あなたがたは|彼《かれ》らのむすこに|自分《じぶん》の|娘《むすめ》を|与《あた》えてはならない。またあなたがたのむすこ、またはあなたがた|自身《じしん》のために|彼《かれ》らの|娘《むすめ》をめとってはならない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|王《おう》ソロモンはこれらのことによって|罪《つみ》を|犯《おか》したではないか。|彼《かれ》のような|王《おう》は|多《おお》くの|国民《こくみん》のうちにもなく、|神《かみ》に|愛《あい》せられた|者《もの》である。|神《かみ》は|彼《かれ》をイスラエル|全国《ぜんこく》の|王《おう》とせられた。ところが|異邦《いほう》の|女《おんな》たちは|彼《かれ》に|罪《つみ》を|犯《おか》させた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえあなたがたが|異邦《いほう》の|女《おんな》をめとり、このすべての|大《おお》いなる|悪《あく》を|行《い》って、われわれの|神《かみ》に|罪《つみ》を|犯《おか》すのを、われわれは|聞《き》き|流《なが》しにしておけようか」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|大《だい》|祭司《さいし》エリアシブの|子《こ》ヨイアダのひとりの|子《こ》はホロニびとサンバラテの|婿《むこ》であったので、わたしは|彼《かれ》をわたしのところから|追《お》い|出《だ》した。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、|彼《かれ》らのことを|覚《おぼ》えてください。|彼《かれ》らは|祭司《さいし》の|職《しょく》を|汚《けが》し、また|祭司《さいし》およびレビびとの|契約《けいやく》を|汚《けが》しました。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]このように、わたしは|彼《かれ》らを|清《きよ》めて、|異邦《いほう》のものをことごとく|捨《す》てさせ、|祭司《さいし》およびレビびとの|務《つとめ》を|定《さだ》めて、おのおのそのわざにつかせた。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]また|定《さだ》められた|時《とき》に、たきぎの|供《そな》え|物《もの》をささげさせ、また|初物《はつもの》をささげさせた。わが|神《かみ》よ、わたしを|覚《おぼ》え、わたしをお|恵《めぐ》みください。 [#改ページ] エステル記[#「エステル記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アハシュエロスすなわちインドからエチオピヤまで百二十七|州《しゅう》を|治《おさ》めたアハシュエロスの|世《よ》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アハシュエロス|王《おう》が|首都《しゅと》スサで、その|国《くに》の|位《くらい》に|座《ざ》していたころ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|治世《ちせい》の|第《だい》三|年《ねん》に、|彼《かれ》はその|大臣《だいじん》および|侍臣《じしん》たちのために|酒宴《しゅえん》を|設《もう》けた。ペルシャとメデアの|将軍《しょうぐん》および|貴族《きぞく》ならびに|諸《しょ》|州《しゅう》の|大臣《だいじん》たちがその|前《まえ》にいた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|王《おう》はその|盛《さか》んな|国《くに》の|富《とみ》と、その|王威《おうい》の|輝《かがや》きと、はなやかさを|示《しめ》して|多《おお》くの|日《ひ》を|重《かさ》ね、百八十|日《にち》に|及《およ》んだ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これらの|日《ひ》が|終《おわ》った|時《とき》、|王《おう》は|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》の|園《その》の|庭《にわ》で、|首都《しゅと》スサにいる|大小《だいしょう》のすべての|民《たみ》のために|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|酒宴《しゅえん》を|設《もう》けた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこには|白《しろ》|綿布《めんぷ》の|垂幕《たれまく》と|青色《あおいろ》のとばりとがあって、|紫色《むらさきいろ》の|細《ほそ》|布《ぬの》のひもで|銀《ぎん》の|輪《わ》および|大理石《だいりせき》の|柱《はしら》につながれていた。また|長《なが》いすは|金銀《きんぎん》で|作《つく》られ、|石膏《せっこう》と|大理石《だいりせき》と|真珠貝《しんじゅがい》および|宝石《ほうせき》の|切《き》りはめ|細工《ざいく》の|床《ゆか》の|上《うえ》に|置《お》かれていた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》は|金《きん》の|杯《さかずき》で|賜《たま》わり、その|杯《さかずき》はそれぞれ|違《ちが》ったもので、|王《おう》の|大《おお》きな|度量《どりょう》にふさわしく、|王《おう》の|用《もち》いる|酒《さけ》を|惜《お》しみなく|賜《たま》わった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|飲《の》むことは|法《ほう》にかない、だれもしいられることはなかった。これは|王《おう》が|人々《ひとびと》におのおの|自分《じぶん》の|好《この》むようにさせよと|宮廷《きゅうてい》のすべての|役人《やくにん》に|命《めい》じておいたからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|王妃《おうひ》ワシテもまたアハシュエロス|王《おう》に|属《ぞく》する|王宮《おうきゅう》の|内《うち》で|女《おんな》たちのために|酒宴《しゅえん》を|設《もう》けた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|目《め》にアハシュエロス|王《おう》は|酒《さけ》のために|心《こころ》が|楽《たの》しくなり、|王《おう》の|前《まえ》に|仕《つか》える七|人《にん》の|侍従《じじゅう》メホマン、ビズタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタルおよびカルカスに|命《めい》じて、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王妃《おうひ》ワシテに|王妃《おうひ》の|冠《かんむり》をかぶらせて|王《おう》の|前《まえ》にこさせよと|言《い》った。これは|彼女《かのじょ》が|美《うつく》しかったので、その|美《うつく》しさを|民《たみ》らと|大臣《だいじん》たちに|見《み》せるためであった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ところが、|王妃《おうひ》ワシテは|侍従《じじゅう》が|伝《つた》えた|王《おう》の|命令《めいれい》に|従《したが》って|来《く》ることを|拒《こば》んだので、|王《おう》は|大《おお》いに|憤《いきどお》り、その|怒《いか》りが|彼《かれ》の|内《うち》に|燃《も》えた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|時《とき》を|知《し》っている|知者《ちしゃ》に|言《い》った、――|王《おう》はすべて|法律《ほうりつ》と|審判《しんぱん》に|通《つう》じている|者《もの》に|相談《そうだん》するのを|常《つね》とした。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|王《おう》の|次《つぎ》にいた|人々《ひとびと》はペルシャおよびメデアの七|人《にん》の|大臣《だいじん》カルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンであった。|彼《かれ》らは|皆《みな》|王《おう》の|顔《かお》を|見《み》る|者《もの》で、|国《くに》の|首位《しゅい》に|座《ざ》する|人々《ひとびと》であった――[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]「|王妃《おうひ》ワシテは、アハシュエロス|王《おう》が|侍従《じじゅう》をもって|伝《つた》えた|命令《めいれい》を|行《おこな》わないゆえ、|法律《ほうりつ》に|従《したが》って|彼女《かのじょ》にどうしたらよかろうか」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]メムカンは|王《おう》と|大臣《だいじん》たちの|前《まえ》で|言《い》った、「|王妃《おうひ》ワシテはただ|王《おう》にむかって|悪《わる》い|事《こと》をしたばかりでなく、すべての|大臣《だいじん》およびアハシュエロス|王《おう》の|各州《かくしゅう》のすべての|民《たみ》にむかってもしたのです。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王妃《おうひ》のこの|行《おこな》いはあまねくすべての|女《おんな》たちに|聞《きこ》えて、|彼《かれ》らはついにその|目《め》に|夫《おっと》を|卑《いや》しめ、『アハシュエロス|王《おう》は|王妃《おうひ》ワシテに、|彼《かれ》の|前《まえ》に|来《く》るように|命《めい》じたがこなかった』と|言《い》うでしょう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|王妃《おうひ》のこの|行《おこな》いを|聞《き》いたペルシャとメデアの|大臣《だいじん》の|夫人《ふじん》たちもまた、|今日《こんにち》、|王《おう》のすべての|大臣《だいじん》たちにこのように|言《い》うでしょう。そうすれば|必《かなら》ず|卑《いや》しめと|怒《いか》りが|多《おお》く|起《おこ》ります。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もし|王《おう》がよしとされるならば、ワシテはこの|後《のち》、|再《ふたた》びアハシュエロス|王《おう》の|前《まえ》にきてはならないという|王《おう》の|命令《めいれい》を|下《くだ》し、これをペルシャとメデアの|法律《ほうりつ》の|中《なか》に|書《か》きいれて|変《かわ》ることのないようにし、そして|王妃《おうひ》の|位《くらい》を|彼女《かのじょ》にまさる|他《た》の|者《もの》に|与《あた》えなさい。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|下《くだ》される|詔《みことのり》がこの|大《おお》きな|国《くに》にあまねく|告《つ》げ|示《しめ》されるとき、|妻《つま》たる|者《もの》はことごとく、その|夫《おっと》を|高下《こうげ》の|別《べつ》なく|共《とも》に|敬《うやま》うようになるでしょう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》と|大臣《だいじん》たちはこの|言葉《ことば》をよしとしたので、|王《おう》はメムカンの|言葉《ことば》のとおりに|行《おこな》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|王《おう》の|諸《しょ》|州《しゅう》にあまねく|書《しょ》を|送《おく》り、|各州《かくしゅう》にはその|文字《もんじ》にしたがい、|各《かく》|民族《みんぞく》にはその|言語《げんご》にしたがって|書《か》き|送《おく》り、すべて|男子《だんし》たる|者《もの》はその|家《いえ》の|主《しゅ》となるべきこと、また|自分《じぶん》の|民《たみ》の|言語《げんご》を|用《もち》いて|語《かた》るべきことをさとした。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらのことの|後《のち》、アハシュエロス|王《おう》の|怒《いか》りがとけ、|王《おう》はワシテおよび|彼女《かのじょ》のしたこと、また|彼女《かのじょ》に|対《たい》して|定《さだ》めたことを|思《おも》い|起《おこ》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|王《おう》に|仕《つか》える|侍臣《じしん》たちは|言《い》った、「|美《うつく》しい|若《わか》い|処女《しょじょ》たちを|王《おう》のために|尋《たず》ね|求《もと》めましょう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|王《おう》はこの|国《くに》の|各州《かくしゅう》において|役人《やくにん》を|選《えら》び、|美《うつく》しい|若《わか》い|処女《しょじょ》をことごとく|首都《しゅと》スサにある|婦人《ふじん》の|居室《きょしつ》に|集《あつ》めさせ、|婦人《ふじん》をつかさどる|王《おう》の|侍従《じじゅう》ヘガイの|管理《かんり》のもとにおいて、|化粧《けしょう》のための|品々《しなじな》を|彼《かれ》らに|与《あた》えてください。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|御意《ぎょい》にかなうおとめをとって、ワシテの|代《かわ》りに|王妃《おうひ》としてください」。|王《おう》はこの|事《こと》をよしとし、そのように|行《い》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]さて|首都《しゅと》スサにひとりのユダヤ|人《じん》がいた。|名《な》をモルデカイといい、キシのひこ、シメイの|孫《まご》、ヤイルの|子《こ》で、ベニヤミンびとであった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はバビロンの|王《おう》ネブカデネザルが|捕《とら》えていったユダの|王《おう》エコニヤと|共《とも》に|捕《とら》えられていった|捕虜《ほりょ》のひとりで、エルサレムから|捕《とら》え|移《うつ》された|者《もの》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそのおじの|娘《むすめ》ハダッサすなわちエステルを|養《やしな》い|育《そだ》てた。|彼女《かのじょ》には|父《ちち》も|母《はは》もなかったからである。このおとめは|美《うつく》しく、かわいらしかったが、その|父母《ふぼ》の|死後《しご》、モルデカイは|彼女《かのじょ》を|引《ひ》きとって|自分《じぶん》の|娘《むすめ》としたのである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|命令《めいれい》と|詔《みことのり》が|伝《つた》えられ、|多《おお》くのおとめが|首都《しゅと》スサに|集《あつ》められて、ヘガイの|管理《かんり》のもとにおかれたとき、エステルもまた|王宮《おうきゅう》に|携《たずさ》え|行《ゆ》かれ、|婦人《ふじん》をつかさどるヘガイの|管理《かんり》のもとにおかれた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]このおとめはヘガイの|心《こころ》にかなって、そのいつくしみを|得《え》た。すなわちヘガイはすみやかに|彼女《かのじょ》に|化粧《けしょう》の|品々《しなじな》および|食物《しょくもつ》の|分《わ》け|前《まえ》を|与《あた》え、また|宮中《きゅうちゅう》から七|人《にん》のすぐれた|侍女《じじょ》を|選《えら》んで|彼女《かのじょ》に|付《つ》き|添《そ》わせ、|彼女《かのじょ》とその|侍女《じじょ》たちを|婦人《ふじん》の|居室《きょしつ》のうちの|最《もっと》も|良《よ》い|所《ところ》に|移《うつ》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エステルは|自分《じぶん》の|民《たみ》のことをも、|自分《じぶん》の|同族《どうぞく》のことをも|人《ひと》に|知《し》らせなかった。モルデカイがこれを|知《し》らすなと|彼女《かのじょ》に|命《めい》じたからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイはエステルの|様子《ようす》および|彼女《かのじょ》がどうしているかを|知《し》ろうと、|毎日《まいにち》|婦人《ふじん》の|居室《きょしつ》の|庭《にわ》の|前《まえ》を|歩《ある》いた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]おとめたちはおのおの|婦人《ふじん》のための|規定《きてい》にしたがって十二か|月《げつ》を|経《へ》て|後《のち》、|順番《じゅんばん》にアハシュエロス|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》くのであった。これは|彼《かれ》らの|化粧《けしょう》の|期間《きかん》として、|没薬《もつやく》の|油《あぶら》を|用《もち》いること六か|月《げつ》、|香料《こうりょう》および|婦人《ふじん》の|化粧《けしょう》に|使《つか》う|品々《しなじな》を|用《もち》いること六か|月《げつ》が|定《さだ》められていたからである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしておとめは|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》くのであった。そしておとめが|婦人《ふじん》の|居室《きょしつ》を|出《で》て|王宮《おうきゅう》へ|行《い》く|時《とき》には、すべてその|望《のぞ》む|物《もの》が|与《あた》えられた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|夕方《ゆうがた》|行《い》って、あくる|朝《あさ》|第《だい》二の|婦人《ふじん》の|居室《きょしつ》に|帰《かえ》り、そばめたちをつかさどる|王《おう》の|侍従《じじゅう》シャシガズの|管理《かんり》に|移《うつ》された。|王《おう》がその|女《おんな》を|喜《よろこ》び、|名《な》ざして|召《め》すのでなければ、|再《ふたた》び|王《おう》の|所《ところ》へ|行《い》くことはなかった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さてモルデカイのおじアビハイルの|娘《むすめ》、すなわちモルデカイが|引《ひ》きとって|自分《じぶん》の|娘《むすめ》としたエステルが|王《おう》の|所《ところ》へ|行《ゆ》く|順番《じゅんばん》となったが、|彼女《かのじょ》は|婦人《ふじん》をつかさどる|王《おう》の|侍従《じじゅう》ヘガイが|勧《すす》めた|物《もの》のほか|何《なに》をも|求《もと》めなかった。エステルはすべて|彼女《かのじょ》を|見《み》る|者《もの》に|喜《よろこ》ばれた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エステルがアハシュエロス|王《おう》に|召《め》されて|王宮《おうきゅう》へ|行《い》ったのは、その|治世《ちせい》の|第《だい》七|年《ねん》の十|月《がつ》、すなわちテベテの|月《つき》であった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はすべての|婦人《ふじん》にまさってエステルを|愛《あい》したので、|彼女《かのじょ》はすべての|処女《しょじょ》にまさって|王《おう》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みといつくしみとを|得《え》た。|王《おう》はついに|王妃《おうひ》の|冠《かんむり》を|彼女《かのじょ》の|頭《あたま》にいただかせ、ワシテに|代《かわ》って|王妃《おうひ》とした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|大《おお》いなる|酒宴《しゅえん》を|催《もよお》して、すべての|大臣《だいじん》と|侍臣《じしん》をもてなした。エステルの|酒宴《しゅえん》がこれである。また|諸《しょ》|州《しゅう》に|免税《めんぜい》を|行《おこな》い、|王《おう》の|大《おお》きな|度量《どりょう》にしたがって|贈《おく》り|物《もの》を|与《あた》えた。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]二|度目《どめ》に|処女《しょじょ》たちが|集《あつ》められたとき、モルデカイは|王《おう》の|門《もん》にすわっていた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エステルはモルデカイが|命《めい》じたように、まだ|自分《じぶん》の|同族《どうぞく》のことをも|自分《じぶん》の|民《たみ》のことをも|人《ひと》に|知《し》らせなかった。エステルはモルデカイの|言葉《ことば》に|従《したが》うこと、|彼《かれ》に|養《やしな》い|育《そだ》てられた|時《とき》と|少《すこ》しも|変《かわ》らなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、モルデカイが|王《おう》の|門《もん》にすわっていた|時《とき》、|王《おう》の|侍従《じじゅう》で、|王《おう》のへやの|戸《と》を|守《まも》る|者《もの》のうちのビグタンとテレシのふたりが|怒《いか》りのあまりアハシュエロス|王《おう》を|殺《ころ》そうとねらっていたが、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|事《こと》がモルデカイに|知《し》れたので、|彼《かれ》はこれを|王妃《おうひ》エステルに|告《つ》げ、エステルはこれをモルデカイの|名《な》をもって|王《おう》に|告《つ》げた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|事《こと》が|調《しら》べられて、それに|相違《そうい》ないことがあらわれたので、|彼《かれ》らふたりは|木《き》にかけられた。この|事《こと》は|王《おう》の|前《まえ》で|日誌《にっし》の|書《しょ》にかきしるされた。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》の|後《のち》、アハシュエロス|王《おう》はアガグびとハンメダタの|子《こ》ハマンを|重《おも》んじ、これを|昇進《しょうしん》させて、|自分《じぶん》と|共《とも》にいるすべての|大臣《だいじん》たちの|上《うえ》にその|席《せき》を|定《さだ》めさせた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|門《もん》の|内《うち》にいる|王《おう》の|侍臣《じしん》たちは|皆《みな》ひざまずいてハマンに|敬礼《けいれい》した。これは|王《おう》が|彼《かれ》についてこうすることを|命《めい》じたからである。しかしモルデカイはひざまずかず、また|敬礼《けいれい》しなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》の|門《もん》にいる|王《おう》の|侍臣《じしん》たちはモルデカイにむかって、「あなたはどうして|王《おう》の|命令《めいれい》にそむくのか」と|言《い》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|毎日《まいにち》モルデカイにこう|言《い》うけれども|聞《き》きいれなかったので、その|事《こと》がゆるされるかどうかを|見《み》ようと、これをハマンに|告《つ》げた。なぜならモルデカイはすでに|自分《じぶん》のユダヤ|人《じん》であることを|彼《かれ》らに|語《かた》ったからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ハマンはモルデカイのひざまずかず、また|自分《じぶん》に|敬礼《けいれい》しないのを|見《み》て|怒《いか》りに|満《み》たされたが、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ただモルデカイだけを|殺《ころ》すことを|潔《いさぎよ》しとしなかった。|彼《かれ》らがモルデカイの|属《ぞく》する|民《たみ》をハマンに|知《し》らせたので、ハマンはアハシュエロスの|国《くに》のうちにいるすべてのユダヤ|人《じん》、すなわちモルデカイの|属《ぞく》する|民《たみ》をことごとく|滅《ほろ》ぼそうと|図《はか》った。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アハシュエロス|王《おう》の|第《だい》十二|年《ねん》の|正月《しょうがつ》すなわちニサンの|月《つき》に、ハマンの|前《まえ》で、十二|月《がつ》すなわちアダルの|月《つき》まで、一|日《にち》一|日《にち》のため、一|月《つき》一|月《つき》のために、プルすなわちくじを|投《な》げさせた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そしてハマンはアハシュエロス|王《おう》に|言《い》った、「お|国《くに》の|各州《かくしゅう》にいる|諸民《しょみん》のうちに、|散《ち》らされて、|別《わか》れ|別《わか》れになっている一つの|民《たみ》がいます。その|法律《ほうりつ》は|他《た》のすべての|民《たみ》のものと|異《こと》なり、また|彼《かれ》らは|王《おう》の|法律《ほうりつ》を|守《まも》りません。それゆえ|彼《かれ》らを|許《ゆる》しておくことは|王《おう》のためになりません。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もし|王《おう》がよしとされるならば、|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼせと|詔《みことのり》をお|書《か》きください。そうすればわたしは|王《おう》の|事《こと》をつかさどる|者《もの》たちの|手《て》に|銀《ぎん》一万タラントを|量《はか》りわたして、|王《おう》の|金庫《きんこ》に|入《い》れさせましょう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|手《て》から|指輪《ゆびわ》をはずし、アガグびとハンメダタの|子《こ》で、ユダヤ|人《ひと》の|敵《てき》であるハマンにわたした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》はハマンに|言《い》った、「その|銀《ぎん》はあなたに|与《あた》える。その|民《たみ》もまたあなたに|与《あた》えるから、よいと|思《おも》うようにしなさい」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|正月《しょうがつ》の十三|日《にち》に|王《おう》の|書記官《しょきかん》が|召《め》し|集《あつ》められ、|王《おう》の|総督《そうとく》、|各州《かくしゅう》の|知事《ちじ》および|諸民《しょみん》のつかさたちにハマンが|命《めい》じたことをことごとく|書《か》きしるした。すなわち|各州《かくしゅう》に|送《おく》るものにはその|文字《もんじ》を|用《もち》い、|諸民《しょみん》に|送《おく》るものにはその|言語《げんご》を|用《もち》い、おのおのアハシュエロス|王《おう》の|名《な》をもってそれを|書《か》き、|王《おう》の|指輪《ゆびわ》をもってそれに|印《いん》を|押《お》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そして|急使《きゅうし》をもってその|書《しょ》を|王《おう》の|諸《しょ》|州《しゅう》に|送《おく》り、十二|月《がつ》すなわちアダルの|月《つき》の十三|日《にち》に、一|日《にち》のうちにすべてのユダヤ|人《ひと》を、|若《わか》い|者《もの》、|老《お》いた|者《もの》、|子供《こども》、|女《おんな》の|別《べつ》なく、ことごとく|滅《ほろ》ぼし、|殺《ころ》し、|絶《た》やし、かつその|貨《か》|財《ざい》を|奪《うば》い|取《と》れと|命《めい》じた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]この|文書《ぶんしょ》の|写《うつ》しを|詔《みことのり》として|各州《かくしゅう》に|伝《つた》え、すべての|民《たみ》に|公示《こうじ》して、その|日《ひ》のために|備《そな》えさせようとした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|急使《きゅうし》は|王《おう》の|命令《めいれい》により|急《いそ》いで|出《で》ていった。この|詔《みことのり》は|首都《しゅと》スサで|発布《はっぷ》された。|時《とき》に|王《おう》とハマンは|座《ざ》して|酒《さけ》を|飲《の》んでいたが、スサの|都《みやこ》はあわて|惑《まど》った。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイはすべてこのなされたことを|知《し》ったとき、その|衣《ころも》を|裂《さ》き、|荒布《あらぬの》をまとい、|灰《はい》をかぶり、|町《まち》の|中《なか》へ|行《い》って|大声《おおごえ》をあげ、|激《はげ》しく|叫《さけ》んで、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|門《もん》の|入口《いりぐち》まで|行《い》った。|荒布《あらぬの》をまとっては|王《おう》の|門《もん》の|内《うち》にはいることができないからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|王《おう》の|命令《めいれい》と|詔《みことのり》をうけ|取《と》った|各州《かくしゅう》ではユダヤ|人《ひと》のうちに|大《おお》いなる|悲《かな》しみがあり、|断食《だんじき》、|嘆《なげ》き、|叫《さけ》びが|起《おこ》り、また|荒布《あらぬの》をまとい、|灰《はい》の|上《うえ》に|座《ざ》する|者《もの》が|多《おお》かった。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エステルの|侍女《じじょ》たちおよび|侍従《じじゅう》たちがきて、この|事《こと》を|告《つ》げたので、|王妃《おうひ》は|非常《ひじょう》に|悲《かな》しみ、モルデカイに|着物《きもの》を|贈《おく》り、それを|着《き》せて、|荒布《あらぬの》を|脱《ぬ》がせようとしたが|受《う》けなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでエステルは|王《おう》の|侍従《じじゅう》のひとりで、|王《おう》が|自分《じぶん》にはべらせたハタクを|召《め》し、モルデカイのもとへ|行《い》って、それは|何事《なにごと》であるか、|何《なに》ゆえであるかを|尋《たず》ねて|来《く》るようにと|命《めい》じた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ハタクは|出《で》て、|王《おう》の|門《もん》の|前《まえ》にある|町《まち》の|広場《ひろば》にいるモルデカイのもとへ|行《い》くと、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイは|自分《じぶん》の|身《み》に|起《おこ》ったすべての|事《こと》を|彼《かれ》に|告《つ》げ、かつハマンがユダヤ|人《ひと》を|滅《ほろ》ぼすことのために|王《おう》の|金庫《きんこ》に|量《はか》り|入《い》れると|約束《やくそく》した|銀《ぎん》の|正確《せいかく》な|額《がく》を|告《つ》げた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼさせるために、スサで|発布《はっぷ》された|詔書《しょうしょ》の|写《うつ》しを|彼《かれ》にわたし、それをエステルに|見《み》せ、かつ|説《と》きあかし、|彼女《かのじょ》が|王《おう》のもとへ|行《い》ってその|民《たみ》のために|王《おう》のあわれみを|請《こ》い、|王《おう》の|前《まえ》に|願《ねが》い|求《もと》めるように|彼女《かのじょ》に|言《い》い|伝《つた》えよと|言《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ハタクが|帰《かえ》ってきてモルデカイの|言葉《ことば》をエステルに|告《つ》げたので、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エステルはハタクに|命《めい》じ、モルデカイに|言葉《ことば》を|伝《つた》えさせて|言《い》った、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「|王《おう》の|侍臣《じしん》および|王《おう》の|諸《しょ》|州《しゅう》の|民《たみ》は|皆《みな》、|男《おとこ》でも|女《おんな》でも、すべて|召《め》されないのに|内庭《うちにわ》にはいって|王《おう》のもとへ|行《ゆ》く|者《もの》は、|必《かなら》ず|殺《ころ》されなければならないという一つの|法律《ほうりつ》のあることを|知《し》っています。ただし|王《おう》がその|者《もの》に|金《きん》の|笏《しゃく》を|伸《の》べれば|生《い》きることができるのです。しかしわたしはこの三十|日《にち》の|間《あいだ》、|王《おう》のもとへ|行《い》くべき|召《めし》をこうむらないのです」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エステルの|言葉《ことば》をモルデカイに|告《つ》げたので、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイは|命《めい》じてエステルに|答《こた》えさせて|言《い》った、「あなたは|王宮《おうきゅう》にいるゆえ、すべてのユダヤ|人《ひと》と|異《こと》なり、|難《なん》を|免《まぬか》れるだろうと|思《おも》ってはならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし、このような|時《とき》に|黙《だま》っているならば、ほかの|所《ところ》から、|助《たす》けと|救《すくい》がユダヤ|人《ひと》のために|起《おこ》るでしょう。しかし、あなたとあなたの|父《ちち》の|家《いえ》とは|滅《ほろ》びるでしょう。あなたがこの|国《くに》に|迎《むか》えられたのは、このような|時《とき》のためでなかったとだれが|知《し》りましょう」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこでエステルは|命《めい》じてモルデカイに|答《こた》えさせた、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|行《い》ってスサにいるすべてのユダヤ|人《ひと》を|集《あつ》め、わたしのために|断食《だんじき》してください。三|日《か》のあいだ|夜《よる》も|昼《ひる》も|食《く》い|飲《の》みしてはなりません。わたしとわたしの|侍女《じじょ》たちも|同様《どうよう》に|断食《だんじき》しましょう。そしてわたしは|法律《ほうりつ》にそむくことですが|王《おう》のもとへ|行《い》きます。わたしがもし|死《し》なねばならないのなら、|死《し》にます」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイは|行《い》って、エステルがすべて|自分《じぶん》に|命《めい》じたとおりに|行《おこな》った。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]三|日《か》|目《め》にエステルは|王妃《おうひ》の|服《ふく》を|着《き》、|王宮《おうきゅう》の|内庭《うちにわ》に|入《はい》り、|王《おう》の|広間《ひろま》にむかって|立《た》った。|王《おう》は|王宮《おうきゅう》の|玉座《ぎょくざ》に|座《ざ》して|王宮《おうきゅう》の|入口《いりぐち》にむかっていたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王妃《おうひ》エステルが|庭《にわ》に|立《た》っているのを|見《み》て|彼女《かのじょ》に|恵《めぐ》みを|示《しめ》し、その|手《て》にある|金《きん》の|笏《しゃく》をエステルの|方《ほう》に|伸《の》ばしたので、エステルは|進《すす》みよってその|笏《しゃく》の|頭《あたま》にさわった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「|王妃《おうひ》エステルよ、|何《なに》を|求《もと》めるのか。あなたの|願《ねが》いは|何《なに》か。|国《くに》の|半《なか》ばでもあなたに|与《あた》えよう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エステルは|言《い》った、「もし|王《おう》がよしとされるならば、きょうわたしが|王《おう》のために|設《もう》けた|酒宴《しゅえん》に、ハマンとご|一緒《いっしょ》にお|臨《のぞ》みください」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は「ハマンを|速《はや》く|連《つ》れてきて、エステルの|言《い》うようにせよ」と|言《い》い、やがて|王《おう》とハマンはエステルの|設《もう》けた|酒宴《しゅえん》に|臨《のぞ》んだ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|酒宴《しゅえん》の|時《とき》、|王《おう》はエステルに|言《い》った、「あなたの|求《もと》めることは|何《なに》か。|必《かなら》ず|聞《き》かれる。あなたの|願《ねが》いは|何《なに》か。|国《くに》の|半《なか》ばでも|聞《き》きとどけられる」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エステルは|答《こた》えて|言《い》った、「わたしの|求《もと》め、わたしの|願《ねが》いはこれです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしが|王《おう》の|目《め》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》、また|王《おう》がもしわたしの|求《もと》めを|許《ゆる》し、わたしの|願《ねが》いを|聞《き》きとどけるのをよしとされるならば、ハマンとご|一緒《いっしょ》に、あすまた、わたしが|設《もう》けようとする|酒宴《しゅえん》に、お|臨《のぞ》みください。わたしはあす|王《おう》のお|言葉《ことば》どおりにいたしましょう」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうしてハマンはその|日《ひ》、|心《こころ》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しんで|出《で》てきたが、ハマンはモルデカイが|王《おう》の|門《もん》にいて、|自分《じぶん》にむかって|立《た》ちあがりもせず、また|身動《みうご》きもしないのを|見《み》たので、モルデカイに|対《たい》し|怒《いか》りに|満《み》たされた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしハマンは|耐《た》え|忍《しの》んで|家《いえ》に|帰《かえ》り、|人《ひと》をやってその|友《とも》だちおよび|妻《つま》ゼレシを|呼《よ》んでこさせ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてハマンはその|富《とみ》の|栄華《えいが》と、そのむすこたちの|多《おお》いことと、すべて|王《おう》が|自分《じぶん》を|重《おも》んじられたこと、また|王《おう》の|大臣《だいじん》および|侍臣《じしん》たちにまさって|自分《じぶん》を|昇進《しょうしん》させられたことを|彼《かれ》らに|語《かた》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ハマンはまた|言《い》った、「|王妃《おうひ》エステルは|酒宴《しゅえん》を|設《もう》けたが、わたしのほかはだれも|王《おう》と|共《とも》にこれに|臨《のぞ》ませなかった。あすもまたわたしは|王《おう》と|共《とも》に|王妃《おうひ》に|招《まね》かれている。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしユダヤ|人《ひと》モルデカイが|王《おう》の|門《もん》に|座《ざ》しているのを|見《み》る|間《あいだ》は、これらの|事《こと》もわたしには|楽《たの》しくない」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|妻《つま》ゼレシとすべての|友《とも》は|彼《かれ》に|言《い》った、「|高《たか》さ五十キュビトの|木《き》を|立《た》てさせ、あすの|朝《あさ》、モルデカイをその|上《うえ》に|掛《か》けるように|王《おう》に|申《もう》し|上《あ》げなさい。そして|王《おう》と|一緒《いっしょ》に|楽《たの》しんでその|酒宴《しゅえん》においでなさい」。ハマンはこの|事《こと》をよしとして、その|木《き》を|立《た》てさせた。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よる》、|王《おう》は|眠《ねむ》ることができなかったので、|命《めい》じて|日々《ひび》の|事《こと》をしるした|記録《きろく》の|書《しょ》を|持《も》ってこさせ、|王《おう》の|前《まえ》で|読《よ》ませたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》に、モルデカイがかつて|王《おう》の|侍従《じじゅう》で、|王《おう》のへやの|戸《と》を|守《まも》る|者《もの》のうちのビグタナとテレシのふたりが、アハシュエロス|王《おう》を|殺《ころ》そうとねらっていることを|告《つ》げた、としるされているのを|見《み》いだした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|言《い》った、「この|事《こと》のために、どんな|栄誉《えいよ》と|爵位《しゃくい》をモルデカイに|与《あた》えたか」。|王《おう》に|仕《つか》える|侍臣《じしん》たちは|言《い》った、「|何《なに》も|彼《かれ》に|与《あた》えていません」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|言《い》った、「|庭《にわ》にいるのはだれか」。この|時《とき》ハマンはモルデカイのために|設《もう》けた|木《き》にモルデカイを|掛《か》けることを|王《おう》に|申《もう》し|上《あ》げようと|王宮《おうきゅう》の|外《そと》|庭《にわ》にはいってきていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|侍臣《じしん》たちが「ハマンが|庭《にわ》に|立《た》っています」と|王《おう》に|言《い》ったので、|王《おう》は「ここへ、はいらせよ」と|言《い》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]やがてハマンがはいって|来《く》ると|王《おう》は|言《い》った、「|王《おう》が|栄誉《えいよ》を|与《あた》えようと|思《おも》う|人《ひと》にはどうしたらよかろうか」。ハマンは|心《こころ》のうちに|言《い》った、「|王《おう》はわたし|以外《いがい》にだれに|栄誉《えいよ》を|与《あた》えようと|思《おも》われるだろうか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ハマンは|王《おう》に|言《い》った、「|王《おう》が|栄誉《えいよ》を|与《あた》えようと|思《おも》われる|人《ひと》のためには、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|着《き》られた|衣服《いふく》を|持《も》ってこさせ、また|王《おう》の|乗《の》られた|馬《うま》、すなわちその|頭《あたま》に|王冠《おうかん》をいただいた|馬《うま》をひいてこさせ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|衣服《いふく》と|馬《うま》とを|王《おう》の|最《もっと》も|尊《たっと》い|大臣《だいじん》のひとりの|手《て》にわたして、|王《おう》が|栄誉《えいよ》を|与《あた》えようと|思《おも》われる|人《ひと》にその|衣服《いふく》を|着《き》させ、またその|人《ひと》を|馬《うま》に|乗《の》せ、|町《まち》の|広場《ひろば》を|導《みちび》いて|通《とお》らせ、『|王《おう》が|栄誉《えいよ》を|与《あた》えようと|思《おも》う|人《ひと》にはこうするのだ』とその|前《まえ》に|呼《よ》ばわらせなさい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それで|王《おう》はハマンに|言《い》った、「|急《いそ》いであなたが|言《い》ったように、その|衣服《いふく》と|馬《うま》とを|取《と》り|寄《よ》せ、|王《おう》の|門《もん》に|座《ざ》しているユダヤ|人《ひと》モルデカイにそうしなさい。あなたが|言《い》ったことを一つも|欠《か》いてはならない」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでハマンは|衣服《いふく》と|馬《うま》とを|取《と》り|寄《よ》せ、モルデカイにその|衣服《いふく》を|着《き》せ、|彼《かれ》を|馬《うま》に|乗《の》せて|町《まち》の|広場《ひろば》を|通《とお》らせ、その|前《まえ》に|呼《よ》ばわって、「|王《おう》が|栄誉《えいよ》を|与《あた》えようと|思《おも》う|人《ひと》にはこうするのだ」と|言《い》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてモルデカイは|王《おう》の|門《もん》に|帰《かえ》ってきたが、ハマンは|憂《うれ》え|悩《なや》み、|頭《とう》をおおって|急《いそ》いで|家《いえ》に|帰《かえ》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてハマンは|自分《じぶん》の|身《み》に|起《た》った|事《こと》をことごとくその|妻《つま》ゼレシと|友《とも》だちに|告《つ》げた。するとその|知者《ちしゃ》たちおよび|妻《つま》ゼレシは|彼《かれ》に|言《い》った、「あのモルデカイ、すなわちあなたがその|人《ひと》の|前《まえ》に|敗《やぶ》れ|始《はじ》めた|者《もの》が、もしユダヤ|人《じん》の|子孫《しそん》であるならば、あなたは|彼《かれ》に|勝《か》つことはできない。|必《かなら》ず|彼《かれ》の|前《まえ》に|敗《やぶ》れるでしょう」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがなおハマンと|話《はな》している|時《とき》、|王《おう》の|侍従《じじゅう》たちがきてハマンを|促《うなが》し、エステルが|設《もう》けた|酒宴《しゅえん》に|臨《のぞ》ませた。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》とハマンは|王妃《おうひ》エステルの|酒宴《しゅえん》に|臨《のぞ》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]このふつか|目《め》の|酒宴《しゅえん》に|王《おう》はまたエステルに|言《い》った、「|王妃《おうひ》エステルよ、あなたの|求《もと》めることは|何《なに》か。|必《かなら》ず|聞《き》かれる。あなたの|願《ねが》いは|何《なに》か。|国《くに》の|半《なか》ばでも|聞《き》きとどけられる」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|王妃《おうひ》エステルは|答《こた》えて|言《い》った、「|王《おう》よ、もしわたしが|王《おう》の|目《め》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》、また|王《おう》がもしよしとされるならば、わたしの|求《もと》めにしたがってわたしの|命《いのち》をわたしに|与《あた》え、またわたしの|願《ねが》いにしたがってわたしの|民《たみ》をわたしに|与《あた》えてください。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしとわたしの|民《たみ》は|売《う》られて|滅《ほろ》ぼされ、|殺《ころ》され、|絶《た》やされようとしています。もしわたしたちが|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》として|売《う》られただけなら、わたしは|黙《だま》っていたでしょう。わたしたちの|難儀《なんぎ》は|王《おう》の|損失《そんしつ》とは|比較《ひかく》にならないからです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アハシュエロス|王《おう》は|王妃《おうひ》エステルに|言《い》った、「そんな|事《こと》をしようと|心《こころ》にたくらんでいる|者《もの》はだれか。またどこにいるのか」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エステルは|言《い》った、「そのあだ、その|敵《てき》はこの|悪《わる》いハマンです」。そこでハマンは|王《おう》と|王妃《おうひ》の|前《まえ》に|恐《おそ》れおののいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|怒《いか》って|酒宴《しゅえん》の|席《せき》を|立《た》ち、|宮殿《きゅうでん》の|園《その》へ|行《い》ったが、ハマンは|残《のこ》って|王妃《おうひ》エステルに|命《いのち》ごいをした。|彼《かれ》は|王《おう》が|自分《じぶん》に|害《がい》を|加《くわ》えようと|定《さだ》めたのを|見《み》たからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》が|宮殿《きゅうでん》の|園《その》から|酒宴《しゅえん》の|場所《ばしょ》に|帰《かえ》ってみると、エステルのいた|長《なが》いすの|上《うえ》にハマンが|伏《ふ》していたので、|王《おう》は|言《い》った、「|彼《かれ》はまたわたしの|家《いえ》で、しかもわたしの|前《まえ》で|王妃《おうひ》をはずかしめようとするのか」。この|言葉《ことば》が|王《おう》の|口《くち》から|出《で》たとき、|人々《ひとびと》は、ハマンの|顔《かお》をおおった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|王《おう》に|付《つ》き|添《そ》っていたひとりの|侍従《じじゅう》ハルボナが「|王《おう》のためによい|事《こと》を|告《つ》げたあのモルデカイのためにハマンが|用意《ようい》した|高《たか》さ五十キュビトの|木《き》がハマンの|家《いえ》に|立《た》っています」と|言《い》ったので、|王《おう》は「|彼《かれ》をそれに|掛《か》けよ」と|言《い》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》はハマンをモルデカイのために|備《そな》えてあったその|木《き》に|掛《か》けた。こうして|王《おう》の|怒《いか》りは|和《やわ》らいだ。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》アハシュエロス|王《おう》は、ユダヤ|人《じん》の|敵《てき》ハマンの|家《いえ》を|王妃《おうひ》エステルに|与《あた》えた。モルデカイは|王《おう》の|前《まえ》にきた。これはエステルが|自分《じぶん》とモルデカイがどんな|関係《かんけい》の|者《もの》であるかを|告《つ》げたからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はハマンから|取《と》り|返《かえ》した|自分《じぶん》の|指輪《ゆびわ》をはずして、モルデカイに|与《あた》えた。エステルはモルデカイにハマンの|家《いえ》を|管理《かんり》させた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エステルは|再《ふたた》び|王《おう》の|前《まえ》に|奏《そう》し、その|足《あし》もとにひれ|伏《ふ》して、アガグびとハマンの|陰謀《いんぼう》すなわち|彼《かれ》がユダヤ|人《じん》に|対《たい》して|企《くわだ》てたその|計画《けいかく》を|除《のぞ》くことを|涙《なみだ》ながらに|請《こ》い|求《もと》めた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はエステルにむかって|金《きん》の|笏《しゃく》を|伸《の》べたので、エステルは|身《み》を|起《おこ》して|王《おう》の|前《まえ》に|立《た》ち、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》った、「もし|王《おう》がよしとされ、わたしが|王《おう》の|前《まえ》に|恵《めぐ》みを|得《え》、またこの|事《こと》が|王《おう》の|前《まえ》に|正《ただ》しいと|見《み》え、かつわたしが|王《おう》の|目《め》にかなうならば、アガグびとハンメダタの|子《こ》ハマンが|王《おう》の|諸《しょ》|州《しゅう》にいるユダヤ|人《じん》を|滅《ほろ》ぼそうとはかって|書《か》き|送《おく》った|書《しょ》を|取《と》り|消《け》す|旨《むね》を|書《か》かせてください。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうしてわたしは、わたしの|民《たみ》に|臨《のぞ》もうとする|災《わざわい》を、だまって|見《み》ていることができましょうか。どうしてわたしの|同族《どうぞく》の|滅《ほろ》びるのを、だまって|見《み》ていることができましょうか」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]アハシュエロス|王《おう》は|王妃《おうひ》エステルとユダヤ|人《じん》モルデカイに|言《い》った、「ハマンがユダヤ|人《じん》を|殺《ころ》そうとしたので、わたしはハマンの|家《いえ》をエステルに|与《あた》え、またハマンを|木《き》に|掛《か》けさせた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|自分《じぶん》たちの|思《おも》うままに|王《おう》の|名《な》をもってユダヤ|人《じん》についての|書《しょ》をつくり、|王《おう》の|指輪《ゆびわ》をもってそれに|印《いん》を|押《お》すがよい。|王《おう》の|名《な》をもって|書《か》き、|王《おう》の|指輪《ゆびわ》をもって|印《いん》を|押《お》した|書《しょ》はだれも|取《と》り|消《け》すことができない」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|王《おう》の|書記官《しょきかん》が|召《め》し|集《あつ》められた。それは三|月《がつ》すなわちシワンの|月《つき》の二十三|日《にち》であった。そしてインドからエチオピヤまでの百二十七|州《しゅう》にいる|総督《そうとく》、|諸《しょ》|州《しゅう》の|知事《ちじ》および|大臣《だいじん》たちに、モルデカイがユダヤ|人《じん》について|命《めい》じたとおりに|書《か》き|送《おく》った。すなわち|各州《かくしゅう》にはその|文字《もじ》を|用《もち》い、|各《かく》|民族《みんぞく》にはその|言語《げんご》を|用《もち》いて|書《か》き|送《おく》り、ユダヤ|人《じん》に|送《おく》るものにはその|文字《もじ》と|言語《げんご》とを|用《もち》いた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|書《しょ》はアハシュエロス|王《おう》の|名《な》をもって|書《か》かれ、|王《おう》の|指輪《ゆびわ》をもって|印《いん》を|押《お》し、|王《おう》の|御用《ごよう》|馬《うま》として、そのうまやに|育《そだ》った|早馬《はやうま》に|乗《の》る|急使《きゅうし》によって|送《おく》られた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》で、|王《おう》はすべての|町《まち》にいるユダヤ|人《じん》に、|彼《かれ》らが|相《あい》|集《あつ》まって|自分《じぶん》たちの|生命《せいめい》を|保護《ほご》し、|自分《じぶん》たちを|襲《おそ》おうとする|諸国《しょこく》、|諸《しょ》|州《しゅう》のすべての|武装《ぶそう》した|民《たみ》を、その|妻子《さいし》もろともに|滅《ほろ》ぼし、|殺《ころ》し、|絶《た》やし、かつその|貨《か》|財《ざい》を|奪《うば》い|取《と》ることを|許《ゆる》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ただしこの|事《こと》をアハシュエロス|王《おう》の|諸《しょ》|州《しゅう》において、十二|月《がつ》すなわちアダルの|月《つき》の十三|日《にち》に、一|日《にち》のうちに|行《おこな》うことを|命《めい》じた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|書《か》いた|物《もの》の|写《うつ》しを|詔《みことのり》として|各州《かくしゅう》に|伝《つた》え、すべての|民《たみ》に|公示《こうじ》して、ユダヤ|人《じん》に、その|日《ひ》のために|備《そな》えして、その|敵《てき》にあだをかえさせようとした。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|御用《ごよう》|馬《うま》である|早馬《はやうま》に|乗《の》った|急使《きゅうし》は、|王《おう》の|命《めい》によって|急《いそ》がされ、せきたてられて|出《で》て|行《い》った。この|詔《みことのり》は|首都《しゅと》スサで|出《だ》された。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイは|青《あお》と|白《しろ》の|朝《ちょう》|服《ふく》を|着《き》、|大《おお》きな|金《きん》の|冠《かんむり》をいただき、|紫色《むらさきいろ》の|細《ほそ》|布《ぬの》の|上着《うわぎ》をまとって|王《おう》の|前《まえ》から|出《で》て|行《い》った。スサの|町中《まちぢゅう》、|声《こえ》をあげて|喜《よろこ》んだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ユダヤ|人《じん》には|光《ひかり》と|喜《よろこ》びと|楽《たの》しみと|誉《ほまれ》があった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]いずれの|州《しゅう》でも、いずれの|町《まち》でも、すべて|王《おう》の|命令《めいれい》と|詔《みことのり》の|伝達《でんたつ》された|所《ところ》では、ユダヤ|人《じん》は|喜《よろこ》び|楽《たの》しみ、|酒宴《しゅえん》を|開《ひら》いてこの|日《ひ》を|祝日《しゅくじつ》とした。そしてこの|国《くに》の|民《たみ》のうち|多《おお》くの|者《もの》がユダヤ|人《じん》となった。これはユダヤ|人《じん》を|恐《おそ》れる|心《こころ》が|彼《かれ》らのうちに|起《た》ったからである。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]十二|月《がつ》すなわちアダルの|月《つき》の十三|日《にち》、|王《おう》の|命令《めいれい》と|詔《みことのり》の|行《おこな》われる|時《とき》が|近《ちか》づいたとき、すなわちユダヤ|人《じん》の|敵《てき》が、ユダヤ|人《じん》を|打《う》ち|伏《ふ》せようと|望《のぞ》んでいたのに、かえってユダヤ|人《じん》が|自分《じぶん》たちを|憎《にく》む|者《もの》を|打《う》ち|伏《ふ》せることとなったその|日《ひ》に、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ユダヤ|人《じん》はアハシュエロス|王《おう》の|各州《かくしゅう》にある|自分《じぶん》たちの|町々《まちまち》に|集《あつ》まり、|自分《じぶん》たちに|害《がい》を|加《くわ》えようとする|者《もの》を|殺《ころ》そうとしたが、だれもユダヤ|人《じん》に|逆《さか》らうことのできるものはなかった。すべての|民《たみ》がユダヤ|人《じん》を|恐《おそ》れたからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|諸《しょ》|州《しゅう》の|大臣《だいじん》、|総督《そうとく》、|知事《ちじ》および|王《おう》の|事《こと》をつかさどる|者《もの》は|皆《みな》ユダヤ|人《じん》を|助《たす》けた。|彼《かれ》らはモルデカイを|恐《おそ》れたからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイは|王《おう》の|家《いえ》で|大《おお》いなる|者《もの》となり、その|名声《めいせい》は|各州《かくしゅう》に|聞《きこ》えわたった。この|人《ひと》モルデカイがますます|勢力《せいりょく》ある|者《もの》となったからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダヤ|人《じん》はつるぎをもってすべての|敵《てき》を|撃《う》って|殺《ころ》し、|滅《ほろ》ぼし、|自分《じぶん》たちを|憎《にく》む|者《もの》に|対《たい》し|心《こころ》のままに|行《い》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ユダヤ|人《じん》はまた|首都《しゅと》スサにおいても五百|人《にん》を|殺《ころ》し、|滅《ほろ》ぼした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またパルシャンダタ、ダルポン、アスパタ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ポラタ、アダリヤ、アリダタ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちハンメダタの|子《こ》で、ユダヤ|人《じん》の|敵《てき》であるハマンの十|人《にん》の|子《こ》をも|殺《ころ》した。しかし、そのぶんどり|物《もの》には|手《て》をかけなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|首都《しゅと》スサで|殺《ころ》された|者《もの》の|数《かず》が|王《おう》に|報告《ほうこく》されると、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|王妃《おうひ》エステルに|言《い》った、「ユダヤ|人《じん》は|首都《しゅと》スサで五百|人《にん》を|殺《ころ》し、またハマンの十|人《にん》の|子《こ》を|殺《ころ》した。|王《おう》のその|他《た》の|諸《しょ》|州《しゅう》ではどんなに|彼《かれ》らは|殺《ころ》したことであろう。さてあなたの|求《もと》めることは|何《なに》か。|必《かなら》ず|聞《き》かれる。|更《さら》にあなたの|願《ねが》いは|何《なに》か。|必《かなら》ず|聞《き》きとどけられる」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エステルは|言《い》った、「もし|王《おう》がよしとされるならば、どうぞスサにいるユダヤ|人《じん》にあすも、きょうの|詔《みことのり》のように|行《おこな》うことをゆるしてください。かつハマンの十|人《にん》の|子《こ》を|木《き》に|掛《か》けさせてください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はそうせよと|命《めい》じたので、スサにおいて|詔《みことのり》が|出《で》て、ハマンの十|人《にん》の|子《こ》は|木《き》に|掛《か》けられた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]アダルの|月《つき》の十四|日《か》にまたスサにいるユダヤ|人《じん》が|集《あつ》まり、スサで三百|人《にん》を|殺《ころ》した。しかし、そのぶんどり|物《もの》には|手《て》をかけなかった。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|諸《しょ》|州《しゅう》にいる|他《た》のユダヤ|人《じん》もまた|集《あつ》まって、|自分《じぶん》たちの|生命《せいめい》を|保護《ほご》し、その|敵《てき》に|勝《か》って|平安《へいあん》を|得《え》、|自分《じぶん》たちを|憎《にく》む|者《もの》七万五千|人《にん》を|殺《ころ》した。しかし、そのぶんどり|物《もの》には|手《て》をかけなかった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これはアダルの|月《つき》の十三|日《にち》であって、その十四|日《か》に|休《やす》んで、その|日《ひ》を|酒宴《しゅえん》と|喜《よろこ》びの|日《ひ》とした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかしスサにいるユダヤ|人《じん》は十三|日《にち》と十四|日《か》に|集《あつ》まり、十五|日《にち》に|休《やす》んで、その|日《ひ》を|酒宴《しゅえん》と|喜《よろこ》びの|日《ひ》とした。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|村々《むらむら》のユダヤ|人《じん》すなわち|城壁《じょうへき》のない|町々《まちまち》に|住《す》む|者《もの》はアダルの|月《つき》の十四|日《か》を|喜《よろこ》びの|日《ひ》、|酒宴《しゅえん》の|日《ひ》、|祝日《しゅくじつ》とし、|互《たがい》に|食《た》べ|物《もの》を|贈《おく》る|日《ひ》とした。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]モルデカイはこれらのことを|書《か》きしるしてアハシュエロス|王《おう》の|諸《しょ》|州《しゅう》にいるすべてのユダヤ|人《じん》に、|近《ちか》い|者《もの》にも|遠《とお》い|者《もの》にも|書《しょ》を|送《おく》り、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アダルの|月《つき》の十四|日《か》と十五|日《にち》とを|年々《ねんねん》|祝《いわ》うことを|命《めい》じた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちこの|両日《りょうじつ》にユダヤ|人《じん》がその|敵《てき》に|勝《か》って|平安《へいあん》を|得《え》、またこの|月《つき》は|彼《かれ》らのために|憂《うれ》いから|喜《よろこ》びに|変《かわ》り、|悲《かな》しみから|祝日《しゅくじつ》に|変《かわ》ったので、これらを|酒宴《しゅえん》と|喜《よろこ》びの|日《ひ》として、|互《たがい》に|食《た》べ|物《もの》を|贈《おく》り、|貧《まず》しい|者《もの》に|施《ほどこ》しをする|日《ひ》とせよとさとした。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこでユダヤ|人《じん》は|彼《かれ》らがすでに|始《はじ》めたように、またモルデカイが|彼《かれ》らに|書《か》き|送《おく》ったように、|行《おこな》うことを|約束《やくそく》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これはアガグびとハンメダタの|子《こ》ハマン、すなわちすべてのユダヤ|人《じん》の|敵《てき》がユダヤ|人《じん》を|滅《ほろ》ぼそうとはかり、プルすなわちくじを|投《な》げて|彼《かれ》らを|絶《た》やし、|滅《ほろ》ぼそうとしたが、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]エステルが|王《おう》の|前《まえ》にきたとき、|王《おう》は|書《しょ》を|送《おく》って|命《めい》じ、ハマンがユダヤ|人《じん》に|対《たい》して|企《くわだ》てたその|悪《わる》い|計画《けいかく》をハマンの|頭上《ずじょう》に|臨《のぞ》ませ、|彼《かれ》とその|子《こ》らを|木《き》に|掛《か》けさせたからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに、この|両日《りょうじつ》をプルの|名《な》にしたがってプリムと|名《な》づけた。そしてこの|書《しょ》のすべての|言葉《ことば》により、またこの|事《こと》について|見《み》たところ、|自分《じぶん》たちの|会《あ》ったところによって、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ユダヤ|人《じん》は|相《あい》|定《さだ》め、|年々《ねんねん》その|書《か》かれているところにしたがい、その|定《さだ》められた|時《とき》にしたがって、この|両日《りょうじつ》を|守《まも》り、|自分《じぶん》たちと、その|子孫《しそん》およびすべて|自分《じぶん》たちにつらなる|者《もの》はこれを|行《おこな》い|続《つづ》けて|廃《はい》することなく、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]この|両日《りょうじつ》を、|代々《よよ》、|家々《いえいえ》、|州々《しゅうじゅう》、|町々《まちまち》において|必《かなら》ず|覚《おぼ》えて|守《まも》るべきものとし、これらのプリムの|日《ひ》がユダヤ|人《じん》のうちに|廃《はい》せられることのないようにし、またこの|記念《きねん》がその|子孫《しそん》の|中《なか》に|絶《た》えることのないようにした。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]さらにアビハイルの|娘《むすめ》である|王妃《おうひ》エステルとユダヤ|人《じん》モルデカイは、|権威《けんい》をもってこのプリムの|第《だい》二の|書《しょ》を|書《か》き、それを|確《たし》かめた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてアハシュエロスの|国《くに》の百二十七|州《しゅう》にいるすべてのユダヤ|人《じん》に、|平和《へいわ》と|真実《しんじつ》の|言葉《ことば》をもって|書《しょ》を|送《おく》り、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|断食《だんじき》と|悲《かな》しみのことについて、ユダヤ|人《じん》モルデカイと|王妃《おうひ》エステルが、かつてユダヤ|人《じん》に|命《めい》じたように、またユダヤ|人《じん》たちが、かつて|自分《じぶん》たちとその|子孫《しそん》のために|定《さだ》めたように、プリムのこれらの|日《ひ》をその|定《さだ》めた|時《とき》に|守《まも》らせた。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]エステルの|命令《めいれい》はプリムに|関《かん》するこれらの|事《こと》を|確定《かくてい》した。またこれは|書《しょ》にしるされた。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アハシュエロス|王《おう》はその|国《くに》および|海《うみ》に|沿《そ》った|国々《くにぐに》にみつぎを|課《か》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|権力《けんりょく》と|勢力《せいりょく》によるすべての|事業《じぎょう》、および|王《おう》がモルデカイを|高《たか》い|地位《ちい》にのぼらせた|事《こと》の|詳《くわ》しい|話《はなし》はメデアとペルシャの|王《おう》たちの|日誌《にっし》の|書《しょ》にしるされているではないか。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ユダヤ|人《じん》モルデカイはアハシュエロス|王《おう》に|次《つ》ぐ|者《もの》となり、ユダヤ|人《じん》の|中《なか》にあって|大《おお》いなる|者《もの》となり、その|多《おお》くの|兄弟《きょうだい》に|喜《よろこ》ばれた。|彼《かれ》はその|民《たみ》の|幸福《こうふく》を|求《もと》め、すべての|国民《こくみん》に|平和《へいわ》を|述《の》べたからである。 [#改ページ] ヨブ記[#「ヨブ記」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ウヅの|地《ち》にヨブという|名《な》の|人《ひと》があった。そのひととなりは|全《まった》く、かつ|正《ただ》しく、|神《かみ》を|恐《おそ》れ、|悪《あく》に|遠《とお》ざかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|男《おとこ》の|子《こ》七|人《にん》と|女《おんな》の|子《こ》三|人《にん》があり、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|家畜《かちく》は|羊《ひつじ》七千|頭《とう》、らくだ三千|頭《とう》、|牛《うし》五百くびき、|雌《め》ろば五百|頭《とう》で、しもべも|非常《ひじょう》に|多《おお》く、この|人《ひと》は|東《ひがし》の|人々《ひとびと》のうちで|最《もっと》も|大《おお》いなる|者《もの》であった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そのむすこたちは、めいめい|自分《じぶん》の|日《ひ》に、|自分《じぶん》の|家《いえ》でふるまいを|設《もう》け、その三|人《にん》の|姉妹《しまい》をも|招《まね》いて|一緒《いっしょ》に|食《く》い|飲《の》みするのを|常《つね》とした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そのふるまいの|日《ひ》がひとめぐり|終《おわ》るごとに、ヨブは|彼《かれ》らを|呼《よ》び|寄《よ》せて|聖別《せいべつ》し、|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて、|彼《かれ》らすべての|数《かず》にしたがって|燔祭《はんさい》をささげた。これはヨブが「わたしのむすこたちは、ことによったら|罪《つみ》を|犯《おか》し、その|心《こころ》に|神《かみ》をのろったかもしれない」と|思《おも》ったからである。ヨブはいつも、このように|行《い》った。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》、|神《かみ》の|子《こ》たちが|来《き》て、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》った。サタンも|来《き》てその|中《なか》にいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「あなたはどこから|来《き》たか」。サタンは|主《しゅ》に|答《こた》えて|言《い》った、「|地《ち》を|行《い》きめぐり、あちらこちら|歩《ある》いてきました」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサタンに|言《い》われた、「あなたはわたしのしもべヨブのように|全《まった》く、かつ|正《ただ》しく、|神《かみ》を|恐《おそ》れ、|悪《あく》に|遠《とお》ざかる|者《もの》の|世《よ》にないことを|気《き》づいたか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]サタンは|主《しゅ》に|答《こた》えて|言《い》った、「ヨブはいたずらに|神《かみ》を|恐《おそ》れましょうか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》とその|家《いえ》およびすべての|所有物《しょゆうぶつ》のまわりにくまなく、まがきを|設《もう》けられたではありませんか。あなたは|彼《かれ》の|勤労《きんろう》を|祝福《しゅくふく》されたので、その|家畜《かちく》は|地《ち》にふえたのです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|今《いま》あなたの|手《て》を|伸《の》べて、|彼《かれ》のすべての|所有物《しょゆうぶつ》を|撃《う》ってごらんなさい。|彼《かれ》は|必《かなら》ずあなたの|顔《かお》に|向《む》かって、あなたをのろうでしょう」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサタンに|言《い》われた、「|見《み》よ、|彼《かれ》のすべての|所有物《しょゆうぶつ》をあなたの|手《て》にまかせる。ただ|彼《かれ》の|身《み》に|手《て》をつけてはならない」。サタンは|主《しゅ》の|前《まえ》から|出《で》て|行《い》った。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》ヨブのむすこ、|娘《むすめ》たちが|第《だい》一の|兄《あに》の|家《いえ》で|食事《しょくじ》をし、|酒《さけ》を|飲《の》んでいたとき、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|使者《ししゃ》がヨブのもとに|来《き》て|言《い》った、「|牛《うし》が|耕《たがや》し、ろばがそのかたわらで|草《くさ》を|食《く》っていると、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]シバびとが|襲《おそ》ってきて、これを|奪《うば》い、つるぎをもってしもべたちを|打《う》ち|殺《ころ》しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに|告《つ》げるために|来《き》ました」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がなお|語《かた》っているうちに、またひとりが|来《き》て|言《い》った、「|神《かみ》の|火《ひ》が|天《てん》から|下《くだ》って、|羊《ひつじ》およびしもべたちを|焼《や》き|滅《ほろ》ぼしました。わたしはただひとりのがれて、あなたに|告《つ》げるために|来《き》ました」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がなお|語《かた》っているうちに、またひとりが|来《き》て|言《い》った、「カルデヤびとが三|組《くみ》に|分《わか》れて|来《き》て、らくだを|襲《おそ》ってこれを|奪《うば》い、つるぎをもってしもべたちを|打《う》ち|殺《ころ》しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに|告《つ》げるために|来《き》ました」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がなお|語《かた》っているうちに、またひとりが|来《き》て|言《い》った、「あなたのむすこ、|娘《むすめ》たちが|第《だい》一の|兄《あに》の|家《いえ》で|食事《しょくじ》をし、|酒《さけ》を|飲《の》んでいると、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|荒野《あらの》の|方《ほう》から|大風《おおかぜ》が|吹《ふ》いてきて、|家《いえ》の|四《よ》すみを|撃《う》ったので、あの|若《わか》い|人《ひと》たちの|上《うえ》につぶれ|落《お》ちて、|皆《みな》|死《し》にました。わたしはただひとりのがれて、あなたに|告《つ》げるために|来《き》ました」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]このときヨブは|起《お》き|上《あ》がり、|上着《うわぎ》を|裂《さ》き、|頭《あたま》をそり、|地《ち》に|伏《ふ》して|拝《はい》し、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「わたしは|裸《はだか》で|母《はは》の|胎《たい》を|出《で》た。 また|裸《はだか》でかしこに|帰《かえ》ろう。 |主《しゅ》が|与《あた》え、|主《しゅ》が|取《と》られたのだ。 |主《しゅ》のみ|名《な》はほむべきかな」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すべてこの|事《こと》においてヨブは|罪《つみ》を|犯《おか》さず、また|神《かみ》に|向《む》かって|愚《おろ》かなことを|言《い》わなかった。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ある|日《ひ》、また|神《かみ》の|子《こ》たちが|来《き》て、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》った。サタンもまたその|中《なか》に|来《き》て、|主《しゅ》の|前《まえ》に|立《た》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサタンに|言《い》われた、「あなたはどこから|来《き》たか」。サタンは|主《しゅ》に|答《こた》えて|言《い》った、「|地《ち》を|行《ゆ》きめぐり、あちらこちら|歩《ある》いてきました」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサタンに|言《い》われた、「あなたは、わたしのしもべヨブのように|全《まった》く、かつ|正《ただ》しく、|神《かみ》を|恐《おそ》れ、|悪《あく》に|遠《とお》ざかる|者《もの》の|世《よ》にないことを|気《き》づいたか。あなたは、わたしを|勧《すす》めて、ゆえなく|彼《かれ》を|滅《ほろ》ぼそうとしたが、|彼《かれ》はなお|堅《かた》く|保《たも》って、おのれを|全《まっと》うした」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]サタンは|主《しゅ》に|答《こた》えて|言《い》った、「|皮《かわ》には|皮《かわ》をもってします。|人《ひと》は|自分《じぶん》の|命《いのち》のために、その|持《も》っているすべての|物《もの》をも|与《あた》えます。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしいま、あなたの|手《て》を|伸《の》べて、|彼《かれ》の|骨《ほね》と|肉《にく》とを|撃《う》ってごらんなさい。|彼《かれ》は|必《かなら》ずあなたの|顔《かお》に|向《む》かって、あなたをのろうでしょう」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサタンに|言《い》われた、「|見《み》よ、|彼《かれ》はあなたの|手《て》にある。ただ|彼《かれ》の|命《いのち》を|助《たす》けよ」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サタンは|主《しゅ》の|前《まえ》から|出《で》て|行《い》って、ヨブを|撃《う》ち、その|足《あし》の|裏《うら》から|頭《あたま》の|頂《いただき》まで、いやな|腫物《はれもの》をもって|彼《かれ》を|悩《なや》ました。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヨブは|陶器《とうき》の|破片《はへん》を|取《と》り、それで|自分《じぶん》の|身《み》をかき、|灰《はい》の|中《なか》にすわった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にその|妻《つま》は|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはなおも|堅《かた》く|保《たも》って、|自分《じぶん》を|全《まっと》うするのですか。|神《かみ》をのろって|死《し》になさい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしヨブは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたの|語《かた》ることは|愚《おろ》かな|女《おんな》の|語《かた》るのと|同《おな》じだ。われわれは|神《かみ》から|幸《さいわい》をうけるのだから、|災《わざわい》をも、うけるべきではないか」。すべてこの|事《こと》においてヨブはそのくちびるをもって|罪《つみ》を|犯《おか》さなかった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、ヨブの三|人《にん》の|友《とも》がこのすべての|災《わざわい》のヨブに|臨《のぞ》んだのを|聞《き》いて、めいめい|自分《じぶん》の|所《ところ》から|尋《たず》ねて|来《き》た。すなわちテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルである。|彼《かれ》らはヨブをいたわり、|慰《なぐさ》めようとして、たがいに|約束《やくそく》してきたのである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|目《め》をあげて|遠方《えんぽう》から|見《み》たが、|彼《かれ》のヨブであることを|認《みと》めがたいほどであったので、|声《こえ》をあげて|泣《な》き、めいめい|自分《じぶん》の|上着《うわぎ》を|裂《さ》き、|天《てん》に|向《む》かって、ちりをうちあげ、|自分《じぶん》たちの|頭《あたま》の|上《うえ》にまき|散《ち》らした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|七日《なぬか》|七夜《ななよ》、|彼《かれ》と|共《とも》に|地《ち》に|座《ざ》していて、ひと|言《こと》も|彼《かれ》に|話《はな》しかける|者《もの》がなかった。|彼《かれ》の|苦《くる》しみの|非常《ひじょう》に|大《おお》きいのを|見《み》たからである。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》、ヨブは|口《くち》を|開《ひら》いて、|自分《じぶん》の|生《うま》れた|日《ひ》をのろった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちヨブは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしの|生《うま》れた|日《ひ》は|滅《ほろ》びうせよ。 『|男《おとこ》の|子《こ》が、|胎《たい》にやどった』と|言《い》った|夜《よ》も そのようになれ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》は|暗《くら》くなるように。 |神《かみ》が|上《うえ》からこれを|顧《かえり》みられないように。 |光《ひかり》がこれを|照《てら》さないように。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]やみと|暗黒《あんこく》がこれを|取《と》りもどすように。 |雲《くも》が、その|上《うえ》にとどまるように。 |日《ひ》を|暗《くら》くする|者《もの》が、これを|脅《おびや》かすように。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|夜《よ》は、|暗《くら》やみが、これを|捕《とら》えるように。 |年《とし》の|日《ひ》のうちに|加《くわ》わらないように。 |月《つき》の|数《かず》にもはいらないように。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、その|夜《よ》は、はらむことのないように。 |喜《よろこ》びの|声《こえ》がそのうちに|聞《き》かれないように。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》をのろう|者《もの》が、これをのろうように。 レビヤタンを|奮《ふる》い|起《おこ》すに|巧《たく》みな|者《もの》が、 これをのろうように。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|明《あ》けの|星《ほし》は|暗《くら》くなるように。 |光《ひかり》を|望《のぞ》んでも、|得《え》られないように。 また、あけぼののまぶたを|見《み》ることのないように。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これは、わたしの|母《はは》の|胎《たい》の|戸《と》を|閉《と》じず、 また|悩《なや》みをわたしの|目《め》に|隠《かく》さなかったからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、わたしは|胎《たい》から|出《で》て、|死《し》ななかったのか。 |腹《はら》から|出《で》たとき|息《いき》が|絶《た》えなかったのか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、ひざが、わたしを|受《う》けたのか。 なにゆえ、|乳《ち》ぶさがあって、 わたしはそれを|吸《す》ったのか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そうしなかったならば、 わたしは|伏《ふ》して|休《やす》み、|眠《ねむ》ったであろう。 そうすればわたしは|安《やす》んじており、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》のために|荒《あ》れ|跡《あと》を|築《きず》き|直《なお》した |地《ち》の|王《おう》たち、|参議《さんぎ》たち、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あるいは、こがねを|持《も》ち、 しろがねを|家《いえ》に|満《み》たした |君《きみ》たちと|一緒《いっしょ》にいたであろう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、わたしは|人知《ひとし》れずおりる|胎児《たいじ》のごとく、 |光《ひかり》を|見《み》ないみどりごのようでなかったのか。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]かしこでは|悪人《あくにん》も、あばれることをやめ、 うみ|疲《つか》れた|者《もの》も、|休《やす》みを|得《え》、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|捕《とら》われ|人《びと》も|共《とも》に|安《やす》らかにおり、 |追《お》い|使《つか》う|者《もの》の|声《こえ》を|聞《き》かない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|小《ちい》さい|者《もの》も|大《おお》きい|者《もの》もそこにおり、 |奴隷《どれい》も、その|主人《しゅじん》から|解《と》き|放《はな》される。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、|悩《なや》む|者《もの》に|光《ひかり》を|賜《たま》い、 |心《こころ》の|苦《くる》しむ|者《もの》に|命《いのち》を|賜《たま》わったのか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は|死《し》を|望《のぞ》んでも|来《こ》ない、 これを|求《もと》めることは|隠《かく》れた|宝《たから》を |掘《ほ》るよりも、はなはだしい。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|墓《はか》を|見《み》いだすとき、|非常《ひじょう》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しむのだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、その|道《みち》の|隠《かく》された|人《ひと》に、 |神《かみ》が、まがきをめぐらされた|人《ひと》に、|光《ひかり》を|賜《たま》わるのか。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|嘆《なげ》きはわが|食物《しょくもつ》に|代《かわ》って|来《きた》り、 わたしのうめきは|水《みず》のように|流《なが》れ|出《で》る。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|恐《おそ》れるものが、わたしに|臨《のぞ》み、 わたしの|恐《おそ》れおののくものが、わが|身《み》に|及《およ》ぶ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|安《やす》らかでなく、またおだやかでない。 わたしは|休《やす》みを|得《え》ない、ただ|悩《なや》みのみが|来《く》る」。 [#ここで字下げ終わり] 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、テマンびとエリパズが|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「もし|人《ひと》があなたにむかって|意見《いけん》を|述《の》べるならば、 あなたは|腹《はら》を|立《た》てるでしょうか。 しかしだれが|黙《だま》っておれましょう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたは|多《おお》くの|人《ひと》を|教《おし》えさとし、 |衰《おとろ》えた|手《て》を|強《つよ》くした。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|言葉《ことば》はつまずく|者《もの》をたすけ|起《おこ》し、 かよわいひざを|強《つよ》くした。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ところが|今《いま》、この|事《こと》があなたに|臨《のぞ》むと、 あなたは|耐《た》え|得《え》ない。 この|事《こと》があなたに|触《ふ》れると、あなたはおじ|惑《まど》う。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|神《かみ》を|恐《おそ》れていることは、 あなたのよりどころではないか。 あなたの|道《みち》の|全《まった》きことは、あなたの|望《のぞ》みではないか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|考《かんが》えてみよ、だれが|罪《つみ》のないのに、 |滅《ほろ》ぼされた|者《もの》があるか。 どこに|正《ただ》しい|者《もの》で、|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされた|者《もの》があるか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|見《み》た|所《ところ》によれば、|不義《ふぎ》を|耕《たがや》し、 |害悪《がいあく》をまく|者《もの》は、それを|刈《か》り|取《と》っている。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》のいぶきによって|滅《ほろ》び、 その|怒《いか》りの|息《いき》によって|消《き》えうせる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ししのほえる|声《こえ》、たけきししの|声《こえ》はともにやみ、 |若《わか》きししのきばは|折《お》られ、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|雄《お》じしは|獲物《えもの》を|得《え》ずに|滅《ほろ》び、 |雌《め》じしの|子《こ》は|散《ち》らされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さて、わたしに、|言葉《ことば》がひそかに|臨《のぞ》んだ、 わたしの|耳《みみ》はそのささやきを|聞《き》いた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|人《ひと》の|熟睡《じゅくすい》するころ、 |夜《よる》の|幻《まぼろし》によって|思《おも》い|乱《みだ》れている|時《とき》、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れがわたしに|臨《のぞ》んだので、おののき、 わたしの|骨《ほね》はことごとく|震《ふる》えた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、|霊《れい》があって、わたしの|顔《かお》の|前《まえ》を|過《す》ぎたので、 わたしの|身《み》の|毛《け》はよだった。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そのものは|立《た》ちどまったが、 わたしはその|姿《すがた》を|見《み》わけることができなかった。 一つのかたちが、わたしの|目《め》の|前《まえ》にあった。 わたしは|静《しず》かな|声《こえ》を|聞《き》いた、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]『|人《ひと》は|神《かみ》の|前《まえ》に|正《ただ》しくありえようか。 |人《ひと》はその|造《つく》り|主《ぬし》の|前《まえ》に|清《きよ》くありえようか。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》はそのしもべをさえ|頼《たの》みとせず、 その|天使《てんし》をも|誤《あやま》れる|者《もの》とみなされる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]まして、|泥《どろ》の|家《いえ》に|住《す》む|者《もの》、 ちりをその|基《もとい》とする|者《もの》、 しみのようにつぶされる|者《もの》。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|朝《あさ》から|夕《ゆう》までの|間《あいだ》に|打《う》ち|砕《くだ》かれ、 |顧《かえり》みる|者《もの》もなく、|永遠《えいえん》に|滅《ほろ》びる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]もしその|天幕《てんまく》の|綱《つな》が |彼《かれ》らのうちに|取《と》り|去《さ》られるなら、 ついに|悟《さと》ることもなく、|死《し》にうせるではないか』。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|試《こころ》みに|呼《よ》んでみよ、 だれかあなたに|答《こた》える|者《もの》があるか。 どの|聖者《せいじゃ》にあなたは|頼《たの》もうとするのか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|確《たし》かに、|憤《いきどお》りは|愚《おろ》かな|者《もの》を|殺《ころ》し、 ねたみはあさはかな|者《もの》を|死《し》なせる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|愚《おろ》かな|者《もの》の|根《ね》を|張《は》るのを|見《み》た、 しかしわたしは、にわかにそのすみかをのろった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らは|安《やす》きを|得《え》ず、 |町《まち》の|門《もん》でしえたげられても、これを|救《すく》う|者《もの》がない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|収穫《しゅうかく》は|飢《う》えた|人《ひと》が|食《た》べ、 いばらの|中《なか》からさえ、これを|奪《うば》う。 また、かわいた|者《もの》はその|財産《ざいさん》をあえぎ|求《もと》める。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|苦《くる》しみは、ちりから|起《おこ》るものでなく、 |悩《なや》みは|土《つち》から|生《しょう》じるものでない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|生《うま》れて|悩《なや》みを|受《う》けるのは、 |火《ひ》の|子《こ》が|上《うえ》に|飛《と》ぶにひとしい。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしであるならば、|神《かみ》に|求《もと》め、 |神《かみ》に、わたしの|事《こと》をまかせる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|大《おお》いなる|事《こと》をされるかたで、|測《はか》り|知《し》れない、 その|不思議《ふしぎ》なみわざは|数《かぞ》えがたい。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|地《ち》に|雨《あめ》を|降《ふ》らせ、|野《の》に|水《みず》を|送《おく》られる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|低《ひく》い|者《もの》を|高《たか》くあげ、 |悲《かな》しむ|者《もの》を|引《ひ》き|上《あ》げて、|安全《あんぜん》にされる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|悪賢《わるがしこ》い|者《もの》の|計《はか》りごとを|敗《やぶ》られる。 それで|何事《なにごと》もその|手《て》になし|遂《と》げることはできない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|賢《かしこ》い|者《もの》を、|彼《かれ》ら|自身《じしん》の|悪巧《わるだく》みによって|捕《とら》え、 |曲《まが》った|者《もの》の|計《はか》りごとをくつがえされる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|昼《ひる》も、やみに|会《あ》い、 |真昼《まひる》にも、|夜《よる》のように|手探《てさぐ》りする。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|貧《まず》しい|者《もの》を|彼《かれ》らの|口《くち》のつるぎから|救《すく》い、 また|強《つよ》い|者《もの》の|手《て》から|救《すく》われる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|乏《とぼ》しい|者《もの》に|望《のぞ》みがあり、 |不義《ふぎ》はその|口《くち》を|閉《と》じる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》に|戒《いまし》められる|人《ひと》はさいわいだ。 それゆえ|全能者《ぜんのうしゃ》の|懲《こら》しめを|軽《かろ》んじてはならない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|傷《きず》つけ、また|包《つつ》み、 |撃《う》ち、またその|手《て》をもっていやされる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあなたを六つの|悩《なや》みから|救《すく》い、 七つのうちでも、|災《わざわい》はあなたに|触《ふ》れることがない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ききんの|時《とき》には、あなたをあがなって、 |死《し》を|免《まぬか》れさせ、 いくさの|時《とき》には、つるぎの|力《ちから》を|免《まぬか》れさせられる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|舌《した》をもってむち|打《う》たれる|時《とき》にも、 おおい|隠《かく》され、 |滅《ほろ》びが|来《く》る|時《とき》でも、|恐《おそ》れることはない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|滅《ほろ》びと、ききんとを|笑《わら》い、 |地《ち》の|獣《けもの》をも|恐《おそ》れることはない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|野《の》の|石《いし》と|契約《けいやく》を|結《むす》び、 |野《の》の|獣《けもの》はあなたと|和《やわ》らぐからである。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|天幕《てんまく》の|安全《あんぜん》なことを|知《し》り、 |自分《じぶん》の|家畜《かちく》のおりを|見回《みまわ》っても、|欠《か》けた|物《もの》がなく、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたの|子孫《しそん》の|多《おお》くなり、 そのすえが|地《ち》の|草《くさ》のようになるのを|知《し》るであろう。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|高齢《こうれい》に|達《たっ》して|墓《はか》に|入《はい》る、 あたかも|麦《むぎ》|束《たば》をその|季節《きせつ》になって |打《う》ち|場《ば》に|運《はこ》びあげるようになるであろう。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、われわれの|尋《たず》ねきわめた|所《ところ》はこのとおりだ。 あなたはこれを|聞《き》いて、みずから|知《し》るがよい」。 [#ここで字下げ終わり] 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「どうかわたしの|憤《いきどお》りが|正《ただ》しく|量《はか》られ、 |同時《どうじ》にわたしの|災《わざわい》も、はかりにかけられるように。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、これは|海《うみ》の|砂《すな》よりも|重《おも》いに|相違《そうい》ない。 それゆえ、わたしの|言葉《ことば》が|軽率《けいそつ》であったのだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|全能者《ぜんのうしゃ》の|矢《や》が、わたしのうちにあり、 わたしの|霊《れい》はその|毒《どく》を|飲《の》み、 |神《かみ》の|恐《おそ》るべき|軍勢《ぐんぜい》が、わたしを|襲《おそ》い|攻《せ》めている。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》ろばは、|青草《あおくさ》のあるのに|鳴《な》くであろうか。 |牛《うし》は|飼葉《かいば》の|上《うえ》でうなるであろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|味《あじ》のない|物《もの》は|塩《しお》がなくて|食《た》べられようか。 すべりひゆのしるは|味《あじ》があろうか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|食欲《しょくよく》はこれに|触《ふ》れることを|拒《こば》む。 これは、わたしのきらう|食物《しょくもつ》のようだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]どうかわたしの|求《もと》めるものが|獲《え》られるように。 どうか|神《かみ》がわたしの|望《のぞ》むものをくださるように。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]どうか|神《かみ》がわたしを|打《う》ち|滅《ほろ》ぼすことをよしとし、 み|手《て》を|伸《の》べてわたしを|断《た》たれるように。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、わたしはなお|慰《なぐさ》めを|得《え》、 |激《はげ》しい|苦《くる》しみの|中《なか》にあっても|喜《よろこ》ぶであろう。 わたしは|聖《せい》なる|者《もの》の|言葉《ことば》を |否《いな》んだことがないからだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしにどんな|力《ちから》があって、 なお|待《ま》たねばならないのか。 わたしにどんな|終《おわ》りがあるので、 なお|耐《た》え|忍《しの》ばねばならないのか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|力《ちから》は|石《いし》の|力《ちから》のようであるのか。 わたしの|肉《にく》は|青銅《せいどう》のようであるのか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]まことに、わたしのうちに|助《たす》けはなく、 |救《すく》われる|望《のぞ》みは、わたしから|追《お》いやられた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|友《とも》に|対《たい》するいつくしみをさし|控《ひか》える|者《もの》は、 |全能者《ぜんのうしゃ》を|恐《おそ》れることをすてる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わが|兄弟《きょうだい》たちは|谷川《たにがわ》のように、 |過《す》ぎ|去《さ》る|出水《でみず》のように|欺《あざむ》く。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これは|氷《こおり》のために|黒《くろ》くなり、 そのうちに|雪《ゆき》が|隠《かく》れる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これは|暖《あたた》かになると|消《き》え|去《さ》り、 |暑《あつ》くなるとその|所《ところ》からなくなる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|隊商《たいしょう》はその|道《みち》を|転《てん》じ、 むなしい|所《ところ》へ|行《い》って|滅《ほろ》びる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]テマの|隊商《たいしょう》はこれを|望《のぞ》み、 シバの|旅《たび》びとはこれを|慕《した》う。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはこれにたよったために|失望《しつぼう》し、 そこに|来《き》てみて、あわてる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|今《いま》わたしにはこのような|者《もの》となった。 あなたがたはわたしの|災難《さいなん》を|見《み》て|恐《おそ》れた。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》ったことがあるか、『わたしに|与《あた》えよ』と、 あるいは『あなたがたの|財産《ざいさん》のうちから わたしのために、まいないを|贈《おく》れ』と、 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あるいは『あだの|手《て》からわたしを|救《すく》い|出《だ》せ』と、 あるいは『しえたげる|者《もの》の|手《て》から わたしをあがなえ』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|教《おし》えよ、そうすればわたしは|黙《だま》るであろう。 わたしの|誤《あやま》っている|所《ところ》をわたしに|悟《さと》らせよ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|言葉《ことば》はいかに|力《ちから》のあるものか。 しかしあなたがたの|戒《いまし》めは|何《なに》を|戒《いまし》めるのか。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言葉《ことば》を|戒《いまし》めうると|思《おも》うのか。 |望《のぞ》みの|絶《た》えた|者《もの》の|語《かた》ることは|風《かぜ》のようなものだ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、みなしごのためにくじをひき、 あなたがたの|友《とも》をさえ|売《う》り|買《か》いするであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》、どうぞわたしを|見《み》られよ、 わたしはあなたがたの|顔《かお》に|向《む》かって|偽《いつわ》らない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、|思《おも》いなおせ、まちがってはならない。 さらに|思《おも》いなおせ、 わたしの|義《ぎ》は、なおわたしのうちにある。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|舌《した》に|不義《ふぎ》があるか。 わたしの|口《くち》は|災《わざわい》を わきまえることができぬであろうか。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|地上《ちじょう》の|人《ひと》には、 |激《はげ》しい|労務《ろうむ》があるではないか。 またその|日《ひ》は|雇人《やといにん》の|日《ひ》のようではないか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|奴隷《どれい》が|夕暮《ゆうぐれ》を|慕《した》うように、 |雇人《やといにん》がその|賃銀《ちんぎん》を|望《のぞ》むように、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、むなしい|月《つき》を|持《も》たせられ、 |悩《なや》みの|夜《よる》を|与《あた》えられる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|寝《ね》るときに|言《い》う、『いつ|起《お》きるだろうか』と。 しかし|夜《よる》は|長《なが》く、|暁《あかつき》までころびまわる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|肉《にく》はうじと|土《つち》くれとをまとい、 わたしの|皮《かわ》は|固《かた》まっては、またくずれる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|日《ひ》は|機《はた》のひよりも|速《はや》く、 |望《のぞ》みをもたずに|消《き》え|去《さ》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|記憶《きおく》せよ、わたしの|命《いのち》は|息《いき》にすぎないことを。 わたしの|目《め》は|再《ふたた》び|幸《さいわい》を|見《み》ることがない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|見《み》る|者《もの》の|目《め》は、 かさねてわたしを|見《み》ることがなく、 あなたがわたしに|目《め》を|向《む》けられても、 わたしはいない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》が|消《き》えて、なくなるように、 |陰府《よみ》に|下《くだ》る|者《もの》は|上《あ》がって|来《く》ることがない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|再《ふたた》びその|家《いえ》に|帰《かえ》らず、 |彼《かれ》の|所《ところ》も、もはや|彼《かれ》を|認《みと》めない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはわが|口《くち》をおさえず、 わたしの|霊《れい》のもだえによって|語《かた》り、 わたしの|魂《たましい》の|苦《くる》しさによって|嘆《なげ》く。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|海《うみ》であるのか、|龍《りゅう》であるのか、 あなたはわたしの|上《うえ》に|見張《みは》りを|置《お》かれる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]『わたしの|床《とこ》はわたしを|慰《なぐさ》め、 わたしの|寝床《ねどこ》はわが|嘆《なげ》きを|軽《かる》くする』と わたしが|言《い》うとき、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|夢《ゆめ》をもってわたしを|驚《おどろ》かし、 |幻《まぼろし》をもってわたしを|恐《おそ》れさせられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|息《いき》の|止《と》まることを|願《ねが》い、 わが|骨《ほね》よりもむしろ|死《し》を|選《えら》ぶ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|命《いのち》をいとう。 わたしは|長《なが》く|生《い》きることを|望《のぞ》まない。 わたしに|構《かま》わないでください。 わたしの|日《ひ》は|息《いき》にすぎないのだから。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|何者《なにもの》なので、あなたはこれを|大《おお》きなものとし、 これにみ|心《こころ》をとめ、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》ごとに、これを|尋《たず》ね、 |絶《た》え|間《ま》なく、これを|試《こころ》みられるのか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]いつまで、あなたはわたしに|目《め》を|離《はな》さず、 つばをのむまも、わたしを|捨《す》てておかれないのか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|監視《かんし》される|者《もの》よ、わたしが|罪《つみ》を|犯《おか》したとて、 あなたに|何《なに》をなしえようか。 なにゆえ、わたしをあなたの|的《まと》とし、 わたしをあなたの|重荷《おもに》とされるのか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、わたしのとがをゆるさず、 わたしの|不義《ふぎ》を|除《のぞ》かれないのか。 わたしはいま|土《つち》の|中《なか》に|横《よこ》たわる。 あなたがわたしを|尋《たず》ねられても、 わたしはいないでしょう」。 [#ここで字下げ終わり] 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にシュヒびとビルダデが|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「いつまであなたは、そのような|事《こと》を|言《い》うのか。 あなたの|口《くち》の|言葉《ことば》は|荒《あら》い|風《かぜ》ではないか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|公義《こうぎ》を|曲《ま》げられるであろうか。 |全能者《ぜんのうしゃ》は|正義《せいぎ》を|曲《ま》げられるであろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子《こ》たちが|彼《かれ》に|罪《つみ》を|犯《おか》したので、 |彼《かれ》らをそのとがの|手《て》に|渡《わた》されたのだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|神《かみ》に|求《もと》め、|全能者《ぜんのうしゃ》に|祈《いの》るならば、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|清《きよ》く、|正《ただ》しくあるならば、 |彼《かれ》は|必《かなら》ずあなたのために|立《た》って、 あなたの|正《ただ》しいすみかを|栄《さか》えさせられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|初《はじ》めは|小《ちい》さくあっても、 あなたの|終《おわ》りは|非常《ひじょう》に|大《おお》きくなるであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|先《さき》の|代《よ》の|人《ひと》に|問《と》うてみよ、 |先祖《せんぞ》たちの|尋《たず》ねきわめた|事《こと》を|学《まな》べ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われわれはただ、きのうからあった|者《もの》で、 |何《なに》も|知《し》らない、 われわれの|世《よ》にある|日《ひ》は、|影《かげ》のようなものである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたに|教《おし》え、あなたに|語《かた》り、 その|悟《さと》りから|言葉《ことば》を|出《だ》さないであろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|紙《かみ》|草《ぐさ》は|泥《どろ》のない|所《ところ》に|生長《せいちょう》することができようか。 |葦《あし》は|水《みず》のない|所《ところ》におい|茂《しげ》ることができようか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これはなお|青《あお》くて、まだ|刈《か》られないのに、 すべての|草《くさ》に|先《さき》だって|枯《か》れる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|神《かみ》を|忘《わす》れる|者《もの》の|道《みち》はこのとおりだ。 |神《かみ》を|信《しん》じない|者《もの》の|望《のぞ》みは|滅《ほろ》びる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|頼《たの》むところは|断《た》たれ、 その|寄《よ》るところは、くもの|巣《す》のようだ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》によりかかろうとすれば、|家《いえ》は|立《た》たず、 それにすがろうとしても、それは|耐《た》えない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|日《ひ》の|前《まえ》に|青々《あおあお》と|茂《しげ》り、 その|若《わか》|枝《えだ》を|園《その》にはびこらせ、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|根《ね》を|石塚《いしづか》にからませ、 |岩《いわ》の|間《あいだ》に|生《い》きていても、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]もしその|所《ところ》から|取《と》り|除《のぞ》かれれば、 その|所《ところ》は|彼《かれ》を|拒《こば》んで|言《い》うであろう、 『わたしはあなたを|見《み》たことがない』と。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、これこそ|彼《かれ》の|道《みち》の|喜《よろこ》びである、 そしてほかの|者《もの》が|地《ち》から|生《しょう》じるであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》は|全《まった》き|人《ひと》を|捨《す》てられない。 また|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》の|手《て》を|支持《しじ》されない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|笑《わら》いをもってあなたの|口《くち》を|満《み》たし、 |喜《よろこ》びの|声《こえ》をもってあなたのくちびるを|満《み》たされる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|憎《にく》む|者《もの》は|恥《はじ》を|着《き》せられ、 |悪《あ》しき|者《もの》の|天幕《てんまく》はなくなる」。 [#ここで字下げ終わり] 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「まことにわたしは、その|事《こと》の そのとおりであることを|知《し》っている。 しかし|人《ひと》はどうして|神《かみ》の|前《まえ》に|正《ただ》しくありえようか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]よし|彼《かれ》と|争《あらそ》おうとしても、 千に一つも|答《こた》えることができない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|心《こころ》|賢《かしこ》く、|力強《ちからづよ》くあられる。 だれが|彼《かれ》にむかい、おのれをかたくなにして、 |栄《さか》えた|者《もの》があるか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、|山《やま》を|移《うつ》されるが、|山《やま》は|知《し》らない。 |彼《かれ》は|怒《いか》りをもって、これらをくつがえされる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が、|地《ち》を|震《ふる》い|動《うご》かしてその|所《ところ》を|離《はな》れさせられると、 その|柱《はしら》はゆらぐ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|日《ひ》に|命《めい》じられると、|日《ひ》は|出《で》ない。 |彼《かれ》はまた|星《ほし》を|閉《と》じこめられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はただひとり|天《てん》を|張《は》り、 |海《うみ》の|波《なみ》を|踏《ふ》まれた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|北斗《ほくと》、オリオン、 プレアデスおよび|南《みなみ》の|密室《みっしつ》を|造《つく》られた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|大《おお》いなる|事《こと》をされることは|測《はか》りがたく、 |不思議《ふしぎ》な|事《こと》をされることは|数《かず》|知《し》れない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》がわたしのかたわらを|通《とお》られても、 わたしは|彼《かれ》を|見《み》ない。 |彼《かれ》は|進《すす》み|行《い》かれるが、わたしは|彼《かれ》を|認《みと》めない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》が|奪《うば》い|去《さ》られるのに、 だれが|彼《かれ》をはばむことができるか。 だれが|彼《かれ》にむかって『あなたは|何《なに》をするのか』と |言《い》うことができるか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|怒《いか》りをやめられない。 ラハブを|助《たす》ける|者《もの》どもは|彼《かれ》のもとにかがんだ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]どうしてわたしは|彼《かれ》に|答《こた》え、 |言葉《ことば》を|選《えら》んで、|彼《かれ》と|議論《ぎろん》することができよう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしは|正《ただ》しくても|答《こた》えることができない。 わたしを|責《せ》められる|者《もの》に あわれみを|請《こ》わなければならない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしが|呼《よ》ばわり、 |彼《かれ》がわたしに|答《こた》えられても、 わたしの|声《こえ》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けられたとは|信《しん》じない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|大風《おおかぜ》をもってわたしを|撃《う》ち|砕《くだ》き、 ゆえなく、わたしに|多《おお》くの|傷《きず》を|負《お》わせ、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|息《いき》をつかせず、 |苦《にが》い|物《もの》をもってわたしを|満《み》たされる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|力《ちから》の|争《あらそ》いであるならば、|彼《かれ》を|見《み》よ、 さばきの|事《こと》であるならば、 だれが|彼《かれ》を|呼《よ》び|出《だ》すことができよう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしは|正《ただ》しくても、 わたしの|口《くち》はわたしを|罪《つみ》ある|者《もの》とする。 たといわたしは|罪《つみ》がなくても、 |彼《かれ》はわたしを|曲《まが》った|者《もの》とする。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|罪《つみ》がない、しかしわたしは|自分《じぶん》を|知《し》らない。 わたしは|自分《じぶん》の|命《いのち》をいとう。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|皆《みな》|同一《どういつ》である。それゆえ、わたしは|言《い》う、 『|彼《かれ》は|罪《つみ》のない|者《もの》と、|悪《あ》しき|者《もの》とを |共《とも》に|滅《ほろ》ぼされるのだ』と。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|災《わざわい》がにわかに|人《ひと》を|殺《ころ》すような|事《こと》があると、 |彼《かれ》は|罪《つみ》のない|者《もの》の|苦難《くなん》をあざ|笑《わら》われる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》は|悪人《あくにん》の|手《て》に|渡《わた》されてある。 |彼《かれ》はその|裁判人《さいばんにん》の|顔《かお》をおおわれる。 もし|彼《かれ》でなければ、これはだれのしわざか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|日《ひ》は|飛脚《ひきゃく》よりも|速《はや》く、 |飛《と》び|去《さ》って|幸《さいわい》を|見《み》ない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これは|走《はし》ること|葦《あし》|舟《ぶね》のごとく、 えじきに|襲《おそ》いかかる、わしのようだ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしは『わが|嘆《なげ》きを|忘《わす》れ、 |憂《うれ》い|顔《がお》をかえて|元気《げんき》よくなろう』と|言《い》っても、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわがもろもろの|苦《くる》しみを|恐《おそ》れる。 あなたがわたしを|罪《つみ》なき|者《もの》とされないことを わたしは|知《し》っているからだ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|罪《つみ》ある|者《もの》とされている。 どうして、いたずらに|労《ろう》する|必要《ひつよう》があるか。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしは|雪《ゆき》で|身《み》を|洗《あら》い、 |灰汁《あく》で|手《て》を|清《きよ》めても、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを、みぞの|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》まれるので、 わたしの|着物《きもの》も、わたしをいとうようになる。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわたしのように|人《ひと》ではないゆえ、 わたしは|彼《かれ》に|答《こた》えることができない。 われわれは|共《とも》にさばきに|臨《のぞ》むことができない。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|間《あいだ》には、 われわれふたりの|上《うえ》に|手《て》を|置《お》くべき|仲裁者《ちゅうさいしゃ》がない。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]どうか|彼《かれ》がそのつえをわたしから|取《と》り|離《はな》し、 その|怒《いか》りをもって、 わたしを|恐《おそ》れさせられないように。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、わたしは|語《かた》って、 |彼《かれ》を|恐《おそ》れることはない。 わたしはみずからそのような|者《もの》ではないからだ。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》の|命《いのち》をいとう。 わたしは|自分《じぶん》の|嘆《なげ》きを|包《つつ》まず|言《い》いあらわし、 わが|魂《たましい》の|苦《くる》しみによって|語《かた》ろう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》に|申《もう》そう、 わたしを|罪《つみ》ある|者《もの》とされないように。 なぜわたしと|争《あらそ》われるかを|知《し》らせてほしい。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはしえたげをなし、み|手《て》のわざを|捨《す》て、 |悪人《あくにん》の|計画《けいかく》を|照《てら》すことを|良《よ》しとされるのか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|持《も》っておられるのは|肉《にく》の|目《め》か、 あなたは|人《ひと》が|見《み》るように|見《み》られるのか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|日《ひ》は|人《ひと》の|日《ひ》のごとく、 あなたの|年《とし》は|人《ひと》の|年《ねん》のようであるのか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはなにゆえわたしのとがを|尋《たず》ね、 わたしの|罪《つみ》を|調《しら》べられるのか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|罪《つみ》のないことを|知《し》っておられる。 またあなたの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》しうる|者《もの》はない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|手《て》はわたしをかたどり、わたしを|作《つく》った。 ところが|今《いま》あなたはかえって、わたしを|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|覚《おぼ》えてください、 あなたは|土《つち》くれをもってわたしを|作《つく》られた|事《こと》を。 ところが、わたしをちりに|返《かえ》そうとされるのか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを|乳《ちち》のように|注《そそ》ぎ、 |乾酪《かんらく》のように|凝《こ》り|固《かた》まらせたではないか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|肉《にく》と|皮《かわ》とをわたしに|着《き》せ、 |骨《ほね》と|筋《すじ》とをもってわたしを|編《あ》み、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|命《いのち》といつくしみとをわたしに|授《さづ》け、 わたしを|顧《かえり》みてわが|霊《れい》を|守《まも》られた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたはこれらの|事《こと》をみ|心《こころ》に|秘《ひ》めおかれた。 この|事《こと》があなたの|心《こころ》のうちにあった|事《こと》を わたしは|知《し》っている。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし|罪《つみ》を|犯《おか》せば、 あなたはわたしに|目《め》をつけて、 わたしを|罪《つみ》から|解《と》き|放《はな》されない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし|悪《わる》ければわたしはわざわいだ。 たといわたしが|正《ただ》しくても、 わたしは|頭《あたま》を|上《あ》げることができない。 わたしは|恥《はじ》に|満《み》ち、|悩《なや》みを|見《み》ているからだ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし|頭《あたま》をあげれば、 あなたは、ししのようにわたしを|追《お》い、 わたしにむかって|再《ふたた》びくすしき|力《ちから》をあらわされる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|証人《しょうにん》を|入《い》れ|替《か》えてわたしを|攻《せ》め、 わたしにむかってあなたの|怒《いか》りを|増《ま》し、 |新《あら》たに|軍勢《ぐんぜい》を|出《だ》してわたしを|攻《せ》められる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえあなたはわたしを|胎《たい》から|出《だ》されたか、 わたしは|息《いき》|絶《た》えて|目《め》に|見《み》られることなく、 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|胎《たい》から|墓《はか》に|運《はこ》ばれて、 |初《はじ》めからなかった|者《もの》のようであったなら、 よかったのに。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|命《いのち》の|日《ひ》はいくばくもないではないか。 どうぞ、しばしわたしを|離《はな》れて、 |少《すこ》しく|慰《なぐさ》めを|得《え》させられるように。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|行《い》って、|帰《かえ》ることのないその|前《まえ》に、 これを|得《え》させられるように。 わたしは|暗《くら》き|地《ち》、|暗黒《あんこく》の|地《ち》へ|行《い》く。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これは|暗《くら》き|地《ち》で、やみにひとしく、 |暗黒《あんこく》で|秩序《ちつじょ》なく、|光《ひかり》もやみのようだ」。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでナアマびとゾパルは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|言葉《ことば》が|多《おお》ければ、|答《こたえ》なしにすまされるだろうか。 |口《くち》の|達者《たっしゃ》な|人《ひと》は|義《ぎ》とされるだろうか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのむなしい|言葉《ことば》は|人《ひと》を|沈黙《ちんもく》させるだろうか。 あなたがあざけるとき、 |人《ひと》はあなたを|恥《は》じさせないだろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》う、『わたしの|教《おしえ》は|正《ただ》しい、 わたしは|神《かみ》の|目《め》に|潔《いさぎよ》い』と。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|神《かみ》が|言葉《ことば》を|出《だ》し、 あなたにむかってくちびるを|開《ひら》き、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》の|秘密《ひみつ》をあなたに|示《しめ》されるように。 |神《かみ》はさまざまの|知識《ちしき》をもたれるからである。 それであなたは|知《し》るがよい、|神《かみ》はあなたの|罪《つみ》よりも |軽《かる》くあなたを|罰《ばっ》せられることを。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|神《かみ》の|深《ふか》い|事《こと》を|窮《きわ》めることができるか。 |全能者《ぜんのうしゃ》の|限界《げんかい》を|窮《きわ》めることができるか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それは|天《てん》よりも|高《たか》い、あなたは|何《なに》をなしうるか。 それは|陰府《よみ》よりも|深《ふか》い、あなたは|何《なに》を|知《し》りうるか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|量《りょう》は|地《ち》よりも|長《なが》く、|海《うみ》よりも|広《ひろ》い。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がもし|行《ゆ》きめぐって|人《ひと》を|捕《とら》え、 さばきに|召《め》し|集《あつ》められるとき、 だれが|彼《かれ》をはばむことができよう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|卑《いや》しい|人間《にんげん》を|知《し》っておられるからだ。 |彼《かれ》は|不義《ふぎ》を|見《み》る|時《とき》、 これに|心《こころ》をとめられぬであろうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|野《の》ろばの|子《こ》が|人《ひと》として|生《うま》れるとき、 |愚《おろ》かな|者《もの》も|悟《さと》りを|得《え》るであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|心《こころ》を|正《ただ》しくするならば、 |神《かみ》に|向《む》かって|手《て》を|伸《の》べるであろう。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|手《て》に|不義《ふぎ》があるなら、それを|遠《とお》く|去《さ》れ、 あなたの|天幕《てんまく》に|悪《あく》を|住《す》まわせてはならない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたは|恥《は》じることなく |顔《かお》をあげることができ、 |堅《かた》く|立《た》って、|恐《おそ》れることはない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|苦《くる》しみを|忘《わす》れ、 あなたのこれを|覚《おぼ》えることは、 |流《なが》れ|去《さ》った|水《みず》のようになる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|命《いのち》は|真昼《まひる》よりも|光《ひか》り|輝《かがや》き、 たとい|暗《くら》くても|朝《あさ》のようになる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|望《のぞ》みがあるゆえに|安《やす》んじ、 |保護《ほご》されて|安《やす》らかにいこうことができる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|伏《ふ》してやすみ、 あなたを|恐《おそ》れさせるものはない。 |多《おお》くの|者《もの》はあなたの|好意《こうい》を|求《もと》めるであろう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|悪《あ》しき|者《もの》の|目《め》は|衰《おとろ》える。 |彼《かれ》らは|逃《に》げ|場《ば》を|失《うしな》い、 その|望《のぞ》みは|息《いき》の|絶《た》えるにひとしい」。 [#ここで字下げ終わり] 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「まことに、あなたがたのみ、|人《ひと》である、 |知恵《ちえ》はあなたがたと|共《とも》に|死《し》ぬであろう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしも、あなたがたと|同様《どうよう》に|悟《さと》りをもつ。 わたしはあなたがたに|劣《おと》らない。 だれがこのような|事《こと》を|知《し》らないだろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》に|呼《よ》ばわって、|聞《き》かれた|者《もの》であるのに、 その|友《とも》の|物笑《ものわら》いとなっている。 |正《ただ》しく|全《まった》き|人《ひと》は|物笑《ものわら》いとなる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|安《やす》らかな|者《もの》の|思《おも》いには、 |不幸《ふこう》な|者《もの》に|対《たい》する|侮《あなど》りがあって、 |足《あし》のすべる|者《もの》を|待《ま》っている。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]かすめ|奪《うば》う|者《もの》の|天幕《てんまく》は|栄《さか》え、 |神《かみ》を|怒《いか》らす|者《もの》は|安《やす》らかである。 |自分《じぶん》の|手《て》に|神《かみ》を|携《たずさ》えている|者《もの》も|同様《どうよう》だ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|獣《けもの》に|問《と》うてみよ、 それはあなたに|教《おし》える。 |空《そら》の|鳥《とり》に|問《と》うてみよ、 それはあなたに|告《つ》げる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あるいは|地《ち》の|草《くさ》や|木《き》に|問《と》うてみよ、 |彼《かれ》らはあなたに|教《おし》える。 |海《うみ》の|魚《うお》もまたあなたに|示《しめ》す。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これらすべてのもののうち、いずれか |主《しゅ》の|手《て》がこれをなしたことを|知《し》らぬ|者《もの》があろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべての|生《い》き|物《もの》の|命《いのち》、 およびすべての|人《ひと》の|息《いき》は|彼《かれ》の|手《て》のうちにある。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|口《くち》が|食物《しょくもつ》を|味《あじ》わうように、 |耳《みみ》は|言葉《ことば》をわきまえないであろうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|老《お》いた|者《もの》には|知恵《ちえ》があり、 |命《いのち》の|長《なが》い|者《もの》には|悟《さと》りがある。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》と|力《ちから》は|神《かみ》と|共《とも》にあり、 |深慮《しんりょ》と|悟《さと》りも|彼《かれ》のものである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|破壊《はかい》すれば、|再《ふたた》び|建《た》てることができない。 |彼《かれ》が|人《ひと》を|閉《と》じ|込《こ》めれば、|開《ひら》き|出《だ》すことができない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|水《みず》を|止《と》めれば、それはかれ、 |彼《かれ》が|水《みず》を|出《だ》せば、|地《ち》をくつがえす。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|力《ちから》と|深《ふか》き|知恵《ちえ》は|彼《かれ》と|共《とも》にあり、 |惑《まど》わされる|者《もの》も|惑《まど》わす|者《もの》も|彼《かれ》のものである。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|議《ぎ》|士《し》たちを|裸《はだか》にして|連《つ》れ|行《い》き、 さばきびとらを|愚《おろ》かにし、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》たちのきずなを|解《と》き、 |彼《かれ》らの|腰《こし》に|腰帯《こしおび》を|巻《ま》き、 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちを|裸《はだか》にして|連《つ》れ|行《い》き、 |力《ちから》ある|者《もの》を|滅《ほろ》ぼし、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]みずから|頼《たの》む|者《もの》たちの|言葉《ことば》を|奪《うば》い、 |長老《ちょうろう》たちの|分別《ふんべつ》を|取《と》り|去《さ》り、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|君《きみ》たちの|上《うえ》に|侮《あなど》りを|注《そそ》ぎ、 |強《つよ》い|者《もの》たちの|帯《おび》を|解《と》き、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|暗《くら》やみの|中《なか》から|隠《かく》れた|事《こと》どもをあらわし、 |暗黒《あんこく》を|光《ひかり》に|引《ひ》き|出《だ》し、 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》を|大《おお》きくし、またこれを|滅《ほろ》ぼし、 |国々《くにぐに》を|広《ひろ》くし、また|捕《とら》え|行《い》き、 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|民《たみ》の|長《ちょう》たちの|悟《さと》りを|奪《うば》い、 |彼《かれ》らを|道《みち》なき|荒野《あらの》にさまよわせ、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》なき|暗《くら》やみに|手探《てさぐ》りさせ、 |酔《よ》うた|者《もの》のようによろめかせる。 [#ここで字下げ終わり] 第一三章[#「第一三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしの|目《め》は、 これをことごとく|見《み》た。 わたしの|耳《みみ》はこれを|聞《き》いて|悟《さと》った。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|知《し》っている|事《こと》は、わたしも|知《し》っている。 わたしはあなたがたに|劣《おと》らない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|全能者《ぜんのうしゃ》に|物《もの》を|言《い》おう、 わたしは|神《かみ》と|論《ろん》ずることを|望《のぞ》む。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|偽《いつわ》りをもってうわべを|繕《つくろ》う|者《もの》、 |皆《みな》、|無用《むよう》の|医師《いし》だ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたがたは|全《まった》く|沈黙《ちんもく》するように。 これがあなたがたの|知恵《ちえ》であろう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》、わたしの|論《ろん》ずることを|聞《き》くがよい。 わたしの|口《くち》で|言《い》い|争《あらそ》うことに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けるがよい。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|神《かみ》のために|不義《ふぎ》を|言《い》おうとするのか。 また|彼《かれ》のために|偽《いつわ》りを|述《の》べるのか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|彼《かれ》にひいきしようとするのか。 |神《かみ》のために|争《あらそ》おうとするのか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》があなたがたを|調《しら》べられるとき、 あなたがたは|無事《ぶじ》だろうか。 あなたがたは|人《ひと》を|欺《あざむ》くように |彼《かれ》を|欺《あざむ》くことができるか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがもし、ひそかにひいきするならば、 |彼《かれ》は|必《かなら》ずあなたがたを|責《せ》められる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|威厳《いげん》はあなたがたを|恐《おそ》れさせないであろうか。 |彼《かれ》をおそれる|恐《おそ》れが あなたがたに|臨《のぞ》まないであろうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|格言《かくげん》は|灰《はい》のことわざだ。 あなたがたの|盾《たて》は|土《つち》の|盾《たて》だ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|黙《もく》して、わたしにかかわるな、わたしは|話《はな》そう。 |何事《なにごと》でもわたしに|来《く》るなら、|来《く》るがよい。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|肉《にく》をわが|歯《は》に|取《と》り、 わが|命《いのち》をわが|手《て》のうちに|置《お》く。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》はわたしを|殺《ころ》すであろう。 わたしは|絶望《ぜつぼう》だ。 しかしなおわたしはわたしの|道《みち》を |彼《かれ》の|前《まえ》に|守《まも》り|抜《ぬ》こう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これこそわたしの|救《すくい》となる。|神《かみ》を|信《しん》じない|者《もの》は、 |神《かみ》の|前《まえ》に|出《で》ることができないからだ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはよくわたしの|言葉《ことば》を|聞《き》き、 わたしの|述《の》べる|所《ところ》を|耳《みみ》に|入《い》れよ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはすでにわたしの|立《た》ち|場《ば》を|言《い》い|並《なら》べた。 わたしは|義《ぎ》とされることをみずから|知《し》っている。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]だれかわたしと|言《い》い|争《あらそ》う|事《こと》のできる|者《もの》があろうか。 もしあるならば、わたしは|黙《もく》して|死《し》ぬであろう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただわたしに二つの|事《こと》を|許《ゆる》してください。 そうすれば、わたしはあなたの|顔《かお》をさけて |隠《かく》れることはないでしょう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|手《て》をわたしから|離《はな》してください。 あなたの|恐《おそ》るべき|事《こと》をもって わたしを|恐《おそ》れさせないでください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そしてお|呼《およ》びください、わたしは|答《こた》えます。 わたしに|物《もの》を|言《い》わせて、 あなたご|自身《じしん》、わたしにお|答《こた》えください。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしのよこしまと、わたしの|罪《つみ》がどれほどあるか。 わたしのとがと|罪《つみ》とをわたしに|知《し》らせてください。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、あなたはみ|顔《かお》をかくし、 わたしをあなたの|敵《てき》とされるのか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|吹《ふ》き|回《まわ》される|木《こ》の|葉《は》をおどし、 |干《ひ》あがったもみがらを|追《お》われるのか。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしについて|苦《にが》き|事《こと》どもを|書《か》きしるし、 わたしに|若《わか》い|時《とき》の|罪《つみ》を|継《つ》がせ、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|足《あし》を|足《あし》かせにはめ、 わたしのすべての|道《みち》をうかがい、 わたしの|足《あし》の|周囲《しゅうい》に|限《かぎ》りをつけられる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は|腐《くさ》れた|物《もの》のように|朽《く》ち|果《は》て、 |虫《むし》に|食《く》われた|衣服《いふく》のようにすたれる。 [#ここで字下げ終わり] 第一四章[#「第一四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》から|生《うま》れる|人《ひと》は |日《ひ》が|短《みじか》く、|悩《なや》みに|満《み》ちている。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|花《はな》のように|咲《さ》き|出《で》て|枯《か》れ、 |影《かげ》のように|飛《と》び|去《さ》って、とどまらない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこのような|者《もの》にさえ|目《め》を|開《ひら》き、 あなたの|前《まえ》に|引《ひ》き|出《だ》して、さばかれるであろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]だれが|汚《けが》れたもののうちから|清《きよ》いものを |出《だ》すことができようか、ひとりもない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》は|定《さだ》められ、 その|月《つき》の|数《かず》もあなたと|共《とも》にあり、 あなたがその|限《かぎ》りを|定《さだ》めて、 |越《こ》えることのできないようにされたのだから、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》から|目《め》をはなし、|手《て》をひいてください。 そうすれば|彼《かれ》は|雇人《やといにん》のように、 その|日《ひ》を|楽《たの》しむことができるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|木《き》には|望《のぞ》みがある。 たとい|切《き》られてもまた|芽《め》をだし、 その|若《わか》|枝《えだ》は|絶《た》えることがない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]たといその|根《ね》が|地《ち》の|中《なか》に|老《お》い、 その|幹《みき》が|土《つち》の|中《なか》に|枯《か》れても、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]なお|水《みず》の|潤《うるお》いにあえば|芽《め》をふき、 |若木《わかぎ》のように|枝《えだ》を|出《だ》す。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|人《ひと》は|死《し》ねば|消《き》えうせる。 |息《いき》が|絶《た》えれば、どこにおるか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》が|湖《みずうみ》から|消《き》え、 |川《かわ》がかれて、かわくように、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|伏《ふ》して|寝《ね》、また|起《お》きず、 |天《てん》のつきるまで、|目《め》ざめず、 その|眠《ねむ》りからさまされない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、わたしを|陰府《よみ》にかくし、 あなたの|怒《いか》りのやむまで、|潜《ひそ》ませ、 わたしのために|時《とき》を|定《さだ》めて、 わたしを|覚《おぼ》えてください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし|死《し》ねば、また|生《い》きるでしょうか。 わたしはわが|服役《ふくえき》の|諸《しょ》|日《にち》の|間《あいだ》、 わが|解放《かいほう》の|来《く》るまで|待《ま》つでしょう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがお|呼《およ》びになるとき、 わたしは|答《こた》えるでしょう。 あなたはみ|手《て》のわざを|顧《かえり》みられるでしょう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたはわたしの|歩《あゆ》みを|数《かぞ》え、 わたしの|罪《つみ》を|見《み》のがされるでしょう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしのとがは|袋《ふくろ》の|中《なか》に|封《ふう》じられ、 あなたはわたしの|罪《つみ》を|塗《ぬ》りかくされるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|山《やま》は|倒《たお》れてくずれ、 |岩《いわ》もその|所《ところ》から|移《うつ》される。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》は|石《いし》をうがち、 |大水《おおみず》は|地《ち》のちりを|洗《あら》い|去《さ》る。 このようにあなたは|人《ひと》の|望《のぞ》みを|断《た》たれる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはながく|彼《かれ》に|勝《か》って、|彼《かれ》を|去《さ》り|行《い》かせ、 |彼《かれ》の|顔《かお》かたちを|変《かわ》らせて|追《お》いやられる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|子《こ》らは|尊《たっと》くなっても、|彼《かれ》はそれを|知《し》らない、 |卑《いや》しくなっても、それを|悟《さと》らない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ただおのが|身《み》に|痛《いた》みを|覚《おぼ》え、 おのれのために|嘆《なげ》くのみである」。 [#ここで字下げ終わり] 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでテマンびとエリパズは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|知者《ちしゃ》はむなしき|知識《ちしき》をもって|答《こた》えるであろうか。 |東風《ひがしかぜ》をもってその|腹《はら》を|満《み》たすであろうか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|役《やく》に|立《た》たない|談話《だんわ》をもって|論《ろん》じるであろうか。 |無益《むえき》な|言葉《ことば》をもって|争《あらそ》うであろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ところがあなたは|神《かみ》を|恐《おそ》れることを|捨《す》て、 |神《かみ》の|前《まえ》に|祈《いの》る|事《こと》をやめている。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|罪《つみ》はあなたの|口《くち》を|教《おし》え、 あなたは|悪賢《わるがしこ》い|人《ひと》の|舌《した》を|選《えら》び|用《もち》いる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|口《くち》みずからあなたの|罪《つみ》を|定《さだ》める、 わたしではない。 あなたのくちびるがあなたに|逆《さか》らって|証明《しょうめい》する。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|最初《さいしょ》に|生《うま》れた|人《ひと》であるのか。 |山《やま》よりも|先《さき》に|生《うま》れたのか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|神《かみ》の|会議《かいぎ》にあずかったのか。 あなたは|知恵《ちえ》を|独占《どくせん》しているのか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|知《し》るものは われわれも|知《し》るではないか。 あなたが|悟《さと》るものは われわれも|悟《さと》るではないか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|中《なか》にはしらがの|人《ひと》も、 |年老《としお》いた|人《ひと》もあって、 あなたの|父《ちち》よりも|年上《としうえ》だ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|慰《なぐさ》めおよびあなたに|対《たい》するやさしい|言葉《ことば》も、 あなたにとって、あまりに|小《ちい》さいというのか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]どうしてあなたの|心《こころ》は|狂《くる》うのか。 どうしてあなたの|目《め》はしばたたくのか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|神《かみ》にむかって|気《き》をいらだて、 このような|言葉《ことば》をあなたの|口《くち》から|出《だ》すのはなぜか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はいかなる|者《もの》か、どうしてこれは|清《きよ》くありえよう。 |女《おんな》から|生《うま》れた|者《もの》は、どうして|正《ただ》しくありえよう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》はその|聖《せい》なる|者《もの》にすら|信《しん》を|置《お》かれない、 もろもろの|天《てん》も|彼《かれ》の|目《め》には|清《きよ》くない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]まして|憎《にく》むべき|汚《けが》れた|者《もの》、 また|不義《ふぎ》を|水《みず》のように|飲《の》む|人《ひと》においては。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|語《かた》ろう、|聞《き》くがよい。 わたしは|自分《じぶん》の|見《み》た|事《こと》を|述《の》べよう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これは|知者《ちしゃ》たちがその|先祖《せんぞ》からうけて、 |隠《かく》す|所《ところ》なく|語《かた》り|伝《つた》えたものである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らにのみこの|地《ち》は|授《さづ》けられて、 |他国《たこく》|人《じん》はその|中《なか》に|行《い》き|来《き》したことがなかった。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|人《ひと》は|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、もだえ|苦《くる》しむ。 |残酷《ざんこく》な|人《ひと》には|年《とし》の|数《かず》が|定《さだ》められている。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|耳《みみ》には|恐《おそ》ろしい|音《おと》が|聞《きこ》え、 |繁栄《はんえい》の|時《とき》にも|滅《ほろ》ぼす|者《もの》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》む。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、|暗《くら》やみから|帰《かえ》りうるとは|信《しん》ぜず、 つるぎにねらわれる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|食物《しょくもつ》はどこにあるかと|言《い》いつつさまよい、 |暗《くら》き|日《ひ》が|手近《てぢか》に|備《そな》えられてあるのを|知《し》る。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|悩《なや》みと|苦《くる》しみとが|彼《かれ》を|恐《おそ》れさせ、 |戦《たたか》いの|備《そな》えをした|王《おう》のように|彼《かれ》に|打《う》ち|勝《か》つ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》が|神《かみ》に|逆《さか》らってその|手《て》を|伸《の》べ、 |全能者《ぜんのうしゃ》に|逆《さか》らって|高慢《こうまん》にふるまい、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|盾《たて》の|厚《あつ》い|面《めん》をもって|強情《ごうじょう》に、 |彼《かれ》にはせ|向《む》かうからだ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》は|脂肪《しぼう》をもってその|顔《かお》をおおい、 その|腰《こし》には|脂肪《しぼう》の|肉《にく》を|集《あつ》め、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|滅《ほろ》ぼされた|町々《まちまち》に|住《す》み、 |人《ひと》の|住《す》まない|家《いえ》、|荒塚《あらつか》となる|所《ところ》におるからだ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|富《と》める|者《もの》とならず、その|富《とみ》はながく|続《つづ》かない、 また|地《ち》に|根《ね》を|張《は》ることはない。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|暗《くら》やみからのがれることができない。 |炎《ほのお》はその|若《わか》|枝《えだ》を|枯《か》らし、 その|花《はな》は|風《かぜ》に|吹《ふ》き|去《さ》られる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》をしてみずから|欺《あざむ》いて、 むなしい|事《こと》にたよらせてはならない。 その|報《むく》いはむなしいからだ。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|時《とき》のこない|前《まえ》にその|事《こと》がなし|遂《と》げられ、 |彼《かれ》の|枝《えだ》は|緑《みどり》とならないであろう。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はぶどうの|木《き》のように、 その|熟《じゅく》さない|実《み》をふり|落《おと》すであろう。 またオリブの|木《き》のように、その|花《はな》を|落《おと》すであろう。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》を|信《しん》じない|者《もの》のやからは|子《こ》なく、 まいないによる|天幕《てんまく》は|火《ひ》で|焼《や》き|滅《ほろ》ぼされるからだ。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|害悪《がいあく》をはらみ、|不義《ふぎ》を|生《う》み、 その|腹《はら》は|偽《いつわ》りをつくる」。 [#ここで字下げ終わり] 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはこのような|事《こと》を|数多《かずおお》く|聞《き》いた。 あなたがたは|皆《みな》|人《ひと》を|慰《なぐさ》めようとして、 かえって|人《ひと》を|煩《わずら》わす|者《もの》だ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]むなしき|言葉《ことば》に、はてしがあろうか。 あなたは|何《なに》に|激《げき》して|答《こたえ》をするのか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしもあなたがたのように|語《かた》ることができる。 もしあなたがたがわたしと|代《かわ》ったならば、 わたしは|言葉《ことば》を|練《ね》って、あなたがたを|攻《せ》め、 あなたがたに|向《む》かって|頭《あたま》を|振《ふ》ることができる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|口《くち》をもって、あなたがたを|強《つよ》くし、 くちびるの|慰《なぐさ》めをもって、あなたがたの|苦《くる》しみを|和《やわ》らげることができる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしは|語《かた》っても、 わたしの|苦《くる》しみは|和《やわ》らげられない。 たといわたしは|忍《しの》んでも、 どれほどそれがわたしを|去《さ》るであろうか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]まことに|神《かみ》は|今《いま》わたしを|疲《つか》れさせた。 |彼《かれ》はわたしのやからをことごとく|荒《あら》した。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしを、しわ|寄《よ》らせた。 これがわたしに|対《たい》する|証拠《しょうこ》である。 またわたしのやせ|衰《おとろ》えた|姿《すがた》が|立《た》って、わたしを|攻《せ》め、 わたしの|顔《かお》にむかって|証明《しょうめい》する。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|怒《いか》ってわたしをかき|裂《さ》き、わたしを|憎《にく》み、 わたしに|向《む》かって|歯《は》をかみ|鳴《な》らした。 わたしの|敵《てき》は|目《め》を|鋭《するど》くして、わたしを|攻《せ》める。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はわたしに|向《む》かって|口《くち》を|張《は》り、 |侮《あなど》ってわたしのほおを|打《う》ち、 ともに|集《あつ》まってわたしを|攻《せ》める。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわたしをよこしまな|者《もの》に|渡《わた》し、 |悪人《あくにん》の|手《て》に|投《な》げいれられる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|安《やす》らかであったのに、 |彼《かれ》はわたしを|切《き》り|裂《さ》き、 |首《くび》を|捕《とら》えて、わたしを|打《う》ち|砕《くだ》き、 わたしを|立《た》てて|的《まと》とされた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|射手《しゃしゅ》はわたしを|囲《かこ》む。 |彼《かれ》は|無慈悲《むじひ》にもわたしの|腰《こし》を|射通《いとお》し、 わたしの|肝《きも》を|地《ち》に|流《なが》れ|出《だ》させられる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしを|打《う》ち|破《やぶ》って、|破《やぶ》れに|破《やぶ》れを|加《くわ》え、 |勇士《ゆうし》のようにわたしに、はせかかられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|荒布《あらぬの》を|膚《はだ》に|縫《ぬ》いつけ、 わたしの|角《つの》をちりに|伏《ふ》せた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|顔《かお》は|泣《な》いて|赤《あか》くなり、 わたしのまぶたには|深《ふか》いやみがある。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしの|手《て》には|暴虐《ぼうぎゃく》がなく、 わたしの|祈《いのり》は|清《きよ》い。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》よ、わたしの|血《ち》をおおってくれるな。 わたしの|叫《さけ》びに、|休《やす》む|所《ところ》を|得《え》させるな。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|今《いま》でもわたしの|証人《しょうにん》は|天《てん》にある。 わたしのために|保証《ほしょう》してくれる|者《もの》は|高《たか》い|所《ところ》にある。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|友《とも》はわたしをあざける、 しかしわたしの|目《め》は|神《かみ》に|向《む》かって|涙《なみだ》を|注《そそ》ぐ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]どうか|彼《かれ》が|人《ひと》のために|神《かみ》と|弁論《べんろん》し、 |人《ひと》とその|友《とも》との|間《あいだ》をさばいてくれるように。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|数年《すうねん》|過《す》ぎ|去《さ》れば、 わたしは|帰《かえ》らぬ|旅路《たびじ》に|行《い》くであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第一七章[#「第一七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|霊《れい》は|破《やぶ》れ、わが|日《ひ》は|尽《つ》き、 |墓《はか》はわたしを|待《ま》っている。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]まことにあざける|者《もの》どもはわたしのまわりにあり、 わが|目《め》は|常《つね》に|彼《かれ》らの|侮《あなど》りを|見《み》る。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなた|自《みずか》ら|保証《ほしょう》となられるように。 ほかにだれがわたしのために |保証《ほしょう》となってくれる|者《もの》があろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らの|心《こころ》を|閉《と》じて、 |悟《さと》ることのないようにされた。 それゆえ、|彼《かれ》らに|勝利《しょうり》を|得《え》させられるはずはない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|分《わ》け|前《まえ》を|得《え》るために|友《とも》を|訴《うった》えるものは、 その|子《こ》らの|目《め》がつぶれるであろう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしを|民《たみ》の|笑《わら》い|草《ぐさ》とされた。 わたしは|顔《かお》につばきされる|者《もの》となる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|目《め》は|憂《うれ》いによってかすみ、 わがからだはすべて|影《かげ》のようだ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》はこれに|驚《おどろ》き、 |罪《つみ》なき|者《もの》は|神《かみ》を|信《しん》ぜぬ|者《もの》に|対《たい》して|憤《いきどお》る。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それでもなお|正《ただ》しい|者《もの》はその|道《みち》を|堅《かた》く|保《たも》ち、 |潔《いさぎよ》い|手《て》をもつ|者《もの》はますます|力《ちから》を|得《え》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたは|皆《みな》|再《ふたた》び|来《く》るがよい、 わたしはあなたがたのうちに|賢《かしこ》い|者《もの》を|見《み》ないのだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|日《ひ》は|過《す》ぎ|去《さ》り、わが|計《はか》りごとは|敗《やぶ》れ、 わが|心《こころ》の|願《ねが》いも|敗《やぶ》れた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|夜《よる》を|昼《ひる》に|変《か》える。 |彼《かれ》らは|言《い》う、『|光《ひかり》が|暗《くら》やみに|近《ちか》づいている』と。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし|陰府《よみ》をわたしの|家《いえ》として|望《のぞ》み、 |暗《くら》やみに|寝床《ねどこ》をのべ、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|穴《あな》に|向《む》かって『あなたはわたしの|父《ちち》である』と|言《い》い、 うじに|向《む》かって『あなたはわたしの|母《はは》、 わたしの|姉妹《しまい》である』と|言《い》うならば、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|望《のぞ》みはどこにあるか、 だれがわたしの|望《のぞ》みを|見《み》ることができようか。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これは|下《くだ》って|陰府《よみ》の|関門《かんもん》にいたり、 われわれは|共《とも》にちりに|下《くだ》るであろうか」。 [#ここで字下げ終わり] 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでシュヒびとビルダデは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはいつまで|言葉《ことば》にわなを|設《もう》けるのか。 あなたはまず|悟《さと》るがよい、 それからわれわれは|論《ろん》じよう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、われわれは|獣《けもの》のように|思《おも》われるのか。 なぜ、あなたの|目《め》に|愚《おろ》かな|者《もの》と|見《み》えるのか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》っておのが|身《み》を|裂《さ》く|者《もの》よ、 あなたのために|地《ち》は|捨《す》てられるだろうか。 |岩《いわ》はその|所《ところ》から|移《うつ》されるだろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|光《ひかり》は|消《き》え、 その|火《ひ》の|炎《ほのお》は|光《ひかり》を|放《はな》たず、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|天幕《てんまく》のうちの|光《ひかり》は|暗《くら》く、 |彼《かれ》の|上《うえ》のともしびは|消《き》える。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|力《ちから》ある|歩《あゆ》みはせばめられ、 その|計《はか》りごとは|彼《かれ》を|倒《たお》す。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|足《あし》で|網《あみ》にかかり、 また|落《おと》し|穴《あな》の|上《うえ》を|歩《あゆ》む。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わなは|彼《かれ》のかかとを|捕《とら》え、 |網《あみ》わなは|彼《かれ》を|捕《とら》える。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|輪《わ》なわは|彼《かれ》を|捕《とら》えるために|地《ち》に|隠《かく》され、 |張《は》り|網《あみ》は|彼《かれ》を|捕《とら》えるために|道《みち》に|設《もう》けられる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》ろしい|事《こと》が|四方《しほう》にあって|彼《かれ》を|恐《おそ》れさせ、 その|歩《あゆ》みにしたがって|彼《かれ》を|追《お》う。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|力《ちから》は|飢《う》え、 |災《わざわい》は|彼《かれ》をつまずかすために|備《そな》わっている。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|皮膚《ひふ》は|病《やまい》によって|食《く》いつくされ、 |死《し》のういごは|彼《かれ》の|手足《てあし》を|食《く》いつくす。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|頼《たの》む|所《ところ》の|天幕《てんまく》から|引《ひ》き|離《はな》されて、 |恐《おそ》れの|王《おう》のもとに|追《お》いやられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|属《ぞく》さない|者《もの》が|彼《かれ》の|天幕《てんまく》に|住《す》み、 |硫黄《いおう》が|彼《かれ》のすまいの|上《うえ》にまき|散《ち》らされる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|下《した》ではその|根《ね》が|枯《か》れ、 |上《うえ》ではその|枝《えだ》が|切《き》られる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|形見《かたみ》は|地《ち》から|滅《ほろ》び、 |彼《かれ》の|名《な》はちまたに|消《き》える。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|光《ひかり》からやみに|追《お》いやられ、 |世《よ》の|中《なか》から|追《お》い|出《だ》される。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|民《たみ》の|中《なか》に|子《こ》もなく、|孫《まご》もなく、 |彼《かれ》のすみかには、ひとりも|生《い》き|残《のこ》る|者《もの》はない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|者《もの》は|彼《かれ》の|日《ひ》について|驚《おどろ》き、 |東《ひがし》の|者《もの》はおじ|恐《おそ》れる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]まことに、|悪《あ》しき|者《もの》のすまいはこのようであり、 |神《かみ》を|知《し》らない|者《もの》の|所《ところ》はこのようである」。 [#ここで字下げ終わり] 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはいつまでわたしを|悩《なや》まし、 |言葉《ことば》をもってわたしを|打《う》ち|砕《くだ》くのか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはすでに|十度《とたび》もわたしをはずかしめ、 わたしを|悪《わる》くあしらってもなお|恥《は》じないのか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしが、まことにあやまったとしても、 そのあやまちは、わたし|自身《じしん》にとどまる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが、 まことにわたしに|向《む》かって|高《たか》ぶり、 わたしの|恥《はじ》を|論《ろん》じるならば、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]『|神《かみ》がわたしをしえたげ、 その|網《あみ》でわたしを|囲《かこ》まれたのだ』と|知《し》るべきだ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしが『|暴虐《ぼうぎゃく》』と|叫《さけ》んでも|答《こた》えられず、 |助《たす》けを|呼《よ》び|求《もと》めても、さばきはない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしの|道《みち》にかきをめぐらして、 |越《こ》えることのできないようにし、 わたしの|行《い》く|道《みち》に|暗《くら》やみを|置《お》かれた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしの|栄《さか》えをわたしからはぎ|取《と》り、 わたしのこうべから|冠《かんむり》を|奪《うば》い、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|四方《しほう》からわたしを|取《と》りこわして、うせさせ、 わたしの|望《のぞ》みを|木《き》のように|抜《ぬ》き|去《さ》り、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|向《む》かって|怒《いか》りを|燃《も》やし、 わたしを|敵《てき》のひとりのように|思《おも》われた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|軍勢《ぐんぜい》がいっせいに|来《き》て、 |塁《るい》を|築《きず》いて|攻《せ》め|寄《よ》せ、 わたしの|天幕《てんまく》のまわりに|陣《じん》を|張《は》った。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしの|兄弟《きょうだい》たちを わたしから|遠《とお》く|離《はな》れさせられた。 わたしを|知《し》る|人々《ひとびと》は|全《まった》くわたしに|疎遠《そえん》になった。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|親類《しんるい》および|親《した》しい|友《とも》はわたしを|見捨《みす》て、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|家《いえ》に|宿《やど》る|者《もの》はわたしを|忘《わす》れ、 わたしのはしためらはわたしを|他人《たにん》のように|思《おも》い、 わたしは|彼《かれ》らの|目《め》に|他国《たこく》|人《じん》となった。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしがしもべを|呼《よ》んでも、|彼《かれ》は|答《こた》えず、 わたしは|口《くち》をもって|彼《かれ》に|請《こ》わなければならない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|息《いき》はわが|妻《つま》にいとわれ、 わたしは|同《おな》じ|腹《はら》の|子《こ》たちにきらわれる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わらべたちさえもわたしを|侮《あなど》り、 わたしが|起《お》き|上《あ》がれば、わたしをあざける。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|親《した》しい|人々《ひとびと》は|皆《みな》わたしをいみきらい、 わたしの|愛《あい》した|人々《ひとびと》はわたしにそむいた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|骨《ほね》は|皮《かわ》と|肉《にく》につき、 わたしはわずかに|歯《は》の|皮《かわ》をもってのがれた。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わが|友《とも》よ、わたしをあわれめ、わたしをあわれめ、 |神《かみ》のみ|手《て》がわたしを|打《う》ったからである。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、なにゆえ|神《かみ》のようにわたしを|責《せ》め、 わたしの|肉《にく》をもって|満足《まんぞく》しないのか。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わたしの|言葉《ことば》が、|書《か》きとめられるように。 どうか、わたしの|言葉《ことば》が、|書物《しょもつ》にしるされるように。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|鉄《てつ》の|筆《ふで》と|鉛《なまり》とをもって、 ながく|岩《いわ》に|刻《きざ》みつけられるように。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知《し》る、 わたしをあがなう|者《もの》は|生《い》きておられる、 |後《のち》の|日《ひ》に|彼《かれ》は|必《かなら》ず|地《ち》の|上《うえ》に|立《た》たれる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|皮《かわ》がこのように|滅《ほろ》ぼされたのち、 わたしは|肉《にく》を|離《はな》れて|神《かみ》を|見《み》るであろう。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかもわたしの|味方《みかた》として|見《み》るであろう。 わたしの|見《み》る|者《もの》はこれ|以外《いがい》のものではない。 わたしの|心《こころ》はこれを|望《のぞ》んでこがれる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがもし『われわれはどうして |彼《かれ》を|責《せ》めようか』と|言《い》い、 また『|事《こと》の|根源《こんげん》は|彼《かれ》のうちに|見《み》いだされる』 と|言《い》うならば、 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]つるぎを|恐《おそ》れよ、 |怒《いか》りはつるぎの|罰《ばつ》をきたらすからだ。 これによって、あなたがたは、 さばきのあることを|知《し》るであろう」。 [#ここで字下げ終わり] 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでナアマびとゾパルは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「これによって、わたしは|答《こた》えようとの|思《おも》いを|起《おこ》し、 これがために|心中《しんじゅう》しきりに|騒《さわ》ぎ|立《た》つ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしをはずかしめる|非難《ひなん》を|聞《き》く、 しかし、わたしの|悟《さと》りの|霊《れい》がわたしに|答《こた》えさせる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこの|事《こと》を|知《し》らないのか、 |昔《むかし》から|地《ち》の|上《うえ》に|人《ひと》の|置《お》かれてよりこのかた、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|人《ひと》の|勝《か》ち|誇《ほこ》はしばらくであって、 |神《かみ》を|信《しん》じない|者《もの》の|楽《たの》しみは ただつかのまであることを。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]たといその|高《たか》さが|天《てん》に|達《たっ》し、 その|頭《あたま》が|雲《くも》におよんでも、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はおのれの|糞《ふん》のように、とこしえに|滅《ほろ》び、 |彼《かれ》を|見《み》た|者《もの》は|言《い》うであろう、『|彼《かれ》はどこにおるか』と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|夢《ゆめ》のように|飛《と》び|去《さ》って、|再《ふたた》び|見《み》ることはない。 |彼《かれ》は|夜《よる》の|幻《まぼろし》のように|追《お》い|払《はら》われるであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》を|見《み》た|目《め》はかさねて|彼《かれ》を|見《み》ることがなく、 |彼《かれ》のいた|所《ところ》も|再《ふたた》び|彼《かれ》を|見《み》ることがなかろう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らは|貧《まず》しい|者《もの》に|恵《めぐ》みを|求《もと》め、 その|手《て》は|彼《かれ》の|貨《か》|財《ざい》を|償《つぐな》うであろう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|骨《ほね》には|若《わか》い|力《ちから》が|満《み》ちている、 しかしそれは|彼《かれ》と|共《とも》にちりに|伏《ふ》すであろう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]たとい|悪《あく》は|彼《かれ》の|口《くち》に|甘《あま》く、 これを|舌《した》の|裏《うら》にかくし、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これを|惜《お》しんで|捨《す》てることなく、 |口《くち》の|中《なか》に|含《ふく》んでいても、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|食物《しょくもつ》は|彼《かれ》の|腹《はら》の|中《うち》で|変《かわ》り、 |彼《かれ》の|内《うち》で|毒蛇《どくへび》の|毒《どく》となる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|貨《か》|財《ざい》をのんでも、またそれを|吐《は》き|出《だ》す、 |神《かみ》がそれを|彼《かれ》の|腹《はら》から|押《お》し|出《だ》されるからだ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|毒蛇《どくへび》の|毒《どく》を|吸《す》い、 まむしの|舌《した》は|彼《かれ》を|殺《ころ》すであろう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|蜜《みつ》と|凝乳《ぎょうにゅう》の|流《なが》れる|川々《かわがわ》を|見《み》ることができない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はほねおって|獲《え》たものを|返《かえ》して、 それを|食《く》うことができない。 その|商《あきな》いによって|得《え》た|利益《りえき》をもって |楽《たの》しむことができない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|貧《まず》しい|者《もの》をしえたげ、これを|捨《す》てたからだ。 |彼《かれ》は|家《いえ》を|奪《うば》い|取《と》っても、 それを|建《た》てることができない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|欲張《よくば》りは|足《た》ることを|知《し》らぬゆえ、 その|楽《たの》しむ|何《なに》|物《もの》をも|救《すく》うことができないであろう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|残《のこ》して|食《た》べなかった|物《もの》とては一つもない。 それゆえ、その|繁栄《はんえい》はながく|続《つづ》かないであろう。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|力《ちから》の|満《み》ちている|時《とき》、|彼《かれ》は|窮境《きゅうきょう》に|陥《おちい》り、 |悩《なや》みの|手《て》がことごとく|彼《かれ》の|上《うえ》に|臨《のぞ》むであろう。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がその|腹《はら》を|満《み》たそうとすれば、 |神《かみ》はその|激《はげ》しい|怒《いか》りを|送《おく》って、 それを|彼《かれ》の|上《うえ》に|降《ふ》り|注ぎ《そそぎ》、|彼《かれ》の|食物《しょくもつ》とされる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|鉄《てつ》の|武器《ぶき》を|免《まぬか》れても、 |青銅《せいどう》の|矢《や》は|彼《かれ》を|射通《いとお》すであろう。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がこれをその|身《み》から|引《ひ》き|抜《ぬ》けば、 きらめく|矢《や》じりがその|肝《きも》から|出《で》てきて、 |恐《おそ》れが|彼《かれ》の|上《うえ》に|臨《のぞ》む。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|暗黒《あんこく》が|彼《かれ》の|宝物《ほうもつ》のためにたくわえられ、 |人《ひと》が|吹《ふ》き|起《おこ》したものでない|火《ひ》が|彼《かれ》を|焼《や》きつくし、 その|天幕《てんまく》に|残《のこ》っている|者《もの》を|滅《ほろ》ぼすであろう。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》は|彼《かれ》の|罪《つみ》をあらわし、 |地《ち》は|起《おこ》って|彼《かれ》を|攻《せ》めるであろう。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》の|財産《ざいさん》は|奪《うば》い|去《さ》られ、 |神《かみ》の|怒《いか》りの|日《ひ》に|消《き》えうせるであろう。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これが|悪《あ》しき|人《ひと》の|神《かみ》から|受《う》ける|分《ぶん》、 |神《かみ》によって|定《さだ》められた|嗣《し》|業《ぎょう》である」。 [#ここで字下げ終わり] 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはとくと、わたしの|言葉《ことば》を|聞《き》き、 これをもって、あなたがたの|慰《なぐさ》めとするがよい。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]まずわたしをゆるして|語《かた》らせなさい。 わたしが|語《かた》ったのち、あざけるのもよかろう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしのつぶやきは|人《ひと》に|対《たい》してであろうか。 わたしはどうして、いらだたないでいられようか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしを|見《み》て、|驚《おどろ》き、 |手《て》を|口《くち》にあてるがよい。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれを|思《おも》うと|恐《おそ》ろしくなって、 からだがしきりに|震《ふる》えわななく。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ|悪《あ》しき|人《ひと》が|生《い》きながらえ、 |老齢《ろうれい》に|達《たっ》し、かつ|力強《ちからづよ》くなるのか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らは|彼《かれ》らの|前《まえ》に|堅《かた》く|立《た》ち、 その|子孫《しそん》もその|目《め》の|前《まえ》に|堅《かた》く|立《た》つ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》は|安《やす》らかで、|恐《おそ》れがなく、 |神《かみ》のつえは|彼《かれ》らの|上《うえ》に|臨《のぞ》むことがない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》は|種《たね》を|与《あた》えて、|誤《あやま》ることなく、 その|雌牛《めうし》は|子《こ》を|産《う》んで、そこなうことがない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|小《ちい》さい|者《もの》どもを|群《む》れのように|連《つ》れ|出《だ》し、 その|子《こ》らは|舞《ま》い|踊《おど》る。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|手《て》|鼓《つづみ》と|琴《こと》に|合《あ》わせて|歌《うた》い、 |笛《ふえ》の|音《ね》によって|楽《たの》しみ、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》をさいわいに|過《す》ごし、 |安《やす》らかに|陰府《よみ》にくだる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》に|言《い》う、『われわれを|離《はな》れよ、 われわれはあなたの|道《みち》を|知《し》ることを|好《この》まない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|全能者《ぜんのうしゃ》は|何者《なにもの》なので、 われわれはこれに|仕《つか》えねばならないのか。 われわれはこれに|祈《いの》っても、なんの|益《えき》があるか』と。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》らの|繁栄《はんえい》は|彼《かれ》らの|手《て》にあるではないか。 |悪人《あくにん》の|計《はか》りごとは、わたしの|遠《とお》く|及《およ》ぶ|所《ところ》でない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》のともしびの|消《け》されること、 |幾《いく》たびあるか。 その|災《わざわい》の|彼《かれ》らの|上《うえ》に|臨《のぞ》むこと、 |神《かみ》がその|怒《いか》りをもって|苦《くる》しみを|与《あた》えられること、 |幾《いく》たびあるか。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|風《かぜ》の|前《まえ》のわらのようになること、 あらしに|吹《ふ》き|去《さ》られるもみがらのようになること、 |幾《いく》たびあるか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言《い》う、 『|神《かみ》は|彼《かれ》らの|罪《つみ》を|積《つ》みたくわえて、 その|子《こ》らに|報《むく》いられるのだ』と。 どうかそれを|彼《かれ》ら|自身《じしん》に|報《むく》いて、 |彼《かれ》らにその|罪《つみ》を|知《し》らせられるように。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》ら|自身《じしん》の|目《め》にその|滅《ほろ》びを|見《み》させ、 |全能者《ぜんのうしゃ》の|怒《いか》りを|彼《かれ》らに|飲《の》ませられるように。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|月《つき》の|数《かず》のつきるとき、 |彼《かれ》らはその|後《のち》の|家《いえ》になんのかかわる|所《ところ》があろうか。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|天《てん》にある|者《もの》たちをさえ、さばかれるのに、 だれが|神《かみ》に|知識《ちしき》を|教《おし》えることができようか。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ある|者《もの》は|繁栄《はんえい》をきわめ、 |全《まった》く|安《やす》らかに、かつおだやかに|死《し》に、 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そのからだには|脂肪《しぼう》が|満《み》ち、 その|骨《ほね》の|髄《ずい》は|潤《うるお》っている。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ある|者《もの》は|心《こころ》を|苦《くる》しめて|死《し》に、 なんの|幸《さいわい》をも|味《あじ》わうことがない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはひとしくちりに|伏《ふ》し、 うじにおおわれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたがたの|思《おも》いを|知《し》り、 わたしを|害《がい》しようとするたくらみを|知《し》る。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言《い》う、『|王侯《おうこう》の|家《いえ》はどこにあるか、 |悪人《あくにん》の|住《す》む|天幕《てんまく》はどこにあるか』と。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|道行《みちゆ》く|人々《ひとびと》に|問《と》わなかったか、 |彼《かれ》らの|証言《しょうげん》を|受《う》け|入《い》れないのか。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|災《わざわい》の|日《ひ》に|悪人《あくにん》は|免《まぬか》れ、 |激《はげ》しい|怒《いか》りの|日《ひ》に|彼《かれ》は|救《すく》い|出《だ》される。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]だれが|彼《かれ》に|向《む》かって、 その|道《みち》を|告《つ》げ|知《し》らせる|者《もの》があるか、 だれが|彼《かれ》のした|事《こと》を|彼《かれ》に|報《むく》いる|者《もの》があるか。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はかかれて|墓《はか》に|行《い》き、 |塚《つか》の|上《うえ》で|見張《みは》りされ、 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|谷《たに》の|土《つち》くれも|彼《かれ》には|快《こころよ》く、 すべての|人《ひと》はそのあとに|従《したが》う。 |彼《かれ》の|前《まえ》に|行《い》った|者《もの》も|数《かぞ》えきれない。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたがたはどうしてむなしい|事《こと》をもって、 わたしを|慰《なぐさ》めようとするのか。 あなたがたの|答《こたえ》は|偽《いつわ》り|以外《いがい》の|何《なに》ものでもない」。 [#ここで字下げ終わり] 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでテマンびとエリパズは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》は|神《かみ》を|益《えき》することができるであろうか。 |賢《かしこ》い|人《ひと》も、ただ|自身《じしん》を|益《えき》するのみである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|正《ただ》しくても、|全能者《ぜんのうしゃ》になんの|喜《よろこ》びがあろう。 あなたが|自分《じぶん》の|道《みち》を|全《まっと》うしても、 |彼《かれ》になんの|利益《りえき》があろう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はあなたが|神《かみ》を|恐《おそ》れることのゆえに、 あなたを|責《せ》め、あなたをさばかれるであろうか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|悪《あく》は|大《おお》きいではないか。 あなたの|罪《つみ》は、はてしがない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはゆえなく|兄弟《きょうだい》のものを|質《しち》にとり、 |裸《はだか》な|者《もの》の|着物《きもの》をはぎ|取《と》り、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|疲《つか》れた|者《もの》に|水《みず》を|飲《の》ませず、 |飢《う》えた|者《もの》に|食物《しょくもつ》を|与《あた》えなかった。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|力《ちから》ある|人《ひと》は|土地《とち》を|得《え》、 |名《な》ある|人《ひと》はそのうちに|住《す》んだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、やもめをむなしく|去《さ》らせた。 みなしごの|腕《うで》は|折《お》られた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わなはあなたをめぐり、 |恐怖《きょうふ》は、にわかにあなたを|驚《おどろ》かす。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|光《ひかり》は|暗《くら》くされ、 あなたは|見《み》ることができない。 |大水《おおみず》はあなたをおおうであろう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|天《てん》に|高《たか》くおられるではないか。 |見《み》よ、いと|高《たか》き|星《ほし》を。いかに|高《たか》いことよ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それであなたは|言《い》う、『|神《かみ》は|何《なに》を|知《し》っておられるか。 |彼《かれ》は|黒雲《くろくも》を|通《とお》して、さばくことができるのか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|濃《こ》い|雲《くも》が|彼《かれ》をおおい|隠《かく》すと、 |彼《かれ》は|見《み》ることができない。 |彼《かれ》は|天《てん》の|大空《おおぞら》を|歩《あゆ》まれるのだ』と。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|悪《あ》しき|人々《ひとびと》が|踏《ふ》んだ いにしえの|道《みち》を|守《まも》ろうとするのか。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|時《とき》がこないうちに|取《と》り|去《さ》られ、 その|基《もとい》は|川《かわ》のように|押《お》し|流《なが》された。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》に|言《い》った、『われわれを|離《はな》れてください』と、 また『|全能者《ぜんのうしゃ》はわれわれに|何《なに》をなしえようか』と。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》は|彼《かれ》らの|家《いえ》を|良《よ》い|物《もの》で|満《み》たされた。 ただし|悪人《あくにん》の|計《はか》りごとは わたしのくみする|所《ところ》ではない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》はこれを|見《み》て|喜《よろこ》び、 |罪《つみ》なき|者《もの》は|彼《かれ》らをあざ|笑《わら》って|言《い》う、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]『まことにわれわれのあだは|滅《ほろ》ぼされ、 その|残《のこ》した|物《もの》は|火《ひ》で|焼《や》き|滅《ほろ》ぼされた』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|神《かみ》と|和《やわ》らいで、|平安《へいあん》を|得《え》るがよい。 そうすれば|幸福《こうふく》があなたに|来《く》るでしょう。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》の|口《くち》から|教《おしえ》を|受《う》け、 その|言葉《ことば》をあなたの|心《こころ》におさめるように。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|全能者《ぜんのうしゃ》に|立《た》ち|返《かえ》って、おのれを|低《ひく》くし、 あなたの|天幕《てんまく》から|不義《ふぎ》を|除《のぞ》き|去《さ》り、 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]こがねをちりの|中《なか》に|置《お》き、 オフルのこがねを|谷川《たにがわ》の|石《いし》の|中《なか》に|置《お》き、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|全能者《ぜんのうしゃ》があなたのこがねとなり、 あなたの|貴重《きちょう》なしろがねとなるならば、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あなたは|全能者《ぜんのうしゃ》を|喜《よろこ》び、 |神《かみ》に|向《む》かって|顔《かお》をあげることができる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|彼《かれ》に|祈《いの》るならば、|彼《かれ》はあなたに|聞《き》かれる。 そしてあなたは|自分《じぶん》の|誓《ちか》いを|果《はた》す。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|事《こと》をなそうと|定《さだ》めるならば、 あなたはその|事《こと》を|成就《じょうじゅ》し、 あなたの|道《みち》には|光《ひかり》が|輝《かがや》く。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|高《たか》ぶる|者《もの》を|低《ひく》くされるが、 へりくだる|者《もの》を|救《すく》われるからだ。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|罪《つみ》のない|者《もの》を|救《すく》われる。 あなたはその|手《て》の|潔《いさぎよ》いことによって、 |救《すく》われるであろう」。 [#ここで字下げ終わり] 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「きょうもまた、わたしのつぶやきは|激《はげ》しく、 |彼《かれ》の|手《て》はわたしの|嘆《なげ》きにかかわらず、|重《おも》い。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》を|尋《たず》ねてどこで|会《あ》えるかを|知《し》り、 そのみ|座《ざ》に|至《いた》ることができるように。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|前《まえ》にわたしの|訴《うった》えをならべ、 |口《くち》をきわめて論|議《ぎ》するであろう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしに|答《こた》えられるみ|言葉《ことば》を|知《し》り、 わたしに|言《い》われる|所《ところ》を|悟《さと》ろう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|大《おお》いなる|力《ちから》をもって、 わたしと|争《あらそ》われるであろうか、 いな、かえってわたしを|顧《かえり》みられるであろう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]かしこでは|正《ただ》しい|人《ひと》は|彼《かれ》と|言《い》い|争《あらそ》うことができる。 そうすれば、わたしはわたしをさばく|者《もの》から |永久《えいきゅう》に|救《すく》われるであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしが|進《すす》んでも、|彼《かれ》を|見《み》ない。 |退《しりぞ》いても、|彼《かれ》を|認《みと》めることができない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|左《ひだり》の|方《ほう》に|尋《たず》ねても、|会《あ》うことができない。 |右《みぎ》の|方《ほう》に|向《む》かっても、|見《み》ることができない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》はわたしの|歩《あゆ》む|道《みち》を|知《し》っておられる。 |彼《かれ》がわたしを|試《こころ》みられるとき、 わたしは|金《きん》のように|出《で》て|来《く》るであろう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|足《あし》は|彼《かれ》の|歩《あゆ》みに|堅《かた》く|従《したが》った。 わたしは|彼《かれ》の|道《みち》を|守《まも》って|離《はな》れなかった。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》のくちびるの|命令《めいれい》にそむかず、 その|口《くち》の|言葉《ことば》をわたしの|胸《むね》にたくわえた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》は|変《かわ》ることはない。 だれが|彼《かれ》をひるがえすことができようか。 |彼《かれ》はその|心《こころ》の|欲《ほっ》するところを|行《おこな》われるのだ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしのために|定《さだ》めた|事《こと》をなし|遂《と》げられる。 そしてこのような|事《こと》が|多《おお》く|彼《かれ》の|心《こころ》にある。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|彼《かれ》の|前《まえ》におののく。 わたしは|考《かんが》えるとき、|彼《かれ》を|恐《おそ》れる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわたしの|心《こころ》を|弱《よわ》くされた。 |全能者《ぜんのうしゃ》はわたしを|恐《おそ》れさせられた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、やみによって|閉《と》じこめられ、 |暗黒《あんこく》がわたしの|顔《かお》をおおっている。 [#ここで字下げ終わり] 第二四章[#「第二四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、|全能者《ぜんのうしゃ》はさばきの|時《とき》を |定《さだ》めておかれないのか。 なにゆえ、|彼《かれ》を|知《し》る|者《もの》がその|日《ひ》を|見《み》ないのか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》には|地境《じざかい》を|移《うつ》す|者《もの》、 |群《む》れを|奪《うば》ってそれを|飼《か》う|者《もの》、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]みなしごのろばを|追《お》いやる|者《もの》、 やもめの|牛《うし》を|質《しち》に|取《と》る|者《もの》、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》を|道《みち》から|押《お》しのける|者《もの》がある。 |世《よ》の|弱《よわ》い|者《もの》は|皆《みな》|彼《かれ》らをさけて|身《み》をかくす。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》らは|荒野《あらの》におる|野《の》ろばのように|出《で》て|働《はたら》き、 |野《の》で|獲物《えもの》を|求《もと》めて、その|子《こ》らの|食物《しょくもつ》とする。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|畑《はたけ》でそのまぐさを|刈《か》り、 また|悪人《あくにん》のぶどう|畑《はたけ》で|拾《ひろ》い|集《あつ》める。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|着《き》る|物《もの》がなく、|裸《はだか》で|夜《よる》を|過《す》ごし、 |寒《さむ》さに|身《み》をおおうべき|物《もの》もない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|山《やま》の|雨《あめ》にぬれ、しのぎ|場《ば》もなく|岩《いわ》にすがる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり](みなしごをその|母《はは》のふところから|奪《うば》い、 |貧《まず》しい|者《もの》の|幼《おさ》な|子《ご》を|質《しち》にとる|者《もの》がある。) [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|着《き》る|物《もの》がなく、|裸《はだか》で|歩《ある》き、 |飢《う》えつつ|麦《むぎ》|束《たば》を|運《はこ》び、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》のオリブ並み|木《き》の|中《なか》で|油《あぶら》をしぼり、 |酒《さか》ぶねを|踏《ふ》んでも、かわきを|覚《おぼ》える。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|中《なか》から|死《し》のうめきが|起《おこ》り、 |傷《きず》ついた|者《もの》の|魂《たましい》が|助《たす》けを|呼《よ》び|求《もと》める。 しかし|神《かみ》は|彼《かれ》らの|祈《いのり》を|顧《かえり》みられない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》にそむく|者《もの》たちがある。 |彼《かれ》らは|光《ひかり》の|道《みち》を|知《し》らず、|光《ひかり》の|道《みち》にとどまらない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|殺《ころ》す|者《もの》は|暗《くら》いうちに|起《お》き|出《で》て |弱《よわ》い|者《もの》と|貧《まず》しい|者《もの》を|殺《ころ》し、 |夜《よる》は|盗《ぬす》びととなる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|姦淫《かんいん》する|者《もの》の|目《め》はたそがれを|待《ま》って、 『だれもわたしを|見《み》ていないだろう』と|言《い》い、 |顔《かお》におおう|物《もの》を|当《あ》てる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|暗《くら》やみで|家《いえ》をうがち、 |昼《ひる》は|閉《と》じこもって|光《ひかり》を|知《し》らない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らには|暗黒《あんこく》は|朝《あさ》である。 |彼《かれ》らは|暗黒《あんこく》の|恐《おそ》れを|友《とも》とするからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言《い》う、 『|彼《かれ》らは|水《みず》のおもてにすみやかに|流《なが》れ|去《さ》り、 その|受《う》ける|分《ぶん》は|地《ち》でのろわれ、 |酒《さか》ぶねを|踏《ふ》む|者《もの》はだれも |彼《かれ》らのぶどう|畑《はたけ》の|道《みち》に|行《い》かない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ひでりと|熱《あつ》さは|雪《ゆき》|水《みず》を|奪《うば》い|去《さ》る、 |陰府《よみ》が|罪《つみ》を|犯《おか》した|者《もの》に|対《たい》するも、これと|同様《どうよう》だ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|広場《ひろば》は|彼《かれ》らを|忘《わす》れ、 |彼《かれ》らの|名《な》は|覚《おぼ》えられることなく、 |不義《ふぎ》は|木《き》の|折《お》られるように|折《お》られる』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|子《こ》を|産《う》まぬうまずめをくらい、 やもめをあわれむことをしない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》はその|力《ちから》をもって、 |強《つよ》い|人々《ひとびと》を|生《い》きながらえさせられる。 |彼《かれ》らは|生《い》きる|望《のぞ》みのない|時《とき》にも|起《お》きあがる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|彼《かれ》らに|安全《あんぜん》を|与《あた》えられるので、 |彼《かれ》らは|安《やす》らかである。 |神《かみ》の|目《め》は|彼《かれ》らの|道《みち》の|上《うえ》にある。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはしばし|高《たか》められて、いなくなり、 ぜにあおいのように|枯《か》れて|消《き》えうせ、 |麦《むぎ》の|穂先《ほさき》のように|切《き》り|取《と》られる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]もし、そうでないなら、 だれがわたしにその|偽《いつわ》りを|証明《しょうめい》し、 わが|言葉《ことば》のむなしいことを|示《しめ》しうるだろうか」。 [#ここで字下げ終わり] 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでシュヒびとビルダデは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|大権《たいけん》と|恐《おそ》れとは|神《かみ》と|共《とも》にある。 |彼《かれ》は|高《たか》き|所《ところ》で|平和《へいわ》を|施《ほどこ》される。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|軍勢《ぐんぜい》は|数《かぞ》えることができるか。 |何《なに》|物《もの》かその|光《ひかり》に|浴《よく》さないものがあるか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それで|人《ひと》はどうして|神《かみ》の|前《まえ》に|正《ただ》しくありえようか。 |女《おんな》から|生《うま》れた|者《もの》がどうして|清《きよ》くありえようか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|月《つき》さえも|輝《かがや》かず、 |星《ほし》も|彼《かれ》の|目《め》には|清《きよ》くない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]うじのような|人《ひと》、 |虫《むし》のような|人《ひと》の|子《こ》はなおさらである」。 [#ここで字下げ終わり] 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨブは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|力《ちから》のない|者《もの》をどれほど|助《たす》けたかしれない。 |気力《きりょく》のない|腕《うで》をどれほど|救《すく》ったかしれない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》のない|者《もの》をどれほど|教《おし》えたかしれない。 |悟《さと》りをどれほど|多《おお》く|示《しめ》したかしれない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはだれの|助《たす》けによって|言葉《ことば》をだしたのか。 あなたから|出《で》たのはだれの|霊《れい》なのか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|亡霊《ぼうれい》は|水《みず》およびその|中《なか》に|住《す》むものの|下《した》に|震《ふる》う。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|前《まえ》では|陰府《よみ》も|裸《はだか》である。 |滅《ほろ》びの|穴《あな》もおおい|隠《かく》すものはない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|北《きた》の|天《てん》を|空間《くうかん》に|張《は》り、 |地《ち》を|何《なに》もない|所《ところ》に|掛《か》けられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|水《みず》を|濃《こ》い|雲《くも》の|中《なか》に|包《つつ》まれるが、 その|下《した》の|雲《くも》は|裂《さ》けない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|月《つき》のおもてをおおい|隠《かく》して、 |雲《くも》をその|上《うえ》にのべ、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》のおもてに|円《えん》を|描《えが》いて、 |光《ひかり》とやみとの|境《さかい》とされた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|戒《いまし》めると、|天《てん》の|柱《はしら》は|震《ふる》い、かつ|驚《おどろ》く。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|力《ちから》をもって|海《うみ》を|静《しず》め、 その|知恵《ちえ》をもってラハブを|打《う》ち|砕《くだ》き、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|息《いき》をもって|天《てん》を|晴《は》れわたらせ、 その|手《て》をもって|逃《に》げるへびを|突《つ》き|通《とお》される。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、これらはただ|彼《かれ》の|道《みち》の|端《はし》にすぎない。 われわれが|彼《かれ》について|聞《き》く|所《ところ》は いかにかすかなささやきであろう。 しかし、その|力《ちから》のとどろきに|至《いた》っては、 だれが|悟《さと》ることができるか」。 [#ここで字下げ終わり] 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨブはまた|言葉《ことば》をついで|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|神《かみ》は|生《い》きておられる。 |彼《かれ》はわたしの|義《ぎ》を|奪《うば》い|去《さ》られた。 |全能者《ぜんのうしゃ》はわたしの|魂《たましい》を|悩《なや》まされた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|息《いき》がわたしのうちにあり、 |神《かみ》の|息《いき》がわたしの|鼻《はな》にある|間《あいだ》、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしのくちびるは|不義《ふぎ》を|言《い》わない、 わたしの|舌《した》は|偽《いつわ》りを|語《かた》らない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|断《だん》じて、あなたがたを|正《ただ》しいとは|認《みと》めない。 わたしは|死《し》ぬまで、|潔白《けっぱく》を|主張《しゅちょう》してやめない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|堅《かた》くわが|義《ぎ》を|保《たも》って|捨《す》てない。 わたしは|今《いま》まで一|日《にち》も|心《こころ》に|責《せ》められた|事《こと》がない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わたしの|敵《てき》は|悪人《あくにん》のようになり、 わたしに|逆《さか》らう|者《もの》は |不義《ふぎ》なる|者《もの》のようになるように。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|彼《かれ》を|断《た》ち、その|魂《たましい》を|抜《ぬ》きとられるとき、 |神《かみ》を|信《しん》じない|者《もの》になんの|望《のぞ》みがあろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|災《わざわい》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》むとき、 |神《かみ》はその|叫《さけ》びを|聞《き》かれるであろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|全能者《ぜんのうしゃ》を|喜《よろこ》ぶであろうか、 |常《つね》に|神《かみ》を|呼《よ》ぶであろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》のみ|手《て》についてあなたがたに|教《おし》え、 |全能者《ぜんのうしゃ》と|共《とも》にあるものを|隠《かく》すことをしない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたがたは|皆《みな》みずからこれを|見《み》た、 それなのに、どうしてむなしい|者《もの》となったのか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これは|悪人《あくにん》の|神《かみ》から|受《う》ける|分《ぶん》、 |圧制者《あっせいしゃ》の|全能者《ぜんのうしゃ》から|受《う》ける|嗣《し》|業《ぎょう》である。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らがふえればつるぎに|渡《わた》され、 その|子孫《しそん》は|食物《しょくもつ》に|飽《あ》きることがない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》は|疫病《えきびょう》で|死《し》んで|埋《う》められ、 そのやもめらは|泣《な》き|悲《かな》しむことをしない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》は|銀《ぎん》をちりのように|積《つ》み、 |衣服《いふく》を|土《つち》のように|備《そな》えても、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|備《そな》えるものは|正《ただ》しい|人《ひと》がこれを|着《き》、 その|銀《ぎん》は|罪《つみ》なき|者《もの》が|分《わ》かち|取《と》るであろう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|建《た》てる|家《いえ》は、くもの|巣《す》のようであり、 |番人《ばんにん》の|造《つく》る|小屋《こや》のようである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|富《と》める|身《み》で|寝《ね》ても、|再《ふたた》び|富《と》むことがなく、 |目《め》を|開《ひら》けばその|富《とみ》はない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》ろしい|事《こと》が|大水《おおみず》のように|彼《かれ》を|襲《おそ》い、 |夜《よる》はつむじ|風《かぜ》が|彼《かれ》を|奪《うば》い|去《さ》る。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|東風《ひがしかぜ》が|彼《かれ》を|揚《あ》げると、|彼《かれ》は|去《さ》り、 |彼《かれ》をその|所《ところ》から|吹《ふ》き|払《はら》う。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それは|彼《かれ》を|投《な》げつけて、あわれむことなく、 |彼《かれ》はその|力《ちから》からのがれようと、もがく。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それは|彼《かれ》に|向《む》かって|手《て》を|鳴《な》らし、 あざけり|笑《わら》って、その|所《ところ》から|出《で》て|行《い》かせる。 [#ここで字下げ終わり] 第二八章[#「第二八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]しろがねには|掘《ほ》り|出《だ》す|穴《あな》があり、 |精錬《せいれん》するこがねには|出《で》どころがある。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]くろがねは|土《つち》から|取《と》り、 あかがねは|石《いし》から|溶《と》かして|取《と》る。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|暗《くら》やみを|破《やぶ》り、 いやはてまでも|尋《たず》ねきわめて、 |暗《くら》やみおよび|暗黒《あんこく》の|中《なか》から|鉱石《こうせき》を|取《と》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|人《ひと》の|住《す》む|所《ところ》を|離《はな》れて|縦穴《たてあな》をうがち、 |道行《みちゆ》く|人《ひと》に|忘《わす》れられ、 |人《ひと》を|離《はな》れて|身《み》をつりさげ、|揺《ゆ》れ|動《うご》く。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》はそこから|食物《しょくもつ》を|出《だ》す。 その|下《した》は|火《ひ》でくつがえされるようにくつがえる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|石《いし》はサファイヤのある|所《ところ》、 そこにはまた|金塊《きんかい》がある。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|道《みち》は|猛禽《もうきん》も|知《し》らず、たかの|目《め》もこれを|見《み》ず、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|猛獣《もうじゅう》もこれを|踏《ふ》まず、ししもこれを|通《とお》らなかった。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|堅《かた》い|岩《いわ》に|手《て》をくだして、 |山《やま》を|根元《ねもと》からくつがえす。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|岩《いわ》に|坑道《こうどう》を|掘《ほ》り、 その|目《め》はもろもろの|尊《たっと》い|物《もの》を|見《み》る。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|水路《すいろ》をふさいで、|漏《も》れないようにし、 |隠《かく》れた|物《もの》を|光《ひかり》に|取《と》り|出《だ》す。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|知恵《ちえ》はどこに|見《み》いだされるか。 |悟《さと》りのある|所《ところ》はどこか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はそこに|至《いた》る|道《みち》を|知《し》らない、 また|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》でそれを|獲《え》ることができない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|淵《ふち》は|言《い》う、『それはわたしのうちにない』と。 また|海《うみ》は|言《い》う、『わたしのもとにない』と。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|精《せい》|金《きん》もこれと|換《か》えることはできない。 |銀《ぎん》も|量《はか》ってその|価《あたい》とすることはできない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]オフルの|金《きん》をもってしても、 その|価《あたい》を|量《はか》ることはできない。 |尊《たっと》い|縞《しま》めのうも、サファイヤも|同様《どうよう》である。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]こがねも、|玻璃《はり》もこれに|並《なら》ぶことができない。 また|精《せい》|金《きん》の|器物《うつわもの》もこれと|換《か》えることができない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]さんごも|水晶《すいしょう》も|言《い》うに|足《た》りない。 |知恵《ちえ》を|得《え》るのは|真珠《しんじゅ》を|得《え》るのにまさる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]エチオピヤのトパズもこれに|並《なら》ぶことができない。 |純金《じゅんきん》をもってしても、その|価《あたい》を|量《はか》ることはできない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それでは|知恵《ちえ》はどこから|来《く》るか。 |悟《さと》りのある|所《ところ》はどこか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これはすべての|生《い》き|物《もの》の|目《め》に|隠《かく》され、 |空《そら》の|鳥《とり》にも|隠《かく》されている。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|滅《ほろ》びも|死《し》も|言《い》う、 『われわれはそのうわさを|耳《みみ》に|聞《き》いただけだ』。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はこれに|至《いた》る|道《みち》を|悟《さと》っておられる、 |彼《かれ》はそのある|所《ところ》を|知《し》っておられる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|地《ち》の|果《はて》までもみそなわし、 |天《あめ》が|下《した》を|見《み》きわめられるからだ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|風《かぜ》に|重《おも》さを|与《あた》え、 |水《みず》をますで|量《はか》られたとき、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|雨《あめ》のために|規定《きてい》を|設《もう》け、 |雷《かみなり》のひらめきのために|道《みち》を|設《もう》けられたとき、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|知恵《ちえ》を|見《み》て、これをあらわし、 これを|確《たし》かめ、これをきわめられた。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そして|人《ひと》に|言《い》われた、 『|見《み》よ、|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|知恵《ちえ》である、 |悪《あく》を|離《はな》れることは|悟《さと》りである』と」。 [#ここで字下げ終わり] 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨブはまた|言葉《ことば》をついで|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「ああ|過《す》ぎた|年月《としつき》のようであったらよいのだが、 |神《かみ》がわたしを|守《まも》ってくださった|日《ひ》のようで あったらよいのだが。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》には、|彼《かれ》のともしびがわたしの|頭《あたま》の|上《うえ》に|輝《かがや》き、 |彼《かれ》の|光《ひかり》によってわたしは|暗《くら》やみを|歩《あゆ》んだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|盛《さか》んな|時《とき》のようであったならよいのだが。 あの|時《とき》には、|神《かみ》の|親《した》しみが わたしの|天幕《てんまく》の|上《うえ》にあった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》には、|全能者《ぜんのうしゃ》がなおわたしと|共《とも》にいまし、 わたしの|子供《こども》たちもわたしの|周囲《しゅうい》にいた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》、わたしの|足跡《あしあと》は|乳《ちち》で|洗《あら》われ、 |岩《いわ》もわたしのために|油《あぶら》の|流《なが》れを|注《そそ》ぎだした。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》には、わたしは|町《まち》の|門《もん》に|出《で》て|行《い》き、 わたしの|座《ざ》を|広場《ひろば》に|設《もう》けた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|者《もの》はわたしを|見《み》てしりぞき、 |老《お》いた|者《もの》は|身《み》をおこして|立《た》ち、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|君《きみ》たる|者《もの》も|物言《ものい》うことをやめて、 その|口《くち》に|手《て》を|当《あ》て、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|尊《たっと》い|者《もの》も|声《こえ》をおさめて、 その|舌《した》を|上《うえ》あごにつけた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》に|聞《き》いた|者《もの》はわたしを|祝福《しゅくふく》された|者《もの》となし、 |目《め》に|見《み》た|者《もの》はこれをあかしした。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これは|助《たす》けを|求《もと》める|貧《まず》しい|者《もの》を|救《すく》い、 また、みなしごおよび|助《たす》ける|人《ひと》のない|者《もの》を |救《すく》ったからである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》にも|滅《ほろ》びようとした|者《もの》の|祝福《しゅくふく》がわたしに|来《き》た。 わたしはまたやもめの|心《こころ》をして|喜《よろこ》び|歌《うた》わせた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|正義《せいぎ》を|着《き》、|正義《せいぎ》はわたしをおおった。 わたしの|公義《こうぎ》は|上着《うわぎ》のごとく、 また|冠《かんむり》のようであった。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|目《め》しいの|目《め》となり、 |足《あし》なえの|足《あし》となり、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》の|父《ちち》となり、 |知《し》らない|人《ひと》の|訴《うった》えの|理由《りゆう》を|調《しら》べてやった。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|悪《あ》しき|者《もの》のきばを|折《お》り、 その|歯《は》の|間《あいだ》から|獲物《えもの》を|引《ひ》き|出《だ》した。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、わたしは|言《い》った、 『わたしは|自分《じぶん》の|巣《す》の|中《なか》で|死《し》に、 わたしの|日《ひ》は|砂《すな》のように|多《おお》くなるであろう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|根《ね》は|水《みず》のほとりにはびこり、 |露《つゆ》は|夜《よ》もすがらわたしの|枝《えだ》におくであろう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|栄《さか》えはわたしと|共《とも》に|新《あたら》しく、 わたしの|弓《ゆみ》はわたしの|手《て》にいつも|強《つよ》い』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はわたしに|聞《き》いて|待《ま》ち、 |黙《もく》して、わたしの|教《おしえ》に|従《したが》った。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|言《い》った|後《のち》は|彼《かれ》らは|再《ふたた》び|言《い》わなかった。 わたしの|言葉《ことば》は|彼《かれ》らの|上《うえ》に |雨《あめ》のように|降《ふ》りそそいだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|雨《あめ》を|待《ま》つように、わたしを|待《ま》ち|望《のぞ》み、 |春《はる》の|雨《あめ》を|仰《あお》ぐように|口《くち》を|開《ひら》いて|仰《あお》いだ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|希望《きぼう》を|失《うしな》った|時《とき》にも、 わたしは|彼《かれ》らにむかってほほえんだ。 |彼《かれ》らはわたしの|顔《かお》の|光《ひかり》を|除《のぞ》くことができなかった。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らのために|道《みち》を|選《えら》び、 そのかしらとして|座《ざ》し、 |軍中《ぐんちゅう》の|王《おう》のようにしており、 |嘆《なげ》く|者《もの》を|慰《なぐさ》める|人《ひと》のようであった。 [#ここで字下げ終わり] 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|今《いま》はわたしよりも|年《とし》|若《わか》い|者《もの》が、 かえってわたしをあざ|笑《わら》う。 |彼《かれ》らの|父《ちち》はわたしが|卑《いや》しめて、 |群《む》れの|犬《いぬ》と|一緒《いっしょ》にさえしなかった|者《もの》だ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|手《て》の|力《ちから》からわたしは|何《なに》を|得《え》るであろうか、 |彼《かれ》らはその|気力《きりょく》がすでに|衰《おとろ》えた|人々《ひとびと》だ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|乏《とぼ》しさと|激《はげ》しい|飢《う》えとによって、 かわいた|荒《あ》れ|地《ち》をかむ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、ぜにあおいおよび|灌木《かんぼく》の|葉《は》を|摘《つ》み、 れだまの|根《ね》をもって|身《み》を|暖《あたた》める。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|人々《ひとびと》の|中《なか》から|追《お》いだされ、 |盗《ぬす》びとを|追《お》うように、|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らを|追《お》い|呼《よ》ばわる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|急流《きゅうりゅう》の|谷間《たにま》に|住《す》み、 |土《つち》の|穴《あな》または|岩《いわ》の|穴《あな》におり、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|灌木《かんぼく》の|中《なか》にいななき、いらくさの|下《した》に|押《お》し|合《あ》う。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|愚《おろ》かな|者《もの》の|子《こ》、また|卑《いや》しい|者《もの》の|子《こ》であって、 |国《くに》から|追《お》いだされた|者《もの》だ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それなのに、わたしは|今《いま》|彼《かれ》らの|歌《うた》となり、 |彼《かれ》らの|笑《わら》い|草《ぐさ》となった。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしをいとい、|遠《とお》くわたしをはなれ、 わたしの|顔《かお》につばきすることも、ためらわない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がわたしの|綱《つな》を|解《と》いて、 わたしを|卑《いや》しめられたので、 |彼《かれ》らもわたしの|前《まえ》に|慎《つつし》みを|捨《す》てた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このともがらはわたしの|右《みぎ》に|立《た》ち|上《あ》がり、 わたしを|追《お》いのけ、 わたしにむかって|滅《ほろ》びの|道《みち》を|築《きず》く。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしの|道《みち》をこわし、わたしの|災《わざわい》を|促《うなが》す。 これをさし|止《と》める|者《もの》はない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|広《ひろ》い|破《やぶ》れ|口《くち》からはいるように|進《すす》みきたり、 |破壊《はかい》の|中《なか》をおし|寄《よ》せる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》ろしい|事《こと》はわたしに|臨《のぞ》み、 わたしの|誉《ほまれ》は|風《かぜ》のように|吹《ふ》き|払《はら》われ、 わたしの|繁栄《はんえい》は|雲《くも》のように|消《き》えうせた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》は、わたしの|魂《たましい》はわたしの|内《うち》にとけて|流《なが》れ、 |悩《なや》みの|日《ひ》はわたしを|捕《とら》えた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よる》はわたしの|骨《ほね》を|激《はげ》しく|悩《なや》まし、 わたしをかむ|苦《くる》しみは、やむことがない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それは|暴力《ぼうりょく》をもって、わたしの|着物《きもの》を|捕《とら》え、 はだ|着《ぎ》のえりのように、わたしをしめつける。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がわたしを|泥《どろ》の|中《なか》に|投《な》げ|入《い》れられたので、 わたしはちり|灰《はい》のようになった。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたにむかって|呼《よ》ばわっても、 あなたは|答《こた》えられない。 わたしが|立《た》っていても、あなたは|顧《かえり》みられない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|変《かわ》って、わたしに|無情《むじょう》な|者《もの》となり、 み|手《て》の|力《ちから》をもってわたしを|攻《せ》め|悩《なや》まされる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを|揚《あ》げて|風《かぜ》の|上《うえ》に|乗《の》せ、 |大風《おおかぜ》のうなり|声《こえ》の|中《なか》に、もませられる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知《し》っている、あなたはわたしを|死《し》に|帰《かえ》らせ、 すべての|生《い》き|物《もの》の|集《あつ》まる|家《いえ》に|帰《かえ》らせられることを。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]さりながら|荒塚《あらつか》の|中《なか》にある|者《もの》は、 |手《て》を|伸《の》べないであろうか、 |災《わざわい》の|中《なか》にある|者《もの》は|助《たす》けを|呼《よ》び|求《もと》めないであろうか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|苦《くる》しい|日《ひ》を|送《おく》る|者《もの》のために |泣《な》かなかったか。 わたしの|魂《たましい》は|貧《まず》しい|人《ひと》のために |悲《かな》しまなかったか。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしが|幸《さいわい》を|望《のぞ》んだのに|災《わざわい》が|来《き》た。 |光《ひかり》を|待《ま》ち|望《のぞ》んだのにやみが|来《き》た。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしのはらわたは|沸《わ》きかえって、|静《しず》まらない。 |悩《なや》みの|日《ひ》がわたしに|近《ちか》づいた。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》の|光《ひかり》によらずに|黒《くろ》くなって|歩《ある》き、 |公会《こうかい》の|中《なか》に|立《た》って|助《たす》けを|呼《よ》び|求《もと》める。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|山犬《やまいぬ》の|兄弟《きょうだい》となり、 だちょうの|友《とも》となった。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|皮膚《ひふ》は|黒《くろ》くなって、はげ|落《お》ち、 わたしの|骨《ほね》は|熱《あつ》さによって|燃《も》え、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|琴《こと》は|悲《かな》しみの|音《ね》となり、 わたしの|笛《ふえ》は|泣《な》く|者《もの》の|声《こえ》となった。 [#ここで字下げ終わり] 第三一章[#「第三一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしの|目《め》と |契約《けいやく》を|結《むす》んだ、 どうして、おとめを|慕《した》うことができようか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もしそうすれば|上《うえ》から|神《かみ》の|下《くだ》される|分《ぶん》は どんなであろうか。 |高《たか》き|所《ところ》から|全能者《ぜんのうしゃ》の|与《あた》えられる|嗣《し》|業《ぎょう》は どんなであろうか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|不義《ふぎ》なる|者《もの》には|災《わざわい》が|下《くだ》らないであろうか。 |悪《あく》をなす|者《もの》には|災難《さいなん》が|臨《のぞ》まないであろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしの|道《みち》をみそなわし、 わたしの|歩《あゆ》みをことごとく|数《かぞ》えられぬであろうか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もし、わたしがうそと|共《とも》に|歩《あゆ》み、 わたしの|足《あし》が|偽《いつわ》りにむかって |急《いそ》いだことがあるなら、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり](|正《ただ》しいはかりをもってわたしを|量《はか》れ、 そうすれば|神《かみ》はわたしの|潔白《けっぱく》を|知《し》られるであろう。) [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしの|歩《あゆ》みが、|道《みち》をはなれ、 わたしの|心《こころ》がわたしの|目《め》にしたがって|歩《あゆ》み、 わたしの|手《て》に|汚《けが》れがついていたなら、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしのまいたのを|他《た》の|人《ひと》が|食《た》べ、 わたしのために|成長《せいちょう》するものが、 |抜《ぬ》き|取《と》られてもかまわない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もし、わたしの|心《こころ》が、|女《おんな》に|迷《まよ》ったことがあるか、 またわたしが|隣《とな》り|人《びと》の|門《もん》で |待《ま》ち|伏《ぶ》せしたことがあるなら、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|妻《つま》が|他《た》の|人《ひと》のためにうすをひき、 |他《た》の|人《ひと》が|彼女《かのじょ》の|上《うえ》に|寝《ね》てもかまわない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]これは|重《おも》い|罪《つみ》であって、 さばきびとに|罰《ばっ》せられるべき|悪事《あくじ》だからである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これは|滅《ほろ》びに|至《いた》るまでも|焼《や》きつくす|火《ひ》であって、 わたしのすべての|産業《さんぎょう》を|根《ね》こそぎ|焼《や》くであろう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしのしもべ、また、はしためが わたしと|言《い》い|争《あらそ》ったときに、 わたしがもしその|言《い》い|分《ぶん》を|退《しりぞ》けたことがあるなら、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|立《た》ち|上《あ》がられるとき、わたしはどうしようか、 |神《かみ》が|尋《たず》ねられるとき、なんとお|答《こた》えしようか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|胎内《たいない》に|造《つく》られた|者《もの》は、 |彼《かれ》をも|造《つく》られたのではないか。 われわれを|腹《はら》の|内《うち》に|形《かたち》|造《つく》られた|者《もの》は、 ただひとりではないか。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし|貧《まず》しい|者《もの》の|願《ねが》いを|退《しりぞ》け、 やもめの|目《め》を|衰《おとろ》えさせ、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あるいはわたしひとりで|食物《しょくもつ》を|食《た》べて、 みなしごに|食《た》べさせなかったことがあるなら、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり](わたしは|彼《かれ》の|幼《おさな》い|時《とき》から|父《ちち》のように|彼《かれ》を|育《そだ》て、 またその|母《はは》の|胎《たい》を|出《で》たときから|彼《かれ》を|導《みちび》いた。) [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もし|着物《きもの》がないために|死《し》のうとする|者《もの》や、 |身《み》をおおう|物《もの》のない|貧《まず》しい|人《ひと》をわたしが|見《み》た|時《とき》に、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|腰《こし》がわたしを|祝福《しゅくふく》せず、 また|彼《かれ》がわたしの|羊《ひつじ》の|毛《け》で |暖《あたた》まらなかったことがあるなら、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしを|助《たす》ける|者《もの》が|門《もん》におるのを|見《み》て、 みなしごにむかってわたしの|手《て》を |振《ふ》り|上《あ》げたことがあるなら、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|肩《かた》|骨《ほね》が、|肩《かた》から|落《お》ち、 わたしの|腕《うで》が、つけ|根《ね》から|折《お》れてもかまわない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》から|出《で》る|災《わざわい》を|恐《おそ》れる、 その|威光《いこう》の|前《まえ》には|何事《なにごと》もなすことはできない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし|金《きん》をわが|望《のぞ》みとし、 |精《せい》|金《きん》をわが|頼《たの》みと|言《い》ったことがあるなら、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもしわが|富《とみ》の|大《おお》いなる|事《こと》と、 わたしの|手《て》に|多《おお》くの|物《もの》を|獲《え》た|事《こと》とを |喜《よろこ》んだことがあるなら、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし|日《ひ》の|輝《かがや》くのを|見《み》、 または|月《つき》の|照《て》りわたって|動《うご》くのを|見《み》た|時《とき》、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》ひそかに|迷《まよ》って、|手《て》に|口《くち》づけしたことがあるなら、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これもまたさばきびとに|罰《ばっ》せらるべき|悪事《あくじ》だ。 わたしは|上《うえ》なる|神《かみ》を|欺《あざむ》いたからである。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもしわたしを|憎《にく》む|者《もの》の|滅《ほろ》びるのを|喜《よろこ》び、 または|災《わざわい》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだとき、 |勝《か》ち|誇《ほこ》ったことがあるなら、 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり](わたしはわが|口《くち》に|罪《つみ》を|犯《おか》させず、 のろいをもって|彼《かれ》の|命《いのち》を|求《もと》めたことはなかった。) [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]もし、わたしの|天幕《てんまく》の|人々《ひとびと》で、 『だれか|彼《かれ》の|肉《にく》に|飽《あ》きなかった|者《もの》があるか』と、 |言《い》わなかったことがあるなら、 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり](|他国《たこく》|人《じん》はちまたに|宿《やど》らず、 わたしはわが|門《もん》を|旅《たび》びとに|開《ひら》いた。) [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]わたしがもし|人々《ひとびと》の|前《まえ》にわたしのとがをおおい、 わたしの|悪事《あくじ》を|胸《むね》の|中《なか》に|隠《かく》したことがあるなら、 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|大衆《たいしゅう》を|恐《おそ》れ、|宗族《そうぞく》の|侮《あなど》りにおぢて、 |口《くち》を|閉《と》じ、|門《もん》を|出《で》なかったことがあるなら、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]ああ、わたしに|聞《き》いてくれる|者《もの》があればよいのだが、 (わたしのかきはんがここにある。 どうか、|全能者《ぜんのうしゃ》がわたしに|答《こた》えられるように。) ああ、わたしの|敵《てき》の|書《か》いた |告訴《こくそ》|状《じょう》があればよいのだが。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|必《かなら》ずこれを|肩《かた》に|負《お》い、 |冠《かんむり》のようにこれをわが|身《み》に|結《むす》び、 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]わが|歩《あゆ》みの|数《かず》を|彼《かれ》に|述《の》べ、 |君《きみ》たる|者《もの》のようにして、|彼《かれ》に|近《ちか》づくであろう。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]もしわが|田畑《たはた》がわたしに|向《む》かって|呼《よ》ばわり、 そのうねみぞが|共《とも》に|泣《な》き|叫《さけ》んだことがあるなら、 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしが|金《きん》を|払《はら》わないでその|産物《さんぶつ》を|食《た》べ、 その|持《も》ち|主《ぬし》を|死《し》なせたことがあるなら、 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|小麦《こむぎ》の|代《かわ》りに、いばらがはえ、 |大麦《おおむぎ》の|代《かわ》りに|雑草《ざっそう》がはえてもかまわない」。 [#ここで字下げ終わり] ヨブの|言葉《ことば》は|終《おわ》った。 第三二章[#「第三二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]このようにヨブが|自分《じぶん》の|正《ただ》しいことを|主張《しゅちょう》したので、これら三|人《にん》の|者《もの》はヨブに|答《こた》えるのをやめた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ラム|族《ぞく》のブズびとバラケルの|子《こ》エリフは|怒《いか》りを|起《おこ》した。すなわちヨブが|神《かみ》よりも|自分《じぶん》の|正《ただ》しいことを|主張《しゅちょう》するので、|彼《かれ》はヨブに|向《む》かって|怒《いか》りを|起《おこ》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またヨブの三|人《にん》の|友《とも》がヨブを|罪《つみ》ありとしながら、|答《こた》える|言葉《ことば》がなかったので、エリフは|彼《かれ》らにむかっても|怒《いか》りを|起《おこ》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エリフは|彼《かれ》らが|皆《みな》、|自分《じぶん》よりも|年長者《ねんちょうしゃ》であったので、ヨブに|物言《ものい》うことをひかえて|待《ま》っていたが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ここにエリフは三|人《にん》の|口《くち》に|答《こた》える|言葉《ことば》のないのを|見《み》て|怒《いか》りを|起《おこ》した。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ブズびとバラケルの|子《こ》エリフは|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「わたしは|年《とし》|若《わか》く、あなたがたは|年老《としお》いている。 それゆえ、わたしははばかって、 わたしの|意見《いけん》を|述《の》べることをあえてしなかった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|思《おも》った、『|日《ひ》を|重《かさ》ねた|者《もの》が|語《かた》るべきだ、 |年《とし》を|積《つ》んだ|者《もの》が|知恵《ちえ》を|教《おし》えるべきだ』と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|人《ひと》のうちには|霊《れい》があり、 |全能者《ぜんのうしゃ》の|息《いき》が|人《ひと》に|悟《さと》りを|与《あた》える。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|老《お》いた|者《もの》、|必《かなら》ずしも|知恵《ちえ》があるのではなく、 |年《とし》とった|者《もの》、|必《かなら》ずしも|道理《どうり》をわきまえるのではない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ゆえにわたしは|言《い》う、『わたしに|聞《き》け、 わたしもまたわが|意見《いけん》を|述《の》べよう』。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたがたの|言葉《ことば》に|期待《きたい》し、 その|知恵《ちえ》ある|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》け、 あなたがたが|言《い》うべき|言葉《ことば》を|捜《さが》し|出《だ》すのを |待《ま》っていた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたに|心《こころ》をとめたが、 あなたがたのうちにヨブを|言《い》いふせる|者《もの》は ひとりもなく、 また|彼《かれ》の|言葉《ことば》に|答《こた》える|者《もの》はひとりもなかった。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]おそらくあなたがたは|言《い》うだろう、 『われわれは|知恵《ちえ》を|見《み》いだした、 |彼《かれ》に|勝《か》つことのできるのは|神《かみ》だけで、 |人《ひと》にはできない』と。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|言葉《ことば》をわたしに|向《む》けて|言《い》わなかった。 わたしはあなたがたの|言葉《ことば》をもって |彼《かれ》に|答《こた》えることはしない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|驚《おどろ》いて、もはや|答《こた》えることをせず、 |彼《かれ》らには、もはや|言《い》うべき|言葉《ことば》がない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|物言《ものい》わず、 |立《た》ちとどまって、もはや|答《こた》えるところがないので、 わたしはこれ|以上《いじょう》|待《ま》つ|必要《ひつよう》があろうか。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしもまたわたしの|分《ぶん》を|答《こた》え、 わたしの|意見《いけん》を|述《の》べよう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしには|言葉《ことば》が|満《み》ち、 わたしのうちの|霊《れい》がわたしに|迫《せま》るからだ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしの|心《こころ》は|口《くち》を|開《ひら》かないぶどう|酒《しゅ》のように、 |新《あたら》しいぶどう|酒《しゅ》の|皮《かわ》|袋《ぶくろ》のように、 |今《いま》にも|張《は》りさけようとしている。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|語《かた》って、|気《き》を|晴《は》らし、 くちびるを|開《ひら》いて|答《こた》えよう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはだれをもかたより|見《み》ることなく、 また|何人《なにび》とにもへつらうことをしない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはへつらうことを|知《し》らないからだ。 もしへつらうならば、わたしの|造《つく》り|主《ぬし》は|直《ただ》ちに わたしを|滅《ほろ》ぼされるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第三三章[#「第三三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]だから、ヨブよ、|今《いま》わたしの|言《い》うことを|聞《き》け、 わたしのすべての|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|口《くち》を|開《ひら》き、|口《くち》の|中《なか》の|舌《した》は|物言《ものい》う。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|言葉《ことば》はわが|心《こころ》の|正《ただ》しきを|語《かた》り、 わたしのくちびるは|真実《しんじつ》をもってその|知識《ちしき》を|語《かた》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|霊《れい》はわたしを|造《つく》り、 |全能者《ぜんのうしゃ》の|息《いき》はわたしを|生《い》かす。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもしできるなら、わたしに|答《こた》えよ、 わたしの|前《まえ》に|言葉《ことば》を|整《ととの》えて、|立《た》て。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》に|対《たい》しては、わたしもあなたと|同様《どうよう》であり、 わたしもまた|土《つち》から|取《と》って|造《つく》られた|者《もの》だ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしの|威厳《いげん》はあなたを|恐《おそ》れさせない、 わたしの|勢《いきお》いはあなたを|圧《あっ》しない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|確《たし》かに、あなたはわたしの|聞《き》くところで|言《い》った、 わたしはあなたの|言葉《ことば》の|声《こえ》を|聞《き》いた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》う、『わたしはいさぎよく、とがはない。 わたしは|清《きよ》く、|不義《ふぎ》はない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》はわたしを|攻《せ》める|口実《こうじつ》を|見《み》つけ、 わたしを|自分《じぶん》の|敵《てき》とみなし、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|足《あし》をかせにはめ、 わたしのすべての|行《おこな》いに|目《め》をとめられる』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたに|答《こた》える、 あなたはこの|事《こと》において|正《ただ》しくない。 |神《かみ》は|人《ひと》よりも|大《おお》いなる|者《もの》だ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが『|彼《かれ》はわたしの|言葉《ことば》に |少《すこ》しも|答《こた》えられない』といって、 |彼《かれ》に|向《む》かって|言《い》い|争《あらそ》うのは、どういうわけであるか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は一つの|方法《ほうほう》によって|語《かた》られ、 また二つの|方法《ほうほう》によって|語《かた》られるのだが、 |人《ひと》はそれを|悟《さと》らないのだ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》が|熟睡《じゅくすい》するとき、または|床《とこ》にまどろむとき、 |夢《ゆめ》あるいは|夜《よる》の|幻《まぼろし》のうちで、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|人々《ひとびと》の|耳《みみ》を|開《ひら》き、 |警告《けいこく》をもって|彼《かれ》らを|恐《おそ》れさせ、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|人《ひと》にその|悪《あ》しきわざを|離《はな》れさせ、 |高《たか》ぶりを|人《ひと》から|除《のぞ》き、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|魂《たましい》を|守《まも》って、|墓《はか》に|至《いた》らせず、 その|命《いのち》を|守《まも》って、つるぎに|滅《ほろ》びないようにされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はまたその|床《とこ》の|上《うえ》で|痛《いた》みによって|懲《こ》らされ、 その|骨《ほね》に|戦《たたか》いが|絶《た》えることなく、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|命《いのち》は、|食物《しょくもつ》をいとい、 その|食欲《しょくよく》は、おいしい|食物《しょくもつ》をきらう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|肉《にく》はやせ|落《お》ちて|見《み》えず、 その|骨《ほね》は|見《み》えなかったものまでもあらわになり、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|魂《たましい》は|墓《はか》に|近《ちか》づき、その|命《いのち》は|滅《ほろ》ぼす|者《もの》に|近《ちか》づく。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]もしそこに|彼《かれ》のためにひとりの|天使《てんし》があり、 千のうちのひとりであって、|仲保《ちゅうほ》となり、 |人《ひと》にその|正《ただ》しい|道《みち》を|示《しめ》すならば、 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》をあわれんで|言《い》われる、 『|彼《かれ》を|救《すく》って、|墓《はか》に|下《くだ》ることを|免《まぬか》れさせよ、 わたしはすでにあがないしろを|得《え》た。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|肉《にく》を|幼《おさ》な|子《ご》の|肉《にく》よりもみずみずしくならせ、 |彼《かれ》を|若《わか》い|時《とき》の|元気《げんき》に|帰《かえ》らせよ』と。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》が|神《かみ》に|祈《いの》るならば、|神《かみ》は|彼《かれ》を|顧《かえり》み、 |喜《よろこ》びをもって、み|前《まえ》にいたらせ、 その|救《すくい》を|人《ひと》に|告《つ》げ|知《し》らせられる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|人々《ひとびと》の|前《まえ》に|歌《うた》って|言《い》う、 『わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》し、|正《ただ》しい|事《こと》を|曲《ま》げた。 しかしわたしに|報復《ほうふく》がなかった。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしの|魂《たましい》をあがなって、 |墓《はか》に|下《くだ》らせられなかった。 わたしの|命《いのち》は|光《ひかり》を|見《み》ることができる』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》はこれらすべての|事《こと》を ふたたび、みたび|人《ひと》に|行《おこな》い、 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|魂《たましい》を|墓《はか》から|引《ひ》き|返《かえ》し、 |彼《かれ》に|命《いのち》の|光《ひかり》を|見《み》させられる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ヨブよ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてわたしに|聞《き》け、 |黙《もく》せよ、わたしは|語《かた》ろう。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|言《い》うべきことがあるなら、 わたしに|答《こた》えよ、 |語《かた》れ、わたしはあなたを|正《ただ》しい|者《もの》にしようと |望《のぞ》むからだ。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]もし|語《かた》ることがないなら、わたしに|聞《き》け、 |黙《もく》せよ、わたしはあなたに|知恵《ちえ》を|教《おし》えよう」。 [#ここで字下げ終わり] 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エリフはまた|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがた|知恵《ちえ》ある|人々《ひとびと》よ、わたしの|言葉《ことば》を|聞《き》け、 あなたがた|知識《ちしき》ある|人々《ひとびと》よ、わたしに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|口《くち》が|食物《しょくもつ》を|味《あじ》わうように、 |耳《みみ》は|言葉《ことば》をわきまえるからだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|正《ただ》しい|事《こと》を|選《えら》び、 われわれの|間《あいだ》に|良《よ》い|事《こと》の |何《なに》であるかを|明《あき》らかにしよう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヨブは|言《い》った、『わたしは|正《ただ》しい、 |神《かみ》はわたしの|公義《こうぎ》を|奪《うば》われた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|正《ただ》しいにもかかわらず、|偽《いつわ》る|者《もの》とされた。 わたしにはとががないけれども、 わたしの|矢《や》|傷《きず》はいえない』と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]だれかヨブのような|人《ひと》があろう。 |彼《かれ》はあざけりを|水《みず》のように|飲《の》み、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をなす|者《もの》どもと|交《まじ》わり、|悪人《あくにん》と|共《とも》に|歩《あゆ》む。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、『|人《ひと》は|神《かみ》と|親《した》しんでも、 なんの|益《えき》もない』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それであなたがた|理解《りかい》ある|人々《ひとびと》よ、わたしに|聞《き》け、 |神《かみ》は|断《だん》じて|悪《あく》を|行《おこな》うことなく、 |全能者《ぜんのうしゃ》は|断《だん》じて|不義《ふぎ》を|行《おこな》うことはない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|人《ひと》のわざにしたがってその|身《み》に|報《むく》い、 おのおのの|道《みち》にしたがって、 その|身《み》に|振《ふ》りかからせられる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]まことに|神《かみ》は|悪《あ》しき|事《こと》を|行《おこな》われない。 |全能者《ぜんのうしゃ》はさばきをまげられない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]だれかこの|地《ち》を|彼《かれ》にゆだねた|者《もの》があるか。 だれか|全《ぜん》|世界《せかい》を|彼《かれ》に|負《お》わせた|者《もの》があるか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がもしその|霊《れい》をご|自分《じぶん》に|取《と》りもどし、 その|息《いき》をご|自分《じぶん》に|取《と》りあつめられるならば、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すべての|肉《にく》は|共《とも》に|滅《ほろ》び、 |人《ひと》はちりに|帰《かえ》るであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたに|悟《さと》りがあるならば、これを|聞《き》け、 わたしの|言《い》うところに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|公義《こうぎ》を|憎《にく》む|者《もの》は|世《よ》を|治《おさ》めることができようか。 |正《ただ》しく|力《ちから》ある|者《もの》を、あなたは|非難《ひなん》するであろうか。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》たる|者《もの》に|向《む》かって『よこしまな|者《もの》』と|言《い》い、 つかさたる|者《もの》に|向《む》かって、『|悪《あ》しき|者《もの》』と |言《い》うことができるであろうか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|君《くん》たる|者《もの》をもかたより|見《み》られることなく、 |富《と》める|者《もの》を|貧《まず》しき|者《もの》にまさって |顧《かえり》みられることはない。 |彼《かれ》らは|皆《みな》み|手《て》のわざだからである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまたたく|間《ま》に|死《し》に、 |民《たみ》は|夜《よる》の|間《あいだ》に|振《ふ》われて、|消《き》えうせ、 |力《ちから》ある|者《もの》も|人手《ひとで》によらずに|除《のぞ》かれる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|目《め》が|人《ひと》の|道《みち》の|上《うえ》にあって、 そのすべての|歩《あゆ》みを|見《み》られるからだ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》には|身《み》を|隠《かく》すべき|暗《くら》やみもなく、 |暗黒《あんこく》もない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がさばきのために|神《かみ》の|前《まえ》に|出《で》るとき、 |神《かみ》は|人《ひと》のために|時《とき》を|定《さだ》めておかれない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|力《ちから》ある|者《もの》をも|調《しら》べることなく|打《う》ち|滅《ほろ》ぼし、 |他《た》の|人々《ひとびと》を|立《た》てて、これに|替《か》えられる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]このように、|神《かみ》は|彼《かれ》らのわざを|知《し》り、 |夜《よ》の|間《ま》に|彼《かれ》らをくつがえされるので、 |彼《かれ》らはやがて|滅《ほろ》びる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|人々《ひとびと》の|見《み》る|所《ところ》で、 |彼《かれ》らをその|悪《あく》のために|撃《う》たれる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがそむいて|彼《かれ》に|従《したが》わず、 その|道《みち》を|全《まった》く|顧《かえり》みないからだ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|貧《まず》しき|者《もの》の|叫《さけ》びを |彼《かれ》のもとにいたらせ、 |悩《なや》める|者《もの》の|叫《さけ》びを|彼《かれ》に|聞《き》かせる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|黙《だま》っておられるとき、 だれが|非難《ひなん》することができようか。 |彼《かれ》が|顔《かお》を|隠《かく》されるとき、 だれが|彼《かれ》を|見《み》ることができようか。 一|国《こく》の|上《うえ》にも、一|人《にん》の|上《うえ》にも|同様《どうよう》だ。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]これは|神《かみ》を|信《しん》じない|者《もの》が|世《よ》を|治《おさ》めることがなく、 |民《たみ》をわなにかける|事《こと》のないようにするためである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]だれが|神《かみ》に|向《む》かって|言《い》ったか、 『わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》さないのに、|懲《こら》しめられた。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|見《み》ないものをわたしに|教《おし》えられたい。 もしわたしが|悪《わる》い|事《こと》をしたなら、 |重《かさ》ねてこれをしない』と。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|拒《こば》むゆえに、 |彼《かれ》はあなたの|好《この》むように|報《むく》いをされるであろうか。 あなたみずから|選《えら》ぶがよい、わたしはしない。 あなたの|知《し》るところを|言《い》いなさい。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|悟《さと》りある|人々《ひとびと》はわたしに|言《い》うだろう、 わたしに|聞《き》くところの|知恵《ちえ》ある|人《ひと》は|言《い》うだろう、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]『ヨブの|言《い》うところは|知識《ちしき》がなく、 その|言葉《ことば》は|悟《さと》りがない』と。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]どうかヨブが|終《おわ》りまで|試《こころ》みられるように、 |彼《かれ》は|悪人《あくにん》のように|答《こた》えるからである。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|罪《つみ》に、とがを|加《くわ》え、 われわれの|中《なか》にあって|手《て》をうち、 |神《かみ》に|逆《さか》らって、その|言葉《ことば》をしげくする」。 [#ここで字下げ終わり] 第三五章[#「第三五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エリフはまた|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはこれを|正《ただ》しいと|思《おも》うのか、 あなたは『|神《かみ》の|前《まえ》に|自分《じぶん》は|正《ただ》しい』と|言《い》うのか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》う、『これはわたしになんの|益《えき》があるか、 |罪《つみ》を|犯《おか》したのとくらべて なんのまさるところがあるか』と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたおよび、 あなたと|共《とも》にいるあなたの|友人《ゆうじん》たちに|答《こた》えよう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》を|仰《あお》ぎ|見《み》よ、 あなたの|上《うえ》なる|高《たか》き|空《そら》を|望《のぞ》み|見《み》よ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|罪《つみ》を|犯《おか》しても、 |彼《かれ》になんのさしさわりがあるか。 あなたのとがが|多《おお》くても、|彼《かれ》に|何《なに》をなし|得《え》ようか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またあなたは|正《ただ》しくても、|彼《かれ》に|何《なに》を|与《あた》え|得《え》ようか。 |彼《かれ》はあなたの|手《て》から|何《なに》を|受《う》けられるであろうか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|悪《あく》はただあなたのような|人《ひと》にかかわり、 あなたの|義《ぎ》はただ|人《ひと》の|子《こ》にかかわるのみだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しえたげの|多《おお》いために|叫《さけ》び、 |力《ちから》ある|者《もの》の|腕《うで》のゆえに|呼《よ》ばわる|人々《ひとびと》がある。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ひとりとして|言《い》う|者《もの》はない、 『わが|造《つく》り|主《ぬし》なる|神《かみ》はどこにおられるか、 |彼《かれ》は|夜《よ》の|間《ま》に|歌《うた》を|与《あた》え、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|獣《けもの》よりも|多《おお》く、われわれを|教《おし》え、 |空《そら》の|鳥《とり》よりも、われわれを|賢《かしこ》くされる|方《かた》である』と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|叫《さけ》んでも|答《こた》えられないのは、 |悪《あ》しき|者《もの》の|高《たか》ぶりによる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]まことに|神《かみ》はむなしい|叫《さけ》びを|聞《き》かれない。 また|全能者《ぜんのうしゃ》はこれを|顧《かえり》みられない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|彼《かれ》を|見《み》ないと|言《い》う|時《とき》はなおさらだ。 さばきは|神《かみ》の|前《まえ》にある。 あなたは|彼《かれ》を|待《ま》つべきである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》|彼《かれ》が|怒《いか》りをもって|罰《ばっ》せず、 |罪《つみ》とがを|深《ふか》く|心《こころ》にとめられないゆえに [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヨブは|口《くち》を|開《ひら》いてむなしい|事《こと》を|述《の》べ、 |無知《むち》の|言葉《ことば》をしげくする」。 [#ここで字下げ終わり] 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エリフは|重《かさ》ねて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「しばらく|待《ま》て、わたしはあなたに|示《しめ》すことがある。 なお|神《かみ》のために|言《い》うべき|事《こと》がある。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|遠《とお》くからわが|知識《ちしき》を|取《と》り、 わが|造《つく》り|主《ぬし》に|正義《せいぎ》を|帰《き》する。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]まことにわたしの|言葉《ことば》は|偽《いつわ》らない。 |知識《ちしき》の|全《まった》き|者《もの》があなたと|共《とも》にいる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》は|力《ちから》ある|者《もの》であるが、 |何《なに》をも|卑《いや》しめられない、 その|悟《さと》りの|力《ちから》は|大《おお》きい。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|悪《あ》しき|者《もの》を|生《い》かしておかれない、 |苦《くる》しむ|者《もの》のためにさばきを|行《おこな》われる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|正《ただ》しい|者《もの》から|目《め》を|離《はな》さず、 |位《くらい》にある|王《おう》たちと|共《とも》に、とこしえに、 |彼《かれ》らをすわらせて、|尊《たっと》くされる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らが|足《あし》かせにつながれ、 |悩《なや》みのなわに|捕《とら》えられる|時《とき》は、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|行《おこな》いと、とがと、 その|高《たか》ぶったふるまいを|彼《かれ》らに|示《しめ》し、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|耳《みみ》を|開《ひら》いて、|教《おしえ》を|聞《き》かせ、 |悪《あく》を|離《はな》れて|帰《かえ》ることを|命《めい》じられる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らが|聞《き》いて|彼《かれ》に|仕《つか》えるならば、 |彼《かれ》らはその|日《ひ》を|幸福《こうふく》に|過《す》ごし、 その|年《とし》を|楽《たの》しく|送《おく》るであろう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らが|聞《き》かないならば、つるぎによって|滅《ほろ》び、 |知識《ちしき》を|得《え》ないで|死《し》ぬであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》に|神《かみ》を|信《しん》じない|者《もの》どもは|怒《いか》りをたくわえ、 |神《かみ》に|縛《しば》られる|時《とき》も、|助《たす》けを|呼《よ》び|求《もと》めることをしない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|年《とし》|若《わか》くして|死《し》に、 その|命《いのち》は|恥《はじ》のうちに|終《おわ》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|苦《くる》しむ|者《もの》をその|苦《くる》しみによって|救《すく》い、 |彼《かれ》らの|耳《みみ》を|逆境《ぎゃっきょう》によって|開《ひら》かれる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はまたあなたを|悩《なや》みから、 |束縛《そくばく》のない|広《ひろ》い|所《ところ》に|誘《さそ》い|出《だ》された。 そしてあなたの|食卓《しょくたく》に|置《お》かれた|物《もの》は すべて|肥《こ》えた|物《もの》であった。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは|悪人《あくにん》のうくべき さばきをおのれに|満《み》たし、 さばきと|公義《こうぎ》はあなたを|捕《とら》えている。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|怒《いか》りに|誘《さそ》われて、 あざけりに|陥《おちい》らぬように|心《こころ》せよ。 あがないしろの|大《おお》いなるがために、おのれを|誤《あやま》るな。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|叫《さけ》びはあなたを|守《まも》って、 |悩《なや》みを|免《まぬか》れさせるであろうか、 いかに|力《ちから》をつくしても|役《やく》に|立《た》たない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がその|所《ところ》から|断《た》たれる その|夜《よ》を|慕《した》ってはならない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|慎《つつし》んで|悪《あく》に|傾《かたむ》いてはならない。 あなたは|悩《なや》みよりもむしろこれを|選《えら》んだからだ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》はその|力《ちから》をもってあがめられる。 だれか|彼《かれ》のように|教《おし》える|者《もの》があるか。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]だれか|彼《かれ》のためにその|道《みち》を|定《さだ》めた|者《もの》があるか。 だれか『あなたは|悪《わる》い|事《こと》をした』と |言《い》いうる|者《もの》があるか。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》のみわざをほめたたえる|事《こと》を|忘《わす》れてはならない。 これは|人々《ひとびと》の|歌《うた》いあがめるところである。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すべての|人《ひと》はこれを|仰《あお》ぎ|見《み》る。 |人《ひと》は|遠《とお》くからこれを|見《み》るにすぎない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》は|大《おお》いなる|者《もの》にいまして、 われわれは|彼《かれ》を|知《し》らない。 その|年《とし》の|数《かず》も|計《はか》り|知《し》ることができない。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|水《みず》のしたたりを|引《ひ》きあげ、 その|霧《きり》をしたたらせて|雨《あめ》とされる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|空《そら》はこれを|降《ふ》らせて、|人《ひと》の|上《うえ》に|豊《ゆた》かに|注《そそ》ぐ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]だれか|雲《くも》の|広《ひろ》がるわけと、 その|幕屋《まくや》のとどろくわけとを |悟《さと》ることができようか。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》はその|光《ひかり》をおのれのまわりにひろげ、 また|海《うみ》の|底《そこ》をおおわれる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれらをもって|民《たみ》をさばき、 |食物《しょくもつ》を|豊《ゆた》かに|賜《たま》い、 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]いなずまをもってもろ|手《て》を|包《つつ》み、 これに|命《めい》じて|敵《てき》を|打《う》たせられる。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]そのとどろきは、 |悪《あく》にむかって|怒《いか》りに|燃《も》える|彼《かれ》を|現《あらわ》す。 [#ここで字下げ終わり] 第三七章[#「第三七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これがためにわが|心《こころ》もまたわななき、 その|所《ところ》からとび|離《はな》れる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》け、|神《かみ》の|声《こえ》のとどろきを、 またその|口《くち》から|出《で》るささやきを。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれを|天《あめ》が|下《した》に|放《はな》ち、 その|光《ひかり》を|地《ち》のすみずみまで|至《いた》らせられる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|声《こえ》とどろき、 |彼《かれ》はそのいかめしい|声《こえ》をもって|鳴《な》り|渡《わた》られる。 その|声《こえ》の|聞《きこ》える|時《とき》、 |彼《かれ》はいなずまを|引《ひ》きとめられない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|驚《おどろ》くべき|声《こえ》をもって|鳴《な》り|渡《わた》り、 われわれの|悟《さと》りえない|大《おお》いなる|事《こと》を|行《おこな》われる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|雪《ゆき》に|向《む》かって『|地《ち》に|降《ふ》れ』と|命《めい》じ、 |夕立《ゆうだち》および|雨《あめ》に|向《む》かって『|強《つよ》く|降《ふ》れ』と|命《めい》じられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はすべての|人《ひと》の|手《て》を|封《ふう》じられる。 これはすべての|人《ひと》にみわざを|知《し》らせるためである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|獣《けもの》は|穴《あな》に|入《はい》り、そのほらにとどまる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]つむじ|風《かぜ》はそのへやから、 |寒《さむ》さは|北風《きたかぜ》から|来《く》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》のいぶきによって|氷《こおり》が|張《は》り、 |広々《ひろびろ》とした|水《みず》は|凍《こお》る。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|濃《こ》い|雲《くも》に|水気《すいき》を|負《お》わせ、 |雲《くも》はそのいなずまを|散《ち》らす。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》の|導《みちび》きによってめぐる。 |彼《かれ》の|命《めい》じるところをことごとく |世界《せかい》のおもてに|行《おこな》うためである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がこれらをこさせるのは、|懲《こら》しめのため、 あるいはその|地《ち》のため、 あるいはいつくしみのためである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヨブよ、これを|聞《き》け、 |立《た》って|神《かみ》のくすしきみわざを|考《かんが》えよ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|知《し》っているか、 |神《かみ》がいかにこれらに|命《めい》じて、 その|雲《くも》の|光《ひかり》を|輝《かがや》かされるかを。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|知《し》っているか、|雲《くも》のつりあいと、 |知識《ちしき》の|全《まった》き|者《もの》のくすしきみわざを。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|南風《みなみかぜ》によって|地《ち》が|穏《おだ》やかになる|時《とき》、 あなたの|着物《きもの》が|熱《あつ》くなることを。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|鋳《い》た|鏡《かがみ》のように|堅《かた》い|大空《おおぞら》を、 |彼《かれ》のように|張《は》ることができるか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]われわれが|彼《かれ》に|言《い》うべき|事《こと》をわれわれに|教《おし》えよ、 われわれは|暗《くら》くて、|言葉《ことば》をつらねることはできない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|語《かた》ることがあると |彼《かれ》に|告《つ》げることができようか、 |人《ひと》は|滅《ほろ》ぼされることを|望《のぞ》むであろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》が|空《そら》に|輝《かがや》いているとき、|風《かぜ》|過《す》ぎて|空《そら》を|清《きよ》めると、 |人々《ひとびと》はその|光《ひかり》を|見《み》ることができない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》から|黄金《おうごん》のような|輝《かがや》きがでてくる。 |神《かみ》には|恐《おそ》るべき|威光《いこう》がある。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|全能者《ぜんのうしゃ》は―― われわれはこれを|見《み》いだすことができない。 |彼《かれ》は|力《ちから》と|公義《こうぎ》とにすぐれ、 |正義《せいぎ》に|満《み》ちて、これを|曲《ま》げることはない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|人々《ひとびと》は|彼《かれ》を|恐《おそ》れる。 |彼《かれ》はみずから|賢《かしこ》いと|思《おも》う|者《もの》を|顧《かえり》みられない」。 [#ここで字下げ終わり] 第三八章[#「第三八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|主《しゅ》はつむじ|風《かぜ》の|中《なか》からヨブに|答《こた》えられた、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|無知《むち》の|言葉《ことば》をもって、 |神《かみ》の|計《はか》りごとを|暗《くら》くするこの|者《もの》はだれか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|腰《こし》に|帯《おび》して、|男《おとこ》らしくせよ。 わたしはあなたに|尋《たず》ねる、わたしに|答《こた》えよ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|地《ち》の|基《もとい》をすえた|時《とき》、どこにいたか。 もしあなたが|知《し》っているなら|言《い》え。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|知《し》っているなら、 だれがその|度量《どりょう》を|定《さだ》めたか。 だれが|測《はか》りなわを|地《ち》の|上《うえ》に|張《は》ったか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|土台《どだい》は|何《なに》の|上《うえ》に|置《お》かれたか。 その|隅《すみ》の|石《いし》はだれがすえたか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]かの|時《とき》には|明《あ》けの|星《ほし》は|相《あい》|共《とも》に|歌《うた》い、 |神《かみ》の|子《こ》たちはみな|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわった。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|水《みず》が|流《なが》れいで、|胎内《たいない》からわき|出《で》たとき、 だれが|戸《と》をもって、これを|閉《と》じこめたか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》、わたしは|雲《くも》をもって|衣《ころも》とし、 |黒雲《くろくも》をもってむつきとし、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これがために|境《さかい》を|定《さだ》め、 |関《かん》および|戸《と》を|設《もう》けて、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、『ここまで|来《き》てもよい、|越《こ》えてはならぬ、 おまえの|高波《たかなみ》はここにとどまるのだ』と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|生《うま》れた|日《ひ》からこのかた|朝《あさ》に|命《めい》じ、 |夜明《よあ》けにその|所《ところ》を|知《し》らせ、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これに|地《ち》の|縁《ふち》をとらえさせ、 |悪人《あくにん》をその|上《うえ》から|振《ふ》り|落《おと》させたことがあるか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|印《いん》せられた|土《つち》のように|変《かわ》り、 |衣《ころも》のようにいろどられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》はその|光《ひかり》を|奪《うば》われ、 その|高《たか》くあげた|腕《うで》は|折《お》られる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|海《うみ》の|源《みなもと》に|行《い》ったことがあるか。 |淵《ふち》の|底《そこ》を|歩《ある》いたことがあるか。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》の|門《もん》はあなたのために|開《ひら》かれたか。 あなたは|暗黒《あんこく》の|門《もん》を|見《み》たことがあるか。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|地《ち》の|広《ひろ》さを|見《み》きわめたか。 もしこれをことごとく|知《し》っているならば|言《い》え。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》のある|所《ところ》に|至《いた》る|道《みち》はいずれか。 |暗《くら》やみのある|所《ところ》はどこか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれをその|境《さかい》に|導《みちび》くことができるか。 その|家路《いえじ》を|知《し》っているか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|知《し》っているだろう、 あなたはかの|時《とき》すでに|生《うま》れており、 またあなたの|日《ひ》|数《かず》も|多《おお》いのだから。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|雪《ゆき》の|倉《くら》にはいったことがあるか。 ひょうの|倉《くら》を|見《み》たことがあるか。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]これらは|悩《なや》みの|時《とき》のため、いくさと|戦《たたか》いの|日《ひ》のため、 わたしがたくわえて|置《お》いたものだ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》の|広《ひろ》がる|道《みち》はどこか。 |東風《ひがしかぜ》の|地《ち》に|吹《ふ》き|渡《わた》る|道《みち》はどこか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]だれが|大雨《おおあめ》のために|水路《すいろ》を|切《き》り|開《ひら》き、 いかずちの|光《ひかり》のために|道《みち》を|開《ひら》き、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》なき|地《ち》にも、|人《ひと》なき|荒野《あらの》にも|雨《あめ》を|降《ふ》らせ、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|荒《あ》れすたれた|地《ち》をあき|足《た》らせ、 これに|若草《わかくさ》をはえさせるか。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|雨《あめ》に|父《ちち》があるか。 |露《つゆ》の|玉《たま》はだれが|生《う》んだか。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|氷《こおり》はだれの|胎《たい》から|出《で》たか。 |空《そら》の|霜《しも》はだれが|生《う》んだか。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》は|固《かた》まって|石《いし》のようになり、|淵《ふち》のおもては|凍《こお》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはプレアデスの|鎖《くさり》を|結《むす》ぶことができるか。 オリオンの|綱《つな》を|解《と》くことができるか。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは十二|宮《きゅう》をその|時《とき》にしたがって |引《ひ》き|出《だ》すことができるか。 |北斗《ほくと》とその|子《こ》|星《ぼし》を|導《みちび》くことができるか。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》の|法則《ほうそく》を|知《し》っているか、 そのおきてを|地《ち》に|施《ほどこ》すことができるか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|声《こえ》を|雲《くも》にあげ、 |多《おお》くの|水《みず》にあなたをおおわせることができるか。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはいなずまをつかわして|行《い》かせ、 『われわれはここにいる』と、 あなたに|言《い》わせることができるか。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》に|知恵《ちえ》を|置《お》き、 |霧《きり》に|悟《さと》りを|与《あた》えたのはだれか。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]だれが|知恵《ちえ》をもって|雲《くも》を|数《かぞ》えることができるか。 だれが|天《てん》の|皮《かわ》|袋《ぶくろ》を|傾《かたむ》けて、 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ちりを一つに|流《なが》れ|合《あ》わさせ、 |土《つち》くれを|固《かた》まらせることができるか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはししのために|食物《しょくもつ》を|狩《か》り、 |子《こ》じしの|食欲《しょくよく》を|満《み》たすことができるか。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがほら|穴《あな》に|伏《ふ》し、 |林《はやし》のなかに|待《ま》ち|伏《ぶ》せする|時《とき》、 あなたはこの|事《こと》をなすことができるか。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]からすの|子《こ》が|神《かみ》に|向《む》かって|呼《よ》ばわり、 |食物《しょくもつ》がなくて、さまようとき、 からすにえさを|与《あた》える|者《もの》はだれか。 [#ここで字下げ終わり] 第三九章[#「第三九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|岩間《いわま》のやぎが |子《こ》を|産《う》むときを|知《し》っているか。 あなたは|雌《め》じかが|子《こ》を|産《う》むのを|見《み》たことがあるか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これらの|妊娠《にんしん》の|月《つき》を|数《かぞ》えることができるか。 これらが|産《う》む|時《とき》を|知《し》っているか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これらは|身《み》をかがめて|子《こ》を|産《う》み、 そのはらみ|子《こ》を|産《う》みいだす。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》は|強《つよ》くなって、|野《の》に|育《そだ》ち、 |出《で》て|行《い》って、その|親《おや》のもとに|帰《かえ》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]だれが|野《の》ろばを|放《はな》って、|自由《じゆう》にしたか。 だれが|野《の》ろばのつなぎを|解《と》いたか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|荒野《あらの》をその|家《いえ》として|与《あた》え、 |荒《あ》れ|地《ち》をそのすみかとして|与《あた》えた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これは|町《まち》の|騒《さわ》ぎをいやしめ、 |御者《ぎょしゃ》の|呼《よ》ぶ|声《こえ》を|聞《き》きいれず、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》を|牧場《まきば》としてはせまわり、 もろもろの|青物《あおもの》を|尋《たず》ね|求《もと》める。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|野牛《やぎゅう》は|快《こころよ》くあなたに|仕《つか》え、 あなたの|飼葉《かいば》おけのかたわらにとどまるだろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|野牛《やぎゅう》に|手綱《たづな》をつけて うねを|歩《ある》かせることができるか、 これはあなたに|従《したが》って|谷《たに》を|耕《たがや》すであろうか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|力《ちから》が|強《つよ》いからとて、 あなたはこれに|頼《たの》むであろうか。 またあなたの|仕事《しごと》をこれに|任《まか》せるであろうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれにたよって、あなたの|穀物《こくもつ》を |打《う》ち|場《ば》に|運《はこ》び|帰《かえ》らせるであろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]だちょうは|威勢《いせい》よくその|翼《つばさ》をふるう。 しかしこれにはきれいな|羽《はね》と|羽毛《うもう》があるか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これはその|卵《たまご》を|土《つち》の|中《なか》に|捨《す》て|置《お》き、 これを|砂《すな》のなかで|暖《あたた》め、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|足《あし》でつぶされることも、 |野《の》の|獣《けもの》に|踏《ふ》まれることも|忘《わす》れている。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これはその|子《こ》に|無情《むじょう》であって、 あたかも|自分《じぶん》の|子《こ》でないようにし、 その|苦労《くろう》のむなしくなるをも|恐《おそ》れない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これは|神《かみ》がこれに|知恵《ちえ》を|授《さづ》けず、 |悟《さと》りを|与《あた》えなかったゆえである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これがその|身《み》を|起《おこ》して|走《はし》る|時《とき》には、 |馬《うま》をも、その|乗《の》り|手《て》をもあざける。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|馬《うま》にその|力《ちから》を|与《あた》えることができるか。 |力《ちから》をもってその|首《くび》を|装《よそお》うことができるか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれをいなごのように、 とばせることができるか。 その|鼻《はな》あらしの|威力《いりょく》は|恐《おそ》ろしい。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これは|谷《たに》であがき、その|力《ちから》に|誇《ほこ》り、 みずから|出《で》ていって|武器《ぶき》に|向《む》かう。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これは|恐《おそ》れをあざ|笑《わら》って、|驚《おどろ》くことなく、 つるぎをさけて|退《しりぞ》くことがない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|矢筒《やづつ》はその|上《うえ》に|鳴《な》り、 やりと|投《な》げやりと、あいきらめく。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これはたけりつ、|狂《くる》いつ、|地《ち》をひとのみにし、 ラッパの|音《おと》が|鳴《な》り|渡《わた》っても、|立《た》ちどまることがない。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]これはラッパの|鳴《な》るごとにハアハアと|言《い》い、 |遠《とお》くから|戦《たたか》いをかぎつけ、 |隊長《たいちょう》の|大声《おおごえ》およびときの|声《こえ》を|聞《き》き|知《し》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]たかが|舞《ま》いあがり、その|翼《つばさ》をのべて|南《みなみ》に|向《む》かうのは、 あなたの|知恵《ちえ》によるのか、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わしがかけのぼり、その|巣《す》を|高《たか》い|所《ところ》につくるのは、 あなたの|命令《めいれい》によるのか。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]これは|岩《いわ》の|上《うえ》にすみかを|構《かま》え、 |岩《いわ》のとがり、または|険《けわ》しい|所《ところ》におり、 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこから|獲物《えもの》をうかがう。 その|目《め》の|及《およ》ぶところは|遠《とお》い。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]そのひなもまた|血《ち》を|吸《す》う。 おおよそ|殺《ころ》された|者《もの》のある|所《ところ》には、これもそこにいる」。 [#ここで字下げ終わり] 第四〇章[#「第四〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたヨブに|答《こた》えて|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|非難《ひなん》する|者《もの》が|全能者《ぜんのうしゃ》と|争《あらそ》おうとするのか、 |神《かみ》と|論《ろん》ずる|者《もの》はこれに|答《こた》えよ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ヨブは|主《しゅ》に|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、わたしはまことに|卑《いや》しい|者《もの》です、 なんとあなたに|答《こた》えましょうか。 ただ|手《て》を|口《くち》に|当《あ》てるのみです。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすでに一|度《ど》|言《い》いました、また|言《い》いません、 すでに二|度《ど》|言《い》いました、|重《かさ》ねて|申《もう》しません」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたつむじ|風《かぜ》の|中《なか》からヨブに|答《こた》えられた、 [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|腰《こし》に|帯《おび》して、|男《おとこ》らしくせよ。 わたしはあなたに|尋《たず》ねる、わたしに|答《こた》えよ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはなお、わたしに|責任《せきにん》を|負《お》わそうとするのか。 あなたはわたしを|非《ひ》とし、 |自分《じぶん》を|是《ぜ》としようとするのか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|神《かみ》のような|腕《うで》を|持《も》っているのか、 |神《かみ》のような|声《こえ》でとどろきわたることができるか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|威光《いこう》と|尊厳《そんげん》とをもってその|身《み》を|飾《かざ》り、 |栄光《えいこう》と|華麗《かれい》とをもってその|身《み》を|装《よそお》ってみよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあふるる|怒《いか》りを|漏《も》らし、 すべての|高《たか》ぶる|者《もの》を|見《み》て、これを|低《ひく》くせよ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すべての|高《たか》ぶる|者《もの》を|見《み》て、これをかがませ、 また|悪人《あくにん》をその|所《ところ》で|踏《ふ》みつけ、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをともにちりの|中《なか》にうずめ、 その|顔《かお》を|隠《かく》れた|所《ところ》に|閉《と》じこめよ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、わたしもまた、あなたをほめて、 あなたの|右《みぎ》の|手《て》は あなたを|救《すく》うことができるとしよう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|河馬《かば》を|見《み》よ、 これはあなたと|同様《どうよう》にわたしが|造《つく》ったもので、 |牛《うし》のように|草《くさ》を|食《く》う。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、その|力《ちから》は|腰《こし》にあり、 その|勢《いきお》いは|腹《はら》の|筋《すじ》にある。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これはその|尾《お》を|香柏《こうはく》のように|動《うご》かし、 そのももの|筋《すじ》は|互《たがい》にからみ|合《あ》う。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|骨《ほね》は|青銅《せいどう》の|管《くだ》のようで、 その|肋骨《ろっこつ》は|鉄《てつ》の|棒《ぼう》のようだ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これは|神《かみ》のわざの|第《だい》一のものであって、 これを|造《つく》った|者《もの》がこれにつるぎを|授《さづ》けた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》もこれがために|食物《しょくもつ》をいだし、 もろもろの|野《の》の|獣《けもの》もそこに|遊《あそ》ぶ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これは|酸棗《さんそう》の|木《き》の|下《した》に|伏《ふ》し、 |葦《あし》の|茂《しげ》み、または|沼《ぬま》に|隠《かく》れている。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|酸棗《さんそう》の|木《き》はその|陰《かげ》でこれをおおい、 |川《かわ》の|柳《やなぎ》はこれをめぐり|囲《かこ》む。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、たとい|川《かわ》が|荒《あ》れても、これは|驚《おどろ》かない。 ヨルダンがその|口《くち》に|注《そそ》ぎかかっても、 これはあわてない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]だれが、かぎでこれを|捕《とら》えることができるか。 だれが、わなでその|鼻《はな》を|貫《つらぬ》くことができるか。 [#ここで字下げ終わり] 第四一章[#「第四一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはつり|針《ばり》で わにをつり|出《だ》すことができるか。 |糸《いと》でその|舌《した》を|押《おさ》えることができるか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|葦《あし》のなわをその|鼻《はな》に|通《とお》すことができるか。 つり|針《ばり》でそのあごを|突《つ》き|通《とお》すことができるか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これはしきりに、あなたに|願《ねが》い|求《もと》めるであろうか。 |柔《やわ》らかな|言葉《ことば》をあなたに|語《かた》るであろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたと|契約《けいやく》を|結《むす》ぶであろうか。 あなたはこれを|取《と》って、ながくあなたのしもべと することができるであろうか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|鳥《とり》と|戯《たわむ》れるようにこれと|戯《たわむ》れ、 またあなたのおとめたちのために、 これをつないでおくことができるであろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|商人《しょうにん》の|仲間《なかま》はこれを|商品《しょうひん》として、 |小売《こうり》|商人《しょうにん》の|間《あいだ》に|分《わ》けるであろうか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、もりでその|皮《かわ》を|満《み》たし、 やすでその|頭《あたま》を|突《つ》き|通《とお》すことができるか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|手《て》をこれの|上《うえ》に|置《お》け、 あなたは|戦《たたか》いを|思《おも》い|出《だ》して、 |再《ふたた》びこれをしないであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、その|望《のぞ》みはむなしくなり、 これを|見《み》てすら|倒《たお》れる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あえてこれを|激《げき》する|勇気《ゆうき》のある|者《もの》はひとりもない。 それで、だれがわたしの|前《まえ》に|立《た》つことができるか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]だれが|先《さき》にわたしに|与《あた》えたので、 わたしはこれに|報《むく》いるのか。 |天《あめ》が|下《した》にあるものは、ことごとくわたしのものだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれが|全身《ぜんしん》と、その|著《いちじる》しい|力《ちから》と、 その|美《うつく》しい|構造《こうぞう》について |黙《だま》っていることはできない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]だれがその|上着《うわぎ》をはぐことができるか。 だれがその|二重《ふたえ》のよろいの|間《あいだ》に はいることができるか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]だれがその|顔《かお》の|戸《と》を|開《ひら》くことができるか。 そのまわりの|歯《は》は|恐《おそ》ろしい。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|背《せ》は|盾《たて》の|列《れつ》でできていて、 その|堅《かた》く|閉《と》じたさまは|密封《みっぷう》したように、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|相互《そうご》に|密接《みっせつ》して、 |風《かぜ》もその|間《あいだ》に、はいることができず、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|互《たがい》に|相連《あいつら》なり、 |固《かた》く|着《つ》いて|離《はな》すことができない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これが、くしゃみすれば|光《ひかり》を|発《はっ》し、 その|目《め》はあけぼののまぶたに|似《に》ている。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|口《くち》からは、たいまつが|燃《も》えいで、 |火花《ひばな》をいだす。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|鼻《はな》の|穴《あな》からは|煙《けむり》が|出《で》てきて、 さながら|煮《に》え|立《た》つなべの|水煙《みずけむり》のごとく、 |燃《も》える|葦《あし》の|煙《けむり》のようだ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|息《いき》は|炭火《すみび》をおこし、 その|口《くち》からは|炎《ほのお》が|出《で》る。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|首《くび》には|力《ちから》が|宿《やど》っていて、 |恐《おそ》ろしさが、その|前《まえ》に|踊《おど》っている。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|肉片《にくへん》は|密接《みっせつ》に|相連《あいつら》なり、 |固《かた》く|身《み》に|着《つ》いて|動《うご》かすことができない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|心臓《しんぞう》は|石《いし》のように|堅《かた》く、 うすの|下《した》|石《いし》のように|堅《かた》い。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|身《み》を|起《おこ》すときは|勇士《ゆうし》も|恐《おそ》れ、 その|衝撃《しょうげき》によってあわて|惑《まど》う。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]つるぎがこれを|撃《う》っても、きかない、 やりも、|矢《や》も、もりも|用《よう》をなさない。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]これは|鉄《てつ》を|見《み》ること、わらのように、 |青銅《せいどう》を|見《み》ること|朽《く》ち|木《き》のようである。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|弓矢《ゆみや》もこれを|逃が《にが》すことができない。 |石《いし》|投《な》げの|石《いし》もこれには、わらくずとなる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こん|棒《ぼう》もわらくずのようにみなされ、 |投《な》げやりの|響《ひび》きを、これはあざ|笑《わら》う。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|下腹《かふく》は|鋭《するど》いかわらのかけらのようで、 |麦《むぎ》こき|板《いた》のようにその|身《み》を|泥《どろ》の|上《うえ》に|伸《の》ばす。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これは|淵《ふち》をかなえのように|沸《わ》きかえらせ、 |海《うみ》を|香油《こうゆ》のなべのようにする。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これは|自分《じぶん》のあとに|光《ひか》る|道《みち》を|残《のこ》し、 |淵《ふち》をしらがのように|思《おも》わせる。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|上《うえ》にはこれと|並《なら》ぶものなく、 これは|恐《おそ》れのない|者《もの》に|造《つく》られた。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]これはすべての|高《たか》き|者《もの》をさげすみ、 すべての|誇《ほこ》り|高《たか》ぶる|者《もの》の|王《おう》である」。 [#ここで字下げ終わり] 第四二章[#「第四二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨブは|主《しゅ》に|答《こた》えて|言《い》った、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|知《し》ります、 あなたはすべての|事《こと》をなすことができ、 またいかなるおぼしめしでも、 あなたにできないことはないことを。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]『|無知《むち》をもって|神《かみ》の|計《はか》りごとをおおう この|者《もの》はだれか』。 それゆえ、わたしはみずから|悟《さと》らない|事《こと》を|言《い》い、 みずから|知《し》らない、|測《はか》り|難《がた》い|事《こと》を|述《の》べました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]『|聞《き》け、わたしは|語《かた》ろう、 わたしはあなたに|尋《たず》ねる、わたしに|答《こた》えよ』。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|事《こと》を|耳《みみ》で|聞《き》いていましたが、 |今《いま》はわたしの|目《め》であなたを|拝見《はいけん》いたします。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはみずから|恨《うら》み、 ちり|灰《はい》の|中《なか》で|悔《く》います」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれらの|言葉《ことば》をヨブに|語《かた》られて|後《のち》、テマンびとエリパズに|言《い》われた、  「わたしの|怒《いか》りはあなたとあなたのふたりの|友《とも》に|向《む》かって|燃《も》える。あなたがたが、わたしのしもべヨブのように|正《ただ》しい|事《こと》をわたしについて|述《の》べなかったからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》、あなたがたは|雄牛《おうし》七|頭《とう》、|雄羊《おひつじ》七|頭《とう》を|取《と》って、わたしのしもべヨブの|所《ところ》へ|行《い》き、あなたがたのために|燔祭《はんさい》をささげよ。わたしのしもべヨブはあなたがたのために|祈《いの》るであろう。わたしは|彼《かれ》の|祈《いのり》を|受《う》けいれるによって、あなたがたの|愚《おろ》かを|罰《ばっ》することをしない。あなたがたはわたしのしもべヨブのように|正《ただ》しい|事《こと》をわたしについて|述《の》べなかったからである」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルは|行《い》って、|主《しゅ》が|彼《かれ》らに|命《めい》じられたようにしたので、|主《しゅ》はヨブの|祈《いのり》を|受《う》けいれられた。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ヨブがその|友人《ゆうじん》たちのために|祈《いの》ったとき、|主《しゅ》はヨブの|繁栄《はんえい》をもとにかえし、そして|主《しゅ》はヨブのすべての|財産《ざいさん》を二|倍《ばい》に|増《ま》された。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》のすべての|兄弟《きょうだい》、すべての|姉妹《しまい》、および|彼《かれ》の|旧知《きゅうち》の|者《もの》どもことごとく|彼《かれ》のもとに|来《き》て、|彼《かれ》と|共《とも》にその|家《いえ》で|飲《の》み|食《く》いし、かつ|主《しゅ》が|彼《かれ》にくだされたすべての|災《わざわい》について|彼《かれ》をいたわり、|慰《なぐさ》め、おのおの|銀《ぎん》一ケシタと|金《きん》の|輪《わ》一つを|彼《かれ》に|贈《おく》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヨブの|終《おわ》りを|初《はじ》めよりも|多《おお》く|恵《めぐ》まれた。|彼《かれ》は|羊《ひつじ》一万四千|頭《とう》、らくだ六千|頭《とう》、|牛《うし》一千くびき、|雌《め》ろば一千|頭《とう》をもった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》は|男《おとこ》の|子《こ》七|人《にん》、|女《おんな》の|子《こ》三|人《にん》をもった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|第《だい》一の|娘《むすめ》をエミマと|名《な》づけ、|第《だい》二をケジアと|名《な》づけ、|第《だい》三をケレン・ハップクと|名《な》づけた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|全国《ぜんこく》のうちでヨブの|娘《むすめ》たちほど|美《うつく》しい|女《おんな》はなかった。|父《ちち》はその|兄弟《きょうだい》たちと|同様《どうよう》に|嗣《し》|業《ぎょう》を|彼《かれ》らにも|与《あた》えた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》、ヨブは百四十|年《ねん》|生《い》きながらえて、その|子《こ》とその|孫《まご》と四|代《だい》までを|見《み》た。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ヨブは|年老《としお》い、|日《ひ》|満《み》ちて|死《し》んだ。 [#改ページ] 詩篇[#「詩篇」は大見出し] 第一篇[#「第一篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》のはかりごとに|歩《あゆ》まず、 |罪《つみ》びとの|道《みち》に|立《た》たず、 あざける|者《もの》の|座《ざ》にすわらぬ|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は|主《しゅ》のおきてをよろこび、 |昼《ひる》も|夜《よる》もそのおきてを|思《おも》う。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は|流《なが》れのほとりに|植《う》えられた|木《き》の |時《とき》が|来《く》ると|実《み》を|結《むす》び、 その|葉《は》もしぼまないように、 そのなすところは|皆《みな》|栄《さか》える。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はそうでない、 |風《かぜ》の|吹《ふ》き|去《さ》るもみがらのようだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|悪《あ》しき|者《もの》はさばきに|耐《た》えない。 |罪《つみ》びとは|正《ただ》しい|者《もの》のつどいに|立《た》つことができない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正《ただ》しい|者《もの》の|道《みち》を|知《し》られる。 しかし、|悪《あ》しき|者《もの》の|道《みち》は|滅《ほろ》びる。 [#ここで字下げ終わり] 第二篇[#「第二篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、もろもろの|国《くに》びとは|騒《さわ》ぎたち、 もろもろの|民《たみ》はむなしい|事《こと》をたくらむのか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のもろもろの|王《おう》は|立《た》ち|構《かま》え、 もろもろのつかさはともに、はかり、 |主《しゅ》とその|油《あぶら》そそがれた|者《もの》とに|逆《さか》らって|言《い》う、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「われらは|彼《かれ》らのかせをこわし、 |彼《かれ》らのきずなを|解《と》き|捨《す》てるであろう」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》に|座《ざ》する|者《もの》は|笑《わら》い、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らをあざけられるであろう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|憤《いきどお》りをもって|彼《かれ》らに|語《かた》り、 |激《はげ》しい|怒《いか》りをもって|彼《かれ》らを|恐《おそ》れ|惑《まど》わせて|言《い》われる、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはわが|王《おう》を|聖《せい》なる|山《やま》シオンに|立《た》てた」と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》の|詔《みことのり》をのべよう。 |主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「おまえはわたしの|子《こ》だ。 きょう、わたしはおまえを|生《う》んだ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|求《もと》めよ、わたしはもろもろの|国《くに》を |嗣《し》|業《ぎょう》としておまえに|与《あた》え、 |地《ち》のはてまでもおまえの|所有《しょゆう》として|与《あた》える。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]おまえは|鉄《てつ》のつえをもって|彼《かれ》らを|打《う》ち|破《やぶ》り、 |陶工《とうこう》の|作《つく》る|器物《うつわもの》のように|彼《かれ》らを |打《う》ち|砕《くだ》くであろう」と。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、もろもろの|王《おう》よ、|賢《かしこ》くあれ、 |地《ち》のつかさらよ、|戒《いまし》めをうけよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れをもって|主《しゅ》に|仕《つか》え、おののきをもって [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|足《あし》に|口《くち》づけせよ。 さもないと|主《しゅ》は|怒《いか》って、 あなたがたを|道《みち》で|滅《ほろ》ぼされるであろう、 その|憤《いきどお》りがすみやかに|燃《も》えるからである。 すべて|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》はさいわいである。 [#ここで字下げ終わり] 第三篇[#「第三篇」は中見出し] [#斜体]ダビデがその|子《こ》アブサロムを|避《さ》けてのがれたときの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしに|敵《てき》する|者《もの》のいかに|多《おお》いことでしょう。 わたしに|逆《さか》らって|立《た》つ|者《もの》が|多《おお》く、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》には|神《かみ》の|助《たす》けがない」と、 わたしについて|言《い》う|者《もの》が|多《おお》いのです。〔セラ [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、あなたはわたしを|囲《かこ》む|盾《たて》、わが|栄《さか》え、 わたしの|頭《あたま》を、もたげてくださるかたです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|声《こえ》をあげて|主《しゅ》を|呼《よ》ばわると、 |主《しゅ》は|聖《せい》なる|山《やま》からわたしに|答《こた》えられる。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはふして|眠《ねむ》り、また|目《め》をさます。 |主《しゅ》がわたしをささえられるからだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|囲《かこ》んで|立《た》ち|構《かま》える ちよろずの|民《たみ》をもわたしは|恐《おそ》れない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、お|立《た》ちください。 わが|神《かみ》よ、わたしをお|救《すく》いください。 あなたはわたしのすべての|敵《てき》のほおを|打《う》ち、 |悪《あ》しき|者《もの》の|歯《は》を|折《お》られるのです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|救《すくい》は|主《しゅ》のものです。 どうかあなたの|祝福《しゅくふく》が あなたの|民《たみ》の|上《うえ》にありますように。〔セラ [#ここで字下げ終わり] 第四篇[#「第四篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|琴《こと》にあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|義《ぎ》を|助《たす》け|守《まも》られる|神《かみ》よ、 わたしが|呼《よ》ばわる|時《とき》、お|答《こた》えください。 あなたはわたしが|悩《なや》んでいた|時《とき》、 わたしをくつろがせてくださいました。 わたしをあわれみ、わたしの|祈《いのり》をお|聞《き》きください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》らよ、いつまでわたしの|誉《ほまれ》をはずかしめるのか。 いつまでむなしい|言葉《ことば》を|愛《あい》し、 |偽《いつわ》りを|慕《した》い|求《もと》めるのか。〔セラ [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたは|知《し》るがよい、 |主《しゅ》は|神《かみ》を|敬《うやま》う|人《ひと》をご|自分《じぶん》のために|聖別《せいべつ》されたことを。 |主《しゅ》はわたしが|呼《よ》ばわる|時《とき》におききくださる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|怒《いか》っても、|罪《つみ》を|犯《おか》してはならない。 |床《とこ》の|上《うえ》で|静《しず》かに|自分《じぶん》の|心《こころ》に|語《かた》りなさい。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|義《ぎ》のいけにえをささげて|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》みなさい。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|人《ひと》は|言《い》う、 「どうか、わたしたちに|良《よ》い|事《こと》が|見《み》られるように。 |主《しゅ》よ、どうか、み|顔《かお》の|光《ひかり》を わたしたちの|上《うえ》に|照《てら》されるように」と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしの|心《こころ》にお|与《あた》えになった|喜《よろこ》びは、 |穀物《こくもつ》と、ぶどう|酒《しゅ》の|豊《ゆた》かな|時《とき》の|喜《よろこ》びに まさるものでした。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|安《やす》らかに|伏《ふ》し、また|眠《ねむ》ります。 |主《しゅ》よ、わたしを|安《やす》らかにおらせてくださるのは、 ただあなただけです。 [#ここで字下げ終わり] 第五篇[#「第五篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|笛《ふえ》にあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしの|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》け、 わたしの|嘆《なげ》きに、み|心《こころ》をとめてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|王《おう》、わが|神《かみ》よ、 わたしの|叫《さけ》びの|声《こえ》をお|聞《き》きください。 わたしはあなたに|祈《いの》っています。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|朝《あさ》ごとにあなたはわたしの|声《こえ》を|聞《き》かれます。 わたしは|朝《あさ》ごとにあなたのために いけにえを|備《そな》えて|待《ま》ち|望《のぞ》みます。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|悪《あ》しき|事《こと》を|喜《よろこ》ばれる|神《かみ》ではない。 |悪人《あくにん》はあなたのもとに|身《み》を|寄《よ》せることはできない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》はあなたの|目《め》の|前《まえ》に|立《た》つことはできない。 あなたはすべて|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》を|憎《にく》まれる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|偽《いつわ》りを|言《い》う|者《もの》を|滅《ほろ》ぼされる。 |主《しゅ》は|血《ち》を|流《なが》す|者《もの》と、|人《ひと》をだます|者《もの》を|忌《い》みきらわれる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしはあなたの|豊《ゆた》かないつくしみによって、 あなたの|家《いえ》に|入《い》り、 |聖《せい》なる|宮《みや》にむかって、かしこみ|伏《ふ》し|拝《おが》みます。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしのあだのゆえに、 あなたの|義《ぎ》をもってわたしを|導《みちび》き、 わたしの|前《まえ》にあなたの|道《みち》をまっすぐにしてください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|口《くち》には|真実《しんじつ》がなく、|彼《かれ》らの|心《こころ》には|滅《ほろ》びがあり、 そののどは|開《ひら》いた|墓《はか》、 その|舌《した》はへつらいを|言《い》うのです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、どうか|彼《かれ》らにその|罪《つみ》を|負《お》わせ、 そのはかりごとによって、みずから|倒《たお》れさせ、 その|多《おお》くのとがのゆえに|彼《かれ》らを|追《お》いだしてください。 |彼《かれ》らはあなたにそむいたからです。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、すべてあなたに|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》を|喜《よろこ》ばせ、 とこしえに|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわらせてください。 また、み|名《な》を|愛《あい》する|者《もの》があなたによって |喜《よろこ》びを|得《え》るように、|彼《かれ》らをお|守《まも》りください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|正《ただ》しい|者《もの》を|祝福《しゅくふく》し、 |盾《たて》をもってするように、 |恵《めぐ》みをもってこれをおおい|守《まも》られます。 [#ここで字下げ終わり] 第六篇[#「第六篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってシェミニテにあわせ|琴《こと》をもってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|怒《いか》りをもって、わたしを|責《せ》めず、 あなたの|激《はげ》しい|怒《いか》りをもって、 わたしを|懲《こら》しめないでください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをあわれんでください。 わたしは|弱《よわ》り|衰《おとろ》えています。 |主《しゅ》よ、わたしをいやしてください。 わたしの|骨《ほね》は|悩《なや》み|苦《くる》しんでいます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|魂《たましい》もまたいたく|悩《なや》み|苦《くる》しんでいます。 |主《しゅ》よ、あなたはいつまでお|怒《いか》りになるのですか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、かえりみて、わたしの|命《いのち》をお|救《すく》いください。 あなたのいつくしみにより、わたしをお|助《たす》けください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》においては、あなたを|覚《おぼ》えるものはなく、 |陰府《よみ》においては、だれがあなたを ほめたたえることができましょうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|嘆《なげ》きによって|疲《つか》れ、 |夜《よ》ごとに|涙《なみだ》をもって、わたしのふしどをただよわせ、 わたしのしとねをぬらした。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》は|憂《うれ》いによって|衰《おとろ》え、 もろもろのあだのゆえに|弱《よわ》くなった。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すべて|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》よ、わたしを|離《はな》れ|去《さ》れ。 |主《しゅ》はわたしの|泣《な》く|声《こえ》を|聞《き》かれた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|願《ねが》いを|聞《き》かれた。 |主《しゅ》はわたしの|祈《いのり》をうけられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》は|恥《は》じて、いたく|悩《なや》み|苦《くる》しみ、 |彼《かれ》らは|退《しりぞ》いて、たちどころに|恥《はじ》をうけるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第七篇[#「第七篇」は中見出し] [#斜体]ベニヤミンびとクシのことについてダビデが|主《しゅ》にむかってうたったシガヨンの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 どうかすべての|追《お》い|迫《せま》る|者《もの》からわたしを|救《すく》い、 わたしをお|助《たす》けください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さもないと|彼《かれ》らは、ししのように、わたしをかき|裂《さ》き、 |助《たす》ける|者《もの》の|来《こ》ないうちに、|引《ひ》いて|行《い》くでしょう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、もしわたしがこの|事《こと》を|行《おこな》ったならば、 もしわたしの|手《て》によこしまな|事《こと》があるならば、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしの|友《とも》に|悪《あく》をもって|報《むく》いたことがあり、 ゆえなく、|敵《てき》のものを|略奪《りゃくだつ》したことがあるならば、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》にわたしを|追《お》い|捕《とら》えさせ、 わたしの|命《いのち》を|地《ち》に|踏《ふ》みにじらせ、 わたしの|魂《たましい》をちりにゆだねさせてください。〔セラ [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|怒《いか》りをもって|立《た》ち、 わたしの|敵《てき》の|憤《いきどお》りにむかって|立《た》ちあがり、 わたしのために|目《め》をさましてください。 あなたはさばきを|命《めい》じられました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》をあなたのまわりにつどわせ、 その|上《うえ》なる|高《たか》みくらにおすわりください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|民《たみ》をさばかれます。 |主《しゅ》よ、わたしの|義《ぎ》と、わたしにある|誠実《せいじつ》とに|従《したが》って、 わたしをさばいてください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]どうか|悪《あ》しき|者《もの》の|悪《あく》を|断《た》ち、 |正《ただ》しき|者《もの》を|堅《かた》く|立《た》たせてください。 |義《ぎ》なる|神《かみ》よ、あなたは|人《ひと》の|心《こころ》と|思《おも》いとを|調《しら》べられます。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|守《まも》る|盾《たて》は|神《かみ》である。 |神《かみ》は|心《こころ》の|直《なお》き|者《もの》を|救《すく》われる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|義《ぎ》なるさばきびと、 |日《ひ》ごとに|憤《いきどお》りを|起《おこ》される|神《かみ》である。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|悔《く》い|改《あらた》めないならば、|神《かみ》はそのつるぎをとぎ、 その|弓《ゆみ》を|張《は》って|構《かま》え、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|死《し》に|至《いた》らせる|武器《ぶき》を|備《そな》え、 その|矢《や》を|火矢《ひや》とされる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|悪《あ》しき|者《もの》は|邪悪《じゃあく》をはらみ、 |害毒《がいどく》をやどし、|偽《いつわ》りを|生《う》む。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|穴《あな》を|掘《ほ》って、それを|深《ふか》くし、 みずから|作《つく》った|穴《あな》に|陥《おちい》る。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|害毒《がいどく》は|自分《じぶん》のかしらに|帰《かえ》り、 その|強暴《きょうぼう》は|自分《じぶん》のこうべに|下《くだ》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》にむかって、 その|義《ぎ》にふさわしい|感謝《かんしゃ》をささげ、 いと|高《たか》き|者《もの》なる|主《しゅ》の|名《な》をほめ|歌《うた》うであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第八篇[#「第八篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってギテトにあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》、われらの|主《しゅ》よ、あなたの|名《な》は|地《ち》にあまねく、 いかに|尊《たっと》いことでしょう。 あなたの|栄光《えいこう》は|天《てん》の|上《うえ》にあり、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]みどりごと、ちのみごとの|口《くち》によって、 ほめたたえられています。 あなたは|敵《てき》と|恨《うら》みを|晴《は》らす|者《もの》とを|静《しず》めるため、 あだに|備《そな》えて、とりでを|設《もう》けられました。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたの|指《ゆび》のわざなる|天《てん》を|見《み》、 あなたが|設《もう》けられた|月《つき》と|星《ほし》とを|見《み》て|思《おも》います。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|何者《なにもの》なので、これをみ|心《こころ》にとめられるのですか、 |人《ひと》の|子《こ》は|何者《なにもの》なので、これを|顧《かえり》みられるのですか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ただ|少《すこ》しく|人《ひと》を|神《かみ》よりも|低《ひく》く|造《つく》って、 |栄《さか》えと|誉《ほまれ》とをこうむらせ、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これにみ|手《て》のわざを|治《おさ》めさせ、 よろずの|物《もの》をその|足《あし》の|下《した》におかれました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべての|羊《ひつじ》と|牛《うし》、また|野《の》の|獣《けもの》、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|空《そら》の|鳥《とり》と|海《うみ》の|魚《うお》、|海路《かいろ》を|通《かよ》うものまでも。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》、われらの|主《しゅ》よ、あなたの|名《な》は|地《ち》にあまねく、 いかに|尊《たっと》いことでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第九篇[#「第九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってムツラベンのしらべにあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》をつくして|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、 あなたのくすしきみわざを ことごとく|宣《の》べ|伝《つた》えます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|者《もの》よ、あなたによって わたしは|喜《よろこ》びかつ|楽《たの》しみ、 あなたの|名《な》をほめ|歌《うた》います。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》は|退《しりぞ》くとき、 つまずき|倒《たお》れてあなたの|前《まえ》に|滅《ほろ》びました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしの|正《ただ》しい|訴《うった》えを |助《たす》け|守《まも》られたからです。 あなたはみくらに|座《ざ》して、 |正《ただ》しいさばきをされました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはもろもろの|国民《くにたみ》を|責《せ》め、 |悪《あ》しき|者《もの》を|滅《ほろ》ぼし、 |永久《えいきゅう》に|彼《かれ》らの|名《な》を|消《け》し|去《さ》られました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》は|絶《た》えはてて、とこしえに|滅《ほろ》び、 あなたが|滅《ほろ》ぼされたもろもろの|町《まち》は その|記憶《きおく》さえ|消《き》えうせました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はとこしえに、み|位《くらい》に|座《ざ》し、 さばきのために、みくらを|設《もう》けられました。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正義《せいぎ》をもって|世界《せかい》をさばき、 |公平《こうへい》をもってもろもろの|民《たみ》をさばかれます。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はしえたげられる|者《もの》のとりで、 なやみの|時《とき》のとりでです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]み|名《な》を|知《し》る|者《もの》はあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 |主《しゅ》よ、あなたを|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》を あなたは|捨《す》てられたことがないからです。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]シオンに|住《す》まわれる|主《しゅ》にむかってほめうたい、 そのみわざをもろもろの|民《たみ》のなかに|宣《の》べ|伝《つた》えよ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|血《ち》を|流《なが》す|者《もの》にあだを|報《むく》いられる|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|心《こころ》にとめ、 |苦《くる》しむ|者《もの》の|叫《さけ》びをお|忘《わす》れにならないからです。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをあわれんでください。 |死《し》の|門《もん》からわたしを|引《ひ》きあげられる|主《しゅ》よ、 あだする|者《もの》のわたしを|悩《なや》ますのを みそなわしてください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、わたしはあなたのすべての|誉《ほまれ》を|述《の》べ、 シオンの|娘《むすめ》の|門《もん》で、 あなたの|救《すくい》を|喜《よろこ》ぶことができましょう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》は|自分《じぶん》の|作《つく》った|穴《あな》に|陥《おちい》り、 |隠《かく》し|設《もう》けた|網《あみ》に|自分《じぶん》の|足《あし》を|捕《とら》えられる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はみずからを|知《し》らせ、さばきを|行《おこな》われた。 |悪《あ》しき|者《もの》は|自分《じぶん》の|手《て》で|作《つく》ったわなに|捕《とら》えられる。〔ヒガヨン、セラ [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》、また|神《かみ》を|忘《わす》れるもろもろの|国民《くにたみ》は |陰府《よみ》へ|去《さ》って|行《い》く。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》は|常《つね》に|忘《わす》れられるのではない。 |苦《くる》しむ|者《もの》の|望《のぞ》みはとこしえに|滅《ほろ》びるのではない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|立《た》ちあがってください。 |人《ひと》に|勝利《しょうり》を|得《え》させず、もろもろの|国民《くにたみ》に、 み|前《まえ》でさばきを|受《う》けさせてください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らに|恐《おそ》れを|起《おこ》させ、もろもろの|国民《くにたみ》に |自分《じぶん》がただ、|人《ひと》であることを|知《し》らせてください。〔セラ [#ここで字下げ終わり] 第一〇篇[#「第一〇篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、なにゆえ|遠《とお》く|離《はな》れて |立《た》たれるのですか。 なにゆえ|悩《なや》みの|時《とき》に|身《み》を|隠《かく》されるのですか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|高《たか》ぶって|貧《まず》しい|者《もの》を|激《はげ》しく|責《せ》めます。 どうぞ|彼《かれ》らがその|企《くわだ》てたはかりごとに みずから|捕《とら》えられますように。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|自分《じぶん》の|心《こころ》の|願《ねが》いを|誇《ほこ》り、 むさぼる|者《もの》は|主《しゅ》をのろい、かつ|捨《す》てる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|誇《ほこ》り|顔《かお》をして、|神《かみ》を|求《もと》めない。 その|思《おも》いに、すべて「|神《かみ》はない」という。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|道《みち》は|常《つね》に|栄《さか》え、 あなたのさばきは|彼《かれ》を|離《はな》れて|高《たか》く、 |彼《かれ》はそのすべてのあだを|口先《くちさき》で|吹《ふ》く。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|心《こころ》の|内《うち》に|言《い》う、「わたしは|動《うご》かされることはなく、 |世々《よよ》わざわいにあうことがない」と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|口《くち》はのろいと、|欺《あざむ》きと、しえたげとに|満《み》ち、 その|舌《した》の|下《した》には|害毒《がいどく》と|不正《ふせい》とがある。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|村里《むらざと》の|隠《かく》れ|場《ば》におり、 |忍《しの》びやかな|所《ところ》で|罪《つみ》のない|者《もの》を|殺《ころ》す。 その|目《め》は|寄《よ》るべなき|者《もの》をうかがい、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|隠《かく》れ|場《ば》にひそむししのように、ひそかに|待《ま》ち|伏《ぶ》せする。 |彼《かれ》は|貧《まず》しい|者《もの》を|捕《とら》えようと|待《ま》ち|伏《ぶ》せし、 |貧《まず》しい|者《もの》を|網《あみ》にひきいれて|捕《とら》える。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|寄《よ》るべなき|者《もの》は|彼《かれ》の|力《ちから》によって |打《う》ちくじかれ、|衰《おとろ》え、|倒《たお》れる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|心《こころ》のうちに|言《い》う、「|神《かみ》は|忘《わす》れた、 |神《かみ》はその|顔《かお》を|隠《かく》した、 |神《かみ》は|絶《た》えて|見《み》ることはなかろう」と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|立《た》ちあがってください。 |神《かみ》よ、み|手《て》をあげてください。 |苦《くる》しむ|者《もの》を|忘《わす》れないでください。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、|悪《あ》しき|者《もの》は|神《かみ》を|侮《あなど》り、|心《こころ》のうちに 「あなたはとがめることをしない」と|言《い》うのですか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはみそなわし、|悩《なや》みと|苦《くる》しみとを|見《み》て、 それをみ|手《て》に|取《と》られます。 |寄《よ》るべなき|者《もの》はあなたに|身《み》をゆだねるのです。 あなたはいつもみなしごを|助《たす》けられました。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》と|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》の|腕《うで》を|折《お》り、 その|悪《あく》を一つも|残《のこ》さないまでに|探《さぐ》り|出《だ》してください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はとこしえに|王《おう》でいらせられる。 もろもろの|国民《くにたみ》は|滅《ほろ》びて |主《しゅ》の|国《くに》から|跡《あと》を|断《た》つでしょう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|柔和《にゅうわ》な|者《もの》の|願《ねが》いを|聞《き》き、 その|心《こころ》を|強《つよ》くし、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]みなしごと、しえたげられる|者《もの》とのために さばきを|行《おこな》われます。 |地《ち》に|属《ぞく》する|人《ひと》は|再《ふたた》び|人《ひと》を|脅《おびや》かすことはないでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第一一篇[#「第一一篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》む。 なにゆえ、あなたがたはわたしにむかって|言《い》うのか、 「|鳥《とり》のように|山《やま》にのがれよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|悪《あ》しき|者《もの》は、|暗《くら》やみで、 |心《こころ》の|直《なお》き|者《もの》を|射《い》ようと|弓《ゆみ》を|張《は》り、 |弦《げん》に|矢《や》をつがえている。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|基《もとい》が|取《と》りこわされるならば、 |正《ただ》しい|者《もの》は|何《なに》をなし|得《え》ようか」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|聖《せい》なる|宮《みや》にいまし、|主《しゅ》のみくらは|天《てん》にあり、 その|目《め》は|人《ひと》の|子《こ》らをみそなわし、 そのまぶたは|人《ひと》の|子《こ》らを|調《しら》べられる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正《ただ》しき|者《もの》をも、|悪《あ》しき|者《もの》をも|調《しら》べ、 そのみ|心《こころ》は|乱暴《らんぼう》を|好《この》む|者《もの》を|憎《にく》まれる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|悪《あ》しき|者《もの》の|上《うえ》に|炭火《すみび》と|硫黄《いおう》とを|降《ふ》らせられる。 |燃《も》える|風《かぜ》は|彼《かれ》らがその|杯《さかずき》にうくべきものである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正《ただ》しくいまして、 |正《ただ》しい|事《こと》を|愛《あい》されるからである。 |直《なお》き|者《もの》は|主《しゅ》のみ|顔《かお》を|仰《あお》ぎ|見《み》るであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第一二篇[#「第一二篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってシェミニテにあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、お|助《たす》けください。|神《かみ》を|敬《うやま》う|人《ひと》は|絶《た》え、 |忠信《ちゅうしん》な|者《もの》は|人《ひと》の|子《こ》らのなかから|消《き》えうせました。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はみなその|隣《とな》り|人《びと》に|偽《いつわ》りを|語《かた》り、 へつらいのくちびると、ふたごころとをもって|語《かた》る。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべてのへつらいのくちびると、 |大《おお》きな|事《こと》を|語《かた》る|舌《した》とを|断《た》たれるように。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》う、「わたしたちは|舌《した》をもって|勝《かち》を|得《え》よう、 わたしたちのくちびるはわたしたちのものだ、 だれがわたしたちの|主人《しゅじん》であるか」と。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「|貧《まず》しい|者《もの》がかすめられ、 |乏《とぼ》しい|者《もの》が|嘆《なげ》くゆえに、わたしはいま|立《た》ちあがって、 |彼《かれ》らをその|慕《した》い|求《もと》める|安全《あんぜん》な|所《ところ》に|置《お》こう」と。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のことばは|清《きよ》き|言葉《ことば》である。 |地《ち》に|設《もう》けた|炉《ろ》で|練《ね》り、七たびきよめた|銀《ぎん》のようである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われらを|保《たも》ち、 とこしえにこの|人々《ひとびと》から|免《まぬか》れさせてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|卑《いや》しい|事《こと》が|人《ひと》の|子《こ》のなかにあがめられている|時《とき》、 |悪《あ》しき|者《もの》はいたる|所《ところ》でほしいままに|歩《ある》いています。 [#ここで字下げ終わり] 第一三篇[#「第一三篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、いつまでなのですか。 とこしえにわたしをお|忘《わす》れになるのですか。 いつまで、み|顔《かお》をわたしに|隠《かく》されるのですか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]いつまで、わたしは|魂《たましい》に|痛《いた》みを|負《お》い、ひねもす|心《こころ》に |悲《かな》しみをいだかなければならないのですか。 いつまで|敵《てき》はわたしの|上《うえ》にあがめられるのですか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、みそなわして、わたしに|答《こた》え、 わたしの|目《め》を|明《あき》らかにしてください。 さもないと、わたしは|死《し》の|眠《ねむ》りに|陥《おちい》り、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》は「わたしは|敵《てき》に|勝《か》った」と|言《い》い、 わたしのあだは、わたしの|動《うご》かされることによって|喜《よろこ》ぶでしょう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはあなたのいつくしみに|信頼《しんらい》し、 わたしの|心《こころ》はあなたの|救《すくい》を|喜《よろこ》びます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|豊《ゆた》かにわたしをあしらわれたゆえ、 わたしは|主《しゅ》にむかって|歌《うた》います。 [#ここで字下げ終わり] 第一四篇[#「第一四篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》は|心《こころ》のうちに「|神《かみ》はない」と|言《い》う。 |彼《かれ》らは|腐《くさ》れはて、|憎《にく》むべき|事《こと》をなし、 |善《ぜん》を|行《おこな》う|者《もの》はない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|天《てん》から|人《ひと》の|子《こ》らを|見《み》おろして、 |賢《かしこ》い|者《もの》、|神《かみ》をたずね|求《もと》める|者《もの》が あるかないかを|見《み》られた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみな|迷《まよ》い、みなひとしく|腐《くさ》れた。 |善《ぜん》を|行《おこな》う|者《もの》はない、ひとりもない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すべて|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》は|悟《さと》りがないのか。 |彼《かれ》らは|物《もの》|食《く》うようにわが|民《たみ》をくらい、 また|主《しゅ》を|呼《よ》ぶことをしない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》らは|大《おお》いに|恐《おそ》れた。 |神《かみ》は|正《ただ》しい|者《もの》のやからと|共《とも》におられるからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|貧《まず》しい|者《もの》の|計画《けいかく》を はずかしめようとする。 しかし|主《しゅ》は|彼《かれ》の|避《さ》け|所《どころ》である。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]どうか、シオンからイスラエルの|救《すくい》が|出《で》るように。 |主《しゅ》がその|民《たみ》の|繁栄《はんえい》を|回復《かいふく》されるとき、 ヤコブは|喜《よろこ》び、イスラエルは|楽《たの》しむであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第一五篇[#「第一五篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|幕屋《まくや》にやどるべき|者《もの》はだれですか、 あなたの|聖《せい》なる|山《やま》に|住《す》むべき|者《もの》はだれですか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|直《なお》く|歩《あゆ》み、|義《ぎ》を|行《おこな》い、|心《こころ》から|真実《しんじつ》を|語《かた》る|者《もの》、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|舌《した》をもってそしらず、その|友《とも》に|悪《あく》をなさず、 |隣《とな》り|人《びと》に|対《たい》するそしりを|取《と》りあげず、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|目《め》は|神《かみ》に|捨《す》てられた|者《もの》を|卑《いや》しめ、 |主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》を|尊《たっと》び、 |誓《ちか》った|事《こと》は|自分《じぶん》の|損害《そんがい》になっても|変《か》えることなく、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|利息《りそく》をとって|金銭《きんせん》を|貸《か》すことなく、まいないを|取《と》って |罪《つみ》のない|者《もの》の|不利《ふり》をはかることをしない|人《ひと》である。 これらの|事《こと》を|行《おこな》う|者《もの》は とこしえに|動《うご》かされることはない。 [#ここで字下げ終わり] 第一六篇[#「第一六篇」は中見出し] [#斜体]ダビデのミクタムの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしをお|守《まも》りください。 わたしはあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》に|言《い》う、「あなたはわたしの|主《しゅ》、 あなたのほかにわたしの|幸《さいわい》はない」と。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》にある|聖徒《せいと》は、 すべてわたしの|喜《よろこ》ぶすぐれた|人々《ひとびと》である。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]おおよそ、ほかの|神《かみ》を|選《えら》ぶ|者《もの》は|悲《かな》しみを|増《ま》す。 わたしは|彼《かれ》らのささげる|血《ち》の|灌祭《かんさい》を|注《そそ》がず、 その|名《な》を|口《くち》にとなえることをしない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|嗣《し》|業《ぎょう》、またわたしの|杯《さかずき》にうくべきもの。 あなたはわたしの|分《わ》け|前《まえ》を|守《まも》られる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|測《はか》りなわは、わたしのために|好《この》ましい|所《ところ》に|落《お》ちた。 まことにわたしは|良《よ》い|嗣《し》|業《ぎょう》を|得《え》た。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしにさとしをさずけられる|主《しゅ》をほめまつる。 |夜《よる》はまた、わたしの|心《こころ》がわたしを|教《おし》える。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|常《つね》に|主《しゅ》をわたしの|前《まえ》に|置《お》く。 |主《しゅ》がわたしの|右《みぎ》にいますゆえ、 わたしは|動《うご》かされることはない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに、わたしの|心《こころ》は|楽《たの》しみ、わたしの|魂《たましい》は|喜《よろこ》ぶ。 わたしの|身《み》もまた|安《やす》らかである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを|陰府《よみ》に|捨《す》ておかれず、 あなたの|聖者《せいじゃ》に|墓《はか》を|見《み》させられないからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはいのちの|道《みち》をわたしに|示《しめ》される。 あなたの|前《まえ》には|満《み》ちあふれる|喜《よろこ》びがあり、 あなたの|右《みぎ》には、とこしえにもろもろの|楽《たの》しみがある。 [#ここで字下げ終わり] 第一七篇[#「第一七篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|祈《いのり》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|正《ただ》しい|訴《うった》えを|聞《き》き、わたしの|叫《さけ》びにみ|心《こころ》をとめ、 |偽《いつわ》りのないくちびるから|出《で》るわたしの|祈《いのり》に |耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]どうかわたしについての|宣告《せんこく》がみ|前《まえ》から|出《で》て、 あなたの|目《め》が|公平《こうへい》をみられるように。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしの|心《こころ》をためし、|夜《よる》、わたしに|臨《のぞ》み、 わたしを|試《こころ》みられても、わたしのうちに なんの|悪《わる》い|思《おも》いをも|見《み》いだされないでしょう。 わたしの|口《くち》も|罪《つみ》を|犯《おか》しません。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》のおこないの|事《こと》をいえば、 あなたのくちびるの|言葉《ことば》によって、 わたしは|不法《ふほう》な|者《もの》の|道《みち》を|避《さ》けました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|歩《あゆ》みはあなたの|道《みち》に|堅《かた》く|立《た》ち、 わたしの|足《あし》はすべることがなかったのです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしはあなたに|呼《よ》ばわります。 あなたはわたしに|答《こた》えられます。 どうか|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて、 わたしの|述《の》べることをお|聞《き》きください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》をそのあだから|右《みぎ》の|手《て》で|救《すく》われる|者《もの》よ、 あなたのいつくしみを|驚《おどろ》くばかりにあらわし、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ひとみのようにわたしを|守《まも》り、 みつばさの|陰《かげ》にわたしを|隠《かく》し、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしをしえたげる|悪《あ》しき|者《もの》から、 わたしを|囲《かこ》む|恐《おそ》ろしい|敵《てき》から、のがれさせてください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|心《こころ》を|閉《と》じて、あわれむことなく、 その|口《くち》をもって|高《たか》ぶって|語《かた》るのです。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしを|追《お》いつめ、わたしを|囲《かこ》み、 わたしを|地《ち》に|投《な》げ|倒《たお》さんと、その|目《め》をそそぎます。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはかき|裂《さ》かんと、いらだつししのごとく、 |隠《かく》れた|所《ところ》にひそみ|待《ま》つ|子《こ》じしのようです。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|立《た》ちあがって、|彼《かれ》らに|立《た》ちむかい、 |彼《かれ》らを|倒《たお》してください。 つるぎをもって|悪《あ》しき|者《もの》から わたしのいのちをお|救《すく》いください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、み|手《て》をもって|人々《ひとびと》からわたしをお|救《すく》いください。 すなわち|自分《じぶん》の|分《わ》け|前《まえ》をこの|世《よ》で|受《う》け、 あなたの|宝《たから》をもってその|腹《はら》を|満《み》たされる |世《よ》の|人々《ひとびと》からわたしをお|救《すく》いください。 |彼《かれ》らは|多《おお》くの|子《こ》に|飽《あ》き|足《た》り、 その|富《とみ》を|幼《おさ》な|子《ご》に|残《のこ》すのです。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|義《ぎ》にあって、み|顔《かお》を|見《み》、 |目《め》ざめる|時《とき》、みかたちを|見《み》て、|満《み》ち|足《た》りるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第一八篇[#「第一八篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせた|主《しゅ》のしもべダビデの|歌《うた》、すなわち|主《しゅ》がもろもろのあだの|手《て》とサウルの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》された|日《ひ》にダビデはこの|歌《うた》の|言葉《ことば》を|主《しゅ》にむかって|述《の》べて|言《い》った[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|力《ちから》なる|主《しゅ》よ、わたしはあなたを|愛《あい》します。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわが|岩《いわ》、わが|城《しろ》、わたしを|救《すく》う|者《もの》、 わが|神《かみ》、わが|寄《よ》り|頼《たの》む|岩《いわ》、 わが|盾《たて》、わが|救《すくい》の|角《つの》、わが|高《たか》きやぐらです。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはほめまつるべき|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって、 わたしの|敵《てき》から|救《すく》われるのです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》の|綱《つな》は、わたしを|取《と》り|巻《ま》き、 |滅《ほろ》びの|大水《おおみず》は、わたしを|襲《おそ》いました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|陰府《よみ》の|綱《つな》は、わたしを|囲《かこ》み、 |死《し》のわなは、わたしに|立《た》ちむかいました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|悩《なや》みのうちに|主《しゅ》に|呼《よ》ばわり、 わが|神《かみ》に|叫《さけ》び|求《もと》めました。 |主《しゅ》はその|宮《みや》からわたしの|声《こえ》を|聞《き》かれ、 |主《しゅ》にさけぶわたしの|叫《さけ》びがその|耳《みみ》に|達《たっ》しました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|地《ち》は|揺《ゆ》れ|動《うご》き、|山々《やまやま》の|基《もとい》は|震《ふる》い|動《うご》きました。 |主《しゅ》がお|怒《いか》りになったからです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|煙《けむり》はその|鼻《はな》から|立《た》ちのぼり、 |火《ひ》はその|口《くち》から|出《で》て|焼《や》きつくし、 |炭《すみ》はそれによって|燃《も》えあがりました。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|天《てん》をたれて|下《くだ》られ、 |暗《くら》やみがその|足《あし》の|下《した》にありました。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はケルブに|乗《の》って|飛《と》び、|風《かぜ》の|翼《つばさ》をもってかけり、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]やみをおおいとして、|自分《じぶん》のまわりに|置《お》き、 |水《みず》を|含《ふく》んだ|暗《くら》い|濃《こ》き|雲《くも》をその|幕屋《まくや》とされました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そのみ|前《まえ》の|輝《かがや》きから|濃《こ》き|雲《くも》を|破《やぶ》って、 ひょうと|燃《も》える|炭《すみ》とが|降《ふ》ってきました。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|天《てん》に|雷《かみなり》をとどろかせ、 いと|高《たか》き|者《もの》がみ|声《こえ》を|出《だ》されると、 ひょうと|燃《も》える|炭《すみ》とが|降《ふ》ってきました。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|矢《や》を|放《はな》って|彼《かれ》らを|散《ち》らし、 いなずまをひらめかして|彼《かれ》らを|打《う》ち|敗《やぶ》られました。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、そのとき、あなたのとがめと、 あなたの|鼻《はな》のいぶきとによって、|海《うみ》の|底《そこ》はあらわれ、 |地《ち》の|基《もとい》があらわになったのです。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|高《たか》い|所《ところ》からみ|手《て》を|伸《の》べて、わたしを|捕《とら》え、 |大水《おおみず》からわたしを|引《ひ》きあげ、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|強《つよ》い|敵《てき》と、わたしを|憎《にく》む|者《もの》とから わたしを|助《たす》け|出《だ》されました。 |彼《かれ》らはわたしにまさって|強《つよ》かったからです。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしの|災《わざわい》の|日《ひ》にわたしを|襲《おそ》いました。 しかし|主《しゅ》はわたしのささえとなられました。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしを|広《ひろ》い|所《ところ》につれ|出《だ》し、 わたしを|喜《よろこ》ばれるがゆえに、わたしを|助《たす》けられました。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|義《ぎ》にしたがってわたしに|報《むく》い、 わたしの|手《て》の|清《きよ》きにしたがって わたしに|報《むく》いかえされました。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》の|道《みち》を|守《まも》り、 |悪意《あくい》をもって、わが|神《かみ》を|離《はな》れたことがなかったのです、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そのすべてのおきてはわたしの|前《まえ》にあって、 わたしはその|定《さだ》めを|捨《す》てたことがなかったのです。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》の|前《まえ》に|欠《か》けたところがなく、 |自分《じぶん》を|守《まも》って|罪《つみ》を|犯《おか》しませんでした。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに|主《しゅ》はわたしの|義《ぎ》にしたがい、 その|目《め》の|前《まえ》にわたしの|手《て》の|清《きよ》きにしたがって わたしに|報《むく》いられました。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはいつくしみある|者《もの》には、 いつくしみある|者《もの》となり、 |欠《か》けたところのない|者《もの》には、 |欠《か》けたところのない|者《もの》となり、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|清《きよ》い|者《もの》には、|清《きよ》い|者《もの》となり、 ひがんだ|者《もの》には、ひがんだ|者《もの》となられます。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|苦《くる》しんでいる|民《たみ》を|救《すく》われますが、 |高《たか》ぶる|目《め》をひくくされるのです。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしのともしびをともし、 わが|神《かみ》、|主《しゅ》はわたしのやみを|照《てら》されます。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]まことに、わたしはあなたによって|敵《てき》|軍《ぐん》を|打《う》ち|破《やぶ》り、 わが|神《かみ》によって|城壁《じょうへき》をとび|越《こ》えることができます。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]この|神《かみ》こそ、その|道《みち》は|完全《かんぜん》であり、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》は|真実《しんじつ》です。 |主《しゅ》はすべて|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》の|盾《たて》です。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のほかに、だれが|神《かみ》でしょうか。 われらの|神《かみ》のほかに、だれが|岩《いわ》でしょうか。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわたしに|力《ちから》を|帯《お》びさせ、 わたしの|道《みち》を|安全《あんぜん》にされました。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわたしの|足《あし》をめじかの|足《あし》のようにされ、 わたしを|高《たか》い|所《ところ》に|安全《あんぜん》に|立《た》たせ、 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|手《て》を|戦《たたか》いに|慣《な》らされたので、 わたしの|腕《うで》は|青銅《せいどう》の|弓《ゆみ》をもひくことができます。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|救《すくい》の|盾《たて》をわたしに|与《あた》え、 あなたの|右《みぎ》の|手《て》はわたしをささえ、 あなたの|助《たす》けはわたしを|大《おお》いなる|者《もの》とされました。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしの|歩《あゆ》む|所《ところ》を|広《ひろ》くされたので、 わたしの|足《あし》はすべらなかったのです。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|敵《てき》を|追《お》って、これに|追《お》いつき、 これを|滅《ほろ》ぼしつくすまでは|帰《かえ》らなかったのです。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》らを|突《つ》き|通《とお》したので、 |彼《かれ》らは|立《た》ちあがることができず、 わたしの|足《あし》もとに|倒《たお》れました。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|戦《たたか》いのためにわたしに|力《ちから》を|帯《お》びさせ、 わたしに|立《た》ち|向《む》かう|者《もの》らをわたしのもとに、 かがませられました。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|敵《てき》にその|後《うしろ》をわたしに|向《む》けさせられたので、 わたしは|自分《じぶん》を|憎《にく》む|者《もの》を|滅《ほろ》ぼしました。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|助《たす》けを|叫《さけ》び|求《もと》めたが、|救《すく》う|者《もの》はなく、 |主《しゅ》にむかって|叫《さけ》んだけれども、 |彼《かれ》らに|答《こた》えられなかったのです。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|風《かぜ》の|前《まえ》のちりのように|細《こま》かに|砕《くだ》き、 ちまたの|泥《どろ》のように|打《う》ち|捨《す》てました。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|民《たみ》の|争《あらそ》いからわたしを|救《すく》い、 わたしをもろもろの|国民《くにたみ》のかしらとされました。 わたしの|知《し》らなかった|民《たみ》がわたしに|仕《つか》えました。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしの|事《こと》を|聞《き》くと、ただちにわたしに|従《したが》い、 |異邦《いほう》の|人々《ひとびと》はきて、わたしにへつらいました。 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|異邦《いほう》の|人々《ひとびと》は|打《う》ちしおれて、 その|城《しろ》から|震《ふる》えながら|出《で》てきました。 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|生《い》きておられます。わが|岩《いわ》はほむべきかな。 わが|救《すくい》の|神《かみ》はあがむべきかな。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわたしにあだを|報《むく》いさせ、 もろもろの|民《たみ》をわたしのもとに|従《したが》わせ、 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》からわたしを|救《すく》い|出《だ》されました。 まことに、あなたはわたしに|逆《さか》らって |起《おこ》りたつ|者《もの》の|上《うえ》にわたしをあげ、 |不法《ふほう》の|人《ひと》からわたしを|救《すく》い|出《だ》されました。 [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに|主《しゅ》よ、 わたしはもろもろの|国民《くにたみ》のなかであなたをたたえ、 あなたのみ|名《な》をほめ|歌《うた》います。 [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|王《おう》に|大《おお》いなる|勝利《しょうり》を|与《あた》え、 その|油《あぶら》そそがれた|者《もの》に、ダビデとその|子孫《しそん》とに、 とこしえにいつくしみを|加《くわ》えられるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第一九篇[#「第一九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|天《てん》は|神《かみ》の|栄光《えいこう》をあらわし、 |大空《おおぞら》はみ|手《て》のわざをしめす。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》は|言葉《ことば》をかの|日《ひ》につたえ、 この|夜《よ》は|知識《ちしき》をかの|夜《よ》につげる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|話《はな》すことなく、|語《かた》ることなく、 その|声《こえ》も|聞《きこ》えないのに、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|響《ひび》きは|全《ぜん》|地《ち》にあまねく、 その|言葉《ことば》は|世界《せかい》のはてにまで|及《およ》ぶ。 |神《かみ》は|日《ひ》のために|幕屋《まくや》を|天《てん》に|設《もう》けられた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》は|花婿《はなむこ》がその|祝《いわい》のへやから|出《で》てくるように、 また|勇士《ゆうし》が|競《きそ》い|走《はし》るように、その|道《みち》を|喜《よろこ》び|走《はし》る。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それは|天《てん》のはてからのぼって、 |天《てん》のはてにまで、めぐって|行《い》く。 その|暖《あたた》まりをこうむらないものはない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のおきては|完全《かんぜん》であって、|魂《たましい》を|生《い》きかえらせ、 |主《しゅ》のあかしは|確《たし》かであって、|無学《むがく》な|者《もの》を|賢《かしこ》くする。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のさとしは|正《ただ》しくて、|心《こころ》を|喜《よろこ》ばせ、 |主《しゅ》の|戒《いまし》めはまじりなくて、|眼《まなこ》を|明《あき》らかにする。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|道《みち》は|清《きよ》らかで、 とこしえに|絶《た》えることがなく、 |主《しゅ》のさばきは|真実《しんじつ》であって、ことごとく|正《ただ》しい。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これらは|金《きん》よりも、|多《おお》くの|純金《じゅんきん》よりも|慕《した》わしく、 また|蜜《みつ》よりも、|蜂《はち》の|巣《す》のしたたりよりも|甘《あま》い。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべは、これらによって|戒《いまし》めをうける。 これらを|守《まも》れば、|大《おお》いなる|報《むく》いがある。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]だれが|自分《じぶん》のあやまちを|知《し》ることができましようか。 どうか、わたしを|隠《かく》れたとがから|解《と》き|放《はな》ってください。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたのしもべを|引《ひ》きとめて、 |故意《こい》の|罪《つみ》を|犯《おか》させず、 これに|支配《しはい》されることのないようにしてください。 そうすれば、わたしはあやまちのない|者《もの》となって、 |大《おお》いなるとがを|免《まぬか》れることができるでしょう。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わが|岩《いわ》、わがあがないぬしなる|主《しゅ》よ、 どうか、わたしの|口《くち》の|言葉《ことば》と、|心《こころ》の|思《おも》いが あなたの|前《まえ》に|喜《よろこ》ばれますように。 [#ここで字下げ終わり] 第二〇篇[#「第二〇篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|悩《なや》みの|日《ひ》にあなたに|答《こた》え、 ヤコブの|神《かみ》のみ|名《な》があなたを|守《まも》られるように。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|聖所《せいじょ》から|助《たす》けをあなたにおくり、 シオンからあなたをささえ、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのもろもろの|供《そな》え|物《もの》をみ|心《こころ》にとめ、 あなたの|燔祭《はんさい》をうけられるように。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたの|心《こころ》の|願《ねが》いをゆるし、 あなたのはかりごとを ことごとく|遂《と》げさせられるように。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われらがあなたの|勝利《しょうり》を|喜《よろこ》びうたい、 われらの|神《かみ》のみ|名《な》によって|旗《はた》を|揚《あ》げるように。 |主《しゅ》があなたの|求《もと》めをすべて|遂《と》げさせられるように。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしは|知《し》る、 |主《しゅ》はその|油《あぶら》そそがれた|者《もの》を|助《たす》けられることを。 |主《しゅ》はその|右《みぎ》の|手《て》による|大《おお》いなる|勝利《しょうり》をもって その|聖《せい》なる|天《てん》から|彼《かれ》に|答《こた》えられるであろう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ある|者《もの》は|戦車《せんしゃ》を|誇《ほこ》り、ある|者《もの》は|馬《うま》を|誇《ほこ》る。 しかしわれらは、われらの|神《かみ》、 |主《しゅ》のみ|名《な》を|誇《ほこ》る。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはかがみ、また|倒《たお》れる。 しかしわれらは|起《お》きて、まっすぐに|立《た》つ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|王《おう》に|勝利《しょうり》をおさずけください。 われらが|呼《よ》ばわる|時《とき》、われらにお|答《こた》えください。 [#ここで字下げ終わり] 第二一篇[#「第二一篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|王《おう》はあなたの|力《ちから》によって|喜《よろこ》び、 あなたの|助《たす》けによって、 いかに|大《おお》きな|喜《よろこ》びをもつことでしょう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》の|心《こころ》の|願《ねが》いをゆるし、 そのくちびるの|求《もと》めをいなまれなかった。〔セラ [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大《おお》いなる|恵《めぐ》みをもって|彼《かれ》を|迎《むか》え、 そのかしらに|純金《じゅんきん》の|冠《かんむり》をいただかせられる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がいのちを|求《もと》めると、あなたはそれを|彼《かれ》にさずけ、 |世々《よよ》|限《かぎ》りなくそのよわいを|長《なが》くされた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|助《たす》けによって|彼《かれ》の|栄光《えいこう》は|大《おお》きい。 あなたは|誉《ほまれ》と|威厳《いげん》とを|彼《かれ》に|与《あた》えられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]まことに、あなたは|彼《かれ》をとこしえに|恵《めぐ》まれた|者《もの》とし、 み|前《まえ》に|喜《よろこ》びをもって|楽《たの》しませられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|主《しゅ》に|信頼《しんらい》するゆえ、 いと|高《たか》き|者《もの》のいつくしみをこうむって、 |動《うご》かされることはない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|手《て》はもろもろの|敵《てき》を|尋《たず》ね|出《だ》し、 あなたの|右《みぎ》の|手《て》はあなたを|憎《にく》む|者《もの》を |尋《たず》ね|出《だ》すであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|怒《いか》る|時《とき》、 |彼《かれ》らを|燃《も》える|炉《ろ》のようにするであろう。 |主《しゅ》はみ|怒《いか》りによって|彼《かれ》らをのみつくされる。 |火《ひ》は|彼《かれ》らを|食《く》いつくすであろう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らのすえを|地《ち》から|断《た》ち、 |彼《かれ》らの|種《たね》を|人《ひと》の|子《こ》らの|中《なか》から|滅《ほろ》ぼすであろう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らがあなたにむかって|悪《わる》い|事《こと》を|企《くわだ》て、 |悪《わる》いはかりごとを|思《おも》いめぐらしても、 なし|遂《と》げることはできない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らを|逃《に》げ|走《はし》らせ、 あなたの|弓弦《ゆみづる》を|張《は》って、|彼《かれ》らの|顔《かお》をねらうであろう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|力《ちから》をあらわして、みずからを|高《たか》くしてください。 われらはあなたの|大能《たいのう》をうたい、 かつほめたたえるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第二二篇[#「第二二篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってあけぼののめじかのしらべにあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、わが|神《かみ》、 なにゆえわたしを|捨《す》てられるのですか。 なにゆえ|遠《とお》く|離《はな》れてわたしを|助《たす》けず、 わたしの|嘆《なげ》きの|言葉《ことば》を|聞《き》かれないのですか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、わたしが|昼《ひる》よばわっても、 あなたは|答《こた》えられず、 |夜《よる》よばわっても|平安《へいあん》を|得《え》ません。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルのさんびの|上《うえ》に|座《ざ》しておられる あなたは|聖《せい》なるおかたです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われらの|先祖《せんぞ》たちはあなたに|信頼《しんらい》しました。 |彼《かれ》らが|信頼《しんらい》したので、あなたは|彼《かれ》らを|助《たす》けられました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたに|呼《よ》ばわって|救《すく》われ、 あなたに|信頼《しんらい》して|恥《はじ》をうけなかったのです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|虫《むし》であって、|人《ひと》ではない。 |人《ひと》にそしられ、|民《たみ》に|侮《あなど》られる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべてわたしを|見《み》る|者《もの》は、わたしをあざ|笑《あざわら》い、 くちびるを|突《つ》き|出《だ》し、かしらを|振《ふ》り|動《うご》かして|言《い》う、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》は|主《しゅ》に|身《み》をゆだねた、|主《しゅ》に|彼《かれ》を|助《たす》けさせよ。 |主《しゅ》は|彼《かれ》を|喜《よろこ》ばれるゆえ、|主《しゅ》に|彼《かれ》を|救《すく》わせよ」と。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたはわたしを|生《うま》れさせ、 |母《はは》のふところにわたしを|安《やす》らかに|守《まも》られた|方《かた》です。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|生《うま》れた|時《とき》から、あなたにゆだねられました。 |母《はは》の|胎《たい》を|出《で》てからこのかた、 あなたはわたしの|神《かみ》でいらせられました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|遠《とお》く|離《はな》れないでください。 |悩《なや》みが|近《ちか》づき、|助《たす》ける|者《もの》がないのです。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|雄牛《おうし》はわたしを|取《と》り|巻《ま》き、 バシャンの|強《つよ》い|雄牛《おうし》はわたしを|囲《かこ》み、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]かき|裂《さ》き、ほえたけるししのように、 わたしにむかって|口《くち》を|開《ひら》く。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|水《みず》のように|注《そそ》ぎ|出《だ》され、 わたしの|骨《ほね》はことごとくはずれ、 わたしの|心臓《しんぞう》は、ろうのように、|胸《むね》のうちで|溶《と》けた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|力《ちから》は|陶器《とうき》の|破片《はへん》のようにかわき、 わたしの|舌《した》はあごにつく。 あなたはわたしを|死《し》のちりに|伏《ふ》させられる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]まことに、|犬《いぬ》はわたしをめぐり、 |悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》の|群《む》れがわたしを|囲《かこ》んで、 わたしの|手《て》と|足《あし》を|刺《さ》し|貫《つらぬ》いた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》の|骨《ほね》をことごとく|数《かぞ》えることができる。 |彼《かれ》らは|目《め》をとめて、わたしを|見《み》る。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|互《たがい》にわたしの|衣服《いふく》を|分《わ》け、 わたしの|着物《きもの》をくじ|引《びき》にする。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、|遠《とお》く|離《はな》れないでください。 わが|力《ちから》よ、|速《はや》く|来《き》てわたしをお|助《たす》けください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|魂《たましい》をつるぎから、 わたしのいのちを|犬《いぬ》の|力《ちから》から|助《たす》け|出《だ》してください。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしをししの|口《くち》から、 |苦《くる》しむわが|魂《たましい》を|野牛《のうし》の|角《つの》から|救《すく》い|出《だ》してください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのみ|名《な》を|兄弟《きょうだい》たちに|告《つ》げ、 |会衆《かいしゅう》の|中《なか》であなたをほめたたえるでしょう。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》よ、|主《しゅ》をほめたたえよ。 ヤコブのもろもろのすえよ、|主《しゅ》をあがめよ。 イスラエルのもろもろのすえよ、|主《しゅ》をおじおそれよ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|苦《くる》しむ|者《もの》の|苦《くる》しみをかろんじ、いとわれず、 またこれにみ|顔《かお》を|隠《かく》すことなく、 その|叫《さけ》ぶときに|聞《き》かれたからである。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いなる|会衆《かいしゅう》の|中《なか》で、 わたしのさんびはあなたから|出《で》るのです。 わたしは|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》の|前《まえ》で、 わたしの|誓《ちか》いを|果《はた》します。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》は|食《た》べて|飽《あ》くことができ、 |主《しゅ》を|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》は|主《しゅ》をほめたたえるでしょう。 どうか、あなたがたの|心《こころ》がとこしえに|生《い》きるように。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のはての|者《もの》はみな|思《おも》い|出《だ》して、|主《しゅ》に|帰《かえ》り、 もろもろの|国《くに》のやからはみな、 み|前《まえ》に|伏《ふ》し|拝《おが》むでしょう。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》は|主《しゅ》のものであって、 |主《しゅ》はもろもろの|国民《くにたみ》を|統《す》べ|治《おさ》められます。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|誇《ほこ》り|高《たか》ぶる|者《もの》はみな|主《しゅ》を|拝《おが》み、 ちりに|下《くだ》る|者《もの》も、 おのれを|生《い》きながらえさせえない|者《もの》も、 みなそのみ|前《まえ》にひざまずくでしょう。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|子々孫々《ししそんそん》、|主《しゅ》に|仕《つか》え、 |人々《ひとびと》は|主《しゅ》のことをきたるべき|代《よ》まで|語《かた》り|伝《つた》え、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がなされたその|救《すくい》を |後《のち》に|生《うま》れる|民《たみ》にのべ|伝《つた》えるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第二三篇[#「第二三篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|牧者《ぼくしゃ》であって、 わたしには|乏《とぼ》しいことがない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしを|緑《みどり》の|牧場《まきば》に|伏《ふ》させ、 いこいのみぎわに|伴《ともな》われる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|魂《たましい》をいきかえらせ、 み|名《な》のためにわたしを|正《ただ》しい|道《みち》に|導《みちび》かれる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしは|死《し》の|陰《かげ》の|谷《たに》を|歩《あゆ》むとも、 わざわいを|恐《おそ》れません。 あなたがわたしと|共《とも》におられるからです。 あなたのむちと、あなたのつえはわたしを|慰《なぐさ》めます。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|敵《てき》の|前《まえ》で、わたしの|前《まえ》に|宴《えん》を|設《もう》け、 わたしのこうべに|油《あぶら》をそそがれる。 わたしの|杯《さかずき》はあふれます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|生《い》きているかぎりは |必《かなら》ず|恵《めぐ》みといつくしみとが|伴《ともな》うでしょう。 わたしはとこしえに|主《しゅ》の|宮《みや》に|住《す》むでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第二四篇[#「第二四篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》と、それに|満《み》ちるもの、 |世界《せかい》と、そのなかに|住《す》む|者《もの》とは|主《しゅ》のものである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|基《もとい》を|大海《たいかい》のうえにすえ、 |大川《おおかわ》のうえに|定《さだ》められた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|山《やま》に|登《のぼ》るべき|者《もの》はだれか。 その|聖所《せいじょ》に|立《た》つべき|者《もの》はだれか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|手《て》が|清《きよ》く、|心《こころ》のいさぎよい|者《もの》、 その|魂《たましい》がむなしい|事《こと》に|望《のぞ》みをかけない|者《もの》、 |偽《いつわ》って|誓《ちか》わない|者《もの》こそ、その|人《ひと》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は|主《しゅ》から|祝福《しゅくふく》をうけ、 その|救《すくい》の|神《かみ》から|義《ぎ》をうける。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これこそ|主《しゅ》を|慕《した》う|者《もの》のやから、 ヤコブの|神《かみ》の、み|顔《かお》を|求《もと》める|者《もの》のやからである。〔セラ [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》よ、こうべをあげよ。とこしえの|戸《と》よ、あがれ。 |栄光《えいこう》の|王《おう》がはいられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|栄光《えいこう》の|王《おう》とはだれか。 |強《つよ》く|勇《いさ》ましい|主《しゅ》、|戦《たたか》いに|勇《いさ》ましい|主《しゅ》である。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》よ、こうべをあげよ。とこしえの|戸《と》よ、あがれ。 |栄光《えいこう》の|王《おう》がはいられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|栄光《えいこう》の|王《おう》とはだれか。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、これこそ|栄光《えいこう》の|王《おう》である。〔セラ [#ここで字下げ終わり] 第二五篇[#「第二五篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わが|魂《たましい》はあなたを|仰《あお》ぎ|望《のぞ》みます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、わたしはあなたに|信頼《しんらい》します。 どうか、わたしをはずかしめず、 わたしの|敵《てき》を|勝《か》ち|誇《ほこ》らせないでください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたを|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》をはずかしめず、 みだりに|信義《しんぎ》にそむく|者《もの》をはずかしめてください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|大路《おおじ》をわたしに|知《し》らせ、 あなたの|道《みち》をわたしに|教《おし》えてください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたのまことをもって、わたしを|導《みちび》き、 わたしを|教《おし》えてください。 あなたはわが|救《すくい》の|神《かみ》です。 わたしはひねもすあなたを|待《ま》ち|望《のぞ》みます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのあわれみと、いつくしみとを |思《おも》い|出《だ》してください。 これはいにしえから|絶《た》えることがなかったのです。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|若《わか》き|時《とき》の|罪《つみ》と、とがとを |思《おも》い|出《だ》さないでください。 |主《しゅ》よ、あなたの|恵《めぐ》みのゆえに、 あなたのいつくしみにしたがって、 わたしを|思《おも》い|出《だ》してください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、かつ|正《ただ》しくいらせられる。 それゆえ、|主《しゅ》は|道《みち》を|罪《つみ》びとに|教《おし》え、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]へりくだる|者《もの》を|公義《こうぎ》に|導《みちび》き、 へりくだる|者《もの》にその|道《みち》を|教《おし》えられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のすべての|道《みち》はその|契約《けいやく》とあかしとを|守《まも》る|者《もの》には いつくしみであり、まことである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、み|名《な》のために、わたしの|罪《つみ》をおゆるしください。 わたしの|罪《つみ》は|大《おお》きいのです。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|人《ひと》はだれか。 |主《しゅ》はその|選《えら》ぶべき|道《みち》をその|人《ひと》に|教《おし》えられる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はみずからさいわいに|住《す》まい、 そのすえは|地《ち》を|継《つ》ぐであろう。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|親《した》しみは|主《しゅ》をおそれる|者《もの》のためにあり、 |主《しゅ》はその|契約《けいやく》を|彼《かれ》らに|知《し》らせられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》は|常《つね》に|主《しゅ》に|向《む》かっている。 |主《しゅ》はわたしの|足《あし》を|網《あみ》から|取《と》り|出《だ》されるからである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。 わたしはひとりわびしく|苦《くる》しんでいるのです。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》の|悩《なや》みをゆるめ、 わたしを|苦《くる》しみから|引《ひ》き|出《だ》してください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|苦《くる》しみ|悩《なや》みをかえりみ、 わたしのすべての|罪《つみ》をおゆるしください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》がいかに|多《おお》く、 かつ|激《はげ》しい|憎《にく》しみをもって わたしを|憎《にく》んでいるかをごらんください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|魂《たましい》を|守《まも》り、わたしをお|助《たす》けください。 わたしをはずかしめないでください。 わたしはあなたに|寄《よ》り|頼《たよ》んでいます。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|誠実《せいじつ》と|潔白《けっぱく》とが、 わたしを|守《まも》ってくれるように。 わたしはあなたを|待《ま》ち|望《のぞ》んでいます。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、イスラエルをあがない、 すべての|悩《なや》みから|救《すく》いだしてください。 [#ここで字下げ終わり] 第二六篇[#「第二六篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをさばいてください。 わたしは|誠実《せいじつ》に|歩《あゆ》み、 |迷《まよ》うことなく|主《しゅ》に|信頼《しんらい》しています。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをためし、わたしを|試《こころ》み、 わたしの|心《こころ》と|思《おも》いとを|練《ね》りきよめてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみはわたしの|目《め》の|前《まえ》にあり、 わたしはあなたのまことによって|歩《あゆ》みました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|偽《いつわ》る|人々《ひとびと》と|共《とも》にすわらず、 |偽善者《ぎぜんしゃ》と|交《まじ》わらず、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》のつどいを|憎《にく》み、 |悪《あ》しき|者《もの》と|共《とも》にすわることをしません。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしは|手《て》を|洗《あら》って、|罪《つみ》のないことを|示《しめ》し、 あなたの|祭壇《さいだん》をめぐって、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|感謝《かんしゃ》の|歌《うた》を|声《こえ》|高《たか》くうたい、 あなたのくすしきみわざをことごとくのべ|伝《つた》えます。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたの|住《す》まわれる|家《いえ》と、 あなたの|栄光《えいこう》のとどまる|所《ところ》とを|愛《あい》します。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わたしを|罪《つみ》びとと|共《とも》に、 わたしのいのちを、|血《ち》を|流《なが》す|人々《ひとびと》と|共《とも》に、 |取《と》り|去《さ》らないでください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|手《て》には|悪《わる》い|企《くわだ》てがあり、 |彼《かれ》らの|右《みぎ》の|手《て》は、まいないで|満《み》ちています。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|誠実《せいじつ》に|歩《あゆ》みます。 わたしをあがない、わたしをあわれんでください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|足《あし》は|平《たい》らかな|所《ところ》に|立《た》っています。 わたしは|会衆《かいしゅう》のなかで|主《しゅ》をたたえましょう。 [#ここで字下げ終わり] 第二七篇[#「第二七篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|光《ひかり》、わたしの|救《すくい》だ、 わたしはだれを|恐《おそ》れよう。 |主《しゅ》はわたしの|命《いのち》のとりでだ。 わたしはだれをおじ|恐《おそ》れよう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしのあだ、わたしの|敵《てき》である|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》どもが、 |襲《おそ》ってきて、わたしをそしり、わたしを|攻《せ》めるとき、 |彼《かれ》らはつまずき|倒《たお》れるであろう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]たとい|軍勢《ぐんぜい》が|陣営《じんえい》を|張《は》って、わたしを|攻《せ》めても、 わたしの|心《こころ》は|恐《おそ》れない。 たといいくさが|起《た》って、わたしを|攻《せ》めても、 なおわたしはみずから|頼《たの》むところがある。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは一つの|事《こと》を|主《しゅ》に|願《ねが》った、 わたしはそれを|求《もと》める。 わたしの|生《い》きるかぎり、|主《しゅ》の|家《いえ》に|住《す》んで、 |主《しゅ》のうるわしきを|見《み》、その|宮《みや》で|尋《たず》ねきわめることを。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それは|主《しゅ》が|悩《なや》みの|日《ひ》に、 その|仮屋《かりや》のうちにわたしを|潜《ひそ》ませ、 その|幕屋《まくや》の|奥《おく》にわたしを|隠《かく》し、 |岩《いわ》の|上《うえ》にわたしを|高《たか》く|置《お》かれるからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしのこうべはわたしをめぐる|敵《てき》の|上《うえ》に |高《たか》くあげられる。 それゆえ、わたしは|主《しゅ》の|幕屋《まくや》で |喜《よろこ》びの|声《こえ》をあげて、いけにえをささげ、 |歌《うた》って、|主《しゅ》をほめたたえるであろう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしが|声《こえ》をあげて|呼《よ》ばわるとき、 |聞《き》いて、わたしをあわれみ、わたしに|答《こた》えてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|仰《おお》せられました、 「わが|顔《かお》をたずね|求《もと》めよ」と。 あなたにむかって、わたしの|心《こころ》は|言《い》います、 「|主《しゅ》よ、わたしはみ|顔《かお》をたずね|求《もと》めます」と。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]み|顔《かお》をわたしに|隠《かく》さないでください。 |怒《いか》ってあなたのしもべを|退《しりぞ》けないでください。 あなたはわたしの|助《たす》けです。 わが|救《すくい》の|神《かみ》よ、わたしを|追《お》い|出《だ》し、 わたしを|捨《す》てないでください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]たとい|父母《ふぼ》がわたしを|捨《す》てても、 |主《しゅ》がわたしを|迎《むか》えられるでしょう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|道《みち》をわたしに|教《おし》え、 わたしのあだのゆえに、 わたしを|平《たい》らかな|道《みち》に|導《みちび》いてください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしのあだの|望《のぞ》むがままに、 わたしを|引《ひ》き|渡《わた》さないでください。 |偽《いつわ》りのあかしをする|者《もの》がわたしに|逆《さか》らって|起《おこ》り、 |暴言《ぼうげん》を|吐《は》くからです。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|信《しん》じます、 |生《い》ける|者《もの》の|地《ち》でわたしは|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを|見《み》ることを。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め、|強《つよ》く、かつ|雄々《おお》しくあれ。 |主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め。 [#ここで字下げ終わり] 第二八篇[#「第二八篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたにむかって|呼《よ》ばわります。 わが|岩《いわ》よ、わたしにむかって |耳《みみ》しいとならないでください。 もしあなたが|黙《だま》っておられるならば、おそらく、 わたしは|墓《はか》に|下《くだ》る|者《もの》と|等《ひと》しくなるでしょう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたにむかって|助《たす》けを|求《もと》め、 あなたの|至聖所《しせいじょ》にむかって|手《て》をあげるとき、 わたしの|願《ねが》いの|声《こえ》を|聞《き》いてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》および|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》らと|共《とも》に わたしを|引《ひ》き|行《ゆ》かないでください。 |彼《かれ》らはその|隣《とな》り|人《びと》とむつまじく|語《かた》るけれども、 その|心《こころ》には|害悪《がいあく》をいだく|者《もの》です。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、そのわざにしたがい、 その|悪《あ》しき|行《おこな》いにしたがって|彼《かれ》らに|報《むく》い、 その|手《て》のわざにしたがって|彼《かれ》らに|報《むく》い、 その|受《う》くべき|罰《ばつ》を|彼《かれ》らに|与《あた》えてください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》のもろもろのみわざと、 み|手《て》のわざとを|顧《かえり》みないゆえに、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らを|倒《たお》して、|再《ふたた》び|建《た》てられることはない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はほむべきかな。 |主《しゅ》はわたしの|願《ねが》いの|声《こえ》を|聞《き》かれた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわが|力《ちから》、わが|盾《たて》。 わたしの|心《こころ》は|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》む。 わたしは|助《たす》けを|得《え》たので、わたしの|心《こころ》は|大《おお》いに|喜《よろこ》び、 |歌《うた》をもって|主《しゅ》をほめたたえる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》の|力《ちから》、 その|油《あぶら》そそがれた|者《もの》の|救《すくい》のとりでである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、あなたの|民《たみ》を|救《すく》い、あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》を|恵《めぐ》み、 |彼《かれ》らの|牧者《ぼくしゃ》となって、とこしえに|彼《かれ》らをいだき|導《みちび》いてください。 [#ここで字下げ終わり] 第二九篇[#「第二九篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|子《こ》らよ、|主《しゅ》に|帰《き》せよ、 |栄光《えいこう》と|力《ちから》とを|主《しゅ》に|帰《き》せよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]み|名《な》の|栄光《えいこう》を|主《しゅ》に|帰《き》せよ、 |聖《せい》なる|装《よそお》いをもって|主《しゅ》を|拝《おが》め。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|声《こえ》は|水《みず》の|上《うえ》にあり、 |栄光《えいこう》の|神《かみ》は|雷《かみなり》をとどろかせ、 |主《しゅ》は|大《だい》|水《みず》の|上《うえ》におられる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|声《こえ》は|力《ちから》があり、 |主《しゅ》のみ|声《こえ》は|威厳《いげん》がある。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|声《こえ》は|香柏《こうはく》を|折《お》り|砕《くだ》き、 |主《しゅ》はレバノンの|香柏《こうはく》を|折《お》り|砕《くだ》かれる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はレバノンを|子《こ》|牛《うし》のように|踊《おど》らせ、 シリオンを|若《わか》い|野牛《のうし》のように|踊《おど》らされる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|声《こえ》は|炎《ほのお》をひらめかす。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|声《こえ》は|荒野《あらの》を|震《ふる》わせ、 |主《しゅ》はカデシの|荒野《あらの》を|震《ふる》わされる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|声《こえ》はかしの|木《き》を|巻《ま》きあげ、また|林《はやし》を|裸《はだか》にする。 その|宮《みや》で、すべてのものは|呼《よ》ばわって|言《い》う、 「|栄光《えいこう》」と。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は洪|水《みず》の|上《うえ》に|座《ざ》し、 |主《しゅ》はみくらに|座《ざ》して、とこしえに|王《おう》であらせられる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》に|力《ちから》を|与《あた》え、 |平安《へいあん》をもってその|民《たみ》を|祝福《しゅくふく》されるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第三〇篇[#「第三〇篇」は中見出し] [#斜体]|宮《みや》をささげるときにうたったダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたをあがめます。 あなたはわたしを|引《ひ》きあげ、 |敵《てき》がわたしの|事《こと》によって|喜《よろこ》ぶのを、 ゆるされなかったからです。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 わたしがあなたにむかって|助《たす》けを|叫《さけ》び|求《もと》めると、 あなたはわたしをいやしてくださいました。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわたしの|魂《たましい》を|陰府《よみ》からひきあげ、 |墓《はか》に|下《くだ》る|者《もの》のうちから、 わたしを|生《い》き|返《かえ》らせてくださいました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|聖徒《せいと》よ、|主《しゅ》をほめうたい、 その|聖《せい》なるみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》せよ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|怒《いか》りはただつかのまで、 その|恵《めぐ》みはいのちのかぎり|長《なが》いからである。 |夜《よる》はよもすがら|泣《な》きかなしんでも、 |朝《あさ》と|共《とも》に|喜《よろこ》びが|来《く》る。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|安《やす》らかな|時《とき》に|言《い》った、 「わたしは|決《けっ》して|動《うご》かされることはない」と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなた|恵《めぐ》みをもって、 わたしをゆるがない|山《やま》のように|堅《かた》くされました。 あなたがみ|顔《かお》をかくされたので、 わたしはおじ|惑《まど》いました。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|呼《よ》ばわりました。 ひたすら|主《しゅ》に|請《こ》い|願《ねが》いました、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「わたしが|墓《はか》に|下《くだ》るならば、 わたしの|死《し》になんの|益《えき》があるでしょうか。 ちりはあなたをほめたたえるでしょうか。 あなたのまことをのべ|伝《つた》えるでしょうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|聞《き》いてください、わたしをあわれんでください。 |主《しゅ》よ、わたしの|助《たす》けとなってください」と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしのために、|嘆《なげ》きを|踊《おど》りにかえ、 |荒布《あらぬの》を|解《と》き、|喜《よろこ》びをわたしの|帯《おび》とされました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これはわたしの|魂《たましい》があなたをほめたたえて、 |口《くち》をつぐむことのないためです。 わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 わたしはとこしえにあなたに|感謝《かんしゃ》します。 [#ここで字下げ終わり] 第三一篇[#「第三一篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 とこしえにわたしをはずかしめず、 あなたの|義《ぎ》をもってわたしをお|助《たす》けください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|耳《みみ》をわたしに|傾《かたむ》けて、 すみやかにわたしをお|救《すく》いください。 わたしのためにのがれの|岩《いわ》となり、 わたしを|救《すく》う|堅固《けんご》な|城《しろ》となってください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]まことに、あなたはわたしの|岩《いわ》、わたしの|城《しろ》です。 み|名《な》のためにわたしを|引《ひ》き、わたしを|導《みちび》き、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしのためにひそかに|設《もう》けた|網《あみ》から わたしを|取《と》り|出《だ》してください。 あなたはわたしの|避《さ》け|所《どころ》です。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わが|魂《たましい》をみ|手《て》にゆだねます。 |主《しゅ》、まことの|神《かみ》よ、 あなたはわたしをあがなわれました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはむなしい|偶像《ぐうぞう》に|心《こころ》を|寄《よ》せる|者《もの》を|憎《にく》まれます。 しかしわたしは|主《しゅ》に|信頼《しんらい》し、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみを|喜《よろこ》び|楽《たの》しみます。 あなたがわたしの|苦《くる》しみをかえりみ、 わたしの|悩《なや》みにみこころをとめ、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|敵《てき》の|手《て》にわたさず、 わたしの|足《あし》を|広《ひろ》い|所《ところ》に|立《た》たせられたからです。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをあわれんでください。 わたしは|悩《なや》み|苦《くる》しんでいます。 わたしの|目《め》は|憂《うれ》いによって|衰《おとろ》え、 わたしの|魂《たましい》も、からだもまた|衰《おとろ》えました。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしのいのちは|悲《かな》しみによって|消《き》えゆき、 わたしの|年《とし》は|嘆《なげ》きによって|消《き》えさり、 わたしの|力《ちから》は|苦《くる》しみによって|尽《つ》き、 わたしの|骨《ほね》は|枯《か》れはてました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすべてのあだにそしられる|者《もの》となり、 |隣《とな》り|人《びと》には|恐《おそ》れられ、 |知《し》り|人《ひと》には|恐《おそ》るべき|者《もの》となり、 ちまたでわたしを|見《み》る|者《もの》は|避《さ》けて|逃《に》げます。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|死《し》んだ|者《もの》のように|人《ひと》の|心《こころ》に|忘《わす》れられ、 |破《やぶ》れた|器《うつわ》のようになりました。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]まことに、わたしは|多《おお》くの|人《ひと》のささやくのを|聞《き》きます、 「|至《いた》る|所《ところ》に|恐《おそ》るべきことがある」と。 |彼《かれ》らはわたしに|逆《さか》らってともに|計《はか》り、 わたしのいのちを|取《と》ろうと、たくらむのです。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|信頼《しんらい》して、|言《い》います、 「あなたはわたしの|神《かみ》である」と。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|時《とき》はあなたのみ|手《て》にあります。 わたしをわたしの|敵《てき》の|手《て》と、 わたしを|責《せ》め|立《た》てる|者《もの》から|救《すく》い|出《だ》してください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]み|顔《かお》をしもべの|上《うえ》に|輝《かがや》かせ、 いつくしみをもってわたしをお|救《すく》いください。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|呼《よ》ばわります、 わたしをはずかしめないでください。 |悪《あ》しき|者《もの》に|恥《はじ》をうけさせ、 |彼《かれ》らに|声《こえ》をあげさせずに|陰府《よみ》に|行《い》かせてください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶりと|侮《あなど》りとをもって|正《ただ》しい|者《もの》をみだりにそしる |偽《いつわ》りのくちびるをつぐませてください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|恐《おそ》れる|者《もの》のためにたくわえ、 あなたに|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》のために |人《ひと》の|子《こ》らの|前《まえ》に|施《ほどこ》されたあなたの|恵《めぐ》みは いかに|大《おお》いなるものでしょう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らをみ|前《まえ》のひそかな|所《ところ》に|隠《かく》して |人々《ひとびと》のはかりごとを|免《まぬか》れさせ、 また|仮屋《かりや》のうちに|潜《ひそ》ませて |舌《した》の|争《あらそ》いを|避《さ》けさせられます。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はほむべきかな、 |包囲《ほうい》された|町《まち》のようにわたしが|囲《かこ》まれたとき、 |主《しゅ》は|驚《おどろ》くばかりに、いつくしみをわたしに|示《しめ》された。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|驚《おどろ》きあわてて|言《い》った、 「わたしはあなたの|目《め》の|前《まえ》から|断《た》たれた」と。 しかしわたしがあなたに|助《たす》けを|呼《よ》び|求《もと》めたとき、 わたしの|願《ねが》いを|聞《き》きいれられた。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すべての|聖徒《せいと》よ、|主《しゅ》を|愛《あい》せよ。 |主《しゅ》は|真実《しんじつ》な|者《もの》を|守《まも》られるが、 おごりふるまう|者《もの》にはしたたかに|報《むく》いられる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]すべて|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》よ、 |強《つよ》くあれ、|心《こころ》を|雄々《おお》しくせよ。 [#ここで字下げ終わり] 第三二篇[#「第三二篇」は中見出し] [#斜体]ダビデのマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのとががゆるされ、 その|罪《つみ》がおおい|消《け》される|者《もの》はさいわいである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》によって|不義《ふぎ》を|負《お》わされず、 その|霊《れい》に|偽《いつわ》りのない|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|自分《じぶん》の|罪《つみ》を|言《い》いあらわさなかった|時《とき》は、 ひねもす|苦《くる》しみうめいたので、 わたしの|骨《ほね》はふるび|衰《おとろ》えた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみ|手《て》が|昼《ひる》も|夜《よる》も、 わたしの|上《うえ》に|重《おも》かったからである。 わたしの|力《ちから》は、|夏《なつ》のひでりによってかれるように、 かれ|果《は》てた。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》の|罪《つみ》をあなたに|知《し》らせ、 |自分《じぶん》の|不義《ふぎ》を|隠《かく》さなかった。 わたしは|言《い》った、 「わたしのとがを|主《しゅ》に|告白《こくはく》しよう」と。 その|時《とき》あなたはわたしの|犯《おか》した|罪《つみ》をゆるされた。〔セラ [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに、すべて|神《かみ》を|敬《うやま》う|者《もの》はあなたに|祈《いの》る。 |大水《おおみず》の|押《お》し|寄《よ》せる|悩《なや》みの|時《とき》にも その|身《み》に|及《およ》ぶことはない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|隠《かく》れ|場《ば》であって、 わたしを|守《まも》って|悩《なや》みを|免《まぬか》れさせ、 |救《すくい》をもってわたしを|囲《かこ》まれる。〔セラ [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|教《おし》え、あなたの|行《い》くべき|道《みち》を|示《しめ》し、 わたしの|目《め》をあなたにとめて、さとすであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはさとりのない|馬《うま》のようであってはならない。 また|騾馬《らば》のようであってはならない。 |彼《かれ》らはくつわ、たづなをもっておさえられなければ、 あなたに|従《したが》わないであろう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|悲《かな》しみが|多《おお》い。 しかし|主《しゅ》に|信頼《しんらい》する|者《もの》はいつくしみで|囲《かこ》まれる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しき|者《もの》よ、|主《しゅ》によって|喜《よろこ》び|楽《たの》しめ、 すべて|心《こころ》の|直《なお》き|者《もの》よ、|喜《よろこ》びの|声《こえ》を|高《たか》くあげよ。 [#ここで字下げ終わり] 第三三篇[#「第三三篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しき|者《もの》よ、|主《しゅ》によって|喜《よろこ》べ、 さんびは|直《なお》き|者《もの》にふさわしい。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|琴《こと》をもって|主《しゅ》をさんびせよ、 |十弦《じゅうげん》の|立琴《たてごと》をもって|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|新《あたら》しい|歌《うた》を|主《しゅ》にむかって|歌《うた》い、 |喜《よろこ》びの|声《こえ》をあげて|巧《たく》みに|琴《こと》をかきならせ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみことばは|直《なお》く、 そのすべてのみわざは|真実《しんじつ》だからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正義《せいぎ》と|公平《こうへい》とを|愛《あい》される。 |地《ち》は|主《しゅ》のいつくしみで|満《み》ちている。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|天《てん》は|主《しゅ》のみことばによって|造《つく》られ、 |天《てん》の|万軍《ばんぐん》は|主《しゅ》の|口《くち》の|息《いき》によって|造《つく》られた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|海《うみ》の|水《みず》を|水《みず》がめの|中《なか》に|集《あつ》めるように|集《あつ》め、 |深《ふか》い|淵《ふち》を|倉《くら》におさめられた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、 |世《よ》に|住《す》むすべての|者《もの》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れかしこめ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|仰《おお》せられると、そのようになり、 |命《めい》じられると、|堅《かた》く|立《た》ったからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|国《くに》のはかりごとをむなしくし、 もろもろの|民《たみ》の|企《くわだ》てをくじかれる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のはかりごとはとこしえに|立《た》ち、 そのみこころの|思《おも》いは|世々《よよ》に|立《た》つ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をおのが|神《かみ》とする|国《くに》はさいわいである。 |主《しゅ》がその|嗣《し》|業《ぎょう》として|選《えら》ばれた|民《たみ》はさいわいである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|天《てん》から|見《み》おろされ、 すべての|人《ひと》の|子《こ》らを|見《み》、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そのおられる|所《ところ》から |地《ち》に|住《す》むすべての|人《ひと》をながめられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべて|彼《かれ》らの|心《こころ》を|造《つく》り、 そのすべてのわざに|心《こころ》をとめられる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はその|軍勢《ぐんぜい》の|多《おお》きによって|救《すくい》を|得《え》ない。 |勇士《ゆうし》はその|力《ちから》の|大《おお》いなるによって|助《たす》けを|得《え》ない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|馬《うま》は|勝利《しょうり》に|頼《たの》みとならない。 その|大《おお》いなる|力《ちから》も|人《ひと》を|助《たす》けることはできない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|目《め》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》の|上《うえ》にあり、 そのいつくしみを|望《のぞ》む|者《もの》の|上《うえ》にある。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》が|彼《かれ》らの|魂《たましい》を|死《し》から|救《すく》い、 ききんの|時《とき》にも|生《い》きながらえさせるためである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]われらの|魂《たましい》は|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む。 |主《しゅ》はわれらの|助《たす》け、われらの|盾《たて》である。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]われらは|主《しゅ》の|聖《せい》なるみ|名《な》に|信頼《しんらい》するがゆえに、 われらの|心《こころ》は|主《しゅ》にあって|喜《よろこ》ぶ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われらが|待《ま》ち|望《のぞ》むように、 あなたのいつくしみをわれらの|上《うえ》にたれてください。 [#ここで字下げ終わり] 第三四篇[#「第三四篇」は中見出し] [#斜体]ダビデがアビメレクの|前《まえ》で|狂《くる》ったさまをよそおい、|追《お》われて|出《で》ていったときの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|常《つね》に|主《しゅ》をほめまつる。 そのさんびはわたしの|口《くち》に|絶《た》えない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|主《しゅ》によって|誇《ほこ》る。 |苦《くる》しむ|者《もの》はこれを|聞《き》いて|喜《よろこ》ぶであろう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしと|共《とも》に|主《しゅ》をあがめよ、 われらは|共《とも》にみ|名《な》をほめたたえよう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|主《しゅ》に|求《もと》めたとき、|主《しゅ》はわたしに|答《こた》え、 すべての|恐《おそ》れからわたしを|助《たす》け|出《だ》された。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|仰《あお》ぎ|見《み》て、|光《ひかり》を|得《え》よ、 そうすれば、あなたがたは、 |恥《は》じて|顔《かお》を|赤《あか》くすることはない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]この|苦《くる》しむ|者《もの》が|呼《よ》ばわったとき、|主《しゅ》は|聞《き》いて、 すべての|悩《なや》みから|救《すく》い|出《だ》された。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》のまわりに |陣《じん》をしいて|彼《かれ》らを|助《たす》けられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|恵《めぐ》みふかきことを|味《あじ》わい|知《し》れ、 |主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》む|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|聖徒《せいと》よ、|主《しゅ》を|恐《おそ》れよ、 |主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》には|乏《とぼ》しいことがないからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》きししは|乏《とぼ》しくなって|飢《う》えることがある。 しかし|主《しゅ》を|求《もと》める|者《もの》は|良《よ》き|物《もの》に|欠《か》けることはない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》らよ、|来《き》てわたしに|聞《き》け、 わたしは|主《しゅ》を|恐《おそ》るべきことをあなたがたに|教《おし》えよう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]さいわいを|見《み》ようとして、いのちを|慕《した》い、 ながらえることを|好《この》む|人《ひと》はだれか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|舌《した》をおさえて|悪《あく》を|言《い》わせず、 あなたのくちびるをおさえて|偽《いつわ》りを|言《い》わすな。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|離《はな》れて|善《ぜん》をおこない、 やわらぎを|求《もと》めて、これを|努《つと》めよ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|目《め》は|正《ただ》しい|人《ひと》をかえりみ、 その|耳《みみ》は|彼《かれ》らの|叫《さけ》びに|傾《かたむ》く。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|顔《かお》は|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》にむかい、 その|記憶《きおく》を|地《ち》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》が|助《たす》けを|叫《さけ》び|求《もと》めるとき、|主《しゅ》は|聞《き》いて、 |彼《かれ》らをそのすべての|悩《なや》みから|助《たす》け|出《だ》される。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|心《こころ》の|砕《くだ》けた|者《もの》に|近《ちか》く、 たましいの|悔《く》いくずおれた|者《もの》を|救《すく》われる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》には|災《わざわい》が|多《おお》い。 しかし、|主《しゅ》はすべてその|中《なか》から|彼《かれ》を|助《たす》け|出《だ》される。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》の|骨《ほね》をことごとく|守《まも》られる。 その一つだに|折《お》られることはない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》は|悪《あ》しき|者《もの》を|殺《ころ》す。 |正《ただ》しい|者《もの》を|憎《にく》む|者《もの》は|罪《つみ》に|定《さだ》められる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのしもべらの|命《いのち》をあがなわれる。 |主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》はひとりだに |罪《つみ》に|定《さだ》められることはない。 [#ここで字下げ終わり] 第三五篇[#「第三五篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしと|争《あらそ》う|者《もの》とあらそい、 わたしと|戦《たたか》う|者《もの》と|戦《たたか》ってください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|盾《たて》と|大盾《おおだて》とを|執《と》って、 わたしを|助《たす》けるために|立《た》ちあがってください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]やりと|投《な》げやりとを|抜《ぬ》いて、 わたしに|追《お》い|迫《せま》る|者《もの》に|立《た》ちむかい、 「わたしはおまえの|救《すくい》である」と、 わたしに|言《い》ってください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わたしの|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》を はずかしめ、いやしめ、 わたしにむかって|悪《あく》をたくらむ|者《もの》を|退《しりぞ》け、 あわてふためかせてください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|風《かぜ》の|前《まえ》のもみがらのようにし、 |主《しゅ》の|使《つかい》に|彼《かれ》らを|追《お》いやらせてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|道《みち》を|暗《くら》く、なめらかにし、 |主《しゅ》の|使《つかい》に|彼《かれ》らを|追《お》い|行《い》かせてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはゆえなくわたしのために|網《あみ》を|隠《かく》し、 ゆえなくわたしのために|穴《あな》を|掘《ほ》ったからです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|不意《ふい》に|滅《ほろ》びを|彼《かれ》らに|臨《のぞ》ませ、 みずから|隠《かく》した|網《あみ》にとらえられ、 |彼《かれ》らを|滅《ほろ》びに|陥《おちい》らせてください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そのときわが|魂《たましい》は|主《しゅ》によって|喜《よろこ》び、 その|救《すくい》をもって|楽《たの》しむでしょう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|骨《ほね》はことごとく|言《い》うでしょう、 「|主《しゅ》よ、だれかあなたにたぐうべき|者《もの》がありましょう。 あなたは|弱《よわ》い|者《もの》を|強《つよ》い|者《もの》から|助《たす》け|出《だ》し、 |弱《よわ》い|者《もの》と|貧《まず》しい|者《もの》を、 かすめ|奪《うば》う|者《もの》から|助《たす》け|出《だ》される|方《かた》です」と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪意《あくい》のある|証人《しょうにん》が|起《おこ》って、 わたしの|知《し》らない|事《こと》をわたしに|尋《たず》ねる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|悪《あく》をもってわたしの|善《ぜん》に|報《むく》い、 わが|魂《たましい》を|寄《よ》るべなき|者《もの》とした。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|彼《かれ》らが|病《や》んだとき、 |荒布《あらぬの》をまとい、|断食《だんじき》してわが|身《み》を|苦《くる》しめた。 わたしは|胸《むね》にこうべをたれて|祈《いの》った、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ちょうど、わが|友《とも》、わが|兄弟《きょうだい》のために |悲《かな》しんだかのように。 わたしは|母《はは》をいたむ|者《もの》のように |悲《かな》しみうなだれて|歩《ある》きまわった。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはわたしのつまずくとき、|喜《よろこ》びつどい、 ともに|集《あつ》まってわたしを|責《せ》めた。 わたしの|知《し》らない|他国《たこく》の|者《もの》は わたしをののしってやめなかった。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはますます、けがす|言葉《ことば》をもってあざけり、 わたしにむかって|歯《は》をかみならした。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、いつまであなたはながめておられますか、 わたしを|彼《かれ》らの|破壊《はかい》から、 わたしのいのちを|若《わか》きししから|救《すく》い|出《だ》してください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|大《おお》いなるつどいの|中《なか》で、あなたに|感謝《かんしゃ》し、 |多《おお》くの|民《たみ》の|中《なか》で、あなたをほめたたえるでしょう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》ってわたしの|敵《てき》となった|者《もの》どもの わたしについて|喜《よろこ》ぶことを|許《ゆる》さないでください。 ゆえなく、わたしを|憎《にく》む|者《もの》どもの たがいに|目《め》くばせすることを|許《ゆる》さないでください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|平和《へいわ》を|語《かた》らず、 |国《くに》のうちに|穏《おだ》やかに|住《す》む|者《もの》にむかって |欺《あざむ》きの|言葉《ことば》をたくらむからです。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしにむかって|口《くち》をあけひろげ、 「あはぁ、あはぁ、われらの|目《め》はそれを|見《み》た」と |言《い》います。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはこれを|見《み》られました。 もださないでください。 |主《しゅ》よ、わたしに|遠《とお》ざからないでください。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、わが|主《しゅ》よ、 わがさばきのため、わが|訴《うった》えのために|奮《ふる》いたち、 |目《め》をさましてください。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 あなたの|義《ぎ》にしたがってわたしをさばき、 わたしの|事《こと》について|彼《かれ》らを|喜《よろこ》ばせないでください。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らにその|心《こころ》のうちで、 「あはぁ、われらの|願《ねが》ったことが|達《たっ》せられた」と |言《い》わせないでください。 また|彼《かれ》らに「われらは|彼《かれ》を|滅《ほろ》ぼしつくした」と |言《い》わせないでください。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|災《わざわい》を|喜《よろこ》ぶ|者《もの》どもを ともに|恥《は》じ、あわてふためかせてください。 わたしにむかって|誇《ほこ》りたかぶる|者《もの》どもに |恥《はじ》と、はずかしめとを|着《き》せてください。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|義《ぎ》を|喜《よろこ》ぶ|者《もの》をば |喜《よろこ》びの|声《こえ》をあげて|喜《よろこ》ばせ、 「そのしもべの|幸福《こうふく》を|喜《よろこ》ばれる|主《しゅ》は|大《おお》いなるかな」と つねに|言《い》わせてください。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|舌《した》はひねもすあなたの|義《ぎ》と、 あなたの|誉《ほまれ》とを|語《かた》るでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第三六篇[#「第三六篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせた|主《しゅ》のしもべダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]とがは|悪《あ》しき|者《もの》にむかい、その|心《こころ》のうちに|言《い》う。 その|目《め》の|前《まえ》に|神《かみ》を|恐《おそ》れる|恐《おそ》れはない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|不義《ふぎ》があらわされないため、 また|憎《にく》まれないために、みずからその|目《め》でおもねる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|口《くち》の|言葉《ことば》はよこしまと|欺《あざむ》きである。 |彼《かれ》は|知恵《ちえ》を|得《え》ることと、|善《ぜん》を|行《おこな》う|事《こと》とをやめた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|床《とこ》の|上《うえ》でよこしまな|事《こと》をたくらみ、 よからぬ|道《みち》に|身《み》をおいて、|悪《あく》をきらわない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのいつくしみは|天《てん》にまで|及《およ》び、 あなたのまことは|雲《くも》にまで|及《およ》ぶ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|義《ぎ》は|神《かみ》の|山《やま》のごとく、 あなたのさばきは|大《おお》きな|淵《ふち》のようだ。 |主《しゅ》よ、あなたは|人《ひと》と|獣《けもの》とを|救《すく》われる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたのいつくしみはいかに|尊《たっと》いことでしょう。 |人《ひと》の|子《こ》らはあなたの|翼《つばさ》のかげに|避《さ》け|所《どころ》を|得《え》、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家《いえ》の|豊《ゆた》かなのによって|飽《あ》き|足《た》りる。 あなたはその|楽《たの》しみの|川《かわ》の|水《みず》を|彼《かれ》らに|飲《の》ませられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]いのちの|泉《いずみ》はあなたのもとにあり、 われらはあなたの|光《ひかり》によって|光《ひかり》を|見《み》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたを|知《し》る|者《もの》に|絶《た》えずいつくしみを|施《ほどこ》し、 |心《こころ》の|直《なお》き|者《もの》に|絶《た》えず|救《すくい》を|施《ほどこ》してください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》の|足《あし》がわたしを|踏《ふ》み、 |悪《あ》しき|者《もの》の|手《て》がわたしを|追《お》い|出《だ》すことを ゆるさないでください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》はそこに|倒《たお》れ、 |彼《かれ》らは|打《う》ち|伏《ふ》せられて、|起《お》きあがることはできない。 [#ここで字下げ終わり] 第三七篇[#「第三七篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をなす|者《もの》のゆえに、|心《こころ》を|悩《なや》ますな。 |不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》のゆえに、ねたみを|起《おこ》すな。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはやがて|草《くさ》のように|衰《おとろ》え、 |青菜《あおな》のようにしおれるからである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|信頼《しんらい》して|善《ぜん》を|行《おこな》え。 そうすればあなたはこの|国《くに》に|住《す》んで、|安《やす》きを|得《え》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》によって|喜《よろこ》びをなせ。 |主《しゅ》はあなたの|心《こころ》の|願《ねが》いをかなえられる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|道《みち》を|主《しゅ》にゆだねよ。 |主《しゅ》に|信頼《しんらい》せよ、|主《しゅ》はそれをなしとげ、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|義《ぎ》を|光《ひかり》のように|明《あき》らかにし、 あなたの|正《ただ》しいことを|真昼《まひる》のように|明《あき》らかにされる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|前《まえ》にもだし、|耐《た》え|忍《しの》びて|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め。 おのが|道《みち》を|歩《あゆ》んで|栄《さか》える|者《もの》のゆえに、 |悪《わる》いはかりごとを|遂《と》げる|人《ひと》のゆえに、|心《こころ》を|悩《なや》ますな。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》りをやめ、|憤《いきどお》りを|捨《す》てよ。 |心《こころ》を|悩《なや》ますな、これはただ|悪《あく》を|行《おこな》うに|至《いた》るのみだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》は|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされ、 |主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》は|国《くに》を|継《つ》ぐからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はただしばらくで、うせ|去《さ》る。 あなたは|彼《かれ》の|所《ところ》をつぶさに|尋《たず》ねても|彼《かれ》はいない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|柔和《にゅうわ》な|者《もの》は|国《くに》を|継《つ》ぎ、 |豊《ゆた》かな|繁栄《はんえい》をたのしむことができる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|正《ただ》しい|者《もの》にむかって はかりごとをめぐらし、これにむかって|歯《は》がみする。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》は|悪《あ》しき|者《もの》を|笑《わら》われる、 |彼《かれ》の|日《ひ》の|来《く》るのを|見《み》られるからである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はつるぎを|抜《ぬ》き、|弓《ゆみ》を|張《は》って、 |貧《まず》しい|者《もの》と|乏《とぼ》しい|者《もの》とを|倒《たお》し、 |直《なお》く|歩《あゆ》む|者《もの》を|殺《ころ》そうとする。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしそのつるぎはおのが|胸《むね》を|刺《さ》し、 その|弓《ゆみ》は|折《お》られる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》の|持《も》ち|物《もの》の|少《すく》ないのは、 |多《おお》くの|悪《あ》しきの|者《もの》の|豊《ゆた》かなのにまさる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|腕《うで》は|折《お》られるが、 |主《しゅ》は|正《ただ》しい|者《もの》を|助《たす》けささえられるからである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|全《まった》き|者《もの》のもろもろの|日《ひ》を|知《し》られる。 |彼《かれ》らの|嗣《し》|業《ぎょう》はとこしえに|続《つづ》く。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|災《わざわい》の|時《とき》にも|恥《はじ》をこうむらず、 ききんの|日《ひ》にも|飽《あ》き|足《た》りる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|悪《あ》しき|者《もの》は|滅《ほろ》び、 |主《しゅ》の|敵《てき》は|牧場《まきば》の|栄《さか》えの|枯《か》れるように|消《き》え、 |煙《けむり》のように|消《き》えうせる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|物《もの》を|借《か》りて|返《かえ》すことをしない。 しかし|正《ただ》しい|人《ひと》は|寛大《かんだい》で、|施《ほどこ》し|与《あた》える。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|祝福《しゅくふく》された|者《もの》は|国《くに》を|継《つ》ぎ、 |主《しゅ》にのろわれた|者《もの》は|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|歩《あゆ》みは|主《しゅ》によって|定《さだ》められる。 |主《しゅ》はその|行《い》く|道《みち》を|喜《よろこ》ばれる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]たといその|人《ひと》が|倒《たお》れても、 |全《まった》く|打《う》ち|伏《ふ》せられることはない、 |主《しゅ》がその|手《て》を|助《たす》けささえられるからである。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、むかし|年《とし》|若《わか》かった|時《とき》も、|年老《としお》いた|今《いま》も、 |正《ただ》しい|人《ひと》が|捨《す》てられ、あるいはその|子孫《しそん》が |食物《しょくもつ》を|請《こ》いあるくのを|見《み》たことがない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|常《つね》に|寛大《かんだい》で、|物《もの》を|貸《か》し|与《あた》え、 その|子孫《しそん》は|祝福《しゅくふく》を|得《え》る。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をさけて、|善《ぜん》を|行《おこな》え。 そうすれば、あなたはとこしえに|住《す》むことができる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|公義《こうぎ》を|愛《あい》し、 その|聖徒《せいと》を|見捨《みす》てられないからである。 |正《ただ》しい|者《もの》はとこしえに|助《たす》け|守《まも》られる。 しかし、|悪《あ》しき|者《もの》の|子孫《しそん》は|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》は|国《くに》を|継《つ》ぎ、 とこしえにその|中《なか》に|住《す》むことができる。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|口《くち》は|知恵《ちえ》を|語《かた》り、 その|舌《した》は|公義《こうぎ》を|述《の》べる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|心《こころ》には|神《かみ》のおきてがあり、 その|歩《あゆ》みはすべることがない。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|正《ただ》しい|人《ひと》をうかがい、 これを|殺《ころ》そうとはかる。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正《ただ》しい|人《ひと》を|悪《あ》しき|者《もの》の|手《て》にゆだねられない、 またさばかれる|時《とき》、これを|罪《つみ》に|定《さだ》められることはない。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め、その|道《みち》を|守《まも》れ。 そうすれば、|主《しゅ》はあなたを|上《あ》げて、|国《くに》を|継《つ》がせられる。 あなたは|悪《あ》しき|者《もの》の |断《た》ち|滅《ほろ》ぼされるのを|見《み》るであろう。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|悪《あ》しき|者《もの》が|勝《か》ち|誇《ほこ》って、 レバノンの|香柏《こうはく》のようにそびえたつのを|見《み》た。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしが|通《とお》り|過《す》ぎると、 |見《み》よ、|彼《かれ》はいなかった。 わたしは|彼《かれ》を|尋《たず》ねたけれども|見《み》つからなかった。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|全《まった》き|人《ひと》に|目《め》をそそぎ、|直《なお》き|人《ひと》を|見《み》よ。 おだやかな|人《ひと》には|子孫《しそん》がある。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|罪《つみ》を|犯《おか》す|者《もの》どもは|共《とも》に|滅《ほろ》ぼされ、 |悪《あ》しき|者《もの》の|子孫《しそん》は|断《た》たれる。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》の|救《すくい》は|主《しゅ》から|出《で》る。 |主《しゅ》は|彼《かれ》らの|悩《なや》みの|時《とき》の|避《さ》け|所《どころ》である。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|助《たす》け、|彼《かれ》らを|解《と》き|放《はな》ち、 |彼《かれ》らを|悪《あ》しき|者《もの》どもから|解《と》き|放《はな》って|救《すく》われる。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》むからである。 [#ここで字下げ終わり] 第三八篇[#「第三八篇」は中見出し] [#斜体]|記念《きねん》のためにうたったダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|憤《いきどお》りをもってわたしを|責《せ》めず、 |激《はげ》しい|怒《いか》りをもってわたしを|懲《こ》らさないでください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|矢《や》がわたしに|突《つ》き|刺《さ》さり、 あなたの|手《て》がわたしの|上《うえ》にくだりました。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|怒《いか》りによって、 わたしの|肉《にく》には|全《まった》きところなく、 わたしの|罪《つみ》によって、 わたしの|骨《ほね》には|健《すこ》やかなところはありません。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|不義《ふぎ》はわたしの|頭《あたま》を|越《こ》え、 |重荷《おもに》のように|重《おも》くて|負《お》うことができません。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|愚《おろ》かによって、 わたしの|傷《きず》は|悪臭《あくしゅう》を|放《はな》ち、|腐《くさ》れただれました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|折《お》れかがんで、いたくうなだれ、 ひねもす|悲《かな》しんで|歩《ある》くのです。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|腰《こし》はことごとく|焼《や》け、 わたしの|肉《にく》には|全《まった》きところがありません。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|衰《おとろ》えはて、いたく|打《う》ちひしがれ、 わたしの|心《こころ》の|激《はげ》しい|騒《さわ》ぎによってうめき|叫《さけ》びます。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしのすべての|願《ねが》いはあなたに|知《し》られ、 わたしの|嘆《なげ》きはあなたに|隠《かく》れることはありません。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|胸《むね》は|激《はげ》しく|打《う》ち、わたしの|力《ちから》は|衰《おとろ》え、 わたしの|目《め》の|光《ひかり》もまた、わたしを|離《はな》れ|去《さ》りました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|友《とも》、わがともがらは わたしの|災《わざわい》を|見《み》て|離《はな》れて|立《た》ち、 わが|親族《しんぞく》もまた|遠《とお》く|離《はな》れて|立《た》っています。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしのいのちを|求《もと》める|者《もの》はわなを|設《もう》け、 わたしをそこなおうとする|者《もの》は|滅《ほろ》ぼすことを|語《かた》り、 ひねもす|欺《あざむ》くことをはかるのです。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|耳《みみ》しいのように|聞《き》かず、 おしのように|口《くち》を|開《ひら》きません。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]まことに、わたしは|聞《き》かない|人《ひと》のごとく、 |議論《ぎろん》を|口《くち》にしない|人《ひと》のようです。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》よ、わたしはあなたを|待《ま》ち|望《のぞ》みます。 わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 あなたこそわたしに|答《こた》えられるのです。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|祈《いの》ります、「わが|足《あし》のすべるとき、 わたしにむかって|高《たか》ぶる|彼《かれ》らに わたしのことによって|喜《よろこ》ぶことを ゆるさないでください」と。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|倒《たお》れるばかりになり、 わたしの|苦《くる》しみは|常《つね》にわたしと|共《とも》にあります。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、みずから|不義《ふぎ》を|言《い》いあらわし、 わが|罪《つみ》のために|悲《かな》しみます。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ゆえなく、わたしに|敵《てき》する|者《もの》は|強《つよ》く、 |偽《いつわ》ってわたしを|憎《にく》む|者《もの》は|多《おお》いのです。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をもって|善《ぜん》に|報《むく》いる|者《もの》は、 わたしがよい|事《こと》に|従《したが》うがゆえに、わがあだとなります。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしを|捨《す》てないでください。 わが|神《かみ》よ、わたしに|遠《とお》ざからないでください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》、わが|救《すくい》よ、 すみやかにわたしをお|助《たす》けください。 [#ここで字下げ終わり] 第三九篇[#「第三九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》エドトンによってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、「|舌《した》をもって|罪《つみ》を|犯《おか》さないために、 わたしの|道《みち》を|慎《つつし》み、 |悪《あ》しき|者《もの》のわたしの|前《まえ》にある|間《あいだ》は わたしの|口《くち》にくつわをかけよう」と。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|黙《もく》して|物言《ものい》わず、むなしく|沈黙《ちんもく》を|守《まも》った。 しかし、わたしの|悩《なや》みはさらにひどくなり、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》はわたしのうちに|熱《ねっ》し、 |思《おも》いつづけるほどに|火《ひ》が|燃《も》えたので、 わたしは|舌《した》をもって|語《かた》った。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》よ、わが|終《おわ》りと、 わが|日《ひ》の|数《かず》のどれほどであるかをわたしに|知《し》らせ、 わが|命《いのち》のいかにはかないかを|知《し》らせてください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたはわたしの|日《ひ》をつかのまとされました。 わたしの|一生《いっしょう》はあなたの|前《まえ》では|無《む》にひとしいのです。 まことに、すべての|人《ひと》はその|盛《さか》んな|時《とき》でも |息《いき》にすぎません。〔セラ [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]まことに|人《ひと》は|影《かげ》のように、さまよいます。 まことに|彼《かれ》らはむなしい|事《こと》のために |騒《さわ》ぎまわるのです。 |彼《かれ》は|積《つ》みたくわえるけれども、 だれがそれを|収《おさ》めるかを|知《し》りません。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|今《いま》わたしは|何《なに》を|待《ま》ち|望《のぞ》みましょう。 わたしの|望《のぞ》みはあなたにあります。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしをすべてのとがから|助《たす》け|出《だ》し、 |愚《おろ》かな|者《もの》にわたしをあざけらせないでください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|黙《もく》して|口《くち》を|開《ひら》きません。 あなたがそれをなされたからです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|下《くだ》された|災《わざわい》を わたしから|取《と》り|去《さ》ってください。 わたしはあなたのみ|手《て》に|打《う》ち|懲《こ》らされることにより |滅《ほろ》びるばかりです。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|罪《つみ》を|責《せ》めて|人《ひと》を|懲《こ》らされるとき、 その|慕《した》い|喜《よろこ》ぶものを、しみが|食《く》うように、 |消《け》し|滅《ほろ》ぼされるのです。 まことにすべての|人《ひと》は|息《いき》にすぎません。〔セラ [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしの|祈《いのり》を|聞《き》き、 わたしの|叫《さけ》びに|耳《みみ》を|傾《かたむ》け、 わたしの|涙《なみだ》を|見《み》て、もださないでください。 わたしはあなたに|身《み》を|寄《よ》せる|旅《たび》びと、 わがすべての|先祖《せんぞ》たちのように|寄留者《きりゅうしゃ》です。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|去《さ》って、うせない|前《まえ》に、 み|顔《かお》をそむけて、わたしを|喜《よろこ》ばせてください」。 [#ここで字下げ終わり] 第四〇篇[#「第四〇篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|耐《た》え|忍《しの》んで|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》んだ。 |主《しゅ》は|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて、わたしの|叫《さけ》びを|聞《き》かれた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしを|滅《ほろ》びの|穴《あな》から、|泥《どろ》の|沼《ぬま》から|引《ひ》きあげて、 わたしの|足《あし》を|岩《いわ》の|上《うえ》におき、 わたしの|歩《あゆ》みをたしかにされた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|新《あたら》しい|歌《うた》をわたしの|口《くち》に|授《さづ》け、 われらの|神《かみ》にささげるさんびの|歌《うた》を わたしの|口《くち》に|授《さづ》けられた。 |多《おお》くの|人《ひと》はこれを|見《み》て|恐《おそ》れ、 かつ|主《しゅ》に|信頼《しんらい》するであろう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をおのが|頼《たの》みとする|人《ひと》、 |高《たか》ぶる|者《もの》にたよらず、 |偽《いつわ》りの|神《かみ》に|迷《まよ》う|者《もの》にたよらない|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたのくすしきみわざと、 われらを|思《おも》うみおもいとは|多《おお》くて、 くらべうるものはない。 わたしはこれを|語《かた》り|述《の》べようとしても |多《おお》くて|数《かぞ》えることはできない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはいけにえと|供《そな》え|物《もの》とを|喜《よろこ》ばれない。 あなたはわたしの|耳《みみ》を|開《ひら》かれた。 あなたは|燔祭《はんさい》と|罪祭《ざいさい》とを|求《もと》められない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|言《い》った、「|見《み》よ、わたしはまいります。 |書《しょ》の|巻《まき》に、わたしのためにしるされています。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、わたしはみこころを|行《おこな》うことを|喜《よろこ》びます。 あなたのおきてはわたしの|心《こころ》のうちにあります」と。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|大《おお》いなる|集会《しゅうかい》で、 |救《すくい》についての|喜《よろこ》びのおとずれを|告《つ》げ|示《しめ》しました。 |見《み》よ、わたしはくちびるを|閉《と》じませんでした。 |主《しゅ》よ、あなたはこれをご|存《ぞん》じです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|救《すくい》を|心《こころ》のうちに|隠《かく》しおかず、 あなたのまことと|救《すくい》とを|告《つ》げ|示《しめ》しました。 わたしはあなたのいつくしみとまこととを |大《おお》いなる|集会《しゅうかい》に|隠《かく》しませんでした。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのあわれみをわたしに|惜《お》しまず、 あなたのいつくしみとまこととをもって |常《つね》にわたしをお|守《まも》りください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|数《かぞ》えがたい|災《わざわい》がわたしを|囲《かこ》み、 わたしの|不義《ふぎ》がわたしに|追《お》い|迫《せま》って、 |物見《ものみ》ることができないまでになりました。 それはわたしの|頭《あたま》の|毛《け》よりも|多《おお》く、 わたしの|心《こころ》は|消《き》えうせるばかりになりました。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、みこころならばわたしをお|救《すく》いください。 |主《しゅ》よ、すみやかにわたしをお|助《たす》けください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしのいのちを|奪《うば》おうと|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》どもを ことごとく|恥《は》じあわてさせてください。 わたしのそこなわれることを|願《ねが》う|者《もの》どもを うしろに|退《しりぞ》かせ、|恥《はじ》を|負《お》わせてください。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしにむかって「あはぁ、あはぁ」と|言《い》う|者《もの》どもを |自分《じぶん》の|恥《はじ》によって|恐《おそ》れおののかせてください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、すべてあなたを|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》は あなたによって|喜《よろこ》び|楽《たの》しむように。 あなたの|救《すくい》を|愛《あい》する|者《もの》は |常《つね》に「|主《しゅ》は|大《おお》いなるかな」ととなえるように。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|貧《まず》しく、かつ|乏《とぼ》しい。 しかし|主《しゅ》はわたしをかえりみられます。 あなたはわが|助《たす》け、わが|救主《すくいぬし》です。 わが|神《かみ》よ、ためらわないでください。 [#ここで字下げ終わり] 第四一篇[#「第四一篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》をかえりみる|人《ひと》はさいわいである。 |主《しゅ》はそのような|人《ひと》を|悩《なや》みの|日《ひ》に|救《すく》い|出《だ》される。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》を|守《まも》って、|生《い》きながらえさせられる。 |彼《かれ》はこの|地《ち》にあって、さいわいな|者《もの》と|呼《よ》ばれる。 あなたは|彼《かれ》をその|敵《てき》の|欲望《よくぼう》にわたされない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》をその|病《やまい》の|床《とこ》でささえられる。 あなたは|彼《かれ》の|病《や》む|時《とき》、その|病《やまい》をことごとくいやされる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、「|主《しゅ》よ、わたしをあわれみ、 わたしをいやしてください。 わたしはあなたにむかって|罪《つみ》を|犯《おか》しました」と。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》はわたしをそしって|言《い》う、 「いつ|彼《かれ》は|死《し》に、その|名《な》がほろびるであろうか」と。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そのひとりがわたしを|見《み》ようとして|来《く》るとき、 |彼《かれ》は|偽《いつわ》りを|語《かた》り、その|心《こころ》によこしまを|集《あつ》め、 |外《そと》に|出《で》てはそれを|言《い》いふらす。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべてわたしを|憎《にく》む|者《もの》は わたしについて|共《とも》にささやき、 わたしのために|災《わざわい》を|思《おも》いめぐらす。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》う、「|彼《かれ》に一つのたたりがつきまとったから、 |倒《たお》れ|伏《ふ》して|再《ふたた》び|起《お》きあがらないであろう」と。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|信頼《しんらい》した|親《した》しい|友《とも》、 わたしのパンを|食《た》べた|親《した》しい|友《とも》さえも わたしにそむいてくびすをあげた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、わたしをあわれみ、 わたしを|助《たす》け|起《おこ》してください。 そうすればわたしは|彼《かれ》らに|報《むく》い|返《かえ》すことができます。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》がわたしに|打《う》ち|勝《か》てないことによって、 あなたがわたしを|喜《よろこ》ばれることを わたしは|知《し》ります。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|全《まった》きによって、 わたしをささえ、とこしえにみ|前《まえ》に|置《お》かれます。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は とこしえからとこしえまでほむべきかな。 アァメン、アァメン。 [#ここで字下げ終わり] 第四二篇[#「第四二篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたコラの|子《こ》のマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、しかが|谷川《たにがわ》を|慕《した》いあえぐように、 わが|魂《たましい》もあなたを|慕《した》いあえぐ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》はかわいているように|神《かみ》を|慕《した》い、 いける|神《かみ》を|慕《した》う。 いつ、わたしは|行《い》って|神《かみ》のみ|顔《かお》を |見《み》ることができるだろうか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がひねもすわたしにむかって 「おまえの|神《かみ》はどこにいるのか」と|言《い》いつづける|間《あいだ》は わたしの|涙《なみだ》は|昼《ひる》も|夜《よる》もわたしの|食物《しょくもつ》であった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはかつて|祭《まつり》を|守《まも》る|多《おお》くの|人《ひと》と|共《とも》に |群《む》れをなして|行《い》き、 |喜《よろこ》びと|感謝《かんしゃ》の|歌《うた》をもって|彼《かれ》らを|神《かみ》の|家《いえ》に|導《みちび》いた。 |今《いま》これらの|事《こと》を|思《おも》い|起《おこ》して、 わが|魂《たましい》をそそぎ|出《だ》すのである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》よ、|何《なに》ゆえうなだれるのか。 |何《なに》ゆえわたしのうちに|思《おも》いみだれるのか。 |神《かみ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め。 わたしはなおわが|助《たす》け、 わが|神《かみ》なる|主《しゅ》をほめたたえるであろう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》はわたしのうちにうなだれる。 それで、わたしはヨルダンの|地《ち》から、またヘルモンから、 ミザルの|山《やま》からあなたを|思《おも》い|起《おこ》す。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|大滝《おおたき》の|響《ひび》きによって|淵々《ふちぶち》|呼《よ》びこたえ、 あなたの|波《なみ》、あなたの|大波《おおなみ》は ことごとくわたしの|上《うえ》を|越《こ》えていった。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》には、|主《しゅ》はそのいつくしみをほどこし、 |夜《よる》には、その|歌《うた》すなわちわがいのちの|神《かみ》にささげる |祈《いのり》がわたしと|共《とも》にある。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|岩《いわ》なる|神《かみ》に|言《い》う、 「|何《なに》ゆえわたしをお|忘《わす》れになりましたか。 |何《なに》ゆえわたしは|敵《てき》のしえたげによって |悲《かな》しみ|歩《ある》くのですか」と。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしのあだは|骨《ほね》も|砕《くだ》けるばかりに わたしをののしり、 ひねもすわたしにむかって 「おまえの|神《かみ》はどこにいるのか」と|言《い》う。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》よ、|何《なに》ゆえうなだれるのか。 |何《なに》ゆえわたしのうちに|思《おも》いみだれるのか。 |神《かみ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め。 わたしはなおわが|助《たす》け、 わが|神《かみ》なる|主《しゅ》をほめたたえるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第四三篇[#「第四三篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしをさばき、 |神《かみ》を|恐《おそ》れない|民《たみ》にむかって、 わたしの|訴《うった》えをあげつらい、 たばかりをなすよこしまな|人《ひと》から わたしを|助《たす》け|出《だ》してください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|寄《よ》り|頼《たの》む|神《かみ》です。 なぜわたしを|捨《す》てられたのですか。 なぜわたしは|敵《てき》のしえたげによって |悲《かな》しみ|歩《ある》くのですか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|光《ひかり》とまこととを|送《おく》ってわたしを|導《みちび》き、 あなたの|聖《せい》なる|山《やま》と、あなたの|住《す》まわれる|所《ところ》に わたしをいたらせてください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|神《かみ》の|祭壇《さいだん》へ|行《い》き、 わたしの|大《おお》きな|喜《よろこ》びである|神《かみ》へ|行《い》きます。 |神《かみ》よ、わが|神《かみ》よ、 わたしは|琴《こと》をもってあなたをほめたたえます。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》よ、|何《なに》ゆえうなだれるのか。 |何《なに》ゆえわたしのうちに|思《おも》いみだれるのか。 |神《かみ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め。 わたしはなおわが|助《たす》け、 わが|神《かみ》なる|主《しゅ》をほめたたえるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第四四篇[#「第四四篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたコラの|子《こ》のマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、いにしえ、われらの|先祖《せんぞ》たちの|日《ひ》に、 あなたがなされたみわざを |彼《かれ》らがわれらに|語《かた》ったのを|耳《みみ》で|聞《き》きました。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたはみ|手《て》をもって、もろもろの|国民《くにたみ》を |追《お》い|払《はら》ってわれらの|先祖《せんぞ》たちを|植《う》え、 またもろもろの|民《たみ》を|悩《なや》まして、 われらの|先祖《せんぞ》たちをふえ|広《ひろ》がらせられました。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|自分《じぶん》のつるぎによって|国《くに》を|獲《え》たのでなく、 また|自分《じぶん》の|腕《うで》によって|勝利《しょうり》を|得《え》たのでもありません。 ただあなたの|右《みぎ》の|手《て》、あなたの|腕《うで》、 あなたのみ|顔《かお》の|光《ひかり》によるのでした。 あなたが|彼《かれ》らを|恵《めぐ》まれたからです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|王《おう》、わが|神《かみ》、 ヤコブのために|勝利《しょうり》を|定《さだ》められる|方《かた》です。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われらはあなたによって、あだを|押《お》し|倒《たお》し、 われらに|立《た》ちむかう|者《もの》を、 み|名《な》によって|踏《ふ》みにじるのです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》の|弓《ゆみ》を|頼《たの》まず、わたしのつるぎもまた、 わたしを|救《すく》うことができないからです。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたはわれらをあだから|救《すく》い、 われらを|憎《にく》む|者《もの》をはずかしめられました。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]われらは|常《つね》に|神《かみ》によって|誇《ほこ》り、 とこしえにあなたのみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》するでしょう。〔セラ [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ところがあなたはわれらを|捨《す》てて|恥《はじ》を|負《お》わせ、 われらの|軍勢《ぐんぜい》と|共《とも》に|出《で》て|行《い》かれませんでした。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわれらをあだの|前《まえ》から|退《しりぞ》かせられたので、 われらの|敵《てき》は|心《こころ》のままにかすめ|奪《うば》いました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわれらをほふられる|羊《ひつじ》のようにし、 またもろもろの|国民《くにたみ》のなかに|散《ち》らされました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわずかの|金《きん》であなたの|民《たみ》を|売《う》り、 |彼《かれ》らのために|高《たか》い|価《あたい》を|求《もと》められませんでした。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわれらを|隣《とな》り|人《びと》にそしらせ、 われらをめぐる|者《もの》どもに|侮《あなど》らせ、 あざけらせられました。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またもろもろの|国民《くにたみ》のなかにわれらを|笑《わら》い|草《ぐさ》とし、 もろもろの|民《たみ》のなかに|笑《わら》い|者《もの》とされました。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わがはずかしめはひねもすわたしの|前《まえ》にあり、 |恥《はじ》はわたしの|顔《かお》をおおいました。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これはそしる|者《もの》と、ののしる|者《もの》の|言葉《ことば》により、 |敵《てき》と、|恨《うら》みを|報《むく》いる|者《もの》のゆえによるのです。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》が|皆《みな》われらに|臨《のぞ》みましたが、 われらはあなたを|忘《わす》れず、 あなたの|契約《けいやく》にそむくことがありませんでした。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われらの|心《こころ》はたじろがず、 またわれらの|歩《あゆ》みはあなたの|道《みち》を|離《はな》れませんでした。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それでもあなたは|山犬《やまいぬ》の|住《す》む|所《ところ》でわれらを|砕《くだ》き、 |暗《くら》やみをもってわれらをおおわれました。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]われらがもしわれらの|神《かみ》の|名《な》を|忘《わす》れ、 ほかの|神《かみ》に|手《て》を|伸《の》べたことがあったならば、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はこれを|見《み》あらわされないでしょうか。 |神《かみ》は|心《こころ》の|秘密《ひみつ》をも|知《し》っておられるからです。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ところがわれらはあなたのためにひねもす|殺《ころ》されて、 ほふられる|羊《ひつじ》のようにみなされました。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|起《お》きてください。なぜ|眠《ねむ》っておられるのですか。 |目《め》をさましてください。 われらをとこしえに|捨《す》てないでください。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]なぜあなたはみ|顔《かお》を|隠《かく》されるのですか。 なぜわれらの|悩《なや》みと、しえたげを お|忘《わす》れになるのですか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]まことにわれらの|魂《たましい》はかがんで、ちりに|伏《ふ》し、 われらのからだは|土《つち》につきました。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|起《お》きて、われらをお|助《たす》けください。 あなたのいつくしみのゆえに、 われらをあがなってください。 [#ここで字下げ終わり] 第四五篇[#「第四五篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってゆりの|花《はな》のしらべにあわせてうたわせたコラの|子《こ》のマスキールの|歌《うた》、|愛《あい》の|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》はうるわしい|言葉《ことば》であふれる。 わたしは|王《おう》についてよんだわたしの|詩《し》を|語《かた》る。 わたしの|舌《した》はすみやかに|物《もの》|書《か》く|人《ひと》の|筆《ふで》のようだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|人《ひと》の|子《こ》らにまさって|麗《うるわ》しく、 |気品《きひん》がそのくちびるに|注《そそ》がれている。 このゆえに|神《かみ》はとこしえにあなたを|祝福《しゅくふく》された。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ますらおよ、|光栄《こうえい》と|威厳《いげん》とをもって、 つるぎを|腰《こし》に|帯《お》びよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|真理《しんり》のため、また|正義《せいぎ》を|守《まも》るために |威厳《いげん》をもって、|勝利《しょうり》を|得《え》て|乗《の》り|進《すす》め。 あなたの|右《みぎ》の|手《て》はあなたに|恐《おそ》るべきわざを |教《おし》えるであろう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|矢《や》は|鋭《するど》くて、|王《おう》の|敵《てき》の|胸《むね》をつらぬき、 もろもろの|民《たみ》はあなたのもとに|倒《たお》れる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》から|賜《たま》わったあなたの|位《くらい》は|永遠《えいえん》にかぎりなく|続《つづ》き、 あなたの|王《おう》のつえは|公平《こうへい》のつえである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|義《ぎ》を|愛《あい》し、|悪《あく》を|憎《にく》む。 このゆえに|神《かみ》、あなたの|神《かみ》は|喜《よろこ》びの|油《あぶら》を あなたのともがらにまさって、あなたに|注《そそ》がれた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|衣《ころも》はみな|没薬《もつやく》、|芦薈《ろかい》、|肉桂《にっけい》で、 よいかおりを|放《はな》っている。 |琴《こと》の|音《ね》は|象牙《ぞうげ》の|殿《との》から|出《で》て、あなたを|喜《よろこ》ばせる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|愛《あい》する|女《おんな》たちのうちには|王《おう》の|娘《むすめ》たちがあり、 |王妃《おうひ》はオフルの|金《きん》を|飾《かざ》って、あなたの|右《みぎ》に|立《た》つ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|娘《むすめ》よ、|聞《き》け、かえりみて|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 あなたの|民《たみ》と、あなたの|父《ちち》の|家《いえ》とを|忘《わす》れよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はあなたのうるわしさを|慕《した》うであろう。 |彼《かれ》はあなたの|主《しゅ》であるから、|彼《かれ》を|伏《ふ》しおがめ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ツロの|民《たみ》は|贈《おく》り|物《もの》をもちきたり、 |民《たみ》のうちの|富《と》める|者《もの》もあなたの|好意《こうい》を|請《こ》い|求《もと》める。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|娘《むすめ》は|殿《との》のうちで|栄《さか》えをきわめ、 こがねを|織《お》り|込《こ》んだ|衣《ころも》を|着飾《きかざ》っている。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|縫《ぬ》い|取《と》りした|衣《ころも》を|着《き》て|王《おう》のもとに|導《みちび》かれ、 その|供《とも》びとなるおとめらは |彼女《かのじょ》に|従《したが》ってその|行列《ぎょうれつ》にある。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|喜《よろこ》びと|楽《たの》しみとをもって|導《みちび》かれ|行《い》き、 |王《おう》の|宮殿《きゅうでん》にはいる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子《こ》らは|父祖《ふそ》に|代《かわ》って|立《た》ち、 あなたは|彼《かれ》らを|全《ぜん》|地《ち》に|君《きみ》とするであろう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|名《な》をよろず|代《よ》におぼえさせる。 このゆえにもろもろの|民《たみ》は|世々《よよ》かぎりなく あなたをほめたたえるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第四六篇[#「第四六篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|女《おんな》の|声《こえ》のしらべにあわせてうたわせたコラの|子《こ》の|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわれらの|避《さ》け|所《どころ》また|力《ちから》である。 |悩《なや》める|時《とき》のいと|近《ちか》き|助《たす》けである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに、たとい|地《ち》は|変《かわ》り、 |山《やま》は|海《うみ》の|真中《まなか》に|移《うつ》るとも、われらは|恐《おそ》れない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]たといその|水《みず》は|鳴《な》りとどろき、あわだつとも、 そのさわぎによって|山《やま》は|震《ふる》え|動《うご》くとも、 われらは|恐《おそ》れない。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]一つの|川《かわ》がある。 その|流《なが》れは|神《かみ》の|都《みやこ》を|喜《よろこ》ばせ、 いと|高《たか》き|者《もの》の|聖《せい》なるすまいを|喜《よろこ》ばせる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がその|中《なか》におられるので、|都《みやこ》はゆるがない。 |神《かみ》は|朝《あさ》はやく、これを|助《たす》けられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》は|騒《さわ》ぎたち、もろもろの|国《くに》は|揺《ゆ》れ|動《うご》く、 |神《かみ》がその|声《こえ》を|出《だ》されると|地《ち》は|溶《と》ける。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はわれらと|共《とも》におられる、 ヤコブの|神《かみ》はわれらの|避《さ》け|所《どころ》である。〔セラ [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|来《き》て、|主《しゅ》のみわざを|見《み》よ、 |主《しゅ》は|驚《おどろ》くべきことを|地《ち》に|行《おこな》われた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|地《ち》のはてまでも|戦《たたか》いをやめさせ、 |弓《ゆみ》を|折《お》り、やりを|断《た》ち、|戦車《せんしゃ》を|火《ひ》で|焼《や》かれる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「|静《しず》まって、わたしこそ|神《かみ》であることを|知《し》れ。 わたしはもろもろの|国民《くにたみ》のうちにあがめられ、 |全《ぜん》|地《ち》にあがめられる」。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はわれらと|共《とも》におられる、 ヤコブの|神《かみ》はわれらの|避《さ》け|所《どころ》である。〔セラ [#ここで字下げ終わり] 第四七篇[#「第四七篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたコラの|子《こ》の|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》よ、|手《て》をうち、 |喜《よろこ》びの|声《こえ》をあげ、|神《かみ》にむかって|叫《さけ》べ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|主《しゅ》は|恐《おそ》るべく、 |全《ぜん》|地《ち》をしろしめす|大《おお》いなる|王《おう》だからである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|民《たみ》をわれらに|従《したが》わせ、 もろもろの|国《くに》をわれらの|足《あし》の|下《した》に|従《したが》わせられた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|愛《あい》されたヤコブの|誇《ほこり》を われらの|嗣《し》|業《ぎょう》として、われらのために|選《えら》ばれた。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|喜《よろこ》び|叫《さけ》ぶ|声《こえ》と|共《とも》にのぼり、 |主《しゅ》はラッパの|声《こえ》と|共《とも》にのぼられた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》をほめうたえよ、ほめうたえよ、 われらの|王《おう》をほめうたえよ、ほめうたえよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|全《ぜん》|地《ち》の|王《おう》である。 |巧《たく》みな|歌《うた》をもってほめうたえよ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はもろもろの|国民《くにたみ》を|統《す》べ|治《おさ》められる。 |神《かみ》はその|聖《せい》なるみくらに|座《ざ》せられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》の|君《きみ》たちはつどい|来《き》て、 アブラハムの|神《かみ》の|民《たみ》となる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のもろもろの|盾《たて》は|神《かみ》のものである。 |神《かみ》は|大《おお》いにあがめられる。 [#ここで字下げ終わり] 第四八篇[#「第四八篇」は中見出し] [#斜体]コラの|子《こ》の|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|大《おお》いなる|神《かみ》であって、 われらの|神《かみ》の|都《みやこ》、その|聖《せい》なる|山《やま》で、 |大《おお》いにほめたたえらるべき|方《かた》である。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|山《やま》は|北《きた》の|端《はし》が|高《たか》くて、うるわしく、 |全《ぜん》|地《ち》の|喜《よろこ》びであり、|大《おお》いなる|王《おう》の|都《みやこ》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのもろもろの|殿《との》のうちに|神《かみ》はみずからを |高《たか》きやぐらとして|現《あらわ》された。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|王《おう》らは|相《あい》|会《かい》して|共《とも》に|進《すす》んできたが、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|都《みやこ》を|見《み》るや|驚《おどろ》き、 あわてふためき、|急《いそ》ぎ|逃《に》げ|去《さ》った。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]おののきは|彼《かれ》らに|臨《のぞ》み、 その|苦《くる》しみは|産《う》みの|苦《くる》しみをする|女《おんな》のようであった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|東風《ひがしかぜ》を|起《おこ》してタルシシの|舟《ふね》を|破《やぶ》られた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さきにわれらが|聞《き》いたように、 |今《いま》われらは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|都《みやこ》、 われらの|神《かみ》の|都《みやこ》でこれを|見《み》ることができた。 |神《かみ》はとこしえにこの|都《みやこ》を|堅《かた》くされる。〔セラ [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、われらはあなたの|宮《みや》のうちで あなたのいつくしみを|思《おも》いました。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたの|誉《ほまれ》は、あなたのみ|名《な》のように、 |地《ち》のはてにまで|及《およ》びます。 あなたの|右《みぎ》の|手《て》は|勝利《しょうり》で|満《み》ちています。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのさばきのゆえに、 シオンの|山《やま》を|喜《よろこ》ばせ、ユダの|娘《むすめ》を|楽《たの》しませてください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]シオンのまわりを|歩《ある》き、あまねくめぐって、 そのやぐらを|数《かぞ》え、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|城壁《じょうへき》に|心《こころ》をとめ、そのもろもろの|殿《との》をしらべよ。 これはあなたがたが|後《のち》の|代《よ》に|語《かた》り|伝《つた》えるためである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これこそ|神《かみ》であり、 |世々《よよ》かぎりなくわれらの|神《かみ》であって、 とこしえにわれらを|導《みちび》かれるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第四九篇[#「第四九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたコラの|子《こ》の|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》よ、これを|聞《き》け、 すべて|世《よ》に|住《す》む|者《もの》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|低《てい》きも|高《たか》きも、|富《と》めるも|貧《まず》しきも、|共《とも》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わが|口《くち》は|知恵《ちえ》を|語《かた》り、わが|心《こころ》は|知識《ちしき》を|思《おも》う。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|耳《みみ》をたとえに|傾《かたむ》け、 |琴《こと》を|鳴《な》らして、わたしのなぞを|解《と》き|明《あ》かそう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしをしえたげる|者《もの》の|不義《ふぎ》が わたしを|取《と》り|囲《かこ》む|悩《なや》みの|日《ひ》に、 どうして|恐《おそ》れなければならないのか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはおのが|富《とみ》をたのみ、 そのたからの|多《おお》いのを|誇《ほこ》る|人々《ひとびと》である。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]まことに|人《ひと》はだれも|自分《じぶん》をあがなうことはできない。 そのいのちの|価《あたい》を|神《かみ》に|払《はら》うことはできない。 [#太字]八 九[#「八 九」は行右小書き][#太字終わり]とこしえに|生《い》きながらえて、|墓《はか》を|見《み》ないために そのいのちをあがなうには、あまりに|価《あたい》|高《たか》くて、 それを|満足《まんぞく》に|払《はら》うことができないからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]まことに|賢《かしこ》い|人《ひと》も|死《し》に、 |愚《おろ》かな|者《もの》も、|獣《けもの》のような|者《もの》も、ひとしく|滅《ほろ》んで、 その|富《とみ》を|他人《たにん》に|残《のこ》すことは|人《ひと》の|見《み》るところである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らはその|地《ち》を|自分《じぶん》の|名《な》をもって|呼《よ》んでも、 |墓《はか》こそ|彼《かれ》らのとこしえのすまい、 |世々《よよ》|彼《かれ》らのすみかである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|栄華《えいが》のうちに|長《なが》くとどまることはできない、 |滅《ほろ》びうせる|獣《けもの》にひとしい。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これぞ|自分《じぶん》をたのむ|愚《おろ》かな|者《もの》どもの|成《な》りゆき、 |自分《じぶん》の|分《わ》け|前《まえ》を|喜《よろこ》ぶ|者《もの》どもの|果《はて》である。〔セラ [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|陰府《よみ》に|定《さだ》められた|羊《ひつじ》のように |死《し》が|彼《かれ》らを|牧《ぼく》するであろう。 |彼《かれ》らはまっすぐに|墓《はか》に|下《くだ》り、そのかたちは|消《き》えうせ、 |陰府《よみ》が|彼《かれ》らのすまいとなるであろう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》はわたしを|受《う》けられるゆえ、 わたしの|魂《たましい》を|陰府《よみ》の|力《ちから》からあがなわれる。〔セラ [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|富《とみ》を|得《え》るときも、 その|家《いえ》の|栄《さか》えが|増《ま》し|加《くわ》わるときも、|恐《おそ》れてはならない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|死《し》ぬときは|何《なに》ひとつ|携《たずさ》え|行《い》くことができず、 その|栄《さか》えも|彼《かれ》に|従《したが》って|下《くだ》って|行《い》くことは ないからである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》が|生《い》きながらえる|間《あいだ》、|自分《じぶん》を|幸福《こうふく》と|思《おも》っても、 またみずから|幸《さいわい》な|時《とき》に、|人々《ひとびと》から|称賛《しょうさん》されても、 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はついにおのれの|先祖《せんぞ》の|仲間《なかま》に|連《つら》なる。 |彼《かれ》らは|絶《た》えて|光《ひかり》を|見《み》ることがない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|栄華《えいが》のうちに|長《なが》くとどまることはできない。 |滅《ほろ》びうせる|獣《けもの》にひとしい。 [#ここで字下げ終わり] 第五〇篇[#「第五〇篇」は中見出し] [#斜体]アサフの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|全能者《ぜんのうしゃ》なる|神《かみ》、|主《しゅ》は|詔《みことのり》して、 |日《ひ》の|出《で》るところから|日《ひ》の|入《い》るところまで あまねく|地《ち》に|住《す》む|者《もの》を|召《め》し|集《あつ》められる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|麗《うるわ》しさのきわみであるシオンから|光《ひかり》を|放《はな》たれる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》は|来《き》て、もだされない。 み|前《まえ》には|焼《や》きつくす|火《ひ》があり、 そのまわりには、はげしい|暴風《ぼうふう》がある。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|民《たみ》をさばくために、 |上《うえ》なる|天《てん》および|地《ち》に|呼《よ》ばわれる、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「いけにえをもってわたしと|契約《けいやく》を|結《むす》んだ わが|聖徒《せいと》をわたしのもとに|集《あつ》めよ」と。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》は|神《かみ》の|義《ぎ》をあらわす、 |神《かみ》はみずから、さばきぬしだからである。〔セラ [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「わが|民《たみ》よ、|聞《き》け、わたしは|言《い》う。 イスラエルよ、わたしはあなたにむかって あかしをなす。 わたしは|神《かみ》、あなたの|神《かみ》である。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたを|責《せ》めるのは、 あなたのいけにえのゆえではない。 あなたの|燔祭《はんさい》はいつもわたしの|前《まえ》にある。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|家《いえ》から|雄牛《おうし》を|取《と》らない。 またあなたのおりから|雄《お》やぎを|取《と》らない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|林《はやし》のすべての|獣《けもの》はわたしのもの、 |丘《おか》の|上《うえ》の|千々《ちぢ》の|家畜《かちく》もわたしのものである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|空《そら》の|鳥《とり》をことごとく|知《し》っている。 |野《の》に|動《うご》くすべてのものはわたしのものである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしは|飢《う》えても、あなたに|告《つ》げない、 |世界《せかい》とその|中《なか》に|満《み》ちるものとは わたしのものだからである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|雄牛《おうし》の|肉《にく》を|食《た》べ、 |雄《お》やぎの|血《ち》を|飲《の》むだろうか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|感謝《かんしゃ》のいけにえを|神《かみ》にささげよ。 あなたの|誓《ちか》いをいと|高《たか》き|者《もの》に|果《はた》せ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|悩《なや》みの|日《ひ》にわたしを|呼《よ》べ、わたしはあなたを|助《たす》け、 あなたはわたしをあがめるであろう」。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》は|悪《あ》しき|者《もの》に|言《い》われる、 「あなたはなんの|権利《けんり》があってわたしの|定《さだ》めを|述《の》べ、 わたしの|契約《けいやく》を|口《くち》にするのか。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|教《おしえ》を|憎《にく》み、わたしの|言葉《ことば》を|捨《す》て|去《さ》った。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|盗《ぬす》びとを|見《み》ればこれとむつみ、 |姦淫《かんいん》を|行《おこな》う|者《もの》と|交《まじ》わる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|口《くち》を|悪《あく》にわたし、 あなたの|舌《した》はたばかりを|仕組《しく》む。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|座《ざ》してその|兄弟《きょうだい》をそしり、 |自分《じぶん》の|母《はは》の|子《こ》をののしる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがこれらの|事《こと》をしたのを、わたしが|黙《だま》っていたので、 あなたはわたしを|全《まった》く|自分《じぶん》とひとしい|者《もの》と|思《おも》った。 しかしわたしはあなたを|責《せ》め、 あなたの|目《め》の|前《まえ》にその|罪《つみ》をならべる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》を|忘《わす》れる|者《もの》よ、このことを|思《おも》え。 さもないとわたしはあなたをかき|裂《さ》く。 そのときだれも|助《たす》ける|者《もの》はないであろう。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|感謝《かんしゃ》のいけにえをささげる|者《もの》はわたしをあがめる。 |自分《じぶん》のおこないを|慎《つつし》む|者《もの》にはわたしは|神《かみ》の|救《すくい》を|示《しめ》す」。 [#ここで字下げ終わり] 第五一篇[#「第五一篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》、これはダビデがバテセバに|通《とお》った|後《のち》|預言者《よげんしゃ》ナタンがきたときによんだもの[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたのいつくしみによって、 わたしをあわれみ、 あなたの|豊《ゆた》かなあわれみによって、 わたしのもろもろのとがをぬぐい|去《さ》ってください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|不義《ふぎ》をことごとく|洗《あら》い|去《さ》り、 わたしの|罪《つみ》からわたしを|清《きよ》めてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》のとがを|知《し》っています。 わたしの|罪《つみ》はいつもわたしの|前《まえ》にあります。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたにむかい、ただあなたに|罪《つみ》を|犯《おか》し、 あなたの|前《まえ》に|悪《わる》い|事《こと》を|行《おこな》いました。 それゆえ、あなたが|宣告《せんこく》をお|与《あた》えになるときは|正《ただ》しく、 あなたが|人《ひと》をさばかれるときは|誤《あやま》りがありません。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|不義《ふぎ》のなかに|生《うま》れました。 わたしの|母《はは》は|罪《つみ》のうちにわたしをみごもりました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたは|真実《しんじつ》を|心《こころ》のうちに|求《もと》められます。 それゆえ、わたしの|隠《かく》れた|心《こころ》に|知恵《ちえ》を|教《おし》えてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヒソプをもって、わたしを|清《きよ》めてください、 わたしは|清《きよ》くなるでしょう。 わたしを|洗《あら》ってください、 わたしは|雪《ゆき》よりも|白《しろ》くなるでしょう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|喜《よろこ》びと|楽《たの》しみとを|満《み》たし、 あなたが|砕《くだ》いた|骨《ほね》を|喜《よろこ》ばせてください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]み|顔《かお》をわたしの|罪《つみ》から|隠《かく》し、 わたしの|不義《ふぎ》をことごとくぬぐい|去《さ》ってください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしのために|清《きよ》い|心《こころ》をつくり、 わたしのうちに|新《あたら》しい、|正《ただ》しい|霊《れい》を|与《あた》えてください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしをみ|前《まえ》から|捨《す》てないでください。 あなたの|聖《せい》なる|霊《れい》をわたしから|取《と》らないでください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|救《すくい》の|喜《よろこ》びをわたしに|返《かえ》し、 |自由《じゆう》の|霊《れい》をもって、わたしをささえてください。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そうすればわたしは、とがを|犯《おか》した|者《もの》に あなたの|道《みち》を|教《おし》え、 |罪《つみ》びとはあなたに|帰《かえ》ってくるでしょう。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わが|救《すくい》の|神《かみ》よ、 |血《ち》を|流《なが》した|罪《つみ》からわたしを|助《たす》け|出《だ》してください。 わたしの|舌《した》は|声《こえ》|高《たか》らかにあなたの|義《ぎ》を|歌《うた》うでしょう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしのくちびるを|開《ひら》いてください。 わたしの|口《くち》はあなたの|誉《ほまれ》をあらわすでしょう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはいけにえを|好《この》まれません。 たといわたしが|燔祭《はんさい》をささげても あなたは|喜《よろこ》ばれないでしょう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|受《う》けられるいけにえは|砕《くだ》けた|魂《たましい》です。 |神《かみ》よ、あなたは|砕《くだ》けた|悔《く》いた|心《こころ》を かろしめられません。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみこころにしたがってシオンに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》し、 エルサレムの|城壁《じょうへき》を|築《きず》きなおしてください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたは|義《ぎ》のいけにえと|燔祭《はんさい》と、 |全《まった》き|燔祭《はんさい》とを|喜《よろこ》ばれるでしょう。 その|時《とき》あなたの|祭壇《さいだん》に|雄牛《おうし》がささげられるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第五二篇[#「第五二篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデのマスキールの|歌《うた》。これはエドムびとドエグがサウルにきて、「ダビデはアヒメレクの|家《いえ》にきた」と|告《つ》げたときにダビデがよんだもの[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|力《ちから》ある|者《もの》よ、|何《なに》ゆえあなたは |神《かみ》を|敬《うやま》う|人《ひと》に|与《あた》えた|災《わざわい》について|誇《ほこ》るのか。 あなたはひねもす|人《ひと》を|滅《ほろ》ぼすことをたくらむ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|虚偽《きょぎ》を|行《おこな》う|者《もの》よ、あなたの|舌《した》は|鋭《するど》いかみそりのようだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|善《ぜん》よりも|悪《あく》を|好《この》み、 まことを|語《かた》るよりも|偽《いつわ》りを|語《かた》ることを|好《この》む。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|欺《あざむ》きの|舌《した》よ、あなたはすべての|滅《ほろ》ぼす|言葉《ことば》を|好《この》む。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》はとこしえにあなたを|砕《くだ》き、 あなたを|捕《とら》えて、その|天幕《てんまく》から|引《ひ》き|離《はな》し、 |生《い》ける|者《もの》の|地《ち》から、あなたの|根《ね》を|絶《た》やされる。〔セラ [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》はこれを|見《み》て|恐《おそ》れ、|彼《かれ》を|笑《わら》って|言《い》うであろう、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「|神《かみ》をおのが|避《さ》け|所《どころ》とせず、その|富《とみ》の|豊《ゆた》かなるを|頼《たの》み、 その|宝《たから》に|寄《よ》り|頼《たの》む|人《ひと》を|見《み》よ」と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|神《かみ》の|家《いえ》にある |緑《みどり》のオリブの|木《き》のようだ。 わたしは|世々《よよ》かぎりなく|神《かみ》のいつくしみを|頼《たの》む。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがこの|事《こと》をなされたので、 わたしはとこしえに、あなたに|感謝《かんしゃ》し、 |聖徒《せいと》の|前《まえ》であなたのみ|名《な》をふれ|示《しめ》そう。 これはよいことだからである。 [#ここで字下げ終わり] 第五三篇[#「第五三篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってマハラテのしらべにあわせてうたわせたダビデのマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》は|心《こころ》のうちに「|神《かみ》はない」と|言《い》う。 |彼《かれ》らは|腐《くさ》れはて、|憎《にく》むべき|不義《ふぎ》をおこなった。 |善《ぜん》を|行《おこな》う|者《もの》はない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|天《てん》から|人《ひと》の|子《こ》を|見《み》おろして、 |賢《かしこ》い|者《もの》、|神《かみ》を|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》があるかないかを|見《み》られた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|皆《みな》そむき、みなひとしく|堕落《だらく》した。 |善《ぜん》を|行《おこな》う|者《もの》はない、ひとりもない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》は|悟《さと》りがないのか。 |彼《かれ》らは|物《もの》|食《く》うようにわが|民《たみ》を|食《く》らい、 また|神《かみ》を|呼《よ》ぶことをしない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|恐《おそ》るべきことのない|時《とき》に|大《おお》いに|恐《おそ》れた。 |神《かみ》はよこしまな|者《もの》の|骨《ほね》を|散《ち》らされるからである。 |神《かみ》が|彼《かれ》らを|捨《す》てられるので、 |彼《かれ》らは|恥《はじ》をこうむるであろう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうか、シオンからイスラエルの|救《すくい》が|出《で》るように。 |神《かみ》がその|民《たみ》の|繁栄《はんえい》を|回復《かいふく》される|時《とき》、 ヤコブは|喜《よろこ》び、イスラエルは|楽《たの》しむであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第五四篇[#「第五四篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|琴《こと》をもってうたわせたダビデのマスキールの|歌《うた》。これはジフびとがサウルにきて、「ダビデはわれらのうちに|隠《かく》れている」と|言《い》った|時《とき》によんだもの[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、み|名《な》によってわたしを|救《すく》い、 み|力《ちから》によってわたしをさばいてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしの|祈《いのり》をきき、 わが|口《くち》の|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》がわたしに|逆《さか》らって|起《おこ》り、 あらぶる|者《もの》がわたしのいのちを|求《もと》めています。 |彼《かれ》らは|神《かみ》をおのが|前《まえ》に|置《お》くことをしません。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》はわが|助《たす》けぬし、 |主《しゅ》はわがいのちを|守《まも》られるかたです。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわたしのあだに|災《わざわい》をもって|報《むく》いられるでしょう。 あなたのまことをもって|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|喜《よろこ》んであなたにいけにえをささげます。 |主《しゅ》よ、わたしはみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》します。 これはよい|事《こと》だからです。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはすべての|悩《なや》みからわたしを|救《すく》い、 わたしの|目《め》に|敵《てき》の|敗北《はいぼく》を|見《み》させられたからです。 [#ここで字下げ終わり] 第五五篇[#「第五五篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|琴《こと》をもってうたわせたダビデのマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしの|祈《いのり》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 わたしの|願《ねが》いを|避《さ》けて|身《み》を|隠《かく》さないでください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしにみこころをとめ、わたしに|答《こた》えてください。 わたしは|悩《なや》みによって|弱《よわ》りはて、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》の|声《こえ》と、|悪《あ》しき|者《もの》のしえたげとによって |気《き》が|狂《くる》いそうです。 |彼《かれ》らはわたしに|悩《なや》みを|臨《のぞ》ませ、 |怒《いか》ってわたしを|苦《くる》しめるからです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》はわがうちにもだえ|苦《くる》しみ、 |死《し》の|恐《おそ》れがわたしの|上《うえ》に|落《お》ちました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れとおののきがわたしに|臨《のぞ》み、 はなはだしい|恐《おそ》れがわたしをおおいました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》います、 「どうか、はとのように|翼《つばさ》をもちたいものだ。 そうすればわたしは|飛《と》び|去《さ》って|安《やす》きを|得《え》るであろう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|遠《とお》くのがれ|去《さ》って、|野《の》に|宿《やど》ろう。〔セラ [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|急《いそ》ぎ|避難《ひなん》して、 はやてとあらしをのがれよう」と。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らのはかりごとを|打《う》ち|破《やぶ》ってください。 |彼《かれ》らの|舌《した》を|混乱《こんらん》させてください。 わたしは|町《まち》のうちに|暴力《ぼうりょく》と|争《あらそ》いとを|見《み》るからです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|昼《ひる》も|夜《よる》も|町《まち》の|城壁《じょうへき》の|上《うえ》を|歩《ある》きめぐり、 |町《まち》のうちには|害悪《がいあく》と|悩《なや》みとがあります。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|滅《ほろ》ぼす|事《こと》が|町《まち》のうちにあり、 しえたげと|欺《あざむ》きとはその|市場《いちば》を |離《はな》れることがありません。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしをののしる|者《もの》は|敵《てき》ではありません。 もしそうであるならば|忍《しの》ぶことができます。 わたしにむかって|高《たか》ぶる|者《もの》はあだではありません。 もしそうであるならば|身《み》を|隠《かく》して |彼《かれ》を|避《さ》けることができます。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしそれはあなたです、わたしと|同《おな》じ|者《もの》、 わたしの|同僚《どうりょう》、わたしの|親《した》しい|友《とも》です。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]われらはたがいに|楽《たの》しく|語《かた》らい、 つれだって|神《かみ》の|宮《みや》に|上《のぼ》りました。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、|死《し》を|彼《かれ》らに|臨《のぞ》ませ、 |生《い》きたままで|陰府《よみ》に|下《くだ》らせ、 |恐《おそ》れをもって|彼《かれ》らを|墓《はか》に|去《さ》らせてください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしが|神《かみ》に|呼《よ》ばわれば、 |主《しゅ》はわたしを|救《すく》われます。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|夕《ゆう》べに、あしたに、|真昼《まひる》にわたしが|嘆《なげ》きうめけば、 |主《しゅ》はわたしの|声《こえ》を|聞《き》かれます。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしを|攻《せ》める|者《もの》が|多《おお》くとも、 |主《しゅ》はわたしがたたかう|戦《たたか》いから わたしを|安《やす》らかに|救《すく》い|出《だ》されます。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|昔《むかし》からみくらに|座《ざ》しておられる|神《かみ》は |聞《き》いて|彼《かれ》らを|悩《なや》まされるでしょう。〔セラ |彼《かれ》らはおきてを|守《まも》らず、|神《かみ》を|恐《おそ》れないからです。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|友《とも》はその|親《した》しき|者《もの》に|手《て》を|伸《の》ばして、 その|契約《けいやく》を|破《やぶ》った。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|口《くち》は|牛酪《ぎゅうらく》よりもなめらかだが、 その|心《こころ》には|戦《たたか》いがある。 その|言葉《ことば》は|油《あぶら》よりもやわらかだが、 それは|抜《ぬ》いたつるぎである。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|荷《に》を|主《しゅ》にゆだねよ。 |主《しゅ》はあなたをささえられる。 |主《しゅ》は|正《ただ》しい|人《ひと》の|動《うご》かされるのを|決《けっ》してゆるされない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、あなたは|彼《かれ》らを |滅《ほろ》びの|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れられます。 |血《ち》を|流《なが》す|者《もの》と|欺《あざむ》く|者《もの》とは おのが|日《ひ》の|半《なか》ばも|生《い》きながらえることはできません。 しかしわたしはあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 [#ここで字下げ終わり] 第五六篇[#「第五六篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって、「|遠《とお》き|所《ところ》におる|音《おと》をたてぬはと」のしらべにあわせてうたわせたダビデのミクタムの|歌《うた》。これはダビデがガテでペリシテびとに|捕《とら》えられたときによんだもの[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、どうかわたしをあわれんでください。 |人々《ひとびと》がわたしを|踏《ふ》みつけ、 あだする|人々《ひとびと》がひねもすわたしをしえたげます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》はひねもすわたしを|踏《ふ》みつけ、 |誇《ほこ》りたかぶって、わたしと|戦《たたか》う|者《もの》が|多《おお》いのです。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|恐《おそ》れるときは、あなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》によって、そのみ|言葉《ことば》をほめたたえます。 わたしは|神《かみ》に|信頼《しんらい》するゆえ、|恐《おそ》れることはありません。 |肉《にく》なる|者《もの》はわたしに|何《なに》をなし|得《え》ましょうか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはひねもすわたしの|事《こと》を|妨害《ぼうがい》し、 その|思《おも》いはことごとくわたしにわざわいします。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|共《とも》に|集《あつ》まって|身《み》をひそめ、 わたしの|歩《あゆ》みに|目《め》をとめ、 わたしのいのちをうかがい|求《もと》めます。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|彼《かれ》らにその|罪《つみ》を|報《むく》い、 |憤《いきどお》りをもってもろもろの|民《たみ》を|倒《たお》してください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしのさすらいを|数《かぞ》えられました。 わたしの|涙《なみだ》をあなたの|皮《かわ》|袋《ぶくろ》にたくわえてください。 これは|皆《みな》あなたの|書《しょ》に しるされているではありませんか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|呼《よ》び|求《もと》める|日《ひ》に、わたしの|敵《てき》は|退《しりぞ》きます。 これによって|神《かみ》がわたしを|守《まも》られることを|知《し》ります。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》によってそのみ|言葉《ことば》をほめたたえ、 |主《しゅ》によってそのみ|言葉《ことば》をほめたたえます。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》に|信頼《しんらい》するゆえ、|恐《おそ》れることはありません。 |人《ひと》はわたしに|何《なに》をなし|得《え》ましょうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしがあなたに|立《た》てた|誓《ちか》いは |果《はた》さなければなりません。 わたしは|感謝《かんしゃ》の|供《そな》え|物《もの》をあなたにささげます。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|魂《たましい》を|死《し》から|救《すく》い、 わたしの|足《あし》を|守《まも》って|倒《たお》れることなく、 いのちの|光《ひかり》のうちで|神《かみ》の|前《まえ》に わたしを|歩《あゆ》ませられたからです。 [#ここで字下げ終わり] 第五七篇[#「第五七篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって、「|滅《ほろ》ぼすな」というしらべにあわせてうたわせたダビデのミクタムの|歌《うた》。これはダビデが|洞《ほら》にはいってサウルの|手《て》をのがれたときによんだもの[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしをあわれんでください。 わたしをあわれんでください。 わたしの|魂《たましい》はあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 |滅《ほろ》びのあらしの|過《す》ぎ|去《さ》るまでは あなたの|翼《つばさ》の|陰《かげ》をわたしの|避《さ》け|所《どころ》とします。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはいと|高《たか》き|神《かみ》に|呼《よ》ばわります。 わたしのためにすべての|事《こと》をなしとげられる|神《かみ》に |呼《よ》ばわります。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|天《てん》から|送《おく》ってわたしを|救《すく》い、 わたしを|踏《ふ》みつける|者《もの》をはずかしめられます。〔セラ すなわち|神《かみ》はそのいつくしみとまこととを |送《おく》られるのです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|人《ひと》の|子《こ》らをむさぼり|食《く》らうししの|中《なか》に |横《よこ》たわっています。 |彼《かれ》らの|歯《は》はほこ、また|矢《や》、|彼《かれ》らの|舌《した》は|鋭《するど》いつるぎです。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、みずからを|天《てん》よりも|高《たか》くし、 みさかえを|全《ぜん》|地《ち》の|上《うえ》にあげてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしの|足《あし》を|捕《とら》えようと|網《あみ》を|設《もう》けました。 わたしの|魂《たましい》はうなだれました。 |彼《かれ》らはわたしの|前《まえ》に|穴《あな》を|掘《ほ》りました。 しかし|彼《かれ》らはみずからその|中《なか》に|陥《おちい》ったのです。〔セラ [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしの|心《こころ》は|定《さだ》まりました。 わたしの|心《こころ》は|定《さだ》まりました。 わたしは|歌《うた》い、かつほめたたえます。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》よ、さめよ。|立琴《たてごと》よ、|琴《こと》よ、さめよ。 わたしはしののめを|呼《よ》びさまします。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはもろもろの|民《たみ》の|中《なか》であなたに|感謝《かんしゃ》し、 もろもろの|国《くに》の|中《なか》であなたをほめたたえます。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみは|大《おお》きく、|天《てん》にまで|及《およ》び、 あなたのまことは|雲《くも》にまで|及《およ》びます。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、みずからを|天《てん》よりも|高《たか》くし、 みさかえを|全《ぜん》|地《ち》の|上《うえ》にあげてください。 [#ここで字下げ終わり] 第五八篇[#「第五八篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって、「|滅《ほろ》ぼすな」というしらべにあわせてうたわせたダビデのミクタムの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた|力《ちから》ある|者《もの》よ、 まことにあなたがたは|正《ただ》しい|事《こと》を|語《かた》り、 |公平《こうへい》をもって|人《ひと》の|子《こ》らをさばくのか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|否《いな》、あなたがたは|心《こころ》のうちに|悪《わる》い|事《こと》をたくらみ、 その|手《て》は|地《ち》に|暴虐《ぼうぎゃく》を|行《おこな》う。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|胎《たい》を|出《で》た|時《とき》から、そむき|去《さ》り、 |生《うま》れ|出《で》た|時《とき》から、あやまちを|犯《おか》し、|偽《いつわ》りを|語《かた》る。 [#太字]四 五[#「四 五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはへびの|毒《どく》のような|毒《どく》をもち、 |魔法使《まほうつかい》または|巧《たく》みに|呪文《じゅもん》を|唱《とな》える|者《もの》の|声《こえ》を|聞《き》かない |耳《みみ》をふさぐ|耳《みみ》しいのまむしのようである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|彼《かれ》らの|口《くち》の|歯《は》を|折《お》ってください。 |主《しゅ》よ、|若《わか》いししのきばを|抜《ぬ》き|砕《くだ》いてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|流《なが》れゆく|水《みず》のように|消《き》え|去《さ》らせ、 |踏《ふ》み|倒《たお》される|若草《わかくさ》のように|衰《おとろ》えさせてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|溶《と》けてどろどろになるかたつむりのように、 |時《とき》ならず|生《うま》れた|日《ひ》を|見《み》ぬ|子《こ》のようにしてください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|釜《かま》がまだいばらの|熱《ねつ》を|感《かん》じない|前《まえ》に |青《あお》いのも、|燃《も》えているのも|共《とも》につむじ|風《かぜ》に |吹《ふ》き|払《はら》われるように|彼《かれ》らを|吹《ふ》き|払《はら》ってください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》は|復讐《ふくしゅう》を|見《み》て|喜《よろこ》び、 その|足《あし》を|悪《あ》しき|者《もの》の|血《ち》で|洗《あら》うであろう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|人々《ひとびと》は|言《い》うであろう、 「まことに|正《ただ》しい|者《もの》には|報《むく》いがある。 まことに|地《ち》にさばきを|行《おこな》われる|神《かみ》がある」と。 [#ここで字下げ終わり] 第五九篇[#「第五九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって、「|滅《ほろ》ぼすな」というしらべにあわせてうたわせたダビデのミクタムの|歌《うた》。これはサウルがダビデを|殺《ころ》そうとして|人《ひと》をつかわし、その|家《いえ》をうかがわせたときダビデのよんだもの[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、どうかわたしをわが|敵《てき》から|助《たす》け|出《だ》し、 わたしに|逆《さか》らって|起《おこ》りたつ|者《もの》からお|守《まも》りください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》からわたしを|助《たす》け|出《だ》し、 |血《ち》を|流《なが》す|人《ひと》からわたしをお|救《すく》いください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》らはひそみかくれて、わたしの|命《いのち》をうかがい、 |力《ちから》ある|人々《ひとびと》が|共《とも》に|集《あつ》まってわたしを|攻《せ》めます。 |主《しゅ》よ、わたしにとがも|罪《つみ》もなく、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしにあやまちもないのに、 |彼《かれ》らは|走《はし》りまわって|備《そな》えをします。 わたしを|助《たす》けるために|目《め》をさまして、ごらんください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたはイスラエルの|神《かみ》です。 |目《め》をさまして、もろもろの|国民《くにたみ》を|罰《ばっ》し、 |悪《あく》をたくらむ|者《もの》どもに、 あわれみを|施《ほどこ》さないでください。〔セラ [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|夕《ゆう》ごとに|帰《かえ》ってきて、 |犬《いぬ》のようにほえて|町《まち》をあさりまわる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》らはその|口《くち》をもってほえ|叫《さけ》び、 そのくちびるをもってうなり、 「だれが|聞《き》くものか」と|言《い》う。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》よ、あなたは|彼《かれ》らを|笑《わら》い、 もろもろの|国民《くにたみ》をあざけり|笑《わら》われる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|力《ちから》よ、わたしはあなたにむかってほめ|歌《うた》います。 |神《かみ》よ、あなたはわたしの|高《たか》きやぐらです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》はそのいつくしみをもって わたしを|迎《むか》えられる。 わが|神《かみ》はわたしに|敵《てき》の|敗北《はいぼく》を|見《み》させられる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ、わが|民《たみ》の|忘《わす》れることのないために、 |彼《かれ》らを|殺《ころ》さないでください。 |主《しゅ》、われらの|盾《たて》よ、み|力《ちから》をもって|彼《かれ》らをよろめかせ、 |彼《かれ》らを|倒《たお》れさせないでください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|口《くち》の|罪《つみ》、そのくちびるの|言葉《ことば》のために |彼《かれ》らをその|高《たか》ぶりに|捕《とら》われさせてください。 |彼《かれ》らが|語《かた》るのろいと|偽《いつわ》りのために [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|憤《いきどお》りをもって|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼし、 もはやながらえることのないまでに、 |彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしてください。 そうすれば|地《ち》のはてまで、 |人々《ひとびと》は|神《かみ》がヤコブを|治《おさ》められることを |知《し》るに|至《いた》るでしょう。〔セラ [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|夕《ゆう》ごとに|帰《かえ》ってきて、 |犬《いぬ》のようにほえて|町《まち》をあさりまわる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|食《く》い|物《もの》のためにあるきまわり、 |飽《あ》くことを|得《え》なければ|怒《いか》りうなる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしはあなたのみ|力《ちから》をうたい、 |朝《あさ》には|声《こえ》をあげてみいつくしみを|歌《うた》います。 あなたはわたしの|悩《なや》みの|日《ひ》にわが|高《たか》きやぐらとなり、 わたしの|避《さ》け|所《どころ》となられたからです。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わが|力《ちから》よ、わたしはあなたにむかってほめうたいます。 |神《かみ》よ、あなたはわが|高《たか》きやぐら、 わたしにいつくしみを|賜《たま》わる|神《かみ》であられるからです。 [#ここで字下げ終わり] 第六〇篇[#「第六〇篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって、「あかしのゆり」というしらべにあわせて|教《おしえ》のためにうたわせたダビデのミクタムの|歌《うた》。これはダビデが、アラムナハライムおよびアラムゾバと|戦《たたか》ったとき、ヨアブがその|帰《かえ》りに、|塩《しお》の|谷《たに》でエドムびと一万二千|人《にん》を|殺《ころ》したときによんだもの[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわれらを|捨《す》て、 われらを|打《う》ち|破《やぶ》られました。 あなたは|憤《いきどお》られました。 |再《ふたた》びわれらをかえしてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|国《くに》を|震《ふる》わせ、これを|裂《さ》かれました。 その|破《やぶ》れをいやしてください。 |国《くに》が|揺《ゆ》れ|動《うご》くのです。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|民《たみ》に|耐《た》えがたい|事《こと》をさせ、 |人《ひと》をよろめかす|酒《さけ》をわれらに|飲《の》ませられました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|弓《ゆみ》の|前《まえ》からのがれた|者《もの》を|再《ふたた》び|集《あつ》めようと あなたを|恐《おそ》れる|者《もの》のために 一つの|旗《はた》を|立《た》てられました。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|愛《あい》される|者《もの》が|助《たす》けを|得《え》るために、 |右《みぎ》の|手《て》をもって|勝利《しょうり》を|与《あた》え、 われらに|答《こた》えてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|聖所《せいじょ》で|言《い》われた、 「わたしは|大《おお》いなる|喜《よろこ》びをもってシケムを|分《わ》かち、 スコテの|谷《たに》を|分《わ》かち|与《あた》えよう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデはわたしのもの、 マナセもわたしのものである。 エフライムはわたしのかぶと、 ユダはわたしのつえである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]モアブはわたしの|足《あし》だらい、 エドムにはわたしのくつを|投《な》げる。 ペリシテについては、かちどきをあげる」と。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]だれがわたしを|堅固《けんご》な|町《まち》に|至《いた》らせるでしょうか。 だれがわたしをエドムに|導《みちび》くでしょうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわれらを|捨《す》てられたではありませんか。 |神《かみ》よ、あなたはわれらの|軍勢《ぐんぜい》と|共《とも》に|出《で》て|行《い》かれません。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]われらに|助《たす》けを|与《あた》えて、あだにむかわせてください。 |人《ひと》の|助《たす》けはむなしいのです。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]われらは|神《かみ》によって|勇《いさ》ましく|働《はたら》きます。 われらのあだを|踏《ふ》みにじる|者《もの》は|神《かみ》だからです。 [#ここで字下げ終わり] 第六一篇[#「第六一篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|琴《こと》にあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしの|叫《さけ》びを|聞《き》いてください。 わたしの|祈《いのり》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|心《こころ》のくずおれるとき、 わたしは|地《ち》のはてからあなたに|呼《よ》ばわります。 わたしを|導《みちび》いて わたしの|及《およ》びがたいほどの|高《たか》い|岩《いわ》に のぼらせてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|避《さ》け|所《どころ》、 |敵《てき》に|対《たい》する|堅固《けんご》なやぐらです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしをとこしえにあなたの|幕屋《まくや》に|住《す》まわせ、 あなたの|翼《つばさ》の|陰《かげ》にのがれさせてください。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわたしのもろもろの|誓《ちか》いを|聞《き》き、 み|名《な》を|恐《おそ》れる|者《もの》に|賜《たま》わる|嗣《し》|業《ぎょう》を わたしに|与《あた》えられました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうか|王《おう》のいのちを|延《の》ばし、 そのよわいをよろずよに|至《いた》らせてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》をとこしえに|神《かみ》の|前《まえ》に|王《おう》たらしめ、 いつくしみとまこととに|命《めい》じて |彼《かれ》を|守《まも》らせてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そうすればわたしはとこしえにみ|名《な》をほめうたい、 |日《ひ》ごとにわたしのもろもろの|誓《ちか》いを|果《はた》すでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第六二篇[#「第六二篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってエドトンのしらべにしたがってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》はもだしてただ|神《かみ》をまつ。 わが|救《すくい》は|神《かみ》から|来《く》る。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》こそわが|岩《いわ》、わが|救《すくい》、 わが|高《たか》きやぐらである。 わたしはいたく|動《うご》かされることはない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、いつまで|人《ひと》に|押《お》し|迫《せま》るのか。 あなたがたは|皆《みな》、|傾《かたむ》いた|石《いし》がきのように、 |揺《ゆ》り|動《うご》くまがきのように|人《ひと》を|倒《たお》そうとするのか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|人《ひと》を|尊《たっと》い|地位《ちい》から|落《おと》そうとのみはかり、 |偽《いつわ》りを|喜《よろこ》び、その|口《くち》では|祝福《しゅくふく》し、 |心《こころ》のうちではのろうのである。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》はもだしてただ|神《かみ》をまつ。 わが|望《のぞ》みは|神《かみ》から|来《く》るからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》こそわが|岩《いわ》、わが|救《すくい》、 わが|高《たか》きやぐらである。 わたしは|動《うご》かされることはない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|救《すくい》とわが|誉《ほまれ》とは|神《かみ》にある。 |神《かみ》はわが|力《ちから》の|岩《いわ》、わが|避《さ》け|所《どころ》である。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》よ、いかなる|時《とき》にも|神《かみ》に|信頼《しんらい》せよ。 そのみ|前《まえ》にあなたがたの|心《こころ》を|注《そそ》ぎ|出《だ》せ。 |神《かみ》はわれらの|避《さ》け|所《どころ》である。〔セラ [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|低《ひく》い|人《ひと》はむなしく、|高《たか》い|人《ひと》は|偽《いつわ》りである。 |彼《かれ》らをはかりにおけば、|彼《かれ》らは|共《とも》に|息《いき》よりも|軽《かる》い。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、しえたげにたよってはならない。 かすめ|奪《うば》うことに、むなしい|望《のぞ》みをおいてはならない。 |富《とみ》の|増《ま》し|加《くわ》わるとき、これに|心《こころ》をかけてはならない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はひとたび|言《い》われた、 わたしはふたたびこれを|聞《き》いた、 |力《ちから》は|神《かみ》に|属《ぞく》することを。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、いつくしみもまたあなたに|属《ぞく》することを。 あなたは|人《ひと》おのおののわざにしたがって |報《むく》いられるからである。 [#ここで字下げ終わり] 第六三篇[#「第六三篇」は中見出し] [#斜体]ユダの|野《の》にあったときによんだダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわたしの|神《かみ》、 わたしは|切《せつ》にあなたをたずね|求《もと》め、 わが|魂《たましい》はあなたをかわき|望《のぞ》む。 |水《みず》なき、かわき|衰《おとろ》えた|地《ち》にあるように、 わが|肉体《にくたい》はあなたを|慕《した》いこがれる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはあなたの|力《ちから》と|栄《さか》えとを|見《み》ようと、 |聖所《せいじょ》にあって|目《め》をあなたに|注《そそ》いだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみは、いのちにもまさるゆえ、 わがくちびるはあなたをほめたたえる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|生《い》きながらえる|間《あいだ》、あなたをほめ、 |手《て》をあげて、み|名《な》を|呼《よ》びまつる。 [#太字]五 六[#「五 六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|床《とこ》の|上《うえ》であなたを|思《おも》いだし、 |夜《よ》のふけるままにあなたを|深《ふか》く|思《おも》うとき、 わたしの|魂《たましい》は|髄《ずい》とあぶらとをもって もてなされるように|飽《あ》き|足《た》り、 わたしの|口《くち》は|喜《よろこ》びのくちびるをもって あなたをほめたたえる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|助《たす》けとなられたゆえ、 わたしはあなたの|翼《つばさ》の|陰《かげ》で|喜《よろこ》び|歌《うた》う。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|魂《たましい》はあなたにすがりつき、 あなたの|右《みぎ》の|手《て》はわたしをささえられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしの|魂《たましい》を|滅《ほろ》ぼそうとたずね|求《もと》める|者《もの》は |地《ち》の|深《ふか》き|所《ところ》に|行《い》き、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]つるぎの|力《ちから》にわたされ、|山犬《やまいぬ》のえじきとなる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|王《おう》は|神《かみ》にあって|喜《よろこ》び、 |神《かみ》によって|誓《ちか》う|者《もの》はみな|誇《ほこ》ることができる。 |偽《いつわ》りを|言《い》う|者《もの》の|口《くち》はふさがれるからである。 [#ここで字下げ終わり] 第六四篇[#「第六四篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしが|嘆《なげ》き|訴《うった》えるとき、 わたしの|声《こえ》をお|聞《き》きください。 |敵《てき》の|恐《おそ》れからわたしの|命《いのち》をお|守《まも》りください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|隠《かく》して、|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》の ひそかなはかりごとから|免《まぬか》れさせ、 |不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》のはかりごとから|免《まぬか》れさせてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|舌《した》をつるぎのようにとぎ、 |苦《にが》い|言葉《ことば》を|矢《や》のように|放《はな》ち、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|隠《かく》れた|所《ところ》から|罪《つみ》なき|者《もの》を|射《い》ようとする。 にわかに|彼《かれ》を|射《い》て|恐《おそ》れることがない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|悪《わる》い|企《くわだ》てを|固《かた》くたもち、 |共《とも》にはかり、ひそかにわなをかけて|言《い》う、 「だれがわれらを|見破《みやぶ》ることができるか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]だれがわれらの|罪《つみ》をたずね|出《だ》すことができるか。 われらは|巧《たく》みに、 はかりごとを|考《かんが》えめぐらしたのだ」と。 |人《ひと》の|内《うち》なる|思《おも》いと|心《こころ》とは|深《ふか》い。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》は|矢《や》をもって|彼《かれ》らを|射《い》られる。 |彼《かれ》らはにわかに|傷《きず》をうけるであろう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らの|舌《した》のゆえに|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼされる。 |彼《かれ》らを|見《み》る|者《もの》は|皆《みな》そのこうべを|振《ふ》るであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》すべての|人《ひと》は|恐《おそ》れ、|神《かみ》のみわざを|宣《の》べ|伝《つた》え、 そのなされた|事《こと》を|考《かんが》えるであろう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|主《しゅ》にあって|喜《よろこ》び、かつ|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》む。 すべて|心《こころ》の|直《なお》き|者《もの》は|誇《ほこ》ることができる。 [#ここで字下げ終わり] 第六五篇[#「第六五篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、シオンにて、あなたをほめたたえることは ふさわしいことである。 |人《ひと》はあなたに|誓《ちか》いを|果《はた》すであろう。 [#太字]二 三[#「二 三」は行右小書き][#太字終わり]|祈《いのり》を|聞《き》かれる|方《かた》よ、 すべての|肉《にく》なる|者《もの》は|罪《つみ》のゆえにあなたに|来《く》る。 われらのとががわれらに|打《う》ち|勝《か》つとき、 あなたはこれをゆるされる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|選《えら》ばれ、あなたに|近《ちか》づけられて、 あなたの|大庭《おおにわ》に|住《す》む|人《ひと》はさいわいである。 われらはあなたの|家《いえ》、あなたの|聖《せい》なる|宮《みや》の |恵《めぐ》みによって|飽《あ》くことができる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われらの|救《すくい》の|神《かみ》よ、 |地《ち》のもろもろのはてと、|遠《とお》き|海《うみ》の|望《のぞ》みであるあなたは |恐《おそ》るべきわざにより、 |救《すくい》をもってわれらに|答《こた》えられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大能《たいのう》を|帯《お》び、 そのみ|力《ちから》によって、もろもろの|山《やま》を|堅《かた》く|立《た》たせられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|海《うみ》の|響《ひび》き、|大波《おおなみ》の|響《ひび》き、 もろもろの|民《たみ》の|騒《さわ》ぎを|静《しず》められる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|地《ち》のはてに|住《す》む|人々《ひとびと》も、 あなたのもろもろのしるしを|見《み》て|恐《おそ》れる。 あなたは|朝《あさ》と|夕《ゆう》の|出《で》る|所《ところ》をして |喜《よろこ》び|歌《うた》わせられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|地《ち》に|臨《のぞ》んで、これに|水《みず》をそそぎ、 これを|大《おお》いに|豊《ゆた》かにされる。 |神《かみ》の|川《かわ》は|水《みず》で|満《み》ちている。 あなたはそのように|備《そな》えして |彼《かれ》らに|穀物《こくもつ》を|与《あた》えられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|田《た》みぞを|豊《ゆた》かにうるおし、 そのうねを|整《ととの》え、|夕立《ゆうだ》ちをもってそれを|柔《やわ》らかにし、 そのもえ|出《で》るのを|祝福《しゅくふく》し、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またその|恵《めぐ》みをもって|年《とし》の|冠《かんむり》とされる。 あなたの|道《みち》にはあぶらがしたたる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》の|牧場《まきば》はしたたり、|小山《こやま》は|喜《よろこ》びをまとい、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|牧場《まきば》は|羊《ひつじ》の|群《む》れを|着《き》、 もろもろの|谷《たに》は|穀物《こくもつ》をもっておおわれ、 |彼《かれ》らは|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわって|共《とも》に|歌《うた》う。 [#ここで字下げ終わり] 第六六篇[#「第六六篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせた|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》よ、|神《かみ》にむかって|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわれ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのみ|名《な》の|栄光《えいこう》を|歌《うた》え。 |栄《さか》えあるさんびをささげよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》に|告《つ》げよ。 「あなたのもろもろのみわざは|恐《おそ》るべきかな。 |大《おお》いなるみ|力《ちから》によって、あなたの|敵《てき》はみ|前《まえ》に|屈服《くっぷく》し、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》はあなたを|拝《おが》み、あなたをほめうたい、 み|名《な》をほめうたうであろう」と。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|来《き》て、|神《かみ》のみわざを|見《み》よ。 |人《ひと》の|子《こ》らにむかってなされることは|恐《おそ》るべきかな。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|海《うみ》を|変《か》えて、かわいた|地《ち》とされた。 |人々《ひとびと》は|徒歩《とほ》で|川《かわ》を|渡《わた》った。 その|所《ところ》でわれらは|神《かみ》を|喜《よろこ》んだ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|大能《たいのう》をもって、とこしえに|統《す》べ|治《おさ》め、 その|目《め》はもろもろの|国民《くにたみ》を|監視《かんし》される。 そむく|者《もの》はみずからを|高《たか》くしてはならない。〔セラ [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》よ、われらの|神《かみ》をほめよ。 |神《かみ》をほめたたえる|声《こえ》を|聞《きこ》えさせよ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわれらを|生《い》きながらえさせ、 われらの|足《あし》のすべるのをゆるされない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわれらを|試《こころ》み、 しろがねを|練《ね》るように、われらを|練《ね》られた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわれらを|網《あみ》にひきいれ、 われらの|腰《こし》に|重《おも》き|荷《に》を|置《お》き、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》にわれらの|頭《あたま》の|上《うえ》を|乗《の》り|越《こ》えさせられた。 われらは|火《ひ》の|中《なか》、|水《みず》の|中《なか》を|通《とお》った。 しかしあなたはわれらを|広《ひろ》い|所《ところ》に|導《みちび》き|出《だ》された。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|燔祭《はんさい》をもってあなたの|家《いえ》に|行《い》き、 わたしの|誓《ちか》いをあなたに|果《はた》します。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これはわたしが|悩《なや》みにあったとき、 わたしのくちびるの|言《い》い|出《だ》したもの、 わたしの|口《くち》が|約束《やくそく》したものです。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|肥《こ》えたものの|燔祭《はんさい》を |雄羊《おひつじ》のいけにえの|煙《けむり》と|共《とも》にあなたにささげ、 |雄牛《おうし》と|雄《お》やぎとをささげます。〔セラ [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すべて|神《かみ》を|恐《おそ》れる|者《もの》よ、|来《き》て|聞《き》け。 |神《かみ》がわたしのためになされたことを|告《つ》げよう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|声《こえ》をあげて|神《かみ》に|呼《よ》ばわり、 わが|舌《した》をもって|神《かみ》をあがめた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしが|心《こころ》に|不義《ふぎ》をいだいていたならば、 |主《しゅ》はお|聞《き》きにならないであろう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、まことに|神《かみ》はお|聞《き》きになり、 わが|祈《いのり》の|声《こえ》にみこころをとめられた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はほむべきかな。 |神《かみ》はわが|祈《いのり》をしりぞけず、 そのいつくしみをわたしから|取《と》り|去《さ》られなかった。 [#ここで字下げ終わり] 第六七篇[#「第六七篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|琴《こと》にあわせてうたわせた|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|神《かみ》がわれらをあわれみ、われらを|祝福《しゅくふく》し、 そのみ|顔《かお》をわれらの|上《うえ》に|照《てら》されるように。〔セラ [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたの|道《みち》があまねく|地《ち》に|知《し》られ、 あなたの|救《すくい》の|力《ちから》がもろもろの|国民《くにたみ》のうちに |知《し》られるためです。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|民《たみ》らにあなたをほめたたえさせ、 もろもろの|民《たみ》にあなたをほめたたえさせてください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》を|楽《たの》しませ、 また|喜《よろこ》び|歌《うた》わせてください。 あなたは|公平《こうへい》をもってもろもろの|民《たみ》をさばき、 |地《ち》の|上《うえ》なるもろもろの|国民《くにたみ》を|導《みちび》かれるからです。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|民《たみ》らにあなたをほめたたえさせ、 もろもろの|民《たみ》にあなたをほめたたえさせてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》はその|産物《さんぶつ》を|出《だ》しました。 |神《かみ》、われらの|神《かみ》はわれらを|祝福《しゅくふく》されました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はわれらを|祝福《しゅくふく》されました。 |地《ち》のもろもろのはてにことごとく |神《かみ》を|恐《おそ》れさせてください。 [#ここで字下げ終わり] 第六八篇[#「第六八篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|立《た》ちあがって、その|敵《てき》を|散《ち》らし、 |神《かみ》を|憎《にく》む|者《もの》をみ|前《まえ》から|逃《に》げ|去《さ》らせてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|煙《けむり》の|追《お》いやられるように|彼《かれ》らを|追《お》いやり、 ろうの|火《ひ》の|前《まえ》に|溶《と》けるように |悪《あ》しき|者《もの》を|神《かみ》の|前《まえ》に|滅《ほろ》ぼしてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|正《ただ》しい|者《もの》を|喜《よろこ》ばせ、 |神《かみ》の|前《まえ》に|喜《よろこ》び|踊《おど》らせ、|喜《よろこ》び|楽《たの》しませてください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》にむかって|歌《うた》え、そのみ|名《な》をほめうたえ。 |雲《くも》に|乗《の》られる|者《もの》にむかって|歌声《うたごえ》をあげよ。 その|名《な》は|主《しゅ》、そのみ|前《まえ》に|喜《よろこ》び|踊《おど》れ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|聖《せい》なるすまいにおられる|神《かみ》は みなしごの|父《ちち》、やもめの|保護《ほご》|者《もの》である。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|寄《よ》るべなき|者《もの》に|住《す》むべき|家《いえ》を|与《あた》え、 めしゅうどを|解《と》いて|幸福《こうふく》に|導《みちび》かれる。 しかしそむく|者《もの》はかわいた|地《ち》に|住《す》む。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたが|民《たみ》に|先《さき》だち|出《で》て、 |荒野《あらの》を|進《すす》み|行《い》かれたとき、〔セラ [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]シナイの|主《しゅ》なる|神《かみ》の|前《まえ》に、 イスラエルの|神《かみ》なる|神《かみ》の|前《まえ》に、 |地《ち》は|震《ふる》い、|天《てん》は|雨《あめ》を|降《ふ》らせました。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたは|豊《ゆた》かな|雨《あめ》を|降《ふ》らせて、 |疲《つか》れ|衰《おとろ》えたあなたの|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》を|回復《かいふく》され、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|群《む》れは、そのうちにすまいを|得《え》ました。 |神《かみ》よ、あなたは|恵《めぐ》みをもって |貧《まず》しい|者《もの》のために|備《そな》えられました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|命令《めいれい》を|下《くだ》される。 おとずれを|携《たずさ》えた|女《おんな》たちの|大《おお》いなる|群《む》れは|言《い》う、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「もろもろの|軍勢《ぐんぜい》の|王《おう》たちは |逃《に》げ|去《さ》り、|逃《に》げ|去《さ》った」と。 |家《いえ》にとどまる|女《おんな》たちは|獲物《えもの》を|分《わ》ける、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らは|羊《ひつじ》のおりの|中《なか》にとどまるとも。 はとの|翼《つばさ》は、しろがねをもっておおわれ、 その|羽《はね》はきらめくこがねをもっておおわれる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|全能者《ぜんのうしゃ》がかしこで|王《おう》たちを|散《ち》らされたとき、 ザルモンに|雪《ゆき》が|降《ふ》った。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|山《やま》、バシャンの|山《やま》、 |峰《みね》かさなる|山《やま》、バシャンの|山《やま》よ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|峰《みね》かさなるもろもろの|山《やま》よ、 |何《なに》ゆえ|神《かみ》がすまいにと|望《のぞ》まれた|山《やま》をねたみ|見《み》るのか。 まことに|主《しゅ》はとこしえにそこに|住《す》まわれる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|神《かみ》のいくさ|車《ぐるま》|幾《いく》|千万《せんまん》をもって、 シナイから|聖所《せいじょ》に|来《こ》られた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはとりこを|率《ひき》い、 |人々《ひとびと》のうちから、またそむく|者《もの》のうちから |贈《おく》り|物《もの》をうけて、|高《たか》い|山《やま》に|登《のぼ》られた。 |主《しゅ》なる|神《かみ》がそこに|住《す》まわれるためである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|日々《ひび》にわれらの|荷《に》を|負《お》われる|主《しゅ》はほむべきかな。 |神《かみ》はわれらの|救《すくい》である。〔セラ [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》は|救《すくい》の|神《かみ》である。 |死《し》からのがれ|得《え》るのは|主《しゅ》なる|神《かみ》による。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|敵《てき》のこうべを|打《う》ち|砕《くだ》き、 おのがとがの|中《なか》に|歩《あゆ》む|者《もの》の |毛深《けぶか》い|頭《あたま》のいただきを|打《う》ち|砕《くだ》かれる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、 「わたしはバシャンから|彼《かれ》らを|携《たずさ》え|帰《かえ》り、 |海《うみ》の|深《ふか》い|所《ところ》から|彼《かれ》らを|携《たずさ》え|帰《かえ》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|足《あし》を|彼《かれ》らの|血《ち》に|浸《ひた》し、 あなたの|犬《いぬ》の|舌《した》はその|分《わ》け|前《まえ》を |敵《てき》から|得《え》るであろう」と。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|人々《ひとびと》はあなたのこうごうしい|行列《ぎょうれつ》を|見《み》た。 わが|神《かみ》、わが|王《おう》の、|聖所《せいじょ》に|進《すす》み|行《ゆ》かれるのを|見《み》た。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|歌《うた》う|者《もの》は|前《まえ》に|行《い》き、|琴《こと》をひく|者《もの》はあとになり、 おとめらはその|間《あいだ》にあって|手《て》|鼓《つづみ》を|打《う》って|言《い》う、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]「|大《おお》いなる|集会《しゅうかい》で|神《かみ》をほめよ。 イスラエルの|源《みなもと》から|出《で》た|者《もの》よ、|主《しゅ》をほめまつれ」と。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そこに|彼《かれ》らを|導《みちび》く|年《とし》|若《わか》いベニヤミンがおり、 その|群《む》れの|中《なか》にユダの|君《きみ》たちがおり、 ゼブルンの|君《きみ》たち、ナフタリの|君《きみ》たちがいる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたの|大能《たいのう》を|奮《ふる》い|起《おこ》してください。 われらのために|事《こと》をなされた|神《かみ》よ、 あなたの|力《ちから》をお|示《しめ》しください。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムにあるあなたの|宮《みや》のために、 |王《おう》たちはあなたに|贈《おく》り|物《もの》をささげるでしょう。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|葦《あし》の|中《なか》に|住《す》む|獣《けもの》、 もろもろの|民《たみ》の|子《こ》|牛《うし》を|率《ひき》いる|雄牛《おうし》の|群《む》れを いましめてください。 みつぎ|物《もの》をむさぼる|者《もの》たちを|足《あし》の|下《した》に|踏《ふ》みつけ、 |戦《たたか》いを|好《この》むもろもろの|民《たみ》を|散《ち》らしてください。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|青銅《せいどう》をエジプトから|持《も》ちきたらせ、 エチオピヤには|急《いそ》いでその|手《て》を |神《かみ》に|伸《の》べさせてください。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のもろもろの|国《くに》よ、|神《かみ》にむかって|歌《うた》え、 |主《しゅ》をほめうたえ。〔セラ [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]いにしえからの|天《てん》の|天《てん》に|乗《の》られる |主《しゅ》にむかってほめうたえ。 |見《み》よ、|主《しゅ》はみ|声《こえ》を|出《だ》し、|力《ちから》あるみ|声《こえ》を|出《だ》される。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|力《ちから》を|神《かみ》に|帰《き》せよ。その|威光《いこう》はイスラエルの|上《うえ》にあり、 その|力《ちから》は|雲《くも》の|中《なか》にある。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|聖所《せいじょ》で|恐《おそ》るべく、 イスラエルの|神《かみ》はその|民《たみ》に|力《ちから》と|勢《いきお》いとを|与《あた》えられる。 |神《かみ》はほむべきかな。 [#ここで字下げ終わり] 第六九篇[#「第六九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってゆりの|花《はな》のしらべにあわせてうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしをお|救《すく》いください。 |大水《おおみず》が|流《なが》れ|来《き》て、わたしの|首《くび》にまで|達《たっ》しました。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|足《あし》がかりもない|深《ふか》い|泥《どろ》の|中《なか》に|沈《しず》みました。 わたしは|深《ふか》い|水《みず》に|陥《おちい》り、 |大水《おおみず》がわたしの|上《うえ》を|流《なが》れ|過《す》ぎました。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|叫《さけ》びによって|疲《つか》れ、わたしののどはかわき、 わたしの|目《め》は|神《かみ》を|待《ま》ちわびて|衰《おとろ》えました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ゆえなく、わたしを|憎《にく》む|者《もの》は わたしの|頭《あたま》の|毛《け》よりも|多《おお》く、 |偽《いつわ》ってわたしの|敵《てき》となり、 わたしを|滅《ほろ》ぼそうとする|者《もの》は|強《つよ》いのです。 わたしは|盗《ぬす》まなかった|物《もの》をも |償《つぐな》わなければならないのですか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわたしの|愚《おろ》かなことを |知《し》っておられます。 わたしのもろもろのとがは あなたに|隠《かく》れることはありません。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたを|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》が わたしの|事《こと》によって、 はずかしめられることのないようにしてください。 イスラエルの|神《かみ》よ、あなたを|求《もと》める|者《もの》が わたしの|事《こと》によって、 |恥《はじ》を|負《お》わせられることのないようにしてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのためにそしりを|負《お》い、 |恥《はじ》がわたしの|顔《かお》をおおったのです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|兄弟《きょうだい》には、|知《し》らぬ|者《もの》となり、 わが|母《はは》の|子《こ》らには、のけ|者《もの》となりました。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家《いえ》を|思《おも》う|熱心《ねっしん》がわたしを|食《く》いつくし、 あなたをそしる|者《もの》のそしりが わたしに|及《およ》んだからです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|断食《だんじき》をもってわたしの|魂《たましい》を|悩《なや》ませば、 かえってそれによってそしりをうけました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|荒布《あらぬの》を|衣《ころも》とすれば、 かえって|彼《かれ》らのことわざとなりました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|門《もん》に|座《ざ》する|者《もの》の|話題《わだい》となり、 |酔《よ》いどれの|歌《うた》となりました。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|祈《いの》ります。 |神《かみ》よ、|恵《めぐ》みの|時《とき》に、 あなたのいつくしみの|豊《ゆた》かなるにより、 わたしにお|答《こた》えください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのまことの|救《すくい》により、 わたしを|泥《どろ》の|中《なか》に|沈《しず》まぬよう|助《たす》け|出《だ》してください。 わたしを|憎《にく》む|者《もの》から、 また|深《ふか》い|水《みず》からわたしを|助《たす》け|出《だ》してください。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|大水《おおみず》がわたしの|上《うえ》を|流《なが》れ|過《す》ぎることなく、 |淵《ふち》がわたしをのむことなく、 |穴《あな》がその|口《くち》をわたしの|上《うえ》に|閉《と》じることのないように してください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのいつくしみの|深《ふか》きにより、 わたしにお|答《こた》えください。 あなたのあわれみの|豊《ゆた》かなるにより、 わたしを|顧《かえり》みてください。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|顔《かお》をしもべに|隠《かく》さないでください。 わたしは|悩《なや》んでいるのです。 すみやかにわたしにお|答《こた》えください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|近《ちか》く|寄《よ》って、わたしをあがない、 わが|敵《てき》のゆえにわたしをお|救《すく》いください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|受《う》けるそしりと、 |恥《はじ》と、はずかしめとを|知《し》っておられます。 わたしのあだは|皆《みな》あなたの|前《まえ》にあります。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そしりがわたしの|心《こころ》を|砕《くだ》いたので、 わたしは|望《のぞ》みを|失《うしな》いました。 わたしは|同情《どうじょう》する|者《もの》を|求《もと》めたけれども、ひとりもなく、 |慰《なぐさ》める|者《もの》を|求《もと》めたけれども、ひとりも|見《み》ませんでした。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしの|食物《しょくもつ》に|毒《どく》を|入《い》れ、 わたしのかわいた|時《とき》に|酢《す》を|飲《の》ませました。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|前《まえ》の|食卓《しょくたく》を|網《あみ》とし、 |彼《かれ》らが|犠牲《ぎせい》をささげる|祭《まつり》を、わなとしてください。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|目《め》を|暗《くら》くして|見《み》えなくし、 |彼《かれ》らの|腰《こし》を|常《つね》に|震《ふる》わせ、 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|憤《いきどお》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》にそそぎ、 あなたの|激《はげ》しい|怒《いか》りを|彼《かれ》らに|追《お》いつかせてください。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|宿営《しゅくえい》を|荒《あら》し、 ひとりもその|天幕《てんまく》に|住《す》まわせないでください。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたが|撃《う》たれた|者《もの》を|迫害《はくがい》し、 あなたが|傷《きず》つけられた|者《もの》をさらに|苦《くる》しめるからです。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに、|罰《ばつ》に|罰《ばつ》を|加《くわ》え、 あなたの|赦免《しゃめん》にあずからせないでください。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをいのちの|書《か》から|消《け》し|去《さ》って、 |義人《ぎじん》のうちに|記録《きろく》されることのないように してください。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|悩《なや》み|苦《くる》しんでいます。 |神《かみ》よ、あなたの|救《すくい》が わたしを|高《たか》い|所《ところ》に|置《お》かれますように。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|歌《うた》をもって|神《かみ》の|名《な》をほめたたえ、 |感謝《かんしゃ》をもって|神《かみ》をあがめます。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これは|雄牛《おうし》または|角《つの》とひずめのある|雄牛《おうし》にまさって |主《しゅ》を|喜《よろこ》ばせるでしょう。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]へりくだる|者《もの》は、これを|見《み》て|喜《よろこ》べ。 |神《かみ》を|求《もと》める|者《もの》よ、あなたがたの|心《こころ》を|生《い》きかえらせよ。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|乏《とぼ》しい|者《もの》に|聞《き》き、 その|捕《とら》われ|人《びと》をかろしめられないからである。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》と|地《ち》は|主《しゅ》をほめたたえ、 |海《うみ》とその|中《なか》に|動《うご》くあらゆるものは|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はシオンを|救《すく》い、 ユダの|町々《まちまち》を|建《た》て|直《なお》されるからである。 そのしもべらはそこに|住《す》んでこれを|所有《しょゆう》し、 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]そのしもべらの|子孫《しそん》はこれを|継《つ》ぎ、 み|名《な》を|愛《あい》する|者《もの》はその|中《なか》に|住《す》むであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第七〇篇[#「第七〇篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|記念《きねん》の|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、みこころならばわたしをお|救《すく》いください。 |主《しゅ》よ、すみやかにわたしをお|助《たす》けください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしのいのちをたずね|求《もと》める|者《もの》どもを |恥《は》じあわてさせてください。 わたしのそこなわれることを|願《ねが》う|者《もの》どもを うしろに|退《しりぞ》かせ、|恥《はじ》を|負《お》わせてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「あはぁ、あはぁ」と|言《い》う|者《もの》どもを |自分《じぶん》の|恥《はじ》によって|恐《おそ》れおののかせてください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたを|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》は あなたによって|喜《よろこ》び|楽《たの》しむように。 あなたの|救《すくい》を|愛《あい》する|者《もの》は つねに「|神《かみ》は|大《おお》いなるかな」ととなえるように。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|貧《まず》しく、かつ|乏《とぼ》しい。 |神《かみ》よ、|急《いそ》いでわたしに|来《き》てください。 あなたはわが|助《たす》け、わが|救主《すくいぬし》です。 |主《しゅ》よ、ためらわないでください。 [#ここで字下げ終わり] 第七一篇[#「第七一篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|寄《よ》り|頼《たの》む。 とこしえにわたしをはずかしめないでください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|義《ぎ》をもってわたしを|助《たす》け、 わたしを|救《すく》い|出《だ》してください。 あなたの|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて、わたしをお|救《すく》いください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしのためにのがれの|岩《いわ》となり、 わたしを|救《すく》う|堅固《けんご》な|城《しろ》となってください。 あなたはわが|岩《いわ》、わが|城《しろ》だからです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、|悪《あ》しき|者《もの》の|手《て》からわたしを|救《すく》い、 |不義《ふぎ》、|残忍《ざんにん》な|人《ひと》の|支配《しはい》から、 わたしを|救《すく》い|出《だ》してください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはわたしの|若《わか》い|時《とき》からの わたしの|望《のぞ》み、わたしの|頼《たの》みです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|生《うま》れるときからあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みました。 あなたはわたしを|母《はは》の|胎《たい》から|取《と》り|出《だ》されたかたです。 わたしは|常《つね》にあなたをほめたたえます。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|多《おお》くの|人《ひと》に |怪《あや》しまれるような|者《もの》となりました。 しかしあなたはわたしの|堅固《けんご》な|避《さ》け|所《どころ》です。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|口《くち》はひねもす、あなたをたたえるさんびと、 |頌栄《しょうえい》とをもって|満《み》たされています。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|年老《としお》いた|時《とき》、わたしを|見離《みはな》さないでください。 わたしが|力《ちから》|衰《おとろ》えた|時《とき》、わたしを|見捨《みす》てないでください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》はわたしについて|語《かた》り、 わたしのいのちをうかがう|者《もの》は|共《とも》にはかって、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「|神《かみ》は|彼《かれ》を|見捨《みす》てた。|彼《かれ》を|助《たす》ける|者《もの》がないから |彼《かれ》を|追《お》って|捕《とら》えよ」と|言《い》います。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしに|遠《とお》ざからないでください。 わが|神《かみ》よ、すみやかに|来《き》てわたしを|助《たす》けてください。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしにあだする|者《もの》を|恥《は》じさせ、|滅《ほろ》ぼしてください。 わたしをそこなわんとする|者《もの》を、 そしりと、はずかしめとをもっておおってください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|絶《た》えず|望《のぞ》みをいだいて、 いよいよあなたをほめたたえるでしょう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|口《くち》はひねもすあなたの|義《ぎ》と、 あなたの|救《すくい》とを|語《かた》るでしょう。 わたしはその|数《かず》を|知《し》らないからです。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》なる|神《かみ》の|大能《たいのう》のみわざを|携《たずさ》えゆき、 ただあなたの|義《ぎ》のみを、ほめたたえるでしょう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわたしを|若《わか》い|時《とき》から|教《おし》えられました。 わたしはなお、 あなたのくすしきみわざを|宣《の》べ|伝《つた》えます。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしが|年老《としお》いて、しらがとなるとも、 あなたの|力《ちから》をきたらんとするすべての|代《よ》に |宣《の》べ|伝《つた》えるまで、わたしを|見捨《みす》てないでください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたの|大能《たいのう》と|義《ぎ》とは|高《たか》い|天《てん》にまで|及《およ》ぶ。 あなたは|大《おお》いなる|事《こと》をなされました。 |神《かみ》よ、だれかあなたに|等《ひと》しい|者《もの》があるでしょうか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを|多《おお》くの|重《おも》い|悩《なや》みに あわされましたが、|再《ふたた》びわたしを|生《い》かし、 |地《ち》の|深《ふか》い|所《ところ》から|引《ひ》きあげられるでしょう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|誉《ほまれ》を|増《ま》し、 |再《ふたた》びわたしを|慰《なぐさ》められるでしょう。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、わたしはまた|立琴《たてごと》をもって あなたと、あなたのまこととをほめたたえます。 イスラエルの|聖者《せいじゃ》よ、 わたしは|琴《こと》をもってあなたをほめ|歌《うた》います。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたにむかってほめ|歌《うた》うとき、 わがくちびるは|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわり、 あなたがあがなわれたわが|魂《たましい》もまた |喜《よろこ》び|呼《よ》ばわるでしょう。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|舌《した》もまたひねもす あなたの|義《ぎ》を|語《かた》るでしょう。 わたしをそこなわんとした|者《もの》が |恥《は》じあわてたからです。 [#ここで字下げ終わり] 第七二篇[#「第七二篇」は中見出し] [#斜体]ソロモンの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたの|公平《こうへい》を|王《おう》に|与《あた》え、 あなたの|義《ぎ》を|王《おう》の|子《こ》に|与《あた》えてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|義《ぎ》をもってあなたの|民《たみ》をさばき、 |公平《こうへい》をもってあなたの|貧《まず》しい|者《もの》をさばくように。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|山《やま》と|丘《おか》とは|義《ぎ》によって |民《たみ》に|平和《へいわ》を|与《あた》えるように。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|民《たみ》の|貧《まず》しい|者《もの》の|訴《うった》えを|弁護《べんご》し、 |乏《とぼ》しい|者《もの》に|救《すくい》を|与《あた》え、 しえたげる|者《もの》を|打《う》ち|砕《くだ》くように。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|日《ひ》と|月《つき》とのあらんかぎり、 |世々《よよ》|生《い》きながらえるように。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|刈《か》り|取《と》った|牧草《まきぐさ》の|上《うえ》に|降《ふ》る|雨《あめ》のごとく、 |地《ち》を|潤《うるお》す|夕立《ゆうだ》ちのごとく|臨《のぞ》むように。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《あ》の|世《よ》に|義《ぎ》は|栄《さか》え、 |平和《へいわ》は|月《つき》のなくなるまで|豊《ゆた》かであるように。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|海《うみ》から|海《うみ》まで|治《おさ》め、 |川《かわ》から|地《ち》のはてまで|治《おさ》めるように。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》のあだは|彼《かれ》の|前《まえ》にかがみ、 |彼《かれ》の|敵《てき》はちりをなめるように。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]タルシシおよび|島々《しまじま》の|王《おう》たちはみつぎを|納《おさ》め、 シバとセバの|王《おう》たちは|贈《おく》り|物《もの》を|携《たずさ》えて|来《く》るように。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|王《おう》は|彼《かれ》の|前《まえ》にひれ|伏《ふ》し、 もろもろの|国民《くにたみ》は|彼《かれ》に|仕《つか》えるように。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|乏《とぼ》しい|者《もの》をその|呼《よ》ばわる|時《とき》に|救《すく》い、 |貧《まず》しい|者《もの》と、|助《たす》けなき|者《もの》とを|救《すく》う。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|弱《よわ》い|者《もの》と|乏《とぼ》しい|者《もの》とをあわれみ、 |乏《とぼ》しい|者《もの》のいのちを|救《すく》い、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのいのちを、しえたげと|暴力《ぼうりょく》とからあがなう。 |彼《かれ》らの|血《ち》は|彼《かれ》の|目《め》に|尊《たっと》い。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|生《い》きながらえ、 シバの|黄金《おうごん》が|彼《かれ》にささげられ、 |彼《かれ》のために|絶《た》えず|祈《いのり》がささげられ、 ひねもす|彼《かれ》のために|祝福《しゅくふく》が|求《もと》められるように。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》のうちには|穀物《こくもつ》が|豊《ゆた》かにみのり、 その|実《み》はレバノンのように|山々《やまやま》の|頂《いただき》に|波打《なみう》ち、 |人々《ひとびと》は|野《の》の|草《くさ》のごとく|町々《まちまち》に|栄《さか》えるように。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|名《な》はとこしえに|続《つづ》き、 その|名声《めいせい》は|日《ひ》のあらん|限《かぎ》り、|絶《た》えることのないように。 |人々《ひとびと》は|彼《かれ》によって|祝福《しゅくふく》を|得《え》、 もろもろの|国民《くにたみ》は|彼《かれ》をさいわいなる|者《もの》と となえるように。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はほむべきかな。 ただ|主《しゅ》のみ、くすしきみわざをなされる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|光栄《こうえい》ある|名《な》はとこしえにほむべきかな。 |全《ぜん》|地《ち》はその|栄光《えいこう》をもって|満《み》たされるように。 アァメン、アァメン。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エッサイの|子《こ》ダビデの|祈《いのり》は|終《おわ》った。 [#ここで字下げ終わり] 第七三篇[#「第七三篇」は中見出し] [#斜体]アサフの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|正《ただ》しい|者《もの》にむかい、 |心《こころ》の|清《きよ》い|者《もの》にむかって、まことに|恵《めぐ》みふかい。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは、わたしの|足《あし》がつまずくばかり、 わたしの|歩《あゆ》みがすべるばかりであった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これはわたしが、|悪《あ》しき|者《もの》の|栄《さか》えるのを|見《み》て、 その|高《たか》ぶる|者《もの》をねたんだからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らには|苦《くる》しみがなく、 その|身《み》はすこやかで、つやがあり、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ほかの|人々《ひとびと》のように|悩《なや》むことがなく、 ほかの|人々《ひとびと》のように|打《う》たれることはない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|高慢《こうまん》は|彼《かれ》らの|首《くび》|飾《かざり》となり、 |暴力《ぼうりょく》は|衣《ころも》のように|彼《かれ》らをおおっている。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|肥《こ》え|太《ふと》って、その|目《め》はとびいで、 その|心《こころ》は|愚《おろ》かな|思《おも》いに|満《み》ちあふれている。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあざけり、|悪意《あくい》をもって|語《かた》り、 |高《たか》ぶって、しえたげを|語《かた》る。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|口《くち》を|天《てん》にさからって|置《お》き、 その|舌《した》は|地《ち》をあるきまわる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|民《たみ》は|心《こころ》を|変《か》えて|彼《かれ》らをほめたたえ、 |彼《かれ》らのうちにあやまちを|認《みと》めない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》う、「|神《かみ》はどうして|知《し》り|得《え》ようか、 いと|高《たか》き|者《もの》に|知識《ちしき》があろうか」と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、これらは|悪《あ》しき|者《もの》であるのに、 |常《つね》に|安《やす》らかで、その|富《とみ》が|増《ま》し|加《くわ》わる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]まことに、わたしはいたずらに|心《こころ》をきよめ、 |罪《つみ》を|犯《おか》すことなく|手《て》を|洗《あら》った。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはひねもす|打《う》たれ、 |朝《あさ》ごとに|懲《こら》しめをうけた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしが「このような|事《こと》を|語《かた》ろう」と|言《い》ったなら、 わたしはあなたの|子《こ》らの|代《よ》を|誤《あやま》らせたであろう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしがこれを|知《し》ろうと|思《おも》いめぐらしたとき、 これはわたしにめんどうな|仕事《しごと》のように|思《おも》われた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|神《かみ》の|聖所《せいじょ》に|行《い》って、 |彼《かれ》らの|最後《さいご》を|悟《さと》り|得《え》たまではそうであった。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]まことにあなたは|彼《かれ》らをなめらかな|所《ところ》に|置《お》き、 |彼《かれ》らを|滅《ほろ》びに|陥《おちい》らせられる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]なんと|彼《かれ》らはまたたくまに|滅《ほろ》ぼされ、 |恐《おそ》れをもって|全《まった》く|一掃《いっそう》されたことであろう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|目《め》をさまして |彼《かれ》らの|影《かげ》をかろしめられるとき、 |彼《かれ》らは|夢《ゆめ》みた|人《ひと》の|目《め》をさました|時《とき》のようである。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|魂《たましい》が|痛《いた》み、わたしの|心《こころ》が|刺《さ》されたとき、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|愚《おろ》かで|悟《さと》りがなく、 あなたに|対《たい》しては|獣《けもの》のようであった。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]けれどもわたしは|常《つね》にあなたと|共《とも》にあり、 あなたはわたしの|右《みぎ》の|手《て》を|保《たも》たれる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはさとしをもってわたしを|導《みちび》き、 その|後《のち》わたしを|受《う》けて|栄光《えいこう》にあずからせられる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのほかに、だれを|天《てん》にもち|得《え》よう。 |地《ち》にはあなたのほかに|慕《した》うものはない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わが|身《み》とわが|心《こころ》とは|衰《おとろ》える。 しかし|神《かみ》はとこしえにわが|心《こころ》の|力《ちから》、わが|嗣《し》|業《ぎょう》である。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたに|遠《とお》い|者《もの》は|滅《ほろ》びる。 あなたは、あなたにそむく|者《もの》を|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》に|近《ちか》くあることはわたしに|良《よ》いことである。 わたしは|主《しゅ》なる|神《かみ》をわが|避《さ》け|所《どころ》として、 あなたのもろもろのみわざを|宣《の》べ|伝《つた》えるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第七四篇[#「第七四篇」は中見出し] [#斜体]アサフのマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、なぜ、われらをとこしえに|捨《す》てられるのですか。 なぜ、あなたの|牧《まき》の|羊《ひつじ》に|怒《いか》りを|燃《も》やされるのですか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|昔《むかし》あなたが|手《て》に|入《い》れられたあなたの|公会《こうかい》、 すなわち、あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》の|部族《ぶぞく》となすために あがなわれたものを|思《おも》い|出《だ》してください。 あなたが|住《す》まわれたシオンの|山《やま》を |思《おも》い|出《だ》してください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]とこしえの|滅《ほろ》びの|跡《あと》に、あなたの|足《あし》を|向《む》けてください。 |敵《てき》は|聖所《せいじょ》で、すべての|物《もの》を|破壊《はかい》しました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあだは|聖所《せいじょ》の|中《なか》でほえさけび、 |彼《かれ》らのしるしを|立《た》てて、しるしとしました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|上《うえ》の|入口《いりぐち》では、おのをもって |木《き》の|格子《こうし》|垣《かき》を|切《き》り|倒《たお》しました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らは|手《て》おのと|鎚《つち》とをもって |聖所《せいじょ》の|彫《ほ》り|物《もの》をことごとく|打《う》ち|落《おと》しました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたの|聖所《せいじょ》に|火《ひ》をかけ、 み|名《な》のすみかをけがして、|地《ち》に|倒《たお》しました。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|心《こころ》のうちに|言《い》いました、 「われらはことごとくこれを|滅《ほろ》ぼそう」と。 |彼《かれ》らは|国《くに》のうちの|神《かみ》の|会堂《かいどう》をことごとく|焼《や》きました。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われらは|自分《じぶん》たちのしるしを|見《み》ません。 |預言者《よげんしゃ》も|今《いま》はいません。 そしていつまで|続《つづ》くのか、われらのうちには、 |知《し》る|者《もの》がありません。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あだはいつまであざけるでしょうか。 |敵《てき》はとこしえにあなたの|名《な》をののしるでしょうか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]なぜあなたは|手《て》を|引《ひ》かれるのですか。 なぜあなたは|右《みぎ》の|手《て》を ふところに|入《い》れておかれるのですか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はいにしえからわたしの|王《おう》であって、 |救《すくい》を|世《よ》の|中《なか》に|行《おこな》われた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはみ|力《ちから》をもって|海《うみ》をわかち、 |水《みず》の|上《うえ》の|龍《りゅう》の|頭《あたま》を|砕《くだ》かれた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはレビヤタンの|頭《あたま》をくだき、 これを|野《の》の|獣《けもの》に|与《あた》えてえじきとされた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|泉《いずみ》と|流《なが》れとを|開《ひら》き、 |絶《た》えず|流《なが》れるもろもろの|川《かわ》をからされた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》はあなたのもの、|夜《よる》もまたあなたのもの。 あなたは|光《ひかり》と|太陽《たいよう》とを|設《もう》けられた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|地《ち》のもろもろの|境《さかい》を|定《さだ》め、 |夏《なつ》と|冬《ふゆ》とを|造《つく》られた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|敵《てき》はあなたをあざけり、 |愚《おろ》かな|民《たみ》はあなたのみ|名《な》をののしります。 この|事《こと》を|思《おも》い|出《だ》してください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]どうかあなたのはとの|魂《たましい》を |野《の》の|獣《けもの》にわたさないでください。 |貧《まず》しい|者《もの》のいのちをとこしえに|忘《わす》れないでください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|契約《けいやく》をかえりみてください。 |地《ち》の|暗《くら》い|所《ところ》は|暴力《ぼうりょく》のすまいで|満《み》ちています。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しえたげられる|者《もの》を|恥《は》じさせないでください。 |貧《まず》しい|者《もの》と|乏《とぼ》しい|者《もの》とに み|名《な》をほめたたえさせてください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|起《お》きてあなたの|訴《うった》えをあげつらい、 |愚《おろ》かな|者《もの》のひねもすあなたをあざけるのを みこころにとめてください。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあだの|叫《さけ》びを|忘《わす》れないでください。 あなたの|敵《てき》の|絶《た》えずあげる|騒《さわ》ぎを |忘《わす》れないでください。 [#ここで字下げ終わり] 第七五篇[#「第七五篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって、「|滅《ほろ》ぼすな」というしらべにあわせてうたわせたアサフの|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、われらはあなたに|感謝《かんしゃ》します。 われらは|感謝《かんしゃ》します。 われらはあなたのみ|名《な》を|呼《よ》び、 あなたのくすしきみわざを|語《かた》ります。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|定《さだ》まった|時《とき》が|来《く》れば、 わたしは|公平《こうへい》をもってさばく。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》とすべてこれに|住《す》むものがよろめくとき、 わたしはその|柱《はしら》を|堅《かた》くする。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|誇《ほこ》る|者《もの》には「|誇《ほこ》るな」と|言《い》い、 |悪《あ》しき|者《もの》には「|角《つの》をあげるな、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|角《つの》を|高《たか》くあげるな、 |高慢《こうまん》な|態度《たいど》をもって|語《かた》るな」と|言《い》う。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|上《あ》げることは|東《ひがし》からでなく、|西《にし》からでなく、 また|荒野《あらの》からでもない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それはさばきを|行《おこな》われる|神《かみ》であって、 |神《かみ》はこれを|下《さ》げ、かれを|上《あ》げられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|手《て》には|杯《さかずき》があって、 よく|混《ま》ぜた|酒《さけ》があわだっている。 |主《しゅ》がこれを|注《そそ》ぎ|出《だ》されると、 |地《ち》のすべての|悪《あ》しき|者《もの》は これを|一滴《いってき》も|残《のこ》さずに|飲《の》みつくすであろう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはとこしえに|喜《よろこ》び、 ヤコブの|神《かみ》をほめうたいます。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|角《つの》はことごとく|切《き》り|離《はな》されるが |正《ただ》しい|者《もの》の|角《つの》はあげられるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第七六篇[#「第七六篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|琴《こと》にあわせてうたわせたアサフの|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はユダに|知《し》られ、 そのみ|名《な》はイスラエルにおいて|偉大《いだい》である。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|幕屋《まくや》はサレムにあり、 そのすまいはシオンにある。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]かしこで|神《かみ》は|弓《ゆみ》の|火矢《ひや》を|折《お》り、 |盾《たて》とつるぎと|戦《たたか》いの|武器《ぶき》をこわされた。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|永久《えいきゅう》の|山々《やまやま》にまさって |光栄《こうえい》あり、|威厳《いげん》がある。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|雄々《おお》しい|者《もの》はかすめられ、|彼《かれ》らは|眠《ねむ》りに|沈《しず》み、 いくさびとは|皆《みな》その|手《て》を|施《ほどこ》すことができなかった。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|神《かみ》よ、あなたのとがめによって、 |乗《の》り|手《て》と|馬《うま》とは|深《ふか》い|眠《ねむ》りに|陥《おちい》った。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたこそは|恐《おそ》るべき|方《かた》である。 あなたが|怒《いか》りを|発《はっ》せられるとき、 だれがみ|前《まえ》に|立《た》つことができよう。 [#太字]八 九[#「八 九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|天《てん》からさばきを|仰《おお》せられた。 |神《かみ》が|地《ち》のしえたげられた|者《もの》を|救《すく》うために、 さばきに|立《た》たれたとき、|地《ち》は|恐《おそ》れて、|沈黙《ちんもく》した。〔セラ [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]まことに|人《ひと》の|怒《いか》りはあなたをほめたたえる。 |怒《いか》りの|余《あま》りをあなたは|帯《おび》とされる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|誓《ちか》いを|立《た》てて、それを|償《つぐな》え。 その|周囲《しゅうい》のすべての|者《もの》は |恐《おそ》るべき|主《しゅ》に|贈《おく》り|物《もの》をささげよ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|君《きみ》たちのいのちを|断《た》たれる。 |主《しゅ》は|地《ち》の|王《おう》たちの|恐《おそ》るべき|者《もの》である。 [#ここで字下げ終わり] 第七七篇[#「第七七篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってエドトンのしらべにしたがってうたわせたアサフの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》にむかい|声《こえ》をあげて|叫《さけ》ぶ。 わたしが|神《かみ》にむかって|声《こえ》をあげれば、 |神《かみ》はわたしに|聞《き》かれる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|悩《なや》みの|日《ひ》に|主《しゅ》をたずね|求《もと》め、 |夜《よる》はわが|手《て》を|伸《の》べてたゆむことなく、 わが|魂《たましい》は|慰《なぐさ》められるのを|拒《こば》む。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》を|思《おも》うとき、|嘆《なげ》き|悲《かな》しみ、 |深《ふか》く|思《おも》うとき、わが|魂《たましい》は|衰《おとろ》える。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしのまぶたをささえて|閉《と》じさせず、 わたしは|物言《ものい》うこともできないほどに|悩《なや》む。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|昔《むかし》の|日《ひ》を|思《おも》い、 いにしえの|年《とし》を|思《おも》う。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|夜《よる》、わが|心《こころ》と|親《した》しく|語《かた》り、 |深《ふか》く|思《おも》うてわが|魂《たましい》を|探《さぐ》り、|言《い》う、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はとこしえにわれらを|捨《す》てられるであろうか。 ふたたび、めぐみを|施《ほどこ》されないであろうか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そのいつくしみはとこしえに|絶《た》え、 その|約束《やくそく》は|世々《よよ》ながくすたれるであろうか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》すことを|忘《わす》れ、|怒《いか》りをもって そのあわれみを|閉《と》じられたであろうか」と。〔セラ [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|言《い》う、「わたしの|悲《かな》しみは いと|高《たか》き|者《もの》の|右《みぎ》の|手《て》が|変《かわ》ったことである」と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》のみわざを|思《おも》い|起《おこ》す。 わたしは、いにしえからの あなたのくすしきみわざを|思《おも》いいだす。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたのすべてのみわざを|思《おも》い、 あなたの|力《ちから》あるみわざを|深《ふか》く|思《おも》う。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたの|道《みち》は|聖《せい》である。 われらの|神《かみ》のように|大《おお》いなる|神《かみ》はだれか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、くすしきみわざを|行《おこな》われる|神《かみ》である。 あなたは、もろもろの|民《たみ》の|間《あいだ》に、その|大能《たいのう》をあらわし、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|腕《うで》をもっておのれの|民《たみ》をあがない、 ヤコブとヨセフの|子《こ》らをあがなわれた。〔セラ [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|大水《おおみず》はあなたを|見《み》た。 |大水《おおみず》はあなたを|見《み》ておののき、|淵《ふち》もまた|震《ふる》えた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》は|水《みず》を|注《そそ》ぎいだし、|空《そら》は|雷《かみなり》をとどろかし、 あなたの|矢《や》は|四方《しほう》にきらめいた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|雷《かみなり》のとどろきは、つむじ|風《かぜ》の|中《なか》にあり、 あなたのいなずまは|世《よ》を|照《てら》し、|地《ち》は|震《ふる》い|動《うご》いた。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|大路《おおじ》は|海《うみ》の|中《なか》にあり、 あなたの|道《みち》は|大水《おおみず》の|中《なか》にあり、 あなたの|足跡《あしあと》はたずねえなかった。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、その|民《たみ》をモーセとアロンの|手《て》によって |羊《ひつじ》の|群《む》れのように|導《みちび》かれた。 [#ここで字下げ終わり] 第七八篇[#「第七八篇」は中見出し] [#斜体]アサフのマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》よ、わが|教《おしえ》を|聞《き》き、 わが|口《くち》の|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|口《くち》を|開《ひら》いて、たとえを|語《かた》り、 いにしえからの、なぞを|語《かた》ろう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これはわれらがさきに|聞《き》いて|知《し》ったこと、 またわれらの|先祖《せんぞ》たちが われらに|語《かた》り|伝《つた》えたことである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われらはこれを|子孫《しそん》に|隠《かく》さず、|主《しゅ》の|光栄《こうえい》あるみわざと、 その|力《ちから》と、|主《しゅ》のなされたくすしきみわざとを きたるべき|代《よ》に|告《つ》げるであろう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあかしをヤコブのうちにたて、 おきてをイスラエルのうちに|定《さだ》めて、 その|子孫《しそん》に|教《おしえ》うべきことを われらの|先祖《せんぞ》たちに|命《めい》じられた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これは|次《つぎ》の|代《よ》に|生《うま》れる|子孫《しそん》がこれを|知《し》り、 みずから|起《おこ》って、そのまた|子孫《しそん》にこれを|伝《つた》え、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをして|神《かみ》に|望《のぞ》みをおき、 |神《かみ》のみわざを|忘《わす》れず、その|戒《いまし》めを|守《まも》らせるためである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またその|先祖《せんぞ》たちのようにかたくなで、 そむく|者《もの》のやからとなり、その|心《こころ》が|定《さだ》まりなく、 その|魂《たましい》が|神《かみ》に|忠実《ちゅうじつ》でないやからと ならないためである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|人々《ひとびと》は|武装《ぶそう》し、|弓《ゆみ》を|携《たずさ》えたが、 |戦《たたか》いの|日《ひ》に|引《ひ》き|返《かえ》した。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》の|契約《けいやく》を|守《まも》らず、 そのおきてにしたがって|歩《あゆ》むことを|拒《こば》み、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がなされた|事《こと》と、 |彼《かれ》らに|示《しめ》されたくすしきみわざとを|忘《わす》れた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はエジプトの|地《ち》と、ゾアンの|野《の》で くすしきみわざを|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちの|前《まえ》に|行《おこな》われた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|海《うみ》を|分《わ》けて|彼《かれ》らを|通《とお》らせ、 |水《みず》を|立《た》たせて|山《やま》のようにされた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》は|雲《くも》をもって|彼《かれ》らを|導《みちび》き、 |夜《よる》は、よもすがら|火《ひ》の|光《ひかり》をもって|彼《かれ》らを|導《みちび》かれた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|荒野《あらの》で|岩《いわ》を|裂《さ》き、 |淵《ふち》から|飲《の》むように|豊《ゆた》かに|彼《かれ》らに|飲《の》ませ、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|岩《いわ》から|流《なが》れを|引《ひ》いて、 |川《かわ》のように|水《みず》を|流《なが》れさせられた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》らはなお|神《かみ》にむかって|罪《つみ》をかさね、 |荒野《あらの》でいと|高《たか》き|者《もの》にそむき、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]おのが|欲《よく》のために|食物《しょくもつ》を|求《もと》めて、 その|心《こころ》のうちに|神《かみ》を|試《こころ》みた。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らは|神《かみ》に|逆《さか》らって|言《い》った、 「|神《かみ》は|荒野《あらの》に|宴《うたげ》を|設《もう》けることができるだろうか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》が|岩《いわ》を|打《う》たれると、 |水《みず》はほとばしりいで、|流《なが》れがあふれた。 |神《かみ》はまたパンを|与《あた》えることができるだろうか。 |民《たみ》のために|肉《にく》を|備《そな》えることができるだろうか」と。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|聞《き》いて|憤《いきどお》られた。 |火《ひ》はヤコブにむかって|燃《も》えあがり、 |怒《いか》りはイスラエルにむかって|立《た》ちのぼった。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らが|神《かみ》を|信《しん》ぜず、 その|救《すくい》の|力《ちから》を|信用《しんよう》しなかったからである。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》は|上《うえ》なる|大空《おおぞら》に|命《めい》じて|天《てん》の|戸《と》を|開《ひら》き、 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|上《うえ》にマナを|降《ふ》らせて|食《た》べさせ、 |天《てん》の|穀物《こくもつ》を|彼《かれ》らに|与《あた》えられた。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|天使《てんし》のパンを|食《た》べた。 |神《かみ》は|彼《かれ》らに|食物《しょくもつ》をおくって|飽《あ》き|足《た》らせられた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|天《てん》に|東風《ひがしかぜ》を|吹《ふ》かせ、 み|力《ちから》をもって|南風《みなみかぜ》を|導《みちび》かれた。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らの|上《うえ》に|肉《にく》をちりのように|降《ふ》らせ、 |翼《つばさ》ある|鳥《とり》を|海《うみ》の|砂《すな》のように|降《ふ》らせて、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|宿営《しゅくえい》のなか、そのすまいのまわりに|落《おと》された。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|食《た》べて、|飽《あ》き|足《た》ることができた。 |神《かみ》が|彼《かれ》らにその|望《のぞ》んだものを|与《あた》えられたからである。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》らがまだその|欲《よく》を|離《はな》れず、 |食物《しょくもつ》がなお|口《くち》の|中《なか》にあるうちに、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|怒《いか》りが|彼《かれ》らにむかって|立《た》ちのぼり、 |彼《かれ》らのうちの|最《もっと》も|強《つよ》い|者《もの》を|殺《ころ》し、 イスラエルのうちのえり|抜《ぬ》きの|者《もの》を|打《う》ち|倒《たお》された。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]すべてこれらの|事《こと》があったにもかかわらず、 |彼《かれ》らはなお|罪《つみ》を|犯《おか》し、 そのくすしきみわざを|信《しん》じなかった。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|神《かみ》は|彼《かれ》らの|日《ひ》を|息《いき》のように|消《き》えさせ、 |彼《かれ》らの|年《とし》を|恐《おそ》れをもって|過《す》ごさせられた。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|彼《かれ》らを|殺《ころ》されたとき、|彼《かれ》らは|神《かみ》をたずね、 |悔《く》いて|神《かみ》を|熱心《ねっしん》に|求《もと》めた。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは、|神《かみ》は|彼《かれ》らの|岩《いわ》、いと|高《たか》き|神《かみ》は |彼《かれ》らのあがないぬしであることを|思《おも》い|出《だ》した。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはその|口《くち》をもって|神《かみ》にへつらい、 その|舌《した》をもって|神《かみ》に|偽《いつわ》りを|言《い》った。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|心《こころ》は|神《かみ》にむかって|堅実《けんじつ》でなく、 |神《かみ》の|契約《けいやく》に|真実《しんじつ》でなかった。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》はあわれみに|富《と》まれるので、 |彼《かれ》らの|不義《ふぎ》をゆるして|滅《ほろ》ぼさず、 しばしばその|怒《いか》りをおさえて、 その|憤《いきどお》りをことごとくふり|起《おこ》されなかった。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]また|神《かみ》は、|彼《かれ》らがただ|肉《にく》であって、 |過《す》ぎ|去《さ》れば|再《ふたた》び|帰《かえ》りこぬ|風《かぜ》であることを |思《おも》い|出《だ》された。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|幾《いく》たび|彼《かれ》らは|野《の》で|神《かみ》にそむき、 |荒野《あらの》で|神《かみ》を|悲《かな》しませたことであろうか。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはかさねがさね|神《かみ》を|試《こころ》み、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》を|怒《いか》らせた。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》の|力《ちから》をも、 |神《かみ》が|彼《かれ》らをあだからあがなわれた|日《ひ》をも |思《おも》い|出《だ》さなかった。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はエジプトでもろもろのしるしをおこない、 ゾアンの|野《の》でもろもろの|奇跡《きせき》をおこない、 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|川《かわ》を|血《ち》に|変《かわ》らせて、 その|流《なが》れを|飲《の》むことができないようにされた。 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》ははえの|群《む》れを|彼《かれ》らのうちに|送《おく》って|彼《かれ》らを|食《く》わせ、 かえるを|送《おく》って|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼされた。 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]また|神《かみ》は|彼《かれ》らの|作物《さくもつ》を|青虫《あおむし》にわたし、 |彼《かれ》らの|勤労《きんろう》の|実《み》をいなごにわたされた。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はひょうをもって|彼《かれ》らのぶどうの|木《き》を|枯《か》らし、 |霜《しも》をもって|彼《かれ》らのいちじく|桑《くわ》の|木《き》を|枯《か》らされた。 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らの|家畜《かちく》をひょうにわたし、 |彼《かれ》らの|群《む》れを|燃《も》えるいなずまにわたされた。 [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らの|上《うえ》に|激《はげ》しい|怒《いか》りと、|憤《いきどお》りと、 |恨《うら》みと、|悩《なや》みと、|滅《ほろ》ぼす|天使《てんし》の|群《む》れとを|放《はな》たれた。 [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|怒《いか》りのために|道《みち》を|設《もう》け、 |彼《かれ》らの|魂《たましい》を|死《し》から|免《まぬか》れさせず、 そのいのちを|疫病《えきびょう》にわたされた。 [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はエジプトですべてのういごを|撃《う》ち、 ハムの|天幕《てんまく》で|彼《かれ》らの|力《ちから》の|初《はじ》めの|子《こ》を|撃《う》たれた。 [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|神《かみ》はおのれの|民《たみ》を|羊《ひつじ》のように|引《ひ》き|出《だ》し、 |彼《かれ》らを|荒野《あらの》で|羊《ひつじ》の|群《む》れのように|導《みちび》き、 [#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|安《やす》らかに|導《みちび》かれたので |彼《かれ》らは|恐《おそ》れることがなかった。 しかし|海《うみ》は|彼《かれ》らの|敵《てき》をのみつくした。 [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らをその|聖地《せいち》に|伴《ともな》い、 その|右《みぎ》の|手《て》をもって|獲《え》たこの|山《やま》に|伴《ともな》いこられた。 [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らの|前《まえ》からもろもろの|国民《くにたみ》を|追《お》い|出《だ》し、 その|地《ち》を|分《わ》けて|嗣《し》|業《ぎょう》とし、 イスラエルの|諸《しょ》|族《ぞく》を|彼《かれ》らの|天幕《てんまく》に|住《す》まわせられた。 [#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはいと|高《たか》き|神《かみ》を|試《こころ》み、これにそむいて、 そのもろもろのあかしを|守《まも》らず、 [#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]そむき|去《さ》って、|先祖《せんぞ》たちのように|真実《しんじつ》を|失《うしな》い、 |狂《くる》った|弓《ゆみ》のようにねじれた。 [#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|高《たか》き|所《ところ》を|設《もう》けて|神《かみ》を|怒《いか》らせ、 |刻《きざ》んだ|像《ぞう》をもって|神《かみ》のねたみを|起《おこ》した。 [#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|聞《き》いて|大《おお》いに|怒《いか》り、 イスラエルを|全《まった》くしりぞけられた。 [#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|人々《ひとびと》のなかに|設《もう》けた|幕屋《まくや》なる シロのすまいを|捨《す》て、 [#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]その|力《ちから》をとりことならせ、 その|栄光《えいこう》をあだの|手《て》にわたされた。 [#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|民《たみ》をつるぎにわたし、 その|嗣《し》|業《ぎょう》にむかって|大《おお》いなる|怒《いか》りをもらされた。 [#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》は|彼《かれ》らの|若者《わかもの》たちを|焼《や》きつくし、 |彼《かれ》らのおとめたちは|婚姻《こんいん》の|歌《うた》を|失《うしな》い、 [#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|祭司《さいし》たちはつるぎによって|倒《たお》れ、 |彼《かれ》らのやもめたちは|嘆《なげ》き|悲《かな》しむことさえしなかった。 [#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|主《しゅ》は|眠《ねむ》った|者《もの》のさめたように、 |勇士《ゆうし》が|酒《さけ》によって|叫《さけ》ぶように|目《め》をさまして、 [#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]そのあだを|撃《う》ち|退《しりぞ》け、 とこしえの|恥《はじ》を|彼《かれ》らに|負《お》わせられた。 [#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はヨセフの|天幕《てんまく》をしりぞけ、 エフライムの|部族《ぶぞく》を|選《えら》ばず、 [#太字]六八[#「六八」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|部族《ぶぞく》を|選《えら》び、 |神《かみ》の|愛《あい》するシオンの|山《やま》を|選《えら》ばれた。 [#太字]六九[#「六九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|聖所《せいじょ》を|高《たか》い|天《てん》のように|建《た》て、 とこしえに|基《もとい》を|定《さだ》められた|地《ち》のように|建《た》てられた。 [#太字]七〇[#「七〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はそのしもべダビデを|選《えら》んで、 |羊《ひつじ》のおりから|取《と》り、 [#太字]七一[#「七一」は行右小書き][#太字終わり]|乳《ちち》を|与《あた》える|雌《めす》|羊《ひつじ》の|番《ばん》をするところからつれて|来《き》て、 その|民《たみ》ヤコブ、その|嗣《し》|業《ぎょう》イスラエルの|牧者《ぼくしゃ》とされた。 [#太字]七二[#「七二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》は|直《なお》き|心《こころ》をもって|彼《かれ》らを|牧《ぼく》し、 |巧《たく》みな|手《て》をもって|彼《かれ》らを|導《みちび》いた。 [#ここで字下げ終わり] 第七九篇[#「第七九篇」は中見出し] [#斜体]アサフの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、もろもろの|異邦人《いほうじん》はあなたの|嗣《し》|業《ぎょう》の|地《ち》を|侵《おか》し、 あなたの|聖《せい》なる|宮《みや》をけがし、 エルサレムを|荒塚《あらつか》としました。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたのしもべのしかばねを |空《そら》の|鳥《とり》に|与《あた》えてえさとし、 あなたの|聖徒《せいと》の|肉《にく》を|地《ち》の|獣《けもの》に|与《あた》え、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|血《ち》をエルサレムのまわりに|水《みず》のように|流《なが》し、 これを|葬《ほうむ》る|人《ひと》がありませんでした。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われらは|隣《とな》り|人《びと》にそしられ、 まわりの|人々《ひとびと》に|侮《あなど》られ、あざけられる|者《もの》となりました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、いつまでなのですか。 とこしえにお|怒《いか》りになられるのですか。 あなたのねたみは|火《ひ》のように|燃《も》えるのですか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたを|知《し》らない|異邦人《いほうじん》と、 あなたの|名《な》を|呼《よ》ばない|国々《くにぐに》の|上《うえ》に あなたの|怒《いか》りを|注《そそ》いでください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはヤコブを|滅《ほろ》ぼし、 そのすみかを|荒《あら》したからです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]われらの|先祖《せんぞ》たちの|不義《ふぎ》をみこころにとめられず、 あわれみをもって、すみやかにわれらを |迎《むか》えてください。 われらは、はなはだしく|低《ひく》くされたからです。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われらの|救《すくい》の|神《かみ》よ、 み|名《な》の|栄光《えいこう》のためにわれらを|助《たす》け、 み|名《な》のためにわれらを|救《すく》い、 われらの|罪《つみ》をおゆるしください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]どうして|異邦人《いほうじん》は|言《い》うのでしょう、 「|彼《かれ》らの|神《かみ》はどこにいるのか」と。 あなたのしもべらの|流《なが》された|血《ち》の|報《むく》いを われらのまのあたりになして、 |異邦人《いほうじん》に|知《し》らせてください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|捕《とら》われ|人《びと》の|嘆《なげ》きを あなたのみ|前《まえ》にいたらせ、 あなたの|大《おお》いなる|力《ちから》により、 |死《し》に|定《さだ》められた|者《もの》を|守《まも》りながらえさせてください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われらの|隣《とな》り|人《びと》があなたをそしったそしりを 七|倍《ばい》にして|彼《かれ》らのふところに|報《むく》い|返《かえ》してください。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたの|民《たみ》、あなたの|牧《まき》の|羊《ひつじ》は、 とこしえにあなたに|感謝《かんしゃ》し、 |世々《よよ》あなたをほめたたえるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第八〇篇[#「第八〇篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってゆりの|花《はな》のしらべにあわせてうたわせたアサフのあかしの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|牧者《ぼくしゃ》よ、 |羊《ひつじ》の|群《む》れのようにヨセフを|導《みちび》かれる|者《もの》よ、 |耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 ケルビムの|上《うえ》に|座《ざ》せられる|者《もの》よ、 |光《ひかり》を|放《はな》ってください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エフライム、ベニヤミン、マナセの|前《まえ》に あなたの|力《ちから》を|振《ふ》り|起《おこ》し、 |来《き》て、われらをお|救《すく》いください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、われらをもとに|返《かえ》し、 み|顔《かお》の|光《ひかり》を|照《てら》してください。 そうすればわれらは|救《すくい》をえるでしょう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 いつまで、その|民《たみ》の|祈《いのり》にむかって お|怒《いか》りになるのですか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|涙《なみだ》のパンを|彼《かれ》らに|食《く》わせ、 |多《おお》くの|涙《なみだ》を|彼《かれ》らに|飲《の》ませられました。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわれらを|隣《とな》り|人《びと》のあざけりとし、 われらの|敵《てき》はたがいにあざわらいました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》よ、われらをもとに|返《かえ》し、 われらの|救《すく》われるため、み|顔《かお》の|光《ひかり》を|照《てら》してください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、ぶどうの|木《き》をエジプトから|携《たずさ》え|出《だ》し、 もろもろの|国民《くにたみ》を|追《お》い|出《だ》して、これを|植《う》えられました。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれがために|地《ち》を|開《ひら》かれたので、 |深《ふか》く|根《ね》ざして、|国《くに》にはびこりました。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|山々《やまやま》はその|影《かげ》でおおわれ、 |神《かみ》の|香柏《こうはく》はその|枝《えだ》でおおわれました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]これはその|枝《えだ》を|海《うみ》にまでのべ、 その|若《わか》|枝《えだ》を|大川《おおかわ》にまでのべました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|何《なに》ゆえ、そのかきをくずして |道《みち》ゆくすべての|人《ひと》にその|実《み》を |摘《つ》み|取《と》らせられるのですか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|林《はやし》のいのししはこれを|荒《あら》し、 |野《の》のすべての|獣《けもの》はこれを|食《た》べます。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》よ、|再《ふたた》び|天《てん》から|見《み》おろして、 このぶどうの|木《き》をかえりみてください。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|右《みぎ》の|手《て》の|植《う》えられた|幹《みき》と、 みずからのために|強《つよ》くされた|枝《えだ》とを かえりみてください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|火《ひ》をもってこれを|焼《や》き、 これを|切《き》り|倒《たお》しました。 |彼《かれ》らをみ|顔《かお》のとがめによって|滅《ほろ》ぼしてください。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたの|手《て》をその|右《みぎ》の|手《て》の|人《ひと》の|上《うえ》におき、 みずからのために|強《つよ》くされた|人《ひと》の|子《こ》の|上《うえ》に おいてください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、われらはあなたを |離《はな》れ|退《しりぞ》くことはありません。 われらを|生《い》かしてください。 われらはあなたのみ|名《な》を|呼《よ》びます。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、われらをもとに|返《かえ》し、 み|顔《かお》の|光《ひかり》を|照《てら》してください。 そうすればわれらは|救《すくい》をえるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第八一篇[#「第八一篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってギテトのしらべにあわせてうたわせたアサフの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]われらの|力《ちから》なる|神《かみ》にむかって|高《たか》らかに|歌《うた》え。 ヤコブの|神《かみ》にむかって|喜《よろこ》びの|声《こえ》をあげよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|歌《うた》をうたい、|鼓《つづみ》を|打《う》て。 |良《よ》い|音《ね》の|琴《こと》と|立琴《たてごと》とをかきならせ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|新月《しんげつ》と|満月《まんげつ》とわれらの|祭《まつり》の|日《ひ》とに ラッパを|吹《ふ》きならせ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルの|定《さだ》め、 ヤコブの|神《かみ》のおきてである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》が|出《で》てエジプトの|国《くに》を|攻《せ》められたとき、 ヨセフのなかにこれを|立《た》てて、あかしとされた。 わたしはかしこでまだ|知《し》らなかった|言葉《ことば》を|聞《き》いた、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたの|肩《かた》から|重荷《おもに》をのぞき、 あなたの|手《て》をかごから|免《まぬか》れさせた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|悩《なや》んだとき、|呼《よ》ばわったので わたしはあなたを|救《すく》った。 わたしは|雷《かみなり》の|隠《かく》れた|所《ところ》で、あなたに|答《こた》え、 メリバの|水《みず》のほとりで、あなたを|試《こころ》みた。〔セラ [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》よ、|聞《き》け、わたしはあなたに|勧告《かんこく》する。 イスラエルよ、あなたがわたしに|聞《き》き|従《したが》うことを|望《のぞ》む。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのうちに|他《た》の|神《かみ》があってはならない。 あなたは|外国《がいこく》の|神《かみ》を|拝《おが》んではならない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトの|国《くに》から、 あなたをつれ|出《だ》したあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。 あなたの|口《くち》を|広《ひろ》くあけよ、わたしはそれを|満《み》たそう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしわが|民《たみ》はわたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、 イスラエルはわたしを|好《この》まなかった。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|彼《かれ》らを そのかたくなな|心《こころ》にまかせ、 その|思《おも》いのままに|行《い》くにまかせた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|民《たみ》のわたしに|聞《き》き|従《したが》い、 イスラエルのわが|道《みち》に|歩《あゆ》むことを|欲《ほっ》する。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすみやかに|彼《かれ》らの|敵《てき》を|従《したが》え、 わが|手《て》を|彼《かれ》らのあだに|向《む》けよう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|憎《にく》む|者《もの》も|彼《かれ》らに|恐《おそ》れ|従《したが》い、 |彼《かれ》らの|時《とき》はとこしえに|続《つづ》くであろう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|麦《むぎ》の|最《もっと》も|良《よ》いものをもってあなたを|養《やしな》い、 |岩《いわ》から|出《で》た|蜜《みつ》をもってあなたを|飽《あ》かせるであろう」。 [#ここで字下げ終わり] 第八二篇[#「第八二篇」は中見出し] [#斜体]アサフの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|神《かみ》の|会議《かいぎ》のなかに|立《た》たれる。 |神《かみ》は|神々《かみがみ》のなかで、さばきを|行《おこな》われる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはいつまで|不正《ふせい》なさばきをなし、 |悪《あ》しき|者《もの》に|好意《こうい》を|示《しめ》すのか。〔セラ [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|弱《よわ》い|者《もの》と、みなしごとを|公平《こうへい》に|扱《あつか》い、 |苦《くる》しむ|者《もの》と|乏《とぼ》しい|者《もの》の|権利《けんり》を|擁護《ようご》せよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|弱《よわ》い|者《もの》と|貧《まず》しい|者《もの》を|救《すく》い、 |彼《かれ》らを|悪《あ》しき|者《もの》の|手《て》から|助《たす》け|出《だ》せ」。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|知《し》ることなく、|悟《さと》ることもなくて、 |暗《くら》き|中《なか》をさまよう。 |地《ち》のもろもろの|基《もとい》はゆり|動《うご》いた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》う、「あなたがたは|神《かみ》だ、 あなたがたは|皆《みな》いと|高《たか》き|者《もの》の|子《こ》だ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたは|人《ひと》のように|死《し》に、 もろもろの|君《きみ》のひとりのように|倒《たお》れるであろう」。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|起《お》きて、|地《ち》をさばいてください。 すべての|国民《くにたみ》はあなたのものだからです。 [#ここで字下げ終わり] 第八三篇[#「第八三篇」は中見出し] [#斜体]アサフの|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|沈黙《ちんもく》を|守《まも》らないでください。 |神《かみ》よ、|何《なに》も|言《い》わずに、|黙《だま》っていないでください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたの|敵《てき》は|騒《さわ》ぎたち、 あなたを|憎《にく》む|者《もの》は|頭《あたま》をあげました。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたの|民《たみ》にむかって |巧《たく》みなはかりごとをめぐらし、 あなたの|保護《ほご》される|者《もの》にむかって|相《あい》ともに|計《はか》ります。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》います、 「さあ、|彼《かれ》らを|断《た》ち|滅《ほろ》ぼして|国《くに》を|立《た》てさせず、 イスラエルの|名《な》を ふたたび|思《おも》い|出《だ》させないようにしよう」。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|心《こころ》をひとつにして|共《とも》にはかり、 あなたに|逆《さか》らって|契約《けいやく》を|結《むす》びます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわちエドムの|天幕《てんまく》に|住《す》む|者《もの》とイシマエルびと、 モアブとハガルびと、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ゲバルとアンモンとアマレク、 ペリシテとツロの|住民《じゅうみん》などです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤもまた|彼《かれ》らにくみしました。 |彼《かれ》らはロトの|子孫《しそん》を|助《たす》けました。〔セラ [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがミデアンにされたように、 キション|川《かわ》でシセラとヤビンにされたように、 |彼《かれ》らにしてください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエンドルで|滅《ほろ》ぼされ、 |地《ち》のために|肥料《ひりょう》となりました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|貴人《きじん》をオレブとゼエブのように、 そのすべての|君《きみ》たちを ゼバとザルムンナのようにしてください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》いました、「われらは|神《かみ》の|牧場《まきば》を|獲《え》て、 われらの|所有《しょゆう》にしよう」と。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、|彼《かれ》らを|巻《ま》きあげられるちりのように、 |風《かぜ》の|前《まえ》のもみがらのようにしてください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|林《はやし》を|焼《や》く|火《ひ》のように、 |山《やま》を|燃《も》やす|炎《ほのお》のように、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたのはやてをもって|彼《かれ》らを|追《お》い、 つむじかぜをもって|彼《かれ》らを|恐《おそ》れさせてください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|顔《かお》に|恥《はじ》を|満《み》たしてください。 |主《しゅ》よ、そうすれば|彼《かれ》らはあなたの|名《な》を|求《もと》めるでしょう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをとこしえに|恥《は》じ|恐《おそ》れさせ、 あわて|惑《まど》って|滅《ほろ》びうせさせてください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》という|名《な》をおもちになるあなたのみ、 |全《ぜん》|地《ち》をしろしめすいと|高《たか》き|者《もの》であることを |彼《かれ》らに|知《し》らせてください。 [#ここで字下げ終わり] 第八四篇[#「第八四篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってギテトのしらべにあわせてうたわせたコラの|子《こ》の|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》よ、 あなたのすまいはいかに|麗《うるわ》しいことでしょう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|絶《た》えいるばかりに|主《しゅ》の|大庭《おおにわ》を|慕《した》い、 わが|心《こころ》とわが|身《み》は|生《い》ける|神《かみ》にむかって|喜《よろこ》び|歌《うた》います。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すずめがすみかを|得《え》、 つばめがそのひなをいれる|巣《す》を|得《え》るように、 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、わが|王《おう》、わが|神《かみ》よ、 あなたの|祭壇《さいだん》のかたわらに わがすまいを|得《え》させてください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|家《いえ》に|住《す》み、 |常《つね》にあなたをほめたたえる|人《ひと》はさいわいです。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|力《ちから》があなたにあり、 その|心《こころ》がシオンの|大路《おおじ》にある|人《ひと》はさいわいです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはバカの|谷《たに》を|通《とお》っても、 そこを|泉《いずみ》のある|所《ところ》とします。 また|前《まえ》の|雨《あめ》は|池《いけ》をもってそこをおおいます。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|力《ちから》から|力《ちから》に|進《すす》み、 シオンにおいて|神々《かみがみ》の|神《かみ》にまみえるでしょう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、わが|祈《いのり》をおききください。 ヤコブの|神《かみ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。〔セラ [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、われらの|盾《たて》をみそなわし、 あなたの|油《あぶら》そそがれた|者《もの》の|顔《かお》をかえりみてください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|大庭《おおにわ》にいる一|日《にち》は、 よそにいる千|日《にち》にもまさるのです。 わたしは|悪《あく》の|天幕《てんまく》にいるよりは、 むしろ、わが|神《かみ》の|家《いえ》の|門守《かどもり》となることを|願《ねが》います。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|日《ひ》です、|盾《たて》です。 |主《しゅ》は|恵《めぐ》みと|誉《ほまれ》とを|与《あた》え、 |直《なお》く|歩《あゆ》む|者《もの》に|良《よ》い|物《もの》を|拒《こば》まれることはありません。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》よ、あなたに|信頼《しんらい》する|人《ひと》はさいわいです。 [#ここで字下げ終わり] 第八五篇[#「第八五篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたコラの|子《こ》の|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはみ|国《くに》にめぐみを|示《しめ》し、 ヤコブの|繁栄《はんえい》を|回復《かいふく》されました。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|民《たみ》の|不義《ふぎ》をゆるし、 |彼《かれ》らの|罪《つみ》をことごとくおおわれました。〔セラ [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはすべての|怒《いか》りを|捨《す》て、 |激《はげ》しい|憤《いきどお》りを|遠《とお》ざけられました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われらの|救《すくい》の|神《かみ》よ、われらを|回復《かいふく》し、 われらに|対《たい》するあなたの|憤《いきどお》りをおやめください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはとこしえにわれらを|怒《いか》り、 よろずよまで、あなたの|怒《いか》りを|延《の》ばされるのですか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》が、あなたによって|喜《よろこ》びを|得《え》るため、 われらを|再《ふたた》び|生《い》かされないのですか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのいつくしみをわれらに|示《しめ》し、 あなたの|救《すくい》をわれらに|与《あた》えてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》なる|神《かみ》の|語《かた》られることを|聞《き》きましょう。 |主《しゅ》はその|民《たみ》、その|聖徒《せいと》、 ならびにその|心《こころ》を|主《しゅ》に|向《む》ける|者《もの》に、 |平和《へいわ》を|語《かた》られるからです。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]まことに、その|救《すくい》は|神《かみ》を|恐《おそ》れる|者《もの》に|近《ちか》く、 その|栄光《えいこう》はわれらの|国《くに》にとどまるでしょう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]いつくしみと、まこととは|共《とも》に|会《あ》い、 |義《ぎ》と|平和《へいわ》とは|互《たがい》に|口《くち》づけし、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]まことは|地《ち》からはえ、 |義《ぎ》は|天《てん》から|見《み》おろすでしょう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|良《よ》い|物《もの》を|与《あた》えられるので、 われらの|国《くに》はその|産物《さんぶつ》を|出《だ》し、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|義《ぎ》は|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|行《い》き、 その|足跡《あしあと》を|道《みち》とするでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第八六篇[#「第八六篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|祈《いのり》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて、わたしにお|答《こた》えください。 わたしは|苦《くる》しみかつ|乏《とぼ》しいからです。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしのいのちをお|守《まも》りください。 わたしは|神《かみ》を|敬《うやま》う|者《もの》だからです。 あなたに|信頼《しんらい》するあなたのしもべをお|救《すく》いください。 あなたはわたしの|神《かみ》です。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをあわれんでください。 わたしはひねもすあなたに|呼《よ》ばわります。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべの|魂《たましい》を|喜《よろこ》ばせてください。 |主《しゅ》よ、わが|魂《たましい》はあなたを|仰《あお》ぎ|望《のぞ》みます。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|恵《めぐ》みふかく、|寛容《かんよう》であって、 あなたに|呼《よ》ばわるすべての|者《もの》に いつくしみを|豊《ゆた》かに|施《ほどこ》されます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしの|祈《いのり》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》け、 わたしの|願《ねが》いの|声《こえ》をお|聞《き》きください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|悩《なや》みの|日《ひ》にわたしはあなたに|呼《よ》ばわります。 あなたはわたしに|答《こた》えられるからです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、もろもろの|神《かみ》のうちにあなたに|等《ひと》しい|者《もの》はなく、 また、あなたのみわざに|等《ひと》しいものはありません。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたが|造《つく》られたすべての|国民《くにたみ》は あなたの|前《まえ》に|来《き》て、|伏《ふ》し|拝《おが》み、 み|名《な》をあがめるでしょう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大《おお》いなる|神《かみ》で、くすしきみわざをなされます。 ただあなたのみ、|神《かみ》でいらせられます。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|道《みち》をわたしに|教《おし》えてください。 わたしはあなたの|真理《しんり》に|歩《あゆ》みます。 |心《こころ》をひとつにしてみ|名《な》を|恐《おそ》れさせてください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、わたしは|心《こころ》をつくしてあなたに|感謝《かんしゃ》し、 とこしえに、み|名《な》をあがめるでしょう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|示《しめ》されたあなたのいつくしみは|大《おお》きく、 わが|魂《たましい》を|陰府《よみ》の|深《ふか》い|所《ところ》から|助《たす》け|出《だ》されたからです。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、|高《たか》ぶる|者《もの》はわたしに|逆《さか》らって|起《おこ》り、 |荒《あら》ぶる|者《もの》の|群《む》れはわたしのいのちを|求《もと》め、 |彼《かれ》らは|自分《じぶん》の|前《まえ》にあなたを|置《お》くことをしません。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、あなたはあわれみと|恵《めぐ》みに|富《と》み、 |怒《いか》りをおそくし、いつくしみと、まこととに |豊《ゆた》かな|神《かみ》でいらせられます。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしをかえりみ、わたしをあわれみ、 あなたのしもべにみ|力《ちから》を|与《あた》え、 あなたのはしための|子《こ》をお|救《すく》いください。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしに、あなたの|恵《めぐ》みのしるしを あらわしてください。 そうすれば、わたしを|憎《にく》む|者《もの》どもは わたしを|見《み》て|恥《は》じるでしょう。 |主《しゅ》よ、あなたはわたしを|助《たす》け、 わたしを|慰《なぐさ》められたからです。 [#ここで字下げ終わり] 第八七篇[#「第八七篇」は中見出し] [#斜体]コラの|子《こ》の|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|基《もとい》をすえられた|都《みやこ》は|聖《せい》なる|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》つ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヤコブのすべてのすまいにまさって、 シオンのもろもろの|門《もん》を|愛《あい》される。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|都《みやこ》よ、あなたについて、 もろもろの|栄光《えいこう》ある|事《こと》が|語《かた》られる。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはラハブとバビロンを わたしを|知《し》る|者《もの》のうちに|挙《あ》げる。 ペリシテ、ツロ、またエチオピヤを|見《み》よ。 「この|者《もの》はかしこに|生《うま》れた」と|言《い》われる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしシオンについては 「この|者《もの》も、かの|者《もの》もその|中《なか》に|生《うま》れた」と|言《い》われる。 いと|高《たか》き|者《もの》みずからシオンを |堅《かた》く|立《た》てられるからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がもろもろの|民《たみ》を|登録《とうろく》されるとき、 「この|者《もの》はかしこに|生《うま》れた」としるされる。〔セラ [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|歌《うた》う|者《もの》と|踊《おど》る|者《もの》はみな|言《い》う、 「わがもろもろの|泉《いずみ》はあなたのうちにある」と。 [#ここで字下げ終わり] 第八八篇[#「第八八篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってマハラテ・レアノテのしらべにあわせてうたわせたコラの|子《こ》の|歌《うた》、さんび。エズラびとヘマンのマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、わたしは|昼《ひる》、|助《たす》けを|呼《よ》び|求《もと》め、 |夜《よる》、み|前《まえ》に|叫《さけ》び|求《もと》めます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|祈《いのり》をみ|前《まえ》にいたらせ、 わたしの|叫《さけ》びに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|魂《たましい》は|悩《なや》みに|満《み》ち、 わたしのいのちは|陰府《よみ》に|近《ちか》づきます。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》のうちに|数《かぞ》えられ、 |力《ちから》のない|人《ひと》のようになりました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|死人《しにん》のうちに|捨《す》てられた|者《もの》のように、 |墓《はか》に|横《よこ》たわる|殺《ころ》された|者《もの》のように、 あなたが|再《ふたた》び|心《こころ》にとめられない|者《もの》のように なりました。 |彼《かれ》らはあなたのみ|手《て》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされた|者《もの》です。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを|深《ふか》い|穴《あな》、 |暗《くら》い|所《ところ》、|深《ふか》い|淵《ふち》に|置《お》かれました。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|怒《いか》りはわたしの|上《うえ》に|重《おも》く、 あなたはもろもろの|波《なみ》をもって わたしを|苦《くる》しめられました。〔セラ [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|知《し》り|人《ひと》をわたしから|遠《とお》ざけ、 わたしを|彼《かれ》らの|忌《い》みきらう|者《もの》とされました。 わたしは|閉《と》じこめられて、のがれることはできません。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》は|悲《かな》しみによって|衰《おとろ》えました。 |主《しゅ》よ、わたしは|日《ひ》ごとにあなたを|呼《よ》び、 あなたにむかってわが|両手《りょうて》を|伸《の》べました。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|死《し》んだ|者《もの》のために |奇跡《きせき》を|行《おこな》われるでしょうか。 なき|人《ひと》のたましいは|起《お》きあがって あなたをほめたたえるでしょうか。〔セラ [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみは|墓《はか》のなかに、 あなたのまことは|滅《ほろ》びのなかに、 |宣《の》べ|伝《つた》えられるでしょうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|奇跡《きせき》は|暗《くら》やみに、 あなたの|義《ぎ》は|忘《わす》れの|国《くに》に|知《し》られるでしょうか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|呼《よ》ばわります。 あしたに、わが|祈《いのり》をあなたのみ|前《まえ》にささげます。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、なぜ、あなたはわたしを|捨《す》てられるのですか。 なぜ、わたしにみ|顔《かお》を|隠《かく》されるのですか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|若《わか》い|時《とき》から|苦《くる》しんで|死《し》ぬばかりです。 あなたの|脅《おびやか》しにあって|衰《おとろ》えはてました。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|激《はげ》しい|怒《いか》りがわたしを|襲《おそ》い、 あなたの|恐《おそ》ろしい|脅《おびやか》しがわたしを|滅《ほろ》ぼしました。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》がひねもす|大水《おおみず》のようにわたしをめぐり、 わたしを|全《まった》く|取《と》り|巻《ま》きました。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|愛《あい》する|者《もの》と|友《とも》とをわたしから|遠《とお》ざけ、 わたしの|知《し》り|人《びと》を|暗《くら》やみにおかれました。 [#ここで字下げ終わり] 第八九篇[#「第八九篇」は中見出し] [#斜体]エズラびとエタンのマスキールの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはとこしえにあなたのいつくしみを|歌《うた》い、 わたしの|口《くち》をもってあなたのまことを よろずよに|告《つ》げ|知《し》らせます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみはとこしえに|堅《かた》く|立《た》ち、 あなたのまことは|天《てん》のように ゆるぐことはありません。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》われました、 「わたしはわたしの|選《えら》んだ|者《もの》と|契約《けいやく》を|結《むす》び、 わたしのしもべダビデに|誓《ちか》った、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]『わたしはあなたの|子孫《しそん》をとこしえに|堅《かた》くし、 あなたの|王座《おうざ》を|建《た》てて、よろずよに|至《いた》らせる』」。〔セラ [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、もろもろの|天《てん》に あなたのくすしきみわざをほめたたえさせ、 |聖《せい》なる|者《もの》のつどいで、 あなたのまことをほめたたえさせてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|大空《おおぞら》のうちに、 だれか|主《しゅ》と|並《なら》ぶものがあるでしょうか。 |神《かみ》の|子《こ》らのうちに、 だれか|主《しゅ》のような|者《もの》があるでしょうか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|聖《せい》なる|者《もの》の|会議《かいぎ》において|恐《おそ》るべき|神《かみ》、 そのまわりにあるすべての|者《もの》にまさって |大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|者《もの》です。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 |主《しゅ》よ、だれかあなたのように |大能《たいのう》のある|者《もの》があるでしょうか。 あなたのまことは、あなたをめぐっています。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|海《うみ》の|荒《あ》れるのを|治《おさ》め、 その|波《なみ》の|起《おこ》るとき、これを|静《しず》められます。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはラハブを、|殺《ころ》された|者《もの》のように|打《う》ち|砕《くだ》き、 あなたの|敵《てき》を|力《ちから》ある|腕《うで》をもって|散《ち》らされました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|天《てん》はあなたのもの、 |地《ち》もまたあなたのもの、 |世界《せかい》とその|中《なか》にあるものとは あなたがその|基《もとい》をおかれたものです。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》と|南《みなみ》はあなたがこれを|造《つく》られました。 タボルとヘルモンは、み|名《な》を|喜《よろこ》び|歌《うた》います。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大能《たいのう》の|腕《うで》をもたれます。 あなたの|手《て》は|強《つよ》く、あなたの|右《みぎ》の|手《て》は|高《たか》く、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|義《ぎ》と|公平《こうへい》はあなたのみくらの|基《もとい》、 いつくしみと、まことはあなたの|前《まえ》に|行《い》きます。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭《まつり》の|日《ひ》の|喜《よろこ》びの|声《こえ》を|知《し》る|民《たみ》はさいわいです。 |主《しゅ》よ、|彼《かれ》らはみ|顔《かお》の|光《ひかり》のなかを|歩《あゆ》み、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ひねもす、み|名《な》によって|喜《よろこ》び、 あなたの|義《ぎ》をほめたたえます。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らの|力《ちから》の|栄光《えいこう》だからです。 われらの|角《つの》はあなたの|恵《めぐ》みによって |高《たか》くあげられるでしょう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われらの|盾《たて》は|主《しゅ》に|属《ぞく》し、 われらの|王《おう》はイスラエルの|聖者《せいじゃ》に|属《ぞく》します。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|昔《むかし》あなたは|幻《まぼろし》をもってあなたの|聖徒《せいと》に|告《つ》げて |言《い》われました、 「わたしは|勇士《ゆうし》に|栄冠《えいかん》を|授《さづ》け、 |民《たみ》の|中《なか》から|選《えら》ばれた|者《もの》を|高《たか》くあげた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわがしもべダビデを|得《え》て、 これにわが|聖《せい》なる|油《あぶら》をそそいだ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わが|手《て》は|常《つね》に|彼《かれ》と|共《とも》にあり、 わが|腕《うで》はまた|彼《かれ》を|強《つよ》くする。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》は|彼《かれ》をだますことなく、 |悪《あ》しき|者《もの》は|彼《かれ》を|卑《いや》しめることはない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|前《まえ》にもろもろのあだを|打《う》ち|滅《ほろ》ぼし、 |彼《かれ》を|憎《にく》む|者《もの》どもを|打《う》ち|倒《たお》す。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わがまことと、わがいつくしみは|彼《かれ》と|共《とも》にあり、 わが|名《な》によって|彼《かれ》の|角《つの》は|高《たか》くあげられる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|手《て》を|海《うみ》の|上《うえ》におき、 |彼《かれ》の|右《みぎ》の|手《て》を|川《かわ》の|上《うえ》におく。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしにむかい『あなたはわが|父《ちち》、 わが|神《かみ》、わが|救《すくい》の|岩《いわ》』と|呼《よ》ぶであろう。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|彼《かれ》をわがういごとし、 |地《ち》の|王《おう》たちのうちの|最《もっと》も|高《たか》い|者《もの》とする。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはとこしえに、 わがいつくしみを|彼《かれ》のために|保《たも》ち、 わが|契約《けいやく》は|彼《かれ》のために|堅《かた》く|立《た》つ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|家系《かけい》をとこしえに|堅《かた》く|定《さだ》め、 その|位《くらい》を|天《てん》の|日《ひ》|数《かず》のようにながらえさせる。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]もしその|子孫《しそん》がわがおきてを|捨《す》て、 わがさばきに|従《したが》って|歩《あゆ》まないならば、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らがわが|定《さだ》めを|犯《おか》し、 わが|戒《いまし》めを|守《まも》らないならば、 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはつえをもって|彼《かれ》らのとがを|罰《ばっ》し、 むちをもって|彼《かれ》らの|不義《ふぎ》を|罰《ばっ》する。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしはわがいつくしみを |彼《かれ》から|取《と》り|去《さ》ることなく、 わがまことにそむくことはない。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|契約《けいやく》を|破《やぶ》ることなく、 わがくちびるから|出《で》た|言葉《ことば》を|変《か》えることはない。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはひとたびわが|聖《せい》によって|誓《ちか》った。 わたしはダビデに|偽《いつわ》りを|言《い》わない。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|家系《かけい》はとこしえに|続《つづ》き、 |彼《かれ》の|位《くらい》は|太陽《たいよう》のように|常《つね》にわたしの|前《まえ》にある。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]また|月《つき》のようにとこしえに|堅《かた》く|定《さだ》められ、 |大空《おおぞら》の|続《つづ》くかぎり|堅《かた》く|立《た》つ」。〔セラ [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは、あなたの|油《あぶら》そそがれた|者《もの》を |捨《す》ててしりぞけ、 |彼《かれ》に|対《たい》して|激《はげ》しく|怒《いか》られました。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそのしもべとの|契約《けいやく》を|廃棄《はいき》し、 |彼《かれ》の|冠《かんむり》を|地《ち》になげうって、けがされました。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|城壁《じょうへき》をことごとくこわし、 そのとりでを|荒《あ》れすたれさせられました。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]そこを|通《とお》り|過《す》ぎる|者《もの》は|皆《みな》|彼《かれ》をかすめ、 |彼《かれ》はその|隣《とな》り|人《びと》のあざけりとなりました。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》のあだの|右《みぎ》の|手《て》を|高《たか》くあげ、 そのもろもろの|敵《てき》を|喜《よろこ》ばせられました。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]まことに、あなたは|彼《かれ》のつるぎの|刃《は》をかえして、 |彼《かれ》を|戦《たたか》いに|立《た》たせられなかったのです。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》の|手《て》から|王《おう》のつえを|取《と》り|去《さ》り、 その|王座《おうざ》を|地《ち》に|投《な》げすてられました。 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》の|若《わか》き|日《ひ》をちぢめ、 |恥《はじ》をもって|彼《かれ》をおおわれました。〔セラ [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、いつまでなのですか。 とこしえにお|隠《おかく》れになるのですか。 あなたの|怒《いか》りはいつまで|火《ひ》のように|燃《も》えるのですか。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|人《ひと》のいのちの、いかに|短《みじか》く、 すべての|人《ひと》の|子《こ》を、いかにはかなく|造《つく》られたかを、 みこころにとめてください。 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]だれか|生《い》きて|死《し》を|見《み》ず、 その|魂《たましい》を|陰府《よみ》の|力《ちから》から |救《すく》いうるものがあるでしょうか。〔セラ [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたがまことをもってダビデに|誓《ちか》われた |昔《むかし》のいつくしみはどこにありますか。 [#太字]五〇 五一[#「五〇 五一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのしもべがうけるはずかしめを みこころにとめてください。 |主《しゅ》よ、あなたのもろもろの|敵《てき》はわたしをそしり、 あなたの|油《あぶら》そそがれた|者《もの》の|足跡《あしあと》をそしります。 わたしはもろもろの|民《たみ》のそしりを わたしのふところにいだいているのです。 [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はとこしえにほむべきかな。 アァメン、アァメン。 [#ここで字下げ終わり] 第九〇篇[#「第九〇篇」は中見出し] [#斜体]|神《かみ》の|人《ひと》モーセの|祈《いのり》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|世々《よよ》われらのすみかで いらせられる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》がまだ|生《うま》れず、 あなたがまだ|地《ち》と|世界《せかい》とを|造《つく》られなかったとき、 とこしえからとこしえまで、 あなたは|神《かみ》でいらせられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|人《ひと》をちりに|帰《かえ》らせて|言《い》われます、 「|人《ひと》の|子《こ》よ、|帰《かえ》れ」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》の|前《まえ》には千|年《ねん》も |過《す》ぎ|去《さ》ればきのうのごとく、 |夜《よ》の|間《ま》のひと|時《とき》のようです。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|人《ひと》を|大水《おおみず》のように|流《なが》れ|去《さ》らせられます。 |彼《かれ》らはひと|夜《よ》の|夢《ゆめ》のごとく、 あしたにもえでる|青草《あおくさ》のようです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あしたにもえでて、|栄《さか》えるが、 |夕《ゆう》べには、しおれて|枯《か》れるのです。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われらはあなたの|怒《いか》りによって|消《き》えうせ、 あなたの|憤《いきどお》りによって|滅《ほろ》び|去《さ》るのです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわれらの|不義《ふぎ》をみ|前《まえ》におき、 われらの|隠《かく》れた|罪《つみ》をみ|顔《かお》の|光《ひかり》のなかにおかれました。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われらのすべての|日《ひ》は、 あなたの|怒《いか》りによって|過《す》ぎ|去《さ》り、 われらの|年《とし》の|尽《つ》きるのは、ひと|息《いき》のようです。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]われらのよわいは七十|年《ねん》にすぎません。 あるいは|健《すこ》やかであっても八十|年《ねん》でしょう。 しかしその|一生《いっしょう》はただ、ほねおりと|悩《なや》みであって、 その|過《す》ぎゆくことは|速《はや》く、われらは|飛《と》び|去《さ》るのです。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]だれがあなたの|怒《いか》りの|力《ちから》を|知《し》るでしょうか。 だれがあなたをおそれる|恐《おそ》れにしたがって あなたの|憤《いきどお》りを|知《し》るでしょうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]われらにおのが|日《ひ》を|数《かぞ》えることを|教《おし》えて、 |知恵《ちえ》の|心《こころ》を|得《え》させてください。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、み|心《こころ》を|変《か》えてください。 いつまでお|怒《いか》りになるのですか。 あなたのしもべをあわれんでください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あしたに、あなたのいつくしみをもって われらを|飽《あ》き|足《た》らせ、 |世《よ》を|終《おわ》るまで|喜《よろこ》び|楽《たの》しませてください。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわれらを|苦《くる》しめられた|多《おお》くの|日《ひ》と、 われらが|災《わざわい》にあった|多《おお》くの|年《とし》とに|比《くら》べて、 われらを|楽《たの》しませてください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみわざを、あなたのしもべらに、 あなたの|栄光《えいこう》を、その|子《こ》らにあらわしてください。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを、われらの|上《うえ》にくだし、 われらの|手《て》のわざを、われらの|上《うえ》に |栄《さか》えさせてください。 われらの|手《て》のわざを|栄《さか》えさせてください。 [#ここで字下げ終わり] 第九一篇[#「第九一篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|者《もの》のもとにある |隠《かく》れ|場《ば》に|住《す》む|人《ひと》、|全能者《ぜんのうしゃ》の|陰《かげ》にやどる|人《ひと》は [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|言《い》うであろう、「わが|避《さ》け|所《どころ》、わが|城《しろ》、 わが|信頼《しんらい》しまつるわが|神《かみ》」と。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたをかりゅうどのわなと、 |恐《おそ》ろしい|疫病《えきびょう》から|助《たす》け|出《だ》されるからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|羽《はね》をもって、あなたをおおわれる。 あなたはその|翼《つばさ》の|下《した》に|避《さ》け|所《どころ》を|得《え》るであろう。 そのまことは|大盾《おおだて》、また|小盾《こだて》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|夜《よる》の|恐《おそ》ろしい|物《もの》をも、 |昼《ひる》に|飛《と》んでくる|矢《や》をも|恐《おそ》れることはない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|暗《くら》やみに|歩《ある》きまわる|疫病《えきびょう》をも、 |真昼《まひる》に|荒《あら》す|滅《ほろ》びをも|恐《おそ》れることはない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]たとい千|人《にん》はあなたのかたわらに|倒《たお》れ、 万|人《にん》はあなたの|右《みぎ》に|倒《たお》れても、 その|災《わざわい》はあなたに|近《ちか》づくことはない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはただ、その|目《め》をもって|見《み》、 |悪《あ》しき|者《もの》の|報《むく》いを|見《み》るだけである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|主《しゅ》を|避《さ》け|所《どころ》とし、 いと|高《たか》き|者《もの》をすまいとしたので、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|災《わざわい》はあなたに|臨《のぞ》まず、 |悩《なや》みはあなたの|天幕《てんまく》に|近《ちか》づくことはない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》があなたのために|天使《てんし》たちに|命《めい》じて、 あなたの|歩《あゆ》むすべての|道《みち》で あなたを|守《まも》らせられるからである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|手《て》で、あなたをささえ、 |石《いし》に|足《あし》を|打《う》ちつけることのないようにする。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはししと、まむしとを|踏《ふ》み、 |若《わか》いししと、へびとを|足《あし》の|下《した》に|踏《ふ》みにじるであろう。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしを|愛《あい》して|離《はな》れないゆえに、 わたしは|彼《かれ》を|助《たす》けよう。 |彼《かれ》はわが|名《な》を|知《し》るゆえに、わたしは|彼《かれ》を|守《まも》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしを|呼《よ》ぶとき、わたしは|彼《かれ》に|答《こた》える。 わたしは|彼《かれ》の|悩《なや》みのときに、|共《とも》にいて、 |彼《かれ》を|救《すく》い、|彼《かれ》に|光栄《こうえい》を|与《あた》えよう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|長寿《ちょうじゅ》をもって|彼《かれ》を|満《み》ち|足《た》らせ、 わが|救《すくい》を|彼《かれ》に|示《しめ》すであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第九二篇[#「第九二篇」は中見出し] [#斜体]|安息日《あんそくにち》の|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|者《もの》よ、|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、 み|名《な》をほめたたえるのは、よいことです。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あしたに、あなたのいつくしみをあらわし、 |夜《よ》な|夜《よ》な、あなたのまことをあらわすために、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|十弦《じゅうげん》の|楽器《がっき》と|立琴《たてごと》を|用《もち》い、 |琴《こと》のたえなる|調《しら》べを|用《もち》いるのは、よいことです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはみわざをもって わたしを|楽《たの》しませられました。 わたしはあなたのみ|手《て》のわざを|喜《よろこ》び|歌《うた》います。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのみわざは いかに|大《おお》いなることでしょう。 あなたのもろもろの|思《おも》いは、いとも|深《ふか》く、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|鈍《にぶ》い|者《もの》は|知《し》ることができず、 |愚《おろ》かな|者《もの》はこれを|悟《さと》ることができません。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]たとい、|悪《あ》しき|者《もの》は|草《くさ》のようにもえいで、 |不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》はことごとく|栄《さか》えても、 |彼《かれ》らはとこしえに|滅《ほろ》びに|定《さだ》められているのです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》よ、あなたはとこしえに |高《たか》き|所《ところ》にいらせられます。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|敵《てき》、あなたの|敵《てき》は|滅《ほろ》び、 |不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》はことごとく|散《ち》らされるでしょう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたはわたしの|角《つの》を |野牛《のうし》の|角《つの》のように|高《たか》くあげ、 |新《あたら》しい|油《あぶら》をわたしに|注《そそ》がれました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》はわが|敵《てき》の|没落《ぼつらく》を|見《み》、 わたしの|耳《みみ》はわたしを|攻《せ》める|悪者《わるもの》どもの |破滅《はめつ》を|聞《き》きました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》はなつめやしの|木《き》のように|栄《さか》え、 レバノンの|香柏《こうはく》のように|育《そだ》ちます。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|家《いえ》に|植《う》えられ、 われらの|神《かみ》の|大庭《おおにわ》に|栄《さか》えます。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|年老《としお》いてなお|実《み》を|結《むす》び、 いつも|生気《せいき》に|満《み》ち、|青々《あおあお》として、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|正《ただ》しいことを|示《しめ》すでしょう。 |主《しゅ》はわが|岩《いわ》です。 |主《しゅ》には|少《すこ》しの|不義《ふぎ》もありません。 [#ここで字下げ終わり] 第九三篇[#「第九三篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|王《おう》となり、 |威光《いこう》の|衣《ころも》をまとわれます。 |主《しゅ》は|衣《ころも》をまとい、|力《ちから》をもって|帯《おび》とされます。 まことに、|世界《せかい》は|堅《かた》く|立《た》って、 |動《うご》かされることはありません。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|位《くらい》はいにしえより|堅《かた》く|立《た》ち、 あなたはとこしえよりいらせられます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|大水《おおみず》は|声《こえ》をあげました。 |大水《おおみず》はその|声《こえ》をあげました。 |大水《おおみず》はそのとどろく|声《こえ》をあげます。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|高《たか》き|所《ところ》にいらせられて、 その|勢《いきお》いは|多《おお》くの|水《みず》のとどろきにまさり、 |海《うみ》の|大波《おおなみ》にまさって|盛《さか》んです。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあかしはいとも|確《たし》かです。 |主《しゅ》よ、|聖《せい》なることはとこしえまでも あなたの|家《いえ》にふさわしいのです。 [#ここで字下げ終わり] 第九四篇[#「第九四篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あだを|報《むく》いられる|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 あだを|報《むく》いられる|神《かみ》よ、|光《ひかり》を|放《はな》ってください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》をさばかれる|者《もの》よ、 |立《た》って|高《たか》ぶる|者《もの》にその|受《う》くべき|罰《ばつ》をお|与《あた》えください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|悪《あ》しき|者《もの》はいつまで、 |悪《あ》しき|者《もの》はいつまで|勝《か》ち|誇《ほこ》るでしょうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|高慢《こうまん》な|言葉《ことば》を|吐《は》き|散《ち》らし、 すべて|不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》はみずから|高《たか》ぶります。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らはあなたの|民《たみ》を|打《う》ち|砕《くだ》き、 あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》を|苦《くる》しめます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはやもめと|旅《たび》びとのいのちをうばい、 みなしごを|殺《ころ》します。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》います、「|主《しゅ》は|見《み》ない、 ヤコブの|神《かみ》は|悟《さと》らない」と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》のうちの|鈍《にぶ》き|者《もの》よ、|悟《さと》れ。 |愚《おろ》かな|者《もの》よ、いつ|賢《かしこ》くなるだろうか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》を|植《う》えた|者《もの》は|聞《き》くことをしないだろうか、 |目《め》を|造《つく》った|者《もの》は|見《み》ることをしないだろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》を|懲《こ》らす|者《もの》は |罰《ばっ》することをしないだろうか、 |人《ひと》を|教《おし》える|者《もの》は|知識《ちしき》をもたないだろうか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人《ひと》の|思《おも》いの、むなしいことを|知《し》られる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたによって|懲《こ》らされる|人《ひと》、 あなたのおきてを|教《おし》えられる|人《ひと》はさいわいです。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|人《ひと》を|災《わざわい》の|日《ひ》からのがれさせ、 |悪《あ》しき|者《もの》のために|穴《あな》が|掘《ほ》られるまで その|人《ひと》に|平安《へいあん》を|与《あた》えられます。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》を|捨《す》てず、 その|嗣《し》|業《ぎょう》を|見捨《みす》てられないからです。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さばきは|正義《せいぎ》に|帰《かえ》り、 すべて|心《こころ》の|正《ただ》しい|者《もの》はそれに|従《したが》うでしょう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]だれがわたしのために|立《た》ちあがって、 |悪《あ》しき|者《もの》を|責《せ》めるだろうか。 だれがわたしのために|立《た》って、 |不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》を|責《せ》めるだろうか。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]もしも|主《しゅ》がわたしを|助《たす》けられなかったならば、 わが|魂《たましい》はとくに|音《おと》なき|所《ところ》に|住《す》んだであろう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし「わたしの|足《あし》がすべる」と|思《おも》ったとき、 |主《しゅ》よ、あなたのいつくしみは わたしをささえられました。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしのうちに|思《おも》い|煩《わずら》いの|満《み》ちるとき、 あなたの|慰《なぐさ》めはわが|魂《たましい》を|喜《よろこ》ばせます。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|定《さだ》めをもって|危害《きがい》をたくらむ|悪《あ》しき|支配者《しはいしゃ》は あなたと|親《した》しむことができるでしょうか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|相《あい》|結《むす》んで|正《ただ》しい|人《ひと》の|魂《たましい》を|責《せ》め、 |罪《つみ》のない|者《もの》に|死《し》を|宣告《せんこく》します。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はわが|高《たか》きやぐらとなり、 わが|神《かみ》はわが|避《さ》け|所《どころ》の|岩《いわ》となられました。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|不義《ふぎ》を|彼《かれ》らに|報《むく》い、 |彼《かれ》らをその|悪《あく》のゆえに|滅《ほろ》ぼされます。 われらの|神《かみ》、|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼされます。 [#ここで字下げ終わり] 第九五篇[#「第九五篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さあ、われらは|主《しゅ》にむかって|歌《うた》い、 われらの|救《すくい》の|岩《いわ》にむかって|喜《よろこ》ばしい|声《こえ》をあげよう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]われらは|感謝《かんしゃ》をもって、み|前《まえ》に|行《い》き、 |主《しゅ》にむかい、さんびの|歌《うた》をもって、 |喜《よろこ》ばしい|声《こえ》をあげよう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|大《おお》いなる|神《かみ》、 すべての|神《かみ》にまさって|大《おお》いなる|王《おう》だからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|深《ふか》い|所《ところ》は|主《しゅ》のみ|手《て》にあり、 |山々《やまやま》の|頂《いただき》もまた|主《しゅ》のものである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》は|主《しゅ》のもの、|主《しゅ》はこれを|造《つく》られた。 またそのみ|手《て》はかわいた|地《ち》を|造《つく》られた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]さあ、われらは|拝《おが》み、ひれ|伏《ふ》し、 われらの|造《つく》り|主《ぬし》、|主《しゅ》のみ|前《まえ》にひざまずこう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれらの|神《かみ》であり、 われらはその|牧《まき》の|民《たみ》、そのみ|手《て》の|羊《ひつじ》である。 どうか、あなたがたは、 きょう、そのみ|声《こえ》を|聞《き》くように。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、メリバにいた|時《とき》のように、 また|荒野《あらの》のマッサにいた|日《ひ》のように、 |心《こころ》をかたくなにしてはならない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》、あなたがたの|先祖《せんぞ》たちは わたしのわざを|見《み》たにもかかわらず、 わたしを|試《こころ》み、わたしをためした。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは四十|年《ねん》の|間《あいだ》、その|代《よ》をきらって|言《い》った、 「|彼《かれ》らは|心《こころ》の|誤《あやま》っている|民《たみ》であって、 わたしの|道《みち》を|知《し》らない」と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|憤《いきどお》って、 |彼《かれ》らはわが|安息《あんそく》に|入《い》ることができないと|誓《ちか》った。 [#ここで字下げ終わり] 第九六篇[#「第九六篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|新《あたら》しい|歌《うた》を|主《しゅ》にむかってうたえ。 |全《ぜん》|地《ち》よ、|主《しゅ》にむかってうたえ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にむかって|歌《うた》い、そのみ|名《な》をほめよ。 |日《ひ》ごとにその|救《すくい》を|宣《の》べ|伝《つた》えよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》の|中《なか》にその|栄光《えいこう》をあらわし、 もろもろの|民《たみ》の|中《なか》にそのくすしきみわざをあらわせ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|大《おお》いなる|神《かみ》であって、いともほめたたうべきもの、 もろもろの|神《かみ》にまさって|恐《おそ》るべき|者《もの》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》のすべての|神《かみ》はむなしい。 しかし|主《しゅ》はもろもろの|天《てん》を|造《つく》られた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|誉《ほまれ》と、|威厳《いげん》とはそのみ|前《まえ》にあり、 |力《ちから》と、うるわしさとはその|聖所《せいじょ》にある。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》のやからよ、|主《しゅ》に|帰《き》せよ、 |栄光《えいこう》と|力《ちから》とを|主《しゅ》に|帰《き》せよ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そのみ|名《な》にふさわしい|栄光《えいこう》を|主《しゅ》に|帰《き》せよ。 |供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えてその|大庭《おおにわ》にきたれ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|聖《せい》なる|装《よそお》いをして|主《しゅ》を|拝《おが》め、 |全《ぜん》|地《ち》よ、そのみ|前《まえ》におののけ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》の|中《なか》に|言《い》え、 「|主《しゅ》は|王《おう》となられた。 |世界《せかい》は|堅《かた》く|立《た》って、|動《うご》かされることはない。 |主《しゅ》は|公平《こうへい》をもってもろもろの|民《たみ》をさばかれる」と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》は|喜《よろこ》び、|地《ち》は|楽《たの》しみ、 |海《うみ》とその|中《なか》に|満《み》ちるものとは|鳴《な》りどよめき、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|田畑《たはた》とその|中《なか》のすべての|物《もの》は|大《おお》いに|喜《よろこ》べ。 そのとき、|林《はやし》のもろもろの|木《き》も |主《しゅ》のみ|前《まえ》に|喜《よろこ》び|歌《うた》うであろう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|来《こ》られる、|地《ち》をさばくために|来《こ》られる。 |主《しゅ》は|義《ぎ》をもって|世界《せかい》をさばき、 まことをもってもろもろの|民《たみ》をさばかれる。 [#ここで字下げ終わり] 第九七篇[#「第九七篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|王《おう》となられた。|地《ち》は|楽《たの》しみ、 |海《うみ》に|沿《そ》った|多《おお》くの|国々《くにぐに》は|喜《よろこ》べ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》と|暗《くら》やみとはそのまわりにあり、 |義《ぎ》と|正《せい》とはそのみくらの|基《もとい》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》はそのみ|前《まえ》に|行《い》き、 そのまわりのあだを|焼《や》きつくす。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のいなずまは|世界《せかい》を|照《てら》し、 |地《ち》は|見《み》ておののく。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|山《やま》は|主《しゅ》のみ|前《まえ》に、 |全《ぜん》|地《ち》の|主《しゅ》のみ|前《まえ》に、ろうのように|溶《と》けた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|天《てん》はその|義《ぎ》をあらわし、 よろずの|民《たみ》はその|栄光《えいこう》を|見《み》た。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべて|刻《きざ》んだ|像《ぞう》を|拝《おが》む|者《もの》、 むなしい|偶像《ぐうぞう》をもってみずから|誇《ほこ》る|者《もの》は はずかしめをうける。 もろもろの|神《かみ》は|主《しゅ》のみ|前《まえ》にひれ|伏《ふ》す。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのさばきのゆえに、 シオンは|聞《き》いて|喜《よろこ》び、ユダの|娘《むすめ》たちは|楽《たの》しむ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|全《ぜん》|地《ち》の|上《うえ》にいまして、いと|高《たか》く、 もろもろの|神《かみ》にまさって|大《おお》いにあがめられます。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|悪《あく》を|憎《にく》む|者《もの》を|愛《あい》し、その|聖徒《せいと》のいのちを|守《まも》り、 これを|悪《あ》しき|者《もの》の|手《て》から|助《たす》け|出《だ》される。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》は|正《ただ》しい|人《ひと》のために|現《あらわ》れ、 |喜《よろこ》びは|心《こころ》の|正《ただ》しい|者《もの》のためにあらわれる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しき|人《ひと》よ、|主《しゅ》によって|喜《よろこ》べ、 その|聖《せい》なるみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》せよ。 [#ここで字下げ終わり] 第九八篇[#「第九八篇」は中見出し] [#斜体]|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|新《あたら》しき|歌《うた》を|主《しゅ》にむかってうたえ。 |主《しゅ》はくすしきみわざをなされたからである。 その|右《みぎ》の|手《て》と|聖《せい》なる|腕《うで》とは、 おのれのために|勝利《しょうり》を|得《え》られた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|勝利《しょうり》を|知《し》らせ、 その|義《ぎ》をもろもろの|国民《くにたみ》の|前《まえ》にあらわされた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのいつくしみと、まこととを イスラエルの|家《いえ》にむかって|覚《おぼ》えられた。 |地《ち》のもろもろのはては、われらの|神《かみ》の|勝利《しょうり》を|見《み》た。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》よ、|主《しゅ》にむかって|喜《よろこ》ばしき|声《こえ》をあげよ。 |声《こえ》を|放《はな》って|喜《よろこ》び|歌《うた》え、ほめうたえ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|琴《こと》をもって|主《しゅ》をほめうたえ。 |琴《こと》と|歌《うた》の|声《こえ》をもってほめうたえ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ラッパと|角笛《つのぶえ》の|音《おと》をもって |王《おう》なる|主《しゅ》の|前《まえ》に|喜《よろこ》ばしき|声《こえ》をあげよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》とその|中《なか》に|満《み》ちるもの、 |世界《せかい》とそのうちに|住《す》む|者《もの》とは|鳴《な》りどよめけ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|大水《おおみず》はその|手《て》を|打《う》ち、 もろもろの|山《やま》は|共《とも》に|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|喜《よろこ》び|歌《うた》え。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|地《ち》をさばくために|来《こ》られるからである。 |主《しゅ》は|義《ぎ》をもって|世界《せかい》をさばき、 |公平《こうへい》をもってもろもろの|民《たみ》をさばかれる。 [#ここで字下げ終わり] 第九九篇[#「第九九篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|王《おう》となられた。 もろもろの|民《たみ》はおののけ。 |主《しゅ》はケルビムの|上《うえ》に|座《ざ》せられる。 |地《ち》は|震《ふる》えよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシオンにおられて|大《おお》いなる|神《かみ》、 |主《しゅ》はもろもろの|民《たみ》の|上《うえ》に|高《たか》くいらせられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたの|大《おお》いなる|恐《おそ》るべきみ|名《な》を ほめたたえるであろう。 |主《しゅ》は|聖《せい》でいらせられる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|大能《たいのう》の|王《おう》であり、|公義《こうぎ》を|愛《あい》する|者《もの》であるあなたは |堅《かた》く|公平《こうへい》を|立《た》て、ヤコブの|中《なか》に|正《せい》と|義《ぎ》とを|行《おこな》われた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》、|主《しゅ》をあがめ、 その|足《あし》|台《だい》のもとで|拝《おが》みまつれ。 |主《しゅ》は|聖《せい》でいらせられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|祭司《さいし》の|中《なか》にモーセとアロンとがあった。 そのみ|名《な》を|呼《よ》ぶ|者《もの》の|中《なか》にサムエルもあった。 |彼《かれ》らが|主《しゅ》に|呼《よ》ばわると、|主《しゅ》は|答《こた》えられた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|雲《くも》の|柱《はしら》のうちで|彼《かれ》らに|語《かた》られた。 |彼《かれ》らはそのあかしと、 |彼《かれ》らに|賜《たま》わった|定《さだ》めとを|守《まも》った。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたは|彼《かれ》らに|答《こた》えられた。 あなたは|彼《かれ》らにゆるしを|与《あた》えられた|神《かみ》であったが、 |悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》には|報復《ほうふく》された。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》、|主《しゅ》をあがめ、その|聖《せい》なる|山《やま》で|拝《おが》みまつれ。 われらの|神《かみ》、|主《しゅ》は|聖《せい》でいらせられるからである。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇〇篇[#「第一〇〇篇」は中見出し] [#斜体]|感謝《かんしゃ》の|供《そな》え|物《もの》のための|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》よ、|主《しゅ》にむかって|喜《よろこ》ばしき|声《こえ》をあげよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|喜《よろこ》びをもって|主《しゅ》に|仕《つか》えよ。 |歌《うた》いつつ、そのみ|前《まえ》にきたれ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》こそ|神《かみ》であることを|知《し》れ。 われらを|造《つく》られたものは|主《しゅ》であって、 われらは|主《しゅ》のものである。 われらはその|民《たみ》、その|牧《まき》の|羊《ひつじ》である。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|感謝《かんしゃ》しつつ、その|門《もん》に|入《い》り、 ほめたたえつつ、その|大庭《おおにわ》に|入《い》れ。 |主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、そのみ|名《な》をほめまつれ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、そのいつくしみはかぎりなく、 そのまことはよろず|代《よ》に|及《およ》ぶからである。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇一篇[#「第一〇一篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはいつくしみと|公義《こうぎ》について|歌《うた》います。 |主《しゅ》よ、わたしはあなたにむかって|歌《うた》います。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|全《まった》き|道《みち》に|心《こころ》をとめます。 あなたはいつ、わたしに|来《こ》られるでしょうか。 わたしは|直《なお》き|心《こころ》をもって、わが|家《いえ》のうちを|歩《あゆ》みます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|目《め》の|前《まえ》に|卑《いや》しい|事《こと》を|置《お》きません。 わたしはそむく|者《もの》の|行《おこな》いを|憎《にく》みます。 それはわたしに|付《つ》きまといません。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ひがんだ|心《こころ》はわたしを|離《はな》れるでしょう。 わたしは|悪《わる》い|事《こと》を|知《し》りません。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ひそかに、その|隣《とな》り|人《びと》をそしる|者《もの》を わたしは|滅《ほろ》ぼします。 |高《たか》ぶる|目《め》と|高慢《こうまん》な|心《こころ》の|人《ひと》を|耐《た》え|忍《しの》ぶ|事《こと》はできません。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|国《くに》のうちの|忠信《ちゅうしん》な|者《もの》に|好意《こうい》を|寄《よ》せ、 わたしと|共《とも》に|住《す》まわせます。 |全《まった》き|道《みち》を|歩《あゆ》む|者《もの》はわたしに|仕《つか》えるでしょう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|欺《あざむ》くことをする|者《もの》は わが|家《いえ》のうちに|住《す》むことができません。 |偽《いつわ》りを|言《い》う|者《もの》はわが|目《め》の|前《まえ》に|立《た》つことができません。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|朝《あさ》ごとに|国《くに》の|悪《あ》しき|者《もの》を ことごとく|滅《ほろ》ぼし、 |不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》をことごとく|主《しゅ》の|都《みやこ》から|断《た》ち|除《のぞ》きます。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇二篇[#「第一〇二篇」は中見出し] [#斜体]|苦《くる》しむ|者《もの》が|思《おも》いくずおれてその|嘆《なげ》きを|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|注《そそ》ぎ|出《だ》すときの|祈《いのり》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしの|祈《いのり》をお|聞《き》きください。 わたしの|叫《さけ》びをみ|前《まえ》に|至《いた》らせてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|悩《なや》みの|日《ひ》にみ|顔《かお》を|隠《かく》すことなく、 あなたの|耳《みみ》をわたしに|傾《かたむ》け、 わが|呼《よ》ばわる|日《ひ》に、すみやかにお|答《こた》えください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|日《ひ》は|煙《けむり》のように|消《き》え、 わたしの|骨《ほね》は|炉《ろ》のように|燃《も》えるからです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》は|草《くさ》のように|撃《う》たれて、しおれました。 わたしはパンを|食《た》べることを|忘《わす》れました。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|嘆《なげ》きの|声《こえ》によって わたしの|骨《ほね》はわたしの|肉《にく》に|着《つ》きます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|荒野《あらの》のはげたかのごとく、 |荒《あ》れた|跡《あと》のふくろうのようです。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|眠《ねむ》らずに |屋根《やね》にひとりいるすずめのようです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|敵《てき》はひねもす、わたしをそしり、 わたしをあざける|者《もの》はわが|名《な》によってのろいます。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|灰《はい》をパンのように|食《た》べ、 わたしの|飲《の》み|物《もの》に|涙《なみだ》を|交《まじ》えました。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたの|憤《いきどお》りと|怒《いか》りのゆえです。 あなたはわたしをもたげて|投《な》げすてられました。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしのよわいは|夕暮《ゆうぐれ》の|日《ひ》|影《かげ》のようです。 わたしは|草《くさ》のようにしおれました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、あなたはとこしえにみくらに|座《ざ》し、 そのみ|名《な》はよろず|代《よ》に|及《およ》びます。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|立《た》ってシオンをあわれまれるでしょう。 これはシオンを|恵《めぐ》まれる|時《とき》であり、 |定《さだ》まった|時《とき》が|来《き》たからです。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべはシオンの|石《いし》をも|喜《よろこ》び、 そのちりをさえあわれむのです。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》は|主《しゅ》のみ|名《な》を|恐《おそ》れ、 |地《ち》のもろもろの|王《おう》はあなたの|栄光《えいこう》を|恐《おそ》れるでしょう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシオンを|築《きず》き、 その|栄光《えいこう》をもって|現《あらわ》れ、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|乏《とぼ》しい|者《もの》の|祈《いのり》をかえりみ、 |彼《かれ》らの|願《ねが》いをかろしめられないからです。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]きたるべき|代《よ》のために、この|事《こと》を|書《か》きしるしましょう。 そうすれば|新《あたら》しく|造《つく》られる|民《たみ》は、 |主《しゅ》をほめたたえるでしょう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|聖《せい》なる|高《たか》き|所《ところ》から|見《み》おろし、 |天《てん》から|地《ち》を|見《み》られた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これは|捕《とら》われ|人《びと》の|嘆《なげ》きを|聞《き》き、 |死《し》に|定《さだ》められた|者《もの》を|解《と》き|放《はな》ち、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がシオンで|主《しゅ》のみ|名《な》をあらわし、 エルサレムでその|誉《ほまれ》をあらわすためです。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》もろもろの|民《たみ》、もろもろの|国《くに》は ともに|集《あつ》まって、|主《しゅ》に|仕《つか》えるでしょう。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|力《ちから》を|中途《ちゅうと》でくじき、 わたしのよわいを|短《みじか》くされました。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》いました、「わが|神《かみ》よ、 どうか、わたしのよわいの|半《なか》ばで わたしを|取《と》り|去《さ》らないでください。 あなたのよわいはよろず|代《よ》に|及《およ》びます」と。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはいにしえ、|地《ち》の|基《もとい》をすえられました。 |天《てん》もまたあなたのみ|手《て》のわざです。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これらは|滅《ほろ》びるでしょう。 しかしあなたは|長《なが》らえられます。 これらはみな|衣《ころも》のように|古《ふる》びるでしょう。 あなたがこれらを|上着《うわぎ》のように|替《か》えられると、 これらは|過《す》ぎ|去《さ》ります。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは|変《かわ》ることなく、 あなたのよわいは|終《おわ》ることがありません。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべの|子《こ》らは|安《やす》らかに|住《す》み、 その|子孫《しそん》はあなたの|前《まえ》に|堅《かた》く|立《た》てられるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇三篇[#「第一〇三篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わがたましいよ、|主《しゅ》をほめよ。 わがうちなるすべてのものよ、 その|聖《せい》なるみ|名《な》をほめよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わがたましいよ、|主《しゅ》をほめよ。 そのすべてのめぐみを|心《こころ》にとめよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたのすべての|不義《ふぎ》をゆるし、 あなたのすべての|病《やまい》をいやし、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいのちを|墓《はか》からあがないいだし、 いつくしみと、あわれみとをあなたにこうむらせ、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|生《い》きながらえるかぎり、 |良《よ》き|物《もの》をもってあなたを|飽《あ》き|足《た》らせられる。 こうしてあなたは|若返《わかがえ》って、わしのように|新《あら》たになる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべてしえたげられる|者《もの》のために |正義《せいぎ》と|公正《こうせい》とを|行《おこな》われる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのれの|道《みち》をモーセに|知《し》らせ、 おのれのしわざをイスラエルの|人々《ひとびと》に|知《し》らせられた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあわれみに|富《と》み、めぐみふかく、 |怒《いか》ること|遅《おそ》く、いつくしみ|豊《ゆた》かでいらせられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|常《つね》に|責《せ》めることをせず、 また、とこしえに|怒《いか》りをいだかれない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれらの|罪《つみ》にしたがってわれらをあしらわず、 われらの|不義《ふぎ》にしたがって|報《むく》いられない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》が|地《ち》よりも|高《たか》いように、 |主《しゅ》がおのれを|恐《おそ》れる|者《もの》に|賜《たま》わるいつくしみは|大《おお》きい、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》が|西《にし》から|遠《とお》いように、 |主《しゅ》はわれらのとがをわれらから|遠《とお》ざけられる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》がその|子《こ》|供《ども》をあわれむように、 |主《しゅ》はおのれを|恐《おそ》れる|者《もの》をあわれまれる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれらの|造《つく》られたさまを|知《し》り、 われらのちりであることを |覚《おぼ》えていられるからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は、そのよわいは|草《くさ》のごとく、 その|栄《さか》えは|野《の》の|花《はな》にひとしい。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|風《かぜ》がその|上《うえ》を|過《す》ぎると、うせて|跡《あと》なく、 その|場所《ばしょ》にきいても、もはやそれを|知《し》らない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》のいつくしみは、とこしえからとこしえまで、 |主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》の|上《うえ》にあり、その|義《ぎ》は|子《こ》らの|子《こ》に|及《およ》び、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|契約《けいやく》を|守《まも》り、 その|命令《めいれい》を|心《こころ》にとめて|行《おこな》う|者《もの》にまで|及《およ》ぶ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|玉座《ぎょくざ》を|天《てん》に|堅《かた》くすえられ、 そのまつりごとはすべての|物《もの》を|統《す》べ|治《おさ》める。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》たちよ、 そのみ|言葉《ことば》の|声《こえ》を|聞《き》いて、これを|行《おこな》う|勇士《ゆうし》たちよ、 |主《しゅ》をほめまつれ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そのすべての|万軍《ばんぐん》よ、 そのみこころを|行《おこな》うしもべたちよ、|主《しゅ》をほめよ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|造《つく》られたすべての|物《もの》よ、 そのまつりごとの|下《した》にあるすべての|所《ところ》で、 |主《しゅ》をほめよ。わがたましいよ、|主《しゅ》をほめよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇四篇[#「第一〇四篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わがたましいよ、|主《しゅ》をほめよ。 わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたはいとも|大《おお》いにして |誉《ほまれ》と|威厳《いげん》とを|着《き》、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》を|衣《ころも》のようにまとい、|天《てん》を|幕《まく》のように|張《は》り、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》の|上《うえ》におのが|高殿《たかどの》のうつばりをおき、 |雲《くも》をおのれのいくさ|車《ぐるま》とし、|風《かぜ》の|翼《つばさ》に|乗《の》りあるき、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|風《かぜ》をおのれの|使者《ししゃ》とし、 |火《ひ》と|炎《ほのお》をおのれのしもべとされる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|地《ち》をその|基《もとい》の|上《うえ》にすえて、 とこしえに|動《うご》くことのないようにされた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれを|衣《ころも》でおおうように|大水《おおみず》でおおわれた。 |水《みず》はたたえて|山々《やまやま》の|上《うえ》を|越《こ》えた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのとがめによって|水《みず》は|退《しりぞ》き、 あなたの|雷《かみなり》の|声《こえ》によって|水《みず》は|逃《に》げ|去《さ》った。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》は|立《た》ちあがり、 |谷《たに》はあなたが|定《さだ》められた|所《ところ》に|沈《しず》んだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|水《みず》に|境《さかい》を|定《さだ》めて、これを|越《こ》えさせず、 |再《ふたた》び|地《ち》をおおうことのないようにされた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|泉《いずみ》を|谷《たに》にわき|出《で》させ、 それを|山々《やまやま》の|間《あいだ》に|流《なが》れさせ、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》のもろもろの|獣《けもの》に|飲《の》ませられる。 |野《の》のろばもそのかわきをいやす。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|空《そら》の|鳥《とり》もそのほとりに|住《す》み、 こずえの|間《あいだ》にさえずり|歌《うた》う。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|高殿《たかどの》からもろもろの|山《やま》に|水《みず》を|注《そそ》がれる。 |地《ち》はあなたのみわざの|実《み》をもって|満《み》たされる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|家畜《かちく》のために|草《くさ》をはえさせ、 また|人《ひと》のためにその|栽培《さいばい》する|植物《しょくぶつ》を|与《あた》えて、 |地《ち》から|食物《しょくもつ》を|出《だ》させられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|人《ひと》の|心《こころ》を|喜《よろこ》ばすぶどう|酒《しゅ》、 その|顔《かお》をつややかにする|油《あぶら》、 |人《ひと》の|心《こころ》を|強《つよ》くするパンなどである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|木《き》と、|主《しゅ》がお|植《う》えになったレバノンの|香柏《こうはく》とは |豊《ゆた》かに|潤《うるお》され、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|鳥《とり》はその|中《なか》に|巣《す》をつくり、 こうのとりはもみの|木《き》をそのすまいとする。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》き|山《やま》はやぎのすまい、 |岩《いわ》は|岩《いわ》だぬきの|隠《かく》れる|所《ところ》である。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|月《つき》を|造《つく》って|季節《きせつ》を|定《さだ》められた。 |日《ひ》はその|入《い》る|時《とき》を|知《し》っている。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|暗《くら》やみを|造《つく》って|夜《よる》とされた。 その|時《とき》、|林《はやし》の|獣《けもの》は|皆《みな》|忍《しの》び|出《で》る。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》きししはほえてえさを|求《もと》め、|神《かみ》に|食物《しょくもつ》を|求《もと》める。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》が|出《で》ると|退《しりぞ》いて、その|穴《あな》に|寝《ね》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|出《で》てわざにつき、その|勤労《きんろう》は|夕《ゆう》べに|及《およ》ぶ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのみわざはいかに|多《おお》いことであろう。 あなたはこれらをみな|知恵《ちえ》をもって|造《つく》られた。 |地《ち》はあなたの|造《つく》られたもので|満《み》ちている。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]かしこに|大《おお》いなる|広《ひろ》い|海《うみ》がある。 その|中《なか》に|無数《むすう》のもの、|大小《だいしょう》の|生《い》き|物《もの》が|満《み》ちている。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこに|舟《ふね》が|走《はし》り、 あなたが|造《つく》られたレビヤタンはその|中《なか》に|戯《たわむ》れる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|皆《みな》あなたが|時《とき》にしたがって |食物《しょくもつ》をお|与《あた》えになるのを|期待《きたい》している。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがお|与《あた》えになると、|彼《かれ》らはそれを|集《あつ》める。 あなたが|手《て》を|開《ひら》かれると、|彼《かれ》らは|良《よ》い|物《もの》で|満《み》たされる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがみ|顔《かお》を|隠《かく》されると、|彼《かれ》らはあわてふためく。 あなたが|彼《かれ》らの|息《いき》を|取《と》り|去《さ》られると、 |彼《かれ》らは|死《し》んでちりに|帰《かえ》る。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|霊《れい》を|送《おく》られると、|彼《かれ》らは|造《つく》られる。 あなたは|地《ち》のおもてを|新《あら》たにされる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》がとこしえにあるように。 |主《しゅ》がそのみわざを|喜《よろこ》ばれるように。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|地《ち》を|見《み》られると、|地《ち》は|震《ふる》い、 |山《やま》に|触《ふ》れられると、|煙《けむり》をいだす。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|生《い》きるかぎり、|主《しゅ》にむかって|歌《うた》い、 ながらえる|間《あいだ》はわが|神《かみ》をほめ|歌《うた》おう。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わたしの|思《おも》いが|主《しゅ》に|喜《よろこ》ばれるように。 わたしは|主《しゅ》によって|喜《よろこ》ぶ。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|罪《つみ》びとが|地《ち》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされ、 |悪《あ》しき|者《もの》が、もはや、いなくなるように。 わがたましいよ、|主《しゅ》をほめよ。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇五篇[#「第一〇五篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、そのみ|名《な》を|呼《よ》び、 そのみわざをもろもろの|民《たみ》のなかに|知《し》らせよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にむかって|歌《うた》え、|主《しゅ》をほめうたえ、 そのすべてのくすしきみわざを|語《かた》れ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|聖《せい》なるみ|名《な》を|誇《ほこ》れ。 |主《しゅ》を|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》の|心《こころ》を|喜《よろこ》ばせよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》とそのみ|力《ちから》とを|求《もと》めよ、 つねにそのみ|顔《かお》を|尋《たず》ねよ。 [#太字]五 六[#「五 六」は行右小書き][#太字終わり]そのしもべアブラハムの|子孫《しそん》よ、 その|選《えら》ばれた|者《もの》であるヤコブの|子《こ》らよ、 |主《しゅ》のなされたくすしきみわざと、 その|奇跡《きせき》と、そのみ|口《くち》のさばきとを|心《こころ》にとめよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわれらの|神《かみ》、|主《しゅ》でいらせられる。 そのさばきは|全《ぜん》|地《ち》にある。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はとこしえに、その|契約《けいやく》をみこころにとめられる。 これはよろず|代《よ》に|命《めい》じられたみ|言葉《ことば》であって、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アブラハムと|結《むす》ばれた|契約《けいやく》、 イサクに|誓《ちか》われた|約束《やくそく》である。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれを|堅《かた》く|立《た》てて、ヤコブのために|定《さだ》めとし、 イスラエルのために、とこしえの|契約《けいやく》として [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》われた、「わたしはあなたにカナンの|地《ち》を|与《あた》えて、 あなたがたの|受《う》ける|嗣《し》|業《ぎょう》の|分《わ》け|前《まえ》とする」と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このとき|彼《かれ》らの|数《かず》は|少《すく》なくて、|数《かぞ》えるに|足《た》らず、 その|所《ところ》で|旅《たび》びととなり、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|国《くに》からかの|国《くに》へ|行《い》き、 この|国《くに》から|他《た》の|民《たみ》へ|行《い》った。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人《ひと》の|彼《かれ》らをしえたげるのをゆるさず、 |彼《かれ》らのために|王《おう》たちを|懲《こら》しめて、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》われた、「わが|油《あぶら》そそがれた|者《もの》たちに さわってはならない、 わが|預言者《よげんしゃ》たちに|害《がい》を|加《くわ》えてはならない」と。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はききんを|地《ち》に|招《まね》き、 |人《ひと》のつえとするパンをことごとく|砕《くだ》かれた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|前《まえ》にひとりをつかわされた。 すなわち|売《う》られて|奴隷《どれい》となったヨセフである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|足《あし》は|足《あし》かせをもって|痛《いた》められ、 |彼《かれ》の|首《くび》は|鉄《てつ》の|首輪《くびわ》にはめられ、 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|言葉《ことば》の|成《な》る|時《とき》まで、 |主《しゅ》のみ|言葉《ことば》が|彼《かれ》を|試《こころ》みた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|人《ひと》をつかわして|彼《かれ》を|解《と》き|放《はな》ち、 |民《たみ》のつかさは|彼《かれ》に|自由《じゆう》を|与《あた》えた。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はその|家《いえ》のつかさとして その|所有《しょゆう》をことごとくつかさどらせ、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|心《こころ》のままに|君《きみ》たちを|教《おし》えさせ、 |長老《ちょうろう》たちに|知恵《ちえ》を|授《さづ》けさせた。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》イスラエルはエジプトにきたり、 ヤコブはハムの|地《ち》に|寄留《きりゅう》した。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》を|大《おお》いに|増《ま》し|加《くわ》え、 これをそのあだよりも|強《つよ》くされた。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人々《ひとびと》の|心《こころ》をかえて、その|民《たみ》を|憎《にく》ませ、 そのしもべたちを|悪賢《わるがしこ》く|扱《あつか》わせられた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのしもべモーセと、 そのお|選《えら》びになったアロンとをつかわされた。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはハムの|地《ち》で|主《しゅ》のしるしと、 |奇跡《きせき》とを|彼《かれ》らのうちにおこなった。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|暗《くら》やみをつかわして|地《ち》を|暗《くら》くされた。 しかし|彼《かれ》らはそのみ|言葉《ことば》に|従《したが》わなかった。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|水《みず》を|血《ち》に|変《かわ》らせて、その|魚《うお》を|殺《ころ》された。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|国《くに》には、かえるが|群《むら》がり、 |王《おう》の|寝間《ねま》にまではいった。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|言《い》われると、はえの|群《む》れがきたり、 ぶよが|国《くに》じゅうにあった。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|雨《あめ》にかえて、ひょうを|彼《かれ》らに|与《あた》え、 きらめくいなずまを|彼《かれ》らの|国《くに》に|放《はな》たれた。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らのぶどうの|木《き》と、いちじくの|木《き》とを|撃《う》ち、 |彼《かれ》らの|国《くに》のもろもろの|木《き》を|折《お》り|砕《くだ》かれた。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|言《い》われると、いなごがきたり、 |無数《むすう》の|若《わか》いいなごが|来《き》て、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|国《くに》のすべての|青物《あおもの》を|食《く》いつくし、 その|地《ち》の|実《み》を|食《く》いつくした。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|国《くに》のすべてのういごを|撃《う》ち、 |彼《かれ》らのすべての|力《ちから》の|初《はじ》めを|撃《う》たれた。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そして|金銀《きんぎん》を|携《たずさ》えてイスラエルを|出《で》て|行《い》かせられた。 その|部族《ぶぞく》のうちに、ひとりの|倒《たお》れる|者《もの》もなかった。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]エジプトは|彼《かれ》らの|去《さ》るのを|喜《よろこ》んだ。 |彼《かれ》らに|対《たい》する|恐《おそ》れが|彼《かれ》らに|臨《のぞ》んだからである。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|雲《くも》をひろげておおいとし、 |夜《よる》は|火《ひ》をもって|照《てら》された。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|求《もと》めによって、うずらを|飛《と》びきたらせ、 |天《てん》から、かてを|豊《ゆた》かに|彼《かれ》らに|与《あた》えられた。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|岩《いわ》を|開《ひら》かれると、|水《みず》がほとばしり|出《で》て、 かわいた|地《ち》に|川《かわ》のように|流《なが》れた。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がその|聖《せい》なる|約束《やくそく》と、 そのしもべアブラハムを|覚《おぼ》えられたからである。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》はその|民《たみ》を|導《みちび》いて|喜《よろこ》びつつ|出《で》て|行《い》かせ、 その|選《えら》ばれた|民《たみ》を|導《みちび》いて|歌《うた》いつつ|出《で》て|行《い》かせられた。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|国《くに》びとの|地《ち》を|彼《かれ》らに|与《あた》えられたので、 |彼《かれ》らはもろもろの|民《たみ》の|勤労《きんろう》の|実《み》を|自分《じぶん》のものとした。 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らが|主《しゅ》の|定《さだ》めを|守《まも》り、 そのおきてを|行《おこな》うためである。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇六篇[#「第一〇六篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 |主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]だれが|主《しゅ》の|大能《たいのう》のみわざを|語《かた》り、 その|誉《ほまれ》をことごとく|言《い》いあらわすことができようか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|公正《こうせい》を|守《まも》る|人々《ひとびと》、|常《つね》に|正義《せいぎ》を|行《おこな》う|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたがその|民《たみ》を|恵《めぐ》まれるとき、 わたしを|覚《おぼ》えてください。 あなたが|彼《かれ》らを|救《すく》われるとき、 わたしを|助《たす》けてください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、わたしはあなたの|選《えら》ばれた|者《もの》の|繁栄《はんえい》を|見《み》、 あなたの|国民《くにたみ》の|喜《よろこ》びをよろこび、 あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》と|共《とも》に|誇《ほこ》ることができるでしょう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われらは|先祖《せんぞ》たちと|同《おな》じく|罪《つみ》を|犯《おか》した。 われらは|不義《ふぎ》をなし、|悪《あ》しきことを|行《おこな》った。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われらの|先祖《せんぞ》たちはエジプトにいたとき、 あなたのくすしきみわざに|心《こころ》を|留《と》めず、 あなたのいつくしみの|豊《ゆた》かなのを|思《おも》わず、 |紅海《こうかい》で、いと|高《たか》き|神《かみ》にそむいた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]けれども|主《しゅ》はその|大能《たいのう》を|知《し》らせようと、 み|名《な》のために|彼《かれ》らを|救《すく》われた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|紅海《こうかい》をしかって、それをかわかし、 |彼《かれ》らを|導《みちび》いて|荒野《あらの》を|行《い》くように、|淵《ふち》を|通《とお》らせられた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》は|彼《かれ》らをあだの|手《て》から|救《すく》い、 |敵《てき》の|力《ちから》からあがなわれた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》が|彼《かれ》らのあだをおおったので、 そのうち、ひとりも|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》はなかった。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このとき|彼《かれ》らはそのみ|言葉《ことば》を|信《しん》じ、 その|誉《ほまれ》を|歌《うた》った。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはまもなくそのみわざを|忘《わす》れ、 その|勧《すす》めを|待《ま》たず、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》でわがままな|欲望《よくぼう》を|起《おこ》し、 |荒野《あらの》で|神《かみ》を|試《こころ》みた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らにその|求《もと》めるものを|与《あた》えられたが、 |彼《かれ》らのうちに|病気《びょうき》を|送《おく》って、やせ|衰《おとろ》えさせられた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》が|宿営《しゅくえい》のうちでモーセをねたみ、 |主《しゅ》の|聖者《せいじゃ》アロンをねたんだとき、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》が|開《ひら》けてダタンを|飲《の》み、 アビラムの|仲間《なかま》をおおった。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》はまたこの|仲間《なかま》のうちに|燃《も》え|起《おこ》り、 |炎《ほのお》は|悪《あ》しき|者《もの》を|焼《や》きつくした。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはホレブで|子《こ》|牛《うし》を|造《つく》り、 |鋳物《いもの》の|像《ぞう》を|拝《おが》んだ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》の|栄光《えいこう》を |草《くさ》を|食《く》う|牛《うし》の|像《ぞう》と|取《と》り|替《か》えた。 [#太字]二一 二二[#「二一 二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、エジプトで|大《おお》いなる|事《こと》をなし、 ハムの|地《ち》でくすしきみわざをなし、 |紅海《こうかい》のほとりで|恐《おそ》るべき|事《こと》をなされた |救主《すくいぬし》なる|神《かみ》を|忘《わす》れた。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼそうと|言《い》われた。 しかし|主《しゅ》のお|選《えら》びになったモーセは |破《やぶ》れ|口《くち》で|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|立《た》ち、 み|怒《いか》りを|引《ひ》きかえして、|滅《ほろ》びを|免《まぬか》れさせた。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|麗《うるわ》しい|地《ち》を|侮《あなど》り、|主《しゅ》の|約束《やくそく》を|信《しん》ぜず、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またその|天幕《てんまく》でつぶやき、 |主《しゅ》のみ|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わなかった。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はみ|手《て》をあげて、|彼《かれ》らに|誓《ちか》い、 |彼《かれ》らを|荒野《あらの》で|倒《たお》れさせ、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]またその|子孫《しそん》を、もろもろの|国民《くにたみ》のうちに|追《お》い|散《ち》らし、 もろもろの|地《ち》に|彼《かれ》らをまき|散《ち》らそうとされた。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らはペオルのバアルを|慕《した》って、 |死《し》んだ|者《もの》にささげた、いけにえを|食《た》べた。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのおこないをもって|主《しゅ》を|怒《いか》らせたので、 |彼《かれ》らのうちに|疫病《えきびょう》が|起《おこ》った。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ピネハスが|立《た》って|仲裁《ちゅうさい》にはいったので、 |疫病《えきびょう》はやんだ。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]これによってピネハスはよろず|代《よ》まで、 とこしえに|義《ぎ》とされた。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまたメリバの|水《みず》のほとりで|主《しゅ》を|怒《いか》らせたので、 モーセは|彼《かれ》らのために|災《わざわい》にあった。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らが|神《かみ》の|霊《れい》にそむいたとき、 |彼《かれ》がそのくちびるで|軽率《けいそつ》なことを|言《い》ったからである。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》が|命《めい》じられたもろもろの|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼさず、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]かえってもろもろの|国民《くにたみ》とまじって そのわざにならい、 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》たちのわなとなった|偶像《ぐうぞう》に|仕《つか》えた。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのむすこ、|娘《むすめ》たちを|悪霊《あくれい》にささげ、 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|罪《つみ》のない|血《ち》、すなわちカナンの|偶像《ぐうぞう》にささげた そのむすこ、|娘《むすめ》たちの|血《ち》を|流《なが》した。 こうして|国《くに》は|血《ち》で|汚《けが》された。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]このように|彼《かれ》らはそのわざによっておのれを|汚《けが》し、 そのおこないによって|姦淫《かんいん》をなした。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》の|怒《いか》りがその|民《たみ》にむかって|燃《も》え、 その|嗣《し》|業《ぎょう》を|憎《にく》んで、 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをもろもろの|国民《くにたみ》の|手《て》にわたされた。 |彼《かれ》らはおのれを|憎《にく》む|者《もの》に|治《おさ》められ、 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]その|敵《てき》にしえたげられ、 その|力《ちから》の|下《した》に|征服《せいふく》された。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はしばしば|彼《かれ》らを|助《たす》けられたが、 |彼《かれ》らははかりごとを|設《もう》けてそむき、 その|不義《ふぎ》によって|低《ひく》くされた。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]それにもかかわらず、|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|叫《さけ》びを|聞《き》かれたとき、 その|悩《なや》みをかえりみ、 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]その|契約《けいやく》を|彼《かれ》らのために|思《おも》い|出《だ》し、 そのいつくしみの|豊《ゆた》かなるにより、 みこころを|変《か》えられ、 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをとりこにした|者《もの》どもによって、 あわれまれるようにされた。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、われらを|救《すく》って、 もろもろの|国民《くにたみ》のなかから|集《あつ》めてください。 われらはあなたの|聖《せい》なるみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》し、 あなたの|誉《ほまれ》を|誇《ほこ》るでしょう。 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は とこしえからとこしえまでほむべきかな。 すべての|民《たみ》は「アァメン」ととなえよ。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇七篇[#「第一〇七篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない」と、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にあがなわれた|者《もの》は|言《い》え。 |主《しゅ》は|彼《かれ》らを|悩《なや》みからあがない、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》から、 |東《ひがし》、|西《にし》、|北《きた》、|南《みなみ》から|彼《かれ》らを|集《あつ》められた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|人《ひと》なき|荒野《あらの》にさまよい、 |住《す》むべき|町《まち》にいたる|道《みち》を|見《み》いださなかった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|飢《う》え、またかわき、 その|魂《たましい》は|彼《かれ》らのうちに|衰《おとろ》えた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|悩《なや》みのうちに|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったので、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らをその|悩《なや》みから|助《たす》け|出《だ》し、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|住《す》むべき|町《まち》に|行《い》き|着《つ》くまで、まっすぐな|道《みち》に|導《みちび》かれた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》らが|主《しゅ》のいつくしみと、 |人《ひと》の|子《こ》らになされたくすしきみわざとのために、 |主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》するように。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はかわいた|魂《たましい》を|満《み》ち|足《た》らせ、 |飢《う》えた|魂《たましい》を|良《よ》き|物《もの》で|満《み》たされるからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|暗黒《あんこく》と|深《ふか》いやみの|中《なか》にいる|者《もの》、 |苦《くる》しみと、くろがねに|縛《しば》られた|者《もの》、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|神《かみ》の|言葉《ことば》にそむき、 いと|高《たか》き|者《もの》の|勧《すす》めを|軽《かろ》んじたので、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|重《おも》い|労働《ろうどう》をもって|彼《かれ》らの|心《こころ》を|低《ひく》くされた。 |彼《かれ》らはつまずき|倒《たお》れても、|助《たす》ける|者《もの》がなかった。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|悩《なや》みのうちに|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったので、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らをその|悩《なや》みから|救《すく》い、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|暗黒《あんこく》と|深《ふか》いやみから|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》して、 そのかせをこわされた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》らが|主《しゅ》のいつくしみと、 |人《ひと》の|子《こ》らになされたくすしきみわざとのために、 |主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》するように。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|青銅《せいどう》のとびらをこわし、 |鉄《てつ》の|貫《かん》の|木《き》を|断《た》ち|切《き》られたからである。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ある|者《もの》はその|罪《つみ》に|汚《けが》れた|行《おこな》いによって|病《や》み、 その|不義《ふぎ》のゆえに|悩《なや》んだ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはすべての|食物《しょくもつ》をきらって、 |死《し》の|門《もん》に|近《ちか》づいた。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|悩《なや》みのうちに|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったので、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らをその|悩《なや》みから|救《すく》い、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そのみ|言葉《ことば》をつかわして、|彼《かれ》らをいやし、 |彼《かれ》らを|滅《ほろ》びから|助《たす》け|出《だ》された。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》らが|主《しゅ》のいつくしみと、 |人《ひと》の|子《こ》らになされたくすしきみわざとのために、 |主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》するように。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|感謝《かんしゃ》のいけにえをささげ、 |喜《よろこ》びの|歌《うた》をもって、そのみわざを|言《い》いあらわすように。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|舟《ふね》で|海《うみ》にくだり、|大海《たいかい》で|商売《しょうばい》をする|者《もの》は、 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみわざを|見《み》、 また|深《ふか》い|所《ところ》でそのくすしきみわざを|見《み》た。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|命《めい》じられると|暴風《ぼうふう》が|起《た》って、|海《うみ》の|波《なみ》をあげた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|天《てん》にのぼり、|淵《ふち》にくだり、 |悩《なや》みによってその|勇気《ゆうき》は|溶《と》け|去《さ》り、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|酔《よ》った|人《ひと》のようによろめき、 よろめいて|途方《とほう》にくれる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|悩《なや》みのうちに|主《しゅ》に|呼《よ》ばわったので、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らをその|悩《なや》みから|救《すく》い|出《だ》された。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があらしを|静《しず》められると、 |海《うみ》の|波《なみ》は|穏《おだ》やかになった。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは|波《なみ》の|静《しず》まったのを|喜《よろこ》び、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らをその|望《のぞ》む|港《みなと》へ|導《みちび》かれた。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》らが|主《しゅ》のいつくしみと、 |人《ひと》の|子《こ》らになされたくすしきみわざとのために、 |主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》するように。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|民《たみ》の|集会《しゅうかい》で|主《しゅ》をあがめ、 |長老《ちょうろう》の|会合《かいごう》で|主《しゅ》をほめたたえるように。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|川《かわ》を|野《の》に|変《かわ》らせ、 |泉《いずみ》をかわいた|地《ち》に|変《かわ》らせ、 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|肥《こ》えた|地《ち》をそれに|住《す》む|者《もの》の|悪《あく》のゆえに |塩《しお》|地《ち》に|変《かわ》らせられる。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|野《の》を|池《いけ》に|変《かわ》らせ、かわいた|地《ち》を|泉《いずみ》に|変《かわ》らせ、 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|飢《う》えた|者《もの》をそこに|住《す》まわせられる。 こうして|彼《かれ》らはその|住《す》むべき|町《まち》を|建《た》て、 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|畑《はたけ》に|種《たね》をまき、ぶどう|畑《はたけ》を|設《もう》けて |多《おお》くの|収穫《しゅうかく》を|得《え》た。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》されたので|彼《かれ》らは|大《おお》いにふえ、 その|家畜《かちく》の|減《へ》るのをゆるされなかった。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがしえたげと、|悩《なや》みと、|悲《かな》しみとによって |減《へ》り、かつ|卑《いや》しめられたとき、 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|君《きみ》に|侮《あなど》りをそそぎ、 |道《みち》なき|荒《あ》れ|地《ち》にさまよわせられた。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》は|貧《まず》しい|者《もの》を|悩《なや》みのうちからあげて、 その|家族《かぞく》を|羊《ひつじ》の|群《む》れのようにされた。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》はこれを|見《み》て|喜《よろこ》び、 もろもろの|不義《ふぎ》はその|口《くち》を|閉《と》じた。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|賢《かしこ》い|者《もの》はこれらの|事《こと》に|心《こころ》をよせ、 |主《しゅ》のいつくしみをさとるようにせよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇八篇[#「第一〇八篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》、さんび[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わが|心《こころ》は|定《さだ》まりました。 わが|心《こころ》は|定《さだ》まりました。 わたしは|歌《うた》い、かつほめたたえます。 わが|魂《たましい》よ、さめよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|立琴《たてごと》よ、|琴《こと》よ、さめよ。 わたしはしののめを|呼《よ》びさまします。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはもろもろの|民《たみ》の|中《なか》であなたに|感謝《かんしゃ》し、 もろもろの|国《くに》の|中《なか》であなたをほめたたえます。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみは|大《おお》きく、|天《てん》にまでおよび あなたのまことは|雲《くも》にまで|及《およ》ぶ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、みずからを|天《てん》よりも|高《たか》くし、 みさかえを|全《ぜん》|地《ち》の|上《うえ》にあげてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|愛《あい》される|者《もの》が|助《たす》けを|得《え》るために、 |右《みぎ》のみ|手《て》をもって|救《すくい》をほどこし、 わたしに|答《こた》えてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はその|聖所《せいじょ》で|言《い》われた、 「わたしは|大《おお》いなる|喜《よろこ》びをもってシケムを|分《わ》かち、 スコテの|谷《たに》を|分《わ》かち|与《あた》えよう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデはわたしのもの、 マナセもわたしのものである。 エフライムはわたしのかぶと、 ユダはわたしのつえである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モアブはわたしの|足《あし》だらい、 エドムにはわたしのくつを|投《な》げる。 ペリシテについては、かちどきをあげる」。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]だれがわたしを|堅固《けんご》な|町《まち》に|至《いた》らせるであろうか。 だれがわたしをエドムに|導《みちび》くであろうか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたはわれらを|捨《す》てられたではありませんか。 |神《かみ》よ、あなたはわれらの|軍勢《ぐんぜい》と|共《とも》に|出《で》て|行《い》かれません。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]われらに|助《たす》けを|与《あた》えて、あだにむかわせてください。 |人《ひと》の|助《たす》けはむなしいからです。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われらは|神《かみ》によって|勇《いさ》ましく|働《はたら》きます。 われらのあだを|踏《ふ》みにじる|者《もの》は|神《かみ》だからです。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇九篇[#「第一〇九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしのほめたたえる|神《かみ》よ、もださないでください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|悪《あ》しき|口《くち》と|欺《あざむ》きの|口《くち》をあけて、わたしにむかい、 |偽《いつわ》りの|舌《した》をもってわたしに|語《かた》り、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|恨《うら》みの|言葉《ことば》をもってわたしを|囲《かこ》み、 ゆえなくわたしを|攻《せ》めるのです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわが|愛《あい》にむくいて、わたしを|非難《ひなん》します。 しかしわたしは|彼《かれ》らのために|祈《いの》ります。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|悪《あく》をもってわが|善《ぜん》に|報《むく》い、 |恨《うら》みをもってわが|愛《あい》に|報《むく》いるのです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|上《うえ》に|悪《あ》しき|人《ひと》を|立《た》て、 |訴《うった》える|者《もの》に|彼《かれ》を|訴《うった》えさせてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がさばかれるとき、|彼《かれ》を|罪《つみ》ある|者《もの》とし、 その|祈《いのり》を|罪《つみ》に|変《か》えてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》を|少《すく》なくし、 その|財産《ざいさん》をほかの|人《ひと》にとらせ、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らをみなしごにし、 その|妻《つま》をやもめにしてください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らを|放浪者《ほうろうしゃ》として|施《ほどこ》しをこわせ、 その|荒《あ》れたすまいから|追《お》い|出《だ》させてください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|持《も》っているすべての|物《もの》を|債《さい》|主《しゅ》に|奪《うば》わせ、 その|勤労《きんろう》の|実《み》をほかの|人《ひと》にかすめさせてください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》にいつくしみを|施《ほどこ》す|者《もの》はひとりもなく、 またそのみなしごをあわれむ|者《もの》もなく、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|子孫《しそん》を|絶《た》えさせ、 その|名《な》を|次《つぎ》の|代《よ》に|消《け》し|去《さ》ってください。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|父《ちち》たちの|不義《ふぎ》は|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|覚《おぼ》えられ、 その|母《はは》の|罪《つみ》を|消《け》し|去《さ》らないでください。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それらを|常《つね》に|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|置《お》き、 |彼《かれ》の|記憶《きおく》を|地《ち》から|断《た》ってください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》がいつくしみを|施《ほどこ》すことを|思《おも》わず、 かえって|貧《まず》しい|者《もの》、|乏《とぼ》しい|者《もの》を|責《せ》め、 |心《こころ》の|痛《いた》める|者《もの》を|殺《ころ》そうとしたからです。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はのろうことを|好《この》んだ。 のろいを|彼《かれ》に|臨《のぞ》ませてください。 |彼《かれ》は|恵《めぐ》むことを|喜《よろこ》ばなかった。 |恵《めぐ》みを|彼《かれ》から|遠《とお》ざけてください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はのろいを|衣《ころも》のように|着《き》た。 のろいを|水《みず》のようにその|身《み》にしみこませ、 |油《あぶら》のようにその|骨《ほね》にしみこませてください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またそれを|自分《じぶん》の|着《き》る|着物《きもの》のようにならせ、 |常《つね》に|締《し》める|帯《おび》のようにならせてください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これがわたしを|非難《ひなん》する|者《もの》と、 わたしに|逆《さか》らって|悪《わる》いことを|言《い》う|者《もの》の |主《しゅ》からうける|報《むく》いとしてください。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わが|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、 あなたはみ|名《な》のために、わたしを|顧《かえり》みてください。 あなたのいつくしみの|深《ふか》きにより、 わたしをお|助《たす》けください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|貧《まず》しく、かつ|乏《とぼ》しいのです。 わたしの|心《こころ》はわがうちに|傷《きず》ついています。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|夕日《ゆうひ》の|影《かげ》のように|去《さ》りゆき、 いなごのように|追《お》い|払《はら》われます。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしのひざは|断食《だんじき》によってよろめき、 わたしの|肉《にく》はやせ|衰《おとろ》え、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らにそしられる|者《もの》となりました。 |彼《かれ》らはわたしを|見《み》ると、|頭《あたま》を|振《ふ》ります。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、わたしをお|助《たす》けください。 あなたのいつくしみにしたがって、 わたしをお|救《すく》いください。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、これがあなたのみ|手《て》のわざであること、 あなたがそれをなされたことを、 |彼《かれ》らに|知《し》らせてください。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはのろうけれども、あなたは|祝福《しゅくふく》されます。 わたしを|攻《せ》める|者《もの》をはずかしめ、 あなたのしもべを|喜《よろこ》ばせてください。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|非難《ひなん》する|者《もの》にはずかしめを|着《き》せ、 おのが|恥《はじ》を|上着《うわぎ》のようにまとわせてください。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|口《くち》をもって|大《おお》いに|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》し、 |多《おお》くの|人《ひと》のなかで|主《しゅ》をほめたたえます。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|貧《まず》しい|者《もの》の|右《みぎ》に|立《た》って、 |死罪《しざい》にさだめようとする|者《もの》から |彼《かれ》を|救《すく》われるからです。 [#ここで字下げ終わり] 第一一〇篇[#「第一一〇篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわが|主《しゅ》に|言《い》われる、 「わたしがあなたのもろもろの|敵《てき》を あなたの|足《あし》|台《だい》とするまで、わたしの|右《みぎ》に|座《ざ》せよ」と。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたの|力《ちから》あるつえをシオンから|出《だ》される。 あなたはもろもろの|敵《てき》のなかで|治《おさ》めよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》は、あなたがその|軍勢《ぐんぜい》を |聖《せい》なる|山々《やまやま》に|導《みちび》く|日《ひ》に |心《こころ》から|喜《よろこ》んでおのれをささげるであろう。 あなたの|若者《わかもの》は|朝《あさ》の|胎《たい》から|出《で》る|露《つゆ》のように あなたに|来《く》るであろう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|誓《ちか》いを|立《た》てて、み|心《こころ》を|変《か》えられることはない、 「あなたはメルキゼデクの|位《くらい》にしたがって とこしえに|祭司《さいし》である」。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたの|右《みぎ》におられて、 その|怒《いか》りの|日《ひ》に|王《おう》たちを|打《う》ち|破《やぶ》られる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|国《くに》のなかでさばきを|行《おこな》い、 しかばねをもって|満《み》たし、 |広《ひろ》い|地《ち》を|治《おさ》める|首領《しゅりょう》たちを|打《う》ち|破《やぶ》られる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|道《みち》のほとりの|川《かわ》からくんで|飲《の》み、 それによって、そのこうべをあげるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第一一一篇[#「第一一一篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 わたしは|正《ただ》しい|者《もの》のつどい、および|公会《こうかい》で、 |心《こころ》をつくして|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》する。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみわざは|偉大《いだい》である。 すべてそのみわざを|喜《よろこ》ぶ|者《もの》によって|尋《たず》ね|窮《きわ》められる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのみわざは|栄光《えいこう》と|威厳《いげん》とに|満《み》ち、 その|義《ぎ》はとこしえに、うせることがない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのくすしきみわざを|記念《きねん》させられた。 |主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、あわれみに|満《み》ちていられる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのれを|恐《おそ》れる|者《もの》に|食物《しょくもつ》を|与《あた》え、 その|契約《けいやく》をとこしえに|心《こころ》にとめられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|国民《くにたみ》の|所領《しょりょう》をその|民《たみ》に|与《あた》えて、 みわざの|力《ちから》をこれにあらわされた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのみ|手《て》のわざは|真実《しんじつ》かつ|公正《こうせい》であり、 すべてのさとしは|確《たし》かである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これらは|世々《よよ》かぎりなく|堅《かた》く|立《た》ち、 |真実《しんじつ》と|正直《しょうじき》とをもってなされた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》にあがないを|施《ほどこ》し、 その|契約《けいやく》をとこしえに|立《た》てられた。 そのみ|名《な》は|聖《せい》にして、おそれおおい。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|知恵《ちえ》のはじめである。 これを|行《おこな》う|者《もの》はみな|良《よ》き|悟《さと》りを|得《え》る。 |主《しゅ》の|誉《ほまれ》は、とこしえに、うせることはない。 [#ここで字下げ終わり] 第一一二篇[#「第一一二篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 |主《しゅ》をおそれて、そのもろもろの|戒《いまし》めを |大《おお》いに|喜《よろこ》ぶ|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|子孫《しそん》は|地《ち》において|強《つよ》くなり、 |正《ただ》しい|者《もの》のやからは|祝福《しゅくふく》を|得《え》る。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|繁栄《はんえい》と|富《とみ》とはその|家《いえ》にあり、 その|義《ぎ》はとこしえに、うせることはない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》は|正《ただ》しい|者《もの》のために|暗黒《あんこく》の|中《なか》にもあらわれる。 |主《しゅ》は|恵《めぐ》み|深《ふか》く、あわれみに|満《み》ち、|正《ただ》しくいらせられる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》し、|貸《か》すことをなし、 その|事《こと》を|正《ただ》しく|行《おこな》う|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|決《けっ》して|動《うご》かされることなく、 とこしえに|覚《おぼ》えられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|悪《わる》いおとずれを|恐《おそ》れず、 その|心《こころ》は|主《しゅ》に|信頼《しんらい》してゆるがない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|心《こころ》は|落《お》ち|着《つ》いて|恐《おそ》れることなく、 ついにそのあだについての|願《ねが》いを|見《み》る。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|惜《お》しげなく|施《ほどこ》し、|貧《まず》しい|者《もの》に|与《あた》えた。 その|義《ぎ》はとこしえに、うせることはない。 その|角《つの》は|誉《ほまれ》を|得《え》てあげられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はこれを|見《み》て|怒《いか》り、 |歯《は》をかみならして|溶《と》け|去《さ》る。 |悪《あ》しき|者《もの》の|願《ねが》いは|滅《ほろ》びる。 [#ここで字下げ終わり] 第一一三篇[#「第一一三篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 |主《しゅ》のしもべたちよ、ほめたたえよ。 |主《しゅ》のみ|名《な》をほめたたえよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》より、とこしえに|至《いた》るまで|主《しゅ》のみ|名《な》はほむべきかな。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》のいずるところから|日《ひ》の|入《い》るところまで、 |主《しゅ》のみ|名《な》はほめたたえられる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|国民《くにたみ》の|上《うえ》に|高《たか》くいらせられ、 その|栄光《えいこう》は|天《てん》よりも|高《たか》い。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》、|主《しゅ》にくらぶべき|者《もの》はだれか。 |主《しゅ》は|高《たか》き|所《ところ》に|座《ざ》し、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|遠《とお》く|天《てん》と|地《ち》とを|見《み》おろされる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|貧《まず》しい|者《もの》をちりからあげ、 |乏《とぼ》しい|者《もの》をあくたからあげて、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|君《きみ》たちと|共《とも》にすわらせ、 その|民《たみ》の|君《きみ》たちと|共《とも》にすわらせられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|子《こ》を|産《う》まぬ|女《おんな》に|家庭《かてい》を|与《あた》え、 |多《おお》くの|子供《こども》たちの|喜《よろこ》ばしい|母《はは》とされる。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一一四篇[#「第一一四篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルがエジプトをいで、 ヤコブの|家《いえ》が|異《い》|言《げん》の|民《たみ》を|離《はな》れたとき、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|主《しゅ》の|聖所《せいじょ》となり、 イスラエルは|主《しゅ》の|所領《しょりょう》となった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》はこれを|見《み》て|逃《に》げ、 ヨルダンはうしろに|退《しりぞ》き、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》は|雄羊《おひつじ》のように|踊《おど》り、 |小山《こやま》は|小羊《こひつじ》のように|踊《おど》った。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》よ、おまえはどうして|逃《に》げるのか、 ヨルダンよ、おまえはどうしてうしろに|退《しりぞ》くのか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》よ、おまえたちはどうして|雄羊《おひつじ》のように|踊《おど》るのか、 |小山《こやま》よ、おまえたちはどうして|小羊《こひつじ》のように|踊《おど》るのか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》よ、|主《しゅ》のみ|前《まえ》におののけ、 ヤコブの|神《かみ》のみ|前《まえ》におののけ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|岩《いわ》を|池《いけ》に|変《かわ》らせ、 |石《いし》を|泉《いずみ》に|変《かわ》らせられた。 [#ここで字下げ終わり] 第一一五篇[#「第一一五篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|栄光《えいこう》を われらにではなく、われらにではなく、 あなたのいつくしみと、まこととのゆえに、 ただ、み|名《な》にのみ|帰《き》してください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえ、もろもろの|国民《くにたみ》は|言《い》うのでしょう、 「|彼《かれ》らの|神《かみ》はどこにいるのか」と。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》は|天《てん》にいらせられる。 |神《かみ》はみこころにかなうすべての|事《こと》を|行《おこな》われる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|偶像《ぐうぞう》はしろがねと、こがねで、 |人《ひと》の|手《て》のわざである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それは|口《くち》があっても|語《かた》ることができない。 |目《め》があっても|見《み》ることができない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》があっても|聞《き》くことができない。 |鼻《はな》があってもかぐことができない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|手《て》があっても|取《と》ることができない。 |足《あし》があっても|歩《ある》くことができない。 また、のどから|声《こえ》を|出《だ》すこともできない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これを|造《つく》る|者《もの》と、これに|信頼《しんらい》する|者《もの》とはみな、 これと|等《ひと》しい|者《もの》になる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、|主《しゅ》に|信頼《しんらい》せよ。 |主《しゅ》は|彼《かれ》らの|助《たす》け、また|彼《かれ》らの|盾《たて》である。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|家《いえ》よ、|主《しゅ》に|信頼《しんらい》せよ。 |主《しゅ》は|彼《かれ》らの|助《たす》け、また|彼《かれ》らの|盾《たて》である。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》よ、|主《しゅ》に|信頼《しんらい》せよ。 |主《しゅ》は|彼《かれ》らの|助《たす》け、また|彼《かれ》らの|盾《たて》である。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれらをみこころにとめられた。 |主《しゅ》はわれらを|恵《めぐ》み、イスラエルの|家《いえ》を|恵《めぐ》み、 アロンの|家《いえ》を|恵《めぐ》み、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また、|小《ちい》さい|者《もの》も、|大《おお》いなる|者《もの》も、 |主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》を|恵《めぐ》まれる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|主《しゅ》があなたがたを|増《ま》し|加《くわ》え、 あなたがたと、あなたがたの|子孫《しそん》とを |増《ま》し|加《くわ》えられるように。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|天地《てんち》を|造《つく》られた|主《しゅ》によって あなたがたが|恵《めぐ》まれるように。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》は|主《しゅ》の|天《てん》である。 しかし|地《ち》は|人《ひと》の|子《こ》らに|与《あた》えられた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》んだ|者《もの》も、|音《おと》なき|所《ところ》に|下《くだ》る|者《もの》も、 |主《しゅ》をほめたたえることはない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、われらは|今《いま》より、とこしえに|至《いた》るまで、 |主《しゅ》をほめまつるであろう。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一一六篇[#「第一一六篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》を|愛《あい》する。 |主《しゅ》はわが|声《こえ》と、わが|願《ねが》いとを|聞《き》かれたからである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けられたので、 わたしは|生《い》きるかぎり|主《しゅ》を|呼《よ》びまつるであろう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》の|綱《つな》がわたしを|取《と》り|巻《ま》き、 |陰府《よみ》の|苦《くる》しみがわたしを|捕《とら》えた。 わたしは|悩《なや》みと|悲《かな》しみにあった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|主《しゅ》のみ|名《な》を|呼《よ》んだ。 「|主《しゅ》よ、どうぞわたしをお|救《すく》いください」と。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、|正《ただ》しくいらせられ、 われらの|神《かみ》はあわれみに|富《と》まれる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|無学《むがく》な|者《もの》を|守《まも》られる。 わたしが|低《ひく》くされたとき、|主《しゅ》はわたしを|救《すく》われた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》よ、おまえの|平安《へいあん》に|帰《かえ》るがよい。 |主《しゅ》は|豊《ゆた》かにおまえをあしらわれたからである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|魂《たましい》を|死《し》から、わたしの|目《め》を|涙《なみだ》から、 わたしの|足《あし》をつまずきから|助《たす》け|出《だ》されました。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》で、|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|歩《あゆ》みます。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|大《おお》いに|悩《なや》んだ」と|言《い》った|時《とき》にもなお|信《しん》じた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|驚《おどろ》きあわてたときに|言《い》った、 「すべての|人《ひと》は|当《あて》にならぬ|者《もの》である」と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|賜《たま》わったもろもろの|恵《めぐ》みについて、 どうして|主《しゅ》に|報《むく》いることができようか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|救《すくい》の|杯《さかずき》をあげて、 |主《しゅ》のみ|名《な》を|呼《よ》ぶ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすべての|民《たみ》の|前《まえ》で、 |主《しゅ》にわが|誓《ちか》いをつぐなおう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|聖徒《せいと》の|死《し》はそのみ|前《まえ》において|尊《たっと》い。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたのしもべです。 わたしはあなたのしもべ、あなたのはしための|子《こ》です。 あなたはわたしのなわめを|解《と》かれました。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|感謝《かんしゃ》のいけにえをあなたにささげて、 |主《しゅ》のみ|名《な》を|呼《よ》びます。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすべての|民《たみ》の|前《まえ》で |主《しゅ》にわが|誓《ちか》いをつぐないます。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、あなたの|中《なか》で、 |主《しゅ》の|家《いえ》の|大庭《おおにわ》の|中《なか》で、これをつぐないます。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一一七篇[#「第一一七篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》よ、|主《しゅ》をほめたたえよ。 もろもろの|民《たみ》よ、|主《しゅ》をたたえまつれ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]われらに|賜《たま》わるそのいつくしみは|大《おお》きいからである。 |主《しゅ》のまことはとこしえに|絶《た》えることがない。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一一八篇[#「第一一八篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|言《い》え、 「そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない」と。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アロンの|家《いえ》は|言《い》え、 「そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をおそれる|者《もの》は|言《い》え、 「そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない」と。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|悩《なや》みのなかから|主《しゅ》を|呼《よ》ぶと、 |主《しゅ》は|答《こた》えて、わたしを|広《ひろ》い|所《ところ》に|置《お》かれた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がわたしに|味方《みかた》されるので、 |恐《おそ》れることはない。 |人《ひと》はわたしに|何《なに》をなし|得《え》ようか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|味方《みかた》し、わたしを|助《たす》けられるので、 わたしを|憎《にく》む|者《もの》についての|願《ねが》いを|見《み》るであろう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》むは|人《ひと》にたよるよりも|良《よ》い。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》むはもろもろの|君《きみ》にたよるよりも|良《よ》い。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》はわたしを|囲《かこ》んだ。 わたしは|主《しゅ》のみ|名《な》によって|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしを|囲《かこ》んだ、わたしを|囲《かこ》んだ。 わたしは|主《しゅ》のみ|名《な》によって|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|蜂《はち》のようにわたしを|囲《かこ》み、 いばらの|火《ひ》のように|燃《も》えたった。 わたしは|主《しゅ》のみ|名《な》によって|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはひどく|押《お》されて|倒《たお》れようとしたが、 |主《しゅ》はわたしを|助《たす》けられた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわが|力《ちから》、わが|歌《うた》であって、 わが|救《すくい》となられた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》け、|勝利《しょうり》の|喜《よろこ》ばしい|歌《うた》が|正《ただ》しい|者《もの》の|天幕《てんまく》にある。 「|主《しゅ》の|右《みぎ》の|手《て》は|勇《いさ》ましいはたらきをなし、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|右《みぎ》の|手《て》は|高《たか》くあがり、 |主《しゅ》の|右《みぎ》の|手《て》は|勇《いさ》ましいはたらきをなす」。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|死《し》ぬことなく、|生《い》きながらえて、 |主《しゅ》のみわざを|物語《ものがた》るであろう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はいたくわたしを|懲《こ》らされたが、 |死《し》にはわたされなかった。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしのために|義《ぎ》の|門《もん》を|開《ひら》け、 わたしはその|内《うち》にはいって、|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》しよう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》の|門《もん》である。 |正《ただ》しい|者《もの》はその|内《うち》にはいるであろう。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|感謝《かんしゃ》します。 あなたがわたしに|答《こた》えて、わが|救《すくい》となられたことを。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|家《いえ》|造《つく》りらの|捨《す》てた|石《いし》は |隅《すみ》のかしら|石《いし》となった。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》のなされた|事《こと》で われらの|目《め》には|驚《おどろ》くべき|事《こと》である。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》が|設《もう》けられた|日《ひ》であって、 われらはこの|日《ひ》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しむであろう。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、どうぞわれらをお|救《すく》いください。 |主《しゅ》よ、どうぞわれらを|栄《さか》えさせてください。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|名《な》によってはいる|者《もの》はさいわいである。 われらは|主《しゅ》の|家《いえ》からあなたをたたえます。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|神《かみ》であって、われらを|照《てら》された。 |枝《えだ》を|携《たずさ》えて|祭《まつり》の|行列《ぎょうれつ》を|祭壇《さいだん》の|角《つの》にまで|進《すす》ませよ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|神《かみ》、わたしはあなたに|感謝《かんしゃ》します。 あなたはわが|神《かみ》、わたしはあなたをあがめます。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみはとこしえに |絶《た》えることがない。 [#ここで字下げ終わり] 第一一九篇[#「第一一九篇」は中見出し] [#斜体]アレフ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]おのが|道《みち》を|全《まった》くして、 |主《しゅ》のおきてに|歩《あゆ》む|者《もの》はさいわいです。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のもろもろのあかしを|守《まも》り |心《こころ》をつくして|主《しゅ》を|尋《たず》ね|求《もと》め、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|悪《あく》を|行《おこな》わず、|主《しゅ》の|道《みち》に|歩《あゆ》む|者《もの》はさいわいです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはさとしを|命《めい》じて、ねんごろに|守《まも》らせられます。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]どうかわたしの|道《みち》を|堅《かた》くして、 あなたの|定《さだ》めを|守《まも》らせてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたのもろもろの|戒《いまし》めに|目《め》をとめる|時《とき》、 |恥《は》じることはありません。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたの|正《ただ》しいおきてを|学《まな》ぶとき、 |正《ただ》しい|心《こころ》をもってあなたに|感謝《かんしゃ》します。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|定《さだ》めを|守《まも》ります。 わたしを|全《まった》くお|捨《す》てにならないでください。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ベス[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|人《ひと》はどうしておのが|道《みち》を |清《きよ》く|保《たも》つことができるでしょうか。 み|言葉《ことば》にしたがって、 それを|守《まも》るよりほかにありません。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》をつくしてあなたを|尋《たず》ね|求《もと》めます。 わたしをあなたの|戒《いまし》めから |迷《まよ》い|出《だ》させないでください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたにむかって |罪《つみ》を|犯《おか》すことのないように、 |心《こころ》のうちにみ|言葉《ことば》をたくわえました。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはほむべきかな、|主《しゅ》よ、 あなたの|定《さだ》めをわたしに|教《おし》えてください。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはくちびるをもって、 あなたの|口《くち》から|出《で》る もろもろのおきてを|言《い》いあらわします。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、もろもろのたからを|喜《よろこ》ぶように、 あなたのあかしの|道《みち》を|喜《よろこ》びます。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたのさとしを|思《おも》い、 あなたの|道《みち》に|目《め》をとめます。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|定《さだ》めを|喜《よろこ》び、 あなたのみ|言葉《ことば》を|忘《わす》れません。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ギメル[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべを|豊《ゆた》かにあしらって、 |生《い》きながらえさせ、 み|言葉《ことば》を|守《まも》らせてください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》を|開《ひら》いて、あなたのおきてのうちの くすしき|事《こと》を|見《み》させてください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|地《ち》にあっては|寄留者《きりゅうしゃ》です。 あなたの|戒《いまし》めをわたしに|隠《かく》さないでください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》はつねにあなたのおきてを|慕《した》って、 |絶《た》えいるばかりです。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あなたの|戒《いまし》めから|迷《まよ》い|出《で》る |高《たか》ぶる|者《もの》、のろわれた|者《もの》を|責《せ》められます。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのあかしを|守《まも》りました。 |彼《かれ》らのそしりと|侮《あなど》りとを わたしから|取《と》り|去《さ》ってください。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]たといもろもろの|君《きみ》が|座《ざ》して、 わたしをそこなおうと|図《はか》っても、 あなたのしもべは、あなたの|定《さだ》めを|深《ふか》く|思《おも》います。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあかしは、わたしを|喜《よろこ》ばせ、 わたしを|教《おし》えさとすものです。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ダレス[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》はちりについています。 み|言葉《ことば》に|従《したが》って、わたしを|生《い》き|返《かえ》らせてください。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|自分《じぶん》の|歩《あゆ》んだ|道《みち》を|語《かた》ったとき、 あなたはわたしに|答《こた》えられました。 あなたの|定《さだ》めをわたしに|教《おし》えてください。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのさとしの|道《みち》を わたしにわきまえさせてください。 わたしはあなたのくすしきみわざを|深《ふか》く|思《おも》います。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|悲《かな》しみによって|溶《と》け|去《さ》ります。 み|言葉《ことば》に|従《したが》って、わたしを|強《つよ》くしてください。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りの|道《みち》をわたしから|遠《とお》ざけ、 あなたのおきてをねんごろに|教《おし》えてください。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|真実《しんじつ》の|道《みち》を|選《えら》び、 あなたのおきてをわたしの|前《まえ》に|置《お》きました。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたのあかしに|堅《かた》く|従《したが》っています。 |願《ねが》わくは、わたしをはずかしめないでください。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしの|心《こころ》を|広《ひろ》くされるとき、 わたしはあなたの|戒《いまし》めの|道《みち》を|走《はし》ります。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ヘ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|定《さだ》めの|道《みち》をわたしに|教《おし》えてください。 わたしは|終《おわ》りまでこれを|守《まも》ります。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|知恵《ちえ》を|与《あた》えてください。 わたしはあなたのおきてを|守《まも》り、 |心《こころ》をつくしてこれに|従《したが》います。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしをあなたの|戒《いまし》めの|道《みち》に|導《みちび》いてください。 わたしはそれを|喜《よろこ》ぶからです。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》をあなたのあかしに|傾《かたむ》けさせ、 |不正《ふせい》な|利得《りとく》に|傾《かたむ》けさせないでください。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》をほかにむけて、むなしいものを|見《み》させず、 あなたの|道《みち》をもって、わたしを|生《い》かしてください。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|恐《おそ》れる|者《もの》にかかわる|約束《やくそく》を あなたのしもべに|堅《かた》くしてください。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|恐《おそ》れるそしりを|除《のぞ》いてください。 あなたのおきては|正《ただ》しいからです。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたのさとしを|慕《した》います。 あなたの|義《ぎ》をもって、 わたしを|生《い》かしてください。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ワウ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|約束《やくそく》にしたがって、 あなたのいつくしみと、 あなたの|救《すくい》をわたしに|臨《のぞ》ませてください。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、わたしをそしる|者《もの》に、 |答《こた》えることができます。 わたしはあなたのみ|言葉《ことば》に|信頼《しんらい》するからです。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]またわたしの|口《くち》から|真理《しんり》の|言葉《ことば》を ことごとく|除《のぞ》かないでください。 わたしの|望《のぞ》みはあなたのおきてにあるからです。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|絶《た》えず、とこしえに、 あなたのおきてを|守《まも》ります。 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのさとしを|求《もと》めたので、 |自由《じゆう》に|歩《あゆ》むことができます。 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|王《おう》たちの|前《まえ》に あなたのあかしを|語《かた》って|恥《は》じることはありません。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしの|愛《あい》するあなたの|戒《いまし》めに |自分《じぶん》の|喜《よろこ》びを|見《み》いだすからです。 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしの|愛《あい》するあなたの|戒《いまし》めを|尊《たっと》び、 あなたの|定《さだ》めを|深《ふか》く|思《おも》います。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ザイン[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたのしもべに|言《い》われた み|言葉《ことば》を|思《おも》い|出《だ》してください。 あなたはわたしにそれを|望《のぞ》ませられました。 [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|約束《やくそく》はわたしを|生《い》かすので、 わが|悩《なや》みの|時《とき》の|慰《なぐさ》めです。 [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》は|大《おお》いにわたしをあざ|笑《わら》います。 しかしわたしはあなたのおきてを|離《はな》れません。 [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたの|昔《むかし》からのおきてを|思《おも》い|出《だ》して、 みずから|慰《なぐさ》めます。 [#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのおきてを|捨《す》てる|悪《あ》しき|者《もの》のゆえに、 わたしは|激《はげ》しい|憤《いきどお》りを|起《おこ》します。 [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|定《さだ》めはわが|旅《たび》の|家《いえ》で、 わたしの|歌《うた》となりました。 [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしは|夜《よ》の|間《ま》にあなたのみ|名《な》を|思《おも》い|出《だ》して、 あなたのおきてを|守《まも》ります。 [#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのさとしを|守《まも》ったことによって、 この|祝福《しゅくふく》がわたしに|臨《のぞ》みました。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ヘス[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしの|受《う》くべき|分《ぶん》です。 わたしはあなたのみ|言葉《ことば》を|守《まも》ることを|約束《やくそく》します。 [#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》をつくして、あなたの|恵《めぐ》みを|請《こ》い|求《もと》めます。 あなたの|約束《やくそく》にしたがって、 わたしをお|恵《めぐ》みください。 [#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたの|道《みち》を|思《おも》うとき、 |足《あし》をかえして、あなたのあかしに|向《む》かいます。 [#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|戒《いまし》めを|守《まも》るのに、 すみやかで、ためらいません。 [#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]たとい、|悪《あ》しき|者《もの》のなわがわたしを|捕《とら》えても、 わたしはあなたのおきてを|忘《わす》れません。 [#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|正《ただ》しいおきてのゆえに |夜半《やはん》に|起《お》きて、あなたに|感謝《かんしゃ》します。 [#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、すべてあなたを|恐《おそ》れる|者《もの》、 またあなたのさとしを|守《まも》る|者《もの》の|仲間《なかま》です。 [#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|地《ち》はあなたのいつくしみで|満《み》ちています。 あなたの|定《さだ》めをわたしに|教《おし》えてください。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]テス[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはみ|言葉《ことば》にしたがって しもべをよくあしらわれました。 [#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|良《よ》い|判断《はんだん》と|知識《ちしき》とを|教《おし》えてください。 わたしはあなたの|戒《いまし》めを|信《しん》じるからです。 [#太字]六七[#「六七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|苦《くる》しまない|前《まえ》には|迷《まよ》いました。 しかし|今《いま》はみ|言葉《ことば》を|守《まも》ります。 [#太字]六八[#「六八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|善《ぜん》にして|善《ぜん》を|行《おこな》われます。 あなたの|定《さだ》めをわたしに|教《おし》えてください。 [#太字]六九[#「六九」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》は|偽《いつわ》りをもって わたしをことごとくおおいます。 しかしわたしは|心《こころ》をつくして あなたのさとしを|守《まも》ります。 [#太字]七〇[#「七〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|心《こころ》は|肥《こ》え|太《ふと》って|脂肪《しぼう》のようです。 しかしわたしはあなたのおきてを|喜《よろこ》びます。 [#太字]七一[#「七一」は行右小書き][#太字終わり]|苦《くる》しみにあったことは、わたしに|良《よ》い|事《こと》です。 これによってわたしはあなたのおきてを |学《まな》ぶことができました。 [#太字]七二[#「七二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|口《くち》のおきては、わたしのためには |幾《いく》千の|金銀《きんぎん》|貨幣《かへい》にもまさるのです。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ヨード[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七三[#「七三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみ|手《て》はわたしを|造《つく》り、 わたしを|形《かたち》|造《つく》りました。 わたしに|知恵《ちえ》を|与《あた》えて、 あなたの|戒《いまし》めを|学《まな》ばせてください。 [#太字]七四[#「七四」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|恐《おそ》れる|者《もの》はわたしを|見《み》て|喜《よろこ》ぶでしょう。 わたしはみ|言葉《ことば》によって|望《のぞ》みをいだいたからです。 [#太字]七五[#「七五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたのさばきの|正《ただ》しく、 また、あなたが|真実《しんじつ》をもって わたしを|苦《くる》しめられたことを|知《し》っています。 [#太字]七六[#「七六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがしもべに|告《つ》げられた|約束《やくそく》にしたがって、 あなたのいつくしみをわが|慰《なぐさ》めとしてください。 [#太字]七七[#「七七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあわれみをわたしに|臨《のぞ》ませ、 わたしを|生《い》かしてください。 あなたのおきてはわが|喜《よろこ》びだからです。 [#太字]七八[#「七八」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》に|恥《はじ》をこうむらせてください。 |彼《かれ》らは|偽《いつわ》りをもって、わたしをくつがえしたからです。 しかしわたしはあなたのさとしを|深《ふか》く|思《おも》います。 [#太字]七九[#「七九」は行右小書き][#太字終わり]あなたをおそれる|者《もの》と、 あなたのあかしを|知《し》る|者《もの》とを わたしに|帰《かえ》らせてください。 [#太字]八〇[#「八〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》を|全《まった》くして、 あなたの|定《さだ》めを|守《まも》らせてください。 そうすればわたしは|恥《はじ》をこうむることがありません。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]カフ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八一[#「八一」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》はあなたの|救《すくい》を|慕《した》って|絶《た》えいるばかりです。 わたしはみ|言葉《ことば》によって|望《のぞ》みをいだきます。 [#太字]八二[#「八二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》はあなたの|約束《やくそく》を|待《ま》つによって|衰《おとろ》え、 「いつ、あなたはわたしを|慰《なぐさ》められるのですか」と |尋《たず》ねます。 [#太字]八三[#「八三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|煙《けむり》の|中《なか》の|皮《かわ》|袋《ぶくろ》のようになりましたが、 なお、あなたの|定《さだ》めを|忘《わす》れませんでした。 [#太字]八四[#「八四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべの|日《ひ》はどれほど|続《つづ》くでしょうか。 いつあなたは、わたしを|迫害《はくがい》する|者《もの》を さばかれるでしょうか。 [#太字]八五[#「八五」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》はわたしをおとしいれようと |穴《あな》を|掘《ほ》りました。 |彼《かれ》らはあなたのおきてに|従《したが》わない|人々《ひとびと》です。 [#太字]八六[#「八六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|戒《いまし》めはみな|真実《しんじつ》です。 |彼《かれ》らは|偽《いつわ》りをもってわたしを|迫害《はくがい》します。 わたしをお|助《たす》けください。 [#太字]八七[#「八七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはこの|地《ち》において、 ほとんどわたしを|滅《ほろ》ぼしました。 しかし、わたしはあなたのさとしを|捨《す》てませんでした。 [#太字]八八[#「八八」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみにしたがって わたしを|生《い》かしてください。 そうすればわたしはあなたの|口《くち》から|出《で》る あかしを|守《まも》ります。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ラメド[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八九[#「八九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのみ|言葉《ことば》は |天《てん》においてとこしえに|堅《かた》く|定《さだ》まり、 [#太字]九〇[#「九〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのまことはよろずよに|及《およ》びます。 あなたが|地《ち》を|定《さだ》められたので、|地《ち》は|堅《かた》く|立《た》っています。 [#太字]九一[#「九一」は行右小書き][#太字終わり]これらのものはあなたの|仰《おお》せにより、 |堅《かた》く|立《た》って|今日《こんにち》に|至《いた》っています。 よろずのものは|皆《みな》あなたのしもべだからです。 [#太字]九二[#「九二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのおきてがわが|喜《よろこ》びとならなかったならば、 わたしはついに|悩《なや》みのうちに|滅《ほろ》びたでしょう。 [#太字]九三[#「九三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|常《つね》にあなたのさとしを|忘《わす》れません。 あなたはこれをもって、わたしを|生《い》かされたからです。 [#太字]九四[#「九四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのものです。 わたしをお|救《すく》いください。 わたしはあなたのさとしを|求《もと》めました。 [#太字]九五[#「九五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はわたしを|滅《ほろ》ぼそうと |待《ま》ち|伏《ぶ》せています。 しかし、わたしはあなたのあかしを|思《おも》います。 [#太字]九六[#「九六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすべての|全《まった》きことに |限《かぎ》りあることを|見《み》ました。 しかしあなたの|戒《いまし》めは|限《かぎ》りなく|広《ひろ》いのです。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]メム[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九七[#「九七」は行右小書き][#太字終わり]いかにわたしはあなたのおきてを |愛《あい》することでしょう。 わたしはひねもすこれを|深《ふか》く|思《おも》います。 [#太字]九八[#「九八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|戒《いまし》めは|常《つね》にわたしと|共《とも》にあるので、 わたしをわが|敵《てき》にまさって|賢《かしこ》くします。 [#太字]九九[#「九九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのあかしを|深《ふか》く|思《おも》うので、 わがすべての|師《し》にまさって|知恵《ちえ》があります。 [#太字]一〇〇[#「一〇〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのさとしを|守《まも》るので、 |老《お》いた|者《もの》にまさって|事《こと》をわきまえます。 [#太字]一〇一[#「一〇一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはみ|言葉《ことば》を|守《まも》るために、 わが|足《あし》をとどめて、すべての|悪《わる》い|道《みち》に|行《い》かせません。 [#太字]一〇二[#「一〇二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがわたしを|教《おし》えられたので、 わたしはあなたのおきてを|離《はな》れません。 [#太字]一〇三[#「一〇三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみ|言葉《ことば》はいかにわがあごに |甘《あま》いことでしょう。 |蜜《みつ》にまさってわが|口《くち》に|甘《あま》いのです。 [#太字]一〇四[#「一〇四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのさとしによって|知恵《ちえ》を|得《え》ました。 それゆえ、わたしは|偽《いつわ》りのすべての|道《みち》を|憎《にく》みます。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ヌン[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇五[#「一〇五」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみ|言葉《ことば》はわが|足《あし》のともしび、 わが|道《みち》の|光《ひかり》です。 [#太字]一〇六[#「一〇六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|正《ただ》しいおきてを|守《まも》ることを|誓《ちか》い、 かつこれを|実行《じっこう》しました。 [#太字]一〇七[#「一〇七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはいたく|苦《くる》しみました。 |主《しゅ》よ、み|言葉《ことば》に|従《したが》って、わたしを|生《い》かしてください。 [#太字]一〇八[#「一〇八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わがさんびの|供《そな》え|物《もの》をうけて、 あなたのおきてを|教《おし》えてください。 [#太字]一〇九[#「一〇九」は行右小書き][#太字終わり]わたしのいのちは|常《つね》に|危険《きけん》にさらされています。 しかし、わたしはあなたのおきてを|忘《わす》れません。 [#太字]一一〇[#「一一〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はわたしのためにわなを|設《もう》けました。 しかし、わたしはあなたのさとしから|迷《まよ》い|出《で》ません。 [#太字]一一一[#「一一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあかしはとこしえにわが|嗣《し》|業《ぎょう》です。 まことに、そのあかしはわが|心《こころ》の|喜《よろこ》びです。 [#太字]一一二[#「一一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|定《さだ》めを|終《おわ》りまで、 とこしえに|守《まも》ろうと|心《こころ》を|傾《かたむ》けます。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]サメク[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一三[#「一一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|二心《ふたごころ》の|者《もの》を|憎《にく》みます。 しかしあなたのおきてを|愛《あい》します。 [#太字]一一四[#「一一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|隠《かく》れ|場《ば》、わが|盾《たて》です。 わたしはみ|言葉《ことば》によって|望《のぞ》みをいだきます。 [#太字]一一五[#「一一五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をなす|者《もの》よ、わたしを|離《はな》れ|去《さ》れ、 わたしはわが|神《かみ》の|戒《いまし》めを|守《まも》るのです。 [#太字]一一六[#「一一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|約束《やくそく》にしたがって、 わたしをささえて、ながらえさせ、 わが|望《のぞ》みについて|恥《は》じることの ないようにしてください。 [#太字]一一七[#「一一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしをささえてください。 そうすれば、わたしは|安《やす》らかで、 |常《つね》にあなたの|定《さだ》めに|心《こころ》をそそぎます。 [#太字]一一八[#「一一八」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたの|定《さだ》めから|迷《まよ》い|出《で》る|者《もの》を あなたは、かろしめられます。 まことに、|彼《かれ》らの|欺《あざむ》きはむなしいのです。 [#太字]一一九[#「一一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|地《ち》のすべての|悪《あ》しき|者《もの》を、 |金《かな》かすのようにみなされます。 それゆえ、わたしはあなたのあかしを|愛《あい》します。 [#太字]一二〇[#「一二〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|肉《にく》はあなたを|恐《おそ》れるので|震《ふる》えます。 わたしはあなたのさばきを|恐《おそ》れます。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]アイン[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二一[#「一二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|正《ただ》しく|義《ぎ》にかなったことを|行《おこな》いました。 わたしを|捨《す》てて、しえたげる|者《もの》に ゆだねないでください。 [#太字]一二二[#「一二二」は行右小書き][#太字終わり]しもべのために|保証人《ほしょうにん》となって、 |高《たか》ぶる|者《もの》にわたしを、しえたげさせないでください。 [#太字]一二三[#「一二三」は行右小書き][#太字終わり]わが|目《め》はあなたの|救《すくい》と、 あなたの|正《ただ》しい|約束《やくそく》とを|待《ま》ち|望《のぞ》んで|衰《おとろ》えます。 [#太字]一二四[#「一二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみにしたがって、しもべをあしらい、 あなたの|定《さだ》めを|教《おし》えてください。 [#太字]一二五[#「一二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのしもべです。 わたしに|知恵《ちえ》を|与《あた》えて、 あなたのあかしを|知《し》らせてください。 [#太字]一二六[#「一二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたのおきてを|破《やぶ》りました。 |今《いま》は|主《しゅ》のはたらかれる|時《とき》です。 [#太字]一二七[#「一二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|金《きん》よりも、 |純金《じゅんきん》よりもまさってあなたの|戒《いまし》めを|愛《あい》します。 [#太字]一二八[#「一二八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは、あなたのもろもろの さとしにしたがって、|正《ただ》しき|道《みち》に|歩《あゆ》み、 すべての|偽《いつわ》りの|道《みち》を|憎《にく》みます。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ペ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二九[#「一二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあかしは|驚《おどろ》くべきものです。 それゆえ、わが|魂《たましい》はこれを|守《まも》ります。 [#太字]一三〇[#「一三〇」は行右小書き][#太字終わり]み|言葉《ことば》が|開《あ》けると|光《ひかり》を|放《はな》って、 |無学《むがく》な|者《もの》に|知恵《ちえ》を|与《あた》えます。 [#太字]一三一[#「一三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|戒《いまし》めを|慕《した》うゆえに、 |口《くち》を|広《ひろ》くあけてあえぎ|求《もと》めました。 [#太字]一三二[#「一三二」は行右小書き][#太字終わり]み|名《な》を|愛《あい》する|者《もの》に|常《つね》にされるように、 わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。 [#太字]一三三[#「一三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|約束《やくそく》にしたがって、わが|歩《あゆ》みを|確《たし》かにし、 すべての|不義《ふぎ》に|支配《しはい》されないようにしてください。 [#太字]一三四[#「一三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|人《ひと》のしえたげからあがなってください。 そうすればわたしは、あなたのさとしを|守《まも》ります。 [#太字]一三五[#「一三五」は行右小書き][#太字終わり]み|顔《かお》をしもべの|上《うえ》に|照《てら》し、 あなたの|定《さだ》めを|教《おし》えてください。 [#太字]一三六[#「一三六」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》があなたのおきてを|守《まも》らないので、 わが|目《め》の|涙《なみだ》は|川《かわ》のように|流《なが》れます。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]ツァデー[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三七[#「一三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|正《ただ》しく、 あなたのさばきは|正《ただ》しいのです。 [#太字]一三八[#「一三八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|正義《せいぎ》と、この|上《うえ》ない|真実《しんじつ》とをもって あなたのあかしを|命《めい》じられました。 [#太字]一三九[#「一三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしのあだが、あなたのみ|言葉《ことば》を|忘《わす》れるので、 わが|熱心《ねっしん》はわたしを|滅《ほろ》ぼすのです。 [#太字]一四〇[#「一四〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|約束《やくそく》はまことに|確《たし》かです。 あなたのしもべはこれを|愛《あい》します。 [#太字]一四一[#「一四一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|取《と》るにたらない|者《もの》で、|人《ひと》に|侮《あなど》られるけれども、 なお、あなたのさとしを|忘《わす》れません。 [#太字]一四二[#「一四二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|義《ぎ》はとこしえに|正《ただ》しく、 あなたのおきてはまことです。 [#太字]一四三[#「一四三」は行右小書き][#太字終わり]|悩《なや》みと|苦《くる》しみがわたしに|臨《のぞ》みました。 しかしあなたの|戒《いまし》めはわたしの|喜《よろこ》びです。 [#太字]一四四[#「一四四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあかしはとこしえに|正《ただ》しいのです。 わたしに|知恵《ちえ》を|与《あた》えて、|生《い》きながらえさせてください。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]コフ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四五[#「一四五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》をつくして|呼《よ》ばわります。 |主《しゅ》よ、お|答《こた》えください。 わたしはあなたの|定《さだ》めを|守《まも》ります。 [#太字]一四六[#「一四六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|呼《よ》ばわります。 わたしをお|救《すく》いください。 わたしはあなたのあかしを|守《まも》ります。 [#太字]一四七[#「一四七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》き|出《で》て|呼《よ》ばわります。 わたしはみ|言葉《ことば》によって|望《のぞ》みをいだくのです。 [#太字]一四八[#「一四八」は行右小書き][#太字終わり]わが|目《め》は|夜警《やけい》の|交代《こうたい》する|時《とき》に|先《さき》だってさめ、 あなたの|約束《やくそく》を|深《ふか》く|思《おも》います。 [#太字]一四九[#「一四九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのいつくしみにしたがって、 わが|声《こえ》を|聞《き》いてください。 |主《しゅ》よ、あなたの|公義《こうぎ》にしたがって、 わたしを|生《い》かしてください。 [#太字]一五〇[#「一五〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしをしえたげる|者《もの》が |悪《わる》いたくらみをもって|近《ちか》づいています。 |彼《かれ》らはあなたのおきてを|遠《とお》くはなれているのです。 [#太字]一五一[#「一五一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、あなたは|近《ちか》くいらせられます。 あなたのもろもろの|戒《いまし》めはまことです。 [#太字]一五二[#「一五二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|早《はや》くからあなたのあかしによって、 あなたがこれをとこしえに |立《た》てられたことを|知《し》りました。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]レシ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五三[#「一五三」は行右小書き][#太字終わり]わが|悩《なや》みを|見《み》て、わたしをお|救《すく》いください。 わたしはあなたのおきてを|忘《わす》れないからです。 [#太字]一五四[#「一五四」は行右小書き][#太字終わり]わが|訴《うった》えを|弁護《べんご》して、わたしをあがない、 あなたの|約束《やくそく》にしたがって、 わたしを|生《い》かしてください。 [#太字]一五五[#「一五五」は行右小書き][#太字終わり]|救《すくい》は|悪《あ》しき|者《もの》を|遠《とお》く|離《はな》れている。 |彼《かれ》らはあなたの|定《さだ》めを|求《もと》めないからです。 [#太字]一五六[#「一五六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのあわれみは|大《おお》きい。 あなたの|公義《こうぎ》に|従《したが》って、わたしを|生《い》かしてください。 [#太字]一五七[#「一五七」は行右小書き][#太字終わり]わたしをしえたげる|者《もの》、 わたしをあだする|者《もの》は|多《おお》い。 しかしわたしは、あなたのあかしを|離《はな》れません。 [#太字]一五八[#「一五八」は行右小書き][#太字終わり]|不信仰《ふしんこう》な|者《もの》があなたのみ|言葉《ことば》を|守《まも》らないので、 わたしは|彼《かれ》らを|見《み》て、いとわしく|思《おも》います。 [#太字]一五九[#「一五九」は行右小書き][#太字終わり]わたしがいかにあなたのさとしを |愛《あい》するかをお|察《さっ》しください。 |主《しゅ》よ、あなたのいつくしみにしたがって、 わたしを|生《い》かしてください。 [#太字]一六〇[#「一六〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみ|言葉《ことば》の|全体《ぜんたい》は|真理《しんり》です。 あなたの|正《ただ》しいおきてのすべては とこしえに|絶《た》えることはありません。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]シン[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六一[#「一六一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|君《きみ》はゆえなくわたしをしえたげます。 しかしわが|心《こころ》はみ|言葉《ことば》をおそれます。 [#太字]一六二[#「一六二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|大《おお》いなる|獲物《えもの》を|得《え》た|者《もの》のように あなたのみ|言葉《ことば》を|喜《よろこ》びます。 [#太字]一六三[#「一六三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|偽《いつわ》りを|憎《にく》み、|忌《い》みきらいます。 しかしあなたのおきてを|愛《あい》します。 [#太字]一六四[#「一六四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|正《ただ》しいおきてのゆえに、 一|日《にち》に七たびあなたをほめたたえます。 [#太字]一六五[#「一六五」は行右小書き][#太字終わり]あなたのおきてを|愛《あい》する|者《もの》には|大《おお》いなる|平安《へいあん》があり、 |何《なに》ものも|彼《かれ》らをつまずかすことはできません。 [#太字]一六六[#「一六六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたの|救《すくい》を|望《のぞ》み、 あなたの|戒《いまし》めをおこないます。 [#太字]一六七[#「一六七」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は、あなたのあかしを|守《まも》ります。 わたしはいたくこれを|愛《あい》します。 [#太字]一六八[#「一六八」は行右小書き][#太字終わり]わがすべての|道《みち》があなたのみ|前《まえ》にあるので、 わたしはあなたのさとしと、あかしとを|守《まも》ります。 [#ここで字下げ終わり] [#斜体]タウ[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六九[#「一六九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、どうか、わが|叫《さけ》びをみ|前《まえ》にいたらせ、 み|言葉《ことば》に|従《したが》って、わたしに|知恵《ちえ》をお|与《あた》えください。 [#太字]一七〇[#「一七〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|願《ねが》いをみ|前《まえ》にいたらせ、 み|言葉《ことば》にしたがって、わたしをお|助《たす》けください。 [#太字]一七一[#「一七一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|定《さだ》めをわたしに|教《おし》えられるので、 わがくちびるはさんびを|唱《とな》えます。 [#太字]一七二[#「一七二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのすべての|戒《いまし》めは|正《ただ》しいので、 わが|舌《した》はみ|言葉《ことば》を|歌《うた》います。 [#太字]一七三[#「一七三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのさとしを|選《えら》びました。 あなたのみ|手《て》を、|常《つね》にわが|助《たす》けとしてください。 [#太字]一七四[#「一七四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたの|救《すくい》を|慕《した》います。 あなたのおきてはわたしの|喜《よろこ》びです。 [#太字]一七五[#「一七五」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|生《い》かして、 あなたをほめたたえさせ、 あなたのおきてを、わが|助《たす》けとしてください。 [#太字]一七六[#「一七六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|失《うしな》われた|羊《ひつじ》のように|迷《まよ》い|出《で》ました。 あなたのしもべを|捜《さが》し|出《だ》してください。 わたしはあなたの|戒《いまし》めを|忘《わす》れないからです。 [#ここで字下げ終わり] 第一二〇篇[#「第一二〇篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|悩《なや》みのうちに、|主《しゅ》に|呼《よ》ばわると、 |主《しゅ》はわたしに|答《こた》えられる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》よ、|偽《いつわ》りのくちびるから、 |欺《あざむ》きの|舌《した》から、わたしを|助《たす》け|出《だ》してください」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|欺《あざむ》きの|舌《した》よ、おまえに|何《なに》が|与《あた》えられ、 |何《なに》が|加《くわ》えられるであろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ますらおの|鋭《するど》い|矢《や》と、 えにしだの|熱《あつ》い|炭《すみ》とである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、わたしはメセクにやどり、 ケダルの|天幕《てんまく》のなかに|住《す》んでいる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|久《ひさ》しく|平安《へいあん》を|憎《にく》む|者《もの》のなかに|住《す》んでいた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|平安《へいあん》を|願《ねが》う、 しかし、わたしが|物言《ものい》うとき、|彼《かれ》らは|戦《たたか》いを|好《この》む。 [#ここで字下げ終わり] 第一二一篇[#「第一二一篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|山《やま》にむかって|目《め》をあげる。 わが|助《たす》けは、どこから|来《く》るであろうか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|助《たす》けは、|天《てん》と|地《ち》を|造《つく》られた|主《しゅ》から|来《く》る。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたの|足《あし》の|動《うご》かされるのをゆるされない。 あなたを|守《まも》る|者《もの》はまどろむことがない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、イスラエルを|守《まも》る|者《もの》は まどろむこともなく、|眠《ねむ》ることもない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたを|守《まも》る|者《もの》、 |主《しゅ》はあなたの|右《みぎ》の|手《て》をおおう|陰《かげ》である。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》は|太陽《たいよう》があなたを|撃《う》つことなく、 |夜《よる》は|月《つき》があなたを|撃《う》つことはない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたを|守《まも》って、すべての|災《わざわい》を|免《まぬか》れさせ、 またあなたの|命《いのち》を|守《まも》られる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|今《いま》からとこしえに|至《いた》るまで、 あなたの|出《で》ると|入《い》るとを|守《まも》られるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第一二二篇[#「第一二二篇」は中見出し] [#斜体]ダビデがよんだ|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がわたしにむかって「われらは|主《しゅ》の|家《いえ》に|行《い》こう」 と|言《い》ったとき、わたしは|喜《よろこ》んだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、われらの|足《あし》は あなたの|門《もん》のうちに|立《た》っている。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しげくつらなった|町《まち》のように |建《た》てられているエルサレムよ、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|部族《ぶぞく》すなわち|主《しゅ》の|部族《ぶぞく》が、 そこに|上《のぼ》って|来《き》て|主《しゅ》のみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》することは、 イスラエルのおきてである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこにさばきの|座《ざ》、 ダビデの|家《いえ》の|王座《おうざ》が|設《もう》けられてあった。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムのために|平安《へいあん》を|祈《いの》れ、 「エルサレムを|愛《あい》する|者《もの》は|栄《さか》え、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|城壁《じょうへき》のうちに|平安《へいあん》があり、 もろもろの|殿《との》のうちに|安全《あんぜん》があるように」と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|兄弟《きょうだい》および|友《とも》のために、わたしは 「エルサレムのうちに|平安《へいあん》があるように」と|言《い》い、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われらの|神《かみ》、|主《しゅ》の|家《いえ》のために、わたしは エルサレムのさいわいを|求《もと》めるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第一二三篇[#「第一二三篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》に|座《ざ》しておられる|者《もの》よ、 わたしはあなたにむかって|目《め》をあげます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、しもべがその|主人《しゅじん》の|手《て》に|目《め》をそそぎ、 はしためがその|主婦《しゅふ》の|手《て》に|目《め》をそそぐように、 われらはわれらの|神《かみ》、|主《しゅ》に|目《め》をそそいで、 われらをあわれまれるのを|待《ま》ちます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われらをあわれんでください。 われらをあわれんでください。 われらに|侮《あなど》りが|満《み》ちあふれています。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|思《おも》い|煩《わずら》いのない|者《もの》のあざけりと、|高《たか》ぶる|者《もの》の|侮《あなど》りとは、 われらの|魂《たましい》に|満《み》ちあふれています。 [#ここで字下げ終わり] 第一二四篇[#「第一二四篇」は中見出し] [#斜体]ダビデがよんだ|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》、イスラエルは|言《い》え、 |主《しゅ》がもしわれらの|方《ほう》におられなかったならば、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がわれらに|逆《さか》らって|立《た》ちあがったとき、 |主《しゅ》がもしわれらの|方《ほう》におられなかったならば、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|怒《いか》りがわれらにむかって|燃《も》えたったとき、 |彼《かれ》らはわれらを|生《い》きているままで、のんだであろう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|大水《おおみず》はわれらを|押《お》し|流《なが》し、 |激流《げきりゅう》はわれらの|上《うえ》を|越《こ》え、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]さか|巻《ま》く|水《みず》はわれらの|上《うえ》を|越《こ》えたであろう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はほむべきかな。 |主《しゅ》はわれらをえじきとして |彼《かれ》らの|歯《は》にわたされなかった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われらは|野鳥《やちょう》を|捕《とら》えるわなをのがれる |鳥《とり》のようにのがれた。 わなは|破《やぶ》れてわれらはのがれた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]われらの|助《たす》けは|天地《てんち》を|造《つく》られた|主《しゅ》のみ|名《な》にある。 [#ここで字下げ終わり] 第一二五篇[#「第一二五篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|信頼《しんらい》する|者《もの》は、|動《うご》かされることなくて、 とこしえにあるシオンの|山《やま》のようである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|山々《やまやま》がエルサレムを|囲《かこ》んでいるように、 |主《しゅ》は|今《いま》からとこしえにその|民《たみ》を|囲《かこ》まれる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これは|悪《あ》しき|者《もの》のつえが |正《ただ》しい|者《もの》の|所領《しょりょう》にとどまることなく、 |正《ただ》しい|者《もの》がその|手《て》を |不義《ふぎ》に|伸《の》べることのないためである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|善良《ぜんりょう》な|人《ひと》と、 |心《こころ》の|正《ただ》しい|人《ひと》とに、さいわいを|施《ほどこ》してください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|転《てん》じて|自分《じぶん》の|曲《まが》った|道《みち》に|入《い》る|者《もの》を |主《しゅ》は、|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》と|共《とも》に|去《さ》らせられる。 イスラエルの|上《うえ》に|平安《へいあん》があるように。 [#ここで字下げ終わり] 第一二六篇[#「第一二六篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がシオンの|繁栄《はんえい》を|回復《かいふく》されたとき、 われらは|夢《ゆめ》みる|者《もの》のようであった。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》われらの|口《くち》は|笑《わら》いで|満《み》たされ、 われらの|舌《した》は|喜《よろこ》びの|声《こえ》で|満《み》たされた。 その|時《とき》「|主《しゅ》は|彼《かれ》らのために|大《おお》いなる|事《こと》をなされた」と |言《い》った|者《もの》が、もろもろの|国民《くにたみ》の|中《なか》にあった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれらのために|大《おお》いなる|事《こと》をなされたので、 われらは|喜《よろこ》んだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、どうか、われらの|繁栄《はんえい》を、 ネゲブの|川《かわ》のように|回復《かいふく》してください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|涙《なみだ》をもって|種《たね》まく|者《もの》は、 |喜《よろこ》びの|声《こえ》をもって|刈《か》り|取《と》る。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》を|携《たずさ》え、|涙《なみだ》を|流《なが》して|出《で》て|行《い》く|者《もの》は、 |束《たば》を|携《たずさ》え、|喜《よろこ》びの|声《こえ》をあげて|帰《かえ》ってくるであろう。 [#ここで字下げ終わり] 第一二七篇[#「第一二七篇」は中見出し] [#斜体]ソロモンがよんだ|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|家《いえ》を|建《た》てられるのでなければ、 |建《た》てる|者《もの》の|勤労《きんろう》はむなしい。 |主《しゅ》が|町《まち》を|守《まも》られるのでなければ、 |守《まも》る|者《もの》のさめているのはむなしい。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|早《はや》く|起《お》き、おそく|休《やす》み、 |辛苦《しんく》のかてを|食《た》べることは、むなしいことである。 |主《しゅ》はその|愛《あい》する|者《もの》に、|眠《ねむ》っている|時《とき》にも、 なくてならぬものを|与《あた》えられるからである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|子供《こども》たちは|神《かみ》から|賜《たま》わった|嗣《し》|業《ぎょう》であり、 |胎《たい》の|実《み》は|報《むく》いの|賜物《たまもの》である。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|壮年《そうねん》の|時《とき》の|子供《こども》は|勇士《ゆうし》の|手《て》にある|矢《や》のようだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|矢《や》の|満《み》ちた|矢筒《やづつ》を|持《も》つ|人《ひと》はさいわいである。 |彼《かれ》は|門《もん》で|敵《てき》と|物言《ものい》うとき|恥《は》じることはない。 [#ここで字下げ終わり] 第一二八篇[#「第一二八篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]すべて|主《しゅ》をおそれ、|主《しゅ》の|道《みち》に|歩《あゆ》む|者《もの》はさいわいである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|手《て》の|勤労《きんろう》の|実《み》を|食《た》べ、 |幸福《こうふく》で、かつ|安《やす》らかであろう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|妻《つま》は|家《いえ》の|奥《おく》にいて |多《おお》くの|実《み》を|結《むす》ぶぶどうの|木《き》のようであり、 あなたの|子供《こども》たちは|食卓《しょくたく》を|囲《かこ》んで オリブの|若木《わかぎ》のようである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》をおそれる|人《ひと》は、このように|祝福《しゅくふく》を|得《え》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシオンからあなたを|祝福《しゅくふく》されるように。 あなたは|世《よ》にあるかぎりエルサレムの|繁栄《はんえい》を|見《み》、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|子《こ》らの|子《こ》を|見《み》るであろう。 どうぞ、イスラエルの|上《うえ》に|平安《へいあん》があるように。 [#ここで字下げ終わり] 第一二九篇[#「第一二九篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》イスラエルは|言《い》え、 「|彼《かれ》らはわたしの|若《わか》い|時《とき》から、ひどくわたしを|悩《なや》ました。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしの|若《わか》い|時《とき》から、ひどくわたしを|悩《なや》ました。 しかしわたしに|勝《か》つことができなかった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|耕《たがや》す|者《もの》はわたしの|背《せ》の|上《うえ》をたがやして、 そのうねみぞを|長《なが》くした」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正《ただ》しくいらせられ、 |悪《あ》しき|者《もの》のなわを|断《た》ち|切《き》られた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]シオンを|憎《にく》む|者《もの》はみな、 |恥《はじ》を|得《え》て、|退《しりぞ》くように。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを、|育《そだ》たないさきに|枯《か》れる |屋根《やね》の|草《くさ》のようにしてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これを|刈《か》る|者《もの》はその|手《て》に|満《み》たず、 これをたばねる|者《もの》はそのふところに|満《み》たない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]かたわらを|過《す》ぎる|者《もの》は、 「|主《しゅ》の|恵《めぐ》みがあなたの|上《うえ》にあるように。 われらは|主《しゅ》のみ|名《な》によって あなたがたを|祝福《しゅくふく》する」と|言《い》わない。 [#ここで字下げ終わり] 第一三〇篇[#「第一三〇篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしは|深《ふか》い|淵《ふち》からあなたに|呼《よ》ばわる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、どうか、わが|声《こえ》を|聞《き》き、 あなたの|耳《みみ》をわが|願《ねが》いの|声《こえ》に|傾《かたむ》けてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたがもし、もろもろの|不義《ふぎ》に |目《め》をとめられるならば、 |主《しゅ》よ、だれが|立《た》つことができましょうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたには、ゆるしがあるので、 |人《ひと》に|恐《おそ》れかしこまれるでしょう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》みます、わが|魂《たましい》は|待《ま》ち|望《のぞ》みます。 そのみ|言葉《ことば》によって、わたしは|望《のぞ》みをいだきます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|夜回《よまわ》りが|暁《あかつき》を|待《ま》つにまさり、 |夜回《よまわ》りが|暁《あかつき》を|待《ま》つにまさって|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》みます。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、|主《しゅ》によって|望《のぞ》みをいだけ。 |主《しゅ》には、いつくしみがあり、 また|豊《ゆた》かなあがないがあるからです。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルを そのもろもろの|不義《ふぎ》からあがなわれます。 [#ここで字下げ終わり] 第一三一篇[#「第一三一篇」は中見出し] [#斜体]ダビデがよんだ|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わが|心《こころ》はおごらず、わが|目《め》は|高《たか》ぶらず、 わたしはわが|力《ちから》の|及《およ》ばない|大《おお》いなる|事《こと》と くすしきわざとに|関係《かんけい》いたしません。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]かえって、|乳離《ちばな》れしたみどりごが、 その|母《はは》のふところに|安《やす》らかにあるように、 わたしはわが|魂《たましい》を|静《しず》め、かつ|安《やす》らかにしました。 わが|魂《たましい》は|乳離《ちばな》れしたみどりごのように、|安《やす》らかです。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、|今《いま》からとこしえに |主《しゅ》によって|望《のぞ》みをいだけ。 [#ここで字下げ終わり] 第一三二篇[#「第一三二篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、ダビデのために、 そのもろもろの|辛苦《しんく》をみこころにとめてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデは|主《しゅ》に|誓《ちか》い、 ヤコブの|全能者《ぜんのうしゃ》に|誓《ちか》いを|立《た》てて|言《い》いました、 [#太字]三 四 五[#「三 四 五」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|主《しゅ》のために|所《ところ》を|捜《さが》し|出《だ》し、 ヤコブの|全能者《ぜんのうしゃ》のためにすまいを|求《もと》め|得《え》るまでは、 わが|家《いえ》に|入《い》らず、わが|寝台《しんだい》に|上《のぼ》らず、 わが|目《め》に|眠《ねむ》りを|与《あた》えず、 わがまぶたにまどろみを|与《あた》えません」。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、われらはエフラタでそれを|聞《き》き、 ヤアルの|野《の》でそれを|見《み》とめた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「われらはそのすまいへ|行《い》って、 その|足《あし》|台《だい》のもとにひれ|伏《ふ》そう」。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|起《お》きて、あなたの|力《ちから》のはこと|共《とも》に、 あなたの|安息所《あんそくじょ》におはいりください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|祭司《さいし》たちに|義《ぎ》をまとわせ、 あなたの|聖徒《せいと》たちに|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわらせてください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべダビデのために、 あなたの|油《あぶら》そそがれた|者《もの》の|顔《かお》を、 しりぞけないでください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまことをもってダビデに|誓《ちか》われたので、 それにそむくことはない。すなわち|言《い》われた、 「わたしはあなたの|身《み》から|出《で》た|子《こ》のひとりを、 あなたの|位《くらい》につかせる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたの|子《こ》らがわたしの|教《おし》える |契約《けいやく》と、あかしとを|守《まも》るならば、 その|子《こ》らもまた、とこしえに あなたの|位《くらい》に|座《ざ》するであろう」。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシオンを|選《えら》び、 それをご|自分《じぶん》のすみかにしようと|望《のぞ》んで|言《い》われた、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]「これはとこしえにわが|安息所《あんそくじょ》である。 わたしはこれを|望《のぞ》んだゆえ、ここに|住《す》む。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはシオンの|糧食《りょうしょく》を|豊《ゆた》かに|祝福《しゅくふく》し、 |食物《しょくもつ》をもってその|貧《まず》しい|者《もの》を|飽《あ》かせる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またわたしはその|祭司《さいし》たちに|救《すくい》を|着《き》せる。 その|聖徒《せいと》たちは|声《こえ》|高《たか》らかに|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわるであろう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはダビデのために そこに一つの|角《つの》をはえさせる。 わたしはわが|油《あぶら》そそがれた|者《もの》のために 一つのともしびを|備《そな》えた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|敵《てき》に|恥《はじ》を|着《き》せる。 しかし|彼《かれ》の|上《うえ》にはその|冠《かんむり》が|輝《かがや》くであろう」。 [#ここで字下げ終わり] 第一三三篇[#「第一三三篇」は中見出し] [#斜体]ダビデがよんだ|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|兄弟《きょうだい》が|和合《わごう》して|共《とも》におるのは いかに|麗《うるわ》しく|楽《たの》しいことであろう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それはこうべに|注《そそ》がれた|尊《たっと》い|油《あぶら》がひげに|流《なが》れ、 アロンのひげに|流《なが》れ、 その|衣《ころも》のえりにまで|流《なが》れくだるようだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またヘルモンの|露《つゆ》がシオンの|山《やま》に|下《くだ》るようだ。 これは|主《しゅ》がかしこに|祝福《しゅくふく》を|命《めい》じ、 とこしえに|命《いのち》を|与《あた》えられたからである。 [#ここで字下げ終わり] 第一三四篇[#「第一三四篇」は中見出し] [#斜体]|都《みやこ》もうでの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|夜《よる》、|主《しゅ》の|家《いえ》に|立《た》って |主《しゅ》に|仕《つか》えるすべてのしもべよ、 |主《しゅ》をほめよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|聖所《せいじょ》にむかってあなたがたの|手《て》をあげ、 |主《しゅ》をほめよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]どうぞ|主《しゅ》、|天《てん》と|地《ち》を|造《つく》られた|者《もの》、 シオンからあなたを|祝福《しゅくふく》されるように。 [#ここで字下げ終わり] 第一三五篇[#「第一三五篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ、 |主《しゅ》のみ|名《な》をほめたたえよ。 |主《しゅ》のしもべたちよ、ほめたたえよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|家《いえ》に|立《た》つ|者《もの》、 われらの|神《かみ》の|家《いえ》の|大庭《おおにわ》に|立《た》つ|者《もの》よ、ほめたたえよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかい、|主《しゅ》をほめたたえよ。 |主《しゅ》は|情《じょう》ぶかい、そのみ|名《な》をほめ|歌《うた》え。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのがためにヤコブを|選《えら》び、 イスラエルを|選《えら》んで、おのれの|所有《しょゆう》とされた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》の|大《おお》いなることと、 われらの|主《しゅ》のすべての|神《かみ》に まさることとを|知《し》っている。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのみこころにかなう|事《こと》を、 |天《てん》にも|地《ち》にも、|海《うみ》にもすべての|淵《ふち》にも|行《おこな》われる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|地《ち》のはてから|雲《くも》をのぼらせ、 |雨《あめ》のためにいなずまを|造《つく》り、その|倉《くら》から|風《かぜ》を|出《だ》される。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人《ひと》から|獣《けもの》にいたるまで、 エジプトのういごを|撃《う》たれた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトよ、|主《しゅ》はおまえの|中《なか》に、 しるしと|不思議《ふしぎ》とを|送《おく》って、 パロとそのすべてのしもべとに|臨《のぞ》まれた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|多《おお》くの|国民《くにたみ》を|撃《う》ち、 |力《ちから》ある|王《おう》たちを|殺《ころ》された。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわちアモリびとの|王《おう》シホン、バシャンの|王《おう》オグ、 ならびにカナンのすべての|国々《くにぐに》である。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|地《ち》を|嗣《し》|業《ぎょう》とし、 その|民《たみ》イスラエルに|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えられた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのみ|名《な》はとこしえに|絶《た》えることがない。 |主《しゅ》よ、あなたの|名声《めいせい》はよろずよに|及《およ》ぶ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》をさばき、 そのしもべらにあわれみをかけられるからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》の|偶像《ぐうぞう》はしろがねと、こがねで、 |人《ひと》の|手《て》のわざである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それは|口《くち》があっても|語《かた》ることができない。 |目《め》があっても|見《み》ることができない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》があっても|聞《き》くことができない。 またその|口《くち》には|息《いき》がない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これを|造《つく》る|者《もの》と、これに|信頼《しんらい》する|者《もの》とはみな、 これと|等《ひと》しい|者《もの》になる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》よ、|主《しゅ》をほめよ。 アロンの|家《いえ》よ、|主《しゅ》をほめよ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]レビの|家《いえ》よ、|主《しゅ》をほめよ。 |主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》よ、|主《しゅ》をほめまつれ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムに|住《す》まわれる|主《しゅ》は、 シオンからほめたたえらるべきである。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一三六篇[#「第一三六篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|神《かみ》の|神《かみ》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|主《しゅ》の|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ただひとり|大《おお》いなるくすしきみわざを なされる|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》をもって|天《てん》を|造《つく》られた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》を|水《みず》の|上《うえ》に|敷《し》かれた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いなる|光《ひかり》を|造《つく》られた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》をつかさどらすために|日《ひ》を|造《つく》られた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よる》をつかさどらすために|月《つき》と、 もろもろの|星《ほし》とを|造《つく》られた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エジプトのういごを|撃《う》たれた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルをエジプトびとの|中《なか》から |導《みちび》き|出《だ》された|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|強《つよ》い|手《て》と|伸《の》ばした|腕《うで》とをもって、 これを|救《すく》い|出《だ》された|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|紅海《こうかい》を二つに|分《わ》けられた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルにその|中《なか》を|通《とお》らせられた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]パロとその|軍勢《ぐんぜい》とを|紅海《こうかい》で |打《う》ち|敗《やぶ》られた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|民《たみ》を|導《みちび》いて|荒野《あらの》を|通《とお》らせられた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いなる|王《おう》たちを|撃《う》たれた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|名《な》ある|王《おう》たちを|殺《ころ》された|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アモリびとの|王《おう》シホンを|殺《ころ》された|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]バシャンの|王《おう》オグを|殺《ころ》された|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|地《ち》を|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えられた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そのしもべイスラエルに|嗣《し》|業《ぎょう》として これを|与《あた》えられた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]われらが|卑《いや》しかった|時《とき》に われらをみこころにとめられた|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]われらのあだからわれらを |助《たす》け|出《だ》された|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すべての|肉《にく》なる|者《もの》に|食物《しょくもつ》を|与《あた》えられる|者《もの》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|神《かみ》に|感謝《かんしゃ》せよ、 そのいつくしみはとこしえに|絶《た》えることがない。 [#ここで字下げ終わり] 第一三七篇[#「第一三七篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]われらは バビロンの|川《かわ》のほとりにすわり、 シオンを|思《おも》い|出《だ》して|涙《なみだ》を|流《なが》した。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]われらはその|中《なか》のやなぎにわれらの|琴《こと》をかけた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]われらをとりこにした|者《もの》が、 われらに|歌《うた》を|求《もと》めたからである。 われらを|苦《くる》しめる|者《もの》が|楽《たの》しみにしようと、 「われらにシオンの|歌《うた》を一つうたえ」と|言《い》った。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われらは|外国《がいこく》にあって、 どうして|主《しゅ》の|歌《うた》をうたえようか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、もしわたしがあなたを|忘《わす》れるならば、 わが|右《みぎ》の|手《て》を|衰《おとろ》えさせてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしがあなたを|思《おも》い|出《だ》さないならば、 もしわたしがエルサレムを わが|最高《さいこう》の|喜《よろこ》びとしないならば、 わが|舌《した》をあごにつかせてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、エドムの|人々《ひとびと》がエルサレムの|日《ひ》に、 「これを|破壊《はかい》せよ、これを|破壊《はかい》せよ、 その|基《もとい》までも|破壊《はかい》せよ」と |言《い》ったことを|覚《おぼ》えてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|破壊《はかい》|者《もの》であるバビロンの|娘《むすめ》よ、 あなたがわれらにしたことを、 あなたに|仕返《しかえ》しする|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみどりごを|取《と》って |岩《いわ》になげうつ|者《もの》はさいわいである。 [#ここで字下げ終わり] 第一三八篇[#「第一三八篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしは|心《こころ》をつくしてあなたに|感謝《かんしゃ》し、 もろもろの|神《かみ》の|前《まえ》であなたをほめ|歌《うた》います。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|聖《せい》なる|宮《みや》にむかって|伏《ふ》し|拝《おが》み、 あなたのいつくしみと、まこととのゆえに、 み|名《な》に|感謝《かんしゃ》します。 あなたはそのみ|名《な》と、み|言葉《ことば》を すべてのものにまさって|高《たか》くされたからです。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしが|呼《よ》ばわった|日《ひ》にわたしに|答《こた》え、 わが|魂《たましい》の|力《ちから》を|増《ま》し|加《くわ》えられました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|地《ち》のすべての|王《おう》はあなたに|感謝《かんしゃ》するでしょう。 |彼《かれ》らはあなたの|口《くち》のもろもろの|言葉《ことば》を |聞《き》いたからです。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》のもろもろの|道《みち》について|歌《うた》うでしょう。 |主《しゅ》の|栄光《えいこう》は|大《おお》きいからです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|高《たか》くいらせられるが|低《ひく》い|者《もの》をかえりみられる。 しかし|高《たか》ぶる|者《もの》を|遠《とお》くから|知《し》られる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]たといわたしが|悩《なや》みのなかを|歩《ある》いても、 あなたはわたしを|生《い》かし、 み|手《て》を|伸《の》ばしてわが|敵《てき》の|怒《いか》りを|防《ふせ》ぎ、 あなたの|右《みぎ》の|手《て》はわたしを|救《すく》われます。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしのために、みこころをなしとげられる。 |主《しゅ》よ、あなたのいつくしみは とこしえに|絶《た》えることはありません。 あなたのみ|手《て》のわざを|捨《す》てないでください。 [#ここで字下げ終わり] 第一三九篇[#「第一三九篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわたしを|探《さぐ》り、 わたしを|知《し》りつくされました。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわがすわるをも、|立《た》つをも|知《し》り、 |遠《とお》くからわが|思《おも》いをわきまえられます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|歩《あゆ》むをも、|伏《ふ》すをも|探《さぐ》り|出《だ》し、 わがもろもろの|道《みち》をことごとく|知《し》っておられます。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|舌《した》に|一言《いちごん》もないのに、 |主《しゅ》よ、あなたはことごとくそれを|知《し》られます。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|後《うしろ》から、|前《まえ》からわたしを|囲《かこ》み、 わたしの|上《うえ》にみ|手《て》をおかれます。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このような|知識《ちしき》はあまりに|不思議《ふしぎ》で、 わたしには|思《おも》いも|及《およ》びません。 これは|高《たか》くて|達《たっ》することはできません。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはどこへ|行《い》って、 あなたのみたまを|離《はな》れましょうか。 わたしはどこへ|行《い》って、 あなたのみ|前《まえ》をのがれましょうか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|天《てん》にのぼっても、あなたはそこにおられます。 わたしが|陰府《よみ》に|床《とこ》を|設《もう》けても、 あなたはそこにおられます。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあけぼのの|翼《つばさ》をかって|海《うみ》のはてに|住《す》んでも、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみ|手《て》はその|所《ところ》でわたしを|導《みちび》き、 あなたの|右《みぎ》のみ|手《て》はわたしをささえられます。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「やみはわたしをおおい、 わたしを|囲《かこ》む|光《ひかり》は|夜《よる》となれ」とわたしが|言《い》っても、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたには、やみも|暗《くら》くはなく、 |夜《よる》も|昼《ひる》のように|輝《かがや》きます。 あなたには、やみも|光《ひかり》も|異《こと》なることはありません。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|内臓《ないぞう》をつくり、 わが|母《はは》の|胎内《たいない》でわたしを|組《く》み|立《た》てられました。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたをほめたたえます。 あなたは|恐《おそれ》るべく、くすしき|方《かた》だからです。 あなたのみわざはくすしく、 あなたは|最《もっと》もよくわたしを|知《し》っておられます。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|隠《かく》れた|所《ところ》で|造《つく》られ、 |地《ち》の|深《ふか》い|所《ところ》でつづり|合《あわ》されたとき、 わたしの|骨《ほね》はあなたに|隠《かく》れることがなかった。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》は、 まだできあがらないわたしのからだを|見《み》られた。 わたしのためにつくられたわがよわいの|日《ひ》の まだ一|日《にち》もなかったとき、 その|日《ひ》はことごとくあなたの|書《しょ》にしるされた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、あなたのもろもろのみ|思《おも》いは、 なんとわたしに|尊《たっと》いことでしょう。 その|全体《ぜんたい》はなんと|広大《こうだい》なことでしょう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこれを|数《かぞ》えようとすれば、 その|数《かず》は|砂《すな》よりも|多《おお》い。 わたしが|目《め》ざめるとき、 わたしはなおあなたと|共《とも》にいます。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、どうか|悪《あ》しき|者《もの》を|殺《ころ》してください。 |血《ち》を|流《なが》す|者《もの》をわたしから|離《はな》れ|去《さ》らせてください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|敵意《てきい》をもってあなたをあなどり、 あなたに|逆《さか》らって|高《たか》ぶり、|悪《あく》を|行《おこな》う|人々《ひとびと》です。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたを|憎《にく》む|者《もの》を|憎《にく》み、 あなたに|逆《さか》らって|起《おこ》り|立《た》つ|者《もの》を いとうではありませんか。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|全《まった》く|彼《かれ》らを|憎《にく》み、 |彼《かれ》らをわたしの|敵《てき》と|思《おも》います。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、どうか、わたしを|探《さぐ》って、わが|心《こころ》を|知《し》り、 わたしを|試《こころ》みて、わがもろもろの|思《おも》いを |知《し》ってください。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|悪《あ》しき|道《みち》のあるかないかを|見《み》て、 わたしをとこしえの|道《みち》に|導《みちび》いてください。 [#ここで字下げ終わり] 第一四〇篇[#「第一四〇篇」は中見出し] [#斜体]|聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によってうたわせたダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|悪《あ》しき|人々《ひとびと》からわたしを|助《たす》け|出《だ》し、 わたしを|守《まも》って、 |乱暴《らんぼう》な|人々《ひとびと》からのがれさせてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|心《こころ》のうちに|悪《わる》い|事《こと》をはかり、 |絶《た》えず|戦《たたか》いを|起《おこ》します。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはへびのようにおのが|舌《した》を|鋭《するど》くし、 そのくちびるの|下《した》にはまむしの|毒《どく》があります。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしを|保《たも》って、 |悪《あ》しき|人《ひと》の|手《て》からのがれさせ、 わたしを|守《まも》って、わが|足《あし》をつまずかせようとする |乱暴《らんぼう》な|人々《ひとびと》からのがれさせてください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》はわたしのためにわなを|伏《ふ》せ、 |綱《つな》をもって|網《あみ》を|張《は》り、 |道《みち》のほとりにわなを|設《もう》けました。〔セラ [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》に|言《い》います、「あなたはわが|神《かみ》です。 |主《しゅ》よ、わが|願《ねが》いの|声《こえ》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|救《すくい》の|力《ちから》、|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、 あなたは|戦《たたか》いの|日《ひ》に、わがこうべをおおわれました。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|悪《あ》しき|人《ひと》の|願《ねが》いをゆるさないでください。 その|悪《あ》しき|計画《けいかく》をとげさせないでください。〔セラ [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|囲《かこ》む|者《もの》がそのこうべをあげるとき、 そのくちびるの|害悪《がいあく》で|彼《かれ》らをおおってください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|燃《も》える|炭《すみ》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|落《おと》してください。 |彼《かれ》らを|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れ、 |再《ふたた》び|上《あ》がることのできないようにしてください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪口《わるぐち》を|言《い》う|者《もの》を|世《よ》に|立《た》たせないでください。 |乱暴《らんぼう》な|人《ひと》をすみやかに|災《わざわい》に|追《お》い|捕《とら》えさせてください」。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》が|苦《くる》しむ|者《もの》の|訴《うった》えをたすけ、 |貧《まず》しい|者《もの》のために|正《ただ》しいさばきを |行《おこな》われることを|知《し》っています。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|必《かなら》ずみ|名《な》に|感謝《かんしゃ》し、 |直《なお》き|人《ひと》はみ|前《まえ》に|住《す》むでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第一四一篇[#「第一四一篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|呼《よ》ばわります。 すみやかにわたしをお|助《たす》けください。 わたしがあなたに|呼《よ》ばわるとき、 わが|声《こえ》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|祈《いのり》を、み|前《まえ》にささげる|薫香《くんこう》のようにみなし、 わたしのあげる|手《て》を、 |夕《ゆう》べの|供《そな》え|物《もの》のようにみなしてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わが|口《くち》に|門守《かどもり》を|置《お》いて、 わがくちびるの|戸《と》を|守《まも》ってください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|事《こと》にわが|心《こころ》を|傾《かたむ》けさせず、 |不義《ふぎ》を|行《おこな》う|人々《ひとびと》と|共《とも》に |悪《あ》しきわざにあずからせないでください。 また|彼《かれ》らのうまき|物《もの》を|食《た》べさせないでください。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》にいつくしみをもってわたしを|打《う》たせ、 わたしを|責《せ》めさせてください。 しかし|悪《あ》しき|者《もの》の|油《あぶら》をわがこうべに そそがせないでください。 わが|祈《いのり》は|絶《た》えず|彼《かれ》らの|悪《あ》しきわざに |敵《てき》しているからです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはおのれを|罪《つみ》に|定《さだ》める|者《もの》にわたされるとき、 |主《しゅ》のみ|言葉《ことば》のまことなることを|学《まな》ぶでしょう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|岩《いわ》を|裂《さ》いて|地《ち》の|上《うえ》に|打《う》ち|砕《くだ》くように、 |彼《かれ》らの|骨《ほね》は|陰府《よみ》の|口《くち》にまき|散《ち》らされるでしょう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、わが|目《め》はあなたに|向《む》かっています。 わたしはあなたに|寄《よ》り|頼《たの》みます。 わたしを|助《たす》けるものもないままに |捨《す》ておかないでください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|守《まも》って、 |彼《かれ》らがわたしのために|設《もう》けたわなと、 |悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》のわなとをのがれさせてください。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがのがれると|同時《どうじ》に、 |悪《あ》しき|者《もの》をおのれの|網《あみ》に|陥《おちい》らせてください。 [#ここで字下げ終わり] 第一四二篇[#「第一四二篇」は中見出し] [#斜体]ダビデがほら|穴《あな》にいた|時《とき》によんだマスキールの|歌《うた》、|祈《いのり》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|声《こえ》を|出《だ》して|主《しゅ》に|呼《よ》ばわり、 |声《こえ》を|出《だ》して|主《しゅ》に|願《ねが》い|求《もと》めます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはみ|前《まえ》にわが|嘆《なげ》きを|注《そそ》ぎ|出《だ》し、 み|前《まえ》にわが|悩《なや》みをあらわします。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わが|霊《れい》のわがうちに|消《き》えうせようとする|時《とき》も、 あなたはわが|道《みち》を|知《し》られます。 |彼《かれ》らはわたしを|捕《とら》えようと わたしの|行《い》く|道《みち》にわなを|隠《かく》しました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|右《みぎ》の|方《ほう》に|目《め》を|注《そそ》いで|見回《みまわ》したが、 わたしに|心《こころ》をとめる|者《もの》はひとりもありません。 わたしには|避《さ》け|所《どころ》がなく、 わたしをかえりみる|人《ひと》はありません。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|呼《よ》ばわります。 わたしは|言《い》います、「あなたはわが|避《さ》け|所《どころ》、 |生《い》ける|者《もの》の|地《ち》でわたしの|受《う》くべき|分《ぶん》です。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わが|叫《さけ》びにみこころをとめてください。 わたしは、はなはだしく|低《ひく》くされています。 わたしを|責《せ》める|者《もの》から|助《たす》け|出《だ》してください。 |彼《かれ》らはわたしにまさって|強《つよ》いのです。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしをひとやから|出《だ》し、 み|名《な》に|感謝《かんしゃ》させてください。 あなたが|豊《ゆた》かにわたしをあしらわれるので、 |正《ただ》しい|人々《ひとびと》はわたしのまわりに|集《あつ》まるでしょう」。 [#ここで字下げ終わり] 第一四三篇[#「第一四三篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わが|祈《いのり》を|聞《き》き、 わが|願《ねが》いに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてください。 あなたの|真実《しんじつ》と、あなたの|正義《せいぎ》とをもって、 わたしにお|答《こた》えください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのしもべのさばきに たずさわらないでください。 |生《い》ける|者《もの》はひとりもみ|前《まえ》に|義《ぎ》とされないからです。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》はわたしをせめ、 わがいのちを|地《ち》に|踏《ふ》みにじり、 |死《し》んで|久《ひさ》しく|時《とき》を|経《へ》た|者《もの》のように わたしを|暗《くら》い|所《ところ》に|住《す》まわせました。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わが|霊《れい》はわがうちに|消《き》えうせようとし、 わが|心《こころ》はわがうちに|荒《あ》れさびれています。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはいにしえの|日《ひ》を|思《おも》い|出《だ》し、 あなたが|行《おこな》われたすべての|事《こと》を|考《かんが》え、 あなたのみ|手《て》のわざを|思《おも》います。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたにむかって|手《て》を|伸《の》べ、 わが|魂《たましい》は、かわききった|地《ち》のように あなたを|慕《した》います。〔セラ [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、すみやかにわたしにお|答《こた》えください。 わが|霊《れい》は|衰《おとろ》えます。 わたしにみ|顔《かお》を|隠《かく》さないでください。 さもないと、わたしは|穴《あな》にくだる|者《もの》のように なるでしょう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あしたに、あなたのいつくしみを|聞《き》かせてください。 わたしはあなたに|信頼《しんらい》します。 わが|歩《あゆ》むべき|道《みち》を|教《おし》えてください。 わが|魂《たましい》はあなたを|仰《あお》ぎ|望《のぞ》みます。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをわが|敵《てき》から|助《たす》け|出《だ》してください。 わたしは|避《さ》け|所《どころ》を|得《え》るために あなたのもとにのがれました。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみむねを|行《おこな》うことを|教《おし》えてください。 あなたはわが|神《かみ》です。 |恵《めぐ》みふかい、みたまをもって わたしを|平《たい》らかな|道《みち》に|導《みちび》いてください。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、み|名《な》のために、わたしを|生《い》かし、 あなたの|義《ぎ》によって、 わたしを|悩《なや》みから|救《すく》い|出《だ》してください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたのいつくしみによって、わが|敵《てき》を|断《た》ち、 わがあだをことごとく|滅《ほろ》ぼしてください。 わたしはあなたのしもべです。 [#ここで字下げ終わり] 第一四四篇[#「第一四四篇」は中見出し] [#斜体]ダビデの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|岩《いわ》なる|主《しゅ》はほむべきかな。 |主《しゅ》は、いくさすることをわが|手《て》に|教《おし》え、 |戦《たたか》うことをわが|指《ゆび》に|教《おし》えられます。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわが|岩《いわ》、わが|城《しろ》、 わが|高《たか》きやぐら、わが|救主《すくいぬし》、 わが|盾《たて》、わが|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》です。 |主《しゅ》はもろもろの|民《たみ》をおのれに|従《したが》わせられます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|人《ひと》は|何《なに》ものなので、あなたはこれをかえりみ、 |人《ひと》の|子《こ》は|何《なに》ものなので、 これをみこころに、とめられるのですか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|息《いき》にひとしく、 その|日《ひ》は|過《す》ぎゆく|影《かげ》にひとしいのです。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|天《てん》を|垂《た》れてくだり、 |山《やま》に|触《ふ》れて|煙《けむり》を|出《だ》させてください。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]いなずまを|放《はな》って|彼《かれ》らを|散《ち》らし、 |矢《や》を|放《はな》って|彼《かれ》らを|打《う》ち|敗《やぶ》ってください。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》い|所《ところ》からみ|手《て》を|伸《の》べて、わたしを|救《すく》い、 |大水《おおみず》から、|異邦人《いほうじん》の|手《て》から わたしを|助《たす》け|出《だ》してください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|口《くち》は|偽《いつわ》りを|言《い》い、 その|右《みぎ》の|手《て》は|偽《いつわ》りの|右《みぎ》の|手《て》です。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》よ、わたしは|新《あたら》しい|歌《うた》をあなたにむかって|歌《うた》い、 |十弦《じゅうげん》の|立琴《たてごと》にあわせてあなたをほめ|歌《うた》います。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|王《おう》たちに|勝利《しょうり》を|与《あた》え、 そのしもべダビデを|救《すく》われます。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|残忍《ざんにん》なつるぎから|救《すく》い、 |異邦人《いほうじん》の|手《て》から|助《たす》け|出《だ》してください。 |彼《かれ》らの|口《くち》は|偽《いつわ》りを|言《い》い、 その|右《みぎ》の|手《て》は|偽《いつわ》りの|右《みぎ》の|手《て》です。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]われらのむすこたちはその|若《わか》い|時《とき》、 よく|育《そだ》った|草木《くさき》のようです。 われらの|娘《むすめ》たちは|宮《みや》の|建物《たてもの》のために|刻《きざ》まれた すみの|柱《はしら》のようです。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われらの|倉《くら》は|満《み》ちて|様々《さまざま》の|物《もの》を|備《そな》え、 われらの|羊《ひつじ》は|野《の》でちよろずの|子《こ》を|産《う》み、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]われらの|家畜《かちく》はみごもって|子《こ》を|産《う》むに|誤《あやま》ることなく、 われらのちまたには|悩《なや》みの|叫《さけ》びがありません。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]このような|祝福《しゅくふく》をもつ|民《たみ》はさいわいです。 |主《しゅ》をおのが|神《かみ》とする|民《たみ》はさいわいです。 [#ここで字下げ終わり] 第一四五篇[#「第一四五篇」は中見出し] [#斜体]ダビデのさんびの|歌《うた》[#斜体終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|王《おう》よ、わたしはあなたをあがめ、 |世々《よよ》かぎりなくみ|名《な》をほめまつります。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》ごとにあなたをほめ、 |世々《よよ》かぎりなくみ|名《な》をほめたたえます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|大《おお》いなる|神《かみ》で、 |大《おお》いにほめたたえらるべきです。 その|大《おお》いなることは|測《はか》り|知《し》ることができません。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|代《よ》はかの|代《よ》にむかって あなたのみわざをほめたたえ、 あなたの|大能《たいのう》のはたらきを|宣《の》べ|伝《つた》えるでしょう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|威厳《いげん》の|光栄《こうえい》ある|輝《かがや》きと、 あなたのくすしきみわざとを|深《ふか》く|思《おも》います。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はあなたの|恐《おそ》るべきはたらきの|勢《いきお》いを|語《かた》り、 わたしはあなたの|大《おお》いなることを|宣《の》べ|伝《つた》えます。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたの|豊《ゆた》かな|恵《めぐ》みの|思《おも》い|出《で》を|言《い》いあらわし、 あなたの|義《ぎ》を|喜《よろこ》び|歌《うた》うでしょう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、あわれみに|満《み》ち、 |怒《いか》ることおそく、いつくしみ|豊《ゆた》かです。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべてのものに|恵《めぐ》みがあり、 そのあわれみはすべてのみわざの|上《うえ》にあります。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのすべてのみわざはあなたに|感謝《かんしゃ》し、 あなたの|聖徒《せいと》はあなたをほめまつるでしょう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみ|国《くに》の|栄光《えいこう》を|語《かた》り、あなたのみ|力《ちから》を|宣《の》べ、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|大能《たいのう》のはたらきと、 み|国《くに》の|光栄《こうえい》ある|輝《かがや》きとを|人《ひと》の|子《こ》に|知《し》らせるでしょう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|国《くに》はとこしえの|国《くに》です。 あなたのまつりごとはよろずよに |絶《た》えることはありません。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべて|倒《たお》れんとする|者《もの》をささえ、 すべてかがむ|者《もの》を|立《た》たせられます。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]よろずのものの|目《め》はあなたを|待《ま》ち|望《のぞ》んでいます。 あなたは|時《とき》にしたがって|彼《かれ》らに|食物《しょくもつ》を|与《あた》えられます。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはみ|手《て》を|開《ひら》いて、 すべての|生《い》けるものの|願《ねが》いを|飽《あ》かせられます。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのすべての|道《みち》に|正《ただ》しく、 そのすべてのみわざに|恵《めぐ》みふかく、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すべて|主《しゅ》を|呼《よ》ぶ|者《もの》、|誠《まこと》をもって|主《しゅ》を|呼《よ》ぶ|者《もの》に |主《しゅ》は|近《ちか》いのです。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのれを|恐《おそ》れる|者《もの》の|願《ねが》いを|満《み》たし、 またその|叫《さけ》びを|聞《き》いてこれを|救《すく》われます。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのれを|愛《あい》する|者《もの》をすべて|守《まも》られるが、 |悪《あ》しき|者《もの》をことごとく|滅《ほろ》ぼされます。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わが|口《くち》は|主《しゅ》の|誉《ほまれ》を|語《かた》り、 すべての|肉《にく》なる|者《もの》は|世々《よよ》かぎりなく その|聖《せい》なるみ|名《な》をほめまつるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] 第一四六篇[#「第一四六篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 わが|魂《たましい》よ、|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|生《い》けるかぎりは|主《しゅ》をほめたたえ、 ながらえる|間《あいだ》は、わが|神《かみ》をほめうたおう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|君《きみ》に|信頼《しんらい》してはならない。 |人《ひと》の|子《こ》に|信頼《しんらい》してはならない。 |彼《かれ》らには|助《たす》けがない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|息《いき》が|出《で》ていけば|彼《かれ》は|土《つち》に|帰《かえ》る。 その|日《ひ》には|彼《かれ》のもろもろの|計画《けいかく》は|滅《ほろ》びる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|神《かみ》をおのが|助《たす》けとし、 その|望《のぞ》みをおのが|神《かみ》、|主《しゅ》におく|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|天《てん》と|地《ち》と、|海《うみ》と、 その|中《なか》にあるあらゆるものを|造《つく》り、 とこしえに|真実《しんじつ》を|守《まも》り、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しえたげられる|者《もの》のためにさばきをおこない、 |飢《う》えた|者《もの》に|食物《しょくもつ》を|与《あた》えられる。 |主《しゅ》は|捕《とら》われ|人《びと》を|解《と》き|放《はな》たれる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|盲人《もうじん》の|目《め》を|開《ひら》かれる。 |主《しゅ》はかがむ|者《もの》を|立《た》たせられる。 |主《しゅ》は|正《ただ》しい|者《もの》を|愛《あい》される。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》を|守《まも》り、 みなしごと、やもめとをささえられる。 しかし、|悪《あ》しき|者《もの》の|道《みち》を|滅《ほろ》びに|至《いた》らせられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はとこしえに|統《す》べ|治《おさ》められる。 シオンよ、あなたの|神《かみ》はよろず|代《よ》まで|統《す》べ|治《おさ》められる。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一四七篇[#「第一四七篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 われらの|神《かみ》をほめうたうことはよいことである。 |主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかい。 さんびはふさわしいことである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエルサレムを|築《きず》き、 イスラエルの|追《お》いやられた|者《もの》を|集《あつ》められる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|心《こころ》の|打《う》ち|砕《くだ》かれた|者《もの》をいやし、 その|傷《きず》を|包《つつ》まれる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はもろもろの|星《ほし》の|数《かず》を|定《さだ》め、 すべてそれに|名《な》を|与《あた》えられる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われらの|主《しゅ》は|大《おお》いなる|神《かみ》、 |力《ちから》も|豊《ゆた》かであって、その|知恵《ちえ》ははかりがたい。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はしえたげられた|者《もの》をささえ、 |悪《あ》しき|者《もの》を|地《ち》に|投《な》げ|捨《す》てられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》して|歌《うた》え、 |琴《こと》にあわせてわれらの|神《かみ》をほめうたえ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|雲《くも》をもって|天《てん》をおおい、|地《ち》のために|雨《あめ》を|備《そな》え、 もろもろの|山《やま》に|草《くさ》をはえさせ、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|食物《しょくもつ》を|獣《けもの》に|与《あた》え、 また|鳴《な》く|小《こ》がらすに|与《あた》えられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|馬《うま》の|力《ちから》を|喜《よろこ》ばれず、 |人《ひと》の|足《あし》をよみせられない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのれを|恐《おそ》れる|者《もの》と そのいつくしみを|望《のぞ》む|者《もの》とをよみせられる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、|主《しゅ》をほめたたえよ。 シオンよ、あなたの|神《かみ》をほめたたえよ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたの|門《もん》の|貫《かん》の|木《き》を|堅《かた》くし、 あなたのうちにいる|子《こ》らを|祝福《しゅくふく》されるからである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたの|国境《こっきょう》を|安《やす》らかにし、 |最《もっと》も|良《よ》い|麦《むぎ》をもってあなたを|飽《あ》かせられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|戒《いまし》めを|地《ち》に|下《くだ》される。 そのみ|言葉《ことば》はすみやかに|走《はし》る。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|雪《ゆき》を|羊《ひつじ》の|毛《け》のように|降《ふ》らせ、 |霜《しも》を|灰《はい》のようにまかれる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|氷《こおり》をパンくずのように|投《な》げうたれる。 だれがその|寒《さむ》さに|耐《た》えることができましょうか。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はみ|言葉《ことば》を|下《くだ》してこれを|溶《と》かし、 その|風《かぜ》を|吹《ふ》かせられると、もろもろの|水《みず》は|流《なが》れる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそのみ|言葉《ことば》をヤコブに|示《しめ》し、 そのもろもろの|定《さだ》めと、おきてとを イスラエルに|示《しめ》される。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はいずれの|国民《くにたみ》をも、 このようにはあしらわれなかった。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》のもろもろのおきてを|知《し》らない。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一四八篇[#「第一四八篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 もろもろの|天《てん》から|主《しゅ》をほめたたえよ。 もろもろの|高《たか》き|所《ところ》で|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|天使《てんし》よ、みな|主《しゅ》をほめたたえよ。 その|万軍《ばんぐん》よ、みな|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》よ、|月《つき》よ、|主《しゅ》をほめたたえよ。 |輝《かがや》く|星《ほし》よ、みな|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|天《てん》よ、|天《てん》の|上《うえ》にある|水《みず》よ、 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これらのものに|主《しゅ》のみ|名《な》をほめたたえさせよ、 これらは|主《しゅ》が|命《めい》じられると|造《つく》られたからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれらをとこしえに|堅《かた》く|定《さだ》め、 |越《こ》えることのできないその|境《さかい》を|定《さだ》められた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|獣《けもの》よ、すべての|淵《ふち》よ、|地《ち》から|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》よ、あられよ、|雪《ゆき》よ、|霜《しも》よ、み|言葉《ことば》を|行《おこな》うあらしよ、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|山《やま》、すべての|丘《おか》、 |実《み》を|結《むす》ぶ|木《き》、すべての|香柏《こうはく》よ、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》の|獣《けもの》、すべての|家畜《かちく》、|這《は》うもの、|翼《つばさ》ある|鳥《とり》よ、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|王《おう》たち、すべての|民《たみ》、 |君《きみ》たち、|地《ち》のすべてのつかさよ、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|男子《だんし》、|若《わか》い|女子《じょし》、|老《お》いた|人《ひと》と|幼《おさな》い|者《もの》よ、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをして|主《しゅ》のみ|名《な》をほめたたえさせよ。 そのみ|名《な》は|高《たか》く、たぐいなく、 その|栄光《えいこう》は|地《ち》と|天《てん》の|上《うえ》にあるからである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》のために一つの|角《つの》をあげられた。 これはすべての|聖徒《せいと》のほめたたえるもの、 |主《しゅ》に|近《ちか》いイスラエルの|人々《ひとびと》の ほめたたえるものである。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一四九篇[#「第一四九篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 |主《しゅ》にむかって|新《あたら》しい|歌《うた》をうたえ。 |聖徒《せいと》のつどいで、|主《しゅ》の|誉《ほまれ》を|歌《うた》え。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルにその|造《つく》り|主《ぬし》を|喜《よろこ》ばせ、 シオンの|子《こ》らにその|王《おう》を|喜《よろこ》ばせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|踊《おど》りをもって|主《しゅ》のみ|名《な》をほめたたえさせ、 |鼓《つづみ》と|琴《こと》とをもって|主《しゅ》をほめ|歌《うた》わせよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのが|民《たみ》を|喜《よろこ》び、 へりくだる|者《もの》を|勝利《しょうり》をもって|飾《かざ》られるからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|聖徒《せいと》を|栄光《えいこう》によって|喜《よろこ》ばせ、 その|床《とこ》の|上《うえ》で|喜《よろこ》び|歌《うた》わせよ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そののどには|神《かみ》をあがめる|歌《うた》があり、 その|手《て》にはもろ|刃《は》のつるぎがある。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これはもろもろの|国《くに》にあだを|返《かえ》し、 もろもろの|民《たみ》を|懲《こ》らし、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|王《おう》たちを|鎖《くさり》で|縛《しば》り、 |彼《かれ》らの|貴人《きじん》たちを|鉄《てつ》のかせで|縛《しば》りつけ、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しるされたさばきを|彼《かれ》らに|行《おこな》うためである。 これはそのすべての|聖徒《せいと》に|与《あた》えられる|誉《ほまれ》である。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一五〇篇[#「第一五〇篇」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめたたえよ。 その|聖所《せいじょ》で|神《かみ》をほめたたえよ。 その|力《ちから》のあらわれる|大空《おおぞら》で|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|大能《たいのう》のはたらきのゆえに|主《しゅ》をほめたたえよ。 そのすぐれて|大《おお》いなることのゆえに |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ラッパの|声《こえ》をもって|主《しゅ》をほめたたえよ。 |立琴《たてごと》と|琴《こと》とをもって|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|鼓《つづみ》と|踊《おど》りとをもって|主《しゅ》をほめたたえよ。 |緒琴《おごと》と|笛《ふえ》とをもって|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|音《ね》の|高《たか》いシンバルをもって|主《しゅ》をほめたたえよ。 |鳴《な》りひびくシンバルをもって|主《しゅ》をほめたたえよ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|息《いき》のあるすべてのものに|主《しゅ》をほめたたえさせよ。 |主《しゅ》をほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] 箴言[#「箴言」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|子《こ》、イスラエルの|王《おう》ソロモンの|箴言《しんげん》。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これは|人《ひと》に|知恵《ちえ》と|教訓《きょうくん》とを|知《し》らせ、 |悟《さと》りの|言葉《ことば》をさとらせ、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|行《おこな》いと、|正義《せいぎ》と|公正《こうせい》と |公平《こうへい》の|教訓《きょうくん》をうけさせ、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|思慮《しりょ》のない|者《もの》に|悟《さと》りを|与《あた》え、 |若《わか》い|者《もの》に|知識《ちしき》と|慎《つつし》みを|得《え》させるためである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|者《もの》はこれを|聞《き》いて|学《がく》に|進《すす》み、 さとい|者《もの》は|指導《しどう》を|得《え》る。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はこれによって|箴言《しんげん》と、たとえと、 |賢《かしこ》い|者《もの》の|言葉《ことば》と、そのなぞとを|悟《さと》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|知識《ちしき》のはじめである、 |愚《おろ》かな|者《もの》は|知恵《ちえ》と|教訓《きょうくん》を|軽《かろ》んじる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、あなたは|父《ちち》の|教訓《きょうくん》を|聞《き》き、 |母《はは》の|教《おしえ》を|捨《す》ててはならない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それらは、あなたの|頭《あたま》の|麗《うるわ》しい|冠《かんむり》となり、 あなたの|首《くび》の|飾《かざ》りとなるからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|悪者《わるもの》があなたを|誘《さそ》っても、 それに|従《したが》ってはならない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがあなたに|向《む》かって、「|一緒《いっしょ》に|来《き》なさい。 われわれは|待《ま》ち|伏《ぶ》せして、|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》し、 |罪《つみ》のない|者《もの》を、ゆえなく|伏《ふ》してねらい、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|陰府《よみ》のように、|彼《かれ》らを|生《い》きたままで、のみ|尽《つく》し、 |健《すこ》やかな|者《もの》を、|墓《はか》に|下《くだ》る|者《もの》のようにしよう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われわれは、さまざまの|尊《たっと》い|貨《か》|財《ざい》を|得《え》、 |奪《うば》い|取《と》った|物《もの》で、われわれの|家《いえ》を|満《み》たそう。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたもわれわれの|仲間《なかま》に|加《くわ》わりなさい、 われわれは|共《とも》に一つの|金《かね》|袋《ぶくろ》を|持《も》とう」と|言《い》っても、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|彼《かれ》らの|仲間《なかま》になってはならない、 あなたの|足《あし》をとどめて、|彼《かれ》らの|道《みち》に|行《い》ってはならない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|足《あし》は|悪《あく》に|走《はし》り、 |血《ち》を|流《なが》すことに|速《はや》いからだ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すべて|鳥《とり》の|目《め》の|前《まえ》で |網《あみ》を|張《は》るのは、むだである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|自分《じぶん》の|血《ち》を|待《ま》ち|伏《ぶ》せし、 |自分《じぶん》の|命《いのち》を|伏《ふ》してねらうのだ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すべて|利《り》をむさぼる|者《もの》の|道《みち》はこのようなものである。 これはその|持《も》ち|主《ぬし》の|命《いのち》を|取《と》り|去《さ》るのだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は、ちまたに|呼《よ》ばわり、 |市場《しじょう》にその|声《こえ》をあげ、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|城壁《じょうへき》の|頂《いただき》で|叫《さけ》び、|町《まち》の|門《もん》の|入口《いりぐち》で|語《かた》る。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「|思慮《しりょ》のない|者《もの》たちよ、あなたがたは、いつまで|思慮《しりょ》のないことを|好《この》むのか。 あざける|者《もの》は、いつまで、あざけり|楽《たの》しみ、 |愚《おろ》かな|者《もの》は、いつまで、|知識《ちしき》を|憎《にく》むのか。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|戒《いまし》めに|心《こころ》をとめよ、 |見《み》よ、わたしは|自分《じぶん》の|思《おも》いを、あなたがたに|告《つ》げ、 わたしの|言葉《ことば》を、あなたがたに|知《し》らせる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|呼《よ》んだが、あなたがたは|聞《き》くことを|拒《こば》み、 |手《て》を|伸《の》べたが、|顧《かえり》みる|者《もの》はなく、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]かえって、あなたがたはわたしのすべての|勧《すす》めを|捨《す》て、 わたしの|戒《いまし》めを|受《う》けなかったので、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしもまた、あなたがたが|災《わざわい》にあう|時《とき》に、|笑《わら》い、 あなたがたが|恐慌《きょうこう》にあう|時《とき》、あざけるであろう。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]これは|恐慌《きょうこう》が、あらしのようにあなたがたに|臨《のぞ》み、 |災《わざわい》が、つむじ|風《かぜ》のように|臨《のぞ》み、 |悩《なや》みと|悲《かな》しみとが、あなたがたに|臨《のぞ》む|時《とき》である。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》らはわたしを|呼《よ》ぶであろう、 しかし、わたしは|答《こた》えない。 ひたすら、わたしを|求《もと》めるであろう、 しかし、わたしに|会《あ》えない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|知識《ちしき》を|憎《にく》み、|主《しゅ》を|恐《おそ》れることを|選《えら》ばず、 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|勧《すす》めに|従《したが》わず、 すべての|戒《いまし》めを|軽《かろ》んじたゆえ、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|行《おこな》いの|実《み》を|食《く》らい、 |自分《じぶん》の|計《はか》りごとに|飽《あ》きる。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|思慮《しりょ》のない|者《もの》の|不《ふ》|従順《じゅうじゅん》はおのれを|殺《ころ》し、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|安楽《あんらく》はおのれを|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしに|聞《き》き|従《したが》う|者《もの》は|安《やす》らかに|住《す》まい、 |災《わざわい》に|会《あ》う|恐《おそ》れもなく、|安全《あんぜん》である」。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、もしあなたが わたしの|言葉《ことば》を|受《う》け、 わたしの|戒《いまし》めを、あなたの|心《こころ》におさめ、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|耳《みみ》を|知恵《ちえ》に|傾《かたむ》け、 あなたの|心《こころ》を|悟《さと》りに|向《む》け、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかも、もし|知識《ちしき》を|呼《よ》び|求《もと》め、 |悟《さと》りを|得《え》ようと、あなたの|声《こえ》をあげ、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》を|求《もと》めるように、これを|求《もと》め、 かくれた|宝《たから》を|尋《たず》ねるように、これを|尋《たず》ねるならば、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|主《しゅ》を|恐《おそ》れることを|悟《さと》り、 |神《かみ》を|知《し》ることができるようになる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これは、|主《しゅ》が|知恵《ちえ》を|与《あた》え、 |知識《ちしき》と|悟《さと》りとは、み|口《くち》から|出《で》るからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|正《ただ》しい|人《ひと》のために、|確《たし》かな|知恵《ちえ》をたくわえ、 |誠実《せいじつ》に|歩《あゆ》む|者《もの》の|盾《たて》となって、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|公正《こうせい》の|道《みち》を|保《たも》ち、その|聖徒《せいと》たちの|道筋《みちすじ》を|守《まも》られる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、あなたは、ついに|正義《せいぎ》と|公正《こうせい》、 |公平《こうへい》とすべての|良《よ》い|道《みち》を|悟《さと》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これは|知恵《ちえ》が、あなたの|心《こころ》にはいり、 |知識《ちしき》があなたの|魂《たましい》に|楽《たの》しみとなるからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|慎《つつし》みはあなたを|守《まも》り、 |悟《さと》りはあなたを|保《たも》って、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》の|道《みち》からあなたを|救《すく》い、 |偽《いつわ》りをいう|者《もの》から|救《すく》う。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|正《ただ》しい|道《みち》を|離《はな》れて、|暗《くら》い|道《みち》に|歩《あゆ》み、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》うことを|楽《たの》しみ、|悪人《あくにん》の|偽《いつわ》りを|喜《よろこ》び、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|道《みち》は|曲《まが》り、その|行《おこな》いは、よこしまである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|慎《つつし》みと|悟《さと》りはまたあなたを|遊女《ゆうじょ》から|救《すく》い、 |言葉《ことば》の|巧《たく》みな、みだらな|女《おんな》から|救《すく》う。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|若《わか》い|時《とき》の|友《とも》を|捨《す》て、 その|神《かみ》に|契約《けいやく》したことを|忘《わす》れている。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》は|死《し》に|下《くだ》り、その|道《みち》は|陰府《よみ》におもむく。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すべて|彼女《かのじょ》のもとへ|行《い》く|者《もの》は、|帰《かえ》らない、 また|命《いのち》の|道《みち》にいたらない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして、あなたは|善良《ぜんりょう》な|人々《ひとびと》の|道《みち》に|歩《あゆ》み、 |正《ただ》しい|人々《ひとびと》の|道《みち》を|守《まも》ることができる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|地《ち》にながらえ、 |誠実《せいじつ》な|人《ひと》は|地《ち》にとどまる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|悪《あ》しき|者《もの》は|地《ち》から|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされ、 |不信実《ふしんじつ》な|者《もの》は|地《ち》から|抜《ぬ》き|捨《す》てられる。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、わたしの|教《おしえ》を|忘《わす》れず、 わたしの|戒《いまし》めを|心《こころ》にとめよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、これはあなたの|日《ひ》を|長《なが》くし、 |命《いのち》の|年《とし》を|延《の》べ、あなたに|平安《へいあん》を|増《ま》し|加《くわ》える。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]いつくしみと、まこととを|捨《す》ててはならない、 それをあなたの|首《くび》に|結《むす》び、|心《こころ》の|碑《ひ》にしるせ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたは|神《かみ》と|人《ひと》との|前《まえ》に |恵《めぐ》みと、|誉《ほまれ》とを|得《え》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》をつくして|主《しゅ》に|信頼《しんらい》せよ、 |自分《じぶん》の|知識《ちしき》にたよってはならない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すべての|道《みち》で|主《しゅ》を|認《みと》めよ、 そうすれば、|主《しゅ》はあなたの|道《みち》をまっすぐにされる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》を|見《み》て|賢《かしこ》いと|思《おも》ってはならない、 |主《しゅ》を|恐《おそ》れて、|悪《あく》を|離《はな》れよ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたの|身《み》を|健《すこ》やかにし、 あなたの|骨《ほね》に|元気《げんき》を|与《あた》える。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|財産《ざいさん》と、 すべての|産物《さんぶつ》の|初《はつ》なりをもって|主《しゅ》をあがめよ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたの|倉《くら》は|満《み》ちて|余《あま》り、 あなたの|酒《さか》ぶねは|新《あたら》しい|酒《さけ》であふれる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|主《しゅ》の|懲《こら》しめを|軽《かろ》んじてはならない、 その|戒《いまし》めをきらってはならない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、|愛《あい》する|者《もの》を、|戒《いまし》められるからである、 あたかも|父《ちち》がその|愛《あい》する|子《こ》を|戒《いまし》めるように。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》を|求《もと》めて|得《え》る|人《ひと》、 |悟《さと》りを|得《え》る|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》によって|得《え》るものは、 |銀《ぎん》によって|得《え》るものにまさり、 その|利益《りえき》は|精《せい》|金《きん》よりも|良《よ》いからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は|宝石《ほうせき》よりも|尊《たっと》く、 あなたの|望《のぞ》む|何《なに》|物《もの》も、これと|比《くら》べるに|足《た》りない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|右《みぎ》の|手《て》には|長寿《ちょうじゅ》があり、 |左《ひだり》の|手《て》には|富《とみ》と、|誉《ほまれ》がある。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|道《みち》は|楽《たの》しい|道《みち》であり、 その|道《みち》|筋《すじ》はみな|平安《へいあん》である。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は、これを|捕《とら》える|者《もの》には|命《いのち》の|木《き》である、 これをしっかり|捕《とら》える|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|知恵《ちえ》をもって|地《ち》の|基《もとい》をすえ、 |悟《さと》りをもって|天《てん》を|定《さだ》められた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|知識《ちしき》によって|海《うみ》はわきいで、|雲《くも》は|露《つゆ》をそそぐ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|確《たし》かな|知恵《ちえ》と、|慎《つつし》みとを|守《まも》って、 それをあなたの|目《め》から|離《はな》してはならない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それはあなたの|魂《たましい》の|命《いのち》となり あなたの|首《くび》の|飾《かざ》りとなる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうして、あなたは|安《やす》らかに|自分《じぶん》の|道《みち》を|行《い》き、 あなたの|足《あし》はつまずくことがない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|座《ざ》しているとき、|恐《おそ》れることはなく、 |伏《ふ》すとき、あなたの|眠《ねむ》りはここちよい。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはにわかに|起《おこ》る|恐怖《きょうふ》を|恐《おそ》れることなく、 |悪《あ》しき|者《もの》の|滅《ほろ》びが|来《き》ても、それを|恐《おそ》れることはない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これは、|主《しゅ》があなたの|信頼《しんらい》する|者《もの》であり、 あなたの|足《あし》を|守《まも》って、 わなに|捕《とら》われさせられないからである。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|手《て》に|善《ぜん》をなす|力《ちから》があるならば、 これをなすべき|人《ひと》になすことを さし|控《ひか》えてはならない。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|物《もの》を|持《も》っている|時《とき》、その|隣《とな》り|人《びと》に|向《む》かい、 「|去《さ》って、また|来《き》なさい。 あす、それをあげよう」と|言《い》ってはならない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|隣《とな》り|人《びと》がかたわらに|安《やす》らかに|住《す》んでいる|時《とき》、 これに|向《む》かって、|悪《あく》を|計《はか》ってはならない。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》があなたに|悪《あく》を|行《おこな》ったのでなければ、 ゆえなく、これと|争《あらそ》ってはならない。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|暴虐《ぼうぎゃく》な|人《ひと》を、うらやんではならない、 そのすべての|道《みち》を|選《えら》んではならない。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]よこしまな|者《もの》は|主《しゅ》に|憎《にく》まれるからである、 しかし、|正《ただ》しい|者《もの》は|主《しゅ》に|信任《しんにん》される。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の、のろいは|悪《あ》しき|者《もの》の|家《いえ》にある、 しかし、|正《ただ》しい|人《ひと》のすまいは|主《しゅ》に|恵《めぐ》まれる。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はあざける|者《もの》をあざけり、 へりくだる|者《もの》に|恵《めぐ》みを|与《あた》えられる。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》は、|誉《ほまれ》を|得《え》る、 しかし、|愚《おろ》かな|者《もの》ははずかしめを|得《え》る。 [#ここで字下げ終わり] 第四章[#「第四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|子供《こども》らよ、|父《ちち》の|教《おしえ》を|聞《き》き、 |悟《さと》りを|得《え》るために|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|良《よ》い|教訓《きょうくん》を、あなたがたにさずける。 わたしの|教《おしえ》を|捨《す》ててはならない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしもわが|父《ちち》には|子《こ》であり、 わが|母《はは》の|目《め》には、ひとりのいとし|子《こ》であった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》はわたしを|教《おし》えて|言《い》った、 「わたしの|言葉《ことば》を、|心《こころ》に|留《と》め、 わたしの|戒《いまし》めを|守《まも》って、|命《いのち》を|得《え》よ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それを|忘《わす》れることなく、 またわが|口《くち》の|言葉《ことば》にそむいてはならない、 |知恵《ちえ》を|得《え》よ、|悟《さと》りを|得《え》よ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》を|捨《す》てるな、それはあなたを|守《まも》る。 それを|愛《あい》せよ、それはあなたを|保《たも》つ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》の|初《はじ》めはこれである、|知恵《ちえ》を|得《え》よ、 あなたが|何《なに》を|得《え》るにしても、|悟《さと》りを|得《え》よ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それを|尊《たっと》べ、そうすれば、それはあなたを|高《たか》くあげる、 もしそれをいだくならば、それはあなたを|尊《たっと》くする。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それはあなたの|頭《あたま》に|麗《うるわ》しい|飾《かざ》りを|置《お》き、 |栄《さか》えの|冠《かんむり》をあなたに|与《あた》える」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|聞《き》け、わたしの|言葉《ことば》をうけいれよ、 そうすれば、あなたの|命《いのち》の|年《とし》は|多《おお》くなる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知恵《ちえ》の|道《みち》をあなたに|教《おし》え、 |正《ただ》しい|道筋《みちすじ》にあなたを|導《みちび》いた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|歩《ある》くとき、その|歩《あゆ》みは|妨《さまた》げられず、 |走《はし》る|時《とき》にも、つまずくことはない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|教訓《きょうくん》をかたくとらえて、|離《はな》してはならない、 それを|守《まも》れ、それはあなたの|命《いのち》である。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]よこしまな|者《もの》の|道《みち》に、はいってはならない、 |悪《あ》しき|者《もの》の|道《みち》を|歩《あゆ》んではならない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それを|避《さ》けよ、|通《とお》ってはならない、 それを|離《はな》れて|進《すす》め。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|悪《あく》を|行《おこな》わなければ|眠《ねむ》ることができず、 |人《ひと》をつまずかせなければ、|寝《ね》ることができず、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|不正《ふせい》のパンを|食《く》らい、|暴虐《ぼうぎゃく》の|酒《さけ》を|飲《の》むからである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|道《みち》は、|夜明《よあ》けの|光《ひかり》のようだ、 いよいよ|輝《かがや》きを|増《ま》して|真昼《まひる》となる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|人《ひと》の|道《みち》は|暗《くら》やみのようだ、 |彼《かれ》らは|何《なに》につまずくかを|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、わたしの|言葉《ことば》に|心《こころ》をとめ、 わたしの|語《かた》ることに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それを、あなたの|目《め》から|離《はな》さず、 あなたの|心《こころ》のうちに|守《まも》れ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それは、これを|得《え》る|者《もの》の|命《いのち》であり、 またその|全身《ぜんしん》を|健《すこ》やかにするからである。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|油断《ゆだん》することなく、あなたの|心《こころ》を|守《まも》れ、 |命《いのち》の|泉《いずみ》は、これから|流《なが》れ|出《で》るからである。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|曲《まが》った|言葉《ことば》をあなたから|捨《す》てさり、 よこしまな|談話《だんわ》をあなたから|遠《とお》ざけよ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》は、まっすぐに|正面《しょうめん》を|見《み》、 あなたのまぶたはあなたの|前《まえ》を、まっすぐに|見《み》よ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|足《あし》の|道《みち》に|気《き》をつけよ、 そうすれば、あなたのすべての|道《みち》は|安全《あんぜん》である。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|右《みぎ》にも|左《ひだり》にも|迷《まよ》い|出《で》てはならない、 あなたの|足《あし》を|悪《あく》から|離《はな》れさせよ。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、わたしの|知恵《ちえ》に|心《こころ》をとめ、 わたしの|悟《さと》りに|耳《みみ》をかたむけよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これは、あなたが|慎《つつし》みを|守《まも》り、 あなたのくちびるに|知識《ちしき》を|保《たも》つためである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|遊女《ゆうじょ》のくちびるは|蜜《みつ》をしたたらせ、 その|言葉《ことば》は|油《あぶら》よりもなめらかである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかしついには、|彼女《かのじょ》はにがよもぎのように|苦《にが》く、 もろ|刃《は》のつるぎのように|鋭《するど》くなる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|足《あし》は|死《し》に|下《くだ》り、 その|歩《あゆ》みは|陰府《よみ》の|道《みち》におもむく。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はいのちの|道《みち》に|心《こころ》をとめず、 その|道《みち》は|人《ひと》を|迷《まよ》わすが、|彼女《かのじょ》はそれを|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|子供《こども》らよ、|今《いま》わたしの|言《い》うことを|聞《き》け、 わたしの|口《くち》の|言葉《ことば》から、|離《はな》れ|去《さ》ってはならない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|道《みち》を|彼女《かのじょ》から|遠《とお》く|離《はな》し、 その|家《いえ》の|門《もん》に|近《ちか》づいてはならない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]おそらくはあなたの|誉《ほまれ》を|他人《たにん》にわたし、 あなたの|年《とし》を|無慈悲《むじひ》な|者《もの》にわたすに|至《いた》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]おそらくは|他人《たにん》があなたの|資産《しさん》によって|満《み》たされ、 あなたの|労苦《ろうく》は|他人《たにん》の|家《いえ》に|行《い》く。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたの|終《おわ》りが|来《き》て、 あなたの|身《み》と、からだが|滅《ほろ》びるとき、|泣《な》き|悲《かな》しんで、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》うであろう、「わたしは|教訓《きょうくん》をいとい、 |心《こころ》に|戒《いまし》めを|軽《かろ》んじ、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|教師《きょうし》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、 わたしを|教《おし》える|者《もの》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|集《あつ》まりの|中《なか》、|会衆《かいしゅう》のうちにあって、 わたしは、|破滅《はめつ》に|陥《おちい》りかけた」と。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|水《みず》ためから|水《みず》を|飲《の》み、 |自分《じぶん》の|井戸《いど》から、わき|出《で》す|水《みず》を|飲《の》むがよい。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|泉《いずみ》を、|外《そと》にまきちらし、 |水《みず》の|流《なが》れを、ちまたに|流《なが》してよかろうか。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それを|自分《じぶん》だけのものとし、 |他人《たにん》を|共《とも》にあずからせてはならない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|泉《いずみ》に|祝福《しゅくふく》を|受《う》けさせ、 あなたの|若《わか》い|時《とき》の|妻《つま》を|楽《たの》しめ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|愛《あい》らしい|雌《め》じか、|美《うつく》しいしかのようだ。 いつも、その|乳《ち》ぶさをもって|満足《まんぞく》し、 その|愛《あい》をもって|常《つね》に|喜《よろこ》べ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、どうして|遊女《ゆうじょ》に|迷《まよ》い、 みだらな|女《おんな》の|胸《むね》をいだくのか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|道《みち》は|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》にあり、 |主《しゅ》はすべて、その|行《おこな》いを|見守《みまも》られる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|自分《じぶん》のとがに|捕《とら》えられ、 |自分《じぶん》の|罪《つみ》のなわにつながれる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、|教訓《きょうくん》がないために|死《し》に、 その|愚《おろ》かさの|大《おお》きいことによって|滅《ほろ》びる。 [#ここで字下げ終わり] 第六章[#「第六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、あなたがもし |隣《とな》り|人《びと》のために|保証人《ほしょうにん》となり、 |他人《たにん》のために|手《て》をうって|誓《ちか》ったならば、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたのくちびるの|言葉《ことば》によって、わなにかかり、 あなたの|口《くち》の|言葉《ことば》によって|捕《とら》えられたならば、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、その|時《とき》はこうして、おのれを|救《すく》え、 あなたは|隣《とな》り|人《びと》の|手《て》に|陥《おちい》ったのだから。 |急《いそ》いで|行《い》って、|隣《とな》り|人《びと》にひたすら|求《もと》めよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》を|眠《ねむ》らせず、 あなたのまぶたを、まどろませず、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]かもしかが、かりゅうどの|手《て》からのがれるように、 |鳥《とり》が|鳥《とり》を|取《と》る|者《もの》の|手《て》からのがれるように、 おのれを|救《すく》え。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》よ、ありのところへ|行《い》き、 そのすることを|見《み》て、|知恵《ちえ》を|得《え》よ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ありは、かしらなく、つかさなく、|王《おう》もないが、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|夏《なつ》のうちに|食物《しょくもつ》をそなえ、 |刈入《かりい》れの|時《とき》に、かてを|集《あつ》める。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》よ、いつまで|寝《ね》ているのか、 いつ|目《め》をさまして|起《お》きるのか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しばらく|眠《ねむ》り、しばらくまどろみ、 |手《て》をこまぬいて、またしばらく|休《やす》む。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|貧《まず》しさは|盗《ぬす》びとのようにあなたに|来《きた》り、 |乏《とぼ》しさは、つわもののようにあなたに|来《く》る。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]よこしまな|人《ひと》、|悪《あ》しき|人《ひと》は |偽《いつわ》りの|言葉《ことば》をもって|行《い》きめぐり、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》でめくばせし、|足《あし》で|踏《ふ》み|鳴《な》らし、|指《ゆび》で|示《しめ》し、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]よこしまな|心《こころ》をもって|悪《あく》を|計《はか》り、 |絶《た》えず|争《あらそ》いをおこす。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|災《わざわい》は、にわかに|彼《かれ》に|臨《のぞ》み、 たちまちにして|打《う》ち|敗《やぶ》られ、|助《たす》かることはない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|憎《にく》まれるものが六つある、 |否《いな》、その|心《こころ》に、|忌《い》みきらわれるものが七つある。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、|高《たか》ぶる|目《め》、|偽《いつわ》りを|言《い》う|舌《した》、 |罪《つみ》なき|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》す|手《て》、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|計《はか》りごとをめぐらす|心《こころ》、 すみやかに|悪《あく》に|走《はし》る|足《あし》、 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りをのべる|証人《しょうにん》、 また|兄弟《きょうだい》のうちに|争《あらそ》いをおこす|人《ひと》がこれである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、あなたの|父《ちち》の|戒《いまし》めを|守《まも》り、 あなたの|母《はは》の|教《おしえ》を|捨《す》てるな。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]つねに、これをあなたの|心《こころ》に|結《むす》び、 あなたの|首《くび》のまわりにつけよ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これは、あなたが|歩《ある》くとき、あなたを|導《みちび》き、 あなたが|寝《ね》るとき、あなたを|守《まも》り、 あなたが|目《め》ざめるとき、あなたと|語《かた》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|戒《いまし》めはともしびである、|教《おしえ》は|光《ひかり》である、 |教訓《きょうくん》の|懲《こら》しめは|命《いのち》の|道《みち》である。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これは、あなたを|守《まも》って、|悪《わる》い|女《おんな》に|近《ちか》づかせず、 みだらな|女《おんな》の、|巧《たく》みな|舌《した》に|惑《まど》わされぬようにする。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》の|麗《うるわ》しさを|心《こころ》に|慕《した》ってはならない、 そのまぶたに|捕《とら》えられてはならない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|遊女《ゆうじょ》は|一《いっ》|塊《かい》のパンのために|雇《やと》われる、 しかし、みだらな|女《おんな》は|人《ひと》の|尊《たっと》い|命《いのち》を|求《もと》める。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|火《ひ》を、そのふところにいだいて その|着物《きもの》が|焼《や》かれないであろうか。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]また|人《ひと》は、|熱《あつ》い|火《ひ》を|踏《ふ》んで、 その|足《あし》が、|焼《や》かれないであろうか。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|隣《となり》の|妻《つま》と|不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》も、それと|同《おな》じだ。 すべて|彼女《かのじょ》に|触《ふ》れる|者《もの》は|罰《ばつ》を|免《まぬか》れることはできない。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|盗《ぬす》びとが|飢《う》えたとき、 その|飢《う》えを|満《み》たすために|盗《ぬす》むならば、 |人《ひと》は|彼《かれ》を|軽《かろ》んじないであろうか。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]もし|捕《とら》えられたなら、その七|倍《ばい》を|償《つぐな》い、 その|家《いえ》の|貨《か》|財《ざい》を、ことごとく|出《だ》さなければならない。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》と|姦淫《かんいん》を|行《おこな》う|者《もの》は|思慮《しりょ》がない。 これを|行《おこな》う|者《もの》はおのれを|滅《ほろ》ぼし、 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|傷《きず》と、はずかしめとを|受《う》けて、 その|恥《はじ》をすすぐことができない。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ねたみは、その|夫《おっと》を|激《はげ》しく|怒《いか》らせるゆえ、 |恨《うら》みを|報《むく》いるとき、|容赦《ようしゃ》することはない。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]どのようなあがない|物《もの》をも|顧《かえり》みず、 |多《おお》くの|贈《おく》り|物《もの》をしても、|和《やわ》らがない。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、わたしの|言葉《ことば》を|守《まも》り、 わたしの|戒《いまし》めをあなたの|心《こころ》にたくわえよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|戒《いまし》めを|守《まも》って|命《いのち》を|得《え》よ、 わたしの|教《おしえ》を|守《まも》ること、ひとみを|守《まも》るようにせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これをあなたの|指《ゆび》にむすび、 これをあなたの|心《こころ》の|碑《いしぶみ》にしるせ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》に|向《む》かって、「あなたはわが|姉妹《しまい》だ」と|言《い》い、 |悟《さと》りに|向《む》かっては、あなたの|友《とも》と|呼《よ》べ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、これはあなたを|守《まも》って|遊女《ゆうじょ》に|迷《まよ》わせず、 |言葉《ことば》|巧《たく》みな、みだらな|女《おんな》に|近《ちか》づかせない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|家《いえ》の|窓《まど》により、 |格子《こうし》|窓《まど》から|外《そと》をのぞいて、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|思慮《しりょ》のない|者《もの》のうちに、|若《わか》い|者《もの》のうちに、 ひとりの|知恵《ちえ》のない|若者《わかもの》のいるのを|見《み》た。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はちまたを|過《す》ぎ、|女《おんな》の|家《いえ》に|行《い》く|曲《まが》りかどに|近《ちか》づき、 その|家《いえ》に|行《い》く|道《みち》を、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]たそがれに、よいに、 また|夜中《よなか》に、また|暗《くら》やみに|歩《ある》いていった。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|遊女《ゆうじょ》の|装《よそお》いをした|陰険《いんけん》な|女《おんな》が|彼《かれ》に|会《あ》う。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]この|女《おんな》は、|騒《さわ》がしくて、|慎《つつし》みなく、 その|足《あし》は|自分《じぶん》の|家《いえ》にとどまらず、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ある|時《とき》はちまたにあり、ある|時《とき》は|市場《いちば》にあり、 すみずみに|立《た》って|人《ひと》をうかがう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|女《おんな》は|彼《かれ》を|捕《とら》えて|口《くち》づけし、 |恥《はじ》しらぬ|顔《かお》で|彼《かれ》に|言《い》う、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげなければならなかったが、 きょう、その|誓《ちか》いを|果《はた》しました。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはあなたを|迎《むか》えようと|出《で》て、 あなたを|尋《たず》ね、あなたに|会《あ》いました。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|床《とこ》に|美《うつく》しい、しとねと、 エジプトのあや|布《ぬの》を|敷《し》き、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|没薬《もつやく》、ろかい、|桂皮《けいひ》をもって わたしの|床《とこ》をにおわせました。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]さあ、わたしたちは|夜《よる》が|明《あ》けるまで、 |情《じょう》をつくし、|愛《あい》をかわして|楽《たの》しみましょう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|夫《おっと》は|家《いえ》にいません、 |遠《とお》くへ|旅立《たびだ》ち、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|手《て》に|金《かね》|袋《ぶくろ》を|持《も》って|出《で》ました。 |満月《まんげつ》になるまでは|帰《かえ》りません」と。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》が|多《おお》くの、なまめかしい|言葉《ことば》をもって|彼《かれ》を|惑《まど》わし、 |巧《たく》みなくちびるをもって、いざなうと、 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|人《ひと》は|直《ただ》ちに|女《おんな》に|従《したが》った、 あたかも|牛《うし》が、ほふり|場《ば》に|行《い》くように、 |雄《お》じかが、すみやかに|捕《とら》えられ、 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ついに、|矢《や》がその|内臓《ないぞう》を|突《つ》き|刺《さ》すように、 |鳥《とり》がすみやかに|網《あみ》にかかるように、 |彼《かれ》は|自分《じぶん》が|命《いのち》を|失《うしな》うようになることを|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|子供《こども》らよ、|今《いま》わたしの|言《い》うことを|聞《き》き、 わが|口《くち》の|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|心《こころ》を|彼女《かのじょ》の|道《みち》に|傾《かたむ》けてはならない、 またその|道《みち》に|迷《まよ》ってはならない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|多《おお》くの|人《ひと》を|傷《きず》つけて|倒《たお》した、 まことに、|彼女《かのじょ》に|殺《ころ》された|者《もの》は|多《おお》い。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》は|陰府《よみ》へ|行《い》く|道《みち》であって、 |死《し》のへやへ|下《くだ》って|行《い》く。 [#ここで字下げ終わり] 第八章[#「第八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は|呼《よ》ばわらないのか、 |悟《さと》りは|声《こえ》をあげないのか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これは|道《みち》のほとりの|高《たか》い|所《ところ》の|頂《いただき》、 また、ちまたの|中《なか》に|立《た》ち、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|入口《いりぐち》にあるもろもろの|門《もん》のかたわら、 |正門《せいもん》の|入口《いりぐち》で|呼《よ》ばわって|言《い》う、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|人々《ひとびと》よ、わたしはあなたがたに|呼《よ》ばわり、 |声《こえ》をあげて|人《ひと》の|子《こ》らを|呼《よ》ぶ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|思慮《しりょ》のない|者《もの》よ、|悟《さと》りを|得《え》よ、 |愚《おろ》かな|者《もの》よ、|知恵《ちえ》を|得《え》よ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》け、わたしは|高貴《こうき》な|事《こと》を|語《かた》り、 わがくちびるは|正《ただ》しい|事《こと》を|語《かた》り|出《だ》す。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|口《くち》は|真実《しんじつ》を|述《の》べ、 わがくちびるは|悪《あ》しき|事《こと》を|憎《にく》む。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|口《くち》の|言葉《ことば》はみな|正《ただ》しい、 そのうちに|偽《いつわ》りと、よこしまはない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これはみな、さとき|者《もの》の|明《あき》らかにするところ、 |知識《ちしき》を|得《え》る|者《もの》の|正《ただ》しとするところである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|銀《ぎん》を|受《う》けるよりも、わたしの|教《おしえ》を|受《う》けよ、 |精《せい》|金《きん》よりも、むしろ|知識《ちしき》を|得《え》よ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は|宝石《ほうせき》にまさり、 あなたがたの|望《のぞ》むすべての|物《もの》は、 これと|比《くら》べるにたりない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》であるわたしは|悟《さと》りをすみかとし、 |知識《ちしき》と|慎《つつし》みとをもつ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れるとは|悪《あく》を|憎《にく》むことである。 わたしは|高《たか》ぶりと、おごりと、|悪《あ》しき|道《みち》と、 |偽《いつわ》りの|言葉《ことば》とを|憎《にく》む。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|計《はか》りごとと、|確《たし》かな|知恵《ちえ》とは、わたしにある、 わたしには|悟《さと》りがあり、わたしには|力《ちから》がある。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしによって、|王《おう》たる|者《もの》は|世《よ》を|治《おさ》め、 |君《きみ》たる|者《もの》は|正《ただ》しい|定《さだ》めを|立《た》てる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしによって、|主《しゅ》たる|者《もの》は|支配《しはい》し、 つかさたる|者《もの》は|地《ち》を|治《おさ》める。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしを|愛《あい》する|者《もの》を|愛《あい》する、 わたしをせつに|求《もと》める|者《もの》は、わたしに|出会《であ》う。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|富《とみ》と|誉《ほまれ》とはわたしにあり、 すぐれた|宝《たから》と|繁栄《はんえい》もまたそうである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|実《み》は|金《きん》よりも|精《せい》|金《きん》よりも|良《よ》く、 わたしの|産物《さんぶつ》は|精《せい》|銀《ぎん》にまさる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|正義《せいぎ》の|道《みち》、|公正《こうせい》な|道筋《みちすじ》の|中《なか》を|歩《あゆ》み、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|愛《あい》する|者《もの》に|宝《たから》を|得《え》させ、 またその|倉《くら》を|満《み》ちさせる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|昔《むかし》そのわざをなし|始《はじ》められるとき、 そのわざの|初《はじ》めとして、わたしを|造《つく》られた。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]いにしえ、|地《ち》のなかった|時《とき》、 |初《はじ》めに、わたしは|立《た》てられた。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]まだ|海《うみ》もなく、また|大《おお》いなる|水《みず》の|泉《いずみ》もなかった|時《とき》、 わたしはすでに|生《うま》れ、 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》もまだ|定《さだ》められず、|丘《おか》もまだなかった|時《とき》、 わたしはすでに|生《うま》れた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|神《かみ》がまだ|地《ち》をも|野《の》をも、 |地《ち》のちりのもとをも|造《つく》られなかった|時《とき》である。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|天《てん》を|造《つく》り、|海《うみ》のおもてに、|大空《おおぞら》を|張《は》られたとき、 わたしはそこにあった。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|上《うえ》に|空《そら》を|堅《かた》く|立《た》たせ、 |淵《ふち》の|泉《いずみ》をつよく|定《さだ》め、 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》にその|限界《げんかい》をたて、 |水《みず》にその|岸《きし》を|越《こ》えないようにし、 また|地《ち》の|基《もとい》を|定《さだ》められたとき、 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、そのかたわらにあって、|名匠《めいしょう》となり、 |日々《ひび》に|喜《よろこ》び、|常《つね》にその|前《まえ》に|楽《たの》しみ、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》で|楽《たの》しみ、 また|世《よ》の|人《ひと》を|喜《よろこ》んだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|子供《こども》らよ、|今《いま》わたしの|言《い》うことを|聞《き》け、 わたしの|道《みち》を|守《まも》る|者《もの》はさいわいである。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|教訓《きょうくん》を|聞《き》いて、|知恵《ちえ》を|得《え》よ、 これを|捨《す》ててはならない。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|言《い》うことを|聞《き》き、 |日々《ひび》わたしの|門《もん》のかたわらでうかがい、 わたしの|戸口《とぐち》の|柱《はしら》のわきで|待《ま》つ|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]それは、わたしを|得《え》る|者《もの》は|命《いのち》を|得《え》、 |主《しゅ》から|恵《めぐ》みを|得《え》るからである。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|失《うしな》う|者《もの》は|自分《じぶん》の|命《いのち》をそこなう、 すべてわたしを|憎《にく》む|者《もの》は|死《し》を|愛《あい》する|者《もの》である」。 [#ここで字下げ終わり] 第九章[#「第九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は|自分《じぶん》の|家《いえ》を|建《た》て、 その七つの|柱《はしら》を|立《た》て、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|獣《けもの》をほふり、|酒《さけ》を|混《ま》ぜ|合《あ》わせて、 ふるまいを|備《そな》え、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]はしためをつかわして、 |町《まち》の|高《たか》い|所《ところ》で|呼《よ》ばわり|言《い》わせた、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|思慮《しりょ》のない|者《もの》よ、ここに|来《きた》れ」と。 また、|知恵《ちえ》のない|者《もの》に|言《い》う、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「|来《き》て、わたしのパンを|食《た》べ、 わたしの|混《ま》ぜ|合《あ》わせた|酒《さけ》をのみ、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|思慮《しりょ》のないわざを|捨《す》てて|命《いのち》を|得《え》、 |悟《さと》りの|道《みち》を|歩《あゆ》め」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あざける|者《もの》を|戒《いまし》める|者《もの》は、|自《みずか》ら|恥《はじ》を|得《え》、 |悪《あ》しき|者《もの》を|責《せ》める|者《もの》は|自《みずか》ら|傷《きず》を|受《う》ける。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あざける|者《もの》を|責《せ》めるな、 おそらく|彼《かれ》はあなたを|憎《にく》むであろう。 |知恵《ちえ》ある|者《もの》を|責《せ》めよ、|彼《かれ》はあなたを|愛《あい》する。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》に|教訓《きょうくん》を|授《さづ》けよ、 |彼《かれ》はますます|知恵《ちえ》を|得《え》る。 |正《ただ》しい|者《もの》を|教《おし》えよ、|彼《かれ》は|学《がく》に|進《すす》む。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|知恵《ちえ》のもとである、 |聖《せい》なる|者《もの》を|知《し》ることは、|悟《さと》りである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしによって、あなたの|日《ひ》は|多《おお》くなり、 あなたの|命《いのち》の|年《とし》は|増《ま》す。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたに|知恵《ちえ》があるならば、 あなた|自身《じしん》のために|知恵《ちえ》があるのである。 もしあなたがあざけるならば、 あなたひとりがその|責《せ》めを|負《お》うことになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|女《おんな》は、|騒《さわ》がしく、みだらで、|恥《はじ》を|知《し》らない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はその|家《いえ》の|戸口《とぐち》に|座《ざ》し、 |町《まち》の|高《たか》い|所《ところ》にある|座《ざ》にすわり、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|道《みち》を|急《いそ》ぐ|行《い》き|来《き》の|人《ひと》を|招《まね》いて|言《い》う、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「|思慮《しりょ》のない|者《もの》よ、ここに|来《きた》れ」と。 また|知恵《ちえ》のない|人《ひと》に|向《む》かってこれに|言《い》う、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「|盗《ぬす》んだ|水《みず》は|甘《あま》く、 ひそかに|食《た》べるパンはうまい」と。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|人《ひと》は、|死《し》の|影《かげ》がそこにあることを|知《し》らず、 |彼女《かのじょ》の|客《きゃく》は|陰府《よみ》の|深《ふか》みにおることを|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|箴言《しんげん》。 |知恵《ちえ》ある|子《こ》は|父《ちち》を|喜《よろこ》ばせ、 |愚《おろ》かな|子《こ》は|母《はは》の|悲《かな》しみとなる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|不義《ふぎ》の|宝《たから》は|益《えき》なく、 |正義《せいぎ》は|人《ひと》を|救《すく》い|出《だ》して、|死《し》を|免《まぬか》れさせる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|正《ただ》しい|人《ひと》を|飢《う》えさせず、 |悪《あ》しき|者《もの》の|欲望《よくぼう》をくじかれる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|手《て》を|動《うご》かすことを|怠《おこた》る|者《もの》は|貧《まず》しくなり、 |勤《つと》め|働《はたら》く|者《もの》の|手《て》は|富《とみ》を|得《え》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|夏《なつ》のうちに|集《あつ》める|者《もの》は|賢《かしこ》い|子《こ》であり、 |刈入《かりい》れの|時《とき》に|眠《ねむ》る|者《もの》は|恥《はじ》をきたらせる|子《こ》である。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》のこうべには|祝福《しゅくふく》があり、 |悪《あ》しき|者《もの》の|口《くち》は|暴虐《ぼうぎゃく》を|隠《かく》す。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|名《な》はほめられ、 |悪《あ》しき|者《もの》の|名《な》は|朽《く》ちる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》のさとき|者《もの》は|戒《いまし》めを|受《う》ける、 むだ|口《くち》をたたく|愚《おろ》かな|者《もの》は|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]まっすぐに|歩《あゆ》む|者《もの》の|歩《あゆ》みは|安全《あんぜん》である、 しかし、その|道《みち》を|曲《ま》げる|者《もの》は|災《わざわい》にあう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》で、めくばせする|者《もの》は|憂《うれ》いをおこし、 あからさまに、|戒《いまし》める|者《もの》は|平和《へいわ》をきたらせる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|口《くち》は|命《いのち》の|泉《いずみ》である、 |悪《あ》しき|者《もの》の|口《くち》は|暴虐《ぼうぎゃく》を|隠《かく》す。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|憎《にく》しみは、|争《あらそ》いを|起《おこ》し、 |愛《あい》はすべてのとがをおおう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]さとき|者《もの》のくちびるには|知恵《ちえ》があり、 |知恵《ちえ》のない|者《もの》の|背《せ》にはむちがある。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》は|知識《ちしき》をたくわえる、 |愚《おろ》かな|者《もの》のむだ|口《くち》は、|今《いま》にも|滅《ほろ》びをきたらせる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|富《と》める|者《もの》の|宝《たから》は、その|堅《かた》き|城《しろ》であり、 |貧《まず》しい|者《もの》の|乏《とぼ》しきは、その|滅《ほろ》びである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|受《う》ける|賃銀《ちんぎん》は|命《いのち》に|導《みちび》き、 |悪《あ》しき|者《もの》の|利得《りとく》は|罪《つみ》に|至《いた》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|教訓《きょうくん》を|守《まも》る|者《もの》は|命《いのち》の|道《みち》にあり、 |懲《こら》しめを|捨《す》てる|者《もの》は|道《みち》をふみ|迷《まよ》う。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|憎《にく》しみを|隠《かく》す|者《もの》には|偽《いつわ》りのくちびるがあり、 そしりを|口《くち》に|出《だ》す|者《もの》は|愚《おろ》かな|者《もの》である。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|言葉《ことば》が|多《おお》ければ、とがを|免《まぬか》れない、 |自分《じぶん》のくちびるを|制《せい》する|者《もの》は|知恵《ちえ》がある。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|舌《した》は|精《せい》|銀《ぎん》である、 |悪《あ》しき|者《もの》の|心《こころ》は|価値《かち》が|少《すく》ない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》のくちびるは|多《おお》くの|人《ひと》を|養《やしな》い、 |愚《おろ》かな|者《もの》は|知恵《ちえ》がなくて|死《し》ぬ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|祝福《しゅくふく》は|人《ひと》を|富《と》ませる、 |主《しゅ》はこれになんの|悲《かな》しみをも|加《くわ》えない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》は、|戯《たわむ》れ|事《ごと》のように|悪《あく》を|行《おこな》う、 さとき|人《ひと》には|賢《かしこ》い|行《おこな》いが|楽《たの》しみである。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|恐《おそ》れることは|自分《じぶん》に|来《きた》り、 |正《ただ》しい|者《もの》の|願《ねが》うことは|与《あた》えられる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あらしが|通《とお》りすぎる|時《とき》、 |悪《あ》しき|者《もの》は、もはや、いなくなり、 |正《ただ》しい|者《もの》は|永久《えいきゅう》に|堅《かた》く|立《た》てられる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》は、これをつかわす|者《もの》にとっては、 |酢《す》が|歯《は》をいため、|煙《けむり》が|目《め》を|悩《なや》ますようなものだ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|人《ひと》の|命《いのち》の|日《ひ》を|多《おお》くする、 |悪《あ》しき|者《もの》の|年《とし》は|縮《ちぢ》められる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|望《のぞ》みは|喜《よろこ》びに|終《おわ》り、 |悪《あ》しき|者《もの》の|望《のぞ》みは|絶《た》える。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、まっすぐに|歩《あゆ》む|者《もの》には|城《しろ》であり、 |悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》には|滅《ほろ》びである。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》はいつまでも|動《うご》かされることはない、 |悪《あ》しき|者《もの》は、|地《ち》に|住《す》むことができない。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|口《くち》は|知恵《ちえ》をいだし、 |偽《いつわ》りの|舌《した》は|抜《ぬ》かれる。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》のくちびるは|喜《よろこ》ばるべきことをわきまえ、 |悪《あ》しき|者《もの》の|口《くち》は|偽《いつわ》りを|語《かた》る。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りのはかりは|主《しゅ》に|憎《にく》まれ、 |正《ただ》しいふんどうは|彼《かれ》に|喜《よろこ》ばれる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶりが|来《く》れば、|恥《はじ》もまた|来《く》る、 へりくだる|者《もの》には|知恵《ちえ》がある。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|誠実《せいじつ》はその|人《ひと》を|導《みちび》き、 |不信実《ふしんじつ》な|者《もの》のよこしまはその|人《ひと》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|宝《たから》は|怒《いか》りの|日《ひ》に|益《えき》なく、 |正義《せいぎ》は|人《ひと》を|救《すく》い|出《だ》して、|死《し》を|免《まぬか》れさせる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|誠実《せいじつ》な|者《もの》は、その|正義《せいぎ》によって、 その|道《みち》をまっすぐにせられ、 |悪《あ》しき|者《もの》は、その|悪《あく》によって|倒《たお》れる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》はその|正義《せいぎ》によって|救《すく》われ、 |不信実《ふしんじつ》な|者《もの》は|自分《じぶん》の|欲《よく》によって|捕《とら》えられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|死《し》ぬとき、その|望《のぞ》みは|絶《た》え、 |不信心《ふしんじん》な|者《もの》の|望《のぞ》みもまた|絶《た》える。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》は、|悩《なや》みから|救《すく》われ、 |悪《あ》しき|者《もの》は|代《かわ》ってそれに|陥《おちい》る。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|不信心《ふしんじん》な|者《もの》はその|口《くち》をもって|隣《とな》り|人《びと》を|滅《ほろ》ぼす、 |正《ただ》しい|者《もの》は|知識《ちしき》によって|救《すく》われる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》が、しあわせになれば、その|町《まち》は|喜《よろこ》び、 |悪《あ》しき|者《もの》が|滅《ほろ》びると、|喜《よろこ》びの|声《こえ》がおこる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》は|正《ただ》しい|者《もの》の|祝福《しゅくふく》によって、|高《たか》くあげられ、 |悪《あ》しき|者《もの》の|口《くち》によって、|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|隣《とな》り|人《びと》を|侮《あなど》る|者《もの》は|知恵《ちえ》がない、 さとき|人《ひと》は|口《くち》をつぐむ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》のよしあしを|言《い》いあるく|者《もの》は|秘密《ひみつ》をもらす、 |心《こころ》の|忠信《ちゅうしん》なる|者《もの》は|事《こと》を|隠《かく》す。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|指導者《しどうしゃ》がなければ|民《たみ》は|倒《たお》れ、 |助言者《じょげんしゃ》が|多《おお》ければ|安全《あんぜん》である。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|他人《たにん》のために|保証《ほしょう》をする|者《もの》は|苦《くる》しみをうけ、 |保証《ほしょう》をきらう|者《もの》は|安全《あんぜん》である。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しとやかな|女《おんな》は、|誉《ほまれ》を|得《え》、 |強暴《きょうぼう》な|男《おとこ》は|富《とみ》を|得《え》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]いつくしみある|者《もの》はおのれ|自身《じしん》に|益《えき》を|得《え》、 |残忍《ざんにん》な|者《もの》はおのれの|身《み》をそこなう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|得《え》る|報《むく》いはむなしく、 |正義《せいぎ》を|播《ま》く|者《もの》は|確《たし》かな|報《むく》いを|得《え》る。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》を|堅《かた》く|保《たも》つ|者《もの》は|命《いのち》に|至《いた》り、 |悪《あく》を|追《お》い|求《もと》める|者《もの》は|死《し》を|招《まね》く。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》のねじけた|者《もの》は|主《しゅ》に|憎《にく》まれ、 まっすぐに|道《みち》を|歩《あゆ》む|者《もの》は|彼《かれ》に|喜《よろこ》ばれる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|確《たし》かに、|悪人《あくにん》は|罰《ばつ》を|免《まぬか》れない、 しかし|正《ただ》しい|人《ひと》は|救《すくい》を|得《え》る。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|美《うつく》しい|女《おんな》の|慎《つつし》みがないのは、 |金《きん》の|輪《わ》の、ぶたの|鼻《はな》にあるようだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|願《ねが》いは、すべて|良《よ》い|結果《けっか》を|得《え》、 |悪《あ》しき|者《もの》の|望《のぞ》みは|怒《いか》りに|至《いた》る。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|施《ほどこ》し|散《ち》らして、なお|富《とみ》を|増《ま》す|人《ひと》があり、 |与《あた》えるべきものを|惜《お》しんで、 かえって|貧《まず》しくなる|者《もの》がある。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|物惜《ものお》しみしない|者《もの》は|富《と》み、 |人《ひと》を|潤《うるお》す|者《もの》は|自分《じぶん》も|潤《うるお》される。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|穀物《こくもつ》を、しまい|込《こ》んで|売《う》らない|者《もの》は|民《たみ》にのろわれる、 それを|売《う》る|者《もの》のこうべには|祝福《しゅくふく》がある。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|善《ぜん》を|求《もと》める|者《もの》は|恵《めぐ》みを|得《え》る、 |悪《あく》を|求《もと》める|者《もの》には|悪《あく》が|来《く》る。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|富《とみ》を|頼《たの》む|者《もの》は|衰《おとろ》える、 |正《ただ》しい|者《もの》は|木《き》の|青葉《あおば》のように|栄《さか》える。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|家族《かぞく》を|苦《くる》しめる|者《もの》は|風《かぜ》を|所有《しょゆう》とする、 |愚《おろ》かな|者《もの》は|心《こころ》のさとき|者《もの》のしもべとなる。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|結《むす》ぶ|実《み》は|命《いのち》の|木《き》である、 |不法《ふほう》な|者《もの》は|人《ひと》の|命《いのち》をとる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]もし|正《ただ》しい|者《もの》がこの|世《よ》で|罰《ばっ》せられるならば、 |悪《あ》しき|者《もの》と|罪《つみ》びととは、なおさらである。 [#ここで字下げ終わり] 第一二章[#「第一二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|戒《いまし》めを|愛《あい》する|人《ひと》は|知識《ちしき》を|愛《あい》する、 |懲《こら》しめを|憎《にく》む|者《もの》は|愚《おろ》かである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|善人《ぜんにん》は|主《しゅ》の|恵《めぐ》みをうけ、 |悪《わる》い|計《はか》りごとを|設《もう》ける|人《ひと》は|主《しゅ》に|罰《ばっ》せられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|悪《あく》をもって|堅《かた》く|立《た》つことはできない、 |正《ただ》しい|人《ひと》の|根《ね》は|動《うご》くことはない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|妻《つま》はその|夫《おっと》の|冠《かんむり》である、 |恥《はじ》をこうむらせる|妻《つま》は |夫《おっと》の|骨《ほね》に|生《しょう》じた|腐《くさ》れのようなものである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》の|考《かんが》えは|公正《こうせい》である、 |悪《あ》しき|者《もの》の|計《はか》ることは|偽《いつわ》りである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|言葉《ことば》は、|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》そうとうかがう、 |正《ただ》しい|人《ひと》の|口《くち》は|人《ひと》を|救《すく》う。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|倒《たお》されて、うせ|去《さ》る、 |正《ただ》しい|人《ひと》の|家《いえ》は|堅《かた》く|立《た》つ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はその|悟《さと》りにしたがって、ほめられ、 |心《こころ》のねじけた|者《もの》は、|卑《いや》しめられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|身分《みぶん》の|低《ひく》い|人《ひと》でも|自分《じぶん》で|働《はたら》く|者《もの》は、 みずから|高《たか》ぶって|食《しょく》に|乏《とぼ》しい|者《もの》にまさる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》はその|家畜《かちく》の|命《いのち》を|顧《かえり》みる、 |悪《あ》しき|者《もの》は|残忍《ざんにん》をもって、あわれみとする。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|田地《でんち》を|耕《たがや》す|者《もの》は|食糧《しょくりょう》に|飽《あ》きる、 |無益《むえき》な|事《こと》に|従《したが》う|者《もの》は|知恵《ちえ》がない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|堅固《けんご》なやぐらは|崩壊《ほうかい》する、 |正《ただ》しい|人《ひと》の|根《ね》は|堅《かた》く|立《た》つ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》はくちびるのとがによって、わなに|陥《おちい》る、 しかし|正《ただ》しい|人《ひと》は|悩《なや》みをのがれる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はその|口《くち》の|実《み》によって、|幸福《こうふく》に|満《み》ち|足《た》り、 |人《ひと》の|手《て》のわざは、その|人《ひと》の|身《み》に|帰《かえ》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|人《ひと》の|道《みち》は、|自分《じぶん》の|目《め》に|正《ただ》しく|見《み》える、 しかし|知恵《ちえ》ある|者《もの》は|勧《すす》めをいれる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|人《ひと》は、すぐに|怒《いか》りをあらわす、 しかし|賢《かしこ》い|人《ひと》は、はずかしめをも|気《き》にとめない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|真実《しんじつ》を|語《かた》る|人《ひと》は|正《ただ》しい|証言《しょうげん》をなし、 |偽《いつわ》りの|証人《しょうにん》は|偽《いつわ》りを|言《い》う。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]つるぎをもって|刺《さ》すように、 みだりに|言葉《ことば》を|出《だ》す|者《もの》がある、 しかし|知恵《ちえ》ある|人《ひと》の|舌《した》は|人《ひと》をいやす。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|真実《しんじつ》を|言《い》うくちびるは、いつまでも|保《たも》つ、 |偽《いつわ》りを|言《い》う|舌《した》は、ただ、まばたきの|間《あいだ》だけである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をたくらむ|者《もの》の|心《こころ》には|欺《あざむ》きがあり、 |善《ぜん》をはかる|人《ひと》には|喜《よろこ》びがある。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》にはなんの|害悪《がいあく》も|生《しょう》じない、 しかし|悪《あ》しき|者《もの》は|災《わざわい》をもって|満《み》たされる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りを|言《い》うくちびるは|主《しゅ》に|憎《にく》まれ、 |真実《しんじつ》を|行《おこな》う|者《もの》は|彼《かれ》に|喜《よろこ》ばれる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]さとき|人《ひと》は|知識《ちしき》をかくす、 しかし|愚《おろ》かな|者《もの》は|自分《じぶん》の|愚《おろ》かなことをあらわす。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|勤《つと》め|働《はたら》く|者《もの》の|手《て》はついに|人《ひと》を|治《おさ》める、 |怠《おこた》る|者《もの》は|人《ひと》に|仕《つか》えるようになる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》に|憂《うれ》いがあればその|人《ひと》をかがませる、 しかし|親切《しんせつ》な|言葉《ことば》はその|人《ひと》を|喜《よろこ》ばせる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|悪《あく》を|離《はな》れ|去《さ》る、 しかし|悪《あ》しき|者《もの》は|自《みずか》ら|道《みち》に|迷《まよ》う。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|怠《おこた》る|者《もの》は|自分《じぶん》の|獲物《えもの》を|捕《とら》えない、 しかし|勤《つと》め|働《はたら》く|人《ひと》は|尊《たっと》い|宝《たから》を|獲《え》る。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》の|道《みち》には|命《いのち》がある、 しかし|誤《あやま》りの|道《みち》は|死《し》に|至《いた》る。 [#ここで字下げ終わり] 第一三章[#「第一三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|子《こ》は|父《ちち》の|教訓《きょうくん》をきく、 あざける|者《もの》は、|懲《こら》しめをきかない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|善良《ぜんりょう》な|人《ひと》はその|口《くち》の|実《み》によって、|幸福《こうふく》を|得《え》る、 |不信実《ふしんじつ》な|者《もの》の|願《ねが》いは、|暴虐《ぼうぎゃく》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|口《くち》を|守《まも》る|者《もの》はその|命《いのち》を|守《まも》る、 くちびるを|大《おお》きく|開《ひら》く|者《もの》には|滅《ほろ》びが|来《く》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》の|心《こころ》は、|願《ねが》い|求《もと》めても、|何《なに》も|得《え》ない、 しかし|勤《つと》め|働《はたら》く|者《もの》の|心《こころ》は|豊《ゆた》かに|満《み》たされる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|偽《いつわ》りを|憎《にく》む、 しかし|悪《あ》しき|人《ひと》は|恥《は》ずべく、|忌《い》まわしくふるまう。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》は|道《みち》をまっすぐ|歩《あゆ》む|者《もの》を|守《まも》り、 |罪《つみ》は|悪《あ》しき|者《もの》を|倒《たお》す。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|富《と》んでいると|偽《いつわ》って、|何《なに》も|持《も》たない|者《もの》がいる、 |貧《まず》しいと|偽《いつわ》って、|多《おお》くの|富《とみ》を|持《も》つ|者《もの》がいる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|富《とみ》はその|命《いのち》をあがなう、 しかし|貧《まず》しい|者《もの》にはあがなうべき|富《とみ》がない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|光《ひかり》は|輝《かがや》き、 |悪《あ》しき|者《もの》のともしびは|消《け》される。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶりはただ|争《あらそ》いを|生《しょう》じる、 |勧告《かんこく》をきく|者《もの》は|知恵《ちえ》がある。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|急《いそ》いで|得《え》た|富《とみ》は|減《へ》る、 |少《すこ》しずつたくわえる|者《もの》はそれを|増《ま》すことができる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|望《のぞ》みを|得《え》ることが|長《なが》びくときは、|心《こころ》を|悩《なや》ます、 |願《ねが》いがかなうときは、|命《いのち》の|木《き》を|得《え》たようだ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]み|言葉《ことば》を|軽《かろ》んじる|者《もの》は|滅《ほろ》ぼされ、 |戒《いまし》めを|重《おも》んじる|者《もの》は|報《むく》いを|得《え》る。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|人《ひと》の|教《おしえ》は|命《いのち》の|泉《いずみ》である、 これによって|死《し》のわなをのがれることができる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|善良《ぜんりょう》な|賢《かしこ》い|者《もの》は|恵《めぐ》みを|得《え》る、 しかし、|不信実《ふしんじつ》な|者《もの》の|道《みち》は|滅《ほろ》びである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]おおよそ、さとき|者《もの》は|知識《ちしき》によって|事《こと》をおこない、 |愚《おろ》かな|者《もの》は|自分《じぶん》の|愚《ぐ》を|見《み》せびらかす。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|使者《ししゃ》は|人《ひと》を|災《わざわい》におとしいれる、 しかし|忠実《ちゅうじつ》な|使者《ししゃ》は|人《ひと》を|救《すく》う。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|貧乏《びんぼう》と、はずかしめとは|教訓《きょうくん》を|捨《す》てる|者《もの》に|来《く》る、 しかし|戒《いまし》めを|守《まも》る|者《もの》は|尊《たっと》ばれる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|願《ねが》いがかなえば、|心《こころ》は|楽《たの》しい、 |愚《おろ》かな|者《もの》は|悪《あく》を|捨《す》てることをきらう。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》とともに|歩《あゆ》む|者《もの》は|知恵《ちえ》を|得《え》る。 |愚《おろ》かな|者《もの》の|友《とも》となる|者《もの》は|害《がい》をうける。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|災《わざわい》は|罪《つみ》びとを|追《お》い、 |正《ただ》しい|者《もの》は|良《よ》い|報《むく》いを|受《う》ける。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|善良《ぜんりょう》な|人《ひと》はその|嗣《し》|業《ぎょう》を|子孫《しそん》にのこす、 しかし|罪《つみ》びとの|富《とみ》は|正《ただ》しい|人《ひと》のためにたくわえられる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|人《ひと》の|新田《しんでん》は|多《おお》くの|食糧《しょくりょう》を|産《さん》する、 しかし|不正《ふせい》によれば|押《お》し|流《なが》される。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]むちを|加《くわ》えない|者《もの》はその|子《こ》を|憎《にく》むのである、 |子《こ》を|愛《あい》する|者《もの》は、つとめてこれを|懲《こ》らしめる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》は|食《た》べてその|食欲《しょくよく》を|満《み》たす、 しかし|悪《あ》しき|者《もの》の|腹《はら》は|満《み》たされない。 [#ここで字下げ終わり] 第一四章[#「第一四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》はその|家《いえ》を|建《た》て、 |愚《おろ》かさは|自分《じぶん》の|手《て》でそれをこわす。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]まっすぐに|歩《あゆ》む|者《もの》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れる、 |曲《まが》って|歩《あゆ》む|者《もの》は|主《しゅ》を|侮《あなど》る。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》の|言葉《ことば》は|自分《じぶん》の|背《せ》にむちを|当《あ》てる、 |知恵《ちえ》ある|者《もの》のくちびるはその|身《み》を|守《まも》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》がなければ|穀物《こくもつ》はない、 |牛《うし》の|力《ちから》によって|農作物《のうさくもつ》は|多《おお》くなる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|真実《しんじつ》な|証人《しょうにん》はうそをいわない、 |偽《いつわ》りの|証人《しょうにん》はうそをつく。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あざける|者《もの》は|知恵《ちえ》を|求《もと》めても|得《え》られない、 さとき|者《もの》は|知識《ちしき》を|得《え》ることがたやすい。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》の|前《まえ》を|離《はな》れ|去《さ》れ、 そこには|知識《ちしき》の|言葉《ことば》がないからである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さとき|者《もの》の|知恵《ちえ》は|自分《じぶん》の|道《みち》をわきまえることにあり、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|愚《おろ》かは、|欺《あざむ》くことにある。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|悪《あ》しき|者《もの》をあざけられる、 |正《ただ》しい|者《もの》は、その|恵《めぐ》みを|受《う》ける。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》の|苦《くる》しみは|心《こころ》みずからが|知《し》る、 その|喜《よろこ》びには|他人《たにん》はあずからない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|家《いえ》は|滅《ほろ》ぼされ、 |正《ただ》しい|者《もの》の|幕屋《まくや》は|栄《さか》える。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|見《み》て|自《みずか》ら|正《ただ》しいとする|道《みち》でも、 その|終《おわ》りはついに|死《し》に|至《いた》る|道《みち》となるものがある。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|笑《わら》う|時《とき》にも|心《こころ》に|悲《かな》しみがあり、 |喜《よろこ》びのはてに|憂《うれ》いがある。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》のもとれる|者《もの》はそのしわざの|実《み》を|刈《か》り|取《と》り、 |善良《ぜんりょう》な|人《ひと》もまたその|行《おこな》いの|実《み》を|刈《か》り|取《と》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|思慮《しりょ》のない|者《もの》はすべてのことを|信《しん》じる、 さとき|者《もの》は|自分《じぶん》の|歩《あゆ》みを|慎《つつし》む。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》は|用心《ようじん》ぶかく、|悪《あく》を|離《はな》れる、 |愚《おろ》かな|者《もの》は|高《たか》ぶって|用心《ようじん》しない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》りやすい|者《もの》は|愚《おろ》かなことを|行《おこな》い、 |賢《かしこ》い|者《もの》は|忍耐《にんたい》|強《づよ》い。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|思慮《しりょ》のない|者《もの》は|愚《おろ》かなことを|自分《じぶん》のものとする、 さとき|者《もの》は|知識《ちしき》をもって|冠《かんむり》とする。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》は|善人《ぜんにん》の|前《まえ》にひれ|伏《ふ》し、 |悪《あ》しき|者《もの》は|正《ただ》しい|者《もの》の|門《もん》にひれ|伏《ふ》す。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》はその|隣《となり》にさえも|憎《にく》まれる、 しかし|富《と》める|者《もの》は|多《おお》くの|友《とも》をもつ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|隣《とな》り|人《びと》を|卑《いや》しめる|者《もの》は|罪《つみ》びとである、 |貧《まず》しい|人《ひと》をあわれむ|者《もの》はさいわいである。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|計《はか》る|者《もの》はおのれを|誤《あやま》るではないか、 |善《ぜん》を|計《はか》る|者《もの》にはいつくしみと、まこととがある。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すべての|勤労《きんろう》には|利益《りえき》がある、 しかし|口先《くちさき》だけの|言葉《ことば》は|貧乏《びんぼう》をきたらせるだけだ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》の|冠《かんむり》はその|知恵《ちえ》である、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|花《はな》の|冠《かんむり》はただ|愚《おろ》かさである。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]まことの|証人《しょうにん》は|人《ひと》の|命《いのち》を|救《すく》う、 |偽《いつわ》りを|吐《は》く|者《もの》は|裏《うら》|切《ぎり》|者《もの》である。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることによって|人《ひと》は|安心《あんしん》を|得《え》、 その|子《こ》らはのがれ|場《ば》を|得《え》る。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|命《いのち》の|泉《いずみ》である、 |人《ひと》を|死《し》のわなからのがれさせる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|栄《さか》えは|民《たみ》の|多《おお》いことにあり、 |君《きみ》の|滅《ほろ》びは|民《たみ》を|失《うしな》うことにある。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》りをおそくする|者《もの》は|大《おお》いなる|悟《さと》りがあり、 |気《き》の|短《みじか》い|者《もの》は|愚《おろ》かさをあらわす。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|穏《おだ》やかな|心《こころ》は|身《み》の|命《いのち》である、 しかし|興奮《こうふん》は|骨《ほね》を|腐《くさ》らせる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》をしえたげる|者《もの》はその|造《つく》り|主《ぬし》を|侮《あなど》る、 |乏《とぼ》しい|者《もの》をあわれむ|者《もの》は、|主《しゅ》をうやまう。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はその|悪《あ》しき|行《おこな》いによって|滅《ほろ》ぼされ、 |正《ただ》しい|者《もの》はその|正《ただ》しきによって、のがれ|場《ば》を|得《え》る。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》はさとき|者《もの》の|心《こころ》にとどまり、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|心《こころ》に|知《し》られない。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》は|国《くに》を|高《たか》くし、 |罪《つみ》は|民《たみ》をはずかしめる。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》いしもべは|王《おう》の|恵《めぐ》みをうけ、 |恥《はじ》をきたらす|者《もの》はその|怒《いか》りにあう。 [#ここで字下げ終わり] 第一五章[#「第一五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|柔《やわら》かい|答《こたえ》は|憤《いきどお》りをとどめ、 |激《はげ》しい|言葉《ことば》は|怒《いか》りをひきおこす。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》の|舌《した》は|知識《ちしき》をわかち|与《あた》え、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|口《くち》は|愚《おろ》かを|吐《は》き|出《だ》す。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|目《め》はどこにでもあって、 |悪人《あくにん》と|善人《ぜんにん》とを|見張《みは》っている。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|優《やさ》しい|舌《した》は|命《いのち》の|木《き》である、 |乱暴《らんぼう》な|言葉《ことば》は|魂《たましい》を|傷《きず》つける。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》は|父《ちち》の|教訓《きょうくん》を|軽《かろ》んじる、 |戒《いまし》めを|守《まも》る|者《もの》は|賢《かしこ》い|者《もの》である。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|家《いえ》には|多《おお》くの|宝《たから》がある、 |悪《あ》しき|者《もの》の|所得《しょとく》には|煩《わずら》いがある。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》のくちびるは|知識《ちしき》をひろめる、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|心《こころ》はそうでない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|供《そな》え|物《もの》は|主《しゅ》に|憎《にく》まれ、 |正《ただ》しい|者《もの》の|祈《いのり》は|彼《かれ》に|喜《よろこ》ばれる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|道《みち》は|主《しゅ》に|憎《にく》まれ、 |正義《せいぎ》を|求《もと》める|者《もの》は|彼《かれ》に|愛《あい》せられる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|道《みち》を|捨《す》てる|者《もの》には、きびしい|懲《こら》しめがあり、 |戒《いまし》めを|憎《にく》む|者《もの》は|死《し》に|至《いた》る。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|陰府《よみ》と|滅《ほろ》びとは|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》にあり、 |人《ひと》の|心《こころ》はなおさらである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あざける|者《もの》は|戒《いまし》められることを|好《この》まない、 また|知恵《ちえ》ある|者《もの》に|近《ちか》づかない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》に|楽《たの》しみがあれば|顔色《かおいろ》も|喜《よろこ》ばしい、 |心《こころ》に|憂《うれ》いがあれば|気《き》はふさぐ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]さとき|者《もの》の|心《こころ》は|知識《ちしき》をたずね、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|口《くち》は|愚《おろ》かさを|食物《しょくもつ》とする。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|悩《なや》んでいる|者《もの》の|日々《ひび》はことごとくつらく、 |心《こころ》の|楽《たの》しい|人《ひと》は|常《つね》に|宴会《えんかい》をもつ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|少《すこ》しの|物《もの》を|所有《しょゆう》して|主《しゅ》を|恐《おそ》れるのは、 |多《おお》くの|宝《たから》をもって|苦《く》|労《ろう》するのにまさる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|野菜《やさい》を|食《た》べて|互《たがい》に|愛《あい》するのは、 |肥《こ》えた|牛《うし》を|食《た》べて|互《たがい》に|憎《にく》むのにまさる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|憤《いきどお》りやすい|者《もの》は|争《あらそ》いをおこし、 |怒《いか》りをおそくする|者《もの》は|争《あらそ》いをとどめる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》の|道《みち》には、いばらがはえしげり、 |正《ただ》しい|者《もの》の|道《みち》は|平《たい》らかである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|子《こ》は|父《ちち》を|喜《よろこ》ばせる、 |愚《おろ》かな|人《ひと》はその|母《はは》を|軽《かろ》んじる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|無知《むち》な|者《もの》は|愚《おろ》かなことを|喜《よろこ》び、 さとき|者《もの》はまっすぐに|歩《あゆ》む。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|相《あい》はかることがなければ、|計画《けいかく》は|破《やぶ》れる、 はかる|者《もの》が|多《おお》ければ、それは|必《かなら》ず|成《な》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|口《くち》から|出《で》る|好《この》ましい|答《こたえ》によって|喜《よろこ》びを|得《え》る、 |時《とき》にかなった|言葉《ことば》は、いかにも|良《よ》いものだ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|人《ひと》の|道《みち》は|上《のぼ》って|命《いのち》に|至《いた》る、 こうしてその|人《ひと》は|下《した》にある|陰府《よみ》を|離《はな》れる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|高《たか》ぶる|者《もの》の|家《いえ》を|滅《ほろ》ぼし、 やもめの|地境《じざかい》を|定《さだ》められる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》の|計《はか》りごとは|主《しゅ》に|憎《にく》まれ、 |潔白《けっぱく》な|人《ひと》の|言葉《ことば》は|彼《かれ》に|喜《よろこ》ばれる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|不正《ふせい》な|利《り》をむさぼる|者《もの》はその|家《いえ》を|煩《わず》らわせる、 まいないを|憎《にく》む|者《もの》は|生《い》きながらえる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|心《こころ》は|答《こた》えるべきことを|考《かんが》える、 |悪《あ》しき|者《もの》の|口《くち》は|悪《あく》を|吐《は》き|出《だ》す。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|悪《あ》しき|者《もの》に|遠《とお》ざかり、|正《ただ》しい|者《もの》の|祈《いのり》を|聞《き》かれる。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》の|光《ひかり》は|心《こころ》を|喜《よろこ》ばせ、 よい|知《し》らせは|骨《ほね》を|潤《うるお》す。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ためになる|戒《いまし》めを|聞《き》く|耳《みみ》をもつ|者《もの》は、 |知恵《ちえ》ある|者《もの》の|中《なか》にとどまる。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|教訓《きょうくん》を|捨《す》てる|者《もの》はおのれの|命《いのち》を|軽《かろ》んじ、 |戒《いまし》めを|重《おも》んじる|者《もの》は|悟《さと》りを|得《え》る。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|知恵《ちえ》の|教訓《きょうくん》である、 |謙遜《けんそん》は、|栄誉《えいよ》に|先《さき》だつ。 [#ここで字下げ終わり] 第一六章[#「第一六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》にはかることは|人《ひと》に|属《ぞく》し、 |舌《した》の|答《こたえ》は|主《しゅ》から|出《で》る。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|道《みち》は|自分《じぶん》の|目《め》にことごとく|潔《いさぎよ》しと|見《み》える、 しかし|主《しゅ》は|人《ひと》の|魂《たましい》をはかられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのなすべき|事《こと》を|主《しゅ》にゆだねよ、 そうすれば、あなたの|計《はか》るところは|必《かなら》ず|成《な》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべての|物《もの》をおのおのその|用《よう》のために|造《つく》り、 |悪《あ》しき|人《ひと》をも|災《わざわい》の|日《ひ》のために|造《つく》られた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すべて|心《こころ》に|高《たか》ぶる|者《もの》は|主《しゅ》に|憎《にく》まれる、 |確《たし》かに、|彼《かれ》は|罰《ばつ》を|免《まぬか》れない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]いつくしみとまことによって、とがはあがなわれる、 |主《しゅ》を|恐《おそ》れることによって、|人《ひと》は|悪《あく》を|免《まぬか》れる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|道《みち》が|主《しゅ》を|喜《よろこ》ばせる|時《とき》、 |主《しゅ》はその|人《ひと》の|敵《てき》をもその|人《ひと》と|和《やわ》らがせられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》によって|得《え》たわずかなものは、 |不義《ふぎ》によって|得《え》た|多《おお》くの|宝《たから》にまさる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|心《こころ》に|自分《じぶん》の|道《みち》を|考《かんが》え|計《はか》る、 しかし、その|歩《あゆ》みを|導《みちび》く|者《もの》は|主《しゅ》である。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》のくちびるには|神《かみ》の|決定《けってい》がある、 さばきをするとき、その|口《くち》に|誤《あやま》りがない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しいはかりと|天《てん》びんとは|主《しゅ》のものである、 |袋《ふくろ》にあるふんどうもすべて|彼《かれ》の|造《つく》られたものである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》うことは|王《おう》の|憎《にく》むところである、 その|位《くらい》が|正義《せいぎ》によって|堅《かた》く|立《た》っているからである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しいくちびるは|王《おう》に|喜《よろこ》ばれる、 |彼《かれ》は|正《ただ》しい|事《こと》を|言《い》う|者《もの》を|愛《あい》する。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|怒《いか》りは|死《し》の|使者《ししゃ》である、 |知恵《ちえ》ある|人《ひと》はこれをなだめる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|顔《かお》の|光《ひかり》には|命《いのち》がある、 |彼《かれ》の|恵《めぐ》みは|春雨《はるさめ》をもたらす|雲《くも》のようだ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》を|得《え》るのは|金《きん》を|得《え》るのにまさる、 |悟《さと》りを|得《え》るのは|銀《ぎん》を|得《え》るよりも|望《のぞ》ましい。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|離《はな》れることは|正《ただ》しい|人《ひと》の|道《みち》である、 |自分《じぶん》の|道《みち》を|守《まも》る|者《もの》はその|魂《たましい》を|守《まも》る。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶりは|滅《ほろ》びにさきだち、 |誇《ほこ》る|心《こころ》は|倒《たお》れにさきだつ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]へりくだって|貧《まず》しい|人々《ひとびと》と|共《とも》におるのは、 |高《たか》ぶる|者《もの》と|共《とも》にいて、|獲物《えもの》を|分《わ》けるにまさる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|慎《つつし》んで、み|言葉《ことば》をおこなう|者《もの》は|栄《さか》える、 |主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》はさいわいである。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》に|知恵《ちえ》ある|者《もの》はさとき|者《もの》ととなえられる、 くちびるが|甘《あま》ければ、 その|教《おしえ》に|人《ひと》を|説《と》きつける|力《ちから》を|増《ま》す。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》はこれを|持《も》つ|者《もの》に|命《いのち》の|泉《いずみ》となる、 しかし、|愚《おろ》かさは|愚《おろ》かな|者《もの》の|受《う》ける|懲《こら》しめである。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》の|心《こころ》はその|言《い》うところを|賢《かしこ》くし、 またそのくちびるに|人《ひと》を|説《と》きつける|力《ちから》を|増《ま》す。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ここちよい|言葉《ことば》は|蜂蜜《はちみつ》のように、 |魂《たましい》に|甘《あま》く、からだを|健《すこ》やかにする。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|見《み》て|自分《じぶん》で|正《ただ》しいとする|道《みち》があり、 その|終《おわ》りはついに|死《し》にいたる|道《みち》となるものがある。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ほねおる|者《もの》は|飲食《いんしょく》のためにほねおる、 その|口《くち》が|自分《じぶん》に|迫《せま》るからである。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]よこしまな|人《ひと》は|悪《あく》を|企《くわだ》てる、 そのくちびるには|激《はげ》しい|火《ひ》のようなものがある。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》る|者《もの》は|争《あらそ》いを|起《おこ》し、 つげ|口《ぐち》する|者《もの》は|親《した》しい|友《とも》を|離《はな》れさせる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しえたげる|者《もの》はその|隣《とな》り|人《びと》をいざない、 これを|良《よ》くない|道《みち》に|導《みちび》く。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]めくばせする|者《もの》は|悪《あく》を|計《はか》り、 くちびるを|縮《ちぢ》める|者《もの》は|悪事《あくじ》をなし|遂《と》げる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しらがは|栄《さか》えの|冠《かんむり》である、 |正《ただ》しく|生《い》きることによってそれが|得《え》られる。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》りをおそくする|者《もの》は|勇士《ゆうし》にまさり、 |自分《じぶん》の|心《こころ》を|治《おさ》める|者《もの》は|城《しろ》を|攻《せ》め|取《と》る|者《もの》にまさる。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はくじをひく、 しかし|事《こと》を|定《さだ》めるのは|全《まった》く|主《しゅ》のことである。 [#ここで字下げ終わり] 第一七章[#「第一七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|平穏《へいおん》であって、 ひとかたまりのかわいたパンのあるのは、 |争《あらそ》いがあって、|食物《しょくもつ》の|豊《ゆた》かな|家《いえ》にまさる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》いしもべは|身持《みもち》の|悪《わる》いむすこを|治《おさ》め、 かつ、その|兄弟《きょうだい》たちの|中《なか》にあって、 |資産《しさん》の|分《わ》け|前《まえ》を|獲《え》る。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》を|試《こころ》みるものはるつぼ、|金《きん》を|試《こころ》みるものは|炉《ろ》、 |人《ひと》の|心《こころ》を|試《こころ》みるものは|主《しゅ》である。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》は|偽《いつわ》りのくちびるに|聞《き》き、 |偽《いつわ》りをいう|者《もの》は|悪《あ》しき|舌《した》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》ける。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》をあざける|者《もの》はその|造《つく》り|主《ぬし》を|侮《あなど》る、 |人《ひと》の|災《わざわい》を|喜《よろこ》ぶ|者《もの》は|罰《ばつ》を|免《まぬか》れない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|孫《まご》は|老人《ろうじん》の|冠《かんむり》である、 |父《ちち》は|子《こ》の|栄《さか》えである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すぐれた|言葉《ことば》は|愚《おろ》かな|者《もの》には|似合《にあ》わない、 まして|偽《いつわ》りを|言《い》うくちびるは |君《きみ》たる|者《もの》には|似合《にあ》わない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]まいないはこれを|贈《おく》る|人《ひと》の|目《め》には|幸運《こううん》の|玉《たま》のようだ、 その|向《む》かう|所《ところ》、どこでも|彼《かれ》は|栄《さか》える。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|愛《あい》を|追《お》い|求《もと》める|人《ひと》は|人《ひと》のあやまちをゆるす、 |人《ひと》のことを|言《い》いふらす|者《もの》は|友《とも》を|離《はな》れさせる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]一|度《ど》の|戒《いまし》めがさとき|人《ひと》に|徹《てっ》するのは、 百|度《ど》の|懲《こら》しめが|愚《おろ》かな|人《ひと》に|徹《てっ》するよりも|深《ふか》い。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はただ、そむく|事《こと》のみを|求《もと》める、 それゆえ、|彼《かれ》に|向《む》かっては|残忍《ざんにん》な|使者《ししゃ》がつかわされる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》が|愚《おろ》かな|事《こと》をするのに|会《あ》うよりは、 |子《こ》をとられた|雌《め》ぐまに|会《あ》うほうがよい。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をもて|善《ぜん》に|報《むく》いる|者《もの》は、 |悪《あく》がその|家《いえ》を|離《はな》れることがない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|争《あらそ》いの|初《はじ》めは|水《みず》がもれるのに|似《に》ている、 それゆえ、けんかの|起《おこ》らないうちにそれをやめよ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》を|正《ただ》しいとする|者《もの》、|正《ただ》しい|者《もの》を|悪《わる》いとする|者《もの》、 この二つの|者《もの》はともに|主《しゅ》に|憎《にく》まれる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》はすでに|心《こころ》がないのに、 どうして|知恵《ちえ》を|買《か》おうとして |手《て》にその|代金《だいきん》を|持《も》っているのか。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|友《とも》はいずれの|時《とき》にも|愛《あい》する、 |兄弟《きょうだい》はなやみの|時《とき》のために|生《うま》れる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》のない|人《ひと》は|手《て》をうって、 その|隣《とな》り|人《びと》の|前《まえ》で|保証《ほしょう》をする。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|争《あらそ》いを|好《この》む|者《もの》は|罪《つみ》を|好《この》む、 その|門《もん》を|高《たか》くする|者《もの》は|滅《ほろ》びを|求《もと》める。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|曲《まが》った|心《こころ》の|者《もの》はさいわいを|得《え》ない、 みだりに|舌《した》をもって|語《かた》る|者《もの》は|災《わざわい》に|陥《おちい》る。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|子《こ》を|生《う》む|者《もの》は|嘆《なげ》きを|得《え》る、 |愚《おろ》か|者《もの》の|父《ちち》は|喜《よろこ》びを|得《え》ない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》の|楽《たの》しみは|良《よ》い|薬《くすり》である、 たましいの|憂《うれ》いは|骨《ほね》を|枯《か》らす。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|人《ひと》のふところからまいないを|受《う》けて、 さばきの|道《みち》をまげる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]さとき|者《もの》はその|顔《かお》を|知恵《ちえ》にむける、 しかし、|愚《おろ》かな|者《もの》は|目《め》を|地《ち》の|果《はて》にそそぐ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|子《こ》はその|父《ちち》の|憂《うれ》いである、 またこれを|産《う》んだ|母《はは》の|痛《いた》みである。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》を|罰《ばっ》するのはよくない、 |尊《たっと》い|人《ひと》を|打《う》つのは|悪《わる》い。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|言葉《ことば》を|少《すく》なくする|者《もの》は|知識《ちしき》のある|者《もの》、 |心《こころ》の|冷静《れいせい》な|人《ひと》はさとき|人《ひと》である。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》も|黙《だま》っているときは、|知恵《ちえ》ある|者《もの》と|思《おも》われ、 そのくちびるを|閉《と》じている|時《とき》は、さとき|者《もの》と|思《おも》われる。 [#ここで字下げ終わり] 第一八章[#「第一八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》と|交《まじ》わりをしない|者《もの》は|口実《こうじつ》を|捜《さが》し、 すべてのよい|考《かんが》えに|激《はげ》しく|反対《はんたい》する。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》は|悟《さと》ることを|喜《よろこ》ばず、 ただ|自分《じぶん》の|意見《いけん》を|言《い》い|表《あら》わすことを|喜《よろこ》ぶ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》が|来《く》ると、|卑《いや》しめもまた|来《く》る、 |不名誉《ふめいよ》が|来《く》ると、はずかしめも|共《とも》にくる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|口《くち》の|言葉《ことば》は|深《ふか》い|水《みず》のようだ、 |知恵《ちえ》の|泉《いずみ》は、わいて|流《なが》れる|川《かわ》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》をえこひいきすることは|良《よ》くない、 |正《ただ》しい|者《もの》をさばいて、|悪《あ》しき|者《もの》とすることも|良《よ》くない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》のくちびるは|争《あらそ》いを|起《おこ》し、 その|口《くち》はむち|打《う》たれることを|招《まね》く。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》の|口《くち》は|自分《じぶん》の|滅《ほろ》びとなり、 そのくちびるは|自分《じぶん》を|捕《とら》えるわなとなる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》のよしあしをいう|者《もの》の|言葉《ことば》は おいしい|食物《しょくもつ》のようで、|腹《はら》の|奥《おく》にしみこむ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|仕事《しごと》を|怠《おこた》る|者《もの》は、|滅《ほろ》ぼす|者《もの》の|兄弟《きょうだい》である。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|名《な》は|堅固《けんご》なやぐらのようだ、 |正《ただ》しい|者《もの》はその|中《なか》に|走《はし》りこんで|救《すくい》を|得《え》る。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|富《と》める|者《もの》の|富《とみ》はその|堅《かた》き|城《しろ》である、 それは|高《たか》き|城壁《じょうへき》のように|彼《かれ》を|守《まも》る。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|心《こころ》の|高《たか》ぶりは|滅《ほろ》びにさきだち、 |謙遜《けんそん》は|栄誉《えいよ》にさきだつ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|事《こと》をよく|聞《き》かないで|答《こた》える|者《もの》は、 |愚《おろ》かであって|恥《はじ》をこうむる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|心《こころ》は|病苦《びょうく》をも|忍《しの》ぶ、 しかし|心《こころ》の|痛《いた》むときは、だれがそれに|耐《た》えようか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]さとき|者《もの》の|心《こころ》は|知識《ちしき》を|得《え》、 |知恵《ちえ》ある|者《もの》の|耳《みみ》は|知識《ちしき》を|求《もと》める。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|贈《おく》り|物《もの》は、その|人《ひと》のために|道《みち》をひらき、 また|尊《たっと》い|人《ひと》の|前《まえ》に|彼《かれ》を|導《みちび》く。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|先《さき》に|訴《うった》え|出《で》る|者《もの》は|正《ただ》しいように|見《み》える、 しかしその|訴《うった》えられた|人《ひと》が|来《き》て、それを|調《しら》べて、|事《こと》は|明《あき》らかになる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]くじは|争《あらそ》いをとどめ、 かつ|強《つよ》い|争《あらそ》い|相手《あいて》の|間《あいだ》を|決定《けってい》する。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|助《たす》けあう|兄弟《きょうだい》は|堅固《けんご》な|城《しろ》のようだ、 しかし|争《あらそ》いは、やぐらの|貫《かん》の|木《き》のようだ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|自分《じぶん》の|言葉《ことば》の|結《むす》ぶ|実《み》によって、 |満《み》ち|足《た》り、そのくちびるの|産物《さんぶつ》によって|自《みずか》ら|飽《あ》きる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》と|生《せい》とは|舌《した》に|支配《しはい》される、 これを|愛《あい》する|者《もの》はその|実《み》を|食《た》べる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|妻《つま》を|得《え》る|者《もの》は、|良《よ》き|物《もの》を|得《え》る、 かつ|主《しゅ》から|恵《めぐ》みを|与《あた》えられる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》は、あわれみを|請《こ》い、 |富《と》める|者《もの》は、はげしい|答《こたえ》をする。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》には|友《とも》らしい|見《み》せかけの|友《とも》がある、 しかし|兄弟《きょうだい》よりもたのもしい|友《とも》もある。 [#ここで字下げ終わり] 第一九章[#「第一九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しく|歩《あゆ》む|貧《まず》しい|者《もの》は、 |曲《まが》ったことを|言《い》う|愚《おろ》かな|者《もの》にまさる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|知識《ちしき》のないのは|良《よ》くない、 |足《あし》で|急《いそ》ぐ|者《もの》は|道《みち》に|迷《まよ》う。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|自分《じぶん》の|愚《おろ》かさによって|道《みち》につまずき、 かえって|心《こころ》のうちに|主《しゅ》をうらむ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|富《とみ》は|多《おお》くの|新《あたら》しい|友《とも》を|作《つく》る、 しかし|貧《まず》しい|人《ひと》はその|友《とも》に|捨《す》てられる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りの|証人《しょうにん》は|罰《ばつ》を|免《まぬか》れない、 |偽《いつわ》りをいう|者《もの》はのがれることができない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|気前《きまえ》のよい|人《ひと》にこびる|者《もの》は|多《おお》い、 |人《ひと》はみな|贈《おく》り|物《もの》をする|人《ひと》の|友《とも》となる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》はその|兄弟《きょうだい》すらもみなこれを|憎《にく》む、 ましてその|友《とも》はこれに|遠《とお》ざからないであろうか。 |言葉《ことば》をかけてこれを|呼《よ》んでも、 |去《さ》って|帰《かえ》らないのである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》を|得《え》る|者《もの》は|自分《じぶん》の|魂《たましい》を|愛《あい》し、 |悟《さと》りを|保《たも》つ|者《もの》は|幸《さいわい》を|得《え》る。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りの|証人《しょうにん》は|罰《ばつ》を|免《まぬか》れない、 |偽《いつわ》りをいう|者《もの》は|滅《ほろ》びる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》が、ぜいたくな|暮《くら》しをするのは、 ふさわしいことではない、 しもべたる|者《もの》が、|君《きみ》たる|者《もの》を|治《おさ》めるなどは、 なおさらである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悟《さと》りは|人《ひと》に|怒《いか》りを|忍《しの》ばせる、 あやまちをゆるすのは|人《ひと》の|誉《ほまれ》である。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|怒《いか》りは、ししのほえるようであり、 その|恵《めぐ》みは|草《くさ》の|上《うえ》におく|露《つゆ》のようである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|子《こ》はその|父《ちち》の|災《わざわい》である、 |妻《つま》の|争《あらそ》うのは、|雨漏《あまも》りの|絶《た》えないのとひとしい。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|家《いえ》と|富《とみ》とは|先祖《せんぞ》からうけつぐもの、 |賢《かしこ》い|妻《つま》は|主《しゅ》から|賜《たま》わるものである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|怠《おこた》りは|人《ひと》を|熟睡《じゅくすい》させる、 なまけ|者《もの》は|飢《う》える。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|戒《いまし》めを|守《まも》る|者《もの》は|自分《じぶん》の|魂《たましい》を|守《まも》る、 み|言葉《ことば》を|軽《かろ》んじる|者《もの》は|死《し》ぬ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》をあわれむ|者《もの》は|主《しゅ》に|貸《か》すのだ、 その|施《ほどこ》しは|主《しゅ》が|償《つぐな》われる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|望《のぞ》みのあるうちに、|自分《じぶん》の|子《こ》を|懲《こ》らせ、 これを|滅《ほろ》ぼす|心《こころ》を|起《おこ》してはならない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》ることの|激《はげ》しい|者《もの》は|罰《ばつ》をうける、 たとい|彼《かれ》を|救《すく》ってやっても、 さらにくり|返《かえ》さねばならない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|勧《すす》めを|聞《き》き、|教訓《きょうくん》をうけよ、 そうすれば、ついには|知恵《ちえ》ある|者《もの》となる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|心《こころ》には|多《おお》くの|計画《けいかく》がある、 しかしただ|主《しゅ》の、み|旨《むね》だけが|堅《かた》く|立《た》つ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》に|望《のぞ》ましいのは、いつくしみ|深《ふか》いことである、 |貧《まず》しい|人《ひと》は|偽《いつわ》りをいう|人《ひと》にまさる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》を|恐《おそ》れることは|人《ひと》を|命《いのち》に|至《いた》らせ、 |常《つね》に|飽《あ》き|足《た》りて、|災《わざわい》にあうことはない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》は、|手《て》を|皿《さら》に|入《い》れても、 それを|口《くち》に|持《も》ってゆくことをしない。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あざける|者《もの》を|打《う》て、そうすれば|思慮《しりょ》のない|者《もの》も|慎《つつし》む。 さとき|者《もの》を|戒《いまし》めよ、そうすれば|彼《かれ》は|知識《ちしき》を|得《え》る。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》に|乱暴《らんぼう》をはたらき、|母《はは》を|追《お》い|出《だ》す|者《もの》は、 |恥《はじ》をきたらし、はずかしめをまねく|子《こ》である。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|知識《ちしき》の|言葉《ことば》をはなれて|人《ひと》を|迷《まよ》わせる |教訓《きょうくん》を|聞《き》くことをやめよ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《わる》い|証人《しょうにん》はさばきをあざけり、 |悪《あ》しき|者《もの》の|口《くち》は|悪《あく》をむさぼり|食《く》う。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]さばきはあざける|者《もの》のために|備《そな》えられ、 むちは|愚《おろ》かな|者《もの》の|背《せ》のために|備《そな》えられる。 [#ここで字下げ終わり] 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》は|人《ひと》をあざける|者《もの》とし、 |濃《こ》い|酒《さけ》は|人《ひと》をあばれ|者《もの》とする、 これに|迷《まよ》わされる|者《もの》は|無知《むち》である。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|怒《いか》りは、ししがほえるようだ、 |彼《かれ》を|怒《いか》らせる|者《もの》は|自分《じぶん》の|命《いのち》をそこなう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|争《あらそ》いに|関係《かんけい》しないことは|人《ひと》の|誉《ほまれ》である、 すべて|愚《おろ》かな|者《もの》は|怒《いか》り|争《あらそ》う。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》は|寒《さむ》いときに|耕《たがや》さない、 それゆえ|刈入《かりい》れのときになって、|求《もと》めても|何《なに》もない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|心《こころ》にある|計《はか》りごとは|深《ふか》い|井戸《いど》の|水《みず》のようだ、 しかし、さとき|人《ひと》はこれをくみ|出《だ》す。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》は|真実《しんじつ》だという|人《ひと》が|多《おお》い、 しかし、だれが|忠信《ちゅうしん》な|人《ひと》に|会《あ》うであろうか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|欠《か》けた|所《ところ》なく、|正《ただ》しく|歩《あゆ》む|人《ひと》―― その|後《のち》の|子孫《しそん》はさいわいである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さばきの|座《ざ》にすわる|王《おう》は その|目《め》をもって、すべての|悪《あく》をふるいわける。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]だれが「わたしは|自分《じぶん》の|心《こころ》を|清《きよ》めた、 わたしの|罪《つみ》は|清《きよ》められた」ということができようか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|互《たがい》に|違《ちが》った二|種《しゅ》のはかり、二|種《しゅ》のますは、 ひとしく|主《しゅ》に|憎《にく》まれる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|幼《おさ》な|子《ご》でさえも、その|行《おこな》いによって|自《みずか》らを|示《しめ》し、 そのすることの|清《きよ》いか|正《ただ》しいかを|現《あらわ》す。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》く|耳《みみ》と、|見《み》る|目《め》とは、 ともに|主《しゅ》が|造《つく》られたものである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|眠《ねむ》りを|愛《あい》してはならない、そうすれば|貧《まず》しくなる、 |目《め》を|開《ひら》け、そうすればパンに|飽《あ》くことができる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|買《か》う|者《もの》は、「|悪《わる》い、|悪《わる》い」という、 しかし|去《さ》って|後《のち》、|彼《かれ》は|自《みずか》ら|誇《ほこ》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|金《きん》もあり、|価《あたい》の|高《たか》い|宝石《ほうせき》も|多《おお》くあるが、 |尊《たっと》い|器《うつわ》は|知識《ちしき》のくちびるである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》のために|保証《ほしょう》する|者《もの》からは、まずその|着物《きもの》を|取《と》れ、 |他人《たにん》のために|保証《ほしょう》する|者《もの》をば|抵当《ていとう》に|取《と》れ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|欺《あざむ》き|取《と》ったパンはおいしい、 しかし|後《のち》にはその|口《くち》は|砂利《じゃり》で|満《み》たされる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|計《はか》りごとは|共《とも》に|議《ぎ》することによって|成《な》る、 |戦《たたか》おうとするならば、まずよく|議《ぎ》しなければならない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|歩《ある》きまわって|人《ひと》のよしあしをいう|者《もの》は|秘密《ひみつ》をもらす、 くちびるを|開《ひら》いて|歩《ある》く|者《もの》と|交《まじ》わってはならない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|父母《ふぼ》をののしる|者《もの》は、 そのともしびは|暗《くら》やみの|中《なか》に|消《き》える。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|初《はじ》めに|急《いそ》いで|得《え》た|資産《しさん》は、 その|終《おわ》りがさいわいでない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしが|悪《あく》に|報《むく》いる」と|言《い》ってはならない、 |主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め、|主《しゅ》はあなたを|助《たす》けられる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|互《たがい》に|違《ちが》った二|種《しゅ》のふんどうは|主《しゅ》に|憎《にく》まれる、 |偽《いつわ》りのはかりは|良《よ》くない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|歩《あゆ》みは|主《しゅ》によって|定《さだ》められる、 |人《ひと》はどうして|自《みずか》らその|道《みち》を、 |明《あき》らかにすることができようか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|軽々《かるがる》しく「これは|聖《せい》なるささげ|物《もの》だ」と|言《い》い、 また|誓《ちか》いを|立《た》てて|後《のち》に|考《かんが》えることは、 その|人《ひと》のわなとなる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|王《おう》は、 |箕《みの》をもってあおぎ|分《わ》けるように|悪人《あくにん》を|散《ち》らし、 |車《くるま》をもって|脱穀《だっこく》するように、これを|罰《ばっ》する。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|魂《たましい》は|主《しゅ》のともしびであり、|人《ひと》の|心《こころ》の|奥《おく》を|探《さぐ》る。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]いつくしみと、まこととは|王《おう》を|守《まも》る、 その|位《くらい》もまた|正義《せいぎ》によって|保《たも》たれる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|人《ひと》の|栄《さか》えはその|力《ちから》、 |老人《ろうじん》の|美《うつく》しさはそのしらがである。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|傷《きず》つくまでに|打《う》てば|悪《わる》い|所《ところ》は|清《きよ》くなり、 むちで|打《う》てば|心《こころ》の|底《そこ》までも|清《きよ》まる。 [#ここで字下げ終わり] 第二一章[#「第二一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|心《こころ》は、|主《しゅ》の|手《て》のうちにあって、 |水《みず》の|流《なが》れのようだ、 |主《しゅ》はみこころのままにこれを|導《みちび》かれる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|道《みち》は|自分《じぶん》の|目《め》には|正《ただ》しく|見《み》える、 しかし|主《しゅ》は|人《ひと》の|心《こころ》をはかられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》と|公平《こうへい》を|行《おこな》うことは、 |犠牲《ぎせい》にもまさって|主《しゅ》に|喜《よろこ》ばれる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|目《め》とおごる|心《こころ》とは、 |悪《あ》しき|人《ひと》のともしびであって、|罪《つみ》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|勤勉《きんべん》な|人《ひと》の|計画《けいかく》は、ついにその|人《ひと》を|豊《ゆた》かにする、 すべて|怠《おこた》るものは|貧《まず》しくなる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りの|舌《した》をもって|宝《たから》を|得《え》るのは、 |吹《ふ》きはらわれる|煙《けむり》、|死《し》のわなである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|暴虐《ぼうぎゃく》はその|身《み》を|滅《ほろ》ぼす、 |彼《かれ》らは|公平《こうへい》を|行《おこな》うことを|好《この》まないからである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|罪《つみ》びとの|道《みち》は|曲《まが》っている、 |潔白《けっぱく》な|人《ひと》の|行《おこな》いはまっすぐである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|争《あらそ》いを|好《この》む|女《おんな》と|一緒《いっしょ》に|家《いえ》におるよりは |屋根《やね》のすみにおるほうがよい。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|魂《たましい》は|悪《あく》を|行《おこな》うことを|願《ねが》う、 その|隣《とな》り|人《びと》にも|好意《こうい》をもって|見《み》られない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あざけるものが|罰《ばつ》をうけるならば、 |思慮《しりょ》のない|者《もの》は|知恵《ちえ》を|得《え》る。 |知恵《ちえ》ある|者《もの》が|教《おしえ》をうけるならば|知識《ちしき》を|得《え》る。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|神《かみ》は、|悪《あ》しき|者《もの》の|家《いえ》をみとめて、 |悪《あ》しき|者《もの》を|滅《ほろ》びに|投《な》げいれられる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》を|閉《と》じて|貧《まず》しい|者《もの》の|呼《よ》ぶ|声《こえ》を|聞《き》かない|者《もの》は、 |自分《じぶん》が|呼《よ》ぶときに、|聞《き》かれない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ひそかな|贈《おく》り|物《もの》は|憤《いきどお》りをなだめる、 ふところのまいないは|激《はげ》しい|怒《いか》りを|和《やわ》らげる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|公義《こうぎ》を|行《おこな》うことは、|正《ただ》しい|者《もの》には|喜《よろこ》びであるが、 |悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》には|滅《ほろ》びである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|悟《さと》りの|道《みち》を|離《はな》れる|人《ひと》は、 |死人《しにん》の|集会《しゅうかい》の|中《なか》におる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|快楽《かいらく》を|好《この》む|者《もの》は|貧《まず》しい|人《ひと》となり、 |酒《さけ》と|油《あぶら》とを|好《この》む|者《もの》は|富《と》むことがない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|正《ただ》しい|者《もの》のあがないとなり、 |不信実《ふしんじつ》な|者《もの》は|正《ただ》しい|人《ひと》に|代《かわ》る。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|争《あらそ》い|怒《いか》る|女《おんな》と|共《とも》におるよりは、 |荒野《あらの》に|住《す》むほうがましだ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》の|家《いえ》には|尊《たっと》い|宝《たから》があり、 |愚《おろ》かな|人《ひと》はこれを、のみ|尽《つく》す。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》といつくしみとを|追《お》い|求《もと》める|者《もの》は、 |命《いのち》と|誉《ほまれ》とを|得《え》る。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》は|強《つよ》い|者《もの》の|城《しろ》にのぼって、 その|頼《たの》みとするとりでをくずす。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|口《くち》と|舌《した》とを|守《まも》る|者《もの》は その|魂《たましい》を|守《まも》って、|悩《なや》みにあわせない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶりおごる|者《もの》を「あざける|者《もの》」となづける、 |彼《かれ》は|高慢《こうまん》|無礼《ぶれい》な|行《おこな》いをするものである。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》の|欲望《よくぼう》は|自分《じぶん》の|身《み》を|殺《ころ》す、 これはその|手《て》を|働《はたら》かせないからである。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はひねもす|人《ひと》の|物《もの》をむさぼる、 |正《ただ》しい|者《もの》は|与《あた》えて|惜《お》しまない。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》の|供《そな》え|物《もの》は|憎《にく》まれる、 |悪意《あくい》をもってささげる|時《とき》はなおさらである。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りの|証人《しょうにん》は|滅《ほろ》ぼされる、 よく|聞《き》く|人《ひと》の|言葉《ことば》はすたることがない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はあつかましくし、 |正《ただ》しい|人《ひと》はその|道《みち》をつつしむ。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|向《む》かっては|知恵《ちえ》も|悟《さと》りも、 |計《はか》りごとも、なんの|役《やく》にも|立《た》たない。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|戦《たたか》いの|日《ひ》のために|馬《うま》を|備《そな》える、 しかし|勝利《しょうり》は|主《しゅ》による。 [#ここで字下げ終わり] 第二二章[#「第二二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|令名《れいめい》は|大《おお》いなる|富《とみ》にまさり、 |恩恵《おんけい》は|銀《ぎん》や|金《きん》よりも|良《よ》い。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|富《と》める|者《もの》と|貧《まず》しい|者《もの》とは|共《とも》に|世《よ》におる、 すべてこれを|造《つく》られたのは|主《しゅ》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|者《もの》は|災《わざわい》を|見《み》て|自《みずか》ら|避《さ》け、 |思慮《しりょ》のない|者《もの》は|進《すす》んでいって、|罰《ばつ》をうける。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|謙遜《けんそん》と|主《しゅ》を|恐《おそ》れることとの|報《むく》いは、 |富《とみ》と|誉《ほまれ》と|命《いのち》とである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]よこしまな|者《もの》の|道《みち》にはいばらとわながあり、 たましいを|守《まも》る|者《もの》は|遠《とお》くこれを|離《はな》れる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》をその|行《い》くべき|道《みち》に|従《したが》って|教《おし》えよ、 そうすれば|年老《としお》いても、それを|離《はな》れることがない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|富《と》める|者《もの》は|貧《まず》しき|者《もの》を|治《おさ》め、 |借《か》りる|者《もの》は|貸《か》す|人《ひと》の|奴隷《どれい》となる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をまく|者《もの》は|災《わざわい》を|刈《か》り、 その|怒《いか》りのつえはすたれる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|見《み》て|恵《めぐ》む|者《もの》はめぐまれる、 |自分《じぶん》のパンを|貧《まず》しい|人《ひと》に|与《あた》えるからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あざける|者《もの》を|追放《ついほう》すれば|争《あらそ》いもまた|去《さ》り、 かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》の|潔白《けっぱく》を|愛《あい》する|者《もの》、その|言葉《ことば》の|上品《じょうひん》な|者《もの》は、 |王《おう》がその|友《とも》となる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|目《め》は|知識《ちしき》ある|者《もの》を|守《まも》る、 しかし|主《しゅ》は|不信実《ふしんじつ》な|者《もの》の|言葉《ことば》を|敗《やぶ》られる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》は|言《い》う、「ししがそとにいる、 わたしは、ちまたで|殺《ころ》される」と。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|遊女《ゆうじょ》の|口《くち》は|深《ふか》い|落《おと》し|穴《あな》である、 |主《しゅ》に|憎《にく》まれる|者《もの》はその|中《なか》に|陥《おちい》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かなことが|子供《こども》の|心《こころ》の|中《なか》につながれている、 |懲《こら》しめのむちは、これを|遠《とお》く|追《お》いだす。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》をしえたげて|自分《じぶん》の|富《とみ》を|増《ま》そうとする|者《もの》と、 |富《と》める|者《もの》に|与《あた》える|者《もの》とは、ついに|必《かなら》ず|貧《まず》しくなる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて|知恵《ちえ》ある|者《もの》の|言葉《ことば》を|聞《き》き、 かつ、わたしの|知識《ちしき》にあなたの|心《こころ》を|用《もち》いよ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これをあなたのうちに|保《たも》ち、 ことごとく、あなたのくちびるに|備《そな》えておくなら、 |楽《たの》しいことである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|主《しゅ》に、|寄《よ》り|頼《たの》むことのできるように、 わたしはきょう、これをあなたにも|教《おし》える。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|勧《すす》めと|知識《ちしき》との三十の|言葉《ことば》を あなたのためにしるしたではないか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それは|正《ただ》しいこと、|真実《しんじつ》なことをあなたに|示《しめ》し、 あなたをつかわした|者《もの》に |真実《しんじつ》の|答《こたえ》をさせるためであった。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》を、|貧《まず》しいゆえに、かすめてはならない、 |悩《なや》む|者《もの》を、|町《まち》の|門《もん》でおさえつけてはならない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それは|主《しゅ》が|彼《かれ》らの|訴《うった》えをただし、 かつ|彼《かれ》らをそこなう|者《もの》の|命《いのち》を、 そこなわれるからである。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》る|者《もの》と|交《まじ》わるな、|憤《いきどお》る|人《ひと》と|共《とも》に|行《い》くな。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それはあなたがその|道《みち》にならって、 みずから、わなに|陥《おちい》ることのないためである。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|人《ひと》と|手《て》を|打《う》つ|者《もの》となってはならない、 |人《ひと》の|負債《ふさい》の|保証《ほしょう》をしてはならない。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|償《つぐな》うものがないとき、 あなたの|寝《ね》ている|寝床《ねどこ》までも、 |人《ひと》が|奪《うば》い|取《と》ってよかろうか。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|先祖《せんぞ》が|立《た》てた|古《ふる》い|地境《じざかい》を|移《うつ》してはならない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそのわざに|巧《たく》みな|人《ひと》を|見《み》るか、 そのような|人《ひと》は|王《おう》の|前《まえ》に|立《た》つが、 |卑《いや》しい|人々《ひとびと》の|前《まえ》には|立《た》たない。 [#ここで字下げ終わり] 第二三章[#「第二三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|治《おさ》める|人《ひと》と|共《とも》に|座《ざ》して|食事《しょくじ》するとき、 あなたの|前《まえ》にあるものを、よくわきまえ、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|食《しょく》をたしなむ|者《もの》であるならば、 あなたののどに|刀《かたな》をあてよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのごちそうをむさぼり|食《た》べてはならない、 これは|人《ひと》を|欺《あざむ》く|食物《しょくもつ》だからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|富《とみ》を|得《え》ようと|苦労《くろう》してはならない、 かしこく|思《おも》いとどまるがよい。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》をそれにとめると、それはない、 |富《とみ》はたちまち|自《みずか》ら|翼《つばさ》を|生《しょう》じて、 わしのように|天《てん》に|飛《と》び|去《さ》るからだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|物惜《ものお》しみする|人《ひと》のパンを|食《た》べてはならない、 そのごちそうをむさぼり|願《ねが》ってはならない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|心《こころ》のうちで|勘定《かんじょう》する|人《ひと》のように、 「|食《く》え、|飲《の》め」とあなたに|言《い》うけれども、 その|心《こころ》はあなたに|真実《しんじつ》ではない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはついにその|食《た》べた|物《もの》を|吐《は》き|出《だ》すようになり、 あなたのねんごろな|言葉《ことば》もむだになる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》の|耳《みみ》に|語《かた》ってはならない、 |彼《かれ》はあなたの|言葉《ことば》が|示《しめ》す|知恵《ちえ》をいやしめるからだ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|古《ふる》い|地境《じざかい》を|移《うつ》してはならない、 みなしごの|畑《はたけ》を|侵《おか》してはならない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのあがない|主《しゅ》は|強《つよ》くいらせられ、 あなたに|逆《さか》らって|彼《かれ》らの|訴《うった》えを|弁護《べんご》されるからだ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|心《こころ》を|教訓《きょうくん》に|用《もち》い、 あなたの|耳《みみ》を|知識《ちしき》の|言葉《ことば》に|傾《かたむ》けよ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》を|懲《こ》らすことを、さし|控《ひか》えてはならない、 むちで|彼《かれ》を|打《う》っても|死《し》ぬことはない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし、むちで|彼《かれ》を|打《う》つならば、 その|命《いのち》を|陰府《よみ》から|救《すく》うことができる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、もしあなたの|心《こころ》が|賢《かしこ》くあれば、 わたしの|心《こころ》もまた|喜《よろこ》び、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたのくちびるが|正《ただ》しい|事《こと》を|言《い》うならば、 わたしの|心《こころ》も|喜《よろこ》ぶ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》に|罪《つみ》びとをうらやんではならない、 ただ、ひねもす|主《しゅ》を|恐《おそ》れよ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]かならず|後《のち》のよい|報《むく》いがあって、 あなたの|望《のぞ》みは、すたらない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、よく|聞《き》いて、|知恵《ちえ》を|得《え》よ、 かつ、あなたの|心《こころ》を|道《みち》に|向《む》けよ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》にふけり、 |肉《にく》をたしなむ|者《もの》と|交《まじ》わってはならない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》にふける|者《もの》と、|肉《にく》をたしなむ|者《もの》とは|貧《まず》しくなり、 |眠《ねむ》りをむさぼる|者《もの》は、ぼろを|身《み》にまとうようになる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|生《う》んだ|父《ちち》のいうことを|聞《き》き、 |年老《としお》いた|母《はは》を|軽《かろ》んじてはならない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|真理《しんり》を|買《か》え、これを|売《う》ってはならない、 |知恵《ちえ》と|教訓《きょうくん》と|悟《さと》りをも|買《か》え。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》の|父《ちち》は|大《おお》いによろこび、 |知恵《ちえ》ある|子《こ》を|生《う》む|者《もの》は|子《こ》のために|楽《たの》しむ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|父母《ふぼ》を|楽《たの》しませ、 あなたを|産《う》んだ|母《はは》を|喜《よろこ》ばせよ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、あなたの|心《こころ》をわたしに|与《あた》え、 あなたの|目《め》をわたしの|道《みち》に|注《そそ》げ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|遊女《ゆうじょ》は|深《ふか》い|穴《あな》のごとく、 みだらな|女《おんな》は|狭《せま》い|井戸《いど》のようだ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|盗《ぬす》びとのように|人《ひと》をうかがい、 かつ|世《よ》の|人《ひと》のうちに、|不信実《ふしんじつ》な|者《もの》を|多《おお》くする。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|災《わざわい》ある|者《もの》はだれか、|憂《うれ》いある|者《もの》はだれか、 |争《あらそ》いをする|者《もの》はだれか、|煩《わずら》いある|者《もの》はだれか、 ゆえなく|傷《きず》をうける|者《もの》はだれか、 |赤《あか》い|目《め》をしている|者《もの》はだれか。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》に|夜《よる》をふかす|者《もの》、 |行《い》って、|混《ま》ぜ|合《あ》わせた|酒《さけ》を|味《あじ》わう|者《もの》である。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》はあかく、|杯《はい》の|中《なか》にあわだち、なめらかにくだる、 あなたはこれを|見《み》てはならない。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]これはついに、へびのようにかみ、 まむしのように|刺《さ》す。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》は|怪《あや》しいものを|見《み》、 あなたの|心《こころ》は|偽《いつわ》りを|言《い》う。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|海《うみ》の|中《なか》に|寝《ね》ている|人《ひと》のように、 |帆柱《ほばしら》の|上《うえ》に|寝《ね》ている|人《ひと》のようになる。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》う、 「|人《ひと》がわたしを|撃《う》ったが、わたしは|痛《いた》くはなかった。 わたしを、たたいたが、わたしは|何《なに》も|覚《おぼ》えはない。 いつわたしはさめるのか、 また|酒《さけ》を|求《もと》めよう」と。 [#ここで字下げ終わり] 第二四章[#「第二四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|人《ひと》をうらやんではならない、 また|彼《かれ》らと|共《とも》におることを|願《ねが》ってはならない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|心《こころ》に|強奪《ごうだつ》を|計《はか》り、 そのくちびるに|人《ひと》をそこなうことを|語《かた》るからである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|家《いえ》は|知恵《ちえ》によって|建《た》てられ、|悟《さと》りによって|堅《かた》くせられ、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、へやは|知識《ちしき》によってさまざまの|尊《たっと》く、 |麗《うるわ》しい|宝《たから》で|満《み》たされる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》は|強《つよ》い|人《ひと》よりも|強《つよ》く、 |知識《ちしき》ある|人《ひと》は|力《ちから》ある|人《ひと》よりも|強《つよ》い。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|良《よ》い|指揮《しき》によって|戦《たたか》いをすることができ、 |勝利《しょうり》は|多《おお》くの|議《ぎ》する|者《もの》がいるからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は|高《たか》くて|愚《おろ》かな|者《もの》の|及《およ》ぶところではない、 |愚《おろ》かな|者《もの》は|門《もん》で|口《くち》を|開《ひら》くことができない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》うことを|計《はか》る|者《もの》を |人《ひと》はいたずら|者《もの》ととなえる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》の|計《はか》るところは|罪《つみ》であり、 あざける|者《もの》は|人《ひと》に|憎《にく》まれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたが|悩《なや》みの|日《ひ》に|気《き》をくじくならば、 あなたの|力《ちから》は|弱《よわ》い。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|死地《しち》にひかれゆく|者《もの》を|助《たす》け|出《だ》せ、 |滅《ほろ》びによろめきゆく|者《もの》を|救《すく》え。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、われわれはこれを|知《し》らなかったといっても、 |心《こころ》をはかる|者《もの》はそれを|悟《さと》らないであろうか。 あなたの|魂《たましい》を|守《まも》る|者《もの》はそれを|知《し》らないであろうか。 |彼《かれ》はおのおのの|行《おこな》いにより、|人《ひと》に|報《むく》いないであろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|蜜《みつ》を|食《た》べよ、これは|良《よ》いものである、 また、|蜂《はち》の|巣《す》のしたたりはあなたの|口《くち》に|甘《あま》い。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》もあなたの|魂《たましい》にはそのようであることを|知《し》れ。 それを|得《え》るならば、かならず|報《むく》いがあって、あなたの|望《のぞ》みは、すたらない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》がするように、 |正《ただ》しい|者《もの》の|家《いえ》をうかがってはならない、 その|住《す》む|所《ところ》に|乱暴《らんぼう》をしてはならない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》は七たび|倒《たお》れても、また|起《お》きあがる、 しかし、|悪《あ》しき|者《もの》は|災《わざわい》によって|滅《ほろ》びる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあだが|倒《たお》れるとき|楽《たの》しんではならない、 |彼《かれ》のつまずくとき|心《こころ》に|喜《よろこ》んではならない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はそれを|見《み》て|悪《わる》いこととし、 その|怒《いか》りを|彼《かれ》から|転《てん》じられる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》のゆえに|心《こころ》を|悩《なや》ましてはならない、 よこしまな|者《もの》をうらやんではならない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》には|後《のち》の|良《よ》い|報《むく》いはない、 よこしまな|者《もの》のともしびは|消《け》される。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|主《しゅ》と|王《おう》とを|恐《おそ》れよ、 そのいずれにも|不《ふ》|従順《じゅうじゅん》であってはならない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|災《わざわい》はたちまち|起《おこ》るからである。 この二つの|者《もの》からくる|滅《ほろ》びをだれが|知《し》り|得《え》ようか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]これらもまた|知恵《ちえ》ある|者《もの》の|箴言《しんげん》である。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] |片寄《かたよ》ったさばきをするのは、よくない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》に|向《む》かって、「あなたは|正《ただ》しい」という|者《もの》を、 |人々《ひとびと》はのろい、|諸民《しょみん》は|憎《にく》む。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》をせめる|者《もの》は|恵《めぐ》みを|得《え》る、 また|幸福《こうふく》が|与《あた》えられる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|答《こたえ》をする|者《もの》は、 くちびるに、|口《くち》づけするのである。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|外《そと》で、あなたの|仕事《しごと》を|整《ととの》え、 |畑《はたけ》で、すべての|物《もの》をおのれのために|備《そな》え、 その|後《のち》あなたの|家《いえ》を|建《た》てるがよい。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ゆえなく|隣《とな》り|人《びと》に|敵《てき》して、|証言《しょうげん》をしてはならない、 くちびるをもって|欺《あざむ》いてはならない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》がわたしにしたように、わたしも|彼《かれ》にしよう、 わたしは|人《ひと》がしたところにしたがって、 その|人《ひと》に|報《むく》いよう」と|言《い》ってはならない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはなまけ|者《もの》の|畑《はたけ》のそばと、 |知恵《ちえ》のない|人《ひと》のぶどう|畑《はたけ》のそばを|通《とお》ってみたが、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]いばらが|一面《いちめん》に|生《は》え、あざみがその|地面《じめん》をおおい、 その|石《いし》がきはくずれていた。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれをみて|心《こころ》をとどめ、 これを|見《み》て|教訓《きょうくん》を|得《え》た。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]「しばらく|眠《ねむ》り、しばらくまどろみ、 |手《て》をこまぬいて、またしばらく|休《やす》む」。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|貧《まず》しさは|盗《ぬす》びとのように、あなたに|来《き》、 |乏《とぼ》しさは、つわもののように、あなたに|来《く》る。 [#ここで字下げ終わり] 第二五章[#「第二五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これらもまたソロモンの|箴言《しんげん》であり、 ユダの|王《おう》ヒゼキヤに|属《ぞく》する|人々《ひとびと》がこれを|書《か》き|写《うつ》した。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|事《こと》を|隠《かく》すのは|神《かみ》の|誉《ほまれ》であり、 |事《こと》を|窮《きわ》めるのは|王《おう》の|誉《ほまれ》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|高《たか》さと|地《ち》の|深《ふか》さと、 |王《おう》たる|者《もの》の|心《こころ》とは|測《はか》ることができない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》から、かなくそを|除《のぞ》け、 そうすれば、|銀《ぎん》|細工人《ざいくにん》が|器《うつわ》を|造《つく》る|材料《ざいりょう》となる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|前《まえ》から|悪《あ》しき|者《もの》を|除《のぞ》け、 そうすれば、その|位《くらい》は|正義《せいぎ》によって|堅《かた》く|立《た》つ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|前《まえ》で|自《みずか》ら|高《たか》ぶってはならない、 |偉《えら》い|人《ひと》の|場《ば》に|立《た》ってはならない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|尊《たっと》い|人《ひと》の|前《まえ》で|下《した》にさげられるよりは、 「ここに|上《あ》がれ」といわれるほうがましだ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|目《め》に|見《み》たことを、 |軽々《かるがる》しく|法廷《ほうてい》に|出《だ》してはならない。 あとになり、あなたが|隣《とな》り|人《びと》にはずかしめられるとき、 あなたはどうしようとするのか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|隣《とな》り|人《びと》と|争《あらそ》うことがあるならば、ただその|人《ひと》と|争《あらそ》え、 |他人《たにん》の|秘密《ひみつ》をもらしてはならない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そうでないと、|聞《き》く|者《もの》があなたをいやしめ、 あなたは、いつまでもそしられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]おりにかなって|語《かた》る|言葉《ことば》は、 |銀《ぎん》の|彫《ほ》り|物《もの》に|金《きん》のりんごをはめたようだ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》をもって|戒《いまし》める|者《もの》は、これをきく|者《もの》の|耳《みみ》にとって、 |金《きん》の|耳輪《みみわ》、|精《せい》|金《きん》の|飾《かざ》りのようだ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|忠実《ちゅうじつ》な|使者《ししゃ》はこれをつかわす|者《もの》にとって、 |刈入《かりい》れの|日《ひ》に|冷《ひや》やかな|雪《ゆき》があるようだ、 よくその|主人《しゅじん》の|心《こころ》を|喜《よろこ》ばせる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|贈《おく》り|物《もの》をすると|偽《いつわ》って|誇《ほこ》る|人《ひと》は、 |雨《あめ》のない|雲《くも》と|風《かぜ》のようだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|忍耐《にんたい》をもって|説《と》けば|君《きみ》も|言葉《ことば》をいれる、 |柔《やわ》らかな|舌《した》は|骨《ほね》を|砕《くだ》く。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|蜜《みつ》を|得《え》たならば、ただ|足《た》るほどにこれを|食《た》べよ、 おそらくは|食《た》べすごして、それを|吐《は》き|出《だ》すであろう。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|隣《とな》り|人《びと》の|家《いえ》に|足《あし》をしげくしてはならない、 おそらくは|彼《かれ》は|煩《わずら》わしくなって、 あなたを|憎《にく》むようになろう。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|隣《とな》り|人《びと》に|敵《てき》して|偽《いつわ》りのあかしを|立《た》てる|人《ひと》は、 こん|棒《ぼう》、つるぎ、または|鋭《するど》い|矢《や》のようだ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|悩《なや》みに|会《あ》うとき|不信実《ふしんじつ》な|者《もの》を|頼《たの》みにするのは、 |悪《わる》い|歯《は》、またはなえた|足《あし》を|頼《たの》みとするようなものだ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》の|痛《いた》める|人《ひと》の|前《まえ》で|歌《うた》をうたうのは、 |寒《さむ》い|日《ひ》に|着物《きもの》を|脱《ぬ》ぐようであり、 また|傷《きず》の|上《うえ》に|酢《す》をそそぐようだ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたのあだが|飢《う》えているならば、 パンを|与《あた》えて|食《た》べさせ、 もしかわいているならば|水《みず》を|与《あた》えて|飲《の》ませよ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]こうするのは、|火《ひ》を|彼《かれ》のこうべに|積《つ》むのである、 |主《しゅ》はあなたに|報《むく》いられる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|北風《きたかぜ》は|雨《あめ》を|起《おこ》し、 |陰言《かげごと》をいう|舌《した》は|人《ひと》の|顔《かお》を|怒《いか》らす。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|争《あらそ》いを|好《この》む|女《おんな》と|一緒《いっしょ》に|家《いえ》におるよりは、 |屋根《やね》のすみにおるほうがよい。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|遠《とお》い|国《くに》から|来《く》るよい|消息《しょうそく》は、 かわいている|人《ひと》が|飲《の》む|冷《ひや》やかな|水《みず》のようだ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》が|悪《わる》い|者《もの》の|前《まえ》に|屈服《くっぷく》するのは、 |井戸《いど》が|濁《にご》ったよう、また|泉《いずみ》がよごれたようなものだ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|蜜《みつ》を|多《おお》く|食《た》べるのはよくない、 ほめる|言葉《ことば》は|控《ひか》え|目《め》にするがよい。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|心《こころ》を|制《せい》しない|人《ひと》は、 |城壁《じょうへき》のない|破《やぶ》れた|城《しろ》のようだ。 [#ここで字下げ終わり] 第二六章[#「第二六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|誉《ほまれ》が|愚《おろ》かな|者《もの》にふさわしくないのは、 |夏《なつ》に|雪《ゆき》が|降《ふ》り、|刈入《かりい》れの|時《とき》に|雨《あめ》が|降《ふ》るようなものだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]いわれのないのろいは、|飛《と》びまわるすずめや、 |飛《と》びかけるつばめのようなもので、|止《と》まらない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|馬《うま》のためにはむちがあり、 ろばのためにはくつわがあり、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|背《せ》のためにはつえがある。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》にその|愚《おろ》かさにしたがって|答《こたえ》をするな、 |自分《じぶん》も|彼《かれ》と|同《おな》じようにならないためだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》にその|愚《おろ》かさにしたがって|答《こたえ》をせよ、 |彼《かれ》が|自分《じぶん》の|目《め》に|自《みずか》らを|知恵《ちえ》ある|者《もの》と|見《み》ないためだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》に|託《たく》して|事《こと》を|言《い》い|送《おく》る|者《もの》は、 |自分《じぶん》の|足《あし》を|切《き》り|去《さ》り、|身《み》に|害《がい》をうける。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あしなえの|足《あし》は|用《よう》がない、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|口《くち》には|箴言《しんげん》もそれにひとしい。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|誉《ほまれ》を|愚《おろ》かな|者《もの》に|与《あた》えるのは、 |石《いし》を|石《いし》|投《な》げにつなぐようだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》の|口《くち》に|箴言《しんげん》があるのは、 |酔《よ》った|者《もの》が、とげのあるつえを|手《て》で|振《ふ》り|上《あ》げるようだ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|通《とお》りがかりの|愚《おろ》か|者《もの》や、|酔《よ》った|者《もの》を|雇《やと》う|者《もの》は、 すべての|人《ひと》を|傷《きず》つける|射手《いて》のようだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|犬《いぬ》が|帰《かえ》って|来《き》てその|吐《は》いた|物《もの》を|食《た》べるように、 |愚《おろ》かな|者《もの》はその|愚《おろ》かさをくり|返《かえ》す。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|目《め》に|自《みずか》らを|知恵《ちえ》ある|者《もの》とする|人《ひと》を、 あなたは|見《み》るか、 |彼《かれ》よりもかえって|愚《おろ》かな|人《ひと》に|望《のぞ》みがある。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》は、「|道《みち》にししがいる、 ちまたにししがいる」という。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|戸《と》がちょうつがいによって|回《まわ》るように、 なまけ|者《もの》はその|寝床《ねどこ》で|寝返《ねがえ》りをする。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》は|手《て》を|皿《さら》に|入《い》れても、 それを|口《くち》に|持《も》ってゆくことをいとう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]なまけ|者《もの》は|自分《じぶん》の|目《め》に、 |良《よ》く|答《こた》えることのできる七|人《にん》の|者《もの》よりも、 |自《みずか》らを|知恵《ちえ》ありとする。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》に|関係《かんけい》のない|争《あらそ》いにたずさわる|者《もの》は、 |通《とお》りすぎる|犬《いぬ》の|耳《みみ》をとらえる|者《もの》のようだ。 [#太字]一八 一九[#「一八 一九」は行右小書き][#太字終わり]|隣《とな》り|人《びと》を|欺《あざむ》いて、 「わたしはただ|戯《たわむ》れにした」という|者《もの》は、 |燃《も》え|木《ぎ》または|矢《や》、または|死《し》を、 |投《な》げつける|気違《きちが》いのようだ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]たきぎがなければ|火《ひ》は|消《き》え、 |人《ひと》のよしあしを|言《い》う|者《もの》がなければ|争《あらそ》いはやむ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]おき|火《ひ》に|炭《すみ》をつぎ、|火《ひ》にたきぎをくべるように、 |争《あらそ》いを|好《この》む|人《ひと》は|争《あらそ》いの|火《ひ》をおこす。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》のよしあしをいう|者《もの》の|言葉《ことば》は おいしい|食物《しょくもつ》のようで、|腹《はら》の|奥《おく》にしみこむ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]くちびるはなめらかであっても、|心《こころ》の|悪《わる》いのは |上《うえ》ぐすりをかけた|土《つち》の|器《うつわ》のようだ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|憎《にく》む|者《もの》はくちびるをもって|自《みずか》ら|飾《かざ》るけれども、 |心《こころ》のうちには|偽《いつわ》りをいだく。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|声《こえ》をやわらげて|語《かた》っても、|信《しん》じてはならない。 その|心《こころ》に七つの|憎《にく》むべきものがあるからだ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]たとい|偽《いつわ》りをもってその|憎《にく》しみをかくしても、 |彼《かれ》の|悪《あく》は|会衆《かいしゅう》の|中《なか》に|現《あらわ》れる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|穴《あな》を|掘《ほ》る|者《もの》は|自《みずか》らその|中《なか》に|陥《おちい》る、 |石《いし》をまろばしあげる|者《もの》の|上《うえ》に、その|石《いし》はまろびかえる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りの|舌《した》は|自分《じぶん》が|傷《きず》つけた|者《もの》を|憎《にく》み、 へつらう|口《くち》は|滅《ほろ》びをきたらせる。 [#ここで字下げ終わり] 第二七章[#「第二七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あすのことを|誇《ほこ》ってはならない、 一|日《にち》のうちに|何《なに》がおこるかを |知《し》ることができないからだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|口《くち》をもって|自《みずか》らをほめることなく、 |他人《たにん》にほめさせよ。 |自分《じぶん》のくちびるをもってせず、 ほかの|人《ひと》にあなたをほめさせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|石《いし》は|重《おも》く、|砂《すな》も|軽《かる》くはない、 しかし|愚《おろ》かな|者《もの》の|怒《いか》りはこの二つよりも|重《おも》い。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|憤《いきどお》りはむごく、|怒《いか》りははげしい、 しかしねたみの|前《まえ》には、だれが|立《た》ちえよう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あからさまに|戒《いまし》めるのは、 ひそかに|愛《あい》するのにまさる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|愛《あい》する|者《もの》が|傷《きず》つけるのは、まことからであり、 あだの|口《くち》づけするのは|偽《いつわ》りからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|飽《あ》いている|者《もの》は|蜂蜜《はちみつ》をも|踏《ふ》みつける、 しかし|飢《う》えた|者《もの》には|苦《にが》い|物《もの》でさえ、みな|甘《あま》い。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|家《いえ》を|離《はな》れてさまよう|人《ひと》は、 |巣《す》を|離《はな》れてさまよう|鳥《とり》のようだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|油《あぶら》と|香《こう》とは|人《ひと》の|心《こころ》を|喜《よろこ》ばせる、 しかし|魂《たましい》は|悩《なや》みによって|裂《さ》かれる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|友《とも》、あなたの|父《ちち》の|友《とも》を|捨《す》てるな、 あなたが|悩《なや》みにあう|日《ひ》には|兄弟《きょうだい》の|家《いえ》に|行《い》くな、 |近《ちか》い|隣《とな》り|人《びと》は|遠《とお》くにいる|兄弟《きょうだい》にまさる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|知恵《ちえ》を|得《え》て、わたしの|心《こころ》を|喜《よろこ》ばせよ、 そうすればわたしをそしる|者《もの》に|答《こた》えることができる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|者《もの》は|災《わざわい》を|見《み》て|自《みずか》ら|避《さ》け、 |思慮《しりょ》のない|者《もの》は|進《すす》んでいって、|罰《ばつ》をうける。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》のために|保証《ほしょう》する|者《もの》からは、まずその|着物《きもの》をとれ、 |他人《たにん》のために|保証《ほしょう》をする|者《もの》をば|抵当《ていとう》に|取《と》れ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》はやく|起《お》きて|大声《おおごえ》にその|隣《とな》り|人《びと》を|祝《しゅく》すれば、 かえってのろいと|見《み》なされよう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|雨《あめ》の|降《ふ》る|日《ひ》に|雨漏《あまも》りの|絶《た》えないのと、 |争《あらそ》い|好《す》きな|女《おんな》とは|同《おな》じだ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]この|女《おんな》を|制《せい》するのは|風《かぜ》を|制《せい》するのとおなじく、 |右《みぎ》の|手《て》に|油《あぶら》をつかむのとおなじだ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|鉄《てつ》は|鉄《てつ》をとぐ、 そのように|人《ひと》はその|友《とも》の|顔《かお》をとぐ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]いちじくの|木《き》を|守《まも》る|者《もの》はその|実《み》を|食《た》べる、 |主人《しゅじん》を|尊《たっと》ぶ|者《もの》は|誉《ほまれ》を|得《え》る。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》にうつせば|顔《かお》と|顔《かお》とが|応《おう》じるように、 |人《ひと》の|心《こころ》はその|人《ひと》をうつす。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|陰府《よみ》と|滅《ほろ》びとは|飽《あ》くことなく、 |人《ひと》の|目《め》もまた|飽《あ》くことがない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]るつぼによって|銀《ぎん》をためし、 |炉《ろ》によって|金《きん》をためす、 |人《ひと》はその|称賛《しょうさん》によってためされる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》をうすに|入《い》れ、 きねをもって、|麦《むぎ》と|共《とも》にこれをついても、 その|愚《おろ》かさは|去《さ》ることがない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|羊《ひつじ》の|状態《じょうたい》をよく|知《し》り、 あなたの|群《む》れに|心《こころ》をとめよ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|富《とみ》はいつまでも|続《つづ》くものではない、 どうして|位《くらい》が|末代《まつだい》までも|保《たも》つであろうか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|草《くさ》が|刈《か》り|取《と》られ、|新《あたら》しい|芽《め》がのび、 |山《やま》の|牧草《ぼくそう》も|集《あつ》められると、 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|小羊《こひつじ》はあなたの|衣料《いりょう》を|出《だ》し、 やぎは|畑《はたけ》を|買《か》う|価《あたい》となり、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]やぎの|乳《ちち》は|多《おお》くて、 あなたと、あなたの|家《いえ》のものの|食物《しょくもつ》となり、 おとめらを|養《やしな》うのにじゅうぶんである。 [#ここで字下げ終わり] 第二八章[#「第二八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|追《お》う|人《ひと》もないのに|逃《に》げる、 |正《ただ》しい|人《ひと》はししのように|勇《いさ》ましい。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|罪《つみ》によって、|治《おさ》める|者《もの》は|多《おお》くなり、 さとく、また|知識《ちしき》ある|人《ひと》によって、|国《くに》はながく|保《たも》つ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》をしえたげる|貧《まず》しい|人《ひと》は、 |糧食《りょうしょく》を|残《のこ》さない|激《はげ》しい|雨《あめ》のようだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|律法《りっぽう》を|捨《す》てる|者《もの》は|悪《あ》しき|者《もの》をほめる、 |律法《りっぽう》を|守《まも》る|者《もの》はこれに|敵対《てきたい》する。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》は|正《ただ》しいことを|悟《さと》らない、 |主《しゅ》を|求《もと》める|者《もの》はこれをことごとく|悟《さと》る。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しく|歩《あゆ》む|貧《まず》しい|者《もの》は、 |曲《まが》った|道《みち》を|歩《あゆ》む|富《と》める|者《もの》にまさる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|律法《りっぽう》を|守《まも》る|者《もの》は|賢《かしこ》い|子《こ》である、 |不品行《ふひんこう》な|者《もの》と|交《まじ》わるものは、|父《ちち》をはずかしめる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|利息《りそく》と|高利《こうり》とによってその|富《とみ》をます|者《もの》は、 |貧《まず》しい|者《もの》を|恵《めぐ》む|者《もの》のために、それをたくわえる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》をそむけて|律法《りっぽう》を|聞《き》かない|者《もの》は、 その|祈《いのり》でさえも|憎《にく》まれる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》を|悪《わる》い|道《みち》に|惑《まど》わす|者《もの》は、 みずから|自分《じぶん》の|穴《あな》に|陥《おちい》る、 しかし|誠実《せいじつ》な|人《ひと》は|幸福《こうふく》を|継《つ》ぐ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|富《と》める|人《ひと》は|自分《じぶん》の|目《め》に|自《みずか》らを|知恵《ちえ》ある|者《もの》と|見《み》る、 しかし|悟《さと》りのある|貧《まず》しい|者《もの》は|彼《かれ》を|見《み》やぶる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》が|勝《か》つときは、|大《おお》いなる|栄《さか》えがある、 |悪《あ》しき|者《もの》が|起《おこ》るときは、|民《たみ》は|身《み》をかくす。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|罪《つみ》を|隠《かく》す|者《もの》は|栄《さか》えることがない、 |言《い》い|表《あら》わしてこれを|離《はな》れる|者《もの》は、あわれみをうける。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|常《つね》に|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|人《ひと》はさいわいである、 |心《こころ》をかたくなにする|者《もの》は|災《わざわい》に|陥《おちい》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|民《たみ》を|治《おさ》める|悪《わる》いつかさは、 ほえるしし、または|飢《う》えたくまのようだ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|悟《さと》りのないつかさは|残忍《ざんにん》な|圧制者《あっせいしゃ》である、 |不正《ふせい》の|利《り》を|憎《にく》む|者《もの》は|長命《ちょうめい》を|得《え》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|殺《ころ》してその|血《ち》を|身《み》に|負《お》う|者《もの》は |死《し》ぬまで、のがれびとである、 だれもこれを|助《たす》けてはならない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しく|歩《あゆ》む|者《もの》は|救《すくい》を|得《え》、 |曲《まが》った|道《みち》に|歩《あゆ》む|者《もの》は|穴《あな》に|陥《おちい》る。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|田地《でんち》を|耕《たがや》す|者《もの》は|食糧《しょくりょう》に|飽《あ》き、 |無益《むえき》な|事《こと》に|従《したが》う|者《もの》は|貧乏《びんぼう》に|飽《あ》きる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|忠実《ちゅうじつ》な|人《ひと》は|多《おお》くの|祝福《しゅくふく》を|得《え》る、 |急《いそ》いで|富《とみ》を|得《え》ようとする|者《もの》は|罰《ばつ》を|免《まぬか》れない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|片寄《かたよ》り|見《み》ることは|良《よ》くない、 |人《ひと》は|一《いち》|切《き》れのパンのために、とがを|犯《おか》すことがある。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|欲《よく》の|深《ふか》い|人《ひと》は|急《いそ》いで|富《とみ》を|得《え》ようとする、 かえって|欠乏《けつぼう》が|自分《じぶん》の|所《ところ》に|来《く》ることを|知《し》らない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|戒《いまし》める|者《もの》は|舌《した》をもってへつらう|者《もの》よりも、 |大《おお》いなる|感謝《かんしゃ》をうける。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》や|母《はは》の|物《もの》を|盗《ぬす》んで「これは|罪《つみ》ではない」と|言《い》う|者《もの》は、 |滅《ほろ》ぼす|者《もの》の|友《とも》である。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]むさぼる|者《もの》は|争《あらそ》いを|起《おこ》し、 |主《しゅ》に|信頼《しんらい》する|者《もの》は|豊《ゆた》かになる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|心《こころ》を|頼《たの》む|者《もの》は|愚《おろ》かである、 |知恵《ちえ》をもって|歩《あゆ》む|者《もの》は|救《すくい》を|得《え》る。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》に|施《ほどこ》す|者《もの》は|物《もの》に|不足《ふそく》しない、 |目《め》をおおって|見《み》ない|人《ひと》は|多《おお》くののろいをうける。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》が|起《おこ》るときは、|民《たみ》は|身《み》をかくす、 その|滅《ほろ》びるときは、|正《ただ》しい|人《ひと》が|増《ま》す。 [#ここで字下げ終わり] 第二九章[#「第二九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]しばしばしかられても、 なおかたくなな|者《もの》は、 たちまち|打《う》ち|敗《やぶ》られて|助《たす》かることはない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》が|権力《けんりょく》を|得《え》れば|民《たみ》は|喜《よろこ》び、 |悪《あ》しき|者《もの》が|治《おさ》めるとき、|民《たみ》はうめき|苦《くる》しむ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》を|愛《あい》する|人《ひと》はその|父《ちち》を|喜《よろこ》ばせ、 |遊女《ゆうじょ》に|交《まじ》わる|者《もの》はその|資産《しさん》を|浪費《ろうひ》する。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|公儀《こうぎ》をもって|国《くに》を|堅《かた》くする、 しかし、|重税《じゅうぜい》を|取《と》り|立《た》てる|者《もの》はこれを|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|隣《とな》り|人《びと》にへつらう|者《もの》は、 |彼《かれ》の|足《あし》の|前《まえ》に|網《あみ》を|張《は》る。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》は|自分《じぶん》の|罪《つみ》のわなに|陥《おちい》る、 しかし|正《ただ》しい|人《ひと》は|喜《よろこ》び|楽《たの》しむ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|貧《まず》しい|者《もの》の|訴《うった》えをかえりみる、 |悪《あ》しき|人《ひと》はそれを|知《し》ろうとはしない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あざける|人《ひと》は|町《まち》を|乱《みだ》し、 |知恵《ちえ》ある|者《もの》は|怒《いか》りを|静《しず》める。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|人《ひと》が|愚《おろ》かな|人《ひと》と|争《あらそ》うと、 |愚《おろ》かな|者《もの》はただ|怒《いか》り、 あるいは|笑《わら》って、|休《やす》むことがない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|血《ち》に|飢《う》えている|人《ひと》は|罪《つみ》のない|者《もの》を|憎《にく》む、 |悪《あ》しき|者《もの》は|彼《かれ》の|命《いのち》を|求《もと》める。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》は|怒《いか》りをことごとく|表《あら》わし、 |知恵《ちえ》ある|者《もの》は|静《しず》かにこれをおさえる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もし|治《おさ》める|者《もの》が|偽《いつわ》りの|言葉《ことば》に|聞《き》くならば、 その|役人《やくにん》らはみな|悪《わる》くなる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》と、しえたげる|者《もの》とは|共《とも》に|世《よ》におる、 |主《しゅ》は|彼《かれ》ら|両者《りょうしゃ》の|目《め》に|光《ひかり》を|与《あた》えられる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]もし|王《おう》が|貧《まず》しい|者《もの》を|公平《こうへい》にさばくならば、 その|位《くらい》はいつまでも|堅《かた》く|立《た》つ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]むちと|戒《いまし》めとは|知恵《ちえ》を|与《あた》える、 わがままにさせた|子《こ》はその|母《はは》に|恥《はじ》をもたらす。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》が|権力《けんりょく》を|得《え》ると|罪《つみ》も|増《ま》す、 |正《ただ》しい|者《もの》は|彼《かれ》らの|倒《たお》れるのを|見《み》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子《こ》を|懲《こら》しめよ、 そうすれば|彼《かれ》はあなたを|安《やす》らかにし、 またあなたの|心《こころ》に|喜《よろこ》びを|与《あた》える。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|預言《よげん》がなければ|民《たみ》はわがままにふるまう、 しかし|律法《りっぽう》を|守《まも》る|者《もの》はさいわいである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しもべは|言葉《ことば》だけで|訓練《くんれん》することはできない、 |彼《かれ》は|聞《き》いて|知《し》っても、|心《こころ》にとめないからである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|言葉《ことば》の|軽率《けいそつ》な|人《ひと》を|見《み》るか、 |彼《かれ》よりもかえって|愚《おろ》かな|者《もの》のほうに|望《のぞ》みがある。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しもべをその|幼《おさな》い|時《とき》からわがままに|育《そだ》てる|人《ひと》は、 ついにはそれを|自分《じぶん》のあとつぎにする。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|怒《いか》る|人《ひと》は|争《あらそ》いを|起《おこ》し、 |憤《いきどお》る|人《ひと》は|多《おお》くの|罪《つみ》を|犯《おか》す。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|高《たか》ぶりはその|人《ひと》を|低《ひく》くし、 |心《こころ》にへりくだる|者《もの》は|誉《ほまれ》を|得《え》る。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|盗《ぬす》びとにくみする|者《もの》は|自分《じぶん》の|魂《たましい》を|憎《にく》む、 |彼《かれ》はのろいを|聞《き》いても|何事《なにごと》をも|口外《こうがい》しない。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》を|恐《おそ》れると、わなに|陥《おちい》る、 |主《しゅ》に|信頼《しんらい》する|者《もの》は|安《やす》らかである。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|治《おさ》める|者《もの》の|歓心《かんしん》を|得《え》ようとする|人《ひと》は|多《おお》い、 しかし|人《ひと》の|事《こと》を|定《さだ》めるのは|主《しゅ》による。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》は|不正《ふせい》を|行《おこな》う|人《ひと》を|憎《にく》み、 |悪《あ》しき|者《もの》は|正《ただ》しく|歩《あゆ》む|人《ひと》を|憎《にく》む。 [#ここで字下げ終わり] 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]マッサの|人《ひと》ヤケの|子《こ》アグルの|言葉《ことば》。 その|人《ひと》はイテエルに|向《む》かって|言《い》った、 すなわちイテエルと、ウカルとに|向《む》かって|言《い》った、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|確《たし》かに|人《ひと》よりも|愚《おろ》かであり、 わたしには|人《ひと》の|悟《さと》りがない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまだ|知恵《ちえ》をならうことができず、 また、|聖《せい》なる|者《もの》を|悟《さと》ることもできない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》にのぼったり、|下《くだ》ったりしたのはだれか、 |風《かぜ》をこぶしの|中《なか》に|集《あつ》めたのはだれか、 |水《みず》を|着物《きもの》に|包《つつ》んだのはだれか、 |地《ち》のすべての|限界《げんかい》を|定《さだ》めた|者《もの》はだれか、 その|名《な》は|何《なに》か、その|子《こ》の|名《な》は|何《なに》か、 あなたは|確《たし》かにそれを|知《し》っている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|言葉《ことば》はみな|真実《しんじつ》である、 |神《かみ》は|彼《かれ》に|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》の|盾《たて》である。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|言葉《ことば》に|付《つ》け|加《くわ》えてはならない、 |彼《かれ》があなたを|責《せ》め、あなたを|偽《いつわ》り|者《もの》とされないためだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは二つのことをあなたに|求《もと》めます、 わたしの|死《し》なないうちに、これをかなえてください。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]うそ、|偽《いつわ》りをわたしから|遠《とお》ざけ、 |貧《まず》しくもなく、また|富《と》みもせず、 ただなくてならぬ|食物《しょくもつ》でわたしを|養《やしな》ってください。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|飽《あ》き|足《た》りて、あなたを|知《し》らないといい、 「|主《しゅ》とはだれか」と|言《い》うことのないため、 また|貧《まず》しくて|盗《ぬす》みをし、 わたしの|神《かみ》の|名《な》を|汚《よご》すことのないためです。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、しもべのことをその|主人《しゅじん》に、 あしざまにいってはならない、 そうでないと|彼《かれ》はあなたをのろい、 あなたは|罪《つみ》をきせられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》には|父《ちち》をのろったり、|母《はは》を|祝福《しゅくふく》しない|者《もの》がある。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》には|自分《じぶん》の|目《め》にみずからを|清《きよ》い|者《もの》として、 なおその|汚《けが》れを|洗《あら》われないものがある。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》にはまた、このような|人《ひと》がある―― ああ、その|目《め》のいかに|高《たか》きことよ、 またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》にはまたつるぎのような|歯《は》をもち、 |刀《かたな》のようなきばをもって、 |貧《まず》しい|者《もの》を|地《ち》の|上《うえ》から、 |乏《とぼ》しい|者《もの》を|人《ひと》の|中《なか》から|食《く》い|滅《ほろ》ぼすものがある。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|蛭《ひる》にふたりの|娘《むすめ》があって、 「|与《あた》えよ、|与《あた》えよ」という。 |飽《あ》くことを|知《し》らないものが三つある、 いや、四つあって、 |皆《みな》「もう、たくさんです」と|言《い》わない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|陰府《よみ》、|不妊《ふにん》の|胎《たい》、|水《みず》にかわく|地《ち》、 「もう、たくさんだ」といわない|火《ひ》がそれである。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|父《ちち》をあざけり、 |母《はは》に|従《したが》うのを|卑《いや》しいこととする|目《め》は、 |谷《たに》のからすがこれをつつき|出《だ》し、 はげたかがこれを|食《た》べる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしにとって|不思議《ふしぎ》にたえないことが三つある、 いや、四つあって、わたしには|悟《さと》ることができない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|空《そら》を|飛《と》ぶはげたかの|道《みち》、 |岩《いわ》の|上《うえ》を|這《は》うへびの|道《みち》、 |海《うみ》をはしる|舟《ふね》の|道《みち》、 |男《おとこ》の|女《おんな》にあう|道《みち》がそれである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|遊女《ゆうじょ》の|道《みち》もまたそうだ、 |彼女《かのじょ》は|食《た》べて、その|口《くち》をぬぐって、 「わたしは|何《なに》もわるいことはしない」と|言《い》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は三つのことによって|震《ふる》う、 いや、四つのことによって、|耐《た》えることができない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|奴隷《どれい》たる|者《もの》が|王《おう》となり、 |愚《おろ》かな|者《もの》が|食物《しょくもつ》に|飽《あ》き、 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|忌《い》みきらわれた|女《おんな》が|嫁《よめ》に|行《い》き、 はしためが|女《おんな》|主人《しゅじん》のあとにすわることである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]この|地上《ちじょう》に、|小《ちい》さいけれども、 |非常《ひじょう》に|賢《かしこ》いものが四つある。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ありは|力《ちから》のない|種類《しゅるい》だが、 その|食糧《しょくりょう》を|夏《なつ》のうちに|備《そな》える。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》だぬきは|強《つよ》くない|種類《しゅるい》だが、 その|家《いえ》を|岩《いわ》につくる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]いなごは|王《おう》がないけれども、 みな|隊《たい》を|組《く》んでいで|立《た》つ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]やもりは|手《て》でつかまえられるが、 |王《おう》の|宮殿《きゅうでん》におる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|歩《ある》きぶりの|堂々《どうどう》たる|者《もの》が三つある、 いや、四つあって、みな|堂々《どうどう》と|歩《ある》く。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|獣《けもの》のうちでもっとも|強《つよ》く、 |何《なに》ものの|前《まえ》にも|退《しりぞ》かない、しし、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|尾《お》を|立《た》てて|歩《ある》くおんどり、|雄《お》やぎ、 その|民《たみ》の|前《まえ》をいばって|歩《ある》く|王《おう》がそれである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもし|愚《おろ》かであって|自《みずか》ら|高《たか》ぶり、 あるいは|悪事《あくじ》を|計《はか》ったならば、 あなたの|手《て》を|口《くち》に|当《あ》てるがよい。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|乳《ちち》をしめれば|凝乳《ぎょうにゅう》が|出《で》る、 |鼻《はな》をしめれば|血《ち》がでる、 |怒《いか》りをしめれば|争《あらそ》いが|起《おこ》る。 [#ここで字下げ終わり] 第三一章[#「第三一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]マッサの|王《おう》レムエルの|言葉《ことば》、すなわちその|母《はは》が|彼《かれ》に|教《おし》えたものである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、|何《なに》を|言《い》おうか。 わが|胎《たい》の|子《こ》よ、|何《なに》を|言《い》おうか。 わたしが|願《がん》をかけて|得《え》た|子《こ》よ、 |何《なに》をいおうか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|力《ちから》を|女《おんな》についやすな、 |王《おう》をも|滅《ほろ》ぼすものに、あなたの|道《みち》を|任《まか》せるな。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]レムエルよ、|酒《さけ》を|飲《の》むのは、|王《おう》のすることではない、 |王《おう》のすることではない、 |濃《こ》い|酒《さけ》を|求《もと》めるのは|君《きみ》たる|者《もの》のすることではない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|酒《さけ》を|飲《の》んで、おきてを|忘《わす》れ、 すべて|悩《なや》む|者《もの》のさばきを|曲《ま》げる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|濃《こ》い|酒《さけ》を|滅《ほろ》びようとしている|者《もの》に|与《あた》え、 |酒《さけ》を|心《こころ》の|苦《くる》しむ|人《ひと》に|与《あた》えよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|飲《の》んで|自分《じぶん》の|貧乏《びんぼう》を|忘《わす》れ、 その|悩《なや》みをもはや|思《おも》い|出《だ》さない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|黙《だま》っている|人《ひと》のために、 すべてのみなしごの|訴《うった》えのために、|口《くち》を|開《ひら》くがよい。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|口《くち》を|開《ひら》いて、|正《ただ》しいさばきを|行《おこな》い、 |貧《まず》しい|者《もの》と|乏《とぼ》しい|者《もの》の|訴《うった》えをただせ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]だれが|賢《かしこ》い|妻《つま》を|見《み》つけることができるか、 |彼女《かのじょ》は|宝石《ほうせき》よりもすぐれて|尊《たっと》い。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|夫《おっと》の|心《こころ》は|彼女《かのじょ》を|信頼《しんらい》して、 |収益《しゅうえき》に|欠《か》けることはない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|生《い》きながらえている|間《あいだ》、 その|夫《おっと》のために|良《よ》いことをして、|悪《わる》いことをしない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|羊《ひつじ》の|毛《け》や|亜麻《あま》を|求《もと》めて、 |手《て》ずから|望《のぞ》みのように、それを|仕上《しあ》げる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|商人《しょうにん》の|舟《ふね》のように、 |遠《とお》い|国《くに》から|食糧《しょくりょう》を|運《はこ》んでくる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はまだ|夜《よる》のあけぬうちに|起《お》きて、 その|家《いえ》の|者《もの》の|食《た》べ|物《もの》を|備《そな》え、 その|女《おんな》たちに|日用《にちよう》の|分《ぶん》を|与《あた》える。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|畑《はたけ》をよく|考《かんが》えてそれを|買《か》い、 その|手《て》の|働《はたら》きの|実《み》をもって、ぶどう|畑《ばたけ》をつくり、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|力《ちから》をもって|腰《こし》に|帯《おび》し、その|腕《うで》を|強《つよ》くする。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はその|商品《しょうひん》のもうけのあるのを|知《し》っている、 そのともしびは|終夜《しゅうや》|消《き》えることがない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|手《て》を|糸取《いとと》り|棒《ぼう》にのべ、 その|手《て》に、つむを|持《も》ち、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|手《て》を|貧《まず》しい|者《もの》に|開《ひら》き、 |乏《とぼ》しい|人《ひと》に|手《て》をさしのべる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はその|家《いえ》の|者《もの》のために|雪《ゆき》を|恐《おそ》れない、 その|家《いえ》の|者《もの》はみな|紅《くれない》の|着物《きもの》を|着《き》ているからである。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|自分《じぶん》のために|美《うつく》しいしとねを|作《つく》り、 |亜麻《あま》|布《ぬの》と|紫《むらさき》|布《ぬの》とをもってその|着物《きもの》とする。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|夫《おっと》はその|地《ち》の|長老《ちょうろう》たちと|共《とも》に、 |町《まち》の|門《もん》に|座《ざ》するので、|人《ひと》に|知《し》られている。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|亜麻《あま》|布《ぬの》の|着物《きもの》をつくって、それを|売《う》り、 |帯《おび》をつくって|商人《しょうにん》に|渡《わた》す。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|力《ちから》と|気品《きひん》とは|彼女《かのじょ》の|着物《きもの》である、 そして|後《のち》の|日《ひ》を|笑《わら》っている。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|口《くち》を|開《ひら》いて|知恵《ちえ》を|語《かた》る、 その|舌《した》にはいつくしみの|教《おしえ》がある。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|家《いえ》の|事《こと》をよくかえりみ、 |怠《おこた》りのかてを|食《た》べることをしない。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らは|立《た》ち|上《あ》がって|彼女《かのじょ》を|祝《しゅく》し、 その|夫《おっと》もまた|彼女《かのじょ》をほめたたえて|言《い》う、 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]「りっぱに|事《こと》をなし|遂《と》げる|女《おんな》は|多《おお》いけれども、 あなたはそのすべてにまさっている」と。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あでやかさは|偽《いつわ》りであり、|美《うつく》しさはつかのまである、 しかし|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|女《おんな》はほめたたえられる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|手《て》の|働《はたら》きの|実《み》を|彼女《かのじょ》に|与《あた》え、 その|行《おこな》いのために|彼女《かのじょ》を|町《まち》の|門《もん》でほめたたえよ。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] 伝道の書[#「伝道の書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|子《こ》、エルサレムの|王《おう》である|伝道者《でんどうしゃ》の|言葉《ことば》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|伝道者《でんどうしゃ》は|言《い》う、 |空《くう》の|空《くう》、|空《くう》の|空《くう》、いっさいは|空《くう》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》の|下《した》で|人《ひと》が|労《ろう》するすべての|労苦《ろうく》は、 その|身《み》になんの|益《えき》があるか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|世《よ》は|去《さ》り、|世《よ》はきたる。 しかし|地《ち》は|永遠《えいえん》に|変《かわ》らない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》はいで、|日《ひ》は|没《ぼっ》し、 その|出《で》た|所《ところ》に|急《いそ》ぎ|行《い》く。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|風《かぜ》は|南《みなみ》に|吹《ふ》き、また|転《てん》じて、|北《きた》に|向《む》かい、 めぐりにめぐって、またそのめぐる|所《ところ》に|帰《かえ》る。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|川《かわ》はみな、|海《うみ》に|流《なが》れ|入《い》る、 しかし|海《うみ》は|満《み》ちることがない。 |川《かわ》はその|出《で》てきた|所《ところ》にまた|帰《かえ》って|行《い》く。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すべての|事《こと》は|人《ひと》をうみ|疲《つか》れさせる、 |人《ひと》はこれを|言《い》いつくすことができない。 |目《め》は|見《み》ることに|飽《あ》きることがなく、 |耳《みみ》は|聞《き》くことに|満足《まんぞく》することがない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|先《さき》にあったことは、また|後《のち》にもある、 |先《さき》になされた|事《こと》は、また|後《のち》にもなされる。 |日《ひ》の|下《した》には|新《あたら》しいものはない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、これは|新《あたら》しいものだ」と |言《い》われるものがあるか、 それはわれわれの|前《まえ》にあった|世々《よよ》に、 すでにあったものである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|前《まえ》の|者《もの》のことは|覚《おぼ》えられることがない、 また、きたるべき|後《のち》の|者《もの》のことも、 |後《のち》に|起《おこ》る|者《もの》はこれを|覚《おぼ》えることがない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|伝道者《でんどうしゃ》であるわたしはエルサレムで、イスラエルの|王《おう》であった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》をつくし、|知恵《ちえ》を|用《もち》いて、|天《あめ》が|下《した》に|行《おこな》われるすべてのことを|尋《たず》ね、また|調《しら》べた。これは|神《かみ》が、|人《ひと》の|子《こ》らに|与《あた》えて、ほねおらせられる|苦《くる》しい|仕事《しごと》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》の|下《した》で|人《ひと》が|行《おこな》うすべてのわざを|見《み》たが、みな|空《くう》であって|風《かぜ》を|捕《とら》えるようである。 [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|曲《まが》ったものは、まっすぐにすることができない、 |欠《か》けたものは|数《かぞ》えることができない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》の|中《なか》に|語《かた》って|言《い》った、「わたしは、わたしより|先《さき》にエルサレムを|治《おさ》めたすべての|者《もの》にまさって、|多《おお》くの|知恵《ちえ》を|得《え》た。わたしの|心《こころ》は|知恵《ちえ》と|知識《ちしき》を|多《おお》く|得《え》た」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》をつくして|知恵《ちえ》を|知《し》り、また|狂気《きょうき》と|愚痴《ぐち》とを|知《し》ろうとしたが、これもまた|風《かぜ》を|捕《とら》えるようなものであると|悟《さと》った。 [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それは|知恵《ちえ》が|多《おお》ければ|悩《なや》みが|多《おお》く、 |知識《ちしき》を|増《ま》す|者《もの》は|憂《うれ》いを|増《ま》すからである。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》の|心《こころ》に|言《い》った、「さあ、|快楽《かいらく》をもって、おまえを|試《こころ》みよう。おまえは|愉快《ゆかい》に|過《す》ごすがよい」と。しかし、これもまた|空《くう》であった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|笑《わら》いについて|言《い》った、「これは|狂気《きょうき》である」と。また|快楽《かいらく》について|言《い》った、「これは|何《なに》をするのか」と。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|心《こころ》は|知恵《ちえ》をもってわたしを|導《みちび》いているが、わたしは|酒《さけ》をもって|自分《じぶん》の|肉体《にくたい》を|元気《げんき》づけようと|試《こころ》みた。また、|人《ひと》の|子《こ》は|天《あめ》が|下《した》でその|短《みじか》い|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、どんな|事《こと》をしたら|良《よ》いかを、|見《み》きわめるまでは、|愚《おろ》かな|事《こと》をしようと|試《こころ》みた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|大《おお》きな|事業《じぎょう》をした。わたしは|自分《じぶん》のために|家《いえ》を|建《た》て、ぶどう|畑《ばたけ》を|設《もう》け、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|園《その》と|庭《にわ》をつくり、またすべて|実《み》のなる|木《き》をそこに|植《う》え、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|池《いけ》をつくって、|木《き》のおい|茂《しげ》る|林《はやし》に、そこから|水《みず》を|注《そそ》がせた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》を|買《か》った。またわたしの|家《いえ》で|生《うま》れた|奴隷《どれい》を|持《も》っていた。わたしはまた、わたしより|先《さき》にエルサレムにいただれよりも|多《おお》くの|牛《うし》や|羊《ひつじ》の|財産《ざいさん》を|持《も》っていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|銀《ぎん》と|金《きん》を|集《あつ》め、|王《おう》たちと|国々《くにぐに》の|財宝《ざいほう》を|集《あつ》めた。またわたしは|歌《うた》うたう|男《おとこ》、|歌《うた》うたう|女《おんな》を|得《え》た。また|人《ひと》の|子《こ》の|楽《たの》しみとするそばめを|多《おお》く|得《え》た。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうして、わたしは|大《おお》いなる|者《もの》となり、わたしより|先《さき》にエルサレムにいたすべての|者《もの》よりも、|大《おお》いなる|者《もの》となった。わたしの|知恵《ちえ》もまた、わたしを|離《はな》れなかった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]なんでもわたしの|目《め》の|好《この》むものは|遠慮《えんりょ》せず、わたしの|心《こころ》の|喜《よろこ》ぶものは|拒《こば》まなかった。わたしの|心《こころ》がわたしのすべての|労苦《ろうく》によって、|快楽《かいらく》を|得《え》たからである。そしてこれはわたしのすべての|労苦《ろうく》によって|得《え》た|報《むく》いであった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしはわが|手《て》のなしたすべての|事《こと》、およびそれをなすに|要《よう》した|労苦《ろうく》を|顧《かえり》みたとき、|見《み》よ、|皆《みな》、|空《くう》であって、|風《かぜ》を|捕《とら》えるようなものであった。|日《ひ》の|下《した》には|益《えき》となるものはないのである。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、|身《み》をめぐらして、|知恵《ちえ》と、|狂気《きょうき》と、|愚痴《ぐち》とを|見《み》た。そもそも、|王《おう》の|後《のち》に|来《く》る|人《ひと》は|何《なに》をなし|得《え》ようか。すでに|彼《かれ》がなした|事《こと》にすぎないのだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》が|暗《くら》きにまさるように、|知恵《ちえ》が|愚痴《ぐち》にまさるのを、わたしは|見《み》た。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|知者《ちしゃ》の|目《め》は、その|頭《あたま》にある。しかし|愚者《ぐしゃ》は|暗《くら》やみを|歩《あゆ》む。けれどもわたしはなお|同一《どういつ》の|運命《うんめい》が|彼《かれ》らのすべてに|臨《のぞ》むことを|知《し》っている。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》に|言《い》った、「|愚者《ぐしゃ》に|臨《のぞ》む|事《こと》はわたしにも|臨《のぞ》むのだ。それでどうしてわたしは|賢《かしこ》いことがあろう」。わたしはまた|心《こころ》に|言《い》った、「これもまた|空《くう》である」と。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そもそも、|知者《ちしゃ》も|愚者《ぐしゃ》も|同様《どうよう》に|長《なが》く|覚《おぼ》えられるものではない。きたるべき|日《ひ》には|皆《みな》|忘《わす》れられてしまうのである。|知者《ちしゃ》が|愚者《ぐしゃ》と|同《おな》じように|死《し》ぬのは、どうしたことであろう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしは|生《い》きることをいとった。|日《ひ》の|下《した》に|行《おこな》われるわざは、わたしに|悪《あ》しく|見《み》えたからである。|皆《みな》|空《くう》であって、|風《かぜ》を|捕《とら》えるようである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》の|下《した》で|労《ろう》したすべての|労苦《ろうく》を|憎《にく》んだ。わたしの|後《のち》に|来《く》る|人《ひと》にこれを|残《のこ》さなければならないからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|人《ひと》が|知者《ちしゃ》であるか、または|愚者《ぐしゃ》であるかは、だれが|知《し》り|得《え》よう。そうであるのに、その|人《ひと》が、|日《ひ》の|下《した》でわたしが|労《ろう》し、かつ|知恵《ちえ》を|働《はたら》かしてなしたすべての|労苦《ろうく》をつかさどることになるのだ。これもまた|空《くう》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはふり|返《かえ》ってみて、|日《ひ》の|下《した》でわたしが|労《ろう》したすべての|労苦《ろうく》について、|望《のぞ》みを|失《うしな》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》ここに|人《ひと》があって、|知恵《ちえ》と|知識《ちしき》と|才能《さいのう》をもって|労《ろう》しても、これがために|労《ろう》しない|人《ひと》に、すべてを|残《のこ》して、その|所有《しょゆう》とさせなければならないのだ。これもまた|空《くう》であって、|大《おお》いに|悪《わる》い。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]そもそも、|人《ひと》は|日《ひ》の|下《した》で|労《ろう》するすべての|労苦《ろうく》と、その|心《こころ》づかいによってなんの|得《え》るところがあるか。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そのすべての|日《ひ》はただ|憂《うれ》いのみであって、そのわざは|苦《くる》しく、その|心《こころ》は|夜《よ》の|間《ま》も|休《やす》まることがない。これもまた|空《くう》である。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|食《く》い|飲《の》みし、その|労苦《ろうく》によって|得《え》たもので|心《こころ》を|楽《たの》しませるより|良《よ》い|事《こと》はない。これもまた|神《かみ》の|手《て》から|出《で》ることを、わたしは|見《み》た。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]だれが|神《かみ》を|離《はな》れて、|食《く》い、かつ|楽《たの》しむことのできる|者《もの》があろう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は、その|心《こころ》にかなう|人《ひと》に、|知恵《ちえ》と|知識《ちしき》と|喜《よろこ》びとをくださる。しかし|罪《つみ》びとには|仕事《しごと》を|与《あた》えて|集《あつ》めることと、|積《つ》むことをさせられる。これは|神《かみ》の|心《こころ》にかなう|者《もの》にそれを|賜《たま》わるためである。これもまた|空《くう》であって、|風《かぜ》を|捕《とら》えるようである。 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|天《あめ》が|下《した》のすべての|事《こと》には|季節《きせつ》があり、 すべてのわざには|時《とき》がある。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|生《うま》るるに|時《とき》があり、|死《し》ぬるに|時《とき》があり、 |植《う》えるに|時《とき》があり、|植《う》えたものを|抜《ぬ》くに|時《とき》があり、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|殺《ころ》すに|時《とき》があり、いやすに|時《とき》があり、 こわすに|時《とき》があり、|建《た》てるに|時《とき》があり、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|泣《な》くに|時《とき》があり、|笑《わら》うに|時《とき》があり、 |悲《かな》しむに|時《とき》があり、|踊《おど》るに|時《とき》があり、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|石《いし》を|投《な》げるに|時《とき》があり、|石《いし》を|集《あつ》めるに|時《とき》があり、 |抱《だ》くに|時《とき》があり、|抱《だ》くことをやめるに|時《とき》があり、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|捜《さが》すに|時《とき》があり、|失《うしな》うに|時《とき》があり、 |保《たも》つに|時《とき》があり、|捨《す》てるに|時《とき》があり、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|裂《さ》くに|時《とき》があり、|縫《ぬ》うに|時《とき》があり、 |黙《だま》るに|時《とき》があり、|語《かた》るに|時《とき》があり、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|愛《あい》するに|時《とき》があり、|憎《にく》むに|時《とき》があり、 |戦《たたか》うに|時《とき》があり、|和《やわ》らぐに|時《とき》がある。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|働《はたら》く|者《もの》はその|労《ろう》することにより、なんの|益《えき》を|得《え》るか。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》が|人《ひと》の|子《こ》らに|与《あた》えて、ほねおらせられる|仕事《しごと》を|見《み》た。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》のなされることは|皆《みな》その|時《とき》にかなって|美《うつく》しい。|神《かみ》はまた|人《ひと》の|心《こころ》に|永遠《えいえん》を|思《おも》う|思《おも》いを|授《さづ》けられた。それでもなお、|人《ひと》は|神《かみ》のなされるわざを|初《はじ》めから|終《おわ》りまで|見《み》きわめることはできない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知《し》っている。|人《ひと》にはその|生《い》きながらえている|間《あいだ》、|楽《たの》しく|愉快《ゆかい》に|過《す》ごすよりほかに|良《よ》い|事《こと》はない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|人《ひと》が|食《く》い|飲《の》みし、そのすべての|労苦《ろうく》によって|楽《たの》しみを|得《え》ることは|神《かみ》の|賜物《たまもの》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知《し》っている。すべて|神《かみ》がなさる|事《こと》は|永遠《えいえん》に|変《かわ》ることがなく、これに|加《くわ》えることも、これから|取《と》ることもできない。|神《かみ》がこのようにされるのは、|人々《ひとびと》が|神《かみ》の|前《まえ》に|恐《おそ》れをもつようになるためである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あるものは、すでにあったものである。|後《のち》にあるものも、すでにあったものである。|神《かみ》は|追《お》いやられたものを|尋《たず》ね|求《もと》められる。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、|日《ひ》の|下《した》を|見《み》たが、さばきを|行《おこな》う|所《ところ》にも|不正《ふせい》があり、|公義《こうぎ》を|行《おこな》う|所《ところ》にも|不正《ふせい》がある。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》に|言《い》った、「|神《かみ》は|正《ただ》しい|者《もの》と|悪《わる》い|者《もの》とをさばかれる。|神《かみ》はすべての|事《こと》と、すべてのわざに、|時《とき》を|定《さだ》められたからである」と。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、|人《ひと》の|子《こ》らについて|心《こころ》に|言《い》った、「|神《かみ》は|彼《かれ》らをためして、|彼《かれ》らに|自分《じぶん》たちが|獣《けもの》にすぎないことを|悟《さと》らせられるのである」と。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》らに|臨《のぞ》むところは|獣《けもの》にも|臨《のぞ》むからである。すなわち|一様《いちよう》に|彼《かれ》らに|臨《のぞ》み、これの|死《し》ぬように、|彼《かれ》も|死《し》ぬのである。|彼《かれ》らはみな|同様《どうよう》の|息《いき》をもっている。|人《ひと》は|獣《けもの》にまさるところがない。すべてのものは|空《くう》だからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]みな|一《ひと》つ|所《ところ》に|行《い》く。|皆《みな》ちりから|出《で》て、|皆《みな》ちりに|帰《かえ》る。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]だれが|知《し》るか、|人《ひと》の|子《こ》らの|霊《れい》は|上《うえ》にのぼり、|獣《けもの》の|霊《れい》は|地《ち》にくだるかを。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それで、わたしは|見《み》た、|人《ひと》はその|働《はたら》きによって|楽《たの》しむにこした|事《こと》はない。これが|彼《かれ》の|分《ぶん》だからである。だれが|彼《かれ》をつれていって、その|後《のち》の、どうなるかを|見《み》させることができようか。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、|日《ひ》の|下《した》に|行《おこな》われるすべてのしえたげを|見《み》た。|見《み》よ、しえたげられる|者《もの》の|涙《なみだ》を。|彼《かれ》らを|慰《なぐさ》める|者《もの》はない。しえたげる|者《もの》の|手《て》には|権力《けんりょく》がある。しかし|彼《かれ》らを|慰《なぐさ》める|者《もの》はいない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それで、わたしはなお|生《い》きている|生存者《せいぞんしゃ》よりも、すでに|死《し》んだ|死者《ししゃ》を、さいわいな|者《もの》と|思《おも》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、この|両者《りょうしゃ》よりもさいわいなのは、まだ|生《うま》れない|者《もの》で、|日《ひ》の|下《した》に|行《おこな》われる|悪《あ》しきわざを|見《み》ない|者《もの》である。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしはすべての|労苦《ろうく》と、すべての|巧《たく》みなわざを|見《み》たが、これは|人《ひと》が|互《たがい》にねたみあってなすものである。これもまた|空《くう》であって、|風《かぜ》を|捕《とら》えるようである。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かなる|者《もの》は|手《て》をつかねて、|自分《じぶん》の|肉《にく》を|食《く》う。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|片手《かたて》に|物《もの》を|満《み》たして|平穏《へいおん》であるのは、|両手《りょうて》に|物《もの》を|満《み》たして|労苦《ろうく》し、|風《かぜ》を|捕《とら》えるのにまさる。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、|日《ひ》の|下《した》に|空《くう》なる|事《こと》のあるのを|見《み》た。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ここに|人《ひと》がある。ひとりであって、|仲《なか》|間《ま》もなく、|子《こ》もなく、|兄弟《きょうだい》もない。それでも|彼《かれ》の|労苦《ろうく》は|窮《きわ》まりなく、その|目《め》は|富《とみ》に|飽《あ》くことがない。また|彼《かれ》は|言《い》わない、「わたしはだれのために|労《ろう》するのか、どうして|自分《じぶん》を|楽《たの》しませないのか」と。これもまた|空《くう》であって、|苦《くる》しいわざである。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ふたりはひとりにまさる。|彼《かれ》らはその|労苦《ろうく》によって|良《よ》い|報《むく》いを|得《え》るからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らが|倒《たお》れる|時《とき》には、そのひとりがその|友《とも》を|助《たす》け|起《おこ》す。しかしひとりであって、その|倒《たお》れる|時《とき》、これを|助《たす》け|起《おこ》す|者《もの》のない|者《もの》はわざわいである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またふたりが|一緒《いっしょ》に|寝《ね》れば|暖《あたた》かである。ひとりだけで、どうして|暖《あたた》かになり|得《え》ようか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし、そのひとりを|攻《せ》め|撃《う》ったなら、ふたりで、それに|当《あた》るであろう。三つよりの|綱《つな》はたやすくは|切《き》れない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しくて|賢《かしこ》いわらべは、|老《お》いて|愚《おろ》かで、もはや、いさめをいれることを|知《し》らない|王《おう》にまさる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]たとい、その|王《おう》が|獄屋《ごくや》から|出《で》て、|王位《おうい》についた|者《もの》であっても、また|自分《じぶん》の|国《くに》に|貧《まず》しく|生《うま》れて|王位《おうい》についた|者《もの》であっても、そうである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》の|下《した》に|歩《あゆ》むすべての|民《たみ》が、かのわらべのように|王《おう》に|代《かわ》って|立《た》つのを|見《み》た。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すべての|民《たみ》は|果《は》てしがない。|彼《かれ》はそのすべての|民《たみ》を|導《みちび》いた。しかし|後《のち》に|来《く》る|者《もの》は|彼《かれ》を|喜《よろこ》ばない。たしかに、これもまた|空《くう》であって、|風《かぜ》を|捕《とら》えるようである。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|宮《みや》に|行《ゆ》く|時《とき》には、その|足《あし》を|慎《つつし》むがよい。|近《ちか》よって|聞《き》くのは|愚《おろ》かな|者《もの》の|犠牲《ぎせい》をささげるのにまさる。|彼《かれ》らは|悪《あく》を|行《おこな》っていることを|知《し》らないからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|前《まえ》で|軽々《かるがる》しく|口《くち》をひらき、また|言葉《ことば》を|出《だ》そうと、|心《こころ》にあせってはならない。|神《かみ》は|天《てん》にいまし、あなたは|地《ち》におるからである。それゆえ、あなたは|言葉《ことば》を|少《すく》なくせよ。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|夢《ゆめ》は|仕事《しごと》の|多《おお》いことによってきたり、|愚《おろ》かなる|者《もの》の|声《こえ》は|言葉《ことば》の|多《おお》いことによって|知《し》られる。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|神《かみ》に|誓《ちか》いをなすとき、それを|果《はた》すことを|延《の》ばしてはならない。|神《かみ》は|愚《おろ》かな|者《もの》を|喜《よろこ》ばれないからである。あなたの|誓《ちか》ったことを|必《かなら》ず|果《はた》せ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|誓《ちか》いをして、それを|果《はた》さないよりは、むしろ|誓《ちか》いをしないほうがよい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|口《くち》が、あなたに|罪《つみ》を|犯《おか》させないようにせよ。また|使者《ししゃ》の|前《まえ》にそれは|誤《あやま》りであったと|言《い》ってはならない。どうして、|神《かみ》があなたの|言葉《ことば》を|怒《いか》り、あなたの|手《て》のわざを|滅《ほろ》ぼしてよかろうか。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|夢《ゆめ》が|多《おお》ければ|空《くう》なる|言葉《ことば》も|多《おお》い。しかし、あなたは|神《かみ》を|恐《おそ》れよ。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|国《くに》のうちに|貧《まず》しい|者《もの》をしえたげ、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》を|曲《ま》げることのあるのを|見《み》ても、その|事《こと》を|怪《あや》しんではならない。それは|位《くらい》の|高《たか》い|人《ひと》よりも、さらに|高《たか》い|者《もの》があって、その|人《ひと》をうかがうからである。そしてそれらよりもなお|高《たか》い|者《もの》がある。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|要《よう》するに|耕作《こうさく》した|田畑《たはた》をもつ|国《くに》には|王《おう》は|利益《りえき》である。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|金銭《きんせん》を|好《この》む|者《もの》は|金銭《きんせん》をもって|満足《まんぞく》しない。|富《とみ》を|好《この》む|者《もの》は|富《とみ》を|得《え》て|満足《まんぞく》しない。これもまた|空《くう》である。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|財産《ざいさん》が|増《ま》せば、これを|食《く》う|者《もの》も|増《ま》す。その|持《も》ち|主《ぬし》は|目《め》にそれを|見《み》るだけで、なんの|益《えき》があるか。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|働《はたら》く|者《もの》は|食《た》べることが|少《すく》なくても|多《おお》くても、|快《こころよ》く|眠《ねむ》る。しかし|飽《あ》き|足《た》りるほどの|富《とみ》は、|彼《かれ》に|眠《ねむ》ることをゆるさない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》の|下《した》に|悲《かな》しむべき|悪《あく》のあるのを|見《み》た。すなわち、|富《とみ》はこれをたくわえるその|持《も》ち|主《ぬし》に|害《がい》を|及《およ》ぼすことである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またその|富《とみ》は|不幸《ふこう》な|出来事《できごと》によってうせ|行《い》くことである。それで、その|人《ひと》が|子《こ》をもうけても、|彼《かれ》の|手《て》には|何《なに》も|残《のこ》らない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|母《はは》の|胎《たい》から|出《で》てきたように、すなわち|裸《はだか》で|出《で》てきたように|帰《かえ》って|行《い》く。|彼《かれ》はその|労苦《ろうく》によって|得《え》た|何《なに》|物《もの》をもその|手《て》に|携《たずさ》え|行《い》くことができない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|全《まった》くその|来《き》たように、また|去《さ》って|行《い》かなければならない。これもまた|悲《かな》しむべき|悪《あく》である。|風《かぜ》のために|労《ろう》する|者《もの》になんの|益《えき》があるか。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|一生《いっしょう》、|暗《くら》やみと、|悲《かな》しみと、|多《おお》くの|悩《なや》みと、|病《やまい》と、|憤《いきどお》りの|中《なか》にある。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしが|見《み》たところの|善《ぜん》かつ|美《び》なる|事《こと》は、|神《かみ》から|賜《たま》わった|短《みじか》い|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、|食《く》い、|飲《の》み、かつ|日《ひ》の|下《した》で|労《ろう》するすべての|労苦《ろうく》によって、|楽《たの》しみを|得《え》る|事《こと》である。これがその|分《ぶん》だからである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|神《かみ》はすべての|人《ひと》に|富《とみ》と|宝《たから》と、それを|楽《たの》しむ|力《ちから》を|与《あた》え、またその|分《ぶん》を|取《と》らせ、その|労苦《ろうく》によって|楽《たの》しみを|得《え》させられる。これが|神《かみ》の|賜物《たまもの》である。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は|自分《じぶん》の|生《い》きる|日《ひ》のことを|多《おお》く|思《おも》わない。|神《かみ》は|喜《よろこ》びをもって|彼《かれ》の|心《こころ》を|満《み》たされるからである。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》の|下《した》に一つの|悪《あく》のあるのを|見《み》た。これは|人々《ひとびと》の|上《うえ》に|重《おも》い。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|神《かみ》は|富《とみ》と、|財産《ざいさん》と、|誉《ほまれ》とを|人《ひと》に|与《あた》えて、その|心《こころ》に|慕《した》うものを、一つも|欠《か》けることのないようにされる。しかし|神《かみ》は、その|人《ひと》にこれを|持《も》つことを|許《ゆる》されないで、|他人《たにん》がこれを|持《も》つようになる。これは|空《くう》である。|悪《あ》しき|病《やまい》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]たとい|人《ひと》は百|人《にん》の|子《こ》をもうけ、また|命《いのち》|長《なが》く、そのよわいの|日《ひ》が|多《おお》くても、その|心《こころ》が|幸福《こうふく》に|満足《まんぞく》せず、また|葬《ほうむ》られることがなければ、わたしは|言《い》う、|流産《りゅうざん》の|子《こ》はその|人《ひと》にまさると。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これはむなしく|来《き》て、|暗《くら》やみの|中《なか》に|去《さ》って|行《い》き、その|名《な》は|暗《くら》やみにおおわれる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またこれは|日《ひ》を|見《み》ず、|物《もの》を|知《し》らない。けれどもこれは|彼《かれ》よりも|安《やす》らかである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》は千|年《ねん》に|倍《ばい》するほど|生《い》きても|幸福《こうふく》を|見《み》ない。みな|一《ひと》つ|所《ところ》に|行《い》くのではないか。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|労苦《ろうく》は|皆《みな》、その|口《くち》のためである。しかしその|食欲《しょくよく》は|満《み》たされない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|者《もの》は|愚《おろ》かな|者《もの》になんのまさるところがあるか。また|生《い》ける|者《もの》の|前《まえ》に|歩《あゆ》むことを|知《し》る|貧《まず》しい|者《もの》もなんのまさるところがあるか。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》に|見《み》る|事《こと》は|欲望《よくぼう》のさまよい|歩《ある》くにまさる。これもまた|空《くう》であって、|風《かぜ》を|捕《とら》えるようなものである。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あるものは、すでにその|名《な》がつけられた。そして|人《ひと》はいかなる|者《もの》であるかは|知《し》られた。それで|人《ひと》は|自分《じぶん》よりも|力強《ちからづよ》い|者《もの》と|争《あらそ》うことはできない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|言葉《ことば》が|多《おお》ければむなしい|事《こと》も|多《おお》い。|人《ひと》になんの|益《えき》があるか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はその|短《みじか》く、むなしい|命《いのち》の|日《ひ》を|影《かげ》のように|送《おく》るのに、|何《なに》が|人《ひと》のために|善《ぜん》であるかを|知《し》ることができよう。だれがその|身《み》の|後《のち》に、|日《ひ》の|下《した》に|何《なに》があるであろうかを|人《ひと》に|告《つ》げることができるか。 第七章[#「第七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|良《よ》き|名《な》は|良《よ》き|油《あぶら》にまさり、 |死《し》ぬる|日《ひ》は|生《うま》るる|日《ひ》にまさる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|悲《かな》しみの|家《いえ》にはいるのは、 |宴会《えんかい》の|家《いえ》にはいるのにまさる。 |死《し》はすべての|人《ひと》の|終《おわ》りだからである。 |生《い》きている|者《もの》は、これを|心《こころ》にとめる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|悲《かな》しみは|笑《わら》いにまさる。 |顔《かお》に|憂《うれ》いをもつことによって、 |心《こころ》は|良《よ》くなるからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|者《もの》の|心《こころ》は|悲《かな》しみの|家《いえ》にあり、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|心《こころ》は|楽《たの》しみの|家《いえ》にある。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|者《もの》の|戒《いまし》めを|聞《き》くのは、 |愚《おろ》かな|者《もの》の|歌《うた》を|聞《き》くのにまさる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》の|笑《わら》いは かまの|下《した》に|燃《も》えるいばらの|音《おと》のようである。 これもまた|空《くう》である。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]たしかに、しえたげは|賢《かしこ》い|人《ひと》を|愚《おろ》かにし、 まいないは|人《ひと》の|心《こころ》をそこなう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|事《こと》の|終《おわ》りはその|初《はじ》めよりも|良《よ》い。 |耐《た》え|忍《しの》ぶ|心《こころ》は、おごり|高《たか》ぶる|心《こころ》にまさる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|気《き》をせきたてて|怒《いか》るな。 |怒《いか》りは|愚《おろ》かな|者《もの》の|胸《むね》に|宿《やど》るからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「|昔《むかし》が|今《いま》よりもよかったのはなぜか」と|言《い》うな。 あなたがこれを|問《と》うのは|知恵《ちえ》から|出《で》るのではない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》に|財産《ざいさん》が|伴《ともな》うのは|良《よ》い。 それは|日《ひ》を|見《み》る|者《もの》どもに|益《えき》がある。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》が|身《み》を|守《まも》るのは、|金銭《きんせん》が|身《み》を|守《まも》るようである。 しかし、|知恵《ちえ》はこれを|持《も》つ|者《もの》に|生命《せいめい》を|保《たも》たせる。 これが|知識《ちしき》のすぐれた|所《ところ》である。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》のみわざを|考《かんが》えみよ。 |神《かみ》の|曲《ま》げられたものを、 だれがまっすぐにすることができるか。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|順境《じゅんきょう》の|日《ひ》には|楽《たの》しめ、|逆境《ぎゃっきょう》の|日《ひ》には|考《かんが》えよ。|神《かみ》は|人《ひと》に|将来《しょうらい》どういう|事《こと》があるかを、|知《し》らせないために、|彼《かれ》とこれとを|等《ひと》しく|造《つく》られたのである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこのむなしい|人生《じんせい》において、もろもろの|事《こと》を|見《み》た。そこには|義人《ぎじん》がその|義《ぎ》によって|滅《ほろ》びることがあり、|悪人《あくにん》がその|悪《あく》によって|長生《ながい》きすることがある。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|義《ぎ》に|過《す》ぎてはならない。また|賢《かしこ》きに|過《す》ぎてはならない。あなたはどうして|自分《じぶん》を|滅《ほろ》ぼしてよかろうか。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》に|過《す》ぎてはならない。また|愚《おろ》かであってはならない。あなたはどうして、|自分《じぶん》の|時《とき》のこないのに、|死《し》んでよかろうか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがこれを|執《と》るのはよい、また|彼《かれ》から|手《て》を|引《ひ》いてはならない。|神《かみ》をかしこむ|者《もの》は、このすべてからのがれ|出《で》るのである。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》が|知者《ちしゃ》を|強《つよ》くするのは、十|人《にん》のつかさが|町《まち》におるのにまさる。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|善《ぜん》を|行《おこな》い、|罪《つみ》を|犯《おか》さない|正《ただ》しい|人《ひと》は|世《よ》にいない。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|語《かた》るすべての|事《こと》に|心《こころ》をとめてはならない。これはあなたが、|自分《じぶん》のしもべのあなたをのろう|言葉《ことば》を|聞《き》かないためである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたもまた、しばしば|他人《たにん》をのろったのを|自分《じぶん》の|心《こころ》に|知《し》っているからである。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知恵《ちえ》をもってこのすべての|事《こと》を|試《こころ》みて、「わたしは|知者《ちしゃ》となろう」と|言《い》ったが、|遠《とお》く|及《およ》ばなかった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|物事《ものごと》の|理《り》は|遠《とお》く、また、はなはだ|深《ふか》い。だれがこれを|見《み》いだすことができよう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|心《こころ》を|転《てん》じて、|物《もの》を|知《し》り、|事《こと》を|探《さぐ》り、|知恵《ちえ》と|道理《どうり》を|求《もと》めようとし、また|悪《あく》の|愚《おろ》かなこと、|愚痴《ぐち》の|狂気《きょうき》であることを|知《し》ろうとした。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、その|心《こころ》が、わなと|網《あみ》のような|女《おんな》、その|手《て》が、かせのような|女《おんな》は、|死《し》よりも|苦《にが》い|者《もの》であることを|見《み》いだした。|神《かみ》を|喜《よろこ》ばす|者《もの》は|彼女《かのじょ》からのがれる。しかし|罪《つみ》びとは|彼女《かのじょ》に|捕《とら》えられる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|伝道者《でんどうしゃ》は|言《い》う、|見《み》よ、その|数《かず》を|知《し》ろうとして、いちいち|数《かぞ》えて、わたしが|得《え》たものはこれである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはなおこれを|求《もと》めたけれども、|得《え》なかった。わたしは千|人《にん》のうちにひとりの|男子《だんし》を|得《え》たけれども、そのすべてのうちに、ひとりの|女子《じょし》をも|得《え》なかった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしが|得《え》た|事《こと》は、ただこれだけである。すなわち、|神《かみ》は|人《ひと》を|正《ただ》しい|者《もの》に|造《つく》られたけれども、|人《ひと》は|多《おお》くの|計略《けいりゃく》を|考《かんが》え|出《だ》した|事《こと》である。 第八章[#「第八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]だれが|知者《ちしゃ》のようになり|得《え》よう。 だれが|事《こと》の|意義《いぎ》を|知《し》り|得《え》よう。 |人《ひと》の|知恵《ちえ》はその|人《ひと》の|顔《かお》を|輝《かがや》かせ、 またその|粗暴《そぼう》な|顔《かお》を|変《か》える。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|命《めい》を|守《まも》れ。すでに|神《かみ》をさして|誓《ちか》ったことゆえ、|驚《おどろ》くな。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|事《こと》が|悪《わる》い|時《とき》は、|王《おう》の|前《まえ》を|去《さ》れ、ためらうな。|彼《かれ》はすべてその|好《この》むところをなすからである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|言葉《ことば》は|決定的《けっていてき》である。だれが|彼《かれ》に「あなたは|何《なに》をするのか」と|言《い》うことができようか。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|命令《めいれい》を|守《まも》る|者《もの》は|災《わざわい》にあわない。|知者《ちしゃ》の|心《こころ》は|時《とき》と|方法《ほうほう》をわきまえている。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|悪《あく》が|彼《かれ》の|上《うえ》に|重《おも》くても、すべてのわざには|時《とき》と|方法《ほうほう》がある。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》に|起《おこ》る|事《こと》を|知《し》る|者《もの》はない。どんな|事《こと》が|起《おこ》るかをだれが|彼《かれ》に|告《つ》げ|得《え》よう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|風《かぜ》をとどめる|力《ちから》をもつ|人《ひと》はない。また|死《し》の|日《ひ》をつかさどるものはない。|戦《たたか》いには|免除《めんじょ》はない。また|悪《あく》はこれを|行《おこな》う|者《もの》を|救《すく》うことができない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこのすべての|事《こと》を|見《み》た。また|日《ひ》の|下《した》に|行《おこな》われるもろもろのわざに|心《こころ》を|用《もち》いた。|時《とき》としてはこの|人《ひと》が、かの|人《ひと》を|治《おさ》めて、これに|害《がい》をこうむらせることがある。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは|悪人《あくにん》の|葬《ほうむ》られるのを|見《み》た。|彼《かれ》らはいつも|聖所《せいじょ》に|出入《でい》りし、それを|行《おこな》ったその|町《まち》でほめられた。これもまた|空《くう》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しきわざに|対《たい》する|判決《はんけつ》がすみやかに|行《おこな》われないために、|人《ひと》の|子《こ》らの|心《こころ》はもっぱら|悪《あく》を|行《おこな》うことに|傾《かたむ》いている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|罪《つみ》びとで百|度《ど》|悪《あく》をなして、なお|長生《ながい》きするものがあるけれども、|神《かみ》をかしこみ、み|前《まえ》に|恐《おそ》れをいだく|者《もの》には|幸福《こうふく》があることを、わたしは|知《し》っている。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|悪人《あくにん》には|幸福《こうふく》がない。またその|命《いのち》は|影《かげ》のようであって|長《なが》くは|続《つづ》かない。|彼《かれ》は|神《かみ》の|前《まえ》に|恐《おそ》れをいだかないからである。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|上《うえ》に|空《くう》な|事《こと》が|行《おこな》われている。すなわち、|義人《ぎじん》であって、|悪人《あくにん》に|臨《のぞ》むべき|事《こと》が、その|身《み》に|臨《のぞ》む|者《もの》がある。また、|悪人《あくにん》であって、|義人《ぎじん》に|臨《のぞ》むべき|事《こと》が、その|身《み》に|臨《のぞ》む|者《もの》がある。わたしは|言《い》った、これもまた|空《くう》であると。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしは|歓楽《かんらく》をたたえる。それは|日《ひ》の|下《した》では、|人《ひと》にとって、|食《く》い、|飲《の》み、|楽《たの》しむよりほかに|良《よ》い|事《こと》はないからである。これこそは|日《ひ》の|下《した》で、|神《かみ》が|賜《たま》わった|命《いのち》の|日《ひ》の|間《あいだ》、その|勤労《きんろう》によってその|身《み》に|伴《ともな》うものである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|心《こころ》をつくして|知恵《ちえ》を|知《し》ろうとし、また|地上《ちじょう》に|行《おこな》われるわざを|昼《ひる》も|夜《よる》も|眠《ねむ》らずに|窮《きわ》めようとしたとき、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|神《かみ》のもろもろのわざを|見《み》たが、|人《ひと》は|日《ひ》の|下《した》に|行《おこな》われるわざを|窮《きわ》めることはできない。|人《ひと》はこれを|尋《たず》ねようと|労《ろう》しても、これを|窮《きわ》めることはできない。また、たとい|知者《ちしゃ》があって、これを|知《し》ろうと|思《おも》っても、これを|窮《きわ》めることはできないのである。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこのすべての|事《こと》に|心《こころ》を|用《もち》いて、このすべての|事《こと》を|明《あき》らかにしようとした。すなわち|正《ただ》しい|者《もの》と|賢《かしこ》い|者《もの》、および|彼《かれ》らのわざが、|神《かみ》の|手《て》にあることを|明《あき》らかにしようとした。|愛《あい》するか|憎《にく》むかは|人《ひと》にはわからない。|彼《かれ》らの|前《まえ》にあるすべてのことは|空《くう》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すべての|人《ひと》に|臨《のぞ》むところは、みな|同様《どうよう》である。|正《ただ》しい|者《もの》にも|正《ただ》しくない|者《もの》にも、|善良《ぜんりょう》な|者《もの》にも|悪《わる》い|者《もの》にも、|清《きよ》い|者《もの》にも|汚《けが》れた|者《もの》にも、|犠牲《ぎせい》をささげる|者《もの》にも、|犠牲《ぎせい》をささげない|者《もの》にも、その|臨《のぞ》むところは|同様《どうよう》である。|善良《ぜんりょう》な|人《ひと》も|罪《つみ》びとも|異《こと》なることはない。|誓《ちか》いをなす|者《もの》も、|誓《ちか》いをなすことを|恐《おそ》れる|者《もの》も|異《こと》なることはない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すべての|人《ひと》に|同一《どういつ》に|臨《のぞ》むのは、|日《ひ》の|下《した》に|行《おこな》われるすべての|事《こと》のうちの|悪事《あくじ》である。また|人《ひと》の|心《こころ》は|悪《あく》に|満《み》ち、その|生《い》きている|間《あいだ》は、|狂気《きょうき》がその|心《こころ》のうちにあり、その|後《のち》は|死者《ししゃ》のもとに|行《い》くのである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すべて|生《い》ける|者《もの》に|連《つら》なる|者《もの》には|望《のぞ》みがある。|生《い》ける|犬《いぬ》は、|死《し》せるししにまさるからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|生《い》きている|者《もの》は|死《し》ぬべき|事《こと》を|知《し》っている。しかし|死者《ししゃ》は|何事《なにごと》をも|知《し》らない、また、もはや|報《むく》いを|受《う》けることもない。その|記憶《きおく》に|残《のこ》る|事《こと》がらさえも、ついに|忘《わす》れられる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|愛《あい》も、|憎《にく》しみも、ねたみも、すでに|消《き》えうせて、|彼《かれ》らはもはや|日《ひ》の|下《した》に|行《おこな》われるすべての|事《こと》に、|永久《えいきゅう》にかかわることがない。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|行《い》って、|喜《よろこ》びをもってあなたのパンを|食《た》べ、|楽《たの》しい|心《こころ》をもってあなたの|酒《さけ》を|飲《の》むがよい。|神《かみ》はすでに、あなたのわざをよみせられたからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|衣《ころも》を|常《つね》に|白《しろ》くせよ。あなたの|頭《あたま》に|油《あぶら》を|絶《た》やすな。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》の|下《した》で|神《かみ》から|賜《たま》わったあなたの|空《くう》なる|命《いのち》の|日《ひ》の|間《あいだ》、あなたはその|愛《あい》する|妻《つま》と|共《とも》に|楽《たの》しく|暮《くら》すがよい。これはあなたが|世《よ》にあってうける|分《ぶん》、あなたが|日《ひ》の|下《した》で|労《ろう》する|労苦《ろうく》によって|得《え》るものだからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたの|手《て》のなしうる|事《こと》は、|力《ちから》をつくしてなせ。あなたの|行《い》く|陰府《よみ》には、わざも、|計略《けいりゃく》も、|知識《ちしき》も、|知恵《ちえ》もないからである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|日《ひ》の|下《した》を|見《み》たが、|必《かなら》ずしも|速《はや》い|者《もの》が|競走《きょうそう》に|勝《か》つのではなく、|強《つよ》い|者《もの》が|戦《たたか》いに|勝《か》つのでもない。また|賢《かしこ》い|者《もの》がパンを|得《え》るのでもなく、さとき|者《もの》が|富《とみ》を|得《え》るのでもない。また|知識《ちしき》ある|者《もの》が|恵《めぐ》みを|得《え》るのでもない。しかし|時《とき》と|災難《さいなん》はすべての|人《ひと》に|臨《のぞ》む。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はその|時《とき》を|知《し》らない。|魚《うお》がわざわいの|網《あみ》にかかり、|鳥《とり》がわなにかかるように、|人《ひと》の|子《こ》らもわざわいの|時《とき》が|突然《とつぜん》|彼《かれ》らに|臨《のぞ》む|時《とき》、それにかかるのである。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは|日《ひ》の|下《した》にこのような|知恵《ちえ》の|例《れい》を|見《み》た。これはわたしにとって|大《おお》きな|事《こと》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ここに一つの|小《ちい》さい|町《まち》があって、そこに|住《す》む|人《ひと》は|少《すく》なかったが、|大《おお》いなる|王《おう》が|攻《せ》めて|来《き》て、これを|囲《かこ》み、これに|向《む》かって|大《おお》きな|雲梯《うんてい》を|建《た》てた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|町《まち》のうちにひとりの|貧《まず》しい|知恵《ちえ》のある|人《ひと》がいて、その|知恵《ちえ》をもって|町《まち》を|救《すく》った。ところがだれひとり、その|貧《まず》しい|人《ひと》を|記憶《きおく》する|者《もの》がなかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|言《い》う、「|知恵《ちえ》は|力《ちから》にまさる。しかしかの|貧《まず》しい|人《ひと》の|知恵《ちえ》は|軽《かろ》んぜられ、その|言葉《ことば》は|聞《き》かれなかった」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|静《しず》かに|聞《き》かれる|知者《ちしゃ》の|言葉《ことば》は、|愚《おろ》かな|者《もの》の|中《なか》のつかさたる|者《もの》の|叫《さけ》びにまさる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》は|戦《たたか》いの|武器《ぶき》にまさる。しかし、ひとりの|罪《つみ》びとは|多《おお》くの|良《よ》きわざを|滅《ほろ》ぼす。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》んだはえは、|香料《こうりょう》を|造《つく》る|者《もの》の あぶらを|臭《くさ》くし、 |少《すこ》しの|愚痴《ぐち》は|知恵《ちえ》と|誉《ほまれ》よりも|重《おも》い。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|知者《ちしゃ》の|心《こころ》は|彼《かれ》を|右《みぎ》に|向《む》けさせ、 |愚者《ぐしゃ》の|心《こころ》は|左《ひだり》に|向《む》けさせる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|愚者《ぐしゃ》は|道《みち》を|行《い》く|時《とき》、|思慮《しりょ》が|足《た》りない、 |自分《じぶん》の|愚《おろ》かなことをすべての|人《ひと》に|告《つ》げる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]つかさたる|者《もの》があなたに|向《む》かって|立腹《りっぷく》しても、 あなたの|所《ところ》を|離《はな》れてはならない。 |温順《おんじゅん》は|大《おお》いなるとがを|和《やわ》らげるからである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|日《ひ》の|下《した》に一つの|悪《あく》のあるのを|見《み》た。それはつかさたる|者《もの》から|出《で》るあやまちに|似《に》ている。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|愚《おろ》かなる|者《もの》が|高《たか》い|地位《ちい》に|置《お》かれ、|富《と》める|者《もの》が|卑《いや》しい|所《ところ》に|座《ざ》している。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはしもべたる|者《もの》が|馬《うま》に|乗《の》り、|君《くん》たる|者《もの》が|奴隷《どれい》のように|徒歩《とほ》であるくのを|見《み》た。 [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|穴《あな》を|掘《ほ》る|者《もの》はみずからこれに|陥《おちい》り、 |石《いし》がきをこわす|者《もの》は、へびにかまれる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|石《いし》を|切《き》り|出《だ》す|者《もの》はそれがために|傷《きず》をうけ、 |木《き》を|割《わ》る|者《もの》はそれがために|危険《きけん》にさらされる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|鉄《てつ》が|鈍《にぶ》くなったとき、|人《ひと》がその|刃《は》をみがかなければ、 |力《ちから》を|多《おお》くこれに|用《もち》いねばならない。 しかし、|知恵《ちえ》は|人《ひと》を|助《たす》けてなし|遂《と》げさせる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]へびがもし|呪文《じゅもん》をかけられる|前《まえ》に、かみつけば、 へび|使《つかい》は|益《えき》がない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|知者《ちしゃ》の|口《くち》の|言葉《ことば》は|恵《めぐ》みがある、 しかし|愚者《ぐしゃ》のくちびるはその|身《み》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|愚者《ぐしゃ》の|口《くち》の|言葉《ことば》の|初《はじ》めは|愚痴《ぐち》である、 またその|言葉《ことば》の|終《おわ》りは|悪《わる》い|狂気《きょうき》である。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|愚者《ぐしゃ》は|言葉《ことば》を|多《おお》くする、 しかし|人《ひと》はだれも|後《のち》に|起《おこ》ることを|知《し》らない。 だれがその|身《み》の|後《のち》に|起《おこ》る|事《こと》を |告《つ》げることができようか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|愚者《ぐしゃ》の|労苦《ろうく》はその|身《み》を|疲《つか》れさせる、 |彼《かれ》は|町《まち》にはいる|道《みち》をさえ|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|王《おう》はわらべであって、 その|君《きみ》たちが|朝《あさ》から、ごちそうを|食《た》べる|国《くに》よ、 あなたはわざわいだ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|王《おう》は|自主《じしゅ》の|子《こ》であって、 その|君《きみ》たちが|酔《よ》うためでなく、|力《ちから》を|得《え》るために、 |適当《てきとう》な|時《とき》にごちそうを|食《た》べる|国《くに》よ、 あなたはさいわいだ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|怠惰《たいだ》によって|屋根《やね》は|落《お》ち、 |無精《ぶしょう》によって|家《いえ》は|漏《も》る。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|食事《しょくじ》は|笑《わら》いのためになされ、 |酒《さけ》は|命《いのち》を|楽《たの》しませる。 |金銭《きんせん》はすべての|事《こと》に|応《おう》じる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|心《こころ》のうちでも|王《おう》をのろってはならない、 また|寝室《しんしつ》でも|富《と》める|者《もの》をのろってはならない。 |空《そら》の|鳥《とり》はあなたの|声《こえ》を|伝《つた》え、 |翼《つばさ》のあるものは|事《こと》を|告《つ》げるからである。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのパンを|水《みず》の|上《うえ》に|投《な》げよ、 |多《おお》くの|日《ひ》の|後《のち》、あなたはそれを|得《え》るからである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは一つの|分《ぶん》を七つまた八つに|分《わ》けよ、 あなたは、どんな|災《わざわい》が|地《ち》に|起《おこ》るかを|知《し》らないからだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》がもし|雨《あめ》で|満《み》ちるならば、|地《ち》にそれを|注《そそ》ぐ、 また|木《き》がもし|南《みなみ》か|北《きた》に|倒《たお》れるならば、 その|木《き》は|倒《たお》れた|所《ところ》に|横《よこ》たわる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|風《かぜ》を|警戒《けいかい》する|者《もの》は|種《たね》をまかない、 |雲《くも》を|観測《かんそく》する|者《もの》は|刈《か》ることをしない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|身《み》ごもった|女《おんな》の|胎《たい》の|中《なか》で、どうして|霊《れい》が|骨《ほね》にはいるかを|知《し》らない。そのようにあなたは、すべての|事《こと》をなされる|神《かみ》のわざを|知《し》らない。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》のうちに|種《たね》をまけ、|夕《ゆう》まで|手《て》を|休《やす》めてはならない。|実《みの》るのは、これであるか、あれであるか、あるいは二つともに|良《よ》いのであるか、あなたは|知《し》らないからである。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|光《ひかり》は|快《こころよ》いものである。|目《め》に|太陽《たいよう》を|見《み》るのは|楽《たの》しいことである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|多《おお》くの|年《ねん》、|生《い》きながらえ、そのすべてにおいて|自分《じぶん》を|楽《たの》しませても、|暗《くら》い|日《ひ》の|多《おお》くあるべきことを|忘《わす》れてはならない。すべて、きたらんとする|事《こと》は|皆《みな》|空《くう》である。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|者《もの》よ、あなたの|若《わか》い|時《とき》に|楽《たの》しめ。あなたの|若《わか》い|日《ひ》にあなたの|心《こころ》を|喜《よろこ》ばせよ。あなたの|心《こころ》の|道《みち》に|歩《あゆ》み、あなたの|目《め》の|見《み》るところに|歩《あゆ》め。ただし、そのすべての|事《こと》のために、|神《かみ》はあなたをさばかれることを|知《し》れ。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|心《こころ》から|悩《なや》みを|去《さ》り、あなたのからだから|痛《いた》みを|除《のぞ》け。|若《わか》い|時《とき》と|盛《さか》んな|時《とき》はともに|空《くう》だからである。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|若《わか》い|日《ひ》に、あなたの|造《つく》り|主《ぬし》を|覚《おぼ》えよ。|悪《あ》しき|日《ひ》がきたり、|年《とし》が|寄《よ》って、「わたしにはなんの|楽《たの》しみもない」と|言《い》うようにならない|前《まえ》に、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|日《ひ》や|光《ひかり》や、|月《つき》や|星《ほし》の|暗《くら》くならない|前《まえ》に、|雨《あめ》の|後《のち》にまた|雲《くも》が|帰《かえ》らないうちに、そのようにせよ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》になると、|家《いえ》を|守《まも》る|者《もの》は|震《ふる》え、|力《ちから》ある|人《ひと》はかがみ、ひきこなす|女《おんな》は|少《すく》ないために|休《やす》み、|窓《まど》からのぞく|者《もの》の|目《め》はかすみ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|門《もん》は|閉《と》ざされる。その|時《とき》ひきこなす|音《おと》は|低《ひく》くなり、|人《ひと》は|鳥《とり》の|声《こえ》によって|起《お》きあがり、|歌《うた》の|娘《むすめ》たちは|皆《みな》、|低《ひく》くされる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|高《たか》いものを|恐《おそ》れる。|恐《おそ》ろしいものが|道《みち》にあり、あめんどうは|花《はな》|咲《さ》き、いなごはその|身《み》をひきずり|歩《ある》き、その|欲望《よくぼう》は|衰《おとろ》え、|人《ひと》が|永遠《えいえん》の|家《いえ》に|行《い》こうとするので、|泣《な》く|人《ひと》が、ちまたを|歩《ある》きまわる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|銀《ぎん》のひもは|切《き》れ、|金《きん》の|皿《さら》は|砕《くだ》け、|水《みず》がめは|泉《いずみ》のかたわらで|破《やぶ》れ、|車《くるま》は|井戸《いど》のかたわらで|砕《くだ》ける。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ちりは、もとのように|土《つち》に|帰《かえ》り、|霊《れい》はこれを|授《さづ》けた|神《かみ》に|帰《かえ》る。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|伝道者《でんどうしゃ》は|言《い》う、「|空《くう》の|空《くう》、いっさいは|空《くう》である」と。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さらに|伝道者《でんどうしゃ》は|知恵《ちえ》があるゆえに、|知識《ちしき》を|民《たみ》に|教《おし》えた。|彼《かれ》はよく|考《かんが》え、|尋《たず》ねきわめ、あまたの|箴言《しんげん》をまとめた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|伝道者《でんどうしゃ》は|麗《うるわ》しい|言葉《ことば》を|得《え》ようとつとめた。また|彼《かれ》は|真実《しんじつ》の|言葉《ことば》を|正《ただ》しく|書《か》きしるした。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|知者《ちしゃ》の|言葉《ことば》は|突《つ》き|棒《ぼう》のようであり、またよく|打《う》った|釘《くぎ》のようなものであって、ひとりの|牧者《ぼくしゃ》から|出《で》た|言葉《ことば》が|集《あつ》められたものである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わが|子《こ》よ、これら|以外《いがい》の|事《こと》にも|心《こころ》を|用《もち》いよ。|多《おお》くの|書《しょ》を|作《つく》れば|際限《さいげん》がない。|多《おお》く|学《まな》べばからだが|疲《つか》れる。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|事《こと》の|帰《き》する|所《ところ》は、すべて|言《い》われた。すなわち、|神《かみ》を|恐《おそ》れ、その|命令《めいれい》を|守《まも》れ。これはすべての|人《ひと》の|本分《ほんぶん》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はすべてのわざ、ならびにすべての|隠《かく》れた|事《こと》を|善悪《ぜんあく》ともにさばかれるからである。 [#改ページ] 雅歌[#「雅歌」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンの|雅歌《がか》 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたの|口《くち》の|口《くち》づけをもって、 わたしに|口《くち》づけしてください。 あなたの|愛《あい》はぶどう|酒《しゅ》にまさり、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのにおい|油《あぶら》はかんばしく、 あなたの|名《な》は|注《そそ》がれたにおい|油《あぶら》のようです。 それゆえ、おとめたちはあなたを|愛《あい》するのです。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあとについて、|行《い》かせてください。 わたしたちは|急《いそ》いでまいりましょう。 |王《おう》はわたしをそのへやに|連《つ》れて|行《い》かれた。 わたしたちは、あなたによって|喜《よろこ》び|楽《たの》しみ、 ぶどう|酒《しゅ》にまさって、あなたの|愛《あい》をほめたたえます。 おとめたちは|真心《まごころ》をもってあなたを|愛《あい》します。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|娘《むすめ》たちよ、 わたしは|黒《くろ》いけれども|美《うつく》しい。 ケダルの|天幕《てんまく》のように、ソロモンのとばりのように。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|日《ひ》に|焼《や》けているがために、 |日《ひ》がわたしを|焼《や》いたがために、 わたしを|見《み》つめてはならない。 わが|母《はは》の|子《こ》らは|怒《いか》って、わたしにぶどう|園《えん》を|守《まも》らせた。 しかし、わたしは|自分《じぶん》のぶどう|園《えん》を|守《まも》らなかった。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》の|愛《あい》する|者《もの》よ、 あなたはどこで、あなたの|群《む》れを|養《やしな》い、 |昼《ひる》の|時《とき》にどこで、それを|休《やす》ませるのか、 わたしに|告《つ》げてください。 どうして、わたしはさまよう|者《もの》のように、 あなたの|仲間《なかま》の|群《む》れのかたわらに、 いなければならないのですか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》のうちの|最《もっと》も|美《うつく》しい|者《もの》よ、 あなたが|知《し》らないなら、|群《む》れの|足跡《あしあと》に|従《したが》っていって、 |羊飼《ひつじかい》たちの|天幕《てんまく》のかたわらで、 あなたの|子《こ》やぎを|飼《か》いなさい。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、 わたしはあなたをパロの|車《くるま》の|雌《め》|馬《うま》になぞらえる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのほおは|美《うつく》しく|飾《かざ》られ、 あなたの|首《くび》は|宝石《ほうせき》をつらねた|首《くび》|飾《かざり》で|美《うつく》しい。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|銀《ぎん》を|散《ち》らした|金《きん》の|飾《かざ》り|物《もの》を、 あなたのために|造《つく》ろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》がその|席《せき》に|着《つ》かれたとき、 わたしのナルドはそのかおりを|放《はな》った。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》は、わたしにとっては、 わたしの|乳《ち》ぶさの|間《あいだ》にある|没薬《もつやく》の|袋《ふくろ》のようです。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》は、わたしにとっては、 エンゲデのぶどう|園《えん》にある ヘンナ|樹《じゅ》の|花《はな》ぶさのようです。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、|見《み》よ、あなたは|美《うつく》しい、 |見《み》よ、あなたは|美《うつく》しい、あなたの|目《め》ははとのようだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、|見《み》よ、あなたは|美《うつく》しく、 まことにりっぱです。 わたしたちの|床《とこ》は|緑《みどり》、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちの|家《いえ》の|梁《はり》は|香柏《こうはく》、 そのたるきはいとすぎです。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはシャロンのばら、 |谷《たに》のゆりです。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]おとめたちのうちにわが|愛《あい》する|者《もの》のあるのは、 いばらの|中《なか》にゆりの|花《はな》があるようだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》の|若人《わこうど》たちの|中《なか》にあるのは、 |林《はやし》の|木《き》の|中《なか》にりんごの|木《き》があるようです。 わたしは|大《おお》きな|喜《よろこ》びをもって、|彼《かれ》の|陰《かげ》にすわった。 |彼《かれ》の|与《あた》える|実《み》はわたしの|口《くち》に|甘《あま》かった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしを|酒宴《しゅえん》の|家《いえ》に|連《つ》れて|行《い》った。 わたしの|上《うえ》にひるがえる|彼《かれ》の|旗《はた》は|愛《あい》であった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|干《ほし》ぶどうをもって、わたしに|力《ちから》をつけ、 りんごをもって、わたしに|元気《げんき》をつけてください。 わたしは|愛《あい》のために|病《や》みわずらっているのです。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》の|左《ひだり》の|手《て》がわたしの|頭《あたま》の|下《した》にあり、 |右《みぎ》の|手《て》がわたしを|抱《だ》いてくれるように。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|娘《むすめ》たちよ、 わたしは、かもしかと|野《の》の|雌《め》じかをさして、 あなたがたに|誓《ちか》い、お|願《ねが》いする、 |愛《あい》のおのずから|起《おこ》るときまでは、 ことさらに|呼《よ》び|起《おこ》すことも、 さますこともしないように。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》の|声《こえ》が|聞《きこ》える。 |見《み》よ、|彼《かれ》は|山《やま》をとび、|丘《おか》をおどり|越《こ》えて|来《く》る。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》はかもしかのごとく、 |若《わか》い|雄《お》じかのようです。 |見《み》よ、|彼《かれ》はわたしたちの|壁《かべ》のうしろに|立《た》ち、 |窓《まど》からのぞき、|格子《こうし》からうかがっている。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》はわたしに|語《かた》って|言《い》う、 「わが|愛《あい》する|者《もの》よ、わが|麗《うるわ》しき|者《もの》よ、 |立《た》って、|出《で》てきなさい。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|冬《ふゆ》は|過《す》ぎ、 |雨《あめ》もやんで、すでに|去《さ》り、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|花《はな》は|地《ち》にあらわれ、 |鳥《とり》のさえずる|時《とき》がきた。 |山《やま》ばとの|声《こえ》がわれわれの|地《ち》に|聞《きこ》える。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]いちじくの|木《き》はその|実《み》を|結《むす》び、 ぶどうの|木《き》は|花《はな》|咲《さ》いて、かんばしいにおいを|放《はな》つ。 わが|愛《あい》する|者《もの》よ、わが|麗《うるわ》しき|者《もの》よ、 |立《た》って、|出《で》てきなさい。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》の|裂《さ》け|目《め》、がけの|隠《かく》れ|場《ば》におるわがはとよ、 あなたの|顔《かお》を|見《み》せなさい。 あなたの|声《こえ》を|聞《き》かせなさい。 あなたの|声《こえ》は|愛《あい》らしく、あなたの|顔《かお》は|美《うつく》しい。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]われわれのためにきつねを|捕《とら》えよ、 ぶどう|園《えん》を|荒《あら》す|小《こ》ぎつねを|捕《とら》えよ、 われわれのぶどう|園《えん》は|花盛《はなざか》りだから」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》はわたしのもの、わたしは|彼《かれ》のもの。 |彼《かれ》はゆりの|花《はな》の|中《なか》で、その|群《む》れを|養《やしな》っている。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、 |日《ひ》の|涼《すず》しくなるまで、 |影《かげ》の|消《き》えるまで、|身《み》をかえして|出《で》ていって、 |険《けわ》しい|山々《やまやま》の|上《うえ》で、かもしかのように、 |若《わか》い|雄《お》じかのようになってください。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|夜《よる》、|床《とこ》の|上《うえ》で、 わが|魂《たましい》の|愛《あい》する|者《もの》をたずねた。 わたしは|彼《かれ》をたずねたが、|見《み》つからなかった。 わたしは|彼《かれ》を|呼《よ》んだが、|答《こたえ》がなかった。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|今《いま》|起《お》きて、|町《まち》をまわり|歩《ある》き、 |街路《がいろ》や|広場《ひろば》で、わが|魂《たましい》の|愛《あい》する|者《もの》をたずねよう」と、 |彼《かれ》をたずねたが、|見《み》つからなかった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》をまわり|歩《ある》く|夜回《よまわ》りたちに|出会《であ》ったので、 「あなたがたは、 わが|魂《たましい》の|愛《あい》する|者《もの》を|見《み》ましたか」と|尋《たず》ねた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》らと|別《わか》れて|行《い》くとすぐ、 わが|魂《たましい》の|愛《あい》する|者《もの》に|出会《であ》った。 わたしは|彼《かれ》を|引《ひ》き|留《と》めて|行《い》かせず、 ついにわが|母《はは》の|家《いえ》につれて|行《い》き、 わたしを|産《う》んだ|者《もの》のへやにはいった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|娘《むすめ》たちよ、 わたしは、かもしかと|野《の》の|雌《め》じかをさして、 あなたがたに|誓《ちか》い、お|願《ねが》いする、 |愛《あい》のおのずから|起《おこ》るときまでは、 ことさらに|呼《よ》び|起《おこ》すことも、 さますこともしないように。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|没薬《もつやく》、|乳香《にゅうこう》など、|商人《しょうにん》のもろもろの|香料《こうりょう》をもって、 かおりを|放《はな》ち、 |煙《けむり》の|柱《はしら》のように、|荒野《あらの》から|上《のぼ》って|来《く》るものは|何《なに》か。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あれはソロモンの|乗物《のりもの》で、 六十|人《にん》の|勇士《ゆうし》がそのまわりにいる。 イスラエルの|勇士《ゆうし》で、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|皆《みな》、つるぎをとり、|戦《たたか》いをよくし、 おのおの|腰《こし》に|剣《けん》を|帯《お》びて、 |夜《よる》の|危険《きけん》に|備《そな》えている。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》はレバノンの|木《き》をもって、 |自分《じぶん》のために|輿《こし》をつくった。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|柱《はしら》は|銀《ぎん》、そのうしろは|金《きん》、 その|座《ざ》は|紫《むらさき》の|布《ぬの》でつくった。 その|内部《ないぶ》にはエルサレムの|娘《むすめ》たちが、 |愛情《あいじょう》をこめてつくった|物《もの》を|張《は》りつけた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》たちよ、|出《で》てきてソロモン|王《おう》を|見《み》よ。 |彼《かれ》は|婚姻《こんいん》の|日《ひ》、|心《こころ》の|喜《よろこ》びの|日《ひ》に、 その|母《はは》の|彼《かれ》にかぶらせた|冠《かんむり》をいただいている。 [#ここで字下げ終わり] 第四章[#「第四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、 |見《み》よ、あなたは|美《うつく》しい、|見《み》よ、あなたは|美《うつく》しい。 あなたの|目《め》は、|顔《かお》おおいのうしろにあって、 はとのようだ。 あなたの|髪《かみ》はギレアデの|山《やま》を|下《くだ》る やぎの|群《む》れのようだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|歯《は》は|洗《あら》い|場《ば》から|上《のぼ》ってきた |毛《け》を|切《き》られた|雌《め》|羊《ひつじ》の|群《む》れのようだ。 みな|二子《ふたご》を|産《う》んで、一|匹《ぴき》も|子《こ》のないものはない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのくちびるは|紅《くれない》の|糸《いと》のようで、 その|口《くち》は|愛《あい》らしい。 あなたのほおは|顔《かお》おおいのうしろにあって、 ざくろの|片《かた》われのようだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|首《くび》は|武器《ぶき》|倉《ぐら》のために|建《た》てた ダビデのやぐらのようだ。 その|上《うえ》には一千の|盾《たて》を|掛《か》けつらね、 みな|勇士《ゆうし》の|大盾《おおだて》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|両《りょう》|乳《ち》ぶさは、 かもしかの|二子《ふたご》である二|匹《ひき》の|子《こ》じかが、 ゆりの|花《はな》の|中《なか》に|草《くさ》を|食《た》べているようだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》の|涼《すず》しくなるまで、|影《かげ》の|消《き》えるまで、 わたしは|没薬《もつやく》の|山《やま》および|乳香《にゅうこう》の|丘《おか》へ|急《いそ》ぎ|行《ゆ》こう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、 あなたはことごとく|美《うつく》しく、|少《すこ》しのきずもない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|花嫁《はなよめ》よ、レバノンからわたしと|一緒《いっしょ》にきなさい、 レバノンからわたしと|一緒《いっしょ》にきなさい。 アマナの|頂《いただき》を|去《さ》り、セニルおよびヘルモンの|頂《いただき》を|去《さ》り、 ししの|穴《あな》、ひょうの|山《やま》を|去《さ》りなさい。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|妹《いもうと》、わが|花嫁《はなよめ》よ、あなたはわたしの|心《こころ》を|奪《うば》った。 あなたはただひと|目《め》で、 あなたの|首《くび》|飾《かざり》のひと|玉《たま》で、わたしの|心《こころ》を|奪《うば》った。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|妹《いもうと》、わが|花嫁《はなよめ》よ、 あなたの|愛《あい》は、なんと|麗《うるわ》しいことであろう。 あなたの|愛《あい》はぶどう|酒《しゅ》よりも、 あなたの|香油《こうゆ》のかおりはすべての|香料《こうりょう》よりも、 いかにすぐれていることであろう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|花嫁《はなよめ》よ、あなたのくちびるは|甘露《かんろ》をしたたらせ、 あなたの|舌《した》の|下《した》には、|蜜《みつ》と|乳《ちち》とがある。 あなたの|衣《ころも》のかおりはレバノンのかおりのようだ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わが|妹《いもうと》、わが|花嫁《はなよめ》は|閉《と》じた|園《その》、 |閉《と》じた|園《その》、|封《ふう》じた|泉《いずみ》のようだ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|産《う》み|出《だ》す|物《もの》は、 もろもろの|良《よ》き|実《み》をもつざくろの|園《その》、 ヘンナおよびナルド、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ナルド、さふらん、しょうぶ、|肉桂《にっけい》、 さまざまの|乳香《にゅうこう》の|木《き》、 |没薬《もつやく》、ろかい、およびすべての|尊《たっと》い|香料《こうりょう》である。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|園《その》の|泉《いずみ》、|生《い》ける|水《みず》の|井《い》、 またレバノンから|流《なが》れ|出《で》る|川《かわ》である。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|北風《きたかぜ》よ、|起《おこ》れ、|南風《みなみかぜ》よ、きたれ。 わが|園《その》を|吹《ふ》いて、そのかおりを|広《ひろ》く|散《ち》らせ。 わが|愛《あい》する|者《もの》がその|園《その》にはいってきて、 その|良《よ》い|実《み》を|食《た》べるように。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わが|妹《いもうと》、わが|花嫁《はなよめ》よ、 わたしはわが|園《その》にはいって、わが|没薬《もつやく》と|香料《こうりょう》とを|集《あつ》め、 わが|蜜蜂《みつばち》の|巣《す》と、|蜜《みつ》とを|食《た》べ、 わがぶどう|酒《しゅ》と|乳《ちち》とを|飲《の》む。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] |友《とも》らよ、|食《く》らえ、|飲《の》め、 |愛《あい》する|人々《ひとびと》よ、|大《おお》いに|飲《の》め。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|眠《ねむ》っていたが、|心《こころ》はさめていた。 |聞《き》きなさい、わが|愛《あい》する|者《もの》が|戸《と》をたたいている。 「わが|妹《いもうと》、わが|愛《あい》する|者《もの》、 わがはと、わが|全《まった》き|者《もの》よ、あけてください。 わたしの|頭《あたま》は|露《つゆ》でぬれ、 わたしの|髪《かみ》の|毛《け》は|夜露《よつゆ》でぬれている」と|言《い》う。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすでに|着物《きもの》を|脱《ぬ》いだ、 どうしてまた|着《き》られようか。 すでに|足《あし》を|洗《あら》った、 どうしてまた、よごせようか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》が|掛《か》けがねに|手《て》をかけたので、 わが|心《こころ》は|内《うち》におどった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|起《お》きて、 わが|愛《あい》する|者《もの》のためにあけようとしたとき、 わたしの|手《て》から|没薬《もつやく》がしたたり、 わたしの|指《ゆび》から|没薬《もつやく》の|液《えき》が|流《なが》れて、 |貫《かん》の|木《き》の|取手《とって》の|上《うえ》に|落《お》ちた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|愛《あい》する|者《もの》のために|開《ひら》いたが、 わが|愛《あい》する|者《もの》はすでに|帰《かえ》り|去《さ》った。 |彼《かれ》が|帰《かえ》り|去《さ》ったとき、わが|心《こころ》は|力《ちから》を|失《うしな》った。 わたしは|尋《たず》ねたけれども|見《み》つからず、 |呼《よ》んだけれども|答《こたえ》がなかった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》をまわり|歩《ある》く|夜回《よまわ》りらは わたしを|見《み》ると、|撃《う》って|傷《きず》つけ、 |城壁《じょうへき》を|守《まも》る|者《もの》らは、わたしの|上着《うわぎ》をはぎ|取《と》った。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|娘《むすめ》たちよ、 わたしはあなたがたに|誓《ちか》って、お|願《ねが》いする。 もしわが|愛《あい》する|者《もの》を|見《み》たなら、 わたしが|愛《あい》のために|病《や》みわずらっていると、 |彼《かれ》に|告《つ》げてください。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》のうちの|最《もっと》も|美《うつく》しい|者《もの》よ、 あなたの|愛《あい》する|者《もの》は、ほかの|人《ひと》の|愛《あい》する|者《もの》に、 なんのまさるところがあるか。 あなたの|愛《あい》する|者《もの》は、ほかの|人《ひと》の|愛《あい》する|者《もの》に、 なんのまさるところがあって、 そのように、わたしたちに|誓《ちか》い、|願《ねが》うのか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》は|白《しろ》く|輝《かがや》き、かつ|赤《あか》く、 |万《ばん》|人《にん》にぬきんで、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|頭《あたま》は|純金《じゅんきん》のように、 その|髪《かみ》の|毛《け》はうねっていて、からすのように|黒《くろ》い。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|目《め》は|泉《いずみ》のほとりのはとのように、 |乳《ちち》で|洗《あら》われて、|良《よ》く|落《お》ち|着《つ》いている。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そのほおは、かんばしい|花《はな》の|床《とこ》のように、 かおりを|放《はな》ち、 そのくちびるは、ゆりの|花《はな》のようで、|没薬《もつやく》の|液《えき》をしたたらす。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|手《て》は|宝石《ほうせき》をはめた|金《きん》の|円筒《えんとう》のごとく、 そのからだはサファイヤをもっておおった |象牙《ぞうげ》の|細工《さいく》のごとく、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|足《あし》のすねは|金《きん》の|台《だい》の|上《うえ》にすえた |大理石《だいりせき》の|柱《はしら》のごとく、 その|姿《すがた》はレバノンのごとく、|香柏《こうはく》のようで、|美《うつく》しい。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|言葉《ことば》は、はなはだ|美《うつく》しく、 |彼《かれ》はことごとく|麗《うるわ》しい。 エルサレムの|娘《むすめ》たちよ、 これがわが|愛《あい》する|者《もの》、これがわが|友《とも》なのです。 [#ここで字下げ終わり] 第六章[#「第六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》のうちの|最《もっと》も|美《うつく》しい|者《もの》よ、 あなたの|愛《あい》する|者《もの》はどこへ|行《い》ったか。 あなたの|愛《あい》する|者《もの》はどこへおもむいたか。 わたしたちはあなたと|一緒《いっしょ》にたずねよう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》は|園《その》の|中《なか》で、|群《む》れを|飼《か》い、 またゆりの|花《はな》を|取《と》るために|自分《じぶん》の|園《その》に|下《くだ》り、 かんばしい|花《はな》の|床《とこ》へ|行《い》きました。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|愛《あい》する|人《ひと》のもの、 わが|愛《あい》する|者《もの》はわたしのものです。 |彼《かれ》はゆりの|花《はな》の|中《なか》で、その|群《む》れを|飼《か》っています。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、あなたは|美《うつく》しいことテルザのごとく、 |麗《うるわ》しいことエルサレムのごとく、 |恐《おそ》るべきこと|旗《はた》を|立《た》てた|軍勢《ぐんぜい》のようだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》はわたしを|恐《おそ》れさせるゆえ、 わたしからそむけてください。 あなたの|髪《かみ》はギレアデの|山《やま》を|下《くだ》る やぎの|群《む》れのようだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|歯《は》は|洗《あら》い|場《ば》から|上《のぼ》ってきた |雌《め》|羊《ひつじ》の|群《む》れのようだ。 みな|二子《ふたご》を|産《う》んで、|一匹《いっぴき》も|子《こ》のないものはない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのほおは|顔《かお》おおいのうしろにあって、 ざくろの|片《かた》われのようだ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王妃《おうひ》は六十|人《にん》、そばめは八十|人《にん》、 また|数《かず》しれぬおとめがいる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わがはと、わが|全《まった》き|者《もの》はただひとり、 |彼女《かのじょ》は|母《はは》のひとり|子《ご》、|彼女《かのじょ》を|産《う》んだ|者《もの》の|最愛《さいあい》の|者《もの》だ。 おとめたちは|彼女《かのじょ》を|見《み》て、さいわいな|者《もの》ととなえ、 |王妃《おうひ》たち、そばめたちもまた、|彼女《かのじょ》を|見《み》て、ほめた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「このしののめのように|見《み》え、 |月《つき》のように|美《うつく》しく、|太陽《たいよう》のように|輝《かがや》き、 |恐《おそ》るべき|事《こと》、|旗《はた》を|立《た》てた|軍勢《ぐんぜい》のような|者《もの》はだれか」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|谷《たに》の|花《はな》を|見《み》、ぶどうが|芽《め》ざしたか、 ざくろの|花《はな》が|咲《さ》いたかを|見《み》ようと、 くるみの|園《その》へ|下《くだ》っていった。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|知《し》らないうちに、わたしの|思《おも》いは、 わたしを|車《くるま》の|中《なか》のわが|君《きみ》のかたわらにおらせた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|帰《かえ》れ、|帰《かえ》れ、シュラムの|女《おんな》よ、 |帰《かえ》れ、|帰《かえ》れ、わたしたちはあなたを|見《み》たいものだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] あなたがたはどうしてマハナイムの|踊《おど》りを|見《み》るように シュラムの|女《おんな》を|見《み》たいのか。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|女王《じょおう》のような|娘《むすめ》よ、 あなたの|足《あし》は、くつの|中《なか》にあって、 なんと|麗《うるわ》しいことであろう。 あなたのももは、まろやかで、|玉《たま》のごとく、 |名人《めいじん》の|手《て》のわざのようだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのほぞは、 |混《ま》ぜたぶどう|酒《しゅ》を|欠《か》くことのない|丸《まる》い|杯《さかずき》のごとく、 あなたの|腹《はら》は、 ゆりの|花《はな》で|囲《かこ》まれた|山盛《やまも》りの|麦《むぎ》のようだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|両《りょう》|乳《ち》ぶさは、 かもしかの|二子《ふたご》である二|匹《ひき》の|子《こ》じかのようだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|首《くび》は|象牙《ぞうげ》のやぐらのごとく、 あなたの|目《め》は、バテラビムの|門《もん》のほとりにある ヘシボンの|池《いけ》のごとく、 あなたの|鼻《はな》は、ダマスコを|見《み》おろす レバノンのやぐらのようだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|頭《あたま》は、カルメルのようにあなたを|飾《かざ》り、 |髪《かみ》の|毛《け》は|紫色《むらさきいろ》のようで、|王《おう》はそのたれ|髪《かみ》に|捕《とら》われた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|愛《あい》する|者《もの》よ、|快活《かいかつ》なおとめよ、 あなたはなんと|美《うつく》しく|愛《あい》すべき|者《もの》であろう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはなつめやしの|木《き》のように|威厳《いげん》があり、 あなたの|乳《ち》ぶさはそのふさのようだ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》う、「このなつめやしの|木《き》にのぼり、 その|枝《えだ》に|取《と》りつこう。 どうか、あなたの|乳《ち》ぶさが、ぶどうのふさのごとく、 あなたの|息《いき》のにおいがりんごのごとく、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|口《くち》づけが、 なめらかに|流《なが》れ|下《くだ》る|良《よ》きぶどう|酒《しゅ》のごとく、 くちびると|歯《は》の|上《うえ》をすべるように」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|愛《あい》する|人《ひと》のもの、|彼《かれ》はわたしを|恋《こい》い|慕《した》う。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、 さあ、わたしたちはいなかへ|出《で》ていって、 |村里《むらざと》に|宿《やど》りましょう。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちは|早《はや》く|起《お》き、ぶどう|園《えん》へ|行《い》って、 ぶどうの|木《き》が|芽《め》ざしたか、ぶどうの|花《はな》が|咲《さ》いたか、 ざくろが|花《はな》|咲《さ》いたかを|見《み》ましょう。 その|所《ところ》で、わたしはわが|愛《あい》をあなたに|与《あた》えます。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|恋《こい》なすは、かおりを|放《はな》ち、 もろもろの|良《よ》きくだものは、 |新《あたら》しいのも|古《ふる》いのも |共《とも》にわたしたちの|戸《と》の|上《うえ》にある。 わが|愛《あい》する|者《もの》よ、 わたしはこれをあなたのためにたくわえました。 [#ここで字下げ終わり] 第八章[#「第八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたは、 わが|母《はは》の|乳《ち》ぶさを|吸《す》った わが|兄弟《きょうだい》のようになってください。 わたしがそとであなたに|会《あ》うとき、 あなたに|口《くち》づけしても、 だれもわたしをいやしめないでしょう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|導《みちび》いて、わが|母《はは》の|家《いえ》に|行《い》き、 わたしを|産《う》んだ|者《もの》のへやにはいり、 |香料《こうりょう》のはいったぶどう|酒《しゅ》、ざくろの|液《えき》を、 あなたに|飲《の》ませましょう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》の|左《ひだり》の|手《て》がわたしの|頭《あたま》の|下《した》にあり、 |右《みぎ》の|手《て》がわたしを|抱《だ》いてくれるように。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|娘《むすめ》たちよ、 わたしはあなたがたに|誓《ちか》い、お|願《ねが》いする、 |愛《あい》のおのずから|起《おこ》るときまでは、 ことさらに|呼《よ》び|起《おこ》すことも、 さますこともしないように。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|愛《あい》する|者《もの》によりかかって、 |荒野《あらの》から|上《のぼ》って|来《く》る|者《もの》はだれですか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] りんごの|木《き》の|下《した》で、わたしはあなたを|呼《よ》びさました。 あなたの|母上《ははうえ》は、かしこで、 あなたのために|産《う》みの|苦《くる》しみをなし、 あなたの|産《う》んだ|者《もの》が、かしこで|産《う》みの|苦《くる》しみをした。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしをあなたの|心《こころ》に|置《お》いて|印《いん》のようにし、 あなたの|腕《うで》に|置《お》いて|印《いん》のようにしてください。 |愛《あい》は|死《し》のように|強《つよ》く、 ねたみは|墓《はか》のように|残酷《ざんこく》だからです。 そのきらめきは|火《ひ》のきらめき、|最《もっと》もはげしい|炎《ほのお》です。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|愛《あい》は|大水《おおみず》も|消《け》すことができない、 |洪水《こうずい》もおぼれさせることができない。 もし|人《ひと》がその|家《いえ》の|財産《ざいさん》をことごとく|与《あた》えて、 |愛《あい》に|換《か》えようとするならば、 いたくいやしめられるでしょう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちに|小《ちい》さい|妹《いもうと》がある、まだ|乳《ち》ぶさがない。 わたしたちの|妹《いもうと》に|縁談《えんだん》のある|日《ひ》には、 |彼女《かのじょ》のために|何《なに》をしてやろうか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》が|城壁《じょうへき》であるなら、その|上《うえ》に|銀《ぎん》の|塔《とう》を|建《た》てよう。 |彼女《かのじょ》が|戸《と》であるなら、|香柏《こうはく》の|板《いた》でそれを|囲《かこ》もう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|城壁《じょうへき》、わたしの|乳《ち》ぶさは、 やぐらのようでありました。 それでわたしは|彼《かれ》の|目《め》には、 |平和《へいわ》をもたらす|者《もの》のようでありました。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ソロモンはバアルハモンにぶどう|園《えん》をもっていた。 |彼《かれ》はぶどう|園《えん》を、|守《まも》る|者《もの》どもにあずけて、 おのおのその|実《み》のために|銀《ぎん》一千を|納《おさ》めさせた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしのものであるぶどう|園《えん》は、わたしの|前《まえ》にある。 ソロモンよ、あなたは一千を|獲《え》るでしょう、 その|実《み》を|守《まも》る|者《もの》どもは二百を|獲《え》るでしょう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|園《その》の|中《なか》に|住《す》む|者《もの》よ、 わたしの|友《とも》だちはあなたの|声《こえ》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けます、 どうぞ、それをわたしに|聞《き》かせてください。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》よ、|急《いそ》いでください。 かんばしい|山々《やまやま》の|上《うえ》で、かもしかのように、 また|若《わか》い|雄《お》じかのようになってください。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] イザヤ書[#「イザヤ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アモツの|子《こ》イザヤがユダの|王《おう》ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの|世《よ》にユダとエルサレムについて|見《み》た|幻《まぼろし》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》よ、|聞《き》け、|地《ち》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ、 |主《しゅ》が|次《つぎ》のように|語《かた》られたから、 「わたしは|子《こ》を|養《やしな》い|育《そだ》てた、 しかし|彼《かれ》らはわたしにそむいた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》はその|飼主《かいぬし》を|知《し》り、 ろばはその|主人《しゅじん》のまぐさおけを|知《し》る。 しかしイスラエルは|知《し》らず、 わが|民《たみ》は|悟《さと》らない」。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|罪深《つみぶか》い|国《くに》びと、|不義《ふぎ》を|負《お》う|民《たみ》、 |悪《あく》をなす|者《もの》のすえ、|堕落《だらく》せる|子《こ》らよ。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》を|捨《す》て、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》をあなどり、 これをうとんじ|遠《とお》ざかった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、どうして|重《かさ》ね|重《がさ》ねそむいて、 なおも|打《う》たれようとするのか。 その|頭《あたま》はことごとく|病《や》み、 その|心《こころ》は|全《まった》く|弱《よわ》りはてている。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|足《あし》のうらから|頭《あたま》まで、 |完全《かんぜん》なところがなく、 |傷《きず》と|打《う》ち|傷《きず》と|生傷《なまきず》ばかりだ。 これを|絞《しぼ》り|出《だ》すものなく、|包《つつ》むものなく、 |油《あぶら》をもってやわらげるものもない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|国《くに》は|荒《あ》れすたれ、 |町々《まちまち》は|火《ひ》で|焼《や》かれ、 |田畑《たはた》のものはあなたがたの|前《まえ》で|外国《がいこく》|人《じん》に|食《く》われ、 |滅《ほろ》ぼされたソドムのように|荒《あ》れすたれた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》はぶどう|畑《はたけ》の|仮《かり》|小屋《こや》のように、 きゅうり|畑《はたけ》の|番小屋《ばんごや》のように、 |包囲《ほうい》された|町《まち》のように、ただひとり|残《のこ》った。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もし|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が、 われわれに|少《すこ》しの|生存者《せいぞんしゃ》を|残《のこ》されなかったなら、 われわれはソドムのようになり、 またゴモラと|同《おな》じようになったであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたソドムのつかさたちよ、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。 あなたがたゴモラの|民《たみ》よ、 われわれの|神《かみ》の|教《おしえ》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「あなたがたがささげる|多《おお》くの|犠牲《ぎせい》は、 わたしになんの|益《えき》があるか。 わたしは|雄羊《おひつじ》の|燔祭《はんさい》と、 |肥《こ》えた|獣《けもの》の|脂肪《しぼう》とに|飽《あ》いている。 わたしは|雄牛《おうし》あるいは|小羊《こひつじ》、 あるいは|雄《お》やぎの|血《ち》を|喜《よろこ》ばない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わたしにまみえようとして|来《く》るが、 だれが、わたしの|庭《にわ》を|踏《ふ》み|荒《あら》すことを|求《もと》めたか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、もはや、 むなしい|供《そな》え|物《もの》を|携《たずさ》えてきてはならない。 |薫香《くんこう》は、わたしの|忌《い》みきらうものだ。 |新月《しんげつ》、|安息日《あんそくにち》、また|会衆《かいしゅう》を|呼《よ》び|集《あつ》めること―― わたしは|不義《ふぎ》と|聖《せい》|会《かい》とに|耐《た》えられない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|新月《しんげつ》と|定《さだ》めの|祭《まつり》とは、 わが|魂《たましい》の|憎《にく》むもの、 それはわたしの|重荷《おもに》となり、 わたしは、それを|負《お》うのに|疲《つか》れた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|手《て》を|伸《の》べるとき、 わたしは|目《め》をおおって、あなたがたを|見《み》ない。 たとい|多《おお》くの|祈《いのり》をささげても、わたしは|聞《き》かない。 あなたがたの|手《て》は|血《ち》まみれである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|身《み》を|洗《あら》って、|清《きよ》くなり、 わたしの|目《め》の|前《まえ》からあなたがたの|悪《わる》い|行《おこな》いを|除《のぞ》き、 |悪《あく》を|行《おこな》うことをやめ、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|善《ぜん》を|行《おこな》うことをならい、|公平《こうへい》を|求《もと》め、 しえたげる|者《もの》を|戒《いまし》め、 みなしごを|正《ただ》しく|守《まも》り、|寡婦《かふ》の|訴《うった》えを|弁護《べんご》せよ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 さあ、われわれは|互《たがい》に|論《ろん》じよう。 たといあなたがたの|罪《つみ》は|緋《ひ》のようであっても、 |雪《ゆき》のように|白《しろ》くなるのだ。 |紅《くれない》のように|赤《あか》くても、|羊《ひつじ》の|毛《け》のようになるのだ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もし、あなたがたが|快《こころよ》く|従《したが》うなら、 |地《ち》の|良《よ》き|物《もの》を|食《た》べることができる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたが|拒《こば》みそむくならば、 つるぎで|滅《ほろ》ぼされる」。 これは|主《しゅ》がその|口《くち》で|語《かた》られたことである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]かつては|忠信《ちゅうしん》であった|町《まち》、 どうして|遊女《ゆうじょ》となったのか。 |昔《むかし》は|公平《こうへい》で|満《み》ち、 |正義《せいぎ》がそのうちにやどっていたのに、 |今《いま》は|人《ひと》を|殺《ころ》す|者《もの》ばかりとなってしまった。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|銀《ぎん》はかすとなり、 あなたのぶどう|酒《しゅ》は|水《みず》をまじえ、 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのつかさたちはそむいて、 |盗《ぬす》びとの|仲間《なかま》となり、 みな、まいないを|好《この》み、|贈《おく》り|物《もの》を|追《お》い|求《もと》め、 みなしごを|正《ただ》しく|守《まも》らず、 |寡婦《かふ》の|訴《うった》えは|彼《かれ》らに|届《とど》かない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]このゆえに、|主《しゅ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、 イスラエルの|全能者《ぜんのうしゃ》は|言《い》われる、 「ああ、わたしはわが|敵《てき》にむかって|憤《いきどお》りをもらし、 わがあだにむかって|恨《うら》みをはらす。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、わが|手《て》をあなたに|向《む》け、 あなたのかすを|灰汁《あく》で|溶《と》かすように|溶《と》かし|去《さ》り、 あなたの|混《ま》ざり|物《もの》をすべて|取《と》り|除《のぞ》く。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]こうして、あなたのさばきびとをもとのとおりに、 あなたの|議《ぎ》|官《かん》を|初《はじ》めのとおりに|回復《かいふく》する。 その|後《のち》あなたは|正義《せいぎ》の|都《みやこ》、 |忠信《ちゅうしん》の|町《まち》ととなえられる」。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]シオンは|公平《こうへい》をもってあがなわれ、 そのうちの|悔《く》い|改《あらた》める|者《もの》は、 |正義《せいぎ》をもってあがなわれる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、そむく|者《もの》と|罪《つみ》びととは|共《とも》に|滅《ほろ》ぼされ、 |主《しゅ》を|捨《す》てる|者《もの》は|滅《ほろ》びうせる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、みずから|喜《よろこ》んだかしの|木《き》によって、 はずかしめを|受《う》け、 みずから|選《えら》んだ|園《その》によって、|恥《は》じ|赤《あか》らむ。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|葉《は》の|枯《か》れるかしの|木《き》のように、 |水《みず》のない|園《その》のようになり、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|強《つよ》い|者《もの》も|麻《あさ》くずのように、 そのわざは|火花《ひばな》のようになり、 その二つのものは|共《とも》に|燃《も》えて、それを|消《け》す|者《もの》はない。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アモツの|子《こ》イザヤがユダとエルサレムについて|示《しめ》された|言葉《ことば》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|終《おわ》りの|日《ひ》に|次《つぎ》のことが|起《おこ》る。 |主《しゅ》の|家《いえ》の|山《やま》は、 もろもろの|山《やま》のかしらとして|堅《かた》く|立《た》ち、 もろもろの|峰《みね》よりも|高《たか》くそびえ、 すべて|国《くに》はこれに|流《なが》れてき、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|民《たみ》は|来《き》て|言《い》う、 「さあ、われわれは|主《しゅ》の|山《やま》に|登《のぼ》り、 ヤコブの|神《かみ》の|家《いえ》へ|行《い》こう。 |彼《かれ》はその|道《みち》をわれわれに|教《おし》えられる、 われわれはその|道《みち》に|歩《あゆ》もう」と。 |律法《りっぽう》はシオンから|出《で》、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》はエルサレムから|出《で》るからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はもろもろの|国《くに》のあいだにさばきを|行《おこな》い、 |多《おお》くの|民《たみ》のために|仲裁《ちゅうさい》に|立《た》たれる。 こうして|彼《かれ》らはそのつるぎを|打《う》ちかえて、すきとし、 そのやりを|打《う》ちかえて、かまとし、 |国《くに》は|国《くに》にむかって、つるぎをあげず、 |彼《かれ》らはもはや|戦《たたか》いのことを|学《まな》ばない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|家《いえ》よ、 さあ、われわれは|主《しゅ》の|光《ひかり》に|歩《あゆ》もう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたの|民《たみ》ヤコブの|家《いえ》を|捨《す》てられた。 これは|彼《かれ》らが|東《ひがし》の|国《くに》からの|占《うらな》い|師《し》をもって|満《み》たし、 ペリシテびとのように|占《うらな》い|者《しゃ》となり、 |外国《がいこく》|人《じん》と|同盟《どうめい》を|結《むす》んだからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|国《くに》には|金銀《きんぎん》が|満《み》ち、その|財宝《ざいほう》は|限《かぎ》りない。 また|彼《かれ》らの|国《くに》には|馬《うま》が|満《み》ち、その|戦車《せんしゃ》も|限《かぎ》りない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|国《くに》には|偶像《ぐうぞう》が|満《み》ち、 |彼《かれ》らはその|手《て》のわざを|拝《おが》み、 その|指《ゆび》で|作《つく》ったものを|拝《おが》む。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|人《ひと》はかがめられ、|人々《ひとびと》は|低《ひく》くされる。 どうか|彼《かれ》らをおゆるしにならぬように。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|岩《いわ》の|間《あいだ》にはいり、ちりの|中《なか》にかくれて、 |主《しゅ》の|恐《おそ》るべきみ|前《まえ》と、その|威光《いこう》の|輝《かがや》きとを|避《さ》けよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には|目《め》をあげて|高《たか》ぶる|者《もの》は|低《ひく》くせられ、 おごる|人《ひと》はかがめられ、 |主《しゅ》のみ|高《たか》くあげられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これは、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の一|日《にち》があって、 すべて|誇《ほこ》る|者《もの》と|高《たか》ぶる|者《もの》、 すべておのれを|高《たか》くする|者《もの》と|得意《とくい》な|者《もの》とに |臨《のぞ》むからである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またレバノンの|高《たか》くそびえるすべての|香柏《こうはく》、 バシャンのすべてのかしの|木《き》、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またすべての|高《たか》い|山々《やまやま》、 すべてのそびえ|立《た》つ|峰々《みねみね》、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すべての|高《たか》きやぐら、 すべての|堅固《けんご》な|城壁《じょうへき》、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]タルシシのすべての|船《ふね》、 すべての|麗《うるわ》しい|船舶《せんぱく》に|臨《のぞ》む。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には|高《たか》ぶる|者《もの》はかがめられ、 おごる|人《ひと》は|低《ひく》くせられ、 |主《しゅ》のみ|高《たか》くあげられる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|偶像《ぐうぞう》はことごとく|滅《ほろ》びうせる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|立《た》って|地《ち》を|脅《おびや》かされるとき、 |人々《ひとびと》は|岩《いわ》のほら|穴《あな》にはいり、また|地《ち》の|穴《あな》にはいって、 |主《しゅ》の|恐《おそ》るべきみ|前《まえ》と、その|威光《いこう》の|輝《かがや》きとを|避《さ》ける。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|人々《ひとびと》は|拝《おが》むためにみずから|造《つく》った しろがねの|偶像《ぐうぞう》と、こがねの|偶像《ぐうぞう》とを、 もぐらもちと、こうもりに|投《な》げ|与《あた》え、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》のほら|穴《あな》や、がけの|裂《さ》け|目《め》にはいり、 |主《しゅ》が|立《た》って|地《ち》を|脅《おびや》かされるとき、 |主《しゅ》の|恐《おそ》るべきみ|前《まえ》と、その|威光《いこう》の|輝《かがや》きとを|避《さ》ける。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|鼻《はな》から|息《いき》の|出入《でい》りする|人《ひと》に、 たよることをやめよ、 このような|者《もの》はなんの|価値《かち》があろうか。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は エルサレムとユダから ささえとなり、|頼《たの》みとなるもの―― すべてささえとなるパン、 すべてささえとなる|水《みず》――を|取《と》り|去《さ》られる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|勇士《ゆうし》と|軍人《ぐんじん》、 |裁判官《さいばんかん》と|預言者《よげんしゃ》、 |占《うらな》い|師《し》と|長老《ちょうろう》、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]五十|人《にん》の|長《ちょう》と|身分《みぶん》の|高《たか》い|人《ひと》、 |議《ぎ》|官《かん》と|巧《たく》みな|魔術《まじゅつ》|師《し》、 |老練《ろうれん》なまじない|師《し》を|取《と》り|去《さ》られる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわらべを|立《た》てて|彼《かれ》らの|君《きみ》とし、 みどりごに|彼《かれ》らを|治《おさ》めさせる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》は|互《たがい》に|相《あい》しえたげ、 |人《ひと》はおのおのその|隣《となり》をしえたげ、 |若《わか》い|者《もの》は|老《お》いたる|者《もの》にむかって|高《たか》ぶり、 |卑《いや》しい|者《もの》は|尊《たっと》い|者《もの》にむかって|高《たか》ぶる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|人《ひと》はその|父《ちち》の|家《いえ》で、|兄弟《きょうだい》をつかまえて|言《い》う、 「あなたは|外套《がいとう》を|持《も》っている、 わたしたちのつかさびとになって、 この|荒《あ》れ|跡《あと》をあなたの|手《て》で|治《おさ》めてください」と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|彼《かれ》は|声《こえ》をあげて|言《い》う、 「わたしはいやす|者《もの》となることはできません、 わたしの|家《いえ》にはパンもなく、|外套《がいとう》もありません、 わたしを|立《た》てて、 |民《たみ》のつかさびとにしないでください」。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らの|言葉《ことば》と|行《おこな》いとが|主《しゅ》にそむき、 その|栄光《えいこう》の|目《め》をおかしたので、 エルサレムはつまずき、ユダは|倒《たお》れたからである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|不公平《ふこうへい》は|彼《かれ》らにむかって|不利《ふり》なあかしをし、 ソドムのようにその|罪《つみ》をあらわして|隠《かく》さない。 わざわいなるかな、 |彼《かれ》らはみずから|悪《あく》の|報《むく》いをうけた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|人《ひと》に|言《い》え、|彼《かれ》らはさいわいであると。 |彼《かれ》らはその|行《おこな》いの|実《み》を|食《た》べるからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はわざわいだ、|彼《かれ》は|災《わざわい》をうける。 その|手《て》のなした|事《こと》が|彼《かれ》に|報《むく》いられるからである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》は|幼《おさ》な|子《ご》にしえたげられ、 |女《おんな》たちに|治《おさ》められる。 ああ、わが|民《たみ》よ、あなたを|導《みちび》く|者《もの》は かえって、あなたを|迷《まよ》わせ、 あなたの|行《い》くべき|道《みち》を|混乱《こんらん》させる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》い|争《あらそ》うために|立《た》ちあがり、 その|民《たみ》をさばくために|立《た》たれる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|民《たみ》の|長老《ちょうろう》と|君《きみ》たちとをさばいて、 「あなたがたは、ぶどう|畑《はたけ》を|食《く》い|荒《あら》した。 |貧《まず》しい|者《もの》からかすめとった|物《もの》は、 あなたがたの|家《いえ》にある。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、あなたがたはわが|民《たみ》を|踏《ふ》みにじり、 |貧《まず》しい|者《もの》の|顔《かお》をすり|砕《くだ》くのか」と |万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、 シオンの|娘《むすめ》らは|高《たか》ぶり、 |首《くび》をのばしてあるき、|目《め》でこびをおくり、 その|行《ゆ》くとき|気《き》どって|歩《ある》き、 その|足《あし》でりんりんと|鳴《な》り|響《ひび》かす。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はシオンの|娘《むすめ》らの|頭《あたま》を |撃《う》って、かさぶたでおおい、 |彼《かれ》らの|隠《かく》れた|所《ところ》をあらわされる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|美《うつく》しい|装身具《そうしんぐ》と|服装《ふくそう》すなわち、くるぶし|輪《わ》、|髪《かみ》ひも、|月形《つきがた》の|飾《かざ》り、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|耳輪《みみわ》、|腕輪《うでわ》、|顔《かお》おおい、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|頭《あたま》|飾《かざ》り、すね|飾《かざ》り、|飾《かざ》り|帯《おび》、|香箱《こうばこ》、|守《まも》り|袋《ふくろ》、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|指輪《ゆびわ》、|鼻輪《はなわ》、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|礼服《れいふく》、|外套《がいとう》、|肩掛《かたかけ》、|手《て》さげ|袋《ふくろ》、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|薄《うす》|織《おり》の|上着《うわぎ》、|亜麻《あま》|布《ぬの》の|着物《きもの》、|帽子《ぼうし》、|被衣《かずき》などを|取《と》り|除《のぞ》かれる。 [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|芳香《ほうこう》はかわって、|悪臭《あくしゅう》となり、 |帯《おび》はかわって、なわとなり、 よく|編《あ》んだ|髪《かみ》はかわって、かぶろとなり、 はなやかな|衣《ころも》はかわって、|荒布《あらぬの》の|衣《ころも》となり、 |美《うつく》しい|顔《かお》はかわって、|焼《や》き|印《いん》された|顔《かお》となる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|男《おとこ》たちはつるぎに|倒《たお》れ、 あなたの|勇士《ゆうし》たちは|戦《たたか》いに|倒《たお》れる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|門《もん》は|嘆《なげ》き|悲《かな》しみ、 シオンは|荒《あ》れすたれて、|地《ち》に|座《ざ》する。 [#ここで字下げ終わり] 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、七|人《にん》の|女《おんな》がひとりの|男《おとこ》にすがって、「わたしたちは|自分《じぶん》のパンをたべ、|自分《じぶん》の|着物《きもの》を|着《き》ます。ただ、あなたの|名《な》によって|呼《よ》ばれることを|許《ゆる》して、わたしたちの|恥《はじ》を|取《と》り|除《のぞ》いてください」と|言《い》う。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》の|枝《えだ》は|麗《うるわ》しく|栄《さか》え、|地《ち》の|産物《さんぶつ》はイスラエルの|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》の|誇《ほこり》、また|光栄《こうえい》となる。[#太字]三 四[#「三 四」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》が|審判《しんぱん》の|霊《れい》と|滅亡《めつぼう》の|霊《れい》とをもって、シオンの|娘《むすめ》らの|汚《けが》れを|洗《あら》い、エルサレムの|血《ち》をその|中《なか》から|除《のぞ》き|去《さ》られるとき、シオンに|残《のこ》る|者《もの》、エルサレムにとどまる|者《もの》、すべてエルサレムにあって、|生命《せいめい》の|書《しょ》にしるされた|者《もの》は|聖《せい》なる|者《もの》ととなえられる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はシオンの|山《やま》のすべての|場所《ばしょ》と、そのもろもろの|集会《しゅうかい》との|上《うえ》に、|昼《ひる》は|雲《くも》をつくり、|夜《よる》は|煙《けむり》と|燃《も》える|火《ひ》の|輝《かがや》きとをつくられる。これはすべての|栄光《えいこう》の|上《うえ》にある|天蓋《てんがい》であり、あずまやであって、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》は|暑《あつ》さをふせぐ|陰《かげ》となり、また|暴風《ぼうふう》と|雨《あめ》を|避《さ》けて|隠《かく》れる|所《ところ》となる。 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|愛《あい》する|者《もの》のために、 そのぶどう|畑《はたけ》についてのわが|愛《あい》の|歌《うた》をうたおう。 わが|愛《あい》する|者《もの》は|土《つち》|肥《こ》えた|小《こ》|山《やま》の|上《うえ》に、 一つのぶどう|畑《はたけ》をもっていた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はそれを|掘《ほ》りおこし、|石《いし》を|除《のぞ》き、 それに|良《よ》いぶどうを|植《う》え、 その|中《なか》に|物見《ものみ》やぐらを|建《た》て、 またその|中《なか》に|酒《さか》ぶねを|掘《ほ》り、 |良《よ》いぶどうの|結《むす》ぶのを|待《ま》ち|望《のぞ》んだ。 ところが|結《むす》んだものは|野《の》ぶどうであった。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それで、エルサレムに|住《す》む|者《もの》とユダの|人々《ひとびと》よ、 どうか、わたしとぶどう|畑《はたけ》との|間《あいだ》をさばけ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが、ぶどう|畑《はたけ》になした|事《こと》のほかに、 |何《なに》かなすべきことがあるか。 わたしは|良《よ》いぶどうの|結《むす》ぶのを|待《ま》ち|望《のぞ》んだのに、 どうして|野《の》ぶどうを|結《むす》んだのか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それで、わたしが、ぶどう|畑《はたけ》になそうとすることを、 あなたがたに|告《つ》げる。 わたしはそのまがきを|取《と》り|去《さ》って、 |食《く》い|荒《あら》されるにまかせ、そのかきをとりこわして、 |踏《ふ》み|荒《あら》されるにまかせる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれを|荒《あら》して、 |刈《か》り|込《こ》むことも、|耕《たがや》すこともせず、 おどろと、いばらとを|生《は》えさせ、 また|雲《くも》に|命《めい》じて、その|上《うえ》に|雨《あめ》を|降《ふ》らさない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》のぶどう|畑《はたけ》はイスラエルの|家《いえ》であり、 |主《しゅ》が|喜《よろこ》んでそこに|植《う》えられた|物《もの》は、 ユダの|人々《ひとびと》である。 |主《しゅ》はこれに|公平《こうへい》を|望《のぞ》まれたのに、 |見《み》よ、|流血《りゅうけつ》。 |正義《せいぎ》を|望《のぞ》まれたのに、 |見《み》よ、|叫《さけ》び。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、|彼《かれ》らは|家《いえ》に|家《いえ》を|建《た》て|連《つら》ね、 |田畑《たはた》に|田畑《たはた》をまし|加《くわ》えて、|余地《よち》をあまさず、 |自分《じぶん》ひとり、|国《くに》のうちに|住《す》まおうとする。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はわたしの|耳《みみ》に|誓《ちか》って|言《い》われた、 「|必《かなら》ずや|多《おお》くの|家《いえ》は|荒《あ》れすたれ、 |大《おお》きな|麗《うるわ》しい|家《いえ》も|住《す》む|者《もの》がないようになる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]十|反《たん》のぶどう|畑《はたけ》もわずかに一バテの|実《み》を|結《むす》び、 一ホメルの|種《たね》もわずかに一エパの|実《み》を|結《むす》ぶ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、|彼《かれ》らは|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて、 |濃《こ》き|酒《さけ》をおい|求《もと》め、 |夜《よる》のふけるまで|飲《の》みつづけて、 |酒《さけ》にその|身《み》を|焼《や》かれている。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|酒宴《しゅえん》には|琴《こと》あり、|立琴《たてごと》あり、 |鼓《つづみ》あり|笛《ふえ》あり、ぶどう|酒《しゅ》がある。 しかし|彼《かれ》らは|主《しゅ》のみわざを|顧《かえり》みず、 み|手《て》のなされる|事《こと》に|目《め》をとめない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わが|民《たみ》は|無知《むち》のために、とりこにせられ、 その|尊《たっと》き|者《もの》は|飢《う》えて|死《し》に、 そのもろもろの|民《たみ》は、かわきによって|衰《おとろ》えはてる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|陰府《よみ》はその|欲望《よくぼう》を|大《おお》きくし、 その|口《くち》を|限《かぎ》りなく|開《ひら》き、 エルサレムの|貴族《きぞく》、そのもろもろの|民《たみ》、 その|群集《ぐんしゅう》およびそのうちの|喜《よろこ》びたのしめる|者《もの》はみな その|中《なか》に|落《お》ちこむ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はかがめられ、|人々《ひとびと》は|低《ひく》くせられ、 |高《たか》ぶる|者《もの》の|目《め》は|低《ひく》くされる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|公平《こうへい》によってあがめられ、 |聖《せい》なる|神《かみ》は|正義《せいぎ》によって、 おのれを|聖《せい》なる|者《もの》として|示《しめ》される。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]こうして|小羊《こひつじ》は|自分《じぶん》の|牧場《まきば》におるように|草《くさ》をはみ、 |肥《こ》えた|家畜《かちく》および|子《こ》やぎは|荒《あ》れ|跡《あと》の|中《なか》で|食《しょく》を|得《え》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 |彼《かれ》らは|偽《いつわ》りのなわをもって|悪《あく》を|引《ひ》きよせ、 |車《くるま》の|綱《つな》をもってするように|罪《つみ》を|引《ひ》きよせる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》う、「|彼《かれ》を|急《いそ》がせ、 そのわざをすみやかにさせよ、 それを|見《み》せてもらおう。 イスラエルの|聖者《せいじゃ》の|定《さだ》める|事《こと》を|近《ちか》づききたらせよ、 それを|見《み》せてもらおう」と。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、|彼《かれ》らは|悪《あく》を|呼《よ》んで|善《ぜん》といい、 |善《ぜん》を|呼《よ》んで|悪《あく》といい、 |暗《くら》きを|光《ひかり》とし、|光《ひかり》を|暗《くら》しとし、 |苦《にが》きを|甘《あま》しとし、|甘《あま》きを|苦《にが》しとする。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、|彼《かれ》らはおのれを|見《み》て、|賢《かしこ》しとし、 みずから|顧《かえり》みて、さとしとする。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 |彼《かれ》らはぶどう|酒《しゅ》を|飲《の》むことの|英雄《えいゆう》であり、 |濃《こ》き|酒《さけ》をまぜ|合《あ》わせることの|勇士《ゆうし》である。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまいないによって|悪《あ》しき|者《もの》を|義《ぎ》とし、 |義人《ぎじん》からその|義《ぎ》を|奪《うば》う。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|火《ひ》の|舌《した》が|刈《か》り|株《かぶ》を|食《く》い|尽《つく》すように、 |枯《か》れ|草《くさ》が|炎《ほのお》の|中《なか》に|消《き》えうせるように、 |彼《かれ》らの|根《ね》は|朽《く》ちたものとなり、 |彼《かれ》らの|花《はな》はちりのように|飛《と》び|去《さ》る。 |彼《かれ》らは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|律法《りっぽう》を|捨《す》て、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》の|言葉《ことば》を|侮《あなど》ったからである。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はその|民《たみ》にむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、 み|手《て》を|伸《の》べて|彼《かれ》らを|撃《う》たれた。 |山《やま》は|震《ふる》い|動《うご》き、 |彼《かれ》らのしかばねは、ちまたの|中《なか》で、 あくたのようになった。 それにもかかわらず、み|怒《いか》りはやまず、 なお、み|手《て》を|伸《の》ばされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|旗《はた》をあげて|遠《とお》くから一つの|国民《くにたみ》を|招《まね》き、 |地《ち》の|果《はて》から|彼《かれ》らを|呼《よ》ばれる。 |見《み》よ、|彼《かれ》らは|走《はし》って、すみやかに|来《く》る。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》には|疲《つか》れる|者《もの》も、つまずく|者《もの》もなく、 まどろむ|者《もの》も、|眠《ねむ》る|者《もの》もない。 その|腰《こし》の|帯《おび》はとけず、 そのくつのひもは|切《き》れていない。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|矢《や》は|鋭《するど》く、その|弓《ゆみ》はことごとく|張《は》り、 その|馬《うま》のひずめは|火打石《ひうちいし》のように、 その|車《くるま》の|輪《わ》はつむじ|風《かぜ》のように|思《おも》われる。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そのほえることは、ししのように、 |若《わか》いししのようにほえ、 うなって|獲物《えもの》を|捕《とら》え、 かすめ|去《さ》っても|救《すく》う|者《もの》がない。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、その|鳴《な》りどよめくことは、 |海《うみ》の|鳴《な》りどよめくようだ。 もし|地《ち》をのぞむならば、|見《み》よ、|暗《くら》きと|悩《なや》みとがあり、 |光《ひかり》は|雲《くも》によって|暗《くら》くなる。 [#ここで字下げ終わり] 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ウジヤ|王《おう》の|死《し》んだ|年《とし》、わたしは|主《しゅ》が|高《たか》くあげられたみくらに|座《ざ》し、その|衣《ころも》のすそが|神殿《しんでん》に|満《み》ちているのを|見《み》た。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》にセラピムが|立《た》ち、おのおの六つの|翼《つばさ》をもっていた。その二つをもって|顔《かお》をおおい、二つをもって|足《あし》をおおい、二つをもって|飛《と》びかけり、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|互《たがい》に|呼《よ》びかわして|言《い》った。 [#ここから2字下げ] 「|聖《せい》なるかな、|聖《せい》なるかな、|聖《せい》なるかな、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、その|栄光《えいこう》は|全《ぜん》|地《ち》に|満《み》つ」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|呼《よ》ばわっている|者《もの》の|声《こえ》によって|敷居《しきい》の|基《もとい》が|震《ふる》い|動《うご》き、|神殿《しんでん》の|中《なか》に|煙《けむり》が|満《み》ちた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|言《い》った、「わざわいなるかな、わたしは|滅《ほろ》びるばかりだ。わたしは|汚《けが》れたくちびるの|者《もの》で、|汚《けが》れたくちびるの|民《たみ》の|中《なか》に|住《す》む|者《もの》であるのに、わたしの|目《め》が|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》なる|王《おう》を|見《み》たのだから」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》セラピムのひとりが|火《ひ》ばしをもって、|祭壇《さいだん》の|上《うえ》から|取《と》った|燃《も》えている|炭《すみ》を|手《て》に|携《たずさ》え、わたしのところに|飛《と》んできて、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|口《くち》に|触《ふ》れて|言《い》った、「|見《み》よ、これがあなたのくちびるに|触《ふ》れたので、あなたの|悪《あく》は|除《のぞ》かれ、あなたの|罪《つみ》はゆるされた」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|主《しゅ》の|言《い》われる|声《こえ》を|聞《き》いた、「わたしはだれをつかわそうか。だれがわれわれのために|行《い》くだろうか」。その|時《とき》わたしは|言《い》った、「ここにわたしがおります。わたしをおつかわしください」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「あなたは|行《い》って、この|民《たみ》にこう|言《い》いなさい、 [#ここから2字下げ] 『あなたがたはくりかえし|聞《き》くがよい、 しかし|悟《さと》ってはならない。 あなたがたはくりかえし|見《み》るがよい、 しかしわかってはならない』と。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこの|民《たみ》の|心《こころ》を|鈍《にぶ》くし、 その|耳《みみ》を|聞《きこ》えにくくし、その|目《め》を|閉《と》ざしなさい。 これは|彼《かれ》らがその|目《め》で|見《み》、その|耳《みみ》で|聞《き》き、 その|心《こころ》で|悟《さと》り、 |悔《く》い|改《あらた》めていやされることのないためである」。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしは|言《い》った、「|主《しゅ》よ、いつまでですか」。 |主《しゅ》は|言《い》われた、 「|町々《まちまち》は|荒《あ》れすたれて、|住《す》む|者《もの》もなく、 |家《いえ》には|人《ひと》かげもなく、|国《くに》は|全《まった》く|荒《あ》れ|地《ち》となり、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|主《しゅ》によって|遠《とお》くへ|移《うつ》され、 |荒《あ》れはてた|所《ところ》が|国《くに》の|中《なか》に|多《おお》くなる|時《とき》まで、 こうなっている。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》に十|分《ぶん》の一の|残《のこ》る|者《もの》があっても、 これもまた|焼《や》き|滅《ほろ》ぼされる。 テレビンの|木《き》またはかしの|木《き》が|切《き》り|倒《たお》されるとき、 その|切《き》り|株《かぶ》が|残《のこ》るように」。 |聖《せい》なる|種族《しゅぞく》はその|切《き》り|株《かぶ》である。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》、ウジヤの|子《こ》ヨタム、その|子《こ》アハズの|時《とき》、スリヤの|王《おう》レヂンとレマリヤの|子《こ》であるイスラエルの|王《おう》ペカとが|上《のぼ》ってきて、エルサレムを|攻《せ》めたが|勝《か》つことができなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に「スリヤがエフライムと|同盟《どうめい》している」とダビデの|家《いえ》に|告《つ》げる|者《もの》があったので、|王《おう》の|心《こころ》と|民《たみ》の|心《こころ》とは|風《かぜ》に|動《うご》かされる|林《はやし》の|木《き》のように|動揺《どうよう》した。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》はイザヤに|言《い》われた、「|今《いま》、あなたとあなたの|子《こ》シャル・ヤシュブと|共《とも》に|出《で》て|行《い》って、|布《ぬの》さらしの|野《の》へ|行《い》く|大路《おおじ》に|沿《そ》う|上《うえ》の|池《いけ》の|水道《すいどう》の|端《はし》でアハズに|会《あ》い、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『|気《き》をつけて、|静《しず》かにし、|恐《おそ》れてはならない。レヂンとスリヤおよびレマリヤの|子《こ》が|激《はげ》しく|怒《いか》っても、これら二つの|燃《も》え|残《のこ》りのくすぶっている|切《き》り|株《かぶ》のゆえに|心《こころ》を|弱《よわ》くしてはならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]スリヤはエフライムおよびレマリヤの|子《こ》と|共《とも》にあなたにむかって|悪《わる》い|事《こと》を|企《くわだ》てて|言《い》う、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「われわれはユダに|攻《せ》め|上《のぼ》って、これを|脅《おびやか》し、われわれのためにこれを|破《やぶ》り|取《と》り、タビエルの|子《こ》をそこの|王《おう》にしよう」と。 [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 この|事《こと》は|決《けっ》して|行《おこな》われない、また|起《おこ》ることはない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]スリヤのかしらはダマスコ、 ダマスコのかしらはレヂンである。 (六十五|年《ねん》のうちにエフライムは|敗《やぶ》れて、|国《くに》をなさないようになる。) [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エフライムのかしらはサマリヤ、 サマリヤのかしらはレマリヤの|子《こ》である。 もしあなたがたが|信《しん》じないならば、|立《た》つことはできない』」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|再《ふたた》びアハズに|告《つ》げて|言《い》われた、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に一つのしるしを|求《もと》めよ、|陰府《よみ》のように|深《ふか》い|所《ところ》に、あるいは|天《てん》のように|高《たか》い|所《ところ》に|求《もと》めよ」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしアハズは|言《い》った、「わたしはそれを|求《もと》めて、|主《しゅ》を|試《こころ》みることをいたしません」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでイザヤは|言《い》った、「ダビデの|家《いえ》よ、|聞《き》け。あなたがたは|人《ひと》を|煩《わずら》わすことを|小《ちい》さい|事《こと》とし、またわが|神《かみ》をも|煩《わずら》わそうとするのか。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はみずから一つのしるしをあなたがたに|与《あた》えられる。|見《み》よ、おとめがみごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》む。その|名《な》はインマヌエルととなえられる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》が|悪《あく》を|捨《す》て、|善《ぜん》を|選《えら》ぶことを|知《し》るころになって、|凝乳《ぎょうにゅう》と、|蜂蜜《はちみつ》とを|食《た》べる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それはこの|子《こ》が|悪《あく》を|捨《す》て、|善《ぜん》を|選《えら》ぶことを|知《し》る|前《まえ》に、あなたが|恐《おそ》れているふたりの|王《おう》の|地《ち》は|捨《す》てられるからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエフライムがユダから|分《わか》れた|時《とき》からこのかた、|臨《のぞ》んだことのないような|日《ひ》をあなたと、あなたの|民《たみ》と、あなたの|父《ちち》の|家《いえ》とに|臨《のぞ》ませられる。それはアッスリヤの|王《おう》である」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》はエジプトの|川々《かわがわ》の|源《みなもと》にいる、はえを|招《まね》き、アッスリヤの|地《ち》にいる|蜂《はち》を|呼《よ》ばれる。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみな|来《き》て、|険《けわ》しい|谷《たに》、|岩《いわ》の|裂《さ》け|目《め》、すべてのいばら、すべての|牧場《まきば》の|上《うえ》にとどまる。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》は|大川《おおかわ》の|向《む》こうから|雇《やと》ったかみそり、すなわちアッスリヤの|王《おう》をもって、|頭《あたま》と|足《あし》の|毛《け》とをそり、また、ひげをも|除《のぞ》き|去《さ》られる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|人《ひと》は|若《わか》い|雌牛《めうし》一|頭《とう》と|羊《ひつじ》二|頭《とう》を|飼《か》い、  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それから|出《で》る|乳《ちち》が|多《おお》いので、|凝乳《ぎょうにゅう》を|食《た》べることができ、すべて|国《くに》のうちに|残《のこ》された|者《もの》は|凝乳《ぎょうにゅう》と、|蜂蜜《はちみつ》とを|食《た》べることができる。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|銀《ぎん》一千シケルの|価《あたい》ある千|株《かぶ》のぶどうの|木《き》のあった|所《ところ》も、ことごとくいばらと、おどろの|生《は》える|所《ところ》となり、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]いばらと、おどろとが|地《ち》にはびこるために、|人々《ひとびと》は|弓《ゆみ》と|矢《や》をもってそこへ|行《い》く。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]くわをもって|掘《ほ》り|耕《たがや》したすべての|山々《やまやま》にも、あなたは、いばらと、おどろとを|恐《おそ》れて、そこへ|行《い》くことができない。その|地《ち》はただ|牛《うし》を|放《はな》ち、|羊《ひつじ》の|踏《ふ》むところとなる。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「一|枚《まい》の|大《おお》きな|札《ふだ》を|取《と》って、その|上《うえ》に|普通《ふつう》の|文字《もじ》で、『マヘル・シャラル・ハシ・バズ』と|書《か》きなさい」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしは|確《たし》かな|証人《しょうにん》として、|祭司《さいし》ウリヤおよびエベレキヤの|子《こ》ゼカリヤを|立《た》てた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|預言者《よげんしゃ》の|妻《つま》に|近《ちか》づくと、|彼女《かのじょ》はみごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。その|時《とき》、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「その|名《な》をマヘル・シャラル・ハシ・バズと|呼《よ》びなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それはこの|子《こ》がまだ『おとうさん、おかあさん』と|呼《よ》ぶことを|知《し》らないうちに、ダマスコの|富《とみ》と、サマリヤのぶんどり|品《ひん》とが、アッスリヤ|王《おう》の|前《まえ》に|奪《うば》い|去《さ》られるからである」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|重《かさ》ねてわたしに|言《い》われた、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「この|民《たみ》はゆるやかに|流《なが》れるシロアの|水《みず》を|捨《す》てて、レヂンとレマリヤの|子《こ》の|前《まえ》に|恐《おそ》れくじける。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|見《み》よ、|主《しゅ》は|勢《いきお》いたけく、みなぎりわたる|大川《おおかわ》の|水《みず》を|彼《かれ》らにむかってせき|入《い》れられる。これはアッスリヤの|王《おう》と、そのもろもろの|威勢《いせい》とであって、そのすべての|支流《しりゅう》にはびこり、すべての|岸《きし》を|越《こ》え、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダに|流《なが》れ|入《い》り、あふれみなぎって、|首《くび》にまで|及《およ》ぶ。インマヌエルよ、その|広《ひろ》げた|翼《つばさ》はあまねく、あなたの|国《くに》に|満《み》ちわたる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》よ、|打《う》ち|破《やぶ》られて、|驚《おどろ》きあわてよ。 |遠《とお》き|国々《くにぐに》のものよ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 |腰《こし》に|帯《おび》して、|驚《おどろ》きあわてよ。 |腰《こし》に|帯《おび》して、|驚《おどろ》きあわてよ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ともに|計《はか》れ、しかし、|成《な》らない。 |言葉《ことば》を|出《だ》せ、しかし、|行《おこな》われない。 |神《かみ》がわれわれと|共《とも》におられるからである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|強《つよ》いみ|手《て》をもって、わたしを|捕《とら》え、わたしに|語《かた》り、この|民《たみ》の|道《みち》に|歩《あゆ》まないように、さとして|言《い》われた、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「この|民《たみ》がすべて|陰謀《いんぼう》ととなえるものを|陰謀《いんぼう》ととなえてはならない。|彼《かれ》らの|恐《おそ》れるものを|恐《おそ》れてはならない。またおののいてはならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、ただ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》を|聖《せい》として、|彼《かれ》をかしこみ、|彼《かれ》を|恐《おそ》れなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルの二つの|家《いえ》には|聖所《せいじょ》となり、またさまたげの|石《いし》、つまずきの|岩《いわ》となり、エルサレムの|住民《じゅうみん》には|網《あみ》となり、わなとなる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|者《もの》はこれにつまずき、かつ|倒《たお》れ、|破《やぶ》られ、わなにかけられ、|捕《とら》えられる」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あかしを一つにまとめ、|教《おしえ》をわが|弟子《でし》たちのうちに|封《ふう》じておこう。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はいま、ヤコブの|家《いえ》に、み|顔《かお》をかくしておられるとはいえ、わたしはその|主《しゅ》を|待《ま》ち、|主《しゅ》を|望《のぞ》みまつる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしと、|主《しゅ》のわたしに|賜《たま》わった|子《こ》たちとは、シオンの|山《やま》にいます|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》から|与《あた》えられたイスラエルのしるしであり、|前《まえ》ぶれである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》があなたがたにむかって「さえずるように、ささやくように|語《かた》る|巫子《みこ》および|魔術者《まじゅつしゃ》に|求《もと》めよ」という|時《とき》、|民《たみ》は|自分《じぶん》たちの|神《かみ》に|求《もと》むべきではないか。|生《い》ける|者《もの》のために|死《し》んだ|者《もの》に|求《もと》めるであろうか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ただ|教《おしえ》とあかしとに|求《もと》めよ。まことに|彼《かれ》らはこの|言葉《ことば》によって|語《かた》るが、そこには|夜明《よあ》けがない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはしえたげられ、|飢《う》えて|国《くに》の|中《なか》を|経《へ》あるく。その|飢《う》えるとき|怒《いか》りを|放《はな》ち、|自分《じぶん》たちの|王《おう》、|自分《じぶん》たちの|神《かみ》をのろい、かつその|顔《かお》を|天《てん》に|向《む》ける。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|地《ち》を|見《み》ると、|見《み》よ、|悩《なや》みと|暗《くら》きと、|苦《くる》しみのやみとがあり、|彼《かれ》らは|暗黒《あんこく》に|追《お》いやられる。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|苦《くる》しみにあった|地《ち》にも、やみがなくなる。さきにはゼブルンの|地《ち》、ナフタリの|地《ち》にはずかしめを|与《あた》えられたが、|後《のち》には|海《うみ》に|至《いた》る|道《みち》、ヨルダンの|向《む》こうの|地《ち》、|異邦人《いほうじん》のガリラヤに|光栄《こうえい》を|与《あた》えられる。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|暗《くら》やみの|中《なか》に|歩《あゆ》んでいた|民《たみ》は|大《おお》いなる|光《ひかり》を|見《み》た。 |暗黒《あんこく》の|地《ち》に|住《す》んでいた|人々《ひとびと》の|上《うえ》に|光《ひかり》が|照《て》った。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|国民《こくみん》を|増《ま》し、その|喜《よろこ》びを|大《おお》きくされたので、 |彼《かれ》らは|刈入《かりい》れ|時《とき》に|喜《よろこ》ぶように、 |獲物《えもの》を|分《わ》かつ|時《とき》に|楽《たの》しむように、 あなたの|前《まえ》に|喜《よろこ》んだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたが|彼《かれ》らの|負《お》っているくびきと、 その|肩《かた》のつえと、しえたげる|者《もの》のむちとを、 ミデアンの|日《ひ》になされたように|折《お》られたからだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すべて|戦場《せんじょう》で、|歩兵《ほへい》のはいたくつと、 |血《ち》にまみれた|衣《ころも》とは、 |火《ひ》の|燃《も》えくさとなって|焼《や》かれる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ひとりのみどりごがわれわれのために|生《うま》れた、 ひとりの|男《おとこ》の|子《こ》がわれわれに|与《あた》えられた。 まつりごとはその|肩《かた》にあり、 その|名《な》は、「|霊妙《れいみょう》なる|議《ぎ》|士《し》、|大能《たいのう》の|神《かみ》、 とこしえの|父《ちち》、|平和《へいわ》の|君《きみ》」ととなえられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのまつりごとと|平和《へいわ》とは、|増《ま》し|加《くわ》わって|限《かぎ》りなく、 ダビデの|位《くらい》に|座《ざ》して、その|国《くに》を|治《おさ》め、 |今《いま》より|後《のち》、とこしえに|公平《こうへい》と|正義《せいぎ》とをもって これを|立《た》て、これを|保《たも》たれる。 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|熱心《ねっしん》がこれをなされるのである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はひと|言《こと》をヤコブにおくり、 これをイスラエルの|上《うえ》にくだされる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すべてこの|民《たみ》、 エフライムとサマリヤに|住《す》む|者《もの》とは|知《し》るであろう。 |彼《かれ》らは|高《たか》ぶり、|心《こころ》おごって|言《い》う、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「かわらがくずれても、 われわれは|切《き》り|石《いし》をもって|建《た》てよう。 くわの|木《き》が|切《き》り|倒《たお》されても、 われわれは|香柏《こうはく》をもってこれにかえよう」と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|敵《てき》を|起《おこ》して|彼《かれ》らを|攻《せ》めさせ、 そのあだを|奮《ふる》い|立《た》たせられる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》にスリヤびとあり、|西《にし》にペリシテびとあり、 |彼《かれ》らは|大口《おおぐち》をあけてイスラエルを|食《く》い|尽《つく》す。 それでも|主《しゅ》の|怒《いか》りはやまず、 なおも、そのみ|手《て》を|伸《の》ばされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかもなお、この|民《たみ》は|自分《じぶん》たちを|撃《う》った|者《もの》に|帰《かえ》らず、 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》を|求《もと》めない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はイスラエルから|頭《あたま》と|尾《お》と、 しゅろの|枝《えだ》と|葦《あし》とを一|日《にち》のうちに|断《た》ち|切《き》られる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|頭《あたま》とは、|長老《ちょうろう》と|尊《たっと》き|人《ひと》、 その|尾《お》とは、|偽《いつわ》りを|教《おし》える|預言者《よげんしゃ》である。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》を|導《みちび》く|者《もの》は、これを|迷《まよ》わせ、 |彼《かれ》らに|導《みちび》かれる|者《もの》は、のみ|尽《つく》される。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はその|若《わか》き|人々《ひとびと》を|喜《よろこ》ばれず、 そのみなしごと|寡婦《かふ》とをあわれまれない。 |彼《かれ》らはみな、|不信仰《ふしんこう》であって、|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》、 すべての|口《くち》は|愚《おろ》かな|事《こと》を|語《かた》るからである。 それでも|主《しゅ》の|怒《いか》りはやまず、 なおも、そのみ|手《て》を|伸《の》ばされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》は|火《ひ》のように|燃《も》え、 いばらと、おどろとを|食《く》い|尽《つく》し、 |茂《しげ》りあう|林《はやし》を|焼《や》き、|煙《けむり》の|柱《はしら》となって|巻《ま》きあがる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|怒《いか》りによって|地《ち》は|焼《や》け、 その|民《たみ》は|火《ひ》の|燃《も》えくさのようになり、 だれもその|兄弟《きょうだい》をあわれむ|者《もの》がない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|右手《みぎて》につかんでも、なお|飢《う》え、 |左手《ひだりて》で|食《た》べても|飽《あ》くことがない。 おのおのその|隣《とな》り|人《びと》の|肉《にく》を|食《く》う。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]マナセはエフライムを、 エフライムはマナセを|食《く》い、 |彼《かれ》らは|共《とも》にユダを|攻《せ》める。 それでも|主《しゅ》の|怒《いか》りはやまず、 なおも、そのみ|手《て》を|伸《の》ばされる。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 |不義《ふぎ》の|判決《はんけつ》を|下《くだ》す|者《もの》、|暴虐《ぼうぎゃく》の|宣告《せんこく》を|書《か》きしるす|者《もの》。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|乏《とぼ》しい|者《もの》の|訴《うった》えを|引《ひ》き|受《う》けず、 わが|民《たみ》のうちの|貧《まず》しい|者《もの》の|権利《けんり》をはぎ、 |寡婦《かふ》の|資産《しさん》を|奪《うば》い、みなしごのものをかすめる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|刑罰《けいばつ》の|日《ひ》がきたなら、 |何《なに》をしようとするのか。 |大風《おおかぜ》が|遠《とお》くから|来《く》るとき、 |何《なに》をしようとするのか。 あなたがたはのがれていって、 だれに|助《たす》けを|求《もと》めようとするのか。 また、どこにあなたがたの|富《とみ》を|残《のこ》そうとするのか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ただ|捕《とら》われた|者《もの》の|中《なか》にかがみ、 |殺《ころ》された|者《もの》の|中《なか》に|伏《ふ》し|倒《たお》れるのみだ。 それでも|主《しゅ》の|怒《いか》りはやまず、 なおも、そのみ|手《て》を|伸《の》ばされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ああ、アッスリヤはわが|怒《いか》りのつえ、 わが|憤《いきどお》りのむちだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》をつかわして|不信《ふしん》の|国《くに》を|攻《せ》め、 |彼《かれ》に|命《めい》じてわが|怒《いか》りの|民《たみ》を|攻《せ》め、かすめ|奪《うば》わせ、 |彼《かれ》らをちまたの|泥《どろ》のように|踏《ふ》みにじらせる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》はそのようには|思《おも》わず、 その|心《こころ》もそのようには|考《かんが》えず、 かえってその|心《こころ》は|滅《ほろ》ぼすことを|思《おも》い、 あまたの|国々《くにぐに》を|倒《たお》そうとする。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》う、「わが|諸侯《しょこう》はみな|王《おう》ではないか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]カルノはカルケミシのようではないか。 ハマテはアルパデのようではないか。 サマリヤはダマスコのようではないか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|手《て》は|偶像《ぐうぞう》に|仕《つか》える|国々《くにぐに》に|伸《の》びた。 その|彫《ほ》った|像《ぞう》はエルサレムおよび サマリヤのものにまさっていた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはサマリヤとその|偶像《ぐうぞう》に|行《おこな》ったように、 エルサレムとその|偶像《ぐうぞう》に|行《おこな》わぬであろうか」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がシオンの|山《やま》とエルサレムとになそうとすることを、ことごとくなし|遂《と》げられた|時《とき》、|主《しゅ》はアッスリヤ|王《おう》の|無礼《ぶれい》な|言葉《ことば》と、その|高《たか》ぶりとを|罰《ばっ》せられる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》う、 [#ここから2字下げ] 「わが|手《て》の|力《ちから》により、またわが|知恵《ちえ》によって、 わたしはこれをなした。わたしは|賢《かしこ》いからである。 わたしはもろもろの|民《たみ》の|境《さかい》を|除《のぞ》き、 その|財宝《ざいほう》を|奪《うば》った。 またわたしは|雄牛《おうし》のように、 |位《くらい》に|座《ざ》する|者《もの》を|引《ひ》きおろした。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わが|手《て》は|巣《す》を|取《と》るように、 もろもろの|民《たみ》の|富《とみ》を|得《え》た。 またわたしは|人々《ひとびと》が|捨《す》てられた|卵《たまご》を|集《あつ》めるように、 |全《ぜん》|地《ち》を|取《と》り|集《あつ》めた。 あるいは|翼《つばさ》を|動《うご》かし、あるいは|口《くち》を|開《ひら》き、 あるいはぺちゃくちゃ|言《い》う|者《もの》もなかった」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]おのは、それを|用《もち》いて|切《き》る|者《もの》にむかって、 |自分《じぶん》を|誇《ほこ》ることができようか。 のこぎりは、それを|動《うご》かす|者《もの》にむかって、 みずから|高《たか》ぶることができようか。 これはあたかも、むちが|自分《じぶん》をあげる|者《もの》を|動《うご》かし、 つえが|木《き》でない|者《もの》をあげようとするのに|等《ひと》しい。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、 その|肥《こ》えた|勇士《ゆうし》の|中《なか》に|病気《びょうき》を|送《おく》って|衰《おとろ》えさせ、 その|栄光《えいこう》の|下《した》に|火《ひ》の|燃《も》えるような|炎《ほのお》を|燃《も》やされる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|光《ひかり》は|火《ひ》となり、 その|聖者《せいじゃ》は|炎《ほのお》となり、 そのいばらと、おどろとを一|日《にち》のうちに|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また、その|林《はやし》と|土《つち》|肥《こ》えた|田畑《たはた》の|栄《さか》えを、 |魂《たましい》も、からだも二つながら|滅《ほろ》ぼし、 |病《や》める|者《もの》のやせ|衰《おとろ》える|時《とき》のようにされる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|林《はやし》の|木《き》の|残《のこ》りのものはわずかであって、 わらべもそれを|書《か》きとめることができる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》にはイスラエルの|残《のこ》りの|者《もの》と、ヤコブの|家《いえ》の|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》とは、もはや|自分《じぶん》たちを|撃《う》った|者《もの》にたよらず、|真心《まごころ》をもってイスラエルの|聖者《せいじゃ》、|主《しゅ》にたより、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|残《のこ》りの|者《もの》、すなわちヤコブの|残《のこ》りの|者《もの》は|大能《たいのう》の|神《かみ》に|帰《かえ》る。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》イスラエルは|海《うみ》の|砂《すな》のようであっても、そのうちの|残《のこ》りの|者《もの》だけが|帰《かえ》って|来《く》る。|滅《ほろ》びはすでに|定《さだ》まり、|義《ぎ》であふれている。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|定《さだ》められた|滅《ほろ》びを|全《ぜん》|地《ち》に|行《おこな》われる。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「シオンに|住《す》むわが|民《たみ》よ、アッスリヤびとが、エジプトびとがしたように、むちをもってあなたを|打《う》ち、つえをあげてあなたをせめても、|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ただしばらくして、わが|憤《いきどお》りはやみ、わが|怒《いか》りは|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼすからである。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、むかしミデアンびとをオレブの|岩《いわ》で|撃《う》たれた|時《とき》のように、|彼《かれ》らにむかって、むちをふるわれる。またそのつえを|海《うみ》の|上《うえ》にのばし、エジプトでなされたように、それをあげられる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|彼《かれ》の|重荷《おもに》はあなたの|肩《かた》からおり、|彼《かれ》のくびきはあなたの|首《くび》から|離《はな》れる」。 [#ここから2字下げ] |彼《かれ》はリンモンから|上《のぼ》り、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]アイアテにきたり、ミグロンを|過《す》ぎ、 ミクマシでその|行李《こうり》をとどめ、 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|渡《わた》しを|過《す》ぎて、ゲバに|宿《やど》る。 ラマはおののき、サウルのギベアは|逃《に》げ|去《さ》った。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ガリムの|娘《むすめ》よ、|声《こえ》をあげて|叫《さけ》べ。 ライシよ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 アナトテよ、|彼《かれ》に|答《こた》えよ。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]マデメナは|逃《に》げ|去《さ》り、ゲビムの|民《たみ》は|隠《かく》れ|場《ば》を|求《もと》めた。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》|彼《かれ》はノブに|立《た》ちとどまり、 シオンの|娘《むすめ》の|山《やま》、エルサレムの|丘《おか》にむかって、 その|手《て》を|振《ふ》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、 |恐《おそ》ろしい|力《ちから》をもって|枝《えだ》を|切《き》りおろされる。 たけの|高《たか》いものも|切《き》り|落《おと》され、 そびえ|立《た》つものは|低《ひく》くされる。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのをもって|茂《しげ》りあう|林《はやし》を|切《き》られる。 みごとな|木《き》の|茂《しげ》るレバノンも|倒《たお》される。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エッサイの|株《かぶ》から一つの|芽《め》が|出《で》、 その|根《ね》から一つの|若《わか》|枝《えだ》が|生《は》えて|実《み》を|結《むす》び、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》に|主《しゅ》の|霊《れい》がとどまる。 これは|知恵《ちえ》と|悟《さと》りの|霊《れい》、|深慮《しんりょ》と|才能《さいのう》の|霊《れい》、 |主《しゅ》を|知《し》る|知識《ちしき》と|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|霊《れい》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》を|恐《おそ》れることを|楽《たの》しみとし、 その|目《め》の|見《み》るところによって、さばきをなさず、 その|耳《みみ》の|聞《き》くところによって、|定《さだ》めをなさず、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》をもって|貧《まず》しい|者《もの》をさばき、 |公平《こうへい》をもって|国《くに》のうちの |柔和《にゅうわ》な|者《もの》のために|定《さだ》めをなし、 その|口《くち》のむちをもって|国《くに》を|撃《う》ち、 そのくちびるの|息《いき》をもって|悪《あ》しき|者《もの》を|殺《ころ》す。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》はその|腰《こし》の|帯《おび》となり、 |忠信《ちゅうしん》はその|身《み》の|帯《おび》となる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]おおかみは|小羊《こひつじ》と|共《とも》にやどり、 ひょうは|子《こ》やぎと|共《とも》に|伏《ふ》し、 |子《こ》|牛《うし》、|若《わか》じし、|肥《こ》えたる|家畜《かちく》は|共《とも》にいて、 |小《ちい》さいわらべに|導《みちび》かれ、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|雌牛《めうし》と|熊《くま》とは|食《く》い|物《もの》を|共《とも》にし、 |牛《うし》の|子《こ》と|熊《くま》の|子《こ》と|共《とも》に|伏《ふ》し、 ししは|牛《うし》のようにわらを|食《く》い、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|乳《ち》のみ|子《ご》は|毒蛇《どくへび》のほらに|戯《たわむ》れ、 |乳離《ちばな》れの|子《こ》は|手《て》をまむしの|穴《あな》に|入《い》れる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわが|聖《せい》なる|山《やま》のどこにおいても、 そこなうことなく、やぶることがない。 |水《みず》が|海《うみ》をおおっているように、 |主《しゅ》を|知《し》る|知識《ちしき》が|地《ち》に|満《み》ちるからである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、エッサイの|根《ね》が|立《た》って、もろもろの|民《たみ》の|旗《はた》となり、もろもろの|国《くに》びとはこれに|尋《たず》ね|求《もと》め、その|置《お》かれる|所《ところ》に|栄光《えいこう》がある。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》は|再《ふたた》び|手《て》を|伸《の》べて、その|民《たみ》の|残《のこ》れる|者《もの》をアッスリヤ、エジプト、パテロス、エチオピヤ、エラム、シナル、ハマテおよび|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》からあがなわれる。 [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|国々《くにぐに》のために|旗《はた》をあげて、 イスラエルの|追《お》いやられた|者《もの》を|集《あつ》め、 ユダの|散《ち》らされた|者《もの》を|地《ち》の|四方《しほう》から|集《あつ》められる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エフライムのねたみはうせ、 ユダを|悩《なや》ます|者《もの》は|断《た》たれ、 エフライムはユダをねたまず、 ユダはエフライムを|悩《なや》ますことはない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|西《にし》の|方《ほう》ペリシテびとの|肩《かた》に |襲《おそ》いかかり、 |相《あい》|共《とも》に|東《ひがし》の|民《たみ》をかすめ、 その|手《て》をエドムおよびモアブに|伸《の》べ、 アンモンの|人々《ひとびと》をおのれに|従《したが》わせる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエジプトの|海《うみ》の|舌《した》をからし、 |川《かわ》の|上《うえ》に|手《て》を|振《ふ》って|熱《あつ》い|風《かぜ》を|吹《ふ》かせ、 その|川《かわ》を|打《う》って七つの|川《かわ》となし、 くつをぬらさないで|渡《わた》らせられる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|民《たみ》の|残《のこ》れる|者《もの》のために アッスリヤからの|大路《おおじ》があり、 |昔《むかし》イスラエルがエジプトの|国《くに》から |上《のぼ》ってきた|時《とき》にあったようになる。 [#ここで字下げ終わり] 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》あなたは|言《い》う、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|感謝《かんしゃ》します。 あなたは、さきにわたしにむかって|怒《いか》られたが、 その|怒《いか》りはやんで、わたしを|慰《なぐさ》められたからです。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|神《かみ》はわが|救《すくい》である。 わたしは|信頼《しんらい》して|恐《おそ》れることはない。 |主《しゅ》なる|神《かみ》はわが|力《ちから》、わが|歌《うた》であり、 わが|救《すくい》となられたからである」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|喜《よろこ》びをもって、|救《すくい》の|井戸《いど》から|水《みず》をくむ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、あなたがたは|言《い》う、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ。 そのみ|名《な》を|呼《よ》べ。 そのみわざをもろもろの|民《たみ》の|中《なか》につたえよ。 そのみ|名《な》のあがむべきことを|語《かた》りつげよ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》をほめうたえ。 |主《しゅ》はそのみわざを、みごとになし|遂《と》げられたから。 これを|全《ぜん》|地《ち》に|宣《の》べ|伝《つた》えよ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]シオンに|住《す》む|者《もの》よ、|声《こえ》をあげて、|喜《よろこ》びうたえ。 イスラエルの|聖者《せいじゃ》はあなたがたのうちで |大《おお》いなる|者《もの》だから」。 [#ここで字下げ終わり] 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アモツの|子《こ》イザヤに|示《しめ》されたバビロンについての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|木《き》のない|山《やま》に|旗《はた》を|立《た》て、 |声《こえ》をあげて|彼《かれ》らを|招《まね》き、 |手《て》を|振《ふ》って|彼《かれ》らを|貴族《きぞく》の|門《もん》に、はいらせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|怒《いか》りのさばきを|行《おこな》うために |聖別《せいべつ》した|者《もの》どもに|命《めい》じ、 わが|勇士《ゆうし》、わが|勝《か》ち|誇《ほこ》る|者《もの》どもを|招《まね》いた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》け、|多《おお》くの|民《たみ》のような|騒《さわ》ぎ|声《こえ》が|山々《やまやま》に|聞《きこ》える。 |聞《き》け、もろもろの|国々《くにぐに》、|寄《よ》りつどえる もろもろの|国民《こくみん》のざわめく|声《こえ》が|聞《きこ》える。 これは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が |戦《たたか》いのために|軍勢《ぐんぜい》を|集《あつ》められるのだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|遠《とお》い|国《くに》から、|天《てん》の|果《はて》から|来《く》る。 これは、|主《しゅ》とその|憤《いきどお》りの|器《うつわ》で、 |全《ぜん》|地《ち》を|滅《ほろ》ぼすために|来《く》るのだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|泣《な》き|叫《さけ》べ。|主《しゅ》の|日《ひ》が|近《ちか》づき、 |滅《ほろ》びが|全能者《ぜんのうしゃ》から|来《く》るからだ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、すべての|手《て》は|弱《よわ》り、 すべての|人《ひと》の|心《こころ》は|溶《と》け|去《さ》る。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|恐《おそ》れおののき、|苦《くる》しみと|悩《なや》みに|捕《とら》えられ、 |子《こ》を|産《う》まんとする|女《おんな》のようにもだえ|苦《くる》しみ、 |互《たがい》に|驚《おどろ》き、|顔《かお》を|見《み》あわせ、 その|顔《かお》は|炎《ほのお》のようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|日《ひ》が|来《く》る。 |残忍《ざんにん》で、|憤《いきどお》りと|激《はげ》しい|怒《いか》りとをもってこの|地《ち》を|荒《あら》し、 その|中《なか》から|罪《つみ》びとを|断《た》ち|滅《ほろ》ぼすために|来《く》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|星《ほし》とその|星座《せいざ》とはその|光《ひかり》を|放《はな》たず、 |太陽《たいよう》は|出《で》ても|暗《くら》く、 |月《つき》はその|光《ひかり》を|輝《かがや》かさない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|悪《あく》のために|世《よ》を|罰《ばっ》し、 その|不義《ふぎ》のために|悪《わる》い|者《もの》を|罰《ばっ》し、 |高《たか》ぶる|者《もの》の|誇《ほこり》をとどめ、 あらぶる|者《もの》の|高慢《こうまん》を|低《ひく》くする。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|人《ひと》を|精《せい》|金《きん》よりも、 オフルのこがねよりも|少《すく》なくする。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|憤《いきどお》りにより、 その|激《はげ》しい|怒《いか》りの|日《ひ》に、 |天《てん》は|震《ふる》い、|地《ち》は|揺《ゆ》り|動《うご》いて、その|所《ところ》をはなれる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|追《お》われた、かもしかのように、 あるいは|集《あつ》める|者《もの》のない|羊《ひつじ》のようになって、 おのおの|自分《じぶん》の|民《たみ》に|帰《かえ》り、 |自分《じぶん》の|国《くに》に|逃《に》げて|行《い》く。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すべて|見《み》いだされる|者《もの》は|刺《さ》され、 すべて|捕《とら》えられる|者《もの》はつるぎによって|倒《たお》され、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのみどりごはその|目《め》の|前《まえ》で|投《な》げ|砕《くだ》かれ、 その|家《いえ》はかすめ|奪《うば》われ、その|妻《つま》は|汚《けが》される。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは、しろがねをも|顧《かえり》みず、 こがねをも|喜《よろこ》ばないメデアびとを|起《おこ》して、 |彼《かれ》らにむかわせる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|弓《ゆみ》は|若《わか》い|者《もの》を|射殺《いころ》し、 |腹《はら》の|実《み》をあわれむことなく、 |幼《おさ》な|子《ご》を|見《み》て、|惜《お》しむことがない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》の|誉《ほまれ》であり、 カルデヤびとの|誇《ほこり》である|麗《うるわ》しいバビロンは、 |神《かみ》に|滅《ほろ》ぼされたソドム、ゴモラのようになる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ここにはながく|住《す》む|者《もの》が|絶《た》え、 |世々《よよ》にいたるまで|住《す》みつく|者《もの》がなく、 アラビヤびともそこに|天幕《てんまく》を|張《は》らず、 |羊飼《ひつじかい》もそこに|群《む》れを|伏《ふ》させることがない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ただ、|野《の》の|獣《けもの》がそこに|伏《ふ》し、 ほえる|獣《けもの》がその|家《いえ》に|満《み》ち、 だちょうがそこに|住《す》み、 |鬼神《きしん》がそこに|踊《おど》る。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ハイエナはその|城《しろ》の|中《なか》で|鳴《な》き、 |山犬《やまいぬ》は|楽《たの》しい|宮殿《きゅうでん》でほえる。 その|時《とき》の|来《く》るのは|近《ちか》い、 その|日《ひ》は|延《の》びることがない。 [#ここで字下げ終わり] 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヤコブをあわれみ、イスラエルを|再《ふたた》び|選《えら》んで、これをおのれの|地《ち》に|置《お》かれる。|異邦人《いほうじん》はこれに|加《くわ》わって、ヤコブの|家《いえ》に|結《むす》びつらなり、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》は|彼《かれ》らを|連《つ》れてその|所《ところ》に|導《みちび》いて|来《く》る。そしてイスラエルの|家《いえ》は、|主《しゅ》の|地《ち》で|彼《かれ》らを|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》とし、さきに|自分《じぶん》たちを|捕虜《ほりょ》にした|者《もの》を|捕虜《ほりょ》にし、|自分《じぶん》たちをしえたげた|者《もの》を|治《おさ》める。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》があなたの|苦労《くろう》と|不安《ふあん》とを|除《のぞ》き、またあなたが|服《ふく》した|苦役《くえき》を|除《のぞ》いて、|安息《あんそく》をお|与《あた》えになるとき、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこのあざけりの|歌《うた》をとなえ、バビロンの|王《おう》をののしって|言《い》う、 [#ここから2字下げ] 「あの、しえたげる|者《もの》は|全《まった》く|絶《た》えてしまった。 あの、おごる|者《もの》は|全《まった》く|絶《た》えてしまった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|悪《わる》い|者《もの》のつえと、 つかさびとの|笏《しゃく》を|折《お》られた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|憤《いきどお》りをもってもろもろの|民《たみ》を |絶《た》えず|撃《う》っては|打《う》ち、 |怒《いか》りをもってもろもろの|国《くに》を|治《おさ》めても、 そのしえたげをとどめる|者《もの》がなかった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》はやすみを|得《え》、|穏《おだ》やかになり、 ことごとく|声《こえ》をあげて|歌《うた》う。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]いとすぎおよびレバノンの|香柏《こうはく》でさえも あなたのゆえに|喜《よろこ》んで|言《い》う、 『あなたはすでに|倒《たお》れたので、 もはや、きこりが|上《のぼ》ってきて、 われわれを|攻《せ》めることはない』。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|下《した》の|陰府《よみ》はあなたのために|動《うご》いて、 あなたの|来《く》るのを|迎《むか》え、 |地《ち》のもろもろの|指導者《しどうしゃ》たちの|亡霊《ぼうれい》を あなたのために|起《おこ》し、 |国々《くにぐに》のもろもろの|王《おう》を その|王座《おうざ》から|立《た》ちあがらせる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|皆《みな》あなたに|告《つ》げて|言《い》う、 『あなたもまたわれわれのように|弱《よわ》くなった、 あなたもわれわれと|同《おな》じようになった』。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|栄華《えいが》とあなたの|琴《こと》の|音《ね》は |陰府《よみ》に|落《お》ちてしまった。 うじはあなたの|下《した》に|敷《し》かれ、 みみずはあなたをおおっている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|黎明《れいめい》の|子《こ》、|明《あ》けの|明星《みょうじょう》よ、 あなたは|天《てん》から|落《お》ちてしまった。 もろもろの|国《くに》を|倒《たお》した|者《もの》よ、 あなたは|切《き》られて|地《ち》に|倒《たお》れてしまった。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはさきに|心《こころ》のうちに|言《い》った、 『わたしは|天《てん》にのぼり、 わたしの|王座《おうざ》を|高《たか》く|神《かみ》の|星《ほし》の|上《うえ》におき、 |北《きた》の|果《はて》なる|集会《しゅうかい》の|山《やま》に|座《ざ》し、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》のいただきにのぼり、 いと|高《たか》き|者《もの》のようになろう』。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは|陰府《よみ》に|落《おと》され、 |穴《あな》の|奥底《おくそこ》に|入《い》れられる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|見《み》る|者《もの》はつくづくあなたを|見《み》、 あなたに|目《め》をとめて|言《い》う、 『この|人《ひと》は|地《ち》を|震《ふる》わせ、|国々《くにぐに》を|動《うご》かし、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|世界《せかい》を|荒野《あらの》のようにし、その|都市《とし》をこわし、 |捕《とら》えた|者《もの》をその|家《いえ》に |解《と》き|帰《かえ》さなかった|者《もの》であるのか』。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》の|王《おう》たちは|皆《みな》 |尊《たっと》いさまで、|自分《じぶん》の|墓《はか》に|眠《ねむ》る。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは|忌《い》みきらわれる|月《つき》|足《た》らぬ|子《こ》のように |墓《はか》のそとに|捨《す》てられ、 つるぎで|刺《さ》し|殺《ころ》された|者《もの》でおおわれ、 |踏《ふ》みつけられる|死体《したい》のように|穴《あな》の|石《いし》に|下《くだ》る。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|国《くに》を|滅《ほろ》ぼし、 |自分《じぶん》の|民《たみ》を|殺《ころ》したために、 |彼《かれ》らと|共《とも》に|葬《ほうむ》られることはない。 どうか、|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》の|子孫《しそん》は とこしえに|名《な》を|呼《よ》ばれることのないように。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|先祖《せんぞ》のよこしまのゆえに、 その|子孫《しそん》のためにほふり|場《ば》を|備《そな》えよ。 これは|彼《かれ》らが|起《た》って|地《ち》を|取《と》り、 |世界《せかい》のおもてに|町々《まちまち》を |満《み》たすことのないためである」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、「わたしは|立《た》って|彼《かれ》らを|攻《せ》め、バビロンからその|名《な》と、|残《のこ》れる|者《もの》、その|子《こ》と|孫《まご》とを|断《た》ち|滅《ほろ》ぼす、と|主《しゅ》は|言《い》う。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれをはりねずみのすみかとし、|水《みず》の|池《いけ》とし、|滅《ほろ》びのほうきをもって、これを|払《はら》い|除《のぞ》く、と|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》う」。 [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|誓《ちか》って|言《い》われる、 「わたしが|思《おも》ったように|必《かなら》ず|成《な》り、 わたしが|定《さだ》めたように|必《かなら》ず|立《た》つ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはアッスリヤびとをわが|地《ち》で|打《う》ち|破《やぶ》り、 わが|山々《やまやま》で|彼《かれ》を|踏《ふ》みにじる。 こうして|彼《かれ》が|置《お》いたくびきは イスラエルびとから|離《はな》れ、 |彼《かれ》が|負《お》わせた|重荷《おもに》は イスラエルびとの|肩《かた》から|離《はな》れる」。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これは|全《ぜん》|地《ち》について|定《さだ》められた|計画《けいかく》である。 これは|国々《くにぐに》の|上《うえ》に|伸《の》ばされた|手《て》である。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が|定《さだ》められるとき、 だれがそれを|取《と》り|消《け》すことができるのか。 その|手《て》を|伸《の》ばされるとき、 だれがそれを|引《ひ》きもどすことができるのか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]アハズ|王《おう》の|死《し》んだ|年《ねん》にこの|託宣《たくせん》があった、 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]「ペリシテの|全《ぜん》|地《ち》よ、あなたを|打《う》ったむちが |折《お》られたことを|喜《よろこ》んではならない。 へびの|根《ね》からまむしが|出《で》、 その|実《み》は|飛《と》びかけるへびとなるからだ。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]いと|貧《まず》しい|者《もの》は|食《しょく》を|得《え》、 |乏《とぼ》しい|者《もの》は|安《やす》らかに|伏《ふ》す。 しかし、わたしはききんをもって あなたの|子孫《しそん》を|殺《ころ》し、 あなたの|残《のこ》れる|者《もの》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》よ、|泣《な》きわめけ。|町《まち》よ、|叫《さけ》べ。 ペリシテの|全《ぜん》|地《ち》よ、|恐《おそ》れのあまり|消《き》えうせよ、 |北《きた》から|煙《けむり》が|来《く》るからだ。 その|隊列《たいれつ》からは、ひとりも|脱落《だつらく》する|者《もの》はない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|国《くに》の|使者《ししゃ》たちになんと|答《こた》えようか。 「|主《しゅ》はシオンの|基《もとい》をおかれた、 その|民《たみ》の|苦《くる》しむ|者《もの》は この|中《なか》に|避《さ》け|所《どころ》を|得《え》る」と|答《こた》えよ。 [#ここで字下げ終わり] 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モアブについての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] アルは一|夜《や》のうちに|荒《あら》されて、モアブは|滅《ほろ》びうせ、 キルは一|夜《や》のうちに|荒《あら》されて、モアブは|滅《ほろ》びうせた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]デボンの|娘《むすめ》は|高《たか》き|所《ところ》にのぼって|泣《な》き、 モアブはネボとメデバの|上《うえ》で|嘆《なげ》き|叫《さけ》ぶ。 おのおのその|頭《あたま》をかぶろにし、 そのひげをことごとくそった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのちまたで|荒布《あらぬの》をまとい、 その|屋根《やね》または|広場《ひろば》で、みな|泣《な》き|叫《さけ》び、|涙《なみだ》に|浸《ひた》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンとエレアレとは|叫《さけ》び、 その|声《こえ》はヤハズまで|聞《きこ》える。 それゆえ、モアブの|兵士《へいし》は|声《こえ》をあげ、 その|魂《たましい》はおののく。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|心《こころ》はモアブのために|叫《さけ》び|呼《よ》ばわる。 その|落人《おちうど》はゾアルおよび エグラテ・シリシヤにのがれ、 |泣《な》きながらルヒテの|坂《さか》をのぼり、 ホロナイムの|道《みち》で|滅《ほろ》びの|叫《さけ》びをあげる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ニムリムの|水《みず》はかわき、 |草《くさ》は|枯《か》れ、|苗《なえ》は|消《き》えて、|青《あお》い|物《もの》はない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》らはその|得《え》た|富《とみ》と、 そのたくわえた|物《もの》とを|携《たずさ》えて、|柳《やなぎ》の|川《かわ》をわたる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|叫《さけ》びの|声《こえ》はモアブの|境《さかい》をめぐり、 その|嘆《なげ》きの|声《こえ》はエグライムにいたり、 またその|嘆《なげ》きの|声《こえ》はベエル・エリムにいたる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]デボンの|水《みず》は|血《ち》で|満《み》ちる。 わたしはデボンの|上《うえ》にさらに|災《わざわい》を|加《くわ》え、 モアブののがれた|者《もの》と この|地《ち》の|残《のこ》った|者《もの》とに、ししを|送《おく》る。 [#ここで字下げ終わり] 第一六章[#「第一六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはセラから|荒野《あらの》の|道《みち》によって |小羊《こひつじ》をシオンの|娘《むすめ》の|山《やま》に|送《おく》り、 |国《くに》のつかさに|納《おさ》めた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|娘《むすめ》らはアルノンの|渡《わた》しで、 さまよう|鳥《とり》のように、 |巣《す》を|追《お》われたひなのようである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「|相《あい》はかって、|事《こと》を|定《さだ》めよ。 |真昼《まひる》の|中《なか》でも、あなたの|陰《かげ》を|夜《よる》のようにし、 さすらい|人《ひと》を|隠《かく》し、 のがれて|来《き》た|者《もの》をわたさず、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モアブのさすらい|人《ひと》を、あなたのうちにやどらせ、 |彼《かれ》らの|避《さ》け|所《どころ》となって、|滅《ほろ》ぼす|者《もの》からのがれさせよ。 しえたげる|者《もの》がなくなり、|滅《ほろ》ぼす|者《もの》が|絶《た》え、 |踏《ふ》みにじる|者《もの》が|地《ち》から|断《た》たれたとき、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]一つの|玉座《ぎょくざ》がいつくしみによって|堅《かた》く|立《た》てられ、 ダビデの|幕屋《まくや》にあって、 さばきをなし、|公平《こうへい》を|求《もと》め、 |正義《せいぎ》を|行《おこな》うに、すみやかなる|者《もの》が |真実《しんじつ》をもってその|上《うえ》に|座《ざ》する」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれはモアブの|高《たか》ぶりのことを|聞《き》いた、 その|高《たか》ぶることは、はなはだしい。 われわれはその|誇《ほこり》と、|高《たか》ぶりと、 そのおごりとのことを|聞《き》いた、 その|自慢《じまん》は|偽《いつわ》りである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、モアブは|泣《な》き|叫《さけ》べ、 |民《たみ》はみなモアブのために|泣《な》き|叫《さけ》べ。 |全《まった》く|撃《う》ちのめされて、 キルハレセテの|干《ほし》ぶどうのために|嘆《なげ》け。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンの|畑《はたけ》と、 シブマのぶどうの|木《き》とは、しぼみ|衰《おとろ》えた。 |国々《くにぐに》のもろもろの|主《しゅ》が、 その|枝《えだ》を|打《う》ち|落《おと》したからである。 その|枝《えだ》はさきにはヤゼルまでいたり、 |荒野《あらの》にまではびこり、 そのつるは|広《ひろ》がって|海《うみ》を|越《こ》えた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはヤゼルと|共《とも》に、 シブマのぶどうの|木《き》のために|泣《な》く。 ヘシボンよ、エレアレよ、 わたしは|涙《なみだ》をもってあなたを|浸《ひた》す。 ときの|声《こえ》が、あなたの|果実《かじつ》と、 あなたの|収穫《しゅうかく》の|上《うえ》にふりかかってきたからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|喜《よろこ》びと|楽《たの》しみとは|土《つち》|肥《こ》えた|畑《はたけ》から|取《と》り|去《さ》られ、 ぶどう|畑《はたけ》には|歌《うた》うことなく、 |喜《よろこ》び|呼《よ》ばわることなく、 |酒《さか》ぶねを|踏《ふ》んで|酒《さけ》を|絞《しぼ》る|者《もの》なく、 ぶどうの|収穫《しゅうかく》を|喜《よろこ》ぶ|声《こえ》はやんだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わが|魂《たましい》はモアブのために、 わが|心《こころ》はキルハレスのために、 |琴《こと》のように|鳴《な》りひびく。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]モアブが|高《たか》き|所《ところ》に|出《で》て、おのれを|疲《つか》れさせ、またその|聖所《せいじょ》にきて|祈《いの》っても、|効果《こうか》はない。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がさきにモアブについて|語《かた》られたみ|言葉《ことば》である。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|今《いま》、|主《しゅ》は|語《かた》って|言《い》われる、「モアブの|栄《さか》えはその|大《おお》いなる|群衆《ぐんしゅう》にもかかわらず、|雇人《やといにん》の|年期《ねんき》とひとしく三|年《ねん》のうちに、はずかしめを|受《う》け、|残《のこ》れる|者《もの》はまことに|少《すく》なく、|力《ちから》がない」。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダマスコについての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] |見《み》よ、ダマスコは|町《まち》の|姿《すがた》を|失《うしな》って、|荒塚《あらつか》となる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|町々《まちまち》はとこしえに|捨《す》てられ、 |家畜《かちく》の|群《む》れの|住《す》む|所《ところ》となって、|伏《ふ》しやすむが、 これを|脅《おびや》かす|者《もの》はない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エフライムのとりではすたり、 ダマスコの|主権《しゅけん》はやみ、 スリヤの|残《のこ》れる|者《もの》は、イスラエルの|子《こ》らの |栄光《えいこう》のように|消《き》えうせると |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、ヤコブの|栄《さか》えは|衰《おとろ》え、 その|肥《こ》えたる|肉《にく》はやせ、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あたかも|刈入《かりい》れ|人《ひと》がまだ|刈《か》らない|麦《むぎ》を|集《あつ》め、 かいなをもって|穂《ほ》を|刈《か》り|取《と》ったあとのように、 レパイムの|谷《たに》で|穂《ほ》を|拾《ひろ》い|集《あつ》めたあとのようになる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]オリブの|木《き》を|打《う》つとき、 二つ三つの|実《み》をこずえに|残《のこ》し、 あるいは四つ五つを みのり|多《おお》き|木《き》の|枝《えだ》に|残《のこ》すように、 とり|残《のこ》されるものがあると イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|人々《ひとびと》はその|造《つく》り|主《ぬし》を|仰《あお》ぎのぞみ、イスラエルの|聖者《せいじゃ》に|目《め》をとめ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]おのれの|手《て》のわざである|祭壇《さいだん》を|仰《あお》ぎのぞまず、おのれの|指《ゆび》が|造《つく》ったアシラ|像《ぞう》と|香《こう》の|祭壇《さいだん》とに|目《め》をとめない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|彼《かれ》らの|堅固《けんご》な|町々《まちまち》は|昔《むかし》イスラエルの|子《こ》らのゆえに|捨《す》て|去《さ》られたヒビびとおよびアモリびとの|荒《あ》れ|跡《あと》のように|荒《あ》れ|地《ち》になる。 [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたが|自分《じぶん》の|救《すくい》の|神《かみ》を|忘《わす》れ、 |自分《じぶん》の|避《さ》け|所《どころ》なる|岩《いわ》を|心《こころ》にとめなかったからだ。 それゆえ、あなたがたは|美《うつく》しい|植物《しょくぶつ》を|植《う》え、 |異《こと》なる|神《かみ》の|切《き》り|枝《えだ》をさし、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|植《う》えた|日《ひ》にこれを|成長《せいちょう》させ、 そのまいた|朝《あさ》にこれを|花《はな》|咲《さ》かせても、 その|収穫《しゅうかく》は|悲《かな》しみと、いやしがたい|苦《くる》しみの|日《ひ》にとび|去《さ》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|多《おお》くの|民《たみ》はなりどよめく、 |海《うみ》のなりどよめくように、|彼《かれ》らはなりどよめく。 ああ、もろもろの|国《くに》はなりとどろく、 |大水《おおみず》のなりとどろくように、|彼《かれ》らはなりとどろく。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》は|多《おお》くの|水《みず》の なりとどろくように、なりとどろく。 しかし、|神《かみ》は|彼《かれ》らを|懲《こら》しめられる。 |彼《かれ》らは|遠《とお》くのがれて、 |風《かぜ》に|吹《ふ》き|去《さ》られる|山《やま》の|上《うえ》のもみがらのように、 また|暴風《ぼうふう》にうず|巻《ま》くちりのように|追《お》いやられる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|夕暮《ゆうぐれ》には、|見《み》よ、|恐《おそ》れがある。 まだ|夜《よ》の|明《あ》けないうちに|彼《かれ》らはうせた。 これはわれわれをかすめる|者《もの》の|受《う》くべき|分《ぶん》、 われわれを|奪《うば》う|者《もの》の|引《ひ》くべきくじである。 [#ここで字下げ終わり] 第一八章[#「第一八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ああ、エチオピヤの|川々《かわがわ》のかなたなる ぶんぶんと|羽音《はおと》のする|国《くに》、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]この|国《くに》は|葦《あし》の|船《ふね》を|水《みず》にうかべ、 ナイル|川《かわ》によって|使者《ししゃ》をつかわす。 とく|走《はし》る|使者《ししゃ》よ、|行《い》け。 |川々《かわがわ》の|分《わか》れる|国《くに》の、たけ|高《たか》く、|膚《はだ》のなめらかな|民《たみ》、 |遠近《えんきん》に|恐《おそ》れられる|民《たみ》、 |力強《ちからづよ》く、|戦《たたか》いに|勝《か》つ|民《たみ》へ|行《い》け。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|世《よ》におるもの、|地《ち》に|住《す》むものよ、 |山《やま》の|上《うえ》に|旗《はた》の|立《た》つときは|見《み》よ、 ラッパの|鳴《な》りひびくときは|聞《き》け。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしにこう|言《い》われた、 「|晴《は》れわたった|日光《にっこう》の|熱《ねつ》のように、 |刈入《かりい》れの|熱《ねつ》むして|露《つゆ》の|多《おお》い|雲《くも》のように、 わたしは|静《しず》かにわたしのすまいから、ながめよう」。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|刈入《かりい》れの|前《まえ》、|花《はな》は|過《す》ぎて その|花《はな》がぶどうとなって|熟《じゅく》すとき、 |彼《かれ》はかまをもって、つるを|刈《か》り、|枝《えだ》を|切《き》り|去《さ》る。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみな|山《やま》の|猛禽《もうきん》と、 |地《ち》の|獣《けもの》とに|捨《す》て|置《お》かれる。 |猛禽《もうきん》はその|上《うえ》で|夏《なつ》を|過《す》ごし、 |地《ち》の|獣《けもの》はみなその|上《うえ》で|冬《ふゆ》を|過《す》ごす。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|川々《かわがわ》の|分《わか》れる|国《くに》の たけ|高《たか》く、|膚《はだ》のなめらかな|民《たみ》、 |遠《とお》くの|者《もの》にも|近《ちか》くの|者《もの》にも|恐《おそ》れられる|民《たみ》、 |力強《ちからづよ》く、|戦《たたか》いに|勝《か》つ|民《たみ》から |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》にささげる|贈《おく》り|物《もの》を|携《たずさ》えて、 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》のみ|名《な》のある|所《ところ》、シオンの|山《やま》に|来《く》る。 [#ここで字下げ終わり] 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エジプトについての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] |見《み》よ、|主《しゅ》は|速《はや》い|雲《くも》に|乗《の》って、エジプトに|来《こ》られる。 エジプトのもろもろの|偶像《ぐうぞう》は、み|前《まえ》に|震《ふる》えおののき、 エジプトびとの|心《こころ》は|彼《かれ》らのうちに|溶《と》け|去《さ》る。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトびとを|奮《ふる》いたたせて、 エジプトびとに|逆《さか》らわせる。 |彼《かれ》らはおのおのその|兄弟《きょうだい》に|敵《てき》して|戦《たたか》い、 おのおのその|隣《となり》に|敵《てき》し、 |町《まち》は|町《まち》を|攻《せ》め、|国《くに》は|国《くに》を|攻《せ》める。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エジプトびとの|魂《たましい》は、 |彼《かれ》らのうちにうせて、むなしくなる。 わたしはその|計《はか》りごとを|破《やぶ》る。 |彼《かれ》らは|偶像《ぐうぞう》および|魔術《まじゅつ》|師《し》、 |巫子《みこ》および|魔法使《まほうつかい》に|尋《たず》ね|求《もと》める。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトびとをきびしい|主人《しゅじん》の|手《て》に|渡《わた》す、 |荒々《あらあら》しい|王《おう》が|彼《かれ》らを|治《おさ》めると、 |主《しゅ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ナイルの|水《みず》はつき、|川《かわ》はかれてかわく。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またその|運河《うんが》は|臭《くさ》いにおいを|放《はな》ち、 エジプトのナイルの|支流《しりゅう》はややに|減《へ》ってかわき、 |葦《あし》とよしとは|枯《か》れはてる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ナイルのほとり、ナイルの|岸《きし》には|裸《はだか》の|所《ところ》があり、 ナイルのほとりにまいた|物《もの》はことごとく|枯《か》れ、 |散《ち》らされて、うせ|去《さ》る。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|漁夫《ぎょふ》は|嘆《なげ》き、 すべてナイルにつりをたれる|者《もの》は|悲《かな》しみ、 |網《あみ》を|水《みず》のおもてにうつ|者《もの》は|衰《おとろ》える。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|練《ね》った|麻《あさ》で|物《もの》を|造《つく》る|者《もの》と、 |白布《しろぬの》を|織《お》る|者《もの》は|恥《は》じる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|柱《はしら》たる|者《もの》は|砕《くだ》かれ、 すべて|雇《やと》われて|働《はたら》く|者《もの》は|嘆《なげ》き|悲《かな》しむ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ゾアンの|君《きみ》たちは|全《まった》く|愚《おろ》かであり、 パロの|賢《かしこ》い|議《ぎ》|官《かん》らは|愚《おろ》かな|計《はか》りごとをなす。 あなたがたはどうしてパロにむかって 「わたしは|賢《かしこ》い|者《もの》の|子《こ》、いにしえの|王《おう》の|子《こ》です」と |言《い》うことができようか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|賢《かしこ》い|者《もの》はどこにおるか。 |彼《かれ》らをして、 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》がエジプトについて|定《さだ》められたことを あなたに|告《つ》げ|知《し》らしめよ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ゾアンの|君《きみ》たちは|愚《おろ》かとなり、 メンピスの|君《きみ》たちは|欺《あざむ》かれ、 エジプトのもろもろの|部族《ぶぞく》の|隅《すみ》の|石《いし》たる|彼《かれ》らは、 かえってエジプトを|迷《まよ》わせた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|曲《まが》った|心《こころ》を|彼《かれ》らのうちに|混《ま》ぜられた。 |彼《かれ》らはエジプトをして、 すべてその|行《おこな》うことに|迷《まよ》わせ、 あたかも|酔《よ》った|人《ひと》の|物《もの》|吐《は》くときに よろめくようにさせた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エジプトに|対《たい》しては、|頭《あたま》あるいは|尾《お》、 しゅろの|枝《えだ》あるいは|葦《あし》が |共《とも》になしうるわざはない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、エジプトびとは|女《おんな》のようになり、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|彼《かれ》らの|上《うえ》に|振《ふ》り|動《うご》かされるみ|手《て》の|前《まえ》に|恐《おそ》れおののく。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|地《ち》は、エジプトびとに|恐《おそ》れられ、ユダについて|語《かた》り|告《つ》げることを|聞《き》くエジプトびとはみな、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》がエジプトびとにむかって|定《さだ》められた|計《はか》りごとのゆえに|恐《おそ》れる。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、エジプトの|地《ち》にカナンの|国《くに》ことばを|語《かた》り、また|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》に|誓《ちか》いを|立《た》てる五つの|町《まち》があり、その|中《なか》の一つは|太陽《たいよう》の|町《まち》ととなえられる。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、エジプトの|国《くに》の|中《なか》に|主《しゅ》をまつる一つの|祭壇《さいだん》があり、その|境《さかい》に|主《しゅ》をまつる一つの|柱《はしら》がある。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これはエジプトの|国《くに》で|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》に、しるしとなり、あかしとなる。|彼《かれ》らがしえたげる|者《もの》のゆえに、|主《しゅ》に|叫《さけ》び|求《もと》めるとき、|主《しゅ》は|救《すく》う|者《もの》をつかわして、|彼《かれ》らを|守《まも》り|助《たす》けられる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はご|自分《じぶん》をエジプトびとに|知《し》らせられる。その|日《ひ》、エジプトびとは|主《しゅ》を|知《し》り、|犠牲《ぎせい》と|供《そな》え|物《もの》とをもって|主《しゅ》に|仕《つか》え、|主《しゅ》に|誓願《せいがん》をたててこれを|果《はた》す。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はエジプトを|撃《う》たれる。|主《しゅ》はこれを|撃《う》たれるが、またいやされる。それゆえ|彼《かれ》らは|主《しゅ》に|帰《かえ》る。|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|願《ねが》いをいれて、|彼《かれ》らをいやされる。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、エジプトからアッスリヤに|通《かよ》う|大路《おおじ》があって、アッスリヤびとはエジプトに、エジプトびとはアッスリヤに|行《い》き、エジプトびとはアッスリヤびとと|共《とも》に|主《しゅ》に|仕《つか》える。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、イスラエルはエジプトとアッスリヤと|共《とも》に三つ|相《あい》|並《なら》び、|全《ぜん》|地《ち》のうちで|祝福《しゅくふく》をうけるものとなる。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、これを|祝福《しゅくふく》して|言《い》われる、「さいわいなるかな、わが|民《たみ》なるエジプト、わが|手《て》のわざなるアッスリヤ、わが|嗣《し》|業《ぎょう》なるイスラエル」と。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》サルゴンからつかわされた|最高《さいこう》|司令《しれい》|官《かん》がアシドドに|来《き》て、これを|攻《せ》め、これを|取《と》った|年《ねん》、――[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》に|主《しゅ》はアモツの|子《こ》イザヤによって|語《かた》って|言《い》われた、「さあ、あなたの|腰《こし》から|荒布《あらぬの》を|解《と》き、|足《あし》からくつを|脱《ぬ》ぎなさい」。そこでイザヤはそのようにし、|裸《はだか》、はだしで|歩《ある》いた。――[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「わがしもべイザヤは三|年《ねん》の|間《あいだ》、|裸《はだか》、はだしで|歩《ある》き、エジプトとエチオピヤに|対《たい》するしるしとなり、|前《まえ》ぶれとなったが、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]このようにエジプトびとのとりことエチオピヤびとの|捕《とら》われ|人《びと》とは、アッスリヤの|王《おう》に|引《ひ》き|行《い》かれて、その|若《わか》い|者《もの》も|老《お》いた|者《もの》もみな|裸《はだか》、はだしで、しりをあらわし、エジプトの|恥《はじ》を|示《しめ》す。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|頼《たの》みとしたエチオピヤのゆえに、その|誇《ほこり》としたエジプトのゆえに|恐《おそ》れ、かつ|恥《は》じる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、この|海《うみ》べに|住《す》む|民《たみ》は|言《い》う、『|見《み》よ、われわれが|頼《たの》みとした|国《くに》、すなわちわれわれがのがれて|行《い》って|助《たす》けを|求《もと》め、アッスリヤ|王《おう》から|救《すく》い|出《だ》されようとした|国《くに》はすでにこのとおりである。われわれはどうしてのがれることができようか』と。」 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|荒野《あらの》についての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] つむじ|風《かぜ》がネゲブを|吹《ふ》き|過《す》ぎるように、 |荒野《あらの》から、|恐《おそ》るべき|地《ち》から、|来《く》るものがある。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは一つのきびしい|幻《まぼろし》を|示《しめ》された。 かすめ|奪《うば》う|者《もの》はかすめ|奪《うば》い、 |滅《ほろ》ぼす|者《もの》は|滅《ほろ》ぼす。 エラムよ、のぼれ、メデアよ、|囲《かこ》め。 わたしはすべての|嘆《なげ》きをやめさせる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わが|腰《こし》は|激《はげ》しい|痛《いた》みに|満《み》たされ、 |出産《しゅっさん》に|臨《のぞ》む|女《おんな》の|苦《くる》しみのような|苦《くる》しみが わたしを|捕《とら》えた。 わたしは、かがんで|聞《き》くことができず、 |恐《おそ》れおののいて|見《み》ることができない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わが|心《こころ》はみだれ|惑《まど》い、 わななき|恐《おそ》れること、はなはだしく、 わたしのあこがれたたそがれは |変《かわ》っておののきとなった。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|食卓《しょくたく》を|設《もう》け、 じゅうたんを|敷《し》いて|食《く》い|飲《の》みする。 もろもろの|君《きみ》よ、|立《た》って、|盾《たて》に|油《あぶら》をぬれ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしにこう|言《い》われた、 「|行《い》って、|見張《みはり》びとをおき、 その|見《み》るところを|告《つ》げさせよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|馬《うま》に|乗《の》って二|列《れつ》に|並《なら》んだ|者《もの》と、ろばに|乗《の》った|者《もの》と、 らくだに|乗《の》った|者《もの》とを|彼《かれ》が|見《み》るならば、 |耳《みみ》を|傾《かたむ》けてつまびらかに|聞《き》かせよ」。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|見張《みはり》びとは|呼《よ》ばわって|言《い》った、 「|主《しゅ》よ、わたしがひねもすやぐらに|立《た》ち、 |夜《よ》もすがらわが|見張《みはり》|所《じょ》に|立《た》っていると、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|馬《うま》に|乗《の》って二|列《れつ》に|並《なら》んだ|者《もの》がここに|来《き》ます」。 |彼《かれ》は|答《こた》えて|言《い》った、 「|倒《たお》れた、バビロンは|倒《たお》れた、 その|神々《かみがみ》の|像《ぞう》はことごとく|打《う》ち|砕《くだ》かれて |地《ち》に|伏《ふ》した」。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|踏《ふ》みにじられたわが|民《たみ》、わが|打《う》ち|場《ば》の|子《こ》よ、 イスラエルの|神《かみ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》から わたしが|聞《き》いたところのものを あなたがたに|告《つ》げる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ドマについての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] セイルからわたしに|呼《よ》ばわる|者《もの》がある、 「|夜回《よまわ》りよ、|今《いま》は|夜《よる》のなんどきですか、 |夜回《よまわ》りよ、|今《いま》は|夜《よる》のなんどきですか」。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|夜回《よまわ》りは|言《い》う、 「|朝《あさ》がきます、|夜《よる》もまたきます。 もしあなたがたが|聞《き》こうと|思《おも》うならば|聞《き》きなさい、 また|来《き》なさい」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]アラビヤについての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] デダンびとの|隊商《たいしょう》よ、 あなたがたはアラビヤの|林《はやし》にやどる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]テマの|地《ち》に|住《す》む|民《たみ》よ、 |水《みず》を|携《たずさ》えて、かわいた|者《もの》を|迎《むか》え、 パンをもって、|逃《に》げのがれた|者《もの》を|迎《むか》えよ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはつるぎを|避《さ》け、|抜《ぬ》いたつるぎを|避《さ》け、 |張《は》った|弓《ゆみ》を|避《さ》け、また|激《はげ》しい|戦《たたか》いを|避《さ》けて、 |逃《に》げてきたからである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしにこう|言《い》われた、「|雇人《やといにん》の|年期《ねんき》のように一|年《ねん》|以内《いない》にケダルのすべての|栄華《えいが》はつきはてる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ケダルの|子《こ》らの|勇士《ゆうし》で、|射手《しゃしゅ》の|残《のこ》る|者《もの》は|少《すく》ない」。これはイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》が|語《かた》られたのである。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|幻《まぼろし》の|谷《たに》についての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] あなたがたはなぜ、みな|屋根《やね》にのぼったのか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|叫《さけ》び|声《ごえ》で|満《み》ちている|者《もの》、 |騒《さわ》がしい|都《みやこ》、|喜《よろこ》びに|酔《よ》っている|町《まち》よ。 あなたのうちの|殺《ころ》された|者《もの》は つるぎで|殺《ころ》されたのではなく、 また|戦《たたか》いに|倒《たお》れたのでもない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたのつかさたちは|皆《みな》|共《とも》にのがれて|行《い》ったが、 |弓《ゆみ》を|捨《す》てて|捕《とら》えられた。 |彼《かれ》らは|遠《とお》く|逃《に》げて|行《い》ったが、 あなたのうちの|見《み》つかった|者《もの》はみな|捕《とら》えられた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|言《い》った、 「わたしを|顧《かえり》みてくれるな、 わたしはいたく|泣《な》き|悲《かな》しむ。 わが|民《たみ》の|娘《むすめ》の|滅《ほろ》びのために、 わたしを|慰《なぐさ》めようと|努《つと》めてはならない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|幻《まぼろし》の|谷《たに》に |騒《さわ》ぎと、|踏《ふ》みにじりと、|混乱《こんらん》の|日《ひ》をこさせられる。 |城壁《じょうへき》はくずれ|落《お》ち、|叫《さけ》び|声《ごえ》は|山《やま》に|聞《きこ》える。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エラムは|箙《えびら》を|負《お》い、 |戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》とをもってきたり、 キルは|盾《たて》をあらわした。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|最《もっと》も|美《うつく》しい|谷《たに》は|戦車《せんしゃ》で|満《み》ち、 |騎兵《きへい》はもろもろの|門《もん》にむかって|立《た》った。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダを|守《まも》るおおいは|取《と》り|除《のぞ》かれた。 [#ここで字下げ終わり]  その|日《ひ》あなたは|林《はやし》の|家《いえ》の|武具《ぶぐ》を|仰《あお》ぎ|望《のぞ》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またあなたがたはダビデの|町《まち》の|破《やぶ》れの|多《おお》いのを|見《み》、|下《した》の|池《いけ》の|水《みず》を|集《あつ》め、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|家《いえ》を|数《かぞ》え、またその|家《いえ》をこわして|城壁《じょうへき》を|築《きず》き、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]一つの|貯水池《ちょすいち》を二つの|城壁《じょうへき》の|間《あいだ》に|造《つく》って|古池《ふるいけ》の|水《みず》をひいた。しかしあなたがたはこの|事《こと》をなされた|者《もの》を|仰《あお》ぎ|望《のぞ》まず、この|事《こと》を|昔《むかし》から|計画《けいかく》された|者《もの》を|顧《かえり》みなかった。 [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は |泣《な》き|悲《かな》しみ、|頭《あたま》をかぶろにし、 |荒布《あらぬの》をまとうことを|命《めい》じられたが、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたがたは|喜《よろこ》び|楽《たの》しみ、 |牛《うし》をほふり、|羊《ひつじ》を|殺《ころ》し、 |肉《にく》を|食《く》い、|酒《さけ》を|飲《の》んで|言《い》う、 「われわれは|食《く》い、かつ|飲《の》もう、 |明日《みょうにち》は|死《し》ぬのだから」。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はみずからわたしの|耳《みみ》に|示《しめ》された、 「まことに、この|不義《ふぎ》はあなたがたが|死《し》ぬまで、 ゆるされることはない」と |万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「さあ、|王《おう》の|家《いえ》をつかさどるこの|執事《しつじ》セブナに|行《い》って|言《い》いなさい、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]『あなたはここになんの|係《かか》わりがありますか。あなたはだれの|縁故《えんこ》でここに|自分《じぶん》のために|墓《はか》を|掘《ほ》ったのですか。あなたは|高《たか》い|所《ところ》に|墓《はか》を|掘《ほ》り、|岩《いわ》をうがって|自分《じぶん》のためにすみかを|造《つく》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|強《つよ》い|人《ひと》よ、|見《み》よ、|主《しゅ》はあなたを|激《はげ》しくなげ|倒《たお》される。|主《しゅ》はあなたを|堅《かた》くつかまえ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ぐるぐるまわして、まりのように|広々《ひろびろ》した|地《ち》に|投《な》げられる。|主人《しゅじん》の|家《いえ》の|恥《はじ》となる|者《もの》よ、あなたはそこで|死《し》に、あなたの|華麗《かれい》な|車《くるま》はそこに|残《のこ》る。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたをその|職《しょく》から|追《お》い、その|地位《ちい》から|引《ひ》きおろす。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、わたしは、わがしもべヒルキヤの|子《こ》エリアキムを|呼《よ》んで、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|衣《ころも》を|着《き》せ、あなたの|帯《おび》をしめさせ、あなたの|権力《けんりょく》を|彼《かれ》の|手《て》にゆだねる。|彼《かれ》はエルサレムの|民《たみ》とユダの|家《いえ》との|父《ちち》となる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたダビデの|家《いえ》のかぎを|彼《かれ》の|肩《かた》に|置《お》く。|彼《かれ》が|開《ひら》けば|閉《と》じる|者《もの》なく、|彼《かれ》が|閉《と》じれば|開《ひら》く|者《もの》はない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》を|堅《かた》い|所《ところ》に|打《う》ったくぎのようにする。そして|彼《かれ》はその|父《ちち》の|家《いえ》の|誉《ほまれ》の|座《ざ》となり、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|父《ちち》の|家《いえ》のすべての|重《おも》さは|彼《かれ》の|上《うえ》にかかる。すなわちその|子《こ》、その|孫《まご》およびすべての|小《ちい》さい|器《うつわ》、|鉢《はち》からすべてのびんにいたるまでみな、|彼《かれ》の|上《うえ》にかかる』」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、「その|日《ひ》、|堅《かた》い|所《ところ》に|打《う》ったくぎは|抜《ぬ》け、|切《き》られて|落《お》ちる。その|上《うえ》にかかっている|荷《に》もまた|取《と》り|去《さ》られる」と|主《しゅ》は|語《かた》られた。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ツロについての|託宣《たくせん》。 [#ここから2字下げ] タルシシのもろもろの|船《ふね》よ、|泣《な》き|叫《さけ》べ、 ツロは|荒《あ》れすたれて、|家《いえ》なく、 |船《ふね》|泊《と》まりする|港《みなと》もないからだ。 この|事《こと》はクプロの|地《ち》から|彼《かれ》らに|告《つ》げ|知《し》らせられる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》べに|住《す》む|民《たみ》よ、 シドンの|商人《しょうにん》よ、もだせ、 あなたがたの|使者《ししゃ》は|海《うみ》を|渡《わた》り、 |大《おお》いなる|水《みず》の|上《うえ》にあった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ツロの|収入《しゅうにゅう》はシホルの|穀物《こくもつ》、 ナイル|川《かわ》の|収穫《しゅうかく》であった。 ツロはもろもろの|国《くに》びとの|商人《しょうにん》であった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]シドンよ、|恥《は》じよ、 |海《うみ》は|言《い》った、|海《うみ》の|城《しろ》は|言《い》う、 「わたしは|苦《くる》しまず、また|産《う》まなかった。 わたしは|若《わか》い|男子《だんし》を|養《やしな》わず、 また|処女《しょじょ》を|育《そだ》てなかった」。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]この|報道《ほうどう》がエジプトに|達《たっ》するとき、 |彼《かれ》らはツロについての|報道《ほうどう》によって、いたく|苦《くる》しむ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]タルシシに|渡《わた》れ、 |海《うみ》べに|住《す》む|民《たみ》よ、|泣《な》き|叫《さけ》べ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これがその|起源《きげん》も|古《ふる》い|町《まち》、 |自分《じぶん》の|足《あし》で|移《うつ》り、|遠《とお》くにまで|移住《いじゅう》した|町《まち》、 あなたがたの|喜《よろこ》び|誇《ほこ》る|町《まち》なのか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ツロにむかってこれを|定《さだ》めたのはだれか。 ツロは|冠《かんむり》を|授《さづ》けた|町《まち》、 その|商人《しょうにん》は|君《きみ》たち、 その|貿易《ぼうえき》|業者《ぎょうしゃ》は|地《ち》の|尊《たっと》い|人々《ひとびと》であった。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はすべての|栄光《えいこう》の|誇《ほこり》を|汚《けが》し、 |地《ち》のすべての|尊《たっと》い|者《もの》をはずかしめるために これを|定《さだ》められたのだ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]タルシシの|娘《むすめ》よ、 ナイル|川《かわ》のようにおのが|地《ち》にあふれよ。 もはや|束縛《そくばく》するものはない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|手《て》を|海《うみ》の|上《うえ》に|伸《の》べて |国々《くにぐに》を|震《ふる》い|動《うご》かされた。 |主《しゅ》はカナンについて|詔《みことのり》を|出《だ》し、 そのとりでをこわされた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、 「しえたげられた|処女《しょじょ》シドンの|娘《むすめ》よ、 あなたはもはや|喜《よろこ》ぶことはない。 |立《た》って、クプロに|渡《わた》れ、 そこでもあなたは|安息《あんそく》を|得《え》ることはない」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとの|国《くに》を|見《み》よ、アッスリヤではなく、この|民《たみ》がツロを|野《の》の|獣《けもの》のすみかに|定《さだ》めた。|彼《かれ》らはやぐらを|建《た》て、もろもろの|宮殿《きゅうでん》をこわして|荒塚《あらつか》とした。 [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]タルシシのもろもろの|船《ふね》よ、|泣《な》き|叫《さけ》べ、 あなたがたのとりでは|荒《あ》れすたれたから。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、ツロはひとりの|王《おう》のながらえる|日《ひ》と|同《おな》じく七十|年《ねん》の|間《あいだ》|忘《わす》れられ、七十|年《ねん》|終《おわ》って|後《のち》、ツロは|遊女《ゆうじょ》の|歌《うた》のようになる、 [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「|忘《わす》れられた|遊女《ゆうじょ》よ、 |琴《こと》を|執《と》って|町《まち》を|経《へ》めぐり、 |巧《たく》みに|弾《だん》じ、|多《おお》くの|歌《うた》をうたって、 |人《ひと》に|思《おも》い|出《だ》されよ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]七十|年《ねん》|終《おわ》って|後《のち》、|主《しゅ》はツロを|顧《かえり》みられる。ツロは|再《ふたた》び|淫行《いんこう》の|価《あたい》を|得《え》て、|地《ち》のおもてにある|世《よ》のすべての|国々《くにぐに》と|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|商品《しょうひん》とその|価《あたい》とは|主《しゅ》にささげられる。これはたくわえられることなく、|積《つ》まれることなく、その|商品《しょうひん》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|住《す》む|者《もの》のために|豊《ゆた》かな|食物《しょくもつ》となり、みごとな|衣服《いふく》となる。 第二四章[#「第二四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》はこの|地《ち》をむなしくし、 これを|荒《あ》れすたれさせ、これをくつがえして、 その|民《たみ》を|散《ち》らされる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そして、その|民《たみ》も|祭司《さいし》もひとしく、 しもべも|主人《しゅじん》もひとしく、 はしためも|主婦《しゅふ》もひとしく、 |買《か》う|者《もの》も|売《う》る|者《もの》もひとしく、 |貸《か》す|者《もの》も|借《か》りる|者《もの》もひとしく、 |債権者《さいけんしゃ》も|債務者《さいむしゃ》もひとしく、 この|事《こと》にあう。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|全《まった》くむなしくされ、|全《まった》くかすめられる。 |主《しゅ》がこの|言葉《ことば》を|告《つ》げられたからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|悲《かな》しみ、|衰《おとろ》え、 |世《よ》はしおれ、|衰《おとろ》え、 |天《てん》も|地《ち》と|共《とも》にしおれはてる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》はその|住《す》む|民《たみ》の|下《した》に|汚《けが》された。 これは|彼《かれ》らが|律法《りっぽう》にそむき、|定《さだ》めを|犯《おか》し、 とこしえの|契約《けいやく》を|破《やぶ》ったからだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、のろいは|地《ち》をのみつくし、 そこに|住《す》む|者《もの》はその|罪《つみ》に|苦《くる》しみ、 また|地《ち》の|民《たみ》は|焼《や》かれて、わずかの|者《もの》が|残《のこ》される。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|新《あたら》しいぶどう|酒《しゅ》は|悲《かな》しみ、ぶどうはしおれ、 |心《こころ》の|楽《たの》しい|者《もの》もみな|嘆《なげ》く。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|鼓《つづみ》の|音《おと》は|静《しず》まり、 |喜《よろこ》ぶ|者《もの》の|騒《さわ》ぎはやみ、 |琴《こと》の|音《ね》もまた|静《しず》まった。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはもはや|歌《うた》をうたって|酒《さけ》を|飲《の》まず、 |濃《こ》き|酒《さけ》はこれを|飲《の》む|者《もの》に|苦《にが》くなる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|混乱《こんらん》せる|町《まち》は|破《やぶ》られ、 すべての|家《いえ》は|閉《と》ざされて、はいることができない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ちまたには|酒《さけ》の|不足《ふそく》のために|叫《さけ》ぶ|声《こえ》があり、 すべての|喜《よろこ》びは|暗《くら》くなり、 |地《ち》の|楽《たの》しみは|追《お》いやられた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》には|荒《あ》れすたれた|所《ところ》のみ|残《のこ》り、 その|門《もん》もこわされて|破《やぶ》れた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のうちで、もろもろの|民《たみ》のなかで|残《のこ》るものは、 オリブの|木《き》の|打《う》たれた|後《のち》の|実《み》のように、 ぶどうの|収穫《しゅうかく》の|終《おわ》った|後《のち》にその|採《と》り|残《のこ》りを |集《あつ》めるときのようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|声《こえ》をあげて|喜《よろこ》び|歌《うた》う。 |主《しゅ》の|威光《いこう》のゆえに、|西《にし》から|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|東《ひがし》で|主《しゅ》をあがめ、 |海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》でイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》をあがめよ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|地《ち》の|果《はて》から、さんびの|歌《うた》を|聞《き》いた、 「|栄光《えいこう》は|正《ただ》しい|者《もの》にある」と。 しかし、わたしは|言《い》う、「わたしはやせ|衰《おとろ》える、 わたしはやせ|衰《おとろ》える、わたしはわざわいだ。 |欺《あざむ》く|者《もの》はあざむき、 |欺《あざむ》く|者《もの》は、はなはだしくあざむく」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》に|住《す》む|者《もの》よ、 |恐《おそ》れと、|落《おと》し|穴《あな》と、わなとはあなたの|上《うえ》にある。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れの|声《こえ》をのがれる|者《もの》は|落《おと》し|穴《あな》に|陥《おちい》り、 |落《おと》し|穴《あな》から|出《で》る|者《もの》はわなに|捕《とら》えられる。 |天《てん》の|窓《まど》は|開《ひら》け、|地《ち》の|基《もとい》が|震《ふる》い|動《うご》くからである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|全《まった》く|砕《くだ》け、 |地《ち》は|裂《さ》け、 |地《ち》は|激《はげ》しく|震《ふる》い、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|酔《よ》いどれのようによろめき、 |仮《かり》|小屋《こや》のようにゆり|動《うご》く。 そのとがはその|上《うえ》に|重《おも》く、 ついに|倒《たお》れて|再《ふたた》び|起《お》きあがることはない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》は|天《てん》において、|天《てん》の|軍勢《ぐんぜい》を|罰《ばっ》し、 |地《ち》の|上《うえ》で、|地《ち》のもろもろの|王《おう》を|罰《ばっ》せられる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|囚人《しゅうじん》が|土《つち》ろうの|中《なか》に |集《あつ》められるように|集《あつ》められて、 |獄屋《ごくや》の|中《なか》に|閉《と》ざされ、 |多《おお》くの|日《ひ》を|経《へ》て|後《のち》、|罰《ばっ》せられる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》がシオンの|山《やま》 およびエルサレムで|統《す》べ|治《おさ》め、 かつその|長老《ちょうろう》たちの|前《まえ》に その|栄光《えいこう》をあらわされるので、 |月《つき》はあわて、|日《ひ》は|恥《は》じる。 [#ここで字下げ終わり] 第二五章[#「第二五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわが|神《かみ》、 わたしはあなたをあがめ、み|名《な》をほめたたえる。 あなたはさきに|驚《おどろ》くべきみわざを|行《おこな》い、 いにしえから|定《さだ》めた|計画《けいかく》を |真実《しんじつ》をもって|行《おこな》われたから。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|町《まち》を|石塚《いしづか》とし、|堅固《けんご》な|町《まち》を|荒塚《あらつか》とされた。 |外国《がいこく》|人《じん》のやかたは、もはや|町《まち》ではなく、 とこしえに|建《た》てられることはない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|強《つよ》い|民《たみ》はあなたを|尊《たっと》び、 あらぶる|国々《くにぐに》の|町《まち》はあなたを|恐《おそ》れる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|貧《まず》しい|者《もの》のとりでとなり、 |乏《とぼ》しい|者《もの》の|悩《なや》みのときのとりでとなり、 あらしをさける|避《さ》け|所《どころ》となり、 |熱《あつ》さをさける|陰《かげ》となられた。 あらぶる|者《もの》の|及《およ》ぼす|害《がい》は、 |石《いし》がきを|打《う》つあらしのごとく、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]かわいた|地《ち》の|熱《あつ》さのようだからである。 あなたは|外国《がいこく》|人《じん》の|騒《さわ》ぎをおさえ、 |雲《くも》が|陰《かげ》をもって|熱《ねつ》をとどめるように あらぶる|者《もの》の|歌《うた》をとどめられる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこの|山《やま》で、すべての|民《たみ》のために|肥《こ》えたものをもって|祝宴《しゅくえん》を|設《もう》け、|久《ひさ》しくたくわえたぶどう|酒《しゅ》をもって|祝宴《しゅくえん》を|設《もう》けられる。すなわち|髄《ずい》の|多《おお》い|肥《こ》えたものと、よく|澄《す》んだ|長《なが》くたくわえたぶどう|酒《しゅ》をもって|祝宴《しゅくえん》を|設《もう》けられる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》はこの|山《やま》で、すべての|民《たみ》のかぶっている|顔《かお》おおいと、すべての|国《くに》のおおっているおおい|物《もの》とを|破《やぶ》られる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はとこしえに|死《し》を|滅《ほろ》ぼし、|主《しゅ》なる|神《かみ》はすべての|顔《かお》から|涙《なみだ》をぬぐい、その|民《たみ》のはずかしめを|全《ぜん》|地《ち》の|上《うえ》から|除《のぞ》かれる。これは|主《しゅ》の|語《かた》られたことである。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|人《ひと》は|言《い》う、「|見《み》よ、これはわれわれの|神《かみ》である。わたしたちは|彼《かれ》を|待《ま》ち|望《のぞ》んだ。|彼《かれ》はわたしたちを|救《すく》われる。これは|主《しゅ》である。わたしたちは|彼《かれ》を|待《ま》ち|望《のぞ》んだ。わたしたちはその|救《すくい》を|喜《よろこ》び|楽《たの》しもう」と。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|手《て》はこの|山《やま》にとどまり、モアブは|肥《こえ》だめの|中《なか》に|踏《ふ》まれるわらのように、おのれの|所《ところ》で|踏《ふ》みにじられる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|中《なか》で|泳《およ》ぐ|物《もの》が|泳《およ》ごうとして|手《て》を|伸《の》ばすように、その|手《て》を|伸《の》ばす。しかし|主《しゅ》はその|高《たか》ぶりを、その|手《て》の|巧《たく》みなわざと|共《とも》に|低《ひく》くされる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|石《いし》がきの|高《たか》い|城郭《じょうかく》を|主《しゅ》は|傾《かたむ》け|倒《たお》し、|地《ち》に|投《な》げうって、ちりにかえされる。 第二六章[#「第二六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ユダの|国《くに》で、この|歌《うた》をうたう、 「われわれは|堅固《けんご》な|町《まち》をもつ。 |主《しゅ》は|救《すくい》をその|石《いし》がきとし、 またとりでとされる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》を|開《ひら》いて、|信仰《しんこう》を|守《まも》る|正《ただ》しい|国民《こくみん》を|入《い》れよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|全《まった》き|平安《へいあん》をもって こころざしの|堅固《けんご》なものを|守《まも》られる。 |彼《かれ》はあなたに|信頼《しんらい》しているからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]とこしえに|主《しゅ》に|信頼《しんらい》せよ、 |主《しゅ》なる|神《かみ》はとこしえの|岩《いわ》だからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|高《たか》き|所《ところ》、そびえたつ|町《まち》に|住《す》む|者《もの》をひきおろし、 これを|伏《ふ》させ、これを|地《ち》に|伏《ふ》させて、 ちりにかえされる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうして|足《あし》で|踏《ふ》まれ、 |貧《まず》しい|者《もの》の|足《あし》で|踏《ふ》まれ、 |乏《とぼ》しい|者《もの》はその|上《うえ》を|歩《あゆ》む」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》の|道《みち》は|平《たい》らである。 あなたは|正《ただ》しい|者《もの》の|道《みち》をなめらかにされる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたがさばきをなさる|道《みち》で、 われわれはあなたを|待《ま》ち|望《のぞ》む。 われわれの|魂《たましい》の|慕《した》うものは、 あなたの|記念《きねん》の|名《な》である。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|夜《よる》あなたを|慕《した》い、 わがうちなる|霊《れい》は、せつにあなたを|求《もと》める。 あなたのさばきが|地《ち》に|行《おこな》われるとき、 |世《よ》に|住《す》む|者《もの》は|正義《せいぎ》を|学《まな》ぶからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》は|恵《めぐ》まれても、なお|正義《せいぎ》を|学《まな》ばず、 |正《ただ》しい|地《ち》にあっても|不義《ふぎ》を|行《おこな》い、 |主《しゅ》の|威光《いこう》を|仰《あお》ぐことをしない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたのみ|手《て》が|高《たか》くあがるけれども、 |彼《かれ》らはそれを|顧《かえり》みない。 どうか、あなたの、おのが|民《たみ》を|救《すく》われる|熱心《ねっしん》を |彼《かれ》らに|見《み》させて、|大《おお》いに|恥《は》じさせ、 |火《ひ》をもってあなたの|敵《てき》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼしてください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわれわれのために |平和《へいわ》を|設《もう》けられる。 あなたはわれわれのために われわれのすべてのわざをなし|遂《と》げられた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 あなた|以外《いがい》のもろもろの|主《しゅ》がわれわれを|治《おさ》めた。 しかし、われわれはただ、 あなたの|名《な》のみをあがめる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》んだ|者《もの》はまた|生《い》きない。 |亡霊《ぼうれい》は|生《い》き|返《かえ》らない。 それで、あなたは|彼《かれ》らを|罰《ばっ》して|滅《ほろ》ぼし、 |彼《かれ》らの|思《おも》い|出《で》をことごとく|消《け》し|去《さ》られた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはこの|国民《こくみん》を|増《ま》し|加《くわ》えられた。 あなたはこの|国民《こくみん》を|増《ま》し|加《くわ》えられた。 あなたは|栄光《えいこう》をあらわされた。 あなたは|地《ち》の|境《さかい》を|四方《しほう》に|広《ひろ》げられた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らは|悩《なや》みのとき、あなたに|求《もと》めた。 |彼《かれ》らがあなたの|懲《こら》しめにあったとき、 |祈《いのり》をささげた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、はらめる|女《おんな》の|産《う》むときが|近《ちか》づいて|苦《くる》しみ、 その|痛《いた》みによって|叫《さけ》ぶように、 われわれはあなたのゆえに、そのようであった。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われわれは、はらみ、|苦《くる》しんだ。 しかしわれわれの|産《う》んだものは|風《かぜ》にすぎなかった。 われわれは|救《すくい》を|地《ち》に|施《ほどこ》すこともせず、 また|世《よ》に|住《す》む|者《もの》を|滅《ほろ》ぼすこともしなかった。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|死者《ししゃ》は|生《い》き、|彼《かれ》らのなきがらは|起《お》きる。 ちりに|伏《ふ》す|者《もの》よ、さめて|喜《よろこ》びうたえ。 あなたの|露《つゆ》は|光《ひかり》の|露《つゆ》であって、 それを|亡霊《ぼうれい》の|国《くに》の|上《うえ》に|降《ふ》らされるからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]さあ、わが|民《たみ》よ、あなたのへやにはいり、 あなたのうしろの|戸《と》を|閉《と》じて、 |憤《いきどお》りの|過《す》ぎ|去《さ》るまで、しばらく|隠《かく》れよ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》はそのおられる|所《ところ》を|出《で》て、 |地《ち》に|住《す》む|者《もの》の|不義《ふぎ》を|罰《ばっ》せられる。 |地《ち》はその|上《うえ》に|流《なが》された|血《ち》をあらわして、 |殺《ころ》された|者《もの》を、もはやおおうことがない。 [#ここで字下げ終わり] 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》は|堅《かた》く|大《おお》いなる|強《つよ》いつるぎで|逃《に》げるへびレビヤタン、|曲《まが》りくねるへびレビヤタンを|罰《ばっ》し、また|海《うみ》におる|龍《りゅう》を|殺《ころ》される。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》 「|麗《うるわ》しきぶどう|畑《はたけ》よ、このことを|歌《うた》え。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なるわたしはこれを|守《まも》り、 |常《つね》に|水《みず》をそそぎ、 |夜《よる》も|昼《ひる》も|守《まも》って、そこなう|者《もの》のないようにする。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|憤《いきどお》らない。 いばら、おどろがわたしと|戦《たたか》うなら、 わたしは|進《すす》んでこれを|攻《せ》め、 |皆《みな》もろともに|焼《や》きつくす。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それを|望《のぞ》まないなら、わたしの|保護《ほご》にたよって、 わたしと|和《やわ》らぎをなせ、 わたしと|和《やわ》らぎをなせ」。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》になれば、ヤコブは|根《ね》をはり、 イスラエルは|芽《め》を|出《だ》して|花《はな》|咲《さ》き、 その|実《み》を|全《ぜん》|世界《せかい》に|満《み》たす。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|撃《う》った|者《もの》を|撃《う》たれたように |彼《かれ》らを|撃《う》たれたか。 あるいは|彼《かれ》らを|殺《ころ》した|者《もの》が|殺《ころ》されたように |彼《かれ》らは|殺《ころ》されたか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らと|争《あらそ》って、|彼《かれ》らを|追放《ついほう》された。 |主《しゅ》は|東風《ひがしかぜ》の|日《ひ》に、その|激《はげ》しい|風《かぜ》をもって |彼《かれ》らを|移《うつ》しやられた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、ヤコブの|不義《ふぎ》は これによって、あがなわれる。 これによって|結《むす》ぶ|実《み》は|彼《かれ》の|罪《つみ》を|除《のぞ》く。 すなわち|彼《かれ》が|祭壇《さいだん》のすべての|石《いし》を |砕《くだ》けた|白堊《はくあ》のようにし、 アシラ|像《ぞう》と|香《こう》の|祭壇《さいだん》とを|再《ふたた》び|建《た》てないことである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|堅固《けんご》な|町《まち》は|荒《あ》れてさびしく、 |捨《す》て|去《さ》られたすまいは|荒野《あらの》のようだ。 |子《こ》|牛《うし》はそこに|草《くさ》を|食《く》い、 そこに|伏《ふ》して、その|木《き》の|枝《えだ》を|裸《はだか》にする。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|枝《えだ》が|枯《か》れると、|折《お》り|取《と》られ、 |女《おんな》が|来《き》てそれを|燃《も》やす。 これは|無知《むち》の|民《たみ》だからである。 それゆえ、|彼《かれ》らを|造《つく》られた|主《しゅ》は |彼《かれ》らをあわれまれない。 |彼《かれ》らを|形《かたち》|造《つく》られた|主《しゅ》は、|彼《かれ》らを|恵《めぐ》まれない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》よ、その|日《ひ》、|主《しゅ》はユフラテ|川《かわ》からエジプトの|川《かわ》にいたるまで|穀物《こくもつ》の|穂《ほ》を|打《う》ち|落《おと》される。そしてあなたがたは、ひとりびとり|集《あつ》められる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》|大《おお》いなるラッパが|鳴《な》りひびき、アッスリヤの|地《ち》にある|失《うしな》われた|者《もの》と、エジプトの|地《ち》に|追《お》いやられた|者《もの》とがきて、エルサレムの|聖山《せいざん》で|主《しゅ》を|拝《おが》む。 第二八章[#「第二八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|酔《よ》いどれの|誇《ほこ》る|冠《かんむり》と、 |酒《さけ》におぼれた|者《もの》の|肥《こ》えた|谷《たに》のかしらにある しぼみゆく|花《はな》の|美《うつく》しい|飾《かざ》りは、わざわいだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》はひとりの|力《ちから》ある|強《つよ》い|者《もの》を|持《も》っておられる。 これはひょうをまじえた|暴風《ぼうふう》のように、 |破《やぶ》り、そこなう|暴風雨《ぼうふうう》のように、 |大水《おおみず》のあふれみなぎる|暴風《ぼうふう》のように、 それを|激《はげ》しく|地《ち》に|投《な》げうつ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|酔《よ》いどれの|誇《ほこ》る|冠《かんむり》は |足《あし》で|踏《ふ》みにじられる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|肥《こ》えた|谷《たに》のかしらにある しぼみゆく|花《はな》の|美《うつく》しい|飾《かざ》りは、 |夏《なつ》|前《まえ》に|熟《じゅく》した|初《はつ》なりのいちじくのようだ。 |人《ひと》がこれを|見《み》ると、|取《と》るやいなや、|食《た》べてしまう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はその|民《たみ》の|残《のこ》った|者《もの》のために、 |栄《さか》えの|冠《かんむり》となり、|麗《うるわ》しい|冠《かんむり》となられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また、さばきの|席《せき》に|座《ざ》する|者《もの》にはさばきの|霊《れい》となり、 |戦《たたか》いを|門《もん》まで|追《お》い|返《かえ》す|者《もの》には|力《ちから》となられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、これらもまた|酒《さけ》のゆえによろめき、 |濃《こ》き|酒《さけ》のゆえによろける。 |祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》とは|濃《こ》き|酒《さけ》のゆえによろめき、 |酒《さけ》のゆえに|心《こころ》みだれ、 |濃《こ》き|酒《さけ》のゆえによろける。 |彼《かれ》らは|幻《まぼろし》を|見《み》るときに|誤《あやま》り、 さばきを|行《おこな》うときにつまづく。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すべての|食卓《しょくたく》は|吐《は》いた|物《もの》で|満《み》ち、|清《きよ》い|所《ところ》はない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》はだれに|知識《ちしき》を|教《おし》えようとするのか。 だれにおとずれを|説《と》きあかそうとするのか。 |乳《ちち》をやめ、|乳《ち》ぶさを|離《はな》れた|者《もの》にするのだろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それは|教訓《きょうくん》に|教訓《きょうくん》、|教訓《きょうくん》に|教訓《きょうくん》、 |規則《きそく》に|規則《きそく》、|規則《きそく》に|規則《きそく》。 ここにも|少《すこ》し、そこにも|少《すこ》し|教《おし》えるのだ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|否《いな》、むしろ|主《しゅ》は|異国《いこく》のくちびると、 |異国《いこく》の|舌《した》とをもってこの|民《たみ》に|語《かた》られる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はさきに|彼《かれ》らに|言《い》われた、 「これが|安息《あんそく》だ、 |疲《つか》れた|者《もの》に|安息《あんそく》を|与《あた》えよ。 これが|休息《きゅうそく》だ」と。 しかし|彼《かれ》らは|聞《き》こうとはしなかった。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》は|彼《かれ》らに、 |教訓《きょうくん》に|教訓《きょうくん》、|教訓《きょうくん》に|教訓《きょうくん》、 |規則《きそく》に|規則《きそく》、|規則《きそく》に|規則《きそく》、 ここにも|少《すこ》し、そこにも|少《すこ》しとなる。 これは|彼《かれ》らが|行《い》って、うしろに|倒《たお》れ、 |破《やぶ》られ、わなにかけられ、|捕《とら》えられるためである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、エルサレムにあるこの|民《たみ》を|治《おさ》める あざける|人々《ひとびと》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言《い》った、 「われわれは|死《し》と|契約《けいやく》をなし、 |陰府《よみ》と|協定《きょうてい》を|結《むす》んだ。 みなぎりあふれる|災《わざわい》の|過《す》ぎる|時《とき》にも、 それはわれわれに|来《こ》ない。 われわれはうそを|避《さ》け|所《どころ》となし、 |偽《いつわ》りをもって|身《み》をかくしたからである」。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしはシオンに 一つの|石《いし》をすえて|基《もとい》とした。 これは|試《こころ》みを|経《へ》た|石《いし》、 |堅《かた》くすえた|尊《たっと》い|隅《すみ》の|石《いし》である。 『|信《しん》ずる|者《もの》はあわてることはない』。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|公平《こうへい》を、|測《はか》りなわとし、 |正義《せいぎ》を、|下《さ》げ|振《ふ》りとする。 ひょうは|偽《いつわ》りの|避《さ》け|所《どころ》を|滅《ほろ》ぼし、 |水《みず》は|隠《かく》れ|場《ば》を|押《お》し|倒《たお》す」。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたがたが|死《し》とたてた|契約《けいやく》は|取《と》り|消《け》され、 |陰府《よみ》と|結《むす》んだ|協定《きょうてい》は|行《おこな》われない。 みなぎりあふれる|災《わざわい》の|過《す》ぎるとき、 あなたがたはこれによって|打《う》ち|倒《たお》される。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それが|過《す》ぎるごとに、あなたがたを|捕《とら》える。 それは|朝《あさ》な|朝《あさ》な|過《す》ぎ、 |昼《ひる》も|夜《よる》も|過《す》ぎるからだ。 このおとずれを|聞《き》きわきまえることは、 |全《まった》くの|恐《おそ》れである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|床《とこ》が|短《みじか》くて|身《み》を|伸《の》べることができず、 かける|夜具《やぐ》が|狭《せま》くて |身《み》をおおうことができないからだ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はペラジム|山《やま》で|立《た》たれたように|立《た》ちあがり、 ギベオンの|谷《たに》で|憤《いきどお》られたように|憤《いきどお》られて、 その|行《おこな》いをなされる。 その|行《おこな》いは|類《るい》のないものである。 またそのわざをなされる。 そのわざは|異《こと》なったものである。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたはあざけってはならない。 さもないと、あなたがたのなわめは、きびしくなる。 わたしは|主《しゅ》なる|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》から |全《ぜん》|地《ち》の|上《うえ》に|臨《のぞ》む|滅《ほろ》びの|宣言《せんげん》を|聞《き》いたからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて、わが|声《こえ》を|聞《き》くがよい。 |心《こころ》してわが|言葉《ことば》を|聞《き》くがよい。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》をまくために|耕《たがや》す|者《もの》は|絶《た》えず|耕《たがや》すだろうか。 |彼《かれ》は|絶《た》えずその|地《ち》をひらき、 まぐわをもって|土《つち》をならすだろうか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のおもてを|平《たい》らにしたならば、 いのんどをまき、クミンをまき、 |小麦《こむぎ》をうねに|植《う》え、|大麦《おおむぎ》を|定《さだ》めた|所《ところ》に|植《う》え、 スペルト|麦《むぎ》をその|境《さかい》に|植《う》えないだろうか。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》の|神《かみ》が|正《ただ》しく、 |彼《かれ》を|導《みちび》き|教《おし》えられるからである。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]いのんどは|麦《むぎ》こき|板《いた》でこかない、 クミンはその|上《うえ》に|車輪《しゃりん》をころがさない。 いのんどを|打《う》つには|棒《ぼう》を|用《もち》い、 クミンを|打《う》つにはさおを|用《もち》いる。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はパン|用《よう》の|麦《むぎ》を|打《う》つとき|砕《くだ》くだろうか、 |否《いな》、それが|砕《くだ》けるまでいつまでも|打《う》つことをしない。 |馬《うま》をもってその|上《うえ》に|車輪《しゃりん》を|引《ひ》かせるとき、 それを|砕《くだ》くことをしない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これもまた|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》から|出《で》ることである。 その|計《はか》りごとは|驚《おどろ》くべく、 その|知恵《ちえ》はすぐれている。 [#ここで字下げ終わり] 第二九章[#「第二九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ああ、アリエルよ、アリエルよ、 ダビデが|営《えい》をかまえた|町《まち》よ、 |年《とし》に|年《とし》を|加《くわ》え、|祭《まつり》をめぐりこさせよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしはアリエルを|悩《なや》ます。 そこには|悲《かな》しみと|嘆《なげ》きとがあって、 アリエルのようなものとなる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのまわりに|営《えい》を|構《かま》え、 やぐらをもってあなたを|囲《かこ》み、 |塁《るい》を|築《きず》いてあなたを|攻《せ》める。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたは|深《ふか》い|地《ち》の|中《なか》から|物言《ものい》い、 |低《ひく》いちりの|中《なか》から|言葉《ことば》を|出《だ》す。 あなたの|声《こえ》は|亡霊《ぼうれい》の|声《こえ》のように|地《ち》から|出《で》、 あなたの|言葉《ことば》はちりの|中《なか》から、さえずるようである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたのあだの|群《む》れは |細《こま》かなちりのようになり、 あらぶる|者《もの》の|群《む》れは |吹《ふ》き|去《さ》られるもみがらのようになる。 また、にわかに、またたくまに、この|事《こと》がある。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|雷《かみなり》、|地震《じしん》、|大《おお》いなる|叫《さけ》び、 つむじ|風《かぜ》、|暴風《ぼうふう》および|焼《や》きつくす|火《ひ》の|炎《ほのお》をもって |臨《のぞ》まれる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そしてアリエルを|攻《せ》めて|戦《たたか》う|国々《くにぐに》の|群《む》れ、 すなわちアリエルとその|城《しろ》を|攻《せ》めて|戦《たたか》い、 これを|悩《なや》ます|者《もの》はみな |夢《ゆめ》のように、|夜《よる》の|幻《まぼろし》のようになる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|飢《う》えた|者《もの》が|食《た》べることを|夢《ゆめ》みても、 さめると、その|飢《う》えがいえないように、 あるいは、かわいた|者《もの》が|飲《の》むことを|夢《ゆめ》みても、 さめると、|疲《つか》れてそのかわきがとまらないように、 シオンの|山《やま》を|攻《せ》めて|戦《たたか》う|国々《くにぐに》の|群《む》れも そのようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|知覚《ちかく》を|失《うしな》って|気《き》が|遠《とお》くなれ、 |目《め》がくらんで|盲《めくら》となれ。 あなたがたは|酔《よ》っていよ、しかし|酒《さけ》のゆえではない、 よろめけ、しかし|濃《こ》き|酒《さけ》のゆえではない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|深《ふか》い|眠《ねむ》りの|霊《れい》をあなたがたの|上《うえ》にそそぎ、 あなたがたの|目《め》である|預言者《よげんしゃ》を|閉《と》じこめ、 あなたがたの|頭《あたま》である|先見者《せんけんしゃ》を おおわれたからである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、このすべての|幻《まぼろし》は、あなたがたには|封《ふう》じた|書物《しょもつ》の|言葉《ことば》のようになり、|人々《ひとびと》はこれを|読《よ》むことのできる|者《もの》にわたして、「これを|読《よ》んでください」と|言《い》えば、「これは|封《ふう》じてあるから|読《よ》むことができない」と|彼《かれ》は|言《い》う。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またその|書物《しょもつ》を|読《よ》むことのできない|者《もの》にわたして、「これを|読《よ》んでください」と|言《い》えば、「|読《よ》むことはできない」と|彼《かれ》は|言《い》う。 [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、 「この|民《たみ》は|口《くち》をもってわたしに|近《ちか》づき、 くちびるをもってわたしを|敬《うやま》うけれども、 その|心《こころ》はわたしから|遠《とお》く|離《はな》れ、 |彼《かれ》らのわたしをかしこみ|恐《おそ》れるのは、 そらで|覚《おぼ》えた|人《ひと》の|戒《いまし》めによるのである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|見《み》よ、わたしはこの|民《たみ》に、 |再《ふたた》び|驚《おどろ》くべきわざを|行《おこな》う、 それは|不思議《ふしぎ》な|驚《おどろ》くべきわざである。 |彼《かれ》らのうちの|賢《かしこ》い|人《ひと》の|知恵《ちえ》は|滅《ほろ》び、 さとい|人《ひと》の|知識《ちしき》は|隠《かく》される」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 おのが|計《はか》りごとを|主《しゅ》に|深《ふか》く|隠《かく》す|者《もの》。 |彼《かれ》らは|暗《くら》い|中《なか》でわざを|行《おこな》い、 「だれがわれわれを|見《み》るか、 だれがわれわれのことを|知《し》るか」と|言《い》う。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|転倒《てんとう》して|考《かんが》えている。 |陶器《とうき》|師《し》は|粘土《ねんど》と|同《おな》じものに|思《おも》われるだろうか。 |造《つく》られた|物《もの》はそれを|造《つく》った|者《もの》について、 「|彼《かれ》はわたしを|造《つく》らなかった」と|言《い》い、 |形《かたち》|造《つく》られた|物《もの》は|形《かたち》|造《つく》った|者《もの》について、 「|彼《かれ》は|知恵《ちえ》がない」と|言《い》うことができようか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しばらくしてレバノンは|変《かわ》って|肥《こ》えた|畑《はたけ》となり、 |肥《こ》えた|畑《はたけ》は|林《はやし》のように |思《おも》われる|時《とき》が|来《く》るではないか。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|耳《みみ》しいは|書物《しょもつ》の|言葉《ことば》を|聞《き》き、 |目《め》しいの|目《め》はその|暗《くら》やみから、|見《み》ることができる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|柔和《にゅうわ》な|者《もの》は|主《しゅ》によって|新《あら》たなる|喜《よろこ》びを|得《え》、 |人《ひと》のなかの|貧《まず》しい|者《もの》は イスラエルの|聖者《せいじゃ》によって|楽《たの》しみを|得《え》る。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あらぶる|者《もの》は|絶《た》え、 あざける|者《もの》はうせ、 |悪《あく》を|行《おこな》おうと、おりをうかがう|者《もの》は、 ことごとく|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされるからである。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言葉《ことば》によって|人《ひと》を|罪《つみ》に|定《さだ》め、 |町《まち》の|門《もん》でいさめる|者《もの》をわなにおとしいれ、 むなしい|言葉《ことば》をかまえて|正《ただ》しい|者《もの》をしりぞける。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|昔《むかし》アブラハムをあがなわれた|主《しゅ》は、ヤコブの|家《いえ》についてこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「ヤコブは、もはやはずかしめを|受《う》けず、 その|顔《かお》は、もはや|色《いろ》を|失《うしな》うことはない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|子孫《しそん》が、その|中《なか》にわが|手《て》のわざを|見《み》るとき、 |彼《かれ》らはわが|名《な》を|聖《せい》とし、 ヤコブの|聖者《せいじゃ》を|聖《せい》として、 イスラエルの|神《かみ》を|恐《おそ》れる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》のあやまれる|者《もの》も、|悟《さと》りを|得《え》、 つぶやく|者《もの》も|教《おしえ》をうける」。 [#ここで字下げ終わり] 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「そむける|子《こ》らはわざわいだ、 |彼《かれ》らは|計《はか》りごとを|行《おこな》うけれども、 わたしによってではない。 |彼《かれ》らは|同盟《どうめい》を|結《むす》ぶけれども、 わが|霊《れい》によってではない、 |罪《つみ》に|罪《つみ》を|加《くわ》えるためだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわが|言葉《ことば》を|求《もと》めず、 エジプトへ|下《くだ》っていって、パロの|保護《ほご》にたより、 エジプトの|陰《かげ》に|隠《かく》れようとする。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、パロの|保護《ほご》は かえってあなたがたの|恥《はじ》となり、 エジプトの|陰《かげ》に|隠《かく》れることは あなたがたのはずかしめとなる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]たとい、|彼《かれ》の|君《きみ》たちがゾアンにあり、 |彼《かれ》の|使者《ししゃ》たちがハネスに|来《き》ても、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|皆《みな》おのれを|益《えき》することのできない|民《たみ》により、 すなわち|助《たす》けとならず、|益《えき》とならず、 かえって|恥《はじ》となり、はずかしめとなる|民《たみ》によって、 |恥《はじ》をかくからである」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ネゲブの|獣《けもの》についての|託宣《たくせん》。 |彼《かれ》らはその|富《とみ》を|若《わか》いろばの|背《せ》に|負《お》わせ、 その|宝《たから》をらくだの|背《せ》に|負《お》わせて、 |雌《め》じし、|雄《お》じし、まむしおよび|飛《と》びかけるへびの|出《で》る |悩《なや》みと|苦《くる》しみの|国《くに》を|通《とお》って、 おのれを|益《えき》することのできない|民《たみ》に|行《い》く。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのエジプトの|助《たす》けは|無益《むえき》であって、むなしい。 それゆえ、わたしはこれを 「|休《やす》んでいるラハブ」と|呼《よ》んだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]いま|行《い》って、これを|彼《かれ》らの|前《まえ》で|札《ふだ》にしるし、 |書物《しょもつ》に|載《の》せ、 |後《のち》の|世《よ》に|伝《つた》えて、とこしえにあかしとせよ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそむける|民《たみ》、|偽《いつわ》りを|言《い》う|子《こ》ら、 |主《しゅ》の|教《おしえ》を|聞《き》こうとしない|子《こ》らだ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|先見者《せんけんしゃ》にむかって「|見《み》るな」と|言《い》い、 |預言者《よげんしゃ》にむかっては 「|正《ただ》しい|事《こと》をわれわれに|預言《よげん》するな、 |耳《みみ》に|聞《き》きよいことを|語《かた》れ、|迷《まよ》わしごとを|預言《よげん》せよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|大路《おおじ》を|去《さ》り、|小路《こうじ》をはなれ、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》について|語《かた》り|聞《き》かすな」と|言《い》う。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|聖者《せいじゃ》はこう|言《い》われる、 「あなたがたはこの|言葉《ことば》を|侮《あなど》り、 しえたげと、よこしまとを|頼《たの》み、 これにたよるがゆえに、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|不義《ふぎ》はあなたがたには |突《つ》き|出《で》て、くずれ|落《お》ちようとする|高《たか》い|石《いし》がきの |破《やぶ》れのようであって、 その|倒壊《とうかい》はにわかに、またたくまに|来《く》る。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|破《やぶ》れることは|陶器《とうき》|師《し》の|器《うつわ》を|破《やぶ》るように |惜《お》しむことなく|打《う》ち|砕《くだ》き、 その|砕《くだ》けのなかには、|炉《ろ》から|火《ひ》を|取《と》り、 |池《いけ》から|水《みず》をくめるほどの、ひとかけらさえ |見《み》いだされない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》、イスラエルの|聖者《せいじゃ》はこう|言《い》われた、 「あなたがたは|立《た》ち|返《かえ》って、 |落《お》ち|着《つ》いているならば|救《すく》われ、 |穏《おだ》やかにして|信頼《しんらい》しているならば|力《ちから》を|得《え》る」。 しかし、あなたがたはこの|事《こと》を|好《この》まなかった。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]かえって、あなたがたは|言《い》った、 「|否《いな》、われわれは|馬《うま》に|乗《の》って、とんで|行《い》こう」と。 それゆえ、あなたがたはとんで|帰《かえ》る。また|言《い》った、 「われらは|速《はや》い|馬《うま》に|乗《の》ろう」と。 それゆえ、あなたがたを|追《お》う|者《もの》は|速《はや》い。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ひとりの|威嚇《いかく》によって千|人《にん》は|逃《に》げ、 五|人《にん》の|威嚇《いかく》によってあなたがたは|逃《に》げて、 その|残《のこ》る|者《もの》はわずかに |山《やま》の|頂《いただき》にある|旗《はた》ざおのように、 |丘《おか》の|上《うえ》にある|旗《はた》のようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|待《ま》っていて、 あなたがたに|恵《めぐみ》を|施《ほどこ》される。 それゆえ、|主《しゅ》は|立《た》ちあがって、 あなたがたをあわれまれる。 |主《しゅ》は|公平《こうへい》の|神《かみ》でいらせられる。 すべて|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》はさいわいである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]シオンにおり、エルサレムに|住《す》む|民《たみ》よ、あなたはもはや|泣《な》くことはない。|主《しゅ》はあなたの|呼《よ》ばわる|声《こえ》に|応《おう》じて、|必《かなら》ずあなたに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》される。|主《しゅ》がそれを|聞《き》かれるとき、|直《ただ》ちに|答《こた》えられる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]たとい|主《しゅ》はあなたがたに|悩《なや》みのパンと|苦《くる》しみの|水《みず》を|与《あた》えられても、あなたの|師《し》は|再《ふたた》び|隠《かく》れることはなく、あなたの|目《め》はあなたの|師《し》を|見《み》る。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたが|右《みぎ》に|行《い》き、あるいは|左《ひだり》に|行《い》く|時《とき》、そのうしろで「これは|道《みち》だ、これに|歩《あゆ》め」と|言《い》う|言葉《ことば》を|耳《みみ》に|聞《き》く。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あなたがたはしろがねをおおった|刻《きざ》んだ|像《ぞう》と、こがねを|張《は》った|鋳《い》た|像《ぞう》とを|汚《けが》し、これをきたない|物《もの》のようにまき|散《ち》らして、これに「|去《さ》れ」と|言《い》う。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたが|地《ち》にまく|種《たね》に|雨《あめ》を|与《あた》え、|地《ち》の|産物《さんぶつ》なる|穀物《こくもつ》をくださる。それはおびただしく、かつ|豊《ゆた》かである。その|日《ひ》あなたの|家畜《かちく》は|広《ひろ》い|牧場《まきば》で|草《くさ》を|食《た》べ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》を|耕《たがや》す|牛《うし》と、ろばは、シャベルと、くまででより|分《わ》けて|塩《しお》を|加《くわ》えた|飼料《しりょう》を|食《た》べる。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いなる|虐殺《ぎゃくさつ》の|日《ひ》、やぐらの|倒《たお》れる|時《とき》、すべてのそびえたつ|山《やま》と、すべての|高《たか》い|丘《おか》に|水《みず》の|流《なが》れる|川《かわ》がある。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]さらに|主《しゅ》がその|民《たみ》の|傷《きず》を|包《つつ》み、その|打《う》たれた|傷《きず》をいやされる|日《ひ》には、|月《つき》の|光《ひかり》は|日《ひ》の|光《ひかり》のようになり、|日《ひ》の|光《ひかり》は七|倍《ばい》となり、七つの|日《ひ》の|光《ひかり》のようにになる。 [#ここから2字下げ] [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|名《な》は|遠《とお》い|所《ところ》から |燃《も》える|怒《いか》りと、|立《た》ちあがる|濃《こ》い|煙《けむり》をもって|来《く》る。 そのくちびるは|憤《いきどお》りで|満《み》ち、 その|舌《した》は|焼《や》きつくす|火《ひ》のごとく、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|息《いき》はあふれて|首《くび》にまで|達《たっ》する |流《なが》れのようであって、 |滅《ほろ》びのふるいをもってもろもろの|国《くに》をふるい、 また|惑《まど》わす|手綱《たづな》を もろもろの|民《たみ》のあごにつけるために|来《く》る。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、|聖《せい》なる|祭《まつり》を|守《まも》る|夜《よる》のように|歌《うた》をうたう。また|笛《ふえ》をならして|主《しゅ》の|山《やま》にきたり、イスラエルの|岩《いわ》なる|主《しゅ》にまみえる|時《とき》のように|心《こころ》に|喜《よろこ》ぶ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|威厳《いげん》ある|声《こえ》を|聞《き》かせ、|激《はげ》しい|怒《いか》りと、|焼《や》きつくす|火《ひ》の|炎《ほのお》と、|豪雨《ごうう》と、|暴風《ぼうふう》と、ひょうとをもってその|腕《うで》の|下《くだ》ることを|示《しめ》される。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がそのむちをもって|打《う》たれる|時《とき》、アッスリヤの|人々《ひとびと》は|主《しゅ》の|声《こえ》によって|恐《おそ》れおののく。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|懲《こら》しめのつえを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|加《くわ》えられるごとに|鼓《つづみ》を|鳴《な》らし、|琴《こと》をひく。|主《しゅ》は|腕《うで》を|振《ふ》りかざして、|彼《かれ》らと|戦《たたか》われる。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|焼《や》き|場《ば》はすでに|設《もう》けられた。しかも|王《おう》のために|深《ふか》く|広《ひろ》く|備《そな》えられ、|火《ひ》と|多《おお》くのたきぎが|積《つ》まれてある。|主《しゅ》の|息《いき》はこれを|硫黄《いおう》の|流《なが》れのように|燃《も》やす。 第三一章[#「第三一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|助《たす》けを|得《え》るためにエジプトに|下《くだ》り、 |馬《うま》にたよる|者《もの》はわざわいだ。 |彼《かれ》らは|戦車《せんしゃ》が|多《おお》いので、これに|信頼《しんらい》し、 |騎兵《きへい》がはなはだ|強《つよ》いので、これに|信頼《しんらい》する。 しかしイスラエルの|聖者《せいじゃ》を|仰《あお》がず、 また|主《しゅ》にはかることをしない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それにもかかわらず、|主《しゅ》もまた|賢《かしこ》くいらせられ、 |必《かなら》ず|災《わざわい》をくだし、その|言葉《ことば》を|取《と》り|消《け》すことなく、 |立《た》って|悪《あく》をなす|者《もの》の|家《いえ》を|攻《せ》め、 また|不義《ふぎ》を|行《おこな》う|者《もの》を|助《たす》ける|者《もの》を|攻《せ》められる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]かのエジプトびとは|人《ひと》であって、|神《かみ》ではない。 その|馬《うま》は|肉《にく》であって、|霊《れい》ではない。 |主《しゅ》がみ|手《て》を|伸《の》ばされるとき、 |助《たす》ける|者《もの》はつまずき、 |助《たす》けられる|者《もの》も|倒《たお》れて、|皆《みな》ともに|滅《ほろ》びる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしにこう|言《い》われた、 「ししまたは|若《わか》いししが|獲物《えもの》をつかんで、 ほえたけるとき、 あまたの|羊飼《ひつじかい》が|呼《よ》び|出《だ》されて、これにむかっても、 その|声《こえ》によって|驚《おどろ》かず、 その|叫《さけ》びによって|恐《おそ》れないように、 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|下《くだ》ってきて、 シオンの|山《やま》およびその|丘《おか》で|戦《たたか》われる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|鳥《とり》がひなを|守《まも》るように、 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はエルサレムを|守《まも》り、 これを|守《まも》って|救《すく》い、これを|惜《お》しんで|助《たす》けられる」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》よ、|主《しゅ》に|帰《かえ》れ。あなたがたは、はなはだしく|主《しゅ》にそむいた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、あなたがたは|自分《じぶん》の|手《て》で|造《つく》って|罪《つみ》を|犯《おか》したしろがねの|偶像《ぐうぞう》と、こがねの|偶像《ぐうぞう》をめいめい|投《な》げすてる。 [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]「アッスリヤびとはつるぎによって|倒《たお》れる、 |人《ひと》のつるぎではない。 つるぎが|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼす、 |人《ひと》のつるぎではない。 |彼《かれ》らはつるぎの|前《まえ》から|逃《に》げ|去《さ》り、 その|若《わか》い|者《もの》は|奴隷《どれい》の|働《はたら》きをしいられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|岩《いわ》は|恐《おそ》れによって|過《す》ぎ|去《さ》り、 その|君《きみ》たちはあわて、|旗《はた》をすてて|逃《に》げ|去《さ》る」。 これは|主《しゅ》の|言葉《ことば》である。 |主《しゅ》の|火《ひ》はシオンにあり、その|炉《ろ》はエルサレムにある。 [#ここで字下げ終わり] 第三二章[#「第三二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、ひとりの|王《おう》が |正義《せいぎ》をもって|統《す》べ|治《おさ》め、 |君《きみ》たちは|公平《こうへい》をもってつかさどり、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]おのおの|風《かぜ》をさける|所《ところ》、 |暴風雨《ぼうふうう》をのがれる|所《ところ》のようになり、 かわいた|所《ところ》にある|水《みず》の|流《なが》れのように、 |疲《つか》れた|地《ち》にある|大《おお》きな|岩《いわ》の|陰《かげ》のようになる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|見《み》る|者《もの》の|目《め》は|開《ひら》かれ、 |聞《き》く|者《もの》の|耳《みみ》はよく|聞《き》き、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|気短《きみじか》な|者《もの》の|心《こころ》は|悟《さと》る|知識《ちしき》を|得《え》、 どもりの|舌《した》はたやすく、 あざやかに|語《かた》ることができる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|愚《おろ》かな|者《もの》は、もはや|尊《たっと》い|人《ひと》と|呼《よ》ばれることなく、 |悪人《あくにん》はもはや、りっぱな|人《ひと》と|言《い》われることはない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それは|愚《おろ》かな|者《もの》は|愚《おろ》かなことを|語《かた》り、 その|心《こころ》は|不義《ふぎ》をたくらみ、よこしまを|行《おこな》い、 |主《しゅ》について|誤《あやま》ったことを|語《かた》り、 |飢《う》えた|者《もの》の|望《のぞ》みを|満《み》たさず、 かわいた|者《もの》の|飲《の》み|物《もの》を|奪《うば》い|取《と》るからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》の|行《おこな》いは|悪《わる》い。 |彼《かれ》は|悪《わる》い|計《はか》りごとをめぐらし、 |偽《いつわ》りの|言葉《ことば》をもって|貧《まず》しい|者《もの》をおとしいれ、 |乏《とぼ》しい|者《もの》が|正《ただ》しいことを|語《かた》っても、 なお、これをおとしいれる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|尊《たっと》い|人《ひと》は|尊《たっと》いことを|語《かた》り、 つねに|尊《たっと》いことを|行《おこな》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|安《やす》んじている|女《おんな》たちよ、|起《お》きて、わが|声《こえ》を|聞《き》け。 |思《おも》い|煩《わずら》いなき|娘《むすめ》たちよ、わが|言葉《ことば》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|思《おも》い|煩《わずら》いなき|女《おんな》たちよ、 一|年《ねん》あまりの|日《ひ》をすぎて、 あなたがたは|震《ふる》えおののく。 ぶどうの|収穫《しゅうかく》がむなしく、 |実《み》を|取《と》り|入《い》れる|時《とき》が|来《こ》ないからだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|安《やす》んじている|女《おんな》たちよ、|震《ふる》え|恐《おそ》れよ。 |思《おも》い|煩《わずら》いなき|女《おんな》たちよ、|震《ふる》えおののけ。 |衣《ころも》を|脱《ぬ》ぎ、|裸《はだか》になって|腰《こし》に|荒布《あらぬの》をまとえ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|良《よ》き|畑《はたけ》のため、 |実《みの》り|豊《ゆた》かなぶどうの|木《き》のために|胸《むね》を|打《う》て。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]いばら、おどろの|生《は》えているわが|民《たみ》の|地《ち》のため、 |喜《よろこ》びに|満《み》ちている|町《まち》にある すべての|喜《よろこ》びの|家《いえ》のために|胸《むね》を|打《う》て。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|宮殿《きゅうでん》は|捨《す》てられ、にぎわった|町《まち》は|荒《あ》れすたれ、 |丘《おか》と、やぐらとは、とこしえにほら|穴《あな》となり、 |野《の》のろばの|楽《たの》しむ|所《ところ》、 |羊《ひつじ》の|群《む》れの|牧場《まきば》となるからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、ついには|霊《れい》が|上《うえ》から われわれの|上《うえ》にそそがれて、 |荒野《あらの》は|良《よ》き|畑《はたけ》となり、 |良《よ》き|畑《はたけ》は|林《はやし》のごとく|見《み》られるようになる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|公平《こうへい》は|荒野《あらの》に|住《す》み、 |正義《せいぎ》は|良《よ》き|畑《はたけ》にやどる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|正義《せいぎ》は|平和《へいわ》を|生《しょう》じ、 |正義《せいぎ》の|結《むす》ぶ|実《み》はとこしえの|平安《へいあん》と|信頼《しんらい》である。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》は|平和《へいわ》の|家《いえ》におり、 |安《やす》らかなすみかにおり、 |静《しず》かな|休《やす》み|所《どころ》におる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|林《はやし》はことごとく|切《き》り|倒《たお》され、 |町《まち》もことごとく|倒《たお》される。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]すべての|水《みず》のほとりに|種《たね》をまき、 |牛《うし》およびろばを|自由《じゆう》に|放《はな》ちおくあなたがたは、 さいわいである。 [#ここで字下げ終わり] 第三三章[#「第三三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 おのれ|自《みずか》ら|滅《ほろ》ぼされないのに、|人《ひと》を|滅《ほろ》ぼし、 だれも|欺《あざむ》かないのに|人《ひと》を|欺《あざむ》く|者《もの》よ。 あなたが|滅《ほろ》ぼすことをやめたとき、 あなたは|滅《ほろ》ぼされ、 あなたが|欺《あざむ》くことを|終《お》えたとき、 あなたは|欺《あざむ》かれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われわれをお|恵《めぐ》みください、 われわれはあなたを|待《ま》ち|望《のぞ》む。 |朝《あさ》ごとに、われわれの|腕《うで》となり、 |悩《なや》みの|時《とき》に、|救《すくい》となってください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|鳴《な》りとどろく|声《こえ》によって、もろもろの|民《たみ》は|逃《に》げ|去《さ》り、 あなたが|立《た》ちあがられると、 もろもろの|国《くに》は|散《ち》らされる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|青虫《あおむし》が|物《もの》を|集《あつ》めるようにぶんどり|品《ひん》は|集《あつ》められ、 いなごのとびつどうように、 |人々《ひとびと》はその|上《うえ》にとびつどう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|高《たか》くいらせられ、|高《たか》い|所《ところ》に|住《す》まわれる。 |主《しゅ》はシオンに|公平《こうへい》と|正義《せいぎ》とを|満《み》たされる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》は|救《すくい》と|知恵《ちえ》と|知識《ちしき》を|豊《ゆた》かにして、 あなたの|代《よ》を|堅《かた》く|立《た》てられる。 |主《しゅ》を|恐《おそ》れることはその|宝《たから》である。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|勇士《ゆうし》たちは|外《そと》にあって|叫《さけ》び、 |平和《へいわ》の|使者《ししゃ》はいたく|嘆《なげ》く。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|大路《おおじ》は|荒《あ》れすたれて、|旅《たび》びとは|絶《た》え、 |契約《けいやく》は|破《やぶ》られ、|証人《しょうにん》は|軽《かろ》んぜられ、 |人《ひと》を|顧《かえり》みることがない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|嘆《なげ》き|衰《おとろ》え、 レバノンは|恥《は》じて|枯《か》れ、 シャロンは|荒野《あらの》のようになり、 バシャンとカルメルはその|葉《は》を|落《おと》す。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「|今《いま》わたしは|起《お》きよう、いま|立《た》ちあがろう、 いま|自《みずか》らを|高《たか》くしよう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、もみがらをはらみ、わらを|産《う》む。 あなたがたの|息《いき》は|火《ひ》となって、 あなたがたを|食《く》いつくす。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》は|焼《や》かれて|石灰《いしばい》のようになり、いばらが|切《き》られて|火《ひ》に|燃《も》やされたようになる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた|遠《とお》くにいる|者《もの》よ、 わたしがおこなったことを|聞《き》け。 あなたがた|近《ちか》くにいる|者《もの》よ、 わが|大能《たいのう》を|知《し》れ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|罪《つみ》びとは|恐《おそ》れに|満《み》たされ、 おののきは|神《かみ》を|恐《おそ》れない|者《もの》を|捕《とら》えた。 「われわれのうち、だれが |焼《や》きつくす|火《ひ》の|中《なか》におることができよう。 われわれのうち、だれが とこしえの|燃《も》える|火《ひ》の|中《なか》におることができよう」。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しく|歩《あゆ》む|者《もの》、|正直《しょうじき》に|語《かた》る|者《もの》、 しえたげて|得《え》た|利《り》をいやしめる|者《もの》、 |手《て》を|振《ふ》って、まいないを|取《と》らない|者《もの》、 |耳《みみ》をふさいで|血《ち》を|流《なが》す|謀略《ぼうりゃく》を|聞《き》かない|者《もの》、 |目《め》を|閉《と》じて|悪《あく》を|見《み》ない|者《もの》、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は|高《たか》い|所《ところ》に|住《す》み、 |堅《かた》い|岩《いわ》はそのとりでとなり、 そのパンは|与《あた》えられ、その|水《みず》は|絶《た》えることがない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》は|麗《うるわ》しく|飾《かざ》った|王《おう》を|見《み》、 |遠《とお》く|広《ひろ》い|国《くに》を|見《み》る。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|心《こころ》はかの|恐《おそ》ろしかった|事《こと》を|思《おも》い|出《だ》す。 「|数《かず》を|調《しら》べた|者《もの》はどこにいるか。 みつぎを|量《はか》った|者《もの》はどこにいるか。 やぐらを|数《かぞ》えた|者《もの》はどこにいるか」。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはもはや|高慢《こうまん》な|民《たみ》を|見《み》ない。 かの|民《たみ》の|言葉《ことば》はあいまいで、|聞《き》きとりがたく、 その|舌《した》はどもって、|悟《さと》りがたい。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|定《さだ》めの|祭《まつり》の|町《まち》シオンを|見《み》よ。 あなたの|目《め》は|平和《へいわ》なすまい、 |移《うつ》されることのない|幕屋《まくや》エルサレムを|見《み》る。 その|杭《くい》はとこしえに|抜《ぬ》かれず、 その|綱《つな》は、ひとすじも|断《た》たれることはない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|威厳《いげん》をもってかしこにいまし、 われわれのために|広《ひろ》い|川《かわ》と|流《なが》れのある|所《ところ》となり、 その|中《なか》には、こぐ|舟《ふね》も|入《い》らず、 |大《おお》きな|船《ふね》も|過《す》ぎることはない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれわれのさばき|主《ぬし》、 |主《しゅ》はわれわれのつかさ、 |主《しゅ》はわれわれの|王《おう》であって、われわれを|救《すく》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|船《ふな》|綱《づな》は|解《と》けて、 |帆柱《ほばしら》のもとを|結《むす》びかためることができず、 |帆《ほ》を|張《は》ることもできない。 その|時《とき》|多《おお》くの|獲物《えもの》とぶんどり|品《ひん》は|分《わ》けられ、 |足《あし》なえまでも|獲物《えもの》を|取《と》る。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこに|住《す》む|者《もの》のうちには、 「わたしは|病気《びょうき》だ」と|言《い》う|者《もの》はなく、 そこに|住《す》む|民《たみ》はその|罪《つみ》がゆるされる。 [#ここで字下げ終わり] 第三四章[#「第三四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》よ、|近《ちか》づいて|聞《き》け。 もろもろの|民《たみ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 |地《ち》とそれに|満《み》ちるもの、 |世界《せかい》とそれから|出《で》るすべてのものよ、|聞《き》け。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はすべての|国《くに》にむかって|怒《いか》り、 そのすべての|軍勢《ぐんぜい》にむかって|憤《いきどお》り、 |彼《かれ》らをことごとく|滅《ほろ》ぼし、 |彼《かれ》らをわたして、ほふらせられた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|殺《ころ》されて|投《な》げすてられ、 その|死体《したい》の|悪臭《あくしゅう》は|立《た》ちのぼり、 |山々《やまやま》はその|血《ち》で|溶《と》けて|流《なが》れる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|万象《ばんしょう》は|衰《おとろ》え、 もろもろの|天《てん》は|巻物《まきもの》のように|巻《ま》かれ、 その|万象《ばんしょう》はぶどうの|木《き》から|葉《は》の|落《お》ちるように、 いちじくの|木《き》から|葉《は》の|落《お》ちるように|落《お》ちる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしのつるぎは|天《てん》において|憤《いきどお》りをもって|酔《よ》った。 |見《み》よ、これはエドムの|上《うえ》にくだり、 わたしが|滅《ほろ》びに|定《さだ》めた|民《たみ》の|上《うえ》にくだって、 これをさばく。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のつるぎは|血《ち》で|満《み》ち、|脂肪《しぼう》で|肥《こ》え、 |小羊《こひつじ》とやぎの|血《ち》、 |雄羊《おひつじ》の|腎臓《じんぞう》の|脂肪《しぼう》で|肥《こ》えている。 |主《しゅ》がボズラで|犠牲《ぎせい》の|獣《けもの》をほふり、 エドムの|地《ち》で|大《おお》いに|殺《ころ》されたからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|野牛《やぎゅう》は|彼《かれ》らと|共《とも》にほふり|場《ば》にくだり、 |子《こ》|牛《うし》は|力《ちから》ある|雄牛《おうし》と|共《とも》にくだる。 その|国《くに》は|血《ち》で|酔《よ》い、 その|土《つち》は|脂肪《しぼう》で|肥《こ》やされる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあだをかえす|日《ひ》をもち、 シオンの|訴《うった》えのために|報《むく》いられる|年《とし》を もたれるからである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エドムのもろもろの|川《かわ》は|変《かわ》って|樹脂《じゅし》となり、 その|土《つち》は|変《かわ》って|硫黄《いおう》となり、 その|地《ち》は|変《かわ》って|燃《も》える|樹脂《じゅし》となって、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よる》も|昼《ひる》も|消《き》えず、 その|煙《けむり》は、とこしえに|立《た》ちのぼる。 これは|世々《よよ》|荒《あ》れすたれて、 とこしえまでもそこを|通《とお》る|者《もの》はない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]たかと、やまあらしとがそこをすみかとし、 ふくろうと、からすがそこに|住《す》む。 |主《しゅ》はその|上《うえ》に|荒廃《こうはい》をきたらせる|測《はか》りなわを|張《は》り、 |尊《たっと》い|人々《ひとびと》の|上《うえ》に|混乱《こんらん》を|起《おこ》す|下《さ》げ|振《ふ》りをさげられる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はこれを|名《な》づけて「|国《くに》なき|所《ところ》」といい、 その|君《きみ》たちは|皆《みな》うせてなくなる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そのとりでの|上《うえ》には、いばらが|生《は》え、 その|城《しろ》には、いらくさと、あざみとが|生《は》え、 |山犬《やまいぬ》のすみか、だちょうのおる|所《ところ》となる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》の|獣《けもの》はハイエナと|出会《であ》い、 |鬼神《きしん》はその|友《とも》を|呼《よ》び、 |夜《よる》の|魔女《まじょ》もそこに|降《お》りてきて、|休《やす》み|所《ところ》を|得《え》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ふくろうはそこに|巣《す》をつくって|卵《たまご》を|産《う》み、 それをかえして、そのひなを|翼《つばさ》の|陰《かげ》に|集《あつ》める。 とびもまた、おのおのその|連《つ》れ|合《あ》いと|共《とも》に、 そこに|集《あつ》まる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|主《しゅ》の|書《しょ》をつまびらかに たずねて、これを|読《よ》め。 これらのものは一つも|欠《か》けることなく、 また一つもその|連《つ》れ|合《あ》いを|欠《か》くものはない。 これは|主《しゅ》の|口《くち》がこれを|命《めい》じ、 その|霊《れい》が|彼《かれ》らを|集《あつ》められたからである。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らのためにくじを|引《ひ》き、 |手《て》ずから|測《はか》りなわをもって、この|地《ち》を|分《わ》け|与《あた》え、 |長《なが》く|彼《かれ》らに|所有《しょゆう》させ、 |世々《よよ》ここに|住《す》まわせられる。 [#ここで字下げ終わり] 第三五章[#「第三五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|荒野《あらの》と、かわいた|地《ち》とは|楽《たの》しみ、 さばくは|喜《よろこ》びて|花《はな》|咲《さ》き、さふらんのように、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]さかんに|花《はな》|咲《さ》き、 かつ|喜《よろこ》び|楽《たの》しみ、かつ|歌《うた》う。 これにレバノンの|栄《さか》えが|与《あた》えられ、 カルメルおよびシャロンの|麗《うるわ》しさが|与《あた》えられる。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》の|栄光《えいこう》を|見《み》、われわれの|神《かみ》の|麗《うるわ》しさを|見《み》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|弱《よわ》った|手《て》を|強《つよ》くし、 よろめくひざを|健《すこ》やかにせよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》おののく|者《もの》に|言《い》え、 「|強《つよ》くあれ、|恐《おそ》れてはならない。 |見《み》よ、あなたがたの|神《かみ》は|報復《ほうふく》をもって|臨《のぞ》み、 |神《かみ》の|報《むく》いをもってこられる。 |神《かみ》は|来《き》て、あなたがたを|救《すく》われる」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|目《め》しいの|目《め》は|開《ひら》かれ、 |耳《みみ》しいの|耳《みみ》はあけられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|足《あし》なえは、しかのように|飛《と》び|走《はし》り、 おしの|舌《した》は|喜《よろこ》び|歌《うた》う。 それは|荒野《あらの》に|水《みず》がわきいで、 さばくに|川《かわ》が|流《なが》れるからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|焼《や》けた|砂《すな》は|池《いけ》となり、 かわいた|地《ち》は|水《みず》の|源《みなもと》となり、 |山犬《やまいぬ》の|伏《ふ》したすみかは、 |葦《あし》、よしの|茂《しげ》りあう|所《ところ》となる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこに|大路《おおじ》があり、 その|道《みち》は|聖《せい》なる|道《みち》ととなえられる。 |汚《けが》れた|者《もの》はこれを|通《とお》り|過《す》ぎることはできない、 |愚《おろ》かなる|者《もの》はそこに|迷《まよ》い|入《い》ることはない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこには、ししはおらず、 |飢《う》えた|獣《けもの》も、その|道《みち》にのぼることはなく、 その|所《ところ》でこれに|会《あ》うことはない。 ただ、あがなわれた|者《もの》のみ、そこを|歩《あゆ》む。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にあがなわれた|者《もの》は|帰《かえ》ってきて、 その|頭《あたま》に、とこしえの|喜《よろこ》びをいただき、 |歌《うた》うたいつつ、シオンに|来《く》る。 |彼《かれ》らは|楽《たの》しみと|喜《よろこ》びとを|得《え》、 |悲《かな》しみと|嘆《なげ》きとは|逃《に》げ|去《さ》る。 [#ここで字下げ終わり] 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤ|王《おう》の|第《だい》十四|年《ねん》に、アッスリヤの|王《おう》セナケリブが|上《のぼ》ってきて、ユダのすべての|堅固《けんご》な|町々《まちまち》を|攻《せ》め|取《と》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》はラキシからラブシャケをエルサレムにつかわし、|大軍《たいぐん》を|率《ひき》いてヒゼキヤ|王《おう》のもとへ|行《い》かせた。ラブシャケは|布《ぬの》さらしの|野《の》へ|行《い》く|大路《おおじ》に|沿《そ》う、|上《うえ》の|池《いけ》の|水道《すいどう》のかたわらに|立《た》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》ヒルキヤの|子《こ》である|宮内卿《くないきょう》エリアキム、|書記官《しょきかん》セブナおよびアサフの|子《こ》である|史官《しかん》ヨアが|彼《かれ》の|所《ところ》に|出《で》てきた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ラブシャケは|彼《かれ》らに|言《い》った、「ヒゼキヤに|言《い》いなさい、『|大王《だいおう》アッスリヤの|王《おう》はこう|仰《おお》せられる、あなたが|頼《たの》みとする|者《もの》は|何《なに》か。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|口先《くちさき》だけの|言葉《ことば》が|戦争《せんそう》をする|計略《けいりゃく》と|力《ちから》だと|考《かんが》えるのか。あなたは|今《いま》だれを|頼《たよ》んで、わたしにそむいたのか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたはかの|折《お》れかけている|葦《あし》のつえエジプトを|頼《たの》みとしているが、それは|人《ひと》が|寄《よ》りかかるとき、その|人《ひと》の|手《て》を|刺《さ》し|通《とお》す。エジプトの|王《おう》パロはすべて|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》にそのようにするのだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがもし「われわれはわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》を|頼《たの》む」とわたしに|言《い》うならば、ヒゼキヤがユダとエルサレムに|告《つ》げて、「あなたがたはこの|祭壇《さいだん》の|前《まえ》で|礼拝《れいはい》しなければならない」と|言《い》って|除《のぞ》いたのは、その|神《かみ》の|高《たか》き|所《ところ》と|祭壇《さいだん》ではなかったのか。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さあ、|今《いま》わたしの|主君《しゅくん》アッスリヤの|王《おう》とかけをせよ。もしあなたの|方《ほう》に|乗《の》る|人《ひと》があるならば、わたしは|馬《うま》二千|頭《とう》を|与《あた》えよう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはエジプトを|頼《たの》み、|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》を|請《こ》い|求《もと》めているが、わたしの|主君《しゅくん》の|家来《けらい》のうちの|最《もっと》も|小《ちい》さい一|隊長《たいちょう》でさえ、どうして|撃退《げきたい》することができようか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこの|国《くに》を|滅《ほろ》ぼすために|上《のぼ》ってきたのは、|主《しゅ》の|許《ゆる》しなしでしたことであろうか。|主《しゅ》はわたしに、この|国《くに》へ|攻《せ》め|上《のぼ》って、これを|滅《ほろ》ぼせと|言《い》われたのだ』」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、エリアキム、セブナおよびヨアはラブシャケに|言《い》った、「どうぞ、アラム|語《ご》でしもべたちに|話《はな》してください。わたしたちはそれがわかるからです。|城壁《じょうへき》の|上《うえ》にいる|民《たみ》の|聞《き》いているところで、わたしたちにユダヤの|言葉《ことば》で|話《はな》さないでください」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしラブシャケは|言《い》った、「わたしの|主君《しゅくん》は、あなたの|主君《しゅくん》とあなたにだけでなく、|城壁《じょうへき》の|上《うえ》に|座《ざ》している|人々《ひとびと》にも、この|言葉《ことば》を|告《つ》げるために、わたしをつかわされたのではないか。|彼《かれ》らをも、あなたがたと|共《とも》に|自分《じぶん》の|糞尿《ふんにょう》を|食《く》い|飲《の》みするに|至《いた》らせるためではないか」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてラブシャケは|立《た》ちあがり、ユダヤの|言葉《ことば》で|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|大王《だいおう》、アッスリヤの|王《おう》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はこう|仰《おお》せられる、『あなたがたはヒゼキヤに|欺《あざむ》かれてはならない。|彼《かれ》はあなたがたを|救《すく》い|出《だ》すことはできない。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤが、|主《しゅ》は|必《かなら》ずわれわれを|救《すく》い|出《だ》される。この|町《まち》はアッスリヤの|王《おう》の|手《て》に|陥《おちい》ることはない、と|言《い》っても、あなたがたは|主《しゅ》を|頼《たの》みとしてはならない』。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはヒゼキヤの|言葉《ことば》を|聞《き》いてはならない。アッスリヤの|王《おう》はこう|仰《おお》せられる、『あなたがたは、わたしと|和《わ》ぼくして、わたしに|降服《こうふく》せよ。そうすれば、あなたがたはめいめい|自分《じぶん》のぶどうの|実《み》を|食《た》べ、めいめい|自分《じぶん》のいちじくの|実《み》を|食《た》べ、めいめい|自分《じぶん》の|井戸《いど》の|水《みず》を|飲《の》むことができる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]やがて、わたしが|来《き》て、あなたがたを一つの|国《くに》へ|連《つ》れて|行《い》く。それは、あなたがたの|国《くに》のように|穀物《こくもつ》とぶどう|酒《しゅ》の|多《おお》い|地《ち》、パンとぶどう|畑《はたけ》の|多《おお》い|地《ち》だ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤが、|主《しゅ》はわれわれを|救《すく》われる、と|言《い》って、あなたがたを|惑《まど》わすことのないように|気《き》をつけよ。もろもろの|国《くに》の|神々《かみがみ》のうち、どの|神《かみ》がその|国《くに》をアッスリヤの|王《おう》の|手《て》から|救《すく》ったか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ハマテやアルパデの|神々《かみがみ》はどこにいるか。セパルワイムの|神々《かみがみ》はどこにいるか。|彼《かれ》らはサマリヤをわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》したか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これらの|国々《くにぐに》のすべての|神々《かみがみ》のうちに、だれかその|国《くに》をわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》した|者《もの》があるか。|主《しゅ》がどうしてエルサレムをわたしの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すことができよう』」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|民《たみ》は|黙《だま》ってひと|言《こと》も|答《こた》えなかった。|王《おう》が|命《めい》じて、「|彼《かれ》に|答《こた》えてはならない」と|言《い》っておいたからである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヒルキヤの|子《こ》である|宮内卿《くないきょう》エリアキム、|書記官《しょきかん》セブナおよびアサフの|子《こ》である|史官《しかん》ヨアは|衣《ころも》を|裂《さ》き、ヒゼキヤのもとに|来《き》て、ラブシャケの|言葉《ことば》を|彼《かれ》に|告《つ》げた。 第三七章[#「第三七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤ|王《おう》はこれを|聞《き》いて、|衣《ころも》を|裂《さ》き、|荒布《あらぬの》を|身《み》にまとって|主《しゅ》の|宮《みや》に|入《い》り、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|宮内卿《くないきょう》エリアキムと|書記官《しょきかん》セブナおよび|祭司《さいし》のうちの|年長者《ねんちょうしゃ》たちに|荒布《あらぬの》をまとわせて、アモツの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》イザヤのもとへつかわした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはイザヤに|言《い》った、「ヒゼキヤはこう|言《い》います、『きょうは|悩《なや》みと|責《せ》めと、はずかしめの|日《ひ》です。|胎児《たいじ》がまさに|生《うま》れようとして、これを|産《う》み|出《だ》す|力《ちから》がないのです。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は、あるいはラブシャケのもろもろの|言葉《ことば》を|聞《き》かれたかもしれません。|彼《かれ》はその|主君《しゅくん》アッスリヤの|王《おう》につかわされて、|生《い》ける|神《かみ》をそしりました。あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はその|言葉《ことば》を|聞《き》いて、あるいは|責《せ》められるかもしれません。それゆえ、この|残《のこ》っている|者《もの》のために|祈《いのり》をささげてください』」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤ|王《おう》の|家来《けらい》たちがイザヤのもとに|来《き》たとき、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]イザヤは|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたの|主君《しゅくん》にこう|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、アッスリヤの|王《おう》のしもべらが、わたしをそしった|言葉《ことば》を|聞《き》いて|恐《おそ》れるには|及《およ》ばない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは一つの|霊《れい》を|彼《かれ》のうちに|送《おく》って、一つのうわさを|聞《き》かせ、|彼《かれ》を|自分《じぶん》の|国《くに》へ|帰《かえ》らせて、その|国《くに》でつるぎに|倒《たお》れさせる』」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ラブシャケは|引《ひ》き|返《かえ》して、アッスリヤの|王《おう》がリブナを|攻《せ》めているところへ|行《い》った。|彼《かれ》は|王《おう》がラキシを|去《さ》ったことを|聞《き》いたからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、アッスリヤの|王《おう》はエチオピヤの|王《おう》テルハカについて、「|彼《かれ》はあなたと|戦《たたか》うために|出《で》てきた」と|人々《ひとびと》が|言《い》うのを|聞《き》いた。|彼《かれ》はこのことを|聞《き》いて、|使者《ししゃ》をヒゼキヤにつかわそうとして|言《い》った、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|王《おう》ヒゼキヤにこう|言《い》いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの|王《おう》の|手《て》に|陥《おちい》ることはない、と|言《い》うあなたの|信頼《しんらい》する|神《かみ》に|欺《あざむ》かれてはならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはアッスリヤの|王《おう》たちが、|国々《くにぐに》にしたこと、|彼《かれ》らを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼしたことを|聞《き》いている。どうしてあなたは|救《すく》われることができようか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|先祖《せんぞ》たちはゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルにいたエデンの|人々《ひとびと》を|滅《ほろ》ぼしたが、その|国々《くにぐに》の|神々《かみがみ》は|彼《かれ》らを|救《すく》ったか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ハマテの|王《おう》、アルパデの|王《おう》、セパルワイムの|町《まち》の|王《おう》、ヘナの|王《おう》およびイワの|王《おう》はどこにいるか』」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|使者《ししゃ》の|手《て》から|手紙《てがみ》を|受《う》け|取《と》ってそれを|読《よ》み、|主《しゅ》の|宮《みや》にのぼっていって、|主《しゅ》の|前《まえ》にそれをひろげ、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|祈《いの》って|言《い》った、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「ケルビムの|上《うえ》に|座《ざ》しておられるイスラエルの|神《かみ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》よ、|地《ち》のすべての|国《くに》のうちで、ただあなただけが|神《かみ》でいらせられます。あなたは|天《てん》と|地《ち》を|造《つく》られました。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて|聞《き》いてください。|主《しゅ》よ、|目《め》を|開《ひら》いて|見《み》てください。セナケリブが|生《い》ける|神《かみ》をそしるために|書《か》き|送《おく》った|言葉《ことば》を|聞《き》いてください。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、まことにアッスリヤの|王《おう》たちは、もろもろの|民《たみ》とその|国々《くにぐに》を|滅《ほろ》ぼし、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またその|神々《かみがみ》を|火《ひ》に|投《な》げ|入《い》れました。それらは|神《かみ》ではなく、|人《ひと》の|手《て》の|造《つく》ったもので、|木《き》や|石《いし》だから|滅《ほろ》ぼされたのです。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、どうぞ、われわれを|彼《かれ》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》してください。そうすれば|地《ち》の|国々《くにぐに》は|皆《みな》あなただけが|主《しゅ》でいらせられることを|知《し》るようになるでしょう」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》アモツの|子《こ》イザヤは|人《ひと》をつかわしてヒゼキヤに|言《い》った、「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、あなたはアッスリヤの|王《おう》セナケリブについてわたしに|祈《いの》ったゆえ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》について|語《かた》られた|言葉《ことば》はこうである、 [#ここから2字下げ] 『|処女《しょじょ》であるシオンの|娘《むすめ》は あなたを|侮《あなど》り、あなたをあざける。 エルサレムの|娘《むすめ》は、あなたのうしろで|頭《あたま》を|振《ふ》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。 あなたはだれにむかって|声《こえ》をあげ、 |目《め》を|高《たか》くあげたのか。 イスラエルの|聖者《せいじゃ》にむかってだ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、そのしもべらによって |主《しゅ》をそしって|言《い》った、 「わたしは|多《おお》くの|戦車《せんしゃ》を|率《ひき》いて|山々《やまやま》の|頂《いただき》にのぼり、 レバノンの|奥《おく》へ|行《い》き、 たけの|高《たか》い|香柏《こうはく》と、|最《もっと》も|良《よ》いいとすぎを|切《き》り|倒《たお》し、 またその|果《はて》の|高地《こうち》へ|行《い》き、その|密林《みつりん》にはいった。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|井戸《いど》を|掘《ほ》って|水《みず》を|飲《の》んだ。 わたしは|足《あし》の|裏《うら》で エジプトのすべての|川《かわ》を|踏《ふ》みからした」。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|聞《き》かなかったか、 |昔《むかし》わたしがそれを|定《さだ》めたことを。 |堅固《けんご》な|町々《まちまち》を、 あなたがこわして|荒塚《あらつか》とすることも、 いにしえの|日《ひ》から、わたしが|計画《けいかく》して |今《いま》それをきたらせたのだ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そのうちに|住《す》む|民《たみ》は|力《ちから》|弱《よわ》く、 おののき|恥《はじ》をいだいて、 |野《の》の|草《くさ》のように、|青菜《あおな》のようになり、 |育《そだ》たずに|枯《か》れる|屋根《やね》の|草《くさ》のようになった。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたの|座《ざ》すること、|出入《でい》りすること、 また、わたしにむかって |怒《いか》り|叫《さけ》んだことをも|知《し》っている。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、わたしにむかって|怒《いか》り|叫《さけ》んだことと、 あなたの|高慢《こうまん》な|言葉《ことば》とがわたしの|耳《みみ》にはいったゆえ、 わたしは、あなたの|鼻《はな》に|輪《わ》をつけ、 あなたの|口《くち》にくつわをはめて、 あなたを、もと|来《き》た|道《みち》へ|引《ひ》きもどす』。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|与《あた》えるしるしはこれである。すなわち、ことしは|落《お》ち|穂《ぼ》から|生《は》えた|物《もの》を|食《た》べ、二|年《ねん》|目《め》には、またその|落《お》ち|穂《ぼ》から|生《は》えた|物《もの》を|食《た》べ、三|年《ねん》|目《め》には|種《たね》をまき、|刈《か》り|入《い》れ、ぶどう|畑《はたけ》を|作《つく》ってその|実《み》を|食《た》べる。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|家《いえ》の、のがれて|残《のこ》る|者《もの》は|再《ふたた》び|下《した》に|根《ね》を|張《は》り、|上《うえ》に|実《み》を|結《むす》ぶ。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|残《のこ》る|者《もの》はエルサレムから|出《で》、のがれる|物《もの》はシオンの|山《やま》から|出《で》る。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|熱心《ねっしん》がこれをなし|遂《と》げられる。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はアッスリヤの|王《おう》について、こう|仰《おお》せられる、『|彼《かれ》はこの|町《まち》にこない。またここに|矢《や》を|放《はな》たない。また|盾《たて》をもって、その|前《まえ》にこない。また|塁《るい》を|築《きず》いて、これを|攻《せ》めることはない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|来《き》た|道《みち》から|帰《かえ》って、この|町《まち》に、はいることはない、と|主《しゅ》は|言《い》う。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》のため、また、わたしのしもべダビデのために|町《まち》を|守《まも》って、これを|救《すく》おう』」。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》が|出《で》て、アッスリヤびとの|陣営《じんえい》で十八万五千|人《にん》を|撃《う》ち|殺《ころ》した。|人々《ひとびと》が|朝《あさ》|早《はや》く|起《お》きて|見《み》ると、|彼《かれ》らは|皆《みな》|死体《したい》となっていた。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》セナケリブは|立《た》ち|去《さ》り、|帰《かえ》っていってニネベにいたが、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]その|神《かみ》ニスロクの|神殿《しんでん》で|礼拝《れいはい》していた|時《とき》、その|子《こ》らのアデラン・メレクとシャレゼルがつるぎをもって|彼《かれ》を|殺《ころ》し、ともにアララテの|地《ち》へ|逃《に》げていった。それで、その|子《こ》エサルハドンが|代《かわ》って|王《おう》となった。 第三八章[#「第三八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころヒゼキヤは|病気《びょうき》になって|死《し》にかかっていた。アモツの|子《こ》|預言者《よげんしゃ》イザヤは|彼《かれ》のところに|来《き》て|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、あなたの|家《いえ》を|整《ととの》えておきなさい。あなたは|死《し》にます、|生《い》きながらえることはできません」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでヒゼキヤは|顔《かお》を|壁《かべ》に|向《む》けて|主《しゅ》に|祈《いの》って|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「ああ|主《しゅ》よ、|願《ねが》わくは、わたしが|真実《しんじつ》と|真心《まごころ》とをもって、み|前《まえ》に|歩《あゆ》み、あなたの|目《め》にかなう|事《こと》を|行《おこな》ったのを|覚《おぼ》えてください」。そしてヒゼキヤはひどく|泣《な》いた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|主《しゅ》の|言葉《ことば》がイザヤに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》って、ヒゼキヤに|言《い》いなさい、『あなたの|父《ちち》ダビデの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、「わたしはあなたの|祈《いのり》を|聞《き》いた。あなたの|涙《なみだ》を|見《み》た。|見《み》よ、わたしはあなたのよわいを十五|年《ねん》|増《ま》そう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたと、この|町《まち》とをアッスリヤの|王《おう》の|手《て》から|救《すく》い、この|町《まち》を|守《まも》ろう」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|約束《やくそく》されたことを|行《おこな》われることについては、あなたは|主《しゅ》からこのしるしを|得《え》る。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはアハズの|日《ひ》|時計《どけい》の|上《うえ》に|進《すす》んだ|日影《ひかげ》を十|度《ど》|退《しりぞ》かせよう』」。すると|日時計《ひどけい》の|上《うえ》に|進《すす》んだ|日影《ひかげ》が十|度《ど》|退《しりぞ》いた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》の|言葉《ことば》はユダの|王《おう》ヒゼキヤが|病気《びょうき》になって、その|病気《びょうき》が|直《なお》った|後《のち》、|書《か》きしるしたものである。 [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、わたしはわが|一生《いっしょう》のまっ|盛《さか》りに、 |去《さ》らなければならない。 わたしは|陰府《よみ》の|門《もん》に|閉《と》ざされて、 わが|残《のこ》りの|年《とし》を|失《うしな》わなければならない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、わたしは|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》で、 |主《しゅ》を|見《み》ることなく、 |世《よ》におる|人々《ひとびと》のうちに、|再《ふたた》び|人《ひと》を|見《み》ることがない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わがすまいは|抜《ぬ》き|去《さ》られて |羊飼《ひつじかい》の|天幕《てんまく》のようにわたしを|離《はな》れる。 わたしは、わが|命《いのち》を|機《はた》|織《お》りのように|巻《ま》いた。 |彼《かれ》はわたしを|機《はた》から|切《き》り|離《はな》す。 あなたは|朝《あさ》から|夕《ゆう》までの|間《あいだ》に、わたしを|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|朝《あさ》まで|叫《さけ》んだ。 |主《しゅ》はししのようにわが|骨《ほね》をことごとく|砕《くだ》かれる。 あなたは|朝《あさ》から|夕《ゆう》までの|間《あいだ》に、わたしを|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、つばめのように、つるのように|鳴《な》き、 はとのようにうめき、 わが|目《め》は|上《うえ》を|見《み》て|衰《おとろ》える。 |主《しゅ》よ、わたしは、しえたげられています。 どうか、わたしの|保証人《ほしょうにん》となってください。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|何《なに》を|言《い》うことができましょう。 |主《しゅ》はわたしに|言《い》われ、 かつ、|自《みずか》らそれをなされたからである。 わが|魂《たましい》の|苦《くる》しみによって、 わが|眠《ねむ》りはことごとく|逃《に》げ|去《さ》った。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、これらの|事《こと》によって|人《ひと》は|生《い》きる。 わが|霊《れい》の|命《いのち》もすべてこれらの|事《こと》による。 どうか、わたしをいやし、 わたしを|生《い》かしてください。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしが|大《おお》いなる|苦《くる》しみにあったのは、 わが|幸福《こうふく》のためであった。 あなたはわが|命《いのち》を|引《ひ》きとめて、 |滅《ほろ》びの|穴《あな》をまぬかれさせられた。 これは、あなたがわが|罪《つみ》をことごとく、 あなたの|後《のち》に|捨《す》てられたからである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|陰府《よみ》は、あなたに|感謝《かんしゃ》することはできない。 |死《し》はあなたをさんびすることはできない。 |墓《はか》にくだる|者《もの》は、 あなたのまことを|望《のぞ》むことはできない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ただ|生《い》ける|者《もの》、|生《い》ける|者《もの》のみ、 きょう、わたしがするように、あなたに|感謝《かんしゃ》する。 |父《ちち》はあなたのまことを、その|子《こ》らに|知《し》らせる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしを|救《すく》われる。 われわれは|世《よ》にあるかぎり、 |主《しゅ》の|家《いえ》で|琴《こと》にあわせて、|歌《うた》をうたおう。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]イザヤは|言《い》った、「|干《ひ》いちじくのひとかたまりを|持《も》ってこさせ、それを|腫物《はれもの》につけなさい。そうすれば|直《なお》るでしょう」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはまた|言《い》った、「わたしが|主《しゅ》の|家《いえ》に|上《のぼ》ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 第三九章[#「第三九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、バラダンの|子《こ》であるバビロンの|王《おう》メロダク・バラダンは|手紙《てがみ》と|贈《おく》り|物《もの》を|持《も》たせて|使節《しせつ》をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが|病気《びょうき》であったが、|直《なお》ったことを|聞《き》いたからである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤは|彼《かれ》らを|喜《よろこ》び|迎《むか》えて、|宝物《ほうもつ》の|蔵《くら》、|金銀《きんぎん》、|香料《こうりょう》、|貴重《きちょう》な|油《あぶら》および|武器《ぶき》|倉《くら》、ならびにその|倉庫《そうこ》にあるすべての|物《もの》を|彼《かれ》らに|見《み》せた。|家《いえ》にある|物《もの》も、|国《くに》にある|物《もの》も、ヒゼキヤが|彼《かれ》らに|見《み》せない|物《もの》は一つもなかった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|預言者《よげんしゃ》イザヤはヒゼキヤ|王《おう》のもとに|来《き》て|言《い》った、「あの|人々《ひとびと》は|何《なに》を|言《い》いましたか。どこから|来《き》たのですか」。ヒゼキヤは|言《い》った、「|彼《かれ》らは|遠《とお》い|国《くに》から、すなわちバビロンから|来《き》たのです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イザヤは|言《い》った、「|彼《かれ》らは、あなたの|家《いえ》で|何《なに》を|見《み》ましたか」。ヒゼキヤは|答《こた》えて|言《い》った、「|彼《かれ》らは、わたしの|家《いえ》にある|物《もの》を|皆《みな》|見《み》ました。|倉庫《そうこ》のうちには、|彼《かれ》らに|見《み》せなかった|物《もの》は一つもありません」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでイザヤはヒゼキヤに|言《い》った、「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、すべてあなたの|家《いえ》にある|物《もの》およびあなたの|先祖《せんぞ》たちが|今日《こんにち》までに|積《つ》みたくわえた|物《もの》がバビロンに|運《はこ》び|去《さ》られる|日《ひ》が|来《く》る。|何《なに》も|残《のこ》るものはない、と|主《しゅ》が|言《い》われます。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたの|身《み》から|出《で》るあなたの|子《こ》たちも|連《つ》れ|去《さ》られて、バビロンの|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》において|宦官《かんがん》となるでしょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ヒゼキヤはイザヤに|言《い》った、「あなたが|言《い》われた|主《しゅ》の|言葉《ことば》は|結構《けっこう》です」。|彼《かれ》は「|少《すく》なくとも|自分《じぶん》が|世《よ》にある|間《あいだ》は|太平《たいへい》と|安全《あんぜん》があるだろう」と|思《おも》ったからである。 第四〇章[#「第四〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|神《かみ》は|言《い》われる、 「|慰《なぐさ》めよ、わが|民《たみ》を|慰《なぐさ》めよ、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ねんごろにエルサレムに|語《かた》り、これに|呼《よ》ばわれ、 その|服役《ふくえき》の|期《き》は|終《おわ》り、 そのとがはすでにゆるされ、 そのもろもろの|罪《つみ》のために二|倍《ばい》の|刑罰《けいばつ》を |主《しゅ》の|手《て》から|受《う》けた」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|呼《よ》ばわる|者《もの》の|声《こえ》がする、 「|荒野《あらの》に|主《しゅ》の|道《みち》を|備《そな》え、 さばくに、われわれの|神《かみ》のために、 |大路《おおじ》をまっすぐにせよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|谷《たに》は|高《たか》くせられ、 もろもろの|山《やま》と|丘《おか》とは|低《ひく》くせられ、 |高《たか》|底《そこ》のある|地《ち》は|平《たい》らになり、 |険《けわ》しい|所《ところ》は|平地《へいち》となる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|主《しゅ》の|栄光《えいこう》があらわれ、 |人《ひと》は|皆《みな》ともにこれを|見《み》る。 これは|主《しゅ》の|口《くち》が|語《かた》られたのである」。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|声《こえ》が|聞《きこ》える、「|呼《よ》ばわれ」。 わたしは|言《い》った、「なんと|呼《よ》ばわりましょうか」。 「|人《ひと》はみな|草《くさ》だ。 その|麗《うるわ》しさは、すべて|野《の》の|花《はな》のようだ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|息《いき》がその|上《うえ》に|吹《ふ》けば、 |草《くさ》は|枯《か》れ、|花《はな》はしぼむ。 たしかに|人《ひと》は|草《くさ》だ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|草《くさ》は|枯《か》れ、|花《はな》はしぼむ。 しかし、われわれの|神《かみ》の|言葉《ことば》は とこしえに|変《かわ》ることはない」。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]よきおとずれをシオンに|伝《つた》える|者《もの》よ、 |高《たか》い|山《やま》にのぼれ。 よきおとずれをエルサレムに|伝《つた》える|者《もの》よ、 |強《つよ》く|声《こえ》をあげよ、 |声《こえ》をあげて|恐《おそ》れるな。 ユダのもろもろの|町《まち》に|言《い》え、 「あなたがたの|神《かみ》を|見《み》よ」と。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|大能《たいのう》をもってこられ、 その|腕《うで》は|世《よ》を|治《おさ》める。 |見《み》よ、その|報《むく》いは|主《しゅ》と|共《とも》にあり、 そのはたらきの|報《むく》いは、そのみ|前《まえ》にある。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|牧者《ぼくしゃ》のようにその|群《む》れを|養《やしな》い、 そのかいなに|小羊《こひつじ》をいだき、 そのふところに|入《い》れて|携《たずさ》えゆき、 |乳《ちち》を|飲《の》ませているものをやさしく|導《みちび》かれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]だれが、たなごころをもって|海《うみ》をはかり、 |指《ゆび》を|伸《の》ばして|天《てん》をはかり、 |地《ち》のちりを|枡《ます》に|盛《も》り、 てんびんをもって、もろもろの|山《やま》をはかり、 はかりをもって、もろもろの|丘《おか》をはかったか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]だれが、|主《しゅ》の|霊《れい》を|導《みちび》き、 その|相談役《そうだんやく》となって|主《しゅ》を|教《おし》えたか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はだれと|相談《そうだん》して|悟《さと》りを|得《え》たか。 だれが|主《しゅ》に|公義《こうぎ》の|道《みち》を|教《おし》え、 |知識《ちしき》を|教《おし》え、|悟《さと》りの|道《みち》を|示《しめ》したか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、もろもろの|国民《こくみん》は、おけの|一《ひと》しずくのように、 はかりの|上《うえ》のちりのように|思《おも》われる。 |見《み》よ、|主《しゅ》は|島々《しまじま》を、ほこりのようにあげられる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]レバノンは、たきぎに|足《た》りない、 またその|獣《けもの》は、|燔祭《はんさい》に|足《た》りない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のみ|前《まえ》には、もろもろの|国民《こくみん》は|無《な》きにひとしい。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》によって、|無《な》きもののように、 むなしいもののように|思《おも》われる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたがたは|神《かみ》をだれとくらべ、 どんな|像《ぞう》と|比較《ひかく》しようとするのか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|偶像《ぐうぞう》は|細工人《さいくにん》が|鋳《い》て|造《つく》り、 |鍛冶《かじ》が、|金《きん》をもって、それをおおい、 また、これがために|銀《ぎん》の|鎖《くさり》を|造《つく》る。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》は、ささげ|物《もの》として |朽《く》ちることのない|木《き》を|選《えら》び、 |巧《たく》みな|細工人《さいくにん》を|求《もと》めて、 |動《うご》くことのない|像《ぞう》を|立《た》たせる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|知《し》らなかったか。 あなたがたは|聞《き》かなかったか。 |初《はじ》めから、あなたがたに|伝《つた》えられなかったか。 |地《ち》の|基《もとい》をおいた|時《とき》から、 あなたがたは|悟《さと》らなかったか。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|地球《ちきゅう》のはるか|上《うえ》に|座《ざ》して、 |地《ち》に|住《す》む|者《もの》をいなごのように|見《み》られる。 |主《しゅ》は|天《てん》を|幕《まく》のようにひろげ、 これを|住《す》むべき|天幕《てんまく》のように|張《は》り、 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また、もろもろの|君《きみ》を|無《な》きものとせられ、 |地《ち》のつかさたちを、むなしくされる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、かろうじて|植《う》えられ、かろうじてまかれ、 その|幹《みき》がかろうじて|地《ち》に|根《ね》をおろしたとき、 |神《かみ》がその|上《うえ》を|吹《ふ》かれると、|彼《かれ》らは|枯《か》れて、 わらのように、つむじ|風《かぜ》にまき|去《さ》られる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|聖者《せいじゃ》は|言《い》われる、 「それで、あなたがたは、わたしをだれにくらべ、 わたしは、だれにひとしいというのか」。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》を|高《たか》くあげて、 だれが、これらのものを|創造《そうぞう》したかを|見《み》よ。 |主《しゅ》は|数《かず》をしらべて|万軍《ばんぐん》をひきいだし、 おのおのをその|名《な》で|呼《よ》ばれる。 その|勢《いきお》いの|大《おお》いなるにより、 またその|力《ちから》の|強《つよ》きがゆえに、 一つも|欠《か》けることはない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブよ、|何《なに》ゆえあなたは、 「わが|道《みち》は|主《しゅ》に|隠《かく》れている」と|言《い》うか。 イスラエルよ、|何《なに》ゆえあなたは、 「わが|訴《うった》えはわが|神《かみ》に|顧《かえり》みられない」と|言《い》うか。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|知《し》らなかったか、 あなたは|聞《き》かなかったか。 |主《しゅ》はとこしえの|神《かみ》、|地《ち》の|果《はて》の|創造者《そうぞうしゃ》であって、 |弱《よわ》ることなく、また|疲《つか》れることなく、 その|知恵《ちえ》ははかりがたい。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|弱《よわ》った|者《もの》には|力《ちから》を|与《あた》え、 |勢《いきお》いのない|者《もの》には|強《つよ》さを|増《ま》し|加《くわ》えられる。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|年《ねん》|若《わか》い|者《もの》も|弱《よわ》り、かつ|疲《つか》れ、 |壮年《そうねん》の|者《もの》も|疲《つか》れはてて|倒《たお》れる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》は|新《あら》たなる|力《ちから》を|得《え》、 わしのように|翼《つばさ》をはって、のぼることができる。 |走《はし》っても|疲《つか》れることなく、 |歩《ある》いても|弱《よわ》ることはない。 [#ここで字下げ終わり] 第四一章[#「第四一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》よ、 |静《しず》かにして、わたしに|聞《き》け。 もろもろの|民《たみ》よ、|力《ちから》を|新《あら》たにし、|近《ちか》づいて|語《かた》れ。 われわれは|共《とも》にさばきの|座《ざ》に|近《ちか》づこう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]だれが|東《ひがし》から|人《ひと》を|起《おこ》したか。 |彼《かれ》はその|行《ゆ》く|所《ところ》で|勝利《しょうり》をもって|迎《むか》えられ、 もろもろの|国《くに》を|征服《せいふく》し、 もろもろの|王《おう》を|足《あし》の|下《した》に|踏《ふ》みつけ、 そのつるぎをもって|彼《かれ》らをちりのようにし、 その|弓《ゆみ》をもって|吹《ふ》き|去《さ》られる、わらのようにする。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれらの|者《もの》を|追《お》って その|足《あし》のまだ|踏《ふ》んだことのない|道《みち》を、 |安《やす》らかに|過《す》ぎて|行《い》く。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]だれがこの|事《こと》を|行《おこな》ったか、なしたか。 だれが|初《はじ》めから|世々《よよ》の|人々《ひとびと》を|呼《よ》び|出《だ》したか。 |主《しゅ》なるわたしは|初《はじ》めであって、 また|終《おわ》りと|共《とも》にあり、わたしがそれだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》は|見《み》て|恐《おそ》れ、 |地《ち》の|果《はて》は、おののき、|近《ちか》づいて|来《き》た。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはおのおのその|隣《となり》を|助《たす》け、 その|兄弟《きょうだい》たちに|言《い》う、「|勇気《ゆうき》を|出《だ》せよ」と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|細工人《さいくにん》は|鍛冶《かじ》を|励《はげ》まし、 |鎚《つち》をもって|平《たい》らかにする|者《もの》は|金《かな》|敷《し》きを|打《う》つ|者《もの》に、 はんだづけについて|言《い》う、「それは|良《よ》い」と。 また、くぎをもってそれを|堅《かた》くし、 |動《うご》くことのないようにする。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わがしもべイスラエルよ、 わたしの|選《えら》んだヤコブ、 わが|友《とも》アブラハムの|子孫《しそん》よ、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|地《ち》の|果《はて》から、あなたを|連《つ》れてき、 |地《ち》のすみずみから、あなたを|召《め》して、 あなたに|言《い》った、「あなたは、わたしのしもべ、 わたしは、あなたを|選《えら》んで|捨《す》てなかった」と。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れてはならない、わたしはあなたと|共《とも》にいる。 |驚《おどろ》いてはならない、わたしはあなたの|神《かみ》である。 わたしはあなたを|強《つよ》くし、あなたを|助《たす》け、 わが|勝利《しょうり》の|右《みぎ》の|手《て》をもって、あなたをささえる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたにむかって|怒《いか》る|者《もの》はみな、 はじて、あわてふためき、 あなたと|争《あらそ》う|者《もの》は|滅《ほろ》びて|無《む》に|帰《き》する。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、あなたと|争《あらそ》う|者《もの》を|尋《たず》ねても|見《み》いださず、 あなたと|戦《たたか》う|者《もの》は|全《まった》く|消《き》えうせる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》なるわたしは あなたの|右《みぎ》の|手《て》をとってあなたに|言《い》う、 「|恐《おそ》れてはならない、わたしはあなたを|助《たす》ける」。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「|虫《むし》にひとしいヤコブよ、 イスラエルの|人々《ひとびと》よ、|恐《おそ》れてはならない。 わたしはあなたを|助《たす》ける。 あなたをあがなう|者《もの》はイスラエルの|聖者《せいじゃ》である。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたを|鋭《するど》い|歯《は》のある |新《あたら》しい|打《だ》|穀《こっ》|機《き》とする。 あなたは|山《やま》を|打《う》って、これを|粉々《こなごな》にし、 |丘《おか》をもみがらのようにする。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがあおげば|風《かぜ》はこれを|巻《ま》き|去《さ》り、 つむじ|風《かぜ》がこれを|吹《ふ》き|散《ち》らす。 あなたは|主《しゅ》によって|喜《よろこ》び イスラエルの|聖者《せいじゃ》によって|誇《ほこ》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|貧《まず》しい|者《もの》と|乏《とぼ》しい|者《もの》とは|水《みず》を|求《もと》めても、|水《みず》がなく、 その|舌《した》がかわいて|焼《や》けているとき、 |主《しゅ》なるわたしは|彼《かれ》らに|答《こた》える、 イスラエルの|神《かみ》なるわたしは |彼《かれ》らを|捨《す》てることがない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|裸《はだか》の|山《やま》に|川《かわ》を|開《ひら》き、 |谷《たに》の|中《なか》に|泉《いずみ》をいだし、 |荒野《あらの》を|池《いけ》となし、かわいた|地《ち》を|水《みず》の|源《みなもと》とする。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|荒野《あらの》に|香柏《こうはく》、アカシヤ、 ミルトスおよびオリブの|木《き》を|植《う》え、 さばくに、いとすぎ、すずかけ、 からまつをともに|置《お》く。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はこれを|見《み》て、|主《しゅ》のみ|手《て》がこれをなし、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》がこれを|創造《そうぞう》されたことを|知《し》り、 かつ、よく|考《かんが》えて|共《とも》に|悟《さと》る」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「あなたがたの|訴《うった》えを|出《だ》せ」と。 ヤコブの|王《おう》は|言《い》われる、 「あなたがたの|証拠《しょうこ》を|持《も》ってこい。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それを|持《も》ってきて、|起《おこ》るべき|事《こと》をわれわれに|告《つ》げよ。 さきの|事《こと》どもの|何《なに》であるかを|告《つ》げよ。 われわれはよく|考《かんが》えて、その|結末《けつまつ》を|知《し》ろう。 あるいはきたるべき|事《こと》をわれわれに|聞《き》かせよ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]この|後《のち》きたるべき|事《こと》をわれわれに|告《つ》げよ。 われわれはあなたがたが|神《かみ》であることを |知《し》るであろう。 |幸《さいわい》をくだし、あるいは|災《わざわい》をくだせ。 われわれは|驚《おどろ》いて|肝《きも》をつぶすであろう。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたがたは|無《な》きものである。 あなたがたのわざはむなしい。 あなたがたを|選《えら》ぶ|者《もの》は|憎《にく》むべき|者《もの》である」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはひとりを|起《おこ》して|北《きた》からこさせ、 わが|名《な》を|呼《よ》ぶ|者《もの》を|東《ひがし》からこさせる。 |彼《かれ》はもろもろのつかさを|踏《ふ》みつけて しっくいのようにし、 |陶器《とうき》|師《し》が|粘土《ねんど》を|踏《ふ》むようにする。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]だれか、|初《はじ》めからこの|事《こと》を われわれに|告《つ》げ|知《し》らせたか。 だれか、あらかじめわれわれに|告《つ》げて、 「|彼《かれ》は|正《ただ》しい」と|言《い》わせたか。 ひとりもこの|事《こと》を|告《つ》げた|者《もの》はない。 ひとりも|聞《き》かせた|者《もの》はない。 ひとりもあなたがたの|言葉《ことば》を|聞《き》いた|者《もの》はない。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしははじめてこれをシオンに|告《つ》げた。 わたしは、よきおとずれを|伝《つた》える|者《もの》を エルサレムに|与《あた》える。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしが|見《み》ると、ひとりもない。 |彼《かれ》らのなかには、わたしが|尋《たず》ねても |答《こた》えうる|助言者《じょげんしゃ》はひとりもない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》らはみな|人《ひと》を|惑《まど》わす|者《もの》であって、 そのわざは|無《な》きもの、 その|鋳《い》た|像《ぞう》はむなしき|風《かぜ》である。 [#ここで字下げ終わり] 第四二章[#「第四二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|支持《しじ》するわがしもべ、 わたしの|喜《よろこ》ぶわが|選《えら》び|人《ひと》を|見《み》よ。 わたしはわが|霊《れい》を|彼《かれ》に|与《あた》えた。 |彼《かれ》はもろもろの|国《くに》びとに|道《みち》をしめす。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|叫《さけ》ぶことなく、|声《こえ》をあげることなく、 その|声《こえ》をちまたに|聞《きこ》えさせず、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|傷《きず》ついた|葦《あし》を|折《お》ることなく、 ほのぐらい|灯心《とうしん》を|消《け》すことなく、 |真実《しんじつ》をもって|道《みち》をしめす。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|衰《おとろ》えず、|落胆《らくたん》せず、 ついに|道《みち》を|地《ち》に|確立《かくりつ》する。 |海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》はその|教《おしえ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》を|創造《そうぞう》してこれをのべ、 |地《ち》とそれに|生《しょう》ずるものをひらき、 その|上《うえ》の|民《たみ》に|息《いき》を|与《あた》え、 その|中《なか》を|歩《あゆ》む|者《もの》に|霊《れい》を|与《あた》えられる |主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》なるわたしは|正義《せいぎ》をもってあなたを|召《め》した。 わたしはあなたの|手《て》をとり、あなたを|守《まも》った。 わたしはあなたを|民《たみ》の|契約《けいやく》とし、 もろもろの|国《くに》びとの|光《ひかり》として|与《あた》え、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|盲人《もうじん》の|目《め》を|開《ひら》き、 |囚人《しゅうじん》を|地下《ちか》の|獄屋《ごくや》から|出《だ》し、 |暗《くら》きに|座《ざ》する|者《もの》を|獄屋《ごくや》から|出《だ》させる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》である、これがわたしの|名《な》である。 わたしはわが|栄光《えいこう》をほかの|者《もの》に|与《あた》えない。 また、わが|誉《ほまれ》を|刻《きざ》んだ|像《ぞう》に|与《あた》えない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、さきに|預言《よげん》した|事《こと》は|起《おこ》った。 わたしは|新《あたら》しい|事《こと》を|告《つ》げよう。 その|事《こと》がまだ|起《おこ》らない|前《まえ》に、 わたしはまず、あなたがたに|知《し》らせよう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にむかって|新《あたら》しき|歌《うた》をうたえ。 |地《ち》の|果《はて》から|主《しゅ》をほめたたえよ。 |海《うみ》とその|中《なか》に|満《み》ちるもの、 |海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》とそれに|住《す》む|者《もの》とは|鳴《な》りどよめ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|荒野《あらの》とその|中《なか》のもろもろの|町《まち》と、 ケダルびとの|住《す》むもろもろの|村里《むらざと》は|声《こえ》をあげよ。 セラの|民《たみ》は|喜《よろこ》びうたえ。 |山《やま》の|頂《いただき》から|呼《よ》ばわり|叫《さけ》べ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|栄光《えいこう》を|主《しゅ》に|帰《き》し、 その|誉《ほまれ》を|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》で|語《かた》り|告《つ》げよ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|勇士《ゆうし》のように|出《で》て|行《い》き、 いくさ|人《ひと》のように|熱心《ねっしん》を|起《おこ》し、 ときの|声《こえ》をあげて|呼《よ》ばわり、 その|敵《てき》にむかって|大能《たいのう》をあらわされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|久《ひさ》しく|声《こえ》を|出《だ》さず、 |黙《もく》して、おのれをおさえていた。 |今《いま》わたしは|子《こ》を|産《う》もうとする|女《おんな》のように|叫《さけ》ぶ。 わたしの|息《いき》は|切《き》れ、かつあえぐ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|山《やま》と|丘《おか》とを|荒《あら》し、 すべての|草《くさ》を|枯《か》らし、 もろもろの|川《かわ》を|島《しま》とし、 もろもろの|池《いけ》をからす。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|目《め》しいを |彼《かれ》らのまだ|知《し》らない|大路《おおじ》に|行《い》かせ、 まだ|知《し》らない|道《みち》に|導《みちび》き、 |暗《くら》きをその|前《まえ》に|光《ひかり》とし、 |高低《こうてい》のある|所《ところ》を|平《たい》らにする。 わたしはこれらの|事《こと》をおこなって|彼《かれ》らを|捨《す》てない。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|刻《きざ》んだ|偶像《ぐうぞう》に|頼《たの》み、|鋳《い》た|偶像《ぐうぞう》にむかって 「あなたがたは、われわれの|神《かみ》である」と|言《い》う|者《もの》は |退《しりぞ》けられて、|大《おお》いに|恥《はじ》をかく。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》しいよ、|聞《き》け。 |目《め》しいよ、|目《め》を|注《そそ》いで|見《み》よ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]だれか、わがしもべのほかに|目《め》しいがあるか。 だれか、わがつかわす|使者《ししゃ》のような|耳《みみ》しいがあるか。 だれか、わが|献身《けんしん》|者《もの》のような|目《め》しいがあるか。 だれか、|主《しゅ》のしもべのような|目《め》しいがあるか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|多《おお》くの|事《こと》を|見《み》ても|認《みと》めず、 |耳《みみ》を|開《ひら》いても|聞《き》かない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのれの|義《ぎ》のために、 その|教《おしえ》を|大《おお》いなるものとし、 かつ|光栄《こうえい》あるものとすることを|喜《よろこ》ばれた。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ところが、この|民《たみ》はかすめられ、|奪《うば》われて、 みな|穴《あな》の|中《なか》に|捕《とら》われ、|獄屋《ごくや》の|中《なか》に|閉《と》じこめられた。 |彼《かれ》らはかすめられても|助《たす》ける|者《もの》がなく、 |物《もの》を|奪《うば》われても「もどせ」と|言《い》う|者《もの》もない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうち、 だれがこの|事《こと》に|耳《みみ》を|傾《かたむ》けるだろうか、 だれが|心《こころ》をもちいて |後《のち》のためにこれを|聞《き》くだろうか。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブを|奪《うば》わせた|者《もの》はだれか。 かすめる|者《もの》にイスラエルをわたした|者《もの》はだれか。 これは|主《しゅ》ではないか。 われわれは|主《しゅ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》し、 その|道《みち》に|歩《あゆ》むことを|好《この》まず、 またその|教《おしえ》に|従《したが》うことを|好《この》まなかった。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》は|激《はげ》しい|怒《いか》りと、 |猛烈《もうれつ》な|戦《たたか》いを|彼《かれ》らに|臨《のぞ》ませられた。 それが|火《ひ》のように|周囲《しゅうい》に|燃《も》えても、|彼《かれ》らは|悟《さと》らず、 |彼《かれ》らを|焼《や》いても、|心《こころ》にとめなかった。 [#ここで字下げ終わり] 第四三章[#「第四三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブよ、あなたを|創造《そうぞう》された|主《しゅ》はこう|言《い》われる。イスラエルよ、あなたを|造《つく》られた|主《しゅ》はいまこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「|恐《おそ》れるな、わたしはあなたをあがなった。 わたしはあなたの|名《な》を|呼《よ》んだ、 あなたはわたしのものだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|水《みず》の|中《なか》を|過《す》ぎるとき、 わたしはあなたと|共《とも》におる。 |川《かわ》の|中《なか》を|過《す》ぎるとき、 |水《みず》はあなたの|上《うえ》にあふれることがない。 あなたが|火《ひ》の|中《なか》を|行《い》くとき、|焼《や》かれることもなく、 |炎《ほのお》もあなたに|燃《も》えつくことがない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》である、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》、あなたの|救主《すくいぬし》である。 わたしはエジプトを|与《あた》えて あなたのあがないしろとし、 エチオピヤとセバとをあなたの|代《かわ》りとする。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|目《め》に|尊《たっと》く、|重《おも》んぜられるもの、 わたしはあなたを|愛《あい》するがゆえに、 あなたの|代《かわ》りに|人《ひと》を|与《あた》え、 あなたの|命《いのち》の|代《かわ》りに|民《たみ》を|与《あた》える。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れるな、わたしはあなたと|共《とも》におる。 わたしは、あなたの|子孫《しそん》を|東《ひがし》からこさせ、 |西《にし》からあなたを|集《あつ》める。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|北《きた》にむかって『ゆるせ』と|言《い》い、 |南《みなみ》にむかって『|留《と》めるな』と|言《い》う。 わが|子《こ》らを|遠《とお》くからこさせ、 わが|娘《むすめ》らを|地《ち》の|果《はて》からこさせよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべてわが|名《な》をもってとなえられる|者《もの》をこさせよ。 わたしは|彼《かれ》らをわが|栄光《えいこう》のために|創造《そうぞう》し、 これを|造《つく》り、これを|仕立《した》てた」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》があっても|目《め》しいのような|民《たみ》、 |耳《みみ》があっても|耳《みみ》しいのような|民《たみ》を|連《つ》れ|出《だ》せ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》はみな|相《あい》つどい、 もろもろの|民《たみ》は|集《あつ》まれ。 |彼《かれ》らのうち、だれがこの|事《こと》を|告《つ》げ、 さきの|事《こと》どもを、 われわれに|聞《き》かせることができるか。 その|証人《しょうにん》を|出《だ》して、おのれの|正《ただ》しい|事《こと》を|証明《しょうめい》させ、 それを|聞《き》いて「これは|真実《しんじつ》だ」と|言《い》わせよ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「あなたがたはわが|証人《しょうにん》、 わたしが|選《えら》んだわがしもべである。 それゆえ、あなたがたは|知《し》って、わたしを|信《しん》じ、 わたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》ることができる。 わたしより|前《まえ》に|造《つく》られた|神《かみ》はなく、 わたしより|後《のち》にもない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ただわたしのみ|主《しゅ》である。 わたしのほかに|救《すく》う|者《もの》はいない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはさきに|告《つ》げ、かつ|救《すく》い、かつ|聞《き》かせた。 あなたがたのうちには、ほかの|神《かみ》はなかった。 あなたがたはわが|証人《しょうにん》である」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|神《かみ》である、|今《いま》より|後《のち》もわたしは|主《しゅ》である。 わが|手《て》から|救《すく》い|出《だ》しうる|者《もの》はない。 わたしがおこなえば、 だれが、これをとどめることができよう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたをあがなう|者《もの》、イスラエルの|聖者《せいじゃ》、 |主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「あなたがたのために、 わたしは|人《ひと》をバビロンにつかわし、 すべての|貫《かん》の|木《き》をこわし、 カルデヤびとの|喜《よろこ》びの|声《こえ》を|嘆《なげ》きに|変《かわ》らせる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》、あなたがたの|聖者《せいじゃ》、 イスラエルの|創造者《そうぞうしゃ》、あなたがたの|王《おう》である」。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》のなかに|大路《おおじ》を|設《もう》け、 |大《おお》いなる|水《みず》の|中《なか》に|道《みち》をつくり、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|戦車《せんしゃ》および|馬《うま》、|軍勢《ぐんぜい》および|兵士《へいし》を|出《で》てこさせ、 これを|倒《たお》して|起《お》きることができないようにし、 |絶《た》え|滅《ほろ》ぼして、|灯心《とうしん》の|消《き》えうせるようにされる |主《しゅ》はこう|言《い》われる、 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたは、さきの|事《こと》を|思《おも》い|出《だ》してはならない、 また、いにしえのことを|考《かんが》えてはならない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|新《あたら》しい|事《こと》をなす。 やがてそれは|起《おこ》る、 あなたがたはそれを|知《し》らないのか。 わたしは|荒野《あらの》に|道《みち》を|設《もう》け、 さばくに|川《かわ》を|流《なが》れさせる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》の|獣《けもの》はわたしをあがめ、 |山犬《やまいぬ》および、だちょうもわたしをあがめる。 わたしが|荒野《あらの》に|水《みず》をいだし、 さばくに|川《かわ》を|流《なが》れさせて、 わたしの|選《えら》んだ|民《たみ》に|飲《の》ませるからだ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》は、わが|誉《ほまれ》を|述《の》べさせるために わたしが|自分《じぶん》のために|造《つく》ったものである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ところがヤコブよ、あなたはわたしを|呼《よ》ばなかった。 イスラエルよ、あなたはわたしをうとんじた。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|燔祭《はんさい》の|羊《ひつじ》をわたしに|持《も》ってこなかった。 また|犠牲《ぎせい》をもってわたしをあがめなかった。 わたしは|供《そな》え|物《もの》の|重荷《おもに》をあなたに|負《お》わせなかった。 また|乳香《にゅうこう》をもってあなたを|煩《わずら》わさなかった。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|金《かね》を|出《だ》して、 わたしのために|菖蒲《しょうぶ》を|買《か》わず、 |犠牲《ぎせい》の|脂肪《しぼう》を|供《そな》えて、わたしを|飽《あ》かせず、 かえって、あなたの|罪《つみ》の|重荷《おもに》をわたしに|負《お》わせ、 あなたの|不義《ふぎ》をもって、わたしを|煩《わずら》わせた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしこそ、わたし|自身《じしん》のために あなたのとがを|消《け》す|者《もの》である。 わたしは、あなたの|罪《つみ》を|心《こころ》にとめない。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|自分《じぶん》の|正《ただ》しいことを|証明《しょうめい》するために |自分《じぶん》のことを|述《の》べて、わたしに|思《おも》い|出《だ》させよ。 われわれは|共《とも》に|論《ろん》じよう。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|遠《とお》い|先祖《せんぞ》は|罪《つみ》を|犯《おか》し、 あなたの|仲保者《ちゅうほしゃ》らはわたしにそむいた。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|聖所《せいじょ》の|君《きみ》たちを|汚《けが》し、 ヤコブを|全《まった》き|滅《ほろ》びにわたし、 イスラエルをののしらしめた。 [#ここで字下げ終わり] 第四四章[#「第四四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わがしもべヤコブよ、 わたしが|選《えら》んだイスラエルよ、いま|聞《き》け。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|造《つく》り、あなたを|胎内《たいない》に|形《かたち》|造《つく》り、 あなたを|助《たす》ける|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 『わがしもべヤコブよ、 わたしが|選《えら》んだエシュルンよ、|恐《おそ》れるな。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、かわいた|地《ち》に|水《みず》を|注《そそ》ぎ、 |干《ひ》からびた|地《ち》に|流《なが》れをそそぎ、 わが|霊《れい》をあなたの|子《こ》らにそそぎ、 わが|恵《めぐ》みをあなたの|子孫《しそん》に|与《あた》えるからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|彼《かれ》らは|水《みず》の|中《なか》の|草《くさ》のように、 |流《なが》れのほとりの|柳《やなぎ》のように、|生《は》え|育《そだ》つ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ある|人《ひと》は「わたしは|主《しゅ》のものである」と|言《い》い、 ある|人《ひと》はヤコブの|名《な》をもって|自分《じぶん》を|呼《よ》び、 またある|人《ひと》は「|主《しゅ》のものである」と|手《て》にしるして、 イスラエルの|名《な》をもって|自分《じぶん》を|呼《よ》ぶ』」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》、イスラエルの|王《おう》、イスラエルをあがなう|者《もの》、 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「わたしは|初《はじ》めであり、わたしは|終《おわ》りである。 わたしのほかに|神《かみ》はない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]だれかわたしに|等《ひと》しい|者《もの》があるか。 その|者《もの》はそれを|示《しめ》し、またそれを|告《つ》げ、 わが|前《まえ》に|言《い》いつらねよ。 だれが、|昔《むかし》から、きたるべき|事《こと》を|聞《き》かせたか。 その|者《もの》はやがて|成《な》るべき|事《こと》をわれわれに|告《つ》げよ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れてはならない、またおののいてはならない。 わたしはこの|事《こと》を|昔《むかし》から、 あなたがたに|聞《き》かせなかったか、 また|告《つ》げなかったか。 あなたがたはわが|証人《しょうにん》である。 わたしのほかに|神《かみ》があるか。 わたしのほかに|岩《いわ》はない。 わたしはそのあることを|知《し》らない」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》る|者《もの》は|皆《みな》むなしく、|彼《かれ》らの|喜《よろこ》ぶところのものは、なんの|役《やく》にも|立《た》たない。その|信者《しんじゃ》は|見《み》ることもなく、また|知《し》ることもない。ゆえに|彼《かれ》らは|恥《はじ》を|受《う》ける。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]だれが|神《かみ》を|造《つく》り、またなんの|役《やく》にも|立《た》たない|偶像《ぐうぞう》を|鋳《い》たか。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、その|仲間《なかま》は|皆《みな》|恥《はじ》を|受《う》ける。その|細工人《さいくにん》らは|人間《にんげん》にすぎない。|彼《かれ》らが|皆《みな》|集《あつ》まって|立《た》つとき、|恐《おそ》れて|共《とも》に|恥《は》じる。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|鉄《てつ》の|細工人《さいくにん》はこれを|造《つく》るのに|炭《すみ》の|火《ひ》をもって|細工《さいく》し、|鎚《つち》をもってこれを|造《つく》り、|強《つよ》い|腕《うで》をもってこれを|鍛《きた》える。|彼《かれ》が|飢《う》えれば|力《ちから》は|衰《おとろ》え、|水《みず》を|飲《の》まなければ|疲《つか》れはてる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|木《き》の|細工人《さいくにん》は|線《せん》を|引《ひ》き、|鉛筆《えんぴつ》でえがき、かんなで|削《けず》り、コンパスでえがき、それを|人《ひと》の|美《うつく》しい|姿《すがた》にしたがって|人《ひと》の|形《かたち》に|造《つく》り、|家《いえ》の|中《なか》に|安置《あんち》する。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|香柏《こうはく》を|切《き》り|倒《たお》し、あるいはかしの|木《き》、あるいはかしわの|木《き》を|選《えら》んで、それを|林《はやし》の|木《き》の|中《なか》で|強《つよ》く|育《そだ》てる。あるいは|香柏《こうはく》を|植《う》え、|雨《あめ》にそれを|育《そだ》てさせる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|人《ひと》はその|一部《いちぶ》をとって、たきぎとし、これをもって|身《み》を|暖《あたた》め、またこれを|燃《も》やしてパンを|焼《や》き、また|他《た》の|一部《いちぶ》を|神《かみ》に|造《つく》って|拝《おが》み、|刻《きざ》んだ|像《ぞう》に|造《つく》ってその|前《まえ》にひれ|伏《ふ》す。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|半《なか》ばは|火《ひ》に|燃《も》やし、その|半《なか》ばで|肉《にく》を|煮《に》て|食《た》べ、あるいは|肉《にく》をあぶって|食《た》べ|飽《あ》き、また|身《み》を|暖《あたた》めて|言《い》う、「ああ、|暖《あたた》まった、|熱《あつ》くなった」と。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|余《あま》りをもって|神《かみ》を|造《つく》って|偶像《ぐうぞう》とし、その|前《まえ》にひれ|伏《ふ》して|拝《おが》み、これに|祈《いの》って、「あなたはわが|神《かみ》だ、わたしを|救《すく》え」と|言《い》う。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これらの|人《ひと》は|知《し》ることがなく、また|悟《さと》ることがない。その|目《め》はふさがれて|見《み》ることができず、その|心《こころ》は|鈍《にぶ》くなって|悟《さと》ることができない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|心《こころ》のうちに|思《おも》うことをせず、また|知識《ちしき》がなく、|悟《さと》りがないために、「わたしはその|半《なか》ばを|火《ひ》に|燃《も》やし、またその|炭火《すみび》の|上《うえ》でパンを|焼《や》き、|肉《にく》をあぶって|食《た》べ、その|残《のこ》りの|木《き》をもって|憎《にく》むべきものを|造《つく》るのか。|木《き》のはしくれの|前《まえ》にひれ|伏《ふ》すのか」と|言《い》う|者《もの》もない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|灰《はい》を|食《く》い、|迷《まよ》った|心《こころ》に|惑《まど》わされて、おのれを|救《すく》うことができず、また「わが|右《みぎ》の|手《て》に|偽《いつわ》りがあるではないか」と|言《い》わない。 [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブよ、イスラエルよ、これらの|事《こと》を|心《こころ》にとめよ。 あなたはわがしもべだから。 わたしはあなたを|造《つく》った、 あなたはわがしもべだ。 イスラエルよ、わたしはあなたを|忘《わす》れない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのとがを|雲《くも》のように|吹《ふ》き|払《はら》い、 あなたの|罪《つみ》を|霧《きり》のように|消《け》した。 わたしに|立《た》ち|返《かえ》れ、 わたしはあなたをあがなったから。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》よ、|歌《うた》え、|主《しゅ》がこの|事《こと》をなされたから。 |地《ち》の|深《ふか》き|所《ところ》よ、|呼《よ》ばわれ。 もろもろの|山《やま》よ、|林《はやし》およびその|中《なか》のもろもろの|木《き》よ、 |声《こえ》を|放《はな》って|歌《うた》え。 |主《しゅ》はヤコブをあがない、 イスラエルのうちに|栄光《えいこう》をあらわされたから。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたをあがない、 あなたを|胎内《たいない》に|造《つく》られた|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「わたしは|主《しゅ》である。わたしはよろずの|物《もの》を|造《つく》り、 ただわたしだけが|天《てん》をのべ、|地《ち》をひらき、 ――だれがわたしと|共《とも》にいたか―― [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》る|物《もの》のしるしをむなしくし、 |占《うらな》う|者《もの》を|狂《くる》わせ、 |賢《かしこ》い|者《もの》をうしろに|退《しりぞ》けて、その|知識《ちしき》を|愚《おろ》かにする。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わがしもべの|言葉《ことば》を|遂《と》げさせ、 わが|使《つかい》の|計《はか》りごとを|成《な》らせ、 エルサレムについては、 『これは|民《たみ》の|住《す》む|所《ところ》となる』と|言《い》い、 ユダのもろもろの|町《まち》については、 『ふたたび|建《た》てられる、 わたしはその|荒《あ》れ|跡《あと》を|興《おこ》そう』と|言《い》い、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]また|淵《ふち》については、『かわけ、わたしは あなたのもろもろの|川《かわ》を|干《ほ》す』と|言《い》い、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]またクロスについては、『|彼《かれ》はわが|牧者《ぼくしゃ》、 わが|目的《もくてき》をことごとくなし|遂《と》げる』と|言《い》い、 エルサレムについては、 『ふたたび|建《た》てられる』と|言《い》い、 |神殿《しんでん》については、 『あなたの|基《もとい》がすえられる』と|言《い》う」。 [#ここで字下げ終わり] 第四五章[#「第四五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|受膏者《じゅこうしゃ》クロスの |右《みぎ》の|手《て》をとって、 もろもろの|国《くに》をその|前《まえ》に|従《したが》わせ、 もろもろの|王《おう》の|腰《こし》を|解《と》き、 とびらをその|前《まえ》に|開《ひら》かせて、 |門《もん》を|閉《と》じさせない、と|言《い》われる|主《しゅ》は その|受膏者《じゅこうしゃ》クロスにこう|言《い》われる、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたの|前《まえ》に|行《い》って、 もろもろの|山《やま》を|平《たい》らにし、 |青銅《せいどう》のとびらをこわし、|鉄《てつ》の|貫《かん》の|木《き》を|断《た》ち|切《き》り、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたに、|暗《くら》い|所《ところ》にある|財宝《ざいほう》と、 ひそかな|所《ところ》に|隠《かく》した|宝物《ほうもつ》とを|与《あた》えて、 わたしは|主《しゅ》、あなたの|名《な》を|呼《よ》んだ イスラエルの|神《かみ》であることをあなたに|知《し》らせよう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わがしもべヤコブのために、 わたしの|選《えら》んだイスラエルのために、 わたしはあなたの|名《な》を|呼《よ》んだ。 あなたがわたしを|知《し》らなくても、 わたしはあなたに|名《な》を|与《あた》えた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》である。 わたしのほかに|神《かみ》はない、ひとりもない。 あなたがわたしを|知《し》らなくても、 わたしはあなたを|強《つよ》くする。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これは|日《ひ》の|出《で》る|方《ほう》から、また|西《にし》の|方《ほう》から、 |人々《ひとびと》がわたしのほかに|神《かみ》のないことを |知《し》るようになるためである。 わたしは|主《しゅ》である、わたしのほかに|神《かみ》はない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|光《ひかり》をつくり、また|暗《くら》きを|創造《そうぞう》し、 |繁栄《はんえい》をつくり、またわざわいを|創造《そうぞう》する。 わたしは|主《しゅ》である、 すべてこれらの|事《こと》をなす|者《もの》である。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》よ、|上《うえ》より|水《みず》を|注《そそ》げ、 |雲《くも》は|義《ぎ》を|降《ふ》らせよ。 |地《ち》は|開《ひら》けて|救《すくい》を|生《しょう》じ、また|義《ぎ》をも、|生《は》えさせよ。 |主《しゅ》なるわたしはこれを|創造《そうぞう》した。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|陶器《とうき》が|陶器《とうき》|師《し》と|争《あらそ》うように、 おのれを|造《つく》った|者《もの》と|争《あらそ》う|者《もの》はわざわいだ。 |粘土《ねんど》は|陶器《とうき》|師《し》にむかって 『あなたは|何《なに》を|造《つく》るか』と|言《い》い、 あるいは『あなたの|造《つく》った|物《もの》には|手《て》がない』と |言《い》うだろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|父《ちち》にむかって 『あなたは、なぜ|子《こ》をもうけるのか』と|言《い》い、 あるいは|女《おんな》にむかって 『あなたは、なぜ|産《う》みの|苦《くる》しみをするのか』と |言《い》う|者《もの》はわざわいだ」。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|聖者《せいじゃ》、 イスラエルを|造《つく》られた|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「あなたがたは、わが|子《こ》らについてわたしに|問《と》い、 またわが|手《て》のわざについてわたしに|命《めい》ずるのか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|地《ち》を|造《つく》って、その|上《うえ》に|人《ひと》を|創造《そうぞう》した。 わたしは|手《て》をもって|天《てん》をのべ、 その|万軍《ばんぐん》を|指揮《しき》した。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|義《ぎ》をもってクロスを|起《おこ》した。 わたしは|彼《かれ》のすべての|道《みち》をまっすぐにしよう。 |彼《かれ》はわが|町《まち》を|建《た》て、 わが|捕囚《ほしゅう》を|価《あたい》のためでなく、 また|報《むく》いのためでもなく|解《と》き|放《はな》つ」と |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「エジプトの|富《とみ》と、エチオピヤの|商品《しょうひん》と、 たけの|高《たか》いセバびととは あなたに|来《き》て、あなたのものとなり、あなたに|従《したが》い、 |彼《かれ》らは|鎖《くさり》につながれて|来《き》て、あなたの|前《まえ》にひれ|伏《ふ》し、 あなたに|願《ねが》って|言《い》う、 『|神《かみ》はただあなたと|共《とも》にいまし、 このほかに|神《かみ》はなく、ひとりもない』」。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|救主《すくいぬし》よ、 まことに、あなたは ご|自分《じぶん》を|隠《かく》しておられる|神《かみ》である。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》る|者《もの》は|皆《みな》|恥《はじ》を|負《お》い、はずかしめを|受《う》け、 ともに、あわてふためいて|退《しりぞ》く。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、イスラエルは|主《しゅ》に|救《すく》われて、 とこしえの|救《すくい》を|得《え》る。 あなたがたは|世々《よよ》かぎりなく、 |恥《はじ》を|負《お》わず、はずかしめを|受《う》けない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》を|創造《そうぞう》された|主《しゅ》、すなわち|神《かみ》であって また|地《ち》をも|造《つく》り|成《な》し、これを|堅《かた》くし、 いたずらにこれを|創造《そうぞう》されず、 これを|人《ひと》のすみかに|造《つく》られた|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「わたしは|主《しゅ》である、わたしのほかに|神《かみ》はない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|隠《かく》れたところ、|地《ち》の|暗《くら》い|所《ところ》で|語《かた》らず、 ヤコブの|子孫《しそん》に 『わたしを|尋《たず》ねるのはむだだ』と|言《い》わなかった。 |主《しゅ》なるわたしは|正《ただ》しい|事《こと》を|語《かた》り、 まっすぐな|事《こと》を|告《つ》げる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》からのがれてきた|者《もの》よ、 |集《あつ》まってきて、|共《とも》に|近寄《ちかよ》れ。 |木像《もくぞう》をにない、 |救《すく》うことのできない|神《かみ》に|祈《いの》る|者《もの》は|無知《むち》である。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|言《い》い|分《ぶん》を|持《も》ってきて|述《の》べよ。 また|共《とも》に|相談《そうだん》せよ。 この|事《こと》をだれがいにしえから|示《しめ》したか。 だれが|昔《むかし》から|告《つ》げたか。 わたし、すなわち|主《しゅ》ではなかったか。 わたしのほかに|神《かみ》はない。 わたしは|義《ぎ》なる|神《かみ》、|救主《すくいぬし》であって、 わたしのほかに|神《かみ》はない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|果《はて》なるもろもろの|人《ひと》よ、 わたしを|仰《あお》ぎのぞめ、そうすれば|救《すく》われる。 わたしは|神《かみ》であって、ほかに|神《かみ》はないからだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》をさして|誓《ちか》った、 わたしの|口《くち》から|出《で》た|正《ただ》しい|言葉《ことば》は|帰《かえ》ることがない、 『すべてのひざはわが|前《まえ》にかがみ、 すべての|舌《した》は|誓《ちか》いをたてる』。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はわたしについて|言《い》う、 『|正義《せいぎ》と|力《ちから》とは|主《しゅ》にのみある』と。 |人々《ひとびと》は|主《しゅ》にきたり、 |主《しゅ》にむかって|怒《いか》る|者《もの》は|皆《みな》|恥《はじ》を|受《う》ける。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|子孫《しそん》は|皆《みな》 |主《しゅ》によって|勝《か》ち|誇《ほこ》ることができる」。 [#ここで字下げ終わり] 第四六章[#「第四六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ベルは|伏《ふ》し、ネボはかがみ、 |彼《かれ》らの|像《ぞう》は|獣《けもの》と|家畜《かちく》との|上《うえ》にある。 あなたがたが|持《も》ち|歩《ある》いたものは|荷《に》となり、 |疲《つか》れた|獣《けもの》の|重荷《おもに》となった。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはかがみ、|彼《かれ》らは|共《とも》に|伏《ふ》し、 |重荷《おもに》となった|者《もの》を|救《すく》うことができず かえって、|自分《じぶん》は|捕《とら》われて|行《い》く。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「ヤコブの|家《いえ》よ、 イスラエルの|家《いえ》の|残《のこ》ったすべての|者《もの》よ、 |生《うま》れ|出《で》た|時《とき》から、わたしに|負《お》われ、 |胎《たい》を|出《で》た|時《とき》から、わたしに|持《も》ち|運《はこ》ばれた|者《もの》よ、 わたしに|聞《き》け。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|年老《としお》いるまで|変《かわ》らず、 |白髪《はくはつ》となるまで、あなたがたを|持《も》ち|運《はこ》ぶ。 わたしは|造《つく》ったゆえ、|必《かなら》ず|負《お》い、 |持《も》ち|運《はこ》び、かつ|救《すく》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わたしをだれにたぐい、 だれと|等《ひと》しくし、だれにくらべ、 かつなぞらえようとするのか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|袋《ふくろ》からこがねを|注《そそ》ぎ|出《だ》し、 はかりをもって、しろがねをはかり、 |金《きん》|細工人《ざいくにん》を|雇《やと》って、それを|神《かみ》に|造《つく》らせ、 これにひれ|伏《ふ》して|拝《おが》む。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはこれをもたげて|肩《かた》に|載《の》せ、 |持《も》って|行《い》って、その|所《ところ》に|置《お》き、そこに|立《た》たせる。 これはその|所《ところ》から|動《うご》くことができない。 |人《ひと》がこれに|呼《よ》ばわっても|答《こた》えることができない。 また|彼《かれ》をその|悩《なや》みから|救《すく》うことができない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはこの|事《こと》をおぼえ、よく|考《かんが》えよ。 そむける|者《もの》よ、この|事《こと》を|心《こころ》にとめよ、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]いにしえよりこのかたの|事《こと》をおぼえよ。 わたしは|神《かみ》である、わたしのほかに|神《かみ》はない。 わたしは|神《かみ》である、わたしと|等《ひと》しい|者《もの》はない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|終《おわ》りの|事《こと》を|初《はじ》めから|告《つ》げ、 まだなされない|事《こと》を|昔《むかし》から|告《つ》げて|言《い》う、 『わたしの|計《はか》りごとは|必《かなら》ず|成《な》り、 わが|目的《もくてき》をことごとくなし|遂《と》げる』と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|東《ひがし》から|猛禽《もうきん》を|招《まね》き、 |遠《とお》い|国《くに》からわが|計《はか》りごとを|行《おこな》う|人《ひと》を|招《まね》く。 わたしはこの|事《こと》を|語《かた》ったゆえ、|必《かなら》ずこさせる。 わたしはこの|事《こと》をはかったゆえ、|必《かなら》ず|行《おこな》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》をかたくなにして、|救《すくい》に|遠《とお》い|者《もの》よ、 わたしに|聞《き》け。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|救《すくい》を|近《ちか》づかせるゆえ、 その|来《く》ることは|遠《とお》くない。 わが|救《すくい》はおそくない。 わたしは|救《すくい》をシオンに|与《あた》え、 わが|栄光《えいこう》をイスラエルに|与《あた》える」。 [#ここで字下げ終わり] 第四七章[#「第四七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|処女《しょじょ》なるバビロンの|娘《むすめ》よ、 |下《くだ》って、ちりの|中《なか》にすわれ。 カルデヤびとの|娘《むすめ》よ、 |王座《おうざ》のない|地《ち》にすわれ。 あなたはもはや、やさしく、たおやかな|女《おんな》と となえられることはない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|石《いし》うすをとって|粉《こな》をひけ、 |顔《かお》おおいを|取《と》り|去《さ》り、うちぎを|脱《ぬ》ぎ、 すねをあらわして|川《かわ》を|渡《わた》れ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|裸《はだか》はあらわれ、 あなたの|恥《はじ》は|見《み》られる。 わたしはあだを|報《むく》いて、|何人《なにび》とをも|助《たす》けない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われわれをあがなう|者《もの》は その|名《な》を|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》といい、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》である。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとの|娘《むすめ》よ、 |黙《もく》してすわれ、また|暗《くら》い|所《ところ》にはいれ。 あなたはもはや、もろもろの|国《くに》の|女王《じょおう》と となえられることはない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|民《たみ》を|憤《いきどお》り、 わが|嗣《し》|業《ぎょう》を|汚《けが》して、これをあなたの|手《て》に|渡《わた》した。 あなたはこれに、あわれみを|施《ほどこ》さず、 |年老《としお》いた|者《もの》の|上《うえ》に、はなはだ|重《おも》いくびきを|負《お》わせた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》った、 「わたしは、とこしえに|女王《じょおう》となる」と。 そして、あなたはこれらの|事《こと》を|心《こころ》にとめず、 またその|終《おわ》りを|思《おも》わなかった。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|楽《たの》しみにふけり、|安《やす》らかにおり、 |心《こころ》のうちに「ただわたしだけで、 わたしのほかにだれもなく、 わたしは|寡婦《かふ》となることはない、 また|子《こ》を|失《うしな》うことはない」と|言《い》う|者《もの》よ、 |今《いま》この|事《こと》を|聞《き》け。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これらの二つの|事《こと》は一|日《にち》のうちに、 またたくまにあなたに|臨《のぞ》む。 すなわち|子《こ》を|失《うしな》い、|寡婦《かふ》となる|事《こと》は たといあなたが|多《おお》くの|魔術《まじゅつ》を|行《おこな》い、 |魔法《まほう》の|大《おお》いなる|力《ちから》をもってしても ことごとくあなたに|臨《のぞ》む。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|悪《あく》に|寄《よ》り|頼《たよ》んで|言《い》う、 「わたしを|見《み》る|者《もの》はない」と。 あなたの|知恵《ちえ》と、あなたの|知識《ちしき》とは あなたを|惑《まど》わした。 あなたは|心《こころ》のうちに|言《い》った、 「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもない」と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わざわいが、あなたに|臨《のぞ》む、 あなたは、それをあがなうことができない。 なやみが、あなたを|襲《おそ》う、 あなたは、それをつぐなうことができない。 |滅《ほろ》びが、にわかにあなたに|臨《のぞ》む、 あなたは、それについて|何《なに》も|知《し》らない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|若《わか》い|時《とき》から|勤《つと》め|行《い》ったあなたの|魔法《まほう》と、 |多《おお》くの|魔術《まじゅつ》とをもって|立《た》ちむかってみよ、 あるいは|成功《せいこう》するかもしれない、 あるいは|敵《てき》を|恐《おそ》れさせるかもしれない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|多《おお》くの|計《はか》りごとによってうみ|疲《つか》れた。 かの|天《てん》を|分《わ》かつ|者《もの》、|星《ほし》を|見《み》る|者《もの》、 |新月《しんげつ》によって、あなたに|臨《のぞ》む|事《こと》を|告《つ》げる|者《もの》を |立《た》ちあがらせて、あなたを|救《すく》わせてみよ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》らはわらのようになって、 |火《ひ》に|焼《や》き|滅《ほろ》ぼされ、 |自分《じぶん》の|身《み》を|炎《ほのお》の|勢《いきお》いから、|救《すく》い|出《だ》すことができない。 その|火《ひ》は|身《み》を|暖《あたた》める|炭火《すみび》ではない、 またその|前《まえ》にすわるべき|火《ひ》でもない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|勤《つと》めて|行《おこな》ったものと、 あなたの|若《わか》い|時《とき》からあなたと|売《う》り|買《か》いした|者《もの》とは、 ついにこのようになる。 |彼《かれ》らはめいめい|自分《じぶん》の|方向《ほうこう》にさすらいゆき、 ひとりもあなたを|救《すく》う|者《もの》はない。 [#ここで字下げ終わり] 第四八章[#「第四八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|家《いえ》よ、これを|聞《き》け。 あなたがたはイスラエルの|名《な》をもってとなえられ、 ユダの|腰《こし》から|出《で》、 |主《しゅ》の|名《な》によって|誓《ちか》い、 イスラエルの|神《かみ》をとなえるけれども、 |真実《しんじつ》をもってせず、|正義《せいぎ》をもってしない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみずから|聖《せい》なる|都《みやこ》のものととなえ、 イスラエルの|神《かみ》に|寄《よ》り|頼《たの》む。 その|名《な》は|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》という。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはさきに|成《な》った|事《こと》を、いにしえから|告《つ》げた。 わたしは|口《くち》から|出《だ》して|彼《かれ》らに|知《し》らせた。 わたしは、にわかにこの|事《こと》を|行《おこな》い、そして|成《な》った。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたが、かたくなで、その|首《くび》は|鉄《てつ》の|筋《すじ》、 その|額《ひたい》は|青銅《せいどう》であることを|知《し》るゆえに、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]いにしえから、かの|事《こと》をあなたに|告《つ》げ、 その|成《な》らないさきに、これをあなたに|聞《き》かせた。 そうでなければ、あなたは|言《い》うだろう、 『わが|偶像《ぐうぞう》がこれをしたのだ、 わが|刻《きざ》んだ|像《ぞう》と、|鋳《い》た|像《ぞう》がこれを|命《めい》じたのだ』と。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはすでに|聞《き》いた、 すべてこれが|成《な》ったことを|見《み》よ。 あなたがたはこれを|宣《の》べ|伝《つた》えないのか。 わたしは|今《いま》から|新《あたら》しい|事《こと》、 あなたがまだ|知《し》らない|隠《かく》れた|事《こと》を あなたに|聞《き》かせよう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これらの|事《こと》はいま|創造《そうぞう》されたので、 いにしえからあったのではない。 この|日《ひ》|以前《いぜん》には、あなたはこれを|聞《き》かなかった。 そうでなければ、あなたは|言《い》うだろう、 『|見《み》よ、わたしはこれを|知《し》っていた』と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれを|聞《き》くこともなく、|知《し》ることもなく、 あなたの|耳《みみ》は、いにしえから|開《ひら》かれなかった。 わたしはあなたが|全《まった》く|不信実《ふしんじつ》で、 |生《うま》れながら|反逆者《はんぎゃくしゃ》ととなえられたことを |知《し》っていたからである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|名《な》のために、わたしは|怒《いか》りをおそくする。 わが|誉《ほまれ》のために、わたしはこれをおさえて、 あなたを|断《た》ち|滅《ほろ》ぼすことをしない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたを|練《ね》った。 しかし|銀《ぎん》のようにではなくて、 |苦《くる》しみの|炉《ろ》をもってあなたを|試《こころ》みた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》のために、|自分《じぶん》のためにこれを|行《おこな》う。 どうしてわが|名《な》を|汚《けが》させることができよう。 わたしはわが|栄光《えいこう》を ほかの|者《もの》に|与《あた》えることをしない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブよ、わたしの|召《め》したイスラエルよ、 わたしに|聞《き》け。 わたしはそれだ、わたしは|初《はじ》めであり、 わたしはまた|終《おわ》りである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わが|手《て》は|地《ち》の|基《もとい》をすえ、 わが|右《みぎ》の|手《て》は|天《てん》をのべた。 わたしが|呼《よ》ぶと、|彼《かれ》らはもろともに|立《た》つ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|皆《みな》|集《あつ》まって|聞《き》け。 |彼《かれ》らのうち、だれがこれらの|事《こと》を|告《つ》げたか。 |主《しゅ》の|愛《あい》せられる|彼《かれ》は |主《しゅ》のみこころをバビロンに|行《おこな》い、 その|腕《うで》はカルデヤびとの|上《うえ》に|臨《のぞ》む。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|語《かた》ったのは、ただわたしであって、 わたしは|彼《かれ》を|召《め》した。 わたしは|彼《かれ》をこさせた。 |彼《かれ》はその|道《みち》に|栄《さか》える。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしに|近寄《ちかよ》って、これを|聞《き》け。 わたしは|初《はじ》めから、ひそかに|語《かた》らなかった。 それが|成《な》った|時《とき》から、わたしはそこにいたのだ」。 いま|主《しゅ》なる|神《かみ》は、わたしとその|霊《れい》とをつかわされた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのあがない|主《ぬし》、イスラエルの|聖者《せいじゃ》、 |主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「わたしはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。 わたしは、あなたの|利益《りえき》のために、あなたを|教《おし》え、 あなたを|導《みちび》いて、その|行《い》くべき|道《みち》に|行《い》かせる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたはわたしの|戒《いまし》めに|聞《き》き|従《したが》うように。 そうすれば、あなたの|平安《へいあん》は|川《かわ》のように、 あなたの|義《ぎ》は|海《うみ》の|波《なみ》のようになり、 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのすえは|砂《すな》のように、 あなたの|子孫《しそん》は|砂粒《すなつぶ》のようになって、 その|名《な》はわが|前《まえ》から|断《た》たれることなく、|滅《ほろ》ぼされることはない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはバビロンから|出《で》、 カルデヤからのがれよ。 |喜《よろこ》びの|声《こえ》をもってこれをのべ|聞《き》かせ、 |地《ち》の|果《はて》にまで|語《かた》り|伝《つた》え、 「|主《しゅ》はそのしもべヤコブをあがなわれた」と|言《い》え。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|導《みちび》いて、さばくを|通《とお》らせられたとき、 |彼《かれ》らは、かわいたことがなかった。 |主《しゅ》は|彼《かれ》らのために|岩《いわ》から|水《みず》を|流《なが》れさせ、 また|岩《いわ》を|裂《さ》かれると、|水《みず》がほとばしり|出《で》た。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、 「|悪《わる》い|者《もの》には|平安《へいあん》がない」と。 [#ここで字下げ終わり] 第四九章[#「第四九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》よ、わたしに|聞《き》け。 |遠《とお》いところのもろもろの|民《たみ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 |主《しゅ》はわたしを|生《うま》れ|出《で》た|時《とき》から|召《め》し、 |母《はは》の|胎《たい》を|出《で》た|時《とき》からわが|名《な》を|語《かた》り|告《つ》げられた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわが|口《くち》を|鋭利《えいり》なつるぎとなし、 わたしをみ|手《て》の|陰《かげ》にかくし、 とぎすました|矢《や》となして、 |箙《えびら》にわたしを|隠《かく》された。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしに|言《い》われた、 「あなたはわがしもべ、 わが|栄光《えいこう》をあらわすべきイスラエルである」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|言《い》った、 「わたしはいたずらに|働《はたら》き、 |益《えき》なく、むなしく|力《ちから》を|費《ついや》した。 しかもなお、まことにわが|正《ただ》しきは|主《しゅ》と|共《とも》にあり、 わが|報《むく》いはわが|神《かみ》と|共《とも》にある」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブをおのれに|帰《かえ》らせ、 イスラエルをおのれのもとに|集《あつ》めるために、 わたしを|腹《はら》の|中《うち》からつくって そのしもべとされた|主《しゅ》は|言《い》われる。 (わたしは|主《しゅ》の|前《まえ》に|尊《たっと》ばれ、 わが|神《かみ》はわが|力《ちから》となられた) [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「あなたがわがしもべとなって、 ヤコブのもろもろの|部族《ぶぞく》をおこし、 イスラエルのうちの|残《のこ》った|者《もの》を|帰《かえ》らせることは、 いとも|軽《かる》い|事《こと》である。 わたしはあなたを、もろもろの|国《くに》びとの|光《ひかり》となして、 わが|救《すくい》を|地《ち》の|果《はて》にまでいたらせよう」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのあがない|主《ぬし》、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》なる|主《しゅ》は、 |人《ひと》に|侮《あなど》られる|者《もの》、|民《たみ》に|忌《い》みきらわれる|者《もの》、 つかさたちのしもべにむかってこう|言《い》われる、 「もろもろの|王《おう》は|見《み》て、|立《た》ちあがり、 もろもろの|君《きみ》は|立《た》って、|拝《はい》する。 これは|真実《しんじつ》なる|主《しゅ》、イスラエルの|聖者《せいじゃ》が、 あなたを|選《えら》ばれたゆえである」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「わたしは|恵《めぐ》みの|時《とき》に、あなたに|答《こた》え、 |救《すくい》の|日《ひ》にあなたを|助《たす》けた。 わたしはあなたを|守《まも》り、 あなたを|与《あた》えて|民《たみ》の|契約《けいやく》とし、 |国《くに》を|興《おこ》し、|荒《あ》れすたれた|地《ち》を|嗣《し》|業《ぎょう》として|継《つ》がせる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|捕《とら》えられた|人《ひと》に『|出《で》よ』と|言《い》い、 |暗《くら》きにおる|者《もの》に『あらわれよ』と|言《い》う。 |彼《かれ》らは|道《みち》すがら|食《た》べることができ、 すべての|裸《はだか》の|山《やま》にも|牧草《ぼくそう》を|得《え》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|飢《う》えることがなく、かわくこともない。 また|熱《あつ》い|風《かぜ》も、|太陽《たいよう》も|彼《かれ》らを|撃《う》つことはない。 |彼《かれ》らをあわれむ|者《もの》が|彼《かれ》らを|導《みちび》き、 |泉《いずみ》のほとりに|彼《かれ》らを|導《みちび》かれるからだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わがもろもろの|山《やま》を|道《みち》とし、 わが|大路《おおじ》を|高《たか》くする。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|人々《ひとびと》は|遠《とお》くから|来《く》る。 |見《み》よ、|人々《ひとびと》は|北《きた》から|西《にし》から、 またスエネの|地《ち》から|来《く》る」。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》よ、|歌《うた》え、|地《ち》よ、|喜《よろこ》べ。 もろもろの|山《やま》よ、|声《こえ》を|放《はな》って|歌《うた》え。 |主《しゅ》はその|民《たみ》を|慰《なぐさ》め、 その|苦《くる》しむ|者《もの》をあわれまれるからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかしシオンは|言《い》った、 「|主《しゅ》はわたしを|捨《す》て、|主《しゅ》はわたしを|忘《わす》れられた」と。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]「|女《おんな》がその|乳《ち》のみ|子《ご》を|忘《わす》れて、 その|腹《はら》の|子《こ》を、あわれまないようなことがあろうか。 たとい|彼《かれ》らが|忘《わす》れるようなことがあっても、 わたしは、あなたを|忘《わす》れることはない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは、たなごころにあなたを|彫《ほ》り|刻《きざ》んだ。 あなたの|石《いし》がきは|常《つね》にわが|前《まえ》にある。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|建《た》てる|者《もの》は、あなたをこわす|者《もの》を|追《お》い|越《こ》し、 あなたを|荒《あら》した|者《もの》は、あなたから|出《で》て|行《い》く。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》をあげて|見《み》まわせ。 |彼《かれ》らは|皆《みな》|集《あつ》まって、あなたのもとに|来《く》る。 |主《しゅ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、 あなたは|彼《かれ》らを|皆《みな》、|飾《かざ》りとして|身《み》につけ、 |花嫁《はなよめ》の|帯《おび》のようにこれを|結《むす》ぶ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|荒《あ》れ、かつすたれた|所《ところ》、こわされた|地《ち》は、 |住《す》む|人《ひと》の|多《おお》いために|狭《せま》くなり、 あなたを、のみつくした|者《もの》は、はるかに|離《はな》れ|去《さ》る。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|子《こ》を|失《うしな》った|後《のち》に|生《うま》れた|子《こ》らは、 なおあなたの|耳《みみ》に|言《い》う、 『この|所《ところ》はわたしには|狭《せま》すぎる、 わたしのために|住《す》むべき|所《ところ》を|得《え》させよ』と。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたは|心《こころ》のうちに|言《い》う、 『だれがわたしのためにこれらの|者《もの》を|産《う》んだのか。 わたしは|子《こ》を|失《うしな》って、|子《こ》をもたない。 わたしは|捕《とら》われ、かつ|追《お》いやられた。 だれがこれらの|者《もの》を|育《そだ》てたのか。 |見《み》よ、わたしはひとり|残《のこ》された。 これらの|者《もの》はどこから|来《き》たのか』と」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしは|手《て》をもろもろの|国《くに》にむかってあげ、 |旗《はた》をもろもろの|民《たみ》にむかって|立《た》てる。 |彼《かれ》らはそのふところにあなたの|子《こ》らを|携《たずさ》え、 その|肩《かた》にあなたの|娘《むすめ》たちを|載《の》せて|来《く》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|王《おう》は、あなたの|養父《ようふ》となり、 その|王妃《おうひ》たちは、あなたの|乳母《うば》となり、 |彼《かれ》らはその|顔《かお》を|地《ち》につけて、あなたにひれ|伏《ふ》し、 あなたの|足《あし》のちりをなめる。 こうして、あなたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。 わたしを|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》は|恥《はじ》をこうむることがない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|勇士《ゆうし》が|奪《うば》った|獲物《えもの》を どうして|取《と》り|返《かえ》すことができようか。 |暴君《ぼうくん》がかすめた|捕虜《ほりょ》を どうして|救《すく》い|出《だ》すことができようか。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|勇士《ゆうし》がかすめた|捕虜《ほりょ》も|取《と》り|返《かえ》され、 |暴君《ぼうくん》が|奪《うば》った|獲物《えもの》も|救《すく》い|出《だ》される。 わたしはあなたと|争《あらそ》う|者《もの》と|争《あらそ》い、 あなたの|子《こ》らを|救《すく》うからである。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたをしえたげる|者《もの》にその|肉《にく》を|食《く》わせ、 その|血《ち》を|新《あたら》しい|酒《さけ》のように|飲《の》ませて|酔《よ》わせる。 こうして、すべての|人《ひと》はわたしが|主《しゅ》であって、 あなたの|救主《すくいぬし》、またあなたのあがない|主《ぬし》、 ヤコブの|全能者《ぜんのうしゃ》であることを|知《し》るようになる」。 [#ここで字下げ終わり] 第五〇章[#「第五〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「わたしがあなたがたの|母《はは》を|去《さ》らせたその|離縁《りえん》|状《じょう》は、 どこにあるか。 わたしはどの|債《さい》|主《しゅ》にあなたがたを|売《う》りわたしたか。 |見《み》よ、あなたがたは、その|不義《ふぎ》のために|売《う》られ、 あなたがたの|母《はは》は、 あなたがたのとがのために|出《だ》されたのだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|来《き》たとき、 なぜひとりもいなかったか。 わたしが|呼《よ》んだとき、 なぜひとりも|答《こた》える|者《もの》がなかったか。 わたしの|手《て》が|短《みじか》くて、 あがなうことができないのか。 わたしは|救《すく》う|力《ちから》を|持《も》たないのか。 |見《み》よ、わたしが、しかると|海《うみ》はかれ、 |川《かわ》は|荒野《あらの》となり、 その|中《なか》の|魚《うお》は|水《みず》がないために、 かわき|死《し》んで|悪臭《あくしゅう》を|放《はな》つ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|黒《くろ》い|衣《ころも》を|天《てん》に|着《き》せ、 |荒布《あらぬの》をもってそのおおいとする」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|教《おしえ》をうけた|者《もの》の|舌《した》をわたしに|与《あた》えて、 |疲《つか》れた|者《もの》を|言葉《ことば》をもって|助《たす》けることを|知《し》らせ、 また|朝《あさ》ごとにさまし、わたしの|耳《みみ》をさまして、 |教《おしえ》をうけた|者《もの》のように|聞《き》かせられる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はわたしの|耳《みみ》を|開《ひら》かれた。 わたしは、そむくことをせず、 |退《しりぞ》くことをしなかった。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|打《う》つ|者《もの》に、わたしの|背《せ》をまかせ、 わたしのひげを|抜《ぬ》く|者《もの》に、わたしのほおをまかせ、 |恥《はじ》とつばきとを|避《さ》けるために、 |顔《かお》をかくさなかった。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》なる|神《かみ》はわたしを|助《たす》けられる。 それゆえ、わたしは|恥《は》じることがなかった。 それゆえ、わたしは|顔《かお》を|火打石《ひうちいし》のようにした。 わたしは|決《けっ》してはずかしめられないことを|知《し》る。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|義《ぎ》とする|者《もの》が|近《ちか》くおられる。 だれがわたしと|争《あらそ》うだろうか、 われわれは|共《とも》に|立《た》とう。 わたしのあだはだれか、 わたしの|所《ところ》へ|近《ちか》くこさせよ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はわたしを|助《たす》けられる。 だれがわたしを|罪《つみ》に|定《さだ》めるだろうか。 |見《み》よ、|彼《かれ》らは|皆《みな》|衣《ころも》のようにふるび、 しみのために|食《く》いつくされる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうち|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、 そのしもべの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》い、 |暗《くら》い|中《なか》を|歩《ある》いて|光《ひかり》を|得《え》なくても、なお|主《しゅ》の|名《な》を|頼《たの》み、 おのれの|神《かみ》にたよる|者《もの》はだれか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|火《ひ》を|燃《も》やし、たいまつをともす|者《もの》よ、 |皆《みな》その|火《ひ》の|炎《ほのお》の|中《なか》を|歩《あゆ》め、 またその|燃《も》やした、たいまつの|中《なか》を|歩《あゆ》め。 あなたがたは、これをわたしの|手《て》から|受《う》けて、 |苦《くる》しみのうちに|伏《ふ》し|倒《たお》れる。 [#ここで字下げ終わり] 第五一章[#「第五一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「|義《ぎ》を|追《お》い|求《もと》め、 |主《しゅ》を|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》よ、わたしに|聞《き》け。 あなたがたの|切《き》り|出《だ》された|岩《いわ》と、 あなたがたの|掘《ほ》り|出《だ》された|穴《あな》とを|思《おも》いみよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|父《ちち》アブラハムと、 あなたがたを|産《う》んだサラとを|思《おも》いみよ。 わたしは|彼《かれ》をただひとりであったときに|召《め》し、 |彼《かれ》を|祝福《しゅくふく》して、その|子孫《しそん》を|増《ま》し|加《くわ》えた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシオンを|慰《なぐさ》め、 またそのすべて|荒《あ》れた|所《ところ》を|慰《なぐさ》めて、 その|荒野《あらの》をエデンのように、 そのさばくを|主《しゅ》の|園《その》のようにされる。 こうして、その|中《なか》に|喜《よろこ》びと|楽《たの》しみとがあり、 |感謝《かんしゃ》と|歌《うた》の|声《こえ》とがある。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》よ、わたしに|聞《き》け、 わが|国《くに》びとよ、わたしに|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 |律法《りっぽう》はわたしから|出《で》、 わが|道《みち》はもろもろの|民《たみ》の|光《ひかり》となる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|義《ぎ》はすみやかに|近《ちか》づき、 わが|救《すくい》は|出《で》て|行《い》った。 わが|腕《うで》はもろもろの|民《たみ》を|治《おさ》める。 |海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》はわたしを|待《ま》ち|望《のぞ》み、 わが|腕《うで》に|寄《よ》り|頼《たの》む。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》をあげて|天《てん》を|見《み》、|また《また》|下《した》なる|地《ち》を|見《み》よ。 |天《てん》は|煙《けむり》のように|消《き》え、|地《ち》は|衣《ころも》のようにふるび、 その|中《なか》に|住《す》む|者《もの》は、ぶよのように|死《し》ぬ。 しかし、わが|救《すくい》はとこしえにながらえ、 わが|義《ぎ》はくじけることがない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|義《ぎ》を|知《し》る|者《もの》よ、 |心《こころ》のうちにわが|律法《りっぽう》をたもつ|者《もの》よ、わたしに|聞《き》け。 |人《ひと》のそしりを|恐《おそ》れてはならない、 |彼《かれ》らのののしりに|驚《おどろ》いてはならない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|衣《ころも》のように、しみに|食《く》われ、 |羊《ひつじ》の|毛《け》のように|虫《むし》に|食《く》われるからだ。 しかし、わが|義《ぎ》はとこしえにながらえ、 わが|救《すくい》はよろず|代《よ》に|及《およ》ぶ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のかいなよ、 さめよ、さめよ、|力《ちから》を|着《き》よ。 さめて、いにしえの|日《ひ》、|昔《むかし》の|代《よ》にあったようになれ。 ラハブを|切《き》り|殺《ころ》し、 |龍《りゅう》を|刺《さ》し|貫《つらぬ》いたのは、あなたではなかったか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》をかわかし、|大《おお》いなる|淵《ふち》の|水《みず》をかわかし、 また|海《うみ》の|深《ふか》き|所《ところ》を、 あがなわれた|者《もの》の|過《す》ぎる|道《みち》とされたのは、 あなたではなかったか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にあがなわれた|者《もの》は、 |歌《うた》うたいつつ、シオンに|帰《かえ》ってきて、 そのこうべに、とこしえの|喜《よろこ》びをいただき、 |彼《かれ》らは|喜《よろこ》びと|楽《たの》しみとを|得《え》、 |悲《かな》しみと|嘆《なげ》きとは|逃《に》げ|去《さ》る。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしこそあなたを|慰《なぐさ》める|者《もの》だ。 あなたは|何者《なにもの》なれば、|死《し》ぬべき|人《ひと》を|恐《おそ》れ、 |草《くさ》のようになるべき|人《ひと》の|子《こ》を|恐《おそ》れるのか。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》をのべ、|地《ち》の|基《もとい》をすえられた あなたの|造《つく》り|主《ぬし》、|主《しゅ》を|忘《わす》れて、 なぜ、しえたげる|者《もの》が|滅《ほろ》ぼそうと|備《そな》えをするとき、 その|憤《いきどお》りのゆえに|常《つね》にひねもす|恐《おそ》れるのか。 しえたげる|者《もの》の|憤《いきどお》りはどこにあるか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|身《み》をかがめている|捕《とら》われ|人《びと》は、すみやかに|解《と》かれて、 |死《し》ぬことなく、|穴《あな》にくだることなく、 その|食物《しょくもつ》はつきることがない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|海《うみ》をふるわせ、 その|波《なみ》をなりどよめかすあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。 その|名《な》を|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》という。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|言葉《ことば》をあなたの|口《くち》におき、 わが|手《て》の|陰《かげ》にあなたを|隠《かく》した。 こうして、わたしは|天《てん》をのべ、|地《ち》の|基《もとい》をすえ、 シオンにむかって、あなたはわが|民《たみ》であると|言《い》う」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、|起《お》きよ、|起《お》きよ、|立《た》て。 あなたはさきに|主《しゅ》の|手《て》から|憤《いきどお》りの|杯《さかずき》をうけて|飲《の》み、 よろめかす|大杯《おおさかずき》を、|滓《おり》までも|飲《の》みほした。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|産《う》んだもろもろの|子《こ》のなかに、 |自分《じぶん》を|導《みちび》く|者《もの》なく、 その|育《そだ》てたもろもろの|子《こ》のなかに、 |自分《じぶん》の|手《て》をとる|者《もの》がない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これら二つの|事《こと》があなたに|臨《のぞ》んだ―― だれがあなたと|共《とも》に|嘆《なげ》くだろうか―― |荒廃《こうはい》と|滅亡《めつぼう》、ききんとつるぎ。 だれがあなたを|慰《なぐさ》めるだろうか。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子《こ》らは|息《いき》|絶《た》えだえになり、 |網《あみ》にかかった、かもしかのように、 すべてのちまたのすみに|横《よこ》たわり、 |主《しゅ》の|憤《いきどお》りと、あなたの|神《かみ》の|責《せ》めとは、 |彼《かれ》らに|満《み》ちている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|苦《くる》しめる|者《もの》、 |酒《さけ》にではなく|酔《よ》っている|者《もの》よ、これを|聞《き》け。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|主《しゅ》、おのが|民《たみ》の|訴《うった》えを|弁護《べんご》される あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしはよろめかす|杯《さかずき》を あなたの|手《て》から|取《と》り|除《のぞ》き、 わが|憤《いきどお》りの|大杯《おおさかずき》を|取《と》り|除《のぞ》いた。 あなたは|再《ふたた》びこれを|飲《の》むことはない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれをあなたを|悩《なや》ます|者《もの》の|手《て》におく。 |彼《かれ》らはさきにあなたにむかって|言《い》った、 『|身《み》をかがめよ、われわれは|越《こ》えていこう』と。 そしてあなたはその|背《せ》を|地《ち》のようにし、 ちまたのようにして、 |彼《かれ》らの|越《こ》えていくにまかせた」。 [#ここで字下げ終わり] 第五二章[#「第五二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]シオンよ、さめよ、さめよ、 |力《ちから》を|着《き》よ。 |聖《せい》なる|都《みやこ》エルサレムよ、|美《うつく》しい|衣《ころも》を|着《き》よ。 |割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》および|汚《けが》れた|者《もの》は、 もはやあなたのところに、はいることがないからだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|捕《とら》われたエルサレムよ、 あなたの|身《み》からちりを|振《ふ》り|落《おと》せ、|起《お》きよ。 |捕《とら》われたシオンの|娘《むすめ》よ、 あなたの|首《くび》のなわを|解《と》きすてよ。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「あなたがたは、ただで|売《う》られた。|金《かね》を|出《だ》さずにあがなわれる」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、「わが|民《たみ》はさきにエジプトへ|下《くだ》って|行《い》って、かしこに|寄留《きりゅう》した。またアッスリヤびとはゆえなく|彼《かれ》らをしえたげた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|今《いま》わたしはここに|何《なに》をしようか。わが|民《たみ》はゆえなく|捕《とら》われた」と|主《しゅ》は|言《い》われる。|主《しゅ》は|言《い》われる、「|彼《かれ》らをつかさどる|者《もの》はわめき、わが|名《な》は|常《つね》にひねもす|侮《あなど》られる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わが|民《たみ》はわが|名《な》を|知《し》るにいたる。その|日《ひ》には|彼《かれ》らはこの|言葉《ことば》を|語《かた》る|者《もの》がわたしであることを|知《し》る。わたしはここにおる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]よきおとずれを|伝《つた》え、|平和《へいわ》を|告《つ》げ、 よきおとずれを|伝《つた》え、|救《すくい》を|告《つ》げ、 シオンにむかって「あなたの|神《かみ》は|王《おう》となられた」と |言《い》う|者《もの》の|足《あし》は|山《やま》の|上《うえ》にあって、 なんと|麗《うるわ》しいことだろう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》けよ、あなたの|見張《みはり》びとは|声《こえ》をあげて、 |共《とも》に|喜《よろこ》び|歌《うた》っている。 |彼《かれ》らは|目《め》と|目《め》と|相《あい》|合《あ》わせて、 |主《しゅ》がシオンに|帰《かえ》られるのを|見《み》るからだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|荒《あ》れすたれた|所《ところ》よ、 |声《こえ》を|放《はな》って|共《とも》に|歌《うた》え。 |主《しゅ》はその|民《たみ》を|慰《なぐさ》め、 エルサレムをあがなわれたからだ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|聖《せい》なるかいなを、 もろもろの|国《くに》びとの|前《まえ》にあらわされた。 |地《ち》のすべての|果《はて》は、われわれの|神《かみ》の|救《すくい》を|見《み》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|去《さ》れよ、|去《さ》れよ、そこを|出《で》て、 |汚《けが》れた|物《もの》にさわるな。 その|中《なか》を|出《で》よ、|主《しゅ》の|器《うつわ》をになう|者《もの》よ、 おのれを|清《きよ》く|保《たも》て。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|急《いそ》いで|出《で》るに|及《およ》ばない、 また、とんで|行《い》くにも|及《およ》ばない。 |主《しゅ》はあなたがたの|前《まえ》に|行《い》き、 イスラエルの|神《かみ》はあなたがたの しんがりとなられるからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わがしもべは|栄《さか》える。 |彼《かれ》は|高《たか》められ、あげられ、ひじょうに|高《たか》くなる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|人《ひと》が|彼《かれ》に|驚《おどろ》いたように―― |彼《かれ》の|顔《かお》だちは、そこなわれて|人《ひと》と|異《こと》なり、 その|姿《すがた》は|人《ひと》の|子《こ》と|異《こと》なっていたからである―― [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|多《おお》くの|国民《こくみん》を|驚《おどろ》かす。 |王《おう》たちは|彼《かれ》のゆえに|口《くち》をつむぐ。 それは|彼《かれ》らがまだ|伝《つた》えられなかったことを|見《み》、 まだ|聞《き》かなかったことを|悟《さと》るからだ。 [#ここで字下げ終わり] 第五三章[#「第五三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]だれがわれわれの|聞《き》いたことを |信《しん》じ|得《え》たか。 |主《しゅ》の|腕《うで》は、だれにあらわれたか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|前《まえ》に|若木《わかぎ》のように、 かわいた|土《つち》から|出《で》る|根《ね》のように|育《そだ》った。 |彼《かれ》にはわれわれの|見《み》るべき|姿《すがた》がなく、|威厳《いげん》もなく、 われわれの|慕《した》うべき|美《うつく》しさもない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|侮《あなど》られて|人《ひと》に|捨《す》てられ、 |悲《かな》しみの|人《ひと》で、|病《やまい》を|知《し》っていた。 また|顔《かお》をおおって|忌《い》みきらわれる|者《もの》のように、 |彼《かれ》は|侮《あなど》られた。われわれも|彼《かれ》を|尊《たっと》ばなかった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]まことに|彼《かれ》はわれわれの|病《やまい》を|負《お》い、 われわれの|悲《かな》しみをになった。 しかるに、われわれは|思《おも》った、 |彼《かれ》は|打《う》たれ、|神《かみ》にたたかれ、|苦《くる》しめられたのだと。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》はわれわれのとがのために|傷《きず》つけられ、 われわれの|不義《ふぎ》のために|砕《くだ》かれたのだ。 |彼《かれ》はみずから|懲《こら》しめをうけて、 われわれに|平安《へいあん》を|与《あた》え、 その|打《う》たれた|傷《きず》によって、 われわれはいやされたのだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれはみな|羊《ひつじ》のように|迷《まよ》って、 おのおの|自分《じぶん》の|道《みち》に|向《む》かって|行《い》った。 |主《しゅ》はわれわれすべての|者《もの》の|不義《ふぎ》を、 |彼《かれ》の|上《うえ》におかれた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はしえたげられ、|苦《くる》しめられたけれども、 |口《くち》を|開《ひら》かなかった。 ほふり|場《ば》にひかれて|行《い》く|小羊《こひつじ》のように、 また|毛《け》を|切《き》る|者《もの》の|前《まえ》に|黙《だま》っている|羊《ひつじ》のように、 |口《くち》を|開《ひら》かなかった。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|暴虐《ぼうぎゃく》なさばきによって|取《と》り|去《さ》られた。 その|代《よ》の|人《ひと》のうち、だれが|思《おも》ったであろうか、 |彼《かれ》はわが|民《たみ》のとがのために|打《う》たれて、 |生《い》けるものの|地《ち》から|断《た》たれたのだと。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|暴虐《ぼうぎゃく》を|行《おこな》わず、 その|口《くち》には|偽《いつわ》りがなかったけれども、 その|墓《はか》は|悪《あ》しき|者《もの》と|共《とも》に|設《もう》けられ、 その|塚《つか》は|悪《あく》をなす|者《もの》と|共《とも》にあった。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかも|彼《かれ》を|砕《くだ》くことは|主《しゅ》のみ|旨《むね》であり、 |主《しゅ》は|彼《かれ》を|悩《なや》まされた。 |彼《かれ》が|自分《じぶん》を、とがの|供《そな》え|物《もの》となすとき、 その|子孫《しそん》を|見《み》ることができ、 その|命《いのち》をながくすることができる。 かつ|主《しゅ》のみ|旨《むね》が|彼《かれ》の|手《て》によって|栄《さか》える。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|魂《たましい》の|苦《くる》しみにより|光《ひかり》を|見《み》て|満足《まんぞく》する。 |義《ぎ》なるわがしもべはその|知識《ちしき》によって、 |多《おお》くの|人《ひと》を|義《ぎ》とし、また|彼《かれ》らの|不義《ふぎ》を|負《お》う。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|彼《かれ》に|大《おお》いなる|者《もの》と|共《とも》に |物《もの》を|分《わ》かち|取《と》らせる。 |彼《かれ》は|強《つよ》い|者《もの》と|共《とも》に|獲物《えもの》を|分《わ》かち|取《と》る。 これは|彼《かれ》が|死《し》にいたるまで、|自分《じぶん》の|魂《たましい》をそそぎだし、 とがある|者《もの》と|共《とも》に|数《かぞ》えられたからである。 しかも|彼《かれ》は|多《おお》くの|人《ひと》の|罪《つみ》を|負《お》い、 とがある|者《もの》のためにとりなしをした。 [#ここで字下げ終わり] 第五四章[#「第五四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「|子《こ》を|産《う》まなかったうまずめよ、|歌《うた》え。 |産《う》みの|苦《くる》しみをしなかった|者《もの》よ、 |声《こえ》を|放《はな》って|歌《うた》いよばわれ。 |夫《おっと》のない|者《もの》の|子《こ》は、 とついだ|者《もの》の|子《こ》よりも|多《おお》い」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたの|天幕《てんまく》の|場所《ばしょ》を|広《ひろ》くし、 あなたのすまいの|幕《まく》を|張《は》りひろげ、 |惜《お》しむことなく、あなたの|綱《つな》を|長《なが》くし、 あなたの|杭《くい》を|強固《きょうこ》にせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|右《みぎ》に|左《ひだり》にひろがり、 あなたの|子孫《しそん》はもろもろの|国《くに》を|獲《え》、 |荒《あ》れすたれた|町々《まちまち》をも|住民《じゅうみん》で|満《み》たすからだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れてはならない。 あなたは|恥《は》じることがない。 あわてふためいてはならない。 あなたは、はずかしめられることがない。 あなたは|若《わか》い|時《とき》の|恥《はじ》を|忘《わす》れ、 |寡婦《かふ》であった|時《とき》のはずかしめを、 |再《ふたた》び|思《おも》い|出《だ》すことがない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|造《つく》られた|者《もの》はあなたの|夫《おっと》であって、 その|名《な》は|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》。 あなたをあがなわれる|者《もの》は、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》であって、 |全《ぜん》|地《ち》の|神《かみ》ととなえられる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|捨《す》てられて|心《こころ》|悲《かな》しむ|妻《つま》、 また|若《わか》い|時《とき》にとついで|出《だ》された|妻《つま》を|招《まね》くように |主《しゅ》はあなたを|招《まね》かれた」と あなたの|神《かみ》は|言《い》われる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはしばしばあなたを|捨《す》てたけれども、 |大《おお》いなるあわれみをもってあなたを|集《あつ》める。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あふれる|憤《いきどお》りをもって、 しばしわが|顔《かお》を|隠《かく》したけれども、 とこしえのいつくしみをもって、 あなたをあわれむ」と あなたをあがなわれる|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「このことはわたしにはノアの|時《とき》のようだ。 わたしはノアの|洪水《こうずい》を、 |再《ふたた》び|地《ち》にあふれさせないと|誓《ちか》ったが、 そのように、わたしは|再《ふたた》びあなたを|怒《いか》らない、 |再《ふたた》びあなたを|責《せ》めないと|誓《ちか》った。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》は|移《うつ》り、|丘《おか》は|動《うご》いても、 わがいつくしみはあなたから|移《うつ》ることなく、 |平安《へいあん》を|与《あた》えるわが|契約《けいやく》は|動《うご》くことがない」と あなたをあわれまれる|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「|苦《くる》しみをうけ、あらしにもてあそばれ、 |慰《なぐさ》めを|得《え》ない|者《もの》よ、 |見《み》よ、わたしはアンチモニーであなたの|石《いし》をすえ、 サファイヤであなたの|基《もとい》をおき、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]めのうであなたの|尖塔《せんとう》を|造《つく》り、 |紅玉《こうぎょく》であなたの|門《もん》を|造《つく》り、 あなたの|城壁《じょうへき》をことごとく|宝石《ほうせき》で|造《つく》る。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子《こ》らはみな|主《しゅ》に|教《おしえ》をうけ、 あなたの|子《こ》らは|大《おお》いに|栄《さか》える。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|義《ぎ》をもって|堅《かた》く|立《た》ち、 しえたげから|遠《とお》ざかって|恐《おそ》れることはない。 また|恐怖《きょうふ》から|遠《とお》ざかる、 それはあなたに|近《ちか》づくことがないからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]たとい|争《あらそ》いを|起《おこ》す|者《もの》があっても わたしによるのではない。 すべてあなたと|争《あらそ》う|者《もの》は、あなたのゆえに|倒《たお》れる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|炭火《すみび》を|吹《ふ》きおこして、 その|目的《もくてき》にかなう|武器《ぶき》を|造《つく》り|出《だ》す|鍛冶《かじ》は、 わたしが|創造《そうぞう》した|者《もの》、 また|荒《あら》し|滅《ほろ》ぼす|者《もの》も、わたしが|創造《そうぞう》した|者《もの》である。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたを|攻《せ》めるために|造《つく》られる|武器《ぶき》は、 その|目的《もくてき》を|達《たっ》しない。 すべてあなたに|逆《さか》らい|立《た》って、|争《あらそ》い|訴《うった》える|舌《した》は、 あなたに|説《と》き|破《やぶ》られる。 これが|主《しゅ》のしもべらの|受《う》ける|嗣《し》|業《ぎょう》であり、 また|彼《かれ》らがわたしから|受《う》ける|義《ぎ》である」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] 第五五章[#「第五五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「さあ、かわいている|者《もの》は みな|水《みず》にきたれ。 |金《かね》のない|者《もの》もきたれ。 |来《き》て|買《か》い|求《もと》めて|食《た》べよ。 あなたがたは|来《き》て、|金《かね》を|出《だ》さずに、 ただでぶどう|酒《しゅ》と|乳《ちち》とを|買《か》い|求《もと》めよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、あなたがたは、 かてにもならぬもののために|金《かね》を|費《ついや》し、 |飽《あ》きることもできぬもののために|労《ろう》するのか。 わたしによく|聞《き》き|従《したが》え。 そうすれば、|良《よ》い|物《もの》を|食《た》べることができ、 |最《もっと》も|豊《ゆた》かな|食物《しょくもつ》で、|自分《じぶん》を|楽《たの》しませることができる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》を|傾《かたむ》け、わたしにきて|聞《き》け。 そうすれば、あなたがたは|生《い》きることができる。 わたしは、あなたがたと、とこしえの|契約《けいやく》を|立《た》てて、 ダビデに|約束《やくそく》した|変《かわ》らない|確《たし》かな|恵《めぐ》みを|与《あた》える。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》を|立《た》てて、 もろもろの|民《たみ》への|証人《しょうにん》とし、 また、もろもろの|民《たみ》の|君《きみ》とし、|命令《めいれい》する|者《もの》とした。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたは|知《し》らない|国民《くにたみ》を|招《まね》く、 あなたを|知《し》らない|国民《くにたみ》は あなたのもとに|走《はし》ってくる。 これはあなたの|神《かみ》、|主《しゅ》、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》のゆえであり、 |主《しゅ》があなたに|光栄《こうえい》を|与《あた》えられたからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|主《しゅ》にお|会《あ》いすることのできるうちに、 |主《しゅ》を|尋《たず》ねよ。 |近《ちか》くおられるうちに|呼《よ》び|求《もと》めよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あ》しき|者《もの》はその|道《みち》を|捨《す》て、 |正《ただしか》らぬ|人《ひと》はその|思《おも》いを|捨《す》てて、|主《しゅ》に|帰《かえ》れ。 そうすれば、|主《しゅ》は|彼《かれ》にあわれみを|施《ほどこ》される。 われわれの|神《かみ》に|帰《かえ》れ、 |主《しゅ》は|豊《ゆた》かにゆるしを|与《あた》えられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|思《おも》いは、あなたがたの|思《おも》いとは|異《こと》なり、 わが|道《みち》は、あなたがたの|道《みち》とは|異《こと》なっていると |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》が|地《ち》よりも|高《たか》いように、 わが|道《みち》は、あなたがたの|道《みち》よりも|高《たか》く、 わが|思《おも》いは、あなたがたの|思《おも》いよりも|高《たか》い。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》から|雨《あめ》が|降《ふ》り、|雪《ゆき》が|落《お》ちてまた|帰《かえ》らず、 |地《ち》を|潤《うるお》して|物《もの》を|生《は》えさせ、|芽《め》を|出《だ》させて、 |種《たね》まく|者《もの》に|種《たね》を|与《あた》え、 |食《た》べる|者《もの》にかてを|与《あた》える。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]このように、わが|口《くち》から|出《で》る|言葉《ことば》も、 むなしくわたしに|帰《かえ》らない。 わたしの|喜《よろこ》ぶところのことをなし、 わたしが|命《めい》じ|送《おく》った|事《こと》を|果《はた》す。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|喜《よろこ》びをもって|出《で》てきて、 |安《やす》らかに|導《みちび》かれて|行《い》く。 |山《やま》と|丘《おか》とはあなたの|前《まえ》に|声《こえ》を|放《はな》って|喜《よろこ》び|歌《うた》い、 |野《の》にある|木《き》はみな|手《て》を|打《う》つ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]いとすぎは、いばらに|代《かわ》って|生《は》え、 ミルトスの|木《き》は、おどろに|代《かわ》って|生《は》える。 これは|主《しゅ》の|記念《きねん》となり、 また、とこしえのしるしとなって、 |絶《た》えることはない」。 [#ここで字下げ終わり] 第五六章[#「第五六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「あなたがたは|公平《こうへい》を|守《まも》って|正義《せいぎ》を|行《おこな》え。 わが|救《すくい》の|来《く》るのは|近《ちか》く、 わが|助《たす》けのあらわれるのが|近《ちか》いからだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|安息日《あんそくにち》を|守《まも》って、これを|汚《けが》さず、 その|手《て》をおさえて、|悪《あ》しき|事《こと》をせず、 このように|行《おこな》う|人《ひと》、 これを|堅《かた》く|守《まも》る|人《ひと》の|子《こ》はさいわいである」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|連《つら》なっている|異邦人《いほうじん》は|言《い》ってはならない、 「|主《しゅ》は|必《かなら》ずわたしをその|民《たみ》から|分《わ》かたれる」と。 |宦官《かんがん》もまた|言《い》ってはならない、 「|見《み》よ、わたしは|枯《か》れ|木《き》だ」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「わが|安息日《あんそくにち》を|守《まも》り、わが|喜《よろこ》ぶことを|選《えら》んで、 わが|契約《けいやく》を|堅《かた》く|守《まも》る|宦官《かんがん》には、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|家《いえ》のうちで、わが|垣《かき》のうちで、 むすこにも|娘《むすめ》にもまさる|記念《きねん》のしるしと|名《な》を|与《あた》え、 |絶《た》えることのない、とこしえの|名《な》を|与《あた》える。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》に|連《つら》なり、|主《しゅ》に|仕《つか》え、 |主《しゅ》の|名《な》を|愛《あい》し、そのしもべとなり、 すべて|安息日《あんそくにち》を|守《まも》って、これを|汚《けが》さず、 わが|契約《けいやく》を|堅《かた》く|守《まも》る|異邦人《いほうじん》は―― [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれをわが|聖《せい》なる|山《やま》にこさせ、 わが|祈《いのり》の|家《いえ》のうちで|楽《たの》しませる、 |彼《かれ》らの|燔祭《はんさい》と|犠牲《ぎせい》とは、 わが|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|受《う》けいれられる。 わが|家《いえ》はすべての|民《たみ》の |祈《いのり》の|家《いえ》ととなえられるからである」。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|追《お》いやられた|者《もの》を|集《あつ》められる |主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 「わたしはさらに|人《ひと》を|集《あつ》めて、 すでに|集《あつ》められた|者《もの》に|加《くわ》えよう」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》のすべての|獣《けもの》よ、 |林《はやし》におるすべての|獣《けもの》よ、|来《き》て|食《く》らえ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見張《みはり》|人《にん》らはみな|目《め》しいで、|知《し》ることがなく、 みな、おしの|犬《いぬ》で、ほえることができない。 みな|夢《ゆめ》みる|者《もの》、|伏《ふ》している|者《もの》、 まどろむことを|好《この》む|者《もの》だ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]この|犬《いぬ》どもは|強欲《ごうよく》で、|飽《あ》くことを|知《し》らない。 |彼《かれ》らはまた|悟《さと》ることのできない|牧者《ぼくしゃ》で、 |皆《みな》おのが|道《みち》にむかいゆき、 おのおのみな、おのれの|利《り》を|求《もと》める。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|互《たがい》に|言《い》う、 「さあ、われわれは|酒《さけ》を|手《て》に|入《い》れ、 |濃《こ》い|酒《さけ》をあびるほど|飲《の》もう。 あすも、きょうのようであるだろう、 すばらしい|日《ひ》だ」と。 [#ここで字下げ終わり] 第五七章[#「第五七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しい|者《もの》が|滅《ほろ》びても、 |心《こころ》にとめる|人《ひと》がなく、 |神《かみ》を|敬《うやま》う|人々《ひとびと》が|取《と》り|去《さ》られても、|悟《さと》る|者《もの》はない。 |正《ただ》しい|者《もの》は|災《わざわい》の|前《まえ》に|取《と》り|去《さ》られて、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|平安《へいあん》に|入《い》るからである。 すべて|正直《しょうじき》に|歩《あゆ》む|者《もの》は、その|床《とこ》に|休《やす》むことができる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがた|女《おんな》|魔法使《まほうつかい》の|子《こ》よ、 |姦夫《かんぷ》と|遊女《ゆうじょ》のすえよ、こちらへ|近寄《ちかよ》れ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、だれにむかって|戯《たわむ》れをなすのか。 だれにむかって|口《くち》を|開《ひら》き、|舌《した》を|出《だ》すのか。 あなたがたは|背信《はいしん》の|子《こ》ら、 |偽《いつわ》りのすえではないか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、かしの|木《き》の|間《あいだ》、 すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》で|心《こころ》をこがし、 |谷《たに》の|中《なか》、|岩《いわ》のはざまで|子《こ》どもを|殺《ころ》した。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|谷《たに》のなめらかな|石《いし》を|自分《じぶん》の|嗣《し》|業《ぎょう》とし、 これを|自分《じぶん》の|分《わ》け|前《まえ》とし、 これに|灌祭《かんさい》をそそぎ、|供《そな》え|物《もの》をささげた。 わたしはこれらの|物《もの》によってなだめられようか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|高《たか》くそびえた|山《やま》の|上《うえ》に|自分《じぶん》の|床《とこ》を|設《もう》け、 またそこに|登《のぼ》って|行《い》って|犠牲《ぎせい》をささげた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]また|戸《と》および|柱《はしら》のうしろに、 あなたのしるしを|置《お》いた。 あなたはわたしを|離《はな》れて|自分《じぶん》の|床《とこ》をあらわし、 それにのぼって、その|床《とこ》をひろくした。 また|彼《かれ》らと|契約《けいやく》をなし、|彼《かれ》らの|床《とこ》を|愛《あい》し、 その|裸《はだか》を|見《み》た。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、におい|油《あぶら》を|携《たずさ》えてモレクに|行《い》き、 |多《おお》くのかおり|物《もの》をささげた。 またあなたの|使者《ししゃ》を|遠《とお》くにつかわし、 |陰府《よみ》の|深《ふか》い|所《ところ》にまでつかわした。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|道《みち》の|長《なが》いのに|疲《つか》れても、 なお「|望《のぞ》みがない」とは|言《い》わなかった。 あなたはおのが|力《ちから》の|回復《かいふく》を|得《え》たので、 |衰《おとろ》えることがなかった。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはだれをおじ|恐《おそ》れて、|偽《いつわ》りを|言《い》い、 わたしを|覚《おぼ》えず、また|心《こころ》におかなかったのか。 わたしが|久《ひさ》しく|黙《だま》っていたために、 あなたはわたしを|恐《おそ》れなかったのではなかったか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|義《ぎ》と、あなたのわざを|告《つ》げ|示《しめ》そう、 しかしこれらはあなたを|益《えき》しない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|呼《よ》ばわる|時《とき》、 あなたが|集《あつ》めておいた|偶像《ぐうぞう》にあなたを|救《すく》わせよ。 |風《かぜ》は|彼《かれ》らを|運《はこ》び|去《さ》り、 |息《いき》は|彼《かれ》らを|取《と》り|去《さ》る。 しかしわたしに|寄《よ》り|頼《たの》む|者《もの》は|地《ち》を|継《つ》ぎ、 わが|聖《せい》なる|山《やま》をまもる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「|土《つち》を|盛《も》り、|土《つち》を|盛《も》って|道《みち》を|備《そな》えよ、 わが|民《たみ》の|道《みち》から、つまずく|物《もの》を|取《と》り|去《さ》れ」と。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》く、いと|上《うえ》なる|者《もの》、とこしえに|住《す》む|者《もの》、 その|名《な》を|聖《せい》ととなえられる|者《もの》がこう|言《い》われる、 「わたしは|高《たか》く、|聖《せい》なる|所《ところ》に|住《す》み、 また|心《こころ》|砕《くだ》けて、へりくだる|者《もの》と|共《とも》に|住《す》み、 へりくだる|者《もの》の|霊《れい》をいかし、 |砕《くだ》ける|者《もの》の|心《こころ》をいかす。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはかぎりなく|争《あらそ》わない、 また|絶《た》えず|怒《いか》らない。 |霊《れい》はわたしから|出《で》、 いのちの|息《いき》はわたしがつくったからだ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》のむさぼりの|罪《つみ》のゆえに、 わたしは|怒《いか》って|彼《かれ》を|打《う》ち、 わが|顔《かお》をかくして|怒《いか》った。 しかし|彼《かれ》はなおそむいて、おのが|心《こころ》の|道《みち》へ|行《い》った。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|道《みち》を|見《み》た。 わたしは|彼《かれ》をいやし、 また|彼《かれ》を|導《みちび》き、|慰《なぐさ》めをもって|彼《かれ》に|報《むく》い、 |悲《かな》しめる|者《もの》のために、くちびるの|実《み》を|造《つく》ろう。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|遠《とお》い|者《もの》にも|近《ちか》い|者《もの》にも|平安《へいあん》あれ、|平安《へいあん》あれ、 わたしは|彼《かれ》をいやそう」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|悪《あ》しき|者《もの》は|波《なみ》の|荒《あら》い|海《うみ》のようだ。 |静《しず》まることができないで、 その|水《みず》はついに|泥《どろ》と|汚物《おぶつ》とを|出《だ》す。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》は|言《い》われる、 「よこしまな|者《もの》には|平安《へいあん》がない」と。 [#ここで字下げ終わり] 第五八章[#「第五八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「|大《おお》いに|呼《よ》ばわって|声《こえ》を|惜《お》しむな。 あなたの|声《こえ》をラッパのようにあげ、 わが|民《たみ》にそのとがを|告《つ》げ、 ヤコブの|家《いえ》にその|罪《つみ》を|告《つ》げ|示《しめ》せ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|日々《ひび》わたしを|尋《たず》ね|求《もと》め、 |義《ぎ》を|行《おこな》い、|神《かみ》のおきてを|捨《す》てない|国民《くにたみ》のように、 わが|道《みち》を|知《し》ることを|喜《よろこ》ぶ。 |彼《かれ》らは|正《ただ》しいさばきをわたしに|求《もと》め、 |神《かみ》に|近《ちか》づくことを|喜《よろこ》ぶ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》う、 『われわれが|断食《だんじき》したのに、 なぜ、ごらんにならないのか。 われわれがおのれを|苦《くる》しめたのに、 なぜ、ごぞんじないのか』と。 |見《み》よ、あなたがたの|断食《だんじき》の|日《ひ》には、 おのが|楽《たの》しみを|求《もと》め、 その|働《はたら》き|人《ひと》をことごとくしえたげる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたがたの断|食《しょく》するのは、 ただ|争《あらそ》いと、いさかいのため、 また|悪《あく》のこぶしをもって|人《ひと》を|打《う》つためだ。 きょう、あなたがたのなす|断食《だんじき》は、 その|声《こえ》を|上《うえ》に|聞《きこ》えさせるものではない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]このようなものは、わたしの|選《えら》ぶ|断食《だんじき》であろうか。 |人《ひと》がおのれを|苦《くる》しめる|日《ひ》であろうか。 そのこうべを|葦《あし》のように|伏《ふ》せ、 |荒布《あらぬの》と|灰《はい》とをその|下《した》に|敷《し》くことであろうか。 あなたは、これを|断食《だんじき》ととなえ、 |主《しゅ》に|受《う》けいれられる|日《ひ》と、となえるであろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|選《えら》ぶところの|断食《だんじき》は、 |悪《あく》のなわをほどき、くびきのひもを|解《と》き、 しえたげられる|者《もの》を|放《はな》ち|去《さ》らせ、 すべてのくびきを|折《お》るなどの|事《こと》ではないか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|飢《う》えた|者《もの》に、あなたのパンを|分《わ》け|与《あた》え、 さすらえる|貧《まず》しい|者《もの》を、あなたの|家《いえ》に|入《い》れ、 |裸《はだか》の|者《もの》を|見《み》て、これを|着《き》せ、 |自分《じぶん》の|骨肉《こつにく》に|身《み》を|隠《かく》さないなどの|事《こと》ではないか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたの|光《ひかり》が|暁《あかつき》のようにあらわれ|出《で》て、 あなたは、すみやかにいやされ、 あなたの|義《ぎ》はあなたの|前《まえ》に|行《い》き、 |主《しゅ》の|栄光《えいこう》はあなたのしんがりとなる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたが|呼《よ》ぶとき、|主《しゅ》は|答《こた》えられ、 あなたが|叫《さけ》ぶとき、 『わたしはここにおる』と|言《い》われる。 もし、あなたの|中《なか》からくびきを|除《のぞ》き、 |指《ゆび》をさすこと、|悪《わる》い|事《こと》を|語《かた》ることを|除《のぞ》き、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|飢《う》えた|者《もの》にあなたのパンを|施《ほどこ》し、 |苦《くる》しむ|者《もの》の|願《ねが》いを|満《み》ち|足《た》らせるならば、 あなたの|光《ひかり》は|暗《くら》きに|輝《かがや》き、 あなたのやみは|真昼《まひる》のようになる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|常《つね》にあなたを|導《みちび》き、 |良《よ》き|物《もの》をもってあなたの|願《ねが》いを|満《み》ち|足《た》らせ、 あなたの|骨《ほね》を|強《つよ》くされる。 あなたは|潤《うるお》った|園《その》のように、 |水《みず》の|絶《た》えない|泉《いずみ》のようになる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|子《こ》らは|久《ひさ》しく|荒《あ》れすたれたる|所《ところ》を|興《おこ》し、 あなたは|代々《よよ》やぶれた|基《もとい》を|立《た》て、 |人《ひと》はあなたを『|破《やぶ》れを|繕《つくろ》う|者《もの》』と|呼《よ》び、 『|市街《しがい》を|繕《つくろ》って|住《す》むべき|所《ところ》となす|者《もの》』と |呼《よ》ぶようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]もし|安息日《あんそくにち》にあなたの|足《あし》をとどめ、 わが|聖日《せいじつ》にあなたの|楽《たの》しみをなさず、 |安息日《あんそくにち》を|喜《よろこ》びの|日《ひ》と|呼《よ》び、 |主《しゅ》の|聖日《せいじつ》を|尊《たっと》ぶべき|日《ひ》ととなえ、 これを|尊《たっと》んで、おのが|道《みち》を|行《おこな》わず、 おのが|楽《たの》しみを|求《もと》めず、 むなしい|言葉《ことば》を|語《かた》らないならば、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたは|主《しゅ》によって|喜《よろこ》びを|得《え》、 わたしは、あなたに|地《ち》の|高《たか》い|所《ところ》を|乗《の》り|通《とお》らせ、 あなたの|先祖《せんぞ》ヤコブの|嗣《し》|業《ぎょう》をもって、 あなたを|養《やしな》う」。 これは|主《しゅ》の|口《くち》から|語《かた》られたものである。 [#ここで字下げ終わり] 第五九章[#「第五九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|手《て》が|短《みじか》くて、 |救《すく》い|得《え》ないのではない。 その|耳《みみ》が|鈍《にぶ》くて|聞《き》き|得《え》ないのでもない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ただ、あなたがたの|不義《ふぎ》が あなたがたと、あなたがたの|神《かみ》との|間《あいだ》を|隔《へだ》てたのだ。 またあなたがたの|罪《つみ》が |主《しゅ》の|顔《かお》をおおったために、お|聞《き》きにならないのだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|手《て》は|血《ち》で|汚《けが》れ、 あなたがたの|指《ゆび》は|不義《ふぎ》で|汚《けが》れ、 あなたがたのくちびるは|偽《いつわ》りを|語《かた》り、 あなたがたの|舌《した》は|悪《あく》をささやき、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ひとりも|正義《せいぎ》をもって|訴《うった》え、 |真実《しんじつ》をもって|論争《ろんそう》する|者《もの》がない。 |彼《かれ》らはむなしきことを|頼《たの》み、|偽《いつわ》りを|語《かた》り、 |害悪《がいあく》をはらみ、|不義《ふぎ》を|産《う》む。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまむしの|卵《たまご》をかえし、くもの|巣《す》を|織《お》る。 その|卵《たまご》を|食《た》べる|者《もの》は|死《し》ぬ。 |卵《たまご》が|踏《ふ》まれると|破《やぶ》れて|毒蛇《どくへび》を|出《だ》す。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|織《お》る|物《もの》は|着物《きもの》とならない。 その|造《つく》る|物《もの》をもって|身《み》をおおうことができない。 |彼《かれ》のわざは|不義《ふぎ》のわざであり、 |彼《かれ》らの|手《て》には|暴虐《ぼうぎゃく》の|行《おこな》いがある。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|足《あし》は|悪《あく》に|走《はし》り、 |罪《つみ》のない|血《ち》を|流《なが》すことに|速《はや》い。 |彼《かれ》らの|思《おも》いは|不義《ふぎ》の|思《おも》いであり、 |荒廃《こうはい》と|滅亡《めつぼう》とがその|道《みち》にある。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|平和《へいわ》の|道《みち》を|知《し》らず、 その|行《ゆ》く|道《みち》には|公平《こうへい》がない。 |彼《かれ》らはその|道《みち》を|曲《ま》げた。 すべてこれを|歩《あゆ》む|者《もの》は|平和《へいわ》を|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|公平《こうへい》は|遠《とお》くわれわれを|離《はな》れ、 |正義《せいぎ》はわれわれに|追《お》いつかない。 われわれは|光《ひかり》を|望《のぞ》んでも、|暗《くら》きを|見《み》、 |輝《かがや》きを|望《のぞ》んでも、やみを|行《い》く。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|盲人《もうじん》のように、かきを|手《て》さぐりゆき、 |目《め》のない|者《もの》のように|手《て》さぐりゆき、 |真昼《まひる》でも、たそがれのようにつまずき、 |強壮《きょうそう》な|者《もの》の|中《なか》にあっても|死人《しにん》のようだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|皆《みな》くまのようにほえ、 はとのようにいたくうめき、 |公平《こうへい》を|望《のぞ》んでも、きたらず、 |救《すくい》を|望《のぞ》んでも、|遠《とお》くわれわれを|離《はな》れ|去《さ》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]われわれのとがは、あなたの|前《まえ》に|多《おお》く、 |罪《つみ》は、われわれを|訴《うった》えて、あかしをなし、 とがは、われわれと|共《とも》にあり、 |不義《ふぎ》は、われわれがこれを|知《し》る。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]われわれは、そむいて|主《しゅ》をいなみ、 |退《しりぞ》いて、われわれの|神《かみ》に|従《したが》わず、 しえたげと、そむきとを|語《かた》り、 |偽《いつわ》りの|言葉《ことば》を|心《こころ》にはらんで、それを|言《い》いあらわす。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|公平《こうへい》はうしろに|退《しりぞ》けられ、 |正義《せいぎ》ははるかに|立《た》つ。 それは、|真実《しんじつ》は|広場《ひろば》に|倒《たお》れ、 |正直《しょうじき》は、はいることができないからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|真実《しんじつ》は|欠《か》けてなく、 |悪《あく》を|離《はな》れる|者《もの》はかすめ|奪《うば》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] |主《しゅ》はこれを|見《み》て、 |公平《こうへい》がなかったことを|喜《よろこ》ばれなかった。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|人《ひと》のないのを|見《み》られ、 |仲《なか》に|立《た》つ|者《もの》のないのをあやしまれた。 それゆえ、ご|自分《じぶん》のかいなをもって、|勝利《しょうり》を|得《え》、 その|義《ぎ》をもって、おのれをささえられた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|義《ぎ》を|胸当《むねあて》としてまとい、 |救《すくい》のかぶとをその|頭《あたま》にいただき、 |報復《ほうふく》の|衣《ころも》をまとって|着物《きもの》とし、 |熱心《ねっしん》を|外套《がいとう》として|身《み》を|包《つつ》まれた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|行《おこな》いにしたがって|報《むく》いをなし、 あだにむかって|怒《いか》り、 |敵《てき》にむかって|報《むく》いをなし、 |海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》にむかって|報《むく》いをされる。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|人々《ひとびと》は|西《にし》の|方《ほう》から|主《しゅ》の|名《な》を|恐《おそ》れ、 |日《ひ》の|出《で》る|方《ほう》からその|栄光《えいこう》を|恐《おそ》れる。 |主《しゅ》は、せき|止《と》めた|川《かわ》を、 そのいぶきで|押《お》し|流《なが》すように、こられるからである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「|主《しゅ》は、あがなう|者《もの》としてシオンにきたり、 ヤコブのうちの、とがを|離《はな》れる|者《もの》に|至《いた》る」と。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「わたしが|彼《かれ》らと|立《た》てる|契約《けいやく》はこれである。あなたの|上《うえ》にあるわが|霊《れい》、あなたの|口《くち》においたわが|言葉《ことば》は、|今《いま》から|後《のち》とこしえに、あなたの|口《くち》から、あなたの|子《こ》らの|口《くち》から、あなたの|子《こ》らの|子《こ》の|口《くち》から|離《はな》れることはない」と。 第六〇章[#「第六〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|起《お》きよ、|光《ひかり》を|放《はな》て。 あなたの|光《ひかり》が|臨《のぞ》み、 |主《しゅ》の|栄光《えいこう》があなたの|上《うえ》にのぼったから。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|暗《くら》きは|地《ち》をおおい、 やみはもろもろの|民《たみ》をおおう。 しかし、あなたの|上《うえ》には|主《しゅ》が|朝日《あさひ》のごとくのぼられ、 |主《しゅ》の|栄光《えいこう》があなたの|上《うえ》にあらわれる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》は、あなたの|光《ひかり》に|来《き》、 もろもろの|王《おう》は、のぼるあなたの|輝《かがや》きに|来《く》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|目《め》をあげて|見《み》まわせ、 |彼《かれ》らはみな|集《あつ》まってあなたに|来《く》る。 あなたの|子《こ》らは|遠《とお》くから|来《き》、 あなたの|娘《むすめ》らは、かいなにいだかれて|来《く》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたは|見《み》て、|喜《よろこ》びに|輝《かがや》き、 あなたの|心《こころ》はどよめき、かつ|喜《よろこ》ぶ。 |海《うみ》の|富《とみ》が|移《うつ》ってあなたに|来《き》、 もろもろの|国《くに》の|宝《たから》が、あなたに|来《く》るからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くのらくだ、ミデアンおよびエパの|若《わか》きらくだは あなたをおおい、 シバの|人々《ひとびと》はみな|黄金《おうごん》、|乳香《にゅうこう》を|携《たずさ》えてきて、 |主《しゅ》の|誉《ほまれ》を|宣《の》べ|伝《つた》える。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ケダルの|羊《ひつじ》の|群《む》れはみなあなたに|集《あつ》まって|来《き》、 ネバヨテの|雄羊《おひつじ》はあなたに|仕《つか》え、 わが|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にのぼって|受《う》けいれられる。 こうして、わたしはわが|栄光《えいこう》の|家《いえ》を|輝《かがや》かす。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|雲《くも》のように|飛《と》び、 はとがその|小屋《こや》に |飛《と》び|帰《かえ》るようにして|来《く》る|者《もの》はだれか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》はわたしを|待《ま》ち|望《のぞ》み、 タルシシの|船《ふね》はいや|先《さき》に あなたの|子《こ》らを|遠《とお》くから|載《の》せて|来《き》、 また|彼《かれ》らの|金銀《きんぎん》を|共《とも》に|載《の》せて|来《き》て、 あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》にささげ、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》にささげる。 |主《しゅ》があなたを|輝《かがや》かされたからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|異邦人《いほうじん》はあなたの|城壁《じょうへき》を|築《きず》き、 |彼《かれ》らの|王《おう》たちはあなたに|仕《つか》える。 わたしは|怒《いか》りをもってあなたを|打《う》ったけれども、 また|恵《めぐ》みをもってあなたをあわれんだからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|門《もん》は|常《つね》に|開《ひら》いて、 |昼《ひる》も|夜《よる》も|閉《と》ざすことはない。 これは|人々《ひとびと》が|国々《くにぐに》の|宝《たから》をあなたに|携《たずさ》えて|来《き》、 その|王《おう》たちを|率《ひき》いて|来《く》るためである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|仕《つか》えない|国《くに》と|民《たみ》とは|滅《ほろ》び、 その|国々《くにぐに》は|全《まった》く|荒《あ》れすたれる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]レバノンの|栄《さか》えはあなたに|来《き》、 いとすぎ、すずかけ、まつは|皆《みな》|共《とも》に|来《き》て、 わが|聖所《せいじょ》をかざる。 またわたしはわが|足《あし》をおく|所《ところ》を|尊《たっと》くする。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|苦《くる》しめた|者《もの》の|子《こ》らは、 かがんで、あなたのもとに|来《き》、 あなたをさげすんだ|者《もの》は、 ことごとくあなたの|足《あし》もとに|伏《ふ》し、 あなたを|主《しゅ》の|都《みやこ》、 イスラエルの|聖者《せいじゃ》のシオンととなえる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|捨《す》てられ、|憎《にく》まれて、 その|中《なか》を|過《す》ぎる|者《もの》もなかったが、 わたしはあなたを、とこしえの|誇《ほこり》、 |世々《よよ》の|喜《よろこ》びとする。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、もろもろの|国《くに》の|乳《ちち》を|吸《す》い、 |王《おう》たちの|乳《ち》ぶさを|吸《す》い、 そして|主《しゅ》なるわたしが、あなたの|救主《すくいぬし》、 また、あなたのあがない|主《ぬし》、 ヤコブの|全能者《ぜんのうしゃ》であることを|知《し》るにいたる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|青銅《せいどう》の|代《かわ》りに|黄金《おうごん》を|携《たずさ》え、 くろがねの|代《かわ》りにしろがねを|携《たずさ》え、 |木《き》の|代《かわ》りに|青銅《せいどう》を、|石《いし》の|代《かわ》りに|鉄《てつ》を|携《たずさ》えてきて、 あなたのまつりごとを|平和《へいわ》にし、 あなたのつかさびとを|正《ただ》しくする。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|暴虐《ぼうぎゃく》は、もはやあなたの|地《ち》に|聞《き》かれず、 |荒廃《こうはい》と|滅亡《めつぼう》は、もはやあなたの|境《さかい》のうちに|聞《き》かれず、 あなたはその|城壁《じょうへき》を「|救《すくい》」ととなえ、 その|門《もん》を「|誉《ほまれ》」ととなえる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|昼《ひる》は、もはや|太陽《たいよう》があなたの|光《ひかり》とならず、 |夜《よる》も|月《つき》が|輝《かがや》いてあなたを|照《てら》さず、 |主《しゅ》はとこしえにあなたの|光《ひかり》となり、 あなたの|神《かみ》はあなたの|栄《さか》えとなられる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|太陽《たいよう》は|再《ふたた》び|没《ぼっ》せず、 あなたの|月《つき》はかけることがない。 |主《しゅ》がとこしえにあなたの|光《ひかり》となり、 あなたの|悲《かな》しみの|日《ひ》が|終《おわ》るからである。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》はことごとく|正《ただ》しい|者《もの》となって、 とこしえに|地《ち》を|所有《しょゆう》する。 |彼《かれ》らはわたしの|植《う》えた|若《わか》|枝《えだ》、わが|手《て》のわざ、 わが|栄光《えいこう》をあらわすものとなる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|最《もっと》も|小《ちい》さい|者《もの》は|氏族《しぞく》となり、 その|最《もっと》も|弱《よわ》い|者《もの》は|強《つよ》い|国《くに》となる。 わたしは|主《しゅ》である。 その|時《とき》がくるならば、すみやかにこの|事《こと》をなす。 [#ここで字下げ終わり] 第六一章[#「第六一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》の|霊《れい》がわたしに|臨《のぞ》んだ。 これは|主《しゅ》がわたしに|油《あぶら》を|注《そそ》いで、 |貧《まず》しい|者《もの》に|福音《ふくいん》を|宣《の》べ|伝《つた》えることをゆだね、 わたしをつかわして|心《こころ》のいためる|者《もの》をいやし、 |捕《とら》われ|人《びと》に|放免《ほうめん》を|告《つ》げ、 |縛《しば》られている|者《もの》に|解放《かいほう》を|告《つ》げ、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|恵《めぐ》みの|年《とし》と われわれの|神《かみ》の|報復《ほうふく》の|日《ひ》とを|告《つ》げさせ、 また、すべての|悲《かな》しむ|者《もの》を|慰《なぐさ》め、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|中《なか》の|悲《かな》しむ|者《もの》に|喜《よろこ》びを|与《あた》え、 |灰《はい》にかえて|冠《かんむり》を|与《あた》え、 |悲《かな》しみにかえて|喜《よろこ》びの|油《あぶら》を|与《あた》え、 |憂《うれ》いの|心《こころ》にかえて、 さんびの|衣《ころも》を|与《あた》えさせるためである。 こうして、|彼《かれ》らは|義《ぎ》のかしの|木《き》ととなえられ、 |主《しゅ》がその|栄光《えいこう》をあらわすために |植《う》えられた|者《もの》ととなえられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはいにしえの|荒《あ》れた|所《ところ》を|建《た》てなおし、 さきに|荒《あ》れすたれた|所《ところ》を|興《おこ》し、 |荒《あ》れた|町々《まちまち》を|新《あら》たにし、 |世々《よよ》すたれた|所《ところ》を|再《ふたた》び|建《た》てる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|外国《がいこく》|人《じん》は|立《た》ってあなたがたの|群《む》れを|飼《か》い、 |異邦人《いほうじん》はあなたがたの|畑《はたけ》を|耕《たがや》す|者《もの》となり、 ぶどうを|作《つく》る|者《もの》となる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたは|主《しゅ》の|祭司《さいし》ととなえられ、 われわれの|神《かみ》の|役者《やくしゃ》と|呼《よ》ばれ、 もろもろの|国《くに》の|富《とみ》を|食《た》べ、 |彼《かれ》らの|宝《たから》を|得《え》て|喜《よろこ》ぶ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、さきに|受《う》けた|恥《はじ》にかえて、 二|倍《ばい》の|賜物《たまもの》を|受《う》け、 はずかしめにかえて、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|得《え》て|楽《たの》しむ。 それゆえ、あなたがたはその|地《ち》にあって、 二|倍《ばい》の|賜物《たまもの》を|獲《え》、 とこしえの|喜《よろこ》びを|得《え》る。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なるわたしは|公平《こうへい》を|愛《あい》し、 |強奪《ごうだつ》と|邪悪《じゃあく》を|憎《にく》み、 |真実《しんじつ》をもって|彼《かれ》らに|報《むく》いを|与《あた》え、 |彼《かれ》らと、とこしえの|契約《けいやく》を|結《むす》ぶからである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|子孫《しそん》は、もろもろの|国《くに》の|中《なか》で|知《し》られ、 |彼《かれ》らの|子《こ》らは、もろもろの|民《たみ》の|中《なか》に|知《し》られる。 すべてこれを|見《み》る|者《もの》は これが|主《しゅ》の|祝福《しゅくふく》された|民《たみ》であることを|認《みと》める。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》を|大《おお》いに|喜《よろこ》び、 わが|魂《たましい》はわが|神《かみ》を|楽《たの》しむ。 |主《しゅ》がわたしに|救《すくい》の|衣《ころも》を|着《き》せ、 |義《ぎ》の|上衣《うわぎ》をまとわせて、 |花婿《はなむこ》が|冠《かんむり》をいただき、 |花嫁《はなよめ》が|宝玉《ほうぎょく》をもって|飾《かざ》るようにされたからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》が|芽《め》をいだし、|園《その》がまいたものを|生《は》やすように、 |主《しゅ》なる|神《かみ》は|義《ぎ》と|誉《ほまれ》とを、 もろもろの|国《くに》の|前《まえ》に、|生《は》やされる。 [#ここで字下げ終わり] 第六二章[#「第六二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|義《ぎ》が |朝日《あさひ》の|輝《かがや》きのようにあらわれいで、 エルサレムの|救《すくい》が|燃《も》えるたいまつの|様《よう》になるまで、 わたしはシオンのために|黙《もく》せず、 エルサレムのために|休《やす》まない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》はあなたの|義《ぎ》を|見《み》、 もろもろの|王《おう》は|皆《みな》あなたの|栄《さか》えを|見《み》る。 そして、あなたは|主《しゅ》の|口《くち》が|定《さだ》められる |新《あたら》しい|名《な》をもってとなえられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたは|主《しゅ》の|手《て》にある|麗《うるわ》しい|冠《かんむり》となり、 あなたの|神《かみ》の|手《て》にある|王《おう》の|冠《かんむり》となる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはもはや「|捨《す》てられた|者《もの》」と|言《い》われず、 あなたの|地《ち》はもはや「|荒《あ》れた|者《もの》」と|言《い》われず、 あなたは「わが|喜《よろこ》びは|彼女《かのじょ》にある」ととなえられ、 あなたの|地《ち》は「|配偶《はいぐう》ある|者《もの》」ととなえられる。 |主《しゅ》はあなたを|喜《よろこ》ばれ、 あなたの|地《ち》は|配偶《はいぐう》を|得《え》るからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|若《わか》い|者《もの》が|処女《しょじょ》をめとるように あなたの|子《こ》らはあなたをめとり、 |花婿《はなむこ》が|花嫁《はなよめ》を|喜《よろこ》ぶように あなたの|神《かみ》はあなたを|喜《よろこ》ばれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、 わたしはあなたの|城壁《じょうへき》の|上《うえ》に|見張《みはり》|人《にん》をおいて、 |昼《ひる》も|夜《よる》もたえず、もだすことのないようにしよう。 |主《しゅ》に|思《おも》い|出《だ》されることを|求《もと》める|者《もの》よ、 みずから|休《やす》んではならない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がエルサレムを|堅《かた》く|立《た》てて、 |全《ぜん》|地《ち》に|誉《ほまれ》を|得《え》させられるまで、 お|休《やす》みにならぬようにせよ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|右《みぎ》の|手《て》をさし、 |大能《たいのう》のかいなをさして|誓《ちか》われた、 「わたしは|再《ふたた》びあなたの|穀物《こくもつ》を あなたの|敵《てき》に|与《あた》えて|食《た》べさせない。 また、あなたが|労《ろう》して|得《え》たぶどう|酒《しゅ》を |異邦人《いほうじん》に|与《あた》えて|飲《の》ませない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|穀物《こくもつ》を|刈《か》り|入《い》れた|者《もの》は これを|食《た》べて|主《しゅ》をほめたたえ、 ぶどうを|集《あつ》めた|者《もの》は わが|聖所《せいじょ》の|庭《にわ》でこれを|飲《の》む」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》を|通《とお》って|行《い》け、|通《とお》って|行《い》け。 |民《たみ》の|道《みち》を|備《そな》えよ。 |土《つち》を|盛《も》り、|土《つち》を|盛《も》って|大路《おおじ》を|設《もう》けよ。 |石《いし》を|取《と》りのけ。 もろもろの|民《たみ》の|上《うえ》に|旗《はた》をあげよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》は|地《ち》の|果《はて》にまで|告《つ》げて|言《い》われた、 「シオンの|娘《むすめ》に|言《い》え、 『|見《み》よ、あなたの|救《すくい》は|来《く》る。 |見《み》よ、その|報《むく》いは|主《しゅ》と|共《とも》にあり、 その|働《はたら》きの|報《むく》いは、その|前《まえ》にある』と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは『|聖《せい》なる|民《たみ》、 |主《しゅ》にあがなわれた|者《もの》』ととなえられ、 あなたは『|人《ひと》に|尋《たず》ね|求《もと》められる|者《もの》、 |捨《す》てられない|町《まち》』ととなえられる」。 [#ここで字下げ終わり] 第六三章[#「第六三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「このエドムから|来《く》る|者《もの》、 |深紅《しんく》の|衣《ころも》を|着《き》て、ボズラから|来《く》る|者《もの》はだれか。 その|装《よそお》いは、はなやかに、 |大《おお》いなる|力《ちから》をもって|進《すす》み|来《く》る|者《もの》はだれか」。 「|義《ぎ》をもって|語《かた》り、 |救《すくい》を|施《ほどこ》す|力《ちから》あるわたしがそれだ」。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|何《なに》ゆえあなたの|装《よそお》いは|赤《あか》く、 あなたの|衣《ころも》は|酒《さか》ぶねを|踏《ふ》む|者《もの》のように|赤《あか》いのか」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはひとりで|酒《さか》ぶねを|踏《ふ》んだ。 もろもろの|民《たみ》のなかに、 わたしと|事《こと》を|共《とも》にする|者《もの》はなかった。 わたしは|怒《いか》りによって|彼《かれ》らを|踏《ふ》み、 |憤《いきどお》りによって|彼《かれ》らを|踏《ふ》みにじったので、 |彼《かれ》らの|血《ち》がわが|衣《ころも》にふりかかり、 わが|装《よそお》いをことごとく|汚《けが》した。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|報復《ほうふく》の|日《ひ》がわが|心《こころ》のうちにあり、 わがあがないの|年《とし》が|来《き》たからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|見《み》たけれども、|助《たす》ける|者《もの》はなく、 |怪《あや》しんだけれども、ささえる|者《もの》はなかった。 それゆえ、わがかいながわたしを|勝《か》たせ、 わが|憤《いきどお》りがわたしをささえた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|怒《いか》りによって、もろもろの|民《たみ》を|踏《ふ》みにじり、 |憤《いきどお》りによって|彼《かれ》らを|酔《よ》わせ、 |彼《かれ》らの|血《ち》を、|地《ち》に|流《なが》れさせた」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》がわれわれになされた すべてのことによって、 |主《しゅ》のいつくしみと、|主《しゅ》の|誉《ほまれ》とを|語《かた》り|告《つ》げ、 また、そのあわれみにより、 その|多《おお》くのいつくしみによって、 イスラエルの|家《いえ》に|施《ほどこ》された その|大《おお》いなる|恵《めぐ》みを|語《かた》り|告《つ》げよう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「まことに|彼《かれ》らはわが|民《たみ》、 |偽《いつわ》りのない|子《こ》らである」と。 そして|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|救主《すくいぬし》となられた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのすべての|悩《なや》みのとき、|主《しゅ》も|悩《なや》まれて、 そのみ|前《まえ》の|使《つかい》をもって|彼《かれ》らを|救《すく》い、 その|愛《あい》とあわれみとによって|彼《かれ》らをあがない、 いにしえの|日《ひ》、つねに|彼《かれ》らをもたげ、 |彼《かれ》らを|携《たずさ》えられた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》らはそむいて その|聖《せい》なる|霊《れい》を|憂《うれ》えさせたので、 |主《しゅ》はひるがえって|彼《かれ》らの|敵《てき》となり、 みずから|彼《かれ》らと|戦《たたか》われた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|民《たみ》はいにしえのモーセの|日《ひ》を |思《おも》い|出《だ》して|言《い》った、 「その|群《む》れの|牧者《ぼくしゃ》を、 |海《うみ》から|携《たずさ》えあげた|者《もの》はどこにいるか。 |彼《かれ》らの|中《なか》に|聖《せい》なる|霊《れい》をおいた|者《もの》はどこにいるか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|栄光《えいこう》のかいなをモーセの|右《みぎ》に|行《い》かせ、 |彼《かれ》らの|前《まえ》に|水《みず》を二つに|分《わ》けて、 みずから、とこしえの|名《な》をつくり、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|導《みちび》いて、|馬《うま》が|野《の》を|走《はし》るように、 つまずくことなく|淵《ふち》を|通《とお》らせた|者《もの》はどこにいるか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|谷《たに》にくだる|家畜《かちく》のように、 |主《しゅ》の|霊《れい》は|彼《かれ》らをいこわせられた。 このように、あなたはおのれの|民《たみ》を|導《みちび》いて みずから|栄光《えいこう》の|名《な》をつくられた」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|天《てん》から|見《み》おろし、 その|聖《せい》なる|栄光《えいこう》あるすみかからごらんください。 あなたの|熱心《ねっしん》と、|大能《たいのう》とはどこにありますか。 あなたのせつなる|同情《どうじょう》とあわれみとは おさえられて、わたしにあらわれません。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]たといアブラハムがわれわれを|知《し》らず、 イスラエルがわれわれを|認《みと》めなくても、 あなたはわれわれの|父《ちち》です。 |主《しゅ》よ、あなたはわれわれの|父《ちち》、 いにしえからあなたの|名《な》は われわれのあながい|主《ぬし》です。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、なぜ、われわれをあなたの|道《みち》から|離《はな》れ|迷《まよ》わせ、 われわれの|心《こころ》をかたくなにして、 あなたを|恐《おそ》れないようにされるのですか。 どうぞ、あなたのしもべらのために、 あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》である|部族《ぶぞく》らのために、 お|帰《かえ》りください。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|聖《せい》なる|民《たみ》が、 あなたの|聖所《せいじょ》を|獲《え》て|間《あいだ》もないのに、 われわれのあだは、それを|踏《ふ》みにじりました。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]われわれはあなたによって、 いにしえから|治《おさ》められない|者《もの》のようになり、 あなたの|名《な》をもって、 となえられない|者《もの》のようになりました。 [#ここで字下げ終わり] 第六四章[#「第六四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたが|天《てん》を|裂《さ》いて|下《くだ》り、 あなたの|前《まえ》に|山々《やまやま》が|震《ふる》い|動《うご》くように。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》が|柴木《しばき》を|燃《も》やし、 |火《ひ》が|水《みず》を|沸《わ》かすときのごとく|下《くだ》られるように。 そして、み|名《な》をあなたのあだにあらわし、 もろもろの|国《くに》をあなたの|前《まえ》に |震《ふる》えおののかせられるように。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、われわれが|期待《きたい》しなかった|恐《おそ》るべき|事《こと》を なされた|時《とき》に|下《くだ》られたので、|山々《やまやま》は|震《ふる》い|動《うご》いた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]いにしえからこのかた、 あなたのほか|神《かみ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》に、 このような|事《こと》を|行《おこな》われた|神《かみ》を|聞《き》いたことはなく、 |耳《みみ》に|入《い》れたこともなく、|目《め》に|見《み》たこともない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|喜《よろこ》んで|義《ぎ》を|行《おこな》い、 あなたの|道《みち》にあって、 あなたを|記念《きねん》する|者《もの》を|迎《むか》えられる。 |見《み》よ、あなたは|怒《いか》られた、われわれは|罪《つみ》を|犯《おか》した。 われわれは|久《ひさ》しく|罪《つみ》のうちにあった。 われわれは|救《すく》われるであろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれはみな|汚《けが》れた|人《ひと》のようになり、 われわれの|正《ただ》しい|行《おこな》いは、 ことごとく|汚《けが》れた|衣《ころも》のようである。 われわれはみな|木《こ》の|葉《は》のように|枯《か》れ、 われわれの|不義《ふぎ》は|風《かぜ》のようにわれわれを|吹《ふ》き|去《さ》る。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|名《な》を|呼《よ》ぶ|者《もの》はなく、 みずから|励《はげ》んで、あなたによりすがる|者《もの》はない。 あなたはみ|顔《かお》を|隠《かく》して、われわれを|顧《かえり》みられず、 われわれをおのれの|不義《ふぎ》の|手《て》に|渡《わた》された。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]されど|主《しゅ》よ、あなたはわれわれの|父《ちち》です。 われわれは|粘土《ねんど》であって、あなたは|陶器《とうき》|師《し》です。 われわれはみな、み|手《て》のわざです。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、ひどくお|怒《いか》りにならぬように、 いつまでも|不義《ふぎ》をみこころにとめられぬように。 どうぞ、われわれを|顧《かえり》みてください。 われわれはみな、あなたの|民《たみ》です。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|聖《せい》なる|町々《まちまち》は|荒野《あらの》となり、 シオンは|荒野《あらの》となり、 エルサレムは|荒《あ》れすたれた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|先祖《せんぞ》があなたをほめたたえた |聖《せい》なる|麗《うるわ》しいわれわれの|宮《みや》は|火《ひ》で|焼《や》かれ、 われわれが|慕《した》った|所《ところ》はことごとく|荒《あ》れはてた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、これらの|事《こと》があっても なお、あなたはみずからをおさえ、 |黙《もく》して、われわれをいたく|苦《くる》しめられるのですか。 [#ここで字下げ終わり] 第六五章[#「第六五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしを|求《もと》めなかった|者《もの》に |問《と》われることを|喜《よろこ》び、 わたしを|尋《たず》ねなかった|者《もの》に |見《み》いだされることを|喜《よろこ》んだ。 わたしはわが|名《な》を|呼《よ》ばなかった|国民《こくみん》に|言《い》った、 「わたしはここにいる、わたしはここにいる」と。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]よからぬ|道《みち》に|歩《あゆ》み、 |自分《じぶん》の|思《おも》いに|従《したが》うそむける|民《たみ》に、 わたしはひねもす|手《て》を|伸《の》べて|招《まね》いた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》はまのあたり|常《つね》にわたしを|怒《いか》らせ、 |園《その》の|中《なか》で|犠牲《ぎせい》をささげ、 かわらの|上《うえ》で|香《こう》をたき、 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|墓場《はかば》にすわり、ひそかな|所《ところ》にやどり、 |豚《ぶた》の|肉《にく》を|食《く》らい、 |憎《にく》むべき|物《もの》の、あつものをその|器《うつわ》に|盛《も》って、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》う、「あなたはそこに|立《た》って、 わたしに|近《ちか》づいてはならない。 わたしはあなたと|区別《くべつ》されたものだから」と。 これらはわが|鼻《はな》の|煙《けむり》、ひねもす|燃《も》える|火《ひ》である。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、この|事《こと》はわが|前《まえ》にしるされた、 「わたしは|黙《だま》っていないで|報《むく》い|返《かえ》す。 そうだ、わたしは|彼《かれ》らのふところに、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|不義《ふぎ》と、|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちの|不義《ふぎ》とを |共《とも》に|報《むく》い|返《かえ》す。 |彼《かれ》らが|山《やま》の|上《うえ》で|香《こう》をたき、 |丘《おか》の|上《うえ》でわたしをそしったゆえ、 わたしは|彼《かれ》らのさきのわざを|量《はか》って、 そのふところに|返《かえ》す」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|人《ひと》がぶどうのふさの|中《なか》に、 ぶどうのしるのあるのを|見《み》るならば、 『それを|破《やぶ》るな、その|中《なか》に|祝福《しゅくふく》があるから』と|言《い》う。 そのようにわたしは、わがしもべらのために|行《おこな》って、 ことごとくは|滅《ほろ》ぼさない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはヤコブから|子孫《しそん》をいだし、 ユダからわが|山々《やまやま》を|受《う》けつぐべき|者《もの》をいだす。 わたしが|選《えら》んだ|者《もの》はこれを|受《う》けつぎ、 わがしもべらはそこに|住《す》む。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]シャロンは|羊《ひつじ》の|群《む》れの|牧場《まきば》となり、 アコルの|谷《たに》は|牛《うし》の|群《む》れの|伏《ふ》す|所《ところ》となって、 わたしを|尋《たず》ね|求《もと》めたわが|民《たみ》のものとなる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》を|捨《す》て、 わが|聖《せい》なる|山《やま》を|忘《わす》れ、 |机《つくえ》を|禍福《かふく》の|神《かみ》に|供《そな》え、 |混《ま》ぜ|合《あ》わせた|酒《さけ》を|盛《も》って |運命《うんめい》の|神《かみ》にささげるあなたがたよ、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたがたを つるぎに|渡《わた》すことに|定《さだ》めた。 あなたがたは|皆《みな》かがんでほふられる。 あなたがたはわたしが|呼《よ》んだときに|答《こた》えず、 わたしが|語《かた》ったときに|聞《き》かず、 わたしの|目《め》に|悪《わる》い|事《こと》をおこない、 わたしの|好《この》まなかった|事《こと》を|選《えら》んだからだ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わがしもべたちは|食《た》べる、 しかし、あなたがたは|飢《う》える。 |見《み》よ、わがしもべたちは|飲《の》む、 しかし、あなたがたはかわく。 |見《み》よ、わがしもべたちは|喜《よろこ》ぶ、 しかし、あなたがたは|恥《は》じる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わがしもべたちは|心《こころ》の|楽《たの》しみによって|歌《うた》う、 しかし、あなたがたは|心《こころ》の|苦《くる》しみによって|叫《さけ》び、 たましいの|悩《なや》みによって|泣《な》き|叫《さけ》ぶ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|残《のこ》す|名《な》は わが|選《えら》んだ|者《もの》には、のろいの|文句《もんく》となり、 |主《しゅ》なる|神《かみ》はあなたがたを|殺《ころ》される。 しかし、おのれのしもべたちを、 ほかの|名《な》をもって|呼《よ》ばれる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|地《ち》にあって おのれのために|祝福《しゅくふく》を|求《もと》める|者《もの》は、 |真実《しんじつ》の|神《かみ》によっておのれの|祝福《しゅくふく》を|求《もと》め、 |地《ち》にあって|誓《ちか》う|者《もの》は、|真実《しんじつ》の|神《かみ》をさして|誓《ちか》う。 さきの|悩《なや》みは|忘《わす》れられて、とわが|目《め》から|隠《かく》れうせるからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|新《あたら》しい|天《てん》と、|新《あたら》しい|地《ち》とを|創造《そうぞう》する。 さきの|事《こと》はおぼえられることなく、 |心《こころ》に|思《おも》い|起《おこ》すことはない。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたがたはわたしの|創造《そうぞう》するものにより、 とこしえに|楽《たの》しみ、|喜《よろこ》びを|得《え》よ。 |見《み》よ、わたしはエルサレムを|造《つく》って|喜《よろこ》びとし、 その|民《たみ》を|楽《たの》しみとする。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエルサレムを|喜《よろこ》び、わが|民《たみ》を|楽《たの》しむ。 |泣《な》く|声《こえ》と|叫《さけ》ぶ|声《こえ》は|再《ふたた》びその|中《なか》に|聞《きこ》えることはない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わずか|数日《すうじつ》で|死《し》ぬみどりごと、 おのが|命《いのち》の|日《ひ》を|満《み》たさない|老人《ろうじん》とは、 もはやその|中《なか》にいない。 百|歳《さい》で|死《し》ぬ|者《もの》も、なお|若《わか》い|者《もの》とせられ、 百|歳《さい》で|死《し》ぬ|者《もの》は、のろわれた|罪《つみ》びととされる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|家《いえ》を|建《た》てて、それに|住《す》み、 ぶどう|畑《ばたけ》を|作《つく》って、その|実《み》を|食《た》べる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|建《た》てる|所《ところ》に、ほかの|人《ひと》は|住《す》まず、 |彼《かれ》らが|植《う》えるものは、ほかの|人《ひと》が|食《た》べない。 わが|民《たみ》の|命《いのち》は、|木《き》の|命《いのち》のようになり、 わが|選《えら》んだ|者《もの》は、 その|手《て》のわざをながく|楽《たの》しむからである。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|勤労《きんろう》はむだでなく、 その|生《う》むところの|子《こ》らは|災《わざわい》にかからない。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》に|祝福《しゅくふく》された|者《もの》のすえであって、 その|子《こ》らも|彼《かれ》らと|共《とも》におるからである。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|呼《よ》ばないさきに、わたしは|答《こた》え、 |彼《かれ》らがなお|語《かた》っているときに、わたしは|聞《き》く。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]おおかみと|小羊《こひつじ》とは|共《とも》に|食《く》らい、 ししは|牛《うし》のようにわらを|食《く》らい、 へびはちりを|食物《しょくもつ》とする。 |彼《かれ》らはわが|聖《せい》なる|山《やま》のどこでもそこなうことなく、 やぶることはない」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] 第六六章[#「第六六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|天《てん》はわが|位《くらい》、|地《ち》はわが|足《あし》|台《だい》である。 あなたがたはわたしのためにどんな|家《いえ》を|建《た》てようとするのか。 またどんな|所《ところ》がわが|休《やす》み|所《ところ》となるのか」。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「わが|手《て》はすべてこれらの|物《もの》を|造《つく》った。 これらの|物《もの》はことごとくわたしのものである。 しかし、わたしが|顧《かえり》みる|人《ひと》はこれである。 すなわち、へりくだって|心《こころ》|悔《く》い、 わが|言葉《ことば》に|恐《おそ》れおののく|者《もの》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|牛《うし》をほふる|者《もの》は、また|人《ひと》を|殺《ころ》す|者《もの》、 |小羊《こひつじ》を|犠牲《ぎせい》とする|者《もの》は、また|犬《いぬ》をくびり|殺《ころ》す|者《もの》、 |供《そな》え|物《もの》をささげる|者《もの》は、また|豚《ぶた》の|血《ち》をささげる|者《もの》、 |乳香《にゅうこう》を|記念《きねん》としてささげる|者《もの》は、 また|偶像《ぐうぞう》をほめる|者《もの》である。 これはおのが|道《みち》を|選《えら》び、 その|心《こころ》は|憎《にく》むべきものを|楽《たの》しむ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしもまた|彼《かれ》らのために|悩《なや》みを|選《えら》び、 |彼《かれ》らの|恐《おそ》れるところのものを|彼《かれ》らに|臨《のぞ》ませる。 これは、わたしが|呼《よ》んだときに|答《こた》える|者《もの》なく、 わたしが|語《かた》ったときに|聞《き》くことをせず、 わたしの|目《め》に|悪《わる》い|事《こと》を|行《おこな》い、 わたしの|好《この》まなかった|事《こと》を|選《えら》んだからである」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた、|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|恐《おそ》れおののく|者《もの》よ、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け、 「あなたがたの|兄弟《きょうだい》たちはあなたがたを|憎《にく》み、 あなたがたをわが|名《な》のために|追《お》い|出《だ》して|言《い》った、 『|願《ねが》わくは|主《しゅ》がその|栄光《えいこう》をあらわして われわれにあなたがたの|喜《よろこ》びを|見《み》させよ』と。 しかし|彼《かれ》らは|恥《はじ》を|受《う》ける。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》けよ、|町《まち》から|起《おこ》る|騒《さわ》ぎを。 |宮《みや》から|聞《きこ》える|声《こえ》を。 |主《しゅ》がその|敵《てき》に|報復《ほうふく》される|声《こえ》を。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]シオンは|産《う》みの|苦《くる》しみをなす|前《まえ》に|産《う》み、 その|苦《くる》しみの|来《こ》ない|前《まえ》に|男子《だんし》を|産《う》んだ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]だれがこのような|事《こと》を|聞《き》いたか、 だれがこのような|事《こと》どもを|見《み》たか。 一つの|国《くに》は一|日《にち》の|苦《くる》しみで|生《うま》れるだろうか。 一つの|国民《くにたみ》はひと|時《とき》に|生《うま》れるだろうか。 しかし、シオンは|産《う》みの|苦《くる》しみをするやいなや その|子《こ》らを|産《う》んだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|出産《しゅっさん》に|臨《のぞ》ませて |産《う》ませないことがあろうか」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 「わたしは|産《う》ませる|者《もの》なのに |胎《たい》をとざすであろうか」と あなたの|神《かみ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「すべてエルサレムを|愛《あい》する|者《もの》よ、 |彼女《かのじょ》と|共《とも》に|喜《よろこ》べ、|彼女《かのじょ》のゆえに|楽《たの》しめ。 すべて|彼女《かのじょ》のために|悲《かな》しむ|者《もの》よ、 |彼女《かのじょ》と|共《とも》に|喜《よろこ》び|楽《たの》しめ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|慰《なぐさ》めを|与《あた》えるエルサレムの|乳《ち》ぶさから |乳《ちち》を|吸《す》って|飽《あ》くことができ、 またその|豊《ゆた》かな|栄《さか》えから |飲《の》んで|楽《たの》しむことができるからだ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしは|川《かわ》のように|彼女《かのじょ》に|繁栄《はんえい》を|与《あた》え、 みなぎる|流《なが》れのように、もろもろの|国《くに》の|富《とみ》を|与《あた》える。 あなたがたは|乳《ちち》を|飲《の》み、|腰《こし》に|負《お》われ、 ひざの|上《うえ》であやされる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|母《はは》のその|子《こ》を|慰《なぐさ》めるように、 わたしもあなたがたを|慰《なぐさ》める。 あなたがたはエルサレムで|慰《なぐさ》めを|得《え》る。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|見《み》て、|心《こころ》|喜《よろこ》び、 あなたがたの|骨《ほね》は|若草《わかくさ》のように|栄《さか》える。 |主《しゅ》の|手《て》はそのしもべらと|共《とも》にあり、 その|憤《いきどお》りはその|敵《てき》にむかっていることを|知《し》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》は|火《ひ》の|中《なか》にあらわれて|来《こ》られる。 その|車《くるま》はつむじ|風《かぜ》のようだ。 |激《はげ》しい|怒《いか》りをもってその|憤《いきどお》りをもらし、 |火《ひ》の|炎《ほのお》をもって|責《せ》められる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|火《ひ》をもって、またつるぎをもって、 すべての|人《ひと》にさばきを|行《おこな》われる。 |主《しゅ》に|殺《ころ》される|者《もの》は|多《おお》い」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「みずからを|聖別《せいべつ》し、みずからを|清《きよ》めて|園《その》に|行《い》き、その|中《なか》にあるものに|従《したが》い、|豚《ぶた》の|肉《にく》、|憎《にく》むべき|物《もの》およびねずみを|食《く》う|者《もの》はみな|共《とも》に|絶《た》えうせる」と|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|彼《かれ》らのわざと、|彼《かれ》らの|思《おも》いとを|知《し》っている。わたしは|来《き》て、すべての|国民《こくみん》と、もろもろのやからとを|集《あつ》める。|彼《かれ》らは|来《き》て、わが|栄光《えいこう》を|見《み》る。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|中《なか》に一つのしるしを|立《た》てて、のがれた|者《もの》をもろもろの|国《くに》、すなわちタルシシ、よく|弓《ゆみ》をひくプトおよびルデ、トバル、ヤワン、またわが|名声《めいせい》を|聞《き》かず、わが|栄光《えいこう》を|見《み》ない|遠《とお》くの|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》につかわす。|彼《かれ》らはわが|栄光《えいこう》をもろもろの|国民《こくみん》の|中《なか》に|伝《つた》える。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはイスラエルの|子《こ》らが|清《きよ》い|器《うつわ》に|供《そな》え|物《もの》を|盛《も》って|主《しゅ》の|宮《みや》に|携《たずさ》えて|来《く》るように、あなたがたの|兄弟《きょうだい》をことごとくもろもろの|国《くに》の|中《なか》から|馬《うま》、|車《くるま》、かご、|騾馬《らば》、らくだに|乗《の》せて、わが|聖《せい》なる|山《やま》エルサレムにこさせ、|主《しゅ》の|供《そな》え|物《もの》とする」と|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはまた|彼《かれ》らの|中《なか》から|人《ひと》を|選《えら》んで|祭司《さいし》とし、レビびととする」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしが|造《つく》ろうとする|新《あたら》しい|天《てん》と、|新《あたら》しい|地《ち》が わたしの|前《まえ》にながくとどまるように、 あなたの|子孫《しそん》と、あなたの|名《な》は ながくとどまる」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「|新月《しんげつ》ごとに、|安息日《あんそくにち》ごとに、 すべての|人《ひと》はわが|前《まえ》に|来《き》て|礼《れい》|拝《はい》する」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》らは|出《で》て、わたしにそむいた|人々《ひとびと》のしかばねを|見《み》る。そのうじは|死《し》なず、その|火《ひ》は|消《き》えることがない。|彼《かれ》らはすべての|人《ひと》に|忌《い》みきらわれる」。 [#改ページ] エレミヤ書[#「エレミヤ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|地《ち》アナトテの|祭司《さいし》のひとりである、ヒルキヤの|子《こ》エレミヤの|言葉《ことば》。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]アモンの|子《こ》、ユダの|王《おう》ヨシヤの|時《とき》、すなわちその|治世《ちせい》の十三|年《ねん》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|言葉《ことば》はまたヨシヤの|子《こ》、ユダの|王《おう》エホヤキムの|時《とき》にも|臨《のぞ》んで、ヨシヤの|子《こ》、ユダの|王《おう》ゼデキヤの十一|年《ねん》の|終《おわ》り、すなわちその|年《ねん》の五|月《がつ》にエルサレムの|民《たみ》が|捕《とら》え|移《うつ》された|時《とき》にまで|及《およ》んだ。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》う、 [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたをまだ|母《はは》の|胎《たい》につくらないさきに、 あなたを|知《し》り、 あなたがまだ|生《うま》れないさきに、 あなたを|聖別《せいべつ》し、 あなたを|立《た》てて|万国《ばんこく》の|預言者《よげんしゃ》とした」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、わたしはただ|若者《わかもの》にすぎず、どのように|語《かた》ってよいか|知《し》りません」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「あなたはただ|若者《わかもの》にすぎないと|言《い》ってはならない。 だれにでも、すべてわたしがつかわす|人《ひと》へ|行《い》き、 あなたに|命《めい》じることをみな|語《かた》らなければならない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない、 わたしがあなたと|共《とも》にいて、 あなたを|救《すく》うからである」と|主《しゅ》は|仰《おお》せられる。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はみ|手《て》を|伸《の》べて、わたしの|口《くち》につけ、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「|見《み》よ、わたしの|言葉《ことば》をあなたの|口《くち》に|入《い》れた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはきょう、 あなたを|万民《ばんみん》の|上《うえ》と、|万国《ばんこく》の|上《うえ》に|立《た》て、 あなたに、あるいは|抜《ぬ》き、あるいはこわし、 あるいは|滅《ほろ》ぼし、あるいは|倒《たお》し、 あるいは|建《た》て、あるいは|植《う》えさせる」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》う、「エレミヤよ、あなたは|何《なに》を|見《み》るか」。わたしは|答《こた》えた、「あめんどうの|枝《えだ》を|見《み》ます」。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「あなたの|見《み》たとおりだ。わたしは|自分《じぶん》の|言葉《ことば》を|行《おこな》おうとして|見張《みは》っているのだ」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がふたたびわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》う、「あなたは|何《なに》を|見《み》るか」。わたしは|答《こた》えた、「|煮《に》え|立《た》っているなべを|見《み》ます。|北《きた》からこちらに|向《む》かっています」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「|災《わざわい》が|北《きた》から|起《た》って、この|地《ち》に|住《す》むすべての|者《もの》の|上《うえ》に|臨《のぞ》む」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「|見《み》よ、わたしは|北《きた》の|国々《くにぐに》のすべての|民《たみ》を|呼《よ》ぶ。|彼《かれ》らは|来《き》て、エルサレムの|門《もん》の|入口《いりぐち》と、|周囲《しゅうい》のすべての|城壁《じょうへき》、およびユダのすべての|町々《まちまち》に|向《む》かって、おのおのその|座《ざ》を|設《もう》ける。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|彼《かれ》らがわたしを|捨《す》てて、すべての|悪事《あくじ》を|行《おこな》ったゆえに、わたしのさばきを|彼《かれ》らに|告《つ》げる。|彼《かれ》らは|他《た》の|神々《かみがみ》に|香《こう》をたき、|自分《じぶん》の|手《て》で|作《つく》った|物《もの》を|拝《はい》したのである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは|腰《こし》に|帯《おび》して|立《た》ち、わたしが|命《めい》じるすべての|事《こと》を|彼《かれ》らに|告《つ》げよ。|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。さもないと、わたしは|彼《かれ》らの|前《まえ》であなたをあわてさせる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはきょう、この|全国《ぜんこく》と、ユダの|王《おう》と、そのつかさと、その|祭司《さいし》と、その|地《ち》の|民《たみ》の|前《まえ》に、あなたを|堅《かた》き|城《しろ》、|鉄《てつ》の|柱《はしら》、|青銅《せいどう》の|城壁《じょうへき》とする。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたと|戦《たたか》うが、あなたに|勝《か》つことはできない。わたしがあなたと|共《とも》にいて、あなたを|救《すく》うからである」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》う、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》って、エルサレムに|住《す》む|者《もの》の|耳《みみ》に|告《つ》げよ、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] わたしはあなたの|若《わか》い|時《とき》の|純情《じゅんじょう》、 |花嫁《はなよめ》の|時《とき》の|愛《あい》、 |荒野《あらの》なる、|種《たね》まかぬ|地《ち》で わたしに|従《したが》ったことを|覚《おぼ》えている。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|主《しゅ》のために|聖別《せいべつ》されたもの、 その|刈入《かりい》れの|初穂《はつほ》である。 すべてこれを|食《た》べる|者《もの》は|罪《つみ》せられ、 |災《わざわい》にあう」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|家《いえ》とイスラエルの|家《いえ》のすべてのやからよ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「あなたがたの|先祖《せんぞ》は、 わたしになんの|悪《わる》い|事《こと》があるのを|見《み》て、 わたしから|遠《とお》ざかり、 むなしいものに|従《したが》って、むなしくなったのか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》わなかった、 『われわれをエジプトの|地《ち》より|導《みちび》き|出《だ》し、 |荒野《あらの》なる、|穴《あな》の|多《おお》い|荒《あ》れた|地《ち》、 かわいた|濃《こ》い|暗黒《あんこく》の|地《ち》、 |人《ひと》の|通《とお》らない、|人《ひと》の|住《す》まない|地《ち》を |通《とお》らせた|主《しゅ》はどこにおられるか』と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを|導《みちび》いて|豊《ゆた》かな|地《ち》に|入《い》れ、 その|実《み》と|良《よ》い|物《もの》を|食《た》べさせた。 しかしあなたがたはここにはいって、 わたしの|地《ち》を|汚《けが》し、 わたしの|嗣《し》|業《ぎょう》を|憎《にく》むべきものとした。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちは、 『|主《しゅ》はどこにおられるか』と|言《い》わなかった。 |律法《りっぽう》を|扱《あつか》う|者《もの》たちはわたしを|知《し》らず、 つかさたちはわたしにそむき、 |預言者《よげんしゃ》たちはバアルによって|預言《よげん》し、 |益《えき》なき|者《もの》に|従《したが》って|行《い》った。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはなお、あなたがたと|争《あらそ》う、 またあなたがたの|子孫《しそん》と|争《あらそ》う」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはクプロの|島々《しまじま》に|渡《わた》ってみよ、 また|人《ひと》をケダルにつかわして、 このようなことがかつてあったかを つまびらかに、しらべてみよ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|神《かみ》を|神《かみ》ではない|者《もの》に|取《と》り|替《か》えた|国《くに》があろうか。 ところが、わたしの|民《たみ》はその|栄光《えいこう》を |益《えき》なきものと|取《と》り|替《か》えた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》よ、この|事《こと》を|知《し》って|驚《おどろ》け、 おののけ、いたく|恐《おそ》れよ」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「それは、わたしの|民《たみ》が 二つの|悪《あ》しき|事《こと》を|行《おこな》ったからである。 すなわち|生《い》ける|水《みず》の|源《みなもと》であるわたしを|捨《す》てて、 |自分《じぶん》で|水《みず》ためを|掘《ほ》った。 それは、こわれた|水《みず》ためで、 |水《みず》を|入《い》れておくことのできないものだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|奴隷《どれい》であるか、 |家《いえ》に|生《うま》れたしもべであるか。 それならなぜ|捕《とら》われの|身《み》となったのか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ししは|彼《かれ》に|向《む》かってほえ、 その|声《こえ》を|高《たか》くあげて、|彼《かれ》の|地《ち》を|荒《あら》した。 その|町々《まちまち》は|滅《ほろ》びて|住《す》む|人《ひと》もない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]メンピスとタパネスの|人々《ひとびと》もまた、 あなたのかしらの|冠《かんむり》を|砕《くだ》いた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたを|道《みち》に|導《みちび》かれた|時《とき》、 あなたは|主《しゅ》を|捨《す》てたので、 この|事《こと》があなたに|及《およ》んだのではないか。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがナイルの|水《みず》を|飲《の》もうとして、 エジプトへ|行《い》くのは|何《なに》のためか。 またユフラテの|水《みず》を|飲《の》もうとして、 アッスリヤへ|行《い》くのは|何《なに》のためか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|悪事《あくじ》はあなたを|懲《こら》しめ、 あなたの|背信《はいしん》はあなたを|責《せ》める。 あなたが、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》を|捨《す》てることの |悪《あ》しくかつ|苦《にが》いことであるのを|見《み》て|知《し》るがよい。 わたしを|恐《おそ》れることがあなたのうちにないのだ」と |万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|久《ひさ》しい|以前《いぜん》に|自分《じぶん》のくびきを|折《お》り、 |自分《じぶん》のなわめを|断《た》ち|切《き》って、 『わたしは|仕《つか》えることをしない』と|言《い》った。 そして、すべての|高《たか》い|丘《おか》の|上《うえ》と、 すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》で、 |遊女《ゆうじょ》のように|身《み》をかがめた。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを、まったく|良《よ》い|種《たね》の すぐれたぶどうの|木《き》として|植《う》えたのに、 どうしてあなたは|変《かわ》って、 |悪《わる》い|野《の》ぶどうの|木《き》となったのか。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]たといソーダをもって|自《みずか》ら|洗《あら》い、 また|多《おお》くの|灰汁《あく》を|用《もち》いても、 あなたの|悪《あく》の|汚《けが》れは、なおわたしの|前《まえ》にある」と |主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「どうしてあなたは、『わたしは|汚《けが》れていない、 バアルに|従《したが》わなかった』と|言《い》うことができようか。 |谷《たに》の|中《なか》でのあなたの|行《おこな》いを|見《み》るがよい。 あなたのしたことを|知《し》るがよい。 あなたは|御《ぎょ》しがたい|若《わか》いらくだであって、 その|道《みち》を|行《ゆ》きつもどりつする。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|荒野《あらの》に|慣《な》れた|野《の》の|雌《め》ろばである、 その|欲情《よくじょう》のために|風《かぜ》にあえぐ。 その|欲情《よくじょう》をだれがとどめることができようか。 すべてこれを|尋《たず》ねる|者《もの》は|苦《く》|労《ろう》するにおよばない、 その|月《つき》であればこれに|会《あ》うことができる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|足《あし》が、はだしにならないように、 のどが、かわかないようにせよ。 ところが、あなたは|言《い》った、『それはだめだ、 わたしは|異《こと》なる|国《くに》の|者《もの》を|愛《あい》して、 それに|従《したが》って|行《い》こう』と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|盗《ぬす》びとが|捕《とら》えられて、はずかしめを|受《う》けるように、 イスラエルの|家《いえ》は、はずかしめを|受《う》ける。 |彼《かれ》らはその|王《おう》も、そのつかさも、 その|祭司《さいし》も、その|預言者《よげんしゃ》もみなそのとおりである。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|木《き》に|向《む》かって、 『あなたはわたしの|父《ちち》です』と|言《い》い、 また|石《いし》に|向《む》かって、 『あなたはわたしを|生《う》んでくださった』と|言《い》う。 |彼《かれ》らは|背《せ》をわたしに|向《む》けて、 その|顔《かお》をわたしに|向《む》けない。 しかし|彼《かれ》らが|災《わざわい》にあう|時《とき》は、 『|立《た》って、われわれを|救《すく》いたまえ』と|言《い》う。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|自分《じぶん》のために|造《つく》った|神々《かみがみ》は どこにいるのか。 あなたが|災《わざわい》にあう|時《とき》、 もし|彼《かれ》らがあなたを|救《すく》えるなら、 |立《た》ってもらうがよい。 ユダよ、あなたの|神々《かみがみ》は、 あなたの|町《まち》の|数《かず》ほど|多《おお》いからである。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、なぜわたしと|争《あらそ》うのか。 あなたがたは|皆《みな》わたしにそむいている」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]「わたしがあなたがたの|子《こ》どもたちを |打《う》ったのはむだであった。 |彼《かれ》らは|戒《いまし》めを|受《う》けず、 あなたがたのつるぎは、 たけりたつししのように、|預言者《よげんしゃ》たちを|滅《ほろ》ぼした。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたこの|世代《せだい》の|人《ひと》よ、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。 わたしはイスラエルにとって、 |荒野《あらの》であったであろうか。 |暗黒《あんこく》の|地《ち》であったであろうか。 それならなぜ、わたしの|民《たみ》は『われわれは|自由《じゆう》だ、 もはやあなたのところへは|行《い》かない』と|言《い》うのか。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]おとめはその|飾《かざ》り|物《もの》を|忘《わす》れることができようか。 |花嫁《はなよめ》はその|帯《おび》を|忘《わす》れることができようか。 ところが、わたしの|民《たみ》の、 わたしを|忘《わす》れた|日《ひ》は|数《かぞ》えがたい。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|恋人《こいびと》を|尋《たず》ねて、 いかにも|巧《たく》みにその|方《ほう》に|足《あし》を|向《む》ける。 それゆえ|悪《わる》い|女《おんな》さえ、あなたの|道《みち》を|学《まな》んだ。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたの|着物《きもの》のすそには |罪《つみ》のない|貧《まず》しい|人《ひと》の|命《いのち》の|血《ち》がついている。 あなたは|彼《かれ》らが|押《お》し|入《い》るのを|見《み》たのではない。 しかも、すべてこれらの|事《こと》にもかかわらず、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》う、『わたしは|罪《つみ》がない。|彼《かれ》の|怒《いか》りは、 |決《けっ》してわたしに|臨《のぞ》むことがない』と。 あなたが『わたしは|罪《つみ》を|犯《おか》さなかった』と |言《い》うことによって、わたしはあなたをさばく。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはなぜ|軽々《かるがる》しくさまよって、 その|道《みち》を|変《か》えようとするのか。 あなたはアッスリヤに、はずかしめを|受《う》けたように、 エジプトにもまた、はずかしめを|受《う》ける。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|両手《りょうて》を|頭《あたま》に|置《お》いて、そこから|出《で》て|来《く》る。 |主《しゅ》があなたの|頼《たの》みとする|者《もの》どもを|捨《す》てられたので、 あなたは|彼《かれ》らによって|栄《さか》えることがないからだ。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》がその|妻《つま》を|離婚《りこん》し、 |女《おんな》が|彼《かれ》のもとを|去《さ》って、|他人《たにん》の|妻《つま》となるなら、 その|人《ひと》はふたたび|彼女《かのじょ》に|帰《かえ》るであろうか。 その|地《ち》は|大《おお》いに|汚《けが》れないであろうか。 あなたは|多《おお》くの|恋人《こいびと》と|姦淫《かんいん》を|行《おこな》った。 しかもわたしに|帰《かえ》ろうというのか」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|目《め》をあげてもろもろの|裸《はだか》の|山《やま》を|見《み》よ、 |姦淫《かんいん》を|行《おこな》わなかった|所《ところ》がどこにあるか。 |荒野《あらの》にいるアラビヤびとがするように、 あなたは|道《みち》のかたわらに|座《ざ》して|恋人《こいびと》を|待《ま》った。 あなたは|姦淫《かんいん》の|悪事《あくじ》をもって、この|地《ち》を|汚《けが》した。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|雨《あめ》はとどめられ、|春《はる》の|雨《あめ》は|降《ふ》らなかった。 しかもあなたには|遊女《ゆうじょ》の|額《ひたい》があり、 |少《すこ》しも|恥《は》じようとはしない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたは、わたしを|呼《よ》んで|言《い》ったではないか、 『わが|父《ちち》よ、あなたはわたしの|若《わか》い|時《とき》の|友《とも》です。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|永久《えいきゅう》に|怒《いか》られるのですか、 |終《おわ》りまで|憤《いきどお》られるのですか』と。 |見《み》よ、あなたはこう|言《い》ったけれども、 なしうるかぎりのもろもろの|悪《あく》を|行《おこな》った」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤ|王《おう》の|時《とき》、|主《しゅ》はまたわたしに|言《い》われた、「あなたは、かの|背信《はいしん》のイスラエルがしたことを|見《み》たか。|彼女《かのじょ》はすべての|高《たか》い|丘《おか》にのぼり、すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》に|行《い》って、そこで|姦淫《かんいん》を|行《おこな》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|彼女《かのじょ》がこのすべてを|行《おこな》った|後《のち》、わたしの|所《ところ》に|帰《かえ》るであろうと|思《おも》ったが、|帰《かえ》ってこなかった。その|不信《ふしん》の|姉妹《しまい》ユダはこれを|見《み》た。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|背信《はいしん》のイスラエルを、そのすべての|姦淫《かんいん》のゆえに、|離縁《りえん》|状《じょう》を|与《あた》えて|出《だ》したのをユダは|見《み》た。しかもその|不信《ふしん》の|姉妹《しまい》ユダは|恐《おそ》れず、|自分《じぶん》も|行《い》って|姦淫《かんいん》を|行《おこな》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》にとって|姦淫《かんいん》は|軽《かる》いことであったので、|石《いし》と|木《き》とに|姦淫《かんいん》を|行《い》って、この|地《ち》を|汚《けが》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]このすべての|事《こと》があっても、なおその|不信《ふしん》の|姉妹《しまい》ユダは|真心《まごころ》をもってわたしに|帰《かえ》らない、ただ|偽《いつわ》っているだけだ」と|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたわたしに|言《い》われた、「|背信《はいしん》のイスラエルは|不信《ふしん》のユダよりも|自分《じぶん》の|罪《つみ》の|少《すく》ないことを|示《しめ》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|行《い》って|北《きた》にむかい、この|言葉《ことば》をのべて|言《い》うがよい、 [#ここから2字下げ] 『|主《しゅ》は|言《い》われる、|背信《はいしん》のイスラエルよ、|帰《かえ》れ。 わたしは|怒《いか》りの|顔《かお》をあなたがたに|向《む》けない、 わたしはいつくしみ|深《ふか》い|者《もの》である。 いつまでも|怒《いか》ることはしないと、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ただあなたは|自分《じぶん》の|罪《つみ》を|認《みと》め、 あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》にそむいて すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》で|異《こと》なる|神々《かみがみ》に あなたの|愛《あい》を|惜《お》しまず|与《あた》えたこと、 わたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わなかったことを |言《い》いあらわせと、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|背信《はいしん》の|子《こ》らよ、|帰《かえ》れ。 わたしはあなたがたの|夫《おっと》だからである。 |町《まち》からひとり、|氏族《しぞく》からふたりを|取《と》って、 あなたがたをシオンへ|連《つ》れて|行《い》こう。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》の|心《こころ》にかなう|牧者《ぼくしゃ》たちをあなたがたに|与《あた》える。|彼《かれ》らは|知識《ちしき》と|悟《さと》りとをもってあなたがたを|養《やしな》う。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、あなたがたが|地《ち》に|増《ま》して|多《おお》くなるとき、その|日《ひ》には、|人々《ひとびと》はかさねて「|主《しゅ》の|契約《けいやく》の|箱《はこ》」と|言《い》わず、これを|思《おも》い|出《だ》さず、これを|覚《おぼ》えず、これを|尋《たず》ねず、これを|作《つく》らない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そのときエルサレムは|主《しゅ》のみ|位《くらい》ととなえられ、|万国《ばんこく》の|民《たみ》はここに|集《あつ》まる。すなわち|主《しゅ》の|名《な》のもとにエルサレムに|集《あつ》まり、かさねて、かたくなに|自分《じぶん》の|悪《わる》い|心《こころ》に|従《したが》うことはしない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、ユダの|家《いえ》はイスラエルの|家《いえ》と|一緒《いっしょ》になり、|北《きた》の|地《ち》から|出《で》て、わたしがあなたがたの|先祖《せんぞ》たちに|嗣《し》|業《ぎょう》として|与《あた》えた|地《ち》に|共《とも》に|来《く》る。 [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]どのようにして、 あなたをわたしの|子《こ》どもたちのうちに|置《お》き、 |万国《ばんこく》のうちで|最《もっと》も|美《うつく》しい|嗣《し》|業《ぎょう》である|良《よ》い|地《ち》を あなたに|与《あた》えようかと、わたしは|思《おも》っていた。 わたしはまた、あなたがわたしを「わが|父《ちち》」と|呼《よ》び、 わたしに|従《したが》って|離《はな》れることはないと|思《おも》っていた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》よ、 |背信《はいしん》の|妻《つま》が|夫《おっと》のもとを|去《さ》るように、 たしかに、あなたがたはわたしにそむいた』と |主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|裸《はだか》の|山《やま》の|上《うえ》に|声《こえ》が|聞《きこ》える、 イスラエルの|民《たみ》が|悲《かな》しみ|祈《いの》るのである。 |彼《かれ》らが|曲《まが》った|道《みち》に|歩《あゆ》み、その|神《かみ》、|主《しゅ》を|忘《わす》れたからだ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「|背信《はいしん》の|子《こ》どもたちよ、|帰《かえ》れ。 わたしはあなたがたの|背信《はいしん》をいやす」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] 「|見《み》よ、われわれはあなたのもとに|帰《かえ》ります。 あなたはわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》であらせられます。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]まことに、もろもろの|丘《おか》は|迷《まよ》いであり、 |山《やま》の|上《うえ》の|騒《さわ》ぎも|同《おな》じです。 まことに、イスラエルの|救《すくい》は われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》にあるのです。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、われわれの|幼少《ようしょう》の|時《とき》から、|恥《は》ずべきことが、われわれの|先祖《せんぞ》のほねおって|得《え》たもの、すなわちその|羊《ひつじ》、その|牛《うし》、およびそのむすこ、|娘《むすめ》たちをことごとくのみ|尽《つく》しました。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|恥《はじ》の|中《なか》に|伏《ふ》し、はずかしめにおおわれています。それはわれわれと|先祖《せんぞ》とが、われわれの|幼少《ようしょう》の|時《とき》から|今日《こんにち》まで、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》し、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|従《したが》わなかったからです」。 第四章[#「第四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「イスラエルよ、 もし、あなたが|帰《かえ》るならば、 わたしのもとに|帰《かえ》らなければならない。 もし、あなたが|憎《にく》むべき|者《もの》を わたしの|前《まえ》から|取《と》り|除《のぞ》いて、ためらうことなく、 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|真実《しんじつ》と|正義《せいぎ》と|正直《しょうじき》とをもって、 『|主《しゅ》は|生《い》きておられる』と|誓《ちか》うならば、 |万国《ばんこく》の|民《たみ》は|彼《かれ》によって|祝福《しゅくふく》を|受《う》け、 |彼《かれ》によって|誇《ほこ》る」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はユダの|人々《ひとびと》とエルサレムに|住《す》む|人々《ひとびと》に こう|言《い》われる、 「あなたがたの|新田《しんでん》を|耕《たがや》せ、 いばらの|中《なか》に|種《たね》をまくな。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|人々《ひとびと》とエルサレムに|住《す》む|人々《ひとびと》よ、 あなたがたは|自《みずか》ら|割礼《かつれい》を|行《おこな》って、 |主《しゅ》に|属《ぞく》するものとなり、 |自分《じぶん》の|心《こころ》の|前《まえ》の|皮《かわ》を|取《と》り|去《さ》れ。 さもないと、あなたがたの|悪《あ》しき|行《おこな》いのために わたしの|怒《いか》りが|火《ひ》のように|発《はっ》して|燃《も》え、 これを|消《け》す|者《もの》はない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ユダに|告《つ》げ、エルサレムに|示《しめ》して|言《い》え、 「|国中《くにぢゅう》にラッパを|吹《ふ》き、|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわって|言《い》え、 『|集《あつ》まれ、われわれは|堅固《けんご》な|町々《まちまち》へ|行《い》こう』と。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|方《ほう》を|示《しめ》す|旗《はた》を|立《た》てよ。 |避難《ひなん》せよ、とどまってはならない、 わたしが|北《きた》から|災《わざわい》と |大《おお》いなる|破滅《はめつ》をこさせるからだ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ししはその|森《もり》から|出《で》てのぼり、 |国々《くにぐに》を|滅《ほろ》ぼす|者《もの》は|進《すす》んできた。 |彼《かれ》はあなたの|国《くに》を|荒《あら》そうとして、 すでにその|所《ところ》から|出《で》てきた。 あなたの|町々《まちまち》は|滅《ほろ》ぼされて、 |住《す》む|者《もの》もなくなる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]このために、あなたがたは|荒布《あらぬの》を|身《み》にまとって、 |悲《かな》しみ|嘆《なげ》け。 |主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りが、 まだわれわれを|離《はな》れないからだ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「その|日《ひ》、|王《おう》と|君《きみ》たちとはその|心《こころ》を|失《うしな》い、|祭司《さいし》は|驚《おどろ》き、|預言者《よげんしゃ》は|怪《あや》しむ」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|言《い》った、「ああ|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、まことにあなたはこの|民《たみ》とエルサレムとをまったく|欺《あざむ》かれました。『あなたがたは|安《やす》らかになる』と|言《い》われましたが、つるぎが|命《いのち》にまでも|及《およ》びました」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》この|民《たみ》とエルサレムとはこう|告《つ》げられる、「|熱《あつ》い|風《かぜ》が|荒野《あらの》の|裸《はだか》の|山《やま》からわたしの|民《たみ》の|娘《むすめ》のほうに|吹《ふ》いてくる。これはあおぎ|分《わ》けるためではなく、|清《きよ》めるためでもない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これよりもなお|激《はげ》しい|風《かぜ》がわたしのために|吹《ふ》く。いまわたしは|彼《かれ》らにさばきを|告《つ》げる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》は|雲《くも》のように|上《のぼ》ってくる。 その|戦車《せんしゃ》はつむじ|風《かぜ》のよう、 その|馬《うま》はわしの|飛《と》ぶよりも|速《はや》い。 ああ、われわれはわざわいだ、 われわれは|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、あなたの|心《こころ》の|悪《あく》を|洗《あら》い|清《きよ》めよ、 そうするならば|救《すく》われる。 |悪《あ》しき|思《おも》いはいつまで あなたのうちにとどまるのか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ダンから|告《つ》げる|声《こえ》がある、 エフライムの|山《やま》から|災《わざわい》を|知《し》らせている。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》の|民《たみ》に|彼《かれ》の|来《く》ることを|告《つ》げ、 またエルサレムに|知《し》らせよ。 「|攻《せ》めかこむ|者《もの》が|遠《とお》くの|国《くに》から|来《き》て、 ユダの|町々《まちまち》にむかってその|声《こえ》をあげる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|畑《はたけ》を|守《まも》る|者《もの》のようにこれを|攻《せ》めかこむ。 それはわたしにそむいたからだと、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|道《みち》とその|行《おこな》いとが、 あなたの|身《み》にこれを|招《まね》いたのだ。 これはあなたの|悪《あく》の|結果《けっか》で、まことに|苦《にが》く、 あなたの|心《こころ》をつらぬく」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、 わたしは|苦《くる》しみにもだえる。 ああ、わが|心臓《しんぞう》の|壁《かべ》よ、 わたしの|心臓《しんぞう》は、はげしく|鼓動《こどう》する。 わたしは|沈黙《ちんもく》を|守《まも》ることができない、 ラッパの|声《こえ》と、|戦《たたか》いの|叫《さけ》びを|聞《き》くからである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|破壊《はかい》に|次《つ》ぐに|破壊《はかい》があり、 |全《ぜん》|地《ち》は|荒《あら》され、 わたしの|天幕《てんまく》はにわかに|破《やぶ》られ、 わたしの|幕《まく》はたちまち|破《やぶ》られた。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]いつまでわたしは|旗《はた》を|見《み》、 またラッパの|声《こえ》を|聞《き》かなければならないのか。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしの|民《たみ》は|愚《おろ》かであって、わたしを|知《し》らない。 |彼《かれ》らは|愚鈍《ぐどん》な|子《こ》どもらで、|悟《さと》ることがない。 |彼《かれ》らは|悪《あく》を|行《おこな》うのにさといけれども、 |善《ぜん》を|行《おこな》うことを|知《し》らない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|地《ち》を|見《み》たが、 それは|形《かたち》がなく、またむなしかった。 |天《てん》をあおいだが、そこには|光《ひかり》がなかった。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|山《やま》を|見《み》たが、みな|震《ふる》え、 もろもろの|丘《おか》は|動《うご》いていた。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|見《み》たが、|人《ひと》はひとりもおらず、 |空《そら》の|鳥《とり》はみな|飛《と》び|去《さ》っていた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|見《み》たが、|豊《ゆた》かな|地《ち》は|荒《あ》れ|地《ち》となり、 そのすべての|町《まち》は、|主《しゅ》の|前《まえ》に、 その|激《はげ》しい|怒《いか》りの|前《まえ》に、|破壊《はかい》されていた。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それは|主《しゅ》がこう|言《い》われたからだ、「|全《ぜん》|地《ち》は|荒《あ》れ|地《ち》となる。しかしわたしはことごとくはこれを|滅《ほろ》ぼさない。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]このために|地《ち》は|悲《かな》しみ、|上《うえ》なる|天《てん》は|暗《くら》くなる。 わたしがすでにこれを|言《い》い、これを|定《さだ》めたからだ。 わたしは|悔《く》いない、またそれをする|事《こと》をやめない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]どの|町《まち》の|人《ひと》も、|騎兵《きへい》と|射手《いて》の|叫《さけ》びのために |逃《に》げて|森《もり》に|入《はい》り、|岩《いわ》に|上《のぼ》る。 |町《まち》はみな|捨《す》てられ、そこに|住《す》む|人《ひと》はない。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|荒《あら》された|女《おんな》よ、あなたが|紅《べに》の|着物《きもの》をき、 |金《きん》の|飾《かざ》りで|身《み》をよそおい、 |目《め》を|塗《ぬ》って|大《おお》きくするのは、なんのためか。 あなたが|美《うつく》しくしても、むだである。 あなたの|恋人《こいびと》らはあなたを|卑《いや》しめ、 あなたの|命《いのち》を|求《もと》めている。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|子《こ》を|産《う》む|女《おんな》のような|声《こえ》、 ういごを|産《う》む|女《おんな》の|苦《くる》しむような|声《こえ》を|聞《き》いた。 シオンの|娘《むすめ》のあえぐ|叫《さけ》びである。 |両手《りょうて》を|伸《の》べて|彼女《かのじょ》は|言《い》う、「わたしはわざわいだ、 わたしを|殺《ころ》す|者《もの》らの|前《まえ》にわたしは|気《き》が|遠《とお》くなる」と。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムのちまたを|行《い》きめぐり、 |見《み》て、|知《し》るがよい。 その|広場《ひろば》を|尋《たず》ねて、|公平《こうへい》を|行《おこな》い、 |真実《しんじつ》を|求《もと》める|者《もの》が、ひとりでもあるか|捜《さが》してみよ。 あれば、わたしはエルサレムをゆるす。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、「|主《しゅ》は|生《い》きておられる」と|言《い》うけれども、 |実《じつ》は、|偽《いつわ》って|誓《ちか》うのだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたの|目《め》は、 |真実《しんじつ》を|顧《かえり》みられるではありませんか。 あなたが|彼《かれ》らを|打《う》たれても、|痛《いた》みを|覚《おぼ》えず、 |彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼされても、|懲《こら》しめを|受《う》けることを|拒《こば》み、 その|顔《かお》を|岩《いわ》よりも|堅《かた》くして、 |悔《く》い|改《あらた》めることを|拒《こば》みました。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それで、わたしは|言《い》った、 「これらはただ|貧《まず》しい|愚《おろ》かな|人々《ひとびと》で、 |主《しゅ》の|道《みち》と、|神《かみ》のおきてを|知《し》りません。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|偉《えら》い|人《ひと》たちの|所《ところ》へ|行《い》って、|彼《かれ》らに|語《かた》ります。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》の|道《みち》を|知《し》り、|神《かみ》のおきてを|知《し》っています」。 ところが、|彼《かれ》らも|皆《みな》おなじように、くびきを|折《お》り、 なわめを|断《た》っていた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|林《はやし》から、ししが|出《で》てきて|彼《かれ》らを|殺《ころ》し、 |荒野《あらの》から、おおかみが|出《で》てきて|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼす。 ひょうは|彼《かれ》らの|町々《まちまち》をねらっている。 そこから|出《で》る|者《もの》はみな|裂《さ》かれる。 |彼《かれ》らの|罪《つみ》が|多《おお》く、 その|背信《はいしん》がはなはだしいからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはどうしてあなたを、 ゆるすことができようか。 あなたの|子《こ》どもらは、わたしを|捨《す》てさり、 |神《かみ》でもないものをさして|誓《ちか》った。 わたしが|彼《かれ》らを|満《み》ち|足《た》らせた|時《とき》、 |彼《かれ》らは|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、|遊女《ゆうじょ》の|家《いえ》に|群《む》れ|集《あつ》まった。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|肥《こ》え|太《ふと》った|丈夫《じょうぶ》な|雄《お》|馬《うま》のように、 おのおの、いなないて|隣《となり》の|妻《つま》を|慕《した》う。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれらの|事《こと》のために |彼《かれ》らを|罰《ばっ》しないでいられようか。 このような|国民《こくみん》にあだを|返《かえ》さないであろうか」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはユダのぶどうの|並《な》み|木《き》の|間《あいだ》を、 のぼって|行《い》って、|滅《ほろ》ぼせ、 ただ、ことごとく|滅《ほろ》ぼしてはならない。 その|枝《えだ》を|切《き》り|除《のぞ》け、 |主《しゅ》のものではないからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》とユダの|家《いえ》とは わたしにまったく|不信《ふしん》であった」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》らは|主《しゅ》について|偽《いつわ》り|語《かた》って|言《い》った、 『|主《しゅ》は|何事《なにごと》もなされない、 |災《わざわい》はわれわれに|来《こ》ない、 またつるぎや、ききんを|見《み》ることはない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》らは|風《かぜ》となり、|彼《かれ》らのうちに|言葉《ことば》はない。 |彼《かれ》らはこのようになる』と」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|彼《かれ》らがこの|言葉《ことば》を|語《かた》ったので、 |見《み》よ、わたしはあなたの|口《くち》にある わたしの|言葉《ことば》を|火《ひ》とし、この|民《たみ》をたきぎとする。 |火《ひ》は|彼《かれ》らを|焼《や》き|尽《つく》す」。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「イスラエルの|家《いえ》よ、 |見《み》よ、わたしは|遠《とお》い|国《くに》の|民《たみ》を あなたがたのところに|攻《せ》めこさせる。 その|国《くに》は|長《なが》く|続《つづ》く|国《くに》、|古《ふる》い|国《くに》で、 あなたがたはその|国《くに》の|言葉《ことば》を|知《し》らず、 |人々《ひとびと》の|語《かた》るのを|悟《さと》ることもできない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|箙《えびら》は|開《ひら》いた|墓《はか》のようであり、 |彼《かれ》らはみな|勇士《ゆうし》である。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたが|刈《か》り|入《い》れた|物《もの》と、 あなたの|糧食《りょうしょく》とを|食《く》い|尽《つく》し、 あなたのむすこ|娘《むすめ》を|食《く》い|尽《つく》し、 あなたの|羊《ひつじ》と|牛《うし》を|食《く》い|尽《つく》し、 あなたのぶどうの|木《き》といちじくの|木《き》を|食《く》い|尽《つく》し、 またつるぎをもって、あなたが|頼《たの》みとする |堅固《けんご》な|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼす」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「しかしその|時《とき》でも、わたしはことごとくはあなたを|滅《ほろ》ぼさない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》が、『どうしてわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》はこれらのすべての|事《こと》をわれわれになされたのか』と|言《い》うならば、あなたは|彼《かれ》らに|答《こた》えなければならない、『あなたがたがわたしを|捨《す》てて、|自分《じぶん》の|地《ち》で|異《こと》なる|神々《かみがみ》に|仕《つか》えたように、あなたがたは|自分《じぶん》のものでない|地《ち》で|異邦《いほう》の|人《ひと》に|仕《つか》えるようになる』と」。 [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これをヤコブの|家《いえ》にのべ、 またユダに|示《しめ》して|言《い》え、 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「|愚《おろ》かで、|悟《さと》りもなく、 |目《め》があっても|見《み》えず、 |耳《みみ》があっても|聞《きこ》えない|民《たみ》よ、これを|聞《き》け。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、あなたがたはわたしを|恐《おそ》れないのか、 わたしの|前《まえ》におののかないのか。 わたしは|砂《すな》を|置《お》いて|海《うみ》の|境《さかい》とし、 これを|永遠《えいえん》の|限界《げんかい》として、 |越《こ》えることができないようにした。 |波《なみ》はさかまいても、|勝《か》つことはできない、 |鳴《な》りわたっても、これを|越《こ》えることはできない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ところが、この|民《たみ》には|強情《ごうじょう》な、そむく|心《こころ》があり、 |彼《かれ》らはわき|道《みち》にそれて、|去《さ》ってしまった。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは『われわれに|雨《あめ》を|与《あた》え、 |秋《あき》の|雨《あめ》と|春《はる》の|雨《あめ》を|時《とき》にしたがって|降《ふ》らせ、 われわれのために|刈入《かりい》れの|時《とき》を|定《さだ》められた われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れよう』と その|心《こころ》のうちに|言《い》わないのだ。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのとがは、これらの|事《こと》をしりぞけ、 あなたがたの|罪《つみ》は、 |良《よ》い|物《もの》があなたがたに|来《く》るのをさまたげた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》のうちには|悪《わる》い|者《もの》があって、 |鳥《とり》をとる|人《ひと》のように|身《み》をかがめてうかがい、 わなを|置《お》いて|人《ひと》を|捕《とら》える。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]かごに|鳥《とり》が|満《み》ちているように、 |彼《かれ》らの|家《いえ》は|不義《ふぎ》の|宝《たから》で|満《み》ちている。 それゆえ、|彼《かれ》らは|大《おお》いなる|者《もの》、|裕福《ゆうふく》な|者《もの》となり、 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|肥《こ》えて、つやがあり、 その|悪《あ》しき|行《おこな》いには|際限《さいげん》がない。 |彼《かれ》らは|公正《こうせい》に、みなしごの|訴《うった》えをさばいて、 それを|助《たす》けようとはせず、 また|貧《まず》しい|人《ひと》の|訴《うった》えをさばかない。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしはこのような|事《こと》のために、 |彼《かれ》らを|罰《ばっ》しないであろうか。 わたしはこのような|民《たみ》に、 あだを|返《かえ》さないであろうか」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|驚《おどろ》くべきこと、|恐《おそ》るべきことがこの|地《ち》に|起《おこ》っている。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》は|偽《いつわ》って|預言《よげん》し、 |祭司《さいし》は|自分《じぶん》の|手《て》によって|治《おさ》め、 わが|民《たみ》はこのようにすることを|愛《あい》している。 しかしあなたがたは その|終《おわ》りにはどうするつもりか。 [#ここで字下げ終わり] 第六章[#「第六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|人々《ひとびと》よ、 エルサレムの|中《なか》から|避難《ひなん》せよ。 テコアでラッパを|吹《ふ》き、 ベテハケレムに|合図《あいず》の|火《ひ》をあげよ。 |北《きた》から|災《わざわい》が|臨《のぞ》み、|大《おお》いなる|滅《ほろ》びが|来《く》るからである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|美《うつく》しい、たおやかなシオンの|娘《むすめ》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|牧者《ぼくしゃ》たちは、その|群《む》れをひきいて|来《き》て、 |彼女《かのじょ》を|攻《せ》め、|彼女《かのじょ》の|周囲《しゅうい》に|天幕《てんまく》を|張《は》る。 |群《む》れはおのおのその|所《ところ》で|草《くさ》を|食《く》う。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|戦《たたか》いを|始《はじ》め、|彼女《かのじょ》を|攻《せ》めよ。 |立《た》て、われわれは|真昼《まひる》に|攻撃《こうげき》しよう」。 「わざわいなるかな、|日《ひ》ははや|傾《かたむ》き、 |夕日《ゆうひ》の|影《かげ》は|長《なが》くなった」。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「|立《た》て、われわれは|夜《よる》の|間《あいだ》に|攻撃《こうげき》しよう、 そして|彼女《かのじょ》のもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|破壊《はかい》しよう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「あなたがたは|彼女《かのじょ》の|木《き》を|切《き》り|倒《たお》し、 エルサレムにむかって|塁《るい》を|築《きず》け。 これは|罰《ばつ》すべき|町《まち》である、そのうちにはただ|圧制《あっせい》だけがある。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|井戸《いど》に|新《あたら》しい|水《みず》がわくように |彼女《かのじょ》はその|悪《あく》を|常《つね》にあらたに|流《なが》す。 そのうちには|暴虐《ぼうぎゃく》と|破滅《はめつ》とが|聞《きこ》える。 わたしの|前《まえ》に|病《やまい》と|傷《きず》とが|絶《た》えない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、|戒《いまし》めを|受《う》けいれよ。 さもないと、わたしはあなたから|離《はな》れ、 あなたを|荒《あ》れ|地《ち》とし、|住《す》む|人《ひと》のない|地《ち》とする」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「ぶどうの|残《のこ》りを|摘《つ》みとるように、 イスラエルの|残《のこ》りの|民《たみ》をのこらず|摘《つ》み|取《と》れ。 ぶどうを|摘《つ》みとる|人《ひと》のように、 あなたの|手《て》をふたたびその|枝《えだ》に|伸《の》ばせ」。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはだれに|語《かた》り、だれを|戒《いまし》めて、|聞《き》かせようか。 |見《み》よ、|彼《かれ》らの|耳《みみ》は|閉《と》ざされて、|聞《き》くことができない。 |見《み》よ、|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|言葉《ことば》をあざけり、それを|喜《よろこ》ばない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしの|身《み》には|主《しゅ》の|怒《いか》りが|満《み》ち、 それを|忍《しの》ぶのに、うみつかれている。 「それをちまたにいる|子供《こども》らと、 |集《あつ》まっている|若《わか》い|人々《ひとびと》とに|漏《も》らせ。 |夫《おっと》も|妻《つま》も、|老《お》いた|人《ひと》も、 |年《とし》のひじょうに|進《すす》んだ|人《ひと》も|捕《とら》えられ、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|家《いえ》と|畑《はたけ》と|妻《つま》とは|共《とも》に|他人《たにん》に|渡《わた》る。 わたしが|手《て》を|伸《の》ばして、 この|地《ち》に|住《す》む|者《もの》を|撃《う》つからである」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「それは|彼《かれ》らが、|小《ちい》さい|者《もの》から|大《おお》きい|者《もの》まで、 みな|不正《ふせい》な|利《り》をむさぼり、 また|預言者《よげんしゃ》から|祭司《さいし》にいたるまで、 みな|偽《いつわ》りを|行《おこな》っているからだ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、|手軽《てがる》にわたしの|民《たみ》の|傷《きず》をいやし、 |平安《へいあん》がないのに『|平安《へいあん》、|平安《へいあん》』と|言《い》っている。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|憎《にく》むべきことをして、|恥《は》じたであろうか。 すこしも|恥《は》ずかしいとは|思《おも》わず、 また|恥《は》じることを|知《し》らなかった。 それゆえ|彼《かれ》らは|倒《たお》れる|者《もの》と|共《とも》に|倒《たお》れる。 わたしが|彼《かれ》らを|罰《ばっ》するとき、 |彼《かれ》らは|倒《たお》れる」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「あなたがたはわかれ|道《みち》に|立《た》って、よく|見《み》、 いにしえの|道《みち》につき、 |良《よ》い|道《みち》がどれかを|尋《たず》ねて、その|道《みち》に|歩《あゆ》み、 そしてあなたがたの|魂《たましい》のために、|安息《あんそく》を|得《え》よ。 しかし|彼《かれ》らは|答《こた》えて、 『われわれはその|道《みち》に|歩《あゆ》まない』と|言《い》った。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|上《うえ》に|見張《みはり》びとを|立《た》て、 『ラッパの|音《おと》に|気《き》をつけよ』と|言《い》った。 しかし|彼《かれ》らは|答《こた》えて、 『われわれは|気《き》をつけることはしない』と|言《い》った。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|国々《くにぐに》の|民《たみ》よ、|聞《き》け。 |会衆《かいしゅう》よ、|彼《かれ》らにどのようなことが|起《おこ》るかを|知《し》れ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》よ、|聞《き》け。|見《み》よ、わたしはこの|民《たみ》に|災《わざわい》をくだす。 それは|彼《かれ》らのたくらみの|実《み》である。 |彼《かれ》らがわたしの|言葉《ことば》に|気《き》をつけず、 わたしのおきてを|捨《す》てたからである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]シバから、わたしの|所《ところ》に|乳香《にゅうこう》が|来《き》、 |遠《とお》い|国《くに》から、|菖蒲《しょうぶ》が|来《く》るのはなんのためか。 あなたがたの|燔祭《はんさい》はわたしには|喜《よろこ》ばしくなく、 あなたがたの|犠牲《ぎせい》もうれしくはない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 『|見《み》よ、わたしはこの|民《たみ》の|前《まえ》につまずく|石《いし》を|置《お》く、 |人々《ひとびと》は|父《ちち》も|子《こ》も|共《とも》にそれにつまずき、 |隣《とな》り|人《びと》もその|友《とも》も|滅《ほろ》びる』」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、|民《たみ》が|北《きた》の|国《くに》から|来《く》る、 |大《おお》いなる|国民《こくみん》が|地《ち》の|果《はて》から|興《おこ》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|弓《ゆみ》とやりをとる。 |彼《かれ》らは|残忍《ざんにん》で、あわれみがなく、 |海《うみ》のような|響《ひび》きを|立《た》てる。 シオンの|娘《むすめ》よ、|彼《かれ》らは|馬《うま》に|乗《の》り、 いくさ|人《ひと》のように|身《み》をよろって、 あなたを|攻《せ》める」。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]われわれはそのうわさを|聞《き》いて、 |手《て》は|弱《よわ》り、|子《こ》を|産《う》む|女《おんな》に|臨《のぞ》むような |悩《なや》みと|苦《くる》しみとに|捕《とら》えられた。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|畑《はたけ》に|出《で》てはならない、 また|道《みち》を|歩《ある》いてはならない。 |敵《てき》はつるぎを|持《も》ち、|恐《おそ》れが|四方《しほう》にあるからだ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|娘《むすめ》よ、|荒布《あらぬの》を|身《み》にまとい、 |灰《はい》の|中《なか》にまろび、 ひとり|子《こ》を|失《うしな》った|時《とき》のように、|悲《かな》しみ、いたく|嘆《なげ》け。 |滅《ほろ》ぼす|者《もの》が、にわかにわれわれを|襲《おそ》うからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたを|民《たみ》のうちに|立《た》てて、 ためす|者《もの》、|試《こころ》みる|者《もの》とした。 あなたが|彼《かれ》らの|道《みち》を|知《し》り、 それをためすことができるようにするためである。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみな、|強情《ごうじょう》な|反逆者《はんぎゃくしゃ》であって、 |歩《ある》きまわって|人《ひと》をそしる。 |彼《かれ》らは|青銅《せいどう》や|鉄《てつ》であって、みな|卑《いや》しいことを|行《おこな》う。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ふいごは|激《はげ》しく|吹《ふ》き、 |鉛《なまり》は|火《ひ》にとけて|尽《つ》き、 |精錬《せいれん》はいたずらに|進《すす》む。 |悪《あ》しき|者《もの》がまだ|除《のぞ》かれないからである。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|捨《す》てられたので、 |彼《かれ》らは|捨《す》てられた|銀《ぎん》と|呼《よ》ばれる」。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》はこうである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》の|家《いえ》の|門《もん》に|立《た》ち、その|所《ところ》で、この|言葉《ことば》をのべて|言《い》え、|主《しゅ》を|拝《おが》むために、この|門《もん》をはいるユダのすべての|人《ひと》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたの|道《みち》とあなたがたの|行《おこな》いを|改《あらた》めるならば、わたしはあなたがたをこの|所《ところ》に|住《す》まわせる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、『これは|主《しゅ》の|神殿《しんでん》だ、|主《しゅ》の|神殿《しんでん》だ、|主《しゅ》の|神殿《しんでん》だ』という|偽《いつわ》りの|言葉《ことば》を|頼《たの》みとしてはならない。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが、まことに、その|道《みち》と|行《おこな》いを|改《あらた》めて、|互《たがい》に|公正《こうせい》を|行《おこな》い、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》と、みなしごと、やもめをしえたげることなく、|罪《つみ》のない|人《ひと》の|血《ち》をこの|所《ところ》に|流《なが》すことなく、また、ほかの|神々《かみがみ》に|従《したが》って|自《みずか》ら|害《がい》をまねくことをしないならば、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを、わたしが|昔《むかし》あなたがたの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えたこの|地《ち》に|永遠《えいえん》に|住《す》まわせる。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたがたは|偽《いつわ》りの|言葉《ことば》を|頼《たの》みとしているが、それはむだである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|盗《ぬす》み、|殺《ころ》し、|姦淫《かんいん》し、|偽《いつわ》って|誓《ちか》い、バアルに|香《こう》をたき、あなたがたが|以前《いぜん》には|知《し》らなかった|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》いながら、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|名《な》をもって、となえられるこの|家《いえ》に|来《き》てわたしの|前《まえ》に|立《た》ち、『われわれは|救《すく》われた』と|言《い》い、しかもすべてこれら|憎《にく》むべきことを|行《おこな》うのは、どうしたことか。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|名《な》をもって、となえられるこの|家《いえ》が、あなたがたの|目《め》には|盗賊《とうぞく》の|巣《す》と|見《み》えるのか。わたし|自身《じしん》、そう|見《み》たと|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|初《はじ》めにわたしの|名《な》を|置《お》いた|場所《ばしょ》シロへ|行《い》き、わが|民《たみ》イスラエルの|悪《あく》のために、わたしがその|場所《ばしょ》に|対《たい》して|行《おこな》ったことを|見《み》よ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|今《いま》あなたがたはこれらのすべてのことを|行《おこな》っている。またわたしはあなたがたに、しきりに|語《かた》ったけれども、あなたがたは|聞《き》かず、あなたがたを|呼《よ》んだけれども|答《こた》えなかった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえわたしはシロに|対《たい》して|行《おこな》ったように、わたしの|名《な》をもって、となえられるこの|家《いえ》にも|行《おこな》う。すなわちあなたがたが|頼《たの》みとする|所《ところ》、わたしがあなたがたと、あなたがたの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えたこの|所《ところ》に|行《おこな》う。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは、あなたがたのすべての|兄弟《きょうだい》、すなわちエフライムのすべての|子孫《しそん》を|捨《す》てたように、わたしの|前《まえ》からあなたがたをも|捨《す》てる。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこの|民《たみ》のために|祈《いの》ってはならない。|彼《かれ》らのために|嘆《なげ》き、|祈《いの》ってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの|求《もと》めを|聞《き》かない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らがユダの|町々《まちまち》と、エルサレムのちまたでしていることを|見《み》ないのか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》どもらは、たきぎを|集《あつ》め、|父《ちち》たちは|火《ひ》をたき、|女《おんな》は|粉《こな》をこね、パンを|造《つく》ってこれを|天后《てんこう》に|供《そな》える。また|彼《かれ》らは|他《た》の|神々《かみがみ》の|前《まえ》に|酒《さけ》を|注《そそ》いで、わたしを|怒《いか》らせる。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|彼《かれ》らが|怒《いか》らせるのはわたしなのか。|自分《じぶん》たち|自身《じしん》ではないのか。そして|自《みずか》らうろたえている。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしの|怒《いか》りと|憤《いきどお》りを、この|所《ところ》と、|人《ひと》と|獣《けもの》と、|畑《はたけ》の|木《き》と、|地《ち》の|産物《さんぶつ》とに|注《そそ》ぐ。|怒《いか》りは|燃《も》えて|消《き》えることがない」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、「あなたがたの|犠牲《ぎせい》に|燔祭《はんさい》の|物《もの》を|合《あ》わせて|肉《にく》を|食《た》べるがよい。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それはあなたがたの|先祖《せんぞ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|日《ひ》に、わたしは|燔祭《はんさい》と|犠牲《ぎせい》とについて|彼《かれ》らに|語《かた》ったこともなく、また|命《めい》じたこともないからである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ただわたしはこの|戒《いまし》めを|彼《かれ》らに|与《あた》えて|言《い》った、『わたしの|声《こえ》に|聞《き》きしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの|神《かみ》となり、あなたがたはわたしの|民《たみ》となる。わたしがあなたがたに|命《めい》じるすべての|道《みち》を|歩《あゆ》んで|幸《さいわい》を|得《え》なさい』と。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|聞《き》き|従《したが》わず、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、|自分《じぶん》の|悪《わる》い|心《こころ》の|計《はか》りごとと|強情《ごうじょう》にしたがって|歩《あゆ》み、|悪《わる》くなるばかりで、よくはならなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|先祖《せんぞ》がエジプトの|地《ち》を|出《で》た|日《ひ》から|今日《こんにち》まで、わたしはわたしのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちを|日々《ひび》|彼《かれ》らにつかわした。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らはわたしに|聞《き》かず、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けないで|強情《ごうじょう》になり、|先祖《せんぞ》たちにもまさって|悪《あく》を|行《おこな》った。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]たといあなたが|彼《かれ》らにこのすべての|言葉《ことば》を|語《かた》っても|彼《かれ》らは|聞《き》かない。また|彼《かれ》らを|呼《よ》んでもあなたに|答《こた》えない。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたはこう|彼《かれ》らに|言《い》わなければならない、『これはその|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、その|戒《いまし》めを|受《う》けいれなかった|国民《こくみん》である。|真実《しんじつ》はうせ、|彼《かれ》らの|口《くち》から|絶《た》えた。 [#ここから2字下げ] [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|髪《かみ》の|毛《け》を|切《き》って|捨《す》てよ、 |裸《はだか》の|山《やま》の|上《うえ》に|嘆《なげ》きの|声《こえ》をあげよ。 |主《しゅ》が、お|怒《いか》りになっている|世《よ》の|人《ひと》を |退《しりぞ》け|捨《す》てられたからだ』。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、ユダの|民《たみ》はわたしの|前《まえ》に|悪《あく》を|行《おこな》い、わたしの|名《な》をもってとなえられる|家《いえ》に、|憎《にく》むべき|者《もの》を|置《お》いてそこを|汚《けが》した。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]またベンヒンノムの|谷《たに》にあるトペテの|高《たか》き|所《ところ》を|築《きず》いて、むすこ|娘《むすめ》を|火《ひ》に|焼《や》いた。わたしはそれを|命《めい》じたことはなく、またそのようなことを|考《かんが》えたこともなかった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、それゆえに|見《み》よ、その|所《ところ》をトペテ、またはベンヒンノムの|谷《たに》と|呼《よ》ばないで、ほふりの|谷《たに》と|呼《よ》ぶ|日《ひ》が|来《く》る。それはほかに|場所《ばしょ》がないので、トペテに|葬《ほうむ》るからである。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》の|死体《したい》は|空《そら》の|鳥《とり》と|地《ち》の|獣《けもの》の|食物《しょくもつ》となり、これを|追《お》い|払《はら》う|者《もの》もない。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そのときわたしはユダの|町々《まちまち》とエルサレムのちまたに、|喜《よろこ》びの|声《こえ》、|楽《たの》しみの|声《こえ》、|花婿《はなむこ》の|声《こえ》、|花嫁《はなよめ》の|声《こえ》を|絶《た》やす。この|地《ち》は|荒《あ》れ|果《は》てるからである。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|時《とき》ユダの|王《おう》たちの|骨《ほね》と、そのつかさたちの|骨《ほね》と、|祭司《さいし》たちの|骨《ほね》と、|預言者《よげんしゃ》たちの|骨《ほね》と、エルサレムに|住《す》む|人々《ひとびと》の|骨《ほね》は|墓《はか》より|掘《ほ》り|出《だ》されて、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|愛《あい》し、|仕《つか》え、|従《したが》い、|求《もと》め、また|拝《おが》んだ、|日《ひ》と|月《つき》と|天《てん》の|衆《しゅう》|群《ぐん》の|前《まえ》にさらされる。その|骨《ほね》は|集《あつ》める|者《もの》も|葬《ほうむ》る|者《もの》もなく、|地《ち》のおもてに|糞土《ふんど》のようになる。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|悪《あ》しき|民《たみ》のうちの|残《のこ》っている|残《のこ》りの|者《もの》はみな、わたしが|追《お》いやった|場所《ばしょ》で、|生《い》きることよりも|死《し》ぬことを|願《ねが》うようになると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|言《い》わなければならない。 |主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 |人《ひと》は|倒《たお》れたならば、また|起《お》きあがらないであろうか。 |離《はな》れていったならば、|帰《かえ》ってこないであろうか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それにどうしてこの|民《たみ》は、 |常《つね》にそむいて|離《はな》れていくのか。 |彼《かれ》らは|偽《いつわ》りを|固《かた》くとらえて、 |帰《かえ》ってくることを|拒《こば》んでいる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|気《き》をつけて|聞《き》いたが、 |彼《かれ》らは|正《ただ》しくは|語《かた》らなかった。 その|悪《あく》を|悔《く》いて、 『わたしのした|事《こと》は|何《なに》か』という|者《もの》はひとりもない。 |彼《かれ》らはみな|戦場《せんじょう》に、はせ|入《い》る|馬《うま》のように、 |自分《じぶん》のすきな|道《みち》に|向《む》かう。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|空《そら》のこうのとりでもその|時《とき》を|知《し》り、 |山《やま》ばとと、つばめと、つるはその|来《く》る|時《とき》を|守《まも》る。 しかしわが|民《たみ》は|主《しゅ》のおきてを|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]どうしてあなたがたは、『われわれには|知恵《ちえ》がある、 |主《しゅ》のおきてがある』と|言《い》うことができようか。 |見《み》よ、まことに|書記《しょき》の|偽《いつわ》りの|筆《ふで》が これを|偽《いつわ》りにしたのだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》ある|者《もの》は、はずかしめられ、 あわてふためき、|捕《とら》えられる。 |見《み》よ、|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|捨《す》てた、 |彼《かれ》らになんの|知恵《ちえ》があろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|彼《かれ》らの|妻《つま》を|他人《たにん》に|与《あた》え、 その|畑《はたけ》を|征服《せいふく》|者《しゃ》に|与《あた》える。 それは|彼《かれ》らが|小《ちい》さい|者《もの》から|大《おお》きい|者《もの》にいたるまで、 みな|不正《ふせい》な|利《り》をむさぼり、 |預言者《よげんしゃ》から|祭司《さいし》にいたるまで、 みな|偽《いつわ》りを|行《い》っているからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|手軽《てがる》に、わたしの|民《たみ》の|傷《きず》をいやし、 |平安《へいあん》がないのに、『|平安《へいあん》、|平安《へいあん》』と|言《い》っている。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|憎《にく》むべきことをして、|恥《は》じたであろうか。 すこしも|恥《は》ずかしいとは|思《おも》わず、 また|恥《は》じることを|知《し》らなかった。 それゆえ|彼《かれ》らは|倒《たお》れる|者《もの》と|共《とも》に|倒《たお》れる。 わたしが|彼《かれ》らを|罰《ばっ》するとき、 |彼《かれ》らは|倒《たお》れると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしが|集《あつ》めようと|思《おも》うとき、 ぶどうの|木《き》にぶどうはなく、 いちじくの|木《き》に、いちじくはなく、 |葉《は》さえ、しぼんでいる。 わたしが|彼《かれ》らに|与《あた》えたものも、 |彼《かれ》らを|離《はな》れて、うせ|去《さ》った」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]どうしてわれわれはなす|事《こと》もなく|座《ざ》しているのか。 |集《あつ》まって、|堅固《けんご》な|町《まち》にはいり、 そこでわれわれは|滅《ほろ》びよう。 われわれが|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》したので、 われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》がわれわれを|滅《ほろ》ぼそうとして、 |毒《どく》の|水《みず》を|飲《の》ませられるのだ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|平安《へいあん》を|望《のぞ》んだが、|良《よ》い|事《こと》はこなかった。 いやされる|時《とき》を|望《のぞ》んだが、かえって|恐怖《きょうふ》が|来《き》た。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》らの|馬《うま》のいななきはダンから|聞《きこ》えてくる。 |彼《かれ》らの|強《つよ》い|馬《うま》の|声《こえ》によって|全《ぜん》|地《ち》は|震《ふる》う。 |彼《かれ》らは|来《き》て、この|地《ち》と、ここにあるすべてのもの、 |町《まち》と、そのうちに|住《す》む|者《もの》とを|食《く》い|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|魔法《まほう》をもってならすことのできない、 へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。 それはあなたがたをかむ」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わが|嘆《なげ》きはいやしがたく、 わが|心《こころ》はうちに|悩《なや》む。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》け、|地《ち》の|全面《ぜんめん》から、 わが|民《たみ》の|娘《むすめ》の|声《こえ》があがるのを。 「|主《しゅ》はシオンにおられないのか、 シオンの|王《おう》はそのうちにおられないのか」。 「なぜ|彼《かれ》らはその|彫像《ちょうぞう》と、 |異邦《いほう》の|偶像《ぐうぞう》とをもって、わたしを|怒《いか》らせたのか」。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「|刈入《かりい》れの|時《とき》は|過《す》ぎ、|夏《なつ》もはや|終《おわ》った、 しかしわれわれはまだ|救《すく》われない」。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|娘《むすめ》の|傷《きず》によって、わが|心《こころ》は|痛《いた》む。 わたしは|嘆《なげ》き、うろたえる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデに|乳香《にゅうこう》があるではないか。 その|所《ところ》に|医者《いしゃ》がいるではないか。 それにどうしてわが|民《たみ》の|娘《むすめ》は いやされることがないのか。 [#ここで字下げ終わり] 第九章[#「第九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ああ、わたしの|頭《あたま》が|水《みず》となり、 わたしの|目《め》が|涙《なみだ》の|泉《いずみ》となればよいのに。 そうすれば、わたしは|民《たみ》の|娘《むすめ》の|殺《ころ》された|者《もの》のために |昼《ひる》も|夜《よる》も|嘆《なげ》くことができる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ああ、わたしが|荒野《あらの》に、 |隊商《たいしょう》の|宿《やど》を|得《え》ることができればよいのに。 そうすれば、わたしは|民《たみ》を|離《はな》れて |去《さ》って|行《い》くことができる。 |彼《かれ》らはみな|姦淫《かんいん》する|者《もの》、 |不信《ふしん》のともがらだからである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|弓《ゆみ》をひくように、その|舌《した》を|曲《ま》げる。 |真実《しんじつ》ではなく、|偽《いつわ》りがこの|地《ち》に|強《つよ》くなった。 |彼《かれ》らは|悪《あく》より|悪《あく》に|進《すす》み、 またわたしを|知《し》らないと、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはおのおの|隣《とな》り|人《びと》に|気《き》をつけよ。 どの|兄弟《きょうだい》をも|信《しん》じてはならない。 |兄弟《きょうだい》はみな、|押《お》しのける|者《もの》であり、 |隣《とな》り|人《びと》はみな、ののしって|歩《ある》く|者《もの》だからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はみな、その|隣《とな》り|人《びと》を|欺《あざむ》き、 |真実《しんじつ》を|言《い》う|者《もの》はない。 |彼《かれ》らは|自分《じぶん》の|舌《した》に|偽《いつわ》りを|言《い》うことを|教《おし》え、 |悪《あく》を|行《おこな》い、|疲《つか》れて|悔《く》い|改《あらた》めるいとまもなく、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しえたげに、しえたげを|積《つ》み|重《かさ》ね、 |偽《いつわ》りに|偽《いつわ》りを|積《つ》み|重《かさ》ね、 わたしを|知《し》ることを|拒《こば》んでいると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らを|溶《と》かし、|試《こころ》みる。 このほか、わが|民《たみ》をどうすることができよう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|舌《した》は|殺《ころ》す|矢《や》のようだ、 それは|偽《いつわ》りを|言《い》う。 その|口《くち》ではおのおの|隣《とな》り|人《びと》におだやかに|語《かた》るが、 その|心《こころ》では|彼《かれ》を|待《ま》ち|伏《ぶ》せる|計《はか》りごとを|立《た》てる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、これらのことのために、 わたしが|彼《かれ》らを|罰《ばっ》しないだろうか。 わたしがこのような|民《たみ》にあだを|返《かえ》さないだろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》のために|泣《な》き|叫《さけ》び、|野《の》の|牧場《まきば》のために|悲《かな》しめ。 これらは|荒《あ》れすたれて、|通《とお》り|過《す》ぎる|人《ひと》もない。 ここには|牛《うし》、|羊《ひつじ》の|鳴《な》く|声《こえ》も|聞《きこ》えず、 |空《そら》の|鳥《とり》も|獣《けもの》も|皆《みな》|逃《に》げ|去《さ》った。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエルサレムを|荒塚《あれづか》とし、|山犬《やまいぬ》の|巣《す》とする。 またユダの|町々《まちまち》を|荒《あら》して、|住《す》む|人《ひと》もない|所《ところ》とする」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》があって、これを|悟《さと》ることのできる|人《ひと》はだれか。|主《しゅ》の|口《くち》の|言葉《ことば》をうけて、それを|示《しめ》す|人《ひと》はだれか。この|地《ち》が|滅《ほろ》ぼされて|荒野《あらの》のようになり、|通《とお》り|過《す》ぎる|人《ひと》もなくなったのはどういうわけか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「それは|彼《かれ》らの|前《まえ》にわたしが|立《た》てたおきてを|彼《かれ》らが|捨《す》てて、わたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、そのとおりに|歩《ある》かなかったからである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|強情《ごうじょう》に|自分《じぶん》の|心《こころ》に|従《したが》い、また|先祖《せんぞ》の|教《おし》えたようにバアルに|従《したが》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはこの|民《たみ》に、にがよもぎを|食《た》べさせ、|毒《どく》の|水《みず》を|飲《の》ませ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らも、その|先祖《せんぞ》たちも|知《し》らなかった|国《くに》びとのうちに|彼《かれ》らを|散《ち》らし、また|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》すまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「よく|考《かんが》えて、|泣《な》き|女《おんな》を|呼《よ》べ。 また|人《ひと》をつかわして|巧《たく》みな|女《おんな》を|招《まね》け。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|急《いそ》いでこさせ、 われわれのために|泣《な》き|悲《かな》しませて、 われわれの|目《め》に|涙《なみだ》をこぼさせ、 まぶたから|水《みず》をあふれさせよ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]シオンから|悲《かな》しみの|声《こえ》が|聞《きこ》える。 それは|言《い》う、『ああ、われわれは|滅《ほろ》ぼされ、 いたく、はずかしめられている。 われわれはその|地《ち》を|去《さ》り、 |彼《かれ》らがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》たちよ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。 あなたがたの|耳《みみ》に、その|口《くち》の|言葉《ことば》をいれよ。 あなたがたの|娘《むすめ》に|悲《かな》しみの|歌《うた》を|教《おし》え、 おのおのその|隣《とな》り|人《びと》に|哀悼《あいとう》の|歌《うた》を|教《おし》えよ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》がわれわれの|窓《まど》に|上《のぼ》って|来《き》、 われわれの|邸宅《ていたく》の|中《なか》にはいり、 ちまたにいる|子《こ》どもらを|絶《た》やし、 |広場《ひろば》にいる|若《わか》い|人《ひと》たちを|殺《ころ》そうとしているからだ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこう|言《い》いなさい、 「|主《しゅ》は|言《い》われる、『|人《ひと》の|死体《したい》が|糞土《ふんど》のように、 |野《の》に|倒《たお》れているようになり、 また|刈入《かりい》れする|人《ひと》のうしろに|残《のこ》って、 だれも|集《あつ》めることをしない|束《たば》のようになる』」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「|知恵《ちえ》ある|人《ひと》はその|知恵《ちえ》を|誇《ほこ》ってはならない。|力《ちから》ある|人《ひと》はその|力《ちから》を|誇《ほこ》ってはならない。|富《と》める|者《もの》はその|富《とみ》を|誇《ほこ》ってはならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|誇《ほこ》る|者《もの》はこれを|誇《ほこり》とせよ。すなわち、さとくあって、わたしを|知《し》っていること、わたしが|主《しゅ》であって、|地《ち》に、いつくしみと|公平《こうへい》と|正義《せいぎ》を|行《い》っている|者《もの》であることを|知《し》ることがそれである。わたしはこれらの|事《こと》を|喜《よろこ》ぶと、|主《しゅ》は|言《い》われる」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「|見《み》よ、このような|日《ひ》が|来《く》る。その|日《ひ》には、|割礼《かつれい》をうけても、|心《こころ》に|割礼《かつれい》をうけていないすべての|人《ひと》をわたしは|罰《ばっ》する。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]エジプト、ユダ、エドム、アンモンの|人々《ひとびと》、モアブ、および|野《の》にいて、|髪《かみ》の|毛《け》のすみずみをそる|人々《ひとびと》はそれである。これらの|国《くに》びとはみな|割礼《かつれい》をうけていない|者《もの》であり、イスラエルの|全家《ぜんか》もみな|心《こころ》に|割礼《かつれい》をうけていない|者《もの》である」。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》よ、|主《しゅ》のあなたがたに|語《かた》られる|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「|異邦《いほう》の|人《ひと》の|道《みち》に|習《なら》ってはならない。 また|異邦《いほう》の|人《ひと》が|天《てん》に|現《あらわ》れるしるしを|恐《おそ》れても、 あなたがたはそれを|恐《おそ》れてはならない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|異邦《いほう》の|民《たみ》のならわしはむなしいからだ。 |彼《かれ》らの|崇拝《すうはい》するものは、|林《はやし》から|切《き》りだした|木《き》で、 |木工《もっこう》の|手《て》で、おのをもって|造《つく》ったものだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|銀《ぎん》や|金《きん》をもって、それを|飾《かざ》り、 くぎと|鎚《つち》をもって|動《うご》かないようにそれをとめる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|偶像《ぐうぞう》は、きゅうり|畑《はたけ》のかかしのようで、 ものを|言《い》うことができない。 |歩《ある》くこともできないから、 |人《ひと》に|運《はこ》んでもらわなければならない。 それを|恐《おそ》れるに|及《およ》ばない。 それは|災《わざわい》をくだすことができず、 また|幸《さいわい》をくだす|力《ちから》もないからだ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたに|並《なら》びうる|者《もの》はありません。 あなたは|大《おお》いなる|者《もの》であり、あなたの|名《な》も その|力《ちから》のために|大《おお》いなるものであります。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万国《ばんこく》の|王《おう》であるあなたを、 |恐《おそ》れない|者《もの》がありましょうか。 あなたを|恐《おそ》れるのは|当然《とうぜん》のことであります。 |万国《ばんこく》のすべての|知恵《ちえ》ある|者《もの》のうちにも、 その|国々《くにぐに》のうちにも、 あなたに|並《なら》びうる|者《もの》はありません。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|皆《みな》、|愚《おろ》かで|鈍《にぶ》く、 |偶像《ぐうぞう》の|教《おしえ》は、ただ|木《き》にすぎない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》ぱくはタルシシから|渡来《とらい》し、 |金《きん》はウパズから|携《たずさ》えてくる。 これらは|工人《こうじん》と|金《きん》|細工人《ざいくにん》の|工作《こうさく》である。 |彼《かれ》らの|着物《きもの》はすみれ|色《いろ》と|紫色《むらさきいろ》である。 これらはみな|巧《たく》みな|細工人《さいくにん》の|作《つく》った|物《もの》である。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》はまことの|神《かみ》である。 |生《い》きた|神《かみ》であり、|永遠《えいえん》の|王《おう》である。 その|怒《いか》りによって|地《ち》は|震《ふる》いうごき、 |万国《ばんこく》はその|憤《いきどお》りに|当《あた》ることができない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|彼《かれ》らに、こう|言《い》わなければならない、「|天地《てんち》を|造《つく》らなかった|神々《かみがみ》は|地《ち》の|上《うえ》、|天《てん》の|下《した》から|滅《ほろ》び|去《さ》る」と。 [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|力《ちから》をもって|地《ち》を|造《つく》り、 その|知恵《ちえ》をもって|世界《せかい》を|建《た》て、 その|悟《さと》りをもって|天《てん》をのべられた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|声《こえ》を|出《だ》されると、 |天《てん》に|多《おお》くの|水《みず》のざわめきがあり、 また|地《ち》の|果《はて》から|霧《きり》を|立《た》ちあがらせられる。 |彼《かれ》は|雨《あめ》のために、いなびかりをおこし、 その|倉《くら》から|風《かぜ》を|取《と》り|出《だ》される。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すべての|人《ひと》は|愚《おろ》かで|知恵《ちえ》がなく、 すべての|金《きん》|細工人《ざいくにん》は その|造《つく》った|偶像《ぐうぞう》のために|恥《はじ》をこうむる。 その|偶像《ぐうぞう》は|偽《いつわ》り|物《もの》で、 そのうちに|息《いき》がないからだ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]これらは、むなしいもので、|迷《まよ》いのわざである。 |罰《ばっ》せられる|時《とき》に|滅《ほろ》びるものである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|分《ぶん》である|彼《かれ》はこのようなものではない。 |彼《かれ》は|万物《ばんぶつ》の|造《つく》り|主《ぬし》だからである。 イスラエルは|彼《かれ》の|嗣《し》|業《ぎょう》としての|部族《ぶぞく》である。 |彼《かれ》の|名《な》を|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》という。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|囲《かこ》みの|中《なか》におる|者《もの》よ、 あなたの|包《つつみ》を|地《ち》から|取《と》り|上《あ》げよ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がこう|言《い》われるからだ、 「|見《み》よ、わたしはこのたび、 この|地《ち》に|住《す》む|者《もの》を|投《な》げ|捨《す》てる。 かつ|彼《かれ》らをせめなやまして、|思《おも》い|知《し》らせる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、 わたしの|傷《きず》は|重《おも》い。 しかしわたしは|言《い》った、 「まことに、これは|悩《なや》みである。 わたしはこれを|忍《しの》ばなければならない」と。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|天幕《てんまく》は|破《やぶ》れ、|綱《つな》はことごとく|切《き》れ、 |子《こ》どもたちはわたしを|捨《す》てて|行《い》って、いなくなった。 もはやわたしの|天幕《てんまく》を|張《は》る|者《もの》はなく、 |幕《まく》を|掛《か》ける|者《もの》もない。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|牧者《ぼくしゃ》は|愚《おろ》かであって、 |主《しゅ》に|問《と》うことをしないからである。 それゆえ|彼《かれ》らは|栄《さか》えることもなく、 その|群《む》れはみな|散《ち》り|去《さ》っている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》けよ、うわさのあるのを。 |見《み》よ、|北《きた》の|国《くに》から|大《おお》いなる|騒《さわ》ぎが|来《く》る。 これはユダの|町々《まちまち》を|荒《あら》して|山犬《やまいぬ》の|巣《す》とする。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしは|知《し》っています、 |人《ひと》の|道《みち》は|自身《じしん》によるのではなく、 |歩《あゆ》む|人《ひと》が、その|歩《あゆ》みを |自分《じぶん》で|決《き》めることのできないことを。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしを|懲《こ》らしてください。 |正《ただ》しい|道《みち》にしたがって、|怒《いか》らずに|懲《こ》らしてください。 さもないと、わたしは|無《む》に|帰《き》してしまうでしょう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|知《し》らない|国民《くにたみ》と、 あなたの|名《な》をとなえない|人々《ひとびと》に あなたの|怒《いか》りを|注《そそ》いでください。 |彼《かれ》らはヤコブを|食《く》い|尽《つく》し これを|食《く》い|尽《つく》して|滅《ほろ》ぼし、 そのすみかを|荒《あら》したからです。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》は|言《い》う、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「この|契約《けいやく》の|言葉《ことば》を|聞《き》き、ユダの|人々《ひとびと》とエルサレムに|住《す》む|者《もの》に|告《つ》げよ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》え、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、この|契約《けいやく》の|言葉《ことば》に|従《したが》わない|人《ひと》は、のろわれる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|契約《けいやく》は、わたしがあなたがたの|先祖《せんぞ》をエジプトの|地《ち》、|鉄《てつ》のかまどの|中《なか》から|導《みちび》き|出《だ》した|時《とき》に、|彼《かれ》らに|命《めい》じたところのものである。すなわち、その|時《とき》わたしは|彼《かれ》らに|言《い》った、わたしの|声《こえ》を|聞《き》き、あなたがたに|命《めい》じるすべてのことを|行《おこな》うならば、あなたがたはわたしの|民《たみ》となり、わたしはあなたがたの|神《かみ》となる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして、わたしがあなたがたの|先祖《せんぞ》に、|乳《ちち》と|蜜《みつ》との|流《なが》れる|地《ち》を|与《あた》えると|誓《ちか》ったことを、なし|遂《と》げると。すなわち|今日《こんにち》のとおりである」。その|時《とき》わたしは、「|主《しゅ》よ、|仰《おお》せのとおりです」と|答《こた》えた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「このすべての|言葉《ことば》を、ユダの|町々《まちまち》と、エルサレムのちまたに|告《つ》げ|示《しめ》し、この|契約《けいやく》の|言葉《ことば》を|聞《き》き、これを|行《おこな》え、と|言《い》いなさい。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたがたの|先祖《せんぞ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|時《とき》から|今日《こんにち》にいたるまで、おごそかに|彼《かれ》らを|戒《いまし》め、|絶《た》えず|戒《いまし》めて、わたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》うようにと|言《い》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|従《したが》わず、その|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、おのおの|自分《じぶん》の|悪《わる》い|強情《ごうじょう》な|心《こころ》に|従《したが》って|歩《あゆ》んだ。それゆえ、わたしはこの|契約《けいやく》の|言葉《ことば》をもって|彼《かれ》らを|責《せ》めた。これはわたしが|彼《かれ》らに|行《おこな》えと|命《めい》じたが、|行《おこな》わなかったものである」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまたわたしに|言《い》われた、「ユダの|人々《ひとびと》とエルサレムに|住《す》む|者《もの》のうちに|反逆《はんぎゃく》の|事《こと》がある。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、わたしの|言葉《ことば》を|聞《き》くことを|拒《こば》んだその|先祖《せんぞ》たちの|罪《つみ》に|立《た》ち|返《かえ》り、またほかの|神々《かみがみ》に|従《したが》ってそれに|仕《つか》えた。イスラエルの|家《いえ》とユダの|家《いえ》とは、わたしがその|先祖《せんぞ》たちと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|破《やぶ》った。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|災《わざわい》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|下《くだ》す。|彼《かれ》らはそれを|免《まぬか》れることはできない。|彼《かれ》らがわたしを|呼《よ》んでも、わたしは|聞《き》かない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|町々《まちまち》とエルサレムに|住《す》む|者《もの》は、|行《い》って、|自分《じぶん》たちがそれに|香《こう》をたいている|神々《かみがみ》に|呼《よ》び|求《もと》めるが、これらは、|彼《かれ》らの|災《わざわい》の|時《とき》にも|決《けっ》して|彼《かれ》らを|救《すく》うことはできない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ユダよ、あなたの|神々《かみがみ》は、あなたの|町《まち》の|数《かず》ほど|多《おお》くなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの|数《かず》ほどの|祭壇《さいだん》を|恥《は》ずべき|者《もの》のために|立《た》てた。すなわちバアルに|香《こう》をたくための|祭壇《さいだん》である。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、この|民《たみ》のために|祈《いの》ってはならない。また|彼《かれ》らのために|泣《な》き、あるいは|祈《いの》り|求《もと》めてはならない。|彼《かれ》らがその|災《わざわい》の|時《とき》に、わたしに|呼《よ》ばわっても、わたしは|彼《かれ》らに|聞《き》くことをしないからだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わが|愛《あい》する|者《もの》は、わたしの|家《いえ》で|何《なに》をするのか。すでにこれは|悪事《あくじ》を|行《おこな》った。|誓願《せいがん》と|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》とがあなたに|災《わざわい》を|免《まぬか》れさせることができるであろうか。それであなたは|喜《よろこ》ぶことができるであろうか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたを、かつては『|良《よ》い|実《み》のなる|美《うつく》しい|青々《あおあお》としたオリブの|木《き》』と|呼《よ》ばれたが、|激《はげ》しい|暴風《ぼうふう》のとどろきと|共《とも》に、|主《しゅ》はそれに|火《ひ》をかけ、その|枝《えだ》を|焼《や》き|払《はら》われるのである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|植《う》えた|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、あなたに|向《む》かって|災《わざわい》を|言《い》い|渡《わた》された。これはイスラエルの|家《いえ》とユダの|家《いえ》とが|悪《あく》を|行《おこな》い、バアルに|香《こう》をたいて、わたしを|怒《いか》らせたからである」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|知《し》らせてくださったので、 わたしはそれを|知《し》った。 その|時《とき》、あなたは|彼《かれ》らの|悪《あ》しきわざを わたしに|示《しめ》された。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは、 ほふられに|行《い》く、おとなしい|小羊《こひつじ》のようで、 |彼《かれ》らがわたしを|害《がい》しようと、 |計《はか》りごとをめぐらしているのを|知《し》らなかった。 |彼《かれ》らは|言《い》う、「さあ、|木《き》とその|実《み》を|共《とも》に|滅《ほろ》ぼそう。 |生《い》ける|者《もの》の|地《ち》から|彼《かれ》を|絶《た》って、 その|名《な》を|人《ひと》に|忘《わす》れさせよう」。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しいさばきをし、 |人《ひと》の|心《こころ》と|思《おも》いを|探《さぐ》られる|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》よ、 わたしは|自分《じぶん》の|訴《うった》えをあなたにお|任《まか》せしました。 あなたが|彼《かれ》らにあだをかえされるのを|見《み》させてください。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はアナトテの|人々《ひとびと》についてこう|言《い》われる、|彼《かれ》らはあなたの|命《いのち》を|取《と》ろうと|求《もと》めて|言《い》う、「|主《しゅ》の|名《な》によって|預言《よげん》してはならない。それをするならば、あなたはわれわれの|手《て》にかかって|死《し》ぬであろう」。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それで|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らを|罰《ばっ》する。|若《わか》い|人《ひと》はつるぎで|死《し》に、|彼《かれ》らのむすこ|娘《むすめ》は、ききんで|死《し》に、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]だれも|残《のこ》る|者《もの》はない。わたしがアナトテの|人々《ひとびと》に|災《わざわい》を|下《くだ》し、|彼《かれ》らを|罰《ばっ》する|年《とし》をこさせるからである」。 第一二章[#「第一二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしがあなたと|論《ろん》じ|争《あらそ》う|時《とき》、 あなたは|常《つね》に|正《ただ》しい。 しかしなお、わたしはあなたの|前《まえ》に、 さばきのことを|論《ろん》じてみたい。 |悪人《あくにん》の|道《みち》がさかえ、 |不信実《ふしんじつ》な|者《もの》がみな|繁栄《はんえい》するのはなにゆえですか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|彼《かれ》らを|植《う》えられたので、 |彼《かれ》らは|根《ね》づき、|育《そだ》って、|実《み》を|結《むす》びます。 |彼《かれ》らは|口《くち》ではあなたに|近《ちか》づきますが、 |心《こころ》はあなたから|遠《とお》ざかっています。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわたしを|知《し》り、わたしを|見《み》、 わたしの|心《こころ》があなたに|対《たい》して いかにあるかを|試《こころ》みられます。 ほふるために|羊《ひつじ》を|引《ひ》き|出《だ》すように、|彼《かれ》らを|引《ひ》き|出《だ》し、 |殺《ころ》す|日《ひ》にそなえて、|彼《かれ》らを|残《のこ》しておいてください。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]いつまで、この|地《ち》は|嘆《なげ》き、 どの|畑《はたけ》の|野菜《やさい》も|枯《か》れていてよいでしょうか。 この|地《ち》に|住《す》む|者《もの》の|悪《あく》によって、 |獣《けもの》と|鳥《とり》は|滅《ほろ》びうせます。 |人々《ひとびと》は|言《い》いました、 「|彼《かれ》はわれわれの|終《おわ》りを|見《み》ることはない」と。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「もしあなたが、|徒歩《とほ》の|人《ひと》と|競争《きょうそう》して|疲《つか》れるなら、 どうして|騎馬《きば》の|人《ひと》と|競《きそ》うことができようか。 もし|安全《あんぜん》な|地《ち》で、あなたが|倒《たお》れるなら、 ヨルダンの|密林《みつりん》では、どうするつもりか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|兄弟《きょうだい》たち、あなたの|父《ちち》の|家《いえ》のものさえ、 あなたを|欺《あざむ》き、|大声《おおごえ》をあげて、あなたを|追《お》っている。 |彼《かれ》らが|親《した》しげにあなたに|語《かた》ることがあっても、 |彼《かれ》らを|信《しん》じてはならない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはわが|家《いえ》を|離《はな》れ、わが|嗣《し》|業《ぎょう》を|捨《す》て、 わが|魂《たましい》の|愛《あい》する|者《もの》を|敵《てき》の|手《て》に|渡《わた》した。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|嗣《し》|業《ぎょう》は、わたしにとって |林《はやし》の|中《なか》のししのようになった。 これはわたしに|向《む》かってその|声《こえ》をあげる。 それゆえわたしはこれを|憎《にく》む。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|嗣《し》|業《ぎょう》は、わたしにとって、 |斑点《はんてん》のある|猛禽《もうきん》のようではないか。 |他《た》の|猛禽《もうきん》がこれを|囲《かこ》んでいるではないか。 |行《い》って、|野《の》の|獣《けもの》をみな|集《あつ》め、 |連《つ》れてきてこれを|食《た》べさせよ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|牧者《ぼくしゃ》たちはわたしのぶどう|畑《はたけ》を|滅《ほろ》ぼし、 わたしの|地《ち》を|踏《ふ》み|荒《あら》した。 わたしの|麗《うるわ》しい|地《ち》を|荒《あ》れた|野《の》にした。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはこれを|荒《あ》れ|地《ち》としてしまった。 その|荒《あ》れ|地《ち》がわたしに|向《む》かって|嘆《なげ》くのだ。 |全《ぜん》|地《ち》は|荒《あ》れ|地《ち》にされた。 しかし、ひとりもこれを|心《こころ》に|留《と》める|者《もの》はない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|滅《ほろ》ぼす|者《もの》どもが|荒野《あらの》のすべての、はげ|山《やま》の|上《うえ》にきた。 |主《しゅ》のつるぎが、|地《ち》の、この|果《はて》から、かの|果《はて》までを|滅《ほろ》ぼすのだ。 |命《いのち》あるものは|安《やす》らかであることができない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|麦《むぎ》をまいて、いばらを|刈《か》り|取《と》る。 |苦労《くろう》してもなんの|利益《りえき》もない。 |彼《かれ》らはその|収穫《しゅうかく》を|恥《は》じるようになる。 |主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りによってである」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがわが|民《たみ》イスラエルにつがせた|嗣《し》|業《ぎょう》に|手《て》を|触《ふ》れるすべての|悪《わる》い|隣《とな》り|人《びと》について、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らをその|地《ち》から|抜《ぬ》き|出《だ》し、ユダの|家《いえ》を|彼《かれ》らのうちから|抜《ぬ》き|出《だ》す。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|彼《かれ》らを|抜《ぬ》き|出《だ》したのちに、また|彼《かれ》らをあわれんで、それぞれその|嗣《し》|業《ぎょう》に|導《みちび》き|返《かえ》し、おのおのを、その|地《ち》に|帰《かえ》らせる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らがわたしの|民《たみ》の|道《みち》を|学《まな》び、わたしの|名《な》によって、『|主《しゅ》は|生《い》きておられる』と|言《い》って|誓《ちか》うことが、かつて|彼《かれ》らがわたしの|民《たみ》に|教《おし》えてバアルをさして|誓《ちか》わせたようになるならば、|彼《かれ》らはわたしの|民《たみ》のうちに|建《た》てられる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|耳《みみ》をかさない|民《たみ》があるときは、わたしはその|民《たみ》を|抜《ぬ》き|出《だ》して|滅《ほろ》ぼすと、|主《しゅ》は|言《い》われる」。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしにこう|言《い》われた、「|行《い》って、|亜麻《あま》|布《ぬの》の|帯《おび》を|買《か》い、|腰《こし》に|結《むす》べ。|水《みず》につけてはならない」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしは|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|従《したが》い、|帯《おび》を|買《か》って|腰《こし》に|結《むす》んだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》は、|再《ふたた》びわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「あなたが|買《か》って|腰《こし》に|結《むす》んでいる|帯《おび》を|手《て》に|取《と》り、|立《た》ってユフラテの|川《かわ》へ|行《い》き、その|所《ところ》の|岩《いわ》の|裂《さ》け|目《め》にこれを|隠《かく》せ」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》が|命《めい》じられたように、|行《い》って、これをユフラテの|川《かわ》のほとりに|隠《かく》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|日《ひ》を|経《へ》てのち、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「|立《た》って、ユフラテの|川《かわ》へ|行《い》き、あなたに|命《めい》じて、そこに|隠《かく》させた|帯《おび》をその|所《ところ》から|取《と》ってきなさい」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしはユフラテの|川《かわ》へ|行《い》き、|地《ち》を|掘《ほ》って、|隠《かく》した|所《ところ》から|帯《おび》を|取《と》り|出《だ》したが、その|帯《おび》はそこなわれて、|役《やく》に|立《た》たなくなっていた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、これと|同《おな》じように、わたしはユダの|高《たか》ぶりとエルサレムの|大《おお》いなる|高《たか》ぶりを、|破《やぶ》るのである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|悪《あ》しき|民《たみ》はわたしの|言葉《ことば》を|聞《き》くことを|拒《こば》み、|自分《じぶん》の|心《こころ》を|強情《ごうじょう》にして|歩《あゆ》み、また|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》ってこれに|仕《つか》え、これを|拝《おが》んでいる。|彼《かれ》らはこの|帯《おび》のように、なんの|役《やく》にも|立《た》たなくなる」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「|帯《おび》が|人《ひと》の|腰《こし》に|着《つ》くように、イスラエルのすべての|家《いえ》とユダのすべての|家《いえ》とをわたしに|着《つ》かせ、これをわたしの|民《たみ》とし、|名《な》とし、|誉《ほまれ》とし、|栄《さか》えとしようとした。しかし|彼《かれ》らは|聞《き》き|従《したが》おうともしなかった」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはこの|言葉《ことば》を|彼《かれ》らに|語《かた》らなければならない、『イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、|酒《さけ》つぼには、みな|酒《さけ》が|満《み》ちる』と。|彼《かれ》らはあなたに|言《い》うであろう、『|酒《さけ》つぼに、みな|酒《さけ》が|満《み》ちることをわれわれが|知《し》らないことがあろうか』と。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あなたは|彼《かれ》らに|言《い》わなければならない、『|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはこの|地《ち》に|住《す》むすべての|者《もの》と、ダビデの|位《くらい》に|座《ざ》す|王《おう》たちと、|祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》およびエルサレムに|住《す》むすべての|者《もの》に|酔《よ》いを|満《み》たし、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|互《たがい》に|打《う》ち|当《あ》てて|砕《くだ》く。|父《ちち》と|子《こ》をもそのようにすると、|主《しゅ》は|言《い》われる。わたしは|彼《かれ》らをあわれまず、|惜《お》しまず、かわいそうとも|思《おも》わずに|滅《ほろ》ぼす』と」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて|聞《き》け、|高《たか》ぶってはならない、 |主《しゅ》がお|語《かた》りになるからである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がまだやみを|起《おこ》されないうちに、 またあなたがたの|足《あし》が |薄暗《うすくら》がりの|山《やま》につまずかないうちに、 あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|栄光《えいこう》を|帰《き》せよ。 さもないと、あなたがたが|光《ひかり》を|望《のぞ》んでいる|間《あいだ》に、 |主《しゅ》はそれを|暗黒《あんこく》に|変《か》え、 それを|暗《くら》やみとされるからである。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが|聞《き》かないならば、 わたしの|魂《たましい》はひそかな|所《ところ》で、 あなたがたの|高《たか》ぶりのために|悲《かな》しむ。 また|主《しゅ》の|群《む》れが、かすめられたために、 わたしの|目《め》はいたく|泣《な》いて、|涙《なみだ》を|流《なが》すのである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》と|太后《たいこう》とに|告《つ》げよ、 「あなたがたは|低《ひく》い|座《ざ》にすわりなさい。 |麗《うるわ》しい|冠《かんむり》はすでに あなたがたの|頭《あたま》から|落《お》ちてしまったからです」。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ネゲブの|町々《まちまち》は|閉《と》ざされて、これを|開《ひら》く|人《ひと》がない。 ユダはみな|捕《とら》え|移《うつ》される、 ことごとく|捕《とら》え|移《うつ》される。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「|目《め》をあげて、|北《きた》の|方《ほう》からくる|者《もの》を|見《み》よ、 あなたに|賜《たま》わった|群《む》れ、 あなたの|麗《うるわ》しい|群《む》れはどこにいるのか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがあなたの|親《した》しみ|慣《な》れた|人《ひと》たちを、 あなたの|上《うえ》に|立《た》ててかしらとするとき、 あなたは|何《なに》を|言《い》おうとするのか。 あなたの|苦《くる》しみは、 |子《こ》を|産《う》む|女《おんな》の|苦《くる》しみのようでないであろうか。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|心《こころ》のうちに、 『どうしてこのようなことが わたしに|起《た》ったのか』というならば、 あなたの|罪《つみ》が|重《おも》いゆえに、 あなたの|着物《きもの》のすそはあげられ、 はずかしめを|受《う》けるのだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]エチオピヤびとは その|皮膚《ひふ》を|変《か》えることができようか。 ひょうはその|斑点《はんてん》を|変《か》えることができようか。 もしそれができるならば、|悪《あく》に|慣《な》れたあなたがたも、 |善《ぜん》を|行《おこな》うことができる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを|散《ち》らし、 |野《の》の|風《かぜ》に|吹《ふ》き|散《ち》らされるもみがらのようにする。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、これがあなたに|授《さづ》けられた|定《さだ》め、 わたしが|量《はか》ってあなたに|与《あた》える|分《ぶん》である。 あなたがわたしを|忘《わす》れて、 |偽《いつわ》りを|頼《たの》みとしたからだ。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたあなたの|着物《きもの》のすそを|顔《かお》まであげて、 あなたの|恥《はじ》をあらわす。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|憎《にく》むべき|行《おこな》い、 あなたの|姦淫《かんいん》と、いななき、 |野《の》の|丘《おか》の|上《うえ》で|行《おこな》ったあなたのみだらな|行《おこな》いを|見《み》た。 エルサレムよ、あなたはわざわいだ、 あなたの|清《きよ》められるのはいつのことであろうか」。 [#ここで字下げ終わり] 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ひでりの|事《こと》についてエレミヤに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「ユダは|悲《かな》しみ、 その|町々《まちまち》の|門《もん》は|傾《かたむ》き、 |民《たみ》は|地《ち》に|座《ざ》して|嘆《なげ》き、 エルサレムの|叫《さけ》びはあがる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|君《きみ》たちは、しもべをつかわして|水《みず》をくませる。 |彼《かれ》らが|井戸《いど》の|所《ところ》にきても、|水《みず》は|見《み》つからず、 むなしい|器《うつわ》をもって|帰《かえ》り、 |恥《は》じ、かつ|当惑《とうわく》して、その|頭《あたま》をおおう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》に|雨《あめ》が|降《ふ》らず、|土《つち》が、かわいて|割《わ》れたため、 |農夫《のうふ》は|恥《は》じて、その|頭《あたま》をおおう。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》にいる|雌《め》じかでさえも|子《こ》を|産《う》んで、これを|捨《す》てる。 |草《くさ》がないからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》ろばは、はげ|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》って、 |山犬《やまいぬ》のようにあえぎ、 |草《くさ》のないために、その|目《め》はくらむ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われわれの|罪《つみ》がわれわれを|訴《うった》えて |不利《ふり》な|証言《しょうげん》をしても、 あなたの|名《な》のために、|事《こと》をなしてください。 われわれの|背信《はいしん》の|数《かず》は|多《おお》く、 あなたに|向《む》かって|罪《つみ》を|犯《おか》しました。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|望《のぞ》みなる|主《しゅ》よ、 |悩《なや》みの|時《とき》の|救主《すくいぬし》よ、 なぜ、あなたはこの|地《ち》に|住《す》む|異邦《いほう》の|人《ひと》のようにし、 また|一夜《いちや》の|宿《やど》りのために|立《た》ち|寄《よ》る|旅《たび》びとのように なさらねばならないのですか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、あなたは、うろたえている|人《ひと》のようにし、 また|人《ひと》を|救《すく》いえない|勇士《ゆうし》のように なさらねばならないのですか。 |主《しゅ》よ、あなたはわれわれのうちにいらせられます。 われわれは、み|名《な》によって|呼《よ》ばれている|者《もの》です。 われわれを|見捨《みす》てないでください」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》について|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「|彼《かれ》らはこのように|好《この》んで、さまよい、 その|足《あし》をとどめることをしなかったので、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らを|喜《よろこ》ばず、 いまそのとがを|覚《おぼ》え、その|罪《つみ》を|罰《ばっ》するのだ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「この|民《たみ》のために|恵《めぐ》みを|祈《いの》ってはならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|断食《だんじき》しても、わたしは|彼《かれ》らの|呼《よ》ぶのを|聞《き》かない。|燔祭《はんさい》と|素祭《そさい》をささげても、わたしはそれを|受《う》けない。かえって、つるぎと、ききん、および|疫病《えきびょう》をもって、|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしてしまう」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、|預言者《よげんしゃ》たちはこの|民《たみ》に|向《む》かい、『あなたがたは、つるぎを|見《み》ることはない。ききんもこない。わたしはこの|所《ところ》に|確《たし》かな|平安《へいあん》をあなたがたに|与《あた》える』と|言《い》っています」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「|預言者《よげんしゃ》らはわたしの|名《な》によって|偽《いつわ》りの|預言《よげん》をしている。わたしは|彼《かれ》らをつかわさなかった。また|彼《かれ》らに|命《めい》じたこともなく、|話《はな》したこともない。|彼《かれ》らは|偽《いつわ》りの|黙示《もくし》と、|役《やく》に|立《た》たない|占《うらな》い、および|自分《じぶん》の|心《こころ》でつくりあげた|欺《あざむ》きをあなたがたに|預言《よげん》しているのだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしがつかわさないのに、わたしの|名《な》によって|預言《よげん》して、『つるぎとききんは、この|地《ち》にこない』と|言《い》っているあの|預言者《よげんしゃ》について、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、この|預言者《よげんしゃ》らは、つるぎとききんに|滅《ほろ》ぼされる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|預言《よげん》を|聞《き》く|民《たみ》は、ききんとつるぎとによって、エルサレムのちまたに|投《な》げ|捨《す》てられる。だれもこれを|葬《ほうむ》る|者《もの》はない。|彼《かれ》らとその|妻《つま》、およびそのむすこ|娘《むすめ》も|同様《どうよう》である。わたしが|彼《かれ》らの|悪《あく》をその|上《うえ》に|注《そそ》ぐからである。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]この|言葉《ことば》を|彼《かれ》らに|語《かた》れ、 [#ここから2字下げ] 『わたしの|目《め》は|夜《よる》も|昼《ひる》も|絶《た》えず|涙《なみだ》を|流《なが》す。 わが|民《たみ》の|娘《むすめ》であるおとめが|大《おお》きな|傷《きず》と |重《おも》い|打撃《だげき》によって|滅《ほろ》ぼされるからである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|出《で》て|畑《はたけ》に|行《い》くと、 つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》がある。 |町《まち》にはいると、ききんで|病《や》んでいる|者《もの》がある。 |預言者《よげんしゃ》も|祭司《さいし》も|共《とも》にその|地《ち》にさまよって、 |知《し》るところがない』」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまったくユダを|捨《す》てられたのですか。 あなたの|心《こころ》はシオンをきらわれるのですか。 あなたはわれわれを|撃《う》ったのに、どうしていやしてはくださらないのですか。 われわれは|平安《へいあん》を|望《のぞ》んだが、|良《よ》い|事《こと》はこなかった。 いやされる|時《とき》を|望《のぞ》んだが、かえって|恐怖《きょうふ》が|来《き》た。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われわれは|自分《じぶん》の|悪《あく》と、 |先祖《せんぞ》のとがとを|認《みと》めています。 われわれはあなたに|罪《つみ》を|犯《おか》しました。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]み|名《な》のために、われわれを|捨《す》てないでください。 あなたの|栄《さか》えあるみ|位《くらい》を はずかしめないでください。 あなたがわれわれにお|立《た》てになった|契約《けいやく》を|覚《おぼ》えて、 それを|破《やぶ》らないでください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|異邦《いほう》の|偽《いつわ》りの|神々《かみがみ》のうちに、 |雨《あめ》を|降《ふ》らせうる|者《もの》があるであろうか。 |天《てん》が|自分《じぶん》で|夕立《ゆうだ》ちを|降《ふ》らすことができようか。 われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 あなたこそ、これをなさる|方《かた》ではありませんか。 われわれの|待《ま》ち|望《のぞ》むのはあなたです。 あなたがこれらすべてのことをなさるからです。 [#ここで字下げ終わり] 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「たといモーセとサムエルとがわたしの|前《まえ》に|立《た》っても、わたしの|心《こころ》はこの|民《たみ》を|顧《かえり》みない。|彼《かれ》らをわたしの|前《まえ》から|追《お》い|出《だ》し、ここを|去《さ》らせよ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らが、『われわれはどこに|行《い》けばよいのか』とあなたに|尋《たず》ねるならば、|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、 [#ここから2字下げ] 『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 |疫病《えきびょう》に|定《さだ》められた|者《もの》は|疫病《えきびょう》に、 つるぎに|定《さだ》められた|者《もの》はつるぎに、 ききんに|定《さだ》められた|者《もの》はききんに、 とりこに|定《さだ》められた|者《もの》はとりこに|行《い》く』。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、わたしは四つの|物《もの》をもって|彼《かれ》らを|罰《ばっ》する。すなわち、つるぎをもって|殺《ころ》し、|犬《いぬ》をもってかませ、|空《そら》の|鳥《とり》と|地《ち》の|獣《けもの》をもって|食《く》い|滅《ほろ》ぼさせる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|王《おう》ヒゼキヤの|子《こ》マナセが、エルサレムでした|行《おこな》いのゆえに、わたしは|彼《かれ》らを|地《ち》のすべての|国《くに》が|見《み》て|恐《おそ》れおののくものとする。 [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムよ、だれがあなたをあわれむであろうか。 だれがあなたのために|嘆《なげ》くであろうか。 だれがふり|返《かえ》って、あなたの|安否《あんぴ》を|問《と》うであろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、あなたはわたしを|捨《す》てた。 そしてますます|退《しりぞ》いて|行《い》く。 それゆえ、わたしは|手《て》を|伸《の》べてあなたを|滅《ほろ》ぼした。 わたしはあわれむことには|飽《あ》きた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|地《ち》の|門《もん》で、 |箕《みの》で|彼《かれ》らをあおぎ|分《わ》けた。 |彼《かれ》らがその|道《みち》を|離《はな》れなかったので、 わたしは|彼《かれ》らの|子《こ》を|奪《うば》い、 わが|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼした。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|寡婦《かふ》の|数《かず》を |浜《はま》べの|砂《すな》よりも|多《おお》くした。 わたしは|真昼《まひる》に、|滅《ほろ》ぼす|者《もの》を|連《つ》れてきて、 |若者《わかもの》らの|母《はは》たちをせめ、 |驚《おどろ》きと|恐《おそ》れを、にわかに|母《はは》たちにおこした。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]七|人《にん》の|子《こ》を|産《う》んだ|女《おんな》は、|弱《よわ》り|衰《おとろ》えて、|息《いき》|絶《た》え、 まだ|昼《ひる》であったが、|彼女《かのじょ》の|日《ひ》は|没《ぼっ》した。 |彼女《かのじょ》は|恥《は》じ、うろたえた。 その|残《のこ》りの|者《もの》は、これを|敵《てき》のつるぎに|渡《わた》すと |主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ああ、わたしはわざわいだ。わが|母《はは》よ、あなたは、なぜ、わたしを|産《う》んだのか。|全国《ぜんこく》の|人《ひと》はわたしと|争《あらそ》い、わたしを|攻《せ》める。わたしは|人《ひと》に|貸《か》したこともなく、|人《ひと》に|借《か》りたこともないのに、|皆《みな》わたしをのろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、もしわたしが|彼《かれ》らの|幸福《こうふく》をあなたに|祈《いの》り|求《もと》めず、また|敵《てき》のため、その|悩《なや》みのときと、|災《わざわい》のときに、わたしがあなたにとりなしをしなかったのであれば、|彼《かれ》らののろいも、やむをえないでしょう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|鉄《てつ》を、|北《きた》からくる|鉄《てつ》や|青銅《せいどう》を|砕《くだ》くことができましょうか。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたの|富《とみ》と|宝《たから》を、ぶんどり|物《もの》として|他《ほか》に|与《あた》える。|代価《だいか》を|受《う》けることはできない。それはあなたのすべての|罪《つみ》によるので、|領域《りょういき》|内《ない》のいたる|所《ところ》にこのことが|起《おこ》る。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|知《し》らない|地《ち》で、あなたの|敵《てき》に|仕《つか》えさせる。わたしの|怒《いか》りによって|火《ひ》は|点《てん》じられ、いつまでも|燃《も》え|続《つづ》けるからである」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|知《し》っておられます。 わたしを|覚《おぼ》え、わたしを|顧《かえり》みてください。 わたしを|迫害《はくがい》する|者《もの》に、あだを|返《かえ》し、 あなたの|寛容《かんよう》によって、 わたしを|取《と》り|去《さ》らないでください。 わたしがあなたのために、 はずかしめを|受《う》けるのを|知《し》ってください。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはみ|言葉《ことば》を|与《あた》えられて、それを|食《た》べました。 み|言葉《ことば》は、わたしに|喜《よろこ》びとなり、 |心《こころ》の|楽《たの》しみとなりました。 |万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》よ、わたしは、あなたの|名《な》をもって となえられている|者《もの》です。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|笑《わら》いさざめく|人《ひと》のつどいに すわることなく、また|喜《よろこ》ぶことをせず、 ただひとりですわっていました。 あなたの|手《て》がわたしの|上《うえ》にあり、 あなたが|憤《いきどお》りをもって わたしを|満《み》たされたからです。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]どうしてわたしの|痛《いた》みは|止《と》まらず、 |傷《きず》は|重《おも》くて、なおらないのですか。 あなたはわたしにとって、|水《みず》がなくて|人《ひと》を|欺《あざむ》く |谷川《たにがわ》のようになられるのですか。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 [#ここから2字下げ] 「もしあなたが|帰《かえ》ってくるならば、 もとのようにして、わたしの|前《まえ》に|立《た》たせよう。 もしあなたが、つまらないことを|言《い》うのをやめて、 |貴重《きちょう》なことを|言《い》うならば、 わたしの|口《くち》のようになる。 |彼《かれ》らはあなたの|所《ところ》に|帰《かえ》ってくる。 しかしあなたが|彼《かれ》らの|所《ところ》に|帰《かえ》るのではない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたをこの|民《たみ》の|前《まえ》に、 |堅固《けんご》な|青銅《せいどう》の|城壁《じょうへき》にする。 |彼《かれ》らがあなたを|攻《せ》めても、 あなたに|勝《か》つことはできない。 わたしがあなたと|共《とも》にいて、あなたを|助《たす》け、 あなたを|救《すく》うからであると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|悪人《あくにん》の|手《て》から|救《すく》い、 |無慈悲《むじひ》な|人《ひと》の|手《て》からあがなう」。 [#ここで字下げ終わり] 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》はまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはこの|所《ところ》で|妻《つま》をめとってはならない。またむすこ|娘《むすめ》を|持《も》ってはならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|所《ところ》で|生《うま》れるむすこ|娘《むすめ》と、この|地《ち》でこれを|産《う》む|母《はは》たちと、これを|生《う》む|父《ちち》たちとについて|主《しゅ》はこう|言《い》われる、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|死《し》の|病《やまい》にかかって|死《し》に、|哀悼《あいとう》する|者《もの》もなく、|埋葬《まいそう》する|者《もの》もなく、|地《ち》のおもてに、|糞土《ふんど》のようになる。またつるぎと、ききんに|滅《ほろ》ぼされて、その|死体《したい》は|空《そら》の|鳥《とり》と|地《ち》の|獣《けもの》の|食《く》い|物《もの》となる。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|喪《も》のある|家《いえ》に、はいってはならない。また|行《い》って、それを|悲《かな》しみ|嘆《なげ》いてはならない。わたしがこの|民《たみ》からわたしの|平安《へいあん》と、いつくしみと、あわれみとを|取《と》り|去《さ》ったからであると、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いなる|者《もの》も|小《ちい》さき|者《もの》も、この|地《ち》に|死《し》ぬ。|彼《かれ》らは|葬《ほうむ》られず、また|彼《かれ》らのために|悲《かな》しむ|者《もの》もなく、|自分《じぶん》の|身《み》を|傷《きず》つける|者《もの》もなく、|髪《かみ》をそる|者《もの》もない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|悲《かな》しむ|者《もの》のためにパンをさいて、|死者《ししゃ》のためにこれを|慰《なぐさ》める|者《もの》はなく、また|父《ちち》あるいは|母《はは》のために|慰《なぐさ》めの|杯《さかずき》をこれに|与《あた》えて|飲《の》ませる|者《もの》もない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またあなたは|宴会《えんかい》をする|家《いえ》にはいって、|人々《ひとびと》と|共《とも》にすわって|食《く》い|飲《の》みしてはならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、あなたの|目《め》の|前《まえ》で、あなたのなおこの|世《よ》にいる|間《あいだ》に、わたしは|喜《よろこ》びの|声《こえ》と|楽《たの》しみの|声《こえ》、|花婿《はなむこ》の|声《こえ》と|花嫁《はなよめ》の|声《こえ》とをこの|所《ところ》に|絶《た》やしてしまう。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがこのすべての|言葉《ことば》をこの|民《たみ》に|告《つ》げるとき、|彼《かれ》らがあなたに|尋《たず》ねて、『|主《しゅ》がわれわれにこの|大《おお》きな|災《わざわい》を|宣告《せんこく》されるのはどうしてですか。われわれにどんな|悪《わる》い|所《ところ》があるのですか。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》にそむいて、われわれが|犯《おか》した|罪《つみ》とはなんですか』と|言《い》うならば、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|答《こた》えなければならない、『|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、それはあなたがたの|先祖《せんぞ》がわたしを|捨《す》てて|他《た》の|神々《かみがみ》に|従《したが》い、これに|仕《つか》え、これを|拝《はい》し、またわたしを|捨《す》て、わたしの|律法《りっぽう》を|守《まも》らなかったからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、あなたがたの|先祖《せんぞ》よりも、いっそう|悪《わる》いことをした。|見《み》よ、あなたがたはおのおの|自分《じぶん》の|悪《わる》い|強情《ごうじょう》な|心《こころ》に|従《したが》い、わたしに|聞《き》き|従《したが》うことはしない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはあなたがたをこの|地《ち》より|追《お》い|出《だ》し、あなたがたも、あなたがたの|先祖《せんぞ》も|知《し》らない|地《ち》に|行《い》かせる。その|所《ところ》であなたがたは|昼夜《ちゅうや》、ほかの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えるようになる。これはわたしがあなたがたにあわれみを|示《しめ》さないからである』と。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、それゆえ、|見《み》よ、こののち『イスラエルの|民《たみ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|主《しゅ》は|生《い》きておられる』とは|言《い》わないで、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]『イスラエルの|民《たみ》を|北《きた》の|国《くに》と、そのすべて|追《お》いやられた|国々《くにぐに》から|導《みちび》き|出《だ》した|主《しゅ》は|生《い》きておられる』という|日《ひ》がくる。わたしが|彼《かれ》らを、その|先祖《せんぞ》に|与《あた》えた|彼《かれ》らの|地《ち》に|導《みちび》きかえすからである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|多《おお》くの|漁夫《ぎょふ》を|呼《よ》んできて、|彼《かれ》らをすなどらせ、また、そののち|多《おお》くの|猟師《りょうし》を|呼《よ》んできて、もろもろの|山《やま》、もろもろの|丘《おか》、および|岩《いわ》の|裂《さ》け|目《め》から|彼《かれ》らをかり|出《だ》させる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》は|彼《かれ》らのすべての|道《みち》を|見《み》ているからである。みなわたしに|隠《かく》れてはいない。またその|悪《あく》はわたしの|目《め》に|隠《かく》れることはない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|悪《あく》とその|罪《つみ》の|報《むく》いを二|倍《ばい》にする。|彼《かれ》らがその|忌《い》むべき|偶像《ぐうぞう》の|死体《したい》をもって、わたしの|地《ち》を|汚《けが》し、その|憎《にく》むべきものをもって、わたしの|嗣《し》|業《ぎょう》を|満《み》たしたからである」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》、わが|力《ちから》、わが|城《しろ》、 |悩《なや》みの|時《とき》の、のがれ|場《ば》よ、 |万国《ばんこく》の|民《たみ》は|地《ち》の|果《はて》から あなたのもとにきて|申《もう》します、 「われわれの|先祖《せんぞ》が|受《う》け|嗣《つ》いだのは、 ただ|偽《いつわ》りと、|役《やく》に|立《た》たないつまらない|事《こと》ばかりです。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|自分《じぶん》で|神々《かみがみ》を|造《つく》ることができましょうか。 そういうものは|神《かみ》ではありません」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「それゆえ、|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らに|知《し》らせよう。すなわち、この|際《さい》わたしの|力《ちから》と、わたしの|勢《いきお》いとを|知《し》らせよう。|彼《かれ》らはわたしの|名《な》が、|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる」。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|罪《つみ》は、|鉄《てつ》の|筆《ふで》、|金剛石《こんごうせき》のとがりをもってしるされ、|彼《かれ》らの|心《こころ》の|碑《いしぶみ》と、|祭壇《さいだん》の|角《つの》に|彫《ほ》りつけられている。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|子供《こども》たちは|青《あお》|木《き》の|下《した》と、|高《たか》い|丘《おか》の|上《うえ》、|野《の》の|山《やま》の|上《うえ》にある|祭壇《さいだん》とアシラのことを|覚《おぼ》えている。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|富《とみ》とすべての|宝《たから》とを、あなたの|全《ぜん》|領域《りょういき》の|内《うち》で|犯《おか》した|罪《つみ》の|代価《だいか》として、ぶんどり|物《もの》とならせる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたに|与《あた》えた|嗣《し》|業《ぎょう》からあなたは|手《て》をはなすようになる。またわたしは、あなたの|知《し》らない|地《ち》で、あなたの|敵《てき》に|仕《つか》えさせる。わたしの|怒《いか》りによって、|火《ひ》は|点《てん》じられ、いつまでも|燃《も》え|続《つづ》けるからである」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「おおよそ|人《ひと》を|頼《たの》みとし|肉《にく》なる|者《もの》を|自分《じぶん》の|腕《うで》とし、 その|心《こころ》が|主《しゅ》を|離《はな》れている|人《ひと》は、のろわれる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|荒野《あらの》に|育《そだ》つ|小《ちい》さい|木《き》のように、 |何《なに》も|良《よ》いことの|来《く》るのを|見《み》ない。 |荒野《あらの》の、|干上《ひあ》がった|所《ところ》に|住《す》み、 |人《ひと》の|住《す》まない|塩《しお》|地《ち》にいる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]おおよそ|主《しゅ》にたより、 |主《しゅ》を|頼《たの》みとする|人《ひと》はさいわいである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|水《みず》のほとりに|植《う》えた|木《き》のようで、 その|根《ね》を|川《かわ》にのばし、 |暑《あつ》さにあっても|恐《おそ》れることはない。 その|葉《は》は|常《つね》に|青《あお》く、 ひでりの|年《ねん》にも|憂《うれ》えることなく、 |絶《た》えず|実《み》を|結《むす》ぶ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》はよろずの|物《もの》よりも|偽《いつわ》るもので、 はなはだしく|悪《あく》に|染《そ》まっている。 だれがこれを、よく|知《し》ることができようか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》であるわたしは|心《こころ》を|探《さぐ》り、|思《おも》いを|試《こころ》みる。 おのおのに、その|道《みち》にしたがい、 その|行《おこな》いの|実《み》によって|報《むく》いをするためである」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しゃこが|自分《じぶん》が|産《う》んだのではない|卵《たまご》を|抱《だ》くように、 |不正《ふせい》な|財産《ざいさん》を|得《え》る|者《もの》がある。 その|人《ひと》は|一生《いっしょう》の|半《なか》ばにそれから|離《はな》れて、 その|終《おわ》りには|愚《おろ》かな|者《もの》となる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|初《はじ》めから|高《たか》くあげられた|栄《さか》えあるみ|座《ざ》は、 われわれの|聖所《せいじょ》のある|所《ところ》である。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|望《のぞ》みである|主《しゅ》よ、 あなたを|捨《す》てる|者《もの》はみな|恥《はじ》をかき、 あなたを|離《はな》れる|者《もの》は|土《つち》に|名《な》をしるされます。 それは|生《い》ける|水《みず》の|源《みなもと》である|主《しゅ》を|捨《す》てたからです。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしをいやしてください、 そうすれば、わたしはいえます。 わたしをお|救《すく》いください、 そうすれば、わたしは|救《すく》われます。 あなたはわたしのほめたたえる|者《もの》だからです。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしに|言《い》います、 「|主《しゅ》の|言葉《ことば》はどこにあるのか。 |今《いま》、それを|出《だ》して|見《み》せよ」と。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をつかわされるようにとは、 わたしはたって|求《もと》めませんでした。 また|災《わざわい》の|日《ひ》を|願《ねが》わなかったのを、 あなたはごぞんじです。 わたしのくちびるから|出《で》たことは、み|前《まえ》にあります。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わたしを|恐《おそ》れさせないでください。 |災《わざわい》のときに、あなたはわたしののがれ|場《ば》です。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|攻《せ》め|悩《なや》ます|者《もの》をはずかしめてください。 しかしわたしをはずかしめないでください。 |彼《かれ》らを|恐《おそ》れさせてください。 しかしわたしを|恐《おそ》れさせないでください。 |災《わざわい》の|日《ひ》を|彼《かれ》らにきたらせ、 |滅《ほろ》びを|倍《ばい》にして|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしてください。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしにこう|言《い》われた、「|行《い》って、ユダの|王《おう》たちの|出入《でい》りするベニヤミンの|門《もん》、およびエルサレムのすべての|門《もん》に|立《た》って、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》いなさい、『これらの|門《もん》からはいるユダの|王《おう》たち、およびユダのすべての|民《たみ》とエルサレムに|住《す》むすべての|者《もの》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|命《いのち》が|惜《お》しいならば|気《き》をつけるがよい。|安息日《あんそくにち》に|荷《に》をたずさえ、またはそれを|持《も》ってエルサレムの|門《もん》にはいってはならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|安息日《あんそくにち》にあなたがたの|家《いえ》から|荷《に》を|運《はこ》び|出《だ》してはならない。なんのわざをもしてはならない。わたしがあなたがたの|先祖《せんぞ》に|命《めい》じたように|安息日《あんそくにち》を|聖別《せいべつ》して|守《まも》りなさい。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|従《したが》わず|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、|聞《き》くことも、|戒《いまし》めをうけることをも|強情《ごうじょう》に|拒《こば》んだ。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、もしあなたがたがわたしに|聞《き》き|従《したが》い、|安息日《あんそくにち》に|荷《に》をたずさえてこの|町《まち》の|門《もん》にはいらず、|安息日《あんそくにち》を|聖別《せいべつ》して、なんのわざをもしないならば、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|位《くらい》に|座《ざ》する|王《おう》たち、つかさたち、ユダの|人々《ひとびと》、エルサレムに|住《す》む|者《もの》は、|車《くるま》と|馬《うま》に|乗《の》ってこの|町《まち》の|門《もん》からはいることができる。そしてこの|町《まち》には|長《なが》く|人《ひと》が|住《す》むようになる。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また|人々《ひとびと》はユダの|町々《まちまち》やエルサレムの|周囲《しゅうい》、ベニヤミンの|地《ち》、|平地《へいち》と|山地《さんち》およびネゲブから|来《き》て|燔祭《はんさい》、|犠牲《ぎせい》、|素祭《そさい》、|乳香《にゅうこう》、|感謝祭《かんしゃさい》をたずさえて|主《しゅ》の|家《いえ》にはいる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしあなたがたがわたしに|聞《き》き|従《したが》わないで、|安息日《あんそくにち》を|聖別《せいべつ》して|守《まも》ることをせず、|安息日《あんそくにち》に|荷《に》をたずさえてエルサレムの|門《もん》にはいるならば、わたしは|火《ひ》をその|門《もん》の|中《なか》に|燃《も》やして、エルサレムのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。その|火《ひ》は|消《き》えることがない』」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|立《た》って、|陶器《とうき》|師《し》の|家《いえ》に|下《くだ》って|行《い》きなさい。その|所《ところ》でわたしはあなたにわたしの|言葉《ことば》を|聞《き》かせよう」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|陶器《とうき》|師《し》の|家《いえ》へ|下《くだ》って|行《い》った。|見《み》ると|彼《かれ》は、ろくろで|仕事《しごと》をしていたが、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|粘土《ねんど》で|造《つく》っていた|器《うつわ》が、その|人《ひと》の|手《て》の|中《なか》で|仕損《しそん》じたので、|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|意《い》のままに、それをもってほかの|器《うつわ》を|造《つく》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、イスラエルの|家《いえ》よ、この|陶器《とうき》|師《し》がしたように、わたしもあなたがたにできないのだろうか。イスラエルの|家《いえ》よ、|陶器《とうき》|師《し》の|手《て》に|粘土《ねんど》があるように、あなたがたはわたしの|手《て》のうちにある。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ある|時《とき》には、わたしが|民《たみ》または|国《くに》を|抜《ぬ》く、|破《やぶ》る、|滅《ほろ》ぼすということがあるが、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしの|言《い》った|国《くに》がその|悪《あく》を|離《はな》れるならば、わたしはこれに|災《わざわい》を|下《くだ》そうとしたことを|思《おも》いかえす。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またある|時《とき》には、わたしが|民《たみ》または|国《くに》を|建《た》てる、|植《う》えるということがあるが、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もしその|国《くに》がわたしの|目《め》に|悪《あく》と|見《み》えることを|行《おこな》い、わたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わないなら、わたしはこれに|幸《さいわい》を|与《あた》えようとしたことを|思《おも》いかえす。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、ユダの|人々《ひとびと》とエルサレムに|住《す》む|者《もの》に|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしはあなたがたに|災《わざわい》を|下《くだ》そうと|工夫《くふう》し、あなたがたを|攻《せ》める|計《はか》りごとを|立《た》てている。あなたがたはおのおのその|悪《あ》しき|道《みち》を|離《はな》れ、その|道《みち》と|行《おこな》いを|改《あらた》めなさい』と。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|言《い》う、『それはむだです。われわれは|自分《じぶん》の|図《はか》るところに|従《したが》い、おのおのその|悪《わる》い|強情《ごうじょう》な|心《こころ》にしたがって|行動《こうどう》します』と。 [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 |異邦《いほう》の|民《たみ》のうちのある|者《もの》に|尋《たず》ねてみよ、 このような|事《こと》を|聞《き》いた|者《もの》があろうか。 おとめイスラエルは|恐《おそ》ろしい|事《こと》をした。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]レバノンの|雪《ゆき》が、 どうしてシリオンの|岩《いわ》を|離《はな》れようか。 |山《やま》の|水《みず》、|冷《つめ》たい|川《かわ》の|流《なが》れが、 どうしてかわいてしまおうか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それなのにわが|民《たみ》はわたしを|忘《わす》れて、 |偽《いつわ》りの|神々《かみがみ》に|香《こう》をたいている。 |彼《かれ》らはその|道《みち》、|古《ふる》い|道《みち》につまずき、 また|小道《こみち》に|入《い》り、|大路《おおじ》からはなれた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|地《ち》を|荒《あ》れすたれさせて、 いつまでも|人《ひと》に|舌打《したう》ちされるものとした。 そこを|通《とお》る|人《ひと》はみな|身震《みぶる》いして、|首《くび》を|振《ふ》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|東風《ひがしかぜ》のように、|彼《かれ》らをその|敵《てき》の|前《まえ》に|散《ち》らす。 その|滅《ほろ》びの|日《ひ》には、 わたしは|彼《かれ》らに|背《せ》を|向《む》け、|顔《かお》を|向《む》けない」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、「さあ、|計略《けいりゃく》をめぐらして、エレミヤを|倒《たお》そう。|祭司《さいし》には|律法《りっぽう》があり、|知恵《ちえ》ある|者《もの》には|計《はか》りごとがあり、|預言者《よげんしゃ》には|言葉《ことば》があって、これらのものが|滅《ほろ》びてしまうことはない。さあ、われわれは|舌《した》をもって|彼《かれ》を|撃《う》とう。|彼《かれ》のすべての|言葉《ことば》に、|心《こころ》を|留《と》めないことにしよう」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、どうぞわたしにみ|心《こころ》を|留《と》め、 わたしの|訴《うった》えをお|聞《き》きください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》をもって|善《ぜん》に|報《むく》いるべきでしょうか。 しかもなお|彼《かれ》らはわたしの|命《いのち》を|取《と》ろうとして |穴《あな》を|掘《ほ》りました。 わたしがあなたの|前《まえ》に|立《た》って、 |彼《かれ》らのことを|良《よ》く|言《い》い、 あなたの|憤《いきどお》りを|止《と》めようとしたのを |覚《おぼ》えてください。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》らの|子《こ》どもたちをききんに|渡《わた》し、 |彼《かれ》らをつるぎの|刃《は》に|渡《わた》してください。 |彼《かれ》らの|妻《つま》は|子《こ》を|失《うしな》い、また|寡婦《かふ》となり、 |男《おとこ》は|疫病《えきびょう》にかかって|死《し》に、 |若《わか》い|者《もの》は、|戦争《せんそう》でつるぎに|殺《ころ》されますように。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|敵《てき》をにわかに|彼《かれ》らに|臨《のぞ》ませられるとき、 |彼《かれ》らの|家《いえ》から|叫《さけ》び|声《ごえ》が|聞《きこ》えますように。 |彼《かれ》らは|穴《あな》を|掘《ほ》って、わたしを|捕《とら》えようとし、 わなをつくって、わたしの|足《あし》を |捕《とら》えようとしたからです。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたは|彼《かれ》らがわたしを|殺《ころ》すために めぐらしている|計略《けいりゃく》を|皆《みな》ごぞんじです。 その|悪《あく》をゆるすことなく、 その|罪《つみ》をあなたの|前《まえ》から|消《け》し|去《さ》らないでください。 |彼《かれ》らをあなたの|前《まえ》に|倒《たお》れさせてください。 あなたのお|怒《いか》りになる|時《とき》に|彼《かれ》らを|罰《ばっ》してください。 [#ここで字下げ終わり] 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「|行《い》って、|陶器《とうき》|師《し》のびんを|買《か》い、|民《たみ》の|長老《ちょうろう》と|年長《ねんちょう》の|祭司《さいし》のうちの|数人《すうにん》を|伴《ともな》って、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|瀬戸《せと》かけの|門《もん》の|入口《いりぐち》にあるベンヒンノムの|谷《たに》へ|行《い》き、その|所《ところ》で、わたしがあなたに|語《かた》る|言葉《ことば》をのべて、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》いなさい、『ユダの|王《おう》たち、およびエルサレムに|住《す》む|者《もの》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしは|災《わざわい》をこの|所《ところ》に|下《くだ》す。おおよそ、その|災《わざわい》のことを|聞《き》くものの|耳《みみ》は|両方《りょうほう》とも|鳴《な》る。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがわたしを|捨《す》て、この|所《ところ》を|汚《けが》し、この|所《ところ》で、|自分《じぶん》も|先祖《せんぞ》たちもユダの|王《おう》たちも|知《し》らなかった|他《た》の|神々《かみがみ》に|香《こう》をたき、かつ|罪《つみ》のない|者《もの》の|血《ち》を、この|所《ところ》に|満《み》たしたからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らはバアルのために|高《たか》き|所《ところ》を|築《きず》き、|火《ひ》をもって|自分《じぶん》の|子《こ》どもたちを|焼《や》き、|燔祭《はんさい》としてバアルにささげた。これはわたしの|命《めい》じたことではなく、|定《さだ》めたことでもなく、また|思《おも》いもしなかったことである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、それゆえ、|見《み》よ、この|所《ところ》をトペテまたはベンヒンノムの|谷《たに》と|呼《よ》ばないで、|虐殺《ぎゃくさつ》の|谷《たに》と|呼《よ》ぶ|日《ひ》がくる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またわたしはこの|所《ところ》でユダとエルサレムの|計《はか》りごとを|打《う》ち|破《やぶ》り、つるぎをもって、|彼《かれ》らをその|敵《てき》の|前《まえ》と、そのいのちを|求《もと》める|者《もの》の|手《て》に|倒《たお》れさせ、またその|死体《したい》を|空《そら》の|鳥《とり》と|地《ち》の|獣《けもの》の|食《く》い|物《もの》とし、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]かつ、この|町《まち》を|荒《あ》れすたれさせて、|人《ひと》に|舌打《したう》ちされるものとする。そこを|通《とお》る|人《ひと》は|皆《みな》そのもろもろの|災《わざわい》を|見《み》て|身震《みぶる》いし、|舌打《したう》ちする。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らがその|敵《てき》とその|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》とに|囲《かこ》まれて|苦《くる》しみ|悩《なや》む|時《とき》、わたしは|彼《かれ》らに|自分《じぶん》のむすこの|肉《にく》、|娘《むすめ》の|肉《にく》を|食《た》べさせる。|彼《かれ》らはまた|互《たがい》にその|友《とも》の|肉《にく》を|食《た》べるようになる』。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで、あなたは、|一緒《いっしょ》に|行《ゆ》く|人々《ひとびと》の|目《め》の|前《まえ》で、そのびんを|砕《くだ》き、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|陶器《とうき》|師《し》の|器《うつわ》をひとたび|砕《くだ》くならば、もはやもとのようにすることはできない。このようにわたしはこの|民《たみ》とこの|町《まち》とを|砕《くだ》く。|人々《ひとびと》はほかに|葬《ほうむ》るべき|場所《ばしょ》がないために、トペテに|葬《ほうむ》るであろう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、わたしはこの|所《ところ》と、ここに|住《す》む|者《もの》とにこのようにし、この|町《まち》をトペテのようにする。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|家《いえ》とユダの|王《おう》たちの|家《いえ》、すなわち|彼《かれ》らがその|屋上《おくじょう》で|天《てん》の|衆《しゅう》|群《ぐん》に|香《こう》をたき、ほかの|神々《かみがみ》に|酒《さけ》を|注《そそ》いだ|家《いえ》は、|皆《みな》トペテの|所《ところ》のように|汚《けが》される』」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤは|主《しゅ》が|彼《かれ》をつかわして|預言《よげん》させられたトペテから|帰《かえ》ってきて、|主《しゅ》の|家《いえ》の|庭《にわ》に|立《た》ち、すべての|民《たみ》に|言《い》った、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしは、この|町《まち》とそのすべての|村々《むらむら》に、わたしの|言《い》ったもろもろの|災《わざわい》を|下《くだ》す。|彼《かれ》らが|強情《ごうじょう》で、わたしの|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》おうとしないからである」。 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]さて|祭司《さいし》インメルの|子《こ》で、|主《しゅ》の|宮《みや》のつかさの|長《ちょう》であったパシュルは、エレミヤがこれらの|事《こと》を|預言《よげん》するのを|聞《き》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてパシュルは|預言者《よげんしゃ》エレミヤを|打《う》ち、|主《しゅ》の|宮《みや》にある|上《うえ》のベニヤミンの|門《もん》の|足《あし》かせにつないだ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|翌日《よくじつ》パシュルがエレミヤを|足《あし》かせから|解《と》き|放《はな》した|時《とき》、エレミヤは|彼《かれ》に|言《い》った、「|主《しゅ》はあなたの|名《な》をパシュルとは|呼《よ》ばないで、『|恐《おそ》れが|周囲《しゅうい》にある』と|呼《よ》ばれる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしはあなたを、あなた|自身《じしん》とあなたのすべての|友《とも》だちに|恐《おそ》れを|起《おこ》させる|者《もの》とする。|彼《かれ》らはあなたが|見《み》ている|目《め》の|前《まえ》で|敵《てき》のつるぎに|倒《たお》れる。わたしはまたユダのすべての|民《たみ》をバビロン|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》は|彼《かれ》らを|捕《とら》えてバビロンに|移《うつ》し、つるぎをもって|殺《ころ》す。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたこの|町《まち》のすべての|富《とみ》と、その|獲《え》たすべての|物《もの》と、そのすべての|貴重《きちょう》な|物《もの》と、ユダの|王《おう》たちのすべての|宝物《ほうもつ》をその|敵《てき》の|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》らはこれをかすめ、|民《たみ》を|捕《とら》えてバビロンに|移《うつ》す。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]パシュルよ、あなたと、あなたの|家《いえ》に|住《す》む|者《もの》とはみな|捕《とら》え|移《うつ》される。あなたはバビロンに|行《い》って、その|所《ところ》で|死《し》に、その|所《ところ》に|葬《ほうむ》られる。あなたも、あなたが|偽《いつわ》って|預言《よげん》した|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》った|友《とも》もみなそのようになる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたがわたしを|欺《あざむ》かれたので、 わたしはその|欺《あざむ》きに|従《したが》いました。 あなたはわたしよりも|強《つよ》いので、 わたしを|説《と》き|伏《ふ》せられたのです。 わたしは|一日《いちにち》|中《ぢゅう》、|物笑《ものわら》いとなり、 |人《ひと》はみなわたしをあざけります。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それは、わたしが|語《かた》り、|呼《よ》ばわるごとに、 「|暴虐《ぼうぎゃく》、|滅亡《めつぼう》」と|叫《さけ》ぶからです。 |主《しゅ》の|言葉《ことば》が|一日《いちにち》|中《ぢゅう》、 わが|身《み》のはずかしめと、あざけりになるからです。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしが、「|主《しゅ》のことは、|重《かさ》ねて|言《い》わない、 このうえその|名《な》によって|語《かた》る|事《こと》はしない」と|言《い》えば、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしの|心《こころ》にあって、|燃《も》える|火《ひ》の わが|骨《ほね》のうちに|閉《と》じこめられているようで、 それを|押《おさ》えるのに|疲《つか》れはてて、 |耐《た》えることができません。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|人《ひと》のささやくのを|聞《き》くからです。 |恐《おそ》れが|四方《しほう》にあります。 「|告発《こくはつ》せよ。さあ、|彼《かれ》を|告発《こくはつ》しよう」と|言《い》って、 わが|親《した》しい|友《とも》は|皆《みな》 わたしのつまずくのを、うかがっています。 また、「|彼《かれ》は|欺《あざむ》かれるだろう。 そのとき、われわれは|彼《かれ》に|勝《か》って、 あだを|返《かえ》すことができる」と|言《い》います。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》は|強《つよ》い|勇士《ゆうし》のように わたしと|共《とも》におられる。 それゆえ、わたしに|迫《せま》りくる|者《もの》はつまずき、 わたしに|打《う》ち|勝《か》つことはできない。 |彼《かれ》らは、なし|遂《と》げることができなくて、 |大《おお》いに|恥《はじ》をかく。 その|恥《はじ》は、いつまでも|忘《わす》れられることはない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|正《ただ》しき|者《もの》を|試《こころ》み、 |人《ひと》の|心《こころ》と|思《おも》いを|見《み》られる|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》よ、 あなたが|彼《かれ》らに、 あだを|返《かえ》されるのを|見《み》せてください。 わたしはあなたに、わたしの|訴《うった》えを お|任《まか》せしたからです。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|向《む》かって|歌《うた》い、|主《しゅ》をほめたたえよ。 |主《しゅ》は|貧《まず》しい|者《もの》の|命《いのち》を、 |悪人《あくにん》の|手《て》から|救《すく》われたからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|生《うま》れた|日《ひ》はのろわれよ。 |母《はは》がわたしを|産《う》んだ|日《ひ》は|祝福《しゅくふく》を|受《う》けるな。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|父《ちち》に「|男《おとこ》の|子《こ》が、|生《うま》れました」と|告《つ》げて、 |彼《かれ》を|大《おお》いに|喜《よろこ》ばせた|人《ひと》は、のろわれよ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は、|主《しゅ》のあわれみを|受《う》けることなく、 |滅《ほろ》ぼされた|町《まち》のようになれ。 |朝《あさ》には、|彼《かれ》に|叫《さけ》びを|聞《き》かせ、 |昼《ひる》には|戦《たたか》いの|声《こえ》を|聞《き》かせよ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしを|胎内《たいない》で|殺《ころ》さず、 わが|母《はは》をわたしの|墓場《はかば》となさず、 その|胎《たい》をいつまでも|大《おお》きくしなかったからである。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]なにゆえにわたしは|胎内《たいない》を|出《で》てきて、 |悩《なや》みと|悲《かな》しみに|会《あ》い、|恥《はじ》を|受《う》けて|一生《いっしょう》を|過《す》ごすのか。 [#ここで字下げ終わり] 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤ|王《おう》は、マルキヤの|子《こ》パシュルと|祭司《さいし》マアセヤの|子《こ》ゼパニヤを、エレミヤのもとにつかわし、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「バビロンの|王《おう》ネブカデレザルがわれわれを|攻《せ》めようとしているゆえ、われわれのために|主《しゅ》に|尋《たず》ねてほしい。|主《しゅ》はそのもろもろの|不思議《ふしぎ》なわざをもって、われわれを|助《たす》け、バビロンの|王《おう》をわれわれから|退《しりぞ》かせられるかも|知《し》れない」と|言《い》わせた。その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤは|彼《かれ》らに|答《こた》えて|言《い》った、「あなたがたはゼデキヤにこのように|言《い》いなさい、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]『イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、あなたがたが、この|城壁《じょうへき》の|外《そと》にあって、あなたがたを|攻《せ》め|囲《かこ》むバビロンの|王《おう》およびカルデヤびとと|戦《たたか》うとき、わたしはあなたがたの|手《て》に|持《も》っている|武器《ぶき》をとりあげ、これを|町《まち》の|中《なか》に|集《あつ》めさせる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|手《て》を|伸《の》べ、|強《つよ》い|腕《うで》をもって、|怒《いか》り、|憤《いきどお》り、|激《はげ》しく|怒《いか》って、あなたがたを|攻《せ》める。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたこの|町《まち》に|住《す》む|人《ひと》と|獣《けもの》とを|撃《う》つ。|彼《かれ》らはみな|重《おも》い|疫病《えきびょう》にかかって|死《し》ぬ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、この|後《のち》、わたしはユダの|王《おう》ゼデキヤとその|家来《けらい》たち、および|疫病《えきびょう》と、つるぎと、ききんを|免《まぬか》れて、この|町《まち》に|残《のこ》っている|民《たみ》を、バビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|手《て》と、その|敵《てき》の|手《て》、およびその|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》す。バビロンの|王《おう》はつるぎの|刃《は》にかけて|彼《かれ》らを|撃《う》ち、|彼《かれ》らを|惜《お》しまず、|顧《かえり》みず、またあわれむこともしない』。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたこの|民《たみ》に|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしは|命《いのち》の|道《みち》と|死《し》の|道《みち》とをあなたがたの|前《まえ》に|置《お》く。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|町《まち》にとどまる|者《もの》は、つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》とで|死《し》ぬ。しかし、|出《で》て|行《い》って、あなたがたを|攻《せ》め|囲《かこ》んでいるカルデヤびとに|降伏《こうふく》する|者《もの》は|死《し》を|免《まぬか》れ、その|命《いのち》は|自分《じぶん》のぶんどり|物《もの》となる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしがこの|町《まち》に|顔《かお》を|向《む》けたのは|幸《さいわい》を|与《あた》えるためではなく、|災《わざわい》を|与《あた》えるためである。この|町《まち》はバビロンの|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》される。|彼《かれ》は|火《ひ》をもって、これを|焼《や》き|払《はら》う』。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|王《おう》の|家《いえ》に|言《い》いなさい、『|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ダビデの|家《いえ》よ、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 [#ここから2字下げ] |朝《あさ》ごとに、|正《ただ》しいさばきを|行《おこな》い、 |物《もの》を|奪《うば》われた|人《ひと》をしえたげる|者《もの》の|手《て》から|救《すく》え。 そうしないと、あなたがたの|悪《わる》い|行《おこな》いのために、 わたしの|怒《いか》りは|火《ひ》のように|燃《も》えて、 それを|消《け》すことはできない』」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》は|言《い》われる、|谷《たに》に|住《す》む|者《もの》よ、|平原《へいげん》の|岩《いわ》よ、 |見《み》よ、わたしはあなたに|敵《てき》する。 あなたがたは|言《い》う、 『だれが|下《くだ》ってきて、われわれを|攻《せ》めるものか、 だれがわれわれのいる|所《ところ》に、はいるものか』と。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを、 その|行《おこな》いの|実《み》によって|罰《ばっ》する。 またその|林《はやし》に|火《ひ》をつけて、 その|周囲《しゅうい》のものをみな|焼《や》き|尽《つく》すと、|主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#ここで字下げ終わり] 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「ユダの|王《おう》の|家《いえ》に|下《くだ》り、その|所《ところ》にこの|言葉《ことば》をのべて、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》いなさい、『ダビデの|位《くらい》にすわるユダの|王《おう》よ、あなたと、あなたの|家臣《かしん》、および、この|門《もん》からはいるあなたの|民《たみ》は|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|公平《こうへい》と|正義《せいぎ》を|行《おこな》い、|物《もの》を|奪《うば》われた|人《ひと》を、しえたげる|者《もの》の|手《て》から|救《すく》い、|異邦《いほう》の|人《ひと》、|孤児《こじ》、|寡婦《かふ》を|悩《なや》まし、しえたげてはならない。またこの|所《ところ》に、|罪《つみ》なき|者《もの》の|血《ち》を|流《なが》してはならない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたがこの|言葉《ことば》を|真実《しんじつ》に|行《おこな》うならば、ダビデの|位《くらい》にすわる|王《おう》とその|家臣《かしん》、およびその|民《たみ》は、|車《くるま》と|馬《うま》に|乗《の》って、この|家《いえ》の|門《もん》にはいることができる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたがこの|言葉《ことば》を|聞《き》かないならば、わたしは|自身《じしん》をさして|誓《ちか》うが、この|家《いえ》は|荒《あ》れ|地《ち》となると、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はユダの|王《おう》の|家《いえ》についてこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] あなたはわたしに|対《たい》してギレアデのようであり、 レバノンの|頂《いただき》のようである。 しかし、わたしは|必《かなら》ずあなたを|荒《あ》れ|地《ち》にし、 |人《ひと》の|住《す》まない|町《まち》にする。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|滅《ほろ》ぼす|者《もの》を|設《もう》けて、あなたを|攻《せ》めさせる、 |彼《かれ》らはおのおのその|武器《ぶき》をとり、 あなたの|麗《うるわ》しい|香柏《こうはく》を|切《き》り|倒《たお》し、 |火《ひ》に|投《な》げ|入《い》れる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|国《くに》の|人《ひと》はこの|町《まち》を|過《す》ぎ、|互《たがい》に|語《かた》って、「なぜ|主《しゅ》はこの|大《おお》いなる|町《まち》をこのようにされたのか」と|言《い》うとき、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|答《こた》えて、「これは|彼《かれ》らがその|神《かみ》、|主《しゅ》の|契約《けいやく》を|捨《す》てて|他《た》の|神々《かみがみ》を|拝《はい》し、これに|仕《つか》えたからである」と|言《い》うであろう』」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|死《し》んだ|者《もの》のために|泣《な》くことなく、 またそのために|嘆《なげ》いてはならない。 |捕《とら》え|移《うつ》されてゆく|者《もの》のために、|激《はげ》しく|泣《な》け。 |彼《かれ》はふたたび|帰《かえ》ってきて、 その|故郷《こきょう》を|見《み》ることがないからである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》シャルムは|父《ちち》ヨシヤについで|王《おう》となったが、ついにこの|所《ところ》から|出《で》て|行《い》った。|主《しゅ》は|彼《かれ》についてこう|言《い》われる、「|彼《かれ》は|再《ふたた》びここに|帰《かえ》らない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|捕《とら》え|行《い》かれた|所《ところ》で|死《し》に、|再《ふたた》びこの|地《ち》を|見《み》ない」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「|不義《ふぎ》をもってその|家《いえ》を|建《た》て、 |不法《ふほう》をもってその|高殿《たかどの》を|造《つく》り、 |隣《とな》り|人《びと》を|雇《やと》って|何《なに》をも|与《あた》えず、 その|賃金《ちんぎん》を|払《はら》わない|者《もの》はわざわいである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》う、『わたしは|自分《じぶん》のために|大《おお》きな|家《いえ》を|建《た》て、 |広《ひろ》い|高殿《たかどの》を|造《つく》ろう』と。 そしてこれがために|窓《まど》を|造《つく》り、 |香柏《こうはく》の|鏡板《かがみいた》でおおい、それを|朱《しゅ》で|塗《ぬ》る。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|競《きそ》って|香柏《こうはく》を|用《もち》いることによって、 |王《おう》であると|思《おも》うのか。 あなたの|父《ちち》は|食《く》い|飲《の》みし、 |公平《こうへい》と|正義《せいぎ》を|行《おこな》って、|幸《さいわい》を|得《え》たのではないか。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|貧《まず》しい|人《ひと》と|乏《とぼ》しい|人《ひと》の|訴《うった》えをただして、 さいわいを|得《え》た。 こうすることがわたしを|知《し》ることではないかと |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、あなたは|目《め》も|心《こころ》も、 |不正《ふせい》な|利益《りえき》のためにのみ|用《もち》い、 |罪《つみ》なき|者《もの》の|血《ち》を|流《なが》そうとし、 |圧制《あっせい》と|暴虐《ぼうぎゃく》を|行《おこな》おうとする」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムについてこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「|人々《ひとびと》は『|悲《かな》しいかな、わが|兄《あに》』、 『|悲《かな》しいかな、わが|姉《あね》』と|言《い》って、 |彼《かれ》のために|嘆《なげ》かない。 また『|悲《かな》しいかな、|主君《しゅくん》よ』、 『|悲《かな》しいかな、|陛下《へいか》よ』と|言《い》って|嘆《なげ》かない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ろばが|埋《う》められるように、|彼《かれ》は|葬《ほうむ》られる。 |引《ひ》かれて|行《い》って、 エルサレムの|門《もん》の|外《そと》に|投《な》げ|捨《す》てられる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「レバノンに|登《のぼ》って|呼《よ》ばわり、 バシャンにあなたの|声《こえ》をあげ、 アバリムから|呼《よ》ばわれ。 あなたの|愛《あい》する|者《もの》がみな|滅《ほろ》ぼされるからだ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|栄《さか》えていた|時《とき》、わたしはあなたに|語《かた》ったが 『|聞《き》きたくはない』と|言《い》った。 あなたがわたしの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わないことは、 あなたの|幼《おさな》い|時《とき》からの、ならわしであった。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|牧者《ぼくしゃ》はみな、|風《かぜ》に|追《お》い|立《た》てられ、 あなたの|愛《あい》する|者《もの》は|捕《とら》え|移《うつ》される。 その|時《とき》、あなたは|自分《じぶん》のもろもろの|悪《あく》のために、 |恥《は》じ、うろたえる。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]レバノンに|住《す》み、 |香柏《こうはく》の|中《なか》に|巣《す》をつくっている|者《もの》よ、 |子《こ》を|産《う》む|女《おんな》に|臨《のぞ》む|苦《くる》しみのような|苦痛《くつう》が あなたに|臨《のぞ》むとき、 あなたはどんなに|嘆《なげ》くことであろうか」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。ユダの|王《おう》エホヤキムの|子《こ》コニヤが、わたしの|右手《みぎて》の|指輪《ゆびわ》であっても、わたしはあなたを|抜《ぬ》き|取《と》る。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|手《て》、あなたがその|顔《かお》を|恐《おそ》れる|者《もの》の|手《て》、すなわちバビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|手《て》と、カルデヤびとの|手《て》にあなたを|渡《わた》す。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたと、あなたを|産《う》んだ|母《はは》を、あなたがたの|生《うま》れた|国《くに》でない|他《た》の|国《くに》に|追《お》いやる。あなたがたはそこで|死《し》ぬ。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|帰《かえ》りたいとせつに|願《ねが》う|国《くに》に、|彼《かれ》らは|再《ふたた》び|帰《かえ》ることができない」。 [#ここから2字下げ] [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]この|人《ひと》コニヤは |卑《いや》しむべき、こわれたつぼであろうか、 だれも|心《こころ》に|留《と》めない|器《うつわ》であろうか。 なぜ|彼《かれ》とその|子孫《しそん》は|追《お》いやられて、 |知《し》らない|地《ち》に|投《な》げやられるのか。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|地《ち》よ、|地《ち》よ、|地《ち》よ、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》けよ。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「この|人《ひと》を、|子《こ》なき|人《ひと》として、 またその|一生《いっしょう》のうち、 |栄《さか》えることのない|人《ひと》として|記録《きろく》せよ。 その|子孫《しそん》のうち、ひとりも|栄《さか》えて、 ダビデの|位《くらい》にすわり、 ユダを|治《おさ》めるものが|再《ふたた》び|起《おこ》らないからである」。 [#ここで字下げ終わり] 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「わが|牧場《まきば》の|羊《ひつじ》を|滅《ほろ》ぼし|散《ち》らす|牧者《ぼくしゃ》はわざわいである」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はわが|民《たみ》を|養《やしな》う|牧者《ぼくしゃ》についてこう|言《い》われる、「あなたがたはわたしの|群《む》れを|散《ち》らし、これを|追《お》いやって|顧《かえり》みなかった。|見《み》よ、わたしはあなたがたの|悪《あ》しき|行《おこな》いによってあなたがたに|報《むく》いると、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|群《む》れの|残《のこ》った|者《もの》を、|追《お》いやったすべての|地《ち》から|集《あつ》め、|再《ふたた》びこれをそのおりに|帰《かえ》らせよう。|彼《かれ》らは|子《こ》を|産《う》んでその|数《かず》が|多《おお》くなる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれを|養《やしな》う|牧者《ぼくしゃ》をその|上《うえ》に|立《た》てる、|彼《かれ》らは|再《ふたた》び|恐《おそ》れることなく、またおののくことなく、いなくなることもないと、|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしがダビデのために一つの|正《ただ》しい|枝《えだ》を|起《おこ》す|日《ひ》がくる。|彼《かれ》は|王《おう》となって|世《よ》を|治《おさ》め、|栄《さか》えて、|公平《こうへい》と|正義《せいぎ》を|世《よ》に|行《おこな》う。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》ユダは|救《すくい》を|得《え》、イスラエルは|安《やす》らかにおる。その|名《な》は『|主《しゅ》はわれわれの|正義《せいぎ》』ととなえられる。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、それゆえ|見《み》よ、|人々《ひとびと》は『イスラエルの|民《たみ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》された|主《しゅ》は|生《い》きておられる』とまた|言《い》わないで、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]『イスラエルの|家《いえ》の|子孫《しそん》を|北《きた》の|地《ち》と、そのすべて|追《お》いやられた|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》された|神《かみ》は|生《い》きておられる』という|日《ひ》がくる。その|時《とき》、|彼《かれ》らは|自分《じぶん》の|地《ち》に|住《す》んでいる」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》たちについて。 [#ここから2字下げ] わが|心《こころ》はわたしのうちに|破《やぶ》れ、 わが|骨《ほね》はみな|震《ふる》う。 |主《しゅ》とその|聖《せい》なる|言葉《ことば》のために、 わたしは|酔《よ》っている|人《ひと》のよう、 |酒《さけ》に|打《う》ち|負《ま》かされた|人《ひと》のようである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|地《ち》に|姦淫《かんいん》を|行《おこな》うものが|満《み》ちているからだ。 のろいによって|地《ち》は|嘆《なげ》き、|荒野《あらの》の|牧場《まきば》はかわく。 |彼《かれ》らの|道《みち》は|悪《わる》く、その|力《ちから》は|正《ただ》しくない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「|預言者《よげんしゃ》と|祭司《さいし》とは|共《とも》に|神《かみ》を|汚《けが》す|者《もの》である。 わたしの|家《いえ》においてすら |彼《かれ》らの|悪《あく》を|見《み》たと、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》らの|道《みち》は、 おのずから|暗黒《あんこく》の|中《なか》にある なめらかな|道《みち》のようになり、 |彼《かれ》らは|押《お》されてその|道《みち》に|倒《たお》れる。 わたしが|彼《かれ》らの|罰《ばっ》せられる|年《とし》に、 |災《わざわい》をその|上《うえ》に|臨《のぞ》ませるからであると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはサマリヤの|預言者《よげんしゃ》のうちに |不快《ふかい》な|事《こと》のあるのを|見《み》た。 |彼《かれ》らはバアルによって|預言《よげん》し、 わが|民《たみ》イスラエルを|惑《まど》わした。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかしエルサレムの|預言者《よげんしゃ》のうちには、 |恐《おそ》ろしい|事《こと》のあるのを|見《み》た。 |彼《かれ》らは|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、|偽《いつわ》りに|歩《あゆ》み、 |悪人《あくにん》の|手《て》を|強《つよ》くし、 |人《ひと》をその|悪《あく》から|離《はな》れさせない。 |彼《かれ》らはみなわたしにはソドムのようであり、 その|民《たみ》はゴモラのようである」。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|預言者《よげんしゃ》についてこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らに、にがよもぎを|食《た》べさせ、 |毒《どく》の|水《みず》を|飲《の》ませる。 |神《かみ》を|汚《けが》すことがエルサレムの|預言者《よげんしゃ》から|出《で》て、 |全《ぜん》|地《ち》に|及《およ》んでいるからである」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「あなたがたに|預言《よげん》する|預言者《よげんしゃ》の|言葉《ことば》を|聞《き》いてはならない。|彼《かれ》らはあなたがたに、むなしい|望《のぞ》みをいだかせ、|主《しゅ》の|口《くち》から|出《で》たのでない、|自分《じぶん》の|心《こころ》の|黙示《もくし》を|語《かた》るのである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|軽《かる》んじる|者《もの》に|向《む》かって|絶《た》えず、『あなたがたは|平安《へいあん》を|得《え》る』と|言《い》い、また|自分《じぶん》の|強情《ごうじょう》な|心《こころ》にしたがって|歩《あゆ》むすべての|人《ひと》に|向《む》かって、『あなたがたに|災《わざわい》はこない』と|言《い》う」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのうちだれか|主《しゅ》の|議会《ぎかい》に|立《た》って、 その|言葉《ことば》を|見聞《みき》きした|者《もの》があろうか。 だれか|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてその|言葉《ことば》を|聞《き》いた|者《もの》があろうか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|暴風《ぼうふう》がくる。 |憤《いきどお》りと、つむじ|風《かぜ》が|出《で》て、|悪人《あくにん》のこうべをうつ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|怒《いか》りは、み|心《こころ》に|思《おも》い|定《さだ》められたことを なし|遂《と》げられるまで|退《しりぞ》くことはない。 |末《すえ》の|日《ひ》にあなたがたはそれを|明《あき》らかに|悟《さと》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》たちはわたしがつかわさなかったのに、 |彼《かれ》らは|走《はし》った。 わたしが、|彼《かれ》らに|告《つ》げなかったのに、 |彼《かれ》らは|預言《よげん》した。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らがわたしの|議会《ぎかい》に|立《た》ったのであれば、 わたしの|民《たみ》にわが|言葉《ことば》を|告《つ》げ|示《しめ》して、 その|悪《わる》い|道《みち》と|悪《わる》い|行《おこな》いから、|離《はな》れさせたであろうに。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしはただ|近《ちか》くの|神《かみ》であって、|遠《とお》くの|神《かみ》ではないのであるか。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|人《ひと》は、ひそかな|所《ところ》に|身《み》を|隠《かく》して、わたしに|見《み》られないようにすることができようか。|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしは|天《てん》と|地《ち》とに|満《み》ちているではないか。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わが|名《な》によって|偽《いつわ》りを|預言《よげん》する|預言者《よげんしゃ》たちが、『わたしは|夢《ゆめ》を|見《み》た、わたしは|夢《ゆめ》を|見《み》た』と|言《い》うのを|聞《き》いた。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|偽《いつわ》りを|預言《よげん》する|預言者《よげんしゃ》たちの|心《こころ》に、いつまで|偽《いつわ》りがあるのであるか。|彼《かれ》らはその|心《こころ》の|欺《あざむ》きを|預言《よげん》する。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|先祖《せんぞ》がバアルに|従《したが》ってわが|名《な》を|忘《わす》れたように、|互《たがい》に|夢《ゆめ》を|語《かた》って、わたしの|民《たみ》にわが|名《な》を|忘《わす》れさせようとする。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|夢《ゆめ》をみた|預言者《よげんしゃ》は|夢《ゆめ》を|語《かた》るがよい。しかし、わたしの|言葉《ことば》を|受《う》けた|者《もの》は|誠実《せいじつ》にわたしの|言葉《ことば》を|語《かた》らなければならない。わらと|麦《むぎ》とをくらべることができようかと、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、わたしの|言葉《ことば》は|火《ひ》のようではないか。また|岩《いわ》を|打《う》ち|砕《くだ》く|鎚《つち》のようではないか。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|見《み》よ、わたしはわたしの|言葉《ことば》を|互《たがい》に|盗《ぬす》む|預言者《よげんしゃ》の|敵《てき》となると、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは、『|主《しゅ》は|言《い》いたもう』と|舌《した》をもって|語《かた》る|預言者《よげんしゃ》の|敵《てき》となると、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしは|偽《いつわ》りの|夢《ゆめ》を|預言《よげん》する|者《もの》の|敵《てき》となる。|彼《かれ》らはそれを|語《かた》り、またその|偽《いつわ》りと|大言《たいげん》をもってわたしの|民《たみ》を|惑《まど》わす。わたしが|彼《かれ》らをつかわしたのではなく、また|彼《かれ》らに|命《めい》じたのでもない。それで|彼《かれ》らはこの|民《たみ》にすこしも|益《えき》にならないと、|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]この|民《たみ》のひとり、または|預言者《よげんしゃ》、または|祭司《さいし》があなたに、『|主《しゅ》の|重荷《おもに》はなんですか』と|問《と》うならば、|彼《かれ》らに|答《こた》えなさい、『あなたがたがその|重荷《おもに》です。そして|主《しゅ》は、あなたがたを|捨《す》てると|言《い》っておられます』と。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]そして、『|主《しゅ》の|重荷《おもに》』と|言《い》うその|預言者《よげんしゃ》、|祭司《さいし》、または|民《たみ》のひとりを、その|家族《かぞく》と|共《とも》にわたしは|罰《ばっ》する。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、みな|互《たがい》に、|隣《とな》り|人《びと》に、また|兄弟《きょうだい》に、こう|言《い》わなければならない、『|主《しゅ》はなんと|答《こた》えられましたか』、『|主《しゅ》はなんと|言《い》われましたか』と。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|重《かさ》ねて『|主《しゅ》の|重荷《おもに》』と|言《い》ってはならない。|重荷《おもに》は|人《ひと》おのおのの|自分《じぶん》の|言葉《ことば》だからである。あなたがたは|生《い》ける|神《かみ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》なるわれわれの|神《かみ》の|言葉《ことば》を|曲《ま》げる|者《もの》である。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|預言者《よげんしゃ》にこう|言《い》わなければならない、『|主《しゅ》はあなたになんと|答《こた》えられましたか』、『|主《しゅ》はなんと|言《い》われましたか』と。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたが『|主《しゅ》の|重荷《おもに》』と|言《い》うならば、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしが|人《ひと》をあなたがたにつかわして、あなたがたは「|主《しゅ》の|重荷《おもに》」と|言《い》ってはならないと|言《い》わせたのに、あなたがたは「|主《しゅ》の|重荷《おもに》」という|言葉《ことば》を|言《い》ったので、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|必《かなら》ずあなたがたを|捕《とら》え|移《うつ》させ、あなたがたとあなたがたの|先祖《せんぞ》とに|与《あた》えたこの|町《まち》と、あなたがたとを、わたしの|前《まえ》から|捨《す》て|去《さ》る。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]そして、|忘《わす》れられることのない|永遠《えいえん》のはずかしめと|永遠《えいえん》の|恥《はじ》を、あなたがたにこうむらせる』」。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデレザルがユダの|王《おう》エホヤキムの|子《こ》エコニヤおよびユダの|君《きみ》たちと|工匠《こうしょう》と|鍛冶《かじ》をエルサレムからバビロンに|移《うつ》して|後《のち》、|主《しゅ》はわたしにこの|幻《まぼろし》をお|示《しめ》しになった。|見《み》よ、|主《しゅ》の|宮《みや》の|前《まえ》に|置《お》かれているいちじくを|盛《も》った二つのかごがあった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その一つのかごには、はじめて|熟《じゅく》したような|非常《ひじょう》に|良《よ》いいちじくがあり、ほかのかごには|非常《ひじょう》に|悪《わる》くて|食《た》べられないほどの|悪《わる》いいちじくが|入《い》れてあった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに、「エレミヤよ、|何《なに》を|見《み》るか」と|言《い》われた。わたしは、「いちじくです。その|良《よ》いいちじくは|非常《ひじょう》によく、|悪《わる》いほうのいちじくは|非常《ひじょう》に|悪《わる》くて、|食《た》べられません」と|答《こた》えた。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、この|所《ところ》からカルデヤびとの|地《ち》に|追《お》いやったユダの|捕《とら》われ|人《びと》を、わたしはこの|良《よ》いいちじくのように|顧《かえり》みて|恵《めぐ》もう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|目《め》をかけてこれを|恵《めぐ》み、|彼《かれ》らをこの|地《ち》に|返《かえ》し、|彼《かれ》らを|建《た》てて|倒《たお》さず、|植《う》えて|抜《ぬ》かない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らにわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る|心《こころ》を|与《あた》えよう。|彼《かれ》らはわたしの|民《たみ》となり、わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となる。|彼《かれ》らは|一心《いっしん》にわたしのもとに|帰《かえ》ってくる。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしはユダの|王《おう》ゼデキヤとそのつかさたち、およびエルサレムの|人《ひと》の|残《のこ》ってこの|地《ち》にいる|者《もの》、ならびにエジプトの|地《ち》に|住《す》んでいる|者《もの》を、この|悪《わる》くて|食《た》べられない|悪《わる》いいちじくのようにしよう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|地《ち》のもろもろの|国《くに》で、|忌《い》みきらわれるものとし、またわたしの|追《お》いやるすべての|所《ところ》で、はずかしめに|会《あ》わせ、ことわざとなり、あざけりと、のろいに|会《あ》わせる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはつるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》を|彼《かれ》らのうちに|送《おく》って、ついに|彼《かれ》らをわたしが|彼《かれ》らとその|先祖《せんぞ》とに|与《あた》えた|地《ち》から|絶《た》えさせる」。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムの四|年《ねん》(バビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|元年《がんねん》)にユダのすべての|民《たみ》についての|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》エレミヤはこの|言葉《ことば》をユダのすべての|民《たみ》とエルサレムに|住《す》むすべての|人《ひと》に|告《つ》げて|言《い》った、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|王《おう》アモンの|子《こ》ヨシヤの十三|年《ねん》から|今日《こんにち》にいたるまで二十三|年《ねん》の|間《あいだ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ。わたしはたゆまずにそれをあなたがたに|語《かた》ってきたが、あなたがたは|聞《き》かなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はたゆまず、そのしもべである|預言者《よげんしゃ》を、あなたがたにつかわされたが、あなたがたは|聞《き》かずまた|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて|聞《き》こうともしなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》った、『あなたがたはおのおの|今《いま》その|悪《あく》の|道《みち》と|悪《わる》い|行《おこな》いを|捨《す》てなさい。そうすれば|主《しゅ》が|昔《むかし》からあなたがたと|先祖《せんぞ》たちとに|与《あた》えられた|地《ち》に|永遠《えいえん》に|住《す》むことができる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、ほかの|神《かみ》に|従《したが》って、それに|仕《つか》え、それを|拝《おが》んではならない。あなたがたの|手《て》で|作《つく》ったものをもって、わたしを|怒《いか》らせてはならない。このようなことをしないなら、わたしはあなたがたをそこなうことはない』と。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたはわたしに|聞《き》き|従《したが》わず、あなたがたの|手《て》で|作《つく》った|物《もの》をもって、わたしを|怒《いか》らせて|自《みずか》ら|害《がい》を|招《まね》いたと、|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたがたがわたしの|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》わないゆえ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|北《きた》の|方《ほう》のすべての|種族《しゅぞく》と、わたしのしもべであるバビロンの|王《おう》ネブカデレザルを|呼《よ》び|寄《よ》せて、この|地《ち》とその|民《たみ》と、そのまわりの|国々《くにぐに》を|攻《せ》め|滅《ほろ》ぼさせ、これを|忌《い》みきらわれるものとし、|人《ひと》の|笑《わら》いものとし、|永遠《えいえん》のはずかしめとすると、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは|喜《よろこ》びの|声《こえ》、|楽《たの》しみの|声《こえ》、|花婿《はなむこ》の|声《こえ》、|花嫁《はなよめ》の|声《こえ》、ひきうすの|音《おと》、ともしびの|光《ひかり》を|彼《かれ》らの|中《なか》に|絶《た》えさせる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]この|地《ち》はみな|滅《ほろ》ぼされて|荒《あ》れ|地《ち》となる。そしてその|国々《くにぐに》は七十|年《ねん》の|間《あいだ》バビロンの|王《おう》に|仕《つか》える。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、七十|年《ねん》の|終《おわ》った|後《のち》に、わたしはバビロンの|王《おう》と、その|民《たみ》と、カルデヤびとの|地《ち》を、その|罪《つみ》のために|罰《ばっ》し、|永遠《えいえん》の|荒《あ》れ|地《ち》とする。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあの|地《ち》について、わたしが|語《かた》ったすべての|言葉《ことば》をその|上《うえ》に|臨《のぞ》ませる。これはエレミヤが、|万国《ばんこく》のことについて|預言《よげん》したものであって、みなこの|書《しょ》にしるされている。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|国々《くにぐに》と|偉大《いだい》な|王《おう》たちとは、|彼《かれ》らをさえ|奴隷《どれい》として|仕《つか》えさせる。わたしは|彼《かれ》らの|行《おこな》いと、その|手《て》のわざに|従《したが》って|報《むく》いる」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はわたしにこう|仰《おお》せられた、「わたしの|手《て》から、この|怒《いか》りの|杯《さかずき》を|受《う》けて、わたしがあなたをつかわす|国々《くにぐに》の|民《たみ》に|飲《の》ませなさい。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|飲《の》んで、よろめき|狂《くる》う。これはわたしが|彼《かれ》らのうちに、つるぎをつかわそうとしているからである」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわたしは|主《しゅ》の|手《て》から|杯《さかずき》を|受《う》け、|主《しゅ》がわたしをつかわされた|国々《くにぐに》の|民《たみ》に|飲《の》ませた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すなわちエルサレムとユダのすべての|町《まち》と、その|王《おう》たちおよびそのつかさたちに|飲《の》ませて、それらを|滅《ほろ》ぼし、|荒《あ》れ|地《ち》とし、|人《ひと》の|笑《わら》いものとし、のろわれるものとした。|今日《こんにち》のとおりである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またエジプトの|王《おう》パロとその|家来《けらい》たち、その|君《きみ》たち、そのすべての|民《たみ》と、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|寄留《きりゅう》の|異邦人《いほうじん》、およびウズの|地《ち》のすべての|王《おう》たち、およびペリシテびとの|地《ち》のすべての|王《おう》たち、(アシケロン、ガザ、エクロン、アシドドの|残《のこ》りの|者《もの》)、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エドム、モアブ、アンモンの|子孫《しそん》、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ツロのすべての|王《おう》たち、シドンのすべての|王《おう》たち、|海《うみ》のかなたの|海沿《うみぞ》いの|地《ち》の|王《おう》たち、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]デダン、テマ、ブズおよびすべて|髪《かみ》の|毛《け》のすみずみをそる|者《もの》、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]アラビヤのすべての|王《おう》たち、|荒野《あらの》の|雑種《ざっしゅ》の|民《たみ》のすべての|王《おう》たち、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ジムリのすべての|王《おう》たち、エラムのすべての|王《おう》たち、メデアのすべての|王《おう》たち、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》のすべての|王《おう》たちの|遠《とお》き|者《もの》、|近《ちか》き|者《もの》もつぎつぎに、またすべて|地《ち》のおもてにある|世《よ》の|国々《くにぐに》の|王《おう》たちもこの|杯《さかずき》を|飲《の》む。そして|彼《かれ》らの|次《つぎ》にバビロンの|王《おう》もこれを|飲《の》む。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「それであなたは|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、|飲《の》め、|酔《よ》って|吐《は》け、|倒《たお》れて|再《ふたた》び|立《た》つな、わたしがあなたがたのうちに、つるぎをつかわすからである』」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]「もし|彼《かれ》らがあなたの|手《て》から|杯《さかずき》を|受《う》けて|飲《の》むことをしないならば、あなたは|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたがたは|必《かなら》ず|飲《の》まなければならない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしの|名《な》をもって|呼《よ》ばれるこの|町《まち》にさえ|災《わざわい》を|下《くだ》すのだ。どうしてあなたがたが|罰《ばつ》を|免《まぬか》れることができようか。あなたがたは|罰《ばつ》を|免《まぬか》れることはできない。わたしがつるぎを|呼《よ》び|寄《よ》せて、|地《ち》に|住《す》むすべての|者《もの》を|攻《せ》めるからであると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられる』。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたは|彼《かれ》らにこのすべての|言葉《ことば》を|預言《よげん》して|言《い》いなさい、 [#ここから2字下げ] 『|主《しゅ》は|高《たか》い|所《ところ》から|呼《よ》ばわり、 その|聖《せい》なるすまいから|声《こえ》を|出《だ》し、 |自分《じぶん》のすみかに|向《む》かって|大《おお》いに|呼《よ》ばわり、 |地《ち》に|住《す》むすべての|者《もの》に|向《む》かって ぶどうを|踏《ふ》む|者《もの》のように|叫《さけ》ばれる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|叫《さけ》びは|地《ち》の|果《はて》にまで|響《ひび》きわたる。 |主《しゅ》が|国々《くにぐに》と|争《あらそ》い、 すべての|肉《にく》なる|者《もの》をさばき、 |悪人《あくにん》をつるぎに|渡《わた》すからであると、|主《しゅ》は|言《い》われる』。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 |見《み》よ、|国《くに》から|国《くに》へ|災《わざわい》が|出《で》て|行《い》く。 |大《おお》きなあらしが|地《ち》の|果《はて》からおこる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》に|殺《ころ》される|人々《ひとびと》は、|地《ち》のこの|果《はて》から、かの|果《はて》に|及《およ》ぶ。|彼《かれ》らは|悲《かな》しまれず、|集《あつ》められず、また|葬《ほうむ》られずに、|地《ち》のおもてに|糞土《ふんど》となる。 [#ここから2字下げ] [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|牧者《ぼくしゃ》よ、|嘆《なげ》き|叫《さけ》べ、 |群《む》れのかしらたちよ、|灰《はい》の|中《なか》にまろべ。 あなたがたのほふられる|日《ひ》、 |散《ち》らされる|日《ひ》が|来《き》たからだ。 あなたがたは|選《えら》び|分《わ》けられた|雄羊《おひつじ》のように|倒《たお》れる。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|牧者《ぼくしゃ》には、のがれ|場《ば》なく、 |群《む》れのかしらたちは|逃《に》げる|所《ところ》がない。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|牧者《ぼくしゃ》の|叫《さけ》び|声《ごえ》と、 |群《む》れのかしらたちの|嘆《なげ》きの|声《こえ》が|聞《きこ》える。 |主《しゅ》が|彼《かれ》らの|牧場《まきば》を|滅《ほろ》ぼしておられるからだ。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りによって、 |平和《へいわ》な|牧場《まきば》は|荒《あ》れていく。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]ししのように|彼《かれ》はその|巣《す》を|出《で》た。 |主《しゅ》のつるぎと、その|激《はげ》しい|怒《いか》りによって、 |彼《かれ》らの|地《ち》は|荒《あ》れ|地《ち》となった」。 [#ここで字下げ終わり] 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムが|世《よ》を|治《おさ》めた|初《はじ》めのころ、|主《しゅ》からこの|言葉《ことば》があった、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|主《しゅ》の|宮《みや》の|庭《にわ》に|立《た》ち、わたしがあなたに|命《めい》じて|言《い》わせるすべての|言葉《ことば》を、|主《しゅ》の|宮《みや》で|礼《れい》|拝《はい》するために|来《き》ているユダの|町々《まちまち》の|人々《ひとびと》に|告《つ》げなさい。ひと|言《こと》をも|言《い》い|残《のこ》しておいてはならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|聞《き》いて、おのおのその|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れることがあるかも|知《し》れない。そのとき、わたしは|彼《かれ》らの|行《おこな》いの|悪《わる》いために、|災《わざわい》を|彼《かれ》らに|下《くだ》そうとしたのを|思《おも》いなおす。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、もしあなたがたがわたしに|聞《き》き|従《したが》わず、わたしがあなたがたの|前《まえ》に|定《さだ》めおいた|律法《りっぽう》を|行《おこな》わず、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたに、しきりにつかわすわたしのしもべである|預言者《よげんしゃ》の|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》わないならば、(あなたがたは|聞《き》き|従《したが》わなかったが、)[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|宮《みや》をシロのようにし、またこの|町《まち》を|地《ち》の|万国《ばんこく》にのろわれるものとする』」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》およびすべての|民《たみ》は、エレミヤが|主《しゅ》の|宮《みや》でこれらの|言葉《ことば》を|語《かた》るのを|聞《き》いた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤが|主《しゅ》に|命《めい》じられたすべての|言葉《ことば》を|民《たみ》に|告《つ》げ|終《おわ》った|時《とき》、|祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》および|民《たみ》はみな|彼《かれ》を|捕《とら》えて|言《い》った、「あなたは|死《し》ななければならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]なぜあなたは|主《しゅ》の|名《な》によって|預言《よげん》し、この|宮《みや》はシロのようになり、この|町《まち》は|荒《あら》されて|住《す》む|人《ひと》もなくなるであろうと|言《い》ったのか」と。|民《たみ》はみな|主《しゅ》の|宮《みや》に|集《あつ》まってエレミヤを|取《と》り|囲《かこ》んだ。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダのつかさたちはこの|事《こと》を|聞《き》いて|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》を|出《で》て|主《しゅ》の|宮《みや》に|上《のぼ》り、|主《しゅ》の|宮《みや》の「|新《あたら》しい|門《もん》」の|入口《いりぐち》に|座《ざ》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》らは、つかさたちとすべての|民《たみ》に|訴《うった》えて|言《い》った、「この|人《ひと》は|死刑《しけい》に|処《しょ》すべき|者《もの》です。あなたがたが|自分《じぶん》の|耳《みみ》で|聞《き》かれたように、この|町《まち》に|逆《さか》らう|預言《よげん》をしたのです」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》エレミヤは、つかさたちとすべての|民《たみ》に|言《い》った、「|主《しゅ》はわたしをつかわし、この|宮《みや》とこの|町《まち》にむかって、|預言《よげん》をさせられたので、そのすべての|言葉《ことば》をあなたがたは|聞《き》いた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたがたは|今《いま》、あなたがたの|道《みち》と|行《おこな》いを|改《あらた》め、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》いなさい。そうするならば|主《しゅ》はあなたがたに|災《わざわい》を|下《くだ》そうとしたことを|思《おも》いなおされる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたがたの|手《て》の|中《なか》にある。あなたがたの|目《め》に、|良《よ》いと|見《み》え、|正《ただ》しいと|思《おも》うことをわたしに|行《おこな》うがよい。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ただ|明《あき》らかにこのことを|知《し》っておきなさい。もしあなたがたがわたしを|殺《ころ》すならば、|罪《つみ》なき|者《もの》の|血《ち》はあなたがたの|身《み》と、この|町《まち》と、その|住民《じゅうみん》とに|帰《き》する。まことに|主《しゅ》がわたしをつかわして、このすべての|言葉《ことば》をあなたがたの|耳《みみ》に、|告《つ》げさせられたからである」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちと、すべての|民《たみ》とは、|祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》に|言《い》った、「この|人《ひと》は|死刑《しけい》に|処《しょ》すべき|者《もの》ではない。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》によってわれわれに|語《かた》ったのである」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》この|地《ち》の|長老《ちょうろう》たち|数人《すうにん》が|立《た》って、そこに|集《あつ》まっているすべての|者《もの》に|告《つ》げて|言《い》った、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|王《おう》ヒゼキヤの|世《よ》に、モレシテびとミカはユダのすべての|民《たみ》に|預言《よげん》して|言《い》った、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 [#ここから2字下げ] シオンは|畑《はたけ》のように|耕《たがや》され、 エルサレムは|石塚《いしづか》となり、 |宮《みや》の|山《やま》は|木《き》のおい|茂《しげ》る|高《たか》い|所《ところ》となる』。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヒゼキヤと、すべてのユダの|人《ひと》は|彼《かれ》を|殺《ころ》そうとしたことがあろうか。ヒゼキヤは|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを|求《もと》めたので、|主《しゅ》は|彼《かれ》らに|災《わざわい》を|下《くだ》すとお|告《つ》げになったのを|思《おも》いなおされたではないか。しかし、われわれは、|自分《じぶん》の|身《み》に|大《おお》きな|災《わざわい》を|招《まね》こうとしている」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|名《な》によって|預言《よげん》した|人《ひと》がほかにもあった。すなわちキリアテ・ヤリムのシマヤの|子《こ》ウリヤである。|彼《かれ》はエレミヤとおなじような|言葉《ことば》をもって、この|町《まち》とこの|地《ち》にむかって|預言《よげん》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキム|王《おう》と、そのすべての|勇士《ゆうし》と、すべてのつかさたちはその|言葉《ことば》を|聞《き》いた。そして|王《おう》は|彼《かれ》を|殺《ころ》そうと|思《おも》ったが、ウリヤはこれを|聞《き》いて|恐《おそ》れ、エジプトに|逃《に》げて|行《い》ったので、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]エホヤキム|王《おう》は|人《ひと》をエジプトにつかわした。すなわちアクボルの|子《こ》エルナタンと|他《た》の|数《すう》|名《めい》の|人《ひと》を、エジプトにつかわした。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはウリヤをエジプトから|引《ひ》き|出《だ》し、エホヤキム|王《おう》のもとに|連《つ》れてきたので、|王《おう》はつるぎをもって|彼《かれ》を|殺《ころ》し、その|死体《したい》を|共同《きょうどう》|墓地《ぼち》に|捨《す》てさせた。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかしシャパンの|子《こ》アヒカムはエレミヤを|助《たす》け、|民《たみ》の|手《て》に|渡《わた》されて|殺《ころ》されることのないようにした。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》ゼデキヤが|世《よ》を|治《おさ》め|始《はじ》めたころ、この|言葉《ことば》が|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|主《しゅ》はこうわたしに|仰《おお》せられた、「|綱《つな》と、くびきとを|作《つく》って、それをあなたの|首《くび》につけ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムにいるユダの|王《おう》ゼデキヤの|所《ところ》に|来《き》た|使者《ししゃ》たちによって、エドムの|王《おう》、モアブの|王《おう》、アンモンびとの|王《おう》、ツロの|王《おう》、シドンの|王《おう》に|言《い》いおくりなさい。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|主君《しゅくん》にこの|命《いのち》を|伝《つた》えさせなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、あなたがたは|主君《しゅくん》にこのように|告《つ》げなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|大《おお》いなる|力《ちから》と|伸《の》べた|腕《うで》とをもって、|地《ち》と|地《ち》の|上《うえ》にいる|人《ひと》と|獣《けもの》とをつくった|者《もの》である。そして|心《こころ》のままに|地《ち》を|人《ひと》に|与《あた》える。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]いまわたしはこのすべての|国《くに》を、わたしのしもべであるバビロンの|王《おう》ネブカデネザルの|手《て》に|与《あた》え、また|野《の》の|獣《けもの》をも|彼《かれ》に|与《あた》えて|彼《かれ》に|仕《つか》えさせた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|地《ち》に|時《とき》がくるまで、|万国民《ばんこくみん》は|彼《かれ》とその|子《こ》とその|孫《まご》に|仕《つか》える。その|時《とき》がくるならば、|多《おお》くの|国《くに》と|大《おお》いなる|王《おう》たちとが|彼《かれ》を|自分《じぶん》の|奴隷《どれい》にする。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデネザルに|仕《つか》えず、バビロンの|王《おう》のくびきを|自分《じぶん》の|首《くび》に|負《お》わない|民《たみ》と|国《くに》とは、わたしがつるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》をもって|罰《ばっ》し、ついには|彼《かれ》の|手《て》によってことごとく|滅《ほろ》ぼすと|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたがたの|預言者《よげんしゃ》、|占《うらな》い|師《し》、|夢《ゆめ》みる|者《もの》、|法《ほう》|術《じゅつ》|師《し》、|魔法使《まほうつかい》が、「あなたがたはバビロンの|王《おう》に|仕《つか》えることはない」と|言《い》っても、|聞《き》いてはならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたがたに|偽《いつわ》りを|預言《よげん》して、あなたがたを|自分《じぶん》の|国《くに》から|遠《とお》く|離《はな》れさせ、わたしに、あなたがたを|追《お》い|出《だ》してあなたがたを|滅《ほろ》ぼさせるのである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしバビロンの|王《おう》のくびきを|首《くび》に|負《お》って、|彼《かれ》に|仕《つか》える|国民《こくみん》を、わたしはその|故国《ここく》に|残《のこ》らせ、それを|耕《たがや》して、そこに|住《す》まわせると|主《しゅ》は|言《い》われる』」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはユダの|王《おう》ゼデキヤにも|同《おな》じように|言《い》った、「あなたがたは、バビロンの|王《おう》のくびきを|自分《じぶん》の|首《くび》に|負《お》って、|彼《かれ》とその|民《たみ》とに|仕《つか》え、そして|生《い》きなさい。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]どうしてあなたと、あなたの|民《たみ》とが、|主《しゅ》がバビロンの|王《おう》に|仕《つか》えない|国民《こくみん》について|言《い》われたように、つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》に|死《し》んでよかろうか。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはバビロンの|王《おう》に|仕《つか》えることはないとあなたがたに|告《つ》げる|預言者《よげんしゃ》の|言葉《ことば》を|聞《き》いてはならない。|彼《かれ》らがあなたがたに|預言《よげん》していることは|偽《いつわ》りであるからだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしが|彼《かれ》らをつかわしたのではないのに、|彼《かれ》らはわたしの|名《な》によって|偽《いつわ》って|預言《よげん》している。そのために、わたしはあなたがたを|追《お》い|払《はら》い、あなたがたと、あなたがたに|預言《よげん》する|預言者《よげんしゃ》たちを|滅《ほろ》ぼすようになるのだ」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|祭司《さいし》とこのすべての|民《たみ》とに|語《かた》って|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『|見《み》よ、|主《しゅ》の|宮《みや》の|器《うつわ》は|今《いま》、すみやかに、バビロンから|返《かえ》されてくる』とあなたがたに|預言《よげん》する|預言者《よげんしゃ》の|言葉《ことば》を|聞《き》いてはならない。それは、|彼《かれ》らがあなたがたに|預言《よげん》していることは|偽《いつわ》りであるからだ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのいうことを|聞《き》いてはならない。バビロンの|王《おう》に|仕《つか》え、そして|生《い》きなさい。どうしてこの|町《まち》が|荒《あ》れ|地《ち》となってよかろうか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]もし|彼《かれ》らが|預言者《よげんしゃ》であって、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|彼《かれ》らのうちにあるのであれば、|主《しゅ》の|宮《みや》とユダの|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》とエルサレムとに|残《のこ》されている|器《うつわ》が、バビロンに|移《うつ》されないように、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》に、とりなしを|願《ねが》うべきだ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|柱《はしら》と|海《うみ》と|台《だい》、その|他《た》この|町《まち》に|残《のこ》っている|器《うつわ》について、こう|仰《おお》せられる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これはバビロンの|王《おう》ネブカデネザルが、ユダの|王《おう》エホヤキムの|子《こ》エコニヤ、およびユダとエルサレムのすべての|身分《みぶん》の|尊《たっと》い|人々《ひとびと》を|捕《とら》えてエルサレムからバビロンに|移《うつ》したときに、|持《も》ち|去《さ》らなかった|器《うつわ》である。――[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》は、|主《しゅ》の|宮《みや》とユダの|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》とエルサレムとに|残《のこ》されている|器《うつわ》について、こう|仰《おお》せられる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]これらはバビロンに|携《たずさ》え|行《い》かれ、わたしが|顧《かえり》みる|日《ひ》までそこにおかれている。その|後《のち》、わたしはこれらのものを、この|所《ところ》に|携《たずさ》え|帰《かえ》らせると|主《しゅ》は|言《い》われる」。 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|年《ねん》、すなわちユダの|王《おう》ゼデキヤの|治世《ちせい》の|初《はじ》め、その|第《だい》四|年《ねん》の五|月《がつ》、ギベオン|出身《しゅっしん》の|預言者《よげんしゃ》であって、アズルの|子《こ》であるハナニヤは、|主《しゅ》の|宮《みや》で|祭司《さいし》とすべての|民《たみ》の|前《まえ》でわたしに|語《かた》って|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、わたしはバビロンの|王《おう》のくびきを|砕《くだ》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]二|年《ねん》の|内《うち》に、バビロンの|王《おう》ネブカデネザルが、この|所《ところ》から|取《と》ってバビロンに|携《たずさ》えて|行《い》った|主《しゅ》の|宮《みや》の|器《うつわ》を、|皆《みな》この|所《ところ》に|帰《かえ》らせる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたユダの|王《おう》エホヤキムの|子《こ》エコニヤと、バビロンに|行《い》ったユダのすべての|捕《とら》われ|人《びと》をこの|所《ところ》に|帰《かえ》らせる。それは、わたしがバビロンの|王《おう》のくびきを、|砕《くだ》くからであると|主《しゅ》は|言《い》われる」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|預言者《よげんしゃ》エレミヤは|主《しゅ》の|宮《みや》のうちに|立《た》っている|祭司《さいし》とすべての|民《たみ》の|前《まえ》で、|預言者《よげんしゃ》ハナニヤに|言《い》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|預言者《よげんしゃ》エレミヤは|言《い》った、「アァメン。どうか|主《しゅ》がこのようにしてくださるように。どうかあなたの|預言《よげん》した|言葉《ことば》が|成就《じょうじゅ》して、バビロンに|携《たずさ》えて|行《い》った|主《しゅ》の|宮《みや》の|器《うつわ》とすべての|捕《とら》われ|人《びと》を、|主《しゅ》がバビロンから|再《ふたた》びこの|所《ところ》に|帰《かえ》らせてくださるように。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ただし、|今《いま》わたしがあなたとすべての|民《たみ》の|聞《き》いている|所《ところ》で|語《かた》るこの|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしと、あなたの|先《さき》に|出《で》た|預言者《よげんしゃ》は、むかしから、|多《おお》くの|地《ち》と|大《おお》きな|国《くに》について、|戦《たたか》いと、ききんと、|疫病《えきびょう》の|事《こと》を|預言《よげん》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|平和《へいわ》を|預言《よげん》する|預言者《よげんしゃ》は、その|預言者《よげんしゃ》の|言葉《ことば》が|成就《じょうじゅ》するとき、|真実《しんじつ》に|主《しゅ》がその|預言者《よげんしゃ》をつかわされたのであることが|知《し》られるのだ」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|預言者《よげんしゃ》ハナニヤは|預言者《よげんしゃ》エレミヤの|首《くび》から、くびきを|取《と》って、それを|砕《くだ》いた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてハナニヤは、すべての|民《たみ》の|前《まえ》で|語《かた》り、「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしは二|年《ねん》のうちに、このように、|万国民《ばんこくみん》の|首《くび》からバビロンの|王《おう》ネブカデネザルのくびきを|離《はな》して|砕《くだ》く』」と|言《い》った。|預言者《よげんしゃ》エレミヤは|去《さ》って|行《い》った。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》ハナニヤが|預言者《よげんしゃ》エレミヤの|首《くび》から、くびきを|離《はな》して|砕《くだ》いた|後《のち》、しばらくして|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》って、ハナニヤに|告《つ》げなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたは|木《き》のくびきを|砕《くだ》いたが、わたしはそれに|替《か》えて|鉄《てつ》のくびきを|作《つく》ろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、わたしは|鉄《てつ》のくびきをこの|万国民《ばんこくみん》の|首《くび》に|置《お》いて、バビロンの|王《おう》ネブカデネザルに|仕《つか》えさせる。|彼《かれ》らはこれに|仕《つか》える。わたしは|野《の》の|獣《けもの》をも|彼《かれ》に|与《あた》えた』」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》エレミヤはまた|預言者《よげんしゃ》ハナニヤに|言《い》った、「ハナニヤよ、|聞《き》きなさい。|主《しゅ》があなたをつかわされたのではない。あなたはこの|民《たみ》に|偽《いつわ》りを|信《しん》じさせた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、『わたしはあなたを|地《ち》のおもてから|除《のぞ》く。あなたは|主《しゅ》に|対《たい》する|反逆《はんぎゃく》を|語《かた》ったので、|今《いま》|年《とし》のうちに|死《し》ぬのだ』と」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》ハナニヤはその|年《ねん》の七|月《がつ》に|死《し》んだ。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]これは|預言者《よげんしゃ》エレミヤがエルサレムから、かの|捕《とら》え|移《うつ》された|長老《ちょうろう》たち、およびネブカデネザルによってエルサレムからバビロンに|捕《とら》え|移《うつ》された|祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》ならびにすべての|民《たみ》に|送《おく》った|手紙《てがみ》に|書《か》きしるした|言葉《ことば》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それはエコニヤ|王《おう》と|太后《たいこう》と|宦官《かんがん》およびユダとエルサレムのつかさたち、および|工匠《こうしょう》と|鍛冶《かじ》とがエルサレムを|去《さ》ってのちに|書《か》かれたものであって、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはその|手紙《てがみ》をシャパンの|子《こ》エラサおよびヒルキヤの|子《こ》ゲマリヤの|手《て》によって|送《おく》った。この|人々《ひとびと》はユダの|王《おう》ゼデキヤがバビロンに|行《い》かせ、バビロンの|王《おう》ネブカデネザルのもとにつかわしたものであった。その|手紙《てがみ》には|次《つぎ》のように|書《か》いてあった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》は、すべて|捕《とら》え|移《うつ》された|者《もの》、すなわち、わたしがエルサレムから、バビロンに|捕《とら》え|移《うつ》させた|者《もの》に、こう|言《い》う、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|家《いえ》を|建《た》てて、それに|住《す》み、|畑《はたけ》を|作《つく》ってその|産物《さんぶつ》を|食《た》べよ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|妻《つま》をめとって、むすこ|娘《むすめ》を|産《う》み、また、そのむすこに|嫁《よめ》をめとり、|娘《むすめ》をとつがせて、むすこ|娘《むすめ》を|産《う》むようにせよ。その|所《ところ》であなたがたの|数《かず》を|増《ま》し、|減《へ》ってはならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたを|捕《とら》え|移《うつ》させたところの|町《まち》の|平安《へいあん》を|求《もと》め、そのために|主《しゅ》に|祈《いの》るがよい。その|町《まち》が|平安《へいあん》であれば、あなたがたも|平安《へいあん》を|得《え》るからである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたのうちにいる|預言者《よげんしゃ》と|占《うらな》い|師《し》に|惑《まど》わされてはならない。また|彼《かれ》らの|見《み》る|夢《ゆめ》に|聞《き》き|従《したが》ってはならない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それは、|彼《かれ》らがわたしの|名《な》によってあなたがたに|偽《いつわ》りを|預言《よげん》しているからである。わたしが|彼《かれ》らをつかわしたのではないと|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、バビロンで七十|年《ねん》が|満《み》ちるならば、わたしはあなたがたを|顧《かえり》み、わたしの|約束《やくそく》を|果《はた》し、あなたがたをこの|所《ところ》に|導《みちび》き|帰《かえ》る。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしがあなたがたに|対《たい》していだいている|計画《けいかく》はわたしが|知《し》っている。それは|災《わざわい》を|与《あた》えようというのではなく、|平安《へいあん》を|与《あた》えようとするものであり、あなたがたに|将来《しょうらい》を|与《あた》え、|希望《きぼう》を|与《あた》えようとするものである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あなたがたはわたしに|呼《よ》ばわり、|来《き》て、わたしに|祈《いの》る。わたしはあなたがたの|祈《いのり》を|聞《き》く。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしを|尋《たず》ね|求《もと》めて、わたしに|会《あ》う。もしあなたがたが|一心《いっしん》にわたしを|尋《たず》ね|求《もと》めるならば、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたに|会《あ》うと|主《しゅ》は|言《い》われる。わたしはあなたがたの|繁栄《はんえい》を|回復《かいふく》し、あなたがたを|万国《ばんこく》から、すべてわたしがあなたがたを|追《お》いやった|所《ところ》から|集《あつ》め、かつ、わたしがあなたがたを|捕《とら》われ|離《はな》れさせたそのもとの|所《ところ》に、あなたがたを|導《みちび》き|帰《かえ》ろうと|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、『|主《しゅ》はバビロンでわれわれのために|預言者《よげんしゃ》たちを|起《おこ》された』と|言《い》ったが、――[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はダビデの|位《くらい》に|座《ざ》している|王《おう》と、この|町《まち》に|住《す》むすべての|民《たみ》で、あなたがたと|共《とも》に|捕《とら》え|移《うつ》されなかった|兄弟《きょうだい》たちについて、こう|言《い》われる、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは、つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》を|彼《かれ》らに|送《おく》り、|彼《かれ》らを|悪《わる》くて|食《た》べられない|腐《くさ》ったいちじくのようにしてしまう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはつるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》をもって|彼《かれ》らのあとを|追《お》い、また|彼《かれ》らを|地《ち》の|万国《ばんこく》に|忌《い》みきらわれるものとなし、わたしが|彼《かれ》らを|追《お》いやる|国々《くにぐに》で、のろいとなり、|恐《おそ》れとなり、|物笑《ものわら》いとなり、はずかしめとならせる。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それは|彼《かれ》らがわたしの|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》わなかったからであると|主《しゅ》は|言《い》われる。わたしはこの|言葉《ことば》を、わたしのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちによって、しきりに|送《おく》ったが、あなたがたは|聞《き》こうともしなかったと|主《しゅ》は|言《い》われる』。――[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがエルサレムからバビロンに|送《おく》ったあなたがたすべての|捕《とら》われ|人《びと》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]『わたしの|名《な》によって、あなたがたに|偽《いつわ》りを|預言《よげん》しているコラヤの|子《こ》アハブと、マアセヤの|子《こ》ゼデキヤについて|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らをバビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|手《て》に|渡《わた》す。|王《おう》はあなたがたの|目《め》の|前《まえ》で|彼《かれ》らを|殺《ころ》す。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]バビロンにいるユダの|捕《とら》われ|人《びと》は|皆《みな》、|彼《かれ》らの|名《な》を、のろいの|言葉《ことば》に|用《もち》いて、「|主《しゅ》があなたをバビロンの|王《おう》が|火《ひ》で|焼《や》いたゼデキヤとアハブのようにされるように」という。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それは、|彼《かれ》らがイスラエルのうちで|愚《おろ》かな|事《こと》をし、|隣《となり》の|妻《つま》と|不義《ふぎ》を|行《おこな》い、わたしが|命《めい》じたのでない|偽《いつわ》りの|言葉《ことば》を、わたしの|名《な》によって|語《かた》ったことによるのである。わたしはそれを|知《し》っており、またその|証人《しょうにん》であると|主《しゅ》は|言《い》われる』」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ネヘラムびとシマヤにあなたは|言《い》いなさい、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、あなたは|自分《じぶん》の|名《な》でエルサレムにいるすべての|民《たみ》と、マアセヤの|子《こ》|祭司《さいし》ゼパニヤおよびすべての|祭司《さいし》に|手紙《てがみ》を|送《おく》って|言《い》う、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]『|主《しゅ》は|祭司《さいし》エホヤダに|代《かわ》ってあなたを|祭司《さいし》とし、|主《しゅ》の|宮《みや》をつかさどらせ、すべて|狂《くる》い、かつ|預言《よげん》する|者《もの》を|足《あし》かせと|首《くび》かせにつながせられる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そうであるのに、どうしてあなたは、あなたがたに|預言《よげん》しているアナトテのエレミヤを|戒《いまし》めないのか。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はバビロンにいるわれわれの|所《ところ》に|手紙《てがみ》を|送《おく》って、|捕《とら》われの|時《とき》はなお|長《なが》いゆえ、あなたがたは|家《いえ》を|建《た》ててそこに|住《す》み、|畑《はたけ》を|作《つく》ってその|産物《さんぶつ》を|食《た》べよと|言《い》ってきた』」。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》ゼパニヤはこの|手紙《てがみ》を|預言者《よげんしゃ》エレミヤに|読《よ》み|聞《き》かせた。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]「すべての|捕《とら》われ|人《びと》に|書《か》き|送《おく》って|言《い》いなさい、ネヘラムびとシマヤの|事《こと》について|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしはシマヤをつかわさなかったのに、|彼《かれ》があなたがたに|預言《よげん》して|偽《いつわ》りを|信《しん》じさせたので、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしはネヘラムびとシマヤとその|子孫《しそん》を|罰《ばっ》する。|彼《かれ》は|主《しゅ》に|対《たい》する|反逆《はんぎゃく》を|語《かた》ったゆえ、|彼《かれ》に|属《ぞく》する|者《もの》で、この|民《たみ》のうちに|住《す》み、わたしが|自分《じぶん》の|民《たみ》に|行《おこな》おうとしている|良《よ》い|事《こと》を|見《み》るものはひとりもいない」。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしがあなたに|語《かた》った|言葉《ことば》を、ことごとく|書物《しょもつ》にしるしなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、わたしがわが|民《たみ》イスラエルとユダの|繁栄《はんえい》を|回復《かいふく》する|日《ひ》が|来《く》る。|主《しゅ》がこれを|言《い》われる。わたしは|彼《かれ》らを、その|先祖《せんぞ》に|与《あた》えた|地《ち》に|帰《かえ》らせ、|彼《かれ》らにこれを|保《たも》たせる」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これは|主《しゅ》がイスラエルとユダについて|言《い》われた|言葉《ことば》である。 [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 われわれはおののきの|声《こえ》を|聞《き》いた。 |恐《おそ》れがあり、|平安《へいあん》はない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》を|産《う》む|男《おとこ》があるか、|尋《たず》ねてみよ。 どうして|男《おとこ》がみな|子《こ》を|産《う》む|女《おんな》のように |手《て》を|腰《こし》におくのをわたしは|見《み》るのか。 なぜ、どの|人《ひと》の|顔色《かおいろ》も|青《あお》く|変《かわ》っているのか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|悲《かな》しいかな、その|日《ひ》は|大《おお》いなる|日《ひ》であって、 それに|比《くら》べるべき|日《ひ》はない。 それはヤコブの|悩《なや》みの|時《とき》である。 しかし|彼《かれ》はそれから|救《すく》い|出《だ》される。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、その|日《ひ》わたしは|彼《かれ》らの|首《くび》からそのくびきを|砕《くだ》き|離《はな》し、|彼《かれ》らの|束縛《そくばく》を|解《と》く。|異邦《いほう》の|人《ひと》はもはや、|彼《かれ》らを|使役《しえき》することをしない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|神《かみ》、|主《しゅ》と、わたしが|彼《かれ》らのために|立《た》てるその|王《おう》ダビデに|仕《つか》える。 [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、 わがしもべヤコブよ、|恐《おそ》れることはない、 イスラエルよ、|驚《おどろ》くことはない。 |見《み》よ、わたしがあなたを|救《すく》って、|遠《とお》くからかえし、 あなたの|子孫《しそん》を|救《すく》って、 その|捕《とら》え|移《うつ》された|地《ち》からかえすからだ。 ヤコブは|帰《かえ》ってきて、|穏《おだ》やかに|安《やす》らかにおり、 |彼《かれ》を|恐《おそ》れさせる|者《もの》はない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 わたしはあなたと|共《とも》にいて、あなたを|救《すく》う。 わたしはあなたを|散《ち》らした|国々《くにぐに》を ことごとく|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》す。 しかし、あなたを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》すことはしない。 わたしは|正《ただ》しい|道《みち》に|従《したが》ってあなたを|懲《こ》らしめる。 |決《けっ》して|罰《ばっ》しないではおかない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 あなたの|痛《いた》みはいえず、あなたの|傷《きず》は|重《おも》い。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|訴《うった》えを|支持《しじ》する|者《もの》はなく、 あなたの|傷《きず》をつつむ|薬《くすり》はなく、 あなたをいやすものもない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|愛《あい》する|者《もの》は|皆《みな》あなたを|忘《わす》れて あなたの|事《こと》を|心《こころ》に|留《と》めない。 それは、あなたのとがが|多《おお》く、 あなたの|罪《つみ》がはなはだしいので、 わたしがあだを|撃《う》つようにあなたを|撃《う》ち、 |残忍《ざんにん》な|敵《てき》のように|懲《こ》らしたからだ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、あなたの|傷《きず》のために|叫《さけ》ぶのか、 あなたの|悩《なや》みはいえることはない。 あなたのとがが|多《おお》く、 あなたの|罪《つみ》がはなはだしいので、 これらの|事《こと》をわたしはあなたにしたのである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、すべてあなたを|食《く》い|滅《ほろ》ぼす|者《もの》は |食《く》い|滅《ほろ》ぼされ、 あなたをしえたげる|者《もの》は、 ひとり|残《のこ》らず、|捕《とら》え|移《うつ》され、 あなたをかすめる|者《もの》は、かすめられ、 すべてあなたの|物《もの》を|奪《うば》う|者《もの》は|奪《うば》われる|者《もの》となる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 わたしはあなたの|健康《けんこう》を|回復《かいふく》させ、 あなたの|傷《きず》をいやす。 それは、|人《ひと》があなたを|捨《す》てられた|者《もの》とよび、 『だれも|心《こころ》に|留《と》めないシオン』というからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 |見《み》よ、わたしはヤコブの|天幕《てんまく》を|再《ふたた》び|栄《さか》えさせ、 そのすまいにあわれみを|施《ほどこ》す。 |町《まち》は、その|丘《おか》に|建《た》てなおされ、 |宮殿《きゅうでん》はもと|立《た》っていた|所《ところ》に|立《た》つ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|感謝《かんしゃ》の|歌《うた》と|喜《よろこ》ぶ|者《もの》の|声《こえ》とが、その|中《なか》から|出《で》る。 わたしが|彼《かれ》らを|増《ま》すゆえ、|彼《かれ》らは|少《すく》なくはなく、 また|彼《かれ》らを|尊《たっと》ばれしめるゆえ、 |卑《いや》しめられることはない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らは、いにしえのようになり、 その|会衆《かいしゅう》はわたしの|前《まえ》に|堅《かた》く|立《た》つ。 すべて|彼《かれ》らをしえたげる|者《もの》をわたしは|罰《ばっ》する。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|君《きみ》は|彼《かれ》ら|自身《じしん》のうちのひとりであり、 そのつかさは、そのうちから|出《で》る。 わたしは|彼《かれ》をわたしに|近《ちか》づけ、|彼《かれ》はわたしに|近《ちか》づく。 だれか|自分《じぶん》の|命《いのち》をかけて わたしに|近《ちか》づく|者《もの》があろうかと |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わたしの|民《たみ》となり、 わたしはあなたがたの|神《かみ》となる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|暴風《ぼうふう》がくる。 |憤《いきどお》りと、つむじ|風《かぜ》が|出《で》て、|悪人《あくにん》のこうべをうつ。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りは、 み|心《こころ》に|思《おも》い|定《さだ》められたことを|行《おこな》って、 これを|遂《と》げるまで、|退《しりぞ》くことはない。 |末《すえ》の|日《ひ》にあなたがたはこれを|悟《さと》るのである。 [#ここで字下げ終わり] 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》は|言《い》われる、その|時《とき》わたしはイスラエルの|全部《ぜんぶ》|族《ぞく》の|神《かみ》となり、|彼《かれ》らはわたしの|民《たみ》となる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「つるぎをのがれて|生《い》き|残《のこ》った|民《たみ》は、 |荒野《あらの》で|恵《めぐ》みを|得《え》た。 イスラエルが|安息《あんそく》を|求《もと》めた|時《とき》、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|遠《とお》くから|彼《かれ》に|現《あらわ》れた。 わたしは|限《かぎ》りなき|愛《あい》をもってあなたを|愛《あい》している。 それゆえ、わたしは|絶《た》えずあなたに |真実《しんじつ》をつくしてきた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルのおとめよ、 |再《ふたた》びわたしはあなたを|建《た》てる、あなたは|建《た》てられる。 あなたは|再《ふたた》び|鼓《つづみ》をもって|身《み》を|飾《かざ》り、 |出《で》て|行《い》って、|喜《よろこ》び|楽《たの》しむ|者《もの》と|共《とも》に|踊《おど》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またあなたはぶどうの|木《き》をサマリヤの|山《やま》に|植《う》える。 |植《う》える|者《もの》は、|植《う》えてその|実《み》を|食《た》べることができる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見守《みまも》る|者《もの》がエフライムの|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》って |呼《よ》ばわる|日《ひ》が|来《く》る。 『|立《た》って、シオンに|上《のぼ》り、 われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に、もうでよう』と」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 「ヤコブのために|喜《よろこ》んで|声《こえ》|高《たか》く|歌《うた》い、 |万国《ばんこく》のかしらのために|叫《さけ》び|声《ごえ》をあげよ。 |告《つ》げ|示《しめ》し、ほめたたえて|言《い》え、 『|主《しゅ》はその|民《たみ》イスラエルの|残《のこ》りの|者《もの》を|救《すく》われた』と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らを|北《きた》の|国《くに》から|連《つ》れ|帰《かえ》り、 |彼《かれ》らを|地《ち》の|果《はて》から|集《あつ》める。 |彼《かれ》らのうちには、|盲人《もうじん》やあしなえ、 |妊婦《にんぷ》、|産婦《さんぷ》も|共《とも》にいる。 |彼《かれ》らは|大《おお》きな|群《む》れとなって、ここに|帰《かえ》ってくる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|泣《な》き|悲《かな》しんで|帰《かえ》ってくる。 わたしは|慰《なぐさ》めながら|彼《かれ》らを|導《みちび》き|帰《かえ》る。 |彼《かれ》らがつまずかないように、まっすぐな|道《みち》により、 |水《みず》の|流《なが》れのそばを|通《とお》らせる。 それは、わたしがイスラエルの|父《ちち》であり、 エフライムはわたしの|長子《ちょうし》だからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|万国《ばんこく》の|民《たみ》よ、あなたがたは|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》き、 これを|遠《とお》い、|海沿《うみぞ》いの|地《ち》に|示《しめ》して|言《い》いなさい、 『イスラエルを|散《ち》らした|者《もの》がこれを|集《あつ》められる。 |牧者《ぼくしゃ》がその|群《む》れを|守《まも》るようにこれを|守《まも》られる』と。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|主《しゅ》はヤコブをあがない、 |彼《かれ》らよりも|強《つよ》い|者《もの》の|手《て》から|彼《かれ》を|救《すく》いだされた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|来《き》てシオンの|山《やま》で|声《こえ》|高《たか》く|歌《うた》い、 |主《しゅ》から|賜《たま》わった|良《よ》い|物《もの》のために、 |穀物《こくもつ》と|酒《さけ》と|油《あぶら》および|若《わか》き|羊《ひつじ》と|牛《うし》のために、 |喜《よろこ》びに|輝《かがや》く。 その|魂《たましい》は|潤《うるお》う|園《その》のようになり、 |彼《かれ》らは|重《かさ》ねて|憂《うれ》えることがない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》おとめたちは|舞《ま》って|楽《たの》しみ、 |若《わか》い|者《もの》も|老《お》いた|者《もの》も|共《とも》に|楽《たの》しむ。 わたしは|彼《かれ》らの|悲《かな》しみを|喜《よろこ》びにかえ、 |彼《かれ》らを|慰《なぐさ》め、|憂《うれ》いの|代《かわ》りに|喜《よろこ》びを|与《あた》える。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|多《おお》くのささげ|物《もの》で、|祭司《さいし》の|心《こころ》を|飽《あ》かせ、 わたしの|良《よ》き|物《もの》で、わたしの|民《たみ》を|満《み》ち|足《た》らせると |主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 「|嘆《なげ》き|悲《かな》しみ、いたく|泣《な》く|声《こえ》がラマで|聞《きこ》える。 ラケルがその|子《こ》らのために|嘆《なげ》くのである。 |子《こ》らがもはやいないので、 |彼女《かのじょ》はその|子《こ》らのことで|慰《なぐさ》められるのを|願《ねが》わない」。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、 「あなたは|泣《な》く|声《こえ》をとどめ、 |目《め》から|涙《なみだ》をながすことをやめよ。 あなたのわざに|報《むく》いがある。 |彼《かれ》らは|敵《てき》の|地《ち》から|帰《かえ》ってくると|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|将来《しょうらい》には|希望《きぼう》があり、 あなたの|子供《こども》たちは|自分《じぶん》の|国《くに》に|帰《かえ》ってくると |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|確《たし》かに、エフライムが こう|言《い》って|嘆《なげ》くの|聞《き》いた、 『あなたはわたしを|懲《こら》しめられた、 わたしはくびきに|慣《な》れない|子《こ》|牛《うし》のように |懲《こら》しめをうけた。 |主《しゅ》よ、あなたはわたしの|神《かみ》、|主《しゅ》でいらせられる、 わたしを|連《つ》れ|帰《かえ》って、もとにかえしてください。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはそむき|去《さ》った|後《のち》、|悔《く》い、 |教《おしえ》をうけた|後《のち》、ももを|打《う》った。 |若《わか》い|時《とき》のはずかしめが|身《み》にあるので、 わたしは|恥《は》じ、うろたえた』。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 エフライムはわたしの|愛《あい》する|子《こ》、 わたしの|喜《よろこ》ぶ|子《こ》であろうか。 わたしは|彼《かれ》について|語《かた》るごとに、 なお|彼《かれ》を|忘《わす》れることができない。 それゆえ、わたしの|心《こころ》は|彼《かれ》をしたっている。 わたしは|必《かなら》ず|彼《かれ》をあわれむ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]みずからのために|道《みち》しるべを|置《お》き、 みずからのために|標柱《ひょうちゅう》を|立《た》てよ。 |大路《おおじ》に、あなたの|通《とお》って|行《い》った|道《みち》に|心《こころ》を|留《と》めよ。 イスラエルのおとめよ、|帰《かえ》れ、 これらの、あなたの|町々《まちまち》に|帰《かえ》れ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|不信《ふしん》の|娘《むすめ》よ、いつまでさまようのか。 |主《しゅ》は|地《ち》の|上《うえ》に|新《あたら》しい|事《こと》を|創造《そうぞう》されたのだ、 |女《おんな》が|男《おとこ》を|保護《ほご》する|事《こと》である」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、「わたしが|彼《かれ》らを|再《ふたた》び|栄《さか》えさせる|時《とき》、|人々《ひとびと》はまたユダの|地《ち》とその|町々《まちまち》でこの|言葉《ことば》を|言《い》う、 [#ここから2字下げ] 『|正義《せいぎ》のすみかよ、|聖《せい》なる|山《やま》よ、 どうか|主《しゅ》がおまえを|祝福《しゅくふく》してくださるように』。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ユダとそのすべての|町《まち》の|人《ひと》、および|農夫《のうふ》と|群《む》れを|飼《か》って|歩《ある》き|回《まわ》る|者《もの》は|共《とも》にそこに|住《す》む。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|疲《つか》れた|魂《たましい》を|飽《あ》き|足《た》らせ、すべて|悩《なや》んでいる|魂《たましい》を|慰《なぐさ》めるからである」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]ここでわたしは|目《め》をさましたが、わたしの|眠《ねむ》りは、ここちよかった。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、わたしが|人《ひと》の|種《たね》と|獣《けもの》の|種《たね》とをイスラエルの|家《いえ》とユダの|家《いえ》とにまく|日《ひ》が|来《く》る。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|抜《ぬ》き、|砕《くだ》き、|倒《たお》し、|滅《ほろ》ぼし、|悩《なや》まそうと|待《ま》ちかまえていたように、また|彼《かれ》らを|建《た》て、|植《う》えようと|待《ま》ちかまえていると|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》らはもはや、 [#ここから2字下げ] 『|父《ちち》がすっぱいぶどうを|食《た》べたので、 |子《こ》どもの|歯《は》がうく』 [#ここで字下げ終わり] とは|言《い》わない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はめいめい|自分《じぶん》の|罪《つみ》によって|死《し》ぬ。すっぱいぶどうを|食《た》べる|人《ひと》はみな、その|歯《は》がうく。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、わたしがイスラエルの|家《いえ》とユダの|家《いえ》とに|新《あたら》しい|契約《けいやく》を|立《た》てる|日《ひ》が|来《く》る。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]この|契約《けいやく》はわたしが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》をその|手《て》をとってエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》した|日《ひ》に|立《た》てたようなものではない。わたしは|彼《かれ》らの|夫《おっと》であったのだが、|彼《かれ》らはそのわたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》ったと|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、それらの|日《ひ》の|後《のち》にわたしがイスラエルの|家《いえ》に|立《た》てる|契約《けいやく》はこれである。すなわちわたしは、わたしの|律法《りっぽう》を|彼《かれ》らのうちに|置《お》き、その|心《こころ》にしるす。わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となり、|彼《かれ》らはわたしの|民《たみ》となると|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はもはや、おのおのその|隣《となり》とその|兄弟《きょうだい》に|教《おし》えて、『あなたは|主《しゅ》を|知《し》りなさい』とは|言《い》わない。それは、|彼《かれ》らが|小《しょう》より|大《だい》に|至《いた》るまで|皆《みな》、わたしを|知《し》るようになるからであると|主《しゅ》は|言《い》われる。わたしは|彼《かれ》らの|不義《ふぎ》をゆるし、もはやその|罪《つみ》を|思《おも》わない」。 [#ここから2字下げ] [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、すなわち |太陽《たいよう》を|与《あた》えて|昼《ひる》の|光《ひかり》とし、 |月《つき》と|星《ほし》とを|定《さだ》めて|夜《よる》の|光《ひかり》とし、 |海《うみ》をかき|立《た》てて、その|波《なみ》を|鳴《な》りとどろかせる|者《もの》―― その|名《な》は|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》という。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「もしこの|定《さだ》めがわたしの|前《まえ》ですたれてしまうなら、 イスラエルの|子孫《しそん》もすたって、 |永久《えいきゅう》にわたしの|前《まえ》で|民《たみ》であることはできない」。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「もし|上《うえ》の|天《てん》を|量《はか》ることができ、 |下《した》の|地《ち》の|基《もとい》を|探《さぐ》ることができるなら、 そのとき、わたしはイスラエルのすべての|子孫《しそん》を そのもろもろの|行《おこな》いのために|捨《す》て|去《さ》ると |主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「|見《み》よ、この|町《まち》が、ハナネルの|塔《とう》から|隅《すみ》の|門《もん》まで、|主《しゅ》のために|再建《さいけん》される|時《とき》が|来《く》る。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|測《はか》りなわはそれよりも|遠《とお》くまっすぐに|延《の》びて、ガレブの|丘《おか》に|達《たっ》し、ゴアのほうに|向《む》かう。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|死体《したい》と|灰《はい》との|谷《たに》の|全部《ぜんぶ》、またキデロンの|谷《たに》に|行《い》くまでと、|東《ひがし》のほうの|馬《うま》の|門《もん》のすみに|行《い》くまでとのすべての|畑《はたけ》はみな|主《しゅ》の|聖《せい》なる|所《ところ》となり、|永遠《えいえん》にわたって、ふたたび|抜《ぬ》かれ、また|倒《たお》されることはない」。 第三二章[#「第三二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ゼデキヤの十|年《ねん》、すなわちネブカデレザルの十八|年《ねん》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、バビロンの|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》がエルサレムを|攻《せ》め|囲《かこ》んでいて、|預言者《よげんしゃ》エレミヤはユダの|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》にある|監視《かんし》の|庭《にわ》のうちに|監禁《かんきん》されていた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ゼデキヤが|彼《かれ》を|閉《と》じ|込《こ》めたのであるが、|王《おう》は|言《い》った、「なぜあなたは|預言《よげん》して|言《い》うのか、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしはこの|町《まち》をバビロンの|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》し、|彼《かれ》はこれを|取《と》る。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|王《おう》ゼデキヤはカルデヤびとの|手《て》をのがれることなく、かならずバビロンの|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》され、|顔《かお》と|顔《かお》を|合《あ》わせて|彼《かれ》と|語《かた》り、|目《め》と|目《め》は|相《あい》まみえる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はゼデキヤをバビロンに|引《ひ》いていき、ゼデキヤは、わたしが|彼《かれ》を|顧《かえり》みる|時《とき》まで、そこにいると|主《しゅ》は|言《い》われる。あなたがたは、カルデヤびとと|戦《たたか》っても|勝《か》つことはできない』と」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤは|言《い》った、「|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》われる、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]『|見《み》よ、あなたのおじシャルムの|子《こ》ハナメルがあなたの|所《ところ》に|来《き》て|言《い》う、「アナトテにあるわたしの|畑《はたけ》を|買《か》いなさい。それは、これを|買《か》い|取《と》り、あがなう|権利《けんり》があなたにあるから」と』。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]はたして|主《しゅ》の|言葉《ことば》のように、わたしのいとこであるハナメルが|監視《かんし》の|庭《にわ》のうちにいるわたしの|所《ところ》に|来《き》て|言《い》った、『ベニヤミンの|地《ち》のアナトテにあるわたしの|畑《はたけ》を|買《か》ってください。|所有《しょゆう》するのも、あがなうのも、あなたの|権利《けんり》なのです。|買《か》い|取《と》ってあなたの|物《もの》にしてください。これが|主《しゅ》の|言葉《ことば》であるのをわたしは|知《し》っていました』。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある|畑《はたけ》を|買《か》い|取《と》り、|銀《ぎん》十七シケルを|量《はか》って|彼《かれ》に|支払《しはら》った。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、わたしはその|証書《しょうしょ》をつくって、これに|記名《きめい》し、それを|封印《ふういん》し、|証人《しょうにん》を|立《た》て、はかりをもって|銀《ぎん》を|量《はか》って|与《あた》えた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしはその|約定《やくじょう》をしるして|封印《ふういん》した|買収《ばいしゅう》|証書《しょうしょ》と、|封印《ふういん》のない|写《うつ》しとを|取《と》り、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]いとこのハナメルと、|買収《ばいしゅう》|証書《しょうしょ》に|記名《きめい》した|証人《しょうにん》たち、および|監視《かんし》の|庭《にわ》にすわっているすべてのユダヤ|人《ひと》の|前《まえ》で、その|証書《しょうしょ》をマアセヤの|子《こ》であるネリヤの|子《こ》バルクに|与《あた》え、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|前《まえ》で、わたしはバルクに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、これらの|証書《しょうしょ》すなわち、この|買収《ばいしゅう》|証書《しょうしょ》の|封印《ふういん》したものと、|封印《ふういん》のない|写《うつ》しとを|取《と》り、これらを|土《つち》の|器《うつわ》に|入《い》れて、|長《なが》く|保存《ほぞん》せよ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》がこう|言《い》われるからである、「この|地《ち》で|人々《ひとびと》はまた|家《いえ》と|畑《はたけ》とぶどう|畑《はたけ》を|買《か》うようになる」と』。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|買収《ばいしゅう》|証書《しょうしょ》をネリヤの|子《こ》バルクに|渡《わた》したあとで|主《しゅ》に|祈《いの》って|言《い》った、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]『ああ|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたは|大《おお》いなる|力《ちから》と、|伸《の》べた|腕《うで》をもって|天《てん》と|地《ち》をお|造《つく》りになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはいつくしみを千万|人《にん》に|施《ほどこ》し、また|父《ちち》の|罪《つみ》をそののちの|子孫《しそん》に|報《むく》いられるのです。あなたは|大《おお》いなる|全能《ぜんのう》の|神《かみ》でいらせられ、その|名《な》は|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》と|申《もう》されます。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|計《はか》りごとは|大《おお》きく、また、|事《こと》を|行《おこな》うのに|力《ちから》があり、あなたの|目《め》は|人々《ひとびと》の|歩《あゆ》むすべての|道《みち》を|見《み》て、おのおのの|道《みち》にしたがい、その|行《おこな》いの|実《み》によってこれに|報《むく》いられます。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、しるしと、|不思議《ふしぎ》なわざとをエジプトの|地《ち》に|行《おこな》い、また|今日《こんにち》に|至《いた》るまでイスラエルと|全《ぜん》|人類《じんるい》のうちに|行《おこな》い、そして|今日《こんにち》のように|名《な》をあげられました。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、しるしと、|不思議《ふしぎ》なわざと、|強《つよ》い|手《て》と、|伸《の》べた|腕《うで》と、|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|事《こと》をもって、あなたの|民《たみ》イスラエルをエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》し、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]この|地《ち》を|彼《かれ》らに|賜《たま》わりました。これはあなたが|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えようと|誓《ちか》われた|乳《ちち》と|蜜《みつ》の|流《なが》れる|地《ち》です。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らは、はいってこれを|獲《え》たのですが、あなたの|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、あなたの|律法《りっぽう》を|行《おこな》わず、すべてあなたがせよと|命《めい》じられたことをしなかったので、あなたはこの|災《わざわい》を|彼《かれ》らの|上《うえ》にお|下《くだ》しになりました。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|塁《るい》が|築《きず》きあげられたのは、この|町《まち》を|取《と》るためです。つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》のために、|町《まち》はこれを|攻《せ》めているカルデヤびとの|手《て》に|渡《わた》されます。あなたの|言《い》われたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはわたしに|言《い》われました、「|銀《ぎん》をもって|畑《はたけ》を|買《か》い、|証人《しょうにん》を|立《た》てよ」と。そうであるのに、|町《まち》はカルデヤびとの|手《て》に|渡《わた》されています』」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、わたしは|主《しゅ》である、すべて|命《いのち》ある|者《もの》の|神《かみ》である。わたしにできない|事《こと》があろうか。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはこの|町《まち》をカルデヤびとと、バビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》はこれを|取《と》る。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]この|町《まち》を|攻《せ》めているカルデヤびとがきて、この|町《まち》に|火《ひ》をつけて|焼《や》き|払《はら》う。|屋根《やね》の|上《うえ》で|人々《ひとびと》が、バアルに|香《こう》をたき、ほかの|神々《かみがみ》に|酒《さけ》をそそいで、わたしを|怒《いか》らせたその|家《いえ》をも|彼《かれ》らは|焼《や》く。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それは、イスラエルの|人々《ひとびと》とユダの|人々《ひとびと》とは、その|若《わか》い|時《とき》から、わたしの|前《まえ》に|悪《わる》いことのみを|行《おこな》い、またイスラエルの|民《たみ》はその|手《て》のわざをもって、わたしを|怒《いか》らせることばかりをしたからであると|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]この|町《まち》はそれが|建《た》った|日《ひ》からきょうまで、わたしの|怒《いか》りと|憤《いきどお》りとをひき|起《おこ》してきたので、わたしの|前《まえ》からこれを|除《のぞ》き|去《さ》るのである。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]それは、イスラエルの|民《たみ》とユダの|民《たみ》とが、もろもろの|悪《あく》を|行《い》って、わたしを|怒《いか》らせたことによるのである。――|彼《かれ》らの|王《おう》たちと、そのつかさたち、|祭司《さいし》たち、|預言者《よげんしゃ》たち、またユダの|人々《ひとびと》とエルサレムの|住民《じゅうみん》たちが|皆《みな》そうである。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|背中《せなか》をわたしに|向《む》けて|顔《かお》をわたしに|向《む》けず、わたしがたゆまず|教《おし》えたにもかかわらず、|彼《かれ》らは|教《おしえ》を|聞《き》かず、またうけないのである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|憎《にく》むべき|物《もの》を、わが|名《な》をもって|呼《よ》ばれている|家《いえ》にすえつけて、そこを|汚《けが》し、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]またベンヒンノムの|谷《たに》にバアルの|高《たか》き|所《ところ》を|築《きず》いて、むすこ|娘《むすめ》をモレクにささげた。わたしは|彼《かれ》らにこのようなことを|命《めい》じたことはなく、また|彼《かれ》らがこの|憎《にく》むべきことを|行《い》って、ユダに|罪《つみ》を|犯《おか》させようとは|考《かんが》えもしなかった。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は、この|町《まち》、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》のためにバビロンの|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》される』といっている|町《まち》についてこう|仰《おお》せられる、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは、わたしの|怒《いか》りと|憤《いきどお》りと|大《おお》いなる|怒《いか》りをもって、|彼《かれ》らを|追《お》いやったもろもろの|国《くに》から|彼《かれ》らを|集《あつ》め、この|所《ところ》へ|導《みちび》きかえって、|安《やす》らかに|住《す》まわせる。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはわたしの|民《たみ》となり、わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となる。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに一つの|心《こころ》と一つの|道《みち》を|与《あた》えて|常《つね》にわたしを|恐《おそ》れさせる。これは|彼《かれ》らが|彼《かれ》ら|自身《じしん》とその|後《のち》の|子孫《しそん》の|幸《さいわい》を|得《え》るためである。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らと|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》を|立《た》てて、|彼《かれ》らを|見捨《みす》てずに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》すことを|誓《ちか》い、またわたしを|恐《おそ》れる|恐《おそ》れを|彼《かれ》らの|心《こころ》に|置《お》いて、わたしを|離《はな》れることのないようにしよう。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|恵《めぐ》みを|施《ほどこ》すことを|喜《よろこ》びとし、|心《こころ》をつくし、|精神《せいしん》をつくし、|真実《しんじつ》をもって|彼《かれ》らをこの|地《ち》に|植《う》える。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、わたしがこのもろもろの|大《おお》きな|災《わざわい》をこの|民《たみ》に|下《くだ》したように、わたしが|彼《かれ》らに|約束《やくそく》するもろもろの|幸《さいわい》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|下《くだ》す。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はこの|地《ち》に|畑《はたけ》を|買《か》うようになる。あなたがたが、『それは|荒《あ》れて|人《ひと》も|獣《けもの》もいなくなり、カルデヤびとの|手《て》に|渡《わた》されてしまう』といっている|地《ち》である。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はベニヤミンの|地《ち》と、エルサレムの|周囲《しゅうい》と、ユダの|町々《まちまち》と、|山地《さんち》の|町々《まちまち》と、|平地《へいち》の|町々《まちまち》と、ネゲブの|町々《まちまち》で、|銀《ぎん》をもって|畑《はたけ》を|買《か》い、|証書《しょうしょ》をつくって、これに|記名《きめい》し|封印《ふういん》し、また|証人《しょうにん》を|立《た》てる。それは、わたしが|彼《かれ》らを|再《ふたた》び|栄《さか》えさせるからであると|主《しゅ》は|言《い》われる」。 第三三章[#「第三三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤがなお|監視《かんし》の|庭《にわ》に|閉《と》じ|込《こ》められている|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》はふたたび|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|地《ち》を|造《つく》られた|主《しゅ》、それを|形《かたち》|造《つく》って|堅《かた》く|立《た》たせられた|主《しゅ》、その|名《な》を|主《しゅ》と|名《な》のっておられる|者《もの》がこう|仰《おお》せられる、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|呼《よ》び|求《もと》めよ、そうすれば、わたしはあなたに|答《こた》える。そしてあなたの|知《し》らない|大《おお》きな|隠《かく》されている|事《こと》を、あなたに|示《しめ》す。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は|塁《るい》と、つるぎとを|防《ふせ》ぐために|破壊《はかい》されたこの|町《まち》の|家《いえ》と、ユダの|王《おう》の|家《いえ》についてこう|言《い》われる、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとは|来《き》て|戦《たたか》い、わたしが|怒《いか》りと|憤《いきどお》りをもって|殺《ころ》す|人々《ひとびと》の|死体《したい》を、それに|満《み》たす。わたしは|人々《ひとびと》のもろもろの|悪《あく》のために、この|町《まち》にわたしの|顔《かお》をおおい|隠《かく》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|健康《けんこう》と、いやしとを、ここにもたらして|人々《ひとびと》をいやし、|豊《ゆた》かな|繁栄《はんえい》と|安全《あんぜん》とを|彼《かれ》らに|示《しめ》す。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはユダとイスラエルを|再《ふたた》び|栄《さか》えさせ、|彼《かれ》らを|建《た》てて、もとのようにする。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らがわたしに|向《む》かって|犯《おか》した|罪《つみ》のすべてのとがを|清《きよ》め、|彼《かれ》らがわたしに|向《む》かって|犯《おか》した|罪《つみ》と|反逆《はんぎゃく》のすべてのとがをゆるす。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|町《まち》は|地《ち》のもろもろの|民《たみ》の|前《まえ》に、わたしのために|喜《よろこ》びの|名《な》となり、|誉《ほまれ》となり、|栄《さか》えとなる。|彼《かれ》らはわたしがわたしの|民《たみ》に|施《ほどこ》すもろもろの|恵《めぐ》みのことを|聞《き》く。そして、わたしがこの|町《まち》に|施《ほどこ》すもろもろの|恵《めぐ》みと、もろもろの|繁栄《はんえい》のために|恐《おそ》れて|身《み》をふるわす。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、あなたがたが、『それは|荒《あ》れて、|人《ひと》もおらず|獣《けもの》もいない』というこの|所《ところ》、すなわち、|荒《あ》れて、|人《ひと》もおらず|住《す》む|者《もの》もなく、|獣《けもの》もいないユダの|町《まち》とエルサレムのちまたに、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|再《ふたた》び|喜《よろこ》びの|声《こえ》、|楽《たの》しみの|声《こえ》、|花婿《はなむこ》の|声《こえ》、|花嫁《はなよめ》の|声《こえ》、および [#ここから2字下げ] 『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》に|感謝《かんしゃ》せよ、 |主《しゅ》は|恵《めぐ》みふかく、 そのいつくしみは、いつまでも|絶《た》えることがない』 [#ここで字下げ終わり] といって、|感謝《かんしゃ》の|供《そな》え|物《もの》を|主《しゅ》の|宮《みや》に|携《たずさ》えてくる|者《もの》の|声《こえ》が|聞《きこ》える。それは、わたしがこの|地《ち》を|再《ふたた》び|栄《さか》えさせて|初《はじ》めのようにするからであると|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|荒《あ》れて、|人《ひと》もおらず|獣《けもの》もいないこの|所《ところ》と、そのすべての|町々《まちまち》に|再《ふたた》びその|群《む》れを|伏《ふ》させる|牧者《ぼくしゃ》のすまいがあるようになる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|山地《さんち》の|町々《まちまち》と、|平地《へいち》の|町々《まちまち》と、ネゲブの|町々《まちまち》と、ベニヤミンの|地《ち》、エルサレムの|周囲《しゅうい》と、ユダの|町々《まちまち》で、|群《む》れは|再《ふたた》びそれを|数《かぞ》える|者《もの》の|手《て》の|下《した》を|通《とお》りすぎると|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、わたしがイスラエルの|家《いえ》とユダの|家《いえ》に|約束《やくそく》したことをなし|遂《と》げる|日《ひ》が|来《く》る。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、その|時《とき》になるならば、わたしはダビデのために一つの|正《ただ》しい|枝《えだ》を|生《しょう》じさせよう。|彼《かれ》は|公平《こうへい》と|正義《せいぎ》を|地《ち》に|行《おこな》う。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、ユダは|救《すくい》を|得《え》、エルサレムは|安《やす》らかにおる。その|名《な》は『|主《しゅ》はわれわれの|正義《せいぎ》』ととなえられる。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、イスラエルの|家《いえ》の|位《くらい》に|座《ざ》する|人《ひと》がダビデの|子孫《しそん》のうちに|欠《か》けることはない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]またわたしの|前《まえ》に|燔祭《はんさい》をささげ、|素祭《そさい》を|焼《や》き、つねに|犠牲《ぎせい》をささげる|人《ひと》が、レビびとである|祭司《さいし》のうちに|絶《た》えることはない」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》はエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、もしあなたがたが、|昼《ひる》と|結《むす》んだわたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、また|夜《よる》と|結《むす》んだわたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、|昼《ひる》と|夜《よる》が|定《さだ》められた|時《とき》に|来《き》ないようにすることができるならば、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しもべダビデとわたしが|結《むす》んだ|契約《けいやく》もまた|破《やぶ》れ、|彼《かれ》はその|位《くらい》に|座《ざ》して|王《おう》となる|子《こ》を|与《あた》えられない。またわたしがわたしに|仕《つか》えるレビびとである|祭司《さいし》に|立《た》てた|契約《けいやく》も|破《やぶ》れる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|星《ほし》は|数《かぞ》えることができず、|浜《はま》の|砂《すな》は|量《はか》ることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの|子孫《しそん》と、わたしに|仕《つか》えるレビびとである|祭司《さいし》の|数《かず》を|増《ま》そう」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》はエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはこの|民《たみ》が、『|主《しゅ》は|自《みずか》ら|選《えら》んだ二つのやからを|捨《す》てた』といっているのを|聞《き》かないか。|彼《かれ》らはこのようにわたしの|民《たみ》を|侮《あなど》って、これを|国《くに》とみなさないのである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、もしわたしが|昼《ひる》と|夜《よる》とに|契約《けいやく》を|立《た》てず、また|天地《てんち》のおきてを|定《さだ》めなかったのであれば、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの|子孫《しそん》を|捨《す》てて、|再《ふたた》び|彼《かれ》の|子孫《しそん》のうちからアブラハム、イサク、ヤコブの|子孫《しそん》を|治《おさ》める|者《もの》を|選《えら》ばない。わたしは|彼《かれ》らを|再《ふたた》び|栄《さか》えさせ、|彼《かれ》らにあわれみをたれよう」。 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデレザルがその|全《ぜん》|軍《ぐん》と、|彼《かれ》に|従《したが》っている|地《ち》のすべての|国《くに》の|人々《ひとびと》、およびもろもろの|民《たみ》を|率《ひき》いて、エルサレムとその|町々《まちまち》を|攻《せ》めて|戦《たたか》っていた|時《とき》に、|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|行《い》ってユダの|王《おう》ゼデキヤに|告《つ》げて|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはこの|町《まち》をバビロンの|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》は|火《ひ》でこれを|焼《や》く。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|手《て》をのがれることはできない、|必《かなら》ず|捕《とら》えられてその|手《て》に|渡《わた》される。あなたはまのあたりバビロンの|王《おう》を|見《み》、|顔《かお》と|顔《かお》を|合《あ》わせて|彼《かれ》と|語《かた》る。それからバビロンへ|行《い》く』。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかしユダの|王《おう》ゼデキヤよ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。|主《しゅ》はあなたの|事《こと》についてこう|言《い》われる、『あなたはつるぎで|死《し》ぬことはない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|安《やす》らかに|死《し》ぬ。|民《たみ》はあなたの|先祖《せんぞ》であるあなたの|先《さき》の|王《おう》たちのために|香《こう》をたいたように、あなたのためにも|香《こう》をたき、またあなたのために|嘆《なげ》いて「ああ、|主君《しゅくん》よ」と|言《い》う』。わたしがこの|言葉《ことば》をいうのであると|主《しゅ》は|言《い》われる」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|預言者《よげんしゃ》エレミヤはこの|言葉《ことば》をことごとくエルサレムでユダの|王《おう》ゼデキヤに|告《つ》げた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》バビロンの|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》はエルサレム、および|残《のこ》っているユダのすべての|町《まち》、すなわちラキシとアゼカを|攻《せ》めて|戦《たたか》っていた。それはユダの|町々《まちまち》のうちに、これらの|堅固《けんご》な|町《まち》がなお|残《のこ》っていたからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤ|王《おう》がエルサレムにいるすべての|民《たみ》と|契約《けいやく》を|立《た》てて、|彼《かれ》らに|釈放《しゃくほう》のことを|告《つ》げ|示《しめ》した|後《のち》に、|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|契約《けいやく》はすなわち|人《ひと》がおのおのそのヘブルびとである|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》を|解放《かいほう》し、その|兄弟《きょうだい》であるユダヤ|人《ひと》を|奴隷《どれい》としないことを|定《さだ》めたものであった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|契約《けいやく》をしたつかさたちと、すべての|民《たみ》は|人《ひと》がおのおのその|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》を|解放《かいほう》し、|再《ふたた》びこれを|奴隷《どれい》としないということに|聞《き》き|従《したが》って、これを|解放《かいほう》したが、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|後《のち》に|心《こころ》を|翻《ひるがえ》し、|解放《かいほう》した|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》をひきかえさせ、|再《ふたた》びこれを|従《したが》わせて|奴隷《どれい》とした。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、わたしはあなたがたの|先祖《せんぞ》をエジプトの|地《ち》、その|奴隷《どれい》であった|家《いえ》から|導《みちび》き|出《だ》した|時《とき》、|彼《かれ》らと|契約《けいやく》を|立《た》てて|言《い》った、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]『あなたがたの|兄弟《きょうだい》であるヘブルびとで、あなたがたに|身《み》を|売《う》り、六|年《ねん》の|間《あいだ》あなたがたに|仕《つか》えた|者《もの》は、六|年《ねん》の|終《おわ》りに、あなたがたおのおのがこれを|解放《かいほう》しなければならない。あなたがたは|彼《かれ》を|解放《かいほう》して、あなたがたに|仕《つか》えることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの|先祖《せんぞ》たちはわたしに|聞《き》き|従《したが》わず、またその|耳《みみ》を|傾《かたむ》けなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたは|今日《こんにち》、|心《こころ》を|改《あらた》め、おのおのその|隣《とな》り|人《びと》に|釈放《しゃくほう》のことを|告《つ》げ|示《しめ》して、わたしの|見《み》て|正《ただ》しいとすることを|行《おこな》い、かつわたしの|名《な》をもってとなえられる|家《いえ》で、わたしの|前《まえ》に|契約《けいやく》を|立《た》てた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ところがあなたがたは|再《ふたた》び|心《こころ》を|翻《ひるがえ》して、わたしの|名《な》を|汚《けが》し、おのおの|男女《だんじょ》の|奴隷《どれい》をその|願《ねが》いのままに|解放《かいほう》したのをひきかえさせ、|再《ふたた》びこれを|従《したが》わせて、あなたがたの|奴隷《どれい》とした。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえに、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたがたがわたしに|聞《き》き|従《したが》わず、おのおのその|兄弟《きょうだい》とその|隣《となり》に|釈放《しゃくほう》のことを|告《つ》げ|示《しめ》さなかったので、|見《み》よ、わたしはあなたがたのために|釈放《しゃくほう》を|告《つ》げ|示《しめ》して、あなたがたをつるぎと、|疫病《えきびょう》と、ききんとに|渡《わた》すと|主《しゅ》は|言《い》われる。わたしはあなたがたを|地《ち》のもろもろの|国《くに》に|忌《い》みきらわれるものとする。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、わたしの|前《まえ》に|立《た》てた|契約《けいやく》の|定《さだ》めに|従《したが》わない|人々《ひとびと》を、わたしは|彼《かれ》らが二つに|裂《さ》いて、その二つの|間《あいだ》を|通《とお》った|子《こ》|牛《うし》のようにする。――[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち二つに|分《わ》けた|子《こ》|牛《うし》の|間《あいだ》を|通《とお》ったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと|宦官《かんがん》と|祭司《さいし》と、この|地《ち》のすべての|民《たみ》を、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|敵《てき》の|手《て》と、その|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》す。その|死体《したい》は|空《そら》の|鳥《とり》と|野《の》の|獣《けもの》の|食物《しょくもつ》となる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたユダの|王《おう》ゼデキヤと、そのつかさたちをその|敵《てき》の|手《て》、その|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|手《て》、あなたがたを|離《はな》れて|去《さ》ったバビロンの|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》の|手《て》に|渡《わた》す。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らに|命《めい》じて、この|町《まち》に|引《ひ》きかえしてこさせる。|彼《かれ》らはこの|町《まち》を|攻《せ》めて|戦《たたか》い、これを|取《と》り、|火《ひ》を|放《はな》って|焼《や》き|払《はら》う。わたしはユダの|町々《まちまち》を|住《す》む|人《ひと》のない|荒《あ》れ|地《ち》とする」。 第三五章[#「第三五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムの|時《とき》、|主《しゅ》からエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「レカブびとの|家《いえ》に|行《い》って、|彼《かれ》らと|語《かた》り、|彼《かれ》らを|主《しゅ》の|宮《みや》の|一室《いっしつ》に|連《つ》れてきて、|酒《さけ》を|飲《の》ませなさい」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしはハバジニヤの|子《こ》エレミヤの|子《こ》であるヤザニヤと、その|兄弟《きょうだい》と、そのむすこたち、およびレカブびとの|全家《ぜんか》を|連《つ》れ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これを|主《しゅ》の|宮《みや》にあるハナンの|子《こ》たちの|室《しつ》に|連《つ》れてきた。ハナンはイグダリヤの|子《こ》であって|神《かみ》の|人《ひと》であった。その|室《しつ》は、つかさたちの|室《しつ》の|次《つぎ》にあって、|門《もん》を|守《まも》るシャルムの|子《こ》マアセヤの|室《しつ》の|上《うえ》にあった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはレカブびとの|前《まえ》に|酒《さけ》を|満《み》たしたつぼと|杯《さかずき》を|置《お》き、|彼《かれ》らに、「|酒《さけ》を|飲《の》みなさい」と|言《い》ったが、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|答《こた》えた、「われわれは|酒《さけ》を|飲《の》みません。それは、レカブの|子《こ》であるわれわれの|先祖《せんぞ》ヨナダブがわれわれに|命《めい》じて、『あなたがたとあなたがたの|子孫《しそん》はいつまでも|酒《さけ》を|飲《の》んではならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|家《いえ》を|建《た》てず、|種《たね》をまかず、またぶどう|畑《はたけ》を|植《う》えてはならない。またこれを|所有《しょゆう》してはならない。あなたがたは|生《い》きながらえる|間《あいだ》は|幕屋《まくや》に|住《す》んでいなさい。そうするならば、あなたがたはその|宿《やど》っている|地《ち》に|長《なが》く|生《い》きることができると|言《い》ったからです』。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわれわれは、レカブの|子《こ》であるわれわれの|先祖《せんぞ》ヨナダブがすべて|命《めい》じた|言葉《ことば》に|従《したが》って、われわれも、|妻《つま》も、むすこ|娘《むすめ》も|生《い》きながらえる|間《あいだ》、|酒《さけ》を|飲《の》まず、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|住《す》む|家《いえ》を|建《た》てず、ぶどう|畑《はたけ》も|畑《はたけ》も|種《たね》も|持《も》たないで、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|幕屋《まくや》に|住《す》み、すべてわれわれの|先祖《せんぞ》ヨナダブがわれわれに|命《めい》じたところに|従《したが》い、そのように|行《おこな》いました。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかしバビロンの|王《おう》ネブカデレザルがこの|地《ち》に|上《のぼ》ってきた|時《とき》、われわれは|言《い》いました、『さあ、われわれはエルサレムへ|行《い》こう。カルデヤびとの|軍勢《ぐんぜい》とスリヤびとの|軍勢《ぐんぜい》が|恐《おそ》ろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに|住《す》んでいるのです」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、|行《い》って、ユダの|人々《ひとびと》とエルサレムに|住《す》む|者《もの》とに|告《つ》げよ。|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、あなたがたはわたしの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|教《おしえ》を|受《う》けないのか。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]レカブの|子《こ》ヨナダブがその|子孫《しそん》に|酒《さけ》を|飲《の》むなと|命《めい》じた|言葉《ことば》は|守《まも》られてきた。|彼《かれ》らは|今日《こんにち》に|至《いた》るまで|酒《さけ》を|飲《の》まず、その|先祖《せんぞ》の|命《いのち》に|従《したが》ってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに|語《かた》ったけれども、わたしに|聞《き》き|従《したが》わなかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、わたしのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちを、しきりにあなたがたにつかわして|言《い》わせた、『あなたがたは|今《いま》おのおのその|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れ、その|行《おこな》いを|改《あらた》めなさい。ほかの|神々《かみがみ》に|従《したが》い|仕《つか》えてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えたこの|地《ち》に|住《す》むことができる』と。しかしあなたがたは|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、わたしに|聞《き》かなかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]レカブの|子《こ》ヨナダブの|子孫《しそん》は、その|先祖《せんぞ》が|彼《かれ》らに|命《めい》じた|命令《めいれい》を|守《まも》っているのである。しかしこの|民《たみ》はわたしに|従《したが》わなかった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、わたしはユダとエルサレムに|住《す》む|者《もの》とに、わたしが|彼《かれ》らの|上《うえ》に|宣告《せんこく》した|災《わざわい》を|下《くだ》す。わたしが|彼《かれ》らに|語《かた》っても|聞《き》かず、|彼《かれ》らを|呼《よ》んでも|答《こた》えなかったからである」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ところでエレミヤはレカブびとの|家《いえ》の|人々《ひとびと》に|言《い》った、「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|仰《おお》せられる、あなたがたは|先祖《せんぞ》ヨナダブの|命《いのち》に|従《したが》い、そのすべての|戒《いまし》めを|守《まも》り、|彼《かれ》があなたがたに|命《めい》じた|事《こと》を|行《おこな》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、レカブの|子《こ》ヨナダブには、わたしの|前《まえ》に|立《た》つ|人《ひと》がいつまでも|欠《か》けることはない」。 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムの四|年《ねん》に|主《しゅ》からこの|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたは|巻物《まきもの》を|取《と》り、わたしがあなたに|語《かた》った|日《ひ》、すなわちヨシヤの|日《ひ》から|今日《こんにち》に|至《いた》るまで、イスラエルとユダと|万国《ばんこく》とに|関《かん》してあなたに|語《かた》ったすべての|言葉《ことば》を、それにしるしなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|家《いえ》がわたしの|下《くだ》そうとしているすべての|災《わざわい》を|聞《き》いて、おのおのその|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れて|帰《かえ》ることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその|罪《つみ》をゆるすかも|知《し》れない」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこでエレミヤはネリヤの|子《こ》バルクを|呼《よ》んだ。バルクはエレミヤの|口述《こうじゅつ》にしたがって、|主《しゅ》が|彼《かれ》にお|告《つ》げになった|言葉《ことば》をことごとく|巻物《まきもの》に|書《か》きしるした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてエレミヤはバルクに|命《めい》じて|言《い》った、「わたしは|主《しゅ》の|宮《みや》に|行《い》くことを|妨《さまた》げられている。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それで、あなたが|行《い》って、|断食《だんじき》の|日《ひ》に|主《しゅ》の|宮《みや》で、すべての|民《たみ》が|聞《き》いているところで、あなたがわたしの|口述《こうじゅつ》にしたがって、|巻物《まきもの》に|筆記《ひっき》した|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|読《よ》みなさい。またユダの|人々《ひとびと》がその|町々《まちまち》から|来《き》て|聞《き》いているところで、それを|読《よ》みなさい。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|前《まえ》に|祈願《きがん》をささげ、おのおのその|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れて|帰《かえ》ることもあろう。|主《しゅ》がこの|民《たみ》に|対《たい》して|宣告《せんこく》された|怒《いか》りと|憤《いきどお》りは|大《おお》きいからである」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてネリヤの|子《こ》バルクはすべて|預言者《よげんしゃ》エレミヤが|自分《じぶん》に|命《めい》じたように、|主《しゅ》の|宮《みや》で、その|巻物《まきもの》に|書《か》かれた|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|読《よ》んだ。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムの五|年《ねん》九|月《がつ》、エルサレムのすべての|民《たみ》と、ユダの|町々《まちまち》からエルサレムに|来《き》たすべての|民《たみ》とは、|主《しゅ》の|前《まえ》に|断食《だんじき》を|行《おこな》うべきことを|告《つ》げ|示《しめ》された。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]バルクは|主《しゅ》の|宮《みや》の|上《うえ》の|庭《にわ》で、|主《しゅ》の|宮《みや》の|新《あたら》しい|門《もん》の|入口《いりぐち》のかたわらにある|書記《しょき》シャパンの|子《こ》であるゲマリヤのへやで、|巻物《まきもの》に|書《か》かれたエレミヤの|言葉《ことば》をすべての|民《たみ》に|読《よ》み|聞《き》かせた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]シャパンの|子《こ》であるゲマリヤの|子《こ》ミカヤはその|巻物《まきもの》にある|主《しゅ》の|言葉《ことば》をことごとく|聞《き》いて、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|家《いえ》にある|書記《しょき》のへやに|下《くだ》って|行《い》くと、もろもろのつかさたち、すなわち|書記《しょき》エリシャマ、シマヤの|子《こ》デラヤ、アカボルの|子《こ》エルナタン、シャパンの|子《こ》ゲマリヤ、ハナニヤの|子《こ》ゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに|座《ざ》していた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ミカヤはバルクが|民《たみ》に|巻物《まきもの》を|読《よ》んで|聞《き》かせたとき、|自分《じぶん》の|聞《き》いたすべての|言葉《ことば》を|彼《かれ》らに|告《つ》げたので、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちはクシの|子《こ》セレミヤの|子《こ》であるネタニヤの|子《こ》エホデをバルクのもとにつかわして|言《い》わせた、「あなたが|民《たみ》に|読《よ》み|聞《き》かせたその|巻物《まきもの》を|手《て》に|取《と》って、|来《き》てください」。そこでネリヤの|子《こ》バルクは|巻物《まきもの》を|手《て》に|取《と》って、|彼《かれ》らのもとに|来《き》たので、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはバルクに|言《い》った、「|座《ざ》してそれを|読《よ》んでください」。バルクはそれを|彼《かれ》らに|読《よ》みきかせた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのすべての|言葉《ことば》を|聞《き》き、|恐《おそ》れて|互《たがい》に|見《み》かわし、バルクに|言《い》った、「われわれはこのすべての|言葉《ことば》を、|王《おう》に|報告《ほうこく》しなければならない」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そしてバルクに|尋《たず》ねて|言《い》った、「このすべての|言葉《ことば》を、あなたがどのようにして|書《か》いたのか|話《はな》してください。|彼《かれ》の|口述《こうじゅつ》によるのですか」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]バルクは|彼《かれ》らに|答《こた》えた、「|彼《かれ》がわたしにこのすべての|言葉《ことば》を|口述《こうじゅつ》したので、わたしはそれを|墨汁《ぼくじゅう》で|巻物《まきもの》に|書《か》いたのです」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちはバルクに|言《い》った、「|行《い》って、エレミヤと|一緒《いっしょ》に|身《み》を|隠《かく》しなさい。|人《ひと》に|所在《しょざい》を|知《し》られてはなりません」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らは|巻物《まきもの》を|書記《しょき》エリシャマのへやに|置《お》いて|庭《にわ》にはいり、|王《おう》のもとへ|行《い》って、このすべての|言葉《ことば》を|王《おう》に|告《つ》げたので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はその|巻物《まきもの》を|持《も》ってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは|書記《しょき》エリシャマのへやから|巻物《まきもの》を|取《と》ってきて、それを|王《おう》と|王《おう》のかたわらに|立《た》っているすべてのつかさたちに|読《よ》みきかせた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》は九|月《がつ》であって、|王《おう》は|冬《ふゆ》の|家《いえ》に|座《ざ》していた。その|前《まえ》に|炉《ろ》があって|火《ひ》が|燃《も》えていた。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]エホデが三|段《だん》か四|段《だん》を|読《よ》むと、|王《おう》は|小刀《こがたな》をもってそれを|切《き》り|取《と》り、|炉《ろ》の|火《ひ》に|投《な》げいれ、ついに|巻物《まきもの》|全部《ぜんぶ》を|炉《ろ》の|火《ひ》で|焼《や》きつくした。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》とその|家来《けらい》たちはこのすべての|言葉《ことば》を|聞《き》いても|恐《おそ》れず、またその|着物《きもの》を|裂《さ》くこともしなかった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが|王《おう》にその|巻物《まきもの》を|焼《や》かないようにと|願《ねが》ったときにも|彼《かれ》は|聞《き》きいれなかった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|王子《おうじ》エラメルとアヅリエルの|子《こ》セラヤとアブデルの|子《こ》セレミヤに、|書記《しょき》バルクと|預言者《よげんしゃ》エレミヤを|捕《とら》えるようにと|命《めい》じたが、|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|隠《かく》された。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]バルクがエレミヤの|口述《こうじゅつ》にしたがって|筆記《ひっき》した|言葉《ことば》を|載《の》せた|巻物《まきもの》を|王《おう》が|焼《や》いた|後《のち》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]「|他《た》の|巻物《まきもの》を|取《と》り、ユダの|王《おう》エホヤキムが|焼《や》いた、|前《まえ》の|巻物《まきもの》のうちにある|言葉《ことば》を|皆《みな》それに|書《か》きしるしなさい。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|王《おう》エホヤキムについて|言《い》いなさい、『|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、あなたはこの|巻物《まきもの》を|焼《や》いて|言《い》った、「どうしてあなたはこの|巻物《まきもの》に、バビロンの|王《おう》が|必《かなら》ず|来《き》てこの|地《ち》を|滅《ほろ》ぼし、ここから|人《ひと》と|獣《けもの》とを|絶《た》やす、と|書《か》いたのか」と。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はユダの|王《おう》エホヤキムについてこう|言《い》われる、|彼《かれ》の|子孫《しそん》にはダビデの|位《くらい》にすわる|者《もの》がなくなる。また|彼《かれ》の|死体《したい》は|捨《す》てられて|昼《ひる》は|暑《あつ》さにあい、|夜《よる》は|霜《しも》にあう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|彼《かれ》とその|子孫《しそん》とその|家来《けらい》たちをその|罪《つみ》のために|罰《ばっ》する。また|彼《かれ》らとエルサレムの|民《たみ》とユダの|人々《ひとびと》には|災《わざわい》を|下《くだ》す。この|災《わざわい》のことについては、すでに|語《かた》ったけれども、|彼《かれ》らは|聞《き》くことをしなかった』」。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]そこでエレミヤは|他《た》の|巻物《まきもの》を|取《と》り、ネリヤの|子《こ》|書記《しょき》バルクに|与《あた》えたので、バルクはユダの|王《おう》エホヤキムが|火《ひ》にくべて|焼《や》いた|巻物《まきもの》のすべての|言葉《ことば》を、エレミヤの|口述《こうじゅつ》にしたがってそれに|書《か》きしるし、また|同《おな》じような|言葉《ことば》を|多《おお》くそれに|加《くわ》えた。 第三七章[#「第三七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨシヤの|子《こ》ゼデキヤはエホヤキムの|子《こ》コニヤに|代《かわ》って|王《おう》となった。バビロンの|王《おう》ネブカデレザルが|彼《かれ》をユダの|地《ち》の|王《おう》としたのである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》もその|家来《けらい》たちも、その|地《ち》の|人々《ひとびと》も、|主《しゅ》が|預言者《よげんしゃ》エレミヤによって|語《かた》られた|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》わなかった。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤ|王《おう》はセレミヤの|子《こ》ユカルと、マアセヤの|子《こ》|祭司《さいし》ゼパニヤを|預言者《よげんしゃ》エレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈《いの》ってください」と|言《い》わせた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤは|民《たみ》の|中《なか》に|出入《でい》りしていた。まだ|獄屋《ごくや》に|入《い》れられなかったからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]パロの|軍勢《ぐんぜい》がエジプトから|出《で》て|来《き》たので、エルサレムを|攻《せ》め|囲《かこ》んでいたカルデヤびとはその|情報《じょうほう》を|聞《き》いてエルサレムを|退《しりぞ》いた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》は|預言者《よげんしゃ》エレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、あなたがたをつかわしてわたしに|求《もと》めたユダの|王《おう》にこう|言《い》いなさい、『あなたがたを|救《すく》うために|出《で》てきたパロの|軍勢《ぐんぜい》はその|国《くに》エジプトに|帰《かえ》ろうとしている。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとが|再《ふたた》び|来《き》てこの|町《まち》を|攻《せ》めて|戦《たたか》い、これを|取《と》って|火《ひ》で|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを|離《はな》れ|去《さ》る」といって|自分《じぶん》を|欺《あざむ》いてはならない。|彼《かれ》らは|去《さ》ることはない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]たといあなたがたが|自分《じぶん》を|攻《せ》めて|戦《たたか》うカルデヤびとの|全《ぜん》|軍《ぐん》を|撃《う》ち|破《やぶ》って、その|天幕《てんまく》のうちに|負傷《ふしょう》|者《もの》のみを|残《のこ》しても、|彼《かれ》らは|立《た》ち|上《あ》がって|火《ひ》でこの|町《まち》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす』」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]さてカルデヤびとの|軍勢《ぐんぜい》がパロの|軍勢《ぐんぜい》の|来《く》るのを|聞《き》いてエルサレムを|退《しりぞ》いたとき、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤは、ベニヤミンの|地《ち》で|民《たみ》のうちに|自分《じぶん》の|分《わ》け|前《まえ》を|受《う》け|取《と》るため、エルサレムを|立《た》ってその|地《ち》へ|行《い》こうと、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|門《もん》に|着《つ》いたとき、そこにハナニヤの|子《こ》セレミヤの|子《こ》でイリヤという|名《な》の|番兵《ばんぺい》がいて、|預言者《よげんしゃ》エレミヤを|捕《とら》え、「あなたはカルデヤびとの|側《がわ》に|脱走《だっそう》しようとしている」と|言《い》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤは|言《い》った、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの|側《がわ》に|脱走《だっそう》しようとしていない」。しかしイリヤは|聞《き》かず、エレミヤを|捕《とら》えて、つかさたちのもとへ|引《ひ》いて|行《い》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]つかさたちは|怒《いか》って、エレミヤを|打《う》ちたたき、|書記《しょき》ヨナタンの|家《いえ》の|獄屋《ごくや》にいれた。この|家《いえ》が|獄屋《ごくや》になっていたからである。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤが|地下《ちか》の|獄屋《ごくや》にはいって、そこに|多《おお》くの|日《ひ》を|送《おく》ってのち、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤ|王《おう》は|人《ひと》をつかわし、|彼《かれ》を|連《つ》れてこさせた。|王《おう》は|自分《じぶん》の|家《いえ》でひそかに|彼《かれ》に|尋《たず》ねて|言《い》った、「|主《しゅ》から|何《なに》かお|言葉《ことば》があったか」。エレミヤはあったと|答《こた》えた。そして|言《い》った、「あなたはバビロンの|王《おう》の|手《て》に|引《ひ》き|渡《わた》されます」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはまたゼデキヤ|王《おう》に|言《い》った、「わたしが|獄屋《ごくや》にいれられたのは、あなたに、またはあなたの|家来《けらい》に、あるいはこの|民《たみ》に、どのような|罪《つみ》を|犯《おか》したからなのですか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたに|預言《よげん》して、『バビロンの|王《おう》はあなたがたをも、この|地《ち》をも|攻《せ》めにこない』と|言《い》っていたあなたがたの|預言者《よげんしゃ》は|今《いま》どこにいるのですか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》なるわが|君《きみ》よ、どうぞ|今《いま》お|聞《き》きください。わたしの|願《ねが》いをお|聞《き》きとどけください。わたしを|書記《しょき》ヨナタンの|家《いえ》へ|帰《かえ》らせないでください。そうでないと、わたしはそこで|殺《ころ》されるでしょう」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでゼデキヤ|王《おう》は|命《めい》を|下《くだ》し、エレミヤを|監視《かんし》の|庭《にわ》に|入《い》れさせ、かつ、パンを|造《つく》る|者《もの》の|町《まち》から|毎日《まいにち》パン一|個《こ》を|彼《かれ》に|与《あた》えさせた。これは|町《まち》にパンがなくなるまで|続《つづ》いた。こうしてエレミヤは|監視《かんし》の|庭《にわ》にいた。 第三八章[#「第三八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]マッタンの|子《こ》シパテヤ、パシュルの|子《こ》ゲダリヤ、セレミヤの|子《こ》ユカル、マルキヤの|子《こ》パシュルはエレミヤがすべての|民《たみ》に|告《つ》げていたその|言葉《ことば》を|聞《き》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「|主《しゅ》はこう|言《い》われる、この|町《まち》にとどまる|者《もの》は、つるぎや、ききんや、|疫病《えきびょう》で|死《し》ぬ。しかし|出《で》てカルデヤびとにくだる|者《もの》は|死《し》を|免《まぬか》れる。すなわちその|命《いのち》を|自分《じぶん》のぶんどり|物《もの》として|生《い》きることができる。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、この|町《まち》は|必《かなら》ずバビロンの|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》の|手《て》に|渡《わた》される。|彼《かれ》はこれを|取《と》る」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すると、つかさたちは|王《おう》に|言《い》った、「この|人《ひと》を|殺《ころ》してください。このような|言葉《ことば》をのべて、この|町《まち》に|残《のこ》っている|兵士《へいし》の|手《て》と、すべての|民《たみ》の|手《て》を|弱《よわ》くしているからです。この|人《ひと》は|民《たみ》の|安泰《あんたい》を|求《もと》めないで、その|災《わざわい》を|求《もと》めているのです」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤ|王《おう》は|言《い》った、「|見《み》よ、|彼《かれ》はあなたがたの|手《て》にある。|王《おう》はあなたがたに|逆《さか》らって|何事《なにごと》をもなし|得《え》ない」。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》らはエレミヤを|捕《とら》え、|監視《かんし》の|庭《にわ》にある|王子《おうじ》マルキヤの|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れた。すなわち、|綱《つな》をもってエレミヤをつり|降《お》ろしたが、その|穴《あな》には|水《みず》がなく、|泥《どろ》だけであったので、エレミヤは|泥《どろ》の|中《なか》に|沈《しず》んだ。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|家《いえ》の|宦官《かんがん》エチオピヤびとエベデメレクは、|彼《かれ》らがエレミヤを|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れたことを|聞《き》いた。その|時《とき》、|王《おう》はベニヤミンの|門《もん》に|座《ざ》していたので、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エベデメレクは|王《おう》の|家《いえ》から|出《で》て|行《い》って|王《おう》に|言《い》った、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|王《おう》なるわが|君《きみ》よ、この|人々《ひとびと》が|預言者《よげんしゃ》エレミヤにしたことはみな|良《よ》いことではありません。|彼《かれ》を|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れました。|町《まち》に|食物《しょくもつ》がなくなりましたから、|彼《かれ》はそこで|餓死《がし》するでしょう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はエチオピヤびとエベデメレクに|命《めい》じて|言《い》った、「ここから三|人《にん》のひとを|連《つ》れて|行《い》って、|預言者《よげんしゃ》エレミヤを、|死《し》なないうちに|穴《あな》から|引《ひ》き|上《あ》げなさい」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでエベデメレクはその|人々《ひとびと》を|連《つ》れて|王《おう》の|家《いえ》の|倉《くら》の|衣服《いふく》|室《しつ》に|行《い》き、そこから|古《ふる》い|布《ぬの》|切《き》れや、|着《き》ふるした|着物《きもの》を|取《と》り、これを|穴《あな》の|中《なか》にいるエレミヤのところへ、|綱《つな》をもってつり|降《お》ろした。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この|布《ぬの》|切《き》れや|着物《きもの》を、あなたのわきの|下《した》にはさんで、|綱《つな》に|当《あ》てなさい」とエレミヤに|言《い》った。エレミヤはそのようにした。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》らは|綱《つな》をもってエレミヤを|穴《あな》から|引《ひ》き|上《あ》げた。そしてエレミヤは|監視《かんし》の|庭《にわ》にとどまった。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤ|王《おう》は|人《ひと》をつかわして|預言者《よげんしゃ》エレミヤを|主《しゅ》の|宮《みや》の|第《だい》三の|門《もん》に|連《つ》れてこさせ、|王《おう》はエレミヤに|言《い》った、「あなたに|尋《たず》ねたいことがある。|何事《なにごと》もわたしに|隠《かく》してはならない」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはゼデキヤに|言《い》った、「もしわたしがお|話《はな》するなら、あなたは|必《かなら》ずわたしを|殺《ころ》されるではありませんか。たといわたしが|忠告《ちゅうこく》をしても、あなたはお|聞《き》きにならないでしょう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ゼデキヤ|王《おう》は、ひそかにエレミヤに|誓《ちか》って|言《い》った、「われわれの|魂《たましい》を|造《つく》られた|主《しゅ》は|生《い》きておられる。わたしはあなたを|殺《ころ》さない、またあなたの|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|手《て》に、あなたを|渡《わた》すこともしない」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでエレミヤはゼデキヤに|言《い》った、「|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、もしあなたがバビロンの|王《おう》のつかさたちに|降伏《こうふく》するならば、あなたの|命《いのち》は|助《たす》かり、またこの|町《まち》は|火《ひ》で|焼《や》かれることなく、あなたも、あなたの|家《いえ》の|者《もの》も|生《い》きながらえることができる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしあなたが|出《で》てバビロンの|王《おう》のつかさたちに|降伏《こうふく》しないならば、この|町《まち》はカルデヤびとの|手《て》に|渡《わた》される。|彼《かれ》らは|火《ひ》でこれを|焼《や》く。あなたはその|手《て》をのがれることができない」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤ|王《おう》はエレミヤに|言《い》った、「わたしはカルデヤびとに|脱走《だっそう》したユダヤ|人《ひと》を|恐《おそ》れている。カルデヤびとはわたしを|彼《かれ》らの|手《て》に|渡《わた》し、|彼《かれ》らはわたしをはずかしめる」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤは|言《い》った、「|彼《かれ》らはあなたを|渡《わた》さないでしょう。どうか、わたしがあなたに|告《つ》げた|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》ってください。そうすれば|幸《さいわい》を|得《え》、また|命《いのち》が|助《たす》かります。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|降伏《こうふく》することを|拒《こば》むならば、|主《しゅ》がわたしに|示《しめ》された|幻《まぼろし》を|申《もう》しましょう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、ユダの|王《おう》の|家《いえ》に|残《のこ》っている|女《おんな》たちは、みなバビロンの|王《おう》のつかさたちの|所《ところ》へ|引《ひ》いて|行《い》かれます。その|女《おんな》たちは|言《い》うのです、 [#ここから2字下げ] 『あなたの|親《した》しい|友《とも》だちがあなたを|欺《あざむ》いた、 そしてあなたに|勝《か》った。 |今《いま》あなたの|足《あし》は|泥《どろ》に|沈《しず》んでいるので、 |彼《かれ》らはあなたを|捨《す》てて|去《さ》る』。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|妻《つま》たちと|子供《こども》たちは|皆《みな》カルデヤびとの|所《ところ》へひき|出《だ》される。あなた|自身《じしん》もその|手《て》をのがれることができず、バビロンの|王《おう》に|捕《とら》えられる。そしてこの|町《まち》は|火《ひ》で|焼《や》かれるでしょう」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤはエレミヤに|言《い》った、「これらの|言葉《ことば》を|人《ひと》に|知《し》らせてはならない。そうすればあなたは|殺《ころ》されることはない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたと|話《はなし》をしたことを、つかさたちが|聞《き》いて、|彼《かれ》らがあなたの|所《ところ》に|来《き》て、『あなたが|王《おう》に|話《はな》したこと、|王《おう》があなたに|話《はな》したことをわれわれに|告《つ》げなさい。|何事《なにごと》も|隠《かく》してはならない。われわれはあなたを|殺《ころ》しはしない』と|言《い》うならば、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに、『わたしは|王《おう》に|願《ねが》って、わたしをヨナタンの|家《いえ》に|送《おく》り|返《かえ》さず、そこで|死《し》ぬことのないようにしてくださいと|言《い》った』と|答《こた》えなさい」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]さて、つかさたちは|皆《みな》エレミヤのところへ|来《き》て|尋《たず》ねたが、|王《おう》が|彼《かれ》に|教《おし》えたように|彼《かれ》らに|答《こた》えたので、|彼《かれ》らは|彼《かれ》と|話《はな》すことをやめた。その|会話《かいわ》を|聞《き》いた|者《もの》がなかったからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはエルサレムの|取《と》られる|日《ひ》まで|監視《かんし》の|庭《にわ》にとどまっていた。 第三九章[#「第三九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ゼデキヤの九|年《ねん》十|月《がつ》、バビロンの|王《おう》ネブカデレザルはその|全《ぜん》|軍《ぐん》を|率《ひき》い、エルサレムに|来《き》てこれを|攻《せ》め|囲《かこ》んだが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤの十一|年《ねん》四|月《がつ》九|日《か》になって|町《まち》の|一角《いっかく》が|破《やぶ》れた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムが|取《と》られたので、バビロンの|王《おう》のつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの|王《おう》のその|他《た》のつかさたちは|皆《みな》ともに|来《き》て|中《なか》の|門《もん》に|座《ざ》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ゼデキヤとすべての|兵士《へいし》たちはこれを|見《み》て|逃《に》げ、|夜《よる》のうちに、|王《おう》の|庭園《ていえん》の|道《みち》を|通《とお》って、二つの|城壁《じょうへき》の|間《あいだ》の|門《もん》から|町《まち》を|出《で》て、アラバの|方《ほう》へ|行《い》ったが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとの|軍勢《ぐんぜい》はこれを|追《お》って、エリコの|平地《へいち》でゼデキヤに|追《お》いつき、これを|捕《とら》えて、ハマテの|地《ち》リブラにいるバビロンの|王《おう》ネブカデレザルのもとに|引《ひ》いて|行《い》ったので、|王《おう》はそこで|彼《かれ》の|罪《つみ》をさだめた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》はリブラで、ゼデキヤの|子《こ》たちを|彼《かれ》の|目《め》の|前《まえ》で|殺《ころ》した。バビロンの|王《おう》はまたユダのすべての|貴族《きぞく》たちを|殺《ころ》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまたゼデキヤの|目《め》をつぶさせ、|彼《かれ》をバビロンに|引《ひ》いて|行《い》くために、|鎖《くさり》につないだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またカルデヤびとは|王宮《おうきゅう》と|民家《みんか》を|火《ひ》で|焼《や》き、エルサレムの|城壁《じょうへき》を|破壊《はかい》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そして|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは|町《まち》のうちに|残《のこ》っている|民《たみ》と、|自分《じぶん》に|降伏《こうふく》した|者《もの》、およびその|他《た》の|残《のこ》っている|民《たみ》をバビロンに|捕《とら》え|移《うつ》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは、|民《たみ》の|貧《まず》しい|無産《むさん》|者《もの》をユダの|地《ち》に|残《のこ》し、|同時《どうじ》にぶどう|畑《はたけ》と|田地《でんち》をこれに|与《あた》えた。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]さてバビロンの|王《おう》ネブカデレザルはエレミヤの|事《こと》について|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンに|命《めい》じて|言《い》った、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「|彼《かれ》をとり、よく|世話《せわ》をせよ。|害《がい》を|加《くわ》えることなく、|彼《かれ》があなたに|言《い》うようにしてやりなさい」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの|王《おう》のつかさたちは、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》をつかわして、エレミヤを|監視《かんし》の|庭《にわ》から|連《つ》れてこさせ、シャパンの|子《こ》アヒカムの|子《こ》であるゲダリヤに|託《たく》して、|家《いえ》につれて|行《い》かせた。こうして|彼《かれ》は|民《たみ》のうちにいた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤが|監視《かんし》の|庭《にわ》に|閉《と》じこめられていた|時《とき》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|彼《かれ》に|臨《のぞ》んだ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「|行《い》って、エチオピヤびとエベデメレクに|告《つ》げなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしの|言《い》った|災《わざわい》をわたしはこの|町《まち》に|下《くだ》す、|幸《さいわい》をこれに|下《くだ》すのではない。その|日《ひ》、この|事《こと》があなたの|目《め》の|前《まえ》で|成就《じょうじゅ》する。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》わたしはあなたを|救《すく》う。あなたは|自分《じぶん》の|恐《おそ》れている|人々《ひとびと》の|手《て》に|渡《わた》されることはない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|必《かなら》ずあなたを|救《すく》い、つるぎに|倒《たお》れることのないようにするからである。あなたの|命《いのち》はあなたのぶんどり|物《もの》となる。あなたがわたしに|寄《よ》り|頼《たよ》んだからであると|主《しゅ》は|言《い》われる』」。 第四〇章[#「第四〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは、バビロンに|移《うつ》されるエルサレムとユダの|人々《ひとびと》のうちにエレミヤを|鎖《くさり》につないでおいて、これを|捕《とら》えて|行《い》ったが、ついにラマで|彼《かれ》を|釈放《しゃくほう》した。その|後《のち》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》の|長《ちょう》はエレミヤを|召《め》して|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこの|所《ところ》にこの|災《わざわい》を|下《くだ》すと|告《つ》げ|示《しめ》された。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこれを|下《くだ》し、|自《みずか》ら|言《い》われたとおりに|行《おこな》われた。あなたがたが|主《しゅ》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》し、み|声《こえ》に|従《したが》わなかったから、この|事《こと》があなたがたの|上《うえ》に|臨《のぞ》んだのだ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはきょう、あなたの|手《て》の|鎖《くさり》を|解《と》いてあなたを|釈放《しゃくほう》する。もしあなたがわたしと|一緒《いっしょ》にバビロンへ|行《い》くのが|良《よ》いと|思《おも》われるなら、おいでなさい。わたしは、じゅうぶんあなたの|世話《せわ》をします。もしあなたがわたしと|一緒《いっしょ》にバビロンには|行《い》きたくないなら、|行《い》かなくてもよろしい。|見《み》よ、この|地《ち》はみなあなたの|前《まえ》にあります、あなたが|良《よ》いと|思《おも》い、|正《ただ》しいと|思《おも》う|所《ところ》に|行《い》きなさい。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがとどまるならば、バビロンの|王《おう》がユダの|町々《まちまち》の|総督《そうとく》として|立《た》てたシャパンの|子《こ》アヒカムの|子《こ》であるゲダリヤの|所《ところ》へ|帰《かえ》り、|彼《かれ》と|共《とも》に|民《たみ》のうちに|住《す》みなさい。あるいはまたあなたが|正《ただ》しいと|思《おも》う|所《ところ》へ|行《い》きなさい」。こうして|侍衛《じえい》の|長《ちょう》は|彼《かれ》に|糧食《りょうしょく》と|贈《おく》り|物《もの》を|与《あた》えて|去《さ》らせた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでエレミヤはミヅパへ|行《い》き、アヒカムの|子《こ》ゲダリヤの|所《ところ》へ|行《い》って、|彼《かれ》と|共《とも》にその|地《ち》に|残《のこ》っている|民《たみ》のうちに|住《す》んだ。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さて|野外《やがい》にいた|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちと、その|配下《はいか》の|人々《ひとびと》は、バビロンの|王《おう》がアヒカムの|子《こ》ゲダリヤを|立《た》てて、その|地《ち》の|総督《そうとく》とし、|男《おとこ》、|女《おんな》、|子供《こども》、および|国《くに》のうちのバビロンに|移《うつ》されない|貧《まず》しい|者《もの》を|彼《かれ》に|委託《いたく》した|事《こと》を|聞《き》いたので、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ネタニヤの|子《こ》イシマエルと、カレヤの|子《こ》ヨハナンおよびタンホメテの|子《こ》セラヤと、ネトパびとであるエパイの|子《こ》たちと、マアカびとの|子《こ》ヤザニヤおよびその|配下《はいか》の|人々《ひとびと》は、ミヅパにいるゲダリヤのもとへ|行《い》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]シャパンの|子《こ》であるアヒカムの|子《こ》ゲダリヤは、|彼《かれ》らとその|配下《はいか》の|人々《ひとびと》に|誓《ちか》って|言《い》った、「カルデヤびとに|仕《つか》えることを|恐《おそ》れるに|及《およ》ばない。この|地《ち》に|住《す》んでバビロンの|王《おう》に|仕《つか》えるならば、あなたがたは|幸福《こうふく》になる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはミヅパにいて、われわれの|所《ところ》に|来《く》るカルデヤびとの|前《まえ》に、あなたがたのために|立《た》ちましょう。あなたがたは、ぶどう|酒《しゅ》や|夏《なつ》のくだもの、|油《あぶら》を|集《あつ》めて、それを|器《うつわ》にたくわえ、あなたがたの|獲《え》た|町々《まちまち》に|住《す》みなさい」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|同《おな》じように、モアブとアンモンびとのうち、またエドムおよび|他《た》の|国々《くにぐに》にいるユダヤ|人《ひと》は、バビロンの|王《おう》がユダに|人《ひと》を|残《のこ》したことと、シャパンの|子《こ》であるアヒカムの|子《こ》ゲダリヤを|立《た》ててその|総督《そうとく》としたこととを|聞《き》いた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこでそのユダヤ|人《ひと》らはみなその|追《お》いやられたもろもろの|所《ところ》から|帰《かえ》ってきて、ユダの|地《ち》のミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。そして|多《おお》くのぶどう|酒《しゅ》と|夏《なつ》のくだものを|集《あつ》めた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またカレヤの|子《こ》ヨハナンと、|野外《やがい》にいた|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちはみなミヅパにいるゲダリヤのもとにきて、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》った、「アンモンびとの|王《おう》バアリスがあなたを|殺《ころ》すためにネタニヤの|子《こ》イシマエルをつかわしたことを|知《し》っていますか」。しかしアヒカムの|子《こ》ゲダリヤは|彼《かれ》らの|言《い》うことを|信《しん》じなかったので、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]カレヤの|子《こ》ヨハナンはミヅパでひそかにゲダリヤに|言《い》った、「わたしが|行《い》って、|人《ひと》に|知《し》れないように、ネタニヤの|子《こ》イシマエルを|殺《ころ》しましょう。どうして|彼《かれ》があなたを|殺《ころ》して、あなたの|周囲《しゅうい》に|集《あつ》まっているユダヤ|人《ひと》を|散《ち》らし、ユダの|残《のこ》った|者《もの》を|滅《ほろ》ぼしてよいでしょう」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかしアヒカムの|子《こ》ゲダリヤはカレヤの|子《こ》ヨハナンに|言《い》った、「この|事《こと》をしてはならない。あなたはイシマエルについて|偽《いつわ》りを|言《い》っているのです」。 第四一章[#「第四一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]七|月《がつ》のころ、|王《おう》|家《いえ》のもので、エリシャマの|子《こ》ネタニヤの|子《こ》であり、また|王《おう》の|高官《こうかん》のひとりであるイシマエルは、|王《おう》の十|人《にん》のつかさたちと|共《とも》にミヅパにいたアヒカムの|子《こ》ゲダリヤのもとにきて、ミヅパで|食《しょく》を|共《とも》にしたが、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ネタニヤの|子《こ》イシマエルおよび|共《とも》にいた十|人《にん》の|者《もの》は|立《た》ち|上《あ》がって、バビロンの|王《おう》がこの|地《ち》の|総督《そうとく》としたシャパンの|子《こ》アヒカムの|子《こ》であるゲダリヤを|刀《かたな》で|殺《ころ》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イシマエルはまたミヅパでゲダリヤと|共《とも》にいたすべてのユダヤ|人《ひと》と、たまたまそこにいたカルデヤびとの|兵士《へいし》たちを|殺《ころ》した。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ゲダリヤが|殺《ころ》された|次《つぎ》の|日《ひ》、まだだれもその|事《こと》を|知《し》らないうちに、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]八十|人《にん》の|人々《ひとびと》がそのひげをそり、|衣服《いふく》をさき、|身《み》に|傷《きず》をつけ、|手《て》には|素祭《そさい》のささげ|物《もの》と|香《こう》を|携《たずさ》え、シケム、シロ、サマリヤからきて、|主《しゅ》の|宮《みや》にささげようとした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ネタニヤの|子《こ》イシマエルはミヅパから|泣《な》きながら|出《で》てきて|彼《かれ》らを|迎《むか》え、|彼《かれ》らに|会《あ》って、「アヒカムの|子《こ》ゲダリヤのもとにおいでなさい」と|言《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らが|町《まち》の|中《なか》にはいったとき、ネタニヤの|子《こ》イシマエルは|自分《じぶん》と|一緒《いっしょ》にいた|人々《ひとびと》と|共《とも》に|彼《かれ》らを|殺《ころ》して、その|死体《したい》を|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかしそのうちの十|人《にん》はイシマエルに|向《む》かい、「わたしたちは|畑《はたけ》に|小麦《こむぎ》、|大麦《おおむぎ》、|油《あぶら》、および|蜜《みつ》を|隠《かく》しています、わたしたちを|殺《ころ》さないでください」と|言《い》ったので、|彼《かれ》らをその|仲間《なかま》と|共《とも》に|殺《ころ》さないでしまった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イシマエルが|自分《じぶん》の|殺《ころ》した|人々《ひとびと》の|死体《したい》を|投《な》げ|入《い》れた|穴《あな》は、アサ|王《おう》がイスラエルの|王《おう》バアシャを|恐《おそ》れて|掘《ほ》った|穴《あな》であった。ネタニヤの|子《こ》イシマエルは|殺《ころ》した|人々《ひとびと》をこれに|満《み》たした。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|次《つ》いでイシマエルはミヅパに|残《のこ》っているすべての|民《たみ》、すなわち|王《おう》の|娘《むすめ》たちと|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンがアヒカムの|子《こ》ゲダリヤに|託《たく》したミヅパに|残《のこ》っているすべての|民《たみ》とを|捕虜《ほりょ》とした。ネタニヤの|子《こ》イシマエルは|彼《かれ》らを|捕虜《ほりょ》とし、アンモンびとのもとに|渡《わた》り|行《い》こうとして|立《た》ち|去《さ》った。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]カレヤの|子《こ》ヨハナンおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいる|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちはネタニヤの|子《こ》イシマエルの|行《い》った|悪事《あくじ》をみな|聞《き》き、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|兵士《へいし》たちを|率《ひき》いて、ネタニヤの|子《こ》イシマエルと|戦《たたか》うために|出《で》て|行《い》き、ギベオンの|大池《おおいけ》のほとりで|彼《かれ》に|会《あ》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イシマエルと|共《とも》にいる|人々《ひとびと》は、カレヤの|子《こ》ヨハナンおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいる|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちを|見《み》て|喜《よろこ》んだ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてイシマエルがミヅパから|捕虜《ほりょ》にしてきた|人々《ひとびと》は|身《み》をめぐらしてカレヤの|子《こ》ヨハナンのもとへ|行《い》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ネタニヤの|子《こ》イシマエルは八|人《にん》の|者《もの》と|共《とも》にヨハナンを|避《さ》けて|逃《に》げ、アンモンびとの|所《ところ》へ|行《い》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこでカレヤの|子《こ》ヨハナンおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいる|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちはネタニヤの|子《こ》イシマエルがアヒカムの|子《こ》ゲダリヤを|殺《ころ》して、ミヅパから|捕虜《ほりょ》として|連《つ》れてきた、あの|残《のこ》っていた|民《たみ》、すなわち|兵士《へいし》や|女《おんな》、|子供《こども》、|宦官《かんがん》をギベオンから|連《つ》れ|帰《かえ》ったが、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトへ|行《い》こうとしてベツレヘムの|近《ちか》くにあるゲルテ・キムハムへ|行《い》って、そこにとどまった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]これは、ネタニヤの|子《こ》イシマエルが、バビロンの|王《おう》によってこの|地《ち》の|総督《そうとく》に|任《にん》じられたアヒカムの|子《こ》ゲダリヤを|殺《ころ》したことにより、カルデヤびとを|恐《おそ》れたからである。 第四二章[#「第四二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そのとき|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たち、およびカレヤの|子《こ》ヨハナンと、ホシャヤの|子《こ》アザリヤ、ならびに|民《たみ》の|最《もっと》も|小《ちい》さい|者《もの》から|最《もっと》も|大《おお》いなる|者《もの》にいたるまで、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]みな|預言者《よげんしゃ》エレミヤの|所《ところ》に|来《き》て|言《い》った、「どうかあなたの|前《まえ》にわれわれの|求《もと》めが|受《う》けいれられますように。われわれのため、この|残《のこ》っている|者《もの》すべてのために、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈《いの》ってください、(|今《いま》ごらんのとおり、われわれは|多《おお》くのうち、わずかに|残《のこ》っている|者《もの》です)[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そうすれば、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は、われわれの|行《い》くべき|道《みち》と、なすべき|事《こと》をお|示《しめ》しになるでしょう」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》エレミヤは|彼《かれ》らに|言《い》った、「よくわかりました。あなたがたの|求《もと》めにしたがって、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈《いの》りましょう。|主《しゅ》があなたがたに|答《こた》えられることを、|何事《なにごと》も|隠《かく》さないであなたがたに|言《い》いましょう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエレミヤに|言《い》った、「もし、あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》があなたをつかわしてお|告《つ》げになるすべての|言葉《ことば》を、われわれが|行《おこな》わないときは、どうか|主《しゅ》がわれわれに|対《たい》してまことの|真実《しんじつ》な|証人《しょうにん》となられるように。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|良《よ》くても|悪《わる》くても、われわれがあなたをつかわそうとするわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|従《したが》います。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|従《したが》うとき、われわれは|幸《さいわい》を|得《え》るでしょう」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]十|日《か》の|後《のち》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がエレミヤに|臨《のぞ》んだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはカレヤの|子《こ》ヨハナンおよび|彼《かれ》と|共《とも》にいる|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たち、ならびに|民《たみ》の|最《もっと》も|小《ちい》さい|者《もの》から|最《もっと》も|大《おお》いなる|者《もの》までことごとく|招《まね》いて、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》った、「あなたがたがわたしをつかわして、あなたの|祈願《きがん》をその|前《まえ》にのべさせたイスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|言《い》われます、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]もしあなたがたがこの|地《ち》にとどまるならば、わたしはあなたがたを|建《た》てて|倒《たお》すことなく、あなたがたを|植《う》えて|抜《ぬ》くことはしない。わたしはあなたがたに|災《わざわい》を|下《くだ》したことを|悔《く》いているからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、あなたが|恐《おそ》れているバビロンの|王《おう》を|恐《おそ》れてはならない。|彼《かれ》を|恐《おそ》れてはならない、わたしが|共《とも》にいて、あなたがたを|救《すく》い、|彼《かれ》の|手《て》から|助《たす》け|出《だ》すからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたをあわれみ、また|彼《かれ》にあなたがたをあわれませ、あなたがたを|自分《じぶん》の|地《ち》にとどまらせる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしあなたがたが、『われわれはこの|地《ち》にとどまらない』といって、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》にしたがわず、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また、『いいえ、われわれはあの|戦争《せんそう》を|見《み》ず、ラッパの|声《こえ》を|聞《き》かず、|食物《しょくもつ》も|乏《とぼ》しくないエジプトの|地《ち》へ|行《い》って、あそこに|住《す》まおう』と|言《い》うならば、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた、ユダの|残《のこ》っている|者《もの》たちよ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、もしあなたがたがむりにエジプトへ|行《い》ってそこに|住《す》むならば、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|恐《おそ》れているつるぎはエジプトの|地《ち》であなたがたに|追《お》いつき、あなたがたの|恐《おそ》れているききんは、すぐあとを|追《お》ってエジプトまで|行《い》き、その|所《ところ》であなたがたは|死《し》ぬ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すべてむりにエジプトへ|行《い》ってそこに|住《す》む|者《もの》は、つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》で|死《し》ぬ。わたしが|彼《かれ》らに|下《くだ》そうとしている|災《わざわい》をのがれて|残《のこ》る|者《もの》はそのうちにない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしの|怒《いか》りと|憤《いきどお》りとをエルサレムの|住民《じゅうみん》の|上《うえ》に|注《そそ》いだように、わたしの|憤《いきどお》りは、あなたがたがエジプトへ|行《い》くとき、あなたがたの|上《うえ》に|注《そそ》ぐ。あなたがたは、のろいとなり、|恐怖《きょうふ》となり、ののしりとなり、はずかしめとなる。あなたがたは|再《ふたた》びこの|所《ところ》を|見《み》ることができない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|残《のこ》っている|者《もの》たちよ、『エジプトへ|行《い》ってはならない』と|主《しゅ》はあなたがたに|言《い》われた。わたしがきょう|警告《けいこく》したことを、あなたがたは|確《たし》かに|知《し》らなければならない。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはみずからそむき|去《さ》って、|命《いのち》を|失《うしな》った。なぜなら、あなたがたがわたしをあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》につかわし、『われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈《いの》り、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|言《い》われることをことごとく|示《しめ》してください。われわれはそれを|行《おこな》います』と|言《い》ったので、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはきょうそれを|示《しめ》したが、あなたがたはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》を|聞《き》かず、|主《しゅ》がわたしをつかわして|命《めい》じさせられた|事《こと》には、すこしも|従《したが》わなかったからである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたが|行《い》って|住《す》まうことを|願《ねが》っているその|所《ところ》で、あなたがたはつるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》で|死《し》ぬことを|確《たし》かに|知《し》らなければならない」。 第四三章[#「第四三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤがすべての|民《たみ》にむかって、|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》をことごとく|語《かた》り、|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》が|自分《じぶん》をつかわして|言《い》わせられるその|言葉《ことば》をみな|告《つ》げ|終《おわ》った|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ホシャヤの|子《こ》アザリヤと、カレヤの|子《こ》ヨハナンおよび|高慢《こうまん》な|人々《ひとびと》はみなエレミヤに|言《い》った、「あなたは|偽《いつわ》りを|言《い》っている。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》が、『エジプトへ|行《い》ってそこに|住《す》むな』と|言《い》わせるためにあなたをつかわされたのではない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ネリヤの|子《こ》バルクがあなたをそそのかして、われわれに|逆《さか》らわせ、われわれをカルデヤびとの|手《て》に|渡《わた》して|殺《ころ》すか、あるいはバビロンに|捕《とら》え|移《うつ》させるのだ」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてカレヤの|子《こ》ヨハナンと|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちおよび|民《たみ》らは|皆《みな》、|主《しゅ》の|声《こえ》にしたがわず、ユダの|地《ち》にとどまろうとしなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてカレヤの|子《こ》ヨハナンと|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》たちは、ユダに|残《のこ》っている|者《もの》すなわち|追《お》いやられた|国々《くにぐに》からユダの|地《ち》に|住《す》むために|帰《かえ》ってきた|者《もの》、――[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|男《おとこ》、|女《おんな》、|子供《こども》、|王《おう》の|娘《むすめ》たち、およびすべて|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンがシャパンの|子《こ》であるアヒカムの|子《こ》ゲダリヤに|渡《わた》しておいた|者《もの》、ならびに|預言者《よげんしゃ》エレミヤとネリヤの|子《こ》バルクをつれて、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|地《ち》へ|行《い》った。|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|声《こえ》にしたがわなかったのである。そして|彼《かれ》らはついにタパネスに|行《い》った。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》はタパネスでエレミヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|大《おお》きな|石《いし》を|手《て》に|取《と》り、ユダの|人々《ひとびと》の|目《め》の|前《まえ》で、これをタパネスにあるパロの|宮殿《きゅうでん》の|入口《いりぐち》の|敷石《しきいし》のしっくいの|中《なか》に|隠《かく》して、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|使者《ししゃ》をつかわして、わたしのしもべであるバビロンの|王《おう》ネブカデレザルを|招《まね》く。|彼《かれ》はその|位《くらい》をこの|隠《かく》した|石《いし》の|上《うえ》にすえ、その|上《うえ》に|王《おう》の|天蓋《てんがい》を|張《は》る。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|来《き》てエジプトの|地《ち》を|撃《う》ち、|疫病《えきびょう》に|定《さだ》まっている|者《もの》を|疫病《えきびょう》に|渡《わた》し、とりこに|定《さだ》まっている|者《もの》をとりこにし、つるぎに|定《さだ》まっている|者《もの》をつるぎにかける。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はエジプトの|神々《かみがみ》の|宮《みや》に|火《ひ》をつけてこれを|焼《や》き、|彼《かれ》らをとりこにする。そして|羊《ひつじ》を|飼《か》う|者《もの》が|着物《きもの》の|虫《むし》をはらいきよめるように、エジプトの|地《ち》をきよめる。|彼《かれ》は|安《やす》らかにそこを|去《さ》る。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はエジプトの|地《ち》にあるヘリオポリスのオベリスクをこわし、エジプトの|神々《かみがみ》の|宮《みや》を|火《ひ》で|焼《や》く』」。 第四四章[#「第四四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|地《ち》に|住《す》んでいるユダヤ|人《ひと》すなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの|地《ち》に|住《す》む|者《もの》の|事《こと》についてエレミヤに|臨《のぞ》んだ|言葉《ことば》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの|町々《まちまち》に|下《くだ》した|災《わざわい》を|見《み》た。|見《み》よ、これらは|今日《こんにち》、すでに|荒《あ》れ|地《ち》となって|住《す》む|人《ひと》もない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らが|悪《あく》を|行《い》って、わたしを|怒《いか》らせたことによるのである。すなわち|彼《かれ》らは|自分《じぶん》も、あなたがたも、あなたがたの|先祖《せんぞ》たちも|知《し》らなかった、ほかの|神々《かみがみ》に|行《い》って、|香《こう》をたき、これに|仕《つか》えた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|自分《じぶん》のしもべであるすべての|預言者《よげんしゃ》たちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの|忌《い》みきらうこの|憎《にく》むべき|事《こと》をしないように』と|言《い》わせたけれども、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|聞《き》かず、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、ほかの|神々《かみがみ》に|香《こう》をたいて、その|悪《あく》を|離《はな》れなかった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|怒《いか》りと|憤《いきどお》りをユダの|町々《まちまち》とエルサレムのちまたに|注《そそ》ぎ、それを|焼《や》いたので、それらは|今日《こんにち》のように|荒《あ》れ、|滅《ほろ》びてしまった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は|今《いま》こう|言《い》われる、あなたがたはなぜ|大《おお》いなる|悪《あく》を|行《い》って|自分《じぶん》|自身《じしん》を|害《がい》し、ユダのうちから、あなたがたの|男《おとこ》と|女《おんな》と、|子供《こども》と|乳《ち》のみ|子《ご》を|断《た》って、ひとりも|残《のこ》らないようにしようとするのか。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]なぜあなたがたはその|手《て》のわざをもってわたしを|怒《いか》らせ、あなたがたが|行《い》って|住《す》まうエジプトの|地《ち》で、ほかの|神々《かみがみ》に|香《こう》をたいて|自分《じぶん》の|身《み》を|滅《ほろ》ぼし、|地《ち》の|万国《ばんこく》のうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|地《ち》とエルサレムのちまたで|行《い》ったあなたがたの|先祖《せんぞ》たちの|悪《あく》、ユダの|王《おう》たちの|悪《あく》、その|妻《つま》たちの|悪《あく》、およびあなたがた|自身《じしん》の|悪《あく》、あなたがたの|妻《つま》たちの|悪《あく》をあなたがたは|忘《わす》れたのか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|今日《こんにち》に|至《いた》るまで|悔《く》いず、また|恐《おそ》れず、あなたがたとあなたがたの|先祖《せんぞ》たちの|前《まえ》に|立《た》てた、わたしの|律法《りっぽう》とわたしの|定《さだ》めとに|従《したが》って|歩《あゆ》まないのである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|顔《かお》をあなたがたに|向《む》けて|災《わざわい》を|下《くだ》し、ユダの|人々《ひとびと》をことごとく|断《た》つ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは、エジプトの|地《ち》に|住《す》むために、むりに|行《い》ったあのユダの|残《のこ》りの|者《もの》を|取《と》り|除《のぞ》く。|彼《かれ》らはみな|滅《ほろ》ぼされてエジプトの|地《ち》に|倒《たお》れる。|彼《かれ》らは、つるぎとききんに|滅《ほろ》ぼされ、|最《もっと》も|小《ちい》さい|者《もの》から|最《もっと》も|大《おお》いなる|者《もの》まで、つるぎとききんによって|死《し》ぬ。そして、のろいとなり、|恐怖《きょうふ》となり、ののしりとなり、はずかしめとなる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエルサレムを|罰《ばっ》したように、つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》をもってエジプトに|住《す》んでいる|者《もの》を|罰《ばっ》する。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、エジプトの|地《ち》へ|行《い》ってそこに|住《す》んでいるユダの|残《のこ》りの|者《もの》のうち、のがれ、または|残《のこ》って、|帰《かえ》り|住《す》まおうと|願《ねが》うユダの|地《ち》へ|帰《かえ》る|者《もの》はひとりもない。|少数《しょうすう》ののがれる|者《もの》のほかには、|帰《かえ》ってくる|者《もの》はない」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|自分《じぶん》の|妻《つま》がほかの|神々《かみがみ》に|香《こう》をたいたことを|知《し》っている|人々《ひとびと》、およびその|所《ところ》に|立《た》っている|女《おんな》たちの|大《おお》いなる|群衆《ぐんしゅう》、ならびにエジプトの|地《ち》のパテロスに|住《す》んでいる|民《たみ》はエレミヤに|答《こた》えて|言《い》った、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「あなたが|主《しゅ》の|名《な》によってわたしたちに|述《の》べられた|言葉《ことば》は、わたしたちは|聞《き》くことができません。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちは|誓《ちか》ったことをみな|行《おこな》い、わたしたちが、もと|行《い》っていたように|香《こう》を|天后《てんこう》にたき、また|酒《さけ》をその|前《まえ》に|注《そそ》ぎます。すなわち、ユダの|町々《まちまち》とエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの|先祖《せんぞ》たちおよびわたしたちの|王《おう》たちと、わたしたちのつかさたちが|行《い》ったようにいたします。その|時《とき》には、わたしたちは|糧食《りょうしょく》には|飽《あ》き、しあわせで、|災《わざわい》に|会《あ》いませんでした。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ところが、わたしたちが、|天后《てんこう》に|香《こう》をたくことをやめ、|酒《さけ》をその|前《まえ》に|注《そそ》がなくなった|時《とき》から、すべての|物《もの》に|乏《とぼ》しくなり、つるぎとききんに|滅《ほろ》ぼされました」。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|女《おんな》たちは|言《い》った、「わたしたちが|天后《てんこう》に|香《こう》をたき、|酒《さけ》をその|前《まえ》に|注《そそ》ぐに|当《あた》って、これにかたどってパンを|造《つく》り、|酒《さけ》を|注《そそ》いだのは、わたしたちの|夫《おっと》が|許《ゆる》したことではありませんか」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでエレミヤは|男女《だんじょ》のすべての|人《ひと》、およびこの|答《こたえ》をしたすべての|民《たみ》に|言《い》った、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|町々《まちまち》とエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの|先祖《せんぞ》たち、およびあなたがたの|王《おう》たちとあなたがたのつかさたち、およびその|地《ち》の|民《たみ》が|香《こう》をたいたことは、|主《しゅ》がこれを|忘《わす》れず、また、|心《こころ》にとどめておられることではないか。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたがたの|悪《あ》しきわざのため、あなたがたの|憎《にく》むべき|行《おこな》いのために、もはや|忍《しの》ぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの|地《ち》は|今日《こんにち》のごとく|荒《あ》れ|地《ち》となり、|驚《おどろ》きとなり、のろいとなり、|住《す》む|人《ひと》のない|地《ち》となった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|香《こう》をたき、|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》し、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、その|律法《りっぽう》と、|定《さだ》めと、あかしに|従《したが》って|歩《あゆ》まなかったので、|今日《こんにち》のようにこの|災《わざわい》があなたがたに|臨《のぞ》んだのである」。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはまたすべての|民《たみ》と|女《おんな》たちに|言《い》った、「あなたがたすべてエジプトの|地《ち》にいるユダの|人々《ひとびと》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたとあなたがたの|妻《つま》たちは|口《くち》で|言《い》い、|手《て》で|行《おこな》い、『わたしたちは|天后《てんこう》に|香《こう》をたき、|酒《さけ》を|注《そそ》いで|立《た》てた|誓《ちか》いを|必《かなら》ずなし|遂《と》げる』と|言《い》う。それならば、あなたがたの|誓《ちか》いをかため、あなたがたの|誓《ちか》いをなし|遂《と》げなさい。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたすべてエジプトの|地《ち》にいるユダの|人々《ひとびと》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》きなさい。|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしは|自分《じぶん》の|大《おお》いなる|名《な》をさして|誓《ちか》う、すなわちエジプトの|全《ぜん》|地《ち》に、ユダの|人々《ひとびと》で、その|口《くち》に、『|主《しゅ》なる|神《かみ》は|生《い》きておられる』と|言《い》って、わたしの|名《な》をとなえるものは、もはやひとりもないようになる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らを|見守《みまも》っている、それは|幸《さいわい》を|与《あた》えるためではなく、|災《わざわい》を|下《くだ》すためである。エジプトの|地《ち》にいるユダの|人々《ひとびと》は、つるぎとききんによって|滅《ほろ》び|絶《た》える。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、つるぎをのがれるわずかの|者《もの》はエジプトの|地《ち》を|出《で》てユダの|地《ち》に|帰《かえ》る。そしてユダの|残《のこ》っている|民《たみ》でエジプトに|来《き》て|住《す》んだ|者《もの》は、わたしの|言葉《ことば》が|立《た》つか、|彼《かれ》らの|言葉《ことば》が|立《た》つか、いずれであるかを|知《し》るようになる。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしがこの|所《ところ》であなたがたを|罰《ばっ》するしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに|災《わざわい》を|下《くだ》そうと|言《い》った|事《こと》の|必《かなら》ず|立《た》つことを|知《し》らせよう。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはユダの|王《おう》ゼデキヤを、その|命《いのち》を|求《もと》める|敵《てき》であるバビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|手《て》に|渡《わた》したように、エジプトの|王《おう》パロ・ホフラをその|敵《てき》の|手《て》、その|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》す」。 第四五章[#「第四五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムの四|年《ねん》に、ネリヤの|子《こ》バルクがこれらの|言葉《ことば》をエレミヤの|口述《こうじゅつ》にしたがって|書《しょ》にしるした|時《とき》、|預言者《よげんしゃ》エレミヤが|彼《かれ》に|語《かた》った|言葉《ことば》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「バルクよ、イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたについてこう|言《い》われる、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、|主《しゅ》がわたしの|苦《くる》しみに|悲《かな》しみをお|加《くわ》えになった。わたしは|嘆《なげ》き|疲《つか》れて、|安息《あんそく》が|得《え》られない』と|言《い》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこう|彼《かれ》に|言《い》いなさい、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|自分《じぶん》で|建《た》てたものをこわし、|自分《じぶん》で|植《う》えたものを|抜《ぬ》いている――それは、この|全《ぜん》|地《ち》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》のために|大《おお》いなる|事《こと》を|求《もと》めるのか、これを|求《もと》めてはならない。|見《み》よ、わたしはすべての|人《ひと》に|災《わざわい》を|下《くだ》そうとしている。しかしあなたの|命《いのち》はあなたの|行《ゆ》くすべての|所《ところ》で、ぶんどり|物《もの》としてあなたに|与《あた》えると|主《しゅ》は|言《い》われる」。 第四六章[#「第四六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国《くに》の|事《こと》について|預言者《よげんしゃ》エレミヤに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|事《こと》、すなわちユフラテ|川《かわ》のほとりにあるカルケミシの|近《ちか》くにいるエジプトの|王《おう》パロ・ネコの|軍勢《ぐんぜい》の|事《こと》について。これはユダの|王《おう》ヨシヤの|子《こ》エホヤキムの四|年《ねん》に、バビロンの|王《おう》ネブカデレザルが|撃《う》ち|破《やぶ》ったものである。その|言葉《ことば》は|次《つぎ》のとおりである、 [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「|大盾《おおだて》と|小盾《こだて》とを|備《そな》え、|進《すす》んで|戦《たたか》え。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|騎兵《きへい》よ、|馬《うま》を|戦車《せんしゃ》につなぎ、|馬《うま》に|乗《の》れ。 かぶとをかぶって|立《た》て。 ほこをみがき、よろいを|着《き》よ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|見《み》たが、|何《なに》ゆえか|彼《かれ》らは|恐《おそ》れて|退《しりぞ》き、 その|勇士《ゆうし》たちは|打《う》ち|敗《やぶ》られ、あわてて|逃《に》げて、 うしろをふり|向《む》くこともしない、―― |恐《おそ》れが|彼《かれ》らの|周囲《しゅうい》にあると|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|足早《あしばや》き|者《もの》も|逃《に》げることができず、 |勇士《ゆうし》ものがれることができない。 |北《きた》の|方《ほう》、ユフラテ|川《かわ》のほとりで |彼《かれ》らはつまずき|倒《たお》れた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あのナイル|川《かわ》のようにわきあがり、 |川々《かわがわ》のように、その|水《みず》のさかまく|者《もの》はだれか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エジプトはナイル|川《かわ》のようにわきあがり、 その|水《みず》は|川々《かわがわ》のようにさかまく。 そしてこれは|言《い》う、わたしは|上《のぼ》って、|地《ち》をおおい、 |町々《まちまち》とそのうちに|住《す》む|者《もの》を|滅《ほろ》ぼそう。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|馬《うま》よ、|進《すす》め、|車《くるま》よ、|激《はげ》しく|走《はし》れ。 |勇士《ゆうし》よ、|盾《たて》を|取《と》るエチオピヤびとと、プテびとよ、 |弓《ゆみ》を|巧《たく》みに|引《ひ》くルデびとよ、|進《すす》み|出《で》よ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》は|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》の|日《ひ》であって、 |主《しゅ》があだを|報《むく》いられる|日《ひ》、 その|敵《てき》にあだをかえされる|日《ひ》だ。 つるぎは|食《た》べて|飽《あ》き、 |彼《かれ》らの|血《ち》に|酔《よ》う。 |万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》が、|北《きた》の|地《ち》で、ユフラテ|川《かわ》のほとりで、 ほふることをなされるからだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]おとめなるエジプトの|娘《むすめ》よ、 ギレアデに|上《のぼ》って|乳香《にゅうこう》を|取《と》れ。 あなたは|多《おお》くの|薬《くすり》を|用《もち》いても、むだだ。 あなたは、いやされることはない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|恥《はじ》は|国々《くにぐに》に|聞《きこ》えている、 あなたの|叫《さけ》びは|地《ち》に|満《み》ちている。 |勇士《ゆうし》が|勇士《ゆうし》につまずいて、|共《とも》に|倒《たお》れたからである」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデレザルが|来《き》て、エジプトの|地《ち》を|撃《う》とうとする|事《こと》について、|主《しゅ》が|預言者《よげんしゃ》エレミヤにお|告《つ》げになった|言葉《ことば》、 [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]「エジプトで|宣《の》べ、ミグドルで|告《つ》げ|示《しめ》し、 またメンピスとタパネスに|告《つ》げ|示《しめ》して|言《い》え、 『|堅《かた》く|立《た》って、|備《そな》えせよ、 つるぎがあなたの|周囲《しゅうい》を、|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》すからだ』。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、アピスはのがれたのか。 あなたの|雄牛《おうし》は、なぜ|立《た》たなかったのか。 それは|主《しゅ》がこれを|倒《たお》されたからだ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|属《ぞく》する|多《おお》くの|兵《へい》は、つまずいて|倒《たお》れた。 そして|互《たがい》に|言《い》った、『|立《た》てよ、 われわれは、しえたげる|者《もの》のつるぎを|避《さ》けて、 われわれの|民《たみ》に|帰《かえ》り、|故郷《こきょう》の|地《ち》へ|行《い》こう』と。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|王《おう》パロの|名《な》を、 『|好機《こうき》を|逸《いっ》する|騒《さわ》がしい|者《もの》』と|呼《よ》べ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》という|名《な》の|王《おう》は|言《い》われる、 わたしは|生《い》きている、 |彼《かれ》は|山々《やまやま》のうちのタボルのように、 |海《うみ》のほとりのカルメルのように|来《きた》り|臨《のぞ》む。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトに|住《す》む|民《たみ》よ、 |捕《とら》われのために|荷物《にもつ》を|備《そな》えよ。 メンピスは|荒《あ》れ|地《ち》となり、 |廃虚《はいきょ》となって|住《す》む|人《ひと》もなくなる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]エジプトは|美《うつく》しい|雌《めす》の|子《こ》|牛《うし》だ、 しかし|北《きた》から、|牛《うし》ばえが|来《き》て、それにとまった。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そのうちにいる|雇《やとい》|兵《へい》でさえ、|肥《こ》えた|子《こ》|牛《うし》のようだ。 |彼《かれ》らはふり|返《かえ》って|共《とも》に|逃《に》げ、|立《た》つことをしなかった。 |彼《かれ》らの|災難《さいなん》の|日《ひ》、その|罰《ばっ》せられる|時《とき》が|来《き》たからだ。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|逃《に》げ|去《さ》るへびのような|音《おと》をたてる。 その|敵《てき》が|軍勢《ぐんぜい》を|率《ひき》いて|彼《かれ》に|臨《のぞ》み、 きこりのように、おのをもって|来《く》るからだ。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|彼《かれ》の|林《はやし》がいかに|入《い》り|込《こ》みがたくとも、 それを|切《き》り|倒《たお》す。 |彼《かれ》らはいなごよりも|多《おお》く、 |数《かぞ》えがたいからであると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|娘《むすめ》ははずかしめを|受《う》け、 |北《きた》からくる|民《たみ》の|手《て》に|渡《わた》される」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》は|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその|神々《かみがみ》とその|王《おう》たち、すなわちパロと|彼《かれ》を|頼《たの》む|者《もの》とを|罰《ばっ》する。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを、その|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|手《て》と、バビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|手《て》と、その|家来《けらい》たちの|手《て》に|渡《わた》す。その|後《のち》、エジプトは|昔《むかし》のように|人《ひと》の|住《す》む|所《ところ》となると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここから2字下げ] [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしのしもべヤコブよ、|恐《おそ》れることはない、 イスラエルよ、|驚《おどろ》くことはない。 |見《み》よ、わたしがあなたを|遠《とお》くから|救《すく》い、 あなたの|子孫《しそん》をその|捕《とら》え|移《うつ》された|地《ち》から |救《すく》うからだ。 ヤコブは|帰《かえ》ってきて、おだやかに、|安《やす》らかになり、 |彼《かれ》を|恐《おそ》れさせる|者《もの》はない。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしのしもべヤコブよ、 |恐《おそ》れることはない、わたしが|共《とも》にいるからだ。 わたしはあなたを|追《お》いやった|国々《くにぐに》を ことごとく|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》す。 しかしあなたを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》すことはしない。 わたしは|正《ただ》しい|道《みち》に|従《したが》って、あなたを|懲《こ》らしめる、 |決《けっ》して|罰《ばっ》しないではおかない」。 [#ここで字下げ終わり] 第四七章[#「第四七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]パロがまだガザを|撃《う》たなかったころ、ペリシテびとの|事《こと》について|預言者《よげんしゃ》エレミヤに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 |見《み》よ、|水《みず》は|北《きた》から|起《おこ》り、あふれ|流《なが》れて、 この|地《ち》と、そこにあるすべての|物《もの》、 その|町《まち》と、その|中《なか》に|住《す》む|者《もの》とにあふれかかる。 その|時《とき》、|人々《ひとびと》は|叫《さけ》び、この|地《ち》に|住《す》む|者《もの》はみな|嘆《なげ》く。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そのたくましい|馬《うま》のひずめの|踏《ふ》み|鳴《な》らす|音《おと》のため、 その|戦車《せんしゃ》の|響《ひび》きのため、 その|車輪《しゃりん》のとどろきのために、 |父《ちち》はその|手《て》が|弱《よわ》くなって、 |自分《じぶん》の|子《こ》をも|顧《かえり》みない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これは、ペリシテびとを|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》し、 ツロとシドンに|残《のこ》って|助《たす》けをなす|者《もの》を ことごとく|絶《た》やす|日《ひ》が|来《く》るからである。 |主《しゅ》はカフトルの|海岸《かいがん》に|残《のこ》っている ペリシテびとを|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ガザには|髪《かみ》をそることが|始《はじ》まっている。 アシケロンは|滅《ほろ》びた。 アナクびとの|残《のこ》りの|民《たみ》よ、 いつまで|自分《じぶん》の|身《み》に|傷《きず》つけるのか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のつるぎよ、 おまえはいつになれば|静《しず》かになるのか。 おまえのさやに|帰《かえ》り、|休《やす》んで|静《しず》かにしておれ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がこれに|命《いのち》を|下《くだ》されたのだ、 どうして|静《しず》かにしておれようか。 アシケロンと|海岸《かいがん》の|地《ち》を|攻《せ》めることを |定《さだ》められたのだ」。 [#ここで字下げ終わり] 第四八章[#「第四八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|事《こと》について、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「ああ、ネボはわざわいだ、これは|滅《ほろ》ぼされた。 キリヤタイムははずかしめられて|取《と》られ、 とりでは、はずかしめられてこわされた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|誉《ほまれ》は、|消《き》え|去《さ》った。 ヘシボンで|人々《ひとびと》はモアブの|害《がい》を|図《はか》り、 『さあ、この|国《くに》を|断《た》ち|滅《ほろ》ぼそう』という。 マデメンよ、おまえもまた|滅《ほろ》ぼされる、 つるぎがおまえを|追《お》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ホロナイムから|叫《さけ》び|声《ごえ》が|聞《きこ》える、 『|荒廃《こうはい》と|大《おお》いなる|滅亡《めつぼう》だ』という。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]モアブは|滅《ほろ》ぼされ、 |叫《さけ》びはゾアルにまで|聞《きこ》える。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|泣《な》きながらルヒテの|坂《さか》を|登《のぼ》る。 |彼《かれ》らはホロナイムの|下《くだ》り|坂《ざか》で、 『|滅亡《めつぼう》』の|叫《さけ》びを|聞《き》いたからだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|逃《に》げて、|自分《じぶん》の|身《み》を|救《すく》え、 |荒野《あらの》の|野《の》ろばのようになれ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]おまえが、とりでと|財宝《ざいほう》とを|頼《たの》みにしたので、 おまえも|捕《とら》えられるからだ。 またケモシは、その|祭司《さいし》とつかさたちと|共《とも》に、 |捕《とら》えられて|行《い》く。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|滅《ほろ》ぼす|者《もの》はすべての|町《まち》に|来《く》る、 一つの|町《まち》ものがれることができない。 |谷《たに》は|滅《ほろ》び、|平地《へいち》は|荒《あら》される、 |主《しゅ》の|言《い》われたとおりである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]モアブに|翼《つばさ》を|与《あた》えて、|飛《と》び|去《さ》らせよ。 その|町々《まちまち》は|荒《あ》れて、|住《す》む|者《もの》はなくなる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のわざを|行《おこな》うことを|怠《おこた》る|者《もの》はのろわれる。またそのつるぎを|押《おさ》えて|血《ち》を|流《なが》さない|者《もの》はのろわれる。 [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]モアブはその|幼《おさな》い|時《とき》から|安《やす》らかで、 |酒《さけ》が、|沈《しず》んだおりの|上《うえ》にとどまって、 |器《うつわ》から|器《うつわ》に、くみ|移《うつ》されなかったように、 |捕《とら》え|移《うつ》されなかったので、 その|味《あじ》はなお|存《そん》し、その|香気《こうき》も|変《かわ》ることがない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、それゆえ|見《み》よ、わたしがこれを|傾《かたむ》ける|者《もの》どもをつかわす|日《ひ》が|来《く》る。|彼《かれ》らはこれを|傾《かたむ》け、その|器《うつわ》をあけ、そのかめを|砕《くだ》く。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》モアブはケモシのために|恥《はじ》をかく。ちょうどイスラエルの|家《いえ》がその|頼《たの》みとしたベテルのために|恥《はじ》をかいたようになる。 [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはどうして 『われわれは|勇士《ゆうし》だ。|強《つよ》い|戦士《せんし》だ』というのか。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]モアブとその|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼす|者《もの》は|上《のぼ》って|来《き》、 モアブのえり|抜《ぬ》きの|若者《わかもの》たちは|下《くだ》って|殺《ころ》されたと |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》と|名《な》のる|王《おう》が|言《い》われる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|災難《さいなん》は|近《ちか》づいている、 その|苦難《くなん》はすみやかに|来《く》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すべてその|周囲《しゅうい》にある|者《もの》よ、 またその|名《な》を|知《し》る|者《もの》よ、 |彼《かれ》のために|嘆《なげ》いて、 『ああ、|強《つよ》き|笏《しゃく》、|麗《うるわ》しきつえは、 ついに|折《お》れた』と|言《い》え。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]デボンに|住《す》む|者《もの》よ、ああなたの|栄《さか》えを|離《はな》れて|下《くだ》り、かわいた|地《ち》に|座《ざ》せよ。 モアブを|滅《ほろ》ぼす|者《もの》があなたに|攻《せ》めのぼって|来《き》て、 あなたの|城《しろ》を|滅《ほろ》ぼしたからだ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]アロエルに|住《す》む|者《もの》よ、 |道《みち》のかたわらに|立《た》って|見張《みは》りし、 |逃《に》げてくる|男《おとこ》、のがれてくる|女《おんな》に|尋《たず》ねて、 『|何《なに》が|起《おこ》ったのか』と|言《い》え。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]モアブは|敗《やぶ》れて、|恥《はじ》をこうむっている。 |嘆《なげ》き|呼《よ》ばわれ。 アルノン|川《かわ》のほとりで、 モアブは|滅《ほろ》ぼされたと|告《つ》げよ。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]さばきは|高原《こうげん》の|地《ち》に|臨《のぞ》み、ホロン、ヤハズ、メパアテ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ケリオテ、ボズラなどモアブの|地《ち》のすべての|町《まち》の、|遠《とお》いものにも|近《ちか》いものにも、|臨《のぞ》んだ。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]モアブの|角《つの》は|砕《くだ》け、その|腕《うで》は|折《お》れたと|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]モアブを|酔《よ》わせよ、|彼《かれ》が|主《しゅ》に|敵《てき》して|自《みずか》ら|高《たか》ぶったからである。モアブは|自分《じぶん》の|吐《は》いた|物《もの》の|中《なか》にころがって、|笑《わら》い|草《ぐさ》となる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはあなたの|笑《わら》い|草《ぐさ》ではなかったか。あなたが、|彼《かれ》のことを|語《かた》るごとに|首《くび》を|振《ふ》ったのは、|彼《かれ》が|盗賊《とうぞく》の|中《なか》にいたとでもいうのか。 [#ここから2字下げ] [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]モアブに|住《す》む|者《もの》よ、|町《まち》を|去《さ》って|岩《いわ》の|間《あいだ》に|住《す》め。 |谷《たに》の|入口《いりぐち》のかたわらに|巣《す》を|作《つく》る |山《やま》ばとのようにせよ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]われわれはモアブの|高慢《こうまん》な|事《こと》を|聞《き》いた、 その|高慢《こうまん》は、はなはだしい。 すなわち、その|尊大《そんだい》、|高慢《こうまん》、|横柄《おうへい》、 およびその|心《こころ》の|高《たか》ぶりのことを|聞《き》いた。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしは|彼《かれ》の|横着《おうちゃく》なのを|知《し》る、 |彼《かれ》の|自慢《じまん》は|偽《いつわ》りで、その|行《おこな》いも|偽《いつわ》りである。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはモアブのために|嘆《なげ》き、 モアブの|全《ぜん》|地《ち》のために|呼《よ》ばわる。 キルヘレスの|人々《ひとびと》のためにわたしは|悲《かな》しむ。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]シブマのぶどうの|木《き》よ、 わたしはヤゼルのために|泣《な》くのにまさって おまえのために|泣《な》く。 おまえのつるは|延《の》びて|海《うみ》を|越《こ》え、ヤゼルに|及《およ》んだ。 おまえの|夏《なつ》の|実《み》と、その|収穫《しゅうかく》を|滅《ほろ》ぼす|者《もの》が |襲《おそ》ってきた。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|喜《よろこ》びと|楽《たの》しみは、|実《みの》り|多《おお》いモアブの|地《ち》を|去《さ》った。 わたしは、ぶどうをしぼる|所《ところ》にも|酒《さけ》をなくした。 |楽《たの》しく|呼《よ》ばわって、ぶどうを|踏《ふ》む|者《もの》もなくなった。 |呼《よ》ばわっても、|喜《よろこ》んで|呼《よ》ばわる|声《こえ》ではない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンとエレアレは|叫《さけ》ぶ。ヤハヅに|至《いた》るまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに|至《いた》るまで、|彼《かれ》らはその|声《こえ》をあげる。ニムリムの|水《みず》も|絶《た》えたからである。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしは|犠牲《ぎせい》を|高《たか》き|所《ところ》にささげ、|香《こう》をその|神《かみ》にたく|者《もの》をモアブのうちに|滅《ほろ》ぼす。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしの|心《こころ》はモアブのために|笛《ふえ》のように|嘆《なげ》き、わたしの|心《こころ》はキルヘレスの|人々《ひとびと》のために|笛《ふえ》のように|嘆《なげ》く。|彼《かれ》らの|獲《え》た|富《とみ》が|消《き》えうせたからである。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はみな|髪《かみ》をそり、|皆《みな》ひげをそり、みな|手《て》に|傷《きず》をつけ、|腰《こし》に|荒布《あらぬの》を|着《つ》ける。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]モアブではどこの|屋根《やね》の|上《うえ》も、|広場《ひろば》も、ただ|悲《かな》しみに|包《つつ》まれている。これは、わたしが、だれもほしがらない|器《うつわ》のようにモアブを|砕《くだ》いたからであると|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]ああ、モアブはついに|滅《ほろ》びた。|人々《ひとびと》は|嘆《なげ》く。ああ、モアブは|恥《は》じて|顔《かお》をそむけた。モアブはその|周囲《しゅうい》のすべての|者《もの》の|笑《わら》い|草《ぐさ》となり|恐《おそ》れとなった」。 [#ここから2字下げ] [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、|敵《てき》はわしのように|速《はや》く|飛《と》んできて、 モアブに|向《む》かって|翼《つばさ》をのべる。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|町々《まちまち》は|取《と》られ、|城《しろ》は|奪《うば》われる。 その|日《ひ》モアブの|勇士《ゆうし》の|心《こころ》は |子《こ》を|産《う》む|女《おんな》の|心《こころ》のようになる。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]モアブは|滅《ほろ》ぼされて、|国《くに》を|成《な》さないようになる。 |主《しゅ》に|敵《てき》して|自《みずか》ら|誇《ほこ》ったからである。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 モアブに|住《す》む|者《もの》よ、 |恐《おそ》れと、|穴《あな》と、わなとがあなたに|臨《のぞ》んでいる。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れをさけて|逃《に》げる|者《もの》は|穴《あな》におちいり、 |穴《あな》をよじ|上《のぼ》って|出《で》る|者《もの》は、わなに|捕《とら》えられる。 わたしがモアブに、その|罰《ばっ》せられる|年《とし》に、 これらのものを|臨《のぞ》ませるからであると |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|逃《に》げた|者《もの》はヘシボンの|陰《かげ》に、|力《ちから》なく|立《た》ちどまる。 ヘシボンから|火《ひ》が|出《で》、シホンの|家《いえ》から|炎《ほのお》が|出《で》て、 モアブの|額《ひたい》、|騒《さわ》ぐ|人々《ひとびと》の|頭《あたま》の|頂《いただき》を|焼《や》いたからだ。 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]モアブよ、おまえはわざわいだ。 ケモシの|民《たみ》は|滅《ほろ》びた。 おまえのむすこらは|捕《とら》え|移《うつ》され、 おまえの|娘《むすめ》らも|捕《とら》え|行《ゆ》かれたからである。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|末《すえ》の|日《ひ》にわたしは|再《ふたた》びモアブを|栄《さか》えさせると |主《しゅ》は|言《い》われる」。 ここまではモアブのさばきの|事《こと》をいったのである。 [#ここで字下げ終わり] 第四九章[#「第四九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]アンモンびとについて、 |主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「イスラエルには|子《こ》がないのか、|世継《よつ》ぎがないのか。 どうしてミルコムがガドを|追《お》い|出《だ》して、 その|民《たみ》がその|町々《まちまち》に|住《す》んでいるのか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 それゆえ、|見《み》よ、アンモンびとのラバを|攻《せ》める |戦《たたか》いの|叫《さけ》びを、わたしが|聞《きこ》えさせる|日《ひ》が|来《く》る。 ラバは|荒塚《あれづか》となり、その|村々《むらむら》は|火《ひ》で|焼《や》かれる。 そのときイスラエルは|自分《じぶん》を|追《お》い|出《だ》した|者《もの》どもを |追《お》い|出《だ》すと|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヘシボンよ|嘆《なげ》け、アイは|滅《ほろ》ぼされた。 ラバの|娘《むすめ》たちよ|呼《よ》ばわれ。 |荒布《あらぬの》を|身《み》にまとい、|悲《かな》しんで、 まがきのうちを|走《はし》りまわれ。 ミルコムとその|祭司《さいし》およびつかさが |共《とも》に|捕《とら》え|移《うつ》されるからだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|不信《ふしん》の|娘《むすめ》よ、 あなたはなぜ|自分《じぶん》の|谷《たに》の|事《こと》を|誇《ほこ》るのか。 あなたは|自分《じぶん》の|富《とみ》に|寄《よ》り|頼《たよ》んで、 『だれがわたしに|攻《せ》めてくるものか』と|言《い》う。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》は|言《い》われる、 |見《み》よ、わたしはあなたの|上《うえ》に|恐《おそ》れを|臨《のぞ》ませる、 それはあなたの|周囲《しゅうい》の|者《もの》から|来《く》る。 あなたは|追《お》われて、おのおの|直《ただ》ちに|他人《たにん》に|続《つづ》き、 |逃《に》げる|者《もの》を|集《あつ》める|人《ひと》もない。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを|再《ふたた》び|栄《さか》えさせると、|主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エドムの|事《こと》について、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「テマンには、もはや|知恵《ちえ》がないのか。 さとい|者《もの》には|計《はか》りごとがなくなったのか。 その|知恵《ちえ》は|消《き》えうせたのか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]デダンに|住《す》む|者《もの》よ、 |逃《に》げよ、のがれよ、|深《ふか》い|所《ところ》に|隠《かく》れよ。 わたしがエサウの|災難《さいなん》を|彼《かれ》の|上《うえ》に|臨《のぞ》ませ、 |彼《かれ》を|罰《ばっ》する|時《とき》をこさせるからだ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ぶどうを|集《あつ》める|者《もの》があなたの|所《ところ》に|来《き》たならば、 すこしの|実《み》をも|残《のこ》さないであろうか。 |夜《よる》、|盗《ぬす》びとが|来《き》たならば、 |自分《じぶん》たちの|満足《まんぞく》するだけ|滅《ほろ》ぼさないであろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはエサウを|裸《はだか》にし、 その|隠《かく》れる|所《ところ》を|現《あらわ》したので、 |彼《かれ》はその|身《み》を|隠《かく》すことができない。 その|子《こ》どもたちも、|兄弟《きょうだい》も、|隣《とな》り|人《びと》も|滅《ほろ》ぼされる。 そして|彼《かれ》は、いなくなる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのみなしごを|残《のこ》せ、 わたしがそれを|生《い》きながらえさせる。 あなたのやもめには、わたしに|寄《よ》り|頼《たの》ませよ」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「もし、|杯《さかずき》を|飲《の》むべきでない|者《もの》もそれを|飲《の》まなければならなかったとすれば、あなたは|罰《ばつ》を|免《まぬか》れることができようか。あなたは|罰《ばつ》を|免《まぬか》れない。それを|飲《の》まなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしは|自分《じぶん》をさして|誓《ちか》った、ボズラは|驚《おどろ》きとなり、ののしりとなり、|荒《あ》れ|地《ち》となり、のろいとなる。その|町々《まちまち》は|長《なが》く|荒《あ》れ|地《ち》となる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|主《しゅ》からのおとずれを|聞《き》いた。 ひとりの|使者《ししゃ》がつかわされて|万国《ばんこく》に|行《い》き、 そして|言《い》った、 「あなたがたは|集《あつ》まり、|行《い》って|彼《かれ》を|攻《せ》め、|立《た》って|戦《たたか》え。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたを|万国《ばんこく》のうちに|小《ちい》さい|者《もの》とし、 |人々《ひとびと》のうちに|卑《いや》しめられる|者《もの》とする。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》の|割《わ》れ|目《め》に|住《す》み、|山《やま》の|高《たか》みを|占《し》める|者《もの》よ、 あなたの|恐《おそ》ろしい|事《こと》と、あなたの|心《こころ》の|高《たか》ぶりが、 あなたを|欺《あざむ》いた。 あなたは、わたしのように|巣《す》を|高《たか》い|所《ところ》に|作《つく》っているが、 わたしはその|所《ところ》からあなたを|取《と》りおろすと |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エドムは|恐《おそ》れとなる。そのかたわらを|通《とお》り|過《す》ぎる|者《もの》はみな|恐《おそ》れ、その|災《わざわい》のために、|舌打《したう》ちする。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、ソドムとゴモラとその|隣《となり》の|町々《まちまち》がくつがえされた|時《とき》のように、そこに|住《す》む|人《ひと》はなく、そこに|宿《やど》る|人《ひと》もなくなる。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、ししがヨルダンの|密林《みつりん》から|上《のぼ》ってきて、じょうぶな|羊《ひつじ》のおりを|襲《おそ》うように、わたしは、たちまち|彼《かれ》らをそこから|逃《に》げ|走《はし》らせ、わたしの|選《えら》ぶ|者《もの》をその|上《うえ》に|立《た》てる。だれかわたしのような|者《もの》があるであろうか。だれがわたしを|呼《よ》びつけることができようか。どの|牧者《ぼくしゃ》がわたしの|前《まえ》に|立《た》つことができようか。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、エドムに|対《たい》して|主《しゅ》が|立《た》てた|計《はか》りごとと、テマンに|住《す》む|者《もの》に|対《たい》してしようとする|事《こと》を|聞《き》くがよい。|彼《かれ》らの|群《む》れのうちの|小《ちい》さいものまでも|皆《みな》、|引《ひ》かれて|行《い》く。|彼《かれ》らのおりのものもその|終《おわ》りを|見《み》て|恐《おそ》れる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|倒《たお》れる|音《おと》を|聞《き》いて、|地《ち》は|震《ふる》い、|彼《かれ》らの|叫《さけ》び|声《ごえ》は|紅海《こうかい》にも|聞《きこ》える。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|敵《てき》はわしのように|上《のぼ》り、すみやかに|飛《と》びかけり、その|翼《つばさ》をボズラの|上《うえ》に|張《は》り|広《ひろ》げる。その|日《ひ》エドムの|勇士《ゆうし》の|心《こころ》は|子《こ》を|産《う》む|女《おんな》の|心《こころ》のようになる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ダマスコの|事《こと》について、 「ハマテとアルパデは、うろたえている、 |彼《かれ》らは|悪《わる》いおとずれを|聞《き》いたからだ。 |彼《かれ》らは|勇気《ゆうき》を|失《うしな》い、 |穏《おだ》やかになることのできない|海《うみ》のように|悩《なや》む。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ダマスコは|弱《よわ》り、|身《み》をめぐらして|逃《に》げた、 |恐怖《きょうふ》に|襲《おそ》われている。 |子《こ》を|産《う》む|女《おんな》に|臨《のぞ》むように|痛《いた》みと|悲《かな》しみと|彼《かれ》に|臨《のぞ》む。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|名《な》ある|町《まち》、|楽《たの》しい|町《まち》は|捨《す》てられる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、その|日《ひ》に、|若《わか》い|者《もの》は、|広場《ひろば》に|倒《たお》れ、 |兵士《へいし》はことごとく|滅《ほろ》ぼされると |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはダマスコの|城壁《じょうへき》の|上《うえ》に|火《ひ》を|燃《も》やし、 ベネハダデの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|尽《つく》す」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ネブカデレザルが|攻《せ》め|撃《う》ったケダルとハゾルの|諸国《しょこく》の|事《こと》について、 [#ここから2字下げ] |主《しゅ》はこう|言《い》われる、「|立《た》って、ケダルに|向《む》かって|進《すす》み、 |東《ひがし》の|人々《ひとびと》を|滅《ほろ》ぼせ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|天幕《てんまく》と、その|羊《ひつじ》の|群《む》れとは|取《と》られ、 その|垂幕《たれまく》とそのもろもろの|器《うつわ》と、 らくだとは|彼《かれ》らの|所《ところ》から|運《はこ》び|去《さ》られ、 |人々《ひとびと》は|彼《かれ》らに|向《む》かって|叫《さけ》ぶ、 『|恐《おそ》ろしいことが|四方《しほう》にある』と。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、ハゾルに|住《す》む|者《もの》よ、 |逃《に》げよ、|遠《とお》くさまよい|行《い》き、|深《ふか》い|所《ところ》に|隠《かく》れよ。 バビロンの|王《おう》ネブカデレザルが あなたがたを|攻《せ》める|計《はか》りごとをめぐらし、 あなたがたを|攻《せ》める、てだてを|設《もう》けたからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 |立《た》って|進《すす》み、|安全《あんぜん》な|所《ところ》に|住《す》むきらくな|民《たみ》を|攻《せ》めよ、 |彼《かれ》らは|門《もん》もなく、|貫《かん》の|木《き》もなく、ひとり|離《はな》れて|住《す》む。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのらくだは、ぶんどり|物《もの》となり、 |家畜《かちく》の|群《む》れは|奪《うば》われる。 わたしは、かの|髪《かみ》の|毛《け》のすみずみを|切《き》る|者《もの》を |四方《しほう》に|散《ち》らし、 その|災難《さいなん》を|八方《はっぽう》からこさせると|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]ハゾルは|山犬《やまいぬ》のすまいとなり、 いつまでも|荒《あ》れ|地《ち》となっている。 だれもそこに|住《す》む|人《ひと》はなく、 そこに|宿《やど》る|人《ひと》もない」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ゼデキヤの|治世《ちせい》の|初《はじ》めのころに、エラムの|事《こと》について|預言者《よげんしゃ》エレミヤに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「|見《み》よ、わたしはエラムが|力《ちから》として|頼《たよ》んでいる|弓《ゆみ》を|折《お》る。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|天《てん》の|四方《しほう》から、|四方《しほう》の|風《かぜ》をエラムにこさせ、|彼《かれ》らを|四方《しほう》の|風《かぜ》に|散《ち》らす。エラムから|追《お》い|出《だ》される|者《もの》の|行《い》かない|国《くに》はない。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、わたしはエラムをしてその|敵《てき》の|前《まえ》、またその|命《いのち》を|求《もと》める|者《もの》の|前《まえ》に|恐《おそ》れさせる。わたしは|災《わざわい》をくだし、|激《はげ》しい|怒《いか》りをその|上《うえ》にくだす。|彼《かれ》らのうしろに、つるぎを|送《おく》って|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》す。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしの|位《くらい》をエラムにすえ、|王《おう》とつかさたちとを|滅《ほろ》ぼすと|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|末《すえ》の|日《ひ》に、わたしはエラムを|再《ふたた》び|栄《さか》えさせると、|主《しゅ》は|言《い》われる」。 第五〇章[#「第五〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|預言者《よげんしゃ》エレミヤによって|語《かた》られたバビロンとカルデヤびとの|地《ち》の|事《こと》についての|言葉《ことば》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|国々《くにぐに》のうちに|告《つ》げ、また|触《ふ》れ|示《しめ》せよ、 |旗《はた》を|立《た》てて、|隠《かく》すことなく|触《ふ》れ|示《しめ》して|言《い》え、 『バビロンは|取《と》られ、ベルははずかしめられ、 メロダクは|砕《くだ》かれ、その|像《ぞう》ははずかしめられ、 その|偶像《ぐうぞう》は|砕《くだ》かれる』と。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それは、|北《きた》の|方《ほう》から一つの|国民《こくみん》がきて、これを|攻《せ》め、その|地《ち》を|荒《あら》して、|住《す》む|人《ひと》もないようにするからである。|人《ひと》も|獣《けもの》もみな|逃《に》げ|去《さ》ってしまう。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》その|時《とき》、イスラエルの|民《たみ》とユダの|民《たみ》は|共《とも》に|帰《かえ》ってくる。|彼《かれ》らは|嘆《なげ》きながら|帰《かえ》ってくる。そしてその|神《かみ》、|主《しゅ》を|求《もと》める。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|顔《かお》をシオンに|向《む》けて、その|道《みち》を|問《と》い、『さあ、われわれは、|永遠《えいえん》に|忘《わす》れられることのない|契約《けいやく》を|結《むす》んで|主《しゅ》に|連《つら》なろう』と|言《い》う。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|民《たみ》は|迷《まよ》える|羊《ひつじ》の|群《む》れである、その|牧者《ぼくしゃ》がこれをいざなって、|山《やま》に|踏《ふ》み|迷《まよ》わせたので、|山《やま》から|丘《おか》へと|行《い》きめぐり、その|休《やす》む|所《ところ》を|忘《わす》れた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これに|会《あ》う|者《もの》はみなこれを|食《た》べた。その|敵《てき》は|言《い》った、『われわれに|罪《つみ》はない。|彼《かれ》らがそのまことのすみかである|主《しゅ》、|先祖《せんぞ》たちの|希望《きぼう》であった|主《しゅ》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》したのだ』と。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]バビロンのうちから|逃《に》げよ。カルデヤびとの|地《ち》から|出《で》よ。|群《む》れの|前《まえ》に|行《い》く|雄《お》やぎのようにせよ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|大《おお》きい|国々《くにぐに》を|起《おこ》し|集《あつ》めて、|北《きた》の|地《ち》からバビロンに|攻《せ》めこさせる。|彼《かれ》らはこれに|向《む》かって|勢《せい》ぞろいをし、これをその|所《ところ》から|取《と》る。|彼《かれ》らの|矢《や》はむなしく|帰《かえ》らない|老練《ろうれん》な|勇士《ゆうし》のようである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤは|人《ひと》にかすめられる。これをかすめる|者《もの》はみな|飽《あ》くことができると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|嗣《し》|業《ぎょう》をかすめる|者《もの》どもよ、 あなたがたは|喜《よろこ》び|楽《たの》しみ、 |雌《めす》の|子《こ》|牛《うし》のように|草《くさ》に|戯《たわむ》れ、 |雄《お》|馬《うま》のように、いなないているが、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|母《はは》はいたくはずかしめられ、 あなたがたを|産《う》んだ|者《もの》は|恥《はじ》をこうむる。 |見《み》よ、|彼女《かのじょ》は|国々《くにぐに》のうちの|最《もっと》もあとなるものとなり、 かわいた|砂原《すなはら》の|荒野《あらの》となる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|怒《いか》りによって、ここに|住《す》む|者《もの》はなく、 |完全《かんぜん》に|荒《あ》れ|地《ち》となる。 バビロンのかたわらを|通《とお》る|者《もの》は、 みなその|傷《きず》を|見《み》て|驚《おどろ》き、かつあざ|笑《わら》う。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたすべて|弓《ゆみ》を|張《は》る|者《もの》よ、 バビロンの|周囲《しゅうい》に|勢《せい》ぞろいして、これを|攻《せ》め、 |矢《や》を|惜《お》しまずに、これを|射《い》よ、 |彼女《かのじょ》が|主《しゅ》に|罪《つみ》を|犯《おか》したからだ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|周囲《しゅうい》に|叫《さけ》び|声《ごえ》をあげよ、|彼女《かのじょ》は|降伏《こうふく》した。 そのとりでは|倒《たお》れ、その|城壁《じょうへき》はくずれた、 |主《しゅ》があだをかえされたからだ。 |彼女《かのじょ》に|報復《ほうふく》せよ、|彼女《かのじょ》がおこなったように、 これに|行《おこな》え。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》まく|者《もの》と、|刈入《かりい》れどきに、かまを|取《と》る|者《もの》を バビロンに|絶《た》やせ。 |滅《ほろ》ぼす|者《もの》のつるぎを|恐《おそ》れて、 |人《ひと》はおのおの|自分《じぶん》の|民《たみ》の|所《ところ》に|帰《かえ》り、 そのふるさとに|逃《に》げて|行《い》く。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは、ししに|追《お》われて|散《ち》った|羊《ひつじ》である。|初《はじ》めにアッスリヤの|王《おう》がこれを|食《く》い、そして|今《いま》はついにバビロンの|王《おう》ネブカデレザルがその|骨《ほね》をかじった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》は、こう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはアッスリヤの|王《おう》を|罰《ばっ》したように、バビロンの|王《おう》とその|国《くに》に|罰《ばつ》を|下《くだ》す。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルを|再《ふたた》びその|牧場《まきば》に|帰《かえ》らせる。|彼《かれ》はカルメルとバシャンで|草《くさ》を|食《た》べる。またエフライムの|山《やま》とギレアデでその|望《のぞ》みが|満《み》たされる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》その|時《とき》には、イスラエルのとがを|探《さが》しても|見当《みあた》らず、ユダの|罪《つみ》を|探《さが》してもない。それはわたしが|残《のこ》しておく|人々《ひとびと》を、ゆるすからである。 [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 |上《のぼ》って|行《い》って、メラタイムの|地《ち》を|攻《せ》め、 ペコデの|民《たみ》を|攻《せ》め、 |彼《かれ》らを|殺《ころ》して|全《まった》く|滅《ほろ》ぼし、 わたしがあなたがたに|命《めい》じたことを|皆《みな》、|行《おこな》いなさい。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》に、いくさの|叫《さけ》びと、|大《おお》いなる|滅《ほろ》びがある。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|全《ぜん》|地《ち》を|砕《くだ》いた|鎚《つち》はついに|折《お》れ|砕《くだ》ける。 ああ、バビロンはついに|国々《くにぐに》のうちの |恐《おそ》るべき|見《み》ものとなる。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]バビロンよ、 わたしは、おまえを|捕《とら》えるためにわなをかけたが、 おまえはそれにかかった。 そしておまえはそれを|知《し》らなかった。 おまえは|主《しゅ》に|敵《てき》したので、|尋《たず》ね|出《だ》され、|捕《とら》えられた。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|武器《ぶき》の|倉《くら》を|開《ひら》いて その|怒《いか》りの|武器《ぶき》を|取《と》り|出《だ》された。 |主《しゅ》なる|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》が、 カルデヤびとの|地《ち》に|事《こと》を|行《おこな》われるからである。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あらゆる|方面《ほうめん》からきて、これを|攻《せ》め、 その|穀倉《こくぐら》を|開《ひら》き、 これを|穀物《こくもつ》の|山《やま》のように|積《つ》み|上《あ》げ、 |完全《かんぜん》に|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》し、そこに|残《のこ》る|者《もの》のないようにせよ。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|雄牛《おうし》をことごとく|殺《ころ》せ、 それを、ほふり|場《ば》に|下《くだ》らせよ。 それらのものはわざわいだ、 その|日《ひ》、その|罰《ばつ》を|受《う》ける|時《とき》がきたからだ。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》けよ、バビロンの|地《ち》から|逃《に》げ、のがれてきた|者《もの》の|声《こえ》がする。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|報復《ほうふく》、その|宮《みや》の|報復《ほうふく》の|事《こと》をシオンに|告《つ》げ|示《しめ》す。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|弓《ゆみ》を|張《は》る|射手《いて》をことごとく|呼《よ》び|集《あつ》めて、バビロンを|攻《せ》めよ。その|周囲《しゅうい》に|陣《じん》を|敷《し》け。ひとりも|逃が《にが》すな。そのしわざにしたがってバビロンに|報《むく》い、これがおこなった|所《ところ》にしたがってこれに|行《おこな》え。|彼《かれ》がイスラエルの|聖者《せいじゃ》である|主《しゅ》に|向《む》かって|高慢《こうまん》にふるまったからだ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、その|日《ひ》、|若《わか》い|者《もの》は、|広場《ひろば》に|倒《たお》れ、|兵士《へいし》はみな|絶《た》やされると|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここから2字下げ] [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》は|言《い》われる、 |高《たか》ぶる|者《もの》よ、|見《み》よ、わたしはおまえの|敵《てき》となる、 あなたの|日《ひ》、わたしがおまえを|罰《ばっ》する|時《とき》が|来《き》た。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|高《たか》ぶる|者《もの》はつまずき|倒《たお》れる、 これを|助《たす》け|起《おこ》すものはない。 わたしはその|町々《まちまち》に|火《ひ》を|燃《も》やして、 その|周囲《しゅうい》の|者《もの》をことごとく|焼《や》き|尽《つく》す。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、イスラエルの|民《たみ》とユダの|民《たみ》は|共《とも》にしえたげられている。|彼《かれ》らをとりこにした|者《もの》はみな|彼《かれ》らを|固《かた》く|守《まも》って|釈放《しゃくほう》することを|拒《こば》む。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らをあがなう|者《もの》は|強《つよ》く、その|名《な》は|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》といわれる。|彼《かれ》は|必《かなら》ず|彼《かれ》らの|訴《うった》えをただし、この|地《ち》に|安《やす》きを|与《あた》えるが、バビロンに|住《す》む|者《もの》には|不安《ふあん》を|与《あた》えられる。 [#ここから2字下げ] [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 カルデヤびとの|上《うえ》とバビロンに|住《す》む|者《もの》の|上《うえ》、 そのつかさたち、その|知者《ちしゃ》たちの|上《うえ》につるぎが|臨《のぞ》む。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|占《うらな》い|師《し》の|上《うえ》につるぎが|臨《のぞ》み、|彼《かれ》らは|愚《おろ》か|者《もの》となる。 その|勇士《ゆうし》の|上《うえ》につるぎが|臨《のぞ》み、|彼《かれ》らは|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|馬《うま》の|上《うえ》と、その|車《くるま》の|上《うえ》につるぎが|臨《のぞ》み、 またそのうちにあるすべての|雇《やとい》|兵《へい》の|上《うえ》に|臨《のぞ》み、 |彼《かれ》らは|女《おんな》のようになる。 その|財宝《ざいほう》の|上《うえ》につるぎが|臨《のぞ》み、それはかすめられる。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]その|水《みず》の|上《うえ》に、ひでりが|来《き》て、それはかわく。 それは、この|地《ち》が|偶像《ぐうぞう》の|地《ち》であって、 |人々《ひとびと》が|偶像《ぐうぞう》に|心《こころ》が|狂《くる》っているからだ。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|野《の》の|獣《けもの》と|山犬《やまいぬ》とは|共《とも》にバビロンにおり、だちょうもそこに|住《す》む。しかし、いつまでもその|地《ち》に|住《す》む|人《ひと》はなく、|世々《よよ》ここに|住《す》む|人《ひと》はない。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|神《かみ》がソドムとゴモラと、その|隣《となり》の|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼされたように、そこに|住《す》む|人《ひと》はなく、そこに|宿《やど》る|人《ひと》の|子《こ》はない。 [#ここから2字下げ] [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、一つの|民《たみ》が|北《きた》の|方《ほう》から|来《く》る。 |大《おお》いなる|国《くに》と|多《おお》くの|王《おう》が |地《ち》の|果《はて》から|立《た》ち|上《あ》がっている。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|弓《ゆみ》と、やりを|取《と》る。 |残忍《ざんにん》で、あわれみがなく、 その|響《ひび》きは|海《うみ》の|鳴《な》りとどろくようである。 バビロンの|娘《むすめ》よ、|彼《かれ》らは|馬《うま》に|乗《の》り、 いくさびとのように|身《み》をよろって、 あなたを|攻《せ》める。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》はそのうわさを|聞《き》いて、 その|手《て》は|弱《よわ》り、|子《こ》を|産《う》む|女《おんな》に|臨《のぞ》むような |痛《いた》みと|苦《くる》しみに|迫《せま》られた。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、ししがヨルダンの|密林《みつりん》から|上《のぼ》ってきて、じょうぶな|羊《ひつじ》のおりを|襲《おそ》うように、わたしは、たちまち|彼《かれ》らをそこから|逃《に》げ|去《さ》らせる。そしてわたしの|選《えら》ぶ|者《もの》をその|上《うえ》に|立《た》てる。だれかわたしのような|者《もの》があるであろうか。だれがわたしを|呼《よ》びつけることができようか。どの|牧者《ぼくしゃ》がわたしの|前《まえ》に|立《た》つことができようか。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、バビロンに|対《たい》して|主《しゅ》が|立《た》てた|計《はか》りごとと、カルデヤびとの|地《ち》に|対《たい》してしようとする|事《こと》を|聞《き》くがよい。|彼《かれ》らの|群《む》れのうちの|小《ちい》さい|者《もの》は、かならず|引《ひ》かれて|行《い》く。|彼《かれ》らのおりのものも|必《かなら》ずその|終《おわ》りを|見《み》て|恐《おそ》れる。[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]バビロンが|取《と》られたとの|声《こえ》によって|地《ち》は|震《ふる》い、その|叫《さけ》びは|国々《くにぐに》のうちに|聞《きこ》える」。 第五一章[#「第五一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしは、|滅《ほろ》ぼす|者《もの》の|心《こころ》を|奮《ふる》い|起《おこ》して、 バビロンを|攻《せ》め、カルデヤに|住《す》む|者《もの》を|攻《せ》めさせる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはバビロンに、あおぎ|分《わ》ける|者《もの》をつかわす。 |彼《かれ》らは、その|災《わざわい》の|日《ひ》に、|四方《しほう》からこれを|攻《せ》め、 それをあおぎ|分《わ》けて、その|地《ち》をむなしくする。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|射手《いて》にはその|弓《ゆみ》を|張《は》らせることなく、 よろいを|着《き》て|立《た》ち|上《あ》がらせるな。 その|若《わか》き|者《もの》をあわれむことなく、その|軍勢《ぐんぜい》をことごとく|滅《ほろ》ぼせ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはカルデヤびとの|地《ち》に|殺《ころ》されて|倒《たお》れ、 そのちまたに|傷《きず》ついて|倒《たお》れる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルとユダは その|神《かみ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》に|捨《す》てられてはいないが、 しかしカルデヤびとの|地《ち》には イスラエルの|聖者《せいじゃ》に|向《む》かって|犯《おか》した|罪《つみ》が |満《み》ちている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]バビロンのうちからのがれ|出《で》て、 おのおのその|命《いのち》を|救《すく》え。 その|罰《ばつ》にまきこまれて|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされてはならない。 |今《いま》は|主《しゅ》があだを|返《かえ》される|時《とき》だから、 それに|報復《ほうふく》をされるのである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]バビロンは|主《しゅ》の|手《て》のうちにある|金《きん》の|杯《さかずき》であって、 すべての|地《ち》を|酔《よ》わせた。 |国々《くにぐに》はその|酒《さけ》を|飲《の》んだので、|国々《くにぐに》は|狂《くる》った。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]バビロンはたちまち|倒《たお》れて|破《やぶ》れた。 これがために|嘆《なげ》け。 その|傷《きず》のために|乳香《にゅうこう》を|取《と》れ。 あるいは、いえるかも|知《し》れない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われわれはバビロンをいやそうとしたが、 これはいえなかった。 われわれはこれを|捨《す》てて、 おのおの|自分《じぶん》の|国《くに》に|帰《かえ》ろう。 その|罰《ばつ》が|天《てん》に|達《たっ》し、 |雲《くも》にまで|及《およ》んでいるからだ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわれわれの|正《ただ》しいことを|明《あき》らかにされた。 さあ、われわれはシオンで、 われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》のみわざを|告《つ》げ|示《しめ》そう。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|矢《や》をとぎ、  |盾《たて》を|取《と》れ。|主《しゅ》はメデアびとの|王《おう》たちの|心《こころ》を|引《ひ》き|立《た》てられる。|主《しゅ》のバビロンに|思《おも》い|図《はか》ることは、これを|滅《ほろ》ぼすことであり、|主《しゅ》があだを|返《かえ》し、その|宮《みや》のあだを|返《かえ》されるのである。 [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|城壁《じょうへき》に|向《む》かって|旗《はた》を|立《た》て、 |見張《みは》りを|強固《きょうこ》にし、|番兵《ばんぺい》を|置《お》き、|伏兵《ふくへい》を|備《そな》えよ。 |主《しゅ》がバビロンに|住《す》む|者《もの》を|攻《せ》めようと|図《はか》り、 その|言《い》われたことを、いま|行《おこな》われるからだ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|水《みず》のほとりに|住《す》み、 |多《おお》くの|財宝《ざいほう》を|持《も》つ|者《もの》よ、 あなたの|終《おわ》りが|来《き》て、その|命《いのち》の|糸《いと》は|断《た》たれる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はみずからをさして|誓《ちか》い、|言《い》われる、 わたしは|必《かなら》ずあなたのうちに、 |人《ひと》をいなごのように|満《み》たす。 |彼《かれ》らはあなたに|向《む》かって、かちどきの|声《こえ》をあげる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|力《ちから》をもって|地《ち》を|造《つく》り、 その|知恵《ちえ》をもって|世界《せかい》を|建《た》て、 その|悟《さと》りをもって|天《てん》をのべられた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|声《こえ》を|出《だ》されると、 |天《てん》に|多《おお》くの|水《みず》のざわめきがあり、 また|地《ち》の|果《はて》から|霧《きり》を|立《た》ちあがらせられる。 |彼《かれ》は|雨《あめ》のためにいなびかりをおこし、 その|倉《くら》から|風《かぜ》を|取《と》り|出《だ》される。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すべての|人《ひと》は|愚《おろ》かで|知恵《ちえ》がなく、 すべての|金《きん》|細工人《ざいくにん》は その|造《つく》った|偶像《ぐうぞう》のために|恥《はじ》をこうむる。 その|偶像《ぐうぞう》は|偽《いつわ》り|物《もの》で、 そのうちに|息《いき》がないからだ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それらは、むなしいもの、|迷《まよ》いのわざである。 |罰《ばっ》せられる|時《とき》になれば|滅《ほろ》びるものである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|分《ぶん》である|彼《かれ》はこのようなものではない、 |彼《かれ》は|万物《ばんぶつ》の|造《つく》り|主《ぬし》だからである。 イスラエルは|彼《かれ》の|嗣《し》|業《ぎょう》としての|部族《ぶぞく》である。 |彼《かれ》の|名《な》は|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》という。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]おまえはわたしの|鎚《つち》であり、|戦《たたか》いの|武器《ぶき》である。 わたしはおまえをもってすべての|国《くに》を|砕《くだ》き、 おまえをもって|万国《ばんこく》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]おまえをもってわたしは|馬《うま》と、その|騎手《きしゅ》とを|砕《くだ》き、 おまえをもって|戦車《せんしゃ》とそれに|乗《の》る|者《もの》とを|砕《くだ》く。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはおまえをもって|男《おとこ》と|女《おんな》とを|砕《くだ》き、 おまえをもって|老《お》いた|者《もの》と|幼《おさな》い|者《もの》とを|砕《くだ》き、 おまえをもって|若《わか》い|者《もの》と、おとめとを|砕《くだ》く。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはおまえをもって、 |羊飼《ひつじかい》と、その|群《む》れとを|砕《くだ》き、 おまえをもって|農夫《のうふ》と、くびきを|負《お》う|家畜《かちく》とを|砕《くだ》き、 おまえをもっておさたちと、つかさたちとを|砕《くだ》く。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはバビロンとカルデヤに|住《す》むすべての|者《もの》とに、|彼《かれ》らがシオンで|行《い》ったもろもろの|悪《あ》しき|事《こと》のために、あなたがたの|目《め》の|前《まえ》で|報《むく》いをすると、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここから2字下げ] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 |全《ぜん》|地《ち》を|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》す|滅《ほろ》ぼしの|山《やま》よ、 |見《み》よ、わたしはおまえの|敵《てき》となる、 わたしは|手《て》をおまえの|上《うえ》に|伸《の》べて、 おまえを|岩《いわ》からころばし、 おまえを|焼《や》け|山《やま》にする。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 |人《ひと》がおまえから|石《いし》を|取《と》って、|隅《すみ》の|石《いし》とすることなく、 また|礎《いしずえ》とすることもない。 おまえはいつまでも|荒《あ》れ|地《ち》となっている。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》に|旗《はた》を|立《た》て、|国々《くにぐに》のうちにラッパを|吹《ふ》き、 |国々《くにぐに》の|民《たみ》を|集《あつ》めてそれを|攻《せ》め、 アララテ、ミンニ、アシケナズの|国々《くにぐに》をまねいて それを|攻《せ》め、 |軍《ぐん》の|長《ちょう》を|立《た》ててそれを|攻《せ》め、 |群《むら》がるいなごのように|馬《うま》を|上《のぼ》り|行《い》かせよ。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》の|民《たみ》を|集《あつ》めてそれを|攻《せ》め、 メデアびとの|王《おう》たちと、 そのおさたち、つかさたち、 およびすべての|領地《りょうち》の|人々《ひとびと》を|集《あつ》めてこれを|攻《せ》めよ。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》は|震《ふる》い、かつもだえ|苦《くる》しむ、 |主《しゅ》がその|思《おも》い|図《はか》ることをバビロンにおこない、 バビロンの|地《ち》を、|住《す》む|人《ひと》なき|荒《あ》れ|地《ち》とされるからだ。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|勇士《ゆうし》たちは|戦《たたか》いをやめて、 その|城《しろ》にこもり、|力《ちから》はうせて、|女《おんな》のようになる。 その|家《いえ》は|焼《や》け、その|貫《かん》の|木《き》は|砕《くだ》かれる。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|飛脚《ひきゃく》は|走《はし》って|飛脚《ひきゃく》に|会《あ》い、|使者《ししゃ》は|走《はし》って|使者《ししゃ》に|会《あ》い、 バビロンの|王《おう》に|告《つ》げて、|町《まち》はことごとく|取《と》られ、 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|渡《わた》し|場《ば》は|奪《うば》われ、とりでは|火《ひ》で|焼《や》かれ、 |兵士《へいし》はおびえていると|言《い》う。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》はこう|言《い》われる、 バビロンの|娘《むすめ》は、|打《う》ち|場《ば》のようだ、 その|踏《ふ》まれる|時《とき》が|来《き》たのだ。 しばらくしてその|刈《か》り|取《と》られる|時《とき》が|来《く》る」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]「バビロンの|王《おう》ネブカデレザルはわたしを|食《く》い|尽《つく》し、 わたしを|滅《ほろ》ぼし、わたしを、からの|器《うつわ》のようにし、 |龍《りゅう》のようにわたしを|飲《の》み、 わたしのうまい|物《もの》でその|腹《はら》を|満《み》たし、 わたしを|洗《あら》いざらいにした。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]わたしとわたしの|肉親《にくしん》におこなった|暴虐《ぼうぎゃく》は、 バビロンにふりかかる」と シオンに|住《す》む|者《もの》は|言《い》わなければならない。 「わたしの|血《ち》はカルデヤに|住《す》む|者《もの》にふりかかる」と エルサレムは|言《い》わなければならない。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしはあなたの|訴《うった》えをただし、 あなたのためにあだを|返《かえ》す。 わたしはバビロンの|海《うみ》をかわかし、 その|泉《いずみ》をかわかす。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]バビロンは|荒塚《あれづか》となり、|山犬《やまいぬ》のすまいとなり、 |驚《おどろ》きとなり、|笑《わら》いとなり、 |住《す》む|人《ひと》のない|所《ところ》となる。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはししのように|共《とも》にほえ、 |若《わか》いししのようにほえる。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|欲《よく》の|燃《も》えている|時《とき》、 わたしは|宴《うたげ》を|設《もう》けて|彼《かれ》らを|酔《よ》わせ、 |彼《かれ》らがついに|気《き》を|失《うしな》って、ながい|眠《ねむ》りにいり、 もはや|目《め》をさますことのないようにしようと |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|小羊《こひつじ》のように、 また|雄羊《おひつじ》や|雄《お》やぎのように、ほふり|場《ば》に|下《くだ》らせよう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]ああ、バビロンはついに|取《と》られた、 |全《ぜん》|地《ち》の|人《ひと》の、ほめたたえた|者《もの》は|捕《とら》えられた。 ああ、バビロンはついに|国々《くにぐに》のうちに|驚《おどろ》きとなった。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》はバビロンにあふれかかり、 どよめく|波《なみ》におおわれた。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]その|町々《まちまち》は|荒《あ》れて、 かわいた|地《ち》となり、|砂原《すなはら》となり、 |住《す》む|人《ひと》のない|地《ち》となる。 |人《ひと》の|子《こ》はひとりとしてそこを|過《す》ぎることはない。 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはバビロンでベルを|罰《ばっ》し、 そののみこんだものを|口《くち》から|取《と》り|出《だ》す。 |国々《くにぐに》が|川《かわ》のように|彼《かれ》に|流《なが》れ|入《い》ることはなくなる。 バビロンの|城壁《じょうへき》は|倒《たお》れた。 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》よ、あなたがたはその|中《なか》から|出《で》て、 おのおの|主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りを|免《まぬか》れ、その|命《いのち》を|救《すく》え。 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|心《こころ》を|弱《よわ》くしてはならない、 この|地《ち》で|聞《き》くうわさを|恐《おそ》れてはならない。 うわさはこの|年《とし》にもくれば、また|次《つぎ》の|年《とし》にもくる。 この|地《ち》に|暴虐《ぼうぎゃく》があり、 つかさとつかさとが|攻《せ》めあうことがある。 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|見《み》よ、 わたしがバビロンの|偶像《ぐうぞう》を|罰《ばっ》する|日《ひ》が|来《く》る。 その|全《ぜん》|地《ち》ははずかしめられ、 その|殺《ころ》される|者《もの》はみなその|中《なか》に|倒《たお》れる。 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》と|地《ち》とそのうちにあるすべてのものは バビロンの|事《こと》で|喜《よろこ》び|歌《うた》う。 |滅《ほろ》ぼす|者《もの》が|北《きた》の|方《ほう》からここに|来《く》るからであると |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|殺《ころ》された|者《もの》たちのために、 バビロンは|倒《たお》れなければならない、 バビロンのために|全《ぜん》|地《ち》の|殺《ころ》された|者《もの》は|倒《たお》れたのだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]つるぎをのがれてきたあなたがたは、 |行《い》け、|立《た》ちとどまってはならない。 |遠《とお》くから|主《しゅ》を|覚《おぼ》え、 エルサレムを|心《こころ》にとめよ。 [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]『われわれはののしりを|聞《き》いたので、|恥《は》じている。 |異邦人《いほうじん》が|主《しゅ》の|宮《みや》の|聖所《せいじょ》にはいったので、 |恥《はじ》がわれわれの|顔《かお》をおおった』。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 それゆえ|見《み》よ、わたしがその|偶像《ぐうぞう》を|罰《ばっ》する|日《ひ》が|来《く》る、 |傷《きず》つけられた|者《もの》が、その|全国《ぜんこく》にうめくようになる。 [#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]たといバビロンが|天《てん》に|上《のぼ》っても、 その|城《しろ》を|高《たか》くして|固《かた》めても、 |滅《ほろ》ぼす|者《もの》はわたしから|出《で》て、 これに|臨《のぞ》むと|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》け、バビロンの|叫《さけ》びを、 カルデヤびとの|地《ち》に|起《おこ》る|大《おお》いなる|滅《ほろ》びの|騒《さわ》ぎ|声《こえ》を。 [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がバビロンを|滅《ほろ》ぼし、 その|大《おお》いなる|声《こえ》を|絶《た》やされるのだ。 その|波《なみ》は|大水《おおみず》のように|鳴《な》りとどろき、 その|声《こえ》はひびき|渡《わた》る。 [#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]|滅《ほろ》ぼす|者《もの》がこれに|臨《のぞ》み、バビロンに|来《き》た。 その|勇士《ゆうし》たちは|捕《とら》えられ、その|弓《ゆみ》は|折《お》られる。 |主《しゅ》は|報《むく》いをする|神《かみ》であるから|必《かなら》ず|報《むく》いられるのだ。 [#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|君《きみ》たちと|知者《ちしゃ》たち、 おさたち、つかさたち、および|勇士《ゆうし》たちを|酔《よ》わせる。 |彼《かれ》らは、ながい|眠《ねむ》りにいり、|目《め》をさますことはない。 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》と|呼《よ》ばれる|王《おう》がこれを|言《い》わせる。 [#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 バビロンの|広《ひろ》い|城壁《じょうへき》は|地《ち》にくずされ、 その|高《たか》い|門《もん》は|火《ひ》に|焼《や》かれる。 こうして|民《たみ》の|労苦《ろうく》はむなしくなり、 |国民《こくみん》はただ|火《ひ》のために|疲《つか》れる」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]マアセヤの|子《こ》であるネリヤの|子《こ》セラヤが、ユダの|王《おう》ゼデキヤと|共《とも》に、その|治世《ちせい》の四|年《ねん》にバビロンへ|行《い》くとき、|預言者《よげんしゃ》エレミヤがセラヤに|命《めい》じた|言葉《ことば》。セラヤは|宿営《しゅくえい》の|長《ちょう》であった。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはバビロンに|臨《のぞ》もうとするすべての|災《わざわい》を|巻物《まきもの》にしるした。これはすなわちバビロンの|事《こと》についてしるしたすべての|言葉《ことば》である。[#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]エレミヤはセラヤに|言《い》った、「あなたはバビロンへ|行《い》ったならば、|忘《わす》れることなくこのすべての|言葉《ことば》を|読《よ》み、[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》いなさい、『|主《しゅ》よ、あなたはこの|所《ところ》を|滅《ほろ》ぼし、|人《ひと》と|獣《けもの》とを|問《と》わず、すべてここに|住《す》む|者《もの》のないようにし、|永久《えいきゅう》にここを|荒《あ》れ|地《ち》としようと、この|所《ところ》について|語《かた》られました』と。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがこの|巻物《まきもの》を|読《よ》み|終《おわ》ったならば、これに|石《いし》をむすびつけてユフラテ|川《かわ》の|中《なか》に|投《な》げこみ、[#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]そして|言《い》いなさい、『バビロンはこのように|沈《しず》んで、二|度《ど》と|上《あ》がってこない。わたしがこれに|災《わざわい》を|下《くだ》すからである』と」。ここまではエレミヤの|言葉《ことば》である。 第五二章[#「第五二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤは|王《おう》となったとき二十一|歳《さい》であったが、エルサレムで十一|年《ねん》|世《よ》を|治《おさ》めた。|母《はは》の|名《な》はハムタルといい、リブナのエレミヤの|娘《むすめ》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ゼデキヤはエホヤキムがすべて|行《い》ったように、|主《しゅ》の|目《め》の|前《まえ》に|悪事《あくじ》を|行《おこな》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]たしかに、|主《しゅ》の|怒《いか》りによって、エルサレムとユダとは、そのみ|前《まえ》から|捨《す》て|去《さ》られるようなことになった。  そしてゼデキヤはバビロンの|王《おう》にそむいた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》の|治世《ちせい》の九|年《ねん》十|月《がつ》十|日《か》に、バビロンの|王《おう》ネブカデレザルはその|軍勢《ぐんぜい》を|率《ひき》い、エルサレムにきて、これを|包囲《ほうい》し、|周囲《しゅうい》に|塁《るい》を|築《きず》いてこれを|攻《せ》めた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてこの|町《まち》は|攻《せ》め|囲《かこ》まれて、ゼデキヤ|王《おう》の十一|年《ねん》にまで|及《およ》んだが、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その四|月《がつ》九|日《か》になって、|町《まち》の|中《なか》の|食糧《しょくりょう》は、はなはだしく|欠乏《けつぼう》し、その|地《ち》の|民《たみ》は|食物《しょくもつ》を|得《え》ることができなくなった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|町《まち》の|城壁《じょうへき》はついに|打《う》ち|破《やぶ》られたので、|兵士《へいし》たちはみな|逃《に》げ、|夜《よる》のうちに、|王《おう》の|園《その》の|近《ちか》くの、二つの|城壁《じょうへき》の|間《あいだ》の|門《もん》から|町《まち》をのがれ|出《で》て、カルデヤびとが、|町《まち》を|攻《せ》め|囲《かこ》んでいるうちに、アラバの|方《ほう》へ|落《お》ちて|行《い》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかしカルデヤびとの|軍勢《ぐんぜい》は|王《おう》を|追《お》って|行《い》って、エリコの|平地《へいち》でゼデキヤに|追《お》いついたが、|彼《かれ》の|軍勢《ぐんぜい》がみな|散《ち》って|彼《かれ》のそばを|離《はな》れたので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとは|王《おう》を|捕《とら》え、ハマテの|地《ち》のリブラにいるバビロンの|王《おう》のもとに|引《ひ》いていったので、|王《おう》は|彼《かれ》の|罪《つみ》を|定《さだ》めた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわちバビロンの|王《おう》はゼデキヤの|子《こ》たちをその|目《め》の|前《まえ》で|殺《ころ》させ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで|殺《ころ》させ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またゼデキヤの|目《め》をつぶさせた。そしてバビロンの|王《おう》は|彼《かれ》を|鎖《くさり》につないでバビロンへ|連《つ》れて|行《い》き、その|死《し》ぬ|日《ひ》まで|獄屋《ごくや》に|入《い》れて|置《お》いた。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]五|月《がつ》十|日《か》に、――それはバビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|世《よ》の十九|年《ねん》であった――バビロンの|王《おう》に|仕《つか》える|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンはエルサレムに、はいって、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|宮《みや》と|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き、エルサレムのすべての|家《いえ》を|焼《や》いた。|彼《かれ》は|大《おお》きな|家《いえ》をみな|焼《や》きはらった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|侍衛《じえい》の|長《ちょう》と|共《とも》にいたカルデヤびとの|軍勢《ぐんぜい》は、エルサレムの|周囲《しゅうい》の|城壁《じょうへき》をみな|取《と》りこわした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そして|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは|民《たみ》のうちの|最《もっと》も|貧《まず》しい|者《もの》|若干《じゃっかん》、そのほか|町《まち》のうちに|残《のこ》った|者《もの》、およびバビロンの|王《おう》にくだった|人《ひと》、その|他《た》|工匠《こうしょう》たちを|捕《とら》え|移《うつ》した。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンはその|地《ち》の|最《もっと》も|貧《まず》しい|者《もの》|若干《じゃっかん》を|残《のこ》して、ぶどうを|作《つく》る|者《もの》とし、|農夫《のうふ》とした。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとはまた|主《しゅ》の|宮《みや》の|青銅《せいどう》の|柱《はしら》と、|洗盤《せんばん》の|台《だい》と、|青銅《せいどう》の|海《うみ》を|砕《くだ》いて、その|青銅《せいどう》をことごとくバビロンへ|運《はこ》び、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また、つぼと、|十能《じゅうのう》と、|心切《しんき》りばさみと、|鉢《はち》と、|香《こう》を|盛《も》る|皿《さら》および|宮《みや》の|勤《つと》めに|用《もち》いる|青銅《せいどう》の|器《うつわ》をことごとく|取《と》って|行《い》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らは|小鉢《こばち》と、|心取《しんと》り|皿《ざら》と、|鉢《はち》と、つぼと、|燭台《しょくだい》と、|香《こう》を|盛《も》る|皿《さら》と、|灌祭《かんさい》の|鉢《はち》を|取《と》った。|金《きん》で|作《つく》った|物《もの》は|金《きん》として、|銀《ぎん》で|作《つく》った|物《もの》は|銀《ぎん》として、|侍衛《じえい》の|長《ちょう》は|運《はこ》び|去《さ》った。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ソロモン|王《おう》が|主《しゅ》の|宮《みや》に|造《つく》った二|本《ほん》の|柱《はしら》と、一つの|海《うみ》と、|海《うみ》の|下《した》の十二の|青銅《せいどう》の|牛《うし》と、|台《だい》など、このすべての|物《もの》の|青銅《せいどう》の|重《おも》さは|量《はか》ることもできなかった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]この一|本《ぽん》の|柱《はしら》の|高《たか》さは十八キュビト、|周囲《しゅうい》は十二キュビトで、|指《ゆび》四|本《ほん》の|厚《あつ》さがあり、|中《なか》は、うつろであった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|上《うえ》に|青銅《せいどう》の|柱頭《ちゅうとう》があり、|柱頭《ちゅうとう》の|高《たか》さは五キュビト、|柱頭《ちゅうとう》の|周囲《しゅうい》は|網《あみ》|細工《ざいく》と、ざくろとで|飾《かざ》り、これらもみな|青銅《せいどう》であった。|他《た》の|柱《はしら》もそのざくろも、これと|同《おな》じであった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その|四方《しほう》に九十六|個《こ》のざくろがあり、|周囲《しゅうい》の|網《あみ》|細工《ざいく》の|上《うえ》にあるざくろの|数《かず》は百|個《こ》であった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》の|長《ちょう》は|祭司《さいし》|長《ちょう》セラヤと|次席《じせき》の|祭司《さいし》ゼパニヤと三|人《にん》の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》を|捕《とら》え、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|兵士《へいし》をつかさどるひとりの|役人《やくにん》と、|町《まち》にいた|王《おう》の|側近《そっきん》の|者《もの》七|人《にん》と、その|地《ち》の|民《たみ》を|募《つの》る|軍勢《ぐんぜい》の|長《ちょう》の|書記官《しょきかん》と、|町《まち》の|中《なか》にいた六十|人《にん》の|者《もの》を|町《まち》から|捕《とら》え|去《さ》った。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは、これらの|人《ひと》を|捕《とら》えて、リブラにいるバビロンの|王《おう》のもとに|連《つ》れて|行《い》った。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》は、ハマテの|地《ち》のリブラで|彼《かれ》らを|撃《う》ち|殺《ころ》した。こうして、ユダは|自分《じぶん》の|地《ち》から|捕《とら》え|移《うつ》された。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデレザルが|捕《とら》え|移《うつ》した|民《たみ》の|数《かず》は|次《つぎ》のとおりである。|第《だい》七|年《ねん》にはユダヤ|人《ひと》三千二十三|人《にん》。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]またネブカデレザルはその|第《だい》十八|年《ねん》にエルサレムから八百三十二|人《にん》を|捕《とら》え|移《うつ》した。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデレザルの二十三|年《ねん》に|侍衛《じえい》の|長《ちょう》ネブザラダンは、ユダヤ|人《ひと》七百四十五|人《にん》を|捕《とら》え|移《うつ》した。この|総数《そうすう》は四千六百|人《にん》であった。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》エホヤキンが|捕《とら》え|移《うつ》されて|後《のち》三十七|年《ねん》の十二|月《がつ》二十五|日《にち》に、バビロンの|王《おう》エビルメロダクはその|即位《そくい》の|年《ねん》に、ユダの|王《おう》エホヤキンを|獄屋《ごくや》から|出《だ》し、そのこうべを|挙《あ》げさせ、[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|親切《しんせつ》に|彼《かれ》を|慰《なぐさ》め、その|位《くらい》を、バビロンで|共《とも》にいる|王《おう》たちの|位《くらい》よりも|高《たか》くした。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてエホヤキンは|獄屋《ごくや》の|服《ふく》を|脱《ぬ》いだ。そして|生《い》きている|間《あいだ》は|毎日《まいにち》|王《おう》の|食卓《しょくたく》で|食事《しょくじ》し、[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|給与《きゅうよ》としては、その|死《し》ぬ|日《ひ》まで|一生《いっしょう》の|間《あいだ》、たえず|日々《ひび》の|必要《ひつよう》にしたがって、バビロンの|王《おう》から|給与《きゅうよ》を|賜《たま》わった。 [#改ページ] 哀歌[#「哀歌」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ああ、むかしは、 |民《たみ》の|満《み》ちみちていたこの|都《みやこ》、 |国々《くにぐに》の|民《たみ》のうちで|大《おお》いなる|者《もの》であったこの|町《まち》、 |今《いま》は|寂《さび》しいさまで|座《ざ》し、やもめのようになった。 もろもろの|町《まち》のうちで|女王《じょおう》であった|者《もの》、 |今《いま》は|奴隷《どれい》となった。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これは|夜《よ》もすがらいたく|泣《な》き|悲《かな》しみ、 そのほおには|涙《なみだ》が|流《なが》れている。 そのすべての|愛《あい》する|者《もの》のうちには、 これを|慰《なぐさ》める|者《もの》はひとりもなく、 そのすべての|友《とも》はこれにそむいて、その|敵《てき》となった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|悩《なや》みのゆえに、 また|激《はげ》しい|苦役《くえき》のゆえに、のがれて|行《い》って、 もろもろの|国民《くにたみ》のうちに|住《す》んでいるが、|安息《あんそく》を|得《え》ず、 これを|追《お》う|者《もの》がみな|追《お》いついてみると、 |悩《なや》みのうちにあった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|道《みち》は|祭《まつり》に|上《のぼ》ってくる|者《もの》のないために|悲《かな》しみ、 その|門《もん》はことごとく|荒《あ》れ、 その|祭司《さいし》たちは|嘆《なげ》き、 そのおとめたちは|引《ひ》かれて|行《い》き、 シオンはみずからいたく|苦《くる》しむ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そのあだはかしらとなり、その|敵《てき》は|栄《さか》えている。 そのとがが|多《おお》いので、 |主《しゅ》がこれを|悩《なや》まされたからである。 その|幼《おさ》な|子《ご》たちは|捕《とら》われて、あだの|前《まえ》に|行《い》った。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》の|栄華《えいが》はことごとく|彼女《かのじょ》を|離《はな》れ|去《さ》り、 その|君《きみ》たちは|牧草《ぼくそう》を|得《え》ない、しかのようになり、 |自分《じぶん》を|追《お》う|者《もの》の|前《まえ》に|力《ちから》なく|逃《に》げ|去《さ》った。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムはその|悩《なや》みと|苦《くる》しみの|日《ひ》に、 |昔《むかし》から|持《も》っていたもろもろの|宝《たから》を|思《おも》い|出《だ》す。 その|民《たみ》があだの|手《て》に|陥《おちい》り、 だれもこれを|助《たす》ける|者《もの》のない|時《とき》、 あだはこれを|見《み》て、その|滅《ほろ》びをあざ|笑《わら》った。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムは、はなはだしく|罪《つみ》を|犯《おか》したので、 |汚《けが》れたものとなった。 これを|尊《たっと》んだ|者《もの》も|皆《みな》その|裸《はだか》を|見《み》たので、 これを|卑《いや》しめる。 これもまたみずから|嘆《なげ》き、|顔《かお》をそむける。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|汚《けが》れはその|衣《ころも》のすそにあり、 これはその|終《おわ》りを|思《おも》わなかった。 それゆえ、これは|驚《おどろ》くばかりに|落《お》ちぶれ、 これを|慰《なぐさ》める|者《もの》はひとりもない。 「|主《しゅ》よ、わが|悩《なや》みを|顧《かえり》みてください、 |敵《てき》は|勝《か》ち|誇《ほこ》っていますから」。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》は|手《て》を|伸《の》べて、その|財宝《ざいほう》をことごとく|奪《うば》った。 あなたがさきに|異邦人《いほうじん》らはあなたの|公会《こうかい》に、 はいってはならないと|命《めい》じられたのに、 |彼《かれ》らがその|聖所《せいじょ》にはいるのをシオンは|見《み》た。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|民《たみ》はみな|嘆《なげ》いて|食物《しょくもつ》を|求《もと》め、 その|命《いのち》をささえるために、|財宝《ざいほう》を|食物《しょくもつ》にかえた。 「|主《しゅ》よ、みそなわして、 わたしの|卑《いや》しめられるのを|顧《かえり》みてください」。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「すべて|道行《みちゆ》く|人《ひと》よ、 あなたがたはなんとも|思《おも》わないのか。 |主《しゅ》がその|激《はげ》しい|怒《いか》りの|日《ひ》にわたしを|悩《なや》まして、 わたしにくだされた|苦《くる》しみのような|苦《くる》しみが、 また|世《よ》にあるだろうか、|尋《たず》ねて|見《み》よ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|上《うえ》から|火《ひ》を|送《おく》り、 それをわが|骨《ほね》にくだし、 |網《あみ》を|張《は》ってわが|足《あし》を|捕《とら》え、 わたしを|引《ひ》き|返《かえ》させ、 ひねもす|心《こころ》わびしく、かつ|病《や》み|衰《おとろ》えさせられた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしのとがは、つかねられて、 一つのくびきとせられ、 |主《しゅ》のみ|手《て》により|固《かた》く|締《し》められて、 わたしの|首《くび》におかれ、 わたしの|力《ちから》を|衰《おとろ》えさせられた。 |主《しゅ》はわたしを、|立《た》ちむかい|得《とく》ざる|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》された。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしのうちにあるすべての|勇士《ゆうし》を|無視《むし》し、 |聖《せい》|会《かい》を|召集《しょうしゅう》して、わたしを|攻《せ》め、 わが|若《わか》き|人々《ひとびと》を|打《う》ち|滅《ほろ》ぼされた。 |主《しゅ》は|酒《さか》ぶねを|踏《ふ》むように、 ユダの|娘《むすめ》なるおとめを|踏《ふ》みつけられた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]このために、わたしは|泣《な》き|悲《かな》しみ、 わたしの|目《め》は|涙《なみだ》であふれる。 わたしを|慰《なぐさ》める|者《もの》、わたしを|勇気《ゆうき》づける|者《もの》が わたしから|遠《とお》く|離《はな》れたからである。 わが|子《こ》らは|敵《てき》が|勝《か》ったために、 わびしい|者《もの》となった」。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]シオンは|手《て》を|伸《の》ばしても、 これを|慰《なぐさ》める|者《もの》はひとりもない。 ヤコブについては、|主《しゅ》は|命《めい》じて、 その|周囲《しゅうい》の|者《もの》を、これがあだとせられた。 エルサレムは|彼《かれ》らの|中《なか》にあって、 |汚《けが》れた|物《もの》のようになった。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》は|正《ただ》しい、 わたしは、み|言葉《ことば》にそむいた。 すべての|民《たみ》よ、|聞《き》け、 わが|苦《くる》しみを|顧《かえり》みよ。 わがおとめらも、わが|若人《わこうど》らも|捕《とら》われて|行《い》った。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|愛《あい》する|者《もの》を|呼《よ》んだが、 |彼《かれ》らはわたしを|欺《あざむ》いた。 わが|祭司《さいし》および|長老《ちょうろう》たちは、その|命《いのち》をささえようと、 |食物《しょくもつ》を|求《もと》めている|間《あいだ》に、|町《まち》のうちで|息《いき》|絶《た》えた。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|顧《かえり》みてください、 わたしは|悩《なや》み、わがはらわたはわきかえり、 わが|心臓《しんぞう》はわたしの|内《うち》に|転倒《てんとう》しています。 わたしは、はなはだしくそむいたからです。 |外《そと》にはつるぎがあって、わが|子《こ》を|奪《うば》い、 |家《いえ》の|内《うち》には|死《し》のようなものがある。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがどんなに|嘆《なげ》くかを|聞《き》いてください。 わたしを|慰《なぐさ》める|者《もの》はひとりもなく、 |敵《てき》はみなわたしの|悩《なや》みを|聞《き》いて、 あなたがこれをなされたのを|喜《よろこ》んだ。 あなたがさきに|告《つ》げ|知《し》らせたその|日《ひ》をきたらせ、 |彼《かれ》らをも、わたしのようにしてください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|悪《あく》をことごとくあなたの|前《まえ》にあらわし、 さきにわがもろもろのとがのために、 わたしに|行《おこな》われたように、|彼《かれ》らにも|行《おこな》ってください。 わが|嘆《なげ》きは|多《おお》く、 わが|心《こころ》は|弱《よわ》りはてているからです」。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|主《しゅ》は|怒《いか》りを|起《おこ》し、 |黒雲《くろくも》をもってシオンの|娘《むすめ》をおおわれた。 |主《しゅ》はイスラエルの|栄光《えいこう》を|天《てん》から|地《ち》に|投《な》げ|落《おと》し、 その|怒《いか》りの|日《ひ》に、 おのれの|足《あし》|台《だい》を|心《こころ》にとめられなかった。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヤコブのすべてのすまいを |滅《ほろ》ぼして、あわれまず、 その|怒《いか》りによって、ユダの|娘《むすめ》のとりでをこわし、 これを|地《ち》に|倒《たお》して、 その|国《くに》とそのつかさたちをはずかしめられた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|激《はげ》しい|怒《いか》りをもって、 イスラエルのすべての|力《ちから》を|断《た》ち、 |敵《てき》の|前《まえ》で、おのれの|右《みぎ》の|手《て》を|引《ひ》きもどし、 |周囲《しゅうい》を|焼《や》きつくす|燃《も》える|火《ひ》のように、 ヤコブを|焼《や》かれた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|敵《てき》のように|弓《ゆみ》を|張《は》り、 あだのように|右《みぎ》の|手《て》を|伸《の》べて|立《た》ち、 シオンの|娘《むすめ》の|天幕《てんまく》におるわれわれの|目《め》に|誇《ほこ》る|者《もの》を、 ことごとく|殺《ころ》し、 |火《ひ》のようにその|怒《いか》りを|注《そそ》がれた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|敵《てき》のようになって、イスラエルを|滅《ほろ》ぼし、 そのすべての|宮殿《きゅうでん》を|滅《ほろ》ぼし、そのとりでをこわし、 ユダの|娘《むすめ》の|上《うえ》に|憂《うれ》いと|悲《かな》しみとを|増《ま》し|加《くわ》えられた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|園《その》の|小屋《こや》のようにおのれの|幕屋《まくや》を|倒《たお》し、 その|祭《まつり》の|場所《ばしょ》をこわされた。 |主《しゅ》は|祭《まつり》と|安息日《あんそくにち》とをシオンに|忘《わす》れさせ、 |激《はげ》しい|怒《いか》りによって、|王《おう》と|祭司《さいし》とを|捨《す》てられた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|祭壇《さいだん》を|忌《い》み、その|聖所《せいじょ》をきらって、 もろもろの|宮殿《きゅうでん》の|石《いし》がきを|敵《てき》の|手《て》に|渡《わた》された。 |彼《かれ》らは|祭《まつり》の|日《ひ》のように、|主《しゅ》の|宮《みや》で|声《こえ》をあげた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシオンの|娘《むすめ》の|城壁《じょうへき》を|破壊《はかい》しようと |思《おも》い|定《さだ》めて、なわを|張《は》り、 |打《う》ちこわして、その|手《て》をひかず、 |城壁《じょうへき》と|石《いし》がきとを|悲《かな》しませられた。 これらは|共《とも》に|衰《おとろ》える。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|門《もん》は|地《ち》にうずもれ、 |主《しゅ》はその|貫《かん》の|木《き》をこわし|砕《くだ》かれた。 その|王《おう》と|君《きみ》たちはもろもろの|国民《くにたみ》の|中《なか》におり、 もはや|律法《りっぽう》はなく、 またその|預言者《よげんしゃ》は|主《しゅ》から|幻《まぼろし》を|得《え》ない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》の|長老《ちょうろう》たちは|地《ち》に|座《ざ》して|黙《もく》し、 |頭《あたま》にちりをかぶり、|身《み》に|荒布《あらぬの》をまとった。 エルサレムのおとめたちはこうべを|地《ち》にたれた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|目《め》は|涙《なみだ》のためにつぶれ、 わがはらわたはわきかえり、 わが|肝《きも》はわが|民《たみ》の|娘《むすめ》の|滅《ほろ》びのために、 |地《ち》に|注《そそ》ぎ|出《だ》される。 |幼《おさ》な|子《こ》や|乳《ち》のみ|子《ご》が|町《まち》のちまたに |息《いき》も|絶《た》えようとしているからである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが、|傷《きず》ついた|者《もの》のように|町《まち》のちまたで |息《いき》も|絶《た》えようとするとき、 その|母《はは》のふところにその|命《いのち》を|注《そそ》ぎ|出《だ》そうとするとき、 |母《はは》にむかって、「パンとぶどう|酒《しゅ》とは どこにありますか」と|叫《さけ》ぶ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムの|娘《むすめ》よ、わたしは|何《なに》をあなたに|言《い》い、 |何《なに》にあなたを|比《くら》べることができようか。 シオンの|娘《むすめ》なるおとめよ、 わたしは|何《なに》をもってあなたになぞらえて、 あなたを|慰《なぐさ》めることができようか。 あなたの|破《やぶ》れは|海《うみ》のように|大《おお》きい、 だれがあなたをいやすことができようか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|預言者《よげんしゃ》たちはあなたのために |人《ひと》を|欺《あざむ》く|偽《いつわ》りの|幻《まぼろし》を|見《み》た。 |彼《かれ》らはあなたの|不義《ふぎ》をあらわして |捕《とら》われを|免《まぬか》れさせようとはせず、 あなたのために|人《ひと》を|迷《まよ》わす|偽《いつわ》りの|託宣《たくせん》を|見《み》た。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すべて|道行《みちゆ》く|人《ひと》は、あなたにむかって|手《て》を|打《う》ち、 エルサレムの|娘《むすめ》にむかって、あざ|笑《わら》い、 かつ|頭《あたま》を|振《ふ》って|言《い》う、 「|麗《うるわ》しさのきわみ、|全《ぜん》|地《ち》の|喜《よろこ》びと となえられた|町《まち》はこれなのか」と。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたのもろもろの|敵《てき》は、あなたをののしり、 あざ|笑《わら》い、|歯《は》がみして|言《い》う、 「われわれはこれを|滅《ほろ》ぼした、 ああ、これはわれわれが|望《のぞ》んだ|日《ひ》だ、 |今《いま》われわれはこれにあい、これを|見《み》た」と。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|計画《けいかく》されたことを|行《おこな》い、 |警告《けいこく》されたことをなし|遂《と》げ、 いにしえから|命《めい》じておかれたように、 |滅《ほろ》ぼして、あわれむことをせず、 あなたについて|敵《てき》を|喜《よろこ》ばせ、 あなたのあだの|力《ちから》を|高《たか》められた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》よ、|声《こえ》|高《たか》らかに|主《しゅ》に|呼《よ》ばわれ、 |夜《よる》も|昼《ひる》も|川《かわ》のように|涙《なみだ》を|流《なが》せ。 みずから|安《やす》んじることをせず、 あなたのひとみを|休《やす》ませるな。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|夜《よる》、|初更《しょこう》に|起《お》きて|叫《さけ》べ。 |主《しゅ》の|前《まえ》にあなたの|心《こころ》を|水《みず》のように|注《そそ》ぎ|出《だ》せ。 |町《まち》のかどで、|飢《う》えて |息《いき》も|絶《た》えようとする|幼《おさ》な|子《こ》の|命《いのち》のために、 |主《しゅ》にむかって|両手《りょうて》をあげよ。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、みそなわして、|顧《かえり》みてください。 あなたはだれにむかって このように|行《おこな》われたのですか。 |女《おんな》は|自分《じぶん》の|産《う》んだ|子《こ》、 その|大事《だいじ》に|育《そだ》てた|幼《おさ》な|子《ご》を|食《た》べるでしょうか。 |祭司《さいし》と|預言者《よげんしゃ》が|主《しゅ》の|聖所《せいじょ》で|殺《ころ》されていいでしょうか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|老《お》いも|若《わか》きも、ちまたのちりに|伏《ふ》し、 わがおとめも、|若人《わこうど》も、 つるぎで|倒《たお》されてしまった。 あなたは、その|怒《いか》りの|日《ひ》にこれを|殺《ころ》し、 これをほふって、あわれむことをされなかった。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、わたしの|恐《おそ》れるものを、 |祭《まつり》の|日《ひ》のように|四方《しほう》から|呼《よ》び|集《あつ》められた。 |主《しゅ》の|怒《いか》りの|日《ひ》には、 のがれた|者《もの》も|残《のこ》った|者《もの》もなかった。 わたしが、いだき|育《そだ》てた|者《もの》を わたしの|敵《てき》は|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》した。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》の|怒《いか》りのむちによって、 |悩《なや》みにあった|人《ひと》である。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしをかり|立《た》てて、|光《ひかり》のない|暗《くら》い|中《なか》を|歩《ある》かせ、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]まことにその|手《て》をしばしばかえて、 ひねもすわたしを|攻《せ》められた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわが|肉《にく》と|皮《かわ》を|衰《おとろ》えさせ、わが|骨《ほね》を|砕《くだ》き、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|苦《くる》しみと|悩《なや》みをもって、 わたしを|囲《かこ》み、わたしを|閉《と》じこめ、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|遠《とお》い|昔《むかし》に|死《し》んだ|者《もの》のように、 |暗《くら》い|所《ところ》に|住《す》まわせられた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしのまわりに、かきをめぐらして、 |出《で》ることのできないようにし、 |重《おも》い|鎖《くさり》でわたしをつながれた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|叫《さけ》んで|助《たす》けを|求《もと》めたが、 |彼《かれ》はわたしの|祈《いのり》をしりぞけ、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|切《き》り|石《いし》をもって、わたしの|行《い》く|道《みち》をふさぎ、 わたしの|道筋《みちすじ》を|曲《ま》げられた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|対《たい》して|待《ま》ち|伏《ぶ》せするくまのように、 |潜《ひそ》み|隠《かく》れるししのように、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わが|道《みち》を|離《はな》れさせ、わたしを|引《ひ》き|裂《さ》いて、 |見《み》るかげもないみじめな|者《もの》とし、 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|弓《ゆみ》を|張《は》って、 わたしを|矢《や》の|的《まと》のようにされた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|箙《えびら》の|矢《や》を わたしの|心臓《しんぞう》に|打《う》ち|込《こ》まれた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはすべての|民《たみ》の|物笑《ものわら》いとなり、 ひねもす|彼《かれ》らの|歌《うた》となった。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしを|苦《にが》い|物《もの》で|飽《あ》かせ、 にがよもぎをわたしに|飲《の》ませられた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|小石《こいし》をもって、わたしの|歯《は》を|砕《くだ》き、 |灰《はい》の|中《なか》にわたしをころがされた。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|平和《へいわ》を|失《うしな》い、 わたしは|幸福《こうふく》を|忘《わす》れた。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|言《い》った、「わが|栄《さか》えはうせ|去《さ》り、 わたしが|主《しゅ》に|望《のぞ》むところのものもうせ|去《さ》った」と。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]どうか、わが|悩《なや》みと|苦《くる》しみ、 にがよもぎと|胆汁《たんじゅう》とを|心《こころ》に|留《と》めてください。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|絶《た》えずこれを|思《おも》って、 わがうちにうなだれる。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしはこの|事《こと》を|心《こころ》に|思《おも》い|起《おこ》す。 それゆえ、わたしは|望《のぞ》みをいだく。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》のいつくしみは|絶《た》えることがなく、 そのあわれみは|尽《つ》きることがない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]これは|朝《あさ》ごとに|新《あたら》しく、 あなたの|真実《しんじつ》は|大《おお》きい。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》は|言《い》う、「|主《しゅ》はわたしの|受《う》くべき|分《ぶん》である、 それゆえ、わたしは|彼《かれ》を|待《ま》ち|望《のぞ》む」と。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はおのれを|待《ま》ち|望《のぞ》む|者《もの》と、 おのれを|尋《たず》ね|求《もと》める|者《もの》にむかって|恵《めぐ》みふかい。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|救《すくい》を|静《しず》かに|待《ま》ち|望《のぞ》むことは、|良《よ》いことである。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|若《わか》い|時《とき》にくびきを|負《お》うことは、|良《よ》いことである。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》がこれを|負《お》わせられるとき、 ひとりすわって|黙《もく》しているがよい。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|口《くち》をちりにつけよ、 あるいはなお|望《のぞ》みがあるであろう。 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]おのれを|撃《う》つ|者《もの》にほおを|向《む》け、 |満《み》ち|足《た》りるまでに、はずかしめを|受《う》けよ。 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はとこしえにこのような|人《ひと》を |捨《す》てられないからである。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|悩《なや》みを|与《あた》えられるが、 そのいつくしみが|豊《ゆた》かなので、 またあわれみをたれられる。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|心《こころ》から|人《ひと》の|子《こ》を |苦《くる》しめ|悩《なや》ますことをされないからである。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》のすべての|捕《とら》われ|人《びと》を|足《あし》の|下《した》に|踏《ふ》みにじり、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|者《もの》の|前《まえ》に|人《ひと》の|公義《こうぎ》をまげ、 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|訴《うった》えをくつがえすことは、 |主《しゅ》のよみせられないことである。 [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|命《めい》じられたのでなければ、 だれが|命《めい》じて、その|事《こと》の|成《な》ったことがあるか。 [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|災《わざわい》もさいわいも、 いと|高《たか》き|者《もの》の|口《くち》から|出《で》るではないか。 [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|生《い》ける|人《ひと》はどうしてつぶやかねばならないのか、 |人《ひと》は|自分《じぶん》の|罪《つみ》の|罰《ばっ》せられるのを、 つぶやくことができようか。 [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれは、|自分《じぶん》の|行《おこな》いを|調《しら》べ、 かつ|省《かえり》みて、|主《しゅ》に|帰《かえ》ろう。 [#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|天《てん》にいます|神《かみ》にむかって、 |手《て》と|共《とも》に|心《こころ》をもあげよう。 [#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]「わたしたちは|罪《つみ》を|犯《おか》し、そむきました、 あなたはおゆるしになりませんでした。 [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|怒《いか》りをもってご|自分《じぶん》をおおい、 わたしたちを|追《お》い|攻《せ》め、|殺《ころ》して、あわれまず、 [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]また|雲《くも》をもってご|自分《じぶん》をおおい、 |祈《いのり》を|通《つう》じないようにし、 [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》の|中《なか》に、 わたしたちをちりあくたとなさいました。 [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|敵《てき》はみなわたしたちをののしり、 [#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|恐《おそ》れと|落《おと》し|穴《あな》と、|荒廃《こうはい》と|滅亡《めつぼう》とが、 わたしたちに|臨《のぞ》みました。 [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|娘《むすめ》の|滅《ほろ》びによって、 わたしの|目《め》には|涙《なみだ》の|川《かわ》が|流《なが》れています。 [#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]わが|目《め》は|絶《た》えず|涙《なみだ》を|注《そそ》ぎ|出《だ》して、やむことなく、 [#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|天《てん》から|見《み》おろして、 |顧《かえり》みられる|時《とき》にまで|及《およ》ぶでしょう。 [#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]わが|目《め》はわが|町《まち》のすべての|娘《むすめ》の|最期《さいご》のゆえに、 わたしを|痛《いた》ませます。 [#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]ゆえなくわたしに|敵《てき》する|者《もの》どもによって、 わたしは|鳥《とり》のように|追《お》われました。 [#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|生《い》きているわたしを|穴《あな》の|中《なか》に|投《な》げ|入《い》れ、 わたしの|上《うえ》に|石《いし》を|投《な》げつけました。 [#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》はわたしの|頭《あたま》の|上《うえ》にあふれ、 わたしは『|断《た》ち|滅《ほろ》ぼされた』と|言《い》いました。 [#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしは|深《ふか》い|穴《あな》からみ|名《な》を|呼《よ》びました。 [#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|声《こえ》を|聞《き》かれました、 『わが|嘆《なげ》きと|叫《さけ》びに|耳《みみ》をふさがないでください』。 [#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたに|呼《よ》ばわったとき、 あなたは|近寄《ちかよ》って、『|恐《おそ》れるな』と|言《い》われました。 [#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわが|訴《うった》えを|取《と》りあげて、 わたしの|命《いのち》をあがなわれました。 [#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわたしがこうむった|不義《ふぎ》を ごらんになりました。 わたしの|訴《うった》えをおさばきください。 [#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしに|対《たい》する|彼《かれ》らの|報復《ほうふく》と、 |陰謀《いんぼう》とを、ことごとくごらんになりました。 [#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたはわたしに|対《たい》する|彼《かれ》らのそしりと、 |陰謀《いんぼう》とを、ことごとく|聞《き》かれました。 [#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》ってわたしに|逆《さか》らう|者《もの》どものくちびると、 その|思《おも》いは、ひねもすわたしを|攻《せ》めています。 [#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|彼《かれ》らのすわるをも、|立《た》つをも、 みそなわしてください。 わたしは|彼《かれ》らの|歌《うた》となっています。 [#太字]六四[#「六四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らの|手《て》のわざにしたがって、|彼《かれ》らに|報《むく》い、 [#太字]六五[#「六五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|心《こころ》をかたくなにし、 あなたののろいを|彼《かれ》らに|注《そそ》いでください。 [#太字]六六[#「六六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|怒《いか》りをもって|彼《かれ》らを|追《お》い、 |天《あめ》が|下《した》から|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼしてください」。 [#ここで字下げ終わり] 第四章[#「第四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|黄金《おうごん》は|光《ひかり》を|失《うしな》い、 |純金《じゅんきん》は|色《いろ》を|変《へん》じ、 |聖所《せいじょ》の|石《いし》は すべてのちまたのかどに|投《な》げ|捨《す》てられた。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ああ、|精《せい》|金《きん》にも|比《ひ》すべきシオンのいとし|子《ご》らは、 |陶器《とうき》|師《し》の|手《て》のわざである|土《つち》の|器《うつわ》のようにみなされる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|山犬《やまいぬ》さえも|乳《ち》ぶさをたれて、その|子《こ》に|乳《ちち》を|飲《の》ませる。 ところが、わが|民《たみ》の|娘《むすめ》は、 |荒野《あらの》のだちょうのように|無慈悲《むじひ》になった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|乳《ち》のみ|子《ご》の|舌《した》はかわいて、|上《うえ》あごに、ひたとつき、 |幼《おさ》な|子《ご》らはパンを|求《もと》めても、これに|与《あた》える|者《もの》がない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]うまい|物《もの》を|食《た》べていた|者《もの》は、 |落《お》ちぶれて、ちまたにおり、 |紫《むらさき》の|着物《きもの》で|育《そだ》てられた|者《もの》も、 |今《いま》は|灰《はい》だまりの|上《うえ》に|伏《ふ》している。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|娘《むすめ》のうけた|懲《こら》しめは、 ソドムの|罰《ばつ》よりも|大《おお》きかった。 ソドムは|昔《むかし》、|人《ひと》の|手《て》によらないで、 またたくまに|滅《ほろ》ぼされたのだ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|君《きみ》たちは|雪《ゆき》よりも|清《きよ》らかに、 |乳《ちち》よりも|白《しろ》く、 そのからだは、さんごよりも|赤《あか》く、 その|姿《すがた》の|美《うつく》しさはサファイヤのようであった。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》はその|顔《かお》はすすよりも|黒《くろ》く、 |町《まち》の|中《なか》にいても|人《ひと》に|知《し》られず、 その|皮膚《ひふ》は|縮《ちぢ》んで|骨《ほね》につき、 かわいて|枯《か》れ|木《き》のようになった。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]つるぎで|殺《ころ》される|者《もの》は、 |飢《う》えて|死《し》ぬ|者《もの》よりもさいわいである。 |彼《かれ》らは|田畑《たはた》の|産物《さんぶつ》の|欠乏《けつぼう》によって、 |刺《さ》された|者《もの》のように|衰《おとろ》え|行《い》くからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|娘《むすめ》の|滅《ほろ》びる|時《とき》には |情深《なさけぶか》い|女《おんな》たちさえも、 |手《て》ずから|自分《じぶん》の|子《こ》どもを|煮《に》て、それを|食物《しょくもつ》とした。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|憤《いきどお》りをことごとく|漏《も》らし、 |激《はげ》しい|怒《いか》りをそそぎ、 シオンに|火《ひ》を|燃《も》やして、 その|礎《いしずえ》までも|焼《や》き|払《はら》われた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|王《おう》たちも、|世《よ》の|民《たみ》らもみな、 エルサレムの|門《もん》に、あだや|敵《てき》が、 |討《う》ち|入《はい》ろうとは|信《しん》じなかった。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これはその|預言者《よげんしゃ》たちの|罪《つみ》のため、 その|祭司《さいし》たちの|不義《ふぎ》のためであった。 |彼《かれ》らは|義人《ぎじん》の|血《ち》をその|町《まち》の|中《なか》に|流《なが》した|者《もの》である。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|盲人《もうじん》のように、ちまたにさまよい、 |血《ち》で|汚《けが》れている。 だれもその|衣《ころも》にさわることができない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》らにむかって、「|去《さ》れよ、けがらわしい」、 「|去《さ》れよ、|去《さ》れよ、さわるな」と|叫《さけ》んだので、 |彼《かれ》らは|逃《に》げ|去《さ》って|放浪者《ほうろうしゃ》となったが、 |異邦人《いほうじん》の|中《なか》でも|人々《ひとびと》は「もうわれわれのうちに |宿《やど》ってはならない」と|言《い》った。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はみずから|彼《かれ》らを|散《ち》らして、 |再《ふたた》び|彼《かれ》らを|顧《かえり》みず、 |祭司《さいし》を|尊《たっと》ばず、 |長老《ちょうろう》をいたわられなかった。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|目《め》は、むなしく|助《たす》けを|待《ま》ち|望《のぞ》んで |疲《つか》れ|衰《おとろ》えた。 われわれは|待《ま》ち|望《のぞ》んだが、 |救《すくい》を|与《あた》え|得《え》ない|国《くに》びとを|待《ま》ち|望《のぞ》んだ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がわれわれの|歩《あゆ》みをうかがうので、 われわれは|自分《じぶん》の|町《まち》の|中《なか》をも、 |歩《ある》くことができなかった。 われわれの|終《おわ》りは|近《ちか》づいた、|日《ひ》は|尽《つ》きた。 われわれの|終《おわ》りが|来《き》たからである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]われわれを|追《お》う|者《もの》は|空《そら》のはげたかよりも|速《はや》く、 |彼《かれ》らは|山《やま》でわれわれを|追《お》い|立《た》て、 |野《の》でわれわれを|待《ま》ち|伏《ぶ》せる。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれが|鼻《はな》の|息《いき》とたのんだ|者《もの》、 |主《しゅ》に|油《あぶら》そそがれた|者《もの》は、|彼《かれ》らの|落《おと》し|穴《あな》で|捕《とら》えられた。 |彼《かれ》はわれわれが「|異邦人《いほうじん》の|中《なか》でも その|陰《かげ》に|生《い》きるであろう」と|思《おも》った|者《もの》である。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ウズの|地《ち》に|住《す》むエドムの|娘《むすめ》よ、 |喜《よろこ》び|楽《たの》しめ、 あなたにもまた|杯《さかずき》がめぐって|行《い》く、 あなたも|酔《よ》って|裸《はだか》になる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》よ、あなたの|不義《ふぎ》の|罰《ばつ》は|終《おわ》った。 |主《しゅ》は|重《かさ》ねてあなたを|捕《とら》え|移《うつ》されない。 エドムの|娘《むすめ》よ、|主《しゅ》はあなたの|不義《ふぎ》を|罰《ばっ》し、 あなたの|罪《つみ》をあらわされる。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、われわれに|臨《のぞ》んだ|事《こと》を |覚《おぼ》えてください。 われわれのはずかしめを|顧《かえり》みてください。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|嗣《し》|業《ぎょう》は|他国《たこく》の|人《ひと》に|移《うつ》り、 |家《いえ》は|異邦人《いほうじん》のものとなった。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]われわれはみなしごとなって|父《ちち》はなく、 |母《はは》はやもめにひとしい。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|金《かね》を|出《だ》して|水《みず》を|飲《の》み、 |価《あたい》を|払《はら》って、たきぎを|獲《え》なければならない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|首《くび》にくびきをかけられて|追《お》い|使《つか》われ、 |疲《つか》れても|休《やす》むことができない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|足《た》りるだけの|食物《しょくもつ》を|獲《え》るために、 エジプトおよびアッスリヤに|手《て》をさし|伸《の》べた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|先祖《せんぞ》は|罪《つみ》を|犯《おか》して、すでに|世《よ》になく、 われわれはその|不義《ふぎ》の|責《せ》めを|負《お》っている。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|奴隷《どれい》であった|者《もの》がわれわれを|治《おさ》めるが、 われわれをその|手《て》から|救《すく》い|出《だ》す|者《もの》がない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|荒野《あらの》のつるぎのゆえに、 おのが|命《いのち》をかけて|食物《しょくもつ》を|獲《え》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|皮膚《ひふ》は|飢餓《きが》の|激《はげ》しい|熱《ねつ》のために、 |炉《ろ》のように|熱《あつ》い。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|女《おんな》たちはシオンで|犯《おか》され、 おとめたちはユダの|町々《まちまち》で|汚《けが》された。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|君《きみ》たる|者《もの》も|彼《かれ》らの|手《て》でつるされ、 |長老《ちょうろう》たちも|尊《たっと》ばれず、 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|若者《わかもの》たちは、ひきうすをになわせられ、 わらべたちは、たきぎを|負《お》って、よろめき、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|長老《ちょうろう》たちは|門《もん》に|集《あつ》まることをやめ、 |若者《わかもの》たちはその|音楽《おんがく》を|廃《はい》した。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|心《こころ》の|喜《よろこ》びはやみ、 |踊《おど》りは|悲《かな》しみに|変《かわ》り、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|冠《かんむり》はこうべから|落《お》ちた。 わざわいなるかな、われわれは|罪《つみ》を|犯《おか》したからである。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]このために、われわれの|心《こころ》は|衰《おとろ》え、 これらの|事《こと》のために、われわれの|目《め》はくらくなった。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|山《やま》は|荒《あ》れはて、 |山犬《やまいぬ》がその|上《うえ》を|歩《ある》いているからである。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》よ、あなたはとこしえに|統《す》べ|治《おさ》められる。 あなたの、み|位《くらい》は|世々《よよ》|絶《た》えることがない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]なぜ、あなたはわれわれをながく|忘《わす》れ、 われわれを|久《ひさ》しく|捨《す》ておかれるのですか。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたに|帰《かえ》らせてください、 われわれは|帰《かえ》ります。 われわれの|日《ひ》を|新《あら》たにして、 いにしえの|日《ひ》のようにしてください。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|全《まった》くわれわれを|捨《す》てられたのですか、 はなはだしく|怒《いか》っていられるのですか。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] エゼキエル書[#「エゼキエル書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三十|年《ねん》四|月《がつ》五|日《か》に、わたしがケバル|川《がわ》のほとりで、|捕囚《ほしゅう》の|人々《ひとびと》のうちにいた|時《とき》、|天《てん》が|開《ひら》けて、|神《かみ》の|幻《まぼろし》を|見《み》た。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これはエホヤキン|王《おう》の|捕《とら》え|移《うつ》された|第《だい》五|年《ねん》であって、その|月《つき》の五|日《か》に、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がケバル|川《がわ》のほとり、カルデヤびとの|地《ち》でブジの|子《こ》|祭司《さいし》エゼキエルに|臨《のぞ》み、|主《しゅ》の|手《て》がその|所《ところ》で|彼《かれ》の|上《うえ》にあった。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ていると、|見《み》よ、|激《はげ》しい|風《かぜ》と|大《おお》いなる|雲《くも》が|北《きた》から|来《き》て、その|周囲《しゅうい》に|輝《かがや》きがあり、たえず|火《ひ》を|吹《ふ》き|出《だ》していた。その|火《ひ》の|中《なか》に|青銅《せいどう》のように|輝《かがや》くものがあった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またその|中《なか》から四つの|生《い》きものの|形《かたち》が|出《で》てきた。その|様子《ようす》はこうである。|彼《かれ》らは|人《ひと》の|姿《すがた》をもっていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]おのおの四つの|顔《かお》をもち、またそのおのおのに四つの|翼《つばさ》があった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|足《あし》はまっすぐで、|足《あし》のうらは|子《こ》|牛《うし》の|足《あし》のうらのようであり、みがいた|青銅《せいどう》のように|光《ひか》っていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|四方《しほう》に、そのおのおのの|翼《つばさ》の|下《した》に|人《ひと》の|手《て》があった。この四つの|者《もの》はみな|顔《かお》と|翼《つばさ》をもち、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|翼《つばさ》は|互《たがい》に|連《つら》なり、|行《ゆ》く|時《とき》は|回《まわ》らずに、おのおの|顔《かお》の|向《む》かうところにまっすぐに|進《すす》んだ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|顔《かお》の|形《かたち》は、おのおのその|前方《ぜんぽう》に|人《ひと》の|顔《かお》をもっていた。四つの|者《もの》は|右《みぎ》の|方《ほう》に、ししの|顔《かお》をもち、四つの|者《もの》は|左《ひだり》の|方《ほう》に|牛《うし》の|顔《かお》をもち、また四つの|者《もの》は|後《うし》ろの|方《ほう》に、わしの|顔《かお》をもっていた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|顔《かお》はこのようであった。その|翼《つばさ》は|高《たか》く|伸《の》ばされ、その二つは|互《たがい》に|連《つら》なり、|他《た》の二つをもってからだをおおっていた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはおのおのその|顔《かお》の|向《む》かうところへまっすぐに|行《い》き、|霊《れい》の|行《ゆ》くところへ|彼《かれ》らも|行《ゆ》き、その|行《ゆ》く|時《とき》は|回《まわ》らない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|生《い》きもののうちには|燃《も》える|炭《すみ》の|火《ひ》のようなものがあり、たいまつのように、|生《い》きものの|中《なか》を|行《ゆ》き|来《き》している。|火《ひ》は|輝《かがや》いて、その|火《ひ》から、いなずまが|出《で》ていた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|生《い》きものは、いなずまのひらめきのように|速《はや》く|行《ゆ》き|来《き》していた。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|生《い》きものを|見《み》ていると、|生《い》きもののかたわら、|地《ち》の|上《うえ》に|輪《わ》があった。四つの|生《い》きものおのおのに、一つずつの|輪《わ》である。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|輪《わ》の|形《かたち》と|作《つく》りは、|光《ひか》る|貴《き》かんらん|石《いし》のようである。四つのものは|同《おな》じ|形《かたち》で、その|作《つく》りは、あたかも、|輪《わ》の|中《なか》に|輪《わ》があるようである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|行《ゆ》く|時《とき》、|彼《かれ》らは|四方《しほう》のいずれかに|行《い》き、|行《ゆ》く|時《とき》は|回《まわ》らない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]四つの|輪《わ》には|輪《わ》|縁《ぶち》と|輻《や》とがあり、その|輪《わ》|縁《ぶち》の|周囲《しゅうい》は|目《め》をもって|満《み》たされていた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|生《い》きものが|行《ゆ》く|時《とき》には、|輪《わ》もそのかたわらに|行《い》き、|生《い》きものが|地《ち》からあがる|時《とき》は、|輪《わ》もあがる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|霊《れい》の|行《ゆ》く|所《ところ》には|彼《かれ》らも|行《い》き、|輪《わ》は|彼《かれ》らに|伴《ともな》ってあがる。|生《い》きものの|霊《れい》が|輪《わ》の|中《なか》にあるからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|行《ゆ》く|時《とき》は、これらも|行《い》き、|彼《かれ》らがとどまる|時《とき》は、これらもとどまり、|彼《かれ》らが|地《ち》からあがる|時《とき》は、|輪《わ》もまたこれらと|共《とも》にあがる。|生《い》きものの|霊《れい》が|輪《わ》の|中《なか》にあるからである。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|生《い》きものの|頭《あたま》の|上《うえ》に|水晶《すいしょう》のように|輝《かがや》く|大空《おおぞら》の|形《かたち》があって、|彼《かれ》らの|頭《あたま》の|上《うえ》に|広《ひろ》がっている。、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|大空《おおぞら》の|下《した》にはまっすぐに|伸《の》ばした|翼《つばさ》があり、たがいに|相連《あいつら》なり、|生《い》きものはおのおの二つの|翼《つばさ》をもって、からだをおおっている。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|行《ゆ》く|時《とき》、わたしは|大水《おおみず》の|声《こえ》、|全能者《ぜんのうしゃ》の|声《こえ》のような|翼《つばさ》の|声《こえ》を|聞《き》いた。その|声《こえ》の|響《ひび》きは|大軍《たいぐん》の|声《こえ》のようで、そのとどまる|時《とき》は|翼《つばさ》をたれる。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|頭《あたま》の|上《うえ》の|大空《おおぞら》から|声《こえ》があった。|彼《かれ》らが|立《た》ちとどまる|時《とき》は|翼《つばさ》をおろした。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|頭《あたま》の|上《うえ》の|大空《おおぞら》の|上《うえ》に、サファイヤのような|位《くらい》の|形《かたち》があった。またその|位《くらい》の|形《かたち》の|上《うえ》に、|人《ひと》の|姿《すがた》のような|形《かたち》があった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|腰《こし》とみえる|所《ところ》の|上《うえ》の|方《ほう》に、|火《ひ》の|形《かたち》のような|光《ひか》る|青銅《せいどう》の|色《いろ》のものが、これを|囲《かこ》んでいるのを|見《み》た。わたしはその|腰《こし》とみえる|所《ところ》の|下《した》の|方《ほう》に、|火《ひ》のようなものを|見《み》た。そして|彼《かれ》のまわりに|輝《かがや》きがあった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そのまわりにある|輝《かがや》きのさまは、|雨《あめ》の|日《ひ》に|雲《くも》に|起《おこ》るにじのようであった。  |主《しゅ》の|栄光《えいこう》の|形《かたち》のさまは、このようであった。わたしはこれを|見《み》て、わたしの|顔《かお》をふせたとき、|語《かた》る|者《もの》の|声《こえ》を|聞《き》いた。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|立《た》ちあがれ、わたしはあなたに|語《かた》ろう」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》がわたしに|語《かた》られた|時《とき》、|霊《れい》がわたしのうちに|入《い》り、わたしを|立《た》ちあがらせた。そして|彼《かれ》のわたしに|語《かた》られるのを|聞《き》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしはあなたをイスラエルの|民《たみ》、すなわちわたしにそむいた|反逆《はんぎゃく》の|民《たみ》につかわす。|彼《かれ》らもその|先祖《せんぞ》も、わたしにそむいて|今日《こんにち》に|及《およ》んでいる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|厚顔《こうがん》で|強情《ごうじょう》な|者《もの》たちである。わたしはあなたを|彼《かれ》らにつかわす。あなたは|彼《かれ》らに『|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる』と|言《い》いなさい。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|聞《き》いても、|拒《こば》んでも、(|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》だから)|彼《かれ》らの|中《なか》に|預言者《よげんしゃ》がいたことを|知《し》るだろう。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。|彼《かれ》らの|言葉《ことば》をも|恐《おそ》れてはならない。たといあざみといばらがあなたと|一緒《いっしょ》にあっても、またあなたが、さそりの|中《なか》に|住《す》んでも、|彼《かれ》らの|言葉《ことば》を|恐《おそ》れてはならない。|彼《かれ》らの|顔《かお》をはばかってはならない。|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|聞《き》いても、|拒《こば》んでも、あなたはただわたしの|言葉《ことば》を|彼《かれ》らに|語《かた》らなければならない。|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》だから。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしがあなたに|語《かた》るところを|聞《き》きなさい。|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》のようにそむいてはならない。あなたの|口《くち》を|開《ひら》いて、わたしが|与《あた》えるものを|食《た》べなさい」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》わたしが|見《み》ると、|見《み》よ、わたしの|方《ほう》に|伸《の》べた|手《て》があった。また|見《み》よ、|手《て》の|中《なか》に|巻物《まきもの》があった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしの|前《まえ》にこれを|開《ひら》くと、その|表《おもて》にも|裏《うら》にも|文字《もじ》が|書《か》いてあった。その|書《か》かれていることは|悲《かな》しみと、|嘆《なげ》きと、|災《わざわい》の|言葉《ことば》であった。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた。「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたに|与《あた》えられたものを|食《た》べなさい。この|巻物《まきもの》を|食《た》べ、|行《い》ってイスラエルの|家《いえ》に|語《かた》りなさい」。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしが|口《くち》を|開《ひら》くと、|彼《かれ》はわたしにその|巻物《まきもの》を|食《た》べさせた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしがあなたに|与《あた》えるこの|巻物《まきもの》を|食《た》べ、これであなたの|腹《はら》を|満《み》たしなさい」。わたしがそれを|食《た》べると、それはわたしの|口《くち》に|甘《あま》いこと|蜜《みつ》のようであった。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|家《いえ》に|行《い》って、わたしの|言葉《ことば》を|語《かた》りなさい。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを、|異国《いこく》|語《ご》を|用《もち》い、|舌《した》の|重《おも》い|民《たみ》につかわすのでなく、イスラエルの|家《いえ》につかわすのである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたがその|言葉《ことば》を|知《し》らない、|異国《いこく》|語《ご》の|舌《した》の|重《おも》い|多《おお》くの|民《たみ》につかわすのではない。もしわたしがあなたをそのような|民《たみ》につかわしたら、|彼《かれ》らはあなたに|聞《き》いたであろう。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|家《いえ》はあなたに|聞《き》くのを|好《この》まない。|彼《かれ》らはわたしに|聞《き》くのを|好《この》まないからである。イスラエルの|家《いえ》はすべて|厚顔《こうがん》でまた|強情《ごうじょう》である。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたの|顔《かお》を|彼《かれ》らの|顔《かお》に|向《む》かって|堅《かた》くし、あなたの|額《ひたい》を|彼《かれ》らの|額《ひたい》に|向《む》かって|堅《かた》くした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|額《ひたい》を|岩《いわ》よりも|堅《かた》いダイヤモンドのようにした。ゆえに|彼《かれ》らを|恐《おそ》れてはならない。|彼《かれ》らの|顔《かお》をはばかってはならない。|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》である」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしがあなたに|語《かた》るすべての|言葉《ことば》をあなたの|心《こころ》におさめ、あなたの|耳《みみ》に|聞《き》きなさい。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そして|捕囚《ほしゅう》の|人々《ひとびと》、あなたの|民《たみ》の|人々《ひとびと》の|所《ところ》へ|行《い》って、|彼《かれ》らが|聞《き》いても、|彼《かれ》らが|拒《こば》んでも、『|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる』と|彼《かれ》らに|言《い》いなさい」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|霊《れい》がわたしをもたげた。そして|主《しゅ》の|栄光《えいこう》がその|所《ところ》からのぼった|時《とき》、わたしの|後《うしろ》に|大《おお》いなる|地震《じしん》の|響《ひび》きを|聞《き》いた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それは|互《たがい》に|相触《あいふ》れる|生《い》きものの|翼《つばさ》の|音《おと》と、そのかたわらの|輪《わ》の|音《おと》で、|大《おお》いなる|地震《じしん》のように|響《ひび》いた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|霊《れい》はわたしをもたげ、わたしを|取《と》り|去《さ》ったので、わたしは|心《こころ》を|熱《あつ》くし、|苦々《にがにが》しい|思《おも》いで|出《で》て|行《い》った。|主《しゅ》の|手《て》が|強《つよ》くわたしの|上《うえ》にあった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしはケバル|川《がわ》のほとりのテルアビブにいる|捕囚《ほしゅう》の|人々《ひとびと》のもとへ|行《い》き、|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|驚《おどろ》きあきれて|彼《かれ》らの|中《なか》に|座《ざ》した。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》|過《す》ぎて|後《のち》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしはあなたをイスラエルの|家《いえ》のために|見守《みまも》る|者《もの》とした。あなたはわたしの|口《くち》から|言葉《ことば》を|聞《き》くたびに、わたしに|代《かわ》って|彼《かれ》らを|戒《いまし》めなさい。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|悪人《あくにん》に『あなたは|必《かなら》ず|死《し》ぬ』と|言《い》うとき、あなたは|彼《かれ》の|命《いのち》を|救《すく》うために|彼《かれ》を|戒《いまし》めず、また|悪人《あくにん》を|戒《いまし》めて、その|悪《わる》い|道《みち》から|離《はな》れるように|語《かた》らないなら、その|悪人《あくにん》は|自分《じぶん》の|悪《あく》のために|死《し》ぬ。しかしその|血《ち》をわたしはあなたの|手《て》から|求《もと》める。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしあなたが|悪人《あくにん》を|戒《いまし》めても、|彼《かれ》がその|悪《あく》をも、またその|悪《わる》い|道《みち》をも|離《はな》れないなら、|彼《かれ》はその|悪《あく》のために|死《し》ぬ。しかしあなたは|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》う。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|義人《ぎじん》がその|義《ぎ》にそむき、|不義《ふぎ》を|行《おこな》うなら、わたしは|彼《かれ》の|前《まえ》に、つまずきを|置《お》き、|彼《かれ》は|死《し》ぬ。あなたが|彼《かれ》を|戒《いまし》めなかったゆえ、|彼《かれ》はその|罪《つみ》のために|死《し》に、その|行《おこな》った|義《ぎ》は|覚《おぼ》えられない。しかしその|血《ち》をわたしはあなたの|手《て》から|求《もと》める。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]けれども、もしあなたが|義人《ぎじん》を|戒《いまし》めて、|罪《つみ》を|犯《おか》さないように|語《かた》り、そして|彼《かれ》が|罪《つみ》を|犯《おか》さないなら、|彼《かれ》は|戒《いまし》めを|受《う》けいれたゆえに、その|命《いのち》を|保《たも》ち、あなたは|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》う」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》で|主《しゅ》の|手《て》がわたしの|上《うえ》に|臨《のぞ》み、|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|立《た》って、|平野《へいや》に|出《で》て|行《い》きなさい。その|所《ところ》でわたしはあなたに|語《かた》ろう」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしは|立《た》って|平野《へいや》に|出《で》て|行《い》った。|見《み》よ、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が、かつてわたしがケバル|川《がわ》のほとりで|見《み》た|栄光《えいこう》のように、その|所《ところ》に|立《た》ち|現《あらわ》れたので、わたしはひれ|伏《ふ》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|霊《れい》がわたしのうちにはいって、わたしを|立《た》ちあがらせ、わたしに|語《かた》って|言《い》った、「|行《い》って、あなたの|家《いえ》にこもっていなさい。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、|見《み》よ、|彼《かれ》らはあなたの|上《うえ》になわをかけ、それであなたを|縛《しば》り、あなたを|民《たみ》の|中《なか》に|行《い》かせないようにする。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|舌《した》を|上《うえ》あごにつかせ、あなたをおしにして、|彼《かれ》らを|戒《いまし》めることができないようにする。|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》だからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしがあなたと|語《かた》るときは、あなたの|口《くち》を|開《ひら》く。あなたは|彼《かれ》らに『|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる』と|言《い》わなければならない。|聞《き》く|者《もの》は|聞《き》くがよい、|拒《こば》む|者《もの》は|拒《こば》むがよい。|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》だからである。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、一|枚《まい》のかわらを|取《と》って、あなたの|前《まえ》に|置《お》き、その|上《うえ》にエルサレムの|町《まち》を|描《えが》きなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてこれを|取《と》り|囲《かこ》み、これにむかって|雲梯《うんてい》を|設《もう》け、|塁《るい》を|築《きず》き、|陣《じん》を|張《は》り、その|回《まわ》りに|城《しろ》くずしを|備《そな》えてこれを|攻《せ》めなさい。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|鉄《てつ》の|板《いた》をとり、それをあなたと|町《まち》の|間《あいだ》に|置《お》いて|鉄《てつ》の|壁《かべ》となし、あなたの|顔《かお》をこれに|向《む》けなさい。|町《まち》をこのように|囲《かこ》んで、その|包囲《ほうい》を|押《お》し|進《すす》めなさい。これがイスラエルの|家《いえ》のしるしである。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|自分《じぶん》の|左《ひだり》|脇《わき》を|下《した》にして|寝《ね》なさい。わたしはあなたの|上《うえ》にイスラエルの|家《いえ》の|罰《ばつ》を|置《お》く。あなたはこのようにして|寝《ね》ている|日《ひ》の|間《あいだ》、|彼《かれ》らの|罰《ばつ》を|負《お》わなければならない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|罰《ばつ》の|年数《ねんすう》に|等《ひと》しいその|日《ひ》|数《かず》、すなわち三百九十|日《にち》をあなたのために|定《さだ》める。その|間《かん》あなたはイスラエルの|家《いえ》の|罰《ばつ》を|負《お》わなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|期間《きかん》を|終《おわ》ったなら、また|右《みぎ》|脇《わき》を|下《した》にして|寝《ね》て、ユダの|家《いえ》の|罰《ばつ》を|負《お》わなければならない。わたしは一|日《にち》を一|年《ねん》として四十|日《にち》をあなたのために|定《さだ》める。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|顔《かお》をエルサレムの|包囲《ほうい》の|方《ほう》に|向《む》け、|腕《うで》をあらわし、|町《まち》に|向《む》かって|預言《よげん》しなければならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたに、なわをかけて、あなたの|包囲《ほうい》の|期間《きかん》の|終《おわ》るまで、|左右《さゆう》に|動《うご》くことができないようにする。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|小麦《こむぎ》、|大麦《おおむぎ》、|豆《まめ》、レンズ|豆《まめ》、あわ、はだか|麦《むぎ》を|取《と》って、一つの|器《うつわ》に|入《い》れ、これでパンを|造《つく》り、あなたが|横《よこ》になって|寝《ね》る|日《ひ》の|数《かず》、すなわち三百九十|日《にち》の|間《あいだ》これを|食《た》べなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|食《た》べる|食物《しょくもつ》は|量《はか》って一|日《にち》に二十シケルである。あなたは一|日《にち》に一|度《ど》これを|食《た》べなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|水《みず》を|量《はか》って一ヒンの六|分《ぶん》の一を一|日《にち》に一|度《ど》|飲《の》まなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大麦《おおむぎ》の|菓子《かし》のようにしてこれを|食《た》べなさい。すなわち|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》でこれを|人《ひと》の|糞《ふん》で|焼《や》かなければならない」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は|言《い》われた、「このようにイスラエルの|民《たみ》はわたしが|追《お》いやろうとする|国々《くにぐに》の|中《なか》で|汚《けが》れたパンを|食《た》べなければならない」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|言《い》った、「ああ、|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、わたしは|自分《じぶん》を|汚《けが》したことはありません。わたしは|幼《おさな》い|時《とき》から|今日《こんにち》まで、|自然《しぜん》に|死《し》んだものや、|野獣《やじゅう》に|裂《さ》き|殺《ころ》されたものを|食《た》べたことはありません。また|汚《けが》れた|肉《にく》がわたしの|口《くち》にはいったことはありません」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|見《み》よ、わたしは|牛《うし》の|糞《ふん》をもって|人《ひと》の|糞《ふん》に|換《か》えることをあなたにゆるす。あなたはそれで|自分《じぶん》のパンを|整《ととの》えなさい」。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|見《み》よ、わたしはエルサレムで|人《ひと》のつえとするパンを|打《う》ち|砕《くだ》く。|彼《かれ》らはパンを|量《はか》って、|恐《おそ》れながら|食《た》べ、また|水《みず》を|量《はか》って|驚《おどろ》きながら|飲《の》む。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らをパンと|水《みず》とに|乏《とぼ》しくし、|互《たがい》に|驚《おどろ》いて|顔《かお》を|見合《みあ》わせ、その|罰《ばつ》のために|衰《おとろ》えさせるためである。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、|鋭《するど》いつるぎを|取《と》り、それを|理髪《りはつ》|師《し》のかみそりとして、あなたの|頭《あたま》と、ひげとをそり、はかりで|量《はか》って、その|毛《け》を|分《わ》けなさい。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その三|分《ぶん》の一は|包囲《ほうい》の|期間《きかん》の|終《おわ》る|時《とき》、|町《まち》の|中《なか》で|火《ひ》で|焼《や》き、また三|分《ぶん》の一を|取《と》り、つるぎで|町《まち》のまわりでこれを|打《う》ち、さらに三|分《ぶん》の一を|風《かぜ》に|散《ち》らしなさい。わたしはつるぎを|抜《ぬ》いて、|彼《かれ》らのあとを|追《お》う。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|毛《け》を|少《すこ》し|取《と》って、|衣《ころも》のすそに|包《つつ》み、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]またそのうちから|少《すこ》しを|取《と》って|火《ひ》の|中《なか》に|投《な》げ|入《い》れ、|火《ひ》でこれを|焼《や》きなさい。|火《ひ》はその|中《なか》から|出《で》て、イスラエルの|全家《ぜんか》に|及《およ》ぶ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしはこのエルサレムを|万国《ばんこく》の|中《なか》に|置《お》き、|国々《くにぐに》をそのまわりに|置《お》いた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムは|他《た》の|国々《くにぐに》よりも|悪《あ》しく、わたしのおきてにそむき、そのまわりの|国々《くにぐに》よりもわたしの|定《さだ》めにそむいた。すなわち|彼《かれ》らはわたしのおきてを|捨《す》て、わたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》まなかった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》はこう|言《い》われる、あなたがたはそのまわりにいる|異邦人《いほうじん》よりも|狂暴《きょうぼう》であって、わたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》まず、わたしのおきてを|行《おこな》わず、むしろ、あなたがたの|回《まわ》りにいる|異邦人《いほうじん》のおきてを|守《まも》っていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたを|攻《せ》め、|異邦人《いほうじん》の|目《め》の|前《まえ》で、あなたの|中《なか》にさばきを|行《おこな》う。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたのもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》のために、わたしがまだした|事《こと》のないような|事《こと》、またこの|後《のち》ふたたびしないような|事《こと》をあなたに|対《たい》してする。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたのうちで|父《ちち》はその|子《こ》を|食《く》い、|子《こ》はその|父《ちち》を|食《く》う。わたしはあなたに|対《たい》してさばきを|行《おこな》い、あなたのうちの|残《のこ》りの|者《もの》をことごとく|四方《しほう》の|風《かぜ》に|散《ち》らす。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。あなたはその|忌《い》むべき|物《もの》と、その|憎《にく》むべき|事《こと》とをもって、わたしの|聖所《せいじょ》を|汚《けが》したので、わたしは|必《かなら》ずあなたの|数《かず》を|減《へ》らす。わたしの|目《め》はあなたを|惜《お》しみ|見《み》ず、またわたしはあなたをあわれまない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたの三|分《ぶん》の一はあなたの|中《なか》で|疫病《えきびょう》で|死《し》に、ききんで|滅《ほろ》び、三|分《ぶん》の一はあなたのまわりでつるぎに|倒《たお》れ、三|分《ぶん》の一は|四方《しほう》の|風《かぜ》に|散《ち》らされる。わたしはつるぎを|抜《ぬ》いてそのあとを|追《お》う。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわたしは|怒《いか》りを|漏《も》らし|尽《つく》し、|憤《いきどお》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|漏《も》らして、|満足《まんぞく》する。こうして、わたしの|憤《いきどお》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|漏《も》らし|尽《つく》した|時《とき》、|彼《かれ》らは|主《しゅ》であるわたしが|熱心《ねっしん》に|語《かた》ったことを|知《し》るであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまわりにある|国々《くにぐに》の|中《なか》と、すべてそばを|通《とお》る|者《もの》の|目《め》の|前《まえ》であなたを|滅亡《めつぼう》とあざけりに|渡《わた》す。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|怒《いか》りと、|憤《いきどお》りと、|重《おも》い|懲罰《ちょうばつ》とをもって、あなたに|対《たい》してさばきを|行《おこな》う|時《とき》、あなたはそのまわりにある|国々《くにぐに》のあざけりとなり、そしりとなり、|戒《いまし》めとなり、|驚《おどろ》きとなる。これは|主《しゅ》であるわたしが|語《かた》るのである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、わたしがあなたを|滅《ほろ》ぼすききんの|矢《や》、|滅亡《めつぼう》の|矢《や》をあなたに|放《はな》つ|時《とき》、わたしはあなたを|滅《ほろ》ぼすために|放《はな》つのだ。わたしはあなたの|上《うえ》にききんを|増《ま》し|加《くわ》え、あなたがつえとするパンを|打《う》ち|砕《くだ》く。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたにききんと|野獣《やじゅう》を|送《おく》って、あなたの|子《こ》を|奪《うば》い|取《と》り、また|疫病《えきびょう》と|流血《りゅうけつ》にあなたの|中《なか》を|通《とお》らせ、またつるぎをあなたに|送《おく》る。|主《しゅ》であるわたしがこれを|言《い》う」。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》が、わたしに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|顔《かお》をイスラエルの|山々《やまやま》に|向《む》け、|預言《よげん》して、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え。イスラエルの|山々《やまやま》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。|主《しゅ》なる|神《かみ》は|山《やま》と|丘《おか》と、|谷《たに》と|川《かわ》に|向《む》かって、こう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはつるぎをあなたがたに|送《おく》り、あなたがたの|高《たか》き|所《ところ》を|滅《ほろ》ぼす。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|祭壇《さいだん》は|荒《あら》され、あなたがたの|香《こう》の|祭壇《さいだん》はこわされる。わたしはあなたがたの|偶像《ぐうぞう》の|前《まえ》に、あなたがたの|殺《ころ》された|者《もの》を|投《な》げ|出《だ》す。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|民《たみ》の|死体《したい》を|彼《かれ》らの|偶像《ぐうぞう》の|前《まえ》に|置《お》き、|骨《ほね》をあなたがたの|祭壇《さいだん》のまわりに|散《ち》らす。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたがたの|住《す》む|所《ところ》で|町々《まちまち》は|滅《ほろ》ぼされ、|高《たか》き|所《ところ》は|荒《あら》される。こうしてあなたがたの|祭壇《さいだん》はこわし|荒《あら》され、あなたがたの|偶像《ぐうぞう》は|砕《くだ》かれて|滅《ほろ》び、あなたがたの|香《こう》の|祭壇《さいだん》は|倒《たお》され、あなたがたのわざは|消《け》し|去《さ》られる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|殺《ころ》された|者《もの》はあなたがたのうちに|倒《たお》れる。これによって、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、あなたがたのある|者《もの》を|生《い》かしておく。あなたがたが、つるぎをのがれて|国々《くにぐに》の|中《なか》におり、|国々《くにぐに》に|散《ち》らされる|時《とき》、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちののがれた|者《もの》は、その|捕《とら》え|移《うつ》された|国々《くにぐに》の|中《なか》でわたしを|思《おも》い|出《だ》す。これはわたしが、|彼《かれ》らのわたしを|離《はな》れた|姦淫《かんいん》の|心《こころ》と、|偶像《ぐうぞう》を|慕《した》って|姦淫《かんいん》を|行《おこな》う|目《め》をくじくからである。そして|彼《かれ》らはそのもろもろの|憎《にく》むべきことと、その|犯《おか》した|悪《あく》のために、みずからをいとうようになる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。この|災《わざわい》を|彼《かれ》らに|対《たい》して|下《くだ》すと、わたしが|言《い》ったのは|決《けっ》してむなしい|事《こと》ではない」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、「あなたは|手《て》を|打《う》ち、|足《あし》を|踏《ふ》みならして|言《い》え。ああ、イスラエルの|家《いえ》のすべての|悪《あ》しき|憎《にく》むべき|者《もの》はわざわいだ。|彼《かれ》らはつるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》に|倒《たお》れるからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|遠《とお》くにいる|者《もの》は|疫病《えきびょう》で|死《し》に、|近《ちか》くにいる|者《もの》はつるぎに|倒《たお》れる。|生《い》き|残《のこ》って|身《み》を|全《まっと》うする|者《もの》はききんによって|死《し》ぬ。このようにわたしはわが|憤《いきどお》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|漏《も》らし|尽《つく》す。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|殺《ころ》される|者《もの》がその|偶像《ぐうぞう》の|中《なか》にあり、その|祭壇《さいだん》のまわりにあり、すべての|高《たか》き|丘《おか》の|上《うえ》にあり、すべての|山《やま》の|頂《いただき》にあり、すべての|青《あお》|木《き》の|下《した》にあり、すべての|茂《しげ》ったかしの|木《き》の|下《した》にあり、|彼《かれ》らがこうばしいかおりを、すべての|偶像《ぐうぞう》にささげた|所《ところ》にある|時《とき》、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るのである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|手《て》を|彼《かれ》らの|上《うえ》に|伸《の》べて、その|地《ち》を|荒《あら》し、すべて|彼《かれ》らの|住《す》む|所《ところ》を、|荒野《あらの》からリブラまで|荒《あ》れ|地《ち》とする。これによって|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる」。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|地《ち》の|終《おわ》りについて|主《しゅ》はこう|言《い》われる、この|国《くに》の|四方《しほう》の|境《さかい》に|終《おわ》りが|来《き》た。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]いま、あなたの|終《おわ》りが|来《き》た。わたしはわが|怒《いか》りをあなたに|漏《も》らし、あなたの|行《おこな》いに|従《したが》って、あなたをさばき、あなたのもろもろの|憎《にく》むべき|物《もの》のためにあなたを|罰《ばっ》する。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》はあなたを|惜《お》しみ|見《み》ず、またあなたをあわれまない。わたしはあなたの|行《おこな》いのためにあなたを|罰《ばっ》する。あなたの|憎《にく》むべき|事《こと》があなたのうちにある。これによって、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|災《わざわい》が|引《ひ》き|続《つづ》いて|起《おこ》る。|見《み》よ、|災《わざわい》が|来《く》る。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|終《おわ》りが|来《く》る。その|終《おわ》りが|来《く》る。それが|起《た》って、あなたに|臨《のぞ》む。|見《み》よ、それが|来《く》る。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]この|地《ち》に|住《す》む|者《もの》よ、あなたの|最後《さいご》の|運命《うんめい》があなたに|来《き》た。|時《とき》は|来《き》た。|日《ひ》が|近《ちか》づいた。|混乱《こんらん》の|日《ひ》で、|山々《やまやま》に|聞《きこ》える|喜《よろこ》びの|日《ひ》ではない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしは、すみやかにわたしの|憤《いきどお》りをあなたの|上《うえ》に|注《そそ》ぎ、わたしの|怒《いか》りをあなたに|漏《も》らし|尽《つく》し、あなたの|行《おこな》いに|従《したが》ってあなたをさばき、あなたのもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》のためにあなたを|罰《ばっ》する。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|目《め》はあなたを|惜《お》しみ|見《み》ず、またあなたをあわれまない。わたしはあなたの|行《おこな》いのためにあなたを|罰《ばっ》する。あなたの|憎《にく》むべき|事《こと》があなたのうちにある。これによって、あなたがたは、|主《しゅ》であるわたしがあなたを|撃《う》つことを|知《し》るようになる。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、その|日《ひ》を。また|見《み》よ、かの|日《ひ》が|来《き》た。あなたの|最後《さいご》の|運命《うんめい》が|来《き》た。|不義《ふぎ》は|花《はな》|咲《さ》き、|高《たか》ぶりは|芽《め》を|出《だ》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|暴虐《ぼうぎゃく》はつのって|悪《あく》のつえとなった。|彼《かれ》らもその|群衆《ぐんしゅう》も、その|富《とみ》も|消《き》え、また|彼《かれ》らの|名声《めいせい》も|消《き》えて|何《なに》も|残《のこ》らなくなる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》は|来《き》た。|日《ひ》は|近《ちか》づいた。|買《か》う|者《もの》は|喜《よろこ》ぶな。|売《う》る|者《もの》は|悲《かな》しむな。|怒《いか》りがすべての|群衆《ぐんしゅう》の|上《うえ》に|臨《のぞ》むからだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|売《う》る|者《もの》はたとい|生《い》きていても、その|売《う》ったものに|帰《かえ》ることはない。|怒《いか》りがそのすべての|民衆《みんしゅう》の|上《うえ》にあるからだ。それはもとに|帰《かえ》らない。その|不義《ふぎ》のために、だれも|命《いのち》を|全《まっと》うすることはできない。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》がラッパを|吹《ふ》いて|備《そな》えをしても|戦《たたか》いに|出《で》る|者《もの》はない。それはわたしの|怒《いか》りがそのすべての|群衆《ぐんしゅう》の|上《うえ》にあるからだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|外《そと》にはつるぎがあり、|内《うち》には|疫病《えきびょう》とききんがある。|畑《はたけ》にいる|者《もの》はつるぎに|死《し》に、|町《まち》にいる|者《もの》はききんと|疫病《えきびょう》に|滅《ほろ》ぼされる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そのうちの、のがれる|者《もの》は|谷間《たにま》のはとのように|山々《やまやま》に|行《い》って、おのおの|皆《みな》その|罪《つみ》のために|悲《かな》しむ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|両手《りょうて》とも|弱《よわ》くなり、|両《りょう》ひざとも|水《みず》のように|弱《よわ》くなる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|荒布《あらぬの》を|身《み》にまとい、|恐《おそ》れが|彼《かれ》らをおおい、すべての|顔《かお》には|恥《はじ》があらわれ、すべての|頭《あたま》は|髪《かみ》をそり|落《おと》す。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|銀《ぎん》をちまたに|捨《す》て、その|金《きん》はあくたのようになる。|主《しゅ》の|怒《いか》りの|日《ひ》には|金銀《きんぎん》も|彼《かれ》らを|救《すく》うことはできない。それらは|彼《かれ》らの|飢《う》えを|満足《まんぞく》させることができない、またその|腹《はら》を|満《み》たすことができない。それは|彼《かれ》らの|不義《ふぎ》のつまずきであったからだ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|美《うつく》しい|飾《かざ》り|物《もの》を|高《たか》ぶりのために|用《もち》い、またこれをもってその|憎《にく》むべき|偶像《ぐうぞう》と|忌《い》むべき|物《もの》を|造《つく》った。それゆえわたしはこれを|彼《かれ》らに|対《たい》して|汚《けが》れたものとする。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれを|外国《がいこく》|人《じん》の|手《て》に|渡《わた》して|奪《うば》わせ、|地《ち》の|悪人《あくにん》に|渡《わた》してかすめさせる。|彼《かれ》らはこれを|汚《けが》す。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らから|顔《かお》をそむけて、|彼《かれ》らにわたしの|聖所《せいじょ》を|汚《けが》させる。|強盗《ごうとう》がこれにはいって|汚《けが》し、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また|荒《あ》れ|地《ち》とする。  この|地《ち》は|流血《りゅうけつ》のとがに|満《み》ち、この|町《まち》は|暴虐《ぼうぎゃく》に|満《み》ちているゆえ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|国々《くにぐに》のうちの|悪《わる》い|者《もの》どもを|招《まね》いて、|彼《かれ》らの|家《いえ》をかすめさせる。わたしは|強《つよ》い|者《もの》の|高《たか》ぶりをやめさせる。また|彼《かれ》らの|聖所《せいじょ》は|汚《けが》される。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|滅《ほろ》びが|来《く》るとき、|彼《かれ》らは|平安《へいあん》を|求《もと》めても|得《え》られない。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|災《わざわい》に|災《わざわい》が|重《かさ》なりきたり、|知《し》らせに|知《し》らせが|相《あい》つぐ。その|時《とき》、|彼《かれ》らは|預言者《よげんしゃ》に|幻《まぼろし》を|求《もと》める。しかし|律法《りっぽう》は|祭司《さいし》のうちに|絶《た》え、|計《はか》りごとは|長老《ちょうろう》のうちに|絶《た》える。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|悲《かな》しみ、つかさは|望《のぞ》みを|失《うしな》い、その|地《ち》の|民《たみ》の|手《て》はおののきによってこわばる。わたしは|彼《かれ》らの|行《おこな》いに|従《したが》って|彼《かれ》らをあつかい、そのさばきに|従《したが》って|彼《かれ》らをさばく。そして|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる」。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》六|年《ねん》の六|月《がつ》五|日《か》にわたしがわたしの|家《いえ》に|座《ざ》し、ユダの|長老《ちょうろう》たちがわたしの|前《まえ》に|座《ざ》していたとき、|主《しゅ》なる|神《かみ》の|手《て》がわたしの|上《うえ》に|下《くだ》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|見《み》ていると、|見《み》よ、|人《ひと》のような|形《かたち》があって、その|腰《こし》とみられる|所《ところ》から|下《した》は|火《ひ》のように|見《み》え、|腰《こし》から|上《うえ》は|光《ひか》る|青銅《せいどう》のように|輝《かがや》いて|見《み》えた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|手《て》のようなものを|伸《の》べて、わたしの|髪《かみ》の|毛《け》をつかんだ。そして|霊《れい》がわたしを|天《てん》と|地《ち》の|間《あいだ》に|引《ひ》きあげ、|神《かみ》の|幻《まぼろし》のうちにわたしをエルサレムに|携《たずさ》えて|行《い》き、|北《きた》に|向《む》かった|内庭《うちにわ》の|門《もん》の|入口《いりぐち》に|至《いた》らせた。そこには、ねたみをひき|起《おこ》すねたみの|偶像《ぐうぞう》があった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、そこに、わたしがかの|平野《へいや》で|見《み》た|幻《まぼろし》のようなイスラエルの|神《かみ》の|栄光《えいこう》があらわれた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|目《め》をあげて|北《きた》の|方《ほう》をのぞめ」。そこでわたしが|目《め》をあげて|北《きた》の|方《ほう》をのぞむと、|見《み》よ、|祭壇《さいだん》の|門《もん》の|北《きた》にあたって、その|入口《いりぐち》に、このねたみの|偶像《ぐうぞう》があった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたは|彼《かれ》らのしていること、すなわちイスラエルの|家《いえ》がここでしている|大《おお》いなる|憎《にく》むべきことを|見《み》るか。これはわたしを|聖所《せいじょ》から|遠《とお》ざけるものである。しかしあなたは、さらに|大《おお》いなる|憎《にく》むべきことを|見《み》るだろう」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はわたしを|庭《にわ》の|門《もん》に|行《い》かせた。わたしが|見《み》ると、|見《み》よ、|壁《かべ》に一つの|穴《あな》があった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|壁《かべ》に|穴《あな》をあけよ」。そこでわたしが|壁《かべ》に|穴《あな》をあけると、|見《み》よ、一つの|戸《と》があった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「はいって、|彼《かれ》らがここでなす|所《ところ》の|悪《あ》しき|憎《にく》むべきことを|見《み》よ」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしがはいって|見《み》ると、もろもろの|這《は》うものと、|憎《にく》むべき|獣《けもの》の|形《かたち》、およびイスラエルの|家《いえ》のもろもろの|偶像《ぐうぞう》が、まわりの|壁《かべ》に|描《えが》いてあった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|家《いえ》の|長老《ちょうろう》七十|人《にん》が、その|前《まえ》に|立《た》っていた。シャパンの|子《こ》ヤザニヤも、|彼《かれ》らの|中《なか》に|立《た》っていた。おのおの|手《て》に|香炉《こうろ》を|持《も》ち、そしてその|香《こう》の|煙《けむり》が|雲《くも》のようにのぼった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|家《いえ》の|長老《ちょうろう》たちが|暗《くら》い|所《ところ》で|行《おこな》う|事《こと》、すなわちおのおのその|偶像《ぐうぞう》の|室《しつ》で|行《おこな》う|事《こと》を|見《み》るか。|彼《かれ》らは|言《い》う、『|主《しゅ》はわれわれを|見《み》られない。|主《しゅ》はこの|地《ち》を|捨《す》てられた』と」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またわたしに|言《い》われた、「あなたはさらに|彼《かれ》らがなす|大《おお》いなる|憎《にく》むべきことを|見《み》る」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はわたしを|連《つ》れて|主《しゅ》の|家《いえ》の|北《きた》の|門《もん》の|入口《いりぐち》に|行《い》った。|見《み》よ、そこに|女《おんな》たちがすわって、タンムズのために|泣《な》いていた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたはこれを|見《み》たか。これよりもさらに|大《おお》いなる|憎《にく》むべきことを|見《み》るだろう」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしを|連《つ》れて、|主《しゅ》の|家《いえ》の|内庭《うちにわ》にはいった。|見《み》よ、|主《しゅ》の|宮《みや》の|入口《いりぐち》に、|廊《ろう》と|祭壇《さいだん》との|間《あいだ》に二十五|人《にん》ばかりの|人《ひと》が、|主《しゅ》の|宮《みや》にその|背中《せなか》を|向《む》け、|顔《かお》を|東《ひがし》に|向《む》け、|東《ひがし》に|向《む》かって|太陽《たいよう》を|拝《おが》んでいた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたはこれを|見《み》たか。ユダの|家《いえ》にとって、|彼《かれ》らがここでしているこれらの|憎《にく》むべきわざは|軽《かる》いことであるか。|彼《かれ》らはこの|地《ち》を|暴虐《ぼうぎゃく》で|満《み》たし、さらにわたしを|怒《いか》らせる。|見《み》よ、|彼《かれ》らはその|鼻《はな》に|木《き》の|枝《えだ》を|置《お》く。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしも|憤《いきどお》って|事《こと》を|行《おこな》う。わたしの|目《め》は|彼《かれ》らを|惜《お》しみ|見《み》ず、またあわれまない。たとい|彼《かれ》らがわたしの|耳《みみ》に|大声《おおごえ》で|呼《よ》ばわっても、わたしは|彼《かれ》らの|言《い》うことを|聞《き》かない」。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》はわたしの|耳《みみ》に|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわって|言《い》われた、「|町《まち》を|罰《ばっ》する|者《もの》たちよ、おのおの|滅《ほろ》ぼす|武器《ぶき》をその|手《て》に|持《も》って|近《ちか》よれ」と。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|北《きた》に|向《む》かう|上《うえ》の|門《もん》の|道《みち》から|出《で》て|来《く》る六|人《にん》の|者《もの》があった。おのおのその|手《て》に|滅《ほろ》ぼす|武器《ぶき》を|持《も》ち、|彼《かれ》らの|中《なか》のひとりは|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》、その|腰《こし》に|物《もの》を|書《か》く|墨《すみ》つぼをつけていた。|彼《かれ》らははいって|来《き》て、|青銅《せいどう》の|祭壇《さいだん》のかたわらに|立《た》った。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ここにイスラエルの|神《かみ》の|栄光《えいこう》がその|座《ざ》しているケルビムから|立《た》ちあがって、|宮《みや》の|敷居《しきい》にまで|至《いた》った。そして|主《しゅ》は、|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》て、その|腰《こし》に|物《もの》を|書《か》く|墨《すみ》つぼをつけている|者《もの》を|呼《よ》び、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》われた、「|町《まち》の|中《なか》、エルサレムの|中《なか》をめぐり、その|中《なか》で|行《おこな》われているすべての|憎《にく》むべきことに|対《たい》して|嘆《なげ》き|悲《かな》しむ|人々《ひとびと》の|額《ひたい》にしるしをつけよ」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またわたしの|聞《き》いている|所《ところ》で|他《た》の|者《もの》に|言《い》われた、「|彼《かれ》のあとに|従《したが》い|町《まち》をめぐって、|撃《う》て。あなたの|目《め》は|惜《お》しみ|見《み》るな。またあわれむな。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|老若男女《ろうにゃくなんにょ》をことごとく|殺《ころ》せ。しかし|身《み》にしるしのある|者《もの》には|触《ふ》れるな。まずわたしの|聖所《せいじょ》から|始《はじ》めよ」。そこで、|彼《かれ》らは|宮《みや》の|前《まえ》にいた|老人《ろうじん》から|始《はじ》めた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|主《しゅ》は|彼《かれ》らに|言《い》われた、「|宮《みや》を|汚《けが》し、|死人《しにん》で|庭《にわ》を|満《み》たせ。|行《い》け」。そこで|彼《かれ》らは|出《で》て|行《い》って、|町《まち》の|中《なか》で|撃《う》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]さて|彼《かれ》らが|人々《ひとびと》を|打《う》ち|殺《ころ》していた|時《とき》、わたしひとりだけが|残《のこ》されたので、ひれ|伏《ふ》して、|叫《さけ》んで|言《い》った、「ああ|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたがエルサレムの|上《うえ》に|怒《いか》りを|注《そそ》がれるとき、イスラエルの|残《のこ》りの|者《もの》を、ことごとく|滅《ほろ》ぼされるのですか」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「イスラエルとユダの|家《いえ》の|罪《つみ》は|非常《ひじょう》に|大《おお》きい。|国《くに》は|血《ち》で|満《み》ち、|町《まち》は|不義《ふぎ》で|満《み》ちている。|彼《かれ》らは|言《い》う、『|主《しゅ》はこの|地《ち》を|捨《す》てられた。|主《しゅ》は|顧《かえり》みられない』。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしの|目《め》は|彼《かれ》らを|惜《お》しみ|見《み》ず、またあわれまない。|彼《かれ》らの|行《おこな》うところを、|彼《かれ》らのこうべに|報《むく》いる」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、かの|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》、|物《もの》を|書《か》く|墨《すみ》つぼを|腰《こし》につけていた|人《ひと》が|報告《ほうこく》して|言《い》った、「わたしはあなたがお|命《めい》じになったように|行《おこな》いました」。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にわたしは|見《み》ていたが、|見《み》よ、ケルビムの|頭《あたま》の|上《うえ》の|大空《おおぞら》に、サファイヤのようなものが|王座《おうざ》の|形《かたち》をして、その|上《うえ》に|現《あらわ》れた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》たその|人《ひと》に|言《い》われた、「ケルビムの|下《した》の|回《まわ》る|車《くるま》の|間《あいだ》にはいり、ケルビムの|間《あいだ》から|炭火《すみび》をとってあなたの|手《て》に|満《み》たし、これを|町中《まちぢゅう》にまき|散《ち》らせ」。  そして|彼《かれ》はわたしの|目《め》の|前《まえ》ではいった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|人《ひと》がはいった|時《とき》、ケルビムは|宮《みや》の|南側《みなみがわ》に|立《た》っていた。また|雲《くも》はその|内庭《うちにわ》を|満《み》たしていた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|栄光《えいこう》はケルビムの|上《うえ》から|宮《みや》の|敷居《しきい》の|上《うえ》にあがり、|宮《みや》は|雲《くも》で|満《み》ち、|庭《にわ》は|主《しゅ》の|栄光《えいこう》の|輝《かがや》きで|満《み》たされた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にケルビムの|翼《つばさ》の|音《おと》が|大能《たいのう》の|神《かみ》が|語《かた》られる|声《こえ》のように|外《そと》|庭《にわ》にまで|聞《きこ》えた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》ている|人《ひと》に、「|回《まわ》る|車《くるま》の|間《あいだ》、ケルビムの|間《あいだ》から|火《ひ》を|取《と》れ」。と|命《めい》じた|時《とき》、その|人《ひと》ははいって、|輪《わ》のかたわらに|立《た》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ひとりのケルブはその|手《て》をケルビムの|間《あいだ》から|伸《の》べて、ケルビムの|間《あいだ》にある|火《ひ》を|取《と》り、|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》た|人《ひと》の|手《て》に|置《お》いた。すると|彼《かれ》はこれを|取《と》って|出《で》て|行《い》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ケルビムはその|翼《つばさ》の|下《した》に|人《ひと》の|手《て》のような|形《かたち》のものを|持《も》っているように|見《み》えた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ていると、|見《み》よ、ケルビムのかたわらに四つの|輪《わ》があり、一つの|輪《わ》はひとりのケルブのかたわらに、|他《た》の|輪《わ》は|他《た》のケルブのかたわらにあった。|輪《わ》のさまは、|光《ひか》る|貴《き》かんらん|石《いし》のようであった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そのさまは四つとも|同《おな》じ|形《かたち》で、あたかも|輪《わ》の|中《なか》に|輪《わ》があるようであった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|行《ゆ》く|時《とき》は|四方《しほう》のどこへでも|行《い》く。その|行《ゆ》く|時《とき》は|回《まわ》らない。ただ|先頭《せんとう》の|輪《わ》の|向《む》くところに|従《したが》い、その|行《ゆ》く|時《とき》は|回《まわ》ることをしない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|輪《わ》|縁《ふち》、その|輻《や》、および|輪《わ》には、まわりに|目《め》が|満《み》ちていた。―その|輪《わ》は四つともこれを|持《も》っていた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|輪《わ》はわたしの|聞《き》いている|所《ところ》で、「|回《まわ》る|輪《わ》」と|呼《よ》ばれた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そのおのおのには四つの|顔《かお》があった。|第《だい》一の|顔《かお》はケルブの|顔《かお》、|第《だい》|二《に》の|顔《かお》は|人《ひと》の|顔《かお》、|第《だい》三はししの|顔《かお》、|第《だい》四はわしの|顔《かお》であった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ケルビムはのぼった。これがケバル|川《がわ》でわたしが|見《み》た|生《い》きものである。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ケルビムの|行《ゆ》く|時《とき》、|輪《わ》もそのかたわらに|行《い》き、ケルビムが|翼《つばさ》をあげて|地《ち》から|飛《と》びあがる|時《とき》は、|輪《わ》もそのかたわらを|離《はな》れない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|立《た》ちどまる|時《とき》は、|輪《わ》も|立《た》ちどまり、そののぼる|時《とき》は、|輪《わ》も|共《とも》にのぼる。|生《い》きものの|霊《れい》がその|中《なか》にあるからである。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|宮《みや》の|敷居《しきい》から|出《で》て|行《い》って、ケルビムの|上《うえ》に|立《た》った。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]するとケルビムは|翼《つばさ》をあげて、わたしの|目《め》の|前《まえ》で、|地《ち》からのぼった。その|出《で》て|行《い》く|時《とき》、|輪《わ》もまたこれと|共《とも》にあり、|主《しゅ》の|宮《みや》の|東《ひがし》の|門《もん》の|入口《いりぐち》の|所《ところ》へ|行《い》って|止《と》まった。イスラエルの|神《かみ》の|栄光《えいこう》がその|上《うえ》にあった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これがすなわちわたしがケバル|川《がわ》のほとりで、イスラエルの|神《かみ》の|下《した》に|見《み》たかの|生《い》きものである。わたしはそれがケルビムであることを|知《し》っていた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]これにはおのおの四つの|顔《かお》があり、おのおの四つの|翼《つばさ》があり、また|人《ひと》の|手《て》のようなものがその|翼《つばさ》の|下《した》にあった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|顔《かお》の|形《かたち》は、ケバル|川《がわ》のほとりでわたしが|見《み》たそのままの|顔《かお》である。おのおのその|前《まえ》の|方《ほう》にまっすぐに|行《い》った。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|霊《れい》はわたしをあげて、|東《ひがし》に|向《む》かう|主《しゅ》の|宮《みや》の|東《ひがし》の|門《もん》に|連《つ》れて|行《い》った。|見《み》よ、その|門《もん》の|入口《いりぐち》に二十五|人《にん》の|者《もの》がいた。わたしはその|中《なか》にアズルの|子《こ》ヤザニヤと、ベナヤの|子《こ》ペラテヤを|見《み》た。|共《とも》に|民《たみ》のつかさであった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、これらの|者《もの》はこの|町《まち》の|中《なか》で|悪《わる》い|事《こと》を|考《かんが》え、|悪《わる》い|計《はか》りごとをめぐらす|人々《ひとびと》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》う、『|家《いえ》を|建《た》てる|時《とき》は|近《ちか》くはない。この|町《まち》はなべであり、われわれは|肉《にく》である』と。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》らに|向《む》かって|預言《よげん》せよ。|人《ひと》の|子《こ》よ、|預言《よげん》せよ」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、|主《しゅ》の|霊《れい》がわたしに|下《くだ》って、わたしに|言《い》われた、「|主《しゅ》はこう|言《い》われると|言《い》え、イスラエルの|家《いえ》よ、|考《かんが》えてみよ。わたしはあなたがたの|心《こころ》にある|事《こと》どもを|知《し》っている。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはこの|町《まち》に|殺《ころ》される|者《もの》を|増《ま》し、|殺《ころ》された|者《もの》をもってちまたを|満《み》たした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|町《まち》の|中《なか》にあなたがたが|置《お》く|殺《ころ》された|者《もの》は|肉《にく》である。この|町《まち》はなべである。しかし、あなたがたはその|中《なか》から|取《と》り|出《だ》される。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはつるぎを|恐《おそ》れた。わたしはあなたがたにつるぎを|臨《のぞ》ませると、|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]またわたしはあなたがたをその|中《なか》から|引《ひ》き|出《だ》して、|他国《たこく》|人《じん》の|手《て》に|渡《わた》し、あなたがたをさばく。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはつるぎに|倒《たお》れる。わたしはあなたがたをイスラエルの|境《さかい》でさばく。これによってあなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]この|町《まち》はあなたがたに|対《たい》してなべとはならず、あなたがたはその|肉《にく》とはならない。わたしはイスラエルの|境《さかい》であなたがたをさばく。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これによって、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。あなたがたはわたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》まず、またわたしのおきてを|行《おこな》わず、かえってその|周囲《しゅうい》の|他国《たこく》|人《じん》のおきてに|従《したが》って|行《おこな》っているからである」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]このようにわたしが|預言《よげん》していた|時《とき》、ベナヤの|子《こ》ペラテヤが|死《し》んだので、わたしは|打《う》ち|伏《ふ》して、|大声《おおごえ》で|叫《さけ》んで|言《い》った、「ああ|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはイスラエルの|残《のこ》りの|者《もの》をことごとく|滅《ほろ》ぼそうとされるのですか」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|兄弟《きょうだい》、あなたの|友《とも》、あなたの|兄弟《きょうだい》である|捕《とら》われ|人《びと》、イスラエルの|全家《ぜんか》、エルサレムの|住民《じゅうみん》は|言《い》った、『|彼《かれ》らが|主《しゅ》から|遠《とお》く|離《はな》れた。この|地《ち》はわれわれの|所有《しょゆう》として|与《あた》えられているのだ』と。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|言《い》え、『|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、たといわたしは|彼《かれ》らを|遠《とお》く|他国《たこく》|人《じん》の|中《なか》に|移《うつ》し、|国々《くにぐに》の|中《なか》に|散《ち》らしても、|彼《かれ》らの|行《い》った|国々《くにぐに》で、わたしはしばらく|彼《かれ》らのために|聖所《せいじょ》となる』と。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|言《い》え、『|主《しゅ》はこう|言《い》われる、わたしはあなたがたをもろもろの|民《たみ》の|中《なか》から|集《あつ》め、その|散《ち》らされた|国々《くにぐに》から|集《あつ》めて、イスラエルの|地《ち》をあなたがたに|与《あた》える』と。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|所《ところ》に|来《く》る|時《とき》、そのもろもろのいとうべきものと、もろもろの|憎《にく》むべきものとをその|所《ところ》から|取《と》り|除《のぞ》く。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは|彼《かれ》らに一つの|心《こころ》を|与《あた》え、|彼《かれ》らのうちに|新《あたら》しい|霊《れい》を|授《さづ》け、|彼《かれ》らの|肉《にく》から|石《いし》の|心《こころ》を|取《と》り|去《さ》って、|肉《にく》の|心《こころ》を|与《あた》える。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがわたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》み、わたしのおきてを|守《まも》って|行《おこな》い、そして|彼《かれ》らがわたしの|民《たみ》となり、わたしが|彼《かれ》らの|神《かみ》となるためである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしいとうべきもの、|憎《にく》むべきものをその|心《こころ》に|慕《した》って|歩《あゆ》む|者《もの》には、|彼《かれ》らの|行《おこな》いに|従《したが》ってそのこうべに|報《むく》いると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にケルビムはその|翼《つばさ》をあげた。|輪《わ》がそのかたわらにあり、イスラエルの|神《かみ》の|栄光《えいこう》がその|上《うえ》にあった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|町《まち》の|中《なか》からのぼって、|町《まち》の|東《ひがし》にある|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》ちどまった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|霊《れい》はわたしをあげ、|神《かみ》の|霊《れい》によって、|幻《まぼろし》のうちにわたしをカルデヤの|捕《とら》われ|人《びと》の|所《ところ》へ|携《たずさ》えて|行《い》った。そしてわたしが|見《み》た|幻《まぼろし》はわたしを|離《はな》れてのぼった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|主《しゅ》がわたしに|示《しめ》された|事《こと》をことごとくかの|捕《とら》われ|人《びと》に|告《つ》げた。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》の|中《なか》にいる。|彼《かれ》らは|見《み》る|目《め》があるが|見《み》ず、|聞《き》く|耳《みみ》があるが|聞《き》かず、|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|人《ひと》の|子《こ》よ、|捕囚《ほしゅう》の|荷物《にもつ》を|整《ととの》え、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で|昼《ひる》のうちに|移《うつ》れ、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》であなたの|所《ところ》から|他《た》の|所《ところ》に|移《うつ》れ。|彼《かれ》らは|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》であるが、あるいは|彼《かれ》らは|顧《かえり》みるところがあろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|捕囚《ほしゅう》の|荷物《にもつ》のようなあなたの|荷物《にもつ》を、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で|昼《ひる》のうちに|持《も》ち|出《だ》せ。そして|捕囚《ほしゅう》に|行《ゆ》くべき|人々《ひとびと》のように、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で|夕《ゆう》べのうちに|出《で》て|行《い》け。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で|壁《かべ》に|穴《あな》をあけ、そこから|出《で》て|行《い》け。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》でその|荷物《にもつ》を|肩《かた》に|負《お》い、やみのうちにそれを|運《はこ》び|出《だ》せ。あなたの|顔《かお》をおおって|地《ち》を|見《み》るな。わたしはあなたをしるしとなして、イスラエルの|家《いえ》に|示《しめ》すのだ」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|命《めい》じられたようにし、|捕囚《ほしゅう》の|荷物《にもつ》のような|荷物《にもつ》を|昼《ひる》のうちに|持《も》ち|出《だ》し、|夕《ゆう》べにはわたしの|手《て》で|壁《かべ》に|穴《あな》をあけ、やみのうちに|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で、これを|肩《かた》に|負《お》って|運《はこ》び|出《だ》した。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|次《つぎ》の|朝《あさ》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》であるイスラエルの|家《いえ》は、あなたに|向《む》かって、『|何《なに》をしているのか』と|言《い》わなかったか。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|言《い》いなさい、『|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、この|託宣《たくせん》はエルサレムの|君《きみ》、およびその|中《なか》にあるイスラエルの|全家《ぜんか》にかかわるものである』と。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|言《い》いなさい、『わたしはあなたがたのしるしである。わたしがしたとおりに|彼《かれ》らもされる。|彼《かれ》らはとりこにされて|移《うつ》される』と。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのうちの|君《きみ》は、やみのうちにその|荷物《にもつ》を|肩《かた》に|載《の》せて|出《で》て|行《い》く。|彼《かれ》は|壁《かべ》に|穴《あな》をあけて、そこから|出《で》て|行《い》く。|彼《かれ》は|顔《かお》をおおって、|自分《じぶん》の|目《め》でこの|地《ち》を|見《み》ない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|網《あみ》を|彼《かれ》の|上《うえ》に|打《う》ちかける。|彼《かれ》はわたしのわなにかかる。わたしは|彼《かれ》をカルデヤびとの|地《ち》のバビロンに|引《ひ》いて|行《い》く。しかし|彼《かれ》はそれを|見《み》ないで、そこで|死《し》ぬであろう。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またすべて|彼《かれ》の|周囲《しゅうい》にいて|彼《かれ》を|助《たす》ける|者《もの》および|彼《かれ》の|軍隊《ぐんたい》を、わたしは|四方《しほう》に|散《ち》らし、つるぎを|抜《ぬ》いてそのあとを|追《お》う。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》らを|諸《しょ》|国民《こくみん》の|中《なか》に|散《ち》らし、|国々《くにぐに》にまき|散《ち》らすとき、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ただし、わたしは|彼《かれ》らのうちに、わずかの|者《もの》を|残《のこ》して、つるぎと、ききんと、|疫病《えきびょう》を|免《まぬか》れさせ、|彼《かれ》らがおこなったもろもろの|憎《にく》むべきことを、|彼《かれ》らが|行《ゆ》く|国《くに》びとの|中《なか》に|告白《こくはく》させよう。そして|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|震《ふる》えてあなたのパンを|食《た》べ、おののきと|恐《おそ》れとをもって|水《みず》を|飲《の》め。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そしてこの|地《ち》の|民《たみ》について|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はイスラエルの|地《ち》のエルサレムの|民《たみ》についてこう|言《い》われる、|彼《かれ》らは|恐《おそ》れをもってそのパンを|食《た》べ、|驚《おどろ》きをもってその|水《みず》を|飲《の》むようになる。これはその|地《ち》が、すべてその|中《なか》に|住《す》む|者《もの》の|暴虐《ぼうぎゃく》のために|衰《おとろ》え、|荒《あ》れ|地《ち》となるからである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|住《す》んでいた|町々《まちまち》は|荒《あ》れはて、|地《ち》は|荒塚《あらつか》となる。そしてあなたがたは、わたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|地《ち》について、あなたがたが『|日《ひ》は|延《の》び、すべての|幻《まぼろし》はむなしくなった』という、このことわざはなんであるか。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》らに|言《い》え、『|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしはこのことわざをやめさせ、|彼《かれ》らが|再《ふたた》びイスラエルで、これをことわざとしないようにする』と。しかし、あなたは|彼《かれ》らに|言《い》え、『|日《ひ》とすべての|幻《まぼろし》の|実《み》|現《げん》とは|近《ちか》づいた』と。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》のうちには、もはやむなしい|幻《まぼろし》も、|偽《いつわ》りの|占《うらな》いもなくなる。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》なるわたしは、わが|語《かた》るべきことを|語《かた》り、それは|必《かなら》ず|成就《じょうじゅ》する。|決《けっ》して|延《の》びることはない。ああ、|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》よ、あなたの|日《ひ》にわたしはこれを|語《かた》り、これを|成就《じょうじゅ》すると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|見《み》よ、イスラエルの|家《いえ》は|言《い》う、『|彼《かれ》の|見《み》る|幻《まぼろし》は、なお|多《おお》くの|日《ひ》の|後《のち》の|事《こと》である。|彼《かれ》が|預言《よげん》することは|遠《とお》い|後《のち》の|時《とき》のことである』と。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》らに|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしの|言葉《ことば》はもはや|延《の》びない。わたしの|語《かた》る|言葉《ことば》は|成就《じょうじゅ》すると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|預言者《よげんしゃ》たちに|向《む》かって|預言《よげん》せよ。すなわち|自分《じぶん》の|心《こころ》のままに|預言《よげん》する|人々《ひとびと》に|向《む》かって、|預言《よげん》して|言《い》え、『あなたがたは|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け』。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、なにも|見《み》ないで、|自分《じぶん》の|霊《れい》に|従《したが》う|愚《おろ》かな|預言者《よげんしゃ》たちはわざわいだ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、あなたの|預言者《よげんしゃ》たちは、|荒《あ》れ|跡《あと》にいるきつねのようだ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|主《しゅ》の|日《ひ》に|戦《たたか》いに|立《た》つため、|破《やぶ》れ|口《くち》にのぼらず、またイスラエルの|家《いえ》のために|石《いし》がきを|築《きず》こうともしない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|虚偽《きょぎ》を|言《い》い、|偽《いつわ》りを|占《うらな》った。|彼《かれ》らは|主《しゅ》が|彼《かれ》らをつかわさないのに『|主《しゅ》が|言《い》われる』と|言《い》い、なおその|言葉《ことば》の|成就《じょうじゅ》することを|期待《きたい》する。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはむなしい|幻《まぼろし》を|見《み》、|偽《いつわ》りの|占《うらな》いを|語《かた》り、わたしが|言《い》わないのに『|主《しゅ》が|言《い》われる』と|言《い》ったではないか」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、「あなたがたはむなしいことを|語《かた》り、|偽《いつわ》りの|物《もの》を|見《み》るゆえ、わたしはあなたがたを|罰《ばっ》すると|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|手《て》は、むなしい|幻《まぼろし》を|見《み》、|偽《いつわ》りの|占《うらな》いを|言《い》う|預言者《よげんしゃ》に|敵対《てきたい》する。|彼《かれ》らはわが|民《たみ》の|会《かい》に|臨《のぞ》まず、イスラエルの|家《いえ》の|籍《せき》にしるされず、イスラエルの|地《ち》に、はいることができない。そしてあなたがたはわたしが|主《しゅ》なる|神《かみ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわが|民《たみ》を|惑《まど》わし、|平和《へいわ》がないのに『|平和《へいわ》』と|言《い》い、また|民《たみ》が|塀《へい》を|築《きず》く|時《とき》、これらの|預言者《よげんしゃ》たちは|水《みず》しっくいをもってこれを|塗《ぬ》る。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|水《みず》しっくいを|塗《ぬ》る|者《もの》どもに『これはかならずくずれる』と|言《い》え。これに|大雨《おおあめ》が|注《そそ》ぎ、ひょうが|降《ふ》り、あらしが|吹《ふ》く。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そして|塀《へい》がくずれる|時《とき》、|人々《ひとびと》はあなたがたに|向《む》かって、『あなたがたが|塗《ぬ》った|水《みず》しっくいはどこにあるか』と|言《い》わないであろうか。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしはわが|憤《いきどお》りをもって|大風《おおかぜ》を|起《おこ》し、わが|怒《いか》りをもって|大雨《おおあめ》を|注《そそ》がせ、|憤《いきどお》りをもってひょうを|降《ふ》らせて、これを|滅《ほろ》ぼす。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またわたしはあなたがたが|水《みず》しっくいをもって|塗《ぬ》った|塀《へい》をこわして、これを|地《ち》に|倒《たお》し、その|基《もとい》をあらわす。これが|倒《たお》れる|時《とき》、あなたがたはその|中《なか》に|滅《ほろ》びる。そしてあなたがたは、わたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわたしが、その|塀《へい》と、これを|水《みず》しっくいで|塗《ぬ》った|者《もの》との|上《うえ》に、わたしの|憤《いきどお》りを|漏《も》らし|尽《つく》して、あなたがたに|言《い》う、|塀《へい》はなくなり、これを|塗《ぬ》った|者《もの》もなくなる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これがすなわち|平和《へいわ》がないのに|平和《へいわ》の|幻《まぼろし》を|見《み》、エルサレムについて|預言《よげん》したイスラエルの|預言者《よげんしゃ》であると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、|心《こころ》のままに|預言《よげん》するあなたの|民《たみ》の|娘《むすめ》たちに|対《たい》して、あなたの|顔《かお》を|向《む》け、|彼《かれ》らに|向《む》かって|預言《よげん》して、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|手《て》の|節々《ふしぶし》に|占《うらな》いひもを|縫《ぬ》いつけ、もろもろの|大《おお》きさの|人《ひと》の|頭《あたま》に、かぶり|物《もの》を|作《つく》りかぶせて、|魂《たましい》をかり|取《と》ろうとする|女《おんな》はわざわいだ。あなたがたは、わが|民《たみ》の|魂《たましい》をかり|取《と》って、あなたがたの|利益《りえき》のために、|他《た》の|魂《たましい》を|生《い》かしおこうとするのか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|少《すこ》しばかりの|大麦《おおむぎ》のため、|少《すこ》しばかりのパンのために、わが|民《たみ》のうちに、わたしを|汚《けが》し、かの|偽《いつわ》りを|聞《き》きいれるわが|民《たみ》に|偽《いつわ》りを|述《の》べて、|死《し》んではならない|者《もの》を|死《し》なせ、|生《い》きていてはならない|者《もの》を|生《い》かす。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたがたが|用《もち》いて、|魂《たましい》をかり|取《と》るところの|占《うらな》いひもを|奪《うば》い、あなたがたの|腕《うで》から|占《うらな》いひもを|裂《さ》き|取《と》って、あなたがたがかり|取《と》るところの|魂《たましい》を、|鳥《とり》のように|放《はな》ちやる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたあなたがたの、かぶり|物《もの》を|裂《さ》き、わが|民《たみ》をあなたがたの|手《て》から|救《すく》う。|彼《かれ》らは|再《ふたた》びあなたがたの|獲物《えもの》とはならない。そしてあなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|偽《いつわ》りをもって|正《ただ》しい|者《もの》の|心《こころ》を|悩《なや》ました。わたしはこれを|悩《なや》まさなかった。またあなたがたは|悪人《あくにん》が、その|命《いのち》を|救《すく》うために、その|悪《あ》しき|道《みち》から|離《はな》れようとする|時《とき》、それをしないように|勧《すす》める。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたは|重《かさ》ねてむなしい|幻《まぼろし》を|見《み》ることができず、|占《うらな》いをすることができないようになる。わたしはわが|民《たみ》を、あなたがたの|手《て》から|救《すく》い|出《だ》す。そのとき、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる」。 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ここにイスラエルの|長老《ちょうろう》のうちのある|人々《ひとびと》が、わたしの|所《ところ》に|来《き》て、わたしの|前《まえ》に|座《ざ》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》が、わたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、これらの|人々《ひとびと》は、その|偶像《ぐうぞう》を|心《こころ》の|中《なか》に|持《も》ち、|罪《つみ》に|落《おと》しいれるところのつまずきを、その|顔《かお》の|前《まえ》に|置《お》いている。わたしはどうして|彼《かれ》らの|願《ねが》いをいれることができようか。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|彼《かれ》らに|告《つ》げて|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、イスラエルの|家《いえ》の|人々《ひとびと》で、その|偶像《ぐうぞう》を|心《こころ》の|中《なか》に|持《も》ち、その|顔《かお》の|前《まえ》に|罪《つみ》に|落《おと》しいれるところのつまずくものを|置《お》きながら、|預言者《よげんしゃ》のもとに|来《く》る|者《もの》には、その|多《おお》くの|偶像《ぐうぞう》のゆえに、|主《しゅ》なるわたしは、みずからこれに|答《こたえ》をする。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これはその|偶像《ぐうぞう》のために、すべてわたしを|離《はな》れたイスラエルの|家《いえ》の|心《こころ》を、わたしが|捕《とら》えるためである。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえイスラエルの|家《いえ》に|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたは|悔《く》いて、あなたがたの|偶像《ぐうぞう》を|捨《す》てよ。あなたがたの|顔《かお》を、そのすべての|憎《にく》むべきものからそむけよ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》の|者《もの》およびイスラエルに|宿《やど》る|外国《がいこく》|人《じん》のだれでも、わたしから|離《はな》れ、その|心《こころ》に|偶像《ぐうぞう》を|持《も》ち、その|顔《かお》の|前《まえ》に|罪《つみ》に|落《おと》しいれるところのつまずきを|置《お》きながら、|預言者《よげんしゃ》に|来《き》て、|心《こころ》のままにわたしに|求《もと》めるときは、|主《しゅ》であるわたしは、みずからこれに|答《こたえ》をする。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|顔《かお》を、その|人《ひと》に|向《む》け、|彼《かれ》を、しるし、およびことわざとなし、これをわが|民《たみ》のうちから|断《た》ち|滅《ほろ》ぼす。その|時《とき》、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もし|預言者《よげんしゃ》が|欺《あざむ》かれて|言葉《ことば》を|出《だ》すことがあれば、それは|主《しゅ》であるわたしが、その|預言者《よげんしゃ》を|欺《あざむ》いたのである。わたしは|手《て》を|彼《かれ》の|上《うえ》に|伸《の》べ、わが|民《たみ》イスラエルのうちから|彼《かれ》を|滅《ほろ》ぼす。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|罰《ばつ》を|負《お》う。その|預言者《よげんしゃ》の|罰《ばつ》は、|問《と》い|求《もと》める|者《もの》の|罰《ばつ》と|同様《どうよう》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルの|家《いえ》が、|重《かさ》ねてわたしを|離《はな》れて|迷《まよ》わず、|重《かさ》ねてそのもろもろのとがによって、おのれを|汚《けが》さないため、また|彼《かれ》らがわが|民《たみ》となり、わたしが|彼《かれ》らの|神《かみ》となるためであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》が、またわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、もし|国《くに》がわたしに、もとりそむいて|罪《つみ》を|犯《おか》し、わたしがその|上《うえ》に|手《て》を|伸《の》べて、そのつえとたのむパンを|砕《くだ》き、これにききんを|送《おく》り、|人《ひと》と|獣《けもの》とをそのうちから|断《た》つ|時《とき》、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]たといそこにノア、ダニエル、ヨブの三|人《にん》がいても、|彼《かれ》らはその|義《ぎ》によって、ただ|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》いうるのみであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]もしわたしが|野《の》の|獣《けもの》にこの|地《ち》を|通《とお》らせ、これを|荒《あら》させ、これを|荒《あ》れ|地《ち》となし、その|獣《けもの》のためにそこを|通《とお》る|者《もの》がないようにしたなら、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、たといこれら三|人《にん》の|者《もの》がその|中《なか》にいても、そのむすこ|娘《むすめ》を|救《すく》うことはできない。ただ|自分《じぶん》|自身《じしん》を|救《すく》いうるのみで、その|地《ち》は|荒《あ》れ|地《ち》となる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あるいは、わたしがもし、つるぎをその|地《ち》に|臨《のぞ》ませ、つるぎよ、この|地《ち》を|行《ゆ》きめぐれと|言《い》って、|人《ひと》と|獣《けもの》とをそこから|断《た》つならば、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、たといこれら三|人《にん》の|者《もの》がその|中《なか》にいても、そのむすこ|娘《むすめ》を|救《すく》うことはできない。ただ|自分《じぶん》|自身《じしん》を|救《すく》いうるのみである。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あるいは、わたしがもし、この|地《ち》に|疫病《えきびょう》を|送《おく》り、|血《ち》をもってわが|憤《いきどお》りをその|上《うえ》に|注《そそ》ぎ、|人《ひと》と|獣《けもの》とをそこから|断《た》つならば、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、たといノア、ダニエル、ヨブがそこにいても、|彼《かれ》らはそのむすこ|娘《むすめ》を|救《すく》うことができない。ただその|義《ぎ》によって|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》いうるのみである。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしが|人《ひと》と|獣《けもの》とを|地《ち》から|断《た》つために、つるぎと、ききんと、|悪《あ》しき|獣《けもの》と、|疫病《えきびょう》との四つのきびしい|罰《ばつ》をエルサレムに|送《おく》る|時《とき》はどうであろうか。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、もしそれがあなたがたに|来《く》るとき、むすこ|娘《むすめ》たちを|助《たす》け|出《だ》す|者《もの》が、その|中《なか》に|残《のこ》っていて、あなたがたがその|行《おこな》いと、わざとを|見《み》るならば、わたしがエルサレムの|上《うえ》に|与《あた》えたすべての|災《わざわい》について|慰《なぐさ》められるであろう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、あなたがたが、その|行《おこな》いと、わざとを|見《み》る|時《とき》、|彼《かれ》らはあなたがたを|慰《なぐさ》め、あなたがたはわたしがこれに|行《おこな》った|事《こと》は、すべてゆえなくしたのではないことを|知《し》るようになると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第一五章[#「第一五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、ぶどうの|木《き》、|森《もり》の|木《き》のうちにあるぶどうの|枝《えだ》は、ほかの|木《き》になんのまさる|所《ところ》があるか。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|木《き》は|何《なに》かを|造《つく》るために|用《もち》いられるか。また|人《ひと》はこれを|用《もち》いて、|器物《うつわもの》を|掛《か》ける|木《き》|釘《くぎ》を|造《つく》るだろうか。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、これは|火《ひ》に|投《な》げ|入《い》れられて|燃《も》える。|火《ひ》がその|両端《りょうたん》を|焼《や》いたとき、またその|中《なか》ほどがこげたとき、それはなんの|役《やく》に|立《た》つだろうか。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、これは|完全《かんぜん》な|時《とき》でも、なんの|用《よう》をもなさない。まして|火《ひ》がこれを|焼《や》き、これをこがした|時《とき》には、なんの|役《やく》に|立《た》つだろうか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしが|森《もり》の|木《き》の|中《なか》のぶどうの|木《き》を、|火《ひ》に|投《な》げ|入《い》れて|焼《や》くように、エルサレムの|住民《じゅうみん》をそのようにする。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|顔《かお》を|彼《かれ》らに|向《む》けて|攻《せ》める。|彼《かれ》らがその|火《ひ》からのがれても、|火《ひ》は|彼《かれ》らを|焼《や》き|尽《つく》す。わたしが|顔《かお》を|彼《かれ》らに|向《む》けて|攻《せ》める|時《とき》、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが、もとりそむいたゆえに、わたしはこの|地《ち》を|荒《あ》れ|地《ち》とすると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第一六章[#「第一六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|再《ふたた》びわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、エルサレムにその|憎《にく》むべき|事《こと》どもを|示《しめ》して、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はエルサレムにこう|言《い》われる、あなたの|起《おこ》り、あなたの|生《うま》れはカナンびとの|地《ち》である。あなたの|父《ちち》はアモリびと、あなたの|母《はは》はヘテびとである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|生《うま》れについていえば、その|生《うま》れた|日《ひ》に、へその|緒《お》は|切《き》られず、|水《みず》で|洗《あら》い|清《きよ》められず、|塩《しお》でこすられず、また|布《ぬの》で|包《つつ》まれなかった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ひとりもあなたをあわれみ|見《み》る|者《もの》なく、|情《じょう》をもってこれらのことの一つをも、あなたにしてやる|者《もの》もなく、あなたの|生《うま》れた|日《ひ》に、あなたはきらわれて、|野原《のはら》に|捨《す》てられた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたのかたわらを|通《とお》り、あなたが|血《ち》の|中《なか》にころがりまわっているのを|見《み》た|時《とき》、わたしは|血《ち》の|中《なか》にいるあなたに|言《い》った、『|生《い》きよ、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》の|木《き》のように|育《そだ》て』と。すなわちあなたは|成長《せいちょう》して|大《おお》きくなり、|一人前《いちにんまえ》の|女《おんな》になり、その|乳《ち》ぶさは|形《かたち》が|整《ととの》い、|髪《かみ》は|長《なが》くなったが、|着物《きもの》がなく、|裸《はだか》であった。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|再《ふたた》びあなたのかたわらをとおって、あなたを|見《み》たが、|見《み》よ、あなたは|愛《あい》せられる|年齢《ねんれい》に|達《たっ》していたので、わたしは|着物《きもの》のすそであなたをおおい、あなたの|裸《はだか》をかくし、そしてあなたに|誓《ちか》い、あなたと|契約《けいやく》を|結《むす》んだ。そしてあなたはわたしのものとなったと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|水《みず》であなたを|洗《あら》い、あなたの|血《ち》を|洗《あら》い|落《おと》して|油《あぶら》を|塗《ぬ》り、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|縫《ぬ》い|取《と》りした|着物《きもの》を|着《き》せ、|皮《かわ》のくつをはかせ、|細《ほそ》|布《ぬの》をかぶらせ、|絹《きぬ》のきれであなたをおおった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|飾《かざ》り|物《もの》であなたを|飾《かざ》り、|腕輪《うでわ》をあなたの|手《て》にはめ、|鎖《くさり》をあなたの|首《くび》にかけ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|鼻《はな》には|鼻輪《はなわ》、|耳《みみ》には|耳輪《みみわ》、|頭《あたま》には|美《うつく》しい|冠《かんむり》を|与《あた》えた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]このようにあなたは|金銀《きんぎん》で|飾《かざ》られ、|細《ほそ》|布《ぬの》、|絹《きぬ》、|縫《ぬ》い|取《と》りの|服《ふく》をあなたの|衣《ころも》とし、|麦粉《むぎこ》と、|蜜《みつ》と、|油《あぶら》とを|食《た》べた。あなたは|非常《ひじょう》に|美《うつく》しくなって|王《おう》の|地位《ちい》に|進《すす》み、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|美《うつく》しさのために、あなたの|名声《めいせい》は|国々《くにぐに》に|広《ひろ》まった。これはわたしが、あなたに|施《ほどこ》した|飾《かざ》りによって|全《まっと》うされたからであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ところが、あなたは|自分《じぶん》の|美《うつく》しさをたのみ、|自分《じぶん》の|名声《めいせい》によって|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、すべてかたわらを|通《とお》る|者《もの》と、ほしいままに|姦淫《かんいん》を|行《おこな》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|衣《ころも》をとって、|自分《じぶん》のために、はなやかに|色《いろ》どった|聖所《せいじょ》を|造《つく》り、その|上《うえ》で|姦淫《かんいん》を|行《おこな》っている。こんなことはかつてなかったこと、またあってはならないことである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしが|与《あた》えた|金銀《きんぎん》の|美《うつく》しい|飾《かざ》りの|品《しな》をとり、|自分《じぶん》のために|男《おとこ》の|像《ぞう》を|造《つく》って、これと|姦淫《かんいん》を|行《おこな》った。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|縫《ぬ》い|取《と》りのある|自分《じぶん》の|衣《ころも》をとって|彼《かれ》らに|着《き》せ、わたしの|油《あぶら》と|香《こう》とをその|前《まえ》に|供《そな》え、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またわたしがあなたに|与《あた》えたパン、わたしがあなたを|養《やしな》うための|麦粉《むぎこ》、|油《あぶら》および|蜜《みつ》を、こうばしきかおりとして|彼《かれ》らの|前《まえ》に|供《そな》えたと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、あなたがわたしに|産《う》んだむすこ、|娘《むすめ》たちをとって、その|像《ぞう》に|供《そな》え、|彼《かれ》らに|食《く》わせた。このようなあなたの|姦淫《かんいん》は|小《ちい》さい|事《こと》であろうか。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|子《こ》どもを|殺《ころ》し、|火《ひ》の|中《なか》を|通《とお》らせて|彼《かれ》らにささげた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがそのすべての|憎《にく》むべきことや|姦淫《かんいん》を|行《おこな》うに|当《あた》って、あなたが|衣《ころも》もなく、|裸《はだか》で、|血《ち》の|中《なか》にころがりまわっていた|自分《じぶん》の|若《わか》き|日《ひ》のことを|思《おも》わなかった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがもろもろの|悪《あく》を|行《おこな》った|後《のち》、(あなたはわざわいだ、わざわいだと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる)[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》のために|高楼《こうろう》を|建《た》て、|広場《ひろば》、|広場《ひろば》に|台《だい》を|造《つく》り、[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]ちまた、ちまたのつじに|台《だい》を|造《つく》って、あなたの|美《うつく》しさを|汚《けが》し、すべてかたわらを|通《とお》る|者《もの》に|身《み》をまかせて、|大《おお》いに|姦淫《かんいん》を|行《おこな》っている。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた、かの|肉欲《にくよく》|的《まと》な|隣《とな》りエジプトの|人々《ひとびと》と|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、|大《おお》いに|姦淫《かんいん》を|行《おこな》って、わたしを|怒《いか》らせた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはわたしの|手《て》をあなたの|上《うえ》に|伸《の》べて、あなたの|賜《たま》わる|分《ぶん》を|減《へ》らし、あなたの|敵《てき》、すなわち、あなたのみだらな|行為《こうい》を|恥《は》じるペリシテびとの|娘《むすめ》らの|欲《よく》のままに、あなたを|渡《わた》した。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|飽《あ》くことがないので、またアッスリヤの|人々《ひとびと》と|姦淫《かんいん》を|行《おこな》ったが、|彼《かれ》らと|姦淫《かんいん》を|行《おこな》っても、なお|飽《あ》くことがなかった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたカルデヤの|商業《しょうぎょう》|地《ち》と|大《おお》いに|姦淫《かんいん》を|行《おこな》ったが、これと|姦淫《かんいん》を|行《おこな》っても、なお|飽《あ》くことがなかった。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、あなたの|心《こころ》はどんなに|恋《こ》いわずらうのか。あなたは、これらすべての|事《こと》を|行《おこな》った。これはあつかましい|姦淫《かんいん》のわざである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、ちまた、ちまたのつじに|高楼《こうろう》を|建《た》て、|広場《ひろば》、|広場《ひろば》に|台《だい》を|設《もう》けたが、|価《あたい》をもらうことをあざけったので、|遊女《ゆうじょ》のようではなかった。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|自分《じぶん》の|夫《おっと》に|替《か》えて|他人《たにん》と|通《つう》じる|姦婦《かんぷ》よ。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》はすべての|遊女《ゆうじょ》に|物《もの》を|与《あた》える。しかしあなたはすべての|恋人《こいびと》に|物《もの》を|与《あた》え、|彼《かれ》らにまいないして、あなたと|姦淫《かんいん》するために、|四方《しほう》からあなたの|所《ところ》にこさせる。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]このようにあなたは|姦淫《かんいん》を|行《おこな》うに|当《あた》って、|他《た》の|女《おんな》と|違《ちが》っている。すなわち、だれもあなたに|姦淫《かんいん》をさせたのではない。あなたはかえって|価《あたい》を|払《はら》い、|相手《あいて》はあなたに|払《はら》わない。これがあなたの|違《ちが》うところである。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]それで|遊女《ゆうじょ》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがその|恋人《こいびと》と|姦淫《かんいん》して、あなたの|恥《は》じる|所《ところ》をあらわし、あなたの|裸《はだか》をあらわし、またすべての|偶像《ぐうぞう》と、あなたが|彼《かれ》らにささげたあなたの|子《こ》どもらの|血《ち》のゆえに、[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたと|遊《あそ》んだあなたのすべての|恋人《こいびと》、およびすべてあなたが|恋《こい》した|者《もの》と、すべてあなたが|憎《にく》んだ|者《もの》とを|集《あつ》め、|四方《しほう》から|彼《かれ》らをあなたの|所《ところ》に|集《あつ》めて、あなたの|裸《はだか》を|彼《かれ》らにあらわす。|彼《かれ》らはあなたの|裸《はだか》を、ことごとく|見《み》る。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|姦淫《かんいん》を|行《おこな》った|女《おんな》と、|血《ち》を|流《なが》した|女《おんな》がさばかれるように、あなたをさばき、|憤《いきどお》りと、ねたみの|血《ち》とを、あなたに|注《そそ》ぐ。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|恋人《こいびと》の|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》らはあなたの|高楼《こうろう》を|倒《たお》し、|台《だい》をこわし、あなたの|衣《ころも》をはぎ|取《と》り、あなたの|美《うつく》しい|飾《かざ》りの|品《しな》を|奪《うば》い、あなたを|衣服《いふく》のない|裸《はだか》|者《もの》にする。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|民衆《みんしゅう》をかり|立《た》ててあなたを|攻《せ》め、|石《いし》であなたを|撃《う》ち、つるぎであなたを|切《き》り、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》であなたの|家《いえ》を|焼《や》き、|多《おお》くの|女《おんな》たちの|前《まえ》で、あなたにさばきを|行《おこな》う。こうしてわたしはあなたに|淫行《いんこう》をやめさせ、|重《かさ》ねて|価《あたい》を|払《はら》わせないようにする。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたに|対《たい》するわが|憤《いきどお》りをしずめ、わがねたみをあなたから|離《はな》し、わたしは|心《こころ》を|安《やす》んじて、|再《ふたた》び|怒《いか》ることをしない。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]またあなたはその|若《わか》き|日《ひ》の|事《こと》を|覚《おぼ》えず、すべてこれらの|事《こと》をもって、わたしを|怒《いか》らせたから、|見《み》よ、わたしもあなたの|行《おこな》うところをあなたのこうべに|報《むく》いると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  あなたはもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》に|加《くわ》えて、このみだらな|事《こと》をおこなったではないか。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、すべてことわざを|用《もち》いる|者《もの》は、あなたについて、『この|母《はは》にしてこの|娘《むすめ》あり』という、ことわざを|用《もち》いる。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、その|夫《おっと》と|子《こ》どもとを|捨《す》てたあなたの|母《はは》の|娘《むすめ》、またその|夫《おっと》と|子《こ》どもとを|捨《す》てた|姉妹《しまい》を|持《も》っている。あなたの|母《はは》はヘテびと、あなたの|父《ちち》はアモリびと、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|姉《あね》はサマリヤ、サマリヤはその|娘《むすめ》たちと|共《とも》に、あなたの|北《きた》に|住《す》み、あなたの|妹《いもうと》はソドムで、その|娘《むすめ》たちと|共《とも》に、あなたの|南《みなみ》に|住《す》んでいる。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らの|道《みち》を|歩《あゆ》まず、|彼《かれ》らの|憎《にく》むべき|事《こと》に|従《したが》っていないが、しばらくすると、あなたのおこないは、|彼《かれ》らよりもさらに|悪《わる》くなる。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。あなたの|妹《いもうと》ソドムとその|娘《むすめ》たちは、あなたとあなたの|娘《むすめ》たちがしたほどのことはしなかった。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたの|妹《いもうと》ソドムの|罪《つみ》はこれである。すなわち|彼女《かのじょ》と、その|娘《むすめ》たちは|高《たか》ぶり、|食物《しょくもつ》に|飽《あ》き、|安泰《あんたい》に|暮《くら》していたが、|彼《かれ》らは、|乏《とぼ》しい|者《もの》と|貧《まず》しい|者《もの》を|助《たす》けなかった。[#太字]五〇[#「五〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|高《たか》ぶり、わたしの|前《まえ》に|憎《にく》むべき|事《こと》をおこなったので、わたしはそれを|見《み》た|時《とき》、|彼《かれ》らを|除《のぞ》いた。[#太字]五一[#「五一」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤはあなたの|半分《はんぶん》も|罪《つみ》を|犯《おか》さなかった。あなたは|彼《かれ》らよりも|多《おお》く|憎《にく》むべき|事《こと》をおこない、あなたのおこなったもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》によって、あなたの|姉妹《しまい》を|義《ぎ》と|見《み》せかけた。[#太字]五二[#「五二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|姉妹《しまい》を|有利《ゆうり》にさばいたことによって、あなたもまた|自分《じぶん》のはずかしめを|負《お》わなければならない。それはあなたが|彼《かれ》らよりも、さらに|憎《にく》むべきことをした|罪《つみ》によって、|彼《かれ》らはあなたよりも|義《ぎ》とされるからである。それであなたも|恥《はじ》を|受《う》け、はずかしめを|負《お》わなければならない。それはあなたがその|姉妹《しまい》を|義《ぎ》と|見《み》せかけたからである。  [#太字]五三[#「五三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|幸福《こうふく》をもとに|返《かえ》す。すなわちソドムとその|娘《むすめ》たちの|幸福《こうふく》、サマリヤとその|娘《むすめ》たちの|幸福《こうふく》、また|彼《かれ》らの|中《なか》にいるあなたの|幸福《こうふく》をもとに|返《かえ》す。[#太字]五四[#「五四」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたに|自分《じぶん》のはずかしめを|負《お》わせるため、またすべてあなたのなした|事《こと》を|恥《は》じさせるためである。こうしてあなたは|彼《かれ》らの|慰《なぐさ》めとなる。[#太字]五五[#「五五」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|姉妹《しまい》ソドムと、その|娘《むすめ》たちとは、そのもとの|所《ところ》に|帰《かえ》り、サマリヤと、その|娘《むすめ》たちとは、そのもとの|所《ところ》に|帰《かえ》り、あなたと、あなたの|娘《むすめ》たちとは、そのもとの|所《ところ》に|帰《かえ》る。[#太字]五六[#「五六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|高《たか》ぶりの|日《ひ》に、あなたの|姉妹《しまい》ソドムは、あなたの|口《くち》に、ことわざとなったではなかったか。[#太字]五七[#「五七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたの|悪《あく》があらわされた|時《とき》まで、そうではなかったか。しかし|今《いま》はあなたも|彼女《かのじょ》と|同様《どうよう》に、エドムの|娘《むすめ》たちと、すべてその|周囲《しゅうい》の|者《もの》、および|四方《しほう》からあなたをあざけるペリシテの|娘《むすめ》たちのそしりとなった。[#太字]五八[#「五八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたのみだらな|行為《こうい》と、あなたの|憎《にく》むべき|事《こと》のとがとを、|身《み》に|負《お》っていると|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]五九[#「五九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|誓《ちか》いを|軽《かろ》んじ、|契約《けいやく》を|破《やぶ》ったあなたには、あなたがしたように、わたしもあなたにする。[#太字]六〇[#「六〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはあなたの|若《わか》き|日《ひ》に、あなたと|結《むす》んだ|契約《けいやく》を|覚《おぼ》え、|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》をあなたと|立《た》てる。[#太字]六一[#「六一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたの|姉《あね》および|妹《いもうと》を|受《う》け、またあなたとの|契約《けいやく》によらずに、|娘《むすめ》として|彼《かれ》らをあなたに|与《あた》える|時《とき》、あなたは|自分《じぶん》のおこないを|思《おも》い|出《だ》して|恥《は》じる。[#太字]六二[#「六二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたと|契約《けいやく》を|立《た》て、あなたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]六三[#「六三」は行右小書き][#太字終わり]こうしてすべてあなたの|行《おこな》ったことにつき、わたしがあなたをゆるす|時《とき》、あなたはそれを|思《おも》い|出《だ》して|恥《は》じ、その|恥《はじ》のゆえに|重《かさ》ねて|口《くち》を|開《ひら》くことがないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第一七章[#「第一七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|家《いえ》になぞをかけ、たとえを|語《かた》って、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》がこう|言《い》われる、さまざまの|色《いろ》の|羽毛《うもう》を|多《おお》く|持《も》ち、|大《おお》きな|翼《つばさ》と、|長《なが》い|羽根《はね》とを|持《も》つ|大《おお》わしがレバノンに|来《き》て、|香柏《こうはく》のこずえにとまり、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|若《わか》|枝《えだ》の|頂《いただき》を|摘《つ》み|切《き》り、これを|商業《しょうぎょう》の|地《ち》に|運《はこ》び、|商人《しょうにん》の|町《まち》に|置《お》いた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またその|地《ち》の|種《たね》をとって、これを|肥《こ》えた|土《つち》に|植《う》えた。すなわち|水《みず》の|多《おお》い|所《ところ》にもって|行《い》って、|柳《やなぎ》を|植《う》えるようにこれを|植《う》えた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これが|成長《せいちょう》して、たけ|低《ひく》く、はびこるぶどうの|木《き》となり、|枝《えだ》はわしに|向《む》かい、|根《ね》はわしの|下《した》にあり、こうしてついにぶどうの|木《き》となり、|枝《えだ》を|伸《の》ばし、|葉《は》を|出《だ》した。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ここにまた|大《おお》きな|翼《つばさ》と、|羽毛《うもう》の|多《おお》いほかの一|羽《わ》の|大《おお》わしがあった。|見《み》よ、このぶどうの|木《き》は、|潤《うるお》いを|得《え》るために、その|根《ね》をわしに|向《む》かってまげ、その|枝《えだ》をわしに|向《む》かって|伸《の》ばした。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これが|枝《えだ》を|出《だ》し、|実《み》を|結《むす》び、みごとなぶどうの|木《き》となるために、わしはこれを|植《う》えた|苗床《なえどこ》から|水《みず》の|多《おお》い|良《よ》い|地《ち》に|移《うつ》し|植《う》えた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|主《しゅ》なる|神《かみ》がこう|言《い》われると|言《い》え、これは|栄《さか》えるであろうか。わしはその|根《ね》を|抜《ぬ》き、その|枝《えだ》を|切《き》り、その|若葉《わかば》を|皆《みな》|枯《か》らさないであろうか。これをその|根《ね》からあげるには、|強《つよ》い|腕《うで》や|多《おお》くの|民《たみ》を|必要《ひつよう》としない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、それが|移《うつ》し|植《う》えられたら、また|栄《さか》えるであろうか。|東風《ひがしかぜ》がこれを|打《う》つ|時《とき》、それは|枯《か》れてしまわないであろうか。その|育《そだ》った|苗床《なえどこ》で|枯《か》れないであろうか」。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》に|言《い》え。これらがなんであるかをあなたがたは|知《し》らないのか。|彼《かれ》らに|言《い》え、|見《み》よ、バビロンの|王《おう》がエルサレムにきて、その|王《おう》とつかさとを|捕《とら》え、これをバビロンに|引《ひ》いて|行《い》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》の|子孫《しそん》のひとりを|捕《とら》えて、これと|契約《けいやく》を|結《むす》び、|誓《ちか》いを|立《た》てさせ、また|国《くに》のおもだった|人々《ひとびと》を|捕《とら》えて|行《い》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これはこの|国《くに》を|卑《いや》しくして、みずから|立《た》つことができないようにし、その|契約《けいやく》を|守《まも》ることによって|立《た》たせるためである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》はバビロンの|王《おう》にそむき、|使者《ししゃ》をエジプトに|送《おく》って、|馬《うま》と|多《おお》くの|兵《へい》とをそこから|獲《え》ようとした。|彼《かれ》は|成功《せいこう》するだろうか。このようなことをなす|者《もの》は、のがれることができようか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|契約《けいやく》を|破《やぶ》ってなおのがれることができようか。|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、|必《かなら》ず|彼《かれ》は|自分《じぶん》を|王《おう》となした|王《おう》の|住《す》む|所《ところ》、|彼《かれ》が|立《た》てた|誓《ちか》いを|軽《かろ》んじ、その|契約《けいやく》を|破《やぶ》った|相手《あいて》の|王《おう》のいるバビロンで|彼《かれ》は|死《し》ぬ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|命《いのち》を|断《た》つために|塁《るい》を|築《きず》き、|雲梯《うんてい》を|建《た》てるとき、パロは|決《けっ》して|大《おお》いなる|軍勢《ぐんぜい》と、|多《おお》くの|人《ひと》とをもって、|彼《かれ》を|助《たす》けて|戦《たたか》いをしない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|誓《ちか》いを|軽《かろ》んじ、|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、その|手《て》を|与《あた》えて|誓《ちか》いながら、なおこれらの|事《こと》をしたゆえ、のがれることはできない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、|彼《かれ》がわたしの|誓《ちか》いを|軽《かろ》んじ、わたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》ったことを、|必《かなら》ず|彼《かれ》のこうべに|報《むく》いる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|網《あみ》を|彼《かれ》の|上《うえ》に|打《う》ちかけ、|彼《かれ》をわがわなに|捕《とら》えて、バビロンに|引《ひ》いて|行《い》き、|彼《かれ》がわたしにむかって|犯《おか》した|反逆《はんぎゃく》のために、その|所《ところ》で|彼《かれ》をさばく。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》のすべての|軍隊《ぐんたい》のえり|抜《ぬ》きの|兵士《へいし》は|皆《みな》つるぎに|倒《たお》れ、|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》は|八方《はっぽう》に|散《ち》らされる。そしてあなたがたは|主《しゅ》なるわたしが、これを|語《かた》ったことを|知《し》るようになる」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、「わたしはまた|香柏《こうはく》の|高《たか》いこずえから|小《しょう》|枝《えだ》をとって、これを|植《う》え、その|若芽《わかめ》の|頂《いただき》から|柔《やわら》かい|芽《め》を|摘《つ》みとり、これを|高《たか》いすぐれた|山《やま》に|植《う》える。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|高《たか》い|山《やま》にこれを|植《う》える。これは|枝《えだ》を|出《だ》し、|実《み》を|結《むす》び、みごとな|香柏《こうはく》となり、その|下《した》にもろもろの|種類《しゅるい》の|獣《けもの》が|住《す》み、その|枝《えだ》の|陰《かげ》に|各種《かくしゅ》の|鳥《とり》が|巣《す》をつくる。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そして|野《の》のすべての|木《き》は、|主《しゅ》なるわたしが|高《たか》い|木《き》を|低《ひく》くし、|低《ひく》い|木《き》を|高《たか》くし、|緑《みどり》の|木《き》を|枯《か》らし、|枯《か》れ|木《き》を|緑《みどり》にすることを|知《し》るようになる。|主《しゅ》であるわたしはこれを|語《かた》り、これをするのである」。 第一八章[#「第一八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたがイスラエルの|地《ち》について、このことわざを|用《もち》い、『|父《ちち》たちが、|酢《す》いぶどうを|食《た》べたので|子供《こども》たちの|歯《は》がうく』というのはどんなわけか。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、あなたがたは|再《ふたた》びイスラエルでこのことわざを|用《もち》いることはない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、すべての|魂《たましい》はわたしのものである。|父《ちち》の|魂《たましい》も|子《こ》の|魂《たましい》もわたしのものである。|罪《つみ》を|犯《おか》した|魂《たましい》は|必《かなら》ず|死《し》ぬ。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がもし|正《ただ》しくあって、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》い、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》の|上《うえ》で|食事《しょくじ》をせず、また|目《め》をあげてイスラエルの|家《いえ》の|偶像《ぐうぞう》を|仰《あお》がず、|隣《とな》り|人《びと》の|妻《つま》を|犯《おか》さず、|汚《けが》れの|時《とき》にある|女《おんな》に|近《ちか》づかず、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]だれをもしえたげず、|質物《しちもつ》を|返《かえ》し、|決《けっ》して|奪《うば》わず、|食物《しょくもつ》を|飢《う》えた|者《もの》に|与《あた》え、|裸《はだか》の|者《もの》に|衣服《いふく》を|着《き》せ、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|利息《りそく》や|高利《こうり》をとって|貸《か》さず、|手《て》をひいて|悪《あく》を|行《おこな》わず、|人《ひと》と|人《ひと》との|間《あいだ》に|真実《しんじつ》のさばきを|行《おこな》い、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》み、わたしのおきてを|忠実《ちゅうじつ》に|守《まも》るならば、|彼《かれ》は|正《ただ》しい|人《ひと》である。|彼《かれ》は|必《かなら》ず|生《い》きることができると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》が|子《こ》を|生《う》み、その|子《こ》が|荒《あら》い|者《もの》で、|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》し、これらの|義務《ぎむ》の一つをも|行《おこな》わず、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]かえって|山《やま》の|上《うえ》で|食事《しょくじ》をし、|隣《とな》り|人《びと》の|妻《つま》を|犯《おか》し、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|乏《とぼ》しい|者《もの》や|貧《まず》しい|者《もの》をしえたげ、|物《もの》を|奪《うば》い、|質物《しちもつ》を|返《かえ》さず、|目《め》をあげて|偶像《ぐうぞう》を|仰《あお》ぎ、|憎《にく》むべき|事《こと》をおこない、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|利息《りそく》や|高利《こうり》をとって|貸《か》すならば、その|子《こ》は|生《い》きるであろうか。|彼《かれ》は|生《い》きることはできない。|彼《かれ》はこれらの|憎《にく》むべき|事《こと》をしたので、|必《かなら》ず|死《し》に、その|血《ち》は|彼《かれ》|自身《じしん》に|帰《き》する。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》が|子《こ》を|生《う》み、その|子《こ》が|父《ちち》の|行《おこな》ったすべての|罪《つみ》を|見《み》て、|恐《おそ》れ、そのようなことを|行《おこな》わず、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》の|上《うえ》で|食事《しょくじ》せず、|目《め》をあげてイスラエルの|家《いえ》の|偶像《ぐうぞう》を|仰《あお》がず、|隣《とな》り|人《びと》の|妻《つま》を|犯《おか》さず、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]だれをもしえたげず、|質物《しちもつ》をひき|留《と》めず、|物《もの》を|奪《うば》わず、かえって|自分《じぶん》の|食物《しょくもつ》を|飢《う》えた|者《もの》に|与《あた》え、|裸《はだか》の|者《もの》に|衣服《いふく》を|着《き》せ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|手《て》をひいて|悪《あく》を|行《おこな》わず、|利息《りそく》や|高利《こうり》をとらず、わたしのおきてを|行《おこな》い、わたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》むならば、|彼《かれ》はその|父《ちち》の|悪《あく》のために|死《し》なず、|必《かなら》ず|生《い》きる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|父《ちち》は|人《ひと》をかすめ、その|兄弟《きょうだい》の|物《もの》を|奪《うば》い、その|民《たみ》の|中《なか》で|良《よ》くない|事《こと》を|行《おこな》ったゆえ、|見《み》よ、|彼《かれ》はその|悪《あく》のために|死《し》ぬ。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたは、『なぜ、|子《こ》は|父《ちち》の|悪《あく》を|負《お》わないのか』と|言《い》う。|子《こ》は|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》い、わたしのすべての|定《さだ》めを|守《まも》っておこなったので、|必《かなら》ず|生《い》きるのである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|罪《つみ》を|犯《おか》す|魂《たましい》は|死《し》ぬ。|子《こ》は|父《ちち》の|悪《あく》を|負《お》わない。|父《ちち》は|子《こ》の|悪《あく》を|負《お》わない。|義人《ぎじん》の|義《ぎ》はその|人《ひと》に|帰《き》し、|悪人《あくにん》の|悪《あく》はその|人《ひと》に|帰《き》する。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|悪人《あくにん》がもしその|行《おこな》ったもろもろの|罪《つみ》を|離《はな》れ、わたしのすべての|定《さだ》めを|守《まも》り、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》うならば、|彼《かれ》は|必《かなら》ず|生《い》きる。|死《し》ぬことはない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|犯《おか》したもろもろのとがは、|彼《かれ》に|対《たい》して|覚《おぼ》えられない。|彼《かれ》はそのなした|正《ただ》しい|事《こと》のために|生《い》きる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|悪人《あくにん》の|死《し》を|好《この》むであろうか。むしろ|彼《かれ》がそのおこないを|離《はな》れて|生《い》きることを|好《この》んでいるではないか。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|義人《ぎじん》がもしその|義《ぎ》を|離《はな》れて|悪《あく》を|行《おこな》い、|悪人《あくにん》のなすもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》を|行《おこな》うならば、|生《い》きるであろうか。|彼《かれ》が|行《おこな》ったもろもろの|正《ただ》しい|事《こと》は|覚《おぼ》えられない。|彼《かれ》はその|犯《おか》したとがと、その|犯《おか》した|罪《つみ》とのために|死《し》ぬ。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたがたは、『|主《しゅ》のおこないは|正《ただ》しくない』と|言《い》う。イスラエルの|家《いえ》よ、|聞《き》け。わたしのおこないは|正《ただ》しくないのか。|正《ただ》しくないのは、あなたがたのおこないではないか。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|義人《ぎじん》がその|義《ぎ》を|離《はな》れて|悪《あく》を|行《おこな》い、そのために|死《し》ぬならば、|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|行《おこな》った|悪《あく》のために|死《し》ぬのである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|悪人《あくにん》がその|行《おこな》った|悪《あく》を|離《はな》れて、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》うならば、|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|命《いのち》を|救《すく》うことができる。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|省《かえり》みて、その|犯《おか》したすべてのとがを|離《はな》れたのだから|必《かなら》ず|生《い》きる。|死《し》ぬことはない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|家《いえ》は『|主《しゅ》のおこないは|正《ただ》しくない』と|言《い》う。イスラエルの|家《いえ》よ、わたしのおこないは、はたして|正《ただ》しくないのか。|正《ただ》しくないのは、あなたがたのおこないではないか。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|家《いえ》よ、わたしはあなたがたを、おのおのそのおこないに|従《したが》ってさばくと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。|悔《く》い|改《あらた》めて、あなたがたのすべてのとがを|離《はな》れよ。さもないと|悪《あく》はあなたがたを|滅《ほろ》ぼす。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがわたしに|対《たい》しておこなったすべてのとがを|捨《す》て|去《さ》り、|新《あたら》しい|心《こころ》と、|新《あたら》しい|霊《れい》とを|得《え》よ。イスラエルの|家《いえ》よ、あなたがたはどうして|死《し》んでよかろうか。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|何人《なにび》との|死《し》をも|喜《よろこ》ばないのであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。それゆえ、あなたがたは|翻《ひるがえ》って|生《い》きよ」。 第一九章[#「第一九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはイスラエルの|君《きみ》たちのために|悲《かな》しみの|歌《うた》をのべて[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え、 [#ここから2字下げ] あなたの|母《はは》はししのうちにあって、 どんな|雌《め》じしであったろう。 |彼女《かのじょ》は|若《わか》いししのうちに|伏《ふ》して|子《こ》じしを|養《やしな》った。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|子《こ》じしの一つを|育《そだ》てたが、 それは|若《わか》いししとなって、 |獲物《えもの》をとることを|学《まな》び、|人《ひと》を|食《た》べた。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》の|人《ひと》は|彼《かれ》に|対《たい》して|叫《さけ》び|声《ごえ》をあげ、 |落《おと》し|穴《あな》でこれを|捕《とら》え、 かぎでこれをエジプトの|地《ち》に|引《ひ》いて|行《い》った。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|雌《め》じしは|自分《じぶん》の|思《おも》いが|破《やぶ》れ、 その|望《のぞ》みを|失《うしな》ったのを|見《み》たので、 ほかの|子《こ》じしをとって、これを|若《わか》い|子《こ》じしとした。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はししのうちに|行《ゆ》き|来《き》し、|若《わか》いししとなって、 |獲物《えもの》をとることを|学《まな》び、|人《ひと》を|食《た》べた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|要害《ようがい》を|荒《あら》し、その|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼした。 そのほえる|声《こえ》によって、 その|地《ち》とその|中《なか》に|満《み》ちるものとは|皆《みな》|恐《おそ》れた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|国々《くにぐに》の|人《ひと》は|彼《かれ》に|対《たい》して|四方《しほう》にわなを|設《もう》け、 |彼《かれ》に|網《あみ》を|打《う》ちかけ、|落《おと》し|穴《あな》で|彼《かれ》を|捕《とら》えた。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはかぎをもって、これをかごに|入《い》れ、 これをバビロンの|王《おう》のもとに|連《つ》れて|行《い》き、 これをおりの|中《なか》に|入《い》れて、 |再《ふたた》びその|声《こえ》をイスラエルの|山々《やまやま》に |聞《きこ》えさせないようにした。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|母《はは》は|水《みず》のほとりに|移《うつ》し|植《う》えられた ぶどう|畑《はたけ》のぶどうの|木《き》のようで、 |水《みず》が|多《おお》いために|実《みの》りがよく、|枝《えだ》がはびこった。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|強《つよ》い|幹《みき》は|君《きみ》たる|者《もの》のつえとなった。 それは|茂《しげ》みの|中《なか》に|高《たか》くそびえ、 |多《おお》くの|枝《えだ》をつけて|高《たか》く|見《み》えた。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしこのぶどうの|木《き》は|憤《いきどお》りによって|抜《ぬ》かれ、 |地《ち》に|投《な》げうたれ、|東風《ひがしかぜ》がそれを|枯《か》らし、 その|実《み》はもぎ|取《と》られ、その|強《つよ》い|幹《みき》は|枯《か》れて、 |火《ひ》に|焼《や》き|滅《ほろ》ぼされた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》これは|荒野《あらの》に、 かわいた、|水《みず》のない|地《ち》に|移《うつ》し|植《う》えられ、 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》がその|幹《みき》から|出《で》て、その|枝《えだ》と|実《み》とを|滅《ほろ》ぼしたので、 |強《つよ》い|幹《みき》で、|君《きみ》たる|者《もの》のつえと なるべきものはそこにない。 これが|悲《かな》しみの|言葉《ことば》、また|悲《かな》しみの|歌《うた》となった。 [#ここで字下げ終わり] 第二〇章[#「第二〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》七|年《ねん》の五|月《がつ》十|日《か》に、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちのある|人々《ひとびと》が、|主《しゅ》に|尋《たず》ねるためにきて、わたしの|前《まえ》に|座《ざ》した。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|長老《ちょうろう》たちに|告《つ》げて|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたがわたしのもとに|来《き》たのは、わたしに|何《なに》か|尋《たず》ねるためであるか。|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、わたしはあなたがたの|尋《たず》ねに|答《こた》えない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らをさばこうとするのか。|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたは|彼《かれ》らをさばこうとするのか。それなら|彼《かれ》らの|先祖《せんぞ》たちのした|憎《にく》むべき|事《こと》を|彼《かれ》らに|知《し》らせ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]かつ|彼《かれ》らに|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしがイスラエルを|選《えら》び、ヤコブの|家《いえ》の|子孫《しそん》に|誓《ちか》い、エジプトの|地《ち》でわたし|自身《じしん》を|彼《かれ》らに|知《し》らせ|彼《かれ》らに|誓《ちか》って、わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であると|言《い》った|日《ひ》、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》にわたしは|彼《かれ》らに|誓《ちか》って、エジプトの|地《ち》から|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》し、わたしが|彼《かれ》らのために|探《さぐ》り|求《もと》めた|乳《ちち》と|蜜《みつ》との|流《なが》れる|地《ち》、|全《ぜん》|地《ち》の|中《なか》で|最《もっと》もすばらしい|所《ところ》へ|行《い》かせると|言《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|言《い》った、あなたがたは、おのおのその|目《め》を|楽《たの》しませる|憎《にく》むべきものを|捨《す》てよ。エジプトの|偶像《ぐうぞう》をもって、その|身《み》を|汚《けが》すな。わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であると。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》らはわたしにそむき、わたしの|言《い》うことを|聞《き》こうともしなかった。|彼《かれ》らは、おのおのその|目《め》を|楽《たの》しませた|憎《にく》むべきものを|捨《す》てず、またエジプトの|偶像《ぐうぞう》を|捨《す》てなかった。  それで、わたしはエジプトの|地《ち》のうちで、わたしの|憤《いきどお》りを|彼《かれ》らに|注《そそ》ぎ、わたしの|怒《いか》りを|彼《かれ》らに|漏《も》らそうと|思《おも》った。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはわたしの|名《な》のために|行動《こうどう》した。それはエジプトの|地《ち》から|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》して、|周囲《しゅうい》に|住《す》んでいた|異邦人《いほうじん》たちに、わたしのことを|知《し》らせ、わたしの|名《な》が|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》に、はずかしめられないためである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、わたしはエジプトの|地《ち》から|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》して、|荒野《あらの》に|連《つ》れて|行《い》き、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|定《さだ》めを|彼《かれ》らに|授《さづ》け、わたしのおきてを|彼《かれ》らに|示《しめ》した。これは|人《ひと》がこれを|行《おこな》うことによって|生《い》きるものである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|彼《かれ》らに|安息日《あんそくにち》を|与《あた》えて、わたしと|彼《かれ》らとの|間《あいだ》のしるしとした。これは|主《しゅ》なるわたしが|彼《かれ》らを|聖別《せいべつ》したことを、|彼《かれ》らに|知《し》らせるためである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|家《いえ》は|荒野《あらの》でわたしにそむき、わたしの|定《さだ》めに|歩《あゆ》まず、|人《ひと》がそれを|行《おこな》うことによって、|生《い》きることのできるわたしのおきてを|捨《す》て、|大《おお》いにわたしの|安息日《あんそくにち》を|汚《けが》した。  そこでわたしは|荒野《あらの》で、わたしの|憤《いきどお》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|注《そそ》ぎ、これを|滅《ほろ》ぼそうと|思《おも》ったが、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|名《な》のために|行動《こうどう》した。それはわたしが|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》して|見《み》せた|異邦人《いほうじん》の|前《まえ》に、わたしの|名《な》が|汚《けが》されないためである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ただし、わたしは|荒野《あらの》で|彼《かれ》らに|誓《ちか》い、わたしが|彼《かれ》らに|与《あた》えた|乳《ちち》と|蜜《みつ》との|流《なが》れる|地《ち》、|全《ぜん》|地《ち》の|最《もっと》もすばらしい|地《ち》に、|彼《かれ》らを|導《みちび》かないと|言《い》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがその|心《こころ》に|偶像《ぐうぞう》を|慕《した》って、わがおきてを|捨《す》て、わが|定《さだ》めに|歩《あゆ》まず、わが|安息日《あんそくにち》を|汚《けが》したからである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]けれどもわたしは|彼《かれ》らを|惜《お》しみ|見《み》て、|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼさず、|荒野《あらの》で|彼《かれ》らを|絶《た》やさなかった。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|荒野《あらの》で|彼《かれ》らの|子《こ》どもたちに|言《い》った、あなたがたの|先祖《せんぞ》の|定《さだ》めに|歩《あゆ》んではならない。そのおきてを|守《まも》ってはならない。その|偶像《ぐうぞう》をもって、あなたがたの|身《み》を|汚《けが》してはならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なるわたしはあなたがたの|神《かみ》である。わが|定《さだ》めに|歩《あゆ》み、わがおきてを|守《まも》ってこれを|行《おこな》い、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|安息日《あんそくにち》を|聖別《せいべつ》せよ。これはわたしとあなたがたとの|間《あいだ》のしるしとなって、|主《しゅ》なるわたしがあなたがたの|神《かみ》であることを、あなたがたに|知《し》らせるためである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしその|子《こ》どもたちはわたしにそむき、わが|定《さだ》めに|歩《あゆ》まず、|人《ひと》がこれを|行《おこな》うことによって、|生《い》きることのできるわたしのおきてを|守《まも》り|行《おこな》わず、わが|安息日《あんそくにち》を|汚《けが》した。  そこでわたしはわが|憤《いきどお》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|注《そそ》ぎ、|荒野《あらの》で|彼《かれ》らに|対《たい》し、わが|怒《いか》りを|漏《も》らそうと|思《おも》った。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはわが|手《て》を|翻《ひるがえ》して、わが|名《な》のために|行動《こうどう》した。それはわたしが|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》して|見《み》せた|異邦人《いほうじん》の|前《まえ》に、わたしの|名《な》が|汚《けが》されないためである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ただしわたしは|荒野《あらの》で|彼《かれ》らに|誓《ちか》い、わたしは|異邦人《いほうじん》の|間《あいだ》に|彼《かれ》らを|散《ち》らし、|国々《くにぐに》の|中《なか》に|彼《かれ》らをふりまくと|言《い》った。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがわがおきてを|行《おこな》わず、わが|定《さだ》めを|捨《す》て、わが|安息日《あんそくにち》を|汚《けが》し、|彼《かれ》らの|目《め》にその|先祖《せんぞ》の|偶像《ぐうぞう》を|慕《した》ったからである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは|彼《かれ》らに|良《よ》くない|定《さだ》めと、それによって|生《い》きることのできないおきてとを|与《あた》え、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そして、|彼《かれ》らのういごに|火《ひ》の|中《なか》を|通《とお》らせるその|供《そな》え|物《もの》によって、|彼《かれ》らを|汚《けが》し、|彼《かれ》らを|恐《おそ》れさせた。わたしがこれを|行《おこな》ったのは、わたしが|主《しゅ》であることを、|彼《かれ》らに|知《し》らせるためである。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|家《いえ》に|告《つ》げて|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたの|先祖《せんぞ》はまた、|不信《ふしん》の|罪《つみ》を|犯《おか》してわたしを|汚《けが》した。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》らに|与《あた》えようと|誓《ちか》った|地《ち》に、|彼《かれ》らを|導《みちび》き|入《い》れた|時《とき》、|彼《かれ》らはすべての|高《たか》い|丘《おか》と、すべての|茂《しげ》った|木《き》とを|見《み》て、その|所《ところ》で|犠牲《ぎせい》をささげ、|忌《い》むべき|供《そな》え|物《もの》をささげ、またこうばしいかおりをその|所《ところ》に|上《のぼ》らせ、その|所《ところ》に|灌祭《かんさい》を|注《そそ》いだ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり](わたしは|彼《かれ》らに|言《い》った、あなたがたが|通《かよ》うその|高《たか》き|所《ところ》はなんであるか。それでその|名《な》は|今日《こんにち》までバマととなえられている。)[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|家《いえ》に|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたは、その|先祖《せんぞ》のおこないに|従《したが》って、その|身《み》を|汚《けが》し、その|憎《にく》むべきものを|慕《した》うのか。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、その|供《そな》え|物《もの》をささげ、その|子《こ》|供《とも》に|火《ひ》の|中《なか》を|通《とお》らせて、|今日《こんにち》まですべての|偶像《ぐうぞう》をもって、その|身《み》を|汚《けが》すのである。イスラエルの|家《いえ》よ、わたしは、なおあなたがたに|尋《たず》ねられるべきであろうか。わたしは|生《い》きている。わたしは|決《けっ》してあなたがたに|尋《たず》ねられるはずはないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|心《こころ》にあること、すなわち『われわれは|異邦人《いほうじん》のようになり、|国々《くにぐに》のもろもろのやからのようになって、|木《き》や|石《いし》を|拝《おが》もう』との|考《かんが》えは|決《けっ》して|成就《じょうじゅ》しない。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている、わたしは|必《かなら》ず|強《つよ》い|手《て》と|伸《の》べた|腕《うで》と|注《そそ》がれた|憤《いきどお》りとをもって、あなたがたを|治《おさ》める。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|強《つよ》い|手《て》と|伸《の》べた|腕《うで》と|注《そそ》がれた|憤《いきどお》りとをもって、あなたがたをもろもろの|民《たみ》の|中《なか》から|導《みちび》き|出《だ》し、その|散《ち》らされた|国々《くにぐに》から|集《あつ》め、[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》の|荒野《あらの》に|導《みちび》き|入《い》れ、その|所《ところ》で|顔《かお》と|顔《かお》とを|合《あ》わせて、あなたがたをさばく。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、エジプトの|地《ち》の|荒野《あらの》で、あなたがたの|先祖《せんぞ》をさばいたように、わたしはあなたがたをさばくと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたに、むちの|下《した》を|通《とお》らせ、|数《かぞ》えてはいらせ、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのうちから、|従《したが》わぬ|者《もの》と、わたしにそむいた|者《もの》とを|分《わ》かち、その|寄留《きりゅう》した|地《ち》から、|彼《かれ》らを|導《みちび》き|出《だ》す。しかし|彼《かれ》らはイスラエルの|地《ち》に|入《い》ることはできない。こうしてあなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。  [#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]それで、イスラエルの|家《いえ》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたはわたしに|聞《き》かないなら、|今《いま》も|後《のち》も、おのおのその|偶像《ぐうぞう》に|行《い》って|仕《つか》えるがよい。しかし|再《ふたた》び|供《そな》え|物《もの》と|偶像《ぐうぞう》とをもって、わたしの|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》してはならない。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしの|聖《せい》なる|山《やま》、イスラエルの|高《たか》い|山《やま》の|上《うえ》で、イスラエルの|全家《ぜんか》はその|地《ち》で、ことごとくわたしに|仕《つか》える。その|所《ところ》でわたしは|喜《よろこ》んで|彼《かれ》らを|受《う》けいれ、あなたがたのささげ|物《もの》と|最上《さいじょう》の|供《そな》え|物《もの》とを、その|聖《せい》なるささげ|物《もの》と|共《とも》に|求《もと》める。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたをもろもろの|民《たみ》の|中《なか》から|導《みちび》き|出《だ》し、かつてあなたがたを|散《ち》らした|国々《くにぐに》から|集《あつ》める|時《とき》、こうばしいかおりとして、あなたがたを|喜《よろこ》んで|受《う》けいれる。そしてわたしは|異邦人《いほうじん》の|前《まえ》で、あなたがたの|中《なか》に、わたしの|聖《せい》なることをあらわす。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわたしがあなたがたを、イスラエルの|地《ち》、すなわちあなたがたの|先祖《せんぞ》たちに|与《あた》えると|誓《ちか》った|地《ち》に、はいらせる|時《とき》、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]またその|所《ところ》であなたがたは、その|身《み》を|汚《けが》したあなたがたのおこないと、すべてのわざとを|思《おも》い|出《だ》し、みずから|行《おこな》ったすべての|悪事《あくじ》のために、|自分《じぶん》を|忌《い》みきらうようになる。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》よ、わたしがあなたがたの|悪《あ》しきおこないによらず、またその|腐《くさ》れたわざによらず、わたしの|名《な》のために、あなたがたを|扱《あつか》う|時《とき》、あなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るのであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。  [#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|顔《かお》を|南《みなみ》に|向《む》け、|南《みなみ》に|向《む》かって|語《かた》り、ネゲブの|森《もり》の|地《ち》に|対《たい》して|預言《よげん》せよ。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちネゲブの|森《もり》に|言《い》え、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたのうちに|火《ひ》を|燃《も》やす。その|火《ひ》はあなたのうちのすべての|青木《あおき》と、すべての|枯《か》れ|木《き》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼし、その|燃《も》える|炎《ほのお》は|消《け》されることがなく、|南《みなみ》から|北《きた》まで、すべての|地《ち》のおもては、これがために|焼《や》ける。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]すべて|肉《にく》なる|者《もの》は、|主《しゅ》なるわたしがこれを|焼《や》いたことを|見《み》る。その|火《ひ》は|消《け》されない」。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|言《い》った、「ああ|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、|彼《かれ》らはわたしについてこう|語《かた》っています、『|彼《かれ》はたとえをもって|語《かた》る|者《もの》ではないか』と」。 第二一章[#「第二一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|顔《かお》をエルサレムに|向《む》け、あなたの|言葉《ことば》を|聖所《せいじょ》に|向《む》けてのべ、イスラエルの|地《ち》に|向《む》かって|預言《よげん》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|地《ち》に|言《い》え。|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたを|攻《せ》め、わたしのつるぎをさやから|抜《ぬ》き、あなたのうちから、|正《ただ》しい|者《もの》も|悪《あ》しき|者《もの》をも|断《た》ってしまう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたのうちから、|正《ただ》しい|者《もの》も|悪《あ》しき|者《もの》をも|断《た》つゆえに、わたしのつるぎはさやから|抜《ぬ》け|出《で》て、|南《みなみ》から|北《きた》までのすべての|肉《にく》なる|者《もの》を|攻《せ》める。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すべて|肉《にく》なる|者《もの》は、|主《しゅ》なるわたしが、そのつるぎをさやから|抜《ぬ》き|放《はな》ったことを|知《し》る。このつるぎは|再《ふたた》びさやに|納《おさ》められない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|人《ひと》の|子《こ》よ、|嘆《なげ》け、|心《こころ》|砕《くだ》けるまでに|嘆《なげ》き、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》でいたく|嘆《なげ》け。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》があなたに|向《む》かって、『なぜ|嘆《なげ》くのか』と|言《い》うなら、『この|知《し》らせのためである。それが|来《く》れば|人《ひと》の|心《こころ》はみな|溶《と》け、|手《て》はみななえ、|霊《れい》はみな|弱《よわ》り、ひざはみな|水《みず》のようになる。|見《み》よ、それは|来《く》る、|必《かなら》ず|成就《じょうじゅ》する』と|言《い》え」と|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|預言《よげん》して|言《い》え、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] つるぎがある、 とぎ、かつ、みがいたつるぎがある。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|殺《ころ》すためにといであり、 いなずまのようにきらめくためにみがいてある。 [#ここで字下げ終わり] わたしたちは|喜《よろこ》ぶことができるか。わが|子《こ》よ、あなたはつえと、すべて|木《き》で|作《つく》ったものとを|軽《かろ》んじた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]このつるぎは|手《て》にとるために、とがれ、|殺《ころ》す|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》すために、とがれみがかれるのである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、|叫《さけ》び|嘆《なげ》け、このことはわが|民《たみ》に|臨《のぞ》み、イスラエルのすべての|君《きみ》たちに|臨《のぞ》むからである。|彼《かれ》らはわが|民《たみ》と|共《とも》につるぎにわたされる。それゆえ、あなたのももを|打《う》て。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]これはためしにすることではない。もしあなたが、つえをあざけったら、どういうことになろうか」と|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]「それゆえ、|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたは|預言《よげん》し、|手《て》を|打《う》ちならせ。つるぎを二|度《ど》も三|度《ど》も|臨《のぞ》ませよ。これは|人《ひと》を|殺《ころ》すつるぎ、|大《おお》いに|殺《ころ》すつるぎであって、|彼《かれ》らを|囲《かこ》むものである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]これがために|彼《かれ》らの|心《こころ》は|溶《と》け、|多《おお》くの|者《もの》がすべての|門《もん》に|倒《たお》れる。わたしはひらめくつるぎを|彼《かれ》らに|送《おく》る。ああ、これはいなずまのようになり、|人《ひと》を|殺《ころ》すためにみがかれている。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|刃《は》の|向《む》かうところで、|右《みぎ》に|左《ひだり》になぎ|倒《たお》せ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしもまた、わたしの|手《て》を|打《う》ちならし、わたしの|怒《いか》りをしずめると、|主《しゅ》なるわたしは|言《い》った」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、バビロンの|王《おう》のつるぎが|来《く》るために、二つの|道《みち》を|備《そな》えよ。この二つの|道《みち》は一つの|国《くに》から|出《で》ている。あなたは|道《みち》しるべを|作《つく》り、これを|町《まち》に|向《む》かう|道《みち》のはじめに|置《お》け。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまたアンモンの|人々《ひとびと》のラバと、ユダと、|堅固《けんご》な|城《しろ》の|町《まち》エルサレムとにつるぎの|来《く》る|道《みち》を|設《もう》けよ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》は|道《みち》の|分《わか》れ|目《め》、二つの|道《みち》のはじめに|立《た》って|占《うらな》いをし、|矢《や》をふり、テラピムに|問《と》い、|肝《きも》を|見《み》る。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|右《みぎ》にエルサレムのために|占《うらな》いが|出《で》る。すなわち|口《くち》を|開《ひら》いて|叫《さけ》び、|声《こえ》をあげ、ときを|作《つく》り、|門《もん》に|向《む》かって|城《しろ》くずしを|設《もう》け、|塁《るい》を|築《きず》き、|雲悌《うんてい》を|建《た》てよと|言《い》う。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]しかしこれは|彼《かれ》らの|目《め》には|偽《いつわ》りの|占《うらな》いと|思《おも》われ、|彼《かれ》らは|堅《かた》き|誓《ちか》いをなした。しかし|彼《かれ》は、|彼《かれ》らを|捕《とら》えることによって、|罪《つみ》を|思《おも》い|出《だ》させる。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたの|罪《つみ》は|覚《おぼ》えられ、その|反逆《はんぎゃく》は|現《あらわ》れ、その|罪《つみ》はすべてのわざに|現《あらわ》れる。このようにあなたがたは、すでに|覚《おぼ》えられているから、|彼《かれ》らの|手《て》に|捕《とら》えられる。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|汚《けが》れた|悪人《あくにん》であるイスラエルの|君《きみ》よ、あなたの|終《おわ》りの|刑罰《けいばつ》の|時《とき》であるその|日《ひ》が|来《く》る。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、かぶり|物《もの》を|脱《ぬ》ぎ、|冠《かんむり》を|取《と》り|離《はな》せ。すべてのものは、そのままには|残《のこ》らない。|卑《いや》しい|者《もの》は|高《たか》くされ、|高《たか》い|者《もの》は|卑《いや》しくされる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ああ|破滅《はめつ》、|破滅《はめつ》、|破滅《はめつ》、わたしはこれをこさせる。わたしが|与《あた》える|権威《けんい》をもつ|者《もの》が|来《く》る|時《とき》まで、その|跡形《あとかた》さえも|残《のこ》らない。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、|預言《よげん》して|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はアンモンの|人々《ひとびと》と、そのあざけりについて、こう|言《い》われる、つるぎがある。このつるぎは|殺《ころ》すために|抜《ぬ》かれ、いなずまのようにひかりきらめくようにとがれている。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがあなたに|偽《いつわ》りの|幻《まぼろし》を|示《しめ》し、|偽《いつわ》りを|占《うらな》ったゆえ、これは|殺《ころ》さるべき|悪《あ》しき|者《もの》の|首《くび》の|上《うえ》に|置《お》かれる。|彼《かれ》らの|終《おわ》りの|刑罰《けいばつ》の|時《とき》であるその|日《ひ》がきている。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]これをさやに|納《おさ》めよ、わたしはあなたの|造《つく》られた|所《ところ》、あなたの|生《うま》れた|地《ち》であなたをさばく。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|怒《いか》りをあなたに|注《そそ》ぎ、わたしの|憤《いきどお》りの|火《ひ》をあなたに|向《む》けて|燃《も》やし、|滅《ほろ》ぼすことに|巧《たく》みな|残忍《ざんにん》な|人《ひと》の|手《て》にあなたを|渡《わた》す。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|火《ひ》のための、たきぎとなり、あなたの|血《ち》は|国《くに》の|中《なか》に|流《なが》され、|覚《おぼ》えられることはない、|主《しゅ》なるわたしが|言《い》う」。 第二二章[#「第二二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたはさばくのか。|血《ち》を|流《なが》すこの|町《まち》をさばくのか。それならこの|町《まち》にそのもろもろの|憎《にく》むべき|事《こと》を|示《しめ》して、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|自分《じぶん》のうちに|血《ち》を|流《なが》して、その|刑罰《けいばつ》の|時《とき》をまねき、|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》ってその|身《み》を|汚《けが》す|町《まち》よ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|流《なが》した|血《ち》によって|罪《つみ》を|得《え》、その|造《つく》った|偶像《ぐうぞう》によって|汚《けが》れ、あなたの|日《ひ》を|近《ちか》づかせ、あなたの|年《ねん》の|定《さだ》めの|時《とき》はきた。それゆえわたしはあなたをもろもろの|国民《こくみん》のあざけりとなし、|万国《ばんこく》の|物笑《ものわら》いとする。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたに|近《ちか》い|者《もの》も、|遠《とお》い|者《もの》も、|汚《けが》れと、|混乱《こんらん》に|満《み》ちているあなたをあざける。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたのうちのイスラエルの|君《きみ》たちは、おのおのその|力《ちから》にしたがって、|血《ち》を|流《なが》そうとしている。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|父母《ふぼ》はあなたのうちで|卑《いや》しめられ、|寄留者《きりゅうしゃ》はあなたのうちで|虐待《ぎゃくたい》をうけ、みなしごと、やもめとはあなたのうちで|悩《なや》まされている。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしの|聖《せい》なるものを|卑《いや》しめ、わたしの|安息日《あんそくにち》を|汚《けが》した。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》をののしって|血《ち》を|流《なが》そうとする|者《もの》は、あなたのうちにおり、|人々《ひとびと》はあなたのうちで、|山《やま》の|上《うえ》で|食事《しょくじ》をし、あなたのうちで、みだらなおこないをし、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのうちで、|父《ちち》の|裸《はだか》を|現《あらわ》し、あなたのうちで、|汚《けが》れのうちにある|女《おんな》を|犯《おか》す。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またあなたのうちに、その|隣《となり》の|妻《つま》と|憎《にく》むべき|事《こと》を|行《おこな》う|者《もの》があり、|淫行《いんこう》をもって、その|嫁《よめ》を|汚《けが》す|者《もの》があり、|自分《じぶん》の|父《ちち》の|娘《むすめ》である|自分《じぶん》の|姉妹《しまい》を|犯《おか》す|者《もの》があり、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|血《ち》を|流《なが》そうとして、あなたのうちで、まいないを|取《と》る|者《もの》がある。あなたは|利息《りそく》と|高利《こうり》とを|取《と》り、しえたげによって、あなたの|隣《とな》り|人《びと》のものをかすめ、そしてわたしを|忘《わす》れてしまったと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|見《み》よ、あなたが|得《え》た|不正《ふせい》の|利《り》の|事《こと》、およびあなたのうちにある|流血《りゅうけつ》の|事《こと》に|対《たい》して、わたしは|手《て》を|打《う》ちならす。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたを|攻《せ》める|日《ひ》には、あなたの|勇気《ゆうき》は、これに|耐《た》え|得《え》ようか。またあなたの|手《て》は|強《つよ》くあり|得《え》ようか。|主《しゅ》なるわたしはこれを|宣言《せんげん》し、これをなす。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを、もろもろの|国民《こくみん》のうちに|散《ち》らし、|国々《くにぐに》の|間《あいだ》にまき、そしてあなたから|汚《けが》れを|除《のぞ》く。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたによって、もろもろの|国民《こくみん》の|前《まえ》に|汚《けが》される。そしてあなたはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|家《いえ》はわたしに|対《たい》して、かなかすとなった。|彼《かれ》らはすべて|炉《ろ》の|中《なか》の|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、すず、|鉄《てつ》、|鉛《なまり》のかなかすとなった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたは|皆《みな》かなかすとなったゆえ、|見《み》よ、わたしはあなたがたをエルサレムの|中《なか》に|集《あつ》める。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》、|鉛《なまり》、すずなどを|炉《ろ》の|中《なか》に|集《あつ》め、これに|火《ひ》を|吹《ふ》きかけて|溶《と》かすように、わたしは|怒《いか》りと|憤《いきどお》りとをもって、あなたがたを|集《あつ》め|入《い》れて|溶《と》かす。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、わたしはあなたがたを|集《あつ》め、わたしの|怒《いか》りの|火《ひ》を、あなたがたに|吹《ふ》きかける。あなたがたはその|中《なか》で|溶《と》ける。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》が|炉《ろ》の|中《なか》で|溶《と》けるように、あなたがたもその|中《なか》で|溶《と》ける。そしてあなたがたは|主《しゅ》なるわたしが、あなたがたの|上《うえ》に、わたしの|怒《いか》りを|注《そそ》いだことを|知《し》るようになる」。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、これに|言《い》え、あなたは|怒《いか》りの|日《ひ》に|清《きよ》められず、また|雨《あめ》の|降《ふ》らない|地《ち》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》の|君《きみ》たちは、|獲物《えもの》を|裂《さ》くほえるししのような|者《もの》で、|彼《かれ》らは|人々《ひとびと》を|滅《ほろ》ぼし、|宝《たから》と|尊《たっと》い|物《もの》とを|取《と》り、そのうちに、やもめの|数《かず》をふやす。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|祭司《さいし》たちはわが|律法《りっぽう》を|犯《おか》し、|聖《せい》なる|物《もの》を|汚《けが》した。|彼《かれ》らは|聖《せい》なる|物《もの》と|汚《けが》れた|物《もの》とを|区別《くべつ》せず、|清《きよ》くない|物《もの》と|清《きよ》い|物《もの》との|違《ちが》いを|教《おし》えず、わが|安息日《あんそくにち》を|無視《むし》し、こうしてわたしは|彼《かれ》らの|間《あいだ》に|汚《けが》されている。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》にいる|君《きみ》たちは、|獲物《えもの》を|裂《さ》くおおかみのようで、|血《ち》を|流《なが》し、|不正《ふせい》の|利《り》を|得《え》るために|人々《ひとびと》を|滅《ほろ》ぼす。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|預言者《よげんしゃ》たちは、|水《みず》しっくいでこれを|塗《ぬ》り、|偽《いつわ》りの|幻《まぼろし》を|見《み》、|彼《かれ》らに|偽《いつわ》りを|占《うらな》い、|主《しゅ》が|語《かた》らないのに『|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる』と|言《い》う。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|民《たみ》はしえたげを|行《おこな》い、|奪《うば》うことをなし、|乏《とぼ》しい|者《もの》と|貧《まず》しい|者《もの》とをかすめ、|不法《ふほう》に|他国《たこく》|人《じん》をしえたぐ。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|国《くに》のために|石《いし》がきを|築《きず》き、わたしの|前《まえ》にあって、|破《やぶ》れ|口《くち》に|立《た》ち、わたしにこれを|滅《ほろ》ぼさせないようにする|者《もの》を、|彼《かれ》らのうちに|尋《たず》ねたが|得《え》られなかった。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはわが|怒《いか》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|注《そそ》ぎ、わが|憤《いきどお》りの|火《ひ》をもって|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼし、|彼《かれ》らのおこないを、そのこうべに|報《むく》いたと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第二三章[#「第二三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、ここにふたりの|女《おんな》があった。ひとりの|母《はは》の|娘《むすめ》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトで|淫行《いんこう》をした。|彼《かれ》らは|若《わか》い|時《とき》に|淫行《いんこう》をした。すなわちその|所《ところ》で|彼《かれ》らの|胸《むね》は|押《お》され、その|処女《しょじょ》の|乳《ち》ぶさはいじられた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|名《な》は|姉《あね》はアホラ、|妹《いもうと》はアホリバである。|彼《かれ》らはわたしのものとなって、むすこ|娘《むすめ》たちを|産《う》んだ。その|本名《ほんみょう》はアホラはサマリヤ、アホリバはエルサレムである。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アホラはわたしのものである|間《あいだ》に|淫行《いんこう》をなし、その|恋人《こいびと》なるアッスリヤびとにこがれた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|紫《むらさき》の|衣《ころも》をきた|軍人《ぐんじん》、|長官《ちょうかん》、|司令《しれい》|官《かん》、すべて|好《この》ましい|若者《わかもの》、|馬《うま》に|乗《の》る|者《もの》たちである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》は|彼《かれ》らに|淫行《いんこう》を|供《そな》えた。|彼《かれ》らはすべてアッスリヤのえり|抜《ぬ》きの|人々《ひとびと》である。|彼女《かのじょ》はまた、そのこがれたすべての|者《もの》のもろもろの|偶像《ぐうぞう》をもって、おのれを|汚《けが》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はエジプトの|日《ひ》からおこなっていた、その|淫行《いんこう》を|捨《す》てなかった。それは|彼女《かのじょ》の|若《わか》い|時《とき》に、|彼《かれ》らが|彼女《かのじょ》と|寝《ね》、その|処女《しょじょ》の|乳《ち》ぶさをいじり、その|情欲《じょうよく》を|彼女《かのじょ》の|上《うえ》に|注《そそ》いだからである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|彼女《かのじょ》をその|恋人《こいびと》の|手《て》に|渡《わた》し、そのこがれたアッスリヤの|人々《ひとびと》の|手《て》に|渡《わた》した。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|彼女《かのじょ》の|裸《はだか》を|現《あらわ》し、そのむすこ|娘《むすめ》たちを|奪《うば》い、つるぎをもって|彼女《かのじょ》を|殺《ころ》した。こうして|彼女《かのじょ》に|対《たい》するさばきが|行《おこな》われたとき、|彼女《かのじょ》は|女《おんな》たちの|間《あいだ》の|語《かた》り|草《くさ》となった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|妹《いもうと》アホリバはこれを|見《み》て、|姉《あね》よりも|情欲《じょうよく》をほしいままにし、|姉《あね》の|淫行《いんこう》よりも|多《おお》く|淫行《いんこう》をなし、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|人々《ひとびと》に|恋《こい》こがれた。|長官《ちょうかん》、|司令《しれい》|官《かん》、|盛装《せいそう》した|軍人《ぐんじん》、|馬《うま》に|乗《の》る|者《もの》たちで、すべて|好《この》ましい|若者《わかもの》たちである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼女《かのじょ》が|身《み》を|汚《けが》したのを|見《み》た。|彼《かれ》らは|共《とも》に一つの|道《みち》をたどったが、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はさらにその|淫行《いんこう》を|続《つづ》け、|壁《かべ》に|描《えが》いた|人々《ひとびと》を|見《み》た。すなわち|朱《しゅ》で|描《えが》いたカルデヤびとの|像《ぞう》で、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|腰《こし》には|帯《おび》を|結《むす》び、|頭《あたま》にはたれさがったずきんをいただいていた。これらはみな|官吏《かんり》のような|姿《すがた》で、その|生《うま》れた|国《くに》カルデヤのバビロン|人《ひと》に|似《に》ていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はこれらを|見《み》て、これに|恋《こい》こがれ、|使者《ししゃ》をカルデヤの|彼《かれ》らのもとに|送《おく》った。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そこでバビロンの|人々《ひとびと》は|彼女《かのじょ》のもとに|来《き》て、|恋《こい》の|床《とこ》につき、|情欲《じょうよく》をもって|彼女《かのじょ》を|汚《けが》したが、|彼女《かのじょ》は|彼《かれ》らに|汚《けが》されるにおよんで、その|心《こころ》は|彼《かれ》らから|離《はな》れた。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》がその|淫行《いんこう》を|公然《こうぜん》と|続《つづ》け、その|裸《はだか》をさらしたので、わたしの|心《こころ》は|彼女《かのじょ》から|離《はな》れた。これはあたかもわたしの|心《こころ》が、|彼女《かのじょ》の|姉《あね》から|離《はな》れたと|同様《どうよう》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼女《かのじょ》はなおエジプトの|地《ち》で|姦淫《かんいん》をしたその|若《わか》き|日《ひ》を|覚《おぼ》えて、その|淫行《いんこう》を|続《つづ》け、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|情夫《じょうふ》たちに|恋《こい》こがれた。その|人《ひと》の|肉《にく》は、ろばの|肉《にく》のごとく、その|精《せい》は|馬《うま》の|精《せい》のようであった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]このようにあなたは、かのエジプトびとが、あなたの|胸《むね》に|手《て》をつけ、あなたの|若《わか》い|乳《ち》ぶさをおさえた|時《とき》の、|若《わか》い|時《とき》の|淫行《いんこう》を|慕《した》っている」。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、アホリバよ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、「|見《み》よ、わたしは、あなたの|心《こころ》がすでに|離《はな》れたあなたの|恋人《こいびと》らを|起《おこ》して、あなたを|攻《せ》めさせ、|彼《かれ》らに|四方《しほう》から|来《き》てあなたを|攻《せ》めさせる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]すなわちバビロンの|人々《ひとびと》およびカルデヤのすべての|人々《ひとびと》、ペコデ、ショア、コア、アッスリヤのすべての|人々《ひとびと》、|好《この》ましい|若者《わかもの》、|長官《ちょうかん》、|司令《しれい》|官《かん》、|官吏《かんり》、|軍人《ぐんじん》など、すべて|馬《うま》に|乗《の》る|者《もの》たちである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|戦車《せんしゃ》、|貨車《かしゃ》、および|多《おお》くの|民《たみ》を|率《ひき》いて、|北《きた》からあなたに|攻《せ》めて|来《く》る。|大盾《おおだて》、|小盾《こだて》、かぶとを|備《そな》えて、|四方《しほう》からあなたに|攻《せ》めかかる。わたしが|彼《かれ》らにさばきをゆだねるゆえ、|彼《かれ》らは、そのおきてに|従《したが》って、あなたをさばく。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたに|向《む》かってわたしの|憤《いきどお》りを|起《おこ》すゆえ、|彼《かれ》らは|怒《いか》りをもってあなたを|扱《あつか》い、あなたの|鼻《はな》と|耳《みみ》とを|切《き》り|落《おと》し、そして|残《のこ》りの|者《もの》はつるぎに|倒《たお》れる。|彼《かれ》らはあなたのむすこ|娘《むすめ》たちを|奪《うば》い、|生《い》き|残《のこ》った|者《もの》を|火《ひ》で|焼《や》く。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまたあなたの|衣服《いふく》をはぎ|取《と》り、あなたの|美《うつく》しい|飾《かざ》りを|取《と》り|去《さ》る。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわたしはあなたの|淫乱《いんらん》と、エジプトの|地《ち》から|持《も》って|来《き》た|淫行《いんこう》とを|取《と》り|除《のぞ》き、|重《かさ》ねてあなたの|目《め》を、エジプトびとに|向《む》けて|上《あ》げさせず、|彼《かれ》らの|事《こと》を|思《おも》わないようにする。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたの|憎《にく》む|者《もの》の|手《て》、あなたの|心《こころ》の|離《はな》れた|者《もの》の|手《て》にあなたを|渡《わた》す。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|憎《にく》しみをもってあなたを|扱《あつか》い、あなたの|所得《しょとく》をことごとく|取《と》り|去《さ》り、あなたを|赤《あか》はだかにし、あなたの|淫行《いんこう》の|裸《はだか》を|現《あらわ》す。あなたの|淫乱《いんらん》と|淫行《いんこう》とのゆえに、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、あなたが|異邦人《いほうじん》を|慕《した》って|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、|彼《かれ》らの|偶像《ぐうぞう》をもって|身《み》を|汚《けが》したゆえに、これらのことがあなたに|臨《のぞ》むのだ。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|姉《あね》の|道《みち》を|歩《あゆ》んだので、わたしも|彼女《かのじょ》の|杯《さかずき》をあなたにわたす。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] あなたは|姉《あね》の|深《ふか》い、|大《おお》きな|杯《さかずき》を|飲《の》み、 |笑《わら》い|物《もの》となり、あざけりとなる、 この|杯《さかずき》にはそれらが|多《おお》くこもっている。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|酔《よ》いと|憂《うれ》いとに|満《み》たされる。 |驚《おどろ》きと|滅《ほろ》びの|杯《さかずき》、 これがあなたの|姉《あね》サマリヤの|杯《さかずき》である。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれを|飲《の》みこれをかたむけ、 あなたの|髪《かみ》の|毛《け》をひきむしり、 あなたの|乳《ち》ぶさをかきさく。 [#ここで字下げ終わり] わたしがこれを|言《い》うと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたはわたしを|忘《わす》れ、わたしをあなたのうしろに|捨《す》て|去《さ》ったゆえ、あなたは|自分《じぶん》の|淫乱《いんらん》と|淫行《いんこう》との|罪《つみ》を|負《お》わねばならぬ」。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたはアホラとアホリバをさばくのか。それならば|彼《かれ》らにその|憎《にく》むべき|事《こと》を|告《つ》げよ。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、|血《ち》が|彼《かれ》らの|手《て》の|上《うえ》にある。|彼《かれ》らはその|偶像《ぐうぞう》と|姦淫《かんいん》を|行《おこな》い、またわたしに|産《う》んだ|子《こ》らを、|食物《しょくもつ》のために|彼《かれ》らにささげた。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]さらに|彼《かれ》らは、わたしに|対《たい》してこのようにした。すなわち、|彼《かれ》らは|同《おな》じ|日《ひ》にわたしの|聖所《せいじょ》を|汚《けが》し、わたしの|安息日《あんそくにち》を|犯《おか》した。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|子《こ》らを、|偶像《ぐうぞう》にささげるためにほふった|同《おな》じ|日《ひ》に、わたしの|聖所《せいじょ》にきて、これを|汚《けが》した。|見《み》よ、|彼《かれ》らがわたしの|家《いえ》の|中《なか》でしたことはこれである。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]さらに|彼《かれ》らは|使者《ししゃ》をやって、|遠《とお》くから|来《く》るように|人々《ひとびと》を|招《まね》いた。|見《み》よ、|彼《かれ》らはきた。あなたは、この|人々《ひとびと》のために|身《み》を|洗《あら》い、|目《め》を|描《えが》き、|飾《かざ》り|物《もの》を|身《み》につけ、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|尊《たっと》い|床《とこ》に|座《ざ》し、|食卓《しょくたく》をその|前《まえ》に|設《もう》け、わたしの|香《こう》と、わたしの|油《あぶら》とを、その|上《うえ》に|供《そな》えた。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]こうして、のんきな|群衆《ぐんしゅう》の|声《こえ》は|彼女《かのじょ》と|共《とも》にあり、また、|荒野《あらの》から|連《つ》れて|来《き》た|通《とお》りがかりの|酔《よ》いどれも、|彼《かれ》らと|共《とも》にいた。|彼《かれ》らは|女《おんな》たちの|手《て》に|腕輪《うでわ》をはめさせ、|頭《あたま》に|美《うつく》しい|冠《かんむり》をいただかせた。  [#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|言《い》った、|彼女《かのじょ》と|姦淫《かんいん》を|行《おこな》う|時《とき》、|人々《ひとびと》は|姦淫《かんいん》を|犯《おか》さないであろうか。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》が|遊女《ゆうじょ》の|所《ところ》にはいるように、|彼《かれ》らは|彼女《かのじょ》の|所《ところ》にはいった。こうして|彼《かれ》らは|姦淫《かんいん》を|行《おこな》うために、アホラおよびアホリバの|所《ところ》にはいった。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]しかし|正《ただ》しい|人々《ひとびと》は|淫婦《いんぷ》のさばきと、|血《ち》を|流《なが》した|女《おんな》のさばきとをもって、|彼《かれ》らをさばく。それは|彼《かれ》らが|淫婦《いんぷ》であって、その|手《て》に|血《ち》があるからである」。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、「わたしは|軍隊《ぐんたい》を|彼《かれ》らに|向《む》かって|攻《せ》め|上《のぼ》らせ、|彼《かれ》らを|恐《おそ》れと|略奪《りゃくだつ》とに|渡《わた》す。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]|軍隊《ぐんたい》は|彼《かれ》らを|石《いし》で|打《う》ち、つるぎで|切《き》り、そのむすこ|娘《むすめ》たちを|殺《ころ》し、|火《ひ》でその|家《いえ》を|焼《や》く。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわたしはこの|地《ち》に|淫乱《いんらん》を|絶《た》やす。すべての|女《おんな》はみずからいましめて、あなたがたがしたような|淫乱《いんらん》を|行《おこな》わない。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|淫乱《いんらん》の|報《むく》いは、あなたがたの|上《うえ》にくだり、あなたがたはその|偶像《ぐうぞう》|礼拝《れいはい》の|罪《つみ》を|負《お》い、そしてわたしが|主《しゅ》なる|神《かみ》であることを|知《し》るようになる」。 第二四章[#「第二四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》九|年《ねん》の十|月《がつ》十|日《か》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたはこの|日《ひ》すなわち|今日《こんにち》の|名《な》を|書《か》きしるせ。バビロンの|王《おう》は、この|日《ひ》エルサレムを|包囲《ほうい》した。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこの|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》にたとえを|語《かた》って|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] かますをすえ、これをすえて、|水《みず》をくみ|入《い》れよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》に|肉《にく》の|切《き》れを|入《い》れよ、 すべて|良《よ》い|肉《にく》の|切《き》れ、 すなわち、ももと|肩《かた》の|肉《にく》をこれに|入《い》れよ。 |良《よ》い|骨《ほね》をこれに|満《み》たせ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|羊《ひつじ》の|最《もっと》も|良《よ》いものを|取《と》れ。 かまの|下《した》にまきを|積《つ》み、 その|肉《にく》を|煮《に》たぎらせ、またその|中《なか》の|骨《ほね》を|煮《に》よ。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わざわいなるかな、|流血《りゅうけつ》の|町《まち》、さびているかま。そのさびはこれを|離《はな》れない。|肉《にく》をひとつびとつ|無差別《むさべつ》に|取《と》り|出《だ》せ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|流《なが》した|血《ち》はまだその|中《なか》にある。|彼女《かのじょ》はこれを|裸《はだか》|岩《いわ》の|上《うえ》に|流《なが》し、|土《つち》でこれをおおうために、|地面《じめん》には|注《そそ》がなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これは、わたしの|怒《いか》りをつのらせ、あだを|返《かえ》すために、その|流《なが》した|血《ち》がおおわれないように、|裸《はだか》|岩《いわ》の|上《うえ》に|流《なが》したのである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わざわいなるかな、|流血《りゅうけつ》の|町《まち》。わたしもまた、まきをさらに|積《つ》み|重《かさ》ねる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]まきを|積《つ》み|重《かさ》ね、|火《ひ》を|燃《も》やし、|肉《にく》をよく|煮《に》て、|煮《に》つくし、|骨《ほね》を|焼《や》け。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてかまを|熱《あつ》くするため、それをからにして|炭火《すみび》の|上《うえ》に|置《お》き、その|銅《どう》を|焼《や》いて、|汚《けが》れをその|中《なか》に|溶《と》かし、そのさびを|去《さ》れ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしのほねおりは、むだであった。その|多《おお》くのさびは|火《ひ》によって|消《き》えない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そのさびとは、あなたの|不潔《ふけつ》な|淫行《いんこう》である。わたしはあなたを|清《きよ》めようとしたが、あなたはあなたの|不潔《ふけつ》から|清《きよ》められようとしないから、わたしの|怒《いか》りをあなたに|漏《も》らし|尽《つく》すまでは、あなたは|汚《けが》れから|清《きよ》まることはない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なるわたしはこれを|言《い》った。そしてこれは|必《かなら》ず|成《な》る。わたしはこれをなす。わたしはやめない、|惜《お》しまない、|悔《く》いない。あなたのおこないにより、あなたのわざによって、あなたをさばくと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|見《み》よ、わたしは、にわかにあなたの|目《め》の|喜《よろこ》ぶ|者《もの》を|取《と》り|去《さ》る。|嘆《なげ》いてはならない。|泣《な》いてはならない。|涙《なみだ》を|流《なが》してはならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|声《こえ》をたてずに|嘆《なげ》け。|死人《しにん》のために|嘆《なげ》き|悲《かな》しむな。ずきんをかぶり、|足《あし》にくつをはけ。|口《くち》をおおうな。|嘆《なげ》きのパンを|食《た》べるな」。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|朝《あさ》のうちに、わたしは|人々《ひとびと》に|語《かた》ったが、|夕《ゆう》べには、わたしの|妻《つま》は|死《し》んだ。|翌朝《よくあさ》わたしは|命《めい》じられたようにした。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はわたしに|言《い》った、「あなたがするこの|事《こと》は、われわれになんの|関係《かんけい》があるのか、それをわれわれに|告《つ》げてはくれまいか」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|言《い》った、「|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]『イスラエルの|家《いえ》に|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたがたの|力《ちから》の|誇《ほこり》、|目《め》の|喜《よろこ》び、|心《こころ》の|望《のぞ》みであるわが|聖所《せいじょ》を|汚《けが》す。あなたがたが|残《のこ》すむすこ|娘《むすめ》たちは、つるぎに|倒《たお》れる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたもわたしがしたようにし、|口《くち》をおおわず、|嘆《なげ》きのパンを|食《た》べず、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|頭《あたま》にずきんをかぶり、|足《あし》にくつをはき、|嘆《なげ》かず、|泣《な》かず、その|罪《つみ》の|中《なか》にやせ|衰《おとろ》えて、|互《たがい》にうめくようになる。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]このようにエゼキエルはあなたがたのためにしるしとなる。|彼《かれ》がしたようにあなたがたもせよ。この|事《こと》が|成《な》る|時《とき》、あなたがたはわたしが|主《しゅ》なる|神《かみ》であることを|知《し》るようになる』。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしが、|彼《かれ》らのとりで、|彼《かれ》らの|喜《よろこ》びと|栄《さか》え、|彼《かれ》らの|目《め》の|喜《よろこ》びであり、その|心《こころ》の|望《のぞ》みであるもの、また|彼《かれ》らのむすこ|娘《むすめ》たちを|取《と》り|去《さ》る|日《ひ》、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》に|難《なん》をのがれて|来《く》る|者《もの》が、あなたのもとにきて、あなたに|事《こと》を|告《つ》げる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》あなたは、そののがれてきた|者《もの》に|向《む》かって|口《くち》を|開《ひら》き、|語《かた》り、もはや|沈黙《ちんもく》しない。こうしてあなたは|彼《かれ》らのためにしるしとなり、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る」。 第二五章[#「第二五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|顔《かお》をアンモンの|人々《ひとびと》に|向《む》け、これに|向《む》かって|預言《よげん》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アンモンの|人々《ひとびと》に|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたはわが|聖所《せいじょ》の|汚《けが》された|時《とき》、またイスラエルの|地《ち》の|荒《あら》された|時《とき》、またユダの|家《いえ》が|捕《とら》え|移《うつ》された|時《とき》、ああ、それはよい|気味《きみ》であると|言《い》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはあなたを、|東《ひがし》の|人々《ひとびと》に|渡《わた》して|彼《かれ》らの|所有《しょゆう》とする。|彼《かれ》らはあなたのうちに|陣営《じんえい》を|設《もう》け、あなたのうちに|住居《じゅうきょ》を|造《つく》り、あなたのくだものを|食《た》べ、あなたの|乳《ちち》を|飲《の》む。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはラバを、らくだを|飼《か》う|所《ところ》とし、アンモンびとの|町々《まちまち》を、|羊《ひつじ》の|伏《ふ》す|所《ところ》とする。そしてあなたがたは、わたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたはイスラエルの|地《ち》に|向《む》かって|手《て》をうち、|足《あし》を|踏《ふ》み、|心《こころ》に|悪意《あくい》を|満《み》たして|喜《よろこ》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|見《み》よ、わたしはわが|手《て》をあなたに|向《む》けて|伸《の》べ、あなたを、もろもろの|国民《こくみん》に|渡《わた》して|略奪《りゃくだつ》にあわせ、あなたを、もろもろの|民《たみ》の|中《なか》から|断《た》ち、|諸国《しょこく》の|中《なか》から|滅《ほろ》ぼし|絶《た》やす。そしてあなたは、わたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はわたしにこう|言《い》われる、モアブは|言《い》った、|見《み》よ、ユダの|家《いえ》は、|他《た》のすべての|国民《こくみん》と|同様《どうよう》であると。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはモアブの|境界《きょうかい》の|町々《まちまち》、すなわち|国《くに》の|栄《さか》えであるベテエシモテ、バアルメオン、キリアタイムの|横腹《よこばら》を|開《ひら》き、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これをアンモンの|人々《ひとびと》と|共《とも》に、|東方《とうほう》の|人々《ひとびと》に|与《あた》えて、その|所有《しょゆう》とし、モアブの|人々《ひとびと》をもろもろの|国民《こくみん》の|中《なか》に|記憶《きおく》させない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはモアブの|上《うえ》にさばきを|行《おこな》う。そのとき、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、エドムは|恨《うら》みをふくんでユダの|家《いえ》に|敵対《てきたい》し、これに|恨《うら》みを|返《かえ》して、はなはだしく|罪《つみ》を|犯《おか》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしはエドムの|上《うえ》に|手《て》を|伸《の》べて、その|中《なか》から|人《ひと》と|獣《けもの》とを|断《た》ち、これを|荒《あ》れ|地《ち》とする。テマンからデダンまで|人々《ひとびと》はつるぎに|倒《たお》れる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|民《たみ》イスラエルの|手《て》をもって、エドムにわがあだを|報《むく》いる。|彼《かれ》らがわが|怒《いか》り、わが|憤《いきどお》りに|従《したが》ってエドムに|行《おこな》う|時《とき》、エドムの|人々《ひとびと》は、わたしがあだを|返《かえ》すことを|知《し》るようになると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、ペリシテびとは|恨《うら》みをふくんで|行動《こうどう》し、|心《こころ》に|悪意《あくい》をもってあだを|返《かえ》し、|深《ふか》い|敵意《てきい》をもって、|滅《ほろ》ぼすことをした。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|手《て》をペリシテびとの|上《うえ》に|伸《の》べ、ケレテびとを|断《た》ち、|海《うみ》べの|残《のこ》りの|者《もの》を|滅《ほろ》ぼす。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|怒《いか》りに|満《み》ちた|懲罰《ちょうばつ》をもって、|大《おお》いなる|復讐《ふくしゅう》を|彼《かれ》らになす。わたしが|彼《かれ》らにあだを|返《かえ》す|時《とき》、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる」。 第二六章[#「第二六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十一|年《ねん》の|第《だい》一|日《にち》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、ツロはエルサレムについて|言《い》った、『ああ、それはよい|気味《きみ》である。もろもろの|民《たみ》の|門《もん》は|破《やぶ》れて、わたしに|開《ひら》かれた。わたしは|豊《ゆた》かになり、|彼《かれ》は|破《やぶ》れはてた』と。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、ツロよ、わたしはあなたを|攻《せ》め、|海《うみ》がその|波《なみ》を|起《おこ》すように、わたしは|多《おお》くの|国民《こくみん》を、あなたに|攻《せ》めこさせる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはツロの|城壁《じょうへき》をこわし、そのやぐらを|倒《たお》す。わたしはその|土《つち》を|払《はら》い|去《さ》って、|裸《はだか》の|岩《いわ》にする。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ツロは|海《うみ》の|中《なか》にあって、|網《あみ》をはる|場所《ばしょ》になる。これはわたしが|言《い》ったのであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。ツロは、もろもろの|民《たみ》にかすめられ、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|本土《ほんど》におる|娘《むすめ》たちは、つるぎで|殺《ころ》される。そして|彼《かれ》らは、わたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|王《おう》の|王《おう》なるバビロンの|王《おう》ネブカデレザルに、|馬《うま》、|戦車《せんしゃ》、|騎兵《きへい》、および|多《おお》くの|軍勢《ぐんぜい》をひきいて、|北《きた》からツロに|攻《せ》めこさせる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|本土《ほんど》におるあなたの|娘《むすめ》たちを、つるぎで|殺《ころ》し、あなたに|向《む》かって|雲悌《うんてい》を|建《た》て、|塁《るい》を|築《きず》き、|盾《たて》を|備《そな》え、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|城《しろ》くずしをあなたの|城壁《じょうへき》に|向《む》け、おのであなたのやぐらを|打《う》ち|砕《くだ》く。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|多《おお》くの|馬《うま》の|土煙《つちけむり》は、あなたをおおう。|人《ひと》が|破《やぶ》れた|町《まち》にはいるように、|彼《かれ》があなたの|門《もん》にはいる|時《とき》、|騎兵《きへい》と|貨車《かしゃ》と|戦車《せんしゃ》の|響《ひび》きによって、あなたの|石《いし》がきはゆるぐ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|馬《うま》のひずめで、あなたのすべてのちまたを|踏《ふ》みあらし、つるぎであなたの|民《たみ》を|殺《ころ》す。あなたの|力強《ちからづよ》い|柱《はしら》は|地《ち》に|倒《たお》れる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはあなたの|財宝《ざいほう》を|奪《うば》い、|商品《しょうひん》をかすめ、|城壁《じょうへき》をくずし、|楽《たの》しい|家《いえ》をこわし、|石《いし》と|木《き》と|土《つち》とを|水《みず》の|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》む。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|歌《うた》の|声《こえ》をとどめる。|琴《こと》の|音《ね》はもはや|聞《きこ》えなくなる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|裸《はだか》の|岩《いわ》にする。あなたは|網《あみ》を|張《は》る|場所《ばしょ》となり、|再《ふたた》び|建《た》てられることはない。|主《しゅ》なるわたしがこれを|言《い》ったと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はツロにこう|言《い》われる、|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》はあなたの|倒《たお》れる|響《ひび》き、|手負《てお》いのうめき、あなたのうちの|殺人《さつじん》のゆえに、|身震《みぶる》いしないであろうか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|海《うみ》の|君《きみ》たちは|皆《みな》その|位《くらい》からおり、|朝《あさ》|服《ふく》を|脱《ぬ》ぎ、|縫《ぬ》い|取《と》りの|衣服《いふく》を|取《と》り|去《さ》り、|恐《おそ》れを|身《み》にまとい、|地《ち》に|座《ざ》して、いたく|恐《おそ》れ、あなたの|事《こと》を|驚《おどろ》き、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたのために|悲《かな》しみの|歌《うた》をのべて|言《い》う、 [#ここから2字下げ] 『あなたは|海《うみ》にあって、|強《つよ》い|誉《ほまれ》ある|町《まち》、 |本土《ほんど》に|恐《おそ》れを|与《あた》えていたあなたも、その|住民《じゅうみん》も、 |海《うみ》から|消《き》え|去《さ》った。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|島々《しまじま》はあなたの|倒《たお》れる|日《ひ》に|身震《みぶる》いする。 |海《うみ》の|島々《しまじま》はあなたの|去《さ》り|行《い》くことを|見《み》て|驚《おどろ》く』。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしはあなたを、|荒《あ》れた|町《まち》となし、|住《す》む|者《もの》のない|町《まち》のようにし、|淵《ふち》をあなたに|向《む》かってわきあがらせ、|大水《おおみず》にあなたをおおわせる|時《とき》、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》どもと|共《とも》に、|昔《むかし》の|民《たみ》の|所《ところ》に|下《くだ》し、|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》と|共《とも》に|下《した》の|国《くに》に、|昔《むかし》のままの|荒《あ》れ|跡《あと》の|中《なか》に、あなたを|住《す》ませる。それゆえ、あなたは|人《ひと》の|住《す》む|所《ところ》とならず、また|生《なま》ある|者《もの》の|地《ち》に|所《ところ》を|得《え》ない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|終《おわ》りを、|恐《おそ》るべきものとする。あなたは|無《む》に|帰《き》する。あなたを|尋《たず》ねる|人《ひと》があっても、|永久《えいきゅう》に|見《み》いださないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第二七章[#「第二七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、ツロのために|悲《かな》しみの|歌《うた》をのべ、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|入口《いりぐち》に|住《す》んで、|多《おお》くの|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|商人《しょうにん》であるツロに|対《たい》して|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] ツロよ、あなたは|言《い》った、 『わたしの|美《び》は|完全《かんぜん》である』と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|境《さかい》は|海《うみ》の|中《なか》にあり、 あなたの|建設《けんせつ》|者《しゃ》はあなたの|美《び》を|完全《かんぜん》にした。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》はセニルのもみの|木《き》で あなたのために|船板《ふないた》を|造《つく》り、 レバノンから|香柏《こうはく》をとって、 あなたのために|帆柱《ほばしら》を|造《つく》り、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]バシャンのかしの|木《き》で、 あなたのためにかいを|造《つく》り、 クプロの|島《しま》から|来《く》る|松《まつ》の|木《き》に|象牙《ぞうげ》をはめて、 あなたのために|甲板《かんぱん》を|造《つく》った。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|帆《ほ》はエジプトから|来《く》るあや|布《ぬの》であって、 あなたの|旗《はた》に|用《もち》いられ、 あなたのおおいはエリシャの|海岸《かいがん》から|来《く》る |青《あお》と|紫《むらさき》の|布《ぬの》である。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたのこぎ|手《て》は、 シドンとアルワデの|住民《じゅうみん》、 あなたのかじとりは、 あなたのうちにいる|熟練《じゅくれん》なゼメルの|人々《ひとびと》である。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ゲバルの|老人《ろうじん》たち、およびその|熟練《じゅくれん》な|人々《ひとびと》は、 あなたのうちにいて|漏《も》りを|繕《つくろ》い、 |海《うみ》のすべての|船《ふね》およびその|船員《せんいん》らは あなたのうちにいて、あなたの|商品《しょうひん》を|交易《こうえき》する。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ペルシャ|人《ひと》、ルデびと、プテびとはあなたの|軍《ぐん》に|加《くわ》わって、あなたの|戦士《せんし》となる。|彼《かれ》らはあなたのうちに、|盾《たて》とかぶとを|掛《か》け、あなたに|輝《かがや》きをそえた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アルワデとヘレクの|人々《ひとびと》は、あなたの|周囲《しゅうい》の|城壁《じょうへき》の|上《うえ》にあり、ガマデの|人々《ひとびと》は、あなたのやぐらの|中《なか》にあり、|彼《かれ》らは、あなたの|周囲《しゅうい》の|城壁《じょうへき》にその|盾《たて》を|掛《か》けて、あなたの|美観《びかん》を|全《まっと》うした。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそのすべての|貨物《かもつ》に|富《と》むゆえに、タルシシはあなたと|交易《こうえき》をなし、|銀《ぎん》、|鉄《てつ》、すず、|鉛《なまり》をあなたの|商品《しょうひん》と|交換《こうかん》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ヤワン、トバル、およびメセクはあなたと|取引《とりひき》し、|彼《かれ》らは|人身《じんしん》と|青銅《せいどう》の|器《うつわ》とを、あなたの|商品《しょうひん》と|交換《こうかん》した。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ベテ・トガルマは|馬《うま》、|軍馬《ぐんば》、および|騾馬《らば》をあなたの|商品《しょうひん》と|交換《こうかん》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ローヅ|島《とう》の|人々《ひとびと》はあなたと|取引《とりひき》し、|多《おお》くの|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》は、あなたの|市場《しじょう》となり、|象牙《ぞうげ》と|黒《くろ》たんとを、みつぎとしてあなたに|持《も》ってきた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|製品《せいひん》が|多《おお》いので、エドムはあなたと|商売《しょうばい》し、|彼《かれ》らは|赤玉《あかだま》、|紫《むらさき》、|縫《ぬ》い|取《と》りの|布《ぬの》、|細《ほそ》|布《ぬの》、さんご、めのうをもって、あなたの|商品《しょうひん》と|交換《こうかん》した。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ユダとイスラエルの|地《ち》は、あなたと|取引《とりひき》し、|麦《むぎ》、オリブ、いちじく、|蜜《みつ》、|油《あぶら》、および|乳香《にゅうこう》をもって、あなたの|商品《しょうひん》と|交換《こうかん》した。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|製品《せいひん》が|多《おお》く、あなたの|富《とみ》が|多《おお》いので、ダマスコはあなたと|取引《とりひき》し、ヘルボンの|酒《さけ》と、さらした|羊毛《ようもう》と、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ウザルの|酒《さけ》をもって、あなたの|商品《しょうひん》と|交換《こうかん》し、|銑鉄《せんてつ》、|肉桂《にっけい》、|菖蒲《しょうぶ》をもって、あなたの|商品《しょうひん》と|交易《こうえき》した。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]デダンは|乗物《のりもの》の|鞍《くら》|敷《しき》をもって、あなたと|取引《とりひき》した。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]アラビヤびと、およびケダルのすべての|君《きみ》たちは|小羊《こひつじ》、|雄羊《おひつじ》、やぎをもって、あなたと|取引《とりひき》し、これらの|物《もの》をあなたと|交易《こうえき》した。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]シバとラアマの|商人《しょうにん》は、あなたと|取引《とりひき》し、もろもろの|尊《たっと》い|香料《こうりょう》と、もろもろの|宝石《ほうせき》と|金《きん》とをもって、あなたの|商品《しょうひん》と|交換《こうかん》した。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ハラン、カンネ、エデン、アッスリヤ、キルマデはあなたと|取引《とりひき》した。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、はなやかな|衣服《いふく》と、|青《あお》く|縫《ぬ》い|取《と》りした|布《ぬの》と、ひもで|結《むす》んで、じょうぶにした|敷物《しきもの》などをもって、あなたと|取引《とりひき》した。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]タルシシの|船《ふね》はあなたの|商品《しょうひん》を|運《はこ》んでまわった。 [#ここから2字下げ] あなたは|海《うみ》の|中《なか》にいて|満《み》ち|足《た》り、いたく|栄《さか》えた。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたのこぎ|手《て》らはあなたを|大海《たいかい》の|中《なか》に|進《すす》め、 |海《うみ》の|中《なか》で|東風《ひがしかぜ》があなたの|船《ふね》を|破《やぶ》った。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|財宝《ざいほう》、あなたの|貨物《かもつ》、あなたの|商品《しょうひん》、 あなたの|船員《せんいん》、あなたのかじ|取《と》り、 あなたの|漏《も》りを|繕《つくろ》う|者《もの》、あなたの|商品《しょうひん》を|商《あきな》う|者《もの》、 あなたの|中《なか》にいるすべての|軍人《ぐんじん》、 あなたの|中《なか》にいるすべての|仲間《なかま》は|皆《みな》、 あなたの|破滅《はめつ》の|日《ひ》に|海《うみ》の|中《なか》に|沈《しず》む。 [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたのかじ|取《と》りの|叫《さけ》び|声《ごえ》に、|近郷《きんごう》は|震《ふる》い、 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]すべてかいをとる|者《もの》は|船《ふね》からくだる。 |船員《せんいん》および|海《うみ》のすべてのかじ|取《と》りは|海《うみ》べに|立《た》ち、 [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたのために|声《こえ》をあげて|泣《な》き、はげしく|叫《さけ》び、 ちりをこうべにかぶり、|灰《はい》の|中《なか》にまろび、 [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたのために|髪《かみ》をそり、|荒布《あらぬの》をまとい、 あなたのために|心《こころ》を|痛《いた》めて|泣《な》き、はげしく|嘆《なげ》く。 [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|悲《かな》しんで、あなたのために|悲《かな》しみの|歌《うた》をのべ、 あなたを|弔《とむら》って|言《い》う、 『だれかツロのように|海《うみ》の|中《なか》で|滅《ほろ》びたものがあるか。 [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|商品《しょうひん》が|海《うみ》を|越《こ》えてきた|時《とき》、 あなたは|多《おお》くの|民《たみ》を|飽《あ》かせ、 あなたの|多《おお》くの|財宝《ざいほう》と|商品《しょうひん》とをもって、 |地《ち》の|王《おう》たちを|富《と》ませた。 [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたは|海《うみ》で|破船《はせん》し、|深《ふか》い|水《みず》に|沈《しず》み、 あなたの|商品《しょうひん》と、あなたのすべての|船員《せんいん》とは、 あなたと|共《とも》に|沈《しず》んだ。 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》に|住《す》む|者《もの》は|皆《みな》あなたについて|驚《おどろ》き、 その|王《おう》たちは|大《おお》いに|恐《おそ》れてその|顔《かお》を|震《ふる》わす。 [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》の|中《なか》の|商人《しょうにん》らはあなたをあざける。 あなたは|恐《おそ》るべき|終《おわ》りを|遂《と》げ、 |永遠《えいえん》にうせはてる』」。 [#ここで字下げ終わり] 第二八章[#「第二八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、ツロの|君《きみ》に|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] あなたは|心《こころ》に|高《たか》ぶって|言《い》う、 『わたしは|神《かみ》である、|神々《かみがみ》の|座《ざ》にすわって、|海《うみ》の|中《なか》にいる』と。 しかし、あなたは|自分《じぶん》を|神《かみ》のように|賢《かしこ》いと|思《おも》っても、 |人《ひと》であって、|神《かみ》ではない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたはダニエルよりも|賢《かしこ》く、 すべての|秘密《ひみつ》もあなたには|隠《かく》れていない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|知恵《ちえ》と|悟《さと》りとによって|富《とみ》を|得《え》、 |金銀《きんぎん》を|倉《くら》にたくわえた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|大《おお》いなる|貿易《ぼうえき》の|知恵《ちえ》によって あなたの|富《とみ》を|増《ま》し、 その|富《とみ》によってあなたの|心《こころ》は|高《たか》ぶった。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 あなたは|自分《じぶん》を|神《かみ》のように|賢《かしこ》いと|思《おも》っているゆえ、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは、もろもろの|国民《こくみん》の|最《もっと》も|恐《おそ》れている |異邦人《いほうじん》をあなたに|攻《せ》めこさせる。 |彼《かれ》らはつるぎを|抜《ぬ》いて、 あなたが|知恵《ちえ》をもって|得《え》た|麗《うるわ》しいものに|向《む》かい、 あなたの|輝《かがや》きを|汚《けが》し、 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れる。 あなたは|海《うみ》の|中《なか》で|殺《ころ》された|者《もの》のような|死《し》を|遂《と》げる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それでもなおあなたは、『|自分《じぶん》は|神《かみ》である』と、 あなたを|殺《ころ》す|人々《ひとびと》の|前《まえ》で|言《い》うことができるか。 あなたは|自分《じぶん》を|傷《きず》つける|者《もの》の|手《て》にかかっては、 |人《ひと》であって、|神《かみ》ではないではないか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|異邦人《いほうじん》の|手《て》によって |割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》の|死《し》を|遂《と》げる。 これはわたしが|言《い》うのであると、 |主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、ツロの|王《おう》のために|悲《かな》しみの|歌《うた》をのべて、これに|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] あなたは|知恵《ちえ》に|満《み》ち、 |美《び》のきわみである|完全《かんぜん》な|印《しるし》である。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|神《かみ》の|園《その》エデンにあって、 もろもろの|宝石《ほうせき》が、あなたをおおっていた。 すなわち|赤《あか》めのう、|黄玉《おうぎょく》、|青玉《せいぎょく》、|貴《き》かんらん|石《せき》、 |緑柱石《りょくちゅうせき》、|縞《しま》めのう、 サファイヤ、ざくろ|石《いし》、エメラルド。 そしてあなたの|象眼《ぞうがん》も|彫刻《ちょうこく》も|金《きん》でなされた。 これらはあなたの|造《つく》られた|日《ひ》に、 あなたのために|備《そな》えられた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|油《あぶら》そそがれた |守護《しゅご》のケルブと|一緒《いっしょ》に|置《お》いた。 あなたは|神《かみ》の|聖《せい》なる|山《やま》にいて、 |火《ひ》の|石《いし》の|間《あいだ》を|歩《ある》いた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|造《つく》られた|日《ひ》から、 あなたの|中《なか》に|悪《あく》が|見《み》いだされた|日《ひ》までは そのおこないが|完全《かんぜん》であった。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|商売《しょうばい》が|盛《さか》んになると、 あなたの|中《なか》に|暴虐《ぼうぎゃく》が|満《み》ちて、あなたは|罪《つみ》を|犯《おか》した。 それゆえ、わたしはあなたを|神《かみ》の|山《やま》から |汚《けが》れたものとして|投《な》げ|出《だ》し、 |守護《しゅご》のケルブはあなたを |火《ひ》の|石《いし》の|間《あいだ》から|追《お》い|出《だ》した。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|美《うつく》しさのために|心《こころ》|高《たか》ぶり、 その|輝《かがや》きのために|自分《じぶん》の|知恵《ちえ》を|汚《けが》したゆえに、 わたしはあなたを|地《ち》に|投《な》げうち、 |王《おう》たちの|前《まえ》に|置《お》いて|見《み》せ|物《もの》とした。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|不正《ふせい》な|交易《こうえき》をして|犯《おか》した|多《おお》くの|罪《つみ》によって あなたの|聖所《せいじょ》を|汚《けが》したゆえ、 わたしはあなたの|中《なか》から|火《ひ》を|出《だ》して あなたを|焼《や》き、 あなたを|見《み》るすべての|者《もの》の|前《まえ》で あなたを|地《ち》の|上《うえ》の|灰《はい》とした。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|民《たみ》のうちであなたを|知《し》る|者《もの》は|皆《みな》 あなたについて|驚《おどろ》く。 あなたは|恐《おそ》るべき|終《おわ》りを|遂《と》げ、 |永遠《えいえん》にうせはてる」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|顔《かお》をシドンに|向《む》け、これに|向《む》かって|預言《よげん》して、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] シドンよ、|見《み》よ、わたしはあなたの|敵《てき》となる、 わたしはあなたのうちで|栄《さか》えをあらわす。 わたしがシドンのうちにさばきをおこない、 そのうちにわたしの|聖《せい》なることをあらわす|時《とき》、 |彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|疫病《えきびょう》をこれに|送《おく》り、 そのちまたに|流血《りゅうけつ》を|送《おく》る。 その|四方《しほう》からこれに|臨《のぞ》むつるぎによって |殺《ころ》される|者《もの》がその|中《なか》に|倒《たお》れる|時《とき》、 |彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》には、もはや|刺《さ》すいばらはなく、これを|卑《いや》しめたその|周囲《しゅうい》の|人々《ひとびと》のうちには、|苦《くる》しめるとげもなくなる。こうして|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》るようになる。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしがイスラエルの|家《いえ》の|者《もの》を、その|散《ち》らされたもろもろの|民《たみ》の|中《なか》から|集《あつ》め、もろもろの|国民《こくみん》の|目《め》の|前《まえ》で、|彼《かれ》らにわたしの|聖《せい》なることをあらわす|時《とき》、|彼《かれ》らはわたしが、わがしもべヤコブに|与《あた》えた|地《ち》に|住《す》むようになる。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそこに|安《やす》らかに|住《す》み、|家《いえ》を|建《た》て、またぶどう|畑《はたけ》を|作《つく》る。かつて|彼《かれ》らを|卑《いや》しめたすべての|隣《とな》り|人《びと》たちに|対《たい》して、わたしがさばきを|行《おこな》う|時《とき》、|彼《かれ》らは|安《やす》らかに|住《す》む。こうして|彼《かれ》らは、わたしが|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》であることを|知《し》る」。 第二九章[#「第二九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十|年《ねん》の十|月《がつ》十二|日《にち》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|顔《かお》をエジプトの|王《おう》パロに|向《む》け、|彼《かれ》とエジプト|全国《ぜんこく》に|対《たい》して|預言《よげん》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|語《かた》って|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] エジプトの|王《おう》パロよ、 |見《み》よ、わたしはあなたの|敵《てき》となる。 あなたはその|川《かわ》の|中《なか》に|伏《ふ》す|大《おお》いなる|龍《りゅう》で、 『ナイル|川《がわ》はわたしのもの、 わたしがこれを|造《つく》った』と|言《い》う。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、かぎをあなたのあごにかけ、 あなたの|川《かわ》の|魚《うお》を、あなたのうろこにつかせ、 あなたと、あなたのうろこについている もろもろの|魚《うお》を、あなたの|川《かわ》から|引《ひ》きあげ、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたとあなたの|川《かわ》のもろもろの|魚《うお》を、 |荒野《あらの》に|投《な》げ|捨《す》てる。 あなたは|野《の》の|面《おもて》に|倒《たお》れ、 あなたを|取《と》り|集《あつ》める|者《もの》も、|葬《ほうむ》る|者《もの》もない。 わたしはあなたを |地《ち》の|獣《けもの》と|空《そら》の|鳥《とり》のえじきとして|与《あた》える。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そしてエジプトのすべての|住民《じゅうみん》はわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。あなたはイスラエルの|家《いえ》に|対《たい》して|葦《あし》のつえであった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがあなたを|手《て》にとる|時《とき》、あなたは|折《お》れ、|彼《かれ》らの|肩《かた》はことごとく|裂《さ》ける。|彼《かれ》らがまたあなたに|寄《よ》りかかる|時《とき》、あなたは|破《やぶ》れ、|彼《かれ》らの|腰《こし》をことごとく|震《ふる》えさせる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはつるぎをあなたに|持《も》ってきて、|人《ひと》と|獣《けもの》とをあなたのうちから|断《た》つ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|地《ち》は|荒《あ》れて、むなしくなる。そして|彼《かれ》はわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。  あなたは『ナイル|川《がわ》はわたしのもの、わたしがこれを|造《つく》った』と|言《い》っているゆえに、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたとあなたの|川々《かわがわ》の|敵《てき》となって、エジプトの|地《ち》をミグドルからスエネまで、エチオピヤの|境《さかい》に|至《いた》るまで、ことごとく|荒《あら》し、むなしくする。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|足《あし》はこれを|渡《わた》らず、|獣《けもの》の|足《あし》もこれを|渡《わた》らない。四十|年《ねん》の|間《あいだ》、ここに|住《す》む|者《もの》はない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトの|地《ち》を|荒《あら》して、|荒《あ》れた|国々《くにぐに》の|中《なか》に|置《お》き、その|町々《まちまち》は|荒《あ》れて、四十|年《ねん》のあいだ|荒《あ》れた|町々《まちまち》の|中《なか》にある。わたしはエジプトびとを、もろもろの|国民《こくみん》の|中《なか》に|散《ち》らし、もろもろの|国《くに》の|中《なか》に|散《ち》らす。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、四十|年《ねん》の|後《のち》、わたしはエジプトびとを、その|散《ち》らされたもろもろの|民《たみ》の|中《なか》から|集《あつ》める。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちエジプトの|運命《うんめい》をもとに|返《かえ》し、|彼《かれ》らをその|生《うま》れた|地《ち》であるパテロスの|地《ち》に|帰《かえ》らせる。その|所《ところ》で|彼《かれ》らは|卑《いや》しい|国《くに》となる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]これはもろもろの|国《くに》よりも|卑《いや》しくなり、|再《ふたた》びもろもろの|国民《こくみん》の|上《うえ》に|出《で》ることができない。わたしは|彼《かれ》らを|小《ちい》さくするゆえ、|再《ふたた》びもろもろの|国民《こくみん》を|治《おさ》めることはない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルが|助《たす》けを|求《もと》める|時《とき》、その|罪《つみ》を|思《おも》い|出《だ》して、|再《ふたた》びイスラエルの|家《いえ》の|頼《たの》みとはならない。こうして|彼《かれ》らは、わたしが|主《しゅ》なる|神《かみ》であることを|知《し》る」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二十七|年《ねん》の一|月《がつ》一|日《にち》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、バビロンの|王《おう》ネブカデレザルは、その|軍勢《ぐんぜい》をツロに|対《たい》して|大《おお》いに|働《はたら》かせた。|頭《あたま》は|皆《みな》はげ、|肩《かた》はみな|破《やぶ》れた。しかし|彼《かれ》もその|軍勢《ぐんぜい》も、ツロに|対《たい》してなしたその|働《はたら》きのために、なんの|報《むく》いをも|得《え》なかった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはバビロンの|王《おう》ネブカデレザルに、エジプトの|地《ち》を|与《あた》える。|彼《かれ》はその|財宝《ざいほう》を|取《と》り、|物《もの》をかすめ、|物《もの》を|奪《うば》い、それをその|軍勢《ぐんぜい》に|与《あた》えて|報《むく》いとする。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|働《はたら》いた|報酬《ほうしゅう》として、わたしはエジプトの|地《ち》を|彼《かれ》に|与《あた》える。|彼《かれ》らはわたしのために、これをしたからであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、わたしはイスラエルの|家《いえ》に、一つの|角《つの》を|生《しょう》じさせ、あなたの|口《くち》を|彼《かれ》らのうちに|開《ひら》かせる。そして|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る」。 第三〇章[#「第三〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|預言《よげん》して|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] |嘆《なげ》け、その|日《ひ》はわざわいだ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》は|近《ちか》い、|主《しゅ》の|日《ひ》は|近《ちか》い。 これは|雲《くも》の|日《ひ》、|異邦人《いほうじん》の|滅《ほろ》びの|時《とき》である。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]つるぎがエジプトに|臨《のぞ》む。 エジプトで|殺《ころ》される|者《もの》の|倒《たお》れる|時《とき》、 エチオピヤには|苦《くる》しみがあり、 その|財宝《ざいほう》は|奪《うば》い|去《さ》られ、その|基《もとい》は|破《やぶ》られる。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]エチオピヤ、プテ、ルデ、アラビヤ、リビヤおよび|同盟《どうめい》|国《くに》の|人々《ひとびと》は、|彼《かれ》らと|共《とも》につるぎに|倒《たお》れる。 [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 エジプトを|助《たす》ける|者《もの》は|倒《たお》れ、 その|誇《ほこ》る|力《ちから》はうせる。 ミグドルからスエネまで、 |人々《ひとびと》はつるぎによってそのうちに|倒《たお》れると |主《しゅ》なる|神《かみ》が|言《い》われる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それは|荒《あ》れて、|荒《あ》れはてた|国々《くにぐに》のうちにあり、 その|町々《まちまち》は|荒《あ》れた|町々《まちまち》のうちにある。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしがエジプトに|火《ひ》を|送《おく》り、 これを|助《たす》ける|者《もの》が|皆《みな》|滅《ほろ》びる|時《とき》、 |彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|早足《はやあし》の|使者《ししゃ》がわたしから|出《で》て、|何事《なにごと》も|知《し》らぬエチオピヤびとを|恐《おそ》れさせる。そしてかのエジプトの|滅《ほろ》びの|日《ひ》に、|彼《かれ》らに|苦《くる》しみが|来《く》る。|見《み》よ、これはかならず|来《く》る。 [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 わたしはバビロンの|王《おう》ネブカデレザルの|手《て》によって エジプトの|富《とみ》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》と|彼《かれ》に|従《したが》うその|民《たみ》、すなわち|国民《こくみん》のうちの |最《もっと》も|恐《おそ》るべき|者《もの》がきて、その|地《ち》を|滅《ほろ》ぼす。 |彼《かれ》らはつるぎを|抜《ぬ》いて、エジプトを|攻《せ》め、 |殺《ころ》した|者《もの》を|国《くに》に|満《み》たす。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはナイル|川《がわ》をからし、 その|国《くに》を|悪《あ》しき|者《もの》の|手《て》に|売《う》り、 |異邦人《いほうじん》の|手《て》によって|国《くに》とその|中《なか》のものとを|荒《あら》す。 |主《しゅ》なるわたしはこれを|言《い》った。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 わたしは|偶像《ぐうぞう》をこわし、メンピスで|偶像《ぐうぞう》を|滅《ほろ》ぼす。 エジプトの|国《くに》には、もはや|君《きみ》たる|者《もの》がなくなる。 わたしはエジプトの|国《くに》に|恐《おそ》れを|与《あた》える。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはパテロスを|荒《あら》し、 ゾアンに|火《ひ》を|放《はな》ち、 テーベにさばきをおこない、 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|怒《いか》りを、 エジプトの|要害《ようがい》であるペルシゥムに|注《そそ》ぎ、 テーベの|群衆《ぐんしゅう》を|断《た》ち、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エジプトに|火《ひ》を|下《くだ》す。 ペルシゥムはいたく|苦《くる》しみ、 テーベは|打《う》ち|破《やぶ》られ、 その|城壁《じょうへき》は|破壊《はかい》され、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]オンとピベセテの|若者《わかもの》はつるぎに|倒《たお》れ、 |女《おんな》たちは|捕《とら》え|移《うつ》される。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしがエジプトの|支配《しはい》を|砕《くだ》く|時《とき》、 テパネスでは|日《ひ》は|暗《くら》くなり、 その|誇《ほこ》る|力《ちから》は|絶《た》え、 |雲《くも》はこれをおおい、 その|娘《むすめ》たちは|捕《とら》え|移《うつ》される。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]このようにわたしはエジプトにさばきを|行《おこな》う。 そのとき|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十一|年《ねん》の一|月《がつ》|七日《なぬか》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしはエジプトの|王《おう》パロの|腕《うで》を|折《お》った。|見《み》よ、これは|包《つつ》まれず、いやされず、ほうたいをも|施《ほどこ》されない。それは|強《つよ》くなって、つるぎを|執《と》ることができない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはエジプトの|王《おう》パロを|攻《せ》め、その|強《つよ》い|腕《うで》と、|折《お》れた|腕《うで》とを|共《とも》に|折《お》り、その|手《て》からつるぎを|落《おと》させる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトびとを、もろもろの|国民《こくみん》の|中《なか》に|散《ち》らし、|国々《くにぐに》に|散《ち》らす。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはバビロンの|王《おう》の|腕《うで》を|強《つよ》くし、わたしのつるぎを、その|手《て》に|与《あた》える。しかしわたしはパロの|腕《うで》を|折《お》るゆえ、|彼《かれ》は|深手《ふかで》を|負《お》った|者《もの》のように、|彼《かれ》の|前《まえ》にうめく。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがバビロンの|王《おう》の|腕《うで》を|強《つよ》くし、パロの|腕《うで》がたれる|時《とき》、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。わたしがわたしのつるぎを、バビロンの|王《おう》に|授《さづ》け、これをエジプトの|国《くに》に|向《む》かって|伸《の》べさせ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしがエジプトびとを、もろもろの|国民《こくみん》の|中《なか》に|散《ち》らし、|国々《くにぐに》に|散《ち》らす|時《とき》、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る」。 第三一章[#「第三一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十一|年《ねん》の三|月《がつ》一|日《にち》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、エジプトの|王《おう》パロと、その|民衆《みんしゅう》とに|言《い》え、 [#ここから2字下げ] あなたはその|大《おお》いなること、だれに|似《に》ているか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたを レバノンの|香柏《こうはく》のようにする。 |麗《うるわ》しき|枝《えだ》と|森《もり》の|陰《かげ》があり、たけが|高《たか》く、 その|頂《いただき》は|雲《くも》の|中《なか》にある。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》はこれを|育《そだ》て、 |大水《おおみず》がこれを|高《たか》くする。 その|川々《かわがわ》はその|植《う》えた|所《ところ》をめぐって|流《なが》れ、 その|流《なが》れを|野《の》のすべての|木《き》に|送《おく》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これによってそのたけは、 |野《の》のすべての|木《き》よりも|高《たか》くなり、 その|育《そだ》つとき|多《おお》くの|水《みず》のために |枝葉《えだは》は|茂《しげ》り、|枝《えだ》は|伸《の》び、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|枝葉《えだは》に|空《そら》のすべての|鳥《とり》が、|巣《す》をつくり、 その|枝《えだ》の|下《した》に|野《の》のすべての|獣《けもの》は|子《こ》を|生《う》み、 その|陰《かげ》にもろもろの|国民《こくみん》は|住《す》む。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これはその|大《おお》きなことと、 その|枝《えだ》の|長《なが》いことによって|美《うつく》しかった。 その|根《ね》を|多《おお》くの|水《みず》に、おろしていたからである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》の|園《その》の|香柏《こうはく》も、これと|競《きそ》うことはできない。 もみの|木《き》もその|枝葉《えだは》に|及《およ》ばない。 けやきもその|枝《えだ》と|比《くら》べられない。 |神《かみ》の|園《その》のすべての|木《き》も、その|麗《うるわ》しきこと、 これに|比《ひ》すべきものはない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|枝《えだ》を|多《おお》くして、これを|美《うつく》しくした。 |神《かみ》の|園《その》にあるエデンの|木《き》は|皆《みな》 これをうらやんだ。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、これは、たけが|高《たか》くなり、その|頂《いただき》を|雲《くも》の|中《なか》におき、その|心《こころ》が|高《たか》ぶりおごるゆえ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれを、もろもろの|国民《こくみん》の|力《ちから》ある|者《もの》の|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》はこれに|対《たい》してその|悪《あく》のために|正《ただ》しい|処置《しょち》をとる。わたしはこれを|追《お》い|出《だ》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《こくみん》の|最《もっと》も|恐《おそ》れている|異邦人《いほうじん》はこれを|切《き》り|倒《たお》して|捨《す》てる。その|枝《えだ》はもろもろの|山《やま》と、すべての|谷《たに》とに|落《お》ち、その|枝葉《えだは》は|砕《くだ》けて、|地《ち》のすべての|流《なが》れにあり、|地《ち》のすべての|民《たみ》は、その|陰《かげ》を|離《はな》れて、これを|捨《す》てる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|倒《たお》れた|所《ところ》に、|空《そら》のもろもろの|鳥《とり》は|住《す》み、その|枝《えだ》の|上《うえ》に、|野《の》のもろもろの|獣《けもの》はいる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]これは|水《みず》のほとりのすべての|木《き》が、その|高《たか》さのために|誇《ほこ》ることなく、その|頂《いただき》を|雲《くも》の|中《なか》におくことなく、|水《みず》に|潤《うるお》う|木《き》が、みずから|高《たか》ぶり|立《た》つことのないためである。これらは|皆《みな》、|死《し》に|渡《わた》され、|下《した》の|国《くに》に|入《い》り、|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》と|共《とも》に|他《た》の|人々《ひとびと》のうちにいる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、これが|陰府《よみ》に|下《くだ》る|日《ひ》にわたしが|淵《ふち》をこれがために|悲《かな》しませ、その|川々《かわがわ》をせきとめるので、|大水《おおみず》はとどまる。わたしはレバノンを、これがために|嘆《なげ》かせ、|野《の》のすべての|木《き》を、これがために|衰《おとろ》えさせる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこれを|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》と|共《とも》に|陰府《よみ》に|落《おと》す|時《とき》、もろもろの|国民《こくみん》をその|落《お》ちる|響《ひび》きのために、|打《う》ち|震《ふる》えさせる。そしてエデンのすべての|木《き》、レバノンのすぐれて|美《うつく》しいもの、すべて|水《みず》に|潤《うるお》うものは、|下《した》の|国《くに》で|慰《なぐさ》められる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らもこれと|共《とも》に|陰府《よみ》に|下《くだ》り、つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》のところに|至《いた》る。まことにもろもろの|国民《こくみん》のうちで、その|陰《かげ》に|住《す》んだ|者《もの》も|滅《ほろ》びる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エデンの|木《き》のうちで、その|栄《さか》えと|大《おお》いなることで、あなたはどれに|似《に》ているのか。あなたはこのように、エデンの|木《き》と|共《とも》に、|下《した》の|国《くに》に|落《おと》され、つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》と|共《とも》に、|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》のうちに|住《す》む。  これがパロとその|民衆《みんしゅう》であると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第三二章[#「第三二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十二|年《ねん》の十二|月《がつ》一|日《にち》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、エジプトの|王《おう》パロのために、|悲《かな》しみの|歌《うた》をのべて、これに|言《い》え、 [#ここから2字下げ] あなたは|自分《じぶん》をもろもろの|国民《こくみん》のうちの ししであると|考《かんが》えているが、 あなたは|海《うみ》の|中《なか》の|龍《りゅう》のような|者《もの》である。 あなたは|川《かわ》の|中《なか》に、はね|起《お》き、 |足《あし》で|水《みず》をかきまぜ、|川《かわ》を|濁《にご》す。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 わたしは|多《おお》くの|民《たみ》の|集団《しゅうだん》をもって、 わたしの|網《あみ》をあなたに|投《な》げかけ、 あなたを|網《あみ》で|引《ひ》きあげる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|地《ち》に|投《な》げ|捨《す》て、 |野《の》の|面《おもて》に|投《な》げうち、 |空《そら》のすべての|鳥《とり》をあなたの|上《うえ》にとまらせ、 |全《ぜん》|地《ち》の|獣《けもの》にあなたを|与《あた》えて|飽《あ》かせる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|肉《にく》を|山々《やまやま》に|捨《す》て、 あなたの|死体《したい》で|谷《たに》を|満《み》たす。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|流《なが》れる|血《ち》で、 |地《ち》を|潤《うるお》し、|山々《やまやま》にまで|及《およ》ぼす。 |谷川《たにがわ》はあなたの|死体《したい》で|満《み》ちる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|滅《ほろ》ぼす|時《とき》、 |空《そら》をおおい、|星《ほし》を|暗《くら》くし、 |雲《くも》で|日《ひ》をおおい、|月《つき》に|光《ひかり》を|放《はな》たせない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|空《そら》の|輝《かがや》く|光《ひかり》を、 ことごとくあなたの|上《うえ》に|暗《くら》くし、 あなたの|国《くに》をやみとすると |主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》う。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはもろもろの|国民《こくみん》、あなたの|知《し》らない|国々《くにぐに》の|中《なか》に、あなたを|捕《とら》え|移《うつ》す|時《とき》、|多《おお》くの|民《たみ》の|心《こころ》を|痛《いた》ませる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたについて、|多《おお》くの|民《たみ》を|驚《おどろ》かせる。その|王《おう》たちは、わたしがわたしのつるぎを、|彼《かれ》らの|前《まえ》に|振《ふ》るう|時《とき》、あなたの|事《こと》でおののく。あなたの|倒《たお》れる|日《ひ》には、|彼《かれ》らはおのおの|自分《じぶん》の|命《いのち》を|思《おも》って、|絶《た》えず|打《う》ち|震《ふる》える。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、バビロンの|王《おう》のつるぎはあなたに|臨《のぞ》む。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたの|民衆《みんしゅう》を|勇士《ゆうし》のつるぎに|倒《たお》れさせる。|彼《かれ》らは|皆《みな》、もろもろの|国民《こくみん》の|中《なか》で、|最《もっと》も|恐《おそ》れられている|者《もの》たちである。 [#ここから2字下げ] |彼《かれ》らはエジプトの|誇《ほこり》を|断《た》つ、 エジプトの|民衆《みんしゅう》は|皆《みな》|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|家畜《かちく》をことごとく、 |多《おお》くの|水《みず》のかたわらから|滅《ほろ》ぼす。 |人《ひと》の|足《あし》は|再《ふたた》びこれを|濁《にご》さず、 |家畜《かちく》のひずめもこれを|乱《みだ》さない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしはその|水《みず》を|清《きよ》くし、 その|川々《かわがわ》を|油《あぶら》のように|流《なが》れさせると、 |主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》う。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトの|国《くに》を|荒《あら》し、 その|国《くに》に|満《み》ちるものが、ことごとく|取《と》り|去《さ》られる|時《とき》、 わたしがその|中《なか》に|住《す》む|者《もの》をことごとく|撃《う》つ|時《とき》、 |彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|知《し》る。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これは|悲《かな》しみの|歌《うた》である。|人々《ひとびと》はこれを|歌《うた》い、もろもろの|国《くに》の|娘《むすめ》たちはこれを|歌《うた》う。すなわちエジプトと、そのすべての|民衆《みんしゅう》とのために、これを|歌《うた》うのであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》十二|年《ねん》の一|月《がつ》十五|日《にち》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、エジプトの|民衆《みんしゅう》のために|嘆《なげ》き、これと|大《おお》いなる|国々《くにぐに》の|娘《むすめ》らとを、|下《した》の|国《くに》に|投《な》げ|下《くだ》し、|穴《あな》に|下《くだ》った|者《もの》のところに|至《いた》らせよ。 [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]『あなたの|美《び》はだれにまさっているか。 |下《くだ》って、|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》と|共《とも》に|伏《ふ》せよ』。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはつるぎに|殺《ころ》される|者《もの》のうちに|倒《たお》れる。その|民衆《みんしゅう》はこれと|共《とも》に|伏《ふ》せる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|勇士《ゆうし》の|首領《しゅりょう》はその|助《たす》け|手《て》と|共《とも》に、|陰府《よみ》の|中《なか》から|彼《かれ》らに|言《い》う、『|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》、つるぎに|殺《ころ》された|者《もの》は|下《くだ》って|伏《ふ》している』と。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤとその|仲間《なかま》とはその|所《ところ》におり、その|墓《はか》はこれを|囲《かこ》む。|彼《かれ》らはみな|殺《ころ》された|者《もの》、またつるぎに|倒《たお》れた|者《もの》である。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|墓《はか》は|穴《あな》の|奥《おく》に|設《もう》けられ、その|仲間《なかま》はその|墓《はか》の|周囲《しゅうい》にあり、これはみな|殺《ころ》された|者《もの》、つるぎに|倒《たお》れた|者《もの》、|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》に|恐《おそ》れを|起《おこ》した|者《もの》である。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》にエラムがおり、その|民衆《みんしゅう》は|皆《みな》、その|墓《はか》の|周囲《しゅうい》におる。|彼《かれ》らはみな|殺《ころ》された|者《もの》、つるぎに|倒《たお》れた|者《もの》、|割礼《かつれい》を|受《う》けないで、|下《した》の|国《くに》に|下《くだ》った|者《もの》、|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》に、|恐《おそ》れを|起《おこ》した|者《もの》で、|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》と|共《とも》に、|恥《はじ》を|負《お》うのである。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはそのすべての|民衆《みんしゅう》と|共《とも》に、|殺《ころ》された|者《もの》の|中《なか》に|床《とこ》を|置《お》き、その|墓《はか》はこれを|囲《かこ》む。これは|皆《みな》、|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》、つるぎに|殺《ころ》された|者《もの》、|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》に|恐《おそ》れを|起《おこ》した|者《もの》で、|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》と|共《とも》に|恥《はじ》を|負《お》う。|彼《かれ》らは|殺《ころ》された|者《もの》の|中《なか》に|置《お》かれている。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》にメセクとトバル、およびすべての|民衆《みんしゅう》がおる。その|墓《はか》はこれを|囲《かこ》む。|彼《かれ》らは|皆《みな》、|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》で、つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》である。|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》に|恐《おそ》れを|起《おこ》したからである。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|昔《むかし》の|倒《たお》れた|勇士《ゆうし》と|共《とも》に|伏《ふ》さない。これらの|勇士《ゆうし》は、|武具《ぶぐ》を|持《も》って|陰府《よみ》に|下《くだ》り、つるぎをまくらとし、その|盾《たて》は|骨《ほね》の|上《うえ》にある。これは|勇士《ゆうし》の|恐《おそ》れが、|生《い》ける|者《もの》の|地《ち》にあったからである。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》のうちに、つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》と|共《とも》に|横《よこ》たわる。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》にエドムとその|王《おう》たちと、そのすべての|君《きみ》たちがおる。|彼《かれ》らはその|力《ちから》を|持《も》つにもかかわらず、かのつるぎで|殺《ころ》された|者《もの》と|共《とも》に|横《よこ》たえられ、|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》および|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》と|共《とも》に|伏《ふ》している。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》に|北《きた》の|君《きみ》たち、およびシドンびとが|皆《みな》おる。|彼《かれ》らは|自分《じぶん》の|力《ちから》によって|恐《おそ》れを|起《おこ》したので、|殺《ころ》された|者《もの》と|共《とも》に|恥《はじ》を|受《う》けて、|下《くだ》って|行《い》った|者《もの》である。|彼《かれ》らはつるぎで|殺《ころ》された|者《もの》と|共《とも》に、|割礼《かつれい》を|受《う》けずに|伏《ふ》し、|穴《あな》に|下《くだ》る|者《もの》と|共《とも》に|恥《はじ》を|負《お》う。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]パロは|彼《かれ》らを|見《み》る|時《とき》、そのすべての|民衆《みんしゅう》について|慰《なぐさ》められる。パロとそのすべての|軍勢《ぐんぜい》とは、つるぎで|殺《ころ》されると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|生《い》ける|者《もの》の|国《くに》に|恐《おそ》れを|広《ひろ》げた。それゆえ、パロとすべての|民衆《みんしゅう》とは、|割礼《かつれい》を|受《う》けない|者《もの》のうちにあって、つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》と|共《とも》に|伏《ふ》すと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第三三章[#「第三三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|民《たみ》の|人々《ひとびと》に|語《かた》って|言《い》え、わたしがつるぎを一つの|国《くに》に|臨《のぞ》ませる|時《とき》、その|国《くに》の|民《たみ》が|彼《かれ》らのうちからひとりを|選《えら》んで、これを|自分《じぶん》たちの|見守《みまも》る|者《もの》とする。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|国《くに》につるぎが|臨《のぞ》むのを|見《み》て、ラッパを|吹《ふ》き、|民《たみ》を|戒《いまし》める。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|人《ひと》がラッパの|音《おと》を|聞《き》いても、みずから|警戒《けいかい》せず、ついにつるぎが|来《き》て、その|人《ひと》を|殺《ころ》したなら、その|血《ち》は|彼《かれ》のこうべに|帰《き》する。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はラッパの|音《おと》を|聞《き》いて、みずから|警戒《けいかい》しなかったのであるから、その|血《ち》は|彼《かれ》|自身《じしん》に|帰《き》する。しかしその|人《ひと》が、みずから|警戒《けいかい》したなら、その|命《いのち》は|救《すく》われる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|見守《みまも》る|者《もの》が、つるぎの|臨《のぞ》むのを|見《み》ても、ラッパを|吹《ふ》かず、そのため|民《たみ》が、みずから|警戒《けいかい》しないでいるうちに、つるぎが|臨《のぞ》み、|彼《かれ》らの|中《なか》のひとりを|失《うしな》うならば、その|人《ひと》は、|自分《じぶん》の|罪《つみ》のために|殺《ころ》されるが、わたしはその|血《ち》の|責任《せきにん》を、|見守《みまも》る|者《もの》の|手《て》に|求《もと》める。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|人《ひと》の|子《こ》よ、わたしはあなたを|立《た》てて、イスラエルの|家《いえ》を|見守《みまも》る|者《もの》とする。あなたはわたしの|口《くち》から|言葉《ことば》を|聞《き》き、わたしに|代《かわ》って|彼《かれ》らを|戒《いまし》めよ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|悪人《あくにん》に|向《む》かって、|悪人《あくにん》よ、あなたは|必《かなら》ず|死《し》ぬと|言《い》う|時《とき》、あなたが|悪人《あくにん》を|戒《いまし》めて、その|道《みち》から|離《はな》れさせるように|語《かた》らなかったら、|悪人《あくにん》は|自分《じぶん》の|罪《つみ》によって|死《し》ぬ。しかしわたしはその|血《ち》を、あなたの|手《て》に|求《もと》める。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたが|悪人《あくにん》に、その|道《みち》を|離《はな》れるように|戒《いまし》めても、その|悪人《あくにん》がその|道《みち》を|離《はな》れないなら、|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|罪《つみ》によって|死《し》ぬ。しかしあなたの|命《いのち》は|救《すく》われる。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|家《いえ》に|言《い》え、あなたがたはこう|言《い》った、『われわれのとがと、|罪《つみ》はわれわれの|上《うえ》にある。われわれはその|中《なか》にあって|衰《おとろ》えはてる。どうして|生《い》きることができようか』と。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。わたしは|悪人《あくにん》の|死《し》を|喜《よろこ》ばない。むしろ|悪人《あくにん》が、その|道《みち》を|離《はな》れて|生《い》きるのを|喜《よろこ》ぶ。あなたがたは|心《こころ》を|翻《ひるがえ》せ、|心《こころ》を|翻《ひるがえ》してその|悪《あ》しき|道《みち》を|離《はな》れよ。イスラエルの|家《いえ》よ、あなたはどうして|死《し》んでよかろうか。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|民《たみ》の|人々《ひとびと》に|言《い》え、|義人《ぎじん》の|義《ぎ》は、|彼《かれ》が|罪《つみ》を|犯《おか》す|時《とき》には、|彼《かれ》を|救《すく》わない。|悪人《あくにん》の|悪《あく》は、|彼《かれ》がその|悪《あく》を|離《はな》れる|時《とき》、その|悪《あく》のために|倒《たお》れることはない。|義人《ぎじん》は|彼《かれ》が|罪《つみ》を|犯《おか》す|時《とき》、その|義《ぎ》のために|生《い》きることはできない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|義人《ぎじん》に、|彼《かれ》は|必《かなら》ず|生《い》きると|言《い》っても、もし|彼《かれ》が|自分《じぶん》の|義《ぎ》をたのんで、|罪《つみ》を|犯《おか》すなら、|彼《かれ》のすべての|義《ぎ》は|覚《おぼ》えられない。|彼《かれ》はみずから|犯《おか》した|罪《つみ》のために|死《し》ぬ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしが|悪人《あくにん》に『あなたは|必《かなら》ず|死《し》ぬ』と|言《い》っても、もし|彼《かれ》がその|罪《つみ》を|離《はな》れ、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》うならば、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すなわちその|悪人《あくにん》が|質物《しちもつ》を|返《かえ》し、|奪《うば》った|物《もの》をもどし、|命《いのち》の|定《さだ》めに|歩《あゆ》み、|悪《あく》を|行《おこな》わないならば、|彼《かれ》は|必《かなら》ず|生《い》きる。|決《けっ》して|死《し》なない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|犯《おか》したすべての|罪《つみ》は|彼《かれ》に|対《たい》して|覚《おぼ》えられない。|彼《かれ》は|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》ったのであるから、|必《かなら》ず|生《い》きる。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》の|人々《ひとびと》は『|主《しゅ》の|道《みち》は|公平《こうへい》でない』と|言《い》う。しかし|彼《かれ》らの|道《みち》こそ|公平《こうへい》でないのである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|義人《ぎじん》がその|義《ぎ》を|離《はな》れて、|罪《つみ》を|犯《おか》すならば、|彼《かれ》はこれがために|死《し》ぬ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|悪人《あくにん》がその|悪《あく》を|離《はな》れて、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》とを|行《おこな》うならば、|彼《かれ》はこれによって|生《い》きる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それであるのに、あなたがたは『|主《しゅ》の|道《みち》は|公平《こうへい》でない』と|言《い》う。イスラエルの|家《いえ》よ、わたしは|各自《かくじ》のおこないにしたがって、あなたがたをさばく」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちが|捕《とら》え|移《うつ》された|後《のち》、すなわち|第《だい》十二|年《ねん》の十|月《がつ》五|日《か》に、エルサレムからのがれて|来《き》た|者《もの》が、わたしのもとに|来《き》て|言《い》った、「|町《まち》は|打《う》ち|破《やぶ》られた」と。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|者《もの》が|来《き》た|前《まえ》の|夜《よる》、|主《しゅ》の|手《て》がわたしに|臨《のぞ》んだ。|次《つぎ》の|朝《あさ》、その|人《ひと》がわたしのもとに|来《き》たころ、|主《しゅ》はわたしの|口《くち》を|開《ひら》かれた。わたしの|口《くち》が|開《ひら》けたので、もはやわたしは|沈黙《ちんもく》しなかった。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|地《ち》の、かの|荒《あ》れ|跡《あと》の|住民《じゅうみん》らは、|語《かた》り|続《つづ》けて|言《い》う、『アブラハムはただひとりで、なおこの|地《ち》を|所有《しょゆう》した。しかしわたしたちの|数《かず》は|多《おお》い。この|地《ち》はわれわれの|所有《しょゆう》として|与《あた》えられている』と。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたは|彼《かれ》らに|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがたは|肉《にく》を|血《ち》のついたままで|食《た》べ、おのが|偶像《ぐうぞう》を|仰《あお》ぎ、|血《ち》を|流《なが》していて、なおこの|地《ち》を|所有《しょゆう》することができるか。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはつるぎをたのみ、|憎《にく》むべき|事《こと》をおこない、おのおの|隣《とな》り|人《びと》の|妻《つま》を|汚《けが》して、なおこの|地《ち》を|所有《しょゆう》することができるか。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|言《い》いなさい。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。かの|荒《あ》れ|跡《あと》にいる|者《もの》は|必《かなら》ずつるぎに|倒《たお》れる。わたしは|野《の》の|面《おもて》にいる|者《もの》を、|獣《けもの》に|与《あた》えて|食《く》わせ、|要害《ようがい》とほら|穴《あな》とにいる|者《もの》は|疫病《えきびょう》で|死《し》ぬ。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの|国《くに》を|全《まった》く|荒《あら》す。|彼《かれ》の|誇《ほこ》る|力《ちから》はうせ、イスラエルの|山々《やまやま》は|荒《あ》れて|通《とお》る|者《もの》もなくなる。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがおこなったすべての|憎《にく》むべきことのために、わたしがこの|国《くに》を|全《まった》く|荒《あら》す|時《とき》、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|民《たみ》の|人々《ひとびと》は、かきのかたわら、|家《いえ》の|入口《いりぐち》で、あなたの|事《こと》を|論《ろん》じ、たがいに|語《かた》りあって|言《い》う、『さあ、われわれは、どんな|言葉《ことば》が|主《しゅ》から|出《で》るかを|聞《き》こう』と。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|民《たみ》が|来《く》るようにあなたの|所《ところ》に|来《き》、わたしの|民《たみ》のようにあなたの|前《まえ》に|座《ざ》して、あなたの|言葉《ことば》を|聞《き》く。しかし|彼《かれ》らはそれを|行《おこな》わない。|彼等《かれら》は|口先《くちさき》では|多《おお》くの|愛《あい》を|現《あらわ》すが、その|心《こころ》は|利《り》におもむいている。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたは|彼《かれ》らには、|美《うつく》しい|声《こえ》で|愛《あい》の|歌《うた》をうたう|者《もの》のように、また|楽器《がっき》をよく|奏《そう》する|者《もの》のように|思《おも》われる。|彼《かれ》らはあなたの|言葉《ことば》は|聞《き》くが、それを|行《おこな》おうとはしない。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》が|起《おこ》る|時《とき》――これは|必《かなら》ず|起《おこ》る――そのとき|彼《かれ》らの|中《なか》にひとりの|預言者《よげんしゃ》がいたことを|彼《かれ》らは|悟《さと》る」。 第三四章[#「第三四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|牧者《ぼくしゃ》たちに|向《む》かって|預言《よげん》せよ。|預言《よげん》して|彼《かれ》ら|牧者《ぼくしゃ》に|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わざわいなるかな、|自分《じぶん》|自身《じしん》を|養《やしな》うイスラエルの|牧者《ぼくしゃ》。|牧者《ぼくしゃ》は|群《む》れを|養《やしな》うべき|者《もの》ではないか。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ところが、あなたがたは|脂肪《しぼう》を|食《た》べ、|毛織物《けおりもの》をまとい、|肥《こ》えたものをほふるが、|群《む》れを|養《やしな》わない。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|弱《よわ》った|者《もの》を|強《つよ》くせず、|病《や》んでいる|者《もの》をいやさず、|傷《きず》ついた|者《もの》をつつまず、|迷《まよ》い|出《で》た|者《もの》を|引《ひ》き|返《かえ》らせず、うせた|者《もの》を|尋《たず》ねず、|彼《かれ》らを|手荒《てあら》く、きびしく|治《おさ》めている。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|牧者《ぼくしゃ》がないために|散《ち》り、|野《の》のもろもろの|獣《けもの》のえじきになる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わが|羊《ひつじ》は|散《ち》らされている。|彼《かれ》らはもろもろの|山《やま》と、もろもろの|高《たか》き|丘《おか》にさまよい、わが|羊《ひつじ》は|地《ち》の|全面《ぜんめん》に|散《ち》らされているが、これを|捜《さが》す|者《もの》もなく、|尋《たず》ねる|者《もの》もない。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|牧者《ぼくしゃ》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。わが|羊《ひつじ》はかすめられ、わが|羊《ひつじ》は|野《の》のもろもろの|獣《けもの》のえじきとなっているが、その|牧者《ぼくしゃ》はいない。わが|牧者《ぼくしゃ》はわが|羊《ひつじ》を|尋《たず》ねない。|牧者《ぼくしゃ》は|自身《じしん》を|養《やしな》うが、わが|羊《ひつじ》を|養《やしな》わない。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|牧者《ぼくしゃ》らよ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|牧者《ぼくしゃ》らの|敵《てき》となり、わたしの|羊《ひつじ》を|彼《かれ》らの|手《て》に|求《もと》め、|彼《かれ》らにわたしの|群《む》れを|養《やしな》うことをやめさせ、|再《ふたた》び|牧者《ぼくしゃ》|自身《じしん》を|養《やしな》わせない。またわが|羊《ひつじ》を|彼《かれ》らの|口《くち》から|救《すく》って、|彼《かれ》らの|食物《しょくもつ》にさせない。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは、わたしみずからわが|羊《ひつじ》を|尋《たず》ねて、これを|捜《さが》し|出《だ》す。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|牧者《ぼくしゃ》がその|羊《ひつじ》の|散《ち》り|去《さ》った|時《とき》、その|羊《ひつじ》の|群《む》れを|捜《さが》し|出《だ》すように、わたしはわが|羊《ひつじ》を|捜《さが》し|出《だ》し、|雲《くも》と|暗《くら》やみの|日《ひ》に|散《ち》った、すべての|所《ところ》からこれを|救《すく》う。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らをもろもろの|民《たみ》の|中《なか》から|導《みちび》き|出《だ》し、もろもろの|国《くに》から|集《あつ》めて、|彼《かれ》らの|国《くに》に|携《たずさ》え|入《い》れ、イスラエルの|山《やま》の|上《うえ》、|泉《いずみ》のほとり、また|国《くに》のうちの|人《ひと》の|住《す》むすべての|所《ところ》でこれを|養《やしな》う。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|良《よ》き|牧場《まきば》で|彼《かれ》らを|養《やしな》う。その|牧場《まきば》はイスラエルの|高《たか》い|山《やま》にあり、その|所《ところ》で|彼《かれ》らは|良《よ》い|羊《ひつじ》のおりに|伏《ふ》し、イスラエルの|山々《やまやま》の|上《うえ》で|肥《こ》えた|牧場《まきば》で|草《くさ》を|食《く》う。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはみずからわが|羊《ひつじ》を|飼《か》い、これを|伏《ふ》させると|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、うせたものを|尋《たず》ね、|迷《まよ》い|出《で》たものを|引《ひ》き|返《かえ》し、|傷《きず》ついたものを|包《つつ》み、|弱《よわ》ったものを|強《つよ》くし、|肥《こ》えたものと|強《つよ》いものとは、これを|監督《かんとく》する。わたしは|公平《こうへい》をもって|彼《かれ》らを|養《やしな》う。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、あなたがた、わが|群《む》れよ、|見《み》よ、わたしは|羊《ひつじ》と|羊《ひつじ》との|間《あいだ》、|雄羊《おひつじ》と|雄《お》やぎとの|間《あいだ》をさばく。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|良《よ》き|牧場《まきば》で|草《くさ》を|食《く》い、その|草《くさ》の|残《のこ》りを|足《あし》で|踏《ふ》み、また|澄《す》んだ|水《みず》を|飲《の》み、その|残《のこ》りを|足《あし》で|濁《にご》すが、これは、あまりのことではないか。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わが|羊《ひつじ》はあなたがたが、|足《あし》で|踏《ふ》んだものを|食《く》い、あなたがたの|足《あし》で|濁《にご》したものを、|飲《の》まなければならないのか。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|彼《かれ》らに|言《い》われる、|見《み》よ、わたしは|肥《こ》えた|羊《ひつじ》と、やせた|羊《ひつじ》との|間《あいだ》をさばく。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わきと|肩《かた》とをもって|押《お》し、|角《つの》をもって、すべて|弱《よわ》い|者《もの》を|突《つ》き、ついに|彼《かれ》らを|外《そと》に|追《お》い|散《ち》らした。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはわが|群《む》れを|助《たす》けて、|再《ふたた》びかすめさせず、|羊《ひつじ》と|羊《ひつじ》との|間《あいだ》をさばく。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|上《うえ》にひとりの|牧者《ぼくしゃ》を|立《た》てる。すなわちわがしもべダビデである。|彼《かれ》は|彼《かれ》らを|養《やしな》う。|彼《かれ》は|彼《かれ》らを|養《やしな》い、|彼《かれ》らの|牧者《ぼくしゃ》となる。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なるわたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となり、わがしもべダビデは|彼《かれ》らのうちにあって|君《きみ》となる。|主《しゅ》なるわたしはこれを|言《い》う。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らと|平和《へいわ》の|契約《けいやく》を|結《むす》び、|国《くに》の|内《うち》から|野獣《やじゅう》を|追《お》い|払《はら》う。|彼《かれ》らは|心《こころ》を|安《やす》んじて|荒野《あらの》に|住《す》み、|森《もり》の|中《なか》に|眠《ねむ》る。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らおよびわが|山《やま》の|周囲《しゅうい》の|所々《ところどころ》を|祝福《しゅくふく》し、|季節《きせつ》にしたがって|雨《あめ》を|降《ふ》らす。これは|祝福《しゅくふく》の|雨《あめ》となる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》の|木《き》は|実《み》を|結《むす》び、|地《ち》は|産物《さんぶつ》を|出《だ》す。|彼《かれ》らは|心《こころ》を|安《やす》んじてその|国《くに》におり、わたしが|彼《かれ》らのくびきの|棒《ぼう》を|砕《くだ》き、|彼《かれ》らを|奴隷《どれい》とした|者《もの》の|手《て》から|救《すく》い|出《だ》す|時《とき》、|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|重《かさ》ねて、もろもろの|国民《こくみん》にかすめられることなく、|地《ち》の|獣《けもの》も|彼《かれ》らを|食《く》うことはない。|彼《かれ》らは|心《こころ》を|安《やす》んじて|住《す》み、|彼《かれ》らを|恐《おそ》れさせる|者《もの》はない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らのために、|良《よ》い|栽培《さいばい》|所《じょ》を|与《あた》える。|彼《かれ》らは|重《かさ》ねて、|国《くに》のききんに|滅《ほろ》びることなく|重《かさ》ねて|諸《しょ》|国民《こくみん》のはずかしめを|受《う》けることはない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|神《かみ》、|主《しゅ》なるわたしが|彼《かれ》らと|共《とも》におり、|彼《かれ》らイスラエルの|家《いえ》が、わが|民《たみ》であることを|悟《さと》ると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわが|羊《ひつじ》、わが|牧場《まきば》の|羊《ひつじ》である。わたしはあなたがたの|神《かみ》であると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第三五章[#「第三五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたの|顔《かお》をセイル|山《やま》に|向《む》け、これに|対《たい》して|預言《よげん》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これに|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、セイル|山《やま》よ、|見《み》よ、わたしはあなたを|敵《てき》とし、わたしの|手《て》をあなたに|向《む》かって|伸《の》べ、あなたを|全《まった》く|荒《あら》し、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼす。あなたは|荒《あ》れはてる。そしてわたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|限《かぎ》りない|敵意《てきい》をいだいて、イスラエルの|人々《ひとびと》をその|災《わざわい》の|時《とき》、|終《おわ》りの|刑罰《けいばつ》の|時《とき》に、つるぎの|手《て》に|渡《わた》した。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。わたしはあなたを|血《ち》にわたす。|血《ち》はあなたを|追《お》いかける。あなたには|血《ち》のとががあるゆえ、|血《ち》はあなたを|追《お》いかける[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはセイル|山《やま》を|全《まった》く|荒《あら》し、そこに|行《ゆ》き|来《き》する|者《もの》を|断《た》ち、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|山々《やまやま》を|殺《ころ》された|者《もの》で|満《み》たす。つるぎで|殺《ころ》された|者《もの》が、あなたのもろもろの|丘《おか》、もろもろの|谷《たに》、もろもろのくぼ|地《ち》に|倒《たお》れる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを、|永遠《えいえん》の|荒《あ》れ|地《ち》とし、あなたの|町々《まちまち》には|住《す》む|者《もの》がなくなる。そしてあなたがたは、わたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|言《い》う、『これら二つの|国民《こくみん》、二つの|国《くに》はわたしのもの、われわれはこれを|獲《え》よう』と。しかし|主《しゅ》はそこにおられる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|生《い》きている。あなたが|彼《かれ》らを|憎《にく》んで、|彼《かれ》らに|示《しめ》した|怒《いか》りと、ねたみにしたがって、わたしはあなたを|扱《あつか》う。わたしがあなたをさばく|時《とき》、わたし|自身《じしん》をあなたに|示《しめ》す。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがイスラエルの|山々《やまやま》に|向《む》かって、『これは|荒《あ》れはてて、われわれの|食《しょく》となる』と|言《い》ったもろもろのそしりを、|主《しゅ》なるわたしが|聞《き》いたことをあなたは|悟《さと》る。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わたしに|対《たい》して|口《くち》をもって|誇《ほこ》り、またわたしに|対《たい》して、あなたがたの|言葉《ことば》を|多《おお》くした。わたしはそれを|聞《き》いた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|全《ぜん》|地《ち》の|喜《よろこ》びのために、わたしはあなたを|荒《あ》れ|地《ち》とする。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたが、イスラエルの|家《いえ》の|嗣《し》|業《ぎょう》の|荒《あ》れるのを|喜《よろこ》んだように、わたしはあなたに、そのようにする。セイル|山《やま》よ、あなたは|荒《あ》れ|地《ち》となる。エドムもすべてそのようになる。そのとき|彼《かれ》らは、わたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》るようになる。 第三六章[#「第三六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、イスラエルの|山々《やまやま》に|預言《よげん》して|言《い》え。イスラエルの|山々《やまやま》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|敵《てき》はあなたがたについて|言《い》う、『ああ、|昔《むかし》の|高《たか》き|所《ところ》が、われわれのものとなった』と。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたは|預言《よげん》して|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|彼《かれ》らはあなたがたを|荒《あら》し、|四方《しほう》からあなたがたを|打《う》ち|滅《ほろ》ぼしたので、あなたがたは|他《た》の|国民《こくみん》の|所有《しょゆう》となり、また|民《たみ》の|悪《わる》いうわさとなった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、イスラエルの|山々《やまやま》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。|主《しゅ》なる|神《かみ》は、|山《やま》と、|丘《おか》と、くぼ|地《ち》と、|谷《たに》と、|滅《ほろ》びた|荒《あ》れ|跡《あと》と、|人《ひと》の|捨《す》てた|町々《まちまち》、すなわちその|周囲《しゅうい》にある|諸《しょ》|国民《こくみん》の|残《のこ》った|者《もの》にかすめられ、あざけられるようになったものに、こう|言《い》われる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしはねたみの|炎《ほのお》をもって、|他《た》の|国民《こくみん》とエドム|全国《ぜんこく》とに|対《たい》して|言《い》う、|彼《かれ》らは|心《こころ》ゆくまで|喜《よろこ》び、|心《こころ》に|誇《ほこ》ってわが|地《ち》を|自分《じぶん》の|所有《しょゆう》とし、これを|奪《うば》い、かすめた|者《もの》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたはイスラエルの|地《ち》の|事《こと》を|預言《よげん》し、|山《やま》と、|丘《おか》と、くぼ|地《ち》と、|谷《たに》とに|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、あなたがたは|諸《しょ》|国民《こくみん》のはずかしめを|受《う》けたので、わたしはねたみと|怒《いか》りとをもって|語《かた》る。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしは|誓《ちか》って|言《い》う、あなたがたの|周囲《しゅうい》の|諸《しょ》|国民《こくみん》は|必《かなら》ずはずかしめを|受《う》ける。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|山々《やまやま》よ、あなたがたは|枝《えだ》を|出《だ》し、わが|民《たみ》イスラエルのために|実《み》を|結《むす》ぶ。この|事《こと》の|成《な》るのは|近《ちか》い。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたがたに|臨《のぞ》み、あなたがたを|顧《かえり》みる。あなたがたは|耕《たがや》され、|種《たね》をまかれる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|上《うえ》に|人《ひと》をふやす。これはことごとくイスラエルの|家《いえ》の|者《もの》となり、|町々《まちまち》には|人《ひと》が|住《す》み、|荒《あ》れ|跡《あと》は|建《た》て|直《なお》される。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|上《うえ》に|人《ひと》と|獣《けもの》とをふやす。|彼《かれ》らはふえて、|子《こ》を|生《う》む。わたしはあなたがたの|上《うえ》に、|昔《むかし》のように|人《ひと》を|住《す》ませ、|初《はじ》めの|時《とき》よりも、まさる|恵《めぐ》みをあなたがたに|施《ほどこ》す。その|時《とき》あなたがたは、わたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|民《たみ》イスラエルの|人々《ひとびと》をあなたがたの|上《うえ》に|歩《あゆ》ませる。|彼《かれ》らはあなたがたを|所有《しょゆう》し、あなたがたはその|嗣《し》|業《ぎょう》となり、あなたがたは|重《かさ》ねて|彼《かれ》らに|子《こ》のない|嘆《なげ》きをさせない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|彼《かれ》らはあなたがたに|向《む》かって、『あなたは|人《ひと》を|食《く》い、あなたの|民《たみ》に|子《こ》のない|嘆《なげ》きをさせる』と|言《い》う。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはもはや|人《ひと》を|食《く》わない。あなたの|民《たみ》に|重《かさ》ねて|子《こ》のない|嘆《なげ》きをさせることはないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|重《かさ》ねて|諸《しょ》|国民《こくみん》のはずかしめをあなたに|聞《き》かせない。あなたは|重《かさ》ねて、もろもろの|民《たみ》のはずかしめを|受《う》けることはなく、あなたの|民《たみ》を|重《かさ》ねてつまずかせることはないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、|昔《むかし》、イスラエルの|家《いえ》が、|自分《じぶん》の|国《くに》に|住《す》んだとき、|彼《かれ》らはおのれのおこないとわざとをもって、これを|汚《けが》した。そのおこないは、わたしの|前《まえ》には、|汚《けが》れにある|女《おんな》の|汚《けが》れのようであった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|国《くに》に|血《ち》を|流《なが》し、またその|偶像《ぐうぞう》をもって、|国《くに》を|汚《けが》したため、わたしはわが|怒《いか》りを|彼《かれ》らの|上《うえ》に|注《そそ》ぎ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|諸《しょ》|国民《こくみん》の|中《なか》に|散《ち》らしたので、|彼《かれ》らは|国々《くにぐに》の|中《なか》に|散《ち》った。わたしは|彼《かれ》らのおこないと、わざとにしたがって、|彼《かれ》らをさばいた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがその|行《い》くところの|国々《くにぐに》へ|行《い》ったとき、わが|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》した。これは|人々《ひとびと》が|彼《かれ》らについて『これは|主《しゅ》の|民《たみ》であるが、その|国《くに》から|出《で》た|者《もの》である』と|言《い》ったからである。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしはイスラエルの|家《いえ》が、その|行《い》くところの|諸《しょ》|国民《こくみん》の|中《なか》で|汚《けが》したわが|聖《せい》なる|名《な》を|惜《お》しんだ。  [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたはイスラエルの|家《いえ》に|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、イスラエルの|家《いえ》よ、わたしがすることはあなたがたのためではない。それはあなたがたが|行《い》った|諸《しょ》|国民《こくみん》の|中《なか》で|汚《けが》した、わが|聖《せい》なる|名《な》のためである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|諸《しょ》|国民《こくみん》の|中《なか》で|汚《けが》されたもの、すなわち、あなたがたが|彼《かれ》らの|中《なか》で|汚《けが》した、わが|大《おお》いなる|名《な》の|聖《せい》なることを|示《しめ》す。わたしがあなたがたによって、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》に、わたしの|聖《せい》なることを|示《しめ》す|時《とき》、|諸《しょ》|国民《こくみん》はわたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》ると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたを|諸《しょ》|国民《こくみん》の|中《なか》から|導《みちび》き|出《だ》し、|万国《ばんこく》から|集《あつ》めて、あなたがたの|国《くに》に|行《い》かせる。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|清《きよ》い|水《みず》をあなたがたに|注《そそ》いで、すべての|汚《けが》れから|清《きよ》め、またあなたがたを、すべての|偶像《ぐうぞう》から|清《きよ》める。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|新《あたら》しい|心《こころ》をあなたがたに|与《あた》え、|新《あたら》しい|霊《れい》をあなたがたの|内《うち》に|授《さづ》け、あなたがたの|肉《にく》から、|石《いし》の|心《こころ》を|除《のぞ》いて、|肉《にく》の|心《こころ》を|与《あた》える。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたわが|霊《れい》をあなたがたのうちに|置《お》いて、わが|定《さだ》めに|歩《あゆ》ませ、わがおきてを|守《まも》ってこれを|行《おこな》わせる。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わたしがあなたがたの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えた|地《ち》に|住《す》んで、わが|民《たみ》となり、わたしはあなたがたの|神《かみ》となる。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたをそのすべての|汚《けが》れから|救《すく》い、|穀物《こくもつ》を|呼《よ》びよせてこれを|増《ま》し、ききんをあなたがたに|臨《のぞ》ませない。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは|木《き》の|実《み》と、|田畑《たはた》の|作物《さくもつ》とを|多《おお》くする。あなたがたは|重《かさ》ねて|諸《しょ》|国民《こくみん》の|間《あいだ》に、ききんのはずかしめを|受《う》けることがない。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたがたは|自身《じしん》の|悪《あ》しきおこないと、|良《よ》からぬわざとを|覚《おぼ》えて、その|罪《つみ》と、その|憎《にく》むべきこととのために、みずから|恨《うら》む。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]わたしがなすことはあなたがたのためではないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。あなたがたはこれを|知《し》れ。イスラエルの|家《いえ》よ、あなたがたは|自分《じぶん》のおこないを|恥《は》じて|悔《く》やむべきである。  [#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしは、あなたがたのすべての|罪《つみ》を|清《きよ》める|日《ひ》に、|町々《まちまち》に|人《ひと》を|住《す》ませ、その|荒《あ》れ|跡《あと》を|建《た》て|直《なお》す。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|荒《あ》れた|地《ち》は、|行《い》き|来《き》の|人々《ひとびと》の|目《め》に|荒《あ》れ|地《ち》と|見《み》えたのに|引《ひ》きかえて|耕《たがや》される。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》は|言《い》う、『この|荒《あ》れた|地《ち》は、エデンの|園《その》のようになった。|荒《あ》れ、|滅《ほろ》び、くずれた|町々《まちまち》は、|堅固《けんご》になり、|人《ひと》の|住《す》む|所《ところ》となった』と。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|周囲《しゅうい》に|残《のこ》った|諸《しょ》|国民《こくみん》は|主《しゅ》なるわたしがくずれた|所《ところ》を|建《た》て|直《なお》し、|荒《あ》れた|所《ところ》にものを|植《う》えたということを|悟《さと》るようになる。|主《しゅ》なるわたしがこれを|言《い》い、これをなすのである。  [#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、イスラエルの|家《いえ》は、わたしが|次《つぎ》のことを|彼《かれ》らのためにするように、わたしに|求《もと》めるべきである。すなわち|人《ひと》を|群《む》れのようにふやすこと、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|犠牲《ぎせい》のための|群《む》れのように、エルサレムの|祝《いわ》い|日《び》の|群《む》れのようにすることである。こうして|荒《あ》れた|町々《まちまち》は|人《ひと》の|群《む》れで|満《み》ちる。その|時《とき》|人々《ひとびと》は、わたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》るようになる」。 第三七章[#「第三七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|手《て》がわたしに|臨《のぞ》み、|主《しゅ》はわたしを|主《しゅ》の|霊《れい》に|満《み》たして|出《で》て|行《い》かせ、|谷《たに》の|中《なか》にわたしを|置《お》かれた。そこには|骨《ほね》が|満《み》ちていた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|谷《たに》の|周囲《しゅうい》を|行《ゆ》きめぐらせた。|見《み》よ、|谷《たに》の|面《めん》には、はなはだ|多《おお》くの|骨《ほね》があり、|皆《みな》いたく|枯《か》れていた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、これらの|骨《ほね》は、|生《い》き|返《かえ》ることができるのか」。わたしは|答《こた》えた、「|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、あなたはご|存《ぞん》じです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしに|言《い》われた、「これらの|骨《ほね》に|預言《よげん》して、|言《い》え。|枯《か》れた|骨《ほね》よ、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこれらの|骨《ほね》にこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたがたのうちに|息《いき》を|入《い》れて、あなたがたを|生《い》かす。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|上《うえ》に|筋《すじ》を|与《あた》え、|肉《にく》を|生《しょう》じさせ、|皮《かわ》でおおい、あなたがたのうちに|息《いき》を|与《あた》えて|生《い》かす。そこであなたがたはわたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|命《めい》じられたように|預言《よげん》したが、わたしが|預言《よげん》した|時《とき》、|声《こえ》があった。|見《み》よ、|動《うご》く|音《おと》があり、|骨《ほね》と|骨《ほね》が|集《あつ》まって|相《あい》つらなった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ていると、その|上《うえ》に|筋《すじ》ができ、|肉《にく》が|生《しょう》じ、|皮《かわ》がこれをおおったが、|息《いき》はその|中《なか》になかった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|息《いき》に|預言《よげん》せよ、|息《いき》に|預言《よげん》して|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|息《いき》よ、|四方《しほう》から|吹《ふ》いて|来《き》て、この|殺《ころ》された|者《もの》たちの|上《うえ》に|吹《ふ》き、|彼《かれ》らを|生《い》かせ」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしが|命《めい》じられたように|預言《よげん》すると、|息《いき》はこれにはいった。すると|彼《かれ》らは|生《い》き、その|足《あし》で|立《た》ち、はなはだ|大《おお》いなる|群衆《ぐんしゅう》となった。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、これらの|骨《ほね》はイスラエルの|全家《ぜんか》である。|見《み》よ、|彼《かれ》らは|言《い》う、『われわれの|骨《ほね》は|枯《か》れ、われわれの|望《のぞ》みは|尽《つ》き、われわれは|絶《た》え|果《は》てる』と。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|彼《かれ》らに|預言《よげん》して|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わが|民《たみ》よ、|見《み》よ、わたしはあなたがたの|墓《はか》を|開《ひら》き、あなたがたを|墓《はか》からとりあげて、イスラエルの|地《ち》にはいらせる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》よ、わたしがあなたがたの|墓《はか》を|開《ひら》き、あなたがたをその|墓《はか》からとりあげる|時《とき》、あなたがたは、わたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしがわが|霊《れい》を、あなたがたのうちに|置《お》いて、あなたがたを|生《い》かし、あなたがたをその|地《ち》に|安住《あんじゅう》させる|時《とき》、あなたがたは、|主《しゅ》なるわたしがこれを|言《い》い、これをおこなったことを|悟《さと》ると、|主《しゅ》は|言《い》われる」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたは一|本《ぽん》の|木《き》を|取《と》り、その|上《うえ》に『ユダおよびその|友《とも》であるイスラエルの|子孫《しそん》のために』と|書《か》き、また一|本《ぽん》の|木《き》を|取《と》って、その|上《うえ》に『ヨセフおよびその|友《とも》であるイスラエルの|全家《ぜんか》のために』と|書《か》け。これはエフライムの|木《き》である。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこれらを|合《あ》わせて、一つの|木《き》となせ。これらはあなたの|手《て》で一つになる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》の|人々《ひとびと》があなたに|向《む》かって、『これはなんのことであるか、われわれに|示《しめ》してくれないか』と|言《い》う|時《とき》は、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これに|言《い》え、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはエフライムの|手《て》にあるヨセフと、その|友《とも》であるイスラエルの|部族《ぶぞく》の|木《き》を|取《と》り、これをユダの|木《き》に|合《あ》わせて、一つの|木《き》となす。これらはわたしの|手《て》で一つとなる。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|文字《もじ》を|書《か》いた|木《き》が、|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》で、あなたの|手《て》にあるとき、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|彼《かれ》らに|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはイスラエルの|人々《ひとびと》を、その|行《い》った|国々《くにぐに》から|取《と》り|出《だ》し、|四方《しほう》から|彼《かれ》らを|集《あつ》めて、その|地《ち》にみちびき、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》で|彼《かれ》らを一つの|民《たみ》となしてイスラエルの|山々《やまやま》におらせ、ひとりの|王《おう》が|彼《かれ》ら|全体《ぜんたい》の|王《おう》となり、|彼《かれ》らは|重《かさ》ねて二つの|国民《こくみん》とならず、|再《ふたた》び二つの|国《くに》に|分《わか》れない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた、その|偶像《ぐうぞう》と、その|憎《にく》むべきことどもと、もろもろのとがとをもって、|身《み》を|汚《けが》すことはない。わたしは|彼《かれ》らを、その|犯《おか》したすべての|背信《はいしん》から|救《すく》い|出《だ》して、これを|清《きよ》める。そして|彼《かれ》らはわが|民《たみ》となり、わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となる。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わがしもべダビデは|彼《かれ》らの|王《おう》となる。|彼《かれ》らすべての|者《もの》のために、ひとりの|牧者《ぼくしゃ》が|立《た》つ。|彼《かれ》らはわがおきてに|歩《あゆ》み、わが|定《さだ》めを|守《まも》って|行《おこな》う。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわがしもべヤコブに、わたしが|与《あた》えた|地《ち》に|住《す》む。これはあなたがたの|先祖《せんぞ》の|住《す》んだ|所《ところ》である。そこに|彼《かれ》らと、その|子《こ》らと、その|子孫《しそん》とが|永遠《えいえん》に|住《す》み、わがしもべダビデが、|永遠《えいえん》に|彼《かれ》らの|君《きみ》となる。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らと|平和《へいわ》の|契約《けいやく》を|結《むす》ぶ。これは|彼《かれ》らの|永遠《えいえん》の|契約《けいやく》となる。わたしは|彼《かれ》らを|祝福《しゅくふく》し、|彼《かれ》らをふやし、わが|聖所《せいじょ》を|永遠《えいえん》に|彼《かれ》らの|中《なか》に|置《お》く。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わがすみかは|彼《かれ》らと|共《とも》にあり、わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となり、|彼《かれ》らはわが|民《たみ》となる。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]そしてわが|聖所《せいじょ》が|永遠《えいえん》に、|彼《かれ》らのうちにあるようになるとき、|諸《しょ》|国民《こくみん》は|主《しゅ》なるわたしが、イスラエルを|聖別《せいべつ》する|者《もの》であることを|悟《さと》る」。 第三八章[#「第三八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|人《ひと》の|子《こ》よ、メセクとトバルの|大君《おおぎみ》であるマゴグの|地《ち》のゴグに、あなたの|顔《かお》を|向《む》け、これに|対《たい》して|預言《よげん》して、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、メセクとトバルの|大君《おおぎみ》であるゴグよ、|見《み》よ、わたしはあなたの|敵《てき》となる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|引《ひ》きもどし、あなたのあごにかぎをかけて、あなたと、あなたのすべての|軍勢《ぐんぜい》と、|馬《うま》と、|騎兵《きへい》とを|引《ひ》き|出《だ》す。|彼《かれ》らはみな|武具《ぶぐ》をつけ、|大盾《おおだて》、|小盾《こだて》を|持《も》ち、すべてつるぎをとる|者《もの》で|大軍《たいぐん》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ペルシャ、エチオピヤ、プテは|彼《かれ》らと|共《とも》におり、みな|盾《たて》とかぶとを|持《も》つ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ゴメルとそのすべての|軍隊《ぐんたい》、|北《きた》の|果《はて》のベテ・トガルマと、そのすべての|軍隊《ぐんたい》など、|多《おお》くの|民《たみ》もあなたと|共《とも》におる。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|備《そな》えをなせ。あなたとあなたの|所《ところ》に|集《あつ》まった|軍隊《ぐんたい》は、みな|備《そな》えをなせ。そしてあなたは|彼《かれ》らの|保護《ほご》|者《しゃ》となれ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|日《ひ》の|後《のち》、あなたは|集《あつ》められ、|終《おわ》りの|年《ねん》にあなたは|戦《たたか》いから|回復《かいふく》された|地《ち》、すなわち|多《おお》くの|民《たみ》の|中《なか》から、|人々《ひとびと》が|集《あつ》められた|地《ち》に|向《む》かい、|久《ひさ》しく|荒《あ》れすたれたイスラエルの|山々《やまやま》に|向《む》かって|進《すす》む。その|人々《ひとびと》は|国々《くにぐに》から|導《みちび》き|出《だ》されて、みな|安《やす》らかに|住《す》んでいる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたはそのすべての|軍隊《ぐんたい》および|多《おお》くの|民《たみ》を|率《ひき》いて|上《のぼ》り、|暴風《ぼうふう》のように|進《すす》み、|雲《くも》のように|地《ち》をおおう。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、その|日《ひ》に、あなたの|心《こころ》に|思《おも》いが|起《おこ》り、|悪《わる》い|計《はか》りごとを|企《くわだ》てて、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》う、『わたしは|無防備《むぼうび》の|村々《むらむら》の|地《ち》に|上《のぼ》り、|穏《おだ》やかにして|安《やす》らかに|住《す》む|民《たみ》、すべて|石《いし》がきもなく、|貫《かん》の|木《き》も|門《もん》もない|地《ち》に|住《す》む|者《もの》どもを|攻《せ》めよう』と。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてあなたは|物《もの》を|奪《うば》い、|物《もの》をかすめ、いま|人《ひと》の|住《す》むようになっている|荒《あ》れ|跡《あと》を|攻《せ》め、また|国々《くにぐに》から|集《あつ》まってきて、|地《ち》の|中央《ちゅうおう》に|住《す》み、|家畜《かちく》と|貨《か》|財《ざい》とを|持《も》つ|民《たみ》を|攻《せ》めようとする。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]シバ、デダン、タルシシの|商人《しょうにん》、およびそのもろもろの|村々《むらむら》はあなたに|言《い》う、『あなたは|物《もの》を|奪《うば》うために|来《き》たのか。|物《もの》をかすめるために|軍隊《ぐんたい》を|集《あつ》めたのか。あなたは|金銀《きんぎん》を|持《も》ち|去《さ》り、|家畜《かちく》と|貨《か》|財《ざい》とを|取《と》りあげ、|大《おお》いに|物《もの》を|奪《うば》おうとするのか』と。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|人《ひと》の|子《こ》よ、ゴグに|預言《よげん》して|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わが|民《たみ》イスラエルの|安《やす》らかに|住《す》むその|日《ひ》に、あなたは|立《た》ちあがり、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》の|果《はて》のあなたの|所《ところ》から|来《く》る。|多《おお》くの|民《たみ》はあなたと|共《とも》におり、みな|馬《うま》に|乗《の》り、その|軍隊《ぐんたい》は|大《おお》きく、その|兵士《へいし》は|強《つよ》い。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|民《たみ》イスラエルに|攻《せ》めのぼり、|雲《くも》のように|地《ち》をおおう。ゴグよ、|終《おわ》りの|日《ひ》にわたしはあなたを、わが|国《くに》に|攻《せ》めきたらせ、あなたをとおして、わたしの|聖《せい》なることを|諸《しょ》|国民《こくみん》の|目《め》の|前《まえ》にあらわして、|彼《かれ》らにわたしを|知《し》らせる。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、わたしが|昔《むかし》、わがしもべイスラエルの|預言者《よげんしゃ》たちによって|語《かた》ったのは、あなたのことではないか。すなわち|彼《かれ》らは、そのころ|年《とし》|久《ひさ》しく|預言《よげん》して、わたしはあなたを|送《おく》って、|彼《かれ》らを|攻《せ》めさせると|言《い》ったではないか。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、その|日《ひ》、すなわちゴグがイスラエルの|地《ち》に|攻《せ》め|入《い》る|日《ひ》に、わが|怒《いか》りは|現《あらわ》れる。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わがねたみと、|燃《も》えたつ|怒《いか》りとをもって|言《い》う。その|日《ひ》には|必《かなら》ずイスラエルの|地《ち》に、|大《おお》いなる|震動《しんどう》があり、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》の|魚《うお》、|空《そら》の|鳥《とり》、|野《の》の|獣《けもの》、すべての|地《ち》に|這《は》うもの、|地《ち》のおもてにあるすべての|人《ひと》は、わが|前《まえ》に|打《う》ち|震《ふる》える。また|山々《やまやま》はくずれ、がけは|落《お》ち、すべての|石《いし》がきは|地《ち》に|倒《たお》れる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしはゴグに|対《たい》し、すべての|恐《おそ》れを|呼《よ》びよせる。すべての|人《ひと》のつるぎは、その|兄弟《きょうだい》に|向《む》けられる。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|疫病《えきびょう》と|流血《りゅうけつ》とをもって|彼《かれ》をさばく。わたしはみなぎる|雨《あめ》と、ひょうと、|火《ひ》と、|硫黄《いおう》とを、|彼《かれ》とその|軍隊《ぐんたい》および|彼《かれ》と|共《とも》におる|多《おお》くの|民《たみ》の|上《うえ》に|降《ふ》らせる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしはわたしの|大《おお》いなることと、わたしの|聖《せい》なることとを、|多《おお》くの|国民《こくみん》の|目《め》に|示《しめ》す。そして|彼《かれ》らはわたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。 第三九章[#「第三九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、ゴグに|向《む》かって|預言《よげん》して|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、メセクとトバルの|大君《おおぎみ》であるゴグよ、|見《み》よ、わたしはあなたの|敵《てき》となる。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたを|引《ひ》きもどし、あなたを|押《お》しやり、|北《きた》の|果《はて》から|上《のぼ》らせ、イスラエルの|山々《やまやま》に|導《みちび》き、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|左《ひだり》の|手《て》から|弓《ゆみ》を|打《う》ち|落《おと》し、|右《みぎ》の|手《て》から|矢《や》を|落《おと》させる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたとあなたのすべての|軍隊《ぐんたい》およびあなたと|共《とも》にいる|民《たみ》たちは、イスラエルの|山々《やまやま》に|倒《たお》れる。わたしはあなたを、|諸種《しょしゅ》の|猛禽《もうきん》と|野獣《やじゅう》とに|与《あた》えて|食《く》わせる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|野《の》の|面《おもて》に|倒《たお》れる。わたしがこれを|言《い》ったからであると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはゴグと、|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》に|安《やす》らかに|住《す》む|者《もの》に|対《たい》して|火《ひ》を|送《おく》り、|彼《かれ》らにわたしが|主《しゅ》であることを|悟《さと》らせる。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|聖《せい》なる|名《な》を、わが|民《たみ》イスラエルのうちに|知《し》らせ、|重《かさ》ねてわが|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》させない。|諸《しょ》|国民《こくみん》はわたしが|主《しゅ》、イスラエルの|聖者《せいじゃ》であることを|悟《さと》る。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、|見《み》よ、これは|来《く》る、|必《かなら》ず|成就《じょうじゅ》する。これはわたしが|言《い》った|日《ひ》である。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|町々《まちまち》に|住《す》む|者《もの》は|出《で》て|来《き》て、|武器《ぶき》すなわち|大盾《おおだて》、|小盾《こだて》、|弓《ゆみ》、|矢《や》、|手《て》やり、およびやりなどを|燃《も》やし、|焼《や》き、七|年《ねん》の|間《あいだ》これを|火《ひ》に|燃《も》やす。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|野《の》から|木《き》を|取《と》らず、|森《もり》から|木《き》を|切《き》らず、|武器《ぶき》で|火《ひ》を|燃《も》やし、|自分《じぶん》をかすめた|者《もの》をかすめ、|自分《じぶん》の|物《もの》を|奪《うば》った|者《もの》を|奪《うば》うと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、わたしはイスラエルのうちに、|墓地《ぼち》をゴグに|与《あた》える。これは|旅《たび》びとの|谷《たに》にあって|海《うみ》の|東《ひがし》にある。これは|旅《たび》びとを|妨《さまた》げる。そこにゴグとその|民衆《みんしゅう》を|埋《う》めるからである。これをハモン・ゴグの|谷《たに》と|名《な》づける。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》はこれを|埋《う》めて、|地《ち》を|清《きよ》めるために七か|月《げつ》を|費《ついや》す。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》のすべての|民《たみ》はこれを|埋《う》め、これによって|名《な》を|高《たか》める。これはわが|栄《さか》えを|現《あらわ》す|日《ひ》であると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|人々《ひとびと》を|選《えら》んで、|絶《た》えず|国《くに》の|中《なか》を|行《ゆ》きめぐらせ、|地《ち》のおもてに|残《のこ》っている|者《もの》を|埋《う》めて、これを|清《きよ》めさせる。七か|月《げつ》の|終《おわ》りに|彼《かれ》らは|尋《たず》ねる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》を|行《ゆ》きめぐる|者《もの》が|行《ゆ》きめぐって、|人《ひと》の|骨《ほね》を|見《み》る|時《とき》、|死人《しにん》を|埋《う》める|者《もの》が、これをハモン・ゴグの|谷《たに》に|埋《う》めるまで、そのかたわらに、|標《しるべ》を|建《た》てて|置《お》く。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり](ハモナの|町《まち》もそこにある。)こうして|彼《かれ》らはその|国《くに》を|清《きよ》める。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|人《ひと》の|子《こ》よ、|諸種《しょしゅ》の|鳥《とり》と|野《の》の|獣《けもの》とに|言《い》え、みな|集《あつ》まってこい。わたしがおまえたちのために|供《そな》えた|犠牲《ぎせい》、すなわちイスラエルの|山々《やまやま》の|上《うえ》にある、|大《おお》いなる|犠牲《ぎせい》に、|四方《しほう》から|集《あつ》まり、その|肉《にく》を|食《く》い、その|血《ち》を|飲《の》め。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]おまえたちは|勇士《ゆうし》の|肉《にく》を|食《く》い、|地《ち》の|君《きみ》たちの|血《ち》を|飲《の》め。|雄羊《おひつじ》、|小羊《こひつじ》、|雄《お》やぎ、|雄牛《おうし》などすべてバシャンの|肥《こ》えた|獣《けもの》を|食《く》え。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしがおまえたちのために|供《そな》えた|犠牲《ぎせい》は、|飽《あ》きるまでその|脂肪《しぼう》を|食《た》べ、|酔《よ》うまで|血《ち》を|飲《の》め。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]おまえたちはわが|食卓《しょくたく》について|馬《うま》と、|騎手《きしゅ》と、|勇士《ゆうし》と、もろもろの|戦士《せんし》とを|飽《あ》きるほど|食《た》べると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|栄光《えいこう》を|諸《しょ》|国民《こくみん》に|示《しめ》す。すべての|国民《こくみん》はわたしが|行《おこな》ったさばきと、わたしが|彼《かれ》らの|上《うえ》に|加《くわ》えた|手《て》とを|見《み》る。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》から|後《のち》、イスラエルの|家《いえ》はわたしが|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》であることを|悟《さと》るようになる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]また|諸《しょ》|国民《こくみん》はイスラエルの|家《いえ》が、その|悪《あく》によって|捕《とら》え|移《うつ》されたことを|悟《さと》る。|彼《かれ》らがわたしにそむいたので、わたしはわが|顔《かお》を|彼《かれ》らに|隠《かく》し、|彼《かれ》らをその|敵《てき》の|手《て》に|渡《わた》した。それで|彼《かれ》らは|皆《みな》つるぎに|倒《たお》れた。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らの|汚《けが》れと、とがとに|従《したが》って、|彼《かれ》らを|扱《あつか》い、わたしの|顔《かお》を|彼《かれ》らに|隠《かく》した。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、いまわたしはヤコブの|幸福《こうふく》をもとに|返《かえ》し、イスラエルの|全家《ぜんか》をあわれみ、わが|聖《せい》なる|名《な》のために、ねたみを|起《おこ》す。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、その|国《くに》に|安《やす》らかに|住《す》み、だれもこれを|恐《おそ》れさせる|者《もの》がないようになった|時《とき》、|自分《じぶん》の|恥《はじ》と、わたしに|向《む》かってなした|反逆《はんぎゃく》とを|忘《わす》れる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|彼《かれ》らを|諸《しょ》|国民《こくみん》の|中《なか》から|帰《かえ》らせ、その|敵《てき》の|国《くに》から|呼《よ》び|集《あつ》め、|彼《かれ》らによって、わたしの|聖《せい》なることを、|多《おお》くの|国民《こくみん》の|前《まえ》に|示《しめ》す|時《とき》、[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは、わたしが|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》であることを|悟《さと》る。これはわたしが|彼《かれ》らを|諸《しょ》|国民《こくみん》のうちに|移《うつ》し、またこれをその|国《くに》に|呼《よ》び|集《あつ》めたからである。わたしはそのひとりをも、|国々《くにぐに》のうちに|残《のこ》すことをしない。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わが|霊《れい》をイスラエルの|家《いえ》に|注《そそ》ぐ|時《とき》、|重《かさ》ねてわが|顔《かお》を|彼《かれ》らに|隠《かく》さないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第四〇章[#「第四〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]われわれが|捕《とら》え|移《うつ》されてから二十五|年《ねん》、|都《みやこ》が|打《う》ち|破《やぶ》られて|後《のち》十四|年《ねん》、その|年《ねん》の|初《はじ》めの|月《つき》の十|日《か》、その|日《ひ》に|主《しゅ》の|手《て》がわたしに|臨《のぞ》み、わたしをかの|所《ところ》に|携《たずさ》えて|行《い》った。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|神《かみ》は|幻《まぼろし》のうちに、わたしをイスラエルの|地《ち》に|携《たずさ》えて|行《い》って、|非常《ひじょう》に|高《たか》い|山《やま》の|上《うえ》におろされた。その|山《やま》の|上《うえ》に、わたしと|相対《あいたい》して、一つの|町《まち》のような|建物《たてもの》があった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》がわたしをそこに|携《たずさ》えて|行《い》かれると、|見《み》よ、ひとりの|人《ひと》がいた。その|姿《すがた》は|青銅《せいどう》の|形《かたち》のようで、|手《て》に|麻《あさ》のなわと、|測《はか》りざおとを|持《も》って|門《もん》に|立《た》っていた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》はわたしに|言《い》った、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|目《め》で|見《み》、|耳《みみ》で|聞《き》き、わたしがあなたに|示《しめ》す、すべての|事《こと》を|心《こころ》にとめよ。あなたをここに|携《たずさ》えて|来《き》たのは、これをあなたに|示《しめ》すためである。あなたの|見《み》ることを、ことごとくイスラエルの|家《いえ》に|告《つ》げよ」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|宮《みや》の|外《そと》の|周囲《しゅうい》に、かきがあり、その|人《ひと》の|手《て》に六キュビトの|測《はか》りざおがあった。そのキュビトは、おのおの一キュビトと|一《ひと》|手《て》|幅《はば》とである。|彼《かれ》が、そのかきの|厚《あつ》さを|測《はか》ると、一さおあり、|高《たか》さも一さおあった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|東《ひがし》|向《む》きの|門《もん》に|行《い》き、その|階段《かいだん》を|上《のぼ》って、|門《もん》の|敷居《しきい》を|測《はか》ると、その|厚《あつ》さは一さおあり、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|詰《つ》め|所《しょ》は|長《なが》さ一さお、|幅《はば》一さお、|詰《つ》め|所《しょ》と、|詰《つ》め|所《しょ》との|間《あいだ》は五キュビトあり、|内《うち》の|門《もん》の|廊《ろう》のかたわらの|門《もん》の|敷居《しきい》は一さおあった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》の|廊《ろう》を|測《はか》ると八キュビトあり、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|脇《わき》|柱《ばしら》は二キュビト、|門《もん》の|廊《ろう》は|内側《うちがわ》にあった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》|向《む》きの|門《もん》の|詰《つ》め|所《しょ》は、こなたに三つ、かなたに三つあり、三つとも|同《おな》じ|寸法《すんぽう》である。|脇《わき》|柱《ばしら》もまた、こなたかなたともに|同《おな》じ|寸法《すんぽう》である。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》の|入口《いりぐち》の|広《ひろ》さを|測《はか》ると十キュビトあり、|門《もん》の|長《なが》さは十三キュビトあった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|詰《つ》め|所《しょ》の|前《まえ》の|境《さかい》は一キュビト、かなたの|境《さかい》も一キュビトで、|詰《つ》め|所《しょ》は、こなたかなたともに六キュビトあった。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまたこの|詰《つ》め|所《しょ》の|裏《うら》から、かの|詰《つ》め|所《しょ》の|裏《うら》まで、|門《もん》を|測《はか》ると、|入口《いりぐち》から|入口《いりぐち》まで二十五キュビトあった。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまた|廊《ろう》を|測《はか》ると二十キュビトあり、|門《もん》の|廊《ろう》の|周囲《しゅうい》は、すべて|庭《にわ》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|入口《いりぐち》の|門《もん》の|前《まえ》から|内《うち》の|門《もん》の|廊《ろう》の|前《まえ》まで五十キュビトあり、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|詰《つ》め|所《しょ》と、|門《もん》の|内側《うちがわ》の|周囲《しゅうい》の|脇《わき》|柱《ばしら》とに|窓《まど》があり、|廊《ろう》の|内側《うちがわ》の|周囲《しゅうい》にも、|同様《どうよう》に|窓《まど》があり、|脇《わき》|柱《ばしら》には、しゅろがあった。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまたわたしを|外《そと》|庭《にわ》に|携《たずさ》え|入《い》れると、|見《み》よ、|庭《にわ》の|周囲《しゅうい》に|設《もう》けた|室《しつ》と、|敷石《しきいし》とがあり、|敷石《しきいし》の|上《うえ》に三十の|室《しつ》があった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|敷石《しきいし》は|門《もん》のわきにあり、|門《もん》と|同《おな》じ|長《なが》さで、これは|下《した》の|敷石《しきいし》である。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|下《した》の|門《もん》の|内《うち》の|前《まえ》から、|内庭《うちにわ》の|外《そと》の|前《まえ》までの|距離《きょり》を|測《はか》ると、百キュビトあった。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》はわたしに|先《さき》だって|北《きた》へ|行《い》った。|見《み》よ、そこに|外《そと》|庭《にわ》に|属《ぞく》する|北《きた》|向《む》きの|門《もん》があった。|彼《かれ》はその|長《なが》さと|幅《はば》とを|測《はか》った。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|詰《つ》め|所《しょ》が、こなたに三つ、かなたに三つあり、また|脇《わき》|柱《ばしら》と|廊《ろう》とがあった。これらは|初《はじ》めの|門《もん》と|同《おな》じ|寸法《すんぽう》で、|長《なが》さは五十キュビト、|幅《はば》は二十五キュビトである。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|窓《まど》と、|廊《ろう》と、しゅろとは、|東《ひがし》|向《む》きの|門《もん》にあるものと|同《おな》じ|寸法《すんぽう》である。そして七|段《だん》の|階段《かいだん》を|経《へ》て、それに|上《のぼ》ると、|廊《ろう》は|内側《うちがわ》にあった。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|内庭《うちにわ》の|門《もん》は|北《きた》と|東《ひがし》の|門《もん》に|向《む》かっていた。|彼《かれ》が|門《もん》から|門《もん》までを|測《はか》ると、百キュビトあった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまたわたしを|南《みなみ》へ|行《い》かせると、|見《み》よ、|南《みなみ》|向《む》きの|門《もん》があった。その|脇《わき》|柱《ばしら》と|廊《ろう》を|測《はか》ると、|他《ほか》と|同《おな》じ|寸法《すんぽう》であった。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]これと、その|廊《ろう》の|周囲《しゅうい》とに、|他《た》の|窓《まど》のような|窓《まど》があって、その|長《なが》さは五十キュビト、|幅《はば》は二十五キュビトあった。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]これを|上《のぼ》るのに七|段《だん》の|階段《かいだん》があり、その|廊《ろう》は|内側《うちがわ》にあった。その|脇《わき》|柱《ばしら》の|上《うえ》には、こなたに一つ、かなたに一つのしゅろがあった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|内庭《うちにわ》には|南《みなみ》|向《む》きの|門《もん》があり、|門《もん》から|門《もん》まで|南《みなみ》の|方《ほう》へ|測《はか》ると、百キュビトあった。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしを|南《みなみ》の|門《もん》から|内庭《うちにわ》にはいらせ、|南《みなみ》の|門《もん》を|測《はか》ると、さきのものと、|同《おな》じ|寸法《すんぽう》であった。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|詰《つ》め|所《しょ》と、|脇《わき》|柱《ばしら》と、|廊《ろう》とは、|他《た》のものと|同《おな》じ|寸法《すんぽう》で、その|門《もん》と、|廊《ろう》の|周囲《しゅうい》とには|窓《まど》があり、|門《もん》の|長《なが》さは五十キュビト、|幅《はば》は二十五キュビトであった。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|周囲《しゅうい》に|廊《ろう》があって、その|長《なが》さは二十五キュビト、|幅《はば》は五キュビトである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|廊《ろう》は|外《そと》|庭《にわ》に|面《めん》して、|脇《わき》|柱《ばしら》の|上《うえ》にしゅろがあり、その|階段《かいだん》は八|段《だん》であった。  [#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしを|内庭《うちにわ》の|東《ひがし》の|方《ほう》に|携《たずさ》えて|行《い》って、|門《もん》を|測《はか》った。それは|他《ほか》と|同《おな》じ|寸法《すんぽう》であった。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]その|詰《つ》め|所《しょ》と、|脇《わき》|柱《ばしら》と、|廊《ろう》とは、|他《ほか》と|同《おな》じ|寸法《すんぽう》で、その|門《もん》と、その|廊《ろう》の|周囲《しゅうい》とに|窓《まど》があり、|門《もん》の|長《なが》さは五十キュビト、|幅《はば》は二十五キュビトである。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その|廊《ろう》は|外《そと》|庭《にわ》に|面《めん》し、その|脇《わき》|柱《ばしら》の|上《うえ》には、こなたかなたに、しゅろがあり、その|階段《かいだん》は八|段《だん》であった。  [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまたわたしを|北《きた》の|門《もん》に|携《たずさ》えて|行《い》って、これを|測《はか》ると、それは|他《ほか》と|同《おな》じ|寸法《すんぽう》であった。[#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]その|詰《つ》め|所《しょ》と、|脇《わき》|柱《ばしら》と、|廊《ろう》とは、|他《ほか》と|同《おな》じ|寸法《すんぽう》で、その|周囲《しゅうい》に|窓《まど》があり、|門《もん》の|長《なが》さは五十キュビト、|幅《はば》は二十五キュビトである。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]その|廊《ろう》は|外《そと》|庭《にわ》に|面《めん》し、その|脇《わき》|柱《ばしら》の|上《うえ》には、こなたかなたに、しゅろがあり、その|階段《かいだん》は八|段《だん》であった。  [#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》の|廊《ろう》に|戸《と》のある|室《しつ》があって、そこは|燔祭《はんさい》の|物《もの》を|洗《あら》う|所《ところ》である。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》の|廊《ろう》に、こなたに二つの|台《だい》、かなたに二つの|台《だい》があり、その|上《うえ》で、|燔祭《はんさい》、|罪祭《ざいさい》、|愆祭《けんさい》の|物《もの》をほふるのであった。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》の|門《もん》の|入口《いりぐち》にある|廊《ろう》の|外《そと》の|片側《かたがわ》に、二つの|台《だい》があり、|門《もん》の|廊《ろう》の|他《た》の|側《がわ》にも、二つの|台《だい》があり、[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|門《もん》のかたわら、|内側《うちがわ》に四つの|台《だい》、|外側《そとがわ》に四つの|台《だい》があって、|合《あ》わせて八つの|台《だい》である。その|上《うえ》で、|犠牲《ぎせい》の|物《もの》をほふるのである。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]そこにまた|燔祭《はんさい》のために四つの|切《き》り|石《いし》の|台《だい》があり、その|長《なが》さは一キュビト|半《はん》、|幅《はば》は一キュビト|半《はん》、|高《たか》さは一キュビト、その|上《うえ》に|燔祭《はんさい》および|犠牲《ぎせい》をほふる|器《うつわ》を|置《お》くのである。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|内《うち》の|周囲《しゅうい》に、|一《ひと》|手《て》|幅《はば》の|折《お》り|釘《くぎ》が|打《う》ちつけてあって、|供《そな》え|物《もの》の|肉《にく》は、|台《だい》の|上《うえ》に|置《お》かれるのである。  [#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしを、|外《そと》から|内庭《うちにわ》に|連《つ》れてはいった。|見《み》よ、|内庭《うちにわ》に二つの|室《しつ》があり、一つは|北《きた》の|門《もん》のかたわらにあって|南《みなみ》に|向《む》かい、一つは|南《みなみ》の|門《もん》のかたわらにあって、|北《きた》に|向《む》かっていた。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、この|南《みなみ》|向《む》きの|室《しつ》は、|宮《みや》を|守《まも》る|祭司《さいし》のためのもの、[#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]また|北《きた》|向《む》きの|室《しつ》は、|祭壇《さいだん》を|守《まも》る|祭司《さいし》のためのものである。その|人《ひと》たちは、レビの|子孫《しそん》のうちのザドクの|子孫《しそん》であって、|主《しゅ》に|近《ちか》く|仕《つか》える|者《もの》たちである。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》が|庭《にわ》を|測《はか》ると、その|長《なが》さは百キュビト、|幅《はば》も百キュビトで四|角《かく》である。|宮《みや》の|前《まえ》には|祭壇《さいだん》があった。  [#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしを|宮《みや》の|廊《ろう》に|連《つ》れて|行《い》って、|廊《ろう》の|脇《わき》|柱《ばしら》を|測《はか》ると、こなたも五キュビト、かなたも五キュビトであり、|門《もん》の|幅《はば》は十四キュビトである。|門《もん》の|壁《かべ》は、こなたも三キュビト、かなたも三キュビトである。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]|廊《ろう》の|長《なが》さは二十キュビト、|幅《はば》は十二キュビトであり、十の|階段《かいだん》によって|上《のぼ》るのである。|脇《わき》|柱《ばしら》に|沿《そ》って、こなたに一つ、かなたに一つの|柱《はしら》があった。 第四一章[#「第四一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしを|拝殿《はいでん》に|連《つ》れて|行《い》って、|脇《わき》|柱《ばしら》を|測《はか》ると、こなたの|幅《はば》も六キュビト、かなたの|幅《はば》も六キュビトあった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|戸《と》の|幅《はば》は十キュビト、|戸《と》のわきの|壁《かべ》は、こなたも五キュビト、かなたも五キュビトあった。|彼《かれ》はまた|拝殿《はいでん》の|長《なが》さを|測《はか》ると四十キュビト、その|幅《はば》は二十キュビトあった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまた|内《うち》にはいって、|戸《と》の|脇《わき》|柱《ばしら》を|測《はか》ると、それは二キュビトあり、|戸《と》の|幅《はば》は六キュビト、|戸《と》のわきの|壁《かべ》は七キュビトあった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|拝殿《はいでん》の|奥《おく》の|室《しつ》の|長《なが》さを|測《はか》ると二十キュビト、|幅《はば》も二十キュビトあった。そして|彼《かれ》はわたしに、これは|至聖所《しせいじょ》であると|言《い》った。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|宮《みや》の|壁《かべ》を|測《はか》ると、その|厚《あつ》さは六キュビトあり、|宮《みや》の|周囲《しゅうい》の|脇間《わきま》の|広《ひろ》さは、|四方《しほう》おのおの四キュビトあり、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|脇間《わきま》は、|室《しつ》の|上《うえ》に|室《しつ》があって三|階《かい》になり、|各階《かくかい》に三十の|室《しつ》がある。|宮《みや》の|周囲《しゅうい》の|壁《かべ》には、|脇間《わきま》をささえる|突起《とっき》があった。これは|脇間《わきま》が、|宮《みや》の|壁《かべ》そのものによってささえられないためである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|脇間《わきま》は、|宮《みや》の|周囲《しゅうい》の|各階《かくかい》にある|突起《とっき》につれて、|階《かい》を|重《かさ》ねて|上《うえ》にいくにしたがって|広《ひろ》くなり、|宮《みや》の|外部《がいぶ》の|階段《かいだん》が|上《うえ》に|通《つう》じ、一|階《かい》から三|階《かい》へは、二|階《かい》をとおって|上《のぼ》るのである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|宮《みや》の|周囲《しゅうい》に|高《たか》い|所《ところ》のあるのを|見《み》た。|脇間《わきま》の|基《もとい》を|測《はか》ると、六キュビトの一さおあった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|脇間《わきま》の|外《そと》の|壁《かべ》の|厚《あつ》さは五キュビト、あき|地《ち》になっている|高《たか》い|所《ところ》は五キュビトあった。|宮《みや》の|高《たか》い|所《ところ》と、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|庭《にわ》の|室《しつ》の|間《あいだ》には、|宮《みや》の|周囲《しゅうい》に、|広《ひろ》さ二十キュビトの|所《ところ》があった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|脇間《わきま》の|戸《と》は、あき|地《ち》になっている|高《たか》い|所《ところ》に|向《む》かって|開《ひら》け、一つの|戸《と》は|北《きた》に|向《む》かい、一つの|戸《と》は|南《みなみ》に|向《む》かっていた。そのあき|地《ち》になっている|所《ところ》の|幅《はば》は、|周囲《しゅうい》五キュビトであった。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|方《ほう》の|宮《みや》の|庭《にわ》に|面《めん》した|建物《たてもの》は、|幅《はば》七十キュビト、その|建物《たてもの》の|周囲《しゅうい》の|壁《かべ》の|厚《あつ》さは五キュビト、|長《なが》さは九十キュビトであった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|宮《みや》を|測《はか》ると、その|長《なが》さは百キュビトあり、その|庭《にわ》と|建物《たてもの》と、その|壁《かべ》は|長《なが》さ百キュビト、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]また|宮《みや》の|東《ひがし》に|面《めん》した|所《ところ》と|庭《にわ》との|幅《はば》は百キュビトであった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|西《にし》の|方《ほう》の|庭《にわ》に|面《めん》した|建物《たてもの》と、その|壁《かべ》の|長《なが》さを|測《はか》ると、かなた、こなたともに百キュビトであった。|宮《みや》の|拝殿《はいでん》と、|内部《ないぶ》の|室《しつ》と、|外《そと》の|廊《ろう》とには、|羽目板《はめいた》があった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これらの三つのものの|周囲《しゅうい》には、すべて|引込《ひっこ》み|枠《わく》の|窓《まど》があり、|宮《みや》の|敷居《しきい》に|面《めん》して、|宮《みや》の|周囲《しゅうい》は、|床《ゆか》から|窓《まど》まで、|羽目板《はめいた》であって、|窓《まど》には、おおいがあった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|戸《と》の|上《うわ》の|空《そら》|所《ところ》、|内室《ないしつ》、|外《そと》|室《しつ》ともに、|羽目板《はめいた》であった。|内室《ないしつ》および|拝殿《はいでん》の|周囲《しゅうい》のすべての|壁《かべ》には、|同《おな》じように|彫刻《ちょうこく》してあった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]すなわちケルビムと、しゅろとが|彫刻《ちょうこく》してあった。ケルブとケルブとの|間《あいだ》に、しゅろがあり、おのおののケルブには、二つの|顔《かお》があり、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こなたには、しゅろに|向《む》かって、|人《ひと》の|顔《かお》があり、かなたには、しゅろに|向《む》かって、|若《わか》じしの|顔《かお》があり、|宮《みや》の|周囲《しゅうい》は、すべてこのように|彫刻《ちょうこく》してあった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|床《ゆか》から|戸《と》の|上《うえ》まで、ケルビムと、しゅろとが、|壁《かべ》に|彫刻《ちょうこく》してあった。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|拝殿《はいでん》の|柱《ばしら》は四|角《かく》であった。|聖所《せいじょ》の|前《まえ》には、|木《き》の|祭壇《さいだん》に|似《に》たものがあった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|高《たか》さは三キュビト、|長《なが》さは二キュビト、|幅《はば》は二キュビトで、すみと、|台《だい》と、|壁《かべ》とは、ともに|木《き》である。|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「これは|主《しゅ》の|前《まえ》にある|机《つくえ》である」[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|拝殿《はいでん》と|聖所《せいじょ》とには、二つの|戸《と》があり、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|戸《と》には、二つのとびらがあった。すなわち二つの|開《ひら》き|戸《ど》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|拝殿《はいでん》の|戸《と》には、おのおのにケルビムと、しゅろとが、|彫刻《ちょうこく》してあって、それは|壁《かべ》に|彫刻《ちょうこく》したものと|同《おな》じである。また|外《そと》の|廊《ろう》に|面《めん》して、|木《き》の|天蓋《てんがい》があり、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|廊《ろう》の|壁《かべ》には、こなたかなたに|引込《ひっこ》み|窓《まど》と、しゅろとがあった。 第四二章[#「第四二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしを|北《きた》の|方《ほう》の|内庭《うちにわ》に|連《つ》れ|出《だ》し、|庭《にわ》に|向《む》かった|北《きた》の|方《ほう》の|建物《たてもの》に|対《たい》する|室《しつ》に|導《みちび》いた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|北側《きたがわ》にある|建物《たてもの》の|長《なが》さは百キュビト、|幅《はば》は五十キュビトである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]二十キュビトの|内庭《うちにわ》に|続《つづ》いて、|外《そと》|庭《にわ》の|敷石《しきいし》に|面《めん》し、三|階《かい》になった|廊下《ろうか》があった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]また|室《しつ》の|前《まえ》に|幅《はば》十キュビト、|長《なが》さ百キュビトの|通路《つうろ》があった。その|戸《と》は|北《きた》に|向《む》かっていた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|建物《たてもの》の|上《うえ》の|室《しつ》は、|下《した》の|室《しつ》と|中《なか》の|室《しつ》よりも|狭《せま》かった。それは|廊下《ろうか》のために、|場所《ばしょ》を|取《と》ったためである。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これらは三|階《かい》であって、|外《そと》|庭《にわ》の|柱《はしら》のような|柱《はしら》は|持《も》たなかった。それで|上《うえ》の|室《しつ》は、|下《した》および|中《なか》の|室《しつ》よりも|狭《せま》いのである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|室《しつ》の|外《そと》に|沿《そ》ってかきがあり、それは|他《た》の|室《しつ》に|向《む》かって|外《そと》|庭《にわ》に|至《いた》る。その|長《なが》さは五十キュビト、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|外《そと》|庭《にわ》の|室《しつ》の|長《なが》さも五十キュビトあった。|宮《みや》に|面《めん》する|所《ところ》は百キュビトであった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]これらの|室《しつ》の|下《した》に|外《そと》|庭《にわ》からこれにはいるように、|東側《ひがしがわ》に|入口《いりぐち》があった。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|外側《そとがわ》のかきは、|外《そと》|庭《にわ》に|始《はじ》まっている。  |南《みなみ》の|方《ほう》で、|庭《にわ》と|建物《たてもの》との|前《まえ》に、|室《しつ》があった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|北《きた》|向《む》きの|室《しつ》と|同様《どうよう》に、その|前《まえ》に|通路《つうろ》があり、その|長《なが》さも|幅《はば》も|同様《どうよう》で、その|出口《でぐち》もその|配置《はいち》もその|戸《と》も|同様《どうよう》である。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》の|室《しつ》の|下《した》に、|人々《ひとびと》が|通路《つうろ》にはいる|東《ひがし》の|入口《いりぐち》があり、これに|対《たい》して|隔《へだ》てのかきがあった。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「|庭《にわ》に|面《めん》した|北《きた》の|室《しつ》と、|南《みなみ》の|室《しつ》とは、|聖《せい》なる|室《しつ》であって、|主《しゅ》に|近《ちか》く|仕《つか》える|祭司《さいし》たちが、|最《もっと》も|聖《せい》なるものを|食《た》べる|場所《ばしょ》である。その|場所《ばしょ》に|彼《かれ》らは、|最《もっと》も|聖《せい》なるもの、すなわち|素祭《そさい》、|罪祭《ざいさい》、|愆祭《けんさい》のものを|置《お》かなければならない。その|場所《ばしょ》は|聖《せい》だからである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちが、|聖所《せいじょ》にはいった|時《とき》は、そこから|外《そと》|庭《にわ》に|出《で》てはならない。|彼《かれ》らは|勤《つと》めを|行《おこな》う|衣服《いふく》を、その|所《ところ》に|置《お》かなければならない。これは|聖《せい》だからである。|彼《かれ》らは|民衆《みんしゅう》に|属《ぞく》する|場所《ばしょ》に|近《ちか》づく|前《まえ》に、|他《た》の|衣服《いふく》を|着《つ》けなければならない」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|宮《みや》の|庭《にわ》の|内部《ないぶ》を|測《はか》り|終《お》えると、|東《ひがし》|向《む》きの|門《もん》の|道《みち》から、わたしを|連《つ》れ|出《だ》して、|宮《みや》の|周囲《しゅうい》を|測《はか》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|測《はか》りざおで、|東側《ひがしがわ》を|測《はか》ると、|測《はか》りざおで五百キュビトあり、[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|転《てん》じて、|北側《きたがわ》を|測《はか》ると、|測《はか》りざおで五百キュビトあり、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|転《てん》じて、|南側《みなみがわ》を|測《はか》ると、|測《はか》りざおで五百キュビトあり、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]また|転《てん》じて、|西側《にしがわ》を|測《はか》ると、|測《はか》りざおで五百キュビトあった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]このように、|四方《しほう》を|測《はか》ったが、その|周囲《しゅうい》に、|長《なが》さ五百キュビト、|幅《はば》五百キュビトのかきがあって、|聖所《せいじょ》と、|俗《ぞく》の|所《ところ》との|隔《へだ》てをなしていた。 第四三章[#「第四三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|彼《かれ》はわたしを|門《もん》に|導《みちび》いた。|門《もん》は|東《ひがし》に|面《めん》していた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|見《み》よ、イスラエルの|神《かみ》の|栄光《えいこう》が、|東《ひがし》の|方《ほう》から|来《き》たが、その|来《く》る|響《ひび》きは、|大水《おおみず》の|響《ひび》きのようで、|地《ち》はその|栄光《えいこう》で|輝《かがや》いた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》た|幻《まぼろし》の|様《よう》は、|彼《かれ》がこの|町《まち》を|滅《ほろ》ぼしに|来《き》た|時《とき》に、わたしが|見《み》た|幻《まぼろし》と|同様《どうよう》で、これはまたわたしがケバル|川《がわ》のほとりで|見《み》た|幻《まぼろし》のようであった。それでわたしは|顔《かお》を|伏《ふ》せた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が、|東《ひがし》の|方《ほう》に|面《めん》した|門《もん》の|道《みち》から|宮《みや》にはいった|時《とき》、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|霊《れい》がわたしを|引《ひ》き|上《あ》げて、|内庭《うちにわ》に|導《みちび》き|入《い》れると、|見《み》よ、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|宮《みや》に|満《み》ちた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》がわたしのかたわらに|立《た》った|時《とき》、わたしはひとりの|人《ひと》が、|宮《みや》の|中《なか》からわたしに|語《かた》るのを|聞《き》いた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「|人《ひと》の|子《こ》よ、これはわたしの|位《くらい》のある|所《ところ》、わたしの|足《あし》の|裏《うら》の|踏《ふ》む|所《ところ》、わたしが|永久《えいきゅう》にイスラエルの|人々《ひとびと》の|中《なか》に|住《す》む|所《ところ》である。またイスラエルの|家《いえ》は、|民《たみ》もその|王《おう》たちも、|再《ふたた》び|姦淫《かんいん》と、|王《おう》たちの|死体《したい》とをもって、わが|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》さない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|敷居《しきい》を、わが|敷居《しきい》のかたわらに|設《もう》け、その|門柱《もんちゅう》を、わが|門柱《もんちゅう》のかたわらに|設《もう》けたので、わたしと|彼《かれ》らとの|間《あいだ》には、わずかに|壁《かべ》があるのみである。そして|彼《かれ》らは、その|犯《おか》した|憎《にく》むべき|事《こと》をもって、わが|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》したので、わたしは|怒《いか》りをもって、これを|滅《ほろ》ぼした。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》|彼《かれ》らに|命《めい》じて|姦淫《かんいん》と、その|王《おう》たちの|死体《したい》を、わたしから|遠《とお》く|取《す》り|除《のぞ》かせよ。そうしたら、わたしは|永久《えいきゅう》に|彼《かれ》らの|中《なか》に|住《す》む。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|子《こ》よ、|宮《みや》と、その|外形《がいけい》と、|設計《せっけい》とをイスラエルの|家《いえ》に|示《しめ》せ。|彼《かれ》らはその|悪《あく》を|恥《は》じるであろう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがその|犯《おか》したすべての|事《こと》を|恥《は》じたら、|彼《かれ》らに、この|宮《みや》の|建《た》て|方《かた》、|設備《せつび》、|出口《でぐち》、|入口《いりぐち》、すべての|形式《けいしき》、すべてのおきて、すべての|規定《きてい》を|示《しめ》せ。これを|彼《かれ》らの|目《め》の|前《まえ》に|書《か》き、|彼《かれ》らにそのすべての|規定《きてい》と、おきてとを|守《まも》り|行《おこな》わせよ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|宮《みや》の|規定《きてい》はこれである。|山《やま》の|頂《いただき》の|四方《しほう》の|地域《ちいき》はみな|最《もっと》も|聖《せい》である。|見《み》よ、これは|宮《みや》の|規定《きてい》である。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|祭壇《さいだん》の|寸法《すんぽう》はキュビトですれば、|次《つぎ》のようである。(そのキュビトは一キュビトと|一《ひと》|手《て》|幅《はば》である。)|土台《どだい》は|高《たか》さ一キュビト、|幅《はば》一キュビト、その|周囲《しゅうい》の|縁《ふち》は|半《はん》キュビトである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|祭壇《さいだん》の|高《たか》さは、|次《つぎ》のとおりである。|地面《じめん》の|土台《どだい》から|下《した》のかさねまで二キュビト、|幅《はば》は一キュビト、また|小《ちい》さいかさねから|大《おお》きいかさねまで四キュビト、その|幅《はば》は一キュビトである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|祭壇《さいだん》の|炉《ろ》は四キュビトで、|祭壇《さいだん》の|炉《ろ》から|高《たか》さ一キュビトの|角《つの》が四|本《ほん》|出《で》ていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|炉《ろ》は|長《なが》さ十二キュビト、|幅《はば》十二キュビトの四|角形《かくけい》である。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そのかさねは|四方《しほう》とも|長《なが》さ十四キュビト、|幅《はば》十四キュビトの四|角形《かくけい》、その|周囲《しゅうい》の|縁《ふち》は|幅《はば》|半《はん》キュビト、その|台《だい》は|四方《しほう》一キュビト、その|階段《かいだん》は|東《ひがし》に|面《めん》する」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、|祭壇《さいだん》を|建《た》て、その|上《うえ》に|燔祭《はんさい》をささげ、これに|血《ち》を|注《そそ》ぐ|日《ひ》には、|次《つぎ》のことを|祭壇《さいだん》の|定《さだ》めとせよ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、ザドクの|子孫《しそん》で、わたしに|近《ちか》く|仕《つか》えるレビびとである|祭司《さいし》には、|罪祭《ざいさい》のために|雄牛《おうし》の|子《こ》を|与《あた》えよ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またその|血《ち》をとって、これを|祭壇《さいだん》の四つの|角《つの》と、かさねの四すみと、|周囲《しゅうい》の|縁《ふち》に|塗《ぬ》って、|祭壇《さいだん》を|清《きよ》め、これをあがなえ。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|罪祭《ざいさい》の|牛《うし》をとって、これを|聖所《せいじょ》の|外《そと》、|宮《みや》のうちの|定《さだ》められた|所《ところ》で|焼《や》け。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》二|日《にち》に、あなたは|無傷《むきず》の|雄《お》やぎを、|罪祭《ざいさい》としてささげよ。すなわち|雄牛《おうし》で|清《きよ》めたように、これで|祭壇《さいだん》を|清《きよ》めよ。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|清《きよ》めごとを|終《お》えたなら、|無傷《むきず》の|雄牛《おうし》の|子《こ》と、|群《む》れの|中《なか》の|無傷《むきず》の|雄羊《おひつじ》とをささげよ。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]これを|主《しゅ》の|前《まえ》に|持《も》ってきて、|祭司《さいし》らはその|上《うえ》に|塩《しお》をまき、これらを|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》にささげよ。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》の|間《あいだ》、あなたは|日々《ひび》|雄《お》やぎを|罪祭《ざいさい》とせよ。また|雄牛《おうし》の|子《こ》と、|群《む》れの|中《なか》の|雄羊《おひつじ》との|無傷《むきず》のものをととのえ、[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|彼《かれ》らは|祭壇《さいだん》をあがない、これを|清《きよ》め、これを|聖別《せいべつ》しなければならない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがこれらの|日《ひ》を|満《み》たしたとき、|八日《ようか》|目《め》から|後《のち》は、|祭司《さいし》たちは、あなたがたの|燔祭《はんさい》と、|酬恩祭《しゅうおんさい》とを|祭壇《さいだん》の|上《うえ》に|供《そな》える。そうすれば、わたしは、あなたがたを|受《う》けいれると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる」。 第四四章[#「第四四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|彼《かれ》はわたしを|連《つ》れて、|聖所《せいじょ》の|東《ひがし》に|向《む》いている|外《そと》の|門《もん》に|帰《かえ》ると、|門《もん》は|閉《と》じてあった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「この|門《もん》は|閉《と》じたままにしておけ、|開《ひら》いてはならない。ここからだれもはいってはならない。イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》が、ここからはいったのだから、これは|閉《と》じたままにしておけ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ただ|君《きみ》たる|者《もの》だけが、この|内《うち》に|座《ざ》し、|主《しゅ》の|前《まえ》でパンを|食《しょく》し、|門《もん》の|廊《ろう》を|通《とお》ってはいり、またそこから|外《そと》に|出《で》よ」。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしを|連《つ》れて、|北《きた》の|門《もん》の|道《みち》から|宮《みや》の|前《まえ》に|行《い》った。わたしが|見《み》ていると、|見《み》よ、|主《しゅ》の|栄光《えいこう》が|主《しゅ》の|宮《みや》に|満《み》ちた。わたしがひれ|伏《ふ》すと、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|主《しゅ》の|宮《みや》のすべてのおきてと、そのすべての|規定《きてい》とについて、わたしがあなたに|告《つ》げるすべての|事《こと》に|心《こころ》をとめ、|目《め》を|注《そそ》ぎ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。また|宮《みや》にはいることを|許《ゆる》されている|者《もの》と、|聖所《せいじょ》にはいることのできない|者《もの》とに|心《こころ》せよ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]また|反逆《はんぎゃく》の|家《いえ》であるイスラエルの|家《いえ》に|言《い》え。|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、イスラエルの|家《いえ》よ、その|憎《にく》むべきことをやめよ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたがたは、わたしの|食物《しょくもつ》である|脂肪《しぼう》と|血《ち》とがささげられる|時《とき》、|心《こころ》にも|肉《にく》にも、|割礼《かつれい》を|受《う》けない|異邦人《いほうじん》を|入《い》れて、わが|聖所《せいじょ》におらせ、これを|汚《けが》した。また、もろもろの|憎《にく》むべきものをもって、わが|契約《けいやく》を|破《やぶ》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わが|聖《せい》なる|物《もの》を|守《まも》る|務《つとめ》を|怠《おこた》り、かえって|異邦人《いほうじん》を|立《た》てて、わが|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》を|守《まも》らせた。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちにいるすべての|異邦人《いほうじん》のうち、|心《こころ》と|肉《にく》とに|割礼《かつれい》を|受《う》けないすべての|者《もの》は、わが|聖所《せいじょ》にはいってはならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またレビ|人《ひと》であって、イスラエルが|迷《まよ》った|時《とき》、|偶像《ぐうぞう》を|慕《した》い、わたしから|迷《まよ》い|出《で》て、|遠《とお》く|離《はな》れた|者《もの》は、その|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らはわが|聖所《せいじょ》で、|仕《つか》え|人《びと》となり、|宮《みや》の|門《もん》を|守《まも》る|者《もの》となり、|宮《みや》に|仕《つか》えるしもべとなり、|民《たみ》のために、|燔祭《はんさい》および|犠牲《ぎせい》のものを|殺《ころ》し、|彼《かれ》らの|前《まえ》に|立《た》って|仕《つか》えなければならない。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|偶像《ぐうぞう》の|前《まえ》で|民《たみ》に|仕《つか》え、イスラエルの|家《いえ》にとって、|罪《つみ》のつまずきとなったゆえ、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、わたしは|彼《かれ》らについて|誓《ちか》った。|彼《かれ》らはその|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしに|近《ちか》づき、|祭司《さいし》として、わたしに|仕《つか》えることはできない。またわたしの|聖《せい》なる|物《もの》、および|最《もっと》も|聖《せい》なる|物《もの》に、|近《ちか》づいてはならない。|彼《かれ》らはそのおこなった|憎《にく》むべきことのため、|恥《はじ》を|負《お》わなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らには、|宮《みや》を|守《まも》る|務《つとめ》をさせ、そのもろもろの|務《つとめ》と、|宮《みや》でなすべきすべての|事《こと》とに|当《あた》らせる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]しかしザドクの|子孫《しそん》であるレビの|祭司《さいし》たち、すなわちイスラエルの|人々《ひとびと》が、わたしを|捨《す》てて|迷《まよ》った|時《とき》に、わが|聖所《せいじょ》の|務《つとめ》を|守《まも》った|者《もの》どもは、わたしに|仕《つか》えるために|近《ちか》づき、|脂肪《しぼう》と|血《ち》とをわたしにささげるために、わたしの|前《まえ》に|立《た》てと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らはわが|聖所《せいじょ》に|入《い》り、わが|台《だい》に|近《ちか》づいてわたしに|仕《つか》え、わたしの|務《つとめ》を|守《まも》る。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|内庭《うちにわ》の|門《もん》にはいる|時《とき》は、|麻《あさ》の|衣服《いふく》を|着《き》なければならない。|内庭《うちにわ》の|門《もん》および|宮《みや》の|内《うち》で、|務《つとめ》をなす|時《とき》は、|毛織物《けおりもの》を|身《み》につけてはならない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]また|頭《あたま》には|亜麻《あま》|布《ぬの》の|冠《かんむり》をつけ、|腰《こし》には|亜麻《あま》|布《ぬの》の|袴《はかま》をつけなければならない。ただし|汗《あせ》の|出《で》るような|衣《ころも》を|身《み》につけてはならない。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|外《そと》|庭《にわ》に|出《で》る|時《とき》、すなわち|外《そと》|庭《にわ》に|出《で》て|民《たみ》に|接《せっ》する|時《とき》は、|務《つとめ》をなす|時《とき》の|衣服《いふく》は|脱《ぬ》いで|聖《せい》なる|室《しつ》に|置《お》き、ほかの|衣服《いふく》を|着《き》なければならない。これはその|衣服《いふく》をもって、その|聖《せい》なることを|民《たみ》にうつさないためである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはまた|頭《あたま》をそってはならない。また|髪《かみ》を|長《なが》くのばしてはならない。その|頭《あたま》の|髪《かみ》は|切《き》らなければならない。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》はすべて|内庭《うちにわ》にはいる|時《とき》は、|酒《さけ》を|飲《の》んではならない。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]また|寡婦《かふ》、および|出《だ》された|女《おんな》をめとってはならない。ただイスラエルの|家《いえ》の|血統《けっとう》の|処女《しょじょ》、あるいは|祭司《さいし》の|妻《つま》で、やもめになったものをめとらなければならない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわが|民《たみ》に、|聖《せい》と|俗《ぞく》との|区別《くべつ》を|教《おし》え、|汚《けが》れたものと、|清《きよ》いものとの|区別《くべつ》を|示《しめ》さなければならない。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|争《あらそ》いのある|時《とき》は、さばきのために|立《た》ち、わがおきてにしたがってさばき、また、わたしのもろもろの|祭《まつり》の|時《とき》は、|彼《かれ》らはわが|律法《りっぽう》と|定《さだ》めを|守《まも》り、わが|安息日《あんそくにち》を、|聖別《せいべつ》しなければならない。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|死人《しにん》に|近《ちか》づいて、|身《み》を|汚《けが》してはならない。ただ|父《ちち》のため、|母《はは》のため、むすこのため、|娘《むすめ》のため、|兄弟《きょうだい》のため、|夫《おっと》をもたない|姉妹《しまい》のためには、|近《ちか》よって|身《み》を|汚《けが》すことも|許《ゆる》される。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]このような|人《ひと》は、|汚《けが》れた|後《のち》、|自身《じしん》のために、|七日《なぬか》の|期間《きかん》を|数《かぞ》えよ。そうすれば|清《きよ》まる。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|聖所《せいじょ》に|入《い》り、|内庭《うちにわ》に|行《い》き、|聖所《せいじょ》で|務《つとめ》に|当《あた》る|日《ひ》には、|罪祭《ざいさい》をささげなければならないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らには|嗣《し》|業《ぎょう》はない。わたしがその|嗣《し》|業《ぎょう》である。あなたがたはイスラエルの|中《なか》で、|彼《かれ》らに|所有《しょゆう》を|与《あた》えてはならない。わたしが|彼《かれ》らの|所有《しょゆう》である。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|素祭《そさい》、|罪祭《ざいさい》、|愆祭《けんさい》の|物《もの》を|食《た》べる。すべてイスラエルのうちのささげられた|物《もの》は|彼《かれ》らの|物《もの》となる。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]すべての|物《もの》の|初《はつ》なりの|初物《はつもの》、およびすべてあなたがたのささげるもろもろのささげ|物《もの》は、みな|祭司《さいし》のものとなる。またあなたがたの|麦粉《むぎこ》の|初物《はつもの》は|祭司《さいし》に|与《あた》えよ。これはあなたがたの|家《いえ》が、|祝福《しゅくふく》されるためである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は、|鳥《とり》でも|獣《けもの》でも、すべて|自然《しぜん》に|死《し》んだもの、または|裂《さ》き|殺《ころ》されたものを|食《た》べてはならない。 第四五章[#「第四五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、くじを|引《ひ》き、|地《ち》を|分《わ》けて、それを|所有《しょゆう》するときには、|地《ち》の|一部《いちぶ》を|聖《せい》なる|地所《じしょ》として|主《しゅ》にささげよ。その|長《なが》さは二万五千キュビト、|幅《はば》は二万キュビトで、その|区域《くいき》はすべて|聖《せい》なる|地《ち》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのうち|聖所《せいじょ》に|属《ぞく》するものは|縦横《たてよこ》五百キュビトずつであって、それは四|角《かく》である。また五十キュビトの|空地《くうち》をその|周囲《しゅうい》につくれ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはこの|聖《せい》なる|地所《じしょ》から|長《なが》さ二万五千キュビト、|幅《はば》一万キュビトを|測《はか》り|取《と》り、その|中《なか》に|聖所《せいじょ》と|至聖所《しせいじょ》とを|設《もう》けよ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これは|国《くに》の|中《なか》で|聖《せい》なる|所《ところ》であって、|主《しゅ》に|近《ちか》く|仕《つか》える|聖所《せいじょ》の|仕《つか》え|人《びと》である|祭司《さいし》に|帰《き》|属《ぞく》する。これは|彼《かれ》らのためには|家《いえ》を|建《た》てる|所《ところ》、|聖所《せいじょ》のためには|聖地《せいち》となる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|長《なが》さ二万五千キュビト、|幅《はば》一万キュビトの|別《べつ》の|地所《じしょ》は、|宮《みや》に|仕《つか》えるレビびとに|帰属《きぞく》し、|彼《かれ》らの|住《す》む|町《まち》のための|所有《しょゆう》とする。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|聖地《せいち》として|区別《くべつ》した|部分《ぶぶん》に|沿《そ》い、|幅《はば》五千キュビト、|長《なが》さ二万五千キュビトは、|町《まち》の|所有《しょゆう》とせよ。これはイスラエル|全家《ぜんか》のものとなる。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|君《きみ》たる|者《もの》の|分《ぶん》は、かの|聖地《せいち》と|町《まち》の|所有《しょゆう》|地《ち》との、こなたかなたにある。すなわち|聖地《せいち》と|町《まち》の|所有《しょゆう》|地《ち》に|沿《そ》い、|西《にし》と|東《ひがし》に|向《む》かい、|部族《ぶぞく》の|分《ぶん》の一つに|応《おう》じて、|地所《じしょ》の|西《にし》から|東《ひがし》の|境《さかい》に|至《いた》り、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|所有《しょゆう》の|地所《じしょ》はイスラエルの|中《なか》にある。わたしの|君《きみ》たちは、|重《かさ》ねてわたしの|民《たみ》をしえたげず、|部族《ぶぞく》にしたがってイスラエルの|家《いえ》に|土地《とち》を|与《あた》える。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、イスラエルの|君《きみ》たちよ、|暴虐《ぼうぎゃく》と|略奪《りゃくだつ》とをやめ、|公道《こうどう》と|正義《せいぎ》を|行《おこな》え。わが|民《たみ》を|追《お》いたてることをやめよと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|正《ただ》しいはかり、|正《ただ》しいエパ、|正《ただ》しいバテを|用《もち》いよ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エパとバテとは|同《どう》|量《りょう》にせよ。すなわちバテをホメルの十|分《ぶん》の一とし、エパもホメルの十|分《ぶん》の一とし、すべてホメルによって|量《りょう》を|定《さだ》めよ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]一シケルは二十ゲラである。五シケルは五シケル、十シケルは十シケルとせよ。一ミナは五十シケルとせよ。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがささげるささげ|物《もの》はこれである。すなわち、一ホメルの|小麦《こむぎ》のうちから六|分《ぶん》の一エパをささげ、|大麦《おおむぎ》一ホメルのうちから六|分《ぶん》の一エパをささげよ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|油《あぶら》は一コルのうちから十|分《ぶん》の一バテをささげよ。コルはホメルと|同《おな》じく十バテに|当《あた》る。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]またイスラエルの|氏族《しぞく》から、|家畜《かちく》の|群《む》れ二百につき一|頭《とう》の|羊《ひつじ》を|出《だ》して、|素祭《そさい》、|燔祭《はんさい》、|酬恩祭《しゅうおんさい》とし、|彼《かれ》らのために、あがないをなせと|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|民《たみ》は|皆《みな》これをイスラエルの|君《きみ》にささげ|物《もの》とせよ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]また|祭日《さいじつ》、ついたち、|安息日《あんそくにち》、すなわちイスラエルの|家《いえ》のすべての|祝《いわ》い|日《び》に、|燔祭《はんさい》、|素祭《そさい》、|灌祭《かんさい》を|供《そな》えるのは、|君《きみ》たる|者《もの》の|務《つとめ》である。すなわち|彼《かれ》はイスラエルの|家《いえ》のあがないのために、|罪祭《ざいさい》、|素祭《そさい》、|燔祭《はんさい》、|酬恩祭《しゅうおんさい》をささげなければならない。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、|正月《しょうがつ》の|元日《がんじつ》に、あなたは|無傷《むきず》の|雄牛《おうし》の|子《こ》を|取《と》って|聖所《せいじょ》を|清《きよ》めよ。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》は|罪祭《ざいさい》の|獣《けもの》の|血《ち》を|取《と》って、|宮《みや》の|柱《はしら》と|祭壇《さいだん》のかさねの四すみ、および|内庭《うちにわ》の|門《もん》の|柱《はしら》に|塗《ぬ》れ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|月《つき》の|七日《なぬか》に、あなたがたは、|過失《かしつ》や|無知《むち》のために|罪《つみ》を|犯《おか》した|者《もの》のために、このように|行《い》って|宮《みや》のためにあがないをなせ。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|正月《しょうがつ》の十四|日《か》に、あなたがたは|過越《すぎこし》の|祭《まつり》を|祝《いわ》え。|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|種《たね》を|入《い》れぬパンを|食《た》べよ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》に|君《きみ》たる|者《もの》は、|自身《じしん》のため、また|国《くに》のすべての|民《たみ》のため、|雄牛《おうし》をささげて|罪祭《ざいさい》とし、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|祝《いわ》い|日《び》である|七日《なぬか》の|間《あいだ》は、七|頭《とう》の|雄牛《おうし》と、七|頭《とう》の|雄羊《おひつじ》の|無傷《むきず》のものを、|七日《なぬか》の|間《あいだ》|毎日《まいにち》、|燔祭《はんさい》として|主《しゅ》に|供《そな》えよ。また、|雄《お》やぎを|罪祭《ざいさい》として|日々《ひび》ささげよ。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]また|素祭《そさい》として|麦粉《むぎこ》一エパを|各《かく》|雄牛《おうし》のため、一エパを|各《かく》|雄羊《おひつじ》のためにととのえ、|油《あぶら》一ヒンを|各《かく》エパに|加《くわ》えよ。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]七|月《がつ》十五|日《にち》の|祝《いわ》い|日《び》に、|彼《かれ》は|七日《なぬか》の|間《あいだ》、|罪祭《ざいさい》、|燔祭《はんさい》、|素祭《そさい》および|油《あぶら》を、このように|供《そな》えなければならない。 第四六章[#「第四六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、|内庭《うちにわ》にある|東《ひがし》|向《む》きの|門《もん》は、|働《はたら》きをする六|日《か》の|間《あいだ》は|閉《と》じ、|安息日《あんそくにち》にはこれを|開《ひら》き、またついたちにはこれを|開《ひら》け。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|君《きみ》たる|者《もの》は、|外《そと》から|門《もん》の|廊《ろう》をとおってはいり、|門《もん》の|柱《はしら》のかたわらに|立《た》て。そのとき|祭司《さいし》たちは、|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》とをささげ、|彼《かれ》は|門《もん》の|敷居《しきい》で、|礼拝《れいはい》して|出《で》て|行《い》くのである。しかし|門《もん》は|夕暮《ゆうぐれ》まで|閉《と》じてはならない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|民《たみ》は|安息日《あんそくにち》と、ついたちとに、その|門《もん》の|入口《いりぐち》で|主《しゅ》の|前《まえ》に|礼拝《れいはい》をせよ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|君《きみ》たる|者《もの》が、|安息日《あんそくにち》に|主《しゅ》にささげる|燔祭《はんさい》は、六|頭《とう》の|無傷《むきず》の|小羊《こひつじ》と、一|頭《とう》の|無傷《むきず》の|雄羊《おひつじ》とである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|素祭《そさい》は|雄羊《おひつじ》のために|麦粉《むぎこ》一エパ、|小羊《こひつじ》のための|素祭《そさい》は、その|人《ひと》のささげうる|程度《ていど》とし、|麦粉《むぎこ》一エパに|油《あぶら》一ヒンを|加《くわ》えよ。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ついたちには|無傷《むきず》の|雄牛《おうし》の|子《こ》一|頭《とう》、六|頭《とう》の|小羊《こひつじ》および一|頭《とう》の|雄羊《おひつじ》をささげよ。これらはすべて|無傷《むきず》のものでなければならない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|素祭《そさい》は|雄牛《おうし》のために|麦粉《むぎこ》一エパ、|雄羊《おひつじ》のために|麦粉《むぎこ》一エパ、|小羊《こひつじ》のためには、その|人《ひと》のささげうる|程度《ていど》のものを|供《そな》えよ。また|麦粉《むぎこ》一エパに|油《あぶら》一ヒンを|加《くわ》えよ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|君《きみ》たる|者《もの》がはいる|時《とき》は|門《もん》の|廊《ろう》の|道《みち》からはいり、またその|道《みち》から|出《で》よ。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|民《たみ》が、|祝《いわ》い|日《び》に|主《しゅ》の|前《まえ》に|出《で》る|時《とき》、|礼拝《れいはい》のため、|北《きた》の|門《もん》の|道《みち》からはいる|者《もの》は、|南《みなみ》の|門《もん》の|道《みち》から|出《で》て|行《い》き、|南《みなみ》の|門《もん》の|道《みち》からはいる|者《もの》は、|北《きた》の|門《もん》の|道《みち》から|出《で》て|行《い》け。そのはいった|門《もん》の|道《みち》からは、|帰《かえ》ってはならない。まっすぐに|進《すす》んで、|出《で》て|行《い》かなければならない。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らがはいる|時《とき》、|君《きみ》たる|者《もの》は、|彼《かれ》らと|共《とも》にはいり、|彼《かれ》らが|出《で》る|時《とき》、|彼《かれ》も|出《で》なければならない。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|祭日《さいじつ》と|祝《いわ》い|日《び》には、|素祭《そさい》として、|若《わか》い|雄牛《おうし》のために|麦粉《むぎこ》一エパ、|雄羊《おひつじ》のために|麦粉《むぎこ》一エパ、|小羊《こひつじ》のためには、その|人《ひと》のささげうる|程度《ていど》のものを|供《そな》え、|麦粉《むぎこ》一エパには|油《あぶら》一ヒンを|加《くわ》えよ。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]また|君《きみ》たる|者《もの》が、|心《こころ》からの|供《そな》え|物《もの》として、|燔祭《はんさい》または|酬恩祭《しゅうおんさい》を|主《しゅ》にささげる|時《とき》は、|彼《かれ》のために|東《ひがし》に|面《めん》した|門《もん》を|開《ひら》け。|彼《かれ》は|安息日《あんそくにち》に|行《おこな》うように、その|燔祭《はんさい》と|酬恩祭《しゅうおんさい》を|供《そな》え、そして|退出《たいしゅつ》する。その|退出《たいしゅつ》の|後《のち》、|門《もん》は|閉《と》ざされる。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|日《ひ》ごとに一|歳《さい》の|無傷《むきず》の|小羊《こひつじ》を|燔祭《はんさい》として、|主《しゅ》にささげなければならない。すなわち|朝《あさ》ごとに、これをささげなければならない。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|朝《あさ》ごとに、|素祭《そさい》をこれに|添《そ》えてささげなければならない。すなわち|麦粉《むぎこ》一エパの六|分《ぶん》の一に、これを|潤《うるお》す|油《あぶら》一ヒンの三|分《ぶん》の一を、|素祭《そさい》として|主《しゅ》にささげなければならない。これは|常燔祭《じょうはんさい》のおきてである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|朝《あさ》ごとに|常燔祭《じょうはんさい》として、|小羊《こひつじ》と|素祭《そさい》と|油《あぶら》とをささげなければならない。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、|君《きみ》たる|者《もの》が、もしその|嗣《し》|業《ぎょう》から、その|子《こ》のひとりに|財産《ざいさん》を|与《あた》える|時《とき》は、それはその|子《こ》らの|嗣《し》|業《ぎょう》の|所有《しょゆう》となる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》がその|奴隷《どれい》のひとりに、|嗣《し》|業《ぎょう》の|一部分《いちぶぶん》を|与《あた》える|時《とき》は、それは|彼《かれ》の|解放《かいほう》の|年《ねん》まで、その|人《ひと》に|属《ぞく》していて、その|後《のち》は|君《きみ》たる|人《ひと》に|帰《かえ》る。|彼《かれ》の|嗣《し》|業《ぎょう》は、ただその|子《こ》らにだけ|伝《つた》わるべきである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|君《きみ》たる|者《もの》はその|民《たみ》の|嗣《し》|業《ぎょう》を|取《と》って、その|財産《ざいさん》を|継《つ》がせないようにしてはならない。|彼《かれ》はただ、|自分《じぶん》の|財産《ざいさん》のうちから、その|子《こ》らにその|嗣《し》|業《ぎょう》を、|与《あた》えなければならない。これはわが|民《たみ》のひとりでも、その|財産《ざいさん》を|失《うしな》わないためである」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》はわたしを|連《つ》れて、|門《もん》のかたわらの|入口《いりぐち》から、|北《きた》|向《む》きの|祭司《さいし》の|聖《せい》なる|室《しつ》に、はいらせた。|見《み》ると、|西《にし》の|奥《おく》の|方《ほう》に一つの|場所《ばしょ》があった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「これは|祭司《さいし》たちが|愆祭《けんさい》および|罪祭《ざいさい》のものを|煮《に》、|素祭《そさい》のものを|焼《や》く|所《ところ》である。これは|外《そと》|庭《にわ》にそれらを|携《たずさ》え|出《で》て、|聖《せい》なるべきことを、|民《たみ》にうつさないためである」。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまたわたしを|外《そと》|庭《にわ》に|連《つ》れ|出《だ》し、|庭《にわ》の四すみを|通《とお》らせた。|見《み》よ、|庭《にわ》のこのすみにも|庭《にわ》があり、また|庭《にわ》のかのすみにも|庭《にわ》があった。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|庭《にわ》の四すみに|小《ちい》さい|庭《にわ》があり、|長《なが》さ四十キュビト、|幅《はば》三十キュビトで、四つとも|同《おな》じ|大《おお》きさである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]その四つの|小《ちい》さい|庭《にわ》の|内部《ないぶ》の|四方《しほう》には、|石《いし》の|壁《かべ》があり、|周囲《しゅうい》の|壁《かべ》の|下《した》に、|物《もの》を|煮《に》る|所《ところ》が|設《もう》けてあった。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「これらは|宮《みや》の|仕《つか》え|人《びと》たちが、|民《たみ》のささげる|犠牲《ぎせい》のものを|煮《に》る|台所《だいどころ》である」。 第四七章[#「第四七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》はわたしを|宮《みや》の|戸口《とぐち》に|帰《かえ》らせた。|見《み》よ、|水《みず》の|宮《みや》の|敷居《しきい》の|下《した》から、|東《ひがし》の|方《ほう》へ|流《なが》れていた。|宮《みや》は|東《ひがし》に|面《めん》し、その|水《みず》は、|下《した》から|出《で》て、|祭壇《さいだん》の|南《みなみ》にある|宮《みや》の|敷居《しきい》の|南《みなみ》の|端《たん》から、|流《なが》れ|下《くだ》っていた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|北《きた》の|門《もん》の|道《みち》から、わたしを|連《つ》れ|出《だ》し、|外《そと》をまわって、|東《ひがし》に|向《む》かう|外《そと》の|門《もん》に|行《い》かせた。|見《み》よ、|水《みず》は|南《みなみ》の|方《ほう》から|流《なが》れ|出《で》ていた。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|人《ひと》は|東《ひがし》に|進《すす》み、|手《て》に|測《はか》りなわをもって一千キュビトを|測《はか》り、わたしを|渡《わた》らせた。すると|水《みず》はくるぶしに|達《たっ》した。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまた一千キュビトを|測《はか》って、わたしを|渡《わた》らせると、|水《みず》はひざに|達《たっ》した。|彼《かれ》がまた一千キュビトを|測《はか》って、わたしを|渡《わた》らせると、|水《みず》は|腰《こし》に|達《たっ》した。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がまた一千キュビトを|測《はか》ると、|渡《わた》り|得《え》ないほどの|川《かわ》になり、|水《みず》は|深《ふか》くなって、|泳《およ》げるほどの|水《みず》、|越《こ》え|得《え》ないほどの|川《かわ》になった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに「|人《ひと》の|子《こ》よ、あなたはこれを|見《み》るか」と|言《い》った。  それから、|彼《かれ》はわたしを|川《かわ》の|岸《きし》に|沿《そ》って|連《つ》れ|帰《かえ》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|帰《かえ》ってくると、|見《み》よ、|川《かわ》の|岸《きし》のこなたかなたに、はなはだ|多《おお》くの|木《き》があった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「この|水《みず》は|東《ひがし》の|境《さかい》に|流《なが》れて|行《い》き、アラバに|落《お》ち|下《くだ》り、その|水《みず》が、よどんだ|海《うみ》にはいると、それは|清《きよ》くなる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]おおよそこの|川《かわ》の|流《なが》れる|所《ところ》では、もろもろの|動《うご》く|生《い》き|物《もの》が|皆《みな》|生《い》き、また、はなはだ|多《おお》くの|魚《うお》がいる。これはその|水《みず》がはいると、|海《うみ》の|水《みず》を|清《きよ》くするためである。この|川《かわ》の|流《なが》れる|所《ところ》では、すべてのものが|生《い》きている。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すなどる|者《もの》が、|海《うみ》のかたわらに|立《た》ち、エンゲデからエン・エグライムまで、|網《あみ》を|張《は》る|所《ところ》となる。その|魚《うお》は、|大海《たいかい》の|魚《うお》のように、その|種類《しゅるい》がはなはだ|多《おお》い。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ただし、その|沢《さわ》と|沼《ぬま》とは|清《きよ》められないで、|塩《しお》|地《ち》のままで|残《のこ》る。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|川《かわ》のかたわら、その|岸《きし》のこなたかなたに、|食物《しょくもつ》となる|各種《かくしゅ》の|木《き》が|育《そだ》つ。その|葉《は》は|枯《か》れず、その|実《み》は|絶《た》えず、|月《つき》ごとに|新《あたら》しい|実《み》がなる。これはその|水《みず》が|聖所《せいじょ》から|流《なが》れ|出《で》るからである。その|実《み》は|食用《しょくよう》に|供《きょう》せられ、その|葉《は》は|薬《くすり》となる」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は、こう|言《い》われる、「あなたがたがイスラエルの十二の|部族《ぶぞく》に、|嗣《し》|業《ぎょう》として|土地《とち》を|分《わ》け|与《あた》えるには、その|境《さかい》を|次《つぎ》のように|定《さだ》めなければならない。ヨセフには二つの|分《ぶん》を|与《あた》えよ。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、これを|公平《こうへい》に|分《わ》けよ。これはわたしが、あなたがたの|先祖《せんぞ》に|与《あた》えると|誓《ちか》ったもので、これは|嗣《し》|業《ぎょう》として、あなたがたに|属《ぞく》するものである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|地《ち》の|境《さかい》はこのとおりである。|北《きた》は|大海《たいかい》からヘテロンの|道《みち》を|経《へ》て、ハマテの|入口《いりぐち》およびゼダデに|至《いた》り、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またベロテおよびダマスコとハマテの|境《さかい》にあるシブライムに|至《いた》り、ハウランの|境《さかい》にあるハザル・ハテコンに|及《およ》ぶ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|境《さかい》は|海《うみ》からダマスコの|北《きた》の|境《さかい》にあるハザル・エノンにおよび、|北《きた》の|方《ほう》はハマテがその|境《さかい》である。これが|北《きた》の|方《ほう》である。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》の|方《ほう》は、ハウランとダマスコの|間《あいだ》のハザル・エノンから、ギレアデとイスラエルの|地《ち》との|間《あいだ》の、ヨルダンに|沿《そ》い、|東《ひがし》の|海《うみ》に|至《いた》り、タマルに|及《およ》ぶ。これが|東《ひがし》の|方《ほう》である。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》の|方《ほう》はタマルからメリボテ・カデシの|川《かわ》に|及《およ》び、そこからエジプトの|川《かわ》に|沿《そ》って|大海《たいかい》に|至《いた》る。これが|南《みなみ》の|方《ほう》である。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|方《ほう》はハマテの|入口《いりぐち》に|至《いた》る|大海《たいかい》を|境《さかい》とする。これが|西《にし》の|方《ほう》である。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはこのように、イスラエルの|部族《ぶぞく》に|従《したが》って、この|地《ち》をあなたがたの|間《あいだ》に|分割《ぶんかつ》せよ。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、くじをもって、これをあなたがたのうちに|分《わ》け、またあなたがたのうちにいて、あなたがたのうちに、|子《こ》を|生《う》んだ|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》のうちに|分《わ》けて、|嗣《し》|業《ぎょう》とせよ。|彼《かれ》らは、あなたがたには、イスラエルの|人々《ひとびと》のうちの|本国《ほんごく》|人《じん》と|同様《どうよう》である。|彼《かれ》らもあなたがたと|一緒《いっしょ》にくじを|引《ひ》いて、イスラエルの|部族《ぶぞく》のうちに|嗣《し》|業《ぎょう》を|得《え》るべきである。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|他国《たこく》|人《じん》には、その|住《す》んでいる|部族《ぶぞく》のうちで、その|嗣《し》|業《ぎょう》をこれに|与《あた》えなければならないと、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。 第四八章[#「第四八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|部族《ぶぞく》の|名《な》は|次《つぎ》のとおりである。|北《きた》の|果《はて》からヘテロンの|道《みち》を|経《へ》て、ハマテの|入口《いりぐち》に|至《いた》り、ハマテに|相対《あいたい》するダマスコの|北《きた》の|境《さかい》にあるハザル・エノンに|及《およ》び、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》、これがダンの|分《ぶん》である。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダンの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》、これがアセルの|分《ぶん》である。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アセルの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》、これがナフタリの|分《ぶん》である。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ナフタリの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》、これがマナセの|分《ぶん》である。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]マナセの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》、これがエフライムの|分《ぶん》である。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》、これがルベンの|分《ぶん》である。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ルベンの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》、これがユダの|分《ぶん》である。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|地方《ちほう》は、あなたがたのささげる|献納《けんのう》|地《ち》とせよ。その|幅《はば》は二万五千キュビト、その|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》へのびる|長《なが》さは、|部族《ぶぞく》の一つの|分《ぶん》に|同《おな》じで、|聖所《せいじょ》はその|中《なか》にある。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたがたの|主《しゅ》にささげる|献納《けんのう》|地《ち》は|長《なが》さ二万五千キュビト、|幅《はば》二万キュビトとである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]これが|祭司《さいし》への|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》である。すなわち|祭司《さいし》の|分《ぶん》は、|北《きた》は二万五千キュビト、|西《にし》は|幅《はば》一万キュビト、|東《ひがし》は|幅《はば》一万キュビト、|南《みなみ》は|長《なが》さ二万五千キュビトである。|主《しゅ》の|聖所《せいじょ》はその|中《なか》にある。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]これはイスラエルの|人々《ひとびと》が|迷《まよ》い|出《で》た|時《とき》、レビびとが|迷《まよ》ったように|迷《まよ》ったことはなく、わが|務《つとめ》を|守《まも》り|通《とお》したザドクの|子孫《しそん》のうちから、|聖別《せいべつ》された|祭司《さいし》に|属《ぞく》する。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]このようにレビびとの|境《さかい》に|沿《そ》って、いと|聖《せい》なる|地《ち》、すなわち|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》が、|特別《とくべつ》な|分《ぶん》として|彼《かれ》らに|帰《き》|属《ぞく》する。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]レビびとの|分《ぶん》は|祭司《さいし》の|所有《しょゆう》|地《ち》の|境《さかい》に|沿《そ》って、|長《なが》さ二万五千キュビト、|幅《はば》一万キュビト、すなわち、そのすべての|長《なが》さ二万五千キュビト、|幅《はば》二万キュビトである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはこれを|売《う》ってはならない、また|交換《こうかん》してはならない、またその|大事《だいじ》な|分《ぶん》を|手《て》ばなしてはならない。これは|主《しゅ》に|属《ぞく》する|聖《せい》なる|物《もの》だからである。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|残《のこ》りの|地《ち》すなわち|幅《はば》五千キュビト、|長《なが》さ二万五千キュビトは|町《まち》のため、すみかのため、また|郊外《こうがい》のための|一般人《いっぱんじん》の|地所《じしょ》とせよ。|町《まち》はその|中《なか》に|置《お》け。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|一般人《いっぱんじん》の|地所《じしょ》の|広《ひろ》さは|次《つぎ》のとおりである。すなわち|北《きた》の|方《ほう》四千五百キュビト、|南《みなみ》の|方《ほう》四千五百キュビト、|東《ひがし》の|方《ほう》四千五百キュビト、|西《にし》の|方《ほう》四千五百キュビトである。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》は|郊外《こうがい》を|含《ふく》む。|郊外《こうがい》は|北《きた》二百五十キュビト、|南《みなみ》二百五十キュビト、|東《ひがし》二百五十キュビト、|西《にし》二百五十キュビトである。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》に|沿《そ》っている|残《のこ》りの|地《ち》の|長《なが》さは|東《ひがし》へ一万キュビト、|西《にし》へ一万キュビトである。これは|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》に|沿《そ》っており、その|産物《さんぶつ》は|町《まち》の|働《はたら》き|人《ひと》の|食物《しょくもつ》となる。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|働《はたら》き|人《ひと》は、イスラエルのすべての|部族《ぶぞく》から|出《で》て、これを|耕作《こうさく》するのである。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがささげる|献納《けんのう》|地《ち》の|全体《ぜんたい》は二万五千キュビト|四方《しほう》である。これは|町《まち》の|所有《しょゆう》|地《ち》と|共《とも》に|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》である。  [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》と|町《まち》の|所有《しょゆう》|地《ち》との、こなたかなたの|残《のこ》りの|地《ち》は、|君《きみ》たる|者《もの》に|属《ぞく》する。これは|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》の二万五千キュビトに|面《めん》して|東《ひがし》の|境《さかい》に|至《いた》り、|西《にし》はその二万五千キュビトに|面《めん》して|西《にし》の|境《さかい》に|至《いた》り、|部族《ぶぞく》の|分《ぶん》に|沿《そ》うもので、|君《きみ》たる|者《もの》に|属《ぞく》する。|聖《せい》なる|献納《けんのう》|地《ち》と、|宮《みや》の|聖所《せいじょ》とは、その|中《なか》にある。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|所有《しょゆう》|地《ち》は、|君《きみ》たる|者《もの》に|属《ぞく》する|部分《ぶぶん》の|中《なか》にあり、そして|君《きみ》たる|者《もの》の|分《ぶん》は、ユダの|領地《りょうち》と、ベニヤミンの|領地《りょうち》との|間《あいだ》にある。  [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]なお|残《のこ》りの|部族《ぶぞく》では|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》に|至《いた》る|地方《ちほう》、これがベニヤミンの|分《ぶん》である。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]ベニヤミンの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》に|至《いた》る|地方《ちほう》、これがシメオンの|分《ぶん》である。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]シメオンの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》に|至《いた》る|地方《ちほう》、これがイッサカルの|分《ぶん》である。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]イッサカルの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》に|至《いた》る|地方《ちほう》、これがゼブルンの|分《ぶん》である。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ゼブルンの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、|東《ひがし》の|方《ほう》から|西《にし》の|方《ほう》に|至《いた》る|地方《ちほう》、これがガドの|分《ぶん》である。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》の|方《ほう》はガドの|領地《りょうち》に|沿《そ》って、タマルからメリボテ・カデシの|水《みず》に|至《いた》り、そこからエジプトの|川《かわ》に|沿《そ》って|大海《たいかい》に|至《いた》る。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたが、くじをもってイスラエルの|部族《ぶぞく》のうちに|分《わ》けて、|嗣《し》|業《ぎょう》とすべき|地《ち》である。これが|彼《かれ》らの|分《ぶん》であると、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|出口《でぐち》は|次《つぎ》のとおりである。|北《きた》の|方《ほう》の|長《なが》さは四千五百キュビトである。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|門《もん》はイスラエルの|部族《ぶぞく》の|名《な》にしたがい、三つの|門《もん》になっている。すなわちルベンの|門《もん》、ユダの|門《もん》、レビの|門《もん》である。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|東《ひがし》の|方《ほう》は四千五百キュビトであって、三つの|門《もん》がある。すなわちヨセフの|門《もん》、ベニヤミンの|門《もん》、ダンの|門《もん》である。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》の|方《ほう》は四千五百キュビトであって、三つの|門《もん》がある。すなわちシメオンの|門《もん》、イッサカルの|門《もん》、ゼブルンの|門《もん》である。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]|西《にし》の|方《ほう》は四千五百キュビトであって、三つの|門《もん》がある。すなわちガドの|門《もん》、アセルの|門《もん》、ナフタリの|門《もん》である。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》の|周囲《しゅうい》は一万八千キュビトあり、この|日《ひ》から|後《のち》、この|町《まち》の|名《な》は『|主《しゅ》そこにいます』と|呼《よ》ばれる」。 [#改ページ] ダニエル書[#「ダニエル書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》エホヤキムの|治世《ちせい》の|第《だい》三|年《ねん》にバビロンの|王《おう》ネブカデネザルはエルサレムにきて、これを|攻《せ》め|囲《かこ》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はユダの|王《おう》エホヤキムと、|神《かみ》の|宮《みや》の|器具《きぐ》の|一部《いちぶ》とを、|彼《かれ》の|手《て》にわたされたので、|彼《かれ》はこれをシナルの|地《ち》の|自分《じぶん》の|神《かみ》の|宮《みや》に|携《たずさ》えゆき、その|器具《きぐ》を|自分《じぶん》の|神《かみ》の|蔵《くら》に|納《おさ》めた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|王《おう》は|宦官《かんがん》の|長《ちょう》アシペナズに、イスラエルの|人々《ひとびと》の|中《なか》から、|王《おう》の|血統《けっとう》の|者《もの》と、|貴族《きぞく》たる|者《もの》|数人《すうにん》とを、|連《つ》れて|来《く》るように|命《めい》じた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|身《み》に|傷《きず》がなく、|容姿《ようし》が|美《うつく》しく、すべての|知恵《ちえ》にさとく、|知識《ちしき》があって、|思慮《しりょ》|深《ふか》く、|王《おう》の|宮《みや》に|仕《つか》えるに|足《た》る|若者《わかもの》を|連《つ》れてこさせ、これにカルデヤびとの|文学《ぶんがく》と|言語《げんご》とを|学《まな》ばせようとした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》は|王《おう》の|食《た》べる|食物《しょくもつ》と、|王《おう》の|飲《の》む|酒《さけ》の|中《なか》から、|日々《ひび》の|分《ぶん》を|彼《かれ》らに|与《あた》えて、三|年《ねん》のあいだ|彼《かれ》らを|養《やしな》い|育《そだ》て、その|後《のち》、|彼《かれ》らをして|王《おう》の|前《まえ》に、はべらせようとした。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのうちに、ユダの|部族《ぶぞく》のダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤがあった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|宦官《かんがん》の|長《ちょう》は|彼《かれ》らに|名《な》を|与《あた》えて、ダニエルをベルテシャザルと|名《な》づけ、ハナニヤをシャデラクと|名《な》づけ、ミシャエルをメシャクと|名《な》づけ、アザリヤをアベデネゴと|名《な》づけた。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|王《おう》の|食物《しょくもつ》と、|王《おう》の|飲《の》む|酒《さけ》とをもって、|自分《じぶん》を|汚《けが》すまいと、|心《こころ》に|思《おも》い|定《さだ》めたので、|自分《じぶん》を|汚《けが》させることのないように、|宦官《かんがん》の|長《ちょう》に|求《もと》めた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はダニエルをして、|宦官《かんがん》の|長《ちょう》の|前《まえ》に、|恵《めぐ》みとあわれみとを|得《え》させられたので、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|宦官《かんがん》の|長《ちょう》はダニエルに|言《い》った、「わが|主《しゅ》なる|王《おう》は、あなたがたの|食《た》べ|物《もの》と、|飲《の》み|物《もの》とを|定《さだ》められたので、わたしはあなたがたの|健康《けんこう》の|状態《じょうたい》が、|同年輩《どうねんぱい》の|若者《わかもの》たちよりも|悪《わる》いと、|王《おう》が|見《み》られることを|恐《おそ》れるのです。そうすればあなたがたのために、わたしのこうべが、|王《おう》の|前《まえ》に|危《あやう》くなるでしょう」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでダニエルは|宦官《かんがん》の|長《ちょう》がダニエル、ハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤの|上《うえ》に|立《た》てた|家令《かれい》に|言《い》った、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「どうぞ、しもべらを十|日《か》の|間《あいだ》ためしてください。わたしたちにただ|野菜《やさい》を|与《あた》えて|食《た》べさせ、|水《みず》を|飲《の》ませ、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしたちの|顔色《かおいろ》と、|王《おう》の|食物《しょくもつ》を|食《た》べる|若者《わかもの》の|顔色《かおいろ》とをくらべて|見《み》て、あなたの|見《み》るところにしたがって、しもべらを|扱《あつか》ってください」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|家令《かれい》はこの|事《こと》について|彼《かれ》らの|言《い》うところを|聞《き》きいれ、十|日《か》の|間《あいだ》、|彼《かれ》らをためした。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]十|日《か》の|終《おわ》りになってみると、|彼《かれ》らの|顔色《かおいろ》は|王《おう》の|食物《しょくもつ》を|食《た》べたすべての|若者《わかもの》よりも|美《うつく》しく、また|肉《にく》も|肥《こ》え|太《ふと》っていた。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それで|家令《かれい》は|彼《かれ》らの|食物《しょくもつ》と、|彼《かれ》らの|飲《の》むべき|酒《さけ》とを|除《のぞ》いて、|彼《かれ》らに|野菜《やさい》を|与《あた》えた。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]この四|人《にん》の|者《もの》には、|神《かみ》は|知識《ちしき》を|与《あた》え、すべての|文学《ぶんがく》と|知恵《ちえ》にさとい|者《もの》とされた。ダニエルはまたすべての|幻《まぼろし》と|夢《ゆめ》とを|理解《りかい》した。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]さて、|王《おう》が|命《めい》じたところの|若者《わかもの》を|召《め》し|入《い》れるまでの|日数《にっすう》が|過《す》ぎたので、|宦官《かんがん》の|町《まち》は|彼《かれ》らをネブカデネザルの|前《まえ》に|連《つ》れていった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》が|彼《かれ》らと|語《かた》ってみると、|彼《かれ》らすべての|中《なか》にはダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤにならぶ|者《もの》がなかったので、|彼《かれ》らは|王《おう》の|前《まえ》にはべることとなった。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》が|彼《かれ》らにさまざまの|事《こと》を|尋《たず》ねてみると、|彼《かれ》らは|知恵《ちえ》と|理解《りかい》において、|全国《ぜんこく》の|博士《はかせ》、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》にまさること十|倍《ばい》であった。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルはクロス|王《おう》の|元年《がんねん》まで|仕《つか》えていた。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデネザルの|治世《ちせい》の|第《だい》二|年《ねん》に、ネブカデネザルは|夢《ゆめ》を|見《み》、そのために|心《こころ》に|思《おも》い|悩《なや》んで|眠《ねむ》ることができなかった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|命《めい》じて|王《おう》のためにその|夢《ゆめ》を|解《と》かせようと、|博士《はかせ》、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》、|魔術《まじゅつ》|士《し》、カルデヤびとを|召《め》させたので、|彼《かれ》らはきて|王《おう》の|前《まえ》に|立《た》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|彼《かれ》らにむかって、「わたしは|夢《ゆめ》を|見《み》たが、その|夢《ゆめ》を|知《し》ろうと|心《こころ》に|思《おも》い|悩《なや》んでいる」と|言《い》ったので、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとらはアラム|語《ご》で|王《おう》に|言《い》った、「|王《おう》よ、とこしえに|生《い》きながらえられますように。どうぞしもべらにその|夢《ゆめ》をお|話《はな》しください。わたしたちはその|解《と》き|明《あ》かしを|申《もう》しあげましょう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|答《こた》えてカルデヤびとに|言《い》った、「わたしの|言《い》うことは|必《かなら》ず|行《おこな》う。あなたがたがもしその|夢《ゆめ》と、その|解《と》き|明《あ》かしを、わたしに|示《しめ》さないならば、あなたがたの|身《み》は|切《き》り|裂《さ》かれ、あなたがたの|家《いえ》は|滅《ほろ》ぼされる。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし、その|夢《ゆめ》とその|解《と》き|明《あ》かしとを|示《しめ》すならば、|贈《おく》り|物《もの》と|報酬《ほうしゅう》と|大《おお》いなる|栄誉《えいよ》とを、わたしから|受《う》けるだろう。それゆえその|夢《ゆめ》とその|解《と》き|明《あ》かしとを、わたしに|示《しめ》しなさい」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|再《ふたた》び|答《こた》えて|言《い》った、「|王《おう》よ、しもべらにその|夢《ゆめ》をお|話《はな》しください。そうすればわたしたちはその|解《と》き|明《あ》かしを|示《しめ》しましょう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|答《こた》えて|言《い》った、「あなたがたはわたしが|言《い》ったことは、|必《かなら》ず|行《おこな》うことを|承知《しょうち》しているので、|時《とき》を|延《の》ばそうとしているのを、わたしは|確《たし》かに|知《し》っている。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もしその|夢《ゆめ》をわたしに|示《しめ》さないならば、あなたがたの|受《う》ける|刑罰《けいばつ》はただ一つあるのみだ。あなたがたは|一致《いっち》して、|偽《いつわ》りと、|欺《あざむ》きの|言葉《ことば》をわたしの|前《まえ》に|述《の》べて、|時《とき》の|変《かわ》るのを|待《ま》とうとしているのだ。まずその|夢《ゆめ》をわたしに|示《しめ》しなさい。そうすれば、わたしはあなたがたがその|解《と》き|明《あ》かしをも、|示《しめ》しうることを|知《し》るだろう」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとらは|王《おう》の|前《まえ》に|答《こた》えて|言《い》った、「|世《よ》の|中《なか》には|王《おう》のその|要求《ようきゅう》に|応《おう》じうる|者《もの》はひとりもありません。どんな|大《おお》いなる|力《ちから》ある|王《おう》でも、このような|事《こと》を、|博士《はかせ》、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》、カルデヤびとに|尋《たず》ねた|者《もの》はありませんでした。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|尋《たず》ねられる|事《こと》はむずかしい|事《こと》であって、|肉《にく》なる|者《もの》と|共《とも》におられない|神々《かみがみ》を|除《のぞ》いては、|王《おう》の|前《まえ》にこれを|示《しめ》しうる|者《もの》はないでしょう」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これによって|王《おう》は|怒《いか》り、かつ|大《おお》いに|憤《いきどお》り、バビロンの|知者《ちしゃ》をすべて|滅《ほろ》ぼせと|命《めい》じた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]この|命令《めいれい》が|発《はっ》せられたので、|知者《ちしゃ》らは|殺《ころ》されることになった。またダニエルとその|同僚《どうりょう》をも|殺《ころ》そうと|求《もと》めた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》の|侍衛《じえい》の|長《ちょう》アリオクが、バビロンの|知者《ちしゃ》らを|殺《ころ》そうと|出《で》てきたので、ダニエルは|思慮《しりょ》と|知恵《ちえ》とをもってこれに|応答《おうとう》した。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|王《おう》の|高官《こうかん》アリオクに「どうして|王《おう》はそんなにきびしい|命令《めいれい》を|出《だ》されたのですか」と|言《い》った。アリオクがその|事《こと》をダニエルに|告《つ》げ|知《し》らせると、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|王《おう》のところへはいっていって、その|解《と》き|明《あ》かしを|示《しめ》すために、しばらくの|時《とき》を|与《あた》えられるよう|王《おう》に|願《ねが》った。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それからダニエルは|家《いえ》に|帰《かえ》り、|同僚《どうりょう》のハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤにこの|事《こと》を|告《つ》げ|知《し》らせ、[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|共《とも》にこの|秘密《ひみつ》について|天《てん》の|神《かみ》のあわれみを|請《こ》い、ダニエルとその|同僚《どうりょう》とが、|他《た》のバビロンの|知者《ちしゃ》と|共《とも》に|滅《ほろ》ぼされることのないように|求《もと》めた。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ついに|夜《よる》の|幻《まぼろし》のうちにこの|秘密《ひみつ》がダニエルに|示《しめ》されたので、ダニエルは|天《てん》の|神《かみ》をほめたたえた。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|神《かみ》のみ|名《な》は|永遠《えいえん》より|永遠《えいえん》に|至《いた》るまでほむべきかな、 |知恵《ちえ》と|権能《けんのう》とは|神《かみ》のものである。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|時《とき》と|季節《きせつ》とを|変《へん》じ、 |王《おう》を|廃《はい》し、|王《おう》を|立《た》て、 |知者《ちしゃ》に|知恵《ちえ》を|与《あた》え、 |賢者《けんじゃ》に|知識《ちしき》を|授《さづ》けられる。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|深妙《しんみょう》、|秘密《ひみつ》の|事《こと》をあらわし、 |暗黒《あんこく》にあるものを|知《し》り、 |光《ひかり》をご|自身《じしん》のうちに|宿《やど》す。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わが|先祖《せんぞ》たちの|神《かみ》よ、 あなたはわたしに|知恵《ちえ》と|力《ちから》とを|賜《たま》い、 |今《いま》われわれがあなたに|請《こ》い|求《もと》めたところのものをわたしに|示《しめ》し、 |王《おう》の|求《もと》めたことをわれわれに|示《しめ》されたので、 わたしはあなたに|感謝《かんしゃ》し、あなたをさんびします」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]そこでダニエルは、|王《おう》がバビロンの|知者《ちしゃ》たちを|滅《ほろ》ぼすことを|命《めい》じておいたアリオクのもとへ|行《い》って、|彼《かれ》にこう|言《い》った、「バビロンの|知者《ちしゃ》たちを|滅《ほろ》ぼしてはなりません。わたしを|王《おう》の|前《まえ》に|連《つ》れて|行《い》ってください。わたしはその|解《と》き|明《あ》かしを|王《おう》に|示《しめ》します」。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]アリオクは|急《いそ》いでダニエルを|王《おう》の|前《まえ》に|連《つ》れて|行《い》き、|王《おう》にこう|言《い》った、「ユダから|捕《とら》え|移《うつ》した|者《もの》の|中《なか》に、その|解《と》き|明《あ》かしを|王《おう》にお|知《おし》らせすることのできる、ひとりの|人《ひと》を|見《み》つけました」。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|答《こた》えて、ベルテシャザルという|名《な》のダニエルに|言《い》った、「あなたはわたしが|見《み》た|夢《ゆめ》と、その|解《と》き|明《あ》かしとをわたしに|知《し》らせることができるのか」。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|王《おう》に|答《こた》えて|言《い》った、「|王《おう》が|求《もと》められる|秘密《ひみつ》は、|知者《ちしゃ》、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》、|博士《はかせ》、|占《うらな》い|師《し》など、これを|王《おう》に|示《しめ》すことはできません。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]しかし|秘密《ひみつ》をあらわすひとりの|神《かみ》が|天《てん》におられます。|彼《かれ》は|後《のち》の|日《ひ》に|起《おこ》るべき|事《こと》を、ネブカデネザル|王《おう》に|知《し》らされたのです。あなたの|夢《ゆめ》と、あなたが|床《とこ》にあって|見《み》た|脳中《のうちゅう》の|幻《まぼろし》はこれです。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、あなたが|床《とこ》におられたとき、この|後《のち》どんな|事《こと》があろうかと、|思《おも》いまわされたが、|秘密《ひみつ》をあらわされるかたが、|将来《しょうらい》どんな|事《こと》が|起《おこ》るかを、あなたに|知《し》らされたのです。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]この|秘密《ひみつ》をわたしにあらわされたのは、すべての|生《い》ける|者《もの》にまさって、わたしに|知恵《ちえ》があるためではなく、ただその|解《と》き|明《あ》かしを、|王《おう》にお|知《おし》らせすることによって、あなたが|心《こころ》に|思《おも》われたことを、お|知《し》りになるためです。  [#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、あなたは一つの|大《おお》いなる|像《ぞう》が、あなたの|前《まえ》に|立《た》っているのを|見《み》られました。その|像《ぞう》は|大《おお》きく、|非常《ひじょう》に|光《ひか》り|輝《かがや》いて、|恐《おそ》ろしい|外観《がいかん》をもっていました。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]その|像《ぞう》の|頭《あたま》は|純金《じゅんきん》、|胸《むね》と|両《りょう》|腕《うで》とは|銀《ぎん》、|腹《はら》と、ももとは|青銅《せいどう》、[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]すねは|鉄《てつ》、|足《あし》の|一部《いちぶ》は|鉄《てつ》、|一部《いちぶ》は|粘土《ねんど》です。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|見《み》ておられたとき、一つの|石《いし》が|人手《ひとで》によらずに|切《き》り|出《だ》されて、その|像《ぞう》の|鉄《てつ》と|粘土《ねんど》との|足《あし》を|撃《う》ち、これを|砕《くだ》きました。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|鉄《てつ》と、|粘土《ねんど》と、|青銅《せいどう》と、|銀《ぎん》と、|金《きん》とはみな|共《とも》に|砕《くだ》けて、|夏《なつ》の|打《う》ち|場《ば》のもみがらのようになり、|風《かぜ》に|吹《ふ》き|払《はら》われて、あとかたもなくなりました。ところがその|像《ぞう》を|撃《う》った|石《いし》は、|大《おお》きな|山《やま》となって|全《ぜん》|地《ち》に|満《み》ちました。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]これがその|夢《ゆめ》です。|今《いま》わたしたちはその|解《と》き|明《あ》かしを、|王《おう》の|前《まえ》に|申《もう》しあげましょう。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、あなたは|諸王《しょおう》の|王《おう》であって、|天《てん》の|神《かみ》はあなたに|国《くに》と|力《ちから》と|勢《いきお》いと|栄《さか》えとを|賜《たま》い、[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]また|人《ひと》の|子《こ》ら、|野《の》の|獣《けもの》、|空《そら》の|鳥《とり》はどこにいるものでも、|皆《みな》これをあなたの|手《て》に|与《あた》えて、ことごとく|治《おさ》めさせられました。あなたはあの|金《きん》の|頭《あたま》です。[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|後《のち》にあなたに|劣《おと》る一つの|国《くに》が|起《おこ》ります。また|第《だい》三に|青銅《せいどう》の|国《くに》が|起《おこ》って、|全《ぜん》|世界《せかい》を|治《おさ》めるようになります。[#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》四の|国《くに》は|鉄《てつ》のように|強《つよ》いでしょう。|鉄《てつ》はよくすべての|物《もの》をこわし|砕《くだ》くからです。|鉄《てつ》がこれらをことごとく|打《う》ち|砕《くだ》くように、その|国《くに》はこわし|砕《くだ》くでしょう。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|足《あし》と|足《あし》の|指《ゆび》を|見《み》られましたが、その|一部《いちぶ》は|陶器《とうき》|師《し》の|粘土《ねんど》、|一部《いちぶ》は|鉄《てつ》であったので、それは|分裂《ぶんれつ》した|国《くに》をさします。しかしあなたが|鉄《てつ》と|粘土《ねんど》との|混《ま》じったのを|見《み》られたように、その|国《くに》には|鉄《てつ》の|強《つよ》さがあるでしょう。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]その|足《あし》の|指《ゆび》の|一部《いちぶ》は|鉄《てつ》、|一部《いちぶ》は|粘土《ねんど》であったように、その|国《くに》は|一部《いちぶ》は|強《つよ》く、|一部《いちぶ》はもろいでしょう。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|鉄《てつ》と|粘土《ねんど》との|混《ま》じったのを|見《み》られたように、それらは|婚姻《こんいん》によって、|互《たがい》に|混ざる《まざる》でしょう。しかし|鉄《てつ》と|粘土《ねんど》とは|相混《あいま》じらないように、かれとこれと|相合《そうごう》することはありません。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]それらの|王《おう》たちの|世《よ》に、|天《てん》の|神《かみ》は一つの|国《くに》を|立《た》てられます。これはいつまでも|滅《ほろ》びることがなく、その|主権《しゅけん》は|他《た》の|民《たみ》にわたされず、かえってこれらのもろもろの|国《くに》を|打《う》ち|破《やぶ》って|滅《ほろ》ぼすでしょう。そしてこの|国《くに》は|立《た》って|永遠《えいえん》に|至《いた》るのです。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]一つの|石《いし》が|人手《ひとで》によらずに|山《やま》から|切《き》り|出《だ》され、その|石《いし》が|鉄《てつ》と、|青銅《せいどう》と、|粘土《ねんど》と、|銀《ぎん》と、|金《きん》とを|打《う》ち|砕《くだ》いたのを、あなたが|見《み》られたのはこの|事《こと》です。|大《おお》いなる|神《かみ》がこの|後《のち》に|起《おこ》るべきことを、|王《おう》に|知《し》らされたのです。その|夢《ゆめ》はまことであって、この|解《と》き|明《あ》かしは|確《たし》かです」。  [#太字]四六[#「四六」は行右小書き][#太字終わり]そこでネブカデネザル|王《おう》はひれ|伏《ふ》して、ダニエルを|拝《はい》し、|供《そな》え|物《もの》と|薫香《くんこう》とを、|彼《かれ》にささげることを|命《めい》じた。[#太字]四七[#「四七」は行右小書き][#太字終わり]そして|王《おう》はダニエルに|答《こた》えて|言《い》った、「あなたがこの|秘密《ひみつ》をあらわすことができたのを|見《み》ると、まことに、あなたがたの|神《かみ》は|神々《かみがみ》の|神《かみ》、|王《おう》たちの|主《しゅ》であって、|秘密《ひみつ》をあらわされるかただ」。[#太字]四八[#「四八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|王《おう》はダニエルに|高《たか》い|位《くらい》を|授《さづ》け、|多《おお》くの|大《おお》いなる|贈《おく》り|物《もの》を|与《あた》えて、|彼《かれ》をバビロン|全《ぜん》|州《しゅう》の|総督《そうとく》とし、またバビロンの|知者《ちしゃ》たちを|統轄《とうかつ》する|者《もの》の|長《ちょう》とした。[#太字]四九[#「四九」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまたダニエルの|願《ねが》いによって、シャデラクとメシャクとアベデネゴを|任命《にんめい》して、バビロン|州《しゅう》の|事務《じむ》をつかさどらせた。ただしダニエルは|王《おう》の|宮《みや》にとどまっていた。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデネザル|王《おう》は一つの|金《きん》の|像《ぞう》を|造《つく》った。その|高《たか》さは六十キュビト、その|幅《はば》は六キュビトで、|彼《かれ》はこれをバビロン|州《しゅう》のドラの|平野《へいや》に|立《た》てた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そしてネブカデネザル|王《おう》は、|総督《そうとく》、|長官《ちょうかん》、|知事《ちじ》、|参議《さんぎ》、|庫《くら》|官《かん》、|法官《ほうかん》、|高僧《こうそう》および|諸《しょ》|州《しゅう》の|官吏《かんり》たちを|召《め》し|集《あつ》め、ネブカデネザル|王《おう》の|立《た》てたこの|像《ぞう》の|落成《らくせい》|式《しき》に|臨《のぞ》ませようとした。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|総督《そうとく》、|長官《ちょうかん》、|知事《ちじ》、|参議《さんぎ》、|庫《こ》|官《かん》、|法官《ほうかん》、|高僧《こうそう》および|諸《しょ》|州《しゅう》の|官吏《かんり》たちは、ネブカデネザル|王《おう》の|立《た》てた|像《ぞう》の|落成《らくせい》|式《しき》に|臨《のぞ》み、そのネブカデネザルの|立《た》てた|像《ぞう》の|前《まえ》に|立《た》った。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|伝令《でんれい》|者《しゃ》は|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|諸民《しょみん》、|諸《しょ》|族《ぞく》、|諸国《しょこく》|語《ご》の|者《もの》よ、あなたがたにこう|命《めい》じられる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|角笛《つのぶえ》、|横笛《よこぶえ》、|琴《こと》、|三角琴《さんかくごと》、|立琴《たてごと》、|風笛《かざぶえ》などの、もろもろの|楽器《がっき》の|音《ね》を|聞《き》く|時《とき》は、ひれ|伏《ふ》してネブカデネザル|王《おう》の|立《た》てた|金《きん》の|像《ぞう》を|拝《おが》まなければならない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]だれでもひれ|伏《ふ》して|拝《おが》まない|者《もの》は、ただちに|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》の|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》まれる」と。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこで|民《たみ》らはみな、|角笛《つのぶえ》、|横笛《よこぶえ》、|琴《こと》、|三角琴《さんかくごと》、|立琴《たてごと》、|風笛《かざぶえ》などの、もろもろの|楽器《がっき》の|音《ね》を|聞《き》くや、|諸民《しょみん》、|諸《しょ》|族《ぞく》、|諸国《しょこく》|語《ご》の|者《もの》たちはみな、ひれ|伏《ふ》して、ネブカデネザル|王《おう》の|立《た》てた|金《きん》の|像《ぞう》を|拝《おが》んだ。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、あるカルデヤびとらが|進《すす》みきて、ユダヤ|人《ひと》をあしざまに|訴《うった》えた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らはネブカデネザル|王《おう》に|言《い》った、「|王《おう》よ、とこしえに|生《い》きながらえられますように。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、あなたは|命令《めいれい》を|出《だ》して|仰《おお》せられました。すべて、|角笛《つのぶえ》、|横笛《よこぶえ》、|琴《こと》、|三角琴《さんかくごと》、|立琴《たてごと》、|風笛《かざぶえ》などの、もろもろの|楽器《がっき》の|音《ね》を|聞《き》く|者《もの》は|皆《みな》、ひれ|伏《ふ》して|金《きん》の|像《ぞう》を|拝《おが》まなければならない。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また、だれでもひれ|伏《ふ》して|拝《おが》まない|者《もの》はみな、|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》の|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》まれると。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ここにあなたが|任命《にんめい》して、バビロン|州《しゅう》の|事務《じむ》をつかさどらせられているユダヤ|人《ひと》シャデラク、メシャクおよびアベデネゴがおります。|王《おう》よ、この|人々《ひとびと》はあなたを|尊《たっと》ばず、あなたの|神々《かみがみ》にも|仕《つか》えず、あなたの|立《た》てられた|金《きん》の|像《ぞう》をも|拝《おが》もうとしません」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでネブカデネザルは|怒《いか》りかつ|憤《いきどお》って、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを|連《つ》れてこいと|命《めい》じたので、この|人々《ひとびと》を|王《おう》の|前《まえ》に|連《つ》れてきた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデネザルは|彼《かれ》らに|言《い》った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴよ、あなたがたがわが|神々《かみがみ》に|仕《つか》えず、またわたしの|立《た》てた|金《きん》の|像《ぞう》を|拝《おが》まないとは、ほんとうなのか。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがもし、|角笛《つのぶえ》、|横笛《よこぶえ》、|琴《こと》、|三角琴《さんかくごと》、|立琴《たてごと》、|風笛《かざぶえ》などの、もろもろの|楽器《がっき》の|音《ね》を|聞《き》くときにひれ|伏《ふ》して、わたしが|立《た》てた|像《ぞう》を、ただちに|拝《おが》むならば、それでよろしい。しかし、|拝《おが》むことをしないならば、ただちに|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》の|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》まれる。いったい、どの|神《かみ》が、わたしの|手《て》からあなたがたを|救《すく》うことができようか」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]シャデラク、メシャクおよびアベデネゴは|王《おう》に|答《こた》えて|言《い》った、「ネブカデネザルよ、この|事《こと》について、お|答《こた》えする|必要《ひつよう》はありません。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]もしそんなことになれば、わたしたちの|仕《つか》えている|神《かみ》は、その|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》から、わたしたちを|救《すく》い|出《だ》すことができます。また|王《おう》よ、あなたの|手《て》から、わたしたちを|救《すく》い|出《だ》されます。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]たといそうでなくても、|王《おう》よ、ご|承知《しょうち》ください。わたしたちはあなたの|神々《かみがみ》に|仕《つか》えず、またあなたの|立《た》てた|金《きん》の|像《ぞう》を|拝《おが》みません」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでネブカデネザルは|怒《いか》りに|満《み》ち、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴにむかって、|顔色《かおいろ》を|変《か》え、|炉《ろ》を|平常《へいじょう》よりも七|倍《ばい》|熱《あつ》くせよと|命《めい》じた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]またその|軍勢《ぐんぜい》の|中《なか》の|力《ちから》の|強《つよ》い|人々《ひとびと》を|呼《よ》んで、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを|縛《しば》って、|彼《かれ》らを|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》の|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》めと|命《めい》じた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]そこでこの|人々《ひとびと》は、|外套《がいとう》、|下着《したぎ》、|帽子《ぼうし》、その|他《た》の|衣服《いふく》のまま|縛《しば》られて、|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》の|中《なか》に|投《な》げ|込《こ》まれた。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|命令《めいれい》はきびしく、かつ|炉《ろ》は、はなはだしく|熱《ねっ》していたので、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを|引《ひ》きつれていった|人々《ひとびと》は、その|火炎《かえん》に|焼《や》き|殺《ころ》された。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]シャデラク、メシャク、アベデネゴの三|人《にん》は|縛《しば》られたままで、|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》の|中《なか》に|落《お》ち|込《こ》んだ。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、ネブカデネザル|王《おう》は|驚《おどろ》いて|急《いそ》ぎ|立《た》ちあがり、|大臣《だいじん》たちに|言《い》った、「われわれはあの三|人《にん》を|縛《しば》って、|火《ひ》の|中《なか》に|投《な》げ|入《い》れたではないか」。|彼《かれ》らは|王《おう》に|答《こた》えて|言《い》った、「|王《おう》よ、そのとおりです」。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|答《こた》えて|言《い》った、「しかし、わたしの|見《み》るのに四|人《にん》の|者《もの》がなわめなしに、|火《ひ》の|中《なか》を|歩《ある》いているが、なんの|害《がい》をも|受《う》けていない。その|第《だい》四の|者《もの》の|様子《ようす》は|神《かみ》の|子《こ》のようだ」。  [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]そこでネブカデネザルは、その|火《ひ》の|燃《も》える|炉《ろ》の|入口《いりぐち》に|近寄《ちかよ》って、「いと|高《たか》き|神《かみ》のしもべシャデラク、メシャク、アベデネゴよ、|出《で》てきなさい」と|言《い》ったので、シャデラク、メシャク、アベデネゴはその|火《ひ》の|中《なか》から|出《で》てきた。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|総督《そうとく》、|長官《ちょうかん》、|知事《ちじ》および|王《おう》の|大臣《だいじん》たちも|集《あつ》まってきて、この|人々《ひとびと》を|見《み》たが、|火《ひ》は|彼《かれ》らの|身《み》にはなんの|力《ちから》もなく、その|頭《あたま》の|毛《け》は|焼《や》けず、その|外套《がいとう》はそこなわれず、|火《ひ》のにおいもこれに|付《つ》かなかった。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデネザルは|言《い》った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴの|神《かみ》はほむべきかな。|神《かみ》はその|使者《ししゃ》をつかわして、|自分《じぶん》に|寄《よ》り|頼《たの》むしもべらを|救《すく》った。また|彼《かれ》らは|自分《じぶん》の|神《かみ》|以外《いがい》の|神《かみ》に|仕《つか》え、|拝《おが》むよりも、むしろ|王《おう》の|命令《めいれい》を|無視《むし》し、|自分《じぶん》の|身《み》をも|捨《す》てようとしたのだ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしはいま|命令《めいれい》を|下《くだ》す。|諸民《しょみん》、|諸《しょ》|族《ぞく》、|諸国《しょこく》|語《ご》の|者《もの》のうちだれでも、シャデラク、メシャク、アベデネゴの|神《かみ》をののしる|者《もの》があるならば、その|身《み》は|切《き》り|裂《さ》かれ、その|家《いえ》は|滅《ほろ》ぼされなければならない。このように|救《すくい》を|施《ほどこ》すことのできる|神《かみ》は、ほかにないからだ」。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|王《おう》はシャデラク、メシャクおよびアベデネゴの|位《くらい》を|進《すす》めて、バビロン|州《しゅう》におらせた。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ネブカデネザル|王《おう》は|全《ぜん》|世界《せかい》に|住《す》む|諸民《しょみん》、|諸《しょ》|族《ぞく》、|諸国《しょこく》|語《ご》の|者《もの》に|告《つ》げる。どうか、あなたがたに|平安《へいあん》が|増《ま》すように。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]いと|高《たか》き|神《かみ》はわたしにしるしと|奇跡《きせき》とを|行《おこな》われた。わたしはこれを|知《し》らせたいと|思《おも》う。 [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ああ、そのしるしの|大《おお》いなること、 ああ、その|奇跡《きせき》のすばらしいこと、 その|国《くに》は|永遠《えいえん》の|国《くに》、 その|主権《しゅけん》は|世々《よよ》に|及《およ》ぶ。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]われネブカデネザルはわが|家《や》に|安《やす》らかにおり、わが|宮《みや》にあって|栄《さか》えていたが、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは一つの|夢《ゆめ》を|見《み》て、そのために|恐《おそ》れた。すなわち|床《とこ》にあって、その|事《こと》を|思《おも》いめぐらし、わが|脳中《のうちゅう》の|幻《まぼろし》のために|心《こころ》を|悩《なや》ました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|命令《めいれい》を|下《くだ》し、バビロンの|知者《ちしゃ》をことごとくわが|前《まえ》に|召《め》し|寄《よ》せて、その|夢《ゆめ》の|解《と》き|明《あ》かしを|示《しめ》させようとした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すると、|博士《はかせ》、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》、カルデヤびと、|占《うらな》い|師《し》たちがきたので、わたしはその|夢《ゆめ》を|彼《かれ》らに|語《かた》ったが、|彼《かれ》らはその|解《と》き|明《あ》かしを|示《しめ》すことができなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|最後《さいご》にダニエルがわたしの|前《まえ》にきた、――|彼《かれ》の|名《な》はわが|神《かみ》の|名《な》にちなんで、ベルテシャザルととなえられ、|彼《かれ》のうちには|聖《せい》なる|神《かみ》の|霊《れい》がやどっていた――わたしは|彼《かれ》にその|夢《ゆめ》を|語《かた》って|言《い》った、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|博士《はかせ》の|長《ちょう》ベルテシャザルよ、わたしは|知《し》っている。|聖《せい》なる|神《かみ》の|霊《れい》があなたのうちにやどっているから、どんな|秘密《ひみつ》もあなたにはむずかしいことはない。ここにわたしが|見《み》た|夢《ゆめ》がある。その|解《と》き|明《あ》かしをわたしに|告《つ》げなさい。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|床《とこ》にあって|見《み》た|脳中《のうちゅう》の|幻《まぼろし》はこれである。わたしが|見《み》たのに、|地《ち》の|中央《ちゅうおう》に一|本《ぽん》の|木《き》があって、そのたけが|高《たか》かったが、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|木《き》は|成長《せいちょう》して|強《つよ》くなり、|天《てん》に|達《たっ》するほどの|高《たか》さになって、|地《ち》の|果《はて》までも|見《み》えわたり、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|葉《は》は|美《うつく》しく、その|実《み》は|豊《ゆた》かで、すべての|者《もの》がその|中《なか》から|食物《しょくもつ》を|獲《え》、また|野《の》の|獣《けもの》はその|陰《かげ》にやどり、|空《そら》の|鳥《とり》はその|枝《えだ》にすみ、すべての|肉《にく》なる|者《もの》はこれによって|養《やしな》われた。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|床《とこ》にあって|見《み》た|脳中《のうちゅう》の|幻《まぼろし》の|中《なか》に、ひとりの|警護者《けいごしゃ》、ひとりの|聖者《せいじゃ》の|天《てん》から|下《くだ》るのを|見《み》たが、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|声《こえ》|高《たか》く|呼《よ》ばわって、こう|言《い》った、『この|木《き》を|切《き》り|倒《たお》し、その|枝《えだ》を|切《き》りはらい、その|葉《は》をゆり|落《おと》し、その|実《み》を|打《う》ち|散《ち》らし、|獣《けもの》をその|下《した》から|逃《に》げ|去《さ》らせ、|鳥《とり》をその|枝《えだ》から|飛《と》び|去《さ》らせよ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ただしその|根《ね》の|切《き》り|株《かぶ》を|地《ち》に|残《のこ》し、それに|鉄《てつ》と|青銅《せいどう》のなわをかけて、|野《の》の|若草《わかくさ》の|中《なか》におき、|天《てん》からくだる|露《つゆ》にぬれさせ、また|地《ち》の|草《くさ》の|中《なか》で、|獣《けもの》と|共《とも》にその|分《ぶん》にあずからせよ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]またその|心《こころ》は|変《かわ》って|人間《にんげん》の|心《こころ》のようでなく、|獣《けもの》の|心《こころ》が|与《あた》えられて、七つの|時《とき》を|過《す》ごさせよ。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]この|宣言《せんげん》は|警護者《けいごしゃ》たちの|命令《めいれい》によるもの、この|決定《けってい》は|聖者《せいじゃ》たちの|言葉《ことば》によるもので、いと|高《たか》き|者《もの》が、|人間《にんげん》の|国《くに》を|治《おさ》めて、|自分《じぶん》の|意《い》のままにこれを|人《ひと》に|与《あた》え、また|人《ひと》のうちの|最《もっと》も|卑《いや》しい|者《もの》を、その|上《うえ》に|立《た》てられるという|事《こと》を、すべての|者《もの》に|知《し》らせるためである』と。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]われネブカデネザル|王《おう》はこの|夢《ゆめ》を|見《み》た。ベルテシャザルよ、あなたはその|解《と》き|明《あ》かしをわたしに|告《つ》げなさい。わが|国《くに》の|知者《ちしゃ》たちは、いずれもその|解《と》き|明《あ》かしを、わたしに|示《しめ》すことができなかったけれども、あなたにはそれができる。あなたのうちには、|聖《せい》なる|神《かみ》の|霊《れい》がやどっているからだ」。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、その|名《な》をベルテシャザルととなえるダニエルは、しばらくのあいだ|驚《おどろ》き、|思《おも》い|悩《なや》んだので、|王《おう》は|彼《かれ》に|告《つ》げて|言《い》った、「ベルテシャザルよ、あなたはこの|夢《ゆめ》と、その|解《と》き|明《あ》かしのために、|悩《なや》むには|及《およ》ばない」。ベルテシャザルは|答《こた》えて|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、どうか、この|夢《ゆめ》は、あなたを|憎《にく》む|者《もの》にかかわるように。この|解《と》き|明《あ》かしは、あなたの|敵《てき》に|臨《のぞ》むように。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|見《み》られた|木《き》、すなわちその|成長《せいちょう》して|強《つよ》くなり、|天《てん》に|達《たっ》するほどの|高《たか》さになって、|地《ち》の|果《はて》までも|見《み》えわたり、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]その|葉《は》は|美《うつく》しく、その|実《み》は|豊《ゆた》かで、すべての|者《もの》がその|中《なか》から|食物《しょくもつ》を|獲《え》、また|野《の》の|獣《けもの》がその|陰《かげ》にやどり、|空《そら》の|鳥《とり》がその|枝《えだ》に|住《す》んだ|木《き》、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、それはすなわちあなたです。あなたは|成長《せいちょう》して|強《つよ》くなり、|天《てん》に|達《たっ》するほどに|大《おお》きくなり、あなたの|主権《しゅけん》は|地《ち》の|果《はて》にまで|及《およ》びました。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]ところが、|王《おう》はひとりの|警護者《けいごしゃ》、ひとりの|聖者《せいじゃ》が、|天《てん》から|下《くだ》って、こう|言《い》うのを|見《み》られました、『この|木《き》を|切《き》り|倒《たお》して、これを|滅《ほろ》ぼせ。ただしその|根《ね》の|切《き》り|株《かぶ》を|地《ち》に|残《のこ》し、それに|鉄《てつ》と|青銅《せいどう》のなわをかけて、|野《の》の|若草《わかくさ》の|中《なか》におき、|天《てん》からくだる|露《つゆ》にぬれさせ、また|野《の》の|獣《けもの》と|共《とも》にその|分《ぶん》にあずからせて、七つの|時《とき》を|過《す》ごさせよ』と。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、その|解《と》き|明《あ》かしはこうです。すなわちこれはいと|高《たか》き|者《もの》の|命令《めいれい》であって、わが|主《しゅ》なる|王《おう》に|臨《のぞ》まんとするものです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]すなわちあなたは|追《お》われて|世《よ》の|人《ひと》を|離《はな》れ、|野《の》の|獣《けもの》と|共《とも》におり、|牛《うし》のように|草《くさ》を|食《く》い、|天《てん》からくだる|露《つゆ》にぬれるでしょう。こうして七つの|時《とき》が|過《す》ぎて、ついにあなたは、いと|高《たか》き|者《もの》が|人間《にんげん》の|国《くに》を|治《おさ》めて、|自分《じぶん》の|意《い》のままに、これを|人《ひと》に|与《あた》えられることを|知《し》るに|至《いた》るでしょう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らはその|木《き》の|根《ね》の|切《き》り|株《かぶ》を|残《のこ》しおけと|命《めい》じたので、あなたが、|天《てん》はまことの|支配者《しはいしゃ》であるということを|知《し》った|後《のち》、あなたの|国《くに》はあなたに|確保《かくほ》されるでしょう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|王《おう》よ、あなたはわたしの|勧告《かんこく》をいれ、|義《ぎ》を|行《い》って|罪《つみ》を|離《はな》れ、しえたげられる|者《もの》をあわれんで、|不義《ふぎ》を|離《はな》れなさい。そうすれば、あるいはあなたの|繁栄《はんえい》が、|長《なが》く|続《つづ》くかもしれません」。  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》は|皆《みな》ネブカデネザル|王《おう》に|臨《のぞ》んだ。[#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]十二か|月《げつ》を|経《へ》て|後《のち》、|王《おう》がバビロンの|王宮《おうきゅう》の|屋上《おくじょう》を|歩《ある》いていたとき、[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|自《みずか》ら|言《い》った、「この|大《おお》いなるバビロンは、わたしの|大《おお》いなる|力《ちから》をもって|建《た》てた|王城《おうじょう》であって、わが|威光《いこう》を|輝《かがや》かすものではないか」。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]その|言葉《ことば》がなお|王《おう》の|口《くち》にあるうちに、|天《てん》から|声《こえ》がくだって|言《い》った、「ネブカデネザル|王《おう》よ、あなたに|告《つ》げる。|国《くに》はあなたを|離《はな》れ|去《さ》った。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは、|追《お》われて|世《よ》の|人《ひと》を|離《はな》れ、|野《の》の|獣《けもの》と|共《とも》におり、|牛《うし》のように|草《くさ》を|食《く》い、こうして七つの|時《とき》を|経《へ》て、ついにあなたは、いと|高《たか》き|者《もの》が|人間《にんげん》の|国《くに》を|治《おさ》めて、|自分《じぶん》の|意《い》のままに、これを|人《ひと》に|与《あた》えられることを|知《し》るに|至《いた》るだろう」。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]この|言葉《ことば》は、ただちにネブカデネザルに|成就《じょうじゅ》した。|彼《かれ》は|追《お》われて|世《よ》の|人《ひと》を|離《はな》れ、|牛《うし》のように|草《くさ》を|食《く》い、その|身《み》は|天《てん》からくだる|露《つゆ》にぬれ、ついにその|毛《け》は、わしの|羽《はね》のようになり、そのつめは|鳥《とり》のつめのようになった。  [#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてその|期間《きかん》が|満《み》ちた|後《のち》、われネブカデネザルは、|目《め》をあげて|天《てん》を|仰《あお》ぎ|見《み》ると、わたしの|理性《りせい》が|自分《じぶん》に|帰《かえ》ったので、わたしはいと|高《たか》き|者《もの》をほめ、その|永遠《えいえん》に|生《い》ける|者《もの》をさんびし、かつあがめた。 [#ここから2字下げ] その|主権《しゅけん》は|永遠《えいえん》の|主権《しゅけん》、 その|国《くに》は|世々《よよ》かぎりなく、 [#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》に|住《す》む|民《たみ》はすべて|無《な》き|者《もの》のように|思《おも》われ、 |天《てん》の|衆《しゅう》|群《ぐん》にも、 |地《ち》に|住《す》む|民《たみ》にも、 |彼《かれ》はその|意《い》のままに|事《こと》を|行《おこな》われる。 だれも|彼《かれ》の|手《て》をおさえて 「あなたは|何《なに》をするのか」と|言《い》いうる|者《もの》はない。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》わたしの|理性《りせい》は|自分《じぶん》に|帰《かえ》り、またわが|国《くに》の|光栄《こうえい》のために、わが|尊厳《そんげん》と|光輝《こうき》とが、わたしに|帰《かえ》った。わが|大臣《だいじん》、わが|貴族《きぞく》らもきて、わたしに|求《もと》め、わたしは|国《くに》の|上《うえ》に|堅《かた》く|立《た》って、|前《まえ》にもまさって|大《おお》いなる|者《もの》となった。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]そこでわれネブカデネザルは|今《いま》、|天《てん》の|王《おう》をほめたたえ、かつあがめたてまつる。そのみわざはことごとく|真実《しんじつ》で、その|道《みち》は|正《ただ》しく、|高《たか》ぶり|歩《あゆ》む|者《もの》を|低《ひく》くされる。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ベルシャザル|王《おう》は、その|大臣《だいじん》一千|人《にん》のために、|盛《さか》んな|酒宴《しゅえん》を|設《もう》け、その一千|人《にん》の|前《まえ》で|酒《さけ》を|飲《の》んでいた。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》が|進《すす》んだとき、ベルシャザルは、その|父《ちち》ネブカデネザルがエルサレムの|神殿《しんでん》から|取《と》ってきた|金銀《きんぎん》の|器《うつわ》を|持《も》ってこいと|命《めい》じた。|王《おう》とその|大臣《だいじん》たち、および|王《おう》の|妻《つま》とそばめらが、これをもって|酒《さけ》を|飲《の》むためであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》はそのエルサレムの|神《かみ》の|宮《みや》すなわち|神殿《しんでん》から|取《と》ってきた|金銀《きんぎん》の|器《うつわ》を|持《も》ってきたので、|王《おう》とその|大臣《だいじん》たち、および|王《おう》の|妻《つま》とそばめらは、これをもって|飲《の》んだ。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》らは|酒《さけ》を|飲《の》んで、|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》、|木《き》、|石《いし》などの|神々《かみがみ》をほめたたえた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すると|突然《とつぜん》|人《ひと》の|手《て》の|指《ゆび》があらわれて、|燭台《しょくだい》と|相対《あいたい》する|王《おう》の|宮殿《きゅうでん》の|塗《ぬ》り|壁《かべ》に|物《もの》を|書《か》いた。|王《おう》はその|物《もの》を|書《か》いた|手《て》の|先《さき》を|見《み》た。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そのために|王《おう》の|顔色《かおいろ》は|変《かわ》り、その|心《こころ》は|思《おも》い|悩《なや》んで|乱《みだ》れ、その|腰《こし》のつがいはゆるみ、ひざは|震《ふる》えて|互《たがい》に|打《う》ちあった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》は|大声《おおごえ》に|呼《よ》ばわって、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》、カルデヤびと、|占《うらな》い|師《し》らを|召《め》してこさせた。|王《おう》はバビロンの|知者《ちしゃ》たちに|告《つ》げて|言《い》った、「この|文字《もじ》を|読《よ》み、その|解《と》き|明《あ》かしをわたしに|示《しめ》す|者《もの》には|紫《むらさき》の|衣《ころも》を|着《き》せ、|首《くび》に|金《きん》の|鎖《くさり》をかけさせて、|国《くに》の|第《だい》三のつかさとしよう」と。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》の|知者《ちしゃ》たちは|皆《みな》はいってきた。しかしその|文字《もじ》を|読《よ》むことができず、またその|解《と》き|明《あ》かしを|王《おう》に|示《しめ》すことができなかったので、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ベルシャザル|王《おう》は|大《おお》いに|思《おも》い|悩《なや》んで、その|顔色《かおいろ》は|変《かわ》り、|王《おう》の|大臣《だいじん》たちも|当惑《とうわく》した。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|王妃《おうひ》は|王《おう》と|大臣《だいじん》たちの|言葉《ことば》を|聞《き》いて、その|宴会場《えんかいじょう》にはいってきた。そして|王妃《おうひ》は|言《い》った、「|王《おう》よ、どうか、とこしえに|生《い》きながらえられますように。あなたは|心《こころ》に|思《おも》い|悩《なや》んではなりません。また|顔色《かおいろ》を|変《か》えるには|及《およ》びません。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|国《くに》には、|聖《せい》なる|神《かみ》の|霊《れい》のやどっているひとりの|人《ひと》がおります。あなたの|父《ちち》の|代《よ》に、|彼《かれ》は、|明知《めいち》、|分別《ふんべつ》および|神《かみ》のような|知恵《ちえ》のあることをあらわしました。あなたの|父《ちち》ネブカデネザル|王《おう》は、|彼《かれ》を|立《た》てて、|博士《はかせ》、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》、カルデヤびと、|占《うらな》い|師《し》らの|長《ちょう》とされました。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、|王《おう》がベルテシャザルという|名《な》を|与《あた》えたダニエルという|者《もの》ですが、このダニエルには、すぐれた|霊《れい》、|知識《ちしき》、|分別《ふんべつ》があって、|夢《ゆめ》を|解《と》き、なぞを|解《と》き、|難問《なんもん》を|解《と》くことができます。ゆえにダニエルを|召《め》しなさい。|彼《かれ》はその|解《と》き|明《あ》かしを|示《しめ》すでしょう」。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]そこでダニエルは|王《おう》の|前《まえ》に|召《め》された。|王《おう》はダニエルに|言《い》った、「あなたは、わが|父《ちち》の|王《おう》が、ユダからひきつれてきたユダの|捕囚《ほしゅう》のひとりなのか。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》くところによると、あなたのうちには、|聖《せい》なる|神《かみ》の|霊《れい》がやどっていて、|明知《めいち》、|分別《ふんべつ》および|非凡《ひぼん》な|知恵《ちえ》があるそうだ。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、|知者《ちしゃ》、|法《ほう》|術《じゅつ》|士《し》らを、わが|前《まえ》に|召《め》しよせて、この|文字《もじ》を|読《よ》ませ、その|解《と》き|明《あ》かしを|示《しめ》させようとしたが、|彼《かれ》らは、この|事《こと》の|解《と》き|明《あ》かしを|示《しめ》すことができなかった。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]しかしまた|聞《き》くところによると、あなたは|解《と》き|明《あ》かしをなし、かつ|難問《なんもん》を|解《と》くことができるそうだ。それで、あなたがもし、この|文字《もじ》を|読《よ》み、その|解《と》き|明《あ》かしをわたしに|示《しめ》すことができたなら、あなたに|紫《むらさき》の|衣《ころも》を|着《き》せ、|金《きん》の|鎖《くさり》を|首《くび》にかけさせて、この|国《くに》の|第《だい》三のつかさとしよう」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|王《おう》の|前《まえ》に|答《こた》えて|言《い》った、「あなたの|賜物《たまもの》は、あなたご|自身《じしん》にとっておき、あなたの|贈《おく》り|物《もの》は、|他人《たにん》にお|与《あた》えください。それでも、わたしは|王《おう》のためにその|文字《もじ》を|読《よ》み、その|解《と》き|明《あ》かしをお|知《おし》らせいたしましょう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》よ、いと|高《たか》き|神《かみ》はあなたの|父《ちち》ネブカデネザルに|国《くに》と|権勢《けんせい》と、|光栄《こうえい》と|尊厳《そんげん》とを|賜《たま》いました。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|権勢《けんせい》を|賜《たま》わったことによって、|諸民《しょみん》、|諸《しょ》|族《ぞく》、|諸国《しょこく》|語《ご》の|者《もの》はみな、|彼《かれ》の|前《まえ》におののき|恐《おそ》れました。|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|欲《ほっ》する|者《もの》を|殺《ころ》し、|自分《じぶん》の|欲《ほっ》する|者《もの》を|生《い》かし、|自分《じぶん》の|欲《ほっ》する|者《もの》を|上《あ》げ、|自分《じぶん》の|欲《ほっ》する|者《もの》を|下《くだ》しました。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》は|心《こころ》に|高《たか》ぶり、かたくなになり、ごうまんにふるまったので、|王位《おうい》からしりぞけられ、その|光栄《こうえい》を|奪《うば》われ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|追《お》われて|世《よ》の|人《ひと》と|離《はな》れ、その|思《おも》いは|獣《けもの》のようになり、そのすまいは|野《の》ろばと|共《とも》にあり、|牛《うし》のように|草《くさ》を|食《く》い、その|身《み》は|天《てん》からくだる|露《つゆ》にぬれ、こうしてついに|彼《かれ》は、いと|高《たか》き|神《かみ》が|人間《にんげん》の|国《くに》を|治《おさ》めて、|自分《じぶん》の|意《い》のままに|人《ひと》を|立《た》てられるということを、|知《し》るようになりました。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ベルシャザルよ、あなたは|彼《かれ》の|子《こ》であって、この|事《こと》をことごとく|知《し》っていながら、なお|心《こころ》を|低《ひく》くせず、[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]かえって|天《てん》の|主《しゅ》にむかって、みずから|高《たか》ぶり、その|宮《みや》の|器物《うつわもの》をあなたの|前《まえ》に|持《も》ってこさせ、あなたとあなたの|大臣《だいじん》たちと、あなたの|妻《つま》とそばめたちは、それをもって|酒《さけ》を|飲《の》み、そしてあなたは|見《み》ることも、|聞《き》くことも、|物《もの》を|知《し》ることもできない|金《きん》、|銀《ぎん》、|青銅《せいどう》、|鉄《てつ》、|木《き》、|石《いし》の|神々《かみがみ》をほめたたえたが、あなたの|命《いのち》をその|手《て》ににぎり、あなたのすべての|道《みち》をつかさどられる|神《かみ》をあがめようとはしなかった。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》の|前《まえ》からこの|手《て》が|出《で》てきて、この|文字《もじ》が|書《か》きしるされたのです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そのしるされた|文字《もじ》はこうです。メネ、メネ、テケル、ウパルシン。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その|事《こと》の|解《と》き|明《あ》かしはこうです、メネは|神《かみ》があなたの|治世《ちせい》を|数《かぞ》えて、これをその|終《おわ》りに|至《いた》らせたことをいうのです。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]テケルは、あなたがはかりで|量《はか》られて、その|量《りょう》の|足《た》りないことがあらわれたことをいうのです。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]ペレスは、あなたの|国《くに》が|分《わ》かたれて、メデアとペルシャの|人々《ひとびと》に|与《あた》えられることをいうのです」。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]そこでベルシャザルは|命《めい》じて、ダニエルに|紫《むらさき》の|衣《ころも》を|着《き》せ、|金《きん》の|鎖《くさり》をその|首《くび》にかけさせ、|彼《かれ》について|布告《ふこく》を|発《はっ》して、|彼《かれ》は|国《くに》の|第《だい》三のつかさであると|言《い》わせた。  [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]カルデヤびとの|王《おう》ベルシャザルは、その|夜《よる》のうちに|殺《ころ》され、[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]メデアびとダリヨスが、その|国《くに》を|受《う》けた。この|時《とき》ダリヨスは、おおよそ六十二|歳《さい》であった。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨスは|全国《ぜんこく》を|治《おさ》めるために、その|国《くに》に百二十|人《にん》の|総督《そうとく》を|立《た》てることをよしとし、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|彼《かれ》らの|上《うえ》に三|人《にん》の|総監《そうかん》を|立《た》てた。ダニエルはそのひとりであった。これは|総督《そうとく》たちをして、この三|人《にん》の|前《まえ》に、その|職務《しょくむ》に|関《かん》する|報告《ほうこく》をさせて、|王《おう》に|損失《そんしつ》の|及《およ》ぶことのないようにするためであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|彼《かれ》のうちにあるすぐれた|霊《れい》のゆえに、|他《た》のすべての|総監《そうかん》および|総督《そうとく》たちにまさっていたので、|王《おう》は|彼《かれ》を|立《た》てて|全国《ぜんこく》を|治《おさ》めさせようとした。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|総監《そうかん》および|総督《そうとく》らは、|国事《こくじ》についてダニエルを|訴《うった》えるべき|口実《こうじつ》を|得《え》ようとしたが、|訴《うった》えるべきなんの|口実《こうじつ》も、なんのとがをも|見《み》いだすことができなかった。それは|彼《かれ》が|忠信《ちゅうしん》な|人《ひと》であって、その|身《み》になんのあやまちも、とがも|見《み》いだされなかったからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|人々《ひとびと》は|言《い》った、「われわれはダニエルの|神《かみ》の|律法《りっぽう》に|関《かん》して、|彼《かれ》を|訴《うった》える|口実《こうじつ》を|得《え》るのでなければ、ついに|彼《かれ》を|訴《うった》えることはできまい」と。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]こうして|総監《そうかん》と|総督《そうとく》らは、|王《おう》のもとに|集《あつ》まってきて、|王《おう》に|言《い》った、「ダリヨス|王《おう》よ、どうかとこしえに|生《い》きながらえられますように。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》の|総監《そうかん》、|長官《ちょうかん》および|総督《そうとく》、|参議《さんぎ》および|知事《ちじ》らは、|相《あい》はかって、|王《おう》が一つのおきてを|立《た》て、一つの|禁令《きんれい》を|定《さだ》められるよう|求《もと》めることになりました。|王《おう》よ、それはこうです。すなわち|今《いま》から三十|日《にち》の|間《あいだ》は、ただあなたにのみ|願《ねが》い|事《ごと》をさせ、もしあなたをおいて、|神《かみ》または|人《ひと》にこれをなす|者《もの》があれば、すべてその|者《もの》を、ししの|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れるというのです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それで|王《おう》よ、その|禁令《きんれい》を|定《さだ》め、その|文書《ぶんしょ》に|署名《しょめい》して、メデアとペルシャの|変《かわ》ることのない|法律《ほうりつ》のごとく、これを|変《か》えることのできないようにしてください」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]そこでダリヨス|王《おう》は、その|禁令《きんれい》の|文書《ぶんしょ》に|署名《しょめい》した。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは、その|文書《ぶんしょ》の|署名《しょめい》されたことを|知《し》って|家《いえ》に|帰《かえ》り、二|階《かい》のへやの、エルサレムに|向《む》かって|窓《まど》の|開《ひら》かれた|所《ところ》で、|以前《いぜん》からおこなっていたように、一|日《にち》に三|度《ど》ずつ、ひざをかがめて|神《かみ》の|前《まえ》に|祈《いの》り、かつ|感謝《かんしゃ》した。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこでその|人々《ひとびと》は|集《あつ》まってきて、ダニエルがその|神《かみ》の|前《まえ》に|祈《いの》り、かつ|求《もと》めていることを|見《み》たので、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|王《おう》の|前《まえ》にきて、|王《おう》の|禁令《きんれい》について|奏上《そうじょう》して|言《い》った、「|王《おう》よ、あなたは|禁令《きんれい》に|署名《しょめい》して、|今《いま》から三十|日《にち》の|間《あいだ》は、ただあなたにのみ|願《ねが》い|事《ごと》をさせ、もしあなたをおいて、|神《かみ》または|人《ひと》に、これをなす|者《もの》があれば、すべてその|者《もの》を、ししの|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れると、|定《さだ》められたではありませんか」。|王《おう》は|答《こた》えて|言《い》った、「その|事《こと》は|確《たし》かであって、メデアとペルシャの|法律《ほうりつ》のごとく、|変《か》えることのできないものだ」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|王《おう》の|前《まえ》に|答《こた》えて|言《い》った、「|王《おう》よ、ユダから|引《ひ》いてきた|捕囚《ほしゅう》のひとりである、かのダニエルは、あなたをも、あなたの|署名《しょめい》された|禁令《きんれい》をも|顧《かえり》みず、一|日《にち》に三|度《ど》ずつ、|祈《いのり》をささげています」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はこの|言葉《ことば》を|聞《き》いて|大《おお》いに|憂《うれ》え、ダニエルを|救《すく》おうと|心《こころ》を|用《もち》い、|日《ひ》の|入《い》るまで、|彼《かれ》を|救《すく》い|出《だ》すことに|努《つと》めた。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にその|人々《ひとびと》は、また|王《おう》のもとに|集《あつ》まってきて、|王《おう》に|言《い》った、「|王《おう》よ、メデアとペルシャの|法律《ほうりつ》によれば、|王《おう》の|立《た》てた|禁令《きんれい》、または、おきては|変《か》えることのできないものであることを、ご|承知《しょうち》ください」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|命令《めいれい》を|下《くだ》したので、ダニエルは|引《ひ》き|出《だ》されて、ししの|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れられた。|王《おう》はダニエルに|言《い》った、「どうか、あなたの|常《つね》に|仕《つか》える|神《かみ》が、あなたを|救《すく》われるように」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そして一つの|石《いし》を|持《も》ってきて、|穴《あな》の|口《くち》をふさいだので、|王《おう》は|自分《じぶん》の|印《いん》と、|大臣《だいじん》らの|印《いん》をもって、これに|封印《ふういん》した。これはダニエルの|処置《しょち》を|変《か》えることのないようにするためであった。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]こうして|王《おう》はその|宮殿《きゅうでん》に|帰《かえ》ったが、その|夜《よる》は|食《しょく》をとらず、また、そばめたちを|召《め》し|寄《よ》せず、|全《まった》く|眠《ねむ》ることもしなかった。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|王《おう》は|朝《あさ》まだき|起《お》きて、ししの|穴《あな》へ|急《いそ》いで|行《い》ったが、[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルのいる|穴《あな》に|近《ちか》づいたとき、|悲《かな》しげな|声《こえ》をあげて|呼《よ》ばわり、ダニエルに|言《い》った、「|生《い》ける|神《かみ》のしもべダニエルよ、あなたが|常《つね》に|仕《つか》えている|神《かみ》はあなたを|救《すく》って、ししの|害《がい》を|免《まぬか》れさせることができたか」。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|王《おう》に|言《い》った、「|王《おう》よ、どうか、とこしえに|生《い》きながらえられますように。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|神《かみ》はその|使《つかい》をおくって、ししの|口《くち》を|閉《と》ざされたので、ししはわたしを|害《がい》しませんでした。これはわたしに|罪《つみ》のないことが、|神《かみ》の|前《まえ》に|認《みと》められたからです。|王《おう》よ、わたしはあなたの|前《まえ》にも、|何《なに》も|悪《わる》い|事《こと》をしなかったのです」。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|王《おう》は|大《おお》いに|喜《よろこ》び、ダニエルを|穴《あな》の|中《なか》から|出《だ》せと|命《めい》じたので、ダニエルは|穴《あな》の|中《なか》から|出《だ》されたが、その|身《み》になんの|害《がい》をも|受《う》けていなかった。これは|彼《かれ》が|自分《じぶん》の|神《かみ》を|頼《たの》みとしていたからである。[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|王《おう》はまた|命令《めいれい》を|下《くだ》して、ダニエルをあしざまに|訴《うった》えた|人々《ひとびと》を|引《ひ》いてこさせ、|彼《かれ》らをその|妻子《さいし》と|共《とも》に、ししの|穴《あな》に|投《な》げ|入《い》れさせた。|彼《かれ》らが|穴《あな》の|底《そこ》に|達《たっ》しないうちに、ししは|彼《かれ》らにとびかかって、その|骨《ほね》までもかみ|砕《くだ》いた。  [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]そこでダリヨス|王《おう》は|全《ぜん》|世界《せかい》に|住《す》む|諸民《しょみん》、|諸《しょ》|族《ぞく》、|諸国《しょこく》|語《ご》の|者《もの》に|詔《みことのり》を|書《か》きおくって|言《い》った、「どうか、あなたがたに|平安《へいあん》が|増《ま》すように。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|命令《めいれい》を|出《だ》す。わが|国《くに》のすべての|州《しゅう》の|人《ひと》は、|皆《みな》ダニエルの|神《かみ》を、おののき|恐《おそ》れなければならない。 [#ここから2字下げ] |彼《かれ》は|生《い》ける|神《かみ》であって、 とこしえに|変《かわ》ることなく、 その|国《くに》は|滅《ほろ》びず、その|主権《しゅけん》は|終《おわ》りまで|続《つづ》く。 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|救《すくい》を|施《ほどこ》し、|助《たす》けをなし、 |天《てん》においても、|地《ち》においても、 しるしと|奇跡《きせき》とをおこない、 ダニエルを|救《すく》って、 ししの|力《ちから》をのがれさせたかたである」。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]こうして、このダニエルはダリヨスの|世《よ》と、ペルシャ|人《ひと》クロスの|世《よ》において|栄《さか》えた。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]バビロンの|王《おう》ベルシャザルの|元年《がんねん》に、ダニエルは|床《とこ》にあって|夢《ゆめ》を|見《み》、また|脳《のう》|中《ちゅう》に|幻《まぼろし》を|得《え》たので、|彼《かれ》はその|夢《ゆめ》をしるして、その|事《こと》の|大意《たいい》を|述《の》べた。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルは|述《の》べて|言《い》った、「わたしは|夜《よる》の|幻《まぼろし》のうちに|見《み》た。|見《み》よ、|天《てん》の|四方《しほう》からの|風《かぜ》が|大海《おおうみ》をかきたてると、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]四つの|大《おお》きな|獣《けもの》が|海《うみ》からあがってきた。その|形《かたち》は、おのおの|異《こと》なり、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》一のものは、ししのようで、わしの|翼《つばさ》をもっていたが、わたしが|見《み》ていると、その|翼《つばさ》は|抜《ぬ》きとられ、また|地《ち》から|起《おこ》されて、|人《ひと》のように二|本《ほん》の|足《あし》で|立《た》たせられ、かつ|人《ひと》の|心《こころ》が|与《あた》えられた。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|第《だい》二の|獣《けもの》は|熊《くま》のようであった。これはそのからだの|一方《いっぽう》をあげ、その|口《くち》の|歯《は》の|間《あいだ》に、三|本《ぼん》の|肋骨《ろっこつ》をくわえていたが、これに|向《む》かって『|起《お》きあがって、|多《おお》くの|肉《にく》を|食《く》らえ』と|言《い》う|声《こえ》があった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》わたしが|見《み》たのは、ひょうのような|獣《けもの》で、その|背《せ》には|鳥《とり》の|翼《つばさ》が四つあった。またこの|獣《けもの》には四つの|頭《あたま》があり、|主権《しゅけん》が|与《あた》えられた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》わたしが|夜《よる》の|幻《まぼろし》のうちに|見《み》た|第《だい》四の|獣《けもの》は、|恐《おそ》ろしい、ものすごい、|非常《ひじょう》に|強《つよ》いもので、|大《おお》きな|鉄《てつ》の|歯《は》があり、|食《く》らい、かつ、かみ|砕《くだ》いて、その|残《のこ》りを|足《あし》で|踏《ふ》みつけた。これは、その|前《まえ》に|出《で》たすべての|獣《けもの》と|違《ちが》って、十の|角《つの》を|持《も》っていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが、その|角《つの》を|注意《ちゅうい》して|見《み》ていると、その|中《なか》に、また一つの|小《ちい》さい|角《つの》が|出《で》てきたが、この|小《ちい》さい|角《つの》のために、さきの|角《つの》のうち三つがその|根《ね》から|抜《ぬ》け|落《お》ちた。|見《み》よ、この|小《ちい》さい|角《つの》には、|人《ひと》の|目《め》のような|目《め》があり、また|大《おお》きな|事《こと》を|語《かた》る|口《くち》があった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ていると、 [#ここから2字下げ] もろもろのみ|座《ざ》が|設《もう》けられて、 |日《ひ》の|老《お》いたる|者《もの》が|座《ざ》しておられた。 その|衣《ころも》は|雪《ゆき》のように|白《しろ》く、 |頭《あたま》の|毛《け》は|混《ま》じりもののない|羊《ひつじ》の|毛《け》のようであった。 そのみ|座《ざ》は|火《ひ》の|炎《ほのお》であり、 その|車輪《しゃりん》は|燃《も》える|火《ひ》であった。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|前《まえ》から、ひと|筋《すじ》の|火《ひ》の|流《なが》れが|出《で》てきた。 |彼《かれ》に|仕《つか》える|者《もの》は|千々《せんせん》、 |彼《かれ》の|前《まえ》にはべる|者《もの》は|万々《まんまん》、 |審判《しんぱん》を|行《おこな》う|者《もの》はその|席《せき》に|着《つ》き、 かずかずの|書《か》き|物《もの》が|開《ひら》かれた。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、その|角《つの》の|語《かた》る|大《おお》いなる|言葉《ことば》の|声《こえ》がするので|見《み》ていたが、わたしが|見《み》ている|間《あいだ》にその|獣《けもの》は|殺《ころ》され、そのからだはそこなわれて、|燃《も》える|火《ひ》に|投《な》げ|入《い》れられた。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》の|獣《けもの》はその|主権《しゅけん》を|奪《うば》われたが、その|命《いのち》は、|時《とき》と|季節《きせつ》の|来《く》るまで|延《の》ばされた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|夜《よる》の|幻《まぼろし》のうちに|見《み》ていると、 [#ここから2字下げ] |見《み》よ、|人《ひと》の|子《こ》のような|者《もの》が、 |天《てん》の|雲《くも》に|乗《の》ってきて、 |日《ひ》の|老《お》いたる|者《もの》のもとに|来《く》ると、 その|前《まえ》に|導《みちび》かれた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|主権《しゅけん》と|光栄《こうえい》と|国《くに》とを|賜《たま》い、 |諸民《しょみん》、|諸《しょ》|族《ぞく》、|諸国《しょこく》|語《ご》の|者《もの》を|彼《かれ》に|仕《つか》えさせた。 その|主権《しゅけん》は|永遠《えいえん》の|主権《しゅけん》であって、 なくなることがなく、 その|国《くに》は|滅《ほろ》びることがない。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、われダニエル、わがうちなる|霊《れい》は|憂《うれ》え、わが|脳中《のうちゅう》の|幻《まぼろし》は、わたしを|悩《なや》ましたので、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、そこに|立《た》っている|者《もの》のひとりに|近寄《ちかよ》って、このすべての|事《こと》の|真意《しんい》を|尋《たず》ねた。するとその|者《もの》は、わたしにこの|事《こと》の|解《と》き|明《あ》かしを|告《つ》げ|知《し》らせた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]『この四つの|大《おお》きな|獣《けもの》は、|地《ち》に|起《おこ》らんとする四|人《にん》の|王《おう》である。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかしついには、いと|高《たか》き|者《もの》の|聖徒《せいと》が|国《くに》を|受《う》け、|永遠《えいえん》にその|国《くに》を|保《たも》って、|世々《よよ》かぎりなく|続《つづ》く』。  [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは、さらに|第《だい》四の|獣《けもの》の|真意《しんい》を|知《し》ろうとした。その|獣《けもの》は|他《た》の|獣《けもの》と|異《こと》なって、はなはだ|恐《おそ》ろしく、その|歯《は》は|鉄《てつ》、そのつめは|青銅《せいどう》であって、|食《く》らい、かつ、かみ|砕《くだ》いて、その|残《のこ》りを|足《あし》で|踏《ふ》みつけた。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]この|獣《けもの》の|頭《あたま》には、十の|角《つの》があったが、そのほかに一つの|角《つの》が|出《で》てきたので、この|角《つの》のために、三つの|角《つの》が|抜《ぬ》け|落《お》ちた。この|角《つの》には|目《め》があり、また|大《おお》きな|事《こと》を|語《かた》る|口《くち》があって、その|形《かたち》は、その|同類《どうるい》のものよりも|大《おお》きく|見《み》えた。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ていると、この|角《つの》は|聖徒《せいと》と|戦《たたか》って、|彼《かれ》らに|勝《か》ったが、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]ついに|日《ひ》の|老《お》いたる|者《もの》がきて、いと|高《たか》き|者《もの》の|聖徒《せいと》のために|審判《しんぱん》をおこなった。そしてその|時《とき》がきて、この|聖徒《せいと》たちは|国《くに》を|受《う》けた。 [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこう|言《い》った、 『|第《だい》四の|獣《けもの》は|地上《ちじょう》の|第《だい》四の|国《くに》である。 これはすべての|国《くに》と|異《こと》なって、 |全《ぜん》|世界《せかい》を|併合《へいごう》し、 これを|踏《ふ》みつけ、かつ|打《う》ち|砕《くだ》く。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]十の|角《つの》はこの|国《くに》から|起《おこ》る十|人《にん》の|王《おう》である。 その|後《のち》にまたひとりの|王《おう》が|起《おこ》る。 |彼《かれ》は|先《さき》の|者《もの》と|異《こと》なり、 かつ、その三|人《にん》の|王《おう》を|倒《たお》す。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、いと|高《たか》き|者《もの》に|敵《てき》して|言葉《ことば》を|出《だ》し、 かつ、いと|高《たか》き|者《もの》の|聖徒《せいと》を|悩《なや》ます。 |彼《かれ》はまた|時《とき》と|律法《りっぽう》とを|変《か》えようと|望《のぞ》む。 |聖徒《せいと》はひと|時《とき》と、ふた|時《とき》と、|半時《はんとき》の|間《あいだ》、 |彼《かれ》の|手《て》にわたされる。 [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|審判《しんぱん》が|行《おこな》われ、 |彼《かれ》の|主権《しゅけん》は|奪《うば》われて、 |永遠《えいえん》に|滅《ほろ》び|絶《た》やされ、 [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》と|主権《しゅけん》と|全《ぜん》|天下《てんか》の|国々《くにぐに》の|権威《けんい》とは、 いと|高《たか》き|者《もの》の|聖徒《せいと》たる|民《たみ》に|与《あた》えられる。 |彼《かれ》らの|国《くに》は|永遠《えいえん》の|国《くに》であって、 |諸国《しょこく》の|者《もの》はみな|彼《かれ》らに|仕《つか》え、かつ|従《したが》う』。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|事《こと》はここで|終《おわ》った。われダニエルは、これを|思《おも》いまわして、|非常《ひじょう》に|悩《なや》み、|顔色《かおいろ》も|変《かわ》った。しかし、わたしはこの|事《こと》を|心《こころ》に|留《と》めた」。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]われダニエルは|先《さき》に|幻《まぼろし》を|見《み》たが、|後《のち》またベルシャザル|王《おう》の|治世《ちせい》の|第《だい》三|年《ねん》に、一つの|幻《まぼろし》がわたしに|示《しめ》された。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|幻《まぼろし》を|見《み》たのは、エラム|州《しゅう》の|首都《しゅと》スサにいた|時《とき》であって、ウライ|川《かわ》のほとりにおいてであった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|目《め》をあげて|見《み》ると、|川《かわ》の|岸《きし》に一|匹《ぴき》の|雄羊《おひつじ》が|立《た》っていた。これに二つの|角《つの》があって、その|角《つの》は|共《とも》に|長《なが》かったが、一つの|角《つの》は|他《た》の|角《つの》よりも|長《なが》かった。その|長《なが》いのは|後《のち》に|伸《の》びたのである。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ていると、その|雄羊《おひつじ》は、|西《にし》、|北《きた》、|南《みなみ》にむかって|突撃《とつげき》したが、これに|当《あた》ることのできる|獣《けもの》は一|匹《ぴき》もなく、またその|手《て》から|救《すく》い|出《だ》すことのできるものもなかった。これはその|心《こころ》のままにふるまい、みずから|高《たか》ぶっていた。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこれを|考《かんが》え、|見《み》ていると、一|匹《ぴき》の|雄《お》やぎが、|全《ぜん》|地《ち》のおもてを|飛《と》びわたって|西《にし》からきたが、その|足《あし》は|土《つち》を|踏《ふ》まなかった。このやぎには、|目《め》の|間《あいだ》に|著《いちじる》しい一つの|角《つの》があった。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]この|者《もの》は、さきにわたしが|川《かわ》の|岸《きし》に|立《た》っているのを|見《み》た、あの二つの|角《つの》のある|雄羊《おひつじ》にむかってきて、|激《はげ》しく|怒《いか》ってこれに|走《はし》り|寄《よ》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ていると、それが|雄羊《おひつじ》に|近寄《ちかよ》るや、これにむかって|怒《いか》りを|発《はっ》し、|雄羊《おひつじ》を|撃《う》って、その二つの|角《つの》を|砕《くだ》いた。|雄羊《おひつじ》には、これに|当《あた》る|力《ちから》がなかったので、やぎは|雄羊《おひつじ》を|地《ち》に|打《う》ち|倒《たお》して|踏《ふ》みつけた。また、その|雄羊《おひつじ》を、やぎの|力《ちから》から|救《すく》いうる|者《もの》がなかった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]こうして、その|雄《お》やぎは、はなはだしく|高《たか》ぶったが、その|盛《さか》んになった|時《とき》、あの|大《おお》きな|角《つの》が|折《お》れて、その|代《かわ》りに四つの|著《いちじる》しい|角《つの》が|生《しょう》じ、|天《てん》の|四方《しほう》に|向《む》かった。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|角《つの》の一つから、一つの|小《ちい》さい|角《つの》が|出《で》て、|南《みなみ》に|向《む》かい、|東《ひがし》に|向《む》かい、|麗《うるわ》しい|地《ち》に|向《む》かって、はなはだしく|大《おお》きくなり、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|衆《しゅう》|群《ぐん》に|及《およ》ぶまでに|大《おお》きくなり、|星《ほし》の|衆《しゅう》|群《ぐん》のうちの|数個《すうこ》を|地《ち》に|投《な》げ|下《くだ》して、これを|踏《ふ》みつけ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]またみずから|高《たか》ぶって、その|衆《しゅう》|群《ぐん》の|主《しゅ》に|敵《てき》し、その|常供《じょうく》の|燔祭《はんさい》を|取《と》り|除《のぞ》き、かつその|聖所《せいじょ》を|倒《たお》した。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|衆《しゅう》|群《ぐん》は、|罪《つみ》によって、|常供《じょうく》の|燔祭《はんさい》と|共《とも》に、これにわたされた。その|角《つの》はまた|真理《しんり》を|地《ち》に|投《な》げうち、ほしいままにふるまって、みずから|栄《さか》えた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それから、わたしはひとりの|聖者《せいじゃ》の|語《かた》っているのを|聞《き》いた。またひとりの|聖者《せいじゃ》があって、その|語《かた》っている|聖者《せいじゃ》にむかって|言《い》った、「|常供《じょうく》の|燔祭《はんさい》と、|荒《あら》すことをなす|罪《つみ》と、|聖所《せいじょ》とその|衆《しゅう》|群《ぐん》がわたされて、|足《あし》の|下《した》に|踏《ふ》みつけられることについて、|幻《まぼろし》にあらわれたことは、いつまでだろうか」と。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「二千三百の|夕《ゆう》と|朝《あさ》の|間《あいだ》である。そして|聖所《せいじょ》は|清《きよ》められてその|正《ただ》しい|状態《じょうたい》に|復《ふく》する」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]われダニエルはこの|幻《まぼろし》を|見《み》て、その|意味《いみ》を|知《し》ろうと|求《もと》めていた|時《とき》、|見《み》よ、|人《ひと》のように|見《み》える|者《もの》が、わたしの|前《まえ》に|立《た》った。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはウライ|川《かわ》の|両《りょう》|岸《がん》の|間《あいだ》から|人《ひと》の|声《こえ》が|出《で》て、|呼《よ》ばわるのを|聞《き》いた、「ガブリエルよ、この|幻《まぼろし》をその|人《ひと》に|悟《さと》らせよ」。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》はわたしの|立《た》っている|所《ところ》にきた。|彼《かれ》がきたとき、わたしは|恐《おそ》れて、ひれ|伏《ふ》した。しかし、|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「|人《ひと》の|子《こ》よ、|悟《さと》りなさい。この|幻《まぼろし》は|終《おわ》りの|時《とき》にかかわるものです」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしに|語《かた》っていた|時《とき》、わたしは|地《ち》にひれ|伏《ふ》して、|深《ふか》い|眠《ねむ》りに|陥《おちい》ったが、|彼《かれ》はわたしに|手《て》を|触《ふ》れ、わたしを|立《た》たせて、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|見《み》よ、わたしは|憤《いきどお》りの|終《おわ》りの|時《とき》に|起《おこ》るべきことを、あなたに|知《し》らせよう。それは|定《さだ》められた|終《おわ》りの|時《とき》にかかわるものであるから。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|見《み》た、あの二つの|角《つの》のある|雄羊《おひつじ》は、メデアとペルシャの|王《おう》です。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]また、かの|雄《お》やぎはギリシヤの|王《おう》です、その|目《め》の|間《あいだ》の|大《おお》きな|角《つの》は、その|第《だい》一の|王《おう》です。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]またその|角《つの》が|折《お》れて、その|代《かわ》りに四つの|角《つの》が|生《しょう》じたのは、その|民《たみ》から四つの|国《くに》が|起《おこ》るのです。しかし、|第《だい》一の|王《おう》のような|勢力《せいりょく》はない。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|国《くに》の|終《おわ》りの|時《とき》になり、|罪《つみ》びとの|罪《つみ》が|満《み》ちるに|及《およ》んで、ひとりの|王《おう》が|起《おこ》るでしょう。その|顔《かお》は|猛悪《もうあく》で、|彼《かれ》はなぞを|解《と》き、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]その|勢力《せいりょく》は|盛《さか》んであって、|恐《おそ》ろしい|破壊《はかい》をなし、そのなすところ|成功《せいこう》して、|有力《ゆうりょく》な|人々《ひとびと》と、|聖徒《せいと》である|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼすでしょう。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|悪知恵《わるぢえ》をもって、|偽《いつわ》りをその|手《て》におこない|遂《と》げ、みずから|心《こころ》に|高《たか》ぶり、|不意《ふい》に|多《おお》くの|人《ひと》を|打《う》ち|滅《ほろ》ぼし、また|君《きみ》の|君《きみ》たる|者《もの》に|敵《てき》するでしょう。しかし、ついに|彼《かれ》は|人手《ひとで》によらずに|滅《ほろ》ぼされるでしょう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]|先《さき》に|示《しめ》された|朝夕《あさゆう》の|幻《まぼろし》は|真実《しんじつ》です。しかし、あなたはその|幻《まぼろし》を|秘密《ひみつ》にしておかなければならない。これは|多《おお》くの|日《ひ》の|後《のち》にかかわる|事《こと》だから」。  [#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]われダニエルは|疲《つか》れはてて、|数日《すうじつ》の|間《あいだ》|病《や》みわずらったが、|後《のち》|起《お》きて、|王《おう》の|事務《じむ》を|執《と》った。しかし、わたしはこの|幻《まぼろし》の|事《こと》を|思《おも》って|驚《おどろ》いた。またこれを|悟《さと》ることができなかった。 第九章[#「第九章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]メデアびとアハシュエロスの|子《こ》ダリヨスが、カルデヤびとの|王《おう》となったその|元年《がんねん》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわちその|治世《ちせい》の|第《だい》一|年《ねん》に、われダニエルは|主《しゅ》が|預言者《よげんしゃ》エレミヤに|臨《のぞ》んで|告《つ》げられたその|言葉《ことば》により、エルサレムの|荒廃《こうはい》の|終《おわ》るまでに|経《へ》ねばならぬ|年《ねん》の|数《かず》は七十|年《ねん》であることを、|文書《ぶんしょ》によって|悟《さと》った。  [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしは、わが|顔《かお》を|主《しゅ》なる|神《かみ》に|向《む》け、|断食《だんじき》をなし、|荒布《あらぬの》を|着《き》、|灰《はい》をかぶって|祈《いの》り、かつ|願《ねが》い|求《もと》めた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]すなわちわたしは、わが|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈《いの》り、ざんげして|言《い》った、「ああ、|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|神《かみ》、|主《しゅ》、おのれを|愛《あい》し、おのれの|戒《いまし》めを|守《まも》る|者《もの》のために|契約《けいやく》を|保《たも》ち、いつくしみを|施《ほどこ》される|者《もの》よ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われわれは|罪《つみ》を|犯《おか》し、|悪《あく》をおこない、よこしまなふるまいをなし、そむいて、あなたの|戒《いまし》めと、おきてを|離《はな》れました。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]われわれはまた、あなたのしもべなる|預言者《よげんしゃ》たちが、あなたの|名《な》をもって、われわれの|王《おう》たち、|君《きみ》たち、|先祖《せんぞ》たち、および|国《くに》のすべての|民《たみ》に|告《つ》げた|言葉《ことば》に|聞《き》き|従《したが》いませんでした。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|正義《せいぎ》はあなたのものですが、|恥《はじ》はわれわれに|加《くわ》えられて、|今日《こんにち》のような|有様《ありさま》です。すなわちユダの|人々《ひとびと》、エルサレムの|住民《じゅうみん》および|全《ぜん》イスラエルの|者《もの》は、|近《ちか》き|者《もの》も、|遠《とお》き|者《もの》もみな、あなたが|追《お》いやられたすべての|国々《くにぐに》で|恥《はじ》をこうむりました。これは|彼《かれ》らがあなたにそむいて|犯《おか》した|罪《つみ》によるのです。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|恥《はじ》はわれわれのもの、われわれの|王《おう》たち、|君《きみ》たちおよび|先祖《せんぞ》たちのものです。これはわれわれがあなたにむかって|罪《つみ》を|犯《おか》したからです。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あわれみと、ゆるしはわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》のものです。これはわれわれが|彼《かれ》にそむいたからです。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]またわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》のみ|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わず、|主《しゅ》がそのしもべ|預言者《よげんしゃ》たちによって、われわれの|前《まえ》に|賜《たま》わった|律法《りっぽう》を|行《おこな》わなかったからです。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]まことにイスラエルの|人々《ひとびと》は|皆《みな》あなたの|律法《りっぽう》を|犯《おか》し、|離《はな》れ|去《さ》って、あなたのみ|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わなかったので、|神《かみ》のしもべモーセの|律法《りっぽう》にしるされたのろいと|誓《ちか》いが、われわれの|上《うえ》に|注《そそ》ぎかかりました。これはわれわれが|神《かみ》にむかって|罪《つみ》を|犯《おか》したからです。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|神《かみ》は|大《おお》いなる|災《わざわい》をわれわれの|上《うえ》にくだして、さきにわれわれと、われわれを|治《おさ》めたつかさたちにむかって|告《つ》げられた|言葉《ことば》を|実行《じっこう》されたのです。あのエルサレムに|臨《のぞ》んだような|事《こと》は、|全《ぜん》|天下《てんか》にいまだかつてなかった|事《こと》です。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]モーセの|律法《りっぽう》にしるされたように、この|災《わざわい》はすべてわれわれに|臨《のぞ》みましたが、なおわれわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを|請《こ》い|求《もと》めることをせず、その|不義《ふぎ》を|離《はな》れて、あなたの|真理《しんり》を|悟《さと》ることをもしませんでした。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はこれを|心《こころ》に|留《と》めて、|災《わざわい》をわれわれに|下《くだ》されたのです。われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》は、|何事《なにごと》をされるにも、|正《ただ》しくあらせられます。ところが、われわれはそのみ|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》わなかったのです。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》よ、あなたは|強《つよ》きみ|手《て》をもって、あなたの|民《たみ》をエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|出《だ》して、|今日《こんにち》のように、み|名《な》をあげられました。われわれは|罪《つみ》を|犯《おか》し、よこしまなふるまいをしました。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、どうぞあなたが、これまで|正《ただ》しいみわざをなされたように、あなたの|町《まち》エルサレム、あなたの|聖《せい》なる|山《やま》から、あなたの|怒《いか》りと|憤《いきどお》りとを|取《と》り|去《さ》ってください。これはわれわれの|罪《つみ》と、われわれの|先祖《せんぞ》の|不義《ふぎ》のために、エルサレムと、あなたの|民《たみ》が、われわれの|周囲《しゅうい》の|者《もの》の|物笑《ものわら》いとなったからです。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、われわれの|神《かみ》よ、しもべの|祈《いのり》と|願《ねが》いを|聞《き》いてください。|主《しゅ》よ、あなたご|自身《じしん》のために、あの|荒《あ》れたあなたの|聖所《せいじょ》に、あなたのみ|顔《かお》を|輝《かがや》かせてください。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けて|聞《き》いてください。|目《め》を|開《ひら》いて、われわれの|荒《あ》れたさまを|見《み》、み|名《な》をもってとなえられる|町《まち》をごらんください。われわれがあなたの|前《まえ》に|祈《いのり》をささげるのは、われわれの|義《ぎ》によるのではなく、ただあなたの|大《おお》いなるあわれみによるのです。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|聞《き》いてください。|主《しゅ》よ、ゆるしてください。|主《しゅ》よ、み|心《こころ》に|留《と》めて、おこなってください。わが|神《かみ》よ、あなたご|自身《じしん》のために、これを|延《の》ばさないでください。あなたの|町《まち》と、あなたの|民《たみ》は、み|名《な》をもってとなえられているからです」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしがこう|言《い》って|祈《いの》り、かつわが|罪《つみ》とわが|民《たみ》イスラエルの|罪《つみ》をざんげし、わが|神《かみ》の|聖《せい》なる|山《やま》のために、わが|神《かみ》、|主《しゅ》の|前《まえ》に|願《ねが》いをしていたとき、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]すなわちわたしが|祈《いのり》の|言葉《ことば》を|述《の》べていたとき、わたしが|初《はじ》めに|幻《まぼろし》のうちに|見《み》た、かの|人《ひと》ガブリエルは、すみやかに|飛《と》んできて、|夕《ゆう》の|供《そな》え|物《もの》をささげるころ、わたしに|近《ちか》づき、[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしに|告《つ》げて|言《い》った、「ダニエルよ、わたしは|今《いま》あなたに、|知恵《ちえ》と|悟《さと》りを|与《あた》えるためにきました。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|祈《いのり》を|始《はじ》めたとき、み|言葉《ことば》が|出《で》たので、それをあなたに|告《つ》げるためにきたのです。あなたは|大《おお》いに|愛《あい》せられている|者《もの》です。ゆえに、このみ|言葉《ことば》を|考《かんが》えて、この|幻《まぼろし》を|悟《さと》りなさい。  [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|民《たみ》と、あなたの|聖《せい》なる|町《まち》については、七十|週《しゅう》が|定《さだ》められています。これはとがを|終《おわ》らせ、|罪《つみ》に|終《おわ》りを|告《つ》げ、|不義《ふぎ》をあがない、|永遠《えいえん》の|義《ぎ》をもたらし、|幻《まぼろし》と|預言者《よげんしゃ》を|封《ふう》じ、いと|聖《せい》なる|者《もの》に|油《あぶら》を|注《そそ》ぐためです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、エルサレムを|建《た》て|直《なお》せという|命令《めいれい》が|出《で》てから、メシヤなるひとりの|君《きみ》が|来《く》るまで、七|週《しゅう》と六十二|週《しゅう》あることを|知《し》り、かつ|悟《さと》りなさい。その|間《あいだ》に、しかも|不安《ふあん》な|時代《じだい》に、エルサレムは|広場《ひろば》と|街路《がいろ》とをもって、|建《た》て|直《なお》されるでしょう。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]その六十二|週《しゅう》の|後《のち》にメシヤは|断《た》たれるでしょう。ただし|自分《じぶん》のためにではありません。またきたるべき|君《きみ》の|民《たみ》は、|町《まち》と|聖所《せいじょ》とを|滅《ほろ》ぼすでしょう。その|終《おわ》りは|洪水《こうずい》のように|臨《のぞ》むでしょう。そしてその|終《おわ》りまで|戦争《せんそう》が|続《つづ》き、|荒廃《こうはい》は|定《さだ》められています。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|一週《いっしゅう》の|間《あいだ》|多《おお》くの|者《もの》と、|堅《かた》く|契約《けいやく》を|結《むす》ぶでしょう。そして|彼《かれ》はその|週《しゅう》の|半《なか》ばに、|犠牲《ぎせい》と|供《そな》え|物《もの》とを|廃《はい》するでしょう。また|荒《あら》す|者《もの》が|憎《にく》むべき|者《もの》の|翼《つばさ》に|乗《の》って|来《く》るでしょう。こうしてついにその|定《さだ》まった|終《おわ》りが、その|荒《あら》す|者《もの》の|上《うえ》に|注《そそ》がれるのです」。 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ペルシャの|王《おう》クロスの|第《だい》三|年《ねん》に、ベルテシャザルと|名《な》づけられたダニエルに、一つの|言葉《ことば》が|啓示《けいじ》されたが、その|言葉《ことば》は|真実《しんじつ》であり、|大《おお》いなる|戦《たたか》いを|意味《いみ》するものであった。|彼《かれ》はその|言葉《ことば》に|心《こころ》を|留《と》め、その|幻《まぼろし》を|悟《さと》った。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、われダニエルは三|週《しゅう》の|間《あいだ》、|悲《かな》しんでいた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち三|週間《しゅうかん》の|全《まった》く|満《み》ちるまでは、うまい|物《もの》を|食《た》べず、|肉《にく》と|酒《さけ》とを|口《くち》にせず、また|身《み》に|油《あぶら》を|塗《ぬ》らなかった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|正月《しょうがつ》の二十四|日《か》に、わたしがチグリスという|大川《おおかわ》の|岸《きし》に|立《た》っていたとき、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|目《め》をあげて|望《のぞ》み|見《み》ると、ひとりの|人《ひと》がいて、|亜麻《あま》|布《ぬの》の|衣《ころも》を|着《き》、ウパズの|金《きん》の|帯《おび》を|腰《こし》にしめていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そのからだは|緑柱石《りょくちゅうせき》のごとく、その|顔《かお》は|電光《でんこう》のごとく、その|目《め》は|燃《も》えるたいまつのごとく、その|腕《うで》と|足《あし》は、みがいた|青銅《せいどう》のように|輝《かがや》き、その|言葉《ことば》の|声《こえ》は、|群衆《ぐんしゅう》の|声《こえ》のようであった。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]この|幻《まぼろし》を|見《み》た|者《もの》は、われダニエルのみであって、わたしと|共《とも》にいた|人々《ひとびと》は、この|幻《まぼろし》を|見《み》なかったが、|彼《かれ》らは|大《おお》いにおののいて、|逃《に》げかくれた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしひとり|残《のこ》って、この|大《おお》いなる|幻《まぼろし》を|見《み》たので、|力《ちから》が|抜《ぬ》け|去《さ》り、わが|顔《かお》の|輝《かがや》きは|恐《おそ》ろしく|変《かわ》って、|全《まった》く|力《ちから》がなくなった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|言葉《ことば》の|声《こえ》を|聞《き》いたが、その|言葉《ことば》の|声《こえ》を|聞《き》いたとき、|顔《かお》を|伏《ふ》せ、|地《ち》にひれ|伏《ふ》して、|深《ふか》い|眠《ねむ》りに|陥《おちい》った。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、一つの|手《て》があって、わたしに|触《ふ》れたので、わたしは|震《ふる》えながらひざまずき、|手《て》をつくと、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「|大《おお》いに|愛《あい》せられる|人《ひと》ダニエルよ、わたしがあなたに|告《つ》げる|言葉《ことば》に|心《こころ》を|留《と》め、|立《た》ちあがりなさい。わたしは|今《いま》あなたのもとにつかわされたのです」。|彼《かれ》がこの|言葉《ことば》をわたしに|告《つ》げているとき、わたしは|震《ふる》えながら|立《た》ちあがった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「ダニエルよ、|恐《おそ》れるに|及《およ》ばない。あなたが|悟《さと》ろうと|心《こころ》をこめ、あなたの|神《かみ》の|前《まえ》に|身《み》を|悩《なや》ましたその|初《はじ》めの|日《ひ》から、あなたの|言葉《ことば》は、すでに|聞《き》かれたので、わたしは、あなたの|言葉《ことば》のゆえにきたのです。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ペルシャの|国《くに》の|君《きみ》が、二十一|日《にち》の|間《あいだ》わたしの|前《まえ》に|立《た》ちふさがったが、|天使《てんし》の|長《ちょう》のひとりであるミカエルがきて、わたしを|助《たす》けたので、わたしは、|彼《かれ》をペルシャの|国《くに》の|君《きみ》と|共《とも》に、そこに|残《のこ》しておき、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|末《すえ》の|日《ひ》に、あなたの|民《たみ》に|臨《のぞ》まんとする|事《こと》を、あなたに|悟《さと》らせるためにきたのです。この|幻《まぼろし》は、なおきたるべき|日《ひ》にかかわるものです」。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がこれらの|言葉《ことば》を、わたしに|述《の》べていたとき、わたしは、|地《ち》にひれ|伏《ふ》して|黙《だま》っていたが、[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|人《ひと》の|子《こ》のような|者《もの》が、わたしのくちびるにさわったので、わたしは|口《くち》を|開《ひら》き、わが|前《まえ》に|立《た》っている|者《もの》に|語《かた》って|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、この|幻《まぼろし》によって、|苦《くる》しみがわたしに|臨《のぞ》み、|全《まった》く|力《ちから》を|失《うしな》いました。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わが|主《しゅ》のしもべは、どうしてわが|主《しゅ》と|語《かた》ることができましょう。わたしは|全《まった》く|力《ちから》を|失《うしな》い、|息《いき》も|止《と》まるばかりです」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》の|形《かたち》をした|者《もの》は、|再《ふたた》びわたしにさわり、わたしを|力《ちから》づけて、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|大《おお》いに|愛《あい》せられる|人《ひと》よ、|恐《おそ》れるには|及《およ》ばない。|安心《あんしん》しなさい。|心《こころ》を|強《つよ》くし、|勇気《ゆうき》を|出《だ》しなさい」。|彼《かれ》がこう|言《い》ったとき、わたしは|力《ちから》づいて|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、|語《かた》ってください。あなたは、わたしに|力《ちから》をつけてくださったから」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》は|言《い》った、「あなたは、わたしがなんのためにきたかを|知《し》っていますか。わたしは、|今《いま》|帰《かえ》っていって、ペルシャの|君《きみ》と|戦《たたか》おうとしているのです。|彼《かれ》との|戦《たたか》いがすむと、ギリシヤの|君《きみ》があらわれるでしょう。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは、まず|真理《しんり》の|書《しょ》にしるされている|事《こと》を、あなたに|告《つ》げよう。わたしを|助《たす》けて、|彼《かれ》らと|戦《たたか》う|者《もの》は、あなたがたの|君《きみ》ミカエルのほかにはありません。 第一一章[#「第一一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたメデアびとダリヨスの|元年《がんねん》に|立《た》って|彼《かれ》を|強《つよ》め、|彼《かれ》を|力《ちから》づけたことがあります。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|今《いま》あなたに|真理《しんり》を|示《しめ》そう。|見《み》よ、ペルシャになお三|人《にん》の|王《おう》が|起《おこ》るでしょう。その|第《だい》四の|者《もの》は、|他《た》のすべての|者《もの》にまさって|富《と》み、その|富《とみ》によって|強《つよ》くなったとき、|彼《かれ》はすべてのものを|動員《どういん》して、ギリシヤの|国《くに》を|攻《せ》めます。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またひとりの|勇《いさ》ましい|王《おう》が|起《おこ》り、|大《おお》いなる|権力《けんりょく》をもって|世《よ》を|治《おさ》め、その|意《い》のままに|事《こと》をなすでしょう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》が|強《つよ》くなった|時《とき》、その|国《くに》は|破《やぶ》られ、|天《てん》の|四方《しほう》に|分《わ》かたれます。それは|彼《かれ》の|子孫《しそん》に|帰《き》せず、また|彼《かれ》が|治《おさ》めたほどの|権力《けんりょく》もなく、|彼《かれ》の|国《くに》は|抜《ぬ》き|取《と》られて、これら|以外《いがい》の|者《もの》どもに|帰《き》するでしょう。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|南《みなみ》の|王《おう》は|強《つよ》くなります。しかしその|将軍《しょうぐん》のひとりが、|彼《かれ》にまさって|強《つよ》くなり、|権力《けんりょく》をふるいます。その|権力《けんりょく》は、|大《おお》いなる|権力《けんりょく》です。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|年《とし》を|経《へ》て|後《のち》、|彼《かれ》らは|縁組《えんぐみ》をなし、|南《みなみ》の|王《おう》の|娘《むすめ》が、|北《きた》の|王《おう》にきて、|和親《わしん》をはかります。しかしその|女《おんな》は、その|腕《うで》の|力《ちから》を|保《たも》つことができず、またその|王《おう》も、その|子《こ》も|立《た》つことができません。その|女《おんな》と、その|従者《じゅうしゃ》と、その|子《こ》およびその|女《おんな》を|獲《え》た|者《もの》とは、わたされるでしょう。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そのころ、この|女《おんな》の|根《ね》から、一つの|芽《め》が|起《おこ》って|彼《かれ》に|代《かわ》り、|北《きた》の|王《おう》の|軍勢《ぐんぜい》にむかってきて、その|城《しろ》に|討《う》ち|入《い》り、これを|攻《せ》めて|勝《か》つでしょう。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|彼《かれ》らの|神々《かみがみ》、|鋳《い》|像《ぞう》および|金銀《きんぎん》の|貴重《きちょう》な|器物《うつわもの》を、エジプトに|携《たずさ》え|去《さ》り、そして|数年《すうねん》の|間《あいだ》、|北《きた》の|王《おう》を|討《う》つことを|控《ひか》えます。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|北《きた》の|王《おう》は、|南《みなみ》の|王《おう》の|国《くに》に|討《う》ち|入《はい》るが、|自分《じぶん》の|国《くに》に|帰《かえ》るでしょう。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》らはまた|憤激《ふんげき》して、あまたの|大軍《たいぐん》を|集《あつ》め、|進《すす》んで|行《い》って、みなぎりあふれ、|通《とお》り|過《す》ぎるが、また|行《い》って、その|城《しろ》にまで|攻《せ》め|寄《よ》せるでしょう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そこで|南《みなみ》の|王《おう》は、|大《おお》いに|怒《いか》り、|出《で》てきて|北《きた》の|王《おう》と|戦《たたか》います。|彼《かれ》は|大軍《たいぐん》を|起《おこ》すけれども、その|軍《ぐん》は|相手《あいて》の|手《て》にわたされるでしょう。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がその|軍《ぐん》を|打《う》ち|破《やぶ》ったとき、その|心《こころ》は|高《たか》ぶり、|数《すう》|万《まん》|人《にん》を|倒《たお》します。しかし、|勝《か》つことはありません。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それは|北《きた》の|王《おう》がまた|初《はじ》めよりも|大《おお》いなる|軍《ぐん》を|起《おこ》し、|数年《すうねん》の|後《のち》、|大《おお》いなる|軍勢《ぐんぜい》と|多《おお》くの|軍需《ぐんじゅ》|品《ひん》とをもって、|攻《せ》めて|来《く》るからです。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そのころ|多《おお》くの|者《もの》が|起《おこ》って、|南《みなみ》の|王《おう》に|敵《てき》します。またあなたの|民《たみ》のうちのあらくれ|者《もの》が、みずから|高《たか》ぶって|事《こと》をなし、|幻《まぼろし》を|成就《じょうじゅ》しようとするが|失敗《しっぱい》するでしょう。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]こうして|北《きた》の|王《おう》がきて、|塁《るい》を|築《きず》き、|堅固《けんご》な|町《まち》を|取《と》るが、|南《みなみ》の|王《おう》の|力《ちから》は、これに|立《た》ち|向《む》かうことができず、またそのえり|抜《ぬ》きの|民《たみ》も、これに|立《た》ち|向《む》かう|力《ちから》がありません。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]これに|攻《せ》めて|来《く》る|者《もの》は、その|心《こころ》のままに|事《こと》をなし、その|前《まえ》に|立《た》ち|向《む》かうことのできる|者《もの》はなく、|彼《かれ》は|麗《うるわ》しい|地《ち》に|立《た》ち、その|地《ち》は|全《まった》く|彼《かれ》のために|荒《あら》されます。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|全国《ぜんこく》の|力《ちから》をもって|討《う》ち|入《はい》ろうと、その|顔《かお》を|向《む》けるが、|相手《あいて》と|仲直《なかなお》りをし、その|娘《むすめ》を|与《あた》えて、その|国《くに》を|取《と》ろうとします。しかし、その|事《こと》は|成《な》らず、また|彼《かれ》の|利益《りえき》にはならないでしょう。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》、|彼《かれ》は|顔《かお》を|海沿《うみぞ》いの|国々《くにぐに》に|向《む》けて、その|多《おお》くのものを|取《と》ります。しかし、ひとりの|大将《たいしょう》があって、|彼《かれ》が|与《あた》えた|恥辱《ちじょく》をそそぎ、その|恥辱《ちじょく》を|彼《かれ》の|上《うえ》に|返《かえ》します。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》は、その|顔《かお》を|自分《じぶん》の|国《くに》の|要害《ようがい》に|向《む》けるが、|彼《かれ》はつまずき|倒《たお》れて|消《き》えうせるでしょう。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|代《かわ》って|起《おこ》る|者《もの》は、|栄光《えいこう》の|国《くに》に|人《ひと》をつかわして、|租税《そぜい》を|取《と》り|立《た》てさせるでしょう。しかし|彼《かれ》は、|怒《いか》りにも|戦《たたか》いにもよらず、|数日《すうじつ》のうちに|滅《ほろ》ぼされます。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|代《かわ》って|起《おこ》る|者《もの》は、|卑《いや》しむべき|者《もの》であって、|彼《かれ》には、|王《おう》の|尊厳《そんげん》が|与《あた》えられず、|彼《かれ》は|不意《ふい》にきて、|巧言《こうげん》をもって|国《くに》を|獲《え》るでしょう。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|洪水《こうずい》のような|軍勢《ぐんぜい》は、|彼《かれ》の|前《まえ》に|押《お》し|流《なが》されて|敗《やぶ》られ、|契約《けいやく》の|君《きみ》たる|者《もの》もまた|敗《やぶ》られるでしょう。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は、これと|同盟《どうめい》を|結《むす》んで|後《のち》、|偽《いつわ》りのおこないをなし、わずかな|民《たみ》をもって|強《つよ》くなり、[#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|不意《ふい》にその|州《しゅう》の|最《もっと》も|肥《こ》えた|所《ところ》に|攻《せ》め|入《い》り、その|父《ちち》も、その|父《ちち》の|父《ちち》もしなかった|事《こと》をおこない、その|奪《うば》った|物《もの》、かすめた|物《もの》および|財宝《ざいほう》を、|人々《ひとびと》の|中《なか》に|散《ち》らすでしょう。|彼《かれ》はまた|計略《けいりゃく》をめぐらして、|堅固《けんご》な|城《しろ》を|攻《せ》めるが、ただし、それは|時《とき》の|至《いた》るまでです。[#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|勢力《せいりょく》と|勇気《ゆうき》とを|奮《ふる》い|起《おこ》し、|大軍《たいぐん》を|率《ひき》いて|南《みなみ》の|王《おう》を|攻《せ》めます。|南《みなみ》の|王《おう》もまたみずから|奮《ふる》い、はなはだ|大《おお》いなる|強力《きょうりょく》な|軍勢《ぐんぜい》をもって|戦《たたか》います。しかし、|彼《かれ》に|対《たい》して、|陰謀《いんぼう》をめぐらす|者《もの》があるので、これに|立《た》ち|向《む》かうことができません。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》の|食物《しょくもつ》を|食《た》べる|者《もの》たちが、|彼《かれ》を|滅《ほろ》ぼします。そして、その|軍勢《ぐんぜい》は|押《お》し|流《なが》されて、|多《おお》くの|者《もの》が|倒《たお》れ|死《し》ぬでしょう。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]このふたりの|王《おう》は、|害《がい》を|与《あた》えようと|心《こころ》にはかり、ひとつ|食卓《しょくたく》に|共《とも》に|食《しょく》して、|偽《いつわ》りを|語《かた》るが、それは|成功《せいこう》しません。|終《おわ》りはなお|定《さだ》まった|時《とき》の|来《く》るまでこないからです。[#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|大《おお》いなる|財宝《ざいほう》をもって、|自分《じぶん》の|国《くに》に|帰《かえ》るでしょう。しかし、|彼《かれ》の|心《こころ》は|聖《せい》なる|契約《けいやく》にそむき、ほしいままに|事《こと》をなして、|自分《じぶん》の|国《くに》に|帰《かえ》ります。  [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]|定《さだ》まった|時《とき》になって、|彼《かれ》はまた|南《みなみ》に|討《う》ち|入《い》ります。しかし、この|時《とき》は|前《まえ》の|時《とき》のようではありません。[#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]それはキッテムの|船《ふね》が、|彼《かれ》に|立《た》ち|向《む》かって|来《く》るので、|彼《かれ》は|脅《おびや》かされて|帰《かえ》り、|聖《せい》なる|契約《けいやく》に|対《たい》して|憤《いきどお》り、|事《こと》を|行《おこな》うでしょう。|彼《かれ》は|帰《かえ》っていって、|聖《せい》なる|契約《けいやく》を|捨《す》てる|者《もの》を|顧《かえり》み|用《もち》いるでしょう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》から|軍勢《ぐんぜい》が|起《おこ》って、|神殿《しんでん》と|城郭《じょうかく》を|汚《けが》し、|常供《じょうく》の|燔祭《はんさい》を|取《と》り|除《のぞ》き、|荒《あら》す|憎《にく》むべきものを|立《た》てるでしょう。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|契約《けいやく》を|破《やぶ》る|者《もの》どもを、|巧言《こうげん》をもってそそのかし、そむかせるが、|自分《じぶん》の|神《かみ》を|知《し》る|民《たみ》は、|堅《かた》く|立《た》って|事《こと》を|行《おこな》います。[#太字]三三[#「三三」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》のうちの|賢《かしこ》い|人々《ひとびと》は、|多《おお》くの|人《ひと》を|悟《さと》りに|至《いた》らせます。それでも、|彼《かれ》らはしばらくの|間《あいだ》、やいばにかかり、|火《ひ》に|焼《や》かれ、|捕《とら》われ、かすめられなどして|倒《たお》れます。[#太字]三四[#「三四」は行右小書き][#太字終わり]その|倒《たお》れるとき、|彼《かれ》らは|少《すこ》しの|助《たす》けを|獲《え》ます。また|多《おお》くの|人《ひと》が、|巧言《こうげん》をもって|彼《かれ》らにくみするでしょう。[#太字]三五[#「三五」は行右小書き][#太字終わり]また|賢《かしこ》い|者《もの》のうちのある|者《もの》は、|終《おわ》りの|時《とき》まで、|自分《じぶん》を|練《ね》り、|清《きよ》め、|白《しろ》くするために|倒《たお》れるでしょう。|終《おわ》りはなお|定《さだ》まった|時《とき》の|来《く》るまでこないからです。  [#太字]三六[#「三六」は行右小書き][#太字終わり]この|王《おう》は、その|心《こころ》のままに|事《こと》をおこない、すべての|神《かみ》を|越《こ》えて、|自分《じぶん》を|高《たか》くし、|自分《じぶん》を|大《おお》いにし、|神々《かみがみ》の|神《かみ》たる|者《もの》にむかって、|驚《おどろ》くべき|事《こと》を|語《かた》り、|憤《いきどお》りのやむ|時《とき》まで|栄《さか》えるでしょう。これは|定《さだ》められた|事《こと》が|成就《じょうじゅ》するからです。[#太字]三七[#「三七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はその|先祖《せんぞ》の|神々《かみがみ》を|顧《かえり》みず、また|婦人《ふじん》の|好《この》む|者《もの》も、いかなる|神《かみ》をも|顧《かえり》みないでしょう。|彼《かれ》はすべてにまさって、|自分《じぶん》を|大《おお》いなる|者《もの》とするからです。[#太字]三八[#「三八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はこれらの|者《もの》の|代《かわ》りに、|要害《ようがい》の|神《かみ》をあがめ、|金《きん》、|銀《ぎん》、|宝石《ほうせき》、および|宝物《たからもの》をもって、その|先祖《せんぞ》たちの|知《し》らなかった|神《かみ》をあがめ、[#太字]三九[#「三九」は行右小書き][#太字終わり]|異邦《いほう》の|神《かみ》の|助《たす》けによって、|最《もっと》も|強固《きょうこ》な|城《しろ》にむかって、|事《こと》をなすでしょう。そして|彼《かれ》を|認《みと》める|者《もの》には、|栄誉《えいよ》を|増《ま》し|与《あた》え、これに|多《おお》くの|人《ひと》を|治《おさ》めさせ、|賞与《しょうよ》として|土地《とち》を|分《わ》け|与《あた》えるでしょう。  [#太字]四〇[#「四〇」は行右小書き][#太字終わり]|終《おわ》りの|時《とき》になって、|南《みなみ》の|王《おう》は|彼《かれ》と|戦《たたか》います。|北《きた》の|王《おう》は、|戦車《せんしゃ》と|騎兵《きへい》と、|多《おお》くの|船《ふね》をもって、つむじ|風《かぜ》のように|彼《かれ》を|攻《せ》め、|国々《くにぐに》にはいっていって、みなぎりあふれ、|通《とお》り|過《す》ぎるでしょう。[#太字]四一[#「四一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はまた|麗《うるわ》しい|国《くに》にはいります。また|彼《かれ》によって、|多《おお》くの|者《もの》が|滅《ほろ》ぼされます。しかし、エドム、モアブ、アンモンびとらのうちのおもな|者《もの》は、|彼《かれ》の|手《て》から|救《すく》われましょう。[#太字]四二[#「四二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|国々《くにぐに》にその|手《て》を|伸《の》ばし、エジプトの|地《ち》も|免《まぬか》れません。[#太字]四三[#「四三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|金銀《きんぎん》の|財宝《ざいほう》と、エジプトのすべての|宝物《たからもの》を|支配《しはい》し、リビヤびと、エチオピヤびとは、|彼《かれ》のあとに|従《したが》います。[#太字]四四[#「四四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|東《ひがし》と|北《きた》からの|知《し》らせが|彼《かれ》を|驚《おどろ》かし、|彼《かれ》は|多《おお》くの|人《ひと》を|滅《ほろ》ぼし|絶《た》やそうと、|大《おお》いなる|怒《いか》りをもって|出《で》て|行《い》きます。[#太字]四五[#「四五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|海《うみ》と|麗《うるわ》しい|聖山《せいざん》との|間《あいだ》に、|天幕《てんまく》の|宮殿《きゅうでん》を|設《もう》けるでしょう。しかし、|彼《かれ》はついにその|終《おわ》りにいたり、|彼《かれ》を|助《たす》ける|者《もの》はないでしょう。 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたの|民《たみ》を|守《まも》っている|大《おお》いなる|君《きみ》ミカエルが|立《た》ちあがります。また|国《くに》が|始《はじ》まってから、その|時《とき》にいたるまで、かつてなかったほどの|悩《なや》みの|時《とき》があるでしょう。しかし、その|時《とき》あなたの|民《たみ》は|救《すく》われます。すなわちあの|書《しょ》に|名《な》をしるされた|者《もの》は|皆《みな》|救《すく》われます。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]また|地《ち》のちりの|中《なか》に|眠《ねむ》っている|者《もの》のうち、|多《おお》くの|者《もの》は|目《め》をさますでしょう。そのうち|永遠《えいえん》の|生命《せいめい》にいたる|者《もの》もあり、また|恥《はじ》と、|限《かぎ》りなき|恥辱《ちじょく》をうける|者《もの》もあるでしょう。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|賢《かしこ》い|者《もの》は、|大空《おおぞら》の|輝《かがや》きのように|輝《かがや》き、また|多《おお》くの|人《ひと》を|義《ぎ》に|導《みちび》く|者《もの》は、|星《ほし》のようになって|永遠《えいえん》にいたるでしょう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ダニエルよ、あなたは|終《おわ》りの|時《とき》までこの|言葉《ことば》を|秘《ひ》し、この|書《しょ》を|封《ふう》じておきなさい。|多《おお》くの|者《もの》は、あちこちと|探《さぐ》り|調《しら》べ、そして|知識《ちしき》が|増《ま》すでしょう」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこで、われダニエルが|見《み》ていると、ほかにまたふたりの|者《もの》があって、ひとりは|川《かわ》のこなたの|岸《きし》に、ひとりは|川《かわ》のかなたの|岸《きし》に|立《た》っていた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、かの|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》て|川《かわ》の|水《みず》の|上《うえ》にいる|人《ひと》にむかって|言《い》った、「この|異常《いじょう》なできごとは、いつになって|終《おわ》るでしょうか」と。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]かの|亜麻《あま》|布《ぬの》を|着《き》て、|川《かわ》の|水《みず》の|上《うえ》にいた|人《ひと》が、|天《てん》に|向《む》かって、その|右《みぎ》の|手《て》と|左《ひだり》の|手《て》をあげ、|永遠《えいえん》に|生《い》ける|者《もの》をさして|誓《ちか》い、それは、ひと|時《とき》とふた|時《とき》と|半時《はんとき》である。|聖《せい》なる|民《たみ》を|打《う》ち|砕《くだ》く|力《ちから》が|消《き》え|去《さ》る|時《とき》に、これらの|事《こと》はみな|成就《じょうじゅ》するだろうと|言《い》うのを、わたしは|聞《き》いた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれを|聞《き》いたけれども|悟《さと》れなかった。わたしは|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、これらの|事《こと》の|結末《けつまつ》はどんなでしょうか」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、「ダニエルよ、あなたの|道《みち》を|行《い》きなさい。この|言葉《ことば》は|終《おわ》りの|時《とき》まで|秘《ひ》し、かつ|封《ふう》じておかれます。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|者《もの》は、|自分《じぶん》を|清《きよ》め、|自分《じぶん》を|白《しろ》くし、かつ|練《ね》られるでしょう。しかし、|悪《わる》い|者《もの》は|悪《わる》い|事《こと》をおこない、ひとりも|悟《さと》ることはないが、|賢《かしこ》い|者《もの》は|悟《さと》るでしょう。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|常供《じょうく》の|燔祭《はんさい》が|取《す》り|除《のぞ》かれ、|荒《あら》す|憎《にく》むべきものが|立《た》てられる|時《とき》から、千二百九十|日《にち》が|定《さだ》められている。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|待《ま》っていて千三百三十五|日《にち》に|至《いた》る|者《もの》はさいわいです。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|終《おわ》りまであなたの|道《みち》を|行《い》きなさい。あなたは|休《やす》みに|入《はい》り、|定《さだ》められた|日《ひ》の|終《おわ》りに|立《た》って、あなたの|分《ぶん》を|受《う》けるでしょう」。 [#改ページ] ホセア書[#「ホセア書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダヤの|王《おう》ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの|世《よ》、イスラエルの|王《おう》ヨアシの|子《こ》ヤラベアムの|世《よ》に、ベエリの|子《こ》ホセアに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》が|最初《さいしょ》ホセアによって|語《かた》られた|時《とき》、|主《しゅ》はホセアに|言《い》われた、「|行《い》って、|淫行《いんこう》の|妻《つま》と、|淫行《いんこう》によって|生《うま》れた|子《こ》らを|受《う》けいれよ。この|国《くに》は|主《しゅ》にそむいて、はなはだしい|淫行《いんこう》をなしているからである」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで|彼《かれ》は|行《い》ってデブライムの|娘《むすめ》ゴメルをめとった。|彼女《かのじょ》はみごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|彼《かれ》に|言《い》われた、「あなたはその|子《こ》の|名《な》をエズレルと|名《な》づけよ。しばらくしてわたしはエズレルの|血《ち》のためにエヒウの|家《いえ》を|罰《ばっ》し、イスラエルの|家《いえ》の|国《くに》を|滅《ほろ》ぼすからである。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、わたしはエズレルの|谷《たに》でイスラエルの|弓《ゆみ》を|折《お》る」と。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ゴメルはまたみごもって|女《おんな》の|子《こ》を|産《う》んだ。|主《しゅ》はホセアに|言《い》われた、「あなたはその|名《な》をロルハマと|名《な》づけよ。わたしはもはやイスラエルの|家《いえ》をあわれまず、|決《けっ》してこれをゆるさないからである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしはユダの|家《いえ》をあわれみ、その|神《かみ》、|主《しゅ》によってこれを|救《すく》う。わたしは|弓《ゆみ》、つるぎ、|戦争《せんそう》、|馬《うま》および|騎兵《きへい》によって|救《すく》うのではない」と。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ゴメルはロルハマを|乳離《ちばな》れさせたとき、またみごもって|男《おとこ》の|子《こ》を|産《う》んだ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「その|子《こ》の|名《な》をロアンミと|名《な》づけよ。あなたがたは、わたしの|民《たみ》ではなく、わたしは、あなたがたの|神《かみ》ではないからである」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしイスラエルの|人々《ひとびと》の|数《かず》は|海《うみ》の|砂《すな》のように|量《はか》ることも、|数《かぞ》えることもできないほどになって、さきに|彼《かれ》らが「あなたがたは、わたしの|民《たみ》ではない」と|言《い》われたその|所《ところ》で、「あなたがたは|生《い》ける|神《かみ》の|子《こ》である」と|言《い》われるようになる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてユダの|人々《ひとびと》とイスラエルの|人々《ひとびと》は|共《とも》に|集《あつ》まり、ひとりの|長《ちょう》を|立《た》てて、その|地《ち》からのぼって|来《く》る。エズレルの|日《ひ》は|大《おお》いなるものとなる。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|兄弟《きょうだい》に|向《む》かっては「アンミ(わが|民《たみ》)」と|言《い》い、あなたがたの|姉妹《しまい》に|向《む》かっては「ルハマ(あわれまれる|者《もの》)」と|言《い》え。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたの|母《はは》とあげつらえ、あげつらえ―― |彼女《かのじょ》はわたしの|妻《つま》ではない、 わたしは|彼女《かのじょ》の|夫《おっと》ではない―― そして|彼女《かのじょ》にその|顔《かお》から|淫行《いんこう》を|除《のぞ》かせ、 その|乳《ち》ぶさの|間《あいだ》から|姦淫《かんいん》を|除《のぞ》かせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そうでなければ、 わたしは|彼女《かのじょ》の|着物《きもの》をはいで|裸《はだか》にし、 その|生《うま》れ|出《で》た|日《ひ》のようにし、 また|荒野《あらの》のようにし、 かわききった|地《ち》のようにし、 かわきによって|彼女《かのじょ》を|殺《ころ》す。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはその|子《こ》らをあわれまない、 |彼《かれ》らは|淫行《いんこう》の|子《こ》らだからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|母《はは》は|淫行《いんこう》をなし、 |彼《かれ》らをはらんだ|彼女《かのじょ》は|恥《は》ずべきことを|行《おこな》った。 |彼女《かのじょ》は|言《い》った、 『わたしはわが|恋人《こいびと》たちについて|行《い》こう。 |彼《かれ》らはパンと|水《みず》と|羊《ひつじ》の|毛《け》と|麻《あさ》と|油《あぶら》と|飲《の》み|物《もの》とを、 わたしに|与《あた》える|者《もの》である』と。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはいばらで|彼女《かのじょ》の|道《みち》をふさぎ、 かきをたてて、|彼女《かのじょ》には その|道《みち》がわからないようにする。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》はその|恋人《こいびと》たちのあとを|慕《した》って|行《い》く、 しかし|彼《かれ》らに|追《お》いつくことはない。 |彼《かれ》らを|尋《たず》ねる、しかし|見《み》いだすことはない。 そこで|彼女《かのじょ》は|言《い》う、 『わたしは|行《い》って、さきの|夫《おっと》に|帰《かえ》ろう。 あの|時《とき》は|今《いま》よりもわたしによかったから』と。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼女《かのじょ》に|穀物《こくもつ》と|酒《さけ》と|油《あぶら》とを|与《あた》えた|者《もの》、 またバアルのために|用《もち》いた|銀《ぎん》と|金《きん》とを |多《おお》く|彼女《かのじょ》に|与《あた》えた|者《もの》は、 わたしであったことを|彼女《かのじょ》は|知《し》らなかった。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|穀物《こくもつ》をその|時《とき》になって|奪《うば》い、 ぶどう|酒《しゅ》をその|季節《きせつ》になって|奪《うば》い、 また|彼女《かのじょ》の|裸《はだか》をおおうために|用《もち》いる |羊《ひつじ》の|毛《け》と|麻《あさ》とを|奪《うば》い|取《と》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|今《いま》、|彼女《かのじょ》のみだらなことを その|恋人《こいびと》たちの|目《め》の|前《まえ》にあらわす。 だれも|彼女《かのじょ》をわたしの|手《て》から|救《すく》う|者《もの》はない。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼女《かのじょ》のすべての|楽《たの》しみ、 すなわち|祝《いわい》、|新月《しんげつ》、|安息日《あんそくにち》、 すべての|祭《まつり》をやめさせる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|彼女《かのじょ》が|先《さき》に『これはわたしの|恋人《こいびと》らが、わたしに|与《あた》えた|報酬《ほうしゅう》だ』と|言《い》った|彼女《かのじょ》の ぶどうの|木《き》と、いちじくの|木《き》とを|荒《あら》し、 これを|林《はやし》とし、 |野《の》の|獣《けもの》にこれを|食《く》わせる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]また|彼女《かのじょ》が|耳輪《みみわ》と|宝石《ほうせき》で|身《み》を|飾《かざ》り、 その|恋人《こいびと》たちを|慕《した》って|行《い》って、わたしを|忘《わす》れ、 |香《こう》をたいて|仕《つか》えたバアルの|祭《まつり》の|日《ひ》のために、 わたしは|彼女《かのじょ》を|罰《ばっ》すると|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|見《み》よ、わたしは|彼女《かのじょ》をいざなって、 |荒野《あらの》に|導《みちび》いて|行《い》き、ねんごろに|彼女《かのじょ》に|語《かた》ろう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》でわたしは|彼女《かのじょ》にそのぶどう|畑《ばたけ》を|与《あた》え、 アコルの|谷《たに》を|望《のぞ》みの|門《もん》として|与《あた》える。 その|所《ところ》で|彼女《かのじょ》は|若《わか》かった|日《ひ》のように、 エジプトの|国《くに》からのぼって|来《き》た|時《とき》のように、 |答《こた》えるであろう。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》には、あなたはわたしを『わが|夫《おっと》』と|呼《よ》び、もはや『わがバアル』とは|呼《よ》ばない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはもろもろのバアルの|名《な》を|彼女《かのじょ》の|口《くち》から|取《と》り|除《のぞ》き、|重《かさ》ねてその|名《な》をとなえることのないようにする。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、わたしはまたあなたのために|野《の》の|獣《けもの》、|空《そら》の|鳥《とり》および|地《ち》の|這《は》うものと|契約《けいやく》を|結《むす》び、また|弓《ゆみ》と、つるぎと、|戦争《せんそう》とを|地《ち》から|断《た》って、あなたを|安《やす》らかに|伏《ふ》させる。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]またわたしは|永遠《えいえん》にあなたとちぎりを|結《むす》ぶ。すなわち|正義《せいぎ》と、|公平《こうへい》と、いつくしみと、あわれみとをもってちぎりを|結《むす》ぶ。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|真実《しんじつ》をもって、あなたとちぎりを|結《むす》ぶ。そしてあなたは|主《しゅ》を|知《し》るであろう。 [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 その|日《ひ》わたしは|天《てん》に|答《こた》え、 |天《てん》は|地《ち》に|答《こた》える。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|穀物《こくもつ》と|酒《さけ》と|油《あぶら》とに|答《こた》え、 またこれらのものはエズレルに|答《こた》える。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしのために|彼《かれ》を|地《ち》にまき、 あわれまれぬ|者《もの》をあわれみ、 わたしの|民《たみ》でない|者《もの》に|向《む》かって、 『あなたはわたしの|民《たみ》である』と|言《い》い、 |彼《かれ》は『あなたはわたしの|神《かみ》である』と|言《い》う」。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「あなたは|再《ふたた》び|行《い》って、イスラエルの|人々《ひとびと》が|他《た》の|神々《かみがみ》に|転《てん》じて、|干《ほし》ぶどうの|菓子《かし》を|愛《あい》するにもかかわらず、|主《しゅ》がこれを|愛《あい》せられるように、|姦夫《かんぷ》に|愛《あい》せられる|女《おんな》、|姦淫《かんいん》を|行《おこな》う|女《おんな》を|愛《あい》せよ」と。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そこでわたしは|銀《ぎん》十五シケルと|大麦《おおむぎ》一ホメル|半《はん》とをもって|彼女《かのじょ》を|買《か》い|取《と》った。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼女《かのじょ》に|言《い》った、「あなたは|長《なが》くわたしの|所《ところ》にとどまって、|淫行《いんこう》をなさず、また|他《た》の|人《ひと》のものとなってはならない。わたしもまた、あなたにそうしよう」と。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|子《こ》らは|多《おお》くの|日《ひ》の|間《あいだ》、|王《おう》なく、|君《きみ》なく、|犠牲《ぎせい》なく、|柱《はしら》なく、エポデおよびテラピムもなく|過《す》ごす。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|後《のち》イスラエルの|子《こ》らは|帰《かえ》って|来《き》て、その|神《かみ》、|主《しゅ》と、その|王《おう》ダビデとをたずね|求《もと》め、|終《おわ》りの|日《ひ》におののいて、|主《しゅ》とその|恵《めぐ》みに|向《む》かって|来《く》る。 第四章[#「第四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》よ、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。 |主《しゅ》はこの|地《ち》に|住《す》む|者《もの》と|争《あらそ》われる。 この|地《ち》には|真実《しんじつ》がなく、|愛情《あいじょう》がなく、 また|神《かみ》を|知《し》ることもないからである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]ただのろいと、|偽《いつわ》りと、|人殺《ひとごろ》しと、 |盗《ぬす》みと、|姦淫《かんいん》することのみで、 |人々《ひとびと》は|皆《みな》|荒《あ》れ|狂《くる》い、 |殺害《さつがい》に|殺害《さつがい》が|続《つづ》いている。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、この|地《ち》は|嘆《なげ》き、これに|住《す》む|者《もの》はみな、 |野《の》の|獣《けもの》も|空《そら》の|鳥《とり》も|共《とも》に|衰《おとろ》え、 |海《うみ》の|魚《うお》さえも|絶《た》えはてる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし、だれも|争《あらそ》ってはならない、 |責《せ》めてはならない。 |祭司《さいし》よ。わたしの|争《あらそ》うのは、あなたと|争《あらそ》うのだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|昼《ひる》つまずき、 |預言者《よげんしゃ》もまたあなたと|共《とも》に|夜《よる》つまずく。 わたしはあなたの|母《はは》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|民《たみ》は|知識《ちしき》がないために|滅《ほろ》ぼされる。 あなたは|知識《ちしき》を|捨《す》てたゆえに、 わたしもあなたを|捨《す》てて、わたしの|祭司《さいし》としない。 あなたはあなたの|神《かみ》の|律法《りっぽう》を|忘《わす》れたゆえに、 わたしもまたあなたの|子《こ》らを|忘《わす》れる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|大《おお》きくなるにしたがって、 ますますわたしに|罪《つみ》を|犯《おか》したゆえ、 わたしは|彼《かれ》らの|栄《さか》えを|恥《はじ》に|変《か》える。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわが|民《たみ》の|罪《つみ》を|食《く》いものにし、 その|罪《つみ》を|犯《おか》すことをせつに|願《ねが》っている。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|祭司《さいし》も|民《たみ》と|同《おな》じようになる。 わたしはそのわざのために|彼《かれ》らを|罰《ばっ》し、 そのおこないのために|彼《かれ》らに|報《むく》いる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|食《た》べても|飽《あ》くことなく、 |淫行《いんこう》をなしてもその|数《かず》を|増《ま》すことがない。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》を|捨《す》てて、|淫行《いんこう》を|愛《あい》したからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|酒《さけ》と|新《あたら》しい|酒《さけ》とは|思慮《しりょ》を|奪《うば》う。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》は|木《き》に|向《む》かって|事《こと》を|尋《たず》ねる。 またそのつえは|彼《かれ》らに|事《こと》を|示《しめ》す。 これは|淫行《いんこう》の|霊《れい》が|彼《かれ》らを|迷《まよ》わしたからである。 |彼《かれ》らはその|神《かみ》を|捨《す》てて|淫行《いんこう》をなした。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|山々《やまやま》の|頂《いただき》で|犠牲《ぎせい》をささげ、 |丘《おか》の|上《うえ》、かしの|木《き》、|柳《やなぎ》の|木《き》、 テレビンの|木《き》の|下《した》で|供《そな》え|物《もの》をささげる。 これはその|木陰《こかげ》がここちよいためである。 それゆえ、あなたがたの|娘《むすめ》は|淫行《いんこう》をなし、 あなたがたの|嫁《よめ》は|姦淫《かんいん》を|行《おこな》う。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|娘《むすめ》が|淫行《いんこう》をしても|罰《ばっ》しない。 またあなたがたの|嫁《よめ》が|姦淫《かんいん》を|行《おこな》っても|罰《ばっ》しない。 |男《おとこ》たちみずから|遊女《ゆうじょ》と|共《とも》に|離《はな》れ|去《さ》り、 |宮《みや》の|遊女《ゆうじょ》と|共《とも》に|犠牲《ぎせい》をささげているからである。 |悟《さと》りのない|民《たみ》は|滅《ほろ》びる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、あなたは|淫行《いんこう》をなしても、 ユダに|罪《つみ》を|犯《おか》させてはならない。 ギルガルへ|行《い》ってはならない。 ベテアベンにのぼってはならない。 また「|主《しゅ》は|生《い》きておられる」と|言《い》って |誓《ちか》ってはならない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|強情《ごうじょう》な|雌牛《めうし》のように|強情《ごうじょう》である。 |今《いま》、|主《しゅ》は|小羊《こひつじ》を|広《ひろ》い|野《の》に|放《はな》つようにして、 |彼《かれ》らを|養《やしな》うことができようか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|偶像《ぐうぞう》に|結《むす》びつらなった。 そのなすにまかせよ。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|酒宴《しゅえん》のとりことなり、 |淫行《いんこう》にふけっている。 |彼《かれ》らはその|光栄《こうえい》よりも|恥《はじ》を|愛《あい》する。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|風《かぜ》はその|翼《つばさ》に|彼《かれ》らを|包《つつ》んだ。 |彼《かれ》らはその|祭壇《さいだん》のゆえに|恥《はじ》を|受《う》ける。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちよ、これを|聞《き》け、 イスラエルの|家《いえ》よ、|心《こころ》をとめよ、 |王《おう》の|家《いえ》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ、 さばきはあなたがたに|臨《のぞ》む。 あなたがたはミヅパにわなを|設《もう》け、 タボルの|上《うえ》に|網《あみ》を|張《は》ったからだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはシッテムの|穴《あな》を|深《ふか》くしたが、 わたしは|彼《かれ》らをことごとく|懲《こ》らしめる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエフライムを|知《し》っている。 イスラエルはわたしに|隠《かく》れることがない。 エフライムよ、あなたは|今《いま》|淫行《いんこう》をなし、 イスラエルは|汚《けが》された。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのおこないは|彼《かれ》らを|神《かみ》に|帰《かえ》らせない。 それは|淫行《いんこう》の|霊《れい》が|彼《かれ》らのうちにあって、 |主《しゅ》を|知《し》ることができないからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|誇《ほこり》はその|顔《かお》に|向《む》かって|証言《しょうげん》している。 エフライムはその|不義《ふぎ》によってつまずき、 ユダもまた|彼《かれ》らと|共《とも》につまずく。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|羊《ひつじ》の|群《む》れ、|牛《うし》の|群《む》れを|携《たずさ》えて|行《い》って、 |主《しゅ》を|求《もと》めても、|主《しゅ》に|会《あ》うことはない。 |主《しゅ》は|彼《かれ》らから|離《はな》れ|去《さ》られた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》にむかって|貞操《ていそう》を|守《まも》らず、 ほかの|者《もの》の|子《こ》を|産《う》んだ。 |新月《しんげつ》は|彼《かれ》らをその|田畑《たはた》と|共《とも》に|滅《ほろ》ぼす。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ギベアで|角笛《つのぶえ》を|吹《ふ》き、 ラマでラッパを|鳴《な》らし、 ベテアベンで|呼《よ》ばわり|叫《さけ》べ。 ベニヤミンよ、おののけ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|刑罰《けいばつ》の|日《ひ》に|荒《あ》れすたれる。 わたしはイスラエルの|部族《ぶぞく》のうちに、 |必《かなら》ず|起《おこ》るべき|事《こと》を|知《し》らせる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|君《きみ》たちは|境《さかい》を|移《うつ》す|者《もの》のようになった。 わたしはわが|怒《いか》りを|水《みず》のように|彼《かれ》らの|上《うえ》に|注《そそ》ぐ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|甘《あま》んじて、 むなしいものに|従《したが》って|歩《あゆ》んだゆえ、 さばきを|受《う》けて、しえたげられ、|打《う》ちひしがれる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはエフライムには、しみのように、 ユダの|家《いえ》には|腐《くさ》れのようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]エフライムはおのれの|病《やまい》を|見《み》、 ユダはおのれの|傷《きず》を|見《み》たとき、 エフライムはアッスリヤに|行《い》き、 |大王《だいおう》に|人《ひと》をつかわした。 しかし|彼《かれ》はあなたがたをいやすことができない。 また、あなたがたの|傷《きず》をなおすことができない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエフライムに|対《たい》しては、ししのようになり、 ユダの|家《いえ》に|対《たい》しては|若《わか》きししのようになる。 わたしは、わたしこそ、かき|裂《さ》いて|去《さ》り、 かすめて|行《い》くが、だれも|救《すく》う|者《もの》はない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らがその|罪《つみ》を|認《みと》めて、 わが|顔《かお》をたずね|求《もと》めるまで、 わたしの|所《ところ》に|帰《かえ》っていよう。 |彼《かれ》らは|悩《なや》みによって、わたしを|尋《たず》ね|求《もと》めて|言《い》う、 [#ここで字下げ終わり] 第六章[#「第六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「さあ、わたしたちは|主《しゅ》に|帰《かえ》ろう。 |主《しゅ》はわたしたちをかき|裂《さ》かれたが、またいやし、 わたしたちを|打《う》たれたが、 また|包《つつ》んでくださるからだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は、ふつかの|後《のち》、わたしたちを|生《い》かし、 三|日《か》|目《め》にわたしたちを|立《た》たせられる。 わたしたちはみ|前《まえ》で|生《い》きる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしたちは|主《しゅ》を|知《し》ろう、 せつに|主《しゅ》を|知《し》ることを|求《もと》めよう。 |主《しゅ》はあしたの|光《ひかり》のように|必《かなら》ず|現《あらわ》れいで、 |冬《ふゆ》の|雨《あめ》のように、わたしたちに|臨《のぞ》み、 |春《はる》の|雨《あめ》のように|地《ち》を|潤《うるお》される」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]エフライムよ、わたしはあなたに|何《なに》をしようか。 ユダよ、わたしはあなたに|何《なに》をしようか。 あなたがたの|愛《あい》はあしたの|雲《くも》のごとく、 また、たちまち|消《き》える|露《つゆ》のようなものである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|預言者《よげんしゃ》たちによって |彼《かれ》らを|切《き》り|倒《たお》し、 わが|口《くち》の|言葉《ことば》をもって|彼《かれ》らを|殺《ころ》した。 わがさばきは|現《あらわ》れ|出《で》る|光《ひかり》のようだ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはいつくしみを|喜《よろこ》び、|犠牲《ぎせい》を|喜《よろこ》ばない。 |燔祭《はんさい》よりもむしろ|神《かみ》を|知《し》ることを|喜《よろこ》ぶ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ところが|彼《かれ》らはアダムで|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、 かしこでわたしにそむいた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ギレアデは|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》の|町《まち》で、 |血《ち》の|足跡《あしあと》で|満《み》たされている。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|盗賊《とうぞく》が|人《ひと》を|待《ま》ち|伏《ぶ》せするように、 |祭司《さいし》たちは|党《とう》を|組《く》み、 シケムへ|行《ゆ》く|道《みち》で|人《ひと》を|殺《ころ》す。 このように|彼《かれ》らは|悪《あ》しき|事《こと》を|行《おこな》う。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|家《いえ》に|恐《おそ》るべき|事《こと》を|見《み》た。 かしこでエフライムは|淫行《いんこう》をなし、 イスラエルは|汚《けが》された。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ユダよ、あなたのためにも|刈入《かりい》れが|定《さだ》められている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] わたしがわが|民《たみ》の|繁栄《はんえい》を|回復《かいふく》するとき、 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがイスラエルをいやすとき、 エフライムの|不義《ふぎ》と、 サマリヤの|悪《あ》しきわざとは|現《あらわ》れる。 |彼《かれ》らは|偽《いつわ》りをおこない、 |内《うち》では|盗《ぬす》びとが|押《お》し|入《い》り、 |外《そと》では|山賊《さんぞく》の|群《む》れが|襲《おそ》いきたる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》らはわたしが|彼《かれ》らのすべての|悪《あく》を |覚《おぼ》えていることを|悟《さと》らない。 |今《いま》、そのわざは|彼《かれ》らを|囲《かこ》んで、 わたしの|顔《かお》の|前《まえ》にある。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはその|悪《あく》をもって|王《おう》を|喜《よろこ》ばせ、 その|偽《いつわ》りをもって|君《きみ》たちを|喜《よろこ》ばせる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみな|姦淫《かんいん》を|行《おこな》う|者《もの》で、 パンを|焼《や》く|者《もの》が|熱《あつ》くする|炉《ろ》のようだ。 パンを|焼《や》く|者《もの》は、ねり|粉《こ》をこねてから、 それがふくれるまで、しばらく、|火《ひ》をおこす|事《こと》をしないだけだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|王《おう》の|日《ひ》に、 つかさたちは|酒《さけ》の|熱《ねつ》によって|病《や》みわずらい、 |王《おう》はあざける|者《もの》と|共《とも》に|手《て》を|伸《の》べた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|陰謀《いんぼう》をもってその|心《こころ》を|炉《ろ》のように|燃《も》やす。 その|怒《いか》りは|夜通《よどお》しくすぶり、 |朝《あさ》になると|炎《ほのお》のように|燃《も》える。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|皆《みな》、|炉《ろ》のように|熱《あつ》くなって、 そのさばきびとを|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。 そのもろもろの|王《おう》は|皆《みな》たおれる。 |彼《かれ》らの|中《なか》にはわたしを|呼《よ》ぶ|者《もの》がひとりもない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エフライムはもろもろの|民《たみ》の|中《なか》に|入《はい》り|混《ま》じる。 エフライムは|火《ひ》にかけて、かえさない|菓子《かし》である。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|他国《たこく》|人《じん》らは|彼《かれ》の|力《ちから》を|食《く》い|尽《つく》すが、 |彼《かれ》はそれを|知《し》らない。 しらがが|混《ま》じってはえても、それを|悟《さと》らない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|誇《ほこり》は|自《みずか》らに|向《む》かって|証言《しょうげん》している、 |彼《かれ》らはこのもろもろの|事《こと》があっても、 なおその|神《かみ》、|主《しゅ》に|帰《かえ》らず、 また|主《しゅ》を|求《もと》めない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|知恵《ちえ》のない|愚《おろ》かな、はとのようだ。 |彼《かれ》らはエジプトに|向《む》かって|呼《よ》び|求《もと》め、 またアッスリヤへ|行《い》く。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|行《い》くとき、わたしは|彼《かれ》らの|上《うえ》に|網《あみ》を|張《は》って、 |空《そら》の|鳥《とり》のように|引《ひ》き|落《おと》し、 その|悪《あ》しきおこないのゆえに、|彼《かれ》らを|懲《こ》らしめる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、|彼《かれ》らはわたしを|離《はな》れて|迷《まよ》い|出《で》た。 |滅《ほろ》びは|彼《かれ》らに|臨《のぞ》む。 |彼《かれ》らがわたしに|向《む》かって|罪《つみ》を|犯《おか》したからだ。 わたしは|彼《かれ》らをあがなおうと|思《おも》うが、 |彼《かれ》らはわたしに|逆《さか》らって|偽《いつわ》りを|言《い》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|真心《まごころ》をもってわたしを|呼《よ》ばず、 ただ|床《ゆか》の|上《うえ》で|悲《かな》しみ|叫《さけ》ぶ。 |彼《かれ》らは|穀物《こくもつ》と|酒《さけ》のためには|集《あつ》まるが、 わたしに|逆《さか》らう。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|教《おし》え、その|腕《うで》を|強《つよ》くしたが、 |彼《かれ》らはわたしに|逆《さか》らって、|悪《あ》しき|事《こと》をはかる。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはバアルに|帰《かえ》る。 |彼《かれ》らはあざむく|弓《ゆみ》のようだ。 |彼《かれ》らの|君《きみ》たちはその|舌《した》の|高《たか》ぶりのために、 つるぎに|倒《たお》れる。 これはエジプトの|国《くに》で|人々《ひとびと》のあざけりとなる。 [#ここで字下げ終わり] 第八章[#「第八章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ラッパをあなたの|口《くち》にあてよ、 はげたかは|主《しゅ》の|家《いえ》に|臨《のぞ》む。 |彼《かれ》らがわたしの|契約《けいやく》を|破《やぶ》り、 わたしの|律法《りっぽう》を|犯《おか》したからだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわたしに|向《む》かって|叫《さけ》ぶ、 「わが|神《かみ》よ、われわれイスラエルはあなたを|知《し》る」と。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|善《ぜん》はしりぞけた。 |敵《てき》はこれを|追《お》うであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|王《おう》を|立《た》てた、 しかし、わたしによって|立《た》てたのではない。 |彼《かれ》らは|君《きみ》を|立《た》てた、 しかし、わたしはこれを|知《し》らない。 |彼《かれ》らは|銀《ぎん》と|金《きん》をもって、 |自分《じぶん》たちの|滅《ほろ》びのために|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》った。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤよ、わたしはあなたの|子《こ》|牛《うし》を|忌《い》みきらう。 わたしの|怒《いか》りは|彼《かれ》らに|向《む》かって|燃《も》える。 |彼《かれ》らはいつになればイスラエルで |罪《つみ》なき|者《もの》となるであろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これは|工人《こうじん》の|作《つく》ったもので、|神《かみ》ではない。 サマリヤの|子《こ》|牛《うし》は|砕《くだ》けて|粉《こな》となる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|風《かぜ》をまいて、つむじ|風《かぜ》を|刈《か》り|取《と》る。 |立《た》っている|穀物《こくもつ》は|穂《ほ》を|持《も》たず、また|実《みの》らない。 たとい|実《みの》っても、|他国《たこく》|人《じん》がこれを|食《く》い|尽《つく》す。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルはのまれた。 |彼《かれ》らは|諸《しょ》|国民《こくみん》の|間《あいだ》にあって、 すでに|無用《むよう》な|器《うつわ》のようになった。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはひとりさまよう|野《の》のろばのように、 アッスリヤにのぼって|行《い》った。 エフライムは|物《もの》を|贈《おく》って|恋人《こいびと》を|得《え》た。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らが|国々《くにぐに》に|物《もの》を|贈《おく》って|同盟者《どうめいしゃ》を|得《え》ても、 わたしはまもなく|彼《かれ》らを|集《あつ》める。 |彼《かれ》らはしばらくにして、 |王《おう》や|君《きみ》たちに|油《あぶら》をそそぐことをやめる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|多《おお》くの|祭壇《さいだん》を|造《つく》って|罪《つみ》を|犯《おか》したゆえ、 これは|彼《かれ》には|罪《つみ》を|犯《おか》すための|祭壇《さいだん》となった。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》のために、 あまたの|律法《りっぽう》を|書《か》きしるしたが、 これはかえって|怪《あや》しい|物《もの》のように|思《おも》われた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|犠牲《ぎせい》を|好《この》み、|肉《にく》をささげてこれを|食《た》べる。 しかし|主《しゅ》はこれを|喜《よろこ》ばれない。 |今《いま》、|彼《かれ》らの|不義《ふぎ》を|覚《おぼ》え、|彼《かれ》らの|罪《つみ》を|罰《ばっ》せられる。 |彼《かれ》らはエジプトに|帰《かえ》る。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|自分《じぶん》の|造《つく》り|主《ぬし》を|忘《わす》れて、 もろもろの|宮殿《きゅうでん》を|建《た》てた。 ユダは|堅固《けんご》な|町々《まちまち》を|多《おお》く|増《ま》し|加《くわ》えた。 しかしわたしは|火《ひ》をその|町々《まちまち》に|送《おく》って、 もろもろの|城《しろ》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。 [#ここで字下げ終わり] 第九章[#「第九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、 もろもろの|民《たみ》のように|喜《よろこ》びおどるな。 あなたは|淫行《いんこう》をなして、あなたの|神《かみ》を|離《はな》れ、 すべての|穀物《こくもつ》の|打《う》ち|場《ば》で|受《う》ける|淫行《いんこう》の|価《あたい》を|愛《あい》した。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|打《う》ち|場《ば》と|酒《さか》ぶねとは|彼《かれ》らを|養《やしな》わない。 また|新《あたら》しい|酒《さけ》もむなしくなる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|地《ち》に|住《す》むことなく、 エフライムはエジプトに|帰《かえ》り、 アッスリヤで|汚《けが》れた|物《もの》を|食《た》べる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》に|向《む》かって|酒《さけ》を|注《そそ》がず、 また|犠牲《ぎせい》をもって|主《しゅ》を|喜《よろこ》ばせず、 |彼《かれ》らのパンは|喪《も》におる|者《もの》のパンのようで、 すべてこれを|食《た》べる|者《もの》は|汚《けが》される。 |彼《かれ》らのパンはただ|自分《じぶん》の|飢《う》えを|満《み》たすためで、 |主《しゅ》の|家《いえ》に、はいることはできない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|祝《いわい》の|日《ひ》と、|主《しゅ》の|祭《まつり》の|日《ひ》に、 |何《なに》をしようとするのか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》らはアッスリヤへ|行《い》く。 エジプトは|彼《かれ》らを|集《あつ》め、 メンピスは|彼《かれ》らを|葬《ほうむ》る。 あざみは|彼《かれ》らの|銀《ぎん》の|宝物《たからもの》を|所有《しょゆう》し、 いばらは|彼《かれ》らの|天幕《てんまく》にはびこる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|刑罰《けいばつ》の|日《ひ》は|来《き》た。 |報《むく》いの|日《ひ》は|来《き》た。 イスラエルはこれを|知《し》る。 |預言者《よげんしゃ》は|愚《おろ》かな|者《もの》、 |霊《れい》に|感《かん》じた|人《ひと》は|狂《くる》った|者《もの》だ。 これはあなたがたの|不義《ふぎ》が|多《おお》く、 |恨《うら》みが|大《おお》きいためである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》はわが|神《かみ》の|民《たみ》エフライムの|見張《みはり》|人《にん》である。 しかし|預言者《よげんしゃ》のすべての|道《みち》には |鳥《とり》をとる|者《もの》のわながあり、 |恨《うら》みはその|神《かみ》の|家《いえ》にある。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはギベアの|日《ひ》のように、 |深《ふか》くおのれを|腐《くさ》らせた。 |主《しゅ》はその|不義《ふぎ》を|覚《おぼ》え、その|罪《つみ》を|罰《ばっ》せられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルを|荒野《あらの》のぶどうのように|見《み》、 あなたがたの|先祖《せんぞ》たちを、 いちじくの|木《き》の|初《はじ》めに|結《むす》んだ|初《はつ》なりのように|見《み》た。 ところが|彼《かれ》らはバアル・ペオルへ|行《い》き、 |身《み》をバアルにゆだね、 |彼《かれ》らが|愛《あい》した|物《もの》と|同《おな》じように|憎《にく》むべき|者《もの》となった。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|栄光《えいこう》は、|鳥《とり》のようにとび|去《さ》る。 すなわち|産《う》むことも、はらむことも、 みごもることもなくなる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らが|子《こ》を|育《そだ》てても、 わたしはその|子《こ》を|奪《うば》って、|残《のこ》る|者《もの》のないようにする。 わたしが|彼《かれ》らを|離《はな》れるとき、|彼《かれ》らはわざわいだ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》たように、 エフライムの|子《こ》らはえじきに|定《さだ》められた。 エフライムはその|子《こ》らを、 |人《ひと》を|殺《ころ》す|者《もの》に|渡《わた》さなければならない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、|彼《かれ》らに|与《あた》えてください。 あなたは|何《なに》を|与《あた》えられますか。 |流産《りゅうざん》の|胎《たい》と、かわいた|乳《ち》ぶさを |彼《かれ》らに|与《あた》えてください。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らのすべての|悪《あく》はギルガルにある。 わたしはかしこで|彼《かれ》らを|憎《にく》んだ。 |彼《かれ》らのおこないの|悪《あ》しきがゆえに、 |彼《かれ》らをわが|家《や》から|追《お》いだし、 |重《かさ》ねて|愛《あい》することをしない。 その|君《きみ》たちはみな、|反逆者《はんぎゃくしゃ》である。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|撃《う》たれ、 その|根《ね》は|枯《か》れて、|実《み》を|結《むす》ばない。 たとい|彼《かれ》らが|子《こ》を|産《う》んでも、 わたしはそのいつくしむ|子《こ》らを|殺《ころ》す。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|聞《き》き|従《したが》わないので、 わが|神《かみ》はこれを|捨《す》てられる。 |彼《かれ》らはもろもろの|国民《くにたみ》のうちに、 さすらい|人《ひと》となる。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルは|実《み》を|結《むす》ぶ|茂《しげ》った ぶどうの|木《き》である。 その|実《み》を|多《おお》く|結《むす》ぶにしたがって、 |祭壇《さいだん》を|増《ま》し、 その|地《ち》の|豊《ゆた》かなるにしたがって、 |柱《はしら》の|像《ぞう》を|麗《うるわ》しくした。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|心《こころ》は|偽《いつわ》りである。 |今《いま》、|彼《かれ》らはその|罪《つみ》を|負《お》わなければならない。 |主《しゅ》はその|祭壇《さいだん》をこわし、 その|柱《はしら》の|像《ぞう》を|砕《くだ》かれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》、|彼《かれ》らは|言《い》う、 「われわれは|主《しゅ》を|恐《おそ》れないので、 われわれには|王《おう》がない。 |王《おう》はわれわれのために|何《なに》をなしえようか」と。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはむなしき|言葉《ことば》をいだし、 |偽《いつわ》りの|誓《ちか》いをもって|契約《けいやく》を|結《むす》ぶ。 それゆえ、さばきは|畑《はたけ》のうねの|毒草《どくそう》のように|現《あらわ》れる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤの|住民《じゅうみん》は、 ベテアベンの|子《こ》|牛《うし》のためにおののき、 その|民《たみ》はこれがために|嘆《なげ》き、 その|偶像《ぐうぞう》に|仕《つか》える|祭司《さいし》たちは、 その|栄光《えいこう》のうせたるがために|泣《な》き|悲《かな》しむ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|子《こ》|牛《うし》はアッスリヤに|携《たずさ》えられ、 |礼物《れいもつ》として|大王《だいおう》にささげられ、 エフライムは|恥《はじ》をうけ、 イスラエルはおのれの|偶像《ぐうぞう》を|恥《は》じる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤの|王《おう》は、 |水《みず》のおもての|木《き》|切《ぎ》れのように|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|罪《つみ》であるアベンの|高《たか》き|所《ところ》も|滅《ほろ》び、 いばらとあざみがその|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にはえ|茂《しげ》る。 その|時《とき》|彼《かれ》らは|山《やま》に|向《む》かって、 「われわれをおおえ」と|言《い》い、 |丘《おか》に|向《む》かって「われわれの|上《うえ》に|倒《たお》れよ」と|言《い》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、 あなたはギベアの|日《ひ》からこのかた|罪《つみ》を|犯《おか》した。 |彼《かれ》らはその|所《ところ》に|立《た》っていた。 |戦《たたか》いはギベアにおる|彼《かれ》らに|及《およ》ばないであろうか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|来《き》てよこしまな|民《たみ》を|攻《せ》め、 これを|懲《こ》らしめる。 |彼《かれ》らがその二つの|罪《つみ》のために|懲《こら》しめられるとき、 もろもろの|民《たみ》は|集《あつ》まって|彼《かれ》らを|攻《せ》める。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムはならされた|若《わか》い|雌牛《めうし》であって、 |穀物《こくもつ》を|踏《ふ》むことを|好《この》む。 わたしはその|麗《うるわ》しい|首《くび》を|惜《お》しんだ。 しかし、わたしはエフライムにくびきをかける。 ユダは|耕《たがや》し、 ヤコブは|自分《じぶん》のために、まぐわをひかねばならない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|自分《じぶん》のために|正義《せいぎ》をまき、 いつくしみの|実《み》を|刈《か》り|取《と》り、 あなたがたの|新田《しんでん》を|耕《たがや》せ。 |今《いま》は|主《しゅ》を|求《もと》むべき|時《とき》である。 |主《しゅ》は|来《き》て|救《すく》いを|雨《あめ》のように、 あなたがたに|降《ふ》りそそがれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|悪《あく》を|耕《たがや》し、 |不義《ふぎ》を|刈《か》りおさめ、 |偽《いつわ》りの|実《み》を|食《た》べた。 これはあなたがたが|自分《じぶん》の|戦車《せんしゃ》を|頼《たの》み、 |勇士《ゆうし》の|多《おお》いことを|頼《たの》んだためである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたの|民《たみ》の|中《なか》に いくさの|騒《さわ》ぎが|起《おこ》り、 シャルマンが|戦《たたか》いの|日《ひ》に ベテ・アルベルを|打《う》ち|破《やぶ》ったように、 あなたがたの|城《しろ》はことごとく|打《う》ち|破《やぶ》られる。 |母《はは》らはその|子《こ》らと|共《とも》に|打《う》ち|砕《くだ》かれた。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》よ、 あなたがたの|大《おお》いなる|悪《あく》のゆえに、 このように、あなたがたにも|行《おこな》われ、 イスラエルの|王《おう》は、あらしの|中《なか》に|全《まった》く|滅《ほろ》ぼされる。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルの|幼《おさな》い|時《とき》、 これを|愛《あい》した。 わたしはわが|子《こ》をエジプトから|呼《よ》び|出《だ》した。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|呼《よ》ばわるにしたがって、 |彼《かれ》らはいよいよわたしから|遠《とお》ざかり、 もろもろのバアルに|犠牲《ぎせい》をささげ、 |刻《きざ》んだ|像《ぞう》に|香《こう》をたいた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエフライムに|歩《あゆ》むことを|教《おし》え、 |彼《かれ》らをわたしの|腕《うで》にいだいた。 しかし|彼《かれ》らはわたしにいやされた|事《こと》を |知《し》らなかった。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあわれみの|綱《つな》、 すなわち|愛《あい》のひもで|彼《かれ》らを|導《みちび》いた。 わたしは|彼《かれ》らに|対《たい》しては、 あごから、くびきをはずす|者《もの》のようになり、 かがんで|彼《かれ》らに|食物《しょくもつ》を|与《あた》えた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトの|地《ち》に|帰《かえ》り、 アッスリヤびとが|彼《かれ》らの|王《おう》となる。 |彼《かれ》らがわたしに|帰《かえ》ることを|拒《こば》んだからである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]つるぎは、そのもろもろの|町《まち》にあれ|狂《くる》い、 その|門《もん》の|貫《かん》の|木《き》を|砕《くだ》き、その|城《しろ》の|中《なか》に|彼《かれ》らを|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》はわたしからそむき|去《さ》ろうとしている。 それゆえ、|彼《かれ》らはくびきをかけられ、 これを|除《のぞ》きうる|者《もの》はひとりもいない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エフライムよ、 どうして、あなたを|捨《す》てることができようか。 イスラエルよ、 どうしてあなたを|渡《わた》すことができようか。 どうしてあなたをアデマのように することができようか。 どうしてあなたをゼボイムのように |扱《あつか》うことができようか。 わたしの|心《こころ》は、わたしのうちに|変《かわ》り、 わたしのあわれみは、ことごとくもえ|起《た》っている。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|激《はげ》しい|怒《いか》りをあらわさない。 わたしは|再《ふたた》びエフライムを|滅《ほろ》ぼさない。 わたしは|神《かみ》であって、|人《ひと》ではなく、 あなたのうちにいる|聖《せい》なる|者《もの》だからである。 わたしは|滅《ほろ》ぼすために|臨《のぞ》むことをしない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|主《しゅ》に|従《したが》って|歩《あゆ》む。 |主《しゅ》はししのほえるように|声《こえ》を|出《だ》される。 |主《しゅ》が|声《こえ》を|出《だ》されると、 |子《こ》らはおののきつつ|西《にし》から|来《く》る。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトから|鳥《とり》のように、 アッスリヤの|地《ち》から、はとのように|急《いそ》いで|来《く》る。 わたしは|彼《かれ》らをその|家《いえ》に|帰《かえ》らせると |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|偽《いつわ》りをもって、わたしを|囲《かこ》み、 イスラエルの|家《いえ》は|欺《あざむ》きをもって、わたしを|囲《かこ》んだ。 しかしユダはなお|神《かみ》に|知《し》られ、 |聖《せい》なる|者《もの》に|向《む》かって|真実《しんじつ》である。 [#ここで字下げ終わり] 第一二章[#「第一二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムはひねもす|風《かぜ》を|牧《ぼく》し、 |東風《ひがしかぜ》を|追《お》い、 |偽《いつわ》りと|暴虐《ぼうぎゃく》とを|増《ま》し|加《くわ》え、 アッスリヤと|取引《とりひき》をなし、 |油《あぶら》をエジプトに|送《おく》った。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はユダと|争《あらそ》い、 ヤコブをそのしわざにしたがって|罰《ばっ》し、 そのおこないにしたがって|報《むく》いられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブは|胎《たい》にいたとき、その|兄弟《きょうだい》のかかとを|捕《とら》え、 |成人《せいじん》したとき|神《かみ》と|争《あらそ》った。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|天《てん》の|使《つかい》と|争《あらそ》って|勝《か》ち、 |泣《な》いてこれにあわれみを|求《もと》めた。 |彼《かれ》はベテルで|神《かみ》に|出会《であ》い、 その|所《ところ》で|神《かみ》は|彼《かれ》と|語《かた》られた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、その|名《な》は|主《しゅ》である。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたはあなたの|神《かみ》に|帰《かえ》り、 いつくしみと|正《ただ》しきとを|守《まも》り、 つねにあなたの|神《かみ》を|待《ま》ち|望《のぞ》め。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|商人《しょうにん》はその|手《て》に|偽《いつわ》りのはかりを|持《も》ち、 しえたげることを|好《この》む。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エフライムは|言《い》った、 「まことにわたしは|富《と》める|者《もの》となった。 わたしは|自分《じぶん》ために|財宝《ざいほう》を|得《え》た」と。 しかし|彼《かれ》のすべての|富《とみ》も その|犯《おか》した|罪《つみ》をつぐなうことはできない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトの|国《くに》を|出《で》たときから、 あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。 わたしは|祭《まつり》の|日《ひ》のように、 |再《ふたた》びあなたを|天幕《てんまく》に|住《す》まわせよう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|預言者《よげんしゃ》たちに|語《かた》った。 |幻《まぼろし》を|多《おお》く|示《しめ》したのはわたしである。 わたしは|預言者《よげんしゃ》たちによってたとえを|語《かた》った。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もしギレアデに|不義《ふぎ》があるなら、 |彼《かれ》らは|必《かなら》ずむなしき|者《もの》となる。 もし|彼《かれ》らがギルガルで|雄牛《おうし》を|犠牲《ぎせい》にささげるなら、 |彼《かれ》らの|祭壇《さいだん》は|畑《はたけ》のうねに|積《つ》んだ|石塚《いしづか》のようになる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり](ヤコブはアラムの|地《ち》に|逃《に》げっていった。 イスラエルは|妻《つま》をめとるために|人《ひと》に|仕《つか》えた。 |彼《かれ》は|妻《つま》をめとるために|羊《ひつじ》を|飼《か》った。) [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はひとりの|預言者《よげんしゃ》によって、 イスラエルをエジプトから|導《みちび》き|出《だ》し、 ひとりの|預言者《よげんしゃ》によってこれを|守《まも》られた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]エフライムはいたく|主《しゅ》を|怒《いか》らせた。 それゆえ|主《しゅ》はその|血《ち》のとがを|彼《かれ》の|上《うえ》にのこし、 そのはずかしめを|彼《かれ》に|返《かえ》される。 [#ここで字下げ終わり] 第一三章[#「第一三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]エフライムが|物言《ものい》えば、 |人々《ひとびと》はおののいた。 |彼《かれ》はイスラエルの|中《なか》に|自分《じぶん》を|高《たか》くした。 しかし|彼《かれ》はバアルによって|罪《つみ》を|犯《おか》して|死《し》んだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らは|今《いま》もなおますます|罪《つみ》を|犯《おか》し、 その|銀《ぎん》をもって|自分《じぶん》のために|像《ぞう》を|鋳《い》、 |巧《たく》みに|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》る。 これは|皆《みな》|工人《こうじん》のわざである。 |彼《かれ》らは|言《い》う、 これに|犠牲《ぎせい》をささげよ、|人々《ひとびと》は|子《こ》|牛《うし》に|口《くち》づけせよと。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|彼《かれ》らは|朝《あさ》の|霧《きり》のように、 すみやかに|消《き》えうせる|露《つゆ》のように、 |打《う》ち|場《ば》から|風《かぜ》に|吹《ふ》き|去《さ》られるもみがらのように、 また|窓《まど》から|出《で》て|行《い》く|煙《けむり》のようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトの|国《くに》を|出《で》てからこのかた、 あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》である。 あなたはわたしのほかに|神《かみ》を|知《し》らない。 わたしのほかに|救《すく》う|者《もの》はない。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|荒野《あらの》で、またかわいた|地《ち》で、 あなたを|知《し》った。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|食《た》べて|飽《あ》き、 |飽《あ》きて、その|心《こころ》が|高《たか》ぶり、わたしを|忘《わす》れた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしは|彼《かれ》らに|向《む》かって、 ししのようになり、 ひょうのように|道《みち》のかたわらに|潜《ひそ》んでうかがう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|子《こ》を|取《と》られた|熊《くま》のように|彼《かれ》らに|出会《であ》って、 その|胸《むね》をかきさき、 その|所《ところ》で、ししのようにこれを|食《く》い|尽《つく》し、 |野《の》の|獣《けもの》のようにこれをかき|破《やぶ》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、わたしはあなたを|滅《ほろ》ぼす。 だれがあなたを|助《たす》けることができよう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたを|助《たす》けるあなたの|王《おう》は|今《いま》、どこにいるのか。 あなたがかつて「わたしに|王《おう》と|君《きみ》たちとを|与《あた》えよ」と|言《い》ったあなたを|保護《ほご》すべき、すべてのつかさたちは |今《いま》、どこにいるのか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|怒《いか》りをもってあなたに|王《おう》を|与《あた》えた、 また|憤《いきどお》りをもってこれを|奪《うば》い|取《と》った。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エフライムの|不義《ふぎ》は|包《つつ》みおかれ、 その|罪《つみ》は|積《つ》みたくわえられてある。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|子《こ》を|産《う》む|女《おんな》の|苦《くる》しみが|彼《かれ》に|臨《のぞ》む。 |彼《かれ》は|知恵《ちえ》のない|子《こ》である。 |生《うま》れる|時《とき》が|来《き》ても|彼《かれ》は|産《さん》|門《もん》にあらわれない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|陰府《よみ》の|力《ちから》から、 あがなうことがあろうか。 |彼《かれ》らを|死《し》から、あがなうことがあろうか。 |死《し》よ、おまえの|災《わざわい》はどこにあるのか。 |陰府《よみ》よ、おまえの|滅《ほろ》びはどこにあるのか。 あわれみは、わたしの|目《め》から|隠《かく》されている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》は|葦《あし》のように|栄《さか》えても、 |東風《ひがしかぜ》が|吹《ふ》いて|来《く》る。 |主《しゅ》の|風《かぜ》が|荒野《あらの》から|吹《ふ》き|起《おこ》る。 これがためにその|源《みなもと》はかれ、その|泉《いずみ》はかわく。 それはすべての|尊《たっと》い|物《もの》の|宝庫《ほうこ》をかすめ|奪《うば》う。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤはその|神《かみ》にそむいたので、 その|罪《つみ》を|負《お》い、つるぎに|倒《たお》れ、 その|幼《おさ》な|子《ご》は|投《な》げ|砕《くだ》かれ、 そのはらめる|女《おんな》は|引《ひ》き|裂《さ》かれる。 [#ここで字下げ終わり] 第一四章[#「第一四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルよ、 あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|帰《かえ》れ。 あなたは|自分《じぶん》の|不義《ふぎ》によって、つまずいたからだ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言葉《ことば》を|携《たずさ》えて、|主《しゅ》に|帰《かえ》って|言《い》え、 「|不義《ふぎ》はことごとくゆるして、 よきものを|受《う》けいれてください。 わたしたちは|自分《じぶん》のくちびるの|実《み》をささげます。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤはわたしたちを|助《たす》けず、 わたしたちは|馬《うま》に|乗《の》りません。 わたしたちはもはや|自分《じぶん》たちの|手《て》のわざに|向《む》かって 『われわれの|神《かみ》』とは|言《い》いません。 みなしごはあなたによって、 あわれみを|得《え》るでしょう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らのそむきをいやし、 |喜《よろこ》んでこれを|愛《あい》する。 わたしの|怒《いか》りは|彼《かれ》らを|離《はな》れ|去《さ》ったからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルに|対《たい》しては|露《つゆ》のようになる。 |彼《かれ》はゆりのように|花《はな》|咲《さ》き、 ポプラのように|根《ね》を|張《は》り、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|枝《えだ》は|茂《しげ》りひろがり、 その|麗《うるわ》しさはオリブの|木《き》のように、 そのかんばしさはレバノンのようになる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|帰《かえ》って|来《き》て、わが|陰《かげ》に|住《す》み、 |園《その》のように|栄《さか》え、 ぶどうの|木《き》のように|花《はな》|咲《さ》き、 そのかんばしさはレバノンの|酒《さけ》のようになる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]エフライムよ、 わたしは|偶像《ぐうぞう》となんの|係《かか》わりがあろうか。 あなたに|答《こた》え、あなたを|顧《かえり》みる|者《もの》はわたしである。 わたしは|緑《みどり》のいとすぎのようだ。 あなたはわたしから|実《み》を|得《え》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|知恵《ちえ》のある|者《もの》はだれか。 その|人《ひと》にこれらのことを|悟《さと》らせよ。 |悟《さと》りある|者《もの》はだれか。 その|人《ひと》にこれらのことを|知《し》らせよ。 |主《しゅ》の|道《みち》は|直《なお》く、 |正《ただ》しき|者《もの》はこれを|歩《あゆ》む。 しかし|罪《つみ》びとはこれにつまずく。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] ヨエル書[#「ヨエル書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ペトエルの|子《こ》ヨエルに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|老人《ろうじん》たちよ、これを|聞《き》け。 すべてこの|地《ち》に|住《す》む|者《もの》よ、 |耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 あなたがたの|世《よ》、またはあなたがたの|先祖《せんぞ》の|世《よ》に このような|事《こと》があったか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]これをあなたがたの|子《こ》たちに|語《かた》り、 |子《こ》たちはまたその|子《こ》たちに|語《かた》り、 その|子《こ》たちはまたこれを|後《のち》の|代《よ》に|語《かた》り|伝《つた》えよ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]かみ|食《く》らういなごの|残《のこ》したものは、 |群《むら》がるいなごがこれを|食《く》い、 |群《むら》がるいなごの|残《のこ》したものは、 とびいなごがこれを|食《く》い、 とびいなごの|残《のこ》したものは、|滅《ほろ》ぼすいなごがこれを|食《く》った。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|酔《よ》える|者《もの》よ、|目《め》をさまして|泣《な》け。 すべて|酒《さけ》を|飲《の》む|者《もの》よ、 うまい|酒《さけ》のゆえに|泣《な》き|叫《さけ》べ。 うまい|酒《さけ》はあなたがたの|口《くち》から|断《た》たれるからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]一つの|国民《くにたみ》がわたしの|国《くに》に|攻《せ》めのぼってきた。 その|勢《いきお》いは|強《つよ》く、その|数《かず》は|計《はか》られず、 その|歯《は》はししの|歯《は》のようで、 |雌《め》じしのきばをもっている。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわがぶどうの|木《き》を|荒《あら》し、 わがいちじくの|木《き》を|折《お》り、 その|皮《かわ》をはだかにして|捨《す》てた。 その|枝《えだ》は|白《しろ》くなった。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|若《わか》い|時《とき》の|夫《おっと》のために |荒布《あらぬの》を|腰《こし》にまとったおとめのように|泣《な》き|悲《かな》しめ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とは|主《しゅ》の|家《いえ》に|絶《た》え、 |主《しゅ》に|仕《つか》える|祭司《さいし》たちは|嘆《なげ》き|悲《かな》しむ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|畑《はたけ》は|荒《あ》れ、|地《ち》は|悲《かな》しむ。 これは|穀物《こくもつ》が|荒《あ》れはて、 |新《あたら》しい|酒《さけ》は|尽《つ》き、|油《あぶら》も|絶《た》えるためである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|小麦《こむぎ》および|大麦《おおむぎ》のために、 |農夫《のうふ》たちよ、|恥《は》じよ、 ぶどう|作《づく》りたちよ、|泣《な》け。 |畑《はたけ》の|収穫《しゅうかく》がうせ|去《さ》ったからである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ぶどうの|木《き》は|枯《か》れ、いちじくの|木《き》はしおれ、 ざくろ、やし、りんご、|野《の》のすべての|木《き》はしぼんだ。 それゆえ|楽《たの》しみは|人《ひと》の|子《こ》らからかれうせた。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちよ、|荒布《あらぬの》を|腰《こし》にまとい、|泣《な》き|悲《かな》しめ。 |祭壇《さいだん》に|仕《つか》える|者《もの》たちよ、|泣《な》け。 |神《かみ》に|仕《つか》える|者《もの》たちよ、 |来《き》て、|荒布《あらぬの》をまとい、|夜《よる》を|過《す》ごせ。 |素祭《そさい》も|灌祭《かんさい》も あなたがたの|神《かみ》の|家《いえ》から|退《しりぞ》けられたからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|断食《だんじき》を|聖別《せいべつ》し、 |聖《せい》|会《かい》を|召集《しょうしゅう》し、|長老《ちょうろう》たちを|集《あつ》め、 |国《くに》の|民《たみ》をことごとくあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|家《いえ》に|集《あつ》め、 |主《しゅ》に|向《む》かって|叫《さけ》べ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ああ、その|日《ひ》はわざわいだ。 |主《しゅ》の|日《ひ》は|近《ちか》く、 |全能者《ぜんのうしゃ》からの|滅《ほろ》びのように|来《く》るからである。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|目《め》の|前《まえ》に|食物《しょくもつ》は|絶《た》え、 われわれの|神《かみ》の|家《いえ》から |喜《よろこ》びと|楽《たの》しみが|絶《た》えたではないか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》は|土《つち》の|下《した》に|朽《く》ち、|倉《くら》は|荒《あ》れ、 |穀物《こくもつ》がつきたので、|穀倉《こくぐら》はこわされる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]いかに|家畜《かちく》はうめき|鳴《な》くか。 |牛《うし》の|群《む》れはさまよう。 |彼《かれ》らには|牧草《ぼくそう》がないからだ。 |羊《ひつじ》の|群《む》れも|滅《ほろ》びうせる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたに|向《む》かって|呼《よ》ばわる。 |火《ひ》が|荒野《あらの》の|牧草《ぼくそう》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼし、 |炎《ほのお》が|野《の》のすべての|木《き》を|焼《や》き|尽《つく》したからである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》の|獣《けもの》もまたあなたに|向《む》かって|呼《よ》ばわる。 |水《みず》の|流《なが》れがかれはて、 |火《ひ》が|荒野《あらの》の|牧草《ぼくそう》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼしたからである [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはシオンでラッパを|吹《ふ》け。 わが|聖《せい》なる|山《やま》で|警報《けいほう》を|吹《ふ》きならせ。 |国《くに》の|民《たみ》はみな、ふるいわななけ。 |主《しゅ》の|日《ひ》が|来《く》るからである。 それは|近《ちか》い。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これは|暗《くら》く、|薄暗《うすぐら》い|日《ひ》、 |雲《くも》の|群《むら》がるまっくらな|日《ひ》である。 |多《おお》くの|強《つよ》い|民《たみ》が |暗《くら》やみのようにもろもろの|山《やま》をおおう。 このようなことは|昔《むかし》からあったことがなく、 |後《のち》の|代々《よよ》の|年《とし》にも|再《ふたた》び|起《おこ》ることがないであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|火《ひ》は|彼《かれ》らの|前《まえ》を|焼《や》き、|炎《ほのお》は|彼《かれ》らの|後《うしろ》に|燃《も》える。 |彼《かれ》らのこない|前《まえ》には、 |地《ち》はエデンの|園《その》のようであるが、 その|去《さ》った|後《のち》は|荒《あ》れ|果《は》てた|野《の》のようになる。 これをのがれうるものは一つもない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]そのかたちは|馬《うま》のかたちのようであり、 その|走《はし》ることは|軍馬《ぐんば》のようである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》の|頂《いただき》でとびおどる|音《おと》は、 |戦車《せんしゃ》のとどろくようである。 また|刈《か》り|株《かぶ》を|焼《や》く|火《ひ》の|炎《ほのお》の|音《おと》のようであり、 |戦《たたか》いの|備《そな》えをした|強《つよ》い|軍隊《ぐんたい》のようである。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|前《まえ》にもろもろの|民《たみ》はなやみ、 すべての|顔《かお》は|色《いろ》を|失《うしな》う。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|勇士《ゆうし》のように|走《はし》り、 |兵士《へいし》のように|城壁《じょうへき》によじ|登《のぼ》る。 |彼《かれ》らはおのおの|自分《じぶん》の|道《みち》を|進《すす》んで|行《い》って、 その|道《みち》を|踏《ふ》みはずさない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|互《たがい》におしあわず、おのおのその|道《みち》を|進《すす》み|行《い》く。 |彼《かれ》らは|武器《ぶき》の|中《なか》にとびこんでも、|身《み》をそこなわない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|町《まち》にとび|入《はい》り、|城壁《じょうへき》の|上《うえ》を|走《はし》り、 |家々《いえいえ》によじ|登《のぼ》り、|盗《ぬす》びとのように|窓《まど》からはいる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》は|彼《かれ》らの|前《まえ》におののき、|天《てん》はふるい、 |日《ひ》も|月《つき》も|暗《くら》くなり、|星《ほし》はその|光《ひかり》を|失《うしな》う。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はその|軍勢《ぐんぜい》の|前《まえ》で|声《こえ》をあげられる。 その|軍隊《ぐんたい》は|非常《ひじょう》に|多《おお》いからである。 そのみ|言葉《ことば》をなし|遂《と》げる|者《もの》は|強《つよ》い。 |主《しゅ》の|日《ひ》は|大《おお》いにして、はなはだ|恐《おそ》ろしいゆえ、 だれがこれに|耐《た》えることができよう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「|今《いま》からでも、あなたがたは|心《こころ》をつくし、 |断食《だんじき》と|嘆《なげ》きと、|悲《かな》しみとをもってわたしに|帰《かえ》れ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|衣服《いふく》ではなく、|心《こころ》を|裂《さ》け」。 あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》に|帰《かえ》れ。 |主《しゅ》は|恵《めぐ》みあり、あわれみあり、 |怒《いか》ることがおそく、いつくしみが|豊《ゆた》かで、 |災《わざわい》を|思《おも》いかえされるからである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》があるいは|立《た》ち|返《かえ》り、 |思《おも》いかえして|祝福《しゅくふく》をその|後《のち》に|残《のこ》し、 |素祭《そさい》と|灌祭《かんさい》とを あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》にささげさせられる|事《こと》はないと だれが|知《し》るだろうか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]シオンでラッパを|吹《ふ》きならせ。 |断食《だんじき》を|聖別《せいべつ》し、|聖《せい》|会《かい》を|召集《しょうしゅう》し、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|民《たみ》を|集《あつ》め、|会衆《かいしゅう》を|聖別《せいべつ》し、 |老人《ろうじん》たちを|集《あつ》め、|幼《おさ》な|子《ご》、|乳《ち》のみ|子《ご》を|集《あつ》め、 |花婿《はなむこ》をその|家《いえ》から|呼《よ》びだし、 |花嫁《はなよめ》をそのへやから|呼《よ》びだせ。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|仕《つか》える|祭司《さいし》たちは、 |廊《ろう》と|祭壇《さいだん》との|間《あいだ》で|泣《な》いて|言《い》え、 「|主《しゅ》よ、あなたの|民《たみ》をゆるし、 あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》をもろもろの|国民《くにたみ》のうちに、 そしりと|笑《わら》い|草《ぐさ》にさせないでください。 どうしてもろもろの|国民《くにたみ》に、 『|彼《かれ》らの|神《かみ》はどこにいるのか』と |言《い》わせてよいでしょうか」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》|主《しゅ》は|自分《じぶん》の|地《ち》のために、ねたみを|起《おこ》し、 その|民《たみ》をあわれまれた。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|答《こた》えて、その|民《たみ》に|言《い》われた、 「|見《み》よ、わたしは|穀物《こくもつ》と|新《あたら》しい|酒《さけ》と|油《あぶら》とを あなたがたに|送《おく》る。 あなたがたはこれを|食《た》べて|飽《あ》きるであろう。 わたしは|重《かさ》ねてあなたがたに もろもろの|国民《くにたみ》のうちでそしりを|受《う》けさせない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|北《きた》から|来《く》る|者《もの》をあなたがたから|遠《とお》ざけ、 これをかわいた|荒《あ》れ|地《ち》に|追《お》いやり、 その|前《まえ》の|者《もの》を|東《ひがし》の|海《うみ》に、 その|後《のち》の|者《もの》を|西《にし》の|海《うみ》に|追《お》いやる。 その|臭《くさ》いにおいは|起《おこ》り、その|悪《あ》しきにおいは|上《のぼ》る。 これは|大《おお》いなる|事《こと》をしたからである。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》よ|恐《おそれ》るな、|喜《よろこ》び|楽《たの》しめ、 |主《しゅ》は|大《おお》いなる|事《こと》を|行《おこな》われたからである。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|野《の》のもろもろの|獣《けもの》よ、|恐《おそれ》るな。 |荒野《あらの》の|牧草《ぼくそう》はもえいで、|木《き》はその|実《み》を|結《むす》び、 いちじくの|木《き》とぶどうの|木《き》とは|豊《ゆた》かに|実《みの》る。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|子《こ》らよ、 あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》によって|喜《よろこ》び|楽《たの》しめ。 |主《しゅ》はあなたがたを|義《ぎ》とするために|秋《あき》の|雨《あめ》を|賜《たま》い、 またあなたがたのために|豊《ゆた》かに|雨《あめ》を|降《ふ》らせ、 |前《まえ》のように、|秋《あき》の|雨《あめ》と|春《はる》の|雨《あめ》とを|降《ふ》らせられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|打《う》ち|場《ば》は|穀物《こくもつ》で|満《み》ち、 |石《いし》がめは|新《あたら》しい|酒《さけ》と|油《あぶら》とであふれる。 [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]わたしがあなたがたに|送《おく》った|大軍《たいぐん》、 すなわち|群《むら》がるいなご、とびいなご、 |滅《ほろ》ぼすいなご、かみ|食《く》らういなごの|食《く》った|年《とし》をわたしはあなたがたに|償《つぐな》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、じゅうぶん|食《た》べて|飽《あ》き、 あなたがたに|不思議《ふしぎ》なわざをなされた あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》のみ|名《な》をほめたたえる。 わが|民《たみ》は|永遠《えいえん》にはずかしめられることがない。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはイスラエルのうちに わたしのいることを|知《し》り、 |主《しゅ》なるわたしがあなたがたの|神《かみ》であって、 ほかにないことを|知《し》る。 わが|民《たみ》は|永遠《えいえん》にはずかしめられることがない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二八[#「二八」は行右小書き][#太字終わり]その|後《のち》わたしはわが|霊《れい》を すべての|肉《にく》なる|者《もの》に|注《そそ》ぐ。 あなたがたのむすこ、|娘《むすめ》は|預言《よげん》をし、 あなたがたの|老人《ろうじん》たちは|夢《ゆめ》を|見《み》、 あなたがたの|若者《わかもの》たちは|幻《まぼろし》を|見《み》る。 [#太字]二九[#「二九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》わたしはまた わが|霊《れい》をしもべ、はしために|注《そそ》ぐ。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]三〇[#「三〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、|天《てん》と|地《ち》とにしるしを|示《しめ》す。すなわち|血《ち》と、|火《ひ》と、|煙《けむり》の|柱《はしら》とがあるであろう。[#太字]三一[#「三一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|日《ひ》が|来《く》る|前《まえ》に、|日《ひ》は|暗《くら》く、|月《つき》は|血《ち》に|変《かわ》る。[#太字]三二[#「三二」は行右小書き][#太字終わり]すべて|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》ぶ|者《もの》は|救《すく》われる。それは|主《しゅ》が|言《い》われたように、シオンの|山《やま》とエルサレムとに、のがれる|者《もの》があるからである。その|残《のこ》った|者《もの》のうちに、|主《しゅ》のお|召《め》しになる|者《もの》がある。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしがユダとエルサレムとの|幸福《こうふく》をもとに|返《かえ》すその|日《ひ》、その|時《とき》、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|万国《ばんこく》の|民《たみ》を|集《あつ》めて、これをヨシャパテの|谷《たに》に|携《たずさ》えくだり、その|所《ところ》でわが|民《たみ》、わが|嗣《し》|業《ぎょう》であるイスラエルのために|彼《かれ》らをさばく。|彼《かれ》らがわが|民《たみ》を|諸《しょ》|国民《こくみん》のうちに|散《ち》らして、わたしの|地《ち》を|分《わ》かち|取《と》ったからである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはわが|民《たみ》をくじ|引《び》きにし、|遊女《ゆうじょ》のために|少年《しょうねん》をわたし、|酒《さけ》のために|少女《しょうじょ》を|売《う》って|飲《の》んだ。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ツロとシドンよ、ペリシテのすべての|地方《ちほう》よ、おまえたちは、わたしとなんのかかわりがあるか。おまえたちはわたしに|報復《ほうふく》をしようとするのか。もしおまえたちがわたしに|報復《ほうふく》しようとするなら、わたしは|時《とき》をうつさず、すみやかに、おまえたちのおこないの|報復《ほうふく》をおまえたちの|頭上《ずじょう》にこさせる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これはおまえたちがわたしの|銀《ぎん》と|金《きん》とをとり、わたしの|貴重《きちょう》な|宝《たから》をおまえたちの|宮《みや》に|携《たずさ》え|行《ゆ》き、[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]またユダの|人々《ひとびと》とエルサレムの|人々《ひとびと》とをギリシヤびとに|売《う》って、その|本国《ほんごく》から|遠《とお》く|離《はな》れさせたからである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはおまえたちが|売《う》ったその|所《ところ》から|彼《かれ》らを|起《おこ》して、おまえたちのおこないの|報復《ほうふく》をおまえたちの|頭上《ずじょう》にこさせる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはおまえたちのむすこ|娘《むすめ》たちをユダの|人々《ひとびと》の|手《て》に|売《う》る。|彼《かれ》らはこれを|遠《とお》い|国《くに》びとであるシバびとに|売《う》ると、|主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》の|中《なか》に|宣《の》べ|伝《つた》えよ。 |戦《たたか》いの|備《そな》えをなし、 |勇士《ゆうし》をふるい|立《た》たせ、 |兵士《へいし》をことごとく|近《ちか》づかせ、のぼらせよ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのすきを、つるぎに、 あなたがたのかまを、やりに|打《う》ちかえよ。 |弱《よわ》い|者《もの》に「わたしは|勇士《ゆうし》である」と|言《い》わせよ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|周囲《しゅうい》のすべての|国民《くにたみ》よ、 |急《いそ》ぎ|来《き》て、|集《あつ》まれ。 |主《しゅ》よ、あなたの|勇士《ゆうし》をかしこにお|下《くだ》しください。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|国民《くにたみ》をふるい|立《た》たせ、 ヨシャパテの|谷《たに》にのぼらせよ。 わたしはそこに|座《ざ》して、 |周囲《しゅうい》のすべての|国民《くにたみ》をさばく。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]かまを|入《い》れよ、|作物《さくもつ》は|熟《じゅく》した。 |来《き》て|踏《ふ》め、 |酒《さか》ぶねは|満《み》ち、|石《いし》がめはあふれている。 |彼《かれ》らの|悪《あく》が|大《おお》きいからだ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|群衆《ぐんしゅう》また|群衆《ぐんしゅう》は、さばきの|谷《たに》におる。 |主《しゅ》の|日《ひ》がさばきの|谷《たに》に|近《ちか》いからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》も|月《つき》も|暗《くら》くなり、|星《ほし》もその|光《ひかり》を|失《うしな》う。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はシオンから|大声《おおごえ》で|叫《さけ》び、 エルサレムから|声《こえ》を|出《だ》される。 |天《てん》も|地《ち》もふるい|動《うご》く。 しかし|主《しゅ》はその|民《たみ》の|避《さ》け|所《どころ》、 イスラエルの|人々《ひとびと》のとりでである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「そこであなたがたは|知《し》るであろう、 わたしはあなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、 わが|聖《せい》なる|山《やま》シオンに|住《す》むことを。 エルサレムは|聖所《せいじょ》となり、 |他国《たこく》|人《じん》は|重《かさ》ねてその|中《なか》を|通《とお》ることがない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》もろもろの|山《やま》にうまい|酒《さけ》がしたたり、 もろもろの|丘《おか》は|乳《ちち》を|流《なが》し、 ユダのすべての|川《かわ》は|水《みず》を|流《なが》す。 |泉《いずみ》は|主《しゅ》の|家《いえ》から|出《で》て、 シッテムの|谷《たに》を|潤《うるお》す。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]エジプトは|荒《あ》れ|地《ち》となり、エドムは|荒野《あらの》となる。 |彼《かれ》らはその|国《くに》でユダの|人々《ひとびと》をしえたげ、 |罪《つみ》なき|者《もの》の|血《ち》を|流《なが》したからである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかしユダは|永遠《えいえん》に|人《ひと》の|住《す》む|所《ところ》となり、 エルサレムは|世々《よよ》に|保《たも》つ。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|血《ち》の|報復《ほうふく》をなし、 とがある|者《もの》をゆるさない。 |主《しゅ》はシオンに|住《す》まわれる」。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] アモス書[#「アモス書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]テコアの|牧者《ぼくしゃ》のひとりであるアモスの|言葉《ことば》。これはユダの|王《おう》ウジヤの|世《よ》、イスラエルの|王《おう》ヨアシの|子《こ》ヤラベアムの|世《よ》、|地震《じしん》の二|年《ねん》|前《まえ》に、|彼《かれ》がイスラエルについて|示《しめ》されたものである。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|言《い》った、 「|主《しゅ》はシオンからほえ、 エルサレムから|声《こえ》を|出《だ》される。 |牧者《ぼくしゃ》の|牧場《まきば》は|嘆《なげ》き、 カルメルの|頂《いただき》は|枯《か》れる」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「ダマスコの三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》らが|鉄《てつ》のすり|板《いた》で、 ギレアデを|踏《ふ》みにじったからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはハザエルの|家《いえ》に|火《ひ》を|送《おく》り、 ベネハダデのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはダマスコの|貫《かん》の|木《き》を|砕《くだ》き、 アベンの|谷《たに》から|住民《じゅうみん》を|断《た》ち、 ベテエデンから|王《おう》のつえをとる|者《もの》を|断《た》つ。 スリヤの|民《たみ》はキルに|捕《とら》えられて|行《い》く」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「ガザの三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》らが|人々《ひとびと》をことごとく|捕《とら》えて|行《い》って、 エドムに|渡《わた》したからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはガザの|石《いし》がきに|火《ひ》を|送《おく》り、 そのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはアシドドから|住民《じゅうみん》を|断《た》ち、 アシケロンから|王《おう》のつえをとる|者《もの》を|断《た》つ。 わたしはまた|手《て》をかえしてエクロンを|撃《う》つ。 そして|残《のこ》ったペリシテびとも|滅《ほろ》びる」と |主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「ツロの三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》らが|人々《ひとびと》をことごとくエドムに|渡《わた》し、 また|兄弟《きょうだい》の|契約《けいやく》を|心《こころ》に|留《と》めなかったからである。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはツロの|石《いし》がきに|火《ひ》を|送《おく》り、 そのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「エドムの三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》がつるぎをもってその|兄弟《きょうだい》を|追《お》い、 |全《まった》くあわれみの|情《じょう》を|断《た》ち、 |常《つね》に|怒《いか》って、|人《ひと》をかき|裂《さ》き、 ながくその|憤《いきどお》りを|保《たも》ったからである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはテマンに|火《ひ》を|送《おく》り、 ボズラのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「アンモンの|人々《ひとびと》の三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》らがその|国境《こっきょう》を|広《ひろ》げるために、 ギレアデのはらんでいる|女《おんな》を ひき|裂《さ》いたからである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはラバの|石《いし》がきに|火《ひ》をはなち、 そのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。 これは|戦《たたか》いの|日《ひ》に、ときの|声《こえ》をもってせられ、 つむじ|風《かぜ》の|日《ひ》に、|暴風《ぼうふう》をもってせられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|王《おう》はそのつかさたちと|共《とも》に |捕《とら》えられて|行《い》く」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「モアブの三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》がエドムの|王《おう》の|骨《ほね》を|焼《や》いて |灰《はい》にしたからである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはモアブに|火《ひ》を|送《おく》り、 ケリオテのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。 モアブは|騒《さわ》ぎと、ときの|声《こえ》と、 ラッパの|音《おと》の|中《なか》に|死《し》ぬ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはそのうちから、|支配者《しはいしゃ》を|断《た》ち、 そのすべてのつかさを|彼《かれ》と|共《とも》に|殺《ころ》す」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「ユダの三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》らが|主《しゅ》の|律法《りっぽう》を|捨《す》て、その|定《さだ》めを|守《まも》らず、 その|先祖《せんぞ》たちが|従《したが》い|歩《ある》いた |偽《いつわ》りの|物《もの》に|惑《まど》わされたからである。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはユダに|火《ひ》を|送《おく》り、 エルサレムのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「イスラエルの三つのとが、 四つのとがのために、 わたしはこれを|罰《ばっ》してゆるさない。 これは|彼《かれ》らが|正《ただ》しい|者《もの》を|金《かね》のために|売《う》り、 |貧《まず》しい|者《もの》をくつ一|足《そく》のために|売《う》るからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|弱《よわ》い|者《もの》の|頭《あたま》を|地《ち》のちりに|踏《ふ》みつけ、 |苦《くる》しむ|者《もの》の|道《みち》をまげ、 また|父子《ふし》ともにひとりの|女《おんな》のところへ|行《い》って、 わが|聖《せい》なる|名《な》を|汚《けが》す。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはすべての|祭壇《さいだん》のかたわらに |質《しち》に|取《と》った|衣服《いふく》を|敷《し》いて、その|上《うえ》に|伏《ふ》し、 |罰金《ばっきん》をもって|得《え》た|酒《さけ》を、その|神《かみ》の|家《いえ》で|飲《の》む。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]さきにわたしはアモリびとを |彼《かれ》らの|前《まえ》から|滅《ほろ》ぼした。 これはその|高《たか》きこと、|香柏《こうはく》のごとく、 その|強《つよ》きこと、かしの|木《き》のようであったが、 わたしはその|上《うえ》の|実《み》と、|下《した》の|根《ね》とを|滅《ほろ》ぼした。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた、あなたがたを エジプトの|地《ち》から|連《つ》れ|上《のぼ》り、 四十|年《ねん》のあいだ|荒野《あらの》で、あなたがたを|導《みちび》き、 アモリびとの|地《ち》を|獲《え》させた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|子《こ》らのうちから |預言者《よげんしゃ》を|起《おこ》し、 あなたがたの|若者《わかもの》のうちからナジルびとを|起《おこ》した。 イスラエルの|人々《ひとびと》よ、そうではないか」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「ところがあなたがたはナジルびとに|酒《さけ》を|飲《の》ませ、 |預言者《よげんしゃ》に|命《めい》じて『|預言《よげん》するな』と|言《い》う。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|麦《むぎ》|束《たば》をいっぱい|積《つ》んだ|車《くるま》が |物《もの》を|圧《あっ》するように、 あなたがたをその|所《ところ》で|圧《あっ》する。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|速《はや》く|走《はし》る|者《もの》も|逃《に》げ|場《ば》を|失《うしな》い、 |強《つよ》い|者《もの》もその|力《ちから》をふるうことができず、 |勇士《ゆうし》もその|命《いのち》を|救《すく》うことができない。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|弓《ゆみ》をとる|者《もの》も|立《た》つことができず、 |足早《あしばや》の|者《もの》も|自分《じぶん》を|救《すく》うことができず、 |馬《うま》に|乗《の》る|者《もの》もその|命《いのち》を|救《すく》うことができない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|勇士《ゆうし》のうちの|雄々《おお》しい|心《こころ》の|者《もの》も その|日《ひ》には|裸《はだか》で|逃《に》げる」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|人々《ひとびと》よ、 |主《しゅ》があなたがたに|向《む》かって|言《い》われたこと、 わたしがエジプトの|地《ち》から|導《みちび》き|上《のぼ》った |全家《ぜんか》に|向《む》かって|言《い》ったこの|言葉《ことば》を|聞《き》け。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|地《ち》のもろもろのやからのうちで、 わたしはただ、あなたがただけを|知《し》った。 それゆえ、わたしはあなたがたの もろもろの|罪《つみ》のため、あなたがたを|罰《ばっ》する。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ふたりの|者《もの》がもし|約束《やくそく》しなかったなら、 |一緒《いっしょ》に|歩《ある》くだろうか。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ししがもし|獲物《えもの》がなかったなら、 |林《はやし》の|中《なか》でほえるだろうか。 |若《わか》いししがもし|物《もの》をつかまなかったなら、 その|穴《あな》から|声《こえ》を|出《だ》すだろうか。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もしわながなかったなら、 |鳥《とり》は|地《ち》に|張《は》った|網《あみ》にかかるだろうか。 |網《あみ》にもし|何《なに》もかからなかったなら、 |地《ち》からとびあがるだろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|町《まち》でラッパが|鳴《な》ったなら、 |民《たみ》は|驚《おどろ》かないだろうか。 |主《しゅ》がなされるのでなければ、 |町《まち》に|災《わざわい》が|起《おこ》るだろうか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]まことに|主《しゅ》なる|神《かみ》は そのしもべである|預言者《よげんしゃ》にその|隠《かく》れた|事《こと》を |示《しめ》さないでは、|何事《なにごと》をもなされない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ししがほえる、 だれが|恐《おそ》れないでいられよう。 |主《しゅ》なる|神《かみ》が|語《かた》られる、 だれが|預言《よげん》しないでいられよう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤにあるもろもろの|宮殿《きゅうでん》、 エジプトの|地《ち》にあるもろもろの|宮殿《きゅうでん》に|宣《の》べて|言《い》え、 「サマリヤの|山々《やまやま》に|集《あつ》まり、 そのうちにある|大《おお》いなる|騒《さわ》ぎと、 その|中《なか》で|行《おこな》われる|暴虐《ぼうぎゃく》とを|見《み》よ」と。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「|彼《かれ》らは|正義《せいぎ》を|行《おこな》うことを|知《し》らず、 しえたげ|取《と》った|物《もの》と|奪《うば》い|取《と》った|物《もの》とを そのもろもろの|宮殿《きゅうでん》にたくわえている」。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 「|敵《てき》がきて、この|国《くに》を|囲《かこ》み、 あなたの|防備《ぼうび》をあなたから|取《と》り|除《のぞ》き、 あなたのもろもろの|宮殿《きゅうでん》はかすめられる」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、「|羊飼《ひつじかい》がししの|口《くち》から、|羊《ひつじ》の|両足《りょうあし》、あるいは|片耳《かたみみ》を|取《と》り|返《かえ》すように、サマリヤに|住《す》むイスラエルの|人々《ひとびと》も、|長《なが》いすのすみや、|寝台《しんだい》の|一部《いちぶ》を|携《たずさ》えて|救《すく》われるであろう」。 [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、 「|聞《き》け、そしてヤコブの|家《いえ》に|証言《しょうげん》せよ。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはイスラエルのもろもろのとがを|罰《ばっ》する|日《ひ》に ベテルの|祭壇《さいだん》を|罰《ばっ》する。 その|祭壇《さいだん》の|角《つの》は|折《お》れて、|地《ち》に|落《お》ちる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|冬《ふゆ》の|家《いえ》と|夏《なつ》の|家《いえ》とを|撃《う》つ、 |象牙《ぞうげ》の|家《いえ》は|滅《ほろ》び、|大《おお》いなる|家《いえ》は|消《き》えうせる」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] 第四章[#「第四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「バシャンの|雌牛《めうし》どもよ、 この|言葉《ことば》を|聞《き》け。 あなたがたはサマリヤの|山《やま》におり、 |弱《よわ》い|者《もの》をしえたげ、|貧《まず》しい|者《もの》を|圧迫《あっぱく》し、 またその|主人《しゅじん》に|向《む》かって、 『|持《も》ってきて、わたしたちに|飲《の》ませよ』と|言《い》う。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はご|自分《じぶん》の|聖《せい》なることによって|誓《ちか》われた、 |見《み》よ、あなたがたの|上《うえ》にこのような|時《とき》が|来《く》る。 その|時《とき》、|人々《ひとびと》はあなたがたをつり|針《ばり》にかけ、 あなたがたの|残《のこ》りの|者《もの》を |魚《うお》つり|針《ばり》にかけて|引《ひ》いて|行《い》く。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはおのおのまっすぐに |石《いし》がきの|破《やぶ》れた|所《ところ》を|出《で》て、 ハルモンに|追《お》いやられる」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「あなたがたはベテルへ|行《い》って|罪《つみ》を|犯《おか》し、 ギルガルへ|行《い》って、とがを|増《ま》し|加《くわ》えよ。 |朝《あさ》ごとに、あなたがたの|犠牲《ぎせい》を|携《たずさ》えて|行《い》け、 三|日《か》ごとに、あなたがたの十|分《ぶん》の一を|携《たずさ》えて|行《い》け。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》を|入《い》れたパンの|感謝祭《かんしゃさい》をささげ、 |心《こころ》よりの|供《そな》え|物《もの》をふれ|示《しめ》せ。 イスラエルの|人々《ひとびと》よ、 あなたがたはこのようにするのを|好《この》んでいる」と |主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはまた、あなたがたのすべての|町《まち》で あなたがたの|歯《は》を|清《きよ》くし、 あなたがたのすべての|所《ところ》でパンを|乏《とぼ》しくした。 それでも、あなたがたはわたしに|帰《かえ》らなかった」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはまた、|刈入《かりい》れまでなお三|月《つき》あるのに |雨《あめ》をとどめて、あなたがたの|上《うえ》にくださず、 この|町《まち》には|雨《あめ》を|降《ふ》らし、 かの|町《まち》には|雨《あめ》を|降《ふ》らさず、 この|畑《はたけ》は|雨《あめ》をえ、 かの|畑《はたけ》は|雨《あめ》をえないで|枯《か》れた。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで二つ三つの|町《まち》が 一つの|町《まち》によろめいて|行《い》って、 |水《みず》を|飲《の》んでも、|飽《あ》くことができなかった。 それでも、あなたがたはわたしに|帰《かえ》らなかった」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|立《た》ち|枯《が》れと|腐《くさ》り|穂《ほ》とをもって あなたがたを|撃《う》ち、 あなたがたの|園《その》と、ぶどう|畑《ばたけ》とを|荒《あら》した。 いちじくの|木《き》とオリブの|木《き》とは、いなごが|食《く》った。 それでも、あなたがたはわたしに|帰《かえ》らなかった」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはエジプトにしたように あなたがたのうちに|疫病《えきびょう》を|送《おく》り、 つるぎをもってあなたがたの|若者《わかもの》を|殺《ころ》し、 あなたがたの|馬《うま》を|奪《うば》い|去《さ》り、 あなたがたの|宿営《しゅくえい》の|臭気《しゅうき》を|上《のぼ》らせて、 あなたがたの|鼻《はな》をつかせた。 それでも、あなたがたはわたしに|帰《かえ》らなかった」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたがたのうちの|町《まち》を |神《かみ》がソドムとゴモラを|滅《ほろ》ぼされた|時《とき》のように |滅《ほろ》ぼしたので、 あなたがたは|炎《ほのお》の|中《なか》から|取《と》り|出《だ》された |燃《も》えさしのようであった。 それでも、あなたがたはわたしに|帰《かえ》らなかった」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]「それゆえイスラエルよ、 わたしはこのようにあなたに|行《おこな》う。 わたしはこれを|行《おこな》うゆえ、 イスラエルよ、あなたの|神《かみ》に|会《あ》う|備《そな》えをせよ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|彼《かれ》は|山《やま》を|造《つく》り、|風《かぜ》を|創造《そうぞう》し、 |人《ひと》にその|思《おも》いのいかなるかを|示《しめ》し、 また、あけぼのを|変《か》えて|暗《くら》やみとなし、 |地《ち》の|高《たか》い|所《ところ》を|踏《ふ》まれる|者《もの》、 その|名《な》を|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》と|言《い》う。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|家《いえ》よ、わたしが|悲《かな》しみの|歌《うた》をもって、あなたがたについて|宣《の》べるこの|言葉《ことば》を|聞《き》け、 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「おとめイスラエルは|倒《たお》れて、 また|起《お》き|上《あ》がらず、 |彼女《かのじょ》はおのれの|地《ち》に|投《な》げ|倒《たお》されて これを|起《おこ》す|者《もの》がない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこう|言《い》われる、 「イスラエルの|家《いえ》では、 千|人《にん》|出《で》た|町《まち》は百|人《にん》|残《のこ》り、 百|人《にん》|出《で》た|町《まち》は十|人《にん》|残《のこ》る」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はイスラエルの|家《いえ》にこう|言《い》われる、 「あなたがたはわたしを|求《もと》めよ、そして|生《い》きよ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]ベテルを|求《もと》めるな、 ギルガルに|行《い》くな。 ベエルシバにおもむくな。 ギルガルは|必《かなら》ず|捕《とら》えられて|行《い》き、 ベテルは|無《む》に|帰《き》するからである」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|主《しゅ》を|求《もと》めよ、そして|生《い》きよ。 さもないと|主《しゅ》は|火《ひ》のように ヨセフの|家《いえ》に|落《お》ち|下《くだ》られる。 |火《ひ》はこれを|焼《や》くが、 ベテルのためにこれを|消《け》す|者《もの》はひとりもない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた、|公道《こうどう》をにがよもぎに|変《か》え、 |正義《せいぎ》を|地《ち》に|投《な》げ|捨《す》てる|者《もの》よ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]プレアデスおよびオリオンを|造《つく》り、 |暗黒《あんこく》を|朝《あさ》に|変《へん》じ、 |昼《ひる》を|暗《くら》くして|夜《よる》となし、 |海《うみ》の|水《みず》を|呼《よ》んで、|地《ち》のおもてに|注《そそ》がれる|者《もの》、 その|名《な》は|主《しゅ》という。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|滅《ほろ》びをたちまち|強《つよ》い|者《もの》に|臨《のぞ》ませられるので、 |滅《ほろ》びはついに|城《しろ》に|臨《のぞ》む。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|門《もん》にいて|戒《いまし》める|者《もの》を|憎《にく》み、 |真実《しんじつ》を|語《かた》る|者《もの》を|忌《い》みきらう。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|貧《まず》しい|者《もの》を|踏《ふ》みつけ、 |彼《かれ》から|麦《むぎ》の|贈《おく》り|物《もの》をとるゆえ、 あなたがたは|切《き》り|石《いし》の|家《いえ》を|建《た》てても、 その|中《なか》に|住《す》むことはできない。 |美《うつく》しいぶどう|畑《ばたけ》を|作《つく》っても、 その|酒《さけ》を|飲《の》むことはできない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|知《し》る、あなたがたのとがは|多《おお》く、 あなたがたの|罪《つみ》は|大《おお》きいからである。 あなたがたは|正《ただ》しい|者《もの》をしえたげ、まいないを|取《と》り、 |門《もん》で|貧《まず》しい|者《もの》を|退《しりぞ》ける。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、このような|時《とき》には|賢《かしこ》い|者《もの》は|沈黙《ちんもく》する、 これは|悪《わる》い|時《とき》だからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|善《ぜん》を|求《もと》めよ、|悪《あく》を|求《もと》めるな。 そうすればあなたがたは|生《い》きることができる。 またあなたがたが|言《い》うように、 |万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたがたと|共《とも》におられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|悪《あく》を|憎《にく》み、|善《ぜん》を|愛《あい》し、|門《もん》で|公義《こうぎ》を|立《た》てよ。 |万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は、あるいは ヨセフの|残《のこ》りの|者《もの》をあわれまれるであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》なる|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、 |主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「すべての|広場《ひろば》で|泣《な》くことがあろう。 すべてのちまたで|人々《ひとびと》は 『|悲《かな》しいかな、|悲《かな》しいかな』と|言《い》う。 また|彼《かれ》らは|農夫《のうふ》を|呼《よ》んできて|嘆《なげ》かせ、 |巧《たく》みな|泣《な》き|女《おんな》を|招《まね》いて|泣《な》かせ、 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]またすべてのぶどう|畑《はたけ》にも|泣《な》くことがあろう。 それはわたしがあなたがたの|中《なか》を |通《とお》るからである」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、|主《しゅ》の|日《ひ》を|望《のぞ》む|者《もの》よ、 あなたがたは|何《なに》ゆえ|主《しゅ》の|日《ひ》を|望《のぞ》むのか。 これは|暗《くら》くて|光《ひかり》がない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》がししの|前《まえ》を|逃《のが》れてもくまに|出会《であ》い、 また|家《いえ》にはいって、|手《て》を|壁《かべ》につけると、 へびにかまれるようなものである。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|日《ひ》は|暗《くら》くて、|光《ひかり》がなく、 |薄暗《うすぐら》くて|輝《かがや》きがないではないか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはあなたがたの|祭《まつり》を|憎《にく》み、かつ|卑《いや》しめる。 わたしはまた、あなたがたの|聖《せい》|会《かい》を|喜《よろこ》ばない。 [#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]たといあなたがたは|燔祭《はんさい》や|素祭《そさい》をささげても、 わたしはこれを|受《う》けいれない。 あなたがたの|肥《こ》えた|獣《けもの》の|酬恩祭《しゅうおんさい》は わたしはこれを|顧《かえり》みない。 [#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|歌《うた》の|騒《さわ》がしい|音《おと》を わたしの|前《まえ》から|断《た》て。 あなたがたの|琴《こと》の|音《おと》は、わたしはこれを|聞《き》かない。 [#太字]二四[#「二四」は行右小書き][#太字終わり]|公道《こうどう》を|水《みず》のように、 |正義《せいぎ》をつきない|川《かわ》のように|流《なが》れさせよ。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]二五[#「二五」は行右小書き][#太字終わり]「イスラエルの|家《いえ》よ、あなたがたは四十|年《ねん》の|間《あいだ》、|荒野《あらの》でわたしに|犠牲《ぎせい》と|供《そな》え|物《もの》をささげたか。[#太字]二六[#「二六」は行右小書き][#太字終わり]かえってあなたがたの|王《おう》シクテをにない、あなたがたが|自分《じぶん》で|作《つく》ったあなたがたの|偶像《ぐうぞう》、|星《ほし》の|神《かみ》、キウンをになった。[#太字]二七[#「二七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえわたしはあなたがたをダマスコのかなたに|捕《とら》え|移《うつ》す」と、その|名《な》を|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》ととなえられる|主《しゅ》は|言《い》われる。 第六章[#「第六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「わざわいなるかな、 |安《やす》らかにシオンにいる|者《もの》、 また|安心《あんしん》してサマリヤの|山《やま》にいる|者《もの》、 |諸《しょ》|国民《こくみん》のかしらのうちの|著名《ちょめい》な|人々《ひとびと》で、 イスラエルの|家《いえ》がきて|従《したが》う|者《もの》よ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]カルネに|渡《わた》って|見《み》よ。 そこから|大《おお》ハマテに|行《い》き、 またペリシテびとのガテに|下《くだ》って|見《み》よ。 |彼《かれ》らはこれらの|国《くに》にまさっているか。 |彼《かれ》らの|土地《とち》はあなたがたの|土地《とち》よりも|大《おお》きいか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|災《わざわい》の|日《ひ》を|遠《とお》ざけ、 |強暴《きょうぼう》の|座《ざ》を|近《ちか》づけている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、みずから|象牙《ぞうげ》の|寝台《しんだい》に|伏《ふ》し、 |長《なが》いすの|上《うえ》に|身《み》を|伸《の》ばし、 |群《む》れのうちから|小羊《こひつじ》を|取《と》り、 |牛舎《ぎゅうしゃ》のうちから|子《こ》|牛《うし》を|取《と》って|食《た》べ、 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|琴《こと》の|音《おと》に|合《あ》わせて|歌《うた》い|騒《さわ》ぎ、 ダビデのように|楽器《がっき》を|造《つく》り|出《だ》し、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|鉢《はち》をもって|酒《さけ》を|飲《の》み、 いとも|尊《たっと》い|油《あぶら》を|身《み》にぬり、 ヨセフの|破滅《はめつ》を|悲《かな》しまない|者《もの》たちよ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》、|彼《かれ》らは|捕《とら》われて、 |捕《とら》われ|人《びと》のまっ|先《さき》に|立《た》って|行《い》く。 そしてかの|身《み》を|伸《の》ばした|者《もの》どもの |騒《さわ》ぎはやむであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はおのれによって|誓《ちか》われた、 (|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる、) 「わたしはヤコブの|誇《ほこり》を|忌《い》みきらい、 そのもろもろの|宮殿《きゅうでん》を|憎《にく》む。 わたしはこの|町《まち》とすべてその|中《なか》にいる|者《もの》を|渡《わた》す」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]一つの|家《いえ》に十|人《にん》の|者《もの》が|残《のこ》っていても、|彼《かれ》らは|死《し》に、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そしてその|親戚《しんせき》、すなわちこれを|焼《や》く|者《もの》は、|骨《ほね》を|家《いえ》から|運《はこ》びだすために、これを|取《と》り|上《あ》げ、またその|家《いえ》の|奥《おく》にいる|者《もの》に|向《む》かって、「まだあなたと|共《とも》にいる|者《もの》があるか」と|言《い》い、「ない」との|答《こたえ》がある|時《とき》、かの|人《ひと》はまた「|声《こえ》を|出《だ》すな、|主《しゅ》の|名《な》をとなえるな」と|言《い》うであろう。 [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》は|命《めい》じて、 |大《おお》きな|家《いえ》を|撃《う》って、みじんとなし、 |小《ちい》さな|家《いえ》を|撃《う》って、|切《き》れ|切《ぎ》れとされる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|馬《うま》は|岩《いわ》の|上《うえ》を|走《はし》るだろうか。 |人《ひと》は|牛《うし》で|海《うみ》を|耕《たがや》すだろうか。 ところがあなたがたは|公道《こうどう》を|毒《どく》に|変《へん》じ、 |正義《せいぎ》の|実《み》をにがよもぎに|変《へん》じた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはロデバルを|喜《よろこ》び、 「われわれは|自分《じぶん》の|力《ちから》で カルナイムを|得《え》たではないか」と|言《い》う。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる、 「イスラエルの|家《いえ》よ、 |見《み》よ、わたしは一つの|国民《くにたみ》を|起《おこ》して、 あなたがたに|敵対《てきたい》させる。 |彼《かれ》らはハマテの|入口《いりぐち》からアラバの|川《かわ》まで あなたがたを|悩《なや》ます」。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこのようにわたしに|示《しめ》された。|見《み》よ、二|番《ばん》|草《ぐさ》のはえ|出《で》る|初《はじ》めに|主《しゅ》は、いなごを|造《つく》られた。|見《み》よ、その二|番《ばん》|草《ぐさ》は|王《おう》の|刈《か》った|後《のち》に、はえたものである。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]そのいなごが|地《ち》の|青草《あおくさ》を|食《く》い|尽《つく》した|時《とき》、わたしは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、どうぞ、ゆるしてください。 ヤコブは|小《ちい》さい|者《もの》です、 どうして|立《た》つことができましょう」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこのことについて|思《おも》いかえされ、 「このことは|起《おこ》さない」と|主《しゅ》は|言《い》われた。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はこのようにわたしに|示《しめ》された。|見《み》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》はさばきのために|火《ひ》を|呼《よ》ばれた。|火《ひ》は|大淵《おおふち》を|焼《や》き、また|地《ち》を|焼《や》こうとした。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「|主《しゅ》なる|神《かみ》よ、どうぞ、やめてください。 ヤコブは|小《ちい》さい|者《もの》です、 どうして|立《た》つことができましょう」。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこのことについて|思《おも》いかえされ、 「このこともまた|起《おこ》さない」と|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われた。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|主《しゅ》はわたしに|示《しめ》された。|見《み》よ、|主《しゅ》は|測《はか》りなわをもって|築《きず》いた|石《いし》がきの|上《うえ》に|立《た》ち、その|手《て》に|測《はか》りなわをもっておられた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「アモスよ、あなたは|何《なに》を|見《み》るか」。「|測《はか》りなわ」とわたしが|答《こた》えると、|主《しゅ》はまた|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「|見《み》よ、わたしは|測《はか》りなわを わが|民《たみ》イスラエルの|中《なか》に|置《お》く。 わたしはもはや|彼《かれ》らを|見過《みすご》しにしない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]イサクの|高《たか》き|所《ところ》は|荒《あら》され、 イスラエルの|聖所《せいじょ》は|荒《あ》れはてる。 わたしはつるぎをもってヤラベアムの|家《いえ》に|立《た》ち|向《む》かう」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》にベテルの|祭司《さいし》アマジヤは、イスラエルの|王《おう》ヤラベアムに|人《ひと》をつかわして|言《い》う、「イスラエルの|家《いえ》のただ|中《なか》で、アモスはあなたにそむきました。この|地《ち》は|彼《かれ》のもろもろの|言葉《ことば》に|耐《た》えることができません。 [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]アモスはこのように|言《い》っています、 『ヤラベアムはつるぎによって|死《し》ぬ、 イスラエルは|必《かなら》ず|捕《とら》えられて|行《い》って、 その|国《くに》を|離《はな》れる』と」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それからアマジヤはアモスに|言《い》った、「|先見者《せんけんしゃ》よ、|行《い》ってユダの|地《ち》にのがれ、かの|地《ち》でパンを|食《た》べ、かの|地《ち》で|預言《よげん》せよ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしベテルでは二|度《ど》と|預言《よげん》してはならない。ここは|王《おう》の|聖所《せいじょ》、|国《くに》の|宮《みや》だから」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]アモスはアマジヤに|答《こた》えた、「わたしは|預言者《よげんしゃ》でもなく、また|預言者《よげんしゃ》の|子《こ》でもない。わたしは|牧者《ぼくしゃ》である。わたしはいちじく|桑《くわ》の|木《き》を|作《つく》る|者《もの》である。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]ところが|主《しゅ》は|群《む》れに|従《したが》っている|所《ところ》からわたしを|取《と》り、『|行《い》って、わが|民《たみ》イスラエルに|預言《よげん》せよ』と、|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた。 [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ|今《いま》、|主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》け。 あなたは|言《い》う、 『イスラエルに|向《む》かって|預言《よげん》するな、 イサクの|家《いえ》に|向《む》かって|語《かた》るな』と。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 『あなたの|妻《つま》は|町《まち》で|遊女《ゆうじょ》となり、 あなたのむすこ、|娘《むすめ》たちはつるぎに|倒《たお》れ、 あなたの|地《ち》は|測《はか》りなわで|分《わ》かたれる。 そしてあなたは|汚《けが》れた|地《ち》で|死《し》に、 イスラエルは|必《かなら》ず|捕《とら》えられて|行《い》って、 その|国《くに》を|離《はな》れる』」。 [#ここで字下げ終わり] 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は、このようにわたしに|示《しめ》された。|見《み》よ、ひとかごの|夏《なつ》のくだものがある。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「アモスよ、あなたは|何《なに》を|見《み》るか」。わたしは「ひとかごの|夏《なつ》のくだもの」と|答《こた》えた。すると|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、 [#ここから2字下げ] 「わが|民《たみ》イスラエルの|終《おわ》りがきた。 わたしは|再《ふたた》び|彼《かれ》らを|見過《みすご》しにしない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には|宮《みや》の|歌《うた》は|嘆《なげ》きに|変《かわ》り、 しかばねがおびただしく、 |人々《ひとびと》は|無言《むごん》でこれを|至《いた》る|所《ところ》に|投《な》げ|捨《す》てる」と |主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた、|貧《まず》しい|者《もの》を|踏《ふ》みつけ、 また|国《くに》の|乏《とぼ》しい|者《もの》を|滅《ほろ》ぼす|者《もの》よ、 これを|聞《き》け。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言《い》う、 「|新月《しんげつ》はいつ|過《す》ぎ|去《さ》るだろう、 そうしたら、われわれは|穀物《こくもつ》を|売《う》ろう。 |安息日《あんそくにち》はいつ|過《す》ぎ|去《さ》るだろう、 そうしたら、われわれは|麦《むぎ》を|売《う》り|出《だ》そう。 われわれはエパを|小《ちい》さくし、シケルを|大《おお》きくし、 |偽《いつわ》りのはかりをもって|欺《あざむ》き、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|乏《とぼ》しい|者《もの》を|金《かね》で|買《か》い、 |貧《まず》しい|者《もの》をくつ一|足《そく》で|買《か》いとり、 また、くず|麦《むぎ》を|売《う》ろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヤコブの|誇《ほこり》をさして|誓《ちか》われた、 「わたしは|必《かなら》ず|彼《かれ》らのすべてのわざを いつまでも|忘《わす》れない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]これがために|地《ち》は|震《ふる》わないであろうか。 |地《ち》に|住《す》む|者《もの》はみな|嘆《なげ》かないであろうか。 |地《ち》はみなナイル|川《かわ》のようにわきあがり、 エジプトのナイル|川《かわ》のようにみなぎって、また|沈《しず》まないであろうか」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、 「その|日《ひ》には、 わたしは|真昼《まひる》に|太陽《たいよう》を|沈《しず》ませ、 |白昼《はくちゅう》に|地《ち》を|暗《くら》くし、 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|祭《まつり》を|嘆《なげ》きに|変《かわ》らせ、 あなたがたの|歌《うた》をことごとく|悲《かな》しみの|歌《うた》に|変《かわ》らせ、 すべての|人《ひと》に|荒布《あらぬの》を|腰《こし》にまとわせ、 すべての|人《ひと》に|髪《かみ》をそり|落《おと》させ、 その|日《ひ》を、ひとり|子《こ》を|失《うしな》った|喪中《もちゅう》のようにし、 その|終《おわ》りを、|苦《にが》い|日《ひ》のようにする」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》は|言《い》われる、 「|見《み》よ、わたしがききんをこの|国《くに》に|送《おく》る|日《ひ》が|来《く》る、 それはパンのききんではない、 |水《みず》にかわくのでもない、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》を|聞《き》くことのききんである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|海《うみ》から|海《うみ》へさまよい|歩《ある》き、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》を|求《もと》めて、こなたかなたへはせまわる、 しかしこれを|得《え》ないであろう。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には|美《うつく》しいおとめも、 |若《わか》い|男《おとこ》もかわきのために|気《き》を|失《うしな》う。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]かのサマリヤのアシマをさして|誓《ちか》い、 『ダンよ、あなたの|神《かみ》は|生《い》きている』と|言《い》い、また 『ベエルシバの|道《みち》は|生《い》きている』と|言《い》う|者《もの》どもは |必《かなら》ず|倒《たお》れる。|再《ふたた》び|起《お》きあがることはない」。 [#ここで字下げ終わり] 第九章[#「第九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|祭壇《さいだん》のかたわらに|立《た》っておられる|主《しゅ》を|見《み》た。 |主《しゅ》は|言《い》われた、 「|柱《はしら》の|頭《あたま》を|打《う》って、|敷居《しきい》を|震《ふる》わせ、 これを|打《う》ち|砕《くだ》いて、 すべての|民《たみ》の|頭《あたま》の|上《うえ》に|落《お》ちかからせよ。 その|残《のこ》った|者《もの》を、わたしはつるぎで|殺《ころ》し、 そのひとりも|逃《に》げおおす|者《もの》はなく、 のがれうる|者《もの》はない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らは|陰府《よみ》に|掘《ほ》り|下《くだ》っても、 わたしの|手《て》はこれをそこから|引《ひ》き|出《だ》す。 たとい|彼《かれ》らは|天《てん》によじのぼっても、 わたしはそこからこれを|引《ひ》きおろす。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らはカルメルの|頂《いただき》に|隠《かく》れても、 わたしはこれを|捜《さが》して、そこから|引《ひ》き|出《だ》す。 たとい|彼《かれ》らはわたしの|目《め》をのがれて、 |海《うみ》の|底《そこ》に|隠《かく》れても、 わたしはへびに|命《めい》じて、その|所《ところ》でこれをかませる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]たとい|彼《かれ》らは|捕《とら》われて、その|敵《てき》の|前《まえ》に|行《い》っても、 わたしはその|所《ところ》でつるぎに|命《めい》じて、これを|殺《ころ》させる。 わたしは|彼《かれ》らの|上《うえ》にわたしの|目《め》を|注《そそ》ぐ、 それは|災《わざわい》のためであって、|幸《さいわい》のためではない」。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|神《かみ》、|主《しゅ》が|地《ち》に|触《ふ》れられると、|地《ち》は|溶《と》け、 その|中《なか》に|住《す》む|者《もの》はみな|嘆《なげ》き、 |地《ち》はみなナイル|川《かわ》のようにわきあがり、 エジプトのナイル|川《かわ》のようにまた|沈《しず》む。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はご|自分《じぶん》の|高殿《たかどの》を|天《てん》に|築《きず》き、 |大空《おおぞら》の|基《もとい》を|地《ち》の|上《うえ》にすえ、 |海《うみ》の|水《みず》を|呼《よ》んで、|地《ち》のおもてに|注《そそ》がれる。 その|名《な》は|主《しゅ》ととなえられる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「イスラエルの|子《こ》らよ、あなたがたはわたしにとって エチオピヤびとのようではないか。 わたしはイスラエルをエジプトの|国《くに》から、 ペリシテびとをカフトルから、 スリヤびとをキルから|導《みちび》き|上《のぼ》ったではないか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》なる|神《かみ》の|目《め》は この|罪《つみ》を|犯《おか》した|国《くに》の|上《うえ》に|注《そそ》がれている。 わたしはこれを|地《ち》のおもてから|断《た》ち|滅《ほろ》ぼす。 しかし、わたしはヤコブの|家《いえ》を ことごとくは|滅《ほろ》ぼさない」と|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、わたしは|命《めい》じて、 |人《ひと》がふるいで|物《もの》をふるうように、 わたしはイスラエルの|家《いえ》を|万国民《ばんこくみん》のうちでふるう。 ひと|粒《つぶ》も|地《ち》に|落《お》ちることはない。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|罪《つみ》びと、すなわち 『|災《わざわい》はわれわれに|近《ちか》づかない、 われわれに|臨《のぞ》まない』と |言《い》う|者《もの》どもはみな、つるぎで|殺《ころ》される。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、 わたしはダビデの|倒《たお》れた|幕屋《まくや》を|興《おこ》し、 その|破損《はそん》を|繕《つくろ》い、そのくずれた|所《ところ》を|興《おこ》し、 これを|昔《むかし》の|時《とき》のように|建《た》てる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]これは|彼《かれ》らがエドムの|残《のこ》った|者《もの》、 およびわが|名《な》をもって|呼《よ》ばれるすべての|国民《くにたみ》を |所有《しょゆう》するためである」と この|事《こと》をなされる|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「|見《み》よ、このような|時《とき》が|来《く》る。 その|時《とき》には、|耕《たがや》す|者《もの》は|刈《か》る|者《もの》に|相継《あいつ》ぎ、 ぶどうを|踏《ふ》む|者《もの》は|種《たね》まく|者《もの》に|相継《あいつ》ぐ。 もろもろの|山《やま》にはうまい|酒《さけ》がしたたり、 もろもろの|丘《おか》は|溶《と》けて|流《なが》れる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわが|民《たみ》イスラエルの|幸福《こうふく》をもとに|返《かえ》す。 |彼《かれ》らは|荒《あ》れた|町々《まちまち》を|建《た》てて|住《す》み、 ぶどう|畑《ばたけ》を|作《つく》ってその|酒《さけ》を|飲《の》み、 |園《その》を|作《つく》ってその|実《み》を|食《た》べる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らをその|地《ち》に|植《う》えつける。 |彼《かれ》らはわたしが|与《あた》えた|地《ち》から |再《ふたた》び|抜《ぬ》きとられることはない」と あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] オバデヤ書[#「オバデヤ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]オバデヤの|幻《まぼろし》。 |主《しゅ》なる|神《かみ》はエドムについてこう|言《い》われる、 われわれは|主《しゅ》から|出《で》たおとずれを|聞《き》いた。 ひとりの|使者《ししゃ》が|諸《しょ》|国民《こくみん》のうちにつかわされて|言《い》う、 「|立《た》てよ、われわれは|立《た》ってエドムと|戦《たたか》おう」。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたを|国々《くにぐに》のうちで |小《ちい》さい|者《もの》とする。 あなたはひどく|卑《いや》しめられる。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|岩《いわ》のはざまにおり、|高《たか》い|所《ところ》に|住《す》む|者《もの》よ、 あなたの|心《こころ》の|高《たか》ぶりは、あなたを|欺《あざむ》いた。 あなたは|心《こころ》のうちに|言《い》う、 「だれがわたしを|地《ち》に|引《ひ》き|下《くだ》らせる|事《こと》ができるか」。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]たといあなたは、わしのように|高《たか》くあがり、 |星《ほし》の|間《あいだ》に|巣《す》を|設《もう》けても、 わたしはそこからあなたを|引《ひ》きおろすと |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もし|盗《ぬす》びとがあなたの|所《ところ》に|来《き》、|強盗《ごうとう》が|夜《よる》きても、 |彼《かれ》らは、ほしいだけ|盗《ぬす》むではないか。 ああ、あなたは|全《まった》く|滅《ほろ》ぼされてしまう。 もしぶどうを|集《あつ》める|者《もの》があなたの|所《ところ》に|来《き》たなら、 |彼《かれ》らはなお|余《あま》りの|実《み》を|残《のこ》さないであろうか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]ああ、エサウはかすめられ、 その|隠《かく》しておいた|宝《たから》は|探《さぐ》り|出《だ》される。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたと|契約《けいやく》を|結《むす》んだ|人々《ひとびと》はみな、 あなたを|欺《あざむ》き、あなたを|国境《こっきょう》に|追《お》いやった。 あなたと|同盟《どうめい》を|結《むす》んだ|人々《ひとびと》はあなたに|勝《か》った。 あなたの|信頼《しんらい》する|友《とも》はあなたの|下《した》にわなを|設《もう》けた、 しかしその|事《こと》を|悟《さと》らない。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 その|日《ひ》には、わたしはエドムから|知者《ちしゃ》を|滅《ほろ》ぼし、 エサウの|山《やま》から|悟《さと》りを|断《た》ち|除《のぞ》かないだろうか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]テマンよ、あなたの|勇士《ゆうし》は|驚《おどろ》き|恐《おそ》れる。 |人《ひと》はみな|殺《ころ》されてエサウの|山《やま》から|断《た》ち|除《のぞ》かれる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたはその|兄弟《きょうだい》ヤコブに|暴虐《ぼうぎゃく》を|行《おこな》ったので、 |恥《はじ》はあなたをおおい、あなたは|永遠《えいえん》に|断《た》たれる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたが|離《はな》れて|立《た》っていた|日《ひ》、 すなわち|異邦人《いほうじん》がその|財宝《ざいほう》を|持《も》ち|去《さ》り、 |外国《がいこく》|人《じん》がその|門《もん》におし|入《い》り、 エルサレムをくじ|引《び》きにした|日《ひ》、 あなたも|彼《かれ》らのひとりのようであった。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかしあなたは|自分《じぶん》の|兄弟《きょうだい》の|日《ひ》、 すなわちその|災《わざわい》の|日《ひ》をながめていてはならなかった。 あなたはユダの|人々《ひとびと》の|滅《ほろ》びの|日《ひ》に、 これを|喜《よろこ》んではならず、 その|悩《なや》みの|日《ひ》に|誇《ほこ》ってはならなかった。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわが|民《たみ》の|災《わざわい》の|日《ひ》に、 その|門《もん》にはいってはならず、 その|災《わざわい》の|日《ひ》にその|苦《くる》しみをながめてはならなかった。 またその|災《わざわい》の|日《ひ》に、 その|財宝《ざいほう》に|手《て》をかけてはならなかった。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|分《わか》れ|道《みち》に|立《た》って、 そののがれる|者《もの》を|切《き》ってはならなかった。 あなたは|悩《なや》みの|日《ひ》にその|残《のこ》った|者《もの》を |敵《てき》にわたしてはならなかった。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|日《ひ》が|万国《ばんこく》の|民《たみ》に|臨《のぞ》むのは|近《ちか》い。 あなたがしたようにあなたもされる。 あなたの|報《むく》いはあなたのこうべに|帰《き》する。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがわが|聖《せい》なる|山《やま》で|飲《の》んだように、 |周囲《しゅうい》のもろもろの|民《たみ》も|飲《の》む。 すなわち|彼《かれ》らは|飲《の》んでよろめき、 かつてなかったようになる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]しかしシオンの|山《やま》には、のがれる|者《もの》がいて、 |聖《せい》なる|所《ところ》となる。 またヤコブの|家《いえ》はその|領地《りょうち》を|獲《え》る。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|家《いえ》は|火《ひ》となり、 ヨセフの|家《いえ》は|炎《ほのお》となり、 エサウの|家《いえ》はわらとなる。 |彼《かれ》らはその|中《なか》に|燃《も》えて、これを|焼《や》く。 エサウの|家《いえ》には|残《のこ》る|者《もの》がないようになると |主《しゅ》は|言《い》われた。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]ネゲブの|人々《ひとびと》はエサウの|山《やま》を|獲《え》、 セフェラの|人々《ひとびと》はペリシテびとを|獲《え》る。 また|彼《かれ》らはエフライムの|地《ち》、 およびサマリヤの|地《ち》を|獲《え》、 ベニヤミンはギレアデを|獲《え》る。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]ハラにいるイスラエルの|人々《ひとびと》の|捕《とら》われ|人《びと》は、 フェニキヤをザレパテまで|取《と》り、 セパラデにいるエルサレムの|捕《とら》われ|人《びと》は、 ネゲブの|町々《まちまち》を|獲《え》る。 [#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]こうして|救《すく》う|者《もの》はシオンの|山《やま》に|上《のぼ》って、 エサウの|山《やま》を|治《おさ》める。 そして|王国《おうこく》は|主《しゅ》のものとなる。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] ヨナ書[#「ヨナ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がアミッタイの|子《こ》ヨナに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|立《た》って、あの|大《おお》きな|町《まち》ニネベに|行《い》き、これに|向《む》かって|呼《よ》ばわれ。|彼《かれ》らの|悪《あく》がわたしの|前《まえ》に|上《のぼ》ってきたからである」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]しかしヨナは|主《しゅ》の|前《まえ》を|離《はな》れてタルシシへのがれようと、|立《た》ってヨッパに|下《くだ》って|行《い》った。ところがちょうど、タルシシへ|行《い》く|船《ふね》があったので、|船賃《ふなちん》を|払《はら》い、|主《しゅ》の|前《まえ》を|離《はな》れて、|人々《ひとびと》と|共《とも》にタルシシへ|行《い》こうと|船《ふね》に|乗《の》った。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、|主《しゅ》は|大風《おおかぜ》を|海《うみ》の|上《うえ》に|起《おこ》されたので、|船《ふね》が|破《やぶ》れるほどの|激《はげ》しい|暴風《ぼうふう》が|海《うみ》の|上《うえ》にあった。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それで|水夫《すいふ》たちは|恐《おそ》れて、めいめい|自分《じぶん》の|神《かみ》を|呼《よ》び|求《もと》め、また|船《ふね》を|軽《かる》くするため、その|中《なか》の|積《つ》み|荷《に》を|海《うみ》に|投《な》げ|捨《す》てた。しかし、ヨナは|船《ふね》の|奥《おく》に|下《くだ》り、|伏《ふ》して|熟睡《じゅくすい》していた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|船長《せんちょう》は|来《き》て、|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはどうして|眠《ねむ》っているのか。|起《お》きて、あなたの|神《かみ》に|呼《よ》ばわりなさい。|神《かみ》があるいは、われわれを|顧《かえり》みて、|助《たす》けてくださるだろう」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]やがて|人々《ひとびと》は|互《たがい》に|言《い》った、「この|災《わざわい》がわれわれに|臨《のぞ》んだのは、だれのせいか|知《し》るために、さあ、くじを|引《ひ》いてみよう」。そして|彼《かれ》らが、くじを|引《ひ》いたところ、くじはヨナに|当《あた》った。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》はヨナに|言《い》った、「この|災《わざわい》がだれのせいで、われわれに|臨《のぞ》んだのか、われわれに|告《つ》げなさい。あなたの|職業《しょくぎょう》は|何《なに》か。あなたはどこから|来《き》たのか。あなたの|国《くに》はどこか。あなたはどこの|民《たみ》か」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヨナは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしはヘブルびとです。わたしは|海《うみ》と|陸《りく》とをお|造《つく》りになった|天《てん》の|神《かみ》、|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》です」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》ははなはだしく|恐《おそ》れて、|彼《かれ》に|言《い》った、「あなたはなんたる|事《こと》をしてくれたのか」。|人々《ひとびと》は|彼《かれ》がさきに|彼《かれ》らに|告《つ》げた|事《こと》によって、|彼《かれ》が|主《しゅ》の|前《まえ》を|離《はな》れて、のがれようとしていた|事《こと》を|知《し》っていたからである。  [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|人々《ひとびと》は|彼《かれ》に|言《い》った、「われわれのために|海《うみ》が|静《しず》まるには、あなたをどうしたらよかろうか」。それは|海《うみ》がますます|荒《あ》れてきたからである。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヨナは|彼《かれ》らに|言《い》った、「わたしを|取《と》って|海《うみ》に|投《な》げ|入《い》れなさい。そうしたら|海《うみ》は、あなたがたのために|静《しず》まるでしょう。わたしにはよくわかっています。この|激《はげ》しい|暴風《ぼうふう》があなたがたに|臨《のぞ》んだのは、わたしのせいです」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかし|人々《ひとびと》は|船《ふね》を|陸《りく》にこぎもどそうとつとめたが、|成功《せいこう》しなかった。それは|海《うみ》が|彼《かれ》らに|逆《さか》らって、いよいよ|荒《あ》れたからである。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》は|主《しゅ》に|呼《よ》ばわって|言《い》った、「|主《しゅ》よ、どうぞ、この|人《ひと》の|生命《せいめい》のために、われわれを|滅《ほろ》ぼさないでください。また|罪《つみ》なき|血《ち》を、われわれに|帰《き》しないでください。|主《しゅ》よ、これはみ|心《こころ》に|従《したが》って、なされた|事《こと》だからです」。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そして|彼《かれ》らはヨナを|取《と》って|海《うみ》に|投《な》げ|入《い》れた。すると|海《うみ》の|荒《あ》れるのがやんだ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そこで|人々《ひとびと》は|大《おお》いに|主《しゅ》を|恐《おそ》れ、|犠牲《ぎせい》を|主《しゅ》にささげて、|誓願《せいがん》を|立《た》てた。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|大《おお》いなる|魚《うお》を|備《そな》えて、ヨナをのませられた。ヨナは三|日《か》三|夜《よ》その|魚《うお》の|腹《はら》の|中《うち》にいた。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ヨナは|魚《うお》の|腹《はら》の|中《うち》からその|神《かみ》、|主《しゅ》に|祈《いの》って、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、 [#ここから2字下げ] 「わたしは|悩《なや》みのうちから|主《しゅ》に|呼《よ》ばわると、 |主《しゅ》はわたしに|答《こた》えられた。 わたしが|陰府《よみ》の|腹《はら》の|中《うち》から|叫《さけ》ぶと、 あなたはわたしの|声《こえ》を|聞《き》かれた。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはわたしを|淵《ふち》の|中《なか》、 |海《うみ》のまん|中《なか》に|投《な》げ|入《い》れられた。 |大水《おおみず》はわたしをめぐり、 あなたの|波《なみ》と|大波《おおなみ》は|皆《みな》、わたしの|上《うえ》を|越《こ》えて|行《い》った。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、 『わたしはあなたの|前《まえ》から|追《お》われてしまった、 どうして|再《ふたた》びあなたの|聖《せい》なる|宮《みや》を|望《のぞ》みえようか』。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|水《みず》がわたしをめぐって|魂《たましい》にまでおよび、 |淵《ふち》はわたしを|取《と》り|囲《かこ》み、 |海草《かいそう》は|山《やま》の|根元《ねもと》でわたしの|頭《あたま》にまといついた。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|地《ち》に|下《くだ》り、 |地《ち》の|貫《かん》の|木《き》はいつもわたしの|上《うえ》にあった。 しかしわが|神《かみ》、|主《しゅ》よ、 あなたはわが|命《いのち》を|穴《あな》から|救《すく》いあげられた。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わが|魂《たましい》がわたしのうちに|弱《よわ》っているとき、 わたしは|主《しゅ》をおぼえ、 わたしの|祈《いのり》はあなたに|至《いた》り、 あなたの|聖《せい》なる|宮《みや》に|達《たっ》した。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]むなしい|偶像《ぐうぞう》に|心《こころ》を|寄《よ》せる|者《もの》は、 そのまことの|忠節《ちゅうせつ》を|捨《す》てる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|感謝《かんしゃ》の|声《こえ》をもって、 あなたに|犠牲《ぎせい》をささげ、わたしの|誓《ちか》いをはたす。 |救《すくい》は|主《しゅ》にある」。 [#ここで字下げ終わり] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|魚《うお》にお|命《めい》じになったので、|魚《うお》はヨナを|陸《りく》に|吐《は》き|出《だ》した。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》の|言葉《ことば》は|再《ふたた》びヨナに|臨《のぞ》んで|言《い》った、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|立《た》って、あの|大《おお》きな|町《まち》ニネベに|行《い》き、あなたに|命《めい》じる|言葉《ことば》をこれに|伝《つた》えよ」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨナは|主《しゅ》の|言葉《ことば》に|従《したが》い、|立《た》って、ニネベに|行《い》った。ニネベは|非常《ひじょう》に|大《おお》きな|町《まち》であって、これを|行《い》きめぐるには、三|日《か》を|要《よう》するほどであった。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ヨナはその|町《まち》にはいり、|初《はじ》め一|日《にち》|路《じ》を|行《ゆ》きめぐって|呼《よ》ばわり、「四十|日《にち》を|経《へ》たらニネベは|滅《ほろ》びる」と|言《い》った。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでニネベの|人々《ひとびと》は|神《かみ》を|信《しん》じ、|断食《だんじき》をふれ、|大《おお》きい|者《もの》から|小《ちい》さい|者《もの》まで|荒布《あらぬの》を|着《き》た。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このうわさがニネベの|王《おう》に|達《たっ》すると、|彼《かれ》はその|王座《おうざ》から|立《た》ち|上《あ》がり、|朝《ちょう》|服《ふく》を|脱《ぬ》ぎ、|荒布《あらぬの》をまとい、|灰《はい》の|中《なか》に|座《ざ》した。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]また|王《おう》とその|大臣《だいじん》の|布告《ふこく》をもって、ニネベ|中《なか》にふれさせて|言《い》った、「|人《ひと》も|獣《けもの》も|牛《うし》も|羊《ひつじ》もみな、|何《なに》をも|味《あじ》わってはならない。|物《もの》を|食《く》い、|水《みず》を|飲《の》んではならない。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》も|獣《けもの》も|荒布《あらぬの》をまとい、ひたすら|神《かみ》に|呼《よ》ばわり、おのおのその|悪《わる》い|道《みち》およびその|手《て》にある|強暴《きょうぼう》を|離《はな》れよ。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あるいは|神《かみ》はみ|心《こころ》をかえ、その|激《はげ》しい|怒《いか》りをやめて、われわれを|滅《ほろ》ぼされないかもしれない。だれがそれを|知《し》るだろう」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》は|彼《かれ》らのなすところ、その|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れたのを|見《み》られ、|彼《かれ》らの|上《うえ》に|下《くだ》そうと|言《い》われた|災《わざわい》を|思《おも》いかえして、これをおやめになった。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ところがヨナはこれを|非常《ひじょう》に|不快《ふかい》として、|激《はげ》しく|怒《いか》り、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|祈《いの》って|言《い》った、「|主《しゅ》よ、わたしがなお|国《くに》におりました|時《とき》、この|事《こと》を|申《もう》したではありませんか。それでこそわたしは、|急《いそ》いでタルシシにのがれようとしたのです。なぜなら、わたしはあなたが|恵《めぐ》み|深《ふか》い|神《かみ》、あわれみあり、|怒《いか》ることおそく、いつくしみ|豊《ゆた》かで、|災《わざわい》を|思《おも》いかえされることを、|知《し》っていたからです。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それで|主《しゅ》よ、どうぞ|今《いま》わたしの|命《いのち》をとってください。わたしにとっては、|生《い》きるよりも|死《し》ぬ|方《ほう》がましだからです」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「あなたの|怒《いか》るのは、よいことであろうか」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そこでヨナは|町《まち》から|出《で》て、|町《まち》の|東《ひがし》の|方《ほう》に|座《ざ》し、そこに|自分《じぶん》のために一つの|小屋《こや》を|造《つく》り、|町《まち》のなりゆきを|見《み》きわめようと、その|下《した》の|日《ひ》|陰《かげ》にすわっていた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》なる|神《かみ》は、ヨナを|暑《あつ》さの|苦痛《くつう》から|救《すく》うために、とうごまを|備《そな》えて、それを|育《そだ》て、ヨナの|頭《あたま》の|上《うえ》に|日陰《ひかげ》を|設《もう》けた。ヨナはこのとうごまを|非常《ひじょう》に|喜《よろこ》んだ。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ところが|神《かみ》は|翌日《よくじつ》の|夜明《よあ》けに|虫《むし》を|備《そな》えて、そのとうごまをかませられたので、それは|枯《か》れた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]やがて|太陽《たいよう》が|出《で》たとき、|神《かみ》が|暑《あつ》い|東風《ひがしかぜ》を|備《そな》え、また|太陽《たいよう》がヨナの|頭《あたま》を|照《てら》したので、ヨナは|弱《よわ》りはて、|死《し》ぬことを|願《ねが》って|言《い》った、「|生《い》きるよりも|死《し》ぬ|方《ほう》がわたしにはましだ」。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]しかし|神《かみ》はヨナに|言《い》われた、「とうごまのためにあなたの|怒《いか》るのはよくない」。ヨナは|言《い》った、「わたしは|怒《いか》りのあまり|狂《くる》い|死《し》にそうです」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われた、「あなたは|労《ろう》せず、|育《そだ》てず、一|夜《や》に|生《しょう》じて、一|夜《や》に|滅《ほろ》びたこのとうごまをさえ、|惜《お》しんでいる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ましてわたしは十二|万《まん》あまりの、|右左《みぎひだり》をわきまえない|人々《ひとびと》と、あまたの|家畜《かちく》とのいるこの|大《おお》きな|町《まち》ニネベを、|惜《お》しまないでいられようか」。 [#改ページ] ミカ書[#「ミカ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》ヨタム、アハズおよびヒゼキヤの|世《よ》に、モレシテびとミカが、サマリヤとエルサレムについて|示《しめ》された|主《しゅ》の|言葉《ことば》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたすべての|民《たみ》よ、|聞《き》け。 |地《ち》とその|中《なか》に|満《み》てる|者《もの》よ、|耳《みみ》を|傾《かたむ》けよ。 |主《しゅ》なる|神《かみ》はあなたがたにむかって|証言《しょうげん》し、 |主《しゅ》はその|聖《せい》なる|宮《みや》から|証言《しょうげん》される。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》はそのご|座《ざ》|所《しょ》から|出《で》てこられ、 |下《くだ》ってきて|地《ち》の|高《たか》い|所《ところ》を|踏《ふ》まれる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》は|彼《かれ》の|下《した》に|溶《と》け、|谷《たに》は|裂《さ》け、 |火《ひ》の|前《まえ》のろうのごとく、 |坂《さか》に|流《なが》れる|水《みず》のようだ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これはみなヤコブのとがのゆえ、 イスラエルの|家《いえ》の|罪《つみ》のゆえである。 ヤコブのとがとは|何《なに》か、 サマリヤではないか。 ユダの|家《いえ》の|罪《つみ》とは|何《なに》か、 エルサレムではないか。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]このゆえにわたしはサマリヤを|野《の》の|石塚《いしづか》となし、 ぶどうを|植《う》える|所《ところ》となし、 またその|石《いし》を|谷《たに》に|投《な》げ|落《おと》し、 その|基《もとい》をあらわにする。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|彫像《ちょうぞう》はみな|砕《くだ》かれ、 その|獲《え》た|価《あたい》はみな|火《ひ》で|焼《や》かれる。 わたしはその|偶像《ぐうぞう》をことごとくこわす。 これは|遊女《ゆうじょ》の|価《あたい》から|集《あつ》めたのだから、 |遊女《ゆうじょ》の|価《あたい》に|帰《かえ》る。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこれがために|嘆《なげ》き|悲《かな》しみ、 はだしと|裸《はだか》で|歩《ある》きまわり、 |山犬《やまいぬ》のように|嘆《なげ》き、 だちょうのように|悲《かな》しみ|鳴《な》く。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]サマリヤの|傷《きず》はいやすことのできないもので、 ユダまでひろがり、 わが|民《たみ》の|門《もん》、エルサレムまで|及《およ》んでいる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ガテに|告《つ》げるな、|泣《な》き|叫《さけ》ぶな。 ベテレアフラで、ちりの|中《なか》にころがれ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]サピルに|住《す》む|者《もの》よ、 |裸《はだか》になり、|恥《はじ》をこうむって|進《すす》み|行《ゆ》け。 ザアナンに|住《す》む|者《もの》は|出《で》てこない。 ベテエゼルの|嘆《なげ》きはあなたがたからその|跡《あと》を|断《た》つ。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]マロテに|住《す》む|者《もの》は|気《き》づかわしそうに|幸《さいわい》を|待《ま》つ。 |災《わざわい》が|主《しゅ》から|出《で》て、 エルサレムの|門《もん》に|臨《のぞ》んだからである。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ラキシに|住《す》む|者《もの》よ、 |戦車《せんしゃ》に|早馬《はやうま》をつなげ。 ラキシはシオンの|娘《むすめ》にとって|罪《つみ》の|初《はじ》めであった。 イスラエルのとがが、 あなたがたのうちに|見《み》られたからである。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたはモレセテ・ガテに |別《わか》れの|贈《おく》り|物《もの》を|与《あた》える。 アクジブの|家々《いえいえ》はイスラエルの|王《おう》たちにとって、 |人《ひと》を|欺《あざむ》くものとなる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]マレシャに|住《す》む|者《もの》よ、 わたしはまた|侵略者《しんりゃくしゃ》をあなたの|所《ところ》に|連《つ》れて|行《い》く。 イスラエルの|栄光《えいこう》はアドラムに|去《さ》るであろう。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|喜《よろこ》ぶ|子《こ》らのために、あなたの|髪《かみ》をそり|落《おと》せ。 そのそった|所《ところ》をはげたかのように|大《おお》きくせよ。 |彼《かれ》らは|捕《とら》えられてあなたを|離《はな》れるからである。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|床《とこ》の|上《うえ》で|不義《ふぎ》を|計《はか》り、 |悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》はわざわいである。 |彼《かれ》らはその|手《て》に|力《ちから》あるゆえ、 |夜《よ》が|明《あ》けるとこれを|行《おこな》う。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|田畑《たはた》をむさぼってこれを|奪《うば》い、 |家《いえ》をむさぼってこれを|取《と》る。 |彼《かれ》らは|人《ひと》をしえたげてその|家《いえ》を|奪《うば》い、 |人《ひと》をしえたげてその|嗣《し》|業《ぎょう》を|奪《うば》う。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 |見《み》よ、わたしはこのやからにむかって |災《わざわい》を|下《くだ》そうと|計《はか》る。 あなたがたはその|首《くび》を これから、はずすことはできない。 また、まっすぐに|立《た》って|歩《ある》くことはできない。 これは|災《わざわい》の|時《とき》だからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|人々《ひとびと》は|歌《うた》を|作《つく》ってあなたがたをののしり、 |悲《かな》しみの|歌《うた》をもって|嘆《なげ》き|悲《かな》しみ、 「われわれはことごとく|滅《ほろ》ぼされる、 わが|民《たみ》の|分《ぶん》は|人《ひと》に|与《あた》えられる。 どうしてこれはわたしから|離《はな》れるのであろう。 われわれの|田畑《たはた》はわれわれを|捕《とら》えた|者《もの》の|間《あいだ》に|分《わ》け|与《あた》えられる」と|言《い》う。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》の|会衆《かいしゅう》のうちには くじによって|測《はか》りなわを|張《は》る|者《もの》はひとりもなくなる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|言《い》う、「あなたがたは|説教《せっきょう》してはならない。 そのような|事《こと》について|説教《せっきょう》してはならない。 そうすればわれわれは|恥《はじ》をこうむることがない」と。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|家《いえ》よ、そんなことは|言《い》えるのだろうか。 |主《しゅ》は|気短《きみじか》な|方《かた》であろうか。 これらは|主《しゅ》のみわざなのであろうか。 わが|言葉《ことば》は|正《ただ》しく|歩《あゆ》む|者《もの》に、 |益《えき》とならないのであろうか。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ところが、あなたがたは|立《た》ってわが|民《たみ》の|敵《てき》となり、 いくさのことを|知《し》らずに、|安《やす》らかに|過《す》ぎゆく|者《もの》から、 |平和《へいわ》な|者《もの》から、|上着《うわぎ》をはぎ|取《と》り、 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》の|女《おんな》たちをその|楽《たの》しい|家《いえ》から|追《お》い|出《だ》し、 その|子《こ》どもから、わが|栄《さか》えをとこしえに|奪《うば》う。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|立《た》って|去《さ》れ、 これはあなたがたの|休《やす》み|場所《ばしょ》ではない。 これは|汚《けが》れのゆえに|滅《ほろ》びる。 その|滅《ほろ》びは|悲惨《ひさん》な|滅《ほろ》びだ。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]もし|人《ひと》が|風《かぜ》に|歩《あゆ》み、|偽《いつわ》りを|言《い》い、 「わたしはぶどう|酒《しゅ》と|濃《こ》き|酒《さけ》とについて、 あなたに|説教《せっきょう》しよう」と|言《い》うならば、 その|人《ひと》はこの|民《たみ》の|説教《せっきょう》|者《しゃ》となるであろう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブよ、わたしは|必《かなら》ずあなたをことごとく|集《あつ》め、 イスラエルの|残《のこ》れる|者《もの》を|集《あつ》める。 わたしはこれをおりの|羊《ひつじ》のように、 |牧場《まきば》の|中《なか》の|群《む》れのように|共《とも》におく。 これは|人《ひと》の|多《おお》きによって|騒《さわ》がしくなる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|打《う》ち|破《やぶ》る|者《もの》は|彼《かれ》らに|先《さき》だって|登《のぼ》りゆき、 |彼《かれ》らは|門《もん》を|打《う》ち|破《やぶ》り、これをとおって|外《そと》に|出《で》て|行《い》く。 |彼《かれ》らの|王《おう》はその|前《まえ》に|進《すす》み、 |主《しゅ》はその|先頭《せんとう》に|立《た》たれる。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、 ヤコブのかしらたちよ、 イスラエルの|家《いえ》のつかさたちよ、|聞《き》け、 |公義《こうぎ》はあなたがたの|知《し》っておるべきことではないか。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|善《ぜん》を|憎《にく》み、|悪《あく》を|愛《あい》し、 わが|民《たみ》の|身《み》から|皮《かわ》をはぎ、その|骨《ほね》から|肉《にく》をそぎ、 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]またわが|民《たみ》の|肉《にく》を|食《く》らい、 その|皮《かわ》をはぎ、その|骨《ほね》を|砕《くだ》き、 これを|切《き》りきざんで、なべに|入《い》れる|食物《しょくもつ》のようにし、 |大《おお》なべに|入《い》れる|肉《にく》のようにする。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうして|彼《かれ》らが|主《しゅ》に|呼《よ》ばわっても、 |主《しゅ》はお|答《こた》えにならない。 かえってその|時《とき》には、み|顔《かお》を|彼《かれ》らに|隠《かく》される。 |彼《かれ》らのおこないが|悪《わる》いからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》を|惑《まど》わす|預言者《よげんしゃ》について|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 |彼《かれ》らは|食《た》べ|物《もの》のある|時《とき》には、 「|平安《へいあん》」を|叫《さけ》ぶけれども、 その|口《くち》に|何《なに》も|与《あた》えない|者《もの》にむかっては、 |宣戦《せんせん》を|布告《ふこく》する。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたには|夜《よる》があっても|幻《まぼろし》がなく、 |暗《くら》やみがあっても|占《うらな》いがない。 |太陽《たいよう》はその|預言者《よげんしゃ》たちに|没《ぼっ》し、 |昼《ひる》も|彼《かれ》らの|上《うえ》に|暗《くら》くなる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|先見者《せんけんしゃ》は|恥《はじ》をかき、|占《うらな》い|師《し》は|顔《かお》をあからめ、 |彼《かれ》らは|皆《みな》そのくちびるをおおう。 |神《かみ》の|答《こたえ》がないからである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしは|主《しゅ》のみたまによって|力《ちから》に|満《み》ち、 |公義《こうぎ》と|勇気《ゆうき》とに|満《み》たされ、 ヤコブにそのとがを|示《しめ》し、イスラエルにその|罪《つみ》を|示《しめ》すことができる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]ヤコブの|家《いえ》のかしらたち、 イスラエルの|家《いえ》のつかさたちよ、 すなわち|公義《こうぎ》を|憎《にく》み、 すべての|正《ただ》しい|事《こと》を|曲《ま》げる|者《もの》よ、これを|聞《き》け。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|血《ち》をもってシオンを|建《た》て、 |不義《ふぎ》をもってエルサレムを|建《た》てた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そのかしらたちは、まいないをとってさばき、 その|祭司《さいし》たちは|価《あたい》をとって|教《おし》え、 その|預言者《よげんしゃ》たちは|金《きん》をとって|占《うらな》う。 しかもなお|彼《かれ》らは|主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たよ》んで、 「|主《しゅ》はわれわれの|中《なか》におられるではないか、 だから|災《わざわい》はわれわれに|臨《のぞ》むことがない」と|言《い》う。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、シオンはあなたがたのゆえに |田畑《たはた》となって|耕《たがや》され、 エルサレムは|石塚《いしづか》となり、 |宮《みや》の|山《やま》は|木《き》のおい|茂《しげ》る|高《たか》い|所《ところ》となる。 [#ここで字下げ終わり] 第四章[#「第四章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|末《すえ》の|日《ひ》になって、 |主《しゅ》の|家《いえ》の|山《やま》はもろもろの|山《やま》のかしらとして |堅《かた》く|立《た》てられ、 もろもろの|峰《みね》よりも|高《たか》くあげられ、 もろもろの|民《たみ》はこれに|流《なが》れくる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|国民《くにたみ》は|来《き》て|言《い》う、 「さあ、われわれは|主《しゅ》の|山《やま》に|登《のぼ》り、 ヤコブの|神《かみ》の|家《いえ》に|行《い》こう。 |彼《かれ》はその|道《みち》をわれわれに|教《おし》え、 われわれはその|道《みち》に|歩《あゆ》もう」と。 |律法《りっぽう》はシオンから|出《で》、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》はエルサレムから|出《で》るからである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|多《おお》くの|民《たみ》の|間《あいだ》をさばき、 |遠《とお》い|所《ところ》まで|強《つよ》い|国々《くにぐに》のために|仲裁《ちゅうさい》される。 そこで|彼《かれ》らはつるぎを|打《う》ちかえて、すきとし、 そのやりを|打《う》ちかえて、かまとし、 |国《くに》は|国《くに》にむかってつるぎをあげず、 |再《ふたた》び|戦《たたか》いのことを|学《まな》ばない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|皆《みな》そのぶどうの|木《き》の|下《した》に|座《ざ》し、 そのいちじくの|木《き》の|下《した》にいる。 |彼《かれ》らを|恐《おそ》れさせる|者《もの》はない。 これは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》がその|口《くち》で|語《かた》られたことである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]すべての|民《たみ》はおのおのその|神《かみ》の|名《な》によって|歩《あゆ》む。 しかしわれわれは われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》によって、とこしえに|歩《あゆ》む。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》には、 わたしはかの|足《あし》のなえた|者《もの》を|集《あつ》め、 またかの|追《お》いやられた|者《もの》および わたしが|苦《くる》しめた|者《もの》を|集《あつ》め、 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|足《あし》のなえた|者《もの》を|残《のこ》れる|民《たみ》とし、 |遠《とお》く|追《お》いやられた|者《もの》を|強《つよ》い|国民《くにたみ》とする。 |主《しゅ》はシオンの|山《やま》で、|今《いま》よりとこしえに |彼《かれ》らを|治《おさ》められる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|羊《ひつじ》の|群《む》れのやぐら、シオンの|娘《むすめ》の|山《やま》よ、 |以前《いぜん》の|主権《しゅけん》はあなたに|帰《かえ》ってくる。 すなわちエルサレムの|娘《むすめ》の|国《くに》は あなたに|帰《かえ》ってくる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたは|何《なに》ゆえわめき|叫《さけ》ぶのか、 あなたのうちに|王《おう》がないのか。 あなたの|相談《そうだん》|相手《あいて》は|絶《た》えはて、 |産婦《さんぷ》のように|激《はげ》しい|痛《いた》みがあなたを|捕《とら》えたのか。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》よ、 |産婦《さんぷ》のように|苦《くる》しんでうめけ。 あなたは|今《いま》、|町《まち》を|出《で》て|野《の》にやどり、 バビロンに|行《い》かなければならない。 その|所《ところ》であなたは|救《すく》われる。 |主《しゅ》はその|所《ところ》であなたを|敵《てき》の|手《て》からあがなわれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]いま|多《おお》くの|国民《くにたみ》はあなたに|逆《さか》らい、|集《あつ》まって|言《い》う、 「どうかシオンが|汚《けが》されるように、 われわれの|目《め》がシオンを|見《み》てあざ|笑《わら》うように」と。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]しかし|彼《かれ》らは|主《しゅ》の|思《おも》いを|知《し》らず、 またその|計画《けいかく》を|悟《さと》らない。 すなわち|主《しゅ》が|麦《むぎ》|束《たば》を|打《う》ち|場《ば》に|集《あつ》めるように、 |彼《かれ》らを|集《あつ》められることを|悟《さと》らない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》よ、|立《た》って|打《う》ちこなせ。 わたしはあなたの|角《つの》を|鉄《てつ》となし、 あなたのひずめを|青銅《せいどう》としよう。 あなたは|多《おお》くの|民《たみ》を|打《う》ち|砕《くだ》き、 |彼《かれ》らのぶんどり|物《もの》を|主《しゅ》にささげ、 |彼《かれ》らの|富《とみ》を|全《ぜん》|地《ち》の|主《しゅ》にささげる。 [#ここで字下げ終わり] 第五章[#「第五章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》あなたは|壁《かべ》でとりまかれている。 |敵《てき》はわれわれを|攻《せ》め|囲《かこ》み、 つえをもってイスラエルのつかさのほおを|撃《う》つ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかしベツレヘム・エフラタよ、 あなたはユダの|氏族《しぞく》のうちで|小《ちい》さい|者《もの》だが、 イスラエルを|治《おさ》める|者《もの》があなたのうちから わたしのために|出《で》る。 その|出《で》るのは|昔《むかし》から、いにしえの|日《ひ》からである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|産婦《さんぷ》の|産《う》みおとす|時《とき》まで、 |主《しゅ》は|彼《かれ》らを|渡《わた》しおかれる。 その|後《のち》その|兄弟《きょうだい》たちの|残《のこ》れる|者《もの》は イスラエルの|子《こ》らのもとに|帰《かえ》る。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|主《しゅ》の|力《ちから》により、 その|神《かみ》、|主《しゅ》の|名《な》の|威光《いこう》により、 |立《た》ってその|群《む》れを|養《やしな》い、 |彼《かれ》らを|安《やす》らかにおらせる。 |今《いま》、|彼《かれ》は|大《おお》いなる|者《もの》となって、 |地《ち》の|果《はて》にまで|及《およ》ぶからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これは|平和《へいわ》である。 アッスリヤびとがわれわれの|国《くに》に|来《き》て、 われわれの|土地《とち》を|踏《ふ》むとき、 |七《しち》|人《にん》の|牧者《ぼくしゃ》を|起《おこ》し、 八|人《にん》の|君《きみ》を|起《おこ》してこれに|当《あた》らせる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはつるぎをもってアッスリヤの|地《ち》を|治《おさ》め、 ぬきみのつるぎをもってニムロデの|地《ち》を|治《おさ》める。 アッスリヤびとがわれわれの|地《ち》に|来《き》て、 われわれの|境《さかい》を|踏《ふ》み|荒《あら》すとき、 |彼《かれ》らはアッスリヤびとから、われわれを|救《すく》う。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ヤコブの|残《のこ》れる|者《もの》は|多《おお》くの|民《たみ》の|中《なか》にあること、 |人《ひと》によらず、また|人《ひと》の|子《こ》らを|待《ま》たずに |主《しゅ》からくだる|露《つゆ》のごとく、 |青草《あおくさ》の|上《うえ》に|降《ふ》る|夕立《ゆうだ》ちのようである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]またヤコブの|残《のこ》れる|者《もの》が|国々《くにぐに》の|中《なか》におり、 |多《おお》くの|民《たみ》の|中《なか》にいること、 |林《はやし》の|獣《けもの》の|中《なか》のししのごとく、 |羊《ひつじ》の|群《む》れの|中《なか》の|若《わか》いししのようである。 それが|過《す》ぎるときは|踏《ふ》み、かつ|裂《さ》いて|救《すく》う|者《もの》はない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|手《て》はもろもろのあだの|上《うえ》にあげられ、 あなたの|敵《てき》はことごとく|断《た》たれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》には、 わたしはあなたのうちから|馬《うま》を|絶《た》やし、 |戦車《せんしゃ》をこわし、 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|国《くに》の|町々《まちまち》を|絶《た》やし、 あなたの|城《しろ》をことごとくくつがえす。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]またあなたの|手《て》から|魔術《まじゅつ》を|絶《た》やす。 あなたのうちには|占《うらな》い|師《し》がないようになる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]またあなたのうちから|彫像《ちょうぞう》および|石《いし》の|柱《はしら》を|絶《た》やす。 あなたは|重《かさ》ねて|手《て》で|作《つく》った|物《もの》を|拝《おが》むことはない。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またあなたのうちからアシラ|像《ぞう》を|抜《ぬ》き|倒《たお》し、 あなたの|町々《まちまち》を|滅《ほろ》ぼす。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは|怒《いか》りと|憤《いきどお》りとをもって その|聞《き》き|従《したが》わないもろもろの|国民《くにたみ》に|復讐《ふくしゅう》する。 [#ここで字下げ終わり] 第六章[#「第六章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは |主《しゅ》の|言《い》われることを|聞《き》き、 |立《た》ちあがって、もろもろの|山《やま》の|前《まえ》に|訴《うった》えをのべ、 もろもろの|丘《おか》にあなたの|声《こえ》を|聞《き》かせよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|山《やま》よ、|地《ち》の|変《かわ》ることなき|基《もとい》よ、 |主《しゅ》の|言《い》い|争《あらそ》いを|聞《き》け。 |主《しゅ》はその|民《たみ》と|言《い》い|争《あらそ》い、 イスラエルと|論争《ろんそう》されるからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「わが|民《たみ》よ、わたしはあなたに|何《なに》をなしたか、 |何《なに》によってあなたを|疲《つか》れさせたか、 わたしに|答《こた》えよ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエジプトの|国《くに》からあなたを|導《みちび》きのぼり、 |奴隷《どれい》の|家《いえ》からあなたをあがない|出《だ》し、 モーセ、アロンおよびミリアムをつかわして、あなたに|先《さき》だたせた。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|民《たみ》よ、モアブの|王《おう》バラクがたくらんだ|事《こと》、 ベオルの|子《こ》バラムが|彼《かれ》に|答《こた》えた|事《こと》、 シッテムからギルガルに|至《いた》るまでに |起《おこ》った|事《こと》どもを|思《おも》い|起《おこ》せ。 そうすれば、あなたは|主《しゅ》の|正義《せいぎ》のみわざを |知《し》るであろう」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|何《なに》をもって|主《しゅ》のみ|前《まえ》に|行《い》き、 |高《たか》き|神《かみ》を|拝《はい》すべきか。 |燔祭《はんさい》および|当歳《とうさい》の|子《こ》|牛《うし》をもって そのみ|前《まえ》に|行《ゆ》くべきか。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|数《すう》|千《せん》の|雄羊《おひつじ》、 |万《まん》|流《りゅう》の|油《あぶら》を|喜《よろこ》ばれるだろうか。 わがとがのためにわが|長子《ちょうし》をささぐべきか。 わが|魂《たましい》の|罪《つみ》のためにわが|身《み》の|子《こ》をささぐべきか」。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》よ、|彼《かれ》はさきによい|事《こと》のなんであるかを あなたに|告《つ》げられた。 |主《しゅ》のあなたに|求《もと》められることは、 ただ|公義《こうぎ》をおこない、いつくしみを|愛《あい》し、 へりくだってあなたの|神《かみ》と|共《とも》に|歩《あゆ》むことではないか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|声《こえ》が|町《まち》にむかって|呼《よ》ばわる―― |全《まった》き|知恵《ちえ》はあなたの|名《な》を|恐《おそ》れることである―― 「|部族《ぶぞく》および|町《まち》の|会衆《かいしゅう》よ、|聞《き》け。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|悪人《あくにん》の|家《いえ》にある|不義《ふぎ》の|財宝《ざいほう》、 のろうべき|不正《ふせい》な|枡《ます》を|忘《わす》れ|得《え》ようか。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|不正《ふせい》なはかりを|用《もち》い、 |偽《いつわ》りのおもしを|入《い》れた|袋《ふくろ》を|用《もち》いる|人《ひと》を わたしは|罪《つみ》なしとするだろうか。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのうちの|富《と》める|人《ひと》は|暴虐《ぼうぎゃく》で|満《み》ち、 あなたの|住民《じゅうみん》は|偽《いつわ》りを|言《い》い、 その|舌《した》は|口《くち》で|欺《あざむ》くことをなす。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、わたしはあなたを|撃《う》ち、 あなたをその|罪《つみ》のために|滅《ほろ》ぼすことを|始《はじ》めた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|食《た》べても、|飽《あ》くことがなく、 あなたの|腹《はら》はいつもひもじい。 あなたは|移《うつ》しても、|救《すく》うことができない。 あなたが|救《すく》う|者《もの》を、わたしはつるぎにわたす。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|種《たね》をまいても、|刈《か》ることがなく、 オリブの|実《み》を|踏《ふ》んでも、その|身《み》に|油《あぶら》を|塗《ぬ》ることがなく、 ぶどうを|踏《ふ》んでも、その|酒《さけ》を|飲《の》むことがない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたはオムリの|定《さだ》めを|守《まも》り、 アハブの|家《いえ》のすべてのわざをおこない、 |彼《かれ》らの|計《はか》りごとに|従《したが》って|歩《あゆ》んだ。 これはわたしがあなたを|荒《あら》し、 その|住民《じゅうみん》を|笑《わら》い|物《もの》とするためである。 あなたがたは|民《たみ》のはずかしめを|負《お》わねばならぬ」。 [#ここで字下げ終わり] 第七章[#「第七章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 わたしは|夏《なつ》のくだものを|集《あつ》める|時《とき》のように、 ぶどうの|収穫《しゅうかく》の|残《のこ》りを|集《あつ》める|時《とき》のようになった。 |食《く》らうべきぶどうはなく、 わが|心《こころ》の|好《この》む|初《はつ》なりのいちじくもない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》を|敬《うやま》う|人《ひと》は|地《ち》に|絶《た》え、|人《ひと》のうちに|正《ただ》しい|者《もの》はない。 みな|血《ち》を|流《なが》そうと|待《ま》ち|伏《ぶ》せし、 おのおの|網《あみ》をもってその|兄弟《きょうだい》を|捕《とら》える。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|両手《りょうて》は|悪《わる》い|事《こと》をしようと|努《つと》めてやまない。 つかさと|裁判官《さいばんかん》はまいないを|求《もと》め、 |大《おお》いなる|人《ひと》はその|心《こころ》の|悪《わる》い|欲望《よくぼう》を|言《い》いあらわし、 こうして|彼《かれ》らはその|悪《あく》を|仕組《しく》む。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|最《もっと》もよい|者《もの》もいばらのごとく、 |最《もっと》も|正《ただ》しい|者《もの》もいばらのいけがきのようだ。 |彼《かれ》らの|見張《みはり》びとの|日《ひ》、 すなわち|彼《かれ》らの|刑罰《けいばつ》の|日《ひ》が|来《く》る。 いまや|彼《かれ》らの|混乱《こんらん》が|近《ちか》い。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|隣《とな》り|人《びと》を|信《しん》じてはならない。 |友人《ゆうじん》をたのんではならない。 あなたのふところに|寝《ね》る|者《もの》にも、 あなたの|口《くち》の|戸《と》を|守《まも》れ。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]むすこは|父《ちち》をいやしめ、|娘《むすめ》はその|母《はは》にそむき、 |嫁《よめ》はそのしゅうとめにそむく。 |人《ひと》の|敵《てき》はその|家《いえ》の|者《もの》である。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|主《しゅ》を|仰《あお》ぎ|見《み》、わが|救《すくい》の|神《かみ》を|待《ま》つ。 わが|神《かみ》はわたしの|願《ねが》いを|聞《き》かれる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わが|敵《てき》よ、わたしについて|喜《よろこ》ぶな。 たといわたしが|倒《たお》れるとも|起《お》きあがる。 たといわたしが|暗《くら》やみの|中《なか》にすわるとも、 |主《しゅ》はわが|光《ひかり》となられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわが|訴《うった》えを|取《と》りあげ、 わたしのためにさばきを|行《おこな》われるまで、 わたしは|主《しゅ》の|怒《いか》りを|負《お》わなければならない。 |主《しゅ》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》したからである。 |主《しゅ》はわたしを|光《ひかり》に|導《みちび》き|出《だ》してくださる。 わたしは|主《しゅ》の|正義《せいぎ》を|見《み》るであろう。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》「あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はどこにいるか」と わたしに|言《い》ったわが|敵《てき》は、これを|見《み》て|恥《はじ》をこうむり、 わが|目《め》は|彼《かれ》を|見《み》てあざ|笑《わら》う。 |彼《かれ》は|街路《がいろ》の|泥《どろ》のように|踏《ふ》みつけられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|城壁《じょうへき》を|築《きず》く|日《ひ》が|来《く》る。 その|日《ひ》には|国境《くにざかい》が|遠《とお》く|広《ひろ》がる。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》にはアッスリヤからエジプトまで、 エジプトからユフラテ|川《がわ》まで、 |海《うみ》から|海《うみ》まで、|山《やま》から|山《やま》まで、 |人々《ひとびと》はあなたに|来《く》る。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]しかしかの|地《ち》はその|住民《じゅうみん》のゆえに、 そのおこないの|実《み》によって|荒《あ》れはてる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]どうか、あなたのつえをもってあなたの|民《たみ》、 すなわち|園《その》の|中《なか》の|林《はやし》にひとりおる あなたの|嗣《し》|業《ぎょう》の|羊《ひつじ》を|牧《ぼく》し、 いにしえの|日《ひ》のようにバシャンとギレアデで、 |彼《かれ》らを|養《やしな》ってください。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがエジプトの|国《くに》を|出《で》た|時《とき》のように、 わたしはもろもろの|不思議《ふしぎ》な|事《こと》を|彼《かれ》らに|示《しめ》す。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|国々《くにぐに》の|民《たみ》は|見《み》て、そのすべての|力《ちから》を|恥《は》じ、 その|手《て》を|口《くち》にあて、 その|耳《みみ》は|聞《きこ》えぬ|耳《みみ》となる。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはへびのように、 |地《ち》に|這《は》うもののようにちりをなめ、 |震《ふる》えながらその|城《しろ》から|出《で》、 おののきつつ、われわれの|神《かみ》、|主《しゅ》に|近《ちか》づいてきて、 あなたのために|恐《おそ》れる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]だれかあなたのように|不義《ふぎ》をゆるし、 その|嗣《し》|業《ぎょう》の|残《のこ》れる|者《もの》のために とがを|見過《みす》ごされる|神《かみ》があろうか。 |神《かみ》はいつくしみを|喜《よろこ》ばれるので、 その|怒《いか》りをながく|保《たも》たず、 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|再《ふたた》びわれわれをあわれみ、 われわれの|不義《ふぎ》を|足《あし》で|踏《ふ》みつけられる。 あなたはわれわれのもろもろの|罪《つみ》を |海《うみ》の|深《ふか》みに|投《な》げ|入《い》れ、 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|昔《むかし》からわれわれの|先祖《せんぞ》たちに|誓《ちか》われたように、 |真実《しんじつ》をヤコブに|示《しめ》し、 いつくしみをアブラハムに|示《しめ》される。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] ナホム書[#「ナホム書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ニネベについての|託宣《たくせん》。エルコシびとナホムの|幻《まぼろし》の|書《しょ》。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はねたみ、かつあだを|報《むく》いる|神《かみ》、 |主《しゅ》はあだを|報《むく》いる|者《もの》、また|憤《いきどお》る|者《もの》、 |主《しゅ》はおのがあだに|報復《ほうふく》し、 おのが|敵《てき》に|対《たい》して|憤《いきどお》りをいだく。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|怒《いか》ることおそく、|力強《ちからづよ》き|者《もの》、 |主《しゅ》は|罰《ばつ》すべき|者《もの》を|決《けっ》してゆるされない|者《もの》、 |主《しゅ》の|道《みち》はつむじ|風《かぜ》と|大風《おおかぜ》の|中《なか》にあり、 |雲《くも》はその|足《あし》のちりである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|海《うみ》を|戒《いまし》めて、これをかわかし、 すべての|川《かわ》をかれさせる。 バシャンとカルメルはしおれ、 レバノンの|花《はな》はしぼむ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]もろもろの|山《やま》は|彼《かれ》の|前《まえ》に|震《ふる》い、もろもろの|丘《おか》は|溶《と》け、 |地《ち》は|彼《かれ》の|前《まえ》にむなしくなり、 |世界《せかい》とその|中《なか》に|住《す》む|者《もの》も|皆《みな》、むなしくなる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]だれが|彼《かれ》の|憤《いきどお》りの|前《まえ》に|立《た》つことができよう。 だれが|彼《かれ》の|燃《も》える|怒《いか》りに|耐《た》えることができよう。 その|憤《いきどお》りは|火《ひ》のように|注《そそ》がれ、 |岩《いわ》も|彼《かれ》によって|裂《さ》かれる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|恵《めぐ》み|深《ふか》く、なやみの|日《ひ》の|要害《ようがい》である。 |彼《かれ》はご|自分《じぶん》を|避《さ》け|所《どころ》とする|者《もの》を|知《し》っておられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|彼《かれ》はみなぎる|洪水《こうずい》であだを|全《まった》く|滅《ほろ》ぼし、 おのが|敵《てき》を|暗《くら》やみに|追《お》いやられる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|主《しゅ》に|対《たい》して|何《なに》を|計《はか》るか。 |彼《かれ》はその|敵《てき》に二|度《ど》としかえしをする|必要《ひつよう》がないように |敵《てき》を|全《まった》く|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|結《むす》びからまったいばらのように、 かわいた|刈《か》り|株《かぶ》のように、|焼《や》き|尽《つく》される。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》に|対《たい》して|悪事《あくじ》を|計《はか》り、 よこしまな|事《こと》を|勧《すす》める|者《もの》が あなたのうちから|出《で》たではないか。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|言《い》われる、 「たとい|彼《かれ》らは|強《つよ》く、かつ|多《おお》くあっても、 |切《き》り|倒《たお》されて|絶《た》えはてる。 わたしはあなたを|苦《くる》しめたが、 |重《かさ》ねてあなたを|苦《くる》しめない。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》わたしは|彼《かれ》のくびきを|砕《くだ》いて、 あなたからとり|除《のぞ》き、 あなたのなわめを|切《き》りはなす」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたについてお|命《めい》じになった、 「あなたの|名《な》は|長《なが》く|続《つづ》かない。 わたしはあなたの|神々《かみがみ》の|家《いえ》から、 |彫像《ちょうぞう》および|鋳造《ちゅうぞう》を|除《のぞ》き|去《さ》る。 あなたは|罪深《つみぶか》い|者《もの》だから、 わたしはあなたの|墓《はか》を|設《もう》ける」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|良《よ》きおとずれを|伝《つた》える|者《もの》の|足《あし》は|山《やま》の|上《うえ》にある。 |彼《かれ》は|平安《へいあん》を|宣《の》べている。 ユダよ、あなたの|祭《まつり》を|行《おこな》い、 あなたの|誓願《せいがん》をはたせ。 よこしまな|者《もの》は|重《かさ》ねて、 あなたに|向《む》かって|攻《せ》めてこないからである。 |彼《かれ》は|全《まった》く|断《た》たれる。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|撃《う》ち|破《やぶ》る|者《もの》が あなたに|向《む》かって|上《のぼ》って|来《く》る。 |城《しろ》を|守《まも》れ、|道《みち》をうかがえ。 |腰《こし》に|帯《おび》せよ、|大《おお》いに|力《ちから》を|強《つよ》くせよ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はヤコブの|栄《さか》えを|回復《かいふく》して、 イスラエルの|栄《さか》えのようにされる。 かすめる|者《もの》が|彼《かれ》らをかすめ、 そのぶどうづるを、そこなったからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|勇士《ゆうし》の|盾《たて》は|赤《あか》くいろどられ、 その|兵士《へいし》は|紅《くれない》に|身《み》をよろう。 |戦車《せんしゃ》はその|備《そな》えの|日《ひ》に、|火《ひ》のように|輝《かがや》き、 |軍馬《ぐんば》はおどる。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|戦車《せんしゃ》はちまたに|狂《くる》い|走《はし》り、 |大路《おおじ》に|飛《と》びかける。 |彼《かれ》らはたいまつのように|輝《かがや》き、 いなずまのように|飛《と》びかける。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|将士《しょうし》らは|召集《しょうしゅう》され、 |彼《かれ》らはその|道《みち》でつまずき|倒《たお》れ、 |城壁《じょうへき》に|向《む》かって|急《いそ》いで|行《い》って|大盾《おおだて》を|備《そな》える。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|川々《かわがわ》の|門《もん》は|開《ひら》け、 |宮殿《きゅうでん》はあわてふためく。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]その|王妃《おうひ》は|裸《はだか》にされて、|捕《とら》われゆき、 その|侍女《じじょ》たちは|悲《かな》しみ、 |胸《むね》を|打《う》って、はとのようにうめく。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ニネベは|池《いけ》のようであったが、 その|水《みず》は|注《そそ》ぎ|出《だ》された。 「|立《た》ち|止《ど》まれ、|立《た》ち|止《ど》まれ」と|呼《よ》んでも、 ふりかえるものもない。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》を|奪《うば》え、|金《きん》を|奪《うば》え。 その|宝《たから》は|限《かぎ》りなく、 もろもろの|尊《たっと》い|物《もの》はおびただしい。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|消《き》えうせ、むなしくなり、|荒《あ》れはてた。 |心《こころ》は|消《き》え、ひざは|震《ふる》え、 すべての|腰《こし》には|痛《いた》みがあり、 すべての|顔《かお》は|色《いろ》を|失《うしな》った。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ししのすみかはどこであるか。 |若《わか》いししの|穴《あな》はどこであるか。 そこに|雄《お》じしはその|獲物《えもの》を|携《たずさ》え|行《い》き、 その|子《こ》じしと|共《とも》にいても、これを|恐《おそ》れさせる|者《もの》はない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|雄《お》じしはその|子《こ》じしのために|引《ひ》き|裂《さ》き、 |雌《め》じしのために|獲物《えもの》を|絞《し》め|殺《ころ》し、 |獲物《えもの》をもってその|穴《あな》を|満《み》たし、 |引《ひ》き|裂《さ》いた|肉《にく》をもってそのすみかを|満《み》たした。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、わたしはあなたに|臨《のぞ》む。わたしはあなたの|戦車《せんしゃ》を|焼《や》いて|煙《けむり》にする。つるぎはあなたの|若《わか》いししを|滅《ほろ》ぼす。わたしはまた、あなたの|獲物《えもの》を|地《ち》から|断《た》つ。あなたの|使者《ししゃ》の|声《こえ》は|重《かさ》ねて|聞《き》かれない。 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、|血《ち》を|流《なが》す|町《まち》。 その|中《なか》には|偽《いつわ》りと、ぶんどり|物《もの》が|満《み》ち、 |略奪《りゃくだつ》はやまない。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]むちの|音《おと》がする。|車輪《しゃりん》のとどろく|音《おと》が|聞《きこ》える。 かける|馬《うま》があり、|走《はし》る|戦車《せんしゃ》がある。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|騎兵《きへい》は|突撃《とつげき》し、 つるぎがきらめき、やりがひらめく。 |殺《ころ》される|者《もの》はおびただしく、 しかばねは|山《やま》をなす。 |死体《したい》は|数《かず》|限《かぎ》りなく、|人々《ひとびと》はその|死体《したい》につまずく。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]これは|皆《みな》あでやかな|遊女《ゆうじょ》の|恐《おそ》るべき|魔力《まりょく》と、 |多《おお》くの|淫行《いんこう》のためであって、 その|淫行《いんこう》をもって|諸《しょ》|国民《こくみん》を|売《う》り、 その|魔力《まりょく》をもって|諸《しょ》|族《ぞく》を|売《う》り|渡《わた》したものである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、 |見《み》よ、わたしはあなたに|臨《のぞ》む、 わたしはあなたのすそを|顔《かお》の|上《うえ》まであげ、 あなたの|裸《はだか》を|諸民《しょみん》に|見《み》せ、 あなたの|恥《は》じる|所《ところ》を|諸国《しょこく》に|見《み》せる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|汚《けが》らわしい|物《もの》を、あなたの|上《うえ》に|投《な》げかけて、 あなたをはずかしめ、あなたを|見《み》ものとする。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]すべてあなたを|見《み》るものは、 あなたを|避《さ》けて|逃《に》げ|去《さ》って|言《い》う、 「ニネベは|滅《ほろ》びた」と。 だれがこのために|嘆《なげ》こう。 わたしはどこから|彼女《かのじょ》を|慰《なぐさ》める|者《もの》を、 |尋《たず》ね|出《だ》し|得《え》よう。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたはテーベにまさっているか。 これはナイル|川《かわ》のかたわらに|座《ざ》し、 |水《みず》をその|周囲《しゅうい》にめぐらし、 |海《うみ》をとりでとなし、 |水《みず》をその|垣《かき》としている。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|力《ちから》はエチオピヤ、またエジプトであって、 |限《かぎ》りがない。 プトびと、リビヤびともその|助《たす》け|手《て》であった。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、これもとりことなって|捕《とら》えられて|行《い》き、 その|子《こ》|供《とも》もすべてのちまたのかどで|打《う》ち|砕《くだ》かれ、 その|尊《たっと》い|人々《ひとびと》はくじで|分《わ》けられ、 その|大《おお》いなる|人々《ひとびと》は|皆《みな》、|鎖《くさり》につながれた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたもまた|酔《よ》わされて|気《き》を|失《うしな》い、 あなたは|敵《てき》を|避《さ》けて|逃《に》げ|場《ば》を|求《もと》める。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたのとりでは|皆《みな》 |初《はつ》なりの|実《み》をもつ、いちじくの|木《き》のようだ。 これをゆすぶればその|実《み》は|落《お》ちて、 |食《た》べようとする|者《もの》の|口《くち》にはいる。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、あなたのうちにいる|兵士《へいし》は|女《おんな》のようだ。 あなたの|国《くに》の|門《もん》はあなたの|敵《てき》の|前《まえ》に|広《ひろ》く|開《ひら》かれ、 |火《ひ》はあなたの|貫《かん》の|木《き》を|焼《や》いた。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|籠城《ろうじょう》のために|水《みず》をくめ。 あなたのとりでを|堅《かた》めよ。 |粘土《ねんど》の|中《なか》にはいって、しっくいを|踏《ふ》み、 れんがの|型《かた》をとれ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|所《ところ》で|火《ひ》はあなたを|焼《や》き、 つるぎはあなたを|切《き》る。 それはいなごのようにあなたを|食《く》い|滅《ほろ》ぼす。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] あなたはいなごのように|数《かず》を|増《ま》せ。 ばったのようにふえよ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|自分《じぶん》の|商人《しょうにん》を|天《てん》の|星《ほし》よりも|多《おお》くした。 いなごは|羽《はね》をはって|飛《と》び|去《さ》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|君《きみ》たちは、ばったのように、 あなたの|学者《がくしゃ》たちは、いなごのように、 |寒《さむ》い|日《ひ》には|垣《かき》にとまり、 |日《ひ》が|出《で》て|来《く》ると|飛《と》び|去《さ》る。 そのありかはだれも|知《し》らない。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]アッスリヤの|王《おう》よ、 あなたの|牧者《ぼくしゃ》は|眠《ねむ》り、あなたの|貴族《きぞく》はまどろむ。 あなたの|民《たみ》は|山《やま》の|上《うえ》に|散《ち》らされ、 これを|集《あつ》める|者《もの》はない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|破《やぶ》れは、いえることがなく、 あなたの|傷《きず》は|重《おも》い。 あなたのうわさを|聞《き》く|者《もの》は|皆《みな》、 あなたの|事《こと》について|手《て》を|打《う》つ。 あなたの|悪《あく》を|常《つね》に|身《み》に|受《う》けなかったような|者《もの》が、 だれひとりあるか。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] ハバクク書[#「ハバクク書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|預言者《よげんしゃ》ハバククが|見《み》た|神《かみ》の|託宣《たくせん》。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしが|呼《よ》んでいるのに、 いつまであなたは|聞《き》きいれて|下《くだ》さらないのか。 わたしはあなたに「|暴虐《ぼうぎゃく》がある」と|訴《うった》えたが、 あなたは|助《たす》けて|下《くだ》さらないのか。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|何《なに》ゆえ、わたしによこしまを|見《み》せ、 |何《なに》ゆえ、わたしに|災《わざわい》を|見《み》せられるのか。 |略奪《りゃくだつ》と|暴虐《ぼうぎゃく》がわたしの|前《まえ》にあり、 また|論争《ろんそう》があり、|闘争《とうそう》も|起《おこ》っている。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|律法《りっぽう》はゆるみ、|公義《こうぎ》は|行《おこな》われず、 |悪人《あくにん》は|義人《ぎじん》を|囲《かこ》み、|公義《こうぎ》は|曲《ま》げて|行《おこな》われている。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|諸《しょ》|国民《こくみん》のうちを|望《のぞ》み|見《み》て、 |驚《おどろ》け、そして|怪《あや》しめ。 わたしはあなたがたの|日《ひ》に一つの|事《こと》をする。 |人《ひと》がこの|事《こと》を|知《し》らせても、 あなたがたはとうてい|信《しん》じまい。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはカルデヤびとを|興《おこ》す。 これはたけく、|激《はげ》しい|国民《こくみん》であって、 |地《ち》を|縦横《じゅうおう》に|行《ゆ》きめぐり、 |自分《じぶん》たちのものでないすみかを|奪《うば》う。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]これはきびしく、|恐《おそ》ろしく、 そのさばきと|威厳《いげん》とは|彼《かれ》ら|自身《じしん》から|出《で》る。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|馬《うま》はひょうよりも|速《はや》く、 |夜《よる》のおおかみよりも|荒《あら》い。 その|騎兵《きへい》は|威勢《いせい》よく|進《すす》む。 すなわち、その|騎兵《きへい》は|遠《とお》い|所《ところ》から|来《く》る。 |彼《かれ》らは|物《もの》を|食《く》おうと|急《いそ》ぐわしのように|飛《と》ぶ。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはみな|暴虐《ぼうぎゃく》のために|来《く》る。 |彼《かれ》らを|恐《おそ》れる|恐《おそ》れが|彼《かれ》らの|前《まえ》を|行《い》く。 |彼《かれ》らはとりこを|砂《すな》のように|集《あつ》める。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|王《おう》たちを|侮《あなど》り、つかさたちをあざける。 |彼《かれ》らはすべての|城《しろ》をあざ|笑《わら》い、 |土《つち》を|積《つ》み|上《あ》げてこれを|奪《うば》う。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]こうして、|彼《かれ》らは|風《かぜ》のようになぎ|倒《たお》して|行《い》き|過《す》ぎる。 |彼《かれ》らは|罪深《つみぶか》い|者《もの》で、おのれの|力《ちから》を|神《かみ》となす。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》、わが|聖者《せいじゃ》よ。 あなたは|永遠《えいえん》からいますかたではありませんか。 わたしたちは|死《し》んではならない。 |主《しゅ》よ、あなたは|彼《かれ》らをさばきのために|備《そな》えられた。 |岩《いわ》よ、あなたは|彼《かれ》らを|懲《こら》しめのために|立《た》てられた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|目《め》が|清《きよ》く、|悪《あく》を|見《み》られない|者《もの》、 また|不義《ふぎ》を|見《み》られない|者《もの》であるのに、 |何《なに》ゆえ|不《ふ》|真実《しんじつ》な|者《もの》に|目《め》をとめていられるのですか。 |悪《あ》しき|者《もの》が|自分《じぶん》よりも|正《ただ》しい|者《もの》を、のみ|食《く》らうのに、 |何《なに》ゆえ|黙《だま》っていられるのですか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|人《ひと》を|海《うみ》の|魚《うお》のようにし、 |治《おさ》める|者《もの》のない|這《は》う|虫《むし》のようにされる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はつり|針《ばり》でこれをことごとくつり|上《あ》げ、 |網《あみ》でこれを|捕《とら》え、 |引《ひ》き|網《あみ》でこれを|集《あつ》め、 こうして|彼《かれ》は|喜《よろこ》び|楽《たの》しむ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|彼《かれ》はその|網《あみ》に|犠牲《ぎせい》をささげ、 その|引《ひ》き|網《あみ》に|香《こう》をたく。 これによって|彼《かれ》はぜいたくに|暮《くら》し、 その|食物《しょくもつ》も|豊《ゆた》かになるからである。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]それで、|彼《かれ》はいつまでもその|網《あみ》の|獲物《えもの》を|取《と》り|入《い》れて、 |無情《むじょう》にも|諸《しょ》|国民《こくみん》を|殺《ころ》すのであろうか。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはわたしの|見張《みはり》|所《じょ》に|立《た》ち、 |物見《ものみ》やぐらに|身《み》を|置《お》き、 |望《のぞ》み|見《み》て、|彼《かれ》がわたしになんと|語《かた》られるかを|見《み》、 またわたしの|訴《うった》えについて わたし|自《みずか》らなんと|答《こた》えたらよかろうかを|見《み》よう。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|答《こた》えて|言《い》われた、 「この|幻《まぼろし》を|書《か》き、 これを|板《いた》の|上《うえ》に|明《あき》らかにしるし、 |走《はし》りながらも、これを|読《よ》みうるようにせよ。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]この|幻《まぼろし》はなお|定《さだ》められたときを|待《ま》ち、 |終《おわ》りをさして|急《いそ》いでいる。それは|偽《いつわ》りではない。 もしおそければ|待《ま》っておれ。 それは|必《かなら》ず|臨《のぞ》む。|滞《とどこお》りはしない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、その|魂《たましい》の|正《ただ》しくない|者《もの》は|衰《おとろ》える。 しかし|義人《ぎじん》はその|信仰《しんこう》によって|生《い》きる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また、|酒《さけ》は|欺《あざむ》くものだ。 |高《たか》ぶる|者《もの》は|定《さだ》まりがない。 |彼《かれ》の|欲《よく》は|陰府《よみ》のように|広《ひろ》い。 |彼《かれ》は|死《し》のようであって、|飽《あ》くことなく、 |万国《ばんこく》をおのれに|集《あつ》め、 |万民《ばんみん》をおのれのものとしてつどわせる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]これらは|皆《みな》ことわざをもって|彼《かれ》をあざけり、 あざけりのなぞをもって|彼《かれ》をあざ|笑《わら》わないだろうか。 すなわち|言《い》う、 「わざわいなるかな、 おのれに|属《ぞく》さないものを|増《ま》し|加《くわ》える|者《もの》よ。 いつまでこのようであろうか。 |質物《しちもの》でおのれを|重《おも》くする|者《もの》よ」。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|負債者《ふさいしゃ》は、にわかに|興《おこ》らないであろうか。 あなたを|激《はげ》しくゆすぶる|者《もの》は|目《め》ざめないであろうか。 その|時《とき》あなたは|彼《かれ》らにかすめられる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|多《おお》くの|国民《こくみん》をかすめたゆえ、 そのもろもろの|民《たみ》の|残《のこ》れる|者《もの》は|皆《みな》あなたをかすめる。 これは|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》し、 |国《くに》と|町《まち》と、その|中《なか》に|住《す》むすべての|者《もの》に |暴虐《ぼうぎゃく》を|行《おこな》ったからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 |災《わざわい》の|手《て》を|免《まぬか》れるために|高《たか》い|所《ところ》に|巣《す》を|構《かま》えようと、 おのが|家《いえ》のために|不義《ふぎ》の|利《り》を|取《と》る|者《もの》よ。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|事《こと》をはかって|自分《じぶん》の|家《いえ》に|恥《はじ》を|招《まね》き、 |多《おお》くの|民《たみ》を|滅《ほろ》ぼして、|自分《じぶん》の|生命《せいめい》を|失《うしな》った。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|石《いし》は|石《いし》がきから|叫《さけ》び、 |梁《はり》は|建物《たてもの》からこれに|答《こた》えるからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 |血《ち》をもって|町《まち》を|建《た》て、 |悪《あく》をもって|町《まち》を|築《きず》く|者《もの》よ。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、もろもろの|民《たみ》は|火《ひ》のために|労《ろう》し、 もろもろの|国《くに》びとはむなしい|事《こと》のために|疲《つか》れる。 これは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》から|出《で》る|言葉《ことば》ではないか。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》が|水《みず》でおおわれているように、 |地《ち》は|主《しゅ》の|栄光《えいこう》の|知識《ちしき》で|満《み》たされるからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 その|隣《とな》り|人《びと》に|怒《いか》りの|杯《はい》を|飲《の》ませて、これを|酔《よ》わせ、 |彼《かれ》らの|隠《かく》し|所《どころ》を|見《み》ようとする|者《もの》よ。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|誉《ほまれ》の|代《かわ》りに|恥《はじ》に|飽《あ》き、 あなたもまた|飲《の》んでよろめけ。 |主《しゅ》の|右《みぎ》の|手《て》の|杯《はい》は、あなたに|巡《めぐ》り|来《く》る。 |恥《はじ》はあなたの|誉《ほまれ》に|代《かわ》る。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがレバノンになした|暴虐《ぼうぎゃく》は、あなたを|倒《たお》し、 |獣《けもの》のような|滅亡《めつぼう》は、あなたを|恐《おそ》れさせる。 これは|人《ひと》の|血《ち》を|流《なが》し、 |国《くに》と|町《まち》と、|町《まち》の|中《なか》に|住《す》むすべての|者《もの》に、 |暴虐《ぼうぎゃく》を|行《おこな》ったからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|刻《きざ》める|像《ぞう》、|鋳《ちゅう》|像《ぞう》および|偽《いつわ》りを|教《おし》える|者《もの》は、 その|作者《さくしゃ》がこれを|刻《きざ》んだとてなんの|益《えき》があろうか。 その|作者《さくしゃ》が|物言《ものい》わぬ|偶像《ぐうぞう》を|造《つく》って、 その|造《つく》ったものに|頼《たの》んでみても、 なんの|益《えき》があろうか。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 |木《き》に|向《む》かって、さめよと|言《い》い、 |物言《ものい》わぬ|石《いし》に|向《む》かって、|起《お》きよと|言《い》う|者《もの》よ。 これは|黙示《もくし》を|与《あた》え|得《え》ようか。 |見《み》よ、これは|金銀《きんぎん》をきせたもので、 その|中《なか》には|命《いのち》の|息《いき》は|少《すこ》しもない。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]しかし、|主《しゅ》はその|聖《せい》なる|宮《みや》にいます、 |全《ぜん》|地《ち》はそのみ|前《まえ》に|沈黙《ちんもく》せよ。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]シギヨノテの|調《しら》べによる、 |預言者《よげんしゃ》ハバククの|祈《いのり》。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、わたしはあなたのことを|聞《き》きました。 |主《しゅ》よ、わたしはあなたのみわざを|見《み》て|恐《おそ》れます。 この|年《とし》のうちにこれを|新《あら》たにし、 この|年《とし》のうちにこれを|知《し》らせてください。 |怒《いか》る|時《とき》にもあわれみを|思《おも》いおこしてください。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|神《かみ》はテマンからこられ、 |聖者《せいじゃ》はパランの|山《やま》からこられた。 その|栄光《えいこう》は|天《てん》をおおい、 そのさんびは|地《ち》に|満《み》ちた。〔セラ [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|輝《かがや》きは|光《ひかり》のようであり、 その|光《ひかり》は|彼《かれ》の|手《て》からほとばしる。 かしこにその|力《ちから》を|隠《かく》す。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|疫病《えきびょう》はその|前《まえ》に|行《い》き、|熱病《ねつびょう》はその|後《うしろ》に|従《したが》う。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|立《た》って、|地《ち》をはかり、 |彼《かれ》は|見《み》て、|諸《しょ》|国民《こくみん》をおののかせられる。 とこしえの|山《やま》は|散《ち》らされ、|永遠《えいえん》の|丘《おか》は|沈《しず》む。 |彼《かれ》の|道《みち》は|昔《むかし》のとおりである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|見《み》ると、クシャンの|天幕《てんまく》に|悩《なや》みがあり、 ミデアンの|国《くに》の|幕《まく》は|震《ふる》う。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》よ、あなたが|馬《うま》に|乗《の》り、 |勝利《しょうり》の|戦車《せんしゃ》に|乗《の》られる|時《とき》、 あなたは|川《かわ》に|向《む》かって|怒《いか》られるのか。 |川《かわ》に|向《む》かって|憤《いきどお》られるのか。 あるいは|海《うみ》に|向《む》かって|立腹《りっぷく》されるのか。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|弓《ゆみ》は|取《と》り|出《だ》された。 |矢《や》は、|弦《つる》につがえられた。〔セラ あなたは|川《かわ》をもって|地《ち》を|裂《さ》かれた。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|山々《やまやま》はあなたを|見《み》て|震《ふる》い、 |荒《あ》れ|狂《くる》う|水《みず》は|流《なが》れいで、 |淵《ふち》は|声《こえ》を|出《だ》して、その|手《て》を|高《たか》くあげた。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|飛《と》び|行《ゆ》くあなたの|矢《や》の|光《ひかり》のために、 |電光《でんこう》のようにきらめく、あなたのやりのために、 |日《ひ》も|月《つき》もそのすみかに|立《た》ち|止《ど》まった。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|憤《いきどお》って|地《ち》を|行《ゆ》きめぐり、 |怒《いか》って|諸《しょ》|国民《こくみん》を|踏《ふ》みつけられた。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたの|民《たみ》を|救《すく》うため、 あなたの|油《あぶら》そそいだ|者《もの》を|救《すく》うために|出《で》て|行《い》かれた。 あなたは|悪《あ》しき|者《もの》の|頭《あたま》を|砕《くだ》き、 |彼《かれ》を|腰《こし》から|首《くび》まで|裸《はだか》にされた。〔セラ [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたのやりで|将軍《しょうぐん》の|首《くび》を|刺《さ》しとおされた。 |彼《かれ》らはわたしを|散《ち》らそうとして、 つむじ|風《かぜ》のように|来《き》、 |貧《まず》しい|者《もの》をひそかに、のみ|滅《ほろ》ぼすことを|楽《たの》しみとした。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]あなたはあなたの|馬《うま》を|使《つか》って、 |海《うみ》と|大水《おおみず》のさかまくところを|踏《ふ》みつけられた。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|聞《き》いて、わたしのからだはわななき、 わたしのくちびるはその|声《こえ》を|聞《き》いて|震《ふる》える。 |腐《くさ》れはわたしの|骨《ほね》に|入《はい》り、 わたしの|歩《あゆ》みは、わたしの|下《した》によろめく。 わたしはわれわれに|攻《せ》め|寄《よ》せる|民《たみ》の|上《うえ》に |悩《なや》みの|日《ひ》の|臨《のぞ》むのを|静《しず》かに|待《ま》とう。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]いちじくの|木《き》は|花《はな》|咲《さ》かず、 ぶどうの|木《き》は|実《みの》らず、 オリブの|木《き》の|産《さん》はむなしくなり、 |田畑《たはた》は|食物《しょくもつ》を|生《しょう》ぜず、 おりには|羊《ひつじ》が|絶《た》え、 |牛舎《ぎゅうしゃ》には|牛《うし》がいなくなる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]しかし、わたしは|主《しゅ》によって|楽《たの》しみ、 わが|救《すくい》の|神《かみ》によって|喜《よろこ》ぶ。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》はわたしの|力《ちから》であって、 わたしの|足《あし》を|雌《め》じかの|足《あし》のようにし、 わたしに|高《たか》い|所《ところ》を|歩《あゆ》ませられる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] これを|琴《こと》に|合《あ》わせ、 |聖歌《せいか》|隊《たい》の|指揮者《しきしゃ》によって|歌《うた》わせる。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] ゼパニヤ書[#「ゼパニヤ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|王《おう》アモンの|子《こ》ヨシヤの|世《よ》に、ゼパニヤに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》。ゼパニヤはクシの|子《こ》、クシはゲダリヤの|子《こ》、ゲダリヤはアマリヤの|子《こ》、アマリヤはヒゼキヤの|子《こ》である。 [#ここから2字下げ] [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「わたしは|地《ち》のおもてからすべてのものを|一掃《いっそう》する」。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「わたしは|人《ひと》も|獣《けもの》も|一掃《いっそう》し、 |空《そら》の|鳥《とり》、|海《うみ》の|魚《うお》をも|一掃《いっそう》する。 わたしは|悪人《あくにん》を|倒《たお》す。 わたしは|地《ち》のおもてから|人《ひと》を|絶《た》ち|滅《ほろ》ぼす」。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはユダとエルサレムの すべての|住民《じゅうみん》との|上《うえ》に|手《て》を|伸《の》べる。 わたしはこの|所《ところ》からバアルの|残党《ざんとう》と、 |偶像《ぐうぞう》の|祭司《さいし》の|名《な》とを|断《た》つ。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]また|屋上《おくじょう》で|天《てん》の|万象《ばんしょう》を|拝《おが》む|者《もの》、 |主《しゅ》に|誓《ちか》いを|立《た》てて|拝《おが》みながら、 またミルコムをさして|誓《ちか》う|者《もの》、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》にそむいて|従《したが》わない|者《もの》、 |主《しゅ》を|求《もと》めず、|主《しゅ》を|尋《たず》ねない|者《もの》を|断《た》つ」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なる|神《かみ》の|前《まえ》に|沈黙《ちんもく》せよ。 |主《しゅ》の|日《ひ》は|近《ちか》づき、 |主《しゅ》はすでに|犠牲《ぎせい》を|備《そな》え、 その|招《まね》いた|者《もの》を|聖別《せいべつ》されたからである。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|犠牲《ぎせい》をささげる|日《ひ》に、 「わたしはつかさたちと|王《おう》の|子《こ》たち、 およびすべて|異邦《いほう》の|衣服《いふく》を|着《き》る|者《もの》を|罰《ばっ》する。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》にわたしはまた、すべて|敷居《しきい》をとび|越《こ》え、 |暴虐《ぼうぎゃく》と|欺《あざむ》きとを|自分《じぶん》の|主君《しゅくん》の|家《いえ》に|満《み》たす|者《もの》を|罰《ばっ》する」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「その|日《ひ》には|魚《うお》の|門《もん》から|叫《さけ》び|声《ごえ》がおこり、 |第《だい》二の|町《まち》からうめき|声《ごえ》がおこり、 もろもろの|丘《おか》からすさまじい|響《ひび》きがおこる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しっくいの|家《いえ》の|住民《じゅうみん》よ、|泣《な》き|叫《さけ》べ。 あきないする|民《たみ》は|皆《みな》|滅《ほろ》ぼされ、 |銀《ぎん》を|量《はか》る|者《もの》は|皆《みな》|断《た》たれるからである。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、わたしはともしびをもって、 エルサレムを|尋《たず》ねる。 そして|滓《おり》の|上《うえ》に|凝《こ》り|固《かた》まり、 その|心《こころ》の|中《なか》で 『|主《しゅ》は|良《よ》いことも、|悪《わる》いこともしない』と |言《い》う|人々《ひとびと》をわたしは|罰《ばっ》する。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|財宝《ざいほう》はかすめられ、 |彼《かれ》らの|家《いえ》は|荒《あ》れはてる。 |彼《かれ》らは|家《いえ》を|建《た》てても、それに|住《す》むことができない、 ぶどう|畑《はたけ》を|作《つく》っても、そのぶどう|酒《しゅ》を|飲《の》むことができない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|大《おお》いなる|日《ひ》は|近《ちか》い、 |近《ちか》づいて、すみやかに|来《く》る。 |主《しゅ》の|日《ひ》の|声《こえ》は|耳《みみ》にいたい。 そこに、|勇士《ゆうし》もいたく|叫《さけ》ぶ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》は|怒《いか》りの|日《ひ》、 なやみと|苦《くる》しみの|日《ひ》、 |荒《あ》れ、また|滅《ほろ》びる|日《ひ》、 |暗《くら》く、|薄暗《うすぐら》い|日《ひ》、 |雲《くも》と|黒雲《くろくも》の|日《ひ》、 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]ラッパとときの|声《こえ》の|日《ひ》、 |堅固《けんご》な|町《まち》と|高《たか》いやぐらを|攻《せ》める|日《ひ》である。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|人々《ひとびと》になやみを|下《くだ》して、 |盲人《もうじん》のように|歩《ある》かせる。 |彼《かれ》らが|主《しゅ》に|対《たい》して|罪《つみ》を|犯《おか》したからである。 |彼《かれ》らの|血《ち》はちりのように|流《なが》され、 |彼《かれ》らの|肉《にく》は|糞土《ふんど》のように|捨《す》てられる。 [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らの|銀《ぎん》も|金《きん》も、 |主《しゅ》の|怒《いか》りの|日《ひ》には|彼《かれ》らを|救《すく》うことができない。 |全《ぜん》|地《ち》は|主《しゅ》のねたみの|火《ひ》にのまれる。 |主《しゅ》は|地《ち》に|住《す》む|人々《ひとびと》をたちまち|滅《ほろ》ぼし|尽《つく》される。 [#ここで字下げ終わり] 第二章[#「第二章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがた、|恥《はじ》を|知《し》らぬ|民《たみ》よ、 |共《とも》につどい、|集《あつ》まれ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]すなわち、もみがらのように|追《お》いやられる|前《まえ》に、 |主《しゅ》の|激《はげ》しい|怒《いか》りがまだあなたがたに|臨《のぞ》まない|前《まえ》に、 |主《しゅ》の|憤《いきどお》りの|日《ひ》がまだあなたがたに|来《き》ない|前《まえ》に。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|主《しゅ》の|命令《めいれい》を|行《おこな》うこの|地《ち》のへりくだる|者《もの》よ、 |主《しゅ》を|求《もと》めよ。 |正義《せいぎ》を|求《もと》めよ。 |謙遜《けんそん》を|求《もと》めよ。 そうすればあなたがたは|主《しゅ》の|怒《いか》りの|日《ひ》に、 あるいは|隠《かく》されることがあろう。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]ともあれ、ガザは|捨《す》てられ、 アシケロンは|荒《あ》れはて、 アシドドは|真昼《まひる》に|追《お》い|払《はら》われ、 エクロンは|抜《ぬ》き|去《さ》られる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 |海《うみ》べに|住《す》む|者《もの》、ケレテの|国民《こくみん》。 ペリシテびとの|地《ち》、カナンよ、 |主《しゅ》の|言葉《ことば》があなたがたに|臨《のぞ》む。 わたしはあなたを|滅《ほろ》ぼして、 |住《す》む|者《もの》がないようにする。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》べよ、あなたは|牧場《まきば》となり、 |羊飼《ひつじかい》の|牧草《ぼくそう》|地《ち》となり、 また|羊《ひつじ》のおりとなる。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|海《うみ》べはユダの|家《いえ》の|残《のこ》りの|者《もの》に|帰《き》する。 |彼《かれ》らはその|所《ところ》で|群《む》れを|養《やしな》い、 |夕暮《ゆうぐれ》にはアシケロンの|家《いえ》に|伏《ふ》す。 |彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》が|彼《かれ》らを|顧《かえり》み、 その|幸福《こうふく》を|回復《かいふく》されるからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはモアブのあざけりと、 アンモンの|人々《ひとびと》の、ののしりを|聞《き》いた。 |彼《かれ》らはわが|民《たみ》をあざけり、 |自《みずか》ら|誇《ほこ》って|彼《かれ》らの|国境《こっきょう》を|侵《おか》した。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》、イスラエルの|神《かみ》は|言《い》われる、 わたしは|生《い》きている。 モアブは|必《かなら》ずソドムのようになる。 アンモンの|人々《ひとびと》はゴモラのようになる。 いらくさと|塩《しお》|穴《あな》とがここを|占領《せんりょう》して、 |永遠《えいえん》に|荒《あ》れ|地《ち》となる。 わが|民《たみ》の|残《のこ》りの|者《もの》は|彼《かれ》らをかすめ、 わが|国民《くにたみ》の|残《のこ》りの|者《もの》はこれを|所有《しょゆう》する」。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|事《こと》の|彼《かれ》らに|臨《のぞ》むのはその|高《たか》ぶりによるのだ。 |彼《かれ》らが|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|民《たみ》をあざけり、 みずから|誇《ほこ》ったからである。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|彼《かれ》らに|対《たい》して|恐《おそ》るべき|者《もの》となられる。 |主《しゅ》は|地《ち》のすべての|神々《かみがみ》を|飢《う》えさせられる。 もろもろの|国《くに》の|民《たみ》は、 おのおの|自分《じぶん》の|所《ところ》から|出《で》て|主《しゅ》を|拝《おが》む。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エチオピヤびとよ、あなたがたもまた わがつるぎによって|殺《ころ》される。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまた|北《きた》に|向《む》かって|手《て》を|伸《の》べ、 アッスリヤを|滅《ほろ》ぼし、 ニネベを|荒《あら》して、 |荒野《あらの》のような、かわいた|地《ち》とされる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|家畜《かちく》の|群《む》れ、もろもろの|野《の》の|獣《けもの》はその|中《なか》に|伏《ふ》し、 はげたかや、やまあらしはその|柱《はしら》の|頂《いただき》に|住《す》み、 ふくろうは、その|窓《まど》のうちになき、 からすは、その|敷居《しきい》の|上《うえ》に|鳴《な》く。 その|香柏《こうはく》の|細工《さいく》が|裸《はだか》にされるからである。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]この|町《まち》は|勝《か》ち|誇《ほこ》って、|安《やす》らかに|落《お》ち|着《つ》き、 その|心《こころ》の|中《なか》で、 「ただわたしだけだ、わたしの|外《ほか》にはだれもない」と |言《い》った|町《まち》であるが、 このように|荒《あ》れはてて、 |獣《けもの》の|伏《ふ》す|所《ところ》になってしまった。 ここを|通《とお》り|過《す》ぎる|者《もの》は |皆《みな》あざけって、|手《て》を|振《ふ》る。 [#ここで字下げ終わり] 第三章[#「第三章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わざわいなるかな、 このそむき|汚《けが》れた|暴虐《ぼうぎゃく》の|町《まち》。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これはだれの|声《こえ》にも|耳《みみ》を|傾《かたむ》けず、 |懲《こら》しめを|受《う》けいれず、 |主《しゅ》に|寄《よ》り|頼《たの》まず、 おのれの|神《かみ》に|近《ちか》よらない。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》にいるつかさたちは、ほえるしし、 そのさばきびとたちは、|夜《よる》のおおかみで、 |彼《かれ》らは|朝《あさ》まで|何《なに》一つ|残《のこ》さない。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|預言者《よげんしゃ》たちは、|放縦《ほうじゅう》で|偽《いつわ》りびと、 その|祭司《さいし》たちは|聖《せい》なる|物《もの》を|汚《けが》し、|律法《りっぽう》を|破《やぶ》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》にいます|主《しゅ》は|義《ぎ》であって、|不義《ふぎ》を|行《おこな》われない。 |朝《あさ》ごとにその|公義《こうぎ》を|現《あらわ》して、|誤《あやま》ることがない。 しかし|不義《ふぎ》な|者《もの》は|恥《はじ》を|知《し》らない。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|諸《しょ》|国民《こくみん》を|滅《ほろ》ぼした。 そのやぐらは|荒《あ》れはてた。 わたしはそのちまたを|荒《あら》したので、 ちまたを|行《い》き|来《き》する|者《もの》もない。 その|町々《まちまち》は|荒《あ》れすたれて、 |人《ひと》の|姿《すがた》もなく、|住《す》む|者《もの》もない。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、 『これは|必《かなら》ずわたしを|恐《おそ》れ、|懲《こら》しめを|受《う》ける。 これはわたしが|命《めい》じたすべての|事《こと》を|見失《みうしな》わない』と。 しかし|彼《かれ》らはしきりに|自分《じぶん》の|行状《ぎょうじょう》を|乱《みだ》した」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、 「それゆえ、あなたがたは、わたしが|立《た》って、 |証言《しょうげん》する|日《ひ》を|待《ま》て。 わたしの|決意《けつい》は|諸《しょ》|国民《こくみん》をよせ|集《あつ》め、 もろもろの|国《くに》を|集《あつ》めて、 わが|憤《いきどお》り、わが|激《はげ》しい|怒《いか》りを ことごとくその|上《うえ》に|注《そそ》ぐことであって、 |全《ぜん》|地《ち》は、ねたむわたしの|怒《いか》りの|火《ひ》に |焼《や》き|滅《ほろ》ぼされるからである。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしはもろもろの|民《たみ》に|清《きよ》きくちびるを|与《あた》え、 すべて|彼《かれ》らに|主《しゅ》の|名《な》を|呼《よ》ばせ、 |心《こころ》を一つにして|主《しゅ》に|仕《つか》えさせる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしを|拝《おが》む|者《もの》、 わたしが|散《ち》らした|者《もの》の|娘《むすめ》は エチオピヤの|川々《かわがわ》の|向《む》こうから|来《き》て、 わたしに|供《そな》え|物《もの》をささげる。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、 あなたはわたしにそむいたすべてのわざのゆえに、 はずかしめられることはない。 その|時《とき》わたしはあなたのうちから、 |高《たか》ぶって|誇《ほこ》る|者《もの》どもを|除《のぞ》くゆえ、 あなたは|重《かさ》ねてわが|聖《せい》なる|山《やま》で、|高《たか》ぶることはない。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|柔和《にゅうわ》にしてへりくだる|民《たみ》を、 あなたのうちに|残《のこ》す。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》の|名《な》を|避《さ》け|所《どころ》とする。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|残《のこ》りの|者《もの》は|不義《ふぎ》を|行《おこな》わず、|偽《いつわ》りを|言《い》わず、 その|口《くち》には|欺《あざむ》きの|舌《した》を|見《み》ない。 それゆえ、|彼《かれ》らは|食《しょく》を|得《え》て|伏《ふ》し、 |彼《かれ》らをおびやかす|者《もの》はいない」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》よ、|喜《よろこ》び|歌《うた》え。 イスラエルよ、|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわれ。 エルサレムの|娘《むすめ》よ、|心《こころ》のかぎり|喜《よろこ》び|楽《たの》しめ。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はあなたを|訴《うった》える|者《もの》を|取《と》り|去《さ》り、 あなたの|敵《てき》を|追《お》い|払《はら》われた。 イスラエルの|王《おう》なる|主《しゅ》はあなたのうちにいます。 あなたはもはや|災《わざわい》を|恐《おそ》れることはない。 [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|人々《ひとびと》はエルサレムに|向《む》かって|言《い》う、 「シオンよ、|恐《おそ》れるな。 あなたの|手《て》を|弱々《よわよわ》しくたれるな。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたの|神《かみ》、|主《しゅ》はあなたのうちにいまし、 |勇士《ゆうし》であって、|勝利《しょうり》を|与《あた》えられる。 |彼《かれ》はあなたのために|喜《よろこ》び|楽《たの》しみ、 その|愛《あい》によってあなたを|新《あらた》にし、 |祭《まつり》の|日《ひ》のようにあなたのために|喜《よろこ》び|呼《よ》ばわられる」。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]「わたしはあなたから|悩《なや》みを|取《と》り|去《さ》る。 あなたは|恥《はじ》を|受《う》けることはない。 [#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、その|時《とき》あなたをしえたげる|者《もの》を わたしはことごとく|処分《しょぶん》し、 |足《あし》なえを|救《すく》い、|追《お》いやられた|者《もの》を|集《あつ》め、 |彼《かれ》らの|恥《はじ》を|誉《ほまれ》にかえ、 |全《ぜん》|地《ち》にほめられるようにする。 [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、わたしはあなたがたを|連《つ》れかえる。 わたしがあなたがたを|集《あつ》めるとき、 わたしがあなたがたの|目《め》の|前《まえ》に、 あなたがたの|幸福《こうふく》を|回復《かいふく》するとき、 |地《ち》のすべての|民《たみ》の|中《なか》で、 あなたがたに|名《な》を|得《え》させ、|誉《ほまれ》を|得《え》させる」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] [#改ページ] ハガイ書[#「ハガイ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨス|王《おう》の二|年《ねん》六|月《がつ》、その|月《つき》の一|日《にち》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|預言者《よげんしゃ》ハガイによって、シャルテルの|子《こ》、ユダの|総督《そうとく》ゼルバベル、およびヨザダクの|子《こ》、|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュアに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、この|民《たみ》は、|主《しゅ》の|家《いえ》を|再《ふたた》び|建《た》てる|時《とき》は、まだこないと|言《い》っている」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]そこで、|主《しゅ》の|言葉《ことば》はまた|預言者《よげんしゃ》ハガイに|臨《のぞ》んだ、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》の|家《いえ》はこのように|荒《あ》れはてているのに、あなたがたは、みずから|板《いた》で|張《は》った|家《いえ》に|住《す》んでいる|時《とき》であろうか。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]それで|今《いま》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、あなたがたは|自分《じぶん》のなすべきことをよく|考《かんが》えるがよい。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|多《おお》くまいても、|取入《とりい》れは|少《すく》なく、|食《た》べても、|飽《あ》きることはない。|飲《の》んでも、|満《み》たされない。|着《き》ても、|暖《あたた》まらない。|賃銀《ちんぎん》を|得《え》ても、これを|破《やぶ》れた|袋《ふくろ》に|入《い》れているようなものである。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、あなたがたは、|自分《じぶん》のなすべきことを|考《かんが》えるがよい。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|山《やま》に|登《のぼ》り、|木《き》を|持《も》ってきて|主《しゅ》の|家《いえ》を|建《た》てよ。そうすればわたしはこれを|喜《よろこ》び、かつ|栄光《えいこう》のうちに|現《あらわ》れると|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|多《おお》くを|望《のぞ》んだが、|見《み》よ、それは|少《すく》なかった。あなたがたが|家《いえ》に|持《も》ってきたとき、わたしはそれを|吹《ふ》き|払《はら》った。これは|何《なに》ゆえであるかと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。これはわたしの|家《いえ》が|荒《あ》れはてているのに、あなたがたは、おのおの|自分《じぶん》の|家《いえ》の|事《こと》だけに、|忙《いそが》しくしている。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、あなたがたの|上《うえ》の|天《てん》は|露《つゆ》をさし|止《と》め、|地《ち》はその|産物《さんぶつ》をさし|止《と》めた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]また、わたしは|地《ち》にも、|山《やま》にも、|穀物《こくもつ》にも、|新《あたら》しい|酒《さけ》にも、|油《あぶら》にも、|地《ち》に|生《しょう》じるものにも、|人間《にんげん》にも、|家畜《かちく》にも、|手《て》で|作《つく》るすべての|作物《さくもつ》にも、ひでりを|呼《よ》び|寄《よ》せた」。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこで、シャルテルの|子《こ》ゼルバベルとヨザダクの|子《こ》、|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュアおよび|残《のこ》りのすべての|民《たみ》は、その|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》と、その|神《かみ》、|主《しゅ》のつかわされた|預言者《よげんしゃ》ハガイの|言葉《ことば》とに|聞《き》きしたがい、そして|民《たみ》は、|主《しゅ》の|前《まえ》に|恐《おそ》れかしこんだ。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に、|主《しゅ》の|使者《ししゃ》ハガイは|主《しゅ》の|命令《めいれい》により、|民《たみ》に|告《つ》げて|言《い》った、「わたしはあなたがたと|共《とも》にいると|主《しゅ》は|言《い》われる」。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そして|主《しゅ》は、シャルテルの|子《こ》、ユダの|総督《そうとく》ゼルバベルの|心《こころ》と、ヨザダクの|子《こ》、|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュアの|心《こころ》、および|残《のこ》りのすべての|民《たみ》の|心《こころ》を、|振《ふ》り|動《うご》かされたので、|彼《かれ》らは|来《き》て、その|神《かみ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|家《いえ》の|作業《さぎょう》にとりかかった。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]これは六|月《がつ》二十四|日《か》のことであった。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨス|王《おう》の二|年《ねん》の七|月《がつ》二十一|日《にち》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|預言者《よげんしゃ》ハガイに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「シャルテルの|子《こ》、ユダの|総督《そうとく》ゼルバベルと、ヨザダクの|子《こ》、|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュア、および|残《のこ》りのすべての|民《たみ》に|告《つ》げて|言《い》え、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]『あなたがた|残《のこ》りの|者《もの》のうち、|以前《いぜん》の|栄光《えいこう》に|輝《かがや》く|主《しゅ》の|家《いえ》を|見《み》た|者《もの》はだれか。あなたがたは|今《いま》、この|状態《じょうたい》をどう|思《おも》うか。これはあなたがたの|目《め》には、|無《む》にひとしいではないか。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、ゼルバベルよ、|勇気《ゆうき》を|出《だ》せ。ヨザダクの|子《こ》、|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュアよ、|勇気《ゆうき》を|出《だ》せ。|主《しゅ》は|言《い》われる。この|地《ち》のすべての|民《たみ》よ、|勇気《ゆうき》を|出《だ》せ。|働《はたら》け。わたしはあなたがたと|共《とも》にいると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これはあなたがたがエジプトから|出《で》た|時《とき》、わたしがあなたがたに、|約束《やくそく》した|言葉《ことば》である。わたしの|霊《れい》が、あなたがたのうちに|宿《やど》っている。|恐《おそ》れるな。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、しばらくして、いま|一度《いちど》、わたしは|天《てん》と、|地《ち》と、|海《うみ》と、かわいた|地《ち》とを|震《ふる》う。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|万国民《ばんこくみん》を|震《ふる》う。|万国民《ばんこくみん》の|財宝《ざいほう》は、はいって|来《き》て、わたしは|栄光《えいこう》をこの|家《いえ》に|満《み》たすと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|銀《ぎん》はわたしのもの、|金《きん》もわたしのものであると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|家《いえ》の|後《のち》の|栄光《えいこう》は、|前《まえ》の|栄光《えいこう》よりも|大《おお》きいと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。わたしはこの|所《ところ》に|繁栄《はんえい》を|与《あた》えると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる』」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨスの二|年《ねん》の九|月《がつ》二十四|日《か》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》が|預言者《よげんしゃ》ハガイに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|言《い》われる、|律法《りっぽう》について|祭司《さいし》たちに|尋《たず》ねて|言《い》え、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]『|人《ひと》がその|衣服《いふく》のすそで|聖《せい》なる|肉《にく》を|運《はこ》んで|行《い》き、そのすそがもし、パンまたはあつもの、または|酒《さけ》、または|油《あぶら》、またはどんな|食物《しょくもつ》にでもさわったなら、それらは|聖《せい》なるものとなるか』と」。|祭司《さいし》たちは「ならない」と|答《こた》えた。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ハガイはまた|言《い》った、「もし、|死体《したい》によって|汚《けが》れた|人《ひと》が、これらの|一《ひと》つにさわったなら、それは|汚《けが》れるか」。|祭司《さいし》たちは「|汚《けが》れる」と|答《こた》えた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで、ハガイは|言《い》った、「|主《しゅ》は|言《い》われる、この|民《たみ》も、この|国《くに》も、わたしの|前《まえ》では、そのようである。またその|手《て》のわざもそのようである。その|所《ところ》で|彼《かれ》らのささげるものは、|汚《けが》れたものである。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》、あなたがたはこの|日《ひ》から、|後《のち》の|事《こと》を|思《おも》うがよい。|主《しゅ》の|宮《みや》で|石《いし》の|上《うえ》に|石《いし》が|積《つ》まれなかった|前《まえ》、あなたがたは、どんなであったか。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あの|時《とき》には、二十|枡《ます》の|麦《むぎ》の|積《つ》まれる|所《ところ》に|行《い》ったが、わずかに十|枡《ます》を|得《え》、また五十|桶《おけ》をくもうとして、|酒《さか》ぶねに|行《い》ったが、二十|桶《おけ》を|得《え》たのみであった。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|立《た》ち|枯《が》れと、|腐《くさ》り|穂《ほ》と、ひょうをもってあなたがたと、あなたがたのすべての|手《て》のわざを|撃《う》った。しかし、あなたがたは、わたしに|帰《かえ》らなかったと|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはこの|日《ひ》より|後《のち》、すなわち、九|月《がつ》二十四|日《か》よりの|事《こと》を|思《おも》うがよい。また|主《しゅ》の|宮《みや》の|基《もとい》をすえた|日《ひ》から|後《のち》の|事《こと》を|心《こころ》にとめるがよい。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]|種《たね》はなお、|納屋《なや》にあるか。ぶどうの|木《き》、いちじくの|木《き》、ざくろの|木《き》、オリブの|木《き》もまだ|実《み》を|結《むす》ばない。しかし、わたしはこの|日《ひ》から、あなたがたに|恵《めぐ》みを|与《あた》える」。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]この|月《つき》の二十四|日《か》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がふたたびハガイに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]「ユダの|総督《そうとく》ゼルバベルに|告《つ》げて|言《い》え、わたしは|天《てん》と|地《ち》を|震《ふる》う。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|国々《くにぐに》の|王位《おうい》を|倒《たお》し、|異邦《いほう》の|国々《くにぐに》の|力《ちから》を|滅《ほろ》ぼし、また|戦車《せんしゃ》、およびこれに|乗《の》る|者《もの》を|倒《たお》す。|馬《うま》およびこれに|乗《の》る|者《もの》は、たがいにその|仲間《なかま》のつるぎによって|倒《たお》れる。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、シャルテルの|子《こ》、わがしもべゼルバベルよ、|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》、わたしはあなたを|立《た》て、あなたを|印章《いんしょう》のようにする。わたしはあなたを|選《えら》んだからであると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる」。 [#改ページ] ゼカリヤ書[#「ゼカリヤ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨスの|第《だい》二|年《ねん》の八|月《がつ》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がイドの|子《こ》ベレキヤの|子《こ》である|預言者《よげんしゃ》ゼカリヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|主《しゅ》はあなたがたの|先祖《せんぞ》たちに|対《たい》して、いたくお|怒《いか》りになった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられると、|彼《かれ》らに|告《つ》げよ。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、わたしに|帰《かえ》れ、そうすれば、わたしもあなたがたに|帰《かえ》ろうと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|先祖《せんぞ》たちのようであってはならない。|先《さき》の|預言者《よげんしゃ》たちは、|彼《かれ》らにむかって|叫《さけ》んで|言《い》った、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|悪《わる》い|道《みち》を|離《はな》れ、|悪《わる》いおこないを|捨《す》てて|帰《かえ》れ』と。しかし|彼《かれ》らは|聞《き》きいれず、|耳《みみ》をわたしに|傾《かたむ》けなかったと|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|先祖《せんぞ》たち、|彼《かれ》らはどこにいるか。|預言者《よげんしゃ》たち、|彼《かれ》らは|永遠《えいえん》に|生《い》きているのか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]しかしわたしのしもべである|預言者《よげんしゃ》たちに|命《めい》じたわが|言葉《ことば》と、わが|定《さだ》めとは、あなたがたの|先祖《せんぞ》たちに|及《およ》んだではないか。それで|彼《かれ》らは|立《た》ち|返《かえ》って|言《い》った、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》がわれわれの|道《みち》にしたがい、おこないに|従《したが》って、われわれに、なそうと|思《おも》い|定《さだ》められたように、そのとおりされたのだ』と」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨスの|第《だい》二|年《ねん》の十一|月《がつ》、すなわちセバテという|月《つき》の二十四|日《か》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がイドの|子《こ》ベレキヤの|子《こ》である|預言者《よげんしゃ》ゼカリヤに|臨《のぞ》んだ。そしてゼカリヤは|言《い》った、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは|夜《よる》、|見《み》ていると、ひとりの|人《ひと》が|赤《あか》|馬《うま》に|乗《の》って、|谷間《たにま》にあるミルトスの|木《き》の|中《なか》に|立《た》ち、その|後《うしろ》に|赤《あか》|馬《うま》、|栗毛《くりげ》の|馬《うま》、|白馬《しろうま》がいた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしが『わが|主《しゅ》よ、これらはなんですか』と|尋《たず》ねると、わたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》は|言《い》った、『これがなんであるか、あなたに|示《しめ》しましょう』。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]すると、ミルトスの|木《き》の|中《なか》に|立《た》っている|人《ひと》が|答《こた》えて、『これらは|地《ち》を|見回《みまわ》らせるために、|主《しゅ》がつかわされた|者《もの》です』と|言《い》うと、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らは|答《こた》えて、ミルトスの|中《なか》に|立《た》っている|主《しゅ》の|使《つかい》に|言《い》った、『われわれは|地《ち》を|見回《みまわ》ったが、|全《ぜん》|地《ち》はすべて|平穏《へいおん》です』。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]すると|主《しゅ》の|使《つかい》は|言《い》った、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》よ、あなたは、いつまでエルサレムとユダの|町々《まちまち》とを、あわれんで|下《くだ》さらないのですか。あなたはお|怒《いか》りになって、すでに七十|年《ねん》になりました』。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》に、ねんごろな|慰《なぐさ》めの|言葉《ことば》をもって|答《こた》えられた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そこで、わたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》は|言《い》った、『あなたは|呼《よ》ばわって|言《い》いなさい。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、わたしはエルサレムのため、シオンのために、|大《おお》いなるねたみを|起《おこ》し、[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|安《やす》らかにいる|国々《くにぐに》の|民《たみ》に|対《たい》して、|大《おお》いに|怒《いか》る。なぜなら、わたしが|少《すこ》しばかり|怒《いか》ったのに、|彼《かれ》らは、|大《おお》いにこれを|悩《なや》ましたからであると。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]それゆえ、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、わたしはあわれみをもってエルサレムに|帰《かえ》る。わたしの|家《いえ》はその|中《なか》に|建《た》てられ、|測《はか》りなわはエルサレムに|張《は》られると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられます。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたはまた|呼《よ》ばわって|言《い》いなさい。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられます、わが|町々《まちまち》は|再《ふたた》び|良《よ》い|物《もの》で|満《み》ちあふれ、|主《しゅ》は|再《ふたた》びシオンを|慰《なぐさ》め、|再《ふたた》びエルサレムを|選《えら》ぶ』と」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]わたしが|目《め》をあげて|見《み》ていると、|見《み》よ、四つの|角《つの》があった。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]わたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》に「これらはなんですか」と|言《い》うと、|彼《かれ》は|答《こた》えて|言《い》った、「これらはユダ、イスラエルおよびエルサレムを|散《ち》らした|角《つの》です」。[#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》は四|人《にん》の|鍛冶《かじ》をわたしに|示《しめ》された。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]わたしが「これらは|何《なに》をするために|来《き》たのですか」と|言《い》うと、|彼《かれ》は|答《こた》えた、「これらの|角《つの》はユダを|散《ち》らして、|人《ひと》にその|頭《あたま》をあげさせなかったものですが、この四|人《にん》の|者《もの》が|来《き》たのは|彼《かれ》らをおどし、かのユダの|地《ち》にむかって|角《つの》をあげ、これを|散《ち》らした|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|角《つの》を|投《な》げうつためです」。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]またわたしが|目《め》をあげて|見《み》ていると、|見《み》よ、ひとりの|人《ひと》が、|測《はか》りなわを|手《て》に|持《も》っているので、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「あなたはどこへ|行《い》くのですか」と|尋《たず》ねると、その|人《ひと》はわたしに|言《い》った、「エルサレムを|測《はか》って、その|広《ひろ》さと、|長《なが》さを|見《み》ようとするのです」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すると|見《み》よ、わたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》が|出《で》て|行《い》くと、またひとりの|天《てん》の|使《つかい》が|出《で》てきて、これに|出会《であ》って、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|言《い》った、「|走《はし》って|行《い》って、あの|若《わか》い|人《ひと》に|言《い》いなさい、『エルサレムはその|中《なか》に、|人《ひと》と|家畜《かちく》が|多《おお》くなるので、|城壁《じょうへき》のない|村里《むらざと》のように、|人《ひと》の|住《す》む|所《ところ》となるでしょう。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられます、わたしはその|周囲《しゅうい》で|火《ひ》の|城壁《じょうへき》となり、その|中《なか》で|栄光《えいこう》となる』と」。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、さあ、|北《きた》の|地《ち》から|逃《に》げて|来《き》なさい。わたしはあなたがたを、|天《てん》の|四方《しほう》の|風《かぜ》のように|散《ち》らしたからである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]さあ、バビロンの|娘《むすめ》と|共《とも》にいる|者《もの》よ、シオンにのがれなさい。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたにさわる|者《もの》は、|彼《かれ》の|目《め》の|玉《たま》にさわるのであるから、あなたがたを|捕《とら》えていった|国々《くにぐに》の|民《たみ》に、その|栄光《えいこう》にしたがって、わたしをつかわされた|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、わたしは|彼《かれ》らの|上《うえ》に|手《て》を|振《ふ》る。|彼《かれ》らは|自分《じぶん》に|仕《つか》えた|者《もの》のとりことなる。その|時《とき》あなたがたは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が、わたしをつかわされたことを|知《し》る。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、シオンの|娘《むすめ》よ、|喜《よろこ》び|歌《うた》え。わたしが|来《き》て、あなたの|中《なか》に|住《す》むからである。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|多《おお》くの|国民《こくみん》が|主《しゅ》に|連《つら》なって、わたしの|民《たみ》となる。わたしはあなたの|中《なか》に|住《す》む。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]あなたは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が、わたしをあなたにつかわされたことを|知《し》る。|主《しゅ》は|聖地《せいち》で、ユダを|自分《じぶん》の|分《ぶん》として|取《と》り、エルサレムを|再《ふたた》び|選《えら》ばれるであろう」。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すべて|肉《にく》なる|者《もの》よ、|主《しゅ》の|前《まえ》に|静《しず》まれ。|主《しゅ》はその|聖《せい》なるすみかから|立《た》ちあがられたからである。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|時《とき》に|主《しゅ》は|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュアが、|主《しゅ》の|使《つかい》の|前《まえ》に|立《た》ち、サタンがその|右《みぎ》に|立《た》って、これを|訴《うった》えているのをわたしに|示《しめ》された。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はサタンに|言《い》われた、「サタンよ、|主《しゅ》はあなたを|責《せ》めるのだ。すなわちエルサレムを|選《えら》んだ|主《しゅ》はあなたを|責《せ》めるのだ。これは|火《ひ》の|中《なか》から|取《と》り|出《だ》した|燃《も》えさしではないか」。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ヨシュアは|汚《けが》れた|衣《ころも》を|着《き》て、み|使《つかい》の|前《まえ》に|立《た》っていたが、[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]み|使《つかい》は|自分《じぶん》の|前《まえ》に|立《た》っている|者《もの》どもに|言《い》った、「|彼《かれ》の|汚《けが》れた|衣《ころも》を|脱《ぬ》がせなさい」。またヨシュアに|向《む》かって|言《い》った、「|見《み》よ、わたしはあなたの|罪《つみ》を|取《と》り|除《のぞ》いた。あなたに|祭服《さいふく》を|着《き》せよう」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|言《い》った、「|清《きよ》い|帽子《ぼうし》を|頭《あたま》にかぶらせなさい」。そこで|清《きよ》い|帽子《ぼうし》を|頭《あたま》にかぶらせ、|衣《ころも》を|彼《かれ》に|着《き》せた。|主《しゅ》の|使《つかい》はかたわらに|立《た》っていた。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|使《つかい》は、ヨシュアを|戒《いまし》めて|言《い》った、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、あなたがもし、わたしの|道《みち》に|歩《あゆ》み、わたしの|務《つとめ》を|守《まも》るならば、わたしの|家《いえ》をつかさどり、わたしの|庭《にわ》を|守《まも》ることができる。わたしはまた、ここに|立《た》っている|者《もの》どもの|中《なか》に|行《い》き|来《き》することを|得《え》させる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュアよ、あなたも、あなたの|前《まえ》にすわっている|同僚《どうりょう》たちも|聞《き》きなさい。|彼《かれ》らはよいしるしとなるべき|人々《ひとびと》だからである。|見《み》よ、わたしはわたしのしもべなる|枝《えだ》を|生《しょう》じさせよう。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、ヨシュアの|前《まえ》にわたしが|置《お》いた|石《いし》の|上《うえ》に、すなわち七つの|目《め》をもっているこの一つの|石《いし》の|上《うえ》に、わたしはみずから|文字《もじ》を|彫刻《ちょうこく》する。そしてわたしはこの|地《ち》の|罪《つみ》を、一|日《にち》の|内《うち》に|取《と》り|除《のぞ》く。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》には、あなたがたはめいめいその|隣《とな》り|人《びと》を|招《まね》いて、ぶどうの|木《き》の|下《した》、いちじくの|木《き》の|下《した》に|座《ざ》すのである」。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしと|語《かた》った|天《てん》の|使《つかい》がまた|来《き》て、わたしを|呼《よ》びさました。わたしは|眠《ねむ》りから|呼《よ》びさまされた|人《ひと》のようであった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしに|向《む》かって「|何《なに》を|見《み》るか」と|言《い》ったので、わたしは|言《い》った、「わたしが|見《み》ていると、すべて|金《きん》で|造《つく》られた|燭台《しょくだい》が一つあって、その|上《うえ》に|油《あぶら》を|入《い》れる|器《うつわ》があり、また|燭台《しょくだい》の|上《うえ》に七つのともしび|皿《さら》があり、そのともしび|皿《さら》は|燭台《しょくだい》の|上《うえ》にあって、これにおのおの七|本《ほん》ずつの|管《かん》があります。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また|燭台《しょくだい》のかたわらに、オリブの|木《き》が二|本《ほん》あって、一|本《ぽん》は|油《あぶら》をいれる|器《うつわ》の|右《みぎ》にあり、一|本《ぽん》はその|左《ひだり》にあります」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまたわたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》に|言《い》った、「わが|主《しゅ》よ、これらはなんですか」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》は|答《こた》えて、「あなたはそれがなんであるか|知《し》らないのですか」と|言《い》ったので、わたしは「わが|主《しゅ》よ、|知《し》りません」と|言《い》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「ゼルバベルに、|主《しゅ》がお|告《つ》げになる|言葉《ことば》はこれです。|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられる、これは|権勢《けんせい》によらず、|能力《のうりょく》によらず、わたしの|霊《れい》によるのである。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|大《おお》いなる|山《やま》よ、おまえは|何者《なにもの》か。おまえはゼルバベルの|前《まえ》に|平地《へいち》となる。|彼《かれ》は『|恵《めぐ》みあれ、これに|恵《めぐ》みあれ』と|呼《よ》ばわりながら、かしら|石《いし》を|引《ひ》き|出《だ》すであろう」。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んで|言《い》うには、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「ゼルバベルの|手《て》はこの|宮《みや》の|礎《いしずえ》をすえた。|彼《かれ》の|手《て》はこれを|完成《かんせい》する。その|時《とき》あなたがたは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が、わたしをあなたがたにつかわされたことを|知《し》る。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]だれでも|小《ちい》さい|事《こと》の|日《ひ》をいやしめた|者《もの》は、ゼルバベルの|手《て》に、|下《さ》げ|振《ふ》りのあるのを|見《み》て、|喜《よろこ》ぶ。  これらの七つのものは、あまねく|全《ぜん》|地《ち》を|行《い》き|来《き》する|主《しゅ》の|目《め》である」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしはまた|彼《かれ》に|尋《たず》ねて、「|燭台《しょくだい》の|左右《さゆう》にある、この二|本《ほん》のオリブの|木《き》はなんですか」と|言《い》い、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|重《かさ》ねてまた「この二|本《ほん》の|金《きん》の|管《くだ》によって、|油《あぶら》をそれから|注《そそ》ぎ|出《だ》すオリブの二|枝《えだ》はなんですか」と|言《い》うと、[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|答《こた》えて、「あなたはそれがなんであるか|知《し》らないのですか」と|言《い》ったので、「わが|主《しゅ》よ、|知《し》りません」と|言《い》った。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》は|言《い》った、「これらはふたりの|油《あぶら》そそがれた|者《もの》で、|全《ぜん》|地《ち》の|主《しゅ》のかたわらに|立《た》つ|者《もの》です」。 第五章[#「第五章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがまた|目《め》をあげて|見《み》ていると、|飛《と》んでいる|巻物《まきもの》を|見《み》た。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》がわたしに「|何《なに》を|見《み》るか」と|言《い》ったので、「|飛《と》んでいる|巻物《まきもの》を|見《み》ます。その|長《なが》さは二十キュビト、その|幅《はば》は十キュビトです」と|答《こた》えた。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》はまた、わたしに|言《い》った、「これは|全《ぜん》|地《ち》のおもてに|出《で》て|行《い》く、のろいの|言葉《ことば》です。すべて|盗《ぬす》む|者《もの》はこれに|照《てら》して|除《のぞ》き|去《さ》られ、すべて|偽《いつわ》り|誓《ちか》う|者《もの》は、これに|照《てら》して|除《のぞ》き|去《さ》られるのです。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられます、わたしはこれを|出《で》て|行《い》かせる。これは|盗《ぬす》む|者《もの》の|家《いえ》に|入《はい》り、またわたしの|名《な》をさして|偽《いつわ》り|誓《ちか》う|者《もの》の|家《いえ》に|入《はい》り、その|家《いえ》の|中《なか》に|宿《やど》って、これをその|木《き》と|石《いし》と|共《とも》に|滅《ほろ》ぼすと」。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》は|進《すす》んで|来《き》て、わたしに「|目《め》をあげて、この|出《で》てきた|物《もの》が、なんであるかを|見《み》なさい」と|言《い》った。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしが「これはなんですか」と|言《い》うと、|彼《かれ》は「この|出《で》てきた|物《もの》は、エパ|枡《ます》です」と|言《い》い、また「これは|全《ぜん》|地《ち》の|罪《つみ》です」と|言《い》った。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そして|見《み》よ、|鉛《なまり》のふたを|取《と》りあげると、そのエパ|枡《ます》の|中《なか》にひとりの|女《おんな》がすわっていた。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》は「これは|罪悪《ざいあく》である」と|言《い》って、その|女《おんな》をエパ|枡《ます》の|中《なか》に|押《お》し|入《い》れ、|鉛《なまり》の|重《おも》しを、その|枡《ます》の|口《くち》に|投《な》げかぶせた。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それからわたしが|目《め》をあげて|見《み》ていると、ふたりの|女《おんな》が|出《で》てきた。これに、こうのとりの|翼《つばさ》のような|翼《つばさ》があり、その|翼《つばさ》に|風《かぜ》をはらんで、エパ|枡《ます》を|天《てん》と|地《ち》との|間《あいだ》に|持《も》ちあげた。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしと|語《かた》る|天《てん》の|使《つかい》に|言《い》った、「|彼《かれ》らはエパ|枡《ます》を、どこへ|持《も》って|行《い》くのですか」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》はわたしに|言《い》った、「シナルの|地《ち》で、|女《おんな》たちのために|家《いえ》を|建《た》てるのです。それが|建《た》てられると、|彼《かれ》らはエパ|枡《ます》をそこにすえ、それの|土台《どだい》の|上《うえ》に|置《お》くのです」。 第六章[#「第六章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]わたしがまた|目《め》をあげて|見《み》ていると、四|両《りょう》の|戦車《せんしゃ》が二つの|山《やま》の|間《あいだ》から|出《で》てきた。その|山《やま》は|青銅《せいどう》の|山《やま》であった。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》一の|戦車《せんしゃ》には|赤《あか》|馬《うま》を|着《つ》け、|第《だい》二の|戦車《せんしゃ》には|黒《くろ》|馬《うま》を|着《つ》け、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|第《だい》三の|戦車《せんしゃ》には|白馬《しろうま》を|着《つ》け、|第《だい》四の|戦車《せんしゃ》には、まだらのねずみ|色《いろ》の|馬《うま》を|着《つ》けていた。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、わたしと|語《かた》るみ|使《つかい》に|尋《たず》ねた、「わが|主《しゅ》よ、これらはなんですか」。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|天《てん》の|使《つかい》は|答《こた》えて、わたしに|言《い》った、「これらは|全《ぜん》|地《ち》の|主《しゅ》の|前《まえ》に|現《あらわ》れて|後《のち》、|天《てん》の|四方《しほう》に|出《で》て|行《い》くものです。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|黒《くろ》|馬《うま》を|着《つ》けた|戦車《せんしゃ》は、|北《きた》の|国《くに》をさして|出《で》て|行《い》き、|白馬《しろうま》は|西《にし》の|国《くに》をさして|出《で》て|行《い》き、まだらの|馬《うま》は|南《みなみ》の|国《くに》をさして|出《で》て|行《い》くのです」。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|馬《うま》が|出《で》てくると、|彼《かれ》らは、|地《ち》をあまねくめぐるために、しきりに|出《で》たがるのであった。それで|彼《かれ》が「|行《い》って、|地《ち》をあまねくめぐれ」と|言《い》うと、|彼《かれ》らは|地《ち》を|行《い》きめぐった。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]すると|彼《かれ》はわたしを|呼《よ》んで、「|北《きた》の|国《くに》をさして|行《い》く|者《もの》どもは、|北《きた》の|国《くに》でわたしの|心《こころ》を|静《しず》まらせてくれた」と|言《い》った。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》がまたわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]「バビロンから|帰《かえ》ってきたかの|捕囚《ほしゅう》の|中《なか》から、ヘルダイ、トビヤおよびエダヤを|連《つ》れて、その|日《ひ》にゼパニヤの|子《こ》ヨシヤの|家《いえ》に|行《い》き、[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らから|金銀《きんぎん》を|受《う》け|取《と》って、一つの|冠《かんむり》を|造《つく》り、それをヨザダクの|子《こ》である|大《だい》|祭司《さいし》ヨシュアの|頭《あたま》にかぶらせて、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》に|言《い》いなさい、『|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、|見《み》よ、その|名《な》を|枝《えだ》という|人《ひと》がある。|彼《かれ》は|自分《じぶん》の|場所《ばしょ》で|成長《せいちょう》して、|主《しゅ》の|宮《みや》を|建《た》てる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]すなわち|彼《かれ》は|主《しゅ》の|宮《みや》を|建《た》て、|王《おう》としての|光栄《こうえい》を|帯《お》び、その|位《くらい》に|座《ざ》して|治《おさ》める。その|位《くらい》のかたわらに、ひとりの|祭司《さいし》がいて、このふたりの|間《あいだ》に|平和《へいわ》の|一致《いっち》がある』。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]またその|冠《かんむり》はヘルダイ、トビヤ、エダヤおよびゼパニヤの|子《こ》ヨシヤの|記念《きねん》として、|主《しゅ》の|宮《みや》に|納《おさ》められる。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|遠《とお》い|所《ところ》の|者《もの》どもが|来《き》て、|主《しゅ》の|宮《みや》を|建《た》てることを|助《たす》ける。そしてあなたがたは|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が、わたしをつかわされたことを|知《し》るようになる。あなたがたがもし|励《はげ》んで、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》の|声《こえ》に|聞《き》き|従《したが》うならば、このようになる」。 第七章[#「第七章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]ダリヨス|王《おう》の|第《だい》四|年《ねん》の九|月《がつ》、すなわちキスリウという|月《つき》の四|日《か》に、|主《しゅ》の|言葉《ことば》がゼカリヤに|臨《のぞ》んだ。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ベテルの|人々《ひとびと》は、シャレゼル、レゲン・メレクおよびその|従者《じゅうしゃ》をつかわして、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを|請《こ》い、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]かつ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|宮《みや》にいる|祭司《さいし》に|問《と》わせ、かつ|預言者《よげんしゃ》に|問《と》わせて|言《い》った、「わたしは|今《いま》まで、|多年《たねん》おこなってきたように、五|月《がつ》に|泣《な》き|悲《かな》しみ、かつ|断食《だんじき》すべきでしょうか」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]この|時《とき》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]「|地《ち》のすべての|民《たみ》、および|祭司《さいし》に|告《つ》げて|言《い》いなさい、あなたがたが七十|年《ねん》の|間《あいだ》、五|月《がつ》と七|月《がつ》とに|断食《だんじき》し、かつ|泣《な》き|悲《かな》しんだ|時《とき》、はたして、わたしのために|断食《だんじき》したか。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|食《く》い|飲《の》みする|時《とき》、それは|全《まった》く|自分《じぶん》のために|食《く》い、|自分《じぶん》のために|飲《の》むのではないか。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|昔《むかし》エルサレムがその|周囲《しゅうい》の|町々《まちまち》と|共《とも》に、|人《ひと》が|住《す》み、|栄《さか》えていた|時《とき》、また|南《みなみ》の|地《ち》および|平野《へいや》にも、|人《ひと》が|住《す》んでいた|時《とき》に、さきの|預言者《よげんしゃ》たちによって、|主《しゅ》がお|告《つ》げになった|言葉《ことば》は、これらの|事《こと》ではなかったか」。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》の|言葉《ことば》が、またゼカリヤに|臨《のぞ》んだ、[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、|真実《しんじつ》のさばきを|行《おこな》い、|互《たがい》に|相《あい》いつくしみ、|相《あい》あわれみ、[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]やもめ、みなしご、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》および|貧《まず》しい|人《ひと》を、しえたげてはならない。|互《たがい》に|人《ひと》を|害《がい》することを、|心《こころ》に|図《はか》ってはならない」。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ところが、|彼《かれ》らは|聞《き》くことを|拒《こば》み、|肩《かた》をそびやかし、|耳《みみ》を|鈍《にぶ》くして|聞《き》きいれず、[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]その|心《こころ》を|金剛石《こんごうせき》のようにして、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》がそのみたまにより、さきの|預言者《よげんしゃ》によって|伝《つた》えられた、|律法《りっぽう》と|言葉《ことば》とに|聞《き》き|従《したが》わなかった。それゆえ、|大《おお》いなる|怒《いか》りが、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》から|出《で》て、|彼《かれ》らに|臨《のぞ》んだのである。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]「わたしが|呼《よ》ばわったけれども、|彼《かれ》らは|聞《き》こうとしなかった。そのとおりに、|彼《かれ》らが|呼《よ》ばわっても、わたしは|聞《き》かない」と|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|仰《おお》せられる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]「わたしは、つむじ|風《かぜ》をもって、|彼《かれ》らを|未知《みち》のもろもろの|国民《こくみん》の|中《なか》に|散《ち》らした。こうして|彼《かれ》らが|去《さ》った|後《のち》、この|地《ち》は|荒《あ》れて|行《い》き|来《き》する|者《もの》もなく、この|麗《うるわ》しい|地《ち》は|荒《あ》れ|地《ち》となったのである」。 第八章[#「第八章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、『わたしはシオンのために、|大《おお》いなるねたみを|起《おこ》し、またこれがために、|大《おお》いなる|憤《いきどお》りをもってねたむ』。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられる、『わたしはシオンに|帰《かえ》って、エルサレムの|中《なか》に|住《す》む。エルサレムは|忠信《ちゅうしん》な|町《まち》ととなえられ、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|山《やま》は|聖《せい》なる|山《やま》と、となえられる』。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、『エルサレムの|街路《がいろ》には|再《ふたた》び|老《お》いた|男《おとこ》、|老《お》いた|女《おんな》が|座《ざ》するようになる。みな|年寄《としより》の|人々《ひとびと》で、おのおのつえを|手《て》に|持《も》つ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]またその|町《まち》の|街路《がいろ》には、|男《おとこ》の|子《こ》、|女《おんな》の|子《こ》が|満《み》ちて、|街路《がいろ》に|遊《あそ》び|戯《たわむ》れる』。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、『その|日《ひ》には、たとい、この|民《たみ》の|残《のこ》れる|者《もの》の|目《め》に、|不思議《ふしぎ》な|事《こと》であっても、それはわたしの|目《め》にも、|不思議《ふしぎ》な|事《こと》であろうか』と|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、『|見《み》よ、わが|民《たみ》を|東《ひがし》の|国《くに》から、また|西《にし》の|国《くに》から|救《すく》い|出《だ》し、[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らを|連《つ》れてきて、エルサレムに|住《す》まわせ、|彼《かれ》らはわが|民《たみ》となり、わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》となって、|共《とも》に|真実《しんじつ》と|正義《せいぎ》とをもって|立《た》つ』」。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|家《いえ》である|宮《みや》を|建《た》てるために、その|礎《いしずえ》をすえた|日《ひ》からこのかた、|預言者《よげんしゃ》たちの|口《くち》から|出《で》たこれらの|言葉《ことば》を、きょう|聞《き》く|者《もの》よ、あなたがたの|手《て》を|強《つよ》くせよ。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]この|日《ひ》の|以前《いぜん》には、|人《ひと》も|働《はたら》きの|価《あたい》を|得《え》ず、|獣《けもの》も|働《はたら》きの|価《あたい》を|得《え》ず、また|出《で》る|者《もの》もはいる|者《もの》も、あだのために|安全《あんぜん》ではなかった。わたしはまた|人々《ひとびと》を|相《あい》たがいにそむかせた。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]しかし|今《いま》は、わたしのこの|民《たみ》の|残《のこ》れる|者《もの》に|対《たい》することは、さきの|日《ひ》のようではないと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]そこには、|平和《へいわ》と|繁栄《はんえい》との|種《たね》がまかれるからである。すなわちぶどうの|木《き》は|実《み》を|結《むす》び、|地《ち》は|産物《さんぶつ》を|出《だ》し、|天《てん》は|露《つゆ》を|与《あた》える。わたしはこの|民《たみ》の|残《のこ》れる|者《もの》に、これをことごとく|与《あた》える。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]ユダの|家《いえ》およびイスラエルの|家《いえ》よ、あなたがたが、|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|中《なか》に、のろいとなっていたように、わたしはあなたがたを|救《すく》って|祝福《しゅくふく》とする。|恐《おそ》れてはならない。あなたがたの|手《て》を|強《つよ》くせよ」。  [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、「あなたがたの|先祖《せんぞ》が、わたしを|怒《いか》らせた|時《とき》に、|災《わざわい》を|下《くだ》そうと|思《おも》って、これをやめなかったように、――|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる――[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]そのように、わたしはまた|今日《こんにち》、エルサレムとユダの|家《いえ》に|恵《めぐ》みを|与《あた》えよう。|恐《おそ》れてはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたのなすべき|事《こと》はこれである。あなたがたは|互《たがい》に|真実《しんじつ》を|語《かた》り、またあなたがたの|門《もん》で、|真実《しんじつ》と|平和《へいわ》のさばきとを、|行《おこな》わなければならない。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、|互《たがい》に|人《ひと》を|害《がい》することを、|心《こころ》に|図《はか》ってはならない。|偽《いつわ》りの|誓《ちか》いを|好《この》んではならない。わたしはこれらの|事《こと》を|憎《にく》むからであると、|主《しゅ》は|言《い》われる」。  [#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|言葉《ことば》がわたしに|臨《のぞ》んだ、[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、四|月《がつ》の|断食《だんじき》と、五|月《がつ》の|断食《だんじき》と、七|月《がつ》の|断食《だんじき》と、十|月《がつ》の|断食《だんじき》とは、ユダの|家《いえ》の|喜《よろこ》び|楽《たの》しみの|時《とき》となり、よき|祝《いわい》の|時《とき》となる。ゆえにあなたがたは、|真実《しんじつ》と|平和《へいわ》とを|愛《あい》せよ。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、もろもろの|民《たみ》および|多《おお》くの|町《まち》の|住民《じゅうみん》、すなわち、一つの|町《まち》の|住民《じゅうみん》は、|他《た》の|町《まち》の|人々《ひとびと》のところに|行《い》き、[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]『われわれは、ただちに|行《い》って、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを|請《こ》い、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》に|呼《よ》び|求《もと》めよう』と|言《い》うと、『わたしも|行《い》こう』と|言《い》う。[#太字]二二[#「二二」は行右小書き][#太字終わり]|多《おお》くの|民《たみ》および|強《つよ》い|国民《こくみん》はエルサレムに|来《き》て、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》を|求《もと》め、|主《しゅ》の|恵《めぐ》みを|請《こ》う。[#太字]二三[#「二三」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、その|日《ひ》には、もろもろの|国《くに》ことばの|民《たみ》の|中《なか》から十|人《にん》の|者《もの》が、ひとりのユダヤ|人《ひと》の|衣《ころも》のすそをつかまえて、『あなたがたと|一緒《いっしょ》に|行《い》こう。|神《かみ》があなたがたと|共《とも》にいますことを|聞《き》いたから』と|言《い》う」。 第九章[#「第九章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|託宣《たくせん》 |主《しゅ》の|言葉《ことば》はハデラクの|地《ち》に|臨《のぞ》み、 ダマスコの|上《うえ》にとどまる。 アラムの|町々《まちまち》はイスラエルのすべての|部族《ぶぞく》のように|主《しゅ》に|属《ぞく》するからである。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]これに|境《さかい》するハマテもまたそのとおりだ。 |非常《ひじょう》に|賢《かしこ》いが、ツロとシドンもまた|同様《どうよう》である。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]ツロは|自分《じぶん》のために、とりでを|築《きず》き、 |銀《ぎん》をちりのように|積《つ》み、 |金《きん》を|道《みち》ばたの|泥《どろ》のように|積《つ》んだ。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]しかし|見《み》よ、|主《しゅ》はこれを|攻《せ》め|取《と》り、 その|富《とみ》を|海《うみ》の|中《なか》に|投《な》げ|入《い》れられる。 これは|火《ひ》で|焼《や》き|滅《ほろ》ぼされる。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]アシケロンはこれを|見《み》て|恐《おそ》れ、 ガザもまた|見《み》てもだえ|苦《くる》しみ、 エクロンもまたその|望《のぞ》む|所《ところ》のものが はずかしめられて|苦《くる》しむ。 ガザには|王《おう》が|絶《た》え、 アシケロンには|住《す》む|者《もの》がなくなり、 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]アシドドには|混血《こんけつ》の|民《たみ》が|住《す》む。 わたしはペリシテびとの|誇《ほこり》を|断《た》つ。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]またその|口《くち》から|血《ち》を|取《と》り|除《のぞ》き、 その|歯《は》の|間《あいだ》から|憎《にく》むべき|物《もの》を|取《と》り|除《のぞ》く。 これもまた|残《のこ》ってわれわれの|神《かみ》に|帰《き》し、 ユダの|一《いち》|民族《みんぞく》のようになる。 またエクロンはエブスびとのようになる。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》わたしは、わが|家《いえ》のために|営《えい》を|張《は》って、 |見張《みは》りをし、|行《い》き|来《き》する|者《もの》のないようにする。 しえたげる|者《もの》は、かさねて|通《とお》ることがない。 わたしが|今《いま》、|自分《じぶん》の|目《め》で|見《み》ているからである。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]シオンの|娘《むすめ》よ、|大《おお》いに|喜《よろこ》べ、 エルサレムの|娘《むすめ》よ、|呼《よ》ばわれ。 |見《み》よ、あなたの|王《おう》はあなたの|所《ところ》に|来《く》る。 |彼《かれ》は|義《ぎ》なる|者《もの》であって|勝利《しょうり》を|得《え》、 |柔和《にゅうわ》であって、ろばに|乗《の》る。 すなわち、ろばの|子《こ》である|子《こ》|馬《うま》に|乗《の》る。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはエフライムから|戦車《せんしゃ》を|断《た》ち、 エルサレムから|軍馬《ぐんば》を|断《た》つ。 また、いくさ|弓《ゆみ》も|断《た》たれる。 |彼《かれ》は|国々《くにぐに》の|民《たみ》に|平和《へいわ》を|告《つ》げ、 その|政治《せいじ》は|海《うみ》から|海《うみ》に|及《およ》び、 |大川《おおかわ》から|地《ち》の|果《はて》にまで|及《およ》ぶ。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]あなたについてはまた、 あなたとの|契約《けいやく》の|血《ち》のゆえに、 わたしはかの|水《みず》のない|穴《あな》から、 あなたの|捕《とら》われ|人《びと》を|解《と》き|放《はな》す。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|望《のぞ》みをいだく|捕《とら》われ|人《びと》よ、あなたの|城《しろ》に|帰《かえ》れ。 わたしはきょうもなお|告《つ》げて|言《い》う、 |必《かなら》ず|倍《ばい》して、あなたをもとに|返《かえ》すことを。 [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]わたしはユダを|張《は》って、わが|弓《ゆみ》となし、 エフライムをその|矢《や》とした。 シオンよ、わたしはあなたの|子《こ》らを|呼《よ》び|起《おこ》して、 ギリシヤの|人々《ひとびと》を|攻《せ》めさせ、 あなたを|勇士《ゆうし》のつるぎのようにさせる。 [#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》は|彼《かれ》らの|上《うえ》に|現《あらわ》れて、 その|矢《や》をいなずまのように|射《い》られる。 |主《しゅ》なる|神《かみ》はラッパを|吹《ふ》きならし、 |南《みなみ》のつむじ|風《かぜ》に|乗《の》って|出《で》てこられる。 [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|守《まも》られるので、 |彼《かれ》らは|石《いし》|投《な》げどもを|食《く》い|尽《つく》し、|踏《ふ》みつける。 |彼《かれ》らはまたぶどう|酒《しゅ》のように|彼《かれ》らの|血《ち》を|飲《の》み、 |鉢《はち》のようにそれで|満《み》たされ、 |祭壇《さいだん》のすみのように|浸《ひた》される。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》は、|彼《かれ》らを|救《すく》い、 その|民《たみ》を|羊《ひつじ》のように|養《やしな》われる。 |彼《かれ》らは|冠《かんむり》の|玉《たま》のように、その|地《ち》に|輝《かがや》く。 [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]そのさいわい、その|麗《うるわ》しさは、いかばかりであろう。 |穀物《こくもつ》は|若者《わかもの》を|栄《さか》えさせ、 |新《あたら》しいぶどう|酒《しゅ》は、おとめを|栄《さか》えさせる。 [#ここで字下げ終わり] 第一〇章[#「第一〇章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|春《はる》の|雨《あめ》の|時《とき》に、 |雨《あめ》を|主《しゅ》に|請《こ》い|求《もと》めよ。 |主《しゅ》はいなずまを|造《つく》り、|大雨《おおあめ》を|人々《ひとびと》に|賜《たま》い、 |野《の》の|青草《あおくさ》をおのおのに|賜《たま》わる。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]テラピムは、たわごとを|言《い》い、 |占《うらな》い|師《し》は|偽《いつわ》りを|見《み》、 |夢見《ゆめみ》る|者《もの》は|偽《いつわ》りの|夢《ゆめ》を|語《かた》り、 むなしい|慰《なぐさ》めを|与《あた》える。 このゆえに、|民《たみ》は|羊《ひつじ》のようにさまよい、 |牧者《ぼくしゃ》がないために|悩《なや》む。 [#ここで字下げ終わり] [#ここから2字下げ] [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]「わが|怒《いか》りは|牧者《ぼくしゃ》にむかって|燃《も》え、 わたしは|雄《お》やぎを|罰《ばっ》する。 |万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が、その|群《む》れの|羊《ひつじ》であるユダの|家《いえ》を|顧《かえり》み、 これをみごとな|軍馬《ぐんば》のようにされるからである。 [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|隅《すみ》|石《いし》は|彼《かれ》らから|出《で》、 |天幕《てんまく》の|杭《くい》も|彼《かれ》らから|出《で》、 いくさ|弓《ゆみ》も|彼《かれ》らから|出《で》、 |支配者《しはいしゃ》も|皆《みな》|彼《かれ》らの|中《なか》から|出《で》る。 [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らが|戦《たたか》う|時《とき》は|勇士《ゆうし》のようになって、 |道《みち》ばたの|泥《どろ》の|中《なか》に|敵《てき》を|踏《ふ》みにじる。 |主《しゅ》が|彼《かれ》らと|共《とも》におられるゆえに|彼《かれ》らは|戦《たたか》い、 |馬《うま》に|乗《の》る|者《もの》どもを|困《こま》らせる。 [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしはユダの|家《いえ》を|強《つよ》くし、ヨセフの|家《いえ》を|救《すく》う。 わたしは|彼《かれ》らをあわれんで、|彼《かれ》らを|連《つ》れ|帰《かえ》る。 |彼《かれ》らはわたしに|捨《す》てられたことのないようになる。 わたしは|彼《かれ》らの|神《かみ》、|主《しゅ》であって、 |彼《かれ》らに|答《こた》えるからである。 [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]エフライムびとは|勇士《ゆうし》のようになり、 その|心《こころ》は|酒《さけ》を|飲《の》んだように|喜《よろこ》ぶ。 その|子《こ》|供《とも》らはこれを|見《み》て|喜《よろこ》び、 その|心《こころ》は|主《しゅ》によって|楽《たの》しむ。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|向《む》かい、|口笛《くちぶえ》を|吹《ふ》いて|彼《かれ》らを|集《あつ》める、 わたしが|彼《かれ》らをあがなったからである。 |彼《かれ》らは|昔《むかし》のように|数多《かずおお》くなる。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|国々《くにぐに》の|民《たみ》の|中《なか》に|散《ち》らした。 しかし|彼《かれ》らは|遠《とお》い|国々《くにぐに》でわたしを|覚《おぼ》え、 その|子供《こども》らと|共《とも》に|生《い》きながらえて|帰《かえ》ってくる。 [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らをエジプトの|国《くに》から|連《つ》れ|帰《かえ》り、 アッスリヤから|彼《かれ》らを|集《あつ》める。 わたしはギレアデの|地《ち》およびレバノンに |彼《かれ》らを|連《つ》れて|行《い》く。 |彼《かれ》らはいる|所《ところ》もないほどに|多《おお》くなる。 [#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》らはエジプトの|海《うみ》を|通《とお》る。 |海《うみ》の|波《なみ》は|撃《う》たれ、 ナイルの|淵《ふち》はことごとくかれた。 アッスリヤの|高《たか》ぶりは|低《ひく》くされ、 エジプトのつえは|移《うつ》り|去《さ》る。 [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らを|主《しゅ》によって|強《つよ》くする。 |彼《かれ》らは|主《しゅ》の|名《な》を|誇《ほこ》る」と |主《しゅ》は|言《い》われる。 [#ここで字下げ終わり] 第一一章[#「第一一章」は中見出し] [#ここから2字下げ] [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]レバノンよ、おまえの|門《もん》を|開《ひら》き、 おまえの|香柏《こうはく》を|火《ひ》に|焼《や》き|滅《ほろ》ぼさせよ。 [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]いとすぎよ、|泣《な》き|叫《さけ》べ。 |香柏《こうはく》は|倒《たお》れ、 みごとな|木《き》は、そこなわれたからである。 バシャンのかしよ、|泣《な》き|叫《さけ》べ。 |茂《しげ》った|林《はやし》は|倒《たお》れたからである。 [#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|聞《き》け、|牧者《ぼくしゃ》の|泣《な》き|叫《さけ》ぶ|声《こえ》を。 |彼《かれ》らの|栄《さか》えが|消《き》え|去《さ》ったからである。 |聞《き》け、ししのほえる|声《こえ》を。 ヨルダンの|草《くさ》むらが|荒《あ》れ|果《は》てたからである。 [#ここで字下げ終わり]  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]わが|神《かみ》、|主《しゅ》はこう|仰《おお》せられた、「ほふらるべき|羊《ひつじ》の|群《む》れの|牧者《ぼくしゃ》となれ。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]これを|買《か》う|者《もの》は、これをほふっても|罰《ばっ》せられない。これを|売《う》る|者《もの》は|言《い》う、『|主《しゅ》はほむべきかな、わたしは|富《と》んだ』と。そしてその|牧者《ぼくしゃ》は、これをあわれまない。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]わたしは、もはやこの|地《ち》の|住民《じゅうみん》をあわれまないと、|主《しゅ》は|言《い》われる。|見《み》よ、わたしは|人《ひと》をおのおのその|牧者《ぼくしゃ》の|手《て》に|渡《わた》し、おのおのその|王《おう》の|手《て》に|渡《わた》す。|彼《かれ》らは|地《ち》を|荒《あら》す。わたしは|彼《かれ》らの|手《て》からこれを|救《すく》い|出《だ》さない」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|羊《ひつじ》の|商人《しょうにん》のために、ほふらるべき|羊《ひつじ》の|群《む》れの|牧者《ぼくしゃ》となった。わたしは二|本《ほん》のつえを|取《と》り、その一|本《ぽん》を|恵《めぐ》みと|名《な》づけ、一|本《ぽん》を|結《むす》びと|名《な》づけて、その|羊《ひつじ》を|牧《ぼく》した。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]わたしは一か|月《げつ》に|牧者《ぼくしゃ》三|人《にん》を|滅《ほろ》ぼした。わたしは|彼《かれ》らに、がまんしきれなくなったが、|彼《かれ》らもまた、わたしを|忌《い》みきらった。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]それでわたしは|言《い》った、「わたしはあなたがたの|牧者《ぼくしゃ》とならない。|死《し》ぬ|者《もの》は|死《し》に、|滅《ほろ》びる|者《もの》は|滅《ほろ》び、|残《のこ》った|者《もの》はたがいにその|肉《にく》を|食《く》いあうがよい」。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|恵《めぐ》みというつえを|取《と》って、これを|折《お》った。これはわたしがもろもろの|民《たみ》と|結《むす》んだ|契約《けいやく》を、|廃《はい》するためであった。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]そしてこれは、その|日《ひ》に|廃《はい》された。そこで、わたしに|目《め》を|注《そそ》いでいた|羊《ひつじ》の|商人《しょうにん》らは、これが|主《しゅ》の|言葉《ことば》であったことを|知《し》った。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|彼《かれ》らに|向《む》かって、「あなたがたがもし、よいと|思《おも》うならば、わたしに|賃銀《ちんぎん》を|払《はら》いなさい。もし、いけなければやめなさい」と|言《い》ったので、|彼《かれ》らはわたしの|賃銀《ちんぎん》として、|銀《ぎん》三十シケルを|量《はか》った。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「|彼《かれ》らによって、わたしが|値《ね》|積《つ》られたその|尊《たっと》い|価《あたい》を、|宮《みや》のさいせん|箱《はこ》に|投《な》げ|入《い》れよ」。わたしは|銀《ぎん》三十シケルを|取《と》って、これを|主《しゅ》の|宮《みや》のさいせん|箱《はこ》に|投《な》げ|入《い》れた。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしは|結《むす》びという|第《だい》二のつえを|折《お》った。これはユダとイスラエルの|間《あいだ》の、|兄弟《きょうだい》|関係《かんけい》を|廃《はい》するためであった。  [#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はわたしに|言《い》われた、「おまえはまた|愚《おろ》かな|牧者《ぼくしゃ》の|器《うつわ》を|取《と》れ。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしは|地《ち》にひとりの|牧者《ぼくしゃ》を|起《おこ》す。|彼《かれ》は|滅《ほろ》ぼされる|者《もの》を|顧《かえり》みず、|迷《まよ》える|者《もの》を|尋《たず》ねず、|傷《きず》ついた|者《もの》をいやさず、|健《すこ》やかな|者《もの》を|養《やしな》わず、|肥《こ》えた|者《もの》の|肉《にく》を|食《く》らい、そのひずめをさえ|裂《さ》く|者《もの》である。 [#ここから2字下げ] [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]その|羊《ひつじ》の|群《む》れを|捨《す》てる|愚《おろ》かな|牧者《ぼくしゃ》はわざわいだ。 どうか、つるぎがその|腕《うで》を|撃《う》ち、 その|右《みぎ》の|目《め》を|撃《う》つように。 その|腕《うで》は|全《まった》く|衰《おとろ》え、 その|右《みぎ》の|目《め》は|全《まった》く|見《み》えなくなるように」。 [#ここで字下げ終わり] 第一二章[#「第一二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|託宣《たくせん》  イスラエルについての|主《しゅ》の|言葉《ことば》。すなわち|天《てん》をのべ、|地《ち》の|基《もとい》をすえ、|人《ひと》の|霊《れい》をその|中《なか》に|造《つく》られた|主《しゅ》は、こう|仰《おお》せられる、[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、わたしはエルサレムを、その|周囲《しゅうい》にあるすべての|民《たみ》をよろめかす|杯《さかずき》にしようとしている。これはエルサレムの|攻《せ》め|囲《かこ》まれる|時《とき》、ユダにも|及《およ》ぶ。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、わたしはエルサレムをすべての|民《たみ》に|対《たい》して|重《おも》い|石《いし》とする。これを|持《も》ちあげる|者《もの》はみな|大《だい》|傷《きず》を|受《う》ける。|地《ち》の|国々《くにぐに》の|民《たみ》は|皆《みな》|集《あつ》まって、これを|攻《せ》める。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》には、わたしはすべての|馬《うま》を|撃《う》って|驚《おどろ》かせ、その|乗《の》り|手《て》を|撃《う》って|狂《くる》わせる。しかし、もろもろの|民《たみ》の|馬《うま》を、ことごとく|撃《う》って、めくらとするとき、ユダの|家《いえ》に|対《たい》しては、わたしの|目《め》を|開《ひら》く。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ユダの|諸《しょ》|族《ぞく》は、その|心《こころ》の|中《なか》に『エルサレムの|住民《じゅうみん》は、その|神《かみ》、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》によって|力強《ちからづよ》くなった』と|言《い》う。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、わたしはユダの|諸《しょ》|族《ぞく》を、たきぎの|中《なか》の|火皿《ひざら》のようにし、|麦《むぎ》|束《たば》の|中《なか》のたいまつのようにする。|彼《かれ》らは|右《みぎ》に|左《ひだり》に、その|周囲《しゅうい》にあるすべての|民《たみ》を、|焼《や》き|滅《ほろ》ぼす。しかしエルサレムはなお、そのもとの|所《ところ》、すなわちエルサレムで、|人《ひと》の|住《す》む|所《ところ》となる。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》はまずユダの|幕屋《まくや》を|救《すく》われる。これはダビデの|家《いえ》の|光栄《こうえい》と、エルサレムの|住民《じゅうみん》の|光栄《こうえい》とが、ユダの|光栄《こうえい》にまさることのないようにするためである。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》、|主《しゅ》はエルサレムの|住民《じゅうみん》を|守《まも》られる。|彼《かれ》らの|中《なか》の|弱《よわ》い|者《もの》も、その|日《ひ》には、ダビデのようになる。またダビデの|家《いえ》は|神《かみ》のように、|彼《かれ》らに|先《さき》だつ|主《しゅ》の|使《つかい》のようになる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、わたしはエルサレムに|攻《せ》めて|来《く》る|国民《こくみん》を、ことごとく|滅《ほろ》ぼそうと|努《つと》める。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしはダビデの|家《いえ》およびエルサレムの|住民《じゅうみん》に、|恵《めぐ》みと|祈《いのり》の|霊《れい》とを|注《そそ》ぐ。|彼《かれ》らはその|刺《さ》した|者《もの》を|見《み》る|時《とき》、ひとり|子《こ》のために|嘆《なげ》くように|彼《かれ》のために|嘆《なげ》き、ういごのために|悲《かな》しむように、|彼《かれ》のためにいたく|悲《かな》しむ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、エルサレムの|嘆《なげ》きは、メギドの|平野《へいや》にあったハダデ・リンモンのための|嘆《なげ》きのように|大《おお》きい。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]|国《くに》じゅう、|氏族《しぞく》おのおの|別《わか》れて|嘆《なげ》く。すなわちダビデの|家《いえ》の|氏族《しぞく》は|別《わか》れて|嘆《なげ》き、その|妻《つま》たちも|別《わか》れて|嘆《なげ》く。ナタンの|家《いえ》の|氏族《しぞく》は|別《わか》れて|嘆《なげ》き、その|妻《つま》たちも|別《わか》れて|嘆《なげ》く。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]レビの|家《いえ》の|氏族《しぞく》は|別《わか》れて|嘆《なげ》き、その|妻《つま》たちも|別《わか》れて|嘆《なげ》く。シメイの|氏族《しぞく》は|別《わか》れて|嘆《なげ》き、その|妻《つま》たちも|別《わか》れて|嘆《なげ》く。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]その|他《た》の|氏族《しぞく》も|皆《みな》|別《わか》れて|嘆《なげ》き、その|妻《つま》たちも|別《わか》れて|嘆《なげ》くのである。 第一三章[#「第一三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|罪《つみ》と|汚《けが》れとを|清《きよ》める|一《ひと》つの|泉《いずみ》が、ダビデの|家《いえ》とエルサレムの|住民《じゅうみん》とのために|開《ひら》かれる。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、その|日《ひ》には、わたしは|地《ち》から|偶像《ぐうぞう》の|名《な》を|取《と》り|除《のぞ》き、|重《かさ》ねて|人《ひと》に|覚《おぼ》えられることのないようにする。わたしはまた|預言者《よげんしゃ》および|汚《けが》れの|霊《れい》を、|地《ち》から|去《さ》らせる。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]もし、|人《ひと》が|今後《こんご》|預言《よげん》するならば、その|産《う》みの|父母《ふぼ》はこれにむかって、『あなたは|主《しゅ》の|名《な》をもって|偽《いつわ》りを|語《かた》るゆえ、|生《い》きていることができない』と|言《い》い、その|産《う》みの|父母《ふぼ》は|彼《かれ》が|預言《よげん》している|時《とき》、|彼《かれ》を|刺《さ》すであろう。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|預言者《よげんしゃ》たちは|皆《みな》|預言《よげん》する|時《とき》、その|幻《まぼろし》を|恥《は》じる。また|人《ひと》を|欺《あざむ》くための|毛《け》の|上着《うわぎ》を|着《き》ない。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そして『わたしは|預言者《よげんしゃ》ではない、わたしは|土地《とち》を|耕《たがや》す|者《もの》だ。|若《わか》い|時《とき》から|土地《とち》を|持《も》っている』と|言《い》う。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]もし、|人《ひと》が|彼《かれ》に『あなたの|背中《せなか》の|傷《きず》は|何《なに》か』と|尋《たず》ねるならば、『これはわたしの|友《とも》だちの|家《いえ》で|受《う》けた|傷《きず》だ』と、|彼《かれ》は|言《い》うであろう」。  [#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、 [#ここから2字下げ] 「つるぎよ、|立《た》ち|上《あ》がってわが|牧者《ぼくしゃ》を|攻《せ》めよ。 わたしの|次《つぎ》に|立《た》つ|人《ひと》を|攻《せ》めよ。 |牧者《ぼくしゃ》を|撃《う》て、その|羊《ひつじ》は|散《ち》る。 わたしは|手《て》をかえして、|小《ちい》さい|者《もの》どもを|攻《せ》める。 [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、|全《ぜん》|地《ち》の|人《ひと》の三|分《ぶん》の二は|断《た》たれて|死《し》に、 三|分《ぶん》の一は|生《い》き|残《のこ》る。 [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]わたしはこの三|分《ぶん》の一を|火《ひ》の|中《なか》に|入《い》れ、 |銀《ぎん》をふき|分《わ》けるように、これをふき|分《わ》け、 |金《きん》を|精錬《せいれん》するように、これを|精錬《せいれん》する。 |彼《かれ》らはわたしの|名《な》を|呼《よ》び、わたしは|彼《かれ》らに|答《こた》える。 わたしは『|彼《かれ》らはわが|民《たみ》である』と|言《い》い、|彼《かれ》らは『|主《しゅ》はわが|神《かみ》である』と|言《い》う」。 [#ここで字下げ終わり] 第一四章[#「第一四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|日《ひ》が|来《く》る。その|時《とき》あなたの|奪《うば》われた|物《もの》は、あなたの|中《なか》で|分《わ》かたれる。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|万国《ばんこく》の|民《たみ》を|集《あつ》めて、エルサレムを|攻《せ》め|撃《う》たせる。|町《まち》は|取《と》られ、|家《いえ》はかすめられ、|女《おんな》は|犯《おか》され、|町《まち》の|半《なか》ばは|捕《とら》えられて|行《い》く。しかし|残《のこ》りの|民《たみ》は|町《まち》から|断《た》たれることはない。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》、|主《しゅ》は|出《で》てきて、いくさの|日《ひ》にみずから|戦《たたか》われる|時《とき》のように、それらの|国《くに》びとと|戦《たたか》われる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には|彼《かれ》の|足《あし》が、|東《ひがし》の|方《ほう》エルサレムの|前《まえ》にあるオリブ|山《やま》の|上《うえ》に|立《た》つ。そしてオリブ|山《やま》は、|非常《ひじょう》に|広《ひろ》い一つの|谷《たに》によって、|東《ひがし》から|西《にし》に二つに|裂《さ》け、その|山《やま》の|半《なか》ばは|北《きた》に、|半《なか》ばは|南《みなみ》に|移《うつ》り、[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]わが|山《やま》の|谷《たに》はふさがれる。|裂《さ》けた|山《やま》の|谷《たに》が、そのかたわらに|接触《せっしょく》するからである。そして、あなたがたはユダの|王《おう》ウジヤの|世《よ》に、|地震《じしん》を|避《さ》けて|逃《に》げたように|逃《に》げる。こうして、あなたがたの|神《かみ》、|主《しゅ》はこられる、もろもろの|聖者《せいじゃ》と|共《とも》にこられる。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|寒《さむ》さも|霜《しも》もない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]そこには|長《なが》い|連続《れんぞく》した|日《ひ》がある(|主《しゅ》はこれを|知《し》られる)。これには|昼《ひる》もなく、|夜《よる》もない。|夕暮《ゆうぐれ》になっても、|光《ひかり》があるからである。  [#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|生《い》ける|水《みず》がエルサレムから|流《なが》れ|出《で》て、その|半《なか》ばは|東《ひがし》の|海《うみ》に、その|半《なか》ばは|西《にし》の|海《うみ》に|流《なが》れ、|夏《なつ》も|冬《ふゆ》もやむことがない。  [#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|全《ぜん》|地《ち》の|王《おう》となられる。その|日《ひ》には、|主《しゅ》ひとり、その|名《な》一つのみとなる。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]|全《ぜん》|地《ち》はゲバからエルサレムの|南《みなみ》リンモンまで、|平地《へいち》のように|変《かわ》る。しかしエルサレムは|高《たか》くなって、そのもとの|所《ところ》にとどまり、ベニヤミンの|門《もん》から、|先《さき》にあった|門《もん》の|所《ところ》に|及《およ》び、|隅《すみ》の|門《もん》に|至《いた》り、ハナネルのやぐらから、|王《おう》の|酒《さか》ぶねにまで|及《およ》ぶ。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]その|中《なか》には|人《ひと》が|住《す》み、もはやのろいはなく、エルサレムは|安《やす》らかに|立《た》つ。  [#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムを|攻撃《こうげき》したもろもろの|民《たみ》を、|主《しゅ》は|災《わざわい》をもって|撃《う》たれる。すなわち|彼《かれ》らはなお|足《あし》で|立《た》っているうちに、その|肉《にく》は|腐《くさ》れ、|目《め》はその|穴《あな》の|中《なか》で|腐《くさ》れ、|舌《した》はその|口《くち》の|中《なか》で|腐《くさ》れる。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|主《しゅ》は|彼《かれ》らを|大《おお》いにあわてさせられるので、|彼《かれ》らはおのおのその|隣《とな》り|人《びと》を|捕《とら》え、|手《て》をあげてその|隣《とな》り|人《びと》を|攻《せ》める。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]ユダもまた、エルサレムに|敵《てき》して|戦《たたか》う。その|周囲《しゅうい》のすべての|国《くに》びとの|財宝《ざいほう》、すなわち|金銀《きんぎん》、|衣服《いふく》などが、はなはだ|多《おお》く|集《あつ》められる。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]また|馬《うま》、|騾《ら》、らくだ、ろば、およびその|陣営《じんえい》にあるすべての|家畜《かちく》にも、この|災《わざわい》のような|災《わざわい》が|臨《のぞ》む。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムに|攻《せ》めて|来《き》たもろもろの|国《くに》びとの|残《のこ》った|者《もの》は、|皆《みな》|年々《ねんねん》|上《のぼ》って|来《き》て、|王《おう》なる|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》を|拝《おが》み、|仮庵《かりほ》の|祭《まつり》を|守《まも》るようになる。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]|地《ち》の|諸《しょ》|族《ぞく》のうち、|王《おう》なる|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》を|拝《おが》むために、エルサレムに|上《のぼ》らない|者《もの》の|上《うえ》には、|雨《あめ》が|降《ふ》らない。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]エジプトの|人々《ひとびと》が、もし|上《のぼ》ってこない|時《とき》には、|主《しゅ》が|仮庵《かりほ》の|祭《まつり》を|守《まも》るために、|上《のぼ》ってこないすべての|国《くに》びとを|撃《う》たれるその|災《わざわい》が、|彼《かれ》らの|上《うえ》に|臨《のぞ》む。[#太字]一九[#「一九」は行右小書き][#太字終わり]これが、エジプトびとの|受《う》ける|罰《ばつ》、およびすべて|仮庵《かりほ》の|祭《まつり》を|守《まも》るために|上《のぼ》ってこない|国《くに》びとの|受《う》ける|罰《ばつ》である。  [#太字]二〇[#「二〇」は行右小書き][#太字終わり]その|日《ひ》には、|馬《うま》の|鈴《すず》の|上《うえ》に「|主《しゅ》に|聖《せい》なる|者《もの》」と、しるすのである。また|主《しゅ》の|宮《みや》のなべは、|祭壇《さいだん》の|前《まえ》の|鉢《はち》のように、|聖《せい》なる|物《もの》となる。[#太字]二一[#「二一」は行右小書き][#太字終わり]エルサレムおよびユダのすべてのなべは、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》に|対《たい》して|聖《せい》なる|物《もの》となり、すべて|犠牲《ぎせい》をささげる|者《もの》は|来《き》てこれを|取《と》り、その|中《なか》で|犠牲《ぎせい》の|肉《にく》を|煮《に》ることができる。その|日《ひ》には、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|宮《みや》に、もはや|商人《しょうにん》はいない。 [#改ページ] マラキ書[#「マラキ書」は大見出し] 第一章[#「第一章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]マラキによってイスラエルに|臨《のぞ》んだ|主《しゅ》の|言葉《ことば》の|託宣《たくせん》。  [#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、「わたしはあなたがたを|愛《あい》した」と。ところがあなたがたは|言《い》う、「あなたはどんなふうに、われわれを|愛《あい》されたか」。|主《しゅ》は|言《い》われる、「エサウはヤコブの|兄《あに》ではないか。しかしわたしはヤコブを|愛《あい》し、[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]エサウを|憎《にく》んだ。かつ、わたしは|彼《かれ》の|山地《やまち》を|荒《あら》し、その|嗣《し》|業《ぎょう》を|荒野《あらの》の|山犬《やまいぬ》に|与《あた》えた」。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]もしエドムが「われわれは|滅《ほろ》ぼされたけれども、|荒《あ》れた|所《ところ》を|再《ふたた》び|建《た》てる」と|言《い》うならば、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は「|彼《かれ》らは|建《た》てるかもしれない。しかしわたしはそれを|倒《たお》す。|人々《ひとびと》は、|彼《かれ》らを|悪《あ》しき|国《くに》ととなえ、とこしえに|主《しゅ》の|怒《いか》りをうける|民《たみ》ととなえる」と|言《い》われる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたの|目《め》はこれを|見《み》て、「|主《しゅ》はイスラエルの|境《さかい》を|越《こ》えて|大《おお》いなる|神《かみ》である」と|言《い》うであろう。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]「|子《こ》はその|父《ちち》を|敬《うやま》い、しもべはその|主人《しゅじん》を|敬《うやま》う。それでわたしがもし|父《ちち》であるならば、あなたがたのわたしを|敬《うやま》う|事実《じじつ》が、どこにあるか。わたしがもし|主人《しゅじん》であるならば、わたしを|恐《おそ》れる|事実《じじつ》が、どこにあるか。わたしの|名《な》を|侮《あなど》る|祭司《さいし》たちよ、と|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》はあなたがたに|言《い》われる。ところがあなたがたは『われわれはどんなふうにあなたの|名《な》を|侮《あなど》ったか』と|言《い》い、[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|汚《けが》れた|食物《しょくもつ》をわたしの|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にささげる。またあなたがたは、|主《しゅ》の|台《だい》は|卑《いや》しむべき|物《もの》であると|考《かんが》えて、『われわれはどんなふうに、それを|汚《けが》したか』と|言《い》う。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたが|盲目《もうもく》の|獣《けもの》を、|犠牲《ぎせい》にささげるのは|悪《わる》い|事《こと》ではないか。また|足《あし》のなえたもの、|病《や》めるものをささげるのは|悪《わる》い|事《こと》ではないか。|今《いま》これをあなたのつかさにささげてみよ。|彼《かれ》はあなたを|喜《よろこ》び、あなたを|受《う》けいれるであろうかと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、|神《かみ》がわれわれをあわれまれるように、|神《かみ》の|恵《めぐ》みを|求《もと》めてみよ。このようなあなたがたの|手《て》のささげ|物《もの》をもって、|彼《かれ》はあなたがたを|受《う》けいれられるであろうかと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたがわが|祭壇《さいだん》の|上《うえ》にいたずらに、|火《ひ》をたくことのないように|戸《と》を|閉《と》じる|者《もの》があなたがたのうちに、ひとりあったらいいのだが。わたしはあなたがたを|喜《よろこ》ばない、またあなたがたの|手《て》からささげ|物《もの》を|受《う》けないと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]|日《ひ》の|出《で》る|所《ところ》から|没《ぼっ》する|所《ところ》まで、|国々《くにぐに》のうちにわが|名《な》はあがめられている。また、どこでも|香《こう》と|清《きよ》いささげ|物《もの》が、わが|名《な》のためにささげられる。これはわが|名《な》が|国々《くにぐに》のうちにあがめられているからであると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]ところがあなたがたは、|主《しゅ》の|台《だい》は|汚《けが》れている、またこの|食物《しょくもつ》は|卑《いや》しむべき|物《もの》であると|言《い》って、これを|汚《けが》した。[#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはまた『これはなんと|煩《わずら》わしい|事《こと》か』と|言《い》って、わたしを|鼻《はな》であしらうと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。あなたがたはまた|奪《うば》った|物《もの》、|足《あし》なえのもの、|病《や》めるものを、ささげ|物《もの》として|携《たずさ》えて|来《く》る。わたしはそれを、あなたがたの|手《て》から、|受《う》けるであろうかと|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]|群《む》れのうちに|雄《おす》の|獣《けもの》があり、それをささげると|誓《ちか》いを|立《た》てているのに、|傷《きず》のあるものを、|主《しゅ》にささげる|偽《いつわ》り|者《もの》はのろわれる。わたしは|大《おお》いなる|王《おう》で、わが|名《な》は|国々《くにぐに》のうちに|恐《おそ》れられるべきであると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。 第二章[#「第二章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》たちよ、|今《いま》この|命令《めいれい》があなたがたに|与《あた》えられる。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、あなたがたがもし|聞《き》き|従《したが》わず、またこれを|心《こころ》に|留《と》めず、わが|名《な》に|栄光《えいこう》を|帰《き》さないならば、わたしはあなたがたの|上《うえ》に、のろいを|送《おく》り、またあなたがたの|祝福《しゅくふく》をのろいに|変《か》える。あなたがたは、これを|心《こころ》に|留《と》めないので、わたしはすでにこれをのろった。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、わたしはあなたがたの|子孫《しそん》を|責《せ》める。またあなたがたの|犠牲《ぎせい》の|糞《ふん》を、あなたがたの|顔《かお》の|上《うえ》にまき|散《ち》らし、あなたがたをわたしの|前《まえ》から|退《しりぞ》ける。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]こうしてわたしが、この|命令《めいれい》をあなたがたに|与《あた》えたのは、レビと|結《むす》んだわが|契約《けいやく》が、|保《たも》たれるためであることを、あなたがたが|知《し》るためであると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》と|結《むす》んだわが|契約《けいやく》は、|生命《せいめい》と|平安《へいあん》との|契約《けいやく》であって、わたしがこれを|彼《かれ》に|与《あた》えたのは、|彼《かれ》にわたしを|恐《おそ》れさせるためである。|彼《かれ》はすでにわたしを|恐《おそ》れ、わが|名《な》の|前《まえ》におののいた。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》の|口《くち》には、まことの|律法《りっぽう》があり、そのくちびるには、|不義《ふぎ》が|見《み》られなかった。|彼《かれ》は|平安《へいあん》と|公義《こうぎ》とをもって、わたしと|共《とも》に|歩《あゆ》み、また|多《おお》くの|人《ひと》を|不義《ふぎ》から|立《た》ち|返《かえ》らせた。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]|祭司《さいし》のくちびるは|知識《ちしき》を|保《たも》ち、|人々《ひとびと》が|彼《かれ》の|口《くち》から|律法《りっぽう》を|尋《たず》ねるのが|当然《とうぜん》である。|彼《かれ》は|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|使者《ししゃ》だからだ。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]ところが、あなたがたは|道《みち》を|離《はな》れ、|多《おお》くの|人《ひと》を|教《おし》えてつまずかせ、レビの|契約《けいやく》を|破《やぶ》ったと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはわたしの|道《みち》を|守《まも》らず、|律法《りっぽう》を|教《おし》えるに|当《あた》って、|人《ひと》にかたよったがために、あなたがたをすべての|民《たみ》の|前《まえ》に|侮《あなど》られ、|卑《いや》しめられるようにする」。  [#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]われわれの|父《ちち》は|皆《みな》一つではないか。われわれを|造《つく》った|神《かみ》は一つではないか。なにゆえ、われわれは|先祖《せんぞ》たちの|契約《けいやく》を|破《やぶ》って、おのおのその|兄弟《きょうだい》に|偽《いつわ》りを|行《おこな》うのか。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]ユダは|偽《いつわ》りを|行《おこな》い、イスラエルおよびエルサレムの|中《なか》には|憎《にく》むべき|事《こと》が|行《おこな》われた。すなわちユダは|主《しゅ》が|愛《あい》しておられる|聖所《せいじょ》を|汚《けが》して、|他《た》の|神《かみ》に|仕《つか》える|女《おんな》をめとった。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]どうか、|主《しゅ》がこうした|事《こと》を|行《おこな》う|人《ひと》をば、|証言《しょうげん》する|者《もの》も、|答弁《とうべん》する|者《もの》も、また|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》にささげ|物《もの》をする|者《もの》をも、ヤコブの|幕屋《まくや》から|断《た》たれるように。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたはまたこのような|事《こと》をする。すなわち|神《かみ》がもはやささげ|物《もの》をかえりみず、またこれをあなたがたの|手《て》から、|喜《よろこ》んで|受《う》けられないために、あなたがたは|涙《なみだ》と、|泣《な》くことと、|嘆《なげ》きとをもって、|主《しゅ》の|祭壇《さいだん》をおおい、[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]「なぜ|神《かみ》は|受《う》けられないのか」と|尋《たず》ねる。これは|主《しゅ》があなたと、あなたの|若《わか》い|時《とき》の|妻《つま》との|間《あいだ》の、|契約《けいやく》の|証人《しょうにん》だったからである。|彼女《かのじょ》は、あなたの|連《つ》れ|合《あ》い、|契約《けいやく》によるあなたの|妻《つま》であるのに、あなたは|彼女《かのじょ》を|裏切《うらぎ》った。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]一つ|神《かみ》は、われわれのために|命《いのち》の|霊《れい》を|造《つく》り、これをささえられたではないか。|彼《かれ》は|何《なに》を|望《のぞ》まれるか。|神《かみ》を|敬《うやま》う|子孫《しそん》であるゆえ、あなたがたはみずから|慎《つつし》んで、その|若《わか》い|時《とき》の|妻《つま》を|裏切《うらぎ》ってはならない。[#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]イスラエルの|神《かみ》、|主《しゅ》は|言《い》われる、「わたしは|離縁《りえん》する|者《もの》を|憎《にく》み、また、しえたげをもってその|衣《ころも》をおおう|人《ひと》を|憎《にく》むと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。ゆえにみずから|慎《つつし》んで、|裏切《うらぎ》ることをしてはならない」。  [#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言葉《ことば》をもって|主《しゅ》を|煩《わずら》わした。しかしあなたがたは|言《い》う、「われわれはどんなふうに、|彼《かれ》を|煩《わずら》わしたか」。それはあなたがたが「すべて|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》は|主《しゅ》の|目《め》に|良《よ》く|見《み》え、かつ|彼《かれ》に|喜《よろこ》ばれる」と|言《い》い、また「さばきを|行《おこな》う|神《かみ》はどこにあるか」と|言《い》うからである。 第三章[#「第三章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]「|見《み》よ、わたしはわが|使者《ししゃ》をつかわす。|彼《かれ》はわたしの|前《まえ》に|道《みち》を|備《そな》える。またあなたがたが|求《もと》める|所《ところ》の|主《しゅ》は、たちまちその|宮《みや》に|来《く》る。|見《み》よ、あなたがたの|喜《よろこ》ぶ|契約《けいやく》の|使者《ししゃ》が|来《く》ると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》が|言《い》われる。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]その|来《く》る|日《ひ》には、だれが|耐《た》え|得《え》よう。そのあらわれる|時《とき》には、だれが|立《た》ち|得《え》よう。  |彼《かれ》は|金《きん》をふきわける|者《もの》の|火《ひ》のようであり、|布《ぬの》さらしの|灰汁《あく》のようである。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|銀《ぎん》をふきわけて|清《きよ》める|者《もの》のように|座《ざ》して、レビの|子孫《しそん》を|清《きよ》め、|金銀《きんぎん》のように|彼《かれ》らを|清《きよ》める。そして|彼《かれ》らは|義《ぎ》をもって、ささげ|物《もの》を|主《しゅ》にささげる。[#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》ユダとエルサレムとのささげ|物《もの》は、|昔《むかし》の|日《ひ》のように、また|先《さき》の|年《とし》のように|主《しゅ》に|喜《よろこ》ばれる。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]そしてわたしはあなたがたに|近《ちか》づいて、さばきをなし、|占《うらな》い|者《もの》、|姦淫《かんいん》を|行《おこな》う|者《もの》、|偽《いつわ》りの|誓《ちか》いをなす|者《もの》にむかい、|雇人《やといにん》の|賃銀《ちんぎん》をかすめ、やもめと、みなしごとをしえたげ、|寄留《きりゅう》の|他国《たこく》|人《じん》を|押《お》しのけ、わたしを|恐《おそ》れない|者《もの》どもにむかって、すみやかにあかしを|立《た》てると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》なるわたしは|変《かわ》ることがない。それゆえ、ヤコブの|子《こ》らよ、あなたがたは|滅《ほろ》ぼされない。[#太字]七[#「七」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、その|先祖《せんぞ》の|日《ひ》から、わが|定《さだ》めを|離《はな》れて、これを|守《まも》らなかった。わたしに|帰《かえ》れ、わたしはあなたがたに|帰《かえ》ろうと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。ところが、あなたがたは『われわれはどうして|帰《かえ》ろうか』と|尋《たず》ねる。[#太字]八[#「八」は行右小書き][#太字終わり]|人《ひと》は|神《かみ》の|物《もの》を|盗《ぬす》むことをするだろうか。しかしあなたがたは、わたしの|物《もの》を|盗《ぬす》んでいる。あなたがたはまた『どうしてわれわれは、あなたの|物《もの》を|盗《ぬす》んでいるのか』と|言《い》う。十|分《ぶん》の一と、ささげ|物《もの》をもってである。[#太字]九[#「九」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、のろいをもって、のろわれる。あなたがたすべての|国民《こくみん》は、わたしの|物《もの》を|盗《ぬす》んでいるからである。[#太字]一〇[#「一〇」は行右小書き][#太字終わり]わたしの|宮《みや》に|食物《しょくもつ》のあるように、十|分《ぶん》の一|全部《ぜんぶ》をわたしの|倉《くら》に|携《たずさ》えてきなさい。これをもってわたしを|試《こころ》み、わたしが|天《てん》の|窓《まど》を|開《ひら》いて、あふるる|恵《めぐ》みを、あなたがたに|注《そそ》ぐか|否《いな》かを|見《み》なさいと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一一[#「一一」は行右小書き][#太字終わり]わたしは|食《く》い|滅《ほろ》ぼす|者《もの》を、あなたがたのためにおさえて、あなたがたの|地《ち》の|産物《さんぶつ》を、|滅《ほろ》ぼさないようにしよう。また、あなたがたのぶどうの|木《き》が、その|熟《じゅく》する|前《まえ》に、その|実《み》を|畑《はたけ》に|落《おと》すことのないようにしようと、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。[#太字]一二[#「一二」は行右小書き][#太字終わり]こうして|万国《ばんこく》の|人《ひと》は、あなたがたを|祝福《しゅくふく》された|者《もの》ととなえるであろう。あなたがたは|楽《たの》しい|地《ち》となるからであると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]一三[#「一三」は行右小書き][#太字終わり]|主《しゅ》は|言《い》われる、あなたがたは|言葉《ことば》を|激《はげ》しくして、わたしに|逆《さか》らった。しかもあなたがたは『われわれはあなたに|逆《さか》らって、どんな|事《こと》を|言《い》ったか』と|言《い》う。[#太字]一四[#「一四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは|言《い》った、『|神《かみ》に|仕《つか》える|事《こと》はつまらない。われわれがその|命令《めいれい》を|守《まも》り、かつ|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》の|前《まえ》に、|悲《かな》しんで|歩《ある》いたからといって、なんの|益《えき》があるか。[#太字]一五[#「一五」は行右小書き][#太字終わり]|今《いま》われわれは|高《たか》ぶる|者《もの》を、|祝福《しゅくふく》された|者《もの》と|思《おも》う。|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》は|栄《さか》えるばかりでなく、|神《かみ》を|試《こころ》みても|罰《ばっ》せられない』」。  [#太字]一六[#「一六」は行右小書き][#太字終わり]そのとき、|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》は|互《たがい》に|語《かた》った。|主《しゅ》は|耳《みみ》を|傾《かたむ》けてこれを|聞《き》かれた。そして|主《しゅ》を|恐《おそ》れる|者《もの》、およびその|名《な》を|心《こころ》に|留《と》めている|者《もの》のために、|主《しゅ》の|前《まえ》に一つの|覚《おぼ》え|書《がき》がしるされた。[#太字]一七[#「一七」は行右小書き][#太字終わり]「|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、|彼《かれ》らはわたしが|手《て》を|下《くだ》して|事《こと》を|行《おこな》う|日《ひ》に、わたしの|者《もの》となり、わたしの|宝《たから》となる。また|人《ひと》が|自分《じぶん》に|仕《つか》える|子《こ》をあわれむように、わたしは|彼《かれ》らをあわれむ。[#太字]一八[#「一八」は行右小書き][#太字終わり]その|時《とき》あなたがたは、|再《ふたた》び|義人《ぎじん》と|悪人《あくにん》、|神《かみ》に|仕《つか》える|者《もの》と、|仕《つか》えない|者《もの》との|区別《くべつ》を|知《し》るようになる。 第四章[#「第四章」は中見出し]  [#太字]一[#「一」は行右小書き][#太字終わり]|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる、|見《み》よ、|炉《ろ》のように|燃《も》える|日《ひ》が|来《く》る。その|時《とき》すべて|高《たか》ぶる|者《もの》と、|悪《あく》を|行《おこな》う|者《もの》とは、わらのようになる。その|来《く》る|日《ひ》は、|彼《かれ》らを|焼《や》き|尽《つく》して、|根《ね》も|枝《えだ》も|残《のこ》さない。[#太字]二[#「二」は行右小書き][#太字終わり]しかしわが|名《な》を|恐《おそ》れるあなたがたには、|義《ぎ》の|太陽《たいよう》がのぼり、その|翼《つばさ》には、いやす|力《ちから》を|備《そな》えている。あなたがたは|牛舎《ぎゅうしゃ》から|出《で》る|子《こ》|牛《うし》のように|外《そと》に|出《で》て、とびはねる。[#太字]三[#「三」は行右小書き][#太字終わり]また、あなたがたは|悪人《あくにん》を|踏《ふ》みつけ、わたしが|事《こと》を|行《おこな》う|日《ひ》に、|彼《かれ》らはあなたがたの|足《あし》の|裏《うら》の|下《した》にあって、|灰《はい》のようになると、|万軍《ばんぐん》の|主《しゅ》は|言《い》われる。  [#太字]四[#「四」は行右小書き][#太字終わり]あなたがたは、わがしもべモーセの|律法《りっぽう》、すなわちわたしがホレブで、イスラエル|全体《ぜんたい》のために、|彼《かれ》に|命《めい》じた|定《さだ》めとおきてとを|覚《おぼ》えよ。  [#太字]五[#「五」は行右小書き][#太字終わり]|見《み》よ、|主《しゅ》の|大《おお》いなる|恐《おそ》るべき|日《ひ》が|来《く》る|前《まえ》に、わたしは|預言者《よげんしゃ》エリヤをあなたがたにつかわす。[#太字]六[#「六」は行右小書き][#太字終わり]|彼《かれ》は|父《ちち》の|心《こころ》をその|子《こ》|供《とも》たちに|向《む》けさせ、|子供《こども》たちの|心《こころ》をその|父《ちち》に|向《む》けさせる。これはわたしが|来《き》て、のろいをもってこの|国《くに》を|撃《う》つことのないようにするためである」。 [#改ページ] 底本:「聖書」日本聖書協会 1955年発行 2010年9月11日作成 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