三童児の歌

第1章

1:1彼等神を讚め、主を祝しつつ、火の中に歩めり。 1:2その時、アザリヤ立ちて、次の如くに祈れり。かれ、焰の直中にて口を開き、いひけるは、 1:3『讚むべきかな、我らが先祖たちの神なる主よ、汝の御名は永遠に稱へられ、崇めらるるに相應しきなり。 1:4そは我らに爲し給へるすべての事に於て、汝は正義にましませばなり。實に、汝のすべての御業は眞實にして、汝の道は正しく、汝のすべての審判は直し。 1:5汝が我らの上に齎し給ひしすべての事に於て、また我らが先祖の聖き都エルサレムに對し、汝は正しき審判を行ひ給へり。そは正義と審判とに從ひて、我らの罪の故に汝これらの凡てのことを、我らの上にもたらし給へるなり。 1:6我ら罪を犯し、不法を爲し、汝より離れたり。 1:7すべての事に於て我ら罪を犯し、汝の誡に從はず、また之を守らず、また之を守らば安全ならんと我らに命じ給ひし事をなさざりき。 1:8故に我らに齎し給ひし凡てのこと、また我らに爲し給ひしことはみな、ただ汝の正しき審判によりて爲し給ひしなり。 1:9而して汝我等を不法なる敵、最も厭ふべき背教者、また非道なる王、世に類なき殘虐者の手に渡し給へり。 1:10我らは今や、口を開きて語りえぬ者となれり。我らは汝の僕ら、また汝を拜む者の恥辱、また責めらるる者となりたり。 1:11されど御名の故によりて、我らを全く棄て給ふ勿れ、また汝の御誓約を取消し給ふ勿れ。 1:12汝の愛し給ふアブラハム、汝の僕イサク、また汝の聖なるイスラエルの故によりて、汝の憐愍を我らより斷ち給ふ勿れ。 1:13汝彼らに語りて約し給へり、空の星の如く、また濱の眞砂の如く、彼らの裔を增し殖さんと。 1:14そは、主よ、我らは何處の民よりも數少くなり、我らが罪の故に、今日全世界に散りて生き長らふなり。 1:15此の時に當りて、我らには君王なく、預言者なく、指導者なく、また恩惠を得んとて汝の御前に捧ぐべき燔祭、犧牲、供物、薰香、などを置くべき場所もあらざるなり。 1:16さりながら、我らに碎けたる心と謙遜る靈とを與へて、受納れらるる者となし給へ。 1:17牡羊と牡牛とをもてする燔祭の如く、また幾萬の肥えたる羔をもてする如く、今日我らを犧牲として御前に獻げしめ給へ。また我らを赦して全く汝に從はしめ給へ。そは汝に信頼む者は辱しめらるることなかるべければなり。 1:18今我ら全心をもて汝に從ひ、汝を畏れ、汝の御顏を仰ぎ求めん。 1:19我らを辱かしめ給ふ勿れ、我らを汝の慈愛、汝の恩惠の多きによりてあしらい給へ。 1:20主よ、汝の驚くべきみ業によりて我らを救出し、汝の御名に榮光を歸せしめ給へ。而してすべて汝の僕らを害ふ者を辱かしめ給へ。 1:21彼らをそのすべての能力と權威とに躓かしめ、彼らの勢力を打破り給へ。 1:22而して彼らに汝こそ主にましまして、唯一なる神、その榮光全地に洽きことを知らしめ給へ。』 1:23茲に彼らを投げ入れたる王の僕らは、樹脂、瀝青、麻屑、木碎などをもて爐を冷すことなからしめたり。 1:24かくて爐より迸り出づる火焰の流、天に冲すること四十九キユビトに達し、 1:25焰は爐に近づきたるカルデヤ人を燒き盡せり。 1:26されど主の御使くだりて、爐の中に立てるアザリヤ及びその徒と偕に在り、焰を爐の外に撃退けぬ。 1:27かくて爐の直中を濕ひたる軟風の吹く處と化したり。故に火は遂に彼らに觸るる能はず、また彼らを害ふことも、惱ますことも能はざりき。 1:28時に三人の者、異口同音に、爐の中に在し給ふ神を讚美し、これに榮光を歸し、祝福して云へり。 1:29讚むべきかな、主よ、我らの先祖たちの神よ。汝は一切のものに優りて、世々歌ひ崇められ給ふ 1:30讚むべきかな、汝の榮光ある聖き御名、すべてのものに優りて、世々うたい崇めらるるなり。 1:31讚むべきかな、汝は、その聖なる榮光の宮にて世々うたい崇められ給ふ。 1:32讚むべきかな、深き淵を看、ケルビムの上に座し給ふ者よ、すべてのものに優りて、世々うたひ崇められ給ふ。 1:33讚むべきかな、汝の御國の榮光ある王座に卽き給ふ者よ、すべてのものに優りて、世々うたい崇められ給ふ。 1:34讚むべきかな、天の蒼空にいまし給ふ者よ、すべてのものに優りて、世々うたい崇められ給ふ。 1:35主の萬物よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:36もろもろの天よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:37主の天使よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:38空の上の水よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:39主の萬軍よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:40日と月よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:41空の星よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:42雨と露よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ 1:43風よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:44火と熱よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:47夜と晝よ、主を祝ひ、世々うたひ崇あまつれ。 1:48明と暗黑よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:49霰と寒さよ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:50氷と雪よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:51電光と雲よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:52地よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:53山と岡よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:54地に生ふる凡ての草木よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:56海と川よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:55泉よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:57鯨と凡て水に游ぐ者よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:58空を飛ぶ鳥よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:59野獸と家畜よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:60世の人よ、みな主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:61イスラエルよ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:62主の祭司よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:63主の僕よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:64義人の靈魂よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:65心きよく謙る者よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。 1:66ハナニヤとアザリヤとミシヤエルよ、主を祝ひ、世々うたい崇めまつれ。そは主我らを陰府より救ひ、死の手より援け出し、爐と燃る焰の直中より救ひ出し給ひたればなり。 1:67主に感謝せよ、主は恩惠ふかく、その憐愍は世々に絶ゆることなければなり。 1:68すべて主を拜む者よ、神々の神を祝ひ、讚めたたへ、感謝せよ、その憐愍は永遠に絶ゆることなければなり。