エズラ第一書

第1章

1:1ここにヨシア、エルサレムに於て主に對して過越の祭を行ひ、正月の十四日に過越の犧牲を獻げたり。 1:2卽ち祭司たちに祭服を纒はしめ、これをその日々の班に從ひて宮の中に立たしめたり。 1:3彼又イスラエルの宮仕なるレビ人らに、主に對して己を潔め、ダビデの子ソロモン王の建てし家の中に、主の聖き櫃を置くことを命じたり。 1:4『汝らもはやそれを肩に舁く要なければ、汝らの神なる主に仕へ、その民イスラエルを助け、汝らの父祖の家及び宗族に從ひて己を備へよ。 1:5汝らこれを、イスラエルの王ダビデの錄しし所に基づき、又その子ソロモンの威徳に依りてなせ。己が兄弟なるイスラエルの子らの前に立つレビ人なる汝ら、汝らの族の諸の班に從ひ、聖所の中に立ちて、 1:6順序により過越を獻げ、汝らの兄弟たちのために犧牲を備へ、モーセの與へられし主の誡に從ひて過越の祭を守れ。』 1:7集れる民にヨシア三萬の小羊と小山羊、及び三千の犢を與へたり。此等は彼が民と祭司及びレビ人に約せし如く、王の所有物の中よう與へしなり。 1:8宮司ヒルキヤとザカリヤ、及びスエロ、祭司たちに過越のために二千六百の羊と三百の犢を與へたり。 1:9エコニヤとサマイヤ、その兄弟ナタナエル、サビヤ、オキエロ、及びヨラム、卽ち千人の長たりし人々、レビ人らに過越のため五千の羊と七百の犢を與へたり。 1:10[10-11]此等のもの備はりし時、祭司たちとレビ人ら酵入れぬパンを持ち、宗族に從ひ、父祖の家の區分に從ひ、モーセの書に記されし如く、主に獻げんとて、正しき順序にて民の前に立ちぬ。かく彼らこれを朝の内になせり。 1:11*[10-11]此等のもの備はりし時、祭司たちとレビ人ら酵入れぬパンを持ち、宗族に從ひ、父祖の家の區分に從ひ、モーセの書に記されし如く、主に獻げんとて、正しき順序にて民の前に立ちぬ。かく彼らこれを朝の内になせり。 1:12彼ら定められし如く火にて過越のものを炙り、銅の器と鍋の中に犧牲を煮てよき香を放たしめ、 1:13これをすべての民の前に置けり。而して後彼等己らのために、又彼らの兄弟なる祭司たち、及びアロンの子らのために備へぬ。 1:14祭司たちは夜に至るまで脂をささげ、レビ人は己らのため、又その兄第なる祭司のため、アロンの子らのために備へぬ。 1:15アサフの子らなる聖歌隊の者もまた、ダビデの定に依り、アサフ、ザカリヤ、及び王の侍從エデヌと順序に從ひて居りぬ。 1:16かつすべての門には門衞ありて、誰もその日々の勤より逃るる能はざりき。そは彼らの兄弟なるレビ人等彼らのために備へたればなり。 1:17[17-18]かく主の犧牲に關る事ども、その日成し遂げられ、ヨシア王の命に從ひて、過越祭は守られ、犧牲は主の祭壇の上に供へられたり。 1:18*[17-18]かく主の犧牲に關る事ども、その日成し遂げられ、ヨシア王の命に從ひて、過越祭は守られ、犧牲は主の祭壇の上に供へられたり。 1:19さればその時そこにありしイスラエルの子ら過越と除酵祭を七日の間催せり。 1:20かかる過越祭はサムエルの時より以來イスラエルに行はれざりき。 1:21イスラエルのすべての王たちの中には、ヨシアが祭司、レビ人、ユダヤ人、及びエルサレムに住めるすべてのイスラエル人と共に行ひし如きかかる過越祭を行へる者なし。 1:22此の過越祭はヨシアの治世の十八年に行はれしなり。 1:23ヨシアの諸の業は敬虔の心より出でたれば主の御前に正しかりき。 1:24彼の代に起りし事の中、人々がすべての民と國とに勝りて主に罪を犯し、惡を行ひていかに彼を悲ましめ、主の御言イスラエルに向ひて、いかに確く立ちしかにつきては既に記されたり。 1:25ヨシアの此等のすべての行爲の後に、エジプトの王パロ、ユフラテのほとりなるカルケミシを攻め擊たんとて上り來りければ、ヨシアこれを禦がんとて出で行きぬ。 1:26されどエジプト王使者を彼に遣はしていふ『ユダヤの王よ、我と汝と何の關係あらんや。 1:27我は汝を擊たんために主なる神より遣はされず。わが戰はユフラテにてなさるるなり。主は我と共にあり。げに主は我と共にありて我を急ぎ進ましめ給ふ。されば我を離れよ。主に逆ふな。』 1:28されどヨシアはその車に歸らず、主の口によりて語られたる預言者エレミヤの言を蔑して、彼と戰を交へぬ。 1:29かくてメギドの平野にて、彼と戰ひしに、君侯たちヨシア王に逆ひて下り來れり。 1:30その時王その僕らにいへり『我を戰場より運び出せ、われいたく弱れり』と。直ちに僕等彼を軍陣の外に伴ひ出しぬ。 1:31かくて彼第二の車に乘り、エルサレムに歸りて死に、先祖の墓に葬られたり。 1:32ユダヤ全國ヨシアのために喪に服せり。その時預言者エレミヤ、ヨシアのために哀歌を作りしが、主なる人々今も猶女たちと共に彼のために哀悼をなす。これはイスラエルのすべての國に於て絶えずなさるべき命令として定められしなり。 1:33此等のことはユダヤの諸王の歴史の書に錄さる。ヨシアのなせしすべての行爲、その光榮、主の律法につきての理解、彼のさきになしし諸の事、竝びに今語りし事など、すべてイスラエルとユダの列王の書に録さる。 1:34ここに於て民ヨシアの子エホアハズを取りて、その父ヨシアの代りに王となせり。その時彼二十三歳なりき。 1:35彼はエルサレムに於て三月の間イスラエルを治めしが、その時エジプトの王彼をエルサレムの位より下せり。 1:36また、民に銀百タラント、金一タラントの税を課しぬ。 1:37エジプトの王また彼の兄弟エホヤキムをユダヤとエルサレムの王となせり。 1:38エホヤキム貴族たちを縛りしが、その兄弟ザラケを捕へて、これをエジプトより伴れ來りぬ。 1:39エホヤキムはユダヤとエルサレムを初めて治めし時二十五歳なりき。彼は主の御前に惡を行へり。 1:40バビロンの王ネブカデネザル彼の所に攻め上り、銅の鎖もて彼を縛り、バビロンにつれ行けり。 1:41ネブカデネザル又主の聖器を取りて運び出し、これをバビロンに於ける己が宮の中に据ゑたり。 1:42されど彼につきて記されたる此らのこと、及びその不潔と不敬虔は王たちの歴代史に録さる。 1:43その子エホヤキム彼に代りて世を治めしが、王となりし時十八歳なりき。 1:44彼は三月と十日の間エルサレムにて世を治めしが、主の御前に惡を行へり。 1:45されば一年の後ネブカデネザル使者を遣はして、主の聖器と共に彼をバビロンに携へ來らしめ、 1:46セデキヤをユダヤとエルサレムの王となせり。その時セデキヤは二十一歳なりしが、十一年の間世を治めたり。 1:47彼も主の御前に惡を行ひ、預言者エレミヤによりて主の口より語られし御言に心を用ひざりき。 1:48此の後ネブカデネザル彼を主の名によりて誓はしめしが、彼これを拒みて叛き、その頸と心を頑にして、イスラエルの神なる主の律法を犯しぬ。 1:49且民の司と祭司たち多くの惡しき事を行ひ、すべての國々の汚辱に過ぎて、エルサレムにある聖別されし主の宮を瀆したり。 1:50されば彼らの先祖たちの神、その使者を送りて彼らを呼び返へしぬ。そは主彼らの上に、又主の住處の上に憐憫を垂れ給ひたればなり。 1:51されど彼等その使者を嘲り、主が彼らに語り給ひし日に、その預言者を侮りぬ。 1:52されば主その民をその大なる不敬虔の故に怒り、カルデヤの王たちに命じてこれを擊たしめ給へり。 1:53彼らはその若者を聖き宮の周圍にて劍をもて殺し、若き男をも少女をも老人をも子供をも赦さざりき。そは主これを悉く彼らの手に渡し給ひたればなり。 1:54彼らは主の聖器を大なるも小なるも悉く取り、主の櫃の諸の器具及び王の貨財と共にこれをバビロンまで運び行けり。 1:55又彼らは主の家を燒き、エルサレムの石垣を崩し、火をもてその塔を燒きぬ。 1:56その貴き器具をば彼ら悉く毀ちて空くせり。又劍をもて殺されざりし人々をば彼バビロンに携へ行きぬ。 1:57ペルシヤ人の世を治むるまで、彼らは、預言者エレミヤの口によりて主の語り給ひし御言を成就せんため、彼とその子らの僕となれり。 1:58かくて此の地その安息を享くるまで、荒れ居る間休みて、終に七十年滿ちたり。

第2章

2:1ペルシヤ王クロスの第一年に、エレミヤの口による主の御言の成就せんがため、 2:2主ペルシヤ王クロスの靈を動かし給ひたれば、彼その國中に普く宣命を傳へ、詔書を發していへり 2:3『ペルシヤ王クロスかくいふ。イスラエルの主、至高き主、我を全世界の王となし、 2:4我に命じて彼のためにユダヤの地なるエルサレムに家を建てしむ。 2:5さればもし汝等の中誰にてもその民たるものあらば、主をして、己と共にあらしめ、ユダヤの地なるエルサレムに上り行きて、イスラエルの主の家を建てよ。そは彼はエルサレムに宮居し給ふ主なればなり。 2:8その時ユダとベニヤミンの宗家の長立ちぬ。又祭司とレビ人、竝びに主がその靈を動かし給へる人々はエルサレムに在し給ふ主のために家を建てんとて上り行きぬ。 2:9彼らの周圍に住める人々は、銀と金とをもて、馬と家畜とをもて、又心を動かされて誓願をなせる多くの人々によりて獻げられたる多くの供物をもて、すべての事に彼らを助けたり。 2:10クロス王も亦ネブカデネザルがエルサレムより運び出して偶像の宮に据ゑたる主の聖器を携へ來れり、 2:11さてペルシヤ王クロス此等のものを携へ來りし時、これをその庫司ミテラダテに渡し、 2:12彼はこれをユダの牧伯サナバサルに渡しぬ。 2:13その數はこれなり。金杯一千、銀杯一千、銀の香爐二十九、金の壜三十、銀のもの二千四百十、及び他の器具一千。 2:14此等の金銀の器は悉く携へ來られ、五千四百六十九に達しぬ。 2:15此等は皆、俘虜となりし人々と共に、サナバサルによりて、バビロンよりエルサレムに携へ歸られたり。 2:16されどペルシヤ王アルタシヤスタの時に、ベレモ、ミテラダテ、ダベリオ、ラツモ、ベルナトモ、及び書記官サメリオは、サマリヤと他の地に住む彼らの同僚と共に、ユダとエルサレムに住める人々に逆ひて次の如き書を彼の許に書き送れり。 2:18我が主、王よ、知り給へ。汝の許より上り來りしユダヤ人、エルサレムに到りてかの背き悖れる惡しき町を築き、その市場と衣垣とを繕ひ、宮の礎を据ゑんとす。 2:19もし此の町建てられ、石垣築かれなば、彼等は貢を拒むのみならず、王たちに對して背かん。 2:20宮に關ることにつきては、我等これを等閑にせず。 2:21されどわが主なる王に奏聞す。もし御心にかなはば父祖たちの諸書を檢ベ給へ。 2:24されば今我等汝に告げ奉る。主なる王よ。若し此の町再び建てられ、石垣新にせられなば、汝は今よりケレスリヤとピニケに通路を失ひ給ふべし。』 2:25その時王史官ラツモとベルテトモ、書記官サメリオ竝びにその同僚、サマリヤ、スリヤ、及びピニケに住める者に宛て次の如き返書を記したり。 2:28されば我命じて、彼等の町を建つることを止めしめ、堅く此の命に背く者なきやう心せしめ、 2:29又その惡事進みて、王たちの煩ひとならざるやうにせり。』 2:30此の書讀まれたれば、ラツモと書記官サメリオ、及び彼らの同僚騎兵と武裝せる人々の群と共に、エルサレムに向ひて急ぎ行き、その工事を中止せしめたり。かくてエルサレムに於ける宮の建築はペルシヤ王ダリヨスの治世の第二年まで止みたりき。

第3章

3:1ここにダリヨス王大なる饗宴を催して、そのすべての臣、その家に生れしすべての者、メデヤ及びペルシヤのすべての君侯たち、 3:2インドよりエテオピアに至るまで二百十七州の、彼の下なるすべての總督、將軍、及び方伯を招けり。 3:3彼等飮食し、滿ち足りて家に歸りし時、ダリヨス王その寢室に到りて寢ねしが、やがて眠より醒めぬ。 3:4その時、王の身を守りし三人の若き侍衞たち互に言ひぬ 3:5『いざ我ら各最も強き一つのものにつきていはん。その言他のものに勝りて賢しと見ゆる者に、ダリヨス王大なる賞與と優勝の印として大なる名譽を與へ、 3:6これに紫の衣を着せ、金の杯にて飮ませ、金の床に臥させ、金の馬銜ある車、麻の頭巾、及び首輪を與へん。 3:7彼その智慧の故にダリヨスの次席に坐し、ダリヨスの從弟と呼ばれん。』 3:8その時彼等各その言を記し、これを封じて、ダリヨス王の枕の下に置く。 3:9彼らいひけるは『王起き給はん時、一人彼に記したるものを渡さん。而して王と三人の君侯たちとに、その言を最も賢しと判斷せられしその人、定められたる如く優勝者とならん。』 3:10第一のもの記しぬ『酒こそ最も強けれ。』 3:11第二のもの記しぬ『王こそ最も強けれ。』 3:12第三の者記しぬ『女こそ最も強けれ。されど最後の勝利を得るは眞理なり。』 3:13王眼を醒ましし時、彼等記したるものを取りて彼に與へければ、彼これを讀みぬ。 3:14而して彼使者を遣はしてペルシヤ及びメデヤのすべての君侯たちと總督、將軍、方伯、及び大官を召し、 3:15己は審判者の席に坐しぬ。かくて記したるもの彼らの前に讀まれぬ。 3:16彼いへり『若ものたちを呼べ、彼ら自ら己が言を説明すべし。』彼ら召されたれば入り來りぬ。 3:17その人々彼らにいへり『汝らの記しし所に從ひて汝らの意を我らに告げよ。』 3:18かくいふ『君たちよ、酒はいかに強きかな。それはこれを飮むすべての人を誤らしむ。 3:19王をも孤兒をも、奴隸をも自主をも、富める者をも貧しき者をも、皆一つ心となす。 3:20それはいかなる思をも朗にし、樂しくし、悲哀をも負債をも忘れしむ。 3:21又それはあらゆる心を富ましめ、王をも總督をも忘れしめ、すべてのことを大言せしむ。 3:22彼ら杯を持つ時は友また兄弟に對する愛をも忘れ、時には劍をも拔く 3:23されど酒より醒むる時は、己がなせしことを覺えず。 3:24君たちよ。かかることをなさしむるを見れば、酒は最も強きものにあらずや。』かく語りて彼口を噤みぬ。

第4章

4:1その時第二の者、卽ち王の力につきて語りしもの言ひ始む 4:2『君たちよ。海と陸とその中のすべてのものを治むる人はその力勝れずや。 4:3されど王は最も強し。かれは彼らの主にして、彼らを治め、いかなる事にても彼らに命じ、彼らはこれに從ふ、 4:4彼互に戰へといはば、彼等戰はん。又彼等を敵の許に遣はさば、行きて、山をも、石垣をも、塔をも打ち毀たん。 4:5彼らは殺すにも殺さるるにも王の命に背かず。彼等もし勝利を得なば、分捕物のみならず他のすべてのものをも、王の許に携へ來らん。 4:6軍人にあらず、戰爭に關係なく、地を耕すものも亦同じ。その蒔きしものを再び刈り取らば、皆これを王の許に携へ來り、これに貢を納めん。 4:7げに彼は唯の人なり。彼殺せといはば彼ら殺し、赦せといはば赦し、 4:8打てといはば打ち、荒せといはば荒し、築けといはば築き、 4:9切れといはば切り、植ゑよといはば植ゑん。 4:10かく民も軍隊も皆彼に從ふ。且彼臥し横はり、飮み食ひて、休息をなす。 4:11彼ら彼のまはりを見張り、何人も去らずしてその務を盡し、又事毎に彼に從ふ。 4:12君たちよ。かく人々に從はるれば、王こそ最も強き者にあらずや。』かくいひて默しぬ。 4:13次に、女と眞理につきて語りし第三の者(卽ちゼルバベル)語り初む 4:14『君たちよ。王は大にして、人は多く、酒亦強からずや。されど此等を治め、その上に立つは、女にあらずして何者ぞ。 4:15女は王を、又海と陸とを治むる民を産む。 4:16げに彼らは女より出づ、女は酒の出づる葡萄園を培ふ人々を養ひ育つ。 4:17彼らは又人のために衣服を作り、人に光榮を加ふ。女なくして人在り得ざるなり。 4:18人もし、金銀及びその他の善きものを手にし、淑かにして美しき女を見なば、 4:19此等のものを悉く投げ出してその女に見とれ、口を開きたるまま眼をこれに注ぎ、金銀又はいかなる善きものにも勝りてこれをわがものとせんとす。 4:20人は彼を育てし己が父と己が國とを離れてその妻に著く。 4:21又その妻と共に生涯を過し、父をも母をも、國をも忘る。 4:22これによりて汝ら、女の汝らを治むるを知るべし。汝らは働き勞して女の許にすべてのものを携へ行くにあらずや。 4:23人は劍を取り、掠め、盜まんがため遠く出で行き、海と河とに船出す。 4:24又獅子を見、暗闇に歩み、盜み、掠め、奪ひしものをその戀人の許に携へ行く。 4:25人は父母に勝りて妻を愛す。 4:26多くの人は女のために惑はされてその奴隸となる。 4:27多くの人は女のために滅び、躓き、又罪を犯せり。 4:28汝ら今我を信ぜざるか。王はその力に於て大ならずや。すべての領土彼に觸るるを恐れざるや。 4:29されどわれ王と王の妾アパメ、卽ち貴きバルタコの娘が王の右に坐するを見しに、 4:30かの女王の頭より冠を取りてこれを己が頭に戴き、その左手をもて王を打ちぬ。 4:31然るに王はその時これに見蕩れ、口を開きたるままにてこれを眺め、かの女笑へば彼も笑ひ、かの女眉を顰むれば、慰めんとてこれに諛ひぬ。 4:32君たちよ。彼等がかくするを見て、いかで女を強からずといふを得んや。』 4:33その時王と貴族たち互に見廻はしたれば、かれ眞理につきて語り始む 4:34『君たちよ。女は強からずや。地は大にして天は高く、日は速かにその道を走る。卽ち天の周圍を廻りて、一日にして再び己が所に歸る。 4:35此等のものを造り給ふ者は大ならずや。げに眞理は大にしてすべてのものよりも強し。 4:36全地は眞理に向ひて呼はり、天はこれを祝福す。すべての業は震ひ戰けど、眞理には義しからぬもの一つだになし。 4:37酒も義しからず、王も義しからず、女も義しからず、すべての人の子らも義しからず、又彼らの業も義しからず。彼らの中には眞理なく、その不義によりて自ら滅ぶ。 4:38されど眞理は存りて、常に強く、生き又勝ちて永遠に至らん。 4:39眞理は人を偏り見ず、又差別をなさず、すべての不義と惡とを離れて義を行ふ。すべての人そのわざを喜ぶなり。 4:40又眞理の審判の中に不義なし。眞理こそ萬世に亙りて力たり國たり權たり威たるなれ。ああ祝すべきかな眞理の神。』 4:41かくいひて彼、口を閉づ。その時すべての民叫びていへり『眞理は大にしてすべてのものよりも強し。』 4:42ここに於て王彼にいふ『何にても汝の記しし所に勝りたる汝の欲するものを求めよ。我らこれを與へん。汝は最も賢しと見られたれば、わが次席に坐してわが從弟と呼ばるべし。』 4:43その時かれ王にいへり『汝の誓約を憶え給へ。汝の國に來り給ひし時、汝は誓ひて、エルサレムを建つることと、 4:44エルサレムより携へ去られしすべての器具、卽ちクロスがバビロンを滅ぼして、再びこれを彼處に送らんと誓ひし時、別ち置きし所のものを送り返すことを約し給へり。 4:45汝は又、ユダヤがカルデヤ人によりて荒らされし時、エドム人の燒き拂ひし宮を建つることを誓ひ給へり。 4:46されば今、主なる王よ。わが汝に求むる所、わが汝に願ふ所は、汝より出づる寛大に外ならず。されば請ふ、汝の誓を遂げ、汝の口をもて天の王に誓ひ給ひし所を果し給へ。』 4:47その時ダリヨス王起ちて彼に接吻し、彼のために、すべての庫官、方伯、將軍、總督に宛て書を記して、彼らが、彼及びエルサレムを築かんとて彼と共に行くすべての人々を、安全にその道に行かしめんことを命じたり。 4:48彼又ケレスリヤ及びピニケに居るすべての方伯、及びレバノンに居る者に宛て、レバノンより杉の木をエルサレムに携へ行きて、彼と共に町を築けと書き送れり。 4:49しかのみならず彼、その領土を去りてユダヤに赴くすべてのユダヤ人のために、その自由につきて書き送れり。卽ち役人も總督も方伯も庫官も、強ひて彼らの戸の内に入ることなく、 4:50彼らの所有となりしすべての國は貢を免され、その時エドム人の保ち居りしユダヤ人の村々は彼らに返へされ、 4:51又宮の竣工まで彼らは年毎にその建築のために二十タラントを與へられ、 4:52又十七箇の幡祭を獻ぐべき誠あれば、日々壇の上に獻げらるべき其等の幡祭のために、年毎に他の十タラントを與へられ、 4:53又町を建てんとてバビロンより來るすべてのものは、彼らのみならず、彼らの子孫も、共に來りし祭司たちも、皆その自由を與へられんがためなり。 4:54かれ又彼らの負擔金と、祭司たちがそれによりて仕へまつる祭服を彼らに與へんことを書き送り、 4:55レビ人には、宮の工事終りてエルサレムの築かるる日まで、その負擔金を與へんことを書き送れり。 4:56又かれ町を守りし者に、土地と報酬とを與へんことを書き送れり。 4:57かれ又クロスが別ち置きしすべての器具をバビロンより送り返へしぬ。又クロスが命ぜしことをばすべて實行せしめ、これをエルサレムに送るべきことを命じたり。 4:58若者そこを出でし時、エルサレムに向ひて、顏を天に擧げ、天の王を讚美していへり。 4:59『勝利は汝より來る。智慧は汝より來る。又榮光は汝のもの、我は汝の僕なり。 4:60祝すべきかな、我に智慧を與へ給へる汝。われ汝に感謝す。我等の先祖たちの主よ。』 4:61かくて彼其等の書をとりて出で、バビロンに來りて、すべてこれをその兄弟たちに語りしに、 4:62彼らもその先祖たちの神を讚めたたへたり。そは主、彼らに自由と解放とを與へて出で行かしめ、 4:63エルサレムと、主の御名によりて呼ばるる宮とを建てしめ給へばなり。かくて彼ら音樂と歡喜とをもて七日の間これを祝せり。

第5章

5:1此の後宗家の長等その族に從ひて選ばれ、その妻、息子、娘等と共に、僕、婢、家畜などを携へて出で行けり。 5:2ダリヨスは千人の騎兵を遣はして、彼等が安全にエルサレムに歸り着くまで共に居らしめ、又樂器、鼓、笛などを携へしめたり。 5:3その兄弟たち皆樂を奏せしが、彼はこれを彼らと共に行かしめたり。 5:4これはその宗族の中の宗家に從ひ、諸の區別に從ひて出で行きたる人々の名なり。 5:5祭司ピネハスの子らとアロンの子ら、サライヤの子なるヨセデクの子イエス、ユダ族のパレの血統なるダビデ家のサラテエルの子なるゼルバベルの子ヨアキム。 5:6彼はペルシヤ王ダリヨスの治世の第二年、ニサンの月卽ち正月に、王の前にて智慧の言を語りたり。 5:7又これは、バビロンの王ネブカデネザルによりバビロンに伴ひ來られ、他國人としてそこに住みし、俘囚の中より上りしユダヤの人々なり。 5:8彼らはエルサレムに、又ユダヤの中の他の地に、各自己が町にに歸れり。卽ち彼らはその指導者ゼルバベル、イエス、ネヘミヤ、ザライヤ、レサイヤ、ヨネネオ、アルドケオ、ベエルサロ、アスパラソ、レエリヤ、ロイモ、及びバアナと共に上りしなり。 5:9民とその指導者の數はこれなり。ポロの子孫は二千百七十二人、サパテの子孫は四百七十二人、 5:10アレの子孫は七百五十六人、 5:11パアテ・モアブの子孫、イエスとヨアブの子孫は二千八百十二人、 5:12エラムの子孫は一千二百五十四人、ザトイの子孫は九百四十五人、コルベの子孫は七百五人、バニの子孫は六百四十八人、 5:13ベバイの子孫は六百二十三人、アスタデの子孫は一千三百二十二人、 5:14アドニカムの子孫は六百六十七人、バゴイの子孫は二千六十六人、アデヌの子孫は四百五十四人、 5:15エゼキヤの子アテルの子孫は九十二人、キランとアゼタの子孫は六十七人、アザルの子孫は四百三十二人、 5:16アンニの子孫は百一人、アロムの子孫、バサイの子孫は三百二十三人、アルシプリテの子孫は百十二人、 5:17バイテロの子孫は三千五人、ベテロモンの子孫は百二十三人、 5:18ネトパのものは五十五人、アナトテ、のものは百五十八人、ベタスモテのものは四十二人、 5:19カリアテアリオのものは二十五人、カピラとベロテのものは七百四十三人、 5:20カデアサとアンミデオのものは四百二十二人、キラマとガベのものは六百二十一人、 5:21マカロンのものは百二十二人、ベトリオンのものは五十二人、ニピの子孫は百五十六人。 5:22カラモラロとオノの子孫は七百二十五人、エレクの子孫は三百四十五人、 5:23サナアの子孫は三千三百三十人。 5:24祭司はサナシブの子孫の中のイエスの子なるエドの子孫九百七十二人、エンメルテの子孫一千五十二人、 5:25パスロの子孫一千二百四十七人、カルメの子孫一千十七人。 5:26レビ人はイエスとカドミエルとバンナとスデヤの子孫七十四人。 5:27聖歌隊の者はアサフの子孫百二十八人。 5:28門衞はサルムの子孫、アタルの子孫、トルマンの子孫、ダクビの子孫、アテタの子孫、サビの子孫、すべて百三十九人。 5:29宮仕はエサウの子孫、アシパの子孫、タバオテの子孫、ケラの子孫、サウの子孫、パレアの子孫、ラバナの子孫、アガバの子孫、 5:30アクドの子孫、ウタの子孫、ケタブの子孫、アカバの子孫、スバイの子孫、アナンの子孫、カトアの子孫、ゲドルの子孫、 5:31ヤイロの子孫、ダイサンの子孫、ノエバの子孫、カセバの子孫、ガゼラの子孫、オジアの子孫、ピノエの子孫、アサラの子孫、バスタイの子孫、アサナの子孫、マアニの子孫、ナピシの子孫、アクブの子孫、アキパの子孫、アスルの子孫、パラキムの子孫、バサレムの子孫、 5:32メエダの子孫、クタの子孫、カレアの子孫、バルクの子孫、セラルの子孫、トメイの子孫、ナシの子孫、アテパの子孫。 5:33ソロモンの僕の子孫は、アサピオテの子孫、パリダの子孫、エーリの子孫、ロゾンの子孫、イスダエルの子孫、サプテの子孫、 5:34アギヤの子孫、パカレテの子孫、サビエの子孫、サロテエの子孫、マシヤの子孫、ガスの子孫、アドの子孫、スバの子孫、アペラの子孫、バロデの子孫、サパテの子孫、アルロンの子孫。 5:35宮仕とソロモンの僕等はすべて三百七十二人。 5:36彼らは皆テルメレツとテレルサよりカラアタランとアルラルに導かれて上り來れり。 5:37彼らはその家族又は血統につきて、そのいかにイスラエルより出でしかを示す能はざりき。バンの子なるダランの子孫とネコダンの子孫は六百五十二人なり。 5:38その祭司たる職位を横領せし祭司等にて見出されざりしは、オブデアの子孫、アコスの子孫、ゾルぜレオの娘たちの一人なるアウギヤを娶り、彼の名をもて呼ばれたるヤドの子孫なりき。 5:39此等の人々の親戚の項目の、記錄簿の中を探りて見出されざりしものは、祭司の現職より退けられたり。 5:40そはネヘミヤとアタリヤ彼等に向ひて、ウリムとトンミムを着けたる大祭司起るまでは聖務にたづさはるなといひたればなり。 5:41かくイスラエルのすべての人々は、僕婢を除きて、十二歳以上のもの四萬二千三百六十人に達したり。 5:42僕婢は七千三百三十七人、樂人と歌手は二百四十五人。 5:43酪駝四百三十五、馬七千三十七、騾馬二百四十五、駄馬五千五百二十五。 5:44彼らの宗家の長たる人々の或者、エルサレムにある神の宮に來りし時、彼らの力に應じて其の元の所に再び家を建てんことを誓ひ、 5:45又その業のために、宮の庫に金一千斤、銀五千斤、及び祭服百襲を納むることを約したり。 5:46かくて祭司たちとレビ人、民の中なる或もの及び聖歌隊のものと門衞等はエルサレムとその地方に住み、すべてのイスラエル人はその村々に住めり。 5:47されど七月近づきてイスラエルの子ら皆己が所にありし時、人々一つとなりて東に面したる第一の門の前の廣場に集りぬ。 5:48その時ヨセデクの子イエスとその兄弟なる祭司たち、サラテエルの子ゼルバベルとその兄弟たち、イスラエルの神の祭壇を備へ、 5:49神の人モーセの書に明かに命ぜられたる處に從ひて、その上に燔祭を供へたり。 5:50又その地の他の國民の或る人々彼等の許に集りて、己が所に祭壇を築きぬ。そはその地のすべての國民は彼らに敵對し、彼らを壓へたればなり。彼らは時に從ひて犧牲を供へ、朝夕共に燔祭を主に獻げたり。 5:51彼等又律法に命ぜられし如く假廬の祭を行ひ、定められたる如く日々犧牲を獻げたり。 5:52又この後常の供物と安息日、新月、及びすべての聖祭の犧牲を供へぬ。 5:53神の宮未だ竣工せざりしが神に對していかなる誓約にてもなしたる者は、七月の朔日より、犧姓をささげ始む。 5:54彼ら又石工及び木匠に金錢を與へ、 5:55シドンとツロより來りし人々に飮ものと食もの、及び車を與へたり。これペルシヤ王クロスによりて彼らのために記されたる命令に從ひ、レバノンより杉の木を携へ來り、これを筏にてヨツパの港まで運ばしめんがためなり。 5:56エルサレムの神の宮に來りて後第二年の二月に、サラテエルの子ゼルバベルとヨセデクの子イエスと彼等の兄弟たち、祭司とレピ人、又俘囚よりエルサレムに歸り來りしすべての人々工事を始め、 5:57彼らがユダヤとエルサレムに來りし第二年の二月の朔日に、神の宮の礎を据ゑたり。 5:58彼等又二十歳以上のレビ人を主の業に任じたり。その時、イエス起ちあがり、その子らと兄弟たち、その兄弟カドミエル、エマダブンの子ら、イリアドンの子なるヨダの子ら、及び彼等の子らと兄弟たち、すべてのレビ人ら皆一つ心にて工事に取りかかり、神の家の業を進むるために勞したり。かくて家造等主の宮を建てたり。 5:59祭司たちは祭服を纒ひ、樂器とラツパをもて、又アサフの子らなるレビ人らは鐃鈸をもて、 5:60イスラエルの王ダビデの命ぜし如く、感謝の歌をうたひ、主を讚美したり。 5:61彼等高らかに歌ひ、感謝の歌をもて主を稱へたり。そは主の善美と榮光は全イスラエルの上に永へにあればなり。 5:62すべての民はラツパを鳴らし、高らかに聲を擧げて、主の家のわざのために主に向ひ、感謝の歌を歌へり。 5:63祭司、レビ人、宗家の長等の中に以前の家を見たりし老人ありけるが、此の建物に來りて悲み又いたく泣けり。 5:64されど多くの人々はラツパを用ひ、喜びて大聲に叫びぬ。 5:65人々民の泣く聲とラツパとを聽きわくること能はざる程なりき。そは群衆甚だしくラツパを鳴らして、その聲遠くより聽かれたればなり。 5:66ユダとベニヤミンの族の敵たるものどもこれを聞きし時、ラツパの響のゆゑを知りぬ。 5:67卽ち彼ら、それは俘囚より歸り來りし人々イスラエルの神なる主に宮を建つるなるを悟れり。 5:68されば彼らゼルバベルとイエス、及び宗家の長等の所に行きてこれにいふ『我らも汝らと共に建てん。 5:69われらも汝らと同じく、汝らの主に從ひ、我らをここに來らしめしアツスリヤの王アスバサレテの時よりこれに犧牲をささぐ。』 5:70ゼルバベルとイエス、及びイスラエルの宗家の長等これに答ふ『汝らは我らの神なる主に家を建つべきにあらず。 5:71我らはペルシヤ王クロスの我らに命ぜし如く、我らのみにてイスラエルの主に家を建てん』と。 5:72されどその地の異教徒等ユダヤの人々を壓へ、これを圍みて、その工事を妨げぬ。 5:73又その祕なる謀略と説服と騷擾とをもて、クロス王の生ける間は常にこれを妨げたり。されば彼らはダリヨスの治世に至るまで二年の間その工事を妨げられたり。

第6章

6:1さてダリヨスの治世の第二年に、預言者アガイオと、アドの子なる預言者ザカリヤ、ユダヤとエルサレムのユダヤ人等に預言せり。卽ち彼らイスラエルの神なる主の御名によりて彼らに預言せり。 6:2其時サラテエルの子ゼルバベルとヨセデクの子イエス立ちて、エルサレムに主の家を建てしが、主の預言者たち彼らと共にありて彼らを助けぬ。 6:3その同じ時スリヤとピニケの總督シシンネは、サテラブザネ及びその同僚と共に來りて彼等にいへり。 6:4『誰の許可によりて汝らは此の家と此の家根を建て、又他の諸の事をなすか。これ等のことをなす工師は誰なるか。』 6:5されどユダヤ人の長老たち恩惠を受けぬ。そは主、俘囚人を顧み給ひたればなり。 6:6彼らはその工事を妨げられず、彼らにつきてダリヨスに書を奉りて、その返書を得る時にまで至れり。 6:7スリヤとピニケの總督シシンネ、及びサテラブザネがその同僚なるスリヤ及びピニケの方伯等と共にダリヨスに書き送れる書の謄寫。『ダリヨス王に平安あれ。 6:10而してその工事大なる速力をもて爲され、彼らの手によりて頻に進められ、あらゆる尊崇と關心とをもて成し遂げらる。 6:11されば我ら此等の長老たちに問ひていへり『誰の命令によりて汝ら此の家を建て、此の工事の礎を据うるや』と。 6:12我等書を以て汝に奏聞し、事に當る主なる者の何人なるかを汝に知らしめんがため、彼らに質問し、主なる人々の名を書き列ぬることを命じたり。 6:13彼等我らに答ふ『我らは天地を造り給へる主の僕なり。 6:14此の家は多くの年の前、強く大なるイスラエルの王によりて建てられ、且完うせられたり。 6:15されど我らの父祖たち天に在すイスラエルの主に逆ひて罪を犯し、その御怒を引き起せる時、主これをバビロンの王、カルデヤ人の王ネブカデネザルの手に渡し給へり。 6:16彼等此の家を倒してこれを燒き、人々を俘虜にしてバビロンに携へ行けり。 6:17されどクロス、バビロン國を治めし第一年に、クロス王書をもて此の家を建つることを許したり。 6:18又ネブカデネザルがエルサレムの家より運び出して己が宮に据ゑ付けし金銀の聖器をば、クロス王バビロンの宮より再び取り出してこれをゼルバベルと牧伯サナバサロに渡し、 6:19此等のすべての器具を携へ行き、これをエルサレムの宮に据ゑ、そこに主の宮を建てよと命じ給へり。 6:20さればサナバサロ此處に來りて、エルサレムに在る主の家の礎を据ゑたり。その時より今に至るまでこれを建てつつありしが猶未だ竣らざるなり』と。 6:21されば王よ。若し御心にかなはば、バビロンに在る我らの主なる王の王室記錄を調べしめ給へ。 6:22而してもしエルサレムに在る主の家の建築クロス王の許可をもて爲されしこと見出されなば、我らの主なる王の御心もて、これを我らに證し給へ。』 6:23その時ダリヨス王命じてバビロンに保存されたる記錄を探らしめしに、メデヤ州のエクバタナ宮殿に於て、此等のことの記されたる卷物見出されぬ。 6:24『クロス王の第一年に、クロス人々が絶えざる火をもて犧牲を獻げんために、エルサレムなる主の家を建つることを命じたり。 6:25その家は高さを六十キユビト、廣さを六十キユビトにし、巨石三列とその國の新木一列とをもて造らるべし。その工費はクロス王の家より給せらるべし。 6:26又ネブカデネザルがエルサレムの家より取りてバビロンに運び行きし主の家の聖器は金銀ともエルサレムの家に、その以前ありし所に置かるべし』と。 6:27されば彼スリヤ及びピニケの總督シンシネとサテラブザネ、及びその同僚、又スリヤ及びピニケの主君たちに命じて、その所を亂さず、主の僕ゼルバベルとユダヤの牧伯とユダヤ人の長老たちに、その所に主の家を建てしめたり。 6:28『我またその再建を完うせんことを命ず。主の家の工事竣るまで、彼ら努めてこれを見守り、ユダヤの俘囚人らを助くべし。 6:29又ケレスリヤ及びピニケの租税の一部は主の犧牲のために、卽ち牡牛と牡羊及び小羊のために、心して此等の人々に、ことに牧伯ゼルバベルに與へらるべし。 6:30又穀物、鹽、酒、油を年毎に絶たず、エルサレムに居る祭司たちが日々の用のためにこれを求むる時、何事をも問はずして與へよ。 6:31又彼らをして灌祭をいと高き神に獻げしめ、王とその子等のために、卽ち彼らの生命のために祈ることを得しめよ。 6:32此の命令の中に記されたるいかなることにてもこれを犯し、若くは等閑にする者は、誰にもせよ、己が家より木を取り出されて、その上に擧げられ、又そのすべての所有物は王のために沒收せらるべし。 6:33されば人々のその御名に呼ばはる主は、エルサレムに於ける主の家を手を延べて妨げ又は毀つ者を悉く滅し給はん。 6:34我ダリヨス王、これに從ひて速かに行はんことを命ず。』

第7章

7:1その時ケレスリヤ及びピニケの總督シシンネとサテラブザネ、その同僚と共にダリヨス王の命に從ひ、 7:2心して宮の工事を見張り、ユダヤ人の長老等と宮司とを助けたり。 7:3かくて預言者アガイオ及びザカリヤの預言し居る間に、宮の工事進みぬ。 7:4彼らこれ等のことを、ペルシヤの諸王クロス、ダリヨス、及びアルタシヤスタの許可をもて、イスラエルの神なる主の誡命に從ひて終りぬ。 7:5かくてその家ダリヨス王の第六年、アダルの月の二十三日に落成せり。 7:6イスラエルの子ら、祭司、レビ人、及び俘囚より歸り來りて加へられし人々モーセの書に記されたる所に從ひて行ひぬ。 7:7主の宮の聖別禮に彼等は牡牛百、牡羊二百、小羊四百を獻げ、 7:8又十二の牡山羊をばイスラエルの罪のために、イスラエルの諸の族の十二の君侯の數に從ひて獻げぬ。 7:9祭司とレビ人は又、祭服を纒ひ、その區分に從ひて立ち、モーセの書に從ひて、イスラエルの神なる主に仕へぬ。又門衞等は各その門を守りぬ。 7:10[10-11]又俘囚より歸り來れるイスラエルの子等は、正月の十四日に、祭司とレビ人及び俘囚より歸り來れる人々の、共に聖別せられし時に過越祭を行ひぬ。そは彼ら聖別せられたればなり。レビ人も皆共に聖別せられたり。 7:11*[10-11]又俘囚より歸り來れるイスラエルの子等は、正月の十四日に、祭司とレビ人及び俘囚より歸り來れる人々の、共に聖別せられし時に過越祭を行ひぬ。そは彼ら聖別せられたればなり。レビ人も皆共に聖別せられたり。 7:12彼らは俘囚より歸り來れるすべての人々とその兄弟なる祭司たち、及び己等のために過越を獻げたり。 7:13而して俘囚より歸り來れるイスラエルの子らこれを食せり。卽ちそれは己をその地の異教徒の憎むべきものより聖め別ちて、主を求めしすべての人々なり。 7:14又彼らは七日の間除酵祭を守り、主の御前に樂めり。 7:15そは主アツスリヤの王の謀略を彼らに向けしめ、イスラエルの神なる主の業に彼らの手を強め給ひたればなり。

第8章

8:1此等のことの後、ペルシヤ王アルタシヤスタ世を治めし時、エズラ來りぬ。此のエズラはアザライヤの子、アザライヤはゼクリヤの子、ゼクリヤはヒルキヤの子、ヒルキヤはサレムの子、 8:2サレムはサドクの子、サドクはアヒトブの子、アヒトブはアマリヤの子、アマリヤはオジヤの子、オジヤはメメロテの子、メメロテはザライヤの子、ザライヤはサビヤの子、サビヤはボカの子、ボカはアビサイの子、アビサイはピネハスの子、ピネハスはエレアザルの子、エレアザルは大祭司アロンの子なり。 8:3此のエズラは、イスラエルの神によりて與へられたるモーセの律法に精通したる學士にして、バビロンより上り來れるなり。 8:4王は彼に名譽を與へたり。そは彼の求むる所すべてその心に合ひたればなり。 8:5イスラエルの子らと祭司とレビ人、聖歌隊のもの、門衞、宮仕の中の或もの彼と共にエルサレムに赴きぬ。 8:6これは王の第七年の五月なりき。彼らは正月の朔日にバビロンより出で、主が彼のために與へ給ひし安全なる旅路を辿りてエルサレムに來れり。 8:7エズラはいと大なる熟練を持ちたれば、主の律法と誡命とを少しも犯さず、全イスラエルに詔命と審判とを教へたり。 8:8さてアルタシヤスタ王より、主の律法の朗讀士なる祭司エズラに書き送られたる委任狀の寫はこれなり。 8:9『アルタシヤスタ王より主の律法の朗讀士なる祭司エズラに書を送る。 8:10われ寛大の取扱をなすことに決したれば、命じて、ユダヤ人、祭司とレビ人、及びわが領土内にある彼等の國人の中、望む者を汝と共にエルサレムに行かしむ。 8:11われとわが友なる七人の議官に善しと見えたれば、これを望む者は皆汝と共に行くべし。 8:12彼らは主の律法に記されし所に照らしてコダヤ及びエルサレムの狀態を視察し、 8:13又われとわが友等の約せしイスラエルの主への獻物をエルサレムに運ぶべし。又バビロン全州に見出さるる、エルサレムに於ける主のための、すべての金銀、 8:14及びエルサレムにある彼等の神なる主の宮のために人々の與へたるもの、卽ち牡牛と牡羊と小羊のための金銀と、これに關係あるものを悉く集め、 8:15彼らをしてエルサレムにある彼らの神なる主の祭壇の上に、主に向ひて犧牲を獻げしむべし。 8:16又汝と汝の兄弟が金銀をもて爲さんと思ふことは、何にてもこれを汝の神の御心に從ひてなせ。 8:17又エルサレムにある汝の神の宮の用のために汝に與へられたる主の聖器、 8:18又汝の神の宮の用のために、汝の思ひ出すものは何にても王の庫より取りて與ふべし。 8:19又われアルタシヤスタ王はスリヤ及びピニケに於ける庫官らに、至高き神の律法の朗讀士なる祭司エズラが求むるものは速かにこれを與ふべきことを命じたり。 8:20その額は銀百タラント、小麥百石、酒百斗、又鹽量なかるべし。 8:21神の律法に從ひて至高き神に速かにすべての事をなすべし。これ王とその子らの國の上に御怒の臨まざらんためなり。 8:22われ又汝に命ず。税又は他の負擔を祭司とレビ人、聖歌隊のもの、門衞、宮仕、又此の宮のために傭はれたる人々に課すべからず。何人も彼らに課税する權利なし。 8:23又汝エズラは、神の智慧に從ひて有司及び審判者を立て、スリヤ及びピニケに於ける汝の神の律法を知るすべての者を審かしむべし。又これを知らぬ者をば汝教ふべし。 8:24汝の神及び王の律法を犯す者は、死刑若くは他の刑罰、罰金若くは投獄によりて罰せられん。』 8:25その時學士エズラいへり『祝すべきかな、わが父祖の神なる唯一の主。主はエルサレムにあるその家に榮光を歸せんがため、此等のことを王の心に入れ、 8:26王とその議官、及びそのすべての友と貴族の眼の前にて我に名譽を與へ給へり。 8:27さればわれ、わが神なる主の御助によりて勵まされ、イスラエルの中より我と共に行く人々を集めたり。 8:28これはアルタシヤスタの治世に、その宗家に從ひ、區分に從ひて、我と共にバビロンより上り來りし者の長なり。 8:29ピネハスの子孫の中にてはゲルソン、イタマルの子孫の中にてはガマエル、ダビデの子孫の中にてはセケニヤの子アド、 8:30ポロの子孫の中にてはザカリヤ。彼と共なる男百五十人と數へらる。 8:31パアテ・モアブの子孫の中にてはザライヤの子エリヤオニヤ、彼と共なる男二百人、 8:32ザトエの子孫の中にてはエゼロの子セケニヤ、彼と共なる男三百人、アデンの子孫の中にてはヨナタンの子、彼と共なる男二百五十人、 8:33エラムの子孫の中にてはゴトリヤの子エシヤ、彼と共なる男七十人、 8:34サパテヤの子孫の中にてはミカエルの子ザライヤ、彼と共なる男七十人、 8:35ヨアブの子孫の中にてはエゼロの子アバデヤ、彼と共なる男二百十二人、 8:36バニヤの子孫の中にてはヨサピヤの子サリモテ、彼と共なる男百六十人。 8:37バビの子孫の中にてはベバイの子ザカリヤ、彼と共なる男二十八人。 8:38アスタテの子孫の中にてはアカタンの子ヨアンネ、彼と共なる男百十人。 8:39最後のアドニカムの子孫の中にては、(これはその名なり)エリパラト、ゲウエル、サマイヤ、彼らと共なる男七十人、 8:40バゴの子孫の中にてはイスタルクロの子ウテ、彼と共なる男七十人。 8:41われ彼らをテラと呼ばるる河のほとりに集め、三日の間天幕を張りて、これを閲せり。 8:42然るに祭司とレビ人の中誰も見えざりしかば、 8:45而してわれ彼らに乞ひて、庫の所に居りし隊長ロデオの許に行かしめ、 8:46これに命じてロデオとその兄弟、及びその所の庫官に語りて、我らの主の家に於て祭司の務を行ひ得る人々を我らに造はさしめたり。 8:47我等の主の力ある御手をもて彼らの伴ひ來れるは、イスラエルの子なるレビの子、モオリの子孫の中より悟ある人々、アセベビヤとその子ら、及び兄弟十八人、 8:48アセビヤ及びカンヌネオの子らなるアンヌオとその兄弟オサイヤ、彼等の子ら二十人、ダビデ及び長たる人々がレビ人の務のために定めたる宮仕の中よりの二百二十人の宮仕にして、その名は表にて示さる。 8:50われ若き人々のために我等の主の御前に斷食を誓ひ、我らと我らの子ら、及び我らと共にある家畜のために安全なる旅路を主に乞へり。 8:51そはわれ王に我らの敵に對して我らを守らしめんがため、歩兵と騎兵とを乞ふを恥ぢたればなり。 8:52我ら王に、我等の主の御力は主を求むる人々と共にあり、すべての道に於て彼らを支へ給はんといへり。 8:53我ら又此等のことにつきて我等の主に求め、主の我らを顧み給ふことを知れり。 8:54かくてわれ祭司の長たちの中十二人、エセレビヤとアサメミ、及び彼らと共なる彼らの兄弟十人を別ち、 8:55王とその議官、貴族及び全イスラエルの與へたる我等の主の家の金及び聖器を量れり。 8:58而してわれ彼等にいへり『汝等の主にありて聖なるが如く此等の器も聖なり。又金銀は我らの父祖の主なる主に對する獻物なり。 8:59されば汝ら、これをエルサレムにある我等の主の家の室に居る祭司とレビ人の長たちに、又イスラエルの宗家の長たる人々に渡すまで、心して守れ』 8:60かくて金銀及びエルサレムにありし諸の器具を受け、これを主の宮に携へ行けり。 8:61我ら正月の十二日にテラ河を去りてエルサレムに來るまで主の力ある御手我らと共にありき。主は我らを途中の攻擊より、すべての敵より救ひ給ひたれば我らエルサレムに來れり。 8:62我ら三日其處に留りて金銀を量り、四日目にこれをウリヤの子なる祭司マルモテに渡したり。 8:63彼と共にありしはピネハスの子エレアザルにて、彼らと共にありしはイエスの子ヨサバデとサバンノの子モエテ、及びレビ人らなりき。すべてのもの數へられ、量られて彼等に渡されぬ。 8:64同時に此等のもののすべての重さ記されたり。 8:65且俘囚より歸り來れる人々イスラエルの神なる主に犧牲を獻げたり。卽ち全イスラエルのために牡牛十二、牡羊九十六、小羊七十二、 8:66宥の供物として山羊十二、此等はすべて主に對する犧牲なり。 8:67彼等又王の敕命を王の代官に、又ケレスリヤとピニケの總督に渡しぬ。かくて彼等は民と主の宮とを崇あたり。 8:68さて此等のことなされし時、長たる人々わが許に來りていへり。 8:69『イスラエルの國人、君侯たち、祭司とレビ人、彼らの中より此の地の異なる民を去らしめず、又異邦人、卽ちカナン人、ヘテ人、ペリジ人、エブス人、モアブ人、エジプト人、及びエドム人の不潔を取り除かざるなり。 8:70彼らと彼らの子らは、その娘たちを娶り、聖き種は此の地の異なる民と混れり。此の事の初めより有司たちと貴族たちは此の惡に與かれり。』 8:71此等のことを聽くや否や我わが衣、わが聖き上衣を裂き、わが髮の毛と髯をむしりとり、悲み憂へて坐しぬ。 8:72かくてイスラエルの神なる主の御言に動かされたる者は皆、この不義のためにわが嘆き悲む間に、わが許に集ひぬ。されどわれ猶憂に滿たされて夕の犧牲の時まで坐せり。 8:73その時われ斷食より起ちあがり、裂けたるわが衣と聖き上衣のまま地に平伏し、手を主にさし延べていへり。 8:74『ああ主よ、われは汝の御顏の前に恥ぢ惑ふ。 8:75我らの罪は我らの頭の上に增し加はり、我らの過誤は天にまで達す。 8:76我らは我らの先祖たちの時より今日に至るまで大なる罪の中にあり。 8:77我らと我らの先祖たちの罪のために、我らは兄弟たち、王たち、祭司たちと共に、地の王たちと劍と俘囚とに渡され、恥づべき餌食となりて今日に至れり。 8:78されど今、幾許かの慈悲主より我らに示されたり。これ汝の聖所の地に一つの根と一つの名我らに殘されんがため、 8:79又我らに、我等の神なる主の家の中に光を見出さしめ、我らの仕へまつる時我らに食を與へ給はんがためなり。 8:80われら縛の中にありし時我等の主は我らを見棄て給はず、反つてペルシヤの諸王の前に惠を受けしめ給ひたれば、彼等我らに食を與へ、 8:81我等の主の宮を崇め、荒れたるシオンを興し、ユダヤとエルサレムに我らのために確なる住處を與へたり。 8:82ああ主よ。我ら今、此等のものをもちたればまた何をかいはん。我らは汝がかくいひて汝の僕なる預言者たちの手によりて與へ給ひし誡命を犯したり。曰く、 8:83汝らの嗣業として受けし地はその地の異邦人の汚辱をもて汚されたる地にして、彼らはこれに不潔を滿したり。 8:84されば今汝ら汝らの娘たちを彼等の息子たちと交らしむな。 8:85又汝ら彼らと永へに和睦を求むな。これ汝ら強くなりて、土地の善きものを食ひ、汝らこれを嗣業として永へに汝らの子等に殘さんがためなりと。 8:86されば我らに起りしことは皆、我らの惡しき業と我らの大なる罪のためにわれらに加へられたるなり。ああ主よ、汝は我らの罪を輕くし、 8:87我らにかかる根を與へ給へり。されど我らは背きて汝の律法を犯し、此の地の異教徒の不潔を己が身に混へたり。 8:88汝は怒りて我らを滅ぼし給はず、我らが根をも種をも名をも殘さざる程とはなし給はざりき。 8:89ああイスラエルの主よ、汝は眞なり。我らは此の日一つの根を殘されたり。 8:90視よ、我ら今、我らの不義をもて汝の御前にあり。我らはもはやこれによりて汝の御前に立つこと能はざるなり。』』 8:91エズラはかく祈の中に懺悔し、宮の前にて地に泣き伏しぬ。その時エルサレムより男、女、子供の大なる群彼の許に集り來れり。そは多くの人々いたく泣き叫びたればなり。 8:92その時イスラエルの子らの一人なるエイロの子エコニヤ呼はりていへり『エズラよ。我らは主なる神に對して罪を犯し、此の地の異敏徒の異なる女を娶りたれど、全イスラエル今高められたり。 8:93[93-94]いざ我ら主に對して、汝と主の律法に從ふすべての人によしと見ゆる如く、異邦人の間より娶りたる我らの妻を悉くその子供らと共に出さんとの誓約を立てん。 8:94*[93-94]いざ我ら主に對して、汝と主の律法に從ふすべての人によしと見ゆる如く、異邦人の間より娶りたる我らの妻を悉くその子供らと共に出さんとの誓約を立てん。 8:95起ちて務を果せ。こは汝に關ることなり。我ら汝と共に力強くこれをなさん。』 8:96さればエズラ起ちて、全イスラエルの祭司とレビ人の長とに、此等のことをなさんと誓はしめたり。彼等乃ち誓へり。

第9章

9:1是に於てエズラ宮の庭より起ちてエリヤシブの子ヨナの室に行き、 9:2そこに宿りしが、民の大なる不義のために悲みて、パンをも食はず、水をも飮まざりき。 9:3茲にユダヤ全國及びエルサレムに於て、俘囚より歸り來れる人々に布告發せられたり。汝ら皆エルサレムに集るべし、 9:4二日若くは三日の内にそこに集まらざるものは、任命されたる長老たちによりて、その家畜宮の用のために沒收せられ、俘囚より歸り來れる人々の會より黜けらるべしと。 9:5三日の内に、ユダとベニヤミンの族のすべての人々エルサレムに集れり。こは九月にして、恰もその月の二十日なりき。 9:6民は皆宮の前の廣場に共に集りて、惡しき天候のために震ひ慄けり。 9:7さればエズラ起ちて彼らにいへり『汝らは律法を犯して異邦の女を娶り、これによりてイスラエルの罪を增し加へたり。 9:8されば今懺悔して、我らの先祖の神なる主に榮光を歸し、 9:9その御心を行ひて、己が身をこの地の異教徒と、異邦の女より離せ。』 9:10その時全會衆叫びて大聲にいへり『汝の語りし如く、我らこれをなさん。 9:11されど群衆大にして、且天候惡しければ、我ら外に立つこと能はず。此のことにつきての我らの罪廣がり居れば、こは一日又は二日の業にあらず。 9:12されば民の有司たちを殘らしめ、我らの住民の中異邦人なる妻を持つ者をば、定めたる日に來らしめ、 9:13各地の有司と審判者をも彼らと共に來らしめて、此の事に因る主の御怒を我らの中より去らしめよ。』 9:14その時アザエルの子ヨナタンとトカノの子エゼキヤ自ら事に當り、モソラモ、レビ、及びサバテオ彼らの陪席者となる。 9:15俘囚より歸り來れる人々皆これに從へり。 9:16祭司エズラ宗家の長たる人々を、皆その名によりて選びぬ。十月の朔日に至り、彼ら事を閲するため共に閉ぢ籠れり。 9:17かくて異邦人なる妻を持てる人々の事件正月朔日の頃終りぬ。 9:18共に來りし祭司たちの中にて異邦の女を妻に持ちたるは、 9:19ヨセデクの子なるイエスの子らとその兄弟たちの中にては、マテラとエレアザル、ヨリボ及びヨハダノなり。 9:20彼等その妻を出さんと誓ひ、その愆の贖をなさんために牡羊を獻げたり。 9:21又エンメルの子孫の中にてはアナニヤとザブデオ、マネ、サメオ、ヒエレエル、及びアザリヤなり。 9:22パイスルの子孫の中にてはエリオナ、マシア、イスマエル、ナタナエル、オキデロ、及びサロア。 9:23レビ人の中にては、ヨザバデ、セメイ、コリオ、又の名はカリタ、パテオ、ユダ、及びヨナ。 9:24聖歌隊の者の中にては、エリアシボとバクロ。 9:25門衞の中にてはサルモとトルバネ。 9:26イスラエルの中の、ポロの子孫の中にては、ヒエルマ、イエデヤ、メルキヤ、マエロ、エレアザル、アシビヤ、及びバシネア。 9:27エラの子孫の中にては、マタニヤ、ザカリヤ、エズリエロ、オアブデオ、ヒエレモテ、及びアエデヤ。 9:28ザモテの子孫の中にてはエリアダ、エリアシモ、オトニヤ、ヤリモテ、サバト、及びザルデオ。 9:29ベバイの子孫の中にては、ヨハンネ、アナニヤ、ヨザバデ、及びエマテイ。 9:30マニの子孫の中にては、マムコ、エデオ、ヤスボ、ヤサエロ、及びヒエレモテ。 9:31アデの子孫の中にてはナアト、モオシヤ、ラクノ、ナイド、マタニヤ、セステル、バルヌオ、及びマナセア。 9:32アンナの子孫の中にては、エリオナ、アセア、メルキヤ、サベオ、及びシモン、コサメオ。 9:33アソムの子孫の中にては、マルタンネオ、マタテヤ、サバネオ、エリパラト、マナセ及セメイ。 9:34バアニの子孫の中にては、エレミヤ、モンデ、イスマエロ、ユエル、マムダイ、ペデヤ、アノ、カラバシオシ、エナシボ、マムニタネモ、エリアシ、バンノ、エリアリ、ソメイ、セレミヤ、ナタニヤ。エゾラの子孫の中にてはセシ、エズリル、アザエロ、サマト、ザムブリ、ヨセボ。 9:35ノオマの子孫の中にてはマジテヤ、ザバデア、エド、ユエル、及びバナイヤ。 9:36此等は皆異邦の女を妻としたるものにして、彼らはこれをその子らと共に出したり。 9:37祭司とレビ人、及びイスラエルの中なる人々は七月の朔日にエルサレムとその地に住みぬ。かくてイスラエルの子らその住處を得たり。 9:38ここにすベての民東に面したる宮の門の前なる廣場に共に集れり。 9:39彼等祭司なる朗讀士エズラにいへり『イスラエルの神なる主によりて與へられたるモーセの律法を携へ來れ』と。 9:40大祭司エズラ七月朔日に、男女の全群、及びすべての祭司たちに聽かしめんがため律法を携へ來れり。 9:41かれ宮の門の前なる廣場に於て、朝より午に至るまですべての男女の前にこれを讀みしに、群衆は悉く律法に心を止めたり。 9:42祭司なる律法朗讀士エズラ、造られたる木の壇の上に立ちぬ。 9:43彼の傍には、右の方にマタテヤ、サムモ、アナニヤ、アザリヤ、ウリヤ、エゼキヤ、及びバアルサモ、 9:44左の方にパルデオ、ミサエル、メルキヤ、ロタスボ、ナバリヤ、及びザカリヤ立てり。 9:45その時エズラ群衆の前に律法の書をとりて群衆の前に出で、その正面に恭しく坐せり。 9:46彼律法を開きし時彼等皆直ちに立ちあがれり。かくてエズラ全能なる萬軍の神、至高き神なる主を祝したり。 9:47すべての民これに答へて『アァメン』といひ、その手を擧げて地上に臥し、主を拜みぬ。 9:48又イエス、アンノ、サラビヤ、イアデノ、ヤクボ、サバテオ、アウテア、マイアンナ、カリタ、アザリヤ、ヨザブデ、アナニヤ、パリヤ、及びレビ人等は主の律法を教へ、主の律法を人々に讀み聽かせ、これを彼等に悟らしめたり。 9:49その時アタラテ大祭司なる朗讀士エズラと、群衆を教へしレビ人、及びすべての人にいへり 9:50『此の日は主の聖日なり。(彼ら律法を聽きし時、皆泣きたりき。) 9:51されば行きて、脂を食ひ、甘きものを飮め。持たぬ人にはその分前を贈れ。 9:52今日は主の聖日なればなり。又悲むな。主は汝らに光榮を與へ給はん。』 9:53さればレビ人すべての事を民に告げていへり『此の日は聖日なり、悲むな』と。 9:54その時彼等己が道に行き、各飮み食ひて樂み、持たぬものに分前を與へて、大なる歡喜をなせり。 9:55そは彼等、集りて教へられし御言を悟りたればなり。